(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(54)【発明の名称】化粧品の防腐方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/99 20170101AFI20220711BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220711BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220711BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220711BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20220711BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220711BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220711BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20220711BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20220711BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20220711BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20220711BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220711BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220711BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20220711BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20220711BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20220711BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20220711BHJP
【FI】
A61K8/99
A61Q19/00
A61P17/00 101
A61P31/00
A61K8/60
A61K8/73
A61K8/64
A61K8/9789
A61K8/92
A61K8/98
A61K47/46
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/42
A61K47/44
C12N1/20 A
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569028
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2020033922
(87)【国際公開番号】W WO2020237006
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521506205
【氏名又は名称】エイハーン,メアリー
【氏名又は名称原語表記】AHERN,Mary
【住所又は居所原語表記】723 Warren street apt. 3, Hudson,NY 12534,UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】エイハーン,メアリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C083
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA21X
4B065AA30X
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4B065CA44
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4H045AA10
4H045AA30
4H045BA61
4H045CA43
4H045EA20
(57)【要約】
改善された抗微生物性を有する、皮膚に適用するための組成物の製造方法が提供される。皮膚に適用するための組成物の製造方法であって、原材料、水および微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量の第1の剤を組み合わせて、第1の混合物を得ることと、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤を第1の混合物と混合して、第2の混合物を得ることと、を含み、第2の剤の温度が約33℃以下に維持される、製造方法。また、皮膚に適用するための組成物も提供される。上記皮膚に適用するための組成物は、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量の第1の剤と、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤とを含有する。第1の剤としては、発酵物が挙げられ得る。第2の剤としては、プロバイオティクスが挙げられ得る。上記皮膚に適用するための組成物は、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンをさらに含有してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に適用するための組成物の製造方法であって、
原材料、水および微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量の第1の剤を組み合わせて、第1の混合物を得ることと、
微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤を、前記第1の混合物と混合して、第2の混合物を得ることと、を含み、
前記第2の剤の温度が、約33℃以下に維持される、皮膚に適用するための組成物の製造方法。
【請求項2】
前記第1の剤が発酵物を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1の剤が培養した糖を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1の剤が、ラクトース、デキストロース、フルクトースおよびマルトデキストリンから成る群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第1の剤が抗菌タンパク質または抗菌ペプチドを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1の剤が、カゼイン、乳清、大豆およびエンドウから成る群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第2の剤がプロバイオティクスを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記プロバイオティクスが、ビフィドバクテリウム属細菌、ラクトバシラス属細菌、ラクトコッカス属細菌、連鎖球菌属細菌、ペジオコックス属細菌またはこれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1の剤が発酵物であり、前記第1の量が、前記皮膚に適用するための組成物全体量に対する質量として約0.75%~約4%である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第2の剤がプロバイオティクスであり、前記第2の量が、前記皮膚に適用するための組成物全体の体積に対する質量として約0.25%~約1%である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンを、前記第2の混合物と混合することをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
(1)発酵物および水成分を組み合わせて、第1の組成物を得ることと、
(2)油成分およびワックス成分を組み合わせ、約63℃~約74℃に加熱して、第2の組成物を得ることと、
(3)前記第1の組成物にグリセライト抽出物を添加し、撹拌して、第3の組成物を得ることと、
(4)前記第3の組成物にプロバイオティクスを添加して、第4の組成物を得ることと、
(5)前記第4の組成物に、約60℃まで冷却されている前記第2の組成物を添加し、約33℃以下の温度で乳化することと、
(6)工程(5)の生成物を18℃以下に冷却することと、
(7)工程(6)の生成物に精油を添加することと、を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
(1)水およびグリセリン含有の液体組成物中で発酵物を撹拌し、第1の組成物を得ることと、
(2)前記第1の組成物中でプロバイオティクスを撹拌し、第2の組成物を得ることと、
(3)前記第2の組成物に少なくとも1種の精油を添加することと、を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
(1)乾燥成分、プロバイオティクスおよび発酵物を組み合わせて、第1の組成物を得ることと、
(2)水およびグリセリン含有の液体構成成分に前記第1の組成物を添加し、撹拌して、第2の組成物を得ることと、
(3)乾燥植物成分または粘土成分を、前記第2の組成物と組み合わせ、撹拌して、第3の組成物を得ることと、
(4)前記第3の組成物に保湿剤を添加し、撹拌して、第4の組成物を得ることと、
(5)前記第4の組成物に精油を添加し、統一された稠度になるように混合することと、を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量の第1の剤と、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤とを含有する、皮膚に適用するための組成物。
【請求項16】
前記第1の剤が発酵物であり、前記第2の剤がプロバイオティクスである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記第2の剤が、ビフィドバクテリウム属細菌、ラクトバシラス属細菌、ラクトコッカス属細菌、連鎖球菌属細菌、ペジオコックス属細菌またはこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記第2の剤がビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記第2の剤がプロバイオティクスであり、前記皮膚に適用するための組成物における前記プロバイオティクスの含有量が、前記皮膚に適用するための組成物全体の体積に対する、gmで示される質量として、約0.25%~約1%である、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
前記第1の剤が発酵物であり、前記皮膚に適用するための組成物における前記発酵物の含有量が約0.75質量%~約4質量%である、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンをさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項22】
有効量の請求項15に記載の組成物を、急性皮膚感染症の治療を必要とする対象に投与することを含む、急性皮膚感染症を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願情報
本特許出願は、全内容が参照として本明細書に組み込まれている、2019年5月22日に出願された米国仮特許出願第62/851,477号、および2019年7月29日に出願された米国仮特許出願第62/879,785号に基づき、これらの仮出願の優先権を主張する。本特許出願はまた、全内容が参照として本明細書に組み込まれている、2020年3月17日に出願された米国非仮特許出願第16/821,402号に基づき、この非仮特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本開示の主題は、改善された抗微生物性を有する皮膚に適用するための組成物の製造方法、改善された抗微生物性および安定性を有する皮膚に適用するための組成物、ならびに皮膚に適用するための組成物を用いて急性皮膚感染症を治療する方法に関するものである。皮膚に適用するための組成物は、化粧品組成物であってもよい。
【背景技術】
【0003】
水および有機/無機化合物を含有する化粧品組成物には、消費者に安全性を保証し、保存性を高めるために、微生物汚染に対する防腐・抗菌が必要である。化粧品業界で使用される防腐方策は、消費者に対して有毒であるか、または微生物を制御する効果がないかのいずれかであることが分かっている。最も強力な防腐剤は毒性が高く、現在の規制では制限または禁止されているが、依然として汚染されていない化粧品製品が必要である。その結果、化粧品製造業者は、微生物学および毒性学の側面に関してより安全な製品を提示するための新しい防腐方策を模索している。
【0004】
本開示の防腐方法は、水を含有する化粧品組成物など、皮膚に適用するためのいかなる組成物においても利用され得る。
【0005】
本発明者の知見の及ぶ限りでは、本発明による防腐方法は、化粧品業界ではこれまで使用されていない。本発明による防腐方法は、完全な系として、天然の乳化剤および天然の保湿剤との相溶性が、エマルジョンの構築における水の入手可能性制御を可能とする。本開示の方法は、合成的または化学的的な、本質的に有毒な成分の含有による複雑な配合を必要としない。
【0006】
本開示の防腐方法を採用することで、抗微生物成分という製品の安定性を解決し得ると同時に、上皮細胞密着結合の結合性の改善を通して、皮膚の健康状態を支援することができる。加えて、自然派化粧品を必要とする消費者は現在増加中であり、今後も急速に増えることが期待される。本発明者の発見により、化粧品業界が、拡大する顧客基盤の需要を満たすことが可能になり得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、化粧品組成物の製造方法であって、原材料、水および微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量の第1の剤を組み合わせて、第1の混合物を得ることと、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤を第1の混合物と混合して、第2の混合物を得ることと、を含み、第2の剤の温度が約33℃以下に維持される、化粧品組成物の製造方法に関するものである。第1の剤は、発酵物、培養した糖、抗菌タンパク質、抗菌ペプチドまたはこれらの組み合わせを含んでもよい。第2の剤は、乳酸菌などのプロバイオティクス、好ましくはビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)を含んでもよい。本組成物は、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種の関連するテルペンをさらに含有してもよい。
【0008】
本開示の別の態様は、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量の第1の剤と、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤とを含有する、皮膚に適用するための組成物に関する。第1の剤としては、発酵物が挙げられ得る。第2の剤としては、プロバイオティクスが挙げられ得る。皮膚に適用するための組成物は、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種の関連するテルペンをさらに含有してもよい。関連するテルペンは単離したテルペンでもよい。
【0009】
本開示の別の態様は、本開示による有効量の化粧品組成物を、急性皮膚感染症の治療を必要とする対象に投与することを含む、急性皮膚感染症を治療する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例3のエマルジョンの微生物数を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図2】実施例4の試料の黄色ブドウ球菌(Staph aureus、SA)試験結果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図3】実施例4の試料のカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis、CP)試験結果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図4】実施例6のセラムの黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図5】実施例6の剥離剤の黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図6】試料生成物を調製してから、それぞれ約1ヵ月、1年および3週間後に撮られた、本発明による試料生成物の写真である。左から右に、セラム、剥離剤、剥離剤+HN019/MG200である。
【
図7】実施例6のエマルジョンの黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図8】実施例6のイブニングエマルジョンの黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図9】実施例6のイブニングエマルジョンの酵母菌試験結果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図10】実施例6のモーニングエマルジョンの黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図11】実施例6のモーニングエマルジョンの酵母菌試験結果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図12】実施例6のモーニングエマルジョンとイブニングエマルジョンとの黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果の比較、およびナタマイシンの効果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【
図13】実施例6のモーニングエマルジョンとイブニングエマルジョンとの酵母菌試験結果の比較、および精油の効果を示す。横軸は時間(日)を示し、縦軸は微生物数(CFU/gm)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の方法および組成物の例示的かつ非限定的な実施形態および例を以下に詳細に述べる。別に指示がない限り、百分率(%)は、固形材料では質量(gmで記載)を用いて、液体材料では体積(mlで記載)を用いて個別に決定される。
【0012】
本開示の一態様は、皮膚に適用するための組成物の製造方法であって、原材料、水および微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量の第1の剤を組み合わせて、第1の混合物を得ることと、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤を第1の混合物と混合して、第2の混合物を得ることと、を含み、第2の剤の温度が約33℃以下に維持される、製造方法に関するものである。
【0013】
第1の剤は、抗真菌剤を含んでもよい。第1の剤は、発酵物、培養した糖、抗菌タンパク質、抗菌ペプチドまたはこれらの組み合わせを含んでもよい。発酵物は、乳酸菌を含有する組成物の発酵産物でもよい。発酵物は、MicroGARD(登録商標)200(Dupont Nutrition & Health,Delaware DE)でもよい。第1の剤の例としては、培養した糖(非限定例としてラクトース、デキストロース、フルクトースおよびマルトデキストリンが挙げられる)、タンパク質(非限定例としてカゼイン、乳清、大豆およびエンドウ、抗菌ペプチドが挙げられる)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0014】
第2の剤はプロバイオティクスを含んでもよい。プロバイオティクスは乳酸菌を含んでもよい。乳酸菌のいくつかの例としては、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)およびラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)が挙げられる。プロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム属細菌、ラクトバシラス属細菌、ラクトコッカス属細菌、連鎖球菌属細菌、ペジオコックス属細菌およびこれらの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、プロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019を含む。プロバイオティクスは、抗酸化系およびラジカル生成を減少させる能力を改善し得るため、それによって配合における安定性という別の側面も支援する。プロバイオティクスはまた、におい/香りなどの感覚の側面も改善し、組成物の手触りおよび乳化も改善し得る。
【0015】
第1の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は特に限定されない。第1の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は、カビまたは酵母菌の増殖を抑制するのに有効な量であり得る。第1の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は、皮膚に適用するための組成物全体の体積(mlで記載)に対する質量(gmで記載)として、約0.05%以上、約0.25%以上、約0.5%以上、約0.75%以上、約1%以上、または約2.75%以上であり、かつ約5%以下、約4.5%以下、約4%以下、または約3%以下であってよい。第1の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は、皮膚に適用するための組成物全体量に対する質量として、例えば約0.25%~約5%、または約0.75%~約4%、または約1%~約3%であってよい。
【0016】
微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤が、第1の混合物に添加されて、第2の混合物が得られてもよく、または第1の混合物が、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤に添加されて、第2の混合物が得られてもよく、または第2の剤および第1の混合物が同時に添加されて、第2の混合物が得られてもよい。
【0017】
第2の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量は特に限定されない。微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量は、皮膚に適用するための組成物全体量に対する質量として、約0.10%以上、約0.25%以上、約0.37%以上、または約0.50%以上であり、かつ約5%以下、約4%以下、約2%以下、または約1%以下であってよい。微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量は、皮膚に適用するための組成物全体の体積(mlで記載)に対する質量(gmで記載)として、例えば約0.10%~約5%、約0.20%~約4%、または約0.25%~約1%であってよい。
【0018】
第2の剤、例えばプロバイオティクスが添加された後、第2の剤の温度は、約33℃以下に約33℃以下に、約32℃以下に、約31℃以下に、約30℃以下に、または約29℃以下に維持されてもよい。例えば、第2の混合物の温度、および1つ以上の後続の工程の各々が実施される温度は、約33℃以下に約33℃以下に、約32℃以下に、約31℃以下に、約30℃以下に、または約29℃以下に維持されてもよい。例えば、皮膚に適用するための組成物の製造方法は、プロバイオティクス含有組成物の乳化を含んでもよく、プロバイオティクス含有組成物の乳化終了時の温度は、約33℃以下に、約32℃以下に、約31℃以下に、約30℃以下に、または約29℃以下に制御されてよい。
【0019】
皮膚に適用するための組成物の製造方法は、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種の関連するテルペンと、第2の混合物とを混合することをさらに含んでもよい。関連するテルペンは単離したテルペンでもよい。例えば、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンは、第2の混合物に添加されてもよい。あるいは、第2の混合物が、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンに添加されてもよい。あるいは、第2の混合物と、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンとが、例えば、容器中に同時に添加されてもよい。少なくとも1種の精油の例としては、フランキンセンス(ボスウェリア・サクラ(Boswellia sacra)、フランキンセンス・エチオピア(B.carterii)、フランキンセンス・ソマリア(B.frereana)、フランキンセンス・インド(B.serrata)およびフランキンセンス・エリトリア(B.papyrifera))、パロサント(ブルセラ・グラベオレンス(Bursera graveolens))、ミルラ(コンミフォラミルラ(Commiphora Myrrha)またはコンミフォラ・モルモル(Commiphora Molmol))およびコーパル(プロチウムコーパル(Protium copal))などのカンラン科からの精油、トゥラシーすなわちホーリーバジル(カミメボウキ(Ocimum tenuifloru))、ウコン(Curcuma longa)、ベチベル(Vetiveria zizanioides)、種子油を含む麻(Cannabis salvia)などの精油、およびミカン属(ミカン科)(例としては、オレンジ(Citrus Sinensis)、シトラス・ウラニウム(Citrus uranium)、マンダリンオレンジ(Citrus reticulata)、レモン(Citrus lemon)、ライム(Citrus aurantifolia)、グレープフルーツ(Citrus x paradise)、ベルガモット(Citrus bergamia)、ユズ(Citrus junos)、キンカン(Citrus japonica)が挙げられる)に由来する精油、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、以下の精油、すなわちベチベル、パロサント、ホーリーバジル、フランキンセンスおよびライムの組み合わせが使用されてもよい。特定の実施形態では、上記の少なくとも1種の精油は、テルペン、例えば、リモネン、α-ピネン、カリオフィレン、ミルセン、サビネン、オイゲノール、β-エレメン、α-ブルネセン(α-Bulsene)、γ-テルピネン、テルピノレンおよびメントフランを含有する。上記の少なくとも1種の精油、または1種以上の精油の組み合わせ、および/または関連するテルペンの含有は、皮膚に適用するための組成物において共生的な役割を果たしてもよい。
【0020】
少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種の関連するテルペンの量は、皮膚に適用するための組成物全体の体積に対する体積として、約0.2%以上、約0.5%以上、約1%以上、約2%以上、または約2.6%以上であってよく、かつ約10%以下、約5%以下、約4%以下、または約3%以下であってよい。少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種の関連するテルペンの量は、皮膚に適用するための組成物全体の体積に対する体積として、例えば約0.2%~約10%、約0.5%~約4%、または約1%~約3%であってよい。例えば、皮膚に適用するための組成物がエマルジョンである場合、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンの量は、組成物全体の体積に対する体積として、約2.57%でもよい。皮膚に適用するための組成物がセラムである場合、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンの量は、組成物全体の体積に対する体積として、約2.6%でもよい。皮膚に適用するための組成物が剥離剤である場合、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンの量は、組成物全体の体積に対する体積として、約1.14%でもよい。2種以上の精油および/またはテルペンが使用される場合、本開示中に記載される少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンの量は、2種以上の精油および/またはテルペンの総量を意味する。
【0021】
一実施形態では、本開示による皮膚に適用するための組成物の製造方法は、
(1)発酵物および水成分を組み合わせて、第1の組成物を得ることと、
(2)油成分およびワックス成分を組み合わせ、約63℃~約74℃に加熱して、第2の組成物を得ることと、
(3)第1の組成物にグリセライト抽出物を添加し、撹拌して、第3の組成物を得ることと、
(4)第3の組成物にプロバイオティクスを添加して、第4の組成物を得ることと、
(5)第4の組成物に約60℃まで冷却されている第2の組成物を添加し、約33℃以下の温度で乳化することと、
(6)工程(5)の生成物を18℃以下に冷却することと、
(7)工程(6)の生成物に精油を添加することと、を含んでもよい。
【0022】
上記の皮膚に適用するための組成物は、クリームであってもよい。上記の皮膚に適用するための組成物の製造方法の一例は、
(1)発酵物(約0.75%~約4%)を水成分(約50%)と組み合わせて、撹拌することと、
(2)油成分(約40%)をワックス成分(約3%)と組み合わせて、約63~74℃まで加熱することと、
(3)工程(1)の生成物にグリセライト抽出物(約2%)を添加して、撹拌することと、
(4)工程(3)の生成物にプロバイオティクス(約0.25%~約1%)を添加することと、
(5)工程(4)で得られた水/発酵物/グリセライト/プロバイオティクス組成物に、工程(2)で得られ、60℃まで冷却されている油/ワックス組成物を添加し、33℃以下で撹拌/配合して乳化することと、
(6)混合物を18℃以下かつ0℃より高い温度に冷却することと、
(7)工程(6)の生成物に精油(約2%)を添加して、組み込まれるまで撹拌することと、を含んでもよい。
最終生成物は、約10℃~約18℃で、光を避けて保存されてもよい。
【0023】
別の実施形態では、本開示による皮膚に適用するための組成物の製造方法は、
(1)水およびグリセリン含有の液体組成物中で発酵物を撹拌し、第1の組成物を得ることと、
(2)第1の組成物中でプロバイオティクスを撹拌し、第2の組成物を得ることと、
(3)第2の組成物に少なくとも1種の精油を添加することと、を含んでもよい。
この実施形態では、本方法は、約21℃以下の温度で実施されてもよい。
【0024】
上記の皮膚に適用するための組成物は、液体組成物、例えばセラムであってよい。上記の液体組成物の製造方法の一例は、21℃以下の温度で実施されてよく、また、
(1)液体成分、例えばグリセライト抽出物(水が約28%、グリセリンが66%)を組み合わせることと、
(2)工程(1)で得られた組成物中で、発酵物(約0.75%~約4%)を撹拌することと、
(3)工程(2)で得られた組成物中で、プロバイオティクス(約0.25%~約1%)を撹拌することと、
(4)少なくとも1種の精油(約2.50%)を添加することと、を含んでもよい。
得られた最終生成物は、約10℃~約18℃で、光を避けて保存されてもよい。
【0025】
別の実施形態では、本開示による皮膚に適用するための組成物の製造方法は、
(1)乾燥成分、プロバイオティクスおよび発酵物を組み合わせて、第1の組成物を得ることと、
(2)水およびグリセリン含有の液体構成成分に第1の組成物を添加し、撹拌して、第2の組成物を得ることと、
(3)乾燥植物成分または粘土成分を、第2の組成物と組み合わせ、撹拌して、第3の組成物を得ることと、
(4)第3の組成物に保湿剤を添加し、撹拌して、第4の組成物を得ることと、
(5)第4の組成物に精油を添加し、統一された稠度になるように混合することと、を含んでもよい。
【0026】
上記の液体組成物の製造方法の別の例は、21℃以下の温度で実施されてよく、また、
(1)液体成分、例えばグリセライト抽出物(水が約11%、グリセリンが約26%)を組み合わせることと、
(2)乾燥乳ベース成分(約1.35%)を、プロバイオティクス(約0.25%~約1%)および発酵物(約0.75~約4%)と組み合わせ、工程(1)で得られた組成物に添加し、撹拌することと、
(3)乾燥植物成分または粘土成分(約14%)を組み合わせ、工程(2)で得られた組成物に添加し、撹拌することと、
(4)工程(3)で得られた組成物に、保湿剤、具体的には蜂蜜(約45%)が挙げられるが、これらに限定されない保湿剤を添加し、撹拌することと、
(5)少なくとも1種の精油(約1.25%)を添加し、撹拌し、統一された稠度になるように混合することと、を含んでもよい。
得られた最終生成物は、約10℃~約20℃で、光を避けて保存されてもよい。
【0027】
本開示の別の態様は、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量の第1の剤と、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量の第2の剤とを含有する、皮膚に適用するための組成物に関する。
【0028】
第1の剤は、発酵物、培養した糖、抗菌タンパク質、抗菌ペプチドまたはこれらの組み合わせを含んでよい。発酵物は、乳酸菌を含有する組成物の発酵産物でもよい。発酵物は、MicroGARD(登録商標)200(Dupont Nutrition & Health,Delaware,DE)でもよい。第1の剤の例としては、培養した糖(非限定例としてラクトース、デキストロース、フルクトースおよびマルトデキストリンが挙げられる)、タンパク質(非限定例としてカゼイン、乳清、大豆およびエンドウ、抗菌ペプチドが挙げられる)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
第2の剤はプロバイオティクスを含んでもよい。プロバイオティクスは乳酸菌を含んでもよい。乳酸菌の例としては、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)およびラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)が挙げられる。プロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム属細菌、ラクトバシラス属細菌、ラクトコッカス属細菌、連鎖球菌属細菌、ペジオコックス属細菌およびこれらの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、プロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019を含む。プロバイオティクスは、抗酸化系およびラジカル生成を減少させる能力を改善し得るため、それによって配合における安定性という別の側面も支援する。プロバイオティクスはまた、におい/香りなどの感覚の側面も改善し、組成物の手触りおよび乳化も改善し得る。
【0030】
第1の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は特に限定されない。第1の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は特に限定されない。微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は、カビまたは酵母菌の増殖を抑制するのに有効な量であり得る。第1の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は、皮膚に適用するための組成物全体の体積(mlで記載)に対する質量(gmで記載)として、約0.05%以上、約0.25%以上、約0.5%以上、約0.75%以上、約1%以上、または約2.75%以上であり、かつ約5%以下、約4.5%以下、約4%以下、または約3%以下であってよい。第1の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は、皮膚に適用するための組成物全体量に対する質量として、例えば約0.25%~約5%、または約0.75%~約4%、または約1%~約3%であってよい。
【0031】
第2の剤の、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量は特に限定されない。微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量は、皮膚に適用するための組成物全体量に対する質量として、約0.10%以上、約0.25%以上、約0.37%以上、または約0.50%以上であり、かつ約5%以下、約4%以下、約2%以下、または約1%以下であってよい。微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量は、皮膚に適用するための組成物全体の体積(mlで記載)に対する質量(gmで記載)として、例えば約0.10%~約5%、約0.20%~約4%、または約0.25%~約1%であってよい。
【0032】
好ましくは、第1の剤は発酵物であり、微生物の増殖を抑制するのに有効な第1の量は、皮膚に適用するための組成物全体量に対する質量として、約0.75%~約4%、または約1%~約3%である。
【0033】
好ましくは、第2の剤はプロバイオティクスであり、微生物の増殖を抑制するのに有効な第2の量は、皮膚に適用するための組成物全体量に対する質量として、約0.25%~約1%である。
【0034】
皮膚に適用するための組成物は、微生物の増殖を防ぐのに関連する、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンをさらに含有してもよい。少なくとも1種のテルペンは、少なくとも1種の単離したテルペンであってもよい。少なくとも1種の精油の例としては、フランキンセンス(ボスウェリア・サクラ(Boswellia sacra)、フランキンセンス・エチオピア(B.carterii)、フランキンセンス・ソマリア(B.frereana)、フランキンセンス・インド(B.serrata)およびフランキンセンス・エリトリア(B.papyrifera))、パロサント(ブルセラ・グラベオレンス(Bursera graveolens))、ミルラ(コンミフォラミルラ(Commiphora Myrrha)またはコンミフォラ・モルモル(Commiphora Molmol))およびコーパル(プロチウムコーパル(Protium copal))などのカンラン科からの精油、トゥラシーすなわちホーリーバジル(カミメボウキ(Ocimum tenuifloru))、ウコン(Curcuma longa)、ベチベル(Vetiveria zizanioides)、種子油を含む麻(Cannabis salvia)などの精油、およびミカン属(ミカン科)(例としては、オレンジ(Citrus Sinensis)、シトラス・ウラニウム(Citrus uranium)、マンダリンオレンジ(Citrus reticulata)、レモン(Citrus lemon)、ライム(Citrus aurantifolia)、グレープフルーツ(Citrus x paradise)、ベルガモット(Citrus bergamia)、ユズ(Citrus junos)、キンカン(Citrus japonica)が挙げられる)に由来する精油、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、以下の精油、すなわちベチベル、パロサント、ホーリーバジル、フランキンセンスおよびライムの組み合わせが使用されてもよい。特定の実施形態では、上記の少なくとも1種の精油は、テルペン、例えば、リモネン、α-ピネン、カリオフィレン、ミルセン、サビネン、オイゲノール、β-エレメン、α-ブルネセン(α-Bulsene)、γ-テルピネン、テルピノレンおよびメントフランを含有する。上記の少なくとも1種の精油、または1種以上の精油の組み合わせ、および/または関連するテルペンの含有は、皮膚に適用するための組成物において共生的な役割を果たしてもよい。
【0035】
少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種の関連するテルペンの量は、皮膚に適用するための組成物全体の体積に対する体積として、約0.2%以上、約0.5%以上、約1%以上、約2%以上、または約2.6%以上であってよく、かつ約10%以下、約5%以下、約4%以下、または約3%以下であってよい。少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種の関連するテルペンの量は、皮膚に適用するための組成物全体の体積に対する体積として、例えば約0.2%~約10%、約0.5%~約4%、または約1%~約3%であってよい。例えば、皮膚に適用するための組成物がエマルジョンである場合、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンの量は、組成物全体の体積に対する体積として、約2.57%でもよい。皮膚に適用するための組成物がセラムである場合、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンの量は、組成物全体の体積に対する体積として、約2.6%でもよい。皮膚に適用するための組成物が剥離剤である場合、少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンの量は、組成物全体の体積に対する体積として、約1.14%でもよい。2種以上の精油および/またはテルペンが使用される場合、本開示中に記載される少なくとも1種の精油および/または少なくとも1種のテルペンの量は、2種以上の精油および/またはテルペンの総量を意味する。
【0036】
本開示の別の態様は、本開示による有効量の皮膚に適用するための組成物を、急性皮膚感染症の治療を必要とする対象に投与することを含む、急性皮膚感染症を治療する方法に関する。組成物の有効量とは、急性皮膚感染症の症状を緩和する、軽減する、または改善するのに十分な量であってよい。急性皮膚感染症を治療する方法は、長期間にわたる本組成物の投与を伴ってもよい。例えば、本開示による皮膚に適用するための組成物は、対象に、少なくとも8時間にわたって、少なくとも12時間にわたって、少なくとも1日にわたって、少なくとも1週間にわたって、または少なくとも2週間にわたって投与されてもよい。
【実施例】
【0037】
実施例1
微生物の増殖を促進しない環境を作ることによって、望ましくない微生物活動を制御する塩の利用から、防腐試験を開始した。この試験では、3種の処理剤:塩を含まない対照、低い塩の濃度(0.05%)、および高い塩の濃度(5%)を評価した。さらに、HOLDBAC(登録商標)LC(Dupont Nutrition & Health, Delaware DE)を0.093%の濃度で添加し、この抗菌剤が、塩とともにある環境で所望の結果をもたらすかを判定した。初期の結果を表1に示す。1ヵ月後の結果を表2に示す。
【0038】
表1.塩の試験:初期の結果
使用する塩-クリーンラベリングを裏付ける有機海塩。
【0039】
これらの結果によって、クリーンな生成が確立される。細菌、酵母菌およびカビは、塩の添加とともに導入されたようである。
【0040】
【0041】
結果と考察
塩は、天然の防腐として一般的に使用され、良好かつ明白な出発点であると提案された。この実験の結果によって、クリーンな生成を達成でき、また塩は酵母菌、カビまたはTPCを制御する役割を果たさなかったことが示された。実際、塩は、製造時に望ましくない細菌およびY/Mを導入するという有害な役割を果たしたようである。結論として、塩は微生物汚染を制御するようには機能せず、この処理剤を可能性がある解決策としてこれ以上調査しない選択をした。
【0042】
これらの試験において、HOLDBAC(登録商標)LCがその抗菌剤としての役割を果たしているかどうかは、塩によって導入された複雑な要因のために判定することができないとも決定された。効力を判定するために、HOLDBAC(登録商標)LCを用いるより多くの試験が必要である。
【0043】
この配合が、これらの起こり得る汚染菌の増殖を補助するかどうかを判定するのに、適法な保存効力試験が必要であると決定された。
【0044】
実施例2:保存効力試験1
エマルジョン配合の2種類の試料を、以下の通り作製した。
(1)水成分(約50%)を準備した。
(2)油成分(約40%)をワックス成分(約3%)と組み合わせ、摂氏約63~74℃に加熱した。
(3)水成分(1)にグリセライト抽出物(約2%)を添加し、撹拌した。
(4)(3)で得られた混合物にプロバイオティクスを添加した(プロバイオティクス、ラクトバシラス・ラムノーサス(Lactobaccillus rhamnosis)であるHoldbac LCを、HN019とともに添加した。LCは0.09%でHN019は0.17%で添加した。)。
(5)(4)で得られた混合物に、(2)で得られ、摂氏60℃に冷却された油/ワックスを添加し、摂氏33℃以下で撹拌して乳化した。
(6)精油(約2%)を添加し、撹拌してから冷却した。
(7)混合物を摂氏約18℃以下に冷却した(凍らせない)。
試料を、摂氏約10℃~18℃で、光を避けて保存した。
【0045】
2種類の化粧品クリーム試料、1110001-MMLエマルジョンN92117および1110002-MMLエマルジョンE100517を、黄色ブドウ球菌(Staph.Aureus)およびカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)を使用した保存効力試験のために、Biogen Laboratory Developments,LLCに送付した。これらの2種の微生物は、MML配合物を評価するのに十分なバイオバーデンを提供するだろうと、この研究所から提案されたものである。試験は、微生物の汚染問題が最も発生しやすいエマルジョンから開始した。
【0046】
保存効力試験1では、2種類のエマルジョン試料を試験した。微生物を接種していないこれらの生成物の、それぞれの初期の微生物負荷では、下記の表3に示されるように、細菌、酵母菌およびカビは含まれないと分かった。
【0047】
表3.保存効力試験1.微生物を接種していない生成物の生菌数結果
【0048】
各生成物に、24時間培養した黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)(SA)またはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CP)をそれぞれ接種した。供給される全体のバイオバーデンを確定するために、24時間の培養菌を試験した。結果は、下記の通りである:
黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)=2.6x108cfu/ml
カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)=1.5x106cfu/ml
【0049】
各試料について、それぞれ50gmの2つの小口試料に、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)(SA)またはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CP)のいずれかを、24時間の培養菌1.0mlを50gの小口試料に添加することによって接種した。
SAを接種した各小口試料は、2.6x106cfu/gの最終的なバイオバーデンを有した。
Cpを接種した各小口試料は、1.5x104cfu/gの最終的なバイオバーデンを有した。
【0050】
表4.保存効力試験1:MMLエマルジョンの微生物数
【0051】
結果と考察
エマルジョンN92117は、配合物の0.09%の濃度のHOLDBAC(登録商標)LC(食品産業において酵母菌およびカビに対して有効であると判明しているプロバイオティクス)に加えて、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019(一般にプロバイオティクスとして知られている乳酸菌)を0.17%の濃度で含有した。乳化の温度は、99°F(37℃)であった。
【0052】
結果を表4に示す。黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)数は、この配合物において、24時間以内に半分未満に、2日で1logを超えて低下した。この組み合わせは酵母数を低下させる効果はなく、実際、酵母数はこの2日間の研究中に2.5logを超えて増加している。これは、HOLDBAC(登録商標)LCは、これらの化粧品配合物において酵母菌を制御するのに有効でないことを示している。
【0053】
エマルジョンE100517は、配合物の0.09%の濃度のHOLDBAC(登録商標)LCに加えて、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019を0.14%の濃度で含有した。乳化の温度は、同じく99°F(37℃)であった。このエマルジョンはまた、高濃度(0.59%)のオレンジ精油を含有した。この組み合わせは、酵母数への効果はなかったが、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)数の低下には、N92117よりもさらに有意な改善が見られた(表4)。これは、HOLDBAC(登録商標)LCは、これらの化粧品配合物において酵母菌を制御するのに有効でないと再び確認する結果であった。また、精油を添加することで、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)を制御する性能が改善され得ること、そして酵母菌の制御に寄与し得ることが確認できた。精油の役割を理解するには、より多くの研究が必要である。
【0054】
上記データは、両方の配合物を周囲環境で保管した最初の2日以内に、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)が徐々に低下し、約1logまで低下したことを示している。しかしながら、エマルジョンN92117では、カンジダ数は最初の24時間でほぼ1log増加し、48時間以内にさらにほぼ1log増加した。エマルジョンE100517は、2日目には安定した状態を維持した。E100517エマルジョンでは、これらの微生物の全体的な回復率は低く、N92117の配合よりも高いレジリエンスを有することを示している。これらの微生物レベルの観察を続け、これらの試料における微生物の増殖傾向を結論付けるものとする。
【0055】
上記データは、黄色ブドウ球菌(Staph aureus)は両方の配合において最終的に死滅し得るが、カンジダは両方の配合において増え続け得ることを示唆している。
【0056】
実施例3:保存効力試験2
この研究は、BioVida(カラシ種子、緑茶などの複数のハードル型(multi-hurtle)抗菌剤)の効果を試験するように設計した。この抗菌剤は、クリーンラベルな性質のために選択された。
【0057】
エマルジョン試料を、以下の通り調製した。
(1)発酵物(Bio Vida、0.89%)を、水成分(約50%)と組み合わせた。
(2)油成分(約40%)をワックス成分(約3%)と組み合わせ、摂氏約63~74℃に加熱した。
(3)水成分(1)にグリセライト抽出物(約2%)を添加し、撹拌した。
(4)(3)で得られた混合物に、プロバイオティクス(HN019、0.42%)を添加した。
(5)(4)で得られた混合物に、(2)で得られ、摂氏60℃に冷却された油/ワックスを添加し、摂氏33℃以下で撹拌して乳化した。
(6)精油(約2%)を添加し、撹拌してから冷却した。
(7)混合物を摂氏約18℃以下に冷却した(凍らせない)。
試料を、摂氏約10℃~18℃で、光を避けて保存した。
【0058】
この研究は、化粧品クリーム試料、0426001-MML ONPA 41018にて実施した。
このクリームに、最初に、バックグラウンドの微生物数を検査するための試験を行った(表5)。
表5:保存効力試験2.バックグラウンドの微生物数
【0059】
この試料において、それぞれ50gの2つの小口試料に、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)(SA)またはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CP)のいずれかを、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)(SA)またはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CP)の24時間の培養菌0.5mlを、それぞれ50gの小口試料に添加することによって接種した。
どの程度の細菌が試料に追加されたかを確定するために、24時間の培養菌を試験した。
黄色ブドウ球菌(Staph.aureus):1.1x108CFU/ml
カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis):1.4x107CFU/ml
SAを接種した各50gの小口試料は、およそ1,100,000CFU/gを加えられた。CPを接種した各50gの小口試料は、およそ140,000CFU/gを加えられた。
【0060】
結果:結果を、下記の
図1および表6に示す。
表6.保存効力試験2の微生物数
【0061】
この研究では、前回の実験に見られたような黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)の低下は見られなかった。エマルジョンの温度は、95F(35C)であった。ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019は、工程の極めて早い段階で添加した。上記配合物中には、いかなるテルペン(リモネン-オレンジ精油のリモネン含有量は90%)も使用しなかった。考えられる原因としては、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019の添加時間があり得る。ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019は、良好な結果を示した前回の試験よりも早期に導入されたため、添加の順序は影響を与える可能性がある。加えて、テルペンの欠乏が関与した可能性もある。BioVidaは、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)またはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)のいずれにおいても好ましい効果を有するようには見えない。
【0062】
実施例4:保存効力試験3
この実験では、発酵物(MG100(有機の乳)、MG200(有機)、MG210(有機でない))、ならびに抗菌剤(様々な濃度のナタマイシン)、ならびにそれらの黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)およびカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)に対する効果を比較した。工程が結果に関与し得るため、特定のプロセス条件(順序および温度)、ならびに微生物の結果への、それらの起こり得る効果の評価は、今後すべての研究に含まれることになる。
研究:
MML-1:MEN70918(7/9AM)-MG100
MML-2:EEN71018(7/10AM)-MG200
MML-3:EVEN71118(7/11AM)-MG210
MML-4:モーニングエマルジョン81418(8/14/18AM)-ナタマイシン(0.025%)
MML-5:イブニングエマルジョン81818(8/14/18AM)-ナタマイシン(0.0125%)
【0063】
本実施例に具体的に示された構成成分、量および/または条件を除いて、実施例3と同様の工程によって5種のクリームを調製した。すべての処理剤は、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019を0.41~0.47%の濃度で含有する。
各クリームに、最初に、バックグラウンドの微生物数を決定するための試験を行った。生成物を、APC、酵母菌およびカビについて試験した(表7)。
表7:実施例4におけるバックグラウンドの微生物数
【0064】
各生成物に、24時間培養した黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)(SA)またはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CP)をそれぞれ接種した。供給される全体のバイオバーデンを確定するために、24時間の培養菌を試験した。
黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)=2.8x108cfu/ml
カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)=3.7x106cfu/ml
【0065】
各試料について、それぞれ100gmの2つの小口試料に、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus(SA))またはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CP)のいずれかを、24時間の培養菌1.0mlを100gの小口試料に添加することによって接種した。
SAを接種した100gmの各小口試料は、2.8x106cfu/gの最終的なバイオバーデンを有した。
CPを接種した100gmの各小口試料は、37,000cfu/gの最終的なバイオバーデンを有した。
【0066】
結果と考察
実施例4の結果を、表10~表12ならびに
図2および
図3に示す。
表8:MML-1の微生物数
表9:MML-2の微生物数
表10:MML-3の微生物数
表11:MML-4の微生物数
表12:MML-5の微生物数
【0067】
MEN70918MG100-ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019を添加する順序は正しかったが、処理終了時(乳化後)の温度は、107°F(41.6℃)であった。この処理剤は、それぞれ4週および6週の初めに、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)(SA)およびカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CP)の増加を示した。温度が不良に寄与した可能性がある。MG100による効果を欠いているため、この成分はさらなる試験から除去されるものとする。
【0068】
EEN71018-生成物は、テルペン(オレンジ精油およびイランイラン由来)を有した。記録されていないが、この処理剤上での終了温度も同じく高かったという仮説が立てられる。黄色ブドウ球菌(Staph aureus)数が高かったが、これは、乳化の間に温度が上昇したときの、その他の試験と一致し得る。この処理剤は酵母菌を低下させる有意な効果を有した。MG200を評価するためのさらなる研究が根拠となる。
【0069】
乳化の後の終了温度は、黄色ブドウ球菌(Staph aureus)(SA)結果への効果に関連するようである。ビフィドバクテリウム・ラティクス(B.lactis)HN109は、101°F(38.3℃)未満の温度を用いる場合、非常に有効であった。
【0070】
精油、ベチベル(Vetiveria zizanioides)は、EVEN71118に見られるように潜在的な効果を示している。71118については、乳化温度は101F(38.3C)であり、添加の順序は正しく、MG210を用いた。
【0071】
MG200の良好な性能およびクリーンラベル(認証を受けた有機)のため、今後の研究において、MG210の代わりにこの抗菌剤を使用するものとする。
【0072】
MG200と精油との間には、関係がある可能性がある。特に、ベチベル(Vetiveria zizanioides)は、支援関係または共生関係をもたらし得る。
【0073】
ナタマイシンはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CP)の良好な制御を示したが、香りおよび稠度への悪影響など、生成物品質への負の影響を有していた。またナタマイシンは、クリーンラベルであるとは考えられない。これらの理由から、この成分は今後の実験において除去されるものとする。
【0074】
実施例5:保存効力試験4
この研究では、植物(麻)および精油の効果を切り離すように、3種の処理剤を設計した。黄色ブドウ球菌(Staph aureus)の制御を補助するために、すべての処理剤にビフィドバクテリウム・ラティクス(B.lactis)HN019を添加した。これは、65°F(18.3℃)に冷却した後のテルペンの添加を評価する最初の研究であった。高温では、細胞毒性のある成分が誘発され得るという懸念があった(それらの成分は感温性である)。
【0075】
本実施例に具体的に示された構成成分、量および/または条件を除いて、実施例3と同様の工程によって試料を調製した。
処理剤:
モーニングEブレンド112918(ベチベル(Vetiveria zizanioides)、精油(テルペン)、麻、MG200、88F)
イブニングブレンド121018(ベチベル(Vetiveria zizanioides)、冷却後に添加される精油(テルペン)、麻、MG200、2.5%のNCFM、88F)
イブニングE112618(ベチベル(Vetiveria zizanioides)、冷却後に添加されるテルペン、麻、MG200、109F)
112918-4日目までに黄色ブドウ球菌(Staph aureus)抑制、および5日目までに酵母菌を150に抑制。
【0076】
121018-黄色ブドウ球菌(Staph aureus)を4日目までに抑制、増加、そして7日目までに<10。酵母菌は7日目までに20である。
112618-黄色ブドウ球菌(Staph aureus)は、7日目までに1,500,000cfu/gで制御不良であり、酵母菌は7日目までに10cfu/g。温度は、ビフィドバクテリウム・ラティクス(B.lactis)HN019に負の影響を及ぼしたようである。これによって、温度が黄色ブドウ球菌(Staph aureus)結果を解決する鍵になり得ることが引き続き確認される。
【0077】
結論:酵母菌および黄色ブドウ球菌(Staph aureus)は、3種の処理剤のうちの2種において制御された。乳化後の温度は、引き続き重要な要因である。酵母菌の結果については、MG200および冷却後の精油の添加が、肯定的な結果に寄与しているようである。
【0078】
実施例6:保存効力試験5
この研究では、エマルジョン配合物中の精油の役割を、標準化したプロトコル(順序、温度、MG200およびビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019)を用いて評価した。また、この研究では、低濃度のナタマイシンの酵母数に対する影響を決定するために、低濃度のナタマイシンの役割を評価した。
【0079】
本実施例に具体的に示された構成成分、量および/または条件を除いて、実施例3と同様の工程によってエマルジョン配合物を調製した。最初に、水に発酵物を添加した。
【0080】
現在、エマルジョン配合で肯定的な結果を示している防腐の方法が、その他の化粧品配合に移行されることができるかどうか判定するために、3種のさらなる配合、すなわちセラム(水含有)および2種の剥離剤(微生物汚染に寄与し得る成分を含有)を試験に追加した。どちらの配合も、コールドプロセスを経て製造した。
【0081】
セラムを、摂氏21度以下の冷たい温度での製造によって、以下の通りに調製した。
(1)液体成分、具体的にはグリセライト抽出物(水が約28%、グリセリンが約66%)を組み合わせた。
(2)(1)で得られた液体中で発酵物MG200(約0.09%)を撹拌した。
(3)(2)で得られた液体中で、0.49%のプロバイオティクスビフィドバクテリウム・ラティクス(B.lactis)HN019および1.68%のラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM(皮膚の健康のため)を撹拌した。
(4)精油(約2.50%)を添加した。
セラムを、摂氏約10℃~18℃で、光を避けて保存した。
【0082】
21℃以下の温度で実施される下記の工程によって、剥離剤を調製した。
(1)液体成分、例えばグリセライト抽出物(水が約11%、グリセリンが約26%)を組み合わせた。
(2)乾燥乳ベース成分(約1.35%)を、プロバイオティクス(約0.25%~約1%)および発酵物(約0.75~約4%)と組み合わせ、工程(1)で得られた組成物に添加し、撹拌した。
(3)乾燥植物成分または粘土成分(約14%)を組み合わせ、工程(2)で得られた組成物に添加し、撹拌した。
(4)工程(3)で得られた組成物に、保湿剤、具体的には蜂蜜(約45%)が挙げられるが、これらに限定されない保湿剤を添加し、撹拌した。
(5)少なくとも1種の精油(約1.25%)を添加し、撹拌し、統一された稠度になるように混合した。
得られた最終生成物を、約10℃~約20℃で、光を避けて保存した。
【0083】
4種のクリームブレンド、2種の剥離剤および1種のセラムを提供し、それらで黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)およびカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)に対する試験を行った。
【0084】
各クリームに、最初に、バックグラウンドの微生物レベルを検査するための試験を行った(表13)。
表13:実施例7におけるバックグラウンドの微生物レベル
【0085】
各試料について、それぞれ2つの小口試料に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(SA)またはカンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(CP)のいずれかを、24時間の培養菌0.4mlを40gの各小口試料に添加することによって、1%で接種した。
【0086】
どの程度の細菌が試料に追加されたかを確定するために、24時間の培養菌を試験した。
黄色ブドウ球菌(Staph.aureus):2.1x108CFU/ml
カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis):5.8x104CFU/ml
SAを接種した各100gの小口試料は、およそ2,100,000CFU/gを加えられた。
CPを接種した各100gの小口試料は、およそ580CFU/gを加えられた。
【0087】
結果:
表14:0510001-MMLのブレンドごとの全体生菌数の結果:
2日目までにバックグラウンドレベルまで低下、酵母菌は0日目に死滅。
表15:0510002-MMLのブレンドごとの全体生菌数の結果:
21日目までにバックグラウンドレベルまで低下、酵母菌は6日目に死滅。
表16:0510003-MMLのブレンドごとの全体生菌数の結果:
6日目までにバックグラウンドレベルまで低下、酵母菌は1日目に死滅。
表17:0510004-MMLのブレンドごとの全体生菌数の結果:
2日目までにバックグラウンドレベルまで低下、酵母菌は4日目に死滅。
表18:0510005-MMLのブレンドごとの全体生菌数の結果:
2日目までにバックグラウンドレベルまで低下、酵母菌は5日目に死滅。
表19:0510006-MMLのブレンドごとの全体生菌数の結果:
2~7日目までにバックグラウンドレベルまで低下、酵母菌は4日目に死滅。
表20:0510007-MMLのブレンドごとの全体生菌数の結果:
2~21日目までにバックグラウンドレベルまで低下、酵母菌は4日目に死滅。
【0088】
セラム:セラムは、0.49%のビフィドバクテリウム・ラティクス(B.lactis)HN019、2.6%の精油(テルペン)、1.68%のラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM(皮膚の健康のため)および1.09%のMG200を含有する。このデータは、1日目の黄色ブドウ球菌(Staph aureus)の著しい低下、および酵母菌が存在しないことを示している(
図4参照)。この配合物および工程は、負荷レベルを低下させるように機能している。
【0089】
剥離剤:この配合には水は添加しないが、粘土および蜂蜜を含有するその他の成分のために、微生物汚染が起こりやすいと考えられ得る。試験結果を
図5に示す。
【0090】
処理剤030118-この配合は、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019を含まないにもかかわらず、21日目までに黄色ブドウ球菌(Staph aureus)をバックグラウンドレベルまで減らすことができ、また酵母菌は6日目までに存在しなくなった。しかし、0.37%のビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019および2.1%のMG200の添加によって、黄色ブドウ球菌(Staph aureus)は6日目までにバックグラウンドレベルになり、酵母菌は1日目に存在しなくなった。これは、ビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019およびMG200の添加が、これらの微生物汚染の低減に大きく貢献したことを示している。
【0091】
加えて、この配合中にプロバイオティクスおよびMG200を含有することで、予期しない品質特性が生じた。
図6に示す通り、これらの成分の添加は、最終生成物に、永続的かつ好ましい乳化をもたらした。これらの成分がないと、配合物はすぐに分離してしまい、この生成物を出して使用する際に問題が生じる。これは重要な品質改善である。
【0092】
モーニングエマルジョンおよびイブニングエマルジョン:
この実験は、精油を用いる、および精油を用いない、モーニング配合とイブニング配合とを比較するように設計した(配合物1および配合物3は精油を含有しなかった)。さらに、酵母菌の結果に対するナタマイシンの効果を評価した(モーニング2およびイブニング4)。
【0093】
エマルジョンはすべて、0.4~0.6%のビフィドバクテリウム・ラティクス(Bifidobacterium lactis)HN019および2.83%のMG200を含有した。イブニング1およびイブニング2だけは、0.0056%のナタマイシンも含有した。モーニングエマルジョンはナタマイシンを含有しなかった。
【0094】
結果と考察
結果を
図7~
図13に示す。
図7は、実施例6のエマルジョンの黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果を示す。
図8は、実施例6のイブニングエマルジョンの黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果を示す。
図9は、実施例6のイブニングエマルジョンの酵母菌試験結果を示す。
図10は、実施例6のモーニングエマルジョンの黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果を示す。
図11は、実施例6のモーニングエマルジョンの酵母菌試験結果を示す。
図12は、実施例6のモーニングエマルジョンとイブニングエマルジョンとの黄色ブドウ球菌(Staph aureus)試験結果の比較、およびナタマイシンの効果を示す。
図13は、実施例6のモーニングエマルジョンとイブニングエマルジョンとの酵母菌試験結果の比較、および精油の効果を示す。
【0095】
この研究によって、精油(テルペンを含む)は、エマルジョン中の防腐に効果を有するようであることが見出された。精油は、化粧品生成物において微生物増殖を制御するために発展する、潜在的なハードル型技術(hurtle-type technology)の一部である。他の研究では、精油は抗菌効果を有することが示された。これらの結果を見ると、配合物中の植物成分は、この時点では、それらの貢献が抑制されていない可能性がある。この防腐方法に寄与する植物成分の役割を決定するには、より多くの研究が必要であり得る。
【0096】
エマルジョン温度の影響: モーニング3およびモーニング4は86°F(30℃)のエマルジョン温度を有し、65°F(18.3℃)で精油が添加された。イブニング1およびイブニング2は83°F(28.3℃)のエマルジョン温度を有し、65°F(18.3℃)で精油が添加された。この結果では、温度の差により起こり得る影響が強調されている。
【0097】
イブニングエマルジョンは、ナタマイシンを含有している。ナタマイシンは微生物数に影響を及ぼしていない。実際、ナタマイシン含有の配合の酵母数は、ナタマイシンを含有しない配合よりも、14日間を通して高い状態のままである。加えて、ナタマイシンは、エマルジョンの香り(不快な香り)および稠度に負の影響を与える一因となる。
【国際調査報告】