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特表2022-532717高分子マトリックスの層の屈折率を調整して微小光学(MO)焦点を最適化するためのナノ粒子の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(54)【発明の名称】高分子マトリックスの層の屈折率を調整して微小光学(MO)焦点を最適化するためのナノ粒子の使用
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/30 20140101AFI20220711BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220711BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20220711BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20220711BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220711BHJP
   B32B 3/18 20060101ALI20220711BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220711BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220711BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220711BHJP
   C08L 33/16 20060101ALI20220711BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20220711BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20220711BHJP
   C08L 33/08 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
B42D25/30
G02B3/00 A
G02B1/04
G02B5/00 Z
B32B7/023
B32B3/18
B32B27/00 B
B32B27/30 A
B32B27/30 D
C08L101/00
C08L33/16
C08L71/02
C08K3/00
C08L33/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567833
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2020070066
(87)【国際公開番号】W WO2020237261
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/850,337
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/864,448
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516166085
【氏名又は名称】クレイン アンド カンパニー、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マカリスター、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウィドガー、ピーター カーステン ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴズネル、ジョナサン ディー.
【テーマコード(参考)】
2C005
2H042
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HA04
2C005HB01
2C005HB02
2C005HB03
2C005HB06
2C005HB10
2C005HB13
2C005JB40
2C005KA02
2H042AA02
2H042AA03
2H042AA07
2H042AA21
4F100AA09B
4F100AA09C
4F100AA19B
4F100AA19C
4F100AA21B
4F100AA21C
4F100AA27B
4F100AA27C
4F100AK01C
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100AK25E
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA13A
4F100CA13E
4F100DC23A
4F100DC23E
4F100DC27A
4F100DC27D
4F100DC27E
4F100DD01A
4F100DD01B
4F100DD01E
4F100DD12B
4F100DD21D
4F100DE01D
4F100EJ39A
4F100EJ52
4F100GB90
4F100JB14A
4F100JB14B
4F100JB14C
4F100JB14E
4F100JL10A
4F100JL10E
4F100JN18B
4F100JN18C
4J002AA00W
4J002BG04X
4J002BG08W
4J002CH02W
4J002DC006
4J002DE096
4J002DE136
4J002DE146
4J002DG026
4J002FD016
4J002GQ00
(57)【要約】
セキュリティデバイス(100、600、700、1000、1050)は、画像アイコン配列(110a、110b、615、715、1020)と、屈折型の画像アイコン集光素子配列(120、605、705、1010)と、封止層(125、600、1005)と、を備え、屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、合成画像を投影すると共に、屈折型の画像アイコン集光素子配列が、非平面の境界に沿って封止層に接触するように、屈折型の画像アイコン集光素子配列が、画像アイコン配列の上に配設される。さらに、屈折型の画像アイコン集光素子配列及び封止層のうちの少なくとも1つが、第1の屈折率を有する有機樹脂混合物を含み、屈折型の画像アイコン集光素子配列及び封止層のうちの少なくとも1つが、低屈折率材料を含み、低屈折率材料が第2の屈折率を有する。
【選択図】図10B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティデバイス(100、600、700、1000、1050)であって、
1つ以上の画像アイコン配列(110a、110b、615、715、1020)と、
1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列(120、605、705、1010)と、
封止層(125、600、1005)と、を備え、
前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、前記1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、前記1つ以上の画像アイコン配列の上に配設され、
前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、非平面の境界に沿って前記封止層に接触し、
前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列及び前記封止層のうちの少なくとも1つが、第1の屈折率を有する有機樹脂混合物を含み、
前記屈折型の画像アイコン集光素子配列及び/または前記封止層のうちの少なくとも1つが、低屈折率材料を含み、前記低屈折率材料が第2の屈折率を有する、
セキュリティデバイス。
【請求項2】
前記屈折型の画像アイコン集光素子配列及び前記封止層のうちの少なくとも1つが、低屈折率材料を含み、前記低屈折率材料が第2の屈折率を有し、
前記第1の屈折率と前記第2の屈折率との間の差が、0.1以上の大きさを有する、
請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項3】
前記低屈折率材料が、1.3~1.4の間の屈折率を有する、請求項2に記載のセキュリティデバイス。
【請求項4】
前記低屈折率材料が、1.3未満の屈折率を有する、請求項2に記載のセキュリティデバイス。
【請求項5】
前記低屈折率材料が、フッ素化アクリレートまたはフッ素化ウレタンアクリレートを含む、請求項2に記載のセキュリティデバイス。
【請求項6】
前記低屈折率材料が、パーフルオロポリエーテル化合物を含む、請求項2に記載のセキュリティデバイス。
【請求項7】
第1の屈折率を有する前記有機樹脂混合物が、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、またはテルル化亜鉛のナノ粒子のうちの1つ以上のナノ粒子を含む、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項8】
前記有機樹脂混合物が、アクリレートモノマーを含む、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項9】
前記有機樹脂混合物が、アクリレートオリゴマーを含む、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項10】
前記有機樹脂混合物が、フェノキシベンジルアクリレート、O-フェニルフェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ビス-フェニルチオエチルアクリレート、クミンフェノキシエチルアクリレート、ビフェニルメチルアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、フルオレン型アクリレート、臭素化アクリレート、ハロゲン化アクリレート、またはメラミンアクリレートのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項11】
前記有機樹脂混合物が、イソデシルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、またはヘキサンジオールジアクリレートのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項12】
前記有機樹脂混合物が、偏光元素を含まない、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項13】
前記封止層が、1.6以上の屈折率を有する、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項14】
前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の屈折型の画像アイコン集光素子が、30ミクロンを超える直径を有する、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項15】
前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の屈折型の画像アイコン集光素子が、30ミクロン未満の直径を有する、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項16】
屈折型の画像アイコン集光素子配列と画像アイコン配列との間に配設されたスペーサ層をさらに備え、
前記スペーサ層が、ナノ粒子を含む、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項17】
前記屈折型の画像アイコン集光素子配列が、前記屈折型の画像アイコン集光素子配列のレンズ面と前記スペーサ層との間に遷移領域を含む、請求項16に記載のセキュリティデバイス。
【請求項18】
1つ以上の非平面の境界に沿って接触する2つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列をさらに備える、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項19】
前記セキュリティデバイスが、50ミクロン以下の厚さを有する、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項20】
請求項1に記載のセキュリティデバイスを備える、セキュリティ文書(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、偽造防止のための真偽の証印を提供するために、セキュリティ文書に適用される、またはそうでなければ組み込まれる微小光学ストリップなどのセキュリティデバイスの性能を改善することに関する。より具体的には、本開示は、限定されるものではないが、微小光学セキュリティデバイスの1つ以上の層を形成するための低屈折率(「低RI」)材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、特定の微小光学セキュリティデバイスの設計及び製造の課題は、例えば、利用可能な製造技術及び物理法則によって課される機会及び制約に対して、最終製品の望ましい特性を実現することとの間のトレードオフを交渉することを含む。例えば、セキュリティ文書(例えば、紙幣、小切手、及び真偽の信頼できる証印の必要性を提示する他の文書)の製造業者は、薄い、耐久性がある、耐偽造性、及び視覚的に魅力的、のうちの1つ以上である、微小光学セキュリティデバイスを望む。同時に、使用される材料の特性は、微小光学セキュリティデバイスを構築するために使用される物理法則と組み合わせて、最終製品の性能特性に制約を課す可能性がある。1つの非限定的な実施例として、低屈折率の材料で作られたレンズは、高屈折率の材料で作られた同等の焦点距離のレンズよりも厚くなり得る。さらなる非限定的な実施例として、光波とレンズの構成材料との間の相互作用は、色収差を引き起こし得、それにより、レンズの焦点距離は、異なる波長の光にわたって変化する。
【0003】
上記を考慮すると、微小光学セキュリティデバイスを作製するための材料の物理的特性(例えば、構成要素の厚さ及び屈折率)を調整することは、選択された材料に対する物理法則の作用によって課される制約の中で、望ましい最終製品特性(例えば、全体の厚さ、汚れに対する耐性)のより大きなセットを実現することに関して、限界に挑む未開発の機会を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、限定されるものではないが、微小光学系の1つ以上の構成層において低屈折率(「RI」)材料を使用する微小光学系及び使用方法の実施形態を示す。
【0005】
第1の実施形態では、セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列、及び封止層を含む。さらに、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、1つ以上の画像アイコン配列上に配設される。さらに、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、非平面の境界に沿って封止層に接触する。1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列及び封止層のうちの少なくとも1つは、第1の屈折率を有する有機樹脂とナノ粒子との混合物を含み、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列及び封止層のうちの少なくとも1つは、低屈折率材料を含み、低屈折率材料は第2の屈折率を有する。
【0006】
第2の実施形態では、セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列、有機樹脂とナノ粒子との混合物を含む1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列を含む。1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設される。有機樹脂とナノ粒子との混合物は、1.5を超える屈折率を有する。
【0007】
第3の実施形態において、セキュリティ文書は、基板及びセキュリティデバイスを含む。セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列、及び封止層を含む。さらに、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設される。さらに、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、非平面の境界に沿って封止層に接触する。加えて、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列及び封止層のうちの少なくとも1つは、第1の屈折率を有する有機樹脂とナノ粒子混合物とを含む。
【0008】
第4の実施形態において、セキュリティ文書は、基板及びセキュリティデバイスを含む。セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列、有機樹脂とナノ粒子との混合物を含む1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列を含む。1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設される。有機樹脂とナノ粒子との混合物は、1.5を超える屈折率を有する。
【0009】
第5の実施形態では、セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列、及び1つ以上の画像アイコン配列と1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列との間に配設されたスペーサ層を含む。スペーサ層は、有機樹脂とナノ粒子との混合物を含む。加えて、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設される。さらに、有機樹脂とナノ粒子との混合物は、1.5を超える屈折率を有する。
【0010】
第6の実施形態では、セキュリティ文書は、基板、1つ以上の画像アイコン配列、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列、及び1つ以上の画像アイコン配列と1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列との間に配設されたスペーサ層を含む。スペーサ層は、有機樹脂とナノ粒子との混合物を含む。加えて、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設される。さらに、有機樹脂とナノ粒子との混合物は、1.5を超える屈折率を有する。
【0011】
第7の実施形態では、セキュリティデバイスは、画像アイコン集光素子配列を含み、画像アイコン集光素子配列の各画像アイコン集光素子は、焦点経路に関連付けられ、画像アイコン層は、第1の特性色に関連付けられた1つ以上の画像アイコン及び第2の特性色に関連付けられた1つ以上の画像アイコンを含み、ある体積の実質的に無色の材料を含む画像アイコン間の1つ以上の領域を含む。付加的に、第1の視野角において、色が、各画像アイコン集光素子を通して視認可能であり、第1の視野角における各画像アイコン集光素子を通して視認可能な色は、第1の特性色、第2の特性色、または実質的に無色の素材のうちの1つ以上に基づいている。
【0012】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明、及び特許請求の範囲から、当業者に容易に明らかであり得る。
【0013】
以下の詳細な説明を行う前に、本特許文書全体を通して使用される特定の単語及び語句の定義を提示することが有利であり得る。「カップリング(couple)」という用語及びその派生語は、これらの要素が互いに物理的に接触しているかどうかにかかわらず、2つ以上の要素間の任意の直接的または間接的なコミュニケーションを指す。「含む(include)」及び「含む(comprise)」という用語、ならびにそれらの派生語は、限定されない包含を意味する。「または(or)」という用語は、包括的であり、及び/またはを意味する。「に関連付けられた(associated with)」という語句、ならびにその派生語は、「含む(to include)」、「内に含まれる(be included within)」、「互いに接続される(interconnect with)」、「包含する(contain)」、「内に包含される(be contained within)」、「に/と接続される(connect to or with)」、「に/と結合される(couple to or with)」、「と通信可能な(be communicable with)」、「と連携する(cooperate with)」、「交互配置する(interleave)」、「並べる(juxtapose)」、「最も近い(be proximate to)」、「に/と決まっている(be bound to or with)」、「有する(have)」、「の性質を有する(have a property of)」、「に/と関係を有する(have a relationship to or with)」などを含む意味を持つ。「の少なくとも1つ(at least one of)」という語句は、アイテムのリストとともに使用される場合、リストされたアイテムのうちの1つ以上の異なる組み合わせが使用され得、リスト内の1つのアイテムのみが必要とされ得ることを意味する。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、ならびにA及びB及びCのいずれかの組み合わせを含む。
【0014】
他の特定の単語及びフレーズの定義は、本特許文書全体を通して提供される。当業者は、多くの場合であってもほとんどの場合ではないが、そのような定義が、そのように定義された単語及びフレーズの先行する使用ならびに将来の使用に適用されることを理解すべきである。
【0015】
本開示及びその利点のより完全な理解のために、ここで添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本開示のある特定の実施形態による、微小光学セキュリティデバイス及び微小光学セキュリティデバイスを含むセキュリティ文書の要素の実施例を示す図である。
図1B】本開示のある特定の実施形態による、微小光学セキュリティデバイス及び微小光学セキュリティデバイスを含むセキュリティ文書の要素の実施例を示す図である。
図1C】本開示のある特定の実施形態による、微小光学セキュリティデバイス及び微小光学セキュリティデバイスを含むセキュリティ文書の要素の実施例を示す図である。
図2】A~Dは、本開示の様々な実施形態による、屈折型の画像アイコン集光素子の光学特性の調整の態様を示す図である。
図3】異なる波長の光が屈折型の画像アイコン集光素子を通過することに関連する色収差の態様を示す図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、屈折率が調整された屈折型の画像アイコン集光素子の下に位置する複数の画像アイコン配列の例を示す図である。
図5】本開示のある特定の実施形態による、微小光学セキュリティデバイスによって作成された合成画像における視覚効果の態様を示す図である。
図6】A~Eは、本開示の様々な実施形態による、ナノ粒子により調整された封止層を有する微小光学セキュリティデバイスの構成の実施例を示す図である。
図7】A~Eは、本開示のある特定の実施形態による、ナノ粒子により調整された屈折型の画像アイコン集光素子を有する微小光学セキュリティデバイスの構成の実施例を示す図である。
図8】本開示の様々な実施形態による、第1の特性色に関連付けられた第1の画像アイコン配列の特性色と、第2の特性色の第2の画像アイコン配列の特性色との組合せを含む、合成画像の実施例を示す図である。
図9A】第1の特性色に関連付けられた第1の画像アイコン配列の特性色と、第2の特性色に関連付けられた第2の画像アイコン配列の特性色との組合せを含む、合成画像を生成する態様を示す図である。
図9B】第1の特性色に関連付けられた第1の画像アイコン配列の特性色と、第2の特性色に関連付けられた第2の画像アイコン配列の特性色との組合せを含む、合成画像を生成する態様を示す図である。
図9C】第1の特性色に関連付けられた第1の画像アイコン配列の特性色と、第2の特性色に関連付けられた第2の画像アイコン配列の特性色との組合せを含む、合成画像を生成する態様を示す図である。
図10A】本開示の様々な実施形態による、微小光学セキュリティデバイスの実施例を示す図である。
図10B】本開示の様々な実施形態による、微小光学セキュリティデバイスの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に考察される図1A図10、及び本特許文書における本開示の原理を説明するために使用される様々な実施形態は、単に例示のためのものであり、本開示の範囲を限定するように決して解釈されるべきではない。
【0018】
図1A図1B、及び図1Cは、本開示の特定の実施形態による、微小光学セキュリティデバイス及び微小光学セキュリティデバイスを含むセキュリティ文書の要素の実施例を示す図である。便宜上、図1A図1B、及び図1Cの実施例に共通する構造要素は、同様に付番される(例えば、基板105)。
【0019】
図1Aの非限定的な実施例を参照すると、微小光学セキュリティデバイス100及びセキュリティ文書101は、図1Aの例示的な実施例に示される要素のいくつかまたはすべての階層化された組み合わせとして構築されることができる。
【0020】
図1Aの例示的な実施例に示されるように、セキュリティ文書101は、微小光学セキュリティデバイス100が取り付けられる基板105を含む。本開示で使用される場合、用語「セキュリティ文書」は、文書の偽造防止のための視覚的な真偽の証印(例えば、1つ以上の画像アイコン配列と1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子との空間的アライメントによって作成される合成画像)を提供するために、微小光学セキュリティデバイスを利用する文書を包含する。セキュリティ文書の例としては、限定されるものではないが、紙幣、パスポート、チケット、収集可能なトレーディングカード、IDカード(例えば、運転免許証)が挙げられる。
【0021】
特定の実施形態によれば、基板105は、通貨紙などの薄い可撓性繊維材料のシートである。いくつかの実施形態によれば、基板105は、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)の高分子フィルムの薄い可撓性シートである。様々な実施形態では、基板105は、TESLIN(登録商標)などの合成紙材料の一部である。いくつかの実施形態によれば、基板105は、クレジットカード及び運転免許証を作製するのに好適なタイプのポリエチレンテレフタレート(PET)ブランクなどの高分子カード材料の一部である。
【0022】
図1Aの非限定的な実施例を参照すると、微小光学セキュリティデバイス100は、1つ以上の画像アイコン配列(110a及び110b)を含む。様々な実施形態によれば、1つ以上の画像アイコン配列は、(例えば、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列によって合成的に拡大されるようなアイコン設計として)所定のパターンで配設された着色顔料含有材料(pigmented material)の着色された領域(例えば、着色領域112)を含む。様々な実施形態によれば、着色領域112は、ある成形された体積の顔料含有の画像材料(例えば、着色顔料含有の紫外線硬化性ポリマー)を含む。ある特定の実施形態では、着色領域112は、約1μm以上の幅を有する。
【0023】
特定の実施形態によれば、1つ以上の画像アイコン配列110a及び110bの各々は、別個の層として形成される。いくつかの実施形態では、画像アイコン配列は、1つ以上の顔料含有の高分子材料を保持するための凹部またはボイドなどの保持構造を作成するために、アイコンの層構造を作成する(例えば、高分子マトリックスをエンボス加工して硬化させる)ことと、次いで、1つ以上の顔料含有の高分子材料を適用して、画像アイコンのアレイを集合的に画定する着色領域(例えば、着色領域112)を作成することと、によって形成される。
【0024】
様々な実施形態では、所与の画像アイコン配列について、着色領域(例えば、着色領域112)を生成するために使用される顔料含有の高分子材料は、着色領域の大部分またはすべてが特性色の高分子材料で満たされるように構成される。本開示で使用される場合、「特性色(characteristic color)」という用語は、指定された光の波長に関連付けられた色、または屈折型の画像アイコン集光素子の焦点距離が、微小光学セキュリティデバイス100内の画像アイコン配列の深さと一致する光の波長の範囲に関連付けられた色を包含する。
【0025】
図1Aの非限定的な実施例に示されるように、本開示に従う特定の実施形態では、微小光学セキュリティデバイス100は、2つの積み重ねられた画像アイコン配列の(110a及び110b)を備える。本開示による実施形態は、2つの画像アイコン配列に限定されず、より少ないまたはより多くの画像アイコン配列を有する実施形態は、本開示の意図される範囲内にある。
【0026】
様々な実施形態によれば、1つの画像アイコン配列(例えば、画像アイコン配列110b)における1つ以上の顔料含有材料の保持構造(例えば、保持構造114)を作成するために使用される高分子マトリックスの屈折率は、別の画像アイコン配列(例えば、画像アイコン配列110a)に対する光の焦点を改善するために、マトリックスへのナノ粒子の添加を通じて調整され得る。
【0027】
本開示による特定の実施形態では、微小光学セキュリティデバイス100は、画像アイコン配列(例えば、画像アイコン配列110a)の底面との間の接着結合によって基板105に取り付けられる。いくつかの実施形態では、微小光学セキュリティデバイスは、基板105の製造プロセスの一部として(例えば、通貨紙のシート内のウィンドウ付きセキュリティスレッドとして)基板105に取り付けられる。
【0028】
図1Aの非限定的な実施例を参照すると、特定の実施形態では、微小光学セキュリティデバイス100は、光学スペーサ115を含む。いくつかの実施形態によれば、光学スペーサ115は、透明材料(例えば、ポリエステル)の薄膜を含み、その上に、屈折型の画像アイコン集光素子及び/または顔料含有材料のための保持構造(例えば、保持構造114)を生成するための高分子マトリックスが塗布され、成形され(例えば、エンボス加工によって)、かつ硬化される。いくつかの実施形態では、光学スペーサ115は、高分子マトリックスの層として形成され、屈折型の画像アイコン集光素子配列の1つ以上と一体化されている。様々な実施形態によれば、高分子マトリックスから形成された光学スペーサ115の微小光学セキュリティデバイス100の光学特性(例えば、セキュリティデバイス内の画像アイコンまたは内部反射の配置に焦点を合わせる品質)は、光学スペーサ115の厚さを変化させること、及び/または光学スペーサ115を形成するために使用される高分子マトリックス内のナノ粒子の濃度を調整することによって調節されてもよく、または調整されてもよい。特定の実施形態によれば、光学スペーサ115は、封止層125または屈折集光素子121を形成する際に使用するのに好適な高分子マトリックスから形成される。様々な実施形態では、光学スペーサ115を形成するために使用されるマトリックスの組成物は、ヨウ素、臭素、塩素、または硫黄などの偏光元素(polarizing element)を有する材料を含まないように具体的に配合される。
【0029】
加えて、図1Aの非限定的な実施例では、微小光学セキュリティデバイス100は、光学スペーサ115を含むように示されているが、本開示による実施形態は、それに限定されない。特定の実施形態では、光学スペーサ115は省略され得る。さらに、図1Aの非限定的な実施例では、光学スペーサ115は、屈折型の画像アイコン集光素子配列とは物理的に異なるものとして示されているが、本開示による実施形態は、それに限定されず、光学スペーサ115を作成するために使用される材料の屈折率の構造的変形を生成することによって、屈折型の画像アイコン集光素子配列の1つ以上が形成される実施形態は、本開示の意図される範囲内にある。
【0030】
図1Aの例示的な実施例を参照すると、特定の実施形態では、微小光学セキュリティデバイス100は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、1つ以上の画像アイコン配列(例えば、画像アイコン配列110a及び110b)の上に配設された1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列120を備える。本開示の他の箇所で考察されるように、特定の実施形態では、2つ以上の合成画像が生成され、各合成画像は、特性色に関連付けられる。
【0031】
図1Aの非限定的な実施例に示されるように、屈折型の画像アイコン集光素子配列120は、少なくとも1つの画像アイコン配列(例えば、画像アイコン配列110a)に対して所定のパターンで配置された複数の個々の屈折集光素子(例えば、屈折集光素子121)を含む。特定の実施形態では、画像アイコン配列の着色領域は、座標系のx軸及びy軸を画定する平面内で実質的に同じ位置にある。いくつかの実施形態では、屈折集光素子の中心は、画像アイコンと共通のx値及びy値であるが、z軸上の異なる座標に位置する。いくつかの実施形態では、合成画像は、微小光学セキュリティデバイス100の平面内にあるように見え得る。いくつかの実施形態では、屈折集光素子の中心間距離(すなわち、ピッチ)は、画像アイコンの繰り返し距離とわずかに異なっていてもよく、合成画像(複数可)は、微小光学セキュリティデバイス100の平面の上または下にあるように見え得る。様々な実施形態では、屈折集光素子の中心は、画像アイコンに対してわずかに(例えば、1度未満の角度で)回転されてもよく、オルソパララックス(視差)による動き効果(orthoparallactic motion effects)を生み出す。
【0032】
特定の実施形態では、屈折集光素子121は、第1の屈折率を有する媒体の領域と第2の屈折率を有する媒体の領域との間の非平面の境界を画定する少なくとも1つの外面を有するある体積の硬化高分子マトリックスを含む。図1Aの非限定的な実施例では、屈折集光素子121は、平面状の下面及び半径方向に対称な湾曲した最上面を有するように示されるが、本開示による実施形態は、それに限定されない。いくつかの実施形態によれば、屈折集光素子は、レンチキュラーアレイのレンチクル(lenticle)であってもよく、または例えば、その上面及び下面で湾曲していてもよい。
【0033】
本開示によるいくつかの実施形態では、屈折集光素子121は、高分子マトリックスから形成され、硬化されると、1.5未満の屈折率を有する。このような高分子マトリックスに使用するための材料の例であって、屈折率が1.5以下である材料の例としては、イソデシルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、及びヘキサンジオールジアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。屈折集光素子121を形成するのに好適な材料のさらなる例としては、アクリル、アクリル化ポリエステル、アクリル化ウレタン、エポキシ、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、及びウレタンなどの実質的に透明または透明、着色または無色の高分子体が挙げられる。屈折集光素子121を形成するためにマトリックスを形成するために使用することができる材料のさらなる例としては、限定するものではないが、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、O-フェニルフェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ビス-フェニルチオエチルアクリレート、クミンフェノキシルエチルアクリレート、ビフェニルメチルアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、フルオレン型アクリレート、臭素化アクリレート、ハロゲン化アクリレート、メラミンアクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ある特定の実施形態によれば、屈折集光素子121を形成するために使用されるマトリックスの組成物は、ヨウ素、臭素、塩素、または硫黄などの偏光元素を有する材料を含まないように具体的に配合される。本開示で使用される場合、「偏光元素」という用語は、偏光性が炭素よりも大きい元素を包含する。
【0034】
本開示による様々な実施形態では、屈折集光素子121を構成する材料の屈折率は、屈折集光素子121を形成するために使用される材料混合物(例えば、高分子マトリックス)中のナノ粒子の濃度を追加または調整することによって、調節または調整することができる。いくつかの実施形態によれば、屈折集光素子を構成する材料の屈折率は、例えば、100nm以下の粒径を有する無機ナノ粒子を混合物に添加することによって調整することができる。材料混合物に添加され得る無機ナノ粒子の例としては、限定されるものではないが、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、硫化亜鉛またはテルル化亜鉛のナノ粒子が挙げられる。特定の実施形態によれば、ナノ粒子を材料混合物に添加することで、屈折集光素子121を形成するために使用される材料混合物の屈折率を1.5未満から1.7以上に上昇させることができる。いくつかの実施形態では、1.7を超える屈折率は、ナノ粒子を有機樹脂に添加することによって可能である。
【0035】
図1Aの非限定的な実施例を参照すると、本開示による様々な実施形態では、微小光学セキュリティデバイス100は、封止層125をさらに備える。様々な実施形態によれば、封止層125は、滑らかな、または実質的に平面状の最上面127と、封止層125と屈折型の画像アイコン集光素子配列120との間に実質的に連続した非平面の境界を提供する非平面の底面129とを含む。いくつかの実施形態によれば、封止層125は、封止層125と屈折型の画像アイコン集光素子配列120との間の境界よりも少ない「ポケット」を有する非平面の最上面を有する。
【0036】
ある特定の実施形態では、封止層125は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列120を保護し、セキュリティ文書の使用及び流通に関連する汚れ、グリース及び他の汚染物質が、屈折集光素子(例えば、屈折集光素子121)の間の空間に蓄積されることから、空間を排除することによって、微小光学セキュリティデバイス100の堅牢性及び耐久性に寄与する。さらに、特定の実施形態では、封止層125は、システムの焦点距離に著しく影響を与えることなく、最上側接着剤などの追加の材料層の使用を可能にする。
【0037】
様々な実施形態によれば、封止層125は、封止層125の底面129によって少なくとも部分的に画定された非平面の境界に沿って、屈折型の画像アイコン集光素子配列(例えば、屈折型の画像アイコン集光素子配列120)の屈折集光素子に接触する。特定の実施形態では、封止層125は、屈折集光素子121を生成するために使用される材料の屈折率とは異なる屈折率を有する材料から形成される。
【0038】
様々な実施形態では、封止層125は、高分子マトリックスから形成され、硬化した場合、1.5未満の屈折率を有する。このような高分子マトリックスに使用するための材料の例であって、屈折率が1.5以下の材料の例としては、限定されるものではないが、イソデシルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。封止層125を形成するのに好適な材料のさらなる例としては、アクリル、アクリル化ポリエステル、アクリル化ウレタン、エポキシ、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、及びウレタンなどの実質的に透明または透明、着色または無色の高分子体が挙げられる。封止層125を形成するためにマトリックスを形成するために使用することができる材料のさらなる例としては、限定するものではないが、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、O-フェニルフェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ビス-フェニルチオエチルアクリレート、クミンフェノキシルエチルアクリレート、ビフェニルメチルアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、フルオレン型アクリレート、臭素化アクリレート、ハロゲン化アクリレート、メラミンアクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ある特定の実施形態によれば、封止層125を形成するために使用されるマトリックスの組成物は、ヨウ素、臭素、塩素、または硫黄などの偏光元素を有する材料を含まないように具体的に配合される。
【0039】
特定の実施形態によれば、封止層125は、封止層125と1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列120との間の屈折率の大きな差(例えば、0.1より大きい差)を生じる材料から形成され得る。特定の実施形態によれば、封止層125での使用に好適な低-RI材料は、1.3~1.4の間にRIを有する材料、または1.3未満のRIを有する材料を含む。好適な低RI材料の例としては、限定されるものではないが、フッ素化アクリレート及びフッ素化ウレタンアクリレートのブレンドが挙げられるが、これらは、1.3~1.135の範囲の屈折率を有するとして測定されている。好適な低RI材料のさらなる例としては、限定されるものではないが、特定のパーフルオロポリエーテル化合物、例えば、パーフルオロポリエーテルカプロラクトンジアクリレートが挙げられる。
【0040】
本開示による様々な実施形態では、封止層125を構成する材料の屈折率は、封止層125を形成するために使用される材料混合物(例えば、高分子マトリックス)中のナノ粒子の濃度を追加または調整することによって、調節または調整することができる。いくつかの実施形態によれば、屈折集光素子を含む材料の屈折率は、例えば、100nm以下の粒径を有する無機ナノ粒子を混合物に添加することによって調整することができる。材料混合物に添加され得る無機ナノ粒子の例としては、限定されるものではないが、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、硫化亜鉛またはテルル化亜鉛のナノ粒子が挙げられる。特定の実施形態によれば、ナノ粒子を材料混合物に添加することで、封止層125を形成するために使用される材料混合物の屈折率を1.5未満から1.7以上に上昇させることができる。いくつかの実施形態では、1.7を超える屈折率は、ナノ粒子を有機樹脂に添加することによって可能である。封止層125と1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列120との間の屈折率の相対的な値に応じて、これらの2つの層の間の界面の形状は、凸形状または凹形状のいずれかを有し得る。例えば、かつ図1Aの例示的な実施例に示されるように、1つ以上の屈折集光素子配列120を形成する材料が、封止層125を形成する材料よりも高い屈折率を有する場合、屈折集光素子は、凸形状を有する。同様に、封止層125が、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列120よりも高い屈折率を有する材料から形成される場合、屈折集光素子は、凹形状を有することになる。
【0041】
図1Aの非限定的な実施例では、微小光学セキュリティデバイス100は、封止層125を組み込むように示されているが、本開示による実施形態は、それに限定されず、封止層125のない実施形態も、本開示の意図される範囲内である。
【0042】
図1Bは、本開示の様々な実施形態による、微小光学セキュリティデバイス100のさらなる非限定的な実施例を図示する。図1Bの非限定的な実施例を参照すると、いくつかの実施形態によれば、微小光学セキュリティデバイス100は、ナノ粒子117が光学スペーサ115を作成するために使用されるマトリックスに組み込まれる、封止されていない(例えば、封止層125が省略される)システムを含む。いくつかの実施形態によれば、光学スペーサ115を作成するために使用されるマトリックス中のナノ粒子117の濃度を調整することにより、特定の光学的特性(例えば、屈折集光素子121のF数(F#)及び有効焦点距離)を調整することができる。
【0043】
図1Cは、本開示の様々な実施形態による、微小光学セキュリティデバイス100のさらなる実施例を図示する。図1Cの非限定的な実施例に示されるように、ある特定の実施形態によれば、封止層125を含む材料の屈折率は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列120を構成する材料の屈折率よりも大きくてもよい。特定の実施形態によれば、封止層125の屈折率の相対的な割合に応じて、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、図1Cに示されるように、凹状または平凹状のレンズプロファイルを有する。
【0044】
図2A図2Dは、本開示の様々な実施形態による、屈折型の画像アイコン集光素子の光学特性を調整する態様を示す。
【0045】
本開示の他の箇所で考察されるように、多くの場合、微小光学セキュリティデバイスの設計及び製造は、所望の最終製品の実現と、製造材料及び選択された材料に対する物理法則の作用によって課される制約との間のトレードオフを交渉することを伴う。一例として、屈折集光素子及び画像アイコン層を作成するための限定された製造公差は、屈折集光素子が画像アイコンに適切に焦点を合わせる精度に制限を課す可能性がある。さらなる例として、製造公差は、屈折集光素子の下の焦点領域に配置され得る視覚情報の量(例えば、単一の合成画像内または複数の異なる合成画像内の詳細)に制限を課す可能性がある。屈折集光素子の構築に使用される材料の屈折率が固定されているシステムでは、物理法則により、屈折集光素子の下の設計空間(例えば、画像アイコン及びグラフィック情報を提供することができる画像アイコン層の領域)のサイズを大きくするには、集光素子の厚さを大きくしなければならない。多くの最終製品(例えば、紙幣)では、より厚い紙幣は、損傷しやすく、または処理機械(例えば、自動販売機上の紙幣受け取り口)に詰まりやすくなり得るため、集光層の厚さを増大させることは望ましくない。
【0046】
図2A図2Dの非限定的な実施例を参照して考察されるように、本開示による特定の実施形態は、微小光学セキュリティデバイスの設計者及び製造者が、微小光学セキュリティデバイスの1つ以上の構成要素の屈折率を調整可能なパラメータとして扱うことを可能にし、それによって、微小光学セキュリティデバイスの設計者及び製造者が、別の所望の性能特性(例えば、屈折集光素子の下での視覚情報の増加)を達成するために、1つの所望の性能特性(例えば、デバイスの厚さ)との間のトレードオフを受け入れることを要求される程度を低減することができる。
【0047】
図2A図2Dの非限定的な実施例を参照すると、高さh及び幅wを有する屈折集光素子200が示される。特定の実施形態によれば、屈折集光素子200は、少なくとも有機樹脂を含む材料から形成される。いくつかの実施形態では、有機樹脂は、1.5未満の屈折率を有する。様々な実施形態では、屈折集光素子の屈折率は、屈折集光素子200を作成するために使用される高分子マトリックスにナノ粒子を添加することによって増加することができる。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、屈折集光素子200の屈折率を増加させることは、他の所望の最終製品特性とのトレードオフなしで1つ以上の所望の最終製品特性の実現を容易にすることができる。例えば、屈折集光素子の屈折率を増加させるためにナノ粒子を添加すると、同じ焦点距離を有するより薄い集光素子を作成することができる。例えば、屈折集光素子205は、屈折集光素子200と同じ幅(w)及び焦点距離を有するが、低減された厚さ(h<h)を有する。
【0049】
特定の実施形態では、屈折集光素子200の屈折率を増加させることは、屈折集光素子の下の利用可能な領域の増加を引き起こすことができ、それによって、集光素子の厚さの増加を必要とせずに、または視覚情報を符号化するための製造公差の増加も必要とすることなく、より多くの視覚情報を屈折集光素子の下に提供することを可能にする(例えば、画像アイコン配列を作成することによって)。例えば、屈折集光素子を形成するための高分子マトリックスにナノ粒子が添加された屈折集光素子210は、より高い屈折率を有する。この非限定的な実施例では、屈折集光素子210は、同じ厚さ及び焦点距離を有するが、屈折集光素子200よりも大きな直径(w>w)を有し、それによって、屈折集光素子200よりも屈折集光素子210の下に、より多くの視覚情報を符号化することを可能にする。
【0050】
多くの微小光学セキュリティデバイスでは、不完全な焦点(すなわち、屈折集光素子の焦点距離が目標の波長(複数可)における画像アイコンの深さと一致しない場合)は、微小光学セキュリティデバイスによって提供される合成画像のコントラストが悪いことに対応する。特定の実施形態によれば、屈折集光素子200と同じ幅及び直径を有する屈折集光素子215の焦点距離(f)は、屈折集光素子215を作成するために使用される材料混合物中のナノ粒子の濃度を変更することによって、長さの範囲(Δf)にわたって調整され得る。例えば、材料混合物中のナノ粒子の濃度を増加させることは、屈折集光素子215の屈折率の増加に対応し、それによって屈折集光素子215の焦点距離を減少させる。同様に、材料混合物中のナノ粒子の濃度を減少させることは、屈折集光素子215の屈折率の減少に対応し、それによって屈折集光素子215の焦点距離を増加させる。
【0051】
図2A図2Dの非限定的な実施例は、材料混合物中のナノ粒子の濃度を調整することによる屈折集光素子の光学的調整を説明するが、本開示による実施形態は、それに限定されない。封止層(例えば、図1Aの封止層125)、光学スペーサ(例えば、図1Aの光学スペーサ115)、または画像アイコンの配列のための保持構造(例えば、図1Aの保持構造114)などの微小光学セキュリティデバイスの構成要素の特性は、構成要素の屈折率を変更するために材料混合物中のナノ粒子の濃度を変化させることによって調整することもできる。
【0052】
図2A図2Dの例示的な実施例は、凸レンズまたは平凸レンズを参照して説明されてきたが、本開示による実施形態は、それに限定されず、ナノ粒子を用いた光学的調整は、他の形状の複数のレンズ(例えば、複数の凸レンズまたは複数の平凸レンズ)においても可能である。
【0053】
図3は、異なる波長の光が屈折型の画像アイコン集光素子を通過することに関連する色収差の態様を示す。
【0054】
図3の例示的な実施例を参照すると、微小光学セキュリティデバイス(例えば、図1Aの微小光学セキュリティデバイス100)での使用に好適な屈折集光素子300が示される。この例示的な実施例では、屈折集光素子300は、約1.5の屈折率を有する。さらに、図3の実施例では、屈折集光素子300の屈折率は、屈折集光素子300を形成するために使用される材料混合物へのナノ粒子の添加を通じて、より高い値に調整することができる。
【0055】
この実施例では、屈折集光素子300内の分散効果は、異なる波長の光が異なる焦点距離で焦点を合わせることによって、色収差、すなわち球面色収差を生じさせる。例えば、波長λに関連付けられた色の第1の光線305は、屈折集光素子300を通過し、焦点距離fの点に集束される。同様に、より長い波長λ(例えば、λ>λ)に関連付けられた色の第2の光線310は、屈折集光素子300を通過し、焦点距離fよりも長い焦点距離fの点に集束する。
【0056】
微小光学セキュリティデバイスの状況においては、上述の色収差は、微小光学系によって生成される合成画像の色間のコントラストを低下させる効果を有し、これは、最終製品のユーザは望ましくないと判断する可能性がある。さらに、(例えば、ナノ粒子を材料混合物に添加することによって)屈折集光素子300の屈折率が増加すると、色収差の程度(例えば、f対fの比率)は、マトリックス内の分散の変化に応じて、より顕著になり得る。望遠鏡及びカメラでは、色収差は、異なる波長の焦点距離を近づけるために集光素子の全体的な焦点距離を増加させることによって、管理することができるが、このアプローチは、厚い製品がしばしば使用不可能である微小光学セキュリティデバイス及びセキュリティ文書の状況においては通常許容されない。加えて、特定の実施形態では、色収差は、第2のレンズの導入、または異なる分散特性を有する2つの材料から形成されたダブレットの導入を通じて管理することができる。
【0057】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、屈折型の画像アイコン集光素子の下に位置する複数の画像アイコン配列の実施例を示す。本開示の特定の実施形態によれば、ナノ粒子を使用して、屈折集光素子及び/または微小光学セキュリティデバイスの他の構成要素の屈折率を調整することにより、本開示の図3を参照して説明される色収差効果を低減すると共に、色収差の効果を利用して驚くべき視覚効果を有する合成画像を生成することができる。
【0058】
図4の例示的な実施例を参照すると、屈折集光素子400は、第1の波長λの第1の光線405を、第1の画像アイコン配列415に集束するように示される。特定の実施形態によれば、第1の画像アイコン配列415は、第1の波長λの周りの特定の波長範囲内の波長に等しい波長に関連付けられた色の1つ以上の特徴(例えば、図1の着色領域112)を含む。特定の実施形態によれば、屈折集光素子400に加えて、第1の光線は、微小光学セキュリティデバイスの他の光学構成要素(例えば、スペーサ層または封止層)を通過し、これらの構成要素は、屈折集光素子400と組み合わせて、波長λの光について第1の有効焦点距離f を有する。特定の実施形態によれば、第1の光線405が第1の画像アイコン配列415に焦点を合わせられるように、f の値は、屈折集光素子400及び微小光学セキュリティデバイスの他の構成要素におけるナノ粒子の濃度を調節することによって調整され得る。
【0059】
図4の例示的な実施例に示されるように、屈折集光素子400は、第2の波長λの第2の光線410を、第2の画像アイコン配列420に集束するように示される。特定の実施形態によれば、第2の画像アイコン配列420は、第2の波長λの周りの指定された波長範囲内の波長に等しい波長に関連付けられた色の1つ以上の特徴を含む。特定の実施形態によれば、屈折集光素子400に加えて、第1の光線は、微小光学セキュリティデバイスの他の光学構成要素(例えば、スペーサ層または封止層)を通過し、これらの構成要素は、屈折集光素子400と組み合わせて、波長λの光について第2の有効焦点距離f を有する。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、第2の画像アイコン配列420は、第1の画像アイコン配列415の下に位置するため、第2の光線410は、微小光学セキュリティデバイスの追加の構造419(例えば、スペーサ層または保持構造)を通過する。特定の実施形態によれば、f の値は、例えば、追加の構造419と同様に、屈折集光素子400内のナノ粒子の濃度を調節することによって、第2の光線410が、第2の画像アイコン配列420に焦点を合わせることを確実にするように調整され得る。
【0061】
図5は、本開示の特定の実施形態による、微小光学セキュリティデバイスによって作成された合成画像における視覚効果の態様を示す。
【0062】
図5の非限定的な実施例を参照すると、屈折集光素子500は、波長λの光に対して有効焦点距離f で第1の画像アイコン配列515に焦点を合わせるように、微小光学セキュリティデバイスの構成要素を通して、波長λに関連付けられた色(例えば、青色)の第1の光線505を集束するように示される。同様に、この説明的な実施例では、屈折集光素子は、より長い波長λに関連付けられた色(例えば、赤色)の第2の光線510を、微小光学セキュリティデバイスの構成要素(追加の構成要素519を含む)を通して集束するように示されており、その結果、第2の光線は、波長λの光について有効焦点距離f で第2の画像アイコン配列520に集束する。
【0063】
図5の非限定的な実施例を参照すると、波長λの光に対する有効焦点距離f は、波長λの光に対する有効焦点距離f より短い。様々な実施形態によれば、上述したf とf との有効焦点距離の差は、F数の波長ベースの差を意味する。別の言い方をすれば、波長λに関連付けられた第1の特性色の第1の画像アイコン配列515の特徴は、微小光学系によって投影された合成画像の第1の特性色の成分を形成する。同様に、波長λに関連付けられた第2の特性色の第2の画像アイコン配列520の特徴は、微小光学系によって投影された合成画像の第2の特性色の成分を形成する。
【0064】
波長λの光に対する有効焦点距離f と波長λの光に対する有効焦点距離f の違いにより、特性色が波長λの光に関連付けられている画像アイコンは、特性色が波長λの光に関連付けられている画像アイコンを含む第2の画像アイコン配列520とは異なる層上にある第1の画像アイコン配列515に形成される。他のすべての要因が等しい(例えば、両方の画像アイコン配列が同様の光学効果を提供している)場合、上述した第1の画像アイコン配列515と第2の画像アイコン配列520との間の層の高さの差により、第1の特性色の微小光学セキュリティによって作成された合成画像の成分は、観察位置のシフトに応じて、第2の特性色の成分の位置の変化(Δ)よりも小さい位置の変化(Δ)を示す。すなわち、図5の非限定的な実施例では、合成画像の赤色成分は、合成画像の青色成分よりも観察位置の変化に応じてより遠く、より速く移動するように見える(すなわち、Δ>Δ)。別の言い方をすれば、第1の画像アイコン配列515からの合成画像は、第2の画像アイコン配列520からの合成画像の長波長成分についてのより長い「レバーアーム(lever arm)」560と比較して、短い「レバーアーム」550上にあるように見える。したがって、観察者が微小光学セキュリティデバイスの視野角を調整すると、第2の画像アイコン配列520上の合成画像の長波長成分(例えば、赤色部分)は、第1の画像アイコン配列515上の合成画像の短波長成分(例えば、青色部分)より速く移動するように見える。特定の実施形態によれば、合成画像の異なる色の成分の相対的な「速度」は、セキュリティ機能の真偽の証印であり得る。
【0065】
図3図5の非限定的な実施例は、凸レンズまたは平凸レンズとして描写されるレンズを組み込んだ特定の実施形態による微小光学系によって生じる光学効果の態様を示すが、本開示による実施形態はそれに限定されず、図3図5の例は、限定されないが、凹レンズまたは平凹レンズを含む複数のレンズ形状を使用する実施形態にわたって適用可能である。
【0066】
図6A図6Eは、本開示の様々な実施形態による、ナノ粒子調整封止層を有する微小光学セキュリティデバイスの構成の5つの実施例a.)~e.)を示す。特定の実施形態は、図6A図6Eの例示的な実施例に示される5つの実施形態を参照して説明されるが、本開示は、それに限定されず、ナノ粒子調整封止層を有する微小光学セキュリティデバイスのさらなる構成が可能であり、本開示の想定される範囲内である。
【0067】
図6A図6Eの非限定的な実施例を参照すると、本開示による特定の微小光学セキュリティデバイスは、ナノ粒子調整封止層600を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子調整封止層600は、微小光学セキュリティデバイスの最上部(意図された観察位置に対して)の層を構成し、汚れ、グリース、及び合成画像を生成する微小光学セキュリティデバイスの能力のその他の劣化要因が蓄積し難いように実質的に平面状の最上面を有する。様々な実施形態によれば、ナノ粒子調整封止層600は、有機樹脂(例えば、アクリレートモノマーまたはアクリレートオリゴマー)及び1つ以上のナノ粒子を含む材料混合物から構築されており、材料混合物中のそれらの濃度は、ナノ粒子調整封止層600の屈折率を調節する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子の濃度は、ナノ粒子調整封止層600と1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列605との間で、ナノ粒子調整封止層600と1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列605との間の非平面の境界に沿って、屈折率の所定の差を達成するように選択される。図6A図6Eに示される非限定的な実施例では、ナノ粒子調整封止層600は、屈折型の画像アイコン集光束素子605よりも高い屈折率を有する材料で構築されており、結果として、屈折型の画像アイコン集光素子605は、凹レンズ形状を有する。封止層600と屈折型の画像アイコン集光素子605との間のRI差が凸レンズ形状を必要とする本開示による他の実施形態が可能であり、本開示の意図された範囲内である。
【0068】
図6A図6Eの例示的な実施例に示されるように、本開示の特定の実施形態による微小光学セキュリティデバイスは、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列605を含むことができる。特定の実施形態によれば、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、異なる屈折率の領域間の1つ以上の非平面の境界を画定する構造のセットを含み、1つ以上の画像アイコン配列615内の画像アイコンに、少なくとも1つの波長の光を集束させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列605内の屈折集光素子は、半径方向に対称である。特定の実施形態では、屈折集光素子は、軸方向または並進方向に対称である(例えば、レンチキュラーアレイのレンチクル)。いくつかの実施形態では、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、2つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列(例えば、605a及び605b)を備える。特定の実施形態では、複数の屈折型の画像アイコン集光素子配列の使用は、内部反射、色収差、または他の不要な視覚効果のために望ましい場合がある。様々な実施形態によれば、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列605内の屈折集光素子は、30μm以上の直径を有する。様々な実施形態では、屈折型の画像アイコン集光素子605の直径は、7.5~25μmである。
【0069】
本開示による様々な実施形態では、ナノ粒子調整封止層を有する微小光学セキュリティデバイスは、光学スペーサ610を含む。いくつかの実施形態によれば、光学スペーサ610は、微小光学セキュリティデバイスの他の要素を形成するための材料が適用され、形成される材料のシートであり得る。いくつかの実施形態では、光学スペーサ610は、微小光学セキュリティデバイスの別の構成要素(例えば、屈折型の画像アイコン集光素子配列)と一体化される。特定の実施形態では、例えば、封止層と屈折型の画像アイコン集光素子配列との間の非平面の境界に沿った屈折率の差に応じて、光学スペーサ610は、1つ以上の画像アイコン配列を、屈折型の画像アイコン集光素子配列の焦点距離に位置付ける役割を果たす。
【0070】
図6A図6Eの非限定的な実施例に示されるように、本開示の特定の実施形態による微小光学セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列615を含み、画像アイコン配列615は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の下に(意図された視点に対して)配設され、これによって1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子605の一部は、1つ以上の画像アイコン配列615の一部の合成画像を投影するようになっている。特定の実施形態によれば、微小光学セキュリティデバイスは、2つ以上の画像アイコン配列(615a及び615b)を有する。特定の実施形態では、画像アイコン配列の各々は、特性色を有する特徴を含み、画像アイコン配列の各々は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列に対して、微小光学セキュリティデバイス内の深さまたは位置に配設され、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列605の波長に依存する有効焦点距離に関連付けられている。
【0071】
本開示による様々な実施形態では、ナノ粒子調整封止層を有する微小光学セキュリティデバイスは、機械可読セキュリティデバイス(Mr-SD)620をさらに備える。特定の実施形態では、Mr-SD 620は、磁気インクの層、または別の媒体を含み、これらは、紙幣機器メーカ(BEM:banknote equipment manufacturer)の機械などの独自のデバイスを通過したときに、厳重に保護された検証基準に対し特徴的な発光または応答スペクトルを提供する。
【0072】
様々な実施形態によれば、ナノ粒子調整封止層600を有する微小光学セキュリティデバイスは、50ミクロン以下のデバイス厚さを有する。本開示で使用される場合、「デバイス厚さ」という用語は、光が光学デバイスに入射する表面から、微小光学セキュリティデバイスと微小光学セキュリティデバイスが取り付けられている基板との間の界面を提供する(接着層とは反対側の)表面までの距離を包含する。
【0073】
図7A図7Eは、本開示の様々な実施形態による、ナノ粒子調整封止層を含まない微小光学セキュリティデバイスの構成の5つの実施例a.)~e.)を示す。特定の実施形態は、図7A図7Eの例示的な実施例に示される5つの実施形態を参照して説明されるが、本開示は、それに限定されず、微小光学セキュリティデバイスのさらなる構成が可能であり、本開示の想定される範囲内である。
【0074】
図7A図7Eの例示的な実施例に示されるように、本開示の特定の実施形態による微小光学セキュリティデバイスは、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列705を含むことができる。特定の実施形態によれば、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、異なる屈折率の領域間の1つ以上の非平面の境界を画定する構造のセットを含み、1つ以上の画像アイコン配列715内の画像アイコンに少なくとも1つの波長の光を集束する。いくつかの実施形態では、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列705内の屈折集光素子は、半径方向に対称である。特定の実施形態では、屈折集光素子は、軸方向に対称である(例えば、レンチキュラーアレイのレンチクル)。いくつかの実施形態では、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、2つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列(例えば、705a及び705b)を備える。特定の実施形態では、複数の屈折型の画像アイコン集光素子配列の使用は、内部反射、色収差、または他の不要な視覚効果のために望ましい場合がある。様々な実施形態によれば、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列705内の屈折集光素子は、30μm以上の直径を有する。様々な実施形態によれば、屈折集光素子は、有機樹脂及びナノ粒子を含む材料混合物から形成されており、それらは組み合わせて1.5を超える屈折率を有する。いくつかの実施形態によれば、材料混合物中の有機樹脂は、それ自体、1.5未満の屈折率を有する。特定の実施形態では、材料混合物中の有機樹脂は、1.4以下の屈折率を有する。
【0075】
本開示による様々な実施形態では、ナノ粒子調整封止層を省略する微小光学セキュリティデバイスは、光学スペーサ710を含む。いくつかの実施形態によれば、光学スペーサ710は、微小光学セキュリティデバイスの他の要素を形成するための材料が適用され、形成される材料のシート(例えば、ポリエステルフィルム)であり得る。いくつかの実施形態では、光学スペーサ710は、微小光学セキュリティデバイスの別の構成要素(例えば、屈折型の画像アイコン集光素子配列)と一体化される。特定の実施形態では、例えば、屈折型の画像アイコン集光素子配列と別の媒体(例えば空気)との間の非平面の境界に沿った屈折率の差に応じて、光学スペーサ710は、屈折型の画像アイコン集光素子配列の焦点距離に、1つ以上の画像アイコン配列を位置付ける役割を果たす。
【0076】
図7A図7Eの非限定的な実施例に示されるように、本開示の特定の実施形態による微小光学セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列715を含み、1つ以上の画像アイコン配列715は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の下に(意図された視点に対して)配設され、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子705の一部は、1つ以上の画像アイコン配列715の一部の合成画像を投影するようになっている。特定の実施形態によれば、微小光学セキュリティデバイスは、2つ以上の画像アイコン配列(715a及び715b)を有する。特定の実施形態では、画像アイコン配列の各々は、特性色を有する特徴を含み、画像アイコン配列の各々は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列に対して、微小光学セキュリティデバイス内の深さまたは位置に配設され、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列705の波長に依存する有効焦点距離に関連付けられている。
【0077】
本開示による様々な実施形態では、ナノ粒子調整封止層を含まない微小光学セキュリティデバイスは、機械可読セキュリティデバイス(Mr-SD)720をさらに備える。特定の実施形態では、Mr-SD 720は、磁気インクの層、または別の媒体を含み、これは、紙幣機器メーカ(BEM)の機械などの独自のデバイスを通過したときに、厳重に保護された検証基準に対し特徴的な発光または応答スペクトルを提供する。
【0078】
様々な実施形態によれば、ナノ粒子調整封止層を含まない微小光学セキュリティデバイスは、20~30ミクロンのデバイス厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子調整封止層を含まない微小光学セキュリティデバイスは、20ミクロン以下の厚さを有する。特定の実施形態によれば、ナノ粒子調整封止層を含まない微小光学セキュリティデバイスは、15ミクロン未満のデバイス厚さを有し得る。
【0079】
図8は、本開示の様々な実施形態による、第1の特性色に関連付けられた第1の画像アイコン配列の特性色、及び第2の特性色に関連付けられた第2の画像アイコン配列の特性色の組合せ(permutations)を含む合成画像800の実施例を示す。
【0080】
図8の非限定的な実施例を参照すると、微小光学セキュリティデバイス(例えば、図1の微小光学セキュリティデバイス100)によって提供される、第1の視野角において現れるような合成画像が、図に表される。特定の実施形態によれば、合成画像800を投影する微小光学セキュリティデバイスは、ナノ粒子で調整された屈折型の画像アイコン集光素子配列(例えば、図1Aの屈折型の画像アイコン集光素子配列120)を含み、集光素子の屈折率は、第1の特性色に関連付けられた画像アイコン配列(例えば、図1の画像アイコン配列110b)を含む第1の層に第1の波長の光を集束するように調整されている。この例示的な実施例では、第1の特性色は青色であるが、異なる第1の特性色を有する実施形態は可能であり、本開示の範囲内である。同様に、図8に示される合成画像を提供する微小光学セキュリティデバイスの集光素子の屈折率は、第2の特性色に関連付けられた第2の画像アイコン配列(例えば、図1の画像アイコン配列110a)を含む第2の層に第2の波長の光を集束させるようにも調整される。この例示的な実施例では、第2の特性色はマゼンタであるが、異なる第2の特性色を有する実施形態が可能であり、本開示の範囲内である。さらに、いくつかの実施形態によれば、合成画像800を投影する微小光学セキュリティデバイスの画像アイコン層は、画像アイコン間の実質的に無色である領域(例えば、画像アイコンを保持する構造を画定する透明材料の領域)を含む。
【0081】
図8に示されるように、第1の視野角において提供される合成画像800は、第1の特性色、第2の特性色、及び無色の領域から作られる濃淡(shades)、すなわち組合せ(permutations)を含む。例えば、合成画像800は、第1の特性色と同じ色合いの青色である、領域801を含む。同様に、合成画像800は、第1の特性色よりも明るい色合いの青色である、領域803を含む。さらに、合成画像800は、第2の特性色と同じ色合いのマゼンタである、領域805を含む。さらに、合成画像800は、第2の特性色よりも明るい色合いのマゼンタである、領域807を含む。さらに、合成画像800は、画像アイコン層内の特定の間隙領域と同様に、実質的に無色である、領域809を含む。加えて、合成画像800は、第1の特性色と第2の特性色の混合色に関連付けられた紫色の濃淡である、領域811を含む。
図8の非限定的な実施例に示されるように、合成画像800は、第2の特性色と、第1の特性色のより明るい色合い(例えば、領域803のより明るい色合いの青色)とに関連付けられた紫色の色合いである、領域813を含む。同様に、合成画像800は、第1の特性色のより明るい色合い(例えば、領域803のより明るい色合いの青色)と、第2の特性色のより明るい色合い(例えば、領域807のより明るい色合いのマゼンタ)とに関連付けられた紫色の濃淡である、領域815を含む。最後に、特定の実施形態では、合成画像800は、第1の特性色と、第2の特性色のより明るい色合い(例えば、領域807におけるより明るい色合いのマゼンタ)に関連付けられた紫色の濃淡である、領域817を含む。
【0082】
したがって、本開示による特定の実施形態は、2色のアイコン構造を採用することで、単一の集光素子が、アイコン構造及び集光素子を含む微小光学系によって提供される合成画像に対し、少なくとも9色を提供することを可能にするという予期しない結果を提供する。より全般的には、本開示による特定の実施形態では、第1の視野角の範囲にわたってセキュリティデバイスによって提供される合成画像は、2つの画像アイコン層内にある第1の特性色に関連付けられた画像アイコン及び第2の特性色に関連付けられた画像アイコンの位置を調整することによって、少なくとも9色を含むことができる。
【0083】
加えて、特定の実施形態では、2層以上の画像アイコン構造から光を投影する単一の集光素子によって提供される少なくとも9色を超えるさらなる色は、本開示の様々な実施形態に従って色出力が変調された複数の集光素子の出力を集約することによって達成され得る。非限定的な実施例として、100個の微小光学セルを含む微小光学セキュリティデバイス(例えば、微小光学セキュリティデバイス)の領域を考慮すると、各微小光学セルは、画像アイコン構造の2つの層内の画像アイコンの位置及び存在(position and presence)を調整することによって、少なくとも9色を出力することができる。本開示で使用される場合、「微小光学セル(micro-optic cell)」という用語は、本開示の図4に示されるような、単一の集光素子に対応する微小光学セキュリティデバイスの三次元部分を包含する。アイコン構造の2つの層で達成可能な少なくとも9色のうちの1色(例えば、図8の領域807におけるより明るい色合いのマゼンタ)を出力するように微小光学セルの第1の部分(例えば、3分の1)を構成すると共に、少なくとも9色のうちの別の色(例えば、図8の領域805に示されるマゼンタ)を出力するように微小光学セルの第2の部分を構成することにより、100個の微小光学セル領域は、その領域内の微小光学セルの第1の部分及び第2の部分によって出力される色の混合物である色の領域として現れることになる。したがって、特定の実施形態によれば、各微小光学セルによって出力される少なくとも9色のうち、異なる色を出力するセルを散在させることによって、微小光学セキュリティシステムによって提供される色を極めて細かく制御することが可能になる。
【0084】
図9A図9B、及び図9Cは、第1の特性色に関連付けられた第1の画像アイコン配列の特性色と、第2の特性色に関連付けられた第2の画像アイコン配列の特性色とのの組合せを含む合成画像を生成する態様を示す。
【0085】
図9A図9B、及び図9Cの非限定的な実施例を参照すると、ある特定の実施形態では、画像アイコンの特性色のセットの組合せは、画像アイコン層内にある画像アイコン及び無色の領域の焦点位置に対する画像アイコンの位置を調整することによって達成され得る。
【0086】
図9Aの非限定的な実施例を参照すると、微小光学セキュリティデバイス(例えば、図1の微小光学セキュリティデバイス100)の第1のサブセクション900が示される。特定の実施形態によれば、微小光学セキュリティデバイスは、封止層901(例えば、図1の封止層125)、集光素子903、905、及び907を含む複数の集光素子、及び光学スペーサ913(例えば、図1の光学スペーサ115)を含む。本開示によるいくつかの実施形態では、封止層901、集光素子903、905、及び907、または光学スペーサ913のうちの1つ以上は、その層の屈折率を調整するためにナノ粒子を含む高分子マトリックスから構築される。さらに、本開示によるいくつかの実施形態では、集光素子903、905、及び907のために選択されたレンズ形状(例えば、凸レンズまたは凹レンズ)に応じて、封止層901または集光素子903、905、及び907のうちの1つ以上は、低-RI材料、例えば、1.4未満のRIを有する材料、1.30から1.35の間のRIを有する材料、または1.3未満のRIを有する材料から構築される。特定の実施形態では、封止層901、集光素子903、905、及び907、または光学スペーサ913のうちの1つ以上は、その層の屈折率を調整するためのナノ粒子を含まない高分子マトリックスから構築される。
【0087】
図9Aの例示的な実施例に示されるように、微小光学セキュリティデバイスは、第1の層909内に配設された第1の特性色(この例示的な例では、青色であるが、他の色も可能であり、本開示の意図される範囲内である)に関連付けられた第1の画像アイコン配列をさらに備える。さらに、本開示によるいくつかの実施形態では、微小光学セキュリティデバイスは、第2の特性色(この例示的な実施例では、マゼンタであるが、他の色も可能であり、本開示の意図された範囲内であるに関連付けられた第2の画像アイコン配列を備える)。特定の実施形態によれば、第1の層909と第2の層911の画像アイコン間の空間は、実質的に無色の材料(例えば、着色顔料を含有しないポリマー)を含む。
【0088】
特定の実施形態によれば、第1の視野角において、集光素子903、905、及び907の各々は、それぞれ焦点915、917、及び919で収束する経路に沿って、微小光学セキュリティデバイスに入射する光を、第1の層909及び第2の層911内の領域に集束させる。同様に、光は、図に示されているのと同じ経路に沿って焦点915、917、及び919から微小光学セキュリティデバイスを出る。本開示の他の箇所で述べられているように、焦点915、917、及び919の各々に対する第1の視野角に関連付けられた方向で微小光学セキュリティデバイスに到達する光がとる経路(本明細書では「焦点経路」と呼ぶ)に対して、着色顔料含有の画像アイコンの位置を微妙に調整することで、第1の層909及び第2の層911の画像アイコンに使用される2つの特性色を超えて、微小光学系によって提供される合成画像に提供される色の配置を変更する(permute)ことができる。
【0089】
第1の実施例として、第1の特性色に関連付けられた画像アイコン921aと第2の特性色に関連付けられた画像アイコン921bがともに集光素子の同じ焦点経路上にあるとき、集光素子903によって提供される合成画像の成分は、第1の特性色と第2の特性色の混合物である色を有する。この非限定的な実施例では、第1の特性色(青色)を第2の特性色(マゼンタ)と混合することで、深い紫色923を生成する。
【0090】
第2の実施例として、第1の特性色に関連付けられた画像アイコン925aが集光素子の焦点経路からオフセットされ、第2の特性色に関連付けられた画像アイコン925bが焦点経路上にある場合、集光素子905によって提供される合成画像の成分は、第1の特性色、無色の領域、及び第2の特性色の混合物である色を有する。この非限定的な実施例では、画像アイコン925aを焦点経路に対してオフセットすることで、紫色のピンクがかった色合いである色927を生成する。なお、この非限定的な実施例では、第1の特性色の色927への寄与は、焦点経路からの画像アイコン925aのオフセットによって主に薄められるが、第2の特性色の寄与は実質的に影響を受けない。
【0091】
第3の実施例として、第1の特性色に関連付けられた画像アイコン929aが集光素子の焦点経路上に位置付けられ、第2の特性色に関連付けられた画像アイコン929bが集光素子の焦点経路からオフセットされるとき、集光素子907によって提供される合成画像の成分は、第1の特性色、第2の特性色、及び第2の層911の画像アイコン間の実質的に無色の領域の混合物である色931を有する。この特定の実施例では、色931は、紫色の青みがかった色合いを含む。なお、この例示的な実施例では、第1の特性色の寄与は実質的に影響を受けないが、第2の特性色の色931への寄与は、焦点経路からの画像アイコン929bのオフセットによって薄められている。
【0092】
図9Bは、本開示の様々な実施形態による、合成画像における特性色の限定されたセットの組合せを達成するさらなる説明的な実施例を提供する。
【0093】
図9Bの非限定的な実施例を参照すると、微小光学デバイスの第2のサブセクション991が図9Bに示される。参照の便宜上、第2のサブセクション991は、図9Aに示される第1のサブセクション900と同じ構造を利用する。この例示的な実施例に示されるように、第2のサブセクション991は、図9Aを参照して説明されるそれらの対応する実施形態と等価の構造である、封止層901、集光素子903、905、及び907、ならびに光学スペーサ913を含む。同様に、第2のサブセクション991は、図9Aにおけるそれらの対応する実施形態と同等である、第1の層909及び第2の層911を含む。
【0094】
特定の実施形態によれば、第1の特性色に関連付けられた画像アイコン933を集光素子の焦点経路からオフセットし、第2の層911に画像アイコンを提供しないことによって、集光素子903によって提供される合成画像の成分は、第1の特性色と第1の層909内の実質的に無色の材料との組み合わせである色935を有する。この特定の実施例では、色935は、第1の特性色のより明るい色合いであり、この実施例では、明るい色合いの青色を含む。
【0095】
本開示によるいくつかの実施形態では、集光素子905の焦点経路に近い画像アイコンを省略し、かつ画像アイコン937を焦点経路からオフセットすることによって、集光素子905によって提供される合成画像の成分は、第2の特性色と第2の層911内の実質的に無色の材料との組み合わせである色939を有する。この非限定的な実施例では、色939は、第2の特性色のより明るい色合いであり、この例示的な実施例では、明るい色合いのピンクを含む。
【0096】
本開示による様々な実施形態では、第1の特性色に関連付けられた画像アイコン941と画像アイコン941bの両方を、集光素子907の経路からオフセットすることによって、集光素子907によって提供される合成画像の成分は、第1の特性色、第2の特性色、及び第1の層909及び第2の層911内の実質的に無色の材料の組み合わせである色943を有する。この非限定的な実施例では、色943は、ラベンダー色を含む。
【0097】
図9Cの非限定的な実施例を参照すると、微小光学デバイスの第3のサブセクション993が、図9Cに示される。参照の便宜上、第3のサブセクション993は、図9Aに示される第1のサブセクション900と同じ構造を利用する。この例示的な実施例に示されるように、第3のサブセクション993は、封止層901、集光素子903、905、及び907、ならびに光学スペーサ913を含み、これらは、図9Aを参照して説明される対応する実施形態と等価な構造である。同様に、第3のサブセクション993は、図9Aにおけるそれらの対応する実施形態と同等である第1の層909及び第2の層911を含む。
【0098】
図9Cの非限定的な実施例を参照すると、特定の実施形態によれば、第1の特性色に関連付けられた画像アイコン945を集光素子903の焦点経路上に位置付けし、かつ第2の特性色に関連付けられた画像アイコンを、集光素子903の焦点経路上にまたはその焦点経路に近接して位置付けしないことによって、集光素子903によって部分的に投影された合成画像の成分の色947は、第1の特性色である。
【0099】
様々な実施形態によれば、第2の特性色に関連付けられた画像アイコン949を集光素子905の焦点経路上に位置付けし、第1の特性色に関連付けられた画像アイコンを、集光素子905の焦点経路上にまたはそれに近接して位置付けしないことによって、集光素子905の合成画像への寄与の色951は、第2の特性色である。
【0100】
同様に、本開示による様々な実施形態では、集光素子907の焦点経路上にまたは焦点経路に近接して、着色された画像アイコンを位置付けしないことによって、合成画像に対する集光素子907の寄与は、第1の層909と第2の層911の画像アイコン間の領域と同様に、実質的に無色である。
【0101】
図8及び図9A~9Cの実施例では、特性色の組合せ間での変調は、屈折集光素子を使用する微小光学系を参照して説明されてきたが、本開示による実施形態はそれに限定されず、上述の色変調効果は、反射集光素子(例えば、図1Cの微小光学セキュリティデバイス100)を使用するシステムでも生成され得る。付加的に、本開示による特定の実施形態は、セルが合成画像に提供する色の微小光学セルレベルの変調を、2層の画像アイコン構造を有するシステム及び2つの特性色に関連付けられた画像アイコンを参照して達成することについて説明しているが、本開示はこれに限定されない。2層を超える層を有する画像アイコン構造を含む実施形態、及び3つ以上の特性色に関連付けられた画像アイコンを有する実施形態は、本開示の意図される範囲内である。
【0102】
特定の実施形態によれば、アイコン要素のための特性色の有限のセットによって出力されるミクロレベルの色のさらなる粒度は、各特性色に関連付けられた画像アイコンのサイズを調整することによって達成され得る。なお、本開示で使用される場合、「ミクロレベル」という用語は、着色された基板が無い場合に単一の集光素子を通して観察される色を包含する。いくつかの実施形態によれば、特定の特性色に関連付けられた画像アイコンのサイズは、線アイコンの線幅を変更すること、部分的な画像アイコンを削除すること、または画像アイコン集光素子のフットプリント内の画像アイコンを2倍にすることのうちの1つ以上によって調整され得る。
【0103】
本開示によるいくつかの実施形態では、マクロレベルの色のさらなる粒度は、同様の画像アイコン構造を有する微小光学セルの間で、画像アイコンが画像アイコン集光素子の焦点経路内にあるかどうかの境界上にあり得、第1の特性色及び第2の特性色の組合せに関連付けられた色間の中間色を示す領域を生じ得るように、視野角の微妙な変動に応答して大きくなり得る。なお、本開示で使用される場合、「マクロレベル」という用語は、複数の微小光学セルを一度に見るときに観察される色を包含する。図8の領域819は、微小光学セキュリティデバイスの複数の微小光学セルを同時に見るときに観察される色におけるマクロレベルの粒度の非限定的な実施例を提供する。図8に示されるように、領域819では、2つの色合いの間に、特性色の複数の濃淡を含む視認可能な色のグラデーション(鋭い境界ではなく)が観察され得る。
【0104】
図10A及び図10Bは、本開示の特定の実施形態による、微小光学セキュリティデバイスの実施例を示す。
【0105】
図10Aの非限定的な実施例を参照すると、微小光学デバイス1000の例が図示されている。特定の実施形態によれば、微小光学デバイス1000は、封止層1005、屈折集光素子配列1010、光学スペーサ1015、及び複数の画像アイコン1025を含む画像アイコン層1020を含む。
【0106】
特定の実施形態によれば、微小光学デバイス1000は、様々な合成画像を投影することができるデバイスを備え、投影される合成画像は、これに限定されるものではないが、微小光学デバイス1000の平面の上方及び/または下方に見える画像アイコン層1020内のコンテンツの、色ずれ効果(color shift effects)、光学可変効果(optically variable effects)、及び合成的に拡大された画像を含む。
図10Aの例示的な実施例に示されるように、封止層1005は、屈折集光素子配列1010を形成するために使用される材料よりも高い屈折率を有する材料から形成される。いくつかの実施形態では、封止層1005は、分散されたナノジルコニアのナノ粒子を有する芳香族官能基を有するアクリレートなどの高屈折材料から形成される。1つの非限定的な実施例として、封止層1005は、特定の実施形態において、約1.6の屈折率を有し、封止層1005は、二酸化ジルコニウムアクリレートモノマー混合物の液体ブレンド、ビスフェノールフルオレンジアクリレート及びO-フェニルフェノールエチルアクリレートのブレンド、ならびに好適な光開始剤を含むUV硬化層として形成される。
【0107】
様々な実施形態によれば、屈折集光素子配列1010は、1.5以下の屈折率を有する材料から形成される。レンズメーカの方程式を適用すると、所与のレンズ半径について、封止層1005を形成する材料と屈折集光素子配列1010を構成する材料との間の屈折率の差を増加させることによって、微小光学デバイス1000の全体的な厚さを低減することができる。いくつかの実施形態では、上述の2つの材料間の屈折率の差は、0.1より大きい。特定の実施形態では、封止層1005を形成するために使用される材料と、屈折集光素子配列1010との間の屈折率の差は、0.1~0.15であり、いくつかの実施形態では、屈折率の差は、0.16~0.20である。様々な実施形態では、屈折率の差は、0.21~0.25であり、いくつかの実施形態では、屈折率の差は、0.26以上である。
【0108】
例示的な実施例として、少なくとも1つの実施形態では、屈折集光素子配列1010は、約1.35の屈折率を有するUV硬化型のフッ素化アクリル材料ブレンドの層、例えば、1つ以上のフルオロウレタンアクリレート及び好適な光開始剤を含む混合物から形成される。微小光学デバイス1000における低-RI材料としての使用に好適な化合物を限定するものではないが、フッ素化アクリル材料は、低粘着性、他のアクリル材料への良好な接着性、土壌及び化学的耐性(soil and chemical resistance)、ならびに製造中に層の変形または過度の粘着性を回避するのに十分に高いガラス転移温度を含むが、これらに限定されない、特定の製造上の利点を提示する。屈折集光素子配列に好適な材料のさらなる例としては、限定されるものではないが、シリコーンアクリレート及びシリコーンメタクリレートが挙げられる。
【0109】
図10Aの非限定的な実施例に示されるように、微小光学デバイス1000は、光学スペーサ1015(例えば、図1Aの光学スペーサ115)を含む。特定の実施形態によれば、光学スペーサ1015は、75ゲージのポリエチレンテレフタレート(PET)などの薄い断面の実質的に透明なフィルムから形成される。様々な実施形態によれば、微小光学デバイス1000は、画像アイコン層1020(例えば、図6A図6Eの画像アイコン層615)を含む。特定の実施形態では、画像アイコン層615は、キャスト及び硬化された保持構造のセットを含み、この保持構造は、その後、1つ以上の特性色のUV硬化性材料で満たされ、UV硬化性材料は、複数の画像アイコン(例えば、画像アイコン1025)を形成するように硬化される。
【0110】
熟練した技術者は、微小光学デバイス1000の実施形態の全体的な厚みは、システムによって生成される視覚効果、所望のレンズサイズ、及び画像アイコン層の数を含む、一連の用途固有の変数に依存し得ることを理解するであろう。しかしながら、封止層と集光素子との間の屈折率の差は、単一の画像アイコン層で様々な光学効果(これに限定されないが、色の変化、多方向効果、またはオルソパララックス(視差)による動き効果を含む)を有する合成画像を投影することができる完全に封止された球面レンズを有するデバイスにおいて、約30ミクロンの全体的な厚さを有することが可能である。
【0111】
図10Aの例示的な実施例では、微小光学セキュリティデバイス1000は、封止層1005が屈折集光素子配列1010よりも高い屈折率を有する材料を含む構成を参照して説明されてきたが、本開示による実施形態はこれに限定されない。
【0112】
図10Bは、封止層1005及び屈折集光素子配列1010において、高-RI材料と低-RI材料との相対的な位置が逆になっている微小光学セキュリティデバイス1050の実施例を示す。相互参照の便宜上、図10Aの微小光学セキュリティデバイス1000と共通する微小光学セキュリティデバイス1050の構造要素には、同様の番号が付けられている。
【0113】
いくつかの実施形態では、封止層が低-RI材料から形成されるように、封止層と集光素子との間の屈折率の差を逆転させることができる。そのような実施形態では、集光素子の形状は、同様に、図10Bに示されるように、凹レンズから凸レンズに切り替わる。加えて、特定の実施形態では、屈折集光素子配列1010は、集光素子の湾曲した(すなわち、凹面または凸面の)レンズ面と光学スペーサ1015との間の遷移領域1030を備える。特定の実施形態によれば、屈折集光素子配列1010を通して最小の厚さを確保する遷移領域1030の存在は、屈折集光素子配列1010の個々の集光素子が「飛び出す(popping off)」、またはそうでなければシステム全体から分離する可能性を減少させることによって、微小光学系1050の構造的完全性を改善する。
【0114】
同様に、図10Aの例示的な実施例では、微小光学デバイス1000は、単一の層のアイコン構造を有する実施形態を参照して説明されてきたが、本開示による実施形態は、そのように限定されない。特定の実施形態では、微小光学デバイスは、多層アイコン構造を有する(例えば、本明細書の図9A図9Cを参照して示されるように)。
【0115】
本開示の特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、1つ以上の画像アイコン配列と、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列と、封止層と、を含むセキュリティデバイスであり、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設され、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、非平面の境界に沿って封止層に接触する。
【0116】
本開示の特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列のうちの少なくとも1つと封止層とが、第1の屈折率を有する有機樹脂とナノ粒子との混合物を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0117】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、屈折型の画像アイコン集光素子配列の少なくとも1つと封止層とが、第2の屈折率を有する低屈折率材料を含み、第1の屈折率と第2の屈折率との間の差が0.1以上の大きさを有する、セキュリティデバイスを含む。
【0118】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、低屈折率材料が1.3~1.4の間の屈折率を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0119】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、低屈折率材料が1.3未満の屈折率を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0120】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、低屈折率材料がフッ素化アクリレートまたはフッ素化ウレタンアクリレートを含む、セキュリティデバイスを含む。
【0121】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、低屈折率材料がパーフルオロポリエーテル化合物を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0122】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、ナノ粒子の混合物が、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、またはテルル化亜鉛のナノ粒子のうちの1つ以上を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0123】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、有機樹脂がアクリレートモノマーを含む、セキュリティデバイスを含む。
【0124】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、有機樹脂がアクリレートオリゴマーを含む、セキュリティデバイスを含む。
【0125】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、有機樹脂が、フェノキシベンジルアクリレート、O-フェニルフェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ビス-フェニルチオエチルアクリレート、クミンフェノキシエチルアクリレート、ビフェニルメチルアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、フルオレン型アクリレート、臭素化アクリレート、ハロゲン化アクリレート、またはメラミンアクリレートのうちの1つ以上を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0126】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、有機樹脂が、イソデシルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、またはヘキサンジオールジアクリレートのうちの1つ以上を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0127】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、有機樹脂が偏光元素を含まない、セキュリティデバイスを含む。
【0128】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、封止層を含まないセキュリティデバイスを含む。
【0129】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、封止層が1.5以上の屈折率を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0130】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、封止層が1.6以上の屈折率を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0131】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、屈折型の画像アイコン集光素子配列が、屈折型の画像アイコン集光素子配列のレンズ面とスペーサ層との間の遷移領域を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0132】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列内の屈折型の画像アイコン集光素子が30ミクロンを超える直径を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0133】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列内の屈折型の画像アイコン集光素子が30ミクロン未満の直径を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0134】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、屈折型の画像アイコン集光素子配列と画像アイコン配列との間に配設されたスペーサ層を備えるセキュリティデバイスを含み、スペーサ層はナノ粒子を含む。
【0135】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、屈折型の画像アイコン集光素子配列と一体化されたスペーサ層を備える、セキュリティデバイスを含む。
【0136】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、1つ以上の非平面の境界に沿って接触する2つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列を備える、セキュリティデバイスを含む。
【0137】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、セキュリティデバイスが50ミクロン以下の厚さを有する、セキュリティデバイスを含む。
【0138】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、セキュリティデバイスが20ミクロン以下の厚さを有する、セキュリティデバイスを含む。
【0139】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、セキュリティデバイスが15ミクロン以下の厚さを有する、セキュリティデバイスを含む。
【0140】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、機械可読セキュリティデバイス(Mr-SD)を備える、セキュリティデバイスを含む。
【0141】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、2つ以上の画像アイコン配列を備えるセキュリティデバイスであって、画像アイコン配列の各々は、画像アイコン配列に関連付けられた特性色を有する特徴を含み、画像アイコン配列の各々は、波長依存的な焦点距離に関連付けられた1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列に対して相対的な深さで配設されており、波長依存的な焦点距離が、画像アイコン配列に関連付けられた特性色に関連付けられている、セキュリティデバイスを含む。
【0142】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、合成画像が、異なる速度で移動する1つ以上の特性色の濃淡を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0143】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、1つ以上の画像アイコン配列と、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列とを備えるセキュリティデバイスであって、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、有機樹脂とナノ粒子との混合物を含み、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設され、これによって、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部は、1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影し、有機樹脂とナノ粒子との混合物は、1.5を超える屈折率を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0144】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、有機樹脂が1.5未満の屈折率を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0145】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、有機樹脂とナノ粒子との混合物が1.6を超える屈折率を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0146】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、有機樹脂とナノ粒子との混合物が1.7を超える屈折率を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0147】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティ文書の実施例は、本開示の実施形態による1つ以上のセキュリティデバイスに取り付けられた基板を含む。
【0148】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、合成画像が第3の色の領域を備え、第3の色が第1の特性色または第2の特性色のうちの少なくとも1つの組合せ(permutation)を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0149】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、第1の範囲の視野角にわたってセキュリティデバイスによって提供される合成画像が、少なくとも9つの色を含み、少なくとも9つの色が、第1の特性色及び第2の特性色の組合せ(permutation)を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0150】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、画像アイコン集光素子配列の各画像アイコン集光素子が、焦点経路に関連付けられている画像アイコン集光素子と、第1の特性色に関連付けられた1つ以上の画像アイコン、第2の特性色に関連付けられた1つ以上の画像アイコン、及びある体積の実質的に無色の材料を含む画像アイコン間の1つ以上の領域を含む画像アイコン層と、を含み、所与の視野角について、色が、各画像アイコン集光素子を通して視認可能であり、第1の視野角において各画像アイコン集光素子を通して視認可能な色が、第1の特性色、第2の特性色、または実質的に無色の材料のうちの1つ以上に基づいている、セキュリティデバイスを含む。
【0151】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、着色された基板の不在下において、画像アイコン集光素子の焦点経路上に配設または前記焦点経路からオフセットされた前記画像アイコンが無い場合に、第1の視野角において画像アイコン集光素子を通して視認可能な色が、ある体積の実質的に無色の材料に関連付けられた白色である、セキュリティデバイスを含む。
【0152】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、着色された基板の不在下において、第1の特性色に関連付けられた画像アイコンが画像アイコン集光素子の焦点経路からオフセットされるときに、第1の視野角において画像アイコン集光素子を通して視認可能な色が、第1の特性色の明るい色合いに関連付けられた成分を有し、着色された基板の不在下において、第2の特性色に関連付けられた画像アイコンが画像アイコン集光素子の焦点経路からオフセットされるときに、第1の視野角において画像アイコン集光素子を通して視認可能な色が、第2の特性色の明るい色合いに関連付けられた成分を有する、セキュリティデバイスを含む。
【0153】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、着色された基板の不在下において、前記画像アイコン集光素子を通して視認可能な前記色が、前記第1の特性色及び前記第2の特性色の9つの組合せの群からの組合せを含み、前記9つの組合せの群が、
画像アイコン集光素子の焦点経路に配設された第1の特性色に関連付けられた画像アイコンと、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設または焦点経路からオフセットされた第2の特性色に関連付けられた画像アイコンの不在と、に関連付けられた第1の色(947)と、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設された第2の特性色に関連付けられた画像アイコンと、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設または焦点経路からオフセットされた第1の特性色に関連付けられた画像アイコンの不在と、に関連付けられた第2の色(951)と、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設または焦点経路からオフセットされた任意の画像アイコンの不在に関連付けられた実質的に無色の材料に関連付けられた白色を含む第3の色と、画像アイコン集光素子の焦点経路からオフセットされた第1の特性色に関連付けられた画像アイコンと、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設または焦点経路からオフセットされた第2の特性色に関連付けられた画像アイコンの不在と、に関連付けられた第4の色(935)と、画像アイコン集光素子の焦点経路からオフセットされた第2の特性色に関連付けられた画像アイコンと、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設または焦点経路からオフセットされた第1の特性色に関連付けられた画像アイコンの不在と、に関連付けられた第5の色(939)と、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設された第1の特性色に関連付けられた画像アイコンと、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設された第2の特性色に関連付けられた画像アイコンと、に関連付けられた第6の色(923)と、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設された第1の特性色に関連付けられた画像アイコンと、画像アイコン集光素子の焦点経路からオフセットされた第2の特性色に関連付けられた画像アイコンと、に関連付けられた第7の色(931)と、画像アイコン集光素子の焦点経路に配設された第2の特性色に関連付けられた画像アイコンと、画像アイコン集光素子の焦点経路からオフセットされた第1の特性色に関連付けられた画像アイコンと、に関連付けられた第8の色(927)と、画像アイコン集光素子の焦点経路からオフセットされた第1の特性色に関連付けられた画像アイコンと、画像アイコン集光素子の焦点経路からオフセットされた第2の特性色に関連付けられた画像アイコンと、に関連付けられた第9の色(943)と、を含む、セキュリティデバイスを含む。
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、第1の特性色に関連付けられた第1の画像アイコン、及び第2の特性色に関連付けられた第2の画像アイコンを備えるセキュリティデバイスであって、着色された基板の不在下で、第2の画像アイコンのサイズに対する第1の画像アイコンのサイズの比率が、画像アイコン集光素子を通して視認可能な色が、第1の特性色及び第2の特性色の9つの組合せのうちの1つではない、第10の色を含むような比率である、セキュリティデバイスを含む。
【0154】
本開示のいくつかの実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、屈折型の画像アイコン集光素子または反射型の画像アイコン集光素子のうちの1つ以上を備える、セキュリティデバイスを含む。
【0155】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティデバイスの実施例は、画像アイコン集光素子が有機樹脂とナノ粒子との混合物を含む、セキュリティデバイスを含む。
【0156】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティ文書の実施例は、基板及び基板に取り付けられたセキュリティデバイスを備えるセキュリティ文書を含む。いくつかの実施形態では、セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列、及び有機樹脂及びナノ粒子を含む封止層を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部分が、1つ以上の画像アイコン配列の一部分の合成画像を形成するように、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設される。いくつかの実施形態では、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、非平面の境界に沿って封止層に接触する。
【0157】
本開示の様々な実施形態によるセキュリティ文書の実施例は、基板及び基板に取り付けられたセキュリティデバイスを備えるセキュリティ文書を含む。いくつかの実施形態では、セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列及び1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列を含み、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、有機樹脂とナノ粒子との混合物を含む。特定の実施形態では、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部分が、1つ以上の画像アイコン配列の一部分の合成画像を形成するように、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設される。いくつかの実施形態では、有機樹脂とナノ粒子との混合物は、1.5を超える屈折率を有する。
【0158】
本開示のある特定の実施形態によるセキュリティ文書の実施例は、基板と、基板に取り付けられたセキュリティデバイスとを備えるセキュリティ文書を含む。いくつかの実施形態では、セキュリティデバイスは、1つ以上の画像アイコン配列、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列、及び1つ以上の画像アイコン配列と1つ以上の屈折型の画像アイコン配列との間に配設されたスペーサ層を備え、スペーサ層は、有機樹脂とナノ粒子との混合物を含む。特定の実施形態では、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部分が、1つ以上の画像アイコン配列の一部分の合成画像を形成するように、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列は、1つ以上の画像アイコン配列の上に配設される。いくつかの実施形態では、有機樹脂とナノ粒子との混合物は、1.5を超える屈折率を有する。
【0159】
本出願における説明のいずれも、任意の特定の要素、ステップ、または機能が特許請求の範囲に含まれなければならない必須要素であることを暗示するものとして解釈されるべきではない。特許された主題の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。さらに、特許請求の範囲のいずれも、「のための手段(means for)」の正確な単語の後に分詞が続かない限り、米国特許法第112条(f)を援用することを意図しない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
【国際調査報告】