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特表2022-532779オイゲノール及びオイゲノールを含む新規な組成物の精製方法
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  • 特表-オイゲノール及びオイゲノールを含む新規な組成物の精製方法 図1
  • 特表-オイゲノール及びオイゲノールを含む新規な組成物の精製方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(54)【発明の名称】オイゲノール及びオイゲノールを含む新規な組成物の精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/46 20060101AFI20220711BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20220711BHJP
   C07C 41/42 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
C07C41/46
C07C43/23 A
C07C41/42
C07C43/23 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568586
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2020063521
(87)【国際公開番号】W WO2020234123
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】1905219
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】19200216.0
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ダンブリン, ヴァレリー
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB03
4H006AB99
4H006AD11
4H006FC52
4H006FE13
4H006GP12
4H006TA04
4H006TB55
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種の安定化化合物の存在下での蒸留による粗製オイゲノールの精製方法に関する。本発明の方法は、工業的に実施することができ、特にプロセスの安全性に関して改善された特性を示し、オルト-オイゲノールの効率的な分離を可能にする。本発明は、オイゲノールを含有する組成物にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含有する粗製オイゲノールが少なくとも1種の安定化化合物の存在下で蒸留される、オイゲノールの精製方法。
【請求項2】
前記安定化化合物が、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、TEMPO誘導体、CB(ジブチルジチオカルバミン酸銅)、パラ-ベンゾキノン、パラ-フェニレンジアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、酢酸マンガン(II)、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、グルタチオン、及びビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートからなる群から選択される、請求項1に記載のオイゲノールの精製方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の安定化化合物が、オイゲノールの沸点よりも高い沸点を有する、請求項1~2のいずれか一項に記載のオイゲノールの精製方法。
【請求項4】
前記安定化化合物の合計量が、オイゲノールの量に対して50ppmから10重量%の間である、請求項1~3のいずれか一項に記載のオイゲノールの精製方法。
【請求項5】
オイゲノールがオルト-オイゲノールから分離される、請求項1~4のいずれか一項に記載のオイゲノールの精製方法。
【請求項6】
得られる前記オイゲノール中のオルト-オイゲノールの含有量が前記組成物の総重量に対して10重量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のオイゲノールの精製方法。
【請求項7】
少なくとも1種の安定化化合物の存在下で蒸留することによるオイゲノールとオルト-オイゲノールの分離方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の精製方法を含む、オイゲノールの製造方法。
【請求項9】
オイゲノールと、0.05~10000ppmの少なくとも1種の安定化化合物とを含有する組成物であって、前記安定化化合物が、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、TEMPO誘導体、CB(ジブチルジチオカルバミン酸銅)、パラ-ベンゾキノン、パラ-フェニレンジアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、酢酸マンガン(II)、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、及びグルタチオンからなる群から選択され、前記補助化合物が、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される、組成物。
【請求項10】
オイゲノールと、0.05~10000ppmの少なくとも1種の安定化化合物と、少なくとも1種の補助化合物とを含有する組成物であって、前記安定化化合物が、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、TEMPO誘導体、CB(ジブチルジチオカルバミン酸銅)、パラ-ベンゾキノン、パラ-フェニレンジアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、酢酸マンガン(II)、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、及びグルタチオンからなる群から選択され、前記補助化合物が、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、及びビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートからなる群から選択される、組成物。
【請求項11】
前記フェノール誘導体が以下の式(IV)による化合物である、請求項9又は10に記載の組成物:
(式中、
Rは、ヒドロキシル、好ましくは1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル、アルケニル、好ましくは1~6個の炭素原子を含むアルコキシ基、ニトロ基、又はニトロソ基を表し、
は、好ましくは1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキルを表し、
nは0~5であり、好ましくはnは0、1、2、又は3である)。
【請求項12】
前記組成物の総重量に対して少なくとも90重量%のオイゲノール、優先的には少なくとも95重量%のオイゲノール、より優先的には少なくとも99重量%、さらに優先的には少なくとも99.5重量%のオイゲノールを含有する、請求項9~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の総重量に対して少なくとも90重量%のオイゲノールと最大10重量%のオルト-オイゲノールとを含有する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、仏国で第1905219号として2019年5月17日に出願された特許出願及び欧州で第19200216.0号として2019年9月27日に出願された特許出願に基づく優先権を主張するものであり、これらの内容は参照により完全に組み込まれる。
【0002】
本発明は、オイゲノール及びオイゲノールを含有する新規な組成物の精製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
オイゲノールは、クローブ油などの多くの精油の主要な芳香性の化合物である。オイゲノールは香料において頻繁に使用されているが、防腐、抗菌、鎮痛、及び抗酸化の特性も示す。これは、特にバニリンの調製における合成中間体として使用される場合もある。
【0004】
この広範な分野での利用の観点では、オイゲノールを工業規模で生産し、最適化された製造プロセスを利用できるようにすることが必要である。
【0005】
古典的に、オイゲノールは植物から抽出される天然起源のものである。抽出は、特に、水蒸気蒸留、マイクロ波を利用した抽出、又は超臨界流体による抽出によって行うことができる。中国特許第104326885号明細書には、オイゲノールのナトリウム塩を含む水相が生成及び蒸留される、油からオイゲノールを抽出するための方法が記載されている。
【0006】
或いは、オイゲノールは、仏国特許第2302991号明細書に記載されているような、塩化アリル及び触媒の存在下でグアイアコールがアリル化される化学プロセスによって得ることができる。オイゲノールは、反応の副生成物から分離するために蒸留によって精製することができる。中国特許第108383695号明細書には、オイゲノールを調製するための化学的プロセスも記載されている。この文献には、オイゲノールの着色を防ぐために精製されたオイゲノールに酸化防止剤が添加される、オイゲノールの精製方法が記載されている。中国特許第105294409号明細書には、銅及びコバルトに基づいた複合触媒を使用する代替の合成プロセスが記載されている。英国特許第1501221号明細書には、グアイアコールと塩化アリルとからオイゲノールを調製するための別の化学プロセスが記載されている。
【0007】
これらの合成プロセスが使用される場合、複数の副反応が生じてオルト-オイゲノール又はO-アリル化化合物が形成される場合ある。その結果、オイゲノールの精製、特にオイゲノールとオルト-オイゲノールの蒸留による分離は複雑である。オイゲノール及び/又はオルト-オイゲノールは望ましくない特性を示し、特に蒸留の操作条件下で爆発性である可能性があるため、この精製はいっそう複雑になる。中国特許第105294409号明細書には、オイゲノールがn-オクタン及びKCOを使用して精製され、混合物が濾過され、その後KCOの水で洗浄され、最後に精製されたオイゲノールが水相から蒸留される精製方法が示されている。
【0008】
このプロセスは、廃液を生成するという欠点を示しており、工業的利用との関係においてはあまり適切ではないように思われる。本発明は、特に、安全性に優れた条件下で、工業スケールでのオイゲノールとオルト-オイゲノールとの効率的な分離を可能にする方法で、オイゲノールを効率的且つ選択的に製造することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の主題は、粗製オイゲノールが少なくとも1種の安定化化合物の存在下で蒸留される、新規なオイゲノール精製方法に関する。
【0010】
本発明は、少なくとも1種の安定化化合物の存在下での蒸留によるオイゲノールとオルト-オイゲノールの分離方法にも関する。
【0011】
最後に、本発明は、オイゲノールと、0.1~10000ppmの少なくとも1種の安定化化合物、又は少なくとも1種の安定化化合物と少なくとも1つの補助化合物とを含有する組成物であって、安定化化合物が、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、TEMPO誘導体、CB、パラ-ベンゾキノン、パラ-フェニレンジアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、酢酸マンガン(II)、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、エルゴステロール、コレカルシフェロール、及びグルタチオンからなる群から選択され、補助化合物が、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1によるオイゲノールのサンプルの示差走査熱量測定による分析のグラフである。
図2】実施例2によるオイゲノールのサンプルの示差走査熱量測定による分析のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明との関連で、及び別に明記しない限り、表現「…と…との間」は境界を含む。別段の指示がない限り、パーセンテージ及びppmは、重量パーセンテージ及び重量ppmである。
【0014】
本発明との関係において、及び別段の指示がない限り、「ppm」という用語は「百万分率」を意味する。この単位は、重量による比率:1ppm=1mg/kgを表す。
【0015】
本発明との関係において、及び別段の指示がない限り、「オイゲノール」という用語は、式(I)によるパラ-オイゲノール又は4-アリル-2-メトキシフェノールを指す:
[化1]
【0016】
本発明との関係において、オルト-オイゲノールは、式(II)による2-アリル-6-メトキシフェノールを指す:
[化2]
【0017】
本発明との関係において、「フェノール誘導体」という用語は、式(III)に対応する単位を含む化合物を表す:
[化3]
【0018】
特定の態様によれば、「フェノール誘導体」という用語は、式(IV)による化合物を指す:
[化4]
(式中、Rは、ヒドロキシル、好ましくは1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル、アルケニル、好ましくは1~6個の炭素原子を含むアルコキシ基、ニトロ基、又はニトロソ基を表し、Rは、好ましくは1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキルを表し、nは0~5であり、好ましくはnは0、1、2、又は3である)。好ましくは、R基は、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ニトロ、及びニトロソからなる基から選択される。好ましくは、R基は、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、又はt-ブチルから選択される。
【0019】
代替形態によれば、「フェノール誘導体」という用語は、RがHを表し、Rが上で定義した通りである上の式(IV)による化合物を指す。
【0020】
別の特定の態様によれば、フェノール誘導体は、トコフェロール系の化合物、特にα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、又はδ-トコフェロールから選択することができる。
【0021】
本発明との関係において、「フェノチアジン誘導体」という用語は、式(V)による単位を含む化合物を指す:
[化5]
【0022】
本発明との関係において、「TEMPO誘導体」という用語は、式(VI)によるTEMPO単位を含む化合物を指す:
[化6]
【0023】
特に、「TEMPO誘導体」という用語は、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシ(TEMPO)、(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシ(TEMPO-OH)、(4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-1-イル)オキシ(4-オキソ-TEMPO)、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(4-アミノ-TEMPO)、又はビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(ビスヒドロキシTEMPOセバケート)を指す。
【0024】
本発明との関係において、「安定剤」という用語は、特に製品の製造、貯蔵、又は取り扱い中に、着色、化学的又は熱的安定性など、前記製品に影響を及ぼすことなしに製品の品質を維持することができる化合物を指す。
【0025】
本発明との関係において、「粗製オイゲノール」という用語は、本質的にオイゲノールを含み、特に組成物の重量に対して少なくとも20重量%のオイゲノール、好ましくは少なくとも30重量%のオイゲノール、より優先的には少なくとも40重量%、さらに優先的には少なくとも50重量%のオイゲノールを含有する組成物を指す。通常、粗製オイゲノールの主な化合物はパラ-オイゲノールである。特に、本発明による粗製オイゲノールは、特にo-オイゲノールなどのオイゲノールの合成プロセスに関連する不純物、又はグアイアコール若しくはオイゲノールのO-アルキル化の生成物を含み得る。不純物は、反応で使用される出発化合物に由来する場合もある。通常、組成物の重量に対する組成物中に存在する各不純物の重量基準の含有量は、組成物中のオイゲノールの含有量よりも少ない。
【0026】
本発明との関係において、「精製オイゲノール」という用語は、本質的にオイゲノールを含み、特に組成物の重量に対して少なくとも80重量%のオイゲノール、好ましくは少なくとも90重量%のオイゲノール、より優先的には少なくとも95重量%、さらに優先的には少なくとも99重量%のオイゲノールを含有する組成物を指す。特に、本発明による精製オイゲノールは、特にo-オイゲノールなどのオイゲノールの合成プロセスに関連する不純物、又はグアイアコール若しくはオイゲノールのO-アルキル化の生成物を含み得る。不純物は、反応で使用される出発化合物に由来する場合もある。本発明による方法は、粗製オイゲノールを精製することを可能にし、精製されたオイゲノールを得ることを可能にする。
【0027】
本発明に従って精製される粗製オイゲノールは、任意の合成プロセスによって得ることができる。合成プロセスは、特にマイクロリアクターなどの適切な反応器内で、連続的に又は半連続的に行うことができる。
【0028】
本発明の特定の態様では、オイゲノールは、仏国特許第2302991号明細書に記載の通り、グアイアコールと、ハロゲン化アリル、優先的には塩化アリルとから得られる。特に、アルキル化反応は、NaOHやKOHなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液の存在下で行われる。更に、触媒の存在下で、特にはCuCl、CuCl.2HO、Cu(NO、又はCu(OAc).2HOなどの銅に基づいた触媒の存在下で反応を行うことができる。反応は、中国特許第105294409号明細書に記載されているような複合触媒の存在下で行うこともできる。
【0029】
通常、触媒の量は、グアイアコールの量に対して0.01重量%以上、優先的には0.02重量%以上、より優先的には0.05重量%以上、非常に優先的には0.1重量%以上である。通常、触媒の量は、グアイアコールの量に対して10重量%以下、優先的には5重量%以下、より優先的には2重量%以下、非常に優先的には1重量%以上である。
【0030】
通常、反応温度は5℃以上、好ましくは10℃以上、より優先的には15℃以上、非常に優先的には25℃以上である。通常、反応温度は95℃以下、好ましくは80℃以下、より優先的には65℃以下、非常に優先的には50℃以下である。
【0031】
反応は、通常、仏国特許第2302991号明細書に記載されているように、アンモニウム塩又はアンモニアの存在下で行われる。アンモニアは、触媒との銅-アミン型錯体を形成し得る。
【0032】
高含有量の窒素誘導体を有する流出物の生成を抑制するために、アンモニアを置換し、グルコース、グルコサミド、クエン酸又は酒石酸、2-ヒドロキシピリジン又はニコチンアミドの存在下で反応を行うことが可能である。
【0033】
通常、最初に、グアイアコール塩が水溶液中で形成される。触媒が反応混合物に添加され、続いてアンモニア水溶液が添加される。最後に、ハロゲン化アリルが反応混合物に添加される。
【0034】
本発明の第1の主題は、少なくとも1種の安定化化合物の存在下で蒸留することによる粗製オイゲノールの精製方法に関する。
【0035】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも1種の安定化化合物及び/又は補助化合物の存在下で蒸留することによる粗製オイゲノールの精製方法に関する。
【0036】
本発明の目的は、特に、
- 優れた生産性を可能にするという点で改善されたオイゲノールの製造及び/又は精製方法を提供すること、
- 特にオルト-オイゲノール異性体から分離されたオイゲノールを得ることが可能になるという点で改善されたオイゲノールの製造及び/又は精製方法を提供すること、
- 反応を行うために必要な水は別として、水性流出物がほとんど又はまったく生成されないという事実のため有利である製造及び/又は精製方法を提供すること、
- 特にプロセスの安全性の観点から良好な条件下で行うことができるという点で工業的に稼働できる製造及び/又は精製方法を提供すること、
である。
【0037】
本発明によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、TEMPO誘導体、CB(ジブチルジチオカルバミン酸銅)、パラ-ベンゾキノン、パラ-フェニレンジアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、酢酸マンガン(II)、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、及びグルタチオンからなる群から選択される。本発明の一態様によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートを追加的に含む上で構成された群から選択される。
【0038】
通常、少なくとも1種の安定化化合物は、オイゲノールの沸点よりも高い沸点を有し、好ましくは、安定化化合物の沸点は、Teu+1℃以上、好ましくはTeu+5℃以上、より優先的にはTeu+10℃以上である。Teuは、大気圧でのオイゲノールの沸点を表す。
【0039】
第1の特定の態様によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、式(IV)の化合物又はフェノチアジン(PTZ)であり、特に、カテコール、イソオイゲノール、ヒドロキノン(HQ)、パラ-メトキシフェノール(PMP)、tert-ブチルカテコール(TBC)、2,4-ジメチル-6-(tert-ブチル)フェノール(トパノールA)、2,4-ジニトロ-6-(sec-ブチル)フェノール、2-メチル-4,6-ジニトロフェノール、パラ-ニトロソフェノール、2-メチル-4-ニトロフェノール、及びフェノチアジン(PTZ)からなる群から選択される化合物である。本発明の第2の特定の態様によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、ヒドロキノン(HQ)、パラ-メトキシフェノール(PMP)、tert-ブチルカテコール(TBC)、及びフェノチアジン(PTZ)からなる群から選択される。本発明の第3の特定の態様によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、2,4-ジメチル-6-(tert-ブチル)フェノール(トパノールA)、2,4-ジニトロ-6-(sec-ブチル)フェノール、2-メチル-4,6-ジニトロフェノール、パラ-ニトロソフェノール、及び2-メチル-4-ニトロフェノールからなる群から選択される。
【0040】
第4の特定の態様によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ジ(tert-ブチル)ヒドロキシアニソール(diBHA)、及びジ(tert-ブチル)ヒドロキノン(diTBHQ)からなる群から、特にはビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される。別の特定の態様によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、第1の態様による、又は第2の態様による、又は第3の態様による群、又は第4の態様による群から選択され、前記群は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートを追加的に含む。
【0041】
1つの代替形態によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、tert-ブチルカテコール(TBC)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、アスコルビン酸ナトリウム、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、パラ-メトキシフェノール(PMP)、及びグルタチオンからなる群から選択される。
【0042】
好ましくは、精製プロセスは、安定剤の存在下で行われる。
【0043】
別の好ましい態様によれば、精製プロセスは、2つの安定剤の存在下で行われる。好ましくは、2種の安定剤は、ヒドロキノン(HQ)、パラ-メトキシフェノール(PMP)、tert-ブチルカテコール(TBC)、及びフェノチアジン(PTZ)からなる群から選択される。非常に好ましくは、このプロセスは、TBC/PMP、HQ/PMP、又はTBC/HQ混合物の存在下で行われる。特に、このプロセスは、TBC/PMP混合物の存在下で行うことができる。
【0044】
別の態様によれば、本発明は、安定化化合物及び補助化合物の存在下で蒸留することによる粗製オイゲノールの精製方法に関する。
【0045】
しかしながら、何らかの理論に傾倒することを望むものではないが、本発明者らは、驚くべきことに、粗製オイゲノールの蒸留中に少なくとも1種の安定化化合物を添加することにより、蒸留プロセスが不安定になるのを防ぐために、実際には爆発性になるのさえも防ぐために、熱分解が開始される温度ゾーンをシフトすることが可能であることを発見した。したがって、本発明による方法は、適切な安全条件下で行うことができる。
【0046】
本発明の特定の態様によれば、粗製オイゲノールは、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から優先的に選択される少なくとも1種の補助化合物の存在下で蒸留される。
【0047】
好ましくは、精製プロセスは、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される補助化合物の存在下で行われ、好ましくは補助化合物はビタミンEである。
【0048】
好ましくは、精製プロセスは、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される2種の補助化合物の存在下で行われる。
【0049】
特定の態様によれば、精製プロセスは、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、TEMPO誘導体、CB(ジブチルジチオカルバミン酸銅)、パラ-ベンゾキノン、パラ-フェニレンジアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、酢酸マンガン(II)、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、及びグルタチオンからなる群から選択される少なくとも1種の安定化化合物の存在下で、及び任意選択的にはビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される少なくとも1種の補助化合物の存在下で行われる。この態様の特定の実施形態によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートを追加的に含む上の群から選択される。
【0050】
本発明によれば、安定化化合物の合計量は、オイゲノールの量に対して50ppm以上、好ましくは100ppm以上、より優先的には500ppm以上、より優先的には1000ppm以上である。本発明によれば、安定化化合物の合計量は、オイゲノールの量に対して10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より優先的には1重量%以下、より優先的には5000ppm以下、さらに優先的には2000ppm以下である。
【0051】
本発明によれば、補助化合物の合計量は、オイゲノールの量に対して0ppm以上、好ましくは100ppm以上、より優先的には500ppm以上、より優先的には1000ppm以上である。本発明によれば、補助化合物の合計量は、オイゲノールの量に対して5000ppm以下、好ましくは2500ppm以下、より優先的には2000ppm以下、より優先的には1000ppm以下である。
【0052】
有利には、少なくとも1種の安定化化合物は、精製されるオイゲノールと共に供給時に添加することができ、好ましくは、蒸留ボイラー及び/又は蒸留塔に添加することができる。添加は、一度に又は複数回に分けて行うことができる。
【0053】
特定の態様によれば、少なくとも1種の安定化化合物が蒸留ボイラーに添加される。少なくとも1種の安定化化合物は、オイゲノールの沸点よりも高い沸点を有する安定化化合物から選択される。好ましくは、安定化化合物の沸点は、Teu+1℃以上、好ましくはTeu+5℃以上、より優先的にはTeu+10℃以上である。
【0054】
別の特定の態様によれば、少なくとも1種の安定化化合物は蒸留塔に添加される。少なくとも1種の安定化化合物は、オイゲノールの沸点よりも高い沸点を有する安定化化合物から選択することができる。或いは、少なくとも1種の安定化化合物は、オイゲノールの沸点以下の沸点を有する安定化化合物から選択することができる。好ましくは、安定化化合物の沸点は、Teu-1℃以下、好ましくはTeu-5℃以下、より優先的にはTeu-10℃以下である。
【0055】
好ましくは、蒸留は、TBC及びPMPを使用して行われる。好ましくは、TBCは蒸留ボイラーに入れられ、PMPは蒸留塔に入れられる。或いは、TBCとPMPが蒸留ボイラーに入れられる。
【0056】
本発明によれば、蒸留は、90℃以上、好ましくは100℃以上、非常に優先的には110℃以上、さらに優先的には120℃以上の温度で行われる。本発明によれば、蒸留は、200℃以下、好ましくは190℃以下、非常に優先的には180℃以下、さらに優先的には150℃以下の温度で行われる。本発明によれば、蒸留は、0.5mbar以上、好ましくは1mbar以上、より優先的には5mbar以上、さらに優先的には10mbar以上の圧力で行われる。本発明によれば、蒸留は、150mbar以下、好ましくは100mbar以下、非常に優先的には50mbar以下の圧力で行われる。
【0057】
特定の態様によれば、蒸留は、過剰のグアイアコール、オイゲノール及び/又はグアイアコールのO-アルキル化の生成物、並びにオルト-オイゲノールの分離も可能にする。オイゲノールの調製に使用されるグアイアコールには、ベラトロールや6-メチルグアイアコールなどの特定の不純物も含まれている場合があり、アリル化反応の完了時に得られる反応混合物は、前記不純物のアリル化の生成物、特にアリルベラトロール又は4-アリル-6-メチルグアイアコールも含み得る。アリル化反応の終了時に得られる反応混合物は、アリル基の異性化生成物、特にイソオイゲノール又はメタ-オイゲノール(別名2-メトキシ-5-(プロプ-2-エン-1-イル)フェノール)も含み得る。
【0058】
本発明は、特にオイゲノールとオルト-オイゲノールとの分離を可能にする方法にも関する。特に、蒸留の終了時に得られるオイゲノールは、精製されたオイゲノールである。特に、蒸留の終了時に得られるオイゲノールは、組成物の総重量に対して10重量%以下、特に5重量%以下、優先的には2.5重量%以下、より優先的には1重量%以下の量のオルト-オイゲノールを含む。
本発明によれば、蒸留の終了時に得られるオイゲノールは、組成物の総重量に対して0.01重量%以上、優先的には0.05重量%以上、さらに優先的には0.1重量%以上の量のオルト-オイゲノールを含む。
【0059】
本発明による方法は、特にオイゲノールとグアイアコールとの分離を可能にする。
【0060】
有利には、本発明による方法は、満足できる官能特性を有するオイゲノールの調製を可能にする。特に、本発明の方法に従って得られるオイゲノールは、天然物の抽出によって得られるオイゲノールと同様の官能特性を示す。
【0061】
本発明は、上で定義した精製プロセスを含むオイゲノールの調製方法に関する。
【0062】
オイゲノールの調製方法は、通常、粗製オイゲノールの調製工程を含む。この工程は、特に、仏国特許第2302991号明細書に記載の通りに、特にグアイアコールのアリル化によって行うことができる。
【0063】
オイゲノールの調製方法は、粗製オイゲノールが少なくとも1種の安定化化合物の存在下で蒸留されることによる精製プロセスによって精製される、第2の工程を含む。
【0064】
本発明は、オイゲノールとオルト-オイゲノールとを分離するための上述した粗製オイゲノールの精製方法の使用にも関する。
【0065】
別の態様において、本発明は、オイゲノール精製プロセスを安定化するための安定化化合物の使用に関する。
【0066】
最後に、本発明は、オイゲノールと、0.1~10000ppmの少なくとも1種の安定化化合物又は少なくとも1種の安定化化合物と、少なくとも1つの補助化合物とを含有する組成物であって、安定化化合物が、フェノール誘導体、フェノチアジン誘導体、TEMPO誘導体、CB(ジブチルジチオカルバミン酸銅)、パラ-ベンゾキノン、パラ-フェニレンジアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、酢酸マンガン(II)、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、及びグルタチオンからなる群から選択され、補助化合物が、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される組成物に関する。特定の態様では、上の組成物は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートを追加的に含む。
【0067】
本発明によれば、組成物中の安定化化合物の合計量は、オイゲノールの量に対して0.1ppm以上、好ましくは1ppm以上、より優先的には10ppm以上、より優先的には100ppm以上である。本発明によれば、安定化化合物の合計量は、オイゲノールの量に対して10000ppm以下、好ましくは5000ppm以下、より優先的には2000ppm以下、より優先的には1000ppm以下、さらに優先的には、500ppm以下である。
【0068】
本発明によれば、補助化合物の合計量は、オイゲノールの量に対して0ppm以上、好ましくは0.1ppm以上、より優先的には1ppm以上、より優先的には10ppm以上である。本発明によれば、補助化合物の合計量は、オイゲノールの量に対して5000ppm以下、好ましくは2500ppm以下、より優先的には2000ppm以下、より優先的には1000ppm以下である。
【0069】
特定の態様によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、式(IV)の化合物又はフェノチアジン(PTZ)であり、特に、カテコール、イソオイゲノール、ヒドロキノン(HQ)、パラ-メトキシフェノール(PMP)、tert-ブチルカテコール(TBC)、ジ(tert-ブチル)ヒドロキシアニソール(diBHA)、ジ(tert-ブチル)ヒドロキノン(diTBHQ)、2,4-ジメチル-6-(tert-ブチル)フェノール(トパノールA)、2,4-ジニトロ-6-(sec-ブチル)フェノール、2-メチル-4,6-ジニトロフェノール、パラ-ニトロソフェノール、2-メチル-4-ニトロフェノール、及びフェノチアジン(PTZ)からなる群から選択される化合物であり、より優先的には、ヒドロキノン(HQ)、パラ-メトキシフェノール(PMP)、tert-ブチルカテコール(TBC)、フェノチアジン(PTZ)、ジ(tert-ブチル)ヒドロキシアニソール(diBHA)、及びジ(tert-ブチル)ヒドロキノン(diTBHQ)からなる群から選択される。1つの代替形態によれば、少なくとも1種の安定化化合物は、式(IV)の化合物又はフェノチアジン(PTZ)、特にビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートを追加的に含む、上で構成された群から特に選択される。
【0070】
特定の態様によれば、本発明による組成物は、安定化化合物を含む。
【0071】
別の特定の態様によれば、本発明による組成物は2種の安定化化合物を含む。
【0072】
別の特定の態様によれば、本発明による組成物は、ヒドロキノン(HQ)、パラ-メトキシフェノール(PMP)、tert-ブチルカテコール(TBC)、及びフェノチアジン(PTZ)からなる群から選択される少なくとも1種の安定化化合物と、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される少なくとも1種の補助化合物とを含有する。
【0073】
別の特定の態様によれば、本発明による組成物は、2,4-ジメチル-6-(tert-ブチル)フェノール(トパノールA)、2,4-ジニトロ-6-(sec-ブチル)フェノール、2-メチル-4,6-ジニトロフェノール、パラ-ニトロソフェノール、及び2-メチル-4-ニトロフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の安定化化合物と、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)からなる群から選択される少なくとも1種の補助化合物とを含有する。
【0074】
特定の態様によれば、本発明による組成物は、組成物の総重量に対して少なくとも90重量%のオイゲノール、好ましくは少なくとも95重量%のオイゲノール、より優先的には少なくとも99重量%、より優先的には少なくとも99.5重量%、さらに優先的には少なくとも99.95重量%のオイゲノールを含有する。
【0075】
別の特定の態様によれば、組成物中のオルト-オイゲノールの含有量は、組成物の重量に対して10重量%以下、好ましくは8重量%以下、非常に優先的には5重量%以下、更に優先的には1重量%以下である。
【0076】
特定の態様によれば、オイゲノール/o-オイゲノール比は、90:10以上、好ましくは95:5以上、非常に優先的には99:1以上である。
【0077】
別の特定の態様によれば、組成物中のイソオイゲノールの含有量は、組成物の重量に対して5重量%以下、好ましくは2重量%以下、非常に優先的には1重量%以下であり、さらに優先的には0.5重量%以下である。
【0078】
最後に、本発明は、組成物の総重量に対して少なくとも90重量%のオイゲノールと最大10重量%のオルト-オイゲノールとを含有する組成物に関する。好ましくは、組成物は、組成物の総重量に対して少なくとも95重量%のオイゲノール、より優先的には少なくとも99重量%、さらに優先的には少なくとも99.5重量%のオイゲノールを含有する。好ましくは、組成物中のオルト-オイゲノールの含有量は、組成物の重量に対して10重量%以下、好ましくは8重量%以下、非常に優先的には5重量%以下、さらに優先的には1重量%以下である。
【0079】
有利なことに、本発明者らは、本発明による組成物が満足できる官能特性を示すことを発見した。
特に、本発明による組成物は、天然物の抽出によって得られるオイゲノールの特性と類似しているか、又は少なくとも同等である官能特性を示す。
【0080】
有利には、本発明による組成物は、香料、又は芳香剤、鎮痛剤、抗菌剤、若しくは抗酸化剤の組成物で使用することができる。
有利には、本発明による組成物は、特に官能特性に関して、香料、又は芳香剤、鎮痛剤、抗菌剤、若しくは抗酸化剤の組成物におけるそれらの使用に適した特性を示す。
【0081】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図するが、それを限定しない。
参照により本明細書に引用される特許、特許出願、及び刊行物の開示が、用語を不確実にするリスクがあるほどに本特許出願の説明と矛盾する場合には、本説明が優先するものとする。
【実施例
【0082】
実施例1(本発明)及び2(比較例):示差走査熱量測定試験
示差走査熱量測定試験は、安定化化合物の存在下(実施例1)又は安定化化合物の不存在下(比較-実施例2)でオイゲノールを用いて行われる。
【0083】
【0084】
Mettler Toledo DSC熱量計で実施される示差走査熱量測定;サンプルを金のるつぼに入れ、窒素流(50ml/分)下で、25℃から400℃まで2℃/分の速度で連続的に加熱する。
【0085】
図2は、安定化化合物なしで、オイゲノールの熱分解が110℃で始まることを示している。図1は、安定化化合物の存在下で、オイゲノールの熱構成が270℃以上で開始され、結果として適切な安全条件下で蒸留プロセスを行うことが可能になることを示している。
【0086】
実施例3(比較)及び4~11(本発明):示差走査熱量測定試験
示差走査熱量測定試験は、安定化化合物の存在下(実施例4~11)又は安定化化合物の不存在下(比較-実施例3)で、異なるバッチに由来する市販のオイゲノールを用いて、実施例1及び2に従って行われる。試験した安定化化合物は、TBC(実施例4)、ビタミンE(実施例5)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(実施例6)、アスコルビン酸ナトリウム(実施例7)、BHA(実施例8)、TBHQ(実施例9)、グルタチオン(実施例10)、及びPMP(実施例11)である。
【0087】
【0088】
表2は、安定化化合物の不存在下では、オイゲノールの熱分解が275℃で始まり、398J/gを放出することを示している。実施例2~9は、安定化化合物の存在下で、オイゲノールの熱分解が285℃以上で開始され、大幅に少ない量のエネルギーを放出し、結果として適切な安全条件下で蒸留プロセスを行うことが可能になることを示している。
図1
図2
【国際調査報告】