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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】非対称に曲がる医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20220708BHJP
【FI】
A61B1/008 511
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564399
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020032623
(87)【国際公開番号】W WO2020232085
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/848,195
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】パウエル、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラギッチ、アルミル
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF33
4C161HH32
(57)【要約】
アーティキュレーションジョイントは、近位リンク、遠位リンク、及び近位リンクと遠位リンクを接続する中間リンクを含む。アーティキュレーションジョイントは、直線状の長手方向軸に沿って直線状形態と、アーティキュレーションジョイントが長手方向軸の第1の側に向かって屈曲した第1の屈曲形態と、アーティキュレーションジョイントが、第1の側に対向する側である、長手方向軸の第2の側に向かって屈曲した第2の屈曲形態を有する。アーティキュレーションジョイントが直線状形態にあるとき、隣接する近位リンクの間では第1の側に第1のギャップが画定されて隣接する近位リンクは第2の側で互いに接触し、隣接する遠位リンクの間では第1の側及び第2の側に第2のギャップが画定され、隣接する中間リンクの間では第1の側に第3のギャップが画定されて、隣接する中間リンクは第2の側で互いに接触する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置用のアーティキュレーションジョイントにおいて、前記アーティキュレーションジョイントは、
複数個の近位リンク、複数個の遠位リンク、及び各近位リンクと各遠位リンクとを接続する中間リンクを含み、直線状の長手方向軸に沿った直線状形態と、前記長手方向軸の第1の側に向かって屈曲した第1の屈曲形態と、前記第1の側に対向する側である前記長手方向軸の第2の側に向かって屈曲した第2の屈曲形態とを有し、
前記アーティキュレーションジョイントが直線状形態にあるとき、
第1のギャップが隣接する近位リンクの間の第1の側に形成されて、隣接する近位リンクは、第2の側で互いに接触し、
第2のギャップは、隣接する遠位リンクの間の第1の側及び第2の側のそれぞれに形成され、
第3のギャップは、隣接する中間リンクの間の第1の側に形成されて、隣接する中間リンクは、第2の側で互いに接触する、アーティキュレーションジョイント。
【請求項2】
前記アーティキュレーションジョイントが前記第1の屈曲形態にあるとき、前記第1の側の第1、第2、及び第3のギャップのそれぞれのサイズは、前記アーティキュレーションジョイントが前記直線状形態にある時の前記第1の側の第1、第2、及び第3のサイズよりも小さい、請求項1に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項3】
前記アーティキュレーションジョイントが前記第1の側に向かって完全に屈曲されたとき、隣接するリンクの表面は、互いに接触して、第1の側の第1、第2、及び第3のギャップはそれぞれゼロである、請求項1又は2に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項4】
前記アーティキュレーションジョイントが前記第2の屈曲形態にあるとき、前記第2の側の第2のギャップのサイズは、前記アーティキュレーションジョイントが直線状形態にあるときの前記第2の側の前記第2のギャップのサイズよりも小さい、請求項1に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項5】
前記遠位リンクは、正確に4つの方向に移動可能であり、前記近位リンクは、正確に1つの方向に移動可能であり、前記中間リンクは2又は3の方向に移動可能である、請求項4に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項6】
前記アーティキュレーションジョイントは、前記第1の側及び前記第2の側の中間にある、前記長手方向軸の第3の側に向かう第3の屈曲形態と、前記第3の側に対向する、前記アーティキュレーションジョイントが前記長手方向軸の第4の側に向かって屈曲した第4の屈曲形態とをさらに含み、
前記アーティキュレーションジョイントが前記直線状形態にあるとき、
第4のギャップは、隣接する遠位リンクの間の前記第3の側及び前記第4の側のそれぞれに画定され、
第5のギャップは、隣接する中間リンクの間の前記第3の側及び前記第4の側のそれぞれに画定される、請求項1~5のいずれか一項に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項7】
前記アーティキュレーションジョイントが前記第3の屈曲形態にあるとき、前記第3の側の前記第4のギャップ及び第5のギャップの各サイズは、前記アーティキュレーションジョイントが直線状形態にある時における、前記第3の側の第4のギャップ及び第5のギャップより小さく、
前記アーティキュレーションジョイントが前記第4の屈曲形態にあるとき、前記第4の側の第4のギャップ及び第5のギャップの各サイズは、前記アーティキュレーションジョイントが前記直線状形態にあるときにおける前記4の側の第4のギャップ及び第5のギャップの各サイズよりも小さい、請求項6の記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項8】
前記第4のギャップ及び前記第5のギャップは、前記長手方向軸に沿って前記第1、前記第2、及び前記第3のギャップから偏奇されている、請求項6または7に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項9】
前記アーティキュレーションジョイントは、第1又は第2の方向の一方、及び第3又は第4の方向の一方に同時に移動するように構成される、請求項6~8のいずれか一項に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項10】
前記アーティキュレーションジョイントの近位リンク、遠位リンク、及び中間リンクはそれぞれ、第1のバネ及び第2のバネによって隣接するリンクに取り付けられており、前記第1及び第2のバネは、前記アーティキュレーションジョイントの周方向において対向した側に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項11】
前記第1及び第2のバネは、レーザー溶接及び接着剤の少なくとも一方によって、前記近位リンク、前記遠位リンク、及び前記中間リンクのそれぞれの内面に取り付けられている、請求項10に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項12】
前記第1及び前記第2のバネが直線状形態にあるとき、前記第1及び前記第2のバネそれぞれが隣接するコイルは互いに接触する、請求項10又は11のいずれかに記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項13】
前記第1及び前記第2のバネはそれぞれ、関節要素を収容するためのルーメンを画定する、請求項10~12のいずれか一項に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項14】
前記第1、第2、第3、第4、及び第5のギャップのそれぞれに対応する屈曲角度は等しい、請求項6~9のいずれか一項に記載のアーティキュレーションジョイント。
【請求項15】
前記遠位リンクの遠位端に取り付けられた先端部分をさらに含み、前記先端部分は、画像化装置、照明装置、及びエンドエフェクタのうちの1つ以上を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のアーティキュレーションジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、内視鏡医療機器及び使用方法に関する。より詳細には、本発明は、空間上の制約を有する標的部位にアクセスするための内視鏡及び関連する方法に関し、例えば、内視鏡の遠位端にあるアーティキュレーションジョイントなどの可撓性を有する操縦シャフトを使用する内視鏡及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置は、一般に、可撓シャフト、ワーキング遠位端、並びにワーキング先端及び可撓シャフトを連結する可撓性を有する操縦シャフトを含む。可撓性を有する操縦シャフトは、屈曲可能なアーティキュレーションジョイントを含む。従来の内視鏡の欠点には、例えば、アーティキュレーションジョイントが大きな曲げ角度と小さな曲げ角度の両方を形成する場合に、小さな曲げ半径を形成できないことが含まれる。例えば、完全な反屈を形成するアーティキュレーションジョイント(近位方向に可視化する為にアーティキュレーションジョイントを曲げること、例えば患者の胃の中への内視鏡の進入口(entry potal)を可視化する為にアーティキュレーションジョイントを曲げること)は、一般に、アーティキュレーションジョイントが約210度以上曲がる必要がある。同一の従来のアーティキュレーションジョイントが210度未満、例えば90度の位置に曲げられると、アーティキュレーションジョイントは大きな半径で徐々に回動するため、空間上の制約がある人体の領域には適していない。これらの欠点は、医師が手術中に身体の部位を適切に視覚化したり、身体の部位にアクセスしたりすることを妨げる可能性がある。
【0003】
したがって、アーティキュレーションジョイントは、アーティキュレーションジョイントを最大角度に曲げたときに、最も狭い許容可能な曲げ半径を形成すること、及び、アーティキュレーションジョイントをより小さな角度に曲げたときに同一又は類似する最も狭い許容可能な曲げ半径を達成することが望ましい。本発明は、これらの問題又は当技術分野の別の問題のうちの1つ以上を解決することができる。しかしながら、本発明の範囲は、特定の問題を解決する能力ではなく添付の請求項によって定義される。
【発明の概要】
【0004】
一例によれば、医療機器のアーティキュレーションジョイントは、近位リンク、遠位リンク、及び近位リンクと遠位リンクを連結する中間リンクを含む。アーティキュレーションジョイントは、直線状の長手方向軸に沿った直線状形態、アーティキュレーションジョイントが長手方向軸の第1の側に向かって曲がったときの第1の屈曲形態、及びアーティキュレーションジョイントが、第1の側の反対側である、長手方向軸の第2の側に向かって曲がったときの第2の屈曲形態を有する。アーティキュレーションジョイントが直線状形態にあるとき、隣接する近位リンク間では第1の側に第1のギャップが形成されて隣接する近位リンクは第2の側で互いに接触し、隣接する遠位リンク間では第1の側及び第2の側に第2のギャップが形成され、隣接する中間リンク間では第1の側に第3のギャップが形成されて隣接する中間リンクは第2の側で互いに接触する。
【0005】
アーティキュレーションジョイントが第1の屈曲形態にあるとき、第1の側の第1、第2、及び第3のギャップの各サイズは、アーティキュレーションジョイントが直線状形態をなすときにおける第1の側の第1、第2、及び第3のギャップの各サイズよりも小さい。
【0006】
アーティキュレーションジョイントが第1の側に向かって完全に曲がったとき、隣接するリンクの表面は、第1の側において第1、第2、及び第3のギャップの側がゼロになるように互いに接触する。
【0007】
アーティキュレーションジョイントが第2の屈曲形態にあるとき、第2の側の第2のギャップのサイズは、アーティキュレーションジョイントが直線状形態をなすときの第2の側の第2のギャップのサイズよりも小さい。
【0008】
遠位リンクは正確に4つの方向に移動可能であり、近位リンクは正確に一方向に移動可能であり、及び、中間リンクは2又は3つの方向に移動可能である。
アーティキュレーションジョイントは、第1及び第2の側の中間にある長手方向軸の第3の側に向かって第3の屈曲形態と、アーティキュレーションジョイントが、第3の側の対向側である長手方向軸の第4の側に向かって曲がるときの第4の屈曲形態とを含み、アーティキュレーションジョイントが直線状形態をなすとき、隣接する遠位リンク間では第3の側及び第4の側の各側に第4のギャップが形成され、隣接する中間リンク間では第3の側及び第4の側の各側に第5のギャップが形成される。
【0009】
アーティキュレーションジョイントが第3の屈曲形態にあるとき、第3の側の第4のギャップ及び第5のギャップの各サイズは、アーティキュレーションジョイントが直線状形態にあるときの第3の側の第4のギャップ及び第5のギャップの各サイズよりも小さく、アーティキュレーションジョイントが第4の屈曲形態にあるとき、第4の側の第4のギャップ及び第5のギャップの各サイズは、アーティキュレーションジョイントが直線形態にあるときの第4の側の第4のギャップ及び第5のギャップのサイズよりも小さい。
【0010】
第4のギャップ及び第5のギャップは、長手方向軸に沿って第1、第2、及び第3のギャップからオフセットされている。
アーティキュレーションジョイントは、第1又は第2の方向のいずれか一方、及び第3又は第4の方向のいずれか一方に同時に移動し得る。
【0011】
アーティキュレーションジョイントの近位リンク、遠位リンク、及び中間リンクはそれぞれ、第1のバネ及び第2のバネによって隣接するリンクに取り付けられ、取り付けられたリンクの第1のバネ及び第2のバネは、アーティキュレーションジョイントの周方向に対向する側にある。
【0012】
第1,第2のバネは溶接、ろう付け、はんだ付け、又は接着剤のうちの1つ以上によって、近位リンク、遠位リンク、及び中間リンクのそれぞれの内面に取り付けられ得る。
第1のバネ及び第2のバネが直線状形態にあるとき、第1のバネ及び第2のバネのそれぞれの隣接するコイルは、互いに接触する。
【0013】
第1のバネ及び第2のバネはそれぞれ、アーティキュレーション要素を収容するためのルーメンを画定する。
第1、第2、第3、第4、及び第5のギャップのそれぞれに対応する曲げ角度は等しい。
【0014】
アーティキュレーションジョイントは、遠位リンクの遠位端に取り付けられた先端部分を含み、この先端部分は、画像化装置、照明装置、エンドエフェクタ、及び二次的な器具の通過のための挿管のうちの1つ以上を含む。
【0015】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明とともに、開示された実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態にかかる医療機器を示す斜視図。
図2】線A-Aに沿って図3にかかる医療機器のアーティキュレーションジョイントを示す断面図。
図3図2のアーティキュレーションジョイントを示す斜視図。
図4A図3のアーティキュレーションジョイントを示す側面図。
図4B図3のアーティキュレーションジョイントを示す側面図。
図4C図3のアーティキュレーションジョイントを示す側面図。
図4D図3のアーティキュレーションジョイントを示す側面図。
図4E図3のアーティキュレーションジョイントを示す側面図。
図4F図3のアーティキュレーションジョイントを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記の一般的な説明及び下記の詳細な説明は、ともに例示的かつ説明的なものであって、特許請求の範囲に記載されているように、特徴を限定するものではない。本明細書で使用される場合、「備える」、「備えている」、「有する」、「含む」、又はそれらの別の変形等の用語は、非排他的に包含することを意図しているため、要素のリストを備える工程、方法、物品、又は装置は、これらの要素のみを含まず、明示的に列挙されていない他の要素、又はそのような工程、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含み得る。本発明では、例えば、「約」、「実質的に」、「一般的に」、及び「概算」などの相対的な用語は、記載された値又は特性の±10%の可能な変動を示すために使用される。
【0018】
図1を参照する。一実施形態にかかる内視鏡10が示されている。内視鏡10は、可撓シャフト20、内視鏡10の遠位端の先端部30、及び可撓シャフト20と先端部30との間に配置されて可撓シャフト20と先端部30とを連結するアーティキュレーションジョイント50を含む。内視鏡10を駆動又は制御するためのハンドル40などの別の装置及び内視鏡10に関連する任意の器具又は装置は、可撓シャフト20の近位端に接続される。
【0019】
医療処置に適したケーブル又はワイヤ(例えば、医療グレードのプラスチック又は金属)などの複数の駆動要素12は、内視鏡10の近位端から遠位方向に延びる。駆動要素12は、例えば、図4A-4Fにおいて隣接するリンク間に示されている。駆動要素12は、ハンドル40内に延び、複数の方向でアーティキュレーションジョイント50の関節運動を制御する第1,第2の駆動装置42,43に対して間接的に連結される。装置42,43は、駆動要素12を押す/引くために、例えば装置42,43の軸を中心に回動する回動可能なつまみである。追加的に又は代替的に、使用者は、ハンドル40とは独立して駆動要素12を操作することができる。駆動要素12の遠位端は、可撓シャフト20内を通過して延びて、アーティキュレーションジョイント50及び/又は先端30で終端する。例えば、1つ以上の駆動要素12をアーティキュレーションジョイント50に接続することができ、1つ以上の駆動要素12を先端30に取り付けることができる。本明細書で説明するように、駆動要素12の駆動により、アーティキュレーションジョイント50、先端部30、及び/又はエンドエフェクタ(図示せず)などの先端部30に取り付けられた要素の駆動を制御することができる。さらに、1つ以上の電気ケーブル(図示せず)は、内視鏡10の近位端から先端部30まで延びて、画像化、照明、及び/又は先端部30の別の電気装置に対して電気的な制御を設けて、処理したりディスプレイ上に表示したりするために画像信号を先端部30から近位方向に伝えることができる。ハンドル40はまた、患者の体内から器具、流体、又は他の材料を導入したり、除去したりするためのポート44,46を含む。ポート44は、器具を導入するために使用され得る。ポート46は、流体吸引を導入する為及び/又は電子部品のための配線接続する為に臍(umbilicus)に接続され得る。
【0020】
図2に示されるように、アーティキュレーションジョイント50は、内視鏡10内を貫通して延びるルーメン22の一部を含む。アーティキュレーションジョイント50は、複数のバネ24も含む。理解を容易にするために、複数のバネ24のうちの一部のみが図3に表示されている。さらに、理解を容易にするために、図4A~4Fでは、バネ24は省略されている(バネ24は、以下に説明する一対のレーザー溶接部28の間に配置されている)。バネ24は、本明細書でより詳細に説明されているようにアーティキュレーションジョイント50の隣接するリンクを接続する。ルーメン22は、ハンドル40から可撓シャフト20を経てアーティキュレーションジョイント50の中に及び先端30の遠位端を貫通して延びる。内視鏡22は、内視鏡手術を実施するために、内視鏡10に関連する器具、画像化装置などの装置を受け入れることができる。さらに、組織試料などの材料は、ルーメン22を経て患者の体内から除去される。可撓シャフト20及びアーティキュレーションジョイント50を含む内視鏡10は、単一のルーメン22に限定されず、手術を実行するために必要な任意の数のルーメンを含んでもよい。追加的又は代替的に、1つ以上のカテーテル(図示せず)をルーメン22内を経て導入して、組織を除去したり、器具を挿入したりすることができる。
【0021】
図2を引き続き参照する。バネ24は、駆動要素12を受け入れる駆動穴25を画定する。一例によれば、1つ以上の駆動要素12が各バネ24の駆動穴25に配置される。アイレット(図示せず)などの追加の駆動穴は、可撓シャフト20の近位端から可撓シャフト20の遠位端まで延び、駆動要素12が延び得る経路を設けることによって駆動要素12が絡まること、又は内視鏡10の動作に悪影響を及ぼすことを防止し得る。
【0022】
図3を参照すると、最も遠位のリンク29は、先端部30に連結される。先端部30は、カメラ(図示せず)、照明、電子機器(プリント回路基板など)、エンドエフェクタ又は器具(図示せず)、又は治療又は診断処置で使用される別の任意の装置を含み得る。先端部30は、標的部位を可視化して標的部位から試料を収集するために、例えば、カメラとエンドエフェクタの両方などの複数の要素を含み得る。
【0023】
図3図4A-4Fを参照して、アーティキュレーションジョイント50について説明する。アーティキュレーションジョイント50は、複数の略円筒形のリンクを有し、リンクの間には複数のギャップが設けられている。例えば、図3に示すように、アーティキュレーションジョイント50は、第1の近位リンク部52、第3の遠位リンク部56、及び第1のリンク部52と第3のリンク部56との間に設けられて第1のリンク部52と第3のリンク部56を接続する第2の中間リンク部54を含む。第1、第2、及び第3のリンク部52,54,56はそれぞれ、第1のリンク型50a、第2のリンク型50b、及び第3のリンク型50cから形成される(図4Cを参照)。一例によれば、第1、第2、及び第3のリンク型50a,50b,50cは、同一又は異なる形状及び/又はサイズであってもよい。例えば、第1のリンク型50aは、第2,第3のリンク型50b,50cよりも長手方向軸Aに沿って長い。特に明示しない限り、第1のリンク型50a、第2のリンク型50b、及び第3のリンク型50cは、一般に「リンク」と呼ばれる。リンクは、例えば、管(金属管、プラスチック管、又は当技術分野で知られている他の医療グレードの材料など)をレーザー切断することによって形成されるが、この方法で形成することに限定されない。
【0024】
さらに、図2,3に示されているように、バネ24は、第1、第2、及び第3のリンク部52,54,56のそれぞれにおいて隣接するリンクを連結する。さらに、バネ24は、第1のリンク部52の最遠位のリンクを第2のリンク部54の最近位のリンクに連結し、第2のリンク部54の最遠位のリンクを第3のリンク部56の最近位のリンクに連結し、及び/又は第3のリンク部56の最遠位のリンクを最遠位のリンク29に連結する。本明細書でより詳細に説明するように、隣接するリンクは、リンク間に空間が設けられているため、バネ24の柔軟性を介して、互いに対して曲げることができる。例では、隣接するリンクを連結する2つのバネ24を示しているが、本発明は、この構成に限定されない。一例によれば、バネ24は、例えばレーザー溶接、接着剤、リベット、又は当技術分野で知られている別の任意の技術によって、アーティキュレーションジョイント50の内面に取り付けられる。例えば、レーザー溶接28は、図3の隣接するリンク上にバネ24が取り付けられている部位に示されている。
【0025】
図4B,4Eに示されているように、アーティキュレーションジョイント50は直線状形態にあり、第1、第2、及び第3のリンク部52,54,56の各中心を通って延びる長手方向軸Aを含む。アーティキュレーションジョイント50は、軸Aを中心に互いに90度離れた4つの異なる方向(例えば、上、下、左、及び右方向)に曲がるように構成される。曲がる方向は、第1の側面58a、第2の側面58b、第3の側面58c、及び第4の側面58dとして指定され、各隣接する側面から約90度である。第1の側面58aは、第2の側面58bの対向側(約180度離れている)であり、第3の側面58cは、第4の側面58dの対向側(約180度離れている)である。図4A,4C,4D,及び4Fに示されているように、リンクは、第1、第2、及び/又は第3のリンク部52,54,56のそれぞれにおいて、互いに対して曲げられている。さらに図4A~4Fに示されるように、バネ24は、第1のリンク部52の2つの隣接する側、例えば、第3の側58c及び第4の側58dにのみ配置される。以下でより詳細に説明するように、バネ24は、第2のリンク部54及び第3のリンク部56の第1、第2、第3、及び第4の側面58a,58b,58c,58dに配置される。
【0026】
図4C図4Fに示されるように、各リンクは、隣接リンクに面する端面51を含み、いくつかの場合には、隣接リンクの端面51は、アーティキュレーションジョイント50が直線状形態にあるとき接触する。例えば、第1のリンク50aの端面51は、アーティキュレーションジョイント50が直線状形態にあるとき(接触は、隣接リンク50aの第2の側面58bにおける隣接する端面51間の点状の接触及び/又は第2の側58bからアーティキュレーションジョイント50の周方向における第1、第3の側面58a,58c一方又は双方に向かう隣接リンク50aの隣接表面51間の接触が含まれる)、アーティキュレーションジョイント50(例えば、第2の側58b)の4つの側面のうちの一方で隣接するリンク50aの端面51に接触する。理解を容易にするために、図4A-4Fでは、一部の端面51のみが参照番号で識別されている。しかしながら、端面51は、すべてのリンクの両端に設けられていることが理解できる。
【0027】
第1のリンク部52の第1の側58aにおいて、1つのリンク50aの端面51は、隣接するリンク50aの端面51から間隔をおいて配置され、アーティキュレーションジョイント50が第1の側58aに向かって曲がるにしたがって隣接するリンク50aの端部表面51に接近し、図4Aに示されているように、アーティキュレーションジョイント50が第1の側58aに向かって完全に曲げられたとき、隣接するリンク50aの端面51に接触する。上記のように、バネ24は、2つの側面、例えば、第3の側面58c及び第4の側面58dのみで隣接するリンク50aを連結する。さらに、バネ24は、バネが直線状形態にあるとき、隣接するコイル間に空間がない堅く巻かれたコイルバネである。このため、第1のリンク部52に第1のリンクタイプ50aを有するリンクは、第3の側58c又は第4の側58dに向かって曲がることができない。したがって、一実施形態によれば、第1のリンク部52のリンク50aは、単一方向に、例えば、第1の側58aに向かって曲がる。
【0028】
さらに図4B図4Eに示されているように、第2のリンク50bの端面51は、アーティキュレーションジョイント50が直線状形態にあるとき、片側でのみ、すなわち第2の側58bでのみ隣接するリンク50bの端面51に接触する。アーティキュレーションジョイント50が直線状姿勢にあるとき、第3のリンク型50cの端面51は、隣接するリンク50cの端面51に接触しない。第2のリンク50bが第1の側58aに向かって曲げられたとき、第2のリンク50bの端面51は、隣接する第2のリンク50bの端面51に接触する。第3のリンク50cが第1又は第2の側面58a,58bに向かって曲げられたとき、第3のリンク50cの端面51は、隣接する第3のリンク50cの端面51に接触する。隣接するリンクの端面51間の接触は、アーティキュレーションジョイント50の隣接するリンクがさらに屈曲することを防止して、その特定の方向へのアーティキュレーションジョイント50の最大の屈曲をもたらす。
【0029】
さらに、図4A~4Fに示すように、バネ24は、第2のリンク部54及び第3のリンク部56の4つの側面58a,58b,58c,58dすべてに取り付けられている。しかしながら、バネ24は、オフセット位置で隣接するリンクに取り付けられる。例えば、3つの隣接するリンク100(図3を参照)は、2対の隣接するリンクを含む。隣接するリンク100A,100Bの第1の対は、第1及び第2の側面58a,58b上のバネ24によってともに取り付けられているため、隣接するリンク100A,100Bの第1の対は、第1及び第2の側面58a,58bに向かって互いに対して曲げることができない。隣接するリンク100B,100Cの第2の対は、第3及び第4の側面58c,58d上のバネ24を介してともに取り付けられている。したがって、隣接するリンク100B,100Cの第2の対は、バネ24の配置のために、互いに対して第3及び第4の側面58c,58dに向かって曲がることができない。
【0030】
第1、第2、及び第3のリンク部52,54,56の各々の隣接するリンクは、少なくとも1つの方向に互いに対して曲がることができる。隣接するリンクが曲がる可能性のある角度、及びこれらの隣接するリンク間の間隔は、イメージングワイヤ及び他のコンポーネントが曲がることができ、機能を維持できる最小の曲げ半径に等しくてよい。例えば、0.3インチ~0.7インチの間隔をおいて配置された隣接リンクの最大曲げ角度Bは、約20~40度であり、好ましくは0.4インチ~0.6インチの間隔をおいて配置された隣接リンク間において約25~35度であり、より好ましくは0.5インチの間隔をおいて配置されたリンク間において約30度である。
【0031】
図4A~4Cにおいて、長手方向軸AはY軸において延び、アーティキュレーションジョイント50はY-Z平面で曲がる。図4Bに示すように、第1のギャップGは、アーティキュレーションジョイントの第1の側58aに沿って、第1のリンク部52内の隣接するリンク間、及び第1のリンク部52の最遠位リンクと第2のリンク部54の最近位リンクとの間に設けられる。第2のギャップHは、第1の側58aの第2のリンク部54内の隣接するリンクの間に設けられる。第3のギャップIは、第1の側58a及び第2の側58bの両方で、第3のリンク部56のリンク間、及び第3のリンク部56の最遠位リンクと最遠位リンク29との間に設けられる。
【0032】
第1、第2、及び第3のギャップG,H,Iは、アーティキュレーションジョイント50が、曲げ角度Bに全ギャップの数を掛けた量に等しい量を曲げることを可能にする。例えば、屈曲角度Bが30度であり、第1の側58aに合計7つのギャップがある場合には、アーティキュレーションジョイント50は長手方向軸Aから210度屈曲して、先端部30が、内視鏡10の患者の体内への進入口の方に向くことを許可する。ギャップG,H,及びIのサイズは、所望の曲げ角度を達成するために変えることができる。曲げ角度は単なる例であり、異なるギャップの各曲げ角度は、ギャップの種類によって異なってもよく、例えば、複数のギャップGとは異なるギャップGは、異なる曲げ角度を有してもよい。
【0033】
一例によれば、第2の側58bの第3のギャップIは、隣接するリンクが第1のギャップGと同じ角度Bで曲がることを可能にする。しかし、第2の側58bの第3のギャップIに対応する角度は、角度Bに限定されず、アーティキュレーションジョイント50の曲げ角度を最適化する任意の角度であってよい。図4Cに示されるように、第3のギャップIは、第3のリンク部56及び最遠位リンク29が長手方向軸Aから第2の側58bに向かって曲がることを可能にするが、第1のリンク部52及び第2のリンク部54は第2の側58bに向かって曲がらない、すなわち第1のリンク部52及び第2のリンク部54は、長手方向軸Aと同軸のままである。この構成により、アーティキュレーションジョイント50は第2の側58bに向かって90度曲がることが可能になる。この曲げは、いくつかのギャップのみで曲げることによって、すなわち第3のギャップIのみを使用して曲げることによって行われる、アーティキュレーションジョイント50の曲げ半径は減少し、それによってアーティキュレーションジョイント50はより小さな空間で曲げることができる。第2のリンク部54は3方向に曲げることができるように示されているが、いくつかの例では、第2のリンク部54は2方向にしか曲げることができない場合がある。
【0034】
図4D~4Fでは、縦軸AはY軸に延びており、アーティキュレーションジョイントはX-Y平面で50曲がっている。図4Eに示すように、第2のリンク部54及び第3のリンク部56は、第3の側58cと、第3の側に対向する側のアーティキュレーションジョイント50の第4の側58dに、複数の第4のギャップJを含む。第4のギャップJはまた、第2のリンク部54の最遠位のリンクと第3のリンク部56の最近位のリンクと、及び第3のリンク部56の最遠位のリンクと最遠位リンク29との間にある。第4のギャップJは、第1のリンク部52には存在しない。一例によれば、第4のギャップJは、隣接するリンクが、第1、第2、及び第3のギャップG、H、Iに対応する角度と同一の角度Bで曲がることを可能にする。しかしながら、第4のギャップJに対応する角度は、角度Bに限定されず、アーティキュレーションジョイント50の曲げ角度を最適化する任意の角度であってよい。図4B図4Eと比較することによってさらに示されるように、第4のギャップJは、長手方向軸Aに沿って、第1、第2、及び第3のギャップG、H、Iからオフセットされ又は交互になっている。例えば、上記したように、隣接リンクは、バネ24の配置に基づいて、互いに対して第1及び/又は第2の方向58a,58bに曲がるが、第3、及び第4の方向58c,58dには曲がらない。同様に、隣接するリンクは、互いに対して第3及び/又は第4の方向58c,58dで曲がることができるが、第1及び第2の方向58a,58bでは曲がることはできない。したがって、いくつかの例では、アーティキュレーションジョイント50の一部を曲げると、2つの隣接するリンクをともに曲げることができる(例えば、隣接するリンク100A,100Bの第1の対は、互いに対して一方又は他方に向かって曲がり得る)。
【0035】
アーティキュレーションジョイント50は、長手方向軸Aに対してXY平面内で曲がることができる。例えば、曲げ角度Bが30度であり、第3の側58c及び第4の側58dのそれぞれに4つのギャップJがある場合には、アーティキュレーションジョイント50は、左右両方向に、すなわち第3の側58c及び第4の側58dに向かって、第1のリンク部52に対して120度曲がることができる(すなわち、第2,第3のリンク部54,56は長手方向軸Aから120度ずれている)。この構成はまた、必要なギャップの数を制限してアーティキュレーションジョイント50の所望の曲げ角度を達成することにより、アーティキュレーションジョイント50の曲げ半径を減少させて、より小さな空間でより大きな操作性を可能にする。アーティキュレーションジョイント50が1つ以上の側面に向かって曲がると、それらの側面のギャップを形成する表面は、表面が互いに接触してそれぞれのギャップが完全に閉鎖するまで接近する。曲がる側に対向する側のギャップのサイズは増大する。同様に、アーティキュレーションジョイント50が屈曲姿勢から直線状形態に向かって戻ると、閉じたギャップが再び開いて、屈曲側に対向する側のギャップのサイズは減少する。第3の側58cのギャップJの角度及び第4の側58dのギャップJの角度は、互いに等しい必要はないし、及び/又は長手方向軸Aからのアーティキュレーションジョイント50の総偏差が同一になる必要はない。例えば、ギャップは、第3の側面58c及び/又は第4の側面58dに配置され、第3の側面58cのギャップの数及び/又はギャップの曲げ角度は、第4の側58dのギャップの数及び/又はギャップの曲げ角度とは異なるため、アーティキュレーションジョイント50を完全に屈曲したとき異なる曲げ形状をもたらし得る。
【0036】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、開示された装置に対して様々な修正及び変形を行うことができることが理解できる。例えば、ギャップとリンクの構成、及び曲げ角度は任意の医療機器に合わせて変更することができる。曲げ角度、各ギャップのサイズ、及び/又はギャップ及びリンクの数は、本明細書に記載の例に限定されない。本発明の別の実施形態は、本明細書を考慮して本明細書に開示された発明を実施する当業者であれば理解できる。本明細書及び実施例は、単に例示として考慮されることが意図されており、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の請求項によって示される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
【国際調査報告】