(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(54)【発明の名称】PARR阻害剤としてのキナゾリン―2.4―ジオン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20220707BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220707BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220707BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220707BHJP
C07F 5/02 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
C07D471/04 118
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K31/519
C07F5/02 D CSP
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568442
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2020063453
(87)【国際公開番号】W WO2020229595
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521498210
【氏名又は名称】スーヂョウ フォー ヘルス ファーマスーティカルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU FOUR HEALTH PHARMACEUTICALS CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 403, West Building, Science & Technology Enterpreneur Park Center, 6 Beijing West Road, Taicang, Suzhou CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チーラ,サティヤ
(72)【発明者】
【氏名】ワルニエ,コランタン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルゴート,トマス
(72)【発明者】
【氏名】モレル,ジャン‐リュック
(72)【発明者】
【氏名】フィリッパート,ゴーティエ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
4H048
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK06
4C065LL04
4C065PP10
4C065PP15
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB29
4H048VA77
(57)【要約】
本発明は、PARP(ポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ)阻害剤として使用される、式(I)の化合物および前記化合物を含む組成物に関する。さらに、本発明は、開示された化合物を調製するための方法、ならびに、それらを、例えば、特に癌等の細胞増殖性疾患の治療のための薬物として使用するための方法を提供する。
【化64】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体であって、
【化59】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲン(halogen)からなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基(alkyl group)、―C
1―20アルケニル基(alkenyl group)、―C
1―20アルキニル基(alkynyl group)、―C
1―20シクロアルキル基(cycloalkyl group)、―C
5―20アリール基(aryl group)、―C
5―20ヘテロアリール基(heteroaryl group)、―C
3―20複素環基(heterocyclic group)、―アミド基(amido group)、―チオアミド基(thioamido group)、―エステル基(ester group)、―アミノアルキル基(aminoalkyl group)、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基(sulfonyl group)からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基(hydroxy group)、―エーテル(ether)、―ニトロ基(nitro group)、―シアノ基(cyano group)、―C(=O)R
8、―カルボキシ基(carboxy group)、―エステル基、―アミノ基(amino group)、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基(ureido group)、―アシルオキシ基(acyloxy group)、―チオール基(thiol group)、―チオエーテル基(thioether group)、―スルホキシド基(sulfoxide group)、―スルホニル基(sulfonyl group)、―チオアミド基(thioamido group)および―スルホアミノ基(sulfoamino group)からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基(alkoxy group)、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基(haloalkyl group)、―ヒドロキシアルキル基(hydroxyalkyl group)、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基(carboxyalkyl group)、―エチレンジオキソ基(ethylenedioxo group)、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基(azido group)、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基(carbonyl amido group)および―アルキルチオール基(alkyl thiol group)からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、
XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
ここで、前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、
ここで、XがNである場合、R
7は存在しないことを特徴とする、前記化合物。
【請求項2】
前記化合物は、式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体であり、
【化60】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択されることを特徴とする
請求項1で定義されるような化合物。
【請求項3】
前記化合物は、式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体であり、
【化61】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択されることを特徴とする
請求項1で定義されるような化合物。
【請求項4】
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―C(=O)R
8、―O―R
8および―アミノアルキル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基および―アシルオキシ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―Hおよび―ハロゲンからなる群から選択され、
または前記化合物が式(II)に適合する場合、R
7は存在せず、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択されることを特徴とする
請求項1~3のいずれか1項で定義されるような化合物。
【請求項5】
前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
76Br、
77Br、
81Br、
123I、
125I、
131I、
209At、
210Atおよび
211Atからなる群から選択される放射性ハロゲンであることを特徴とする
請求項1~3のいずれか1項で定義されるような化合物。
【請求項6】
前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
18Fおよび
123I、好ましくは
18Fからなる群から選択される放射性ハロゲンであることを特徴とする
請求項1~3のいずれか1項で定義されるような化合物。
【請求項7】
前記化合物は、放射性または蛍光部分を含まないことを特徴とする
請求項1~3のいずれか1項で定義されるような化合物。
【請求項8】
ここで、R
2およびR
3は、それらが接続されているN原子と一緒にピペラジニル基を形成し、
これらは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに置換され、
ここで、R
8は、蛍光部分であるか、またはR
2およびR
3の前記置換基のうちの少なくとも一つは、蛍光部分にさらに置換されることを特徴とする
請求項1~3のいずれか1項で定義されるような化合物。
【請求項9】
以下のリストから選択される請求項1~8のいずれか1項で定義されるような化合物であって、
各Zは、独立して、―I、―Br、―Atおよび―Fから選択され、前記―I、―Br、―Atおよび―Fは、それぞれ任意選択で放射性によって標識されることを特徴とする、前記以下のリストから選択される請求項1~8のいずれか1項で定義されるような化合物。
【化62】
【化63】
【請求項10】
医薬組成物であって、
請求項1~9のいずれか1項で定義されるような化合物、および薬学的に許容される希釈剤、許容されるベクターまたは賦形剤、アジュバントまたはベクターを含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項で定義されるような化合物、または請求項10で定義されるような医薬組成物であって、
ヒトまたは獣に使用される薬物であることを特徴とする、前記請求項1~9のいずれか1項で定義されるような化合物、または請求項10で定義されるような医薬組成物。
【請求項12】
請求項5または7で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物であって、
PARP(ポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ)の過剰発現を特徴とする疾患の治療に使用されることを特徴とする、前記請求項5または7で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項6または8のいずれか1項で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物であって、
PARPの過剰発現を特徴とする疾患の診断に使用されることを特徴とする、前記請求項6または8のいずれか1項で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物。
【請求項14】
インビボでの造影PARP分布における、請求項6または8のいずれか1項で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物の用途。
【請求項15】
請求項12または13のいずれか1項で定義されるようなように応用される化合物または医薬組成物であって、
前記PARP過剰発現を特徴とする疾患は、細胞増殖性疾患であり、より特に、乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、前立腺がん、黒色腫、非小細胞肺がん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、腹膜がん、口腔がんおよび食道がんからなる群から選択されることを特徴とする、前記請求項12または13のいずれか1項で定義されるようなように応用される化合物または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PARP阻害剤(ポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ)としての化合物および前記化合物を含む組成物に関する。さらに、本発明は、本発明の化合物を調製するための方法、ならびに、それらを、例えば、特に癌等の細胞増殖性疾患の治療のための薬物として使用するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
リボザイムポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ―1(PARP―1)は、PARP酵素ファミリーのメンバーである。PARP―1およびPARP―2は、DNA鎖切断の発生がそれらの触媒活性を刺激するため、当該ファミリーのユニークなメンバーである。PARPは、DNA一本鎖または二本鎖切断を識別して迅速に結合する能力を通じて、DNA修復メカニズムにおいて役割を果たす。従って、PARP阻害は、癌の治療およびその診断のための貴重なツールである。
【0003】
DNA損傷治療と組み合わせる場合(例えば、電離放射線を使用する場合、またはDNA損傷剤を使用して治療した後)、PARP阻害は、特に効果的にである。PARP酵素活性に対する阻害は、DNA損傷治療に対する腫瘍細胞の感受性が増強される。
【0004】
報告によると、特定の小分子は、PARP阻害剤である。例えば、PCT公開番号WO2000/42040および2004/800713は、PARP阻害剤として三環式インドール誘導体を報告した。PCT公開番号WO2002/44183および2000/105700は、PARP阻害剤として三環式ジアザインドール誘導体を報告した。PCT公開番号WO2011/130661およびGB特許2462361は、PARP阻害剤としてジヒドロピリドフタラジノン誘導体を報告した。さらに、いくつかの出版物は、画像化および/または放射線療法のための放射性標識および蛍光標識のPARP阻害剤の使用を報告した(例えば、WO2018218025)。
【0005】
しかしながら、癌の診断および/または治療に適したさらなるPARP阻害分子の継続的な必要性が存在する。さらに、本特許ファミリーは、化合物および/またはその薬学的に許容される塩、本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩を含む少なくとも一つの医薬組成物、ならびに癌等の疾患を診断および/または治療するためのPARP活性を阻害する際のそれらの用途を提供する。例えば、本明細書に記載の化合物および組成物は、欠陥のあるDNA修復経路を有する癌を治療するために使用することができ、および/または化学療法および放射線療法の有効性を増強させるために使用されることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化1】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲン(halogen)からなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基(alkyl group)、―C
1―20アルケニル基(alkenyl group)、―C
1―20アルキニル基(alkynyl group)、―C
1―20シクロアルキル基(cycloalkyl group)、―C
5―20アリール基(aryl group)、―C
5―20ヘテロアリール基(heteroaryl group)、―C
3―20複素環基(heterocyclic group)、―アミド基(amido group)、―チオアミド基(thioamido group)、―エステル基(ester group)、―アミノアルキル基(aminoalkyl group)、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基(sulfonyl group)からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基(hydroxy group)、―エーテル(ether)、―ニトロ基(nitro group)、―シアノ基(cyano group)、―C(=O)R
8、―カルボキシ基(carboxy group)、―エステル基、―アミノ基(amino group)、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基(ureido group)、―アシルオキシ基(acyloxy group)、―チオール基(thiol group)、―チオエーテル基(thioether group)、―スルホキシド基(sulfoxide group)、―スルホニル基(sulfonyl group)、―チオアミド基(thioamido group)および―スルホアミノ基(sulfoamino group)からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基(alkoxy group)、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基(haloalkyl group)、―ヒドロキシアルキル基(hydroxyalkyl group)、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基(carboxyalkyl group)、―エチレンジオキソ基(―ethylenedioxo)、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基(carbonyl amido group)および―アルキルチオール基(alkyl thiol group)からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、
XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
ここで、前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、
ここで、XがNである場合、R
7は存在しない。
【0007】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、より特には、式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体であり、
【化2】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択される。
【0008】
別の具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、より特には、式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体であり、
【化3】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択される。
【0009】
別の具体的な実施形態において、本発明は、式I、II、IIIの化合物を提供し、ここで、
R1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C1―20アルキル基、―C1―20アルケニル基、―C1―20アルキニル基、―C1―20シクロアルキル基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基、―C3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―C(=O)R8、―O―R8、―R8および―アミノアルキル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C1―20アルキル基、―C5―20アリール基、―C3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―シアノ基、―C(=O)R8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基および―アシルオキシ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、―Hおよび―ハロゲンからなる群から選択され、
または前記化合物が式(II)に適合する場合、R7は存在せず、
R8は、―H、蛍光部分、―C1―20アルキル基、―C1―20シクロアルキル基、―C3―20複素環基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基からなる群から選択される。
【0010】
具体的な実施形態において、本発明は、式I、II、IIIの化合物等の本明細書で定義されるような化合物を提供し、
ここで、前記R1、R4、R5、R6およびR7のうちの少なくとも一つは、76Br、77Br、81Br、123I、125I、131I、209At、210Atおよび211Atからなる群から選択される放射性ハロゲンである。
【0011】
別の具体的な実施形態において、本発明は、式I、II、IIIの化合物等の本明細書で定義されるような化合物を提供し、ここで、前記R1、R4、R5、R6およびR7のうちの少なくとも一つは、18Fおよび123I、好ましくは18Fからなる群から選択される放射性ハロゲンである。
【0012】
別の非常に具体的な実施形態において、本発明は、式I、II、IIIの化合物等の本明細書で定義されるような化合物を提供し、
ここで、R2およびR3は、それらが接続されているN原子と一緒にピペラジン部分を形成し、これらは、蛍光部分、―C1―20アルキル基、―C1―20アルケニル基、―C1―20アルキニル基、―C1―20シクロアルキル基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基、―C3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R8、―O―R8、―R8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに置換され、
ここで、R8は、蛍光部分であるか、またはR2およびR3の前記置換基のうちの少なくとも一つは、蛍光部分にさらに置換される。
【0013】
さらに具体的な実施形態において、本発明は、以下から選択される本明細書で定義されるような化合物を提供し、ここで、各Zは、独立して、―I、―Br、―Atおよび―Fから選択され、前記―I、―Br、―Atおよび―Fは、それぞれ任意選択で放射性によって標識される。
【化4】
【化5】
本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体をさらに提供し、
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
される。
【0014】
上記で定義されるような各化合物において、一つまたは複数の指定されたハロゲン原子は、放射性標識ハロゲン原子によって任意選択で置き換えられることができ、例えば、―Fは、18Fによって置き換えられることができ、Iは、123Iによって置き換えられることができ、…
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式I、IIまたはIIIの化合物、および薬学的に許容される希釈剤、許容されるベクターまたは賦形剤、アジュバントまたはベクターをさらに含む、医薬組成物をさらに提供する。
【0015】
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物、ヒトまたは獣に使用される薬物、より特に乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、前立腺がん、黒色腫、非小細胞肺がん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、腹膜がん、口腔がんおよび食道がんからなる群から選択される、PARP(ポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ)過剰発現を特徴とする疾患の診断または治療に使用される薬物をさらに提供する。
【0016】
最後に、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物、インビボでの造影PARP分布における用途を提供する。
【0017】
現在、図面を具体的に参照し、示される詳細が単なる例であり、かつ本発明の異なる実施形態の例示のみを目的としていることが強調される。それらは、本発明の原理および概念の最も有用で最も簡単な説明であると考えられるものと提供するために提示される。これに関して、本発明の基本的な理解に必要なものよりも詳細に本発明の構造の詳細を示す試みはなされていない。添付の図面と併せた説明は、本発明のいくつかの形態が実際にどのように実施されることができるかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】様々なPARP阻害剤のIC
50値を決定するために使用される用量反応阻害曲線を示す。
【
図2】14F―FLと、Cal27(A)、FaDu(B)およびOE33(C)細胞との細胞結合のフローサイトメトリーデータを示す。
【
図3】未染色の細胞および様々なPARP阻害剤、FaDu(A)、Cal27(B)およびOE33(C)細胞と一緒にインキュベートしたフローサイトメトリー分析を示す。14F―FLで染色した細胞を陽性対照として使用する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明についてさらに説明する。以下の段落において、本発明の様々な態様がより詳細に定義される。明示的に反対の記載がない限り、そのような定義された各態様は、他の一つの態様または複数の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示される任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示される任意の他の一つの特徴または複数の特を徴組み合わせることができる。
【0020】
文脈上別の指示がない限り、本明細書において、アスタリスクは部位を示すために使用され、当該部位は、一価または二価の基が関連する構造に結合し、かつ当該基がその一部を構成する。
【0021】
上記のように、第1の態様において、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化10】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、
ここで、前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、
ここで、XがNである場合、R
7は存在しない。
【0022】
本発明の化合物を説明する場合、文脈上別の指示がない限り、以下の定義に従って使用される用語を説明する。
【0023】
「アルキル基」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、式CxH2x+1に示される完全飽和炭化水素を指し、ここで、xは、1以上の数である。一般に、本発明のアルキル基は、1~20個の炭素原子を含む。アルキル基は、直鎖または分岐鎖であり得、本明細書に示されるように置換されることができる。本明細書で炭素原子の後に下付き文字を使用する場合、下付き文字は、命名される基に含めることができる炭素原子の数を指す。従って、例えば、C1―4アルキル基は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を指す。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、ブチル基およびその異性体(例えば、n―ブチル基、イソブチル基およびtert―ブチル)、ペンチル基およびその異性体、ヘキシル基およびその異性体、ヘプチル基およびその異性体、オクチル基およびその異性体、ノニル基およびその異性体、ならびにデシル基およびその異性体である。C1―C6アルキル基は、1~6個の炭素原子を有するすべての直鎖、分岐鎖または環状アルキル基を含むため、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、ブチル基およびその異性体(例えば、n―ブチル基、イソブチル基およびtert―ブチル)、ペンチル基およびその異性体、ヘキシル基およびその異性体、シクロペンチル基、2―、3―または4―メチルシクロペンチル基、シクロペンチルメチレン基ならびにシクロヘキシル基を含む。
【0024】
「任意選択で置換されるアルキル基」という用語は、任意の利用可能な結合点で一つまたは複数の置換基(例えば、1~4個の置換基、例えば、1、2、3または4個の置換基または1~2個の置換基)によって任意選択で置換されるアルキル基を指す。そのような置換基の非限定的な例としては、蛍光部分、―C1―20アルキル基、―C5―20アリール基、―C3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基等を含む。
【0025】
特に明記しない限り、本明細書に使用されるように、「アルケニル基」という用語は、少なくとも一つの炭素―炭素二重結合を含む直鎖、環状または分岐鎖炭化水素基を指す。アルケニル基の例としては、ビニル基、E―およびZ―プロペニル基、イソプロペニル基、E―およびZ―ブテニル基、E―およびZ―イソブテニル基、E―およびZ―ペンテニル基、E―およびZ―ヘキセニル基、E,E―、E,Z―、Z,E―、Z,Zヘキサジエニル基等を含む。任意選択で置換されるアルケニル基は、置換されるアルキル基について上記で定義されるような置換基から選択される、任意に一つまたは複数の置換基(例えば、1、2、3または4個)を有するアルケニル基を指す。
【0026】
特に明記しない限り、本明細書に使用されるように、「アルキニル基」という用語は、少なくとも一つの炭素―炭素三重結合を含む直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。アルキニル基の例としては、エチニル基、E―およびZ―プロピニル基、イソプロピニル基、E―およびZ―ブチニル基、E―およびZ―イソブチニル基、E―およびZ―ペンチニル基、E、Z―ヘキシニル基等を含む。任意選択で置換されるアルキニル基は、置換されるアルキル基について上記で定義されるような置換基から選択される、任意に一つまたは複数の置換基(例えば、1、2、3または4個)を有するアルキニル基を指す。
【0027】
「シクロアルキル基」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、環状アルキル基、即ち、1、2または3個の環状構造を有する一価、飽和または不飽和炭化水素基を指す。シクロアルキル基は、単環、二環式または多環式アルキル基を含む、1~3環を含むすべての飽和または部分飽和(1または2個の二重結合を含む)炭化水素基を含む。シクロアルキル基は、環内に3個またはそれ以上の炭素原子を含み得、本発明によれば、一般に3~15個の原子を含む。多環式シクロアルキル基の別の環は、縮合、架橋および/または一つまたは複数のスピロ原子によって接続されることができる。シクロアルキル基は、以下で説明するホモサイクリック環のサブセットと考えられることもできる。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、アダマンチル基およびシクロデシル基を含むが、これらに限定されず、シクロプロピル基が特に好ましい。「任意選択で置換されるシクロアルキル基」は、上記で定義されるような置換アルキル基の置換基から選択される、任意選択で一つまたは複数の置換基(例えば、1~3個の置換基、例えば、1、2、3または4個の置換基)を有するシクロアルキル基を指す。
【0028】
定義されるアルキル基は、二価である場合、即ち、二つの単結合が別の二つの基に接続される場合、それらは、「アルキレン基」の基と呼ばれる。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、1,2―ジメチルエチレン基、ペンタメチレン基およびヘキサメチレン基を含む。類似的に、ここで、上記で定義されるようなアルケニル基および上記で定義されるようなアルキニル基は、それぞれ二つの他の基に接続する複数の単結合を有する二価基である、それらは、それぞれ「アルケニレン基」および「アルキニレン基」と呼ばれる。
【0029】
本明細書に使用されるように、「複素環基」または「複素環」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、少なくとも一つの炭素含有環に少なくとも一つのヘテロ原子を有する、非芳香族、完全飽和または部分的に不飽和の環状基(例えば、3~13員の単環、7~17員の二環式または10~20員の三環式環系、または合計3~10個の環原子を含む)を指す。各ヘテロ原子含有複素環基環は、窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有することができ、ここで、窒素和硫黄のヘテロ原子は、任意選択で酸性化されることができ、かつ窒素のヘテロ原子は、任意選択で四級化されることができる。原子価が許す状況下で、複素環基は、環および環系の任意のヘテロ原子または炭素原子に結合することができる。多環式複素環基間は、縮合、架橋および/または一つまたは複数のスピロ原子によって接続されることができる。任意選択で置換される複素環は、置換されるアルキル基について上記で定義されるような置換基から選択される、任意に一つまたは複数の置換基(例えば、1~4個の置換基、または例えば、1、2、3または4個)を有する複素環を指す。
【0030】
例示的な複素環基は、ピペリジニル基、アゼチジニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、イソキサゾリニル基、オキサゾリジニル基、イソキサゾリジニル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、ピペリジニル基等を含み、ピペリジニル基が好ましい。
【0031】
本明細書に使用されるように、「アリール基」という用語は、単環(即ち、フェニル基)または一緒に縮合した(例えば、ナフタレンまたはアントラセン)または共有結合した多価不飽和芳香族炭化水素基を指し、一般に6~10個の原子を含み、ここで、環の少なくとも一つは、芳香環である。芳香環は、任意選択で、それに縮合される1~3個の追加の環(シクロアルキル基、複素環基またはヘテロアリール基)を含むことができる。アリール基は、本明細書に記載される炭素環系の部分的に水素化された誘導体を含むことをさらに指す。アリール基の非限定的な例としては、フェニル基等を含む。
【0032】
芳香環は、任意選択で一つまたは複数の置換基によって置換されることができる。「任意選択で置換されるアリール基」は、任意の結合点に任意の一つまたは複数の置換基(例えば、1~5個の置換基、例えば、1、2、3または4個)を有するアリール基を指す。そのような置換基の非限定的な例としては、置換アルキル基、アルキルスルホキシド、―SO2Ra、アルキルチオ基、カルボキシ基等について上記で定義されたものから選択され、ここで、Raは、アルキル基またはシクロアルキル基である。
【0033】
アリール基の炭素原子がヘテロ原子によって置換される場合、得られた環は、本明細書でヘテロ芳香環と呼ばれる。
【0034】
本明細書に使用されるように、「ヘテロアリール基」という用語は、それ自体でまたは別の置換基として、1~3個の環が縮合または共有結合している、5~12個の炭素原子の芳香環を指すが、これらに限定されない。一般に5~8個の原子を含み、ここで、少なくとも一つは、芳香族であり、ここで、一つまたは複数のこれらの環のうちの一つまたは複数の炭素原子は、酸素、窒素または硫黄原子によって置換されることができ、ここで、前記窒素および硫黄のヘテロ原子は、任意選択で気化されることができ、かつ窒素のヘテロ原子は、任意選択で要求化されることができる。そのような環は、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基または複素環環と縮合することができる。そのようなヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基等を含む。
【0035】
「任意選択で置換されるヘテロアリール基」は、置換されるアルキル基について上記で定義されたものから選択される、任意の一つまたは複数の置換基(例えば、1~4個の置換基、例えば、1、2、3または4個)を有するヘテロアリール基を指す。
【0036】
本明細書に使用されるように、「オキソ」という用語は、基=Oを指す。
【0037】
本明細書に使用されるように、「アルコキシ基」または「アルキルオキシ基」という用語は、式―ORbを有する基を指し、ここで、Rbは、アルキル基である。好ましくは、アルコキシ基は、C1―C10アルコキシ基、C1―C6アルコキシ基またはC1―C4アルコキシ基である。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec―ブトキシ基、tert―ブトキシ基、ペントキシ基およびヘキソキシ基を含む。アルコキシ基の酸素原子が硫黄に置換される場合、得られた基は、チオアルコキシ基と呼ばれる。
【0038】
本明細書に使用されるように、「アリールオキシ基」という用語は、基―O―アリール基を指し、ここで、アリール基は、上記で定義されたとおりである。
【0039】
本明細書に使用されるように、「アリールカルボニル基」または「アロイル基」という用語は、基―C(O)―アリール基を指し、ここで、アリール基は、上記で定義されたとおりである。
【0040】
「カルボキシ」または「カルボキシ基」または「ヒドロキシカルボニル基」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、基―CO2Hを指す。従って、カルボキシアルキル基は、少なくとも一つの―CO2H置換基を有する上記で定義されたアルキル基である。
【0041】
「アルコキシ基」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、任意選択で置換される直鎖または分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはシクロアルキルアルキル基に結合した酸素原子からなる基を指す。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、n―プロポキシ基、イソプロポキシ基、n―ブトキシ基、イソブトキシ基、sec―ブトキシ基、tert―ブトキシ基、ヘキソキシ基等を含む。
【0042】
基または基の一部としての「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはアスタチンの総称である。
【0043】
本発明において「置換される」という用語が使用される場合、それは、「置換される」を使用する式で示される原子上の一つまたは複数の水素が、示される基から選択されるものによって置換されることを指し、条件は、指定された原子の通常の原子価を超えず、当該置換により、化学的に安定な化合物、即ち、反応混合物から有用な純度に分離され、治療薬として処方されるのに十分に安定である化合物が生成される。
【0044】
基を任意選択で置換されることができる場合、そのような基は、1回以上、好ましくは、1回、2回または3回置換されることができる。前記置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、アシルアミド基(acylamido group)、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ハロアルコキシ基およびハロアルキル基から選択されることができる。
【0045】
本明細書に使用されるように、「アルキル基、アリール基またはシクロアルキル基がそれぞれ任意選択で置換される」または「アルキル基、アリール基またはシクロアルキル基が任意選択で置換される」等の用語は、任意選択で置換されるアルキル基、任意選択で置換されるアリール基および任意選択で置換されるシクロアルキル基を指す。
【0046】
本明細書に記載されるように、本発明のいくつかの化合物は、キラル中心として機能する一つまたは複数の不斉炭素原子を含むことができ、それは、異なる光学形態(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマー)をもたらすことができる。本発明は、すべての可能な構成におけるそのようなすべての光学形態、およびその混合物を含む。
【0047】
より一般に、上記によれば、本発明の化合物が、幾何異性体、立体配座異性体、E/Z―異性体、立体化学異性体(即ち、エナンチオマーおよびジアステレオマー)および本発明の化合物に存在する環の異なる位置に存在する同じ置換基に対応する異性体を含むがこれらに限定されない、異なる異性体および/または互変異性体の形態で存在することができることは当業者には明らかであろう、これらのすべての可能な異性体、互変異性体およびその混合物は、すべて本発明の範囲に含まれる。
【0048】
「本発明の化合物」という用語または同様の用語が本発明で使用される場合には、いつでも、一般式Iの化合物およびその任意のサブグループを含むことを意図する。当該用語は、表1~11に記載される化合物、それらの誘導体、N―オキシド、塩、溶媒和物、水和物、立体異性体形態、ラセミ混合物、互変異性体形態、光学異性体、類似体およびエステル、ならびにそれらの四級化窒素類似体をさらに指す。前記化合物のN―オキシド形態は、そのうちの一つまたはいくつかの窒素原子がいわゆるN―オキシドに参加される化合物を含むことを意図する。
【0049】
文脈に特に明確に規定されない限り、明細書および添付の特許請求の範囲で説明される単数形態「1(a)」、「一つ(an)」および「当該」は、複数の形態を含む。例えば、「一つの化合物」は、一つの化合物または1個以上の化合物を指す。
【0050】
上記の用語および明細書で使用される他の用語は、当業者によく知られている。
【0051】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、特に、式(I)(II)または(III)化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
ここで、
R1は、ハロゲンであり、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C1―20アルキル基および―C(=O)R8からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C3―20複素環基および―カルボキシ基からなる群から選択される一つまたは複数の置換基によってさらに任意選択で置換され、
R4、R5、R6およびR7は、すべて―Hであり、
R8は、蛍光部分、―C1―20アルキル基および―C1―20シクロアルキル基からなる群から選択され、
XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
ここで、前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、
ここで、XがNである場合、R7は存在しない。
【0052】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
ここで、
R1は、ハロゲンであり、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C1―20アルキル基および―C(=O)R8からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C3―20複素環基および―カルボキシ基からなる群から選択される一つまたは複数の置換基によってさらに任意選択で置換され、
R4、R5およびR6は、すべて―Hであり、
R8は、蛍光部分、―C1―20アルキル基および―C1―20シクロアルキル基からなる群から選択され、
Xは、Nであり、
Yは、Cであり、および
R7は存在しない。
【0053】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
ここで、
R1は、ハロゲンであり、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C1―20アルキル基によって置換され、それは、蛍光部分、―C3―20複素環基および―カルボキシ基からなる群から選択される一つまたは複数の置換基によってさらに任意選択で置換されることができ、
R4、R5およびR6は、それぞれ―Hであり、
Xは、Nであり、
Yは、Cであり、および
R7は存在しない。
【0054】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
ここで、
R1は、―Fまたは―Iであり、好ましくは―Fであり、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C1―20アルキル基によって置換され、それは、蛍光部分、―C3―20複素環基和―カルボキシ基からなる群から選択される一つまたは複数の置換基によってさらに任意選択で置換されることができ、
R4、R5およびR6は、それぞれ―Hであり、
Xは、Nであり、
Yは、Cであり、および
R7は存在しない。
【0055】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
ここで、
R1は、ハロゲンであり、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C1―20アルキル基および―C(=O)R8からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C3―20複素環基および―カルボキシ基からなる群から選択される一つまたは複数の置換基によってさらに任意選択で置換され、
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ―Hであり、
R8は、蛍光部分、―C1―20アルキル基および―C1―20シクロアルキル基からなる群から選択され、
Xは、Cであり、および
Yは、Nである。
【0056】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
ここで、
R1は、ハロゲンであり、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C1―20アルキル基によって置換され、それは、蛍光部分、―C3―20複素環基和―カルボキシ基からなる群から選択される一つまたは複数の置換基によってさらに任意選択で置換されることができ、
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ―Hであり、
Xは、Cであり、および
Yは、Nである。
【0057】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
ここで、
R1は、―Fまたは―Iであり、好ましくは―Fであり、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C1―20アルキル基によって置換され、それは、蛍光部分、―C3―20複素環基和―カルボキシ基からなる群から選択される一つまたは複数の置換基によってさらに任意選択で置換されることができ、
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ―Hであり、
Xは、Cであり、および
Yは、Nである。
【0058】
本発明の化合物は、使用される置換基のタイプに応じて、様々な用途に特に適する。
【0059】
―治療用コールド化合物(cold compounds)
―治療用放射性標識化合物
―診断用放射性標識化合物
―診断用蛍光標識化合物
【0060】
治療用コールド化合物
本発明の化合物は、治療応用に使用されることができ、ここで、前記化合物が「コールド」形態である、即ち、それらが標識されていない、例えば、それらが放射性標識または蛍光標識されていない。
【0061】
従って、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化11】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基和―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、
XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
ここで、前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、
ここで、XがNである場合、R
7は存在せず、および
ここで、前記化合物は、放射性または蛍光部分を含まない。
【0062】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に、式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化12】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基和―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記化合物は、放射性または蛍光部分を含まない。
【0063】
別の具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化13】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記化合物は、放射性または蛍光部分を含まない。
【0064】
別の具体的な実施形態において、本発明は、式I、II、IIIの化合物を提供し、ここで、
R1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C1―20アルキル基、―C1―20アルケニル基、―C1―20アルキニル基、―C1―20シクロアルキル基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基、―C3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―C(=O)R8、―O―R8、―R8および―アミノアルキル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C1―20アルキル基、―C5―20アリール基、―C3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―シアノ基、―C(=O)R8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基および―アシルオキシ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、―Hおよび―ハロゲンからなる群から選択され、
または前記化合物が式(II)に適合する場合、R7は存在せず、
R8は、―H、―C1―20アルキル基、―C1―20シクロアルキル基、―C3―20複素環基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記化合物は、放射性または蛍光部分を含まない。
【0065】
具体的な実施形態において、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化14】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C(=O)R
8によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、ここで、XがNである場合、R
7は存在せず、および
ここで、前記化合物は、放射性または蛍光部分を含まない。
【0066】
具体的な実施形態において、本発明は、式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化15】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C(=O)R
8によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記化合物は、放射性または蛍光部分を含まない。
【0067】
具体的な実施形態において、本発明は、式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化16】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C(=O)R
8によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記化合物は、放射性または蛍光部分を含まない。
【0068】
さらに具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、かつ以下から選択され、ここで、各Zは、独立して、―I、―Br、―Atおよび―Fから選択される。
【化17】
非常に具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、かつ以下から選択される。
【化18】
【化19】
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式I、IIまたはIIIの化合物、および薬学的に許容される希釈剤、許容されるベクターまたは賦形剤、アジュバントまたはベクターを含む、医薬組成物をされに提供する。
【0069】
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物、ヒトまたは獣に使用される薬物、より特に乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、前立腺がん、黒色腫、非小細胞肺がん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、腹膜がん、口腔がんおよび食道がんからなる群から選択される、PARP(ポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ)過剰発現を特徴とする疾患の治療に使用される薬物をさらに提供する。
【0070】
治療用放射性標識化合物
本発明の化合物は、放射線治療応用に使用されることができ、ここで、前記化合物は、放射性標識される。
【0071】
従って、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化20】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、
XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
ここで、前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、
ここで、XがNである場合、R
7は存在せず、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
76Br、
77Br、
81Br、
123I、
125I、
131I、
209At、
210Atおよび
211Atからなる群から選択される放射性ハロゲンである。
【0072】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化21】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基、―アシルアミド基、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
76Br、
77Br、
81Br、
123I、
125I、
131I、
209At、
210Atおよび
211Atからなる群から選択される放射性ハロゲンである。
【0073】
別の具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化22】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
76Br、
77Br、
81Br、
123I、
125I、
131I、
209At、
210Atおよび
211Atからなる群から選択される放射性ハロゲンである。
【0074】
別の具体的な実施形態において、本発明は、式I、II、IIIの化合物を提供し、ここで、
R1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C1―20アルキル基、―C1―20アルケニル基、―C1―20アルキニル基、―C1―20シクロアルキル基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基、―C3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―C(=O)R8、―O―R8、―R8および―アミノアルキル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C1―20アルキル基、―C5―20アリール基、―C3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―シアノ基、―C(=O)R8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基、―アシルアミド基、―ウレイド基および―アシルオキシ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、―Hおよび―ハロゲンからなる群から選択され、
または前記化合物が式(II)に適合する場合、R7は存在せず、
R8は、―H、―C1―20アルキル基、―C1―20シクロアルキル基、―C3―20複素環基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R1、R4、R5、R6およびR7のうちの少なくとも一つは、76Br、77Br、81Br、123I、125I、131I、209At、210Atおよび211Atからなる群から選択される放射性ハロゲンである。
【0075】
具体的な実施形態において、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化23】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C(=O)R
8によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、ここで、XがNである場合、R
7は存在せず、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
76Br、
77Br、
81Br、
123I、
125I、
131I、
209At、
210Atおよび
211Atからなる群から選択される放射性ハロゲンである。
【0076】
具体的な実施形態において、本発明は、式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化24】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C(=O)R
8によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
76Br、
77Br、
81Br、
123I、
125I、
131I、
209At、
210Atおよび
211Atからなる群から選択される放射性ハロゲンである。
【0077】
具体的な実施形態において、本発明は、式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化25】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C(=O)R
8によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
76Br、
77Br、
81Br、
123I、
125I、
131I、
209At、
210Atおよび
211Atからなる群から選択される放射性ハロゲンである。
【0078】
さらに具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、かつ以下から選択され、ここで、各Zは、独立して、―I、―Br、―Atおよび―Fから選択され、前記Xの少なくとも一つは、
76Br、
77Br、
81Br、
123I、
125I、
131I、
209At、
210Atおよび
211Atから選択される。
【化26】
非常に具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、かつ以下から選択される。
【化27】
上記で定義されるそれぞれの化合物において、一つまたは複数の指定されたハロゲン原子は、任意選択で放射性標識ハロゲン原子によって代替されることができ、例えば、Iは、
123I、
125I、
131I等によって代替されることができる。
【0079】
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式I、IIまたはIIIの化合物、および薬学的に許容される希釈剤、許容されるベクターまたは賦形剤、アジュバントまたはベクターを含む、医薬組成物をされに提供する。
【0080】
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物、ヒトまたは獣に使用される薬物、より特に乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、前立腺がん、黒色腫、非小細胞肺がん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、腹膜がん、口腔がんおよび食道がんからなる群から選択される、PARP(ポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ)過剰発現を特徴とする疾患の治療に使用される薬物をさらに提供する。
【0081】
診断用放射性標識化合物
本発明の化合物は、診断応用に使用されることができ、ここで、前記化合物は、放射性標識される。
【0082】
従って、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化28】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基、―アシルアミド基、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、
XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
ここで、前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、
ここで、XがNである場合、R
7は存在せず、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
18Fおよび
123I、好ましくは
18Fから選択される。
【0083】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化29】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基、―アシルアミド基、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
18Fおよび
123I、好ましくは
18Fから選択される。
【0084】
別の具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化30】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基、―アシルアミド基、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基(acylamido group)、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
18Fおよび
123I、好ましくは
18Fから選択される。
【0085】
別の具体的な実施形態において、本発明は、式I、II、IIIの化合物を提供し、ここで、
R1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C1―20アルキル基、―C1―20アルケニル基、―C1―20アルキニル基、―C1―20シクロアルキル基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基、―C3―20複素環基、―アミド基、―チオアミド基、―エステル基、―C(=O)R8、―O―R8、―R8および―アミノアルキル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、―C1―20アルキル基、―C5―20アリール基、―C3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―シアノ基、―C(=O)R8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基、―アシルアミド基、―ウレイド基および―アシルオキシ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、―Hおよび―ハロゲンからなる群から選択され、
または前記化合物が式(II)に適合する場合、R7は存在せず、
R8は、―H、―C1―20アルキル基、―C1―20シクロアルキル基、―C3―20複素環基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R1、R4、R5、R6およびR7のうちの少なくとも一つは、18Fおよび123I、好ましくは18Fから選択される。
【0086】
具体的な実施形態において、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化31】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C(=O)R
8によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、ここで、XがNである場合、R
7は存在せず、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
18Fおよび
123I、好ましくは
18Fから選択される。
【0087】
具体的な実施形態において、本発明は、式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物、溶媒和物または同位体を提供し、
【化32】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C(=O)R
8によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
18Fおよび
123I、好ましくは
18Fから選択される。
【0088】
具体的な実施形態において、本発明は、式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化33】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C(=O)R
8によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、前記R
1、R
4、R
5、R
6およびR
7のうちの少なくとも一つは、
18Fおよび
123I、好ましくは
18Fから選択される。
【0089】
さらに具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、かつ以下から選択され、ここで、各Zは、独立して、―I、―Br、―Atおよび―Fから選択され、少なくとも前記Zのうちの一つは、
18Fおよび
123I、好ましくは
18Fである。
【化34】
非常に具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、かつ以下から選択される。
【化35】
【0090】
上記で定義されるそれぞれの化合物において、一つまたは複数の指定されたハロゲン原子は、任意選択で放射性標識ハロゲン原子によって代替されることができ、例えば、―Fは、18Fによって代替されることができる。
【0091】
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式I、IIまたはIIIの化合物、および薬学的に許容される希釈剤、許容されるベクターまたは賦形剤、アジュバントまたはベクターを含む、医薬組成物をされに提供する。
【0092】
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物、ヒトまたは獣に使用される薬物、より特に乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、前立腺がん、黒色腫、非小細胞肺がん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、腹膜がん、口腔がんおよび食道がんからなる群から選択される、PARP(ポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ)過剰発現を特徴とする疾患の治療に使用される薬物をさらに提供する。
【0093】
最後に、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物、インビボでの造影PARP分布における用途を提供する。
【0094】
診断用蛍光標識化合物
本発明の化合物は、診断応用に使用されることができ、ここで、前記化合物は、蛍光標識される。
【0095】
従って、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化36】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基、―アシルアミド基、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、
XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
ここで、前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、
ここで、XがNである場合、R
7は存在せず、および
ここで、R
8は、蛍光部分であるか、またはR
2およびR
3の前記置換基のうちの少なくとも一つは、蛍光部分にさらに置換される。
【0096】
具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化37】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基(acylamido group)、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、R
8は、蛍光部分であるか、またはR
2およびR
3の前記置換基のうちの少なくとも一つは、蛍光部分にさらに置換される。
【0097】
別の具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化38】
ここで、
R
1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―アミノアルキル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―スルホニル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
5―20アリール基、―C
3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―ニトロ基、―シアノ基、―C(=O)R
8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基(amido group)、―アシルアミド基、―ウレイド基、―アシルオキシ基、―チオール基、―チオエーテル基、―スルホキシド基、―スルホニル基、―チオアミド基および―スルホアミノ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R
4、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、―H、―ハロゲン、―アミノ基、―アルコキシ基、―C
1―10アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―ハロアルキル基、―ヒドロキシアルキル基、―アミノアルキル基、―カルボキシアルキル基、―エチレンジオキソ基、―ニトロ基、―シアノ基、―アシルアミド基、―ヒドロキシ基、―チオール基、―アシルオキシ基、―アジド基、―カルボキシ基、―カルボニルアミド基および―アルキルチオール基からなる群から選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、R
8は、蛍光部分であるか、またはR
2およびR
3の前記置換基のうちの少なくとも一つは、蛍光部分にさらに置換される。
【0098】
別の具体的な実施形態において、本発明は、式I、II、IIIの化合物を提供し、ここで、
R1は、―Hおよびハロゲンからなる群から選択され、
R2とR3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒に5~10員の単環―または二環式複素環部分を表し、これらは、―C1―20アルキル基、―C1―20アルケニル基、―C1―20アルキニル基、―C1―20シクロアルキル基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基、―C3―20複素環基、―アミド基、―チオアミド基、―エステル基、―C(=O)R8、―O―R8、―R8および―アミノアルキル基からなる群から選択される置換基によってさらに任意選択で置換され、これらのそれぞれは、蛍光部分、―C1―20アルキル基、―C5―20アリール基、―C3―20複素環基、―ハロゲン、―ヒドロキシ基、―エーテル、―シアノ基、―C(=O)R8、―カルボキシ基、―エステル基、―アミノ基、―アミド基、―アシルアミド基、―ウレイド基および―アシルオキシ基からなる群から選択される置換によってさらに任意選択で置換され、
ここで、前記二環式複素環部分は、スピロ環―部分であり得、
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、―Hおよび―ハロゲンからなる群から選択され、
または前記化合物が式(II)に適合する場合、R7は存在せず、
R8は、―H、蛍光部分、―C1―20アルキル基、―C1―20シクロアルキル基、―C3―20複素環基、―C5―20アリール基、―C5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、R8は、蛍光部分であるか、またはR2およびR3の前記置換基のうちの少なくとも一つは、蛍光部分にさらに置換される。
【0099】
具体的な実施形態において、本発明は、式Iの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化39】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基(amido group)、―チオアミド基、―エステル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―アミノアルキル基からなる群から選択される基によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、蛍光部分、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、XおよびYは、それぞれ独立して、CおよびNから選択され、
前記XおよびYの少なくとも一つは、Nであり、ここで、XがNである場合、R
7は存在せず、および
ここで、R
8は、蛍光部分であるか、または前記ピペラジン置換基のうちの少なくとも一つが蛍光部分によってさらに置換される。
【0100】
具体的な実施形態において、本発明は、式IIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化40】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基、―チオアミド基、―エステル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―アミノアルキル基からなる群から選択される基によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、R
8は、蛍光部分であるか、または前記ピペラジン置換基のうちの少なくとも一つが蛍光部分によってさらに置換される。
【0101】
具体的な実施形態において、本発明は、式IIIの化合物またはその立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、塩、水和物または溶媒和物を提供し、
【化41】
ここで、
R
1は、ハロゲンであり、
R
2とR
3、およびそれらが接続されているN原子は、一緒にピペラジン部分を表し、それは、―C
1―20アルキル基、―C
1―20アルケニル基、―C
1―20アルキニル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基、―C
3―20複素環基、―アミド基、―チオアミド基、―エステル基、―C(=O)R
8、―O―R
8、―R
8および―アミノアルキル基からなる群から選択される基によってさらに置換され、
R
4およびR
6は、―Hであり、
R
5は、―Hおよび―ハロゲンから選択され、
R
8は、―H、―C
1―20アルキル基、―C
1―20シクロアルキル基、―C
3―20複素環基、―C
5―20アリール基、―C
5―20ヘテロアリール基からなる群から選択され、および
ここで、R
8は、蛍光部分であるか、または前記ピペラジン置換基のうちの少なくとも一つが蛍光部分によってさらに置換される。
【0102】
本発明の具体的な実施形態において、蛍光部分は、BODIPY蛍光体であり得る。特に重要な蛍光部分は、次のようなBODIPYスクシンイミドエステルである。
【0103】
・ BODIPY FL C
3 スクシンイミドエステル
・ BODIPY FL C
5 スクシンイミドエステル
・ BODIPY R
6G C
3 スクシンイミドエステル
・ BODIPY 493/503 C
3 スクシンイミドエステル
・ BODIPY 530/550 C
3 スクシンイミドエステル
・ BODIPY 558/568 C
3 スクシンイミドエステル
・ BODIPY 564/570 C
3 スクシンイミドエステル
・ BODIPY 576/589 C
3 スクシンイミドエステル
・ BODIPY 581/591 C
3 スクシンイミドエステル
・ BODIPY FL―X スクシンイミドエステル
・ BODIPY TMR―X スクシンイミドエステル
・ BODIPY TR―X スクシンイミドエステル
・ BBODIPY 630/650―X スクシンイミドエステル
・ BODIPY 650/665―X スクシンイミドエステル
別の具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、かつ以下から選択され、ここで、各Zは、独立して、非放射性―I、―Brおよび―Fから選択される。
【化42】
非常に具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で定義されるような化合物を提供し、かつ以下から選択される。
【化43】
【化44】
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、より特に式I、IIまたはIIIの化合物、および薬学的に許容される希釈剤、許容されるベクターまたは賦形剤、アジュバントまたはベクターを含む、医薬組成物をされに提供する。
【0104】
本発明は、本明細書で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物、ヒトまたは獣に使用される薬物、より特に乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、前立腺がん、黒色腫、非小細胞肺がん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、腹膜がん、口腔がんおよび食道がんからなる群から選択される、PARP(ポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ)過剰発現を特徴とする疾患の治療に使用される薬物をさらに提供する。
【0105】
最後に、本発明は、本明細書で定義されるような化合物、またはそのような化合物を含む医薬組成物、インビボでの造影PARP分布における用途を提供する。
【0106】
本発明の化合物は、以下の実施例で提供される反応スキームに従って調製されることができるが、当業者は、これらが本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の化合物が有機化学分野の当業者によって一般的に使用されるいくつかの標準的な合成方法のいずれかによって調製できることを理解されたい。
【0107】
治療または診断方法
上記で詳細に説明されるように、置換基の選択によれば、本発明の化合物は、PARP(ポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ)過剰発現を特徴とする疾患の診断、予防および/または治療に適することができ、例えば、乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、前立腺がん、黒色腫、非小細胞肺がん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、腹膜がん、口腔がんおよび食道がんからなる群から選択される。
【0108】
具体的な実施形態において、本発明の化合物は、口腔がん、食道がん、皮膚がん、悪性創傷(例えば、乳房創傷、結腸創傷、前立腺創傷等)および肺疾患の診断、予防および/または治療に適用されることができる。二つの種類の癌、即ち、口腔がんと食道がん、および扁平上皮がんと腺がんのサブクラスは、すべて望ましい範囲に分類される。特に、本発明の蛍光標識化合物は、これらの疾患を診断するのに非常に適する。
【0109】
本発明のどこでも、「医薬用途」という用語が使用されることは、本発明の(標識された)化合物の治療的および診断的用途を含むことを意味する。医薬用途の場合、本発明の化合物は、遊離の酸または塩基として、および/または薬学的に許容される酸付加塩および/または塩基付加塩(例えば、無毒の有機または無機酸または塩基で得られる)の形態で使用され、水和物、溶媒和物および/または配位化合物の形態で存在する。本明細書で使用され、かつ特に明記しない限り、「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物と適切な無機溶媒(例えば、水和物)または有機溶媒(例えば、アルコール、ケトン、エステル等であるがこれらに限定されない)とによって形成される任意の組み合わせを含む。このような塩、水和物、溶媒和物等およびその調製は、当業者には明らかであり、例えば、US―A―6372778、US―A―6369086、US―A―6369087で説明される塩、水和物、溶媒和物等を参照する。
【0110】
本発明による化合物の薬学的に許容される塩、即ち水溶性、油溶性または分散可能な製品の形態は、例えば、無機または有機酸または塩基によって形成される従来の無毒性塩または第四級アンモニウム塩を含む。このような酸付加塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコネート、ラウリルサルフェート、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトネート、ヒドロクロロホスフェート、ヘミサルフェート、ヘプタノエート、カプロエート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2―ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2―ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3―フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、コハク酸塩、チオ酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩を含む。塩基塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N―メチル―D―グルカミン等の有機塩基と形成される塩、およびアルギニン、リジン等のアミノ酸と形成される塩を含む。さらに、塩基性窒素含有基は、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基の塩化物、臭化物およびヨウ化物等の低級アルキルハライドの試薬、ジメチル基、ジエチル基、ジブチル基等の硫酸ジアルキル、硫酸ジペンチル、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基およびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物等の長鎖ハロゲン化物、ならびにベンジル基およびフェネチルブロミド等のハロゲン化アラルキル等を使用して、四級化されることができる。他の薬学的に許容される塩は、硫酸エタノラートおよび硫酸塩を含む。
【0111】
一般に、医薬用途(診断、予防または治療)の場合、本発明の化合物は、少なくとも一つの本発明の化合物および少なくとも一つの薬学的に許容されるベクター、希釈剤または賦形剤および/またはアジュバント、ならびに任意選択の一つまたは複数の他の薬学的に活性な化合物等を含む、医薬製剤または医薬組成物を調製することができる。
【0112】
具体的に診断応用の場合、うがい水または(食道)スプレーとして使用するための溶液として調製することができる。次に、内視鏡によって検出することができる。
【0113】
非限定的な例を介して、このような製剤は、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内または皮下注射または静脈内注入による)、局所投与(目を含む)、吸入、皮膚パッチ、インプラント、坐剤による投与に適した形態であり得る。このような適切な投与形態―投与方法に応じての固体、半固体または液体―および方法ならびにその調製に使用されるベクター、希釈剤および賦形剤は、当業者に明らかであり、例えば、US―A―6372778、US―A―6369086、US―A―6369087およびUS―A―6372733、ならびに「レミントンの薬学科学」の最新版等の標準マニュアルを再び参照する。
【0114】
いくつかのそのような製剤の好ましいが非限定的な例としては、錠剤、丸剤、粉末剤、トローチ、サシェ、カシェ、エリキシル、懸濁剤、エマルジョン、溶液剤、シロップ、エアロゾル、軟膏剤、クリーム、ローション、ソフトおよびハードゼラチンカプセル、坐剤、点眼剤、無菌注射剤溶液ならびに大量投与および/または連続投与用の無菌包装粉末剤(通常、使用前に再配合する)を含み、それは、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカンスガム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、セルロース、(滅菌)水、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル基およびプロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、食用油、植物油および鉱油またはその適切な混合物等、そのような製剤自体に適したベクター、賦形剤および希釈剤を調製することができる。製剤は、任意選択で、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤と懸濁剤、分散剤、崩壊剤、充填剤、充填剤、防腐剤、甘味剤、香味剤、流動調節剤、放出剤等の、他の医薬活性物質(本発明の化合物との相乗効果がある場合およびない場合がある)および他の医薬製剤で一般に使用される物質を含み得る。例えば、天然ゲルまたは合成ポリマーに基づくリポソームまたは親水性ポリマー基質を使用して、含まれる活性化合物が迅速に、連続的にまたは遅延的に放出されるように組成物を調製することもできる。本発明による医薬組成物の化合物の溶解度および/または安定性を向上させるために、α―、β―またはγ―シクロデキストリンまたはその誘導体を使用することが有利であり得る。EP―A―721331は、化合物をシクロデキストリンまたはその誘導体と組み合わせて調製する興味深い方法を説明した。特に、本発明は、有効量の本発明の化合物および薬学的に許容されるシクロデキストリンを含む医薬組成物を含む。
【0115】
さらに、アルコールなどの共溶媒は、化合物の溶解度および/または安定性を向上させることができる。水性組成物の調製において、本発明の化合物の塩を加えることは、その水溶性を増加させるため、より適切である可能性がある。
【0116】
組成物、製剤(およびそのうちで使用されるベクター、賦形剤、希釈剤等)、投与経路等については、それ自体が類似のピリジルカルボキサミドについて知られており、特に、例えば、US―A―4997834およびEP―A―0370498に記載されているそれらを参照する。
【0117】
より特に、組成物は、治療有効量の顆粒を含む医薬製剤として調製することができ、当該顆粒は、本発明の化合物の固体分散体および一つまたは複数の薬学的に許容される水溶性ポリマーからなる。
【0118】
「固体分散体」という用語は、少なくとも二つの成分を含む固体(液体または気体とは対照的である)システムを定義し、ここで、一つの成分は、他の一つまたは複数の成分に多かれ少なかれ均一に分散される。成分の前記分散体により、当該システムが化学的および物理的に均一または均質になるか、または熱力学で定義された一つの相で構成される場合、このような固体分散体は、「固溶体」と呼ばれる。固溶体は、そのうちの成分が一般にそれらが適用される生物によって容易に生物学的に利用可能であるため、好ましい物理的システムである。
【0119】
化合物をナノ顆粒の形態で調製する方が便利かもしれず、ここで、表面改質剤のその表面への吸着量は、有効平均顆粒サイズを1000nm未満に保つのに十分である。適切な表面改質剤は、好ましくは、既知の有機および無機の医薬賦形剤から選択されることができる。そのような賦形剤は、様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然生成物および界面活性剤を含む。好ましい表面改質剤は、非イオンおよび陰イオンの界面活性剤を含む。
【0120】
本発明による化合物を調製する別の興味深い方法は、医薬組成物に関し、ここで、化合物を親水性ポリマーに組み込み、かつ当該混合物をコーティングフィルムとして多くのビーズに適用することにより、製造に便利で、かつ経口投与用の医薬剤形を調製するのに適した良好な生物学的利用能を有する組成物を生成する。ビーズのコアとして使用されるのに適した材料は、前記材料が薬学的に許容されることができ、かつ適切なサイズおよび堅牢性を有する限り、様々である。そのような材料の例としては、ポリマー、無機物質、有機物質および糖とその誘導体である。それ自体が知られている方法で製剤を調製することができ、これは、通常、本発明の少なくとも一つの化合物を一つまたは複数の薬学的に許容されるベクターと混合することを含み、また、必要に応じて、無菌条件下で他の薬学的に活性な化合物と組み合わせることができる。US―A―6372778、US―A―6369086、US―A―6369087、US―A―6372733および上記の他の先行技術、ならびに「レミントンの薬学科学」の最新版等の標準マニュアルを再び参照する。
【0121】
本発明の医薬製剤は、好ましくは単位剤形であり、例えば、箱、ブリスター、バイアル、ボトル、小袋、アンプルまたは任意の他の適切な単回投与量または複数回投与量のホルダーまたは容器(これは、適切に標識されることができ)に適切に放送することができ、任意選択で製品情報および/または使用説明書を含む一つまたは複数のチラシを添付される。一般に、そのような単位用量は、1~1000mg、通常は5~500mgの本発明の少なくとも一つの化合物、例えば、単位用量あたり約10、25、50、100、200、300または400mgを含む。
【0122】
化合物は、主に使用される具体的な製剤および治療または予防する病症に応じて、経口、直腸、目、経皮、皮下、静脈内、筋肉内または鼻腔内経路を含む様々な経路で投与されることができ、通常、経口および静脈内投与が好ましい。本発明の少なくとも一つの化合物は、通常「有効量」で投与され、これは、式I、IIまたはIIIの化合物またはその任意のサブグループの化合物が、投与後に投与される個体に対して望ましい治療または予防効果を達成するのに十分であることを意味する。一般に、予防または治療する疾患および投与経路に応じて、このような有効量は、通常、患者の1日当たりの体重1kgあたり0.01~1000mgの間であり、より多くの場合に0.1~500mgの間、例えば、1および250mg、例えば約5、10、20、50、100、150、200または250mgであり、患者の1日当たりの体重1kgあたりのことは、1日1回の投与量として投与するか、1日当たり1回以上の投与量に分割するか、または実質的に連続して、例えば、点滴注入を使用して投与することができる。投与量、投与経路およびさらなる治療計画は、患者の年齢、性別、全身状態、治療する疾患/症状の性質と重症度等の要因に応じて、臨床医者によって決定されることができる。US―A―6372778、US―A―6369086、US―A―6369087および上記のさらなる先行技術、ならびに「レミントンの薬学科学」の最新版等の標準マニュアルを再び参照する。
【0123】
本発明の方法によれば、前記医薬組成物は、治療過程中の異なる時間に、別個に投与するか、または別個のあるいは単一の組成物の形態でに同時に投与することができる。従って、本発明は、そのようなすべての同時または交互の治療計画を含むと理解されるべきであり、「投与」という用語は、それに応じて解釈されるべきである。
【0124】
経口投与形態の場合、本発明の組成物は、賦形剤、安定剤または不活性希釈剤等の適切な添加剤と混合することができ、錠剤、コーティング錠、ハードカプセル、水溶液、アルコール溶液または油性溶液等の従来の方法によって適切な投与形態に調製することができる。適切な不活性ベクターの例としては、アラビアゴム、酸性化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコース、またはデンプン、特にコーンデンプンである。この場合、調製は、乾式顆粒または湿式顆粒のいずれかとして実施されることができる。適切な油性賦形剤または溶媒は、ひまわり油またはタラ肝油等の植物油または動物油である。水溶液またはアルコール溶液に適した溶媒は、水、エタノール、糖溶液またはその混合物である。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールは、他の投与形態のさらなる補助剤として使用されることができる。即時放出錠剤として、これらの組成物は、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトースおよび/または当技術分野で知られている他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤および潤滑剤を含むことができる。
【0125】
経鼻エアロゾルまたは吸入によって投与される場合、これらの組成物は、医薬製剤分野でよく知られている技術に従って調製することができ、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボン化合物および/または当技術分野で知られている他の可溶化剤または分散剤を使用して、食塩水として調製されることができる。エアロゾルまたはスプレーの形態での投与に適した医薬製剤は、例えば、エタノールまたは水等の薬学的に許容される溶媒またはそのような溶媒の混合物中の本発明の化合物またはその生理学的に許容される塩の溶液、懸濁液または乳濁液である。必要に応じて、製剤は、界面活性剤、乳化剤、安定剤および推進剤等の他の医薬補助剤をさらに含むことができる。
【0126】
皮下投与の場合、本発明による化合物は、必要に応じて、可溶化剤、乳化剤または他の補助剤等の従来の物質とともに、溶液、懸濁液または乳濁液に入れられる。本発明の化合物は、凍結乾燥され、かつ得られた凍結乾燥物は、例えば、注射剤または注入製剤の調製に使用されることができる。適切な溶媒は、例えば、水、生理食塩水溶液またはエタノール、プロパノール、グリセロール等のアルコール、さらにグルコースまたはマンニトール溶液等の糖溶液、または言及された様々な溶媒の混合物である。既知の技術に従って、マンニトール、1,3―ブタンジオール、水、リンゲル溶液または等張塩化ナトリウム溶液等の適切な無毒、非経口的に許容される希釈剤または溶媒、または合成されたモノグリセリドまたはジグリセリドおよび脂肪酸(油酸を含む)を含む、無菌、マイルド、非揮発性油等の適切な分散剤または湿潤剤と懸濁剤を使用して、注射可能な溶液または懸濁液剤を調製する。
【0127】
坐剤の形態で直腸に投与される場合、これらの製剤は、本発明の化合物を適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製されることができ、カカオバター、合成グリセリドまたはポリエチレングリコール等の当該賦形剤は、常温では固体であるが、直腸腔内では液化および/または溶解して薬物を放出する。好ましい実施形態において、本発明の化合物および組成物は、局所使用または吸収および非吸収応用等のために、局所的に使用される。
【0128】
組成物は、獣医学の分野で価値があり、本明細書の目的の場合、それは、動物の疾患の予防および/または治療だけでなく、―ウシ、ブタ、シープ、鶏、魚などの経済的に重要な動物の場合―動物の成長および/または動物の体重および/または肉または動物から得られる他の製品の数および/または品質の促進も含む。従って、別の態様において、本発明は、本発明の少なくとも一つの化合物および少なくとも一つの適切なベクター(即ち、獣用に適したベクター)を含む獣用組成物に関する。本発明は、そのような組成物の調製における本発明の化合物の用途にさらに関する。
【0129】
現在、以下の合成および生物学的実施例によって本発明を説明し、これらの実施例は、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0130】
実施例
一般的な実験の詳細:
本明細書で報告された収量は、生成された製品を指す(特に明記されない限り)。分析性TLCは、Merckシリカゲル60 F254アルミニウムバックプレートで実施する。化合物は、紫外線を介して、および/またはヨウ素、ニンヒドリンまたは過マンガン酸カリウム溶液で染色し、次に加熱して発色させる。シリカゲルでフラッシュカラムクロマトグラフィーを行う。1H―NMRスペクトルは、5mM DUL(Dual)13Cプローブを備えたBrukeR400MHz、AvanceII分光計およびBBFO(広帯域フッ素検出)プローブを備えたBrukeR400MHz、AvanceIII HD分光計に記録される。化学シフト(δ)は、百万分率(ppm)で表されて、調製されたサンプルの重水素化溶媒のピークを参照する。スプリットモードは、s(シングルピーク)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプル)およびbrs(ワイドシングレット)として指定される。
【0131】
以下の溶媒、試薬または科学用語は、それらの略語で参照することができる。
【0132】
TLC:薄層クロマトグラフィー
mL:ミリリットル
mmol:ミリモル
h:1時間またはそれ以上
min:1分間またはそれ以上
g:グラム
mg:ミリグラム
eq:当量
rtまたはRT:室温、周囲温度、約25℃
MS:質量分析計
【0133】
A.合成スキーム
A.1.化合物の合成
本発明の化合物は、当業者に周知の方法によって調製されることができ、以下に示される合成および実健手順はに示されるようである。
【0134】
式IIの化合物の合成
実施例1a:TRA―13Fの合成
【化45】
【0135】
実施例1b:1―(3―(4―(シクロペンタンカルボニル)ピペラジン―1―カルボニル)―4―フルオロベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―13F)の合成
【0136】
スキーム1
【化46】
5―(ブロモメチル)―2―フルオロ安息香酸メチル(2)の合成:2―フルオロ―5―メチル安息香酸メチル(8、6.70g、40.0mmol)を四塩化炭素:アセトニトリル(120.0mL、5:1)で攪拌し、次にN―ブロモスクシンアミド(7.47g、42.0mmol)を加え、AIBN(1.29g、8.0mmol)を加える。得られた混合物を80℃下で2時間加熱する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水(25ml)で希釈し、かつジクロロメタン(3×100ml)で抽出する。合併された有機層を氷水(50mL)および食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、白色固体の粗生成物5―(ブロモメチル)―2―フルオロ安息香酸メチル(2、6.0g、61%)を得る。
【0137】
1H NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 7.98―8.02(m、1H)、7.73―7.80(m、1H)、7.31―7.40(m、1H)、4.78(s、2H)、3.87(s、3H)。
【0138】
スキーム2
【化47】
2―アミノ―N―(tert―ブチル)ニコチンアミド(4)の合成:0℃下で、2―アミノニコチン酸(1、10.0g、72.46mmol)、tert―ブチルアミン(2、15.28g、144.9mmol)およびDIPEA(38.0mL、218.80mmol)のDCM(200mL)溶液にT3P(50%EtOAc溶液、92.0mL、144.9mmol)を加える。反応混合物を室温下で16時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水(100mL)で希釈し、かつジクロロメタン(3×100ml)で抽出する。合併された有機層を食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、白色固体の粗生成物2―アミノ―N―(tert―ブチル)ニコチンアミド(4、5.60g、40%)を得る。
【0139】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 6.50―6.55(m、1H)、6.83(bs、2H)、7.71(bs、1H)、7.77―7.82(m、1H)、8.00―8.05(m、1H).LCMS:m/z 194.10[M+H]+、95.11%。
【0140】
3―(tert―ブチル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(6)の合成:0℃下で、2―アミノ―N―(tert―ブチル)ニコチンアミド(4、5.0g、25.9mmol)のピリジン(10.0mL)溶液にクロロギ酸メチル(4、5.0mL、42.5mmol)を滴下する。反応混合物を室温下で16時間攪拌し、次に80℃下で16時間攪拌し続ける。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水で希釈し、固体を沈殿させ、ろ過し、減圧下で乾燥させて、白色固体の3―(tert―ブチル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(6、1.95g、34%)を得る。
【0141】
LCMS:m/z 218.12[M―H]+、90%。
【0142】
5―((3―(tert―ブチル)―2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)―イル)メチル)―2―フルオロ安息香酸メチル(7)の合成:3―(tert―ブチル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(6、1.5g、6.84mmol)、メチル5―(ブロモメチル)―2―フルオロ安息香酸メチル(2、1.68g、6.84mmol)のACN(30ml)中の溶液にCs2CO3(4.46mL、13.68mmol)を加える。反応混合物を60℃下で16時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水(50ml)で希釈し、かつEtOAc(3×50ml)で抽出する。合併された有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、粗化合物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して[順相、シリカゲル(100~200メッシュ)、ヘキサン溶液中の20%~25%の酢酸エチルの勾配]、白色固体の5―((3―(tert―ブチル)―2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)―イル)メチル)―2―フルオロ安息香酸メチル(7、1.90g、30%)を得る。
【0143】
LCMS:m/z 86.07[M+H]+、85%。
【0144】
5―((2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)イル)メチル)―2―フルオロ安息香酸(8)の合成:5―((3―(tert―ブチル)―2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)―イル)メチル)―2―フルオロ安息香酸メチル(7、0.65g、1.68mmol)を1,4―ジオキサン(6.5mL)および6N HCl(6.5mL)で攪拌する。反応材料を100℃で16時間加熱する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を6N NaOHで塩基性化し、かつ室温下で3時間さらに攪拌する。完了後、反応混合物を10%硫酸水素ナトリウム溶液で酸性化し、固体懸濁液を沈殿させ、ろ過し、減圧下で乾燥させて、灰白色固体の5―((2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)イル)メチル)―2―フルオロ安息香酸(8、0.55g、98%)を得る。
【0145】
1H NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 5.37(s、2H)、7.20―7.28(m、1H)、7.30―7.35(m、1H)、7.55―7.62(m、1H)、7.85(d、J=6Hz、1H)、8.36(d、J=7.2Hz、1H)、8.69(d、J=3.6Hz、1H)、11.85(bs、1H)。LCMS:m/z 316.12[M+H]+、95%。
【0146】
4―(5―((2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)―イル)メチル)―2―フルオロベンゾイル)ピペラジン―1―カルボキシレート(10)の合成:0℃下で、5―((2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)イル)メチル)―2―フルオロ安息香酸(8、0.50g、1.42mmol)、ピペラジン―1―カルボキシレート(9、0.319mmol)およびDIPEA(0.71mL、4.23mmol)のジクロロメタン(10.0mL)溶液にT3P(1.50mL、2.37mmol、50%EtOAc溶液)を加える。反応混合物を室温下で4時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水(25mL)で希釈し、かつジクロロメタン(2×50ml)で抽出する。合併された有機層を氷水(20mL)および食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、茶色の粘着性固体の粗4―(5―((2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)―イル)メチル)―2―フルオロベンゾイル)ピペラジン―1―カルボキシレート(10、0.8g、94%)を得る。
【0147】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 1.40(s、9H)、3.00―3.15(m、4H)、3.30―3.40(m、4H)、5.37(s、2H)、7.18―7.23(m、1H)、7.30―7.39(m、2H)、7.40―7.48(m、1H)、8.35―8.40(m、1H)、8.65―8.72(m、1H)、11.89(bs、1H).LCMS:m/z 484.26[M+H]+、75%。
【0148】
1―(4―フルオロ―3―(ピペラジン―1―カルボニル)ベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン.2TFA(11)の合成:0℃下で、4―(5―((2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)―イル)メチル)―2―フルオロベンゾイル)ピペラジン―1―カルボキシレート(10、80g、1.48mmol)のジクロロメタン攪拌溶液(6.0ml)にトリフルオロ酢酸(2.0ml)を加えて、室温下で6時間攪拌する。出発物質を消費し(TLCによってモニタリングする)、減圧下で反応混合物を蒸発させて、茶色の粘着性固体の粗生成物1―(4―フルオロ―3―(ピペラジン―1―カルボニル)ベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン.2TFA(11、1.0g、粗生成物)を得、精製せずに次の段階に使用されることができる。
【0149】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 3.00―3.20(m、4H)、3.50―3.80(m、4H)、5.37(s、2H)、7.18―7.22(m、1H)、7.23―7.3(m、1H)、7.40―7.48(m、2H)、8.30―8.40(m、1H)、8.61―8.70(m、1H)、9.12(bs、2H)、10.00(bs、1H)、11.86(bs、1H)、1H).MS―ESI:m/z 384.27。
【0150】
1―(3―(4―(シクロペンタンカルボニル)ピペラジン―1―カルボニル)―4―フルオロベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―13F)の合成:0℃下で、1―(4―フルオロ―3―(ピペラジン―1―カルボニル)ベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン.2TFA(11、0.60g、0.73mmol、75%LCMS純度に基づいて計算する)、TEA(0.68mL、4.90mmol)のジクロロメタン(10.0mL)溶液にシクロペンタンカルボニルクロリド(12、0.19g、1.47mmol)を加える。反応混合物を室温下で4時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水(25ml)で希釈し、かつジクロロメタン(3×30ml)で抽出する。合併された有機層を食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、粗残留物を得る。残留物を分取HPLCによって(逆相、Sunfire(19x250)mm、10μ、12分内に勾配は、5mMのAAの17%:52%ACNを含み、RT:11.27分間)、白色固体の1―(3―(4―(シクロペンタンカルボニル)ピペラジン―1―カルボニル)―4―フルオロベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―13F、140mg、40%)を得る。
【0151】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 1.45―1.80(m、9H)、2.88―3.02(m、1H)、3.10―3.20(m、2H)、3.30―3.40(m、2H)、3.50―3.65(m、4H)、5.37(s、2H)、7.21(t、J=9.2Hz、1H)、7.30―7.35(m、1H)、7.39(d、J=5.3Hz、1H)、7.42―7.48(m、1H)、8.36(d、J=7.7Hz、1H)、8.67(d、J=3.6Hz、1H)、11.82(bs、1H)。LCMS:m/z 478.10[M+H]+、97.74%。
【0152】
実施例2a:TRA―13F―FLの合成
【化48】
【0153】
実施例―2b:1―(3―(4―(3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―514,614―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオニル)ピペラジン―1―カルボニル)―4―フルオロベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―13F―FL)の合成
スキーム3
【化49】
【0154】
(E)―3―(1H―ピロール―2―イル)エチルアクリレート(15)の合成:2―(ジエトキシホスホリル)酢酸エチル(13、1.0g、10.52mmol)、Cs2CO3(5.1g、15.70mmol)を1,4―ジオキサン(10.0ml)および水(0.1ml)で30分間攪拌し、1H―ピロール―2―カルボキサルデヒド(14、2.80g、12.62mmol)を加える。反応混合物を70℃下で10時間攪拌する。出発物質を消費した後、反応混合物を水(25ml)で希釈し、かつEtOAc(3×50ml)で抽出する。合併された有機層を氷水および食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ減圧下で蒸発させて、茶色液体(E)―3―(1H―ピロール―2―イル)エチルアクリレート(15、1.3g、76%)を得る。
【0155】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 1.22(t、J=6.8Hz、3H)、3.56(s、2H)、4.13(q、J=7.2Hz、2H)、6.13―6.21(m、2H)、6.56(s、1H)、7.02(s、1H)、7.40―7.48(m、1H)。LCMS:m/z 166.10[M+H]+、96%。
【0156】
3―(1H―ピロール―2―イル)エチルプロピオン酸エチル(16)の合成:EtOAc(50.0ml)中の(E)―3―(1H―ピロール―イル)エチルアクリレート(15、1.3g、7.87mmol)の溶液に10%Pd/炭素(0.3g、50%湿潤)を加える。反応混合物をH2雰囲気下で室温下で16時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物をセライトのパッドを介してろ過し、MeOHで洗浄し、かつ真空中で濃縮する。フラッシュカラムクロマトグラフィー法[順相、シリカゲル(100~200メッシュ)、ヘキサン溶液中の10%~15%の酢酸エチルの勾配]によって、残留物を精製して、無色液体の3―(1H―ピロール―2―イル)プロピオン酸エチル(16、1.25g、96%)を得る。
【0157】
1H NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 1.10―1.20(m、3H)、2.50―2.60(m、2H)、2.70―2.80(m、2H)、4.00―4.10(m、2H)、5.71(s、1H)、5.86(d、J=2.5Hz、1H)、6.56(s、1H)、10.57(bs、1H).LCMS:m/z 168.15(M+H)+、84%.
【0158】
3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオン酸エチル(18)の合成:3―(1H―ピロール―2―イル)プロピオン酸エチル(16、1.2g、7.18mmol)および3,5―ジメチル―1H―ピロール―2―カルボキサルデヒド(17、0.90g、7.31mmol)を無水DCM(48.0mL)で攪拌し、かつPOCl3(0.75mL、8.04mmol)を加える。反応混合物を室温下で16時間攪拌し、次に室温下で三フッ化ホウ素エーテル化合物(3.58mL、29.24mmol)およびDIPEA(5.30mL、30.70mmol)を加える。得られた混合物を室温下で16時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水(25mL)で希釈し、かつDCM(3×50.0mL)で抽出する。合併された有機層を食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ減圧下で蒸発させて、残留物を得る。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー法[順相、シリカゲル(100~200メッシュ)、ヘキサン溶液中の20%~25%の酢酸エチルの勾配]によって精製して、茶色固体の3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオン酸エチル(18、1.25g、54%)を得る。
【0159】
1H NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 1.18(t、J=6.8Hz、3H)、2.26(s、3H)、2.42(s、3H)、2.70―2.74(m、2H)、3.08―3.12(m、2H)、4.07(q、J=7.2Hz、2H)、6.31(s、1H)、6.36(d、J=4.0Hz、1H)、7.08(d、J=3.6Hz、1H)、7.71(s、1H).LCMS:m/z 319.21(M+H)+、99%。
【0160】
3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオン酸(19)の合成:3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオン酸エチル(18、1.25g、3.90mmol)のTHF(187.5mL)溶液に、濃HCl(62.5mL)および水(125.0mL)を反応混合物に加える。得られた混合物を室温下で48時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、DCM(125.0mL)で化合物を抽出する。合併された有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、茶色固体の粗3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオン酸(19、1.15g、粗生成物)を得る。
【0161】
LCMS:m/z 291.14(M―H)+、80%。
【0162】
1―(3―(4―(3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオニル)ピペラジン―1―カルボニル)―4―フルオロベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―13F―FL)の合成:0℃下で、1―(4―フルオロ―3―(ピペラジン―1―カルボニル)ベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン.2TFA(11、0.3g、0.51mmol、75%LCMS純度に基づいて計算する)および3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオン酸(19、0.16g、0.438mmol、80%の出発物質に基づいて計算する)のDMF(8.0mL)溶液にDIPEA(0.34mL、1.96mmol)およびHATU(0.37g、0.95mmol)を加える。反応混合物を室温下で2時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を氷水で希釈し、かつ固体をろ過する。減圧下で固体残留物を乾燥させて、粗残留物を得、それを分取HPLCによって精製して(逆相、X Select Phenyl Hexyl(19x250)mm、10μ、11分内に勾配には0.1%TFAの30%:~65%ACNを含み、RT:10.5分間)、赤褐色固体の1―(3―(4―(3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオニル)ピペラジン―1―カルボニル)―4―フルオロベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―13F―FL、0.14g、41%)を得る。
【0163】
1H NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 2.26(s、3H)、2.46(s、3H)、2.66―2.71(m、1H)、2.75―2.79(m、1H)、3.02―3.10(m、2H)、3.11―3.20(m、2H)、3.32―3.42(m、2H)、3.50―3.62(m、4H)、5.37(s、2H)、6.29(s、1H)、6.37(dd、J=14.2、3.8Hz、1H)、7.09(s、1H)、7.25(t、J=9.0Hz、1H)、7.35―7.29(m、1H)、7.40(d、J=6.2Hz、1H)、7.46(bs、1H)、7.69(s、1H)、8.37(d、J=7.6Hz、1H)、8.67(s、1H)、11.84(s、1H).LCMS:m/z 658.28[M+H]+(ES+)、98.93%.
【0164】
式IIIの化合物の合成
実施例3a:TRA―14Fの合成
【化50】
【0165】
実施例―3b:
1―((4―(4―(シクロペンタンカルボニル))ピペラジン―1―カルボニル)―5―フルオロピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―14F)の合成:
スキーム4
【化51】
2―アミノ―N―(tert―ブチル)ベンズアミド(21)の合成:2H―ベンゾ[d][1,3]オキサジン―2,4(1H)―ジオン(12、12.0g、73.60mmol)およびtert―ブチルアミン(8.53mL、80.96mmol)のDMF(75.0mL)溶液に、DMAP(1.35g、11.04mmol)を反応混合物に加え、かつ室温下で5時間攪拌する。反応終了後(TLCモニタリング)、反応混合物を水で希釈し、固体をろ過し、減圧下で乾燥させて、白色固体の2―アミノ―N―(tert―ブチル)ベンズアミド(21、9.0g、63%)を得る。
【0166】
LCMS:m/z 191.13[M+H]+、92%。
【0167】
(2―(tert―ブチルカルバモイル)フェニル)カルバメート(22)の合成:1,4―ジオキサン(44.0mL)中の2―アミノ―N―(tert―ブチル)ベンズアミド(21、5.46g、2.82mmol)およびクロロギ酸メチル(5、2.65g、2.82mmol)の溶液に、1N NaOH溶液(32.0mL)を反応混合物に加える。反応材料を室温下で3時間攪拌する。出発物質を消費した後、反応混合物を水(80mL)で希釈し、かつ酢酸エチル(2×50mL)で抽出する。合併された有機層を食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ減圧下で蒸発させて、茶色固体の粗(2―(tert―ブチルカルバモイル)フェニル)カルバメート(22、5.5g、粗生成物)を得る。
【0168】
1H NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 1.37(s、9H)、3.67(s、3H)、7.01(t、J=7.6Hz、1H)、7.46(t、J=7.2Hz、1H)、7.65(d、J=8Hz、1H)、8.04(bs、1H)、8.09(d、J=8.4Hz、1H)、10.56(bs、1H).LCMS:m/z 251.17[M+H]+、99%。
【0169】
3―(tert―ブチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(23)の合成:EtOH(100.0mL)中の(2―(tert―ブチルカルバモイル)フェニル)カルバメート(22、5.0g、15.82mmol)の溶液に、粉末KOH(10.0g)を反応混合物に加える。得られた混合物を80℃下で16時間攪拌する。出発物質を消費した後、反応混合物を水で希釈し、固体をろ過し、かつ減圧下で乾燥させて、白色固体の3―(tert―ブチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(23、2.5g、72%)を得る。
【0170】
1H NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 1.66(s、9H)、7.02―7.18(m、2H)、7.57(t、J=7.2Hz、1H)、7.82(d、J=8Hz、1H)、11.71(bs、1H).LCMS:m/z 219.16[M+H]+、99.75%。
【0171】
スキーム5
【化52】
4―(2―ブロモ―5―フルオロイソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(25)の合成:0℃下で、2―ブロモ―5―フルオロイソニコチン酸(24、5.0g、22.72mmol)およびピペラジン―1―カルボキシレート(9、5.0g、27.27mmol)のDCM(100.0mL)溶液にDIPEA(11.8mL、68.16mmol)およびT3P(21.6mL、34.08mmol、50%EtOAc溶液)を加える。反応混合物を室温下で4時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水(100mL)で希釈し、かつジクロロメタン(3×100ml)で抽出する。合併された有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ減圧下で蒸発させて、灰白色固体の4―(2―ブロモ―5―フルオロイソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(25、8.0g、91%)を得る。
【0172】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):1.40(s、9H)、3.22―3.30(m、4H)、3.40―3.42(m、2H)、3.58―3.63(m、2H)、8.83(d、J=5.2Hz、1H)、8.64(s、1H).LCMS:m/z 388.05[M+H]+、99%。
【0173】
4―(5―フルオロ―2―(メトキシカルボニル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(26)の合成:4―(2―ブロモ―5―フルオロイソニコチニル)ピペラジン―1―tert―ブチルエステル(25、4.0g、10.33mmol)のMeOH(120.0mL)溶液に、NaOAc(1.27g、15.49mmol)およびPdCl2(dppf).DCM(0.84g、1.03mmol)を反応混合物に加え、当該反応混合物をアルゴンガスで15分間パージし、60psiのCO雰囲気の圧力容器内で60℃下で24時間攪拌する。出発物質を消費した後、反応混合物を室温に冷却し、次に反応材料をセライトのパッドによってろ過し、MeOHで完全に洗浄し、かつ減圧下で濃縮する。フラッシュカラムクロマトグラフィー法[順相、シリカゲル(100~200メッシュ)、25%~30%酢酸エチルのヘキサン溶液に勾配する]によって残留物を精製して、白色固体の4―(5―フルオロ―2―(メトキシカルボニル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(4、2.50g、66%)を得る。
【0174】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):1.40(s、9H)、3.20―3.23(m、2H)、3.30―3.33(m、2H)、3.40―3.45(m、2H)、3.60―3.65(m、2H)、3.89(s、3H)、8.17(d、J=5.2Hz、1H)、8.82(s、1H).LCMS:m/z 368.23[M+H]+、93%
【0175】
4―(5―フルオロ―2―(ヒドロキシメチル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(27)の合成:0℃下で、4―(5―フルオロ―2―(メトキシカルボニル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(26、2.5g、6.79mmol)のMeOH:THF(50mL、1:1)の溶液に、塩化リチウム(0.29g、6.79mmol)およびホウ水素化ナトリウム(0.50g、13.58mmol)をバッチで加える。反応混合物を室温下で3時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、水(30.0mL)で反応をクエンチし、かつ減圧下で濃縮する。残留物を水(50.0mL)で希釈し、かつ酢酸エチル(2×50mL)で抽出する。合併された有機層を食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ減圧下で蒸発させて、茶色固体の粗生成物4―(5―フルオロ―2―(ヒドロキシメチル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(27、2.40g、粗生成物)を得る。
【0176】
LCMS:m/z 340.23[M+H]+、70%
【0177】
4―(5―フルオロ―2―(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(28)の合成:0℃下で、ジクロロメタン(48.0mL)中の4―(5―フルオロ―2―(ヒドロキシメチル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(27、1.68g、4.95mmol、70%の純度に基づいて計算する)の溶液に、Et3N(2.95mL、21.23mmol)およびMsCl(1.64g、21.21mmol)を順次に加える。反応混合物を室温下で6時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水(50mL)で希釈し、かつDCM(3×50mL)で抽出する。合併された有機層を食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、茶色固体の粗4―(5―フルオロ―2―(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(28、3.0g、粗生成物)を得、精製せずに次の段階に使用されることができる。
【0178】
4―(2―((3―(tert―ブチル)―2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロキナゾリン―1(2H)―イル)メチル)―5―フルオロイソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(29)の合成:3―(tert―ブチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(23、1.20g、5.50mmol)、4―(5―フルオロ―2―((メチルスルホニル)オキシ)メチル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(28、2.76g、6.60mmol)およびCs2CO3(3.57g、11.0mmol)をアセトニトリル(50.0mL)で60℃下で16時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、反応混合物を水(30mL)で希釈し、かつEtOAc(2×30mL)で抽出する。合併された有機層を食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得る。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー法によって[順相、シリカゲル(100~200メッシュ)、勾配含30%至40%酢酸エチル的ヘキサン]を精製して、白色固体の4―(2―((3―(tert―ブチル)―2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロキナゾリン―1(2H)―イル)メチル)―5―フルオロイソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(29、1.20g、41%)を得る。
【0179】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 1.44(s、9H)、3.18―3.21(m、2H)、3.20―3.23(m、2H)、3.38―3.41(m、2H)、3.58―3.62(m、2H)、5.37(s、2H)、7.26―7.20(m、2H)、7.49(d、J=5.0Hz、1H)、7.59(t、J=7.9Hz、1H)、7.93(d、J=6.7Hz、1H)、8.60(s、1H).LCMS:m/z 540.22[M+H]+、83%。
【0180】
1―((5―フルオロ―4―(ピペラジン―1―カルボニル)ピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン.2TFA(30)の合成:4―(2―((3―(tert―ブチル)―2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロキナゾリン―1(2H)―イル)メチル)―5―フルオロイソニコチニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(29、1.20g、2.22mmol)のジクロロメタン(24.0mL)攪拌溶液に、0℃下で、トリフルオロ酢酸(12.0mL)を加えて、かつ反応材料を室温下で6時間攪拌する。出発物質を消費した後(TLCによってモニタリングする)、減圧下で反応混合物を蒸発させて、灰白色固体の粗生成物1―((5―フルオロ―4―(ピペラジン―1―カルボニル)ピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン.2TFA(30、1.20g、粗生成物)を得る。
【0181】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 2.90―3.00(m、2H)、3.18―3.22(m、2H)、3.33―3.43(m、2H)、3.78―3.83(m、2H)、5.41(s、2H)、7.26―7.20(m、2H)、7.54(d、J=5.0Hz、1H)、7.63(t、J=7.9Hz、1H)、8.03(d、J=8.4Hz、1H)、8.65(s、1H)、8.78(bs、1H)、11.74(s、1H).LCMS:m/z 384.01[M+H]+、80%。
【0182】
1―((4―(4―(シクロペンタンカルボニル)ピペラジン―1―カルボニル)―5―フルオロピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―14F)の合成:0℃下で、1―((5―フルオロ―4―(ピペラジン―1―カルボニル)ピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン.2TFA(30、0.50g、0.82mmol)のDCM(10.0mL)溶液に、TEA(0.34mL、2.46mmol)およびシクロペンタンカルボニルクロリド(12、0.13g、0.98mmol)を加える。反応混合物を室温下で4時間攪拌する。反応終了後(TLCモニタリング)、反応混合物を水(10.0mL)で希釈し、かつジクロロメタン(3×50mL)で抽出する。合併された有機層を食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、粗残留物を得る。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー[順相、シリカゲル(100~200メッシュ)、2%~4%MeOHのDCM溶液を勾配する]によって精製されて、1―((4―(4―(シクロペンタンカルボニル)ピペラジン―1―カルボニル)―5―フルオロピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―14F、140mg、36%)を得る。
【0183】
1H NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 1.51―1.75(m、10H)、2.85―3.00(m、1H)、3.01―3.10(m、2H)、3.50―3.61(m、4H)、5.41(s、2H)、7.20―7.30(m、2H)、7.54(t、J=5.0Hz、1H)、7.64(t、J=7.9Hz、1H)、8.02(d、J=7.7Hz、1H)、8.62(d、J=3.1Hz、1H)、11.71(s、1H).LCMS:m/z 480.16[M+H]+(ES+)、98.26%
【0184】
実施例4a:TRA―14F―FLの合成
【化53】
実施例―4b:1―((4―(4―(3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオニル)ピペラジン―1―カルボニル)―5―フルオロピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―14F―FL)の合成:
スキーム6
【化54】
1―((4―(4―(3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオニル)ピペラジン―1―カルボニル)―5―フルオロピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―14F―FL)の合成:1―((5―フルオロ―4―(ピペラジン―1―カルボニル)ピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン.2TFA(29、0.7g、1.14mmol)および3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオン酸(19、0.27g、0.95mmol、80%LCMSの純度に基づいて計算する)のDMF(14.0mL)溶液に、0℃下で、DIPEA(0.60mL、3.44mmol)およびHATU(0.65g、1.72mmol)を加える。反応混合物を室温下で2時間攪拌する。反応終了後(TLCモニタリング)、反応混合物を氷水(40mL)で希釈し、固体をろ過して、残留物を得る。得られた残留物を減圧下で乾燥させて、粗生成物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによって[順相、シリカゲル(100~200メッシュ)、2%~5%のMeOHのDCM溶液に勾配する]精製して、赤褐色固体の1―((4―(4―(3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオニル)ピペラジン―1―カルボニル)―5―フルオロピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―14F―FL、0.20g、27%)を得る。
【0185】
1H NMR(400MHz、DMSO―d6)δ:2.26(s、3H)、2.46(s、3H)、2.62―2.80(m、1H)、2.78―2.75(m、2H)、3.01―3.10(m、2H)、3.11―3.20(m、2H)、3.30―3.40(m、2H)、3.51―3.63(m、4H)、5.41(s、2H)、6.30(s、1H)、6.43(dd、J=12.6、3.3Hz、1H)、7.09(s、1H)、7.20―7.28(m、2H)、7.54(bs、1H)、7.60-7.65(m、1H)、7.69(s、1H)、8.01(d、J=7.4Hz、1H)、8.62(s、1H)、11.71(s、1H).LCMS:m/z 658.31[M+H]+(ES+)、96%.
【0186】
実施例5
1―(3―(4―(シクロペンタンカルボニル)ピペラジン―1―カルボニル)―4―ヨードベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―13I)の合成:
スキーム7
【化55】
4―(シクロペンタンカルボニル)ピペラジン―1―カルボキシレート(31)の合成:
0℃下で、化合物9(0.5g、2.6mmol)およびEt3N(1.1mL、8.0mmol)のDCM(6mL)溶液に化合物12(0.35g、2.6mmol)を加える。混合物を室温下で2時間攪拌する。完了後、懸濁液を水中で溶解し、かつDCMで抽出する。有機層を食塩水溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、かつ真空中で濃縮して、無色ゲルの化合物31を得る。収率:(0.75g、86%)。
【0187】
1H―NMR(400MHz、CDCl3):δ 3.58(s、2H)、3.48(s、2H)、3.40―3.42(m、4H)、2.82―2.88(m、1H)、180―1.87(m、4H)、1.74―1.78(m、2H)、1.58―1.61(m、2H)、1.55(s、9H).
【0188】
シクロペンチル(ピペラジン―1―イル)メチルケトン塩酸塩(32)の合成:
化合物31(0.65g、2.3mmol)のDCM(8mL)溶液に4N HClの1,4―ジオキサン(5mL)溶液を加える。混合物を室温下で1時間攪拌する。完了後、溶媒を減圧下で除去し、白色固体32を得る。収率:(0.5g、90%)。
【0189】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 9.37(bs、1H)、3.72(m、1H)、3.66(m、1H)、3.02―3.06(m、2H).
【0190】
【0191】
2―ヨード―5―メチル安息香酸メチル(34)の合成:
化合物33(16.0g、61.0mmol)をDMF(150mL)に溶解し、次に炭酸カリウム(16.9g、122mmol)およびMeI(6.3mL、95.7mmol)で処理する。反応混合物を室温下で16時間攪拌する。完了後、懸濁液を水中で溶解し、かつEtOAcで抽出する。有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、かつ真空で濃縮して、茶色液体の化合物34を得る。
【0192】
1H―NMR(400MHz、CDCl3):δ 7.85(s、1H)、7.61(s、1H)、7.26(s、1H)、6.96―6.98(d、1H、J=6.8)、3.92(s、3H)、2.33(s、3H)、
収率:(15.2g、90%)。
【0193】
5―(ブロモメチル)―2―ヨード安息香酸メチルエステル(35)の合成:
四塩化炭素(150mL)中の化合物34(14.5g、52.0mmol)の攪拌溶液にN―ブロモスクシンイミド(11.5g、63.0mmol)を加え、次に触媒量の過酸化ベンゾイル(0.86g、5.2mmol)を加える。該溶液を24時間還流する。反応混合物をろ過して、スクシンイミド副生成物を除去し、ろ液を食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、かつ減圧下で蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5~8%EtOAcのヘキサン溶液)で粗生成物を精製して、白色固体の化合物35を得る。
【0194】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 7.96―7.98(d、1H、J=8.0Hz)、7.82―7.83(d、1H、J=2.2Hz)、7.17―7.18(d、1H、J=2.2Hz)、4.43(s、1H)、3.94(s、3H)。
【0195】
収率:(9.2g、50%)。
【0196】
5―((3―(tert―ブチル)―2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)―イル)メチル)―2―ヨード安息香酸メチルエステル(36)の合成:
化合物6(2.7g、12.3mmol)、化合物35(12.3mmol)、Cs2CO3(24.6mmol)およびアセトニトリルの懸濁液を80℃下で16時間攪拌する。完了後、RMを水で希釈し、かつEtOAcで抽出する。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、かつ減圧下で蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10~15%EtOAcのヘキサン溶液)で粗生成物を精製して、白色固体の化合物36を得る。
【0197】
1H―NMR(400MHz、CDCl3):δ 8.55―8.56(m、1H)、8.31―8.34(dd、1H、J=4Hz、8Hz)、7.90―7.92(m、1H)、7.24(s、1H)、7.12―7.16(m、1H)、5.44(s、2H)、3.90(s、3H)、1.73(s、9H).
収率:(3.6g、68%).
ESI―MS:m/z 494[M+1]+.
【0198】
5―((2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロピリド[2,3―d]ピリミジン―1(2H)―イル)メチル)―2―ヨード安息香酸(37)の合成:
化合物36(3.5g、7.0mmol))および6N HCl(15mL)を1,4―ジオキサン(25mL)の溶液で16時間還流する。得られた懸濁液を室温に冷却し、かつNaOH溶液を加えてpH12~13に調節する。室温下で溶液を3時間攪拌する。完了後、6N HClで溶液をpH<2.0に酸性化する。沈殿物をろ過し、水および少量のMeOHで洗浄する。沈殿物を減圧下で乾燥して、白色固体の化合物37を得る。
【0199】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 13.3(bs、1H)、11.86(bs、1H)、8.66―8.67(t、1H、J=4.7)、8.35―8.37(dd、1H、J=1.2Hz、7.5Hz)、7.86―7.92(m、1H)、7.67(s、1H)、7.37―7.32(m、1H)、7.16―7.22(m、1H)、5.34(s、2H)、3.56(s、1H)、1.60(s、1H)。
【0200】
収率:(0.96g、32%)。
【0201】
ESI―MS:m/z 421.9[M―1]―。
【0202】
1―(3―(4―(シクロペンタンカルボニル)ピペラジン―1―カルボニル)―4―ヨードベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―13I)の合成:
室温下で、化合物36(0.2g、4.7mmol)および化合物32(0.11g、5.0mmol)のDCM溶液にDIPEA(0.26mL、14mmol)を加える。得られた混合物を室温下で15分間攪拌し、次にT3P(50%EtOAc)(0.45mL、14mmol)を加える。反応混合物を室温下で16時間攪拌する。完了後、RMを水で希釈し、かつDCMで抽出する。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、かつ減圧下で蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(70―80%EtOAcのヘキサン溶液)で粗生成物を精製して、白色固体の化合物TRA―13Iを得る。収率:(0.16g、59%)。
【0203】
ESI―MS:m/z 588.13[M+1]+。
【0204】
実施例6
スキーム9
【化57】
4―(3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオニル)ピペラジン―1―カルボニルtert―ブチルエステル(38)の合成:
室温下で、DCM(15mL)中の化合物19(1.4g、4.7mmol)および化合物9(0.9g、4.7mmol)の溶液にDIPEA(2.5mL、14.3mmol)を加える。得られた混合物を室温下で15分間攪拌し、次にT3P(50%のEtOAc溶液)(3.0mL、9.6mmol)を加える。反応混合物を室温下で16時間攪拌する。完了後、RMを水で希釈し、かつEtOAcで抽出する。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥し、かつ減圧下で蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(50~70%EtOAcのヘキサン溶液)で粗生成物精製して、緑色のゲルの化合物38を得る。
【0205】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 7.69(s、1H)、7.08―7.09(d、1H、J=3.9Hz)、6.41―6.42(d、1H、J=3.8Hz)、6.30(s、1H)、5.75(s、1H)、3.44(q、4H)、3.05―3.09(t、2H、J=14.2Hz)、2.71―2.75(t、2H、J=15.3Hz)、2.46(s、2H)、2.26(s、3H)、1.40(s、9H)。収率:(0.9g、46%)。
【0206】
ESI―MS:m/z 459.1[M―1]―。
【0207】
3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)―1―(4―(2,2,2―トリフルオロアセチル)―4l4―ピペラジン―1―イル)プロップ―1―アン(39)の合成:
DCM(5mL)中の化合物38(0.9g、1.9mmol)の溶液にTFA(5mL)を加える。反応混合物を室温下で1時間攪拌する。完了後、溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(15~20%MeOHのDCM溶液)で粗生成物を精製して、茶色固体の化合物39を得る。
【0208】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 5.37(s、2H)、7.20―7.28(m、1H)、7.30―7.35(m、1H)、7.55―7.62(m、1H)、7.85(d、J=6Hz、1H)、8.36(d、J=7.2Hz、1H)、8.69(d、J=3.6Hz、1H)、11.85(bs、1H)。
【0209】
収率:(0.3g、42%)。
【0210】
ESI―MS:m/z 359.1[M―1]―。
【0211】
1―(3―(4―(3―(5,5―ジフルオロ―7,9―ジメチル―5H―5l4,6l4―ジピロロ[1,2―c:2’,1’―f][1,3,2]ジアゼピン―3―イル)プロピオニル)ピペラジン―1―カルボニル)―4―ヨードベンジル)ピリド[2,3―d]ピリミジン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―13I―FL)の合成:
室温下で、DCM(4mL)中の化合物37(0.2g、4.0mmol)および化合物39(0.17g、4.0mmol)の溶液にDIPEA(0.26mL、14.0mmol)を加える。得られた混合物を室温に15分間攪拌し、次にT3P(50%EtOAc)(0.45mL、14.0mmol)を加える。反応混合物を室温下で16時間攪拌する。完了後、RMを水で希釈し、かつEtOAcで抽出する。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、かつ減圧下で蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(50―70%EtOAcのヘキサン溶液)で粗生成物を精製して、白色固体の化合物TRA―13I―FLを得る。
【0212】
収率:(0.21g、58%)。
【0213】
ESI―MS:m/z 765.8[M+1]+。
【0214】
実施例7
スキーム10
【化58】
4―(5―アミノ―2―クロロイソニコチニル)ピペラジン―1―カルボン酸ベンジルエステル(41)の合成:
室温下で、DCM(100mL)中の化合物40(10.0g、57.9mmol)および化合物9(14.0g、57.9mmol)の溶液にDIPEA(10.2mL、57.9mmol)を加える。得られた混合物を室温下で15分間攪拌し、次に0℃下で、T3P(50%EtOAc)(74mL、57.9mmol)を加える。反応混合物を室温下で16時間攪拌する。完了後、混合物を水で希釈し、かつDCMで抽出する。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(70~80%EtOAcのヘキサン溶液)で粗生成物を精製して、白色固体の化合物41を得る。
【0215】
収率:(12.5g、57%)。
【0216】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 7.82―7.84(d、1H、J=9Hz)、7.36(s、6H)、7.08(s、1H)、5.58(s、2H)、5.06―5.10(d、2H、J=14.1Hz)、3.38―3.65(m、8H)。
【0217】
ESI―MS:m/z 375.4[M+1]+。
【0218】
4―(5―((ビス―(tert―ブトキシカルボニル))アミノ)―2―クロロイソニコチニル)ピペラジン―1―カルボン酸ベンジルエステル(42)の合成:
THF(100mL)中の化合物41(13.0g、34.7mmol)、Boc2O(15.0mL、34.7mmol)の溶液を―10℃に冷却する。0℃以下で、15分内にLiHMDS溶液(69.0mL、69.4mmol、THF中1M)を加える。反応混合物を70℃下で16時間攪拌する。完了後、反応混合物を0℃に冷却し、飽和NH4Cl溶液でクエンチし、かつEtOAcで抽出する。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、かつ減圧下で蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(70~80%EtOAcのヘキサン溶液)で粗生成物を精製して、白色固体の化合物42を得る。収率:(16.5g、85%)。
【0219】
ESI―MS:m/z 575.4[M+1]+。
【0220】
4―(5―(ビス(tert―ブトキシカルボニル)アミノ)―2―(メトキシカルボニル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボン酸ベンジルエステル(43)の合成:
DMF(30mL)およびMeOH(30mL)中の化合物42(13.0g、27.4mmol)の溶液をアルゴンガスで10分間パージし、Pd(OAc)2(0.30g、1.37mmol)および黄リン(1.58g、2.74mmol)を加える。反応容器に100psiに達するCOガスを充填し、pair容器で80℃下で16時間攪拌する。完了後、RMをセライトのパッドでろ過し、かつEtOAcで洗浄する。ろ液を水で洗浄し、有機層を分離し、かつ減圧下で濃縮して、粗生成物を得る。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%EtOAcのヘキサン溶液)で精製して、白色固体の所望の化合物43を得る。
【0221】
収率:(10.0g、67%)。
【0222】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 8.71―8.73(d、1H、J=8.3Hz)、8.11(s、1H)、7.33―7.35(m、5H)、5.09(s、2H)、3.88(s、3H)、3.30―3.50(m、6H)、3.17―3.24(m、2H)、1.38(s、18H)。
【0223】
ESI―MS:m/z 599.5[M+1]+。
【0224】
4―(5―(ビス(tert―ブトキシカルボニル)アミノ)―2―(ヒドロキシメチル)イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボン酸ベンジルエステル(44)の合成:
MeOH(40mL)中の化合物43(10.0g、16.7mmol)の溶液を0℃に冷却し、10内にNaBH4(1.9g、50.1mmol)をバッチで加える。反応混合物を室温下で2時間攪拌する。完了後、反応混合物を水でクエンチし、かつDCMで抽出する。有機層を分離し、かつ減圧下で濃縮して、白色固体の所望の化合物44を得る。収率:(7.0g、74%)。
【0225】
ESI―MS:m/z 371.2[M+1]+。
【0226】
4―(5―(ビス(tert―ブトキシカルボニル)アミノ)―2―((3―(tert―ブチル)―2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロキナゾリン―1(2H)―イル)メチル))イソニコチニル)ピペラジン―1―カルボン酸ベンジルエステル(45)の合成:
0℃下で、THF中の化合物44(7.0g、9.0mmol)、化合物23(1.98g、9.0mmol)およびPPh3(3.5g、13.6mmol)の溶液にDIAD(2.8mL、13.6mmol)を加える。反応混合物を室温下で1時間攪拌する。完了後、反応混合物を水でクエンチし、かつEtOAcで抽出する。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、かつ減圧下で蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(30~40%EtOAcのヘキサン溶液)で粗生成物を精製して、白色固体の化合物45を得る。収率:(4.0g、48%)。
【0227】
1H―NMR(400MHz、DMSO―d6):δ 8.85(s、1H)、8.46(s、1H)、7.91―7.93(d、1H、J=7.6Hz)、7.52―7.55(t、1H、J=7.6Hz)、7.44(s、1H)、7.32―7.36(m、5H)、7.13―7.16(m、2H)、5.41(s、2H)、5.09)s、2H)、4.75―4.79(m、1H)、3.55(m、2H)、3.43(m、2H)、3.07(m、2H)、1.65(s、9H)、1.32(s、18H)。
【0228】
ESI―MS:m/z 771.4[M+1]+。
【0229】
5―アミノ―2―((2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロキナゾリン―1(2H)―イル)メチル)イソニコチン酸(46)の合成:
化合物45(2.0g、852mmol)、6N HCl(5mL)および1,4―ジオキサン(8mL)の混合物を100℃下で16時間攪拌する。反応完了後、水で反応混合物を希釈し、固体懸濁液をろ過および沈殿し、減圧下で乾燥させて、白色固体の化合物46を得る。収率:(0.35g、41%)。
【0230】
ESI―MS:m/z 311.0[M―1]―。
【0231】
2―((2,4―ジオキソ―3,4―ジヒドロキナゾリン―1(2H)―イル)メチル)―5―ヨードイソニコチン酸(47)の合成:
H2O(20mL)およびH2SO4(15mL)中の化合物46(0.35g、1.1mmol)の懸濁液を0℃に冷却し、かつNaNO2(0.155g、2.2mmol)を加える。反応混合物を0℃下で、1時間攪拌し、次にKI(1.2g、7.22mmol)を加える。混合物を70℃に加熱し、かつ20分間維持し、次に0℃に冷却する。固体沈殿物をろ過し、水で洗浄し、かつ減圧下で乾燥させて、薄茶色固体の化合物47を得る。
【0232】
収率:(0.2g、42%)。
【0233】
ESI―MS:m/z 421.2[M―1]―。
【0234】
1―((4―(4―(シクロペンタンカルボニル)ピペラジン―1―カルボニル)―5―ヨードピリジン―2―イル)メチル)キナゾリン―2,4(1H,3H)―ジオン(TRA―14I)の合成:
室温下で、DMF中の化合物47(0.2g、0.47mmol)および32(0.095g、0.47mmol)の溶液にDIPEA(0.26mL、1.42mmol)を加える。得られた混合物を室温下で15分間攪拌し、次に0℃下で、T3P(50%EtOAc溶液)(1.0mL、1.42mmol)を加える。反応混合物を室温下で16時間攪拌する。完了後、RMを水で希釈し、かつDCMで抽出する。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、かつ減圧下で蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(70―80%EtOAcのヘキサン溶液)で粗生成物を精製して、白色固体の目標化合物TRA―14Iを得る。
【0235】
収率:(0.070g、24%)。
【0236】
ESI―MS:m/z 588.20[M+1]+。
【0237】
B.本発明の具体的な化合物
B.1.本発明の化合物
以下に列挙される表1において、本発明の例示的な化合物は、表の形態で列挙される。当該表には、化合物の名称、任意に指定された化合物の番号、および構造情報がリストされる。次の表には、具体的に示されていないが、一つまたは複数の指定されたハロゲン原子は、任意選択で放射性標識原子に置き換えられることができ、例えば、―Fは、18Fに置き換えられることができ、Iは、123Iに置き換えられることができ、等。
【0238】
【0239】
実施例5:インビトロでのPARP阻害活性の測定:
材料および方法
阻害剤(13F、14F、13I―FL、13F―FL、14F―FL、13Iおよび14I)を―20℃に保ち、濃度が20mg/mLであるDMSOに溶解する。
【0240】
PARP/ユニバーサルアポトーシス比色検出キット4677―096―Kは、BioTechne-R&D Systemsから購入する。当該ELISAキットは、PARP―1によって96ウェルフォーマットで固定化されたヒストンに沈着したビオチン化ポリ(ADP―リボース)を検出することができる。Strep―HRP(ビオチン結合タンパク質)および比色HRP基質の添加により、PARP―1活性に関連する相対吸光度が得られる。当該キットは、PARP―1阻害剤候補のインビトロスクリーニングおよびIC50値の測定に使用される。
【0241】
サプライヤーが推奨する方案に従う。阻害剤の1/10シリーズの希釈液(500μM~0.5nMの範囲、七つのデータポイントを三つのグループ)を指定されたウェルに添加する。阻害剤の非存在下で0.5U/ウェルのPARP―HSA酵素を、インキュベートしたウェルを100%活性の基準点として使用する。データは、最大活性のパーセンテージとして表され、Graph Pad Prism8を使用して、濃度(M)の対数の関数としてグラフ化される。用量―反応―阻害方程式を使用して、IC50値を決定する。
【0242】
結果
すべての化合物のIC50は、表1に示される。14Fおよび14F―FLで最高のIC50値があり、13F―FLおよび13Fがそれに続く。
【0243】
ヨウ素標識化合物は、フッ素標識化合物よりも高いIC50値を有することが分かる。
【0244】
【0245】
フッ素標識化合物の用量反応曲線は、
図1に示される。これらのデータは、14Fおよび14F―FL化合物がそれぞれ13Fおよび13F―FL化合物よりもわずかに優れているという、IC
50値の観察結果を確認する。
【0246】
実施例6:インビトロ細胞取り込む実験
実施例5で提供されたデータは、14Fおよび14F―FL化合物が最適なIC50値を有することを示すため、インビトロ細胞取り込む実験は、これらの特定の化合物に焦点を合わせて、頭頚部癌細胞株の実施例におけるこれらの蛍光トレーサーの機能/細胞浸透能力および特異性を試験する。
【0247】
材料および方法
材料
14F―FLおよび非標識類似体14Fは、上記のように調製される。オラパリブ(Olaparib)(AZD2461)は、シグマ(Sigma)から購入し、参照として使用する。DMSOで様々な化合物のストック溶液(20mg/mL)を調製し、かつ―20℃で保存する。さらに使用するために、化合物を細胞培地で適切な濃度に希釈する。
【0248】
細胞株FaDu(HTB―43、咽頭扁平上皮がん)およびCal27(CRL―2095、舌扁平上皮がん)細胞株は、ATCCから購入し、食管腺がん細胞株OE33は、シグマ(Sigma)から購入する。
【0249】
細胞培養
FaDuおよびCal27細胞は、DMEM培地で培養され、OE33は、RPMI培地で培養される。培地には、10%ウシ胎児血清、2mMのL―グルタミン酸および100U/mLのペニシリン/100μg/mLのストレプトマイシンが添加される(非必須アミノ酸もDMEM培地に添加される)。80%飽和状態の場合、細胞を週2回、1/20 1/50の1/20の比率でトリプシン消化し、継代培養する。
【0250】
インビトロ細胞結合研究
40000個の細胞(FaDu、OE33またはCal27)を24ウェルプレート(ガラス底細胞イメージングプレート、エッペンドルフ(Eppendorf))に接種し、37℃下で2日間培養する。培地を除去した後、0.5mLの培地(条件1)、0.5mLの10μM非標識PARPi(14F)(条件2)または0.5mLの10μMオラパリブ(Olaparib)(条件3)のうちの一つを細胞に添加する。37℃下で30分間インキュベートした後、1mLの培地で細胞を洗浄する。続いて、最終濃度が0.1μMである0.5mLの14F―FLを添加し、37℃下で15分間インキュベートする。次に、細胞を1mLの冷PBSで3回洗浄し、1mLの4%パラホルムアルデヒド(VWR)で7~10分間固定し、次に1mLのPBSで再度洗浄する。最後に、0.5mLの1μg/mLのDAPI染色溶液(DAPIプレハブ溶液、シグマ(Sigma))を少なくとも10分間加えて、細胞核を染色する。
【0251】
インビトロ結合速度論
40000個のFaDu細胞を24ウェルプレート(ガラス底細胞イメージングプレート、エッペンドルフ(Eppendorf))に接種し、37℃下で2日間培養する。培地を除去した後、最終濃度が0.1μMである0.5mLの14F―FLを加え、37℃下で2分間、10分間、20分間、30分間、45分間または60分間インキュベートする。次に細胞を1mLの冷PBSで3回洗浄し、1mLの4%パラホルムアルデヒド(VWR)で7~10分間固定化し、次に1mLのPBSで再度洗浄する。最後に、0.5mLの1μg/mLのDAPI染色溶液(DAPIプレハブ溶液、シグマ(Sigma))を少なくとも10分間加えて、細胞核を染色する。
【0252】
インビトロ解離動力学
40000個のFaDu細胞を24ウェルプレート(ガラス底細胞イメージングプレート、エッペンドルフ(Eppendorf))に接種し、37℃下で2日間培養する。培地を除去した後、最終濃度が0.1μMである0.5mLの14F―FLを加え、37℃下で15分間インキュベートする。次に細胞を1mlの冷PBSで3回洗浄し、37℃の培地で0分間、30分間、1時間、2時間、4時間または24時間さらにインキュベートする。1mLの冷PBSで1回洗浄した後、細胞を4%パラホルムアルデヒド(VWR)で固定化し、上記のようにDAPIで染色する。
【0253】
共焦点顕微鏡
共焦点顕微鏡(LSM800、Zeiss)で得られて細胞の高解像度の明視野および蛍光画像は、励起波長および発光波長がDAPIに対して405/455nmである場合、BodipyFL(標準条件)に対して488/525nmである。画像は、Plan Apochromat63x/1.4オイル対物レンズで撮影される。ソフトウェアZenLITE(Zeiss)を使用して画像を分析する。
【0254】
フローサイトメトリー
懸濁した250000個の細胞(FaDu、Cal27またはOE33)を、0.5mLの培地、0.5mLの10μM非標識14Fまたは0.5mLの10μMオラパリブ(Olaparib)類似体とともにインキュベートする。37℃下で30分間インキュベートした後、細胞を0.5mLの培地で1回洗浄し、次に37℃下で0.5mLの0.1μMの14F―FLとともに10分間インキュベートする。次に細胞を培地で3回洗浄し(1x10分間のインキュベーションを含む)、かつFACS緩衝液(PBS+0.5%FBS+EDTA+N3)に再懸濁する。最後に、GFPチャネル(ex488nm、emフィルター510nm)のフローサイトメーター(BD Celesta)で細胞を分析する。FlowJoソフトウェアを使用してデータを分析する。
【0255】
結果
細胞結合研究14F―FL
14F―FLをCal27、FaDuまたはOE33細胞とインキュベートした後、三つの細胞株のすべての細胞核に強い緑色の蛍光シグナル(DAPIシグナルとの共局在、核染色)が観察される。14F―FLのシグナルは、核内に集中され、当該構造には大量(50%に達する)のPARP1酵素(Boamah、2012、PLoS Genet)を含まれていると言われる。OE33と比較して、最も高いシグナルはCal27およびFaDu細胞株で観察される。細胞を過剰の非標識類似体14Fで前処理した場合、緑色の蛍光シグナルは見られない。(データには示されていない)、結合の特異性が示される。
【0256】
フローサイトメトリー
フローサイトメトリーデータによると、14F―FL化合物がCal27、FaDuおよびOE33細胞に有意に結合することが確認される(それぞれ
図2A―Cである)。過剰な非標識14Fで細胞を前処理すると結合が減少するため、このような結合は特異的である。これらの「ブロッキング」条件のシグナルは未染色の細胞のシグナルよりも高いため、トレーサーも非特異的な結合を示すことは注目に値する(細胞質との結合は顕微鏡で見られることができる)。より高い強度で洗浄しても、バックグラウンドシグナルは減少しない。
【0257】
14F―FLの結合速度論
14F―FLの最大結合は、FaDu細胞とのインキュベーションから10分以内に実現する(データには示されない)。インキュベーション時間を60分に延長しても、ターゲティングは大幅に強化されない。
【0258】
14F―FLの解離動力学
結合後、14F―FLは、依然にターゲットに数時間結合する。約2~4時間から、細胞核内の14F―FLのシグナルは徐々に弱まる。24時間後も、核内でいくつかのシグナルを観察することができるが、大幅に減少する(データには示されない)。
【0259】
フローサイトメトリー
フローサイトメトリーデータは、上記の顕微鏡データを確認する。
【0260】
具体的には、14F―FL化合物の有意な結合が見られる(
図3A―C)。過剰な非標識14Fで細胞を前処理すると結合が減少するため、このような結合は特異的である。
【国際調査報告】