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  • 特表-制動装置を有する軌道研削機械 図1
  • 特表-制動装置を有する軌道研削機械 図2
  • 特表-制動装置を有する軌道研削機械 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】制動装置を有する軌道研削機械
(51)【国際特許分類】
   B24B 47/26 20060101AFI20220708BHJP
   B24B 23/04 20060101ALI20220708BHJP
   B24B 27/00 20060101ALI20220708BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B24B47/26
B24B23/04
B24B27/00 A
B24B45/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567849
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2020062515
(87)【国際公開番号】W WO2020229247
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】102019112556.1
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515315521
【氏名又は名称】フェルロボティクス コンプライアント ロボット テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Ferrobotics Compliant Robot Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナデラー ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】プレー ゲオルグ
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034BB87
3C034DD20
3C158AA04
3C158AA11
3C158AA15
3C158AC01
3C158CB03
3C158CB04
(57)【要約】
【課題】
研削ディスクの交換の自動化をより速く、より確実にする。
【解決手段】
工作機械と、制動装置とを有する装置である。工作機械は、工具を受け入れるための、偏心して取り付けられた回転可能な取り付け板を有している。制動装置は、工作機械に固定されたフレームと、第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部でフレームに固定された板バネと、板バネの第2の端部に接続されたレバーと、レバーを移動させるように構成されたアクチュエータと、を有する。そして、レバーの移動時に、板バネに張力がかかり、レバーの一部が工作機械の取り付け板に押し付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(1)と、制動装置(2)とを有する装置であって、
前記工作機械(1)は、工具(13)を受け入れるための、偏心して取り付けられた回転可能な取り付け板(12)を有し、
前記制動装置(2)は、
前記工作機械(1)に固定されたフレーム(25)と、
第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部で前記フレーム(25)に固定された板バネ(21)と、
前記板バネ(21)の前記第2の端部に接続されたレバー(22)と、
前記レバー(25)を移動させるように構成されたアクチュエータ(23)と、
を有し、
前記レバー(25)の移動時に、前記板バネ(21)に張力がかかり、前記レバー(25)の一部が前記工作機械(1)の前記取り付け板(12)に押し付けられる装置。
【請求項2】
前記レバー(22)は、特に回転ジョイントなしに、専ら前記板バネ(21)を介して前記フレーム(25)に接続されている請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ(23)は、空気圧式又は電気機械式のダイレクトドライブである請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ(23)はベローズシリンダである請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記フレーム(25)は、前記板バネ(21)の前記第1の端部がクランプ要素(24)によってクランプされているベースプレートを有する請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記フレーム(25)が、前記ベースプレートに取り付けられたブラケットをさらに有し、
前記アクチュエータ(23)は、前記ブラケットに取り付けられている請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ブラケットが前記レバー(22)を少なくとも部分的に取り囲む請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記レバー(22)の一端部に角度がつけられており、
前記アクチュエータ(23)によって引き起こされる前記レバー(22)の移動の際に、前記レバー(22)の角度の付いた前記一端部が前記工作機械の前記取り付け板(12)の外周面に押し付けられる請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記レバー(22)の動きにより、前記レバー(22)が前記工作機械(1)の前記取り付け板(12)に押し付けられると、前記取り付け板(12)は制動され、定められた位置へ動く請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記レバー(22)が、動作中の前記工作機械の回転周波数よりも高い支配的な固有振動数を有する請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記工作機械(1)が、前記取り付け板(12)が回転軸を中心に偏心して回転するように取り付けられている軌道研削機械である請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、工作機械の分野、特に自動化されたロボット支援研削のための軌道研削機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボット支援表面処理では、研削機械や研磨機械などの工作機械(例えば、研削工具として回転する研削ディスクを使用する電動研削記載)をマニピュレータ、例えば産業用ロボットでガイドする。工作機械とマニピュレータのいわゆるTCP(Tool Center Point)は、さまざまな方法で結合することができる。マニピュレータは通常、機械の位置と姿勢を実質的に自由に調整し、工作機械を例えばワークの表面に平行な軌道で動かすことができる。産業用ロボットは通常、位置制御を行い、目的の軌道に沿ってTCPを正確に移動させることができる。アクチュエータを別途用意することで、工作機械とワーク表面との間の加工力をマニピュレータとは別に設定・制御することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US6257970B1
【特許文献2】US8517799B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの場合、取付け板(バッキングパッド)に研削ディスクが装着された軌道研削機が使用され、取付け板(バッキングパッド)は偏心して配置された第1の回転軸を中心に回転し、それ自体が中心の第2の回転軸を中心に回転する。軌道研削機はそれ自体既知であり(例えば特許文献1(US6257970B1)参照)、したがってその動作原理はここではこれ以上説明しない。さらに、研削ディスクの自動交換を可能にする装置も知られている(例えば特許文献2(US8517799B2)参照)。軌道研削機では、研削ディスクの自動交換では、自動交換の開始時に取り付け板が所定の位置にあることが望ましい一方、取り付け板が不定の位置で停止してしまうという問題がある。さらに、モータが停止した後も比較的長い時間、取り付け板が回転し続けることがあり、交換作業が遅れてしまう。
【0005】
本発明者は、既存の軌道研削機械を改良し、研削ディスクの交換の自動化をより速く、より確実に行うことを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1に記載の装置によって解決される。異なる実施形態およびさらなる発展は従属請求項の主題である。
【0007】
以下では、工作機械と、制動装置とを有する装置が開示されいる。工作機械は、工具を受け入れるための、偏心して取り付けられた回転可能な取り付け板を有している。本発明の実施形態では、制動装置は、工作機械に固定されたフレームと、第1の端部でフレームに固定されたバネ(特に板バネ)と、バネの第2の端部に接続されたレバーとを有している。制動装置は、さらに、レバーを移動させるように構成されたアクチュエータを有し、レバーの移動時に、バネに張力がかかり、レバーの一部が工作機械の取り付け板に押し付けられる。
【発明の効果】
【0008】
研削ディスクの交換の自動化がより速く、より確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による制動装置を備えた軌道研削機械の一例を示す図である。
【0010】
図2図1の実施形態において制動装置を作動させた状態を示す図である。
【0011】
図3】制動装置(研削記載なし)の一例をより詳細に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に示す実施形態を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。図解は必ずしも縮尺通りではなく、本発明は図示された態様に限定されるものではない。むしろ、発明の根底にある原理を説明することに重点が置かれている。
【0013】
本発明の各種実施形態を詳細に説明する前に、まず、ロボット支援型研削装置の一例について説明する。ここで説明した概念は、他のタイプの表面仕上げ(特に研磨)にも転用可能であり、研削に限定されない。
【0014】
図1は、制動装置を備えた軌道研削機械の一例を示す図である。研削機械1は、基本的に、研削ディスク13を取り付けることが可能な、偏心して取り付けられた取り付け板12(バッキングパッド)を駆動するためのモータ11を(ハウジング内に)有する。取り付け板12の偏心軸受により、動作時には取り付け板12が偏心回転軸D´を中心に回転し、偏心回転軸D´は、さらに中心回転軸Dを中心に回転する。これにより、研削ディスク13は、回転しながら(楕円軌道も回転しながら)、小さな楕円運動を行う。軌道研削機械の構造はそれ自体既知であるため、ここでは詳しく説明しない。しかしながら、回転軸D´の偏心量e(回転軸Dと回転軸D´の間の距離)が取り付け板12の静止位置を規定しないことは、さらなる議論に関して重要である。モータ11がオフになると、取り付け板12はしばらく運転を続け、任意の角度位置で静止し得る。
【0015】
冒頭で述べたように、取り付け板12が定められた角度位置にあれば、ロボット支援による研削ディスク13の自動交換に有利である。ここで説明する実施形態によれば、研削機械1は、制動装置2を有し、この制動装置は、(スイッチオフされたモータ11のために)取り付け板12を制動し、取り付け板12が規定された角度位置に移動するように構成されている。図2は,図1と同じ構成で,ブレーキを作動させたものを示す図である。
【0016】
図1及び図2に示す実施形態によれば、制動装置2は、バネ21、特にバネ鋼製の板バネを有しいている。バネ21の一端は、例えばクランプ要素24によって、制動装置2のフレーム25にクランプされている。図1に示すように、バネ21は、フレーム25の一部と、ネジによってフレーム25に固定され得るクランプ要素との間でクランプされる。バネ21の他端には、レバー22が(例えば、同様にネジによって)取り付けられており、このレバーは、その自由端で約90°曲げられた細長い棒の形状を有している。バネ21とレバー22は、レバー22の自由端が取付板12の周面に当接するまで、取り付け板12側に移動できるように配置されている。このレバー22が動く間、バネが曲げられる。この動きは、リニアアクチュエータ23によって引き起こされる。リニアアクチュエータは、空気圧アクチュエータとすることができ、例えば、ベローシリンダとして実装することができる。代替的に、磁気アクチュエータ、例えばソレノイドアクチュエータを使用することも可能である。具体的な実施態様にかかわらず、アクチュエータ23は、フレーム25とレバー22の間に作用する
【0017】
特に、フレーム25に板バネを介して取り付けられたレバー22と、ベローシリンダのようなダイレクトドライブ(ギアなどの機構がない)の組み合わせにより、ブレーキ機構(レバー22、バネ21)を回転ジョイントなしで行うことが可能になる。つまり、部品が相対的に動く機構は必要ない。これにより、制動装置2は、より堅牢になり、エラーが発生しにくくなる。ベローズシリンダにも可動部はなく、圧縮空気によって膨らませるだけで、ベローズシリンダの端部がレバー22に押し付けられる。
【0018】
ブレーキが作動すると、アクチュエータ23がレバー22を押し、したがってまたレバー22の角度のついた自由端が取り付け板12を押し、バネ21が曲げられ、予圧がかけられる。この状況は、図2に示されている。レバー22の角度のついた自由端が取り付け板12に押し付けられると、取り付け板12は、定められた角度位置に移動する。偏心回転軸D´は、制動装置2から可能な限り遠ざかるように移動される。図示の例では、制動装置は研削機械1の右側に配置され、作動した制動装置によって偏心回転軸はできるだけ左側に移動される。同時に、取り付け板12の回転運動は、停止するまで制動される。
【0019】
図3は、制動装置2の例示的な実施形態を示す斜視図である。フレーム25は複数の部品から構成されており、研削機械に取り付けられるように構成されている(図1図2参照)。フレーム25は、ベースプレート25a(支持体)からなり、その外周面は、研削機械の(例えば円筒形の)表面に適合し得る。バネ21は、クランプ要素24とネジ24aとによってベースプレート25aに取り付けられている。すなわち、板バネとして構成されたバネ21は、ベースプレート25aの表面とクランプ要素24の対応する表面との間でクランプされる。ネジ24aは必要な押圧力を提供する。レバー22は、既に図1に示したように、バネ21により螺合される。レバー22は、いわば板バネ21の「延長」と見ることができ、レバー22はバネ21と比較して剛性的である。
【0020】
アクチュエータ23を取り付けるために、フレーム25は、ベースプレート25aに(例えばネジ25cによって)取り付けられ、レバー22を少なくとも部分的に取り囲むブラケット25bを有している。アクチュエータ23は、レバー22をベースプレート25aの方へ(従って、動作中の研削機械の方へ)押すことができるように、ブラケット25bに取り付けられている。図示の例では、アクチュエータ23は、レバー22をベースプレート25aの方へ(したがって研削機械の方へも)押すことができるように、ねじ25dによってブラケット25bに取り付けられている。
【0021】
フレーム25は、様々な方法で構成できる。図3に示す構造は、ここで説明した制動装置2の機能を変えることなく、様々に変更することができる。したがって、フレームは、本明細書に記載の機能を果たすのに適した、適合した構造部品または構造部品の組立品を意味し、すなわち、特に、バネ21の一端の固定を可能にし、また、バネ21に取り付けられたレバー22を動かすことができるようにアクチュエータ23の取り付けを可能にすることである。フレームそれ自体は、研削機械に搭載するように構成されている。
【0022】
以下は、本明細書に記載された実施形態のいくつかの重要な態様の要約であり、これは、網羅的なリストではなく、重要な態様および技術的特徴の純粋に例示的なリストである。
【0023】
本明細書に記載された実施形態は、工作機械(特に軌道研削記載)および制動装置を備えた装置に関し、工作機械は、工具を受け入れるための、偏心して取り付けられた回転可能な取り付け板を有する。一実施形態によれば、制動装置は、工作機械に固定されたフレーム(例えば図3参照、ベースプレート25a及び取付ブラケット25bを有するフレーム)と、フレームに第1の端部が固定されたバネ(例えば図1及び図2参照、板バネ21)と、バネの第2の端部に接続されたレバー(例えば図1乃至図3参照、レバー22)とを有している。制動装置は、レバーを動かすためのアクチュエータ(例えば図1乃至図3参照、空気圧式リニアアクチュエータ23)をさらに有している。このアクチュエータは、レバーを動かすように構成され、レバーが動かされるとバネが張力を受け、レバーの一部が工作機械の取り付け板に押しつけられるように構成されている。前述のように、ここで説明する実施形態におけるバネは板バネであり、例えばバネ鋼製であってもよく、レバーは専ら板バネを介してフレーム(例えばフレームのベースプレート)に連結されている。
【0024】
アクチュエータは、空気圧式又は電気式のダイレクトドライブであり、特にギアなどの回転部分を含まない。空気圧ダイレクトドライブの例は、ベローズシリンダである。
【0025】
いくつかの実施形態では、フレームは、バネの第1の端部がクランプ要素によってクランプされるベースプレートを有する。フレームはベースプレートに取り付けられたブラケットを有していてもよく、この例ではアクチュエータはブラケットに取り付けられている(図3参照、アクチュエータ23はネジ25dを用いてブラケット25bに取り付けられている)。ブラケットは、少なくとも部分的にレバーを取り囲んでいる。この例では、取り付け状態では、ブラケットに取り付けられたアクチュエータとベースプレートの間にレバーが配置されている。
【0026】
レバーの一端は角度を付けることができ、レバーをアクチュエータで動かすと、レバーの角度の付いた一端が工作機械の取り付け板の円周面に押し付けられる。レバーの動きによって、レバーは、工作機械(研削機械)の取り付け板に押し付けられ、取り付け板は制動され、所定の位置へと押される。
【0027】
別の態様は、レバー(図1乃至図3、レバー22参照)の固有振動数に関するもので、レバーは、その幾何学的形状およびそれが作られる材料の剛性に応じて、ある固有振動数および関連する振動モードを持ち、通常は1つの(すなわち最も低い)固有振動数が支配的なものとなっている。一実施形態によれば、レバーは、その支配的な固有周波数が研削機械の動作中に励起されないように構成されている。これは、レバーの固有振動数が、研削機械の取り付け板の指定された最大回転数(1秒あたりの回転数)より高いことを意味する。
【符号の説明】
【0028】
1…工作機械
2…制動装置
12…取り付け板
13…工具
21…板バネ
22…レバー
23…アクチュエータ
24…クランプ要素
25…フレーム
25a…ベースプレート
25b…ブラケット
図1
図2
図3
【国際調査報告】