(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子
(51)【国際特許分類】
A61K 9/10 20060101AFI20220708BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220708BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220708BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20220708BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20220708BHJP
A61K 31/57 20060101ALI20220708BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20220708BHJP
A61K 31/593 20060101ALI20220708BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20220708BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20220708BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220708BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
A61K9/10
A61K47/14
A61K47/12
A61P17/06
A61K47/30
A61K31/57
A61K31/337
A61K31/593
A61K31/122
A61P3/02 102
A61P35/00
A61K9/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544790
(86)(22)【出願日】2020-02-02
(85)【翻訳文提出日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 IB2020050819
(87)【国際公開番号】W WO2020157729
(87)【国際公開日】2020-08-06
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521338802
【氏名又は名称】ナノブリッド イノベーションズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100201606
【氏名又は名称】田岡 洋
(72)【発明者】
【氏名】チットカーラ ディーパック
(72)【発明者】
【氏名】プカル スディープ スデッシュ
(72)【発明者】
【氏名】シン アリハント クマル
(72)【発明者】
【氏名】ミッタル アニュパマ
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ サウラブ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA31
4C076AA94
4C076CC20
4C076CC23
4C076CC27
4C076DD41
4C076DD46
4C076EE01
4C076FF31
4C086AA01
4C086BA02
4C086DA10
4C086DA14
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA22
4C086MA41
4C086NA12
4C086ZA89
4C086ZB26
4C086ZC23
4C206AA01
4C206CB27
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA61
4C206NA12
4C206ZC19
(57)【要約】
本発明は、疎水性薬物分子の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子を提供する。詳細には、本発明は、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーを含む、脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーを含む、脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子。
【請求項2】
固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーを含み、(a)コアが、固体脂質、液体脂質、及びポリマーの疎水性ブロックを含み、(b)前記コアを取り囲むシェルが、ポリマーの親水性部分を含む、請求項1に記載の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子。
【請求項3】
固体脂質、液体脂質、及び両親媒性ポリマーの疎水性ブロックの相互作用に起因して形成された疎水性コア内に、1つ以上の活性剤を捕捉する、請求項2に記載の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子。
【請求項4】
固体脂質の液体脂質に対する比が、約10:1~約1:10の範囲である、請求項2に記載の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子。
【請求項5】
固体脂質の両親媒性ポリマーに対する比が、約10:1~約1:10の範囲である、請求項2に記載の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子。
【請求項6】
液体脂質の両親媒性ポリマーに対する比が、約10:1~約1:10の範囲である、請求項2に記載の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子。
【請求項7】
少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、請求項1又は2に記載の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子。
【請求項8】
(a)固体脂質、液体脂質、及びポリマーの疎水性ブロックを含むコアと、
(b)コア内に捕捉された活性分子と、
(c)ポリマーの親水性部分を含むコアを取り囲むシェルと、
(d)界面活性剤と
を含む、請求項7に記載の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子。
【請求項9】
界面活性剤が、前記ナノ粒子を取り囲む水性相中に存在する、請求項8に記載の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性薬物分子の脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子に関する。詳細には、本発明は、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーを含む、脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子を提供する。
【背景技術】
【0002】
発見されて、医薬品、栄養補助薬及び化粧品に使用されている薬物分子の大部分は、本質的に疎水性であり、それにより、それらの送達に課題を課す。更に、これらは、それらの非特異的分布及びより高い用量要件に起因して、より低い効能及び高い毒性を呈する。この問題を克服するために、ナノ担体を使用する薬物送達が取り組まれており、これには、ポリマーの(ポリマーナノ粒子、ポリマーミセル及びポリマー-薬物結合体など)並びに非ポリマーの、すなわち脂質の、ナノ担体が挙げられる。これらのナノ系は、長期化された薬物放出プロファイル、破壊的バイオ環境からの活性成分の保護、より少ない副作用へと至らせるより少ない用量、活性部位への薬物の標的化、及び薬物動態パラメータの変更を含む、従来の送達系に勝る多くの利益を提供する。ポリマーナノ粒子及び非ポリマーナノ粒子の両方が、いくつかの利点を提供するが特定の欠点もまたこれらの系に伴うと、広範に報告されている。ポリマーナノ粒子は、狭いサイズ分布を有するより小さい粒径、表面上での可能な化学修飾、長期化された薬物放出及び安定性などの利点を付与する。しかし、同時に、これらは、薬物取り込みの低減、調製方法に関与する複数の工程、大量の有機溶媒の使用、スケーラビリティ、及び製造コストなどの欠点を伴う。非ポリマーナノ系としては、ナノ懸濁液、ナノ結晶、マイクロエマルジョン、固体脂質ナノ粒子(solid lipid nanoparticles、SLN)、ナノ構造脂質担体(nanostructure lipid carriers、NLC)、リポソーム、自己乳化型薬物送達系(self-emulsifying drug delivery systems、SEDDS)、ニオソームなどが挙げられる。これらの種類の系は、製造コストが低く、封入効率が高く、関与する工程数が少なく、毒性の問題がないなどの利点を提供する。これらはまた、破裂放出、化学修飾のための機会の限定、不安定性及び高多分散指数、薬物分配、薬物排出などを含む制限も伴う。
【0003】
両方の系の有益性を得るために、脂質-ポリマーハイブリッドナノ系が開発されてきた。これらのより新しいクラスのナノ担体は、良好な薬物充填能力、より制御された薬物放出、改善された細胞取り込み及び生体適合性などの、ポリマーの及び脂質のナノ担体の両方の利点を組み合わせて、それらに伴う欠点を回避する。
【0004】
脂質-ポリマーハイブリッド(lipid-polymer hybrid、LPH)ナノ粒子のこれらの特性は、化学療法薬、タンパク質、ペプチド、及びワクチンの送達におけるそれらの適用を促進する。
【0005】
米国特許出願公開第20130315831(A1)号は、ポリマーマトリックスによって更に被われた脂質の両親媒性層によって取り囲まれた水性コアを含むPLGA-DSPE-PEG系ハイブリッド微粒子担体系を開示している。これらの粒子は、siRNA、ドキソルビシンのような抗がん薬物、及びセラノスティクスのための造影剤、の封入及び送達のために提案されている。このハイブリッド微粒子は、ジクロロメタン(dichloromethane、DCM)を有機溶媒として使用することによって、エマルジョン溶媒蒸発によって調製された。
【0006】
米国特許出願公開第20080102127(A1)号は、ポリマー(PLGA/PCL)及び脂質(トリステアリン、トリパルミチン、ステアリン酸グリセリン、コレステロール、パルミチン酸トコフェロールなどのような)及び多量の界面活性剤(Tween 80、Cremophor EL、TPGS、プルロニック、PVA)を使用して調製されたハイブリッドナノ粒子を開示している。この発明では、ハイブリッドナノ系は、ナノ沈降及びエマルジョン溶媒蒸発法によって作製される。米国特許出願公開第20100203142(A1)号は、PEG化又は非PEG化ポリマー及び両親媒性脂質を含む脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子の使用を開示している。ここで、両親媒性脂質は、ナノ粒子の表面を被覆してシェルを形成し、ポリマーがコアを形成する。使用される脂質は、親水性部分及び疎水性部分(リン脂質)の両方から構成される。ここで、ハイブリッドナノ粒子は、エマルジョン溶媒蒸発の方法と同様の方法によって調製された。
【0007】
CN107412191Aは、薬物を含有する中央の水性コアを封入するシェルを形成する、ポリマー及びカチオン性脂質の使用を開示している。国際公開第2017158093(A1)号は、ハイブリッド系を作製するためのリピドイド(第二級及び第三級アミンを含有する脂質)及びPLGAポリマーの使用を開示している。
【0008】
国際公開第2013033513(A1)号は、ポリマー(外側の親水性部分を伴う疎水性コアを形成する)、並びにコア形成被膜の外側表面に会合するリン脂質から構成されるハイブリッド系の使用を開示している。ここで、発明者らは、ハイブリッドナノ粒子の調製のためのナノ沈降法を使用した。
【0009】
米国特許出願公開第20140005269(A1)号は、パーキンソン病を治療するために、難溶解性薬物レボドパの送達のためのポリマーマトリックス内に組み込まれたポリマー-脂質ナノ粒子を開示している。ここで、ポリマー-脂質ナノ粒子は、Eudragit(登録商標)E100及び/又はキトサンなどの少なくとも1つのポリマーと、レシチンなどの少なくとも1つのリン脂質とを含む。それはまた、例えばEudragit(登録商標)E100及びカルボキシメチルセルロースナトリウム等の、少なくとも2つの架橋カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーから形成されるポリマーマトリックスも含む。
【0010】
より良好な安定性を有する疎水性活性分子の高度に効率的な捕捉、破裂放出を最小限に抑えつつ長期化された薬物放出、低/最小の毒性を有する生体適合性賦形剤を使用して調製される単純かつスケーラブルなプロセス、及び薬物漏出防止、薬物分配及び薬物排出効果の防止、を有する、新規な脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子を提供する必要性は未だ満たされていない。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ポリマー、固体脂質、液体脂質及び界面活性剤を含むハイブリッド系を提供する。この脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子は、様々な疎水性分子を送達するためのプラットフォームとして機能することができる。提案されている系の最も重要な利点は、それが、プラットフォーム技術として機能することができることであり、異なる疎水性薬物分子が、選択されたクラスの賦形剤(固体及び液体脂質、ポリマー、並びに界面活性剤)から構成されるマトリックスに充填され得る。
【0012】
本発明はまた、商業的なレベルまでスケーラブルであり、工業用途に容易に適合され得るプロセスを使用する、脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子の調製方法を開示する。
【0013】
本発明による脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子は、疎水性脂質(固体脂質及び液体脂質)と両親媒性ポリマーマトリックスとを含み、両親媒性コポリマーの疎水性ブロック及び脂質が、コアを形成し、一方で、ポリマーの親水性ブロックが、モノリシック脂質-ポリマーハイブリッド(lipid-polymer hybrid、LPH)ナノ粒子を形成するナノ粒子の周囲に親水性シェルを形成する。更に、粒子は、生体適合性界面活性剤を使用して安定化される。本発明の目的のために、疎水性薬物が粒子のコア内に捕捉される。本発明のLPHナノ粒子の成分のこの特定の構造的配置に起因して、長期化された薬物放出プロファイルを有する、より良好な薬物充填及び封入効率が得られる。粒子のコアは空間的に異なる成分から構成されるため、固体脂質ナノ粒子に見られるような薬物排出効果がない。更に、親水性表面の存在に起因して、これらの粒子は、局所的に使用されたときに優れた皮膚保持特性により、より良好な有効性を示すことができ、非経口経路によって投与されたときに、ステルス効果によって身体内の薬物の増加された循環時間を示すことができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してより良く理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺どおりではなく、その代わりに本開示の原理を明確に説明することを強調している。
【
図1】プローブ超音波装置を使用して調製したCP充填LPHナノ粒子(バッチ5)の粒径分布。
【
図2】A)未希釈のCP充填LPHナノ粒子(バッチ5)、及びB)100×希釈したCP充填LPHナノ粒子(バッチ5)、並びにC)高圧ホモジナイザによって調製したプロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子の粒径分布。
【
図3】遊離プロピオン酸クロベタゾール(clobetasol propionate、CP)、遊離プロピオン酸クロベタゾール(CP)を含有するゲル、高圧ホモジナイザを使用して調製したバッチ1及び5のプロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子(CP LPH NP)を含有するゲルのin-vitro薬物放出研究。
【
図4】遊離プロピオン酸クロベタゾール(CP)、遊離プロピオン酸クロベタゾール(CP)を含有するゲル、プロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子(CP LPH NP)を含有するゲル、2~8℃及び室温で3か月及び6か月保管したプロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子(CP LPH NP)を含有するゲルのin-vitro薬物放出研究。
【
図5】遊離ドセタキセル(DTX)、及びプローブ超音波装置を使用して調製したDTX充填LPHナノ粒子(DTX LPH NP)のin-vitro薬物放出研究。
【
図6】A)遊離プロピオン酸クロベタゾール(CP)及びプロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子(DTX LPH NP)、B)HaCaT細胞中の遊離コレカルシフェロール(cholecalciferol、CVD)及びコレカルシフェロール充填LPHナノ粒子(CVD LPH NP)、並びにC)4T1乳がん細胞における遊離ドセタキセル(docetaxel、DTX)及びドセタキセル充填LPHナノ粒子(DTX LPH NP)のin-vitro細胞毒性。
【
図7】スイスアルビノマウスのイミキモド誘発乾癬モデルにおいて、A)プロピオン酸クロベタゾール(CP)ゲル、B)コレカルシフェロール(CVD)ゲル、及びC)コエンザイムQ10(CoQ10)ゲルで処置した動物における、開発された臨床の乾癬面積及び重症度指数(Psoriasis Area and Severity Index、PASI)に基づく乾癬炎症の程度を示す累積スコア。
【
図8】プロピオン酸クロベタゾール(CP)含有ゲルで処置した動物の耳の皮膚(Ear skin、ES)及び背中の皮膚の組織病理学的(H&E染色)評価。倍率40×。 赤色矢印:表皮、普通の緑色矢印:真皮、黒矢印:角質層、黄色矢印:炎症性細胞の浸潤、青色矢印:毛管増殖、橙色の矢印:表皮過形成。
【
図9】コレカルシフェロールゲル(CVD)含有ゲルで処置した動物の耳の皮膚(ES)及び背中の皮膚の組織の組織病理学的(H&E染色)評価。倍率40×。 赤色矢印:表皮、普通の緑色矢印:真皮、黒矢印:角質層、黄色矢印:炎症性細胞の浸潤、青色矢印:毛管増殖、橙色の矢印:表皮過形成、白色矢印:不全角化、蛍光の緑色矢印:角質増殖、空色矢印:マンロー微細膿瘍、ピンク色矢印:コゴイ海綿状膿疱。
【
図10】コエンザイムQ10(CoQ10)含有ゲルで処置した動物の耳の皮膚(ES)及び背中の皮膚の組織病理学的(H&E染色)評価。倍率40×。 赤色矢印:表皮、普通の緑色矢印:真皮、黒矢印:角質層、黄色矢印:炎症性細胞の浸潤、青色矢印:毛管増殖、橙色の矢印:表皮過形成、白色矢印:不全角化、蛍光の緑色矢印:角質増殖。
【
図11】プロピオン酸クロベタゾール製剤の局所適用後の、残りの皮膚(remaining skin、RS)、すなわち生存表皮及び真皮中のプロピオン酸クロベタゾール(CP)の定量化。
【発明を実施するための形態】
【0015】
驚くべきことに、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーの組み合わせを使用すると、ポリマーの親水性セグメントからなる親水性シェルによって被われた、脂質とポリマーの疎水性セグメントとを含む疎水性コアを有する、特定の構造化LPHナノ粒子がもたらされたことが判明した。この成分の配置は、高い薬物充填能力、改善された捕捉効率、長期化された薬物放出を示し、破裂効果を示さない、安定したLPHナノ粒子をもたらした。更なる製造プロセスは、高圧ホモジナイザを使用して容易に拡大することができる。
【0016】
本明細書で使用するとき、「ナノ粒子」は、一般にナノスケール及びマイクロスケール粒子の両方を指し、特に断りがない場合は、用語「粒子」と概ね同義である。
【0017】
また、本明細書に列挙される任意の数値は、低い値から高い値までの全ての値、すなわち、列挙された最低値と最高値との間の数値の全ての可能な組み合わせは、本出願において明示的に記載されるものと見なされるべきであることも理解される。例えば、濃度範囲又は有益な効果範囲が1%~50%と記載される場合、2%~40%、10%~30%、又は1%~3%などの値が本明細書に明示的に列挙されることが意図される。これらは、具体的に意図されるものの例に過ぎない。
【0018】
本発明による脂質-ポリマーハイブリッド(LPH)ナノ粒子は、両親媒性ポリマーの親水性部分によって取り囲まれた、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーの疎水性セグメントから構成される疎水性コアを含む。
【0019】
本発明による脂質-ポリマーハイブリッド(LPH)ナノ粒子は、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーを含む。
【0020】
一実施形態では、本発明は、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーがモノリシック型ハイブリッドナノ粒子を形成し、ポリマーの疎水性ブロックが固体脂質及び液体脂質の両方と相互作用して疎水性コアを形成し、ポリマーの親水性部分がそれ自体を疎水性コアの外側に配置する、LPHを記載する。
【0021】
別の実施形態では、本発明によるLPHナノ粒子は、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーを含み、(a)コアは、固体脂質、液体脂質、及びポリマーの疎水性ブロックを含み、(b)コアを取り囲むシェルは、ポリマーの親水性部分を含む。
【0022】
別の態様によると、本発明によるLPHナノ粒子は、固体脂質、液体脂質、両親媒性ポリマー及び界面活性剤を含む。
【0023】
別の態様によると、本発明によるLPHナノ粒子は、少なくとも1つの固体脂質、少なくとも1つの液体脂質、少なくとも1つの両親媒性ポリマー及び少なくとも1つの界面活性剤を含む。
【0024】
別の実施形態によると、LPHナノ粒子は、10~500nmのz平均直径を有する。ナノメートルサイズにより、この記載した系は、粒子凝集又は閉塞を伴わずに体循環に投与することができ、より高い細胞内取り込みを呈することができ、粘膜下層を貫通することができ、経口生物学的利用能の増加を呈することができ、選択的な標的化、改善された有効性、及び減少した用量要件を実証することができる。局所適用では、それらはより深い皮膚浸透を示し、したがって、活性成分の改善された有効性を呈し、最小限の体内吸収を伴うより長い持続時間にわたって皮膚層内に保持される。
【0025】
本発明の目的のために、少なくとも1つの固体脂質は、グリセリド(例えばパルミトステアリン酸グリセリル(Precirol(登録商標))、モノステアリン酸グリセリル(GMS)、ベヘン酸グリセリル(Comptritol ATO 888、(登録商標))、Gelucire(登録商標)など、ワックス(Apifil(登録商標))、脂肪酸(ステアリン酸、パルミチン酸など)、ステロール(コレステロール及びその誘導体など)、胆汁酸及びその塩(コール酸、デオキシコール酸など、及びそれらの好適な誘導体)、又はこれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明の目的のために、固体脂質は、ナノ粒子の約1重量%~約50重量%、好ましくは約15重量%~約45重量%、より好ましくは約20重量%~約40重量%、最も好ましくは約25重量%~約35重量%の範囲で存在する。
【0027】
本発明の目的のために、少なくとも1つの液体脂質は、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、飽和及び不飽和脂肪族アミン並びにアルコール、又はこれらの組み合わせの、エステル及びグリセリド形態又は遊離形態から選択されるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明の目的のために、不飽和脂肪酸は、リノール酸及びオレイン酸から選択されるが、これらに限定されない。本発明の目的のために、飽和脂肪酸は、カプリン酸、カプリル酸及びカプロン酸から選択されるが、これらに限定されない。本発明の目的のために、飽和及び不飽和脂肪族アミン並びにアルコールは、オレイルアミン、リノレイルアミン及びセチルアルコールから選択されるが、これらに限定されない。飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のエステル及びグリセリドとしては、Capmul(登録商標)、Miglyol(登録商標)、Captex(登録商標)、Peceol(商標)、Maisine(登録商標)CC、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
本発明の目的のために、液体脂質は、ナノ粒子の約1重量%~約50重量%、好ましくは約15重量%~約45重量%、より好ましくは約20重量%~約40重量%、最も好ましくは約25重量%~約35重量%の範囲で存在する。
【0030】
本発明の目的のために、固体脂質の液体脂質に対する比は、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約1:8~約8:1、約1:7~約7:1、約1:6~約6:1、約1:5~約5:1、約1:4~約4:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、又は約1:1の範囲である。
【0031】
本発明の目的のために、両親媒性ポリマーは、親水性部分及び疎水性部分の両方を有する任意の天然又は合成の、生分解性又は非生分解性のポリマーから選択されるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックスとしては、ポリ(エチレングリコール)(poly(ethylene glycol)、PEG)、ポリ(アクリル酸)、ポリメチルオキサゾリン、ポリイソプレン、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリ(4-ビニルピリジナムメチルヨウ化物)を含むがこれらに限定されない親水性ポリマー、並びにポリ(アスパラギン酸)(poly(aspartic acid)、PAA)、ポリ(ラクチド-co-グリコール酸)(poly(lactide-co-glycolic acid)、PLGA)、ポリ(カプロラクトン)(poly(caprolactone)、PCL)、及びポリ(乳酸)(poly(lactic acid)、PLA)、ポリスチレン、ポリ(2-シンナモイルエチルメタクリレート)、ポリジメチルシロキサン、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチルエチレン)、ポリ(プロピレンスルフェート)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(フマル酸/セバシン酸)、ポリホスファゼンのようなポリエステルのようなものであるが、これらに限定されない、親水性ポリマーと異なる疎水性コア、若しくはこれらの組み合わせ、から構成される、ジブロック、トリブロック、マルチブロック又はグラフトポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態によると、両親媒性ポリマーはmPEG-PLAであり、mPEG分子量は約500~約20000Daの範囲であり、PLA分子量は約2000~約20000Daの範囲である。
【0032】
本発明の目的のために、両親媒性ポリマーは、ナノ粒子の約1重量%~約50重量%、好ましくは約15重量%~約45重量%、より好ましくは約20重量%~約40重量%、最も好ましくは約25重量%~約35重量%の範囲の量で存在する。
【0033】
本発明の目的のために、固体脂質の両親媒性ポリマーに対する比は、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約1:8~約8:1、約1:7~約7:1、約1:6~約6:1、約1:5~約5:1、約1:4~約4:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、又は約1:1の範囲である。
【0034】
本発明の目的のために、液体脂質の両親媒性ポリマーに対する比は、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約1:8~約8:1、約1:7~約7:1、約1:6~約6:1、約1:5~約5:1、約1:4~約4:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、又は約1:1の範囲である。
【0035】
別の態様によると、本発明によるLPHナノ粒子は、固体脂質、液体脂質、及び両親媒性ポリマーの疎水性ブロックの相互作用に起因して形成された疎水性コア内に、1つ以上の活性剤を捕捉している。
【0036】
本発明の目的のために、少なくとも1つの界面活性剤は、HLB範囲5未満か15超から選択されるが、Span 80、Tween 80、Solutol HS 15、又はこれらの組み合わせに限定されない。これらは、その表面上への吸着によって脂質-ポリマーハイブリッドナノ粒子の安定化を助け、粒子の凝集を防止し、したがってコロイド安定性を高める。
【0037】
本発明の目的のために、少なくとも1つの界面活性剤は、約0.5w/v%~約10w/v%の範囲の量で存在する。
【0038】
本発明の目的のために、ナノ粒子は、内因性分子又はそれらの類似体、抗酸化剤、抗生物質、抗新生物剤、ステロイド性ホルモン、性ホルモン、ペプチド、非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drug、NSAID)、抗真菌薬、抗ウイルス薬、ノイラミニダーゼ阻害剤、オピオイド作動薬又は拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬、抗血管新生薬、診断化合物、及びワクチン又は生物学的物質などの薬学的に活性な化合物を封入している。
【0039】
内因性分子又はそれらの類似体、抗酸化剤、抗生物質、抗新生物剤、ステロイド性ホルモン、性ホルモン、ペプチド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗真菌薬、抗ウイルス薬、ノイラミニダーゼ阻害剤、オピオイド作動薬又は拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬、抗血管新生薬、診断化合物、及びワクチン又は生物学的物質のような、様々な薬学的に活性な薬物は、この提案された脂質ポリマーハイブリッドナノ粒子中に充填され得る。
【0040】
ステロイド性ホルモンは、コルチコステロイド性ホルモン(ヒドロコルチゾン、プロゲステロン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フッ素化コルチコステロイド)、同化ステロイド(レタボリル、ネロボリル、アンドロステノロン、アンドロステノン、ナンドロロール)、生理学的に同等のホルモン(例えば、ビタミンD)誘導体、又はこれらの組み合わせから選択することができる。
【0041】
抗新生物剤は、抗がん抗生物質(ミトマイシン、ダウノビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、エピルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、バルルビシン)、トポイソメラーゼ阻害剤(イリノテカン、トポテカン)、植物アルカロイド及びそれらの誘導体(ドセタキセル、エトポシド、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カンプトテシン、ビンデシン)、アロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール)、代謝拮抗物質(ゲンシタビン、ペメトレキセド、メトトレキセート、クラドリビン、クロファラビン、ラルチトレキセド、フルダラビン、フルオロウラシル、チオグアニン、カペシタビン、メルカプトプリン、シタラビン)から選択することができる。
【0042】
様々な追加の薬物は、抗ヒスタミン剤(セチリジン、ロラタジン、アステミゾール、テルフェナジンなど)、ロイコトリエン受容体拮抗薬(ザフィルルーカスト及びモンテルカスト)、5-LOX阻害剤(ジロートン)、非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェンなど)、酸化防止剤(コエンザイムQ10、アスタキサンチン、リコペン、ケルセチン、5-アルファリポ酸など)、カルシニューリン阻害剤(タクロリムス又はピメクロリムス)、脱ピグメンティング剤(モノベンゾン、メキノール又はヒドロキノン)、アルファ作動薬(ブリモニジン、オキシメタゾリン又はキシロメタゾリン)、抗生物質(ドキソルビシン、レボフロキサシン、リファンピシン、アジトロマイシン)、抗真菌剤(ケトコナゾール及びジフルカン)、抗寄生虫物質(ペルメトリン、リンダン、マナチオン又は安息香酸ベンジル、サルフィラム、カルバリル、クロタミトン及びフェノトリン、アルベンダゾール、チアベンダゾール)、抗ウイルス薬(ポドフィラム樹脂及びポドフィロトキシン、アシクロビルなど)、皮膚がん用薬物(シスプラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、トポテカン、及びエトポシド、ダカルバジン、パクリタキセル、ビンブラスチン)などの異なるカテゴリーから充填され得る。
【0043】
本発明の別の実施形態によると、ナノ粒子は、1~10の範囲のlog Pを有する1つ以上の薬学的に活性な化合物を封入している。例えば、Vorinostat(log P:1.44)、5-アルファリポ酸(log P:2.1)、ドセタキセル三水和物(log P:2.92)、プロピオン酸クロベタゾール(log P:3.49)、コレカルシフェロール(log P:7.5)、コエンザイムQ10(log P:10)。
【0044】
いくつかの実施形態では、粒子表面は、小分子(葉酸、ガラクトースを含むがこれらに限定されない)、ペプチド(RGD、TATを含むがこれらに限定されない)又はタンパク質(トランスフェリンを含むが、これに限定されない)、又は造影剤が挙げられるがこれらに限定されない標的リガンドを、両親媒性ポリマーの親水性セグメントに付着させることによって修飾され得る。
【0045】
本発明は、ナノ粒子が疎水性脂質及び両親媒性ポリマーマトリックスを含む、LPHナノ粒子薬物送達ビヒクルを提供する。
【0046】
一実施形態では、LPHナノ粒子薬物送達系は、(a)固体脂質及び液体脂質を含む疎水性脂質と、(b)両親媒性ポリマーマトリックスと、を含む。
【0047】
別の実施形態によると、本発明によるLPHナノ粒子は、少なくとも約50%以上の薬物封入効率を有する。好ましい実施形態によると、本発明によるLPHナノ粒子は、約50%~約100%の範囲の薬物封入効率を有する。
【0048】
好ましい実施形態によると、本発明によるLPHナノ粒子は、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は100%の薬物封入効率を有する。
【0049】
別の実施形態によると、LPHナノ粒子薬物送達系は、
(a)固体脂質及び液体脂質を含む疎水性コアと、
(b)両親媒性ポリマーであって、疎水性部分が、固体脂質及び液体脂質と疎水性コアを形成し、及び親水性部分が、中央の疎水性コアの外側に配置されて親水性シェルを形成する、両親媒性ポリマーと
を含む。
【0050】
本発明は、ナノ粒子が、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーを含み、(a)コアが、固体脂質、液体脂質、及びポリマーの疎水性ブロックを含み、(b)コアを取り囲むシェルが、ポリマーの親水性部分を含む、LPHナノ粒子薬物送達ビヒクルを提供する。
【0051】
別の実施形態によると、LPHナノ粒子薬物送達ビヒクルは、
(a)固体脂質、液体脂質、及びポリマーの疎水性ブロックを含むコアと、
(b)コア内に捕捉された活性分子と、
(c)ポリマーの親水性部分を含む、コアを取り囲むシェルと
を含む。
【0052】
別の実施形態によると、LPHナノ粒子薬物送達ビヒクルは、
(a)固体脂質、液体脂質、及びポリマーの疎水性ブロックを含むコアと、
(b)コア内に捕捉された活性分子と、
(c)ポリマーの親水性部分を含む、コアを取り囲むシェルと、
(d)界面活性剤と
を含む。
【0053】
別の実施形態によると、LPHナノ粒子薬物送達ビヒクルは、
(a)固体脂質、液体脂質、及びポリマーの疎水性ブロックを含むコアと、
(b)コア内に捕捉された活性分子と、
(c)ポリマーの親水性部分を含む、コアを取り囲むシェルと、
(d)ナノ粒子を取り囲む水性相中に存在する界面活性剤と
を含む。
【0054】
別の実施形態によると、LPHナノ粒子薬物送達ビヒクルは、本質的に、
(a)固体脂質、液体脂質、及びポリマーの疎水性ブロックを含むコアと、
(b)コア内に捕捉された活性分子と、
(c)ポリマーの親水性部分を含む、コアを取り囲むシェルと
(d)ナノ粒子を取り囲む水性相中に存在する界面活性剤と
からなる。
【0055】
本発明の別の実施形態によると、LPHナノ粒子は、薬物又は薬学的に活性な成分を、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーと共に最小量のクロロホルムに溶解することによって調製され、これは、わずかな加温後に加熱してクロロホルムを除去し、均質のマトリックスの形成をもたらすことによる。形成されたマトリックスを加熱するか又は加熱せずに、水性界面活性剤溶液を添加し、混合する。この水性脂質分散液は、1℃~70℃の温度範囲に維持され、サイズ低減技術(超音波処理又は均質化)が施され、その後、熱いナノ粒子分散液を即時冷却してLPHナノ粒子を得た。
【0056】
本発明の別の実施形態によると、薬物又は薬学的に活性な成分を、固体脂質、液体脂質及び両親媒性ポリマーと共に含有するマトリックスを、室温で加工し、水性界面活性剤溶液を固体マトリックスを含有するバイアル瓶に室温で移し、プローブ超音波処理を施してナノ粒子を得る。使用した界面活性剤は、Span 80、Tween 80及びSolutol HS 15のように、HLB範囲5未満か15超を伴っていた。
【0057】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の1つ以上の活性剤を含む粒子(又は複数の粒子を含む組成物)を対象に投与することによって、障害を治療する方法を特徴とし、1つ以上の活性剤は、障害を治療するのに有効である。本発明はまた、障害の治療における1つ以上の活性剤を含む本明細書に記載の粒子の使用を特徴とし、1つ以上の活性剤は、障害を治療するのに有効である。更に、この粒子は、塗布用のゲル、クリーム、又は軟膏担体に組み込まれ得る。更に、この粒子は、経口、非経口、鼻、局所、経皮又は眼の経路によって患者に投与され得る。
【実施例】
【0058】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に例示され、開示される。
【0059】
[実施例1]プローブ超音波処理法によるプロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子(CP LPH NP)
プロピオン酸クロベタゾールを、様々な固体脂質(ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、コンプリトール、プレシロール、コレステロール又はコール酸)、液体脂質(オレイン酸、リノール酸、ミグリオール、Capmul MCM C8又はCaptex355)、両親媒性ポリマー(mPEG-PLA)、及び界面活性剤(Span 80、Tween 80又はSolutol HS 15)と組み合わせることによって、表1と同様にバッチを調製した。薬物(4mg)、固体脂質(60mg)、液体脂質(60mg)、ポリマー(60mg)及び界面活性剤(1.5w/v%)を取り入れることによって、2.17%理論薬物充填(Theoretical Drug Loading、TDL)にてバッチを実施した。
【0060】
プロピオン酸クロベタゾール(4mg)、固体脂質(Precirol(登録商標)ATO 5、60mg)、液体脂質(リノール酸、60mg)及びポリマー(メトキシポリエチレングリコール-co-ポリ乳酸(methoxypolyethyleneglycol-co-polylactic acid、mPEG-PLA)コポリマー、60mg)を5mlガラスバイアル瓶に入れた。これに、クロロホルム(0.4ml)を添加し、40℃に加温して透明な溶液を得た。次いで、クロロホルムを70℃で30分間加熱して除去し、均一なマトリックスを形成した。Tween 80(1.5w/v%、3ml)を含有する水溶液をマトリックスに添加し、プローブ超音波処理装置を用いて25%振幅で4分間超音波処理した。ナノ分散液を5000rpmで5分間遠心分離して、捕捉されていないCP及び大きい粒子を除去した。ナノ粒子を含有する上清を回収し、粒径及びサイズ分布を分析し、並びにMalvern Zetasizerを使用してゼータ電位を分析し、並びにHPLCを使用して分散液中の薬物含有量を分析した。得られた結果を表2に示す。
図1は、CP充填LPHナノ粒子の粒径分布を示す。
【0061】
【0062】
これらのバッチから、高圧均等化技術によりスケールアップするために、バッチ番号1及び5を更に選択した。この選択は、粒径、PDIのデータ、粒径分布グラフの形状、及び封入効率%に基づかせた。
【0063】
[実施例2]高圧均質化法によるプロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子(CP LPH NP)
プロピオン酸クロベタゾール(107mg)、固体脂質(GMS又はPrecirol(登録商標)ATO 5、1600mg)、液体脂質(オレイン酸又はリノール酸、1600mg)及びポリマー(メトキシポリエチレングリコール-co-ポリ乳酸コポリマー(mPEG-PLA)、1600mg)を100mlビーカーに入れた。これに、クロロホルム(7ml)を添加し、40℃に加温して透明な溶液を得た。次いで、クロロホルムを70℃で3時間加熱して除去し、均一なマトリックスを形成した。Tween 80(1.5w/v%、50ml)を含有する水溶液をマトリックスに添加し、30,000rpmで5分間、高剪断均質化を施し、粗分散液を得た。Tween 80(1.5w/v%、30ml)を使用して、高圧ホモジナイザ(high-pressure homogenizer、HPH)のリザーバ及びコネクタ中に存在する水を置き換えた。次いで、粗分散液をHPHのリザーバに添加し、1000バールの圧力で5分間均質化した。均質化中の温度を監視し、45℃未満に維持した。ナノ分散液(70ml)をプロセスの終わりに回収し、直ちに氷浴で冷却し、5000rpmで5分間遠心分離して、捕捉されていない薬物及び大きな粒子を除去した。ナノ粒子を含有する上清を回収し、粒径及びサイズ分布を分析し、並びにMalvern Zetasizerを使用してゼータ電位を分析し、並びにHPLCを使用して分散液中の薬物含有量を分析した。得られた結果を表2に示す。
図2は、高圧ホモジナイザを使用して調製したバッチ5のCP充填LPHナノ粒子の粒径分布グラフを示す。
【0064】
【0065】
[実施例3]ドセタキセル(DTX)、コレカルシフェロール(CVD)又はコエンザイムQ10(CoQ10)充填LPHナノ粒子の調製
ドセタキセル三水和物、又はコエンザイムQ10(20mg)、固体脂質(Precirol(登録商標)ATO 5、180mg)、液体脂質(リノール酸、180mg)及びメトキシポリエチレングリコール-co-ポリ乳酸コポリマー(mPEG-PLA)(180mg)を丸底フラスコ(round-bottomed flask)に入れた。これに、クロロホルム(0.8ml)を添加し、40℃に加温して透明な溶液を得た。次いで、クロロホルムを60℃で30分間加熱して除去して、均一なフィルムを形成した。60℃に加熱したTween 80(1.5w/v%、10ml)を含有する水溶液を、60℃のRBF中の溶融脂質に添加した。脂質材料の水性懸濁液を15mlのバイアル瓶に移し、温度を60℃に維持したプローブ超音波装置を用いて20%振幅で2分間超音波処理した。ナノ分散液を氷浴中で直ちに冷却し、5000rpmで5分間遠心分離して、捕捉されていないDTX及び大きな粒子を除去した。ナノ粒子を含有する上清を回収し、粒径及びサイズ分布を分析し、並びにMalvern Zetasizerを使用してゼータ電位を分析し、並びにHPLCを使用して分散液中の薬物含有量を分析した。CVD LPH NPを調製するためのプロセスは、DTX/CoQ10と同様であるが、最終処方すなわちCVD 7mg、Precirol(登録商標)ATO 5(90mg)、メトキシポリエチレングリコール-co-ポリ乳酸コポリマー(mPEG-PLA)(90mg)及びリノール酸(90mg)に関して異なった。得られた結果を表3に示す。
【0066】
【0067】
[実施例4]プロピオン酸クロベタゾール(CP)、コレカルシフェロール(CVD)又はコエンザイムQ10(CoQ10)充填LPHナノ粒子を含有するゲルの調製
プロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子含有ゲル(約0.05w/w%のプロピオン酸クロベタゾール、100g)、コレカルシフェロール充填LPHナノ粒子含有ゲル(約0.005w/w%及び0.0025w/w%のCVD、100g)、又はコエンザイムQ10充填LPHナノ粒子含有ゲル(約0.06w/w%及び0.03w/w%のCoQ10、100g)を、0.75w/v%カルボポール974Pを使用して調製した。これらの3種の異なるゲルを調製するために、カルボポール974P(0.75g)を別々に3つの別個のビーカーに入れ、続いて精製水(10ml)を添加し、水和のために一晩維持した。プロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子分散液(約0.05g及び0.025gのプロピオン酸クロベタゾール)、CVD充填LPHナノ粒子分散液(約0.005g及び0.0025gのCVD)及びCoQ10充填LPHナノ粒子分散液(約0.06g及び0.03gのCoQ10)を水和カルボポール974Pに添加し、ガラスロッドを用いて均一に混合した。プロピレングリコール(13g)、メチルパラベン(0.3g)及びプロピルパラベン(0.3g)を上記混合物に加え、視覚的均一性が得られるまでガラスロッドを使用して激しく撹拌した。精製水を添加して重量を95gにし、1M NaOHを使用して混合物のpHを6.8に調整してゲルを得た。次いで、精製水を添加して重量を100gにし、十分に撹拌して均一なゲルを得た。
【0068】
[実施例5]LPHナノ粒子からのプロピオン酸クロベタゾール(CP)及びドセタキセル(DTX)のin-vitro薬物放出
薬物充填LPHナノ粒子を含有する新たに調製したゲルからのプロピオン酸クロベタゾールのin-vitro薬物放出試験を、2~8℃及び室温(RT)で3か月間及び6か月間保存した薬物充填LPHナノ粒子を含有するゲルと比較した。
【0069】
プロピオン酸クロベタゾール(CP)及びドセタキセル(DTX)LPHナノ粒子の放出試験を、以下の組成の媒体を使用して透析バッグ(SnakeSkin(登録商標)Dialysis Tubing、ThermoScientific)中で実施した。
CPの場合:リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)1000ml中、ラウリル硫酸ナトリウム-10g、アジ化ナトリウム-2g、エタノール-20ml
DTXの場合:リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)1000ml中、Tween 80-10g、アジ化ナトリウム-2g、エタノール-20ml
【0070】
プロピオン酸クロベタゾール遊離薬物(遊離CP)、遊離プロピオン酸クロベタゾール(CP)を含有するゲル、プロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子(CP LPH NP)を含有するゲル、安定性試料すなわち2~8℃及び室温(RT)でそれぞれ3か月間及び6か月間保管した薬物充填LPH NPを含有するゲル、遊離ドセタキセル及びDTX LPHナノ粒子(DTX LPH NP)を含有している透析用バッグを30mlの放出媒体に入れ、37℃でインキュベータに保持した。試料を、時点0.25、0.5、1、2、4、8、12、24、48、72、96、120、144及び168時間後に採取した。
【0071】
新たに調製したLPHナノ粒子を含有するゲル、及び安定性試料からのCPの放出プロファイルを、
図3及び
図4にそれぞれ示す。LPHナノ粒子からのDTXの放出プロファイルを
図5に示す。破裂効果が全くない持続的放出を、全ての放出プロファイルにおいて観察した。
【0072】
更に、安定性試料のin-vitro薬物放出プロファイルは、破裂放出のない新たに調製したCP LPHナノ粒子を含有するゲルの薬物放出プロファイルと同様であることが判明した。
【0073】
[実施例6]プロピオン酸クロベタゾール(CP)、ドセタキセル(DTX)、コレカルシフェロール(CVD)充填LPHナノ粒子のin-vitro細胞毒性アッセイ
プロピオン酸クロベタゾール(CP)及びコレカルシフェロール(CVD)について、HaCaT細胞におけるMTTアッセイを用いてin-vitro細胞毒性アッセイを実施したが、ドセタキセルについては、4T1乳がん細胞(マウス乳腺癌腫細胞株)におけるMTTアッセイを用いてin-vitro細胞毒性アッセイを実施した。簡潔に述べると、5×103細胞/ウェルを、96ウェル培養プレートに播種し、24時間付着させた(37℃、5%CO2でインキュベート)。プロピオン酸クロベタゾールの場合、1~100μMの範囲内の遊離薬物(遊離CP)又は薬物充填LPHナノ粒子(CP LPH NP)で48時間、細胞を処理した。CVDの場合、1~500nMの範囲内の遊離薬物(遊離CVD)又は薬物充填LPHナノ粒子(CVD LPH NP)で48時間、細胞を処理した。DTXの場合、1~1000nMの範囲内の遊離薬物(遊離DTX)又は薬物充填LPHナノ粒子(DTX LPH NP)で48時間、細胞を処理した。
【0074】
DMSO及びブランクナノ粒子を対照として使用した。48時間後、培養培地を除去し、プレートを滅菌PBS(pH7.4)で洗浄した。細胞を20μLのMTT試薬(5mg/mL)で処理し、100μLの無血清培養培地を有する各ウェルに添加し、暗所条件において4時間処理した。4時間後、培地をプレートから除去し、ホルマザン結晶を分子グレードのDMSOに溶解した。吸光度を、560nm及び参照波長である630nmで記録した。細胞阻害百分率は、未処理細胞との比較で決定した。
細胞阻害%=(OD試料ウェル/OD対照ウェル)×100
【0075】
図6A及びBに示すように、HaCaT細胞の増殖は、遊離薬物と比較して、プロピオン酸クロベタゾール(CP)又はコレカルシフェロール(CVD)充填LPHナノ粒子とのインキュベーション時に有意に減少した。同様の方法で、ドセタキセル充填LPHナノ粒子(DTX LPH NP)について、遊離DTX(
図6C)と比較して、4T1乳がん細胞に対する著しく高い細胞毒性を観察した。
【0076】
[実施例7]スイスアルビノマウスのイミキモド誘発乾癬モデルにおける、プロピオン酸クロベタゾール(CP)、コレカルシフェロール(CVD)又はコエンザイムQ10(CoQ10)充填LPHナノ粒子を含有するゲルのin vivo有効性評価
スイスアルビノマウス(8~12週齢)に市販のIMQクリーム(5%)62.5mgの局所投与を施し、それを連続5日間、剃毛した背中及び右耳に適用し、活性化合物3.125mgの毎日の投与と解釈した。動物を以下の群に分けた:陰性対照、陽性対照、市販のCPゲル(0.05w/w%と当量のCPを含有するClobetamos(登録商標))、CVD(0.005w/w%)、CoQ10(0.06%)を含有するプレーンなゲル、及びプレーンなゲルの用量と同様の用量にあるそれぞれの薬剤、プロピオン酸クロベタゾール(CP)、コレカルシフェロール(CVD)又はコエンザイムQ10(すなわち、CPの場合は0.05%、CVDの場合は0.005%、CoQ10の場合は0.06%)で充填したLPHナノ粒子(LPH NP)を含有するゲル、並びにプレーンなゲルの用量の半分の用量にあるそれぞれの薬剤、プロピオン酸クロベタゾール(CP)、コレカルシフェロール(CVD)又はコエンザイムQ10(すなわち、CPの場合は0.025%、CVDの場合は0.0025%、及びCoQ10の場合は0.03%)で充填したLPHナノ粒子(LPH NP)を含有するゲル。陰性対照マウスは、任意の治療なしに放置した。陽性対照マウスは、乾癬様皮膚状態を誘発するためにのみIMQ処置を受けた。動物を、1日1回、検量40mg/cm2の製品で処置した。治療の有効性は、臨床の乾癬面積及び重症度指数(PASI)に基づいて開発された客観的スコアリングシステムによって決定した。累積スコアリング(紅斑+落剥+肥厚)を0~12の尺度で行い、炎症の程度を示した。耳(右及び左の両方)の厚さを、マイクロメートルを使用して測定した。ここで、左耳は対照として扱った。背中の皮膚の厚さを、バーニアーキャリパーを使用して測定した。右耳及び背中の皮膚の厚さの増加は、乾癬の程度を示した。研究の最後に動物を犠牲にし、動物の背中の皮膚及び右耳を組織学的に検査した。
【0077】
図7に示すように、陽性対照の累積スコアは第1日から著しく増加し始め、第5日まで漸進的に増加した。データから、市販のCPゲル、CVDのプレーンなゲル及びCoQ10のプレーンなゲル、プロピオン酸クロベタゾール(CP)、コレカルシフェロール(CVD)又はコエンザイムQ10充填LPHナノ粒子を含有するLPHナノ粒子充填ゲルを全用量及び半用量で含有する試験群との両方が、乾癬を治療することができることが観察され得る。薬物充填LPHナノ粒子含有ゲルで処置した試験群は、市販の製剤又はプレーンなゲル(すなわち、ナノ粒子を含まない遊離薬物)と比較して、改善された有効性を示した(
図5A~5C)。更なる組織病理学的研究(右耳及び背中の皮膚の両方)は、LPHナノ粒子系に組み込むことによる、プロピオン酸クロベタゾール(CP)、コレカルシフェロール(CVD)又はコエンザイムQ10の有効性の顕著な改善を示した(
図8、9及び10)。
【0078】
[実施例8]より深い皮膚層(生存表皮及び真皮)中の薬物の量を決定するEx-vivo研究
ex-vivo皮膚透過試験を、接触表面積1cm2を有するフランツ型拡散セルを使用して、スイスアルビノマウスの乾癬皮膚において実施した。剃毛したマウスの皮膚を、クランプによってしっかりと保持したドナー区画とレセプタ区画との間に装着した。レセプタ区画を、ラウリル硫酸ナトリウム(1w/v%)及びエタノール(2v/v%)を含有するPBS(5ml、pH7.4)で満たした。
【0079】
ドナー区画には、市販のプロピオン酸クロベタゾール(CP)ゲル(Clobemos(登録商標))又はプロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子ゲル(プロピオン酸クロベタゾール25μgと当量)を入れ、続いて37±1℃で800rpmの撹拌速度で24時間インキュベートした。24時間後、レセプタ区画からアリコートを回収し、皮膚試料をフランツ型拡散セルから外し、PBS(pH7.4)で3回洗浄し、続いて空気乾燥した。テープ剥離には19mmのScotch(3M、USA)セロファンテープを使用した。第1の剥離テープは、それが、吸収されていない薬物を含有しているとして廃棄した。角質層(SC)層の除去のために、15のストリップを、テープの全面積が利用されるようにして剥離した。皮膚試料から角質層を除去した後、残りの皮膚をメタノールに浸し、皮膚のより深い層(すなわち、生存表皮及び真皮)から薬物を完全に抽出するために1時間超音波処理した。試料を、開発されたバイオ分析RP-HPLC法によって分析した。分析は、PDA検出器を備えた、島津製作所のHPLCシステムで実施した。クロマトグラフ分離を、1mL/分の流速で流れるアセトニトリル:水(60:40)からなる移動相を有するInertsil-C18 ODSカラム(5μm、4.6×250mm)上で実施した。ドセタキセル(DTX)を内部標準として使用した。注入量は60μLであり、CP及びDTXの保持時間は、それぞれ13.29分及び7.74分であることが判明した。
【0080】
結果を
図11に示す。この研究は、より深い真皮層(RS)、すなわち生存表皮及び真皮に浸透した薬物の量に関する情報を与える。
図11から、市販の製剤の場合、薬物のほとんどが皮膚のより深い層を浸透しなかったのに対し、ナノ粒子充填ゲルの場合、市販のCPゲル(1cm
2当たり5.8%の薬物)と比較して、より深い層への薬物の浸透が著しく高かった(1cm
2当たり71.47%の薬物)ことを観察することができる。
【0081】
[実施例9]IMQ誘発乾癬マウスへの局所適用時の、クロベタゾール充填LPHナノ粒子を含有するゲルからのプロピオン酸クロベタゾールの薬物動態(体内吸収)を決定する
IMQ誘発乾癬スイスアルビノマウス(25~30g)を2つの群(n=6)、市販製剤処置群と試験群とに分けた。市販製剤処置群の動物をClobetamos(登録商標)(0.05w/w%と当量のプロピオン酸クロベタゾール)で処置し、試験群の動物を、プロピオン酸クロベタゾール充填LPHナノ粒子(CP LPH NP)含有ゲル(0.05w/w%と当量のプロピオン酸クロベタゾール)で処置した。動物から、特定の時点(すなわち、0.5時間、1時間、3時間、6時間、12時間、及び24時間)の血液(100μL)を採取し、貯蔵し、6500RPMで15分間、更に遠心分離して血漿を単離した。血漿試料を、開発されたバイオ分析法を使用して逆相HPLCによって分析し、全身循環に達した薬物の量を決定した。分析は、PDA検出器を備えた、島津製作所のHPLCシステムで実施した。クロマトグラフ分離を、1mL/分の流速で流れるアセトニトリル:水(55:45)からなる移動相を有するInertsil-C18 ODSカラム(5μm、4.6×250mm)で実施した。ドセタキセル(DTX)を内部標準として使用した。注入量は60μLであり、CP及びDTXの保持時間は、それぞれ20.6分及び10.4分であることが判明した。
【0082】
結果は、Clobetamos(登録商標)で処置した市販群の場合、局所適用後30分~6時間で、血漿中で検出される定量化可能な濃度の薬物が存在したことを示した。クロベタゾール充填LPHナノ粒子(CP LPH NP)を含有するゲルで処置した試験群では、4日間にわたって、血漿中で検出される定量化可能な濃度の薬物は存在しなかった(表4)。CP LPHナノ粒子は、体内送達なしで、特定の皮膚保持能力と共に持続的に薬物を徐放するので、Clobetamos(登録商標)には該当しない、薬物に伴う全身的な副作用が低減されると結論付けることができる。
【0083】
【国際調査報告】