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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】皮膚の稔転計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20220708BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
A61B5/11
A61B10/00 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020563987
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 CA2020000075
(87)【国際公開番号】W WO2020227809
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】16/409,904
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437744
【氏名又は名称】カルザース,ジーン,エム.ディー.
【氏名又は名称原語表記】CARRUTHERS,Jean,M.D.
【住所又は居所原語表記】1756 West 40th Avenue,Vancouver,BC V6M1W2 Canada
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルザース,ジーン,エム.ディー.
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB22
4C038VC05
(57)【要約】
本明細書には、皮膚稔転計が記載されており、また、そのような皮膚の稔転計を使用するための方法及びシステムが記載されており、さらに、皮膚の稔転計と、画像を取得するように構成されたコンピュータ装置と、皮膚の張りを決定するためのアプリケーション(アプリ)と、を含むシステムが記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の張りを測定するための方法であって、
捩られた皮膚が自然な位置へと戻ることに関連した反跳速度を測定することを含む、方法。
【請求項2】
前記反跳速度に基づいて皮膚のヤング率を計算することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
捩られた皮膚の回転度を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
捩られた皮膚が自然な位置へと戻る際の角速度を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
捩られた皮膚が自然な位置へと戻る際の加速度を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
皮膚が、顔の皮膚、腕の皮膚、又は脚の皮膚である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ハウジングと、
皮膚に対して付着するように設計されて構成された底面を有し、且つ前記ハウジングに対して回転可能に取り付けられた稔転計と、
前記稔転計の回転速度を監視するように構成され、前記稔転計に対して動作可能に接続されかつ前記ハウジング内に収容されたセンサと、
を含む装置。
【請求項8】
前記センサは、光学センサ、カメラ、ビデオカメラ、スマートフォン、光学式エンコーダ、及びこれらの組合せからなる群から選択されたものである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記センサは、光学式エンコーダである、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記センサに対して動作可能に接続されたプロセッサをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
ディスプレイ、インジケータライト、ボタン、及びこれらの組合せをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
データを送信するためのハードウェアをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
データを送信するための前記ハードウェアは、コード、コネクタ、ドングル、WiFiハードウェア、Bluetooth(登録商標)ハードウェア、他の無線ネットワークハードウェア、及びこれらの組合せからなる群から選択されたものである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記センサに対して動作可能に接続されたプロセッサをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、皮膚のヤング率を決定するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記稔転計は、その形状が実質的に円筒形である、請求項7に記載の装置。
【請求項17】
前記稔転計に対して及び前記センサに対して動作可能に接続された回転可能シャフトをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項18】
前記稔転計に対して動作可能に接続されており、吸引力によって前記稔転計を皮膚に対して付着させるように構成された真空ポンプをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、前記真空ポンプに対して動作可能に接続されており、前記プロセッサに対して動作可能に接続された真空ゲージをさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記稔転計に対して付着された皮膚の密度を計算するように構成されている、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月11日付けで出願された「Skin Torsionometer」と題する米国仮出願第62/670,079号明細書に基づく優先権を主張するものであり、該仮出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
【課題を解決するための手段】
【0004】
様々な実施形態は、皮膚の弾力性及び張りを決定するための装置を対象とするものであり、この装置は、ハウジングと、このハウジングに対して回転可能に取り付けられた稔転計(torsionometer、トーショノメータ、ねじれ計)であるとともに、皮膚に対して付着するように設計されて構成された底面を有した稔転計と、この稔転計の回転速度を監視するように構成されたセンサであるとともに、稔転計に対して動作可能に接続されかつハウジング内に収容されたセンサと、を含む。いくつかの実施形態では、センサは、光学センサ、カメラ、ビデオカメラ、スマートフォン、光学式エンコーダ、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、から選択することができ、特定の実施形態では、センサは、光学式エンコーダとすることができる。いくつかの実施形態では、装置は、センサに対して動作可能に接続されたプロセッサ、ディスプレイ、インジケータライト、ボタン、データを送信するためのハードウェア、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、をさらに含むことができる。様々な実施形態では、データを送信するためのハードウェアは、コード、コネクタ、ドングル、WiFiハードウェア、Bluetooth(登録商標)ハードウェア、他の無線ネットワークハードウェア、ならびにこれらの組合せ、から選択することができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、装置は、センサに対して動作可能に接続されたプロセッサをさらに含むことができ、プロセッサは、皮膚のヤング率を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、稔転計は、その形状を実質的に円筒形とすることができ、いくつかの実施形態では、稔転計は、稔転計に対して及びセンサに対して動作可能に接続された回転可能シャフトを含むことができる。いくつかの実施形態では、装置は、稔転計に対して動作可能に接続された真空ポンプであるとともに、吸引力によって稔転計を皮膚に対して付着させるように構成された真空ポンプを含むことができ、いくつかの実施形態では、真空ポンプに対して動作可能に接続された真空ゲージであるとともに、プロセッサに対して動作可能に接続された真空ゲージを含むことができ、プロセッサは、稔転計に対して付着された皮膚の密度を計算するように構成することができる。
【0006】
他の実施形態は、捩られた皮膚が自然な位置へと戻ることに関連した反跳速度を測定することにより、皮膚の弾力性又は張りを測定するための方法を対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、反跳速度に基づいて皮膚のヤング率を計算することを含むことができ、いくつかの実施形態では、方法は、捩られた皮膚の回転度を測定すること、捩られた皮膚が自然な位置へと戻る際の角速度を測定すること、捩られた皮膚が自然な位置へと戻る際の加速度を測定すること、及び同種のこと、ならびにこれらの組合せ、を含むことができる。そのような実施形態では、方法を、顔の皮膚、腕の皮膚、脚の皮膚、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、上において実施することができる。
【0007】
特定の実施形態に関する例が、添付図面に図示されている。本発明について、これらの特定の実施形態と関連して説明するけれども、本発明をそのような特定の実施形態に限定することを意図していないことは、理解されよう。それどころか、本発明の精神及び範囲内に含まれ得る、代替物、改変物、及び同等物を網羅することが意図されている。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。本発明は、これらの特定の詳細の一部又は全部を省略しても、実施することができる。他の実例では、本発明を無用に不明瞭とはしないように、周知のプロセス操作については詳細に説明していない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明により具現された皮膚の稔転計の一例を示す図である。
図2図2は、本発明により具現された皮膚の稔転計の一例を示す図である。
図3図3は、本発明により具現された皮膚の稔転計の一例を示す図である。
図4図4は、本発明により具現された皮膚の稔転計と、画像を取得するように構成されたコンピュータ装置と、を含むシステムの一例を示す図である。
図4C図4は、本発明により具現された皮膚の稔転計と、画像を取得するように構成されたコンピュータ装置と、を含むシステムの一例を示す図である。
図5A図5Aは、稔転計を含む装置の一例を示す図である。
図5B図5Bは、稔転計を含む装置の一例を示す図である。
図6図6は、本発明によって包含される方法を示すブロック図である。
図7図7は、本発明によって包含される方法を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態の装置を使用して収集された例示的なデータを示す棒グラフと折れ線グラフとを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下においては、様々な態様につき、より詳細に説明する。しかしながら、そのような態様は、多くの異なる形態で具現し得るものであって、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底した完全なものとなるように、また、当業者にその範囲を完全に伝えるように、提供される。
【0010】
数値範囲が提示されるときには、その範囲の上限と下限との間に介在する各値が、ならびに、その記載された範囲内の任意の他の記載値又は介在値が、本開示内に包含されることが意図されている。例えば、1μm~8μmという範囲が記載されている場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、及び7μmも、また、1μm以上の値の範囲かつ8μm以下の値の範囲と同様に、明示的に開示されることが意図されている。
【0011】
特段に指定しない限り、すべての割合、部分、及び比率は、対象をなす組成物の全重量に基づくものであり、且つすべての測定は、約25oCで行われた。
【0012】
単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別のことを指示しない限り、複数形の参照を含む。よって、例えば、「ポリマー」という参照は、単一のポリマーと、同じポリマー又は異なるポリマーからなる2つ以上のポリマーと、を含み、「賦形剤」という参照は、単一の賦形剤と、同じ賦形剤又は異なる賦形剤からなる2つ以上の賦形剤と、を含む、等々である。
【0013】
数値の直前の「約」という用語は、本開示の文脈がそうでないことを示していない限り、また、本開示の文脈がそのような解釈と矛盾していない限り、その数値のプラス又はマイナス10%の範囲を意味するものであり、例えば、「約50」は、45~55を意味し、「約25,000」は、22,500~27,500を意味する、等である。例えば、「約49、約50、約55」などの数値リストにおいて、「約50」は、前後の値の間隔の半分未満の範囲を意味するものであり、例えば、49.5超~52.5未満の範囲を意味する。さらに、「約」値「未満」又は「約」値「超」という表現は、本明細書で提示される「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。
【0014】
「患者」という用語及び「被験体」という用語は、互換的であって、本発明の組成物によって処置され得る任意の生体を意味するものと解釈することができる。このように、「患者」という用語及び「被験体」という用語は、限定するものではないが、任意の非ヒト哺乳動物、霊長類、又はヒト、を含むことができる。いくつかの実施形態では、「患者」又は「被験体」は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、又はヒト、などの哺乳動物である。いくつかの実施形態では、患者又は被験体は、成人、小児、又は乳児、である。いくつかの実施形態では、患者又は被験体は、ヒトである。
【0015】
範囲に従って又は任意の同様の方法で特許請求し得る、グループ内の任意の部分範囲又は部分範囲の組合せを含む、任意のそのようなグループの任意の個々のメンバーを提供又は除外する権利を留保することにより、何らかの理由で本開示の完全な手段未満のものを、特許請求することができる。さらに、任意の個々の、置換基、類似体、化合物、リガンド、構造、又はそのグループ、あるいは、特許請求されたグループの任意のメンバーを提供又は除外する権利を留保することにより、何らかの理由で本開示の完全な手段未満のものを、特許請求することができる。本開示全体を通して、様々な、特許、特許出願、及び刊行物が参照される。これらの特許、特許出願、及び刊行物の開示は、本開示の日付時点で当業者に公知の技術水準をより完全に説明するために、その全体が参照により本開示に援用される。引用された特許や特許出願や刊行物と、本開示と、の間に矛盾がある場合には、本開示が適用される。
【0016】
便宜上、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲で使用されている特定の用語をここに集める。別段の定義がない限り、本開示で使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0017】
本発明の実施形態は、皮膚の張り及び弾力性を測定するための、装置、システム、及び方法、を対象とする。稔転計は、頂面と底面とを有した剛体ディスクを含む。底面は、接着剤を含み、頂面は、1つ又は複数のマーキングを含む。稔転計は、稔転計を被験体の皮膚に対して接着することにより、そして、稔転計を捩ることにより、使用される。動きの程度は、患者の皮膚の張り及び弾力性に関する尺度を提供する。いくつかの実施形態では、稔転計は、プロセッサに対して動作可能に関連付けられた光学センサを含むシステムの一部とすることができる。光学センサは、稔転計の頂面上のマーキングの動きを監視することができ、プロセッサは、この情報を使用することにより、稔転計が解放された後の戻り時の、回転量、トルク、回転力、加速度、及び同種のもの、に基づいて皮膚の張りを測定することができる、あるいは、弾力性に関する尺度を提供し得る他の測定を行うことができる。さらなる実施形態では、稔転計は、光学式エンコーダ、トルクメータ、あるいは、回転やトルクや回転力や加速度や同種のものを測定し得る他のセンサ、などのセンサを使用して稔転計の回転を測定する装置の一部とすることができる。
【0018】
図1図3は、皮膚稔転計の様々な例を示している。図1は、皮膚稔転計1を示しており、この皮膚稔転計1は、頂面10と底面11とを有するとともに、頂面10上にマーキング12を有している。同様に、図2は、皮膚稔転計2を示しており、この皮膚稔転計2は、頂面20と底面21とを有するとともに、マーキング22が頂面20上にある。図3は、皮膚稔転計3を示しており、この皮膚稔転計3は、頂面30と底面31とを有するとともに、頂面上に様々なマーキング32を有している。マーキング12、22、32は、皮膚稔転計1、2、3が皮膚上において回転を受けた時に、皮膚の捩れを観測するための手段を提供する。例えば、図1の皮膚稔転計1の回転は、この稔転計1が回転を受けた際に、この稔転計1の中心13におけるマーキング12の角度変化に基づいて、観測して測定することができる。様々な実施形態では、角度変化は、稔転計1が回転を受けた際に観測することができ、いくつかの実施形態では、皮膚を、稔転計の回転前の第1位置のところにおいて、マーキング12の位置にマークすることができる。図2の稔転計2上のマーキング22は、同じく、稔転計の中心23における稔転計2の角度変化を観測するために使用することができる。
【0019】
特定の実施形態では、稔転計は、回転度、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、あるいはこれらの組合せ、を複数同時に計算することを可能とするマーキングを含むことができる。例えば、図3は、中心マーキング33から様々な距離に位置した一連をなす複数のマーキング32を頂面30上に有した稔転計3を図示している。底面31は、上述したように、被験体の皮膚に対して接着するように設計することができる。使用時には、画像取得を行うように構成されたコンピュータ装置は、中心マーキング33に基づいて画像どうしを位置合わせすることができ、一連をなす複数のマーキング32のそれぞれについて、稔転計の静止位置及び回転した位置を識別することができる。回転度、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、あるいはこれらの組合せは、一連をなす複数のマーキングの各マーキングについて独立して決定することができ、最終的な計算は、これらの測定値の平均とすることができる。
【0020】
様々な実施形態の稔転計1、2は、ユーザが稔転計1、2を皮膚に対して保持することを可能とするとともに皮膚固有の弾力性がなす抵抗に抗して稔転計を回転させることを可能とするのに充分な、任意の直径を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、稔転計1、2は、約1インチ(約2.5センチメートル(cm))~約4インチ(約10.2cm)の直径を有することができ、あるいは、約1.5インチ(約3.8cm)~約3インチ(約7.6cm)の直径を有することができ、あるいは、これらの例示的な範囲によって包含される任意の個々の直径又は範囲の直径を有することができ、特定の実施形態では、稔転計1、2は、約2.2インチ(約55cm)の直径を有することができる。
【0021】
稔転計1、2の底面11、21は、試験時に患者の皮膚上に稔転計1、2を保持するための接着剤を含むことができる。実施形態では、ほぼすべての接着剤を包含する。例えば、接着剤は、シリコーン接着剤、ゴム接着剤、ポリウレタン接着剤、あるいは、ポリイソブチレン又はスチレン-ソプレン-スチレン等の接着剤とブレンドされたハイドロコロイド、などの接着剤化合物とすることができる。接着剤は、一般に、ヒトの皮膚を含む被験体に対して粘着することを可能として使用時に脱離することなく稔転計1、2の回転を可能とするのに充分な接着強度を提供し得るよう、なおかつ、使用後には患者に対して不快感を与えることなく使用後に皮膚から離脱させ得るよう、付着強度及び剥離強度だけでなく、内部凝集力又は剪断力のバランスを考慮して設計することができる。いくつかの実施形態では、接着剤は、再利用可能とすることができる。他の実施形態では、接着剤は、複数層構成で適用することができ、例えば、接着剤は、各使用後にユーザがテープ層を除去することにより接着剤の新鮮な層を露出させ得るよう、両面医療用テープからなる複数の層とすることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、稔転計1、2の底面11、21は、底面11、21の表面積を増大させるために、凹凸を付けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、稔転計1、2の底面11、21上に凹部又は凸部を設けることができ、他の実施形態では、底面11、21は、稔転計1、2の中心から径方向に延びる一連をなす複数の、突出物、波状物、又はパドル、を含むことができる。突出物、波状物、又はパドルは、被験体の皮膚を破断させることなく稔転計1、2を被験体の皮膚に対して保持するのに充分な大きさとすることができる。
【0023】
図4A図4Bは、稔転計の使用中に観測される角度変化を示している。図4のパネルAは、第1位置にある図1の稔転計4を示している。マーキング42の位置は、破線44によって図示されている。稔転計は、矢印Rによって示されるように中心軸45まわりに回転を受ける。パネルBは、マーキング42の位置の変化によって示されるように、回転後の第2位置にある稔転計4を示している。稔転計4は、皮膚の張り及び弾力性に抗して回転を受ける。したがって、稔転計4の中心における角度Aの変化は、皮膚の張り及び弾力性に関する指標を提供する。例えば、1度以下の角度Aの変化と、15度の角度Aの変化と、30度の角度Aの変化と、45度の角度Aの変化とは、皮膚の締まり具合が異なることを示すことができる。
【0024】
角度Aの変化は、皮膚内のエラスチン及びコラーゲンの量及び健康度合いに関する証拠を提供することができる。エラスチン及びコラーゲンが豊富な健康な皮膚は、約1度~5度以下の角度Aの変化を示し得るとともに、稔転計の解放時には、約1秒未満で、約0.5秒未満で、又は約0.1秒未満で、戻ることができる。健康なエラスチン及びコラーゲンの濃度が低くなっている老化した又は損傷した皮膚は、最大で約45度までの角度Aの変化を示し得るとともに、稔転計の解放時には、最大で約20秒で、約5秒~約20秒で、約8秒~約15秒で、あるいは、これらの例示的な範囲によって包含される任意の個々の時間又は範囲で、戻ることができる。いくつかの実施形態では、稔転計は、皮膚の張り、引き締まり、及び弾力性を改良するように組成された皮膚ケア製品の効果を実証するために使用することができる。例えば、被験体は、ベースラインの張り及び弾力性を提供するために、皮膚ケア製品を投与する前に、稔転計を使用することができる。被験体は、皮膚ケア製品を投与することができ、そして、稔転計を使用することにより、ベースライン測定からの角度Aの変化に基づいて、皮膚の張り、引き締まり、及び弾力性に関する何らかの改良を実証することができる。いくつかの実施形態では、被験体は、例えば太陽又は他の環境条件への曝露後にあるいは医療装置による治療後に皮膚の弾力性又は締まり具合を測定するために、もしくは、手術後における皮膚の張りの変化を監視するために、稔転計を使用することができる。
【0025】
他の実施形態は、皮膚の締まり具合を測定するためのシステムを対象とする。そのようなシステムは、一般に、上述したものなどの稔転計1、2を含み得るとともに、さらに、稔転計1、2の回転度、解放時の稔転計1、2の戻りに関する加速度又は速度、あるいは、装置の動きに関しての、皮膚の締まり具合を決定するために使用され得る任意の尺度、を測定するための装置を含むことができる。そのような測定は、様々な装置を使用して、様々な手段によって、行うことができる。例えば、そのような測定は、稔転計1、2に関連付けられた加速度計を使用して行うことができ、また、他の実施形態では、そのような測定は、スマートフォン又はタブレットなどの二次装置を使用して稔転計1、2の動きを監視することによって、行うことができる。測定は、例えば、光の波長の変化、磁気応答、位相遅延、超音波エコープロセス、光学的レーザを監視することによって、あるいは、稔転計の使用時の様々な時間に取得したビデオ画像又は静止画像を比較することによって、行うことができる。
【0026】
データは、例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、又は他の無線ネットワーク、を使用して収集して集約し得るとともに、患者の結果のグループの分析を可能とするために、別個のコンピュータ装置内に記憶することができる。そのようなシステムの様々な実施形態が、図4Cに図示されている。そのようなシステムは、1つ又は複数のマーキング42を有した上述したものなどの皮膚稔転計40と、カメラ、ビデオカメラ、あるいは、カメラ420及びディスプレイ410を有したスマートフォン又はタブレットなどの他の画像データ取得手段、に対して通信可能に結合されたコンピュータ装置400と、を含むことができる。使用時には、皮膚稔転計40を、被験体の皮膚に対して付着させることができ、携帯装置400は、第1位置において、皮膚稔転計40の画像を取得するために使用することができる。稔転計40を、第2位置へと回転駆動することができ、コンピュータ装置400は、第2位置における稔転計40の第2画像を取得するために使用することができる。コンピュータ装置400に関連付けられたプロセッサは、画像同士を比較し得るとともに、稔転計40の中心における角度変化を計算することができる。稔転計4の中心における角度Aの変化は、皮膚の張り及び弾力性に関する尺度を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態では、システムは、携帯装置上にダウンロード可能なアプリを含むことができ、また、携帯装置のプロセッサに、コンピュータ装置400のカメラ420を使用して1つ又は複数の静止画像又はビデオ画像を取得させるための、コンピュータ可読命令を提供することができ、さらに、稔転計40及び/又は稔転計40上のマーキング42を識別することができ、その上、稔転計の中心における角度Aの変化、稔転計40の解放時の加速度及び/又は速度、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、を計算することができ、そして、角度Aの変化及び/又は皮膚の締まり具合に関する尺度を、コンピュータ装置400のディスプレイ410上に表示することができる。いくつかの実施形態では、さらに、コンピュータ可読命令は、プロセッサに、カメラ420によって取得した静止画像又はビデオ画像をディスプレイ410上に表示させることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、稔転計は、皮膚稔転計が解放された後の戻り時における、回転量、回転力、加速度、を測定するように特別に設計された装置に対して関連付けることができる、あるいは、弾力性に関する尺度を提供し得る他の測定を行うように特別に設計された装置に対して関連付けることができる。例えば、稔転計5aは、光学センサ530に対して動作可能に取り付けることができる。
【0029】
図5Aに示すように、稔転計5は、実質的に円筒形の形状を有することができ、底面51は、上述した任意の付着手段を使用して皮膚に対して付着するように設計されて構成される。稔転計は、ユーザによるハンドリングに適合したサイズとすることができ、これにより、ユーザは、稔転計を回転させ得るとともに、戻り回転を中断させることなくそれを解放することができる。稔転計5は、例えば、センサ532に対して動作可能に接続された回転可能シャフト531によって、ハウジング530に対して回転可能に取り付けることができる。そのような装置は、プロセッサ533と、様々なディスプレイ534と、インジケータライト535と、ボタン536と、をさらに含むことができる。装置は、取得したデータをより大きなプロセッサ又はコンピュータに対して送信するための、コード、コネクタ、又はドングル537などの手段を、さらに含むことができる。
【0030】
図5Bは、別の稔転計含有装置である。図5Aにおいて、稔転計5は、実質的に円筒形の形状を有することができ、底面51は、上述した任意の付着手段を使用して皮膚に対して付着するように設計されて構成される。稔転計5は、例えば、センサ532に対して動作可能に接続された回転可能シャフト531によって、ハウジング530に対して回転可能に取り付けることができる。そのような実施形態では、センサ532は、光学式エンコーダ532aを含むことができる。いくつかの実施形態では、光学式エンコーダ532aは、例えば、スロット型フォトインタラプタ又はオプトインタラプタとすることができる。そのような光学式エンコーダ532aは、上述したマーキングを含むことができ、光学センサ532bは、マーキングの位置を経時的に監視することにより、例えば、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、を測定することができる。特定の実施形態では、光学式エンコーダ532aは、交互スロットを含むことができる。光学式エンコーダ532aが回転した際に、光学式エンコーダを通して光学センサ532bが光ビームを通過させると、フォトトランジスタ/ダイオードの導通に変化が生じて、光ビームが遮断される。他の実施形態では、光学センサ532bは、光学式エンコーダ532aの一方の面上へと光を放出することができ、その反射光を検出することができる。様々な実施形態では、光学センサは、Arduino光学センサ又は他の市販の光学センサ、カメラ、ビデオカメラ、スマートフォン、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、とすることができる。
【0031】
図5Aの場合と同様に、そのような装置は、プロセッサ533と、様々なディスプレイ534と、インジケータライト535と、ボタン536と、をさらに含むことができる。装置は、取得したデータをより大きなプロセッサ又はコンピュータに対して送信するための、コード、コネクタ、又はドングルなどの手段を、さらに含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、装置は、例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、又は他の無線ネットワーク、によってデータを送信するためのハードウェア538を含むことができる。
【0032】
使用時には、稔転計5の底面51は、患者の皮膚に対して付着させることができる。センサハウジング530及び関連する光学センサ532を静止させたまま、稔転計5を、矢印540で示すように、回転可能シャフト531の回転によって回転駆動することができる。最大の回転が達成された時点で、稔転計5を解放することができ、これにより、稔転計5と、直下の皮膚と、回転可能シャフト531とを、矢印541で示すように、反対向きに回転させて、元の位置へと戻すことができる。光学センサ532は、回転量、捩れ、回転力、加速度、及び同種のもの、に関連したデータを取得することができる。プロセッサ533は、回転量、捩れ、回転力、加速度、及び同種のもの、を計算し得るとともに、これらの計算に関連したデータを、ディスプレイ534上に表示することができる、及び/又は、コード537又は無線ハードウェア538によってこのデータを別の処理装置に対して送信することができる。いくつかの実施形態では、インジケータライト535を点灯させることにより、再現可能な結果を生成するための充分な力が、向き540における皮膚の回転によって印加されたことを示すことができる。様々なボタン536は、稔転計5の回転、稔転計5の解放、結果の表示、皮膚に対しての稔転計5の付着、皮膚に対しての稔転計5の付着を可能とする吸引力、又は、装置に関する任意の他の機能、などの装置の使用に関するあらゆる態様を制御することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、装置は、稔転計に対して動作可能に接続された真空ポンプを、さらに含むことができる。真空ポンプは、皮膚に対して吸引力を印加することによって稔転計を付着させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、真空ポンプは、稔転計を皮膚に対して付着させた時に皮膚に対して印加された吸引力を測定する真空ゲージに対して、動作可能に接続することができる。真空ゲージは、プロセッサに対して動作可能に接続され得るとともに、吸引力データをプロセッサに対して送信することができ、プロセッサは、吸引力データを使用することにより、稔転計に対して付着した皮膚の密度を計算することができる。
【0034】
図6は、稔転計の、回転、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、あるいはこれらの組合せ、を決定するための例示的な方法6を示している。いくつかの実施形態では、コンピュータ装置は、以下の各ステップを実行し得る画像処理エンジンとして動作するように、構成することができる。他の実施形態では、光学センサを使用することにより、稔転計の、回転、トルク反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、に関連した画像データを取得することができる。
【0035】
本発明の主題と一緒に使用するために、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、電子書籍リーダ、カメラ、ビデオカメラ、スマートフォン、キオスク、あるいは、センサとユーザインターフェースとを有した任意の他の装置、を含む、すべての商業的に適切なコンピュータ装置が想定される。
【0036】
ステップ600は、稔転計を含むシーンに関する第1画像データを取得することを含む。この画像データは、コンピュータ装置によって受領される、あるいは、コンピュータ装置に対して通信可能に結合された、カメラ、ビデオカメラ、又は、他の画像データ取得手段などの、別の装置によって受領される。「画像データ」という用語は、とりわけ、静止画像、ビデオフレーム、ビデオフレームデルタ、ビデオ、コンピュータによってレンダリングされた画像、コンピュータによって生成された画像又はグラフィック、投影物、印刷物、オンスクリーン画像、医療画像、又は、他のタイプの画像を含むものとして、広義に使用される。
【0037】
ステップ610は、画像データから、稔転計の第1対象物固有メトリックマップをコンパイルすることを含む。メトリックマップ(metric map、計量マップ、測定基準マップ)は、画像データのうちの、稔転計を表している少なくとも一部を含むことができ、色値、メトリック値(例えば、スカラー、ベクトル、等)、間隔、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、を含むことができる。初期的な対象物固有メトリックマップは、経験的なデータ駆動型の方法で生成することができる。いくつかの実施形態では、対象物固有メトリックマップは、画像データが生成された照明条件に関係なく稔転計が認識されるように、照明に関して不変であるべきである。例えば、照明条件が変化した際には、画像処理エンジンは、記述子を導出するために、画像データ上で所望の画像処理アルゴリズムを実行することができる。エンジンは、さらに、照明が変化しても不変のままであるRBG値をコンパイルすることができ、高品質の記述子のための最良の結果をもたらすことができる。エンジンは、さらに(例えば、自動的に、手動で、半自動的に、等)RGBがメトリック値へとマッピングされるべき方法とすべての照明条件下で最良の結果を生成する方法とを示している対象物固有メトリックマップを構築することができる(ステップ611)。
【0038】
第1画像データの第1対象物固有メトリックマップは、例えば、稔転計の周縁、稔転計の中心位置、及び、稔転計上の任意のマーキングの位置、を含むことができる。
【0039】
ステップ620においては、ユーザは、稔転計が取り付けられた皮膚の弾力性に抗して、稔転計を回転させる。回転は、被験体を傷つけることなく回転を停止させるのに充分な抵抗力に到達するまで、継続される。
【0040】
ステップ630は、完全に回転した位置にある稔転計を含むシーンに関する第2画像データを取得することを含み、ステップ640は、画像データから、稔転計の第2対象物固有メトリックマップをコンパイルすることを含む。第2対象物固有メトリックマップをコンパイルすることは、第1対象物固有メトリックマップのコンパイルと同様に実行することができ、すべての照明条件下で最良の結果を示す対象物固有メトリックマップを構築することを含むことができる(ステップ641)。第2画像データの第2対象物固有メトリックマップは、例えば、稔転計の周縁、稔転計の中心位置、及び、稔転計上の任意のマーキングの位置、を含むことができる。
【0041】
ステップ650は、第1対象物固有メトリックマップと第2対象物固有メトリックマップとを比較することを含む。ステップ650においては、画像処理エンジンは、個々の対象物固有マップを比較して対照することができる。各マップは、RGB値を個々のメトリックへと変換するために必要な計算ステップに関して機能的な複雑さを有するものとして処理することができる。複雑さは、参照表のサイズ、計算の数、又は他の要因によって、測定され得る。原理成分分析の一形態は、集合的なマップの複雑さの特徴物を低減させるために、対象物のクラスにわたるマップ機能の様々な寸法(例えば、定数、スケール、演算子、等)で、動作することができる。ステップ650(及び、本発明の主題の任意の他のステップ)は、画像処理エンジン、他のエンジン、サーバ又はプラットフォーム、あるいは、遠位のもの又はローカルなもの、を介して実行することができる。
【0042】
ステップ610及び640でコンパイルされた第1又は第2の対象物固有メトリックマップは、ステップ651に従って新たな対象物固有メトリックマップを生成するように調整することができる。例えば、初期的なマップは、画像のその部分上で実行された際に特徴物識別アルゴリズム(例えば、SIFT、FAST、等)の実装によって生成される記述子の差別化を増強するのに有効な態様で機能を合わせ込むことによって、調整することができる。これは、例えば、初期的な対象物固有メトリックマップ内のメトリック値の少なくともいくつかを変更するユーザ入力を受領することを介して、あるいは、記述子の信頼性を高めるためにメトリック値の1つ又は複数を変更することを画像処理エンジンが推奨することを介して、あるいは、初期的な対象物固有メトリックマップのメトリック値の1つ又は複数を画像処理エンジンが自動的に調整することを介して、あるいは、他の任意の商業的に適切なプロセスを介して、達成することができる。例えば、第1又は第2の対象物固有画像マップは、第1及び第2の対象物固有画像マップの向きを整列させるように、操作することができる。第1及び第2の画像マップの向きを整列させることは、例えば、画像マップの中心どうしを整列させること、画像マップのサイズ及び寸法を等しくするために画像マップ内の稔転計のサイズを拡大又は縮小すること、及び同種のこと、ならびにこれらの組合せ、を含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、ステップ652を含むことができ、このステップ652においては、画像データ内の値に関するより増大したかつより一貫した差別化を可能とするために、ピクセルレベルで画像データから1つ又は複数の特徴物を除去することができる。例えば、画像データは、ピクセルレベルベースで色の差別化を妨げる様々な特徴物(例えば、照明色、照明形状、表面反射率、表面形状及び視点、拡散反射、鏡面反射、等)を含み得る。多くのアルゴリズムが、完全な拡散反射を前提としているとともに、鏡面反射の位置を外れ値として考慮するので、特徴物の1つ又は複数を除去すること又はゼロとすることは、画像上における画像分析又は特徴物識別アルゴリズムの有効性を向上させることができる。そのような前提は、鏡面反射の存在がほとんどの実世界環境では避けられないことから、これらのアルゴリズムの構造安定性を低下させる。
【0044】
ステップ660は、整列された第1及び第2の画像マップ上における稔転計の回転度を計算することを含む。計算は、稔転計の回転度をもたらす任意の手段によって実行することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、ステップ661において、回転した位置から第1位置への、稔転計の、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、あるいはこれらの組合せ、を計算する。反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、あるいはこれらの組合せ、を計算することは、様々な手段を使用して実施することができ、特定の実施形態では、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、あるいはこれらの組合せ、を計算することは、ビデオ画像を取得することと、第1静止位置を識別することと、回転した位置を識別することと、回転した位置から第2静止位置へと稔転計が戻るのに要した時間を決定することと、によって実施することができる。いくつかの実施形態では、第2静止位置は、第1静止位置と同じ位置とすることができ、いくつかの実施形態では、第2静止位置は、稔転計が、回転した位置から離れて回転を停止させた位置であって、第1静止位置と同じではない位置とすることができる。よって、画像を取得するように構成されたコンピュータ装置は、弾力性を失った皮膚に関する最終的な静止位置を識別することができる。
【0046】
そのような方法は、回転度、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、を表示するステップを含むことができる。回転度は、例えば、1度、15度、30度、又は45度、などの数値として表示することができ、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、あるいはこれらの組合せは、約0.1秒未満、約0.5秒未満~約20秒、約0.2秒未満~約15秒、約1秒~約15秒、約1.5秒~約10秒、あるいは、これらの例示的な範囲によって包含される任意の個々の時間又は範囲、などの数値として表示することができる。他の実施形態では、ディスプレイは、皮膚に関しての、弾力性、引き締まり、張り、及び/又は、全体的な健康度合い、の指標をユーザに対して提供する独立した尺度を提供することができる。例えば、上述の方法から得られた計算を組み合わせて重み付けすることができ、皮膚の全体的な弾力性、引き締まり、又は張りを、1~10又は1~5のスケールで、測定することができる。アプリは、測定された数値を理解するための命令を含むことができ、適用される尺度内に該当する皮膚の例を表示することができる。
【0047】
追加の実施形態は、図5に図示したかつ上述した装置を使用して、皮膚の弾力性を測定する方法を含む。図7のフロー図7に示すように、ユーザは、ステップ720において、稔転計が取り付けられている皮膚の弾力性に抗して稔転計を回転させる。回転は、被験体を傷つけることなく回転を停止させるのに充分な抵抗力に到達するまで、継続される。稔転計を回転させることにより、稔転計に関連付けられた光学センサが第1位置へと回転する。
【0048】
ステップ730においては、稔転計の回転によって光学センサが活性化される。ステップ740は、稔転計を解放することと、ステップ720における回転とは逆向きの稔転計の回転を引き起こすことと、直下の皮膚の捩れを元に戻すことと、を含む。センサは、光学式エンコーダのスリットを通した光の透過を監視することにより、回転量、回転力、加速度、及び同種のもの、に関連するデータを、ステップ750において取得することができる。ステップ760においては、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のものを、光学センサに関連付けられたプロセッサによって、計算することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、光学センサに対して直接的に関連付けることができ、これらのデータは、データを表示、保存、及び/又はコンパイルし得るプロセッサに対して、送信することができる。他の実施形態では、光学センサは、生データを、プロセッサに対して送信することができ、プロセッサは、そのデータを使用することにより、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、を計算し得るとともに、これらのデータを、表示、保存、及び/又はコンパイルすることができる。
【0049】
図6の場合と同様に、そのような方法は、回転度、反跳速度、捩れ、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、を表示するステップを含むことができる。回転度は、例えば、1度、15度、30度、又は45度、などの数値として表示することができ、反跳速度、戻り速度、加速度、角速度、及び同種のもの、あるいはこれらの組合せは、約0.1秒未満、約0.5秒未満~約20秒、約0.2秒未満~約15秒、約1秒~約15秒、約1.5秒~約10秒、あるいは、これらの例示的な範囲によって包含される任意の個々の時間又は範囲、などの数値として表示することができる。他の実施形態では、ディスプレイは、皮膚に関しての、弾力性、引き締まり、張り、及び/又は、全体的な健康度合い、の指標をユーザに対して提供する独立した尺度を提供することができる。例えば、上述の方法から得られた計算を組み合わせて重み付けすることができ、皮膚の全体的な弾力性、引き締まり、又は張りを、1~10又は1~5のスケールで、測定することができる。アプリは、測定された数値を理解するための命令を含むことができ、適用される尺度内に該当する皮膚の例を表示することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、弾力性は、弾性係数の関数として、例えばヤング率の関数として、測定することができる。ヤング率は、以下のように計算することができる。
【数1】
式中、E=弾性係数、V=速度、ρ=密度、μ=ポアソン比、である。
密度(ρ)は、以下のように計算することができる。
【数2】
式中、ρ=密度、m=質量、V=体積、である。
密度は、試験された領域における皮膚の平均密度に基づいて一定とすることができ、例えば、額における皮膚の密度又は前腕における皮膚の密度に基づいて一定とすることができる。他の実施形態では、密度は、皮膚を照射して、例えば吸光度又は散乱を検出することにより、計算することができる。同様に、ポアソン比(μ)は、以下のように計算される。

【数3】
式中、μ=ポアソン比、Δl=長さの変化、l=長さ、Δw=幅の変化、w=幅、である。
ポアソン比は、皮膚の機械的試験に基づいて定数とすることができる。いくつかの実施形態では、ポアソン比は、稔転計の直下で捩られた時の皮膚の長さ及び幅の変化に基づいて計算することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、アプリは、回転度、反跳速度、加速度、及び同種のもの、ならびにこれらの組合せ、などの様々な測定値を、一過性の記憶媒体内に保存することができる。いくつかの実施形態では、アプリは、これらの測定値を、例えば、グラフィカルに又はスプレッドシート上に、表示することができる。特定の実施形態では、アプリは、様々な測定値を、順次的に保存してリポジトリに対して送信することができ、ここで、データは、製薬会社及び皮膚ケアの専門家が、皮膚ケア製品及び治療レジメンの効果を監視するために使用することができる。例えば、データは、FDAによって審査中の皮膚ケア製品及び治療レジメンのために、患者が報告した結果をまとめるために使用することができる。
【実施例
【0052】
本発明について、特定の好ましい実施形態を参照してかなり詳細に説明したけれども、他のバージョンが可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書中に含まれる説明及び好ましいバージョンに限定されるべきではない。本発明の様々な態様について、以下の非限定的な実施例を参照して例示する。
【0053】
実施例1
20歳~74歳の26人を対象に、上述した稔転計装置を使用して、前腕及び額の皮膚の弾力性を決定した。弾力性及び張りを、単位を度とした際の最大回転と、皮膚の弾力性を決定するに際しての現在の基準である「変位」と、最大回転から稔転計を解放した後の戻り速度と、に基づいて決定した。これらのデータは、図8にプロットされている。図8に示す最大回転及び戻り速度の変化は、年齢範囲にわたって大きさの変化が同様であることを示している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
【国際調査報告】