(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(54)【発明の名称】吸収パッド
(51)【国際特許分類】
A24F 40/44 20200101AFI20220707BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20220707BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568298
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020063507
(87)【国際公開番号】W WO2020229618
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512123916
【氏名又は名称】エッセントラ フィルター プロダクツ ディベロップメント カンパニー プライベート リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】パトリック メレディス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ハリスマル ナタネガラ
(72)【発明者】
【氏名】アリエフ ラーマン
(72)【発明者】
【氏名】ウルヤント
(72)【発明者】
【氏名】スディルマン ウィディアルト
(72)【発明者】
【氏名】オクタワティ イェシ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC18
4B162AC27
(57)【要約】
本発明は、フィラメントトウを含むエレメントを備えるパッド(吸収パッド等)を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレメントを含むワッシャであって、該エレメントがフィラメントトウを含む、ワッシャ。
【請求項2】
エレメントを含むワッシャであって、該エレメントが酢酸セルロースを含む、ワッシャ。
【請求項3】
請求項1に記載のワッシャであって、前記フィラメントトウが、酢酸セルロースのフィラメントトウである、ワッシャ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のワッシャであって、前記エレメントが吸収性である、ワッシャ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のワッシャであって、該ワッシャが吸収ワッシャである、ワッシャ。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のワッシャであって、該ワッシャが高度の濡れ性を有する、ワッシャ。
【請求項7】
請求項6に記載のワッシャであって該、該ワッシャの濡れ性が50mg/10s~90mg/10sである、ワッシャ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のワッシャであって、該ワッシャが高度の液体保持力を有する、ワッシャ。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のワッシャであって、該ワッシャの液体保持力は、ワッシャを液体から引き上げて1時間が経過した時点で、前記ワッシャの重量減少率が0~20%、例えば10~20%となるものである、ワッシャ。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のワッシャであって、前記エレメントが円板状又は略円板状である、ワッシャ。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載のワッシャであって、前記エレメントが略多角形状である、ワッシャ。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のワッシャであって、前記エレメントが略長方形状である、ワッシャ。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のワッシャであって、前記エレメントが略正方形状である、ワッシャ。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載のワッシャであって、少なくとも1つの穴を含む、ワッシャ。
【請求項15】
請求項14に記載のワッシャであって、前記穴が前記ワッシャの中心部に配置されている、ワッシャ。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載のワッシャであって、該ワッシャの外縁部が局所的に切除された少なくとも1つのワッシャ部分を備える、ワッシャ。
【請求項17】
請求項1~16の何れか一項に記載のワッシャであって、該ワッシャの中心部における少なくとも1つの穴と、該ワッシャの外縁部が局所的に切除された少なくとも1つのワッシャ部分とを含む、ワッシャ。
【請求項18】
請求項17に記載のワッシャであって、該ワッシャの外縁部の一部が切除された2つの別個のワッシャ部分を含み、これらの部分が、該ワッシャの中心部に位置する穴の対向する側部に配置されている、ワッシャ。
【請求項19】
請求項1~18の何れか一項に記載のワッシャであって、該ワッシャの直径が5mmから10mmである、ワッシャ。
【請求項20】
請求項1~19の何れか一項に記載のワッシャであって、該ワッシャの厚さが1mm~5mmである、ワッシャ。
【請求項21】
請求項1~20の何れか一項に記載のワッシャを含むデバイスであって、前記ワッシャがデバイスの少なくとも1つの表面と係合する、デバイス。
【請求項22】
請求項21に記載のデバイスであって、該デバイスが、リザーバを収める流体(例えば液体)を含む、デバイス。
【請求項23】
次の構成要素、すなわち
ハウジングと、
加熱素子と、
少なくとも加熱素子用の電源と、
液体リザーバと、
請求項1~20の何れか一項に記載のワッシャと、
を備える、喫煙物品。
【請求項24】
流体(液体等)を収めるリザーバを備えるデバイスにおいて、請求項1~20の何れか一項に記載のワッシャを使用する方法。
【請求項25】
請求項24に記載のワッシャの使用方法であって、前記デバイスが喫煙物品(例えば、液体貯蔵器及び加熱式タバコ部分の両方を含む電子タバコ又はハイブリッド喫煙物品)である、方法。
【請求項26】
エレメントを備え、該エレメントがフィラメントトウを含む、パッド。
【請求項27】
エレメントを含むパッドであって、該エレメントが酢酸セルロースを含む、パッド。
【請求項28】
請求項26に記載のパッドであって、前記フィラメントトウが酢酸セルロースフィラメントトウである、パッド。
【請求項29】
請求項26~28の何れか一項に記載のパッドであって、前記エレメントが吸収性である、パッド。
【請求項30】
請求項26~29の何れか一項に記載のパッドであって、該パッドが吸収パッドである、パッド。
【請求項31】
請求項26~30の何れか一項に記載のパッドであって、該パッドが高度の濡れ性を有する、パッド。
【請求項32】
請求項31に記載のパッドであって、該パッドの濡れ性が50mg/10s~90mg/10sである、請求項31に記載のパッド。
【請求項33】
請求項26~32の何れか一項に記載のパッドであって、該パッドが高度の液体保持力を有する、パッド。
【請求項34】
請求項26~33の何れか一項に記載のパッドであって、該パッドの液体保持力は、パッドを液体から引き上げてから1時間経過後に、パッドの重量減少率が0~20%、例えば10~20%となるものである、パッド。
【請求項35】
請求項26~34の何れか一項に記載のパッドであって、前記エレメントが円板状又は略円板状である、パッド。
【請求項36】
請求項26~35の何れか一項に記載のパッドであって、前記エレメントが略多角形状である、パッド。
【請求項37】
請求項26~36の何れか一項に記載のパッドであって、前記エレメントが略長方形状である、記載のパッド。
【請求項38】
請求項26~37の何れか一項に記載のパッドであって、前記エレメントが略正方形状である、パッド。
【請求項39】
請求項26~38の何れか一項に記載のパッドであって、前記エレメントが、例えば、少なくとも1つの開口部を含むワッシャである、パッド。
【請求項40】
請求項1~20の何れか一項に記載のワッシャ又は請求項26~39の何れか一項に記載のパッドを、加熱式(THP)タバコ製品又は加熱・非燃焼式(HNB)タバコ製品において使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙物品、例えば電子タバコ(「e-タバコ」とも称する。)と、これと共に、又はその内部で使用するためのワッシャに関する。
【0002】
電子タバコ又はe-タバコは、ユーザに喫煙行為をシミュレート可能とさせるための、広く知られた形式のエアロゾル生成デバイスである。電子タバコは、蒸気を発生させて吸入することによりタバコの煙の感覚と、多くの場合にはフレーバを再現することができるが、タバコの煙に関連する化学物質や臭気を伴うものではない。電子タバコは、多くの場合にニコチンや様々なフレーバを含む溶液を滅及び気流によって気化し、消費者に届けるものである。
【背景技術】
【0003】
電子タバコには主として2つの形式、すなわち開放型と閉鎖型が存在している。開放型ではユーザが自らe-リキッドを補充することができるが、閉鎖型ではカートマイザ又はポッドを購入する必要がある。カートマイザ又はポッドは、実効的にはe-リキッドが消費されたときの再充填である。
【0004】
一般に、旧来の電子タバコは3つの主要なセクション、すなわちバッテリー、アトマイザ及びカートリッジを含んでおり、使い捨て式又は再利用型のデバイスとして利用することができる。このようなデバイスは一体型、2パーツ型又は3パーツ型として供給することができる。2パーツ型のデバイスでは、アトマイザ及びカートリッジが1つのユニット(「カートマイザ」とも称される)に統合される。一般に、バッテリーコンパートメントにはフローセンサ及びインジケータライトが含まれており、アトマイザは通常、加熱素子の近傍に多孔質材料を含んでいる。この多孔質材料は、フローセンサがパフの発生を検出した場合に、リザーバから移送された液体を加熱素子に送出し、そこで蒸気に変換してユーザに配送するものである。カートリッジはアトマイザに接続し、通常はグリセロール、プロピレングリコール、又はこれら2種の混合物で構成される溶媒と水、種々のフレーバ及びニコチン(e-リキッドとして既知)を収めるリザーバを備えている。アトマイザは、リザーバと接触する多孔質材料であり、溶液に対して大きな表面積を流路に与えるように設計されている。加熱素子は、アトマイザと直接接触させるか、又はアトマイザから離隔させて配置することができる。デバイスが膨らむと、フローセンサが加熱素子を作動させてアトマイザを加熱するか、又は加熱空気をアトマイザに通すことにより、液体を蒸気に変換してユーザに供給する。
【0005】
より最近のポッドベースの電子タバコは、開放システムのリザーバを閉鎖システム内に組み合わせたものである。e-リキッドは、ポッド内の小さなタンクに収められている。電子タバコの人気は近年急速に高まっているが、消費者の満足度に関しては種々の欠点がある。特に、多くの電子タバコでは、液体(e-リキッド)が時間の経過とともに液体リザーバから漏出する可能性がある。これは、消費者にとって多くの問題を生じさせるものである。第一に、e-リキッドが電子タバコの外面に漏出し、ユーザの手や口を濡らす可能性がある。これは、消費者にとって受け入れられない。更に、漏出によってリザーバ内のe-リキッドがより急速に枯渇し、消費者がe-リキッドのより頻繁な補充が必要となる場合がある。そのため、多くの電子タバコは、リザーバからのe-リキッドの経時的な漏出を防止するための「吸収ワッシャ」を設計に取り入れ始めている。吸収ワッシャは吸収性材料で作製されており、リザーバから漏出するe-リキッドを吸収するように電子タバコの構造に組み込まれる。
【0006】
電子タバコにおける吸収ワッシャの主たる機能は、e-リキッドリザーバから漏出したe-リキッドを吸収することであるため、通常、吸収ワッシャは吸収性の高い材料で作製される。吸収ワッシャは、電子タバコ製造プロセスの間に電子タバコハウジング内に比較的容易に組み込むに十分な柔軟性を備えつつ、電子タバコハウジングの支持構造としても機能させることができる。
【0007】
従来、電子タバコ用の高性能吸収ワッシャは、二成分系繊維から作製されている。これらの繊維は、製造が比較的高価な場合がある。更に、別個の領域に分離する必要のある2種の成分が存在するため、製造が複雑化する場合がある。したがって、現時点で入手可能な吸収ワッシャよりも安価であって製造が容易な、高吸収性(及び場合により適度に剛性)の材料から作製した吸収ワッシャが待望されている。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、例えば電子タバコ等の喫煙物品用のパッドが提供される。パッドは、例えば吸収パッドである。パッドは、例えば、略円板状、略多角形状、略長方形状又は略正方形状のエレメントを備える。エレメントは、フィラメントトウを含む。好適には、フィラメントトウは、酢酸セルロースのフィラメントトウである。本発明によれば、例えば電子タバコ等の喫煙物品用のパッド(例えば、吸収パッド)が提供される。パッドは、例えば、略円板状、略多角形状、略長方形状又は略正方形状のエレメントを備える。エレメントは、酢酸セルロースを含む。好適には、エレメントは吸収性である。好適には、本発明のパッドは吸収パッドである。本明細書において、「パッド」とは、複数の表面間に配置される任意の略平坦なエレメントを意味している。エレメントは、任意的に、少なくとも1つの開口部を有することができる。開口部は、例えば、穴、あるいは外縁部が局所的に切除されたパッド部分)を含むことができる。
【0009】
フィラメントトウ(酢酸セルロースのフィラメントトウ)のパッドは、高度に吸収性であり得る。好適には、パッドは高度の濡れ性を有する。好適には、パッドは、50mg/10s~90mg/10sの濡れ性を有する。本明細書において、「濡れ性」とは、液体がパッド表面との接触を維持する程度を示すために使用される。高度の濡れ性は、液体がパッド表面との接触を維持する傾向が高いことを示しており、これは、パッドが高吸収性であり得ることを表すものである。本発明によるパッドの濡れ性を計算するために使用される方法は、実施例において概説されている。好適には、パッドは、高度の液体保持力を有する。好適には、パッドの液体保持力は、パッドを液体から引き上げてから1時間経過後に、パッドの重量減少率が0~20%、例えば10~20%となるものである。本発明によるパッドの液体保持力を計算するために使用される方法は、実施例において概説されている。
【0010】
一実施形態において、エレメントは、円板状又は略円板状である。本明細書において、「円板状」とは、概ね円形であり、略平坦で比較的薄い形状のエレメントを意味する。本発明による円板状のエレメントは、完全に円形である必要はなく、例えば
図2に示すように、局所的に切除された外縁部(外周部)を有することができる。別の実施形態において、エレメントは、略多角形状とすることができる。多角形状とした本発明によるエレメントは、形状が完全に多角形である必要はなく、例えば局所的に切除された外縁部を有することができる。別の実施形態において、エレメントは、略長方形状とすることができる。別の実施形態において、エレメントは、略正方形状とすることができる。
【0011】
一実施形態において、本発明によるパッドは、開口部を含まない構成とすることもでき、例えば、穴及び/又は外縁部が局所的に切除されたパッド部分を含まない構成とすることができる。そのような実施形態において、単一のパッドを喫煙物品(例えば電子タバコ)に組み込むことができる。更に、複数のパッドを喫煙物品(例えば電子タバコ)に組み込んで、所与の電子タバコに適合するような配置とすることもできる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、エレメントを備えるパッドが提供される。エレメントは、少なくとも1つの開口部(例えば、穴、あるいは外縁部が局所的に切除されたワッシャ部分)を有する。このようなパッドは、「ワッシャ」と称されることもある。本発明によれば、例えば、電子タバコ等の喫煙物品用のワッシャ(例えば吸収ワッシャ)が提供される。このワッシャは、例えば、略円板状、略多角形状、略長方形状又は略正方形状のエレメントを備える。エレメントはフィラメントトウを含んでいる。好適には、フィラメントトウは、酢酸セルロースのフィラメントトウである。本発明によれば、例えば、電子タバコ等の喫煙物品用のワッシャ(例えば、吸収ワッシャ)が更に提供される。このワッシャは、例えば、略円板状のエレメントを備え、そのエレメントは酢酸セルロースを含む。好適には、エレメントは吸収性である。好適には、本発明のワッシャは吸収ワッシャである。本明細書において「ワッシャ」とは、複数の表面間に配置されるべき任意の略平坦なエレメントを意味している。エレメントは、開口部(例えば、穴、又は外縁部が局所的に切除されたワッシャ部分、又はこれら双方)を含んでいる。ワッシャは、1つ以上の穴及び/又は外縁部が局所的に切除された1つ以上の部分を含むことができる。
【0013】
フィラメントトウ(酢酸セルロースフィラメントトウ)のワッシャは、高度に吸収性であり得る。好適には、ワッシャは高度の濡れ性を有する。好適には、ワッシャは、50mg/10s~90mg/10sの濡れ性を有する。本明細書において、「濡れ性」とは、液体がワッシャ表面との接触を維持する程度を示すために使用される。高度の濡れ性は、液体がワッシャ表面との接触を維持する傾向が高いことを示しており、これは、ワッシャが高度に吸収性であり得ることを表すものである。本発明によるワッシャの濡れ性を計算するために使用される方法は、実施例において概説されている。好適には、ワッシャは高度の液体保持力を有する。好適には、ワッシャは、ワッシャを液体から引き上げて1時間が経過した時点で、ワッシャの重量減少率が0~20%、例えば10~20%となる液体保持力を有する。本発明によるワッシャの液体保持を計算するために使用される方法は、実施例において概説されている。
【0014】
本発明によるパッド及び/又はワッシャを電子タバコ等の喫煙デバイスで使用すると、フィラメントトウは、電子タバコの液体リザーバから漏出した液体(例えば、e-リキッド)を吸収することができる。これにより、ユーザの手や口に対するe-リキッドの接触を防止し、ユーザにとって快適な喫煙体験が実現される。漏出したe-リキッドをフィラメントトウのパッド及び/又はワッシャにより吸収すれば、液体リザーバからのe-リキッドの損失率を低下させることが可能である。これにより、特定量のe-リキッドを延命させることができ、ユーザによるe-リキッドの交換頻度を減少させ、より満足のいく喫煙体験を実現させるものである。更に、本発明によるフィラメントトウ(酢酸セルロースのフィラメントトウ)よりなるパッド及び/又はワッシャは、電子タバコのハウジングを支持可能とするに十分な剛性を有しており、しかも電子タバコの製造プロセスの間に電子タバコのハウジング内に比較的簡単に組み込み可能とするに十分な柔軟性を有している。
【0015】
本発明のパッド及び/又はワッシャは、e-リキッド等の液体を吸収するために任意形式の電子的な喫煙物品に使用することが可能である。上述したように、本発明のパッド及び/又はワッシャは、e-リキッド等の液体を収めるためのリザーバを含む電子タバコで使用することができる。あるいは、本発明のパッド及び/又はワッシャは、加熱式タバコ製品(THP)又は加熱・非燃焼式(HNB)タバコ製品に使用することができる。これらの加熱式タバコ製品は使用中に大量の蒸気を生成する場合があり、喫煙物品中に大量のe-リキッド等の液体が存在している場合もあるが、本発明のパッド及び/又はワッシャはこれらを吸収可能とするものである。更に、本発明のパッド及び/又はワッシャは、液体リザーバ及び加熱式タバコ物品の両者を含むハイブリッド喫煙物品中におけるe-リキッド等の液体を吸収するために使用することができる。
【0016】
本明細書において概説される吸収パッド/ワッシャの有益な効果(例えば、漏出したe-リキッドを吸収し、電子喫煙物品のハウジングを支持する効果)は、パッド/ワッシャを任意の電子喫煙製品(例えば、加熱式(THP)タバコ製品等の電子タバコデバイス、あるいは加熱・非燃焼式(HNB)タバコ製品等のハイブリッドデバイス)において使用する場合にも適用し得るものである。
【0017】
一実施形態において、エレメントは、円板状又は略円板状である。本明細書において、「円板状」とは、略平坦であって比較的薄い略円形状のエレメントを意味する。本発明による円板状のエレメントは、完全に円形である必要はなく、
図2に示すように、局所的に切除した外縁部(例えば、外周部)を有することができる。別の実施形態において、エレメントは、略多角形状とすることができる。多角形状とした本発明によるエレメントは、形状が完全に多角形である必要はなく、したがって、外縁部が局所的に切除されていてもよい。別の実施形態において、エレメントは、略長方形状とすることができる。別の実施形態において、エレメントは、略正方形状とすることができる。
【0018】
一実施形態において、本発明によるワッシャは、少なくとも1つの穴を含む。好適には、穴はワッシャの中心部に配置される。本発明による穴は、必ずしも形状が円形である必要はない。穴は、例えば、正方形状又は長方形状とすることができる。しかしながら、好適には、穴は円形状又は略円形状である。
【0019】
別の実施形態において、ワッシャは、その外縁部が局所的に切除された少なくとも1つのワッシャ部分を含む。ワッシャが略円形状である場合、ワッシャの外縁部はワッシャの円周部であり得る。ワッシャから切除される外縁部の切除部分は、任意形状とすることができる。好適には、切除部分は、正方形状、長方形状、多角形状又は割線形状(
図2に示すように、円周の一部を形成する)である。好適には、本発明によるワッシャは、その中心部に配置された少なくとも1つの穴と、ワッシャの外縁部が局所的に切除された少なくとも1つのワッシャ部分とを含む。好適には、ワッシャは、外縁部が局所的に切除されたワッシャにおける2つの個別的なワッシャ部分を含む。これらの部分は、ワッシャの中心部に配置された穴の対向する側部に配置することができる。
【0020】
本発明による少なくとも1つの穴及び/又は少なくとも1つの切除部分を含むワッシャが、電子タバコ又はTHP又はHNB又はハイブリッドデバイス等の喫煙物品、例えば電子喫煙物品に組み込まれる場合、穴及び/又は切除部分は、喫煙物品(例えば電子喫煙物品)の1つの領域から他の領域までの空気の転送を容易にするように機能させることができる。本発明による少なくとも1つの穴及び/又は少なくとも1つの切除部分を含むワッシャが、電子タバコ又はTHP又はHNB又はハイブリッドデバイス等の喫煙物品、例えば電子喫煙物品に組み込まれると、穴及び/又は切除部分は、例えば導線のための管路として機能し、喫煙物品(例えば電子喫煙物品)の1つの領域から他の領域までの電気の流れを容易にするように機能させることができる。
パッド又はワッシャの寸法及び形状は、とりわけ、それが組み込まれる電子タバコ等の(電子)喫煙物品のサイズ及び形状に応じて決定することができる。好適には、パッド又はワッシャは、厚さが1mm~10mmである。より好適には、パッド又はワッシャは、厚さが2mm~5mmである。更に好適には、パッド又はワッシャは、厚さが約2.5mmである。
【0021】
パッド又はワッシャの形状が略円形である場合、好適には、パッド又はワッシャは、直径が3mm~10mmである。好適には、パッド又はワッシャの直径は約7mmである。この直径により、パッド又はワッシャは、電子タバコ又はTHP又はHNB又はハイブリッドデバイスのハウジングを支持可能にすると同時に、電子タバコ又はTHP又はHNB又はハイブリッドのハウジングと共に、電子タバコ、あるいはTHP式、HNB式又はハイブリッド式デバイスのハウジングからのe-リキッドの漏出を防止するためのシールを形成することができる。パッド又はワッシャが穴等の開口部を含む場合、例えば、外縁部を局所的に切除したパッド又はワッシャの部分)を含む場合、パッド又はワッシャの壁厚は、0.1mm~5mmとすることができる。壁厚は、好適には4mm~0.6mm、より好適には3mm~2mm、更に好適には2mm~1mmである。
【0022】
パッド又はワッシャが略長方形状である場合、パッド又はワッシャの長さは、好適には3mm~10mm、より好適には5mm~8mm、更に好適には約7mmである。パッド又はワッシャの幅は、好適には0.5mm~5mm、より好適には1mm~4mm、更に好適には約3mmである。
【0023】
本発明によれば、例えば、電子タバコ等の喫煙物品用の、フィラメントトウを含むパッド(例えば吸収パッド)が更に提供される。好適には、フィラメントトウは、酢酸セルロースのフィラメントトウである。本発明によれば、例えば、電子タバコ等の喫煙物品用の、酢酸セルロースを含むパッド(例えば吸収パッド)が更に提供される。好適には、パッドは吸収性である。好適には、本発明のパッドは吸収パッドである。
【0024】
フィラメントトウ(酢酸セルロースフィラメントトウ)のパッドは、高度に吸収性であり得る。好適には、パッドは高度の濡れ性を有する。好適には、パッドは、50mg/10s~90mg/10sの濡れ性を有する。本明細書において「濡れ性」とは、液体がパッド表面との接触を維持する程度を示すために使用される。高度の濡れ性は、液体がとパッド表面との接触を維持する傾向が高いことを示しており、これは、パッドが高度に吸収性であり得ることを表すものである。本発明によるパッドの濡れ性を計算するために使用される方法は、実施例において概説されている。好適には、パッドは、高度に液体保持力を有する。好適には、パッドは、パッドを液体から引き上げてから1時間経過後に、パッドの重量減少率が0~20%、例えば10~20%となる液体保持力を有する。本発明によるパッドの液体保持を計算するために使用される方法は、実施例において概説されている。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの開口部を含むパッドが提供され、その開口部は、例えば、穴であり、又は外縁部が局所的に切除されたワッシャ部分である。このようなパッドは、ワッシャと称されることがある。本発明によれば、例えば電子タバコ等の喫煙物品用の、フィラメントトウを含むワッシャ(例えば吸収ワッシャ)が更に提供される。好適には、フィラメントトウは、酢酸セルロースのフィラメントトウである。本発明によれば、例えば電子タバコ等の喫煙物品用の、酢酸セルロースを含むワッシャ(例えば吸収ワッシャ)が更に提供される。好適には、ワッシャは吸収性である。好適には、本発明のワッシャは吸収ワッシャである。
【0026】
フィラメントトウ(酢酸セルロースフィラメントトウ)よりなるワッシャは、高度に吸収性であり得る。好適には、ワッシャは高度の濡れ性を有する。好適には、ワッシャは、50mg/10s~90mg/10sの濡れ性を有する。本明細書において、「濡れ性」とは、液体がワッシャ表面との接触を維持する程度を示すために使用される。高度の濡れ性は、液体がワッシャ表面との接触を維持する傾向が高いことを示しており、これは、ワッシャが高度に吸収性であり得ることを表すものである。本発明によるワッシャの濡れ性を計算するために使用される方法は、実施例において概説されている。好適には、ワッシャは高度の液体保持力を有する。好適には、ワッシャは、ワッシャを液体から引き上げて1時間が経過した時点で、ワッシャの重量減少率が0~20%、例えば10~20%となる液体保持力を有する。本発明によるワッシャの液体保持を計算するために使用される方法は、実施例において概説されている。
【0027】
好適には、本発明によるワッシャは、少なくとも1つの穴を含む。好適には、穴はワッシャの中心部に配置される。本発明による穴は、必ずしも形状が円形である必要はない。穴は、例えば、正方形状又は長方形状にすることができる。しかしながら、好適には、穴は円形状又は略円形状である。
【0028】
好適には、ワッシャは、その外縁部が局所的に切除された少なくとも1つのワッシャ部分を含む。ワッシャが略円形状である場合、ワッシャの外縁部はワッシャの外周部である。ワッシャから切除される外縁部の切除部分は、任意形状とすることができる。好適には、切除部分は、正方形状、長方形状、多角形状又は割線形状(
図2に示すように、円周の一部を形成する)である。好適には、本発明によるワッシャは、その中心部に配置される少なくとも1つの穴と、ワッシャの外縁部が局所的に切除された少なくとも1つのワッシャ部分とを含む。好適には、ワッシャは、外縁部が局所的に切除された2つの別個のワッシャ部分を含む。これらの部分は、ワッシャの中心部に配置された穴の対向する側部に配置することができる。
【0029】
パッド又はワッシャの寸法及び形状は、とりわけ、それが組み込まれる電子タバコ等の喫煙物品のサイズ及び形状に応じて決定することができる。好適には、パッド又はワッシャの厚さは、1mm~10mmである。より好適には、パッド又はワッシャの厚さは、2mm~5mmである。更に好適には、パッド又はワッシャの厚さは約2.5mmである。パッド又はワッシャの形状が略円形である場合、好適には、パッド又はワッシャは、直径が3mm~10mmである。好適には、パッド又はワッシャは約7mmの直径を有する。この直径により、パッド又はワッシャは、電子タバコ又はTHP又はHNB又はハイブリッドデバイスのハウジングを支持可能にすると同時に、電子タバコ又はTHP又はHNB又はハイブリッドのハウジングと共に、漏れたが電子タバコ、THP、HNB、又はハイブリッドデバイスハウジングからのe-リキッドの漏出を防止するためのシールを形成することができる。パッド又はワッシャが穴等の開口部を含む場合、例えば、外縁部を局所的に切除したパッド又はワッシャの部分)を含む場合、パッド又はワッシャの壁厚は、0.1mm~5mmとすることができる。壁厚さは、好適には4mm~0.6mm、より好適には3mm~2mm、更に好適には2mm~1mmである。本明細書において、「喫煙物品」とは、電子タバコや、ニコチン配送デバイス等を含む用語である。
【0030】
別の態様における本発明によれば、例えば吸収用のパッド及び/又はワッシャと、例えば略円板状のエレメントとを備え、エレメントがフィラメントトウ、例えば酢酸セルロースのフィラメントトウを含むデバイス、例えば電子喫煙デバイスが提供される。好適には、パッド及び/又はワッシャはデバイス、例えば電子喫煙デバイスにおける少なくとも1つの表面と係合する。好適には、デバイスは、流体(例えば、液体)を収めるためのリザーバを備える。好適には、デバイスは喫煙物品(例えば、電子タバコ)である。フィラメントトウよりなるパッド及び/又はワッシャは、本発明の上記態様によるデバイス(例えば、電子タバコ等の喫煙物品)内で使用される流体リザーバから漏出した流体(e-リキッド等)を吸収することができ、したがって汚染を減少させ、ユーザにとって快適な喫煙体験を提供することができる。別の実施形態において、デバイスは、THP式又はHNB式の電子喫煙デバイスである。フィラメントトウよりなるパッド及び/又はワッシャは、本発明の上記態様によるデバイス内で使用される場合に、デバイスから漏出した流体(e-リキッド等)を吸収することができ、したがって汚染を減少させ、ユーザにとって快適な喫煙体験を提供することができる。別の実施形態において、デバイスはハイブリッド式の喫煙デバイスである。また、フィラメントトウよりなるパッド及び/又はワッシャは、本発明の上記態様に基づくデバイス内で使用される場合に、デバイスから漏出した流体(e-リキッド等)を吸収することができ、したがって、混乱を減らし、ユーザにより楽しい喫煙体験を提供することができる。
【0031】
更なる態様における本発明によれば、ハウジングと、例えばハウジング内に配置される加熱素子と、少なくとも(例えば、ハウジング内に配置される)加熱素子のための電源と、パッド及び/又はワッシャと、を含む喫煙物品(例えば、電子タバコ)が提供される。例えば吸収性のパッド及び/又はワッシャは、例えば略円板状のエレメントを備え、エレメントはフィラメントトウ(例えば、酢酸セルロースフィラメントトウ)を含む。好適には、パッド及び/又はワッシャは、喫煙物品における少なくとも1つの表面と係合する。好適には、喫煙物品は、流体(例えば液体)を収めるためのリザーバを備える。好適には、喫煙物品は電子タバコである。
【0032】
別の態様における本発明によれば、例えば略円板状のエレメントを含み、エレメントがフィラメントトウ(例えば、酢酸セルロースフィラメントトウ)を含むパッド及び/又はワッシャ、例えば吸収パッド及び/又はワッシャを、流体(液体等)を収めるリザーバを備えるデバイスで使用する方法が提供される。好適には、パッド及び/又はワッシャが使用されるデバイスは、喫煙物品(例えば、電子タバコ)である。好適には、デバイス(例えば、電子タバコ)において使用されるパッド及び/又はワッシャは、吸収パッド及び/又はワッシャである。好適には、デバイス(例えば、電子タバコ)において使用されるパッド及び/又はワッシャは、吸収パッド及び/又はワッシャであり、吸収パッド及び/又はワッシャは、流体(液体等)を収めるリザーバから漏出した流体(液体等)を吸収するものである。好適には、パッド及び/又はワッシャは、デバイスにおける少なくとも1つの表面と係合する。一実施形態において、パッド及び/又はワッシャは、電子タバコ内で使用され、電池と流体リザーバとの間に配置される。別の実施形態において、パッド及び/又はワッシャは、電子タバコ内で使用され、電子タバコの口端に配置されて、e-リキッドが消費者の口に入るのを防止する。
【0033】
好適には、パッド及び/又はワッシャは、電子タバコ内において使用され、電子タバコにおける1つのある領域から別の領域までの空気の移動を容易にする。パッド及び/又はワッシャは、空気を透過するが、液体(例えば、e-リキッド)を透過しない構成とすることができ、これにより電子タバコに液体シール機能を提供する。
【0034】
好適には、パッド及び/又はワッシャは、電子タバコ内において使用され、電子タバコにおける1つのある領域から別の領域までの電気の伝達を容易にする(例えば導線用の管路として機能する)。
【0035】
本発明によるパッド又はワッシャは、天然又は合成のフィラメントトウ、例えば綿又はプラスチックのフィラメントトウ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又は酢酸セルロースのフィラメントトウから作製することができる。フィラメントトウは、熱可塑性を有し、又は他の方法で紡糸可能なポリマー、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はポリアセチドで構成することができる。好適には、フィラメントトウは、酢酸セルロースフィラメントトウである。
【0036】
繊維(例えば酢酸セルロースフィラメントトウ)は可塑化させることができる。言い換えれば、パッド又はワッシャは、任意選択的に可塑剤を含むことができる。可塑化させたトウの形成は、当技術分野において広く知られている。(繊維を可塑化させるための)可塑剤は、例えば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)又はポリエチレングリコール(PEG)である。繊維は、例えば、可塑化させた酢酸セルローストウの繊維である。繊維は、例えば、トリアセチンで可塑化させた酢酸セルローストウである。
【0037】
フィラメントトウ(例えば、酢酸セルロースフィラメントトウ)は、任意選択的に結合剤を含むことができる。フィラメントトウ(例えば、酢酸セルロースフィラメントトウ)は、任意選択的に水溶性結合剤を含むことができる。水溶性材料には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、デンプン、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等の水溶性ポリマー材料;水溶性バインダーとトリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)又はポリエチレングリコール(PEG)等の可塑剤とのブレンド;あるいは粒子形態のホットメルト水溶性結合剤が含まれる。水溶性結合剤を含む場合には、パッド又はワッシャが必要なときに環境条件下で容易かつ迅速に分解される分解性を更に向上することができる。
【0038】
本発明によるパッド又はワッシャは、フィラメントトウ(例えば酢酸セルロースフィラメントトウ)の連続繊維束を、任意選択的にトリアセチンが既に塗布されている状態で、製造されるパッド又はワッシャの所望の外周部と等しい外周部を有する固定ダイを通して引き出すことによって製造することができる。フィラメントトウがダイ内にある間に、加熱蒸気をフィラメントトウに作用させることができる。加熱蒸気は、ダイのダクトを介して作用させることができる。加熱蒸気は、フィラメントトウ(存在する場合)に適用された可塑剤を硬化させるためのものであり、パッド又はワッシャがダイを出た後もダイの形状を維持可能とするものである。フィラメントトウがダイから引き出されたら、それを切断して所望厚さのパッド又はワッシャを形成することができる。
【0039】
パッド又はワッシャが開口部(例えば穴)を含んでいる場合、固定ダイは、ワッシャにおける開口部(例えば穴)の所望断面(例えば、穴)の断面プロファイルと等しい断面プロファイルを有するダイを通って突出する内側ロッド(又はマンドレル)を更に含むことができる。フィラメントトウがダイを通して引き出される際、フィラメントトウは内側ロッドの周りを通過する。これにより、内側ロッドと同等の断面プロファイルを有する開口部(例えば、穴)を有するワッシャが形成される。フィラメントトウがダイ内にある間に、加熱蒸気をフィラメントトウに作用させることができる。加熱蒸気は、ダイのダクトを介して作用させることができる。加熱蒸気は、フィラメントトウ(存在する場合)に適用された可塑剤の硬化用であり、ワッシャがダイを出た後もダイの形状を維持可能とする。フィラメントトウがダイから引き出されたら、フィラメントトウを切断することにより、中心部に穴を有する所望の厚さのワッシャを形成することができる。そのようなワッシャは、円板状又は略円板状とすることができる。当業者であれば理解できるように、この製造手順を変更することにより、外周部が局所に切除された少なくとも1つのワッシャ部分を含むワッシャを製造することができる。特に、固定ダイの形状を変更することにより、外周部が局所的に切除された少なくとも1つのワッシャ部分を含むワッシャを製造することができる。更に、製造手順(例えば、固定ダイの形状)を変更することにより、中心部に配置される少なくとも1つの穴と、外周部が局所的に切除された少なくとも1つのワッシャ部分を含むワッシャを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
以下、本発明を実施例及び添付図面に基づいて説明する。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるワッシャを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の他の実施形態によるワッシャを示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施形態によるワッシャを示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明によるワッシャA及び従来の吸収ワッシャであるワッシャBの経時的な液体保持力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
《実施例1》
図1は、電子タバコ等の喫煙物品を対象とする、直径7mm、厚さ2.5mmの吸収ワッシャ1を示しており、この吸収ワッシャは、可塑化させた酢酸セルロースフィラメントトウから作製した略円板状のエレメント2を備えている。吸収ワッシャ1は、直径2mmのワッシャの中心部に円形の穴3又は穴を有する。吸収ワッシャ1が電子タバコに組み込まれると、酢酸セルロースフィラメントトウは、電子タバコの液体リザーバから漏出するe-リキッドを吸収可能とすることができる。
【0042】
吸収ワッシャ1は、既にトリアセチンが任意的に塗布されている酢酸セルロースフィラメントトウの連続束を、吸収ワッシャ1の所望直径と同等の外径の固定ダイを通して引っ張ることによって製造することができる。この場合、固定ダイは、ダイを通して突出させた内側ロッド(又はマンドレル)を含んでおり、この内側ロッドは吸収ワッシャ1の円形穴3の所望断面の断面プロファイルと同等の断面プロファイルを有する。フィラメントトウがダイを通して引っ張られると、そのフィラメントトウは内側ロッドの周りを通過し、ダイから排出されるときに内側ロッドと同等の断面プロファイルの円形穴3を有する吸収ワッシャ1が形成される。フィラメントトウがダイ内にある間に、加熱蒸気をフィラメントトウに供給することができる。加熱蒸気は、ダイのダクトを介して供給することができる。加熱蒸気により、フィラメントトウ(存在する場合)に塗布されている可塑剤を硬化させ、吸収ワッシャ1がダイから排出された後にダイ形状を維持可能とすることができる。フィラメントトウがダイから排出されると、そのフィラメントトウを切断することにより、ワッシャの中心部に円形穴3を有する厚さ2.5mmの略円板状のエレメント2を形成することができる。
《実施例2》
【0043】
図2は、電子タバコ等の喫煙物品を対象とする、直径7mm、厚さ2.5mmの吸収ワッシャ1を示しており、この吸収ワッシャは、可塑化させた酢酸セルロースフィラメントトウから作製した略円板状のエレメント102を備えている。吸収ワッシャ101は、直径2mmのワッシャの中心部に円形の穴103又は穴を有する。ワッシャ101は略円形であるが、円周の一部が切除された2つの個別部分を有する。2つの切り取られた領域104A及び104Bは、円形穴103の対向する側部に配置されている。2つの切断領域104A及び104Bは
図2に点線で示され、同図は、切除された領域が割線であること(すなわち、円の一部を形成すること)を示している。吸収ワッシャ101が電子タバコに組み込まれると、酢酸セルロースフィラメントトウは、電子タバコの液体リザーバから漏出するe-リキッドを吸収することができる。吸収ワッシャ101は、吸収ワッシャ1の製造方法と同様の方法によって製造することができる。この場合には、使用される固定ダイの形状を変更して、2つ切除領域104A及び104Bを製造可能とする。
《実施例3》
【0044】
図3は、電子タバコ等の喫煙物品を対象とする、長さ7mm、幅3mm、厚さ2.5mmの用の吸収パッド201を示しており、この吸収パッドは、可塑化させた酢酸セルロースフィラメントトウから作製した略長方形状のエレメント202を含む。吸収パッド201が電子タバコに組み込まれると、酢酸セルロースフィラメントトウは、電子タバコの液体リザーバから漏出するe-リキッドを吸収することができる。複数の吸収パッド201を、電子タバコの特定の設計のために限定されたスペースに組み込むことができる。
【0045】
吸収パッド201は、既にトリアセチンが任意的に塗布されている酢酸セルロースフィラメントトウの連続束を、吸収パッド201の所望周囲の外周部と同等の外周部を有する固定ダイを通して引っ張ることによって製造することができる。フィラメントトウがダイ内にある間に、加熱蒸気をフィラメントトウに供給することができる。加熱蒸気は、ダイのダクトを介して供給することができる。加熱蒸気により、フィラメントトウ(存在する場合)に塗布されている可塑剤を硬化させ、吸収パッド201がダイから排出された後にダイ形状を維持可能とすることができる。
フィラメントトウがダイから排出されると、そのフィラメントトウを切断することにより、厚さ2.5mmの略長方形状エレメント201を形成することができる。
《実施例4》
【0046】
本発明によるワッシャと、二成分系繊維から作製した従来の吸収ワッシャの濡れ性を計算するために実験を行った。ワッシャAは、酢酸セルロースフィラメントトウから作製した本発明によるワッシャである。ワッシャBは、ポリプロピレンとポリエチレンの二成分系繊維から作製した従来の吸収ワッシャである。いずれのワッシャも、形状及び寸法において略同一である。更に、染料を含むプロピレングリコール溶液を調製した。この溶液にワッシャA及びワッシャBを10秒間完全に浸漬した。その後、ワッシャを溶液から取り出し、過剰の溶媒を除去した。そして、ワッシャの重量を測定した(Wo)。次に、ワッシャAとワッシャBの濡れ性を、プロピレングリコール溶液に10秒間浸漬した後のワッシャの重量変化の測定によって計算した。表1に示す結果から理解できるように、酢酸セルロースよりなるワッシャAの濡れ性は、二成分系繊維よりなるワッシャBの濡れ性とほぼ同等の値である。実際、ワッシャAの濡れ性値は、ワッシャBの濡れ性値よりも高い。以上の結果として、酢酸セルロースフィラメントトウから作製された本発明によるワッシャは、より安価で製造が容易でありながら、従来の二成分系繊維よりなるワッシャと対比して同等又はより優れた吸収特性を提供できることは明らかである。
【表1】
《実施例5》
【0047】
本発明によるワッシャ及び二成分繊維から作製した従来の吸収ワッシャの経時的な液体保持力を計算するために実験を行った。ワッシャAは、酢酸セルロースフィラメントトウから作製した本発明によるワッシャである。ワッシャBは、ポリプロピレンとポリエチレンの二成分系繊維から作製した従来の吸収ワッシャである。いずれのワッシャも、形状及び寸法において略同一である。更に、染料を含むプロピレングリコール溶液を調製した。この溶液にワッシャAとワッシャBを10秒間完全に浸漬した。その後、ワッシャを溶液から取り出し、余剰の溶媒を除去した。そして、ワッシャの重量を測定した(Wo)。次に、ワッシャを室温条件下に置き、ワッシャの重量を1時間毎に測定して記録した。そして、次式に基づき、各ワッシャについて経時的に失われた重量のパーセンテージを決定することにより、各ワッシャの液体保持率を計算した。
【数1】
ここで、Woは、t=0秒後にプロピレングリコール溶液に浸漬して引き上げた後のワッシャの重量であり、Wは、時間t後にプロピレングリコール溶液に浸漬して引き上げた後のワッシャの重量である。
図4は、プロピレングリコール溶液から引き上げた後のワッシャA及びBの液体保持力を、時間の関数として示している。
図4から理解できるように、ワッシャAの液体保持プロファイルは、ワッシャBのそれと略同等である。実際、ワッシャAの重量減少率はワッシャBよりも僅かに低く、ワッシャAの液体保持力がより高い場合があることを示している。以上のとおり、
図4から明らかなように、酢酸セルロースフィラメントトウから作製した本発明によるワッシャは、従来の二成分系繊維よりなるワッシャと比較して同等又はより優れた液体保持特性(すなわち吸収特性)を提供することができ、しかも安価で製造が容易である。
《付記》
【0048】
以上の開示は、次に列記する特徴によって定義されるワッシャ、パッド、用途、デバイス及び喫煙物品に関するものである。
【0049】
1) エレメントを備えるワッシャであって、エレメントがフィラメントトウを含む、ワッシャ。
【0050】
2) エレメントを備えるワッシャであって、エレメントが酢酸セルロースを含む、ワッシャ。
【0051】
3) 第1項に記載のワッシャであって、フィラメントトウが酢酸セルロースフィラメントトウである、ワッシャ。
【0052】
4) 前項の何れかに記載のワッシャであって、エレメントが吸収性である、ワッシャ。
【0053】
5) 前項の何れかに記載のワッシャであって、ワッシャが吸収ワッシャである、ワッシャ。
【0054】
6) 前項の何れかに記載のワッシャであって、ワッシャが高度の濡れ性を有する、ワッシャ。
【0055】
7) 第6項に記載のワッシャであって、ワッシャの濡れ性が50mg/10s~90mg/10sである、ワッシャ。
【0056】
8) 前項の何れかに記載のワッシャであって、ワッシャが高レベルの液体保持を有する、ワッシャ。
【0057】
9) 前項の何れかに記載のワッシャであって、ワッシャの液体保持力は、ワッシャを液体から引き上げて1時間が経過した時点で、ワッシャの重量減少率が0から20%、例えば10~20%となるものである、ワッシャ。
【0058】
10) 前項の何れかに記載のワッシャであって、エレメントが円板又は略円板状である、ワッシャ。
【0059】
11) 前項の何れかに記載のワッシャであって、エレメントが略多角形状である、ワッシャ。
【0060】
12) 前項の何れかに記載のワッシャであって、エレメントが略長方形状である、ワッシャ。
【0061】
13) 前項の何れかに記載のワッシャであって、エレメントが略正方形状である、ワッシャ。
【0062】
14) 前項の何れかに記載のワッシャであって、少なくとも1つの穴を含む、ワッシャ。
【0063】
15) 第14項に記載のワッシャであって、穴がワッシャの中心部にある、ワッシャ。
【0064】
16) 前項の何れかに記載のワッシャであって、ワッシャの少なくとも1つ一部分を含み、ワッシャの外縁部が局所的に切除されている、ワッシャ。
【0065】
17) 前項の何れかに記載のワッシャであって、ワッシャの中心部における少なくとも1つの穴と、外縁部が局所的に切除された少なくとも1つのワッシャ部分とを含む、ワッシャ。
【0066】
18) 第17項に記載のワッシャであって、ワッシャの2つの別個の部分を含み、ワッシャの周囲の一部が切り取られ、これらの部分が、ワッシャの中心部に位置する穴の対向する側部に配置されている、ワッシャ。
【0067】
19) 前項の何れかに記載のワッシャであって、ワッシャの直径が5mmから10mmである、ワッシャ。
【0068】
20) 前項の何れかに記載のワッシャであって、ワッシャの厚さが1mm~5mmである、ワッシャ。
【0069】
21) フィラメントトウを含むワッシャ。
【0070】
22) 酢酸セルロースを含むワッシャ。
【0071】
23) 第21項に記載のワッシャであって、フィラメントトウが酢酸セルロースフィラメントトウである、ワッシャ。
【0072】
24) 第21項~第23項に記載のワッシャであって、ワッシャが吸収ワッシャである、ワッシャ。
【0073】
25) 第21項~第24項に記載のワッシャであって、ワッシャは、濡れ性が50mg/10s~90mg/10sである、ワッシャ。
【0074】
26) 第21項~第25項に記載のワッシャであって、ワッシャが高度の液体保持力を有する、ワッシャ。
【0075】
27) 第21項~第26項に記載のワッシャであって、ワッシャの液体保持力は、ワッシャを液体から引き上げて1時間が経過した時点で、ワッシャの重量減少率が0~20%、例えば10~20%となるものである、ワッシャ。
【0076】
28) 第21項~第27項に記載のワッシャであって、少なくとも1つの穴を含む、ワッシャ。
【0077】
29) 第39項に記載のワッシャであって、穴がワッシャの中心部にある、ワッシャ。
【0078】
30) 第21項~第29項に記載のワッシャであって、ワッシャの少なくとも1つの部分を含み、ワッシャの外周部が局所的に切除されている、ワッシャ。
【0079】
31) 第21項~第30項に記載のワッシャであって、ワッシャの中心部における少なくとも1つの穴と、外周部が局所的に切除され少なくとも1つのワッシャ部分とを含んでいる、ワッシャ。
【0080】
32) 第21項~第31項に記載のワッシャであって、ワッシャの2つの別個の部分を含み、ワッシャの外縁部が局所的に切除されており、これらの部分が、ワッシャの中心部に位置する穴の対向する側部に配置されている、ワッシャ。
【0081】
33) 第21項~第32項に記載のワッシャであって、ワッシャの直径が5mm~10mmである、ワッシャ。
【0082】
34) 第21項~第33項に記載のワッシャであって、ワッシャの厚さが1mm~5mmである、ワッシャ。
【0083】
35) 前項の何れかに記載のワッシャを備えるデバイスであって、ワッシャがデバイスの少なくとも1つの表面と係合する、デバイス。
【0084】
36) 第35項に記載のデバイスであって、デバイスが、リザーバを収める流体(例えば液体)を備える、デバイス。
【0085】
37) 第35項及び第36項に記載のデバイスであって、デバイスが喫煙物品(例えば電子タバコ)である、デバイス。
【0086】
38) 次の構成要素、すなわち
ハウジングと、
加熱素子と、
少なくとも加熱素子用の電源と、
液体リザーバと、
第1項~第34項に記載のワッシャと、
を備える、喫煙物品。
【0087】
39) 第1項~第34項に記載のワッシャを、リザーバを収める流体(例えば液体)を備えるデバイスにおいて使用する方法。
【0088】
40) 第39項に記載のワッシャの使用方法であって、デバイスが喫煙物品(例えば電子タバコ)である、方法。
【0089】
41) 第39項~第40項に記載のワッシャの使用方法であって、ワッシャが吸収ワッシャである、方法。
【0090】
42) 第41項に記載のワッシャの使用方法であって、吸収ワッシャにより、流体含有リザーバから漏出等により流出した流体(例えば液体)を吸収する、方法。
【0091】
43) 第39項~第42項に記載のワッシャの使用方法であって、ワッシャがデバイスの少なくとも1つの表面と係合する、方法。
【0092】
44) 第39項~第42項に記載のワッシャを電子タバコにおいて使用する方法であって、ワッシャをバッテリーと液体リザーバの間に配置する、方法。
【0093】
45) 第44項に記載のワッシャの使用方法であって、ワッシャにより、電子タバコの1つの領域から電子タバコの他の領域への空気の移動を容易にする、方法。
【0094】
46) 第44項に記載のワッシャの使用方法であって、ワッシャにより、電子タバコの1つの領域から電子タバコの他の領域への電気の移動を容易にする、方法。
【0095】
47) エレメントを含むパッドであって、エレメントはフィラメントトウを備える、パッド。
【0096】
48) エレメントを含むパッドであって、エレメントは酢酸セルロースを備える、パッド。
【0097】
49) 第47項に記載のパッドであって、フィラメントトウが酢酸セルロースフィラメントトウである、パッド。
【0098】
50) 第47項~第49項に記載のパッドであって、エレメントが吸収性である、パッド。
【0099】
51) 第47項~第50項に記載のパッドであって、パッドが吸収パッドである、パッド。
【0100】
52) 第47項~第51項に記載のパッドであって、パッドが高度の濡れ性を有する、パッド。
【0101】
53) 第52項に記載のパッドであって、パッドが50mg/10s~90mg/10sの濡れ性を有する、パッド。
【0102】
54) 第47項~第53項に記載のパッドであって、パッドが高度の液体保持力を有する、パッド。
【0103】
55) 第47項~第54項に記載のパッドであって、パッドの液体保持力は、パッドを液体から引き上げてから1時間経過後に、パッドの重量減少率が0から20%、例えば10~20%となるものである、パッド。
【0104】
56) 第47項~第55項に記載のパッドであって、エレメントが円板状又は略円板状である、パッド。
【0105】
57) 第47項~第56項に記載のパッドであって、エレメントが略多角形状である、パッド。
【0106】
58) 第47項~第57項に記載のパッドであって、エレメントが略長方形状である、パッド。
【0107】
59) 第47項~第58項に記載のパッドであって、エレメントが略正方形状である、パッド。
【0108】
60) 第47項~第59項に記載のパッドであって、エレメントがワッシャ(例えば少なくとも1つの開口部を含む)である、パッド。
【0109】
61) フィラメントトウを含むパッド。
【0110】
62) 酢酸セルロースを含むパッド。
【0111】
63) 第61項に記載のパッドであって、フィラメントトウが酢酸セルロースフィラメントトウである、パッド。
【0112】
64) 第61項~第63項に記載のパッドであって、パッドが吸収パッドである、パッド。
【0113】
65) 第61項~第64項に記載のパッドであって、パッドが、50mg/10s~90mg/10sの濡れ性を有する、パッド。
【0114】
66) 第61項~第65項に記載のパッドであって、パッドが高レベルの液体保持力を有する、パッド。
【0115】
67) 第61項~第66項に記載のパッドであって、パッドの液体保持力は、パッドを液体から引き上げてから1時間経過後に、パッドの重量減少率が0から20%、例えば10~20%となるものである、パッド。
【0116】
68) 第61項~第68項に記載のパッドであって、少なくとも1つの開口部(例えば、ワッシャ)を含む、パッド。
【国際調査報告】