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特表2022-532249インターロイキンタンパク質の類似体と組み合わせて癌を処置するための治療用組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】インターロイキンタンパク質の類似体と組み合わせて癌を処置するための治療用組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/24 20060101AFI20220706BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20220706BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20220706BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220706BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220706BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220706BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220706BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220706BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20220706BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
C12N15/24
C07K14/54 ZNA
C07K16/00
C07K19/00
C12N15/62 Z
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/00
A61K38/20
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568503
(86)(22)【出願日】2020-05-16
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2020033317
(87)【国際公開番号】W WO2020232427
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/848,962
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/848,975
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521202743
【氏名又は名称】アーチ オンコロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブリン,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】マッキーン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】モナハン,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ストロール,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】プーロ,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アルマグロ,ジュアン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA41
4C084DA12
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA12
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZC751
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB01
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA76
4H045EA20
4H045GA26
(57)【要約】
インターロイキンタンパク質の類似体と組み合わせて、異なる機能プロファイルを有する抗CD47 mAb及び抗CD47融合タンパク質、又はキメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞を投与することによって癌を処置するための組成物及び方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.第1のポリペプチド鎖が、(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;及び(ii)第2の軽鎖定常ドメイン(C)を含む、第1、及び第2のポリペプチド鎖;並びに
b.(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの重鎖可変領域ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;(ii)第2のドメイン、重鎖定常ドメイン(C);及び(iii)IL-7タンパク質、IL-15タンパク質、又はそのバリアントを含む第3のドメインを含む、第2のポリペプチド鎖
を含む、ポリペプチド。
【請求項2】
a.第1のポリペプチド鎖が、(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;(ii)第2の軽鎖定常ドメイン(C);及び(iii)IL-7タンパク質、IL-15タンパク質、又はそのバリアントを含む第3のドメインを含む、第1、及び第2のポリペプチド鎖;並びに
b.(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの重鎖可変領域ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;及び(ii)第2のドメイン、重鎖定常ドメイン(C)を含む、第2のポリペプチド鎖
を含む、ポリペプチド。
【請求項3】
a.第1のポリペプチド鎖が、(i)IL-7タンパク質、IL-15タンパク質、又はそのバリアントを含む第1のドメイン;(ii)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第2のドメイン;及び(iii)第3のドメイン、軽鎖定常ドメイン(C);を含む、第1、及び第2のポリペプチド鎖;並びに
b.(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの重鎖可変領域ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;及び(ii)第2のドメイン、重鎖定常ドメイン(C)を含む、第2のポリペプチド鎖
を含む、ポリペプチド。
【請求項4】
a.第1のポリペプチド鎖が、(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;及び(ii)第2の軽鎖定常ドメイン(C)を含む、第1、及び第2のポリペプチド鎖;並びに
b.(i)IL-7タンパク質、IL-15タンパク質、又はそのバリアントを含む第1のドメイン;(ii)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの重鎖可変領域ドメイン(V)の結合領域を含む第2のドメイン;及び(iii)第3のドメイン、重鎖定常ドメイン(C)を含む、第2のポリペプチド鎖
を含む、ポリペプチド。
【請求項5】
前記IL-7タンパク質又はそのバリアントが改変されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記IL-7タンパク質又はそのバリアントが、IL-7受容体に結合して、細胞内のIL-7シグナル伝達を活性化できる、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項7】
前記IL-7タンパク質又はそのバリアントが、アミノ酸の置換を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項8】
IL-7受容体の改変結合領域におけるアミノ酸置換が、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85から選択されるアミノ酸位置の置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号2に対して相対的である、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項9】
アミノ酸位置10でのアミノ酸置換が、K10I、K10M、又はK10Vである、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項10】
アミノ酸位置10でのアミノ酸置換が、K10Iである、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項11】
アミノ酸位置11でのアミノ酸置換が、Q11Rである、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項12】
アミノ酸位置14でのアミノ酸置換が、S14Tである、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項13】
アミノ酸位置19でのアミノ酸置換が、S19Qである、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項14】
アミノ酸位置81でのアミノ酸置換が、K81M又はK81Rである、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項15】
アミノ酸位置85でのアミノ酸置換が、G85Mである、請求項1~4のいずれか一項に記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のポリペプチドを対象に投与することを含む、前記対象の癌を処置する方法。
【請求項17】
前記癌が固形腫瘍を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記固形腫瘍が、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、中皮腫、扁平上皮癌(例えば、上皮性扁平上皮癌)、小細胞肺癌を含む肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃(gastric)癌又は胃(stomach)癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓又は腎癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、頭頸部癌、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記癌が血液悪性腫瘍である、請求項16のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記血液悪性腫瘍が、急性小児リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝癌、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝癌、成人軟部肉腫、AIDS関連リンパ腫、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記血液悪性腫瘍がT細胞悪性腫瘍である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記T細胞悪性腫瘍がT細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記T細胞悪性腫瘍が非ホジキンリンパ腫である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記癌が多発性骨髄腫である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記癌がB細胞悪性腫瘍である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記対象がさらに抗癌剤を投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗癌剤がプロテアソーム阻害剤である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、イキサゾミブ、及びカルフィルゾミブから選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抗癌剤が免疫チェックポイント阻害剤である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、LAG-3、Tim-3、CTLA-4、又はそれらの任意の組み合わせの阻害剤である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、トレメリムマブ、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリペプチドが、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病変内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外又は胸骨内に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項33】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む、それを必要とする対象の癌の処置における使用のための医薬組成物。
【請求項34】
治療有効量の
a)抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメント;及び
b)IL-7タンパク質
を対象に投与することを含む、それを必要とする前記対象の癌を処置するための方法。
【請求項35】
前記抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントが、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)の組み合わせを含み、前記組み合わせが、
(i)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖;並びに
(vi)配列番号66のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖
から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記IL-7タンパク質が、配列番号1(GenBankアクセッション番号P13232)から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記IL-7タンパク質が改変されている、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項38】
前記IL-7タンパク質が融合タンパク質である、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記改変IL-7タンパク質が、IL-7受容体に結合して、細胞内のIL-7シグナル伝達を活性化できる、請求項37に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項40】
前記改変IL-7タンパク質が、アミノ酸の置換を含む、請求項37に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項41】
前記改変IL-7タンパク質における前記アミノ酸置換が、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85からなる群から選択されるアミノ酸位置の置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号2に対して相対的である、請求項40に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項42】
アミノ酸位置10での前記アミノ酸置換が、K10I、K10M、又はK10Vである、請求項41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項43】
アミノ酸位置10での前記アミノ酸置換が、K10Iである、請求項42に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項44】
アミノ酸位置11での前記アミノ酸置換が、Q11Rである、請求項41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項45】
アミノ酸位置14での前記アミノ酸置換が、S14Tである、請求項41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項46】
アミノ酸位置19での前記アミノ酸置換が、S19Qである、請求項41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項47】
アミノ酸位置81での前記アミノ酸置換が、K81M又はK81Rである、請求項41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項48】
アミノ酸位置85での前記アミノ酸置換が、G85Mである、請求項41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項49】
前記融合タンパク質が異種部分を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記異種部分が、前記IL-7タンパク質の半減期を延長する部分(「半減期延長部分」)である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記半減期延長部分が、免疫グロブリン又はその一部のFc領域、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸の長い非構造化親水性配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合小分子、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記半減期延長部分がFcドメインである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記IL-7タンパク質が、約20μg/kg~約600μg/kgの体重ベースの用量、又は約0.25mg~約9mgの固定用量で投与される、請求項36~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記IL-7タンパク質が、約20μg/kg、約60μg/kg、約120μg/kg、約240μg/kg、約480μg/kg、約600μg/kg、若しくは約10mg/kgの体重ベースの用量、又は約0.25mg、約1mg、約3mg、約6mg、若しくは約9mgの固定用量で投与される、請求項36~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記IL-7タンパク質が、少なくとも週に1回、少なくとも週に2回、少なくとも週に3回、少なくとも週に4回、少なくとも月に1回、又は少なくとも月に2回の投与間隔で投与される、請求項36~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記IL-7タンパク質が、抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントの後に投与される、請求項36~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記IL-7タンパク質が、抗CD47抗体及びその抗原結合フラグメントの前に投与される、請求項36~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記IL-7タンパク質が、抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントと同時に投与される、請求項36~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記癌が固形腫瘍を含む、請求項34~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記固形腫瘍が、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、中皮腫、扁平上皮癌(例えば、上皮性扁平上皮癌)、小細胞肺癌を含む肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃(gastric)癌又は胃(stomach)癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓又は腎癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、頭頸部癌、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記癌が血液悪性腫瘍である、請求項34~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記血液悪性腫瘍が、急性小児リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝癌、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝癌、成人軟部肉腫、AIDS関連リンパ腫、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記血液悪性腫瘍がT細胞悪性腫瘍である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記T細胞悪性腫瘍がT細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記T細胞悪性腫瘍が非ホジキンリンパ腫である、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記癌が多発性骨髄腫である、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記癌がB細胞悪性腫瘍である、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
前記対象がさらに抗癌剤を投与される、請求項34~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記抗癌剤がプロテアソーム阻害剤である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、イキサゾミブ、及びカルフィルゾミブから選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記抗癌剤が免疫チェックポイント阻害剤である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、LAG-3、Tim-3、CTLA-4、又はそれらの任意の組み合わせの阻害剤である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、トレメリムマブ、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
配列番号8~16に示される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、改変IL-7タンパク質。
【請求項75】
前記改変IL-7タンパク質が、IL-7受容体に結合して、細胞内のIL-7シグナル伝達を活性化できる、請求項74に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項76】
前記改変IL-7タンパク質における前記アミノ酸置換が、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85からなる群から選択されるアミノ酸位置の置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号2に対して相対的である、請求項74又は75に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項77】
アミノ酸位置10での前記アミノ酸置換が、K10I、K10M、又はK10Vである、請求項76に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項78】
アミノ酸位置10での前記アミノ酸置換が、K10Iである、請求項77に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項79】
アミノ酸位置11での前記アミノ酸置換が、Q11Rである、請求項76に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項80】
アミノ酸位置14での前記アミノ酸置換が、S14Tである、請求項76に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項81】
アミノ酸位置19での前記アミノ酸置換が、S19Qである、請求項76に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項82】
アミノ酸位置81での前記アミノ酸置換が、K81M又はK81Rである、請求項76に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項83】
アミノ酸位置85での前記アミノ酸置換が、G85Mである、請求項76に記載の改変IL-7タンパク質。
【請求項84】
請求項77~83のいずれか一項に記載のタンパク質をコードする核酸構築物。
【請求項85】
前記改変IL-7タンパク質が、C末端ヒスチジンタグをさらに含む、請求項84に記載の核酸構築物。
【請求項86】
CAR保有免疫エフェクター細胞を、請求項77~83のいずれか一項に記載のタンパク質と共に患者に投与することを含む、キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞の増殖及び持続性を改善する方法。
【請求項87】
CAR保有免疫エフェクター細胞において内部シグナル伝達を開始する方法であって、
請求項77~83のいずれか一項に記載のタンパク質を、それを必要とする患者に投与することを含み、
前記改変インターロイキンタンパク質がIL-7受容体に結合し;
前記改変インターロイキンタンパク質の結合が、前記細胞内の内部シグナル伝達を開始する、方法。
【請求項88】
請求項77~83のいずれか一項に記載のタンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞を対象に投与することを含む、それを必要とする前記対象の癌を処置する方法。
【請求項89】
前記改変IL-7タンパク質が、IL-7受容体に結合して、細胞内のIL-7シグナル伝達を活性化できる、請求項86~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記CAR保有免疫エフェクター細胞が、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞から選択される、請求項86~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記改変インターロイキンタンパク質及び前記CAR保有免疫エフェクター細胞が、薬剤と同時に投与される、請求項86~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
配列番号31~45に示される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、改変IL-15タンパク質。
【請求項93】
前記改変IL-15タンパク質が、IL-15受容体に結合して、細胞内のIL-15シグナル伝達を活性化できる、請求項92に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項94】
前記改変IL-15タンパク質における前記アミノ酸置換が、アミノ酸位置3、4、11、72、79、及び112からなる群から選択されるアミノ酸位置の置換を含み、前記アミノ酸位置が、配列番号30に対して相対的である、請求項92又は93に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項95】
アミノ酸位置3での前記アミノ酸置換が、V3I、V3M、又はV3Rである、請求項94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項96】
アミノ酸位置4での前記アミノ酸置換が、N4Hである、請求項94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項97】
アミノ酸位置11での前記アミノ酸置換が、K11L、K11M、又はK11Rである、請求項94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項98】
アミノ酸位置72での前記アミノ酸置換が、N72D、N72R又はN72Yである、請求項94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項99】
アミノ酸位置79での前記アミノ酸置換が、N79E又はN79Sである、請求項94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項100】
アミノ酸位置79での前記アミノ酸置換が、N79Sである、請求項94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項101】
アミノ酸位置112での前記アミノ酸置換が、N112H、N112M、又はN112Yである、請求項94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【請求項102】
請求項95~101のいずれか一項に記載の改変インターロイキンタンパク質をコードする核酸構築物。
【請求項103】
前記改変IL-15タンパク質が、N末端ヒスチジンタグをさらに含む、請求項102に記載の核酸構築物。
【請求項104】
CAR保有免疫エフェクター細胞を、請求項95~101のいずれか一項に記載の改変インターロイキンタンパク質と共に患者に投与することを含む、免疫エフェクター細胞、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞の増殖及び持続性を改善する方法。
【請求項105】
免疫エフェクター細胞、例えば、CAR保有免疫エフェクター細胞において内部シグナル伝達を開始する方法であって、
請求項95~101のいずれか一項に記載の改変インターロイキンタンパク質を、それを必要とする患者に投与することを含み、
前記改変インターロイキンタンパク質がIL-15受容体に結合し;
前記改変インターロイキンタンパク質の結合が、前記細胞内の内部シグナル伝達を開始する、方法。
【請求項106】
請求項95~101のいずれか一項に記載の改変インターロイキンタンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞を対象に投与することを含む、それを必要とする前記対象の癌を処置する方法。
【請求項107】
前記改変IL-15タンパク質が、IL-15受容体に結合して、細胞内のIL-15シグナル伝達を活性化できる、請求項104~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記CAR保有免疫エフェクター細胞エフェクター細胞が、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞から選択される、請求項104~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記改変インターロイキンタンパク質及び前記CAR保有免疫エフェクター細胞が、薬剤と同時に投与される、請求項104~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
IL-7タンパク質、IL-15タンパク質、又はそれらのバリアントを含む配列に融合したヒトCD47に特異的な免疫グロブリン可変領域、を含む、ポリペプチド。
【請求項111】
ヒトCD47に特異的な前記免疫グロブリン可変領域が、リンカー(GGGGS)n(式中、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)によって、IL-7タンパク質、IL-15タンパク質、又はそれらのバリアントを含む配列に融合した、請求項110に記載のポリペプチド。
【請求項112】
少なくとも1つのIL-7タンパク質、IL-7バリアント、IL-15タンパク質、又はIL-15バリアントに結合したヒトCD47に特異的な免疫グロブリン可変領域、を含む、ポリペプチド。
【請求項113】
ヒトCD47に特異的な前記免疫グロブリン可変領域が、リンカーによって、IL-7タンパク質、IL-7バリアント、IL-15タンパク質、又はIL-15バリアントに結合されている、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項114】
前記リンカーが(GGGGS)nであり、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18である、請求項113に記載のポリペプチド。
【請求項115】
前記免疫グロブリン可変領域が、抗CD47モノクローナル抗体又はそのフラグメントからのものである、請求項112~114のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] この出願は、2019年5月16日に出願された米国仮特許出願第62/848,962号、及び2019年5月16日に出願された米国仮特許出願第62/848,975号の優先権の利益を主張し、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] この開示は、一般的に、インターロイキンタンパク質の類似体と組み合わせて、異なる機能プロファイルを有する抗CD47モノクローナル抗体(mAb)及び抗CD47融合mAb、又はキメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞を使用する癌を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] CD47の発現及び/又は活性は、多くの疾患及び障害に関係している。多くのヒトの癌はCD47の細胞表面発現をアップレギュレートし、最高レベルのCD47を発現する癌は、患者にとって最も高悪性度で最も致死的であるように思われる。CD47発現の増加は、CD47保有細胞の食作用を防ぐ阻害性受容体であるSIRPαを介してマクロファージに「私を食べるな」というシグナルを送ることにより、癌細胞を食細胞クリアランスから保護すると考えられている。
【0004】
[0004] T細胞は、抗原認識部分及びT細胞活性化ドメインで構成される融合タンパク質であるキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変することができる。CARは、癌細胞で過剰発現している抗原を認識するように設計されている。CAR-Tは、B細胞悪性腫瘍に対して非常に優れた臨床効果を示し、KYMRIAH(商標)(チサゲンレクロイセル、Novartis)及びYESCARTA(商標)(axicabtagene ciloleucel、Kite/Gilead)の2つの治療剤が最近FDAによって承認された。最近の開示はまた、CAR-T治療の使用をT細胞悪性腫瘍にも拡大し、同種異系反応性なしに悪性腫瘍を処置するためにドナーからの事前に操作された細胞の「既製」使用を可能にすることにおいて有望であることを示した。
【0005】
[0005] IL-7は、B細胞及びT細胞の発達に重要なサイトカインである。IL-7は、骨髄及び胸腺の間質細胞からの分泌を含むがこれらに限定されない、多くの細胞型によって産生される造血成長因子である。IL-7は、多能性造血幹細胞のリンパ系前駆細胞への分化を刺激する。IL-7のIL-7受容体との結合は、胸腺内でのT細胞の成長及び末梢での生存に重要なシグナルのカスケードをもたらす。
【0006】
[0006] IL-15は、T細胞及びNK細胞の増殖及びサイトカイン産生、並びにエフェクターメモリーT細胞の分化及びアポトーシスに対する感受性を誘導する。IL-15Rαは、例えばリンパ球系細胞、樹状細胞(DC)、線維芽、上皮、肝臓、腸、及びその他の細胞によって、広く発現され、IL-15β及びγ鎖を発現する細胞にトランスでIL-15を提示すると考えられている。
【0007】
[0007] IL-7、IL-15、及びCD47の発現及び/又は活性は、多くの疾患及び障害に関係している。したがって、様々な癌の予防及び処置を含む、ヒトのIL-7、IL-15、及びCD47に関連する疾患及び状態を処置するための治療用組成物及び方法の必要性が存在する。抗CD47 mAb及びインターロイキンタンパク質(すなわちIL-7及びIL-15)の類似体を対象に投与することを含む、それを必要とする対象の癌を処置するための治療的使用が本明細書に開示される。キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞を含む免疫エフェクター細胞の増殖及び持続性を改善するための治療的使用、並びに免疫エフェクター細胞の集団、例えば、CAR保有免疫エフェクター細胞及びインターロイキンタンパク質(すなわち、IL-7及びIL-15)の類似体を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における癌を処置するための治療的使用も開示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
[0008] 実施形態1.第1及び第2のポリペプチド鎖を含むポリペプチドであって、第1のポリペプチド鎖が、(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;及び(ii)第2の軽鎖定常ドメイン(C)を含み、第2のポリペプチド鎖が、(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの重鎖可変領域ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;(ii)第2のドメイン、重鎖定常ドメイン(C);及び(iii)IL-7タンパク質又はそのバリアントを含む第3のドメインを含む、ポリペプチド。
【0009】
[0009] 実施形態2.第1及び第2のポリペプチド鎖を含むポリペプチドであって、第1のポリペプチド鎖が、(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;(ii)第2の軽鎖定常ドメイン(C);及び(iii)IL-7タンパク質又はそのバリアントを含む第3のドメインを含み、第2のポリペプチド鎖が、(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの重鎖可変領域ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;及び(ii)第2のドメイン、重鎖定常ドメイン(C)を含む、ポリペプチド。
【0010】
[0010] 実施形態3.第1及び第2のポリペプチド鎖を含むポリペプチドであって、第1のポリペプチド鎖が、(i)IL-7タンパク質又はそのバリアントを含む第1のドメイン;(ii)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(VL)の結合領域を含む第2のドメイン;及び(iii)第3のドメイン、軽鎖定常ドメイン(C);を含み、第2のポリペプチド鎖が、(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの重鎖可変領域ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;及び(ii)第2のドメイン、重鎖定常ドメイン(C)を含む、ポリペプチド。
【0011】
[0011] 実施形態4.第1及び第2のポリペプチド鎖を含むポリペプチドであって、第1のポリペプチド鎖が、(i)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン;及び(ii)第2の軽鎖定常ドメイン(C)を含み、第2のポリペプチド鎖が、(i)IL-7タンパク質又はそのバリアントを含む第1のドメイン;(ii)ヒトCD47に特異的な免疫グロブリンの重鎖可変領域ドメイン(V)の結合領域を含む第2のドメイン;及び(iii)第3のドメイン、重鎖定常ドメイン(C)を含む、ポリペプチド。
【0012】
[0012] 実施形態5.IL-7タンパク質又はそのバリアントが改変されている、実施形態1~4のいずれかに記載のペプチド。
【0013】
[0013] 実施形態6.IL-7受容体に対する改変結合領域が、IL-7受容体に結合して、細胞内のIL-7シグナル伝達を活性化できる、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0014】
[0014] 実施形態7.IL-7受容体に対する改変結合領域が、アミノ酸置換を含む、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0015】
[0015] 実施形態8.IL-7受容体に対する改変結合領域におけるアミノ酸置換が、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85から選択されるアミノ酸位置の置換を含み、アミノ酸位置が、配列番号2に対して相対的である、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0016】
[0016] 実施形態9.アミノ酸位置10でのアミノ酸置換が、K10I、K10M、又はK10Vである、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0017】
[0017] 実施形態10.アミノ酸位置10でのアミノ酸置換が、K10Iである、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0018】
[0018] 実施形態11.アミノ酸位置11でのアミノ酸置換が、Q11Rである、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0019】
[0019] 実施形態12.アミノ酸位置14でのアミノ酸置換が、S14Tである、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0020】
[0020] 実施形態13.アミノ酸位置19でのアミノ酸置換が、S19Qである、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0021】
[0021] 実施形態14.アミノ酸位置81でのアミノ酸置換が、K81M又はK81Rである、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0022】
[0022] 実施形態15.アミノ酸位置85でのアミノ酸置換が、G85Mである、実施形態1~4のいずれかに記載のIL-7タンパク質又はそのバリアント。
【0023】
[0023] 実施形態16.実施形態1~15のいずれかのポリペプチドを対象に投与することを含む、対象の癌を処置する方法。
【0024】
[0024] 実施形態17.癌が固形腫瘍を含む、実施形態16に記載の方法。
【0025】
[0025] 実施形態18.固形腫瘍が、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、中皮腫、扁平上皮癌(例えば、上皮性扁平上皮癌)、小細胞肺癌を含む肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃(gastric)癌又は胃(stomach)癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)又は腎(renal)癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、頭頸部癌、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態17に記載の方法。
【0026】
[0026] 実施形態19.癌が血液悪性腫瘍である、実施形態18に記載の方法。
【0027】
[0027] 実施形態20.血液悪性腫瘍が、急性小児リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝癌、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝癌、成人軟部肉腫、AIDS関連リンパ腫、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態19に記載の方法。
【0028】
[0028] 実施形態21.血液悪性腫瘍がT細胞悪性腫瘍である、実施形態19に記載の方法。
【0029】
[0029] 実施形態22.T細胞悪性腫瘍がT細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)である、実施形態21に記載の方法。
【0030】
[0030] 実施形態23.T細胞悪性腫瘍が非ホジキンリンパ腫である、実施形態21に記載の方法。
【0031】
[0031] 実施形態24.癌が多発性骨髄腫である、実施形態16に記載の方法。
【0032】
[0032] 実施形態25.癌がB細胞悪性腫瘍である、実施形態16に記載の方法。
【0033】
[0033] 実施形態26.対象がさらに抗癌剤を投与される、実施形態1~25に記載の方法。
【0034】
[0034] 実施形態27.抗癌剤がプロテアソーム阻害剤である、実施形態26に記載の方法。
【0035】
[0035] 実施形態28.プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、イキサゾミブ、及びカルフィルゾミブから選択される、実施形態27に記載の方法。
【0036】
[0036] 実施形態29.抗癌剤が免疫チェックポイント阻害剤である、実施形態26に記載の方法。
【0037】
[0037] 実施形態30.免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、LAG-3、Tim-3、CTLA-4、又はそれらの任意の組み合わせの阻害剤である、実施形態29に記載の方法。
【0038】
[0038] 実施形態31.免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、トレメリムマブ、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態29に記載の方法。
【0039】
[0039] 実施形態32.ポリペプチドが、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病変内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外又は胸骨内に投与される、実施形態16に記載の方法。
【0040】
[0040] 実施形態33.実施形態1~4のいずれか1つのポリペプチドを含む、それを必要とする対象の癌の処置における使用のための医薬組成物。
【0041】
[0041] 実施形態34.治療有効量の
a)抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメント;及び
b)IL-7タンパク質
を対象に投与することを含む、それを必要とする対象の癌を処置するためのA。
【0042】
[0042] 実施形態35.抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントが、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)の組み合わせを含み、組み合わせが、
(i)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖;並びに
(vi)配列番号66のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖
から選択される、実施形態34に記載の方法。
【0043】
[0043] 実施形態36.IL-7タンパク質が、配列番号1(GenBankアクセッション番号P13232)から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるアミノ酸配列を有する、実施形態34に記載の方法。
【0044】
[0044] 実施形態37.IL-7タンパク質が改変されている、実施形態34又は35に記載の方法。
【0045】
[0045] 実施形態38.IL-7タンパク質が融合タンパク質である、実施形態34~36のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
[0046] 実施形態39.改変IL-7タンパク質が、IL-7受容体に結合して、細胞内のIL-7シグナル伝達を活性化できる、実施形態37に記載の改変IL-7タンパク質。
【0047】
[0047] 実施形態40.改変IL-7タンパク質が、アミノ酸の置換を含む、実施形態37に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0048】
[0048] 実施形態41.改変IL-7タンパク質におけるアミノ酸置換が、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85からなる群から選択されるアミノ酸位置の置換を含み、アミノ酸位置が、配列番号2に対して相対的である、実施形態40に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0049】
[0049] 実施形態42.アミノ酸位置10でのアミノ酸置換が、K10I、K10M、又はK10Vである、実施形態41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0050】
[0050] 実施形態43.アミノ酸位置10でのアミノ酸置換が、K10Iである、実施形態42に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0051】
[0051] 実施形態44.アミノ酸位置11でのアミノ酸置換が、Q11Rである、実施形態41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0052】
[0052] 実施形態45.アミノ酸位置14でのアミノ酸置換が、S14Tである、実施形態41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0053】
[0053] 実施形態46.アミノ酸位置19でのアミノ酸置換が、S19Qである、実施形態41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0054】
[0054] 実施形態47.アミノ酸位置81でのアミノ酸置換が、K81M又はK81Rである、実施形態41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0055】
[0055] 実施形態48.アミノ酸位置85でのアミノ酸置換が、G85Mである、実施形態41に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0056】
[0056] 実施形態49.融合タンパク質が異種部分を含む、実施形態38に記載の方法。
【0057】
[0057] 実施形態50.異種部分が、IL-7タンパク質の半減期を延長する部分(「半減期延長部分」)である、実施形態49に記載の方法。
【0058】
[0058] 実施形態51.半減期延長部分が、免疫グロブリン又はその一部のFc領域、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレン(polyet9hylene)グリコール(PEG)、アミノ酸の長い非構造化親水性配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合小分子、及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態50に記載の方法。
【0059】
[0059] 実施形態52.半減期延長部分がFcドメインである、実施形態51に記載の方法。
【0060】
[0060] 実施形態53.IL-7タンパク質が、約20μg/kg~約600μg/kgの体重ベースの用量、又は約0.25mg~約9mgの固定用量で投与される、実施形態36~52のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
[0061] 実施形態54.IL-7タンパク質が、約20μg/kg、約60μg/kg、約120μg/kg、約240μg/kg、約480μg/kg、約600μg/kg、若しくは約10mg/kgの体重ベースの用量、又は約0.25mg、約1mg、約3mg、約6mg、若しくは約9mgの固定用量で投与される、実施形態36~53のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
[0062] 実施形態55.IL-7タンパク質が、少なくとも週に1回、少なくとも週に2回、少なくとも週に3回、少なくとも週に4回、少なくとも月に1回、又は少なくとも月に2回の投与間隔で投与される、実施形態36~54のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
[0063] 実施形態56.IL-7タンパク質が、抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントの後に投与される、実施形態36~55のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
[0064] 実施形態57.IL-7タンパク質が、抗CD47抗体及びその抗原結合フラグメントの前に投与される、実施形態36~56のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
[0065] 実施形態58.IL-7タンパク質が、抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントと同時に投与される、実施形態36~57のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
[0066] 実施形態59.癌が固形腫瘍を含む、実施形態34に記載の方法。
【0067】
[0067] 実施形態60.固形腫瘍が、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、中皮腫、扁平上皮癌(例えば、上皮性扁平上皮癌)、小細胞肺癌を含む肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃(gastric)癌又は胃(stomach)癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)又は腎(renal)癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、頭頸部癌、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態59に記載の方法。
【0068】
[0068] 実施形態61.癌が血液悪性腫瘍である、実施形態34に記載の方法。
【0069】
[0069] 実施形態62.血液悪性腫瘍が、急性小児リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝癌、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝癌、成人軟部肉腫、AIDS関連リンパ腫、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態61に記載の方法。
【0070】
[0070] 実施形態63.血液悪性腫瘍がT細胞悪性腫瘍である、実施形態61に記載の方法。
【0071】
[0071] 実施形態64.T細胞悪性腫瘍がT細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)である、実施形態63に記載の方法。
【0072】
[0072] 実施形態65.T細胞悪性腫瘍が非ホジキンリンパ腫である、実施形態63に記載の方法。
【0073】
[0073] 実施形態66.癌が多発性骨髄腫である、実施形態34に記載の方法。
【0074】
[0074] 実施形態67.癌がB細胞悪性腫瘍である、実施形態34に記載の方法。
【0075】
[0075] 実施形態68.対象がさらに抗癌剤を投与される、実施形態34~67のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
[0076] 実施形態69.抗癌剤がプロテアソーム阻害剤である、実施形態68に記載の方法。
【0077】
[0077] 実施形態70.プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、イキサゾミブ、及びカルフィルゾミブから選択される、実施形態69に記載の方法。
【0078】
[0078] 実施形態71.抗癌剤が免疫チェックポイント阻害剤である、実施形態68に記載の方法。
【0079】
[0079] 実施形態72.免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、LAG-3、Tim-3、CTLA-4、又はそれらの任意の組み合わせの阻害剤である、実施形態71に記載の方法。
【0080】
[0080] 実施形態73.免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、トレメリムマブ、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態71に記載の方法。
【0081】
[0081] 実施形態74.配列番号8~16を含む少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、改変IL-7タンパク質。
【0082】
[0082] 実施形態75.改変IL-7タンパク質が、IL-7受容体に結合して、細胞内のIL-7シグナル伝達を活性化できる、実施形態74に記載の改変IL-7タンパク質。
【0083】
[0083] 実施形態76.改変IL-7タンパク質におけるアミノ酸置換が、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85からなる群から選択されるアミノ酸位置の置換を含み、アミノ酸位置が、配列番号2に対して相対的である、実施形態74又は75のいずれか1つに記載の改変IL-7タンパク質。
【0084】
[0084] 実施形態77.アミノ酸位置10でのアミノ酸置換が、K10I、K10M、又はK10Vである、実施形態76に記載の改変IL-7タンパク質。
【0085】
[0085] 実施形態78.アミノ酸位置10でのアミノ酸置換が、K10Iである、実施形態77に記載の改変IL-7タンパク質。
【0086】
[0086] 実施形態79.アミノ酸位置11でのアミノ酸置換が、Q11Rである、実施形態76に記載の改変IL-7タンパク質。
【0087】
[0087] 実施形態80.アミノ酸位置14でのアミノ酸置換が、S14Tである、実施形態76に記載の改変IL-7タンパク質。
【0088】
[0088] 実施形態81.アミノ酸位置19でのアミノ酸置換が、S19Qである、実施形態76に記載の改変IL-7タンパク質。
【0089】
[0089] 実施形態82.アミノ酸位置81でのアミノ酸置換が、K81M又はK81Rである、実施形態76に記載の改変IL-7タンパク質。
【0090】
[0090] 実施形態83.アミノ酸位置85でのアミノ酸置換が、G85Mである、実施形態76に記載の改変IL-7タンパク質。
【0091】
[0091] 実施形態84.実施形態77~83のいずれか1つのタンパク質をコードする核酸構築物。
【0092】
[0092] 実施形態85.改変IL-7タンパク質が、C末端ヒスチジンタグをさらに含む、実施形態84に記載の核酸構築物。
【0093】
[0093] 実施形態86.CAR保有免疫エフェクター細胞を、実施形態77~83のいずれか1つに記載のタンパク質と共に患者に投与することを含む、キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞の増殖及び持続性を改善する方法。
【0094】
実施形態87.CAR保有免疫エフェクター細胞において内部シグナル伝達を開始する方法であって、
実施形態77~83のいずれか1つに記載のタンパク質を、それを必要とする患者に投与することを含み、
改変インターロイキンタンパク質がIL-7受容体に結合し;
改変インターロイキンタンパク質の結合が、細胞内の内部シグナル伝達を開始する、方法。
【0095】
[0094] 実施形態88.実施形態77~83のいずれか1つに記載のタンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞を対象に投与することを含む、それを必要とする対象の癌を処置する方法。
【0096】
[0095] 実施形態89.改変IL-7タンパク質が、IL-7受容体に結合して、細胞内のIL-7シグナル伝達を活性化できる、実施形態86~88のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
[0096] 実施形態90.CAR保有免疫エフェクター細胞が、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞から選択される、実施形態86~89のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
[0097] 実施形態91.改変インターロイキンタンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞が、薬剤と同時に投与される、請求項86~90のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
[0098] 実施形態92.配列番号31~45を含む少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、改変IL-15タンパク質。
【0100】
[0099] 実施形態93.改変IL-15タンパク質が、IL-15受容体に結合して、細胞内のIL-15シグナル伝達を活性化できる、実施形態92に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0101】
[0100] 実施形態94.改変IL-15タンパク質におけるアミノ酸置換が、アミノ酸位置3、4、11、72、79、及び112からなる群から選択されるアミノ酸位置の置換を含み、アミノ酸位置が、配列番号30に対して相対的である、実施形態92又は93のいずれか1つに記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0102】
[0101] 実施形態95.アミノ酸位置3でのアミノ酸置換が、V3I、V3M、又はV3Rである、実施形態94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0103】
[0102] 実施形態96.アミノ酸位置4でのアミノ酸置換が、N4Hである、実施形態94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0104】
[0103] 実施形態97.アミノ酸位置11でのアミノ酸置換が、K11L、K11M、又はK11Rである、実施形態94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0105】
[0104] 実施形態98.アミノ酸位置72でのアミノ酸置換が、N72D、N72R又はN72Yである、実施形態94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0106】
[0105] 実施形態99.アミノ酸位置79でのアミノ酸置換が、N79E又はN79Sである、実施形態94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0107】
[0106] 実施形態100.アミノ酸位置79でのアミノ酸置換が、N79Sである、実施形態94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0108】
[0107] 実施形態101.アミノ酸位置112でのアミノ酸置換が、N112H、N112M、又はN112Yである、実施形態94に記載の改変インターロイキンタンパク質。
【0109】
[0108] 実施形態102.実施形態95~101のいずれか1つに記載の改変インターロイキンタンパク質をコードする核酸構築物。
【0110】
[0109] 実施形態103.改変IL-15タンパク質が、N末端ヒスチジンタグをさらに含む、実施形態102に記載の核酸構築物。
【0111】
[0110] 実施形態104.CAR保有免疫エフェクター細胞を、実施形態95~101のいずれか1つに記載の改変インターロイキンタンパク質と共に患者に投与することを含む、免疫エフェクター細胞、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞の増殖及び持続性を改善する方法。
【0112】
[0111] 実施形態105.免疫エフェクター細胞、例えば、CAR保有免疫エフェクター細胞において内部シグナル伝達を開始する方法であって、
実施形態95~101のいずれか1つに記載の改変インターロイキンタンパク質を、それを必要とする患者に投与することを含み、
改変インターロイキンタンパク質がIL-15受容体に結合し;
改変インターロイキンタンパク質の結合が、細胞内の内部シグナル伝達を開始する、方法。
【0113】
[0112] 実施形態106.実施形態95~101のいずれか1つに記載の改変インターロイキンタンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞を対象に投与することを含む、それを必要とする対象の癌を処置する方法。
【0114】
[0113] 実施形態107.改変IL-15タンパク質が、IL-15受容体に結合して、細胞内のIL-15シグナル伝達を活性化できる、実施形態104~106のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
[0114] 実施形態108.CAR保有免疫エフェクター細胞エフェクター細胞が、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞から選択される、実施形態104~107のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
[0115] 実施形態109.改変インターロイキンタンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞が、薬剤と同時に投与される、実施形態104~108のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
[0116] 実施形態110.少なくとも1つのIL-7タンパク質、IL-7バリアント、IL-15タンパク質、又はIL-15バリアントに結合したヒトCD47に特異的な免疫グロブリン可変領域を含む、ポリペプチド。
【0118】
[0117] 実施形態111.ヒトCD47に特異的な免疫グロブリン可変領域が、リンカーによって、IL-7タンパク質、IL-7バリアント、IL-15タンパク質、又はIL-15バリアントに結合されている、実施形態110に記載のポリペプチド。
【0119】
[0118] 実施形態112.前記リンカーが(GGGGS)nであり、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18である、実施形態123に記載のポリペプチド。
【0120】
[0119] 実施形態113.前記免疫グロブリン可変領域が特異的であるのが、抗CD47モノクローナル抗体又はそのフラグメントである、実施形態110~実施形態113のいずれか1つに記載のポリペプチド。
[0120]
【0121】
図面の簡単な説明
[0121] 本開示の上記及び他の態様、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて理解される以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。これらは全て例示としてのみ与えられ、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1】[0122]Cos-7細胞におけるIL-7Rα及びIL-2Rγの共発現を示す。上段:1日目のIL-7Rα陽性細胞(左)、IL-2Rγ陽性細胞(中央)、IL-7Rα/IL2Rγ二重陽性細胞(右);中段:2日目のIL-7Rα陽性細胞(左)、IL-2Rγ陽性細胞(中央)、IL-7Rα/IL2Rγ二重陽性細胞(右);下段:3日目のIL-7Rα陽性細胞(左)、IL-2Rγ陽性細胞(中央)、IL-7Rα/IL2Rγ二重陽性細胞(右)。
図2】[0123]IL-7誘導性pSTAT5末梢血単核細胞(PBMC)シグナル伝達を示す。
図3】[0124]自社で調製したIL-7及び市販のIL-7のIL-7Rαへの結合のTR-FRET結果を示す。左上:自社調製IL-7;左下:市販IL-7;右:市販IL-7と自社調製IL-7の比較。
図4】[0125]WTと比較した、IL-7変異体S1のIL-7Rαへの結合を示す。
図5】[0126]γサブユニットを有する又は有しないIL-7RαへのIL-7結合のTR-FRET結果を示す。左上:γを有しないIL-7;左下:γを有するIL-7;右:γサブユニットを有する又は有しない場合のIL-7の比較。
図6】[0127]Cos-7細胞におけるIL-7Rα及びIL-2Rγの共発現を示す。上段:1日目のIL-7Rα陽性細胞(左)、IL-2Rγ陽性細胞(中央)、IL-7Rα/IL2Rγ二重陽性細胞(右);中段:2日目のIL-7Rα陽性細胞(左)、IL-2Rγ陽性細胞(中央)、IL-7Rα/IL2Rγ二重陽性細胞(右);下段:3日目のIL-7Rα陽性細胞(左)、IL-2Rγ陽性細胞(中央)、IL-7Rα/IL2Rγ二重陽性細胞(右)。
図7】[0128]IL-15 pSTAT5末梢血単核細胞(PBMC)シグナル伝達を示す。
図8】[0129]ヒトPBMCを使用したpSTAT5アッセイにおけるWT IL-15 SEC精製画分6の活性を示す。
図9】[0130]IL-15変異体M2(N72R)のコンフルエンスサイトカイン活性の曲線例を示す。左側はIL-15 M2ロット11-20-18、N=1、単位pg/mLを示し、右側はIL-15 M2ロット11-20-18、N=2、単位pg/mLを示す。
図10】[0131]IL-15変異体M5(N79S)のコンフルエンスサイトカイン活性の曲線例を示す。左側はIL-15 M5ロット11-20-18、N=1、単位pg/mLを示し、右側はIL-15 M5ロット11-20-18、N=2、単位pg/mLを示す。
図11】[0132]自社で調製したIL-15及び市販のIL-15のIL-15Rβへの結合のTR-FRET結果を示す。左上:自社調製IL-15;左下:市販IL-15;右:市販IL-15と自社調製IL-15の比較。
図12】[0133]野生型IL-15及びIL-15変異体M2及びM5のIL-15Rβへの結合を示す。左上:IL-15変異体M2;左下:WT IL-15;右:IL-15変異体M5。
図13】[0134]γサブユニットを有する又は有しない、自社で調整したIL-15のIL-15Rβへの結合のTR-FRET結果を示す。左上:γを有しないIL-15;左下:γを有するIL-15;右:γサブユニットを有する又は有しない場合のIL-15の比較。
図14】[0135]IL-15Rβ及びγ受容体のM-07e膜抽出物のウエスタンブロットを示す。
図15A】[0136]抗CD47-IL-7融合タンパク質の模式図を示す。
図15B】[0137]抗CD47-IL-7融合タンパク質の模式図を示す。
図15C】[0138]抗CD47-IL-7融合タンパク質の模式図を示す。
図15D】[0139]抗CD47-IL-7融合タンパク質の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0123】
詳細な説明
[0140] 別段の定義がない限り、本開示に関連して使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の必要がない限り、単数形には複数形が含まれ、複数形には単数形が含まれるものとする。一般に、細胞及び組織培養、分子生物学、並びに本明細書に記載のタンパク質及びオリゴ又はポリヌクレオチドの化学及びハイブリダイゼーションに関連して利用される命名法、及びそれらの技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。
【0124】
[0141] 改変インターロイキン-7(IL-7)タンパク質が本明細書に開示される。
【0125】
[0142] いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質は、以下の表7に記載のアミノ酸置換を含む。
【0126】
[0143] いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質におけるアミノ酸置換は、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85から選択されるアミノ酸位置における置換を含み、アミノ酸位置は、配列番号2に対して相対的である。
【0127】
[0144] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置10でのアミノ酸置換は、K10I、K10M、又はK10Vである。
【0128】
[0145] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置11でのアミノ酸置換は、Q11Rである。
【0129】
[0146] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置14でのアミノ酸置換は、S14Tである。
【0130】
[0147] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置19でのアミノ酸置換は、S19Qである。
【0131】
[0148] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置81でのアミノ酸置換は、K81M又はK81Rである。
【0132】
[0149] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置85でのアミノ酸置換は、G85Mである。
【0133】
[0150] いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の改変IL-7タンパク質をコードする核酸構築物を提供する。
【0134】
[0151] いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質は、C末端ヒスチジンタグをさらに含む。
【0135】
[0152] いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質は、IL-7受容体に結合して、細胞におけるIL-7シグナル伝達を活性化することができ、IL-7受容体は、ナイーブT細胞及びメモリーT細胞を含むがこれらに限定されない、様々な細胞型で発現する。
【0136】
[0153] いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質のIL-7受容体への結合は、細胞の増殖又は活性化をもたらす。
【0137】
[0154] 改変インターロイキン-15(IL-15)タンパク質が本明細書に開示される。
【0138】
[0155] いくつかの実施形態において、改変インターロイキン(IL)タンパク質は、以下の表7に記載のアミノ酸置換を含む。
【0139】
[0156] いくつかの実施形態において、改変IL-15サブユニットにおけるアミノ酸置換は、アミノ酸位置3、4、11、72、79、及び112からなる群から選択されるアミノ酸位置の置換を含み、アミノ酸位置は、配列番号30に対して相対的である。
【0140】
[0157] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置3でのアミノ酸置換は、V3I、V3M、又はV3Rである。
【0141】
[0158] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置4でのアミノ酸置換は、N4Hである。
【0142】
[0159] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置11でのアミノ酸置換は、K11L、K11M、又はK11Rである。
【0143】
[0160] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置72でのアミノ酸置換は、N72D、N72R又はN72Yである。
【0144】
[0161] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置79でのアミノ酸置換は、N79E又はN79Sである。
【0145】
[0162] いくつかの実施形態において、アミノ酸位置112でのアミノ酸置換は、N112H、N112M、又はN112Yである。
【0146】
[0163] いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の改変インターロイキンタンパク質をコードする核酸構築物を提供する。
【0147】
[0164] いくつかの実施形態において、改変IL-15タンパク質は、N末端ヒスチジンタグをさらに含む。
【0148】
[0165] いくつかの実施形態において、改変されたIL-15タンパク質は、IL-15受容体に結合して、細胞内のIL-15シグナル伝達を活性化できる。
【0149】
[0166] いくつかの実施形態において、改変IL-15タンパク質のIL-15受容体への結合は、細胞の増殖又は活性化をもたらし、IL-7受容体は、樹状細胞、単球、及び上皮細胞に発現される。
【0150】
[0167] いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の改変IL-7タンパク質又は改変IL-15とともに、CAR保有免疫エフェクター細胞を、それを必要とする患者に投与することを含む、キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞の増殖及び持続性を改善する方法を提供する。
【0151】
[0168] いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の改変IL-7タンパク質を、それを必要とする患者に投与することを含む、CAR保有免疫エフェクター細胞において内部シグナル伝達を開始する方法を提供し、改変IL-7タンパク質は、IL-7受容体に結合し;改変IL-7タンパク質の結合は、細胞内の内部シグナル伝達を開始する。
【0152】
[0169] いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の改変IL-15タンパク質を、それを必要とする患者に投与することを含む、CAR保有免疫エフェクター細胞において内部シグナル伝達を開始する方法を提供し、改変IL-15タンパク質は、IL-15受容体に結合し;改変IL-15タンパク質の結合は、細胞内の内部シグナル伝達を開始する。
【0153】
[0170] いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の改変IL-7タンパク質又は改変IL-15タンパク質とともに、CAR保有免疫エフェクター細胞を、それを必要とする患者に投与することを含む、対象の癌を処置する方法を提供する。
【0154】
[0171] いくつかの実施形態において、CAR保有免疫エフェクター細胞は、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞から選択される。
【0155】
[0172] いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞が、薬剤と同時に投与される。
【0156】
[0173] いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞は、抗体、すなわち、抗CD47抗体と共に投与される。
【0157】
[0174] いくつかの実施形態において、改変IL-15タンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞が、薬剤と同時に投与される。
【0158】
[0175] いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質及びCAR保有免疫エフェクター細胞は、抗体、すなわち、抗CD47抗体と共に投与される。
【0159】
[0176] 疾患の処置のための免疫エフェクター細胞の集団、例えば、CAR保有免疫エフェクター細胞、IL-7タンパク質又はIL-15タンパク質などのインターロイキンタンパク質を含む、組み合わせ治療、キット、及び組み合わせ治療に向けられた方法も本明細書に開示される。
【0160】
[0177] いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質、IL-7バリアント、又はその類似体は、そのような免疫エフェクター細胞、例えば、CAR-T細胞又は他のCAR保有免疫エフェクター細胞の増殖を刺激するためにインビボで養子細胞移植治療を受けている患者に投与され得る。
【0161】
[0178] いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質、IL-15バリアント、又はその類似体は、そのような免疫エフェクター細胞、例えば、CAR-T細胞又は他のCAR保有免疫エフェクター細胞の増殖を刺激するためにインビボで養子細胞移植治療を受けている患者に投与され得る。
【0162】
[0179] いくつかの実施形態において、疾患は、過剰増殖性の疾患又は障害、例えば、癌であり得る。癌は、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍であり得る。血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫及び/又はT細胞悪性腫瘍であり得る。T細胞悪性腫瘍は、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)及び/又は非ホジキンリンパ腫であり得る。固形腫瘍又は血液悪性腫瘍。固形腫瘍は、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、中皮腫、又は肺癌であり得る。
【0163】
[0180] いくつかの実施形態において、本開示は、IL-7タンパク質、IL-7バリアント、又はそれらの類似体と組み合わせた使用のためのキメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞の集団を含むキットを含み、キットは、本明細書に開示される任意の方法による説明書をさらに含む。
【0164】
IL-7及びIL-7類似体
[0181] 改変/変異体インターロイキン-7(IL-7)タンパク質が本明細書に開示される。そのような改変IL-7タンパク質はまた、IL-7タンパク質がIL-7の1つ以上の生物学的活性例えば、IL-7Rに結合することができること、例えば、初期のT細胞の発達を誘導すること、T細胞の恒常性を促進すること、を含む限り、本明細書において、変異体IL-7タンパク質(例えば、IL-7バリアント、IL-7機能的フラグメント、IL-7誘導体、又はそれらの任意の組み合わせ、例えば、融合タンパク質、キメラタンパク質など)と呼ばれる。El Kassar and Gress.J Immunotoxicol.2010 Mar; 7(1):1-7を参照。
【0165】
[0182] 抗CD47抗体と天然及び/又は改変IL-7タンパク質との組み合わせ、及び組み合わせにおける使用が、本明細書に開示される。
【0166】
[0183] 免疫エフェクター細胞、例えば、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞などのCAR保有免疫エフェクター細胞と、天然及び/又は改変IL-7タンパク質との組み合わせ及び組み合わせにおける使用も本明細書に開示される。このような組み合わせは、養子細胞移植治療を受けている患者のCAR-T細胞及び他のCAR保有免疫エフェクター細胞の増殖を刺激する。
【0167】
[0184] IL-7は、胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)(Ziegler and Liu, 2006)と共有される2本の鎖IL-7Rα(CD127)と、IL-2、IL-15、IL-9、及びIL-21の共通γ鎖(γc、CD132)とから構成される受容体に結合する。γcは大半の造血細胞で発現する一方、IL-7Rαはリンパ系細胞でほぼ独占的に発現する。その受容体に結合した後、IL-7は2つの異なる経路:それぞれ分化及び生存率に関与する、Jak-Stat(ヤヌスキナーゼ-シグナル伝達物質及び転写活性化因子)及びPI3K/Akt、を介してシグナルを伝達する。抗IL-7中和モノクローナル抗体(MAb)を投与されたマウス;Grabstein et al., 1993)、IL-7-/-(von Freeden-Jeffry et al., 1995)、IL-7Rα-/-(Peschon et al., 1994;Maki et al., 1996)、γc-/-(Malissen et al., 1997)、及びJak3-/-マウス(Park et al., 1995)で観察されるように、IL-7シグナル伝達の不存在は、胸腺細胞性の低下に関与する。IL-7シグナル伝達の不存在下では、マウスはT細胞、B細胞、及びNK細胞を欠く。IL-7α-/-マウス(Peschon et al., 1994)は、IL-7-/-マウス(von Freeden-Jeffry et al., 1995)と同様であるが、より重症の表現型を示す。これは、TSLPシグナル伝達がIL-7α-/-マウスでも抑制されているからである可能性がある。IL-7は、γδ細胞(Maki et al., 1996)及びNK-T細胞(Boesteanu et al., 1997)の発達に必要である。
【0168】
[0185] いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質は、配列番号8~16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質は、配列番号8~16の配列に対し、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、若しくは約99%の、又はそれを超える、配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0169】
[0186] いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質は、改変IL-7又はそのフラグメントを含み、改変IL-7又はフラグメントは、野生型IL-7の1つ以上の生物学的活性を保持する。いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質は、ヒト、ラット、マウス、サル、ウシ、又はヒツジに由来し得る。
【0170】
[0187] いくつかの実施形態において、ヒトIL-7は、配列番号1(Genbankアクセッション番号P13232)によって表されるアミノ酸配列を有し得る。
【0171】
[0188] いくつかの実施形態において、本開示は、アミノ酸置換を含む改変インターロイキン(IL)タンパク質を提供する。「改変IL-7」などの「改変インターロイキン」は、本明細書において、変異体IL-7などの変異体インターロイキンと呼ばれることもあり、改変又は変異体インターロイキンタンパク質は、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。改変又は変異体インターロイキンタンパク質は、改変インターロイキンが細胞内のシグナル伝達経路を活性化するように、天然の非改変インターロイキンタンパク質の活性を保持する。
【0172】
[0189] 本明細書に記載されるように、本開示に従って有用なアミノ酸置換は、任意のアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、改変IL-7は、単一のアミノ酸置換を有し得るか、又は2つ、3つ、4つ、又はそれを超える数のアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態において、特定のアミノ酸は、同様の特性を有する別のアミノ酸に置換され得る、すなわち、極性アミノ酸は、別の極性アミノ酸に置換され、又は非極性アミノ酸は、別の非極性アミノ酸に置換され得る。いくつかの実施形態において、本開示に有用なアミノ酸置換は、表7に示される置換であり得る。
【0173】
[0190] いくつかの実施形態において、改変され得るか、又は変異が導入され得るインターロイキンタンパク質は、例えば、IL-7であり得る。いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質は、ILタンパク質の天然の受容体に結合することができてもよい。例えば、本明細書に記載の改変IL-7タンパク質は、天然のIL-7受容体に結合して、細胞内のIL-7シグナル伝達を活性化し得る。
【0174】
[0191] いくつかの実施形態において、本明細書に記載の改変IL-7におけるアミノ酸置換は、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85からなる群から選択されるアミノ酸位置における置換を含み得、アミノ酸位置は、配列番号2に対して相対的である。例えば、いくつかの実施形態において、アミノ酸位置10でのアミノ酸置換は、K10I、K10M、又はK10Vであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置11でのアミノ酸置換は、Q11Rであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置14でのアミノ酸置換は、S14Tであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置19でのアミノ酸置換は、S19Qであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置81でのアミノ酸置換は、K81M又はK81Rであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置85でのアミノ酸置換は、G85Mであり得る。
【0175】
[0192] いくつかの実施形態において、本明細書に記載の改変IL-7は、天然IL-7と同様又は実質的に同様の活性又は機能を保持する。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の改変IL-7は、細胞において内部シグナル伝達を開始することができる。いくつかの実施形態において、細胞における内部シグナル伝達は、細胞の増殖又は活性化をもたらす。
【0176】
[0193] 本発明によると、本明細書に記載されるような改変IL-7をコードする核酸も提供される。そのような核酸は、細菌(すなわち、大腸菌(E. coli)細胞)又は真核生物宿主細胞(すなわち、哺乳動物細胞)などの任意の適切な宿主に導入され、複製され、発現され得る。改変IL-7をコードする核酸は、宿主細胞における産生のためにベクターで提供され得る。そのようなベクターは、宿主細胞における発現及び複製に適切に必要な任意の要素を有し得る。そのような要素、及びそれらの使用のための方法は、当技術分野で周知であり、利用可能である。
【0177】
[0194] いくつかの実施形態において、改変IL-7タンパク質は、タンパク質タグの添加によってさらに改変され得る。タンパク質のタグ付け及び関連する方法は、当技術分野で周知である。いくつかの実施形態において、改変IL-7は、C末端又はN末端のいずれか、又は両方に、ヒスチジンタグを含むように操作され得る。例えば、本明細書に記載の改変IL-7タンパク質は、C末端ヒスチジンタグを有するように改変され得る。
【0178】
[0195] いくつかの実施形態において、IL-7又はそのバリアントは、特定のアミノ酸位置における変異を含み得る。いくつかの実施形態において、変異体IL-7は、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85の1つ以上にアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態において、変異体IL-7は、アミノ酸位置10、11、14、19、81、及び85の2つ以上にアミノ酸置換を有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、IL-7バリアント又は変異体は、表7に記載のアミノ酸置換を有し得る。
【0179】
[0196] いくつかの実施形態において、IL-7は、IL-7の生物学的活性を有するポリペプチド及び1~10個のアミノ酸からなるオリゴペプチドを含む構造を有し得る。いくつかの実施形態において、IL-7は、配列番号8~16から選択されるアミノ酸配列を有し得る。さらに、IL-7タンパク質は、配列番号8~16のアミノ酸配列に対し、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、及び少なくとも約99%の相同性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0180】
[0197] いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質は、IL-7タンパク質をコードする核酸分子によってコードされる。核酸分子は、配列番号8~16から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするもの、又はそれらの配列に対し、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の相同性を有するものであり得る。核酸分子は、配列番号8~16から選択されるポリヌクレオチド配列、又はそれらの配列に対し、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の相同性を有するものを含み得る。核酸分子は、シグナル配列又はリーダー配列をさらに含み得る。
【0181】
[0198] いくつかの実施形態において、中央の疎水性領域は、4~12の疎水性残基を含み、これは、未成熟ポリペプチドの転座中に膜脂質二重層を介してシグナル配列を固定化する。開始後、シグナル配列は、シグナルペプチダーゼとして知られる細胞酵素によってERの内腔内で頻繁に切断される可能性がある。特に、シグナル配列は、組織プラスミノーゲン活性化(tPa)の分泌シグナル配列、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(HSV gD)のシグナル配列、又は成長ホルモンであり得る。好ましくは、哺乳動物などを含む高等真核細胞で使用される分泌シグナル配列が使用され得る。さらに、いくつかの実施形態において、分泌シグナル配列として、野生型IL-7に含まれるシグナル配列を使用してもよく、又は宿主細胞において高い発現頻度を有するコドンで置換した後に使用してもよい。
【0182】
[0199] 本開示に有用なIL-7タンパク質は、いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質をコードする核酸分子を含む発現ベクターによってコードされ得る。発現ベクターは、RcCMV(Invitrogen, Carlsbad)又はそのバリアントであり得る。発現ベクターは、哺乳動物細胞における標的遺伝子の連続転写を促進するためのヒトサイトメガロウイルス(CMV)、及び転写後のRNAの安定状態を増加させるためのウシ成長ホルモンのポリアデニル化シグナル配列を含み得る。いくつかの実施形態において、発現ベクターは、RcCMVの改変形態であるpAD15である。
【0183】
[0200] 本開示に有用なIL-7タンパク質は、いくつかの実施形態において、発現ベクターを含む宿主細胞によって発現され得る。DNA配列の形質導入又はトランスフェクションによる、標的タンパク質の発現及び/又は分泌のために適切な宿主細胞を使用することができる。
【0184】
[0201] いくつかの実施形態において、使用される適切な宿主細胞の例は、不死ハイブリドーマ細胞、NS/0骨髄腫細胞、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト羊膜液由来細胞(Cap T細胞)又はCOS細胞を含み得る。
【0185】
[0202] いくつかの実施形態において、本開示に有用なIL-7タンパク質は、発現ベクターによって形質転換された細胞を培養すること、及び培養物又は培養プロセスから得られた細胞からIL-7タンパク質を回収することによって作製することができる。
【0186】
[0203] いくつかの実施形態において、本開示に有用なIL-7タンパク質は、培地又は細胞抽出物から精製され得る。例えば、組換えタンパク質が分泌された培地の上清を得た後、上清を、商業市場で入手可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon又はMillipore Pellicon限外ろ過ユニットで濃縮され得る。次に、濃縮物は、当技術分野で公知の方法によって精製され得る。例えば、精製は、プロテインAに結合したマトリックスを使用して実施され得る。
【0187】
[0204] いくつかの実施形態において、本開示に有用なIL-7タンパク質は、IL-7の活性又はその同様の活性を有するポリペプチドのN末端への、メチオニン、グリシン、セリン又はそれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列のリンカーを含むことによって調製することができる。
【0188】
[0205] リンカーがペプチドリンカーである場合、いくつかの実施形態において、結合は任意の連結領域で発生し得る。それらは、当技術分野で公知の架橋剤を使用して結合することができる。いくつかの実施形態において、架橋剤の例は、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、4-アジドサリチル酸などのN-ヒドロキシスクシンイミドエステル;3,3’-ジチオビス(プロピオン酸スクシンイミジル)などのジスクシンイミジルエステルを含むイミドエステル、及びビス-Nマレイミド-1,8-オクタンなどの二官能性マレイミドを含み得るが、これらに限定されない。
【0189】
[0206] さらに、いくつかの実施形態において、リンカーは、アルブミンリンカーであり得る。
【0190】
[0207] リンカーが化学結合によって形成される場合、化学結合は、ジスルフィド結合、ジアミン結合、スルフィド-アミン結合、カルボキシ-アミン結合、エステル結合、及び共有結合であり得る。
【0191】
[0208] 上記の調製方法は、不均質な配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをIL-7タンパク質と連結するステップをさらに含み得る。特に、不均質な配列からなるポリペプチドは、免疫グロブリンのFc領域又はその一部、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、PAS、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのCTP、PEG、XTEN、HES、アルブミン結合小分子、及びそれらの組み合わせから選択される任意の1つであり得る。
【0192】
[0209] IL-7タンパク質は、抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与され得る。
【0193】
[0210] IL-7タンパク質は、免疫エフェクター細胞、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞、特に、操作されたCAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞の増殖又は生存を促進するために投与され得る。
【0194】
[0211] 本開示に有用なIL-7タンパク質は、いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体をさらに含む。薬学的に許容される担体は、患者への送達に適した任意の非毒性物質であり得る。担体は、蒸留水、アルコール、脂肪、ワックス、又は不活性固体であり得る。さらに、任意の薬学的に許容されるアジュバント(緩衝剤、分散剤)もその中に含まれ得る。
【0195】
[0212] さらに、IL-7タンパク質を含有する医薬組成物は、様々な方法によって対象に投与され得る。また、IL-7タンパク質及び抗CD47モノクローナル抗体並びにその抗原結合フラグメントを含有する医薬組成物は、様々な方法によって対象に投与され得る。例えば、組成物は、非経口的に、例えば、皮下、筋肉内、又は静脈内、例えば、筋肉内に投与され得る。組成物は、従来の滅菌方法によって滅菌され得る。組成物は、薬学的に許容される補助物質、及びpH調整などの生理学的状態の調節に必要なアジュバント、毒性調整剤、及びそれらの類似体を含み得る。具体的な例は、酢酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含み得る。製剤に含まれるIL-7タンパク質の濃度は、大きく異なり得る。例えば、IL-7タンパク質の濃度は、体重に応じて、約0.5%未満、一般的には、又は少なくとも、約1%から15%~20%であり得る。濃度は、選択された特定の投与方法、流体量、粘度などに基づいて選択され得る。
【0196】
[0213] 本方法は、治療有効量のIL-7タンパク質を抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントと組み合わせて、対象疾患に関連する、又は関連しない健康状態を有する、それを必要とする対象に投与することを含む。対象は哺乳動物、好ましくはヒトであり得る。
【0197】
[0214] 組成物は適切な経路で投与され得る。組成物は、適切な手段を介した直接投与(例えば、注射、移植、又は組織領域への局所投与により局所的に)又はシステム(例えば、非経口又は経口)によって提供され得る。いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質は、静脈内、皮下、眼内、腹腔内、筋肉内、経口、直腸内、眼窩内、脳内、頭蓋内、脊髄内、脳室内、髄腔内、大槽内(intracistenally)、嚢内、鼻腔内、又はエアロゾル投与で投与することができる。他の実施形態では、組成物は、体液の水性懸濁液若しくは生理学的に許容される懸濁液又はその溶液の一部を含むように製剤化される。したがって、生理学的に許容される担体又は輸送体を組成物に添加し、患者に送達することができ、これは、患者の電解質及び/又は体積バランスに悪影響を及ぼさない。したがって、生理学的に許容される担体又は輸送体は、生理食塩水であり得る。抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントは、注射又は注入によって、典型的には静脈内に投与される。
【0198】
[0215] 所望のタンパク質の機能を再構成又は補完するために、特定の細胞において融合タンパク質を発現することができる発現ベクターが、任意の生物学的に有効な担体とともに投与され得る。これは、所望のタンパク質又はIL-7融合タンパク質をコードする遺伝子をインビボで細胞に効率的に送達することができる任意の製剤又は組成物であり得る。
【0199】
[0216] 改変IL-7又はIL-7融合タンパク質の単位用量は、0.001mg/kg~10mg/kgの範囲であり得る。一実施形態において、抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントとの組み合わせ治療で使用される治療有効量のIL-7タンパク質は、0.01mg/kg~2mg/kgの範囲であり得る。別の実施形態において、ヒトに対する治療有効量のタンパク質は、0.02mg/kg~1mg/kg、例えば、20μg/kg~600μg/kg、例えば、60μg/kg~600μg/kgの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質の治療有効量は、約10mg/kgである。他の実施形態において、IL-7タンパク質の治療有効量は、約20μg/kg、約60μg/kg、約120μg/kg、約240μg/kg、約480μg/kg、又は約600μg/kgである。他の実施形態において、IL-7タンパク質の治療有効量は、約0.25mg、約1mg、約3mg、約6mg、又は約9mgのほぼ固定用量である。他の実施形態において、IL-7タンパク質の治療有効量は、固定用量である。いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質の治療有効量は、約0.25mg~約9mg、例えば、約0.25mg、約1mg、約3mg、約6mg、又は約9mgである。いくつかの実施形態において、治療有効量は、処置の対象となる疾患及び有害効果の存在に応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質の投与は、定期的なボーラス注射又は外部リザーバー(例えば、静脈内バッグ)によって、又は内部からの連続的な静脈内、皮下、又は腹腔内投与(例えば、生体腐食性インプラント)によって実施され得る。
【0200】
[0217] 特定の実施形態において、IL-7タンパク質は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、又は少なくとも10週間の投与間隔で投与される。
【0201】
[0218] 他の実施形態において、IL-7タンパク質は、反復投与することができる。他の実施形態において、IL-7タンパク質は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、又は少なくとも10回投与される。
【0202】
[0219] 特定の実施形態において、IL-7タンパク質は、例えば、約3mg/ml~約100mg/mlのIL-7タンパク質、約20mMのクエン酸ナトリウム、約5w/v%のスクロース、約1~2w/v%のソルビトール又はマンニトール、及び約0.05w/v%のTween80又はpH約5.0のポロキサマーで製剤化することができる。
【0203】
[0220] [0158] いくつかの実施形態において、IL-7タンパク質及び抗CD47抗体、又はそれらの抗原結合フラグメントは、予防又は処置される疾患に対して予防又は処置効果を有する他の薬剤又は生理学的に活性な物質と組み合わせて投与することができ、又は他の薬剤と組み合わせて組み合わせ調製物に製剤化してもよく、例えば、造血成長因子、サイトカイン、抗原、及びアジュバントなどの免疫刺激剤と組み合わせて投与してもよい。造血成長因子は、幹細胞因子(SCF)、G-CSF、GM-CSF、又はFlt-3リガンドであり得る。サイトカインは、γインターフェロン、IL-2、IL-15、IL-21、IL-12、RANTES、又はB7-1であり得る。
【0204】
IL-15及びIL-15類似体
[0221] 改変/変異体インターロイキン-15(IL-15)タンパク質が本明細書に開示される。そのような改変IL-15タンパク質はまた、IL-15タンパク質がIL-15の1つ以上の生物学的活性、例えば、IL-15Rに結合することができること、例えば、初期のT細胞の成長を誘導すること、T細胞の恒常性を促進すること、を含む限り、本明細書において、変異体IL-15タンパク質(例えば、IL-15バリアント、IL-15変異体、IL-15機能的フラグメント、IL-15誘導体、又はそれらの任意の組み合わせ、例えば、融合タンパク質、キメラタンパク質など)と呼ばれる。
【0205】
[0222] 抗CD47抗体と天然及び/又は改変IL-7タンパク質との組み合わせ、及び組み合わせにおける使用が、本明細書に開示される。
【0206】
[0223] 免疫エフェクター細胞、例えば、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞などのCAR保有免疫エフェクター細胞と、天然及び/又は改変IL-15タンパク質との組み合わせ及び組み合わせにおける使用も本明細書に開示される。このような組み合わせは、養子細胞移植治療を受けている患者のCAR-T細胞及び他のCAR保有免疫エフェクター細胞の増殖を刺激する。
【0207】
[0224] いくつかの実施形態において、本開示は、アミノ酸置換を含む改変インターロイキン(IL)タンパク質を提供する。「改変IL-15」などの「改変インターロイキン」は、本明細書において、変異体IL-15などの変異体インターロイキンと呼ばれることもあり、改変又は変異体インターロイキンタンパク質は、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。改変又は変異体インターロイキンタンパク質は、改変インターロイキンが細胞内のシグナル伝達経路を活性化するように、天然の非改変インターロイキンタンパク質の活性を保持する。
【0208】
[0225] 本明細書に記載されるように、本開示に従って有用なアミノ酸置換は、任意のアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、改変IL-15は、単一のアミノ酸置換を有し得るか、又は2つ、3つ、4つ、又はそれを超える数のアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態において、特定のアミノ酸は、同様の特性を有する別のアミノ酸に置換され得る、すなわち、極性アミノ酸は、別の極性アミノ酸に置換され、又は非極性アミノ酸は、別の非極性アミノ酸に置換され得る。いくつかの実施形態において、本開示に有用なアミノ酸置換は、表7に示される置換であり得る。
【0209】
[0226] IL-15は、IL-15Rα鎖、IL-15Rβ鎖(CD122)、及びIL-7Rと共有される共通γ鎖で構成される受容体に結合する。スシドメインと呼ばれるさらなる領域を有するIL-15Rα鎖の異常な構造のために、IL-15Rαは、他の全てのサイトカイン受容体と比較して、IL-15に対して特に高い親和性を有する。スシドメイン受容体(IL-15Rα)に対する作用は、STAT-3、STAT-5、及びSTAT-6核因子をリン酸化するJak1及びJak3キナーゼを介して細胞に伝達され、いくらかのマイトジェン活性化キナーゼ(MAPK)の助けとともに、細胞核におけるIL-15依存性遺伝子の転写を促進する。
【0210】
[0227] いくつかの実施形態において、改変IL-15タンパク質は、ILタンパク質の天然の受容体に結合することができる可能性がある。例えば、本明細書に記載の改変IL-15タンパク質は、天然のIL-15受容体に結合して、細胞内のIL-15シグナル伝達を活性化し得る。
【0211】
[0228] IL-15は、T細胞及びNK細胞の増殖及びサイトカイン産生、並びにエフェクターメモリーT細胞の分化及びアポトーシスに対する感受性を誘導する。IL-15Rαは、例えばリンパ球系細胞、樹状細胞(DC)、線維芽、上皮、肝臓、腸、及びその他の細胞によって、広く発現され、IL-15β及びγ鎖を発現する細胞にトランスでIL-15を提示すると考えられている。
【0212】
[0229] いくつかの実施形態において、本明細書に記載の改変IL-15は、天然IL-15と同様又は実質的に同様の活性又は機能を保持する。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の改変IL-15は、細胞において内部シグナル伝達を開始することができる。いくつかの実施形態において、細胞における内部シグナル伝達は、細胞の増殖又は活性化をもたらす。
【0213】
[0230] いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質は、配列番号31~45のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質は、配列番号17~31の配列に対し、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、若しくは約99%の、又はそれを超える、配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0214】
[0231] いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質は、改変IL-15又はそのフラグメントを含み、改変IL-15又はフラグメントは、野生型IL-15の1つ以上の生物学的活性を保持する。いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質は、ヒト、ラット、マウス、サル、ウシ、又はヒツジに由来し得る。
【0215】
[0232] いくつかの実施形態において、ヒトIL-15は、配列番号29(Genbankアクセッション番号P40933)によって表されるアミノ酸配列を有し得る。
【0216】
[0233] 本発明によると、本明細書に記載されるような改変IL-15をコードする核酸も提供される。そのような核酸は、細菌(すなわち、大腸菌(E. coli)細胞)又は真核生物宿主細胞(すなわち、哺乳動物細胞)などの任意の適切な宿主に導入され、複製され、発現され得る。改変IL-15をコードする核酸は、宿主細胞における産生のためにベクターで提供され得る。そのようなベクターは、宿主細胞における発現及び複製に適切に必要な任意の要素を有し得る。そのような要素、及びそれらの使用のための方法は、当技術分野で周知であり、利用可能である。
【0217】
[0234] いくつかの実施形態において、改変IL-15タンパク質は、タンパク質タグの添加によってさらに改変され得る。タンパク質のタグ付け及び関連する方法は、当技術分野で周知である。いくつかの実施形態において、改変IL-15は、C末端又はN末端のいずれか、又は両方に、ヒスチジンタグを含むように操作され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の改変IL-15タンパク質は、N末端ヒスチジンタグを有するように改変され得る。
【0218】
[0235] いくつかの実施形態において、IL-15又はそのバリアントは、特定のアミノ酸位置における変異を含み得る。いくつかの実施形態において、変異体IL-15は、アミノ酸位置3、4、11、72、79、及び112の1つ以上にアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態において、変異体IL-15は、アミノ酸位置3、4、11、72、79、及び112の2つ以上にアミノ酸置換を有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、IL-15バリアント又は変異体は、表7に記載のアミノ酸置換を有し得る。
【0219】
[0236] いくつかの実施形態において、本明細書に記載の改変IL-15におけるアミノ酸置換は、アミノ酸位置3、4、11、72、79、及び112からなる群から選択されるアミノ酸位置における置換を含み得、アミノ酸位置は、配列番号30に対して相対的である。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置3でのアミノ酸置換は、V3I、V3M、又はV3Rであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置4でのアミノ酸置換は、N4Hであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置11でのアミノ酸置換は、K11L、K11M、又はK11Rであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置72でのアミノ酸置換は、N72D、N72R又はN72Yであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置79でのアミノ酸置換は、N79E又はN79Sであり得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸位置112でのアミノ酸置換は、N112H、N112M、又はN112Yである。当業者は、本開示に従って有益であり得るアミノ酸置換を同定することができるであろう。
【0220】
[0237] いくつかの実施形態において、IL-15は、IL-15の生物学的活性を有するポリペプチド及び1~10個のアミノ酸からなるオリゴペプチドを含む構造を有し得る。いくつかの実施形態において、IL-15は、配列番号31~45から選択されるアミノ酸配列を有し得る。さらに、IL-15タンパク質は、配列番号31~45のアミノ酸配列に対し、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、及び少なくとも約99%の相同性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0221】
[0238] いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質は、IL-15タンパク質をコードする核酸分子によってコードされる。核酸分子は、配列番号31~45から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするもの、又はそれらの配列に対し、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の相同性を有するものであり得る。核酸分子は、配列番号31~45から選択されるポリヌクレオチド配列、又はそれらの配列に対し、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の相同性を有するものを含み得る。核酸分子は、シグナル配列又はリーダー配列をさらに含み得る。
【0222】
[0239] いくつかの実施形態において、中央の疎水性領域は、4~12の疎水性残基を含み、これは、未成熟ポリペプチドの転座中に膜脂質二重層を介してシグナル配列を固定化する。開始後、シグナル配列は、シグナルペプチダーゼとして知られる細胞酵素によってERの内腔内で頻繁に遮断される可能性がある。特に、シグナル配列は、組織プラスミノーゲン活性化(tPa)の分泌シグナル配列、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(HSV gD)のシグナル配列、又は成長ホルモンであり得る。好ましくは、哺乳動物などを含む高等真核細胞で使用される分泌シグナル配列が使用され得る。さらに、いくつかの実施形態において、分泌シグナル配列として、野生型IL-15に含まれるシグナル配列を使用してもよく、又は宿主細胞において高い発現頻度を有するコドンで置換した後に使用してもよい。
【0223】
[0240] 本開示に有用なIL-15タンパク質は、いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質をコードする核酸分子を含む発現ベクターによってコードされ得る。発現ベクターは、RcCMV(Invitrogen, Carlsbad)又はそのバリアントであり得る。発現ベクターは、哺乳動物細胞における標的遺伝子の連続転写を促進するためのヒトサイトメガロウイルス(CMV)、及び転写後のRNAの安定状態を増加させるためのウシ成長ホルモンのポリアデニル化シグナル配列を含み得る。いくつかの実施形態において、発現ベクターは、RcCMVの改変形態であるpAD15である。
【0224】
[0241] 本開示に有用なIL-15タンパク質は、いくつかの実施形態において、発現ベクターを含む宿主細胞によって発現され得る。DNA配列の形質導入又はトランスフェクションによる、標的タンパク質の発現及び/又は分泌のために適切な宿主細胞を使用することができる。
【0225】
[0242] いくつかの実施形態において、使用される適切な宿主細胞の例は、不死ハイブリドーマ細胞、NS/0骨髄腫細胞、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト羊膜液由来細胞(Cap T細胞)又はCOS細胞を含み得る。
【0226】
[0243] いくつかの実施形態において、本開示に有用なIL-15タンパク質は、発現ベクターによって形質転換された細胞を培養すること、及び培養物又は培養プロセスから得られた細胞からIL-15タンパク質を回収することによって作製することができる。
【0227】
[0244] いくつかの実施形態において、本開示に有用なIL-15タンパク質は、培地又は細胞抽出物から精製され得る。例えば、組換えタンパク質が分泌された培地の上清を得た後、上清を、商業市場で入手可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon又はMillipore Pellicon限外ろ過ユニットで濃縮され得る。次に、濃縮物は、当技術分野で公知の方法によって精製され得る。例えば、精製は、プロテインAに結合したマトリックスを使用して実施され得る。
【0228】
[0245] いくつかの実施形態において、本開示に有用なIL-15タンパク質は、メチオニン、グリシン、又はそれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列のオリゴペプチドを、IL-15の活性又はその同様の活性を有するポリペプチドのN末端に連結することを含むことによって調製することができる。
【0229】
[0246] リンカーがペプチドリンカーである場合、いくつかの実施形態において、結合は任意の連結領域で発生し得る。それらは、当技術分野で公知の架橋剤を使用して結合することができる。いくつかの実施形態において、架橋剤の例は、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、4-アジドサリチル酸などのN-ヒドロキシスクシンイミドエステル;3,3’-ジチオビス(プロピオン酸スクシンイミジル)などのジスクシンイミジルエステルを含むイミドエステル、及びビス-Nマレイミド-1,8-オクタンなどの二官能性マレイミドを含み得るが、これらに限定されない。
【0230】
[0247] さらに、いくつかの実施形態において、リンカーは、アルブミンリンカーであり得る。
【0231】
[0248] リンカーが化学結合によって形成される場合、化学結合は、ジスルフィド結合、ジアミン結合、スルフィド-アミン結合、カルボキシ-アミン結合、エステル結合、及び共有結合であり得る。
【0232】
[0249] 上記の調製方法は、不均質な配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをIL-15タンパク質と連結するステップをさらに含み得る。特に、不均質な配列からなるポリペプチドは、免疫グロブリンのFc領域又はその一部、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、PAS、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのCTP、PEG、XTEN、HES、アルブミン結合小分子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される任意の1つであり得る。
【0233】
[0250] IL-15タンパク質は、抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与され得る。
【0234】
[0251] IL-15タンパク質は、免疫エフェクター細胞、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞、特に、操作されたCAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞の増殖又は生存を促進するために投与され得る。
【0235】
[0252] 本開示に有用なIL-15タンパク質は、いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体をさらに含む。薬学的に許容される担体は、患者への送達に適した任意の非毒性物質であり得る。担体は、蒸留水、アルコール、脂肪、ワックス、又は不活性固体であり得る。さらに、任意の薬学的に許容されるアジュバント(緩衝剤、分散剤)もその中に含まれ得る。
【0236】
[0253] さらに、IL-15タンパク質を含有する医薬組成物は、様々な方法によって対象に投与され得る。また、IL-15タンパク質及び抗CD47モノクローナル抗体並びにその抗原結合フラグメントを含有する医薬組成物は、様々な方法によって対象に投与され得る。例えば、組成物は、非経口的に、例えば、皮下、筋肉内、又は静脈内、例えば、筋肉内に投与され得る。組成物は、従来の滅菌方法によって滅菌され得る。組成物は、薬学的に許容される補助物質、及びpH調整などの生理学的状態の調節に必要なアジュバント、毒性調整剤、及びそれらの類似体を含み得る。具体的な例は、酢酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含み得る。製剤に含まれるIL-15タンパク質の濃度は、大きく異なり得る。例えば、IL-15タンパク質の濃度は、体重に応じて、約0.5%未満、一般的には、又は少なくとも、約1%から15%~20%であり得る。濃度は、選択された特定の投与方法、流体量、粘度などに基づいて選択され得る。
【0237】
[0254] 本方法は、治療有効量のIL-15タンパク質を抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントと組み合わせて、対象疾患に関連する、又は関連しない健康状態を有する、それを必要とする対象に投与することを含む。対象は哺乳動物、好ましくはヒトであり得る。
【0238】
[0255] 組成物は適切な経路で投与され得る。組成物は、適切な手段を介した直接投与(例えば、注射、移植、又は組織領域への局所投与により局所的に)又はシステム(例えば、非経口又は経口)によって提供され得る。いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質は、静脈内、皮下、眼内、腹腔内、筋肉内、経口、直腸内、眼窩内、脳内、頭蓋内、脊髄内、脳室内、髄腔内、大槽内(intracistenally)、嚢内、鼻腔内、又はエアロゾル投与で投与することができる。他の実施形態では、組成物は、体液の水性懸濁液若しくは生理学的に許容される可能な懸濁液又はその溶液の一部を含むように製剤化される。したがって、生理学的に許容される担体又は輸送体を組成物に添加し、患者に送達することができ、これは、患者の電解質及び/又は体積バランスに悪影響を及ぼさない。したがって、生理学的に許容される担体又は輸送体は、生理食塩水であり得る。抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントは、注射又は注入によって、典型的には静脈内に投与される。
【0239】
[0256] 所望のタンパク質の機能を再構成又は補完するために、特定の細胞において融合タンパク質を発現することができる発現ベクターが、任意の生物学的に有効な担体とともに投与され得る。これは、所望のタンパク質又はIL-15融合タンパク質をコードする遺伝子をインビボで細胞に効率的に送達することができる任意の製剤又は組成物であり得る。
【0240】
[0257] 改変IL-15又はIL-15融合タンパク質の単位用量は、0.001mg/kg~10mg/kgの範囲であり得る。一実施形態において、抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントとの組み合わせ治療で使用される治療有効量のIL-15タンパク質は、0.01mg/kg~2mg/kgの範囲であり得る。別の実施形態において、ヒトに対する治療有効量のタンパク質は、0.02mg/kg~1mg/kg、例えば、20μg/kg~600μg/kg、例えば、60μg/kg~600μg/kgの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質の治療有効量は、約10mg/kgである。他の実施形態において、IL-15タンパク質の治療有効量は、約20μg/kg、約60μg/kg、約120μg/kg、約240μg/kg、約480μg/kg、又は約600μg/kgである。他の実施形態において、IL-15タンパク質の治療有効量は、約0.25mg、約1mg、約3mg、約6mg、又は約9mgのほぼ固定用量である。他の実施形態において、IL-15タンパク質治療有効量は、固定用量である。いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質の治療有効量は、約0.25mg~約9mg、例えば、約0.25mg、約1mg、約3mg、約6mg、又は約9mgである。いくつかの実施形態において、治療有効量は、処置の対象となる疾患及び有害効果の存在に応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質の投与は、定期的なボーラス注射又は外部リザーバー(例えば、静脈内バッグ)によって、又は内部からの連続的な静脈内、皮下、又は腹腔内投与(例えば、生体腐食性インプラント)によって実施され得る。
【0241】
[0258] 特定の実施形態において、IL-15タンパク質は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、又は少なくとも10週間の投与間隔で投与される。
【0242】
[0259] 他の実施形態において、IL-15タンパク質は、反復投与することができる。他の実施形態において、IL-15タンパク質は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、又は少なくとも10回投与される。
【0243】
[0260] 特定の実施形態において、IL-15タンパク質は、例えば、約3mg/ml~約100mg/mlのIL-15タンパク質、約20mMのクエン酸ナトリウム、約5w/v%のスクロース、約1~2w/v%のソルビトール又はマンニトール、及び約0.05w/v%のTween80又はpH約5.0のポロキサマーで製剤化することができる。
【0244】
[0261] いくつかの実施形態において、IL-15タンパク質及び抗CD47抗体、又はそれらの抗原結合フラグメントは、予防又は処置される疾患に対して予防又は処置効果を有する他の薬剤又は生理学的に活性な物質と組み合わせて投与することができ、又は他の薬剤と組み合わせて組み合わせ調製物に製剤化してもよく、例えば、造血成長因子、サイトカイン、抗原、及びアジュバントなどの免疫刺激剤と組み合わせて投与してもよい。造血成長因子は、幹細胞因子(SCF)、G-CSF、GM-CSF、又はFlt-3リガンドであり得る。サイトカインは、γインターフェロン、IL-2、IL-15、IL-21、IL-12、RANTES、又はB7-1であり得る。
【0245】
CD47抗体
[0262] 多くのヒトの癌はCD47の細胞表面発現をアップレギュレートし、最高レベルのCD47を発現する癌は、患者にとって最も高悪性度で最も致死的であるように思われる。CD47発現の増加は、CD47保有細胞の食作用を防ぐ阻害性受容体であるSIRPαを介してマクロファージに「私を食べるな」というシグナルを送ることにより、癌細胞を食細胞クリアランスから保護すると考えられている(Oldenborg et al.Science 288:2051-2054, 2000;Jaiswal et al.(2009) Cell 138(2):271-85l;Chao et al.(2010) Science Translational Medicine 2(63):63ra94)。したがって、多くの癌によるCD47発現の増加は、マクロファージ及び樹状細胞による食細胞クリアランスを遅くする「利己」の隠れ蓑を提供する。
【0246】
[0263] CD47を遮断し、SIRPαへの結合を防ぐ抗体は、マウス(異種移植)腫瘍モデルにおいてヒト腫瘍で有効性を示している。この特性を示すこのようなブロッキング抗CD47mAbは、腫瘍の負担を軽減することができるマクロファージによる癌細胞の食作用を増加させ(Majeti et al.(2009) Cell 138 (2):286-99;US 9,045,541;Willingham et al.(2012) Proc Natl Acad.Sci.USA 109(17):6662-6667;Xiao et al.(2015) Cancer Letters 360:302-309;Chao et al.(2012) Cell 142:699-713;Kim et al.(2012) Leukemia 26:2538-2545)、最終的には腫瘍に対する適応免疫応答の生成につながり得る(Tseng et al.(2013) Proc Natl Acad.Sci.USA 110 (27):11103-11108;Soto-Pantoja et al.(2014) Cancer Res.74 (23):6771-6783;Liu et al.(2015) Nat.Med.21 (10):1209-1215)。
【0247】
[0264] しかし、抗CD47 mAbが、癌の処置にまだ利用されていない形質転換細胞を攻撃できるメカニズムが存在する。複数のグループが、特定の抗ヒトCD47mAbがヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導することを示している。抗CD47mAb Ad22は、複数のヒト腫瘍細胞株の細胞死を誘導する(Pettersen et al.J. Immuno.166:4931-4942, 2001;Lamy et al.J. Biol.Chem.278:23915-23921, 2003)。AD22は、初期のホスファチジルセリン曝露及びミトコンドリア膜電位の低下を伴う急速なミトコンドリア機能障害及び急速な細胞死を示すことが示された(Lamy et al.J. Biol.Chem.278:23915-23921, 2003)。抗CD47mAb MABL-2及びそのフラグメントは、ヒト白血病細胞株の細胞死を誘導するが、インビトロで正常細胞を誘導せず、インビボ異種移植モデルで抗腫瘍効果を示した。(Uno et al.(2007) Oncol.Rep. 17 (5):1189-94)。抗ヒトCD47mAb 1F7は、ヒトT細胞白血病(Manna and Frazier (2003) J. Immunol.170:3544-53)及びいくつかの乳癌(Manna and Frazier (2004) Cancer Research 64 (3):1026-36)の細胞死を誘導する。1F7は、補体の作用又はNK細胞、T細胞、又はマクロファージによる細胞性死滅の作用なしに、CD47保有腫瘍細胞を死滅させる。代わりに、抗CD47 mAb 1F7は、ミトコンドリアへの直接CD47依存性攻撃を伴う非アポトーシスメカニズムを介して作用し、それらの膜電位を放電し、細胞のATP生成能力を破壊して急速な細胞死をもたらす。抗CD47mAb 1F7もSIRPαのCD47への結合を遮断すること(Rebres et al et al.J. Cellular Physiol.205:182-193, 2005)は注目に値し、したがって、これは2つのメカニズム:(1)直接腫瘍毒性、及び(2)癌細胞の食作用惹起、を介して作用することができる。両方の機能を達成できる単一のmAbは、CD47/SIRPαの結合のみを遮断するmAbよりも優れている場合がある。
【0248】
[0265] 本開示は、改変/変異体IL-7又は改変/変異IL-15タンパク質と組み合わせた、当技術分野で公知の抗CD47mAb、及び米国特許第10,239,945号及び米国特許出願公開第20180142019号に記載されるような特徴的な機能プロファイルを有する抗CD47mAbを含む。本明細書に記載されるこれらの抗CD47mAbは、1)CD47の1つ以上の種のホモログとの交差反応性を示す;2)CD47とそのリガンドSIRPαの間の相互作用を遮断する;3)ヒト腫瘍細胞の食作用を増加させる;4)感受性の高いヒト腫瘍細胞の死を誘導する;5)ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘発しない;6)ヒト赤血球(hRBC)への結合が減少している;7)hRBCへの検出可能な結合を有しない;8)hRBCの凝集を減少させる;9)hRBCの検出可能な凝集を引き起こさない;10)一酸化窒素(NO)経路のTSP1阻害を逆転させる、及び/又は11)NO経路のTSP1阻害を逆転させない、から選択される特性の1つ以上の異なる組み合わせを有する。
【0249】
[0266] 別の実施形態において、抗CD47抗体又はその抗原結合フラグメントは、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)の組み合わせを含むものであり、組み合わせは、以下から選択される。
[0267] (i)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖;
[0268] (ii)配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖;
[0269] (iii)配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖;
[0270] (iv)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖;
[0271] (v)配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖;並びに
[0272] (vi)配列番号66のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖
【0250】
[0273] >Vx9humH12全長HC
[0274]
【化1】
【0251】
[0275] >Vx9humH14全長重鎖
[0276]
【化2】
【0252】
[0277] >Vx9humH15全長重鎖
[0278]
【化3】
【0253】
[0279] >Vx9humH16全長重鎖
[0280]
【化4】
【0254】
[0281] >Vx9humL02全長軽鎖
[0282]
【化5】
【0255】
[0283] >Vx9humL07全長軽鎖
[0284]
【化6】
【0256】
抗CD47-IL-7融合タンパク質
[0285] 本明細書に開示される抗CD47-IL-7融合タンパク質は、それぞれヒトカッパ又は任意のヒトFc Ig定常ドメインと組み合わされた、ヒト重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。抗体軽鎖又は抗体重鎖のC又はN末端のいずれかにあるグリシン-セリンリンカー(G4S)は、IL-7(野生型又は変異体)を抗体ポリペプチドに連結するように設計された。これらの融合構築物は、分泌シグナルを組み込むように設計され、哺乳動物の発現システムにクローン化され、抗体融合タンパク質を生成するためにCHO細胞にトランスフェクトされた。タンパク質バリアントが発現され、培地に分泌され、プロテインAレジンを使用して精製された。
【0257】
[0286] ヒト化マウスのモデルは、抗CD47-IL-7融合タンパク質の有効性を決定するために利用することができる。このヒト化マウスモデルは、ヒトCD47及びヒトSIRPを発現するため、SIRP/CD47系は抗CD47抗体によって遮断される。このヒト化マウスモデルは同系モデルであり、腫瘍の有効性に対するIL-7の寄与の評価を可能にするインタクトな免疫系が存在する。
【0258】
[0287] 二重ヒト化マウスモデルであるB-hSIRPα/hCD47では、SIRPα及びCD47のヒト細胞外ドメインによってそれぞれのマウス対応物が置換される。ホモ接合性のB-hSIRPα/hCD47マウスはヒト化を発現するが、野生型マウスのSIRPα及びCD47は発現しない。これらのマウスを使用すると、適応免疫応答の役割の評価とともに、ヒト特異的CD47mAbの評価が可能になる。腫瘍モデルの例は、MC38結腸癌細胞でヒトCD47を発現するMC38-hCD47細胞株であり得る。試験中、抗ヒトCD47及び抗ヒトSIRPα抗体は、B-hSIRPα/hCD47マウスにおけるMC38-hCD47腫瘍増殖の制御に有効であった。
【0259】
[0288] 別の例において、マウスにヒト免疫系を移植することができる。これにより、異種移植腫瘍の移植が可能になり得、抗腫瘍効果に対するAO-176及びIL-7の寄与が評価される。
【0260】
[0289] NSGマウスは、骨髄破壊処置後、適格な供給源からのヒト臍帯血由来CD34+幹細胞を使用した養子移入によってヒト化される。CD34+幹細胞は、免疫不全NSGマウス内に生着するヒト免疫細胞に発達する。臍帯血由来の造血幹細胞(HSC)を移植したモデルは、多系統の移植を発達させ、強力なT細胞成熟及びT細胞依存性炎症反応を示す。
【0261】
[0290] 最後に、試験でマウス特異的cd47-IL7融合を利用できる同系モデルを開発することができる。
【0262】
キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞
[0291] 本明細書に開示されるのは、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、又はCAR-NK細胞などのCAR保有免疫エフェクター細胞を伴う改変/変異体IL-7又は改変/変異体IL-15タンパク質、及びCAR保有免疫エフェクター細胞と組み合わせた使用が本明細書に提供される。次のセクションでは、改変/変異体IL-7及びIL-15タンパク質で使用されるCAR保有免疫エフェクター細胞の例を説明する。
【0263】
[0292] CAR-T細胞は、キメラ抗原受容体を発現するT細胞である。本明細書で使用される「キメラ抗原受容体(CAR)」という句は、抗原が細胞外ドメインに結合すると特殊な機能を実行するように細胞に指示する細胞内ドメインに結合した抗原特異的細胞外ドメインを有する組換え融合タンパク質を指す。「人工T細胞受容体」、「キメラT細胞受容体」、及び「キメラ免疫受容体」という用語はそれぞれ、本明細書において「キメラ抗原受容体」という用語と互換可能に使用され得る。キメラ抗原受容体は、MHCに依存しない抗原に結合し、細胞内ドメインを介して活性化シグナルを伝達する能力によって、他の抗原結合剤と区別される。CARの細胞外及び細胞内の部分については、以下でより詳しく説明する。
【0264】
[0293] キメラ抗原受容体の抗原特異的細胞外ドメインは、抗原、典型的には悪性腫瘍の表面発現抗原を認識し、特異的に結合する。抗原特異的細胞外ドメインは、例えば、約0.1pM~約10M、好ましくは約0.1pM~約1M、より好ましくは約0.1pM~約100nMの間の親和性定数又は相互作用の親和性(K)で抗原に結合する場合に、抗原に特異的に結合する。相互作用の親和性を決定するための方法は、当技術分野で公知である。本開示のCARにおける使用に適した抗原特異的細胞外ドメインは、任意の抗原結合ポリペプチドであり得、その多種多様なものが当技術分野で公知である。本開示のCARにおける使用に適した抗原特異的細胞外ドメインは、任意の抗原結合ポリペプチドであり得、その多種多様なものが当技術分野で公知である。いくつかの場合において、抗原結合ドメインは、単鎖Fv(scFv)である。他の抗体ベースの認識ドメイン(cAb VHH(ラクダ抗体可変ドメイン)及びそのヒト化バージョン、lgNAR VH(サメ抗体可変ドメイン)及びそのヒト化バージョン、sdAb VH(単一ドメイン抗体可変ドメイン)及び「ラクダ化」抗体可変ドメインは、使用に適している。いくつかの場合において、単鎖TCR(scTv、V.アルファ.V.ベータを含む単鎖2ドメインTCR)などのT細胞受容体(TCR)ベースの認識ドメインも使用に適している。
【0265】
[0294] 適切な抗原には、T細胞に特異的な抗原及び/又はT細胞に特異的でない抗原が含まれ得る。1つの好ましい実施形態において、CAR-T細胞のキメラ抗原受容体によって特異的に結合される抗原、及びCAR-T細胞が欠損している抗原は、悪性T細胞上に発現される抗原であり、より好ましくは、非悪性T細胞と比較して悪性T細胞で過剰発現している抗原である。「悪性T細胞」は、T細胞悪性腫瘍に由来するT細胞である。「T細胞悪性腫瘍」という用語は、T細胞前駆細胞、成熟T細胞、又はナチュラルキラー細胞に由来する悪性腫瘍の広範で高度に不均質なグループを指す。T細胞悪性腫瘍の非限定的な例には、T細胞急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫(T-ALL)、T細胞大顆粒リンパ球(LGL)白血病、ヒトT細胞白血病ウイルス1型陽性(HTLV-1+)成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、T細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)、並びに血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫、及びALK陰性未分化大細胞リンパ腫を含むがこれらに限定されない、様々な末梢T細胞リンパ腫(PTCL)が含まれる。
【0266】
[0295] 適切なCAR抗原はまた、多発性骨髄腫細胞、すなわち、BCMA、CS1、CD38、及びCD19などの悪性形質細胞の表面に見られる抗原を含み得る。
【0267】
[0296] 或いは、CARは、多発性骨髄腫の処置のためにBCMA及びTACIの両方を効果的に同時標的化する、BCMA及びTACIのリガンドであるAPRILタンパク質の細胞外部分を発現するように設計され得る。
【0268】
[0297] 例えば、非限定的な例として、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、TRAC、TCRβ、BCMA、CS1、CD38、及びCD19は、悪性T細胞上で発現される抗原であり得る。いくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、CD2に特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、CD3εに特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、CD4に特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、CD5に特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。さらにいくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、CD7に特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。さらにいくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、TRACに特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。さらにいくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、TCRβに特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。さらにいくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。さらにいくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、CS1に特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。さらにいくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。さらにいくつかの実施形態において、本開示のCAR-T細胞は、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体の細胞外ドメインを含む。
【0269】
[0298] 本開示のキメラ抗原受容体はまた、抗原特異的細胞外ドメインに抗原が結合すると、T細胞に細胞内シグナルを提供する細胞内ドメインを含む。本開示のキメラ抗原受容体の細胞内シグナル伝達ドメインは、キメラ受容体が発現されるT細胞のエフェクター機能の少なくとも1つの活性化に関与している。
【0270】
[0299] 「細胞内ドメイン」という用語は、抗原が細胞外ドメインに結合するとエフェクター機能シグナルを伝達し、T細胞に特殊な機能を実行するように指示するCARの部分を指す。適切な細胞内ドメインの非限定的な例には、T細胞受容体のゼータ鎖又はそのホモログ(例えば、イータ、デルタ、ガンマ、又はイプシロン)のいずれか、MB 1鎖、829、FcRIII、FcRI、並びにCD3.ゼータ.及びCD28、CD27、4-1 BB、DAP-1 0、OX40などのシグナル伝達分子の組み合わせ、並びにそれらの組み合わせ、並びに他の同様の分子及びフラグメントが含まれる。FcγRIII及びFcεRIなどの活性化タンパク質のファミリーの他のメンバーの細胞内シグナル伝達部分が使用され得る。通常、細胞内ドメイン全体が使用されるが、多くの場合、細胞内ポリペプチド全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの短縮部分が使用できる範囲で、エフェクター機能シグナルを伝達する限り、そのような短縮部分をインタクトな鎖の代わりに使用することができる。したがって、細胞内ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内ドメインの任意の短縮部分を含むことを意味する。典型的には、抗原特異的細胞外ドメインは、膜貫通ドメインによってキメラ抗原受容体の細胞内ドメインに連結されている。膜貫通ドメインは細胞膜を横断し、CARをT細胞表面に固定し、細胞外ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに接続して、T細胞表面でのCARの発現に影響を与える。キメラ抗原受容体はまた、1つ以上の共刺激ドメイン及び/又は1つ以上のスペーサーをさらに含み得る。共刺激ドメインは、インビボでのサイトカイン産生、増殖、細胞毒性、及び/又は持続性を増強する共刺激タンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する。「ペプチドヒンジ」は、抗原特異的な細胞外ドメインを膜貫通ドメインに結合する。膜貫通ドメインは、共刺激ドメインに融合され、任意選択により、共刺激ドメインは、第2の共刺激ドメインに融合され、共刺激ドメインは、CD3ζに限定されないシグナル伝達ドメインに融合される。例えば、抗原特異的細胞外ドメインと膜貫通ドメインの間、及びタンデムCARの場合は複数のscFvの間にスペーサードメインを含めると、抗原結合ドメインの柔軟性に影響を与え、それにより、CAR機能に影響を与え得る。適切な膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、及びスペーサーが当技術分野で公知である。同様の方法で、他のモノCAR-T細胞が構築され得る。
【0271】
[0300] 本開示に包含されるCAR-T細胞は、キメラ抗原受容体が特異的に結合する1つ以上の抗原を欠いており、したがって、フラトリサイド耐性である。いくつかの実施形態において、T細胞の1つ以上の抗原は、キメラ抗原受容体がもはや1つ以上の改変抗原に特異的に結合しないように改変される。例えば、キメラ抗原受容体によって認識される1つ以上の抗原のエピトープは、1つ以上のアミノ酸変化(例えば、置換又は欠失)によって改変され得るか、又はエピトープは、抗原から欠失され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の抗原の発現は、T細胞において、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又はそれを超えて減少する。タンパク質の発現を減少させるための方法は当技術分野で公知であり、タンパク質をコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターを改変又は置換することが含まれるが、これらに限定されない。さらにいくつかの実施形態において、T細胞は、例えば、1つ以上の抗原をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって、1つ以上の抗原が発現されないように改変される。上記の各実施形態において、CAR-T細胞は、キメラ抗原受容体が特異的に結合する1つ又は好ましくは全ての抗原を欠損している可能性がある。1つ以上の抗原を欠損するようにT細胞を遺伝子改変するための方法は、当技術分野で公知である。例示的な実施形態において、CRISPR/cas9遺伝子編集は、1つ以上の抗原を欠損するようにT細胞を改変するために使用することができる。
【0272】
[0301] 本開示に包含されるCAR-T細胞は、T細胞受容体(TCR)-CD3複合体の一部を欠失させた結果として、内因性T細胞受容体(TCR)シグナル伝達をさらに欠損している可能性がある。様々な実施形態において、本明細書に開示されるCAR-T細胞における内因性TCRシグナル伝達を排除又は抑制することが望ましい場合がある。例えば、CAR-T細胞の内因性TCRシグナル伝達を減少させ、又は排除すると、同種異系T細胞を使用してCAR-T細胞を産生する場合、移植片対宿主病(GvHD)を予防又は低減し得る。内因性TCRシグナル伝達を排除又は抑制するための方法は当技術分野で公知であり、TCR-CD3受容体複合体、例えば、TCR受容体アルファ鎖(TRAC)、TCR受容体ベータ鎖(TRBC)、CD3.イプシロン、CD3.ガンマ、CD3.デルタ、及び/又はCD3.ガンマ、の一部を欠失させることを含むがこれに限定されない。TCR受容体複合体の一部が欠失すると、TCRを介したシグナル伝達が遮断され、重篤なGvHDを誘発することなく、CAR-T細胞の供給源として同種異系T細胞を安全に使用できるようになり得る。
【0273】
[0302] 或いは、又はさらに、本開示に包含されるCAR-T細胞は、1つ以上の自殺遺伝子をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「自殺遺伝子」は、活性化されるとCAR-T細胞の死をもたらす、当技術分野で公知の標準的な方法によってCAR-T細胞に導入される核酸配列を指す。自殺遺伝子は、必要に応じて、インビボでのCAR-T細胞の効果的な追跡及び排除を促進し得る。自殺遺伝子を活性化することによる死滅の促進は、当技術分野で公知の方法によって行われ得る。当技術分野で公知の適切な自殺遺伝子治療システムには、様々な単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVtk)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子治療システム又は誘導性カスパーゼ9タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。例示的な実施形態において、自殺遺伝子は、CD34/チミジンキナーゼキメラ自殺遺伝子である。
【0274】
[0303] ゲノム編集されたデュアルCAR-T細胞、すなわちCD2CD3e-dCARTΔCD2ΔCD3εは、商業的に合成された抗CD2単鎖可変フラグメントを、CD28及び4-1BB内部シグナル伝達ドメインを有する第3世代CARバックボーンを含むレンチウイルスベクターにクローニングすること、及び商業的に合成された抗CD3e単鎖可変を、CD28及び4-1BB内部シグナル伝達ドメインを有する追加の第3世代CARバックボーンを含む同じレンチウイルスベクターにクローニングして、2つのCAR構築物が同じベクターから発現されるプラスミドを得ることによって産生され得る。
【0275】
[0304] いくつかの実施形態において、本開示は、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)に特異的に結合するデュアルキメラ抗原受容体(dCAR)、すなわち、単一のレンチウイルス構築物から発現された2つのCARを含む、操作されたT細胞を提供し、T細胞は、CD5及びTRACを欠損している(例えば、CD5TRAC-dCARTΔCD5ΔTRAC細胞)。非限定的な例において、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が改変されたCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)にもはや特異的に結合しないような、T細胞によって発現されるCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、T細胞で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれを超えて減少するような、T細胞の改変、(c)CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されない(例えば、CD5及び/又はTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって)ような、T細胞の改変に起因する。さらなる実施形態において、T細胞は、自殺遺伝子を含む。非限定的な例では、CD5TRAC-CARTΔCD5ΔTRAC細胞で発現される自殺遺伝子は、ヒトCD34eDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合された改変ヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0276】
[0305] 第2の実施形態において、本開示は、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)に特異的に結合するdCARを損なう操作されたT細胞を提供し、T細胞は、CD7及びTRACを欠損している(例えば、CD7TRAC-dCARTΔCD7ΔTRAC細胞)。非限定的な例において、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が改変されたCD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)にもはや特異的に結合しないような、T細胞によって発現されるCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、T細胞で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれを超えて減少するような、T細胞の改変、(c)CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されない(例えば、CD7及び/又はTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって)ような、T細胞の改変に起因する。さらなる実施形態において、T細胞は、自殺遺伝子を含む。非限定的な例では、CD7TRAC-dCARTΔCD7ΔTRAC細胞で発現される自殺遺伝子は、ヒトCD34eDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合された改変ヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0277】
[0306] 第3の実施形態において、本開示は、CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)に特異的に結合するdCARを損なう操作されたT細胞を提供し、T細胞は、CD2及びTRACを欠損している(例えば、CD2TRAC-dCARTΔCD2ΔTRAC細胞)。非限定的な例において、CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が改変されたCD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)にもはや特異的に結合しないような、T細胞によって発現されるCD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、T細胞で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれを超えて減少するような、T細胞の改変、(c)CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されない(例えば、CD2及び/又はTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって)ような、T細胞の改変に起因する。さらなる実施形態において、T細胞は、自殺遺伝子を含む。非限定的な例では、CD2TRAC-dCARTΔCD2ΔTRAC細胞で発現される自殺遺伝子は、ヒトCD34eDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合された改変ヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0278】
[0307] 同様の方法で、他のデュアルCAR-T細胞が構築され得る。
【0279】
[0308] タンデムCAR-T細胞(同等に、tCAR-T)は、異なる標的に対する親和性を有する2つの異なる抗原認識ドメインを含む単一のキメラ抗原ポリペプチドを有するT細胞であり、抗原認識ドメインは、ペプチドリンカーを介して連結され、共通の共刺激ドメインを共有しており、いずれかの抗原認識ドメインの結合は、共通の共刺激ドメイン及びシグナル伝達ドメインを介してシグナル伝達する。
【0280】
[0309] いくつかの実施形態において、本開示は、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)に特異的に結合するタンデムキメラ抗原受容体(tCAR)、すなわち、単一の細胞内ドメインを共有する2つのscFvを含む操作されたT細胞を提供し、T細胞は、CD5及びTRACを欠損している(例えば、CD5TRAC-tCARTΔCD5ΔTRAC細胞)。非限定的な例において、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が改変されたCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)にもはや特異的に結合しないような、T細胞によって発現されるCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、T細胞で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれを超えて減少するような、T細胞の改変、(c)CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されない(例えば、CD5及び/又はTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって)ような、T細胞の改変に起因する。さらなる実施形態において、T細胞は、自殺遺伝子を含む。非限定的な例では、CD5TRAC-tCARTΔCD5ΔTRAC細胞で発現される自殺遺伝子は、ヒトCD34eDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合された改変ヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0281】
[0310] 第2の実施形態において、本開示は、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)に特異的に結合するtCARを損なう操作されたT細胞を提供し、T細胞は、CD7及びTRACを欠損している(例えば、CD7TRAC-tCARTΔCD7ΔTRAC細胞)。非限定的な例において、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が改変されたCD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)にもはや特異的に結合しないような、T細胞によって発現されるCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、T細胞で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれを超えて減少するような、T細胞の改変、(c)CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されない(例えば、CD7及び/又はTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって)ような、T細胞の改変に起因する。さらなる実施形態において、T細胞は、自殺遺伝子を含む。非限定的な例では、CD7TRAC-tCARTΔCD7ΔTRAC細胞で発現される自殺遺伝子は、ヒトCD34eDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合された改変ヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0282】
[0311] 第3の実施形態において、本開示は、CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)に特異的に結合するtCARを損なう操作されたT細胞を提供し、T細胞は、CD2及びTRACを欠損している(例えば、CD2TRAC-tCARTΔCD2ΔTRAC細胞)。非限定的な例において、CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が改変されたCD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)にもはや特異的に結合しないような、T細胞によって発現されるCD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、T細胞で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれを超えて減少するような、T細胞の改変、(c)CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されない(例えば、CD2及び/又はTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって)ような、T細胞の改変に起因する。さらなる実施形態において、T細胞は、自殺遺伝子を含む。非限定的な例では、CD2TRAC-tCARTΔCD2ΔTRAC細胞で発現される自殺遺伝子は、ヒトCD34eDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合された改変ヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0283】
[0312] 同様の方法で、他のタンデムCAR-T細胞が構築され得る。
【0284】
[0313] 特定の実施形態において、本開示は、CD7に特異的に結合する単一のCARを含む、操作されたiNKT細胞を提供し、iNKT細胞は、CD7を欠損している(例えば、CD7-iNKT-CARΔCD7細胞)。非限定的な例において、CD7の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が改変されたCD7にもはや特異的に結合しないような、iNKT細胞によって発現されるCD7の改変、(b)CD7の発現が、iNKT細胞で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれを超えて減少するような、iNKT細胞の改変、(c)CD7が発現されない(例えば、CD7をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって)ような、iNKT細胞の改変に起因する。さらなる実施形態において、iNKT細胞は、自殺遺伝子を含む。非限定的な例では、CD7-iNKT-CARΔCD7細胞で発現される自殺遺伝子は、ヒトCD34cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合された改変ヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0285】
[0314] CD7特異的iNKT-CAR細胞のCARは、商業的に合成された抗CD7単鎖可変フラグメント(scFv)をCD28及び4-1BB内部シグナル伝達ドメインを有する第3世代CARバックボーンにクローニングすることによって生成され得る。細胞外hCD34ドメインをP2Aペプチドの後に追加して、ウイルス形質導入後のCARの検出と、抗hCD34磁気ビーズを用いた精製との両方を可能にし得る。CARを他の悪性T細胞抗原に特異的なものにするために同様の方法に従うことができる。
【0286】
[0315] 同様の方法で、他のモノCAR-iNKT細胞が構築され得る。
【0287】
[0316] 特定の実施形態において、本開示は、デュアルCAR(dCAR)、すなわち、CD7及びCD2に特異的に結合する単一のレンチウイルス構築物から発現される2つのCARを含む、操作されたiNKT細胞を提供し、iNKT細胞は、CD7及びCD2が欠損している(例えば、CD7xCD2-iNKT-dCARΔCD7ΔCD2細胞)。非限定的な例において、CD7及びCD2の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が改変されたCD7又はCD2にもはや特異的に結合しないような、iNKT細胞によって発現されるCD7及びCD2の改変、(b)CD7及びCD2の発現が、iNKT細胞で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれを超えて減少するような、iNKT細胞の改変、(c)CD7及びCD2が発現されない(例えば、CD7及び/又はCD2をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって)ような、iNKT細胞の改変に起因する。さらなる実施形態において、iNKT細胞は、自殺遺伝子を含む。非限定的な例では、CD7CD2-iNKT-dCARΔCD7ΔCD2細胞で発現される自殺遺伝子は、ヒトCD34cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合された改変ヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。同様の方法で、他のデュアルCAR-iNKT細胞が構築され得る。
【0288】
[0317] 特定の実施形態において、本開示は、タンデムCAR(tCAR)、すなわち、CD7及びCD2に特異的に結合する単一の細胞内ドメインを共有する2つのscFvを含む、操作されたiNKT細胞を提供し、iNKT細胞は、CD7及びCD2が欠損している(例えば、CD7xCD2-iNKT-tCARΔCD7ΔCD2細胞)。非限定的な例において、CD7及びCD2の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が改変されたCD7又はCD2にもはや特異的に結合しないような、iNKT細胞によって発現されるCD7及びCD2の改変、(b)CD7及びCD2の発現が、iNKT細胞で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれを超えて減少するような、iNKT細胞の改変、(c)CD7及びCD2が発現されない(例えば、CD7及び/又はCD2をコードする遺伝子の欠失又は破壊によって)ような、iNKT細胞の改変に起因する。さらなる実施形態において、iNKT細胞は、自殺遺伝子を含む。非限定的な例では、CD7CD2-iNKT-tCARΔCD7ΔCD2細胞で発現される自殺遺伝子は、ヒトCD34cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合された改変ヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0289】
[0318] ゲノム編集されたタンデムiNKT-CAR細胞、すなわちCD7CD2-iNKT-tCARΔCD7ΔCD2、のtCARは、商業的に合成された抗CD7単鎖可変フラグメント(scFv)及び抗CD2単鎖可変フラグメント(scFv)を、CD28及び4-1BB内部シグナル伝達ドメインを有する第3世代CARバックボーンにクローニングすることによって生成され得る。細胞外hCD34ドメインをP2Aペプチドの後に追加して、ウイルス形質導入後のCARの検出と、抗hCD34磁気ビーズを用いた精製との両方を可能にし得る。CARを他の悪性T細胞抗原に特異的なものにするために同様の方法に従うことができる。
【0290】
[0319] 同様の方法で、他のタンデムiNKT-CARが構築され得る。
【0291】
[0320] CARは、国際公開第2018027036号A1に開示されているように設計され得、任意選択により、当業者に公知のバリエーションが使用される。レンチウイルスベクター及び細胞株を入手し、そこに開示されているように、並びに当技術分野で公知の方法及び商業的供給源からの方法によって、設計、検証、及び合成されたRNAを導くことができる。
【0292】
[0321] 操作されたCARは、レトロウイルスを使用してT細胞、iNKT細胞、又はNK細胞に導入され得、レトロウイルスは、キメラ抗原受容体をコードする核酸配列を標的細胞ゲノムに効率的且つ安定的に組み込む。当技術分野で公知の他の方法には、レンチウイルス形質導入、トランスポゾンベースのシステム、直接RNAトランスフェクション、及びCRISPR/Casシステム(例えば、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(又はCasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Casl Od、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(又はCasA)、Cse2(又はCasB)、Cse3(又はCasE)、Cse4(又はCasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx1 0、Csx16、CsaX、Csx3、Csz1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、及びCu1966などの適切なCasタンパク質を使用した、I型、II型、又はIII型システム)が含まれるが、これらに限定されない。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)も使用され得る。例えば、Shearer RF and Saunders DN, “Experimental design for stable genetic manipulation in mammalian cell lines: lentivirus and alternatives,” Genes Cells 2015 Jan;20(1):1-10を参照されたい。
【0293】
定義
[0322] 本明細書で使用される場合、以下の用語は示された意味を有する。他の定義は、明細書全体を通して行われ得る。
【0294】
[0323] 値の範囲が開示され、「n1から…n2まで」又は「n1…及びn2の間」という表記が使用される場合であって、n1及びn2が数値である場合、別段の指定がない限り、この表記はその数値自体及びそれらの間の範囲を含むことを意図している。この範囲は、端の値を含むその間の整数又は連続値であり得る。例として、「2~6個の炭素」の範囲は、2つ、3つ、4つ、5つ、及び6つの炭素を含むことを意図している。これは、炭素が整数単位であるためである。例として、「1~3μM(マイクロモル濃度)」の範囲を比較する。これは、1μM、3μM、及び任意の数の有効数字間の全て(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)を含むことが意図される。
【0295】
[0324] 本明細書で使用される場合、「約」という用語は、それが修飾する数値を形容することを意図しており、そのような値を誤差の範囲内の変数として示す。データのチャート又は表で与えられる平均値に対する標準偏差などの、特定の許容誤差が記載されていない場合、「約」という用語は、有効数字を考慮して、記載された値を包含する範囲、及びその数値に切り上げ又は切り捨てることによって含まれる範囲を意味すると理解されるべきである。
【0296】
[0325] 本明細書で使用される場合、「CD47」、「インテグリン関連タンパク質(IAP)」、「卵巣癌抗原OA3」、「Rh関連抗原」及び「MERG」という用語は同義であり、互換可能に使用され得る。
【0297】
[0326] 「抗CD47抗体」という用語は、治療剤としての使用を目的とし、治療剤として有用であるために必要な結合親和性を有する、本開示の抗体を指す。
【0298】
[0327] 本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を指す。「特異的に結合する」又は「免疫反応する」とは、抗体が所望の抗原の1つ以上の抗原決定基と反応し、他のポリペプチドと反応しないか又ははるかに低い親和性(Kd>10-6)で結合することを意味する。抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、単鎖Fvフラグメント、及び片腕抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0299】
[0328] 本明細書で使用される場合、本抗体化合物に適用される「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、例えば、任意の真核生物、原核生物、又はファージクローンを含む、単一のコピー又はクローンに由来する抗体を指し、それが産生される方法に由来するものではない。本開示のmAbは、好ましくは、均質又は実質的に均質な集団に存在する。完全なmAbには、2つの重鎖及び2つの軽鎖が含まれる。
【0300】
[0329] 「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線形抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0301】
[0330] 本明細書に開示される場合、「抗体化合物」は、mAb及びその抗原結合フラグメントを指す。本開示による同様の機能特性を示すさらなる抗体化合物は、従来の方法によって生成することができる。例えば、マウスをヒトCD47又はそのフラグメントで免疫し、得られた抗体を回収及び精製することができ、それらが本明細書に開示される抗体化合物と同様/同一の結合及び機能特性を有するかどうかの決定は、当技術分野で公知の方法によって評価することができる。抗原結合フラグメントは、従来の方法でも調製できる。抗体及び抗原結合フラグメントを産生及び精製するための方法は当技術分野で周知であり、例えば、Harlow and Lane (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, Chapters 5-8 and 15に見出すことができる。
【0302】
[0331] 本明細書で使用される場合、「Fc領域」、「Fcフラグメント」、又は「Fc」という用語は、免疫グロブリンの重鎖定常領域2(CH)及び重鎖定常領域3(CH)を含むが、重鎖及び軽鎖の可変領域並びに軽鎖定常領域(CL)を含まず、重鎖定常領域のヒンジ領域をさらに含み得るタンパク質を指す。ハイブリッドFc又はそのハイブリッドFcフラグメントは、「hFc」又は「hyFc」と呼ばれ得る。コンセプト。
【0303】
[0332] 本明細書で使用される場合、「ヒト化された」及び/又は「ヒト化」という用語は、本明細書に開示されるマウスモノクローナル抗体CDRのヒトフレームワーク(FR)及び定常領域への移植を指す。これらの用語には、様々な抗体特性を改善するための、Kashmiri et al.(2005) Methods 36(1):25-34及びHou et al.(2008) J. Biochem.144(1):115-120に開示される方法による、マウスCDR及びヒトFRへの可能なさらなる改変も包含される。
【0304】
[0333] 本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」という用語は、本開示による結合及び機能特性を有し、非ヒト抗体に由来する実質的にヒト又は完全にヒトの周辺CDRであるFR及び定常領域を有する、本明細書に開示される抗CD47抗体化合物を含む、mAb及びその抗原結合フラグメントを指す。
【0305】
[0334] 本明細書で使用される場合、「癌」という用語は、原発性悪性細胞又は腫瘍(例えば、細胞が元の悪性腫瘍又は腫瘍の部位以外の対象の体内の部位に移動していないもの)及び二次性悪性細胞又は腫瘍(例えば、転移、元の腫瘍の部位とは異なる二次部位への悪性細胞又は腫瘍細胞の移動から生じるもの)を含む。癌の例には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、骨髄腫、及び白血病が含まれるが、これらに限定されない。
【0306】
[0335] これらの癌又は悪性腫瘍のより具体的な例を以下に示し、急性小児期リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝臓癌、成人急性リンパ球性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓癌、成人軟部組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性病変、肛門癌、神経膠星状細胞腫、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳幹膠腫、脳腫瘍、乳癌、腎盂及び尿管の癌、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳神経膠星状細胞腫、大脳神経膠星状細胞腫、子宮頸癌、小児期(原発性)肝細胞癌、小児期(原発性)肝臓癌、小児期急性リンパ芽球性白血病、小児期急性骨髄性白血病、小児期脳幹膠腫、小児期小脳神経膠星状細胞腫、小児期大脳神経膠星状細胞腫、小児期頭蓋外胚細胞腫瘍、小児期ホジキン病、小児期ホジキンリンパ腫、小児期視床下部及び視覚路膠腫、小児期リンパ芽球性白血病、小児期髄芽細胞腫、小児期非ホジキンリンパ腫、小児期松果体及びテント上原始神経外胚葉腫瘍、小児期原発性肝臓癌、小児期横紋筋肉腫、小児期軟部組織肉腫、小児期視覚路及び視床下部膠腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵島細胞癌、子宮内膜癌、脳室上衣細胞腫、上皮癌、食道癌、ユーイング肉腫及び関連腫瘍、膵外分泌部癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝臓外胆管癌、眼癌、女性乳癌、ゴーシェ病、胆嚢癌、胃癌、胃腸類癌、胃腸腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、ヘアリーセル白血病、頭頚部癌、肝細胞癌、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭癌、腸管癌、眼内黒色腫、膵島細胞癌、膵島細胞膵臓癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、口唇及び口腔癌、肝臓癌、肺癌、リンパ増殖性障害、マクログロブリン血症、男性乳癌、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽細胞腫、黒色腫、中皮腫、転移性潜在原発性扁平頸部癌、転移原発性扁平頸部癌、転移性扁平頸部癌、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞性新生物、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄性白血病、骨髄増殖性障害、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、妊娠中の非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌、潜在原発性転移扁平頸部癌、口咽頭癌、骨-/悪性線維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨の骨肉腫/悪性線維性組織球腫、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、パラプロテイン血症、紫斑病、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞種、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓癌、前立腺癌、直腸癌、腎臓細胞癌、腎盂及び尿管癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平頸部癌、胃癌、テント上原始神経外胚葉及び松果腫瘍、T細胞リンパ腫、睾丸癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行細胞癌、移行性腎盂及び尿管癌、絨毛性腫瘍、尿管及び腎盂細胞癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視覚路及び視床下部膠腫、外陰癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、並びに上記で列挙した臓器系に位置する任意の他の過剰増殖性疾患が含まれる。
【0307】
[0336] 「組み合わせ治療」という用語は、本開示に記載される治療的状態又は障害を処置するための2つ以上の治療剤の投与を意味する。このような投与は、有効成分の比率が固定された単一のカプセル、又は各有効成分についての複数の別個のカプセルなどの、実質的に同時の方法でのこれらの治療剤の同時投与を含む。さらに、そのような投与はまた、連続的な方法での各タイプの治療剤の使用を包含する。いずれの場合も、処置レジメンは、本明細書に記載の状態又は障害を処置する際に、薬剤の組み合わせの有益な効果を提供するであろう。
【0308】
[0337] 本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、1つ以上の治療的に許容される担体との免疫治療用細胞集団の組み合わせを指す。
【0309】
[0338] 本明細書で使用される場合、「疾患」という用語は、「障害」、「症候群」、及び「状態」(病状の場合のように)という用語と、これらは全て、正常な機能を損なうヒト又は動物の体又はその一部の異常な状態を反映しており、典型的には、兆候及び症状を識別することによって現れ、ヒト又は動物の生活の時間又は質の低下を引き起こすという点において、一般に同義であることが意図され、互換可能に使用される。
【0310】
[0339] 「エフェクター機能」という用語は、分化した細胞の特殊な機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性、又はサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。ナイーブ、メモリー、又はメモリータイプのT細胞におけるエフェクター機能には、抗原依存性増殖も含まれ得る。
【0311】
[0340] 本明細書で使用される「フラトリサイド」という用語は、CAR-T細胞、iNKT-CAR細胞、又はNK-CAR細胞が、CAR-T細胞、iNKT-CAR細胞、又はNK-CAR細胞の標的と同じキメラ抗原受容体を含む、別のCAR-T細胞、iNKT-CAR細胞、又はNK-CAR細胞の標的となるか、又はそれらによって死滅される場合に起こるプロセスを意味する。これは、標的細胞が、両方の細胞のキメラ抗原受容体によって特異的に認識される抗原を発現するためである。キメラ抗原受容体が特異的に結合する抗原が欠損しているキメラ抗原受容体を含むCAR-T細胞、iNKT-CAR細胞、又はNK-CAR細胞は、「フラトリサイド耐性」である。
【0312】
[0341] 本明細書で使用される場合、IL-15タンパク質の「遺伝子発現」又は「発現」という用語は、DNA配列の転写、mRNA転写物の翻訳、及びタンパク質産物、又は抗体、若しくはその抗体フラグメントの分泌を指すと理解される。
【0313】
[0342] 本明細書で使用される場合、IL-15タンパク質の「遺伝子発現」又は「発現」という用語は、DNA配列の転写、mRNA転写物の翻訳、及びタンパク質産物、又は抗体、若しくはその抗体フラグメントの分泌を指すと理解される。
【0314】
[0343] 本明細書で使用される場合、「ゲノム編集された」という用語は、遺伝子が付加、欠失、又は機能しないように改変されていることを意味する。したがって、特定の実施形態において、「遺伝子編集されたT細胞」又は「遺伝子編集されたT細胞、NK細胞、又はiNKT細胞」は、少なくとも1つの抗原を認識するCARなどの遺伝子が付加され;及び/又はCARによって認識される抗原に対する遺伝子などの遺伝子が欠失した、T細胞、NK細胞、又はiNKT細胞である。
【0315】
[0344] 本明細書で使用される「健常ドナー」は、血液悪性腫瘍(例えば、T細胞悪性腫瘍)を有しないものである。
【0316】
[0345] 本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、組換え発現ベクターを導入することができる原核細胞及び/又は真核細胞を指す。
【0317】
[0346] 本明細書で使用される場合、「過剰増殖性疾患」及び「過剰増殖性障害」という用語は、全ての形質転換細胞及び組織並びに全ての癌性細胞及び組織を含む、悪性又は良性であるかどうかにかかわらず、全ての腫瘍性細胞の成長及び増殖を指す。過剰増殖性の疾患又は障害には、前癌性病変、異常な細胞増殖、良性腫瘍、悪性腫瘍、及び「癌」が含まれるが、これらに限定されない。過剰増殖性疾患、障害、及び/又は状態のさらなる例には、良性又は悪性であるかどうかにかかわらず、体の任意の組織、系、又は器官に位置する新生物が含まれるが、これらに限定されない。
【0318】
[0347] 「免疫チェックポイント阻害剤」という用語は、T細胞などの特定のタイプの免疫系細胞、及び一部の癌細胞によって作製される特定のタンパク質を遮断するタイプの薬剤を指す。
【0319】
[0348] 本明細書で使用される場合、「免疫エフェクター細胞」という用語は、腫瘍細胞の破壊に活動的に関与する、例えば、抗腫瘍活性を有する、細胞である。これらの細胞には、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞毒性T細胞、及びメモリーT細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0320】
[0349] 「キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫エフェクター細胞」という用語は、キメラ抗原受容体を発現する免疫エフェクター細胞である。これらの細胞には、CAR-T細胞、CAR保有iNKT細胞(iNKT-CAR)、又はCAR保有NK細胞(NK-CAR)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0321】
[0350] 「CAR-T細胞」という用語は、キメラ抗原受容体を発現するCAR-T細胞を意味する。
【0322】
[0351] 「デュアルCAR-T細胞」(同等に、dCAR-T)は、同じエフェクター細胞内で発現される異なる標的抗原に親和性を有する2つの異なるキメラ抗原受容体ポリペプチドを発現するCAR-T細胞であり、各CARは独立して機能する。CARは、単一のポリヌクレオチド配列又は複数のポリヌクレオチド配列から発現され得る。
【0323】
[0352] タンデム「CAR-T細胞」(同等に、tCAR-T)は、異なる標的に対する親和性を有する2つの異なる抗原認識ドメインを含む単一のキメラ抗原ポリペプチドを有するCAR-T細胞であり、抗原認識ドメインは、ペプチドリンカーを介して連結され、共通の共刺激ドメインを共有しており、いずれかの抗原認識ドメインの結合は、共通の共刺激ドメイン及びシグナル伝達ドメインを介してシグナル伝達する。
【0324】
[0353] 「CAR-iNKT細胞」(同等に、iNKT-CAR)という用語は、キメラ抗原受容体を発現するiNKT細胞を意味する。
【0325】
[0354] 「デュアルiNKT-CAR細胞」(同等に、iNKT-dCAR)は、同じエフェクター細胞内で発現される異なる標的抗原に親和性を有する2つの異なるキメラ抗原受容体ポリペプチドを発現するiNKT-CAR細胞であり、各CARは独立して機能する。CARは、単一のポリヌクレオチド配列又は複数のポリヌクレオチド配列から発現され得る。
【0326】
[0355] 「タンデムiNKT-CAR細胞」(同等に、iNKT-tCAR)は、異なる標的に対する親和性を有する2つの異なる抗原認識ドメインを含む単一のキメラ抗原ポリペプチドを有するiNKT-CAR細胞であり、抗原認識ドメインは、ペプチドリンカーを介して連結され、共通の共刺激ドメインを共有しており、いずれかの抗原認識ドメインの結合は、共通の共刺激ドメイン及びシグナル伝達ドメインを介してシグナル伝達する。
【0327】
[0356] 「CAR-NK細胞」(同等に、NK-CAR)という用語は、キメラ抗原受容体を発現するNK細胞を意味する。
【0328】
[0357] 「デュアルNK-CAR細胞」(同等に、NK-dCAR)は、同じエフェクター細胞内で発現される異なる標的抗原に親和性を有する2つの異なるキメラ抗原受容体ポリペプチドを発現するNK-CAR細胞であり、各CARは独立して機能する。CARは、単一のポリヌクレオチド配列又は複数のポリヌクレオチド配列から発現され得る。
【0329】
[0358] 「タンデムNK-CAR細胞」(同等に、NK-tCAR)は、異なる標的に対する親和性を有する2つの異なる抗原認識ドメインを含む単一のキメラ抗原ポリペプチドを有するNK-CAR細胞であり、抗原認識ドメインは、ペプチドリンカーを介して連結され、共通の共刺激ドメインを共有しており、いずれかの抗原認識ドメインの結合は、共通の共刺激ドメイン及びシグナル伝達ドメインを介してシグナル伝達する。
【0330】
[0359] 本明細書で使用される場合、「悪性腫瘍」という用語は、非良性腫瘍又は癌を指す。
【0331】
[0360] 「悪性T細胞」という用語は、T細胞悪性腫瘍に由来するT細胞を指す。「T細胞悪性腫瘍」という用語は、T細胞前駆細胞、成熟T細胞、又はナチュラルキラー細胞に由来する悪性腫瘍の広範で不均質なグループを指す。T細胞悪性腫瘍の非限定的な例には、T細胞急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫(T-ALL)、T細胞大顆粒リンパ球(LGL)白血病、ヒトT細胞白血病ウイルス1型陽性(HTLV-1+)成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、T細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)、並びに血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫、及びALK陰性未分化大細胞リンパ腫を含むがこれらに限定されない、様々な末梢T細胞リンパ腫(PTCL)が含まれる。
【0332】
[0361] 本明細書で使用される場合、「改変」という用語は、IL-7又はIL-15と同じ又は同様の配列及び活性を有するポリペプチド又はタンパク質を指す。本明細書で使用される場合、「改変IL-7」はまた、「変異体IL-7」と互換可能に使用され得る。本明細書で使用される場合、「改変IL-15」はまた、「変異体IL-15」と互換可能に使用され得る。
【0333】
[0362] 本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、霊長類などの哺乳動物を含む、本発明による組成物による処置を提供することができる生物を表す。開示された処置の方法から利益を得ることができる哺乳動物種には、ヒト;類人猿;チンパンジー;オランウータン;サル;イヌ及びネコなどの飼育動物;ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジなどの家畜が含まれるが、これらに限定されない。
【0334】
[0363] 「患者」という用語は、一般に「対象」という用語と同義であり、ヒトを含む全ての哺乳動物を含む。
【0335】
[0364] 特に明記しない限り、「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」という用語は、互換可能な概念として使用され得る。
【0336】
[0365] 本明細書で使用される場合、「シグナル配列」又は同等に「シグナルペプチド」という用語は、生物学的に活性な分子薬物及び融合タンパク質の分泌を指示するフラグメントを指し、これは宿主細胞で翻訳された後に切断される。本明細書で使用されるシグナル配列は、小胞体(ER)膜を貫通するタンパク質の動きを開始するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである。有用なシグナル配列には、抗体軽鎖シグナル配列、例えば、抗体14.18(Gillies et al., J. Immunol.Meth.1989. 125:191-202)、抗体重鎖シグナル配列、例えば、MOPC141抗体重鎖シグナル配列(Sakano et al., Nature, 1980.286:676-683)、及び当技術分野で公知の他のシグナル配列(例えば、Watson et al., Nucleic Acid Research, 1984.12:5145-5164を参照)が含まれる。シグナルペプチドの特徴は当技術分野で周知であり、シグナルペプチドは、従来16~30のアミノ酸を有するが、それらはより多い、又はより少ない数のアミノ酸残基を含み得る。従来のシグナルペプチドは、基本的なN末端領域の3つの領域、中央の疎水性領域、及びより極性の高いC末端領域で構成されている。
【0337】
[0366] 「治療的に許容される」という用語は、患者の組織と接触した過度の毒性、刺激、及びアレルギー反応のない使用に適しており、合理的な利益/リスク比に釣り合っている、及び/又はそれらの意図された使用に有効である物質を指す。
【0338】
[0369] 本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、疾患又は状態を処置又は改善することができるか、そうでなければ意図された治療効果を生み出すことができる量を指す。
【0339】
[0370] 「治療上有効」という用語は、疾患又は障害の処置又は臨床評価項目の効果に使用される有効成分の量を限定することを意図している。
【0340】
[0371] 本明細書に記載されるように、治療有効量の開示された組成物の投与は、例えば、十分な量の開示されたインターロイキン、抗CD47抗体又はそのフラグメント、CD47-IL-7融合抗体、及び/又はCAR-T細胞の単回注射などの、単回投与によって、そのような処置を受けている患者に治療上の利益を提供するために、達成され得る。或いは、状況によっては、そのような組成物の投与を監督する医師によって決定され得るように、比較的短い期間又は比較的長い期間にわたり、組成物の複数の又は連続的な投与を提供することが望ましい場合がある。
【0341】
[0372] 本明細書で使用される場合、「部分(moiety)」という用語は、物が分割されるか又は分割され得る2つの部分のそれぞれ、又は部分(part)又は部分(portion)、特により小さいシェア、又は大きい分子の異なる部分を指す。
【0342】
[0373] 本明細書で使用される場合、「形質導入された」、「形質転換された」、及び「トランスフェクトされた」という用語は、当技術分野で公知の技術を使用した細胞への核酸(例えば、ベクター)の導入を指す。
【0343】
[0374] 本明細書で使用される場合、「腫瘍」又は「腫瘍組織」という用語は、過剰な細胞分裂に起因する異常な組織の塊を指す。腫瘍又は腫瘍組織は「腫瘍細胞」を含み、これは異常な成長特性を有し、有用な生体機能を有しない腫瘍性細胞である。腫瘍、腫瘍組織及び腫瘍細胞は、良性又は悪性であり得る。腫瘍又は腫瘍組織はまた、「腫瘍関連非腫瘍細胞」、例えば、腫瘍又は腫瘍組織に供給するために血管を形成する血管細胞を含み得る。非腫瘍細胞は、腫瘍細胞によって複製及び発達するように誘導され得、例えば、腫瘍又は腫瘍組織における血管新生の誘導である。
【0344】
[0375] 本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、宿主細胞に導入されて再結合され、宿主細胞のゲノムに挿入されるか、又はエピソームとして自発的に複製され得るヌクレオチド配列を含む核酸手段として理解される。ベクターは、線状核酸、プラスミド、ファージミド、コスミド、RNAベクター、ウイルスベクター、及びそれらの類似体を含み得る。ウイルスベクターの例には、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルスが含まれ得るが、これらに限定されない。
【実施例
【0345】
実施例
[0376] 本開示の実施形態の例は、以下の実施例に提供される。以下の実施例は、例示としてのみ提示されるものであり、本開示を使用するにあたり当業者を補助するためのものである。実施例は、決して開示の範囲を制限することを意図したものではない。
【0346】
実施例1-IL-7構築物の設計
[0377] 以下の実施例の目的は、ヒトIL-7の点変異体を生成し、構造的/機能的に特徴づけることであった。
【0347】
[0378] 以下に記載されるように、9つのIL-7変異体(表1)が生成され、それらの活性が試験され、市販のものと自社で生成したものの両方の野生型(WT)IL-7と比較された。
【0348】
[0379] IL-7構築物は、IL-7/IL-7Rα結晶構造に対して設計され、C末端タグを含むように設計された。IL-7野生型又は変異体の遺伝子配列は、開始コドンの前のN末端にNcoI部位を有するGenScriptによってカスタム合成された。C末端では、TEV(タバコエッチ病ウイルス)プロテアーゼ切断部位ENLYFQG及び6xHis配列が、終止コドン及びXhoI部位の前に追加された。次に、GenScriptによる標準的な分子生物学の手順を使用して、配列を発現ベクターpET-28a(+)-TEVにクローニングした。Rosetta2(DE3)Singles Competent細胞(Millipore Sigma、71400)での形質転換及び小規模発現は、製造元提供のプロトコルを使用して実行された。この発現系は、本明細書に開示されるIL-7及びIL-7変異体を産生するために使用され得る。
【0349】
[0380] IL-7変異体S1~S5を発現させ、変異体S1及びS5から精製タンパク質を得た。IL-7変異体S6~S9について、発現は小規模誘導で確認され、これは、タンパク質精製用の材料を生成するためにスケールアップすることができる。IL-7の商業的供給源(GenScript)からのタンパク質は、CHO細胞で産生された。
【0350】
[0381] 以下の表は、以下に記載のアッセイにおける発現された変異体及びそれらの活性の概要である。
【0351】
【表1】
【0352】
実施例2-大腸菌(E. coli)におけるIL-7変異体の産生
[0383] 9つのIL-7変異体が同定され、合成のために選択された。
【0353】
[0384] 大腸菌(E. coli)でのIL-7発現は、2mLのIPTG誘導培養を使用した小規模培養で最初に実証された。培養物をペレット化し、200μlのBugBusterマスターミックスバッファーを使用して溶解した。溶解後の不溶性部分を50μlのLDSサンプルバッファー及び10μlの還元剤と合わせた。次に、IL-7変異体の発現を、溶解用の200μLのBugBusterマスターミックスバッファー及び50μLのLDSサンプルバッファー及び溶解後の不溶性部分用の10μLの還元剤を使用した、1-L IPTG誘導培養からの1mLの培養物を使用したスケールアップ培養で試験した。次に、タンパク質精製のために細胞ペレットを準備した。
【0354】
実施例3-事前に最適化されたIL-7のスケールアップ発現
[0385] 新鮮な形質転換プレートから、単一の大腸菌(E. coli)コロニーを適切な抗生物質を含む100mlのTB(Terrific broth)に接種し、培養物を、250rpm、37℃で一晩、振とうインキュベーターに入れた。翌朝、培養物を4Lフラスコ内の900mlの新鮮なTBに加え、600nmでの吸光度(A600)が0.6~0.8に達するまで37℃で増殖させた。次に、IPTG(イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド)を最終濃度が0.5mMになるように添加し、インキュベーションを3~5時間継続した。9,000xgで10分間、4℃で遠心分離することにより細胞を回収した。上清を廃棄し、精製前にペレットを-80℃に保った。この発現系は、本明細書に開示される他のIL-7変異体を産生するために使用され得る。
【0355】
実施例4-ヒトIL-7のExpiCHO発現
[0386] ExpiCHO発現システムキット(ThermoFisher #A29133)を使用して、ヒトIL-7タンパク質を発現させた。ExpiCHO-S細胞の1つのバイアルを解凍し、30mlの予熱したExpiCHO発現培地を含む125mlのベントキャップシェーカーフラスコに加えた。細胞を、振とう速度130rpm(19mmの振とう直径)のオービタルシェーカープラットフォーム上、相対湿度が80%以上、COが8%の37°Cのインキュベーター内で、3日間インキュベートした。細胞密度及び生存率をモニターし、3日目又は4日目に4×10~6×10生細胞/mlに達したときに細胞を継代培養した。3回の継代培養後、トランスフェクション前に細胞を3×10~4×10細胞/mlに分割した(-1日目)。トランスフェクションの日(0日目)に、細胞の密度は7×10~1×10生細胞/mlに達し、生存率は95~99%であった。細胞を、予め温めておいた新鮮なExpiCHO(商標)発現培地で最終密度6×10生細胞/mLに希釈し、フラスコを穏やかに回転させて細胞を混合した。ExpiFectamine(商標)CHO/プラスミドDNA複合体を調製するために、1mg/mlのIL-7発現プラスミド80μlを1.5mlの滅菌マイクロフュージチューブ内の4mlのOptiPRO培地に添加し、転倒混和した。640μlのExpiFectamineCHO試薬を別の滅菌マイクロフュージチューブ内の7.36mlのOptiPRO培地に添加し、転倒混和した。次に、4mlの希釈したExpiFectamineCHO試薬を希釈したIL-7に加え、転倒混和した。ExpiFectamineCHO試薬/プラスミドDNA複合体を室温で1~5分間インキュベートした後、2mlの複合体をゆっくりと振とうフラスコに移し、移す間、フラスコを穏やかに回した。フラスコを、振とう速度130rpmのオービタルシェーカープラットフォーム上、相対湿度が80%以上、COが8%の37℃のインキュベーターに戻した。トランスフェクションの翌日(1日目)に、ExpiFectamine(商標)CHOエンハンサー及びExpiCHO(商標)フィードを直ちに事前混合し、標準プロトコルのためにフラスコに加えた。添加中、フラスコを穏やかに回し、次に、振とう速度130rpmのオービタルシェーカープラットフォーム上、相対湿度が80%以上、COが8%の37℃のインキュベーターに戻した。細胞を8~10日間培養し、細胞の生存率をモニターしたところ、生存率はタンパク質の回収時に75%を超えていた。回収のために、細胞培養上清を冷蔵遠心分離機で、4000~5000xgで30分間遠心分離し、次に上清を0.22μmフィルターでろ過した。上清を精製のために送り、発現をクーマシーブルー染色及びウエスタンブロットによって決定した。この発現系は、本明細書に開示される他のIL-7変異体を産生するために使用され得る。ExpiCHO発現システムでIL-7の発現が実証されたが、IL-7タンパク質は精製及び試験されていない。本明細書に開示される全てのIL-7変異体構築物は、大腸菌(E. coli)系で産生及び精製され、例えば、PSTAT、増殖、及び結合アッセイで試験された。
【0356】
実施例5-COS7細胞の一過性トランスフェクション
[0387] 1.0×10のCOS7サル腎細胞を、トランスフェクションの18~24時間前に、96ウェルプレートのウェルあたり10%のウシ胎児血清、100単位/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシン、30mg/mlのグルタミン、及び50mMの2-メルカプトエタノール(完全培地)を含有する、体積100μlのRPMI1640培地でプレーティングした。トランスフェクションの日、細胞は約75%コンフルエントであった。IL-7受容体αサブユニット及びγサブユニットの一過性コトランスフェクションのために、90mLの無血清MEM培地を96ウェルV底プレートのウェルに添加した。500ngのIL-7受容体α発現プラスミド(Genscript)及び500ngのIL-7受容体γ発現プラスミド(Genscript)を培地に添加し、混合した。6:1のViaFectトランスフェクション試薬(Promega #E4981):DNA分配の場合、6.0μLのViaFectを加えて合計100μLの体積にし、直ちに混合した。ViaFect:DNA混合物を室温で5~20分間インキュベートした後、ウェルあたり10μlのViaFect:DNA混合物を、増殖培地に100μLの細胞を含有する96ウェルプレートに加えた。プレートをピペッティングにより穏やかに混合し、24~72時間インキュベーターに戻した。同時トランスフェクション効率は、フローサイトメトリー及びウエスタンブロットによってモニターされた。
【0357】
実施例6-結合アッセイのためのCos-7細胞におけるIL-7Rα及びIL-2Rγの過剰発現
[0388] トランスフェクションの最適化を実施し、トランスフェクション効率を蛍光活性化セルソーティング(FACS)で検証した。最適化パラメーターには、使用するプラスミドの量、プラスミドとトランスフェクション試薬の比率、及びタンパク質発現の時間経過が含まれた。
【0358】
[0389] ViaFectトランスフェクション試薬(Promega #4981)を使用して最適化を行った。トランスフェクションViaFect試薬対DNAの比率は6:1であった。96ウェルプレートのウェルあたり50ngのDNAを、IL-7Rα、IL-2Rγ、又はIL-2Rβの単一トランスフェクションに使用し、(1)12.5ng+12.5ng;(2)25ng+25ng;(3)50ng+50ngのDNAを、IL-7Rα/IL-2Rγ又はIL-2Rβ/IL-2Rγのコトランスフェクション実験に使用した。FACSモニタリングは、トランスフェクションの1、2、及び3日後に実施された。図1に示すように、Cos-7細胞におけるIL-7Rα及びIL-2Rγの共発現は、22%~27%の二重陽性細胞を産生した。
【0359】
実施例7-IL-7バリアントのリフォールディング及び精製
[0390] 約3Lの振とうフラスコ培養物からのHis6タグ付きIL-7を含有する凍結大腸菌(E. coli)細胞ペーストを解凍し、組織ホモジナイザーを使用して、溶解緩衝液(20mM Tris-HCl、pH8.0)に15~20mL/g細胞ペレットの比率で懸濁した。細胞を懸濁した後、1MのMgClストックから1mMのMgClを添加し、500ユニットのBenzonase(商標)(Sigma E1014)を添加した。細胞溶解は、15~20,000psiで、2回のパスでAvestin C3装置を使用して実行された。溶解物を12,000xgで30~50分間、室温で遠心分離した。上清をデカントして廃棄した。細胞の破片及び封入体ペレットを水で洗浄して、より密度の高い封入体ペレットから最上層を除去した。
【0360】
[0391] 組織ホモジナイザーを使用して、ペレットを150~200mLの6Mグアニジン-HCl、20mMのTris、pH8.0、5mMのDTTに懸濁した。この可溶化タンパク質溶液に、Ni++アガロース(GoldBio H-350)を十分に添加して、1mLの沈降床体積を生成した。Ni++アガロースへのバッチ結合のために、タンパク質をロッキングプラットフォームに一晩置いた。翌朝、アガロースビーズを1000xgで15分間ペレット化した。上清を廃棄し、ビーズを直径1.5cmの点滴カラム(Pierce #89898)に注いだ。ビーズは、15~20mLのバッファーを使用して、8Mの尿素、20mMのTris、pH8.0、1mMのDTTで洗浄した。IL-7タンパク質は、3.5mLの8M尿素バッファー+200mMイミダゾール(GoldBio I-902)を使用してカラムから溶出した。溶離液中のタンパク質濃度は、4.30のE1%を使用してUV吸光度スペクトルからA280で計算された。この総タンパク質の値を使用して、リフォールディングバッファー(0.1M Tris-HCl、0.5Mアルギニン-HCl、2mM EDTA、0.09mM酸化型グルタチオン、pH9.0、4℃)の体積を計算して、0.1mg/mLのIL-7タンパク質濃度を得た。Ni++アガロースプールを、急速に撹拌されているリフォールディングバッファーにゆっくりと加えた。溶液をペーパータオルで覆い、4℃で65~90時間置いた。完了したリフォールド反応は、5kD又は10kDのカットオフスピン濃縮器(Vivacell 100又はAmicon Ultracel)を使用して4~9mLに濃縮した。濃縮したタンパク質を、平衡化したSuperdex 75サイズ排除カラム(1.6cm×90cm)に適用し、Ca++、Mg++を含まないダルベッコPBSで、1mL/minで実行した。2mLの画分を収集した。IL-7のピークは、UV吸光度検出器によって識別され、典型的には、105mlの溶出量に集中していた。このプールは、A280の吸光度で測定して1~2mg/mLに濃縮され、4℃で保存された。これらの方法は、本明細書に開示される他のIL-7変異体を精製するために使用され得る。
【0361】
実施例8-細胞機能分析
[0392] IL-7変異体のJAK1,3/STAT5シグナル伝達を評価した。特に、pSTAT5リン酸化は、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を含む研究対象の細胞株で評価された。さらに、2E8細胞におけるIL-7の増殖試験を実施した(以下に説明)。
【0362】
[0393] JAK1,3/STAT5シグナル伝達を評価するためのプロトコルは、次のとおりであり、上記のとおりである。
【0363】
[0394] 凍結したPBMCを素早く解凍し、アッセイ培地で細胞を10mLに希釈し、125xgで5分間ペレット化する。
【0364】
[0395] 細胞をアッセイ培地に再懸濁し、96ウェルプレート(ウェルあたり約200,000細胞)のv底プレートに135μl/ウェルでプレーティングする。
【0365】
[0396] サイトカインを調製している間、細胞プレートを37℃で置く。
【0366】
[0397] 氷上で、IL-7構築物を希釈する。IL-7には50,000pg/mLの最終希釈液を使用した。1:3希釈で、サイトカイン対照なしで11ポイントの曲線を使用した。
【0367】
[0398] 15μLのサイトカイン希釈液を細胞に加える。37℃のインキュベーター内の振とう器に10分間置く。
【0368】
[0399] 10分後、5分間の遠心分離によって、合計15分間、細胞をペレット化する。培地を吸引し、75μLの冷MSD溶解バッファーで細胞を溶解し、4℃のシェーカーに30分間置く。
【0369】
[0400] 溶解の完了後、pSTAT5のMDSプロトコルに従って、未希釈の溶解物を分析に使用する。
【0370】
[0401] アッセイ読み取り:MSD Multi-Spot Assay System/Phospho-STAT5a,b(Tyr694)
[0402] 対照/プレート、IL-7:
R&D SystemsのrhIL-7、2回実行
自社のrhIL-7 WT、2回実行
上記のプロトコルを使用して生成されたデータの要約が図2及び表2に提供される。商業的供給源から得られた野生型IL-7及び大腸菌(E. coli)で自社産生した野生型IL-7は全て、24~110pg/mLの範囲のEC50値で濃度的に経路活性化の読み取りとしてSTAT5リン酸化を誘導した。
【0371】
【表2】
【0372】
実施例9-細胞増殖アッセイ
[0403] 2つの異なる試薬(CCK-8及びAlamar Blue)を試験して、IL-7刺激に応答したマウス2E8細胞の増殖をアッセイするための最適な条件を決定した。2つのアッセイの感度に基づいて、さらにアッセイを発展させるためにAlamar Blue試薬が選択され、IL-7アッセイに使用された。
【0373】
[0404] マウスIL-7(mIL-7)とヒトIL-7(hIL-7)を比較した12ポイントIL-7用量反応につき、2E8細胞におけるAlamar Blue増殖アッセイの細胞増殖プロトコルは、次のとおりであり、以下でさらに説明する。
1.2E8細胞を3回洗浄(DPBS)し、IL-7を含有しない100μLの培地中、96ウェルプレートに1×10細胞/mLでプレーティングする。最も内側の60個のウェルのみが使用され、エッジ効果を最小限に抑えるために、外側のウェルには200μLのDPBSが充填された。
2.100μLのmIL-7又はhIL-7を反復添加して、0.0006~100ng/mLの範囲の濃度とする。
3.72時間のインキュベーション後、25μL/ウェルのAlamar Blue溶液を加え、プレートを37℃でインキュベートする。
4.20時間後に蛍光(530ex/590em)を読み取る。
【0374】
[0405] Alamar Blue増殖アッセイは、IL-7の以下の調製物に応じて2E8細胞の増殖を評価するために行われた。(1)R&D Systems組換えヒトIL-7(大腸菌(E. coli)由来);(2)Stemcell Technologies組換えヒトIL-7(大腸菌(E. coli)由来);(3)Miltenyi Biotec組換えヒトIL-7(大腸菌(E. coli)由来);(4)GenScript組換えヒトIL-7、His(CHO発現);及び(5)自社組換えヒトIL-7、WT、His(大腸菌(E. coli)由来)。R&D Systems組換えヒトIL-7(大腸菌(E. coli)由来)調製物のEC50は0.270pg/mLであり;Stemcell Technologies組換えヒトIL-7(大腸菌(E. coli)由来)調製物のEC50は0.220pg/mLであり;Miltenyi Biotec組換えヒトIL-7(大腸菌(E. coli)由来)調製物のEC50は0.343pg/mLであり;GenScript組換えヒトIL-7、His(CHO発現)調製物のEC50は0.486pg/mLであり;(5)自社組換えヒトIL-7、WT、His(大腸菌(E. coli)由来)調製物のEC50は0.976pg/mLであった。
【0375】
実施例10-IL-7 2E8細胞増殖アッセイ
[0406] このアッセイは、IL-7依存性の未成熟Bリンパ球マウス細胞株2E8の増殖を刺激するIL-7の能力に基づいている。2E8細胞(ATCC TIB-239)をDPBS(Corning #21-031-CV)で3回洗浄し、白色の平底96ウェルプレート(Costar # 3917)に100μLのアッセイ培地(0.05mMの2-メルカプトエタノールを補充した1.5g/L重炭酸ナトリウム及び20%ウシ胎児血清を含有するように調整された4mMのL-グルタミンを含むIscoveの改変ダルベッコ培地)中、プレートの最も内側の60ウェルのみを使用し、100,000細胞/ウェルでプレーティングし、蒸発に関連するエッジ効果の問題を低減するために、残りのウェルに200μLのDBPSを充填した。次に、IL-7を100μLの2Xワーキングストック(0.0006~100ng/mlの範囲の最終濃度を与えるために、IL-7対照なしを含む12ポイントまでのアッセイ培地で3倍希釈系列として調製した)として添加した。37℃で72時間インキュベートした後、ウェルごとに25μLのAlamar Blue試薬(ThermoFisher # DAL1025)を添加し、37℃でさらに20時間インキュベートした。次に、LJL Analystを使用して蛍光(530ex/590em)を測定し、Grafitソフトウェアを使用してEC50を決定した。
【0376】
[0407] 自社で産生したIL-7の結合を、市販のIL-7の結合と比較した。サンプルを個別に分析した場合、最初の分析では同等の変換係数は生成されなかった。1つの分析からのデータは、2つの異なるKd値につきパラメーターを有することによって結合された。「Kdベンダー」パラメーターは約4倍高く、これは、rIL-7がベンダーrIL-7の活性の4倍強力であることを示唆していた。
【0377】
実施例11-TR-FRETリガンド-受容体結合アッセイ
[0408] IL-7結合親和性は、組換えIL-7及びIL-7受容体-アルファ(IL-7Rα)の濃度範囲でTR-FRET蛍光シグナルを測定することによって決定された。PBS(pH7.4)+0.05%BSA及び0.005%Tween-20のバッファー中、160nM TR-FRETアクセプター結合α6-his IgG(Perkin Elmer # TRF0105-M)、80nM TR-FRETドナー結合ストレプトアビジン(Perkin Elmer # AD0062)、組換え6-hisタグ付きIL-7野生型又は変異体バリアント(最大160nMの濃度)、及び組換えビオチンタグ付きIL-7Rα(Acrobiosystems # IL-7-H82F8)(最大80nMの濃度)の4xストックを作製する。試験する各サンプルについて、5μLのα6-hisIgG結合アクセプターの4xストックを、5μLのIL-7の4xワーキングストックと混合する。これとは別に、各サンプルについて、ストレプトアビジンに結合した5μLの4xTR-FRETドナーを、ビオチンに結合した5μLの組換えIL-7Rαの4xワーキングストックと混合する。混合物を室温で30分間インキュベートし、その間、10μLのα6-his結合アクセプター/IL-7混合物を384ウェルの浅い黒色ProxiPlate(Perkin Elmer # 6008260)の指定されたウェルに分配し、覆って光を遮断した。30分間のインキュベーション後、10μLのストレプトアビジン結合ドナー/IL-7Rα混合物を、指定濃度のIL-7+アクセプターを含有する指定のウェルに入れた。プレートを直ちに750rpmで30秒間回転させ、直ちにPHERAstarプレートリーダー(BMG Labtech)に入れて、TR-FRETシグナルを読み取った。次の30分間連続して、ドナーシグナル(337nM励起/620nM発光)及びアクセプターシグナル(337nm励起/655nm発光)の蛍光を読み取る。TR-FRET結合シグナルは、ドナーシグナルに対するアクセプターシグナルの比率を取り、10,000を掛けることによって決定される。平衡は、蛍光活性が減衰し始める前の読み取り値がプラトーになる時点で定義される。次に、平衡値は、グラフ作成プログラムGraFit(Erithacus Software)を使用して、単一部位結合を仮定した標準平衡方程式に適合する。
【数1】
【0378】
[0409] 図3に示すように、分析における「自社」IL-7のKは5.44nMであり、これは以前の分析で見られたもの(6.6nM)と同等である。自社IL-7の活性は、10倍過剰のタグなしIL-7(R&D biosystems製)と部分的に競合する。しかし、ベンダーの活性は完全に競合している。結合の測定に使用されるBiolegendsIL-7と同様に、自社で産生したIL-7は非標識IL-7よりも強力である可能性がある。
【0379】
[0410] さらに、IL-7変異体S1をIL-7Rαへの結合について試験し、WTと比較した。WT及びIL-7変異体S1のKd値は、それぞれ20.2nM及び34.8nMであった(図4)。S1変異体は受容体に対する親和性が低いようであり、適合はそれほどクリーンに見えない。注目すべきことに、この分析はα受容体のみが存在する状態で行われた。受容体γに効果があるかどうかを確認するには、この受容体鎖を使用して分析を実施する必要がある。20倍過剰の非標識IL-7による完全な競合は観察されなかった。
【0380】
実施例12-受容体γを有する又は有しないIL-7RαへのIL-7の結合
[0411] 自社で調整したrIL-7の結合を、市販のIL-7の結合と比較した。2セットの条件を比較した:(1)(+)20nM受容体γがある場合、及び(2)(-)受容体γがない場合。図5に示されるように、γ受容体の存在下で見かけの親和性の5倍の増加が見られた。γ受容体なしで測定されたKは12.13nMであり、以前の分析(6nM)よりも高かった。γ受容体の存在下での親和性の増加が予想された。データを適合させるために使用されたモデルは、γ及びβが1つの結合ユニットとして機能する、より単純化された結合モデルを仮定していた。
【0381】
[0412] 表3及び図5は、IL-7受容体結合効率の概要を提供する。
【0382】
【表3】
【0383】
[0413] 出願に引用されている米国又は外国の全ての参考文献、特許又は出願は、その全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合、本明細書に文字通り開示された資料が優先される。
【0384】
[0414] 前述の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、その精神及び範囲から逸脱することなく、本発明を様々な使用法及び条件に適合させるために様々な変更及び修正を行うことができる。
【0385】
実施例13-IL-15構築物の設計
[0415] 以下の実施例の目的は、ヒトIL-15の点変異体を生成し、構造的/機能的に特徴づけることであった。
【0386】
[0416] 以下に記載されるように、15個のIL-15変異体(表4)が生成され、それらの活性が試験され、市販のものと自社で生成したものの両方の野生型(WT)IL-15と比較された。
【0387】
[0417] IL-15構築物は、IL-15/IL-15Rα/IL-15Rβ/γc結晶構造に対して設計され、N末端タグを有するよう設計された。IL-15野生型又は変異体の遺伝子配列は、N末端にNdeI部位、C末端にXhoI部位を有するGenScriptによってカスタム合成された。次に、GenScriptによる標準的な分子生物学の手順を使用して、配列を発現ベクターpET-28a(+)-TEVにクローニングし、IL-15は6xHisタグ及びN末端TEVプロテアーゼ切断部位を有していた。OneShot(商標)BL21Star(商標)(DE3)Chemically Competent E. coli(ThermoFisher Scientific、C601003)での形質転換及び小規模発現は、製造元提供のプロトコルを使用して実行した。この発現系は、本明細書に開示されるIL-15及びIL-15変異体を産生するために使用され得る。
【0388】
[0418] IL-15Rαの親和性はすでに非常に高かったため、変異体はIL-15Rβ及び/又はγ界面にあった。変異M3及びM4については、それぞれ回収率が低いか、又は回収されなかったが、他の変異体は精製され、0.65~3.1mgの範囲で回収された。
【0389】
[0419] 以下の表は、以下に記載のアッセイにおける発現された変異体及びそれらの活性の概要である。
【0390】
【表4】
【0391】
実施例14-大腸菌(E. coli)におけるIL-15変異体の産生
[0421] 15個のIL-15変異体が同定され、合成のために選択された。
【0392】
[0422] IL-15変異体M6~M15の場合、大腸菌(E. coli)中のIL-15発現は、200μLのBugBusterマスターミックスバッファー及び35μLのLDSサンプルバッファー及び溶解後の不溶性部分用の5μlの還元剤と共に使用した、1mLのIPTG誘導培養からのペレットを使用した小規模培養で実証された。次に、IL-15変異体の発現を、溶解用の200μlのBugBusterマスターミックスバッファー及び45μlのLDSサンプルバッファー及び溶解後の不溶性部分用の5μlの還元剤を使用した、1mLのIPTG誘導培養からのペレットを使用したスケールアップ培養で試験した。
【0393】
実施例15-事前に最適化されたIL-15のスケールアップ発現
[0423] 新鮮な形質転換プレートから、単一の大腸菌(E. coli)コロニーを適切な抗生物質を含む100mlのTB(Terrific broth)に接種し、培養物を、250rpm、37℃で一晩、振とうインキュベーターに入れた。翌朝、培養物を4Lフラスコ内の900mlの新鮮なTBに加え、600nmでの吸光度(A600)が0.6~0.8に達するまで37℃で増殖させた。次に、IPTG(イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド)を最終濃度が0.5mMになるように添加し、インキュベーションを3~5時間継続した。9,000xgで10分間、4℃で遠心分離することにより細胞を回収した。上清を廃棄し、精製前にペレットを-80℃に保った。この発現系は、本明細書に開示される他のIL-15変異体を産生するために使用され得る。
【0394】
実施例16-ヒトIL-15のExpiCHO発現
[0424] ExpiCHO発現システムキット(ThermoFisher #A29133)を使用して、ヒトIL-15タンパク質(IL-15 WT(自社His))を発現させた。ExpiCHO-S細胞の1つのバイアルを解凍し、30mlの予熱したExpiCHO発現培地を含む125mlのベントキャップシェーカーフラスコに加えた。細胞を、振とう速度130rpm(19mmの振とう直径)のオービタルシェーカープラットフォーム上、相対湿度が80%以上、COが8%の37°Cのインキュベーター内で、3日間インキュベートした。細胞密度及び生存率をモニターし、3日目又は4日目に4×10~6×10生細胞/mlに達したときに細胞を継代培養した。3回の継代培養後、トランスフェクション前に細胞を3×10~4×10細胞/mlに分割した(-1日目)。トランスフェクションの日(0日目)に、細胞の密度は7×10~1×10生細胞/mlに達し、生存率は95~99%であった。細胞を、予め温めておいた新鮮なExpiCHO(商標)発現培地で最終密度6×10生細胞/mLに希釈し、フラスコを穏やかに回転させて細胞を混合した。ExpiFectamine(商標)CHO/プラスミドDNA複合体を調製するために、1mg/mlのIL-15発現プラスミド(Genscript、pcDNA3.4 TOPOベクター)80μlを1.5mlの滅菌マイクロフュージチューブ内の4mlのOptiPRO培地に添加し、転倒混和した。640μlのExpiFectamineCHO試薬を別の滅菌マイクロフュージチューブ内の7.36mlのOptiPRO培地に添加し、転倒混和した。次に、4mlの希釈したExpiFectamineCHO試薬を希釈したIL-15に加え、転倒混和した。ExpiFectamineCHO試薬/プラスミドDNA複合体を室温で1~5分間インキュベートした後、2mlの複合体をゆっくりと振とうフラスコに移し、移す間、フラスコを穏やかに回した。フラスコを、振とう速度130rpmのオービタルシェーカープラットフォーム上、相対湿度が80%以上、COが8%の37℃のインキュベーターに戻した。トランスフェクションの翌日(1日目)に、ExpiFectamine(商標)CHOエンハンサー及びExpiCHO(商標)フィードを直ちに事前混合し、標準プロトコルのためにフラスコに加えた。添加中、フラスコを穏やかに回し、次に、振とう速度130rpmのオービタルシェーカープラットフォーム上、相対湿度が80%以上、COが8%の37℃のインキュベーターに戻した。細胞を8~10日間培養し、細胞の生存率をモニターしたところ、生存率はタンパク質の回収時に75%を超えていた。回収のために、細胞培養上清を冷蔵遠心分離機で、4000~5000xgで30分間遠心分離し、次に上清を0.22μmフィルターでろ過した。上清を精製のために送り、発現をクーマシーブルー染色及びウエスタンブロットによって決定した。ExpiCHO発現システムでIL-15の発現が実証されたが、IL-15タンパク質は精製及び試験されていない。本明細書に開示される全てのIL-15変異体構築物は、大腸菌(E. coli)系で産生及び精製され、例えば、PSTAT、増殖、及び結合アッセイで試験された。
【0395】
実施例17-チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞におけるIL-15の産生
[0425] 特定のタンパク質を合成する場合、パートナー構築物のグリコシル化及び正しいジスルフィド結合の形成が重要になり得、これは、哺乳動物の発現システム(CHO)で同定された変異体を発現させる必要もある。ExpiCHO(商標)発現システム(ThermoFisher)を使用して、CHOの変異体タンパク質の評価を行った。トランスフェクトされたサンプルには、WT IL-15(GenScript)、及びExpiCHO(商標)発現システムに付属の対照(抗体発現陽性対照ベクター)が含まれていた。
【0396】
[0426] このために選択されたプロトコルは、選択された発現システムで使用するための標準プロトコルであり、各サイトカインを3つの別々のフラスコで培養する必要があった。合計7つのサンプルについて、追加の抗体対照も含まれている。アッセイは、250mLフラスコ内で、およそ35mLの容量で10日間実施し、8、9、及び10日目に回収した。
【0397】
[0427] 分析用にタンパク質を回収するために、サンプルを4000rpmで30分間、4℃で遠心分離した。上清をろ過して4℃で保存し、ペレットを廃棄した。
【0398】
[0428] 合成用に選択されたサンプルには、8日目に回収されたWTIL-15(GenScript);9日目に回収されたWTIL-15(GenScript);及び10日目に回収されたWTIL-15(GenScript)が含まれていた。ウエスタンブロット分析は、+抗体対照とともに8日目からのサンプルでも実施された。ExpiCHO(商標)培地中のサンプルでIL-7の良好な発現が確認された。8日目に回収された培養物はより明るいバンドを示し、したがって、CHO細胞でより多く発現した。IL-15のバンド強度は低かったが、IL-15の発現も確認され、サイズは予想より大きかった。この発現系及び分析プロトコルは、本明細書に開示される他のIL-15変異体を産生するために使用され得る。
【0399】
実施例18-COS-7細胞の一過性トランスフェクション
[0429] 1.0×10のCOS7サル腎細胞を、トランスフェクションの18~24時間前に、96ウェルプレートのウェルあたり10%のウシ胎児血清、100単位/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシン、30mg/mlのグルタミン、及び50mMの2-メルカプトエタノール(完全培地)を含有する、体積100μlのRPMI1640培地でプレーティングした。トランスフェクションの日、細胞は約75%コンフルエントであった。IL-15受容体βサブユニット及びγサブユニットの一過性コトランスフェクションのために、90mLの無血清MEM培地を96ウェルV底プレートのウェルに添加した。500ngのIL-15受容体β発現プラスミド(Genscript)及び500ngのIL-15受容体γ発現プラスミド(Genscript)を培地に添加し、混合した。6:1のViaFectトランスフェクション試薬(Promega #E4981):DNA分配の場合、6.0μLのViaFectを加えて合計100μLの体積にし、直ちに混合した。ViaFect:DNA混合物を室温で5~20分間インキュベートした後、ウェルあたり10μlのViaFect:DNA混合物を、増殖培地に100μLの細胞を含有する96ウェルプレートに加えた。プレートをピペッティングにより穏やかに混合し、24~72時間インキュベーターに戻した。同時トランスフェクション効率は、フローサイトメトリー及びウエスタンブロットによってモニターされた。
【0400】
実施例19-結合アッセイのためのCos-7細胞におけるIL-Rα及びIL-2Rγの過剰発現
[0430] トランスフェクションの最適化を実施し、トランスフェクション効率を蛍光活性化セルソーティング(FACS)で検証した。最適化パラメーターには、使用するプラスミドの量、プラスミドとトランスフェクション試薬の比率、及びタンパク質発現の時間経過が含まれた。
【0401】
[0431] ViaFectトランスフェクション試薬(Promega #4981)を使用して最適化を行った。トランスフェクションViaFect試薬対DNAの比率は6:1であった。96ウェルプレートのウェルあたり50ngのDNAを、IL-7Rα、IL-2Rγ、又はIL-2Rβの単一トランスフェクションに使用し、(1)12.5ng+12.5ng;(2)25ng+25ng;(3)50ng+50ngのDNAを、IL-7Rα/IL-2Rγ又はIL-2Rβ/IL-2Rγのコトランスフェクション実験に使用した。FACSモニタリングは、トランスフェクションの1、2、及び3日後に実施された。図6に示すように、Cos-7細胞におけるIL-7Rα及びIL-2Rγの共発現は、22%~27%の二重陽性細胞を産生した。
【0402】
実施例20-IL-15バリアントのリフォールディング及び精製
[0432] 約3Lの振とうフラスコ培養物からのHis6タグ付きIL-15を含有する凍結大腸菌(E. coli)細胞ペーストを解凍し、組織ホモジナイザーを使用して、溶解緩衝液(20mM Tris-HCl、pH8.0)に15~20mL/g細胞ペレットの比率で懸濁した。細胞を懸濁した後、1MのMgClストックから1mMのMgClを添加し、500ユニットのBenzonase(商標)(Sigma E1014)を添加した。細胞溶解は、15~20,000psiで、2回のパスでAvestin C3装置を使用して実行された。溶解物を12,000xgで30~50分間、室温で遠心分離した。上清をデカントして廃棄した。細胞の破片及び封入体ペレットを水で洗浄して、より密度の高い封入体ペレットから最上層を除去した。
【0403】
[0433] 組織ホモジナイザーを使用して、ペレットを150~200mLの6Mグアニジン-HCl、20mMのTris、pH8.0、5mMのDTTに懸濁した。この可溶化タンパク質溶液に、Ni++アガロース(GoldBio H-350)を十分に添加して、1mLの沈降床体積を生成した。Ni++アガロースへのバッチ結合のために、タンパク質をロッキングプラットフォームに一晩置いた。翌朝、アガロースビーズを1000xgで15分間ペレット化した。上清を廃棄し、ビーズを直径1.5cmの点滴カラム(Pierce #89898)に注いだ。ビーズは、15~20mLのバッファーを使用して、8Mの尿素、20mMのTris、pH8.0、1mMのDTTで洗浄した。IL-15タンパク質は、3.5mLの8M尿素バッファー+200mMイミダゾール(GoldBio I-902)を使用してカラムから溶出した。溶離液中のタンパク質濃度は、5.77のE1%を使用してUV吸光度スペクトルからA280で計算された。この総タンパク質の値を使用して、リフォールディングバッファー(0.1M Tris-HCl、0.5Mグリシン、1mM酸化型グルタチオン、10mM還元型グルタチオン、pH8.0、4℃)の体積を計算して、0.1mg/mLのIL-15タンパク質濃度を得た。Ni++アガロースプールを、急速に撹拌されているリフォールディングバッファーにゆっくりと加えた。溶液をペーパータオルで覆い、4℃で65~90時間置いた。完了したリフォールド反応は、5kD又は10kDのカットオフスピン濃縮器(Vivacell 100又はAmicon Ultracel)を使用して4~9mLに濃縮した。濃縮したタンパク質を、平衡化したSuperdex 75サイズ排除カラム(1.6cm×90cm)に適用し、Ca++、Mg++を含まないダルベッコPBSで、1mL/minで実行した。2mLの画分を収集した。IL-15のピークは、UV吸光度検出器によって識別され、典型的には、105mlの溶出量に集中していた。このプールは、A280の吸光度で測定して1~2mg/mLに濃縮され、4℃で保存された。これらの方法は、本明細書に開示される他のIL-15変異体を精製するために使用され得る。
【0404】
実施例21-ヒト末梢血単核細胞(PBMC)pSTAT5(Tyr694)アッセイにおけるIL-15及びそれらの変異体の活性
[0434] ヒト末梢血単核細胞(自社生成)を、135μLの培地(10%熱不活化血清及び47μMの2-メルカプトエタノール及び10μMのHEPESを含むRPMI1640)中、175,000細胞/ウェルでV底96ウェルプレートにプレーティングした。サイトカイン曲線を作成する間、細胞プレートを37℃のインキュベーターに置いた。サイトカインは、前述の冷RPMI培地を使用して96ウェルプレートで段階希釈した。IL-15(又は変異体)サンプルは、100,000 pg/mLから開始して、1:3希釈、11pt+ゼロサイトカイン(未刺激)に段階希釈した。hPBMCの刺激は、37℃で振とうしながら、ウェルあたり15μLの希釈サイトカインを使用して10分間実施した。「未刺激」と呼ばれるウェルは、15μLの培地のみを受けた。プレートを直ちにプレートシールで密封し、細胞を400×gで5分間ペレット化した。マルチチャンネルアスピレーターを使用して、ウェルから培地を除去した。75μLの冷MSDで調製した溶解バッファーを直ちにウェルに加えた。プレートを4℃で少なくとも30分間、振とうしながら置いた。MSDキットの指示(カタログ番号K150IGD)に従って、pSTAT5を検出した。データを表4に示す。
【0405】
実施例22-細胞機能分析
[0435] IL-15変異体のJAK1,3/STAT5シグナル伝達を評価した。特に、pSTAT5リン酸化は、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を含む研究対象の細胞株で評価された。
【0406】
[0436] JAK1,3/STAT5シグナル伝達を評価するためのプロトコルは、次のとおりであり、上記のとおりである。
1.凍結したPBMCを素早く解凍し、アッセイ培地で細胞を10mLに希釈し、125xgで5分間ペレット化する。
2.細胞をアッセイ培地に再懸濁し、96ウェルプレート(ウェルあたり約200,000細胞)のv底プレートに135μl/ウェルでプレーティングする。
3.サイトカインを調製している間、細胞プレートを37℃で置く。
4.氷上で、IL-15構築物を希釈する。IL-15には100,000pg/mLの最終希釈液を使用した。1:3希釈で、サイトカイン対照なしで11ポイントの曲線を使用した。
5.15μLのサイトカイン希釈液を細胞に加える。37℃のインキュベーター内の振とう器に10分間置く。
6.10分後、5分間の遠心分離によって、合計15分間、細胞をペレット化する。培地を吸引し、75μLの冷MSD溶解バッファーで細胞を溶解し、4℃のシェーカーに30分間置く。
7.溶解の完了後、pSTAT5のMDSプロトコルに従って、未希釈の溶解物を分析に使用する。
8.アッセイ読み取り:MSD Multi-Spot Assay System/Phospho-STAT5a,b(Tyr694)
9.対照/プレート、IL-15:
R&D SystemsのrhIL-15、2回実行
自社のrhIL-15 WT、2回実行
【0407】
[0437] 上記のプロトコルを使用して生成されたデータの要約が表4及び図7に提供される。WT IL-15 SEC精製画分6は、図8に示されるように、ヒトPBMCにおけるpSTAT5アッセイにおいて活性を示した。さらに、M2(N72R)及びM5(N79S)のサイトカイン活性の例示的な曲線が、それぞれ図9及び図10、並びに以下の表5に提供されている。商業的供給源から得られた野生型IL-15及び大腸菌(E. coli)で自社産生した野生型及び様々な点変異体のIL-15は全て、76~836pg/mLの範囲のEC50値で濃度的に経路活性化の読み取りとしてSTAT5リン酸化を誘導した。
【0408】
【表5】
【0409】
実施例23-細胞増殖アッセイ
[0439] 2つの異なる試薬(CCK-8及びAlamar Blue)を試験して、IL-15刺激に応答したマウス2E8細胞の増殖をアッセイするための最適な条件を決定した。2つのアッセイの感度に基づいて、M-07e細胞でさらにアッセイを発展させるためにAlamar Blue試薬が選択された。組換えヒトIL-15に応答したM-07e細胞の増殖を以下に説明する。
【0410】
[0440] マウスIL-15(mIL-15)とヒトIL-15(hIL-15)を比較した12ポイントIL-15用量反応につき、M-07e細胞におけるAlamar Blue増殖アッセイの細胞増殖プロトコルは、次のとおりであり、以下でさらに説明する。
5.M-07e細胞を適切な培地(例えば、DPBS)で3回洗浄し、IL-15を含有しない100μLの培地中、96ウェルプレートに1×10細胞/mLでプレーティングする。最も内側の60個のウェルのみが使用され、エッジ効果を最小限に抑えるために、外側のウェルには200μLのDPBSが充填されている。
6.100μLのmIL-15又はhIL-15を反復添加して、0.0006~100ng/mLの範囲の濃度とする。
7.72時間のインキュベーション後、25μL/ウェルのAlamar Blue溶液を加え、プレートを37℃でインキュベートする。
8.20時間後に蛍光(530ex/590em)を読み取る。
【0411】
実施例24-組換えヒトIL-15に応答したM-07e細胞の増殖
[0441] 組換えヒトIL-15の活性は、M-07eヒト急性巨核芽球性白血病細胞を使用した増殖アッセイで測定された。M-07e細胞(DSMZ カタログ番号ACC104)は、ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン(P/S/G)及び組換えヒトGM-CSF(R&D Systems カタログ番号215-GM-010)を10ng/mlで添加したRPMI 1640+10%熱不活化FBSで増殖及び継代培養した。増殖アッセイでは、細胞を150xgで5分間遠心分離して、GM-CSFを含有する増殖培地を除去した。RPMI 1640+10%熱不活化FBS及びP/S/G(アッセイ培地)を含有する培地で細胞を3回洗浄した後、アッセイ培地で4時間サイトカインを飢餓させた。4時間の終わりに、細胞を96ウェル平底プレートに45,000細胞/ウェルで150μLのアッセイ培地にプレーティングし、組換えヒトIL-15(野生型又は様々な変異体)を、アッセイ培地中、50μLの4xワーキングストック溶液として添加した。次に、細胞を37℃、5%COインキュベーターに72時間入れた。72時間の終わりに、細胞を400xgで5分間遠心分離し、100μLの培地を除去した。細胞を100μLのCellTiter-Glow(商標)試薬(Promegaカタログ番号G7570)で5分間溶解した。次に、プレートを室温で5~10分間インキュベートして、発光シグナルを安定化した。50μLの溶解物を不透明壁の96ウェルプレートに移し、プレートリーダーを使用して発光を記録した。データを表4に示す。
【0412】
実施例25-IL-15 TR-FRETリガンド-受容体結合アッセイ
[0442] IL-15結合親和性は、組換えIL-15及びIL-2受容体-β(IL-2Rβ)の濃度範囲でTR-FRET蛍光シグナルを測定することによって決定される。PBS(pH7.4)+0.05%BSA及び0.005%Tween-20のバッファー中、200nM TR-FRETアクセプター結合α6-his IgG(Perkin Elmer # TRF0105-M)、100nM TR-FRETドナー結合α-ヒトIgG(Perkin Elmer # AD0074)、組換え6-hisタグ付きIL-15野生型又は変異体バリアント(最大200nMの濃度)、及び組換えFcタグ付きIL-2Rβ(Sino Biologicals # 10696-H02H)(最大100nMの濃度)の5xストックを作製する。試験する各サンプルについて、4μLのα6-hisIgG結合アクセプターの5xストックを、4μLのIL-15の5xワーキングストックと混合する。これとは別に、各サンプルについて、α-ヒトIgGに結合した4μLの5xTR-FRETドナーを、Fcドメインに結合した4μLの組換えIL-2Rβの5xワーキングストックと混合する。混合物を室温で30分間インキュベートする。インキュベーション中に、3μg/ml Fcブロック(BD Pharmingen # 564220)の5xストックを調製する。30分間のインキュベーション後、4μLの5xFcブロックをIL-2Rβ/α-ヒトIgGの各サンプルに加え、室温でさらに15分間インキュベートする。インキュベーション中、8μLのα6-his結合アクセプター/IL-15ミックスは、384ウェルの浅い黒色ProxiPlate(Perkin Elmer # 6008260)の指定されたウェルに分配される。15分間のインキュベーション後、12μLのα-ヒトIgG結合ドナー/IL-2Rβ/Fcブロック混合物を、適切な濃度のIL-15+アクセプターを含有する指定のウェルに入れる。プレートを直ちに750rpmで30秒間回転させ、直ちにPHERAstarプレートリーダー(BMG Labtech)に入れて、TR-FRETシグナルを読み取る。次の30分間連続して、ドナーシグナル(337nM励起/620nM発光)及びアクセプターシグナル(337nm励起/655nm発光)の蛍光を読み取る。TR-FRET結合シグナルは、ドナーシグナルに対するアクセプターシグナルの比率を取り、10,000を掛けることによって決定される。平衡は、蛍光活性が減衰し始める前の読み取り値がプラトーになる時点で定義される。次に、平衡値は、グラフ作成プログラムGraFit(Erithacus Software)を使用して、単一部位結合を仮定した標準平衡方程式に適合する。
【数2】
【0413】
[0443] 変異体IL-15タンパク質のIL-15Rβへの結合は、TR-FRET(上記)を使用して評価した。同じアッセイで市販IL-15と自社IL-15を直接比較すると、商業的供給元(Sino Biologicals;ベンダーIL-15)から入手した組換えIL-15は、自社産生の組換えIL-15と同じ活性を有することがわかった。図11に示すように、「変換係数」は、アッセイが測定するもの(TR-FRET比)とリガンド:受容体複合体の濃度との間の線形関係を示す。この実験では、2つのサンプルセットは、独立して分析した場合、ほぼ同等の変換係数を有していた。結合活性の最も直接的な測定値はKdであり、2つのサンプルは互いに20%以内のKd値を示した(10.3nM対12.4nM)。また、活性は12.5倍過剰のタグなしIL-15と競合していることにも注目した。
【0414】
[0444] IL-15変異体M2(N72R)及びM5(N72S)は、IL-2Rβへの結合について試験し、WTと比較した。WT Kdは0.95nMであると決定された一方、変異体M2及びM5のKd値は、それぞれ31.36nM及び2.63nMであった(図12)。これらのデータは、変異体M5がWT IL-15と同じ親和性を有する一方、変異体M2はWTよりも約3倍弱いことを示唆している。注目すべきことに、結合親和性が弱いか、又はタンパク質の安定性が低いかを区別することはできない。注目すべきことに、これはβ受容体のみが存在する状態で行われた。
【0415】
[0445] M5変異体(N79S)は、完全に無害な陽性対照であることが意図された。N79S変異はグリコシル化部位を除去するため、大腸菌(E. coli)はCHOで産生されるタンパク質と同一のタンパク質を産生できる。これは、サイトカインのグリコシル化が、結果として生じるタンパク質の活性に影響を与えないためである。M5はWT構築物とほぼ同等であるようであり、これは設計仮説をサポートする。グリコシル化は、分子量(MW)を増加させて排出を減少させるのに役立ち得るが、この分野ではさらなる研究が必要である。
【0416】
[0446] M2(N72R)変異体は、約1%のWT活性として報告されたが、予測では、この変異体はWTと同等であるはずであることが示された。N72R変異は、WT構築物とほぼ同等の効力があるようである。しかし、変異体を試験するための実行では、特に上部で、完全な曲線は示されなかった。N72R変異体は、最高用量で完全応答を示すようである(部分アゴニストとは対照的に、より低活性)。報告された変異体は、本発明とは異なり、融合構築物であった。
【0417】
[0447] 試験した他の3つの変異体(N72Y、N79E)は、Niカラムへの結合が不十分で、回復も不十分であったが、発現は良好に見えた。N72D変異体は、Altor Bioscienceの「スーパーアゴニスト」変異である(Zhu et al., J Immunol 183:3598-3607, 2009;Liu et al., J Biol Chem 291:23869-91, 2016)。
【0418】
実施例26-受容体γを有する又は有しないIL-15RβへのIL-15の結合
[0448] 受容体γに効果があるかどうかを確認するために、自社で調製したrIL-15を使用して2セットの条件を比較した。試験した2つの条件は、(1)(+)20nM受容体γがある場合、及び(2)(-)受容体γがない場合である。図13に示されるように、γ受容体の存在下で見かけの親和性の8倍の増加が見られた。γ受容体なしで測定されたKは28.5nMであり、以前の分析(10nM)よりも高かった。γ受容体の存在下での親和性の増加が予想された。データへの適合は望ましいほど強くはなく、これらの結果を検証するにはさらなる調査が必要である。最高の受容体濃度での適合は、低濃度よりもロバストではないようである。データを適合させるために使用されたモデルは、γ及びβが1つの結合ユニットとして機能する、より単純化された結合モデルを仮定している。
【0419】
[0449] 表6は、IL-15受容体結合効率の概要を提供する。
【0420】
【表6】
【0421】
実施例27-IL-15-125I標識受容体-リガンド結合アッセイ
[0451] IL-15結合は、IL-2Rβ受容体を含有する膜抽出物への結合において125I標識IL-15と競合する非標識組換えIL-15(wt又は変異体)の能力を定量化することによって決定される。膜抽出物は、1.0×10~1.5×10細胞/mlの密度に増殖した細胞株M-07e(DSMZ # ACC 104)から得られる。Mem-PER(商標)Plusタンパク質抽出キット(Thermo Fisher Scientific # 89842)を使用して、約7.5×10個の総細胞を抽出のために沈降させる。総タンパク質濃度は、Pierce(商標)BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Fisher Scientific # 23225)を使用して決定される。試験する各ウェルについて、1.5μgのM-07e膜抽出物を、0.25mgのWGEPVT SPAビーズ(Perkin Elmer # RPNQ0001)とともに4℃で最終容量20μLx実験ウェル数(過剰容量はPBS pH7.4+0.1%BSA)で、4時間~一晩インキュベートする。インキュベーション後、膜結合ビーズを1mlのPBS/BSAで2回洗浄し、最終容量の実験ウェル数x50μLのPBS/BSAに再懸濁する。96ウェル白色OptiPlates(Perkin Elmer # 6005290)に、プレート上の指定ウェルに4倍の指定濃度でPBS/BSA中の25μLの非標識IL-15を添加する。次に、25μLの125I標識IL-15(IL-15は、Sino Biological # 10360-H07E;125I標識は、Perkin Elmer # CusReag1)を3.6nM(5nCi/μl)の4倍濃度で各ウェルに添加する。結合を開始するために、膜に結合した50μLのビーズを各ウェルに加え、ピペッティングで混合する。室温で2時間インキュベートした後、プレートを750rpmで5分間回転させる。次に、125I標識IL-15の結合を、TopCountシンチレーションカウンター(Hewlatt Packard)で測定する。結合親和性は、4パラメーターIC50カーブフィッティング方程式を使用してIL-15組換えタンパク質バリアントのIC50値を決定するために、カーブフィッティンググラフ作成プログラムGraFit(Erithacus Software)を使用して決定された。
【数3】
【0422】
[0452] 前述のプロトコル及びそのバリアントは、IL-15及びその変異体の競合的受容体結合を評価するために使用され得る。一部のIL-15変異体は、野生型と同等以上の親和性で受容体に結合すると予想される。
【0423】
[0453] 図14は、M-07e膜抽出物のウエスタンブロットを示す。M-07eは、IL-15に応答する細胞株である。この細胞株は、IL-15の125I標識結合のための受容体の優れた供給源である。受容体のβ及びγサブユニットの両方を試験し、同じブロットを再プローブした。図に示すように、予想されるサイズの組換えバンドが両方の画像で見られる。α-γ抗体の画像はバンドを示さないようであったが、α-βプローブは予想されるMWで淡いバンドを示した。最も低い組換えタンパク質バンドは、50fmolのタンパク質を表す。125Iを使用すると、200fmol/mgの低さで検出できるはずである。受容体タンパク質の列にあるものより10倍小さい淡いバンドは、依然として1000fmol/mgを表すはずである。受容体の濃度が低いにもかかわらず、125I結合がアッセイで検出するには十分である可能性がある。
【0424】
[0454]
実施例28-開示されるアミノ酸配列
【0425】
【表7】
【0426】
【表8】
【0427】
【表9】
【0428】
【表10】
【0429】
【表11】
【0430】
【表12】
【0431】
実施例30-抗CD47融合タンパク質
[0456] 本明細書に開示される融合ポリペプチドは、それぞれヒトカッパ又は任意のヒトFc IgG定常ドメインと組み合わされた、ヒト重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。抗体軽鎖又は抗体重鎖のC又はN末端のいずれかにあるグリシン-セリンリンカー(G4S)nは、IL-7(野生型又は変異体)を抗体ポリペプチドに結合するように設計された。これらの融合構築物は、分泌シグナルを組み込むように設計され、哺乳動物の発現システムにクローン化され、抗体融合タンパク質を生成するためにCHO細胞にトランスフェクトされる。タンパク質バリアントが発現され、培地に分泌され、プロテインAレジンを使用して精製された。
【0432】
[0457] 抗CD47融合タンパク質の一部は、第1のポリペプチド重鎖及び第2のポリペプチド軽鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、免疫グロブリンの重鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン、重鎖の定常領域(C)、及び(ii)重鎖の定常領域(C)のC末端に融合した改変/変異体IL-7又は改変/変異体IL-15配列を含み;第2のポリペプチド鎖は、免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域及び(ii)軽鎖の定常領域(C)を含む。
【0433】
[0458] 抗CD47融合タンパク質の一部は、第1のポリペプチド重鎖及び第2のポリペプチド軽鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、免疫グロブリンの重鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン、及び重鎖の定常領域(C)を含み、第2のポリペプチドは、免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域、軽鎖の定常領域(C)、及び重鎖の定常領域(C)のC末端に融合した改変/変異体IL-7又は改変/変異体IL-15配列を含む。
【0434】
[0459] 抗CD47融合タンパク質の一部は、第1のポリペプチド重鎖及び第2のポリペプチド軽鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、免疫グロブリンの重鎖可変ドメイン(V)の結合領域を含む第1のドメイン、及び重鎖の定常領域(C)を含み、第2のポリペプチドは、軽鎖可変ドメインの結合領域のN末端に融合した改変/変異体IL-7又は改変/変異体IL-15配列、及び軽鎖の定常領域(C)を含む。
【0435】
[0460] 抗CD47融合タンパク質の一部は、第1のポリペプチド重鎖及び第2のポリペプチド軽鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、免疫グロブリンの重鎖可変ドメイン(V)の結合領域のN末端に融合した改変/変異体IL-7又は改変/変異体IL-15配列、及び重鎖の定常領域(C)を含み、第2のポリペプチドは、免疫グロブリンの軽鎖可変ドメイン(V)の結合領域及び軽鎖の定常領域(C)を含む。
【0436】
[0461] 一実施形態において、改変/変異体IL-7配列及び抗CD47融合タンパク質のV又はCドメインは、GGGGSの反復配列を有する短いリンカーによって分離され得、短いリンカーは、(GGGGS)nとして表すことができ、nの値は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20である。リンカーは、各結合ドメイン間の立体障害を最小限に抑えるのに十分な長さである必要がある。いくつかの実施形態において、リンカーは、グリシン及び/又はセリンである。
【0437】
[0462] 別の実施形態において、改変/変異体IL-15配列及び抗CD47融合タンパク質のV又はCドメインは、GGGGSの反復配列を有する短いリンカーによって分離され得、短いリンカーは、(GGGGS)nとして表すことができ、nの値は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20である。リンカーは、各結合ドメイン間の立体障害を最小限に抑えるのに十分な長さである必要がある。いくつかの実施形態において、リンカーは、グリシン及び/又はセリンである。
【0438】
[0463] 第1の重鎖融合ポリペプチド及び第2の軽鎖融合ポリペプチドを含む抗CD47融合タンパク質は、本明細書に記載され、限定されない当技術分野で公知の方法を使用して、表7に開示されている改変/変異体IL-7又は改変/変異体IL-15配列により構築することができる。
【0439】
実施例31-抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質は組換えヒトCD47に結合する
[0464] 細胞上に発現するヒトCD47への抗CD47-IL-7融合タンパク質、抗CD47-IL-15融合タンパク質及び抗CD47mAbの結合をインビトロで測定する。組換えCD47へのインビトロ結合では、His-CD47(AcroBiosystems)を4℃で一晩、高結合マイクロタイタープレートに吸収させる。ウェルは洗浄され、ブロックされ、増加する濃度の抗CD47-IL-7融合タンパク質、抗CD47-IL-15融合タンパク質、抗CD47抗体(対照)、又は対照IgG抗体(対照)は、1時間にわたりウェルに添加される。ウェルを洗浄し、次に、HRP標識二次抗体と1時間インキュベートした後、洗浄し、ペルオキシダーゼ基質を添加して成長させる。
【0440】
抗CD47-IL-7融合タンパク質は、濃度依存的に、抗CD47抗体(対照)と同様の親和性でHis-CD47に結合すると予想される。陰性対照IgG抗体は、His-CD47に結合しないと予想される。
【0441】
表7に開示されるように、改変/変異体IL-15で構築された抗CD47-IL-15融合タンパク質は、濃度依存的に、抗CD47抗体及び実施例30に記載の抗CD47-IL-7融合タンパク質と同様の親和性でHis-CD47に結合することが予想される。
【0442】
実施例32-抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質はT細胞におけるSTAT5リン酸化を活性化する
抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質がインビトロでのPBMC由来T細胞におけるpSTAT5活性に及ぼす効果を評価するために、フローサイトメトリーを使用した以下の方法が採用される。
【0443】
ヒト-PBMCは、ヒト末梢血の白血球アフェレーシスによって得られ、10%ウシ胎児血清(BioWest;カタログ番号S01520)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Corning、カタログ番号30-001-CI)を含むRPMI(Corning、カタログ番号10-104-CV)の組織培養グレードフラスコで、37℃で一晩培養される。インビトロpSTAT5刺激アッセイでは、200μLのRPMI培地あたり1~3×10のPBMCを、96ウェルの組織培養処理プレートにウェルごとにプレーティングする。融合タンパク質の11倍段階希釈系列(0.04~30μg/mL)をPBMC培養物に添加し、37℃で15分間インキュベートする。細胞を氷冷PBSで1回洗浄し、Fix Buffer 1(BD Phosflow、カタログ番号557870)で固定する。PBMCを染色バッファー(PBS+1%FBS)で2回洗浄し、Perm Buffer III(BD Phosflow、カタログ番号558050)で透過処理した。細胞を染色バッファーで2回洗浄し、Brilliant-blue 515結合抗ヒトCD3抗体(BD Biosciences、カタログ番号564465)及び抗pSTAT5-PE(BD Biosciences、カタログ番号562077)で染色し、Attune NxTフローサイトメーター(Life Technologies)を使用したフローサイトメトリーにより、pSTAT5陽性のCD3陽性T細胞の割合を分析する。
【0444】
抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質は、濃度依存的にT細胞のSTAT5のリン酸化を増加させると予想される。
【0445】
改変/変異体IL-7で構築された抗CD47-IL-7融合タンパク質、表7に開示されるように改変/変異体IL-15で構築された抗CD47-IL-15融合タンパク質、抗CD47mAbとIL-7、IL-15、又はそれらの改変/変異体バリアントとの組み合わせは、濃度依存的にT細胞のSTAT5のリン酸化を増加させることが予想される。
【0446】
実施例33-抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質によるヒトT細胞におけるpSTAT5のトランス活性化
腫瘍細胞に結合した後の、インビトロでのPBMC由来T細胞のpSTAT5活性に対するCD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質の能力を評価するために、フローサイトメトリーを使用した以下の方法が採用される。
【0447】
ヒトCD47を過剰発現するOV10-315卵巣腫瘍細胞を96ウェルプレートに一晩プレーティングする。ヒト-PBMCは、ヒト末梢血の白血球アフェレーシスによって得られ、10%ウシ胎児血清(BioWest;カタログ番号S01520)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Corning、カタログ番号30-001-CI)を含むRPMI(Corning、カタログ番号10-104-CV)の組織培養グレードフラスコで、37℃で一晩培養される。抗CD47-IL-7又は抗CD47-IL15融合タンパク質の濃度を上げながら、OV10-315細胞と1時間インキュベートする。1%FBS含有するPBSで6回洗浄して未結合のタンパク質を全て除去した後、200μLのRPMI培地あたり1~3×10PBMCをウェルごとにプレーティングし、37℃で15分間インキュベートする。細胞を氷冷PBSで1回洗浄し、Fix Buffer 1(BD Phosflow、カタログ番号557870)で固定する。PBMCを染色バッファー(PBS+1%FBS)で2回洗浄し、Perm Buffer III(BD Phosflow、カタログ番号558050)で透過処理する。細胞を染色バッファーで2回洗浄し、Brilliant-blue 515結合抗ヒトCD3抗体(BD Biosciences、カタログ番号564465)及び抗pSTAT5-PE(BD Biosciences、カタログ番号562077)で染色し、Attune NxTフローサイトメーター(Life Technologies)を使用したフローサイトメトリーにより、pSTAT5陽性のCD3陽性T細胞の割合を分析する。
【0448】
融合タンパク質は、CD47発現腫瘍細胞に濃度依存的に結合した後、T細胞におけるSTAT5のリン酸化を増加させると予想される。
【0449】
表7に開示されているような、それぞれ改変/変異体IL-7又は改変/変異体IL-15、及び抗CD47mAbとIL-7、IL-15、又はそれらの改変/変異体バリアントとの組み合わせで構築される抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質は、濃度依存的に腫瘍細胞に結合した後、T細胞のSTAT5のリン酸化を増加させることが予想される。
【0450】
実施例34-T細胞の生存率における抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質の補助
抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質がインビトロでのPBMC由来T細胞の生存率に及ぼす効果を評価するために、フローサイトメトリーを使用した以下の方法が採用される。
【0451】
ヒト-PBMCは、ヒト末梢血の白血球アフェレーシスによって得られ、10%ウシ胎児血清(BioWest;カタログ番号S01520)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Corning、カタログ番号30-001-CI)を含むRPMI(Corning、カタログ番号10-104-CV)の組織培養グレードフラスコで、37℃で一晩培養される。インビトロ増殖アッセイでは、200μLのRPMI培地あたり1×10のPBMCを、96ウェルの組織培養処理プレートにウェルごとにプレーティングする。抗CD47-IL-7又は抗CD47-IL-15融合タンパク質の11倍段階希釈系列(0.04~30μg/mL)をPBMC培養物に添加し、37℃で4日間インキュベートする。培養完了前に、細胞を5-エチニル-2-デオキシウリジン(EdU、Invitrogen、カタログ番号C10634)とともに24時間インキュベートする。EdUは、Alexafluor 647ピコリルアジド試薬を使用して検出され、Brilliant-blue 515結合抗hCD3抗体(BD Biosciences、カタログ番号564465)で染色され、Attune NxTフローサイトメーター(Life Technologies)を使用したフローサイトメトリーによって分析される。
【0452】
抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質は、EdUインキュベーション期間中にDNAが合成された細胞の核における蛍光シグナルの蓄積に寄与し、生存率及び増殖の増加を示すことが予想される。
【0453】
表7に開示されているような、それぞれ改変/変異体IL-7又は改変/変異体IL-15、及び抗CD47mAbとIL-7、IL-15、又はそれらの改変/変異体バリアントとの組み合わせで構築される抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質は、EdUインキュベーション期間中にDNAが合成された細胞の核における蛍光シグナルの蓄積に寄与し、生存率及び増殖の増加を示すことが予想される。
【0454】
実施例35-T細胞の生存率における抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質の補助によるトランス活性化
腫瘍細胞に結合した後の、インビトロでのPBMC由来T細胞の生存率に対する抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質の能力を評価するために、フローサイトメトリーを使用した以下の方法が採用される。
【0455】
ヒトCD47を過剰発現する、照射又は化学的に処理されたOV10-315卵巣腫瘍細胞を96ウェルプレートに一晩プレーティングする。ヒト-PBMCは、ヒト末梢血の白血球アフェレーシスによって得られ、10%ウシ胎児血清(BioWest;カタログ番号S01520)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Corning、カタログ番号30-001-CI)を含むRPMI(Corning、カタログ番号10-104-CV)の組織培養グレードフラスコで、37℃で一晩培養される。抗CD47-IL-7又は抗CD47-IL-15融合タンパク質の濃度を上げながら、OV10-315細胞と1時間インキュベートする。1%FBS含有するPBSで6回洗浄して未結合のタンパク質を全て除去した後、200μLのRPMI培地あたり1×10PBMCをウェルごとにプレーティングし、37℃で4日間インキュベートする。培養完了前に、細胞をEdU(Invitrogen、カタログ番号C10634)とともに24時間インキュベートする。EdUuは、Alexafluor 647ピコリルアジド試薬を使用して検出され、Brilliant-blue 515結合抗ヒトCD3抗体(BD Biosciences、カタログ番号564465)で染色され、Attune NxTフローサイトメーター(Life Technologies)を使用したフローサイトメトリーによって分析される。
【0456】
抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質は、EdUインキュベーション期間中にDNAが合成された細胞の核における蛍光シグナルの蓄積に寄与し、生存率及び増殖の増加を示すことが予想される。
【0457】
表7に開示されているような、それぞれ改変/変異体IL-7又は改変/変異体IL-15、及び抗CD47mAbとIL-7、IL-15、又はそれらの改変/変異体バリアントとの組み合わせで構築される抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質は、EdUインキュベーション期間中にDNAが合成された細胞の核における蛍光シグナルの蓄積に寄与し、生存率及び増殖の増加を示すことが予想される。
【0458】
実施例36-ヒト化NSGマウスのOV90卵巣異種移植モデルにおける抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質の抗腫瘍活性
ヒト化NSGマウスのOV90卵巣異種移植モデルにおける、抗CD47-IL-7及び抗CD47_IL-15融合タンパク質の抗腫瘍特性、並びに抗CD47 mAbとIL-7、IL-15、又はそれらの改変/変異体バリアントとの組み合わせが評価される。
【0459】
NSGマウスは、骨髄破壊処置後、適格な供給源からのヒト臍帯血由来CD34+幹細胞を使用した養子移入によってヒト化される。CD34+幹細胞は、免疫不全NSGマウス内に生着するヒト免疫細胞に発達する。
【0460】
臍帯血由来の造血幹細胞(HSC)を移植したモデルは、多系統の移植を発達させ、強力なT細胞成熟及びT細胞依存性炎症反応を示す。
【0461】
ヒト化雌性NSGマウス(NOD-Cg-PrkdcscidI12rgtm1Wjl/SzJ、Jackson Laboratories)の右脇腹に、5×10個のOV90卵巣癌細胞(ATCC)の懸濁液を含有する0.1mLの30%RPMI/70%Matrigel(商標)(BD Biosciences;Bedford, MA)混合物を皮下移植する。デジタルノギスは、腫瘍の幅及び長さの直径を測定するために使用される。腫瘍体積は、次の式を使用して計算される:腫瘍体積(mm)=(a×b/2)(式中、「b」は最小直径であり、「a」は最大直径である)。50~100mmの触知可能な腫瘍体積を有するマウスは、マウス10匹/グループにランダム化される。マウスは、適切なレジメン、すなわち、腹腔内注射(IP)による週5日、合計6週間(QD5x6)、又は静脈内注射(IV)による週1回、合計6週間によって、1)ヒトIgG対照(10mg/kg);2)選択された抗CD47-IL-7融合タンパク質(10mg/kg);3)選択された抗CD47-IL-15融合タンパク質(10mg/kg);4)抗CD47 mAb;5)抗CD47 mAb+IL-7;6)抗CD47 mAb+IL-15;7)抗CD47 mAb+IL-7改変/変異体バリアント;及び8)抗CD47 mAb+IL-15改変/変異体バリアントで処置される。
【0462】
平均腫瘍増殖阻害(TGI)は、次の式を使用して計算される。腫瘍収縮(TS)を示すマウスは、TGI計算から除外される。
【数4】
【0463】
腫瘍体積の有意差は、テューキーの多重比較検定で、独立二元配置分散分析を使用して確認される。
【0464】
対照グループを除いて、全ての処置グループ:1)ヒトIgG対照(10mg/kg);2)選択された抗CD47-IL-7融合タンパク質(10mg/kg);3)選択された抗CD47-IL-15融合タンパク質(10mg/kg);4)抗CD47 mAb;5)抗CD47 mAb+IL-7;6)抗CD47 mAb+IL-15;7)抗CD47 mAb+IL-7改変/変異体バリアント;及び8)抗CD47 mAb+IL-15改変/変異体バリアントは、OV90ヒト卵巣異種移植モデルにおいて、1日10mg/kgの投与量で統計的に有意な腫瘍増殖の阻害をもたらすことが予想される。
【0465】
実施例37-ヒト化NSGマウスのSNU-1胃癌異種移植モデルにおける抗CD47-IL-7及び抗CD47-IL-15融合タンパク質の抗腫瘍活性
NSGマウスのSNU-1胃癌異種移植モデルにおける、抗CD47-IL-7融合タンパク質の抗腫瘍特性、並びに抗CD47 mAbとIL-7、IL-15、又はそれらの改変/変異体バリアントとの組み合わせが評価される。
【0466】
NSGマウスは、骨髄破壊処置後、適格な供給源からのヒト臍帯血由来CD34+幹細胞を使用した養子移入によってヒト化される。CD34+幹細胞は、免疫不全NSGマウス内に生着するヒト免疫細胞に発達する。
【0467】
臍帯血由来の造血幹細胞(HSC)を移植したモデルは、多系統の移植を発達させ、強力なT細胞成熟及びT細胞依存性炎症反応を示す。
【0468】
ヒト化雌性NSGマウス(NOD-Cg-PrkdcscidI12rgtm1Wjl/SzJ、Jackson Laboratories)の右脇腹に、5×10個のSNU-1胃癌細胞(ATCC)の懸濁液を含有する0.1mLの30%RPMI/70%Matrigel(商標)(BD Biosciences;Bedford, MA)混合物を皮下接種する。接種から8日後、デジタルノギスを使用して腫瘍の幅及び長さの直径を測定する。腫瘍体積は、次の式を使用して計算される:腫瘍体積(mm)=(a×b/2)(式中、「b」は最小直径であり、「a」は最大直径である)。50~100mmの触知可能な腫瘍体積を有するマウスは、マウス10匹/グループにランダム化される。マウスは、適切なレジメン、すなわち、腹腔内注射(IP)による週5日、合計6週間(QD5x6)、又は静脈内注射(IV)による週1回、合計6週間によって、1)ヒトIgG対照(10mg/kg);2)選択された抗CD47-IL-7融合タンパク質(10mg/kg);3)選択された抗CD47-IL-15融合タンパク質(10mg/kg);4)抗CD47 mAb;5)抗CD47 mAb+IL-7;6)抗CD47 mAb+IL-15;7)抗CD47 mAb+IL-7改変/変異体バリアント;及び8)抗CD47 mAb+IL-15改変/変異体バリアントで処置される。
【0469】
平均腫瘍増殖阻害(TGI)は、次の式を使用して計算される。腫瘍収縮(TS)を示すマウスは、TGI計算から除外される。
【数5】
【0470】
腫瘍体積の有意差は、テューキーの多重比較検定で、独立二元配置分散分析を使用して確認される。
【0471】
[012] 対照グループを除いて、全ての処置グループ:1)ヒトIgG対照(10mg/kg);2)選択された抗CD47-IL-7融合タンパク質(10mg/kg);3)選択された抗CD47-IL-15融合タンパク質(10mg/kg);4)抗CD47 mAb;5)抗CD47 mAb+IL-7;6)抗CD47 mAb+IL-15;7)抗CD47 mAb+IL-7改変/変異体バリアント;及び8)抗CD47 mAb+IL-15改変/変異体バリアントは、SNU-1腫瘍増殖阻害をもたらし、インビボでの抗腫瘍効果を示すことが予想される。
【0472】
出願に引用されている米国又は外国の全ての参考文献、特許又は出願は、その全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合、本明細書に文字通り開示された資料が優先される。
【0473】
前述の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、その精神及び範囲から逸脱することなく、本発明を様々な使用法及び条件に適合させるために様々な変更及び修正を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
【配列表】
2022532249000001.app
【国際調査報告】