IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベイジン・ナウラ・マイクロエレクトロニクス・イクイップメント・カンパニー・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-マスク構造及びFCVA装置 図1
  • 特表-マスク構造及びFCVA装置 図2
  • 特表-マスク構造及びFCVA装置 図3
  • 特表-マスク構造及びFCVA装置 図4A
  • 特表-マスク構造及びFCVA装置 図4B
  • 特表-マスク構造及びFCVA装置 図5
  • 特表-マスク構造及びFCVA装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(54)【発明の名称】マスク構造及びFCVA装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20220707BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220707BHJP
   C23C 14/32 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H01L21/68 R
C23C14/32 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566013
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2020099265
(87)【国際公開番号】W WO2021004331
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】201910605875.7
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520266443
【氏名又は名称】ベイジン・ナウラ・マイクロエレクトロニクス・イクイップメント・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing NAURA Microelectronics Equipment Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 Wenchang Avenue Beijing,Economic-Technological Development Area,Beijing 100176,China
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】シー、チュエンイー
【テーマコード(参考)】
4K029
5F131
【Fターム(参考)】
4K029BB03
4K029CA03
4K029HA03
5F131AA02
5F131AA03
5F131CA15
5F131EB11
5F131EB52
(57)【要約】
本開示の実施形態は、マスク構造及びフィルタード陰極真空アーク(FCVA)装置を提供する。マスク構造は、静電チャックの担持面に突起を作製するように構成され、導電性金属から作られるメインマスクプレートと側部マスクプレートとを含んでいる。メインマスクプレートは、静電チャックの担持面上に突起に対応するパターン化膜層を形成するように構成される。側部マスクは、側面に膜層が形成されれることを避けるように、静電チャックの側面を覆うように構成される。本開示の実施形態によって提供されるマスク構造及びマスク構造を含むFCVA装置において、マスク構造は導電性であることがある。マスク構造は、静電チャックの担持面に突起が作成されるときに、静電チャックの側面がコーティングされることを防止することができる。したがって、マスク構造をFCVAプロセスに適用することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックの担持面に突起を作製するように構成されたマスク構造であって、導電性金属から作られたメインマスクプレートと側部マスクプレートとを備え、
前記メインマスクプレートは、静電チャックの前記担持面上に前記突起に対応するパターン化膜層を形成するように構成され、
前記側部マスクプレートは、側面上に膜層を形成することを避けるように前記静電チャックの前記側面を遮蔽するように構成されている、マスク構造。
【請求項2】
前記側部マスクプレートは、前記静電チャックのメインボディ部分の側面の周囲に配置され、前記メインボディ部分の側面から突出した前記静電チャックの縁部分を覆うように構成されている、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項3】
前記側部マスクプレートは、第1のボディ、第2のボディ、第3のボディ、及び締結具を含み、
前記第1のボディは、前記静電チャックの前記縁部分の前面の側に配置され、前記第2のボディは、前記静電チャックの前記縁部分の背面の側に配置され、前記第3のボディは、前記静電チャックの前記縁部分の側面の周囲に配置され、前記第1のボディ及び前記第2のボディと電気的に接触し、
前記締結具は、前記第1のボディ及び前記第2のボディを前記静電チャックの前記縁部分に固定的に接続するように構成されている、請求項2に記載のマスク構造。
【請求項4】
前記第1のボディと前記静電チャックの前記縁部分との間、及び/又は前記第2のボディと前記静電チャックの前記縁部分との間にバッファが配置される、請求項3に記載のマスク構造。
【請求項5】
リング状遮蔽プレートをさらに備え、前記リング状遮蔽プレートは、前記側部マスクプレートに配置され、前記メインマスクプレートの前面の側に位置付けられ、前記リング状遮蔽プレートの内縁は、前記メインマスクプレートの縁の内側に伸長する、請求項1から4のいずれか一項に記載のマスク構造。
【請求項6】
前記側部マスクプレートの前面まで貫通するリング状凹部が前記側部マスクプレートの内面に配置され、前記メインマスクプレートの縁部分は、前記リング状凹部中に位置付けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載のマスク構造。
【請求項7】
導電性弾性部材をさらに備え、前記導電性弾性部材は、前記メインマスクプレートと前記側部マスクプレートとをそれぞれ電気的に接続する、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項8】
フロートロックアセンブリをさらに備え、前記フロートロックアセンブリは、前記メインマスクプレートを前記担持面上に固定するために、前記静電チャックの前記担持面に面する一方向の力を前記メインマスクプレートに加えるように構成されている、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項9】
前記フロートロックアセンブリは、第1接続部材と、第2接続部材と、弾性部材とを含み、
第1貫通孔は、前記メインマスクプレート中に配置され、前記メインマスクプレートの厚さ方向に沿って貫通し、これに対応して、第2貫通孔は、前記静電チャックのメインボディ部分中に配置され、前記メインボディ部分の厚さ方向と反対方向に沿って貫通し、前記第1接続部材は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を貫通し、第1フランジは、前記第1接続部材の端に配置され、前記第1フランジは、前記メインマスクプレートの前面に配置され、
前記第2接続部材は、前記第2貫通孔を貫通し、前記第2接続部材の一端が前記第1接続部材に着脱可能に接続され、第2フランジは、前記第2接続部材の別の端に配置され、前記第2フランジは、前記静電チャックの前記メインボディ部分の背面の側に位置付けられ、前記メインボディ部分から間隔を空けて配置され、
前記弾性部材は、前記第2フランジと前記静電チャックの前記メインボディ部分との間に間隔を空けて配置され、前記第2フランジに弾性力を加えて、前記第2フランジを前記静電チャックの前記メインボディ部分から離間させる、請求項8に記載のマスク構造。
【請求項10】
前記弾性部材は、弾性シート又は圧縮ばねを含む、請求項9に記載のマスク構造。
【請求項11】
前記弾性シートは、リング状シートと、前記リング状シートの円周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の押圧爪とを含み、
前記リング状シートは、前記第2接続部材に被せられ、前記第2フランジに配置され、
前記複数の押圧爪は、前記静電チャックの前記メインボディ部分の背面に配置されている、請求項10に記載のマスク構造。
【請求項12】
前記第2接続部材は前記第1接続部材に螺合接続され、前記第2接続部材の締め付けトルクは0.1N・mから0.4N・mの範囲である、請求項9に記載のマスク構造。
【請求項13】
前記第1接続部材と前記第1貫通孔との間には、径方向の隙間が存在する、請求項9に記載のマスク構造。
【請求項14】
前記径方向の間隙は、0.1mmから0.3mmの範囲である、請求項13に記載のマスク構造。
【請求項15】
1つ以上のフロートロックアセンブリが含まれ、前記複数のフロートロックアセンブリは、前記メインマスクプレートの異なる位置に分散される、請求項8に記載のマスク構造。
【請求項16】
中央貫通孔は、前記メインマスクプレート及び前記静電チャックのメインボディ部分に配置され、
前記マスク構造は、中央締結具をさらに備え、前記中央締結具は、前記メインマスクプレート及び前記静電チャックの前記メインボディ部分の前記中央貫通孔内に配置され、前記中央貫通孔を貫通し、前記メインマスクプレートを前記静電チャックの前記メインボディ部分に固定するように構成されている、請求項8に記載のマスク構造。
【請求項17】
複数の加工孔は、前記突起と一対一に対応して前記メインマスクプレートに配置され、リブ構造は、前記メインマスクプレートの前面に配置され、前記加工孔が位置付けられているエリア以外のエリアに位置付けられ、前記メインマスクプレートの強度及び平坦度を増加するように構成されている、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項18】
前記リブ構造は、前記メインマスクプレートの中心を円の中心として使用するリング状リブ、又は異なる半径を有する複数のリング状リブを含み、前記複数のリング状リブが含まれるとき、複数の放射状リブは、2つの隣接するリング状リブの間に配置され、円周方向に沿って分布される、請求項17に記載のマスク構造。
【請求項19】
前記加工孔の直径は1mmから5mmの範囲である、請求項17に記載のマスク構造。
【請求項20】
2つの隣接する加工孔間の中心距離は、5mmから15mmの範囲である、請求項17に記載のマスク構造。
【請求項21】
前記リブ構造の厚さは1mm以上であり、
前記リブ構造と前記メインマスクプレートとの厚さの合計が5mm以下であり、
前記メインマスクプレートの厚さは1.5mm以下であり、
前記リブ構造とそれに隣接する前記加工孔のうちのいずれか1つの縁との間の距離が2mm以上である、請求項17に記載のマスク構造。
【請求項22】
中空部分は、前記メインマスクプレートの中央エリアに配置され、前記静電チャックの前記担持面上に検査用導電膜を形成するように構成されている、請求項17に記載のマスク構造。
【請求項23】
前記中空部分は、円弧状中空部分と、少なくとも3つのストライプ状の中空部分とを含み、
前記円弧状中空部分の中心は、前記メインマスクプレートの中心と一致し、
前記少なくとも3つのストライプ状中空部分は、前記円弧状中空部分の中心に対して対称に配置され、ストライプ状中空部分のそれぞれの端は前記円弧状中空部分に接続され、別の端は前記円弧状中空部分の径方向に沿って伸長する、請求項22に記載のマスク構造。
【請求項24】
前記導電性金属の熱膨張係数は、3×10‐6/℃から10×10‐6/℃の範囲である、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項25】
前記導電性金属の熱膨張係数は、前記静電チャックの熱膨張係数と同じである、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項26】
前記導電性金属は、鉄-コバルト-ニッケル合金又はチタンを含む、請求項24又は25に記載のマスク構造。
【請求項27】
複数の突起が含まれ、前記複数の突起は、前記担持面上に間隔を置いて分布される、請求項24又は25に記載のマスク構造。
【請求項28】
電源と、チャンバと、前記チャンバ中に配置されたグラファイトターゲットと、静電チャックと、マスク構造とを備えるFCVA装置であって、
前記電源は、アークの作用を通して前記グラファイトターゲットに炭素プラズマを発生させるように構成され、
前記マスク構造は、請求項1から27のいずれか一項に記載のマスク構造を含み、前記炭素プラズマの堆積イオンを前記静電チャックの前記担持面に向けて移動するように誘導し、通過した前記堆積イオンに前記静電チャックの前記担持面上の前記突起に対応する前記パターン化膜層を形成させるように構成される、FCVA装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[1]本開示は、概して、半導体製造分野に関し、より詳細には、マスク構造及びフィルタード陰極真空アーク(FCVA)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[2]半導体製造プロセスにおいては、処理の間に処理されるワークピース(例えばウエハ)が移動することを防止するように、処理されるワークピースを静電吸着方法で静電チャック(ESC)によって固定する必要がある。
【0003】
[3]一般に、静電チャックは通常、処理されるワークピースを支持するための誘電体層を含む。1つ以上の電極が誘電体層中に埋め込まれる。双極静電チャックを例にとると、双極静電チャックは、DC電源の正極及び負極にそれぞれ電気的に接続されてDC電圧を提供する2つの電極を含む。これにより、ウエハは静電引力を使用してチャックの表面に強固に吸収される。
【0004】
[4]しかしながら、このようにワークピースと静電チャックとの間のこの密着は、ワークピースと静電チャックとの間に摩擦を生じさせ、微粒子の発生を引き起こすかもしれない。処理時間が増加するにつれて、粒子の量は徐々に増加する。処理されるワークピースの背面には、多量の粒子が付着しているかもしれない。次に、プロセスステップが進行するにつれて、大量の粒子が異なるチャンバに移送されるかもしれない。このため、半導体プロセスに悪影響を及ぼす。
【0005】
[5]上記の状況を避けるために、1つのアプローチは、静電チャックの表面上に互いに間隔を置いて配置されたいくつかの突起を作製することである。したがって、ワークピースの背面は、静電チャックの突起とのみ接触することができ、他の部分とは接触しないので、ワークピースの背面に付着する粒子の量を低減することができる。上記突起を作製する方法は、物理蒸着(以下、PVDという)装置を用いて突起を作製することである。しかしながら、PVD装置により作られた突起は、耐熱性に乏しく、容易に脱落してしまう。そのため、突起は高温環境下では適用できない。
【発明の概要】
【0006】
[6]本開示は、従来技術に存在する技術的問題の少なくとも1つを解決することを目的とし、マスク構造を提供する。マスク構造は導電性であり、静電チャックの側面がコーティングされるのを防止することができる。したがって、マスク構造は、フィルタード陰極真空アーク(FCVA)プロセスにおいて適用することができる。加えて、本開示の実施形態は、本開示の実施形態によって提供される上述のマスク構造を含むFCVA装置をさらに提供する。FCVA装置は、FCVAプロセスを利用して、静電チャックの担持面上に突起を生成することができる。
【0007】
[7]上記目的を達成するために、本開示の実施形態は、静電チャックの担持面上に突起を製造するように構成されたマスク構造を提供する。マスク構造は、導電性金属で作られたメインマスクプレート及び側部マスクプレートを含む。メインマスクプレートは、静電チャックの担持面上の突起に対応するパターン化膜層を形成するために使用される。側部マスクプレートは、側面上に膜層が形成されるのを避けるように静電チャックの側面を完全に遮蔽するために使用される。
【0008】
[8]別の技術的解決策として、本開示の実施形態はまた、電源と、チャンバと、グラファイトターゲットと、静電チャックと、チャンバ中に配置されたマスク構造とを含むFCVA装置を提供する。電源は、アークの作用によってグラファイトターゲットに炭素プラズマを発生させるように構成される。マスク構造は、本開示の実施形態によって提供される上述のマスク構造を含み、炭素プラズマ中の堆積イオンを静電チャックの担持面に向かって移動するように誘導するように構成される。通過する堆積イオンは、静電チャックの担持面上の突起に対応するパターン化膜層を形成する。
【0009】
[9]本開示の実施形態の有益な効果は以下を含む。
【0010】
[10]本開示の実施形態によって提供されるFCVAデバイスのマスク構造及び技術的解決策において、マスク構造は、共に導電性金属で作られたメインマスクプレート及び側部マスクプレートを含む。したがって、突起が製造されるとき、マスク構造は全体として、接地されることによって接地レベルに維持されてもよく、それにより、炭素プラズマ中の堆積イオンを静電チャックに向かって移動するように誘導することができる。一方、メインマスクプレートを通過する堆積イオンは、静電チャックの担持面上の突起に対応するパターン化膜層を形成することができる。また、側部マスクプレートによって静電チャックの側面を遮蔽することができ、堆積イオンが側面に膜層を形成することを防止することができる。これにより、静電チャックを保護することができる。本開示の実施形態のマスク構造は、導電性及び反側面コーティング特性により、FCVA装置に適用することができる。マスク構造は、FCVAを使用することによって静電チャックの担持面上に突起を生成するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[11]図1は、本開示のいくつかの実施形態にしたがう、フィルタード陰極真空アーク(FCVA)装置の概略構造図である。
図2】[12]本開示のいくつかの実施形態にしたがう、組立の後のマスク構造の概略断面図である。
図3】[13]図3は、図2中のエリアAを示す概略拡大図である。
図4A】[14]図4Aは、本開示のいくつかの実施形態にしたがう、浮動ロックアセンブリの概略断面図である。
図4B】[15]図4Bは、本開示のいくつかの実施形態にしたがう、静電チャックの背面に位置付けられた浮動ロックアセンブリを示す概略側面図である。
図5】[16]図5は、本開示のいくつかの実施形態にしたがう、メインマスクプレートの前面を示す概略側面図である。
図6】[17]図6は、本開示のいくつかの実施形態にしたがう、メインマスクプレートの一部の寸法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[18]当業者が本開示の技術的解決法をより良く理解することを可能にするために、本開示の実施形態によって提供されるマスク構造及びフィルタード陰極真空アーク(FCVA)装置は、添付の図面と併せて以下で詳細に説明される。
【0013】
[19]関連テクノロジーにおいて、物理蒸着(PVD)装置は、通常、静電チャックの担持面上に突起を作製するように構成される。しかしながら、PVD装置で生成された突起は、高温耐性に乏しく、脱落しやすいかもしれない。そのため、高温環境下で突起を使用することができない。
【0014】
[20]本発明者は、突起がFCVA装置を使用することによって突起を作製できることを見出した。FCVA装置によって作製された突起は、より高い硬度及び良好な耐摩耗性を有することができ、高温環境(250℃超)で使用することができる。しかしながら、PVD装置とFCVA装置との間の構造及びコーティング原理の差異に起因して、既存のPVD装置において使用されるマスクプレートは、FCVA装置において使用できない。そのため、FCVA装置が静電チャックの担持面に突起を作製するために使用される場合、FCVA装置に適用可能なマスクプレートが必要となるかもしれない。
【0015】
[21]上述の問題を解決するために、本開示の実施形態はマスク構造を提供する。マスク構造は、静電チャックの担持面上に突起を生成するためのFCVA装置に適用することができる。
【0016】
[22]図1は、本開示のいくつかの実施形態にしたがう、FCVA装置の概略構造図である。図1を参照すると、FCVA装置は、FCVAテクノロジーを使用することによって突起を作製する。具体的には、FCVA装置は、電源101と、チャンバ102と、グラファイトターゲット103と、静電チャック104と、チャンバ102中に配置されたマスク構造105とを含む。電源101は、アークの作用を通してグラファイトターゲット103に炭素プラズマを発生させるように構成することができる。電源101は、例えばアーク電源を含むことができる。マスク構造105は、静電チャック104の担持面上の突起に対応する膜層を形成するために、炭素プラズマ中の堆積イオンを誘導するように構成されてもよい。突起に対応する膜層は、膜層が指定されたパターンを含むことを意味する。指定されたパターンは、マスクパターンと同じである、すなわち、突起のパターンを形成することができる。
【0017】
[23]上記のFCVA装置は、異なるプロセス要件にしたがって炭素プラズマのエネルギーを正確に制御することができる。一方、突起の抵抗率は、上述のFCVA装置を使用することによって良好に制御することができる。したがって、突起の抵抗率は、10-4から10Ω・cmの範囲内で制御されてもよい。したがって、突起の導電性は要件を満たすことができる。
【0018】
[24]いくつかの実施形態では、炭素プラズマが担持面に向かって移動するとき、炭素プラズマは磁場によって濾過及び/又は集束される。
【0019】
[25]具体的には、チャンバ102は、炭素プラズマの移動方向に沿って順に配置された第1の部分1021、第2の部分1022、及び第3の部分1023を含む。3つは、チャンバ102中で互いに連通することができる。フィルタリング磁場は、第2の部分1022中に配置され、炭素プラズマ中のマクロ粒子及び原子団をフィルタリングするように構成されてもよい。そのような磁気濾過プロセスの後、堆積のために使用されるイオン(堆積イオンと称される)のイオン化率は、100%もの高さであってもよい。さらに、大きな粒子を濾過して除去することができる。したがって、静電チャック104を加熱することなく、磁場との相互作用後、FCVA堆積イオンは、より高くより均一なエネルギーを有することができる。したがって、FCVA堆積イオンは、低温条件で、高密度、高硬度、低抵抗率、及び超強力接着膜層を形成することができる。
【0020】
[26]さらに、堆積イオンを静電チャックに集中させるために、集束磁場がチャンバ102の第3の部分1023内に配置されてもよい。したがって、水素を含まない非晶質炭素層を静電チャックの担持面上に堆積させて、最終的に突起を形成することができる。
【0021】
[27]上記の堆積イオンは、磁気濾過によって除去されていない炭素プラズマ中のイオンを含むことに留意されたい。イオンは、マスク構造105の誘導下で静電チャックの担持面に向かって移動し、担持面上に堆積して膜層を形成することができる。上述の堆積イオンは、例えば、金属イオン(Tiイオンなど)、又は突起を作製するために使用されることができる別の材料によって発生させたイオンを含んでいてもよい。
【0022】
[28]上記のFCVA装置は、異なるプロセス要件にしたがって炭素プラズマのエネルギーを正確に制御することができる。一方、突起の抵抗率は、上述のFCVA装置及びプロセスを使用することによって良好に制御することができる。したがって、突起の抵抗率は、10-4から10Ω・cmの範囲内に制御されることができる。したがって、突起の導電性は要件を満たすことができる。
【0023】
[29]上述のマスク構造105は、静電チャック104が作製される前に前もって作製されたマスクプレートを含んでもよい。静電チャック104は、FCVA装置中のチャンバ102中に横向きに配置される必要があり、例えば、図1に示す静電チャック104である。静電チャック104の担持面は垂直に配置されている。このような状況では、担持面にパターンコーティングを行いつつ、静電チャック104の側面を側面コーティングから保護することができるマスク構造が必要とされるかもしれない。ここで、静電チャックの側面は、担持面を除くプラズマ環境にさらされる静電チャックの面を指す。一方、FCVAプロセスの間に、堆積イオンは、接地レベルに押し寄せてもよい。したがって、導電性金属は、マスクプレートを作製するために使用される必要があるかもしれず、マスクプレートは、全体として接地レベルに維持されるように接地することができる。したがって、堆積イオンは、静電チャックの担持面に向かって移動するように誘導されて、最終的に担持面上に堆積することができる。
【0024】
[30]したがって、本開示の実施形態は、FCVAプロセスを使用することによって静電チャックの担持面上に突起を作製するためのFCVA装置に適用されてもよいマスク構造を提供する。具体的には、図2を参照すると、静電チャック2は、取付板1を介して図1に示すFCVA装置のチャンバ102中に横方向に吊り下げられて固定されている。したがって、担持面は水平面に対して垂直であってもよい。図2に示すように、X方向は水平方向であり、Z方向及びY方向の平面はX方向に垂直である。静電チャック2の担持面は、Z方向及びY方向の平面に平行、すなわち、X方向に垂直である。
【0025】
[31]説明を容易にするために、本明細書で言及される全ての構成要素の「前面」は、静電チャック2の担持面と同じ方向を向く面である。本明細書で言及される全ての構成要素の「背面」は、担持面と反対方向に面する面である。図2に示すように、「前面」の方向は、X方向の矢印で示す方向と反対方向である。「背面」の方向は、X方向の矢印で示す方向と同じである。
【0026】
[32]マスク構造は、共に導電性金属で作られたメインマスクプレート3及び側部マスクプレート4を含む。メインマスクプレート3は、突起に対応する静電チャック2の担持面上にパターン化膜層を形成するように構成されてもよい。具体的には、メインマスクプレート3は、突起の形状及び大きさと一致する中空部を含むことができる。中空部は、静電チャック2の担持面を塞がない。このため、堆積の間に、中空部に対応する静電チャック2の担持面のエリアに堆積イオンが堆積してもよい。中空部に対応しない静電チャック2の担持面上の他のエリアには、堆積イオンが堆積しなくてもよい。したがって、パターン化膜層は、担持表面上に形成することができる。すなわち、突起が形成されてもよい。
【0027】
[33]側部マスクプレート4は、静電チャック2の側面にコーティングが形成されるのを避けるように、すなわち、静電チャック2の側面が側部コートされることを防止するように、静電チャック2の側面を覆うように構成されてもよい。これにより、静電チャックを保護することができる。
【0028】
[34]上記メインマスクプレート3及び側部マスクプレート4は導電性金属製で作られていることから、突起を作製するとき、メインマスクプレート3及び側部マスクプレート4の両方を接地して全体を接地レベルに維持してもよい。したがって、炭素プラズマ中の堆積イオンは、静電チャックに向かって移動するように誘導されてもよい。一方、メインマスク3を通過する堆積イオンは、突起に対応する静電チャックの担持面上にパターン化膜層を形成することができる。
【0029】
[35]したがって、本開示の実施形態によって提供されるマスク構造は、その導電性及びアンチ側部コーティング特性により、FCVAプロセスを使用することによって静電チャック2の担持面上に突起を作製するためのFCVA装置に適用されてもよい。
【0030】
[36]図3及び図4Aに示すように、静電チャック2は、一般的に、メインボディ部分21と、メインボディ部分21の側面から突出する縁部分22とを含んでいる。縁部分22の背面222は、メインボディ部分21の背面212と同一平面になっている。縁部分22の厚さは、メインボディ部分21の厚さよりも小さい。このケースでは、側部マスクプレート4は、静電チャック2のメインボディ部分21の側面の周囲に配置され、縁部分22を覆う。このように、メインボディ部分21の側面、縁部分22の前面、背面及び側面が側部マスクプレート4によって覆われる。これにより、静電チャック2の側面全体を効果的に遮蔽することができる。また、縁部分22の背面まで遮蔽して静電チャック2を効果的に保護してもよい。
【0031】
[37]図3に示すように、設置を容易にするために、側部マスクプレート4は、第1のボディ41、第2のボディ42、第3のボディ43、及び締結具9を含む。第1のボディ41は、静電チャック2の縁部分22の前面221の側に配置されている。第2のボディ42は、縁部分22の背面222の側に配置されている。第3のボディ43は、静電チャック2の縁部分22の側面の周囲に配置されている。第3のボディ43は、縁部分22の側面を遮蔽するように構成されている。また、第3のボディ43は、第1のボディ41及び第2のボディ42と電気的に接触して同電位を維持することができる。
【0032】
[38]幾つかの実施形態では、第3のボディ43と第1のボディ41とは一体的に形成されてもよい。第3のボディ43は、第2のボディ42と電気的に接触してもよい。しかしながら、本開示の実施形態は、これに限定されない。実際の用途では、第3のボディはまた、第2のボディ42と一体的に形成され、第1のボディ41と電気的に接触してもよい。あるいは、2つの第3のボディ43が含まれ、それぞれ第1のボディ41及び第2のボディ42と一体的に形成されてもよい。2つの第3の分割ボディ43は、互いに電気的に接触してもよい。これにより、第1のボディ41と第2のボディ42とが同電位に維持されてもよい。もちろん、第3のボディ43はまた、溶接などの一体形成以外の別の導電方式で第1のボディ41又は第2のボディ42に接続されてもよい。
【0033】
[39]締結具9は、第1のボディ41及び第2のボディ42を静電チャックの縁部分22に固定的に接続するように構成されてもよい。これにより、第1のボディ41と第2のボディ42とは、第1のボディ41と第2のボディ42との間に縁部分22を締め付け、固定してもよい。締結具9は、例えば、接続ねじを含むことができる。接続ねじは、第1の分割ボディ41、第2の分割ボディ42、及び静電チャックの縁部分22を順次貫通して、設置プレート1に螺合される。これにより、第1のボディ41、第2のボディ42及び静電チャックの縁部分22が設置プレート1に固定される。
【0034】
[40]いくつかの実施形態では、第1のボディ41と静電チャックの縁部分22との間、及び/又は第2のボディ42と静電チャックの縁部分22との間にバッファ8を配置することができる。バッファ8は、静電チャックのセラミック層の破砕を防止するように構成されてもよい。任意選択的に、バッファ8は、シールリング又はバッファガスケットなどの緩衝可能な弾性部材を含むことができる。
【0035】
[41]いくつかの実施形態では、メインマスクプレート3の側面と側部マスクプレート4の第2のボディ42の内側面との間に径方向の間隙が存在してもよい。プロセスの間、メインマスクプレート3は熱膨張により変形することが多い。このケースでは、メインマスクプレート3の側面と側部マスクプレート4の第1のボディ41の内側面との間に適切な隙間を確保することにより、メインマスクプレート3をある程度変形させてメインマスクプレート3の損傷を避けることができる。同様に、側部マスクプレート4の第1のボディ41の内側面と静電チャック2のメインボディ部分21の側面との間、及び第3のボディ43の内側面と静電チャック2の縁部分22との間には、静電チャック2のセラミック層をある程度変形させるために、適切なサイズの径方向の隙間が確保されていてもよい。これにより、セラミック層の損傷を避けることができる。
【0036】
[42]幾つかの実施形態では、図2及び図3に示すように、マスク構造は、リング状の遮蔽板5を更に含む。リング状遮蔽板5は、側部マスクプレート4上に配置されている。具体的には、リング状遮蔽板5は、第1のボディ41の前面421に積層されている。メインマスクプレート3の前面側にはリング状の遮蔽板5が位置付けられている。リング状遮蔽板5の内縁は、メインマスクプレート3の縁よりも内側まで延びている。図3に示すように、リング状の遮蔽板5の内縁は、メインマスクプレート3の縁の内側に位置付けられている。リング状遮蔽板5とメインマスクプレート3との間の半径方向距離はDである。リング状遮蔽板5の内縁をメインマスクプレート3の縁の内側まで延ばすことによって、メインマスクプレート3の側面と側部マスクプレート4の第1のボディ41の内面との間に形成される上述の径方向の隙間を遮蔽して、プラズマが隙間に入るのを防止することができる。
【0037】
[43]いくつかの実施形態では、図3に示されるように、リング状の凹部422が、側部マスクプレート4の第1のボディ41の内面にさらに配置される。リング状凹部422は、第1のボディ41の前面421まで貫通する。メインマスクプレート3の縁部分は、リング状凹部422中に位置付けられている。したがって、第1のボディ41の内側面とメインマスクプレート3の側面との間の径方向の間隙は、迷路チャネルを形成して、プラズマが入るのをさらに防止することができる。
【0038】
[44]好ましくは、マスク構造は、導電性構造をさらに含んでいてもよい。導電構造は、メインマスクプレート3と側部マスクプレート4とを電気的に導通させるように構成されてもよい。これにより、メインマスクプレート3と側部マスクプレート4とを全体として同電位に維持することができる。したがって、FCVAプロセスの間に、メインマスクプレート3及び側部マスクプレート4を接地することによって、堆積イオンを接地レベルに向かって移動するように誘導して、堆積イオンを静電チャック2の担持面上に堆積させることができる。
【0039】
[45]いくつかの実施形態では、上述の導電性構造は導電性弾性部材を含んでもよい。導電性弾性部材は、メインマスクプレート3及び側部マスクプレート4と電気的に接続されていてもよい。例えば、図3に示すように、導電性弾性部材は導電性リード10を含む。導電性リード10の一端はメインマスクプレート3に電気的に接続され、他端は締結具9に固定され、リング状遮蔽板5に電気的に接続される。リング状遮蔽板5は、側部マスクプレート4と電気的に接続されていてもよい。これにより、メインマスクプレート3、リング状遮蔽板5及び側部マスクプレート4を同電位に維持することができる。上記導電性リード10は、例えばベリリウム銅リードを含んでいてもよい。
【0040】
[46]メインマスクプレート3、リング状遮蔽プレート5及び側部マスクプレート4は、上述した導電性弾性部材によって同電位に維持されてもよい。導電性弾性部材は弾性であり、メインマスクプレート3の熱膨張中に変形するので、導電性弾性部材は、導電性弾性部材の弾性を用いてメインマスクプレート3との電気的接触を依然として維持することができる。これにより、接続の安定性を向上させることができる。
【0041】
[47]いくつかの実施形態では、図4A及び4Bに示されるように、マスク構造は、フロートロックアセンブリ11をさらに含む。フロートロックアセンブリ11は、静電チャック2の担持面(すなわち、メインボディ部分21の前面)に向かう一方向の弾性力をメインマスクプレート3に加えることにより、メインマスクプレート3を担持面に固定するように構成されてもよい。「一方向弾性力」は、一方向にのみに加えられる力を指す。したがって、力を受ける側は、一方向にのみ拘束されることができる。力を受ける側は、他の方向の力によって拘束されなくてもよい。
【0042】
[48]メインマスクプレート3は、メインマスクプレート3の前面に垂直な押圧力のみを受けるので、メインマスク3はX方向にのみ拘束されることができる。したがって、メインマスクプレート3は他の方向への熱膨張及び変形を発生させることができる。メインマスクプレート3は、複数の方向に拘束されることによって損傷されない。一方、フロートロックアセンブリ11によって加えられる押圧力は弾性力であり、すなわち、フロートロックアセンブリ11はある程度の弾性を有するので、メインマスクプレート3は、ある程度の熱膨張及びX方向の変形を発生させることができる。これにより、接続の安定性を向上させることができる。
【0043】
[49]いくつかの実施形態では、上述のフロートロックアセンブリ11は、第1接続部材111と、第2接続部材112と、弾性部材113とを含んでいてもよい。第1の貫通孔は、メインマスクプレート3を貫通するメインマスクプレート3の厚さ方向に沿って配置されてもよい。これに対応して、第2貫通孔は、対向して貫通するメインボディ部分2の厚さ方向に沿って静電チャック2のメインボディ部分21に配置されてもよい。第1接続部材111は、例えば、ロックナット1111を含むことができる。ロックナット111は、上記の第1の貫通孔及び第2の貫通孔中に配置されてもよい。第1フランジ1112は、ロックナット1111の第1の端(図4Aにおけるロックナット1111の左端)に配置されている。第1フランジ1112は、メインマスクプレート3の前面31に積層されている。ロックナット1111の位置は、第1の貫通孔及び第2の貫通孔中に拘束されてもよい。
【0044】
[50]第2接続部材112は、例えば、第2貫通孔を貫通するねじである。ねじの一端は、ロックナット1111の第2の端(図4Aにおけるロックナット1111の右端)に螺合接続されている。ねじの他端には、第2フランジ1121(すなわち、ねじの頭部)が設けられる。第2フランジ1121は、静電チャック2のメインボディ部分21の背面212側に位置付けられ、メインボディ部分21と間隔を空けて配置されている。
【0045】
[51]弾性部材113は、第2フランジ1121と静電チャック2のメインボディ部分21との間の隙間に配置され、第2フランジ1121に弾性力を加えて第2フランジ1121を静電チャック2のメインボディ部分21から離間させてもよい。したがって、ねじが締め付けられた後、第2フランジ1121と弾性部材113との間に予備締め付け力を発生させてもよい。これにより、ねじ及びロックナット1111は、一方向の押圧力をメインマスクプレート3及び静電チャック2のメインボディ部分21に対してX方向にかけることができる。一方、弾性部材113は弾性を有するので、メインマスクプレート3が熱膨張してX方向に変形するとき、弾性部材113が弾性変形してメインマスクプレート3を損傷から保護することができる。
【0046】
[52]いくつかの実施形態では、上述の弾性部材113は弾性シートである。図4Bに示すように、弾性シートは、リング状シート1131と、リング状シート1131の円周方向に沿って間隔をあけて配置された複数の押圧爪1132とを有している。リング状シート1131は、第2接続部材112に被せられ、第2フランジ1121と積層される。したがって、ねじが締め付けられるとき、第2フランジ1121とリング状シート1131との間に予備締め付け力を発生させることができる。静電チャック2のメインボディ部分21の背面212には、複数の押圧爪1132が積層されている。押圧爪1132は、メインマスクプレート3がX方向に熱膨張変形すると、弾性変形できる。
【0047】
[53]当然ながら、実際の用途では、上述の弾性部材113はまた、弾性を有する他の何らかの構造、例えば圧縮ばねを含んでもよい。
【0048】
[54]いくつかの実施形態では、任意選択的に、第2接続部材112の締め付けトルクは、0.1N・mから0.4N・mの範囲であってもよい。第2接続部材112の締め付けトルクを範囲内に制御することにより、メインマスクプレート3は僅かな一方向の押圧力のみを受けることができる。これにより、メインマスクプレート3は、一方向の押圧力に容易に打ち勝ってX方向に熱膨張及び変形することができる。
【0049】
[55]図4Aに示すように、ロックナット1111とメインマスクプレート3の第1の貫通孔との間には径方向の間隙Bが存在する。径方向の隙間Bは、ロックナット1111がメインマスクプレート3の径方向の熱膨張及び変形を妨げること防止するように構成されてもよい。任意選択的に、径方向間隙の値の範囲は、0.1mmから0.3mmであってもよい。この範囲では、ロックナット1111はメインマスクプレート3の径方向の熱膨張及び変形を妨げることを防止できる。
【0050】
[56]なお、上記実施形態において、第1接続部材111と第2接続部材112とは螺合接続されてもよい。すなわち、ロックナット1111はねじと協働する。しかしながら、本開示は、それらに限定されるものではない。実際の適用では、第1接続部材111と第2接続部材112は、スナップ接続などの任意の他の取り外し可能な接続方式によって接続されてもよい。加えて、第1接続部材111及び第2接続部材112の構造は、異なる取り外し可能な接続方式に従って適応的に設計されることができる。
【0051】
[57]実際の用途では、1つのフロートロックアセンブリ11が含まれてもよい。好ましくは、複数のフロートロックアセンブリ11が含まれ、メインマスクプレート3の異なる位置に分散されてもよい。したがって、メインマスクプレート3の異なる位置に一方向の押圧力を均一に加えることができる。
【0052】
[58]いくつかの実施形態では、任意選択的に、図2に示されるように、中央貫通孔がメインマスクプレート3及び静電チャック2のボディ部分21にそれぞれ配置される。マスク構造は、中央締結具を更に含む。中央締結具は、メインマスクプレート3及び静電チャック2のメインボディ部分21の上述の中央貫通孔に配置されて貫通する。中央締結具は、メインマスクプレート3を静電チャック2のメインボディ部分21に固定するように構成されている。
【0053】
[59]上述の中央締結具は、例えば、ボルトを含んでいてもよい。具体的には、ボルトのスタッド7は、静電チャック2のメインボディ部分21の背面212から中央貫通孔を貫通してもよい。ボルトのナット6は、スタッド7と協働して、メインマスクプレート3の前面との間に予備締め付け力を発生させることができる。
【0054】
[60]上述の中央締結具では、上述のフロートロックアセンブリ11のフロート固定に基づいて、メインマスクプレート3の中央位置に剛性固定を適用することができる。固定点がメインマスクプレート3の中心位置にあるからである。メインマスクプレート3及び静電チャック2の熱膨張及び変形に対する中央締結具の妨害は無視できる。これにより、メインマスクプレート3と静電チャック2との間の接続安定性をさらに向上させることができる。
【0055】
[61]また、中央締結具の配置に基づいて、ワイヤなどの導電性弾性部材を使用して、メインマスクプレート3と側部マスクプレート4との間の電気的導通を実現することができる。具体的には、ワイヤの一端を側部マスクプレート4に固定的に接続し、電気的に接続してもよい。ワイヤの他端は、中央締結具(ボルトのスタッド又はナットなど)に固定的に接続され、電気的に接続されてもよい。
【0056】
[62]いくつかの実施形態では、図5に示すように、突起と1対1で対応する複数の加工孔12がメインマスクプレート3に配置される。任意選択的に、加工孔12の直径Eは、1mmから5mmの範囲であってもよい。2つの隣接する加工孔12間の中心距離は、5mmから15mmの範囲であってもよい。
【0057】
[63]当然ながら、実際の用途では、突起の設計に従って、加工孔12のサイズ、形状、及び配置などのパラメータを自由に設定することができる。いくつかの実施形態では、加工孔12の構造及びパラメータは、静電チャック2の担持面上に間隔を置いて分布して形成された複数の突起を例にとることによって設計されてもよい。
【0058】
[64]いくつかの実施形態では、リブ構造13は、メインマスクプレート3の前面31上に配置され、加工孔12が位置付けられているエリア(すなわち、非中空エリア)以外のエリアに位置付けられてもよい。リブ構造13は、メインマスクプレート3の強度及び平坦度をさらに高めるように構成されてもよい。メインマスクプレート3の背面と静電チャック2のメインボディ部分21の前面211とがより密着するように、平坦度を向上させてもよい。これにより、マスク工程の品質を向上させることができる。任意選択的に、上記平坦度を0.05以内に制御してもよい。
【0059】
[65]具体的には、図5に示すように、上述のリブ構造13は、メインマスクプレート3の中心を円心と使用することによりリング状リブ131、又は異なる半径を有する複数のリング状リブ131を含む。複数のリング状リブ131が含まれるとき、複数の径方向接続リブ132は、2つの隣接するリング状リブ131の間に円周方向に沿って配置され、分散されてもよい。これにより、メインマスクプレート3全体の強度を総合的に向上させることができ、これは平坦度の向上により有益である。
【0060】
[66]図6に示すように、任意選択的に、上述のリブ構造13の厚さH2は1mm以上である。これにより、メインマスクプレート3の強度及び平坦度を効果的に向上させることができる。リブ構造13とメインマスクプレート3との厚さの和(H2+H1)は5mm以下である。メインマスクプレート3の厚さは1.5mm以下である。リブ構造13と任意の隣接する加工孔12の縁との間の距離Lは、2mm以上である。ここで、メインマスクプレート3の厚さは、プラズマの通過を妨げることを避けるために厚すぎてはならない。同じ目的のために、リブ構造13の厚さは厚すぎてはならず、上述の距離Lは小さすぎてはならない。
【0061】
[67]いくつかの実施形態では、図5に示すように、静電チャック2の担持面上に試験用導電膜を形成するために、メインマスクプレート3の中央エリアにプロセス中空部14がさらに配置される。プロセス中空部14の形状は、試験機能を達成するために静電チャック2の形状に適合されるべきである。例えば、プロセス中空部14は、円弧状中空部141と、少なくとも3つのストライプ状中空部142とを含む。円弧状中空部141の形状は、閉じていないリングであってもよい。リングの中心は、メインマスクプレート3の中心と一致していてもよい。少なくとも3つのストライプ状中空部142は、円弧状中空部141の中心の周りに対称的に分布している。各ストライプ状中空部142の一端は、円弧状中空部141に接続され、他端が円弧状中空部141の径方向に沿って伸長する。
【0062】
[68]任意選択で、メインマスクプレート3及び側部マスクプレート4によって使用される導電性金属の熱膨張係数は、3×10-6/℃から10×10-6/℃の範囲であってもよい。この範囲の導電性金属の熱膨張係数は低く、これは、静電チャック2によって使用される材料(通常はアルミナセラミック)の熱膨張係数と一致させやすい。すなわち、静電チャック2の熱膨張率と同じ熱膨張率を有する金属である。したがって、コーティングプロセスの間のマスクプレートの熱膨張によって引き起こされる不正確なパターンコーティングの問題を大幅に改善することができる。
【0063】
[69]任意選択で、上述の導電性金属は、鉄-コバルト-ニッケル合金又はチタンなどの、上記要件を満たす熱膨張係数を有する導電性金属を含んでもよい。利用可能な中国グレードの鉄-コバルト-ニッケル合金は、4j5、4j6、4j9、4j18、4j20、4j28、4j29、4j30、4j31、4j32、4j33、4j34、4j35、4j36、4j38、4j40、4j42、4j44、4j45、4j46、4j47、4j48、4j49、4j50、4j52、4j54、4j58、4j78、4j80などを含んでいてもよい。
【0064】
[70]要約すると、本開示の実施形態によって提供されるマスク構造及びFCVA装置の技術的解決策において、マスク構造は、メインマスクプレート及び側部マスクプレートを含んでもよく、両方とも導電性金属から作製される。したがって、突起を作製するとき、示されたメインマスクプレート及び側部マスクプレートは、接地レベルに維持されるように接地されてもよい。したがって、炭素プラズマ中の堆積イオンは、静電チャックに向かって移動するように誘導されることができる。一方、メインマスクプレートを通過する堆積イオンは、突起に対応する静電チャックの担持面上にパターン化膜層を形成することができる。また、静電チャックの側面を側部マスクプレートで遮蔽することにより、堆積イオンが側面に膜層を形成することを防止して静電チャックを保護することができる。本開示の実施形態によって提供されるマスク構造は、導電性及びアンチ側部コーティング特性により、FCVA装置に適用することができる。マスク構造は、FCVAプロセスを使用して静電チャックの担持面上に突起を作製するように構成されてもよい。
【0065】
[71]上記の実装形態は、本開示の原理を例示するために使用される単に例証的な実装形態に過ぎず、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の精神及び本質から逸脱することなく、様々な修正及び改善を行うことができる。これらの修正及び改善もまた、本開示の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックの担持面に突起を作製するように構成されたマスク構造であって、導電性金属から作られたメインマスクプレートと側部マスクプレートとを備え、
前記メインマスクプレートは、静電チャックの前記担持面上に前記突起に対応するパターン化膜層を形成するように構成され、
前記側部マスクプレートは、側面上に膜層を形成することを避けるように前記静電チャックの前記側面を遮蔽するように構成され
前記マスク構造はフロートロックアセンブリをさらに含み、前記フロートロックアセンブリは前記メインマスクプレートに前記静電チャックの前記担持面に面から一方向の弾性力を加えることで、前記メインマスクプレートを前記担持面上に固定することに用いられ、
前記メインマスクプレート及び前記静電チャックのメインボディ部分にそれぞれ中央貫通孔が対応するように設けられ、
前記マスク構造は、中央締結具をさらに含み、前記中央締結具は、前記メインマスクプレート及び前記静電チャックのメインボディ部分の中央貫通孔に貫通配置され、前記メインマスクプレートを前記静電チャックのメインボディ部分に締めて固定するように構成されている、マスク構造。
【請求項2】
前記側部マスクプレートは、前記静電チャックのメインボディ部分の側面の周囲に配置され、前記メインボディ部分の側面から突出した前記静電チャックの縁部分を覆うように構成されている、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項3】
前記側部マスクプレートは、第1のボディ、第2のボディ、第3のボディ、及び締結具を含み、
前記第1のボディは、前記静電チャックの前記縁部分の前面の側に配置され、前記第2のボディは、前記静電チャックの前記縁部分の背面の側に配置され、前記第3のボディは、前記静電チャックの前記縁部分の側面の周囲に配置され、前記第1のボディ及び前記第2のボディと電気的に接触し、
前記締結具は、前記第1のボディ及び前記第2のボディを前記静電チャックの前記縁部分に固定的に接続するように構成されている、請求項2に記載のマスク構造。
【請求項4】
前記第1のボディと前記静電チャックの前記縁部分との間、及び/又は前記第2のボディと前記静電チャックの前記縁部分との間にバッファが配置される、請求項3に記載のマスク構造。
【請求項5】
前記バッファはシールリング又はバッファガスケットを備える、請求項4に記載のマスク構造。
【請求項6】
リング状遮蔽プレートをさらに備え、前記リング状遮蔽プレートは、前記側部マスクプレートに配置され、前記メインマスクプレートの前面の側に位置付けられ、前記リング状遮蔽プレートの内縁は、前記メインマスクプレートの縁の内側に伸長する、請求項1からのいずれか一項に記載のマスク構造。
【請求項7】
前記側部マスクプレートの前面まで貫通するリング状凹部が前記側部マスクプレートの内面に配置され、前記メインマスクプレートの縁部分は、前記リング状凹部中に位置付けられている、請求項1からのいずれか一項に記載のマスク構造。
【請求項8】
前記マスク構造は導電性弾性構造をさらに含み、前記導電性弾性構造は前記メインマスクプレートと前記側部マスクプレートとを電気的に導通させることに用いられる、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項9】
導電性弾性部材をさらに備え、前記導電性弾性部材は、前記メインマスクプレートと前記側部マスクプレートとをそれぞれ電気的に接続する、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項10】
前記導電性弾性部材は、導電性リード又はワイヤである、請求項9に記載のマスク構造。
【請求項11】
前記フロートロックアセンブリは、第1接続部材と、第2接続部材と、弾性部材とを含み、
第1貫通孔は、前記メインマスクプレート中に配置され、前記メインマスクプレートの厚さ方向に沿って貫通し、これに対応して、第2貫通孔は、前記静電チャックのメインボディ部分中に配置され、前記メインボディ部分の厚さ方向と反対方向に沿って貫通し、前記第1接続部材は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を貫通し、第1フランジは、前記第1接続部材の端に配置され、前記第1フランジは、前記メインマスクプレートの前面に配置され、
前記第2接続部材は、前記第2貫通孔を貫通し、前記第2接続部材の一端が前記第1接続部材に着脱可能に接続され、第2フランジは、前記第2接続部材の別の端に配置され、前記第2フランジは、前記静電チャックの前記メインボディ部分の背面の側に位置付けられ、前記メインボディ部分から間隔を空けて配置され、
前記弾性部材は、前記第2フランジと前記静電チャックの前記メインボディ部分との間に間隔を空けて配置され、前記第2フランジに弾性力を加えて、前記第2フランジを前記静電チャックの前記メインボディ部分から離間させる、請求項に記載のマスク構造。
【請求項12】
前記弾性部材は、弾性シート又は圧縮ばねを含む、請求項11に記載のマスク構造。
【請求項13】
前記弾性シートは、リング状シートと、前記リング状シートの円周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の押圧爪とを含み、
前記リング状シートは、前記第2接続部材に被せられ、前記第2フランジに配置され、 前記複数の押圧爪は、前記静電チャックの前記メインボディ部分の背面に配置されている、請求項12に記載のマスク構造。
【請求項14】
前記第2接続部材は前記第1接続部材に螺合接続され、前記第2接続部材の締め付けトルクは0.1N・mから0.4N・mの範囲である、請求項11に記載のマスク構造。
【請求項15】
前記第1接続部材と前記第1貫通孔との間には、径方向の隙間が存在する、請求項11に記載のマスク構造。
【請求項16】
前記径方向の間隙は、0.1mmから0.3mmの範囲である、請求項15に記載のマスク構造。
【請求項17】
1つ以上のフロートロックアセンブリが含まれ、前記複数のフロートロックアセンブリは、前記メインマスクプレートの異なる位置に分散される、請求項に記載のマスク構造。
【請求項18】
複数の加工孔は、前記突起と一対一に対応して前記メインマスクプレートに配置され、リブ構造は、前記メインマスクプレートの前面に配置され、前記加工孔が位置付けられているエリア以外のエリアに位置付けられ、前記メインマスクプレートの強度及び平坦度を増加するように構成されている、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項19】
前記リブ構造は、前記メインマスクプレートの中心を円の中心として使用するリング状リブ、又は異なる半径を有する複数のリング状リブを含み、前記複数のリング状リブが含まれるとき、複数の放射状リブは、2つの隣接するリング状リブの間に配置され、円周方向に沿って分布される、請求項18に記載のマスク構造。
【請求項20】
前記加工孔の直径は1mmから5mmの範囲である、請求項18に記載のマスク構造。
【請求項21】
2つの隣接する加工孔間の中心距離は、5mmから15mmの範囲である、請求項18に記載のマスク構造。
【請求項22】
前記リブ構造の厚さは1mm以上であり、
前記リブ構造と前記メインマスクプレートとの厚さの合計が5mm以下であり、
前記メインマスクプレートの厚さは1.5mm以下であり、
前記リブ構造とそれに隣接する前記加工孔のうちのいずれか1つの縁との間の距離が2mm以上である、請求項18に記載のマスク構造。
【請求項23】
中空部分は、前記メインマスクプレートの中央エリアに配置され、前記静電チャックの前記担持面上に検査用導電膜を形成するように構成されている、請求項に記載のマスク構造。
【請求項24】
前記中空部分は、円弧状中空部分と、少なくとも3つのストライプ状の中空部分とを含み、
前記円弧状中空部分の中心は、前記メインマスクプレートの中心と一致し、
前記少なくとも3つのストライプ状中空部分は、前記円弧状中空部分の中心に対して対称に配置され、ストライプ状中空部分のそれぞれの端は前記円弧状中空部分に接続され、別の端は前記円弧状中空部分の径方向に沿って伸長する、請求項23に記載のマスク構造。
【請求項25】
前記導電性金属の熱膨張係数は、3×10‐6/℃から10×10‐6/℃の範囲である、請求項1に記載のマスク構造。
【請求項26】
前記導電性金属の熱膨張係数は、前記静電チャックの熱膨張係数と同じである、請求項25に記載のマスク構造。
【請求項27】
前記導電性金属は、鉄-コバルト-ニッケル合金又はチタンを含む、請求項25又は26に記載のマスク構造。
【請求項28】
複数の突起が含まれ、前記複数の突起は、前記担持面上に間隔を置いて分布される、請求項に記載のマスク構造。
【請求項29】
電源と、チャンバと、前記チャンバ中に配置されたグラファイトターゲットと、静電チャックと、マスク構造とを備えるFCVA装置であって、
前記電源は、アークの作用を通して前記グラファイトターゲットに炭素プラズマを発生させるように構成され、
前記マスク構造は、請求項1から5、請求項8から26及び28のいずれか一項に記載のマスク構造を含み、前記炭素プラズマの堆積イオンを前記静電チャックの前記担持面に向けて移動するように誘導し、通過した前記堆積イオンに前記静電チャックの前記担持面上の前記突起に対応する前記パターン化膜層を形成させるように構成される、FCVA装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
[7]上記目的を達成するために、本開示の実施形態は、静電チャックの担持面上に突起を製造するように構成されたマスク構造を提供する。マスク構造は、導電性金属で作られたメインマスクプレート及び側部マスクプレートを含む。メインマスクプレートは、静電チャックの担持面上の突起に対応するパターン化膜層を形成するために使用される。側部マスクプレートは、側面上に膜層が形成されるのを避けるように静電チャックの側面を完全に遮蔽するために使用される。前記マスク構造はフロートロックアセンブリをさらに含み、前記フロートロックアセンブリは前記メインマスクプレートに前記静電チャックの担持面に面から一方向の弾性力を加えることで、前記メインマスクプレートを前記担持面上に固定することに用いられる。前記メインマスクプレート及び前記静電チャックのメインボディ部分にそれぞれ中央貫通孔が対応するように設けられ、前記マスク構造は、中央締結具をさらに含み、前記中央締結具は、前記メインマスクプレート及び前記静電チャックのメインボディ部分の中央貫通孔に貫通配置され、前記メインマスクプレートを前記静電チャックのメインボディ部分に締めて固定するように構成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
[71]上記の実装形態は、本開示の原理を例示するために使用される単に例証的な実装形態に過ぎず、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の精神及び本質から逸脱することなく、様々な修正及び改善を行うことができる。これらの修正及び改善もまた、本開示の範囲内にある。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 静電チャックの担持面に突起を作製するように構成されたマスク構造であって、導電性金属から作られたメインマスクプレートと側部マスクプレートとを備え、
前記メインマスクプレートは、静電チャックの前記担持面上に前記突起に対応するパターン化膜層を形成するように構成され、
前記側部マスクプレートは、側面上に膜層を形成することを避けるように前記静電チャックの前記側面を遮蔽するように構成されている、マスク構造。
[2] 前記側部マスクプレートは、前記静電チャックのメインボディ部分の側面の周囲に配置され、前記メインボディ部分の側面から突出した前記静電チャックの縁部分を覆うように構成されている、[1]に記載のマスク構造。
[3] 前記側部マスクプレートは、第1のボディ、第2のボディ、第3のボディ、及び締結具を含み、
前記第1のボディは、前記静電チャックの前記縁部分の前面の側に配置され、前記第2のボディは、前記静電チャックの前記縁部分の背面の側に配置され、前記第3のボディは、前記静電チャックの前記縁部分の側面の周囲に配置され、前記第1のボディ及び前記第2のボディと電気的に接触し、
前記締結具は、前記第1のボディ及び前記第2のボディを前記静電チャックの前記縁部分に固定的に接続するように構成されている、[2]に記載のマスク構造。
[4] 前記第1のボディと前記静電チャックの前記縁部分との間、及び/又は前記第2のボディと前記静電チャックの前記縁部分との間にバッファが配置される、[3]に記載のマスク構造。
[5] リング状遮蔽プレートをさらに備え、前記リング状遮蔽プレートは、前記側部マスクプレートに配置され、前記メインマスクプレートの前面の側に位置付けられ、前記リング状遮蔽プレートの内縁は、前記メインマスクプレートの縁の内側に伸長する、[1]から[4]のいずれか一項に記載のマスク構造。
[6] 前記側部マスクプレートの前面まで貫通するリング状凹部が前記側部マスクプレートの内面に配置され、前記メインマスクプレートの縁部分は、前記リング状凹部中に位置付けられている、[1]から[4]のいずれか一項に記載のマスク構造。
[7] 導電性弾性部材をさらに備え、前記導電性弾性部材は、前記メインマスクプレートと前記側部マスクプレートとをそれぞれ電気的に接続する、[1]に記載のマスク構造。
[8] フロートロックアセンブリをさらに備え、前記フロートロックアセンブリは、前記メインマスクプレートを前記担持面上に固定するために、前記静電チャックの前記担持面に面する一方向の力を前記メインマスクプレートに加えるように構成されている、[1]に記載のマスク構造。
[9] 前記フロートロックアセンブリは、第1接続部材と、第2接続部材と、弾性部材とを含み、
第1貫通孔は、前記メインマスクプレート中に配置され、前記メインマスクプレートの厚さ方向に沿って貫通し、これに対応して、第2貫通孔は、前記静電チャックのメインボディ部分中に配置され、前記メインボディ部分の厚さ方向と反対方向に沿って貫通し、前記第1接続部材は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を貫通し、第1フランジは、前記第1接続部材の端に配置され、前記第1フランジは、前記メインマスクプレートの前面に配置され、
前記第2接続部材は、前記第2貫通孔を貫通し、前記第2接続部材の一端が前記第1接続部材に着脱可能に接続され、第2フランジは、前記第2接続部材の別の端に配置され、前記第2フランジは、前記静電チャックの前記メインボディ部分の背面の側に位置付けられ、前記メインボディ部分から間隔を空けて配置され、
前記弾性部材は、前記第2フランジと前記静電チャックの前記メインボディ部分との間に間隔を空けて配置され、前記第2フランジに弾性力を加えて、前記第2フランジを前記静電チャックの前記メインボディ部分から離間させる、[8]に記載のマスク構造。
[10] 前記弾性部材は、弾性シート又は圧縮ばねを含む、[9]に記載のマスク構造。
[11] 前記弾性シートは、リング状シートと、前記リング状シートの円周方向に沿って間隔を空けて配置された複数の押圧爪とを含み、
前記リング状シートは、前記第2接続部材に被せられ、前記第2フランジに配置され、 前記複数の押圧爪は、前記静電チャックの前記メインボディ部分の背面に配置されている、[10]に記載のマスク構造。
[12] 前記第2接続部材は前記第1接続部材に螺合接続され、前記第2接続部材の締め付けトルクは0.1N・mから0.4N・mの範囲である、[9]に記載のマスク構造。
[13] 前記第1接続部材と前記第1貫通孔との間には、径方向の隙間が存在する、[9]に記載のマスク構造。
[14] 前記径方向の間隙は、0.1mmから0.3mmの範囲である、[13]に記載のマスク構造。
[15] 1つ以上のフロートロックアセンブリが含まれ、前記複数のフロートロックアセンブリは、前記メインマスクプレートの異なる位置に分散される、[8]に記載のマスク構造。
[16] 中央貫通孔は、前記メインマスクプレート及び前記静電チャックのメインボディ部分に配置され、
前記マスク構造は、中央締結具をさらに備え、前記中央締結具は、前記メインマスクプレート及び前記静電チャックの前記メインボディ部分の前記中央貫通孔内に配置され、前記中央貫通孔を貫通し、前記メインマスクプレートを前記静電チャックの前記メインボディ部分に固定するように構成されている、[8]に記載のマスク構造。
[17] 複数の加工孔は、前記突起と一対一に対応して前記メインマスクプレートに配置され、リブ構造は、前記メインマスクプレートの前面に配置され、前記加工孔が位置付けられているエリア以外のエリアに位置付けられ、前記メインマスクプレートの強度及び平坦度を増加するように構成されている、[1]に記載のマスク構造。
[18] 前記リブ構造は、前記メインマスクプレートの中心を円の中心として使用するリング状リブ、又は異なる半径を有する複数のリング状リブを含み、前記複数のリング状リブが含まれるとき、複数の放射状リブは、2つの隣接するリング状リブの間に配置され、円周方向に沿って分布される、[17]に記載のマスク構造。
[19] 前記加工孔の直径は1mmから5mmの範囲である、[17]に記載のマスク構造。
[20] 2つの隣接する加工孔間の中心距離は、5mmから15mmの範囲である、[17]に記載のマスク構造。
[21] 前記リブ構造の厚さは1mm以上であり、
前記リブ構造と前記メインマスクプレートとの厚さの合計が5mm以下であり、
前記メインマスクプレートの厚さは1.5mm以下であり、
前記リブ構造とそれに隣接する前記加工孔のうちのいずれか1つの縁との間の距離が2mm以上である、[17]に記載のマスク構造。
[22] 中空部分は、前記メインマスクプレートの中央エリアに配置され、前記静電チャックの前記担持面上に検査用導電膜を形成するように構成されている、[17]に記載のマスク構造。
[23] 前記中空部分は、円弧状中空部分と、少なくとも3つのストライプ状の中空部分とを含み、
前記円弧状中空部分の中心は、前記メインマスクプレートの中心と一致し、
前記少なくとも3つのストライプ状中空部分は、前記円弧状中空部分の中心に対して対称に配置され、ストライプ状中空部分のそれぞれの端は前記円弧状中空部分に接続され、別の端は前記円弧状中空部分の径方向に沿って伸長する、[22]に記載のマスク構造。
[24] 前記導電性金属の熱膨張係数は、3×10 ‐6 /℃から10×10 ‐6 /℃の範囲である、[1]に記載のマスク構造。
[25] 前記導電性金属の熱膨張係数は、前記静電チャックの熱膨張係数と同じである、[1]に記載のマスク構造。
[26] 前記導電性金属は、鉄-コバルト-ニッケル合金又はチタンを含む、[24]又は[25]に記載のマスク構造。
[27] 複数の突起が含まれ、前記複数の突起は、前記担持面上に間隔を置いて分布される、[24]又は[25]に記載のマスク構造。
[28] 電源と、チャンバと、前記チャンバ中に配置されたグラファイトターゲットと、静電チャックと、マスク構造とを備えるFCVA装置であって、
前記電源は、アークの作用を通して前記グラファイトターゲットに炭素プラズマを発生させるように構成され、
前記マスク構造は、[1]から[27]のいずれか一項に記載のマスク構造を含み、前記炭素プラズマの堆積イオンを前記静電チャックの前記担持面に向けて移動するように誘導し、通過した前記堆積イオンに前記静電チャックの前記担持面上の前記突起に対応する前記パターン化膜層を形成させるように構成される、FCVA装置。
【国際調査報告】