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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】非貫通式組織分離器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
A61B17/29
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568362
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 IL2020050520
(87)【国際公開番号】W WO2020230131
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】266653
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521497268
【氏名又は名称】カーディオヴィア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】メンシーズ,ジヴ
(72)【発明者】
【氏名】ハザン,オア
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ,マオール
(72)【発明者】
【氏名】エリアス,ラン
(72)【発明者】
【氏名】デマ,ヨナタン アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】エリッツァ,ヤイール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG06
4C160GG23
4C160MM32
4C160NN03
(57)【要約】
本発明は、組織を分離して身体に解剖学的アクセス空間を作成するための、特に心膜と心外膜との間の空間へのアクセスを提供するためのデバイスおよび方法に関する。
【選択図】図3B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非貫通式組織分離器であって、
外側シャフト内腔、外側シャフト遠位部分、および外側シャフト遠位リップを有する、外側シャフトと、
内側シャフト内腔および内側シャフト外部表面を有する、内側シャフトと、
把持要素であって、前記内側シャフトの遠位エッジに取り付けられており、かつ把持要素遠位表面、把持要素近位表面、把持要素円周表面、把持要素内側開口部、および前記把持要素遠位表面、前記把持要素近位表面、または前記把持要素円周表面のうちの少なくとも1つに沿って配設された表面特徴を有する、把持要素と、を備え、
前記外側シャフトの少なくとも一部分が、前記内側シャフトと前記外側シャフトとの間の相対的な軸方向の移動を可能にするように、前記内側シャフトの少なくとも一部分の周りに配設され、それによって、第1の状態または第2の状態との間の前記把持要素の位置付けを容易にし、
前記把持要素が、その中心軸の周りで回転可能であり、
前記把持要素の前記中心軸が、前記把持要素遠位表面に直交して、遠位に配向された方向に方向付けられており、
前記表面特徴が、非外傷性表面特徴であり、前記把持要素のその中心軸の周りの回転運動中に、組織を切断、解剖、または貫通することなく、前記表面特徴を介して、前記組織を解放可能に係合および把持するように、かつ回転運動が停止した後に、前記把持要素と係合された前記組織を保持するように構成されている、非貫通式組織分離器。
【請求項2】
前記内側シャフトおよび前記外側シャフトのうちの少なくとも1つに取り付けられたハンドルをさらに備え、前記ハンドルが、前記内側シャフトと前記外側シャフトとの間の相対的な軸方向の移動を容易にするように構成されており、前記ハンドルが、前記把持要素の回転を容易にするように構成されている、請求項1に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項3】
前記ハンドルが、前記内側シャフトと係合されており、かつ前記内側シャフトの軸方向の移動または回転移動のうちの少なくとも1つを容易にするように構成されている、ステアリングノブをさらに備える、請求項2に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項4】
前記ステアリングノブが、その中心軸の周りを回転するように構成されており、前記内側シャフトが、前記ステアリングノブとねじ係合されている、請求項3に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項5】
前記ハンドルが、第1のハンドルニッチをさらに備え、前記ステアリングノブが、前記第1のハンドルニッチ内に配設されている、請求項2~4のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項6】
前記ステアリングノブが、それに沿って延在する前記内側シャフトを収容するように構成されたステアリングノブ内部ボアを備え、前記内側シャフトが、そこを通って軸方向に移動するように構成されている、請求項2に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項7】
前記内側シャフトが、それに取り付けられたローラ軸受を介して、前記ステアリングノブ内部ボア内で軸方向に転動するように構成されている、請求項6に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項8】
前記ハンドルが、それを通って延在する前記内側シャフトの少なくとも一部分の視覚的露出を可能にするように構成された第2のハンドルニッチをさらに備える、請求項2~7のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項9】
前記内側シャフトと前記ハンドルとの間に配設されており、かつ前記内側シャフトの近位変位に対する抵抗を提供するように構成されている、第1のシャフトばねをさらに備える、請求項8に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項10】
前記内側シャフトと前記ハンドルとの間に配設されており、かつ前記内側シャフトの遠位変位に対する抵抗を提供するように構成されている、第2のシャフトばねをさらに備える、請求項9に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項11】
前記把持要素の位置、外部表面に押圧されたときに前記把持要素によって印加される力、前記組織が前記把持要素の近位の引っ張りに対して抵抗を提供するかどうか、または前記組織が前記把持要素によって把持されているかどうか、のうちの少なくとも1つを示すしるしをさらに備える、請求項9または10に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項12】
前記内側シャフトが、前記しるしと比較することができる構造的特徴またはマーキングを備える、請求項11に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項13】
少なくとも前記第2のハンドルニッチを覆うように構成されたカバーをさらに備える、請求項8~12のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項14】
ラッチ機構をさらに備え、前記ラッチ機構が、
レバー支持体のピボットの周りで枢動可能に移動可能なレバーであって、前記レバー支持体が、前記外側シャフトに固定的に取り付けられている、レバーと、
少なくとも2つの軸方向に離間された溝を備える溝付き要素であって、各溝が、前記レバーの端部分を収容するように構成されており、前記溝付き要素が、前記ハンドルに固定的に取り付けられている、溝付き要素と、を備える、請求項2~13のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項15】
前記ラッチ機構が、前記レバーの端部に接続されたノブと、前記ノブと前記レバー支持体との間に配設されたノブばねと、をさらに備える、請求項13に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項16】
前記内側シャフトと前記外側シャフトとの間の前記相対的な軸方向の移動が、それらの間のねじ係合によって容易にされる、請求項1~15のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項17】
前記内側シャフトと前記外側シャフトとの間の前記相対的な軸方向の移動が、前記内側シャフトと前記ハンドルとの間のねじ係合によって容易にされる、請求項1~16のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項18】
前記把持要素の外径が、前記把持要素が前記外側シャフト内腔に挿入されるように構成されるように、前記外側シャフト内腔の直径よりも小さい、請求項1~17のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項19】
近位方向における前記把持要素の最大後退を制限するように構成されている、内側シャフト後退制限機構をさらに備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項20】
前記外側シャフト内腔が、近位方向において、前記外側シャフト遠位リップから半径方向内向きに先細りである、外側シャフト遠位円錐部分を備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項21】
前記外側シャフト内腔が、前記外側シャフト遠位リップと外側シャフト遠位ソケットショルダとの間に延在する、外側シャフト遠位ソケットを備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項22】
前記外側シャフト遠位部分に取り付けられており、かつ円錐ヘッド開口部を画定する円錐ヘッド遠位リップを有する、円錐ヘッドをさらに備える、請求項1~21のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項23】
前記円錐ヘッドが、非拡張状態と拡張状態との間で切り替わるように構成されている、複数の翼をさらに備える、請求項22に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項24】
前記翼が、半径方向内向きにばね付勢されており、前記翼が、それらの翼に沿った前記把持要素の軸方向の移動中に前記円錐内側表面に及ぼされる内部押し力のために半径方向外向きに拡張するように構成されている、請求項23に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項25】
前記円錐ヘッドが、前記把持要素とねじ係合され、前記複数の翼が、前記把持要素の前記第1の状態から前記第2の状態にねじ伝播するときに、半径方向外側に拡張して拡張状態になるように構成されている、請求項23に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項26】
前記円錐ヘッドが、剛性の変形不可能な構造として形成されている、請求項22に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項27】
前記円錐ヘッドが、複数の離間された巻線を有する少なくとも1つの螺旋コイルとして形成されている、請求項22に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項28】
前記外側シャフトの少なくとも一部分の周りに配設された送達シャフトであって、前記外側シャフトと前記送達シャフトとの間の相対的な軸方向の移動を可能にする、送達シャフトをさらに備える、請求項1~27のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項29】
前記円錐ヘッドが、前記外側シャフトに対して傾斜するように構成され、それによって非傾斜円錐状態と傾斜円錐状態との間で遷移する、請求項22~27のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項30】
前記円錐ヘッドが、前記外側シャフトに枢動可能に取り付けられている、請求項29に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項31】
前記円錐ヘッドの少なくとも一部分が、可撓性材料または形状記憶材料のうちの少なくとも1つを備える、請求項29に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項32】
前記把持要素が、前記把持要素の軸方向の長さがその外径よりも短いように円盤形状である、請求項1~31のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項33】
前記把持要素が、前記把持要素の軸方向の長さがその外径以上であるように、細長い、請求項1~31のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項34】
前記内側シャフトの遠位端部が前記外側シャフトに対して屈曲するように構成されるように、前記内側シャフトが、屈曲可能な内側シャフト部分および剛性内側シャフト部分と、を備える、請求項1~33のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項35】
前記屈曲可能な内側シャフト部分が、前記剛性内側シャフト部分の材料よりもより可撓性の材料を備える、請求項34に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項36】
前記屈曲可能な内側シャフト部分が、ばねを備える、請求項34に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項37】
前記屈曲可能な内側シャフト部分が、前記屈曲可能な内側シャフト部分の可撓性を与えるスロットまたはベローズを備える、請求項34に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項38】
前記内側シャフトが、前記把持要素との接続インターフェースから近位に延在する、内側シャフトねじ部分をさらに備える、請求項1~37のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項39】
前記内側シャフトが、前記内側シャフト外部表面の少なくとも一部分に沿って配設された内側シャフト表面特徴をさらに備える、請求項1~38のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項40】
少なくとも1つのECG電極をさらに備える、請求項1~39のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器。
【請求項41】
請求項1~40のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器と、心膜を穿刺、切断、または貫通するように構成された、前記内側シャフト内腔および前記把持要素内側開口部を通過可能なアクセスデバイスと、を備える、キット。
【請求項42】
前記アクセスデバイスが、遠位ニードル部分を備えるニードルである、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
前記ニードルの貫入深さを制限するように構成されているニードル拘束要素をさらに備える、請求項41に記載のキット。
【請求項44】
前記遠位ニードル部分が湾曲している、請求項42または43に記載のキット。
【請求項45】
前記アクセスデバイスが、前記心膜の回転中に横方向から前記心膜を穿刺または貫通するように構成されている、円周方向に配向された鋭い端部を有するねじ山を備える、請求項41に記載のキット。
【請求項46】
前記ガイドワイヤをさらに備える、請求項41~45のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
請求項1~40のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器と、前記非貫通式組織分離器の遠位にあるバルーンを膨張させるように構成されたバルーンカテーテルと、を備える、キット。
【請求項48】
非貫通式組織分離器を使用する方法であって、
(i)請求項1~40のいずれか一項に記載の非貫通式組織分離器を提供するステップと、
(ii)前記把持要素が前記第1の状態にある間に、前記非貫通式組織分離器の遠位部分を遠位方向に前進させるステップと、
(iii)前記把持要素を前記第1の状態から前記第2の状態に展開するように、前記非貫通式組織分離器を操作するステップと、
(iv)前記把持要素を回転させるように、前記非貫通式組織分離器を操作するステップと、
(v)前記把持要素を近位方向に引っ張るように、前記非貫通式組織分離器を操作するステップと、を含む、方法。
【請求項49】
非貫通式組織分離器を使用する方法であって、
(i)請求項1~40のいずれか一項に記載の前記非貫通式組織分離器を提供するステップと、
(ii)前記把持要素が、前記第2の状態にある間に、前記非貫通式組織分離器の遠位部分を遠位方向に前進させるステップと、
(iii)前記把持要素を回転させるように、前記非貫通式組織分離器を操作するステップと、
(iv)前記把持要素を近位方向に引っ張るように、前記非貫通式組織分離器を操作するステップと、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織を分離して身体に解剖学的アクセス空間を作成するための、特に、心膜と心外膜との間の空間へのアクセスを提供するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の内部および外部構造へのアクセスは、心血管疾患の治療に望ましい場合がある。デバイス送達のために心臓にアクセスすることができる1つの方法は、血管内アプローチによるものである。しかしながら、心臓への血管内アクセスは、より大きなデバイスの送達に対しても、かつ心臓の外部構造が対象となる場合も、適用可能ではない場合がある。そのような状況では、心膜の開口部または穿刺を通して心臓にアクセスすることができ、これは、心臓の外部(心外膜)表面への直接アクセスを提供することができる。そのために、心膜と心外膜との間の空間(心膜腔として知られている)への十分かつ安全なアクセスを提供することが望ましく、例えば、ガイドワイヤを越えて、外科用ツール、薬物および他の医療機器を通過させることができ、ガイドワイヤを必要とせずに外科的処置またはスタンドアロンを実行するこのような外科的処置には、デバイス送達(冠状動脈バイパス移植など)、薬物送達、左心耳治療、線維化組織の切除、不整脈の治療、ECGリードまたは他のセンサの配置、圧力印加による出血の低減、心嚢ドレナージ(心嚢穿刺)、遺伝子治療などを含み得る。
【0003】
心膜腔と称される、心膜組織と心外膜組織との間の空間は、ほとんどの場合、心嚢液で満たされた潜在的な空間にすぎない。米国出願公開第2012/238968号は、軸の周りで回転可能であり、心膜嚢にねじ込まれるように構成された遠位先端を有する螺旋組織ばねを介して、心膜嚢に係合して貫通するように構成されたデバイスを開示している。米国出願公開第2015/065898号は、複雑な組織を差別的に解剖するための器具を開示し、これは、組織を解剖して心膜嚢に貫通するように、個々の繊維成分を引き裂くように構成された突起を有する解剖ホイールを備えている。したがって、当技術分野では、心膜層と心外膜層との間の分離を可能にして、十分な容積および安全な経路を備えたアクセス空間を作成し、好ましくは心外膜または心筋の切断または貫通を不要と、それによって心臓への潜在的な損傷を回避するデバイスおよび方法を使用するための安全性かつ簡易性が求められている。
【発明の概要】
【0004】
以下の実施形態およびその態様は、範囲を限定するものではなく、例示的かつ例証的であることを意図するシステム、デバイス、および方法と併せて説明および例示される。様々な実施形態では、上記の問題のうちの1つ以上が低減または排除されているが、他の実施形態は、他の利点または改善を目的としている。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、心膜および心外膜などの組織層間を分離して、それらの間にアクセス空間を提供するためのデバイスおよび方法が提供される。このデバイスは、全般的に、互いに対して軸方向に移動可能な外側シャフトおよび内側シャフトを含み、内側シャフトは、その遠位エッジで把持要素に取り付けられている。
【0006】
把持要素は、心膜などの組織に接触して係合するように構成された表面特徴を装備しており、その中心軸の周りを回転すると、把持要素の周りに係合した組織の巻き付けを促進する。次に、デバイスを操作して、巻き付けられた組織とともに把持要素を後退することができ、それにより、把持された心膜組織と心外膜との間にアクセス空間を形成する。
【0007】
有利には、非外傷性要素として提供される把持要素は、心膜を切断または貫通することなく、心膜に係合し、巻き付き、そして後退する。例えば、把持要素の表面特徴およびすべてのエッジは、心膜組織を巻き付けるかまたは後退する作業空間を作成する際の心膜組織への望ましくない損傷を回避するために鈍くすることができる。
【0008】
一態様によれば、外側シャフト、内側シャフト内腔を有する内側シャフト、および内側シャフトの遠位エッジに取り付けられた把持要素を備える非貫通式組織分離器が提供される。
【0009】
外側シャフトは、外側シャフト内腔、外側シャフト遠位部分、および外側シャフト遠位リップを備える。
【0010】
把持要素は、把持要素遠位表面、把持要素円周表面、把持要素内側開口部、ならびに把持要素遠位表面および把持要素円周表面のうちの少なくとも1つに沿って配設された表面特徴を備える。
【0011】
外側シャフトの少なくとも一部分は、内側シャフトと外側シャフトとの間の相対的な軸方向の移動を可能にするように、内側シャフトの少なくとも一部分の周りに配設され、それによって、第1の状態または第2の状態との間の把持要素の位置付けを容易にする。
【0012】
把持要素は、その中心軸の周りで回転可能であり、把持要素の中心軸は、把持要素遠位表面に直交して、遠位に配向された方向に方向付けられている。
【0013】
表面特徴は、非外傷性表面特徴であり、把持要素のその中心軸の周りの回転運動中に、組織を切断、解剖または貫通することなく、表面特徴を介して組織を解放可能に係合および把持し、回転運動が停止した後に組織との係合を保持するように構成されている。
【0014】
別の態様によれば、外側シャフトと、内側シャフト内腔を有する内側シャフトと、内側シャフトの遠位エッジに取り付けられた把持要素と、を備える、非貫通式組織分離器が提供される。
【0015】
外側シャフトは、外側シャフト内腔、外側シャフト遠位部分、および外側シャフト遠位リップを備える。
【0016】
把持要素は、把持要素遠位表面、把持要素近位表面、把持要素円周表面、把持要素内側開口部、および把持要素遠位表面、把持要素近位表面、または把持要素円周表面のうちの少なくとも1つに沿って配設された表面特徴を備える。
【0017】
外側シャフトの少なくとも一部分は、内側シャフトと外側シャフトとの間の相対的な軸方向の移動を可能にするように、内側シャフトの少なくとも一部分の周りに配設され、それによって、第1の状態または第2の状態との間の把持要素の位置付けを容易にする。
【0018】
把持要素は、その中心軸の周りで回転可能であり、把持要素の中心軸は、把持要素遠位表面に直交して、遠位に配向された方向に方向付けられている。
【0019】
表面特徴は、非外傷性表面特徴であり、把持要素のその中心軸の周りの回転運動中に、組織を切断、解剖または貫通することなく、表面特徴を介して組織を解放可能に係合および把持し、回転運動が停止した後に組織との係合を保持するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、内側シャフトおよび外側シャフトのうちの少なくとも1つに取り付けられたハンドルをさらに含み、ハンドルは、内側シャフトと外側シャフトとの間の相対的な軸方向の移動を容易にするように構成されており、かつハンドルは、把持要素の回転を容易にするように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、ハンドルは、内側シャフトと係合し、内側シャフトの軸方向移動または回転運動のうちの少なくとも1つを容易にするように構成されたステアリングノブをさらに備える。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブは、その中心軸の周りを回転するように構成され、内側シャフトは、ステアリングノブとねじ係合される。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、ハンドルは、第1のハンドルニッチをさらに備え、ステアリングノブは、第1のハンドルニッチ内に配設される。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブは、それに沿って延在する内側シャフトを収容するように構成されたステアリングノブ内部ボアを含み、その結果、内側シャフトは、そこを通って軸方向に移動するように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフトは、それに取り付けられたローラ軸受を介してステアリングノブ内部ボア内で軸方向に転動するように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、ハンドルは、それを通って延在する内側シャフトの少なくとも一部分の視覚的露出を可能にするように構成された第2のハンドルニッチをさらに備える。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、内側シャフトとハンドルとの間に配設され、内側シャフトの近位変位に対する抵抗を提供するように構成されている第1のシャフトばねをさらに備える。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、内側シャフトとハンドルとの間に配置され、内側シャフトの遠位変位に対する抵抗を提供するように構成された第2のシャフトばねをさらに備える。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、把持要素の位置、外部表面に押圧されたときに把持要素によって印加される力、組織が把持要素の近位の引っ張りに対して抵抗を提供するかどうか、または組織が把持要素によって把持されているかどうかのうちの少なくとも1つを示すしるしをさらに備える。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフトは、しるしと比較することができる構造的特徴またはマーキングを備える。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、少なくとも第2のハンドルニッチをカバーするように構成されたカバーをさらに備える。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、レバー支持体のピボットの周りで枢動可能に移動可能なレバーを備えるラッチ機構と、少なくとも2つの軸方向に離間された溝を備える溝付き要素とをさらに備え、レバー支持体は、外側シャフトに固定的に取り付けられており、各溝は、レバーの端部分を収容するように構成されており、かつ溝付き要素は、ハンドルに固定的に取り付けられている。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、ラッチ機構は、レバーの端部に接続されたノブと、ノブとレバー支持体との間に配設されたノブばねと、をさらに備える。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフトと外側シャフトとの間の相対的な軸方向の移動は、それらの間のねじ係合によって容易にされる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフトと外側シャフトとの間の相対的な軸方向の移動は、内側シャフトとハンドルとの間のねじ係合によって容易にされる。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、把持要素の外径は、把持要素が外側シャフト内腔に挿入されるように構成されるように、外側シャフト内腔の直径よりも短い。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、近位方向への把持要素の最大後退を制限するように構成された、内側シャフト後退制限機構をさらに備える。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト内腔は、外側シャフト遠位リップから近位方向に半径方向内向きに先細りである、外側シャフト遠位円錐部分を備える。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト内腔は、外側シャフト遠位リップと外側シャフト遠位ソケットショルダとの間に延在する外側シャフト遠位ソケットを備える。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、外側シャフト遠位部分に取り付けられ、円錐ヘッド開口部を画定する円錐ヘッド遠位リップを有する円錐ヘッドをさらに備える。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッドは、非拡張状態と拡張状態との間で切り替わるように構成された複数の翼をさらに備える。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、翼は、半径方向内向きにばね付勢されており、翼は、そこに沿った把持要素の軸方向の移動中に円錐内側表面に及ぼされる内部押し力のために半径方向外向きに拡張するように構成されている。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッドは、把持要素とねじ係合され、複数の翼は、把持要素が第1の状態から第2の状態にねじで伝播するときに、半径方向外向きに拡張して拡張状態になるように構成されている。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッドは、剛性の変形不可能な構造として形成されている。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッドは、複数の離間した巻線を有する少なくとも1つの螺旋コイルとして形成されている。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、外側シャフトと送達シャフトとの間の相対的な軸方向の移動を可能にするように、外側シャフトの少なくとも一部分の周りに配設された送達シャフトをさらに備える。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッドは、外側シャフトに対して傾斜するように構成され、それによって、非傾斜円錐状態と傾斜円錐状態との間で遷移する。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッドは、外側シャフトに枢動可能に取り付けられている。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッドの少なくとも一部分は、可撓性材料または形状記憶材料のうちの少なくとも1つを備える。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、把持要素は、その軸方向の長さがその外径よりも短いように、円盤形状である。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、その軸方向の長さがその外径以上であるように、把持要素は細長い。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフトは、屈曲可能な内側シャフト部分および剛性の内側シャフト部分を含み、その結果、内側シャフトの遠位端部は、外側シャフトに対して屈曲するように構成されている。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト部分は、剛性の内側シャフト部分の材料よりも可撓性の材料を備える。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト部分は、ばねを備える。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト部分は、その可撓性を与えるスロットまたはベローズを備える。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフトは、把持要素との接続インターフェースから近位に延在する内側シャフトねじ付き部分をさらに備える。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、少なくとも1つの光学センサをさらに備える。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器は、少なくとも1つのECG電極をさらに備える。
【0059】
本発明の別の態様によれば、前述の実施形態のいずれか1つによる非貫通式組織分離器と、内側シャフト内腔および把持要素内側開口部を通過可能であり、心膜を穿刺、切断、または貫通するように構成されたアクセスデバイスと、を備える、キットが提供される。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、アクセスデバイスは、遠位ニードル部分を備えるニードルである。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、ニードルは、ニードルの貫入深さを制限するように構成されたニードル拘束要素をさらに備える。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、遠位ニードル部分は湾曲している。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、アクセスデバイスは、心膜の回転中に心膜を横方向から穿刺または貫通するように構成された、円周方向に配向された鋭い端部を有する糸を備える。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、キットは、ガイドワイヤをさらに備える。
【0065】
本発明の別の態様によれば、前述の実施形態のいずれか1つによる非貫通式組織分離器と、非貫通式組織分離器の遠位にあるバルーンを膨張させるように構成されたバルーンカテーテルと、を備える、キットが提供される。
【0066】
本発明のさらに別の態様によれば、非貫通式組織分離器を使用する方法が提供され、この方法は、
(i)前述の実施形態のいずれか1つに従って非貫通式組織分離器を提供するステップと、
(ii)把持要素が第1の状態にある間に、非貫通式組織分離器の遠位部分を遠位方向に前進させステップと、
(iii)把持要素を第1の状態から第2の状態に展開するように、非貫通式組織分離器を操作するステップと、
(iv)把持要素を回転させるように、非貫通式組織分離器を操作するステップと、
(v)把持要素を近位方向に引っ張るように、非貫通式組織分離器を操作するステップと、を含む。
【0067】
本発明のさらに別の態様によれば、非貫通式組織分離器を使用する方法が提供され、この方法は、
(i)前述の実施形態のいずれか1つに従って非貫通式組織分離器を提供するステップと、
(ii)把持要素が第2の状態にある間に、非貫通式組織分離器の遠位部分を遠位方向に前進させステップと、
(iii)把持要素を回転させるように、非貫通式組織分離器を操作するステップと、
(iv)把持要素を近位方向に引っ張るように、非貫通式組織分離器を操作するステップと、を含む。
【0068】
本開示の特定の実施形態は、上述の利点のいくつかまたはすべてを含む場合もあれば、いずれも含まない場合もある。さらなる技術的利点は、本明細書に含まれる図、説明、および特許請求の範囲から当業者には容易に明らかになり得る。本発明の態様および実施形態は、本明細書の以下の明細書および添付の特許請求の範囲にさらに記載されている。
【0069】
別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者のうちの一人によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が優先される。本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0070】
以下の実施形態およびその態様は、範囲を限定するものではなく、例示的かつ例証的であることを意図するシステム、ツール、および方法と併せて説明および例示される。様々な実施形態では、上記の問題のうちの1つ以上が低減または排除されているが、他の実施形態は、他の利点または改善を目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図を参照して本明細書に記載されている。説明は、図とともに、いくつかの実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。これらの図は、説明を説明するためのものであり、本発明の基本的な理解に必要なものよりも詳細に実施形態の構造の詳細を示す試みはなされていない。わかりやすくするために、図に示されている一部のオブジェクトは縮尺どおりではない。
【0072】
図では、
図1A】いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器の観点からの図を構成する。
図1B図1Aの非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図1C】第1の状態で、図1Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の視点で拡大した断面図を構成する。
図1D図1Aの非貫通式組織分離器の遠位領域を拡大した円錐ヘッド翼を備えた拡大断面図を構成する。
図1E】第2の状態の図1Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の視点での拡大断面図を構成する。
図1F図1Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の拡大断面側面図を構成する。
図2A-2F】把持要素の異なる実施形態の観点から図を構成する。
図3A-3E】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器を使用する方法の異なるステップを示す。
図4A】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器の観点からの図を構成する。
図4B図4Aの非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図5A-5D】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器を使用する方法の異なるステップを示す。
図6A-6B】いくつかの実施形態による、解剖学的心臓組織を分離する異なるステップの断面側面図を拡大して構成する。
図7A】いくつかの実施形態による、円錐ヘッドを欠く非貫通式組織分離器の遠位領域の視点での拡大図を構成する。
図7B】第1の状態で、図7Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図7C】第2の状態で、図7Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図8A】いくつかの実施形態による、第1の状態において、円錐ヘッドを欠く非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図8B】第2の状態で、図8Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図9A】いくつかの実施形態による、円錐ヘッドを欠く非貫通式組織分離器の遠位領域の視点での拡大図を構成する。
図9B】第1の状態で、図9Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図9C】第2の状態で、図9Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図10A-10C】いくつかの実施形態による非貫通式組織分離器を使用する方法の異なるステップを示す。
図11A】いくつかの実施形態による、第1の状態の非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図11B】第2の状態で、図11Aの非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図12A】いくつかの実施形態による、第1の状態の非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図12B】第2の状態で、図12Aの非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図13A】いくつかの実施形態による、第1の状態の非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図13B】第2の状態で、図13Aの非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図14A】いくつかの実施形態による、第1の状態の非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図14B図14Aの非貫通式組織分離器の第2の状態の断面側面図を構成する。
図15】いくつかの実施形態による、把持要素の観点からの図を構成する。
図16A】いくつかの実施形態による、第1の状態の非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図16B】第2の状態で、図16Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図17A】いくつかの実施形態による、第1の状態の非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図17B】第2の状態で、図17Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図18A】いくつかの実施形態による、第1の状態の非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図18B図18Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の第2の状態の断面側面図を構成する。
図19A-19C】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器を使用する方法の異なるステップを示す。
図20A】いくつかの実施形態による、第1の状態の非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図20B】第2の状態で、図20Aの非貫通式組織分離器の遠位領域の断面側面図を構成する。
図21A-21C】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器を使用する方法の異なるステップを示す。
図22A】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器の観点からの図を構成する。
図22B図22Aの非貫通式組織分離器の第1の状態の断面側面図を構成する。
図22C図22Aの非貫通式組織分離器の第2の状態の断面側面図を構成する。
図23A】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器の観点からの図を構成する。
図23B図22Aの非貫通式組織分離器の第1の状態の断面側面図を構成する。
図23C図23Aの非貫通式組織分離器の第2の状態の断面側面図を構成する。
図24A】いくつかの実施形態による、ローラ軸受を備えた内側シャフトの視点からの図を構成する。
図24B図24Aの内側シャフトの24B-24B方向からの断面図を構成する。
図25図23Cの非貫通式組織分離器の25-25方向からの断面図を構成する。
図26A】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器の遠位に膨張したバルーンを有するバルーンカテーテルの視点からの図を構成する。
図26B図26Aのバルーンカテーテルの断面側面図を構成する。
図27A-27D】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器を使用する方法の異なるステップを示す。
図28A】いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器の観点からの図を構成する。
図28B】第1の状態で、図28Aの非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図28C】第2の状態で、図28Aの非貫通式組織分離器の断面側面図を構成する。
図29A】いくつかの実施形態による、非傾斜円錐状態の傾斜可能な円錐ヘッドを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図29B】いくつかの実施形態による、傾斜円錐状態の傾斜可能な円錐ヘッドを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図30】いくつかの実施形態による、屈曲可能な内側シャフトを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図31】いくつかの実施形態による、屈曲可能な内側シャフトを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図32】いくつかの実施形態による、屈曲可能な内側シャフトを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図33A】いくつかの実施形態による、屈曲されていないシャフト状態の屈曲可能な内側シャフトを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図33B】いくつかの実施形態による、屈曲シャフト状態の屈曲可能な内側シャフトを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図34A】いくつかの実施形態による、送達シャフト内に保持されたコイル状ばね円錐ヘッドを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図34B】いくつかの実施形態による、第1の状態にある間、送達シャフトから遠位に延在するコイル状ばね円錐ヘッドを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図34C】いくつかの実施形態による、第2の状態にある間、送達シャフトから遠位に延在するコイル状ばね円錐ヘッドを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の断面側面図を構成する。
図34D図33Cのコイル状ばね円錐ヘッドを装備している非貫通式組織分離器の遠位部分の視点からの図を構成する。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下の説明では、本開示の様々な態様について説明する。説明の目的で、本開示の異なる態様の完全な理解を提供するために、特定の構成および詳細が記載されている。しかしながら、本明細書に提示される特定の詳細がなくても、本開示が実施され得ることも当業者には明らかであろう。さらに、本開示を曖昧にしないために、周知の特徴は省略されるか、または簡略化されている場合がある。図において、同様の参照番号は、全体を通して同様の部品を指す。
【0074】
図面の図全体を通して、同じ参照番号の異なる上付き文字は、同じ要素の異なる実施形態を表すために使用されている。開示されたデバイスおよびシステムの実施形態は、同じ要素の異なる実施形態の任意の組み合わせを含み得る。具体的には、上付き文字のない要素へのいかなる言及も、上付き文字で表された同じ要素の任意の代替的な実施形態を言及し得る。特定の図面に参照番号とリード線が多すぎることによる過度の混乱を避けるために、一部の構成要素は、1つ以上の図面を介して導入され、その構成要素を含む後続のすべての図面で明示的に識別されない。
【0075】
ここで、図1A~Fを参照する。図1Aおよび1Bは、いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器100の斜視図および断面側面図を構成する。非貫通式組織分離器100は、外側シャフト120、外側シャフト120の内腔132内に配設された内側シャフト140、および内側シャフト140の遠位エッジに取り付けられた把持要素190を備える。
【0076】
外側シャフト120は、外側シャフト近位部分122、外側シャフト遠位リップ126を有する外側シャフト遠位部分124、外側シャフト外部表面128、および外側シャフト内腔132を画定する外側シャフト内部表面130を備える。内側シャフト140は、内側シャフト近位部分142、内側シャフト遠位部分144、内側シャフト外部表面148、および内側シャフト内腔152を画定する内側シャフト内部表面150を備える。
【0077】
外側シャフト120の少なくとも一部分は、内側シャフト140または外側シャフト120の少なくとも1つが、それぞれ、例えば伸縮方式で、外側シャフト120または内側シャフト140に対して軸方向に移動可能であるように、内側シャフト140の少なくとも一部分の周りに同心円状に配設されている。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120が静止している間に内側シャフト140を遠位に移動させることができ、それにより、その遠位エッジに取り付けられた把持要素190を外側シャフト遠位リップ126に対して遠位に移動させる。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140が静止している間に外側シャフト120を近位に移動させることができ、それにより、外側シャフト遠位リップ126を把持要素190に対して近位に移動させる。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、外側シャフト内腔132内で自由にスライドすることができる。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、内側シャフト外部表面148上を自由にスライドすることができる。
【0080】
本出願の文脈の範囲内で、「遠位」という用語は、概して、使用時に心臓組織により近いほうの、任意のデバイスまたはデバイスの構成要素の側部または端部を指す。より具体的には、非貫通式組織分離器100の遠位端部は、例えば、把持要素190に沿って、心膜表面14に近い端部である。
【0081】
本出願の文脈において、「近位」という用語は、概して、「遠位端部」の反対側であり、使用時に心臓組織からより遠い、または非貫通式組織分離器100の操作者により近い、任意のデバイスまたはデバイスの構成要素の側面または端を指す。
【0082】
把持要素190は、その中心軸の周りで回転可能であり、把持要素190の中心軸は、把持要素遠位表面196に直交して、遠位に配向された方向に方向付けられている。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、内腔外側シャフト内腔132内でその中心軸の周りを回転するように構成される。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、内側シャフト140の回転が同じ回転方向の把持要素190の回転をもたらすように、内側シャフト140の遠位端部に取り付けられる。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、ハンドル102をさらに備える。ハンドル102は、ハンドル近位部分104およびハンドル遠位部分106を備える。内側シャフト140および外側シャフト120のうちの少なくとも1つは、ハンドル102が、内側シャフト140と外側シャフト120との間の相対的な軸方向の移動を容易にするように構成されるように、ハンドル102に取り付けられる。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、ハンドル102が、内側シャフト140と外側シャフト120との間の相対的な軸方向の移動を容易にするように構成されるように、ハンドル102に接続される。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に接続されている。
【0085】
ハンドルは、例えば、内側シャフト140の回転を容易にすることによって、把持要素190の回転を容易にするようにさらに構成される。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140の少なくとも一部分は、ハンドル102の少なくとも一部分を通って延在する。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト近位部分142は、ハンドル102の少なくとも一部分を通って延在する。いくつかの実施形態によれば、ハンドルは、ハンドル入口107を備える。いくつかの実施形態によれば、ハンドル近位部分106は、ハンドル入口107を備える。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト近位部分142は、ハンドル入口107を通って延在するように構成される。いくつかの実施形態によれば、ハンドル入口107は、内側シャフト内腔152へのアクセスを提供するように構成される。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は、近位部分104とハンドル遠位部分106との間に配設された第1のハンドルニッチ108をさらに備える(図1A~1Bを参照)。いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は、ステアリングノブ110をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、遠位および近位方向への内側シャフト140の軸方向の移動を容易にするように構成された、内側シャフトに取り付けられている。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、ハンドルニッチ108内に配設されている。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、その中心軸の周りを回転するように構成されたステアリングホイールとして形成される。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、そこを通って延在する内側シャフト140を受容するように寸法決定されたステアリングノブ内部ボア112を備える。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、ステアリングノブ110に移動可能または固定的に接続されるように、または代替的にステアリングノブ110との直接または間接接触を介して保持されるように、ステアリングノブ110と係合する。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、ステアリングノブ内部ボア112に接続されている。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ内部ボア112は、ステアリングノブねじ山114を含み、内側シャフト外部表面148の一部分は、内側シャフト140がステアリングノブ110とねじ係合するように、整合する内側シャフトねじ部分154を備える。そのような実施形態では、ステアリングノブ110を一方向に回転させると、内側シャフト140がハンドル102に対して遠位方向92に軸方向並進し、それによって把持要素190の位置が方向92に遠位に並進する(図1Eを参照)。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブねじ山114のねじ山の数および間隔、したがって、内側シャフトねじ部分154の嵌合ねじ山、ならびにステアリングノブねじ山114および/または内側シャフトねじ部分154の軸方向長さは、把持要素190に所望の移動度を提供するように選択することができる。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に接続されている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に固定的に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル120に対して不動または静止している。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト近位部分122は、例えば、接着、溶接などによって、ハンドル遠位部分106に固定的に取り付けられている。
【0093】
ここで、いくつかの実施形態によれば、異なる状態での非貫通式組織分離器100の遠位領域の拡大図を構成する図1C~1Fが参照される。いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、外側シャフト遠位部分124に取り付けられた円錐ヘッド160をさらに備える。円錐ヘッド160は、外側シャフト遠位部分124に接続された円錐近位部分164、円錐遠位リップ174を有する円錐遠位部分166、および円錐内側表面178を備える。円錐遠位リップ174は、円錐開口部168を画定する。いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、円錐遠位リップ174が外側シャフト遠位部分124の遠位に配置されるように、外側シャフト120に取り付けられている。
【0094】
非貫通式組織分離器100の外側遠位エッジは、外側シャフト遠位リップ126と円錐遠位リップ174との間の最遠位エッジとして画定される。例えば、非貫通式組織分離器100が円錐ヘッド160を含まない場合、外側シャフト遠位リップ126は、外側遠位エッジとして機能することができる。代替的に、外側シャフト遠位部分124に取り付けられた円錐ヘッド160を含む実施形態では、円錐遠位リップ174は、外側遠位エッジとして機能することができる。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、第1の状態と第2の状態との間で移動可能である。非貫通式組織分離器100の第1の状態は、把持要素190の遠位表面196が外側遠位エッジの近位または面一に位置付けされている状態として定義され、非貫通式組織分離器100の第2の状態は、把持要素190の遠位表面196が外側遠位エッジの遠位に位置付けされている状態として定義される。いくつかの実施形態によれば、第2の状態は、把持要素190の近位表面194が、外側遠位エッジによって画定される平面から遠位に離間している状態としてさらに定義される。
【0096】
本明細書全体を通して、第1の状態と第2の状態との間で移動可能な非貫通式組織分離器100への言及は、第1の状態と第2の状態との間で移動可能な把持要素190と同等である。
【0097】
外側シャフト140の少なくとも一部分は、内側シャフト120と外側シャフト140との間の相対的な軸方向の移動を可能にするように、内側シャフト120の少なくとも一部分の周りに配設され、それによって、把持要素190を遠位または外側シャフト遠位リップ126に対する近位方向に移動する。
【0098】
外側シャフト140の少なくとも一部分は、内側シャフト120と外側シャフト140との間の相対的な軸方向移動を可能にするように、内側シャフト120の少なくとも一部分の周りに配設され、それによって、把持要素190を第1の状態と第2の状態との間で、または任意の状態で遷移させる。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト140の少なくとも一部分は、内側シャフト120の少なくとも一部分の周りに同心円状に配設されている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト140および内側シャフト120は同軸である。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト120および外側シャフト140は、内側シャフト120を外側シャフト140に対して遠位方向に押すことによって、互いに対して軸方向にスライドするように構成される。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト120および外側シャフト140は、外側シャフト140を内側シャフト120に対して近位方向に引っ張るかまたは後退することによって、互いに対して軸方向にスライドするように構成される。
【0102】
いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は、非貫通式組織分離器100を第1の状態と第2の状態との間(その間の状態を含む)に遷移するように操作者によって操作されることができる。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブねじ山114の雌ねじは、ステアリングノブ110の回転方向に応じて、ステアリングノブ110の回転が第1の状態または第2の状態に向かって把持要素190の対応する軸方向の移動を引き起こすように内側シャフトねじ部分154の外部ねじと係合するように構成されている。
【0103】
図1Cは、第1の状態の非貫通式組織分離器100の遠位領域の斜視図を拡大図で示しており、把持要素190は、円錐遠位リップ174の近位に位置付けされている。図1Dは、第1の状態と第2の状態との間の遷移状態における図1Cの拡大図を示している。図1Eは、第2の状態での図1Cの拡大図を示しており、把持要素190は、円錐遠位リップ174から遠位に離間されている。図1Fは、把持要素190が円錐遠位リップ174に対して遠位に位置付けられるように、図1Eの状態の前または後の状態での、非貫通式組織分離器100の遠位部分の断面拡大側面図を示しているが、その近位表面194は、円錐遠位リップ174に対して遠位に離間されていない。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、中間コネクタ162(図1Fを参照)を介して外側シャフト120に接続され、中間コネクタ162は、外側シャフト遠位部分124に固定的に取り付けられており、および円錐近位部分164は、中間コネクタ162に固定的に取り付けられている。
【0105】
図1A~1Fに示される実施形態などのいくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、遠位軸方向に配向され、それらの間のノッチによって分離された、翼170a、170b、170cなどの複数の翼170を備える。各翼170は、翼遠位リップ172を含み、翼遠位リップ172a、172b、172cなどの複数の翼遠位リップ172は、ともに円錐遠位リップ174を形成する。円錐ヘッド160および翼170は、非拡張状態(図1Cを参照)と拡張状態(図1D~Eを参照)との間で切り替わるように構成される。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、翼170には、内部可撓性が提供されており、翼が半径方向内向きにばね付勢され(図1Cを参照)、その上に及ぼされる力によって半径方向外向きに押し出されることができるように(図1Dを参照)、翼遠位リップ172が、互いに半径方向に離れて拡張し、図1Cの非拡張位置に対してより広い円錐開口部168を形成する。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、円錐160は、円錐近位部分164と円錐遠位部分166との間に位置付けされた、翼間のノッチの近位端部に翼曲がり点176をさらに備える。翼曲がり点176は、ノッチの幅よりわずかに大きい直径を有するノッチ溝として形成することができ、翼に追加の可撓性を提供するように構成されている。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、各翼170は、曲がり点176の領域から遠位に延在する翼近位ストレート表面180(図1Fを参照)、翼近位ストレート表面180から遠位に延在し、半径方向内向きに傾斜する翼第1の傾斜部182、翼第1の傾斜部182から遠位に延在する翼中間ショルダ184、翼中間ショルダ184から遠位に延在し、かつ半径方向外向きに傾斜し、翼遠位リップ172で終端する翼第2の傾斜部186をさらに備える。翼近位ストレート表面180、翼第1の傾斜部182、翼中間ショルダ184、および翼第2の傾斜部186は、ともに円錐内側表面178を形成する。
【0109】
図1Cは、第1の状態にあり、翼遠位リップ172の近位に、より具体的には、外側シャフト遠位リップ126に近接して、または接触して配置された把持要素190を示している。円錐ヘッド160および翼170は、図1Cに非拡張状態で示され、翼170は、円錐開口部168の直径が把持要素190の直径よりも短くなるように、互いに半径方向内向きに付勢されている。
【0110】
円錐ヘッド160および翼170は、図1Dに拡張された状態で示され、翼170は、半径方向外向きに曲がっている。いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、翼170の外部表面または翼リップ172に取り付けられたケーブルまたはワイヤなど、翼170を半径方向外向きに拡張するように構成された機構を備え、翼170を拡張するために、例えば、ハンドル102でケーブルまたはワイヤの近位端部を引っ張ることによって、近位方向に引っ張られる(実施形態は図示せず)。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、翼170は、例えば第2の状態に向かってそれに沿った把持要素190の軸方向の移動中に円錐内側表面178に及ぼされる内部押し力のために半径方向外向きに拡張するように構成される。
【0112】
翼近位ストレート表面180は、翼170を拡張することなく、それに沿って把持要素190の軸方向並進を可能にするように構成される。翼近位ストレート表面180の軸方向長さは、外側シャフト遠位部分126から延在する経路を画定し、それに沿って、把持要素190の軸方向の移動は、翼170にいかなる力も及ぼさない。
【0113】
把持要素190が翼第1の傾斜部182に沿ってさらに遠位に押されると、翼はその円周表面198上をスライドして半径方向外向きに拡張する。把持要素190は、それが円錐開口部168を通って円錐ヘッド160を出るまで、遠位方向92に前進し続けるので、翼中間ショルダ184および翼第2の傾斜部186上をさらにスライドする。図1Eは、第2の状態に配置され、翼遠位リップ172から遠位に離間された把持要素190を示している。把持要素190はまた、近位方向94に引き戻すことができる。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、翼中間ショルダ184は、把持要素190が円錐開口部168を通って円錐ヘッド160を出るように、内側シャフト外部表面148に当接または押圧するように構成され、翼第2の傾斜部186は、把持要素190の外径よりも短い、円錐開口部168の外径を画定するある角度で傾斜している。このようにして、把持要素190が第2の状態から近位方向94に後退されると、その近位表面194が円錐ヘッド160に再び入るのが防止される(図1Fを参照)。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、翼第2の傾斜部186は、翼中間ショルダ184が内側シャフト外部表面148に当接するときの把持要素190の外径よりも大きい、円錐開口部168の外径を画定するある角度で傾斜しているので、潜在的に第1の位置に向けて、把持要素190を円錐ヘッド160の中に近位に後退することができるようにする。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、翼170は、半径方向外向きに屈曲されたとき、その位置に留まり、互いに向かって後ろに屈曲しようとしないように、塑性変形可能である。
【0117】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、組織の損傷を回避するように構成された非外傷性インターフェースを提供する。いくつかの実施形態によれば、円錐遠位リップ174は鈍く、鋭くなく、例えば、丸められている。
【0118】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、患者の心臓に向かっているデバイス100の前進中の組織損傷を軽減する非外傷性遠位インターフェースを提供するように、デバイス100の遠位端部を覆って構成された非外傷性端部キャップ(図示せず)をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、非外傷性端部キャップは、外側遠位エッジに取り付けられるか、またはそれを覆う。
【0119】
いくつかの実施形態によれば、非外傷性端部キャップは、把持要素190または他の器具が遠位に押されて、通過することを可能にするフラップを備える。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190を第1の状態と第2の状態との間で遷移させるプロセスは、遠位方向で内側シャフト140を前進させる代わりに、近位方向に外側シャフト120を円錐ヘッド160とともに後退することによって達成される。そのような実施形態における把持要素190と円錐ヘッド160との間の相対的相互作用は、把持要素190上をスライドする翼170の任意選択的な半径方向変位を含む、上述の要素間の相対的相互作用と同一である。
【0121】
ここで、把持要素190の異なる実施形態を示す図2A~Fを参照する。把持要素190は、把持要素内側開口部192、把持要素近位表面194、把持要素遠位表面196、および把持要素円周表面198を備える。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、把持要素内側開口部192は、内側シャフト内腔152の直径に実質的に等しい。いくつかの実施形態によれば、把持要素内側開口部192および内側シャフト内腔152は同軸である。
【0123】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、参照値からの10%の最大の任意選択的な偏差を指す。
【0124】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、その少なくとも1つの表面に沿って配設された表面特徴188をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、表面特徴188は、把持要素遠位表面196および把持要素円周表面198の少なくとも1つに沿って配設されている。いくつかの実施形態によれば、表面特徴188は、把持要素近位表面に沿って配設されている。
【0125】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は円盤形状である。
【0126】
図2Aは、把持要素遠位表面196に沿って延在する半径方向リッジの形の表面特徴188を設けた把持要素190の実施形態を示す。図2Bは、把持要素遠位表面196から突出するディンプルの形の表面特徴188を設けた把持要素190の実施形態を示す。
【0127】
図2Cは、把持要素遠位表面196に沿って配設され、そこから遠位に突出し、かつ把持要素円周表面198に沿って配設され、そこから遠位に突出している半径方向張出しの形の表面特徴188を設けた把持要素190の実施形態を示す。図2Dは、表面特徴188に互いに相対的に漸次離れて離間され、かつ把持要素遠位表面196から、および把持要素円周表面198から、表面特徴188にそれぞれ相対的に、遠位方向および半径方向にさらに突出している半径方向張出しの形の表面特徴188を設けた把持要素190の実施形態を示す。
【0128】
図2Eは、把持要素遠位表面196に沿って配設され、そこから遠位に突出し、かつ把持要素円周表面198に沿って配設され、そこから遠位に突出し、軸と半径方向突起との間の移行コーナーに沿って面取りされている半径方向張出しの形の表面特徴188を設けた把持要素190の実施形態を示す。
【0129】
図2Fは、把持要素遠位表面196に沿って配設され、そこから遠位に突出し、かつ把持要素円周表面198に沿って配設され、そこから遠位に突出している、円周方向に湾曲した非外傷性のこぎり歯の形の表面特徴188を設けた把持要素190の実施形態を示す。
【0130】
図2A~Fに示される実施形態は、例示的な構成を示す。代替的な構成は、当業者には明らかであろう。
【0131】
表面特徴188は、非外傷性表面特徴であり、組織を切断したり、解剖したり、貫通したりすることなく、組織に解放可能に係合するように構成されている。そのために、表面特徴188は、鋭い特徴ではなく鈍い特徴として形成されている。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、非外傷性要素として形作られ、組織を切断、解剖、または貫通することなく組織と係合するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、表面特徴188のすべてのエッジを含む、把持要素190のすべてのエッジは、鈍く、鋭くなく、例えば、丸みを帯びている。
【0132】
「解放可能に係合する」という用語は、非外傷性表面特徴188とそれらが接触している組織との間の係合に関して、把持要素190がその中心軸を中心に一方向に回転しているときに、組織を把持して巻き付けることができるように成形された非外傷性表面特徴を指し、把持要素190が反対方向に回転しているときに、組織は把持要素190から解放され得(すなわち、解放されるか、または巻き付けられない)、その結果、その係合から解放されると、組織は非外傷性表面特徴によって損傷を受けていないままである。「損傷を受けていない」という用語は、把持要素190によって解剖または貫通されることなく、切断されていない組織を指す。
【0133】
把持要素190は、組織の回転中に、表面特徴188を介して、組織を切断または貫通することなく、組織に係合して把持するように構成される。表面特徴188は、回転運動が停止すると、組織を把持要素190と係合させたままにするようにさらに構成されており、すなわち、組織は、把持要素が反対方向に回転されない限り、その回転が停止した後、組織が把持要素190の周りを滑ってそこから外れるのを防止される。
【0134】
いくつかの実施形態によれば、表面特徴188は、把持要素190の回転運動中に摩擦力を印加することによって組織に係合して把持するように構成された粗い表面を備える。
【0135】
有利には、表面特徴188は組織を貫通しないので、把持要素190を組織係合の方向と反対方向に回転させることにより、組織の係合を容易、迅速、便利かつ安全に解放することができる。
【0136】
いくつかの実施形態によれば、把持要素内側開口部192は、表面特徴188を欠いており、すなわち、把持要素内側開口部192は、タブ、ディンプル、タインなどの張出しのない比較的滑らかな表面を含み、把持要素内側開口部192は、組織を把持するように構成されておらず、むしろ、把持要素遠位表面196または把持要素円周表面198のうちの少なくとも1つに沿って表面特徴188によって把持される組織に向かって、かつ組織の中へそこを通過することができる他のデバイスへのアクセスを提供する。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、表面特徴188は、軸方向または半径方向外向きのいずれかに配向されているが、半径方向内向きには配向されていない。つまり、表面特徴188のいずれも互いに向けて配向されていないということである。
【0138】
いくつかの実施形態によれば、把持要素遠位表面196または把持要素近位表面194のうちの少なくとも1つは、湾曲面として形成される(実施形態は図示せず)。
【0139】
いくつかの実施形態によれば、把持要素遠位表面196は凹面である。いくつかの実施形態によれば、把持要素遠位表面196および把持要素近位表面194の両方が凹面である。そのような構成は、有利には、把持要素190の非外傷性形状を形成する。
【0140】
いくつかの実施形態によれば、把持要素遠位表面196および把持要素近位表面194の両方が凸状である。
【0141】
有利には、凸面または凹面の把持要素遠位表面196などの湾曲面は、より大きな組織把持面積を提供する。
【0142】
ここで、いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器100を使用する方法の異なるステップを示す図3A~3Eを参照する。図3Aは、方法の第1のステップを示し、外側シャフト120および内側シャフト140の少なくとも一部分、把持要素190および円錐ヘッド160を含む、非貫通式組織分離器100の遠位領域は、非貫通式組織分離器100が第1の状態にある間、すなわち、把持要素190が非貫通式組織分離器100の外側遠位エッジの近位に位置付けされている間、患者の身体に挿入され、患者の心臓10に向かって遠位方向に前進する。
【0143】
外側遠位エッジが心膜14またはその近くにあるように心臓10に接近すると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190を第1の状態から第2の状態に展開する。円錐ヘッド160が複数の翼170を備える場合、それらは、第1の状態から第2の状態への把持要素190の変位中に半径方向外向きに拡張される(図3Bを参照)。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、それが円錐遠位リップ174から遠位に離間するように第2の状態に位置付けされる(図3Bを参照)。
【0144】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、例えば、ステアリングノブ110を回転させることによって、外側シャフト120に対して内側シャフト140を遠位方向に前進させることによって、第1の状態から第2の状態に展開される。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、内側シャフト140に対して外側シャフト120を近位に後退することによって、第1の状態から第2の状態に展開される。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、外側シャフト120に対して内側シャフト140を遠位方向に押すことによって、第1の状態から第2の状態に展開される。
【0145】
把持要素190は、第2の状態に移行した後、心膜14とまだ接触していない場合、心膜14に接触または押圧するために、遠位方向にさらに前進する。把持要素190が心膜14と接触しているとき、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190をその中心軸の周りで回転させる。いくつかの実施形態によれば、把持要素190の回転は、内側シャフト140を回転させることによって達成される。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は、例えば、第1のハンドルニッチ108内に配設されるか、またはハンドル近位部分106の近位に配設され、内側シャフト外部表面148に固定的に取り付けられた回転ノブ(図示せず)をさらに含み、回転ノブの回転は、内側シャフト140および把持要素190の回転を容易にする。
【0147】
把持要素190の回転運動中に表面特徴188を介して心膜14に印加される張力により、組織は、それによって切断または穿刺されることなく、図3Bに示されるように把持要素190の周りに巻き付く。把持要素190は、心膜14が把持要素円周表面198の少なくとも一部分に後退されるまで、少なくとも回転される。いくつかの実施形態によれば、心膜14が把持要素円周表面198と把持要素近位表面194の両方の周りに巻き付けられるように、把持要素190はさらに回転される。
【0148】
心膜14の組織が把持要素190の周りに巻き付けられると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190を近位方向94に引っ張り、それによって、壁側心膜14の近位巻き付け部分と心外膜表面12との間に形成されるアクセス空間または作業空間16を作成する。
【0149】
本明細書で使用される「心膜」および「壁側心膜」という用語は交換可能である。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100全体が、内側シャフト140と外側シャフト120との間の相対的な移動なしに、心膜腔16を形成するために近位方向94に引っ張られる。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、心膜腔16は、外側シャフト120に対して近位方向94に内側シャフト140を引っ張ることによって形成される。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、それに沿って巻き付けられた心膜14が把持要素190と円錐ヘッド160の少なくとも一部分との間で押圧されるまで近位方向94に引っ張られ、それによって、その間に巻き付けられた心膜組織14をロックする。
【0152】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、図3Cに示されるように、把持要素近位表面194と円錐遠位リップ174との間で押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と円錐内側表面178との間で押圧される。
【0153】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、それに沿って巻き付けられた心膜14が把持要素190と外側シャフト120の少なくとも一部分との間で押圧されるまで近位方向94に引っ張られ、それによって、その間に巻き付けられた心膜組織14をロックする。
【0154】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素近位表面194と外側シャフト遠位リップ126との間で押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と外側シャフト内部表面130の一部分との間で押圧される。
【0155】
いくつかの実施形態によれば、作業空間16へのアクセスを提供するために、心膜14を穿刺、切断、または貫通するように構成された、非貫通式組織分離器100およびアクセスデバイスを備えるキットが提供される。いくつかの実施形態によれば、アクセスデバイスは、内側シャフト内腔152を通過し、把持要素内側開口部192から出て行くことができるようなサイズおよび形状になっている。
【0156】
いくつかの実施形態によれば、アクセスデバイスは、ニードル20を含み、ニードルは、近位ニードル部分22付きニードルシャフト、および鋭い遠位ニードル部分24を備える。図3Dは、遠位ニードル部分24を方向92に前進させて、把持要素内側開口部192に沿って延在する心膜14の部分を穿刺し、それによって作業空間16へのアクセスを提供するステップを示す。
【0157】
いくつかの実施形態によれば、心膜14は、それが把持要素内側開口部192に対して引き伸ばされるように把持要素190の周りに巻き付けられ、それにより、そのより容易な穿刺を可能にする。
【0158】
いくつかの実施形態によれば、近位ニードル部分22は、ハンドル入口107などのハンドル近位部分104の一部分に当接するように構成されたニードル拘束要素26を備える。いくつかの実施形態によれば、ニードル拘束要素26は、ハンドル入口107の内部の径よりも大きい外部の径を備え、それによって、ニードル20のさらなる遠位への前進を防止し、その貫入深さを制限し、心外膜表面を穿刺することを回避する。
【0159】
図3Dのニードル20は、心膜腔16を貫通するように示され、その結果、ニードル20の遠位先端は、把持要素190を超えて遠位に延在するが、いくつかの実施形態によれば、ニードルは、円錐遠位リップ174を超えて遠位に移動することが防止される(図27Dを参照)。
【0160】
いくつかの実施形態によれば、遠位ニードル部分24は、遠位ニードル部分24の鋭い先端の方向がニードルシャフトの長手方向軸または中心線からオフセットされる点まで屈曲または湾曲される(図3Dを参照)。そのような実施形態は、非貫通式組織分離器100の遠位部分がそれに対して角度を付けられているときはいつでも、心膜14または他の関心のある組織のいずれかに向かって遠位ニードル部分24の直交アクセスを有利に提供することができる。有利には、湾曲した/屈曲した遠位ニードル部分24は、その前方または後方アプローチのいずれかをさらに支持する。
【0161】
他のタイプのアクセスデバイスをキットで提供できる。本発明者らのWO2018/235072は、心膜の回転中に横方向から心膜を穿刺または貫通するように構成された、円周方向に配向された鋭い端部を有するねじ山を備えるアクセスデバイスを開示している。このようなアクセスデバイスは、ニードルの代わりに利用することができる。いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100とともにキットで提供されるアクセスデバイスは、WO2018/235072に開示されるアクセスデバイスの形態である。
【0162】
いくつかの実施形態によれば、円周ねじ山の遠位端部に形成された遠位に配向された鋭い先端などの遠位穿刺要素を有するアクセスデバイスをキットに提供することができる。そのようなアクセスデバイスは、例えば、遠位に配向された鋭い先端によるその穿刺を容易にするためにそれを回転させることによって、非貫通式組織分離器100によって保持された心膜14を穿刺するために促進される、内側シャフト内腔152を介して心膜14に送達され得る。
【0163】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100、アクセスデバイス、およびガイドワイヤを備えるキットが提供される。図3Eは、アクセスデバイスによって心膜に形成された切開または穿刺穴を通してガイドワイヤ30を作業空間16に導入するさらなるステップを示している。いくつかの実施形態によれば、ガイドワイヤ30は、ニードル20の内腔などのアクセスデバイスの内腔を通って前進する。
【0164】
いくつかの実施形態によれば、心膜に切開または穿刺穴が形成されると、ニードル20などのアクセスデバイスが後退され、非貫通式組織分離器100から除去される。いくつかの実施形態によれば、ガイドワイヤ30は、内側シャフト内腔152および把持要素内側開口部192を通って前進する。
【0165】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、ガイドワイヤ30などの外部デバイスへのアクセスを提供するために、ハンドル近位部分104の近位にあるルアーロックなどのカップリングをさらに備える。いくつかの実施形態によれば、ルアーロックは、ハンドル入口107に取り付けられている(実施形態は図示せず)。
【0166】
本明細書で使用される要素の「中心線」、「中心軸」または「長手方向軸」という用語は交換可能であり、要素のすべての断面の重心のセットを指す。中心線は、その配向がその長さに沿って変化するように湾曲する場合がある。「ローカル」中心線とは、対象の点または概ね近くの中心線の接線を指す。
【0167】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120、内側シャフト140、または円錐ヘッド160のうちのいずれか1つは、潤滑性または低摩擦材料から作製され得るか、またはPTFEなどの潤滑性または低摩擦材料から作製された外層(それぞれの外側表面に沿って)を有することができる。
【0168】
いくつかの実施形態によれば、ねじ付き把持要素190とねじ係合された円錐ヘッド160を備える非貫通式組織分離器100が設けられている(実施形態は図示せず)。円錐ヘッド160は、ノッチによって分離された、遠位軸方向に配向された、複数の翼170複数を備える。各翼170は、翼遠位リップ172を備え、複数の翼遠位リップ172は、円錐遠位リップ174をともに形成する。少なくとも円錐内側表面178の一部分は、内側ねじ山を備える、例えば翼170の内側表面の一部分によって形成される。
【0169】
把持要素円周表面198は、円錐ヘッド160の内側ねじ山に一致する外側ねじを備える。把持要素190の外側ねじは、円錐ヘッド160の内側ねじ山と係合する。いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、把持要素190が第1の状態にあるとき、非拡張状態(図1Cにおける翼170の状態と同様)にある翼170を備え、かつ把持要素190が第2の状態に遠位にねじ伝播するときに、拡張するように構成される。
【0170】
使用中、把持要素190は、遠位方向にその伝搬中に1つの方向に回転されると、回転ねじ係合が、翼170の半径方向の拡張を容易にする。いくつかの実施形態によれば、翼170は、傾斜または勾配内側表面が設けられてそこに沿って把持要素190のねじ移動中にその所望の半径方向の拡張を促進するように構成される。いくつかの実施形態によれば、把持要素190が、第1の状態に向かって近位に後退されるときに、翼170は、さらに半径方向内向きに後退するように構成されている。
【0171】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100を使用するステップの少なくともいくつか、および潜在的にすべてのステップの前進および操作は、少なくとも1つの画像化または感知デバイスによって容易にされる。いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、その少なくとも1つの機能を容易にするための少なくとも1つのセンサを備える(実施形態は図示せず)。
【0172】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、少なくとも1つの光学センサを備える。いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、少なくとも1つのインピーダンスセンサを備える。いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、少なくとも1つの超音波センサを備える。いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、ばねベースのセンサなどの少なくとも1つの機械的センサを備える。
【0173】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、ECGモニタと電気的に通信するように構成された、ECG電極などの少なくとも1つの電気センサを備える。センサは、心臓組織での電気信号を感知して記録するための電極として機能し得る。そのような実施形態では、ECGモニタは、非貫通式組織分離器100の操作者にフィードバックを提供し得、その操作を容易にすることができる。いくつかの実施形態によれば、ECGモニタは、非貫通式組織分離器100の特定の部分または要素の現在の位置に関するフィードバックを提供することができる。
【0174】
ここで、図4A~4Bを参照する。図4Aおよび4Bは、いくつかの実施形態による非貫通式組織分離器100の、それぞれ、斜視図における図および断面側面図を構成する。非貫通式組織分離器100は、円錐ヘッド160が拡張可能な翼を欠いていることを除いて、上述の非貫通式組織分離器100と同様である。
【0175】
具体的には、円錐ヘッド160は、外側シャフト遠位部分124に取り付けられている円錐近位部分164を備える、剛性の変形不可能な構造として形成されており、かつそこから遠位に延在する円錐遠位部分166は、半径方向外向きに先細りであり、このため、その円錐開口部168の直径は、外側シャフト120の直径より大きい。円錐ヘッド160は、翼170の相対的な移動または動作に言及しない円錐ヘッド160について本明細書で上述したすべての実施形態を機能し、含む。
【0176】
ここで、いくつかの実施形態に従って、非貫通式組織分離器100を使用する方法の異なるステップを示す、図5A~5Dを参照する。図5Aは、方法の第1のステップを示し、外側シャフト120および内側シャフト140の少なくとも一部分、把持要素190および円錐ヘッド160を含む、非貫通式組織分離器100の遠位部分は、非貫通式組織分離器100が第1の状態にある間、すなわち、把持要素190が円錐遠位リップ174に近位に位置付けされている間、患者に挿入され、患者の心臓10に向かって遠位に前進する。
【0177】
外側遠位エッジが心膜14またはその近くにあるように心臓10に接近すると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190を第1の状態から第2の状態に展開する。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、それが円錐遠位リップ174から遠位に離間するように第2の状態に位置付けされている(図5Bを参照)。
【0178】
把持要素190は、第2の状態で遠位に前進して、心膜14に接触する。把持要素190が心膜14にあるとき、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190をその中心軸の周りで回転させる。
【0179】
表面特徴188は、把持要素190の回転運動中に、組織を、それによって切断または穿刺することなく、図5Bに示されるように把持要素190の周りに巻き付ける。心膜14の組織が把持要素190の周りに巻き付けられると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190を近位方向に引っ張って、作業心膜腔16を作成する(図5Cを参照)。
【0180】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、それに沿って巻き付けられた心膜14が把持要素190と円錐ヘッド160の少なくとも一部分との間で押圧されるまで近位方向94に引っ張られ、それによって、その間に巻き付けられた心膜組織14をロックする。
【0181】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、図5Cに示されるように、把持要素近位表面194と円錐遠位リップ174との間で押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と円錐内側表面178との間で、図5Cおよび5Dに示すように、押圧される。
【0182】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、それに沿って巻き付けられた心膜14が把持要素190と外側シャフト120の少なくとも一部分との間で押圧されるまで近位方向94に引っ張られ、それによって、その間に巻き付けられた心膜組織14をロックする。
【0183】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、図5Dに示されるように、把持要素近位表面194と外側シャフト遠位リップ126との間で押圧される。
【0184】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100を使用する方法が提供され、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、患者の身体の中に挿入する前に、把持要素190を第1の状態から第2の状態に展開する。次に、外側シャフト120および内側シャフト140の少なくとも一部分、円錐ヘッド160および第2の状態の把持要素190を備える、非貫通式組織分離器100の遠位部分が、次に、患者に挿入され、患者の心臓10に向けて遠位に前進する。残りのステップは、本明細書の上述の図5B~5Dについて説明したものと同様である。
【0185】
ここで、図6A~6Bを参照する。図6Aおよび6Bは、心膜腔16の作成の2つの連続するステップにおける、非貫通式組織分離器100の遠位領域および対応する解剖学的心臓組織の拡大断面図を構成する。心腔11は、組織のいくつかの層に囲まれている。心膜空間16は、非貫通式組織分離器100を利用して、心臓壁と心膜14との間の既存のより狭い空洞をさらに分離することによって形成される。心腔11を覆う心臓壁は、心内膜13、心筋15、および心外膜12という、いくつかの組織層を含む。心膜14自体もまた、心膜壁側層14bを覆う線維性心膜組織14aから構成される。
【0186】
通常、心膜14と心臓壁は密接に接触しており、心嚢液の薄層によってのみ分離されている。把持要素190が前進して心膜14に接触し、次にその中心線を中心に回転すると、繊維層14aと壁側層14bの両方を含む心膜14がその周りに巻き付けられる。図6Aに示される例示的な実施形態では、心膜14は、把持要素遠位表面196、把持要素円周表面198、および把持要素近位表面194と係合するように、把持要素190の周りに巻き付けられる。他の実施形態では、把持要素190は、心膜14が、把持要素遠位表面196および把持要素円周表面198などのその表面の1つまたはいくつかのみと係合し、その周りに巻き付けられるように、回転することができる。
【0187】
層間の分離は、この時点で把持要素190を近位方向94に引っ張ることによって達成され、それによって心膜14を心臓壁から遠位に遠ざけ、特に心膜壁側層14bを心外膜表面12から遠ざけて、それらの間に拡張された心膜腔16を作成する。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、非貫通式組織分離器100の操作者によって及ぼされる手動の引っ張り力など、それに印加される従来の引っ張り力の下で近位方向94にもはや移動することができなくなるまで引っ張られる。
【0188】
図6Bに示される例示的な実施形態では、心膜14が把持要素円周表面198と円錐内側表面178との間で押圧されるまで、把持要素190が後退される。
【0189】
他の実施形態では、把持要素190は、心膜14が把持要素190の少なくとも1つまたはいくつかの表面と、円錐遠位リップ174、円錐内側表面178、外側シャフト遠位リップ126、外側シャフト内部表面130のうちの少なくとも1つまたはいくつかとの間で押圧されるまで引っ張られる。
【0190】
有利には、心膜14をつかみ、それを近位方向94に引っ張って拡大された心膜腔16を作成する手順は、心膜14、または、心外膜12、心筋15および心内膜13などを含む、心臓壁の任意の組織を含む、任意の組織を切断または穿孔することなく、実行される。
【0191】
図3B~E、10A~C、19A~C、21A~C、27A~D、29A~Bおよび33A~Bなどの現在の仕様の他の図が簡単にするために心膜14と心外膜表面12との間に形成された心膜腔16を示し得るのは明らかであり、心膜14は、図6A~Bに示すように繊維14a層と壁側14b層の両方を表し、心外膜表面12は、図6A~Bに示されるように、心内膜13および心筋15を含む、心臓壁の他の層を覆う層を表す。
【0192】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、必ずしも円錐ヘッド160を含まない。ここで、図7A~10Cを参照し、円錐ヘッド160を欠く非貫通式組織分離器100の実施形態を示す。
【0193】
図7Aは、いくつかの実施形態による、非貫通式組織分離器100の観点からの図を構成する。図7Bおよび7Cは、それぞれ、図7Aの非貫通式組織分離器100の第1の状態および第2の状態における断面側面図を構成する。円錐ヘッド160がないことを除いて、非貫通式組織分離器100は、現在の明細書全体に開示されている、構造および機能が類似している他のすべての構成要素を含む。
【0194】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190の外径は、把持要素190が外側シャフト内腔132に挿入され得るように、外側シャフト内腔132の直径よりも短い。そのような実施形態では、外側シャフト遠位リップ126は、外側遠位エッジとして機能する。図7Bは、第1の状態に位置付けされた把持要素190を示しており、その結果、把持要素190の遠位表面196は、外側シャフト遠位リップ126の近位にあるか、またはそれと面一上にある。
【0195】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、例えば、把持要素190が近位方向に遠くなりすぎて外側シャフト内腔132内に前進する移動を制限するために、特定の位置まで近位への把持要素190の最大後退を制限するように構成された、内側シャフト後退制限機構をさらに備える(実施形態は図示せず)。これは、把持要素190が、第1の位置で外側シャフト遠位リップ126と面一にあるか、または比較的短い所望の距離だけ離れていることを確実にするために有益であり得る。
【0196】
例示的な内側シャフト後退制限機構は、例として、内側シャフト外部表面148から半径方向外向きに延在し、外側シャフト内部表面130から半径方向内向きに延在する対応する内側突起と係合するように遠位に位置付けされ、かつ構成されている、外側突起を含み得、それによって、外側シャフト120に対する内側シャフト140のさらなる近位移動を防止するか、または内側シャフト140に対する外側シャフト120のさらなる遠位移動を防止する(例示的な実施形態は示されていない)。
【0197】
図7Cは、第2の状態に位置付けされた把持要素190を示しており、把持要素190の近位表面194は、外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間している。いくつかの実施形態によれば、図7Cに示される第2の状態は、外側シャフト120に対して遠位方向92に把持要素190とともに内側シャフト140を押すことによって達成される。いくつかの実施形態によれば、図7Cに示される第2の状態は、把持要素190に対して近位方向94に外側シャフト120を引っ張ることによって達成される。
【0198】
図7A~Cに示される実施形態などのいくつかの実施形態によれば、外側シャフト内腔132は、外側シャフト120の長さに沿って、または少なくとも外側シャフト遠位部分124の長さに沿って均一な直径を備えている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、外側シャフト遠位円錐部分136をさらに備える。
【0199】
図8Aおよび8Bは、いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120を装備している非貫通式組織分離器100の、それぞれ、第1の状態と第2の状態の断面側面図を構成する。外側シャフト120は、その外側シャフト内腔132が、外側シャフト遠位リップ126から近位に境界まで半径方向内向きに先細りになり、そこから外側シャフト内腔132の残りの部分に、内側シャフト140の外径よりも大きい均一な直径を提供することができる、外側シャフト遠位円錐部分136をさらに備えることを除いて、図7B~7Cに示す外側シャフト100に類似している。
【0200】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190の外径は、外側シャフト遠位円錐部分136の遠位端部の直径より小さいので、把持要素190は、外側シャフト遠位円錐部分136の遠位部分に挿入可能である。図8Aは、第1の状態に位置付けされた把持要素190を示しており、その結果、把持要素190の遠位表面196は、外側シャフト遠位リップ126の近位にあるか、またはそれと面一にある。
【0201】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト遠位円錐部分136は、内側シャフト後退制限機構として機能し、その結果、その少なくとも近位部分は、把持要素190の外径よりも短い先細りの直径を備えている。したがって、外側シャフト遠位円錐部分136は、把持要素が外側シャフト遠位円錐部分136の内側表面に係合すると、把持要素190のさらなる近位への後退を防止しながらも、第1の位置において、その中に把持要素190を収納するように構成されている。
【0202】
図8Bは、第2の状態に位置付けされた把持要素190を示しており、把持要素190の近位表面194は、外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間している。いくつかの実施形態によれば、図8Bに示される第2の状態は、外側シャフト120に対して遠位方向92に把持要素190とともに内側シャフト140を押すことによって達成される。いくつかの実施形態によれば、図8Bに示される第2の状態は、把持要素190に対して近位方向94に外側シャフト120を引っ張ることによって達成される。
【0203】
図9Aは、いくつかの実施形態による、外側シャフト120を装備している非貫通式組織分離器100の観点からの図を構成する。図9Bおよび9Cは、それぞれ、図9Aの非貫通式組織分離器100の第1の状態および第2の状態における断面側面図を構成する。外側シャフト120は、その外側シャフト内腔132が、外側シャフト遠位リップ126と外側シャフト遠位ソケットショルダ137との間に延在し、外側シャフト遠位ソケットショルダ137から近位に延在する外側シャフト内腔132の残りの部分の外径よりも長い均一な外径が提供される、外径シャフト遠位ソケット135をさらに備えることを除いて、図7B~7Cに示す外側シャフト100に類似している。
【0204】
図9Bは、第1の状態に位置付けされた把持要素190を示しており、その結果、把持要素190の遠位表面196は、外側シャフト遠位リップ126の近位にあるか、またはそれと面一にある。把持要素190の外径は、外側シャフト遠位ソケット135の内径の直径よりも短く、外側シャフト内腔132の残りの部分の内径よりも長くなっている。
【0205】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト遠位リップ126と外側シャフト遠位ソケットショルダ137との間に画定された外側シャフト遠位ソケット135の軸方向長さは、把持要素遠位表面196と把持要素近位表面194との間に画定され、第1の状態でその中に把持要素190を収容するように構成されている、把持要素190の軸方向の長さ以上である。
【0206】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト遠位ソケットショルダ137が内側シャフト後退制限機構として機能し、把持要素近位表面194が、外側シャフト遠位ソケットショルダ137に当接したかまたは係合したとき、把持要素190のさらなる近位への後退が防止される。
【0207】
図9Cは、第2の状態に位置付けされた把持要素190を例示しており、把持要素190の近位表面194が外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間されている。いくつかの実施形態によれば、図9Cに示す第2の状態は、外側シャフト120に対して遠位方向92に、把持要素190とともに内側シャフト140を押すことによって達成される。いくつかの実施形態によれば、図9Cに示す第2の状態は、把持要素190に対して近位方向94に外側シャフト120を引っ張ることによって達成される。
【0208】
ここで、いくつかの実施形態による、円錐ヘッド160を欠く非貫通式組織分離器100を使用する方法の異なるステップを示す、図10A~10Cを参照する。図10Aは、方法の第1のステップを示しており、外側シャフト120および内側シャフト140の少なくとも一部分および把持要素190を含む、非貫通式組織分離器100の遠位部分が、患者の身体に挿入され、そして非貫通式組織分離器100が第1の状態にある間、すなわち、把持要素190が外側シャフト遠位リップ126の近位に位置付けられている間、患者の心臓10に向かって遠位に前進する。
【0209】
外側遠位エッジが心膜14またはその近くにあるように心臓10に近づくと、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190を第1の状態から第2の状態に展開する。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、それが外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間するように第2の状態に配置される(図10Bを参照)。
【0210】
把持要素190は、第2の状態で遠位に前進して、心膜14に接触する。把持要素190が心膜14にあるとき、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190をその中心軸の周りで回転させる。
【0211】
表面特徴188は、把持要素190の回転運動中に、組織を、それによって切断または穿刺することなく、図10Bに示されるように把持要素190の周りに巻き付ける。心膜14の組織が把持要素190の周りに巻き付けられると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190を近位方向に引っ張って、作業心膜腔16を作成する(図10Cを参照)。
【0212】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、それに沿って巻き付けられた心膜14が把持要素190と外側シャフト120の少なくとも一部分との間で押圧されるまで近位方向94に引っ張られ、それによって、その間に巻き付けられた心膜組織14をロックする。
【0213】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14の外径は、外側シャフト内腔132の内径よりも長く、その結果、後退時に、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素近位表面194と外側シャフト遠位リップ126との間で、図10Cに示されるように、押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と外側シャフト内部表面130との間で押圧される。
【0214】
図10A~Cに例示される外側シャフト120は、図7A~Cからの外側シャフト120、図9A~Bからの外側シャフト120、または図10A~Cからの外側シャフト120の実施例のうちのいずれか1つであり得ることが明らかである。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と外側シャフト遠位円錐部分136との間の後退時に押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素近位表面194および外側シャフト遠位円錐部分136との後退時に押圧される。
【0215】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と外側シャフト遠位ソケット135と間の後退時に押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素近位表面194と外側シャフト遠位ソケットショルダ137との間の後退時に押圧される。
【0216】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140と外側シャフト120との間の軸方向のスライド可能な移動は、外側シャフト内部表面130の少なくとも一部分に沿った外側シャフトねじ部分134の内側ねじ山と、内側シャフト外部表面148の少なくとも一部分に沿った内側シャフトのねじ部分154の整合外側ねじ山との間の係合によって容易にされる。
【0217】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140と外側シャフト120との間の軸方向の相対的移動は、ステアリングノブ内部ボア112の少なくとも一部分に沿った内側ステアリングノブねじ山114と、内側シャフト外部表面148の少なくとも一部分に沿った内側シャフトのねじ部分154の整合外側ねじ山との間の係合によって容易にされる。
【0218】
ここで、図11A~11Bを参照する。図11Aおよび11Bは、いくつかの実施形態によれば、それぞれ、第1の状態および第2の状態にある非貫通式組織分離器100の断面側面図を構成する。図12Aおよび12Bは、いくつかの実施形態によれば、それぞれ、第1の状態および第2の状態にある非貫通式組織分離器100の断面側面図を構成する。図13Aおよび13Bは、いくつかの実施形態によれば、それぞれ、第1の状態および第2の状態にある非貫通式組織分離器100の断面側面図を構成する。図14Aおよび14Bは、いくつかの実施形態によれば、それぞれ、第1の状態および第2の状態にある非貫通式組織分離器100の断面側面図を構成する。
【0219】
非貫通式組織分離器100は、内側シャフト140と外側シャフト120との間の相対的な軸方向の移動がねじ係合によって容易にされることを除いて、現在の明細書を通して他の実施形態で説明した非貫通式組織分離器100に類似している。
【0220】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140と外側シャフト120との間のねじ係合は、外側シャフト近位部分122の少なくとも一部分に沿った外側シャフトのねじ部分134の内側ねじ山と、内側シャフト外部表面148の少なくとも一部分に沿った内側シャフトのねじ部分154の整合外側ねじ山との間の係合を含む。
【0221】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト近位部分122は、外側シャフト内部表面130の少なくとも一部分に沿って外側シャフトのねじ部分134を備え、内側シャフト外部表面148の一部分は、整合する内側シャフトねじ部分154を備え、これらにより、内側シャフト140は、外側シャフト120とねじ係合される。このような実施形態では、内側シャフト140の一方向への回転が、外側シャフト120に対する遠位方向92への、外側シャフトの軸方向の移動に並進され、それによって、把持要素190の位置を、方向92において遠位に並進させる。
【0222】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、ステアリングノブ110に固定的に接続されている。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、ステアリングノブ内部ボア112に固定的に接続されている。このような実施形態では、ステアリングノブ110の一方向への回転は、内側シャフト140をそれとともに回転させ、外側シャフト120に対して遠位方向92において軸方向に並進させ、それによって把持要素190の位置を、方向92において遠位に並進させることができる。
【0223】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に接続されている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に固定的に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル120に対して不動または静止している。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト近位部分122は、例えば、接着、溶接などによって、ハンドル遠位部分106に固定的に取り付けられている。このような実施形態では、第1の状態から第2の状態への把持要素190の変位は、外側シャフト120に対する遠位での内側シャフト140の軸方向移動によって容易にされる。
【0224】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120ハンドル102のボア内で軸方向にスライド可能である。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120ハンドル遠位部分106のボア内で軸方向にスライド可能である。このような実施形態では、第1の状態から第2の状態への把持要素190の変位は、内側シャフト140に対する近位方向での外側シャフト120の軸方向移動によって容易にされる。
【0225】
非貫通式組織分離器100は、内側シャフト140と外側シャフト120との間の軸方向のスライド可能な移動が、外側シャフト遠位部分124の少なくとも一部分に沿った外側シャフトのねじ部分134の内側ねじ山と、内側シャフト遠位部分144の少なくとも一部分に沿った内側シャフトのねじ部分154の整合外側ねじ山との間の係合によって容易にされるということを除いて、本明細書全体を通して任意の他の実施形態に記載の非貫通式組織分離器100と類似している。
【0226】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト遠位部分124は、外側シャフト内部表面130の少なくとも一部分に沿って外側シャフトのねじ部分134を備え、内側シャフト遠位部分144は、外部表面148の少なくとも一部分に沿って整合する内側シャフトのねじ部分154を備え、これらにより、内側シャフト140は、外側シャフト120とねじ係合される。このような実施形態では、内側シャフト140の一方向への回転が、外側シャフト120に対する遠位方向92への、外側シャフトの軸方向の移動に並進され、それによって把持要素190の位置を、方向92における遠位に並進させる。
【0227】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、ステアリングノブ110に固定的に接続されている。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、ステアリングノブ内部ボア112に固定的に接続されている。このような実施形態では、ステアリングノブ110の一方向への回転は、内側シャフト140をそれとともに回転させ、外側シャフト120に対して遠位方向92において軸方向に並進させ、それによって把持要素190の位置を、方向92において遠位に並進させることができる。
【0228】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に接続されている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に固定的に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル120に対して不動または静止している。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト近位部分122は、例えば、接着、溶接などによって、ハンドル遠位部分106に固定的に取り付けられている。このような実施形態では、第1の状態から第2の状態への把持要素190の変位は、外側シャフト120に対する遠位での内側シャフト140の軸方向移動によって容易にされる。
【0229】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102のボア内で軸方向にスライド可能である。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル遠位部分106のボア内で軸方向にスライド可能である。このような実施形態では、第1の状態から第2の状態への把持要素190の変位は、内側シャフト140に対する近位方向での外側シャフト120の軸方向移動によって容易にされる。
【0230】
非貫通式組織分離器100は、ハンドル102が第1のハンドルニッチ108を欠いていること、内側シャフト140と外側シャフト120との間の軸方向のスライド可能な移動が、ステアリングノブ内部ボア112の少なくとも一部分に沿ったステアリングノブねじ山114の内側ねじ山と、内側シャフト近位部分142の少なくとも一部分に沿った内側シャフトのねじ部分154の整合外側ねじ山との間の係合によって容易にされるということを除いて、本明細書全体を通して任意の他の実施形態に記載の非貫通式組織分離器100と類似している。
【0231】
いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、ハンドルの近位部分102に、またはその近位に配設されている。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、そこを通って延在する内側シャフト140を受容するように寸法決定されたステアリングノブ内部ボア112を備える。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ内部ボア112は、ステアリングノブねじ山114を含み、内側シャフト近位部分142の外部表面148の一部分は、内側シャフト140がステアリングノブ110とねじ係合するように、整合する内側シャフトねじ部分154を備える。このような実施形態では、ステアリングノブ110の一方向への回転は、内側シャフト140の、ハンドル102に対する遠位方向92への軸方向並進を引き起こし、それによって把持要素190の位置を、方向92で遠位に並進させる。
【0232】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に接続されている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に固定的に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル120に対して不動または静止している。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト近位部分122は、例えば、接着、溶接などによって、ハンドル遠位部分106に固定的に取り付けられている。このような実施形態では、第1の状態から第2の状態への把持要素190の変位は、外側シャフト120に対する遠位方向での内側シャフト140の軸方向移動によって容易にされる。
【0233】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120ハンドル102のボア内で軸方向にスライド可能である。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120ハンドル遠位部分106のボア内で軸方向にスライド可能である。このような実施形態では、第1の状態から第2の状態への把持要素190の変位は、内側シャフト140に対する近位方向での外側シャフト120の軸方向移動によって容易にされる。
【0234】
非貫通式組織分離器100は、ハンドル102がステアリングノブ110を欠いていること、内側シャフト140と外側シャフト120との間の相対的な軸方向の移動が、内側シャフト140とハンドル102との間のねじ係合によって容易にされるということを除いて、本明細書全体を通して任意の他の実施形態に記載の非貫通式組織分離器100と類似している。
【0235】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140とハンドル102との間のねじ係合は、外側シャフトの遠位部分124の少なくとも一部分に沿った外側シャフトのねじ部分134の内側ねじ山と、内側シャフト遠位部分144の少なくとも一部分に沿った内側シャフトのねじ部分154の整合外側ねじ山との間の係合を含む。
【0236】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト遠位部分124は、外側シャフト内部表面130の少なくとも一部分に沿って外側シャフトのねじ部分134を備え、内側シャフト遠位部分144は、外部表面148の少なくとも一部分に沿って整合する内側シャフトのねじ部分154を備え、これらにより、内側シャフト140は、外側シャフト120とねじ係合される。このような実施形態では、内側シャフト140の一方向への回転が、外側シャフト120に対する遠位方向92への、外側シャフトの軸方向の移動に並進され、それによって把持要素190の位置を、方向92における遠位に並進させる。
【0237】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に接続されている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル102に固定的に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、ハンドル120に対して不動または静止している。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト近位部分122は、例えば、接着、溶接などによって、ハンドル遠位部分106に固定的に取り付けられている。このような実施形態では、第1の状態から第2の状態への把持要素190の変位は、外側シャフト120に対する遠位方向での内側シャフト140の軸方向移動によって容易にされる。
【0238】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120ハンドル102のボア内で軸方向にスライド可能である。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120ハンドル遠位部分106のボア内で軸方向にスライド可能である。このような実施形態では、第1の状態から第2の状態への把持要素190の変位は、内側シャフト140に対する近位方向での外側シャフト120の軸方向移動によって容易にされる。
【0239】
明細書全体を通して、内側シャフト140と外側シャフト120との間の軸方向の移動は、双方向、すなわち、互いに対して遠位方向または近位方向のいずれかであり得ることが明らかである。同様に、第1の構成要素を第1の方向に回転させることができるときはいつでも、同じ第1の構成要素または異なる第2の構成要素の遠位移動を容易にし、第1の構成要素の反対方向への回転も可能であり、同じ第1の構成要素または異なる第2の構成要素の近位移動を容易にする。
【0240】
非貫通式組織分離器100の異なる構成要素の実施形態の任意の組み合わせ、例えば、制限されるものではないが、ステアリングノブ110の有無にかかわらず、第1のハンドルニッチ108の有無にかかわらず、円錐ヘッド160の有無にかかわらず、内側シャフト120と外側シャフト140との間のねじ係合の有無にかかわらず、内側シャフト120とステアリングノブ110との間のねじ込み係合の有無にかかわらず、分離器100を利用可能であり得ることは明らかである。
【0241】
いくつかの実施形態は、外側シャフト近位部分122または外側シャフト遠位部分124のいずれかに沿った内側シャフト120と外側シャフト140との間のねじ係合を例示しているが、そのようなねじ係合は、外側シャフト140の任意の領域に沿って位置付けられ得、さらに外側シャフト140の全長に沿って延在することができるのは明らかである。
【0242】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、内側シャフトねじ部分154を欠いており、その結果、内側シャフト140と外側シャフト120との間の相対的な軸方向移動は、例えば伸縮方式で外側シャフト120を外側シャフト120に対して遠位方向92に押すことによって、または代替的に、内側シャフト140に対して外側シャフト120を近位方向94に引っ張ることによって容易にされる。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、ステアリングノブ110、例えば、ステアリングノブ内部ボア112にさらに固定的に接続されている。そのような実施形態では、軸方向に内側シャフト140を押すまたは引くことは、ステアリングノブ110を押すまたは引くことによって容易にすることができる。
【0243】
ここで、図15~18Bを参照する。図15は、いくつかの実施形態によれば、把持要素190の斜視図を構成する。図16Aおよび16Bは、いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120および把持要素190を装備している非貫通式組織分離器100の、それぞれ、第1の状態と第2の状態の断面側面図を構成する。図17Aおよび17Bは、いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120および把持要素190を装備している非貫通式組織分離器100の、それぞれ、第1の状態と第2の状態の断面側面図を構成する。図18Aおよび18Bは、いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120および把持要素190を装備している非貫通式組織分離器100の、それぞれ、第1の状態と第2の状態の断面側面図を構成する。
【0244】
把持要素190は、例えば、円盤のような形状ではなく、軸方向にやや長い、ボルトの形状を採るという点において、把持要素190~190の実施形態(図2A~Fを参照)とは異なる。いくつかの実施形態によれば、把持要素190の円盤形状は、その軸方向の長さがその外径よりも短いことを指す。いくつかの実施形態によれば、把持要素190の円盤形状は、その軸方向の長さがその外側半径よりも短いことを指す。いくつかの実施形態によれば、把持要素190の細長い形状は、その軸方向の長さがその外径以上であることを指す。
【0245】
図15は、把持要素円周表面198に沿って配設され、そこから遠位に突出し、かつ把持要素遠位表面196に沿って配設され、そこから遠位に突出している半径方向張出しの形の表面特徴188を設けた把持要素190を示す。いくつかの実施形態によれば、表面特徴188は、鈍い歯の形をしており、各歯が把持要素近位表面194と把持要素遠位表面196との間に、把持要素円周表面198を取り囲むことなく、軸方向に湾曲した経路に沿って配設される。
【0246】
いくつかの実施形態によれば、表面特徴188は、そこに沿って巻き付けられる心膜14などの組織の部分を収容するように構成され、それらの間に溝を作成するように形成されている。
【0247】
有利には、細長い把持素子190は、心膜14が把持要素190の円盤形状構成に対して巻き付けられ、それに沿ってより大きな把持要素円周表面198を提供し、改善されたそれらの間のグリップまたは係合を設ける。
【0248】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、その長さに沿って不均一な直径を備えている(実施形態は図示せず)。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、把持要素遠位表面196と把持要素近位表面194との間で先細になり、円錐台形のプロファイルを形成する。
【0249】
いくつかの実施形態によれば、把持要素遠位表面196の直径は、把持要素近位表面194の直径よりも小さい。いくつかの実施形態によれば、把持要素遠位表面196の直径は、把持要素近位表面194の直径よりも大きい。
【0250】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190の外径は、把持要素190が外側シャフト内腔132に挿入され得るように、外側シャフト内腔132の直径よりも小さい。そのような実施形態では、外側シャフト遠位リップ126は、外側遠位エッジとして機能する。図16Aは、第1の状態に位置決めされた把持要素190を示しており、その結果、把持要素190の遠位表面196は、外側シャフト遠位リップ126の近位にあるか、またはそれと面一上にある。
【0251】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190および内側シャフト140は一体的に形成され、その結果、把持要素近位表面194は別個の表面としては見えず、むしろ内側シャフト120の遠位リップと連続している。
【0252】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、そのような実施形態における把持要素遠位表面196を構成する、内側シャフト120の遠位リップの少なくとも1つ、または、そのような実施形態における把持要素円周表面198を構成する、内側シャフト遠位部分144の少なくとも一部分に沿って、例えば、表面特徴188を含む内側シャフトに沿って遠位領域を形成することによって、内側シャフト120の遠位部分を構成する。
【0253】
図16Bは、第2の状態に位置付けされた把持要素190を示しており、把持要素190の近位表面194は、外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間している。いくつかの実施形態によれば、図16Bに示される第2の状態は、外側シャフト120に対して遠位方向92に把持要素190とともに内側シャフト140を押すことによって達成される。いくつかの実施形態によれば、図16Bに示される第2の状態は、把持要素190に対して近位方向94に外側シャフト120を引っ張ることによって達成される。
【0254】
図17A~17Bに例示された外側シャフト120は、図8A~8Bの外側シャフト120と同様に、外側シャフト遠位円錐部分136を備える。図17Aは、第1の状態に位置決めされた把持要素190を示しており、その結果、把持要素190の遠位表面196は、外側シャフト遠位リップ126の近位にあるか、またはそれと面一上にある。
【0255】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト遠位円錐部分136は、内側シャフト後退制限機構として機能し、その結果、その少なくとも近位部分は、把持要素190の外径よりも短い先細りの直径を備えている。したがって、外側シャフト遠位円錐部分136は、把持要素が外側シャフト遠位円錐部分136の内側表面に係合すると、把持要素190のさらなる近位への後退を防止しながらも、第1の位置において、その中に把持要素190を収納するように構成されている。
【0256】
図17Bは、第2の状態に位置付けされた把持要素190を示しており、把持要素190の近位表面194は、外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間している。いくつかの実施形態によれば、図8Bに示される第2の状態は、外側シャフト120に対して遠位方向92に把持要素190とともに内側シャフト140を押すことによって達成される。いくつかの実施形態によれば、図17Bに示す第2の状態は、把持要素190に対して近位方向94に外側シャフト120を引っ張ることによって達成される。
【0257】
図18A~18Bに例示された外側シャフト120は、図9A~9Cの外側シャフト120と同様に、外側シャフト遠位ソケット135を備える。図18Aは、第1の状態に位置決めされた把持要素190を示しており、その結果、把持要素190の遠位表面196は、外側シャフト遠位リップ126の近位にあるか、またはそれと面一上にある。把持要素190の外径は、外側シャフト遠位ソケット135の内径の直径よりも短く、外側シャフト内腔132の残りの部分の内径よりも長くなっている。
【0258】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト遠位リップ126と外側シャフト遠位ソケットショルダ137との間に画定された外側シャフト遠位ソケット135の軸方向長さは、把持要素遠位表面196と把持要素近位表面194との間に画定され、第1の状態でその中に把持要素190を収容するように構成されている、把持要素190の軸方向の長さ以上である。
【0259】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト遠位ソケットショルダ137が内側シャフト後退制限機構として機能し、把持要素近位表面194が、外側シャフト遠位ソケットショルダ137に当接したかまたは係合したとき、把持要素190のさらなる近位への後退が防止される。
【0260】
図18Bは、第2の状態に位置付けされた把持要素190を示しており、把持要素190の近位表面194は、外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間している。いくつかの実施形態によれば、図18Bに示される第2の状態は、外側シャフト120に対して遠位方向92に把持要素190とともに内側シャフト140を押すことによって達成される。いくつかの実施形態によれば、図18Bに示す第2の状態は、把持要素190に対して近位方向94に外側シャフト120を引っ張ることによって達成される。
【0261】
ここで、いくつかの実施形態による、細長い把持要素190を装備している非貫通式組織分離器100を使用する方法の異なるステップを示す、図19A~19Cを参照する。図19Aは、方法の第1のステップを示しており、外側シャフト120および内側シャフト140の少なくとも一部分および細長い把持要素190を含む、非貫通式組織分離器100の遠位部分が、患者の身体に挿入され、そして非貫通式組織分離器100が第1の状態にある間、すなわち、細長い把持要素190が外側シャフト遠位リップ126の近位に位置付けされている間、患者の心臓10に向かって遠位に前進する。
【0262】
外側遠位エッジが心膜14またはその近くにあるように心臓10に接近すると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190を第1の状態から第2の状態に展開する。いくつかの実施形態によれば、細長い把持要素190は、それが外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間するように第2の状態に配置される(図19Bを参照)。
【0263】
細長い把持要素190は、第2の状態で遠位に前進して、心膜14に接触する。細長い把持要素190が心膜14にあるとき、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、細長い把持要素190をその中心軸の周りで回転させる。
【0264】
表面特徴188は、細長い把持要素190の回転運動中に、組織を、それによって切断または穿刺することなく、図19Bに示されるように細長い把持要素190の周りに巻き付ける。心膜14の組織が細長い把持要素190の周りに巻き付けられると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、細長い把持要素190を近位方向に引っ張って、作業心膜腔16を作成する(図19Cを参照)。
【0265】
いくつかの実施形態によれば、細長い把持要素190は、それに沿って巻き付けられた心膜14が細長い把持要素190と外側シャフト120の少なくとも一部分との間で押圧されるまで近位方向94に引っ張られ、それによって、その間に巻き付けられた心膜組織14をロックする。
【0266】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14の外径は、外側シャフト内腔132の内径よりも大きく、その結果、後退時に、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素近位表面194と外側シャフト遠位リップ126との間で、図19Cに示されるように、押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と外側シャフト内部表面130との間で押圧される。
【0267】
図19A~Cに例示される外側シャフト120は、図16A~Bからの外側シャフト120、図17A~Bからの外側シャフト120、または図18A~Bからの外側シャフト120の実施例のうちのいずれか1つであり得ることが明らかである。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と外側シャフト遠位円錐部分136との間の後退時に押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素近位表面194と外側シャフト遠位円錐部分136との間の後退時に押圧される。
【0268】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と外側シャフト遠位ソケット135と間の後退時に押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素近位表面194と外側シャフト遠位ソケットショルダ137との間の後退時に押圧される。
【0269】
ここで、図20A~20Bを参照する。図20Aおよび20Bは、いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120および内側シャフト140に取り付けられた把持要素190を装備している非貫通式組織分離器100の、それぞれ、第1の状態と第2の状態の断面側面図を構成する。
【0270】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト遠位部分124は、外側シャフト内部表面130の少なくとも一部分に沿って外側シャフトのねじ部分134を備え、内側シャフト遠位部分144は、外部表面148の少なくとも一部分に沿って整合する内側シャフトのねじ部分154を備え、これらにより、内側シャフト140は、外側シャフト120とねじ係合される。いくつかの実施形態によれば、外側シャフトのねじ部分134は、外側シャフト遠位リップ126から近位に延在する。いくつかの実施形態によれば、内側シャフトのねじ部分154は、把持要素190との接続インターフェースから近位に延在する(図20A~Bを参照)。
【0271】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140の一方向への回転が、外側シャフト120に対する遠位方向92への、外側シャフトの軸方向の移動に並進され、それによって把持要素190の位置を、方向92における遠位に並進させる。
【0272】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190の外径は、内側シャフトのねじ部分154の外径に実質的に等しい。いくつかの実施形態によれば、内側シャフトのねじ部分154の外径は、把持要素190の外径の外径よりも大きい。いくつかの実施形態によれば、把持要素190と内側シャフトのねじ部分154の外径は、心膜14などの組織を、継続的な回転中に、把持要素190の周りに巻き付けるとき、内側シャフトのねじ部分154の少なくとも一部分の周りにさらに巻き付けるのを可能とする。
【0273】
有利には、把持要素190と内側シャフトねじ部分154の合計の長さは、心膜14が巻き付けられるより大きな面を提供し、それによってそれらの間の改善されたグリップまたは係合を提供する。
【0274】
図20Aは、第1の状態に位置決めされた把持要素190を示しており、その結果、把持要素190の遠位表面196は、外側シャフト遠位リップ126の近位にあるか、またはそれと面一上にある。
【0275】
図20Bは、第2の状態に位置付けされた把持要素190を示しており、把持要素190の近位表面194は、外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間しており、さらに内側シャフトのねじ部分154の少なくとも一部分は、外側シャフト遠位リップ126を超えて遠位に延在する。
【0276】
ここで、いくつかの実施形態による、外側シャフト120と内側シャフト140に取り付けられた把持要素190を装備している非貫通式組織分離器100を使用する方法の異なるステップを示す、図21A~21Cを参照する。図21Aは、方法の第1のステップを示しており、外側シャフト120および内側シャフト140の少なくとも一部分および細長い把持要素190を含む、非貫通式組織分離器100の遠位部分が、患者の身体に挿入され、そして非貫通式組織分離器100が第1の状態にある間、すなわち、細長い把持要素190が外側シャフト遠位リップ126の近位に位置付けされている間、患者の心臓10に向かって遠位に前進する。
【0277】
外側遠位エッジが心膜14またはその近くにあるように心臓10に接近すると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190を第1の状態から第2の状態に展開する。いくつかの実施形態によれば、細長い把持要素190は、それが外側シャフト遠位リップ126から遠位に離間するように、さらに内側シャフトのねじ部分154の一部分が、外側シャフト遠位リップ126を超えて遠位に延在するように、第2の状態に位置付けられる(図21Bを参照)。
【0278】
細長い把持要素190は、第2の状態で遠位に前進して、心膜14に接触する。細長い把持要素190が心膜14にあるとき、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、細長い把持要素190をその中心軸の周りで回転させる。
【0279】
表面特徴188は、細長い把持要素190の回転運動中に、組織を、それによって切断または穿刺することなく、細長い把持要素190の周りに巻き付ける。いくつかの実施形態によれば、細長い把持要素190との内側シャフト140のさらなる回転は、図21Bに示すように、心膜14の組織を、把持要素190の全長に沿って、同様に内側シャフトねじ部分154の長さの一部分に沿って、さらに巻き付ける。
【0280】
心膜14の組織が細長い把持要素190の周りであり、かつ内側シャフトねじ部分154に潜在的に沿って巻き付けられると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、細長い把持要素190を近位方向に引っ張って、作業心膜腔16を作成する(図21Cを参照)。
【0281】
いくつかの実施形態によれば、細長い把持要素190と内側シャフトのねじ部分154は、それに沿って巻き付けられた心膜14が細長い把持要素190と外側シャフト120の少なくとも一部分との間で押圧されるまで近位方向94に引っ張られ、それによって、その間に巻き付けられた心膜組織14をロックする。
【0282】
いくつかの実施形態によれば、細長い把持要素190と内側シャフトのねじ部分154は、それに沿って巻き付けられた心膜14が内側シャフトのねじ部分154と外側シャフト120の少なくとも一部分との間で押圧されるまで近位方向94に引っ張られ、それによって、その間に巻き付けられた心膜組織14をロックする。
【0283】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14の外径は、外側シャフト内腔132の内径よりも広く、その結果、後退時に、巻き付けられた心膜組織14は、内側シャフトのねじ部分154と外側シャフト遠位リップ126との間で、押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、内側シャフトねじ部分154と外側シャフトねじ部分134との間で押圧される。
【0284】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と外側シャフト内部表面130との間で押圧される。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と外側シャフトのねじ部分134との間で押圧される。
【0285】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、外側シャフト120と、内側シャフト140に取り付けられた円盤形状の把持要素190(把持要素190~190などの)を装備している(実施形態は例示されない)。そのような実施形態では、円盤形状の把持要素190は、組織14を把持するのを促進し、その回転中にそこに沿って巻き付け、さらなる回転時に、内側シャフトのねじ部分154の長さの少なくとも一部分に沿ってさらなる組織の巻き付けを促進するように構成される。細長い把持要素190よりも短くされている円盤形状の要素190の長さは別として、構造、操作および図20A~21Cについて記載したすべての実施形態が同様に適用可能である。
【0286】
ここで、図22A~25を参照する。図22Aは、いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100の観点からの図を構成する。図22Bおよび22Cは、それぞれ、非貫通式組織分離器100の第1の状態および第2の状態における断面側面図を構成する。
【0287】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、第1の状態と第2の状態の間の外側シャフト120と内側シャフト140との間の相対的な軸方向位置を変位するように構成されているラッチ機構を備える。
【0288】
いくつかの実施形態によれば、ラッチ機構は、ピボット157の周りで枢動可能に移動可能なレバー156、ピボット157を備えるレバー支持体158、および遠位溝139aおよび近位溝139bなどの、少なくとも2つの軸方向に離間された溝139を備える溝付き要素138を備える。各溝139は、レバー156の端部分を収容するように構成される。
【0289】
いくつかの実施形態によれば、溝付き要素138は、ハンドル102に、例えばハンドル遠位部分106に固定的に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、レバー支持体158は、外側シャフト120に、例えば外側シャフト外部表面128に固定的に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、レバー支持体158は、外側シャフト遠位部分124に、固定的に取り付けられている。
【0290】
いくつかの実施形態によれば、溝付き要素138は、ハンドル102に、例えばハンドル遠位部分106に固定的に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、溝付き要素138は、内側シャフト140が軸方向に延在することができる内部ボアを備える。
【0291】
いくつかの実施形態によれば、ラッチ機構は、溝付き要素138の溝139との係合端部とは反対側のレバー156の端部に接続されたノブ118をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、ラッチ機構は、ノブ118とレバー支持体158との間に配設されたノブばね119をさらに備える。
【0292】
いくつかの実施形態によれば、レバー支持体158は、外側シャフト外部表面128に取り付けられた第1の部分と、外側シャフト外部表面128から半径方向に離間された第2の部分を備え、両方の部分は、中間ショルダを介して互いに接続されている。いくつかの実施形態によれば、レバー支持体158の第1の部分は、外側シャフト外部表面128の周りに固定されたシリンダとして形成されている。いくつかの実施形態によれば、レバー支持体158の第2の部分は、第1の状態および第2の状態のうちの少なくとも1つに位置付けられたときに溝付き要素138の少なくとも一部分を覆うように構成されたシリンダとして形成される。
【0293】
いくつかの実施形態によれば、レバー支持体158の中間ショルダは、ピボット157を備える。いくつかの実施形態によれば、ノブばね119は、ノブ118とレバー支持体158の第1の部分との間に配設される(図22B~Cを参照)。
【0294】
図22Bは、第1の状態の非貫通式組織分離器100を示し、把持要素190は、円錐遠位リップ174の近位に位置付けられている。レバー156は、ばね119を介して、遠位溝139aの中に、ばね付勢されている。レバー156は、ピボット157およびレバー支持体158を介して、外側シャフト外部表面128に取り付けられているので、レバー156が所定の位置に保持されている限り、ハンドル102に対して、取り付けられた外側シャフト120と円錐ヘッド160の軸方向の移動を防止する。内側シャフト140は、ハンドル102に対して静止したままでもあるので、把持要素190は第1の状態に位置付けられたままである。
【0295】
ノブ118を押してノブばね119を収縮することは、ピボット157の周りにレバー156を枢動させるように作用するので、それによって、遠位溝139aからレバーを解放し、ハンドル102に対する外側シャフト120の軸方向の変位を可能とする。外側シャフト120は、近位方向94に後退されて、把持要素190を露出させ、つまり把持要素を第2の状態に位置付けする。次に、ノブ118を解放して、レバー156が近位溝139bと係合できるようにする。
【0296】
図22Cは、第2の状態の非貫通式組織分離器100を示し、把持要素190は、円錐遠位リップ174の遠位に位置付けられている。レバー156は、ばね119を介して、近位溝139bの中に、ばね付勢されている。レバー156は、ピボット157およびレバー支持体158を介して、外側シャフト外部表面128に取り付けられているので、レバー156が所定の位置に保持されている限り、ハンドル102に対して、取り付けられた外側シャフト120と円錐ヘッド160の軸方向の移動を防止する。内側シャフト140は、ハンドル102に対して静止したままでもあるので、把持要素190は第2の状態に位置付けられたままである。
【0297】
遠位溝139aの軸方向位置は、レバー156と係合したときに、把持要素190を第1の状態に位置付けするように構成される。近位溝139bの軸方向位置は、レバー156と係合したときに、把持要素190を第2の状態に位置付けするように構成される。
【0298】
図22A~Cに例示する非貫通式組織分離器100の実施形態は、円錐ヘッド160を備えるが、任意の他の円錐ヘッド160が、外側シャフト120に取り付けられ得、外側シャフト120が、円錐ヘッド160を欠いた構成にも提供され得る。
【0299】
図22A~Cの図に類似する図23A~Cは、非貫通式組織分離器100の別の実施形態を示し、レバー支持体158の第2の部分は、ピボット157を備える。この例示的な実施形態では、ノブ118は、レバー支持体158の第2の部分に沿って位置付けされ、ノブばね119は、ノブ118とレバー支持体158の第2の部分内の内部支持体との間に配設されており、レバー支持体158の第1の部分からの軸方向延長部として形成され得る(図23A~Bを参照)。
【0300】
いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は、第1のハンドルニッチ108をさらに備え、ステアリングノブ110は、第1のハンドルニッチ108内に配設される。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、それに沿って延在する内側シャフト140を収容するように構成されたステアリングノブ内部ボア112を含み、その結果、内側シャフト140は、そこを通って軸方向に移動するように構成されている。
【0301】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、それに取り付けられたローラ軸受146を介してステアリングノブ内部ボア112内で軸方向に転動するように構成されている。図24Aは、ローラなどのホイールとして形成され得る2つのローラ軸受146aおよび146b付きの内側シャフト140の斜視図を示す。図24Bは、図24Aの方向24B-24Bからの断面図を構成する。ステム145aおよび145bは、ローラ軸受146aおよび146bを内側シャフト140に接続する。
【0302】
図25は、図23Cの方向25-25からの断面図を構成する。ローラ軸受146は、ステアリングノブ内部ボア112のエッジに沿って転がるように構成されており、それによって、内側シャフト140の軸方向の移動を可能にする。
【0303】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、フラット滑り軸受などの、ステアリングノブ内部ボア112に沿ってその軸方向の移動を促進し、さらに可能にする他の構成要素を備える(実施形態は図示せず)。
【0304】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、ステアリングノブ内部ボア112に沿って、それらの間に任意の中間構成要素を不要として、スライドするように構成されている。例えば、内側シャフト外部表面148は、潤滑または低摩擦面を設けることができる(実施形態は図示せず)。
【0305】
ローラ軸受146aおよび146bは、ステアリングノブ内部ボア112に沿った内側シャフト140のより滑らかな移動を提供するのを補助するので、他の解決策よりも好ましい。
【0306】
いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ内部ボア112には、細長いプロファイルが設けられており(図25を参照)、高さは、密接にローラ軸受146の直径と整合するように構成されており、その幅は、ローラ軸受146a、146bおよびそれぞれのステム145a、145bを収容するように構成されている。
【0307】
いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、遠位および第1のハンドルニッチ108の軸方向側壁内の整合しているソケットに向かって延在している、遠位ステアリングノブ軸方向延長部111aと近位ステアリングノブ軸方向延長部111bなどのステアリングノブの軸方向延長部111を備える。
【0308】
いくつかの実施形態によれば、第1のハンドルニッチ108の近位および遠位の壁は、そこを通って内側シャフト140の通過を可能にするように構成された内部軸方向ボアを備える。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、第1のハンドルニッチ108内のその中心軸の周りを回転可能である。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、滑り軸受113および155などの軸受を介して第1のハンドルニッチ108の遠位および近位壁に接続される。
【0309】
図22B~Cおよび23B~Cの例示的な実施形態において、遠位滑り軸受113aは、遠位ステアリングノブ軸方向延長部111aと第1のハンドルニッチ108の遠位壁内の整合ソケットとの間に配設され、近位滑り軸受113bは、近位ステアリングノブ軸方向延長部111bと第1のハンドルニッチ108の近位壁内の整合ソケットとの間に配設され、遠位滑り軸受155aは、遠位ステアリングノブ軸方向延長部111aと第1のハンドルニッチ108の遠位壁内の内部軸方向ボアとの間に配設され、近位滑り軸受155bは、遠位ステアリングノブ軸方向延長部111bと第1のハンドルニッチ108の近位壁内の内部軸方向ボアとの間に配設される。
【0310】
滑り軸受113a、113b、155aおよび155bは、第1のハンドルニッチ108のステアリングノブ110の滑らかな回転運動を提供するのを補助することができる。いくつかの実施形態によれば、軸受の他のタイプは、ステアリングノブ110と、ローラ軸受などの、ハンドル102の他の構造構成要素との間に設けることができる(実施形態は図示せず)。いくつかの実施形態によれば、ステアリングノブ110は、ハンドル102の他の構造構成要素と任意の中間構成要素を要しない、第1のハンドルニッチ108内で回転するように構成されている。例えば、ステアリングノブの軸方向延長部111は、潤滑されたまたは滑らかな低摩擦表面を備えることができる(実施形態は図示せず)。
【0311】
いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は、それを通って延在する内側シャフト140の少なくとも一部分の視覚的露出を可能にするように構成された第2のハンドルニッチ109をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、第2のハンドルニッチ109は、第1のハンドルニッチ108の近位壁とハンドル近位部分104との間に配設されている。図22A~23Cに例示される実施形態における第2のハンドルニッチ109は、第1のハンドルニッチ108の近位に位置付けられるが、いくつかの実施形態によれば、第1のハンドルニッチ108の遠位に位置付けられる(実施形態は図示せず)。
【0312】
いくつかの実施形態によれば、ハンドルの近位部分104は、内側シャフト140の通過を可能にするように構成され、第2のハンドルニッチ109へのハンドル102の近位エッジにおいてハンドルの入口107から延在する、内部近位ボアを備える。
【0313】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、内側シャフト140とハンドル102との間に配設される、内側シャフト140の近位変位に対する抵抗を提供するように構成されている、第1のシャフトばね116などの、少なくとも1つのシャフトばねをさらに備える。
【0314】
いくつかの実施形態によれば、第1のシャフトばね116は、内側シャフト140の少なくとも一部分の周りに配設され、これにより、第1のシャフトばね116の一端部は、内側シャフト140、または内側シャフト140に取り付けられた要素の一部分に取り付けられるかまたは当接し、第1のシャフトばね116の反対側端部は、ハンドル102の一部分に取り付けられるか、または当接する。
【0315】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、内側シャフト外部表面148に取り付けられ、かつそこから半径方向外向きに延在する、内側シャフトばねリテーナ117を備える。いくつかの実施形態によれば、ハンドルの近位部分104は、内部近位ボアに取り付けられ、かつそこから半径方向内向きに延在する、ハンドルばねリテーナ103を備える(図22B~Cを参照)。いくつかの実施形態によれば、第1のシャフトばね116は、内側シャフトばねリテーナ117とハンドルばねリテーナ103との間に配設されている。
【0316】
いくつかの実施形態によれば、シャフトばね116の少なくとも一部分は、第2のハンドルニッチ109を介して可視される内側シャフト140の一部分に沿って配設されている。
【0317】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、内側シャフトばねリテーナ117を欠いており、第1のシャフトばね116は、端部にて、内側シャフト140、例えば内側シャフト外部表面148に直接取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は、ハンドルばねリテーナ103を欠いており、第1のシャフトばね116は、端部にて、ハンドル102、例えばハンドルの近位部分104の内部近位ボアに直接取り付けられている(実施形態は図示せず)。
【0318】
いくつかの実施形態によれば、第1のシャフトばね116は、内側シャフト140の近位エッジとハンドル102の一部分との間に配設されている(実施形態は図示せず)。
【0319】
いくつかの実施形態によれば、第1のシャフトばね116は、内側シャフト140の少なくとも一部分の周りに配設され、これにより、第1のシャフトばね116の一端部は、内側シャフト140、または内側シャフト140に取り付けられた要素の一部分に取り付けられるかまたは当接し、第1のシャフトばね116の反対側端部は、第2のニッチ近位壁159a(図28A~Cに注釈されている)に取り付けられるか、または当接する(実施形態は図示せず)。
【0320】
いくつかの実施形態によれば、第1のシャフトばね116は、内側シャフト140の少なくとも一部分の周りに配設され、これにより、第1のシャフトばね116の一端部は、内側シャフト140、または内側シャフト140に取り付けられた要素の一部分に取り付けられるかまたは当接し、第1のシャフトばね116の反対側端部は、第2のニッチ遠位壁159b(図28A~Cに注釈されている)に取り付けられるか、または当接する(実施形態は図示せず)。
【0321】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、内側シャフト140に取り付けられている把持要素190の位置、心臓組織などの外部表面に押圧されたときに把持要素190によって印加される力、組織が把持要素190の近位の引っ張りに対して抵抗を提供するかどうか、または組織が把持要素190によって把持されているかどうかのうちの少なくとも1つを示すしるし105をさらに備える。
【0322】
いくつかの実施形態によれば、第2のハンドルニッチ109は、内側シャフト140に取り付けられた把持要素190の位置を示すため、または、心臓組織に押圧されたときに、把持要素190によって印加される力を示すためのしるし105を備える。いくつかの実施形態によれば、しるし105は、現在の位置または組織にて把持要素190によって印加される力が、安全または非接触ゾーン内、所望の安全接触ゾーン内、またはリスクが発生しやすいゾーン内であるか否かを示す、範囲のマーキングを含む。いくつかの実施形態によれば、しるし105は、色分けされたマーキングを含む。
【0323】
使用時には、第1のシャフトばね116は、外力が印加されていない限り、特定の軸方向位置にて、内側シャフト140およびそこに取り付けられた把持要素190を保持する。非貫通式組織分離器100の遠位端部が一旦心臓10に達すると、非貫通式組織分離器100は第1の状態から第2の状態に切り換えられ、操作者は、把持要素190を心膜14に接近させるために非貫通式組織分離器100を操作することができ、例えば、組織を把持要素に沿って巻き付けるために把持要素190を回転する前に、把持要素遠位表面196と心膜14との間の十分な接触を確実にする。
【0324】
組織への過度の力の印加を回避しながら、把持要素遠位表面196と心膜14との間の十分な接触を確実にすることが望ましい。
【0325】
把持要素190は、心膜14などの、心臓組織に対して押圧されると、内側シャフト140が、ハンドル102に対して近位方向に配設されるように、圧力が、第1のシャフトばね116を接触するように作用する。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、把持要素190の位置または組織に加える力を示すためのしるし105と比較されることができる、内側シャフト外部表面148へのマーキングを備える。
【0326】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、把持要素190の位置または組織に加える力を示すためのしるし105と比較されることができる、構造的特徴を備える。いくつかの実施形態によれば、内側シャフトばねリテーナ117は、しるし105と比較することができる構造的特徴として機能する。いくつかの実施形態によれば、内側シャフトばねリテーナ117は、把持要素190の位置または組織に加える力を示すためのしるし105と比較されることができる構造的特徴を備える。
【0327】
いくつかの実施形態によれば、シャフトばね116の構造的特徴は、把持要素190の位置または組織に加える力を示すためのマーキングまたはしるし105と組み合わせて利用することができる計量ニードルを備える。
【0328】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140の構造的特徴は、把持要素190の位置または組織に加える力を示すためのマーキングまたはしるし105と組み合わせて利用することができる計量ニードルを備える。
【0329】
いくつかの実施形態によれば、ハンドル102のカバーは、把持要素190の位置または組織に加える力を示すためのマーキングまたはしるし105と組み合わせて利用することができる計量ニードルを備える。
【0330】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190が組織に十分な力、つまり所定の値を超える力を加えない限り、内側シャフト140のマーキングまたは構造的特徴は、安全な非接触位置を表すしるし105のゾーンに対して位置付けされることができる。
【0331】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190が心臓組織に対して押圧されると、内側シャフト140のマーキングまたは構造的特徴が、安全な接触位置を表すしるし105のゾーンに対する位置に近位に移動するように、第1のシャフトばね116が、十分に収縮される。
【0332】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190が、例えば心臓組織を傷つけるほどに、心臓組織に対してあまりに激しく押圧されると、内側シャフト140のマーキングまたは構造的特徴が、危険になりやすい位置を表すしるし105のゾーンに対する位置に近位方向にさらに移動するように、第1のシャフトばね116が、さらに収縮される。操作者は、それに応じて心臓組織に印加される力を再調整することができる。
【0333】
いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は、内側シャフト140の露出部分に環境保護を提供するために、少なくとも第2のハンドルニッチ109を覆うように構成されたカバーを備える(実施形態は図示せず)。いくつかの実施形態によれば、カバーは、しるし105を備える。
【0334】
サイズ、材料、またはばね係数kなどの第1のシャフトばね116を含む、少なくとも1つのシャフトばねの特性は、把持要素190が、中程度または過度の力を加えるように、組織に押圧されているかどうかを示すための、適切な所望の抵抗を提供するように選択することができる。
【0335】
いくつかの実施形態によれば、第1のシャフトばね116などの少なくとも1つのばねは、圧縮ばねである(図22A~23Cを参照)。いくつかの実施形態によれば、第1のシャフトばね116などの少なくとも1つのばねは、拡張ばねである(実施形態は図示せず)。
【0336】
いくつかの実施形態によれば、患者の心臓10に到達するまで、患者の器官および組織を通して非貫通式組織分離器100の遠位領域のより容易な送達を確実にするために、非貫通式組織分離器100へ遠位のバルーンを膨張させるように構成された非貫通式組織分離器100およびバルーンカテーテル40を備えるキットが提供される。
【0337】
ここで、図26A~26Bを参照する。図26Aおよび26Bは、非貫通式組織分離器100へ遠位の膨張バルーン44を有するバルーンカテーテル40の斜視図および断面側面図を構成する。バルーンカテーテル40は、その遠位端部に膨張可能なバルーン44を備える。いくつかの実施形態によれば、バルーンカテーテル40およびバルーン44は、バルーン44が収縮したとき内側シャフト内腔152を通って延在するように構成されている。
【0338】
いくつかの実施形態によれば、バルーンカテーテル40は、バルーンカテーテル孔42を含み、それを通して、生理食塩水または二酸化炭素などの気体または液体が、バルーン44を膨張させるためにバルーン44の内部容積に入ることができる。
【0339】
いくつかの実施形態によれば、バルーンは、バルーン遠位部分46およびバルーン近位部分48を備える。いくつかの実施形態によれば、バルーンの遠位部分は、膨張すると、先細りまたはドーム形状の非外傷性前端部として設計され、硬組織を含む患者の臓器を傷つけることなしに、非貫通式組織分離器100の遠位領域とともに、バルーン44の非外傷性での前進を補助するように構成されている。
【0340】
いくつかの実施形態によれば、バルーンの近位部分48は、非貫通式組織分離器100の遠位端部と、膨張したときのバルーン44との間の比較的滑らかな遷移を提供するように設計されている。
【0341】
いくつかの実施形態によれば、膨張したバルーンの外部の径は、円錐の遠位リップ174の概ね外径以上である。
【0342】
バルーンカテーテル40およびバルーン44が、非貫通式組織分離器100と併せて図26A~Bの例示的な実施形態で示されているがバルーン44とともにバルーンカテーテル40が、本明細書全体に開示されている非貫通式組織分離器100の他の実施形態または構成と併せて使用されることは明らかである。
【0343】
ここで、いくつかの実施形態に従って、バルーンカテーテル40付きの非貫通式組織分離器100を使用する方法の異なるステップを示す、図27A~27Dを参照する。図27Aは、方法の第1のステップを示し、非貫通式組織分離器100が第1の状態にある、すなわち、把持要素190が円錐遠位リップ174に近位であり、同様に膨張されたバルーン44に近位に位置付けされている間に、バルーン44は、患者の心臓10に向かって遠位に前進する非貫通式組織分離器100の遠位部分に遠位に膨張されている。
【0344】
バルーン44は、心臓10に接近する場合には、非貫通式組織分離器100からバルーンカテーテル40とともに収縮および後退される。バルーンカテーテルが後退されると、外側シャフト120および内側シャフト140の少なくとも一部分、把持要素190および円錐ヘッド160を含む非貫通式組織分離器100の遠位部分は、さらに心膜14の近くに載置するために前進され得る。
【0345】
次いで、操作者は、例えば、円錐ヘッド160とともに外側シャフト120を近位に後退するラッチ機構を利用することによって、第1の状態から第2の状態に、把持要素190を展開するために非貫通式組織分離器100を操作することができ、これにより、円錐遠位リップ174から遠位に離間した把持要素190を露出する(図27Bを参照)。
【0346】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160を後退するために、操作者は、遠位溝139aからレバーを解放するために、ノブ118を押圧し、レバー156とともにレバー支持体158を引っ張り、その後に、ノブ118を解放して、ある位置において、レバー156が近位溝139bと係合することを可能にする。
【0347】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160が後退されると、把持要素190は、第2の状態に位置付けられているが、心膜14からは離間している。操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190をさらに接近させ、かつ把持要素を心膜14に対して押して、それらの間の接触を確実にする。
【0348】
いくつかの実施形態によれば、操作者は、しるし105からのフィードバックに従って、心膜14上の把持要素190によって印加される圧力の量を調整する。操作者は、次いで、非貫通式組織分離器100を操作して、例えばステアリングノブ110を回転することにより、把持要素190をその中心軸の周りで回転する。
【0349】
表面特徴188は、把持要素190の回転運動中に、組織を、それによって切断または穿刺することなく、図27Bに示されるように把持要素190の周りに巻き付ける。一旦、心膜14の組織が把持要素190の周りに巻き付けられると、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作し、把持要素190を第2の状態から第1の状態へ再位置付け、すなわち、例えば、ラッチ機構を利用して、外側シャフト120を円錐ヘッド160とともに遠位に押して、円錐ヘッド160内に位置付けし、それによって、巻き付けられた心膜組織14を把持要素190と円錐ヘッド160の少なくとも一部分と外側シャフト120との間でロックする。
【0350】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160を押すために、操作者は、近位溝139bからレバーを解放するために、ノブ118を押圧し、レバー156とともにレバー支持体158を押して、その後に、ノブ118を解放して、ある位置において、レバー156が遠位溝139aと係合することを可能にする。
【0351】
いくつかの実施形態によれば、操作者は、非貫通式組織分離器100を操作して、把持要素190を近位方向に後退、同時に円錐ヘッド160を遠位方向に押す。
【0352】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素近位表面194と円錐遠位リップ174との間で押圧される(実施形態は図示せず)。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素円周表面198と円錐内側表面178との間で、図27Cおよび27Dに示すように、押圧される。
【0353】
いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜14は、把持要素190と外側シャフト120の少なくとも一部分との間で押圧され、それによって巻き付けられた心膜組織14はそれらの間でロックされる。いくつかの実施形態によれば、巻き付けられた心膜組織14は、把持要素近位表面194と外側シャフト遠位リップ126との間で押圧される。
【0354】
巻き付けられた心膜14が所定の場所にロックされると、非貫通式組織分離器100の全体の遠位部分は、作業心膜腔16を作成するために、近位方向に引っ張ることができる(図27Cを参照)。
【0355】
図27Dは、遠位ニードル部分24を方向92に前進させて、把持要素内側開口部192に沿って延在する心膜14の部分を穿刺し、それによって心膜腔16へのアクセスを提供するステップをさらに示す。
【0356】
いくつかの実施形態によれば、図27Dに示すように、遠位ニードル部分24は、例えばそのような拡張を防止するニードル拘束要素26のせいで、円錐遠位リップ174を超えて延在することができないので、それによってニードルが、心外膜12などの、任意の他の組織を、切断または穿刺しないことを保証する。
【0357】
いくつかの実施形態によれば、湾曲または屈曲した遠位ニードル部分24を備えたニードルは、その軸の周りで回転して、屈曲または湾曲した遠位部分24を所望の方向に配向することができ、それによって、そこを通過するガイドワイヤ30の前進方向の制御を提供する。
【0358】
図22A~Cの図に類似する図28A~Cは、第1のシャフトばね116aおよび第2のシャフトばね116bなどの、2つの対向するシャフトばね116を有する、非貫通式組織分離器100の別の実施形態を示す。第1のシャフトばね116aは、図22A~23Cによって本明細書に上述した第1のシャフトばね116と構造および機能が類似している。いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は、ハンドルばねリテーナ103を欠いており、第1のシャフトばね116または116aは、端部にて、ハンドル102に、例えば第2のニッチ近位壁159aに、直接取り付けられている(図28A~Cを参照)。
【0359】
いくつかの実施形態によれば、第2のシャフトばね116bは、内側シャフト140とハンドル102との間に配設され、内側シャフト140の遠位変位に対する抵抗を提供するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、第2のシャフトばね116bは、内側シャフト140の少なくとも一部分の周りに配設されている。
【0360】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、内側シャフトの外部表面148に取り付けられ、かつそこから半径方向外向きに延在する、2つの内側シャフトばねリテーナ117aおよび117aを備える。いくつかの実施形態によれば、第1のシャフトばね116aは、第1の内側シャフトばねリテーナ117aと第2のニッチ近位壁159aとの間のような、第1の内側シャフトばねリテーナ117aとハンドル102との間に配設され、他方、第1のシャフトばね116bは、第2の内側シャフトばねリテーナ117bと第2のニッチ遠位壁159bとの間のような、第2の内側シャフトばねリテーナ117bとハンドル102との間に配設される。
【0361】
いくつかの実施形態によれば、第2のハンドルニッチ109は、内側シャフト140の遠位変位を示すように構成されたしるし105aと、近位方向にそれによって加わる力を示す内側シャフト140の遠位変位を示すように構成された第2のしるし150bと、を備える。
【0362】
いくつかの実施形態によれば、レバー支持体158は、第2の部分を欠いている。いくつかの実施形態によれば、レバー支持体158の第1の部分は、外側シャフト外部表面128の周りに固定されたシリンダとして形成されており、ピボット157を備える半径方向外向きに突出する半径方向延長部を有する。このような実施形態では、ノブ118は、レバー支持体158の第1の部分、およびノブ118とレバー支持体158の第1の部分との間に配設されたノブばね119上に位置付けされる。
【0363】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120、内側シャフト140、円錐ヘッド160および把持要素190は、円錐ヘッド160また把持要素190のいずれかに対しても外力が作用していない状態として定義される、自由状態で同軸である。
【0364】
ここで、図29A~29Bを参照する。図29A~29Bは、いくつかの実施形態によれば、それぞれ非傾斜円錐状態と傾斜円錐状態で、傾斜可能円錐ヘッド160を装備している非貫通式組織分離器100の遠位部分の断面側面図を構成する。非貫通式組織分離器100は、心臓10の近傍において図29Aに位置付けされており、円錐ヘッド160の中心線は外側シャフト120の中心線50と一致している。図29Aに示される円錐ヘッド160の非傾斜円錐状態は、外側シャフト120の中心線50が、円錐ヘッド160の中心線の中心線とも共通である状態であり、かつ円錐遠位リップ174によって画定された円錐ヘッド前部平面52に対して垂直である。
【0365】
いくつかの場合には、図29Aに示すように、円錐ヘッド160が心臓10に接近すると、円錐ヘッド前部平面52が円錐開口部168に隣接する心膜14の平面に対して傾斜しており、そのような円錐ヘッド160は、円錐遠位リップ174の周方向長さの50%未満に沿って、例えば円錐遠位リップ174の周囲の比較的限られた部分に沿って心膜14に接触する。
【0366】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、円錐ヘッド160の中心線が外側シャフト120の中心線に対して角度を付けられるように、外側シャフト120に対して傾斜または屈曲するように構成される。傾斜または屈曲した円錐状態(図29Bに示されるような)では、円錐ヘッド160の中心線は、外側シャフト120の中心線50に対して角度が付けられている。屈曲または傾斜円錐状態は、例えば、円錐ヘッド160を心臓壁に向かってさらに近づけ、それによって円錐遠位リップ174に対して圧力を加えることによって達成することができる。
【0367】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、外側シャフト120に枢動可能に取り付けられている(図29A~Bを参照)。いくつかの実施形態によれば、円錐近位部分164は、外側シャフト遠位部分124に枢動可能に取り付けられている。
【0368】
図29Bは、外側シャフト遠位部分124に対して傾斜している円錐ヘッド160の実施形態を示し、外側シャフト120の中心線50に対して角度αで角度が付けられている、円錐ヘッド前部平面52は、心膜14の隣接平面に実質的に合致しており、これによって、円錐ヘッド160は、円錐遠位リップ174の全周に沿って心膜に接触する。
【0369】
いくつかの実施形態によれば、円錐近位部分164などの円錐ヘッド160の少なくとも一部分は、可撓性材料を備え、それが外側シャフト遠位部分124に対して屈曲することを可能にする(実施形態は図示せず)。いくつかの実施形態によれば、円錐近位部分164などの円錐ヘッド160の少なくとも一部分は、ニチノールなどの形状記憶材料を備える。
【0370】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、円錐近位部分164と外側シャフト遠位部分124との間のアタッチメントに少なくとも1つのばねをさらに備える(実施形態は図示せず)。
【0371】
本明細書で使用される傾斜円錐状態または屈曲した円錐状態は交換可能であり、円錐ヘッド160の中心線が外側シャフト120の中心線に対して角度が付けられている状態を指す。
【0372】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、外力が作用していないときの非傾斜または屈曲していない円錐状態と、遠位表面に対して押圧されるなどの外力を受けているときにそれぞれ傾斜または屈曲している円錐状態との間で遷移するように構成されている。
【0373】
円錐ヘッド160が、非貫通式組織分離器100と併せて図29A~Bの例示的な実施形態で示されているが円錐ヘッド160が、本明細書全体に開示されている非貫通式組織分離器100の他の実施形態または構成と併せて使用されることは明らかである。
【0374】
ここで、図30~33Bを参照する。図30~32は、いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト140、140および140を装備している非貫通式組織分離器100の遠位部分の断面側面図を構成する。図33A~33Bは、いくつかの実施形態によれば、それぞれ屈曲していないおよび屈曲しているシャフト状態において、屈曲可能な内側シャフト140を装備している非貫通式組織分離器100の遠位部分の断面側面図を構成する。
【0375】
非貫通式組織分離器100は、第2の状態で心臓10の近傍において図33Aに位置付けされており、把持要素190の中心線は外側シャフト120の中心線50と一致している。図33Aに示される内側シャフト140の屈曲していないシャフト状態は、外側シャフト120の中心線50が、把持要素190の中心線とも共通である状態であり、かつ把持要素遠位表面196によって画定された把持要素前部平面54に対して垂直である。
【0376】
いくつかの場合には、図33Aに示すように、心臓10に接近すると、把持要素前部平面54が把持要素190に隣接する心膜14の平面に対して傾斜しており、そのような把持要素190は、把持要素遠位表面196の周方向長さの50%未満に沿って、例えば把持要素遠位表面196の周囲の比較的限られた部分に沿って心膜14に接触する。
【0377】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140の遠位端部は、そこに取り付けられた把持要素190の中心線が外側シャフト120の中心線に対して角度を付けられることができるように、外側シャフト120に対して屈曲するように構成されている。屈曲したシャフト状態(図33Bに示されるような)では、把持要素190の中心線は、外側シャフト120の中心線50に対して角度が付けられている。屈曲したシャフト状態は、例えば、把持要素190を心臓壁に向けてさらに接近することによって達成することができ、それによって、把持要素遠位表面196に対して圧力を加える。
【0378】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、屈曲可能な内側シャフト部分147および剛性内側シャフト部分143を備える。屈曲可能な領域147は、第1の閾値F1よりも高い力がそれに印加されると屈曲する内部シャフト140の一部分である。いくつかの実施形態によれば、剛性内側シャフト部分143は、第1の閾値F1よりも高い力がそれに印加されたときに屈曲しない。いくつかの実施形態によれば、剛性内側シャフト部分143は、第1の閾値F1よりも高いが第2の閾値F2よりも低い力が印加されたときに屈曲しないが、第2の閾値F2よりも高い力がそれに印加されたときに屈曲し得る。
【0379】
いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト部分147は、円錐ヘッド160内に結合された、および/または第2の状態で円錐開口部168から遠位に延在する内側シャフト140の少なくとも一部分に沿って延在する。いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト部分147は、第2の状態で円錐近位部分164から遠位に延在する内側シャフト140の少なくとも一部分に沿って延在する。いくつかの実施形態によれば、剛性内側シャフト部分143は、屈曲可能な内側シャフト部分147の近位にある内側シャフト140の全長に沿って延在する。
【0380】
いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト部分147は、剛性内側シャフト部分143の材料よりも可撓性のある材料を備える。いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト部分147は、ばねを備える(実施形態は図示せず)。いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト部分147は、その可撓性を与える複数のスロットまたはベローズを備える。
【0381】
図30は、把持要素近位表面194から近位に延在する屈曲可能な内側シャフト部分147と、屈曲可能な内側シャフト部分147の近位端部から近位に延在する剛性内側シャフト部分143と、を備える、内側シャフト140の一実施形態を示す。図30に示す例示的な実施形態における屈曲可能な内側シャフト部分147は、剛性内側シャフト部143の材料よりも可撓性のある材料を備える。
【0382】
図30は、剛性内側シャフト部分143と、屈曲可能な内側シャフト部分147と、遠位剛性シャフト部分149と、を備える、内側シャフト140を示す。遠位剛性シャフト部分149は、把持要素近位表面194から近位に延び、屈曲可能な内側シャフト部分147は、遠位剛性シャフト部分149と剛性内側シャフト部分143との間に延在する。図31に示す例示的な実施形態における屈曲可能な内側シャフト部分147は、剛性内側シャフト部分143の材料および遠位剛性シャフト部分149の材料よりも可撓性のある材料を備える。いくつかの実施形態によれば、剛性内側シャフト部分143および遠位剛性シャフト部分149は、同じ材料を備える。
【0383】
図32は、把持要素近位表面194から近位に延在する屈曲可能な内側シャフト部分147と、屈曲可能な内側シャフト部分147の近位端部から近位に延在する剛性内側シャフト部分143と、を備える、内側シャフト140の一実施形態を示す。図32に示す例示的な実施形態における屈曲可能な内側シャフト部分147は、その可撓性を付与する複数のベローズを備える。
【0384】
図33Bは、外側シャフト120に対して屈曲した屈曲可能な内側シャフト部分147の実施形態を示し、外側シャフト120の中心線50に対して角度βで角度が付けられている、把持要素前部平面54は、心膜14の隣接平面に実質的に合致しており、これによって、把持要素190は、実質的に把持要素遠位表面196の全周に沿って心膜に接触する。
【0385】
いくつかの実施形態によれば、屈曲可能な内側シャフト部分147は、外力が作用していないときの屈曲していないシャフト状態と、外力を受けたとき、例えば、把持要素190が遠位表面に対して押圧されたときの屈曲したシャフト状態との間で遷移するように構成される。
【0386】
図33A~Bの例示的な実施形態に示される把持要素190は、円錐ヘッドに接続された外側シャフト120内に配設されている、内側シャフト140に取り付けられているが、屈曲可能な内側シャフト部分147を有する任意の内側シャフト140、本明細書を通して開示されている任意の外側シャフト120および任意の円錐ヘッド160をともに組み合わせることができることは明らかである。
【0387】
ここで、図34A~34Dを参照する。図34A~Cは、いくつかの実施形態によれば、異なる状態でのコイル状ばね円錐ヘッド160を装備している非貫通式組織分離器100の遠位部分の断面側面図を構成する。図34Dは、図34Cの第2の状態におけるばね円錐ヘッド160を装備している非貫通式組織分離器100の遠位部分の視点からの図を構成する。
【0388】
いくつかの実施形態によれば、明細書を通して開示されている実施形態のいずれかの非貫通式組織分離器100は、離間された複数の巻線を有する少なくとも1つの螺旋コイルとして形成されている、コイル状ばね円錐ヘッド160を備える。円錐近位部分164は、外側シャフト遠位リップ126に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、コイル状ばね円錐ヘッド160の最近位巻線には、外側シャフト遠位リップ126の直径と実質的に等しい直径が設けられている。
【0389】
円錐開口部168を画定し得る、コイル状ばね円錐ヘッド160の最遠位巻線には、外側シャフト遠位リップ126の直径より大きい外径が設けられている。いくつかの実施形態によれば、コイル状ばね円錐ヘッド160の近位端部からその遠位端部への各隣接巻線は、コイル状ばね円錐ヘッド160がいかなる外力にも供されない状態として定義されている、フリーばね状態の直径において増大する。
【0390】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、外側シャフト120の少なくとも一部分と同軸でその周りに配設された送達シャフト121をさらに備え、これにより外側シャフト120と送達シャフト121との間の相対的な軸方向の移動を可能にする。具体的には、外側シャフト120または送達シャフト121のうちの少なくとも1つは、例えば伸縮仕様で、それぞれ、送達シャフト121または外側シャフト120に対して軸方向に移動可能である。
【0391】
いくつかの実施形態によれば、送達シャフト121が静止している間に外側シャフト120を遠位に移動させることができ、それにより、その遠位端部に取り付けられたコイル状ばね円錐ヘッド160を送達シャフト遠位リップ123に対して遠位に移動させる。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120が静止している間に送達シャフト121を近位に移動させることができ、それにより、送達シャフト遠位リップ123を円錐遠位部分166に対して近位に移動させる。
【0392】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120は、送達シャフト121の内腔内で自由にスライドすることができる。いくつかの実施形態によれば、送達シャフト121は、外側シャフト120上を自由にスライドすることができる。
【0393】
いくつかの実施形態によれば、コイル状ばね円錐ヘッド160は完全に送達シャフト121の内腔内に保持され得る。いくつかの実施形態によれば、円錐開口部168の直径は、送達シャフト遠位リップ123の直径よりも長い。
【0394】
図34Aは、送達シャフト121内の全長に沿って保持されるコイル状ばね円錐ヘッド160を示し、円錐遠位部分166は、送達シャフト遠位リップ123と面一であるか、または近位である。
【0395】
いくつかの実施形態によれば、コイル状ばね円錐ヘッド160の少なくともいくつかの巻線、主に遠位巻線の直径は、コイル状ばね円錐ヘッド160を送達シャフト121内に収容するために、そのような隣接コイル間の空間の適切な再調整に伴って、低減することができる。
【0396】
図34Bは、巻線がばね自由状態に拡張するのを可能にするように、送達シャフト遠位リップ123を超えて完全に延在するコイル状ばね円錐ヘッド160を示す。これは、送達シャフト121を外側シャフト120に対して近位方向94に後退することによって、または外側シャフト120を送達シャフト121に対して遠位方向92に前進させることによって達成することができる。
【0397】
いくつかの実施形態によれば、コイル状ばね円錐ヘッド160の一部分のみが、その巻線のすべてをばね自由状態に拡張するのに十分な長さに、送達シャフト遠位リップ123を超えて伸ばし、それによって、送達シャフト121によって閉鎖されたままの巻線が、送達シャフト121の内壁に接触することもまたは押圧されることもない。
【0398】
コイル状ばね円錐ヘッド160が、完全にまたは部分的に送達シャフト遠位リップ123を超えて延在すると、最遠位巻線によって画定される、その最遠位エッジが、非貫通式組織分離器100の遠位端部としての役割を果たす。
【0399】
図34Bにおける把持要素190は、非貫通式組織分離器100の遠位端部に近位の、または言い換えると、コイル状ばね円錐ヘッド160の遠位エッジに近位の、第1の状態で示される。
【0400】
図34C~Dは、非貫通式組織分離器100の遠位端部に遠位の、または言い換えると、コイル状ばね円錐ヘッド160の遠位エッジに遠位の、第2の端部における把持要素190を示す。これは、例えば、外側シャフト140を把持要素190とともに遠位方向92に前進させることによって達成することができる。
【0401】
いくつかの実施形態によれば、コイル状ばね円錐ヘッド160は、図34A~Dに示すように、単一の螺旋コイルを備える。いくつかの実施形態によれば、コイル状ばね円錐ヘッド160は、2つの同心の螺旋コイルを備える(実施形態は図示せず)。いくつかの実施形態によれば、コイル状ばね円錐ヘッド160の両方のコイルは、同じ方向に巻かれている。
【0402】
いくつかの実施形態によれば、それらの間のノッチによって分離されている、送達シャフト121と、円錐ヘッド160と、を備える、非貫通式組織分離器100は、遠位軸方向に配向された複数の翼170を備える(実施形態は図示せず)。各翼170は、翼遠位リップ172を備え、複数の翼遠位リップ172は、円錐遠位リップ174をともに形成する。
【0403】
翼が半径方向内向きにばね付勢されるように、内部可撓性を備えている、図1C~1Eの翼170のようではなく、半径方向外向きにばね付勢されている、内部可撓性を備える翼170が、翼に及ぼされる力によって半径方向内向きに押される。外力が翼170に及ぼされていないとき、それらの遠位リップ172は、互いから半径方向へ離れて拡張し、非拡張(または収縮)位置に対して広い円錐開口部168を形成する。
【0404】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、送達シャフト121の内腔内に保持されている場合の翼170の拡張されていない(または収縮)状態と、翼170が送達シャフト遠位リップ123に遠位に延在した場合の拡張された状態との間で切り替えられるように構成されている。
【0405】
いくつかの実施形態によれば、送達シャフト121が静止している間に外側シャフト120を遠位に移動させることができ、それにより、その遠位端部に取り付けられた円錐ヘッド160を、それらの拡張状態に半径方向外向きに拡張する翼170を有する、送達シャフト遠位リップ123に対して遠位に移動させる。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120が静止している間に送達シャフト121を近位に移動させることができ、それにより、送達シャフト遠位リップ123を、翼170が拡張状態に拡張している間に、円錐遠位部分166に対して近位に移動させる。
【0406】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は完全に送達シャフト121の内腔内に保持され得る。いくつかの実施形態によれば、円錐開口部168の直径は、翼170が拡張されている場合、送達シャフト遠位リップ123の直径よりも大きい。
【0407】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、その一部分が完全に翼170を拡張するために、送達シャフト遠位リップ123を越えて延在するのが十分であるように設計されている。
【0408】
円錐ヘッド160が、完全にまたは部分的に送達シャフト遠位リップ123を超えて延在すると、円錐遠位リップ174が、非貫通式組織分離器100の遠位端部としての役割を果たす。
【0409】
いくつかの実施形態によれば、送達シャフト121が静止している間に、外側シャフト120を近位に後退することができ、それにより、翼170を送達シャフト121の内腔の内側に半径方向内向きに収縮させる。いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120が静止している間に、送達シャフト121を近位に移動することができ、それにより、翼170を送達シャフト121の内腔の内側に半径方向内向きに収縮させる。
【0410】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120への代わりに、内側シャフト140へ取り付けられた円錐ヘッド160を備える非貫通式組織分離器100が設けられている(実施形態は図示せず)。このような実施形態によれば、円錐ヘッド160は、外側シャフト内腔132の内腔内に保持されている場合の翼170の拡張されていない(または収縮)状態と、翼170が外側シャフト遠位リップ126に遠位に延在した場合の拡張された状態との間で切り替えられるように構成されている。
【0411】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120が静止している間に内側シャフト140を遠位に移動させることができ、それにより、内側シャフト遠位部分144に取り付けられた円錐ヘッド160を、それらの拡張状態に半径方向外向きに拡張する翼170を有する、外側シャフト遠位リップ126に対して遠位に移動させる。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140が静止している間に、外側シャフト120を近位に移動させることができ、それにより、外側シャフト遠位リップ126を、翼170が拡張状態に拡張している間に、円錐遠位部分166に対して近位に移動させる。
【0412】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は完全に外側シャフト内腔132内に保持され得る。いくつかの実施形態によれば、円錐開口部168の直径は、翼170が拡張されている場合、外側シャフト遠位リップ126の直径よりも長い。
【0413】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は、その一部分が完全に翼170を拡張するために、外側シャフト遠位リップ126を超えて延在するのが十分であるように設計されている。
【0414】
円錐ヘッド160が、完全にまたは部分的に外側シャフト遠位リップ126を超えて延在すると、円錐遠位リップ174が、非貫通式組織分離器100の遠位端部としての役割を果たす。
【0415】
いくつかの実施形態によれば、外側シャフト120が静止している間に、内側シャフト140を近位に後退することができ、それにより、翼170を外側シャフト内腔132の内側に半径方向内向きに収縮させる。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140が静止している間に、外側シャフト120を近位に移動させることができ、それにより、翼170を外側シャフト内腔132の内側に半径方向内向きに収縮させる。
【0416】
有利には、円錐ヘッド160、160の実施形態に限定されるものではないが、拡張可能な円錐ヘッド160は、患者の器官または組織を介して、非貫通式組織分離器100の遠位端部を、円錐ヘッド160の非拡張状態または収縮状態の胸腔の近傍または心臓10の近傍まで、前進させることができ、それによって、そのような組織に接触する前面面積を低減させ、デバイス100の前進に対する抵抗を低減させ、円錐ヘッド160を拡張することができ、心膜組織14の近傍など、心臓10の近傍に到達したときにのみその円錐のプロファイルを採る。
【0417】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100の構成要素のいくつかは再利用可能であり、その構成要素のいくつかは使い捨てである。いくつかの実施形態によれば、ハンドル102は再利用可能である。いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140、外側シャフト120、把持要素190、および円錐ヘッド160のうちの少なくとも1つは使い捨てであり、各手順について交換することができる。
【0418】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100の構成要素のいくつかは交換可能である。いくつかの実施形態によれば、シャフトばね116、116a、116bは、交換可能である。シャフトばね116、116a、116bは、拡張/収縮の十分な所望の範囲を可能とするように、および処置中に心臓10の非貫通式組織分離器100による高圧力の適用をもたらす高い剛性を回避するように選択され得る。
【0419】
いくつかの実施形態によれば、異なるシャフトばね116、116a、116bは、異なる特性、解剖学的構造または病理を示す患者で使用するように構成することができるので、適切なシャフトばね116、116a、116bは、患者の特性に応じて、非貫通式組織分離器100内に装着することができる。
【0420】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は交換可能である。いくつかの実施形態によれば、把持要素190は、異なる特性、解剖学的構造または病理を示す患者で使用するように構成することができるので、適切な把持要素190は、患者の特性に応じて、非貫通式組織分離器100内に装着することができる。
【0421】
いくつかの実施形態によれば、円錐ヘッド160は交換可能である。いくつかの実施形態によれば、異なる円錐ヘッド160は、異なる特性、解剖学的構造または病理を示す患者で使用するように構成することができるので、適切な円錐ヘッド160は、患者の特性に応じて、非貫通式組織分離器100内に装着することができる。
【0422】
いくつかの実施形態によれば、非貫通式組織分離器100は、把持要素190の最大回転を制限するように構成された回転制限機構をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、回転制限機構は、把持要素190の回転を所定の範囲内に制限するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、回転制限機構は、把持要素190の回転を0~270度の範囲内に制限するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、回転制限機構は、把持要素190の回転を0~180度の範囲内に制限するように構成されている。
【0423】
いくつかの実施形態によれば、回転制限機構は、把持要素190の回転を少なくとも一方向の制限された量の回転に制限するように構成されている。
【0424】
有利には、回転制限機構は、最大回転度、または代替的に、最大回転量を可能にするように設計することができ、これは、心膜14などの巻き付けられた組織に把持要素190による損傷を与えることを断ち得る。
【0425】
いくつかの実施形態によれば、把持要素190は強磁性材料を含み、非貫通式組織分離器100は、把持要素190を引き付けるかまたは反発するために磁力を加えるように構成された、把持要素190の近位の磁気引力構成要素をさらに備える(実施形態は図示せず)。
【0426】
いくつかの実施形態によれば、磁気引力構成要素は、内側シャフト140に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、磁気引力構成要素は、外側シャフト120に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、磁気引力構成要素は、内側シャフト内腔152内に配設されている。いくつかの実施形態によれば、磁気引力構成要素は、外側シャフト内腔132内に配設されている。いくつかの実施形態によれば、磁気引力構成要素は、外側シャフト外部表面128上に配設されている。
【0427】
いくつかの実施形態によれば、磁気引力構成要素は、例えばハンドル102を介して、遠位および近位方向において軸方向に操作することができる。いくつかの実施形態によれば、磁気引力構成要素は、例えばハンドル102を介して、その対称軸の周りで回転させることができる。
【0428】
いくつかの実施形態によれば、磁気引力構成要素は、把持要素190がそれに引き付けられない非引力状態、および把持要素190がそれに引き付けられる引力状態から変位されることができる。いくつかの実施形態によれば、把持要素190からの距離などの磁気引力構成要素の位置は、非貫通式組織分離器100の操作者によって制御されて、非引力状態と引力状態との間で切り替わることができる。
【0429】
使用中、磁気引力構成要素は、把持要素190が第1の状態から第2の状態に移動するときに非引力状態に切り替えられるか、または非引力状態に保持され得、心膜14が十分に把持要素190の周りに巻き付けられた後、把持要素190の近位後退を容易にするために、引力状態に切り替わることができる。
【0430】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、把持要素190から近位に延在する、内側シャフト外部表面148の少なくとも一部分に沿って配設された内側シャフト表面特徴を備える。
【0431】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト140は、内側シャフト遠位部分144の少なくとも一部分に沿って配設された内側シャフト表面特徴を備える。
【0432】
内側シャフト表面特徴は、把持要素190の表面特徴188について開示された任意の形態であり得、把持要素190の少なくとも1つの表面に沿って配設された表面特徴188と同様の形状または異なる形状であり得る。
【0433】
有利には、内側シャフト表面特徴は、組織が把持要素190の周りに巻き付けられ、近位に伝播して内側シャフト遠位部分144の周りにさらに巻き付けられるときに、組織のさらなる巻き付けおよび保持をサポートする。
【0434】
いくつかの実施形態によれば、本開示の方法およびデバイスは、腹腔鏡手術、動静脈瘻アクセス、骨生検、関節鏡手術、胸膜穿刺、胸腔鏡手術、胸腔穿刺、羊水穿刺、膿瘍ドレナージ、血液透析または腹膜のうちの少なくとも1つの治療処置中に利用される。
【0435】
明確にするために別個の実施形態に関連して説明される本発明のある特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態に関連して説明される本発明の様々な特徴は、本発明の任意の他の説明された実施形態において、別個に、または任意の好適な部分的組み合わせで、または好適であるように提供され得る。実施形態の文脈で説明される特徴は、そのように明示的に指定されない限り、その実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0436】
本発明は、その特定の実施形態に関連して説明されてきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者に明らかであることは明白である。本発明は、その適用において、本明細書に記載の構成要素および/または方法の構成および配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。他の実施形態を実施することができ、実施形態を様々な方法で実施することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるそのようなすべての代替、修正、および変形を包含する。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図25
図26A
図26B
図27A
図27B
図27C
図27D
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図30
図31
図32
図33A
図33B
図34A
図34B
図34C
図34D
【国際調査報告】