(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】フリップチップレーザーボンディングシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20220708BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565104
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 KR2019006792
(87)【国際公開番号】W WO2020226222
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0052270
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504115688
【氏名又は名称】プロテック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PROTEC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コ ヨン スン
(72)【発明者】
【氏名】アン グン シク
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044LL05
5F044PP16
5F044PP17
5F044PP19
5F044QQ03
5F044RR12
(57)【要約】
本発明は、フリップチップレーザーボンディングシステムに係り、さらに詳細には、フリップチップ型の半導体チップをレーザービームを用いて基板にボンディングするフリップチップレーザーボンディングシステムに関する。本発明によるフリップチップレーザーボンディングシステムは、半導体チップを加圧した状態で基板にレーザーボンディングすることにより、撓んでいるか撓むことが可能な半導体チップもはんだバンプの接触不良なしに基板にボンディングすることができるという効果がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面にボンディングするための複数の半導体チップが配置された状態の前記基板を供給する供給ユニットと、
前記供給ユニットから前記基板を受け取って前記基板の下面を固定する固定ユニットと、
前記固定ユニットに固定された基板にレーザービームを照射して前記半導体チップと基板とをボンディングするレーザーヘッド、及び前記レーザーヘッドを移送するレーザー移送部を備えるレーザーユニットと、
前記レーザーユニットのレーザーヘッドから照射されるレーザービームを透過させ、波長3μm以上9μm以下の領域帯を含む赤外線を透過させる透過部を備えるマスクと、
前記マスクを前記固定ユニットの上側に据え置くマスク据置ユニットと、
前記マスクの透過部が前記固定ユニットに固定された前記基板の複数の半導体チップを加圧することができるように前記マスク据置ユニットと前記固定ユニットのうちのいずれか一つを他の一つに対して昇降させる加圧ユニットと、
前記固定ユニットから前記基板の伝達を受けて排出する排出ユニットと、
前記レーザーユニットのレーザーヘッドによってレーザービームが照射される前記半導体チップを撮影する赤外線カメラと、
前記供給ユニット、前記固定ユニット及び前記排出ユニットの作動を制御し、前記赤外線カメラで測定された値を用いて前記レーザーユニットのレーザーヘッドの作動を制御する制御部と、を含む、フリップチップレーザーボンディングシステム。
【請求項2】
前記マスクの透過部は、
波長4μm以上6.5μm以下の領域帯を含む赤外線を透過させる、請求項1に記載のフリップチップレーザーボンディングシステム。
【請求項3】
基板の上面にボンディングするための複数の半導体チップが配置された状態の前記基板を供給する供給ユニットと、
前記供給ユニットから前記基板の供給を受けて前記基板の下面を固定する固定ユニットと、
前記固定ユニットに固定された基板にレーザービームを照射して前記半導体チップと基板とをボンディングするレーザーヘッド、及び前記レーザーヘッドを移送するレーザー移送部を備えるレーザーユニットと、
前記レーザーユニットのレーザーヘッドから照射されるレーザービームを透過させ、BaF
2及びZnSeのうちのいずれか一つで形成される透過部を備えるマスクと、
前記マスクを前記固定ユニットの上側に据え置くマスク据置ユニットと、
前記マスクの透過部が前記固定ユニットに固定された前記基板の複数の半導体チップを加圧することができるように前記マスク据置ユニットと前記固定ユニットのうちのいずれか一つを他の一つに対して昇降させる加圧ユニットと、
前記固定ユニットから前記基板の伝達を受けて排出する排出ユニットと、
前記レーザーユニットのレーザーヘッドによってレーザービームが照射される前記半導体チップを撮影する赤外線カメラと、
前記供給ユニット、前記固定ユニット及び前記排出ユニットの作動を制御し、前記赤外線カメラで測定された値を用いて前記レーザーユニットのレーザーヘッドの作動を制御する制御部と、を含む、フリップチップレーザーボンディングシステム。
【請求項4】
前記赤外線カメラは、前記レーザーユニットのレーザーヘッドによって前記半導体チップにレーザービームが照射されるときに前記半導体チップを撮影し、
前記制御部は、前記赤外線カメラで測定された値を受け取って前記レーザーユニットのレーザーヘッドから照射されるレーザービームの強度を調節する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフリップチップレーザーボンディングシステム。
【請求項5】
前記マスクを前記マスク据置ユニットに対して供給又は排出するマスク交換ユニットをさらに含む、請求項4に記載のフリップチップレーザーボンディングシステム。
【請求項6】
前記マスクの下側から前記マスクに対して光を照射する検査ランプと、
前記マスク又は基板を上側から撮影する検査カメラと、をさらに含み、
前記制御部は、前記検査カメラが前記マスクを撮影した画像を用いて前記マスクの汚染有無を判断する、請求項4に記載のフリップチップレーザーボンディングシステム。
【請求項7】
前記検査ランプは、マスク交換ユニットに設置され、
前記検査カメラは、前記レーザーユニットに設置されて前記レーザー移送部によって移送される、請求項6に記載のフリップチップレーザーボンディングシステム。
【請求項8】
前記マスクの複数の透過部の上面には、それぞれウエイト窪みが凹設され、
前記マスクは、前記基板に配置された複数の半導体チップをそれぞれ加圧する重さを増やすことができるように、前記透過部のウエイト窪みに据え置かれるウエイトをさらに含む、請求項4に記載のフリップチップレーザーボンディングシステム。
【請求項9】
前記マスクの透過部には無反射コーティングが施された、請求項4に記載のフリップチップレーザーボンディングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップチップレーザーボンディングシステムに係り、さらに詳細には、フリップチップ型の半導体チップをレーザービームを用いて基板にボンディングするフリップチップレーザーボンディングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品の小型化に伴い、ワイヤーボンディングを使用しないフリップチップ型の半導体チップが広く使われている。フリップチップ型の半導体チップは、半導体チップの下面にはんだバンプ型の多数の電極が形成され、基板に形成されたはんだバンプに対応する位置にボンディングする方式で基板に実装される。
【0003】
このようにフリップチップ方式で半導体チップを基板に実装する方法は、リフロー方式とレーザーボンディング方式に大別される。リフロー方式は、はんだバンプにフラックスが塗布された半導体チップを基板上に配置した状態で高温のリフローを経由するようにすることにより、半導体チップを基板にボンディングする方式である。レーザーボンディング方式は、リフロー方式と同様に、はんだバンプにフラックスが塗布された半導体チップを基板上に配置した状態で、半導体チップにレーザービームを照射してエネルギーを伝達することにより、瞬間的にはんだバンプが溶融してから固まりながら半導体チップが基板にボンディングされるようにする方式である。
【0004】
最近使用されるフリップチップ型の半導体チップは、厚さが数十マイクロメートル以下に薄くなる傾向にある。このように半導体チップが薄い場合には、半導体チップ自体の内部応力により半導体チップが微細に撓んだり歪んだり(warped)している場合が多い。このように半導体チップが変形している場合には、半導体チップのはんだバンプのうち、基板の対応するはんだバンプと接触していない状態でボンディングされることが発生し得る。このような状況は、半導体チップボンディング工程の不良をもたらす。また、半導体チップを基板にボンディングするために、半導体チップ及び基板の温度が上昇する場合に資材内部材質の熱膨張係数の差により半導体チップ又は基板が部分的に撓んだり歪んだりする現象が発生し得る。このような現象も、半導体チップボンディング工程の不良をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、撓んだり歪んだりしている半導体チップ、又は温度の上昇によって撓んだり歪んだりする可能性のある半導体チップを、はんだバンプの接触不良を防止しながら効果的に基板にボンディングすることができるフリップチップレーザーボンディングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明によるフリップチップレーザーボンディングシステムは、基板の上面にボンディングするための複数の半導体チップが配置された状態の前記基板を供給する供給ユニットと、前記供給ユニットから前記基板を受け取って前記基板の下面を固定する固定ユニットと、前記固定ユニットに固定された基板にレーザービームを照射して前記半導体チップと基板とをボンディングするレーザーヘッド、及び前記レーザーヘッドを移送するレーザー移送部を備えるレーザーユニットと、前記レーザーユニットのレーザーヘッドから照射されるレーザービームを透過させ、波長3μm以上9μm以下の領域帯を含む赤外線を透過させる透過部を備えるマスクと、前記マスクを前記固定ユニットの上側に据え置くマスク据置ユニットと、前記マスクの透過部が前記固定ユニットに固定された前記基板の複数の半導体チップを加圧することができるように前記マスク据置ユニットと前記固定ユニットのうちのいずれか一つを他の一つに対して昇降させる加圧ユニットと、前記固定ユニットから前記基板の伝達を受けて排出する排出ユニットと、前記レーザーユニットのレーザーヘッドによってレーザービームが照射される前記半導体チップを撮影する赤外線カメラと、前記供給ユニット、前記固定ユニット、及び前記排出ユニットの作動を制御し、前記赤外線カメラで測定された値を用いて前記レーザーユニットのレーザーヘッドの作動を制御する制御部と、を含んでなることに特徴がある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるフリップチップレーザーボンディングシステムは、半導体チップを加圧した状態で基板にレーザーボンディングすることにより、撓んでいるか撓むことが可能な半導体チップもはんだバンプの接触不良なしに基板にボンディングすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態によるフリップチップレーザーボンディングシステムの斜視図である。
【
図2】
図1に示されたフリップチップレーザーボンディングシステムの正面図である。
【
図3】
図1に示されたフリップチップレーザーボンディングシステムの一部分に対する正面図である。
【
図4】
図1に示されたフリップチップレーザーボンディングシステムに使用されるマスクの平面図である。
【
図5】
図4に示されたマスクのV-V線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明によるフリップチップレーザーボンディングシステムについて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態によるフリップチップレーザーボンディングシステムの斜視図であり、
図2は
図1に示されたフリップチップレーザーボンディングシステムの正面図である。
【0011】
本実施形態のフリップチップレーザーボンディングシステムは、レーザービームを用いて基板に半導体チップをフリップチップの形でボンディングするための装置である。基板と半導体チップのいずれか一方又は両方にはそれぞれはんだバンプが形成されており、レーザービームによって伝達されるエネルギーではんだバンプが瞬間的に溶融してから固まりながら半導体チップが基板にボンディングされる。
【0012】
図1及び
図2を参照すると、本実施形態によるフリップチップレーザーボンディングシステムは、供給ユニット110、固定ユニット120、レーザーユニット200及び排出ユニット130を含んでなる。
【0013】
供給ユニット110は、レーザーボンディングを行うための基板を固定ユニット120に供給する構成である。基板は、複数の半導体チップが配置された状態で供給される。通常、基板にフラックスが塗布され、その上に半導体チップが配置される。プラックスの粘性又は粘着性によって、半導体チップは基板に仮接着された状態となる。比較的大きい振動や外力が加えられない限り、基板に配置された半導体チップは、フラックスによって、揺れずに基板に対する位置が維持される。
【0014】
供給ユニット110は、このように半導体チップが仮接着された状態の多数の基板を順次固定ユニット120に供給する。本実施形態の場合、供給ユニット110は、基板の両側を支持するベルトを用いて固定ユニット120に基板を供給する。
【0015】
固定ユニット120も、基板の両側を支持するベルトを用いて、供給ユニット110から受け取った基板を作業位置に移送する。固定ユニット120は、基板の下面を吸着する方法で固定する。
【0016】
レーザーユニット200は、固定ユニット120の上側に配置される。レーザーユニット200は、レーザーヘッド210とレーザー移送部220を備える。レーザーヘッド210は、固定ユニット120に固定された基板にレーザービームを照射してエネルギーを伝達する。レーザー移送部220は、レーザーヘッド210を上下方向と水平方向に移送する。レーザーヘッド210が、固定ユニット120に固定された基板の半導体チップの上側に順次動きながらレーザービームを照射するように、制御部500がレーザーユニット200を作動させる。
【0017】
基板が固定される固定ユニット120の上側には、マスク400が配置される。マスク400はマスク据置ユニット300によって支持される。マスク400は、レーザー光を透過させることができる透過部440を備える。レーザーヘッド210から照射されるレーザービームは、マスク400の透過部440を通過して下側の半導体チップに伝達される。本実施形態によるフリップチップレーザーボンディングシステムの場合、透過部440はBaF2で形成される。可視光線と短波長領域の赤外線のみを透過させるクォーツ(Quartz)とは異なるように、BaF2は、比較的長波長領域の赤外線も透過させる透明材料である。クォーツは、波長0.18μm乃至3.5μmの光を透過させる材料であるのに対し、BaF2は、波長0.15μm乃至12μmの光まで透過させる。マスク400の具体的な構造については後述する。
【0018】
加圧ユニット350は、マスク据置ユニット300と固定ユニット120のうちのいずれか一方を他の一方に対して昇降させて、マスク400の透過部440によって、基板に付着した半導体チップを加圧するための構成である。本実施形態の場合、加圧ユニット350は基板を昇降させる。
図2を参照すると、加圧ユニット350は、固定ユニット120で基板の下面を吸着する構成を昇降させる。マスク据置ユニット300にマスク400が据え置かれた状態で加圧ユニット350が基板を持ち上げると、マスク400の透過部440の重さが半導体チップにのせられながら半導体チップを加圧する。
【0019】
排出ユニット130は、固定ユニット120から半導体チップレーザーボンディング済みの基板の伝達を受けて排出する。供給ユニット110及び固定ユニット120と同様に、排出ユニット130は、基板の両側を支持するベルトを用いて固定ユニット120から基板の伝達を受けてアンローダーに排出する。
【0020】
制御部500は、供給ユニット、固定ユニット120、レーザーユニット200、排出ユニット130などの構成を始めとした本発明の主要構成の作動を制御する。
【0021】
検査カメラ230は、固定ユニット120の上側に配置される。本実施形態の場合、検査カメラ230は、レーザーユニット200に設置され、レーザー移送部220によってレーザーヘッド210と一緒に動く。検査カメラ230は、下側に配置された基板又はマスク400を撮影して、制御部500が半導体チップの位置を把握するか或いはマスク400の汚染有無を判断するようにする。
【0022】
検査ランプ610は検査カメラ230の下側に配置される。本実施形態の場合、検査ランプ610は、後述するマスク交換ユニット600に設置される。検査ランプ610は、マスク400が移送される経路の下側に配置される。検査ランプ610は、マスク400の下側から光を照射する。検査ランプ610から発生した光は、マスク400の透過部440を経て上側の検査カメラ230に伝達される。検査ランプ610の照明を用いて、検査カメラ230は、さらに効果的にマスク400の透過部440を撮影することができる。検査カメラ230で撮影された画像の伝達を受けた制御部500は、マスク400の透過部440が汚染したか否かを検査し、これに基づいてマスク400の交換の必要性を検査する。
【0023】
図3を参照すると、固定ユニット120の上側には赤外線カメラ240が設置される。赤外線カメラ240は、固定ユニット120に固定された基板の半導体チップを撮影する。レーザービームが照射されてはんだバンプが溶融する過程で半導体チップの温度も上昇する。一般的に、半導体チップの温度は50℃~500℃の間で変化する。ウィーンの変位則によれば、50℃~500℃の間で変わる半導体チップから放射される赤外線の波長は、約3μm以上9μm以下である。マスク400が基板の上側に配置された場合には、マスク400の透過部440を介して半導体チップを撮影する。上述したように、本実施形態のマスク400の透過部440はBaF
2で構成されるので、波長0.15μm~12μmの光を透過させる。すなわち、透過部440は、レーザーヘッド210から発生するレーザー光をすべて透過させるだけでなく、波長3μm~9μmの赤外線をすべて透過させる。このため、透過部440の下側に配置された半導体チップにレーザービームを照射して加熱しながら、同時に赤外線カメラ240が透過部440を介して半導体チップを撮影することができる。つまり、50℃~500℃の間で変化する半導体チップの温度を赤外線カメラ240が透過部440を介して正確に測定することができる。実際、半導体チップを加熱する温度は200℃~400℃である場合が多いので、レーザービームを透過させながら、このような温度範囲の赤外線も透過させることができる透過部440を用いても、半導体チップをレーザーで加熱しながら温度を確認することができる。この場合、200℃~400℃に該当する赤外線の波長は、約4μm~6μmに該当する。上述したように、BaF
2は、レーザービームと一緒にこのような波長帯域の赤外線も透過させるので、透過部440の材料として使用可能である。
【0024】
制御部500は、赤外線カメラ240で撮影された値を用いて、半導体チップの領域別温度を把握することができる。制御部500は、赤外線カメラ240の測定値を用いてレーザーユニット200のレーザーヘッド210の作動を制御する。
【0025】
マスク交換ユニット600は、複数のマスク400を収納する構成であり、必要に応じてマスク据置ユニット300に据え置かれたマスク400を交換する構成である。制御部500は、必要に応じてマスク400の交換命令をマスク交換ユニット600に伝達し、マスク交換ユニット600は、マスク据置ユニット300に据え置かれたマスク400を新しいマスク400で交換する。上述したように、検査ランプ610はマスク交換ユニット600に設置されているので、交換対象であるマスク400は、検査ランプ610の上側に配置された状態で汚染有無が検査される。検査カメラ230によって撮影された画像を制御部500が検査した結果、汚染していないと判断されると、マスク400は、再びマスク据置ユニット300に伝達される。マスク400が汚染したと制御部500によって判断される場合には、汚染したマスク400は、マスク交換ユニット600に収納され、新しいマスク400が引き出されてマスク据置ユニット300に伝達される。
【0026】
以下、
図4及び
図5を参照してマスク400の構造について説明する。
【0027】
本実施形態で使用されるマスク400は、マスク本体410、複数の透過孔420及び透過部440を備える。
【0028】
マスク本体410は、平板形状に形成される。マスク本体410は、基板の形状と対応する形状に製作され、基板の大きさを考慮して、それと類似の大きさに製作される。
【0029】
マスク本体410は、複数の透過孔420を備える。透過孔420は、マスク400の下側に配置される基板の半導体チップの位置と対応する位置にそれぞれ形成される。透過孔420は、半導体チップの大きさ及び形状と類似の大きさ及び形状に製作される。本実施形態の場合、半導体チップの大きさよりも少し大きく形成された透過孔420を備えるマスク本体410を使用する。
【0030】
それぞれの透過孔420には、それぞれ内側に突出するように係止段部430が形成される。本実施形態の場合、
図4に示されているように、透過孔420に対応する形状に係止段部430が形成された。係止段部430の形状は、
図4に示された場合に加えて、他の様々な形状が使用できる。
【0031】
図5を参照すると、透過部440は、透過孔420にそれぞれ一つずつ挿入される。このとき、透過部440の下部は、係止段部430に係止されるように形成される。透過部440の下面は平面状に形成される。加圧ユニット350の作動によって透過部440がそれぞれ基板上の半導体チップを加圧するとき、下面が平らに形成された透過部440によって半導体チップを均一に平面的に加圧する。透過部440は、レーザービームが透過し得る透明材料で構成される。上述したように、本実施形態の場合、透過部440はBaF
2で形成される。マスク本体410は、レーザービームが透過し得ない不透明材料で形成される。マスク本体410は、透過部440を除いた領域にはレーザービームが通過することを防止する役割を果たす。
【0032】
本実施形態の場合、透過部440の上面にはウエイト窪み441が凹設される。ウエイト窪み441にはそれぞれウエイト(おもり)442が配置される。ウエイト442は、透過部440によって半導体チップを加圧する力をさらに増加させる役割を果たす。
【0033】
以下、上述したように構成された本実施形態によるフリップチップレーザーボンディングシステムの作動について説明する。
【0034】
まず、半導体チップが配置された基板を用意する。上述したように半導体チップの下面に形成されたはんだバンプにフラックスが塗布された半導体チップを基板に仮接着する方法で半導体チップが配置された基板を供給ユニット110で順次供給する。
【0035】
供給ユニット110は、基板を固定ユニット120に供給する。固定ユニット120は、基板の伝達を受け、基板の下面を吸着する方法で固定する。
【0036】
このような状態で、レーザーユニット200のレーザー移送部220は、検査カメラ230を基板の上で動かしながら基板の半導体チップを撮影する。制御部500は、検査カメラ230から伝達された画像を用いて、各半導体チップの位置を把握する。
【0037】
次に、マスク交換ユニット600は、マスク400を固定ユニット120の上側に移送する。マスク据置ユニット300は、マスク400の伝達を受けて基板の上側に据え置く。
【0038】
このような状態で、加圧ユニット350は、固定ユニット120に固定された基板を上昇させる。
【0039】
加圧ユニット350によって基板が上昇すると、基板の半導体チップは、それぞれマスク400の透過部440の下面に接触する。加圧ユニット350が基板を上昇させ続けると、それぞれの半導体チップがマスク本体410に対して透過部440を持ち上げる。上述したように、透過部440は、マスク本体410の係止段部430に係止されている状態なので、半導体チップを上昇させ続けると、透過部440は、半導体チップによって上方に持ち上げられる。つまり、マスク本体410は、停止した状態で透過部440のみ上昇する。その結果、透過部440の荷重が各半導体チップに伝達されながら、半導体チップの上面を平らに加圧する。この時、上述したように透過部440のウエイト窪み441にウエイト442が配置されていれば、ウエイト442の重量だけ半導体チップを加圧する力の大きさが増加する。
【0040】
このような状態で、制御部500は、レーザーユニット200を作動させて基板の半導体チップを順次ボンディングする。レーザー移送部220がレーザーヘッド210を順次それぞれの半導体チップ上に配置し、レーザーヘッド210がレーザービームを照射すると、半導体チップが基板にボンディングされる。レーザービームが透過部440と半導体チップの本体を透過してはんだバンプに伝達され、温度を上げてはんだバンプを基板のパッドに接着させる。
【0041】
レーザービームは、瞬間的にはんだバンプの温度を高めるので、半導体チップ自体の温度を必要以上に上げないという利点がある。これにより、レーザービームが短時間ではんだバンプのボンディング作業を完了するので、半導体チップが長時間高温で加熱されないという利点がある。このとき、半導体チップが歪んでいるか熱変形が発生しても、マスク400の透過部440が半導体チップの上面を押しているので、半導体チップが歪んだり撓んだりすることを防止することができるという利点がある。このように、半導体チップが撓むのを防止すると、半導体チップのはんだバンプの一部が基板にボンディングされない不良の発生を防止することができる。
【0042】
前述したように、レーザービームは、マスク400の透過部440のみを通過することができ、マスク本体410は通過することができないので、レーザーヘッド210から照射されるレーザービームは、半導体チップにのみ伝達される。このように透過部440とマスク本体410で構成されたマスク400を用いることにより、レーザービームのエネルギーが伝達される必要のない基板部分にレーザービームが照射されることを防止することができるという効果がある。
【0043】
また、複数の半導体チップを同時に基板にボンディングすることも可能である。レーザーヘッド210を操作してレーザービームの照射面積を広げると、2つ以上の半導体チップに対して同時にレーザービームを照射することができる。マスク400のマスク本体410は、レーザービームが通過することができないので、広い領域にレーザービームを照射しても、ボンディングが必要な半導体チップにのみレーザービームのエネルギーを伝達することが可能である。このような方法で複数の半導体チップを同時に基板にボンディングすることにより、全体的に工程の生産性を向上させることができる。場合によっては、マスク400全体にレーザービームを照射して半導体チップ全体を同時に基板にボンディングすることも可能である。
【0044】
一方、透過部440のウエイト窪み441とウエイト442が配置される領域は、半導体チップのはんだバンプが形成されない領域に形成される。本実施形態の場合、半導体チップの中央部にははんだバンプが存在せず、半導体チップの縁部にのみはんだバンプが存在するので、図示の如く、透過部440の中央部にウエイト窪み441とウエイト442が配置される。
【0045】
上述した過程を経てボンディングが完了した基板は、固定ユニット120から排出ユニット130に伝達される。排出ユニット130は、当該基板の伝達を受けてアンローダーに伝達する。
【0046】
制御部500は、マスク400の使用回数が一定回数を超えると、汚染検査又は交換を行うようにマスク交換ユニット600を作動させる。
【0047】
例えば、マスク400を20回使用した後には、制御部500は、マスク交換ユニット600によってマスク400をマスク据置ユニット300から検査ランプ610の上側に移送する。このような状態で、制御部500は、検査ランプ610を点灯させ、検査カメラ230によってマスク400を撮影する。マスク400の撮影画像に透過部440が汚染して粉塵粒子などが発見されると、制御部500は、マスク400を交換するようにマスク交換ユニット600を作動させる。マスク交換ユニット600は、汚染したマスク400を交換して新しいマスク400をマスク据置ユニット300に移送して据え置く。制御部500の検査結果、マスク400が汚染していないと判定された場合には、検査ランプ610の上側にあったマスク400を再びマスク据置ユニット300に移送して再使用する。
【0048】
一方、本実施形態に係るフリップチップレーザーボンディングシステムは、マスク400の透過部440が半導体チップの上面を押した状態で半導体チップの温度変化をリアルタイムで測定することができる。従来は、代表的な透明材料であるクォーツを用いて透過部を構成した。赤外線カメラでクォーツを介して温度を測定するとき、500℃以下の温度範囲は測定することが不可能である。上述したように、クォーツが波長3.5μm以上の赤外線を透過させるができないからである。本実施形態によるフリップチップレーザーボンディングシステムは、透過部440がBaF2で形成される。BaF2は、波長0.15μm~12μmの光を透過させることができる。すなわち、透過部440は、50℃~500℃の温度を有する物質から放射される赤外線をすべて透過させることが可能である。このため、透部過440が半導体チップの上面を加圧した状態でも、赤外線カメラ240は透過部440を介して半導体チップの温度を正確に測定することができる。よって、透過部440を介してレーザービームを照射して半導体チップを加熱しながら、同時に赤外線カメラ240を用いて半導体チップの温度を測定することが可能である。
【0049】
制御部500は、赤外線カメラ240を用いてリアルタイムで半導体チップの温度を測定し、これを反映してレーザーヘッド210の作動を制御することができる。レーザービームが半導体チップに照射される間、赤外線カメラ240がマスク400の透過部440を介して半導体チップの温度を測定する。レーザービームの照射によりはんだバンプが溶融する過程ではんだバンプに隣接した半導体チップの温度も一緒に上昇する。すなわち、赤外線カメラ240は、半導体チップの温度を介してはんだバンプの温度を間接的に測定する。制御部500は、赤外線カメラ240が測定した半導体チップの温度情報を受け取ってレーザーヘッド210の作動をリアルタイムで制御する。半導体チップと基板との間に存在する複数のはんだバンプにレーザービームが均一に照射されるのが良い。つまり、はんだバンプの温度が均一に上昇するのが良い。赤外線カメラ240は、半導体チップの表面温度を測定する。制御部500は、半導体チップの表面温度が低い部分にレーザービームがより高い強度で照射されるようにレーザーヘッド210の作動を制御する。このように、制御部500がレーザーヘッド210を制御してすべてのはんだバンプが均一な温度に上昇することができる。これは、すべてのはんだバンプにレーザービームが均一に照射されたことを意味する。本発明の場合、広い帯域の赤外線も透過させることができる透過部440を用いて、半導体チップの上面が均一に加熱されるか否かを赤外線カメラ240を用いてリアルタイムで確認することが可能である。結果的に、本発明は、レーザービームの強度が位置に応じて均一に維持されるように制御することが可能である。
【0050】
以上、本発明について好適な例を挙げて説明したが、本発明の範囲は前述及び図示した形態に限定されるものではない。
【0051】
例えば、マスク400の透過部440がBaF2で形成されると前述したが、マスクの透過部を他の透明材料で形成することも可能である。上述したように、レーザービーム照射過程で、半導体チップの温度は50℃~500℃の間で変わる。このとき、半導体チップから照射される赤外線の波長は、約3μm以上9μm以下である。よって、波長3μm以上9μm以下の赤外線を透過させる様々な材料で透過部を形成することができる。例えば、ZnSeなどの材料で透過部を構成することも可能である。ZnSeは波長0.6μm~16μmの赤外線を透過させる。透過部を波長2μm~16μmの赤外線を透過させるGeなどの材料で形成することも可能である。
【0052】
また、場合によっては、波長4μm以上6.5μm以下の赤外線を透過させる透過部でマスクを構成することも可能である。このような材料としては、CaF2やMgF2などの材料を挙げることができる。
【0053】
また、透過部には無反射コーティングを施して使用することも可能である。本発明の目的に合わせて赤外線をよく透過させる材料で透過部を構成する場合、透過部の材料に応じて、レーザービームの透過率が相対的に低くなることもある。この場合、透過部にレーザービームの反射を減少させるための無反射コーティングを施して使用することもできる。このように透過部に無反射コーティングを施すことにより、本発明の目的に合わせて半導体チップを加熱するためのレーザービームと半導体チップの温度を測定するための赤外線の両方をうまく透過させる透過部を構成することが可能である。
【0054】
また、加圧部材が基板を上昇させると前述したが、加圧部材がマスク400を下降させる方法で半導体チップを加圧することも可能である。
【0055】
また、マスク400の透過部440にはウエイト窪み441が設けられてウエイト442が配置されると前述したが、ウエイト窪み441とウエイト442を備えない構造のマスク400を使用することも可能である。場合によっては、ウエイト窪みとウエイトのみを備えた透過部を備えるマスクを使用することも可能である。
【0056】
また、マスク交換ユニット600を備える構造のフリップチップレーザーボンディングシステムを例として前述したが、マスク交換ユニット600を備えない構造のフリップチップレーザーボンディングシステムを構成することも可能である。この場合、マスク400の汚染有無を検査せずに使用し続けることもでき、手作業でマスク400を交換して使用するようにフリップチップレーザーボンディングシステムを構成することができる。
【0057】
また、赤外線カメラ240、検査ランプ610、検査カメラ230などを備えない構造のフリップチップレーザーボンディングシステムを構成することも可能である。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】