IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シエラ オンコロジー, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-532597CHK1阻害剤を使用してがんを治療する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】CHK1阻害剤を使用してがんを治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20220708BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220708BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20220708BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220708BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220708BHJP
   C12N 9/12 20060101ALI20220708BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20220708BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20220708BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/5377
A61K31/7068
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
C12N9/12
C12Q1/68
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567884
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 US2020032722
(87)【国際公開番号】W WO2020232154
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/855,910
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/847,810
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519365805
【氏名又は名称】シエラ オンコロジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハッシグ クリスティアン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ストルース ブライアン ウイリアム
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン ライアン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】アンダース ケンナ リン
(72)【発明者】
【氏名】ミルティノヴィッチ スネジャナ
(72)【発明者】
【氏名】ユー アンジー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クレンケ バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】コワルスキー マーク
【テーマコード(参考)】
4B050
4B063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B050DD11
4B050LL01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR72
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC411
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC73
4C086EA17
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、少なくとも中間の腫瘍遺伝子変異量(TMB)を有するか、複製ストレスと関連する1つ以上の特定の遺伝子に遺伝的異常を有する対象のがんの治療におけるチェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤を使用する方法を提供する。したがって、少なくとも中間の腫瘍遺伝子変異量(TMB-I)を有する対象のがんを治療する方法が提供される。また、細胞周期調節遺伝子、複製ストレス遺伝子、発がん性ドライバー突然変異、ならびにDNA損傷応答遺伝子及び修復ネットワーク遺伝子から選択された1つ以上の特定の遺伝子に遺伝的異常を有する対象のがんを治療する方法も提供される。Chk1阻害療法のための対象を選択する方法が提供される。当該方法は、対象に有効量のSRA737化合物を、場合によっては低用量のゲムシタビンと組み合わせて、投与することを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるがんを治療する方法であって、
細胞周期調節遺伝子、複製ストレス遺伝子、DNA損傷応答遺伝子及び修復ネットワーク遺伝子、ならびに発がん性ドライバー遺伝子から選択された1つ以上の遺伝子に遺伝的異常のあるがん細胞を有すると特定された対象に治療有効量のチェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記遺伝的異常が、前記1つ以上の遺伝子の変化、増幅、過剰発現、または過少発現である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の遺伝子が、G1/Sチェックポイント及び/またはp53経路と関連する細胞周期調節遺伝子から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の遺伝子が、MDM2、TP53、RB1、CDKN1A/B、及びCDKN2A/B/Cから選択される、請求項120に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の遺伝子が、Chk1経路感受性に関係する複製ストレス遺伝子から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の遺伝子がChk1及びATRから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の遺伝子が、相同組み換え(HR)、非相同末端結合(NHEJ)、ファンコニ貧血(FA)、またはミスマッチ修復と関連するDNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子、ならびにクロマチンまたはDNAポリメラーゼをコードする遺伝子から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の遺伝子が、PALB2、ATM、BRCA1/A2、RAD51B、RAD51C、PRKDC、CDK12、FANCA、FANCD2、FANCE、FANCG、FANCI、FANCM、RAD52、RAD50、RAD51C、RAD54L、MLL2、ARID1A、ARID1B、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2、POLD1、及びPOLEから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の遺伝子が、CCNE、MYC、及びPI3K/AKTのサブクラスに属する発がん性ドライバー遺伝子である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の遺伝子が、前記CCNEサブクラスのものであり、CCNE1、FBXW7、及びPARK2から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の遺伝子が前記MYCサブクラスのものであり、MYC、MYCN、及びMYCL1から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の遺伝子が、前記PI3K/AKTサブクラスのものであり、PIK3CA、PTEN、AKT1、AKT2、及びAKT3から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の遺伝子が、FA/BRCA複製フォークサブクラスのDNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記FA/BRCA複製フォークサブクラスの前記1つ以上の遺伝子が、BRCA1/2、RAD51B、RAD51C、PRKDC、CDK12、FANCA、FANCD2、FANCE、FANCG、FANCI、FANCM、RAD52、RAD50、RAD51C、及びRAD54Lから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、RAS変異(例えば、KRAS、HRAS、またはNRAS変異)を欠くがんを有するとして特定されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、前記PI3K/AKTサブクラスの発がん性ドライバー遺伝子、ならびに前記FA/BRCA複製フォークサブクラスのDNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子から選択された2つ以上の遺伝子に遺伝的異常のあるがんを有するとして特定されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記2つ以上の遺伝子が、AKT、PIK3CA、PTEN、ATR、PRKDC、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、FANCD2、FANCE、FANCG、FANCI、FANCM、RAD52、RAD50、RAD51C、及びRAD54Lから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が少なくとも中間の腫瘍遺伝子変異量(TMB)を有すると特定されている、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記がんが扁平上皮癌である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記がんが、肛門、陰茎、膣、及び外陰部の進行性/転移性扁平上皮癌から選択される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記がんが、肛門性器、直腸、卵巣、及び子宮頸のものから選択される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記がんが肛門性器癌である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記がんが肛門のものである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記がんが直腸のものである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記がんが子宮頸のものである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記がんが扁平上皮子宮頸のものである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記がんが卵巣のものである、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
方法。
【請求項29】
前記卵巣癌が高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記がんがヒトパピローマウイルス(HPV)に対して陽性である、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記Chk1阻害剤がSRA737である、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記SRA737化合物が経口で投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記SRA737化合物が毎日投与される、請求項31~32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記SRA737化合物が隔週で投与される、請求項31~32のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記SRA737化合物が間欠的に投与される、請求項31~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記SRA737化合物が、少なくとも十(10)分、十五(15)分、二十(20)分、三十(30)分、四十(40)分、六十(60)分、二(2)時間、三(3)時間、四(4)時間、六(6)時間、八(8)時間、十(10)時間、十二(12)時間、十四(14)時間、十八(18)時間、二十四(24)時間、三十六(36)時間、四十八(48)時間、三(3)日間、四(4)日間、五(5)日間、六(6)日間、七(7)日間、八(8)日間、九(9)日間、十(10)日間、十一(11)日間、十二(12)日間、十三(13)日間、十四(14)日間、三(3)週間、または四(4)週間の投与間の遅延をもって投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記SRA737化合物が、1つ以上の28日周期にわたって投与される、請求項31~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記SRA737化合物が、前記1つ以上の28日周期(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の28日周期)の1日以上の日に投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記SRA737化合物が、前記1つ以上の28日周期の隔週に投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記1つ以上の28日周期の第1の周期前に前記SRA737化合物の初回投与量を投与することをさらに含む、請求項37~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記初回投与量が、前記1つ以上の28日周期の前記第1の周期の4日、5日、6日、または7日前に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記SRA737化合物が、毎週5日間の投薬と続く2日間の非投薬、1週間の毎日の投薬と続く1週間、2週間、もしくは3週間の非投薬、2週間もしくは3週間の毎日の投薬と続く1週間もしくは2週間の非投薬、及び週周期の2日目と3日目での投薬から選択される投薬スケジュールに従って投与される、請求項31~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記有効量が1日1回、単回投与で投与される、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記有効量の半分が1日2回投与される、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記有効量が1000mg/日以下(例えば、900mg/日以下、800mg/日以下、700mg/日以下、600mg/日以下、500mg/日以下、400mg/日以下、300mg/日以下、またはさらに少ない)である、請求項31~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記有効量が、300mg/日と1000mg/日の間(例えば、300mg/日と900mg/日の間、または300mg/日と800mg/日の間、または500mg/日と1000mg/日の間、または500mg/日と800mg/日の間)である、請求項31~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記有効量が、300mg/日、400mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、及び1000mg/日から選択される、請求項31~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象に前記Chk1阻害剤と組み合わせてゲムシタビンを投与することをさらに含む、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記投与されたゲムシタビンの有効量が治療量を下回る、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ゲムシタビンが毎日投与される、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記ゲムシタビンが、毎週のスケジュールの1日目に投与され、前記Chk1阻害剤が、2日目及び3日目に投与される、請求項48~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記ゲムシタビン及び前記Chk1阻害剤が1つ以上の28日周期にわたって投与される、請求項48~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記ゲムシタビンが、前記1つ以上の28日周期の1日目、8日目、及び15日目に投与され、前記Chk1阻害剤が、前記1つ以上の28日周期の2日目、3日目、9日目、10日目、16日目、及び17日目に投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記投与されたゲムシタビンの有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から選択される、請求項48~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記投与されたゲムシタビンの有効量が、600mg/m/日以下(例えば、50と600mg/m/日の間、または50と300mg/m/日の間)である、請求項48~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記SRA737化合物の前記治療有効量が、150mg/日である、請求項54~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記SRA737化合物の前記治療有効量が、300mg/日である、請求項54~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記SRA737化合物の前記治療有効量が、500mg/日である、請求項54~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記SRA737化合物の前記有効量が、600mg/日である、請求項54~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記SRA737化合物の前記有効量が、700mg/日である、請求項54~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記SRA737化合物の前記有効量が、800mg/日である、請求項54~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記SRA737化合物の前記有効量が、900mg/日である、請求項54~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記SRA737化合物の前記有効量が、1000mg/日である、請求項54~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記対象に免疫チェックポイント阻害剤を投与することをさらに含む、請求項1~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記免疫チェックポイント阻害剤がモノクローナル抗体である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記モノクローナル抗体が、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記モノクローナル抗体が、抗CTLA-4抗体である、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
Chk1阻害剤療法のための対象を選択するための方法であって、
がんを有する対象のがん細胞にRASの変異があるかどうかを判断することと、
前記対象のがん細胞の細胞周期調節遺伝子、複製ストレス遺伝子、DNA損傷応答遺伝子及び修復ネットワーク遺伝子、ならびに発がん性ドライバー遺伝子から選択された1つ以上の遺伝子に遺伝的異常があるかどうかを判断することと、
前記対象の前記がん細胞がRASの変異を欠き、前記1つ以上の遺伝子に遺伝的異常を含むときにChk1阻害剤療法の恩恵を受ける対象として前記対象を分類することと
を含む、方法。
【請求項69】
前記1つ以上の遺伝子が2つ以上の遺伝子である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記遺伝的異常が、前記1つ以上の遺伝子の変化、増幅、過剰発現、または過少発現である、請求項68または69に記載の方法。
【請求項71】
Chk1阻害剤療法のための対象を選択するための方法であって、
がんを有する対象のがん細胞にRASの変異があるかどうかを判断することと、
前記対象のがん細胞の細胞周期調節遺伝子、複製ストレス遺伝子、DNA損傷応答遺伝子及び修復ネットワーク遺伝子、ならびに発がん性ドライバー遺伝子から選択された1つ以上の遺伝子に遺伝的異常があるかどうかを判断することと、
前記対象の前記がん細胞がRASの変異を欠き、前記1つ以上の遺伝子に遺伝的異常を含むときにChk1阻害剤療法の恩恵を受ける対象として前記対象を分類することと
を含む、前記方法。
【請求項72】
前記1つ以上の遺伝子が2つ以上の遺伝子である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記遺伝的異常が、前記1つ以上の遺伝子の変化、増幅、過剰発現、または過少発現である、請求項70または71に記載の方法。
【請求項74】
対象のがんを治療する方法であって、
(i)がん及び(ii)少なくとも中間腫瘍遺伝子変異量(TMB)を有すると特定された対象に、治療有効量のチェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【請求項75】
がんを有する対象が、少なくとも中間腫瘍遺伝子変異量(TMB)の腫瘍を有するかどうかを判断することと、次いで
少なくとも中間TMBの腫瘍を有すると判断された対象に、治療有効量のChk1阻害剤を投与することと
をさらに含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
中間TMBが、前記対象の試料から決定したTMB値を、Chk1阻害剤療法に対する反応性を示す基準TMB値と比較することによって決定される、請求項74~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記TMB値が、定められた数の核酸塩基対または遺伝子にわたって数えられた体細胞変異の数を表す、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記定められた数の核酸塩基対がコード核酸塩基対である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記体細胞変異の数が、表1に説明する所定の遺伝子セットの配列を決定すること(例えば、表1に説明する前記遺伝子の50以上、100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、またはすべてを含む所定の遺伝子セットの配列など、表1に説明する前記所定の遺伝子セットの前記コード領域の配列を決定すること)を含む方法によって決定される、請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
低TMBが、前記療法に対する非応答者の腫瘍に由来する試料中の所定の遺伝子セットにおける体細胞変異のレベルを示す、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記基準TMB値が、前記所定の遺伝子セットの前記コード領域内の、メガ塩基対(Mb)あたり約5以上(例えば、約5.5以上、約6以上、約6.5以上、約7以上、約8以上、約9以上、約10以上、約15以上、約20以上、約25以上、約30以上、約35以上、約40以上、約45以上、または約50以上)の体細胞変異である、請求項76~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記基準TMB値が、表1に説明する前記遺伝子の50以上、100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、またはすべてを含む所定の遺伝子セットにおける、メガ塩基対(Mb)あたり約6~約10(例えば、約6、約7、約8、約9、または約10)の体細胞変異である、請求項76~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記基準TMB値が、コード配列のメガ塩基対(Mb)あたり約6の体細胞変異である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記中間TMBが、コード配列のメガ塩基対(Mb)あたり約6~約19の体細胞変異である、請求項82~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
高TMBが、コード配列のメガ塩基対(Mb)あたり約20以上の体細胞変異である、請求項82~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記試料が、組織試料、全血試料、血漿試料、及び血清試料から選択される、請求項76~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記試料が、前記対象から得られた組織を含む、請求項76~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記試料が腫瘍細胞を含む、請求項76~87のいずれか1項を含む方法。
【請求項89】
前記対象から得られた前記試料が少なくとも20%の腫瘍細胞を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記Chk1阻害剤がSRA737である、請求項74~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記SRA737化合物が経口で投与される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記SRA737化合物が毎日投与される、請求項90~91のいずれかに記載の方法。
【請求項93】
前記SRA737化合物が隔週で投与される、請求項90~92のいずれかに記載の方法。
【請求項94】
前記SRA737化合物が間欠的に投与される、請求項90~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記SRA737化合物が、少なくとも十(10)分、十五(15)分、二十(20)分、三十(30)分、四十(40)分、六十(60)分、二(2)時間、三(3)時間、四(4)時間、六(6)時間、八(8)時間、十(10)時間、十二(12)時間、十四(14)時間、十八(18)時間、二十四(24)時間、三十六(36)時間、四十八(48)時間、三(3)日間、四(4)日間、五(5)日間、六(6)日間、七(7)日間、八(8)日間、九(9)日間、十(10)日間、十一(11)日間、十二(12)日間、十三(13)日間、十四(14)日間、三(3)週間、または四(4)週間の投与間の遅延をもって投与される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記SRA737化合物が、1つ以上の28日周期にわたって投与される、請求項90~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記SRA737化合物が、前記1つ以上の28日周期(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の28日周期)内の1日以上の日に投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記SRA737化合物が、前記1つ以上の28日周期内で隔週に投与される、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記1つ以上の28日周期の第1の周期の前に、前記SRA737化合物の初回投与量を投与することをさらに含む、請求項96~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記初回投与量が、前記1つ以上の28日周期の前記第1の周期の4日、5日、6日、または7日前に投与される、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記SRA737化合物が、毎週5日間の投薬と続く2日間の非投薬、1週間の毎日の投薬と続く1週間、2週間、もしくは3週間の非投薬、2週間もしくは3週間の毎日の投薬と続く1週間もしくは2週間の非投薬、及び週周期の2日目と3日目での投薬から選択される投薬スケジュールに従って投与される、請求項96~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記有効量が1日1回、単回投与で投与される、請求項90~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記有効量の半分が1日2回投与される、請求項90~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記有効量が1000mg/日以下(例えば、900mg/日以下、800mg/日以下、700mg/日以下、600mg/日以下、500mg/日以下、400/mg日以下、300mg/日以下、またはさらに少ない)である、請求項90~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記有効量が、300mg/日と1000mg/日の間(例えば、300mg/日と900mg/日の間、または300mg/日と800mg/日の間、または500mg/日と1000mg/日の間、または500mg/日と800mg/日の間)である、請求項90~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記有効量が、300mg/日、400mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、及び1000mg/日から選択される、請求項90~105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記対象に前記Chk1阻害剤と組み合わせてゲムシタビンを投与することをさらに含む、請求項74~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記投与されたゲムシタビンの有効量が治療量を下回る、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記ゲムシタビンが毎日投与される、請求項107または108に記載の方法。
【請求項110】
前記ゲムシタビンが、毎週のスケジュールの1日目に投与され、前記Chk1阻害剤が、2日目及び3日目に投与される、請求項107~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記ゲムシタビン及び前記Chk1阻害剤が1つ以上の28日周期にわたって投与される、請求項107~110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
前記ゲムシタビンが、前記1つ以上の28日周期の1日目、8日目、及び15日目に投与され、前記Chk1阻害剤が、前記1つ以上の28日周期の2日目、3日目、9日目、10日目、16日目、及び17日目に投与される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記投与されたゲムシタビンの有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から選択される、請求項107~112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記投与されたゲムシタビンの有効量が、600mg/m/日以下(例えば、50と600mg/m/日の間、または50と300mg/m/日の間)である、請求項107~112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記SRA737化合物の前記治療有効量が、80または150mg/日である、請求項113~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記SRA737化合物の前記治療有効量が、300mg/日である、請求項113~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記SRA737化合物の前記治療有効量が、500mg/日である、請求項113~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記SRA737化合物の前記有効量が、600mg/日である、請求項113~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
前記SRA737化合物の前記有効量が、700mg/日である、請求項113~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記SRA737化合物の前記有効量が、800mg/日である、請求項113~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
前記SRA737化合物の前記有効量が、900mg/日である、請求項113~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記SRA737化合物の前記有効量が、1000mg/日である、請求項113~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項123】
前記対象に免疫チェックポイント阻害剤を投与することをさらに含む、請求項71~122のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
前記免疫チェックポイント阻害剤がモノクローナル抗体である、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記モノクローナル抗体が、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記モノクローナル抗体が、抗CTLA-4抗体である、請求項124に記載の方法。
【請求項127】
前記がんが扁平上皮癌である、請求項71~126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記がんが、肛門、陰茎、膣、及び外陰部の進行性/転移性扁平上皮癌から選択される、請求項71~126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記がんが、肛門性器、直腸、卵巣、及び子宮頸のものから選択される、請求項71~126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項130】
前記がんが肛門性器癌である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記がんが肛門のものである、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記がんが子宮頸のものである、請求項129に記載の方法。
【請求項133】
前記がんが扁平上皮子宮頸のものである、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記がんが卵巣のものである、請求項129に記載の方法。
【請求項135】
前記卵巣癌が高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記がんがヒトパピローマウイルス(HPV)に対して陽性である、請求項71~135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項137】
前記がんと関連する腫瘍が、細胞周期調節遺伝子、複製ストレス遺伝子、DNA損傷応答遺伝子及び修復ネットワーク遺伝子、ならびに発がん性ドライバー遺伝子から選択された1つ以上の遺伝子に遺伝的異常(例えば、変異、増幅、過剰発現、または過少発現)を有するとして特定される、請求項71~136のいずれか1つに記載の方法。
【請求項138】
前記1つ以上の遺伝子が、相同組み換え(HR)、非相同末端結合(NHEJ)、ファンコニ貧血(FA)、またはミスマッチ修復と関連するDNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子、ならびにクロマチンまたはDNAポリメラーゼをコードする遺伝子から選択される、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記1つ以上の遺伝子が、PALB2、ATM、BRCA1/A2、RAD51B、RAD51C、PRKDC、CDK12、FANCA、FANCD2、FANCE、FANCG、FANCI、FANCM、RAD52、RAD50、RAD51C、RAD54L、MLL2、ARID1A、ARID1B、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2、POLD1、及びPOLEから選択される、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記1つ以上の遺伝子が、PI3K/AKTサブクラスのものであり、PIK3CA、PTEN、AKT1、AKT2、及びAKT3から選択される、請求項137に記載の方法。
【請求項141】
前記1つ以上の遺伝子が、FA/BRCA複製フォークサブクラスのDNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子から選択される、請求項137に記載の方法。
【請求項142】
前記FA/BRCA複製フォークサブクラスの前記1つ以上の遺伝子が、BRCA1/2、RAD51B、RAD51C、PRKDC、CDK12、FANCA、FANCD2、FANCE、FANCG、FANCI、FANCM、RAD52、RAD50、RAD51C、及びRAD54Lから選択される、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
前記対象が、野生型RAS(例えば、wt KRAS、wt HRAS、wt NRAS)のあるがん細胞を有すると特定される、請求項137~142のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
前記対象が、PI3K/AKTサブクラスの発がん性ドライバー遺伝子、ならびにFANC/BRCA複製フォークサブクラスのDNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子から選択された2つ以上の遺伝子に遺伝的異常のあるがん細胞を有するとして特定される、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記2つ以上の遺伝子が、AKT、PIK3CA、PTEN、ATR、PRKDC、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、FANCD2、FANCE、FANCG、FANCI、FANCM、RAD52、RAD50、RAD51C、及びRAD54Lから選択される、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
Chk1阻害剤療法のための対象を選択するための方法であって、
がんを有する対象の試料からの腫瘍遺伝子変異量(TMB)値を決定することと、
前記試料からの決定した前記TMB値を、Chk1阻害剤療法に対する応答性を示す基準TMB値と比較することと、
決定した前記TMB値が前記基準TMB値以上であるときに、Chk1阻害剤療法から恩恵を受ける対象として前記対象を分類することと
を含む、前記方法。
【請求項147】
前記基準TMB値が、がんを有する複数の対象から得られた複数の腫瘍細胞試料から決定されたTMB値の中央値以下である、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記基準TMB値が、事前に割り当てられたTMB値である、請求項146~147のいずれか1項に記載の方法。
【請求項149】
前記基準TMB値が、定められた数の核酸塩基対にわたって数えられた体細胞変異の数を表す、請求項146~148のいずれか1項に記載の方法。
【請求項150】
前記基準TMB値が、肛門、直腸、卵巣、及び子宮頸のものから選択されたがんを有する複数の対象から得られた複数の試料から決定される、請求項146~149のいずれか1項に記載の方法。
【請求項151】
TMB値が、定められた数の核酸塩基対または遺伝子にわたって数えられた体細胞変異の数を表す、請求項146~150のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記定められた数の核酸塩基対がコード核酸塩基対である、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
コード核酸塩基対の前記定められた数が、百万(1メガ塩基対(Mb))以上である、請求項151または152に記載の方法。
【請求項154】
前記定められた数のコード核酸塩基対が全エクソームである、請求項151または152に記載の方法。
【請求項155】
前記体細胞変異がCOSMICでの既知の体細胞変異である、請求項151~154のいずれか1項に記載の方法。
【請求項156】
腫瘍抑制因子遺伝子の短縮が体細胞変異として数えられない、請求項151~155のいずれか1項に記載の方法。
【請求項157】
体細胞-生殖細胞系-接合性アルゴリズムによって生殖細胞系であると予測された変異が体細胞変異として数えられない、請求項151~156のいずれか1項に記載の方法。
【請求項158】
前記体細胞変異の数が、表1に説明する所定の遺伝子セットの配列を決定すること(例えば、表1に説明する前記遺伝子の50以上、100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、またはすべてを含む所定の遺伝子セットの配列など、表1に説明する前記所定の遺伝子セットの前記コード領域の配列を決定すること)を含む方法によって決定される、請求項151~157のいずれか1項に記載の方法。
【請求項159】
低TMBが、前記療法に対する非応答者の腫瘍に由来する試料中の表1に説明する所定の遺伝子セットにおける前記体細胞変異のレベルを示す、請求項151~158のいずれか1項に記載の方法。
【請求項160】
前記基準TMB値が、所定の遺伝子セットのコード領域内の、メガ塩基対あたり約5以上(例えば、約5.5以上、約6以上、約6.5以上、約7以上、約8以上、約9以上、約10以上、約15以上、約20以上、約25以上、約30以上、約35以上、約40以上、約45以上、または約50以上)の体細胞変異である、請求項151~159のいずれか1項に記載の方法。
【請求項161】
前記基準TMB値が、表1に説明する前記遺伝子の50以上、100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、またはすべてを含む所定の遺伝子セットにおける、メガ塩基対(Mb)あたり約6~約10(例えば、約6、約7、約8、約9、または約10)の体細胞変異である、請求項151~160のいずれか1項に記載の方法。
【請求項162】
前記基準TMB値が、メガ塩基対(Mb)あたり約6つの体細胞変異である、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
中間TMBが、メガ塩基対(Mb)あたり約6~約19の体細胞変異である、請求項160に記載の方法。
【請求項164】
高TMBが、メガ塩基対(Mb)あたり約20以上の体細胞変異である、請求項160~163のいずれか1項に記載の方法。
【請求項165】
前記試料が、組織試料、全血試料、血漿試料、及び血清試料から選択される、請求項151~164のいずれか1項に記載の方法。
【請求項166】
前記試料が、前記対象から得られた組織を含む、請求項151~165のいずれか1項に記載の方法。
【請求項167】
前記試料が腫瘍細胞を含む、請求項151~66のいずれか1項を含む方法。
【請求項168】
前記対象から得られた前記試料が少なくとも20%の腫瘍細胞を含む、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
前記試料が、アーカイブ試料(例えば、ホルマリン固定)、採取したての試料、または凍結試料である、請求項165~168のいずれか1項に記載の方法。
【請求項170】
少なくとも中間TMBを有すると判断された前記対象に治療有効量のChk1阻害剤を投与することをさらに含む、請求項151~169のいずれか1項に記載の方法。
【請求項171】
前記Chk1阻害剤がSRA737である、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
前記対象に前記Chk1阻害剤と組み合わせてゲムシタビンを投与することをさらに含む、請求項170~171のいずれか1項に記載の方法。
【請求項173】
前記対象に免疫チェックポイント阻害剤を投与することをさらに含む、請求項170~172のいずれか1項に記載の方法。
【請求項174】
前記免疫チェックポイント阻害剤がモノクローナル抗体である、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
前記モノクローナル抗体が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記対象がヒトである、請求項1~175のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月14日出願の米国仮出願第62/847,810号及び2019年5月31日出願の米国仮出願第62/855,910号の優先権を主張するものであり、これらは両方とも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
導入
細胞は、DNAが損傷するとシグナル伝達経路を活性化させる。シグナルは細胞周期機構を活性化させて、DNAの修復及び/または細胞死を誘導し、増殖を軽減する。チェックポイントキナーゼ1(Chk1)は、DNAの損傷を検知したときに細胞内の重要な橋渡し役となる。参照により本明細書に組み込まれるCancer Biology & Therapy(2004)3:3,305-313を参照すること。Chk1は、免疫反応及び炎症反応、紡錘体形成、DNA損傷シグナル伝達、ならびに一般に細胞アポトーシスを含む多数の広範囲にわたる細胞機能を調節する役割を担う。Chk1阻害剤は、S期、及び/またはG2/M期におけるDNA損傷誘導性の細胞周期停止を妨げる。現在のところ、腫瘍増殖を阻害するために承認された治療法にChk1阻害剤はない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、少なくとも中間の腫瘍遺伝子変異量(TMB)を有するか、複製ストレスと関連する1つ以上の特定の遺伝子に遺伝的異常を有する対象のがんの治療におけるチェックポイントキナーゼ(Chk1)阻害剤を使用する方法を提供する。したがって、少なくとも中間の腫瘍遺伝子変異量(TMB-I)を有する対象のがんを治療する方法が提供される。また、細胞周期調節遺伝子、複製ストレス遺伝子、発がん性ドライバー変異、ならびにDNA損傷応答遺伝子及び修復ネットワーク遺伝子から選択された1つ以上の特定の遺伝子に遺伝的異常を有する対象におけるがんを治療する方法も提供される。Chk1阻害療法のための対象を選択する方法が提供される。当該方法は、対象に有効量のSRA737化合物を、いくつかの場合では低用量のゲムシタビンと組み合わせて投与することを含むことができる。
【0004】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付図面に関してよりよく理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ウエスタンブロット法によって測定された、マウスのHT29ヒト腫瘍異種移植片におけるゲムシタビン誘導性CHK1 S296自己リン酸化に対するSRA737の効果を示している。
図2】HT29異種移植片モデルにおけるSRA737用量比例血漿濃度及び腫瘍濃度を示す。用量ごとに、左から右への列が、それぞれ、6時間での血漿、24時間での血漿、6時間での腫瘍、及び24時間での腫瘍の濃度である。
図3】低用量ゲムシタビンと組み合わせたSRA737治療法の研究で使用された投与量の詳細を示す。Aはコホートに使用された用量を示し、MEDは、臨床前研究からモデル化されたSRA737の最小有効用量である。Bは、ゲムシタビン用量(mg/m)のグラフを示し、標準治療と比較して、SRA737-02で試験されたゲムシタビン用量は、標準的な細胞毒性用量の約10~25%、例えば治療量を下回る(sub-therapeutic)用量、であったことを示す。
図4A】HT-29担がんマウスからのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料の免疫組織化学(IHC)分析を示す。IHC分析は、セリン296でリン酸化されたChk1(p-Chk1)を示す。
図4B】HT-29担がんマウスからのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料の免疫組織化学(IHC)分析を示す。IHC分析は、セリン317でリン酸化されたChk1(p-Chk1)を示す。
図4C】HT-29担がんマウスからのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料の免疫組織化学(IHC)分析を示す。IHC分析は、セリン345でリン酸化されたChk1(p-Chk1)を示す。
図4D】HT-29担がんマウスからのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料の免疫組織化学(IHC)分析を示す。IHC分析は、リン酸化されたH2AX(γ-H2A.X)を示す。
図5A】SRA737及び20mg/kgのゲムシタビンで治療された、皮下大腸HT-29腫瘍をもったマウスにおける、SRA737とゲムシタビンとの相乗効果を示す。
図5B】SRA737及び100mg/kgのゲムシタビンで治療された、皮下大腸HT-29腫瘍をもったマウスにおける、SRA737とゲムシタビンとの相乗効果を示す。
図6】SRA737単剤療法研究(SRA737-01)における対象のベースライン特徴及び人口統計のまとめを示す。
図7】異なる用量のSRA737単剤療法(SRA737-01)を使用して達成した血清濃度を示す。
図8】全対象(N=107)に対するSRA737単剤療法(SRA737-01)の治療期間を表すプロットを示す。
図9】方向的に正のHGSOCコホート反応を示す。ウォーターフォールプロットは、評価可能なHGSOC対象の間でのベースラインからの最善の腫瘍変化%を示す。FA/BRCA遺伝子ネットワーク、PI3K遺伝子ネットワーク、及びCCNE遺伝子ネットワーク全体での遺伝子変化は、個々の対象ごとにグラフの下に示されている。Vは、実験の項で説明するように、決定されたVUSである。
図10】SRA737単剤療法(SRA737-01)のために定められた遺伝子ネットワーク全体で変化する、病勢コントロール率(DCR)のまとめを示す。この表は、3つの機能遺伝子のカテゴリ、つまり細胞周期調節異常、発がん性ドライバー、ならびにDNA損傷応答及び修復ネットワーク内での11の遺伝子ネットワーク全体のDCRをまとめている。遺伝子ネットワーク内の目的の個々の遺伝子が示されている。‡は、RAS野生型対象の割合。*は、FANC A、C、及びGを含む。**は、RAD51及びRAD51Cを含む。
図11】SRA737単剤療法(SRA737-01)の全適応症における遺伝子ネットワークの変化の頻度を示す。このヒートマップは、遺伝子変化を有する対象のパーセントで表した、治療コホート全体で観察された遺伝子ネットワーク変化の頻度を表示する。
図12】RAS遺伝子ネットワーク変化が、SRA737単剤療法の感受性に拮抗する場合があることを示す。ウォーターフォールプロットは、様々ながんを有し、且つRAS遺伝子ネットワーク変化を保有する評価可能な対象間における、ベースラインからの最善の腫瘍変化%を示す。各対象の特定のRAS遺伝子及びがんの遺伝子変化は、ウォーターフォールの下に示されている。CRCは大腸癌であり、HGSOCは高悪性度漿液性卵巣癌であり、NSCLCは非小細胞肺癌である。SDは安定している疾患であり、PDは進行性の疾患である。
図13】PI3K遺伝子ネットワークの変化が、SRA737単剤療法の感受性を高め得ることを示すウォーターフォールプロットを示す。示されているデータは、PI3K/AKTサブクラス(例えば、AKT1、AKT2、AKT3、PIK3CA、及び/またはPTEN変異体)遺伝子ネットワークの変化を保有する評価可能な対象間におけるベースラインからの最善の腫瘍変化%を表す。対象ごとの特定のPI3Kネットワークの遺伝子変化は、ウォーターフォールの下に示されている。mCRPCは、転移性去勢抵抗性前立腺癌である。
図14】SRA737単剤療法活性と関連するFA/BRCA複製フォーク遺伝子ネットワーク変化を示す。ウォーターフォールプロットは、FA/BRCAサブクラス遺伝子ネットワーク変化を保有する評価可能な対象間における、ベースラインからの最善の腫瘍変化%を示す。対象ごとの特定のFA/BRCAネットワークの遺伝子変化(例えば、AKT、PIK3CA、及び/またはPTEN)は、ウォーターフォールの下に示されている。mCRPCは、転移性去勢抵抗性前立腺癌である。
図15】顕著な反応を有する対象及び対象のそれぞれの遺伝子ネットワーク変化のまとめを示す。≧4周期のSD及び/または>10%の最善の腫瘍現象%を達成した対象は、それぞれの遺伝子ネットワーク変化と相互に関連付けられる。
図16】SRA737+LDGの併用の研究(SRA737-02)における、対象のベースライン特徴及び人口統計のまとめを示す。
図17】低用量ゲムシタビンと組み合わせたSRA737療法の、複数の適応症の全てで有効性を明示するヒト対象のデータを示す。示されているデータは、4つの腫瘍タイプ(肛門性器癌、子宮頸癌、直腸癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HCSOC))間の評価可能な対象における、ベースラインからの最善の腫瘍変化%を表す。肛門性器腫瘍における標的腫瘍の減少の大きさは顕著であった。それぞれ-66%*と-51%の継続的に減少している2人の対象、及び-41%*減少した3人目の対象が、データカットオフ時に観察された。データカットオフ:2019年5月3日。*は、部分寛解(PR)を確認した。
図18】調査された遺伝子ネットワーク全体で変化する反応及び病勢コントロール率(DCR)のまとめを示す。この表は、3つの機能遺伝子カテゴリ、つまり細胞周期調節異常、発がん性ドライバー、ならびにDNA損傷応答及び修復ネットワーク、に含まれる11の遺伝子ネットワーク全体でのDCR及び奏功率をまとめている。遺伝子ネットワークの個々の遺伝子が示されている。‡は、RAS野生型対象の割合。*は、FANC A、C、E、I、及びMを含む。**は、RAD51を含む。
図19】PI3K遺伝子ネットワーク変化が、SRA737+LDG療法に対する感受性を高め得ることを示す。ウォーターフォールプロットは、PI3K遺伝子ネットワーク変化を保有する評価可能な対象の間でのベースラインからの最善の腫瘍変化%を示す。各対象の腫瘍で変化した個々の遺伝子が、ウォーターフォールの下に示されている。
図20】SRA737+LDG活性と関連するFA/BRCA複製フォーク遺伝子ネットワークを示す。ウォーターフォールプロットは、FA/BRCA遺伝子ネットワーク変化を保有する評価可能な対象の間の標的腫瘍直径の合計について、ベースラインからの最善の腫瘍変化%を示す。各対象の腫瘍で変化した個々の遺伝子が、ウォーターフォールの下に示されている。Vは、決定されたVUSを指す。
図21】FA/BRCA遺伝子ネットワークでの変異と相関する、SRA737+LDGに対する腫瘍縮小及び臨床反応を示す概略図である。FA/BRCA遺伝子ネットワークは、Chk1及び他のDDRチェックポイントキナーゼと併せて、停止した複製フォーク及びHRRを安定化させ、修復することによってRSに応答するタンパク質をコードする。これらの複合体での遺伝子変化は、RSに直接的に寄与し、特定の状況での腫瘍遺伝子変異量(TMB)の増加として現れるゲノムの不安定性を高める。
図22】目的の全適応症におけるSRA737+LDG併用療法(SRA737-02)を受ける個々の対象について評価された遺伝子ネットワーク変化の頻度のまとめを示す。このヒートマップは、遺伝子変化を有する対象のパーセントで表した治療コホート全体で観察された遺伝子ネットワーク変化の頻度を表示する。
図23】SRA737+LDG療法が、扁平上皮肛門性器癌及び子宮頸癌において反応をもたらすことを示す。ウォーターフォールプロットは、扁平上皮肛門性器癌及び扁平上皮子宮頸癌を有する評価可能な対象の間での標的腫瘍直径の合計について、ベースラインからの最善の腫瘍変化%を示す。示されているデータは、FA/BRCAまたはPI3Kでの遺伝子ネットワーク変化を表し、HPV状態及びTMB状態は、対象ごとに以下のヒートマップに示される。目的の対象は、HPV陽性癌及び/または少なくとも中間TMB(TMB-I/H)の癌を有する場合がある。
図24】肛門性器癌を有する対象のSRA737+LDG療法に対する反応を示す。ウォーターフォールプロットは、図23の肛門性器癌を有する評価可能な対象間における、ベースラインからの最善の腫瘍変化%を示す。
図25】パネルA~Bは、肛門癌及び広範な肝臓転移を伴う70歳男性の画像を示す。以前の療法:放射線及び1回の全身治療。遺伝子プロファイル:FA/BRCA、PI3K、及びTMB-I。パネルAはベースライン画像を示す。パネルBは、SRA737+LDG療法後の画像を示す。最善の腫瘍反応:-41%。治療期間:11周期(中止時に反応が進行中、患者の決定)。
図26】パネルA~Bは、肛門癌及び縦郭腫瘤圧迫及び胸水を伴う59歳女性の画像を示す。パネルAはベースライン画像を示す。パネルBは、SRA737+LDG療法の周期2の後の画像を示す。以前の療法:3回の全身治療。遺伝子プロファイル:FA/BRCA及びTMB-I。最善の腫瘍反応:-26%+胸水の解消。治療期間:7周期、継続中(データカットオフ時点:2019年5月3日)。
図27A】低用量ゲムシタビン(LDG)と組み合わせたSRA737(SRA737-02)(肛門癌及び直腸癌の対象)で治療された個々のヒト対象からのデータを示す。
図27B】SRA737単剤療法(SRA737-01)(NSCLS対象)、または低用量ゲムシタビン(LDG)と組み合わせたSRA737(SRA737-02)(肛門癌及び直腸癌の対象)で治療された個々のヒト対象からのデータを示す。データは、様々ながん及び中間TMB(TMB-I)または高TMB(TMB-H)を有する対象が、LDGと組み合わされたSRA737での治療に反応できることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は少なくとも中間の腫瘍遺伝子変異量(TMB)を有する、または複製ストレスと関連する1つ以上の特定の遺伝子に遺伝的異常を有する対象に対して、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤を使用してがんを治療する方法を提供する。遺伝的異常は、細胞周期調節遺伝子、複製ストレス遺伝子、発がん性ドライバー変異、及び/またはDNA損傷応答ネットワーク遺伝子及び修復ネットワーク遺伝子のクラスから選択された1つ以上の遺伝子で見つけられる場合がある。また、Chk1阻害療法のための対象を選択する方法も提供される。方法は、いくつかの場合では低用量のゲムシタビンと組み合わせて対象に有効量のSRA737化合物を投与することを含む場合がある。
【0007】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、言うまでもなく、変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定するものとしては意図されないことも理解されたい。
【0008】
値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、下限値の単位の10分の1までの、その範囲の上限値から下限値の間の各介在値、ならびにその表示範囲の任意の他の表示値または介在値が、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値と下限値は、より小さい範囲内に独立して含まれてもよく、また、表示範囲内の任意の具体的な除外限度に従って、本明細書にも包含される。表示範囲が1つまたは両方の限界値を含む場合、それらの含まれる限定値の片方または両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0009】
特定の範囲は、数値の前に用語「約」を付けて、本明細書に提示される。用語「約」は、本明細書では、「約」が先行する正確な数、及びその用語が先行する数に近いまたはおおよその用語が先行する数である数に対して厳密な裏付けを提供するために使用される。数が、明確に記載された数に近いまたはおおよそ明確に記載された数であるのかを判断する際には、近いまたは近似する記載されていない数は、それが提示される文脈において、明確に記載された数の実質的に同値を提供する数である場合がある。
【0010】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術の通常の技術を有する者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似するまたは同等のいかなる方法及び材料も、本発明の実施または試験において使用できるが、代表的かつ例示的な方法及び材料をここで説明する。
【0011】
本明細書で引用するすべての刊行物及び特許は、あたかも各個別の刊行物または特許が具体的かつ個別に参照により組み込まれると示されるかのように参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が関連して引用される方法及び/または材料を開示し、説明するために参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示のためであり、本発明が先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことの承認として解釈すべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、別に確認する必要がある場合がある実際の公開日とは異なる場合がある。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上、別途明確に指示されない限り、複数形の指示対象を含むことに留意しなければならない。特許請求の範囲が任意選択の要素を除外するように作成されてもよいことにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関して「単に」、「のみ」などの排他的な専門用語の使用、または「否定的な」制限の使用のための先行する基準として役立つことが意図される。
【0013】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に説明及び例示する個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に切り離し得る、または組み合わせ得る別個の成分及び特徴を有する。任意の列挙される方法は、列挙される事象の順で、または論理的に可能な任意の他の順序で実施することができる。
【0014】
装置及び方法は、機能上の説明との文法上の流動性のために説明されている、または説明されるが、特許法第112条の下で明示的に述べられない限り、特許請求の範囲が、「手段」または「ステップ」の制限の構築によって必ずしも絶対に限定されると解釈されるべきではなく、均等物の司法的な法理の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び均等物の完全な範囲を認められるべきであり、特許請求の範囲が特許法第112条の下で明示的に述べられる場合、特許法第112条の下で完全な法的な均等物を認められるべきであることを明示的に理解されたい。
【0015】
がんを治療する方法
本開示の態様は、少なくとも中間TMB、または複製ストレスと関連する1つ以上の特定の遺伝子の遺伝的異常を有するとして特定された対象においてChk1阻害剤を使用してがんを治療する方法を含み、そのバイオマーカーは、Chk1阻害療法に対する感受性を示すことができる。主題の方法は、任意選択で低用量ゲムシタビン(LDG)を用いる併用療法でのSRA737などのChk1阻害剤の投与を含む場合がある。また、Chk1阻害(Chk1i)療法の恩恵を受けるであろう対象を選択する方法も提供される。
【0016】
本開示は、Chk1阻害剤療法、つまりSRA737単剤療法(研究SRA737-01)、及び低用量ゲムシタビンとのSRA737併用療法(研究SRA737-02、SRA737+LDG)のヒト初回投与臨床試験の結果を示す。複数の固形腫瘍の適応症は、Chk1i感受性及び/または複製ストレス(RS)関連の腫瘍ゲノミクスの普及率に基づいて評価された。RS関連の遺伝子変化を保有する腫瘍及び/またはChk1i感受性に関係する他の経歴を有する対象が評価された。個々の患者の臨床研究の反応データ及び腫瘍ゲノミクスは、SRA737療法に対する反応の強化を示す適応症に特有のゲノム上のシグネチャーを特定するために分析された。したがって、本開示は、低用量ゲムシタビンと組み合わせたSRA737などのChk1阻害療法を用いて特定の遺伝的異常を有する対象においてがんを治療する方法を提供する。
【0017】
複製ストレスドライバー遺伝子
本開示は、Chk1阻害療法に対する反応性を示すことができる複製ストレス(RS)ドライバー遺伝子における遺伝的異常を提供する。本開示の態様は、(例えば、本明細書に説明するように)Chk1阻害に対する感受性を示す遺伝子において1つ以上のそのような遺伝的異常を有するとして特定された対象においてChk1阻害剤を用いてがんを治療する方法を含む。
【0018】
Chk1は、複製ストレス(RS)のマスター調節因子である。Chk1は、特定の腫瘍細胞中の上昇した複製ストレスを低減できるDNA損傷応答(DDR)ネットワーク内のセリン/トレオニンタンパク質キナーゼである。複製ストレスは(RS)は、複製フォークの減速及び停止によって現れ、その結果、損傷を受けやすい脆弱な露出した一本鎖DNAが生じる。RSの増加は、ゲノムの不安定性につながり、腫瘍細胞に一定の成長及び生存の優位を与えてしまうが、適切に管理されない場合、広範なDNA損傷及び細胞死を生じさせる場合がある。結果的に、腫瘍細胞は、内因性のRSの上昇を管理するためにChk1に対する依存を強める。RSがより高いがん細胞は、Chk1阻害剤療法に対する感受性を高めている可能性がある。
【0019】
主題の方法に係る治療のための対象の選択で使用できるRSのドライバーは、腫瘍抑制因子、発がん性ドライバー、及び/またはDNA損傷応答ネットワーク遺伝子及び修復ネットワーク遺伝子における遺伝的異常を含む。これらの機能遺伝子ネットワークにおける欠陥を保有する腫瘍は、細胞周期制御の調節不全、増殖要求の高まり、及び/またはゲノムの不安定性の増加のため、より高いレベルの内因性RSを有する場合がある。これらのRSドライバー遺伝子は、G1/S腫瘍抑制因子、発がん性ドライバー、ならびに欠陥DNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子を含むいくつかの機能上のカテゴリに分けることができる。
【0020】
本開示は、目的の腫瘍細胞内でのChk1に対する依存の増加につながる場合があるRSドライバー遺伝子を提供する。そのような腫瘍細胞を有するとして特定された対象は、本明細書に説明する方法に従って、Chk1療法で治療することができる。いくつかの場合、主題の方法で利用されるChk1療法は、Chk1阻害剤と、低用量ゲムシタビンなどの複製ビルディングブロックを枯渇させる外因性のRS誘導剤との併用療法である。
【0021】
したがって、主題の方法に従って治療のために選択された患者は、本明細書に記載のRS誘導遺伝子の1つ以上に1つ以上の遺伝的異常を有する可能性がある。
【0022】
目的の内因性RS誘導遺伝子のクラスは、(例えば、p53経路サブクラスまたはG1/Sサブクラスの)細胞周期調節不全変異、(例えば、CCNEサブクラス、MYCサブクラス、及び/またはPI3K/AKTサブクラスの)発がん性ドライバー変異、ならびに(例えば、HR/NHEJサブクラス、FANC/BRCA複製フォークサブクラス、クロマチンサブクラス、及び/またはミスマッチ修復サブクラスの)DNA損傷応答ネットワーク及び修復ネットワークの変異を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、図10及び図18を参照すること。
【0023】
RS誘導遺伝子は、細胞周期調節不全のクラスを含む。目的の細胞周期調節不全遺伝子は、p53経路サブクラス及びG1/Sサブクラスを含むが、これらに限定されるものではない。
【0024】
p53腫瘍抑制タンパク質は、様々な標的遺伝子を転写活性化または抑制するための転写因子として機能することができる。p53の下流の標的は、細胞周期停止、アポトーシス、及びDNA修復の経路を調節して、DNA損傷、低酸素症(酸素欠乏)、及び成長因子または栄養素の不足を含む要因に応えて細胞の成長と停止との間にダイナミックな平衡を維持することができる。変異がChk1に対する腫瘍細胞の依存を高める場合があるp53細胞周期調節不全サブクラスの特定の目的遺伝子は、MDM2(MDM2プロトオンコジーン)及びTP53(腫瘍タンパク質p53)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
G1/S遷移は、DNA複製のG1増殖期とS期との間の細胞周期の段階である。それは、細胞周期の完全性を確実にするために細胞周期チェックポイントによって管理され、後続のS期は、不適切にまたは部分的に複製されたDNAに応えて休止する場合がある。変異がChk1に対する腫瘍細胞の依存を高める場合があるG1/S細胞周期調節不全サブクラスの特定の目的遺伝子は、RB1(RB転写コリプレッサー1)、CDKN1A/B(サイクリン依存性キナーゼ阻害剤1A/1B)、及びCDKN2A/B/C(サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2A/2B/2C)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0026】
RS誘導遺伝子は、発がん性ドライバーのクラスを含む。目的の発がん性ドライバー遺伝子は、CCNE(サイクリンE)サブクラス、MYCサブクラス、及び/またはPI3K/AKTサブクラスを含むが、これらに限定されるものではない。サイクリンEは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK2)との複合体を形成する。サイクリンE/CDK2は、多数の下流タンパク質をリン酸化することによって複数の細胞プロセスを調節し、G1期及びG1-S期の遷移で役割を果たす。サイクリンE(CCNE)の過剰発現は、腫瘍形成と相互に関連する可能性がある。Myc(またはMYC)は、転写因子をコードする調節遺伝子及びプロトオンコジーンの群であり、c-myc、l-myc、及びn-mycの3つの関連するヒト遺伝子を含む。
【0027】
PKBまたはAKTとしても知られるタンパク質キナーゼBは、グルコース代謝、アポトーシス、細胞増殖、転写、及び細胞移動などの複数の細胞プロセスで重要な役割を果たすセリン/トレオニンに特有のタンパク質キナーゼである。AKTシグナル伝達カスケードは、受容体チロシンキナーゼ、インテグリン、B細胞受容体とT細胞受容体、サイトカイン受容体、Gタンパク質共役受容体、及びホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)によるホスファチジルイノシトール(3,4,5)三リン酸(PIP3)の産生を誘導するその他の刺激によって活性化される。ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)は、関連する細胞内シグナル伝達酵素の群である。PI3K/AKT経路の調節不全は、がんを含むいくつかのヒトの疾患に関係している。
【0028】
内因性RS誘導遺伝子は、DNA損傷応答ネットワーク及び修復ネットワークの変異のクラスを含む。目的のDNA損傷応答ネットワーク遺伝子及び修復ネットワーク遺伝子は、HR/NHEJサブクラス、FA/BRCA(ファンコニ貧血/乳癌感受性タンパク質)複製フォークサブクラス、クロマチンサブクラス、及びミスマッチ修復サブクラスを含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの場合、特定の目的遺伝子が、2つの遺伝子ネットワークの交差がある場合がある2つのサブクラス(例えば、図18に示すようなHR/NHEJサブクラス及びFA/BRCAサブクラス)の一部と見なされる場合があることを理解されたい。
【0029】
DNA二本鎖切断を修復するための2つの主要な経路は、相同組み換え(HR)及び非相同末端結合(NHEJ)である。両方の経路を調節するために、いくつかの遺伝子が高等真核生物に存在する。目的のHR/NHEJサブクラス変異は、PALB2、ATM、BRCA1/2、RAD51B、RAD51C、及びPRKDC、ならびにATRを含むが、これらに限定されるものではない。
【0030】
目的の変異のFA/BRCA(ファルコニ貧血/乳癌感受性タンパク質)複製フォークサブクラスは、PRKDC、ATR、BRCA1/2、CDK12を含むが、これらに限定されるものではなく、FANC遺伝子は、FANC A、D2、E、G、I、またはM、及びRAD遺伝子は、RAD52、RAD50、RAD51B、RAD51C、及びRAD54Lを含む。
【0031】
目的の遺伝子のクロマチンサブクラスは、MLL2、ARID1A、及びARID1Bを含むが、これらに限定されるものではない。目的の遺伝子のミスマッチ修復サブクラスは、MLH1、MSH2、MSH6、及びPMS2を含むが、これらに限定されるものではない。目的の遺伝子のDNAポリメラーゼ(DNA pol)サブクラスは、POLD1及びPOLEを含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書に開示する標的遺伝子のいずれかの任意の便宜的な遺伝的異常は、観察し、感受性の所望のマーカーと見なすことができる。目的の遺伝的異常は、標的遺伝子の変化、増幅、過剰発現、または過小発現である場合がある。RS誘導遺伝子内の様々な遺伝的異常を標的とすることができる。いくつかの場合、遺伝的異常は、遺伝子変化、例えば変異である。
【0033】
方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子は、G1/Sチェックポイント及び/またはp53経路と関連する細胞周期調節遺伝子から選択される。特定の例では、1つ以上の遺伝子は、MDM2、TP53、RB1、CDKN1A/B、及びCDKN2A/B/Cから選択される。
【0034】
方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子は、Chk1経路感受性に関係する複製ストレス遺伝子から選択される。特定の例では、1つ以上の遺伝子は、Chk1及びATRから選択される。
【0035】
方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子は、相同組み換え(HR)、非相同末端結合(NHEJ)、ファンコニ貧血(FA)、またはミスマッチ修復と関連するDNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子、及びクロマチンまたはDNAポリメラーゼをコードする遺伝子から選択される。特定の例では、1つ以上の遺伝子は、PALB2、ATM、BRCA1/A2、RAD51B、RAD51C、PRKDC、CDK12、FANCA、FANCD2、FANCE、FANCG、FANCI、FANCM、RAD52、RAD50、RAD51C、RAD54L、MLL2、ARID1A、ARID1B、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2、POLD1、及びPOLEから選択される。
【0036】
方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子は、以下のサブクラス、つまりCCNE、MYC、及びPI3K/AKTの発がん性ドライバー遺伝子である。特定の例では、1つ以上の遺伝子は、CCNEサブクラスのものであり、CCNE1、FBXW7、及びPARK2から選択される。
【0037】
方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子は、PI3K/AKTサブクラスのものであり、PIK3CA、PTEN、AKT1、AKT2、及びAKT3から選択される。
【0038】
方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子は、MYCサブクラスのものであり、MYC、MYCN、及びMYCL1から選択される。
【0039】
方法のいくつかの実施形態では、対象は、FA/BRCA複製フォークサブクラスのDNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子から選択された1つ以上の遺伝子(例えば、1つ、2つ、またはそれ以上の遺伝子)に遺伝的異常のあるがん細胞を有するとして特定される。図10は、腫瘍がFA/BRCAネットワーク変異を保有していた、SRA737単剤療法を受けている対象が、好ましい結果(DCR=71%、DOS=3.8周期)を示したことを明らかにしている。特定の例では、1つ以上の遺伝子は、ATRまたはPRKDCを含む。
【0040】
方法のいくつかの実施形態では、対象は、PI3K/AKTサブクラスの発がん性ドライバー遺伝子、ならびにFA/BRCA複製フォークサブクラスのDNA損傷応答遺伝子及び修復遺伝子から選択された2つ以上の遺伝子に遺伝的異常のあるがん細胞を有するとして特定される。図18は、調査された遺伝子ネットワークにわたって変化する反応及び病勢コントロール率(DCR)のまとめを示す。この表は、PI3K/ARKサブクラスの遺伝的異常を有する対象のDCR及びSRA737+LDG療法に対する奏功率が、それぞれ75%及び13%であり、一方、FA/BRCA複製フォークサブクラスの遺伝的異常を有する対象が、それぞれ81%及び25%であったことを示している。そのような遺伝的異常を有する様々な対象のSRA737+LDG療法のウォーターフォールプロットを示す図19図20も参照すること。方法の特定の実施形態では、2つ以上の遺伝子は、AKT、PIK3CA、PTEN、ATR、PRKDC、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、FANCD2、FANCE、FANCG、FANCI、FANCM、RAD52、RAD50、RAD51C、及びRAD54Lから選択される。
【0041】
方法のいくつかの実施形態では、対象は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対して陽性のがんを有するとしてさらに特定される。方法のいくつかの実施形態では、対象は、(例えば、本明細書に説明するように)少なくとも中間の腫瘍遺伝子変異量(TMB)を有するとしてさらに特定される。
【0042】
本開示の態様は、対象から得た試料中のRAS遺伝子(例えば、KRAS)内での遺伝的異常の有無を判断することを含む。野生型RASを有する対象を、本開示の方法に係る治療のために選択することができる。いくつかの場合、RAS遺伝子に遺伝的異常(例えば、変異)のあるがんを有する対象は、治療から除外される。いくつかの実施形態では、主題の方法に従って治療された対象の腫瘍細胞は、野生型RASを有するとして特定される。したがって、治療のために選択される対象は、KRAS遺伝子、NRAS遺伝子、及び/またはHRAS遺伝子にいずれの変異も欠く腫瘍細胞を有する対象である場合がある。いくつかの場合、目的のKRAS変異は、G12、G13、G34、G35、G37、G38、Q61、K117、またはA146である。特定の場合、目的のKRAS変異は、G12C、G12R、G12S、G12A、G12D、G12V、G13C、G13R、G13S、G13A、G13D、G13V、G34T、G34A、G34C、G35T、G35C、G35A、G37T、G37C、G37A、G48T、G38A、G38A、Q61K、Q61L、Q61R、Q61H、K117N、A146P、A146TまたはA146Vである。
【0043】
遺伝的異常は、任意の便利な方法を使用して対象の試料中で評価することができる。様々なアッセイを、1つ以上の遺伝子の変化、増幅、過剰発現、または過少発現が、対象のがんに存在するかどうかを判断する際に使用するために適合させることができる。例えば、表1に示す遺伝子の置換、挿入-削除(インデル)、及びコピー数の変化(CNA)の検出は、FoundationOne CDxアッセイを使用して達成できる。目的の方法は、開示が参照により本明細書に組み込まれるUS2019/0085403に説明される方法を含む。
【0044】
いくつかの例では、試料は、目的の1つ以上の遺伝子中の遺伝的異常を評価または判断するために対象から得られる。試料は、組織試料、全血試料、血漿試料、及び血清試料から選択できる。いくつかの場合、試料は、対象から得た組織を含む。特定の例では、試料は腫瘍細胞を含む。いくつかの場合、対象から得た試料は、少なくとも20%の腫瘍細胞を含む。
【0045】
中間腫瘍遺伝子変異量
Chk1阻害療法に対する反応性を示す場合がある遺伝的異常のバイオマーカーは、腫瘍遺伝子変異量(TMB)である。対象のがんのTMBは、がんゲノム内で特定された体細胞変異の数に基づいている。TMB値は、がん対象の集団にわたって変化するが、低TMBレベル、中TMBレベル、及び高TMBレベルのカテゴリに従って特徴付けることができる。本明細書に説明する臨床研究の結果に基づいて、中レベルまたはより高レベルのTMBを有する対象は、低TMBレベルを有する対象よりも、Chk1阻害療法で治療されたときにより優れた臨床転帰を有すると判断された。
【0046】
TMBを評価する任意の便利な方法は、主題の方法と併せて利用できる。目的の方法は、開示が参照により本明細書に組み込まれるUS2019/0085403に説明される方法を含む。TMBの絶対値が、個々のがん対象のがん細胞のTMBを評価するために使用される方法に応じて変わる場合があることを理解されたい。いくつかの場合、体細胞変異の総数を特定するために、がんゲノム全体の配列を決定することができる。特定の場合、がんゲノム内の目的の遺伝子のサブセットは、体細胞変異の評価のために標的にされる。例えば、以下の実験の項に説明されるのは、FoundationOne CDx(商標)(F1CDx)アッセイ、つまり最大324以上の遺伝子の置換、挿入、及び削除による変化(インデル)、及びコピー数変化(CNA)の検出、ならびにホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織標本から分離されたDNAを使用する腫瘍遺伝子変異量(TMB)を含むゲノム上のシグネチャーのための次世代シークエンシングベースのインビトロ診断である。
【0047】
開示が参照により本明細書に組み込まれる、Chalmers et al(“Analysis of 100,000 human cancer genomes reveals the landscape of tumor mutational burden Genome Medicine,2017,9:34)は、標的とされた包括的なゲノムプロファイリングアッセイ(FoundationOneアッセイ)で決定したTMB値を、全エクソームシークエンシング法(WES)によって測定されたTMB値と比較する。Chalmersは、約1.1Mbのコーディングゲノムを標的とするCGPアッセイが、全エクソームシークエンシングに匹敵する正確な評価TMBを提供することを示している。
【0048】
中間レベルのTMBを有する対象、及び高レベルのTMBを有する対象も本明細書に説明するChk1阻害療法で治療されると、より良い臨床転帰を有する可能性があることが、遡及的に判断される。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って治療された対象は、例えば中間TMBまたは高TMB(TMB-I/H)など、中間レベルの腫瘍遺伝子変異量(TMB-I)以上を有するとして特定された対象である。したがって、TMB-Iは、例えば、本明細書に明示するように、Chk1阻害剤療法に対する反応性を示す対象のがん細胞での体細胞変異のレベルである場合がある。
【0049】
図27A図27Bは、様々ながんを有する個々の患者における、低用量ゲムシタビン(LDG)と組み合わせたSRA737を用いた治療中のベースラインからの腫瘍直径の変化%のウォーターフォールプロットを示す(図27A及び図27B、SRA737-02)。プロットでは、個々の患者のTMB状態として、例えば、実験の項に説明するように、FoundationOne CDx(商標)(F1CDx)試験を使用して決定された患者試料中のTMBが示される。例えば、中間または高いTMBレベルを有する肛門癌の対象は、低TMBを有する対象よりも治療に対して向上した反応性を示した。このデータは、様々ながんを有し、中間TMB(TMB-I)または高TMB(TMB-H)を有する対象が、LDGと組み合わされたSRA737を用いた治療に反応できることを示す。いくつかの場合、高TMBは、メガ塩基対あたり約20以上の体細胞変異(変異/Mb)に相当する。いくつかの場合、中間TMBは、約6~約19変異/Mbに相当する。特定の例では、低TMBは、約5以下の変異/Mbに相当する。
【0050】
対象がChk1阻害剤療法の恩恵を受けるかどうかを判断することは、例えば、中間TMBレベル対低TMBレベルを表すカットオフ値など、基準TMB値に対象のTMB値を比較することによって達成することができる。基準TMB値は、(例えば、本明細書に説明するように)Chk1阻害剤を用いた治療に対する対象の反応性の有意差に基づいて、基準集団中の対象の第1のサブセットを基準集団中の対象の第2のサブセットから分離するカットオフ値に基づく場合がある。対象の第1のサブセットは、低TMBを有し、治療に反応しないとして特徴付けることができる。対象の第2のサブセットは、中間TMBまたは高TMBを有し、治療に反応するとして特徴付けることができる。基準TMB値は、低TMBよりもむしろ中間TMBを有する対象のカットオフTMB値を表し、これが、基準集団の対象の第1のサブセットと第2のサブセットを区別する。基準TMB値は、対象のがん細胞中のTMBを測定するために使用される方法に応じて変わる場合があることを理解されたい。
【0051】
いくつかの場合、基準TMB値は、(例えば、本明細書に説明するように)FoundationOneアッセイを使用して決定されるように、メガ塩基対あたり約6体細胞変異(変異/Mb)である。
【0052】
特定の実施形態では、方法は、本明細書に説明するように、対象から試料(例えば、腫瘍試料または腫瘍に由来する試料)を、例えば直接的にまたは間接的に入手し、突然変異量荷重またはTMBについて試料を評価することをさらに含む。いくつかの場合、TMBは、所定の遺伝子セット中での体細胞変異に基づいている。
【0053】
特定の実施形態では、表1に説明する所定の遺伝子セット中での体細胞変異のレベルを決定することは、例えば表1に説明する約50以上の、約100以上の、約150以上の、約200以上の、約250以上の、約260以上の、約270以上の、約280以上の、約290以上の、約300以上の、約310以上の、またはすべての遺伝子など、約25以上の遺伝子での体細胞変異のレベルを決定することを含む。特定の実施形態では、(例えば、FoundationOneアッセイで)評価された所定の遺伝子セットは、450以下、400以下、または350以下など、500以下である。
【0054】
いくつかの実施形態では、表1に説明する所定の遺伝子セットの中の体細胞変異のレベルを決定することは、例えば、配列が決定された所定の遺伝子セットのコード領域内でなど、所定の遺伝子セットのコード領域でのメガ塩基対ごとになど、事前に選択した単位ごとの体細胞変異の数を決定することを含む。
【0055】
【表1-1】
【0056】
【表1-2】
【0057】
【表1-3】
【0058】
【表1-4】
【0059】
特定の実施形態では、所定の遺伝子セットでの体細胞変異の数が、表1に説明する所定の遺伝子セットのコード領域内でのメガ塩基対あたり約5以下(例えば、4.5以下、4以下、3.5以下、3以下)の体細胞変異であると決定することは、対象が、療法に対する部分的な反応者または非反応者である、または療法に対する部分的な反応者または非反応者である可能性があることを示す。
【0060】
特定の実施形態では、表1に説明する所定の遺伝子セットでの体細胞変異の数が、例えば、表1に説明する遺伝子から選択した所定の遺伝子セットのコード領域内でのメガ塩基対あたり約7と約19の間、約8と約19の間、または約10と約19の間など、約6と約19の間の体細胞変異であると決定することは、対象が、療法に対する部分的な反応者である、または部分的な反応者である可能性がある(または、部分的に反応することになる、もしくはおそらく部分的に反応することになる)ことを示す。
【0061】
方法のいくつかの実施形態では、中間TMBは、対象の試料から決定したTMB値を、Chk1阻害剤療法に対する反応性を示す基準TMB値に比較することによって決定される。いくつかの場合、基準TMB値は、所定の遺伝子セットのコード領域内でのメガ塩基対(Mb)あたり約5以上(例えば、約5.5以上、約6以上、約6.5以上、約7以上、約8以上、約9以上、約10以上、約15以上、約20以上、約25以上、約30以上、約35以上、約40以上、約45以上、または約50以上)の体細胞変異である。特定の例では、基準TMB値は、コード配列のメガ塩基対(Mb)あたり約6の体細胞変異である。
【0062】
方法のいくつかの実施形態では、基準TMB値は、がんを有する複数の対象の腫瘍細胞を表すTMB値の基準範囲であり、対象は、試料から決定されたTMB値が、TMB値の基準範囲の35パーセンタイル以上(例えば、40パーセンタイル以上、45パーセンタイル以上、50パーセンタイル以上)であるときに、Chk1阻害剤療法の恩恵を受ける対象として分類される。特定の例では、低、中の及び高のTMBの3つのカテゴリは、目的の対象の集団全体でのTMB値の分布に基づいて決定される。いくつかの場合、低TMBと中TMBとの間のカットオフは、TMB値の分布の約33パーセンタイルにあると判断される。いくつかの場合、中間とTMBとの間のカットオフは、TMB値の分布の約66パーセンタイルであると判断される。特定の例では、分布の中央もしくは平均TMBである、またはそれ以下である中間TMB値を有する対象が、主題の方法に係る治療に選択される。したがって、方法は、がんを有する複数の対象から得た複数の腫瘍細胞試料からTMB値の基準範囲または分布を決定することをさらに含む場合がある。
【0063】
方法
本明細書に開示するのは、Chk1阻害剤SRA737の投与によって、例えばヒトなどの対象における腫瘍増殖を阻害する方法である。化合物、化合物を含むキット、及びそれらの使用方法の詳細な説明を以下に記載する。
【0064】
腫瘍阻害
本開示は、腫瘍の進行を阻害する、腫瘍の凝集のサイズを縮小する、腫瘍の体積を減少させる、及び/またはそれ以外の場合腫瘍の増殖を阻害するために、有効量の化合物SRA737を使用する方法を対象とする。また、本明細書には、例えば、がんなどの基礎疾患を治療し、対象の生存を延ばす方法も提供される。
【0065】
いくつかの態様では、それを必要とする対象における腫瘍の増殖を阻害する方法が提供され、方法は、対象に有効量のSRA737を投与することを含む。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の増殖を阻害するために対象に有効量のSRA737を投与する方法を提供し、腫瘍増殖は、腫瘍体積で測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%、減少する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の増殖を阻害するために対象に有効量のSRA737を投与する方法を提供し、腫瘍増殖は、腫瘍の絶対的なサイズで測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%、減少する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の増殖を阻害するために対象に有効量のSRA737を投与する方法を提供し、腫瘍増殖は、そのタイプの腫瘍の腫瘍マーカーの発現量で測定して1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%、減少する。
【0066】
いくつかの態様では、がんを有する対象に有効量のSRA737化合物を投与することを含む、がんを治療する方法が提供される。いくつかの態様では、がんを有する対象に有効量のSRA737化合物を投与することを含むがんを治療する方法が提供され、方法により腫瘍退縮が生じる。退縮は、一般に、ベースライン測定値に比較して決定される。退縮は、部分退縮または完全退縮である場合がある。退縮は、一般に、例えば当該技術で既知の医用画像技術など、腫瘍のサイズ、体積、及び/または増殖を数値化するために有用な任意のアッセイによって測定することができる。退縮は、例えば、腫瘍体積で測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮である場合がある。退縮は、腫瘍の絶対的なサイズで測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮である場合がある。退縮は、そのタイプの腫瘍の腫瘍マーカーの発現量で測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮である場合がある。退縮は、30%の退縮である場合がある。退縮は、例えば当該技術で既知の医用画像技術など、腫瘍のサイズ、体積、及び/または増殖を数値化するために有用な任意のアッセイによって測定した30%の退縮である場合がある。
【0067】
また、本開示は、腫瘍の進行を阻害する、腫瘍の凝集のサイズを縮小する、腫瘍の体積を減少させる、及び/またはそれ以外の場合腫瘍の増殖を阻害するために、有効量の化合物SRA737及び第2の有効量のさらなる治療薬を使用する方法を対象とする。また、本明細書には、例えば、がんなどの基礎疾患を治療し、対象の生存を延ばす方法も提供される。いくつかの態様では、腫瘍の増殖の阻害を必要とする対象における腫瘍の増殖を阻害する方法が提供され、方法は、対象に有効量のSRA737及び第2の有効量のさらなる治療薬を投与することを含む。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の増殖を阻害するために対象に有効量のSRA737及び第2の有効量のさらなる治療薬を投与する方法を提供し、腫瘍増殖は、腫瘍体積で測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%、減少する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の増殖を阻害するために対象に有効量のSRA737及び第2の有効量のさらなる治療薬を投与する方法を提供し、腫瘍増殖は、腫瘍の絶対的なサイズで測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%、減少する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の増殖を阻害するために対象に有効量のSRA737及び第2の有効量のさらなる治療薬を投与する方法を提供し、腫瘍増殖は、そのタイプの腫瘍の腫瘍マーカーの発現量で測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%、減少する。
【0068】
いくつかの態様では、がんを有する対象に、有効量のSRA737化合物及び第2の有効量のさらなる治療薬を投与することを含む、がんを治療する方法が提供される。いくつかの態様では、がんを有する対象に有効量のSRA737化合物及び第2の有効量のさらなる治療薬を投与することを含むがんを治療する方法が提供され、方法により腫瘍退縮が生じる。退縮は、一般に、ベースライン測定値に比較して決定される。退縮は、部分退縮または完全退縮である場合がある。退縮は、一般に、例えば当該技術で既知の医用画像技術など、腫瘍のサイズ、体積、及び/または増殖を数値化するために有用なアッセイによって測定することができる。退縮は、例えば、腫瘍体積で測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮である場合がある。退縮は、腫瘍の絶対的なサイズで測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮である場合がある。退縮は、そのタイプの腫瘍の腫瘍マーカーの発現量で測定した1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮である場合がある。退縮は、30%の退縮である場合がある。退縮は、例えば当該技術で既知の医用画像技術など、腫瘍のサイズ、体積、及び/または増殖を数値化するために有用な任意のアッセイによって測定した30%の退縮である場合がある。
【0069】
腫瘍のタイプ
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の増殖を阻害する方法を提供し、腫瘍は、結腸直腸癌、卵巣癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胆管癌(bile duct cancer)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脳癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、及び肛門扁平上皮癌(SCCA)、肛門性器癌(例えば、肛門癌)、直腸癌、膵臓癌、尿路上皮癌、肉腫及び軟組織肉腫、転移性結腸直腸癌(CRC)、白金耐性または不耐性のHGSOC、進行性NSCLC、及び転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、トリプルネガティブ乳癌、浸潤性乳癌、転移性乳癌、HER2陽性乳癌及び炎症性乳癌であるがんからである。
【0070】
したがって、本開示は、がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法も提供し、方法は、対象に対し有効量のSRA737を投与することを含む。いくつかの態様では、がんの治療のための方法が開示され、がんは、結腸直腸癌、卵巣癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胆管癌、胆管癌、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脳癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、及び肛門扁平上皮癌(SCCA)、肛門性器癌(例えば、肛門癌)、直腸癌、膵臓癌、尿路上皮癌、肉腫及び軟組織肉腫、転移性結腸直腸癌(CRC)、白金耐性または不耐性のHGSOC、進行性NSCLC、及び転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、トリプルネガティブ乳癌、浸潤性乳癌、転移性乳癌、HER2陽性乳癌及び炎症性乳癌である。
【0071】
主題の方法の特定の実施形態では、がんは、結腸、結腸直腸、子宮内膜、食道、肺、中皮腫、及び前立腺から選択される。
【0072】
主題の方法の特定の実施形態では、がんは、扁平上皮癌である。主題の方法の特定の実施形態では、がんは、肛門、陰茎、膣、及び外陰部の進行性/転移性の扁平上皮癌から選択される。主題の方法の特定の実施形態では、がんは、肛門性器、直腸、卵巣、及び頸部から選択される。
【0073】
主題の方法のいくつかの実施形態では、がんは肛門性器癌である。特定の例では、癌は肛門のものである。いくつかの場合、癌は直腸のものである。いくつかの場合、癌は子宮頸のものである。いくつかの場合、癌は扁平上皮子宮頸のものである。
【0074】
主題の方法のいくつかの実施形態では、がんは卵巣である。いくつかの場合、卵巣癌は、高悪性度漿液性卵巣がん(HGSOC)である。
【0075】
上述のがんのいずれか1つの特定の例では、がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に陽性である。
【0076】
臨床評価項目
本明細書に提供されるのは、対象における腫瘍及び/または細胞の増殖を阻害するための方法であって、該方法の条件は、方法により臨床的に関連性のある評価項目が生じることである。
【0077】
腫瘍の増殖は、1つ以上の生体細胞が、細胞分裂の正常かつ健康的なプロセスと比較して、はるかに急速に増殖及び分裂し、細胞数を増加させるときに発生する。この現象は、細胞が、がんまたは前がんなど、病状にあることを示す。さらに、腫瘍の増殖は、多くの場合、凝集した細胞が腫瘍を形成する前に個別段階で起こる。
【0078】
熟練者が細胞複製率を測定するために使用できるいくつかの方法がある。細胞内部の全体的な代謝活動は、標識された生物学的製剤を介して測定できる。例えば、細胞に浸透し、特定の酵素及び他の因子と相互作用して、検出可能な生成物を生成することができるいくつかの市販されている染料(例えば、MTT)がある。また、細胞バイオマーカーは、細胞内で測定できる。例えば、BrdUアッセイは、チミジン誘導体を細胞DNAに組み込み、抗体で検出することができる。増殖性細胞核抗原(PCNA)は、検出のためのもう1つのそのようなバイオマーカーである。タグ付け技術に加えて、当業者は、細胞の計数を可能にするために、例えば、顕微鏡検査またはフローサイトメトリーを使用することもできる。
【0079】
一態様では、細胞の複製は、生活の質(QOL)スコア、奏功期間(DOR)、臨床的利益率(CBR)、患者報告結果(PRO)、客観的奏功率(ORR)スコア、無病生存率(DFS)または無増悪生存率(PFS)、無増悪時間(TTP)、全生存(OS)、治療成功期間(TTF)、RECIST基準、及び/または完全寛解を含む臨床評価項目によって測定される。臨床評価項目は、当業者に周知の方法を使用して決定できる。
【0080】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737の投与後に、腫瘍の増殖が、5、10、20、40、50、60、80、90、95、97、99、または99.9%以下減少する方法を提供する。
【0081】
いくつかの態様では、本開示は、減少%が、1つ以上の臨床評価項目の測定値(複数可)に基づいて計算される方法を提供する。
【0082】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737の投与後に、腫瘍の増殖が、MTTアッセイの総細胞数の増加もしくは減少でまたはctDNAアッセイで測定された遺伝子プロファイルの変化で測定して、以下を超えずまたは少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、または99.9%減少する方法を提供する。
【0083】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737の投与後に、腫瘍の増殖が、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、または99.9%減少する方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737の投与後に、腫瘍の増殖が、MTTアッセイの総細胞数の増加もしくは減少でまたはctDNAアッセイで測定される遺伝子プロファイルの変化で測定して、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、または99.9%減少する方法を提供する。
【0084】
いくつかの態様では、本開示は、投与した結果、IC50の値が10μMを下回る、及び/またはGI50の値が1μMを下回る方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与した結果、投与後二十四(24)時間で、IC50の値が10μMを下回る、及び/またはGI50の値が1μMを下回る方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与した結果、投与後四十八(48)時間で、IC50の値が10μMを下回る、及び/またはGI50の値が1μMを下回る方法を提供する。
【0085】
いくつかの態様で、本開示は、投与した結果AUCが少なくとも1、10、25、50、100、200、400、600、800、または1000になる方法を提供する。
【0086】
いくつかの態様では、本開示は、投与した結果、IC50の値が0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、1、3、5、10、20、40、50、60、80、90、100、200、250、300、350、または400μM以下になる方法を提供する。
【0087】
いくつかの態様では、本開示は、投与した結果EC50の値が少なくとも0.01、0.1、1、3、5、10、20、40、50、60、80、90、100、200、250、300、350、または400μMになる方法を提供する。
【0088】
いくつかの態様では、本開示は、投与した結果、治療指数(TI)値が、約1.001:1~約50:1、約1.1:1~約15:1、約1.2:1~約12:1、約1.2:1~約10:1、約1.2:1~約5:1、または約1.2:1~約3:1の範囲になる方法を提供する。
【0089】
いくつかの態様では、本開示は、投与した結果、GI50の値が、少なくとも0.1μM、0.3μM、0.5μM、0.7μM、1μM、1.5μM、2μM、2.5μM、3μM、4μM、5μM、または、10μMになる方法を提供する。
【0090】
いくつかの態様では、本開示は、投与した結果、最大観察反応(最大反応)値が、0.1、0.5、1、2μM、2.5μM、3μM、4μM、5μM、または10μM以下となる方法を提供する。
【0091】
腫瘍の増殖は、総腫瘍体積または総腫瘍サイズで表すことができる。一般的にも、及び特定の腫瘍モデルに特有でも、熟練者が、固形腫瘍は多かれ少なかれ球形であるとの仮定に基づいて、腫瘍体積を計算するために使用できる公式が存在する。この点で、熟練者は、腫瘍体積を測定するために、超音波画像、手動またはデジタルキャリパー、超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)、microCT、18F-FDG-microPET、または磁気共鳴画像(MRI)などの実験ツールを使用することができる。例えば、各々が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、Monga SP, Wadleigh R, Sharma A, et al. Intratumoral therapy of cisplatin/epinephrine injectable gel for palliation in patients with obstructive esophageal cancer. Am. J. Clin. Oncol. 2000;23(4):386-392、Mary M. Tomayko C., Patrick Reynolds, 1989. Determination of subcutaneous tumor size in athymic (nude) mice. Cancer Chemotherapy and Pharmacology, Volume 24, Issue 3, pp 148-154、E Richtig, G Langmann, K Mullner, G Richtig and J Smolle, 2004. Calculated tumour volume as a prognostic parameter for survival in choroidal melanomas. Eye (2004) 18, 619-623、Jensen et al. BMC Medical Imaging 2008. 8:16、Tomayko et al. Cancer Chemotherapy and Pharmacology September 1989, Volume 24, Issue 3, pp 148-154、及びFaustino-Rocha et al. Lab Anim (NY). 2013 Jun;42(6):217-24を参照すること。例示的な例では、腫瘍増殖及び/または腫瘍サイズは、すべての標的病変の直径の和(非結節性(non-nodal)病変の場合は最長、結節性病変の場合は短軸)として測定することができ、一般に、ベースライン和直径として計算し、報告することができる。ベースライン合計直径は、一般に、疾病の測定可能な次元での任意の客観的な腫瘍退縮をさらに特徴付けるための基準として使用できる。
【0092】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737の投与後に、投与により少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、または99.9%の腫瘍サイズの縮小につながる方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737の投与後に、投与により、少なくとも30%の腫瘍サイズの縮小につながる方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737の投与後、投与により少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、または99.9%の腫瘍体積の減少につながる方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737の投与後、投与により少なくとも30%の腫瘍体積の減少につながる方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与の結果、一(1)、二(2)、三(3)、四(4)、六(6)、八(8)、十二(12)、十六(16)、二十(20)、二十四(24)、三十六(36)、または五十二(52)週後に、腫瘍体積または腫瘍サイズの減少につながる方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与の結果、一(1)、二(2)、三(3)、四(4)、六(6)、八(8)、十二(12)、十六(16)、二十(20)、二十四(24)、三十六(36)、または五十二(52)週後に、少なくとも30%の腫瘍体積または腫瘍サイズの減少につながる方法を提供する。腫瘍体積または腫瘍サイズの減少は、医用画像技術によって測定することができる。腫瘍体積または腫瘍サイズの減少は、一般に、ベースライン測定値と比較して決定される。
【0093】
対象
本開示は(例えば、本明細書に説明するように)目的の遺伝的異常またはバイオマーカーを有するとして特定された対象を含む、投与を必要とする対象に有効量のSRA737を投与することを提供する。本開示は、投与を必要とする対象に、さらなる治療薬との併用療法で有効量のSRA737を投与することを提供する。いくつかの態様では、対象の腫瘍は、投与前に遺伝子検査及び/シークエンシングで検査される。いくつかの態様では、対象の腫瘍は、投与後に遺伝子検査及び/シークエンシングで検査される。いくつかの態様では、対象の腫瘍は、投与後と投与前の両方で検査される。いくつかの態様では、対象の健康な細胞は、投与前、投与後、または両方で遺伝子検査及び/シークエンシングで検査される。いくつかの態様では、対象の腫瘍は、特定のバイオマーカーの発現量を決定するために他の生体検査またはアッセイで検査される。いくつかの態様では、対象の腫瘍は、遺伝子検査及び/シークエンシングと、他のバイオマーカー検査もしくはアッセイの両方で検査される。
【0094】
いくつかの態様では、本開示は、対象が哺乳動物である方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、対象が霊長類である方法を提供する。
【0095】
いくつかの態様では、本開示は、対象がマウスである方法を提供する。
【0096】
いくつかの態様では、本開示は、対象がヒトである方法を提供する。
【0097】
いくつかの態様では、本開示は、対象が、以下の遺伝子、つまり腫瘍抑制因子遺伝子、DNA損傷修復遺伝子、複製ストレス遺伝子、または発がん性ドライバー遺伝子の1つ以上に遺伝子変異を有する腫瘍を有するヒトである方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、対象が、がん細胞が以下の遺伝子、つまり腫瘍抑制因子遺伝子、DNA損傷修復遺伝子、複製ストレス遺伝子、または発がん性ドライバー遺伝子の1つ以上に遺伝子変異を有するがんを患っている、方法を提供する。
【0098】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍が以下、つまり、結腸直腸癌、卵巣癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胆管癌、胆管癌、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脳癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、及び肛門扁平上皮癌(SCCA)、肛門性器癌(例えば、肛門癌)、直腸癌、膵臓癌、尿路上皮癌、肉腫及び軟組織肉腫、転移性結腸直腸癌(CRC)、白金耐性または不耐性のHGSOC、進行性NSCLC、及び転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、トリプルネガティブ乳癌、浸潤性乳癌、転移性乳癌、HER2陽性乳癌及び炎症性乳癌から成る群から選択されるがんを患っているヒトにある、方法を提供する。特定の実施形態では、腫瘍は、大腸、結腸直腸、子宮内膜、食道、肺、中皮腫、及び前立腺から選択されるがんを患っているヒトにある。
【0099】
特定の実施形態では、腫瘍は、扁平上皮癌であるがんを患っているヒトにある。特定の実施形態では、腫瘍は、肛門、陰茎、膣、及び外陰部の進行性/転移性の扁平上皮癌から選択されるがんを患っているヒトにある。特定の実施形態では、腫瘍は、肛門性器、直腸、卵巣、及び子宮頸のものから選択されるがんを患っているヒトにある。いくつかの実施形態では、腫瘍は肛門性器癌を患っているヒトにある。特定の例では、癌は肛門のものである。いくつかの場合、癌は直腸のものである。いくつかの場合、癌は子宮頸のものである。いくつかの場合、癌は扁平上皮子宮頸のものである。いくつかの実施形態では、腫瘍は、卵巣であるがんを患っているヒトにある。いくつかの場合、卵巣癌は、高悪性度漿液性卵巣がん(HGSOC)である。
【0100】
いくつかの態様では、対象は、以下を有する。
a.従来の他の療法が適切と見なされない、以下のタイプの組織学的または細胞学的に証明された進行性悪性腫瘍
i.高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)
1.組織学的に確認された高悪性度漿液性卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌
2.白金耐性もしくは難治性の疾患、または対象が白金療法に不耐性である場合
ii.小細胞肺癌
1.治験依頼者(sponsor)によって別段に承認されていない限り、一般に、対象は進行性疾患に対して過去に少なくとも1回であるが、3回以下の治療を受けている。
iii.軟組織肉腫
1.未分化の多形性肉腫/悪性線維性組織球腫(MFH)(高悪性度紡錘細胞肉腫/多形性脂肪肉腫を含む)、平滑筋肉腫、及び脱分化脂肪肉腫を含む。他のタイプのSTSは、治験依頼者の承認を得て資格を得る場合がある。
2.治験依頼者によって別段に承認されていない限り、一般に、対象は進行性疾患に対して過去に少なくとも1回であるが、3回以下の治療を受けている。
iv.子宮頸癌/肛門性器癌
1.すべての子宮頸癌、及び肛門、陰茎、膣、及び外陰部の進行性/転移性の扁平上皮癌を含む
2.治験依頼者によって別段に承認されていない限り、一般に、対象は進行性疾患に対して過去に少なくとも1回であるが、3回以下の治療を受けている。
v.尿路上皮癌
1.膀胱、上部尿管、または尿道の組織学的に確認された局所進行性かつ切除不能または転移性の尿路上皮癌
2.一般に、対象は進行性疾患に対して過去に少なくとも1回であるが、3回以下の治療を受けている。
b.RECIST v1.1に従って測定可能な疾患(下記参照)
c.対象は、腫瘍組織またはctDNAの遺伝子プロファイリング、HPV状態、生殖細胞系のBRCA1とBRCA2の遺伝子状態を含む因子に基づいたChk1阻害に対する予測された感受性を有する。すべての対象は、腫瘍組織またはctDNAからの遺伝子プロファイリングを有し、プロファイリングは、Chk1感受性を評価することが必要とされる場合にはプロスペクティブに実行される、またはそれ以外の場合は遡及的に実行される。
i.HGSOCを有する対象の場合、文書化された体細胞または生殖細胞系のBRCA1とBRCA2の野生型状態に関する記述が、プロスペクティブな遺伝子プロファイリングを必要とすることなく適格性を付与する。BRCA状態に関する記述を入手できない場合、適格性を判断するために遺伝子プロファイリングがプロスペクティブに実行されてよい。
ii.SCLCを有する対象は、この集団における腫瘍抑制因子遺伝子(例えば、TP53及びRB1)ががんに関連した変化を非常に高い普及率で有することにに基づき、プロスペクティブな遺伝子プロファイリングを必要とせずに、資格を有する。
iii.STSを有する対象、及び遺伝子プロファイリングがプロスペクティブに実行されるすべての他の対象の場合、適格性は、以下のカテゴリの遺伝子で検出された遺伝的異常の治験依頼者によるレビューによって決定される。RB1、TP53などのG1細胞周期の進行/停止を調節する重要な腫瘍抑制因子遺伝子。関連するがんの場合、陽性のヒトパピローマウイルス(HPV)の状態も適格性について検討される。
a.ATM、BRCA1、BRCA2を含むDNA損傷応答経路、ミスマッチ修復遺伝子変化、及び/または高マイクロサテライト不安定性
b.Chk1またはATRまたは他の関連する遺伝子の機能/増幅の利得などの複製ストレスの遺伝的指標
c.MYC、CCNE1などの発がん性ドライバー
iv.肛門性器癌を有する対象の場合、既知のHPV陽性状態は、プロスペクティブな遺伝子プロファイリングを必要とすることなく適格性を付与する。HPV状態が既知ではない、または陽性ではない場合、遺伝子プロファイリング(または適切な場合HPV検査)が、適格性を判断するためにプロスペクティブに実行されてよい。子宮頸癌または肛門扁平上皮癌を有する対象は、これらの集団におけるHPV陽性の非常に高い普及率に基づいて、プロスペクティブな遺伝子プロファイリングを必要とせずに、資格を有する。
【0101】
いくつかの態様では、対象は、上述した組織学的にまたは細胞学的に証明された進行性の悪性腫瘍の1つを有し、腫瘍組織またはctDNAは、その腫瘍がChk1阻害に対する感受性を付与することが期待される1つ以上の変異を保有していることを証明する。適格性は、以下のカテゴリの遺伝子で検出された遺伝的異常の治験依頼者によるレビューによって判断することができる。
a.RB1、TP53などのG1細胞周期の進行/停止を調節する重要な腫瘍抑制因子遺伝子。関連するがんの場合、陽性のヒトパピローマウイルス(HPV)状態も適格性について検討される。
b.ATM、BRCA1、BRCA2を含むDNA損傷応答経路、ミスマッチ修復遺伝子変化、及び/または高マイクロサテライト不安定性
c.Chk1またはATRまたは他の関連する遺伝子の機能/増幅の利得などの複製ストレスの遺伝的指標
d.MYC、KRASなどの発がん性ドライバー
【0102】
いくつかの態様では、対象は、以下の基準に基づいて除外される。
a.SRA737を投与される前に、示された時間枠内に以下の以前または現在の抗がん療法を受け、毒性から回復した。
i.2週間以内の放射線療法、化学療法、PARP阻害剤、他の標的療法、または他のIMP
ii.6週間以内のニトソウレアまたはマイトマイシンC
iii.任意の時点でのChk1阻害剤を用いた任意の以前の治療または6カ月以内のATR阻害剤を用いた以前の治療
b.進行性の疾患に対する3つ以下の以前の治療計画(HGSOC拡大コホートには適用不可)
c.適切に治療された腫瘍を除き、過去2年以内の他の悪性腫瘍
d.治験責任医師の意見で、対象が臨床的に重大な骨髄抑制を経験する可能性が非常に高い場合
e.NCI-CTCAEグレード1を超える以前の治療の継続中の中毒症状発現
f.ゲムシタビンに対するアレルギーの病歴
g.新規または進行中の脳転移。8週間の期間にわたって無症状であり、X線上安定しており、その期間中ステロイドで治療されていない脳転移のある対象は、治験依頼者の承認を得て含まれてよい。
h.非悪性全身性疾患のための高い医学的危険性
i.B型肝炎、C型肝炎、またはHIVに対して血清学的に陽性
j.治験依頼者によって承認されない限り、重篤な心臓疾患、ベースラインで左心室駆出率<45%、過去6カ月以内の心虚血の病歴、または治療を必要とする心不整脈の既往歴
k.以前の骨髄移植または過去8週間以内の25%を超える骨髄に対する広範囲の放射線療法
l.ピーナッツアレルギー
m.成人男性でのQTcF>450msec及び成人女性での>470msec
n.SRA737の吸収を著しく改変する場合がある消化管(GI)機能の障害またはGI疾患
o.咀嚼または粉砕することなくカプセルを飲み込むことができないこと
p.別の介入臨床試験の参加者である、または参加する予定である
q.治験責任医師の意見では、対象が適切な候補者とはならないであろう任意の他の条件
【0103】
投与
本明細書に開示するように、本発明の方法は、有効量のSRA737の投与を含む。一実施形態では、有効量のSRA737は、単剤療法として投与される。
【0104】
また、本明細書に開示するように、本発明の方法は、有効量のSRA737を投与し、第2の有効量のさらなる治療薬を同時投与する(coadministering)併用療法も含む。さらなる治療は、化学療法剤を投与すること、(免疫チェックポイント阻害剤などの)抗体または抗体フラグメントを投与すること、放射線治療薬を投与すること、複製ストレスの外部誘導物質を投与すること、及びそれらの組み合わせを投与することを含むが、これらに限定されるものではない。また、さらなる治療は、ゲムシタビン、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、シスプラチン、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、エトポシド、SN-38/CPT-11、マイトマイシンC、及びそれらの組み合わせのいずれか1つを投与することを含むが、これらに限定されるものではない。同時投与は、SRA737及びさらなる治療薬が同時に投与される方法、SRA737及びさらなる治療薬が連続的に投与される方法、及びSRA737とさらなる治療薬の一方または両方のどちらかが間欠的にもしくは継続的に、または同時に、連続的に、間欠的に、及び/または継続的にの任意の組み合わせで投与される方法を包含する。間欠投与は、薬剤の第1の投与、次にそのまさに同じ薬剤の時間的に後の別の投与を含むため、当業者は、間欠投与が必ずしも連続投与とは同じではないことを認識する。さらに、第1の薬剤が再び投与される前に、間欠投与は薬剤の第1の投与を別の薬剤の投与で中断することを含むため、当業者は、間欠投与がいくつかの態様では連続投与も包含することを理解する。さらに、当業者は、継続投与が、静脈内点滴または栄養チューブなどを含むいくつかの経路によって達成できることも知るであろう。
【0105】
さらに、及びより一般的には、用語「同時投与される」は、対象に対するSRA737の個々の投与及びさらなる治療薬の個々の投与が任意の時間枠の間に重複するありとあらゆる方法を包含する。
【0106】
一態様では、対象へのSRA737及びさらなる治療薬の投与の頻度は、Q1d、Q2d、Q3d、Q4d、Q5d、Q6d、Q7d、Q8d、Q9d、Q10d、Q14d、Q21d、Q28d、Q30d、Q90d、Q120d、Q240d、またはQ365dを含むが、これらに限定されるものではない。用語「QnDまたはqnd」は、「n」日に1回の薬剤投与を指す。例えば、QD(またはqd)は、毎日1回または1日1回の投薬を指し、Q2D(またはq2d)は2日に1回の投薬を指し、Q7Dは、7日に1回または週に1回の投薬を指し、Q5Dは、5日に1回の投薬を指すなどである。一態様では、SRA737及びさらなる治療薬は、異なるスケジュールで投与される。
【0107】
別の態様では、対象へのSRA737またはさらなる治療薬の投与の頻度は、毎週5日間の投薬と続く2日間の非投薬、1週間の毎日の投薬と続く1週間、2週間、もしくは3週間の非投薬、2週間もしくは3週間の毎日の投薬と続く1週間もしくは2週間の非投薬、1日に2回の投薬、または週周期の2日目と3日目での投薬を含むが、これらに限定されるものではない。一態様では、SRA737及びさらなる治療薬は、異なるスケジュールで投与される。
【0108】
一態様では、本開示は、SRA737及び/またはさらなる治療薬の一方または両方のどちらかまたはそれらの任意の組み合わせが間欠的に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、少なくとも十(10)分、十五(15)分、二十(20)分、三十(30)分、四十(40)分、六十(60)分、二(2)時間、三(3)時間、四(4)時間、六(6)時間、八(8)時間、十(10)時間、十二(12)時間、十四(14)時間、十八(18)時間、二十四(24)時間、三十六(36)時間、四十八(48)時間、三(3)日間、四(4)日間、五(5)日間、六(6)日間、七(7)日間、八(8)日間、九(9)日間、十(10)日間、十一(11)日間、十二(12)日間、十三(13)日間、十四(14)日間、三(3)週間、または四(4)週間の遅延を投与間に有する、対象へのSRA737またはさらなる治療薬の一方または両方のどちらか、またはその任意の組み合わせの投与を含む方法を提供する。そのような態様では、遅延のある投与は、SRA737及び/またはさらなる治療薬の一方または両方またはそれらの任意の組み合わせが、約十(10)分から約三百六十五(365)日までの所与の期間中継続的に投与され、次に約十(10)分から約三十(30)日の所与の期間の間投与されないパターンに従う。一態様では、本開示は、他方が継続的に投与されている間、SRA737及び/またはさらなる治療薬の一方または任意の組み合わせが間欠的に投与される方法を提供する。
【0109】
一態様では、本開示は、有効量のSRA737の第2の有効量のさらなる治療薬との組み合わせが連続的に投与される方法を提供する。
【0110】
一態様では、本開示は、SRA737及びさらなる治療薬が同時に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、有効量のSRA737の第2の有効量のさらなる治療薬との組み合わせが連続的に投与される方法を提供する。そのような態様では、組み合わせは「同時投与される」とも言われる。この用語が、対象が組み合わせの中の両方の構成要素に曝されるありとあらゆる方法を含むためである。しかしながら、そのような態様は、1つの製剤または組成物でしか投与されない組み合わせに限定されない。いくつかの場合、SRA737及びさらなる治療薬の特定の濃度は、特定の間隔で送達するためにより有利であるため、SRA737の有効量及びさらなる治療薬の第2の有効量は、投与されている製剤に従って変化する場合がある。
【0111】
いくつかの態様では、本開示は、SRA737及びさらなる治療薬が同時にまたは連続的に投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737が、第2の有効量のさらなる治療薬の後に連続的に投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、第2の有効量のさらなる治療薬が、有効量のSRA737の後に連続的に投与される方法を提供する。
【0112】
いくつかの態様では、本開示は、組み合わせが1つの製剤で投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、組み合わせが、有効量のSRA737が、第2の有効量のさらなる治療薬の製剤とは別個の製剤で投与される二(2)つの組成物で投与される方法を提供する。
【0113】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737が、第2の有効量のさらなる治療薬の後に連続的に投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、第2の有効量のさらなる治療薬が、有効量のSRA737の後に連続的に投与される方法を提供する。いくつかの態様では、SRA737及びさらなる治療薬が投与され、その後、SRA737とさらなる治療薬の両方とも少なくとも二十四(24)時間間欠的に投与される。いくつかの態様では、SRA737及びさらなる治療薬は、重複しない隔日のスケジュールで投与される。いくつかの態様では、さらなる治療薬は1日目に投与され、SRA737は毎週のスケジュールの2日目及び3日目に投与される。
【0114】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737が、第2の有効量のさらなる治療薬の四(4)時間以上後に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、有効量のSRA737が、第2の有効量のさらなる治療薬の十(10)分以上、十五(15)分以上、二十(20)分以上、三十(30)分以上、四十(40)分以上、六十(60)分以上、一(1)時間以上、二(2)時間以上、四(4)時間以上、六(6)時間以上、八(8)時間以上、十(10)時間以上、十二(12)時間以上、二十四(24)時間以上、二(2)日以上、四(4)日以上、六(6)日以上、八(8)日以上、十(10)日以上、十二(12)日以上、十四(14)日以上、二十一(21)日以上、または三十(30)日間以上後に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、第2の有効量のさらなる治療薬が、有効量のSRA737の十(10)分以上、十五(15)分以上、二十(20)分以上、三十(30)分以上、四十(40)分以上、六十(60)分以上、一(1)時間以上、二(2)時間以上、四(4)時間以上、六(6)時間以上、八(8)時間以上、十(10)時間以上、十二(12)時間以上、二十四(24)時間以上、二(2)日以上、四(4)日以上、六(6)日以上、八(8)日以上、十(10)日以上、十二(12)日以上、十四(14)日以上、二十一(21)日以上、または三十(30)日以上後に投与される方法を提供する。
【0115】
いくつかの態様では、本開示は、SRA737及び/またはさらなる治療薬の一方または両方のどちらか、またはそれらの任意の組み合わせが、静脈内、皮下、皮膚、経口、筋肉内、及び腹腔内から成る群から選択される経路によって投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、SRA737及び/またはさらなる治療薬の一方または両方のどちらか、またはそれらの任意の組み合わせが静脈内で投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、SRA737及び/またはさらなる治療薬の一方または両方のどちらか、またはそれらの任意の組み合わせが経口で投与される方法を提供する。
【0116】
本開示の単位用量形態が、同じまたは異なった物理的な形態、つまりカプセルもしくは錠剤によって経口で、及び/または静脈内注入などを介して液体でなどで投与され得ることが熟練者によって理解される。さらに、各投与の単位用量形態は、特定の投与の経路で異なる場合がある。SRA737及びさらなる治療薬の一方または両方のどちらかにいくつかの様々な投薬形態が存在し得る。異なる医学的条件が異なる投与経路を保証する可能性があるため、本明細書で説明するSRA737及びさらなる治療薬の組み合わせの同じ成分は、組成及び物理的な形で完全に似ている場合があるが、病状を緩和するために、異なる方法で、及びおそらく異なるときに投与される必要がある場合がある。例えば、特に嘔吐を伴う持続性の悪心などの病状は、経口投薬形態を使用することを困難にする場合があり、そのような場合、別の単位用量形態、つまり代わりにまたは同様に吸入、頬の、舌下の、または座薬の経路で、以前にまたは後で使用される他の投薬形態とおそらく同一の単位用量形態を投与する必要がある場合がある。化学安定性または薬物動態のような様々な要因を伴う問題がある場合があるので、特定の投薬形態は、SRA737及びさらなる治療薬の特定の組み合わせにとっては要件である場合がある。
【0117】
治療有効量及び単位用量形態
本開示は、有効量のSRA737が対象に投与される治療の方法を提供する。用語「有効量」または「治療有効量」は、例えば、腫瘍の増殖を阻害するために効果的である量など、疾患の症状を改善するために効果的である量を指す。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、最大耐量(MTD)以下、重篤な毒性が発現しない最大投与量(HNSTD)以下、無毒性量(NOAEL)以下である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で2000mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で1500mg/未満である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で1300mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600mg/日超である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600~1500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600~1300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600~1000mg/日である。いくつかの態様で、SRA737の有効量は、経口で600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、1200mg/日、1300mg/日、1500mg/日、または2000mg/日である。
【0118】
本発明の特定の実施形態では、SRA737の有効量は、単剤療法として対象に投与される。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、最大耐量(MTD)以下、重篤な毒性が発現しない最大投与量(HNSTD)以下、または無毒性量(NOAEL)以下である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で2000mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で1500mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で1300mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600mg/日超である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600~1500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600~1300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600~1000mg/日である。いくつかの態様で、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、1200mg/日、1300mg/日、1500mg/日、または2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、600mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、700mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、800mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、900mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1100mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1200mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、2000mg/日である。
【0119】
本発明の特定の実施形態では、有効量のSRA737は、併用療法として対象に投与される。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、最大耐量(MTD)以下、重篤な毒性が発現しない最大投与量(HNSTD)以下、または無毒性量(NOAEL)以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、SRA737単剤療法の有効量に満たない。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で2000mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で1500mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で1300mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で600mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で少なくとも300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で少なくとも100mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で少なくとも600mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で100~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で600~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300~1500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300~1300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300~1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で100mg/日、150mg/日、200mg/日、300mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、1200mg/日、1300mg/日、1500mg/日、または2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300mg/日、400mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、1200mg/日、1300mg/日、1500mg/日、または2000mg/日である。
【0120】
いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、400mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、600mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、700mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、800mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、900mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1100mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1200mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも400mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で少なくとも500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも600mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも700mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも800mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも900mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1100mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1200mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、300mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、400mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、500mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、600mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、700mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、800mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、900mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1000mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1100mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1200mg/日以下である。
【0121】
いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、350mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、450mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、550mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、650mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、750mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、850mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、950mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1050mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1150mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1250mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも350mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも450mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で少なくとも550mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも650mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも750mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも850mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも950mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1050mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1150mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1250mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、350mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、450mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、550mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、650mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、750mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、850mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、950mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1050mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1150mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1250mg/日以下である。
【0122】
いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、325mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、425mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、525mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、625mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、725mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、825mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、925mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1025mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1125mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1225mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも325mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも425mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも525mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも625mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも725mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも825mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも925mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1025mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1125mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1225mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、325mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、425mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、525mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、625mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、725mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、825mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、925mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1025mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1125mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1225mg/日以下である。
【0123】
いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、375mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、475mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、575mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、675mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、775mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、875mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、975mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1075mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1175mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1275mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも375mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも475mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも575mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも675mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも775mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも875mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも975mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1075mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1175mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1275mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、375mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、475mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、575mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、675mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、775mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、875mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、975mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1075mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1175mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1275mg/日以下である。
【0124】
本発明の特定の実施形態では、有効量のSRA737は、第2の有効量のさらなる治療薬との併用療法として対象に投与される。いくつかの態様では、第2の有効量は、約0.001mg/kg~約15mg/kgの量である。いくつかの実施形態では、さらなる治療薬の第2の有効量は、0.001、0.005、0.010、0.020、0.050、0.1、0.2、0.5、1.0、2.0、5.0、10.0、または15.0mg/kgである。いくつかの実施形態では、さらなる治療薬の第2の有効量は、10~2000mg/m/日である。いくつかの実施形態では、さらなる治療薬の第2の有効量は、50~1250mg/m/日である。いくつかの実施形態では、さらなる治療薬の第2の有効量は50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、300mg/m/日、350mg/m/日、400mg/m/日、450mg/m/日、500mg/m/日、550mg/m/日、600mg/m/日、650mg/m/日、700mg/m/日、750mg/m/日、800mg/m/日、850mg/m/日、900mg/m/日、950mg/m/日、1000mg/m/日、1050mg/m/日、1100mg/m/日、1150mg/m/日、1200mg/m/日、または1250mg/m/日である。
【0125】
一般に、本技術の化合物は、類似した有用性を提供する薬剤の認められている投与モードのいずれかによって治療有効量で投与される。本技術の化合物、すなわち、活性成分の実際の量は、多数の要因、例えば、治療しようとする疾患の重篤度、対象の年齢及び相対的健康状態、使用される化合物の効力、投与の経路及び形態、ならびに熟練者に周知の他の要因に依存することになる。薬物は、少なくとも1日1回、好ましくは1日1回または2回、投与可能である。
【0126】
最も有効かつ簡便な投与経路及び最も適切な製剤を容易に決定できるように、そのような薬剤の有効量も、常用実験により容易に決定することができる。様々な製剤及び薬物送達系が、当該分野で利用可能である。例えば、Gennaro,A.R.,ed.(1995)Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing Co.を参照。
【0127】
治療効果のある用量は、当該分野で周知の様々な技術を使用して、最初に推定することができる。動物実験で使用される初回投与量は、細胞培養アッセイで確立された有効濃度に基づいてよい。ヒト対象に適切な投薬量範囲は、例えば、動物実験及び細胞培養アッセイから得られたデータを使用して、決定することができる。
【0128】
作用剤、例えば、本技術の化合物の有効量または治療有効量または用量は、対象の症状の緩和または生存期間の延長をもたらす作用剤または化合物の量を示す。そのような分子の毒性及び治療有効性は、細胞培養物または実験動物で標準薬学的手順により、例えば、最大耐用量(MTD)、重篤な毒性が発現しない最大投与量(HNSTD)、無毒性量(NOAEL)またはLD50(集団の50%致死用量)、及びED50(集団の50%で治療効果のある用量)を決定することによって、決定することができる。毒性対治療効果の用量比は、ED50に対するMTD、HNSTD、NOAEL、またはLD50の比率として表すことができる治療指数である。高い治療指数を示す作用剤が好ましい。
【0129】
有効量または治療有効量は、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医が探求している組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的な反応を引き起こす化合物または医薬組成物の量である。投薬量は、特に、ほとんどまたはまったく毒性を伴わないED50を含む血中濃度範囲に入る。投薬量は、用いられている投薬形態及び/または利用されている投与経路に応じてこの範囲内で変わる場合がある。正確な配合、投与経路、投薬量、及び投薬間隔は、当該分野で既知である方法に従って、対象の病状の詳細に照らして選択する必要がある。
【0130】
投薬の量及び間隔は、所望の効果を達成するために十分である活性部分の血漿中濃度、つまり最小有効濃度(MEC)を提供するために個別に調整され得る。MECは、化合物ごとに異なるが、例えばインビトロデータ及び動物実験から推定することができる。MECを達成するのに必要な投薬量は、個々の特性及び投与経路に依存することになる。局所投与または選択的摂取の場合、薬物の有効局所濃度は、血漿中濃度と関連しない場合がある。
【0131】
投与される作用剤または組成物の量は、治療される対象の性別、年齢、及び体重、苦痛の重篤度、投与様式、ならびに処方する医師の判断を含む様々な要因に依存する場合がある。
【0132】
治療有効量は、SRA737の有効量及びさらなる治療薬の第2の有効量の一方または両方のどちらかと同じ場合もあれば、異なる場合もある。これは、本開示が、SRA737の有効量も、さらなる治療薬の第2の有効量も、病気の症状を単独で改善する量であってはならない場合にも(例えば、SRA737及び/またはさらなる治療薬の量は、個々の療法として投与される場合「治療量を下回る」量と見なされ得る)、本明細書に説明する方法が効果的であることを規定するためである。しかしながら、本開示は、組み合わせの治療有効量が提供されなければならない、つまり組み合わせが疾患の症状の治療に少なくとも影響を与えることを規定する。
【0133】
単位用量形態は、一般に熟練者によって理解される用語である。単位用量形態は特定の使用のために販売される調合薬である。製剤は、最も頻繁に、活性成分(複数可)及び薬学的に受容可能な担体またはビヒクルの形をとる任意の不活性成分を含む。複数の単位用量形態が、別個の製剤であることを理解されたい。したがって、1つの単位用量形態は、例えば各成分の特定の比率での250mgのSRA737とさらなる治療薬の組み合わせであってよく、一方、別の完全に別個の単位用量形態は、例えば上記に参照した各成分の同じ特定の比率での750mgのSRA737とさらなる治療薬の組み合わせである。したがって、ある単位用量から別の単位用量で、SRA737の有効量及びさらなる治療薬の第2の有効量はともに同じままであってよい。言うまでもなく、SRA737の有効量またはさらなる治療薬の第2の有効量のどちらか一方が変化すると、単位用量形態は異なる。
【0134】
いくつかの態様では、有効量は、SRA737化合物に固有である。つまり、有効量は、さらなる治療薬の第2の有効量とは異なる。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、「治療有効量」と同等である量、または治療効果及び/または有益な効果をもたらす量である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、「治療有効量」である。いくつかの態様では、さらなる治療薬の第2の有効量は、「治療有効量」である。いくつかの態様では、SRA737の有効量とさらなる治療薬の第2の有効量の両方とも「治療有効量」ではない。いくつかの態様では、第2の有効量は、さらなる治療薬に固有である。つまり、第2の有効量は、異なるさらなる治療薬のための異なる量である。
【0135】
いくつかの態様では、SRA737及びさらなる治療薬の組み合わせは、一(1)単位用量形態で処方される。いくつかの態様では、同じ単位用量形態は、少なくとも四(4)時間、六(6)時間、八(8)時間、十二(12)時間、二十四(24)時間、一(1)日、二(2)日間、三(3)日間、七(7)日間、十(10)日間、十四(14)日間、二十一(21)日間、または三十(30)日間、投与される。
【0136】
いくつかの態様では、SRA737及びさらなる治療薬の組み合わせは、少なくとも二(2)つの個別に異なった単位用量形態で処方される。いくつかの態様では、第1の有効量は、第1の単位用量形態と第2の単位用量形態とで異なる。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、第1の単位用量形態においても、第2の単位用量形態においても同じである。
【0137】
いくつかの態様では、第1の単位用量形態は、第2の単位用量形態と同じである。いくつかの態様では、第1の単位用量形態は、第2の単位用量形態及び第3の単位用量形態と同じである。いくつかの態様では、第1の単位用量形態は、第2の、第3の、及び第4の単位用量形態と同じである。
【0138】
本発明の化合物
一態様では、本開示は、化合物SRA737の使用方法を提供する。
【0139】
SRA737
化合物SRA737は、化学名5-[[4-[[モルホリン-2-イル]メチルアミノ]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]アミノ]ピラジン-2-カルボニトリルでも識別される。SRA737のエナンチオマーの各々は、本明細書に開示する組成物、方法、及びキットに有用である。
【0140】
SRA737は、本明細書に参照により組み込まれる国際特許出願第PCT/GB第2013/051233号に開示される化合物である。熟練者は、国際特許出願第PCT/GB第2013/051233号にSRA737の合成方法を見出すことができる。
【0141】
一態様では、SRA737の構造は、以下の表に示す通りである。
【0142】
【表2】
【0143】
併用療法
別の態様では、本開示は、さらなる治療薬との併用療法での化合物SRA737の使用方法を提供する。
【0144】
さらなる治療は、化学療法剤を投与すること、(免疫チェックポイント阻害剤などの)抗体または抗体フラグメントを投与すること、放射線治療薬を投与すること、複製ストレスの外部誘導物質を投与すること、及びそれらの組み合わせを投与することを含むが、これらに限定されるものではない。
【0145】
用語「化学療法」は、がんの治療または予防のための、従来型のまたは非従来型の化学療法剤を含む任意の遺伝毒性物質(例えば、DNA損傷剤)の投与を指す。化学療法剤の例は、修正された(例えば、抗体または他の標的薬剤に融合された)薬剤を含む。化学療法剤の例は、白金化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イフォスファミド、クロランブシル、窒素マスタード、チオテパ、メルファラン、ブスルファン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、ダカルバジン、ベンダムスチン、マイトマイシンC)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン、ダクチノマイシン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、及びドセタキセル)、代謝拮抗物質(例えば、5-フルオロウラシル、シタラビン、プレメトレキセド、チオグアニン、フロクスウリジン、カペシタビン、及びメトトレキサート)、ヌクレオシド類似体(例えば、フルダラビン、クロファラビン、クラドリビン、ペントスタチン、ネララビン、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポテカン、イリノテカン、SN-38、CPT-11)、低メチル化剤(例えば、アザシチジン及びデシタビン)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、DNA合成阻害剤(例えば、ヒドロキシウレア)、ならびにビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、及びビンブラスチン)を含むが、これらに限定されるものではない。化学療法剤は、DNA挿入剤(例えば、ピロロベンゾジアゼピン)を含む。
【0146】
用語「複製ストレスの外部誘導物質」は、複製フォーク停止の増加、ゲノムの不安定性の増加、変異及び/または変異率の増加、DNA損傷修復経路の活性化、DNA損傷応答(DDR)の活性化、複製ストレス遺伝子(複数可)の活性化もしくは発現の増加、またはそれらの組み合わせを引き起こす任意の薬剤を指す。複製ストレスの誘導物質の例は、遺伝子毒性化学療法剤(例えば、ゲムシタビン及び他のヌクレオシド類似体、テモゾロミド、シスプラチン、マイトマイシンCなどのアルキル化剤、カンプトテシン及びエトポシドなどのトポイソメラーゼ阻害剤、及び他)を含むが、これらに限定されるものではない。細胞ストレスの外部誘導物質は、細胞内のヌクレオチドの濃度を減少させる薬剤(例えば、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤など)を含む。細胞ストレスの外部誘導物質は、PARP阻害剤も含む。
【0147】
用語「DNA損傷修復(DDR)遺伝子」または「DNA損傷修復経路遺伝子」は、DNAの変異、切断、または他のDNAの損傷もしくは構造上の変化の修復を直接的にまたは間接的に促進する任意の遺伝子を指す。DNA損傷修復遺伝子は、ATM、CDK12、BRCA1、BRCA2、MRE11A、ATR、及びRad50を含むが、これらに限定されるものではない。また、DDR遺伝子は、ファンコニ貧血(FA)経路の遺伝子も含む。FA経路の遺伝子は、ファンコニ貧血相補群(FANC)遺伝子を含むが、これらに限定されるものではない。
【0148】
用語「免疫チェックポイント阻害剤」は、1つ以上の免疫チェックポイント分子に結合し、1つ以上の免疫チェックポイント分子の活性を遮断もしくは阻害する結合分子、または免疫抑制タンパク質を阻害する薬物を指す。例示的な免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、及びIDO1の1つ以上を標的とする抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0149】
用語「PARP阻害剤」または「PARPi」は、PARPの阻害剤を指す。PARPiは、小分子、抗体または核酸であってよい。PARPiは、細胞中でのPARPの発現またはPARPの活性、またはそれらの組み合わせを減少させるために機能し得る。PARPiは、PARPのDNAへの結合を改変するまたは改変しない阻害剤を含む。PARPiは、PARP群のあらゆる要素を阻害する場合がある。PARPiには、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、ニラパリブ、イニパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、フルゾパリブ、BGB-290、CEP-9722、BSI-201、EZ449、PF-01367338、AZD2281、INO-1001、MK-4827、SC10914、及び3-アミノベンズアミンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0150】
特定の態様では、さらなる治療は、ゲムシタビン、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、シスプラチン、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、エトポシド、SN-38/CPT-11、マイトマイシンC、及びそれらの組み合わせのいずれか1つを投与することを含むが、これに限定されるものではない。
【0151】
医薬組成物
腫瘍の増殖を阻害するための方法、がんの進行を阻害するための方法、またはがんを治療するための方法が、本明細書に説明されている。本発明の該方法は、有効量のSRA737、及び第2の有効量のさらなる治療薬を投与することを含む。SRA737及びさらなる治療薬は、各々、医薬組成物で処方することができる。これらの医薬組成物は、活性化合物(複数可)に加えて、薬学的に受容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、または当業者に周知の他の材料を含み得る。そのような材料は無毒である必要があり、活性成分の有効性を妨げてはならない。担体または他の材料の正確な性質は、例えば、経口、静脈内、皮膚または皮下、鼻、筋肉内、腹膜内の経路など、投与経路に依存する場合がある。
【0152】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末、または液体の形態である場合がある。錠剤は、ゼラチンなどの固体担体を含む場合がある。液体医薬組成物は、一般に、水、または石油、動物、植物または合成由来の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などを含む油などの液体担体を含む。生理食塩水、デキストロースまたは他の糖類溶液またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含めることができる。
【0153】
静脈注射、皮膚注射もしくは皮下注射、または苦痛の部位での注射の場合、活性成分は、発熱物質を含まず、適切なpH、等張性、及び安定性を有する非経口的に許容される水溶液の形態となる。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射剤、リンガー注射剤、乳酸リンガー注射剤などの等張性ビヒクルを使用して、適切な溶液を十分に調製することができる。防腐剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤及び/または他の添加剤を必要に応じて含めることができる。
【0154】
組成物は、単独で、または他の治療薬と組み合わせて、治療される病状に応じて同時にまたは連続的にどちらかで投与することができる。
【0155】
本技術は、どのような特定の組成物または医薬担体にも、このようなものは変化するので限定されない。一般に、本技術の化合物は、以下の経路、つまり経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内、もしくは座薬で)、または非経口(例えば、筋肉内、静脈内、または皮下)投与の任意の1つによって医薬組成物として投与される。好ましい投与方法は、苦痛の程度に従って調整できる簡便な日ごとの投薬計画を使用する経口である。組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、半固形、散剤、徐放性製剤、液剤、懸濁液、エリキシル剤、エーロゾル、または任意の他の適切な組成物の形態をとる場合がある。本技術の化合物を投与するのに適した別の方法は、吸入である。
【0156】
製剤の選択は、薬物投与の様式及び原薬のバイオアベイラビリティなど様々な要因に依存する。吸入を介した送達の場合、化合物は、液剤、懸濁剤、エーロゾル噴霧剤、または乾燥散剤として処方し、投与に適切なディスペンサーに充填することができる。いくつかのタイプの薬剤吸入装置-ネブライザー吸入器、定量吸入器(MDI)、及び乾燥散剤吸入器(DPI)がある。ネブライザー装置は、高速の気流を発生させ、この気流が、(液状で処方される)治療薬を霧として噴射させ、霧は、対象の気道に運ばれる。MDIは、典型的には、圧縮ガスでパッケージ化された製剤である。作動時、装置から、一定量の治療薬が、圧縮ガスにより排出され、このようにして設定量の作用剤を投与する信頼できる方法を提供する。DPIは、自由流動粉末の形態で治療薬を分注し、この粉末は、装置により、呼吸中の対象の吸気流中に分散することができる。自由流動粉末を達成するために、治療薬は、ラクトースなどの賦形剤と処方される。一定量の治療薬は、カプセル剤形で貯蔵され、作動ごとに分注される。
【0157】
本技術の化合物の医薬剤形は、当該分野で周知である方法のいずれか、例えば、従来の混合、ふるい分け、溶解、溶融、造粒、ドラジェ作製、打錠、懸濁化、押し出し、噴霧乾燥、すりつぶし、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル化、封入、または凍結乾燥プロセスにより製造し得る。上記の通り、本技術の組成物は、活性分子を医薬用製剤へと加工しやすくする生理学的に許容される1つ以上の不活性成分を含む場合がある。
【0158】
最近、表面積を増やす、つまり粒径を縮小することによってバイオアベイラビリティを高めることができるという原理に基づいて、特に不十分なバイオアベイラビリティを示す薬物のために医薬製剤が開発されきた。例えば、米国特許第4,107,288号は、活性物質が高分子の架橋マトリックス上に支持された10~1,000nmのサイズ範囲の粒子を有する医薬製剤を説明している。米国特許第5,145,684号は、原薬が、表面改質剤の存在下でナノ粒子(400nmの平均粒径)に粉砕され、次に液状媒質中で分散されて、著しく高いバイオアベイラビリティを示す医薬製剤を提供する医薬製剤の製造を説明している。
【0159】
組成物は、一般に、少なくとも1つの薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせた本技術の化合物から成る。受容可能な賦形剤は、無毒であり、投与を助け、特許請求化合物の治療効果に悪影響を及ぼさない。そのような賦形剤は、一般に当業者が入手できる、任意の固形、液状、半固形、またはエーロゾル組成物の場合は気体状の賦形剤であってよい。
【0160】
固形の医薬品賦形剤は、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、コメ、コムギ、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、脱脂粉乳などを含む。液状の及び半固形の賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、及び石油、動物、植物、または合成由来の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などの油を含む種々の油から選択し得る。特に注射液に好適な液体担体は、水、生理食塩水、ブドウ糖水、及びグリコールを含む。
【0161】
圧縮ガスは、エーロゾル形態で本技術の化合物を分散するために使用され得る。この目的に適した不活性ガスは、窒素、二酸化炭素などである。他の適切な医薬品賦形剤及びそれらの配合物は、E.W.Martin編集のRemington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company.18th ed.,1990)に記載されている。
【0162】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に受容可能な塩を含む。用語「薬学的に受容可能な塩」は、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、及び分子が塩基性官能基を含有するときは塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機酸または無機酸の塩を含む、当該技術で周知の様々な有機対イオン及び無機対イオンに由来する塩を指す。適切な塩は、Stahl and Wermuth(Eds.),Handbook of Pharmaceutical Salts Properties,Selection,and Use,2002に記載されるものを含む。
【0163】
本組成物は、所望される場合、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含むパックまたはディスペンサー装置に入れて提供し得る。そのようなパックまたは装置は、例えば、金属もしくは例えばブリスター包装などのプラスチック箔、またはガラス、及び例えばバイアルなどのゴム栓を含み得る。パックまたはディスペンサー装置には投与説明書が添付される場合がある。また、適合性のある医薬担体で処方された本技術の化合物を含む組成物は、製剤化し、適切な容器に入れ、適応症の治療についてのラベルを付加し得る。
【0164】
配合物中の化合物の量は、当業者により採用される全範囲内で変わる可能性がある。典型的には、配合物は、重量パーセント(重量%)単位で、全配合物に基づき約0.01~99.99重量%の本技術の化合物を含有することになり、残部は、1つ以上の適切な医薬品賦形剤である。好ましくは、化合物は約1~80重量%のレベルで存在する。代表的な医薬製剤を以下に記載する。
【0165】
配合例
以下は、SRA737及びさらなる治療薬を単体でまたは組み合わせて含む代表的な医薬製剤である。
【0166】
組成物は、単独で、または他の治療薬と組み合わせて、治療される病状に応じて同時にまたは連続的にどちらかで投与することができる。
【0167】
キット
また、本開示は、SRA737とさらなる治療薬の組み合わせ、及び使用説明書を含むキットも提供する。本開示は、医薬組成物(複数可)がSRA737及びさらなる治療薬を含む1つ以上の医薬組成物、ならびに使用説明書を含むキットをさらに提供し、任意選択で組み合わせは、少なくとも1つの薬学的に受容可能な担体または賦形剤を含む。
【0168】
キットの個々の構成要素は、別々の容器に梱包することができ、医薬品または生物学的製剤の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形式での通知をそのような容器と関連付けることができ、その通知は、製造、使用、または販売のその機関による承認を反映する。キットは、任意選択で、抗原結合性構築物の使用方法または投与計画を概説する説明書または指示を含み得る。
【0169】
いくつかの態様では、本開示は、SRA737とさらなる治療薬の組み合わせ、及び少なくとも1つの薬学的に受容可能な担体または賦形剤を含むキットを提供する。
【0170】
キットの1つ以上の構成要素が、例えば水溶液または滅菌水溶液などの溶液として提供されるとき、容器手段はそれ自体、吸入器、注射器、ピペット、点滴器、またはそこから溶液を対象に投与し得る、またはキットの他の構成要素に適用し、それと混合し得る他のそのような装置であってよい。
【0171】
また、キットの構成要素は、乾燥または凍結乾燥された形態で提供され得、キットはさらに凍結乾燥された構成要素の再構築用の適切な溶媒を含む場合がある。また、容器の数またはタイプに関わりなく、本明細書に説明するキットは、組成物を患者に投与するのを支援するための器具を含み得る。そのような器具は、吸入器、鼻内噴霧器、注射器、ピペット、鉗子、計量スプーン、点滴器、または類似した医学的に承認された送達手段であってよい。
【0172】
本発明の別の態様では、例えば腫瘍増殖の阻害など、本明細書に説明する障害の治療、予防、及び/または診断に有用な材料を含む製造品が提供される。製造品は、容器、及び容器上のまたは容器と関連付けられたラベルまたは添付文書を含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、注射器、静脈注射用溶液バッグなどを含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成し得る。容器(複数可)は、単独である、または障害を治療、予防、及び/または診断するために効果的な別の組成物と組み合わされた組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルであってよい)。
【0173】
本明細書に説明する本実施形態の製造品は、特定の病状を治療するために組成物を使用できることを表示する、ラベルまたは添付文書をさらに含んでもよい。代わりに、またはさらに、製造品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液などの薬学的に受容可能な緩衝剤を含む第2の(または第3の)容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針、及び注射器を含む、商業的な観点及びユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0174】
ポリペプチド及び核酸
本明細書に説明するのは、例えば、CHK1のための遺伝子など、本発明に有用な遺伝子のポリペプチド及び核酸の配列である。いくつかの実施形態では、本発明に有用なポリペプチド及び核酸の配列は、本明細書に説明する、またはデータベース受託番号で本明細書で参照する配列と少なくとも95、96、97、98、または99%同一である。いくつかの実施形態では、本発明に有用なポリペプチド及び核酸の配列は、本明細書に説明する、またはデータベース受託番号で本明細書で参照する配列と100%同一である。
【0175】
2つ以上の核酸またはポリペプチドの配列の文脈での用語「パーセント同一性」は、最大の対応について比較され、整列されたときに、以下に説明する配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTP及びBLASTNまたは当業者が利用可能な他のアルゴリズム)の1つを使用して、または目視によって測定されたのと同じである指定されたパーセンテージのヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。用途に応じて、パーセント「同一性」は、例えば機能ドメイン上になど、比較されている配列の領域上に存在する場合もあれば、代わりに比較される2つの配列の全長にわたって存在する場合もある。配列比較の場合、通常1つの配列が、試験配列が比較される基準配列としての機能を果たす。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験配列及び基準配列がコンピュータに入力され、必要な場合、部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。配列比較アルゴリズムは、次に、指定されたプログラムパラメータに基づいて、基準配列に対する試験配列(複数可)のパーセント配列同一性を計算する。比較のための配列の最適アライメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)のローカルホモロジーアルゴリズムによって、Needleman&Wuncsh、J.Mol.Biol.48:443(1970)のホモロジーアライメントアルゴリズムによって、Pearson&Lipman、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA85:2444(1988)の類似法の検索によって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.,Madison,Wis.のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)のコンピュータ化した実装によって、または目視(一般に、Ausubel et al.,以下を参照)によって実施できる。パーセント配列同一性及び配列類似性を決定するために適したアルゴリズムの一例は、Altschul et al., J.Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されるBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公的に入手可能である。
【0176】
定義
特許請求の範囲及び明細書中で使用する用語は、特別の定めのない限り、本明細書に説明する通りに定義される。
【0177】
本発明の実践は、当該技術の技能の範囲内である、有機化学、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技術の使用を含む。
【0178】
本願では、いくつかの技術的な名称を参照する。例えば、各々の範囲を含む、pH、温度、時間、濃度、及び重量などのすべての数字表示は、通常は、必要に応じて、(+)または(-)0.1、1.0、または10.0の増分で変わる場合がある近似値である。すべての数字表示には、用語「約」が先行すると理解され得る。本明細書に説明する試薬は例示的であり、そのようなものの同等物は当該技術で既知である場合がある。
【0179】
本発明で利用する化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を持ち、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、及び個々の異性体(例えば、別個のエナンチオマー)はすべて、本発明の範囲内に包含されることが意図される。また、本発明の化合物は、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上で、不自然な割合の原子同位体を含有する場合もある。例えば、化合物は、例えば、三重水素(H)、ヨウ素-125(125I)、または炭素-14(14C)などであるが、これに限定されない放射性同位体を使って放射標識し得る。本発明の化合物のすべての同位体変形は、放射性であるかどうかに関わりなく、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0180】
用語「対象」は、ヒトを含む任意の哺乳動物、及びサル、畜牛、ウマ、イヌ、ネコ、及び齧歯類を含んでいるが、これらに限定されるものではない獣医及び研究の関心がある動物などの哺乳動物を指す。マウス及びラットなどの動物、ならびに他の哺乳動物は、薬物のスクリーニング、特徴付け、及び評価で使用することができる。本明細書で使用される場合、患者、対象、及び個人という用語は、交互に用いられる。
【0181】
対象に対する薬物及び/または療法の用語「投与する」または「の投与」(及びこの句の文法的な同等物)は、医療専門家による対象への投与であってよく、自己投与であってよい直接投与または間接投与、及び/または対象に薬物及び/または療法を処方する行為、または対象に薬物及び/または療法を処方するように人をし向ける行為であってよい間接投与の両方を指す。
【0182】
用語「同時投与」は、同じ期間中に薬理効果を発揮するような方法で投与される2つ以上の化合物を指す。そのような同時投与は、2つ以上の化合物の同時投与、同時期の投与、または連続投与のいずれかによって達成することができる。
【0183】
障害または疾患を「治療する」または障害または疾患「の治療」という用語は、例えば腫瘍増殖もしくはがんなどの障害または疾患の症状を緩和するための、またはそれ以外の場合、臨床結果を含む対象のためのなんらかの有益なもしくは所望の結果を得るためのステップを講じることを指す。任意の有益なまたは望ましい臨床結果は、がんの1つ以上の症状の緩和もしくは改善、または条件付き生存及び腫瘍負荷もしくは腫瘍体積の低減、疾患の範囲の縮小、腫瘍進行もしくは疾患進行の遅延または遅延化、腫瘍及び/または疾患の状態の改善、緩和、もしくは安定化、または他の有益な結果を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0184】
用語「原位置で」または「インビトロ」は、例えば組織培養で成長するなど、生体とは別個で成長する生細胞で発生するプロセスを指す。
【0185】
用語「インビボ」は、生体で発生するプロセスを指す。
【0186】
用語「Chk1」または「CHEK1」または「チェックポイントキナーゼ1」は、CKEK1遺伝子でコードされたセリン/トレオニンタンパク質キナーゼを指す。
【0187】
用語「有効量」は、例えば腫瘍の増殖を阻害するために十分な量など、所望の効果を生じさせるために十分な量を意味する。
【0188】
1つまたは複数の症状の用語「削減」(及びこの句の文法的な同等物)は、症状(複数可)の重症度もしくは頻度を減少させること、または症状(複数可)の排除を指す。
【0189】
また、添付の特許請求の範囲にも関わらず、本開示は、以下の条項により定義される。
【0190】
条項1。がんを治療する方法であって、前記がんを有する対象に有効量のSRA737化合物を投与することを含み、前記有効量が2000mg/日未満である、前記がんを治療する方法。
【0191】
条項2。前記SRA737化合物が経口で投与される、条項[00212]に記載の方法。
【0192】
条項3。前記SRA737化合物が毎日投与される、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0193】
条項4。前記SRA737化合物が少なくとも28日間連続投与される、条項0に記載の方法。
【0194】
条項5。前記SRA737化合物が少なくとも7日間連続投与される、条項0に記載の方法。
【0195】
条項6。前記SRA737化合物が間欠的に投与される、条項[00212]または0に記載の方法。
【0196】
前記SRA737化合物が、少なくとも十(10)分、十五(15)分、二十(20)分、三十(30)分、四十(40)分、六十(60)分、二(2)時間、三(3)時間、四(4)時間、六(6)時間、八(8)時間、十(10)時間、十二(12)時間、十四(14)時間、十八(18)時間、二十四(24)時間、三十六(36)時間、四十八(48)時間、三(3)日間、四(4)日間、五(5)日間、六(6)日間、七(7)日間、八(8)日間、九(9)日間、十(10)日間、十一(11)日間、十二(12)日間、十三(13)日間、十四(14)日間、三(3)週間、または四(4)週間の遅延を投与間に有して投与される、条項0に記載の方法。
【0197】
条項8。前記SRA737化合物が1つ以上の28日周期にわたって投与される、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0198】
条項9。前記SRA737化合物が前記1つ以上の28日周期の1日以上に投与される、条項0に記載の方法。
【0199】
条項10。前記SRA737化合物が、前記1つ以上の28日周期の2日目、3日目、9日目、10日目、16日目、17日目に投与される、条項0に記載の方法。
【0200】
条項11。前記1つ以上の28日周期の第1の周期前に前記SRA737化合物の初回投与量を投与することをさらに含む、条項0~0に記載の方法。
【0201】
条項12。前記初回投与量が、前記1つ以上の28日周期の前記第1の周期の4日、5日、6日、または7日前に投与される、条項0に記載の方法。
【0202】
条項13。前記1つ以上の28日周期が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ以上の28日周期を含む、条項0~0のいずれか1項に記載の方法。
【0203】
条項14。前記SRA737化合物が、毎週5日間の投薬と続く2日間の非投薬、1週間の毎日の投薬と続く1週間、2週間、もしくは3週間の非投薬、2週間もしくは3週間の毎日の投薬と続く1週間もしくは2週間の非投薬、及び週周期の2日目と3日目での投薬から成る群から選択される投薬スケジュールに従って投与される、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0204】
条項15。前記有効量が1日1回、単回投与で投与される、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0205】
条項16。前記有効量の半分が1日に2回投与される、条項[00212]~0に記載の方法。
【0206】
条項17。前記有効量が1500mg/日未満である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0207】
条項18。前記有効量が1300mg/日未満である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0208】
条項19。前記有効量が1000mg/日以下である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0209】
条項20。前記有効量が900mg/日以下である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0210】
条項21。前記有効量が800mg/日以下である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0211】
条項22。前記有効量が700mg/日以下である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0212】
条項23。前記有効量が600mg/日以下である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0213】
条項24。前記有効量が500mg/日以下である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0214】
条項25。前記有効量が400mg/日以下である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0215】
条項26。前記有効量が600mg/日と1300mg/日の間である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0216】
条項27。前記有効量が300mg/日と1300mg/日の間である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0217】
条項28。前記有効量が300mg/日と1000mg/日の間である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0218】
条項29。前記有効量が300mg/日と800mg/日の間である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0219】
条項30。前記有効量が500mg/日と1300mg/日の間である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0220】
条項31。前記有効量が500mg/日と1000mg/日の間である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0221】
条項32。前記有効量が500mg/日と800mg/日の間である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0222】
条項33。前記有効量が、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、及び1200mg/日から成る群から選択される、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0223】
条項34。前記有効量が、40mg/日、80mg/日、300mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、及び800mg/日から成る群から選択される、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0224】
条項35。前記有効量が300mg/日である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0225】
条項36。前記有効量が400mg/日である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0226】
条項37。前記有効量が500mg/日である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0227】
条項38。前記有効量が600mg/日である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0228】
条項39。前記有効量が700mg/日である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0229】
条項40。前記有効量が800mg/日である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0230】
条項41。前記有効量が900mg/日である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0231】
条項42。前記有効量が1000mg/日である、条項[00212]~0のいずれかに記載の方法。
【0232】
条項43。前記がんが転移性がんである、条項[00212]~[00253]のいずれかに記載の方法。
【0233】
条項44。前記がんが、結腸直腸癌、卵巣癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胆管癌、胆管癌、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脳癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、及び肛門扁平上皮癌(SCCA)、肛門性器癌(例えば、肛門癌)、直腸癌、膵臓癌、尿路上皮癌、肉腫及び軟組織肉腫、転移性結腸直腸癌(CRC)、白金耐性または不耐性のHGSOC、進行性NSCLC、及び転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、トリプルネガティブ乳癌、浸潤性乳癌、転移性乳癌、HER2陽性乳癌及び炎症性乳癌から成る群から選択される病気または障害である、条項[00212]~[00253]のいずれかに記載の方法。
【0234】
条項45。前記がんが結腸直腸癌である、条項[00212]~[00253]に記載の方法。
【0235】
条項46。前記結腸直腸癌が、マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復(MMR)の欠陥を有するとして特徴付けられる、条項[00256]に記載の方法。
【0236】
条項47。前記がんが非小細胞肺癌である、条項[00212]~[00253]に記載の前記方法。
【0237】
条項48。前記がんがHNSCCである、条項[00212]~[00253]に記載の方法。
【0238】
条項49。前記がんがSCCAである、条項[00212]~[00253]に記載の方法。
【0239】
条項50。前記がんが肛門性器癌である、条項[00212]~[00253]に記載の方法。
【0240】
条項51。前記がんが前立腺癌である、条項[00212]~[00253]に記載の方法。
【0241】
条項52。前記前立腺癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である、条項[00262]に記載の方法。
【0242】
条項53。前記がんが卵巣癌である、条項[00212]~[00253]に記載の方法。
【0243】
条項54。前記卵巣癌が高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)である、条項[00264]に記載の方法。
【0244】
条項55。前記HGSOCに関連する腫瘍が、サイクリンE1(CCNE)遺伝子の発現増加を有すると特定される、条項[00265]に記載の方法。
【0245】
条項56。前記発現増加が、遺伝的増幅の結果である、条項[00266]に記載の方法。
【0246】
条項57。前記腫瘍が、体細胞または生殖細胞系のBRCA1及びBRCA2野生型状態を有すると特定される、条項[00265]に記載の方法。
【0247】
条項58。前記がんと関連する腫瘍が、少なくとも1つの発がん性ドライバー遺伝子またはChk1経路感受性に関係する他の遺伝子の機能獲得型変異、増幅、または過剰発現を有するとして特定される、条項[00212]~[00268]のいずれかに記載の方法。
【0248】
条項59。前記発がん性ドライバー遺伝子が、MYC、MYCN、KRAS、及びCCNE1から成る群から選択される、条項[00269]に記載の方法。
【0249】
条項60。前記がんと関連する腫瘍が、Chk1経路感受性に関係する少なくとも1つのDNA損傷修復(DDR)経路遺伝子において機能喪失突然変異または有害突然変異を有するとして特定される、条項[00212]~[00270]のいずれかに記載の方法。または有害な突然変異を有すると特定されている。
【0250】
条項61。前記DDR経路遺伝子が、ATM、CDK12、BRCA1、BRCA2、MRE11A、ATR、及びFA経路遺伝子から成る群から選択される、条項[00271]に記載の方法。
【0251】
条項62。前記機能喪失突然変異または前記有害突然変異が、マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復(MMR)の欠陥を確立することによって決定される、条項[00271]または[00272]に記載の方法。
【0252】
条項63。前記がんと関連する腫瘍が、Chk1経路感受性に関係する少なくとも1つの複製ストレス遺伝子の機能獲得型変異または増幅を有するとして特定される、条項[00212]~[00273]のいずれかに記載の方法。
【0253】
条項64。前記複製ストレス遺伝子がATRまたはCHK1である、条項[00274]に記載の方法。
【0254】
条項65。前記がんと関連する腫瘍が、Chk1経路感受性に関係する腫瘍抑制因子(TS)遺伝子で有害突然変異を有するとして特定される、条項[00212]~[00275]のいずれかに記載の方法。
【0255】
条項66。前記癌抑制因子遺伝子と関連する腫瘍が、RB1、TP53、ATM、RAD50、FBXW7、及びPARK2から成る群から選択される、条項[00276]に記載の方法。
【0256】
条項67。前記対象がヒトパピローマウイルス(HPV)陽性である、条項[00212]~[00277]のいずれかに記載の方法。
【0257】
条項68。前記対象がヒトである、条項[00212]~[00278]のいずれかに記載の方法。
【0258】
条項69。第2の有効量のさらなる治療薬を投与することをさらに含み、前記さらなる治療薬が、化学療法剤、抗体または抗体フラグメント、放射線治療薬、複製ストレスの外部誘導物質、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、条項[00212]~[00279]のいずれかに記載の方法。
【0259】
条項70。前記さらなる治療薬が、ゲムシタビン、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、シスプラチン、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、エトポシド、SN-38/CPT-11、マイトマイシンC、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、条項[00280]に記載の方法。
【0260】
条項71。前記さらなる治療薬がゲムシタビンを含む、条項[00280]に記載の方法。
【0261】
条項72。前記さらなる治療薬が毎日投与される、条項[00280]~[00282]のいずれかに記載の方法。
【0262】
条項73。前記さらなる治療薬が、1日目に投与され、前記SRA737化合物が毎週のスケジュールの2日目及び3日目に投与される、条項[00280]~[00282]のいずれかに記載の方法。
【0263】
条項74。前記さらなる治療薬及び前記SRA737化合物が、1つ以上の28日周期にわたって投与される、条項[00280]~[00282]のいずれかに記載の方法。
【0264】
条項75。前記さらなる治療薬が前記1つ以上の28日周期の1日目、8日目、及び15日目に投与され、前記SRA737化合物が、前記1つ以上の28日周期の2日目、3日目、9日目、10日目、16日目、及び17日目に投与される、条項0に記載の方法。
【0265】
条項76。前記さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0266】
条項77。前記さらなる治療薬の前記の第2の有効量が、600mg/m/日以下である、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0267】
条項78。前記さらなる治療薬の前記の第2の有効量が、50と600mg/m/日の間である、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0268】
条項79。前記さらなる治療薬の前記の第2の有効量が、50と300mg/m/日の間である、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0269】
条項80。前記SRA737化合物の前記有効量が、80mg/日であり、前記さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0270】
条項81。前記SRA737化合物の前記有効量が150mg/日であり、前記さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0271】
条項82。前記SRA737の前記有効量が300mg/日であり、さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0272】
条項83。前記SRA737の前記有効量が500mg/日であり、前記さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0273】
条項84。前記SRA737の前記有効量が600mg/日であり、前記さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0274】
条項85。前記SRA737の前記有効量が700mg/日であり、前記さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0275】
条項86。前記SRA737化合物の前記有効量が800mg/日であり、前記さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0276】
条項87。前記SRA737化合物の前記有効量が900mg/日であり、前記さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0277】
条項88。前記SRA737化合物の前記有効量が1000mg/日であり、前記さらなる治療薬の前記第2の有効量が、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、250mg/m/日、及び300mg/m/日から成る群から選択される、条項[00282]~0のいずれかに記載の方法。
【0278】
条項89。前記がんが尿路上皮癌である、条項[00280]~0に記載の方法。
【0279】
条項90。前記尿路上皮癌が、(a)膀胱、上部尿路、または尿道の切除不能な尿路上皮癌、及び(b)膀胱、上部尿路、または尿道の転移性尿路上皮癌から成る群から選択される、条項[00300]に記載の方法。
【0280】
条項91。前記がんがHGSOCである、条項[00280]~0に記載の方法。
【0281】
条項92。前記HGSOCと関連する腫瘍が、体細胞または生殖細胞系のBRCA1及びBRCA2野生型状態を有すると特定される、条項[00302]に記載の方法。
【0282】
条項93。前記がんが小細胞肺癌である、条項[00280]~0のいずれかに記載の方法。
【0283】
条項94。前記がんが軟部肉腫である、条項[00280]~0のいずれかに記載の方法。
【0284】
条項95。前記軟部肉腫が、未分化多形性肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)/高悪性度紡錘細胞肉腫、多形性脂肪肉腫、平滑筋肉腫、及び脱分化型脂肪肉腫から成る群から選択される、条項[00305]に記載の方法。
【0285】
条項96。前記がんが子宮頸癌または肛門性器癌である、条項[00280]~0のいずれかに記載の方法。
【0286】
条項97。前記子宮頸癌または肛門性器癌が、肛門、陰茎、膣、及び外陰部の進行性/転移性扁平上皮癌から成る群から選択される、条項[00307]に記載の方法。
【0287】
条項98。前記方法が、前記がんと関連する腫瘍の増殖阻害をもたらす、条項[00212]~[00308]のいずれかに記載の方法。
【0288】
条項99。前記がんに関連する前記腫瘍の前記増殖阻害が、未治療の腫瘍に比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の最小増殖阻害である、条項[00309]に記載の方法。
【0289】
条項100。前記方法が、ベースライン測定値と比較して前記がんと関連する腫瘍退縮をもたらす、条項[00212]~[00310]のいずれかに記載の方法。
【0290】
条項101。前記退縮が、前記ベースライン測定値と比較して、前記がんと関連する前記腫瘍の30%の退縮である、条項[00311]に記載の方法。
【0291】
条項102。前記退縮が、前記ベースライン測定値と比較して、前記がんと関連する前記腫瘍の完全な退縮である、条項[00311]に記載の方法。
【0292】
条項103。前記方法が、前記がんと関連する腫瘍の細胞毒性をもたらす、条項[00212]~[00313]に記載の方法。
【0293】
条項104。前記方法が、ベースライン測定値と比較して、前記対象において部分寛解、完全寛解、または安定している疾患につながる、条項[00212]~[00314]のいずれかに記載の方法。
【0294】
条項105。前記方法が、ベースライン測定値と比較して、前記対象において部分寛解につながる、条項[00212]~[00314]のいずれかに記載の方法。
【0295】
条項106。前記方法が、ベースライン測定値と比較して、前記対象において完全寛解につながる、条項[00212]~[00314]のいずれかに記載の方法。
【0296】
条項107。前記方法が、ベースライン測定値と比較して、前記対象において安定している疾患につながる、条項[00212]~[00314]のいずれかに記載の方法。
【0297】
条項108。前記方法が、投与後前記対象において少なくとも24時間、少なくとも100ng/mlの前記SRA737化合物の血漿Cminをもたらす、条項[00212]~[00318]のいずれかに記載の方法。
【0298】
条項109。前記方法が、投与後前記対象において少なくとも24時間、少なくとも100nMの前記SRA737化合物の血漿Cminをもたらす、条項[00212]~[00318]のいずれかに記載の方法。
【0299】
条項110。前記方法が、投与後に前記対象において少なくとも100ng・h/mL、少なくとも300ng・h/mL、少なくとも600ng・h/mL、少なくとも800ng・h/mL、少なくとも1000ng・h/mL、少なくとも1600ng・h/mL、少なくとも2300ng・h/mL、少なくとも2500ng・h/mL、少なくとも3000ng・h/mL、少なくとも3500ng・h/mL、少なくとも8000ng・h/mL、少なくとも12000ng・h/mL、少なくとも15000ng・h/mL、少なくとも18000ng・h/mL、少なくとも20000ng・h/mL、少なくとも25000ng・h/mL、または少なくとも29000ng・h/mLの前記SRA737化合物の血漿AUC0-24をもたらす、条項[00212]~[00320]のいずれかに記載の方法。
【0300】
条項111。前記方法は、投与後に前記対象において少なくとも400ng・h/mL、少なくとも500ng・h/mL、少なくとも600ng・h/mL、少なくとも1600ng・h/mL、少なくとも2600ng・h/mL、少なくとも4500ng/mL、少なくとも5000ng・h/mL、少なくとも8000ng・h/mL、少なくとも8000ng・h/mL、少なくとも1000ng・h/mLの前記SRA737化合物の血漿AUC0-12をもたらす、条項[00212]~[00320]のいずれかに記載の方法。
【0301】
条項112。前記方法が、投与後に前記対象において少なくとも500ng/mL、少なくとも600ng/mL、少なくとも800ng/mL、少なくとも100ng/mL、少なくとも150ng/mL、少なくとも175ng/mL、少なくとも350ng/mL、少なくとも990ng/mL、少なくとも1980ng/mL、少なくとも2000/mL、または少なくとも3228ng/mLの前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、条項[00212]~[00322]のいずれかに記載の方法。
【0302】
条項113。前記方法が、投与後に前記対象において500ng/mL未満、600ng/mL未満、800ng/mL未満、100ng/mL未満、150ng/mL未満、175ng/mL未満、350ng/mL未満、990ng/mL未満、1980ng/mL未満、2000ng/mL未満、または3228ng/mL未満の前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、条項[00212]~[00322]のいずれかに記載の方法。
【0303】
条項114。前記方法が、投与後に前記対象において500と3200ng/mLの間の前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、条項[00212]~[00322]のいずれかに記載の方法。
【0304】
条項115。前記方法が、投与後に前記対象において500と2400ng/mLの間の前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、条項[00212]~[00322]のいずれかに記載の方法。
【0305】
条項116。前記方法が、投与後に前記対象において500と650ng/mLの間の前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、条項[00212]~[00322]のいずれかに記載の方法。
【0306】
条項117。前記方法が、投与後に前記対象において500と550ng/mLの間の前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、条項[00212]~[00322]のいずれかに記載の方法。
【0307】
条項118。前記方法が、投与後に前記対象において500と5500ng/mLの間の前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、条項[00212]~[00322]のいずれかに記載の方法。
【0308】
条項119。前記方法が、投与後に前記対象において500と4000ng/mLの間の前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、条項[00212]~[00322]のいずれかに記載の方法。
【0309】
条項120。前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与する前に絶食した、条項[00212]~[00330]のいずれかに記載の方法。
【0310】
条項121。前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与する前に30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、または4時間以上絶食した、条項[00331]に記載の方法。
【0311】
条項122。前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与する前に2時間以上絶食した、条項[00331]に記載の方法。
【0312】
条項123。前記有効量の前記SRA737化合物を投与した後に、前記対象が絶食することをさらに含む、条項[00212]~[00333]のいずれかに記載の方法。
【0313】
条項124。前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与した後に30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、または4時間以上絶食する、条項[00334]に記載の方法。
【0314】
条項125。前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与した後に1時間以上絶食する、条項[00334]に記載の方法。
【実施例
【0315】
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の実施例である。実施例は、例証目的で提示されるに過ぎず、決して本発明の範囲を限定するようには意図されていない。使用される数値(例えば、量、温度など)に対する正確さを確保する努力がなされているが、いくつかの実験誤差及び偏差が考慮に入れられるべきであることは言うまでもない。
【0316】
本発明の実践には、別段の指示がない限り、当該分野の技能の範囲内でタンパク質化学、生物化学、組み換えDNA技術、及び薬理学の従来の方法が利用される。そのような技術は、参考文献に完全に説明されている。例えば、T.E. Creighton,Proteins: Structures and Molecular Properties(W.H. Freeman and Company,1993);A.L. Lehninger, Biochemistry(Worth Publishers, Inc.、現在追加)、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2nd Edition, 1989)、Methods in Enzymology(S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.)、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition(Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990)、Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press)Vols A及びB(1992)を参照すること。
【0317】
略語
【表3】
【0318】
実施例1:非臨床薬理学のまとめ
例えば、教示する内容すべてについて参照により本明細書に組み込まれるWalton et al.(Oncotarget.2016 Jan 19;7(3):2329-2342)により詳細に説明されるように、SRA737は、他のキナーゼに対してオフターゲット活性が制限されたChk1の強力かつ選択的な阻害剤であることが以前に判明していた。インビトロでは、SRA737は、遺伝毒性のある化学療法により誘導されたChk1自己リン酸化を強力に阻害し、下流のシグナル伝達を防いだ(データ示さず)。このChk1阻害により、遺伝毒性により誘導されたチェックポイント停止の予想される用量に依存した阻害、ならびに遺伝子毒性のある化学療法剤及び標的薬剤の細胞毒性のSRA737の用量に依存した増強作用が生じた。
【0319】
インビボ有効性研究のプログラムが、遺伝毒性のある化学療法剤及び標的薬剤と組み合わせた、及び単剤療法としてのSRA737の活性を評価するために実行された。
【0320】
標準用量のゲムシタビンと組み合わせたSRA737の有意な用量依存性抗腫瘍活性が、HT29ヒト結腸癌、SJSA-1ヒト骨肉腫、SW620マウス結腸癌、Calu6ヒト(NSCLC)、KPC-1膵臓癌及び患者由来の膀胱癌を含む複数のがん異種移植片モデルで認められた(データは示さず)。また、TNBCのPDXモデルだけではなくHT29(図5)、OVCAR3、及びSJSA-1 CDXモデルでの低用量ゲムシタビンとの相乗効果、Calu6モデルでのゲムシタビン及びカルボプラチンとの相乗効果、ならびにHT29モデルでのイリノテカンとの相乗効果も観察された(データは示さず)。また、有意な抗腫瘍活性は、PD1/PDL-1阻害剤と組み合わせた3つの同系マウスモデル(mTmG、MC38、及びPan02)でも観察された(データは示さず)。単剤として提示されたSRA737の有意な抗腫瘍活性は、TP53変異を伴うCCNE1増幅を保有するいくつかのHGSOC PDXモデルで観察された(データは示さず)。また、これらのモデルの1つは、MYCN増幅を運んだ。また、PARPiに部分的に耐性のある第4のHGSOC PDXモデルも、高用量SRA737単剤療法に感受性があった。また、SRA737は、HGSOCのOVCAR3モデル、B細胞リンパ腫のEμ-Mycモデル、AMLのMOLM-13モデル、神経芽細胞腫のTH-MYCモデル、TNBCのMDA-MB-231モデルで、及び腎癌と肺癌の2つの同系モデル(それぞれレンカとLL/2)でも単剤の有効性を明示した(データは示さず)。
【0321】
ゲムシタビン誘導性CHK1 S296自己リン酸化に対するSRA737の効果は、教示する内容すべてについて参照により本明細書に組み込まれる、Walton et al.(Oncotarget. 2016 Jan 19;7(3): 2329-2342)に説明されるように評価された。簡潔には、HT29腫瘍異種移植片を有するマウスに、(i)ビヒクル対照または(ii)ゲムシタビン(生理食塩水中100mg/kg、IV)または(iii)SRA737(DTPW中12.5、25、50または100mg/kg、経口)とゲムシタビン(100mg/kg)の組み合わせが投与され、SRA737はゲムシタビン投与(n=治療ごとの時点ごとに3)の24時間後に投与された。pS296 Chk1の阻害は、12.5mg/kg以上のSRA737用量で観察され(図1)、これは、24時間で約100nM(実際値78±27nM、約40ng/mL)の最小(総)血漿濃度に相当した(図2及び表2)。腫瘍内での曝露は血漿においてよりも10倍超高かった。この24時間の時点での循環血漿濃度は、マウスでの94%の血漿タンパク質結合に基づき、約6nM(2ng/mL)の遊離薬物濃度に相当した。
【0322】
PK/PDデータは、有効濃度を超えて持続したSRA737の相対的に低い血漿濃度(例えば、SRA737は、24時間、100nM血漿濃度を超えていた)が、マウスで有意な抗腫瘍活性を引き出し、臨床現場における用途にPK/PDベンチマークを提供することを示した。
【0323】
【表4】
【0324】
SRA737+LDGは、非細胞毒性の低用量ゲムシタビン(LDG)が、SRA737の抗腫瘍活性を強化する複製ストレスの強力な外因性誘導物質としての機能を果たす新規の薬物の組み合わせである。前臨床モデルは、SRA737の抗腫瘍効果を強化するためには治療レベルを下回るゲムシタビンだけが必要とされることを明示した。
【0325】
実施例2:薬物動態(PK)研究のまとめ
SRA737の吸収(インビトロ透過性アッセイならびに静脈内投与及び経口投与に続くインビボPK)、分布(インビボ組織分布及びインビトロ血漿タンパク質結合)、ならびに代謝(インビトロ肝細胞ならびにCYP阻害及び誘導の研究)など、SRA737のPK特性を評価するために、いくつかの研究が実施されてきた。
【0326】
SRA737のPKは、経口投与及び静脈内投与後のマウス、ラット、イヌ、サルで決定された(表3)。非常に好ましい絶対経口バイオアベイラビリティ(F%)が、特にマウス(105%)とサル(90~104%)で認められ、インビトロモデルで認められた中程度の代謝及び好ましい透過性と一致していた。また、許容消失t1/2も各種で観察された。さらに、SRA737臨床製剤カプセル提示のPKに対する食事状態の影響は、イヌで評価された。経口バイオアベイラビリティに対する食事状態の有意な影響はなかった(エラー!参照元見つからず。4)。1及び10μMでのSRA737の血漿タンパク質結合は、超遠心分離を使用してマウス、ミニブタ、サル、及びヒトの血漿で、ならびに急速平衡透析を使用してイヌの血漿(10μM)で調べられた。高血漿タンパク質結合(約94%)がマウスで観察されたのに対し、中程度の血漿タンパク結合が、ヒト(約87%)及び非齧歯類毒物学種(ミニブタ及びサルの場合、それぞれ約80%及び87%)で観察された(表5)。
【0327】
【表5】
【0328】
【表6】
【0329】
【表7】
【0330】
SRA737の膜透過性は、並行人工膜透過性アッセイ(PAMPA)及びCaco-2アッセイで評価された。PAMPAアッセイでの透過性は低と分類された。10μMで、Caco-2アッセイでの透過性は、流出率(A>B/B>A)が0.8で20.7±9.1×10-6cm/秒であり、これは、SRA737が相対的に高い受動透過性及び低い流出電位を有することを示していた。
【0331】
SRA737関連の代謝物の形成は、SRA737と10μMの名目濃度で最大4時間培養した後、ヒト、マウス、ラット、ミニブタ、及びサルの試料からの凍結保存された肝細胞で測定された。種の安定性の最も高いから最も低いへの安定性の順位は、ラット≒マウス>サル≒ヒト>>イヌ>>ミニブタであった。ヒトの肝細胞の調製物では、それぞれラットとミニブタの調製物での75%と7%と比較して、4時間の培養後、親の約67%が残っていた。8つのヒトSRA737代謝物が観察された。また、ヒト肝細胞によって形成されたすべてのSRA737代謝物も、サルの肝細胞によって形成された。サルでは、6つの代謝物が等しいまたはより大きな存在量で存在していた。ヒト特有の代謝物は観察されなかったが、ヒトの代謝物の2つは、等しいまたはより大きい存在量で他のどの種でも形成されていなかった。
【0332】
SRA737の排泄は、静脈内で5mg/kgまたは経口で10mg/kgのどちらかでSRA737を投与されたマウス及びラットで研究された。尿及び糞便は、投薬後24時間の期間、収集された。マウスでは、無傷のSRA737の腎排泄は、経口投与と静脈内投与の両方の後、一貫して低かった(用量の10%未満)。SRA737の静脈内投与後、用量の8%未満が糞便中で無傷の薬物として回収された。一方、経口投与後、この数は3%未満であった。無傷のSRA737の排泄は、マウスにおいてよりもラットにおいてより低く、用量の<1%が24時間にわたって腎排泄され、用量の1.5%未満が24時間にわたって糞便中に排泄された。
【0333】
調査したSRA737の最高濃度では(IC50>10~50μM)、主要なCYP酵素(1A2、2A6、2C9、2C19、2D6、及び3A4)の有意な阻害は観察されず、化合物が、有意な代謝薬物間相互作用を媒介する可能性が低いことを示唆していた。CYP1A2の最小限の濃度依存性誘導(<10%陽性対照、オメプラゾール)がインビトロで観察され、SRA737が、CYP1A2によって主に代謝される併用薬の代謝に最小限の影響を及ぼす場合があることを示唆していた。
【0334】
総合すれば、前臨床種で観察された透過性、代謝安定性、及び実証可能な経口バイオアベイラビリティは、ヒトでの好ましい経口吸収を示唆している。
【0335】
実施例3:毒物学研究結果のまとめ
SRA737の毒性は、マウス、ミニブタ、及びサルでGood Laboratory Practice(GLP)28日間反復経口用量研究で、ならびにマウスでゲムシタビン及びシスプラチンを用いた3周期組み合わせ研究で評価された。
【0336】
単剤療法として投与されたSRA737のトキシコキネティクスデータは、エラー!参照元が見つからず6にまとめされている。マウス、ミニブタ、及びサルでのきわめて重要な研究で観察された毒物学研究結果のパターンは、SRA737の作用機序と大まかに類似し、一致していたが、一般には、サルは最も感受性の低い毒物学種であるように見えた。サルでの研究からのデータは、マウス及びミニブタのデータから予測されるであろうよりもより高い曝露がヒトで許容される可能性が高いことを示唆している。血漿タンパク質結合、肝細胞の安定性、及び他のADMETデータについてのサルとヒトのデータの類似性に基づいて、サルは、潜在的なヒト毒性の決定に最も適した非臨床モデルとして確認された。
【0337】
骨髄造血または髄外造血の増加に伴う様々に減少した赤血球及び白血球のパラメータ、及び胸腺を含むリンパ器官の萎縮を含む、骨髄毒性に関連する用量依存性の毒物学研究結果が、マウス及びミニブタの重要な研究で認められた。これらの研究結果は、薬物投与の中止時に可逆的であった。また、消化管での毒物学的研究結果も、ミニブタで及び早期のマウスとサルの研究で観察され、生殖器官、特に精巣の変化もミニブタとマウスで観察されたが、サルでは観察されなかった。これらの後者の変化は、マウスでは可逆的ではなかったが、性的に未熟な動物におけるこれらの研究結果の成人のがん患者との関連性は限定的であるように見える。
【0338】
MTDは、マウスで75/mg/kg/日(225mg/m/日)であり、HNSTDは、ミニブタで10mg/kg/日(350mg/m/日)であった。重要なサルの毒性研究において毒物学的研究結果がないことが認められたため、20mg/kg/日(240mg/m/日)のNOAELが、試験された最高の用量であった。
【0339】
マウスでのトリプル併用研究からの研究結果(18日間にわたって間欠的なスケジュールでIVゲムシタビンとシスプラチンと組み合わせて投与されたSRA737)は、この種での単剤療法の毒物学的研究で認められた研究結果を再現していた。ただし、高用量トリプル併用群では可逆的な腸の上皮変性も認められた。可逆的な骨髄毒性、結果としての脾腫、及び高用量の腸の観察だけが、シスプラチン/ゲムシタビン対照群単独の投与に続いて観察されたものよりも、SRA737の投与によって増悪したと見なされた。したがって、いくつかの場合、SRA737とゲムシタビンの臨床組み合わせは、血液毒性及び胃腸毒性の増悪を引き起こした。
【0340】
【表8】
【0341】
実施例4:SRA737単剤療法で最大耐量及び血漿濃度を確立するための第1相臨床研究
第1相臨床研究は、安定性、忍容性、及び薬物動態を確立するために「すべての来訪者」で実施され、つまり、遺伝的選択は行われなかった(「用量漸増相」)。最初に単一の患者から成るコホートは、SRA737の漸増用量のSRA737を投与され、コホート1で開始し、28日間周期で継続的な毎日の投薬スケジュールで20mg/日が経口で投与された。用量は、最大耐量(MTD)が特定されるまで漸増された。
【0342】
用量漸増相では、18人の対象が、20~1300mgQDで9つの用量レベルコホートでSRA737を投与され、治療期間中央値は62.5日であった(範囲1~226)。最大1000mgのSRA737の用量レベルコホートは、用量制限毒性(DLT)なしで完了した。3人の対象のうちの2人が1日1回の1300mgの用量でDLTを経験し、各々が、GIの非耐用性のために計画されていたSRA737の75%を投与されることができず、個々のGiの影響は軽度であった。したがって、1300mgは、1日1回の投薬計画で最大耐量を超えていた。SRA737の半減期が約10時間であると仮定して、1日に2回の投薬スケジュールがGI忍容性を改善できるのかを判断するために、1日に2回500mgを投与されるコホートが加えられた。6人の対象のうちの1人が、1日に2回500mgのコホートでDLTを経験した。これは、グレード3の好中球減少及び貧血を伴うグレード4の血小板減少症に起因し、計画された板SRA737の75%を投与されることができなかった。全体的な忍容性及びGI事象(悪心、嘔吐、及び下痢)に基づき、対象は1日1回800mgの用量レベルでも登録され、1000mgよりも全体的に忍容性が高かった(対象はより少ない用量低減を必要とし、より少ない重度(G3/G4)のAE及び大幅に少ない疲労AEを経験した)。最大耐量(MTD)は、1000mgQDでまたは500mgBIDで確立された。
【0343】
単剤療法コホートの薬物動態パラメータが監視され、表7にまとめられている。1000mgQDでのCmax及びAUC0-24は、それぞれ2391ng/mL及び26795ng・h/mLであった。Cmaxは、1000mgQDで計算され(411ng/mL)、臨床前モデルで効果的であると判断されたものを超えた。また、用量≧300mgQDも臨床前モデルを超え、効果的であった。
【0344】
【表9】
【0345】
実施例5:SRA737併用療法で最大耐量及び血漿濃度を確立するための第1相臨床研究
第1相臨床研究は、ゲムシタビンと組み合わせて投与されたSRA737の安定性、忍容性、及び薬物動態を確立するために「すべての来訪者」で実施され、つまり、遺伝的選択は行われなかった(「用量漸増相」)。最初に単一の患者から成るコホートは、SRA737の漸増用量のSRA737を投与され、コホート1で開始し、各28日間周期で2日目、3日目、9日目、10日目、16日目、及び17日目に40mg/日が経口で投与された。また、コホートは様々な用量のゲムシタビンも投与され、コホート1で開始し、各28日間周期の1日目、8日目、及び15日目に30分かけて、300mg/m/日を静脈内で投与された。
【0346】
図3Aは、試験されたコホートの投薬量のまとめを提示する。用量漸増段階では、合計55人の対象が、13の用量漸増コホートで、50~300mg/mのLDG用量と組み合わされた40~600mgのSRA737の用量でSRA737を投与された。プロトコルで定義された用量制限毒性(DLT)は観察されていない。
【0347】
単剤療法コホートの薬物動態パラメータが監視され、表8にまとめられている。SRA737の薬物動態プロファイルは、150mgのSRA737で3550ng・h/mLと548ng/mLのAUC0-24とCmaxを明らかにした。この用量で、Cmin(52ng/mL)は、前臨床モデルで有効であると判断されたものを超えた。
【0348】
【表10】
【0349】
追加のコホートが監視され、最大耐量(MTD)が特定されるまで、及びゲムシタビンとの併用投薬を最適化するために、SRA737の用量を漸増する。少なくともSRA737の1用量を投与され、少なくとも1つの評価可能なPK濃度を提供する、または特定のPDn評価ごとに評価可能なデータを有するすべての登録された対象は、それぞれPK及びPDnについて評価可能である。重篤な有害事象(SAE)の収集を、インフォームドコンセントの日に開始する。放射線学的評価は、SRA737(またはPKのSRA737投与が省略されている場合はゲムシタビン)の初回投与から4週間以内に実行され、ステージ1では6週間ごとに繰り返される。ステージ2では、評価は8週間ごとに及び16週間おきの長期の追跡評価で実行される。臨床的に必要であれば、評価はより頻繁に実行される。心臓評価(心エコー図[ECHO]及び心電図[ECG])が実施される。任意選択のトリプレット腫瘍生検が、いくつかの場合、SRA737の初回用量を投与される前28日以内に収集される。SRA737(またはPK用のSRA737用量が省略された場合ゲムシタビン)の初回用量から7日間以内に、以下の評価、つまり完全な身体検査、臨床疾患評価、SAE、及び併用薬、WHO一般状態、ならびに検査施設による(血液学、生物化学、及び妊娠検査のための)血液評価が完了する。-7日目から-4日目の訪問での単回投与PK導入期間で、併用薬、バイタルサイン(温度、血圧、及び脈拍を含む)、身長、体重、体表面積(BSA)、及びWHO一般状態が収集される。血液試料は、血液学、生物化学、妊娠検査、トロポニンIまたはTのため、ならびに腫瘍マーカー及び腫瘍プロファイリングのために投与前に(predose)得られる。有害事象(AE)は、SRA737の投与時に開始して収集される。アーカイブ組織は、腫瘍プロファイリングのために提出される。PK試料は、-7日目から-4日目で48時間の期間にわたって最大10時点で収集される(PK用のSRA737の初回投与)。治験依頼者は、いくつかの場合、SRA737の単回投与PKを評価するために十分なデータが収集及び解析されると、-7日目から-4日目の訪問の変更または排除を含むPKサンプリングの要件を削減する。投薬は1日目に始まり、以下の処置が規則正しい間隔で行われる。
・有害事象及び併用薬:継続的に
・(医学的に必要であれば)症状を中心とした身体検査:各周期の1日目
・放射性疾患評価:ステージ1の1日目の後の6週間ごと、及びステージ2の1日目の後8週間ごと
・臨床疾患評価:ステージ1の場合、1日目の後の6週間ごと、及びステージ2の場合、1日目の後4週間ごと
・腫瘍マーカー(血清または尿)(該当する場合):ステージ1の場合は周期1の1日目から6週間ごと、ステージ2の場合は周期1の1日目から4週間ごと
・WHO一般状態及び体重/BSA:各周期の1日目
・バイタルサイン:ステージ1の場合1日目と8日目、及びステージ2の場合、1日目、8日目、及び15日目
・検査施設による血液(血液学、生化学、トロポニンIまたはTの場合)及び尿(尿検査)の評価-詳細なスケジュールについてはセクション7.2.2を参照。
・エコー:周期2 1日目
・ECG:周期1と2の1日目、次にその後の各第3の周期ごとに1日目の事前投与、及び対象内の用量漸増を伴う任意の周期の1日目
・PKの薬物動態試料は、周期1の以下の時点、つまり1日目の投与前、10日目の投与前、10日目の投与後の最大6時点で採取される。ステージ2の場合だけ、追加試料が、8日目の前投与及び15日目の前投与で採取される。対象日誌カードのコンプライアンスレビュー。
【0350】
実施例6:Chk1感受性を付与する遺伝子変化のある選択腫瘍でのSRA737単剤療法の有効性を確認するための第1/2相臨床研究
ヒトに投与する臨床試験は、Chk1阻害に対して腫瘍を感作すると予想されるゲノム変化の普及率が高いことが知られている腫瘍のタイプを有する、プロスペクティブに選択され、遺伝子学的に定義された対象のための、本明細書に開示するSRA737単剤療法の治療方法及び患者選択戦略の有効性を確認するために実施される(「コホート拡大相」)。コホート拡大相は、それぞれ、約20のプロスペクティブに選択された遺伝子学的に定義された対象の6つの適応症特有の拡大コホートから成る。コホートは、以前に治療された転移性結腸直腸癌[CRC]、CCNE1遺伝子増幅がない高悪性度漿液性卵巣癌[HGSOC]、CCNE1遺伝子増幅(または類似した機能的効果のある代替遺伝子変化)があるHGSOC、転移性去勢抵抗性前立腺癌[mCRPC]、進行性非小細胞肺癌[NSCLC]、及び頭頸部扁平上皮癌[HNSCC]、または肛門扁平上皮癌[SCCA]を有する対象である。対象は、実施例4で確立された投薬与計画に従ってまずSRA737を投与される。投薬計画は、いくつかの場合、臨床試験の過程で変化する。
【0351】
対象は、その腫瘍がChk1阻害に感受性を付与すると予想される変異の組み合わせを保有する旨の腫瘍組織またはctDNAの証拠を有する。対象は、NGSを使用するプロスペクティブな腫瘍組織遺伝子プロファイリングに基づいて選択される。
【0352】
拡大コホート対象は、以下のカテゴリ(a)~(c)の最低2つで、Chk1阻害に対する感受性を付与すると予想されるゲノム変化を保有する腫瘍を有する。
a.RB1、TP53などの、G1細胞周期の進行/停止を調節する重要な腫瘍抑制因子遺伝子。NHSCCまたはSCCAを有する患者の場合、HPV陽性状態も適格性について考慮される。
b.ATM、CDK12、BRCA1、及びBRCA2を含むDDR経路。CRCを有する患者の場合、ミスマッチ修復(MMR)遺伝子変化及び/または高マイクロサテライト不安定性も、適格性について検討される。
c.Chk1またはATRまたは他の関連する遺伝子の機能獲得型/増幅などの複製ストレスの遺伝的指標
d.MYC、KRASなどの発がん性ドライバー
e.CCNE1遺伝子増幅に特有のHGSOCコホートには、CCNE1遺伝子増幅(または類似した機能的効果を有する代替遺伝子変化)が必要とされる。
【0353】
いくつかの態様では、対象は、以下の基準(a~e)の1つを満たす。
a.転移性CRC
i.組織学的に及び/または細胞学的に確認されたCRC
ii.一般に、進行性/転移性疾患に対して過去に少なくとも1回の治療を受けたことがある。
b.HGSOC
i.組織学的に確認された高悪性漿液性卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌
ii.白金不耐性の再発対象、または白金ベースの化学療法を前回受けてから6カ月以内で疾患の進行の放射線学的な証拠として定義された白金耐性疾患を有する対象。(European Society for Medical oncology[ESMO]指針により定義された)白金難治性疾患を有する患者は資格がない。
c.進行性NSCLC
i.局所的に進行した、再発性または転移性の組織学的に確認されたNSCLC
ii.一般に、進行性/転移性疾患に対して過去に少なくとも1回の治療を受けたことがある。
d.mCPRC
i.アンドロゲン遮断療法後に進行した、組織学的または細胞学的に確認された前立腺の腺癌
e.HNSCCまたはSCCA
i.任意の原発部位またはSCCAからの組織学的に確認されたHNSCC
ii.HNSCCの場合:局所的に進行した疾患(つまり、治療目的の放射線後も持続するまたは進行する疾患であって、不治もしくは病的状態による外科的救済の候補ではない)、または転移性疾患
iii.SCCAの場合:治療目的の療法が利用できない局所的に進行した疾患または転移性疾患
iv.対象が、進行性/転移性疾患に対して過去に少なくとも1回の治療を受けたことがある。
【0354】
対象は、一般に、(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors、バージョン1.1[RECIST v1.1]に従って)測定可能な疾患、またはmCRPCの場合、以下、つまりRECIST v1.1に従い測定可能な疾患、増加する前立腺特異抗原(PS)の増加、または7.5mlの血液あたり5以上の細胞の循環腫瘍細胞(CTC)数のいずれかに従って評価可能な疾患を有する。
【0355】
拡大コホートへの登録は、いくつかの場合、用量漸増相(実施例5を参照)と並行して起こる。コホート拡大相に適格となる対象は、可能な限り漸増コホートに登録される。任意のそのような対象は、両方の相に同時に登録されたと見なされる。
【0356】
疾患は、固形腫瘍を有する対象の場合RECIST v1.1基準に従って、NHLを有する対象の場合改訂されたIWG基準(Cheson 2007)に従って、及びmCRPCを有する患者の場合、以下、つまりA)RECIST v1.1に従って測定可能疾患、B)PSAの増加、またはC)7.5mlの血液あたり5細胞以上のCTC数のいずれか1つの複合体を使用して測定される。
【0357】
ベースライン評価は、悪性腫瘍の性質に適切な病変の放射線測定を含む。いくつかの場合、これは、CTスキャン、肝臓CTスキャン、腹部CTスキャン、MRI、X線、骨スキャン、及び/または臨床的に必要とされる他の放射線測定または必要に応じた臨床測定(例えば、触知可能な病変の評価または腫瘍マーカーの測定)を含む。存在するすべての疾患の領域は(特定の病変が反応について追跡されない場合でも)文書化され、すべての測定可能な病変の寸法はスキャンレポートに明確に記録される。いずれの測定不可能な病変も存在していると記載される。臨床測定の場合、病変のサイズを推定するための定規を含むカラー写真術による文書化が強く推奨されるが、これは反応の外部の独立したレビューに役立つためである。
【0358】
腫瘍評価は、臨床的に必要な場合、8週間ごとまたはより頻繁に繰り返される。骨スキャンによって追跡されている骨転移のある対象は、最初の6カ月間8週間(±1週間)ごとに、次にその後は16週間(±2週間)ごとにスキャンされる。長期の追跡評価中、治験依頼者または治験責任医師によってより頻繁に要求されない限り、まだ進行しておらず代替の抗がん療法を開始していない対象の評価は、16週間ごとに行われる。ベースラインで測定されたすべての病変は、後続の疾患評価のたびに測定され、スキャンレポートに明確に記録される。ベースラインで認められたすべての測定不能の病変は、存在または不在としてスキャンレポートに書き留められる。進行性疾患(PD)以外の理由で被験治療から除外されたすべての対象は、過去4週間以内に腫瘍評価が行われた場合を除き、治療中止時に再評価されるべきである。対象は、疾患の進行または治験中止までPDについて追跡される。
【0359】
測定可能な疾患があり、少なくとも1周期のSRA737を投与され、疾患のベースライン評価、プラス少なくとも1つのベースライン後の評価を有するすべての対象が、反応について評価可能である。正式な疾患評価なしにPDの明確な証拠を生じる対象、及び研究中止前に正式な疾患評価のない対象は、無反応者と見なされる。完全寛解及びPRは、少なくとも4週間後に後続の評価によって確認される必要がある。安定している疾患(SD)の決定には、関連する基準が、SRA737の初回投与量が投与されてから最低でも6週間後に少なくとも1回満たされることが必要になる。
【0360】
万一4週間の治療の完了前に急速な腫瘍の進行が起こった場合は、対象は、早期の進行を有すると分類される。
【0361】
腫瘍反応は、例えばベースライン及び/または追跡評価が実行されないとき、または適切に実行されないときなど、別の反応カテゴリの下でそれを分類することができないときのみ、「評価不能」(NE)と分類されるべきである。
【0362】
反応基準を以下に定義する。
a.完全寛解(CR):すべての標的病変の消失。あらゆる病理学的なリンパ節が(標的なのか、それとも非標的なのかに関わりなく)一般に、<10mmまでの短軸の縮小を有する。
b.部分寛解(PR):基準としてベースライン径和をとり、標的病変の直径の和の少なくとも30%の減少。
c.進行性疾患(PD):基準として研究での最短和(それが研究での最小である場合、これはベースライン和を含む)をとり、標的病変の直径の和の少なくとも20%の増加。20%の相対的な増加に加えて、和は、一般に、少なくとも5mmの絶対的な増加も明示する。(注記:1つ以上の新たな病変の出現も、進行と見なされる。)
d.安定している疾患(SD):基準として研究中での最短径和をとり、PRに適格となるほど十分な縮小も、PDに適格となるほど十分な増加もない。
【0363】
結果
用量漸増相は、28日間の周期でQDで経口で投与された、20mgのSRA737で開始する加速滴定デザインを利用した。周期1の間にSRA737関連≧グレード2毒性が観察されると、単一対象コホートでの増分用量漸増に、ローリング-6デザインが続いた。
【0364】
コホート拡大相は、SRA737の循環血漿濃度がマウス有効性研究からモデル化されたSRA737の最小有効濃度を超えたときに同時に開始された。その後、進行中の用量漸増相で得られた経験から、拡大コホートのための用量選択の情報が提供された。コホート拡大相は、次世代シークエンシング(FoundationOne)によってプロスペクティブに選択された、Chk1阻害に感受性を付与すると仮定されたゲノム変化を保有する遺伝子学的に定義された腫瘍を有する対象を登録した。以下の腫瘍、つまりia)高悪性血漿性卵巣癌(HGSOC)、ib)CCNE1遺伝子ネットワーク増幅が推定的に高まっているHGSOC、ii)結腸直腸癌(CRC)、iii)転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、iv)非小細胞肺癌(NSCLC)、及びv)扁平上皮癌(頭頸部(SCCHN)、肛門(SCCA))を有する対象に登録の資格があった。
【0365】
このシグナル探索第1/2相研究(NCT02797964)は、SRA737の継続的な日々の投薬の安全性及び忍容性を調査するために、ならびに増加した内因性RS及びChk1i感受性を付与し得る遺伝子変化のある腫瘍での予備的な抗腫瘍活性を評価するために設計されていた。遺伝子スクリーニングは、これらの遺伝子変化の2つ以上を保有する対象を特定し、選択するために実行された。研究は、様々な癌適応症における内因性RSの様々な原因とSRA737単剤療法の抗腫瘍活性との関連を評価するために広範な調査として設計されていた。
【0366】
用量制限毒性(DLT)は、薬物動態(PK)導入用量に続いて、及び治療の周期1を通して評価され、SRA737にきわめて高い確実性でまたは高い確実性で関連している有害事象、つまり、>7日間続くグレード≧4の好中球減少症または血小板減少症、グレード≧3の発熱性好中球減少症または出血を伴う血小板減少症、グレード≧3の非血液学的毒性、または薬物関連の毒性のために周期1で計画されていたSRA737用量の≧75%を投与できないこととして定義された。
【0367】
予備的な抗腫瘍活性は、RECIST v1.1に従って標的腫瘍反応及び総合効果により評価された。
【0368】
用量及び薬物動態(PK)
用量漸増相では、QDで、20~1300mgに及ぶ9つの用量レベル(つまり、20、40、80、160、300、600、1000、及び1300mg)コホート全体で18人の対象がSRA737を投与された。これらの対象のうち、3人がDLT(計画されていた用量の75%を投与できなかったこと)を経験した。2人は胃腸の不耐容性のために1300mgQDで、1人は、血小板減少症のために500mgBIDでDLTを経験した。最大耐量(MTD)は、QDで1000mgまたはBIDで500mgで確立された。
【0369】
SRA737の血漿薬物動態は、再現可能であり、概して用量一致であった。1000mgのPK用量でのCmax及びAUC0-24は、それぞれ2098ng/mL及び20270 ng・h/mLであり、Cmin(289ng/mL)は、臨床前有効性モデルで、抗腫瘍活性(100nM、およそ37.9ng/mL)を有すると判断されたものを超えた。また、≧300mgQDのすべての用量も、この閾値レベルを超えた。
【0370】
【表11】
【0371】
コホート拡大相の登録は、600mgのSRA737で開始された。特に一般的な胃腸の事象(悪心、嘔吐、下痢)を含む全体的な忍容性に基づいて、拡大コホートで用いられる推奨用量は、800mgQD(RP2D)であると後に決定された。
【0372】
コホート拡大相では、プロスペクティブに特定された512人の対象のうち、355人が、Chk1感受性と関連する遺伝子変化について検査された。これらの対象のうち、237人(67%)が遺伝的適格性基準を満たし、94人が6つの腫瘍タイプにわたる拡大コホートに登録された。
【0373】
安全性
治療中に発生した有害反応(TEAE)は、対象の106人(99%)で報告され、97人の対象(91%)が少なくとも1つのSRA737に関連した事象を経験した。
TEAEの大半は、重症度が軽度から中等度であった(90%グレード1/グレード2)。最も一般的なTEAEは、下痢(68%)、悪心(66%)、嘔吐(51%)、及び倦怠感(47%)であった。
【0374】
最も一般的な≧グレード3のTEAEは、好中球減少症及び疾患進行(各8%)、リンパ球数減少(5%)、感染症及び低ナトリウム症(各4%)ならびに悪心、腹痛、上部腹痛、倦怠感、AST上昇、呼吸困難、胸水、及び斑点状丘疹(各3%)であった。最も一般的な≧グレード3のSRA737関連のTEAEは、好中球減少症(8%)及び斑点状丘疹(3%)であった。
【0375】
前回治療後の最大30日までに6つのグレード5のTEAEが報告された。どれもSRA737に関連していると見なされなかった。曝露期間の中央値は2.3周期(範囲<1~9周期)であった。投与された最大9周期までのSRA737で、出現した毒性もしくは累積毒性及び/または忍容性低下の証拠は観察されなかった。
【0376】
【表12】
【0377】
反応
漸増コホートと拡大コホートの両方にわたって、107人の対象がSRA737を用いた治療を受けている。コホート拡大相では、HGSOCコホートに最大数の対象が登録し(n=38)、次に多い数がCRCコホートに登録した(n=27)。
【0378】
すべての腫瘍タイプにわたる以前の治療計画の平均数は4.2であり、高度に前治療を受けた研究集団と一致していた。HGSOCコホートは約5種類の治療歴があった。
【0379】
遺伝子プロファイリングを可能にするための承諾から周期1の1日目までの治療遅延の中央値は、約2カ月(61日)であり、腫瘍組織を使用するプロスペクティブな遺伝子スクリーニングの課題を浮き彫りにした。
【0380】
治療した対象のうち、64人(60%)が、RECIST標的腫瘍反応について評価可能と見なされ、利用可能な遺伝子プロファイルを有していた。
【0381】
SDの最良治療効果が34人(32%)の対象で見られた。データカットオフ時点で(2019年5月3日)、≧4カ月続く長い安定している疾患(SD)が22人(21%)の対象で記録され、(SCCHNを除く。4人の対象)すべてのコホート拡大腫瘍タイプで観察された。
【0382】
RECIST部分寛解または完全寛解が確認された対象はいなかったが、対象のサブセットは顕著な標的腫瘍減少を明示した。抗腫瘍活性が、HGSOC、CRC、mCRPC、及びNSCLCの腫瘍を有する対象で観察された。
【0383】
この研究ではHGSOCがSRA737単剤療法に最も感受性が高い腫瘍であるように見えた(27%及び29%の最大標的腫瘍減少、病勢コントロール率(DCR)=54%)。この研究のシグナル探索目的に沿って、登録及び治療された腫瘍タイプについて決定された遺伝子プロファイルに関して、腫瘍反応がさらに調べられた。
【0384】
機能カテゴリ(G1/S、腫瘍遺伝子、DNA修復遺伝子)を包含するRSドライバー遺伝子が、遺伝子ネットワーク及び/またはSRA737を用いた治療に対する感受性が高まっている個々の遺伝子を特定するために調査された。
【0385】
選択した遺伝子ネットワークに腫瘍変化のある対象の数は、i)探索された適応症の範囲内での特定の遺伝子変化の発生及びii)登録測定基準に基づいて変化した。
【0386】
対象のコホートは、CCNE群の変異を推定的に高めるために特に登録されたが、遺伝子解析は、4/24人のHGSOC対象だけに、明確に陽性のCCNE1増幅を保有する腫瘍があり、3人がSDであり、1人が進行疾患(PD)であることを明らかにした。非常に限られたデータセットであるが、感受性との明確な相関は、CCNE1増幅に関連して観察されなかった。
【0387】
>10人の対象の遺伝子ネットワークの中では、RASネットワークでの活性化突然変異は、15/20人のPDでの低いDCR(25%)、及び+20%の総合平均腫瘍%の変化、ならびに2周期の短い研究期間(DOS)の傾向となった。活性との強力な負の相関を所与として、後続の経路/シグナル探索分析が、RAS変異した腫瘍を除外して実行された。
【0388】
RAS変異とは対照的に、P13K遺伝子ネットワーク(PIK3CA、AKT、PTEN)での変化は、77%のDCRと関連していた。
【0389】
同様に、FA/BRCA遺伝子ネットワークの複数の成分での遺伝子変化は、71%のDCR及び3.8周期のDOSと関連していた。
【0390】
顕著な反応(腫瘍縮小及び/または>4カ月のSD)のある対象の大半は、PI3K遺伝子ネットワークとFA/BRCA遺伝子ネットワークのどちらかまたは両方に変化を保有していた。CCNE遺伝子ネットワークの変化(DCR=67%)は、FA/BRCA対象と部分的に重複していたが、PI3Kネットワークの変化と相互に排他的であった。腫瘍減少を明示する対象の多くは、FA/BRCA遺伝子ネットワークで、DDRキナーゼ遺伝子(ATR、PRKDC)での二次変異を頻繁に含む2つの遺伝子変化を保有していた。
【0391】
概要
SRA737単剤療法のこのヒト初回投与治験では、最大耐量(MTD)は1000mg/日であり、総合忍容性及びPKに基づき、推奨単剤療法用量は800mg/日である。これらの結果は、SRA737の安全性及び忍容性を浮き彫りにしている。
【0392】
遺伝子プロファイリングを可能にするための承諾からC1D1(治療周期1の1日目)までの治療遅延の中央値は2カ月を超え、腫瘍組織を使用するプロスペクティブな遺伝子スクリーニングの課題を浮き彫りにした。進行性疾患(4+種類の治療歴)のある対象の集団では、この治療開始の遅延は、議論の余地はあるかもしれないが、根本的な疾患の進行を悪化させる。
【0393】
シグナル探索研究は、潜在的なSRA737に敏感な設定を特定するために、腫瘍の適応症及び腫瘍のRSドライバー遺伝的特徴にわたって広く調査された。予備的な証拠は、RSのいくつかの内因性の原因が、いくつかの固形腫瘍タイプにわたってChk1依存性に貢献するまたは強化する場合があることを示唆している。
【0394】
高度に前治療したHGSOCコホート(約5種類の治療歴)は、方向的に好ましい病勢コントロール(DCR=54%)を明示し、注目に値する最大腫瘍削減は29%及び27%であった。CCNE1遺伝子増幅では感受性の向上に対する明確な傾向は認められなかった。明瞭なCCNE1増幅で登録した対象の小さいサブセットにより、最も信頼のおける結論が難しくなる。
【0395】
i)顕著な腫瘍体積の減少、及びii)最長DOSの評価から、腫瘍がFA/BRCAネットワーク変異を保有していた対象が最も好ましい結果(DCR=71%、DOS=3.8周期)を示したことが明らかになった。このネットワークの遺伝子は、RSに応えて複製フォーク代謝を直接的にまたは間接的に管理する因子をコードする。重要なことには、これらの感受性の傾向は、複数の適応症にわたって観察され、組織学的に依存しない感作の可能性を示唆する。
【0396】
また、本研究における感受性の向上と関連する同じ根本的な腫瘍の遺伝的特徴が、SRA737+低用量ゲムシタビン(LDG)の臨床研究(NCT02797977)で治療された対象でも観察された。
【0397】
FA/BRCA経路内では、頻繁にDDRチェックポイントキナーゼ遺伝子(ATR、PRKDC)での二次変異を含む2つの遺伝子変化を保有する対象で、いくつかの顕著な腫瘍減少が起こった。SRA737+LDG臨床研究でも観察されたこの現象は、重複する複合的な変異が、内因性RSの上昇及びゲノム不安定性につながる、及び/またはその結果となる場合があることを示唆している。
【0398】
本臨床研究で決定された正の淘汰と負の淘汰両方の遺伝子マーカーを特定することによって、将来の臨床研究における展開のための焦点を絞ったctDNA強化戦略が提供され、潜在的にプロスペクティブな登録を迅速化し得る。
【0399】
全体として、これらのデータは、SRA737抗腫瘍活性の有望な証拠を示し、SRA737感受性の向上と関連するいくつかの遺伝子ネットワークを特定する。
【0400】
これらの研究結果は、増強LDGがSRA737と組み合わされた、SRA737-02臨床研究で明示された抗腫瘍活性によって証明されるように、外因性の発生源を介してなど、追加のRSが、高度に選択的なChk1iとの長い客観的な反応を生じさせるために望ましい場合があることを示唆している。
【0401】
実施例7:Chk1感受性を付与する遺伝子変化のある選択腫瘍でのSRA737併用療法の有効性を確認するための第1/2相臨床研究
Chk1阻害に対して腫瘍を感作すると予想されるゲノム変化の普及率が高いことが知られている腫瘍タイプを有する、プロスペクティブに選択された遺伝子学的に定義された対象に対して、本明細書に開示する治療のためのSRA737併用療法の方法及び患者選択戦略の有効性を確認するために、ヒトに投与する臨床試験が実施される(「コホート拡大相」)。コホート拡大相では、約20人のプロスペクティブに選択された遺伝子学的に定義された対象が、4つの適応症に特有のコホート、つまり高悪性漿液性卵巣癌(HGSOC)、小細胞肺癌(SCLC)、軟部肉腫(STS)、及び頸部/肛門性器癌の各々に登録されている。SRA737の有効濃度を生じさせる投薬を確立したPKデータに基づいて(実施例5を参照)、開始用量レベルとして500mgのSRA737及び100mg/mのゲムシタビンが使用された。投薬計画は、いくつかの場合、治験の過程で変化する。SRA737カプセルは、別段に指示されない限り空腹時に(対象は、投与前に少なくとも2時間及び投与後に1時間断食する)服用する。
【0402】
対象は、
a.従来の他の療法が適切と見なされない、以下のタイプの組織学的または細胞学的に証明された進行性悪性腫瘍を有する。
i.高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)
1.組織学的に確認された高悪性度漿液性卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌
2.白金耐性もしくは難治性の疾患、または対象が白金療法に不耐性である場合
ii.小細胞肺癌
1.治験依頼者によって別段に承認されていない限り、一般に、進行性疾患に対して過去に少なくとも1回であるが、3回以下の治療を受けている。
iii.軟部肉腫
1.未分化の多形性肉腫/悪性線維性組織球腫(MFH)(高悪性度紡錘細胞肉腫/多形性脂肪肉腫を含む)、平滑筋肉腫、及び脱分化脂肪肉腫を含む。他の種類のSTSは、いくつかの場合、治験依頼者の承認があれば資格がある。
2.治験依頼者によって別段に承認されていない限り、一般に、進行性疾患に対して過去に少なくとも1回であるが、3回以下の治療を受けている。
iv.子宮頸癌/肛門性器癌
1.すべての子宮頸癌、及び肛門、陰茎、膣、及び外陰部の進行性/転移性の扁平上皮癌を含む
2.治験依頼者によって別段に承認されていない限り、一般に、進行性疾患に対して過去に少なくとも1回であるが、3回以下の治療を受けている。
v.尿路上皮癌
1.膀胱、上部尿管、または尿道の組織学的に確認された局所進行性かつ切除不能または転移性の尿路上皮癌
2.一般に、進行性疾患に対して過去に少なくとも1回であるが、3回以下の治療を受けている。
b.RECIST v1.1に従って測定可能な疾患(下記参照)
c.対象は、腫瘍組織またはctDNAの遺伝子プロファイリング、HPV状態、生殖細胞系のBRCA1とBRCA2の遺伝子状態を含む因子に基づいたChk1阻害に対する予測された感受性を有する。すべての対象は、腫瘍組織またはctDNAからの遺伝子プロファイリングを有し、プロファイリングは、Chk1感受性を評価することが必要とされる場合にはプロスペクティブに実行される、またはそれ以外の場合は遡及的に実行される。
i.HGSOCを有する対象の場合、体細胞または生殖細胞系のBRCA1とBRCA2の野生型状態に関する記述が、プロスペクティブな遺伝子プロファイリングを必要とすることなく適格性を付与する。BRCA状態に関する記述を入手できない場合、いくつかの場合は、適格性を判断するために遺伝子プロファイリングがプロスペクティブに実行される。
ii.SCLCを有する対象は、この集団において腫瘍抑制因子遺伝子(例えば、TP53及びRB1)ががんに関連した変化を非常に高い普及率で有することに基づいて、プロスペクティブな遺伝子プロファイリングを必要とせずに資格を有する。
iii.STSを有する対象、及び遺伝子プロファイリングがプロスペクティブに実行されるすべての他の対象の場合、適格性は、以下のカテゴリの遺伝子で検出された遺伝的異常の治験依頼者によるレビューによって決定される。RB1、TP53などのG1細胞周期の進行/停止を調節する重要な腫瘍抑制因子遺伝子。関連するがんの場合、陽性のヒトパピローマウイルス(HPV)の状態も適格性について検討される。
a.ATM、CDK12、BRCA1、BRCA2を含むDNA損傷応答経路、ミスマッチ修復遺伝子変化、及び/または高マイクロサテライト不安定性
b.Chk1またはATRまたは他の関連する遺伝子の機能/増幅の利得などの複製ストレスの遺伝的指標
c.MYC、CCNE1などの発がん性ドライバー
iv.肛門性器癌の対象の場合、既知のHPV陽性状態は、いくつかの場合、プロスペクティブな遺伝子プロファイリングを必要とすることなく適格性を付与する。HPV状態が既知ではない、または陽性ではない場合、遺伝子プロファイリング(または適切な場合ヒトパピローマウイルス検査)が、いくつかの場合、適格性を判断するためにプロスペクティブに実行される。子宮頸癌または肛門扁平上皮癌の対象は、これらの集団におけるHPV陽性の非常に高い普及率に基づいて、プロスペクティブな遺伝子プロファイリングを必要とせずに資格を有する。
【0403】
代わりに、対象は、上述した組織学的にまたは細胞学的に証明された進行性の悪性腫瘍の1つを有し、腫瘍組織またはctDNAは、その腫瘍がChk1阻害に対する感受性を付与することが期待される1つ以上の変異を保有していることを証明する。適格性は、以下のカテゴリの遺伝子で検出された遺伝的異常の治験依頼者によるレビューによって判断される。
a.RB1、TP53などのG1細胞周期の進行/停止を調節する重要な腫瘍抑制因子遺伝子。関連するがんの場合、陽性のヒトパピローマウイルス(HPV)状態も適格性について検討される。
b.ATM、CDK12、BRCA1、BRCA2を含むDNA損傷応答経路、ミスマッチ修復遺伝子変化、及び/または高マイクロサテライト不安定性
c.Chk1またはATRまたは他の関連する遺伝子の機能/増幅の利得などの複製ストレスの遺伝的指標
d.MYC、KRASなどの発がん性ドライバー
【0404】
対象は、以下の基準に基づいて除外される。
a.SRA737を投与される前に、注記された時間枠内に以下の以前または現在の抗がん療法を受け、毒性から回復した。
i.2週間以内の放射線療法、化学療法、PARP阻害剤、他の標的療法、または他のIMP
ii.6週間以内のニトソウレアまたはマイトマイシンC
iii.任意の時点でのChk1阻害剤を用いた任意の以前の治療または6カ月以内のATR阻害剤を用いた以前の治療
b.進行性の疾患に対する3つ以下の以前の治療計画(HGSOC拡大コホートには適用不可)
c.適切に治療された腫瘍を除き、過去2年以内の他の悪性腫瘍
d.治験責任医師の意見で、対象が臨床的に重大な骨髄抑制を経験する可能性が非常に高い場合
e.NCI-CTCAEグレード1を超える以前の治療の継続中の中毒症状発現
f.ゲムシタビンに対するアレルギーの病歴
g.新規または進行中の脳転移。8週間の期間にわたって無症状であり、X線上安定しており、その期間中ステロイドで治療されていない脳転移のある対象は、いくつかの場合、治験依頼者の承認を得て含まれる。
h.非悪性全身性疾患のための高い医学的危険性
i.B型肝炎、C型肝炎、またはHIVに対して血清学的に陽性
j.治験依頼者によって承認されない限り、重篤な心臓疾患、ベースラインで左心室駆出率<45%、過去6カ月以内の心虚血の病歴、または治療を必要とする心不整脈の既往歴
k.以前の骨髄移植または過去8週間以内の25%を超える骨髄に対する広範囲の放射線療法
l.ピーナッツアレルギー
m.成人男性でのQTcF>450msec及び成人女性での>470msec
n.いくつかの場合、SRA737の吸収を著しく改変する消化管(GI)機能の障害またはGI疾患
o.咀嚼または粉砕することなくカプセルを飲み込むことができないこと
p.別の介入臨床試験の参加者である、または参加する予定である
q.治験責任医師の意見では、対象が適切な候補者とはならないであろう任意の他の条件
【0405】
測定可能な疾患を有し、1周期でSRA737の少なくとも75%(第1ステージ)または83%(第2ステージ)(または治験依頼者が代替投薬スケジュールを評価することを選択する場合は同等物)を投与され、疾患のベースライン評価と、少なくとも1つのベースライン後評価とを有するすべての登録対象は、反応について評価される。コホート拡大相に登録するすべての対象は、測定可能な疾患を有し、上記に定義された少なくとも1周期の研究投薬が行われ、疾患のベースライン評価、プラス少なくとも1つのベースライン後の疾患評価を有し、遺伝子選択要件を満たしていると確認される場合、反応について評価される。
【0406】
また、対象は、測定可能な疾患を有し、(治験依頼者が代替投薬スケジュールを評価することを選択した場合)1周期でSRA737の少なくとも83%を投与されたが、ベースライン後の評価前に、PD、耐えられない毒性、または死亡に至る対象は、評価可能であり、非反応者として分類される。
【0407】
すべての有効性評価項目の分析は、反応評価可能集団に基づいており、以下に説明するように、RECIST v1.1基準を使用して評価される。
【0408】
他の評価項目は、奏功期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、反応までの時間(TTR)、PFS、無増悪期間(TTP)、OSを含む。他の探索的目的を表11に説明する。
【0409】
【表13】
【0410】
追加の治験は、化学療法剤を投与すること、抗体または抗体フラグメントを投与すること、放射線治療を投与すること、複製ストレスの外部誘導物質を投与すること、またはそれらの組み合わせを投与することを含む、他の療法と組み合わせたSRA737を用いて実施される。他の治験は、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、シスプラチン、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、エトポシド、SN-38/CPT-11、マイトマイシンC、またはそれらの組み合わせを投与することを含む、他の療法と組み合わせたSRA737を用いて実施される。
【0411】
この研究の結果は、Chk1阻害に対する感受性を付与することが予想される既知の遺伝子変化を有する腫瘍の治療に対するSRA737併用療法の有効性を確認する(図17)。概念実証臨床活性が、肛門性器(例えば、肛門)、頸部、及び直腸などの腫瘍タイプで見られた。LDGとSRA737の組み合わせは忍容性良好である。この初めてヒトに投与する臨床研究は、治療量を下回るLDGがSRA737抗腫瘍活性を効果的に増強する旨の概念実証を提供する。
【0412】
RECIST基準
この研究での疾患反応の評価は、改訂されたRECIST基準V1.1に従って実行される。RECIST基準は、教示する内容すべてについて参照により本明細書に組み込まれるEisenhauer,et al.(New response evaluation criteria in solid tumours: Revised RECIST guideline(version 1.1)Eur J Cancer[Internet]2009)により詳細に説明されている。
【0413】
ベースラインで、腫瘍病変/リンパ節は、通常、以下の通りに測定可能または測定不能と分類される。
【0414】
測定可能
腫瘍病変:通常、最小サイズが以下のサイズである少なくとも1つの寸法(測定平面の最長直径が記録されるべきである)で正確に測定される。
-CTスキャンで10mm(5mm以下のCTスキャンスライスの厚さ。撮像ガイダンスについては、Eisenhauer et al.の付録II[Eisenhauer, 2009])を参照。
-臨床検査による10mmキャリパーの測定(キャリパーで正確に測定できない病変は、測定不能として記録するべきである)
-胸部X線で20mm
【0415】
悪性リンパ節:病理学的に拡大し、測定可能と見なされるためには、リンパ節は、CTスキャンで評価されるとき通常、短軸で15mmである(CTスキャンスライス厚さは5mm以下であることが推奨される)。ベースラインで、及び追跡評価中、通常、短軸だけが測定され、追跡される。
【0416】
測定不能
小さい病変(最長径<10mmまたは短軸が≧10~<15mmの病的リンパ節)、及び真に測定不能な病変を含むすべての他の病変。真に測定不能と見なされる病変は、一般に、再現可能な撮像技術で測定できない身体検査により特定される、軟膜疾患、腹水症、胸水または心外膜液、炎症性乳房疾患、皮膚または肺のリンパ管侵襲、腹部腫瘤/腹部臓器肥大症を含む。
【0417】
骨病変、嚢胞性病変、及び以前に局所療法で治療された病変は、特定のコメントを必要とする。
【0418】
骨病変:
-骨スキャン、PETスキャン、または単純写真は、一般に、骨病変を測定するために適切な撮像技術と見なされていない。しかしながら、これらの技術は、骨病変の存在または消失を確認するために使用できる。
-CTまたはMRIなどの断層撮像技術によって評価できる特定可能な軟組織成分を有する溶解性骨病変または混合溶解性-骨芽球性病変は、軟組織成分が上述の測定可能性の定義を満たす場合、通常、測定可能病変と見なされる。
-骨芽球性骨病変は、通常、測定不能である。
【0419】
嚢胞性病変:
-放射線学的に定義された単純嚢胞の基準を満たす病変は、それらは定義により単純嚢胞であるため、通常、悪性病変とは見なされない(測定可能でも、測定不能でもない)。
-嚢胞性転移を表すと考えられる「嚢胞性病変」は、通常、それらが上述の測定可能性の定義を満たす場合、測定可能病変と見なされる。しかしながら、非嚢胞性病変が同じ対象に存在する場合、これらが標的病変としての選択に好ましい。
【0420】
以前に局所治療を受けた病変:
-以前に照射された領域、または他の局所領域療法を受けた領域に位置する腫瘍病変は、病変での進行が明示されない限り、通常、測定可能であるとは見なされない。研究のプロトコルは、通常、そのような病変が通常測定可能と見なされる条件を詳説する。
【0421】
評価の方法
すべての測定値は、臨床的に評価される場合、通常、キャリパーを使用し、メートル法で記録される。すべてのベースライン評価は、一般に、治療開始に可能な限り近く実行され、治療の始まりの4週間以上前には決して実行されない。
【0422】
ベースラインで及び追跡評価中に特定され、報告された各病変を特徴付けるために、通常、同じ評価方法及び同じ技術が使用される。追跡されている病変(複数可)を撮像できないが、臨床検査によって評価可能でない限り、通常、臨床検査よりも撮像ベースの評価が常に行われる。
【0423】
臨床病変は、キャリパーを使用して評価されるとき、それらが表在性であり、直径≧10mmであるとき(例えば、皮膚結節)、通常、測定可能と見なされる。皮膚病変の場合、病変のサイズを推定するための定規を含むカラー写真による文書化が提案される。上述のように、病変を臨床検査と撮像の両方で評価できるとき、撮像評価は、それがより客観的であるため一般に行われ、いくつかの場合、研究の最後にもレビューされる。
【0424】
特に新しい病変を特定するときには、CTがX線よりもより感受性が高いので、特に進行が重要な評価項目であるとき、一般には、胸部X線よりも胸部CTが好まれる。しかしながら、いくつかの場合、胸部X線の病変は、それらが明確に画定され、含気肺に囲まれている場合は測定可能と見なされる。
【0425】
CTは、一般に、反応評価に選択された病変を測定するために現在利用可能な最善かつ再現可能な方法である。この指針は、CTスライスの厚さが5ミリ以下であるという仮定に基づいてCTスキャンでの病変の測定可能性を定義している。CTスキャンが5mmを超えるスライス厚さを有するとき、測定可能病変の最小サイズはスライス厚さの2倍である。また、特定の状況(例えば、ボディースキャンの場合)ではMRIも受容される。客観的な腫瘍反応評価のアセスメントのためのCTとMRIの両方の使用に関する詳細は、Eisenhauerらの出版物から提供される。
【0426】
超音波は、一般に病変サイズの評価には有用ではなく、一般に測定方法として使用されない。超音波検査は、一般に、後日の独立したレビューのためにその全体として再現することはできず、超音波検査はオペレータに依存しているため、一般に、ある評価から次の評価で同じ技術及び測定値が採取されることを保証することはできない(Eisenhauer,et al.(2009)により詳細に説明される)。新しい病変が研究の過程で超音波によって特定されると、通常、CTまたはMRIによる確認が勧められる。CTで放射線曝露についての懸念がある場合、いくつかの場合、選択された例でMRIがCTの代わりに使用される。
【0427】
客観的な腫瘍評価に対する内視鏡技術及び腹腔鏡技術の利用は、一般に勧められていない。しかしながら、それらは、一般に、生検が得られるときは病理学的な完全寛解を確認するために、または完全寛解もしくは外科的切除に続く再発が評価項目である治験での再発を決定するために有用である。
【0428】
一般には、腫瘍マーカー単独は、客観的な腫瘍反応を評価するために使用されない。しかしながら、マーカーが最初に通常の上限を超えている場合、対象が完全寛解にあると見なされるために、腫瘍マーカーは通常正規化される。
【0429】
細胞診及び組織学は、一般に、プロトコルによって必要とされる場合、まれにPRとCRを区別するために使用される(例えば、既知の残留良性腫瘍が残る場合がある、胚細胞腫瘍などの腫瘍タイプでの残存病変)。滲出液が(例えば、特定のタキサン化合物または血管造成阻害剤を用いた)治療の潜在的な副作用であることがわかっているとき、測定可能腫瘍が、反応(または安定している疾患)と進行性疾患を区別するために反応または安定している疾患の基準を満たしている場合、治療中に出現または悪化する任意の滲出の腫瘍性起源の細胞学的確認が検討される。
【0430】
腫瘍反応評価
客観的な反応または将来の進行を評価するために、ベースラインでの総合的な全身腫瘍組織量が一般に推定され、後続の測定のための比較対象として使用される。測定可能な疾患は、一般に、少なくとも1つの測定可能病変の存在によって定義される。
【0431】
ベースラインで複数の測定可能な病変が存在するとき、すべての関与する器官を表す最大合計5つの病変(及び器官あたり最大2つの病変)は、一般に標的病変として特定され、ベースラインで記録され、測定される(つまり、対象が関与する1つまたは2つの器官部位しか有さない場合、それぞれ最大2つの病変及び4つの病変が記録される)。標的病変は、一般に、そのサイズ(最長径の病変)に基づいて選択され、一般にすべての関与する器官を表すが、さらに一般には再現性のある繰り返される測定に適した病変である。いくつかの場合、最大病変は再現性のある測定に適しておらず、この状況では、Eisenhauer,et al.(2009)図3に例示されるように、再現可能に測定できる次に大きい病変が通常選択される。
【0432】
リンパ節は、たとえ腫瘍で侵されていなくても、いくつかの場合撮像によって可視である正常な解剖学的構造であるため、特筆に値する。測定可能と定義され、いくつかの場合、標的病変として特定された病的な結節は、一般に、CTスキャンによる≧15mmの短軸の基準を満たす。これらの結節の短軸だけが、通常ベースライン和に寄与する。結節の短軸は、結節が固形腫瘍に侵されているかどうかを判断するために、通常放射線科医が使用する直径である。結節のサイズは、通常、画像が得られる平面での2次元として報告される(CTスキャンの場合、これはほぼ常に軸平面である。MRIの場合、取得平面は、いくつかの場合、アキシャル、サジタル、またはコロナルである)。これらの測定値の小さい方が短軸である。例えば、20mm×30mmであるとして報告される腹部リンパ節は、20mmの短軸を有し、悪性の測定可能な結節としての資格がある。この例では、20mmは、結節測定値として記録される必要がある。他のすべての病的な結節(短軸が、≧10mmであるが、<15mmのもの)は、通常、非標的病変と見なされる。短軸<10mmを有する結節は、一般に非病的と見なされ、一般に記録または追跡されない。
【0433】
すべての標的病変の直径の和(非結節性病変の場合最長、結節性病変の場合短軸)は、通常、ベースライン径和として計算され、報告される。リンパ節を和に含める場合、次に上記のように、短軸だけが和に加算される。ベースライン径和は、一般に、疾患の測定可能な次元での任意の客観的な腫瘍退縮をさらに特徴付けるための基準として使用される。
【0434】
病的なリンパ節を含む他のすべての病変(または疾患の部位)は、一般に、非標的病変として特定され、一般にベースラインで記録される。測定値は通常必要とされず、これらの病変は通常「存在する」、「存在しない」、またはまれに「明らかな増悪」(詳細は以下に続く)として追跡される。さらに、症例記録書式に単一のものとして同じ器官を侵している複数の非標的病変を記録することが可能である(例えば、「複数の拡大された骨盤リンパ節」または「多発性肝転移」)。
【0435】
反応基準
完全寛解(CR):すべての標的病変の消失。任意の病的なリンパ節は、(標的であるのか、それとも標的でないのかに関わりなく)は、短軸で<10mmまで縮小される。
【0436】
部分寛解(PR):基準としてベースライン径和をとり、標的病変の直径の和の少なくとも30%の減少。
【0437】
進行性疾患(PD):基準として最短和(それが研究での最小である場合、これはベースライン和を含む)をとり、標的病変の直径の和の少なくとも20%の増加。20%の相対的増加に加え、和は、一般に少なくとも5mmの絶対的増加を明示する。(注記:1つ以上の新たな病変の出現も、一般に進行と見なされる。)
【0438】
安定している疾患(SD):基準として最短径和をとり、PRに適格となるほど十分な縮小も、PDに適格となるほど十分な増加もない。
【0439】
標的病変として特定されたリンパ節は、通常、結節が10mmを下回って退縮しても、一般に、(ベースライン検査と同じ解剖平面で測定された)実際の短軸測定値を記録する。つまり、通常のリンパ節は一般に<10mmの短軸を有するとして定義されるので、リンパ節が標的病変として含まれるとき、完全寛解の基準が満たされたとしても、病変の「和」は、いくつかの場合ゼロではない。したがって、症例報告書または他のデータ収集方法は、いくつかの場合標的結節性病変を別個の項に記録させるように設計されており、CRの資格を得るために、各結節は通常<10mmの短軸を達成する。PR、SD、及びPDの場合、結節の実際の短軸測定値は、好ましくは標的病変の和に含まれる。
【0440】
研究時、ベースラインで記録されたすべての病変(結節性及び非結節性)は、通常、各々の後続の評価で、たとえ非常に小さくても(例えば2mm)その実際の測定値を記録する。しかしながら、ときおり、ベースラインで標的病変として記録された病変またはリンパ節は、CTスキャンで非常に薄くなるので、放射線科医は、いくつかの場合、正確な測定値を割り当てることに抵抗を感じ、いくつかの場合、それらを「小さすぎて測定できない」と報告する。これが発生すると、一般に、症例報告書に値を記録することが重要である。放射線科医の意見では、病変がおそらく消失した場合、測定値は、一般に0mmとして記録される。病変が存在すると考えられ、薄く見えるが、小さすぎて測定できない場合、5mmのデフォルト値が通常割り当てられる。(注記:一般に、リンパ節は通常、正常時画定可能なサイズを有し、後腹膜においてのように頻繁に脂肪で囲まれているので、この規則がリンパ節に使用される可能性は低い。しかしながら、リンパ節が存在すると考えられ、薄く見えるが、小さすぎて測定できない場合、この状況でも5mmのデフォルト値が通常割り当てられる。)このデフォルト値は、5mmのCTスライス厚さから導出される(が、通常、変化するCTスライス厚さとともに変化しない)。これらの病変の測定値は、潜在的に再現不能であるため、このデフォルト値を提供すると、通常、測定誤差に基づいて偽の反応または進行が防がれる。しかしながら、繰り返すと、放射線科医が実際の測定値を提供できる場合、それは5mmを下回っても、通常記録される。
【0441】
非結節性病変を「フラグメント化」すると、フラグメント化された部分の最長直径は、標的病変和を計算するために、通常互いに加算される。同様に、病変が癒着すると、各個々の病変の最大直径測定値を得るのに役立つであろう、それらの間の平面は一般に維持される。病変が、それらがもはや分離可能ではなくなるように真に癒着した場合、本例の最長径のベクトルは、一般に「癒着した病変」の最大最長直径である。
【0442】
いくつかの場合のいくつかの非標的病変は実際の測定可能であるが、それらは通常測定されず、代わりに、一般にはプロトコルで指定された時点で定性的にのみ評価される。
【0443】
完全寛解(CR):すべての非標的病変の消失と腫瘍マーカーレベルの正常化。すべてのリンパ節のサイズは病的ではない(<10mm短軸)。
【0444】
非CR/非PD:1つ以上の非標的病変(複数可)の持続及び/または正常の限界を超えた腫瘍マーカーレベルの維持
【0445】
進行性疾患(PD):既存の非標的病変の明らかな増悪(以下のコメントを参照)(注記:1つ以上の新たな病変の出現も、進行と見なされる。)
【0446】
対象が測定可能な疾患も有するとき、非標的疾患に基づいて「明らかな増悪」を達成するためには、標的疾患にSDまたはPRが存在しても、総合的な全身進腫瘍組織量が療法の中止に値するほど十分に増加したように標的疾患の全体的なレベルは実質的に悪化する。1つ以上の非標的病変のサイズの穏やかな「拡大」は、通常、明らかな増悪状態に適格となるには十分ではない。したがって、標的疾患のSDまたはPRにも関わらず非標的疾患での変化だけに基づいて全体的な進行を指定することは、一般に非常にまれである。
【0447】
測定不能な疾患だけを有する対象は、測定可能な疾患を有することが研究参加の基準ではないときにいくつかの第III相治験で生じる。同じ一般的な概念は、上記のようにここで適用するが、この例では、測定不能な疾病の負担の増加の解釈に考慮に入れる測定可能な疾患の評価はない。非標的疾患での悪化は、通常容易に数値化されない(定義により:すべての病変は真に測定不能である)ため、明らかな増悪について対象を評価するときに通常適用できる有用な試験は、測定不能な疾患の変化に基づいた全体的な疾病の負担の増加が、測定可能な疾患についてPDを宣言するために必要とされるであろう増加、つまり、(測定可能な病変での直径の20%の増加に同等である)「体積」の追加の73%の増加を表す全身腫瘍組織量の増加に、規模で匹敵するかどうかを検討することである。例は、「微量」から「大」への胸水の増加、限局性から広範囲へのリンパ管疾患の拡大を含む、またはいくつかの場合、プロトコルで「療法の変更を必要とするほど十分」と記載される。「明らかな増悪」が見られる場合、対象は通常その時点で全体的なPDを有していたと見なされる。測定不能な疾患に適用する客観的な基準を有することが理想的であろうが、その疾患自体の性質により、一般にそのようにすることは非常に困難である。したがって、増加は通常多大である。
【0448】
新しい悪性病変の出現は、通常、疾患の進行を示すため、新たな病変の検出に関するいくつかのコメントは、通常、重要である。一般に、新しいX線写真上の病変を特定するための特定の基準はない。しかしながら、新しい病変の発見は通常明白である。つまり、通常、スキャン技術の差、画像診断法の変更、または腫瘍以外の何かを表すと考えられる発見には起因しない(例えば、いくつかの「新しい」骨病変は、いくつかの場合、既存の病変の治癒または炎症に過ぎない)。対象のベースライン病変が、部分寛解または完全寛解を示すときに、これは特に重要である。例えば、肝臓病変のネクローシスは、CTスキャン報告で「新しい」嚢胞性病変として頻繁に報告され、それは通常、そうではない。
【0449】
ベースライン時にスキャンされなかった解剖学的場所で追跡評価研究で特定された病変は、一般に新しい病変と見なされ、一般に疾患の進行を示す。これの例は、ベースライン時に内臓疾患を有し、研究中は、脳のCTまたはMRIが指示され、それが転移を明らかにする対象である。対象の脳転移は、たとえ患者がベースライン時に脳の撮像をしていなかったとしても、一般に、PDの証拠であると見なされる。
【0450】
新しい病変が、例えばその小さいサイズのため、はっきりしない場合、継続的な療法及び追跡評価が、一般に、それが真に新しい疾患を表すかどうかを明確にする。反復スキャンが間違いなく新しい病変があることを確認する場合、次に進行は、初期スキャンの日付を使用して宣言される。
【0451】
FDG-PET反応評価は追加の研究を必要としているが、進行(特に、考えられる「新しい」疾患)の評価でのCTスキャンを補完するためにFDG-PETスキャンの使用を組み込むことが妥当である場合がある。FDG-PET撮像に基づく新しい病変は、通常、以下のアルゴリズムに従って特定される。
a.ベースライン時にFDG-PET陰性、追跡評価でFDG-PET陽性*は、一般に新しい病変に基づいたPDの兆候である(*FDG-PETスキャン「陽性」の病変は、一般に、減衰補正画像上で周囲の組織の取り込みの2倍を超える取り込みのFDGを渇望するものを意味する)。
b.ベースライン時にFDG-PETを行わず、追跡評価時にFDG-PET陽性
-追跡評価時のFDG-PET陽性は、CTにより確認された疾患の新しい部位に相当し、これは一般にPDである。
-追跡評価時のFDG-PET陽性がCT上で疾患の新しい部位として確認されない場合、通常、真にその部位で起こっている進行があるかどうかを判断するために、追加の追跡評価CTスキャンが実行される(実行される場合、PDの日付が初期の異常なFDG-PETスキャンの日付になる)。「陽性の」FDG-PETスキャン病変は、一般に、減衰補正画像上で周囲の組織の取り込みの2倍を超える取り込みのFDGを渇望するものを意味する。
-追跡評価時のFDG-PET陽性が解剖学的画像に基づいて進行していない、CT上の疾患の既存の部位に相当する場合、これは一般にPDではない。
【0452】
最良総合効果の評価
最良総合効果は、一般に、被験治療の開始から治療の最後までに記録された最良の反応である。万一、反応が、この治験の療法の終了した後も文書化されない場合、代替抗がん療法が与えられない限り、一般に、治療後評価が最良総合効果の決定で検討される。対象の最良総合効果の割り当ては、標的疾患と非標的疾患の両方の所見に依存し、一般に新しい病変の出現も考慮に入れる。
【0453】
一般に、各プロトコル指定時点で、反応評価が行われると仮定される。表12は、ベースライン時に測定可能な疾患を有する対象について各時点での総合効果状態の計算のまとめを提供する。
【0454】
対象が測定不能な(したがって、非標的)疾患しか有さないとき、一般に表13を使用する。
【0455】
特定の時点で撮像/測定がまったく行われていないとき、対象は、一般に、その時点では評価可能ではない(NE)。評価時に病変測定のサブセットだけが行われる場合、通常、個々の欠損した病変(複数可)の貢献によって割り当てられた時点での反応が変化しない旨の説得のある主張がなされない限り、一般に、症例はその時点でもNEと見なされる。これは、PDの場合に起こる可能性が最も高いであろう。例えば、対象が3つの測定された病変で50mmのベースライン和を有し、追跡評価時には、2つの病変しか評価されなかったが、それらが80mmの和を示した場合、対象は、欠損した病変の貢献に関わらず、一般にPD状態を達成している。
【0456】
最良総合効果は、一般に、対象のすべてのデータが既知になると、決定される。
【0457】
完全寛解または部分寛解の確認が一般に必要とされない治験での最良の反応の決定。これらの治験での最良の効果は、一般にすべての時点にわたる最良の効果として定義される(例えば、第1の評価でSD、第2の評価でPR、及び最後の評価でPDを有する対象がPRの最良総合効果を有する。)SDが最良の反応であると考えられるとき、SDは一般にはプロトコル指定のベースラインからの最小時間も満たす。SDがそれ以外の場合最良時点効果であるときに最小時間が満たされない場合、対象の最良の反応は、一般に、後続の評価に依存する。例えば、第1の評価でSD、第2の評価でPDを有し、SDの最小持続期間を満たしていない対象が、PDの最良の効果を示す。第1のSD評価後に調査不能になった同じ対象は、一般に、評価不能と見なされる。
【0458】
結節性疾患が標的病変の和に含まれ、結節が「正常な」サイズ(<10mm)に縮小しても、いくつかの場合、それらは、スキャンで報告された測定値を有する。この測定値は、進行が結節のサイズの拡大に基づく場合に進行を誇張しないために、結節が正常であっても一般に記録される。上記のように、これは、CRの対象が、いくつかの場合、症例報告書(CRF)に「ゼロ」の合計を有さないことを意味する。
【0459】
その時点で疾患の進行の客観的な証拠なしに治療の中止を必要とする健康状態の広範囲の悪化のある対象は、一般に「兆候性悪化」として報告される。一般に、治療中止後も客観的な進行を文書化するためにあらゆる努力がなされる。兆候性悪化は、一般に客観的な反応の記述子ではない。それは、研究療法を停止するための理由である。そのような対象の客観的な反応状態は、一般に、表12及び表13に示す標的疾患及び非標的疾患の評価によって決定される。
【0460】
「EP、早期死亡及び評価不能性(inevaluability)」を定義する条件は研究に特有であり、一般に、(治療期間、治療周期に応じて)各プロトコルで明確に説明される。
【0461】
いくつかの状況では、残存疾患を正常な組織から区別することは困難である。完全寛解の評価がこの判断に依存するとき、一般には、完全寛解の状態を割り当てる前に残存病変を調査する(微細針吸引物/生検)ことが推奨される。いくつかの場合、残存するX線の異常が線維症または瘢痕を表すと考えられる場合には、生検に類似した方法でCRに対する反応をアップグレードするために、FDG-PETが使用される。
【0462】
進行の不明瞭な所見(例えば、非常に小さく、不確実な新しい病変、既存の病変での嚢胞性変化またはネクローシス)の場合、治療は、いくつかの場合、次に予定された評価まで続行する。次に予定された評価で、進行が確認された場合、進行の日付は、一般に、進行が疑われた早期の日付である。
【0463】
【表14】
【0464】
【表15】
【0465】
反応持続時間
総合効果の持続時間は、一般に、測定基準がCR/PR(最初に記録された方)について初めて満たされたときから、再発疾患または進行性疾患が研究で記録された最初の日まで測定される。
【0466】
総合的な完全寛解の持続時間は、一般に、CRについて測定基準が初めて満たされてから、再発性疾患が客観的に文書化された最初の日まで測定される。
【0467】
安定している疾患は、一般に、研究で最小和を基準としてとって(ベースライン和が最小である場合、これがPDの計算の基準である)、治療の開始から(ランダム化された治験では、ランダム化の日付から)進行の基準が満たされるまで測定される。
【0468】
結果
このシグナル探索第1/2相研究(NCT02797977)は、治療量を下回る(低用量)ゲムシタビン(LDG)と組み合わせたSRA737の安全性及び忍容性を調査するように、ならびに増加した内因性RS及びChk1i感受性を付与することができる遺伝子変化のある腫瘍での予備的な抗腫瘍活性を評価するように設計された。これらの遺伝子変化の1つ以上を保有する対象を特定し、選択するために、プロスペクティブな遺伝子スクリーニングが実行された。研究は、追加の治療調査を保証する可能性がある潜在的な遺伝子シグネチャー及び/または腫瘍症状を詳しく説明するために、内因性複製ストレスの様々な原因と、拡大相でのSRA737+LDG抗腫瘍活性との間の関連を探索するための広範な調査として設計された。
【0469】
複製ストレスの誘導物質はChk1iを増強する
複製ストレス(RS)は、損傷を受けやすい脆弱で露出した一本鎖DNAを生じさせる複製フォークの減速及び停止によって明らかになる。Chk1は、ゲノムの安定性を維持するために、複製フォークの安定性、及びRSに対する細胞応答の維持で不可欠な役割を果たす。RSドライバー遺伝子は、G1/S腫瘍抑制因子、腫瘍遺伝子、及びDNA修復遺伝子を含むいくつかの機能カテゴリに分けることができる。包括的な候補「RSドライバー」遺伝子リストは、入手可能な臨床前データ及び臨床データの編纂に基づいて作成され、これらの機能カテゴリに描かれ、これらの潜在的なChk1i感作遺伝的特徴の直接的な臨床探索を可能にするためにプロスペクティブな対象の選択に使用された。
【0470】
追加の外因性RSが腫瘍遺伝学によって付与された内因性RSを補強する可能性があるかどうかを判断するために、SRA737の抗腫瘍活性を増強する意図で、強力なRS誘導物質LDGを用いて対象を治療して、Chk1への腫瘍依存性をさらに高めた。
【0471】
方法
用量漸増相では、3~6人の対象のコホートの固形腫瘍がある対象は、様々な治療量を下回る用量のゲムシタビンと組み合わせて、漸増する用量のSRA737を投与された。SRA737は、28日周期の1日目、8日目、及び15日目にLDG投与後、2日間投与された。薬物動態(PK)分析のための導入用量は、周期1(C1)の4~7日前に実行された。
【0472】
拡大コホートは、SRA737の循環血漿濃度がマウスの有効性研究からモデル化されたSRA737の最小有効濃度を超えたときに同時に開始された。
【0473】
その後、進行中の用量漸増相で得られた経験から、拡大コホートでの投薬の情報が提供された。コホート拡大相は、次世代シークエンシング(FoundationOne)によってプロスペクティブに選択された、Chk1阻害に感受性を付与すると仮定されたゲノム変化を保有する遺伝子学的に定義された腫瘍がある対象を登録した。以下の腫瘍、つまりi)軟部肉腫、ii)高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、iii)小細胞肺癌、及びiv)肛門性器癌/子宮頸癌を有する対象は、登録の資格があった。肛門性器癌または子宮頸癌を有する対象は、この集団でのHPV陽性のほぼ遍在する有病率に基づいて、プロスペクティブな遺伝子プロファイリングなしで登録の資格があった。
【0474】
このシグナル探索第1/2相研究は、一般に専門領域第1相がん単位で実施された。ECOG一般状態が0~1、(RECIST1.1による)測定可能疾患があり、アーカイブ腫瘍組織のある(または生検に同意する意思のある)≧18歳の対象に研究に参加する資格があった。拡大相の対象は、進行性疾患に対して過去に1~3の治療を様々に受け、HGSOCの場合、過去の治療に制限はなかった。
【0475】
用量制限毒性(DLT)は、PK導入用量に続いて、及び治療の周期1を通して評価され、被験薬(SRA737及びゲムシタビン)にきわめて高い確実性でまたは高い確実性で関連している有害事象(AE)、つまり、グレード4の好中球減少症または血小板減少症(>7日間継続)、発熱性好中球減少症、出血(≧グレード3)を伴う血小板減少症(≧グレード3)、非血液毒性(≧グレード3)、または被験薬(SRA737及びゲムシタビン)関連の毒性のために周期1で計画されていたSRA737の6つの用量のうちの5つ(83%)もしくはゲムシタビンの全用量を投与できないとして定義された。
【0476】
予備的な抗腫瘍活性は、RECIST v1.1に従って標的腫瘍反応及び総合効果により評価された。
【0477】
ゲノミクス:臨床試験に参加するにはゲノミクス情報が必要とされたが、数人の対象は、失敗したFMIレポート(Foundation Medicine)に登録し、したがって彼らのゲノミクスは不明であった。いくつかの患者レポートはまだ受け取られていないため、現在不明である。シーケンシングされた患者の大半は、FMIアッセイだけを使用してシークエンシングされた。しかし、数人の患者はFMI及びGuardant 360パネルを使用し、シークエンシングされた(1人の患者は、G360によってだけシークエンシングされた)。ほとんどの場合、アッセイは非常に一致していた。しかし、Guardant 360パネルは、FMIよりも少ない遺伝子を有し、したがっていくつかの遺伝子は「欠損」しているであろう。
【0478】
HPV状態:可能な場合、HPV状態は、標準的なIHCベースの方法を使用し、決定された。Foundation Medicineは、シークエンシングされた腫瘍のHPV状態に関するデータを提供する。HPV株、6、11、16、及び18だけがシークエンシングされる。16と18は、子宮頸癌(75%)及び肛門癌(79%)で最も一般的な株であるが、いくつかの他のサブタイプが高リスク/がん関連として示唆される(HPV-33は、肛門癌の約5%である)。
【0479】
対象の特徴及び用量評価
合計55人の対象が、13の用量漸増コホートで、50~300mg/m2のLDG用量と様々に組み合わされた40~600mgのSRA737の用量でSRA737を投与された。プロトコルで定義された用量制限毒性(DLT)は観察されなかったが、忍容性は試験された最高用量で特に明らかであった。SRA737の薬物動態プロファイルは、150mgのSRA737で3550ng・h/mLと548ng/mLのAUC0-24とCmaxを明らかにした。この用量で、Cmin(52ng/mL)は、前臨床モデルで有効であると判断されたものを超えた。
【0480】
拡大コホートへの登録は、500mgのSRA737+100mg/m2のLDGで開始された。
【0481】
総合的な忍容性に基づいて、拡大コホートで用いる推奨用量は、500mgのSRA737+250mg/m2のLDG(RP2D)となることが決定された。
【0482】
プロスペクティブに特定された335人の対象のうち、204人が、Chk1感受性と関連する遺伝子変化について検査された。これらの対象のうち、176人(86%)が遺伝子適格性基準を満たし、86人が4つの拡大コホートに登録された。
【0483】
安全性
治療中に発生した有害反応(TEAE)は、137人(99%)の対象で報告され、131人の対象(94%)が少なくとも1つの被験薬(SRA737及び/またはゲムシタビン)関連の事象を経験した。TEAEの大半は、重症度が軽度から中等度であった(91%グレード1/グレード2)。最も一般的なTEAEは、悪心(60%)、嘔吐(50%)、下痢(45%)、倦怠感(43%)、貧血(33%)、及び発熱(31%)であった。最も一般的な≧グレード3のTEAEは、好中球減少症(9%)、貧血症及びALT増加(各6%)、AST増加(5%)、血小板減少症(4%)、低ナトリウム結晶及びリンパ球減少症(各3%)であった。最も一般的な≧グレード3の被験薬(SRA737及び/またはゲムシタビン)関連のTEAEは、好中球減少症(9%)、ALT増加(5%)、血小板減少症及びAST増加(4%)、及び貧血症(3%)であった。前回治療後の最大30日までに5つのグレード5のTEAEが報告された。どれもSRA737に関連していると見なされなかった。曝露期間の中央値:2周期(範囲<1~13周期)。最大13周期まで、緊急性のまたは累積した毒性、及び/または忍容性の低下の証拠はなかった。
【0484】
【表16】
【0485】
SRA737-02の結果
漸増コホートと拡大コホートの両方にわたって、141人の対象がSRA737(+LDG)を用いた治療を受けた。対象の最大数(n=35)が肛門性器癌/子宮頸癌のコホートに登録し、次に多い数がHGSOC(n=28)及びSCLC(n=23)コホートに登録した。
【0486】
すべての腫瘍タイプにわたる以前の治療計画の平均数は2.8であり、HGSOCコホートの対象は平均4.2回過去に治療を受けており、高度に前治療したコホートと一致していた。
【0487】
すべての対象の治療期間の中央値は2周期であり、最大治療期間は13周期であった。22人の対象は、データカットオフ(2019年5月3日)の時点でも被験治療を受けていた。
【0488】
41人の対象が安定している疾患(SD)の最良効果を得た。≧4カ月続いた長いSDが32人の対象で記録され、すべての拡大コホートで観察された。
【0489】
治療された対象のうち、81/141人(57%)が、RECIST標的腫瘍反応について評価可能と見なされ、これらのうち、54人が利用可能な遺伝子プロファイルを有していた。
【0490】
部分寛解(PR)が6人の対象で観察された(図17)。これらは肛門性器癌を有する3人の対象、ならびに直腸癌、子宮頸癌、及び卵巣癌を有する対象を1人ずつ含んでいた。一般に、腫瘍反応は、最初に、周期2の最後に記録された(最初の研究中のスキャン)。
【0491】
高度に前治療されたHGSOCコホート(約4種類の治療歴)は、方向的に好ましい病勢コントロール(DCR=67%)を明示し、認められた最大腫瘍削減は38%であった(38%)。
【0492】
扁平上皮肛門性器癌/子宮頸癌を有する対象のORRは、22%(4/18)であった。
【0493】
肛門性器癌は、本臨床研究においてSRA737+LDGに最も感受性が高い適応症として特定された(ORR=30%、DCR=60%)。
【0494】
肛門性器腫瘍の標的腫瘍減少の規模は顕著であった。データカットオフ時付けで、2人の対象が、各々-66%と-51%の進行中の減少を達成し、3人目の対象は-41%の減少を達成した。
【0495】
さらに、肛門性器癌を有する数人の対象は、特筆すべき反応期間を有していた。5/10人(50%)の対象が、≧4カ月も被験治療を受け、最大期間は約11カ月であった。データカットオフ時、被験治療は5人の対象(5/10、50%)で進行中であった。
【0496】
この研究のシグナル探索目的に沿って、登録及び治療された腫瘍タイプについて決定された遺伝子プロファイルに関して、腫瘍反応がさらに調べられた。
【0497】
機能カテゴリ(G1/S、がん細胞、DNA修復遺伝子)を包含するRSドライバー遺伝子が、遺伝子ネットワーク及び/またはSRA737+LDGを用いた治療に対する感受性が高まっている個々の遺伝子を特定するために複数の適応症にわたって調査された。
【0498】
選択した遺伝子ネットワークに腫瘍変化のある対象の数は、i)探索された適応症の範囲内での特定の遺伝子変化の発生、及びii)登録測定基準に基づいて変化した。
【0499】
RAS遺伝子ネットワークでの変異は、比較的に不良な反応と関連していた。
【0500】
対照的に、PI3K遺伝子ネットワークでの変化(PIK3CA、AKT、またはPTEN変異)により、2人の対象で強い75%のDCRとPRが生じた。
【0501】
同様に、FA/BRICA遺伝子ネットワークの複数の成分での遺伝子変異によって81%のDCRと25%の奏功率(RR)が生じた。
【0502】
定義されたCCNEネットワーク観察は、制限されたデータ(n=6)に基づいていたが、CCNEネットワークでの変化は、好ましいDCR(67%)と関連し、腫瘍反応は、HGSOCを有する対象で観察された。
【0503】
この研究で観察された強い反応のいくつかは、FA/BRCAネットワークでの遺伝子変化と関連し、2つのDDRチェックポイントキナーゼ遺伝子(ATR、PRKDC)の1つで頻繁に二次変化を伴っていた。
【0504】
研究結果は、複数の複製フォークに関連する変異が、内因性RS及びゲノムの不安定性、及び/またはそれらの結果を悪化させる場合があることを示唆している。この仮説と一致して、PRを達成した利用可能な遺伝的特徴を有していた対象は、一般に、複数の遺伝子ネットワークで変化を有すると判断された。
【0505】
とりわけ、腫瘍遺伝子変異量(TMB)の上昇は、特に肛門性器癌及び直腸癌を有する対象で特定の腫瘍反応と関連していた。具体的には、TMBの上昇を提示する肛門性器癌を有する4人の対象のうちの3人が、SRA737-02の研究で観察された最も深刻な腫瘍減少のいくつかを包含する強い反応を示した。
【0506】
概要
SRA737+LDGのこのヒト初回投与治験では、RP2D(推奨第II相用量)は、250mg/mのゲムシタビンを加えた500mgのSRA737であると判断された。LDGのRS誘導特性と一致して、この組み合わせは、例えば、ゲムシタビンの治療量を下回る用量など、実質的に治療用量レベルの標準を下回る(10~25%)のゲムシタビン用量を利用した。SRA737+LDGの組み合わせは安全で、忍容性良好であった。
【0507】
全体として、この研究で決定された安全性及び有効性のデータは、SRA737+LDGが単独の療法として容易に開発につながり、他の治療用物質と潜在的に組み合わせ可能であるように見えることを裏付ける。
【0508】
このシグナル探索研究は、外因性RS誘導物質の増強効果との関連でSRA737に感受性のある潜在的な設定を特定するために、腫瘍症状及び腫瘍RSドライバー遺伝的特徴全体を幅広く調査した。予備的な証拠は、LDGと組み合わされたRSのいくつかの内因性の原因がChk1活性を大幅に強化することを示唆している。例えば、PI3K遺伝子ネットワークでの変異は、腫瘍反応と強いDDR(75%)の両方と相関していた。
【0509】
FA/BRCAネットワーク変異は、この研究の最も好ましい結果(ORR=25%、DCR=81%)と関連していた。FA/BRCA遺伝子ネットワークは、複製フォーク代謝及びRSの管理に直接的にまたは間接的に関与する一連のファンコニ貧血及び他のタンパク質をコードする。
【0510】
この研究で観察されたPI3K及びFA/BRCA遺伝子ネットワークでの変異と関連するSRA737+LDGの感受性は、SRA737単剤療法臨床研究(NCT02797964)からの類似した研究結果と一致し、これらの変化がChk1i感作遺伝学的状況として機能することを強化した。さらに、これらのネットワーク変化は、いくつかの腫瘍症状にわたって発生し、組織学に依存しない感作の可能性を示唆した。
【0511】
とりわけ、その腫瘍が複数の遺伝子ネットワーク変化を保有していた対象は、より好ましい腫瘍減少及びより長いDOS(研究期間)を有する傾向があった。SRA737単剤療法の臨床研究でも観察されたこの現象は、重複する複合的な変異が、内因性RSの上昇とゲノムの不安定性につながる、及び/またはその結果となる場合があることを示唆している。
【0512】
特に肛門性器コホートでは、特筆すべき腫瘍反応の腫瘍遺伝子変異量(TMB)の上昇との予備的な相関関係も観察された(4人中3人の患者が顕著な腫瘍減少を達成した)。TMBの上昇(例えば、中間TMBレベル以上)は、ゲノムの不安定性の増加と一致し、可能な強化戦略を表す。
【0513】
全体として、これらのデータは、SRA737+LDGの抗腫瘍活性の明確な証拠を提供する。複数の部分寛解が観察され、一般に最初の研究中スキャン(周期2の最後)に最初に記録された。
【0514】
有効性は、いくつかの腫瘍症状にわたって決定され、最も強力な有効性シグナルは、扁平上皮肛門性器/頸部コホートで観察された(ORR=22%、DCR=50%)。
【0515】
具体的には、進行性肛門性器癌を有する対象(ORR=30%、DCR=60%)で、特筆すべき腫瘍減少(例えば、-66%の腫瘍減少、胸水の消散)及び有望な治療期間(例えば、約11カ月)を包含する顕著で明瞭な抗腫瘍活性が観察された。
【0516】
第2次転移性肛門性器癌は、承認された療法がなく、平均余命が大幅に阻害された、満たされていない重大な医療ニーズを表す。これらの有望なデータは、SRA737+LDGが、これらの患者にとって効果的な治療選択肢となるであろうことを示す。
【0517】
実施例10:遺伝的異常及び腫瘍の遺伝子変異量の評価
遺伝的異常及びTMBは、FoundationOne CDx(商標)アッセイを使用して個々の患者からの腫瘍試料で評価された。
【0518】
FoundationOne CDx(商標)(F1CDx)は、最大324以上の遺伝子の置換、挿入と削除による変化(インデル)、及びコピー数変化(CNA)、及び選択遺伝子再構成を検出するため、ならびにホルマリン固定及びパラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織標本から分離されたDNAを使用して、マイクロサテライト不安定性(MSI)及び腫瘍遺伝子変異量(TMB)を含むゲノム上のシグネチャーを選択するための次世代シークエンシングベースのインビトロ診断装置である。試験は、標的療法での治療の恩恵を受け得る患者を特定するためのコンパニオン診断薬として使用できる。さらに、F1CDxアッセイは、固形悪性新生物を有する患者向けの腫瘍学で使用される腫瘍変異プロファイリングを提供できる。
【0519】
置換、挿入-削除(インデル)、及びコピー数変化(CNA)の検出のためのF1CDxアッセイで評価される完全コーディングエキソン領域のある遺伝子を、表1に示す。FoundationOne CDxアッセイのさらなる詳細は、www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf17/P170019B.pdfで確認でき、その一部の詳細を以下に説明する。
【0520】
FoundationOne CDx(F1CDx)は、Foundation Medicine,Inc.で実行されるシングルサイトアッセイである。アッセイは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍試料から抽出されたDNAを試験するための試薬、ソフトウェア、計器、及び手順を含む。アッセイは、通常のFFPE生検または外科的切除標本からの単一DNA抽出法を採用しており、標本のうちの50~1000ngは、全ゲノムショットガンライブラリの構築と、300を超える癌関連遺伝子からのすべてのコーディングエクソン、1つのプロモーター領域、1つのノンコーデイングRNA(ncRNA)、及び34の一般に再配列された遺伝子からの選択イントロン領域(そのうちの21もコーディングエクソンを有する)のハイブリダイゼーションベースの取り込みを受ける(F1CDxに含まれる遺伝子の完全なリストについてはFoundationOne CDxを参照すること)。したがって、合計では、アッセイは、最大324以上の遺伝子での変化を検出する。Illumina(登録商標)HiSeq 4000プラットフォームを使用して、ハイブリッド取り込みで選択されたライブラリは、均一で高い深さまでシークエンシングされる(標的化>500倍のカバレッジの中央値で、>99%のエクソンが>100倍のカバレッジ)。配列データは、塩基置換、インデル、コピー数変化(増幅及びホモ接合性欠失)、及び選択されたゲノム再配列(例えば、遺伝子融合)を含む、すべてのクラスのゲノム変化を検出するように設計されたカスタマイズされた解析パイプラインを使用して処理される。さらに、マイクロサテライト不安定性(MSI)及び腫瘍遺伝子変異量(TMB)を含むゲノム上のシグネチャーが報告される。
【0521】
標本の収集及び準備。ホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本は、標準的な病理学の慣行に続いて収集され、準備される。FFPE標本は、染色されていないスライドとしてまたはFFPEブロックとしてのどちらかで受け取り得る。アッセイを開始する前に、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色されたスライドが準備され、次に疾患の腫瘍学を確認するために、及び適切な組織(0.6mm)、腫瘍含有量(≧20%腫瘍)、及び十分な有核細胞がアッセイを進めるために存在することを確認するために有資格の病理医によってレビューされる。
【0522】
腫瘍遺伝子変異量(TMB)。TMBは、5%アレル頻度以上であるすべての同義バリアント及び非同義バリアントを数え、単一ヌクレオチド多型データベース(dbSNP)及びExome Aggregation Consortium(ExAC)を含む既知の生殖細胞系多型性の公開されているデータベースに従って潜在的な生殖細胞系バリアントを除外することによって測定される。データベースクエリーの後も存在する追加の生殖細胞系の変化は、潜在的な生殖細胞系の状態について評価され、体細胞-生殖細胞系/接合性(SGZ)アルゴリズムを使用して除外される。さらに、既知のありそうなドライバー変異は、データセットのバイアスを排除するために除外される。結果として生じた変異数を、次に、数えた総バリアント数に対応するコード領域、つまり793kbで除算する。結果として生じた数は、Mbあたり変異単位(変異/Mb)として伝達される。
【0523】
高TMB(TBM-H)は、メガ塩基対あたり約20以上の体細胞変異(変異/Mb)に相当する。TMB-Iは、約6と約19変異/Mbの間に相当する。低TMBは、約5変異/Mb以下に相当する。
【0524】
決定されたVUS(意義不明な変異)
VARsome評価アルゴリズムは、FoundationOne CDxアッセイを使用して特定されたが、病原性であるものとして特徴付けられなかった複製フォーク遺伝子内の遺伝的変異を評価するために使用された。VUSとして特定されたいくつかの遺伝的異常は、Chk1i療法に対する反応性と関連していた。
【0525】
結果
中間TMBレベル(TMB-I)は、例えば、肛門癌などの肛門性器癌など、様々ながんに対する、LDGと組み合わせたSR737療法のバイオマーカーとなることができる。TMBの分類及びTMBの影響は、腫瘍特有である場合があり、TMB及び免疫療法活性に対する新たな、しかし強力な臨床的相関関係がある。
【0526】
図27A図27Bは、特定の腫瘍、つまり肛門性器(例えば、肛門)、直腸、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、及び頸部のものを有する対象の低用量ゲムシタビンと組み合わせたSRA737を用いた治療に対する反応を示すウォーターフォールプロットを示す。少なくとも中間TMBを有する対象が示される。
【0527】
上記の発明を、理解を明確にする目的で例示及び実施例によってある程度詳細に記載してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、それらに特定の変更及び修正を加え得ることは、本発明の教示に鑑みて容易に明らかである。
【0528】
したがって、上記は本発明の原理を単に例示したものに過ぎない。当業者であれば、本明細書では明示的に説明または図示していないが、本発明の原理を具体化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案することができるであろうことが理解されよう。さらに、本明細書中に列挙したすべての実施例及び条件付き言語は、主に、本発明の原理、及び本技術を促進するために本発明者らが寄与する概念への読者の理解を支援することを意図したものであり、そのような具体的に列挙した実施例及び条件に限定されるものではないと解釈すべきである。さらに、本発明の原理、態様、及び実施形態ならびにその特定の実施例を列挙する本明細書中のすべての記述は、その構造的及び機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物は、現在公知の均等物及び将来開発される均等物の両方、すなわち構造に関わらず同じ機能を実行するように開発された任意の要素を含むことが意図されている。さらに、本明細書に開示される内容は何も、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関わらず、公衆に捧げられることを意図するものではない。
【0529】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示し、説明した例示的な実施形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲によって具体化される。特許請求の範囲では、合衆国法典第35巻§112(f)または合衆国法典第35巻§112(6)は、正確な言い回し「のための手段」または正確な言い回し「のためのステップ」が請求項における係る制限の始まりに記載されているときにのみ、請求項における制限のために行使されると明示的に定義される。そのような正確な言い回しが請求項における制限に使用されない場合には、合衆国法典第35巻§112(f)または合衆国法典第35巻§112(6)は行使されない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
【国際調査報告】