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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(54)【発明の名称】イベントシステム
(51)【国際特許分類】
   A47F 10/06 20060101AFI20220707BHJP
   A63J 13/00 20060101ALI20220707BHJP
   E04H 3/02 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A47F10/06
A63J13/00
E04H3/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568251
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2020063557
(87)【国際公開番号】W WO2020229640
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】102019113013.1
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516098579
【氏名又は名称】マック ライズ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Mack Rides GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー ギュンター
(57)【要約】
【課題】
イベントへの訪問の経験を強める、より包括的な感覚経験を提供する。
【解決手段】
感覚を刺激するイベントのためのイベントシステムであって、少なくとも1つのテーブル及び/又は少なくとも1つの椅子を有し、空間内で移動可能な少なくとも1つのイベント用家具部品と、感覚を刺激するイベントの客の感覚を刺激するための少なくとも1つの装置と、を有するイベントシステムにおいて、空間内で移動可能なイベント用家具部品は、機械的な動きをするための移動手段を有し、イベントシステムは、機械的な動きと、感覚を刺激するイベントの客の感覚を刺激する装置の出力と、を互いに同期して制御するように構成された第1の制御部を更に有することを特徴とするイベントシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感覚を刺激するイベントのためのイベントシステム(10、50)であって、
少なくとも1つのテーブル及び/又は少なくとも1つの椅子を有し、空間内で移動可能な少なくとも1つのイベント用家具部品(100、200、250、300、350)と、
感覚を刺激する前記イベントの客(1)の感覚を刺激するための少なくとも1つの装置(12、52)と、
を有するイベントシステム(10、50)において、
空間内で移動可能な前記イベント用家具部品(100、200、250、300、350)は、機械的な動きをするための移動手段を有し、
前記イベントシステム(10、50)は、前記機械的な動きと、感覚を刺激する前記イベントの客(1)の感覚を刺激する前記装置の出力とを互いに同期して制御するように構成された第1の制御部(1901)を更に有する
ことを特徴とするイベントシステム(10、50)。
【請求項2】
感覚を刺激するイベントのためのイベントシステム(10、50)、特に請求項1に記載のイベントシステム(10、50)であって、前記イベントシステム(10、50)は、
少なくとも1つの移動装置(64)によって機械的な動きが可能であり、空間内で移動可能な少なくとも1つの床部分(63)
を有し、
前記イベントシステム(10、50)は、前記少なくとも1つの床部分(63)の前記機械的な動きと、感覚を刺激する前記イベントの客(1)の感覚を刺激する装置(12、52)の出力とを互いに同期して制御するように構成された第1の制御部(1901)を更に有する
イベントシステム(10、50)。
【請求項3】
前記移動装置(64)は、前記少なくとも1つの床部分(63)を少なくとも3自由度、好ましくは6自由度で移動可能であることを特徴とする請求項2に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項4】
前記移動装置(63)は、少なくとも1つのリニア駆動部を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項5】
前記移動装置(64)は、重量補正手段を有することを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項6】
前記移動装置(64)は、前記少なくとも1つの床部分(63)の係合点における偏位を予め設定する連結リンクを有することを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項7】
感覚を刺激する前記装置(12、52)は、視覚、音響、嗅覚及び/又は触覚の刺激のために構成及び/又は設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項8】
感覚を刺激する前記装置(12、52)の周囲及び/又は出力が可変であり、好ましくは、客に固有のコンテンツに適合可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項9】
前記イベントシステム(10、50)は、他のイベント用家具部品として、移動可能な少なくとも1つの壁、仕切り又はプライバシスクリーン要素(15)をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項10】
前記移動可能な少なくとも1つの壁、仕切り又はプライバシスクリーン要素(15)は、機械的な動きが可能であり、この機械的な動きは、前記第1の制御部(1901)及び/又は他の制御部によって制御されることを特徴とする請求項9に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項11】
前記イベントシステム(10、50)は、第1の制御部(1901)及び/又は他の制御部によって制御される、食事を前記テーブル(11、120)上に自動的に提供するための手段(501)をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項12】
前記イベントシステム(10、50)は、第1の制御部(1901)及び/又は他の制御部によって制御される、少なくとも1つのロボット又はロボットアーム(400、800、1000)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項13】
前記ロボット又は前記ロボットアーム(400、800、1000)は、天井から吊り下げられ、及び/又は前記天井に取り付けられたガイドレール(401、801、1001)に取り付けられていることを特徴とする請求項12に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項14】
前記第1の制御部(1901)は、前記第1の制御部(1901)によって直接的又は間接的に制御されるロボット又はロボットアーム(800)との相互作用によって前記イベント用家具部品(100)の機械的な動きを制御することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項15】
前記第1の制御部(1901)及び/又は前記他の制御部は、食事をテーブル(11、120)上に自動的に提供するための前記手段が、食事の自動的な提供の際に前記ロボット又は前記ロボットアームと協働するようにプログラム及び設定されていることを特徴とする請求項12乃至請求項14の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項16】
前記第1の制御部(1901)及び/又は前記他の制御部は、前記ロボット又は前記ロボットアーム(400)が、感覚を刺激する前記イベントの客(1)と対話するようにプログラム及び設定されていることを特徴とする請求項12乃至請求項15の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項17】
前記機械的な動きは、エアクッションシステム、マグネットシステム、床搬送システム、レールシステム、またはこれらのシステムの、特に部分的な組み合わせにより行われることを特徴とする請求項1乃至請求項16の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項18】
前記制御部(13)は、感覚を刺激する前記イベントの客(1)の感覚を刺激する前記装置(12、52)が、
視覚的コンテンツを提供するように、特に前記視覚的コンテンツをテーブル(120)、椅子(110)、床部分(63)、壁部分又は前記イベントシステム(10、50)の部品の間の空間に投影するか、又は前記視覚的コンテンツを個人用の観察装置で客(1)に提供するように、及び/又は、
機械的な動き及び/又は投影された映像コンテンツに音響を添えるように、及び/又は、
好ましくは視覚的コンテンツ又は添えられた音響に適合した臭気物質を放出するように、及び/又は、
好ましくはテーブル(120)又は椅子(110)の近くに触覚的な刺激を発生させるようにプログラム及び設定されている
ことを特徴とする前記請求項1乃至請求項17の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項19】
前記イベントシステム(10、50)は、感覚を刺激する前記イベントの客(1)の挙動を検出するための1つまたは複数のセンサ(1124、1213)を備え、これらのセンサは、前記制御部の少なくとも1つと信号通信していることを特徴とする請求項1乃至請求項18の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項20】
前記イベントシステム(10、50)が、ナビゲーション制御部(1910)を有し、前記ナビゲーション制御部(1910)は、前記イベントシステム(10、50)の個々のイベント用家具部品(100、200、250、300、350)の位置を検出し、前記イベントシステム(10、50)の個々のイベント用家具部品(100、200、250、300、350)の移動を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項19の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項21】
前記イベントシステム(10、50)は、イベントスタッフ(99)及び/又は客(1)のためにカウントダウンを表示する手段(14)をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項20の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項22】
前記第1の制御部(1901)と直接的に又は間接的に信号通信を行い、前記第1の制御部(13)の制御過程への介入を可能にする、イベントスタッフ(99)用の操作装置(98)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項21の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項23】
イベント用家具部品(100)、特にテーブル(120)及び/又は椅子(110)の近くに前記第1の制御部(1901)及び/又は他の制御部との相互作用のための手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項22の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)。
【請求項24】
少なくとも1つのレストラン用家具部品(100、200、250、300、350)及び/又は少なくとも1つの床部分(63)の機械的な動きと、感覚を刺激するイベントの客(1)の感覚を刺激する前記装置(12、52)の出力が、前記第1の制御部(1901)によって自動的に互いに同期がとられることを特徴とする、請求項1乃至請求項23の何れか一項に記載のイベントシステム(10、50)の運用の方法。
【請求項25】
食事がテーブル(10、120)上に自動的に提供されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記イベントシステム(10、50)は、少なくとも1つのロボット又はロボットアーム(400、800、1000)を有し、前記第1の制御部(1901)及び/又は他の制御部(1907)は、前記ロボット又は前記ロボットアーム(400、800、1000)を制御することを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ロボット又は前記ロボットアーム(400、800、1000)は、食事のテーブル(11、120)上への自動的な提供に協働することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ロボット又は前記ロボットアーム(400、800、1000)は、客(1)と対話することを特徴とする請求項26又は請求項27に記載の方法。
【請求項29】
感覚を刺激する前記イベントの客(1)の感覚を刺激する前記装置(12、52)は、
視覚的コンテンツを提供するように、特に前記視覚的コンテンツをテーブル(11、120)、椅子(110)、床部分、壁部分又は前記イベントシステムの部品の間の空間に投影するか、又は前記視覚的コンテンツを個人用の観察装置で客(1)に提供するように、及び/又は、
機械的な動き及び/又は投影された映像コンテンツに音響を添えるように、及び/又は、
好ましくは視覚的コンテンツまたは添えられた音響に適合した臭気物質を放出するように、及び/又は、
好ましくはテーブル(11、120)又は椅子(110)の近くに触覚的な刺激を発生させる
ことを特徴とする前記請求項24乃至請求項28の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念の特徴を有するイベントシステムと請求項24の特徴を有するイベントシステムの運転の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、社会的なライフイベントへの参加は、より大きな期待と、イベントそのものを超えた体験の探求を伴うものとなっている。例えば、レストランを訪れることは、単に食事したり、場合によっては懇親を深めたりする活動としてだけ捉えられつつあるだけでなく、同時に楽しい経験を演出するものである。そのため、体験型レストランの分野では、そうした体験と食をセットにした提案が多くなっている。一番簡単な場合には、テーマレストランという枠組みで、調度品やメニュー、ウェイターの服装までが、あるテーマに沿ったものにされている。
【0003】
さらに、クリミディナ(Krimidinner)、ビツッヒマンズ・パラッツォ(Witzigmans Palazzo)、シューベックス・テアトロ(Schuhbecks Teatro)など、食事が劇やショーイベントの一部として構成される、非常に人気の高い形式も開発されている。
【0004】
また、レストランで通常行われる手順の一部を、いつもと違う非日常的な方法で行うという手法も人気である。その一歩が、客の目の前で調理をするショークッキングである。給仕人が幕間の出し物を提示することも知られている。このカテゴリーに属する別の変形例としては、特許文献1(EP 1 833 331 B1)または特許文献2(DE 10 2015 011 538)にも記載されている、よく知られたジェットコースターレストランがある。これらのレストランでは、従来の配膳作業に代わって、注文された料理や飲み物をジェットコースターのようなレールシステムで客の目の前のテーブルに供給し、このレールシステムによる提供は、ロボットやロボットアームによって客から一部見えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP 1 833 331 B1
【特許文献2】DE 10 2015 011 538
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、特に、イベントへの訪問、特にレストラン、カフェまたはバーへの訪問に固有の感覚刺激、特にレストラン、カフェまたはバーへの訪問の場合には味覚刺激を、会議または文化イベントでもあり得る、活気づけるイベントの客に、イベントへの訪問の経験を強める、より包括的な感覚経験を提供できるようにする、新しいイベントシステムを提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有するイベントシステム、および請求項24の特徴を有するこのようなイベントシステムを運転する方法によって解決される。イベントシステムまたは方法の有利なさらなる展開は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0008】
本発明による感覚を刺激するイベントのためのイベントシステムは、空間内で移動可能な少なくとも1つのテーブル及び/又は空間内で移動可能な少なくとも1つの椅子を有するイベント用家具及び/又は感覚を刺激するイベントの客の感覚を刺激する装置を有する。先行技術において、この装置は、典型的には、照明システムによるグローバル照明、すなわちイベントのすべての客に対して実質的に同じ照明、及び/又は音響システムによる音響を提供するものである。
【0009】
なお、テーブルと椅子は必ずしも必要ではなく、スタンディングレストランや、食べ物や飲み物の収納スペースが一体となった椅子などが考えられる。
【0010】
本発明にとって本質的なことは、空間内で移動可能なイベント用家具が、機械的な動きのための移動手段を有し、イベントシステムが、機械的な動きと感覚を刺激するイベントの客の感覚刺激のための装置の出力とを互いに同期して制御するように構成された第1の制御部をさらに含むことである。
【0011】
具体的には、例えば、非常にシンプルな実施形態として、テーブルや椅子、あるいはテーブルや椅子を連結したグループがそれぞれ遠隔操作で移動し、音響システムからワルツが流れると、互いの周りに回転するというようなことが考えられる。一方、音響システムによってマーチが流れると、テーブルが、テーブルに割り当てられた椅子及び、場合によっては、そこに座っている客とともにイベントの場所(例えば、レストラン)で、互いの後ろで列を作って移動することが考えられる。
【0012】
さらなる態様は、感覚を刺激するイベントのためのイベントシステムに関し、このシステムは、既に説明したイベントシステムに加えて、イベント用家具、空間内で移動可能な少なくとも1つのテーブル及び/又は空間内で移動可能な少なくとも1つの椅子、ならびに感覚を刺激するイベントの客の感覚を刺激する装置を備え、補足的に又は代替的に、少なくとも1つの移動装置によって機械的に移動可能な少なくとも1つの可動の床部分を含む。本発明で本質的なことは、空間内で移動可能な床部分、機械的な動きのための少なくとも1つの移動装置を有し、イベントシステムが、機械的な動きと、阿感覚を刺激するイベントの客の感覚を刺激する装置の出力とを互いに同期して制御するように構成された第1の制御部をさらに含むことである。
【0013】
本開示の意味における機械的な動きのための移動手段または移動装置は、移動を実行するために、対応するイベント用家具部品以外のイベント用家具部品と協働することが可能であれば、既に存在する。
【0014】
特に、機械的な移動には駆動が必要であるが、例えば、マグネット搬送装置への磁気結合や搬送チェーンへの機械的結合など、イベント用家具部品や床部分の外部に設けられた駆動装置に結合するための結合要素のみが設けられていれば足りる場合がある。したがって、駆動装置は、請求項に記載されている移動手段を有するために必ずしもイベント用家具部品に完全に統合される必要はない。
【0015】
同様に、外部に設けられた制御装置、特に動作の同期を保証する制御装置との結合で十分である場合もある。このような結合は、例えば、イベント用家具部品または床部分に統合された駆動装置に無線で送信される制御信号によって実現することができるため、ローカル制御が可能で、多くの用途に有用であるが、必要ではない。
【0016】
制御装置は、全体の制御装置の一部であるか、またはそのような全体の制御装置によって制御され得る。
【0017】
特に、機械的に制御された動作を行うための手段の存在は、客自身によって制御される動作を行うための追加の手段の存在を排除するものではなく、これらの手段の一部は、両方の目的のために使用することも可能であることに留意すべきである。実際、特に本発明の好ましい更なる展開によれば、イベント用家具がさらに、例えばペダル、駆動シーソー、垂直オールのように機能するハンドレバーなど、客が動きに影響を与えるための操作要素も有し得る。
【0018】
移動装置は、少なくとも1つの床部分を、少なくとも1つ、好ましくは3つ以上の自由度で移動させることができる。この最も単純なケースでは、少なくとも1つの床部が昇降動作を行うことができ、それによってエレベータで発生するような加速度効果を実現することができる。エレベータの走行は、エレベータの故障の可能性、地震など、純粋な昇降動作に加えて、横方向および/または空間角の動きも重なるような、さらなる影響によって豊かになる可能性がある。さらに、パイロット訓練用のフライトシミュレータなどで使用されているヘクサポッズ(Hexapods)と呼ばれる複雑な移動装置では、旋回、ロール、傾斜の動き、つまり最大6自由度の動きを実現することができる。これを利用して、イベントにさらなるアクション性や物語性のある瞬間を組み込むことができる。例えば、エレベータがその外壁を走る超高層ビルにキングコングが現れて、リフトに衝撃を与え、揺れ動かせることができる。特に、感覚刺激によって展望台から見える景色が山頂からのものであれば、巨大な鳥や凧が客を乗せて山を登っていくような飛行の動きも感覚刺激で再現でき、全体の印象をより強くすることができる。
【0019】
また、床部分は部屋全体に広がり、さらに部屋内の全てのイベント用家具を収容することもでき、この床部分や床上にイベント用家具を配置することもできる。例えば、おとぎ話の空飛ぶ絨毯を再現し、客への感覚刺激装置と同期して、移動装置が部屋全体の床部分を上下させ、時には振動させることも可能である。3つの空間角の偏向は、客に追加の刺激を与えることができ、感覚刺激装置は、補完的な相対的動きをシミュレートすることもでき、それは可動のイベント用家具によって増幅されるか、または生成される得る。
【0020】
移動装置は、少なくとも1つのリニア駆動装置を含み得る。例えば、シミュレータ技術で知られる従来の移動装置、特に、ヘクサポッズ(Hexapods)は、小さな床面積であれば問題なく使用できるが、より大きな空間や重い重量にスケールアップすると、特にイベントシステムの安全面を満たすために大きな問題が生じる。最も単純な場合、例えば、移動装置は、床部分を水平及び/又は垂直に移動させることができる油圧シリンダのようなリニアアクチュエータを有しうる。
【0021】
スケーリングを容易にするために、移動装置は重量バランスを有することができ、重量バランスは、少なくとも、イベントシステムが静止しているとき、すなわち乗客及び/又はイベント用家具がないときに、床部分を力なく好ましくは任意の位置に保持できる程度に移動装置の荷重を軽減させる。このために、カウンターウェイト、窒素アキュムレータ、ダンパー又はスプリングが設けられ、これらの手段によって、好ましくは永久的な緩和が行われ、及び/又は所望の慣性によって、それぞれの場合に、少なくとも1つの床部分の対応する動きを実行するために必要なエネルギーが提供される。
【0022】
移動装置は、少なくとも1つの床部の偏位が予め設定された連結リンクを有し得る。例えば、連結リンクは、少なくとも1つのリニアアクチュエータによって、少なくとも1つの床部分に対して偏位可能であり得る。少なくとも1つの床部分は、連結リンクに支持されることができ、連結リンクは、支持体上の少なくとも1つの床部分の偏位を決定することができる。少なくとも1つの床部分は、例えば、3つの支持体によりそれぞれ連結リンク支持され得る。連結リンクは、同期または非同期で動作させることができる。連結リンクの同期スライドの場合は、少なくとも1つの床部分の持ち上げ動作を、非同期変位の場合は、6自由度すべてにおいて重ね合わせ動作を実施することが可能である。連結リンクには、傾斜部の他に、揺れ効果や振動を発生させることができる波部分を有しうる。連結リンクが形成する曲線は、いくつかの局所的な極大・極小を持ち得る。
【0023】
感覚を刺激する装置は、特に、視覚刺激、音響刺激、嗅覚刺激及び/又は触覚刺激のために構成及び/又は設定されてもよく、言い換えれば、視覚刺激、音響刺激、嗅覚刺激及び/又は触覚刺激のための装置であってもよい。特に、レストランやカフェ、バーでの食事や飲み物によって刺激される味覚に加えて、理想的には、テーマやストーリの流れに合わせて、他の感覚も刺激されることが望ましい。
【0024】
環境及び/又は感覚刺激は可変であることが特に好ましく、客固有のコンテンツに適応可能であることが好ましい。
【0025】
イベント来場者全員に同じ感覚刺激を提供するグローバルデザインだけでなく、特定のテーブルでのみ再生されるローカル要素を含めることも有利である。
【0026】
第1に、視覚的な刺激が可能であり、最も単純なケースでは、スクリーン上にコンテンツを提供することで可能となる。また、視覚刺激として、テーブルの表面などに投影する方法もある。現代の投影技術を用いれば、このような表面に仮想の物体を作り出し、あたかも本物のように見せることができる。こうすることで、例えば「アフリカ探検」のテーマにレストラン訪問を埋め込む場合、巨大なアリがテーブルの上を走っているように見える流れができる。このような投影は、例えば、ある物体が実際にテーブルから消えてしまった場合に、その物体をその投影に置き換えることで目立たなくすることもできる。さらに、照明の調整、煙幕、紙吹雪の投射などで、さまざまな視覚効果を実現することができる。
【0027】
第2に、音響的な刺激が可能である。ローカルに配置されたラウドスピーカによる純粋なコンテンツ再生のほか、上位コントローラからの入力や読み出したセンサからの入力に応じて特定の音響効果を生成する、より複雑なサウンドシステムも可能である。例えば、客が座っている椅子の座面位置を監視し、動くたびにきしむ音を流したり、カメラによる監視でお酒を飲んでいる様子を把握し、大きな飲み物の音を付随させたりすることができる。
【0028】
また、基本ストーリに組み込むことで、ローカルの様々な情報をそれぞれのスピーカから出力するのも非常に興味深い代替案である。例えば、部屋のある位置では可能で、他の位置では不可能な、会話の盗み聞きなどの情報である。このように、例えばミステリディナをより面白くし、違う視点からストーリを再体験することで同じイベントに何度も足を運んでもらう気にさせることも可能である。
【0029】
第3に、臭気物質を局所的に選択的に放出することで、嗅覚刺激が可能である。例えば、レストラン訪問を促進する冒険物語の中で、火の匂いは、火事の体験を実質的に高め、海を舞台にした物語であれば、海の塩辛い匂いは、嗅覚を用いて再現される。また、アニメーションのスタッフや俳優が登場する場合は、海賊の船長がテーブルを通るときに強烈なラム酒の香りを漂わせることにより、嗅覚を添えることも可能である。
【0030】
第4に、刺激には触覚もあり、その実現にはさまざまな可能性がある。出来事に振動が添えられることは前述したとおりである。さらに、アニメーションで描かれた火の方向や、投影された動物の口などから扇風機で熱風を送ると、非常に印象的な効果を得ることができる。また、液体を噴霧装置などでうまく利用することもできる。
【0031】
本発明によれば、このような感覚を刺激する装置は、調和のとれた全体的な経験を喚起するために、機械的に制御された動きと同期して動作する。これは、テーブル上の装置のローカル制御及び/又はテーブルを移動させる制御(装置の制御と同じテーブル上のローカル制御でもよい)が、より上位の制御及び/又はナビゲーションシステムと相互作用する場合に特に可能である。
【0032】
本発明のさらなる発展として、イベントシステムが、壁、仕切り又はプライバシスクリーン要素の形態の少なくとも1つの可動のイベント用家具部品をさらに備える場合、これは、イベント訪問中に経験する空間体験をより可変にするのに役立つだけでなく、さらなる効果、例えば、視覚刺激のための投影面の基礎を形成することも可能である。可動の壁、仕切り又はプライバシスクリーン要素が機械的に移動可能であり、この機械的なの動きが第1の制御部によって、及び/又はさらなる制御部によって制御されることが特に好ましい。例えば、イベント用家具が動くだけでなく、イベント用家具が動くと同時に、制御された壁、仕切り又はプライバシ要素が反対方向に動けば、イベント用家具の椅子に座った客に速い動きの印象を与えることができるなど、効果を相互に支援することも可能である。
【0033】
イベントシステムが、第1の制御部及び/又は他の制御部によって制御される、テーブル上に食事を自動的に提供する手段をさらに備える場合、感覚を刺激するイベントの訪問は、客にとってさらに興味深いものになる。
【0034】
特に、この手段は、ビュッフェ装置の形式の機械的に移動可能なイベント用家具部品によって提供することができる。ビュッフェ装置とは、特に、盛り付けられた料理を食べることができる装置を意味すると理解され、例えば、回転寿司も含まれる。そして、このイベント用家具部品は、客が占有するイベント用家具部品に接近して長時間ドッキングしたり、イベントの客が同期的に移動して料理を選択したり取り出したりすることができるようになっている。
【0035】
第2の可能性は、イベントシステムの床面、壁面及び/又は天井面に開口部が設けられ、そこから食事及び/又は飲料を適切な搬送手段によって客又は客が配置されたイベント用家具部品に供給し、及び/又は食事のコース終了後に食器を下げることができることである。例えば、天井から突然グリッパが移動して空の皿を下げたり、昇降機構を使って床に設けたフラップやその上に配置したテーブルの凹部を開いて、注文した皿を上方に搬送して突然テーブル上に登場させたりすることができる。これらの処理も感覚を刺激する装置の出力と同期していると好ましい。例えば、果物を持った猿の一団がテーブルの上を暴れているように投影し、投影が終わると、感覚を刺激するイベントの客は、このような搬送機構によって隠された空洞を通って運ばれてきた果物の皿が突然目の前に立っているのを発見することができる。
【0036】
第3の可能性は、第1の制御部及び/又は他の制御部が、テーブル上への食事の自動提供のための手段が食事の自動提供の際にロボットと協働するようにプログラムされ設定される場合のロボット又はロボットアームによる操作である。
【0037】
このため、特に、イベントシステムは、第1の制御部及び/又は他の制御部によって制御される少なくとも1つのロボット又はロボットアームを有すると有利である。
【0038】
このロボットは、イベント会場、特にレストランの床で行われる多くの動きを互いに衝突することなく調和させるための調整の複雑さを軽減するために、天井から吊るされるか、天井に設置されたガイドシステムに搭載されるのが好ましい。
【0039】
ロボット又はロボットアームを備えたこのようなイベントシステムの別のさらなる展開では、第1の制御部が、第1の制御部によって制御されるロボット又はロボットアームとの相互作用によって、椅子、テーブルの一部又はテーブルの機械的な動きを制御する。
【0040】
この目的のために、好ましくは、個別の機械的に制御された動きを実行するための手段を有するイベント用家具の少なくとも1つの部品は、ロボットアーム又はロボットとの相互作用のためのインタフェイスを有する。具体的には、例えば、ロボットやロボットアームが、保護部分に形状結合及び力結合により係合し、この動きのための駆動により、又はナビゲーション力により操作する。もちろん、ロボットやロボットアームが、例えばジョイスティックの操作や、近距離無線通信などによる非接触の信号伝送によって、制御インパルスを与えることも可能である。特に近距離無線通信は、まるで魔法で動いているかのような印象を与えることがある。
【0041】
このようなロボットの別の可能な用途は、第1の制御部及び/又は他の制御部が、ロボットが、感覚を刺激するイベントの客と対話するようにプログラムされ、設定されることである。これは、注文の「古典的な」受け入れで構成することができるが、追加の普通でない要素を含めることもできる。例えば、ロボットが客の特徴を記録したり、客と合言葉を決めておき、後で料理を提供する際に、その特徴を確認した上で客に料理を提供したり、確認に失敗した場合や同じテーブルの他の客が実際に料理に手を伸ばそうとした場合に、客が料理を食べるのを阻止したりすることができる。
【0042】
機械的な動きは、特に、エアクッションシステム、マグネットシステムの使用により、又は、床搬送システム、レールシステム、又はこれらのシステムの、特に部分的な組み合わせにより行われる。これは、イベントシステムのイベント用家具部品に能動的駆動部を設ける場合、摩擦ホイール又はメカナムホイールの設置によって実現できる。特に、ソフトウェアによって互いに調整され、好ましくは高さ調整可能な2つの摩擦ホイール又はメカナムホイールが使用され得る。
【0043】
好ましくは、制御部は、感覚を刺激するイベントの客の感覚を刺激する装置が、
視覚的コンテンツを提供するように、特に視覚的コンテンツをテーブル、椅子、床部分、壁部分又はイベントシステムの部品の間の空間に投影するか、又は視覚的コンテンツを個人用の観察装置でユーザに提供するように、及び/又は、
機械的な動き及び/又は投影された映像コンテンツに音響を添えるように、及び/又は、
好ましくは視覚的コンテンツ又は添えられた音響に適合した臭気物質を放出するように、及び/又は、
好ましくはテーブル又は椅子の近くに触覚的な刺激を発生させるようにプログラム及び設定されている。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、イベントシステムは、感覚を刺激するイベントの客の挙動を検出するための1つまたは複数のセンサを備え、これらのセンサは、制御部の少なくとも1つと信号通信している。これにより、さまざまな効果だけでなく、安全に配慮した機能を実現することが可能になる。
【0045】
イベントでの複雑な出来事を安全に監視し、組み合わせるために、イベントシステム、好ましくは、第1の制御部が、ナビゲーションシステムを有し、ナビゲーションシステムは、イベントシステムの個々の部品の位置を検出し、イベントシステムの個々の部品の移動を制御する。
【0046】
このような複雑な処理を行うため、イベントシステムには、サービススタッフや場合によっては客のためにカウントダウンを表示する手段もあることが望ましい。
【0047】
安全上の理由と秩序ある操作手順を確保するために、第1の制御装置と信号通信を行い、第1の制御装置の手順への介入を可能にするイベントスタッフ用の操作装置を備えることが有利である。これは、技術的には、ワイヤレス接続でも、有線接続でも実現可能である。有利には、これらの操作装置は、プログラムシーケンスを開始、停止、予め定義された方法で変更、または中断することができる賛成キーおよび/または操作キーを有しており、単一のキーストロークまたは少数のキーストロークのみで、複雑なプロセスを制御および/または影響を与えるのに十分である。
【0048】
このような技術的な安全機能に加え、視覚的な制御を行うこともできる。例えば、イベントの客に危険が迫っていることをスタッフが認識した場合、キー操作で緩やかな停止や緊急停止をさせることができる。例えば、前述の巨大アリの投影によって、アリ恐怖症のゲストがパニックになった場合、このテーブルで投影を解除することができる。こうすることで、イベントのスムーズで調和のとれた進行が保証される。
【0049】
上述の機能を提供するための別の技術的可能性は、音声制御であり、必要に応じて、偶発的なトリガーを避けるために特別な音声コードによって、セキュリティ機能および/またはショーコマンドをトリガーまたは起動することができる。しかし、このような音声制御は、客が参加できるインタラクティブな形式でも使用することができる。
【0050】
イベントシステムの別の有利なさらなる発展は、第1の制御部及び/又は他の制御部との対話のための手段が、イベント用家具部品、特にテーブル及び/又は椅子の近くに設けられ、これにより、例えばイベントの客による機械的な動きへ影響を及ぼすための及び/又は注文処理の実行のためのユーザインタフェイスを形成する。特に、ユーザインタフェイスは、情報を表示するためのディスプレイを備えることが好ましい。このようなユーザインタフェイスは、例えばタッチパネルとして、あるいはイベント用家具に組み込まれた特別なタブレットPCとして構成することが可能である。
【0051】
ここでは、飲食物の提供や注文のほか、更にイベントを利用する際の判断材料として情報を提示したり、更にイベントを利用する際の客の好みを聞いたりすることができる。
【0052】
例えば、食事が感覚を刺激する冒険物語に組み込まれている場合、いくつかの続きの可能性を投票にかけることで、それぞれの投票結果に応じて、テーマ的には同じ冒険物語であるにもかかわらず、それぞれのケースでイベントへの繰り返し訪問が体験できるようにすることができる。しかし、例えば独身者の交流という文脈では、次回に知り合いたい参加者の好みを入力する。この入力は、必要に応じてその情報に関する、簡単で、ディスプレイを介して呼び出すことも可能な情報によりサポートされる。
【0053】
本発明のイベントシステムの運用の方法は、少なくとも1つのレストラン家具部品及び/又は少なくとも1つの床部分の機械的な動きと、感覚を刺激するイベントの客の感覚を刺激する装置の出力が、第1の制御部によって自動的に互いに同期されることを特徴とする。
【0054】
特に好ましくは、食事がテーブル上に自動的に提供される。これは、人件費の削減につながるだけでなく、イベント訪問をより楽しませるためのさまざまな特殊効果を開発することができる。
【0055】
また、第1の制御部及び/又は他の制御部は、少なくとも1つのロボット又はロボットアームを制御し得る。具体的には、これは、テーブルの上の料理を自動で提供する際に、ロボットが協働したり、イベント来場者と対話したりする場合に活用される。
【0056】
特に、ロボットやロボットアームに顔を映すことができる胸像を搭載すれば、そのようなインタラクションを実現することができる。有名人の顔だけでなく、親族や友人が事前に撮影した写真やビデオなど、さまざまなビジュアル素材を使用することができる。好ましくは、ロボットまたはロボットアームの音声もそれに応じて調整される。例えば、そのような場合、ロボットアームが客に近づき、客は母親らしき顔から「何が食べたいか?」「またどこをぶらぶらしていたのか?」と母親の声で聞かれる。
【0057】
感覚を刺激するイベントの客の感覚を刺激する装置の好ましい動作モードは、感覚を刺激するイベントの客の感覚を刺激する装置が、
視覚的コンテンツを提供するように、特に視覚的コンテンツをテーブル、椅子、床部分、壁部分又はイベントシステムの部品の間の空間に投影するか、又は視覚的コンテンツを個人用の観察装置でユーザに提供するように、及び/又は、
機械的な動き及び/又は投影された映像コンテンツに音響を添えるように、及び/又は、
好ましくは視覚的コンテンツ又は添えられた音響に適合した臭気物質を放出するように、及び/又は、
好ましくはテーブル又は椅子の近くに触覚的な刺激を発生させる。
【発明の効果】
【0058】
イベントシステムにおいて、イベントへの訪問の経験を強める、より包括的な感覚経験を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】イベントシステムの一例を上方から見た平面図である。
図2】テーブルとイスを組み合わせた形で室内を移動できるイベント用家具の一例を示す図である。
図3図2のイベント用家具部品を使用して実現される、室内で移動可能なテーブル編成の概略例を示す図である。
図4】ロボットアームとのインタラクションの一例を示す図である。
図5a】料理の提供が可能な第1段階の状態の図3の4人用テーブルの1つの断面図である。
図5b】料理の提供が可能な第2段階の状態の図3の4人用テーブルの1つの断面図である。
図6図2の室内で移動可能なイベント用家具部品をビュッフェモジュールにドッキングさせた第1のテーブル編成の例を示す模式図である。
図7図2の室内で移動可能なイベント用家具部品をビュッフェモジュールにドッキングさせた第2のテーブル編成の例を示す模式図である。
図8】室内で移動可能なイベント用家具部品又は、それらを組み合わせたテーブルのフォーメーションの移動にロボットアームを使用した例を示す図である。
図9】室内で移動可能な、図2のイベント家具部品を料理ショーモジュールにドッキングさせたテーブル編成の例を示す模式図である。
図10】ロボットアームを使用して、テーブル編成に料理を供給する例を示す図である。
図11】制御システムの構成スキームを示す図である。
図12a】イベントシステムの第2の実施形態を示す側面図である。
図12b】イベントシステムの第2の実施形態を上方から見た平面図である。
図12c図12aに示すイベントシステムのさらなる発展型を示す図である。
図12d図12cに示すイベントシステムの詳細図である。
図13図2のイベント家具部品の第1の変形例を示す図である。
図14図2のイベント家具システムの第2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明を実施形態の例を示す図を参照しながら、より詳細に説明する。
【0061】
特に断りがない限り、すべての図において同一のものには同一の参照符号を付している。ただし、図の見やすさを重視するため、各図には必ずしもすべての参照符号が記入されているわけではない。
【0062】
図1は、感覚を刺激するエベントのイベントシステム10の一例であり、バーエリア9、体験エリア2、前菜エリア3、メインコース用の2つのエリア4、5、デザートエリア6の他、サニタリーエリア7、キッチンエリア8を備えたレストランで運用され、例えば「宇宙旅行」をテーマに運用可能なシステムである。
【0063】
イベントシステム10には、さまざまな特徴がある。
【0064】
第1の特徴は、特に、図1において長方形として象徴され、その現在の配置数がそれぞれの場合において長方形に記入されている、関連する椅子を有するテーブル11が、部屋における機械的移動のための移動手段を有するイベント家具部品のグループによって形成されており、このグループは、例示的に、それぞれ椅子およびテーブルを有し、図2を用いてより詳細に説明する。
【0065】
図2は、機械により空間移動可能なイベント用家具部材100の一例を示すもので、この場合、ベースプレート130上にテーブル120とともに配置される椅子110として構成されている。テーブル120に対する椅子110の位置は、肘掛け1121と可動背もたれ1122を有する座面112がクイックカップリング1111を介して接続された支持フレーム111によって変更可能であり、例えばイベントシステムのテーマが変わったときやターゲットグループが変わったとき、例えば午後には子供の誕生日パーティーが行われ、夜にはスピードデートイベントが行われるというとき、それに配した付属物を有する座面112を容易にかつ迅速に交換することができるようにされている。
【0066】
支持フレーム111は、椅子110をテーブル120に向う方向及び遠ざかる方向に変位させる変位機構1112と、ベースプレート130に対する座面高さを変更する昇降機構1113と、ベースプレート130に垂直な軸を中心に回転する回転機構1114と、回転中心を平均体重心位置に移動するために、好ましくは、リンクに沿って傾斜動作を実現する傾斜機構1115とを有する。オプションとして、これらの機構は、例えば電気モーターによって駆動され、無線通信手段を介してコントローラによって制御されることも可能である。
【0067】
本実施形態では、座面112自体にも、感覚を刺激するイベントの客1の感覚をシミュレートする装置1123が組み込まれており、この例では振動素子である。この感覚をシミュレートする装置1123は、例えば無線接続を介して、第1の制御部によって制御される。特に、イベント用家具部材100の機械的な動きと同期した制御が行われる。これは様々な方法で使用することができる。例えば、機械の動きに合わせて、走行動作中にでこぼこした道を印象付けたり、客1が準備すべき動作が行われようとしていることを知らせる信号としたりできる。
【0068】
さらに、座席占有を検出するためのセンサ1124も座面112に統合されており、そのデータは、例えば、機械動作が開始される前の安全チェックの一部として、または空席での効果を節約するために、第1の制御部によってアクセスされることもできる。操作要素1125は、センサとしても構成することもでき、その状態が制御部によって読み取られ、肘掛け1122上に配置されており、例えば、動きを確認したり、客1が間近に迫る動きに対して準備ができたことを通知したりするために使用することができる。
【0069】
アームレスト1122は、好ましくは、高く移動させたり、完全に下げたりすることもでき、一方では、コンテンツに応じた要求を満たし、他方では、サプライズ効果を生み出すために使用することができる。さらに、背もたれには、駆動部付きセンターガイドを組み込むことができる。
【0070】
テーブル120は、テーブルプレート121を有し、このテーブルプレートは、ベースプレート130に取り付けられた、好ましくは高さ調節可能なフレーム123にクイックカップリング122を介して接続されている。本実施形態では、テーブルプレート121は複数の構成要素を有するが、これらは単独またはグループで使用することも可能であり、互いにほぼ独立している。
【0071】
例えば、送信機及び/又は受信機1211は、テーブルプレート121の縁に配置することができ、これにより、部屋内のイベント用家具部品100の位置及び場所を決定することができる。特に、送信機及び/又は受信機1211は、すべてのイベント用家具部品の位置を特定するナビゲーションシステムに統合されることが好ましい。
【0072】
このようなナビゲーションシステムがあれる場合には、地中を走る接点ループの信号でこの位置測定をサポートすることも可能である。
【0073】
テーブルプレート121の縁部は、異なるイベント用家具部品100間の結合プロセスを監視する手段としての距離センサ1212を有し得る。テーブルプレート121の縁部は、また、例えば圧力センサ又は光センサの形態の安全センサ1213を有することができる。センサ1213は、現在テーブルプレート121の縁部領域にある客の身体の一部が機械の移動の過程で引っかかることを確実に防止し、または客が次の行動の準備ができていることを示す。
【0074】
さらに、手段1214、すなわち感覚刺激のためのさらなる装置を、テーブルプレート121上に間接的または直接的に配置しても良い。感覚刺激のためのさらなる装置としては、例えばLED、ミスト、湿度を放出するためのノズル、振動素子などが挙げられる。
【0075】
例えば、往来と連結プロセスを安全かつ効率的に規制するために、異なる安全ゾーンを持つ事実上の保護被覆をイベント用家具部品の周りに配置することができ、それによって、例えば、別のイベント用家具部品または他の物体が安全ゾーンに位置する場合、速度および駆動力が予防的に低減されることになる。しかし、重要な最終連結プロセスでの追加効果として、赤色の、または赤色に点灯した霧を放出したり、効果音を鳴らしたり、触れた部分を振動させたりすることができる。その際、対応するゾーンは自由にプログラム可能であることが望ましい。
【0076】
また、ディスプレイ1215、1216を、テーブルプレート121上に配置しても良い。ディスプレイ1215、1216は、テーブルプレート121に接続されるか、テーブルプレート121と一体化されていることが好ましい。また、ディスプレイ1215、1216は、感覚を刺激する装置でもあり、客1に対して情報を提供したり、楽しませたりしても良い。ディスプレイ1215、1216がタッチディスプレイとして構成されている場合、これらは客1の入力手段及び操作要素を兼ねることができるが、この目的のために、この場合の引き出し式操作パネルなどの操作要素1217を別途設けることも可能である。
【0077】
割り当てられた場所の、このようなディスプレイ1215、1216は、特に、客が申請時に自発的に開示した個人的なコンテンツを取り出すことが可能であり得る。これは、同期させることが可能である。
【0078】
さらに、テーブルの上にあるディスプレイの領域に一種のジュークボックスを組み込むことも可能で、そこには、例えばフィルム、画像、音声、光のコンテンツなどの形で、コンテンツに合った特定のバリエーションが保存され、その中から、場合によっては、客全員の多数決で、選択を行うことができるようになっている。
【0079】
また、特にそれぞれのコンテンツに関連して、遊び心のあるインタラクティブな可能性を提供することができ、それによって客は、例えば、報酬を得ることができる。例えば、イベント中にコンテンツに隠されたある特徴を発見し、それを報告するという課題を与え、その課題が正しく書けていればボーナスアカウントにポイントを加算し、その後の訪問時にこれらに対する追加サービス、例えば追加コースやスペシャルドリンクを提供することも可能である。
【0080】
フレーム123の周囲にはハウジング127が配置され、その内部に収容され、イベント用家具部分の動作に必要な部品、特に、機械的動作に必要な部品の一部のための保護された機械室を形成している。
【0081】
機械的な移動のための移動手段は、以下のように分類される。
【0082】
物体、特に機械的に移動可能なイベント用家具部品を機械的に移動させるためのこのような手段は、一般に以下のように分類することができる。
【0083】
第1に、移動させる対象物を大きな摩擦なく移動できる位置に持ってくる、または保持する搬送手段がある。このような搬送手段の例としては、車輪や(ボール)ローラ、エアクッションなどがあり、また、適切な磁気システムによって実現することも可能である。周知のように、機械の動きにはこのような移動手段は、必須である。
【0084】
第2は、移動させる対象物に固有の動きを発生させる駆動手段である。構成によっては、駆動ホイール、特に摩擦ホイールやメカナムホイール、車軸のように、搬送手段としての機能を果たすか、搬送手段と一体化させることもできる。しかしながら、そのような駆動手段は、必ずしも移動すべき対象物に完全に配置される必要はなく、少なくとも、移動すべき対象物に配置されていない駆動手段の一部が、例えば磁気システムの場合には磁気相互作用を介して、又は例えば搬送チェーンを有するシステムの場合には機械的係合を介して結合される部分構成要素であればよい。
【0085】
第3に、実行すべき動作を駆動手段に指定する制御手段がある。これらは、移動する物体に局所的に設けられるものであっても、移動する物体に局所的に設けられないものであっても良い。前者の場合では、フロア搬送システムや自動車の自律走行コンセプトのように、半自動的に行動するように構成することができる。後者の場合には、駆動手段は外部制御部から制御コマンドを受信する。また、移動すべき対象物のローカルに存在する下位制御部と、移動すべき対象物には存在しない上位制御部からの制御コマンドを受信して実行する混在ケースもあり得る。
【0086】
第4に、本発明による同期を実現するためのすべての場合において、通常、移動すべき対象物に少なくとも1つの通信モジュールがあり、この通信モジュールを用いて制御コマンドとデータを他の制御部との間で交換することができる。
【0087】
第5に、運転資源貯蔵手段及び/又は運転資源発生手段は、機械運動手段の本質的な部分を形成することもできる。例えば、エアクッションを有するシステムでは、運転資源貯蔵手段としての圧縮空気貯蔵器と、及び運転資源発生手段としての圧縮機とを有する。または、例えば、ローカルで電気駆動の駆動手段、ローカルで制御及び/又は通信モジュールの要求に対する運転資源貯蔵手段としての貯蔵コンデンサ(CAP)、超コンデンサスーパーCAP、電池または蓄電器、あるいは運転資源発生手段としての誘導電流伝達手段などが挙げられる。
【0088】
図2に示す機械的に移動可能なイベント用家具部品100の実施形態例では、搬送手段131はベースプレート130の下面に設けられており、例えば、エアクッションパッド、マグネット、ボールローラ等での構成が可能である。
【0089】
駆動手段として、図2に示すイベント用家具の機械的に可動である部分の実施形態例において、少なくとも1つの電気的に駆動する摩擦ホイール132、好ましくは一対の電気的に駆動する摩擦ホイール132が、好ましくは垂直に延びる軸を中心に回転可能に配置されており、それによってこの回転運動も駆動される。好ましくは、この回転可能性は、摩擦ホイール132の象限点で実現される。しかしそれとは別に、回転はできるだけ高い分解能で実現することが望ましい。
【0090】
さらに、電動的に駆動する1つ又は1対の摩擦ホイール132には、荷重分布や接触圧を微調整できるように、動力式の高さ調整機構133が設けられている。なお、ベースプレート130には、摩擦ホイール132が地面と接触して置かれるための開口部が設けられている。もちろん、メカナムホイールでもこのような配置は可能である。
【0091】
その電気的駆動部を含む摩擦ホイール132と高さ調節機構133は、運転資源貯蔵器134、この場合、具体的には電気部品の電力供給用のバッテリと、エアクッションを使用する場合には圧縮空気貯蔵器、さらにローカル制御手段135と通信モジュール136とともにハウジング127に収容され、この通信モジュールは好ましくは無線で作動して制御部13との信号通信を成立させる。
【0092】
しかし、図13および図14が示すように、座席が無いかテーブル部品が無い、機械的移動のための手段を有する他のイベント用家具部品200、250、300、350も考えられる。図13は、イベント用家具部品200を備えた変形例を具体的に示しており、イベント用家具部品100と異なる点は、テーブルプレートがないことであり、それに伴い、イベント用家具部品100のテーブルプレート121上に配置された部品も除かれている。この目的のために、テーブル(任意にビュッフェの装置の付加部分とすることもできる)は、図2の実施形態と同様に、機械的移動のための手段を備えた別のイベント用家具部品250として設計されており、イベント用家具部品200を形成する分離した椅子は、任意の結合装置201によって結合されることが可能である。
【0093】
図14に示す変形例は、例えば、スピードデートのようなイベントを感覚を刺激するレストランのテーマとする場合など、バーのような雰囲気が望まれる場合に特に好適である。イベント用家具部品300は、基本的にイベント用家具部品100と同一であり、主にテーブルの高さと椅子の高さに関して後者と相違する。イベント用家具部品350には、座席は全くなく、(立ち)テーブルのみであり、客は移動中、ここで床板350の上に立っている。しかしながら、機械的な移動のための手段及びセンサシステムは、イベント用家具部品300及びイベント用家具部品350の両方について、イベント用家具部品100について上述したのと同様の方法で実装することができる。
【0094】
イベント用家具部品100、200、250、300、350が空間における機械的移動のための移動手段を備えてり、第1の制御部は、空間におけるこれらのイベント用家具部品の特に移動を制御することができる。例えば、いくつかのテーブルがレストラン内を一緒に移動し、その後、テーブルと関連する椅子11の別々のグループに分かれたり、再構成されたりされ得る。
【0095】
イベントシステム10の第2の特徴は、感覚を刺激するイベントの客の感覚刺激のための装置12-ここでは模式的にのみ示す-を備えていることであり、これらはここでは異なる領域に分割されている。特にここでは、投影装置による視覚的刺激と、その視覚的効果を補助する音響効果として実現されているが、以下で明らかになるように、嗅覚効果は、芳香物質の放出や触覚効果、例えば振動、スプレーミスト、気流などによっても実現することが可能である。感覚刺激の出力は、適切なプログラミングにより、テーマに応じて簡単に調整することができ、コンテンツの個別化も可能である。
【0096】
イベントシステム10の第3の特徴は、イベント用家具部品の動きと、そこに配置された客1への感覚的な刺激が、制御部13の構成要素によって互いに同期されることであり、これは図1では概略的にのみ示されているが、図11の基づいて詳細に説明する。
【0097】
図12に示す実施形態において、制御部13は、本発明によれば、機械的な動きと、感覚を刺激するレストランの客の感覚刺激のための装置の出力とを互いに同期して制御する第1の制御部1901が、マスタ又はメイン制御によって形成されているように構成されている。第1の制御部1901は、次に示すように、多数の下位の制御部と信号通信を行い、そこからデータを受け取り、制御コマンドを与える。
【0098】
・椅子制御部1902は、イベント用家具部品100の椅子110の動きの自由度や振動などの特殊効果を制御し、椅子110に配置されたセンサからのセンサデータを第1の制御部1901に中継する。
【0099】
・テーブル制御部1903は、イベント用家具部品100のテーブル120の動きの自由度や特殊効果を制御し、テーブル120に配置されたセンサからのセンサデータを第1の制御部1901に送信する。
【0100】
・照明制御部1904は、感覚を刺激するレストラン内の各エリアの照明や照明効果を制御する。
【0101】
・送風機制御部1905は、局所的および全体的に設けられた送風機を制御して、空気を循環させ、空気の流れによって触覚効果を生み出す。
【0102】
・ビュッフェ制御部1906は、特に機械的に動かされるビュッフェの形態のイベント用家具部品の空間内の動きを制御し、ナビゲーションのためにそれらの座標を第1の制御部1901に送信する。
【0103】
・ロボット制御部1907は、特に、機械的に動かされるロボットの形態のイベント用家具部品の空間内の動きを制御するとともに、客及び環境との相互作用を制御し、ナビゲーションのためにそれらの座標を第1の制御部1901に送信する。
【0104】
・サウンド制御部1908は、感覚を刺激するレストランの動作中に効果音を生成し、調整する。
【0105】
・プロジェクション制御部1909は、視覚効果、特にプロジェクションを、感覚を刺激するイベントの運営中に生成し、調整する。
【0106】
・ナビゲーション制御1910は、特に機械的に動かされるイベント用家具部品100の動きを制御・監視する。
【0107】
・キャリブレーション制御部1911。
【0108】
・操作制御部1912は、イベントスタッフが、一方では操作装置を介して感覚を刺激するレストランのコースに積極的に介入し、他方では特定の運転資源が不足している場合にイベントスタッフに情報を提供するように制御する。
【0109】
・ドッキングステーション制御部1913は、ドッキングステーションによるイベント用家具部品100の充電、圧縮空気及び/又は他の消耗品の提供を制御する。
【0110】
・床動作コントローラ1914は、イベント家具が配置されうる室内の床や床部63の振動や動きなどの動きの自由度や特殊効果を制御でき、床部63に配置されたセンサからのセンサデータを第1の制御部1901に送信できる。
【0111】
ここで、イベントシステム10の動作原理をより理解しやすくするために、「宇宙旅行」をテーマとした例示的な動作について説明する。
【0112】
客はまず、例えば宇宙港の格納庫のように構成され得るバーエリア1に入り、全員が揃い、特定のメニューが決まり、イベント用家具が使えるようになるまで、そこで食前酒を飲みながら待つ。
【0113】
そして、体験エリア2への扉が開き、例えばバーエリア1の感覚刺激装置12による投影によって、今入っているのが宇宙船の扉であることを客に示唆することができる。
【0114】
入場した体験エリア2のセクションでは、客は、まず、12席のテーブル11を見つけるが、これは必ずしも最初に認識できる必要はなく、特に適切な投影による感覚刺激装置12によって、驚き効果を得るために隠すこともできる。12席のテーブル11は、実際には12の個別のイベント家具部品、例えば図2に関連して上で詳細に述べた椅子とテーブルの組立品100を有し、各々は個別に機械的に動かすことができる。
【0115】
特に、このエリアには、イベント用家具部品が蓄電池を充電するための電気、圧縮空気、特殊効果用資源などが供給されるドッキングステーション16を設けるのにも適していることに留意すべきである。これは、第1に、これによりイベントの開始時にイベントの過程で必要な運転資源を確実に入手できるため、第2に、このエリアで、イベント用家具部品が通常かなりの時間一箇所に留まっているためである。
【0116】
客が全員着席し、確認信号が発せられた後、カウントダウン14が開始され、カウントダウン14は、最後は体験エリア2の感覚刺激装置12でロケット打ち上げをシミュレートした演出で終わる。
【0117】
ロケットが発射されると、体験エリア2内にある感覚刺激装置12による適切な音響背景に合わせて12席のテーブル11は移動する。そのために、制御装置13によって、12個の個々のイベント用家具部品が一緒に、体験エリア2内を同期して動かされる。この動きに同期して、制御部13は、体験エリア2の感覚刺激装置12に、体験エリア2の壁面に動画像を投影させ、ロケットが動いているような印象を与える。さらに、さらに、背景に効果音をつけることも可能である。
【0118】
機械的に動く壁、仕切り、または窓付きのプライバシスクリーン要素15を、制御部によって座席12のあるテーブル11と同期して動かすと、体験エリア2の壁への移動投影が窓を通して追従し、宇宙船の中で静止している印象がこの方法でさらに強化されるので、特に説得力のある知覚を作り出すことができる。
【0119】
さらに、宇宙旅行の体験を高めるために、同じまたは別の感覚刺激装置12によって、他の効果を生じさせてもよい。例えば、イベント用部品の椅子に配置された振動手段は、スタートシーケンス中に制御部によって振動させることができる。
【0120】
たくみに信じ込まされた「宇宙飛行」の最後には、例えば宇宙ステーションへの到着を投影することができる。機械的に移動する壁、仕切り、プライバシスクリーン要素15が床に下がり、別の格納庫として構成されたオードブエリア3が客の視界に入るように開放される。客を驚かせるため、それまで一緒に座っていた12人用のテーブル11が今度は分裂し始め、個々のイベント用家具部品100が制御部13の制御下で独立して機械的な移動を行い、最終的に、例えば、図2に示すように、それぞれの場合に4つのイベント用家具部品100から空間の所定の位置での機械的な移動によって構成した4人用のテーブル11、すなわち図3に例示した構成に変化させるのである。もちろん、これ以外のグループ分けも可能である。
【0121】
この構成の生成方法は、さまざまな方法で決定することができる。例えば、例えばバーエリア1において、予めされた注文に基づいて、同じ前菜を食べたい人がより多く同じテーブルに着くように、あるいは各テーブルに存在する異なる前菜の数を最大化することができる。
【0122】
経験の観点から非常に魅力的な変形例は、イベント用家具部品のグループ化が、これから図4を参照してより詳細に説明するように、ロボットまたはロボットアーム400の形態のさらなる機械的に移動するイベント用家具部品とのインタラクションに先行されることであり得る。
【0123】
図4は、図2の文脈で上述した機械的に移動するイベント用家具部品100の2つの例を、相互に接続された状態および客1がその上に配置された状態で示している。さらに、ガイドレール401から吊り下げられたロボットまたはロボットアーム400の形態で、移動手段402としての、その駆動の自動駆動装置により機械的な動きを実行するイベント用家具部品が認識される。
【0124】
原理的には、このようなロボットまたはロボットアーム400は、床上を移動することもできるが、レールシステムの一部であるガイドレール401から吊り下げられた実施形態は、機械可動イベント家具コンポーネント100の既に複雑な制御が、必ずしもそこに存在する必要はない床上を移動する追加のイベント用家具部品によってさらに単純化されないという利点を有する。
【0125】
ロボットまたはロボットアームは、第1の制御部901からのコマンドに対する応答として到着し、客1との対話を開始する。特に、SiriやAlexaなどのコンピュータ支援システムで知られているような音声インタフェイスを使用して、対話の結果を評価し、必要に応じて、例えば、注文プロセスの場合などは実行に移すことができる。
【0126】
これは、例えば、ロボットまたはロボットアーム400が行う宇宙ステーションに入るためのアクセス制御の一種として進行してもよく、ロボットまたはロボットアーム400が特定の好みを問い合わせ、制御部901がこの問い合わせに基づいて機械的に移動可能なイベント用部品100の構成を決定または計算し、例えば、最初は互いに知らないが同様の趣味や職業的背景を持つ人が所定のテーブル構成で一緒にされるようにすることができる。この時点で初めてロボットやロボットアームとの対話による注文を行うことも可能である。
【0127】
この時点で、このことが常に明示的に言及されていなくても、例えば画像、効果音、振動などの触覚体験を投影したり、匂いを発生させたりすることによって、体験の感覚的なバックグラウンド化および/またはイベント訪問のストーリやテーマへの埋め込みが、それぞれの感覚刺激装置12によって継続できることを述べておく必要がある。
【0128】
所定のテーブル構成がなされた後、次に、オードブルをオードブルエリア3に提供することができる。
原則として、これはイベントスタッフによって、あるいはロボットアームによっても行うことができるが、もう一つの非常に驚くべき変形例は、これから図5aおよび図5bの例を用いて詳細に説明するように、料理を、上から、又は、下から、いわばテーブルからテーブルへ出現させるというものである。
【0129】
図5aは、図2の文脈で上述したような機械的に移動可能なイベント用家具部品100の2つの例を、相互に接続された状態および客1がその上に配置された状態で示している。さらに、ハウジング127によって形成された内部空間において、床の開口部から移動可能なプランジャーとして実現された、食品を自動提供するための手段501を既に認識することができ、その上に、それぞれの場合において客1の選択したオードブルを含むビュッフェ容器502が配置されている。
【0130】
実際にオードブルをテーブル120の上に持ってくるために、図5bに示すように、機械的に移動可能なイベント用家具部品100はわずかにスライドして離れ、移動可能なプランジャーと、その上に設けられたビュッフェ容器502がテーブルプレート121の位置まで外方向に移動し、ビュッフェ容器502内の食品が客1にとってアクセス可能になるようにすることができる。
【0131】
しかし、最初からイベント用家具部品にビュッフェ容器を配置し、イベント用家具部品が持つ昇降機構でテーブルプレート上に現れるようにすることも可能である。
【0132】
この方法は、感覚刺激装置12が注意をそらしている間に、食品の提供が行われる場合に特に有効である。
【0133】
例えば、オードブルエリアの壁面に宇宙ステーションの一部から宇宙へ向かう景色を投影することができる。突然、この映像の中で点が動き出し、これを、客1に、「侵入者 警報!侵入者 警報!」という音響メッセージによって知らせる。さらに、第1の制御部901は、客が正面で見たときに、移動する点を認識するように椅子110を自動的に回転させる。その点はどんどん大きくなり、見知らぬ宇宙船であることが判明する。レーザ砲でその宇宙船を攻撃し、その宇宙船は反撃し、宇宙ステーションに向かって進む。被弾して制御不能になる。音響警告「衝突! 衝突!」が鳴り、宇宙船が宇宙ステーションの投影部分に衝突すると同時に、椅子の振動モジュールによって振動がシミュレートされ、この瞬間を利用して機械的に移動可能なイベント用家具部品100を離し、オードブルを提供することができる。椅子110は、第1の制御部1901の指示に基づいて椅子制御部1902へにより、視覚的、音響的で、振動がバックグラウンドに加えられた大爆発の後、基本位置に戻され、客はテーブル上のオードブルに驚く。
【0134】
とりわけ、感覚を刺激するイベントへの訪問全体が長引く可能性があるという事実のために、トイレ訪問の必要性も考慮されなければならず、そのために衛生エリア7が提供されることに留意されたい。イベント用家具部品は機械的な移動を行うので、客1がイベント用家具部品に配置されている間に、衛生エリア7への移動も行われることが好ましい。客1は、例えば、操作タブレットに対応する必要性を入力することで、トイレ訪問を開始することができる。次に、制御システムは、適切な時間および経路を計算し、対応するイベント用家具部品の機械的な移動を制御し、その際に、トイレの前の行列の待ち時間を最小化できるように、衛生エリア7の現在の占有レベルも考慮に入れることができる。ただし、エリア3、4、5又は6での飲食時に衛生エリア7を訪問し、これらのエリアでの滞在の間の過渡時には訪問しないことが好ましい。
【0135】
オードブルが消費された後、テーブル11またはそれらによって構成されるイベント用家具部品は、感覚刺激装置12の出力との同期が行われるように、次のメインディッシュ用の第1のエリア4への移動において、再び独立して、すなわち、制御部13によって制御および振り付けが行われ、例えば、バックグラウンドミュージックに合わせた運動、例えば、ワルツの音に合わせて回転運動をする。
【0136】
これは、基本的には、使用済みの食器やカトラリーをスタッフ、ロボット、リフトなどの手段により取り除いた後に、行うことが可能である。また、イベント用家具部品は、まずキッチンエリア8のセクタに行き、使用済みの食器やカトラリーそのものを持ち帰るというのも楽しい選択肢である。客がイベント用家具部品とともにこのエリアに移動すると、このエリアに感覚刺激装置12によって例えば映画が投影され、知覚される現実が拡張され得る。例えば、使用済みの皿を本物のグリップアームで本物の移動コンベアに乗せ、これは、投影スクリーンの中に消える。投影スクリーンの中ではエイリアンが運営するキッチンが続いており、例えば、フードモンスタがベルトコンベアから皿を取り、残飯を口に流し、その皿を別のエイリアンに渡し、そのエイリアンが特大舌で舐めて「きれい」になった皿を移動コンベアに乗せることもできる。
【0137】
その後、イベント用家具部品100は、投影スクリーンからきれいな皿が出ているコンベヤベルトのそばを走行し、客1は、メインディッシュ用の第1のエリア4がビュッフェエリアとして運営されているときに、そのような皿、をコンベヤベルトから取るように音響的にかつ/または視覚的に促されている。なお、そのような皿は、例えば、映画内のエイリアンによって皿の「洗浄」のための話のいとぐちを作り出すために、わずかに湿ったまたはわずかにぬるぬるした表面、異常な温度および/または異臭も有するようにすることもできる。特に、個別に区別できる皿を客に渡し、コンベアベルトから取った皿が手渡された皿と全く同じに見える場合に、このイルージョンは効力を発揮する。
【0138】
そして、イベント用家具部品はビュッフェ要素に移動してドッキングする。
ビュッフェモードで運営されるメインディッシュ用の第1のエリア4に対するイベント用家具部品の考えられる構成例を図6及び図7に示す。
【0139】
図6に示す構成では、六角形のビュッフェテーブル600の形をした2つのイベント家具コンポーネントが見られ、それぞれの辺に機械的に移動可能なイベント用家具部品100がドッキングされている。この際、必ずしもそうしなくてもよいが、ビュッフェテーブルとして構成されたイベント用部品600自体がそれぞれ、機械的に制御されて移動を行うための移動手段を有しており、客1が別のエリアにいる間に、ビュッフェテーブルとして構成されたイベント用家具部品を機械的な制御下でキッチンエリア8のセクションに移動させてそこで次の客のために補充することが可能である。
【0140】
図7に示すように、寿司ベルトとして構成されたイベント用家具部品700が見られ、その両側には6つの機械的に移動可能なイベント用家具部品100がドッキングされている。この際、必ずしもそうしなくてもよいが、寿司ベルトとして構成されたイベント用家具部品700自体が、機械的に制御されて移動を行うための移動手段を有しており、客が別のエリアにいる間に、ビュッフェテーブルが機械的な制御によりキッチンエリア8に移動し、そこで次の客のために補充することが可能である。
【0141】
完全を期すために、イベント用家具部品600、700を、それにドッキングされたイベント用家具部品100と共に移動させることももちろん可能であることに留意されたい。
【0142】
このプロセスは、アクション要素によっても強化することが可能であり、例えば、感覚刺激装置12の出力に埋め込まれた場合、ビュッフェ要素自体が機械的な動きを行う手段を有し、空間内で移動し、椅子110とテーブル要素120とを有する、その後徐々にドッキングするイベント用家具部品100によって「捕捉」されなければならない。また、ビュッフェテーブルや寿司バンドが到着すると、初めて、それらを中心にして大型テーブルを移動させてイベント用家具で大型テーブルを構成することもできる。
【0143】
メインディッシュ用の第1のエリア4のビュッフェで1品目を食べた後、メインディッシュ用の第2のエリア5に移動する。そこへのイベント用家具部品の機械的な動きは、例えば、これから図8を参照してより詳細に説明するように、好ましくは天井に取り付けられたレールシステムで案内されるロボットまたはロボットアーム800の形態のイベント用家具部品によって同期的して同行または制御することができる。
【0144】
図8は、図2の文脈において上述した機械的に移動可能なイベント用家具部品100の2つの例を、相互に接続された状態および客1がその上に配置された状態で示している。さらに、機械的な移動を実行するための移動手段802としての、自動駆動装置により駆動される、ガイドレール801から吊り下げられたロボットまたはロボットアーム800の形態のさらなるイベント用家具部品が認識される。ロボットまたはロボットアーム800は、第1の制御部1901からロボット制御部1907へのコマンドに応答して到着し、接続された機械的に移動可能なイベント用家具部品100のテーブル120にプローブ803を近接させる。
【0145】
次に、第1の制御部1901は、ロボット制御部を介してロボットまたはロボットアーム800を、ナビゲーション制御部1910を介して機械的に移動可能なイベント用家具部品100を、客がその動きがロボットまたはロボットアーム800によって引き起こされるという印象を持つように同時かつ同期的に制御するが、もちろん、相互作用または結合が明らかではないので(そして実際には存在しない)、客はそれを説明できない。
【0146】
また、人間にとって認識可能または予測可能な危険な状況が発生した場合に直ちに介入できるように、操作制御部1912を介して第1の制御1901に影響を与えることができる操作装置98を備えたイベントスタッフ99が示されている。
【0147】
ロボットまたはロボットアーム800によって見かけ上開始される動きは、特に、図9に例示的に示されるように、例えば、注文に応じて、いくつかの調理ショーステーションの1つがドッキングされているキッチンエリア8上でも実行できる。
【0148】
図9は、調理ショーステーション900の形態のイベント用家具部品900を示し、その中央には調理人が配置され、その、それぞれ側面には、4つの機械的に移動可能なイベント用家具部品100がドッキングされている。その上に配置された客1は、その後、料理の調理、または少なくともその最終段階を直接的に見守ることができ、テーブル120に新鮮に置かれた皿を得ることができる。イベント用家具部品100は、食事を受け取った後、機械的な制御によりメインディッシュ用の第2のエリア5へ移動し、そこで再び他のイベント用家具部品と一緒になって一定の人数分のテーブル11を形成する。
【0149】
このコース料理を食べた後、イベント用家具部品は次にデザートエリア6に移動し、そこで再び、12人用の大きなテーブル11を形成する。デザートは、図10に示すように、自動駆動装置の形態の移動手段1002を有するレールシステムに属するガイドレール1001上に移動可能に吊り下げられたロボットまたはロボットアーム1000の形態の機械可動式イベント家具構成要素によって、ビュッフェモジュールの形態の機械的に移動可能な、ビュッフェ1003としてのイベント用家具部品1004に提供することもできるし、個別に提供することもできる。デザートの消費中または消費完了後に、感覚刺激装置12は、デザートエリア6の壁面に地球への落下を投影してもよい。その後、宇宙の旅は終わり、客はロビーエリア9に解放される。もちろん、ドリンクを飲みながら、冒険とユニークな印象の数々を消化することができる。
【0150】
イベントシステム50による感覚を刺激するイベントの代替のコンセプトを図12a及び図12bに示す。このコンセプトにより、特に見晴らしの良い場所への仮想訪問を簡単にシミュレーションできるため、イベント訪問の味覚の体験に加え、ユニークな印象を伝えることができる。
【0151】
イベントシステム10の場合と同様に、例えば、図2、13および14に関連して上述したように実現されるイベントシステム50は、まず、機械的に移動可能なイベント用家具部品100、200、250、300および/または350によって特徴づけられる。
【0152】
次に、感覚を刺激するイベントの客に感覚的刺激を与えるための装置52を有している。特に、ここでは投影装置による視覚的な刺激と音響効果によって視覚効果を補足するように実現されているが、芳香物質の放出による嗅覚効果や、振動、スプレーミスト、気流などの触覚効果も実現することが可能である。
【0153】
第3に、イベント用家具部品100、200、250、300および/または350の動きと、その上に配置された客1の感覚的刺激とは、図1のように概略的にしか示されていないが、図11を参照して上でより詳細に説明した制御13のように構成できる制御部53によって互いに同期化されている。
【0154】
図12aおよび図12bの外観で明らかなように、この感覚を刺激するイベントのイベントシステム50の中核となる要素は、投影面として機能し、その中でイベント運営の全体が行われるドーム51である。特に、ドーム51の天井に取り付けられた支持システム54に取り付けられ、可動プロジェクタを有する感覚刺激装置52によって3D映画のようなフィルムおよび/または画像シーケンスをドーム51の内側に投影することができる。特に、支持システムの取付点に対する移動昇降、回転、傾斜、距離変更の自由度が半径方向に実施されると有利であり、制御部53によって同様に制御される駆動装置によって実施されると特に好ましい。
【0155】
ドーム51の中心には、手すり56によって安全が確保されている周囲に伸びる展望台57によって囲まれた中央構造55がある。展望台57は、中央構造55から、ドアを通してアクセスすることができ、このドアは、レストラン用家具部品100、200、250、300、350が機械的な動きの連続として個別におよび/またはグループで通過できるように十分に大きい。この展望台57では、飲食が行われ、イベント用家具部品100、200、250、300、350が制御部53により、特に、ドーム51の天井に取り付けられた支持装置54に取り付けられ、可動プロジェクタを有する感覚刺激装置52の出力により感覚刺激と同期して、移動させられる。
【0156】
感覚刺激装置52の出力は、展望台57に適応したパノラマとすることができ、例えば、エッフェル塔の展望レストランのようにパリの景色を楽しんだり、エベレストの山頂からの眺めを楽しんだりすることができる。
【0157】
中央構造55の内部には、基盤領域59が設けられている。基盤領域59は、特に階段、衛生設備、特に制御装置53が収容される技術室、貯蔵室および/またはキッチンを収容することができるる。さらに、中央構造体55は、その内部に、別の感覚刺激装置52を有する別の部屋60を有している。
【0158】
さらなる感覚刺激装置52を備えたこの追加の部屋60により、イベントシステム50で運営される感覚を刺激するイベントへ訪問をユニークな結果とし、特に見晴らしの良い場所のテーマによく合う追加のアクション要素を実現することができる。すなわち、この見晴らしの良い場所への上昇のシミュレーション、例えば超高層ビルの頂上に向かうリフト乗車、月への未来的なリフト乗車、あるいは巨大鳥又は竜の背中又は爪に乗って山頂まで飛ぶことなどが実現できる。
【0159】
イベントシステム10による感覚を刺激するイベントの運営と同様に、客はまず、部屋60に設けられ、複数のイベント用家具部品100、200、250、300、350によって構成されたテーブルに着席するか、イベント用家具部品100、200、250、300、350上の機械的に部屋60に移動し、グループ化されてテーブルが構成される。そして、さらなる感覚刺激装置52により部屋60の内壁に投影することにより、例えば、展望台57で都市のパノラマを楽しむ場合、高層ビルの正面でガラス製のリフトに乗って上方に向かう様子をシミュレートすることができる。例えば、室内の壁の部分61には、超高層ビルの各階の様子や内部の様子が映し出され、室内の壁の別の部分62には、上昇するにつれて小さくなっていく街並みから、どんどん街のスカイラインが見えてくるようになっている。
【0160】
これらの印象は、基本的には視覚的な刺激のみで、つまり実際には床を変える必要は全くないが、他の感覚を補うことで印象がかなり強まる。
【0161】
例えば、部屋60の床部63は、移動装置64、ここでは例えば油圧装置の上に配置することができ、一方では実際に持ち上げ運動を行い、それによってリフトで生じるような加速度効果を実現することができる。しかし、パイロット訓練用のフライトシミュレータで使用されるような、より複雑な移動装置64を用いれば、旋回、回転、傾斜の動きも実現することができる。これを利用して、上昇にさらなるアクション性や物語性のある瞬間を組み込むことができる。例えば、エレベータがその外壁を走る超高層ビルにキングコングが現れて、リフトに衝撃を与え、揺れ動かせることができる。特に、感覚刺激によって展望台から見える景色が山頂からのものであれば、巨大な鳥や凧が客を乗せて山を登っていくような飛行の動きも感覚刺激で再現でき、全体の印象をより強くすることができる。
【0162】
さらに、他の多くの感覚刺激ももちろん実行することができる。
例えば、高層ビルでエレベータが通過する階でのイベントに合わせた匂いをつけることができる。例えば、パン店を通ればケーキの香りが、クリーニング店を通れば洗剤や生乾きの洗濯物の香りが、香水店を通れば香水の香りが、雲を通れば水蒸気が放出される。
【0163】
こうして感覚刺激された上昇の終わりには、展望台57への扉が開き、個々のイベント用家具部品100、200、250、300、350は、感覚刺激装置52の出力のこの部分と同期して展望台へ移動する。
【0164】
そして、そこで、特に感覚刺激装置52によってドーム51に投影された映像を見ながら飲食を楽しむことができ、その後、逆方向に地上へ戻る旅をシミュレートして、部屋60での滞在が終了する。
【0165】
図12aに示すように、単一の床部分63の代わりに、部屋60の床全体も次に移動装置64によって動かすことができ、一方では加速度効果を実現するために持ち上げ運動が実際に実施されるが、振動も実施することができる。このようにして、イベントシステム50によって運営される感覚が刺激されるイベントへの訪問は、それによって、独自の結果となり、例えば、先に説明したエレベータなどのシナリオに加えて、地震、誤作動などの異常な追加効果を発生させることができる。また、巨大な鳥や竜の背中や爪に乗っての飛行、絨毯、飛行機などの飛行の際に、エアポケットや故障が印象的にシミュレートされる。特に、図12cに示すように、部屋にいるすべての客を一つの床部分にまとめて配置し、同時にこの体験をさせることで、共同体験を強化することができる。
【0166】
図12dによる詳細な概略図は、図12cの移動装置64を示し、移動装置64は、二重矢印によって示される方向に移動することができる連結リンク65を有する。連結リンク65は、床部分63の支持部66に作用的に接触しており、好ましくはアクチュエータによって水平方向に移動させることができる。連結リンク65は、用途に適合した任意の輪郭を有することができる。図12dに示す例では、連結リンク64が複数の極小点Aが存在し、力を加えることなしに床部分の位置が保持され得る。さらに、連結リンクは、傾斜部Bと波部Cとを有している。斜面部Bは、支持部66又は床部分63の昇降動作に供するためのものであり、波部Cは、振動を発生させるためのものである。
【0167】
床部分63は横方向に移動可能であり、図12bでは、ベアリング68がローラとしてシンボル的に形成されている。床部分63は、好ましくは、それぞれが連結リンク65とリニア駆動装置とを有する3つの移動装置64によって移動し得る。移動装置は、同期または非同期で動作させることができ、それによって、このように構成された移動装置64は、床部分63の3自由度での移動、すなわち持ち上げ動作と、2つの空間角での動作とを可能にする。
【符号の説明】
【0168】
1…客
2…体験エリア
3…オードブルエリア
4、5…メインディッシュエリア
6…デザートエリア
7…衛生エリア
8…キッチンエリア
9…バーエリア
10…イベントシステム
11…テーブル
12…感覚刺激装置
13…制御部
15…壁、仕切り、プライバシスクリーン要素
16…ドッキングステーション
50…イベントシステム
51…ドーム
52…感覚刺激装置
53…制御部
54…支持システム
55…中央構造
56…手すり
57…展望台
58…バーカウンタ
59…基盤領域
60…部屋
61…内壁の一部
62…内壁の一部
63…床部分
64…移動装置
65…連結リンク
66…支持部
68…ベアリング
98…操作装置
99…イベントスタッフ
100…イベント用家具
110…椅子
111…支持フレーム
112…座面
120…テーブル
121…テーブルプレート
122…クイックカップリング
123…フレーム
127…ハウジング
130…ベースプレート
131…搬送手段
132…摩擦ホイール
133…高さ調整機構
134…運転資源貯蔵器
135…制御手段
136…通信モジュール
200…イベント用家具部品
201…結合装置
250…イベント用家具部品
300…イベント用家具部品
350…イベント用家具部品
400…ロボットまたはロボットアーム
401…ガイドレール
402…移動手段
501…食品を自動提供するための手段
502…ビュッフェ容器
600…イベント用家具部品
700…イベント用家具部品
800…ロボットまたはロボットアーム
801…ガイドレール
802…移動手段
803…プローブ
900…イベント用家具部品
901…中心
1000…ロボットまたはロボットアーム
1001…ガイドレール
1002…移動手段
1003…ビュッフェモジュール
1111…クイックカップリング
1112…変位機構
1113…昇降機構
1114…回転機構
1115…傾斜機構
1121…肘掛け
1122…背もたれ
1123…感覚刺激装置
1124…センサ
1125…操作要素
1211…送信機及び/又は受信機
1212…距離センサ
1213…安全センサ
1214…特殊効果を生み出すための手段
1215、1216…ディスプレイ
1217…操作要素
1901…第1の制御部
1902…椅子制御部
1903…テーブル制御部
1904…照明制御部
1905…送風機制御部
1906…ビュッフェ制御部
1907…ロボット制御部
1908…サウンド制御部
1909…プロジェクション制御部
1910…ナビゲーション制御部
1911…キャリブレーション制御部
1912…操作制御部
1913…ドッキングステーション制御部
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図12d
図13
図14
【国際調査報告】