(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(54)【発明の名称】テンショナ
(51)【国際特許分類】
F16H 7/12 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
F16H7/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568307
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2020033233
(87)【国際公開番号】W WO2020232392
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】グクル,アフメット
(72)【発明者】
【氏名】デミル,エルマン
(72)【発明者】
【氏名】カンクル,サープ
(72)【発明者】
【氏名】イルディズ,セノル
(72)【発明者】
【氏名】クラ,リザ
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049BB05
3J049BB15
(57)【要約】
シャフトを有し、そこから径方向に突出するタブとを有するベースと、ピボット軸A-A周りにシャフトに旋回可能に係合するピボットアームと、ベースとピボットアームの間に圧縮状態で配置されるトーションスプリングと、ピボットアームに軸支されるプーリと、ピボットアームから延出する第1軸部材とを備え、第1軸部材は、ラジアル後退部に隣接するラジアル突出部を備え、ラジアル突出部は、第1ピボットアーム位置においてラジアル突出タブに係合し、ラジアル後退部は第2ピボットアーム位置においてラジアル突出タブと協働することを特徴とするテンショナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを有し、そこから径方向に突出するタブとを有するベースと、
ピボット軸A-A周りに前記シャフトに旋回可能に係合するピボットアームと、
前記ベースと前記ピボットアームの間に圧縮状態で配置されるトーションスプリングと、
前記ピボットアームに軸支されるプーリと、
前記ピボットアームから延出する第1軸部材とを備え、前記第1軸部材は、ラジアル後退部に隣接するラジアル突出部を備え、
前記ラジアル突出部は、第1ピボットアーム位置において前記ラジアル突出タブに係合し、前記ラジアル後退部は第2ピボットアーム位置において前記ラジアル突出タブと協働する
ことを特徴とするテンショナ。
【請求項2】
前記第1ピボットアーム位置から前記第2ピボットアーム位置へのピボットアームの移動が、軸方向であることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記第1ピボットアーム位置から前記第2ピボットアーム位置への前記ピボットアームの移動により、前記トーションスプリングが圧縮されることを特徴とする請求項2に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記シャフトと前記ピボットアームの間に配置されるブッシュを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項5】
トーションスプリング力に抗して前記ピボットアームを前記シャフトに保持するために前記シャフトに係合するリテーニング部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項6】
前記第1軸部材が、前記シャフトと平行に軸方向に延在することを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項7】
前記ピボットアームピボット軸A-Aが、プーリ回転軸B-Bと平行にオフセットされていることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項8】
シャフトを有するとともにベース突出部を有するベースと、
ピボット軸A-A周りに前記シャフトに旋回可能に係合するピボットアームと、
前記ベースと前記ピボットアームの間に圧縮状態で配置されるトーションスプリングと、
前記ピボットアームに軸支されるプーリと、
前記ピボットアームから延出する軸部材とを備え、前記軸部材は、ラジアル後退部に隣接するラジアル突出部を備え、
前記ベース突出部は、第1ピボットアーム位置において前記ラジアル突出部に係合し、前記ラジアル後退部は第2ピボットアーム位置において前記ベース突出タブと協働し、前記第1ピボットアーム位置は、前記第2ピボットアーム位置から軸方向変位されたものである
ことを特徴とするテンショナ。
【請求項9】
前記軸方向変位が、ファスナによって決定されることを特徴とする請求項8に記載のテンショナ。
【請求項10】
ベースと、
前記ベースに旋回可能に係合するピボットアームと、
前記ピボットアームと前記ベースの間に配置されるトーションスプリングとを備え、
前記ベースは、ピボットアーム部材に選択的に係合可能なベース部材を備え、
前期ピボットアーム部材は、前記ピボットアームの軸方向位置に応じて、選択的に前記ベース部材と係合、または前記ベース部材と非係合とされる
ことを特徴とするテンショナ。
【請求項11】
前記トーションスプリングが圧縮されていることを特徴とする請求項10に記載のテンショナ。
【請求項12】
プーリ回転軸B-Bが、ピボット軸A-Aからオフセットされていることを特徴とする請求項10に記載のテンショナ。
【請求項13】
前記ベース部材が、ピボット軸A-Aから径方向に突出することを特徴とする請求項10に記載のテンショナ。
【請求項14】
前記ピボットアームに軸支されるプーリを更に備えることを特徴とする請求項10に記載のテンショナ。
【請求項15】
前記ピボットアームの軸方向位置が、ファスナ取付位置により決定されることを特徴とする請求項10に記載のテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンショナに関し、特に、ピボットアームから延出する第1軸部材を備え、第1軸部材はラジアル後退部に隣接するラジアル突出部を備え、ラジアル突出部は第1ピボットアーム位置においてラジアル突出タブに係合し、ラジアル後退部は第2ピボットアーム位置においてラジアル突出タブと協働するテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトテンショナは一般的によく知られた装置であり、以前から多くのベルト駆動システムで使用されてきた。摩耗やその他の要因によるベルトの長さの増加を補償する一定のベルト張力を加えるためテンショナを従来使用している。従来の一般的なタイプのベルトテンショナは、固定構造と、ピボットアセンブリによって固定構造に偏心して取り付けられたピボット構造を有し、ピボット構造は、それに回転自在に取り付けられたベルト係合プーリを有する。コイルスプリングがピボットアセンブリを取り囲み、その両端部が固定構造とピボット構造との間に接続され、ピボット構造をベルトテークアップ方向へと偏倚させる。ピボット構造が最小ベルトテークアップ位置から最大ベルトテークアップ位置に移動すると、スプリングの付勢力は減少する。スプリング力がテンショナ可動範囲に亘って変化するにもかかわらず、実質的に一定のベルト張力がテンショナによって維持される。
【0003】
タイミングベルト用テンショナをエンジンに適切に取り付けるために、様々な手法が現在使用されている。最も一般的に使用される手法の1つは、テンショナに固定構造の一部を形成する偏心調整部材を設けることである。偏心調整部材は、テンショナ取付ボルトの周りに回転され、テンショナをベルトから引き離し(ベルトを駆動システムに掛け回すため)、またはベルトに向かって移動する(駆動システムに張力を与えるため)。現在の標準的な設計を使用する場合の一般的な取り付け手順には、偏心部材をベルトから最も離れた位置に置いてテンショナをエンジンに取り付け、ベルトを駆動システムに掛け回し、テンショナが公称作動位置に到達するまで偏心部材をベルトに向かって回転させ、テンショナを取付ボルトでロックすることが含まれる。
【0004】
当技術分野の代表は、米国特許7980976号明細書であり、ベルトに接触するプーリを含み、タイミングベルトまたはチェーンなどの可撓性駆動手段に張力をかけるためのテンショナを開示する。プーリはテンショナアームに取り付けられており、テンショナアームはスプリングによってテンショナに取り付けられたピボットシャフトを中心に回転可能である。プーリが回転する軸は、ピボットシャフトに対してテンショナアームの回転軸から離間しており、これらの回転軸同士の間隔により、テンショナアームが回転されるときに、プーリはベルトに向かって、またはベルトから離れる方向に偏心して移動する。ストッパは、フリーアームストッパとバックストッパによって確定される要求作動範囲内にテンショナアームの作動範囲を制限するのに使用される。ストッパの位置は、据え付け者によって調整可能である。テンショナアームの移動角度範囲は、テンショナの取り付けに適した位置から、取り付けられたテンショナの動作に適した位置まで調整可能である。一実施形態では、設置位置から公称作動位置へのストッパの移動もまた、スプリングを補償する。
【0005】
必要とされているのは、ピボットアームから延出する第1軸部材を備え、第1軸部材はラジアル後退部に隣接するラジアル突出部を備え、ラジアル突出部は第1ピボットアーム位置においてラジアル突出タブに係合し、ラジアル後退部は第2ピボットアーム位置においてラジアル突出タブと協働するテンショナである。本発明は、この要求に合致する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の目的は、ピボットアームから延出する第1軸部材を備え、第1軸部材はラジアル後退部に隣接するラジアル突出部を備え、ラジアル突出部は第1ピボットアーム位置においてラジアル突出タブに係合し、ラジアル後退部は第2ピボットアーム位置においてラジアル突出タブと協働するテンショナを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、本発明の以下の説明および添付の図面によって指摘または明らかにされる。
【0008】
本発明は、シャフトを有し、そこから径方向に突出するタブとを有するベースと、ピボット軸A-A周りにシャフトに旋回可能に係合するピボットアームと、ベースとピボットアームの間に圧縮状態で配置されるトーションスプリングと、ピボットアームに軸支されるプーリと、ピボットアームから延出する第1軸部材とを備え、第1軸部材は、ラジアル後退部に隣接するラジアル突出部を備え、ラジアル突出部は、第1ピボットアーム位置においてラジアル突出タブに係合し、ラジアル後退部は第2ピボットアーム位置においてラジアル突出タブと協働するテンショナである。
【0009】
ここまで、以下の本発明の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本発明の特徴および技術的利点をかなり広く概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する本発明の追加の特徴および利点を以下に説明する。開示された概念および特定の実施形態は、本発明の同じ目的を実行するための他の構造を修正または設計するための基礎として容易に利用できることを当業者は理解すべきである。そのような同等の構造は、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の趣旨および範囲から逸脱しないことも当業者によって認識されるべきである。本発明の特徴であると考えられる新規の特徴は、その構成および操作方法の両方に関して、更なる目的および利点とともに、添付の図とあわせて検討すると、以下の説明からよりよく理解されるであろう。しかしながら、各図は、例示および説明のみを目的として提示されており、本発明の限界を定義することを意図するものではないことを明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を例示し、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は分解図である。テンショナ100は、ベース10と、ピボットアーム30と、プーリ60を備える。
【0012】
トーションスプリング20は、ベース10とピボットアーム30の間に配置される。プーリ60は、ベアリング50においてピボットアーム30に軸支される。トーションスプリング20は、ピボットアームに荷重を掛け、結果ベルト(不図示)に荷重を掛ける。
【0013】
ブッシュ40は、ピボットアーム30とベースシャフト11の間に配置される。
【0014】
リテーナ70は、シャフト11に係合する。リテーナ70は、クリップ71によりシャフト11内の所定位置に保持される。クリップ71は、溝72内に係合する。クリップ71がリテーナ70と係合すると、ピボットアーム30は軸方向に保持され、トーションスプリング20は圧縮される。
【0015】
ファスナ80は、テンショナをエンジン(不図示)などの取付面に取り付けるために用いられる。ファスナ80はリテーナ70を通して突出する。取り付けに於いて、ファスナ80は、リテーナフランジ73を押し下げ、その結果、ピボットアーム30を押圧し、それによりピボットアーム30をベース10に向けて相対的に軸方向に移動するように押し遣る。
【0016】
ピボットアーム30は、ブッシュ面41上のシャフト11周りに旋回する。
【0017】
ベース10は、ピボット軸A-Aから径方向外側に突出するタブ12を備える。
【0018】
ピボットアーム30は、軸部材31を備える。突出部材31は、ピボット軸A-Aに平行な方向に延在する。部材31は、部分32を備える。部分32は、径方向外側に向けて後退している。部分32は、ピボットアーム30の回転の一部のためにタブ12と協働して係合するように配置される。部材31は、突出部33を更に備える。突出部33は、A-Aに向けて径方向内側に突出する。ラジアル突出部33は、部材31においてA-Aから離れるように径方向に後退する部分(ラジアル後退部分)32に隣接する。
【0019】
ピボットアーム30の第1軸方向位置において、突出部33は、タブ12と同位置で隣接し、タブ12はピボットアーム30のストッパとして機能し、それによりトーションスプリング20により押し遣られる方向へピボットアーム30が回転することを防止する。ピボットアーム30の第2軸方向位置において、突出部分33は、タブ12がピボットアーム30のストッパとして機能しないように、タブ12とのアライメントから外され、これによりトーションスプリング20の作用によるピボットアーム30の軸運動を可能にする。
【0020】
ベース10は、ベース軸方向突出部13を備える。ベース軸方向突出部13は、軸A-Aに平行に延出する。ベース軸方向突出部13は、作動中のピボットアーム30の可動範囲を制限するストッパとして機能する。ベース軸方向突出部13は、ストッパ面34とストッパ面35の間を移動する。
【0021】
スプリング20の端部22は、ピボットアーム30に設けられたスロット36に係合する。
【0022】
図2は、テンショナの断面図である。クリップ71は、リテーナ70と係合する。クリップ71は、シャフト11内の肩部14に係合し、スプリング20の力によりリテーナ70がシャフト11から引き抜かれるのを防止する。これは結果的に、ピボットアーム30をシャフト11に保持する。ピボットアーム30は、シャフト11上において限られた軸方向運動範囲を有する。トーションスプリング20は、テンショナが組み立てられた状態で部分的に圧縮された状態にある。第1寸法A1は、フランジ73からベース10の底部まで延びる。
【0023】
ピボットアーム30のピボット軸A-Aは、プーリ60の回転軸B-Bと平行にオフセットされる。プーリ60は、ベアリング50上において軸B-B周りに回転する。
【0024】
図3は、テンショナの斜視図である。突出部33は、タブ12に隣接するとともに係合して描かれる。この構造は、ピボットアーム30がベース10に対して回転することを防止する。これはアンインストール状態と呼ばれる。
【0025】
図3Aは、
図3の詳細図である。突出部33は、トーションスプリング20のトーションスプリング力によりタブ12に当接または押し当てられる。この方向は、ピボットアーム30の回転を規制する。これもアンインストール状態と呼ばれる。この構造は寸法A1により実現される。
【0026】
図4は、
図2のテンショナの断面図である。ファスナ80は、孔74に係合し、テンショナを取付面MSに固定する。ファスナ80が完全に取り付けられると、ピボットアーム30は、ベース10に向けて押圧され、寸法A2が実現される。寸法A2は、寸法A1よりも小さい。リテーナ70も、シャフト11内においてベース10に向けて変位される。ファスナ80には、ボルト、スタッド、ピンまたは他の適切な手段が含まれ得る。
【0027】
図5は、テンショナの側面図である。第1ピボットアーム位置にあるピボットアーム30がベース10に向かって移動すると、突出部分33は、第2ピボットアーム位置にあるタブ12から離脱し、それにより、ピボットアーム30をピボットアームの取付位置にまで回転させることが可能となる。第1ピボットアーム位置から第2ピボットアーム位置へのピボットアームの移動は、軸A-Aに平行な軸方向において行われる。第2ピボットアーム位置における後退部分32とタブ12とのアライメントにより、ピボットアームのピボット回転の自由をピボットアーム30に与える。この構造は、寸法A2で実現される。
【0028】
図5Aは、
図5の詳細図である。タブ12は後退部分32との協働的関係で示され、これによりピボットアーム30のピボット回転の自由が与えられる。
【0029】
図6は、テンショナの側面図である。突出部33は、タブ12から非係合な状態で示される。ピボットアーム30は、寸法A2での作動位置で描かれる。
【0030】
図6Aは、
図6の詳細図である。タブ12は動作中に後退部分32を通過する。
【0031】
本明細書では、本発明の1つの形態について説明されたが、当業者であれば、ここで説明された発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その構成、パーツ間の関係に様々な変更ができることは明らかである。特に明記されていない限り、図面に示されている構成部は一定の縮尺で描かれていない。更に、「手段」または「ステップ」という言葉が特定のクレームで明示的に使用されていない限り、添付されたクレームまたはクレーム要素の何れかが35U.S.C.112(f)条の適用を意図するものではない。本開示は、図面に示され、本明細書に記載される例示的な実施形態または数値上の寸法に限定されるものではない。
【国際調査報告】