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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(54)【発明の名称】家具用金具
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/12 20060101AFI20220711BHJP
   E05F 1/12 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
E05D7/12 D
E05F1/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568580
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 AT2020060151
(87)【国際公開番号】W WO2020232483
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】A50450/2019
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ホルツアプフェル
(72)【発明者】
【氏名】フィリプ シュルーゲ
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050AA01
2E050BA04
2E050CA04
2E050EA02
2E050EB02
(57)【要約】
家具部分(2)、好ましくは家具フラップを家具本体(3)に対して相対的に可動に支持するための家具用金具(1)であって、家具本体(3)に固定するための第1の金具部材(4)と、可動に支持された家具部分(2)に固定するための第2の金具部材(5)とを備え、両方の金具部材(4,5)は、互いに旋回可能に結合されているかまたは結合可能であり、両方の金具部材(4,5)のうちの少なくとも一方の金具部材、好ましくは第1の金具部材(4)は、家具本体(3)に設けられた凹部(6)内または可動に支持された家具部分(2)に設けられた凹部(6)内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されるように構成されており、家具用金具(1)は、少なくとも一方の金具部材(4,5)を凹部(6)内に固定するための少なくとも1つの固定装置(7)を備え、この少なくとも1つの固定装置(7)は、回動可能に支持された少なくとも1つの操作要素(8)と、凹部(6)の壁(9)内に少なくとも部分的に没入可能かつ/または壁(9)に押付け可能な少なくとも2つの固定要素(10)とを備え、少なくとも1つの操作要素(8)の回動運動を少なくとも2つの固定要素(10)の没入運動および/または押付け運動に変換することができる連結装置(12)が設けられており、少なくとも1つの操作要素(8)と少なくとも2つの固定要素(10)とは、少なくとも一方の金具部材(4,5)の同じ側面(13)、好ましくは一方の長手方向面に、少なくとも一方の金具部材(4,5)の長手方向(14)で互いに離間させられて配置されている、家具用金具(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具部分(2)、好ましくは家具フラップを家具本体(3)に対して相対的に可動に支持するための家具用金具(1)であって、前記家具本体(3)に固定するための第1の金具部材(4)と、可動に支持された前記家具部分(2)に固定するための第2の金具部材(5)とを備え、両方の前記金具部材(4,5)は、互いに旋回可能に結合されているかまたは結合可能であり、前記両方の金具部材(4,5)のうちの少なくとも一方の金具部材、好ましくは前記第1の金具部材(4)は、前記家具本体(3)に設けられた凹部(6)内または前記可動に支持された家具部分(2)に設けられた凹部(6)内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されるように構成されている、家具用金具(1)において、
前記家具用金具(1)は、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)を前記凹部(6)内に固定するための少なくとも1つの固定装置(7)を備え、該少なくとも1つの固定装置(7)は、回動可能に支持された少なくとも1つの操作要素(8)と、前記凹部(6)の壁(9)内に少なくとも部分的に没入可能かつ/または前記壁(9)に押付け可能な少なくとも2つの固定要素(10)とを備え、前記少なくとも1つの操作要素(8)の回動運動を前記少なくとも2つの固定要素(10)の没入運動および/または押付け運動に変換することができる連結装置(12)が設けられており、前記少なくとも1つの操作要素(8)と前記少なくとも2つの固定要素(10)とは、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の同じ側面(13)、好ましくは一方の長手方向面に、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の長手方向(14)に沿って互いに離間させられて配置されていることを特徴とする、家具用金具(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの操作要素(8)は、ねじとして形成されており、かつ/または工具によって操作するための少なくとも1つの工具受容部(15)を有し、かつ/または前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前記長手方向(14)に対して実質的に平行に方向付けられた回動軸線(16)を中心として支承されている、請求項1記載の家具用金具(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの操作要素(8)の締付けトルクを制限するための少なくとも1つの過負荷防止機構が設けられている、請求項1または2記載の家具用金具(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの操作要素(8)は、少なくとも2つの部材(63,64)から構成されており、該少なくとも2つの部材(63,64)は、予め規定された締付けトルク未満では互いに少なくとも部分的に摩擦接続的に接合しており、これによって、前記少なくとも2つの部材(63,64)の間でトルクが伝達可能であり、前記予め規定された締付けトルクを上回ると、前記接合が少なくとも部分的に解消可能であり、これによって、前記少なくとも2つの部材(63,64)の間でトルクが実質的に伝達不能となる、請求項3記載の家具用金具(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの操作要素(8)の前記少なくとも2つの部材(63,64)のうちの1つの部材は、ねじ山付きスリーブとして形成されており、前記少なくとも2つの部材(63,64)のうちの別の部材は、少なくとも部分的に前記ねじ山付きスリーブの内部に回動可能に支承されており、かつ/または前記少なくとも2つの部材(63,64)を予め規定された力で接合状態に保持することができる少なくとも1つのばね(65)、好ましくは圧縮ばねが設けられており、かつ/または前記少なくとも2つの部材(63,64)を前記予め規定された締付けトルク未満で少なくとも部分的に摩擦接続的に接合させる高められた摩擦を有する少なくとも1つの摩擦面(66)が設けられている、請求項4記載の家具用金具(1)。
【請求項6】
前記少なくとも2つの固定要素(10)は、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前記長手方向(14)に対して実質的に直交方向または平行に方向付けられた回動軸線(17,25)を中心として回動可能に支承されており、好ましくは、前記少なくとも2つの固定要素(10)は、前記没入運動および/または前記押付け運動の過程で前記回動軸線(17,25)を中心として逆の回動方向に回動可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の家具用金具(1)。
【請求項7】
前記少なくとも2つの固定要素(10)に対して、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前記長手方向(14)に対して少なくとも横方向(19)への力を加える少なくとも1つのばね要素(18)が備えられており、かつ/または前記固定要素(10)のうちの少なくとも1つの固定要素を、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前記長手方向(14)に対して少なくとも横方向(19)に変位させることができる少なくとも1つの、好ましくはピン状の逸らし要素(20)が備えられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の家具用金具(1)。
【請求項8】
前記少なくとも2つの固定要素(10)は、少なくとも1つの切込み要素、好ましくは、少なくとも1つの切込み刃(21)および/または少なくとも1つの切刃(22)および/または少なくとも1つの押付け要素、好ましくは、前記凹部(6)の前記壁(9)に対して実質的に平行に方向付け可能な少なくとも1つの押付け面(62)を備える、請求項1から7までのいずれか1項記載の家具用金具(1)。
【請求項9】
前記固定要素(10)のうちの少なくとも1つの固定要素は、少なくとも1つの切込み要素(21,22)と少なくとも1つの押付け要素(62)とを備える、請求項8記載の家具用金具(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの切込み要素(21,22)と前記少なくとも1つの押付け要素(62)とは、前記少なくとも1つの固定要素(10)に一体に結合されている、請求項9記載の家具用金具(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの切込み要素(21,22)は、前記少なくとも1つの固定要素(10)の第1の構成部材(68)に配置されており、前記少なくとも1つの押付け要素(62)は、前記少なくとも1つの固定要素(10)の第2の構成部材(69)に配置されており、好ましくは、前記第1の構成部材(68)は、主として、硬質の材料、例えば鋼から成っており、前記第2の構成部材(69)は、主として、軟質の材料、例えばプラスチックから成っており、かつ/または前記第1の構成部材(68)は、横断面で見て少なくとも部分的にU字形に形成されており、前記第2の構成部材(69)は、U字の2つの脚部(11)の間に少なくとも部分的に配置されており、かつ/または前記第1の構成部材(68)と前記第2の構成部材(69)とは、互いに少なくとも部分的にサンドイッチ状に接触している、請求項9記載の家具用金具(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの固定装置(7)は、前記少なくとも2つの固定要素(10)が配置された、前記少なくとも1つの操作要素(8)を介して移動させることができる少なくとも1つの支持体(23)を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の家具用金具(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの支持体(23)は、その長手方向延在長さにおいて前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前記長手方向(14)に対して実質的に平行に方向付けられており、かつ/または前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前記長手方向(14)に調整移動可能である引張要素として形成されており、かつ/または前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前記長手方向(14)に対して実質的に平行に方向付けられた回動軸線(24)を中心として回動可能に支持されており、かつ/または前記少なくとも2つの固定要素(10)に対して相対的に移動可能である、請求項12記載の家具用金具(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの支持体(23)は、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前記長手方向(14)に対して実質的に平行に方向付けられた回動軸線(24)を中心として回動可能に支承されており、前記少なくとも2つの固定要素(10)は、偏心して前記少なくとも1つの支持体(23)に配置されている、請求項12または13記載の家具用金具(1)。
【請求項15】
前記少なくとも2つの固定要素(10)に、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前記長手方向(14)に対して少なくとも横方向(19)への追加力を加える少なくとも1つの付加蓄力器(67)が設けられており、これによって、前記少なくとも2つの固定要素(10)が、前記凹部(6)内への前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の最初の取り付け後に時間的にずらされて、前記凹部(6)の前記壁(9)内に少なくとも部分的に没入可能かつ/または前記壁(9)に押付け可能である、請求項1から14までのいずれか1項記載の家具用金具(1)。
【請求項16】
前記付加蓄力器(67)は、前記少なくとも1つの操作要素(8)用の、好ましくは対応ねじ山を有する対応要素(55)と、前記少なくとも2つの固定要素(10)が配設された支持体(23)との間に配置されている、請求項15記載の家具用金具(1)。
【請求項17】
前記少なくとも一方の金具部材(4,5)は、前記少なくとも2つの固定要素(10)が配置された第1の長手方向面(13)を有し、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)は、前記第1の長手方向面(13)と反対側に位置しかつ少なくとも1つの別の固定要素(27)が配置された第2の長手方向面(26)を有し、好ましくは、前記少なくとも1つの別の固定要素(27)は、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)に運動伝達されるように結合されており、かつ/または前記第1の長手方向面(13)に配置された前記少なくとも2つの固定要素(10)の前記没入運動および/または前記押付け運動によって、前記凹部(6)の反対側の壁(28)内に没入可能かつ/または前記反対側の壁(28)に押付け可能である、請求項1から16までのいずれか1項記載の家具用金具(1)。
【請求項18】
前記家具用金具(1)は、少なくとも1つの作動アーム(29)とハウジング(30)とを有し、前記少なくとも1つの作動アーム(29)は、該少なくとも1つの作動アーム(29)が実質的に前記ハウジング(30)の内部に配置されている閉鎖位置と、前記少なくとも1つの作動アーム(29)が少なくとも部分的に前記ハウジング(30)の外側に配置されている少なくとも1つの開放位置との間で調整移動可能であり、好ましくは、前記少なくとも1つの作動アーム(29)に力を加えるための少なくとも1つの蓄力器(31)が設けられている、請求項1から17までのいずれか1項記載の家具用金具(1)。
【請求項19】
前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の前端面(32)に開口(33)が配置されており、該開口(33)を介して、好ましくは、場合により設けられた作動アーム(29)が閉鎖位置に配置されている場合でも、前記少なくとも1つの固定装置(7)の前記少なくとも1つの操作要素(8)が操作可能である、請求項1から18までのいずれか1項記載の家具用金具(1)。
【請求項20】
家具(34)であって、家具本体(3)と、該家具本体(3)に対して相対的に、好ましくは水平な軸線(35)を中心として可動に支承された少なくとも1つの家具部分(2)、好ましくは家具フラップと、請求項1から19までのいずれか1項記載の少なくとも1つ、好ましくは正確に2つの家具用金具(1)とを備え、該少なくとも1つの家具用金具(1)の前記第1の金具部材(4)は、前記家具本体(3)に固定されており、前記少なくとも1つの家具用金具(1)の前記第2の金具部材(5)は、前記可動に支承された家具部分(2)に固定されている、家具(34)。
【請求項21】
前記家具本体(3)は、少なくとも1つの側壁(36)を備え、該少なくとも1つの側壁(36)に少なくとも1つの凹部(6)が配置されており、前記第1の金具部材(4)は、前記少なくとも1つの凹部(6)内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されており、好ましくは、前記少なくとも1つの凹部(6)および/または前記第1の金具部材(4)は、実質的に直方体形に形成されており、前記第1の金具部材(4)は、少なくとも4つ、好ましくは5つの側面(13,26,37,38,39)において前記少なくとも1つの側壁(36)の材料によって覆われている、請求項20記載の家具(34)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの固定装置(7)は、前記少なくとも一方の金具部材(4,5)の下側面(13)に配置されており、かつ/または前記少なくとも1つの操作要素(8)には、前記少なくとも1つの家具用金具(1)の、使用者に面した前端面(32)からアクセス可能である、請求項20または21記載の家具(34)。
【請求項23】
前記少なくとも1つの家具用金具(1)は、前記少なくとも2つの固定要素(10)の前記没入運動および/または前記押付け運動によって鉛直方向(40)で0.5mm~2.0mmだけ可動であり、好ましくは、前記少なくとも1つの家具用金具(1)は、水平方向(41)では実質的に不動である、請求項20から22までのいずれか1項記載の家具(34)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具部分、好ましくは家具フラップを家具本体に対して相対的に可動に支持するための家具用金具であって、家具本体に固定するための第1の金具部材と、可動に支持された家具部分に固定するための第2の金具部材とを備え、両方の金具部材は、互いに旋回可能に結合されているかまたは結合可能であり、両方の金具部材のうちの少なくとも一方の金具部材、好ましくは第1の金具部材は、家具本体に設けられた凹部内または可動に支持された家具部分に設けられた凹部内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されるように構成されている、家具用金具に関する。さらに、本発明は、家具であって、家具本体と、この家具本体に対して相対的に、好ましくは水平な軸線を中心として可動に支持された少なくとも1つの家具部分、好ましくは家具フラップと、前述した少なくとも1つ、好ましくは正確に2つの家具用金具とを備え、この少なくとも1つの家具用金具の第1の金具部材は、家具本体に固定されており、少なくとも1つの家具用金具の第2の金具部材は、可動に支持された家具部分に固定されている、家具に関する。
【0002】
請求項1の前提部に記載の家具用金具は、すでに先行技術に基づき公知である。この公知の家具用金具は、ねじを介して家具本体の側壁に固定される。
【0003】
注目すべき最近の傾向は、家具用金具を家具本体の壁内かつ/または可動の家具部分の壁内に少なくとも部分的に組み込むことに向けられている。この場合には、ねじによる固定が、通常、安定性の理由から不可能であり、かつ/または組込みにより生じる有利な美的外観を損なう恐れがある。
【0004】
本発明の課題は、上述した欠点が少なくとも部分的に取り除かれ、特に少なくとも部分的な組込みの際に美的外観を損なうことなく、家具本体への少なくとも1つの家具部分の確実で安定した支持が可能となる、先行技術に比べて改善された家具用金具と、少なくとも1つのこのような家具用金具を備えた家具とを提供することである。
【0005】
この課題は、請求項1および20の特徴によって解決される。
【0006】
したがって、本発明に係る家具用金具では、この家具用金具が、少なくとも一方の金具部材を凹部内に固定するための少なくとも1つの固定装置を備えており、この少なくとも1つの固定装置が、回動可能に支持された少なくとも1つの操作要素と、凹部の壁内に少なくとも部分的に没入可能かつ/または壁に押付け可能な少なくとも2つの固定要素とを備えており、少なくとも1つの操作要素の回動運動を少なくとも2つの固定要素の没入運動および/または押付け運動に変換することができる連結装置が設けられており、少なくとも1つの操作要素と少なくとも2つの固定要素とが、少なくとも一方の金具部材の同じ側、好ましくは一方の長手方向面に、少なくとも一方の金具部材の長手方向で互いに離間させられて配置されていることが特定されている。
【0007】
つまり、家具用金具は、すでに少なくとも1つの固定装置を備えており、この固定装置によって、少なくとも一方の金具部材ひいては家具用金具全体を、家具本体に設けられた凹部内または可動に支持された家具部分に設けられた凹部内に固定することができる。付加的なねじまたはこれに類するものは不要となる。
【0008】
少なくとも2つの固定要素によって、少なくとも一方の金具部材を外部から目に付かないように凹部内に確実に安定して固定することができる。
【0009】
さらに、凹部自体は別として、更なる固定孔またはこれに類するものが不要となる。このことは、特に産業的な家具製造の際に有利である。
【0010】
少なくとも2つの固定要素が、少なくとも一方の金具部材の同じ側、好ましくは一方の長手方向面に、少なくとも一方の金具部材の長手方向に沿って互いに離間させられて配置されていることによって、少なくとも一方の金具部材を凹部の壁の大きな範囲にわたって確実に安定して固定することもできる。
【0011】
更なる利点は、少なくとも一方の金具部材ひいては家具用金具全体の固定が、少なくとも1つの操作要素の単に1回の操作によって可能となることにある。これと比較して、先行技術では、1回の固定を行うために、複数の操作要素が家具用金具のそれぞれ異なる箇所で操作されなければならない。このことは、1つには、時間的な手間の増大に結び付けられている。もう1つには、複数の操作要素のうちの1つ操作要素が全く操作されないかまたは不十分にしか操作されず、これによって、家具用金具が規定通りに固定されていない危険がある。
【0012】
本発明の有利な構成は、従属請求項に定義してある。
【0013】
少なくとも1つの操作要素の締付けトルクを制限するための少なくとも1つの過負荷防止機構が設けられていることが、特に有利であると判った。これによって、家具用金具もしくは家具用金具の一部および/または家具本体および/または家具部分が固定によって損傷されることを防護することができる。
【0014】
過負荷防止機構は、例えば、少なくとも1つの操作要素が、少なくとも2つの部材から形成されており、これら少なくとも2つの部材が、予め規定された締付けトルク未満では互いに少なくとも部分的に摩擦接続的に接合しており、これによって、少なくとも2つの部材の間でトルクが伝達可能であり、予め規定された締付けトルクを上回ると、接合が少なくとも部分的に解消可能であり、これによって、少なくとも2つの部材の間でトルクが実質的に伝達不能であることによって実現することができる。
【0015】
これに相俟って、少なくとも1つの操作要素の少なくとも2つの部材のうちの1つの部材が、ねじ山付きスリーブとして形成されており、少なくとも2つの部材のうちの別の部材が、少なくとも部分的にねじ山付きスリーブの内部に回動可能に支持されており、かつ/または少なくとも2つの部材を予め規定された力で接合保持することができる少なくとも1つのばね、好ましくは圧縮ばねが設けられており、かつ/または少なくとも2つの部材を予め規定された締付けトルク未満で少なくとも部分的に摩擦接続的に接合させる高められた摩擦を有する少なくとも1つの摩擦面が設けられていることが、有利であると判った。
【0016】
少なくとも2つの固定要素が、少なくとも一方の金具部材の長手方向に対して実質的に直交方向または平行に方向付けられた回動軸線を中心として回動可能に支持されており、好ましくは、少なくとも2つの固定要素が、没入運動および/または押付け運動の過程で回動軸線を中心としてそれぞれ逆の回動方向に回動可能であることが、有利であると判った。少なくとも2つの固定要素が、没入運動および/または押付け運動の過程で回動軸線を中心としてそれぞれ逆の回動方向に回動可能であることは、没入運動および/または押付け運動により発生させられる締付けトルクを少なくとも一方の金具部材の横方向および/または長手方向へと少なくとも部分的に互いに相殺することができるという利点を有している。
【0017】
少なくとも2つの固定要素が、少なくとも1つの切込み要素、好ましくは、少なくとも1つの切込み刃および/もしくは少なくとも1つの切刃ならびに/または少なくとも1つの押付け要素、好ましくは、凹部の壁に対して実質的に平行に方向付け可能な少なくとも1つの押付け面を備えていることが、有利であると判った。
【0018】
この場合には、固定要素のうちの少なくとも1つの固定要素が、少なくとも1つの切込み要素と少なくとも1つの押付け要素とを備えていることが特定されていてよい。
【0019】
これに相俟って、少なくとも1つの切込み要素と少なくとも1つの押付け要素とが、少なくとも1つの固定要素に一体に結合されていることが、有利であると判った。
【0020】
代替的には、少なくとも1つの切込み要素が、少なくとも1つの固定要素の第1の構成部材に配置されており、少なくとも1つの押付け要素が、少なくとも1つの固定要素の第2の構成部材に配置されており、好ましくは、第1の構成部材が、主として、硬質の材料、例えば鋼から成っており、第2の構成部材が、主として、軟質の材料、例えばプラスチックから成っており、かつ/または第1の構成部材が、横断面で見て少なくとも部分的にU字形に形成されており、第2の構成部材が、U字の2つの脚部の間に少なくとも部分的に配置されており、かつ/または第1の構成部材と第2の構成部材とが、互いに少なくとも部分的にサンドイッチ状に接触していることが特定されていてよい。
【0021】
第1の構成部材が、主として、硬質の材料から成っており、第2の構成部材が、主として、軟質の材料から成っている実施形態は、軟質の素材への/素材内への固定だけでなく、硬質の素材への/素材内への固定も可能となる点で優れている。軟質の素材、例えばパーティクルボードまたは軟質木材に対しては、硬質の材料から成る第1の構成部材が使用され、硬質の素材、例えば硬質木材またはMDFボードに対しては、軟質の材料から成る第2の構成部材が使用される。こうして、家具本体または家具部分の材料品質に左右されることなく、対応する凹部内への最適な固定を行うことができる。
【0022】
有利な一実施形態は、少なくとも2つの固定要素に少なくとも少なくとも一方の金具部材の長手方向に対して横方向へと追加力を加える少なくとも1つの付加蓄力器が設けられており、これによって、少なくとも2つの固定要素が、凹部内への少なくとも一方の金具部材の最初の固定後に時間的にずらされて、凹部の壁内に少なくとも部分的に没入可能かつ/または壁に押付け可能である点で優れている。家具用金具がいったん家具本体もしくは家具部分に組み付けられると、家具用金具の運動または別の事情によって、固定要素が再び緩くなることが生じてしまう。この現象に対処するために、前述した付加蓄力器を設けることが考えられている。
【0023】
付加蓄力器は、少なくとも1つの操作要素用の、好ましくは対応ねじ山を有する対応要素と、少なくとも2つの固定要素が配置された支持体との間に配置されていてよい。
【0024】
少なくとも一方の金具部材が、少なくとも2つの固定要素が配置された第1の長手方向面を有しており、少なくとも一方の金具部材が、第1の長手方向面と反対側に位置しかつ少なくとも1つの別の固定要素が配置された第2の長手方向面を有しており、好ましくは、少なくとも1つの別の固定要素が、少なくとも一方の金具部材に運動伝達されるように結合されており、かつ/または第1の長手方向面に配置された少なくとも2つの固定要素の没入運動および/または押付け運動によって、凹部の反対側の壁内に没入可能かつ/または凹部の反対側の壁に押付け可能であることが、特に有利であると判った。こうして、片側に配置された少なくとも1つの操作要素の1回の操作によって、少なくとも一方の金具部材を互いに反対の両側で確実に固定することが可能となる。
【0025】
家具用金具が、少なくとも1つの作動アームとハウジングとを有しており、少なくとも1つの作動アームが、この少なくとも1つの作動アームが実質的にハウジングの内部に配置されている閉鎖位置と、少なくとも1つの作動アームが少なくとも部分的にハウジングの外側に配置されている少なくとも1つの開放位置との間で調整移動可能であり、好ましくは、少なくとも1つの作動アームに力を加えるための少なくとも1つの蓄力器が設けられていることが、有利であると判った。
【0026】
特にこれに相俟って、少なくとも一方の金具部材の前端面に開口が配置されており、この開口を介して、少なくとも1つの固定装置の少なくとも1つの操作要素が操作可能であり、しかも、少なくとも1つの作動アームが閉鎖位置に配置されている場合でも操作可能であることが考えられている。
【0027】
冒頭に記載したように、家具であって、家具本体と、この家具本体に対して相対的に、好ましくは水平な軸線を中心として可動に支承された少なくとも1つの家具部分、好ましくは家具フラップと、本発明に係る少なくとも1つ、好ましくは正確に2つの家具用金具とを備え、この少なくとも1つの家具用金具の第1の金具部材は、家具本体に固定されており、少なくとも1つの家具用金具の第2の金具部材は、可動に支承された家具部分に固定されている、家具に対しても保護が求められる。
【0028】
家具の有利な一構成によれば、家具本体が、少なくとも1つの側壁を備えており、この少なくとも1つの側壁に少なくとも1つの凹部が配置されており、第1の金具部材が、少なくとも1つの凹部内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されており、好ましくは、少なくとも1つの凹部および/または第1の金具部材が、実質的に直方体形に形成されており、第1の金具部材が、少なくとも4つ、好ましくは5つの側において少なくとも1つの側壁の材料によって覆われていることが特定されている。
【0029】
特に家具フラップを水平な軸線を中心として可動に支承するための家具用金具に関する場合には、少なくとも1つの固定装置が、少なくとも一方の金具部材の下側に配置されており、かつ/または少なくとも1つの操作要素には、少なくとも1つの家具用金具の、使用者に面した前端面からアクセスが可能であることが考えられている。
【0030】
少なくとも1つの家具用金具が、少なくとも2つの固定要素の没入運動および/または押付け運動によって鉛直方向で0.5mm~2.0mmだけ可動であり、好ましくは、少なくとも1つの家具用金具が、水平方向で実質的に不動であることが、有利であると判った。
【0031】
本発明の更なる詳細および利点を図面を参照しながら図説に基づき以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1a)】好適な一実施例による家具の概略的な斜視図である。
図1b)】好適な一実施例による家具の概略的な斜視図であり、家具が、部分的に分解した状態で示してある。
図2a)】家具本体の側壁と家具用金具との配置形態の概略的な斜視図であり、家具用金具が、側壁の外側に配置されている。
図2b)】家具本体の側壁と家具用金具との配置形態の概略的な斜視図であり、家具用金具が、側壁に設けられた凹部内に配置されている。
図3a)】側壁の凹部内に挿入された、固定されていない状態における第1の好適な実施例による家具用金具の概略的な斜視的な断面図である。
図3b)】側壁の凹部内に挿入された、固定されていない状態における第1の好適な実施例による家具用金具の側方からの概略的な断面図である。
図4a)】側壁の凹部内に挿入された、固定された状態における第1の好適な実施例による家具用金具の概略的な斜視的な断面図である。
図4b)】側壁の凹部内に挿入された、固定された状態における第1の好適な実施例による家具用金具の側方からの概略的な断面図である。
図5】第1の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の概略的な斜視図である。
図6a)】第1の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の、固定されていない状態に相当する動作位置の側方からの概略的な部分図である。
図6b)】第1の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の、固定された状態に相当する動作位置の側方からの概略的な部分図である。
図7a)】側壁の凹部内に挿入された、固定されていない状態における第2の好適な実施例による家具用金具の側方からの概略的な断面図である。
図7b)】側壁の凹部内に挿入された、固定された状態における第2の好適な実施例による家具用金具の側方からの概略的な断面図である。
図7c)】第2の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の概略的な斜視図である。
図8a)】側壁の凹部内に挿入された、固定されていない状態における第3の好適な実施例による家具用金具の側方からの概略的な断面図である。
図8b)】側壁の凹部内に挿入された、固定された状態における第3の好適な実施例による家具用金具の側方からの概略的な断面図である。
図8c)】第3の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の概略的な斜視図である。
図9a)】第4の実施例による家具用金具の概略的な斜視図である。
図9b)】第4の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の一部の側方からの概略図である。
図9c)】第4の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の一部の側方からの概略図である。
図9d)】第4の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の一部の側方からの横断面図である。
図9e)】第4の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の一部の側方からの横断面図である。
図9f)】第4の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の一部の斜視図である。
図9g)】第4の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の一部の斜視図である。
図9h)】第4の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の一部の斜視的な分解図である。
図9i)】第4の好適な実施例による家具用金具に含まれている固定装置の一部の斜視的な横断面図である。
【0033】
図1a)および図1b)には、家具本体3と、この家具本体3に対して相対的に可動に支承された家具部分2と、この家具部分2を家具本体3に対して相対的に可動に支承するための2つの家具用金具1とを備えた家具34が示してある。
【0034】
家具部分2は、図示の形態のように、水平な軸線35を中心として可動の家具フラップであってよい。家具部分2は、嵌込みガラス43を有するフレーム42を備えていてよい。
【0035】
家具用金具1はそれぞれ、家具本体3に固定するための第1の金具部材4と、可動に支承された家具部分2に固定するための第2の金具部材5とを備えている。両方の金具部材4,5は、互いに旋回可能に結合されているかまたは結合可能であり、両方の金具部材4,5のうちの少なくとも一方の金具部材、図示の実施例では第1の金具部材4は、家具本体3に設けられた凹部6内または可動に支承された家具部分2に設けられた凹部6内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されるように構成されている。
【0036】
図1a)に示した組み立てられた状態では、家具用金具1の第1の金具部材4が、それぞれ家具本体3に固定されており、家具用金具1の第2の金具部材5が、それぞれ可動に支承された家具部分2に固定されている。
【0037】
第2の金具部材5には、この第2の金具部材5を家具部分2に固定するための、例えば拡開プラグの形態の固定手段50が配置されていてよいかまたは取付け可能であってよい。
【0038】
家具本体3は、それぞれ1つの凹部6が配置された2つの側壁36を備えている。家具用金具1の第1の金具部材4は、それぞれ凹部6内に完全に配置されている。
【0039】
さらに、家具本体3は、背壁46と、天板47と、底板48とを備えていてよい。
【0040】
家具部分2をグリップなしに形成することが考えられている。本形態では、底板48内に組み込むことができる突き出し装置44が設けられていてよい。
【0041】
図2a)および図2b)には、家具本体3の一方の側壁36と家具用金具1との配置形態が示してある。家具用金具1は、図2a)では、側壁36の外側に配置されていて、図2b)では、側壁36に設けられた凹部6内に配置されている。
【0042】
家具用金具1は、作動アーム29とハウジング30とを有している。作動アーム29は、この作動アーム29が実質的にハウジング30の内部に配置されている閉鎖位置と、作動アーム29が少なくとも部分的にハウジング30の外側に配置されている少なくとも1つの開放位置との間で調整移動可能である。この場合、作動アーム29に力を加えるための蓄力器31が設けられている。この蓄力器31は、1つまたはそれ以上のばねを備えていてよい。
【0043】
側壁36に設けられた凹部6と、家具用金具の第1の金具部材4とは、実質的に直方体形に形成されている。第1の金具部材4は、前端面32を除いて、5つの側面13,26,37,38,39、つまり、下側面を成す第1の長手方向面13と、上側面を成す第2の長手方向面26と、裏面37と、第1の被覆面38と、第2の被覆面39とにおいて側壁36の材料によって覆われている。
【0044】
側壁36には、家具本体3の背壁46を部分的に収容するための溝45が配置されていてよい。さらに、側壁36を天板47と底板48とに結合することができる固定手段用の複数の孔49が設けられていてよい。
【0045】
図3a)~図6b)には、家具用金具1の第1の好適な実施例が示してある。この家具用金具1は、その金具部材4を凹部6内に固定するための固定装置7を備えている。
【0046】
固定装置7は、回動可能に支持された操作要素8と、凹部6の壁9内に没入可能かつ凹部6の壁9に押付け可能な複数の固定要素10とを備えている。
【0047】
固定要素10は、図示の形態のように、旋回レバーとして形成されていてよい。
【0048】
固定要素10は、横断面で見て実質的に三角形に形成されていてよい切込み刃21を備えている。さらに、固定要素10は、凹部6の壁9に対して実質的に平行に方向付け可能な押付け面62を備えている。
【0049】
固定要素10は、少なくとも一方の金具部材4の長手方向14に対して実質的に直交方向に方向付けられた回動軸線17を中心として回動可能に支持されている。
【0050】
本実施例および残りの図示の実施例では、固定要素10が、没入運動および/または押付け運動の最中に回動軸線17を中心としてそれぞれ同じ回動方向に回動可能である。代替的な実施例によれば、固定要素が、没入運動および/または押付け運動の最中に回動軸線を中心としてそれぞれ逆の回動方向に回動可能であることが特定されていてよい。
【0051】
操作要素8の回動運動を、切込み要素21の没入運動と押付け要素(面)62の押付け運動とに変換することができる連結装置12が設けられている。
【0052】
操作要素8と固定要素10とは、金具部材4の同じ側面13、つまり、下側の長手方向面に、金具部材4の長手方向14に沿って互いに離間させられて配置されている。
【0053】
金具部材4の前端面32には、開口33が配置されている。この開口33を介して、固定装置7の操作要素8が操作可能であり、しかも、作動アーム29が閉鎖位置に配置されている場合でも操作可能となっている。
【0054】
固定装置7は、金具部材4の下側面13に配置されている。操作要素8には、家具用金具1の、使用者に面した前端面32からアクセスが可能となる。
【0055】
操作要素8は、ねじとして形成されていて、工具によって操作するための工具受容部15を有している。操作要素8は、金具部材4の長手方向14に対して実質的に平行に方向付けられた回動軸線16を中心として支承されている。
【0056】
ねじは、対応ねじ山を有する対応要素55内に係合(螺合)していてよい。操作要素8は、対応支持片61に支持されていてよい。
【0057】
固定装置7は、固定要素10が配置された、操作要素8を介して移動させることができる支持体23を有している。
【0058】
支持体23は、その長手方向延在長さにおいて金具部材4の長手方向14に対して実質的に平行に方向付けられており、金具部材4の長手方向14に調整移動可能である引張要素として形成されている。
【0059】
支持体23は、固定要素10に対して相対的に可動である。このために、例えば長孔53が設けられていてよい。
【0060】
固定要素10を少なくとも金具部材4の長手方向14に対して横方向19に変位させることができるピン状の逸らし要素20が備えられている。
【0061】
逸らし要素20は、図示の形態のように、それぞれ片側で開放されて形成されていてよいガイドトラック52内に係合していてよい。
【0062】
特に図6a)と図6b)との比較から明らかであるように、操作要素8の操作によって、支持体23を金具部材4の長手方向14に調整移動させることができる。このとき、固定要素10が、凹部6の壁9の方向に旋回させられ、少なくとも部分的に壁9内に食い込む。同時に、押付け面62が凹部6の壁9に対して実質的に平行に方向付けられ、この壁9に押し付けられる。固定要素10によって、凹部6内への金具部材4の固定が行われる。
【0063】
金具部材4は、固定要素10が配置された第1の長手方向面13を有している。金具部材4は、第1の長手方向面13とは反対側に位置しかつ別の固定要素27が配置された第2の長手方向面26を有している。別の固定要素27は、金具部材4に運動伝達されるように結合されていて、第1の長手方向面13に配置された切込み要素21の没入運動と、第1の長手方向面13に配置された押付け要素62の押付け運動とによって、凹部6の反対側の壁28内に没入可能となる(図3b)および図4b)の両方の上側の拡大図参照)。
【0064】
切込み要素21の没入運動と押付け要素62の押付け運動とによって、家具用金具1は、鉛直方向40では0.5mm~2.0mmだけ可動であり、水平方向41では実質的に不動である。
【0065】
図7a)~図7c)には、家具用金具1の第2の好適な実施例が示されている。
【0066】
本実施例では、固定要素10が、金具部材4の長手方向14に対して実質的に平行に方向付けられた回動軸線25を中心として回動可能に支承されている。
【0067】
固定要素10は、本形態でも、切刃22の形態の切込み要素を備えている。さらに、凹部6の壁9に対して実質的に平行に方向付け可能な押付け面62として形成された押付け要素62が設けられている。
【0068】
長手方向延在長さにおいて金具部材4の長手方向14に対して実質的に平行に方向付けられた支持体23が設けられている。この支持体23は、金具部材4の長手方向14に対して実質的に平行に方向付けられた回動軸線24を中心として回動可能に支承されている。切込み要素22と押付け要素62とは、偏心して支持体23にかつ共通の半径方向の張出し部56に配置されている。
【0069】
金具部材4の固定は、操作要素8の操作によって、支持体23ひいては支持体23に配置された切込み要素22および押付け要素62が回動軸線24;25を中心として回動させられることによって行われる。偏心配置によって、支持体23の回動時に、壁9に対する切込み要素22および押付け要素62の間隔が減じられ、最終的に、切込み要素22が凹部6の壁9内に少なくとも部分的に喰い込み、かつ押付け要素62が壁9に押し付けられることになる。
【0070】
本実施例および両方の別の実施例では、作動アーム29が、枢動軸59を中心として旋回可能である複数の枢動レバー58から形成されている。作動アーム29を図示の形態のように7点枢動機構の形態で構成することが考えられている。
【0071】
作動アーム29は、力伝達レバー60を介して蓄力器31に連結されている。
【0072】
作動アーム29に加えることができる力の大きさを調整することができる調整装置51が設けられている。
【0073】
さらに、図示の形態のように、作動アーム29の運動を減衰するための、特に閉鎖位置および/または1つの開放された終端位置へ向かう作動アーム29の運動を減衰するためのダンパ54が設けられていてよい。
【0074】
図8a)~図8c)には、家具用金具1の第3の好適な実施例が示されている。
【0075】
本実施例は、図3a)以下に示した第1の実施例に大幅に類似している。
【0076】
相違点は、固定要素10に少なくとも金具部材4の長手方向14に対して横方向19への力を加えるばね要素18が設けられていることにある。このとき、固定要素10には、図示の形態のように、ばね要素18によって力が加えられてよく、これによって、固定要素10が、固定されていない状態に相当する位置に保持される。操作要素8の操作時には、固定要素10が、このばね力に抗して凹部6の壁9の方向に移動させられる。
【0077】
ばね要素18を支持するために、図示の形態のように実質的にピン状に形成することができるばね支持片57が設けられていてよい。
【0078】
図9a)~図9i)には、家具用金具1の第4の好適な実施例が示されている。
【0079】
本実施例では、操作要素8の締付けトルクを制限するための過負荷防止機構が設けられている。
【0080】
過負荷防止機構は、操作要素8が2つの部材63,64から構成されていることによって実現されている。これら2つの部材63,64は、予め規定された締付けトルク未満では互いに部分的に摩擦接続的に接合しており、これによって、2つの部材63,64の間でトルクが伝達可能となる。予め規定された締付けトルクを上回ると、接合が少なくとも部分的に解消されるようになっており、これによって、2つの部材63,64の間でトルクが実質的に伝達不能となる。
【0081】
操作要素8の2つの部材63,64のうちの一方の部材、つまり、符号63を付した部材は、ねじ山付きスリーブとして形成されている。符号64を付した他方の部材は、部分的にねじ山付きスリーブの内部に回動可能に支承されている。
【0082】
2つの部材63,64を予め規定された力で接合させて保持することができる、図示の形態では圧縮ばねとして形成されたばね65が設けられている。
【0083】
2つの部材63,64を予め規定された締付けトルク未満で部分的に摩擦接続的に接合させる、高い摩擦を有する摩擦面66が設けられている。この摩擦面66は、部材64の端面側に配置されていて、予め規定された締付けトルク未満ではねじ山付きスリーブ63の内面と接合している。この内面も同じく高い摩擦を有していてよい。摩擦面66および/またはねじ山付きスリーブ63の内面の高い摩擦は、表面構造、例えば刻み目またはこれに類するものによって実現することができる。
【0084】
本実施例および前述した実施例では、固定要素10が、切込み刃21または切刃22の形態の少なくとも1つの切込み要素と、凹部6の壁9に対して実質的に平行に方向付け可能な少なくとも1つの押付け面62の形態の少なくとも1つの押付け要素とを備えている。
【0085】
最初の3つの実施例では、少なくとも1つの切込み要素21,22と少なくとも1つの押付け要素62とが、固定要素10に一体に結合されている。
【0086】
第4の実施例では、少なくとも1つの切込み要素21が固定要素10の第1の構成部材68に配置されており、少なくとも1つの押付け要素62が固定要素10の第2の構成部材69に配置されている。第1の構成部材68は、主として、硬質の材料、例えば鋼から成っており、第2の構成部材69は、主として、軟質の材料、例えばプラスチックから成っている。
【0087】
第1の構成部材68は、横断面で見て部分的にU字形に形成されており、第2の構成部材69は、U字の2つの脚部11の間に部分的に配置されている。第1の構成部材68と第2の構成部材69とは、互いに部分的にサンドイッチ状に接触している。
【0088】
第4の実施例では、固定要素10に少なくとも金具部材4の長手方向14に対して横方向の追加力を加える付加蓄力器67が備えられており、これによって、固定要素10が、凹部6内への金具部材4の最初の固定後に時間的にずらされて、凹部6の壁9内に少なくとも部分的に没入(喰い込み)可能かつ/または壁9に押付け可能となる。
【0089】
付加蓄力器67は、図示の形態のように圧縮ばねとして形成されていてよく、操作要素8用の対応要素55と、固定要素10が配置された支持体23との間に配置されていてよい。
【0090】
図示の形態のようにナットとして形成されていてよい対応要素55は、支持体23の第1のウェブ70に支持されている。
【0091】
支持体23は、付加蓄力器67が接触している第2のウェブ71を有している。
図1a)】
図1b)】
図2a)】
図2b)】
図3a)】
図3b)】
図4a)】
図4b)】
図5
図6a)】
図6b)】
図7a)】
図7b)】
図7c)】
図8a)】
図8b)】
図8c)】
図9a)】
図9b)】
図9c)】
図9d)】
図9e)】
図9f)】
図9g)】
図9h)】
図9i)】
【国際調査報告】