IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナルの特許一覧

特表2022-532363外科用ステープラのアクチュエータ保持器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(54)【発明の名称】外科用ステープラのアクチュエータ保持器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568039
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(85)【翻訳文提出日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 IB2020054249
(87)【国際公開番号】W WO2020229942
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】16/409,957
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】コートライト・ニコラス・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミソン・バリー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クロッパー・マイケル・エス
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド・ブラッドレー・エイ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC09
4C160CC22
4C160CC40
(57)【要約】
外科用ステープラは、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、クランプ部材と、発射アセンブリと、を備える。第1の細長い部材は、複数のステープル形成ポケットを含むアンビル表面を支持する遠位部分を含む。第2の細長い部材は、ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を含む。クランプ部材は、第1の細長い部材を第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能である。発射アセンブリは、ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向の位置まで並進可能である。発射アセンブリは、摺動部及びアクチュエータを含む。摺動部は、第1の連結機構を含む。アクチュエータは、ユーザによって選択的に作動されるように構成されている。アクチュエータは、アクチュエータが摺動部に対して移動するときに、摺動部の第1の連結機構を概ね囲むように構成された第2の連結機構を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する、第1の細長い部材であって、前記アンビル表面が、複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに、前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能であり、前記発射アセンブリが、
(i)第1の連結機構を含む摺動部、及び
(ii)ユーザによって選択的に作動されるように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記摺動部に対して移動するときに前記摺動部の前記第1の連結機構を概ね囲むように構成された第2の連結機構を含む、アクチュエータ、を含む、発射アセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
【請求項2】
前記第2の連結機構が、空洞を含むC形状の連結機構であり、前記空洞が、前記第1の連結機構を受容するように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項3】
前記C形状の連結機構が、前記空洞内に、前記第1の連結機構を確実に受容及び維持するように構成された、対向する第1の保持機構及び第2の保持機構を含む、請求項2に記載の外科用ステープラ。
【請求項4】
前記C形状の連結機構の対向する前記第1の保持機構と前記第2の保持機構との間の相対的な間隔が、前記空洞内に、前記第1の連結機構を確実に受容及び維持するように構成されている、請求項3に記載の外科用ステープラ。
【請求項5】
前記C形状の連結機構が、単一部品としてともに一体的に形成されている、請求項2に記載の外科用ステープラ。
【請求項6】
前記摺動部の前記第1の連結機構が、前記摺動部の第1の外側部と前記摺動部の第2の外側部との間で前記C形状の連結機構を誘導するように構成されている、請求項2に記載の外科用ステープラ。
【請求項7】
前記摺動部が、第1の本体部分及び第2の本体部分を含む、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項8】
前記第1の本体部分が、上部本体部分であり、前記第2の本体部分が、下部本体部分である、請求項7に記載の外科用ステープラ。
【請求項9】
前記第1の連結機構が、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分の第1の連結部分及び第2の連結部分を含む、請求項7に記載の外科用ステープラ。
【請求項10】
前記第2の連結機構が、空洞を形成するC形状の連結機構であり、前記第1の連結部分及び前記第2の連結部分が、前記第2の連結機構の前記空洞内に受容される、対向する第1の保持機構及び第2の保持機構を含む、請求項9に記載の外科用ステープラ。
【請求項11】
前記C形状の連結機構が、前記対向する第1の保持機構及び第2の保持機構の垂直移動を制限するように構成されている、請求項10に記載の外科用ステープラ。
【請求項12】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のうちの少なくとも1つが、金属基材及びポリマーオーバーモールドを含む、請求項7に記載の外科用ステープラ。
【請求項13】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、接着剤、プレスピン機構、又は超音波溶接のうちの少なくとも1つを使用してともに連結されている、請求項7に記載の外科用ステープラ。
【請求項14】
少なくとも1つの超音波溶接が、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に配設されている、請求項7に記載の外科用ステープラ。
【請求項15】
少なくとも1つのプレスピン機構が、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に配設されている、請求項7に記載の外科用ステープラ。
【請求項16】
外科用ステープラであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する、第1の細長い部材であって、前記アンビル表面が、複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに、前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能であり、前記発射アセンブリが、
(i)摺動部であって、
(A)第1の方向に面する第1の保持機構を含む第1の本体部分と、
(B)前記第1の方向とは反対の第2の方向に面する第2の保持機構を含む第2の本体部分と、を含む、摺動部、
(ii)ユーザによって選択的に作動されるように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、C形状の連結機構を含み、前記C形状の連結機構が、
(A)空洞と、
(B)前記第2の方向に面する第1の保持機構と、
(C)前記第1の方向に面する第2の保持機構であって、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分の前記第1の保持機構及び前記第2の保持機構が、前記C形状の連結機構の前記第1の保持機構及び前記第2の保持機構を使用して前記空洞内に保持される、第2の保持機構と、を含む、アクチュエータ、を含む、発射アセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
【請求項17】
外科用ステープラであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する、第1の細長い部材であって、前記アンビル表面が、複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに、前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能であり、前記発射アセンブリが、
(i)固定可能にともに連結される第1の本体部分及び第2の本体部分を含む摺動部であって、第1の連結機構を含む、摺動部、及び
(ii)ユーザによって選択的に作動されるように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記摺動部の前記第1の連結機構によって保持されるように構成された第2の連結機構を含む、アクチュエータ、を含む、発射アセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
【請求項18】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、接着剤、プレスピン機構、又は超音波溶接のうちの少なくとも1つを使用して固定可能にともに連結されている、請求項17に記載の外科用ステープラ。
【請求項19】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のうちの少なくとも1つが、金属基材及びポリマーオーバーモールドを含む、請求項17に記載の外科用ステープラ。
【請求項20】
接着剤又はプレスピン機構が、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に配設されている、請求項17に記載の外科用ステープラ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
胃腸吻合術などの一部の外科手術では、1つ又は2つ以上の組織層をクランプし、クランプされた層を切断し、層を通してステープルを同時に駆動することによって、切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的に封止することが望ましい場合がある。かかる手術で使用され得るこのような器具の1つは、線状外科用ステープラであり、「線状カッタ」とも称される。線状外科用ステープラは、一般に、ステープルカートリッジ(又は「リロード」)を支持するように構成された遠位ジョーを有する、第1の半体(「カートリッジ半体」又は「リロード半体」と称される)と、ステープル形成機構を有するアンビル表面を支持する遠位ジョーを有する、第2の半体(「アンビル半体」と称される)と、を含む。ステープラは、ステープラ半体をともに解放可能にクランプするように構成された移動可能なクランプレバーを更に含む。ステープラ半体は、クランプレバーが閉じられたときに、2つの遠位ジョーの間に組織を受容し、クランプするように、互いに対して枢動するように構成される。ステープラの発射アセンブリは、クランプされた層を切断するように作動し、切断線の両側の組織を通してステープルを同時に駆動するように構成される。ステープラを発射した後、クランプレバーを開放し、ステープラ半体を分離して、切断されステープル留めされた組織を解放することができる。
【0002】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】例示的な線状外科用ステープラの遠位斜視図を描写し、ステープラのカートリッジ半体及びアンビル半体が完全閉鎖位置にあるカートリッジ半体のクランプレバーと互いに連結された状態を示す。
図2図1の線状外科用ステープラの分解斜視図を描写する。
図3図1の線状外科用ステープラのステープルカートリッジアセンブリの断面斜視図を描写する。
図4A図1の線状外科用ステープラの断面側面図を描写し、ステープラ半体がそれらの近位端部で開放位置にあるクランプレバーと互いに連結された状態を示す。
図4B図1の線状外科用ステープラの断面側面図を描写し、ステープラ半体が部分的閉鎖位置にあるクランプレバーとともに連結された状態を示す。
図4C図1の線状外科用ステープラの断面側面図を描写し、ステープラ半体が完全閉鎖位置にあるクランプレバーと互いに連結された状態を示す。
図5A図1の線状外科用ステープラの遠位斜視図を描写し、近位側の発射前位置にあるステープラのアクチュエータを示す。
図5B図1の線状外科用ステープラの遠位斜視図を描写し、遠位側の発射位置にあるアクチュエータを示す。
図6】中央本体部分、上部本体部分、下部本体部分、及びアクチュエータを含む、図1の線状外科用ステープラの発射アセンブリの斜視図を描写する。
図7図6の発射アセンブリの分解斜視図を描写する。
図8図1の線状外科用ステープラの近位部分の近位斜視図を描写するが、アクチュエータは最近位位置にある。
図9図8の9-9線による図8の線状外科用ステープラの断面図を描写し、アクチュエータの遠位連結機構と係合するC形状の連結機構を含む中央本体部分を含むように図6の発射アセンブリを示している。
図10図8の10-10線による図8の線状外科用ステープラの断面図を描写し、アクチュエータの遠位連結機構と係合するC形状の連結機構を集合的に形成する、上部本体部分及び下部本体部分を示している。
図11】中央本体部分、上部本体部分、下部本体部分、及びアクチュエータを含む、代替の例示的な発射アセンブリの斜視図を描写する。
図12図11の発射アセンブリの分解斜視図を描写する。
図13図7と同様であるが、図11の発射アセンブリを含む、線状外科用ステープラの断面図を描写し、中央本体部分の近位連結機構が、アクチュエータの遠位連結機構と係合されている。
図13A図13の拡大部分13Aを描写し、中央本体部分の連結機構が、アクチュエータの遠位連結機構と係合されている。
図14図8と同様であるが、図11の発射アセンブリを含む、線状外科用ステープラの断面図を描写し、上部本体部分及び下部本体部分によって集合的に形成された近位連結機構が、アクチュエータの遠位連結機構と係合されている。
図14A図13の拡大部分14Aを描写し、上部本体部分及び下部本体部分の近位連結機構が、アクチュエータの遠位連結機構と係合されている。
図15】上部本体部分及び下部本体部分を含む第2の例示的な代替の発射アセンブリの断面斜視図を描写し、上部本体部分及び下部本体部分が、第1のケーシング及び第2のケーシングとオーバーモールドされた第1の基材及び第2の基材を含む。
図16A図15の拡大部分16Aの拡大断面斜視図を描写し、第1のケーシング及び第2のケーシングとオーバーモールドされた第1の基材及び第2の基材を示す。
図16B図15の拡大部分16Bの拡大断面斜視図を描写し、上部本体部分と下部本体部分との間に配設された固着機構を示す。
【0004】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0006】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医のより近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタのより近くにかつ外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な配向及び位置で使用され得ることが理解される。
【0007】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲の「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は集合が、本明細書で記載されているその本来の目的のために機能することを可能とするような好適な寸法の許容範囲を示すものである。
【0008】
I.例示的な線状外科用ステープラ
A.線状外科用ステープラの概説
図1及び図2は、胃腸吻合処置などの様々な切断及びステープル留め処置で使用するのに好適な、例示的な線状外科用ステープラ(10)(「線状カッタ」とも称される)を示す。線状外科用ステープラ(10)は、それらの間に組織をクランプするために解放可能にともに連結するように構成されたカートリッジ半体(12)(「リロード半体」とも称される)及びアンビル半体(14)を含む。カートリッジ半体(12)は、発射アセンブリ(34)の一部分を摺動可能に保持する近位フレーム部分(18)と、ステープルカートリッジ(80)(又は「リロード」)を支持する遠位ジョー部分(20)と、それらの間に内側に配置された一対の直立側部フランジ(22)と、を有する、細長いカートリッジチャネル(16)を含む。
【0009】
カートリッジ半体(12)は、側部フランジ(22)とほぼ整列してカートリッジチャネル(16)の下面に枢動可能に連結されたクランプレバー(24)を更に含む。クランプレバー(24)は、自由近位端と、枢動ピン(28)を用いてカートリッジチャネル(16)に枢動可能に連結された遠位端と、を有する、細長いレバーアーム(26)を含む。一対の対向するジョー(30)は、カートリッジチャネル(16)のフランジ(22)に沿ってレバーアーム(26)の遠位端から遠位方向に延在する。各ジョー(30)は、閉鎖近位端及び開放遠位端を有し、アンビル半体(14)の対応のラッチ突出部(56)と係合するように構成された上側及び下側カム表面を画定する、対応の細長いスロット(32)を含む。以下に記載されるように、クランプレバー(24)は、開放位置と閉鎖位置との間でカートリッジチャネル(16)に対して枢動して、アンビル半体(14)をカートリッジ半体(12)に対して解放可能にクランプし、それによって、それらの間に組織層を捕捉するように動作可能である。
【0010】
図2に最もよく示されるように、カートリッジ半体(12)の発射アセンブリ(34)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部分(18)内に摺動可能に保持され、概略的に示されている摺動部(36)と、摺動部(36)と移動可能に連結されたアクチュエータ(38)(又は「発射ノブ」)と、摺動部(36)から遠位方向に延在し、ステープルカートリッジ(80)内に収容されたスレッド(100)(図3を参照)と連結するように構成された細長い作動ビーム(図示せず)と、を含む。本実施例のアクチュエータ(38)は、カートリッジ半体(12)の近位端の周りを枢動して、ステープラ(10)の「両側発射」を提供するように構成されている。具体的には、アクチュエータ(38)は、遠位発射ストロークを実行するためにカートリッジ半体(12)のいずれかの外側部に沿って位置付けられ得、それにより、ステープラ(10)は、外科処置中に様々な配向で好都合に発射され得る。
【0011】
摺動部(36)は、図2及び図5Aに示される近位ホーム位置と、図5Bに示される遠位発射位置との間で、アクチュエータ(38)によって近位フレーム部分(18)内で並進可能に駆動されるように構成されている。近位ホーム位置では、摺動部(36)は、カートリッジチャネル(16)の近位端に固定されたポスト(40)に当接する。ポスト(40)の自由端は、横方向に延在する枢動ピン(42)を支持する。以下に記載されるように、アクチュエータ(38)は、ステープラ半体(12、14)が互いに完全に連結され、クランプレバー(24)が閉鎖されたときに、遠位方向に駆動され得る。ステープラ(10)のいずれかの外側部に沿ったアクチュエータ(38)の遠位前進は、摺動部(36)及び細長い作動ビームを遠位方向に駆動し、次いでスレッド(100)を、ステープルカートリッジ(80)を通して遠位方向に駆動する。以下に記載されるように、ステープルカートリッジ(80)を通ったスレッド(100)の遠位並進は、ステープラ半体(12、14)間にクランプされた組織の同時のステープル留め及び切断をもたらす。
【0012】
図1及び図2に最もよく示されるように、線状外科用ステープラ(10)のアンビル半体(14)は、近位フレーム部分(52)及び遠位ジョー部分(54)を有する細長いアンビルチャネル(50)を含む。アンビルチャネル(50)は、アンビルチャネル(50)の内側部分からカートリッジ半体(12)に向かう方向に、横方向に延在する一対の突出部(56)の形態のラッチ機構を更に含む。各ラッチ突出部(56)は、以下に記載されるように、アンビル半体(14)がカートリッジ半体(12)と連結され、クランプレバー(24)が開放位置から閉鎖位置に枢動されるときに、それぞれのクランプレバージョー(30)のスロット(32)内に捕捉されるように構成された円形回転キャップを含んでよい。一対のフック(58)は、フレーム部分(52)の近位端から近位方向に延在し、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)の両外側端を解放可能に捕捉するように構成されている。遠位ジョー部分(54)は、複数のステープル形成ポケット(図示せず)を有するアンビルプレート(60)の形態のアンビル表面を支持し、更には遠位先端部材(62)を支持する。ステープラ(10)の他の変形形態では、アンビル表面は、アンビルチャネル(50)の遠位ジョー部分(54)と一体的に形成され得るか、又は別の方法で堅固に接続され得る。
【0013】
本実施例のアンビル半体(14)は、アンビルチャネル(50)の内側部分に装着されたステープル高さ調整機序(64)を更に含む。ステープル高さ調整機序(64)は、例えば1つ又は2つ以上のカム機構(図示せず)を介してアンビルプレート(60)と動作可能に連結され、ユーザにより係合可能な一対の突出部(66)を含む。複数の所定の位置の間で突出部(66)を長手方向に調整することにより、アンビルプレート(60)は、アンビルチャネル(50)の遠位ジョー部分(54)に対して横方向に移動する。これにより、形成されるステープルの高さを画定する、アンビルプレート(60)とステープルカートリッジ(80)のデッキ(94)との間の横方向間隙距離の調整が可能になる。より厚い組織をステープル留めするときには、より大きい間隙距離、したがって、より大きいステープル高さが設定され得る。逆に、より薄い組織をステープル留めするときには、より小さい間隙距離、したがって、より小さいステープル高さが設定され得る。ステープル高さ調整機序(64)は、いくつかの変形形態では省略され得、その場合、アンビル表面は、アンビルチャネル(50)に対して固定され得ることが理解されよう。例えば、アンビル表面は、遠位ジョー部分(54)と一体的に形成され得るか、又は別の方法で固定され得る。
【0014】
図1及び図2に最もよく示されるように、線状外科用ステープラ(10)は、ステープラ(10)の選択部分を覆い、使用中に操作者によるステープラ(10)の効果的な把持及び操作を促進する複数のシュラウド(70、72、74)を更に含む。本実施例では、カートリッジ半体(12)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部分(18)の外向きの側面を覆う第1のシュラウド(70)を含む。カートリッジ半体(12)は、クランプレバー(24)の外向きの側面を覆い、カートリッジチャネル(16)及び第1のシュラウド(70)に対してクランプレバー(24)とともに枢動するように構成された第2のシュラウド(72)を更に含む。アンビル半体(14)は、近位フック(58)を含む、アンビルチャネル(50)の近位フレーム部分(52)の外向きの側面を覆う第3のシュラウド(74)を含む。各シュラウド(70、72、74)は、当業者に明らかな任意の好適な手段によって、ステープラ(10)のそのそれぞれの構成要素と連結され得る。加えて、各シュラウド(70、72、74)は、1つ又は2つ以上の材料で形成され得、外科処置中にステープラ(10)の安全かつ効率的な使用を可能にするために、操作者によってシュラウド(70、72、74)の効果的な把持を促進するのに好適なテクスチャリングが提供され得る。
【0015】
図2及び図3に示されるように、本実施例のステープルカートリッジ(80)は、カートリッジ本体(82)と、カートリッジ本体(82)の開放下側を覆うパン(84)と、カートリッジ本体(82)内に収容され、それぞれが対応のステープル(88)を駆動するように構成されている複数のステープルカートリッジ(86)と、を備えるアセンブリである。カートリッジ本体(82)は、カートリッジチャネル(16)の遠位ジョー部分(20)の対応する連結機構(図示せず)と解放可能に係合するように構成された連結機構(90)を有する近位端と、テーパ状ノーズ(92)を画定する遠位端と、を含む。カートリッジ本体(82)の上側は、長手方向スロット(96)及び複数のステープル空洞(98)が貫通している、概ね平面のデッキ(94)を画定する。各ステープル空洞(98)は、それぞれのステープルドライバ(86)及びステープル(88)を収容する。図3に示すように、カートリッジ本体(82)の内部は、スレッド本体(102)及びナイフ部材(104)を含むスレッド(100)を摺動可能に収容する。スレッド本体(102)の外側部は、遠位方向に先細になる複数のカム傾斜面(106)を支持する。スレッド本体(102)の近位端は、ステープルカートリッジ(80)がステープラー(10)のカートリッジ半体(12)に取り付けられたときに、発射アセンブリ(34)の細長い作動ビーム(図示せず)の遠位端と係止係合するように構成された下向きに延在するタブ(108)を含む。ナイフ部材(104)は、スレッド本体(102)の上側から上方に延在し、組織を切断するように構成された遠位側に面する切断縁部(110)を有する。
【0016】
スレッド(100)は、発射アセンブリ(34)の遠位作動に応答してカートリッジ本体(82)を通って遠位方向に並進するように構成されており、これにより、ナイフ部材(104)は、長手方向スロット(96)を通って遠位方向に並進して、ステープラ半体(12、14)間にクランプされた組織を切断する。同時に、カム傾斜面(106)は、カートリッジ本体(82)の対応の内部スロット(図示せず)を通って遠位方向に並進して、ステープルドライバ(86)及びステープル(88)を、ステープル空洞(98)を通って上方に作動させ、それにより、ステープル(88)の自由端がクランプされた組織を貫通し、アンビルプレート(60)のステープル形成ポケットに対して変形する。このようにして、発射アセンブリ(34)の遠位作動は、ステープラ半体(12、14)の遠位エンドエフェクタ部分間にクランプされた組織の同時切断及びステープル留めをもたらす。
【0017】
線状外科用ステープラ(10)及びステープルカートリッジ(80)は、2011年3月15日発行の「Surgical Stapling Instrument with Cutting Member Arrangement」と題された米国特許第7,905,381号、2011年6月7日発行の「Surgical Stapler with Apparatus for Adjusting Staple Height」と題された米国特許第7,954,686号、2013年1月8日発行の「Surgical Stapler Having A Closure Mechanism」と題された米国特許第8,348,129号、及び/又は2014年7月29日発行の「Linear Cutting and Stapling Device with Selectively Disengageable Cutting Member」と題された米国特許第8,789,740号の1つ又は2つ以上の教示に従って更に構成され、動作可能であり得る。これらの参考文献の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
B.線状外科用ステープラの例示的な使用
図4A図4Cは、外科処置中のステープラ半体(12、14)の例示的な連結を示す。図4Aに示すように、アンビル半体(14)の近位端は、カートリッジ半体(12)の近位端と位置合わせされ、それにより、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)は、アンビル半体(14)の近位フック(58)によって受容される。クランプレバー(24)が開放位置にある状態で、アンビル半体(14)は、次いで、近位枢動ピン(42)の周りでカートリッジ半体(12)に向かって枢動されて、アンビル半体(14)のラッチ突出部をクランプレバージョー(30)のスロット(32)内へと方向付ける。一旦ラッチ突出部(56)がクランプレバージョー(30)によって受容されると、クランプレバー(24)は、図4Bに示される部分的閉鎖位置に向かって枢動される。クランプレバー(24)のこの部分的閉鎖位置では、アンビル半体(14)は、カートリッジ半体(12)で部分的にクランプされ、これにより、ステープラ(10)は、半体(12、14)が互いに不必要に分離することなく片手で保持され得る。加えて、この状態では、ステープラ半体(12、14)の遠位部分は、互いから離間したままで、遠位部分間の組織の位置決めを可能にする。組織は、この部分的にクランプされた状態の達成前又は達成時に、ステープラ半体(12、14)の遠位部分間に位置付けられ得ることが理解されよう。
【0019】
図4Cに示されるように、クランプレバー(24)は、次いで、クランプレバージョー(30)のカム表面が、クランプレバージョー(30)のスロット(32)の閉鎖近位端に対して近位方向にアンビル半体(14)のラッチ突出部を引くように、その完全閉鎖位置に向かって更に枢動され、それによって、それらの間にしっかりと位置付けられた組織とともにステープラ半体(12、14)を完全にクランプする。ステープラ(10)の半体(12、14)が完全にクランプされた状態になると、アクチュエータ(38)は、ステープルカートリッジ(80)を発射するように操作され得る。具体的には、図5A及び図5Bに示されるように、アクチュエータ(38)は、ステープラ(10)の外側部のうちの1つに重なるように、ステープラ(10)の近位端の周りを枢動する。アクチュエータ(38)は、次いで、上述の方法で発射アセンブリ(34)を作動させるように遠位方向に駆動され、それによってクランプされた組織を同時に切断及びステープル留めする。遠位発射ストロークが完了すると、アクチュエータ(38)は、図2に示されるその近位ホーム位置に戻され得、次いで、クランプレバー(24)が、ステープラ半体(12、14)を互いに分離させ、ステープル留めされ切断された組織を解放するように開放され得る。
【0020】
C.例示的な発射アセンブリ
図6図10は、図2の線状外科用ステープラ(10)の発射アセンブリ(34)の詳細を示す。図5A図5Bを参照して前述したように、発射アセンブリ(34)は、第1の細長い部材(アンビル半体(14)として示されている)が第2の細長い部材(カートリッジ半体(12)として示されている)に対してクランプされたときに、ステープルカートリッジ(80)を発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能である。図7は、図2の発射アセンブリ(34)の斜視図を示す。図示されるように、発射アセンブリ(34)は、摺動部(36)及びアクチュエータ(38)を含む。
【0021】
摺動部(36)は、中央本体部分(118)、並びに第1の本体部分及び第2の本体部分(上部本体部分及び下部本体部分(120、122)として示されている)を含む。図6に示すように、中央本体部分(118)は、アクチュエータ(38)の遠位連結機構(126)に係合するC形状の連結機構(124)を含む。C形状の連結機構(124)は、垂直に配向されているものとして示されている、対向する第1の保持機構及び第2の保持機構(128、130)を含む。C形状の連結機構(124)は、アクチュエータ(38)の遠位連結機構(126)を受容する空洞(132)を形成する。
【0022】
上部本体部分及び下部本体部分(120、122)は、中央本体部分(118)内に長手方向に摺動して、摺動部(36)を集合的に形成するように構成されている。上部本体部分(120)は、中央本体部分(118)の遠位突出部(136)を受容するように構成された長手方向スロット(134)(図7に示す)を含む。上部本体部分(120)は、下部本体部分(122)の遠位スロット(140)内に受容されるように構成された下部遠位突出部(138)(図7に示す)を含む。上部本体部分(120)は、長手方向スロット(134)によって分離された第1のアーム及び第2のアーム(142、144)を含む。長手方向スロット(134)は、中央本体部分(118)を受容するように構成されている。上部本体部分(120)の第1のアーム及び第2のアーム(142、144)は、アクチュエータ(38)の遠位連結機構(126)を確実に受容して保持するように構成された保持機構(146)を含む。
【0023】
同様に、下部本体部分(122)は、長手方向スロット(152)(図7に示す)によって分離された第1のアーム及び第2のアーム(148、150)を含む。長手方向スロット(152)は、中央本体部分(118)を受容するように構成されている。下部本体部分(122)の第1のアーム及び第2のアーム(148、150)は、アクチュエータ(38)の遠位連結機構を確実に受容して保持するように構成された保持機構(154)を含む。上部本体部分及び下部本体部分(120、122)の保持機構(146、154)は、アクチュエータ(38)の遠位連結機構(126)を捕捉する空洞(156)を画定する。図7図8に示すように、下部本体部分(122)は、下部レール(158)を含み、中央本体部分(118)は、下部レール(160)を含む。下部レール(158、160)は、軌道(図示せず)に沿って摺動して、遠位方向に移動されたときに摺動部(36)を垂直に誘導するように構成されている。
【0024】
図6図8に示すように、アクチュエータ(38)は、挟持機構(164)を含み得る本体(162)を含む。前述のように、アクチュエータ(38)は、ユーザが印加した力を発射アセンブリ(34)に伝達して、組織の切除を実行し得る。アクチュエータ(38)の遠位連結機構(126)は、アクチュエータ(38)の本体(162)から遠位方向に延在する。遠位連結機構(126)は、対向する第1の遠位湾曲突出部及び第2の遠位湾曲突出部(166、168)、並びに対向する第1の近位突出部及び第2の近位突出部(170、172)を含む。図示されるように、対向する第1の遠位湾曲突出部及び第2の遠位湾曲突出部(166、168)、並びに対向する第1の近位突出部及び第2の近位突出部(170、172)は、垂直に延在する。アクチュエータ(38)は、アクチュエータ(38)が上部本体部分(120)の停止機構(174)及び下部本体部分(122)の停止機構(176)に接触するまで、摺動部(36)に対して回転され得る。
【0025】
図8は、図1の線状外科用ステープラ(10)の近位部分の近位斜視図を示すが、アクチュエータ(38)は最近位位置にある。図9図10は、線状外科用ステープラ(10)の2つのそれぞれの断面を示す。具体的には、図9は、図8の9-9線による図8の線状外科用ステープラ(10)の断面図を示し、中央本体部分(118)のC形状の連結機構(124)は、アクチュエータ(38)の遠位連結機構(126)と係合されている。同様に、図10は、図8の10-10線による図8の線状外科用ステープラ(10)の断面図を示し、上部本体部分及び下部本体部分(120、122)によって集合的に形成されたC形状の連結機構(178)は、アクチュエータ(38)の遠位連結機構(126)と係合されている。したがって、中央本体部分(118)のC形状の連結機構(124)及び上部本体部分及び下部本体部分(120、122)によって集合的に形成されたC形状の連結機構(178)は、アクチュエータ(38)の遠位連結機構(126)が離脱するのを防止するための軌道を提供するように整列された空洞(132、156)を生成する。図示されるように、第1のシュラウド(70)は、第1の近位突出部(170)の近位に配設されて、アクチュエータ(38)の第1の近位突出部(170)が近位方向に移動するのを防止する保持機構(180)を含む。同様に、第3のシュラウド(74)は、第2の近位突出部(172)の近位に配設されて、アクチュエータ(38)の第2の近位突出部(172)が近位方向に移動するのを防止する保持機構(182)を含む。
【0026】
II.例示的な代替の発射アセンブリを有する例示的な線状外科用ステープラ
ユーザが線状外科用ステープラ(10)のアクチュエータ(38)に偏心荷重を印加する状況では、高いねじり力が発射アセンブリ(34)の個々の構成要素に印加される。高いねじり力は、発射アセンブリ(34)の個々の構成要素の偏向を引き起こし得、これは個々の構成要素が互いから分離することを可能にし得る。例えば、これらの個々の構成要素は、上部本体部分及び下部本体部分(120、122)を含み得る。具体的には、高いねじり力は、上部本体部分(120)の第1のアーム及び第2のアーム(142、144)、並びに/又は上部本体部分(120)の第1のアーム及び第2のアーム(148、150)の偏向を引き起こし得る。この偏向は、アクチュエータ(38)が摺動部(36)から離脱する機会を提供する場合があり、これは望ましくない。結果として、摺動部(36)とアクチュエータ(38)との境界面を強化して、発射アセンブリ(34)の個々の構成要素の偏向を防止するか、又は少なくとも最小限に抑えることが望ましい場合がある。
【0027】
図11図16Bを参照して以下により詳細に説明するように、例示的な発射アセンブリ(212、312)及び関連する強化方法では、発射アセンブリ(212、312)内の局部応力及び関連する偏向を制限することができ、外科医が偏心荷重を印加したときに発射アセンブリ(212、312)内にねじり荷重を生成する。これらの発射アセンブリ(212、312)及び関連する強化方法では、発射アセンブリ(212、312)の個々の構成要素が互いにごく近接したままであり、高い発射力のシナリオ中に個々の構成要素ではなく、統合システムとして挙動することを可能にする。例えば、図11図14を参照して以下に説明するように、発射アセンブリ(34)の個々の構成要素の境界面は、発射アセンブリ(212)を強化するために変形され得、したがって、発射アセンブリ(212)の望ましくない偏向を最小限に抑える。より具体的には、図15図16Bを参照して以下に説明するように、発射アセンブリ(312)は、1つ又は2つ以上の強化機構を追加することによって発射アセンブリ(34)の個々の構成要素間の境界面を強化することができる。
【0028】
A.第1の例示的な代替の発射アセンブリ
図11図14Aでは、発射アセンブリ(34)の代わりに第1の例示的な代替の発射アセンブリ(212)を含む例示的な線状外科用ステープラ(210)(又は「線状カッタ」)を示す。線状外科用ステープラ(210)は、以下に別途記載する点を除き、上述の線状外科用ステープラ(10)と略同様である。線状外科用ステープラ(10)と同様に、線状外科用ステープラ(210)は、第1の細長い部材(アンビル半体(14)として先に示されている)、第2の細長い部材(カートリッジ半体(12)として先に示されている)、及びクランプ部材(クランプレバー(24)として先に示されている)を含む。線状外科用ステープラ(10)を参照して前述したように、アンビル半体(14)は、アンビル表面(アンビルプレート(60)として示されている)を支持する遠位部分(遠位ジョー部分(54)として先に示されている)を有し、アンビルプレート(60)は、複数のステープル形成ポケットを含む。線状外科用ステープラ(10)を参照して前述したように、カートリッジ半体(12)は、ステープルカートリッジ(80)を受容するように構成された遠位部分(遠位ジョー部分(20)として示されている)を含み、クランプレバー(24)は、アンビル半体(14)をカートリッジ半体(12)に対して解放可能にクランプするように動作可能である。
【0029】
図11では、発射アセンブリ(212)の斜視図を示し、図12では、図11の発射アセンブリの分解斜視図を示す。発射アセンブリ(34)と同様に、発射アセンブリ(212)は、アンビル半体(14)がカートリッジ半体(12)に対してクランプされたときにステープルカートリッジ(80)を発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能である。発射アセンブリ(212)は、摺動部(214)及びアクチュエータ(216)を含む。図11図12に示すように、摺動部(214)は、中央本体部分(218)、並びに第1の本体部分及び第2の本体部分(上部本体部分及び下部本体部分(220、222)として示されている)を含む。
【0030】
中央本体部分(218)は、中央本体部分(118)と同様であり、図11図13Aを参照して以下でより詳細に説明される。中央本体部分(218)は、アクチュエータ(216)の遠位連結機構(226)に係合する近位連結機構(224)を含む。図12図13Bでは、対向する第1の突出部及び第2の突出部(228、230)を含むように近位連結機構(224)を示す。図13では、図7と同様であるが、図11の発射アセンブリ(212)を含む、線状外科用ステープラ(210)の断面図を示す。図示されるように、中央本体部分(218)の近位連結機構(224)は、アクチュエータ(216)の遠位連結機構(226)と係合する。上述の中央本体部分(118)のC形状の連結機構(124)とは異なり、中央本体部分(218)の近位連結機構(224)は、C形状ではない。図13Aでは、図13の拡大部分13Aを示す。代わりに、アクチュエータ(216)の遠位連結機構(226)は、C形状として示されており、アクチュエータ(216)のC形状の連結機構を形成する。図13及び図13Aに示すように、近位連結機構(224)の対向する第1の突出部及び第2の突出部(228、230)は、垂直に配向されている。より具体的には、中央本体部分(218)の第1の突出部(228)は、第1の方向(例えば、上方)に面し、中央本体部分(218)の第2の突出部(230)は、第1の方向とは反対の第2の方向(例えば、下方)に面する。代替的に、対向する第1の突出部及び第2の突出部(228、230)は、垂直から傾斜して配設され得る。近位連結機構(224)は、中央本体部分(218)とともに単一部品として一体的に形成され得る。
【0031】
アクチュエータ(216)は、アクチュエータ(38)と同様であり、図11図14Aを参照して以下でより詳細に説明される。アクチュエータ(216)は、摺動部(214)を摺動させるためにユーザが選択的に作動するように構成されている。アクチュエータ(216)は、挟持機構(264)を含み得る本体(262)を含む。アクチュエータ(216)を使用して、ユーザが印加した力を発射アセンブリ(212)に伝達し、組織の切除を実行し得る。発射アセンブリ(212)は、他の機構の中でも、摺動部(214)、及び摺動部(214)と枢動可能に連結されて、線状外科用ステープラ(210)の両側発射を提供する一対のアクチュエータ(図示せず)を含み得ることが想定される。発射アセンブリ(212)は、本願と同日出願であり、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第16/102,164号、発明の名称「Firing System for Linear Surgical Stapler」の教示のうちの少なくともいくつかに従って更に構成され得る。
【0032】
アクチュエータ(216)は、対向する第1の突出部及び第2の突出部(228、230)の垂直移動を制限するように構成された遠位連結機構(226)を含む。アクチュエータ(216)の遠位連結機構(226)は、アクチュエータ(216)の本体(262)から遠位方向に延在する。遠位連結機構(226)は、概ね包囲されているものとして示される空洞(232)を形成し、中央本体部分(218)の近位連結機構(224)を受容する。図示されるように、遠位連結機構(226)は、垂直に配向されているものとして示される、対向する第1の保持機構及び第2の保持機構(266、268)を含む。対向する第1の保持機構(266)と第2の保持機構(268)との間の相対的な間隔は、空洞(232)が空洞(232)内に近位連結機構(224)を確実に受容し、近位連結機構(224)が空洞(232)から出ることを防止することができる。具体的には、空洞(232)は、中央本体部分(218)の対向する第1の突出部及び第2の突出部(228、230)を受容する。また、アクチュエータ(216)の遠位連結機構(226)は、アクチュエータ(216)が摺動部(214)に対して移動する(例えば、垂直軸を中心に回転する)ときに遠位連結機構(226)が依然として近位連結機構(224)を概ね囲むように、異なる形状及び/又は大きさを有し得ることも想定される。遠位連結機構(226)は、アクチュエータ(38)と供に単一部品としてともに一体的に形成されるか、又は複数の部品から別々に形成され、その後ともに組み合わされる。例えば、遠位連結機構(226)又はアクチュエータ(38)全体は、ultem HU1000などのポリマー材料から形成され得る。アクチュエータ(216)は、アクチュエータ(216)が上部本体部分及び下部本体部分(220、222)の停止機構(274、276)に接触するまで、摺動部(214)に対して回転され得る。
【0033】
図11図12に示すように、上部本体部分及び下部本体部分(220、222)は、中央本体部分(218)内へ長手方向に摺動して、摺動部(214)を集合的に形成するように構成されている。上部本体部分(220)は、中央本体部分(218)の遠位突出部(236)を受容するように構成された長手方向スロット(234)を含む。上部本体部分(220)は、長手方向スロット(234)によって分離された第1のアーム及び第2のアーム(242、244)を含み、長手方向スロット(234)は、中央本体部分(218)を受容するように構成されている。上部本体部分(220)の第1のアーム及び第2のアーム(242、244)は、アクチュエータ(216)の遠位連結機構(226)によって遠位連結機構(226)の空洞(232)内に受容され保持される保持機構(246)を含む。しかしながら、下部本体部分(122)の方へ面する保持機構(146)とは異なり、保持機構(246)は、下部本体部分(222)から離間して面している。
【0034】
下部本体部分(222)は、長手方向スロット(252)(図12に示す)によって分離された第1のアーム及び第2のアーム(248、250)を含み、長手方向スロット(252)は、図6図10に示す中央本体部分(118)及び下部本体部分(122)と同様の中央本体部分(218)を受容するように構成されている。下部本体部分(222)の第1のアーム及び第2のアーム(248、250)は、アクチュエータ(216)の遠位連結機構(226)によって遠位連結機構(226)の空洞(232)内に受容され保持される保持機構(254)を含む。上部本体部分(120)の方へ面する保持機構(154)とは異なり、保持機構(254)は、上部本体部分(220)から離間して面している。換言すれば、アクチュエータ(38)の遠位連結機構(126)を捕捉する空洞(156)を画定する、図6図10を参照して上述した上部本体部分及び下部本体部分(120、122)の保持機構(146、154)とは異なり、上部本体部分及び下部本体部分(220、222)の保持機構(246、254)は、互いに当接し、互いに離間して面して近位連結機構(225)を集合的に形成する。例えば、近位連結機構(225)又は上部本体部分及び下部本体部分(220、222)全体は、ultem HU1000などのポリマー材料から形成され得る。図示されるように、上部本体部分(220)の保持機構(246)は、第1の方向(例えば、上方)に面し、第1の方向とは反対の第2の方向(例えば、下方)に面する下部本体部分(222)の保持機構(254)に当接する。換言すれば、上部本体部分及び下部本体部分(220、222)の保持機構(246、254)は、近位連結機構(225)を集合的に形成し、これは、アクチュエータ(216)の対向する第1の保持機構及び第2の保持機構(266、268)によって空洞(256)内に捕捉されるリブ/スパインを形成するように示される。
【0035】
したがって、対向する第1の保持機構及び第2の保持機構(266、268)は、空洞(232)内に、中央本体部分(218)の近位連結機構(224)並びに上部本体部分及び(上部本体部分及び下部本体部分(220、222)の保持機構(246、254)を含む)近位連結機構(225)を確実に受容及び維持するように構成されている。対向する第1の保持機構(266)と第2の保持機構(268)との間の相対的な間隔は、近位連結機構(224)及び近位連結機構(225)を確実に受容して維持する。換言すれば、図13Aに示すように、近位連結機構(224)は、ネック部分(284)及びヘッド部分(286)を含み、ネック部分(284)は、対向する第1の保持機構(266)と第2の保持機構(268)との間の間隔よりも小さい断面積を有し、また、ヘッド部分(286)は、対向する第1の保持機構(266)と第2の保持機構(268)との間の間隔よりも大きい断面積を有する。同様に、近位連結機構(225)は、ネック部分(288)及びヘッド部分(290)を含み、ネック部分(288)は、対向する第1の保持機構(266)と第2の保持機構(268)との間の間隔よりも小さい、組み合わせた断面積を有し、また、ヘッド部分(290)は、対向する第1の保持機構(266)と第2の保持機構(268)との間の間隔よりも大きい、組み合わせた断面積を有する。
【0036】
図12に示すように、上部本体部分(220)は、下部本体部分(222)の遠位スロット(240)内に受容されるように構成された下部遠位突出部(238)を含む。代替的に、又は下部遠位突出部(238)と遠位スロット(240)との間の連結に加えて、上部本体部分及び下部本体部分(220、222)は、接着剤、プレスピン機構、又は超音波溶接のうちの少なくとも1つを使用してともに連結され得る。上部本体部分及び下部本体部分(220、222)のうちの少なくとも1つは、金属基材及びポリマーオーバーモールドを含む。上部本体部分及び下部本体部分(220、222)のうちの少なくとも1つは、金属射出成形(metal injection molding、MIM)を使用して強化され得る。上部本体部分及び下部本体部分(220、222)のうちの少なくとも1つは、強化機構を含むことによって強化される。例えば、図11図12に示すように、下部本体部分(222)は、下部レール(258)を含み、中央本体部分(218)は、下部レール(260)を含む。下部レール(258、260)は、軌道(図示せず)に沿って摺動して、遠位方向に移動されたときに摺動部(214)を垂直に誘導するように構成されている。
【0037】
B.第2の例示的な代替の発射アセンブリ
図15図16Bでは、発射アセンブリ(34)の代わりに組み込まれた第2の例示的な代替の発射アセンブリ(312)を示す。図示していないが、発射アセンブリ(312)は、上述のアクチュエータ(38)及び中央本体部分(118)を含み得る。発射アセンブリ(34)と同様に、発射アセンブリ(312)は、第1の細長い部材(アンビル半体(14)として先に示されている)が第2の細長い部材(カートリッジ半体(12)として先に示されている)に対してクランプされたときにステープルカートリッジ(80)を発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能である。
【0038】
図15では、摺動部(314)を含む発射アセンブリ(312)の断面斜視図を示す。摺動部(314)は、第1の本体部分及び第2の本体部分(上部本体部分及び下部本体部分(320、322)として示されている)を含む。図16Aは、図15の拡大断面斜視図を示す。上部本体部分及び下部本体部分(320、322)のうちの少なくとも1つは、金属基材及びポリマーオーバーモールドを含む。図示されるように、上部本体部分(320)は、第1のケーシング(326)とオーバーモールドされた第1の基材(324)を含む。同様に、下部本体部分(322)は、第2のケーシング(330)とオーバーモールドされた第2の基材(328)を含む。例えば、第1の基材及び第2の基材(324、328)は、金属材料から形成され得、また、第1のケーシング及び第2のケーシングは、ポリマー材料から形成され得る。上部本体部分及び下部本体部分(320、322)は、固定可能にともに連結されている。摺動部は、第1の連結機構を含む。上部本体部分及び下部本体部分(320、322)のうちの少なくとも1つは、金属射出成形(MIM)を使用して強化される。金属射出成形(MIM)は、その後、成形プロセス(射出成形など)を使用して形成され、かつ固化される原料を生成するために、微細な粉末金属がバインダ材料と混合される、任意の金属加工プロセスを指す。金属射出成形は、大量の複雑な部品が形成されることを可能にする。加えて、上部本体部分及び下部本体部分(320、322)の幾何学的形状は、強度を更に増加させるように最適化され得る。
【0039】
図16Bは、上部本体部分及び下部本体部分(320、322)が少なくとも1つの強化機構を使用して強化される、拡大断面斜視図を示す。換言すれば、上部本体部分(320)と下部本体部分(322)との間の境界面は、強化され得る。これには、接着剤を使用して上部本体部分(320)と下部本体部分(322)とをともに接着すること、上部本体部分(320)と下部本体部分(322)との間に1つ又は2つ以上のプレスピン機構を追加すること、並びに/又は超音波溶接を促進するために1つ若しくは2つ以上の溶接機構を上部本体部分及び下部本体部分(320、322)に追加することが挙げられるが、これらに限定されない。図示されるように、上部本体部分及び下部本体部分(320、322)は、接着剤(332)及びプレスピン機構(334)を使用してともに強化される。例えば、上部本体部分(320)は、下部本体部分(322)内に配設された、対応する空洞(338)によって固定可能に受容されるプレスピン(336)を含むとして示されている。
【0040】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出における任意の時点で提示され得るいずれの特許請求の適用範囲をも限定することを意図したものではないことを理解されたい。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、あくまでも例示的な目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の種々の教示は、他の多くの方式で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態は、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略し得ることも考えられる。したがって、本発明者らによって又は本発明者らの利益の承継者によって、後日そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。何らかの特許請求が、本出願において、又は以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0041】
外科用ステープラであって、(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する、第1の細長い部材であって、アンビル表面は複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材を第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、(d)発射アセンブリであって、第1の細長い部材が第2の細長い部材に対してクランプされたときに、ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能であり、発射アセンブリが、(i)第1の連結機構を含む摺動部、及び(ii)ユーザによって選択的に作動されるように構成されたアクチュエータであって、アクチュエータは、アクチュエータが摺動部に対して移動するときに、摺動部の第1の連結機構を概ね囲むように構成された第2の連結機構を含む、アクチュエータを含む、発射アセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
【実施例2】
【0042】
第2の連結機構が、空洞を含むC形状の連結機構であり、空洞が、第1の連結機構を受容するように構成されている、実施例1に記載の外科用ステープラ。
【実施例3】
【0043】
C形状の連結機構が、空洞内に、第1の連結機構を確実に受容及び維持するように構成された対向する第1の保持機構及び第2の保持機構を含む、実施例2に記載の外科用ステープラ。
【実施例4】
【0044】
C形状の連結機構の対向する第1の保持機構と第2の保持機構との間の相対的な間隔が、空洞内に、第1の連結機構を確実に受容及び維持するように構成されている、実施例3に記載の外科用ステープラ。
【実施例5】
【0045】
C形状の連結機構が、単一部品としてともに一体的に形成されている、実施例2~4のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【実施例6】
【0046】
摺動部の第1の連結機構が、摺動部の第1の外側部と摺動部の第2の外側部との間でC形状の連結機構を誘導するように構成されている、実施例2~5のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【実施例7】
【0047】
摺動部が、第1の本体部分及び第2の本体部分を含む、実施例1~6のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【実施例8】
【0048】
第1の本体部分が、上部本体部分であり、第2の本体部分が、下部本体部分である、実施例7に記載の外科用ステープラ。
【実施例9】
【0049】
第1の連結機構が、第1の本体部分及び第2の本体部分の第1の連結部分及び第2の連結部分を含む、実施例7~8のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【実施例10】
【0050】
第2の連結機構が、空洞を形成するC形状の連結機構であり、第1の連結部分及び第2の連結部分が、第2の連結機構の空洞内に受容される対向する第1の保持機構及び第2の保持機構を含む、実施例9に記載の外科用ステープラ。
【実施例11】
【0051】
C形状の連結機構が、対向する第1の保持機構及び第2の保持機構の垂直移動を制限するように構成されている、実施例10に記載の外科用ステープラ。
【実施例12】
【0052】
第1の本体部分及び第2の本体部分のうちの少なくとも1つが、金属基材及びポリマーオーバーモールドを含む、実施例7~11のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【実施例13】
【0053】
第1の本体部分及び第2の本体部分が、接着剤、プレスピン機構、又は超音波溶接のうちの少なくとも1つを使用してともに連結されている、実施例7~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【実施例14】
【0054】
少なくとも1つの超音波溶接が、第1の本体部分と第2の本体部分との間に配設されている、実施例7~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【実施例15】
【0055】
少なくとも1つのプレスピン機構が、第1の本体部分と第2の本体部分との間に配設されている、実施例7~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【実施例16】
【0056】
外科用ステープラであって、(a)アンビル表面を支持する遠位部分を含む第1の細長い部材であって、アンビル表面は複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を含む第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材を第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、(d)発射アセンブリであって、第1の細長い部材が第2の細長い部材に対してクランプされたときにステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能であり、発射アセンブリが、(i)(A)第1の方向に面する第1の保持機構を含む第1の本体部分と、(B)第1の方向とは反対の第2の方向に面する第2の保持機構を含む第2の本体部分と、を含む、摺動部、及び(ii)ユーザによって選択的に作動されるように構成されたアクチュエータであって、アクチュエータは、アクチュエータがC形状の連結機構を含み、C形状の連結機構が(A)空洞、(B)第2の方向に面する第1の保持機構、及び(C)第1の方向に面する第2の保持機構を含み、第1の本体部分及び第2の本体部分の第1の保持機構及び第2の保持機構は、C形状の連結機構の第1の保持機構及び第2の保持機構を使用して空洞内に保持される、アクチュエータを含む、発射アセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
【実施例17】
【0057】
外科用ステープラであって、(a)アンビル表面を支持する遠位部分を含む第1の細長い部材であって、アンビル表面は複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を含む第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材を第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、(d)発射アセンブリであって、第1の細長い部材が第2の細長い部材に対してクランプされたときにステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能であり、発射アセンブリが、(i)固定可能にともに連結される第1の本体部分及び第2の本体部分を含む摺動部であって、第1の連結機構を含む、摺動部、及び(ii)ユーザによって選択的に作動されるように構成されたアクチュエータであって、アクチュエータは、摺動部の第1の連結機構によって保持されるように構成された第2の連結機構を含む、アクチュエータを含む、発射アセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
【実施例18】
【0058】
第1の本体部分及び第2の本体部分が、接着剤、プレスピン機構、又は超音波溶接のうちの少なくとも1つを使用して固定可能にともに連結されている、実施例17に記載の外科用ステープラ。
【実施例19】
【0059】
第1の本体部分及び第2の本体部分のうちの少なくとも1つが、金属基材及びポリマーオーバーモールドを含む、実施例17~18のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【実施例20】
【0060】
接着剤又はプレスピン機構が、第1の本体部分と第2のとの間に配設されている、実施例17~19のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用ステープラ。
【0061】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正及び変形形態は、特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0062】
更に、本明細書に記載された教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ又は2つ以上を、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができる:米国出願第15/889,363号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Release Mechanism for Linear Surgical Stapler」、米国出願第15/889,370号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Lockout Assembly for Linear Surgical Stapler」、米国出願第15/889,374号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Features to Align and Close Linear Surgical Stapler」、米国出願第15/889,376号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Releasable Coupling Features for Proximal Portions of Linear Surgical Stapler」、米国出願第15/889,388号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Firing Lever Assembly for Linear Surgical Stapler」、米国出願第15/889,390号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Clamping Mechanism for Linear Surgical Stapler」、及び/又は米国出願第[代理人参照番号END9093USNP1]、本願と同日に出願された、発明の名称「Actuator Support Structure for Surgical Stapler」。これらの出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又は他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載される他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する記載にも優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0064】
上記の装置の変形形態は、医療専門家により行われる従来の治療及び処置における用途のみではなく、ロボット支援された治療及び処置における用途も有することができる。ほんの一例として、本明細書の種々の教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。
【0065】
上述の装置の変形例は、1回の使用後に処分されるように設計され得るか、又はそれらは、複数回使用されるように設計することができる。変形形態は、一方又はその両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外され得る。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、装置のいくつかの変形例を、再調整用の施設において、又は処置の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための種々の技術を利用し得ることが当業者には理解されよう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、すべて本出願の範囲内にある。
【0066】
ほんの一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌され得る。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次に、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に定置され得る。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管され得る。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の他の任意の技術を用いて、装置は滅菌され得る。
【0067】
以上、本発明の種々の実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現し得る。このような可能な修正のうちのいくつかについて述べたが、他の修正が当業者には明らかとなるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープラであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する、第1の細長い部材であって、前記アンビル表面が、複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに、前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能であり、前記発射アセンブリが、
(i)第1の連結機構を含む摺動部、及び
(ii)ユーザによって選択的に作動されるように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記摺動部に対して移動するときに前記摺動部の前記第1の連結機構を概ね囲むように構成された第2の連結機構を含む、アクチュエータ、を含む、発射アセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
(2) 前記第2の連結機構が、空洞を含むC形状の連結機構であり、前記空洞が、前記第1の連結機構を受容するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(3) 前記C形状の連結機構が、前記空洞内に、前記第1の連結機構を確実に受容及び維持するように構成された、対向する第1の保持機構及び第2の保持機構を含む、実施態様2に記載の外科用ステープラ。
(4) 前記C形状の連結機構の対向する前記第1の保持機構と前記第2の保持機構との間の相対的な間隔が、前記空洞内に、前記第1の連結機構を確実に受容及び維持するように構成されている、実施態様3に記載の外科用ステープラ。
(5) 前記C形状の連結機構が、単一部品としてともに一体的に形成されている、実施態様2に記載の外科用ステープラ。
【0069】
(6) 前記摺動部の前記第1の連結機構が、前記摺動部の第1の外側部と前記摺動部の第2の外側部との間で前記C形状の連結機構を誘導するように構成されている、実施態様2に記載の外科用ステープラ。
(7) 前記摺動部が、第1の本体部分及び第2の本体部分を含む、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(8) 前記第1の本体部分が、上部本体部分であり、前記第2の本体部分が、下部本体部分である、実施態様7に記載の外科用ステープラ。
(9) 前記第1の連結機構が、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分の第1の連結部分及び第2の連結部分を含む、実施態様7に記載の外科用ステープラ。
(10) 前記第2の連結機構が、空洞を形成するC形状の連結機構であり、前記第1の連結部分及び前記第2の連結部分が、前記第2の連結機構の前記空洞内に受容される、対向する第1の保持機構及び第2の保持機構を含む、実施態様9に記載の外科用ステープラ。
【0070】
(11) 前記C形状の連結機構が、前記対向する第1の保持機構及び第2の保持機構の垂直移動を制限するように構成されている、実施態様10に記載の外科用ステープラ。
(12) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のうちの少なくとも1つが、金属基材及びポリマーオーバーモールドを含む、実施態様7に記載の外科用ステープラ。
(13) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、接着剤、プレスピン機構、又は超音波溶接のうちの少なくとも1つを使用してともに連結されている、実施態様7に記載の外科用ステープラ。
(14) 少なくとも1つの超音波溶接が、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に配設されている、実施態様7に記載の外科用ステープラ。
(15) 少なくとも1つのプレスピン機構が、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に配設されている、実施態様7に記載の外科用ステープラ。
【0071】
(16) 外科用ステープラであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する、第1の細長い部材であって、前記アンビル表面が、複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに、前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能であり、前記発射アセンブリが、
(i)摺動部であって、
(A)第1の方向に面する第1の保持機構を含む第1の本体部分と、
(B)前記第1の方向とは反対の第2の方向に面する第2の保持機構を含む第2の本体部分と、を含む、摺動部、
(ii)ユーザによって選択的に作動されるように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、C形状の連結機構を含み、前記C形状の連結機構が、
(A)空洞と、
(B)前記第2の方向に面する第1の保持機構と、
(C)前記第1の方向に面する第2の保持機構であって、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分の前記第1の保持機構及び前記第2の保持機構が、前記C形状の連結機構の前記第1の保持機構及び前記第2の保持機構を使用して前記空洞内に保持される、第2の保持機構と、を含む、アクチュエータ、を含む、発射アセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
(17) 外科用ステープラであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する、第1の細長い部材であって、前記アンビル表面が、複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに、前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置まで並進可能であり、前記発射アセンブリが、
(i)固定可能にともに連結される第1の本体部分及び第2の本体部分を含む摺動部であって、第1の連結機構を含む、摺動部、及び
(ii)ユーザによって選択的に作動されるように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記摺動部の前記第1の連結機構によって保持されるように構成された第2の連結機構を含む、アクチュエータ、を含む、発射アセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
(18) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、接着剤、プレスピン機構、又は超音波溶接のうちの少なくとも1つを使用して固定可能にともに連結されている、実施態様17に記載の外科用ステープラ。
(19) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分のうちの少なくとも1つが、金属基材及びポリマーオーバーモールドを含む、実施態様17に記載の外科用ステープラ。
(20) 接着剤又はプレスピン機構が、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に配設されている、実施態様17に記載の外科用ステープラ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13A
図14
図14A
図15
図16A
図16B
【国際調査報告】