(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】プラグコネクタ部分を安全に分離すること
(51)【国際特許分類】
H01R 13/635 20060101AFI20220708BHJP
【FI】
H01R13/635
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568351
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2020063014
(87)【国際公開番号】W WO2020229392
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】102019112899.4
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルク・クリンペル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ヴェント
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB21
5E021FC27
5E021FC31
5E021HA05
5E021HB07
5E021HB15
5E021HC09
5E021HC37
(57)【要約】
本発明は、嵌合するプラグコネクタ部分(3)に電気的な接続を行うためのプラグコネクタ部分(2)に関し、プラグコネクタ部分(2)は、ハウジング(20)と、ハウジング(20)に対して移動することができ、かつ嵌合するプラグコネクタ部分(3)に対する少なくとも1つの電気接点(210)を有する接点キャリア(21)と、ハウジング(20)に対して、かつ接点キャリア(21)に対して移動することができるスライダ(22)と、接点キャリア(21)に対するスライダ(22)の変位により張力を加えることができるように、スライダ(22)上で、かつ接点キャリア(21)上で支持される弾性要素(23)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合するプラグコネクタ部分(3)に電気的な接続を行うためのプラグコネクタ部分(2)であって、
ハウジング(20)と、
前記ハウジング(20)に対して移動することができ、かつ前記嵌合するプラグコネクタ部分(3)に対する少なくとも1つの電気接点(210)を有する接点キャリア(21)と、
前記ハウジング(20)に対して、かつ前記接点キャリア(21)に対して移動することができるスライダ(22)と、
前記接点キャリア(21)に対する前記スライダ(22)の変位により張力を加えることができるように、前記スライダ(22)上で、かつ前記接点キャリア(21)上で支持される弾性要素(23)と
を備えるプラグコネクタ部分(2)。
【請求項2】
前記プラグコネクタ部分(2)のプラグイン方向(S)に沿って、導体接続部(200)に対する少なくとも1つの電気接点(210)の変位を可能にする少なくとも1つの導電性要素(25)を特徴とする、請求項1に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項3】
前記接点キャリア(21)を、前記嵌合するプラグコネクタ部分(3)にロックするためのロッキング要素(24)を特徴とする、請求項1または2に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項4】
前記スライダ(22)および前記ロッキング要素(24)は、前記接点キャリア(21)に対する前記スライダ(22)の変位が、まず、前記弾性要素(23)に張力を生じ、それに続いて、前記ロッキング要素(24)を作動させるように形成されることを特徴とする、請求項3に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項5】
前記ロッキング要素(24)は、前記接点キャリア(21)に固定されることを特徴とする、請求項3または4に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項6】
前記ロッキング要素(24)は、前記スライダ(22)のガイド(220)の中でガイドされることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項7】
前記ロッキング要素(24)は、前記ロッキング要素(24)を、ロックされた位置からロック解除位置へと移動するために、前記スライダ(22)の斜面(222)と相互作用するように構成された斜面(240)を有することを特徴とする、請求項3から6のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項8】
前記プラグコネクタ部分(2)は、プラグイン軸(S)に沿って、前記嵌合するプラグコネクタ部分(3)の中に差し込むことができ、また前記弾性要素(23)は、前記プラグイン軸(S)に平行な方向に張力が加えられ得ることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項9】
前記弾性要素(23)は、渦巻きばね、または別のばね状要素の形をとることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項10】
前記接点キャリア(21)は、複数の電気接点(210)を備えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項11】
少なくとも1つの導体接続部(200)は、導電体をしっかりと接続するために前記ハウジング(20)に固定されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの導体接続部(200)は、長さが可変である導電性要素(25)により、前記ハウジング(20)上の前記少なくとも1つの電気接点(210)に接続されることを特徴とする、請求項11に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項13】
前記スライダ(22)は、摺動スリーブの形をとり、また前記ハウジング(20)および前記接点キャリア(21)の外側を少なくとも部分的に囲むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項14】
前記接点キャリア(21)は、前記ハウジング(20)内に少なくとも部分的に収容されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部分(2)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部分(2)と、前記プラグコネクタ部分とプラグイン係合することのできる嵌合するプラグコネクタ部分(3)とを有するプラグコネクタ(1)。
【請求項16】
嵌合するプラグコネクタ部分(3)からプラグコネクタ部分(2)を分離するための方法であって、
前記プラグコネクタ部分(2)は、ハウジング(20)と、前記ハウジング(20)に対して移動することができ、かつ前記嵌合するプラグコネクタ部分(3)に対する少なくとも1つの電気接点(210)を有する接点キャリア(21)と、前記ハウジング(20)に対して、かつ前記接点キャリア(21)に対して移動することができるスライダ(22)と、前記スライダ(22)上で、かつ前記接点キャリア(21)上で支持される弾性要素(23)とを備え、前記弾性要素(23)には、前記接点キャリア(21)に対して前記スライダ(22)を変位させることにより張力が加えられて、前記ハウジング(20)に対して前記接点キャリア(21)に変位を生じさせることによって、前記接点キャリア(21)を、前記嵌合するプラグコネクタ部分(3)から取り外せるようにする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1による、嵌合するプラグコネクタ部分に電気的に接続するためのプラグコネクタ部分に関し、対応するプラグコネクタに関し、かつ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
確立された電気的な接続が解除されたとき、印加された電圧に応じて、また直流が加えられる場合は特に、アークの形成が予測される。これは、特にプラグコネクタの場合に課題になることが多い。一方で、アークは、プラグコネクタに、すなわち、ハウジング部分と接点の両方に損傷を生ずるおそれがある。しかし、他方で、アークはまた、プラグコネクタの操作者に危険をもたらす可能性がある。さらなる論題は、電気的な接続が、不完全に分離されている場合に限って生ずる可能性のあるいわゆる静止アーク(stationary arc)に関する。このような影響を可能な限り低く保つために、迅速かつ安全な接続の解除を可能にする機構が望ましい。
【0003】
事前に張力を付与できるスプリングピン、または事前に張力が付与された接触ピンが、特開平第07-122332号および独国特許明細書第518012号で述べられている。このような解決策は、このような接点/スプリングピンを生産することが比較的複雑であるという不利な点を有する。
【0004】
独国特許第10242429号は、プラグハウジング、スライダ、およびプラグハウジングとスライダの間で支持され、かつスライダが移動すると弾性的な予張力(pretension)を確立する弾性要素を備えるプラグを開示する。プラグは、得られた弾性的な予張力が、接触要素の接続力を超えた場合、プラグソケットからの分離を開始する。しかし、接触要素の接続力が、損耗の結果、時間の経過と共に減少する可能性があり、それは、実用寿命にわたって変化する分離動作を生ずる可能性がある。加えて、接続が解放されたとき、ユーザが、プラグハウジングまたはそれに接続された線を手の中で保持している場合、弾性的な予張力の結果としての分離する機能が妨げられる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平第07-122332号
【特許文献2】独国特許明細書第518012号
【特許文献3】独国特許第10242429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、プラグコネクタの電気的な接続の解除を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する製品により達成される。
【0008】
したがって、プラグコネクタ部分は、嵌合するプラグコネクタ部分に対する電気的な接続を提供し、かつ嵌合するプラグコネクタ部分からの安全な分離を提供し、ここで、プラグコネクタ部分は、ハウジング、接点キャリア、スライダ、および少なくとも1つの弾性要素を備える。接点キャリアは、嵌合するプラグコネクタ部分に対する少なくとも1つの電気接点を備え、またハウジングに対して移動可能に、例えば、ハウジング上に移動可能に取り付けられる。スライダは、ハウジングに対して、かつ接点キャリアに対して移動可能に、例えば、このようにハウジング上で移動可能に取り付けられる。弾性要素は、スライダおよび接点キャリア上で支持されており、ハウジングに対する接点キャリアの変位を生じさせるために、接点キャリアに対するスライダの変位により(特に、ばね弾性的に)張力を受けるようにする。
【0009】
この方法では、したがって、プラグコネクタ部分の外部の影響またはユーザとは無関係に、対応する嵌合するプラグコネクタ部分との接続を、確実に迅速かつ安全に解除することが可能にするという効果に対して、特に向上させたプラグコネクタ部分が提供される。電気的な接続は、弾性要素の(事前の)張力の結果として、ハウジングに対して接点キャリアを移動させることにより接続が解除される。したがって、ユーザは、分離を損なうことなく、分離中に、自分の手の中にハウジングを保持することができる。したがって、アークに起因する損傷または障害を、特に信頼性のある方法で回避することができる。プラグコネクタ部分は、互いに対して移動することのできる3つの構成要素、すなわち、ハウジング、接点キャリア、およびスライダを備える。弾性要素に張力を与えることは、例えば、圧縮または伸長により行われる。
【0010】
プラグコネクタ部分は、少なくとも1つの導電性要素を備えることができ、それは、プラグコネクタ部分のプラグイン方向に沿って、例えば、可撓性のある導電体の形の、導体接続部に対する少なくとも1つの電気接点の変位を可能にする。
【0011】
プラグコネクタ部分は、例えば、嵌合するプラグコネクタ部分に対して、接点キャリアを取外し可能にロックするための、特に掛止要素の形のロッキング要素を備える。こうすることは、ユーザが、嵌合するプラグコネクタからプラグコネクタを取り外す速度とは関係なく、規定された分離動作をトリガできるようにする。
【0012】
展開において、接点キャリアに対するスライダの変位が、まず弾性要素の引張りを生じ、その後に(所定の変位経路の後に)ロッキング要素を作動させるように、スライダおよびロッキング要素が形成される。これは、ロッキング要素が作動されたとき(嵌合するプラグコネクタ部分からそれを解放するために)、同じ力が、常に、接点キャリアに作用さすることを保証する。
【0013】
ロッキング要素は、接点キャリアに固定することができる、例えば、それに固定される、またはその上に形成される。任意選択で、ロッキング要素は、接点キャリアと一体に形成される。これは、特に頑強であり、かつ簡単な構造を可能にする。
【0014】
一実施形態では、ロッキング要素は、スライダのガイドにおいてガイドされる(例えば、長手方向に移動可能に)。これはまた、特に簡単な構造を可能にし、さらにロック状態の視覚的な検査を可能にする。
【0015】
ロッキング要素は、特に、斜面の形のロック解除セクションを有することができる。ロック解除セクション(特に斜面)は、ロッキング要素を、固定位置からロック解除位置へと移動するように作動させるために、特に斜面の形の、スライダの関連するロック解除セクションと相互作用するように構成することができる。
【0016】
プラグコネクタ部分は、例えば、プラグイン軸に沿って、嵌合するプラグコネクタ部分に差し込むことができ、また特に、嵌合するプラグコネクタ部分上に、またはその中に差し込むことができ、ここで、弾性要素は、例えば、圧縮など、特にプラグイン軸に平行な方向に張力を加えることができる。
【0017】
任意選択で、弾性要素はばねの形をとり、特に渦巻きばねである。これは、特に簡単かつ頑強な設計を可能にする。代替的には、例えば、1個のゴムを、簡単かつ頑強な弾性要素として考えることもできる。さらにプラグコネクタ部分は、特に渦巻きばねである、2つ以上の弾性要素を備えることができ、それは、傾きを有効に阻止することができる。
【0018】
接点キャリアは、例えば、直流(DC)接続のための2つの接点など、1つまたは複数の電気接点を備えることができる。電気接点のそれぞれは、嵌合するプラグコネクタの電気接点と接触するように構成される。保護導体(PE)に対するさらなる電気接点を、ハウジングにしっかりと取り付けることができる。この場合、弾性要素は、嵌合するプラグコネクタ部分から引き離すために、接点キャリアのすべての接点を同時に動かすことができる。プラグイン深さに応じて、複数の接点を、同時に、または順次分離することができる。複数の接点にかかわらず、プラグコネクタ部分は、特に簡単な構造を有することができる。
【0019】
例えば、導電体のしっかりとした接続のために、少なくとも1つの導体接続部が、ハウジングに固定される、例えば、それに対してしっかりと固定される。導体は、導体接続部に対して、取外し可能に、または取外し不能に接続され得る。
【0020】
任意選択で、ハウジング上の少なくとも1つの導体接続部は、可変の長さを橋渡しするように形成された導電体要素により(特に、可撓性のある導電体要素により)、少なくとも1つの電気接点に(または複数の電気接点のそれぞれに対して複数の導体接続部のそれぞれが)接続される。これは、互いに対して移動可能な2つの構成要素の簡単であり、かつ同時に安全な電気接続を可能にする。例えば、撚り合わされた銅線などの可撓性のある撚り線、または例えば、銅の編組みなどの可撓性のある編組みは、可撓性のある導電体として働く。代替的に、例えば、摺動する接点を使用することも可能である。
【0021】
スライダは、摺動するスリーブの形をとることができる。さらに、スライダは、部分的に、または完全にハウジング、および/または接点キャリアを外側で囲むように形成され、かつ構成することができる。これは、特に簡単な操作を可能にする。スライダは、手動で作動させるための把持面を有することができる。
【0022】
接点キャリアは、ハウジング内に少なくとも部分的に収容することができる。これは、例えば、ハウジングにおける特に簡単なガイドを可能にする。
【0023】
一態様によれば、プラグコネクタが提供され、それは、本明細書で述べられる任意の実施形態によるプラグコネクタ部分と、プラグコネクタ部分とプラグイン係合を行うことのできる、嵌合するプラグコネクタ部分とを備える。
【0024】
一態様によれば、プラグコネクタ部分を、嵌合するプラグコネクタ部分から分離するための方法が提供され、プラグコネクタ部分は、以下のものを備える、すなわち、ハウジングと、嵌合するプラグコネクタ部分に対する少なくとも1つの電気接点を備える、ハウジングに対して移動され得る接点キャリアと、ハウジングおよび接点キャリアに対して移動できるスライダと、任意選択で、電流を送るための長さを変化させ得る可撓性のある導電体または別の要素と、スライダ上に、かつ接点キャリア上に支持される弾性(例えば、ばね弾性)要素とを備え、ここで、弾性要素には、接点キャリアに対するスライダの変位により張力が加えられる。その結果、ハウジングに対する接点キャリアの変位を生じることができ、接点キャリアは、嵌合するプラグコネクタ部分から取り外すことができ、それにより、プラグコネクタ部分は、嵌合するプラグコネクタ部分から分離される。
【0025】
本方法において、本明細書で述べられるいずれの実施形態によるプラグコネクタ部分も使用することができる。
【0026】
本発明の基礎を形成する概念は、諸図で示される例示的な実施形態に基づいて以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】非相互接続状態にあるプラグコネクタ部分および嵌合するプラグコネクタ部分を備えるプラグコネクタの斜視図である。
【
図2】
図1によるプラグコネクタ部分の断面図である。
【
図3A】プラグコネクタ部分および嵌合するプラグコネクタ部分が接続され、かつ互いにロックされている、
図1によるプラグコネクタの図である。
【
図3B】プラグコネクタ部分および嵌合するプラグコネクタ部分が接続され、かつ互いにロックされ、また
図3Aと比較して、プラグコネクタ部分のスライダが、嵌合するプラグコネクタ部分から離れて移動した状態の、
図1によるプラグコネクタの図である。
【
図3C】電気接点が外されてロックが解除された状態にある、
図1によるプラグコネクタの図である。
【
図4A】異なる視線方向からの
図1によるプラグコネクタの細部の図である。
【
図4B】ロッキングが解放された状態で示された
図1によるプラグコネクタの細部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、プラグコネクタ1を示す。プラグコネクタ1は、嵌合するプラグコネクタ部分3への解放可能な電気的な接続を行うためのプラグコネクタ部分2と、嵌合するプラグコネクタ部分3とを備える。
図2は、特に、プラグコネクタ部分2の内部の構成要素を示す。
【0029】
プラグコネクタ部分2は、ハウジング20、および複数の電気接点210を有する接点キャリア21を備える。プラグコネクタ部分2は、嵌合するプラグコネクタ部分3の中へと、プラグイン軸Sに沿って一方向に、差し込むことができ、また反対方向に引き抜くことができる(
図1を参照のこと)。本件の場合、嵌合するプラグコネクタ部分3をハウジング壁に取り付けることができるが、それは、例示的な実施形態であるに過ぎない。
【0030】
プラグコネクタ部分2の接点キャリア21は、複数の接触ピン211を備え、それは、嵌合するプラグコネクタ部分3の接点レセプタクル30の中に差し込むことができる。ここでピンの形態の電気接点31は、プラグコネクタ部分2の対応する電気接点210により電気的に接触されるようにするために、接点レセプタクル30に配置される。本件では、プラグコネクタ部分2および嵌合するプラグコネクタ部分3はそれぞれ、3つの電気接点31を備え、特に2つの接点は、それぞれ、DC接続用に提供される。この場合、接点キャリア21は、負荷接点キャリアである。示された例のように、プラグコネクタ部分2の場合、
図2において他の2つの電気接点の下に示された保護導体接点213は、ハウジング20にしっかりと取り付けることができる、または代替的に、接点キャリア21上に形成することができる。
【0031】
各場合において、プラグコネクタ部分2の電気接点210は、
図2で特に示されるように、接触ピン211の1つの内側に配置される。プラグコネクタ部分2の電気接点210はそれぞれ、レセプタクルを形成し、その中に、嵌合するプラグコネクタ3のそれぞれの1つのピン形状の電気接点31が収容されて、電気接点を確立することができる。
【0032】
特に
図2を参照すると、プラグコネクタ部分2の接触ピン211はまた、接点キャリア21の一部を構成することが分かる。この場合、接触ピン211は、共通ベースから突き出ている。示された例では、接触ピン211および接点キャリア21の共通ベースは、一体に形成される。接点キャリア21は、絶縁材料から作られる。
【0033】
接点キャリア21は、プラグコネクタ部分2のハウジング20に移動可能に取り付けられる。それにより、接点キャリア21は、ハウジング20に対して、プラグイン軸Sに沿って移動可能である。接点キャリア21の一部は、ハウジング20の内側に配置される。ハウジング20は、1つまたは複数のスロット付きリンク202を有し、その中に(各場合において)、ハウジング20に対する接点キャリア21の変位経路を画定するために、接点キャリアのセクションが係合する。
【0034】
複数の導体接続部200が、ハウジング20に設けられる。例えば、ケーブルなどの導電体が、この場合、ねじクランプにより、各導体接続部200にしっかりと接続される、特にねじ留めされ得る。導体接続部200のためのアクセス開口部201は、ハウジング20の反対側のハウジング壁に形成され、したがって、導体接続部200は、例えば、ねじ回しなどの工具により締め付けられ、かつ任意選択で解放することもできる。
【0035】
各場合において、導体接続部200の1つは、プラグコネクタ部分2の電気接点210の1つに電気的に接続され、本件の場合、各場合において、可撓性のある導電体25により電気的に接続される。可撓性のある導電体25は、ハウジング20に対する接点キャリア21の変位運動を妨げないように、または無視できる程度に干渉するだけであるように、曲がることができる。この場合、可撓性のある導電体25は、S字湾曲部を備えてハウジング20内に配置される(
図2を参照のこと)。可撓性のある導電体25はそれぞれ、曲がることのできる撚り合わされた銅線の形をとる。
【0036】
プラグコネクタ部分2は、外側摺動スリーブ22の形のスライダをさらに備える。摺動スリーブ22は、ハウジング20の一部と、接点キャリア21の一部を共に収容する。プラグコネクタ部分2の少なくとも1つの構成において、摺動スリーブ22のセクションが、接点キャリア21の一部を囲むハウジング20の一部を囲む。プラグコネクタ1は、プッシュプル式のプラグコネクタである。把持セクション221(本例では、縦溝が彫られている)は、摺動スリーブ22に形成され、その把持セクション上で、ユーザは、プラグコネクタ部分2を、嵌合するプラグコネクタ部分3の中へと差し込み、再度プラグコネクタ部分2を、嵌合するプラグコネクタ部分3から解放するために、摺動スリーブ22を把持することができる。
【0037】
摺動スリーブ22は、接点キャリア21に対して、かつハウジング20に対して(プラグイン軸Sに沿って)移動可能であるように、ハウジング20上に取り付けられる。ここでは渦巻きばねの形態である、複数の(本例では、2つ)弾性要素23が、接点キャリア21と摺動スリーブ22の間に配置される。
図2の断面図では、弾性要素23の一方が見え、他方は、それに対して対称的に配置される。弾性要素23はそれぞれ、摺動スリーブ22上で、かつ接点キャリア21上で支持される。この例では、各弾性要素23に対して、支持点212が接点キャリア21上に設けられ、また支持点223が、摺動スリーブ22上に設けられる。各弾性要素23は、支持点212、223にしっかりと保持される。接点キャリア21に対する摺動スリーブ22の変位は、ばね弾性的に弾性要素23に張力を加える。
【0038】
プラグコネクタ部分2は、ロッキング要素24をさらに備える。ロッキング要素24は、接点キャリア21と一体に形成されるが、代替的に、その上にしっかりと取り付けられる。ロッキング要素24は、接点キャリア21から、特にそのベースからプラグイン軸Sに平行に突き出ている。ロッキング要素24の一部は、摺動スリーブ22のガイド220の中に収容される。ガイドは、プラグイン軸Sに平行に位置合せされたスロットとして形成される。ロッキング要素24が、ここでは斜面240の形の作動面を有する。このために、摺動スリーブ22は、ここでは同様に斜面222の形の、適切に配置された作動面を有する。摺動スリーブ22の斜面222は、摺動スリーブ22の端部に配置される(差し込まれた状態で、嵌合するプラグコネクタ部分3に面する)。斜面240、222が互いに接触し、互いに沿って摺動するように、摺動スリーブ22が、接点キャリア21に対して移動した場合、ロッキング要素24の端部セクションは、(プラグイン軸Sに対して実質的に直角に)持ち上げられる。
【0039】
掛止要素が、ロッキング手段24上に形成される。プラグコネクタ部分2が、嵌合するプラグコネクタ部分3に対して、端部位置になるまで差し込まれた場合、ロッキング要素24の掛止要素が、嵌合するプラグコネクタ部分3の嵌合するロッキング要素32の掛止要素と掛止する。嵌合するプラグコネクタ部分3の嵌合するロッキング要素32(特に
図1で示される)は、凹部を有し、その中に、突起として形成されたロッキング要素24の掛止要素が係合することができる。この状態は
図3Aで示される。挿入され、かつ掛止された状態においては、プラグコネクタ部分2は、嵌合するプラグコネクタ部分3に対してしっかりと保持される。
【0040】
特に
図4Aを参照すると、ガイド220は、ロッキング要素24がその上を摺動できる側方レール224を有することが分かる。
【0041】
プラグイン軸Sに沿って見たとき、斜面222とレール224の間に間隙が設けられている。
【0042】
嵌合するプラグコネクタ部分3から離れた方向に面するガイド220の端部は、停止部225として働く。プラグコネクタ部分2が、嵌合するプラグコネクタ部分3に差し込まれた場合、停止部225は、接点キャリア21を、ロッキング要素24を介して、嵌合するプラグコネクタ部分3に対して押し付ける。
【0043】
図3Aで示された位置から、摺動スリーブ22は、プラグコネクタ部分2のハウジング20に対して、嵌合するプラグコネクタ3から離れる方向に移動することができる。摺動スリーブ22は、実質的に立方体である。
【0044】
図3Bは、摺動スリーブ22の位置を示しており、その位置において、ロッキング要素24の、かつ摺動スリーブ22の斜面240、222がちょうど互いに接触しているが、ロッキング要素24は、なお、嵌合するプラグコネクタ3の嵌合するロッキング要素32に掛止されている。
図2を参照すると、弾性要素23は、この位置において事前に張力が加えられており、摺動スリーブ22の変位の結果、示された例において、ばね弾性的に圧縮されていることが明らかである。摺動スリーブ22をさらに変位させると、特に
図4Bの参照により示されるように、ロッキング要素24を持ち上げるようにする(上方向に曲がる)。
【0045】
図3Cは、嵌合する要素32とのロッキング要素24のロックが、突起部を凹部の外へと持ち上げることにより解放されるまで、ロッキング要素24が持ち上げられるようにするために、摺動スリーブ22が、
図3Bによる位置から開始し、嵌合するプラグコネクタ3からさらに離れて移動する場合において、プラグコネクタ部分2が移行する状態を示す。事前に張力が加えられた弾性要素23のばね力の結果、接点キャリア21は、嵌合する接触要素3から離れて、嵌合するプラグコネクタ部分3から離れた方向に(引っ張る方向に)向いているプラグコネクタ部分2のハウジング20の端部の方向に移動する。接点キャリア21に対する摺動スリーブ22の変位は、したがって、まず弾性要素23の張力を生じ、それに続いて、ロッキング要素24の作動を生ずる。弾性要素23を使用することは、特に高い分離速度を達成できるようにし、かつ接点の信頼性がある完全な分離を確実にすることができる。ハウジング20に対する接点キャリア21の動きは、可撓性のある導電体25を圧縮することにより補償される。
【0046】
プラグコネクタ部分2は、次いで、嵌合するプラグコネクタ部分3から取り外すことができる。
【0047】
接点キャリア21を急に動かすことにより、プラグコネクタ部分2の電気接点210を、嵌合するプラグコネクタ部分3の電気接点31から迅速に取り外し、アークの燃焼時間が大幅に低減されるようにする。特に、静止アークは有効に回避される。この点に関して、プラグコネクタ部分2の電気接点210を分離する引張り動作は、ロックが解放されると直ちに弾性要素23によって行われるため、ユーザが、摺動スリーブ22をいかに迅速に引っ張るかは重要ではない。この引張り動作の間に、嵌合するプラグコネクタ部分3に対するプラグコネクタ部分2のハウジング20の位置は、最初は不変のままであり得る。これは、摺動スリーブ22上でそれを引っ張るとき、ユーザが自分の他方の手でハウジング20を保持するかどうかはまた、無関係であるという利点を有する。さらに、この実施形態は、非常に制限された空間条件の場合であっても、プラグコネクタ1を安全に使用できるようにする。
【0048】
プラグコネクタ部分2が、嵌合するプラグコネクタ部分3に差し込まれたときに、弾性要素23に張力が加わる(圧縮される)ことはないことにも触れておく価値がある。
【符号の説明】
【0049】
1 プラグコネクタ
2 プラグコネクタ部分
3 嵌合する電気的なコネクタ部分
20 ハウジング
21 接点キャリア
22 摺動スリーブ(スライダ)
23 弾性要素
24 ロッキング要素
25 可撓性のある導電体(導電性要素)
30 接点レセプタクル
31 電気接点
32 嵌合するロッキング要素
200 導体接続部
201 アクセス開口部
202 スロット付きリンク
210 電気接点
211 接触ピン
212 支持点
213 保護導体接点
220 ガイド
221 把持セクション
222 斜面
223 支持点
224 レール
225 停止部
240 斜面
S プラグイン軸
【国際調査報告】