(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(54)【発明の名称】選択的堆積に基づいた付加製造用の層溶融転写シーケンシング
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20220711BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20220711BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20220711BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220711BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220711BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220711BHJP
B29C 64/295 20170101ALI20220711BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/153
B29C64/321
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/295
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568623
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2020033175
(87)【国際公開番号】W WO2020236610
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520233249
【氏名又は名称】エボルブ アディティブ ソリューションズ, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521499963
【氏名又は名称】ファラー ツァイター
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファラー ツァイター
(72)【発明者】
【氏名】バッチェルダー ジェイ. サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ブルグ マニッシュ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AR02
4F213AR06
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WK01
4F213WK03
4F213WL02
4F213WL34
4F213WL62
4F213WL67
(57)【要約】
静電複写に基づいた付加製造システムによって3次元(3D)部品を製造する方法は、第1及び第2制御パラメータプロファイルを確立するステップと、溶融転写シーケンスを確立するステップと、溶融転写シーケンスに従って3D部品の予め蓄積された層の接合領域上においてn+m層を溶融転写するステップと、を含む。第1及び第2制御パラメータプロファイルは、それぞれ、3D部品の単一層を溶融転写するべく使用可能な温度及び圧力パラメータの異なる組合せを含む。溶融転写シーケンスは、規定された順序における第1及び第2制御パラメータプロファイルのそれぞれのものの使用を規定している。n+m層の合計厚さは、熱拡散深さ未満である。溶融転写ステップは、第1制御パラメータプロファイルに従ってn層を溶融転写するステップと、n層の溶融転写の後に、第2制御パラメータプロファイルに従ってm層を溶融転写するステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電複写に基づいた付加製造システムによって層ごとの方式で3次元(3D)部品を製造する方法であって、
第1制御パラメータプロファイルを確立するステップであって、前記第1制御パラメータプロファイルは、前記3D部品の単一層を溶融転写するべく使用可能な温度及び圧力パラメータの第1組合せを含む、ステップと、
第2制御パラメータプロファイルを確立するステップであって、前記第2制御パラメータプロファイルは、前記3D部品の単一層を溶融転写するべく使用可能な温度及び圧力パラメータの第2組合せを含み、前記温度及び圧力パラメータの第2組合せは、前記温度及び圧力パラメータの第1組合せとは異なっている、ステップと、
複数の層を溶融転写するべく使用可能な溶融転写シーケンスを確立するステップであって、前記溶融転写シーケンスは、規定された順序における前記第1制御パラメータプロファイル及び前記第2制御パラメータプロファイルのそれぞれのものの使用を規定している、ステップと、
前記溶融転写シーケンスに従って前記3D部品の予め蓄積された層の接合領域上においてn+m層を溶融転写するステップであって、n及びmは、それぞれ、正の整数であり、熱エネルギーが、それぞれの層の溶融転写により、前記予め蓄積された層内の熱拡散深さだけ、前記接合領域から前記予め蓄積された層に追加されており、且つ、前記n+m層の合計厚さは、前記熱拡散深さ未満であり、前記溶融転写ステップは、
前記第1制御パラメータプロファイルに従って前記3D部品の予め蓄積された層の前記接合領域上においてn層を溶融転写するステップ、及び、
前記n層を溶融転写した後に、前記第2制御パラメータプロファイルに従って前記3D部品の予め蓄積された層の前記接合領域上においてm層を溶融転写するステップ、を含むステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記第1制御パラメータプロファイルの温度及び圧力パラメータの前記第1組合せは、溶融転写前層ヒーター温度、加熱可能な溶融転写ニップ要素温度、蓄積された部品層ヒーター温度、蓄積された部品層の熱の入射角度、ニップ後冷却エアフローレート、及び加熱可能な溶融転写ニップ要素圧力用の静電複写に基づいた付加製造システム設定を有し、且つ、前記第2制御パラメータプロファイルの温度及び圧力パラメータの前記第2組合せは、溶融転写前層ヒーター温度、加熱可能な溶融転写ニップ要素温度、蓄積された部品層ヒーター温度、ニップ後冷却エアフローレート、及び加熱可能溶融転写ニップ要素圧力用の静電複写に基づいた付加製造システム設定を有する、請求項1及び3~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項3】
第1制御パラメータプロファイルは、相対的に高い加熱可能溶融転写ニップ要素温度及び相対的に大きなニップ後冷却エアフローレートを含み、且つ、前記第2制御パラメータプロファイルは、中程度の加熱可能溶融転写ニップ要素温度及び相対的に低いニップ後冷却エアフローレートを含む、請求項1、2及び4~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
m>1である、請求項1~3及び5~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのn層は、層構築エラーによって生成される空洞を含み、且つ、少なくとも1つのm層は、前記空洞の少なくとも一部分上において橋又は棚を形成している、請求項1~4及び6~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1制御パラメータプロファイルは、相対的に大きな加熱可能溶融転写ニップ要素圧力を含み、且つ、前記第2制御パラメータプロファイルは、相対的に小さな加熱可能溶融転写ニップ要素圧力を含む、請求項1~5及び7~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱拡散深さは、約125μm~約750μmである、請求項1~6及び8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱拡散深さは、ほぼ、前記3D部品の24個の蓄積された層の厚さである、請求項1~7及び9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
新しい層を前記接合領域上に溶融転写することなしに少なくとも1つの溶融転写パスを実行するステップを更に有する、請求項1~8及び10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶融転写シーケンスに従って前記3D部品の予め蓄積された層の前記接合領域上において別のn+m層を溶融転写するステップを更に有する、請求項1~9及び11、12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1制御パラメータプロファイルは、第1カテゴリ内の相対的に高い性能及び第2カテゴリ内の相対的に低い性能を有する層を構築するように構成されており、且つ、前記第2制御パラメータプロファイルは、前記第2カテゴリ内の相対的に高い性能及び前記第1カテゴリ内の相対的に低い性能を有する層を構築するように構成されている、請求項1~10及び12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1カテゴリは、3D部品の破壊強度を有し、且つ、前記第2カテゴリは、橋又は棚形成の品質を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
静電複写に基づいた付加製造システムによって層ごとの方式で3次元(3D)部品を製造する方法であって、
第1制御パラメータプロファイルを確立するステップであって、前記第1制御パラメータプロファイルは、前記3D部品の単一層を構築するために前記静電複写に基づいた付加製造システムを制御するべく使用可能な温度及び力パラメータの第1組合せを含み、且つ、前記第1制御パラメータプロファイルは、第1カテゴリ内の相対的に高い性能及び第2カテゴリ内の相対的に低い性能を有する層を構築するように構成されている、ステップと、
第2制御パラメータプロファイルを確立するステップであって、前記第2制御パラメータプロファイルは、前記3D部品の単一層を構築するために前記静電複写に基づいた付加製造システムを制御するべく使用可能な温度及び力パラメータの第2組合せを含み、前記第2制御パラメータプロファイルは、前記第2カテゴリ内の相対的に高い性能及び前記第1カテゴリ内の相対的に低い性能を有する層を構築するように構成されており、且つ、前記温度及び力パラメータの第2組合せは、前記温度及び力パラメータの第1組合せとは異なっている、ステップと、
複数の層を溶融転写するべく使用可能な溶融転写シーケンスを確立するステップであって、前記溶融転写シーケンスは、規定された順序における前記第1制御パラメータプロファイル及び前記第2制御パラメータプロファイルのそれぞれのものの使用を規定しており、前記溶融転写シーケンスは、前記第1制御パラメータプロファイルに従って前記3D部品の予め蓄積された層の前記接合領域上においてn層を溶融転写するための且つ前記n層の溶融転写の後に前記第2制御パラメータプロファイルに従って前記3D部品の予め蓄積された層の前記接合領域上においてm層を溶融転写するための命令を有する、ステップと、
前記溶融転写シーケンスに従って前記3D部品の予め蓄積された層の接合領域上においてn+m層を溶融転写するステップであって、n及びmは、それぞれ正の整数であり、熱エネルギーが、それぞれの層の溶融転写により、前記予め蓄積された層内の熱拡散深さだけ、前記接合領域から前記予め蓄積された層に追加されており、且つ、前記n+m層の合計厚さは、前記熱拡散深さ未満である、ステップと、
前記溶融転写シーケンスに従って前記3D部品の予め蓄積された層の前記接合領域上において別のn+m層を溶融転写するステップと、
を有する方法。
【請求項14】
第1制御パラメータプロファイルは、相対的に高い加熱可能溶融転写ニップ要素温度及び相対的に大きなニップ後冷却エアフローレートを含み、且つ、前記第2制御パラメータプロファイルは、中程度の加熱可能溶融転写ニップ要素温度及び相対的に小さなニップ後冷却エアフローレートを含む、請求項13及び15~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
m>1である、請求項13、14及び16~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのn層は、層構築エラーによって生成された空洞を含み、且つ、少なくとも1つのm層は、前記空洞の少なくとも一部分上において橋又は棚を形成している、請求項13~15及び17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
第1制御パラメータプロファイルは、相対的に大きな加熱可能溶融転写ニップ要素力を含み、且つ、前記第2制御パラメータプロファイルは、相対的に小さな加熱可能溶融転写ニップ要素力を含む、請求項13~16及び18~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記接合領域上に新しい層を溶融転写することなしに、少なくとも1つの溶融転写パスを実行するステップを更に有する、請求項13~17及び19、20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1カテゴリは、3D部品の破壊強度を有し、且つ、前記第2カテゴリは、橋又は棚形成の品質を有する、請求項13~18及び20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記n+m層の第1のものを提供するべく少なくとも1つの静電複写エンジンを使用してパウダー材料を現像するステップと、
前記n+m層の前記第1のものを転送媒体上において支持するステップと、
前記n+m層の前記第1のものを前記転送媒体を介して溶融転写組立体に搬送するステップと、
溶融転写ニップ要素による溶融転写力の印加の前に、前記n+m層の前記第1のものを加熱するステップと、
前記溶融転写ニップ要素による前記溶融転写力の印加の後に、前記3D部品の前記n+m層の前記第1のもの及び前記予め蓄積された層を冷却するステップと、
を更に有する、請求項13~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
静電複写に基づいた付加製造システムによって層ごとの方式で3次元(3D)部品を製造する方法であって、
第1制御パラメータプロファイルを確立するステップであって、前記第1制御パラメータプロファイルは、前記3D部品の単一層を溶融転写するべく使用可能なパラメータの第1組合せを含む、ステップと、
第2制御パラメータプロファイルを確立するステップであって、前記第2制御パラメータプロファイルは、パラメータの第2組合せを含み、且つ、前記パラメータの第2組合せは、前記パラメータの第1組合せとは異なっている、ステップと、
n+d溶融転写組立体パスを伴う前記静電複写に基づいた付加製造システムの溶融転写組立体によって溶融転写組立体パスを実行するべく使用可能な溶融転写シーケンスを確立するステップであって、n及びdは、それぞれ正の整数であり、前記溶融転写シーケンスは、複数の層を溶融転写するための規定された順序における前記第1制御パラメータプロファイル及び前記第2制御パラメータプロファイルのそれぞれのものの使用を規定している、ステップと、
前記溶融転写シーケンスに従って前記3D部品の予め蓄積された層の接合領域上においてn層を溶融転写するステップであって、前記n層は、前記第1制御パラメータプロファイルに従って前記3D部品の予め蓄積された層の前記接合領域上において溶融転写されている、ステップと、
前記溶融転写シーケンスに従って前記溶融転写組立体を有するd非溶融転写パスを実行するステップであって、前記d非溶融転写パスは、前記接合領域上においてなんらの新しい層をも溶融転写しておらず、且つ、前記d非溶融転写パスの少なくとも1つは、前記第2制御パラメータプロファイルを使用して実行されている、ステップと、
を有する方法。
【請求項22】
前記溶融転写シーケンスに従って前記溶融転写組立体によってd非溶融転写パスを実行する前記ステップは、
前記第2制御パラメータプロファイルに従ってd
1非溶融転写パスを実行するステップと、
前記第1制御パラメータプロファイル及び前記第2制御パラメータプロファイルの両方とは異なる更なる追加的な制御パラメータプロファイルに従ってd
2非溶融転写パスを実行するステップと、
を有する、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、すべての国の指定の出願人である米国法人Evolve Additive Solutions,Inc並びにすべての国の指定の発明者である米国市民J.Samuel Batchelder及び米国市民Manish Booruguの名義の下に2020年5月15日にPCT国際特許出願として出願されており、且つ、2019年5月17日付けで出願された米国仮特許出願第62/849,213号に対する優先権を主張するものであり、これらの特許文献の内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0002】
本開示は、3次元(3D)部品の付加製造用のシステム及び方法に関し、且つ、更に詳しくは、3D部品及びその支持構造を構築するべく選択的に溶融転写される層の特性をシーケンシングするための付加製造システム及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
付加製造は、一般に、物体のコンピュータモデルを利用した選択的層堆積により、3次元(3D)物体を製造するプロセスである。付加製造システムの基本的動作は、3次元コンピュータモデルを薄い断面にスライシングするステップと、この結果を1つ又は複数の付加製造技法を使用して層ごとの方式で3次元構造を製造する機器を製造するための位置データ及び位置データに変換するステップと、から構成されている。付加製造は、熱溶解積層法、インクジェッティング、選択的レーザー焼結、パウダー/バインダジェッティング、電子ビーム溶解、電子写真イメージング、及びステレオリソグラフィプロセスを含む製造の方法に対する多くの異なる方式を伴っている。
【0004】
部品材料の層を堆積させることによって3D部品を製造する際には、通常、部品材料自体によって支持されてはいない突出した部分の下方において又は構築中の物体の空洞内において支持層又は構造が構築されている。支持構造は、部品材料が堆積されているものと同一の堆積技法を利用して構築することができる。いくつかの例において、ホストコンピュータは、任意選択により、形成されている3D部品の突出した又は自由空間のセグメント用の且ついくつかのケースにおいては形成されている3D部品の側壁用の支持構造として機能する更なる形状を生成することができる。支持材料は、製造の際には部品材料に接着し、且つ、印刷プロセスが完了した際には、完成した3D部分から取り外すことができる。
【0005】
静電複写3D印刷プロセスにおいて、3D部品及びその支持構造のデジタル表現のスライスは、電子写真エンジンを使用して印刷又は現像されている。電子写真エンジンは、一般に、3D部分を構築する際に使用するべく生成された帯電パウダー材料(例えば、ポリマートナー材料)を使用することにより、2D電子写真印刷プロセスに従って動作している。静電複写エンジンは、通常、光伝導性材料層によって被覆された支持ドラムを使用しており、この場合に、潜在静電画像が、光源による光伝導性層の画像ごとの露光に後続する静電帯電によって形成されている。次いで、潜在静電画像は、現像ステーションに移動され、ここで、3D部品のスライスを表す帯電パウダー材料の層を形成するべく、ポリマートナーが、光伝導性絶縁体の帯電エリアに又はその代わりに放電エリアに適用されている。現像された層は転送媒体に転送され、これから、層が、3D部品を構築するべく、熱及び圧力により、予め印刷された層に溶融転写されている。
【0006】
上述の商業的に利用可能である付加製造技法に加えて、新規の付加製造技法が登場しており、この場合には、まず、粒子がイメージングプロセスにおいて選択的に堆積され、これにより、生成される対象の部品のスライスに対応する層が形成されており、次いで、層が互いに接合され、これにより、部品が形成されている。これは、例えば、イメージング及び部品形成が同時に発生している選択的焼結とは対照的な選択的堆積プロセスである。選択的堆積プロセスにおけるイメージングステップは、電子写真術を使用して実行することができる。2次元(2D)印刷においては、電子写真術(即ち、ゼログラフィ)が、印刷紙などの平坦な基材上において2D画像を生成するための一般的な技術である。電子写真システムは、光伝導性材料層によって被覆された導電性支持ドラムを含んでおり、この場合には、光源によって光伝導性層を帯電させ、且つ、次いで、画像ごとに露光することにより、潜在静電画像が形成されている。次いで、潜在静電画像は、現像ステーションに移動され、そこで、可視画像を形成するべく、トナーが光伝導性絶縁体の帯電エリアに適用されている。次いで、形成されたトナー画像は、基材(例えば、印刷紙)に転送され、且つ、熱又は圧力により、基材に付着されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様において、静電複写に基づいた付加製造システムによって層ごとの方式で3次元(3D)部品を製造する方法は、第1制御パラメータプロファイルを確立するステップと、第2制御パラメータプロファイルを確立するステップと、複数の層を溶融転写するべく使用可能な溶融転写シーケンスを確立するステップと、溶融転写シーケンスに従って3D部品の予め堆積された層の接合領域上においてn+m層を溶融転写するステップと、を含み、ここで、n及びmは、それぞれ、正の整数である。第1制御パラメータプロファイルは、3D部品の単一の層を溶融転写するべく使用可能な温度及び圧力パラメータの第1組合せを含み、第2制御パラメータプロファイルは、3D部品の単一の層を溶融転写するべく使用可能な温度及び圧力パラメータの第2組合せを含み、且つ、温度及び圧力パラメータの第2組合せは、温度及び圧力パラメータの第1組合せとは異なっている。溶融転写シーケンスは、規定された順序における第1制御パラメータプロファイル及び第2制御パラメータプロファイルのそれぞれのものの使用を規定している。熱エネルギーが、それぞれの層の溶融転写により、接合領域から予め蓄積された層に、予め堆積された層内の熱拡散深さだけ、追加され、且つ、n+m層の合計厚さは、熱拡散深さ未満である。溶融転写ステップは、第1制御パラメータプロファイルに従って3D部品の予め蓄積された層の接合領域上においてn層を溶融転写するステップと、n層の溶融転写の後に、第2制御パラメータプロファイルに従って3D部品の予め堆積された層の接合領域上においてm層を溶融転写するステップと、を含む。
【0008】
本開示の別の態様において、静電複写に基づいた付加製造システムによって層ごとの方式で3次元(3D)部品を製造する方法は、第1制御パラメータプロファイルを確立するステップと、第2制御パラメータプロファイルを確立するステップと、複数の層を溶融転写するべく使用されうる溶融転写シーケンスを確立するステップと、溶融転写シーケンスに従って3D部品の予め蓄積された層の接合領域上においてn+m層を溶融転写するステップであって、ここで、n及びmは、それぞれ、正の整数である、ステップと、溶融転写シーケンスに従って3D部品の予め蓄積された層の接合領域上において別のn+m層を溶融転写するステップと、を含む。第1制御パラメータプロファイルは、3D部品の単一の層を構築するために静電複写に基づいた付加製造システムを制御するべく使用可能な温度及び力パラメータの第1組合せを含み、且つ、第1カテゴリ内の相対的に高い性能及び第2カテゴリ内の相対的に低い性能を有する層を構築するように構成されている。第2制御パラメータプロファイルは、3D部品の単一の層を構築するために静電複写に基づいた付加製造システムを制御するべく使用可能な温度及び力パラメータの第2組合せを含み、且つ、第2カテゴリ内の相対的に高い性能及び第1カテゴリ内の相対的に低い性能を有する層を構築するように構成されている。温度及び力パラメータの第2組合せは、温度及び力パラメータの第1組合せとは異なっている。溶融転写シーケンスは、規定された順序における第1制御パラメータプロファイル及び第2制御パラメータプロファイルのそれぞれのものの使用を規定しており、且つ、第1制御パラメータプロファイルに従って3D部品の予め蓄積された層の接合領域上においてn層を溶融転写するための且つn層の溶融転写の後に第2制御パラメータプロファイルに従って3D部品の予め蓄積された層の接合領域上においてm層を溶融転写するための命令を含む。熱エネルギーが、それぞれの溶融転写より、接合領域から予め蓄積された層に、予め蓄積された層内の熱拡散深さだけ、追加され、且つ、n+m層の合計厚さは、熱拡散深さ未満である。
【0009】
別の態様において、静電複写に基づいた付加製造システムによって層ごとの方式で3次元(3D)部品を製造する方法は、第1制御パラメータプロファイルを確立するステップと、第2制御パラメータプロファイルを確立するステップと、n+d溶融転写組立体パスを伴う静電複写に基づいた付加製造システムの溶融転写組立体によって溶融転写組立体パスを実行するべく使用可能な溶融転写シーケンスを確立するステップであって、この場合に、n及びdは、それぞれ、正の整数である、ステップと、第1制御パラメータプロファイルに従って3D部品の予め蓄積された層の接合領域上においてn層を溶融転写するステップと、d非溶融転写パスの少なくとも1つが第2制御パラメータプロファイルを使用して実行されるように、溶融転写組立体により、d非溶融転写パスを実行するステップと、を含む。第1制御パラメータプロファイルは、3D部品の単一の層を溶融転写するべく使用可能なパラメータ(例えば、温度及び圧力)の第1組合せを含み、且つ、第2制御パラメータプロファイルは、パラメータの第2組合せを含み、且つ、パラメータの第2組合せは、パラメータの第1組合せとは異なっている。溶融転写シーケンスは、複数の層を溶融転写するための規定された順序における第1制御パラメータプロファイル及び第2制御パラメータプロファイルのそれぞれのものの使用を規定している。d非溶融転写パスは、接合領域上においてなんらの新しい層をも溶融転写していない。
【0010】
この概要は、限定ではなく例示を目的として提供されるものである。本発明のその他の態様については、全体テキスト、請求項、及び添付図面を含む本開示の全体に鑑み、理解することができよう。
【0011】
定義
そうではない旨が規定されていない限り、本明細書において使用されている以下の用語は、以下に提供されている意味を有する。
【0012】
「コポリマ」という用語は、2つ以上のモノマー種を有するポリマーを意味している。
【0013】
「好ましい(prefered)」及び「好ましくは(preferably)」という用語は、特定の状況下において特定の利益を提供しうる本発明の実施形態を意味している。但し、その他の実施形態も、同一又はその他の状況下において好ましいものとなりうる。更には、1つ又は複数の好適な実施形態の記述は、その他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、且つ、本開示の発明範囲からその他の実施形態を排除することを意図したものではない。
【0014】
「1つの(a)」化合物に対する参照は、化合物の単一の分子に限定されるものではなく、化合物の1つ又は複数の分子を意味している。更には、1つ又は複数の分子は、化合物のカテゴリに含まれている限り、同一であってもよく、或いは、そうでなくてもよい。
【0015】
要素の「少なくとも1つ(at least one)」及び「1つ又は複数(one or more of)」という用語は、相互交換可能に使用されており、且つ、単一の要素及び複数の要素を含む同一の意味を有し、且つ、要素の末尾における添え字「(s)」によっても表されうる。
【0016】
「上方(above)」、「下方(below)」、「上部(top)」、「下部(bottom)」、及びこれらに類似したものなどの方向の向きは、3D部品の印刷軸に沿った方向その関連において示されている。印刷軸が垂直方向のz軸である実施形態においては、層の印刷方向は、垂直方向のz軸に沿って上向き方向である。これらの実施形態においては、「上方」、「下方」、「上部」、「下部」という用語、及びこれらに類似したものは、垂直方向のz軸に基づいたものである。但し、3D部品の層が異なる軸に沿って印刷されている実施形態においては、「上方」、「下方」、「上部」、「下部」という用語、並びにこれらに類似したものは、所与の軸との関係におけるものである。
【0017】
「材料を提供する(providing a material)」及びこれに類似したものなどの「提供する」という用語は、請求項において記述されている際には、提供される項目の任意の特定の供給又は受取りを必要とすることを意図したものではない。むしろ、「提供する」という用語は、わかりやすさ及び読み易さを目的として、1つ又は複数の請求項の後続の要素において参照されることになる項目を記述するためにのみ使用されている。
【0018】
「選択的堆積」という用語は、粒子の1つ又は複数の層が、時間に伴って熱及び圧力を利用して予め堆積された層に融着される付加製造技法を意味しており、この場合に、粒子は、部品の層を形成するべく1つに融着され、且つ、予め印刷されている層にも融着している。
【0019】
「静電複写」という用語は、表面上において部品、支持構造、又はこれらの両方ものの層の画像を形成するための潜在静電電荷パターンの形成及び利用を意味している。静電複写は、限定を伴うことなしに、潜在画像を形成するべく光エネルギーが使用されている静電複写と、潜在画像を形成するべくイオンが使用されているイオノグラフィ、及び/又は潜在画像を形成するべく電子が使用されている電子ビームイメージングを含む。
【0020】
そうではない旨が規定されていない限り、本明細書において参照されている温度は、大気圧(即ち、一気圧)に基づいたものである。
【0021】
「約(about)」及び「実質的に(substantially)」という用語は、本明細書においては、当業者には既知の予想変動(例えば、計測における制限及び可変性)に起因した計測可能値及び範囲との関係において使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の実施形態による層ごとの方式で3D部品及び関連する支持構造を構築する例示用の電子写真に基づいた付加製造システムの単純化された概略正面図である。
【
図2】本開示の実施形態による例示用の電子写真エンジンの概略正面図である。
【
図3】本開示の実施形態による転送ドラム又はベルトを含む例示用の電子写真エンジンの概略正面図である。
【
図4】本開示の実施形態による例示用の層溶融転写組立体の概略正面図である。
【
図5】3D部品の所与の層の構築用の例示用の循環的温度スウィングを概略的に示す温度対深さのグラフである。
【
図6】一連の相対的に高温の層溶融転写を通じて成長する構築エラー空洞を概略的に示す3D部品の断面図である。
【
図7】一連の相対的に低温の層溶融転写を通じて橋絡された構築エラー空洞を概略的に示す3D部品の断面図である。
【
図8】本開示の実施形態による異なる溶融転写制御パラメータプロファイルのシーケンスにおいて層を溶融転写する例示用の溶融転写シーケンスに従って構築された3D部品の概略断面図である。
【
図9】本開示の実施形態による溶融転写シーケンスに従って層ごとの方式で3D部品及び関連する支持構造を構築する例示用の方法のフローチャートである。
【
図10A】本開示の実施形態による溶融転写シーケンスに従って層を溶融転写する例示用の方法のフローチャートである。
【
図10B】本開示の実施形態による溶融転写シーケンスに従って層を溶融転写する例示用の方法のフローチャートである。
【
図10C】本開示の実施形態による溶融転写シーケンスに従って層を溶融転写する例示用の方法のフローチャートである。
【
図10D】本開示の実施形態による溶融転写シーケンスに従って層を溶融転写する例示用の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以上において識別されている図は、本発明の1つ又は複数の実施形態を記述しているが、説明において記述されているように、その他の実施形態も想定されている。すべてのケースにおいて、本開示は、限定ではなく代表例として本発明を提示している。本発明の原理の範囲及び精神に含まれる多数のその他の変更及び実施形態が当業者によって考案されうることを理解されたい。図は、正確な縮尺で描画されていない場合があり、且つ、本発明の用途及び実施形態は、図面には具体的に示されていない特徴、ステップ、及び/又はコンポーネントを含みうる。
【0024】
以下、添付図面を参照し、本開示の実施形態について更に十分に説明する。同一又は類似の参照符号を使用して識別されている要素は、同一又は類似の要素を意味している。但し、本開示の様々な実施形態は、多くの異なる形態において実施することができると共に、本明細書において記述されている実施形態に限定されるものとして解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分且つ完全になるように提供されており、且つ、本開示の範囲を当業者に十分に伝達することになる。
【0025】
以下の説明においては、実施形態の十分な理解を提供するべく、特定の詳細が付与されている。但し、当業者は、実施形態がこれらの特定の詳細を伴うことなしに実施されうることを理解している。例えば、不必要な詳細において実施形態を曖昧にしないように、回路、システム、ネットワーク、プロセス、フレーム、支持部、コネクタ、モーター、プロセッサ、及びその他のコンポーネントが、示されていない場合があり、或いは、ブロック図の形態において示されている場合がある。
【0026】
当業者には更に理解されるように、本開示は、例えば、方法、システム、装置、及び/又はコンピュータプログラムとして実施することができる。従って、本開示は、全体的にハードウェア実施形態の、全体的にソフトウェア実施形態の、或いは、ソフトウェア及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態を有することができる。本開示のコンピュータプログラム又はソフトウェア態様は、コンピュータ可読媒体又はメモリ内において保存されたコンピュータ可読命令又はコードを有することができる。コントローラの1つ又は複数のプロセッサなどの1つ又は複数のプロセッサ(例えば、中央処理ユニット)によるプログラム命令の実行は、1つ又は複数のプロセッサが本明細書において記述されている1つ又は複数の機能又は方法ステップを実行することを結果的にもたらす。例えば、ハードディスク、CD-ROM、光ストレージ装置、又は磁気ストレージ装置を含む任意の適切な特許主題の適格なコンピュータ可読媒体又はメモリを利用することができる。このようなコンピュータ可読媒体又はメモリは、単なる一時的な波又は信号を超えたものを構成している。
【0027】
本明細書において言及されているコンピュータ可読媒体又はメモリは、例えば、限定を伴うことなし、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線、又は半導体システム、装置、機器、又は電波媒体であってよい。コンピュータ可読媒体の更に具体的な例(すべてを網羅してはいないリスト)は、1つ又は複数のワイヤを有する電気接続、携帯型コンピュータディスケット、ランダム軸メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、及び携帯型コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)を含むことになろう。プログラムは、例えば、紙又はその他の媒体の光学スキャニングを介して電子的にキャプチャすることが可能であり、次いで、必要に応じて、コンパイルする、解釈する、又はその他の適切な方式で処理することが可能であり、且つ、次いで、コンピュータメモリ内において保存されうることから、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体は、場合によっては、その上部にプログラムが印刷される紙又はその他の適切な媒体でありうることに留意されたい。
【0028】
上述のように、静電複写3D部品付加製造又は印刷動作において、静電複写エンジンは、静電複写プロセスを使用して帯電パウダー材料(例えば、ポリマートナー)から3D部品のそれぞれの層を現像している。3D部品の完成した層は、通常、転送ベルト又はドラムなどの適切な転送媒体に転送される1つの静電複写エンジンによって部品材料から形成された部品部分及び/又は対応する部品部分と見当合わせされた状態にある転送媒体に適用される異なる静電複写エンジンによって支持材料から形成された支持構造部分を含む。或いは、この代わりに、部品部分は、現像され且つ転送媒体上に予め印刷された支持構造部分との見当合わせ状態にある転送媒体に転送されてもよい。更には、複数の層は、逆の印刷順序においてイメージングすることも可能であり、且つ、選択された厚さの積層体を形成するべく、転送媒体上において互いに上下の関係において積層することができる。この結果、層を部品及び/又は支持材料のいくつかの重畳された又は別個の部分から構成することができる。
【0029】
転送媒体は、現像された層又は層の積層体を溶融転写組立体に供給し、そこで、3D部品及び対応する支持構造を形成するべく、層ごとの方式により、積層体ごとの方式により、又は個々の層と層の積層体の組合せにおいて、3D構造を形成するべく溶融転写プロセスが実行されている。溶融転写プロセスにおいては、熱及び圧力が、3D構造の表面を構築するべく、現像された層又は層の積層体を融着している。3D構造が構築された後に、支持構造は、完成した3D部品を明らかにするべく、水溶液又は水性分散液中において分解及び崩壊させることができる。
【0030】
本開示の実施形態は、層の熱プロファイル、構築されている部品、及び溶融転写組立体コンポーネントを調節するシステム及び方法を提供している。所与の層の溶融転写サイクルにおける様々な時点及び場所において選択的に且つ制御可能に熱エネルギーを追加するべく且つ熱エネルギーを除去するべく、ヒーター装置及びクーラー装置などの熱流束装置を使用することができる。本開示は、相対的に迅速な且つ効率的な層溶融転写サイクルタイムを促進しつつ、同時に、構築されている部品内における不必要な熱エネルギーの蓄積を低減又は除去することにより、熱リソースの相対的に効率的な使用を許容している。本開示のその他の特徴、態様、及び利益については、添付図面を含む本開示の全体に鑑み、認識することができよう。
【0031】
本開示は、静電複写に基づいた付加製造システムと共に利用されうるが、本開示については、電子写真に基づいた(EP)付加製造システムとの関連において説明することとする。但し、本開示は、EPに基づいた付加製造システムに限定されるものではなく、且つ、任意の静電複写に基づいた付加製造システムと共に利用することができる。
【0032】
図1は、本開示の実施形態による層ごとの方式で3D部品及び関連する支持構造を構築する例示用の電子写真に基づいた付加製造システム10の概略図である。3D部品及び関連する支持構造を層ごとの方式で構築するものとして示されているが、システム10は、層の積層体を形成するべく且つ3D部品及び関連する支持構造を形成するために積層体を溶融転写するべく使用することもできる。
【0033】
図1に示されているように、システム10は、EPエンジン12a~dなどの12として総合的に参照されている1つ又は複数の電子写真(EP)エンジンと、転送組立体14と、少なくとも1つの付勢メカニズム16と、溶融転写組立体20と、を含む。システム10用の適切なコンポーネント及び機能動作の例は、Hanson他の米国特許第8,879,957号明細書及び同第8,488,994号明細書において且つComb他の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第2013/0186558号明細書において開示されているものを含む。
【0034】
EPエンジン12は、帯電パウダー部品及び支持材料の3D部品の完成した層を個々にイメージングする又はその他の方法で現像するイメージングエンジンであり、これらは、総合的に22として参照されている。帯電パウダー部品及び支持材料は、それぞれ、好ましくは、EPエンジン12の特定のアーキテクチャと共に使用されるように設計されている。いくつかの実施形態において、EPエンジン12a及び12cなどのシステム10のEPエンジン12の少なくとも1つは、層22の支持構造部分22sを形成するべく支持材料の層を現像しており、且つ、EPエンジン12b及び12dなどのEPエンジン12の少なくとも1つは、層22の部品部分22pを形成するべく部品材料の層を現像している。EPエンジン12は、形成された部品部分22p及び支持構造部分22sを転送媒体24に転送している。いくつかの実施形態において、転送媒体24は、
図1に示されているように、転送ベルトの形態を有する。転送媒体24は、転送ドラム又はシートなどの転送ベルトの代わりに又はこれに加えて、その他の適切な形態を有することができる。従って、本開示の実施形態は、転送ベルトの形態における転送媒体24の使用に限定されるものではない。
【0035】
いくつかの実施形態において、システム10は、完成した層22を形成するべく協働するEPエンジン12a及び12bなどのEPエンジン12の少なくとも1つのペアを含む。いくつかの実施形態において、EPエンジン12c及び12dなどのEPエンジン12の更なるペアは、その他の層22を形成するべく協働することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、所与の層22の支持構造部分22sを形成するべく構成されているEPエンジン12のそれぞれは、転送ベルト24のフィード又はイントラック方向32との関係において層22の部品部分22pを形成するように構成された対応するEPエンジン12の上流において位置決めされている。従って、例えば、支持構造部分22sを形成するようにそれぞれが構成されたEPエンジン12a及び12cは、
図1に示されているように、転送ベルト24のフィード方向32との関係において部品部分22pを形成するように構成されたその対応するEPエンジン12b及び12dの上流において位置決めされている。代替実施形態において、EPエンジン12のこの構成は、部品部分22pを形成するEPエンジンが、転送ベルト24のフィード方向32との関係において支持構造部分22sを形成するように構成された対応するEPエンジン12の上流において配置されうるように、逆転させることができる。従って、例えば、EPエンジン12bは、EPエンジン12aの上流において位置決めされてもよく、且つ、EPエンジン12dは、転送ベルト24のフィード方向32との関係においてEPエンジン12cの上流において位置決めされてもよい。更なる実施形態において、2つ超の材料が利用されている場合に、或いは、異なる材料が大幅に異なる特性を有しており、且つ、相対的に多くのEPエンジン12がその他のもの以外のなんらかの1つ又は複数の材料に専用である、などの場合には、EPエンジン12の異なるグルーピング(例えば、トリオ、カルテット、など)が可能である。
【0037】
後述するように、現像された層22は、転送組立体14の転送媒体24に転送され、これが、層22を溶融転写組立体20に供給している。溶融転写組立体20は、構築プラットフォーム28上において層22を一緒に溶融転写することにより、3D部品26p、支持構造26s、及び/又はその他の特徴を含む3D構造26を層ごとの方式で構築するべく動作している。
【0038】
いくつかの実施形態において、転送媒体24は、
図1に示されているように、ベルトを含む。転送媒体24用の適切な転送ベルトの例は、Comb他(米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第2013/0186558号明細書)において開示されているものを含む。いくつかの実施形態において、ベルト24は、前部表面24a及び後部表面24bを含み、この場合に、前部表面24aは、EPエンジン12に対向しており、且つ、後部表面24bは、付勢メカニズム16との接触状態にある。
【0039】
いくつかの実施形態において、転送組立体14は、例えば、モーター30及びドライブローラー33或いはその他の適切なドライブメカニズムを含む1つ又は複数のドライブメカニズムを含み、且つ、フィード方向32において転送媒体又はベルト24を駆動するべく動作している。いくつかの実施形態において、転送組立体14は、ベルト24用の支持を提供するアイドラローラー34を含む。
図1に示されている例示用の転送組立体14は、高度に単純化されており、且つ、その他の構成を有することができる。これに加えて、転送組立体14は、例えば、ベルト24内において望ましい張力を維持するコンポーネント、層22を受け入れる表面24aから破片を除去するベルトクリーナ、及びその他のコンポーネントなどの図示を単純化するべく図示されてはいない更なるコンポーネントを含むこともできる。
【0040】
また、システム10は、本明細書において記述されている1つ又は複数の機能を実行するためにシステム10のコンポーネントを制御するべく、システムのメモリ内において又はシステム10から離れたメモリ内においてローカルに保存されうる命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセスを表すコントローラ36をも含む。いくつかの実施形態において、コントローラ36のプロセッサは、1つ又は複数のコンピュータに基づいたシステムのコンポーネントである。いくつかの実施形態において、コントローラ36は、1つ又は複数の制御回路、マイクロプロセッサに基づいたエンジン制御システム、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)などの1つ又は複数のプログラム可能なハードウェアコンポーネント及び/又は本明細書において記述されている1つ又は複数の機能を実行するためにシステム10のコンポーネントを制御するべく使用されるデジタル的に制御されたラスタ撮像プロセッサシステムを含む。いくつかの実施形態において、コントローラ36は、例えば、ホストコンピュータ38から又は別の場所から受け取られた印刷命令に基づいて同期した方式でシステム10のコンポーネントを制御している。
【0041】
いくつかの実施形態において、コントローラ36は、システム10のコンポーネントを有する適切な有線又は無線通信リンク上において通信している。いくつかの実施形態において、コントローラ36は、ホストコンピュータ38又はその他のコンピュータ及びサーバーなどの外部装置との間において、例えば、ネットワーク接続(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)接続)上などの適切な有線又は無線通信リンク上において通信している。
【0042】
いくつかの実施形態において、ホストコンピュータ38は、印刷命令(並びに、その他の動作情報)を提供するべくコントローラ36と通信するように構成された1つ又は複数のコンピュータに基づいたシステムを含む。例えば、ホストコンピュータ38は、3D部品及び支持構造のスライシングされた層に関係する情報をコントローラ36に転送し、これにより、システム10が層ごとの方式で層22を印刷し且つ任意の支持構造を含む3D部品を形成することを許容することができる。
【0043】
システム10のコンポーネントは、1つ又は複数のフレーム構造によって保持することができる。これに加えて、システム10のコンポーネントは、システム10のコンポーネントが動作の際に周辺光に曝露されることを防止する且つシステムを通じて循環する空気の温度及び湿度の制御を支援する封止可能なハウジング(図示されてはいない)内において保持することもできる。
【0044】
図2は、本開示の例示用の実施形態によるシステム10のEPエンジン12a及び12bの概略正面図である。図示の実施形態において、EPエンジン12a及び12bは、導電性ボディ44と、光伝導性表面46と、を有する光伝導体ドラム42などの同一のコンポーネントを含むことができる。導電性ボディ44は、電気的に接地されうる(或いは、接地以外の特定の電圧にバイアスされうる)且つシャフト48を中心として回転するように構成されうる(例えば、銅、アルミニウム、すず、又はこれらに類似したものから製造された)導電性ボディである。シャフト48は、対応する方式で、ドライブモーター50に接続されており、これは、実質的に一定のレートにおいて矢印52の方向においてシャフト48(並びに、光伝導体ドラム42)を回転させるように構成されている。また、EPエンジン12の実施形態は、光伝導体ドラム42を利用するものとして記述及び図示されているが、導電性材料を有するベルト又はその他の適切なボディを光伝導体ドラム42及び導電性ボディ44の代わりに利用することもできる。
【0045】
光伝導性表面46は、導電性ボディ44の周囲表面の周りにおいて延在する薄膜であり(ドラムとして示されているが、この代わりに、ベルト又はその他の適切なボディでありうる)、且つ、好ましくは、アモルファスシリコン、セレニウム、酸化亜鉛、有機材料、及びこれらに類似したものなどの1つ又複数の光伝導性材料から導出されている。後述するように、表面46は、3D部品又は支持構造のスライシングされた層の潜在帯電画像(或いは、ネガティブ画像)を受け取るように、且つ、帯電した又は放電した画像エリアに部品又は支持材料の帯電した粒子を吸着し、これにより、3D部品26p又は支持構造26sの層22を生成するように、構成されている。
【0046】
また、更に図示されているように、例示用のEPエンジン12a及び12bのそれぞれは、電荷インデューサ54、イメージャ56、現像ステーション58、クリーニングステーション60、及び放電装置62をも含み、これらのそれぞれは、コントローラ36との信号通信状態にあってよい。従って、電荷インデューサ54、イメージャ56、現像ステーション58、クリーニングステーション60、及び放電装置62は、表面46用の画像形成組立体を定義している一方で、ドライブモーター50及びシャフト48は、方向52において光伝導体ドラム42を回転させている。
【0047】
EPエンジン12は、層22を現像又は形成するべく、本明細書において66として総合的に呼称されている帯電粒子材料(例えば、ポリマー又は熱可塑性トナー、セラミック、又は磁気材料、などのような相対的に導電性が乏しいもの)を使用している。いくつかの実施形態においては、EPエンジン12aの表面46用の画像形成組立体は、支持材料66sの支持構造部分22sを形成するべく使用されており、この場合に、支持材料66sの供給源は、キャリア粒子と共に(EPエンジン12aの)現像ステーション58によって保持することができる。同様に、EPエンジン12bの表面46用の画像形成組立体は、部品材料66pの部品部分22pを形成するべく使用されており、この場合に、部品材料66pの供給源は、キャリア粒子と共に(EPエンジン12bの)現像ステーション58によって保持することができる。
【0048】
電荷インデューサ54は、表面46が電荷インデューサ54を過ぎて方向52において回転するのに伴って、表面46上において均一な静電電荷を生成するように構成されている。電荷インデューサ54用の適切な装置は、コロトロン、スコロトロン、充電ローラー、及びその他の静電気充電装置を含む。
【0049】
イメージャ56は、表面46がイメージャ56を過ぎて方向52において回転するのに伴って、表面46上の均一な静電電荷に向かって電磁放射を選択的に放出するように構成されたデジタル的に制御されたピクセルごとの露光装置である。表面46に対する電磁放射の選択的な露光は、コントローラ36によって制御されており、且つ、静電電荷の個別のピクセルごとの場所が除去(即ち、放電)されるようにし、これにより、表面46上において潜在画像電荷パターンを形成している。
【0050】
イメージャ56用の適切な装置は、スキャニングレーザー(例えば、ガス又は固体レーザー)光源、発光ダイオード(LED)アレイ露光装置、及び2D電子写真システム内において従来から使用されているその他の露光装置を含む。代替実施形態において、電荷インデューサ54及びイメージャ56用の適切な装置は、潜在画像電荷パターンを形成するべく帯電イオン又は電子を表面46に直接的に選択的に堆積するように構成されたイオン堆積システムを含む。この実施形態によれば、電荷インデューサ54を除去することができる。いくつかの実施形態において、イメージャ56によって放出された電磁放射は、表面46上において形成される潜在画像電荷パターンの電荷の量を制御する強度を有している。従って、本明細書において使用されている「電子写真」という用語は、「静電複写」又は表面上において電荷パターンを生成するプロセスと広く見なすことができる。また、代替肢は、イオノグラフィなどのようなものをも含む。
【0051】
それぞれの現像ステーション58は、キャリア粒子と共に、部品材料66p及び支持材料66sの供給源を保持する静電及び磁気現像ステーション又はカートリッジである。現像ステーション58は、2D電子写真システムにおいて使用されている単一又はデュアルコンポーネント現像システム及びトナーカートリッジに類似した方式で機能することができる。例えば、それぞれの現像ステーション58は、部品材料66p又は支持材料66s及びキャリア粒子を保持するためのエンクロージャを含むことができる。攪拌された際に、キャリア粒子は、部品材料66p又は支持材料66sのパウダーを吸着するべく摩擦電荷を生成し、これは、後述するように、吸着されたパウダーを望ましい符号及び大きさに帯電させている。
【0052】
また、それぞれの現像ステーション58は、コンベア、ファーブラシ、パドルホイール、ローラー、及び/又は磁気ブラシなどの支持材料66p又は66sの帯電粒子を表面46に転送するための1つ又は複数の装置を含むこともできる。例えば、(潜在帯電画像を含む)表面46が方向52においてイメージャ56から現像ステーション58に回転するのに伴って、帯電した部品材料66p又は支持材料66sは、(利用されている電子写真モードに応じて)帯電エリア現像又は放電エリア現像を利用して表面46上の潜在画像の適切に帯電した領域に吸着される。これは、光伝導体ドラム42が方向52において回転を継続するのに伴って、表面46上において連続的な層22p又は22sを生成しており、この場合に、連続的な層22p又は22sは、3D部品又は支持構造のデジタル表現の連続的なスライシングされた層に対応している。
【0053】
いくつかの実施形態において、表面46上の層22p又は22sの厚さは、表面上の潜在画像電荷パターンの電荷に依存している。従って、層22p又は22sの厚さは、コントローラ36を使用した表面上のパターンの電荷の大きさの制御を通じて制御することができる。例えば、コントローラ36は、例えば、電荷インデューサ54を制御することにより、イメージャ56によって放出される電磁放射の強度を制御することにより、或いは、イメージャ56によって放出される電磁放射に対する表面46の露光の持続時間を制御することにより、層22p又は22sの厚さを制御することができる。
【0054】
次いで、連続的な層22p又は22sは、後述するように層22p又は22sが光伝導体ドラム42からベルト24又は別の転送媒体に連続的に転送される転送領域に、方向52において表面46と共に回転している。光伝導体ドラム42とベルト24の間の直接的な係合として示されているが、いくつかの好適な実施形態においては、EPエンジン12a及び12bは、更に後述するように、中間転送ドラム及び/又はベルトを含むこともできる。
【0055】
所与の層22p又は22sが光伝導体ドラム42からベルト24(或いは、中間転送ドラム又はベルト)に転送された後に、ドライブモーター50及びシャフト48は、層22p又は22sを予め保持していた表面46の領域がクリーニングステーション60を通過するように、光伝導体ドラム42を方向52において回転させることを継続している。クリーニングステーション60は、部品又は支持材料66p又は66sの任意の残留した転送されていない部分を除去するように構成されたステーションである。クリーニングステーション60用の適切な装置は、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、静電クリーナ、真空に基づいたクリーナ、及びこれらの組合せを含む。
【0056】
クリーニングステーション60を通過した後に、表面46は、表面46のクリーニング済みの領域が次のサイクルの開始の前に表面46上の任意の残留静電電荷を除去するべく放電装置62を通過するように、方向52において回転することを継続している。放電装置62用の適切な装置は、光学システム、高電圧交流コロトロン及び/又はスコロトロン、印加された高電圧交流を有する導電性コアを有する1つ又は複数の回転する誘電体ローラー、及びこれらの組合せを含む。
【0057】
付勢メカニズム16は、EPエンジン12a及び12bからベルト24に層22s及び22pを静電気によって吸着するべく、ベルト24を通じて電位を誘発するように構成されている。層22s及び22pは、それぞれ、プロセスのポイントにおいては、厚さにおいて単一層の増大のみであることから、EPエンジン12a及び12bからベルト24への層22s及び22pの転送には、静電吸着が適している。いくつかの実施形態において、ベルト24の表面24a上の層22p又は22sの厚さは、対応する付勢メカニズム16によってベルトを通じて誘発される電位に依存している。従って、層22p又は22sの厚さは、付勢メカニズム16によってベルトを通じて誘発される電位の大きさの制御を通じてコントローラ36によって制御することができる。
【0058】
コントローラ36は、好ましくは、ベルト24のライン速度及び/又は任意の中間転送ドラム又はベルトと同期した同一の回転レートにおいてEPエンジン12a及び12bの光伝導体ドラム42の回転を制御している。これは、システム10が、別個の現像装置画像と互いに調整された状態において層22s及び22pを現像及び転送することを許容している。具体的には、図示のように、層22pのそれぞれの部品は、層22と総合的に表記されている組み合わせられた部品及び支持材料層を生成するべく、それぞれの支持層22sとの適切な見当合わせ状態においてベルト24に転送することができる。理解されうるように、層溶融転写組立体20に転送される層22のいくつかは、特定の支持構造及び3D部品形状及び層スライシングに応じて、支持材料66sのみを含んでいてもよく、或いは、部品材料66sのみを含んでいてもよい。
【0059】
一代替実施形態において、部品部分22p及び支持構造部分22sは、任意選択により、交互に変化する層22s及び22pなどにより、別個に現像されてもよく且つベルト24に沿って転送されてもよい。次いで、これらの連続的な交互に変化する層22s及び22pは、層溶融転写組立体20に転送されてもよく、そこで、これらは、3D部品26p、支持構造26f、及び/又はその他の構造を含む構造26を印刷又は構築するべく別個に溶融転写されてもよい。
【0060】
また、更なる一代替実施形態において、EPエンジン12a及び12bの1つ又は両方は、光伝導体ドラム42とベルト又は転送媒体24の間において1つ又は複数の転送ドラム及び/又はベルトを含むこともできる。また、例えば、
図3に示されているように、EPエンジン12bは、方向52とは反対の方向52aにおいて回転する中間転送ドラム42aを含んでいてもよく、この場合に、ドラム42は、モーター50aの回転パワーの下において回転している。中間転送ドラム42aは、光伝導体ドラム42から現像済みの層22pを受け取るべく光伝導体ドラム42と係合し、且つ、次いで、受け取られた現像済みの層22pを搬送し、且つ、これらをベルト24に転送している。
【0061】
EPエンジン12aは、光伝導体ドラム42からベルト24に現像済みの層22sを搬送するべく中間転送ドラム42aの同一の構成を含むことができる。EPエンジン12a及び12b用のこのような中間転送ドラム又はベルトの使用は、適宜、ベルト24から光伝導体ドラム42を断熱するべく有益でありうる。
【0062】
図4は、層溶融転写組立体20の一実施形態を示している。図示のように、溶融転写組立体20は、構築プラットフォーム28と、ニップローラー70と、溶融転写前ヒーター72及び74と、任意選択の溶融転写後ヒーター76と、エアジェット78(又は、その他の冷却ユニット)と、を含む。構築プラットフォーム28は、層ごとの方式で部品層22pから形成された3D部品26p及び支持層22sから形成された支持構造26sを含む部品26を印刷するべく、加熱された組み合わせられた層22(又は、別個の層22p及び22s)を受け取るように構成されたシステム10のプラットフォーム組立体又はプラテンである。いくつかの実施形態において、構築プラットフォーム28は、印刷された層22を受け取るための除去可能な薄膜基材(図示されてはいない)を含んでいてもよく、この場合に、除去可能な薄膜基材は、任意の適切な技法(例えば、真空引き)を使用して構築プラットフォームに圧接状態において抑止することができる。
【0063】
構築プラットフォーム28は、ガントリ84又はその他の適切なメカニズムによって支持されており、これは、
図1において概略的に示されているように、z軸及びx軸(並びに、また、任意選択により、y軸)に沿って構築プラットフォーム28を運動させるように構成することができる(y軸は、
図1のページの内部に且つこれから外部に延在しており、z、x、及びy軸は、右手の法則を踏襲して互いに直交している)。ガントリ84は、
図4において破線86によって示されているように、ニップローラー70及びその他のコンポーネントとの関係において循環的運動パターンを生成することができる。ガントリ84の特定の運動パターンは、所与の用途に適する基本的に任意の望ましい経路を辿ることができる。ガントリ84は、コントローラ36からのコマンドに基づいてモーター88によって動作してもよく、この場合に、モーター88は、電気モーター、油圧系、空圧系、又はこれらに類似したものであってよい。一実施形態において、ガントリ84は、z及びx方向(並びに、任意選択により、y軸方向)において構築プラットフォーム28の運動を正確に制御する統合型のメカニズムを含みうる。代替実施形態において、ガントリ84は、例えば、z軸及びx軸の両方に沿って運動を生成する第1メカニズム及びy軸に沿ってのみ運動を生成する第2メカニズムにより、1つ又は複数の方向において構築プラットフォーム28の運動をそれぞれが制御する複数の動作自在に結合されたメカニズムを含むことができる。複数のメカニズムの使用は、ガントリ84が異なる軸に沿った異なる運動分解能を有することを許容することができる。更には、複数のメカニズムの使用は、更なるメカニズムが3未満の軸に沿って動作可能である既存のメカニズムに追加されることを許容することもできる。
【0064】
図示の実施形態において、構築プラットフォーム28は、加熱要素90(例えば、電気ヒーター)によって加熱可能でありうる。加熱要素90については、Comb他の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第20123/0186558号明細書において記述されている3D部品26p及び/又は支持構造26sの望ましい平均部品温度におけるものなどの、室温(25℃)超である上昇した温度において構築プラットフォーム28を加熱及び維持するように構成されている。これは、構築プラットフォーム28がこの平均部品温度における3D部品36p及び/又は支持構造26sの維持を支援することを許容している。
【0065】
ニップローラー70は、例示用の加熱可能/冷却可能要素又は加熱可能/冷却可能層溶融転写要素であり、これは、ベルト24の運動によって固定軸を中心として回転するように構成されている。具体的には、ニップコントローラ70は、ベルト24がフィード方向32において回転する状態において、矢印92の方向において後部表面22sに圧接した状態において回転することができる。図示の実施形態において、ニップローラー70は、加熱要素94(例えば、電気ヒーター)によって加熱可能である。加熱要素94は、層22用の望ましい転送温度などのような室温(25℃)超である上昇した温度においてニップローラー70を加熱及び維持するように構成されている。更なる実施形態において、ニップローラー70を冷却するべく、エアナイフなどの冷却要素を使用することができる。
【0066】
溶融転写前ヒーター72は、ニップローラー70に到達する前に、部品材料66p及び支持材料66sの溶融温度までなどの層22の選択された温度にベルト24上の層22を加熱するように構成された1つ又は複数の加熱装置(例えば、赤外線ヒーター及び/又は加熱されたエアジェット)を含む。それぞれの層22は、望ましくは、層22を意図されている転送温度に加熱するべく十分な滞在時間にわたってヒーター72のわきを通っている(又は、これを通じて通過している)。溶融転写前ヒーター74は、ヒーター72と同一の方式で機能してもよく、且つ、構築プラットフォーム上の3D部品26p及び支持構造26sの上部表面を上昇した温度に、且つ、一実施形態においては、接触の際に層に熱を供給するべく、加熱している。
【0067】
任意選択の溶融転写後ヒーター76は、ニップローラー70の下流において且つエアジェット78の上流において配置されており、且つ、溶融転写された層22を上昇した温度に加熱するように構成されている。
【0068】
上述のように、いくつかの実施形態において、構築プラットフォーム28上において部品26を構築する前に、構築プラットフォーム28及びニップローラー70は、その選択された温度に加熱することができる。例えば、構築プラットフォーム28は、3D部品26p及び支持構造26sの平均部品温度に加熱することができる。これとの比較において、ニップローラー70は、層22用の望ましい転送温度に加熱されてもよく、これは、ピーク溶融転写温度よりも低温であってもよく、その理由は、(構築材料粒子を1つに融着するべく)ニップ入口が高温となり且つ(ベルト24に対する接着を低減するべく)ニップ出口が低温となることが望ましいものでありうるからである。
【0069】
図4に更に示されているように、動作の際に、ガントリ84は、往復運動パターンにおいて(3D部品26p及び支持構造26sを有する)構築プラットフォーム28を運動させることができる。具体的には、ガントリ84は、下方のx軸に沿って、ヒーター74に沿って、或いは、これを通じて、構築プラットフォーム28を運動させることができる。ヒーター74は、3D部品26p及び支持構造26sの上部表面を部品及び支持材料の転送温度などの上昇した温度に加熱している。Comb他の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第2013/0186558号明細書において記述されているように、ヒーター72及び74は、一貫性を有する溶融転写インターフェイス温度を提供するべく、層22並びに3D部品26p及び支持構造26sの上部表面をほぼ同一の温度に加熱することができる。或いは、この代わりに、ヒーター72及び74は、望ましい溶融転写インターフェイス温度を実現するべく、層22並びに3D部品26p及び支持構造26sの上部表面を異なる温度に加熱することもできる。
【0070】
継続するベルト24の回転及び構築プラットフォーム28の運動は、x軸に沿った適切な見当合わせ状態において、加熱された層22を3D部品26p及び支持構造26sの加熱された上部表面とアライメントしている。ガントリ84は、フィード方向32におけるベルト24の回転レートと同期したレート(即ち、同一の方向及び速度)において、x軸に沿って構築プラットフォーム28を運動させることを継続することができる。この結果、ベルト24の後部表面24bは、3D部品26p及び支持構造26sの上部表面に圧接した状態においてベルト24及び加熱された層22を摘まむべく、ニップローラー70の周りにおいて回転することになる。これは、ニップローラー70の場所において3D部品26p及び支持構造26sの加熱された上部表面の間において加熱された層22を押圧し、これは、構築表面96を形成する3D部品26p及び支持構造26sの上部層に加熱された層22を少なくとも部分的に溶融転写している。
【0071】
溶融転写された層22がニップローラー70のニップを通過するのに伴って、ベルト24は、構築プラットフォーム28から分離するべく且つ係合解除するべくニップローラー70の周りを包み込んでいる。これは、溶融転写された層22をベルト24から解放し、これにより、溶融転写された層22が3D部品26p及び支持構造26sに接着された状態において留まることを許容することを支援している。そのガラス繊維温度超である、但し、溶融温度未満である転送温度において溶融転写インターフェイス温度を維持することは、加熱された層22が、ベルト24から容易に解放されるべく十分に低温になりつつ、3D部品26p及び支持構造26sに接着するべく十分に高温になることを許容している。
【0072】
解放の後に、ガントリ84は、構築ブロック28をx軸に沿って溶融転写後ヒーター76に運動させることを継続している。次いで、任意選択の溶融転写後ヒーター76において、3D部品26p及び支持構造26sの(溶融転写された層22を含む)最も上部の層は、融着又は熱硬化後ステップにおいて、熱可塑性に基づいたパウダーの少なくとも溶融温度に加熱することができる。これは、任意選択により、溶融転写された層22のポリマー分子が、3D部品26pとの高いレベルのインターフェイスのエンタグルメントを実現するべく迅速に相互拡散するように、溶融転写された層22の材料を高度に融着可能な状態に加熱している。
【0073】
これに加えて、ガントリ84が構築プラットフォーム28を溶融転写後ヒーター76を過ぎてx軸に沿ってエアジェット78に運動させることを継続するのに伴って、エアジェット78が、3D部品26p及び支持構造26sの上部層に向かって冷却エアを吹き出している。これは、Comb他の米国特許出願公開第2013/0186549号明細書及び同第2013/0186558号明細書において記述されているように、溶融転写された層22を平均部品温度まで又はその下方まで能動的に冷却している。
【0074】
3D部品26p及び支持構造26sを平均部品温度において維持することを支援するべく、いくつかの好適な実施形態において、ヒーター74及びヒーター76は、3D部品26p及び支持構造26sの最も上部の層のみを加熱するべく動作することができる。例えば、ヒーター72、74、及び76が赤外線放射を放出するように構成されている実施形態においては、3D部品26p及び支持構造26sは、赤外線波長の貫通を最も上部の層内に制限するように構成された熱アブゾーバ及び/又はその他の染料を含むことができる。更には、更に後述するように、部品26p及び支持構造26s内への赤外線放射貫通は、蓄積された層内の熱拡散係数に関係する熱拡散深さ(DTD)及び蓄積された層内に熱を拡散させるべく加熱された表面が許容されている時間の長さよりも格段に小さいものであってよい。或いは、この代わりに、ヒーター72、74、及び76は、3D部品26p及び支持構造26sの上部表面に跨って加熱された空気を吹き出すように構成することもできる。いずれのケースにおいても、3D部品26p及び支持構造26s内への熱貫通を制限することは、3D部品26p及び支持構造26sを平均部品温度において維持するべく必要とされる冷却の量を低減しつつ、最も上部の層が十分に溶融転写されることを許容している。
【0075】
次いで、ガントリ84は、下向きに構築プラットフォーム28を作動させることができると共に、往復運動する矩形パターン86を踏襲することにより、x軸に沿った開始位置までx軸に沿って戻るように構築プラットフォーム28を運動させることができる。構築プラットフォーム28は、望ましくは、次の層22との適切な見当合わせ状態のための開始位置に到達する。また、いくつかの実施形態において、ガントリ84は、次の層22との適切な見当合わせ状態のために構築プラットフォーム28及び3D部品26p/支持構造26sを上方に作動させることもできる。次いで、3D部品26p及び支持構造26sのそれぞれの残りの層22ごとに、同一のプロセスを反復することができる。
【0076】
溶融転写動作が完了した後に、結果的に得られた3D部品26p及び支持構造26sは、システム10から除去されてもよく、且つ、1つ又は複数の印刷後動作を経験することができる。例えば、支持構造26sは、水性アルカリ溶液などの水溶性に基づいた溶液を使用して3D部品26pから犠牲的に除去することができる。この技法の下において、支持構造26sは、溶液中において少なくとも部分的に溶解し、これにより、支持構造26sをハンズフリー方式で3D部品26pから分離することができる。
【0077】
対照的に、部品材料は、水性アルカリ溶液に対する化学的耐性を有する。これは、水性アルカリ溶液の使用が、3D部品26pの形状又は品質を劣化させることなしに、犠牲的な支持構造26sを除去するべく利用されることを許容している。この結果、支持構造26sを除去するための適切なシステム及び技法の例は、Swanson他の米国特許第8,459,280号明細書、Hopkins他の米国特許第8,246,888号明細書、及びDunn他の米国特許出願公開第2011/0186081号明細書において開示されているものを含み、これらの特許文献内容のそれぞれは、引用により、本開示と矛盾しない程度において包含される。
【0078】
更には、支持構造26sが除去された後に、3D部品26pは、サンドブラスティング及びボールローリングのような表面処理プロセスなどの1つ又は複数の更なる印刷後プロセスを経験することもできる。適切な表面処理プロセスの例は、Priedeman他の米国特許第8,123,999号明細書及びZinnielの米国特許第8,765,045号明細書において開示されているものを含む。
【0079】
代替実施形態において、溶融転写組立体20は、空洞を低減するために層を圧縮するべく、潜在的に少なくともある程度の湿気及び溶剤を除去するために層を加熱するべく、且つ/又は引張荷重を支持する薄膜を生成するべく、任意選択の均しローラー又は押圧要素を利用することができる。所与の層22の均しは、層22が部品26の蓄積された層と共に溶融転写される前に発生しうる。
【0080】
3D部品26を構築するべく層22を溶融転写する際に、部品26の蓄積された層は、それぞれの新しい層22の溶融転写と関連する循環的温度スイングを経験している。
図5は、所与の層22の溶融転写用のサイクルタイムであるτ
layerにおける3D部品の所与の層の構築の例示用の循環的温度スイングを概略的に示す温度対深さのグラフである。
図5に示されているように、垂直方向z軸は、3D部品26の蓄積された層内への構築表面96からの深さを表し、且つ、水平方向軸は、温度を表している。
図5のグラフ上においてプロットされている点描された領域100は、(
図5内の左側境界における)相対最小温度T
minから(
図5の右側境界における)相対最大温度T
maxまでの3D部品26の蓄積された層内の異なる深さにおける循環的温度変動を描いている。部品26の予め蓄積された層のコア温度T
coreが示されており、且つ、構築表面96から離れた部品26の予め蓄積された層の大きな部分のバルク温度を表している。
【0081】
一般に、構築プロセスの少なくとも1つの実施形態において、構築表面96において3D部品26の蓄積された層上に溶融転写されるべき層22は、ヒーター72などにより、加熱可能な溶融転写ニップ要素70(例えば、ニップローラー又は別の適切な押圧要素)に搬送されつつ、加熱されている。現時点において、3D部品26の蓄積された層は、層22が搬送されている間に、例えば、ヒーター74、構築プラットフォームヒーター、などにより、加熱されている。また、加熱可能溶融転写ニップ要素70も、層22が搬送されている間に加熱されうる。従って、3D部品26の蓄積された層内の温度は、一般に、サイクルタイムτlayerの第1部分が、層22が加熱可能溶融転写ニップ要素70に到達する時間を少なくとも通じて発生している状態において、サイクルタイムτlayerの第1部分において増大している。溶融転写後ヒーター76が使用されている場合には、サイクルタイムτlayerの第1部分は、新たに溶融転写された層22を有する3D部品26の蓄積された層が加熱可能な溶融転写ニップ要素70を通過した後に且つ3D部品26の蓄積された層が溶融転写後ヒーター76を通過する時点まで、継続することができる。
【0082】
加熱可能な溶融転写ニップ要素70(並びに、任意の溶融転写後ヒーター76)を通過した後に、新たに溶融転写された層22を有する3D部品26の蓄積された層は、新しい層22がちょうど溶融転写された構築表面96において冷却エアを吹き出すエアジェット78などにより、冷却されている。従って、3D部品26の蓄積された層内の温度は、一般に、サイクルタイムτlayerの最後の部分が、層22が加熱可能な溶融転写ニップ要素70及び任意の溶融転写後ヒーター76を通過した時点の後に発生する状態において、サイクルタイムτlayerの最後の部分において減少している。
【0083】
上述のように、浅い深さにおける
図5において示されている領域100内の温度は、一般に、サイクルタイムτ
layerにおいて増大し、次いで、減少している。但し、更なる実施形態においては、溶融転写の前及び/又は後における階段状の加熱及び冷却サイクルの使用などを通じて、相対的に複雑な温度変動が可能であることに留意されたい。更には、サイクルタイムτ
layer及びその他の溶融転写に関係するプロパティ(加熱及び冷却の程度など)は、いくつかの実施形態においては、層の間において変化しうる。
【0084】
3D部品26の蓄積された層のコア温度T
coreは、大きな深さにおいては実質的に一定の状態に留まることが可能であり、これは、
図5においては、最大z軸深さにおいてほぼ線形である領域100の狭いピークを有する形状により、描かれている。コア温度T
coreは、複数の層溶融転写動作に跨って変化しうるが、システム10によって実行される加熱及び冷却動作に応じて、いくつかの実施形態においては、コア温度T
coreは、複数の層溶融転写に跨って、或いは、場合によっては、大部分の又はすべての溶融転写に跨って、実質的に一定のバルク温度において維持することができる。いくつかの実施形態において、コア温度T
coreは、最大z軸深さに向かって実質的に線形で降下するなどのように、望ましい深さ依存性変動を有するように維持することができる。
【0085】
熱拡散深さは、次式のとおりであり、
【数1】
ここでτ
layerは、(例えば、3D部品26の蓄積された層の加熱及び冷却の間において)表面温度が所与の層の平均温度について正弦波状に変化するためのサイクルタイムであり、且つ、kは、部品及び/又は支持構造材料(例えば、ポリマートナー)の熱拡散係数である。層の任意の温度プロファイルは、このような層時間の重畳として表現することが可能であり、且つ、結果的に得られる熱深さは、これらの時間の重み付けされた平均となる。例えば、4.2秒の層時間を有するシステムは、約2.4秒の有効τ
layerにおいて、層を加熱することによって0.6秒を消費し、且つ、層を冷却することによって1.8秒を消費している。熱拡散深さD
TDは、熱エネルギーが、サイクルタイムτ
layerにおいて構築表面96から3D部品26の蓄積された層内に拡散する特性距離を表している。例示用の一実施形態においては、熱拡散深さD
TDが298μm(11.7mil)となるように、構築材料熱拡散係数は180mil
2/sであり、且つ、サイクルタイムτ
layerは2.4秒である。層厚さ(Γ)が20μm(0.8mil)である場合に、この例における熱拡散深さD
TDは、約15層の厚さに相当している。熱拡散深さD
TDは、いくつかの実施形態においては、約125~750μmの範囲であってよい。
【0086】
いくつかの静電複写に基づいた付加製造プロセスにおいて、層の溶融は、沈積プロセスと呼称される場合があり、この場合には、構築されている部品によって経験される所定数の溶融転写圧力が、部品からすべての空洞を実質的に除去している。但し、いくつかの代替プロセスにおいては、部品は、最も最近転送された層において多孔性を有しており(相対的に低い密度を有しており)、これにより、ほぼ10~20個の層が部品内に導入されることにより、十分に溶解した状態となる。
【0087】
溶解状態に押圧されたら、トナー粒子の温度が迅速に上昇する。例として、Eden Prairie,Minnesotaに所在するStratasys,Inc.によって販売されているABSフィラメント及び溶解可能支持材料の熱拡散係数は、溶解温度においてほぼk=160mil2/sである。EP構築プロセスにおいて使用されている例示用のトナー粒子は、直径が約s=0.82mil=21ミクロンである。1つの粒子直径の距離だけ熱拡散することに関連する熱拡散時間は、0.82/160=4.2ミリ秒である。
【0088】
溶解したら、層22の新しいトナー粒子は、流れるのに伴って薄膜として平坦化され、且つ、転送媒体24に圧接した状態において成型され、これにより、存在する場合にも格段に乏しい気孔を有する圧密化された部品表面が残される。この平坦化プロセスにおいて、新しい層22の相対的に低い温度(「低温」)のトナー粒子は、(例えば、ニップローラーの形態における)押圧コンポーネント70及び転送媒体24により、相対的に高い温度において部品26の1つ又は複数の予め蓄積された層内に押圧される。部品26の接合領域の下方において、構築表面96から離れて配置された部品の少なくともバルク領域は、相対的に低い温度において留まりうる。溶解状態のトナーの層の押圧の別の利点は、トナー粒子の加熱から生じるガス(水蒸気など)が、部品内のトラップされた空洞内ではなく層-ベルトのインターフェイスにおいて存在する傾向を有するという点にある。
【0089】
従って、いくつかの実施形態において、増大する数の後続の層が適用されるのに伴って部品材料の層の漸進的な圧密化が発生する沈積プロセスを使用する代わりに、部品材料の層は、層を迅速に加熱された部品表面内に押圧することにより、適用されるのに伴って完全に圧密化することが可能であり、且つ、次いで冷却することができる。開示されている方法を使用することにより、材料は、インターフェイスに跨って迅速に相互拡散し、且つ、次いで、その組合せが冷却されている。このプロセスにおいては、相対的に乏しい熱が必要とされており、その理由は、熱拡散深さDTDが相対的に浅いからである。但し、この開示されている実施形態は、依然として、沈積プロセスと共に使用することができる。
【0090】
システム10を支配する制御パラメータの異なる組合せは、構築された3D部品26における異なる性能特性を生成する。少なくともいくつかの例において、制御パラメータの組合せは、性能のトレードオフを結果的にもたらし、これらのそれぞれは、正及び負の側面の両方を有する。例えば、層22が相対的に「高温」において(即ち、相対的に高温の構築表面96により)溶融転写された場合には、結果的に得られる部品26内の層の強度は、非常に良好なものになりうるが、「高温」溶融転写から余分な熱を除去するべく、エアジェット78からの空気冷却衝突速度が相対的に大きくなければならず、これは、棚又は橋様の相対的に脆い構造に障害が発生する傾向を有する。所与の層が予め蓄積された層の接合領域内のギャップ、孔、開口部、又はこれらに類似したものの上部において溶融転写された際に橋絡が発生する。棚化は、所与の層が閾値量超だけ(例えば、層の厚さ超だけ)予め蓄積された層の接合領域から突出した際に発生する。その代わりにエアジェット78からの構築表面96上における相対的に中程度の又は低い衝突エア冷却が使用されている場合には、新しい層22は、ランダムな印刷欠陥上において相対的に良好に棚化又は橋絡しうるが、部品26のコアが過熱しないようにするべく、溶融転写温度を低減する必要があり、これは、結果的に得られる溶着した部品26の強度を低減する傾向を有する。溶融転写ニップ要素70からの相対的に大きな力又は圧力が使用されている場合には、トナー粒子は、密接な接触状態となり、これにより、ポリマーチェーンが長軸方向に沿って移動し且つ相対的に強力な部品を生成することを許容するが、このような大きな溶融転写ニップ要素圧力は、部品26のコア内のクリープ及びフローを生成する可能性があり、これにより、結果的に得られる部品26の形状精度の劣化を生成する傾向を有する。その代わりに、相対的に小さな溶融転写ニップ要素圧力が使用されている場合には、結果的に得られる部品26の形状特徴は、一般に空間内においてその印刷された位置において留まっているが、相対的に小さな圧力は、相対的に弱い部品26を生成する。
【0091】
図6及び
図7は、上述のトレードオフのいくつかの例を示している。
図6は、大きな空洞104’内への一連のすべての相対的に高温の層溶融転写を通じて成長している構築エラー空洞104を概略的に示す3D部品26’の断面図である。相対的に高温の層溶融転写に伴って、通常、溶融転写後エアジェット78からの相対的に高温の冷却エアフローが必要とされている。このような高温の冷却エアフローは、冷却エアの剪断効果を通じて棚及び/又は橋構造に障害が発生するようにしうるエアナイフのように機能する可能性がある。非直観的には、相対的に高い温度で構築された部品26’におけるこのような空洞拡大効果は、障害を生じやすい傾向を有しうるが、相対的に高温の溶融転写は、一般に、機械的に相対的に強力な層間接合及び結果として得られる部品を生成し、その理由は、適切な部品温度を維持するべく破壊的なレベルのエア冷却がしばしば必要とされるからである。棚及び/又は橋の障害又は大きなサイズに成長した空洞の存在は、結果的に得られる部品26’の拒絶に結びつきうる。大きな空洞104’を有する部品26’が受け入れ可能である場合にも、大きな空洞104’の存在は、部品強度の少なくとも局所的な低減をもたらしうる。
【0092】
図7は、一連のすべての相対的に低温の層溶融転写を通じて橋106によって収容又は「治療(heal)」された構築エラー空洞104’’を概略的に示す3D部品26’’の断面図である。相対的に低温の層溶融転写によれば、溶融転写後エアジェット78からの冷却エアフローは、相対的に中程度であることが可能であり、これは、冷却エアの剪断効果を通じて棚及び/又は橋構造に障害が発生するようにしうるエアナイフ効果を回避することができる。従って、相対的に低温で構築された部品26’は、一般に、平均として、相対的に高温の層溶融転写を有するものよりも弱い層間接合を生成しうる一方で、部品26’’上の構築欠陥(空洞)104’’の全体的な影響は、橋106の構造的完全性及び更なる層の後続の溶融転写を維持する能力により、抑制及び治療されている。
【0093】
図6及び
図7に示されている部品26’及び26’’が全体的に「高温」又は「低温」の層溶融転写を使用して製造された際には、上述のタイプのトレードオフが持続する傾向を有する。但し、複数の層溶融転写に跨って異なる、代替する、又はその他の方法で変化する制御パラメータプロファイルのシーケンスに従って3D部品を構築することにより、それぞれの制御パラメータの正の側面を実現することができる。この結果、シーケンシングが、正の性能特性を促進しうる且つ特定の制御パラメータプロファイルの負の効果のリスクを低減しうる(一連の相対的に「高温」の層溶融転写において受け入れ不能に大きく成長する構築エラー空洞のリスクを回避するなどの)ブレンドされた性能利益の組を提供している状態において、粗い性能トレードオフを少なくとも部分的に超越することできる。例えば、第1制御パラメータプロファイルは、第1カテゴリにおける相対的に高い性能及び第2カテゴリにおける相対的に低い性能(橋又は棚形成の品質)を有する層(例えば、3D部品破壊強度又は転送媒体から部品構築表面への層の確実な転送)を構築するように構成されうる一方で、第2制御パラメータプロファイルは、第2カテゴリ内の相対的に高い性能及び第1カテゴリ内の相対的に低い性能を有する層を構築するように構成することができる。プロファイルの制御可能パラメータの数及びタイプ並びに溶融転写シーケンス(例えば、温度及び圧力又は力パラメータ)は、システム10の加熱、冷却、及び圧力印加要素のタイプ、数、及び場所などに基づいて、所与の電子写真に基づいた付加製造システム10の特定の構成に応じて変化することになる。更には、所与の制御パラメータプロファイルの個々のパラメータは、一定の値、処方された値の範囲又はウィンドウ、時間依存性多項関数、スルーレート限度、などであることが可能であり、且つ、所与の制御パラメータプロファイルは、(例えば、いくつかのパラメータが一定であり、且つ、その他のものが値の範囲である状態において)異なるタイプのパラメータの組合せを含むことができる。制御パラメータプロファイルは、ターゲット(システム10の関連するコンポーネント用の開ループ制御パラメータ)又は実際の(検知された)値、或いは、ターゲットと実際の値の組合せを規定することができる。制御パラメータプロファイル内の実際の値の使用は、一般に、システム10が閉ループセンサフィードバックの関数として実際の値制御を実装するべく使用される検知されたデータを提供するべく適切なセンサを提供することを必要としている。溶融転写シーケンス及び制御パラメータプロファイルは、コントローラ36によって実装することが可能であり、且つ、コンピュータ又はプロセッサ可読命令を介して実装することができる。
【0094】
例えば、いくつかの実施形態において、溶融転写シーケンスを確立するべく、2つの異なる制御パラメータプロファイルのサイクルを使用することができる。但し、必要に応じて、規則的なパターン(例えば、サイクルが結果的に望ましい数の層を構築するべく再度開始する状態において、それぞれの制御パラメータプロファイルがサイクルとして交互に使用されている)又は相対的に複雑な不規則なパターン(例えば、2つの異なるプロファイルが、シーケンス内のすべての7番目の層ごとに使用される第3プロファイルなどの特定数の層ごとに使用される第3の異なるプロファイルを伴って交互に変化している)を有しうる2つ超の制御パラメータプロファイルのシーケンスを使用することもできる。いくつかの実施形態において、溶融転写シーケンスは、構築表面96に印加された温度及び圧力が、(例えば、所与の層が相対的に「低温」で溶融転写された場合にも)所与の制御パラメータプロファイルの特定の制御パラメータとは無関係に3D部品の蓄積された層内において溶着するべく予想されうるように、熱拡散深さDTDよりも小さい、或いは、これよりも格段に小さい、集合的厚さを有する溶融転写シーケンスに従って構築された層を有する複数の3D部品の層を構築する任意の適切な数の異なる制御パラメータプロファイルの組合せを含むことができる。更には、いくつかの実施形態において、複数の溶融転写シーケンスを確立することが可能であり、且つ、次いで、望ましい数の更なる層溶融転写と共に使用されるべく所与の溶融転写シーケンスを選択することができると共に、望ましい数の所与の層溶融転写共に使用されるべく異なる溶融転写シーケンスを選択することができる。このような異なる溶融転写シーケンスの選択は、支持材料からほとんど又は全体的に製造された層について使用される相対的に単純な溶融転写シーケンス及び構築エラー許容範囲が相対的に厳格である大量の部品材料から製造された層について使用される相対的に複雑な溶融転写シーケンスなどの構築の一部分の特定の特性に対して適合されたシーケンスを許容することができる。更なるいくつかの更なる実施形態において、溶融転写シーケンスは、新しい層が部品構築表面上に溶融転写されないがその他の通常の溶融転写加熱、冷却、及び圧力印加ステップが実行されている1つ又は複数のダミー溶融転写パスが実行されるモードスイッチングを含むことができる。いくつかの用途においては、部品が溶融転写シーケンスの中間において十分に構築されている場合などのように、溶融転写シーケンスが開始されうるが十分には完了されえないことに留意されたい。
【0095】
図8は、異なる溶融転写制御パラメータプロファイルのシーケンスにおいて複数の層22を構築する例示用の溶融転写シーケンス129に従って構築された3D部品126の概略断面図である。第1制御パラメータプロファイルP1は、3D部品126の単一層22を溶融転写するべく使用可能な温度及び圧力(又は力)パラメータの第1組合せを含み、且つ、第2制御パラメータプロファイルP2は、3D部品126の単一層22を溶融転写するべく使用可能な温度及び圧力パラメータの第2組合せを含む。制御パラメータプロファイルP1及びP2は、それぞれ、システム10の動作用の制御可能な設定を規定している。それぞれのプロファイルP1及びP2用の温度パラメータは、(例えば、ヒーター72及び/又は74用の)溶融転写前画像ヒーター温度、(例えば、ニップローラー70用の)加熱可能溶融転写ニップ要素温度、(例えば、ヒーター90用の)蓄積された部品層ヒーター温度、(例えば、ヒーターの向きに基づいた蓄積された部品層の特定の部分の選択的加熱を提供する)蓄積された部品層ヒーター入射角度、(例えば、ジェット78からの)ニップ後冷却エアフローレートを含みうる。いくつかの実施形態において、加熱溶融転写ニップ要素温度の範囲は、ニップ要素の外側表面が、後からニップ要素の内部との伝導によって冷却される相対的に高い一時的温度(例えば、約160~280℃)を有する状態において、約60~180℃又は約110~140℃であってよい。それぞれの制御パラメータプロファイルP1及びP2用の圧力又は力パラメータは、(例えば、構築表面96において印加されるニップローラー70用の)加熱可能溶融転写ニップ要素圧力を含むことができる。第2制御パラメータプロファイルP2の温度及び圧力パラメータの第2組合せは、第1制御パラメータプロファイルP1の温度及び圧力パラメータの第1組合せとは異なっているが、差は、単一の異なる温度又は圧力パラメータのみであってもよく、或いは、多くの温度及び/又は圧力パラメータの差であってよい。これに加えて、それぞれの制御パラメータプロファイルP1及びP2は、層厚さ、1つ又は複数の層材料、及び/又はその他の特性を規定する制御パラメータを含みうるが、いくつかの実施形態において、層厚さは、すべての制御パラメータプロファイルP1及びP2について基本的に一定であってよい。例えば、層厚さは、いくつかの実施形態においては、5~22μmの、或いは、更にその他の実施形態においては、10~18μmの、範囲内において変化しうる。1つ又は複数の層材料との関係において、制御パラメータプロファイルP1又はP2は、1つ又は複数の層を1つのみの材料に制約することが可能であり、或いは、その材料を排除することができる。
【0096】
溶融転写シーケンス129は、3D部品126の層を構築するべく制御パラメータプロファイルP1及びP2を使用する順序付けされたシーケンスを規定している。
図8の例示用の実施形態において概略的に示されているように、n層22が第1制御パラメータプロファイルP1に従って構築されており、これには、第2制御パラメータプロファイルP2に従って構築されたm層22が後続し、これには、個々の第1及び第2制御パラメータプロファイルP1及びP2に従ってn+m層の反復するシーケンスが後続している。n及びmの値は、それぞれ、正の整数である。いくつかの実施形態においては、n=mであるが、その他の実施形態においては、n及びmは異なりうる。n≧1層が相対的に強い熱及び溶融転写後冷却エアフローを有する第1制御パラメータプロファイルP1に従って相対的に高温で構築される前に、3D部品126の複数の層22が、橋絡又は棚化されるべき空洞などの小さな構築欠陥の相対的に良好な可能性を提供するべく直接的シーケンスにおいて相対的に冷温で構築されるように、第2制御パラメータプロファイルP2が相対的に冷温において層を溶融転写する且つm>nである例示用のケースにおけるように、いくつかの実施形態においては、n及び/又はmのいずれか又は両方は、1超であってよい。いくつかの例示用の溶融転写シーケンスにおいて、パターンのポイントは、溶融転写の前に連続的な薄膜として焼結された層22を周期的に導入するというものであり、これは、予め蓄積された部品層内の欠陥上において橋絡又は棚化することが可能であり、且つ、これにより、結果的に得られる部品が正常に完成する可能性を増大させることができる。焼結は、溶融転写の前に層22を大幅に加熱することにより、実現することができる。単一層の橋層は、脆い場合があり、従って、溶融転写後冷却エアレートは、これらを吹き飛ばさないように低減する必要があるが、多くの状況において、溶剤及びトラップされたガスが、新たに溶着した層から外部に相対的に良好に離脱することができる(且つ、膨れを回避することができる)ように、部品及び支持材料を相対的にパウダーの形態において転送することが相対的に良好である。別の例として、第1制御パラメータプロファイルP1は、相対的に大きな加熱可能溶融転写ニップ要素圧力又は力を含み、且つ、第2制御パラメータプロファイルP2は、相対的に小さな加熱可能溶融転写ニップ要素圧力又は力を含み、これは、3D部品126のすべての蓄積された層が、時間に伴って構築表面96上において合計衝撃平均を低減しつつ、熱拡散深さD
TD内にある際に相対的に高い圧力を経験することを許容している。
【0097】
以下の表は、制御パラメータプロファイル及び関連する溶融転写シーケンスの例示用の実施形態を提供している。これらの例示用の表は、例としてのみ、開示されるものである。多数のその他のプロファイル及びシーケンスが可能である。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
図9は、溶融転写シーケンスに従って層ごとの方式で3D部品26又は126(並びに、関連する支持構造)を構築する方法のフローチャートである。図示の方法によれば、x個の異なる制御パラメータプロファイルP1~Pxが確立されており、ここで、xは、2以上の整数である(ステップ200-1~200-x)。次いで、溶融転写シーケンスが制御パラメータプロファイルP1~Pxの少なくとも2つを利用して確立されている。次いで、溶融転写シーケンス(ステップ204)に従って複数の層22を溶融転写するべく、構築イベントが電子写真に基づいた付加製造システム10によって実行されている。
【0103】
図10A~
図10Dは、溶融転写シーケンスに従って層22を溶融転写する例示用の方法のフローチャートである。
図10A又は
図10Bの図示されている方法は、いずれも、例えば、
図9において示されている方法との関連において使用することができる。また、(例えば、3つ超の異なる制御パラメータプロファイルを有する且つ/又は制御パラメータプロファイルの相対的に複雑なシーケンシングを有する)溶融転写シーケンスの更なる実施形態による層溶融転写などの溶融転写シーケンスによる層溶融転写の更なる実施形態も想定されることに留意されたい。
【0104】
図10Aに示されている方法においては、n層22が、第1制御パラメータプロファイルP1に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層の接合領域又は構築表面96上において溶融転写されており、ここで、nは、正の整数である(ステップ300)。n>1である場合には、n層22は、その他の制御パラメータプロファイルがn層22の任意のものの間において層を溶融転写するべく使用されないように、ステップ300において連続的な方式で第1制御パラメータプロファイルP1に従って溶融転写することができる。次いで、m層22が、プロファイルP1とは異なる第2制御パラメータプロファイルP2に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層の接合領域又は構築表面96上において溶融転写されており、ここで、mは、正の整数である(ステップ302)。m>1である場合には、m層22は、その他の制御パラメータプロファイルがm層22の任意のものの間において層を溶融転写するべく使用されないように、ステップ302において連続的な方式で第2制御パラメータプロファイルP2に従って溶融転写することができる。熱エネルギーが、ステップ300及び302におけるそれぞれの層22の溶融転写により、予め蓄積された層内の熱拡散深さD
TDだけ、構築表面96から3D部品26又は126の予め蓄積された層に追加されている。共に、ステップ300及び302は、溶融転写シーケンス304に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層上においてn+m層を溶融転写するステップを伴っている。n+m層22の組み合わせられた厚さは、熱拡散深さD
TD未満であってよい。例えば、いくつかの実施形態において、n+m層の合計厚さは、関係Γ*(n+m)*2<D
TDを充足することが可能であり、ここで、Γは、層厚さである。
【0105】
溶融転写シーケンス304が完了した際に、任意の更なる層が溶融転写されるべく所望されているかどうかを評価するべくクリエが実施されている(ステップ306)。望ましい更なる層溶融転写が存在している場合には、方法は、ステップ300に戻ることが可能であり、且つ、溶融転写シーケンス304を反復することができる。代替実施形態においては、更なる層22を溶融転写するべく、ステップ306の後において、異なる溶融転写シーケンス(
図10Aに図示されてはいない)を使用することができる。更なる層溶融転写が所望されていない場合には、方法は終了しうる。
【0106】
図10Bにおいて示されている方法において、n層22が第1制御パラメータプロファイルP1に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層の接合領域又は構築表面96上において溶融転写されており、ここで、nは、正の整数である(ステップ300)。n>1である場合には、n層22は、その他の制御パラメータプロファイルがn層22の任意のものの間において層を溶融転写するべく使用されないように、ステップ300において連続的な方式で第1制御パラメータプロファイルP1に従って溶融転写することができる。次いで、m層22が、プロファイルP1とは異なる第2制御パラメータプロファイルP2に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層の接合領域又は構築表面96上において溶融転写されており、ここで、mは、正の整数である(ステップ302)。m>1である場合には、m層22は、その他の制御パラメータプロファイルがm層22の任意のものの間において層を溶融転写するべく使用されないように、ステップ302において連続的な方式で第2制御パラメータプロファイルP2に従って溶融転写することができる。次いで、q層22が、両方のプロファイルP1及びP2とは異なる第3制御パラメータプロファイルP3に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層の接合領域又は構築表面96上において溶融転写されており、ここでqは、正の整数である(ステップ303)。q>1である場合には、q層22は、その他の制御パラメータプロファイルがq層22の任意のものの間において層を溶融転写するべく使用されないように、ステップ302において連続的な方式で第3制御パラメータプロファイルP3に従って溶融転写することができる。熱エネルギーが、ステップ300、302、及び303におけるそれぞれの層22の溶融転写により、予め蓄積された層内の熱拡散深さD
TDだけ、構築表面96から3D部品26又は126の予め蓄積された層に追加されている。共に、ステップ300、302、及び303は、溶融転写シーケンス304’に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層上においてn+m+q層を溶融転写するステップを伴っている。n+m+q層22の組み合わせられた厚さは、熱拡散深さD
TD未満であってよい。
【0107】
溶融転写シーケンス304’が完了した際に、任意の更なる層が溶融転写されるべく所望されているかどうかを評価するべくクエリが実施されている(ステップ306)。望ましい更なる層溶融転写が存在している場合には、方法は、ステップ300に戻ることが可能であり、且つ、溶融転写シーケンス304’を反復することができる。代替実施形態において、溶融転写シーケンス304’に後続して更なる層22を溶融転写するべく、ステップ306の後に、異なる溶融転写シーケンス(例えば、
図10Aに示されている溶融転写シーケンス304)を使用することができる。更なる層溶融転写が所望されていない場合には、方法は、終了することができる。
【0108】
図10Cにおいて示されている方法においては、n+d溶融転写組立パスが第1制御パラメータプロファイルP1に従って実施されており、ここで、n及びdは、それぞれ、正の整数である(ステップ299)。n+d溶融転写パスの一部として、n層22が第1制御パラメータプロファイルP1に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層の接合領域又は構築表面96上において溶融転写されている(ステップ300)。ステップ299及び300の一部として、d溶融転写組立パスが、新しい層22が接合領域又は構築表面96上において溶融転写されることなしに、発生している。溶融転写組立体20の非溶融転写パスは、通常の溶融転写イベントの際に実行される温度及び圧力ステップの大部分又はすべてを伴いうるが、新しい層は溶融転写されておらず、これにより、これらの非溶融転写パスは、部品26又は126の予め蓄積された層に追加されないが、システム10が、次の層22の溶融転写の前に1つ又は複数の溶融転写パラメータを調節する、多孔性材料を圧密化することを支援する、且つ、部品26又は126上において相対的に光沢のある上部表面を生成する、などの内容を実行するべく振る舞うことを許容しうるダミーパスに似たものになっている。n>1である場合には、n層22は、その他の制御パラメータプロファイルがn層22の任意のものの間において層を溶融転写するべく使用されないように、ステップ300において連続的な方式で第1制御パラメータプロファイルP1に従って溶融転写することができる。いくつかの実施形態においては、d非溶融転写型溶融転写組立パスがn層の溶融転写の後に発生しうる。次いで、m層22が、プロファイルP1とは異なる第2制御パラメータプロファイルP2に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層の接合領域又は構築表面96上において溶融転写されており、ここで、mは、正の整数である(ステップ302)。m>1である場合には、m層22は、その他の制御パラメータプロファイルがm層22の任意のものの間において層を溶融転写するべく使用されないように、ステップ302において連続的な方式で第2制御パラメータプロファイルP2に従って溶融転写することができる。熱エネルギーが、ステップ300及び302におけるそれぞれの層22の溶融転写により、予め蓄積された層内の熱拡散深さD
TDだけ、構築表面96から3D部品26又は126の予め蓄積された層に追加されている。共に、ステップ300及び302は、溶融転写シーケンス304’’に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層上においてn+m層を溶融転写するステップを伴っている。n+m層22の組み合わせられた厚さは、熱拡散深さD
TD未満であってよい。
【0109】
溶融転写シーケンス304’’が完了した際に、任意の更なる層が溶融転写されるべく所望されているかどうかを評価するべくクエリが実施されている(ステップ306)。望ましい更なる層溶融転写が存在している場合には、方法は、ステップ299に戻ることが可能であり、且つ、溶融転写シーケンス304’’を反復することができる。代替実施形態において、溶融転写シーケンス304’’に後続して更なる層22を溶融転写するべく、ステップ306の後に、異なる溶融転写シーケンス(例えば、
図10Bに示されている溶融転写シーケンス304’)を使用することができる。更なる層溶融転写が所望されていない場合には、方法は終了しうる。
【0110】
一般に、制御パラメータプロファイルの間における切り替えには、複数の層サイクルタイムを所要する。例えば、システム10は、約45ニュートン(10lbf)/層における溶融転写ニップ要素力を有することができる。接合領域96における又はその近傍における部品26又は126の蓄積された層の最上部1~2mm内の温度は、安定するのに、10~100溶融転写パス(或いは、層溶融転写)を所要しうる。相対的に低速で変化するパラメータが溶融転写の一部分として変化している場合には、システム10のプロセスパラメータがターゲットパラメータにキャッチアップすることを許容するべく、遷移状態に(ダミー)非溶融転写パスを提供することができる。従って、層時間又は転送媒体24から接合領域96へのなんらの層の実際の転送を伴わない溶融転写イベント又は溶融転写パスの相対的に多くの通過の動作を消費するべく、モードスイッチングを使用することができる。更に詳しくは、これは、層22を実際に溶融転写する溶融転写組立体20が相対的に低いバルク温度及び相対的に大きな転送圧力において実行され、且つ、次いで、部品構築表面がわずかにのみ押圧され、画像は転送されず、且つ、蓄積された部品層の最上部1~2mmの平均温度が高い溶融転写組立体パスを有することを許容することができる。これは、システム10のスループットにおけるある程度の低減のトレードオフを伴って、正確且つ強力な部品を製造することを支援している。
【0111】
図10Dにおいて示されている方法においては、n層22が第1制御パラメータプロファイルP1に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層の接合領域又は構築表面96上において溶融転写されており、ここで、nは、正の整数である(ステップ300)。n>1である場合には、n層22は、その他の制御パラメータプロファイルがn層22の任意のものの間において層を溶融転写するべく使用されないように、ステップ300において連続的な方式で第1制御パラメータプロファイルP1に従って溶融転写することができる。次いで、溶融転写組立体20のd1非溶融転写パスが、プロファイルP1とは異なる第2制御パラメータプロファイルP2に従って実行されており、ここで、d1は、正の整数であり(ステップ302-1)、これには、個々の制御パラメータプロファイルPxに従って実行される溶融転写組立体20のx個の更なる非溶融転写パスdxが後続している。熱エネルギーがステップ300及び302-1~302xにおけるそれぞれの層22の溶融転写により、予め蓄積された層内の熱拡散深さD
TDだけ、構築表面96から3D部品26又は126の予め蓄積された層に追加されている。次いで、任意の更なる非溶融転写パスが所望されているかどうかについての決定が下されており(ステップ305)、且つ、そうである場合には、方法は、ステップ302-1に戻ることができる。共に、ステップ300、302-1~302-x、並びに、ステップ305に伴う任意の反復は、溶融転写シーケンス304’’’に従って3D部品26又は126の予め蓄積された層上においてn層を溶融転写するステップを伴っている。n層22の組み合わせられた厚さは、熱拡散深さD
TD未満であってよい。
【0112】
溶融転写シーケンス304’’’が完了した際に、任意の更なる層が溶融転写されるべく所望されているかどうかを評価するべくクエリが実施されている(ステップ306)。望ましい更なる層溶融転写が存在している場合には、方法は、ステップ300に戻ることが可能であり、且つ、溶融転写シーケンス304’’’を反復することができる。代替実施形態において、溶融転写シーケンス304’’’に後続して更なる層22を溶融転写するべく、ステップ306の後に、異なる溶融転写シーケンス(例えば、
図10Bに示されている溶融転写シーケンス304’)を使用することができる。更なる層溶融転写が所望されていない場合には、方法は終了しうる。
【0113】
表5は、制御パラメータプロファイル及び関連する溶融転写シーケンスの更なる例示用の実施形態を提供している。この例示用の表は、例としてのみ開示されるものである。多数のその他のプロファイル及びシーケンスが可能である。表5による一実施形態においては、n=dであり、且つ、nは、6であってよい。
【0114】
【0115】
上述の方法は、ソフトウェア及び/又はファームウェアにおいて実装することが可能であり、且つ、いくつかの実施形態においては、1つ又は複数のプロセッサを介してシステム10によって実行することができる。
【0116】
以上、好適な実施形態を参照し、本開示について説明したが、当業者は、本開示の精神及び範囲を逸脱することなしに、形態及び詳細において変更が実施されうることを認識するであろう。
【国際調査報告】