(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(54)【発明の名称】ファージライブラリーを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220711BHJP
C40B 40/02 20060101ALI20220711BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20220711BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220711BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20220711BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20220711BHJP
C12Q 1/70 20060101ALI20220711BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
C12N15/13
C40B40/02 ZNA
C07K16/00
C12N15/63 Z
C12N7/01
C12Q1/68
C12Q1/70
G01N33/531 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562852
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 CN2020085706
(87)【国際公開番号】W WO2020216191
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】201910327739.6
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521459945
【氏名又は名称】ディーディービオ カンパニー リミテッド (シャンハイ)
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 辰
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA18
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4B065AA90Y
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4B065AB01
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4H045AA11
4H045AA20
4H045AA50
4H045BA10
4H045CA01
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを産生する方法であって、LCを含む第1ポリヌクレオチド、リンカーを含む第2ポリヌクレオチド、およびHCを含む第3ポリヌクレオチドを付与し、第1ポリヌクレオチド、第2ポリヌクレオチド、第3ポリヌクレオチドを、それぞれ第1細菌、第2細菌、第3細菌に導入することによって、軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、リンカーコンポーネント細菌、重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、ライブラリーから軽鎖コンポーネントプラスミド、リンカーコンポーネントプラスミド、重鎖コンポーネントプラスミドを取得し、それらから放出されたLC、放出されたリンカー、および放出されたHCを取得し、放出されたディスプレイベクター断片に連結することによって、ディスプレイ用連結産物を形成し、第4細菌に導入することによって、ディスプレイ細菌ライブラリーを取得し、上記のディスプレイ細菌ライブラリーを用いて、上記の抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを調製することを含む方法を提供する。さらに、当該方法によるファージライブラリーを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを産生する方法であって、
1) 前記抗体または抗体断片の軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列を有するLCを含む第1ポリヌクレオチド、リンカーを含む第2ポリヌクレオチド、および、前記抗体または抗体断片の重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列を有するHCを含む第3ポリヌクレオチドを付与し、
2) 前記第1ポリヌクレオチドを第1細菌に導入することによって軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、前記第2ポリヌクレオチドを第2細菌に導入することによってリンカーコンポーネント細菌を取得し、前記第3ポリヌクレオチドを第3細菌に導入することによって重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、
3) 前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーにより前記LCを含む軽鎖コンポーネントプラスミドを取得し、前記リンカーコンポーネント細菌により前記リンカーを含むリンカーコンポーネントプラスミドを取得し、そして、前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーにより前記HCを含む重鎖コンポーネントプラスミドを取得し、
4) 前記軽鎖コンポーネントプラスミドにより放出されたLCを取得し、前記リンカーコンポーネントプラスミドにより放出されたリンカーを取得し、そして、前記重鎖コンポーネントプラスミドにより放出されたHCを取得し、
5) ディスプレイベクターを付与し、そして、前記ディスプレイベクターにより放出されたディスプレイベクター断片を取得し、
6) 前記放出されたLC、放出されたリンカー、放出されたHCおよび放出されたディスプレイベクター断片を連結することによって、ディスプレイ用連結産物を形成し、
7) 前記ディスプレイ用連結産物を第4細菌に導入することによって、前記抗体または抗体断片のディスプレイ細菌ライブラリーを取得し、
8) 前記ディスプレイ細菌ライブラリーを用いて、前記抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを調製することを含む、
方法。
【請求項2】
抗体または抗体断片の発現に適当な条件で、6)における前記ディスプレイ用連結産物が、リーディングフレームに従って前記軽鎖または軽鎖断片および前記重鎖または重鎖断片を発現することができる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1ポリヌクレオチド、前記第2ポリヌクレオチドおよび前記第3ポリヌクレオチドは、いずれも線形核酸分子である、
請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列と前記軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列は、異なるリーディングフレームに位置する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記リンカーは、シグナルペプチドpelBまたはその断片をコード化する核酸配列を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記リンカーは、長さが約50~約200個の塩基である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
6)における前記ディスプレイ用連結産物において、前記LCが前記リンカーの上流にあり、かつ前記リンカーが前記HCの上流にある、
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
2)は、前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーおよび/または前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを凍結保存することを含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
7)は、前記ディスプレイ細菌ライブラリーを凍結保存することを含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
8)は、前記凍結保存されているディスプレイ細菌ライブラリーを融解して培養し、そして、培養された前記ディスプレイ細菌ライブラリーで前記ファージライブラリーを構築することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R1-LC-R2を含み、前記第2ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R3-リンカー-R4を含み、前記第3ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R5-HC-R6を含み、かつ、前記ディスプレイベクターには、5’→3’方向に構造R7-ディスプレイベクター断片-R8を含み、ここで、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8は、制限エンドヌクレアーゼの認識部位である、
請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記R2の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、
前記R3の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ
前記R1、R4、R5、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記R4の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、
前記R5の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ
前記R1、R2、R3、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない、
請求項11~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記R6の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、
前記R7の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ
前記R1、R2、R3、R4、R5とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない、
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記R8の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、
前記R1の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ
前記R2、R3、R4、R5、R6とR7のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない、
請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、非回文配列である、
請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8の2つまたはそれ以上は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である、
請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記R2は、前記R3と同一である、
請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記R4は、前記R5と同一である、
請求項11~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記R6は、前記R7と同一である、
請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記R8は、前記R1と同一である、
請求項11~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記R1、R2、R3、R4、R5とR8は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である、
請求項11~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記R6とR7は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である、
請求項11~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよびEsp3Iから選ばれる、
請求項11~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記R1、R2、R3、R4、R5とR8は、SfiIによって認識および切断可能である、
請求項11~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記R6とR7は、BsmBIおよび/またはEsp3Iによって認識および切断可能である、
請求項11~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記R1は、SEQ ID NO: 1で表される核酸配列を有する、
請求項11~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記R2は、SEQ ID NO: 2で表される核酸配列を有する、
請求項11~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記R3は、SEQ ID NO:2で表される核酸配列を有する、
請求項11~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記R4は、SEQ ID NO: 3で表される核酸配列を有する、
請求項11~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記R5は、SEQ ID NO: 3で表される核酸配列を有する、
請求項11~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記R6は、SEQ ID NO: 4で表される核酸配列を有する、
請求項11~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記R7は、SEQ ID NO: 4で表される核酸配列を有する、
請求項11~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記R8は、SEQ ID NO: 1で表される核酸配列を有する、
請求項11~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記軽鎖または軽鎖断片は、軽鎖可変領域部分および/または軽鎖定常領域部分を含む、
請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記重鎖または重鎖断片は、重鎖可変領域部分および/または重鎖定常領域部分を含む、
請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記抗体またはその断片は、Fab、Fab’、(Fab)2および/または(Fab’)2を含む、
請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
7)における前記ディスプレイ用連結産物は、連結形質転換効率が少なくとも10
8個のクローン/μgポリヌクレオチドである、
請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
2)は、前記R1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて、前記第1ポリヌクレオチドに対して酵素消化処理を行うことによって、酵素消化処理された前記第1ポリヌクレオチドを軽鎖保存ベクター断片に連結して軽鎖保存連結産物を形成し、前記第1細菌に導入することによって前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、ここで、前記軽鎖保存ベクターが前記R1とR2を含み、前記R1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記軽鎖保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、前記軽鎖保存ベクター断片を取得することを含む、
請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記軽鎖保存ベクターは、pUCベクターに由来する、
請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記pUCベクターは、pUC19ベクターであるか、またはpUC19ベクターに由来する、
請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記pUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来する、
請求項40~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記R1とR2を認識する前記制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含む、
請求項39~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
2)は、前記R5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて、前記第3ポリヌクレオチドに対して酵素消化処理を行うことによって、酵素消化処理された前記第3ポリヌクレオチドを重鎖保存ベクター断片に連結して重鎖保存連結産物を形成し、前記第3細菌に導入することによって前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、ここで、前記重鎖保存ベクターが前記R5とR6を含み、前記R5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記重鎖保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、前記重鎖保存ベクター断片を取得することを含む、
請求項39~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記重鎖保存ベクターは、pUCベクターに由来する、
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記pUCベクターは、pUC19ベクターであるか、またはpUC19ベクターに由来する、
請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記pUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来する、
請求項45~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記重鎖保存ベクターに、BsmBIの認識部位が含まれ、しかも1つ含まれる、
請求項44~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記R5とR6を認識する前記制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む、
請求項44~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
2)は、前記第2ポリヌクレオチドをベクター断片に連結してリンカー保存ベクターを形成して、前記第2細菌に導入することによって、前記リンカーコンポーネント細菌を取得することを含む、
請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記リンカー保存ベクターに、前記R3とR4が含まれる、
請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記リンカー保存ベクターを構築するための前記ベクター断片は、pUCベクターに由来する、
請求項50~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記pUCベクターは、pUC19ベクターであるか、またはpUC19ベクターに由来する、
請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記pUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来する、
請求項52~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
4)は、前記R1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記軽鎖コンポーネントプラスミドに対して酵素消化処理を行うことによって、前記放出されたLCを取得することを含む、
請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記R1とR2を認識する前記制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含む、
請求項55に記載の方法。
【請求項57】
4)は、前記R5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記重鎖コンポーネントプラスミドに対して酵素消化処理を行うことによって、前記放出されたHCを取得することを含む、
請求項1~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記R5とR6を認識する前記制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む、
請求項57に記載の方法。
【請求項59】
4)は、前記R3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記リンカー保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、前記放出されたリンカーを取得することを含む、
請求項1~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
4)は、前記リンカー保存ベクターにより前記リンカー、前記R3および前記R4を含む増幅産物を取得し、そして、前記R3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記増幅産物に対して酵素消化処理を行うことによって、前記放出されたリンカーを取得することを含む、
請求項1~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記R3とR4を認識する前記制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含む、
請求項1~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
5)は、前記R7とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記ディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、前記ディスプレイベクター断片を放出させることを含む、
請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記R7とR8を認識する前記制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む、
請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ディスプレイベクターは、pComb3xベクターに由来する、
請求項1~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記R1、R2、R3、R4、R5とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記ディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、3つの異なる酵素消化断片が得られる、
請求項11~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記R1、R2、R3、R4、R5とR8を認識する前記制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含む、
請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記R6とR7を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記ディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、前記ディスプレイベクターを線形化させる、
請求項11~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記R6とR7を認識する前記制限エンドヌクレアーゼは、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む、
請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記ディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、4つの異なる酵素消化断片が得られる、
請求項11~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8を認識する前記制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む、
請求項69に記載の方法。
【請求項71】
2)は、前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、前記リンカーコンポーネント細菌および/または前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーをサンプリングして検出することによって、前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、前記リンカーコンポーネント細菌および/または前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーのライブラリー容量および/または品質を特定することを含む、
請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、少なくとも10
6個の異なるクローンを含む、
請求項1~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、少なくとも10
7個の異なるクローンを含む、
請求項1~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーにおける有効なクローニング割合は、少なくとも約70%である、
請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーにおける有効なクローニング割合は、少なくとも約70%である、
請求項1~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
2)は、前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、前記リンカーコンポーネント細菌、および/または前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーの容量および/または品質に基づいで、前記ディスプレイ細菌ライブラリーの容量および/または品質を測定することを含む、
請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記ディスプレイ細菌ライブラリーは、少なくとも10
10個の異なるクローンを含む、
請求項1~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記ディスプレイ細菌ライブラリーにおける有効なクローニング割合は、少なくとも約70%である、
請求項1~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
サンプル材から、前記第1ポリヌクレオチドと前記第3ポリヌクレオチドを取得する、
請求項1~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記サンプル材は、末梢血リンパ球サンプル由来の材料を含む、
請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記末梢血リンパ球は、ヒト末梢血リンパ球である、
請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記サンプル材は、前記サンプル由来のトータルRNAおよび/またはmRNAを含む、
請求項79~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
8)は、前記ディスプレイ細菌ライブラリーを、ヘルパーファージに接触することによって前記ファージライブラリーを調製することを含む、
請求項1~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
請求項1~83のいずれか1項に記載の方法により産生されるファージライブラリー。
【請求項85】
少なくとも10
10個の異なるクローンを含む、
請求項84に記載のファージライブラリー。
【請求項86】
少なくとも10
10種類の異なる抗体または抗体断片をディスプレイすることができる、
請求項84~85に記載のいずれか1項に記載のファージライブラリー。
【請求項87】
請求項84~86のいずれか1項に記載のファージライブラリーを用いることを含む、
抗体または抗体断片のスクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオメディカル分野に関し、具体的に、抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーの産生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野では、いくつかのファージライブラリーの調製方法があるが、何れも一定の欠点がある。例えば、ライブラリーのライブラリー容量が小さすぎ(例えば、容量が109を超えるライブラリーを取得しづらい)、また、ライブラリーの多様性が不足するため、高品質抗体をスクリーニングニーズを満足することができない。同時に、ライブラリー容量を広げるために、多数の小さいライブラリーを集積する必要があり、これは、数年間の時間をかけるだけではなく、これらの小さいライブラリー間の一貫性を保証しづらいため、得られるライブラリーの品質を制御することができない。なお、従来の方法によるライブラリーの構築は、ライブラリーを調製するプロセスにおいて品質制御を便利で信頼的に行うことが困難であり、通常、ライブラリーを作成してから初めてその品質を知るために、リスクが高く、失敗の確率が大きい。
【0003】
なお、従来の方法で作製されるライブラリーは、コストが高く、サイクルが長く、長期保管の場合、品質がひどく下がり、工業的生産の要求を満足することができない。
【0004】
そのため、工業的生産の要求を満足ことができる品質の制御が可能で、かつ操作が簡単な方法により、大容量のファージライブラリーを調製する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを産生する方法、および該方法によるファージライブラリー、並びに該ファージライブラリーによる抗体または抗体断片のスクリーニングの方法を提供する。本発明に記載の抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを産生する方法は、1)PCRによる突然変異の導入の確率を効果的に減少し、本発明に記載のファージライブラリーは、当該技術分野における従来の抗体ライブラリーの構築方法で用いられるPCR対策の組み合わせを利用しなく、上記のファージライブラリーを構築するための各コンポーネントがPCR増幅を1回行って、そして、必要なコンポーネントを連結するだけでFabのファージライブラリーを取得することができ、2)工業的生産の要求を満足ことができ、3)品質制御を容易に行い、本発明に記載のファージライブラリーの構築に必要な各ステップが、品質制御を独立して簡単に行え、そして、本発明に記載のファージライブラリーを得る場合、(例えば、遺伝子シーケンスや、可溶性Fab発現の分析を利用してよい。)その品質の分析を簡単に行い、4)調製プロセスが簡単で、早くて、本発明に記載のファージライブラリーの構築は、特別な制限エンドヌクレアーゼの認識部位を利用することができるため、有向連結が保証され、又、誤連結が防止され、連結の場合、各コンポーネント断片の分子数が、1:1に制御されることによって、連結形質転換効率を向上させることができ、同時に、軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーなどの細菌ライブラリーを構築する対策を用いて、各抗体またはその断片の連結や形質転換効率を上げることができ(例えば、得られる連結産物は、μgごとの形質転換効率が約109以上であってよい。)、リンカーコンポーネントプラスミドを得ることによって、得られた放出されたリンカーが適当かつ完全の粘着末端を持つことを確保し、連結形質転換効率を上げ、なお、本発明に記載のファージライブラリーは、ディッシュで培養されてもよいし、液体で培養されてもよく、5)産生されるライブラリーは、容量が大きく、多様性がよいため、抗体またはその抗原結合断片を速やかで効果的にスクリーニングすることに寄与し、6)特異性が高く、本発明に記載のファージライブラリーの構築は、当該技術分野における従来の方法で用いられる縮重プライマーを利用していないため、この縮重プライマーによるエラーを回避し、また、本発明に記載のファージライブラリーを構築するためのプライマーの必要なPCRアニーリング温度が高いため、それらのプライマーとそれらの増幅標的断片との結合特異性を上昇させることができ、および7)増幅が可能で、保存が容易であり、軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーなどの細菌ライブラリーおよびリンカーコンポーネントプラスミドを含む細菌は、ともに-80℃条件下での長期保存が可能で、使用する場合にいつでも取り出されてよく(例えば、二日間だけで本発明に記載のファージライブラリーを取得することができる。)、そして、必要に応じて種類や割合の異なる混合を行えるという特性の少なくとも1つを備える。
【0006】
一方、本発明は、抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを産生する方法であって、1)上記の抗体または抗体断片の軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列を有するLCを含む第1ポリヌクレオチド、リンカーを含む第2ポリヌクレオチド、および、上記の抗体または抗体断片の重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列を有するHCを含む第3ポリヌクレオチドを付与し、2)上記の第1ポリヌクレオチドを第1細菌に導入することによって軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、上記の第2ポリヌクレオチドを第2細菌に導入することによってリンカーコンポーネント細菌を取得し、上記の第3ポリヌクレオチドを第3細菌に導入することによって重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、3)上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーにより上記のLCを含む軽鎖コンポーネントプラスミドを取得し、上記のリンカーコンポーネント細菌により上記のリンカーを含むリンカーコンポーネントプラスミドを取得し、そして、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーにより上記のHCを含む重鎖コンポーネントプラスミドを取得し、4)上記の軽鎖コンポーネントプラスミドにより放出されたLCを取得し、上記のリンカーコンポーネントプラスミドにより放出されたリンカーを取得し、そして、上記の重鎖コンポーネントプラスミドにより放出されたHCを取得し、5)ディスプレイベクターを付与し、そして、上記のディスプレイベクターにより放出されたディスプレイベクター断片を取得し、6)上記の放出されたLC、放出されたリンカー、放出されたHCおよび放出されたディスプレイベクター断片を連結することによって、ディスプレイ用連結産物を形成し、7)上記のディスプレイ用連結産物を第4細菌に導入することによって、上記の抗体または抗体断片のディスプレイ細菌ライブラリーを取得し、8)上記のディスプレイ細菌ライブラリーを用いて、上記の抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを調製することを含む方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、抗体または抗体断片の発現に適当な条件で、6)における上記のディスプレイ用連結産物が、リーディングフレームに従って上記の軽鎖または軽鎖断片および上記の重鎖または重鎖断片を発現することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記の第1ポリヌクレオチド、上記の第2ポリヌクレオチドおよび上記の第3ポリヌクレオチドは、いずれも線形核酸分子である。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記の重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列と上記の軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列は、異なるリーディングフレームに位置する。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記のリンカーは、シグナルペプチドpelBまたはその断片をコード化する核酸配列を有する。いくつかの実施形態において、上記のリンカーは、長さが約50~約200個の塩基である。
【0011】
いくつかの実施形態において、6)における上記のディスプレイ用連結産物において、上記のLCが上記のリンカーの上流にあり、かつ上記のリンカーが上記のHCの上流にある。
【0012】
いくつかの実施形態において、2)は、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーおよび/または上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを凍結保存することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、7)は、上記のディスプレイ細菌ライブラリーを凍結保存することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、8)は、上記の凍結保存されているディスプレイ細菌ライブラリーを融解して培養し、そして、培養された上記のディスプレイ細菌ライブラリーで上記のファージライブラリーを構築することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記の第1ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R1-LC-R2を含み、上記の第2ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R3-リンカー-R4を含み、上記の第3ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R5-HC-R6を含み、かつ、上記のディスプレイベクターには、5’→3’方向に構造R7-ディスプレイベクター断片-R8を含み、ここで、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8は、制限エンドヌクレアーゼの認識部位である。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記のR2の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、上記のR3の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ、上記のR1、R4、R5、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記のR4の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、上記のR5の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ、上記のR1、R2、R3、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記のR6の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、上記のR7の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記のR8の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、上記のR1の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ、上記のR2、R3、R4、R5、R6とR7のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、非回文配列である。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8の2つまたはそれ以上は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記のR2は、上記のR3と同一である。いくつかの実施形態において、上記のR4は、上記のR5と同一である。いくつかの実施形態において、上記のR6は、上記のR7と同一である。いくつかの実施形態において、上記のR8は、上記のR1と同一である。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である。いくつかの実施形態において、上記のR6とR7は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよびEsp3Iから選ばれる。いくつかの実施形態において、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8は、SfiIによって認識および切断可能である。いくつかの実施形態において、上記のR6とR7は、BsmBIおよび/またはEsp3Iによって認識および切断可能である。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記のR1は、SEQ ID NO: 1で表される核酸配列を有する。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記のR2は、SEQ ID NO: 2で表される核酸配列を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記のR3は、SEQ ID NO:2で表される核酸配列を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記のR4は、SEQ ID NO: 3で表される核酸配列を有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記のR5は、SEQ ID NO: 3で表される核酸配列を有する。
【0030】
いくつかの実施形態において、上記のR6は、SEQ ID NO: 4で表される核酸配列を有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、上記のR7は、SEQ ID NO: 4で表される核酸配列を有する。
【0032】
いくつかの実施形態において、上記のR8は、SEQ ID NO: 1で表される核酸配列を有する。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記の軽鎖または軽鎖断片は、軽鎖可変領域部分および/または軽鎖定常領域部分を含む。いくつかの実施形態において、上記の重鎖または重鎖断片は、重鎖可変領域部分および/または重鎖定常領域部分を含む。いくつかの実施形態において、上記の抗体またはその断片は、Fab、Fab’、(Fab)2および/または(Fab’)2を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、7)における上記のディスプレイ用連結産物は、連結形質転換効率が少なくとも108個のクローン/μgポリヌクレオチドである。
【0035】
いくつかの実施形態において、2)は、上記のR1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて、上記の第1ポリヌクレオチドに対して酵素消化処理を行うことによって、酵素消化処理された上記の第1ポリヌクレオチドを軽鎖保存ベクター断片に連結して軽鎖保存連結産物を形成し、上記の第1細菌に導入することによって上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、ここで、上記の軽鎖保存ベクターが上記のR1とR2を含み、上記のR1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の軽鎖保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の軽鎖保存ベクター断片を取得することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、上記の軽鎖保存ベクターは、pUCベクターに由来する。いくつかの実施形態において、上記のpUCベクターは、pUC19ベクターであるか、またはpUC19ベクターに由来する。いくつかの実施形態において、上記のpUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来する。
【0037】
いくつかの実施形態において、上記のR1とR2を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、2)は、上記のR5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて、上記の第3ポリヌクレオチドに対して酵素消化処理を行うことによって、酵素消化処理された上記の第3ポリヌクレオチドを重鎖保存ベクター断片に連結して重鎖保存連結産物を形成し、上記の第3細菌に導入することによって上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、ここで、上記の重鎖保存ベクターが上記のR5とR6を含み、上記のR5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の重鎖保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の重鎖保存ベクター断片を取得することを含む。いくつかの実施形態において、上記の重鎖保存ベクターは、pUCベクターに由来する。いくつかの実施形態において、上記のpUCベクターは、pUC19ベクターであるか、またはpUC19ベクターに由来する。いくつかの実施形態において、上記のpUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来する。
【0039】
いくつかの実施形態において、上記の重鎖保存ベクターに、BsmBIの認識部位が含まれ、しかも1つ含まれる。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記のR5とR6を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、2)は、上記の第2ポリヌクレオチドをベクター断片に連結してリンカー保存ベクターを形成して、上記の第2細菌に導入することによって、上記のリンカーコンポーネント細菌を取得することを含む。いくつかの実施形態において、上記のリンカー保存ベクターに、上記のR3とR4が含まれる。いくつかの実施形態において、上記のリンカー保存ベクターを構築するための上記のベクター断片は、pUCベクターに由来する。いくつかの実施形態において、上記のpUCベクターは、pUC19ベクターであるか、またはpUC19ベクターに由来する。いくつかの実施形態において、上記のpUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来する。
【0042】
いくつかの実施形態において、4)は、上記のR1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の軽鎖コンポーネントプラスミドに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の放出されたLCを取得することを含む。いくつかの実施形態において、上記のR1とR2を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、4)は、上記のR5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の重鎖コンポーネントプラスミドに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の放出されたHCを取得することを含む。いくつかの実施形態において、上記のR5とR6を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、4)は、上記のR3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のリンカー保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の放出されたリンカーを取得することを含む。いくつかの実施形態において、4)は、上記のリンカー保存ベクターにより上記のリンカー、上記のR3および上記のR4を含む増幅産物を取得し、そして、上記のR3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の増幅産物に対して酵素消化処理を行うことによって、上記の放出されたリンカーを取得することを含む。いくつかの実施形態において、上記のR3とR4を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、5)は、上記のR7とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、上記のディスプレイベクター断片を放出させることを含む。いくつかの実施形態において、上記のR7とR8を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、上記のディスプレイベクターは、pComb3xベクターに由来する。
【0047】
いくつかの実施形態において、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、3つの異なる酵素消化断片が得られる。いくつかの実施形態において、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含む。いくつかの実施形態において、上記のR6とR7を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、上記のディスプレイベクターを線形化させる。いくつかの実施形態において、上記のR6とR7を認識する制限エンドヌクレアーゼは、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、4つの異なる酵素消化断片が得られる。いくつかの実施形態において、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、2)は、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、上記のリンカーコンポーネント細菌および/または上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーをサンプリングして検出することによって、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、上記のリンカーコンポーネント細菌および/または上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーのライブラリー容量および/または品質を特定することを含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、少なくとも106個の異なるクローンを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、少なくとも107個の異なるクローンを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーにおける有効なクローニング割合は、少なくとも約70%である。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーにおける有効なクローニング割合は、少なくとも約70%である。
【0054】
いくつかの実施形態において、2)は、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーおよび/または上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーの容量、上記のリンカーコンポーネント細菌および/または品質に基づいで、上記のディスプレイ細菌ライブラリーの容量および/または品質を測定することを含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、上記のディスプレイ細菌ライブラリーは、少なくとも1010個の異なるクローンを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、上記のディスプレイ細菌ライブラリーにおける有効なクローニング割合は、少なくとも約70%である。
【0057】
いくつかの実施形態において、サンプル材から、上記の第1ポリヌクレオチドと上記の第3ポリヌクレオチドを取得する。いくつかの実施形態において、上記のサンプル材は、末梢血リンパ球サンプル由来の材料を含む。いくつかの実施形態において、上記の末梢血リンパ球は、ヒト末梢血リンパ球である。いくつかの実施形態において、上記のサンプル材は、上記のサンプル由来のトータルRNAおよび/またはmRNAを含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、8)は、上記のディスプレイ細菌ライブラリーを、ヘルパーファージに接触することによって上記のファージライブラリーを調製することを含む。
【0059】
他方、本発明は、上記の方法により産生されるファージライブラリーを提供する。いくつかの実施形態において、上記のファージライブラリーは、少なくとも1010個の異なるクローンを含む。いくつかの実施形態において、上記のファージライブラリーは、少なくとも1010種類の異なる抗体または抗体断片をディスプレイすることができる。
【0060】
他方、本発明は、上記のファージライブラリーを用いることを含む抗体または抗体断片のスクリーニング方法を提供する。
【0061】
当該技術分野における当業者は、以降の詳細な記載からの本開示のその他の側面や利点の把握が容易であろう。以下の詳細な記載では、本開示の例としての実施形態しか表現して記載していない。当該技術分野における当業者にとって、本開示の詳細によって、本発明に係る趣旨や範囲を逸脱しない限り、公開されている具体的な実施形態を変更しても良い。それに応じて、本発明において、図面や明細書の記載があくまでも例であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明に係る具体的な特徴は、添付の請求項のように示されたものである。本発明に係る特徴やメリットは、以下詳しく記載されている例示的実施形態や図面を参照することによって、より確実的に把握されるだろう。図面に関しては、以下のように概略的に説明する。
【0063】
図1は、pUC19ベクターの模式図を示す。
図2は、本発明における改変されたpUC19ベクターの模式図を示す。
図3は、本発明に記載の軽鎖保存ベクターの模式図を示す。
図4は、本発明に記載のリンカー保存ベクターの模式図を示す。
図5は、本発明に記載の重鎖保存ベクターの模式図を示す。
図6は、pCom3xベクターの模式図を示す。
図7は、本発明に記載のディスプレイベクターの模式図を示す。
図8は、本発明のディスプレイ用連結産物が含まれるプラスミドの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本願発明の実施形態を、所定の具体的な実施例によって説明するが、当業者が、本明細書に公開された内容により、本願発明のその他のメリットや効果を容易に把握することができる。
【0065】
本発明において、「ファージライブラリー」という用語は、通常、ファージにディスプレイ可能な異なる組換ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを含むライブラリーを指す。いくつかの場合に、上記のファージライブラリーは、さらに、ポリヌクレオチドライブラリーにより形質移入されるファージの集合を含んでよい。本発明において、上記のライブラリーは、異なる組換ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを含みうるポリヌクレオチドの多様化の集合体または混合物であってよい。例えば、上記のポリヌクレオチドライブラリー集合体には、少なくとも106、107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014、1015またはより多くの種類の異なるポリヌクレオチドが含まれてよい。上記のファージライブラリーにおけるポリヌクレオチドは、単一の生物種(例えば哺乳動物、例えばヒト)、その組織、臓器および/または細胞由来であってよい。上記のライブラリーは、共通の属のポリヌクレオチドを含んでよい。例えば、上記の属は、ある特定のタイプやクラスの免疫グロブリンサブユニットポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであってよい。例えば、上記のポリヌクレオチドは、抗体の軽鎖または軽鎖断片をコード化し得る。例えば、上記のポリヌクレオチドは、抗体の重鎖または重鎖断片をコード化し得る。
【0066】
本発明において、「抗体」という用語は、通常、特定の抗原を特異的に認識および/または中和し得るポリペプチド分子を指す。通常の4鎖抗体ユニットは、2本の同一の軽鎖と2本の同一の重鎖から構成されるヘテロ4量体の糖タンパク質である。IgGの場合、それぞれのL鎖は、1つの合計ジスルフィド結合によってH鎖に結合されるが、2つのH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて1つまたは複数のジスルフィド結合により互いに結合されている。それぞれのHおよびL鎖は、また、規則的な間隔の鎖内ジスルフィド結合を持つ。それぞれのH鎖は、3つ(それぞれのαおよびγ鎖)または4つ(μおよびεアイソタイプ)に対して定常ドメイン(CH)が続く可変ドメイン(VH)をN-末端に有する。
【0067】
本発明において、「抗体断片」という用語は、通常、完全長抗体の一部を指す。例えば、上記の抗体断片は、完全長抗体の抗原結合領域および/または抗体可変領域を含んでよい。上記の抗体断片は、化学方法および/または遺伝子工学方法で得られる。例えば、ペプシンやパパインを含めてプロテアーゼを用いて、抗体を消化後上記の抗体断片を産生することができる。本発明において、上記の抗体断片はFabであってよい。
【0068】
本発明において、「Fab」という用語は、通常、パパインにより完全構造を持つ抗体を消化後(例えば、Fc領域とヒンジ領域が除去された)、2つの同一の抗原結合断片を産生することを指す。Fabは、完全長の軽鎖、重鎖可変領域(VH)と重鎖の第1定常ドメイン(CH1)から構成されてよい。各Fabは、単一の抗原結合部位を有してよい。
【0069】
本発明において、「リンカー」という用語は、通常、2種類以上のポリヌクレオチド分子またはその断片を連結可能な試薬を指す。上記のリンカーは、ポリヌクレオチドまたはその断片であってよい。本発明において、上記のリンカーは、異なる長さを有してよい。例えば、上記のリンカーの長さは、40bp以上、50bp以上、60bp以上、70bp以上、80bp以上、90bp以上、100bp以上、150bp以上、200bp以上またはそれ以上であってよい。
【0070】
本発明において、「LC」という用語は、通常、抗体または抗体断片の軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列を有するポリヌクレオチドを指す。本発明において、上記の軽鎖または軽鎖断片は、同一または同様の抗体の重鎖に結合する能力を持つことができる。本発明において、上記の軽鎖または軽鎖断片は、軽鎖可変領域(VL)と軽鎖定常領域(CL)を含んでよい。上記の軽鎖定常領域は、κ型とλ型に分けられることができる。上記の軽鎖は、また、κ定常領域(C-κ)に連結するλ可変領域(V-λ)またはλ定常領域(C-λ)に連結するκ可変領域(V-κ)の軽鎖を含む。例えば、上記のLCは、抗体または抗体断片の軽鎖をコード化する核酸配列を有するポリヌクレオチドであってよい。
【0071】
本発明において、「HC」という用語は、通常、抗体または抗体断片の重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列を有するポリヌクレオチドを指す。本発明において、上記の重鎖または重鎖断片は、同一または同様の抗体の軽鎖に結合する能力を持つことができる。本発明において、上記の重鎖または重鎖断片は、重鎖可変領域(VH)と重鎖定常領域(CH)を含んでよい。上記の重鎖定常領域は、CH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含んでよい。IgE、IgMおよびIgYの場合、上記の重鎖定常領域は、CH4ドメインを含んでよいが、ヒンジ領域を含んでいない。本発明において、上記の“重鎖定常領域”は、CH1、ヒンジ領域、CH2、CH3、CH4ドメインまたはそのいかなる組み合わせでありうる。例えば、上記のHCは、抗体または抗体断片のVHとCH1をコード化する核酸配列を有するポリヌクレオチドでありうる。
【0072】
本発明において、「第1ポリヌクレオチド」という用語は、通常、上記の抗体または抗体断片の軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列を有しうるLCを含むポリヌクレオチドを指す。本発明において、上記の第1ポリヌクレオチドは、また、5’端および/または3’端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)の認識部位が存在しうる。例えば、上記の第1ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R1-LC-R2を含み、ここで、上記のR1、R2が制限エンドヌクレアーゼの認識部位でありうる。例えば、上記の第1ポリヌクレオチドにおけるエンドヌクレアーゼ認識部位を認識するエンドヌクレアーゼ(例えば、R1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼ、例えばSfiI)で酵素消化処理後、酵素消化処理された上記の第1ポリヌクレオチドは、上記のLCを含んでよい。
【0073】
本発明において、「軽鎖保存ベクター断片」という用語は、通常、制限エンドヌクレアーゼによって酵素消化処理された軽鎖保存ベクターの断片を指す。本発明において、上記の軽鎖保存ベクターに含まれる制限エンドヌクレアーゼの認識部位は、上記の第1ポリヌクレオチドに含まれる制限エンドヌクレアーゼの認識部位と対応して同一であってよい。例えば、上記の軽鎖保存ベクターは、上記のR1と上記のR2を含んでよい。本発明において、得られる上記の軽鎖保存ベクター断片は、制限エンドヌクレアーゼ(例えば、上記のR1と上記のR2を認識する制限エンドヌクレアーゼ)によって酵素消化後、酵素消化処理された上記の第1ポリヌクレオチドに連結可能である。本発明において、上記の軽鎖保存ベクター断片は、pUCベクターに由来してよい。例えば、上記のpUCベクターは、pUC19ベクターであるか、またはpUC19ベクターに由来し、又、例えば、上記のpUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来してよい。
【0074】
本発明において、「軽鎖保存連結産物」という用語は、通常、酵素消化処理後の上記の第1ポリヌクレオチドが上記の軽鎖保存ベクター断片に連結して形成される産物を指す。本発明において、上記の第1ポリヌクレオチドと上記の軽鎖保存ベクター断片は、同一の制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含んでよく、リガーゼ(例えばDNAリガーゼ)によって連結されることによって上記の軽鎖保存連結産物が得られる。
【0075】
本発明において、「第1細菌」という用語は、通常、上記の第1ポリヌクレオチドを導入するかまたは含むための細菌を指す。上記の第1細菌は、上記のLCを含んでよい。本発明において、上記の第1細菌は、上記の軽鎖保存連結産物が導入されてよい。本発明において、上記の第1細菌は、上記のLC、上記の第1ポリヌクレオチドおよび/または上記の軽鎖保存連結産物を発現、複製および/または保存(例えば、凍結保存)することができる。
【0076】
本発明において、「軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー」という用語は、通常、上記の第1ポリヌクレオチドを上記の第1細菌に導入して得られる細菌ライブラリーを指す。本発明において、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、抗体または抗体断片の軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列を有する細菌ライブラリーであってよい。本発明において、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、約105~約109個(例えば、約105~約108個、約105~約107個、約106~約107個)の抗体または抗体断片の異なる軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列を有してよい。本発明において、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、約107~約1012個(例えば、約107~約1011個、約107~約1010個、約107~約109個、約107~約108個)の上記の第1細菌を含んでよい。
【0077】
本発明において、「第2ポリヌクレオチド」という用語は、通常、リンカーを含むポリヌクレオチドを指す。本発明において、上記の第2ポリヌクレオチドは、また、5’端および/または3’端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)の認識部位が存在しうる。例えば、上記の第1ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R3-リンカー-R4を含み、ここで、上記のR3、R4が制限エンドヌクレアーゼの認識部位でありうる。例えば、上記の第2ポリヌクレオチドにおけるエンドヌクレアーゼ認識部位を認識するエンドヌクレアーゼ(例えば、R3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼ、例えばSfiI)で酵素消化処理後、酵素消化処理された上記の第2ポリヌクレオチドは、上記のリンカーを含んでよい。
【0078】
本発明において、「ベクター断片」という用語は、第2ポリヌクレオチドまたはリンカーと共通に使用される場合に、通常、上記の第2ポリヌクレオチドに連結可能なベクター断片を指す。本発明において、上記のベクター断片は、pUCベクターに由来してよい。例えば、上記のpUCベクターは、pUC19ベクターであるか、またはpUC19ベクターに由来し、又、例えば、上記のpUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来してよい。
【0079】
本発明において、「リンカー保存ベクター」という用語は、通常、上記の第2ポリヌクレオチドが上記のベクター断片に連結して形成される産物を指す。本発明において、上記のリンカー保存ベクターに含まれる制限エンドヌクレアーゼの認識部位は、上記の第1ポリヌクレオチドに含まれる制限エンドヌクレアーゼの認識部位と対応して同一であってよい。例えば、上記のリンカー保存ベクターは、上記のR3と上記のR4を含んでよい。本発明において、上記のリンカー保存ベクターは、1種類の上記のリンカーだけを含んでよい。
【0080】
本発明において、「第2細菌」という用語は、通常、上記の第2ポリヌクレオチドを導入するかまたは含むための細菌を指す。上記の第2細菌は、上記のリンカーを含んでよい。本発明において、上記の第2細菌は、上記のリンカー保存ベクターが導入されてよい。本発明において、上記の第2細菌は、上記のリンカーおよび/または上記の第2ポリヌクレオチドを発現、複製および/または保存(例えば、凍結保存)することができる。
【0081】
本発明において、「リンカーコンポーネント細菌」という用語は、通常、上記のリンカー保存ベクターを上記の第2細菌に導入して得られる細菌を指す。本発明において、上記のリンカーコンポーネント細菌は、単一種の細菌でありうる。本発明において、単一種の上記のリンカーコンポーネント細菌は、単一種類の上記のリンカーだけを含んでよい。
【0082】
本発明において、「第3ポリヌクレオチド」という用語は、通常、上記の抗体または抗体断片の重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列を有し得るHCを含むポリヌクレオチドを指す。本発明において、上記の第3ポリヌクレオチドは、また、5’端および/または3’端にエンドヌクレアーゼ(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)の認識部位が存在しうる。例えば、上記の第1ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R5-HC-R6を含み、ここで、上記のR5、R6が制限エンドヌクレアーゼの認識部位でありうる。例えば、上記の第3ポリヌクレオチドにおけるエンドヌクレアーゼ認識部位を認識するエンドヌクレアーゼ(例えば、R5を認識する制限エンドヌクレアーゼ、例えばSfiI、又、例えば、R6を認識する制限エンドヌクレアーゼ、例えばSfiI、BsmBIおよびEsp3I)で酵素消化処理後、酵素消化処理された上記の第3ポリヌクレオチドは、上記のHCを含んでよい。
【0083】
本発明において、「重鎖保存ベクター断片」という用語は、通常、制限エンドヌクレアーゼによって酵素消化処理された重鎖保存ベクターの断片を指す。本発明において、上記の重鎖保存ベクターに含まれる制限エンドヌクレアーゼの認識部位は、上記の第3ポリヌクレオチドに含まれる制限エンドヌクレアーゼの認識部位と対応して同一であってよい。例えば、上記の重鎖保存ベクターは、上記のR5と上記のR6を含んでよい。本発明において、得られる上記の重鎖保存ベクター断片は、制限エンドヌクレアーゼ(例えば、上記のR5と上記のR6を認識する制限エンドヌクレアーゼ)により酵素消化後、酵素消化処理された上記の第3ポリヌクレオチドに連結可能である。本発明において、上記の重鎖保存ベクター断片は、pUCベクターに由来してよい。例えば、上記のpUCベクターは、pUC19ベクターであるか、またはpUC19ベクターに由来し、又、例えば、上記のpUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来してよい。
【0084】
本発明において、「重鎖保存連結産物」という用語は、通常、酵素消化処理後の上記の第3ポリヌクレオチドが上記の重鎖保存ベクター断片に連結して形成される産物を指す。本発明において、上記の第3ポリヌクレオチドと上記の重鎖保存ベクター断片は、同一の制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含んでよく、リガーゼ(例えばDNAリガーゼ)によって連結されることによって、上記の重鎖保存連結産物が得られる。
【0085】
本発明において、「第3細菌」という用語は、通常、上記の第3ポリヌクレオチドを導入するかまたは含むための細菌を指す。上記の第3細菌は、上記のHCを含んでよい。本発明において、上記の第3細菌は、上記の重鎖保存連結産物が導入されてよい。本発明において、上記の第3細菌は、上記のHC、上記の第3ポリヌクレオチドおよび/または上記の重鎖保存連結産物を発現、複製および/または保存(例えば、凍結保存)することができる。
【0086】
本発明において、「重鎖コンポーネント細菌ライブラリー」という用語は、通常、上記の第3ポリヌクレオチドを上記の第3細菌に導入して得られる細菌ライブラリーを指す。本発明において、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、抗体または抗体断片の重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列を有する細菌ライブラリーであってよい。本発明において、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、約105~約109個(例えば、約105~約108個、約105~約107個、約106~約107個)の抗体または抗体断片の異なる重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列を有してよい。本発明において、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、約107~約1012個(例えば、約107~約1011個、約107~約1010個、約107~約109個、約107~約108個)の上記の第3細菌を含んでよい。
【0087】
本発明において、「軽鎖コンポーネントプラスミド」という用語は、通常、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーの細菌から得られる、上記のLCを含むプラスミドを指す。本発明において、上記の軽鎖コンポーネントプラスミドは、上記のLCを含んでよい。例えば、上記の軽鎖コンポーネントプラスミドは、上記の第1ポリヌクレオチドを含んでよい。本発明において、上記の軽鎖コンポーネントプラスミドは、制限エンドヌクレアーゼの認識部位、例えばR1とR2を含んでよい。
【0088】
本発明において、「重鎖コンポーネントプラスミド」という用語は、通常、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーの細菌から得られる、上記のHCを含むプラスミドを指す。本発明において、上記の重鎖コンポーネントプラスミドは、上記のHCを含んでよい。例えば、上記の重鎖コンポーネントプラスミドは、上記の第3ポリヌクレオチドを含んでよい。本発明において、上記の重鎖コンポーネントプラスミドは、制限エンドヌクレアーゼの認識部位、例えば、R5とR6を含んでよい。
【0089】
本発明において、「放出されたLC」という用語は、通常、上記の軽鎖コンポーネントプラスミドを処理後放出される上記のLCを指す。本発明において、上記の処理は、酵素消化処理でありうる。例えば、上記の軽鎖コンポーネントプラスミドにおける制限エンドヌクレアーゼの認識部位に対して、適切な制限エンドヌクレアーゼ(例えば、R1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼ)を選択し、上記のLCを上記の軽鎖コンポーネントプラスミドから放出して分離させることができる。
【0090】
本発明において、「放出されたリンカー」という用語は、通常、上記のリンカーコンポーネントプラスミドを処理後放出される上記のリンカーを指す。本発明において、上記の処理は、酵素消化処理でありうる。例えば、上記のリンカーコンポーネントプラスミドにおける制限エンドヌクレアーゼの認識部位に対して、適切な制限エンドヌクレアーゼ(例えば、R3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼ)を選択し、上記のリンカーを上記のリンカーコンポーネントプラスミドから放出して分離させることができる。又、例えば、まず、上記のリンカーコンポーネントプラスミドを鋳型として、上記の第2ポリヌクレオチドを含めて増幅(例えば、PCR増幅)を行い、そして、得られる増幅産物に対して酵素消化処理を行う。例えば、上記のリンカーコンポーネントプラスミドにおける制限エンドヌクレアーゼの認識部位に対して、適切な制限エンドヌクレアーゼ(例えば、R3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼ)を選択し、上記のリンカーを上記のリンカーコンポーネントプラスミドから放出して分離させることができる。
【0091】
本発明において、「放出されたHC」という用語は、通常、上記の重鎖コンポーネントプラスミドを処理後放出される上記のHCを指す。本発明において、上記の処理は、酵素消化処理でありうる。例えば、上記の重鎖コンポーネントプラスミドにおける制限エンドヌクレアーゼの認識部位に対して、適切な制限エンドヌクレアーゼ(例えばR5とR6)を選択し、上記のHCを上記の重鎖コンポーネントプラスミドから放出して分離させることができる。
【0092】
本発明において、「放出されたディスプレイベクター断片」という用語は、通常、ディスプレイベクターを処理後放出されるディスプレイベクターの断片を指す。本発明において、上記のディスプレイベクターは、5’→3’方向に構造R7-ディスプレイベクター断片-R8を含み、ここで、上記のR7とR8が制限エンドヌクレアーゼでありうる。本発明において、上記の処理は、制限エンドヌクレアーゼによる酵素消化処理でありうる。例えば、上記のディスプレイベクターにおける制限エンドヌクレアーゼの認識部位に対して、適切な制限エンドヌクレアーゼ(例えば、R7とR8)を選択し、上記の放出されたディスプレイベクター断片を上記のディスプレイベクターから放出して分離させることができる。
【0093】
本発明において、「連結」という用語は、通常、2個または2個以上のポリヌクレオチド分子をつなぎ合わせることを指す。例えば、上記の連結は、リガーゼ(例えば、DNAリガーゼ)によるものであってよい。例えば、1個のポリヌクレオチドの3’端をもう1個のポリヌクレオチドの5’端に連結することによって、1個の完全長のポリヌクレオチド分子を形成する。
【0094】
本発明において、「ディスプレイ用連結産物」という用語は、通常、上記の放出されたLC、上記の放出されたリンカー、上記の放出されたHCおよび上記の放出されたディスプレイベクター断片を含む1個のポリヌクレオチド分子を指す。本発明において、上記のディスプレイ用連結産物は、上記の放出されたLC、上記の放出されたリンカー、上記の放出されたHCと上記の放出されたディスプレイベクター断片を比例して混合することによって得られる。
【0095】
本発明において、上記の“ディスプレイ”は、上記のディスプレイ用連結産物を含む細胞に、上記のディスプレイ用連結産物のコード化するタンパク質(例えば、抗体または抗体断片、例えばFab)を発現させることを指す。
【0096】
本発明において、「導入」という用語は、通常、外来ポリヌクレオチドを細胞に運搬または導入するプロセスを指す。上記の細胞は、宿主細胞であってよい。上記の導入される細胞は、対象の1次細胞およびその子孫を含む。上記の細胞は、原核細胞、例えば細菌細胞であってよい。
【0097】
本発明において、「第4細菌」という用語は、通常、上記の放出されたLC、上記の放出されたリンカー、上記の放出されたHCおよび上記の放出されたディスプレイベクター断片を含む上記のディスプレイ用連結産物を導入するかまたは含むための細菌を指す。本発明において、上記の第4細菌は、形質転換によって上記のディスプレイ用連結産物が導入されることができる。本発明において、上記の第4細菌は、上記の放出されたLCのコード化する抗体または抗体断片の軽鎖または軽鎖断片を発現することができるし、上記の放出されたHCのコード化する抗体または抗体断片の重鎖または重鎖断片を発現することができる。本発明において、上記の第4細菌は、上記の抗体または抗体断片を発現、複製および/または保存(例えば、凍結保存)することができる。
【0098】
本発明において、「ディスプレイ細菌ライブラリー」という用語は、通常、上記のディスプレイ用連結産物を含む細菌ライブラリーを指す。本発明において、上記のディスプレイ用細菌ライブラリーは、上記の第4細菌を含んでよい。本発明において、上記のディスプレイ細菌ライブラリーは、1010個以上の異なる抗体または抗体断片を含んでよい。
【0099】
本発明において、「シグナルペプチドpelB」という用語は、通常、ペクチンリアーゼのシグナルペプチドを指す。上記のシグナルペプチドpelBは、通常、原核発現系に用いられる。例えば、上記のシグナルペプチドpelBは、GenBank登録番号がABS75961.1でありうる。
【0100】
本発明において、「制限エンドヌクレアーゼ」という用語は、通常、二重鎖DNAを切断する酵素を指す。上記の制限エンドヌクレアーゼは、突出一本鎖DNAを含む粘着末端を産生することにより、DNAリガーゼに粘着することができる。本発明において、上記の制限エンドヌクレアーゼは、認識と制限切断としての役割を果たせる。例えば、上記の制限エンドヌクレアーゼの切断部位は、その認識部位から一定の距離を離している。例えば、上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよびEsp3Iから選ばれてよい。
【0101】
本発明において、「線形化」という用語は、通常、ベクターが閉鎖せずに線形を呈する環状を指す。例えば、上記のベクターは、酵素消化処理を行った場合に、上記のベクターの本来の環状構造が壊れられて、線形化のベクターが形成される。例えば、上記のベクター(例えばTベクター)は、制限エンドヌクレアーゼにより酵素消化後、1個の3’端のT末端を産生し、この時、A末端を含むPCR産物に関して、T4リガーゼの作用により該PCR産物を線形のベクターに直接に連結することができる。
【0102】
本発明において、「クローン」という用語は、通常、細菌コロニーの数を指す。例えば、上記のクローンは、細菌ライブラリー(例えば、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリー、上記のディスプレイ細菌ライブラリーおよび/または上記のファージライブラリー)における細菌コロニーの数であってよい。いくつかの場合に、上記のクローンは、上記の細菌ライブラリーにおける異なる細菌コロニーの数であってよい。いくつかの場合に、上記のクローンは、ある単一のクローンで産生される子孫集団の数であってよい。
【0103】
本発明において、「ポリヌクレオチド」という用語は、通常、ヌクレオチド、すなわち、つなぎ合わせている少なくとも2個のヌクレオチドを指す。上記のポリヌクレオチドは、例えば200、300、500、1000、2000、3000、5000、7000、10,000、100,000などを持つ任意の長さの重合体であってよい。上記のポリヌクレオチドはホスホジエステル結合を有してよい。
【0104】
本発明において、「含む」という用語は、通常、明確に特定された特徴を意味するが、他の要素を除外するものではない。
【0105】
本発明において、「約」という用語は、通常、指定された数から0.5%~10%以上または以下の範囲、例えば指定された数から0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%以上または以下の範囲に変動するものを指す。
【0106】
一方、本発明は、抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを産生する方法であって、1)上記の抗体または抗体断片の軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列を有するLCを含む第1ポリヌクレオチド、リンカーを含む第2ポリヌクレオチド、および、上記の抗体または抗体断片の重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列を有するHCを含む第3ポリヌクレオチドを付与し、2)上記の第1ポリヌクレオチドを第1細菌に導入することによって軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、上記の第2ポリヌクレオチドを第2細菌に導入することによってリンカーコンポーネント細菌を取得し、上記の第3ポリヌクレオチドを第3細菌に導入することによって重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、3)上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーにより上記のLCを含む軽鎖コンポーネントプラスミドを取得し、上記のリンカーコンポーネント細菌により上記のリンカーを含むリンカーコンポーネントプラスミドを取得し、そして、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーにより上記のHCを含む重鎖コンポーネントプラスミドを取得し、4)上記の軽鎖コンポーネントプラスミドにより放出されたLCを取得し、上記のリンカーコンポーネントプラスミドにより放出されたリンカーを取得し、そして、上記の重鎖コンポーネントプラスミドにより放出されたHCを取得し、5)ディスプレイベクターを付与し、そして、上記のディスプレイベクターにより放出されたディスプレイベクター断片を取得し、6)上記の放出されたLC、放出されたリンカー、放出されたHCおよび放出されたディスプレイベクター断片を連結することによって、ディスプレイ用連結産物を形成し、7)上記のディスプレイ用連結産物を第4細菌に導入することによって、上記の抗体または抗体断片のディスプレイ細菌ライブラリーを取得し、8)上記のディスプレイ細菌ライブラリーを用いて、上記の抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを調製することを含む方法を提供する。
【0107】
本発明において、抗体または抗体断片の発現に適当な条件で、6)における上記のディスプレイ用連結産物がリーディングフレームに従って上記の軽鎖または軽鎖断片および上記の重鎖または重鎖断片を発現することができる。
【0108】
本発明において、上記の第1ポリヌクレオチド、上記の第2ポリヌクレオチドおよび上記の第3ポリヌクレオチドは、いずれも線形核酸分子であってよい。
【0109】
本発明において、上記の重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列と上記の軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列は、異なるリーディングフレームに位置してよい。本発明において、上記のリーディングフレームは、開始コドンから終止コドンまでの連続したその内部がもうプロモーターまたはターミネーターを含まないヌクレオチド配列であってよい。例えば、上記のリーディングフレームは、タンパク質またはポリペプチド断片をコード化することができる。
【0110】
本発明において、上記のリンカーは、シグナルペプチドpelBまたはその断片をコード化する核酸配列を有してよい。
【0111】
本発明において、上記のリンカーは、シグナルペプチドpelBの断片をコード化する核酸配列を有してよく、残りのシグナルペプチドpelBの断片をコード化する核酸配列は、また、上記のR5に位置してよい。例えば、上記のシグナルペプチドpelBの断片をコード化する核酸配列の3’端のヌクレオチドは、上記のR5に位置してよい。例えば、上記の放出されたリンカーは、上記の放出されたHCに連結した場合、上記の放出されたリンカーに含まれるシグナルペプチドpelBの断片をコード化する核酸配列が上記の放出されたHCに含まれるシグナルペプチドpelBの断片をコード化する核酸配列に連結することにより、完全長のシグナルペプチドpelBをコード化する核酸配列を形成することができる。
【0112】
本発明において、上記のリンカーは、長さが、約50~約200個の塩基であってよい。例えば、上記のリンカーは、長さが、約50~約200個の塩基、約50~約180個の塩基、約50~約160個の塩基、約50~約140個の塩基、約50~約120個の塩基、約50~約100個の塩基、約50~約90個の塩基、約50~約80個の塩基、約50~約75個の塩基、約50~約70個の塩基、約50~約60個の塩基であってよい。
【0113】
本発明において、6)における上記のディスプレイ用連結産物において、上記のLCが上記のリンカーの上流にあり、かつ上記のリンカーが上記のHCの上流にあってよい。本発明において、上記の上流は、ヌクレオチド配列の5’端であってよい。
【0114】
本発明において、2)は、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーおよび/または上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを凍結保存することを含んでよい。本発明において、7)は、上記のディスプレイ細菌ライブラリーを凍結保存することを含んでよい。本発明において、上記の凍結保存は、-18℃未満、例えば-80℃未満の条件で保存してよい。
【0115】
本発明において、8)上記の凍結保存されているディスプレイ細菌ライブラリーを融解して培養し、そして、培養された上記のディスプレイ細菌ライブラリーで上記のファージライブラリーを構築することを含んでよい。
【0116】
本発明において、上記の第1ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R1-LC-R2を含み、上記の第2ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R3-リンカー-R4を含み、上記の第3ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R5-HC-R6を含み、かつ、上記のディスプレイベクターには、5’→3’方向に構造R7-ディスプレイベクター断片-R8を含んでよく、ここで、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8は、制限エンドヌクレアーゼの認識部位である。
【0117】
本発明において、上記のR2の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、上記のR3の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ、上記のR1、R4、R5、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない。本発明において、上記のR2は、上記のR3と同一であってよい。
【0118】
本発明において、上記のR4の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、上記のR5の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ、上記のR1、R2、R3、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない。本発明において、上記のR4は、上記のR5と同一であってよい。
【0119】
本発明において、上記のR6の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、上記のR7の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない。本発明において、上記のR6は、上記のR7と同一であってよい。
【0120】
本発明において、上記のR8の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、上記のR1の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ、上記のR2、R3、R4、R5、R6とR7のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない。本発明において、上記のR8は、上記のR1と同一であってよい。
【0121】
本発明において、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、非回文配列であってよい。
【0122】
エンドヌクレアーゼ認識部位の選択の場合(例えば、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8の場合)には、抗体可変領域の完全性をできるだけ保持して、酵素消化の場合の抗体遺伝子プールの破壊(例えば、生分解)を防止するように、抗体の可変領域(例えば、軽鎖可変領域または重鎖可変領域)に基本的に含まれていない配列を選んでよい。なお、上記のヌクレアーゼ認識部位の制限エンドヌクレアーゼにより切断後形成される末端は、自我連結を防止し、さらに、非標的連結の低減を達成するように、非回文配列としてよい。なお、複数の断片は、連結効率の向上のため、上記のエンドヌクレアーゼ認識部位の選択によって有向連結が可能になる。
【0123】
本発明において、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8の2つまたはそれ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つ)は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である。
【0124】
例えば、本発明において、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である。例えば、上記のR6とR7は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である。いくつかの場合に、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼは、上記のR6とR7を認識する制限エンドヌクレアーゼと異なってもよい。
【0125】
本発明において、上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよびEsp3Iから選ばれてよい。本発明において、上記のBsmBIおよびEsp3Iは、同一の制限エンドヌクレアーゼの認識部位を認識可能なアイソザイムであってよい。
【0126】
本発明において、例えば、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8は、SfiIによって認識および切断可能である。本発明において、例えば、上記のR6とR7は、BsmBIおよび/またはEsp3Iによって認識および切断可能である。
【0127】
例えば、SfiIは、酵素消化された場合に3’端の突出配列(overhang、例えば3個の塩基を含む一本鎖配列)を形成する13個の塩基により構成される配列(5’~3’)GGCCNNNN/NGGCC(SEQ ID NO:99)を認識することができ、ここで、NがGATCの4種類の塩基のいずれかの1種類を表す。そのため、64種類の異なる配列は、いずれもSfiIにより認識されることになる。
【0128】
例えば、BsmBIおよびEsp3Iは、酵素消化された場合に5’端の突出配列(overhang、例えば4個の塩基を含む一本鎖配列)を形成する12個の塩基により構成される配列(5’~3’)CGTCTCN/NNNNN(SEQ ID NO:100)を認識することができ、ここで、NがGATCの4種類の塩基のいずれかの1種類を表す。そのため、264種類の異なる配列は、いずれもBsmBIおよびEsp3Iにより認識されることになる。
【0129】
本発明において、上記のR1は、SEQ ID NO: 1で表される核酸配列を有してよい。本発明において、上記のR2は、SEQ ID NO: 2で表される核酸配列を有してよい。本発明において、上記のR3は、SEQ ID NO: 2で表される核酸配列を有してよい。本発明において、上記のR4は、SEQ ID NO: 3で表される核酸配列を有してよい。本発明において、上記のR5は、SEQ ID NO: 3で表される核酸配列を有してよい。本発明において、上記のR6は、SEQ ID NO: 4で表される核酸配列を有してよい。本発明において、上記のR7は、SEQ ID NO: 4で表される核酸配列を有してよい。本発明において、上記のR8は、SEQ ID NO: 1で表される核酸配列を有してよい。
【0130】
本発明において、上記の軽鎖または軽鎖断片は、軽鎖可変領域部分および/または軽鎖定常領域部分を含んでよい。本発明において、上記の重鎖または重鎖断片は、重鎖可変領域部分および/または重鎖定常領域部分を含んでよい。
【0131】
例えば、上記のLCは、上記の軽鎖または軽鎖断片の軽鎖可変領域VLをコード化するポリヌクレオチドを含んでよい。例えば、上記の第1ポリヌクレオチドは、上記の軽鎖または軽鎖断片の軽鎖可変領域VLをコード化するポリヌクレオチドを含んでよい。上記の第1ポリヌクレオチドは、5’端が上記のR1に、3’端が上記のR2に連結し、かつ、上記の軽鎖保存ベクター断片は、5’端が上記のR3に、3’端が上記のR8に連結してよい。
【0132】
例えば、上記のHCは、上記の重鎖または重鎖断片の重鎖可変領域VHと重鎖定常領域のCH1をコード化するポリヌクレオチドを含んでよい。例えば、上記の第3ポリヌクレオチドは、上記の重鎖または重鎖断片の重鎖可変領域VHと重鎖定常領域のCH1をコード化するポリヌクレオチドを含んでよい。上記の第3ポリヌクレオチドは、5’端が上記のR5に、3’端が上記のR6に連結し、かつ、上記の重鎖保存ベクター断片は、5’端が上記のR7に、3’端が上記のR4に連結してよい。
【0133】
又、例えば、上記のHCは、上記の重鎖または重鎖断片の重鎖可変領域VHをコード化するポリヌクレオチドを含んでよい。例えば、上記の第3ポリヌクレオチドは、上記の重鎖または重鎖断片の重鎖可変領域VHをコード化するポリヌクレオチドを含んでよい。この時、上記の重鎖保存ベクター断片は、上記の重鎖または重鎖断片の重鎖定常領域のCH1をコード化するポリヌクレオチドを含んでよい。上記の第3ポリヌクレオチドは、5’端が上記のR5に、3’端が上記のR6に連結し、かつ、上記の重鎖保存ベクター断片は、5’端が上記のR7に、3’端が上記のR4に連結してよい。
【0134】
本発明において、上記の抗体またはその断片は、Fab、Fab’、(Fab)2および/または(Fab’)2を含んでよい。
【0135】
本発明において、7)における上記のディスプレイ用連結産物は、連結形質転換効率が、少なくとも108個のクローン/μgポリヌクレオチド(例えば、少なくとも109個のクローン/μgポリヌクレオチド、少なくとも1010個のクローン/μgポリヌクレオチド、少なくとも1011個のクローン/μgポリヌクレオチド、少なくとも1012個のクローン/μgポリヌクレオチド)であってよい。
【0136】
本発明において、2)は、上記のR1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて、上記の第1ポリヌクレオチドに対して酵素消化処理を行うことによって、酵素消化処理された上記の第1ポリヌクレオチドを軽鎖保存ベクター断片に連結して軽鎖保存連結産物を形成し、上記の第1細菌に導入することによって上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、ここで、上記の軽鎖保存ベクターが上記のR1とR2を含み、上記のR1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の軽鎖保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の軽鎖保存ベクター断片を取得することを含んでよい。
【0137】
本発明において、上記のLCの長さは、約600bpよりも大きくてよい。例えば、約650bpよりも大きくてよく、約680bpよりも大きくてよく、約700bpよりも大きくてよい。本発明において、上記の第1ポリヌクレオチドの長さは、約600bpよりも大きくてよい。例えば、約650bpよりも大きくてよく、約680bpよりも大きくてよく、約700bpよりも大きくてよい。本発明において、上記の軽鎖保存ベクター断片の長さは、約900bpよりも大きくてよく、例えば、約1000bpよりも大きくてよく、約1500bpよりも大きくてよく、約1800bpよりも大きくてよく、約2100bpよりも大きくてよい。本発明において、上記の軽鎖保存ベクター断片は、長さが上記のLCの長さと明らかに異なってよい。例えば、上記の軽鎖保存ベクター断片は、長さがポリアクリルアミドゲル電気泳動によって上記のLCの長さと有意に区別されることができる。
【0138】
本発明において、上記の軽鎖保存ベクターは、いかなるベクター、例えば任意の増幅可能および/または保存容易なベクターに由来してよい。いくつかの場合に、軽鎖保存ベクターとするための上記のベクターは、高コピー数、低分子量などの特性を有してよい。例えば、上記の軽鎖保存ベクターは、pUCベクターであってよい。本発明において、上記のpUCベクターは、pUC19ベクター(その構造模式図が
図1のように示される)であるか、またはpUC19ベクターに由来してよい。本発明において、上記のpUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来してよい。
【0139】
本発明において、上記のR1とR2を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含んでよい。
【0140】
本発明において、2)上記のR5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて、上記の第3ポリヌクレオチドに対して酵素消化処理を行うことによって、酵素消化処理された上記の第3ポリヌクレオチドを重鎖保存ベクター断片に連結して重鎖保存連結産物を形成し、上記の第3細菌に導入することによって上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、ここで、上記の重鎖保存ベクターが上記のR5とR6を含み、上記のR5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の重鎖保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の重鎖保存ベクター断片を取得することを含んでよい。
【0141】
本発明において、上記のHCの長さは、約320bpよりも大きくてよい。例えば、約350bpよりも大きくてよく、約380bpよりも大きくてよく、約400bpよりも大きくてよい。本発明において、上記の第3ポリヌクレオチドの長さは、約320bpよりも大きくてよい。例えば、約350bpよりも大きくてよく、約380bpよりも大きくてよく、約400bpよりも大きくてよい。本発明において、上記の重鎖保存ベクター断片の長さは、約900bpよりも大きくてよく、例えば、約1000bpよりも大きくてよく、約1500bpよりも大きくてよく、約1800bpよりも大きくてよく、約2100bpよりも大きくてよい。本発明において、上記の重鎖保存ベクター断片は、長さが上記のHCの長さと明らかに異なってよい。例えば、上記の軽鎖保存ベクター断片は、長さがポリアクリルアミドゲル電気泳動によって上記のHCの長さと有意に区別されることができる。
【0142】
本発明において、上記の重鎖保存ベクターは、いかなるベクター、例えば任意の増幅可能および/または保存容易なベクターに由来してよい。いくつかの場合に、重鎖保存ベクターとするための上記のベクターは、高コピー数、低分子量などの特性を有してよい。例えば、上記の重鎖保存ベクターは、pUCベクターであってよい。本発明において、上記のpUCベクターは、pUC19ベクター(その構造模式図が
図1のように示される)であるか、またはpUC19ベクターに由来してよい。本発明において、上記のpUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来してよい。
【0143】
本発明において、上記の重鎖保存ベクターを構築するために、上記のpUCベクターまたはpUCに由来するベクターに対して、エンジニアリング/修飾を行ってよい。例えば、上記のベクターにおける1個または複数のエンドヌクレアーゼ認識部位(例えば、その中での1個または複数のBsmBIの認識部位)は、部位特異的突然変異導入によって除去される。いくつかの場合に、上記のベクターには、部位特異的突然変異導入によって1個または複数のエンドヌクレアーゼ認識部位が付加されてもよい(例えば、選定された位置に1個または複数のBsmBIの認識部位が付加されてもよい)。
【0144】
1つの実施例において、部位特異的突然変異導入法によって上記のベクターに本来含まれる1個または複数のBsmBI認識部位を除去し、そして、上記のベクターにおけるもう1個の位置に1個または複数の別のBsmBI認識部位を付加することによって、改変されるベクター(例えば、改変されるpUCベクター)を得ることができる。
【0145】
本発明において、上記の重鎖保存ベクターに、BsmBIの認識部位が含まれ、しかも1つ含まれ得る。
【0146】
本発明において、上記のR5とR6を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含みうる。いくつかの場合に、上記のR5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼは、BsmBIおよび/またはEsp3Iである。
【0147】
本発明において、2)は、上記の第2ポリヌクレオチドをベクター断片に連結してリンカー保存ベクターを形成し(例えば、Takara社TAクローン製品仕様書に基づき)、上記の第2細菌に導入することによって上記のリンカーコンポーネント細菌を取得するを含んでよい。本発明において、上記のリンカー保存ベクターには、上記のR3とR4部位を含んでよい。
【0148】
本発明において、上記のリンカーの長さは、約70bpよりも大きく、例えば、約72bp、あるいは約90bpであってよい。本発明において、上記の第2ポリヌクレオチドの長さは、約80bpよりも大きく、例えば、約90bpよりも大きく、約100bpよりも大きく、または約120bpよりも大きくてよい。本発明において、上記のベクター断片の長さは、約800bpよりも大きくてよい。
【0149】
本発明において、上記のリンカー保存ベクターを構築するための上記のベクター断片は、いかなるベクター、例えば任意の増幅可能および/または保存容易なベクターに由来してよい。いくつかの場合に、上記のリンカー保存ベクターを構築するためのベクターは、高コピー数、低分子量などの特性を有してよい。例えば、上記のリンカー保存ベクターを構築するための上記のベクター断片は、pUCベクターに由来してよい。本発明において、上記のpUCベクターは、pUC19ベクター(その構造模式図が
図1のように示される)であるか、またはpUC19ベクターに由来してよい。本発明において、上記のpUCベクターは、pMD19-Tベクターであるか、またはpMD19-Tベクターに由来してよい。
【0150】
本発明において、上記のpUC19ベクターまたはpMD19-Tベクターは、それに由来するが修飾/改変されたベクターを含む。
【0151】
本発明において、4)は、上記のR1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の軽鎖コンポーネントプラスミドに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の放出されたLCを取得することを含んでよい。本発明において、上記のR1とR2を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含んでよい。
【0152】
本発明において、4)は、上記のR5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の重鎖コンポーネントプラスミドに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の放出されたHCを取得することを含んでよい。本発明において、上記のR5とR6を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含んでよい。
【0153】
いくつかの場合に、本発明において、4)は、上記のR3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のリンカー保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の放出されたリンカーを取得することを含んでよい。
【0154】
例えば、上記のR3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼ(例えば、SfiI)を直接に用いて上記のリンカー保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、上記の放出されたリンカーを取得することができる。本発明において、上記のリンカーの長さは、約72bp以上、例えば約90bp以上であってよい。
【0155】
いくつかの場合に、本発明において、4)は、上記のリンカー保存ベクターにより上記のリンカー、上記のR3および上記のR4を含む増幅産物を取得し、そして、上記のR3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記の増幅産物に対して酵素消化処理を行うことによって、上記の放出されたリンカーを取得することを含んでよい。
【0156】
例えば、PCRなどの方法により、上記のリンカー、上記のR3および上記のR4を含む長さが約800bp以上でありうる上記の増幅産物を取得することができる。例えば、約900bp以上、約1000bp以上、約1200bp以上であってよい。本発明において、上記のR3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼ(例えば、SfiI)を用いて上記の増幅産物に対して酵素消化を行うことによって、上記の放出されたリンカーを取得することができる。本発明において、上記のリンカーの長さは、約72bp以上、約90bp以上であってよい。本発明において、上記の増幅産物は、長さが、上記のリンカーと明らかに異なる。そうすると、単一の上記のリンカーをより容易でより効果的に取得することができる。例えば、上記の増幅産物は、長さが、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって上記のリンカーと有意に区別されることができる。
【0157】
本発明において、上記のR3とR4を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含んでよい。
【0158】
本発明において、5)は、上記のR7とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行うことによって上記のディスプレイベクター断片を放出させることを含んでよい。本発明において、上記のR7とR8を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含んでよい。
【0159】
本発明において、上記のディスプレイベクターは、いかなる適切なベクター、例えばpComb3xベクターに由来してよい。上記のpComb3xベクターは、本発明の目的に用いられるように改変されてよい。例えば、上記のpComb3xベクターは、1つの5’端にあるSfiI認識部位および1つの3’端にあるSfiI認識部位を含んでよく、上記の改変プロセスにおいて、部位特異的突然変異導入により上記のpComb3xベクターにおける3’端のSfiI認識部位を除去することができる。いくつかの場合に、上記の部位特異的突然変異導入は、上記のベクターにおけるタンパク質(例えば、抗体重鎖断片および/または抗体軽鎖断片)のインフレーム発現に影響をしない。例えば、上記の突然変異は、ナンセンス突然変異であってよく、例えば塩基配列だけを変えるがアミノ酸配列が変わらないものである。
【0160】
本発明において、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合、3つの異なる酵素消化断片を取得することができる。例えば、上記のディスプレイベクターは、3個のSfiIに認識される制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含んでよい。上記のディスプレイベクターは、SfiIによる酵素消化処理の場合、3つの上記の異なる酵素消化断片が得られる。
【0161】
本発明において、上記のR1、R2、R3、R4、R5とR8を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiIを含んでよい。本発明において、上記のR6とR7を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、上記のディスプレイベクターを線形化させることができる。
【0162】
本発明において、上記のR6とR7を認識する制限エンドヌクレアーゼは、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含んでよい。
【0163】
本発明において、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて上記のディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、4つの異なる酵素消化断片が得られる。例えば、上記のディスプレイベクターは、3つのSfiIに認識される制限エンドヌクレアーゼの認識部位、および1つのBsmBIおよび/またはEsp3Iに認識される制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含んでよい。上記のディスプレイベクターは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iによる酵素消化処理の場合、4つの上記の異なる酵素消化断片が得られる。
【0164】
例えば、上記の制限エンドヌクレアーゼR1とR2により上記の放出されたLCを取得し、上記の制限エンドヌクレアーゼR5とR6により上記の放出されたHCを取得することができる。
【0165】
本発明において、上記のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8を認識する上記の制限エンドヌクレアーゼは、SfiI、BsmBIおよび/またはEsp3Iを含んでよい。
【0166】
本発明において、上記のベクター(例えば、上記のディスプレイベクターまたは保存ベクター)は、例えばHis tag、Flag Tag、蛍光タンパク質、選択抗生物質、および/またはアビジンなどでありうる1個または複数の適切なマーカー(例えば、精製/認識/スクリーニングに用いられるマーカー)を含むか、またはコード化することができる。
【0167】
本発明において、2)は、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、上記のリンカーコンポーネント細菌および/または上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーをサンプリングして検出することによって、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、上記のリンカーコンポーネント細菌および/または上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーのライブラリー容量および/または品質を特定することができることを含む。
【0168】
本発明において、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、少なくとも約106個(例えば、少なくとも約107個、少なくとも約108個、少なくとも約109個、少なくとも約1010個、少なくとも約1011個、少なくとも約1012個またはより多く)の異なるクローンを含んでよい。
【0169】
本発明において、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーは、少なくとも約107個(例えば、少なくとも約108個、少なくとも約109個、少なくとも約1010個、少なくとも約1011個、少なくとも約1012個またはより多く)の異なるクローンを含んでよい。
【0170】
本発明において、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーにおける有効なクローニング割合は、少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%)であってよい。
【0171】
本発明において、上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーにおける有効なクローニング割合は、少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%)であってよい。
【0172】
本発明において、2)は、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーおよび/または上記の重鎖コンポーネント細菌ライブラリーのライブラリー容量、上記のリンカーコンポーネント細菌および/または品質に基づいで、上記のディスプレイ細菌ライブラリーのライブラリー容量および/または品質を測定することを含んでよい。
【0173】
本発明において、上記のディスプレイ細菌ライブラリーは、少なくとも約1010個(例えば、少なくとも約1011個、少なくとも約1012個、少なくとも約1013個、少なくとも約1014個、少なくとも約1015個、少なくとも約1016個またはより多く)の異なるクローンを含んでよい。
【0174】
本発明において、上記のディスプレイ細菌ライブラリーにおける有効なクローニング割合は、少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%)であってよい。
【0175】
本発明において、上記のディスプレイ細菌ライブラリーにおいて、細菌は、液体培養が可能である。上記の液体培養の培養時間は、約8時間よりも大きくなく、例えば、約4時間よりも大きくなく、約5時間よりも大きくなく、約6時間または約7時間よりも大きくなくてよい。本発明において、上記の液体培養の操作は便利である。いくつかの場合に、上記のディスプレイ細菌ライブラリーにおいて、細菌は、菌液を少量採取してディッシュ培養し、そして、細菌コロニーを選出することができる。上記のようにディッシュ培養する培養時間は、約12-18時間であってよく、例えば約12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間または18時間であってよい。本発明において、上記のディッシュ培養は、細菌コロニー(例えば、単クローン)を選出してからシーケンシング分析を行うことができる。本発明において、上記のディッシュ培養は、優性クローンの数を低減することができる。
【0176】
本発明において、上記の第1ポリヌクレオチドと上記の第3ポリヌクレオチドは、サンプル材から得られてよい。本発明において、上記のサンプル材は、末梢血リンパ球サンプルに由来する材料を含んでよい。本発明において、上記の末梢血リンパ球は、ヒト末梢血リンパ球であってよい。本発明において、上記のサンプル材は、上記の末梢血リンパ球サンプルに限らず、他の任意の組織および/または細胞に由来してもよい。
【0177】
本発明において、上記のサンプル材は、上記のサンプル由来のトータルRNAおよび/またはmRNAを含んでよい。
【0178】
本発明において、8)は、上記のディスプレイ細菌ライブラリーを、ヘルパーファージに接触することによって上記のファージライブラリーを調製することを含んでよい。
【0179】
他方、本発明は、上記の方法で産生されるファージライブラリーを提供する。
【0180】
本発明において、上記のファージライブラリーは、少なくとも約1010個(例えば、少なくとも約1011個、少なくとも約1012個、少なくとも約1013個、少なくとも約1014個、少なくとも約1015個、少なくとも約1016またはより多く)の異なるクローンを含んでよい。本発明において、上記のファージライブラリーは、少なくとも約1010種(例えば、少なくとも約1011種、少なくとも約1012種、少なくとも約1013種、少なくとも約1014種、少なくとも約1015種、少なくとも約1016種またはより多く)の異なる抗体または抗体断片をディスプレイすることができる。
【0181】
他方、本発明は、上記のファージライブラリーを用いることを含む抗体または抗体断片のスクリーニング方法を提供する。
【0182】
例えば、上記の抗体断片は、Fabであってよい。例えば、上記の抗体または抗体断片は、TNFα、IL-6、IL6R、IL17-FR、CD38、GMCSFとSiglec3に特異的に結合することができる。
【0183】
以下の実施例は、どんな理論にもよらず、本発明の融合タンパク質、調製方法および使用などを釈明することに過ぎなく、本願発明の範囲を制限するものではない。
【0184】
実施例
実施例1.ヒトPBMCを構築するファージ表面抗体(Fab)ディスプレイライブラリー
1.1 免疫材料トータルRNA/mRNAの取得
ヒトの末梢血リンパ球から、トータルRNAを抽出し、さらに、トータルRNAからmRNAを分離した(Takara Cat# Z652N/636592、具体な試験ステップは製品仕様書を参照)。
【0185】
1.2 プライマーの設計・合成
《Phage Display》(A Laboratory Mannual、ISBN 0-87969-546-3)を参照しながら、ヒト重鎖可変領域VH、軽鎖KLC(完全長のKappa軽鎖)、軽鎖LLC(完全長のLamda軽鎖)に対するプライマーを設計した。ここで、軽鎖は、順方向プライマーの5’-端にR1のヌクレオチド配列GGCCCAGGCGGCC(SEQ ID NO : 1)を、逆方向プライマーの5’-端にR2のヌクレオチド配列GGCCACATAGGCC(SEQ ID NO : 2)を有し、重鎖可変領域は、順方向プライマーの5’-端にR5のヌクレオチド配列GGCCCAACCGGCC(SEQ ID NO : 3)を、逆方向プライマーの5’-端にR6のヌクレオチド配列GGCCCTCAGCGGCC(SEQ ID NO : 4)を有する。プライマーは、金維智社に合成されたものであった。
【0186】
pComb3xベクターを鋳型として、リンカーを増幅する順方向と逆方向プライマーを設計した。ここで、順方向プライマーの5’-端にR3のヌクレオチド配列GGCCACATAGGCC(SEQ ID NO : 2)を、逆方向プライマーの5’-端にR4のヌクレオチド配列GGCCCAACCGGCC(SEQ ID NO : 3)を有する。
【0187】
具体なプライマー配列は、以下の表1-1を参照してよい。
【0188】
【0189】
1.3 第1ポリヌクレオチドと第3ポリヌクレオチドの取得
二段階法により、コンポーネント抗体遺伝子プールを増幅した。
【0190】
第1段階で、実施例1.1で得られたmRNAを鋳型とし、PromegaのMMLVで逆転写を行ってcDNAを合成した(Promega社製品仕様書に基づき、ここで、プライマーがThermo Cat# N8080127であり、逆転写酵素がPromega Cat# M1701であった)。
【0191】
第2段階で、第1段階で得られたcDNAを鋳型とし、実施例1.2で得られたプライマーを用いて、PCR(Takara Cat# RR900A、会社製品仕様書に基づく)によって、コンポーネント抗体のKLC、LLCとVH遺伝子プールを増幅した。ゲル電気泳動による精製回収後(Axygenのゲル回収キットを利用して、《分子クローン実験ガイド》に記載の操作に基づく)、それぞれPCR産物すなわちKLC断片(すなわち、本発明の第1ポリヌクレオチド)、LLC断片(すなわち、本発明の第1ポリヌクレオチド)とVH断片(すなわち、本発明の第3ポリヌクレオチド)が得られた。
【0192】
1.4 保存ベクターの構築
1.4.1 プライマーの設計
実施例1.2の内容を参照してプライマーを設計した。
【0193】
保存ベクターを得るためのプライマーを設計して合成する。具体なプライマー配列は、以下の表1-2を参照してよい。
【0194】
【0195】
1.4.2 PCR増幅
長さの1kbのヒトIgG1のFc(SEQ ID NO : 87)を鋳型とし、実施例1.4.1で調製されたプライマーR1-1kb-R2の順方向プライマーとR1-1kb-R2の逆方向プライマーを用いて、PCRを行い、ゲル電気泳動による精製回収後(Axygenゲル回収キットによる)、PCR産物すなわちR1-1kb-R2(SEQ ID NO : 88)が得られた。
【0196】
pComb3xベクターを鋳型とし、R3-リンカー-R4の順方向プライマー(SEQ ID NO : 83)とR3-リンカー-R4の逆方向プライマー(SEQ ID NO : 84)を用いてPCRを行い、ゲル電気泳動による精製回収後(Axygenゲル回収キットによる)、PCR産物すなわちR3-リンカー-R4(SEQ ID NO : 90)が得られ、本発明の上記の第2ポリヌクレオチドが得られた。ここで、上記のリンカーは、長さが72bpであってよく、ヌクレオチド配列がSEQ ID NO :89で表される。
【0197】
長さの1kbのヒトIgG1のFc(SEQ ID NO : 87)を鋳型とし、実施例1.4.1で調製されたプライマーR5-1kb-R6の順方向プライマーとR5-1kb-R6の逆方向プライマーを用いて、PCRを行い、ゲル電気泳動による精製回収後、PCR産物すなわちR5-1kb-R6(SEQ ID NO : 91)が得られた。
【0198】
1.4.3 軽鎖保存ベクターと重鎖保存ベクターの構築
TA cloning(TA cloningキット、Takara社から購入)の方法により、1.4.2で調製されたR1-1kb-R2断片をpMD19-Tベクターに挿入することによって、完全長の軽鎖遺伝子プールを挿入するための軽鎖保存ベクターDDB-R1-1kb-R2が得られ、そのベクターマップが
図3で表されている。
【0199】
TA cloning(TA cloningキット、Takara社から購入)の方法によって、1.4.2で調製されたR5-1kb-R6断片をpMD19-Tベクターに挿入することによって、R5-1kb-R6断片含有ベクターが得られ、そして、このベクターを鋳型とし、プライマー突然変異によってこのベクターにおける本来のBsmBI酵素消化部位を除去することによって、VH遺伝子プールを挿入するための重鎖保存ベクターDDB-R5-1kb-R6が得られ、そのベクターマップが
図5で表されている。
【0200】
具体なプライマー配列は、以下の表1-3を参照してよい。
【0201】
【0202】
1.4.4 リンカー保存ベクターを構築してリンカーコンポーネント細菌を取得した
TA cloning(TA cloningキット、Takara社から購入)の方法によって、実施例1.4.2で調製されたR3-リンカー-R4をpMD19-Tベクターに挿入することによって、リンカー保存ベクターDDB-R3-リンカー-R4が得られ、そのベクターマップが
図4で表されている。上記のリンカー保存ベクターを用いてTG1コンピテント細菌(Lucigen社)を形質転換し、培養皿に敷いて37℃で一晩培養後、細菌コロニーに移してシーケンシングを行い、そして、細菌コロニーを拾い上げ、リンカーコンポーネント細菌が得られた。該リンカーコンポーネント細菌を凍結して準備しておくことができる。
【0203】
1.5 コンポーネント細菌ライブラリーの取得
1.5.1 軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーの取得
制限エンドヌクレアーゼR1とR2によって実施例1.3で調製された第1ポリヌクレオチド(KLCとLLCを含む)を酵素消化することによって標的軽鎖断片(約0.65kb)が得られた。
【0204】
制限エンドヌクレアーゼR1とR2によって実施例1.4で調製された軽鎖保存ベクターDDB-R1-1kb-R2を酵素消化した。軽鎖保存ベクター断片(約2.7kb)が得られた。
【0205】
得られた標的軽鎖断片を軽鎖保存ベクター断片と混合し、また、リガーゼT4 DNA ligase(NEBから購入、Thermo)による連結により軽鎖保存連結産物が得られ、そして、上記の軽鎖保存連結産物によりTG1コンピテント細菌(Lucigen、Cat# 60502-2、メーカーの製品仕様書に従う)を形質転換し、アンピシリン耐性のペトリ皿(Thermo、 Cat#240845)に敷き広げて、37℃で一晩培養後、細菌コロニーに移してシーケンシングを行い、そして、すべての細菌コロニーを拾い上げ、軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーが得られた。該軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーの品質を検出し、および/または該軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを凍結して準備しておくことができる。
【0206】
1.5.2 重鎖コンポーネント細菌ライブラリーの取得
制限エンドヌクレアーゼR5とR6によって実施例1.3で調製された第3ポリヌクレオチドを酵素消化することによって標的重鎖可変領域断片(約0.35kb)が得られた。
【0207】
制限エンドヌクレアーゼR5とR6によって実施例1.4で調製された重鎖保存ベクターDDB-R5-1kb-R6を酵素消化した。重鎖保存ベクター断片(約2.7kb)が得られた。
【0208】
得られた標的重鎖可変領域断片を重鎖保存ベクター断片と混合し、また、リガーゼT4 DNA ligase(NEBから購入、Thermo)による連結により重鎖保存連結産物が得られ、そして、上記の重鎖保存連結産物によりTG1コンピテント細菌(Lucigen、Cat# 60502-2、メーカーの製品仕様書に従う)を形質転換し、アンピシリン耐性のペトリ皿(Thermo、Cat#240845)に敷き広げて、37℃で一晩培養後、細菌コロニーをピッキングしてシーケンシングを行い、そして、すべての細菌コロニーを拾い上げ、重鎖コンポーネント細菌ライブラリーが得られた。該重鎖コンポーネント細菌ライブラリーの品質を検出し、および/または該重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを凍結して準備しておくことができる。
【0209】
1.6 軽鎖コンポーネントプラスミド、重鎖コンポーネントプラスミドとリンカー断片の取得
プラスミド抽出キット(Axygenから購入)を用いて、それぞれ実施例1.5.1で調製された軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーと実施例1.5.2で調製された重鎖コンポーネント細菌ライブラリーにおけるプラスミドを抽出することによって、それぞれ軽鎖コンポーネントプラスミドと重鎖コンポーネントプラスミドが得られた。
【0210】
制限エンドヌクレアーゼR1とR2によって、実施例1.5.1で調製された軽鎖コンポーネントプラスミドを酵素消化してゲル電気泳動による精製回収後、軽鎖挿入断片LCが得られた。
【0211】
制限エンドヌクレアーゼR5とR6によって、実施例1.5.2で調製された重鎖コンポーネントプラスミドを酵素消化してゲル電気泳動による精製回収後、重鎖挿入断片HCが得られた。
【0212】
プラスミド抽出キット(Axygenから購入)を用いて、実施例1.4.4で調製されたリンカーコンポーネント細菌におけるプラスミドを抽出することによって、リンカーコンポーネントプラスミドが得られた。該リンカーコンポーネントプラスミドまたは実施例1.4.4のリンカー保存ベクターを鋳型とし、リンカーの順方向プライマー(SEQ ID NO : 79)とリンカーの逆方向プライマー(SEQ ID NO : 80)を用いて0.8kbのリンカー含有断片を増幅させ、そして、制限エンドヌクレアーゼR3とR4を用いて該0.8kbのPCR産物を酵素消化してゲル電気泳動による精製回収後(短い断片ゲル回収キット、Shanghai Lifefeng Biothech Co., LTDから購入、Cat# DK402)、72pbのリンカー断片が得られた。
【0213】
1.7 ディスプレイベクターの取得
ベクターマップが
図6に示されたpComb3xベクターを購入し、ここで、抗体Fabのディスプレイに用いられる改変されたpComb3x-fabベクターマップが
図7に示された。
【0214】
ナンセンス突然変異により、pComb3x-fabベクター中でFab遺伝子3’端にあるSfiI酵素消化部位を除去した。
【0215】
そして、該ナンセンス突然変異が起こったベクターにおいて、軽鎖終止コドンの下流に制限エンドヌクレアーゼR2の酵素消化部位を付加し、重鎖可変領域シグナルペプチドの末端にナンセンス突然変異により制限エンドヌクレアーゼR5の酵素消化部位を導入することによって、マップが
図8に示された改変されたディスプレイベクターDDB-R1R2R5R6が得られた。
【0216】
1.8 ディスプレイ細菌ライブラリーの調製
制限エンドヌクレアーゼR7と制限エンドヌクレアーゼR8によって実施例1.7で調製されたディスプレイベクターDDB-R1R2R5R6を酵素消化することによって、3.6kbのディスプレイベクター断片が得られた。
【0217】
実施例1.6で得られた軽鎖挿入断片LC(0.65kb)、重鎖挿入断片HC(0.35kb)、リンカー断片(72bp)と上記のディスプレイベクター断片(3.6kb)を、1:1:1:1の分子割合で混合して、T4 DNAリガーゼで20℃で20時間以上連結することによって、ディスプレイ用連結産物が得られた。
【0218】
PCR-Clean-upで連結産物を精製して、TG1コンピテント細菌(Lucigen、Cat# 60502-2、メーカーの製品仕様書に従う)に移入し、抗生物質が含まれない2YT培養液で、37℃で、250rpmで60分間振とう培養後、アンピシリン耐性のペトリ皿(Thermo、Cat#240845)に敷き広げて37℃で一晩成長させた。細菌コロニーをピッキングしてシーケンシングを行い、ペトリ皿で成長したすべての細菌コロニーを拾い上げ、ディスプレイ細菌ライブラリーが得られた。該ディスプレイ細菌ライブラリーを保存して準備しておくことができる。
【0219】
1.9 ディスプレイ型抗体ファージライブラリーの調製
実施例1.8で調製されたディスプレイ細菌ライブラリーから適量な菌液を取り出して、2YT培養液(アンピシリン100μg/ml と2%グルコースを含有する)で37℃でOD600が0.5になるように培養した。そして、該菌液へM13KO7ヘルパーファージ(NEBから購入、Cat# N0315S、MOIが約10-20)を加えて均一に混合後、37℃で30分間静止させ、続いて、37℃で、250rpmの条件で30分間振とうし、M13KO7ヘルパーファージ含有培養液上清部分を遠心分離して廃棄し、該菌液の初期体積の4倍の培養液(アンピシリンとカナマイシンを含有する)で細菌を再懸濁させて、30℃で250rpmの条件で一晩振とうした。2日目に、PEGでファージを沈殿して採取し、ファージ濃度を滴定し、パッケージングして保管した。そうすれば、ディスプレイ型抗体ファージライブラリーが得られた。
【0220】
実施例2 コンポーネント細菌ライブラリーの品質分析
実施例1.5で調製されたコンポーネント細菌ライブラリーの品質を分析した。結果は表2に示された。
【0221】
【0222】
ディスプレイ細菌ライブラリーを構築する場合に、軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー(KLC)と軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー(LLC)の割合は、2:1であり、以上の品質結果から、ディスプレイ細菌ライブラリーの効果的なクローニング割合が84%以上になることを推定することができる。また、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを重鎖コンポーネント細菌ライブラリーとランダムと組み合わせて得られたライブラリー容量は、理論的に最高1015になる可能性があった。
【0223】
実施例3 ディスプレイ細菌ライブラリーの品質分析
実施例1.8で得られた分離して精製されたディスプレイ用連結産物の197μgで、398つのTG1コンピテント細菌を形質転換し(Lucigen、Cat# 60502-2、メーカーの製品仕様書に従う)、抗生物質が含まれない2YT培養液で、37℃で、250rpmで60分間振とう培養後、197個のアンピシリン耐性のペトリ皿(Thermo、 Cat#240845)に敷き広げて、37℃で一晩培養後、すべての細菌コロニーを得て、パッケージングして保管した(すなわち、実施例1.8で調製されたディスプレイ細菌ライブラリーが得られた)。ディスプレイ細菌ライブラリーは、ライブラリー容量が1011であって、バックグラウンドクローニング割合が2%であった。
【0224】
該ディスプレイ細菌ライブラリーの品質を分析したところ、結果は表3に示された。
【0225】
【0226】
表3における2つのバッチで合計158つの利用可能なシーケンシングの結果を分析し、ここで、正確なのリーディングフレーム(同時に正確な重鎖可変領域と軽鎖を有することを含めて)を持つクローンが131個あり、これは、ディスプレイ細菌ライブラリーの効果的なクローニング割合が83%になって、実施例2の推定結果に合致していると分かった。
【0227】
実施例4 ヒトPBMCのファージ表面抗体(Fab)ディスプレイライブラリーの構築
4.1 免疫材料トータルRNAの抽出
末梢血リンパ球(miles-bio.com Cat# PB100Cから購入)からトータルRNA(Qiagenの微量RNA抽出キット、Cat# 74101、具体な試験ステップがキット仕様書を参照)を抽出した。
【0228】
4.2 プライマーの設計・合成
《Phage Display》(A Laboratory Mannual、ISBN 0-87969-546-3)を参照しながら、ヒト重鎖可変領域VH、軽鎖KLC(完全長のKappa軽鎖)、軽鎖LLC(完全長のLamda軽鎖)に対するプライマーを設計した。ここで、軽鎖は、順方向プライマーの5’-端にR1のヌクレオチド配列GGCCCAGGCGGCC(SEQ ID NO : 1)を、逆方向プライマーの5’-端にR2のヌクレオチド配列GGCCACATAGGCC(SEQ ID NO : 2)を有し、重鎖可変領域は、順方向プライマーの5’-端にR5のヌクレオチド配列GGCCCAACCGGCC(SEQ ID NO : 3)を、逆方向プライマーの5’-端にR6のヌクレオチド配列GGCCCTCAGCGGCC(SEQ ID NO : 4)を有する。プライマーは、金維智社に合成されたものであった。
【0229】
pComb3xベクターを鋳型として、リンカーを増幅する順方向と逆方向プライマーを設計した。 ここで、順方向プライマーの5’-端にR3のヌクレオチド配列GGCCACATAGGCC(SEQ ID NO. 2)を、逆方向プライマーの5’-端にR4のヌクレオチド配列GGCCCAACCGGCC(SEQ ID NO. 3)を有する。
【0230】
具体なプライマー配列は、以下の表4-1を参照してよい。
【0231】
【0232】
4.3 第1ポリヌクレオチドと第3ポリヌクレオチドの取得
二段階法により、コンポーネント抗体遺伝子プールを増幅した。
【0233】
第1段階で、実施例4.1で得られたトータルRNAを鋳型とし、PromegaのMMLVで逆転写を行ってcDNAを合成した(Promega社製品仕様書に基づき、ここで、プライマーがThermo Cat# N8080127であり、逆転写酵素がPromega Cat# M1701であった)。
【0234】
第2段階で、第1段階で得られたcDNAを鋳型とし、実施例4.2で得られたプライマーを用いて、PCR(Takara Cat# RR900A、会社製品仕様書に基づく)によって、コンポーネント抗体のKLC、LLCとVH遺伝子プールを増幅した。ゲル電気泳動による精製回収後(Axygenのゲル回収キットを利用して、《分子クローン実験ガイド》に記載の操作に基づく)、それぞれPCR産物すなわちKLC断片(すなわち、本発明の第1ポリヌクレオチド)、LLC断片(すなわち、本発明の第1ポリヌクレオチド)とVH断片(すなわち、本発明の第3ポリヌクレオチド)が得られた。
【0235】
4.4 保存ベクターの構築
4.4.1 プライマーの設計
保存ベクターを得るためのプライマーを設計した。具体なプライマー配列は、以下の表4-2を参照してよい。
【0236】
【0237】
4.4.2 PCR増幅
長さの1kbのヒトIgG1のFc(SEQ ID NO. 87)を鋳型とし、実施例4.4.1で調製されたプライマーR1-1kb-R2の順方向プライマーとR1-1kb-R2の逆方向プライマーを用いて、PCRを行い、ゲル電気泳動による精製回収後(Axygenゲル回収キットによる)、PCR産物すなわちR1-1kb-R2(SEQ ID NO. 88)が得られた。
【0238】
pComb3xベクターを鋳型とし、R3-リンカー-R4の順方向プライマー(SEQ ID NO. 83)とR3-リンカー-R4の逆方向プライマー(SEQ ID NO. 84)を用いてPCRを行い、ゲル電気泳動による精製回収後(Axygenゲル回収キットによる)、PCR産物すなわちR3-リンカー-R4(SEQ ID NO. 95)が得られ、本発明の上記の第2ポリヌクレオチドが得られた。ここで、上記のリンカーは、長さが90bpであってよく、ヌクレオチド配列がSEQ ID NO.89で表される。
【0239】
長さの1kbのヒトIgG1のFc(SEQ ID NO. 87)を鋳型とし、実施例4.4.1で調製されたプライマーR5-1kb-R6の順方向プライマーとR5-1kb-R6の逆方向プライマーを用いて、PCRを行い、ゲル電気泳動による精製回収後、PCR産物すなわちR5-1kb-R6(SEQ ID NO. 91)が得られた。
【0240】
4.4.3 軽鎖保存ベクターと重鎖保存ベクターの構築
TA cloning(TA cloningキット、Takara社から購入)の方法により、4.4.2で調製されたR1-1kb-R2断片をpMD19-Tベクターに挿入することによって、完全長の軽鎖遺伝子プールを挿入するための軽鎖保存ベクターDDB-R1-1kb-R2が得られ、そのベクターマップが
図3に示された。
【0241】
TA cloning(TA cloningキット、Takara社から購入)の方法により、4.4.2で調製されたR5-1kb-R6断片をpMD19-Tベクターに挿入することによって、R5-1kb-R6断片含有ベクターが得られ、そして、このベクターを鋳型とし、プライマー突然変異によってこのベクターにおける本来のBsmBI酵素消化部位を除去することによって、VH遺伝子プールを挿入するための重鎖保存ベクターDDB-R5-1kb-R6が得られ、そのベクターマップが
図5に示された。
【0242】
具体なプライマー配列は、以下の表4-3を参照してよい。
【0243】
【0244】
4.4.4 リンカー保存ベクターを構築してリンカーコンポーネント細菌を取得した
TA cloning(TA cloningキット、Takara社から購入)の方法により、実施例4.4.2で調製されたR3-リンカー-R4をpMD19-Tベクターに挿入することによって、リンカー保存ベクターDDB- R3-リンカー-R4が得られ、そのベクターマップが
図4に示された。上記のリンカー保存ベクターを用いてTG1コンピテント細菌(Lucigen社)を形質転換し、培養皿に敷いて37℃で一晩培養後、細菌コロニーに移してシーケンシングを行い、そして、細菌コロニーを拾い上げ、リンカーコンポーネント細菌が得られた。該リンカーコンポーネント細菌を凍結して準備しておくことができる。
【0245】
4.5 コンポーネント細菌ライブラリーの取得
4.5.1 軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーの取得
制限エンドヌクレアーゼR1とR2によって実施例4.3で調製された第1ポリヌクレオチド(KLCとLLCを含む)を酵素消化することによって標的軽鎖断片(約0.65kb)が得られた。
【0246】
制限エンドヌクレアーゼR1とR2によって実施例4.4で調製された軽鎖保存ベクターDDB-R1-1kb-R2を酵素消化した。軽鎖保存ベクター断片(約2.7kb)が得られた。
【0247】
得られた標的軽鎖断片を軽鎖保存ベクター断片と混合し、また、リガーゼT4 DNA ligase(NEBから購入、Thermo)による連結により軽鎖保存連結産物が得られ、そして、上記の軽鎖保存連結産物によりTG1コンピテント細菌(Lucigen、Cat# 60502-2、メーカーの製品仕様書に従う)を形質転換し、抗生物質が含まれない2YT培養液で、37℃で、250rpmで60分間振とう培養後、アンピシリン耐性のペトリ皿(Thermo、 Cat#240845)に敷き広げて、37℃で一晩培養後、細菌コロニーに移してシーケンシングを行い、そして、すべての細菌コロニーを拾い上げ、軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーが得られた。該軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーの品質を検出し、および/または該軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを凍結して準備しておくことができる。
【0248】
4.5.2 重鎖コンポーネント細菌ライブラリーの取得
制限エンドヌクレアーゼR5とR6によって実施例4.3で調製された第3ポリヌクレオチドを酵素消化することによって標的重鎖可変領域断片(約0.35kb)が得られた。
【0249】
制限エンドヌクレアーゼR5とR6によって実施例4.4で調製された重鎖保存ベクターDDB-R5-1kb-R6を酵素消化した。重鎖保存ベクター断片(約2.7kb)が得られた。
【0250】
得られた標的重鎖可変領域断片を重鎖保存ベクター断片と混合し、また、リガーゼT4 DNA ligase(NEBから購入、Thermo)による連結により重鎖保存連結産物が得られ、そして、上記の重鎖保存連結産物によりTG1コンピテント細菌(Lucigen、Cat# 60502-2、メーカーの製品仕様書に従う)を形質転換し、抗生物質が含まれない2YT培養液で、37℃で、250rpmで60分間振とう培養後、アンピシリン耐性のペトリ皿(Thermo、Cat#240845)に敷き広げて、37℃で一晩培養後、細菌コロニーをピッキングしてシーケンシングを行い、そして、すべての細菌コロニーを拾い上げ、重鎖コンポーネント細菌ライブラリーが得られた。該重鎖コンポーネント細菌ライブラリーの品質を検出し、および/または該重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを凍結して準備しておくことができる。
【0251】
4.6 軽鎖コンポーネントプラスミド、重鎖コンポーネントプラスミドとリンカー断片の取得
プラスミド抽出キット(Axygenから購入)を用いて、それぞれ実施例4.5.1で調製された軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーと実施例4.5.2で調製された重鎖コンポーネント細菌ライブラリーにおけるプラスミドを抽出することによって、それぞれ軽鎖コンポーネントプラスミドと重鎖コンポーネントプラスミドが得られた。
【0252】
制限エンドヌクレアーゼR1とR2によって、実施例4.5.1で調製された軽鎖コンポーネントプラスミドを酵素消化してゲル電気泳動による精製回収後、軽鎖挿入断片LCが得られた。
【0253】
制限エンドヌクレアーゼR5とR6によって、実施例4.5.2で調製された重鎖コンポーネントプラスミドを酵素消化してゲル電気泳動による精製回収後、重鎖挿入断片HCが得られた。
【0254】
プラスミド抽出キット(Axygenから購入)を用いて、実施例4.4.4で調製されたリンカーコンポーネント細菌におけるプラスミドを抽出することによって、リンカーコンポーネントプラスミドが得られた。該リンカーコンポーネントプラスミドまたは実施例4.4.4のリンカー保存ベクターを鋳型とし、リンカーの順方向プライマー(SEQ ID NO.96またはSEQ ID NO.97)とリンカーの逆方向プライマー(SEQ ID NO.98)を用いて0.8kbのリンカー含有断片を増幅させ、そして、制限エンドヌクレアーゼR3とR4を用いて該0.8kbのPCR産物を酵素消化してゲル電気泳動による精製回収後(短い断片ゲル回収キット、Shanghai Lifefeng Biothech Co., LTDから購入、Cat# DK402)、90pbのリンカー断片が得られた。
【0255】
4.7 ディスプレイベクターの取得
ベクターマップが
図6に示されたpComb3xベクターを購入し、ここで、抗体Fabのディスプレイに用いられる改変されたpComb3x-fabベクターマップが
図7に示された。
【0256】
ナンセンス突然変異により、pComb3x-fabベクター中でFab遺伝子3’端にあるSfiI酵素消化部位を除去した。
【0257】
そして、該ナンセンス突然変異が起こったベクターにおいて、軽鎖終止コドンの下流に制限エンドヌクレアーゼR2の酵素消化部位を付加し、重鎖可変領域シグナルペプチドの末端にナンセンス突然変異により制限エンドヌクレアーゼR5の酵素消化部位を導入することによって、マップが
図8に示された改変されたディスプレイベクターDDB-R1R2R5R6が得られた。
【0258】
4.8 ディスプレイ細菌ライブラリーの調製
制限エンドヌクレアーゼR7と制限エンドヌクレアーゼR8によって実施例4.7で調製されたディスプレイベクターDDB-R1R2R5R6を酵素消化することによって、3.6kbのディスプレイベクター断片が得られた。
【0259】
実施例4.6で得られた軽鎖挿入断片LC(0.65kb)、重鎖挿入断片HC(0.35kb)、リンカー断片(90bp)と上記のディスプレイベクター断片(3.6kb)を、1:1:1:1の分子割合で混合して、T4 DNAリガーゼで20℃で20時間以上連結することによって、ディスプレイ用連結産物が得られた。
【0260】
PCR-Clean-upで連結産物を精製し、TG1コンピテント細菌(Lucigenから購入、Cat# 60502-2)に移入し、抗生物質が含まれない2YT培養液で、37℃で、250rpmで60分間振とう培養後、1:20の割合でアンピシリン含有2YT培養液に拡大し、37℃で、250rpmで4.5時間振とう培養後、細菌を遠心分離で採取して凍結保存すると、ディスプレイ細菌ライブラリーになった。アンピシリンを加えて拡大培養する前に、菌液を少量取り出して培養皿に敷いて、37℃で一晩培養後、細菌コロニーをピッキングしてシーケンシングを行った。該ディスプレイ細菌ライブラリーを保存して準備しておくことができる。
【0261】
4.9 ディスプレイ型抗体ファージライブラリーの調製
実施例4.8で調製されたディスプレイ細菌ライブラリーから適量な菌液を取り出して、2YT培養液(アンピシリン100μg/ml と2%グルコースを含有する)で37℃でOD600が0.5になるように培養した。そして、該菌液へM13KO7ヘルパーファージ(NEBから購入、Cat# N0315S、MOIが約10-20)を加えて均一に混合後、37℃で30分間静止させ、続いて、37℃で、250rpmの条件で30分間振とうし、M13KO7ヘルパーファージ含有培養液上清部分を遠心分離して廃棄し、該菌液の初期体積の4倍の培養液(アンピシリンとカナマイシンを含有する)で細菌を再懸濁させ、30℃で、250rpmの条件で一晩振とうした。2日目に、PEGでファージを沈殿して採取し、ファージ濃度を滴定し、パッケージングして保管した。そうすれば、ディスプレイ型抗体ファージライブラリーが得られた。
【0262】
実施例5 コンポーネント細菌ライブラリーの品質分析
実施例4.5で調製されたコンポーネント細菌ライブラリーの品質を分析した。結果は表5に示された。
【0263】
【0264】
ディスプレイ細菌ライブラリーを構築する場合に、軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー(KLC)と軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー(LLC)の割合は、2:1であり、以上の品質結果から、ディスプレイ細菌ライブラリーの効果的なクローニング割合が82%になることを推定することができる。また、上記の軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを重鎖コンポーネント細菌ライブラリーとランダムに組み合わせて得られたライブラリー容量は、理論的に最高1018になる可能性があった。
【0265】
実施例6 ディスプレイ細菌ライブラリーの品質分析
実施例4.8で得られた分離して精製されたディスプレイ用連結産物16μgで、25つのTG1コンピテント細菌を形質転換して増幅培養後、細菌を遠心分離して採取することによって、合計2.4*1012個の細菌を得て、パッケージングして保管した(すなわち、実施例4.8で調製されたディスプレイ細菌ライブラリーが得られた)。ディスプレイ細菌ライブラリーは、ライブラリー容量が4*1010、バックグラウンドクローニング割合が3%であって、1μgあたりの連結産物の形質転換効率が2.5*109になった。
【0266】
2種類の方法で該ディスプレイ細菌ライブラリーの品質を分析した。
【0267】
第1種類の方法:90個の細菌コロニーをランダムに選出しシーケンシングを行ったところ、結果として、正確なリーディングフレームを持ち反復配列がないものが56個あり、正確なリーディングフレームのクローニング割合が62.2%であった。
【0268】
第2種方法:抗ヒトFabの抗体をプレートに敷き広げて、ELISAで上記の90個のクローンのFab発現を検出したところ、結果として、2つの陰性対照の読み取り値が、それぞれ0.07および0.082であった。クローンは、読み取り値が0.1よりも大きいものが合計71個あって、Fab発現と特定されて、陽性割合が79%であった。
【0269】
34個の配列エラーが発生したクローンは、分析された場合、Fabを発現したものが18個あって、90個のクローンの20%を占めた。シーケンシングについて正確なクローンをエラーが発生したが発現があるクローンに加算すれば(56+18)、効果的なクローニング割合が82.2%(74/90)になって、実施例5で推定された結果に合致している。
【0270】
実施例7 ディスプレイ型抗体ファージライブラリーの品質分析
PEGで実施例4.9におけるディスプレイ型抗体ファージライブラリーを沈殿し、遠心分離沈殿後280ml PBSで再懸濁させ、60mlグリセリンを加えて均一に混合後、パッケージングして凍結保存した。凍結保存されている上記のディスプレイ型抗体ファージライブラリーを取って、ファージライブラリーの力価分析を行ったところ、結果から、該ファージライブラリーの力価が2x1013/mlであって、該ファージライブラリーのファージが合計6.8x1015になり、100μlに50倍のライブラリー容量のファージを含有することを示した。
【0271】
構築されたファージライブラリーから抗原特異的抗体をスクリーニング可能か否か分析するために、3つの分泌性サイトカイン(IL6、IL17A/F、GMCSF)と3つの細胞膜タンパク質(IL6R、EGFR、Siglec3)を選んで、各抗原をそれぞれ100μlの上記のファージライブラリーでスクリーニングした。
【0272】
ビオチン化抗原結合アビジンで磁気ビーズ吸着を標識した液相スクリーニング法によって抗原特異的Fabをスクリーニングした。上記の6種類のビオチンで標識された抗原は、AcroBiosystems(品番が順次にCat# IL6-H8218、ILF-H82W1、GMF-H8214、CD6-H82E8、EGR-H82E3和CD3-H82E7であった)から購入され、アビジンで標識された磁気ビーズは、Thermo(Cat#11206D)から購入された。3回の液相スクリーニングの抗原濃度は、それぞれ5μg/ml、3μg/mlと1μg/mlであった。第1回のスクリーニングは、ファージを溶離して採集し、増幅後、第2回のスクリーニングに用いた。第2回のスクリーニングは、ファージを溶離して採集し、増幅せずに第3回のスクリーニングに直接に用いた。
【0273】
第3回のスクリーニングは、ファージを溶離して採集し、TG1細菌を伝染させ、アンピシリンのペトリ皿に敷き広げて、37℃で一晩培養した。翌日に、各抗原特異的ペトリ皿から、96個の単クローンををピッキングして、OD600が0.6になるまで培養増幅し(上記のペトリ皿の培地に、2YT、アンピシリン100μg/mlおよび0.2%グルコースを含む)、IPTG(最終濃度1mM)を加えて一晩誘導した。3日目に、ELISAで培養液中での抗原特異的Fabを分析したところ、結果は表6に示された。
【0274】
【0275】
表6において、ELISA読み取り値が最低ELISA読み取り値よりも2倍大きいクローンが陽性クローンとして統計されている。
【0276】
表6の結果から、上記のファージ抗体ライブラリーから、IL-6、IL6R、IL17-FR、GMCSF、EGFRとSiglec3に対する特異的Fabをそれぞれスクリーニングして取得することができ、また、陽性クローンの割合が約25-87%になったことを示した。
【0277】
各群の抗原特異的陽性クローンから、ELISA読み取り値の最高の12つのクローンをピッキングしてシーケンシング分析を行い、各群の12つのクローンのアミノ酸配列を整列して分析した。結果は表7に示された。表7の結果から、各群がいずれも複数の独特のアミノ酸配列を有することを示した。
【0278】
【0279】
以上、詳しい説明は、解釈するか、または例を挙げるように記載されたが、添付の請求項範囲を限定するわけではない。これまで本明細書に記載の実施形態に、多様な変更などがあることが当業者に明らかであり、且つ、添付の請求項とそれに同等する実施形態の範囲に属する。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを産生する方法であって、
1) 前記抗体または抗体断片の軽鎖または軽鎖断片をコード化する核酸配列を有するLCを含む第1ポリヌクレオチド、リンカーを含む第2ポリヌクレオチド、および、前記抗体または抗体断片の重鎖または重鎖断片をコード化する核酸配列を有するHCを含む第3ポリヌクレオチドを付与し、
2) 前記第1ポリヌクレオチドを第1細菌に導入することによって軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、前記第2ポリヌクレオチドを第2細菌に導入することによってリンカーコンポーネント細菌を取得し、前記第3ポリヌクレオチドを第3細菌に導入することによって重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、
3) 前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーにより前記LCを含む軽鎖コンポーネントプラスミドを取得し、前記リンカーコンポーネント細菌により前記リンカーを含むリンカーコンポーネントプラスミドを取得し、そして、前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーにより前記HCを含む重鎖コンポーネントプラスミドを取得し、
4) 前記軽鎖コンポーネントプラスミドにより放出されたLCを取得し、前記リンカーコンポーネントプラスミドにより放出されたリンカーを取得し、そして、前記重鎖コンポーネントプラスミドにより放出されたHCを取得し、
5) ディスプレイベクターを付与し、そして、前記ディスプレイベクターにより放出されたディスプレイベクター断片を取得し、
6) 前記放出されたLC、放出されたリンカー、放出されたHCおよび放出されたディスプレイベクター断片を連結することによって、ディスプレイ用連結産物を形成し、
7) 前記ディスプレイ用連結産物を第4細菌に導入することによって、前記抗体または抗体断片のディスプレイ細菌ライブラリーを取得し、
8) 前記ディスプレイ細菌ライブラリーを用いて、前記抗体または抗体断片をディスプレイするファージライブラリーを調製することを含む、
方法。
【請求項2】
抗体または抗体断片の発現に適当な条件で、6)における前記ディスプレイ用連結産物が、リーディングフレームに従って前記軽鎖または軽鎖断片および前記重鎖または重鎖断片を発現することができる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1ポリヌクレオチド、前記第2ポリヌクレオチドおよび前記第3ポリヌクレオチドは、いずれも線形核酸分子である、
請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記リンカーは、シグナルペプチドpelBまたはその断片をコード化する核酸配列を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R1-LC-R2を含み、前記第2ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R3-リンカー-R4を含み、前記第3ポリヌクレオチドは、5’→3’方向に構造R5-HC-R6を含み、かつ、前記ディスプレイベクターには、5’→3’方向に構造R7-ディスプレイベクター断片-R8を含み、ここで、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8は、制限エンドヌクレアーゼの認識部位であ
り、
前記R2の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、
前記R3の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ
前記R1、R4、R5、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結せず、
前記R4の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、
前記R5の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ
前記R1、R2、R3、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結せず、
前記R6の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、
前記R7の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ
前記R1、R2、R3、R4、R5とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しせず、並びに
前記R8の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、
前記R1の制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識可能かつ連結可能であり、かつ
前記R2、R3、R4、R5、R6とR7のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端と互いに認識または連結しない、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8のいずれかの制限エンドヌクレアーゼにより切断された末端は、非回文配列である、
請求項
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8の2つまたはそれ以上は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である、
請求項
5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記R1、R2、R3、R4、R5とR8は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である、
請求項
5~
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記R6とR7は、同一の制限エンドヌクレアーゼによって認識および切断可能である、
請求項
5~
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体またはその断片は、Fab、Fab’、(Fab)2および/または(Fab’)2を含む、
請求項1~
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
2)は、前記R1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて、前記第1ポリヌクレオチドに対して酵素消化処理を行うことによって、酵素消化処理された前記第1ポリヌクレオチドを軽鎖保存ベクター断片に連結して軽鎖保存連結産物を形成し、前記第1細菌に導入することによって前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、ここで、前記軽鎖保存ベクターが前記R1とR2を含み、前記R1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記軽鎖保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、前記軽鎖保存ベクター断片を取得することを含む、
請求項1~
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
2)は、前記R5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて、前記第3ポリヌクレオチドに対して酵素消化処理を行うことによって、酵素消化処理された前記第3ポリヌクレオチドを重鎖保存ベクター断片に連結して重鎖保存連結産物を形成し、前記第3細菌に導入することによって前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーを取得し、ここで、前記重鎖保存ベクターが前記R5とR6を含み、前記R5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記重鎖保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、前記重鎖保存ベクター断片を取得することを含む、
請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記重鎖保存ベクターに、BsmBIの認識部位が含まれ、しかも1つ含まれる、
請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
2)は、前記第2ポリヌクレオチドをベクター断片に連結してリンカー保存ベクターを形成して、前記第2細菌に導入することによって、前記リンカーコンポーネント細菌を取得することを含む、
請求項1~
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記リンカー保存ベクターに、前記R3とR4が含まれる、
請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
4)は、前記R1とR2を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記軽鎖コンポーネントプラスミドに対して酵素消化処理を行うことによって、前記放出されたLCを取得することを含む、
請求項1~
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
4)は、前記R5とR6を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記重鎖コンポーネントプラスミドに対して酵素消化処理を行うことによって、前記放出されたHCを取得することを含む、
請求項1~
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
4)は、前記R3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記リンカー保存ベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、前記放出されたリンカーを取得することを含む、
請求項1~
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
4)は、前記リンカー保存ベクターにより前記リンカー、前記R3および前記R4を含む増幅産物を取得し、そして、前記R3とR4を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記増幅産物に対して酵素消化処理を行うことによって、前記放出されたリンカーを取得することを含む、
請求項1~
18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
5)は、前記R7とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記ディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行うことによって、前記ディスプレイベクター断片を放出させることを含む、
請求項1~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ディスプレイベクターは、pComb3xベクターに由来する、
請求項1~
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記R1、R2、R3、R4、R5とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記ディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、3つの異なる酵素消化断片が得られる、
請求項
5~
21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記R6とR7を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記ディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、前記ディスプレイベクターを線形化させる、
請求項
5~
22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7とR8を認識する制限エンドヌクレアーゼを用いて前記ディスプレイベクターに対して酵素消化処理を行った場合に、4つの異なる酵素消化断片が得られる、
請求項
5~
23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
2)は、前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、前記リンカーコンポーネント細菌および/または前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーをサンプリングして検出することによって、前記軽鎖コンポーネント細菌ライブラリー、前記リンカーコンポーネント細菌および/または前記重鎖コンポーネント細菌ライブラリーのライブラリー容量および/または品質を特定することを含む、
請求項1~
24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
請求項1~
25のいずれか1項に記載の方法により産生されるファージライブラリー。
【請求項27】
請求項
26に記載のファージライブラリーを用いることを含む、
抗体または抗体断片のスクリーニング方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0185
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0185】
1.2 プライマーの設計・合成
《Phage Display》(A Laboratory Mannual、ISBN 0-87969-546-3)を参照しながら、ヒト重鎖可変領域VH、軽鎖KLC(完全長のKappa軽鎖)、軽鎖LLC(完全長のLamda軽鎖)に対するプライマーを設計した。ここで、軽鎖は、順方向プライマーの5’-端にR1のヌクレオチド配列GGCCCAGGCGGCC(SEQ ID NO : 1)を、逆方向プライマーの5’-端にR2のヌクレオチド配列GGCCACATAGGCC(SEQ ID NO : 2)を有し、重鎖可変領域は、順方向プライマーの5’-端にR5のヌクレオチド配列GGCCCAACCGGCC(SEQ ID NO : 3)を、逆方向プライマーの5’-端にR6のヌクレオチド配列CGTCTCCTCAGC(SEQ ID NO : 4)を有する。プライマーは、金維智社に合成されたものであった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0228
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0228】
4.2 プライマーの設計・合成
《Phage Display》(A Laboratory Mannual、ISBN 0-87969-546-3)を参照しながら、ヒト重鎖可変領域VH、軽鎖KLC(完全長のKappa軽鎖)、軽鎖LLC(完全長のLamda軽鎖)に対するプライマーを設計した。ここで、軽鎖は、順方向プライマーの5’-端にR1のヌクレオチド配列GGCCCAGGCGGCC(SEQ ID NO : 1)を、逆方向プライマーの5’-端にR2のヌクレオチド配列GGCCACATAGGCC(SEQ ID NO : 2)を有し、重鎖可変領域は、順方向プライマーの5’-端にR5のヌクレオチド配列GGCCCAACCGGCC(SEQ ID NO : 3)を、逆方向プライマーの5’-端にR6のヌクレオチド配列CGTCTCCTCAGC(SEQ ID NO : 4)を有する。プライマーは、金維智社に合成されたものであった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】