(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】光源波長を変調するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01S 3/137 20060101AFI20220708BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220708BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
H01S3/137
G03F7/20 502
G03F7/20 521
H01S3/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562871
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 US2020032390
(87)【国際公開番号】W WO2020231946
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】テン,クオ-タイ
(72)【発明者】
【氏名】アラワット,ラーフル
(72)【発明者】
【氏名】フォズーンメイエ,ピラジ
【テーマコード(参考)】
2H197
5F172
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197AA09
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA12
2H197DA09
2H197DB03
2H197HA03
5F172AD06
5F172DD03
5F172EE22
5F172NN25
5F172NP03
5F172NQ14
5F172NQ30
5F172NR12
5F172ZA02
5F172ZZ02
(57)【要約】
レーザシステムを制御するための装置及び方法は、複数の代替的な波長を有するレーザ放射のパルスのバーストを発生させることができる。波長を制御する要素が、1つの波長を発生させるための位置と別の波長を発生させるための位置との間にあるように、バースト間に予め位置決めされる。また、二次計画、動的プログラミング、反転フィードフォワード制御、又は反復学習制御を用いて、この要素が複数の位置間で移動するための最適制御波形を決定するシステムも開示される。予めポピュレートしたルックアップテーブル又はフィールドプログラマブルゲートアレイ等のデータストレージデバイスを用いて、複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザシステムであって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態と、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態と、を有するアクチュエータと、
前記アクチェータを前記第1の状態と前記第2の状態の中間であるバースト間の第3の状態にするため、前記アクチュエータに信号を供給するよう構成されたアクチュエータコントローラと、
を備えるレーザシステム。
【請求項2】
前記第1の状態は第1の位置であり、前記第2の状態は第2の位置であり、前記第3の状態は前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置である、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
レーザシステムであって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態と、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態と、を有するアクチュエータと、
前記アクチェータを前記第1の状態から前記第2の状態へ移行させるため、前記アクチュエータに信号を供給するよう構成されたアクチュエータコントローラであって、前記アクチュエータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための前記信号に対する最適制御波形を計算するよう構成されたモジュールを備え、前記最適制御波形の制御のもとで軌道に沿って前記第1の状態から前記第2の状態へ前記アクチュエータを移行させる、アクチュエータコントローラと、
を備えるレーザシステム。
【請求項4】
前記モジュールは制約付き二次計画を用いて前記最適制御波形を計算するように適合されている、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記モジュールは動的プログラミングを用いて前記最適制御波形を計算するように適合されている、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記モジュールはモデル反転フィードフォワード制御を用いて前記最適制御波形を計算するように適合されている、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記モジュールは反復学習制御を用いて前記最適制御波形を計算するように適合されている、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記モジュールは、複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための手段を更に備える、請求項4に記載のレーザシステム。
【請求項9】
複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための前記手段は予めポピュレートされたルックアップテーブルを含む、請求項8に記載のレーザシステム。
【請求項10】
複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための前記手段はフィールドプログラマブルゲートアレイを含む、請求項8に記載のレーザシステム。
【請求項11】
レーザシステムを制御する方法であって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態にアクチュエータを置くステップと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態に前記アクチュエータを置くステップと、を含み、
更に、前記第1の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップと前記第2の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップとの間に、前記第1の状態と前記第2の状態の中間である第3の状態に前記アクチュエータを置く第3のステップを含む、方法。
【請求項12】
前記第1の状態は第1の位置であり、前記第2の状態は第2の位置であり、前記第3の状態は前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置である、請求項11に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項13】
レーザシステムを制御する方法であって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態にアクチュエータを置くステップと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態に前記アクチュエータを置くステップと、を含み、
前記第2の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップは、前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することと、前記最適制御波形の制御のもとで軌道に沿って前記第1の状態から前記第2の状態へ前記アクチュエータを移行させることと、を含む、方法。
【請求項14】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは制約付き二次計画を用いることを含む、請求項13に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項15】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは動的プログラミングを用いることを含む、請求項13に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項16】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することはモデル反転フィードフォワード制御を用いることを含む、請求項13に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項17】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは反復学習制御を用いることを含む、請求項13に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項18】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは、複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための手段を記憶することを含む、請求項14に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項19】
複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶することは、予めポピュレートされたルックアップテーブルを用いて実行される、請求項18に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項20】
複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶することは、フィールドプログラマブルゲートアレイを用いることを含む、請求項18に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項21】
レーザシステムを制御する方法であって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態にアクチュエータを置くステップと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態に前記アクチュエータを置くステップと、を含み、
更に、前記第1の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップと前記第2の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップとの間に、前記第1の状態と前記第2の状態の中間である第3の状態に前記アクチュエータを置く第3のステップを含み、
前記第2の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップは、前記アクチェータを前記第1の状態から前記第2の状態へ最適な軌道に沿って移行させるための最適制御波形を計算することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2019年5月14日に出願された「APPARATUS FOR AND METHOD OF MODULATING A LIGHT SOURCE WAVELENGTH」と題する米国特許出願第62/847,464号に対する優先権を主張する。これは参照により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、例えばリソグラフィ装置において用いられる、複数のレーザビームを発生させるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを半導体材料のウェーハ等の基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する。代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ウェーハの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。パターンの転写は通常、基板上に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分を含んでいる。
【0004】
[0004] リソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へパターンを転写することが可能である。本明細書では、簡略化のため、ステッパ及びスキャナの双方を単にスキャナと呼ぶ。
【0005】
[0005] パターンを照明し、これを基板上に投影するために用いられる光源は、多数の構成のうちいずれか1つとすることができる。リソグラフィシステムで一般的に用いられる深紫外線エキシマレーザには、248nm波長のフッ化クリプトン(KrF)レーザと、193nm波長のフッ化アルゴン(ArF)レーザが含まれる。一般に、エキシマレーザは特定のガス混合物を用いて動作するように設計されており、従って、波長を変化させることは複雑である場合がある。特に、放電ごとに(「ショットごとに(shot-to-shot)」)中心波長を変化させることは困難である。
【0006】
[0006] しかしながら、波長を変化させる能力を有することが望ましい場合がある。例えば、メモリの3D NAND層では(すなわち、相互に積層されたNAND(not AND)ゲートに似た構造のメモリ)。2Dから3D NANDアーキテクチャへ移行するには、製造プロセスの大きな変更が必要である。3D NAND製造における問題は、主として、極端なアスペクト比(ホールの直径と深さとの比)でのエッチング及び堆積プロセスによって引き起こされる。極めて高アスペクト比(HAR:high-aspect-ratio)のフィーチャを有する複雑な3D構造の生成は複雑であり、極めて高い精度を必要とし、最終的には、大規模を実現するためプロセスの均一性と再現性を必要とする。更に、多層スタックの高さが大きくなるにつれて、例えばメモリアレイのようなスタックの上部と下部で一致したエッチング及び堆積の結果を得る困難さも増す。
【0007】
[0007] これらの考慮すべき事項によって、焦点深度を大きくする必要が生じる。リソグラフィの焦点深度DOFは、関係式DOF=±m2λ/(NA)2によって求められる。ここで、λは照明光の波長であり、NAは開口数であり、m1及びm2はレジストプロセスに依存する実際のファクタである。3D NANDリソグラフィで焦点深度を大きくする必要があるため、ウェーハ上で2以上の露光パスが実行され、各パスで異なるレーザ波長が用いられることがある。
【0008】
[0008] 更に、レーザ放射を集束させるレンズを構成する材料は分散性であるので、異なる波長はそれぞれ異なる深さで集束する。これが、波長を変化させる能力を有することが望ましいもう一つの理由である。
【0009】
[0009] DUV光源は、DUV光の波長を制御するためのシステムを含む。通常、こういった波長制御システムは、波長安定性を促進するためフィードバック補償器及びフィードフォワード補償器を含む。特徴的に、ターゲット又は基準波長、すなわち波長制御システムによって要求される波長は、レーザ動作中に急速には変化しないことが予想される。従って、コントローラは主として過渡外乱の除去に関与する。また、フィードフォワード補償器は、波長ターゲットの要求される変化、すなわち頻繁には起こらないことが予想される波長変化イベントも補償する。そのようなイベントが発生して、例えば600fmの波長セットポイント変化を達成する場合、システムが新たな波長に安定して落ち着くためには典型的に約100msのオーダーの整定時間を許容しなければならない。通常、これはパルス間の時間を超えているので、ターゲット波長セットポイントをパルス間で約500fm変化させる使用法では、そのような制御システムは所望の波長追跡性能を提供することができない。
【0010】
[0010] 具体例として、2つの異なる波長でDUV光を発生する適用例では、基準波長は露光中に2つのセットポイントを有する。すなわち、第1の波長の第1のセットポイントと第2の波長の第2のセットポイントである。このため、基準波長はこれら2つのセットポイントの間で変調される。あらゆる波長ターゲット変化には所定の整定時間が必要である。これは、基準波長を変調することができる速度を制限する。更に、過渡整定期間中の波長は基本的に制御されない。これにより、波長ターゲット変化間の許容可能な待ち時間に制約が加えられる。
【0011】
[0011] パルス間で、すなわちパルスごとに、基準波長を変化させる能力を有することが望ましい。この能力は、過渡整定期間を短縮することによって実現できる。また、基準波長変化間の待ち時間を短縮するか又は排除することも望ましい。
【発明の概要】
【0012】
[0012] 以下は、1つ以上の実施形態の基本的な理解を得るため、そのような実施形態の簡略化された概要を示す。この概要は、想定される全ての実施形態を広く概観するものではなく、全ての実施形態の重要な又は不可欠な要素を識別することは意図しておらず、また、いずれかの又は全ての実施形態の範囲を規定することも意図していない。その唯一の目的は、後に提示される更に詳細な説明の前置きとして、1つ以上の実施形態のいくつかの概念を簡略化した形態で示すことである。
【0013】
[0013] 実施形態の一態様によれば、基準波長を変化させることで生じる過渡期間を短縮するため、バースト(burst)間で次の新しいターゲット波長を達成するようバースト間にアクチュエータを予め配置する(pre-position)ことによってアクチュエータを準備する。
【0014】
[0014] 別の態様によれば、ライン狭隘化モジュールにおいてピエゾアクチュエータ等のアクチュエータを用いることにより波長制御が達成される。アクチュエータの動的モデルに基づいて、実際の波長と波長ターゲットとの差を最小限に抑えるようにアクチュエータを作動させるための最適制御波形を計算する。最適制御波形は、いくつかの方法のうちいずれか1つを用いて計算することができる。例えば最適制御波形は、制約付き二次計画(quadratic programming with constraints)、及び/又は所与の波長ターゲットに対する最適制御信号を発生する動的プログラミングを用いて計算すればよい。放射源を動作させることができる様々な繰り返し率のうち少なくともいくつかに対する最適制御パラメータを含む、予めポピュレートされた(pre-populated)ルックアップテーブルを用いることができる。
【0015】
[0015] 別の例として、モデル反転フィードフォワード制御(model inversion feedforward control)を用いて最適制御波形を決定することができる。この方法は、アクチュエータ動的モデルを用いてデジタルフィルタを構築し、アクチュエータダイナミクスを反転させる。このフィルタに所望のアクチュエータ軌道の波形を通過させることにより、最適制御波形をリアルタイムで生成して、定常状態誤差のない追跡を達成できる。ここでも他の箇所でも、「軌道(trajectory)」という用語は、加速を含むアクチュエータの移動の特徴を示すために用いられる。
【0016】
[0016] 別の例として、2つの別個の波長を達成するための最適な解決策は、学習アルゴリズムを用いて、いくつかの学習反復を通して誤差収束を行うことで達成される。提案される方法は、1000fm分離した2つの別個の波長を、20fm未満の分離誤差で達成できる。
【0017】
[0017] 別の態様によれば、最適制御波形は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)を用いて、極めて高いレートでアクチュエータに供給することができる。
【0018】
[0018] 本発明の別の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思いつくであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[0019] 本明細書に組み込まれ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の実施形態の方法及びシステムを、限定としてではなく例として説明する。図面は更に、詳細な説明と併せて、本明細書に提示されている方法及びシステムの原理を説明するように、また、当業者がこの方法及びシステムを作製し使用できるように機能する。図面中、同じ参照番号は同一の又は機能的に類似の要素を表す。
【0020】
【
図1】[0020] 開示される主題の一態様に従ったフォトリソグラフィシステムの全体的な広い概念を示す、一定の縮尺通りではない概略図である。
【
図2】[0021] 開示される主題の一態様に従った照明システムの全体的な広い概念を示す、一定の縮尺通りではない概略図である。
【
図3】[0022] 実施形態の一態様に従った2チャンバレーザシステムの機能ブロック図である。
【
図4】[0023] 実施形態の一態様に従った2つのレーザチャンバにおいて生じ得る相対的な放電タイミングの図である。
【
図5】[0024] 実施形態の一態様に従った2つのレーザチャンバにおいて生じ得る別の相対的な放電タイミングの図である。
【0021】
[0025] 本発明の別の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思いつくであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0026] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0023】
[0027] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0024】
[0028] 実施形態を詳細に説明する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示的な環境を示すことが有益である。
図1を参照すると、フォトリソグラフィシステム100は照明システム105を含む。以下で更に充分に記載する通り、照明システム105は、パルス光ビーム110を生成してこれをフォトリソグラフィ露光装置又はスキャナ115へ誘導する光源を含む。フォトリソグラフィ露光装置又はスキャナ115は、ウェーハ120上にマイクロ電子フィーチャをパターン形成する。ウェーハ120はウェーハテーブル125上に配置されている。ウェーハテーブル125は、ウェーハ120を保持するように構築され、特定のパラメータに従ってウェーハ120を正確に位置決めするよう構成されたポジショナに接続されている。
【0025】
[0029] フォトリソグラフィシステム100は、例えば248ナノメートル(nm)又は193nmの波長のような、深紫外線(DUV)範囲内の波長を有する光ビーム110を用いる。ウェーハ120上にパターン形成できるマイクロ電子フィーチャの最小サイズは光ビーム110の波長に依存し、波長が短くなればなるほど小さい最小フィーチャサイズが可能となる。光ビーム110の波長が248nm又は193nmである場合、マイクロ電子フィーチャの最小サイズは例えば50nm以下であり得る。光ビーム110の帯域幅は、光ビーム110の光エネルギが様々な波長にわたってどのように分布しているかに関する情報を含む光スペクトル(又は放出スペクトル)の実際の瞬時帯域幅であり得る。スキャナ115は、例えば1つ以上のコンデンサレンズ、マスク、及び対物系機構を有する光学機構を含む。マスクは、1つ以上の方向に沿って、例えば光ビーム110の光軸に沿って又は光軸に対して垂直な面内で、移動可能である。対物系機構は投影レンズを含み、マスクからウェーハ120上のフォトレジストへ像転写を行うことを可能とする。照明システム105は、マスクに入射する光ビーム110の角度範囲を調整する。また、照明システム105は、マスクにおける光ビーム110の強度分布を均質にする(均一にする)。
【0026】
[0030] スキャナ115は、いくつかの特徴部(feature)の中でも特に、リソグラフィコントローラ130と、空調デバイスと、様々な電気コンポーネントのための電力供給とを含むことができる。リソグラフィコントローラ130は、ウェーハ120にどのように層をプリントするかを制御する。リソグラフィコントローラ130は、プロセスレシピ等の情報を記憶しているメモリを含む。プロセスプログラム又はレシピは、例えば使用するマスクや、露光に影響を及ぼす他のファクタに基づいて、ウェーハ120に対する露光の長さを決定する。リソグラフィの間、光ビーム110の複数のパルスがウェーハ120の同一エリアを照明して照明ドーズを構成する。
【0027】
[0031] また、フォトリソグラフィシステム100は制御システム135も含むことが好ましい。一般に、制御システム135は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうち1つ以上を含む。制御システム135は、読み取り専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリとすることができるメモリも含む。コンピュータプログラム命令及びデータをタンジブルに具現化するのに適したストレージデバイスには、あらゆる形態の不揮発性メモリが含まれるが、一例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス等の半導体メモリデバイス、内部ハードディスク及び着脱可能ディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROMディスクが含まれる。
【0028】
[0032] 制御システム135は、1つ以上の入力デバイス(キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン、マウス、ハンドヘルド入力デバイス等)と、1つ以上の出力デバイス(スピーカ又はモニタ等)も含むことができる。また、制御システム135は、1つ以上のプログラマブルプロセッサと、1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行するため機械可読ストレージデバイスにおいてタンジブルに具現化された1つ以上のコンピュータプログラム製品も含む。1つ以上のプログラマブルプロセッサの各々は、入力データに対して動作を行うと共に適切な出力を発生することにより、命令のプログラムを実行して所望の機能を実施できる。一般に、プロセッサはメモリから命令及びデータを受信する。前述したもののうち任意のものを、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補足するか又はそれに組み込むことも可能である。制御システム135は、集中型とするか、又は部分的にもしくは全体的にフォトリソグラフィシステム100の全体にわたって分散させることができる。
【0029】
[0033]
図2を参照すると、例示的な照明システム105は、光ビーム110としてパルスレーザビームを生成するパルスレーザ源である。
図2は、開示される主題の特定の態様の実施形態に従ったガス放電レーザシステムを例示的にブロック図で示している。ガス放電レーザシステムは例えば、固体又はガス放電シードレーザシステム140と、例えばパワーリング増幅器(「PRA:power ring amplifier」)段145のような増幅段と、リレー光学系150と、レーザシステム出力サブシステム160と、を含むことができる。シードシステム140は、例えば主発振器(「MO:master oscillator」)チャンバ165を含むことができる。
【0030】
[0034] シードレーザシステム140は、主発振器出力カプラ(「MOOC:master oscillator output coupler」)175も含むことができる。MOOC175は部分反射ミラーを含むことができ、ライン狭隘化モジュール(「LNM:line narrowing module」)170内の反射格子(図示せず)と共に発振器キャビティを形成する。このキャビティ内で、シードレーザ140が発振してシードレーザ出力パルスを形成する、すなわち主発振器(「MO」)を形成する。このシステムは、ライン中心解析モジュール(「LAM:line-center analysis module」)180も含み得る。LAM180は、微細な波長測定のためのエタロンスペクトロメータと粗解像度格子スペクトロメータを含むことができる。MO波面エンジニアリングボックス(「WEB:wavefront engineering box」)185は、MOシードレーザシステム140の出力を増幅段145へ方向転換させるように機能し、例えばマルチプリズムビームエキスパンダ(図示せず)によるビーム拡大と、例えば光遅延経路(図示せず)の形態のコヒーレンス破壊(coherence busting)を含み得る。
【0031】
[0035] 増幅段145は、例えばPRAレーザ発振チャンバ200を含み得る。これは、例えばPRA WEB210内に組み込まれ得るシードビーム入射及び出力結合光学系(図示せず)によって形成された発振器とすることができ、ビーム反転器220によってビームチャンバ200内の利得媒体を通って後方へ方向転換を行うことができる。PRA WEB210は、部分反射入力/出力カプラ(図示せず)と、公称動作波長(例えばArFシステムでは約193nm)のための最大反射ミラーと、1つ以上のプリズムと、を組み込むことができる。
【0032】
[0036] 増幅段145の出力における帯域幅解析モジュール(「BAM:bandwidth analysis module」)230は、増幅段から出力レーザ光ビームパルスを受け取り、光ビームの一部をメトロロジの目的のために、例えば出力帯域幅とパルスエネルギを測定するために選び出すことができる。次いでレーザ出力光ビームパルスは、パルスエネルギ計測器の位置にあり得る光パルスストレッチャ(「OPuS:optical pulse stretcher」)240と出力結合オートシャッタメトロロジモジュール(「CASMM:combined autoshutter metrology module」)250を通過する。OPuS240の1つの目的は、例えば単一の出力レーザパルスをパルス列に変換することである。最初の単一の出力パルスから生成された二次パルスは、相互に遅延し得る。最初のレーザパルスエネルギを二次パルス列内に分散させることによって、レーザの有効パルス長を拡大し、同時にピークパルス強度を低減させることができる。このようにOPuS240は、PRA WEB210からBAM230を介してレーザビームを受け取り、OPuS240の出力をCASMM250へ誘導することができる。他の実施形態では他の適切な構成を用いてもよい。
【0033】
[0037] PRAレーザ発振チャンバ200及びMO165はチャンバとして構成されており、このチャンバ内で、電極間の放電がレーザ発振ガスでレーザ発振ガス放電を引き起こし、例えばAr、Kr、及び/又はXeを含む高エネルギ分子の反転分布を発生させて、比較的広い帯域の放射を生成することができる。この放射は、ライン狭隘化モジュール(「LNM」)170において選択された比較的極めて狭い帯域幅と中心波長にライン狭隘化することができる。これは当技術分野では既知である。
【0034】
[0038] 通常、LNMでは調整が行われる。ライン狭隘化及びレーザ調整のために用いられる典型的な技法は、レーザ放電キャビティの後部に、レーザビームの一部がLNMへ入射する際に通過するウィンドウを設けることである。ここで、ビームの一部はプリズムビームエキスパンダによって拡大されて格子へ誘導され、この格子はレーザの広いスペクトルのうち狭い選択部分を反射して放電チャンバへ戻し、これが放電チャンバ内で増幅される。レーザの調整は典型的に、例えばピエゾアクチュエータ等のアクチュエータを用いて、ビームが格子を照明する角度を変化させることにより行われる。
【0035】
[0039] 上記のように、いくつかの適用例では、1つの波長を有する1つ以上のパルスのバーストを発生することができると共に、次いで異なる波長を有する1つ以上のパルスのバーストを発生するようスイッチできることが有益である。しかしながら、パルス間でこれを達成しようとすることは困難である。その理由は、整定時間、すなわち波長変化後にシステムが安定するため要する時間量が、典型的にパルス間の間隔よりも長いからである。一態様によれば、バースト間で次の新しいターゲット波長を達成するようバースト間にアクチュエータを予め配置することによってアクチュエータを準備することで、基準波長の変化により生じる過渡整定時間を短縮する。
【0036】
[0040] 別の態様によれば、アクチュエータの動的モデルを用いて、実際の波長と波長ターゲットとの差を最小限に抑えるようにアクチュエータを作動させるための最適制御波形を計算する。
【0037】
[0041] 最適制御波形は、いくつかの方法のうちいずれか1つを用いて計算することができる。例えば、最適制御波形は動的プログラミングを用いて計算できる。この方法は、非線形ダイナミクスを含む複雑なモデルを処理するため充分に適合されている。強力な非線形ダイナミクスを有するアクチュエータモデルを採用した場合、動的プログラミングを用いて所与の波長ターゲットに対する最適制御信号を発生することができる。しかしながら、動的プログラミングは、リアルタイムでは実装不可能であり得る著しい計算リソースを必要とするという課題がある。これを克服するには、放射源を動作させることができる様々な繰り返し率のうち少なくともいくつかに対する最適制御パラメータを含む、予めポピュレートされたルックアップテーブル又は予めプログラムされたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のようなデータストレージデバイスを用いればよい。
【0038】
[0042] 別の例として、モデル反転フィードフォワード制御を用いて最適制御波形を決定することができる。この方法は、アクチュエータ動的モデルを用いてデジタルフィルタを構築し、アクチュエータダイナミクスを反転させる。このフィルタに所望のアクチュエータ軌道の所望の波形を通過させることにより、最適制御波形をリアルタイムで生成して、定常状態誤差のない追跡を達成できる。
【0039】
[0043] 別の例として、2つの別個の波長を安定して達成するための最適な解決策は、学習アルゴリズムを用いて、いくつかの学習反復を通して誤差収束を保証することで達成される。本明細書に開示されているシステム及び方法の実施形態は、1000fm分離された2つの別個の波長を、20fm未満の分離誤差で達成できる可能性がある。
【0040】
[0044] 別の態様によれば、最適制御波形は、FPGAを用いて極めて高いレートでアクチュエータに供給することができる。
【0041】
[0045] 制御システムは、フィードフォワード制御と反復学習制御(ILC:iterative learning control)の組み合わせを含み得る。
図3に示されているように、ストリーミングデータ取得ユニット330からの波長測定値とILC更新法(update law)を用いて、ILCモジュール300によってオフラインでフィードフォワード制御信号Aが計算される。これについては以下で記載する。帯域幅波長制御モジュール(BWCM:bandwidth wavelength control module)340は、フィードフォワード制御信号Aを用いて、BWCM340に含まれるFPGA等のデータストレージユニット内の予め定義されたデータを更新する。次いでBWCM340は、レーザがパルス状である場合に例えば60kHzでPZT350を作動させる。レーザ放射の波長は、ライン中心(中心波長)解析モジュール(LAM)360及び発射制御プラットフォーム又はプロセッサ(FCP:fire control platform or processor)370によって測定され、波長測定値は6kHzでデータ取得ユニット330に収集される。
【0042】
[0046]
図3に示されているシステムが複数の周波数レジームを包含するように構成できることは認められよう。破線ボックス内のエリアは、基本的にオフラインで実行され得るプロセスを示す。PZT350は約60kHzで駆動され得る。波長データは約6kHzで取得され得る。
【0043】
[0047] PZT電圧の変化に対する制約を考慮に入れるため、制約付き二次計画を用いて、実現可能な動作領域内で最適フィードフォワード信号を見つけることを支援できる。二次計画は、数学的に制約のある所与の二次費用関数に対する最適解を見つける技法である。
【0044】
[0048] 標準的QPソルバは、以下の構造に伴う問題を解決することができる。
【0045】
【0046】
ここで、Xは設計パラメータであり、自由に選択できるが、ただしLX≦bを満たさなければならない。言い換えると、QPソルバは、LX≦bで規定される実行可能領域内で費用関数を最小限に抑える最適なXを見つける。
【0047】
[0049] ここで記載されている適用例における目的は、アクチュエータ位置と所望の制御波形との間の誤差を最小限に抑えながらアクチュエータ制約を満たすフィードフォワード制御を見つけることである。PZTダイナミクスは以下の状態空間形態で表現することができる。
x(k+1)=Ax(k)+Bu(k)
y(k+1)=Cx(k+1)
ここで、A、B、Cは、それぞれPZTダイナミクスを記述する状態行列、入力行列、及び出力行列であり、xは状態ベクトルであり、uは入力ベクトルであり、yはPZTからの出力である。
【0048】
[0050] 上記の動的モデルを置換すると、最初の費用関数は以下のように書き直すことができる。
【0049】
【0050】
[0051] これは、以下の標準的QP形態に適合する(fit)。
H=PTQP
f=-PTQR
X=U
L=D
b=l
PはPZT入出力ダイナミクスを記述し、Qは重み関数であり、Rは所望の制御波形を示し、Dはアクチュエータ制約を表し、lはアクチュエータ制約の閾値である。
【0051】
[0052] 別の態様によれば、ILC制御は以下の方程式によって記述できる。
Uk=Uk-1+LEk-1
ここで、Ukはk番目の反復で用いられるフィードフォワード制御信号であり、LはILCアルゴリズムの収束を決定する学習関数であり、Ekはk番目の反復における誤差である。
【0052】
[0053] ILC制御の安定性及び収束特性は、以下のように、ILC制御法とシステムの動的モデルを組み合わせることによって導出できる。
Ek=(l-PL)Ek-1
【0053】
[0054] ここで、Pはシステムの入出力の関係を記述する行列であり、Iは単位行列である。安定性は、(I-PL)の全ての固有値の絶対値が1よりも小さい場合に保証される。また、収束率は行列(I-PL)によって求められる。(I-PL)=0である場合、誤差は1回の反復後にゼロに収束する。
【0054】
[0055]
図4は、実施形態の一態様に従って放射源を制御する方法を示すフローチャートである。ステップS100では、パルスの先行するバーストが終了する。ステップS110では、アクチュエータを、第1の周波数を有するパルスを生成するため配置しなければならない位置と第2の周波数を有するパルスを生成するため配置しなければならない位置との間にある位置に予め位置決めすることによって、アクチュエータを準備する。ステップS120では、上述した技法のうち1つ以上を用いて最適制御波形を計算する。ステップS130では、新たなバーストがトリガされたか否かを判定する。「イエス」すなわち新しいバーストがトリガされた場合、次にステップS140で、要求される繰り返し率と周波数で動作するためのパラメータを、例えばFPGAを用いて放射源に伝える。ステップS150では、現在のバーストが終了したか否かを判定する。現在のバーストが終了していない場合、ステップS140を繰り返す。バーストが終了した場合、プロセスはステップS160で終了する。
【0055】
[0056]
図5は、初期QPフィードフォワード制御信号を用いて更新法を計算するためILCによって実行される方法を示す。ステップS210では、二次計画を用いて初期フィードフォワード制御信号を発生する。ステップS220では、フィードフォワード制御信号を用いてレーザを発射する。ステップS230では、フィードフォワード信号の誤差が収束したか否かを判定する。誤差が収束していない場合、次にステップS250で反復学習を用いて制御信号を更新する。次いで、新しい制御信号を用いてステップS220でレーザを発射させる。誤差が収束した場合、プロセスはステップS240で終了する。
【0056】
[0057] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることは認められよう。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の例示的な実施形態のうち1つ以上を記載し得るが、それらの例示的な実施形態の全てを記載することはできないので、本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定することは意図されていない。
【0057】
[0058] 本発明について、指定された機能及びそれらの関係の実施例を示す機能構築ブロックを用いて上述した。これらの機能構築ブロックの境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に規定されている。指定された機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、代替的な境界を規定することも可能である。
【0058】
[0059] 特定の実施形態の前述の記載は、本発明の全体的な性質を充分に明らかにするので、当技術分野内の知識を適用することにより、過度の実験を行わずに、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途向けに容易に変更及び/又は適合することができる。従って、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、そのような適合及び変更は、開示されている実施形態の均等物の意味及び範囲内にあることが意図されている。本明細書における表現又は用語は、限定でなく説明のためのものであるので、本明細書の表現又は用語が当業者によって教示及び案内に照らして解釈されるべきであることは理解されよう。
【0059】
[0060] 本発明の他の態様は、以下の番号付き条項に記載される。
1.レーザシステムであって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストをレーザシステムに発生させる第1の状態と、第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストをレーザシステムに発生させる第2の状態と、を有するアクチュエータと、
アクチェータを第1の状態と第2の状態の中間であるバースト間の第3の状態にするため、アクチュエータに信号を供給するよう構成されたアクチュエータコントローラと、
を備えるレーザシステム。
2.第1の状態は第1の位置であり、第2の状態は第2の位置であり、第3の状態は第1の位置と第2の位置との間の第3の位置である、条項1に記載のレーザシステム。
3.レーザシステムであって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストをレーザシステムに発生させる第1の状態と、第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストをレーザシステムに発生させる第2の状態と、を有するアクチュエータと、
アクチェータを第1の状態から第2の状態へ移行させるため、アクチュエータに信号を供給するよう構成されたアクチュエータコントローラであって、アクチュエータが第1の状態から第2の状態へ移行するための信号に対する最適制御波形を計算するよう構成されたモジュールを備え、最適制御波形の制御のもとで軌道に沿って第1の状態から第2の状態へアクチュエータを移行させる、アクチュエータコントローラと、
を備えるレーザシステム。
4.モジュールは制約付き二次計画を用いて最適制御波形を計算するように適合されている、条項3に記載のレーザシステム。
5.モジュールは動的プログラミングを用いて最適制御波形を計算するように適合されている、条項3に記載のレーザシステム。
6.モジュールはモデル反転フィードフォワード制御を用いて最適制御波形を計算するように適合されている、条項3に記載のレーザシステム。
7.モジュールは反復学習制御を用いて最適制御波形を計算するように適合されている、条項3に記載のレーザシステム。
8.モジュールは、複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための手段を更に備える、条項3から7のいずれか1項に記載のレーザシステム。
9.複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための手段は予めポピュレートされたルックアップテーブルを含む、条項8に記載のレーザシステム。
10.複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための手段はフィールドプログラマブルゲートアレイを含む、条項8に記載のレーザシステム。
11.レーザシステムを制御する方法であって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストをレーザシステムに発生させる第1の状態にアクチュエータを置くステップと、
第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストをレーザシステムに発生させる第2の状態にアクチュエータを置くステップと、を含み、
更に、第1の状態にアクチュエータを置くステップと第2の状態にアクチュエータを置くステップとの間に、第1の状態と第2の状態の中間である第3の状態にアクチュエータを置く第3のステップを含む、方法。
12.第1の状態は第1の位置であり、第2の状態は第2の位置であり、第3の状態は第1の位置と第2の位置との間の第3の位置である、条項11に記載のレーザシステムを制御する方法。
13.レーザシステムを制御する方法であって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストをレーザシステムに発生させる第1の状態にアクチュエータを置くステップと、
第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストをレーザシステムに発生させる第2の状態にアクチュエータを置くステップと、を含み、
第2の状態にアクチュエータを置くステップは、アクチェータが第1の状態から第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することと、最適制御波形の制御のもとで軌道に沿って第1の状態から第2の状態へアクチュエータを移行させることと、を含む、方法。
14.アクチェータが第1の状態から第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは制約付き二次計画を用いることを含む、条項13に記載のレーザシステムを制御する方法。
15.アクチェータが第1の状態から第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは動的プログラミングを用いることを含む、条項13に記載のレーザシステムを制御する方法。
16.アクチェータが第1の状態から第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することはモデル反転フィードフォワード制御を用いることを含む、条項13に記載のレーザシステムを制御する方法。
17.アクチェータが第1の状態から第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは反復学習制御を用いることを含む、条項13に記載のレーザシステムを制御する方法。
18.アクチェータが第1の状態から第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは、複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための手段を記憶することを含む、条項13から17のいずれか1項に記載のレーザシステムを制御する方法。
19.複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶することは、予めポピュレートされたルックアップテーブルを用いて実行される、条項18に記載のレーザシステムを制御する方法。
20.複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶することは、フィールドプログラマブルゲートアレイを用いることを含む、条項18に記載のレーザシステムを制御する方法。
21.レーザシステムを制御する方法であって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストをレーザシステムに発生させる第1の状態にアクチュエータを置くステップと、
第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストをレーザシステムに発生させる第2の状態にアクチュエータを置くステップと、を含み、
更に、第1の状態にアクチュエータを置くステップと第2の状態にアクチュエータを置くステップとの間に、第1の状態と第2の状態の中間である第3の状態にアクチュエータを置く第3のステップを含み、
第2の状態にアクチュエータを置くステップは、アクチェータを第1の状態から第2の状態へ最適な軌道に沿って移行させるための最適制御波形を計算することを含む、方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザシステムであって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態と、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態と、を有するアクチュエータと、
前記アクチェータを前記第1の状態と前記第2の状態の中間であるバースト間の第3の状態にするため、前記アクチュエータに信号を供給するよう構成されたアクチュエータコントローラと、
を備えるレーザシステム。
【請求項2】
前記第1の状態は第1の位置であり、前記第2の状態は第2の位置であり、前記第3の状態は前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置である、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
レーザシステムであって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態と、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態と、を有するアクチュエータと、
前記アクチェータを前記第1の状態から前記第2の状態へ移行させるため、前記アクチュエータに信号を供給するよう構成されたアクチュエータコントローラであって、前記アクチュエータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための前記信号に対する最適制御波形を計算するよう構成されたモジュールを備え、前記最適制御波形の制御のもとで軌道に沿って前記第1の状態から前記第2の状態へ前記アクチュエータを移行させる、アクチュエータコントローラと、
を備えるレーザシステム。
【請求項4】
前記モジュールは制約付き二次計画を用いて前記最適制御波形を計算するように適合されている、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記モジュールは動的プログラミングを用いて前記最適制御波形を計算するように適合されている、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記モジュールはモデル反転フィードフォワード制御を用いて前記最適制御波形を計算するように適合されている、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記モジュールは反復学習制御を用いて前記最適制御波形を計算するように適合されている、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記モジュールは、複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための手段を更に備える、請求項4に記載のレーザシステム。
【請求項9】
複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための前記手段は予めポピュレートされたルックアップテーブルを含む、請求項8に記載のレーザシステム。
【請求項10】
レーザシステムを制御する方法であって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態にアクチュエータを置くステップと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態に前記アクチュエータを置くステップと、を含み、
更に、前記第1の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップと前記第2の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップとの間に、前記第1の状態と前記第2の状態の中間である第3の状態に前記アクチュエータを置く第3のステップを含む、方法。
【請求項11】
レーザシステムを制御する方法であって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態にアクチュエータを置くステップと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態に前記アクチュエータを置くステップと、を含み、
前記第2の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップは、前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することと、前記最適制御波形の制御のもとで軌道に沿って前記第1の状態から前記第2の状態へ前記アクチュエータを移行させることと、を含む、方法。
【請求項12】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは制約付き二次計画を用いることを含む、請求項
11に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項13】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは動的プログラミングを用いることを含む、請求項
11に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項14】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することはモデル反転フィードフォワード制御を用いることを含む、請求項
11に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項15】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは反復学習制御を用いることを含む、請求項
11に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項16】
前記アクチェータが前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するための最適制御波形を計算することは、複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶するための手段を記憶することを含む、請求項
12に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項17】
複数の繰り返し率の各々に対する少なくとも1つの最適制御パラメータを記憶することは、予めポピュレートされたルックアップテーブルを用いて実行される、請求項
16に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項18】
レーザシステムを制御する方法であって、
第1の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第1のバーストを前記レーザシステムに発生させる第1の状態にアクチュエータを置くステップと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有するレーザ放射の1つ以上のパルスの第2のバーストを前記レーザシステムに発生させる第2の状態に前記アクチュエータを置くステップと、を含み、
更に、前記第1の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップと前記第2の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップとの間に、前記第1の状態と前記第2の状態の中間である第3の状態に前記アクチュエータを置く第3のステップを含み、
前記第2の状態に前記アクチュエータを置く前記ステップは、前記アクチェータを前記第1の状態から前記第2の状態へ最適な軌道に沿って移行させるための最適制御波形を計算することを含む、方法。
【国際調査報告】