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特表2022-532436濃厚物質ポンプおよび濃厚物質の搬送方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(54)【発明の名称】濃厚物質ポンプおよび濃厚物質の搬送方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 15/02 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
F04B15/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576333
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020067792
(87)【国際公開番号】W WO2020260443
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】102019117356.6
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519044656
【氏名又は名称】プツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PUTZMEISTER ENGINEERING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カステン, クヌート
【テーマコード(参考)】
3H075
【Fターム(参考)】
3H075AA13
3H075BB05
3H075CC25
3H075CC40
3H075DA06
3H075DA11
3H075DB44
(57)【要約】
入口開口(24)から出口開口(25)を経て入口開口(24)に戻る閉鎖路に沿って延びる搬送チャンバ(23)を有する濃厚物質ポンプであって、搬送チャンバ(23)は、入口開口(24)と出口開口(25)との間に第1の接続路(33)と第2の接続路(53)を形成する。第1のピストン(26)は、搬送チャンバ(23)の第1の接続路(33)に沿って搬送運動を行い、その結果、搬送運動により、濃厚物質が出口開口(25)を介して搬送チャンバ(23)から搬出され、濃厚物質が入口開口(24)を介して搬送チャンバ(23)内に導入される。搬送チャンバ(23)には、第1の状態では第2の接続路(53)を遮断し、第2の状態では第2の接続路(53)を開放して第1のピストン(26)を第2の接続路(53)に沿って運動させる遮断要素(27,52)が設けられている。さらに、本発明は、濃厚物質を搬送する方法に関する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口開口(24)から出口開口(25)を経て前記入口開口(24)に戻る閉鎖路に沿って延びる搬送チャンバ(23)を有する濃厚物質ポンプであって、
前記搬送チャンバ(23)は、前記入口開口(24)と前記出口開口(25)との間に第1の接続路(33)と第2の接続路(53)とを形成し、前記搬送チャンバ(23)の前記第1の接続路(33)に沿って搬送運動を行う第1のピストン(26)を有し、これにより、前記第1のピストン(26)を前記第2の接続路(53)に沿って運動させるために、前記搬送チャンバ(23)から前記出口開口(25)を介して濃厚物質が搬送され、前記入口開口(24)を介して濃厚物質が前記搬送チャンバ(23)内に導入されるとともに、遮断要素(27,52)を前記搬送チャンバ(23)内に有し、前記遮断要素(27,52)が前記第2の接続路(53)を第1の状態で遮断し、前記第2の接続路(53)を第2の状態で開放し、前記第1のピストン(26)には、前記搬送チャンバ(23)を区切る壁シェル(36,37)が付けられ、前記壁シェルは、前記搬送チャンバ(23)の全長に亘って延び、前記第1のピストン(26)と共に移動する、濃厚物質ポンプ。
【請求項2】
前記壁シェル(36,37)は、前記濃厚物質ポンプの駆動モータ(46)と前記第1のピストン(26)との間に延びる接続要素(29,30)よりも周方向の長さが大きいことを特徴とする、請求項1に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項3】
前記壁シェル(36,37)は、少なくとも30°、好ましくは少なくとも60°、より好ましくは少なくとも90°の円周角(58)に亘って延びることを特徴とする、請求項1又は2に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項4】
前記遮断要素は、遮断弁(52)であり、前記遮断弁(52)は、前記第1の状態では前記第2の接続路(53)に配置され、前記第2の状態では前記第2の接続路(53)から横方向に離間されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項5】
前記遮断要素は、第2のピストン(27)であり、前記第2のピストン(27)は、同様に、前記搬送チャンバ(23)の前記第1の接続路(33)に沿って搬送運動を行うように設計されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項6】
前記第2のピストン(27)は、前記第1のピストン(26)の搬送運動中に停止していることを特徴とする、請求項5に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項7】
前記第2のピストン(27)は、前記第1のピストン(26)の搬送運動中、前記出口開口(25)と前記入口開口(24)との中間位置(32)に配置されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項8】
前記搬送チャンバ(23)は、入口開口(24)と2つの出口開口(25,55)とを有し、3つのピストン(26,27,56)が前記搬送チャンバ(23)内に配置されていることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項9】
前記第1のピストン(26)の第1の壁シェル(36)は、前記搬送チャンバ(23)の異なる円周部分に沿って前記第2のピストン(27)の第2の壁シェル(37)まで延びていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項10】
前記搬送チャンバ(23)は、前記第1の壁シェル(36)および前記第2の壁シェル(37)に対して開放された円周部分を有し、前記開放された周縁部(24)が前記入口開口(24)および前記出口開口(25)に向けられていることを特徴とする、請求項9に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項11】
前記搬送チャンバ(23)の前記壁は、厚物ポンプのハウジング部(38)によって自由に保持された円周部分に形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項12】
前記ハウジング部(38)には、前記入口開口(24)と前記出口開口(25)とが配置されていることを特徴とする、請求項11に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項13】
前記ピストン(26,27)の、前記入口開口(24)または前記出口開口(25)を跨ぐ円周部分は、硬質金属からなる端部片(43)によって形成されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項14】
濃厚物質ポンプの出口(50)は補助搬送シリンダ(49)に結合されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の濃厚物質ポンプ。
【請求項15】
第1のピストン(26)を搬送チャンバ(23)内で移動させる濃厚物質の搬送方法であって、
前記搬送チャンバ(23)は、入口開口(24)から出口開口(25)を経て前記入口開口(24)に戻る閉鎖路に沿って延び、前記入口開口(24)と前記出口開口(25)との間に第1の接続路(33)と第2の接続路(53)とを形成し、前記第1のピストン(26)には壁シェル(36,37)が付けられ、前記壁シェル(36,37)は、前記搬送チャンバ(23)を区切って前記搬送チャンバ(23)の全長に亘って延び、前記第1のピストン(26)と共に移動し、
第1段階では、前記第1のピストン(26)を前記第1の接続路(33)に沿って前記入口開口(24)から前記出口開口(25)の方向に移動させて、前記第2の接続路(53)を遮断しつつ、前記出口開口(25)を介して濃厚物質を搬送し、前記入口開口(24)を介して濃厚物質を前記搬送チャンバ(23)に導入し、
第2段階では、前記第1のピストン(26)が前記第2の接続路(53)に沿って移動する、搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃厚物質ポンプ及び濃厚物質を搬送する方法に関する。
【0002】
濃厚物質ポンプは、たとえば、生コンクリートまたはモルタルのような濃厚物質を搬送するために使用される。濃厚物質は貯蔵供給源から吸引され、濃厚物質ポンプの出口に向かって搬送される。従来技術からの典型的な濃厚物質ポンプは、複数の搬送シリンダを含み、それは、ポンプが多くの空間EP 3 282,124 A1を占有する理由である。円形路に沿って延びる搬送チャンバを有する濃厚物質ポンプは、特許第61053481号公報から知られている。
【0003】
本発明の根底にある問題は、濃厚物質ポンプおよび関連する方法を導入することであり、その結果、濃厚物質ポンプの作動中の摩擦が低減される。表示されているように、先行技術から出発して、問題は独立クレームの特徴によって解決される。有利な実施形態は、従属クレームに明記されている。
【0004】
本発明による濃厚物質ポンプは、入口開口から出口開口を経て入口開口に戻る閉鎖路に沿って延びた搬送チャンバを備える。搬送チャンバは、入口開口と出口開口との間に第1の接続路と第2の接続路とを形成している。前記搬送チャンバには、搬送チャンバの第1の接続路に沿って搬送運動するように構成された第1のピストンが配置されており、搬送運動に伴って搬送チャンバから出口開口を介して濃厚物質が搬送され、入口開口を介して搬送チャンバに濃厚物質が導入される。第2の接続路を第1の状態で遮断し、第2の接続路を第2の状態で開放する遮断要素は、第2の接続路に沿った第1のピストンの運動を可能にするために、搬送チャンバ内に配置される。第1のピストンには、搬送チャンバを区切る壁シェルが付けられている。壁シェルは、搬送チャンバの全長に亘って延び、第1のピストンと共に移動する。壁シェルがピストンと共に移動されるとき、搬送される材料は、壁シェルとほぼ同じ速度で搬送チャンバに沿って進む。このようにして、搬送チャンバの壁と搬送される材料との間の摩擦が低減されるので、ポンプが作動している間の摩擦損失が低減される。
【0005】
摩擦損失の低減に関しては、ピストンに接続される壁シェルの周方向の寸法を大きくすることが有利である。周方向は、ピストンの運動方向と直角をなす平面内に延びている。すなわち、周方向、円周部分等の用語は、搬送チャンバの横断面に関するものである。これに対して、ピストンが搬送チャンバに沿って移動する方向を、搬送チャンバの縦方向という。壁シェルの周方向の寸法が大きいほど、搬送される材料が搬送チャンバの壁に対して移動する搬送チャンバの周方向部分が小さくなり、摩擦損失の低減が大きくなる。
【0006】
搬送チャンバに沿ってピストンの運動を推進するために、濃厚物質ポンプは駆動モータを含むことができる。ピストンの運動が駆動される手段として、搬送チャンバの壁構成要素の径方向外側に配置された接続要素が、駆動モータとピストンとの間に延びてもよい。壁シェルの周方向の延長部は、周方向に延びる平面における接続部の範囲よりも大きいことが好ましい。壁シェルは、周方向に少なくとも30°、好ましくは少なくとも60°、より好ましくは少なくとも90°に亘って延びてもよい。本明細書は、搬送チャンバの中心点に対して、壁シェルによって覆われる角度に関する。周方向における壁シェルの範囲は、搬送チャンバの長さに亘って一定であってもよい。
【0007】
一実施形態において、遮断要素は遮断弁であり、第1の状態では第2の接続路内に配置され、第2の状態では第2の接続路から横方向に間隔を置いて配置されて、第1のピストンが第2の接続路を通過できるようになっている。遮断弁は、前記遮断値が横方向に運動することにより、第1の状態と第2の状態との間で切り換えられる。横方向の運動は、一般に、遮断弁が接続路から離れて移動するか、または接続路に接近して移動するように、搬送チャンバに沿ってピストンの運動方向と角度を形成する運動として特徴付けられる。遮断弁の運動方向は、ピストンの運動方向と直角を成すように、径方向の運動であってもよい。
【0008】
また、第1のピストンの搬送運動中に第2の接続路が遮断され、第1のピストンの第1の搬送運動と第2の搬送運動との中間段階で第2の接続路が開放されるように設定してもよい。その後、第1のピストンは、搬送チャンバに沿って連続的な運動を行うことができ、遮断要素を調整することにより、濃厚物質が搬送される搬送段階と、濃厚物質が搬送されない中間段階との間の切り替えがもたらされる。
【0009】
別の実施形態において、遮断要素は第2のピストンであり、同様に、同じ搬送チャンバの第1の接続路に沿って搬送運動を行うように設計されている。第1のピストンの搬送運動の移動方向は、第2のピストンの搬送運動の移動方向と一致してもよい。第2のピストンは、第1のピストンの搬送運動中に第2の接続路を遮断することができ、その逆も同様である(第1のピストンは、第2のピストンの搬送運動中に第1の接続路を遮断することができる)。第2のピストンが第2の接続路を遮断する場合、本発明の意味における第2のピストンは、第1の状態における遮断要素である。第2のピストンが搬送チャンバ内で異なる位置にある場合、第2の接続路は開放され、第2の状態では第2のピストンは遮断要素である。
【0010】
濃厚物質ポンプは、第2のピストンが第1のピストンの搬送運動中に停止するように設計されてもよい。静止状態は、第1のピストンの搬送運動の少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%に亘って継続し、さらに、第1のピストンの搬送運動全体に亘って優先的に延長することができる。第1のピストンの搬送運動中、第2のピストンは、搬送チャンバ内の出口開口と入口開口との間の中間位置に配置されてもよい。入口と出口との間に直接接続がないので、ポンプ出口に存在する静圧を搬送チャンバ内に維持することができる。
【0011】
第1のピストンの搬送運動に関連してここで説明したプロセスおよび状態は、第2のピストンの搬送運動に逆に適用される。第1のピストンおよび第2のピストンは、これらのプロセスに関して互換性がある。
【0012】
本発明の濃厚物質ポンプの場合、第1のピストンの搬送運動の終了と第2のピストンの搬送運動の開始との間で、搬送流を遮断してもよい。この搬送流の中断は、搬送チャンバが入口開口と2つの出口開口とを備え、3つのピストンが搬送チャンバ内に配置される本発明の実施形態によって回避することができる。2つのピストンを有する濃厚物質ポンプの場合には、一方のピストンが出口開口から入口開口への第2の接続路に沿って移動する段階で、搬送流の遮断が生じる。濃厚物質ポンプが第3のピストンを有する場合、第2のピストンが第1の出口開口と第2の出口開口との間の(第3の)接続路を遮断し、第3のピストンが第1の出口開口を介して濃厚物質を搬送するという点で、第1のピストンが出口開口から入口開口に移動する段階を切り抜けることができる。第1の出口開口と第2の出口開口は、共通の出口管によって互いに接続することができる。濃厚物質ポンプは、3つのピストンの運動を適切な方法で制御する制御ユニットを備えることができる。
【0013】
搬送チャンバは、たとえば、横断面が円形であってもよいし、円弧の形状を有していてもよい。横断面は、搬送チャンバの長さに沿って一定であってもよい。ピストンの運動方向と直角をなす平面を横断面と呼ぶ。縦方向はピストンの運動方向に相当する。縦方向に見ると、搬送チャンバは、閉鎖路を形成することができる。このようにして、ピストンは、その運動方向を反転させることなく、搬送チャンバに沿って繰り返し移動することができる。搬送チャンバの縦方向は、ピストンが円形路に沿って移動するように、円形路にまたがってもよい。円形横断面と組み合わせて、円環体(torus)の形態の搬送チャンバが生成される。
【0014】
濃厚物質ポンプは、第1のピストンの運動が搬送チャンバに沿って推進される駆動モータを備えることができる。円形路を画成する搬送チャンバの場合、搬送運動のための駆動シャフトが設けられてもよく、この駆動シャフトは、円形路の中心軸と同軸である。第1のピストンは、径方向に延びる接続要素によって駆動シャフトに付けられてもよい。
【0015】
遮断要素を移動させるための第2の駆動モータが設けられてもよい。遮断要素が遮断弁である場合、第2の駆動モータは、たとえば、ピボット運動または直線運動、あるいはこれら2つの組合せを駆動することができる。
【0016】
遮断要素が第2のピストンである場合、第2の駆動モータを使用して、第1のピストンおよび第2のピストンを互いに独立して駆動することができる。これにより、ピストンを異なる速度で移動させたり、他のピストンが停止している間に一方のピストンを移動させたりすることができる。
【0017】
2つのピストンが共同の駆動モータによって駆動される設計も可能である。この目的のために、各ピストンにクラッチを割り当てることができ、そのクラッチは同じ駆動モータに結合される。一実施形態において、各ピストンにはデュアルクラッチが割り当てられ、デュアルクラッチの第1の状態でピストンが駆動モータに結合され、デュアルクラッチの第2の状態でピストンが濃厚物質ポンプのフレームに結合される。駆動装置は、一定速度で回転するように設計されてもよい。ピストンの交互運動は、ピストンと駆動シャフトとの適切な結合によって達成することができる。全ての場合において、濃厚物質ポンプは、駆動モータおよび/またはクラッチを適切な方法で制御する制御ユニットを備えることができる。
【0018】
第1のピストンおよび/または第2のピストンは、ピストンの周面が搬送チャンバの壁面と密封するように構成してもよい。密封周面は、接続要素によって占められる部分を除いて、ピストンの全周に亘って延びることができる。
【0019】
また、壁シェルをピストンに付け、その壁シェルをピストンとともに移動させることもできる。壁シェルは、搬送チャンバを制限することができ、言い換えると、搬送チャンバの壁の一部を形成することができる。壁シェルは、搬送チャンバの全長に亘って延びることができる。これにより、搬送される濃厚物質と搬送チャンバの壁との相対運動が、各ピストンの搬送運動中に壁シェルに覆われていない領域のみで行われるので、濃厚物質ポンプの摩擦損失を低減することができる。
【0020】
濃厚物質ポンプは、第1のピストンに接続された第1の壁シェルと、第2のピストンに接続された第2の壁シェルとを備えることができる。搬送チャンバの横断面で見ると、第1の壁シェルは、異なる円周部分に沿って第2の壁シェルまで延びることができる。第1の壁シェルと第2の壁シェルは、周方向に互いに重なり合っていてもよいし、重なり合っていなくてもよい。第2の壁シェルは、第1の壁シェルに関連して説明したものと同じ特徴を呈することができる。
【0021】
横断面で見ると、搬送チャンバは、第1の壁シェルおよび第2の壁シェルの両方から自由に維持される円周部分を有することができる。この円周部分は、濃厚物質ポンプの入口開口および/または出口開口に向けられてもよい。その後、濃厚物質は、壁シェルによって悪影響を受けることなく、搬送チャンバに出入りすることができる。
【0022】
壁シェルから自由に保持されている円周部分において、搬送チャンバの壁は、濃厚物質ポンプのハウジングによって形成することができる。ハウジングは、この円周部分に限定されてもよい。壁シェルの一方または両方に重なるハウジングも可能である。壁シェルの間に配置されたハウジング部は、搬送チャンバの横断面を直線状に区切ることができるので、搬送チャンバは横断面が円弧のような形状となる。入口開口および/または出口開口は、このハウジング部内に構成されてもよい。
【0023】
搬送チャンバの壁が、搬送チャンバの異なる円周部分に亘って延びる壁シェルおよびハウジング部から構成される場合、密封要素が、壁シェルとハウジング部分との間の移行部または2つの壁シェルの間の移行部に配置されることが有利である。密封要素は、搬送チャンバの全長に亘って延びる密封リングとして設計されてもよい。濃厚物質ポンプが操作中、搬送チャンバの壁の隣接する部分の間の相対的な運動が、密封リングの区域で起こる。
【0024】
入口開口および出口開口は、搬送チャンバの縦方向に見て、互いにオフセットされてもよい。搬送チャンバが閉鎖路を形成する場合には、搬送チャンバ内の入口開口から出口開口まで移動可能な2つの接続路がある。また、第1の接続路を濃厚物質の搬送に用い、第2の接続路を遮断するように構成してもよい。第1の接続路は、搬送チャンバの長さの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%に亘って延びることができる。
【0025】
横断面で見た周方向の位置では、入口開口と出口開口が交差していてもよい。また、搬送チャンバの横断面で見た入口開口および出口開口の対応する位置も可能である。
【0026】
入口開口および出口開口の周方向の位置に関しては、様々な可能性がある。搬送チャンバが円形路に沿って延びる場合、入口開口および/または出口開口は、円形路の中心軸に対して径方向に延びることができる。入口開口および/または出口開口は、内方(したがって中心軸の方向)を指していてもよい。また、入口開口および/または出口開口が反対方向に径方向外方を向いていることも可能である。径方向に整列された、これら2つの位置の間の他の位置も可能である。
【0027】
第1のピストンは、搬送運動中に出口開口および/または入口開口上を移動する円周部分を有することができる。この円周部分は、ピストンに接続された接続片によって形成されていてもよく、接続片はピストンよりも硬質の材料からなる。具体的には、接続片を硬質金属で形成してもよい。濃厚物質の石および粒状成分は、接続片と、通過する入口開口または出口開口の端部との間で破壊可能である。入口開口および/または出口開口のそれぞれの区域は、同様に硬質材料、たとえば、硬質金属から形成される挿入片によって形成されてもよい。
【0028】
接続片と搬送チャンバの壁との間に石が詰まるのを防止するために、接続片は、運動方向を指す前面を有してもよく、この前面は、ピストンの周面に対して少なくとも60°、好ましくは少なくとも70°、より好ましくは少なくとも80°の角度を形成する。一実施形態において、前面は、運動方向に対して直角に向けられた平坦面である。
【0029】
第1のピストンは、入口開口および出口開口を通過することなく、搬送チャンバの壁とシールを形成する円周部分を備えることができる。ピストンの、この円周部分は、搬送チャンバの壁に当接する密封パッケージを備えることができる。この円周部分における搬送チャンバの壁は、他のピストンの壁シェルによって形成されてもよい。
【0030】
密封パッケージおよび接続片は、消耗部品として構成されてもよく、これらの部品は、濃厚物質ポンプの操作中に日常的に交換される。濃厚物質ポンプは、濃厚物質ポンプを大きく分解することなく、消耗部品を交換できるように構成することができる。たとえば、消耗部品へのアクセスを得るためには、第1のピストンの壁シェルと第2のピストンの壁シェルとの間に配置されたハウジング部分を取り外すだけで十分である。ピストンは、その前面とその後面との間に配置されたキャビティを有してもよく、このキャビティ内に膨張可能部品が取り付けられる。
【0031】
予備充填容器は、濃厚物質ポンプの入口開口に接続されてもよい。ポンプの操作中、予備充填容器は、出口開口を通って濃厚物質ポンプによって搬送されているのと同じだけの濃厚物質を充填することができる。濃厚物質ポンプの出口開口に搬送ラインを接続してもよく、この出口開口に沿って濃厚物質が所望の送出位置に搬送される。
【0032】
2つのピストンを有する濃厚物質ポンプの場合には、第1のピストンと第2のピストンとが一緒に移動されるときに、搬送流が中断されることがある。搬送流の中断を切り抜けるために、濃厚物質ポンプに補助搬送シリンダを取り付けてもよい。補助搬送シリンダは、たとえば、出口開口と補助搬送シリンダとの間、または搬送ラインと補助搬送シリンダとの間に延びる接続管によって、濃厚物質ポンプの出口端部と結合されてもよい。
【0033】
補助搬送シリンダは、濃厚物質ポンプのピストンを一緒に移動させながら前進運動を行うように設定することができる。搬送シリンダは、濃厚物質ポンプのピストンの1つが出口開口を通して濃厚物質を搬送するときに、後方に移動するように設定されてもよい。搬送シリンダの内部から搬送ラインに沿って濃厚物質を搬送することができる。後方移動時には、搬送シリンダ内に濃厚物質を集めることができる。搬送シリンダ内に配置されたピストンの前進運動のために、たとえば油圧駆動形式の能動駆動装置を提供することができる。ピストンの後方への運動は、同様に、能動駆動装置を介して行うことができる。また、ピストンは、搬送される濃厚物質の圧力によって受動的に戻されることも可能である。
【0034】
さらに、本発明は、濃厚物質を搬送する方法に関する。第1のピストンは、入口開口から出口開口を経て入口開口に戻る閉鎖路に沿って延びる搬送チャンバ内で移動され、それにより搬送チャンバは、入口開口と出口開口との間に第1の接続路および第2の接続路を形成する。搬送チャンバを区切り、搬送チャンバの全長に亘って延び、第1のピストンと共に移動される壁シェルは、前記第1のピストンに付けられる。第1の段階において、第2の接続路を遮断した状態で、第1のピストンを第1の接続路に沿って入口開口から出口開口方向に移動させて、出口開口を介して濃厚物質を搬送し、入口開口を介して濃厚物質を搬送チャンバに導入する。第2の段階では、第1のピストンが第2の接続路に沿って移動する。
【0035】
濃厚物質の搬送に伴うプロセスは、以下のステップのうちの1つ以上を含むことができる。第1のピストンは、搬送運動の開始時に入口開口を通過することができる。第1のピストンは、搬送運動の終了時に出口開口を通過することができる。第1のピストンが第2の接続路に沿って移動し、濃厚物質が搬送されない中間段階があってもよい。中間段階は、第1の搬送運動の終了と第2の搬送運動の開始との間にあってもよい。
【0036】
第1のピストンの搬送運動の開始時に、第1のピストンと出口開口との間にある搬送チャンバの一部は、濃厚物質で充填されてもよい。第1のピストンの搬送運動が継続すると、搬送チャンバの、この部分の容積は小さくなり、濃厚物質が出口開口を通って搬送チャンバから離れる。同時に、第1のピストンと遮断要素との間に囲まれた搬送チャンバの部分の容積が増大する。この部分は、入口開口を介してアクセス可能であり、したがって、さらに濃厚物質が入口開口を介して搬送チャンバの、この部分に吸引される。第1のピストンが出口開口に到達した時点で搬送運動は終了するので、第1のピストンが移動し続けるにつれて、それ以上の濃厚物質は出口開口から離れない。
【0037】
この状態では、第1のピストンと入口開口との間に配置された搬送チャンバの部分は、その最大長に達している。これで、この部分は完全に濃厚物質で満たされる。次の搬送運動への移行が続く。
【0038】
第1のピストンおよび第2のピストンを有する実施形態の場合には、第1のピストンと第2のピストンが一緒に移動して、第1のピストンが出口開口を開き、第2のピストンが入口開口上を移動するという点で、第2のピストンの搬送運動への移行がある。後に続く第2のピストンの搬送運動は、前述したように、第1のピストンの搬送運動と一致する。
【0039】
第1のピストンおよび遮断弁を有する実施形態では、第1のピストンが遮断弁を通過できるように、遮断弁は移行段階で搬送チャンバから取り外される。第1のピストンが入力開口を通過し、遮断弁が再び閉じられると、次の搬送運動を開始することができる。
【0040】
この方法は、本発明による濃厚物質ポンプに関連して説明される更なる特徴を用いて改良することができる。本発明の方法に関連して説明した更なる特徴によって、濃厚物質ポンプを改良することができる。また、本発明は、ピストンと共に移動する壁シェルが存在しない実施形態を含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、有利な実施形態の助けを借りて、添付図面を参照しながら以下の実施例として説明される。
図1図1は、本発明による濃厚物質ポンプを有するコンクリートポンプ車を示す。
図2図2は、本発明による濃厚物質ポンプの斜視図を示す。
図3図3は、図2からの濃厚物質ポンプを水平断面として示す。
図4図4は、本発明による濃厚物質ポンプの概略図を示す。
図5図5は、図4とは異なる断面図を示す。
図6図6は、本発明の別の実施形態における図5に従う図を示す。
図7図7は、本発明の別の実施形態における図5に従う図を示す。
図8図8は、本発明による濃厚物質ポンプの詳細を拡大して示す。
図9図9は、本発明による濃厚物質ポンプを垂直断面として示す。
図10図10は、本発明による濃厚物質ポンプの実施形態の概略図を示す。
図11図11は、本発明による濃厚物質ポンプの実施形態の概略図を示す。
図12図12は、本発明による濃厚物質ポンプの実施形態の概略図を示す。
図13図13は、本発明による濃厚物ポンプの操作シーケンスを示す。
図14図14は、本発明による濃厚物質ポンプの代替実施形態を示す。
図15図15は、本発明による濃厚物質ポンプの代替実施形態を示す。
図16図16は、本発明による濃厚物質ポンプの代替実施形態を示す。
【0042】
【発明の詳細な説明】
【0043】
図1に示すトラック14には、コンクリートポンプ15が取り付けられており、このポンプ15は、液体コンクリートを予備充填コンテナ16から搬送ライン17を介して搬送する。コンクリートポンプは、本発明の意味での濃厚物質ポンプ15である。搬送ライン17は、旋回リング19に回転可能に装着されたマストアーム18に沿って延びている。マストアーム18は、互いに関節結合された3つのマストアームセグメント20、21、22を備える。マストアーム18は、マストアームセグメント20、21、22が関節接合部を介して互いに対して回動するという点で、折込状態と折出状態との間で切り替えることができる。搬送ライン17は、第3のマストアームセグメント22の遠位端を越えて延びているので、マストアーム18の折出状態において、液体コンクリートは、コンクリートポンプ15から離れた区域に送出することができる。
【0044】
濃厚物質ポンプ15は、円形路を規定する搬送チャンバ23を備える。濃厚物質ポンプ15の入口開口24は、予備充填コンテナ16に付けられている。濃厚物質ポンプ15の出口開口25は、搬送ライン17に付けられている。搬送チャンバ23内には、搬送チャンバ23の横断面を満たす第1のピストン26と第2のピストン27とが配置されている。ピストン26,27は、中央駆動シャフト28に付けられており、互いに独立して駆動可能である。駆動シャフト28の回転は、接続要素29、30を介して第1のピストン26または第2のピストン27に伝達され、ピストン26、27は、搬送チャンバ23の円形路に沿って搬送運動の運動方向31に移動する。
【0045】
濃厚物質ポンプ15が操作されている間に起こるプロセスは、図13の助けを借りて説明される。始動状態(図13A)において、第2のピストン27は、入口開口24と出口開口25との中間位置32に配置されて、入口開口24と出口開口25との短絡路を遮断する。
【0046】
第1のピストン26は、駆動シャフト28に結合され、搬送チャンバ23内での搬送運動を完了する。搬送運動は、入口開口24と出口開口25との間の長い接続路33に沿って延びる。図13Aの状態では、第1のピストン26は入口開口24を通過している。第1のピストン26の搬送方向への更なる運動に伴って、濃厚物質は出口開口25を介して搬送チャンバ23から搬出される。これと平行して、予備充填コンテナ16から厚物が吸引され、搬送終了時の第2のピストン26と入口開口24との間の空間が再び厚物で充填される。第1のピストン26の搬送運動のシーケンスは、図13A-13Cによって示される。
【0047】
搬送運動の最後に、第1のピストン26は出口開口25(図13D)上を進み、第1のピトン26と第2のピストン27との間には、多量の残留物が含まれる。第1のピストン26と第2のピストン27は、第2のピストン27が入口開口24を通過し、第1のピストンが入口開口24と出口開口25との間の中間位置32にあるまで、搬送方向31に一緒に移動する。次いで、図13Aによれば、濃厚物質ポンプは再び初期状態にされ、ピストン26、27の位置が逆転される。
【0048】
図4は、第2のピストン27が入口開口24と出口開口25との中間位置32に配置され、第1のピストン26が搬送路の一部を覆った状態の濃厚物質ポンプを示している。図5の断面図によれば、第1のピストン26及び第2のピストン27はハウジング34によって囲まれており、ピストン26,27の円周とハウジング34との間には密封ギャップが形成されている。ハウジング34は、その外側で入口開口24と出口開口25とによって中断されている。内側には、接続要素29が延在する周方向スロット35が形成され、これを介してピストン26,27が駆動シャフト28に結合されている。接続要素29,30は、その全長に亘ってスロット35を充填するように、円盤状の要素として構成されている。
【0049】
図6による代替実施形態において、第1の接続要素29は第1の壁シェル36に接続され、第2の接続要素30は第2の壁シェル37に接続される。壁シェル36,37は、横断面視でハウジング34の内面に沿って延び、縦方向視で搬送チャンバ23の全長に亘って延びている。壁シェル36,37の各々は、90°を超える円周角58に亘って延びている。全体として、2つの壁シェル36,37は、180°を超える円周角58を覆っている。壁シェル36,37の周端部間には、入口開口24と出口開口25の径に対応する隙間が形成されている。この隙間は、濃厚物質が搬送チャンバ23に進入したり、搬送チャンバ23から離脱したりするために必要である。濃厚物質ポンプの内部摩擦は、壁シェル36,37が濃厚物質とともに搬送路に沿って移動することにより低減される。
【0050】
図7による他の代替実施形態において、壁シェル36,37を囲むハウジングは省略されている。壁シェル36,37自体は、搬送チャンバ23の外端部を形成している。ハウジングは、搬送チャンバ23の外周を規制する円筒状のハウジング部38に限定される。入口開口24及び出口開口25は、ハウジング部38に形成されている。
【0051】
図8によれば、壁シェル37とハウジング部38との間には、搬送チャンバ23の全長に亘って延びる円周状の密封リング39が配置されている。搬送チャンバは、壁シェル37とハウジング部38との間の移行部で密封リング39によって密封されている。第2の密封リング40は、他の壁シェル36とハウジング部38との間の移行部を密封する。接続要素29,30の間には、第3の密封リング41が配置されている。
【0052】
第1のピストン26には、ピストン26の円周部分に亘って延びる密封要素42が設けられている。密封要素42は、第1のピストン26と第2のピストン27の壁シェル37との間にシールを形成する。
【0053】
第1のピストン26の円周部分には、硬質金属からなる端部片43が配置されている。入口開口24または出口開口25を通過する際にピストン26と開口の縁部との間で詰まる石および他の粒状成分は、硬質金属端部片43によって破壊可能である。開口の縁部は、対応する硬質金属インサートによって形成されてもよい。
【0054】
硬質金属端部片43および密封要素42は、日常的に交換しなければならない消耗部品である。ピストン26、27は、各々が、周辺ハウジング部38が取り外された後に外側からアクセス可能な内部キャビティ44を有する。従って、周辺ハウジング部38のみを外す必要があり、消耗部品を交換するために、濃厚物質ポンプを更に分解する必要はない。
【0055】
図9は、濃厚物質ポンプの可能な構造的実施形態を示す。ハウジング部38が接続されるポンプのフレームと、駆動シャフト28と共に回動する可動部との間には、2つのころ軸受44、45が配置されている。第1のピストン26を用いて移動される部分と第2のピストン27を用いて移動される部分との間には、図9には示されていない第3のころ軸受を配置することができる。第1の駆動モータ46が第1のピストン26を駆動し、第2の駆動モータ47が第2のピストン27を駆動することは、図10の概略図から更に明らかである。
【0056】
図11による代替的な実施形態において、両方のピストンは共有駆動モータ46によって駆動される。第1のピストン26には、第1のピストンを駆動シャフト28またはハウジング34のいずれかに結合するデュアルクラッチ47が割り当てられている。第1のピストン26が駆動シャフト28に結合されている場合、それは駆動シャフト28の回転運動に追従する。第1のピストン26がハウジング34に結合されている場合、第1のピストン26はハウジング34に対して固定位置を有する。第2のピストン27には、対応するデュアルクラッチ48が設けられている。図12の実施形態において、駆動モータ46は、デュアルクラッチ47、48の間に配置されている。デュアルクラッチ47、48の機能は同一である。
【0057】
本発明の濃厚物質ポンプでは、ピストン26,27が搬送方向31に連動して移動すると、搬送流が中断される。これは、図13Dによる状態と図13Aによる状態との間の段階の場合である。連続的な搬送流が達成されるべきである場合、図14による濃厚物質ポンプは、補助搬送シリンダ49を備えることができる。出口開口25には、搬送管17との接続を生じさせる移送管50が付けられている。補助搬送シリンダ49は、移送管に付けられている。
【0058】
搬送シリンダ49の搬送ピストン51は後退し、一方、濃厚物質は濃厚物質ポンプの出口開口25を介して搬送される。搬送流が出口開口25によって中断された場合、搬送流の中断を切り抜けるために、搬送ピストン51を再び油圧で前方に移動させることができる。したがって、濃厚物質ポンプは、液状コンクリートを連続的な搬送流で搬送することができる。
【0059】
図15は、出口開口25と入口開口24との間に配置された搬送キャビティ23の第2の接続路53に、径方向に移動可能な遮断弁52を設けた濃厚物質ポンプの一実施形態である。図15に示される第1の状態において、遮断弁52は第2の接続路53を遮断する。図示しない第2の状態において、遮断弁52が外方に移動し、第1のピストン26が第2の接続路53を通過できるようになっている。
【0060】
濃厚物質を搬送する際に伴われるプロセスは、2つのピストン26,27を有する実施形態に対応するが、各搬送運動中に遮断弁52が第2の接続路53を遮断し、各搬送運動中に第1のピストン26が第1の接続路33に沿って移動するという違いがある。ピストン26の2つの搬送運動の間の移行段階では、遮断弁52が側方に移動して第2の接続路53を開く。ピストン26は遮断弁52を通過して次の搬送運動に進むことができる。
【0061】
図16による実施形態において、濃厚物質ポンプは、3つのピストン26、27、56と、共有出口管57内に開口する2つの出口開口25、55とを備えている。第1のピストン26が第2の出口開口55と入口開口24との間を移動する移行段階は、第1の出口開口25と第2の出口開口55との間に配置された第3のピストン56によって切り抜けられる。第2のピストン27は第1のピストン26よりも高速であるため、第1の出口開口25を通過した濃厚物質の一部が第2の出口開口55を通って第1のピストン26の後方側に逆流しても、濃厚物質は依然として出口管57を通って搬送される。第2のピストン27が第1の出口開口25上を進むとすぐに、第3のピストン56および第2のピストン26が作動して、第2のピストン27が最初に第2の出口開口55を介してその搬送運動の端部で濃厚物質を搬送し、第1のピストン26が第1の出口開口25を介して濃厚物質を搬送する第1のピストン26の次の搬送運動は平行に開始することができる。このようにして、濃厚物質ポンプの他の実施形態で発生し、出口開口と入口開口との間で一緒に移動する2つのピストンから、または開放されている遮断弁から生じる搬送流の中断を回避することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14
図15
図16
【国際調査報告】