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特表2022-532609極薄ガラスパネルでリアルタイム応力可視化を伴うエッジ強度試験を行なうためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】極薄ガラスパネルでリアルタイム応力可視化を伴うエッジ強度試験を行なうためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/20 20060101AFI20220708BHJP
【FI】
G01N3/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567944
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 US2020031551
(87)【国際公開番号】W WO2020231681
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/848,091
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ミーナクシ サンダラム,バラムルガン
(72)【発明者】
【氏名】ノニ,ダグラス マイルズ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ウェストブルック,ジェイミー トッド
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA07
2G061AB03
2G061BA04
2G061CA07
2G061CB01
2G061EA01
2G061EA02
2G061EB07
(57)【要約】
脆性材料からなるシートを試験するための装置が開示される。この装置は、材料シートの領域に荷重を負荷する複数のアセンブリと、領域の表面における無負荷での測定値および領域に荷重が負荷されている間の領域の表面における有負荷での測定値を直接的に取得する検出機構と、荷重の負荷により生じる応力を決定するために無負荷での測定値および有負荷での測定値を分析するプロセッサとを含むことができる。この装置は、評価されるシートの直接的な光学的イメージングに依拠することができる。静態モードと動態モードの両方で脆性材料からなるシートを試験する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料シートを試験する装置であって、
前記材料シートの領域に荷重を負荷する複数のアセンブリと、
前記領域の表面における無負荷での測定値と、該領域に該荷重が負荷されている間に該領域の該表面における有負荷での測定値とを直接的に取得する検出機構と、
前記荷重の負荷により生じる応力を決定するために前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値を分析するプロセッサと
を含む、材料シートを試験する装置。
【請求項2】
前記複数のアセンブリは、前記シートの第1の側面に接触するための一つの円弧状部材を含む第1のアセンブリと、該シートの該第1の側面と反対側の第2の側面に接触するための相互に離間配置された二つの円弧状部材を含む第2のアセンブリとを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記一つの円弧状部材は、前記相互に離間配置された二つの円弧状部材の間に長手方向に沿って配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記検出機構は、前記シートの前記第2の側面に対向して配置され、前記相互に離間配置された二つの円弧状部材の間で前記表面を検出する第1の光学システムを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の光学システムは、前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値を取得する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
静態モードにおいて、所定の荷重に到達するまで、または前記シートの破壊が検出されるまで、前記荷重の負荷を増加させる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記検出機構は、前記シートが前記相互に離間配置された二つの円弧状部材の間を前進する前に、前記無負荷での測定値を測定するために該シートの前記第2の側面に対向して配置される第2の光学システムを含み、前記第1の光学システムは、前記有負荷での測定値を測定するために前記表面を検出する、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記シートが前記複数のアセンブリを2回通過する動態モードを含み、
前記無負荷での測定値は、荷重が負荷されない時の1回の通過で取得され、前記有負荷での測定値は、荷重が負荷される時の別の回の通過で取得される、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記円弧状部材は、円筒形ローラー、ベルトローラー、およびベアリングローラーからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のアセンブリは、前記シートが該複数のアセンブリを通過して前進するように構成され、
複数の応力測定値が、前記複数のアセンブリを通過する前記シートのエッジに沿って連続的または断続的に決定される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記応力は、少なくとも2次元で決定される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記領域の前記表面上のパターン模様は、前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値の測定を容易にする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記応力結果を表示するように構成されるディスプレイをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2019年5月15日に出願された米国仮特許出願第62/848091号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、ガラスおよび/またはガラスセラミックを試験する装置、ならびにガラスおよび/またはガラスセラミックを試験する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
液晶ディスプレイ(LCD)およびプラズマディスプレイなどの高性能ディスプレイデバイスは、携帯電話、ラップトップ、電子タブレット、テレビおよびコンピュータモニタなどの様々な電子機器で一般的に使用されている。現在市販されているディスプレイデバイスには、いくつかの用途を挙げると、一つ以上の高精度ガラスシートが、例えば、電子回路部品の基板として、またはカラーフィルタとして使用されることがある。このような高品質ガラス基板を製造するための先進的な技術は、コーニング社(Corning Incorporated)によって開発され、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されているフュージョンドロー法である。これらの文献は、その内容が組み込まれ、ここに全て引用される。しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、スロットドロー法、リドロー法、フロート法等を含む任意の形成方法に適用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,338,696号明細書
【特許文献2】米国特許第3,682,609号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような用途のそれぞれについて、ガラスシートは、典型的には、所定のサイズに切断され、切断されたガラスシートの鋭いエッジは、研削および/または研磨によって面取りされる。切断、エッジ機械加工、研削およびその他の処理工程は、ガラスシートの表面およびエッジに欠けまたは割れなどの欠陥を発生させる可能性がある。このような欠陥は、特に、欠陥が引張応力を受けるほどガラスが屈曲された場合、破壊の発生源となり、ガラスシートの強度を低下させる可能性がある。ディスプレイデバイスは、ある程度の屈曲を受けるため、このような欠陥の存在が懸念される場合がある。フレキシブルディスプレイデバイスには、その性質上、製造工程中または使用時のいずれかにおいて、ディスプレイ基板に大きな応力が発生する場合がある。したがって、ガラスに存在し得る欠陥は、ガラスが割れるほどの十分に大きな応力を受ける可能性がある。典型的なディスプレイ製造過程では、個々のディスプレイを形成するためにガラスを切断する工程を含み、切断工程では、切断エッジに沿ってガラスに複数の欠陥を生じることが知られているので、ガラス基板を用いたフレキシブルディスプレイデバイスは、破損する可能性が高くなる場合がある。
【0006】
ガラスシートのエッジにおける欠陥を軽減する試みには、レーザ切断、研削、研磨などがあり、これらはすべて、ガラスシートが所定のサイズに切断されるときに生じる欠陥を除去または最小化する試みである。しかしながら、これらのアプローチの多くは、技術的に、予想される応力に対応できるサイズになるまでに欠陥を除去できないため、または薄いガラスシート(厚み約0.4mm未満)に適用するのが困難であるため、不十分である。ガラスエッジを酸でエッチング処理してもよいが、この処理により、基板上に配置されたディスプレイデバイスが劣化する可能性がある。このように、欠陥はガラスシート、特にシートのエッジに形成され続けるので、そのようなガラスシートおよびガラスシートを使用したパネルまたは積層構造のエッジ強度を正確に試験することが当該産業では必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な実施形態は、エッジに応力を加えることによってガラスエッジの破壊強度を連続的に測定する方法に関して記載しており、エッジから離れた部位の応力は、そのそれぞれの位置における破壊強度よりも著しく低い。さらに、例示的な実施形態を使用すると、エッジの両側は、測定中に実質的に同じ引張応力にさらすことができる。さらに、例示的な実施形態は、従来の方法に比較して、処理速度が少なくとも30倍になり、試験の対象になるエッジ量が少なくとも3倍になり、加工後に試験の対象になるシートの量が桁違いに多くなる、連続的な高速処理を提供する。それゆえ、このような統計サンプリング数の増加は、顧客への不良品の出荷を少なくすることを確実にでき、オンライン構成に適している。
【0008】
いくつかの実施形態では、材料シートを試験するための装置が提供される。この装置は、材料シートの領域に荷重を負荷する複数のアセンブリと、その領域の表面における無負荷での測定値およびその領域に荷重が負荷されている間の領域のその表面における有負荷での測定値を直接的に取得する検出機構と、荷重の負荷により生じる応力を決定するために無負荷での測定値および有負荷での測定値を分析するプロセッサとを含むことができる。いくつかの実施形態では、荷重は、材料シートの領域に屈曲を生じさせる。
【0009】
その他の実施形態では、材料シートを試験する方法が提供される。この方法は、材料シートを提供する工程と、シートの領域の表面における無負荷での測定値を取得する工程と、シートの領域に荷重を負荷する工程と、シートの領域の表面における有負荷での測定値を取得する工程と、無負荷での測定値および有負荷での測定値に基づいて荷重の負荷により生じる応力を決定する工程とを含むことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される装置は、かかる方法を実施するために使用され得る。
【0010】
本開示のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明において説明され、一部には、その説明から当業者には容易に理解され、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲および添付の図面を含む本明細書に記載の方法を実行することによって当業者には認識されるであろう。
【0011】
上記の概要および以下の詳細な説明は両方とも、本開示の様々な実施形態を提示しており、特許請求の範囲の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に援用され、本明細書の一部を構成する。これらの図面は、本開示の様々な実施形態を示し、詳細な説明とともに、本開示の原理および作用を説明するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読まれる場合に最もよく理解され、その図面において、可能な場合には、同様の構造には、同様の参照符号が付与されている。
図1】例示的なガラス製造システムを示す図
図2】パネル間の接着箇所の変化に伴う引張側の荷重と応力の変化を示す図
図3】ローラー接触の変化に伴う引張側の荷重と応力の変化を示す図
図4】本明細書に開示される装置の一実施形態における、支持体の位置および荷重負荷を示す概略図
図5】変形前および変形中(荷重の負荷)の材料シート、ならびに領域追跡を示す図
図6】本明細書に開示される装置の一実施形態の等角投影図
図7図6の装置の側面図
図8図6の装置の平面図
図9A】本明細書に開示されるように材料シートに接触するアセンブリの一つの配置構成を示す画像の斜視側面図
図9B図9Aの配置構成における材料シートの平面図
図10A】荷重が6Nの場合で取得されたサンプルの応力場の図
図10B】静態モードでの試験における最大応力を示す図
図10C】本明細書に開示されるデジタル画像相関(DIC)装置を用いて発生させた応力場と有限要素解析(FEA)を用いて発生させた応力場の結果を比較した図
図10D】本明細書に開示されるデジタル画像相関装置および有限要素解析を用いて算出した最大応力と変位量の関係の図
図11A】本明細書に開示される装置の動態モードを示す概略図
図11B】荷重の負荷が無い場合に、材料シートが複数のアセンブリを通過する際に撮像される領域の順序を示す概略図
図11C】荷重の負荷がある場合に、材料シートが複数のアセンブリを通過する際に撮像される領域の順序を示す概略図
図12A】60工程からなり荷重が11Nである場合のデジタル画像相関法の応力マップの図
図12B】1工程のみからなる同じ試験条件での応力マップであり、デジタル画像相関法の応力マップと同一であることが確認される図
図13A】較正に使用するサンプル配列の第1の概略図(上)および概略図に示されるシートの平面図(下)
図13B】較正に使用するサンプル配列の第2の概略図(上)および概略図に示されるシートの平面図(下)
図13C】較正に使用する傾斜サンプル配列の第3の概略図(上)および概略図に示されるシートの平面図(下)
図13D】較正に使用する傾斜サンプル配列の第4の概略図(上)および概略図に示されるシートの平面図(下)
図14】本明細書に開示される実施形態で使用され得るベルトローラーの概略図
図15】本明細書に開示される実施形態で使用され得るボールローラーの概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本明細書に開示された装置および方法が評価するように設計されている対象のガラスリボンなどのガラスリボン104を製造するためのガラス製造システム100を例示的に示す。ガラス製造システム100は、溶融槽110、溶融/清澄管115、清澄槽(例えば、清澄管)120、清澄/撹拌槽接続管125(そこから延びる液面レベルプローブスタンドパイプ127を含む)、混合槽(例えば、撹拌槽(静的または動的))130、撹拌槽/ボウル接続管135、送出槽(例えば、ボウル)140、下降管145、および投入部155、形成体(例えば、アイソパイプ)160およびプルロール組立体165を含むFDM150を含むことができる。
【0014】
矢印112によって示されるように、溶融槽110にガラスバッチ材料を投入して、溶融ガラス114を生成することができる。「バッチ材料」という用語およびその用語のバリエーションは、本明細書では、溶融の際に、反応、および/または化合してガラスを形成するガラス前駆体成分の混合物を示すために使用される。ガラスバッチ材料は、ガラス前駆体材料を化合するためのどの既知の方法によって調製および/または混合してもよい。例えば、いくつかの非限定的な実施形態では、ガラスバッチ材料は、例えば、どのような溶媒または液体も含まないガラス前駆体粒子の乾燥した混合物、または実質的に乾燥した混合物とすることができる。その他の実施形態では、ガラスバッチ材料は、スラリー形態、例えば、液体または溶媒の存在下でのガラス前駆体粒子の混合物であり得る。様々な実施形態において、バッチ材料は、シリカ、アルミナなどのガラス前駆体材料、および酸化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化ストロンチウム、酸化スズ、または酸化チタンなどの様々な付加的な酸化物を含み得る。例えば、ガラスバッチ材料は、シリカおよび/またはアルミナと一つまたは複数の付加的な酸化物との混合物であり得る。様々な実施形態において、ガラスバッチ材料は、アルミナおよび/またはシリカを合計で約45~約95重量%、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化ストロンチウム、酸化スズ、および/または酸化チタンの少なくとも一つを合計で約5~約55重量%含む。清澄槽120は、溶融/清澄管115によって溶融槽110に接続することができる。清澄槽120は、溶融ガラス110から溶融ガラスを受け取り、溶融ガラスから気泡を除去することができる高温処理領域を有してもよい。清澄槽120は、清澄/撹拌槽接続管125によって攪拌槽130に接続することができる。攪拌槽130は、撹拌槽/ボウル接続管135によってボウル140に接続することができる。ボウル140は、下降管145を介してFDM150へ溶融ガラスを送出することができる。
【0015】
FDM150は、投入部155、形成体160、およびプルロール組立体165を含むことができる。投入部155は下降管145から溶融ガラスを受け取ることができ、この受け取った溶融ガラスは形成体160に流入することができ、そこでガラスリボン104として形成される。プルロール組立体165は、さらなる随意的な装置によるさらなる加工のために、延伸されたガラスリボン104を送出することができる。例えば、ガラスリボンは、ガラスリボンをスコアリングするための機械的スコアリング装置を含み得る移動式アンビル装置(TAM)によってさらに処理することができる。次いで、スコアリングされたガラスは、当該技術分野で公知の様々な方法および装置を使用して、ガラスシートの小片への分割、機械加工、研磨、化学的な強化、および/またはその他の表面処理、例えばエッチング、などを施され得る。以上、フュージョン法による工程を説明しているが、本明細書に付随の特許請求の範囲は、実施形態が、以下に限られないが、スロットドロー法、リドロー法、フロート法などを含む任意の形成方法に適用可能であるので、そのように限定されるべきものではない。
【0016】
前述したように、ガラスシートは、典型的には所定のサイズに切断することができ、次いで、その後の仕上げ加工の際に、研削および/または研磨によって、切断されたガラスシートの鋭いエッジが面取りされる。このような後工程での仕上げ、取扱いまたはその他の操作工程の際中に、ガラスシートにエッジ応力がかかると、ガラスシートが破損して、ガラス製造ラインまたはユーザーの生産ラインに深刻な混乱が生じる可能性がある。したがって、製造後には、製造工場でエッジ強度を試験することがある。エッジ強度試験の従来の方法としては、4点垂直曲げ(V4PTB)がある。V4PTBは、長さ約150mm、幅約10mmの小さなサンプルまたは試験片を試験する。これらは、製造されたガラスシートから切断してから個別に試験する必要がある。これは、手作業集約型の方法であり、1枚のシートからサンプルを処理するのに約1日かかり、それゆえ試験の対象になるシートはごくわずかであり、例えば、22、000枚のシートが生産されるごとに約3枚のシート程度となる。さらに、このような方法は、積層構造またはパネルを評価することができない。このような短所は、不良品が顧客に届くという形で重大な欠陥品の出荷を引き起こす可能性がある。
【0017】
3点曲げ構成を用いて極薄ガラスシートのエッジ応力およびエッジ強度を測定する従来の技術は、非常にばらついた結果をもたらした。これらの結果は、中でも、(a)試験前の破損、(b)システム内の残留物または粉塵、(c)製品のばらつき(例えば、パネルの厚み、接着特性/位置の変化)、および(d)位置調整などを含むがこれらに限定されない様々な要因に基づく相当なレベルでのばらつきの影響にさらされた。このようなばらつきの原因により、強度測定は不正確になり、市場での予期せぬ製品欠陥がもたらされた。図2および図3は、接着箇所およびローラー接触の変化がどのように応力値のばらつきをもたらすかを示している。ばらつきを起こすさらなる原因としては、既存の3点曲げ構成では、ガラスシートのモデルに基づいて結果を得ているが、検査対象となっているガラスシートの領域の表面を直接測定していないという事実がある。
【0018】
対照的に、本明細書に開示される測定装置および方法は、直接画像相関(DIC)全領域撮像技術を使用してリアルタイムで応力分布を提供する。DICを使用すると、時間の関数として同時に面内の二つの直交方向で歪みを測定することが可能である。応力は、測定された歪みから決定される。本明細書に開示される直接的な測定技術は、従来の技術よりも正確であり、ガラスシートが再設計または再構成されるたびに新しい較正式およびモデルを開発する必要性を省ける。本明細書に記載されるデバイスの使用例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:
(a)直接的な光学的測定に依拠しない、現在実装されているエッジ強度テスタを較正するために有用である;
(b)ローラー接触、パネル角度、ローラー直径、荷重率などの様々な試験パラメータを変更できる柔軟性があるため、新しいパネルの開発において故障モードを精査するのに有用である;
(c)製造工場に適した動態的および連続的なエッジ強度試験中に直接的な光学的応力測定を行うのに有用である。
【0019】
本明細書に記載されるデバイスの利点および長所の例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:
・極薄ガラスパネルの直接的な全視野(光学)応力測定。
・全視野応力マッピングを伴う検出用の光学イメージングにより、故障モードに関して洞察が得られる。
・製造工場への配備に適した動態的かつ連続的なエッジ試験中にリアルタイムで応力を可視化する。
・測定された歪みから応力を求める解析式の改善。
・上記の応力測定を可能にする光学的な可視性の向上を提供する新規の材料取扱いアセンブリ。
・既存のエッジ強度試験装置の較正基準として機能する能力。
・新しいパネル設計を開発するために、ローラー直径、接触面積、ローラー厚みなどの試験パラメータを変更する能力。
・測定された応力について±5%の精度での正確な応力測定。
【0020】
図に示されるように、いくつかの実施形態では、材料からつくられるシート204を試験するための装置200が提供される。装置200は、材料シート204の領域208に荷重を負荷する複数のアセンブリ206と、領域208の表面212における無負荷での測定値および領域208に荷重が負荷されている間の領域208の表面212における有負荷での測定値を直接的に取得する検出機構210と、荷重の負荷により生じる応力を決定するために無負荷での測定値および有負荷での測定値を分析するプロセッサ214とを含むことができる。いくつかの実施形態では、荷重の負荷により、材料シート204の領域208に変形216が発生する。
【0021】
いくつかの実施形態において、シート204の材料は脆性材料である。いくつかの実施形態において、脆性材料はガラスまたはガラスセラミックである。いくつかの実施形態において、荷重は、材料シート204の領域208を変形させるのに十分である。いくつかの実施形態において、複数のアセンブリ206a、206bは、シート204の第1の側面に接触するための一つの円弧状部材218を含む第1のアセンブリ206aと、シート204の第1の側面と反対側の第2の側面に接触するための、相互に離間配置された二つの円弧状部材220a、220bを含む第2のアセンブリ206bとを含む。円弧状部材は、主として、ローラーとして説明されるが、円弧状部材は、円筒形ローラー(図11A図11Cおよび図13A図13D)、ベルトローラー(図14)、およびベアリングローラー(図15)を含むが、これらに限定されない群から選択され得ることを理解すべきである。
【0022】
いくつかの実施形態、例えば図14では、円弧状部材218、220a、220bは、ベルトローラー238である。例示的な実施形態では、ベルト240a、240b、240cは、それぞれ、駆動軸242a、242b、242cおよび円弧状テンショナー244a、244b、244cに張り回すことができる。いくつかの実施形態では、円弧状テンショナーは、円筒形ローラーまたは静止型の円弧状テンショナー(ベルトに接触するための円弧状部分を有する研磨された金属フィンガーなど)とすることができる。
【0023】
いくつかの実施形態、例えば図15では、円弧状部材218、220a、220bは、それぞれ、ベアリングローラー246a、246b、246cである。このような実施形態では、ベアリングローラー246a、246b、246cは、それぞれ、ソケット250a、250b、250c内に配置され保持されるローラーボール248a、248b、248cで形成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、例えば、図10Cおよび図11Aに示されるように、一つの円弧状部材218が、相互に離間配置された二つの円弧状部材220a、220bの間で長手方向に沿って配置される。本明細書で使用される「長手方向(longitudinally)」とは、試験装置200を通過するシート204の運動方向(例えば、機械の方向)を指す。
【0025】
いくつかの実施形態では、検出機構210は、シート204の第2の側面226に対向して配置され、相互に離間配置された二つの円弧状部材220a、220bの間で表面を検出する第1の光学システム222を含む。いくつかの実施形態では、装置200は、第1の光学システム222が無負荷での測定値と有負荷での測定値の両方を取得する静態モードを含む。そのようないくつかの実施形態における静態モードでは、所定の荷重に到達するまで、またはシート204の破壊が検出されるまで、負荷される荷重を増加させる。いくつかの実施形態では、第1の光学システムは、無負荷および有負荷での測定におけるシートの変形を検出するために、少なくとも二つのカメラを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、検出機構210は、シートの第2の側面226に対向して配置される第2の光学システム224a、224bを含み、相互に離間配置された二つの円弧状部材220a、220bの間にシートが前進する前にその表面を検出する。いくつかの実施形態では、シート204の第2の側面226は、シート204の引張側である。いくつかの実施形態では、図11A図11B、および図11Cに示されるように、装置200は、シート204が複数のアセンブリ206を通って長手方向に前進する動態モードを含み、第2の光学システム224が無負荷での測定値を取得し、第1の光学システム222が有負荷での測定値を取得する。いくつかの実施形態では、図11A図11B、および図11Cに示されるように、円弧状部材218、220a、220bはローラーである。いくつかの実施形態では、第2の光学システムは、有負荷での測定におけるシートの変形を検出するために、少なくとも二つのカメラを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、図11Bおよび図11Cでの順序に示されるように、シート204を複数のアセンブリ206a、206bを通過させて長手方向に前進させるように複数のアセンブリ206a、206bが構成され、複数の応力測定値は、複数のアセンブリを通過するシート204のエッジに沿って連続的または断続的に決定される。いくつかの実施形態では、応力は少なくとも2次元で決定される。いくつかの実施形態では、2次元応力は表面プロットとして表示される。表面プロットの例としては、図10A図10C図12A、および図12Bに示されるものがある。いくつかの実施形態では、前記装置は、応力結果を表示するのに適したディスプレイ228を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、領域208の表面212上のパターン模様230は、無負荷および有負荷での測定を容易にする。いくつかの実施形態において、荷重の負荷は、シートの領域208の表面212を変形させる。いくつかの実施形態において、パターン模様230は、無負荷での測定時に表面を検出するため、および有負荷での測定時にシートの変形216を検出するために使用される。いくつかの実施形態において、パターン模様230は、位置合わせの目的のための無負荷での測定値と有負荷での測定値との比較を容易にする。いくつかの実施形態において、パターン模様230は、表面に印刷される、または表面212に投影される。
【0029】
その他の実施形態では、材料シートを試験する方法が提供される。この方法は、材料シートを提供する工程と、シートの領域の表面における無負荷での測定値を取得する工程と、シートの領域に荷重を負荷する工程と、シートの領域の表面における有負荷での測定値を取得する工程と、無負荷での測定値および有負荷での測定値に基づいて荷重の負荷により生じる応力を決定する工程とを含むことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される装置は、かかる方法を実施するために使用され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、荷重の負荷はシートの領域の表面を変形させる。いくつかの実施形態では、静態モードにおいて、第1の光学システムは、無負荷での測定値と有負荷での測定値の両方を取得する。いくつかの実施形態では、静態モードにおいて、所定の荷重に到達するまで、またはシートの破壊が検出されるまで、荷重の負荷を増加させる。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の光学システムは有負荷での測定値を取得し、第2の光学システムは無負荷での測定値を取得し、無負荷での測定値は有負荷での測定値を取得する前に取得される。このような構成が図11Cの概略図の左端に示されている。いくつかの実施形態では、動態モードにおいて、シートは試験装置を通過するように前進させられ(例えば、長手方向に)、領域の表面における無負荷での測定値および有負荷での測定値が逐次的に取得され、その後、決定する工程において比較される。いくつかの実施形態では、応力は少なくとも2次元で決定される。変形は、歪みが二つの直交方向で面内測定されて、3次元すべてで測定することができる。いくつかの実施形態では、領域の表面上のパターン模様は、無負荷および有負荷での測定を容易にする。
【0032】
いくつかの実施形態では、応力は時間軸の区分分解で決定される、すなわち、応力の変化の履歴が取得される。これは、シートが破壊されるまで徐々に荷重が増加される静態モード、または所定の荷重を負荷する複数のアセンブリをシートが通過して前進する動態モードのいずれかで取得され得る。
【0033】
いくつかの実施形態は、ガラスで形成されたシート204を参照して説明されるが、本明細書に付随の特許請求の範囲は、本明細書に記載された試験装置200は、積層構造またはパネルの受け入れまたは取り込み、および分析に使用され得るので、そのように限定されるべきではないことに留意すべきである。適切な積層構造は、一つ以上の中間ポリマー層を有する複数のガラスシートを含むことができる、または代替の実施形態において、薄膜トランジスタガラス基板およびカラーフィルタガラス基板を有する構造であって、その間に一つ以上の膜を有する構造、または片方または両方の基板に隣接して一つ以上の膜を有する構造を含むこともできる。したがって、本明細書でシート204またはガラスシートに言及されている場合、ガラス、ガラスセラミック、プラスチック、ならびに積層構造およびその他のパネルにも言及することができる。記載を簡潔にとどめるために、本明細書では、シート204のみで説明する。
【0034】
シート204の長さ/幅寸法の範囲は、約5mm/5mmから約100mm/100mmまで、約600mm/600mmまで、約1000mm/1000mmまで、約2300mm/2600mmまで、約4000mm/4000mmまで、およびそれらのなかでの任意の部分範囲、とすることができる。パネルまたは積層構造におけるガラスシートの長さ/幅寸法の範囲も、約5mm/5mmから約100mm/100mmまで、約600mm/600mmまで、約1000mm/1000mmまで、約2300mm/2600mmまで、約4000mm/4000mmまで、およびそれらのなかでの任意の部分範囲、とすることができる。さらに、パネルまたは積層構造における隣接するガラスシートは、異なる長さ/幅寸法を有してもよく、その場合、一つのシートが他のシートの上に重なる、および一つのシートが他のシートの一つ以上の側面上に重なることがあり得る。例示的には、一枚のガラスシートまたはパネルまたは積層構造に含まれる各ガラスシートのガラスの厚みは、0.1mm未満(例えば、10マイクロメートル程度)~5mm超、0.1mm~3mm、0.4mm~2mm、0.5mm~1mm、0.5mm~0.7mmであってもよい。
【0035】
テーブル202は、材料シート204を支持するように構成され、鋼、炭素繊維などを含むがこれらに限定されない任意の適切な材料で形成することができる。テーブル202は、ガラスシート204を所定の位置に移動させて測定サイクルを開始する、または連続的な試験のためにシート204を前進させるように構成された複数の駆動機構を含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、シート204のエッジの所定の部位が試験に使用される。いくつかの実施形態では、この所定の部位の幅の範囲は、約1mm~約5mm、約1.5mm~約3.5mm、約2mm~約3mm、およびそれらのなかでの任意の部分範囲、とすることができる。ある一つの実施形態では、ガラスシートの表面の最端部の2mmのみが、試験装置200に含まれるローラー組立体と接触して、応力集中をガラスシートのエッジに確実に発生させつつ、表面に割れを生じさせる可能性のある粒子の転がる機会を最小限にする。シート204がエッジ強度を測定されるパネルまたは積層構造であり、これらのパネルまたは積層構造内部における隣接するガラスシートが異なる場合(例えば、構造体の一つ以上のエッジが重なっている特徴を有する)では、所定の部位は、構造体内のより小さなガラスシート(すなわち、重なっていないシート)に関して測定される。
【0037】
いくつかの実施形態では、アセンブリ206の各々またはいずれかの円弧状部材218、220a、220bは、非破壊試験時(例えば、最大応力を評価しない)にシート204内に破壊を生じさせる危険性を最小にするように、コンプライアンスを有することができる。円弧状部材またはローラーは、十分なコンプライアンスを有するとともに、メンテナンスおよびダウンタイムを最小限にするための長寿命を提供し、また、ローラーがガラス表面上を自由に回転できる十分な摩擦を有するように選択することができる。例示的には、円弧状部材材料は、硬化鋼ローラー、鋼ローラー、ウレタンローラー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ローラー、ショア硬度80ウレタンローラー、ポリカーボネート(PC)ローラー(例えば、Lexan(商標)など)、高密度ポリエチレン(HDPE)ローラー、ショア硬度90ウレタンローラー、ウレタン被覆ローラーなどを含むことができる。例示的なウレタンローラーは、システム、フィードバックまたはその他によって使用される任意の信号に混信する可能性がある回転ノイズを低減するためにも使用することができる。さらに、ウレタンローラーまたはウレタン被覆ローラーは、ローラー経路内の異物を収容するため、およびy方向の応力プロファイルが内側寄りの応力集中を有さないようにするために使用できる。パネルおよび積層構造のエッジ強度を測定するために使用される実施形態では、適切なエッジ強度の試験結果を得るには、コンプライアンスがより小さいローラー(例えば、PC、HDPEなど)が必要とされることが判明した。
【0038】
各円弧状部材またはローラーの例示的な寸法は、本出願の主題の特定の実施形態に応じて変更できる。例えば、ローラーの寸法の範囲は、外径(OD)を5mm~15mm、7mm~12mm、9mm~10mmとすることができる。いくつかの実施形態では、例示的なローラーの寸法は、ODを約9mmとすることができるので、応力は、多くの顧客の苦情が発生する重要な領域であるガラスシートの隅部にほぼ全面的に加えることができる。例示的なシステムはまた、50mm/秒~500mm/秒またはそれ以上、または200mm/秒~400mm/秒またはそれ以上の範囲の速度でガラスエッジを横断することができる。例示的なシステムは、ガラスの厚みに関していかなる限定もなく、したがって、0.1mm未満(例えば、0.01mm程度まで)の厚み~5mmを超える厚み、0.1mm~3mm、0.4mm~2mm、0.5mm~1mm、0.5mm~0.7mmの厚みを有するガラスに使用することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、高速閉ループの応力制御機構を使用して、割れを検出するとともに、加えられた応力が目標の所定値内、例えば、目標の2MPa内、にあることを確実にすることができる。例えば、一つの円弧状部材218を用いてガラスシート204に荷重を負荷することができ、これにより、荷重セル信号を、割れを連続的に監視する高速コントローラ(図示せず)に送信することができる。この荷重セル信号はまた、所定の速度(例えば、100mm/秒~500mm/秒またはそれ以上)でエッジを横断させながら負荷する荷重を制御するために使用することができる。
【0040】
実施例および実装
従来の検査方法では、ガラスエッジのサンプルのV4PTB測定にのみ従事する100人以上のフルタイムの従業員を動員している。このように多くの人的資源を投入しても、試験できるのは全生産量のごく一部のみである。これは、試験の頻度が低いことに起因して、不良品が顧客に届けられるという形での品質低下につながる。また、割り当てられるほとんどすべての資源が品質要件に後追いで対応することに注がれるため、製品の品質向上に役立つ工程の最適化を検討する機会がほとんどまたは全くない。それゆえ、従来の方法では、製品の品質が低下している恐れがあるが、不良品が製造されても出荷前に製品の出荷を停止すること、または不具合の修正方法を突き止めることができない、という危うい状況を発生させる。対照的に、例示的な実施形態では、エッジの品質管理に費やされる時間の大幅な削減、製造されたガラスの量に対して試験されたガラスの量の顕著な増加、試験されるエッジ部位の割合の顕著な増加、および品質改善の探求のために使用されるリアルタイムでの工程フィードバックなどが可能となる。
【0041】
もちろん、特許請求の範囲は、実施形態が表面の特質をも検査できることを想定されているので、エッジ特徴のみの検査に限定されるべきではない。例えば、ガラスシートの表面上のいくつかの特徴、例えば、粒子混入および/または穴、欠けまたは引っ掻き傷などの可視タイプの表面欠陥にも、本出願の主題の実施形態が援用可能である。しかしながら、かかる実施形態では、強度分布を提供するのではなく、かかる実施形態は、表面欠陥のサイズ、形状および/または深さ分布、すなわち、寸法指標を利用するであろう。例示的かつ非限定的な表面の特徴は、表面近接領域(例えば、エッジから約20mmまでの内側)、界面領域(表面がエッジに接するところ)および表面欠陥のサイズ、形状または深さのいずれかの特徴を含む。このような寸法指標は、単独で、またはエッジ特徴から得られる強度指標とともに使用することができる。
【0042】
いくつかの実施態様において、試験長は、ガラスシートのエッジの全長に亘り得る、またはガラスシートのエッジの一部分に設定され得る。したがって、試験長は、ガラスエッジの長さに応じて、短くて約1mm~5mm程度から長くて約2600mm、3000mm、4000mmまたはそれ以上とすることができる。
【0043】
測定および試験されたエッジ強度に応じて、等級別の品質をそれぞれのガラスシートおよび/またはそれぞれのロットに設定することができる。様々なガラスシートおよびパネルまたは積層構造に関するエッジ強度の測定値を収集するために、追加の実験が行われた。例示的な装置および方法の実施形態は、100MPa~200MPaまで、およびそれらのなかでの任意の部分範囲でエッジ強度を測定するために使用することができる。また、強化ガラス(例えば、化学的強化(イオン交換)、酸エッチング処理など)については、200MPaを超えて(例えば、200MPa~350MPa、200MPa~300MPa、およびそれらのなかでの任意の部分範囲)エッジ強度測定を行うことができることも確認された。
【0044】
3点曲げに基づくエッジ強度試験
図6図9B図11A図11C、および図13A図13Dは、3点曲げを用いたエッジ強度試験のための装置200の概略図を示す。垂直方向の荷重が、薄いシート204のエッジに、それを所定の位置に保持する二つの支持体220により負荷される。故障モードでは、サンプルシート204が破壊されるまで荷重が負荷され、ピーク荷重が記録される。このピーク荷重は、歪み測定から事前に経験的に作成された較正曲線に基づいて応力にマッピングされる。さらに、この技術は、二つの方向(x軸およびy軸)に沿った歪み/応力を提供するので、曲げ方向に沿った歪みのみを使用する既存の方法に比べて、顕著な改善をもたらす。
【0045】
デジタル画像相関法
デジタル画像相関(DIC)法ではポイントトラッキングを利用する。DIC法は、変位量とそれによって歪みを得る全視野光学技術である。ガラスサンプル204は、微細な白黒ドットのパターン模様230で被覆され、適切なレンズを使用したステレオカメラ222a、222bおよび/または224a/224bが、試験中にスペックルドットのパターン模様230を撮影するために使用される。各時間間隔(荷重の増加中、または荷重が負荷される前と負荷されている間)で画像を比較することによって、ドット状のパターン模様230の動きを追跡できる。これにより、変位量マップが提供され、微分することで歪みが求められる。この3次元(ステレオ)DIC法は、3次元歪み場を取得するために使用できる。曲げ応力は、面内の二つの歪み場と数式(1)に基づいて決定できる:
【0046】
【数1】
【0047】
式中、Eは弾性係数、εxxは曲げ方向(x)に沿った歪み、εyyは面内の他の主軸方向(y)に沿った歪み、νはポアソン比である。既存の応力変換の方法では、応力状態の二軸性が無視され、一軸性の応力状態にフックの法則が使用される。これでは、本明細書で説明するDIC技術よりも情報量が少なくなり、結果が単純化されてしまう。
【0048】
現在の用途では、ガラス上に非常に薄い(数マイクロメートル程度)被膜のパターン模様230を形成するために、既存のアクリル塗料が使用される。塗料の弾性率はシート204より少なくとも一桁小さく、その厚みはシート204より数桁小さいので、測定に対するパターン模様の影響は無視できる。
【0049】
静態モード:リアルタイム応力測定を含むエッジ強度テスタ
3点曲げに基づくエッジ強度試験の技術およびDICの光学的方法を適切な設計変更と組み合わせることにより、極薄モノリシックまたは積層構造ガラス(例えば、材料シート)のエッジの強度試験を行いながら、リアルタイムで応力測定を行うことが可能である。
【0050】
DIC法を含む任意の形態の光学測定では、測定のために関心領域(RoI)(変形領域208)への遮られない直接的な光路を必要とする。既存のシステム(例えば、米国特許出願公開第2018/0073967号明細書)では、直接的な応力測定は行われず、その設計構造では、ローラーが光路を遮断するので、遮られない光路を設定できなかった。このような課題は、図6図9B図11A図11C、および図13A図13Dのような、本明細書に記載される装置を用いて解決される。このような変更およびそれによる改善は、装置が動態モードで実行されるときにも実現される。主な設計事項は以下の通りである:
・上部ローラーを円形ホイールから部分的ローラーに変更した。すなわち、円形ローラーで必要とされるガラスシート204との接触面積を維持しつつ、光路を最大にするために部分的ローラーの幅を最小化した(図7、参照符号220a、220b)。
・接触の効果の検討のために、ガラスとローラー/上部の部分的ローラーを正確に位置合わせすることを可能にするために、x、y、z軸制御に精密なマイクロメートルレベルの調整を組み込んだ(図7、参照符号232)。
・スキューの影響の検討のために、ガラスとローラー/上部の部分的ローラーを正確に位置合わせすることを可能にするために、軸制御に精密なマイクロメートルレベルの調整を組み込んだ(図7、参照符号234)。
・固定具の片方ずつと部分的ローラーはすべて、試験の開始時に正確に位置合わせをするために、ダウエルピンで固定した(図7、参照符号236a、236b)。
【0051】
現在利用可能な関心領域(208)への遮られない光路を用いて、DIC法の技術を利用してリアルタイムでの直接的な応力測定を行う光学システムが設計された。特殊なレンズシステムを装備した市販の二つの4メガピクセルのモノクロカメラを使用して、エッジ付近の7mm×7mmの領域208を観察した。サンプルは、ドットが約5~7ピクセルのサイズで、被膜の厚みが数マイクロメートルを超えないようなランダムな白黒ドットのパターン模様230で被覆された。ステレオカメラシステムを使用して、エッジ試験の実験中に一連の画像(毎秒4フレームの150~200対の画像)を記録した。この一連の画像を相関させて、歪み場を得た後、数式(1)を用いて応力を求めた。6Nの荷重を負荷する工程で得られた応力場と試験中の最大応力の履歴の例を図10Cに示す。この種の応力の可視化/測定はこれまで行われたことがないと確信される。この結果が数値シミュレーション(例えば、有限要素解析)と相関され、図10Cに示されるように、良好な一致が見られる。
【0052】
動態モード:リアルタイム応力測定のためのアルゴリズを含むエッジ強度テスタ
このシステムの一つの実施形態は、静態条件での較正ユニットであることとは別に、動態モードを備えて連続的なエッジ試験を伴う製造環境(またはその他の環境)でも使用することができる。本明細書の全体を通して記載され、依拠されるように、試験中の材料の表面への遮られない直接的な光路は、より正確な直接的な歪み測定を容易にする。
【0053】
動態モードで測定を行う能力は、既存のエッジ測定技術の設計改良であり、リアルタイムでの直接的な応力測定の能力も追加される。いくつかの実施形態では、前述の設計を変更して、部分的なローラー(例えば、円弧状部材)を、図11A図11Cおよび図13A図13Dに示されるように、連続的に供給されるサンプルを取り込むことができる三つの完全に機能的なローラーに取り換えてもよい。かかるシステムでは、入って来るガラスエッジが必要とされる曲げ/荷重に連続的にさらされる位置にローラーを配置する。かかるシステムでは、カメラで検査するための遮られない光路が存在するようにローラー間隔とローラー直径を制御する。
【0054】
図10Dは、このような動態タイプのエッジ強度試験の設定におけるリアルタイムでの応力測定を実現する方法を説明する。エッジ強度テスタは、すでに存在する破壊が検出されるように、試験前にエッジを事前に検査する必要がある(荷重なし/曲げなしで、サンプルがローラーを通過する)。ここで、破壊が検出されない場合、システムが誤動作している、またはエッジ強度を過大評価している可能性がある。このような試験の際に、カメラは、図11Bに示されるように、エッジの長さに沿って一連の画像を撮影できる。次に、2回目の通過でサンプルのエッジに荷重が負荷されたとき、図11Cに示されるように、カメラは、1回目の通過で撮影された一連の画像でのエッジの位置と正確に対応する位置で別の一連の画像を撮影し、同じ位置で対応する画像を対にして相関させる、すなわち、図11Bおよび図11Cに示される同一番号の画像同士を相関させることによって、前述のように、歪み場そして応力を求めることができる。
【0055】
あるいは、2組の光学システムを有する装置を使用して、シングルパスで動態測定を行うことができる。そのような装置の例を、図11Cの概略図の左端に示す。かかるシステムは、第1の光学システム222a、222b、第2の光学システム224a、224b、第1と第2の光学システムに接続されたプロセッサ214、および結果を示すディスプレイ228を含む。
【0056】
課題として明らかなことは、アルゴリズムと画像相関により中間画像(静態試験の場合での150~200対の画像)なしに応力ゼロからピーク応力状態までの歪みを取得できるかどうかである。図12Aおよび図12Bは、この概念の実証試験から得られた結果を示しており、中間画像なしで正確な結果が取得できることを確認している。図12Aに示されるように、静態試験中の一連の150~200対の画像を相関させて11Nの荷重を負荷した時の応力分布を取得し、図12Bは、中間画像なしに1番目の画像と200番目の画像を相関させて取得した応力分布を示している。これらは同一となり、中間画像が無くても結果に影響を及ぼさない。このように、かかる実施形態は、極薄モノリシックおよび積層構造ガラスのサンプルのエッジ強度の測定をリアルタイムでの応力可視化とともに行う動態システムを説明する。
【0057】
光学システム(カメラ)の較正
図13A図13Dに示されるように、ガラスパネル上で実際の試験を行なう前に較正が完了する。この操作を行なうことによって、画像相関ソフトウェアは、試験サンプルに対してカメラが配置される角度および距離を認識できる。これは、画像ピクセルに関するドット状のパターン模様の移動を三次元空間内の物理的次元に変換するのに役立つ。この較正工程は、図13A図13Dで概略的に説明される。図13Aは、カメラ(222a、222b)、ローラーおよび試験用のパネルの相対位置を示す。上部ローラーは、試験がまだ開始されていないので、パネルから離れている。次に、試験用のパネルを、平坦な表面に印刷された所定のパターン模様(画像相関ソフトウェアとして知られている)に切り替える。カメラは、図13B図13Dに示されているように、カメラの焦点の領域内で三次元空間内で旋回されている所定のパターン模様の一連の写真を撮影する。一連の画像および適切なソフトウェアを使用して較正ファイルを作成することで、パネル上での実際の試験中に較正ファイルが使用され、歪みを取得することができる。
【0058】
静態試験設定の能力
静態モードには、以下のような設計の特徴があり、他のパラメータの検討とともにパネル/積層構造のシートの設計を検討するための較正デバイス(またはベンチマークデバイス)として作用するのに役立つ。
a)互換性のあるローラー(ローラーの材質および直径)
b)送り角度を変更する能力。これは、非長方形のディスプレイパネルのエッジ試験に対処するのに役立つ。
c)ローラー組立体を試験エッジの近くまたは遠くに調整する。これにより、エッジの特定の領域を検査し、より小さなパネル(携帯デバイス)を試験することが可能になる。
d)ローラーを部分ローラー形状に置き換えることができ、これにより、特に接触点付近の視認面積が拡大し、ローラーからの追加の応力なしでその領域内の応力分布を検討することが可能になる。
【0059】
ここでは、検査を正確に行うために非常に重要である、様々な構成要素を正確な位置に配列させるアライメントピン236a、236bのような位置調整の技術を組み込んでいる。
【0060】
スペックルコーティングの別の方法およびその動態的DIC法を実施する方法
可視スペックルドットを試験用のパネルに塗布する方法では、パネルは市販用途には使用不可となる。これを回避するために、装置に装備した特殊な光学システムのみが感知できる非可視スペックル(例えば、紫外光、赤外光、または電磁スペクトルの別の非可視領域)を使用することができる。代替方法として、レーザを使用してパネル上にドットを投影し、スペックルを試験中にカメラによって追跡するようにしてもよい。ドット状のパターン模様はランダムであってもよい。
【0061】
例示的な実施形態は、エッジのみに応力を加えることによってガラスエッジの破壊強度を連続的に測定する方法を記載しており、エッジから離れた部位の応力は、それぞれの位置における破壊強度よりも著しく低くなる。さらに、例示的な実施形態を使用すると、エッジの両側は、測定中に実質的に同じ引張応力を受けることができる。この連続的な応力を提供するための一つの方法(例えば、対向し、かつオフセットしている複数のローラー)が詳細に説明されているが、本明細書に付随の特許請求の範囲は、音響エネルギーおよび/または赤外線エネルギー(コヒーレントおよびインコヒーレントの両方)も、ガラスシートのエッジに応力を誘起する同じ目的で使用できることが想定されているので、そのように限定されるべきではない。例えば、集束超音波を使用して、ガラスエッジに応力を誘起することができ、本明細書に開示された装置および方法を使用して、ガラスエッジでの測定値を得ることができる。さらに、レーザまたはその他の手段(個々のガラス材料がかなり吸収し得るスペクトル)を使用するIR照射により、ガラスエッジに応力を誘起することができ、本明細書に開示された装置および方法を使用して、ガラスエッジでの測定値を得ることができる。さらに、例示的な実施形態は、従来の方法に比較して、処理速度が少なくとも30倍になり、試験の対象になるエッジ量が少なくとも3倍になり、加工後に試験の対象になるシートの量が桁違いに多くなる、連続的な高速処理を提供する。このような統計サンプリング数の増加は、顧客への不良品の出荷を少なくすることを確実にでき、オンライン構成に適している。
【0062】
本明細書で説明した実施形態および機能的操作は、本明細書に開示した構造およびそれらの構造的な均等物を含むデジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアで、またはそれらの一つ以上の組合せで実施することができる。本明細書に記載の実施形態は、一つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置により実行される、またはその動作を制御するための、有形のプログラム記憶媒体に符号化されたコンピュータプログラムの命令の一つ以上のモジュールとして実装することができる。有形のプログラム記憶媒体は、コンピュータ可読媒体であってよい。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、またはそれらのうちの一つ以上の組合せであってよい。
【0063】
「プロセッサ(processor)」または「制御装置(controller)」という用語は、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、またはマルチプロセッサ、またはマルチコンピュータを実施形態として含む、データを処理するためのあらゆる装置、デバイス、および機械を含むことができる。プロセッサは、ハードウェアに加えて、対象のコンピュータプログラムの実行環境を作り出すコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらのうちの一つ以上の組合せを構成するコードを含むことができる。
【0064】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型またはインタプリタ型言語、または宣言型または手続型言語を含む任意の形式のプログラミング言語の任意の形態で作成可能であり、コンピュータ環境での使用に適したスタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはその他のユニットとしての形態を含む任意の形態で実装することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステムの中のファイルに必ずしも対応していない。プログラムは、その他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語ドキュメントに記憶された一つ以上のスクリプト)に、対象のプログラム専用のシングルファイルに、または複数の連携ファイル(例えば、一つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部分を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、一つのコンピュータ上で、または一つの場所にあるか複数の場所に分散され通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように実装することができる。
【0065】
本明細書に記載の工程は、入力データを処理して出力を生じさせることによって機能を果たす一つ以上のコンピュータプログラムを実行する一つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行することができる。この工程および論理フローは、専用の論理回路、いくつか例を挙げれば、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行されることもでき、装置に専用の論理回路が実装されてもよい。
【0066】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、一実施形態として、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の一つ以上のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは、読み取り専用メモリもしくはランダムアクセスメモリ、またはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータに不可欠な構成要素は、命令を実行するプロセッサと、命令とデータを記憶する一つ以上のデータメモリデバイスである。一般的に、コンピュータは、データを保存するための、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクなどの一つ以上の大容量記憶デバイスを備えるか、データの受信、データの送信、またはその両方を行うための一つ以上の大容量記憶デバイスに動作可能に連結される。しかしながら、コンピュータは、かかるデバイスを有している必要はない。さらに、コンピュータは、別のデバイス、いくつか例を挙げれば、例えば、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)に内蔵することができる。
【0067】
コンピュータプログラムの命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、不揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスを含むあらゆる形態のデータメモリを含み、実施形態としては、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、CD-ROMディスクおよびDVD-ROMディスクなどを含む。プロセッサおよびメモリは、専用の論理回路で補完される、または組み込まれることもできる。
【0068】
ユーザーとの対話処理を提供するために、本明細書に含まれる図面に示されるように、本明細書に記載の実施形態は、ユーザーに対して情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ等と、ユーザーがコンピュータに入力を行うことを可能にするキーボードおよびポインティングデバイス、例えば、マウスもしくはトラックボール、またはタッチスクリーンとを有するコンピュータ上で実施することができる。その他の種類のデバイスも同様にユーザーとの対話処理に提供するために使用されてもよく、実施形態では、ユーザーからの入力は、音響入力、音声入力、または接触入力を含む任意の形態で受け取ることができる。
【0069】
本明細書に記載の実施形態は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバ)、ミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)、またはフロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザーが本明細書に記載の主題の実施について相互対話することを可能にするグラフィカルユーザーインターフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)を含むか、またはこのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、またはフロントエンドコンポーネントの一つ以上の任意の組合せを含むコンピューティングシステムにおいて実施することができる。このシステムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形態または媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの実施形態は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)、例えば、インターネットを含む。
【0070】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般的に互いに遠隔であり、典型的には通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバの関係は、コンピュータプログラムが、各コンピュータ上で動作し、相互にクライアント・サーバ関係を確立することにより生じる。
【0071】
開示された様々な実施形態は、特定の実施形態に関連して説明される特定の特徴、要素または工程を伴う場合があることが理解されるであろう。また、特定の特徴、要素または工程がある特定の実施形態に関連して説明されていても、図示されていない様々な組合せまたは置換による別の実施形態と交換または組み合わされてよいことも理解されるであろう。
【0072】
また、本明細書中で使用される用語「the」、「a」または「an」は、「少なくとも一つ」を意味し、一つだけであることを明示的に示さない限り、「一つだけ」の意味に限定されるべきではないと理解すべきである。したがって、例えば、「一つのコンポーネント」に言及する場合は、コンポーネントが一つだけであることを文脈が明示していない限り、そのようなコンポーネントを二つ以上有する場合を含む。
【0073】
本明細書では、範囲は、「約(about)」が付されたある特定の値から、および/または「約(about)」が付された別の特定の値までの範囲として表現される場合がある。範囲がそのように表現されている場合、例示される値は、ある特定の値から、および/または別の特定の値までを含む。同様に、ある特定の値が「約(about)」という先行詞を使用して近似値として表現されている場合、その特定の値は別の態様を形成することが理解できるであろう。さらに、これらの各範囲の端点は、他方の端点との関連においても、他方の端点とは独立しても、有意であることが理解できるであろう。
【0074】
本明細書で使用される用語で「実質的な(substantial)」、「実質的に(substantially)」およびそれらの変化形は、説明された特徴がある値または記述と等しい、または略等しいことを注記している。さらに、「実質的に類似(substantially similar)」は、二つの値が等しいまたは略等しいことを意味している。いくつかの実施形態では、「実質的に類似」は、互いに約10%の範囲内、例えば、互いに約5%の範囲内、または互いに約2%の範囲内の値を指す場合がある。
【0075】
特に明記しない限り、本明細書で説明された方法については、その工程が特定の順序で行われる必要があると解釈されることを全く意図していない。したがって、方法に係る請求項で、その複数の工程が従うべき順序を実際に記載していない場合、または、その複数の工程が特定の順序に限定されるべきであることが請求項または明細書に特に記載されていない場合は、特定の順序を示唆する意図は全くない。
【0076】
特定の実施形態における様々な特徴、要素または工程が「含む(comprising)」という移行句を用いて開示される場合があるが、この移行句には、「からなる(consisting)」または「から実質的になる(consisting essentially of)」という移行句を用いて説明され得る代替的な実施形態が示唆されていると理解すべきである。したがって、例えば、A+B+Cを含む装置に対して示唆される代替的な実施形態には、装置がA+B+Cからなる実施形態と、装置がA+B+Cから実質的になる実施形態とを含む。
【0077】
本開示の精神および範囲から逸脱せずに、本開示の実施の形態に様々な改変および変更を行えることが当業者には明白であろう。本開示の精神および範囲を組み込んだ、開示された実施形態の改変、組合せ、部分的な組合せおよび変形は、当業者が想起し得るため、本開示は、付随の特許請求の範囲およびその均等物の範囲に入るすべてを包含すると解釈されるべきである。
【0078】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0079】
実施形態1
材料シートを試験する装置であって、
前記材料シートの領域に荷重を負荷する複数のアセンブリと、
前記領域の表面における無負荷での測定値と、該領域に該荷重が負荷されている間に該領域の該表面における有負荷での測定値とを直接的に取得する検出機構と、
前記荷重の負荷により生じる応力を決定するために前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値を分析するプロセッサと
を含む、材料シートを試験する装置。
【0080】
実施形態2
前記複数のアセンブリは、前記シートの第1の側面に接触するための一つの円弧状部材を含む第1のアセンブリと、該シートの該第1の側面と反対側の第2の側面に接触するための相互に離間配置された二つの円弧状部材を含む第2のアセンブリとを含む、実施形態1に記載の装置。
【0081】
実施形態3
前記一つの円弧状部材は、前記相互に離間配置された二つの円弧状部材の間に長手方向に沿って配置される、実施形態2に記載の装置。
【0082】
実施形態4
前記検出機構は、前記シートの前記第2の側面に対向して配置され、前記相互に離間配置された二つの円弧状部材の間で前記表面を検出する第1の光学システムを含む、実施形態3に記載の装置。
【0083】
実施形態5
前記第1の光学システムは、前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値を取得する、実施形態4に記載の装置。
【0084】
実施形態6
静態モードにおいて、所定の荷重に到達するまで、または前記シートの破壊が検出されるまで、前記荷重の負荷を増加させる、実施形態5に記載の装置。
【0085】
実施形態7
前記検出機構は、前記シートが前記相互に離間配置された二つの円弧状部材の間を前進する前に、前記無負荷での測定値を測定するために該シートの前記第2の側面に対向して配置される第2の光学システムを含み、前記第1の光学システムは、前記有負荷での測定値を測定するために前記表面を検出する、実施形態4に記載の装置。
【0086】
実施形態8
前記装置は、前記シートが前記複数のアセンブリを2回通過する動態モードを含み、
前記無負荷での測定値は、荷重が負荷されない時の1回の通過で取得され、前記有負荷での測定値は、荷重が負荷される時の別の回の通過で取得される、実施形態5に記載の装置。
【0087】
実施形態9
前記円弧状部材は、円筒形ローラー、ベルトローラー、およびベアリングローラーからなる群から選択される、実施形態1に記載の装置。
【0088】
実施形態10
前記複数のアセンブリは、前記シートが該複数のアセンブリを通過して前進するように構成され、
複数の応力測定値が、前記複数のアセンブリを通過する前記シートのエッジに沿って連続的または断続的に決定される、実施形態9に記載の装置。
【0089】
実施形態11
前記応力は、少なくとも2次元で決定される、実施形態1に記載の装置。
【0090】
実施形態12
前記領域の前記表面上のパターン模様は、前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値の測定を容易にする、実施形態1に記載の装置。
【0091】
実施形態13
前記応力結果を表示するように構成されるディスプレイをさらに含む、実施形態1に記載の装置。
【0092】
実施形態14
材料シートを試験する方法であって、
前記材料シートを提供する工程と、
前記材料シートの領域の表面における無負荷での測定値を取得する工程と、
前記材料シートの前記領域に荷重を負荷する工程と、
前記材料シートの前記領域の前記表面における有負荷での測定値を取得する工程と、
前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値に基づいて前記荷重の負荷により生じる応力を決定する工程と
を有してなる、材料シートを試験する方法。
【0093】
実施形態15
前記荷重の負荷は、前記材料シートの前記領域の前記表面を変形させる、実施形態14に記載の方法。
【0094】
実施形態16
静態モードにおいて、第1の光学システムは、前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値を取得する、実施形態14に記載の方法。
【0095】
実施形態17
静態モードにおいて、所定の荷重に到達するまで、または前記シートの破壊が検出されるまで、前記荷重の負荷を増加させる、実施形態14に記載の方法。
【0096】
実施形態18
第1の光学システムが前記有負荷での測定値を取得し、第2の光学システムが前記無負荷での測定値を取得し、
前記無負荷での測定値は、前記有負荷での測定値より前に取得される、実施形態14に記載の方法。
【0097】
実施形態19
動態モードにおいて、前記シートは試験装置を通過して長手方向に前進させられ、前記領域の前記表面における前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値が逐次的に取得され、次いで前記決定工程において比較される、実施形態18に記載の方法。
【0098】
実施形態20
前記応力は、少なくとも2次元で決定される、実施形態14に記載の方法。
【0099】
実施形態21
前記領域の前記表面上のパターン模様は、前記無負荷での測定値および前記有負荷での測定値の測定を容易にする、実施形態14に記載の方法。
【符号の説明】
【0100】
204 材料シート
206a、206b 複数のアセンブリ
206a 第1のアセンブリ
206b 第2のアセンブリ
208 領域
212 表面
214 プロセッサ
218 一つの円弧状部材
220a、220b 二つの円弧状部材
222 第1の光学システム
224a、224b 第2の光学システム
228 ディスプレイ
230 パターン模様
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
【国際調査報告】