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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(54)【発明の名称】製造方法および射出成形システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/04 20060101AFI20220708BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20220708BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20220708BHJP
   B29C 45/70 20060101ALI20220708BHJP
   B29C 33/34 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B29C45/04
B29C45/17
B29C45/76
B29C45/70
B29C33/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568661
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 US2020032737
(87)【国際公開番号】W WO2020236490
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/849,693
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520449345
【氏名又は名称】キヤノンバージニア, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Canon Virginia, Inc.
【住所又は居所原語表記】12000 Canon Blvd., Newport News, Virginia, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小平 弘毅
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AM17
4F202CA11
4F202CB01
4F202CC01
4F202CC03
4F202CC04
4F202CL50
4F202CN05
4F202CR01
4F206AM17
4F206JA07
4F206JC01
4F206JC09
4F206JL02
4F206JL05
4F206JM02
4F206JM04
4F206JM05
4F206JM16
4F206JN12
4F206JN43
4F206JQ06
4F206JQ81
4F206JQ90
(57)【要約】
複数の金型を入れ替えながら射出成形機および搬送装置で成形品を製造する方法であって、第1の金型を前記射出成形機の成形動作位置に搬送し、前記第1の金型をプラテンで前記成形動作位置に保持し、前記プラテンを前記第1の金型に固定し、前記第1の金型を型開きし、前記第1の金型から成形品を取り出し、前記第1の金型を僅かに開いた状態に置き、前記第1の金型に成形材料を射出し、前記第1の金型の前記僅かな開口部を閉じて前記第1の金型を加圧し、前記第1の金型から前記プラテンを解除し、前記第1の金型を前記成形動作位置から前記搬送装置まで搬送し、前記搬送装置上で前記第1の金型を冷却することを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金型を入れ替えながら射出成形機および搬送装置で成形品を製造する方法であって、
第1の金型を前記射出成形機の成形動作位置に搬送し、
前記第1の金型をプラテンで前記成形動作位置に保持し、
前記プラテンを前記第1の金型に固定し、
前記第1の金型を型開きし、
前記第1の金型から成形品を取り出し、
前記第1の金型を僅かに開いた状態に置き、
前記第1の金型に成形材料を射出し、
前記第1の金型の前記僅かな開口部を閉じて前記第1の金型を加圧し、
前記第1の金型から前記プラテンを解除し、
前記第1の金型を前記成形動作位置から前記搬送装置まで搬送し、
前記搬送装置上で前記第1の金型を冷却する、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記第1の金型は、固定金型と可動金型とを含み、前記第1の金型を僅かに開いた状態に置いたときの前記固定金型と前記可動金型との間の隙間の距離が、前記第1の金型が前記搬送装置に搬送されたときの前記第1の金型と前記プラテンとの間の隙間の距離よりも短い、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の金型を前記成形動作位置に搬送し、
前記第2の金型を前記プラテンで前記成形動作位置に保持し、
前記プラテンを前記第2の金型に固定し、
前記第2の金型を型開きし、
前記第2の金型から成形品を取り出し、
前記第2の金型を僅かに開いた状態に置き、
前記第2の金型に成形材料を射出し、
前記第2の金型を閉じ、
前記第2の金型を加圧し、
前記第2の金型から前記プラテンを解除し、
前記第2の金型を前記成形動作位置から前記搬送装置まで搬送し、
前記搬送装置上で前記第2の金型を冷却する、
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記搬送装置は、第1の搬送装置と第2の搬送装置を含み、前記第1の搬送装置上で前記第1の金型が冷却され、前記第2の搬送装置上で前記第2の金型が冷却される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
射出成形機と、
金型を前記射出成形機に搬送するように構成される搬送装置と、
前記射出成形機および前記搬送装置を制御するように構成される制御装置と、
を備える射出成形システムであって、
前記射出成形システムに対する改良は、
前記制御装置が第1の成形処理と第2の成形処理とを実行することを含み、
前記第1の成形処理は、僅かに開かれたときに前記金型に射出し、前記金型を閉じ、前記搬送装置上で前記金型を冷却することを含み、
前記第2の成形処理は、型閉じされたときに前記金型に射出し、前記搬送装置上で前記金型を冷却することを含む、
射出成形システム。
【請求項6】
射出成形システムの方法であって、
第1の金型および第2の金型のそれぞれに対して成形条件を設定し、
前記成形条件は、第1の成形処理または第2の成形処理に設定され、
前記第1の成形処理は、僅かに開かれたときに金型に射出し、前記金型を閉じ、搬送装置上で前記金型を冷却することを含み、
前記第2の成形処理は、型閉じされたときに金型に射出し、前記搬送装置上で前記金型を冷却することを含む、
射出成形システムの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月17日に出願された、米国仮出願62/849664号の利益を主張する。

技術分野
【0002】
本開示は、射出成形システムに関する。

背景技術
【0003】
射出成形機による成形品の製造は、型締め後の金型への樹脂の射出、樹脂の固化による体積減少を補うための高圧での金型への樹脂の押し込み、樹脂が固化するまでの金型内での成形品の保持、および金型からの成形品の取り出しが含まれる。
【0004】
上述の成形方法において、生産性を高めるために、1台の射出成形機に対して、2つの金型を用いる方法が提案されている。例えば、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号では、射出成形機2の両側に、搬送装置3Aおよび3Bを配置するシステムが論じられている。このシステムでは、1台の射出成形機2に対して、搬送装置3Aおよび3Bによって複数の金型を入れ替えながら成形品を製造する。図1図4は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システムを示す。
【0005】
このシステムでは、金型100Aまたは100Bの冷却を射出成形機2外の搬送装置3Aまたは3B上で行う。一方の金型100A/100Bの冷却中に、他方の金型100A/100Bに対して、成形品の取り出し→型締め→射出/保圧といった各処理を射出成形機2によって行う。型開きおよび成形品の取り出しを射出成形機2で行うため、搬送装置3Aおよび3Bには、型開き機能および成形品の取り出し機能は不要である。
【0006】
これは、1台の射出成形機2により複数の金型を入れ替えながら成形品Pを製造することを可能にする。これにより、システム全体のコストを低減することができる。
【0007】
一方の金型の冷却に要する時間に、金型交換工程の開始から、他方の金型の取り出し工程、射出工程、保圧工程までと、再度の金型交換工程の完了までの全工程に要する時間が収まれば、生産性が通常の成形に比べて最大2倍に向上する。すなわち、コストアップの抑制に加えて、高い生産性を実現できるメリットがある。
【0008】
圧縮成形技術が知られている。この技術では、射出成形に先立って金型を僅かに開く。金型への樹脂の射出後、金型を閉じて樹脂を圧縮する。この技術によれば、均一に加圧することができ、通常の射出成形技術よりも反りの少ない成形品を生産することが可能である。
【0009】
複数の金型を入れ替え(交換)しながら、圧縮成形を行う機能が求められる。

発明の概要
【0010】
複数の金型を入れ替えながら射出成形機および搬送装置で成形品を製造する方法であって、第1の金型を前記射出成形機の成形動作位置に搬送し、前記第1の金型をプラテンで前記成形動作位置に保持し、前記プラテンを前記第1の金型に固定し、前記第1の金型を型開きし、前記第1の金型から成形品を取り出し、前記第1の金型を僅かに開いた状態に置き、前記第1の金型に成形材料を射出し、前記第1の金型の前記僅かな開口部を閉じて前記第1の金型を加圧し、前記第1の金型から前記プラテンを解除し、前記第1の金型を前記成形動作位置から前記搬送装置まで搬送し、前記搬送装置上で前記第1の金型を冷却することを含む方法。
【0011】
本開示のこれらの実施形態、特徴および利点、ならびにその他の実施形態、特徴および利点は、以下の本開示の例示的実施形態の詳細な説明を添付の図面および提供する特許請求の範囲と併せ読めば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1は、射出成形システムを示す。
【0013】
図2は、射出成形機の側面図である。
【0014】
図3は、固定プラテンの端面図であり、図2のI-I線の矢印方向から見た図である。
【0015】
図4は、成形動作位置周辺の構成を示す部分斜視図である。
【0016】
図5は、通常成形処理および圧縮成形処理のフローチャートを示す。
【0017】
図6は、金型を入れ替えながらの成形動作の処理例を示すフローチャートである。
【0018】
図7Aおよび図7Bは、金型とプラテンとの間の隙間の距離を示す。
【0019】
図面全体を通して、別段の記載がない限り、同一の参照番号および符号は、図示する実施形態の同様の特徴、要素、構成要素、または部分を示すために用いられる。さらに、これから図面を参照して本開示を詳細に説明するが、これは説明のための例示的な実施形態に関連して行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲および趣旨を逸脱することなく、説明される例示的な実施形態に対して変更および修正を加えることができることを意図する。

例示的な実施形態の説明
【0020】
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を説明しており、当業者に既知の詳細については、特許、特許出願、および他の参考文献に依拠する。したがって、本明細書において、特許、特許出願、または他の参考文献が引用される、または繰り返されるとき、それらは、記載されている提案だけでなくあらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることを理解されたい。
【0021】
図面を参照して、各図中の矢印XおよびYは、互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは、地面に対して垂直(直立)方向を示す。
【0022】
図1図4は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システム1を示しており、本明細書では情報/説明の目的のためだけに提供されている。
【0023】
射出成形システム1は、射出成形機2と、搬送装置3Aおよび3Bと、制御装置4とを含む。射出成形システム1は、1台の射出成形機2に対して、搬送装置3Aおよび3Bを用いて、複数の金型を入れ替えながら成形品を製造する。2つの金型100Aおよび100Bを用いる。
【0024】
金型100A/100Bは、固定金型101と、固定金型101に対して開閉される可動金型102との組である。成形品は、固定金型101と可動金型102との間に形成されたキャビティに溶融樹脂を射出することで成形される。固定金型101および可動金型102には、それぞれ取付板101aおよび102aが固定されている。取付板101aおよび102aは、金型100A/100Bを射出成形機の成形動作位置11(型締位置)に固定するために用いられる。
【0025】
金型100A/100Bには、固定金型101と可動金型102との間を閉状態に維持する自己閉鎖部103が設けられている。自己閉鎖部103により、射出成形機2から金型100A/100Bを搬出した後も、金型100A/100Bが開くことを防止することが可能となる。自己閉鎖部103は、磁力を利用して金型100A/100Bを閉状態に維持する。自己閉鎖部103は、固定金型101および可動金型102の対向面に沿って複数の箇所に配置されている。自己閉鎖部103は、固定金型101側の要素と可動金型102側の要素との組み合わせである。通常、金型100Aおよび100Bの1つに対して2組以上の自己閉鎖部103が設けられる。
【0026】
搬送装置3Aは、金型100Aを射出成形機2の成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3Bは、金型100Bを成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3A、射出成形機2、および搬送装置3Bは、この順にX軸方向に並ぶように配置されている。言い換えれば、搬送装置3Aおよび搬送装置3Bは、射出成形機2をX軸方向において挟むように、射出成形機2に対して横方向に配置されている。搬送装置3Aおよび3Bは、互いに対向して配置され、搬送装置3Aは射出成形機2の左右の一側方に、搬送装置3Bは他側方にそれぞれ隣接して配置されている。成形動作位置11は、搬送装置3Aと搬送装置3Bとの間に位置している。搬送装置3Aおよび3Bは、それぞれフレーム30と、搬送ユニット31と、複数のローラ32と、複数のローラ33とを含む。
【0027】
フレーム30は、搬送装置3Aおよび3Bの骨格であり、搬送ユニット31と、複数のローラ32および33とを支持する。搬送ユニット31は、金型100A/100BをX軸方向に往復移動させ、成形動作位置11に対して金型100A/100Bを排出および挿入する装置である。
【0028】
搬送ユニット31は、モータを駆動源とした電動シリンダであり、シリンダに対して進退するロッドを含む。シリンダはフレーム30に固定され、ロッドの端部には固定金型101が固定されている。搬送ユニット31は、流体アクチュエータ、電動アクチュエータのいずれも使用可能であるが、電動アクチュエータにより、金型100A/100Bの搬送時に、その位置や速度の制御精度の向上を図ることができる。流体アクチュエータとしては、例えば、油圧シリンダ、エアシリンダを挙げることができる。電動アクチュエータとしては、電動シリンダに加えて、モータを駆動源としたラックアンドピニオン機構、モータを駆動源としたボールねじ機構等を挙げることができる。
【0029】
搬送ユニット31は、搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置されている。しかし、金型100Aおよび100Bを支持する共通の支持部材を用い、この支持部材に対して単一の共通の搬送ユニット31を配置してもよい。搬送ユニット31を搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置した場合は、金型100Aと金型100Bとで搬送時の移動ストロークが異なる場合に対応することが可能となる。例えば、金型の幅(X方向の幅)が異なっていたり、金型の厚み(Y方向の幅)が異なっていたりして、金型を同時に搬送できない場合である。
【0030】
複数のローラ32は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ32は、Z軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの側面(取付板101aおよび102aの側面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。複数のローラ33は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ33は、Y軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aおよび102aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。
【0031】
制御装置4は、射出成形機2を制御するためのコントローラ41と、搬送装置3Aを制御するためのコントローラ42Aと、搬送装置3Bを制御するためのコントローラ42Bとを含む。各コントローラ41、42A、42Bは、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置と、センサやアクチュエータに接続されるインタフェース(図示せず)とを含む。プロセッサは、記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。コントローラ41が実行するプログラム(制御)の一例は後述する。コントローラ41は、コントローラ42Aおよび42Bと通信可能に接続され、コントローラ42Aおよび42Bに金型100A/100Bの搬送に関する指示を行う。コントローラ42Aおよび42Bは、金型100A/100Bの搬入や搬出が終了した場合に、動作完了の信号をコントローラ41に送信する。さらに、コントローラ42Aおよび42Bは、異常発生時に非常停止信号をコントローラ41に送信する。
【0032】
射出成形機2、搬送装置Aおよび搬送装置Bのそれぞれには、コントローラが配置されているが、1つのコントローラで3台全ての装置を制御してもよい。より確実に協調的に動作させるために、搬送装置Aと搬送装置Bとを単一のコントローラで制御してもよい。
【0033】
図2は、射出成形機2の側面図である。図3は、固定プラテン61の端面図であり、図2のI-I線の矢印方向から見た図である。図4は、成形動作位置11周辺の構成を説明するための部分斜視図である。
【0034】
図1および図2を参照して、射出成形機2は、射出装置5と、型締装置6と、成形品を取り出す取出機7とを含む。射出装置5および型締装置6は、フレーム10上にY軸方向に配置されている。
【0035】
射出装置5は、Y軸方向に延びるように配置された射出シリンダ51を含む。射出シリンダ51は、バンドヒータ等の加熱装置(図示せず)を含み、ホッパ53から導入された樹脂を溶融する。射出シリンダ51にはスクリュ51aが内蔵されており、スクリュ51aを回転させることで射出シリンダ51内に導入された樹脂が可塑化され、計量される。スクリュ51aの軸方向(Y軸方向)への移動により、射出ノズル52から溶融樹脂を射出することができる。
【0036】
図2に、ノズル52としての遮断ノズルの一例を示す。吐出口52aを開閉するピン56aが、図2の開閉機構56として配置されている。ピン56aは、リンク56bを介してアクチュエータ(シリンダ)56cに連結されており、アクチュエータ56cの動作により吐出口52aが開閉される。
【0037】
射出シリンダ51は、駆動部54に支持されている。駆動部54には、スクリュ51aを回転駆動させて樹脂の可塑化と計量を行うモータと、スクリュ51aを軸方向に進退させる駆動モータとが配置されている。駆動部54は、フレーム10上のレール12に沿ってY軸方向に進退可能である。また、駆動部54には、射出装置5をY軸方向に進退させるアクチュエータ(例えば電動シリンダ)55が配置されている。
【0038】
型締装置6は、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行う。型締装置6には、Y軸方向に順に、固定プラテン61、可動プラテン62、可動プラテン63が配置されている。プラテン61~63には、複数のタイバー64が通過している。各タイバー64は、Y軸方向に延びる軸であり、その一端部が固定プラテン61に固定されている。各タイバー64は、可動プラテン62に形成された各貫通穴に挿入されている。各タイバー64の他端部は、調整機構67を介して可動プラテン63に固定されている。可動プラテン62および63は、フレーム10上のレール13に沿ってY軸方向に移動可能であり、固定プラテン61は、フレーム10に固定されている。
【0039】
可動プラテン62と可動プラテン63との間には、トグル機構65が配置されている。トグル機構65は、可動プラテン63に対して(言い換えれば、固定プラテン61に対して)、可動プラテン62をY軸方向に進退させる。トグル機構65は、リンク65a~65cを含む。リンク65aは、可動プラテン62に回転自在に連結されている。リンク65bは、可動プラテン63に回動自在に連結されている。リンク65aとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cは、アーム66cに回動自在に連結されている。
【0040】
アーム66cは、ボールナット66bに固定されている。ボールナット66bは、Y軸方向に延びるボールねじ軸66aに係合し、ボールねじ軸66aの回転によりY軸方向に進退する。ボールねじ軸66aは、可動プラテン63によって回転自在となるように支持されており、モータ66は、可動プラテン63に支持されている。モータ66は、モータ66の回転量を検出しながら、ボールねじ軸66aを回転駆動する。モータ66の回転量を検出しながらモータ66を駆動することにより、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行うことが可能となる。
【0041】
射出成形機2は、型締力を計測するためのセンサ68を含み、各センサ68は、例えばタイバー64に設けられた歪みゲージであり、タイバー64の歪みを検出することで型締力を算出する。
【0042】
調整機構67は、可動プラテン63に回転自在に支持されたナット67bと、駆動源であるモータ67aと、モータ67aの駆動力をナット67bに伝達する伝達機構とを含む。各タイバー64は、可動プラテン63に形成された穴を通過して、ナット67bと係合している。ナット67bを回転させることにより、ナット67bとタイバー64との間のY軸方向の係合位置が変化する。すなわち、タイバー64に対する可動プラテン63の固定位置が変化する。これにより、可動プラテン63と固定プラテン61との間の間隔を変化させることができるため、型締力等を調整することができる。
【0043】
成形動作位置11は、固定プラテン61と可動プラテン62との間の領域である。
【0044】
成形動作位置11に導入された金型100A/100Bは、固定プラテン61と可動プラテン62との間に挟まれ、それによって型締めされる。可動プラテン62の移動により、可動金型102の移動に基づく開閉が行われる。
【0045】
図3は、固定プラテン61の中央部の開口部61aを示しており、ノズル52がこの開口部を通って進退する。固定プラテン61の可動プラテン62側の面(内面という)には、複数のローラBRが回転自在となるように支持されている。複数のローラBRは、回転軸を中心としてY軸方向に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体620が固定されており、このローラ支持体620によって、複数のローラBRが支持されている。
【0046】
固定プラテン61の内面には、X軸方向に延びる溝61bが形成されている。
【0047】
溝61bは、上下に離間して2列形成されている。各溝61bには、ローラユニット640が配置されている。ローラユニット640には、複数のローラSRが回転自在となるように支持されている。複数のローラSRは、回転軸を中心としてZ軸方向に回転し、金型100A/100Bの外面(取付板101aの外面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。II-II線断面図に示すように、ローラユニット640は、バネ641の付勢により、ローラSRが溝61bから突出する位置に位置する一方、型締め時には、溝61b内に後退して、ローラSRが溝61bから突出しない位置に位置する。ローラユニット640は、金型100A/100Bの入れ替え時には、金型100A/100Bと固定プラテン61の内面とが接触して内面が損傷することを防止でき、型締め時には、固定プラテン61の内面と金型100A/100Bとが密接することを妨げない。
【0048】
固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体630が固定されており、このローラ支持体630によって、複数のローラSRが支持されている。
【0049】
固定プラテン61には、固定金型101を固定プラテン61に固定するための複数の固定機構(クランプ)610が配置されている。各固定機構610は、取付板101aと係合する係合部610a、および係合位置と係合解除位置との間で係合部610aを移動させる内蔵アクチュエータ(図示せず)を含む。
【0050】
なお、可動プラテン62についても、固定プラテン61と同様に、複数のローラBRと、ローラ支持体620および630と、ローラユニット640と、可動金型102を固定するための固定機構610とが配置されている。
【0051】
図4に示すように、型締装置6の周囲は、安全性のためにカバー(外装板)60で囲まれているが、金型100A/100Bの入れ替えのために、成形動作位置11の側方に金型100A/100Bが通過する開口部60aが形成されている。各開口部60aは、基本的に常時開放されており、成形動作位置11に対する金型100A/100Bの自由な排出および挿入が可能となっている。
【0052】
図2に戻り、次に、取出機7について説明する。取出機7は、X軸方向に延びるレール71と、レール71上をX軸方向に移動可能な可動レール72とを含む。可動レール72は、Y軸方向に延びるように配置されており、可動レール72上にはスライダ73が配置されている。スライダ73は、可動レール72にガイドされてY軸方向に移動し、昇降軸73aをZ軸方向に昇降させる。昇降軸73aの下端部には、真空ヘッド74が配置されており、真空ヘッド74には、成形品に特化したチャック板75が取り付けられている。
【0053】
取出機7は、型開き後、レール71、可動レール72、およびスライダ73により、図2中に破線で示すように、真空ヘッド74を固定金型101と可動金型102との間に移動し、成形品に吸着して、成形品を金型100A/100Bの外に搬送する。
【0054】
図5は、射出成形システム1の動作例を示す。成形処理P1は通常成形処理を示し、成形処理P2は圧縮成形処理を示す。
【0055】
成形処理P1では、成形動作位置11への金型100A/100Bの搬送に応答して、固定プラテン61および可動プラテン62が自動的に閉じ、金型100A/100Bに接触する。
【0056】
ステップS101では、固定プラテン61および可動プラテン62は、金型100A/100Bに接触する接触位置に移動する。固定プラテン61および可動プラテン62は、金型100A/100Bを保持する。ステップS102では、固定機構610を駆動し、金型100A/100Bを固定プラテン61と可動プラテン62の両方にロック(固定)する。ステップS103では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。自己閉鎖部103の力、例えば磁力に抗して、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100A/100Bが型開きされる。
【0057】
ステップS104では、取出機7を駆動して、金型100A/100Bの可動金型102側に残留している成形品を取り出し、射出成形機2の外部へ搬送する。チャック板75が成形品Pに対向する位置に真空ヘッド74が移動し、成形品Pを吸引して保持する。
【0058】
ステップS105では、モータ66を駆動してトグル機構65を駆動することで、固定プラテン61と可動プラテン62とによる金型100A/100Bの型締めを行う。ステップS106では、溶融樹脂の射出を行う。
【0059】
ステップS107では、溶融樹脂の保圧を行う。より具体的には、射出装置5を駆動して、ノズル52から金型100A/100B内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、シリンダ51内の樹脂を金型100A/100B内に高圧で押し込む。
【0060】
ステップS108では、固定機構610による金型100A/100Bのロックを解除する。これにより、型締力が消失し、固定プラテン61から可動プラテン62を僅かに離間させる。ステップS109では、ステップS108からの所定時間の遅延後、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。すなわち、固定プラテン61および可動プラテン62は、金型100A/100Bに接触しない後退位置に移動する。これらが移動することにより、固定プラテン61と可動プラテン62との間に、金型100Aおよび100Bを入れ替え(交換)するための空間が形成される。
【0061】
ステップS109の後、金型100A/100Bを成形動作位置11から搬送装置3A/3Bに排出し、そこで金型100A/100Bを所定時間内に適正温度に冷却する。金型は通常、金型内に延びる流路を含む。金型の射出成形準備時に、金型表面に形成された流路の接続部にホースを介して外部温度調節器を接続する。所定温度の流体が温度調節器から金型内に流れ、金型を所定温度に保つ。冷却処理を含めて射出成形処理中は、通常、金型内には流体が流れる。
【0062】
ステップS108の後も、金型は通常、金型100A/100Bに射出された溶融樹脂により依然として熱を帯びている。冷却処理では、温度調節器からの流体によって、所定温度、例えば摂氏60度まで温度を低下させる。冷却処理は、冷却処理の開始から所定時間が経過するまで継続する。
【0063】
ヒートアンドクール成形のような一部の射出成形処理においては、冷却処理は、金型が射出装置から溶融樹脂を受ける温度とは異なる一定温度に金型を冷却するための専用の温度調節器を含む。
【0064】
成形処理P2を参照すると、成形動作位置11への金型100A/100Bの搬送に応答して、固定プラテン61および可動プラテン62が自動的に閉じ、金型100A/100Bに接触する。
【0065】
ステップS201では、固定プラテン61および可動プラテン62は、金型100A/100Bに接触する接触位置に移動する。固定プラテン61および可動プラテン62は、金型100A/100Bを保持する。ステップS202では、固定機構610を駆動し、金型100A/100Bを固定プラテン61と可動プラテン62の両方にロック(固定)する。ステップS203では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。
【0066】
固定機構610により固定金型101は固定プラテン61に固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定されている。自己閉鎖部103の力、例えば磁力に抗して、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100A/100Bが型開きされる。ステップS204では、取出機7を駆動して、金型100A/100Bの可動金型102側に残留している成形品を取り出し、射出成形機2の外部へ搬送する。ステップS205では、固定プラテン61および可動プラテン62は、金型100A/100Bを型閉じする方向に移動するが、金型100A/100Bは完全には閉じておらず、僅かに開いたままになっている。
【0067】
異なる金型間の隙間の距離は、数10マイクロメートルから数100マイクロメートル程度の範囲である。隙間の距離は、成形材料に基づいて変化し得る。ステップS205は、2つのサブステップ処理を介して行うことができ、第1のサブステップでは、型閉じ位置付近の所定位置まで可動金型102を比較的速く移動させる。第2のサブステップでは、固定金型101と可動金型102との間に所望の隙間を形成するように、一定位置から所望の位置へと可動金型102を比較的ゆっくりと移動させる。第2のサブステップでは、隙間の距離の精密測定専用のセンサ(図示せず)を用いて、可動金型102にフィードバック制御をかけることができる。
【0068】
隙間の距離は、溶融材料の射出中に溶融材料が隙間に入るようなものであってはならない。言い換えれば、金型100A/100Bの可動金型102と固定金型101との間の隙間は、溶融材料が隙間に入り込まない程度に小さくすべきである。金型の隙間の距離は、通常、材料の種類や金型にかかる圧力を含めて、様々なパラメータを考慮した実験の過程を経て決定される。
【0069】
ステップS206では、射出装置5を駆動して、ノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填する。ステップS207では、モータ66を駆動してトグル機構65を駆動することで、固定プラテン61と可動プラテン62とによる金型100Aの型締めを行う。ステップS208では、樹脂の固化による体積減少を補うために、シリンダ51が金型100A内に高圧で保圧をかける。ステップS209では、固定機構610による金型100Aのロックを解除する。これにより、型締力が消失し、固定プラテン61から可動プラテン62を僅かに離間させる。ステップS210では、ステップS209からの所定時間の遅延後、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。すなわち、固定プラテン61および可動プラテン62は、金型100A/100Bに接触しない後退位置に移動する。固定プラテン61と可動プラテン62とがこのように移動することにより、これらの間に金型100Aおよび100Bを入れ替え(交換)するための空間が形成される。
【0070】
ステップS210では、金型とプラテンとの間の隙間の距離は、数ミリメートルから数100センチメートル程度の範囲である。この隙間を図7AにL1として示す。上述したように、ステップS205では、金型間の隙間の距離は、数10マイクロメートルから数100マイクロメートル程度の範囲である。この隙間を図7BにL2として示す。
【0071】
ステップS209の後、金型100A/100Bを成形動作位置11から搬送装置3A/3Bに排出し、そこで上述したように金型100A/100Bを冷却する。冷却処理の時間は、特定の射出成形処理の開始時に設定した金型やパラメータに応じて変化し得る。
【0072】
図6は、コントローラ41が実行する金型を入れ替えながらの成形動作の処理例を示すフローチャートである。以下の例では、金型100Aを用いた成形→金型100Bを用いた成形→金型100Aを用いた成形、というように、金型100Aと金型100Bとを入れ替えながら成形動作を行う場合を想定する。
【0073】
図6のステップS10では初期設定を行う。ここでは、金型100Aおよび100Bのそれぞれに対して、射出装置5および型締装置6の動作条件を登録する。
【0074】
動作条件には、例えば、成形処理(成形方法)、1回の射出樹脂量、温度、射出速度、型締力、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値等が含まれる。金型100Aと金型100Bとが同じであっても、動作条件が異なることがある。動作条件は、制御装置4のメモリに記憶される。
【0075】
ステップS15では、初期処理として、金型100Aと100Bの両方に対して射出処理を行う。本実施例では、金型100Aで射出処理を行い、次いで金型100Bで射出処理を行う。まず、搬送装置3Aは、金型100Aを成形動作位置11に移動させる。金型100Aに対して成形処理P1が設定されている場合は、射出成形機2は、ステップS101、S102およびS105~S109の処理を行う。金型100Aに対して成形処理P2が設定されている場合は、射出成形機2は、ステップS201、S202およびS205~S209の処理を行う。
【0076】
搬送装置3Aは金型100Aを成形動作位置11から移動させ、搬送装置3Bは金型100Bを成形動作位置11に移動させる。金型100Bに対して成形処理P1を行うように設定されている場合は、射出成形機2は、ステップS101、S102およびS105~S109の処理を行う。金型100Bに対して成形処理P2を行うように設定されている場合は、射出成形機2は、ステップS201、S202およびS205~S209の処理を金型100Bに対して行う。
【0077】
ステップS20では、金型100Bを搬出し、金型100Aを搬入する。金型100Bが射出成形機2にない場合は、金型100Aの搬入のみを行う。ステップS30では、コントローラ41は、メモリに記憶された情報に基づいて、金型100Aの成形処理を選択する。金型100Aに対して成形処理P1が設定されている場合は、処理はステップS40に進む。金型100Aに対して成形処理P2が設定されている場合は、処理はステップS50に進む。
【0078】
ステップS40またはステップS50の完了後、ステップS60では、金型100Aの搬出および金型100Bの搬入を行う。ステップS70では、コントローラ41は、メモリに記憶された情報に基づいて、金型100Bの成形処理を選択する。金型100Bに対して成形処理P1が設定されている場合は、処理はステップS80に進む。金型100Bに対して成形処理P2が設定されている場合は、処理はステップS90に進む。ステップS100では、コントローラ41は、所定数の射出(成形品の生産数)が終了したか否かを判定する。所定数の射出が終了していない場合は、コントローラは41はステップS20に戻り、成形品の生産を繰り返す。
【0079】
所定数の射出が完了している場合は、処理はステップS110に進み、金型100Aと金型100Bの両方から成形品を取り出す。例えば、搬送装置3Aは、ステップS60において成形動作位置11に位置する金型100Aを成形動作位置11から移動させる。次いで、搬送装置3Bは、金型100Bを成形動作位置11に移動させる。ステップS40またはS50において、成形処理P1または成形処理P2が金型100Aに対して行われている間に、搬送装置3B上で金型100Bはすでに冷却されている。射出成形機2は、ステップS101~S104およびS108の処理、またはステップS201~S204およびS208の処理を金型100Bに対して行う。金型100Bに対して成形処理P1を行うように設定されている場合は、S101~S104およびS108の処理を行う。金型100Bに対して成形処理P2を行うように設定されている場合は、ステップS201~S204およびS208の処理を行う。
【0080】
搬送装置3Bは金型100Bを成形動作位置11から移動させ、搬送装置3Aは金型100Aを成形動作位置11に移動させる。金型100Bは一部の処理を省略しているので、搬送装置3A上で金型100Aが冷却されている時間は、通常の時間よりも短い。したがって、金型100Aが成形動作位置11に移動した時点では、金型100Aの冷却が完了していない可能性がある。冷却が完了していない場合は、射出成形機2は、冷却処理が完了するまで待機する。
【0081】
冷却処理の完了後、金型100Aに対して成形処理P1を行うように設定されている場合は、射出成形機2は、ステップS101~S104およびS108の処理を行う。金型100Aに対して成形処理P2を行うように設定されている場合は、射出成形機2は、ステップS201~S204およびS208の処理を行う。次いで、成形動作位置11から金型100Aを移動させ、処理は終了する。
【0082】
上述の実施形態では、搬送装置3Aと搬送装置3Bは共にアクチュエータを含む。別の例示的な実施形態によれば、搬送装置3Aまたは搬送装置3Bのいずれかにのみアクチュエータが設けられている。搬送装置3Aのみがアクチュエータを含む場合は、金型100Aと金型100Bとを金属の接続部を介して連結することにより、1つのアクチュエータで金型100Aと金型100Bの両方を移動させることが可能となる。
【0083】
上述の射出成形システムによれば、金型を入れ替え(交換)しながら、圧縮成形を行うことができる。これにより生産性を向上させることが可能となる。
【0084】
上述の射出成形システムによれば、複数の金型を入れ替え(交換)しながら射出成形を行う際に、金型ごとに成形処理を変更することができる。
【0085】
上述の実施形態では、金型が成形動作位置11にある状態で型締め、射出/保圧、型開き、および取り出しを行うが、これに限定されるものではない。別の例示的な実施形態では、全ての処理を必ずしも成形動作位置11で行う必要はない。一部の処理を成形動作位置11とは異なる位置で行ってもよい。
【0086】
上述の実施形態では、金型が搬送装置上にある状態で冷却処理を行うが、これに限定されるものではない。別の例示的な実施形態では、冷却処理を必ずしも搬送装置上で行う必要はない。金型が固定プラテンおよび可動プラテンに接触しない位置で冷却処理を行ってもよい。例えば、金型の一部が射出成形機内にあり、金型の一部が射出成形機外にあるときに冷却処理を行ってもよい。
【0087】
別の例示的な実施形態では、一方の搬送装置の一部が射出成形機2内にある構成において、金型の一部が射出成形機2内にあり、金型の一部が一方の搬送装置上にある状態で冷却処理を行うことができる。

定義
【0088】
説明においては、開示する実施例が完全に理解されるように、具体的な詳細を記載している。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、および回路については、本開示を不要に長くすることを避けるために、詳細には説明していない。
【0089】
本明細書では、ある要素または部分が、別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」と言及される場合、それは、直接にその別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」こともあるし、あるいは介在する要素または部分が存在することもあることを理解されたい。これに対して、ある要素が、別の要素または部分「の上に直接にある」、「に直接に接続されている」、または「に直接に結合されている」と言及される場合には、介在する要素または部分は存在しない。「および/または」という用語を用いるときには、関連して列挙されている項目があれば、そのうちの1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
【0090】
本明細書では、「の下(under)」、「の真下(beneath)」、「の下方(below)」、「の下側(lower)」、「の上方(above)」、「の上側(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」等の空間的に相対的な用語を、様々な図面に示すある要素または特徴の別の(1つまたは複数の)要素または特徴に対する関係を記述する際に、説明を容易にするために用いることがある。しかし、これらの空間的に相対的な用語は、図面に示す配向に加えて、使用時または動作時における装置の様々な配向をも包含することを意図するものと理解されたい。例えば、図中の装置を反転した場合には、別の要素または特徴の「下方(below)」または「真下(beneath)」と記述された要素が、それらの別の要素または特徴の「上方(above)」に配向されることになる。したがって、「の下方(below)」等の相対的な空間用語は、上および下の両方の配向を包含することができる。装置は、その他の配向にすることもでき(90度またはその他の配向に回転させることもでき)、本明細書で用いる空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈されるものとする。同様に、「近位(proximal)」および「遠位(distal)」という相対的な空間用語も、適用可能な場合には、入れ換えることができることもある。
【0091】
本明細書で用いる「約」という用語は、例えば、10%以内、5%以内、またはそれ未満を意味する。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することもある。
【0092】
本明細書では、第1、第2、第3等の用語を、様々な要素、構成要素、領域、部分、および/または区画を説明するために用いることがある。これらの要素、構成要素、領域、部分、および/または区画は、これらの用語によって限定されないものと理解されたい。これらの用語は、単にある要素、構成要素、領域、部分、または区画を、別の領域、部分、または区画と区別するために用いているに過ぎない。したがって、以下に論じる第1の要素、構成要素、領域、部分、または区画は、本明細書の教示を逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分、または区画と呼ぶこともできる。
【0093】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することは意図していない。本開示を説明する文脈における(中でも、添付の特許請求の範囲の文脈における)「1つの(a,an)」および「前記/その(the)」という用語ならびに類似の指示語の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、単数形および複数形の両方を含むと解釈されるものとする。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」および「含有する(containing)」という用語は、別段の言及がない限り、非限定用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)と解釈されるものとする。具体的には、本明細書でこれらの用語を用いるとき、記載する特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを指定するが、明示的には述べられていない1つまたは複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループが存在すること、あるいは追加されることを排除するものではない。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、単にその範囲に該当する各別個の値について個々に言及する簡略表記法として機能するよう意図するものに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書においては個々に記載されたかのごとく本明細書に組み込まれる。例えば、10~15の範囲を開示する場合には、11、12、13および14もまた開示される。本明細書に記載する全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提示するあらゆる例または例示的な言葉(例えば「等の(such as)」)の使用は、単に本開示をより明確にすることを意図するものに過ぎず、別段に特許請求の範囲に記載がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載のない任意の要素が、本開示の実施に必須であることを示すものではないと解釈されたい。
【0094】
本開示の方法および構成は、様々な実施形態の形で組み込むことができ、そのほんの一部が本明細書に開示されているに過ぎないことを理解されたい。それらの実施形態の変形形態は、上述の説明を読めば、当業者には明白であろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を必要に応じて採用するものと想定しており、また、本開示が、本明細書に具体的に記載されたものとは別様に実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用法により許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正形態および均等物を含む。さらに、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、その全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組み合わせが、本開示に包含される。
【0095】
上記に開示される例示的実施形態のいかなる組み合わせも、本開示の実施形態として含まれる。上記の例示的実施形態は説明のための実施形態について論じるが、これらの実施形態に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】