(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(54)【発明の名称】液体を収容するための試料管を閉じる閉鎖キャップ
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20220711BHJP
B65D 51/00 20060101ALI20220711BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20220711BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G01N1/28 J
B65D51/00 100
G01N1/10 H
A61J1/05 313N
A61J1/05 315B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021568156
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020066578
(87)【国際公開番号】W WO2020260066
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】102019117240.3
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597154612
【氏名又は名称】ザルシュテット アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Sarstedt AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Sarstedtstrasse 1, 51588 Nuembrecht, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヴァインシュトック
【テーマコード(参考)】
2G052
3E084
4C047
【Fターム(参考)】
2G052AA30
2G052AD29
2G052AD46
2G052AD52
2G052DA02
2G052DA12
2G052DA13
2G052ED17
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB10
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084FB01
3E084FC01
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB12
3E084HA10
3E084HB10
3E084HD01
3E084KB01
4C047AA06
4C047CC01
4C047DD02
4C047DD04
(57)【要約】
本発明は、液体、特に血液を収容するための試料管を閉鎖する閉鎖キャップであって、薄膜と、逆止弁により閉鎖可能である開口を備えた底部とにより画定される中空室を有している。閉鎖キャップにより閉じられた試料管の遠心分離時に開いた開口を通って閉鎖キャップから試料管内に流出する液体の体積を減じるために、閉鎖キャップの中空室は、隔壁を有している。この隔壁は、中空室を第1の部分室と第2の部分室とに細分化する。第2の部分室のみが、開口の上に形成されているので、第2の部分室内の液体体積だけが、試料管内に流出することができる。さらに、特に本発明に係る閉鎖キャップを有する採血管と、採血管の取扱い方法とが特許請求されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(300)を収容するための試料管(200)を閉じる閉鎖キャップ(100)であって、
-カニューレ(400)により突刺し可能な薄膜(110)と、
-前記薄膜の下側に配置され、開口(121)を備えた底部(120)であって、前記薄膜(110)と前記底部(120)との間に、前記液体(300)を収容するための中空室(130)が形成されている、底部(120)と、
前記底部(120)に設けられた前記開口(121)を開放する逆止弁(160)であって、前記中空室(130)から前記試料管(200)内へと前記液体(300)を流出させ、かつ前記試料管(200)から前記中空室(130)内への前記液体(300)の流れ方向のために前記開口(121)を閉鎖するための逆止弁(160)と
を有している閉鎖キャップ(100)において、
前記中空室(130)が、該中空室を第1の部分室(131)と第2の部分室(132)とに分割する隔壁(150)を有しており、
前記第1の部分室(131)が、前記底部(120)の領域にわたって前記開口(121)なしに形成されており、
前記第2の部分室(132)が、前記底部(120)に設けられた前記開口(121)の上に形成されており、
前記第1の部分室(131)と前記第2の部分室(132)とが、前記底部(120)の上側で送流体式に互いに連通するように形成されていることを特徴とする、閉鎖キャップ(100)。
【請求項2】
前記第1の部分室(131)が、前記第2の部分室(132)よりも大きく形成されている、請求項1記載の閉鎖キャップ(100)。
【請求項3】
前記隔壁(150)の、前記薄膜(110)に面した端部が、前記第1の部分室(131)と前記第2の部分室(132)との間の送流体式の連通を可能にするために、オーバフローエッジ(151)および/またはパーフォレーション(152)を有している、請求項1または2記載の閉鎖キャップ(100)。
【請求項4】
前記隔壁(150)が、前記中空室(130)の前記底部(120)から、前記中空室(130)内へと延びている、請求項1から3までのいずれか1項記載の閉鎖キャップ(100)。
【請求項5】
閉鎖可能な端部(210)を備えた、液体(300)を収容するための試料管(200)と、
前記閉鎖可能な端部(210)で前記試料管を閉じる閉鎖キャップ(100)と
を有する採血管(500)であって、
前記閉鎖キャップ(100)が、請求項1から4までのいずれか1項に記載されているように形成されていることを特徴とする、採血管(500)。
【請求項6】
請求項5記載の採血管(500)の取扱い方法であって、以下のステップ、すなわち、
-試料管(200)を、閉鎖可能な端部(210)において請求項1から4までのいずれか1項記載の閉鎖キャップ(100)により閉じるステップと、
-前記閉鎖キャップ(100)に設けられた薄膜(110)をカニューレ(400)の一方の端部で突き刺すステップと、
-前記カニューレ(400)の他方の端部により体から液体(300)を採取するステップであって、前記液体(300)は、前記カニューレ(400)および前記薄膜(110)を通って前記閉鎖キャップ(100)の中空室(130)内に流れ、次いで逆止弁(160)により流れ方向で開放した、前記閉鎖キャップ(100)の前記底部(120)に設けられた開口(121)を通って前記試料管内へと流入し、該試料管を充填する、ステップと、
-前記薄膜(110)から前記カニューレ(400)を除去するステップであって、次いで前記薄膜(110)が再び自動的に閉じる、ステップと、
-前記液体(300)を重い成分とより軽い成分とに分離するために前記採血管(500)を遠心分離するステップであって、前記逆止弁(160)が、前記閉鎖キャップ(100)の前記底部(120)に設けられた前記開口(121)を遠心力によって開放することにより、前記液体(300)が前記中空室(130)から前記試料管(200)内へと流れる、ステップとを有する、取扱い方法において、
前記液体(300)の採取時に、流体ガイド式に互いに連通するように接続されている、前記中空室(130)の少なくとも前記第2の部分室(132)、好適には前記第1の部分室(131)および前記第2の部分室(132)を、前記液体(300)で充填し、
前記遠心分離時に、前記底部(120)に前記開口(121)が形成されている前記第2の部分室(132)からの液体(300)のみが、前記試料管(200)内に流出することを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記液体が、前記体からの採取時に、好適にはまず前記閉鎖キャップ(100)の前記第1の部分室(131)内に流れ、該第1の部分室(131)を充填し、その後にオーバフロー(151)を介して、かつ/またはパーフォレーション(152)を通って前記第2の部分室(132)内に流入する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記試料管(200)には、前記閉鎖キャップ(100)によって閉じる前に、血液のための製剤が設けられている、請求項6または7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、特に人間または動物の体液、特に血液を収容するための試料管を閉じる閉鎖キャップに関する。さらに、特に本発明に係る閉鎖キャップを有する採血管と、採血管の取扱い方法とが特許請求される。
【0002】
先行技術
体から液体の試料を採取する、試料管および閉鎖キャップから成る採血管における主な要求は、この採血管を密に閉じ、試料の汚染を回避することである。
【0003】
国際公開第2017/162574号および特開2005-287955号公報から、試料管用の閉鎖キャップが基本的に公知である。閉鎖キャップは、試料管に向いた側で逆止弁を有している。反対に位置する側は、薄膜により閉じられている。この薄膜はカニューレにより突き刺すことができる。逆止弁と薄膜との間には、中空室が形成されている。カニューレによって、たとえば人間または動物の体から液体が採取される。体からの液体は、カニューレを通じて閉鎖キャップの中空室内へ、次いで開かれた逆止弁を通って試料管内へと流入する。カニューレが、閉鎖キャップから引き出されると、薄膜は自動的に閉じる。逆止弁の対応する構成により、試料管が液体の流出に対して確実に閉じられていることが保証される。それぞれ試料管の軸線方向における遠心力の作用下で開く逆止弁のための種々異なる実施形態が開示される。
【0004】
体からの液体、特に血液を後の分析に提供するためには、血液を軽い成分と重い成分とに分離することが通常かつ必要である。このことは、一般的には採血管内での液体の遠心分離によって行われる。
【0005】
試料採取前、つまり液体で採血管を充填する前に、通常は、製造社サイドで、抗凝血剤または凝固促進剤(以下で両方とも製剤と呼ぶ)が試料管内に導入される。採血管内で、製剤が流入する液体と混ざる。製剤は、血液成分が後の分析のために所望の凝固状態または非凝固状態で提供されることを確実にする。
【0006】
所望の凝固状態を達成するために、液体と製剤との予め規定された比を守ることが重要である。
【0007】
上述の先行技術において提案された実施形態では、試料採取後に、比較的大きな残量の液体が閉鎖キャップの中空室内にある。
【0008】
遠心分離機における試料の典型的な調製により、遠心力が軸線方向で組み込まれた逆止弁に作用し、これにより、逆止弁が開放させられる。閉鎖キャップの中空室内に含まれる比較的大きな量の液体は、試料管内に到達し、この試料管内で、それまでに凝固させられた溶血性の血液を有する繊細な試料を汚染する。これにより、後の分析の結果に不都合な影響を与えてしまう。
【0009】
たとえば気送管装置内で生じ得る搬送工程によっても、採血に由来する、弁の手前に保持された残液による液体の汚染の恐れが生じる。
【0010】
発明の課題
本発明の根底にある課題は、試料管を閉じる公知の閉鎖キャップ、公知の採血管ならびに公知の採血管の取扱い方法を改良して、液体、特に血液の後の分析時に悪影響をもたらさないか、もしくは分析の結果を狂わせないように、採血管の遠心分離時に採血管の閉鎖キャップから採血管の試料管内へと流出する液体の体積を減じ、かつ制限することである。
【0011】
本発明
この課題は、特許請求項の対象物1によって解決される。この対象物は、中空室が、中空室を第1の部分室と第2の部分室とに分割する隔壁を有しており、第1の部分室が、底部の領域にわたって開口なしに形成されており、第2の部分室が、底部に設けられた開口上に形成されており、第1の部分室と第2の部分室とが、底部の上方で送流体式に互いに連通するように形成されていることを特徴とする。
【0012】
閉鎖キャップ内の中空室は、本発明によれば、少なくとも2つの部分室に細分化されている。したがって、これらの部分室のうちの各個別の部分室の容積は、本来の中空室全体の容積よりも小さい。本発明によれば、第2の部分室のみが開口上に形成されているので、第2の部分室からの液体量のみが採血管の遠心分離時に試料管内に流出することができる。これにより、本発明によれば、閉鎖キャップの中空室全体内にある液体体積の一部だけが試料管内に流出することができることが確保されている。その限りでは、試料管内に流出する液体体積は、閉鎖キャップの中空室内に封入された全液体体積に対して有利に減じられている。
【0013】
定義
液体:人間または動物の体から採取することができる液体、好適には血液。
製剤:たとえば試料管内で液体の所望の凝固特性を調整する、定義された量の作用物質(抗凝血剤または凝固促進剤)。
逆止弁:本発明の枠内で、一体的な閉鎖エレメントとしても形成されていてよい。
【0014】
第2の部分室の容積と、これに対応する、本発明によりまだ試料管内に流出する体液もしくは血液の残量とは、試料管内における製剤に対する体液の比への、この残量による不都合な影響が無視できるほど小さいように小さく設定されており、特に、残量は、採取された(血液)試料の後の分析が著しい歪曲なしに可能であるように小さい。
【0015】
第1の実施例によれば、第1の中空室の容積は、第2の中空室の容積よりも大きい。したがって、第2の部分室は、第1の部分室よりも小さい。大小の2つの部分室は、中空室全体の少なくとも1つの部分容積を一緒に形成する。より大きな部分室という用語は、より大きな部分室自体がより小さな複数のチャンバにさらに細分化されていて、これらのチャンバの個別の容積が、より小さな部分室の容積よりもさらに小さくてもよいことを排除しない。しかし、これらのチャンバのいずれも、それぞれの底部に開口を有していない。
【0016】
請求項3または4記載の構成によれば、隔壁は、好適にはより大きな第2の部分室と好適にはより小さな第1の部分室との間の送流体式の連通を可能にするために、この隔壁の薄膜に面した端部がオーバフローエッジおよび/またはパーフォレーションを有しているように構成されている。この場合、隔壁は、中空室の底部から中空室内へと延びている。
【0017】
上述の課題はさらに、請求項5に記載の採血管によって解決される。この採血管は、液体を収容するために閉鎖可能な端部を備えた試料管と、閉鎖可能な端部において試料管を閉じる閉鎖キャップとを有している。閉鎖キャップは、先行する請求項1から4までのいずれか1項に記載されているように構成されている。
【0018】
上述の課題はさらに、請求項5記載の採血管の取扱い方法によって解決される。この方法の利点は、特許請求された閉鎖キャップに関連して上記で挙げた利点に一致する。
【0019】
明細書には以下に6つの図面が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】オーバフローエッジもしくはパーフォレーションを備えた、
図2に示した閉鎖キャップの詳細を示す図である。
【
図4】a~dは、閉鎖キャップの充填工程を時系列で示す図である。
【
図5】結合された試料管を備えた閉鎖キャップを示す図である。
【0021】
本発明を以下に上述の図面を参照しながら実施例の形態で詳細に説明する。全ての図面において、同一の技術的な要素は同一の参照符号で示されている。
【0022】
図面の説明
図1は、人間または動物の体からの液体300を収容するための、閉鎖キャップ100および試料管200から成る採血管500を図示している。
【0023】
閉鎖キャップ100は、好適には試料管200に閉鎖キャップ100を結合するための、もしくは試料管200を閉じるための結合部分140を有している。結合部分140は、ねじ式、バヨネット式または差込み式結合部として構成されていてよい。この結合部は、要求に対応して液密および/または気密に構成されていなければならない。このためには、場合によっては、付加的なシール手段を使用することが必要となり得る。結合部分は、たとえば閉鎖キャップが単に試料管上に被せ嵌められる場合、場合によっては不要であることもある。
【0024】
図2は、液体300により通流されている、試料管200を閉じる閉鎖キャップ100の図を示している。閉鎖キャップ100内には、中空室130が形成されている。この中空室130は、薄膜110および底部120により画定される。底部には開口121が形成されている。この開口121は、逆止弁160により開閉することができる。逆止弁160は、液体300を閉鎖キャップ100の中空室130から試料管200内へと流せるが、反対方向を遮断するように、構成されている。
【0025】
薄膜110は、カニューレ400により突刺し可能である。カニューレ400は、閉鎖キャップ100と、液体が採取される体との間の送流体式の接続を形成し、液体300を閉鎖キャップ100の中空室130内へとガイドする。中空室130は、隔壁150によって、大小2つの部分室のうち好適にはより大きな第1の部分室131と、好適にはより小さな第2の部分室132とに細分化される。より大きな部分室131は、その底部120において開口121を有していない。より小さな部分室132は、底部120に設けられた開口121上に形成されている。より小さな部分室の容積は、たとえば、0~70μl(マイクロリットル)の範囲にある。
【0026】
隔壁150の構成は、両方の部分室131,132の間で通流可能な面積が生じるようになっている。通流可能な面積は、隔壁150のオーバフローエッジ151と隔壁150の上に位置する薄膜110との間の間隙および/または隔壁150に設けられたパーフォレーション152(
図3)により生じるものであってよい。通流可能な面積は、試料採取時に十分な液体流が保証されているように大きく形成されていてよい。これにより、両部分室131/132は、送流体式に互いに連通するように接続されている。隔壁150は、好適には、閉鎖キャップの底部120を起点として薄膜110の方向へと延びている。
【0027】
図2に示したベクトル矢印は、両部分室131/132および開かれた閉鎖要素161を通じた試料管200内への液体300の流れ方向を示唆している。
【0028】
本発明に係る取扱い方法を、以下に
図2~
図5につき説明する。閉鎖キャップ100により、試料管200の閉鎖可能な端部210が閉鎖される。閉鎖前に、製剤を試料管200内に入れることができる。製剤の任意の装入および/または採血管の必要となる閉鎖は、製造者サイドで行うことができる。このように組み立てられた採血管500には、液体300を充填することができる。
【0029】
このためには、体にたとえばカニューレ400が穿刺される。カニューレ400の一方の側は、体内に刺され、他方の側は閉鎖キャップ100内の薄膜110を突き刺す(
図4aを参照)。
【0030】
液体300は、試料管内の陰圧によって、体からカニューレ400を通じて閉鎖キャップ100の中空室130内に流入する。採血管の構造に応じて、試料管内の陰圧は既に製造者側で試料管内に導入される。たとえば真空原理や吸引原理のような別の採血技術も可能である。この場合、試料管内での圧力形成に対するユーザーによる干渉が必要である。
【0031】
体内の静脈を穿刺する前に、試料管のプランジャもしくはピストンが手動で後方の係止位置に引き込まれた場合、これにより採血管内の真空状態は、採血の直前に必要に応じてようやく構築され、その後に、真空技術(真空原理)を用いた製造社側で予め真空化された管と同様に血液が採取される(真空原理)。まず静脈との結合が行われ、ピストンストロークに並行して採血が生じる場合、吸引技術と呼ぶ。
【0032】
閉鎖キャップ100の中空室130内では、好適にはまず大きな部分室131が充填される(
図4bを参照)。次いで、液体300は、オーバフローエッジ151を越えて、かつ/またはパーフォレーション152を通って、小さな部分室132内に流入する(
図4c参照)。任意には、より小さな部分室のみを充填することもできる。
【0033】
試料管200内の負圧と閉鎖キャップ100内の圧力との間で生じている差圧によって、血液採取時に逆止弁160が開く。次いで、液体300は、閉鎖キャップ100から、特に閉鎖キャップ100のより小さな部分室から試料管200内に流出する(
図4d参照)。
【0034】
試料管200が液体300により十分に満たされると、体と採血管との間の液体管路を遮断することにより、試料採取を中断する。これにより、採血管内の等圧化が生じ、特にこれにより、試料管内の陰圧が解消される。採血管500と閉鎖キャップ100内の容積130との間の差圧が補償されると、これにより、逆止弁160が再び閉じる。次いで試料管200は、閉鎖キャップに対して送流体式に閉じられる。
【0035】
試料採取に続いて、遠心分離機内で採血管500内の液体300を調製する場合、採血管500に、試料管の底部に向いた力Fが作用する(
図5の矢印参照)。これにより、液体300中の重い成分が軽い成分から分離する。この力Fによって、この力Fが十分に大きい場合には、逆止弁160も再び開かれ、液体300が閉鎖キャップの中空室から意図せずに試料管200内に流入する。
【0036】
しかし、
図5に図示したように、本発明によれば、好適にはより小さな第2の部分室132からの液体体積のみが試料管200に流出する。これに対して、閉鎖キャップ100の好適にはより大きな第1の部分室131の液体300は留まったままである。
【0037】
試料管内の液体の総量に関連して閉鎖キャップ100の好適にはより小さな第2の部分室132の寸法設定を十分に小さくした場合、より小さな部分室132からの液体300が試料管200内に流入した場合でさえも、後の分析のために必要となる液体の品質を保証することができる。
【0038】
図6は、本発明に係る閉鎖キャップ100の横断面を示している。特に、隔壁150ならびにより大きな部分室131およびより小さな部分室132のための例示的な配置および設計を確認することができる。
【符号の説明】
【0039】
100 閉鎖キャップ
110 薄膜
120 底部
121 開口
130 中空室
131 好適にはより大きな第1の部分室
132 好適にはより小さな第2の部分室
140 結合部分
150 隔壁
151 オーバフローエッジ
152 パーフォレーション
160 逆止弁
170 閉鎖領域
200 試料管
210 閉鎖可能な端部
300 液体
400 カニューレ
500 採血管
【手続補正書】
【提出日】2021-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
たとえば気送管装置内で生じ得る搬送工程によっても、採血に由来する、弁の手前に保持された残液による液体の汚染の恐れが生じる。
国際公開第2008/066215号は、請求項1の前提部に記載の全ての特徴を開示している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明
この課題は、特許請求項の対象物1によって解決される。この対象物は、隔壁の、薄膜に面した端部が、第1の部分室と第2の部分室との間の送流体式の連通を可能にするために、オーバフローエッジおよび/またはパーフォレーションを有しており、隔壁が、中空室の底部から、中空室内へと延びていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
上述の課題はさらに、請求項3記載の採血管によって解決される。この採血管は、液体を収容するために閉鎖可能な端部を備えた試料管と、閉鎖可能な端部において試料管を閉じる閉鎖キャップとを有している。閉鎖キャップは、請求項1または2に記載されているように構成されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
上述の課題はさらに、請求項4記載の採血管の取扱い方法によって解決される。この方法の利点は、特許請求された閉鎖キャップに関連して上記で挙げた利点に一致する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(300)を収容するための試料管(200)を閉じる閉鎖キャップ(100)であって、
-カニューレ(400)により突刺し可能な薄膜(110)と、
-前記薄膜の下側に配置され、開口(121)を備えた底部(120)であって、前記薄膜(110)と前記底部(120)との間に、前記液体(300)を収容するための中空室(130)が形成されている、底部(120)と、
前記底部(120)に設けられた前記開口(121)を開放する逆止弁(160)であって、前記中空室(130)から前記試料管(200)内へと前記液体(300)を流出させ、かつ前記試料管(200)から前記中空室(130)内への前記液体(300)の流れ方向のために前記開口(121)を閉鎖するための逆止弁(160)と
を有して
おり、
前記中空室(130)が、該中空室を第1の部分室(131)と第2の部分室(132)とに分割する隔壁(150)を有しており、
前記第1の部分室(131)が、前記底部(120)の領域にわたって前記開口(121)なしに形成されており、
前記第2の部分室(132)が、前記底部(120)に設けられた前記開口(121)の上に形成されており、
前記第1の部分室(131)と前記第2の部分室(132)とが、前記底部(120)の上側で送流体式に互いに連通するように形成されている
、閉鎖キャップ(100)
において、
前記隔壁(150)の、前記薄膜(110)に面した端部が、前記第1の部分室(131)と前記第2の部分室(132)との間の送流体式の連通を可能にするために、オーバフローエッジ(151)および/またはパーフォレーション(152)を有しており、
前記隔壁(150)が、前記中空室(130)の前記底部(120)から、前記中空室(130)内へと延びていることを特徴とする、閉鎖キャップ(100)。
【請求項2】
前記第1の部分室(131)が、前記第2の部分室(132)よりも大きく形成されている、請求項1記載の閉鎖キャップ(100)。
【請求項3】
閉鎖可能な端部(210)を備えた、液体(300)を収容するための試料管(200)と、
前記閉鎖可能な端部(210)で前記試料管を閉じる閉鎖キャップ(100)と
を有する採血管(500)であって、
前記閉鎖キャップ(100)が、請求項1
または2に記載されているように形成されていることを特徴とする、採血管(500)。
【請求項4】
請求項
3記載の採血管(500)の取扱い方法であって、以下のステップ、すなわち、
-試料管(200)を、閉鎖可能な端部(210)において請求項1
または2記載の閉鎖キャップ(100)により閉じるステップと、
-前記閉鎖キャップ(100)に設けられた薄膜(110)をカニューレ(400)の一方の端部で突き刺すステップと、
-前記カニューレ(400)の他方の端部により体から液体(300)を採取するステップであって、前記液体(300)は、前記カニューレ(400)および前記薄膜(110)を通って前記閉鎖キャップ(100)の中空室(130)内に流れ、次いで逆止弁(160)により流れ方向で開放した、前記閉鎖キャップ(100)の前記底部(120)に設けられた開口(121)を通って前記試料管内へと流入し、該試料管を充填する、ステップと、
-前記薄膜(110)から前記カニューレ(400)を除去するステップであって、次いで前記薄膜(110)が再び自動的に閉じる、ステップと、
-前記液体(300)を重い成分とより軽い成分とに分離するために前記採血管(500)を遠心分離するステップであって、前記逆止弁(160)が、前記閉鎖キャップ(100)の前記底部(120)に設けられた前記開口(121)を遠心力によって開放することにより、前記液体(300)が前記中空室(130)から前記試料管(200)内へと流れる、ステップとを有
し、
前記液体(300)の採取時に、送流体式に互いに連通するように接続されている、前記中空室(130)の少なくとも前記第2の部分室(132)、好適には前記第1の部分室(131)および前記第2の部分室(132)を、前記液体(300)で充填し、
前記遠心分離時に、前記底部(120)に前記開口(121)が形成されている前記第2の部分室(132)からの液体(300)のみが、前記試料管(200)内に流出する
、取扱い方法において、
前記液体が、前記体からの採取時に、好適にはまず前記閉鎖キャップ(100)の前記第1の部分室(131)内に流れ、該第1の部分室(131)を充填し、その後にオーバフロー(151)を介して、かつ/またはパーフォレーション(152)を通って前記第2の部分室(132)内に流入する
ことを特徴とする、取扱い方法。
【請求項5】
前記試料管(200)には、前記閉鎖キャップ(100)によって閉じる前に、血液のための製剤が設けられている、請求項
4記載の方法。
【国際調査報告】