(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(54)【発明の名称】頸椎カラーの高さ、奥行き及び外周調整機構
(51)【国際特許分類】
A61F 5/055 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
A61F5/055
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569233
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2020033753
(87)【国際公開番号】W WO2020236905
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515258365
【氏名又は名称】ディージェーオー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ドティー,アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデンバーグ,タラ
(72)【発明者】
【氏名】ベハラノ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ラーマ―,ケヴィン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】モールズ,ジェイ.アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ムラリー,ジェフリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】クロック,ポール
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA01
4C098BB03
4C098BC11
4C098BD04
4C098BD13
(57)【要約】
頸椎カラー、その構成要素、及びそれらの使用方法は、従来型の頸椎カラーの課題を克服している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顎部及び本体部を有する頸椎カラーの前側構成要素であって、
調整機構の一度の調整で前記本体部に対して前記顎部の両側面を上下させる前記調整機構を備え、前記調整機構が、前記顎部を実質的に垂直方向に上下させる、前側構成要素。
【請求項2】
前記調整機構が、ピニオンと協働するラックを含まず、
前記調整機構が、ケーブル及び/又はプーリを含まず、
前記顎部と前記本体部とが、回動可能に連結されておらず、
前記顎部と前記本体部とが、前記顎部及び前記本体部の端部のみに支持されておらず、
前記顎部が、使用時に使用者の顎部の輪郭に適合するように湾曲することができない、
請求項1に記載の前側構成要素。
【請求項3】
請求項1に記載の前側構成要素を備える前記頸椎カラーであって、
前記調整機構が4本のバー付き調整機構であり、
前記4本のバー付き調整機構が、顎部と本体部との間で、前記前側構成要素の両側面に横方向に配置された一対のクロスバーを含み、
前記4本のバー付き調整機構が、前記前側構成要素の両側面に横方向に配置された一対の送りねじを含み、
前記送りねじがそれぞれ、往復運動体に回転可能に連結されており、
前記往復運動体がそれぞれ、第1の端部でアクチュエータバーに連結されており、
前記アクチュエータバーがそれぞれ、第2の端部で前記クロスバーそれぞれにおける1本の第1のクロスバーの第1の端部に連結されており、
前記送りねじの各対の端部が、駆動歯車と嵌合する傘歯車を含み、
前記顎部が、それぞれが細長スロットを内部に画定している第1及び第2の側顎部を含み、
前記本体部が、それぞれが細長スロットを内部に画定している第1及び第2の横方向本体部を含み、
各前記アクチュエータバーの前記連結された第2の端部が、前記第1及び第2の横方向本体部のそれぞれにある前記細長スロットに沿って摺動するように構成されており、
前記クロスバーそれぞれにおける1本の第2のクロスバーの第1の端部が、前記第1及び第2の側顎部それぞれにある前記細長スロットに沿って摺動するように構成されており、
前記クロスバーそれぞれにおける前記1本の第2のクロスバーの第2の端部が、前記第1及び第2の横方向本体部のそれぞれに静止位置で回転可能に連結されており、
前記クロスバーそれぞれにおける前記1本の第1のクロスバーの第2の端部が、前記第1及び第2の側顎部のそれぞれに静止位置で回転可能に連結されており、
前記本体部が、前記顎部の高さを示す目印を含み、
前記一対の側顎部が、前記一対の側顎部間にある顎当てに移動可能に連結されており、
前記前側構成要素が、顎部奥行き調整機構を備え、
前記顎部奥行き調整機構が、前記一対の側顎部に対して実質的に水平な前記顎部の移動をもたらし、
前記一対の側顎部がそれぞれ、前記顎当ての各端部に配置され、自身の内部で水平方向に摺動する連結具を受け入れるための、実質的に水平な奥行き調整スロットを含み、
前記後側構成要素が、サイズ調整目印を有するストラップ、及びバックパネルを備え、
前記ストラップが、第1の端部及び第2の端部を有し、
前記サイズ調整目印が、前記第1の端部と前記第2の端部との間にあり、
前記ストラップが、前記第1の端部に近接する位置合わせ目印を有し、
前記ストラップが、前記前側構成要素に取外し可能に連結されており、
前記ストラップの前記第1の端部に近接する前記位置合わせ目印の位置合わせが、前記本体部上の前記位置合わせ目印に対応しており、
前記ストラップの前記第2の端部が、前記バックパネルに取外し可能に連結され、前記ストラップ自体に連結可能であり、
前記ストラップの前記第2の端部縁の位置合わせが、前記ストラップ自体への連結時の前記サイズ調整目印のうちの1つに対応している、
前記頸椎カラー。
【請求項4】
顎部と、本体部と、4本のバー付き調整機構とを備える頸椎カラーの前側構成要素であって、前記4本のバー付き調整機構は、一度の調整で、前記本体部に対して前記顎部の両側面を上下させるように配置されている、前側構成要素。
【請求項5】
前記4本のバー付き調整機構が、前記前側構成要素の顎部と本体部との間で、前記前側構成要素の両側面に横方向に配置された一対のクロスバーを含む、請求項4に記載の前側構成要素。
【請求項6】
前記4本のバー付き調整機構が、前記前側構成要素の両側面に横方向に配置された一対の送りねじを含み、
前記送りねじがそれぞれ、往復運動体に回転可能に連結されており、
前記往復運動体がそれぞれ、第1の端部でアクチュエータバーに連結されており、
前記アクチュエータバーがそれぞれ、第2の端部で前記クロスバーそれぞれにおける1本の第1のクロスバーの第1の端部に連結されており、
前記送りねじの各対の端部が、駆動歯車と嵌合する傘歯車を含む、
請求項5に記載の前側構成要素。
【請求項7】
前記顎部が、それぞれが細長スロットを内部に画定している第1及び第2の側顎部を含み、
前記本体部が、それぞれが細長スロットを内部に画定している第1及び第2の横方向本体部を含み、
各前記アクチュエータバーの前記連結された第2の端部が、前記第1及び第2の横方向本体部のそれぞれにある前記細長スロットに沿って摺動するように構成されており、
前記クロスバーそれぞれにおける1本の第2のクロスバーの第1の端部が、前記第1及び第2の側顎部それぞれにある前記細長スロットに沿って摺動するように構成されており、
前記クロスバーそれぞれにおける前記1本の第2のクロスバーの第2の端部が、前記第1及び第2の横方向本体部のそれぞれに静止位置で回転可能に連結されており、
前記クロスバーそれぞれにおける前記1本の第1のクロスバーの第2の端部が、前記第1及び第2の側顎部のそれぞれに静止位置で回転可能に連結されている、
請求項6に記載の前側構成要素。
【請求項8】
前記本体部が、前記顎部の高さを示す目印を含む、
請求項7に記載の前側構成要素。
【請求項9】
頸椎カラーで使用するための調整可能な顎部であって、
相互間にある顎当てに移動可能に連結された、前記顎部の一対の側顎部と、
顎部奥行き調整機構と、を備え、
前記顎部奥行き調整機構が、前記一対の側顎部に対して実質的に水平な前記顎部の移動をもたらしている、
調整可能な顎部。
【請求項10】
前記一対の側顎部がそれぞれ、前記顎当ての各端部に配置され、自身の内部で水平方向に摺動する連結具を受け入れるための、実質的に水平な奥行き調整スロットを含む、
請求項9に記載の調整可能な顎部。
【請求項11】
前記連結具がリベットを含む、請求項9に記載の調整可能な顎部。
【請求項12】
前記顎当てが回動するように構成されている、請求項10に記載の調整可能な顎部。
【請求項13】
請求項9に記載の調整可能な顎部を備える、頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項14】
顎部と、本体部と、調整機構とを有する頸椎カラーの前側構成要素であって、前記調整機構の一度の調整で前記本体部に対して前記顎部の両側面を上下させるように配置された送りねじナットと協働する送りねじを備える、前側構成要素。
【請求項15】
前側構成要素と、
サイズ調整目印を有するストラップ、及びバックパネルを含む後側構成要素であって、
前記ストラップが、第1の端部及び第2の端部を有し、
前記サイズ調整目印が、前記第1の端部と前記第2の端部との間にあり、
前記ストラップが、前記第1の端部に近接する位置合わせ目印を有し、
前記ストラップが、前記前側構成要素に取外し可能に連結されており、
前記ストラップの前記第1の端部に近接する前記位置合わせ目印の位置合わせが、前記本体部上の前記位置合わせ目印に対応しており、
前記ストラップの前記第2の端部が、前記バックパネルに取外し可能に連結され、前記ストラップ自体に連結可能であり、かつ、
前記ストラップの前記第2の端部縁の位置合わせが、前記ストラップ自体への連結時の前記サイズ調整目印のうちの1つに対応している、後側構成要素と、を備える、
頸椎カラー。
【請求項16】
第2のストラップをさらに備える、請求項15に記載の頸椎カラー。
【請求項17】
頸椎カラーの前側構成要素であって、
顎部と、本体部と、それらの間にある変形部とを含む一体型頸椎カラーシェルを備える、頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項18】
前記一体型頸椎カラーシェルが、内部に細長スロットを含む、請求項17に記載の頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項19】
前記顎部と前記本体部とが、それらの間に変形部を有し、一体型頸椎カラーシェルを形成している、請求項17に記載の頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項20】
前記顎部と本体部とが、それらの間に、前記顎部と前記本体部との間の鋭角に開くように付勢され得るばね機構を含む、請求項17に記載の頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項21】
顎部、本体部、ばね機構、およびラッチ機構を備える頸椎カラーの前側構成要素であって、
前記ラッチ機構は、前記ラッチ機構の一度の調整で前記顎部の両側面が前記本体部に対して持ち上がるように配置されている、頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項22】
前記顎部と前記本体部との間にある前記ばね機構が、前記顎部と前記本体部との間の鋭角に開くように付勢され、相対的により小さい鋭角に閉じられ得る、請求項21に記載の頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項23】
前記ばね機構が、一体型頸椎カラーシェルの変形部である、請求項21に記載の頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項24】
ラック・アンド・ピニオンを含まない、請求項1から23のいずれか一項に記載の頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項25】
前記一体型頸椎カラーシェルが、内部に細長スロットを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項26】
前記頸椎カラーが一体型頸椎カラーシェルを備える、請求項1から25のいずれか一項に記載の頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項27】
頸椎カラーの構成要素であって、
ストラップに連結可能なカム表面組立体であって、
頸椎カラーを装着するときに患者の頸部の外周に適合する長さに前記ストラップが調整され得るように配置され、
前記ストラップの前記長さを崩すことなく、頸椎カラーから自身が取り外され得るように配置されている、カム表面組立体
を備える、頸椎カラーの構成要素。
【請求項28】
前記構成要素が後側構成要素である、請求項27に記載の構成要素。
【請求項29】
前記カム表面組立体が、前記後側構成要素に取外し可能に連結されている、請求項27に記載の構成要素。
【請求項30】
頸椎カラーの前側構成要素であって、
前記前側構成要素に連結されるカム表面組立体を備え、前記カム表面組立体が、
前記カム表面組立体が、前記前側構成要素に取り付けられるストラップに連結可能であり、
前記ストラップの長さを崩すことなく、前記前側構成要素から自身が取り外され得るように配置されている、頸椎カラーの前側構成要素。
【請求項31】
前側構成要素と、
バックパネル及びストラップを含む後側構成要素と、
前記前側構成要素及び後側構成要素に連結可能なカム表面組立体と
を備える頸椎カラーであって、
前記カム表面組立体が、
患者の頸部の外周に適合する長さに前記ストラップが調整され得るように配置され、
前記ストラップの前記長さを崩すことなく、前記頸椎カラーから自身が取り外され得るように配置されている、
頸椎カラー。
【請求項32】
バックパネルを有する頸椎カラーの後側構成要素であって、
第1の端部に近接する連結具および第2の端部に近接するストラップを有する後側嵌合部分を備え、
前記ストラップが前記バックパネルに連結され、
前記後側嵌合部分が、患者の頸部の外周に適合する長さに前記ストラップが調整され得るように配置され、
前記後側嵌合部分が、前記ストラップの前記長さを崩すことなく、前記頸椎カラーから自身が取り外され得るように配置されている、
後側構成要素。
【請求項33】
前記後側嵌合部分を受け入れるための前側嵌合部分をさらに備える、請求項32に記載の後側構成要素。
【請求項34】
前記後側嵌合部分が前記バックパネルに取外し可能に連結されている、請求項32に記載の後側構成要素。
【請求項35】
前記ストラップが前記後側嵌合部分に恒久的に取り付けられている、請求項32に記載の後側構成要素。
【請求項36】
取外し可能な延長ストラップをさらに備える、請求項32に記載の後側構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、頸椎カラーに関する。
【背景技術】
【0002】
頸椎カラーは一般に、脊椎をニュートラルアライメントに維持するために使用される。ニュートラルアライメントを維持するために、使用者の顎部を特定の位置で支持する必要がある。このため、従来型の頸椎カラーは通常、着用者の顎部を支持する顎部と、僧帽筋上に載るカラー本体とを有する。
【0003】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7674234号明細書は、顎部と、カラー本体と、ピニオンと協働する第1のラックを備える顎高さ調整機構とを有し、この調整機構を一度調整すれば、カラー本体に対して顎部の両側面を持ち上げるよう動作するように配置される、頸椎カラーに関するものである。米国特許第7674234号明細書では以下のように述べられている。
「ラック」及び「ピニオン」という用語は、本明細書では通常の用法よりも広範な意味で使用され、あらゆるサイズの歯を備えているか、又は実際には歯を全く備えない実施形態を含む。後者の場合、例えば、ラック・アンド・ピニオンはそれぞれ、ラック・アンド・ピニオンの相対的に運動(the relatively motion)[原文のまま]を結合するのに十分な摩擦を共にもたらすゴム状表面を有し得る。さらに、一般的な用法では、ラック・アンド・ピニオンのラック部分が平坦であることを指す場合が多い。本出願で使用しているように、ラックが平坦である必要はなく、実際にはほとんどの場合、湾曲している。本明細書で使用しているラック・アンド・ピニオンの唯一本質的な特徴は、ピニオンが回転するとラックが空間内で並進移動することである。考察対象が歯付きラック・アンド・ピニオンに限定される場合、歯については明示的に述べられるか、又はピニオンがピニオン歯車と呼ばれるかのいずれかとなる。
【0004】
1日に異なるサイズの患者多数への頸椎カラーの装着を任されている医療従事者は、単一の高さ調整機構を有する従来型の頸椎カラーでは、操作が困難で時間がかかり、多くの患者に装着した後に指に痛みが生じ、これによって患者への快適な装着を行うことができないという不満を口にしている。
【0005】
また、一部の従来型の頸椎カラーはピボット点を有し、顎部を身体の前額面内に後退させるカム回転をもたらすため、適切にカラーが装着される使用者の数が少数に限られる。顎部を身体の前額面内に後退させることは、通常、顎部と本体部との間に従来型のピボットシステムを備える従来型のカラーで行われ、この後退は、患者に装着されたときに鋭角を超え得るものとなり得る。
【0006】
従来型の頸椎カラーは、通常、フック・ループ・ストラップを両端に有し得る後側構成要素を備え、このフック・ループ・ストラップは前側構成要素に連結され、患者の様々な頸部の外周に対応するように個別に調整される。例えば、入浴のために頸椎カラーを取り外す患者は、医療従事者によって行われるのと同じ適切な装着を繰り返すことができない場合が多く、前側構成要素及び後側構成要素を均等に位置合わせしようと試みながら、ストラップを取り外して再装着することによって試行錯誤することがよくある。したがって、医療従事者による装着を、使用者が一貫して繰り返すことができず、粗悪な結果を招くことになる。
【0007】
また、従来型のカラーは、典型的には使用者の顎部の奥行きを考慮するために、顎部を調整することができず、これによって適切に頸椎カラーが装着される患者の数が低下したり、患者への装着が不適切になったりする。
【発明の概要】
【0008】
従来型の頸椎カラーが有するこれら及び他の欠点を克服するために、頸椎カラー及びその構成要素を提供するものであり、高さ調整機構を一度調整すれば、患者の様々な長さの頸部に対応するために、頸椎カラーの前側構成要素の上部と下部との間にある空間の高さを両側面で調整するように動作する。典型的には、装着中に、医療従事者が調整機構を一度快適に調整すれば、患者の個々の頸部の長さに対応するように、上部及び下部が持ち上がって配置されるようになる。
【0009】
本明細書に記載される高さ調整機構を使用して、頸椎カラー前方の顎部と本体部との間にある空間の高さが、実質的に垂直方向、即ち、前額面に実質的に平行となり、身体の横断面に垂直となる方向に延長され得る。したがって、本明細書において、前方部分を有する頸椎カラーにより、顎部が実質的に垂直方向に持ち上がり、これによってより多くの使用者の装着範囲を拡大することができる。本明細書に記載の高さ調整機構により、
図30bに示すように、高さ調整が行われるときに、カラーが顎部と本体部との間の鋭角を維持できるようになる。従来型のピボットシステム(
図30a)と比較して、従来型の頸椎カラー前方の顎部及び本体部は、高さが調整されるときに鋭角を超え得る。
【0010】
加えて、従来型の頸椎カラーのこれら及び他の欠点を克服するために、患者の頸部の奥行きに対応するように調整できる顎部が提供される。
【0011】
さらに、従来型の頸椎カラーのこれら及び他の欠点を克服するために、外周調整機構を備える頸椎カラーが提供され、本頸椎カラーは医療従事者によって装着され得、患者がこれを取り外した後の再装着時に、その外周寸法を保持する。本明細書に記載される様々なストラップシステム、外周のサイズ決め及び調整機構、嵌合部分、又はカム表面組立体は、従来型の外周調整機構の欠点を克服することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、高さ調整機構に関して、頸椎カラーの前側構成要素は顎部と、本体部とを有していてもよく、また、一度調整されれば、本体部に対して顎部の両側面を上下させ、かつ顎部を実質的に垂直方向に上下させる高さ調整機構を備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、この高さ調整機構は、ピニオンと協働するラック、あるいはケーブル及び/又はプーリを含まず、その場合は、顎部と本体部とは回動可能に連結されておらず、顎部及び本体部の端部のみに支持されているのではなく、また顎部は、使用時に使用者の顎部の輪郭に適合するように湾曲することができない。
【0014】
具体的には、いくつかの態様では、高さ調整機構は4本のバー付き調整機構を含んでいてもよい。いくつかの態様では、この4本のバー付き調整機構は、前側構成要素の顎部とその本体部との間で、前側構成要素の両側面に横方向に配置された一対のクロスバーを含んでいてもよい。この4本のバー付き調整機構は、前側構成要素の両側面に横方向に配置された一対の送りねじを含んでいてもよく、これらの送りねじはそれぞれ、往復運動体に回転可能に連結されており、これらの往復運動体はそれぞれ、第1の端部でアクチュエータバーに連結されており、これらのアクチュエータバーはそれぞれ、第2の端部でクロスバーそれぞれにおける1本の第1のクロスバーの第1の端部に連結されており、送りねじの各対の端部は、駆動歯車と嵌合する傘歯車を含んでいてもよい。
【0015】
いくつかの態様では、顎部は、それぞれが細長スロットを内部に画定している第1及び第2の側顎部を含んでいてもよく、本体部は、それぞれが細長スロットを内部に画定している第1及び第2の横方向本体部を含んでいてもよく、各アクチュエータバーの連結された第2の端部は、第1及び第2の横方向本体部のそれぞれにある細長スロットに沿って摺動するように構成されており、クロスバーそれぞれにおける1本の第2のクロスバーの第1の端部は、第1及び第2の側顎部それぞれにある細長スロットに沿って摺動するように構成されており、クロスバーそれぞれにおける1本の第2のクロスバーの第2の端部は、第1及び第2の横方向本体部のそれぞれに静止位置で回転可能に連結されており、クロスバーそれぞれにおける1本の第1のクロスバーの第2の端部は、第1及び第2の側顎部のそれぞれに静止位置で回転可能に連結されている。
【0016】
いくつかの態様では、高さ調整機構は、4本のバー付き調整機構に加えて、又はこの4本のバー付き調整機構とは別に、送りねじナット又は往復運動体あるいはラッチ機構と協働する送りねじを含んでいてもよい。
【0017】
本明細書に記載の実施形態のいずれかでは、頸椎カラーの前側構成要素は、顎部、本体部、及びそれらの間にある変形部を含む、一体型頸椎カラーシェルを備えていてもよい。一体型頸椎カラーシェルは、内部に細長スロットを含んでいてもよい。いくつかの態様では、顎部と本体部とは、相互間に変形部を有し、一体型頸椎カラーシェルを形成している。顎部と本体部とは、相互間に、顎部と本体部との間の鋭角に開くように付勢され得る、ばね機構を含んでいてもよい。
【0018】
いくつかの態様では、顎部、本体部、ばね機構、及びラッチ機構は、このラッチ機構を一度調整すれば、顎部の両側面が本体部に対して持ち上がるように配置されている。顎部と本体部との間にあるばね機構は、顎部と本体部との間の鋭角に開くように付勢されてもよく、また相対的により小さい鋭角に閉じられ得る。いくつかの態様では、このばね機構は、一体型頸椎カラーシェルの変形部である。
【0019】
いくつかの態様では、本体部は、顎部の高さを示す目印を含んでいてもよい。
【0020】
いくつかの態様では、前側構成要素は、一対の側顎部を備えていてもよく、これら一対の側顎部は、相互間にある顎当てに移動可能に連結されている。
【0021】
いくつかの態様では、前側構成要素は、顎部奥行き調整機構を備えていてもよい。この顎部奥行き調整機構は、直立した使用者の顎部の下にある場合で、その同じ位置に方向付けられたときに、一対の側顎部に対して実質的に水平な顎部の移動をもたらしてもよく、即ち、身体の前額面に垂直となり、身体の横断面に平行となる、実質的に水平な方向に顎部の移動をもたらしてもよい。この顎部奥行き調整機構は、自身の内部で水平方向に摺動する連結具を受け入れるための、実質的に水平な奥行き調整スロットを含んでいてもよい。一対の側顎部はそれぞれ、連結具、例えば顎当ての各端部に配置されるリベットなどを受け入れる、実質的に水平な奥行き調整スロットを含んでいてもよい。いくつかの態様では、この顎当ては回動する。
【0022】
いくつかの態様では、本明細書に記載される頸椎カラーは、外周調整機構を備えていてもよい。後側構成要素は、サイズ調整目印を有するストラップ、及びバックパネルを備えていてもよく、ストラップは、第1の端部及び第2の端部を有し、サイズ調整目印は、これら第1の端部と第2の端部との間に配置されてもよく、ストラップは、第1の端部に近接する位置合わせ目印を有し、ストラップは、前側構成要素に取外し可能に連結されてもよく、ストラップの第1の端部に近接する位置合わせ目印の位置合わせは、本体部上の位置合わせ目印に対応している。ストラップの第2の端部は、バックパネルに取外し可能に連結されてもよく、またストラップ自体に連結可能であってもよい。いくつかの態様では、ストラップの第2の端部縁の位置合わせは、ストラップ自体への連結時のサイズ調整目印のうちの1つに対応している。
【0023】
他の外周調整機構、例えばカム表面組立体構成要素も想定される。カム表面組立体はストラップに連結可能であってもよく、頸椎カラーを装着するときに患者の頸部の外周に適合する長さにストラップが調整され得るように配置され、また、上記ストラップの上記長さを崩すことなく、頸椎カラーからカム表面組立体が取り外され得るように配置されている。
【0024】
いくつかの態様では、後側構成要素は、自身に取外し可能に連結され得るカム表面組立体を備えていてもよい。いくつかの態様では、前側構成要素はカム表面組立体を備えていてもよい。いくつかの態様では、このカム表面組立体は、前側構成要素に取り付けられるストラップに連結可能である。カム表面組立体は、ストラップの長さを崩すことなく、前側構成要素から取り外されてもよい。例えば、頸椎カラーは、前側構成要素と、バックパネル及びストラップを含む後側構成要素と、これら前側構成要素及び後側構成要素に連結可能なカム表面組立体であって、患者の頸部の外周に適合する長さにストラップが調整され得るように配置され、また、上記ストラップの上記長さを崩すことなく、頸椎カラーからカム表面組立体が取り外され得るように配置されている、カム表面組立体と、を備えていてもよい。
【0025】
いくつかの態様では、外周調整機構は、第1の端部に近接する連結具、及び第2の端部に近接するストラップを有する後側嵌合部分を含む、バックパネルを有する頸椎カラーの後側構成要素を備えていてもよく、ストラップはこのバックパネルに連結され、後側嵌合部分は、患者の頸部の外周に適合する長さにこのストラップが調整され得るように配置され、また、上記ストラップの上記長さを崩すことなく、頸椎カラーから後側嵌合部分が取り外され得るように配置されている。後側構成要素は、後側嵌合部分を受け入れるための前側嵌合部分をさらに備えていてもよい。いくつかの態様では、後側嵌合部分はバックパネルに取外し可能に連結されてもよい。いくつかの態様では、ストラップは後側嵌合部分に恒久的に取り付けられてもよい。
【0026】
いくつかの態様では、頸椎カラー又はその一部は、ラック・アンド・ピニオンを含まない。
【0027】
方法は、使用者の頸部の長さに適合するように高さ調整機構を調整するステップ、使用者の頸部の外周に適合するように外周調整機構を調整するステップ、使用者の顎部の奥行きに適合するように顎部奥行き調整機構を調整するステップ、所定の調整を再現可能に維持しながら、本カラーを装着かつ/又は再装着するステップ、及び/又はそれらのステップの組み合わせを含む。
【0028】
他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】高さを持ち上げるための調整が行われる前の位置にある、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す正面斜視図である。
【0030】
【
図2】本体部に対する顎部の高さを上昇させるように調整が行われた後の位置にある、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す正面斜視図である。
【0031】
【
図3】調整が行われる前のラッチ位置にある、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す正面斜視図である。
【0032】
【
図4】本体部に対する顎部の高さを上昇させるように調整が行われた後のラッチ位置にある、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す正面斜視図である。
【0033】
【
図5】ラッチ解除位置にある、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す正面斜視図である。
【0034】
【
図6】開位置にあるラッチ機構の一実施形態を示す側面断面図である。
【0035】
【
図7】開位置にある調整ノブの一実施形態を示す背面断面図である。
【0036】
【
図8】閉位置にある調整ノブの一実施形態を示す背面断面図である。
【0037】
【
図9】スライドアクチュエータを使用して調整が行われる前の閉位置にある、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す正面斜視図である。
【0038】
【
図10】スライドアクチュエータを使用して調整が行われた後の開位置にある、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す正面斜視図である。
【0039】
【
図11】送りねじを包囲していない送りねじナットを使用する、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す拡大断面図である。
【0040】
【
図12】高さ調整可能な頸椎カラーの一実施形態の機構を示す底面斜視図である。
【0041】
【
図13】ノブ、傘歯車、及び送りねじを包囲している送りねじナットを使用して調整が行われる前の閉位置にある、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す4分の3斜視図である。
【0042】
【
図14】ノブ、傘歯車、及び送りねじを包囲している送りねじナットを使用して調整が行われた後の開位置にある、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す4分の3斜視図である。
【0043】
【
図15】傘歯車機構及びロック機構の一実施形態を示す分解図である。
【0044】
【
図16】駆動歯車及びロック機構の一実施形態を示す断面図である。
【0045】
【
図17A-B】
図17Aは、顎部調整機構を有する頸椎カラーの調整可能な前側構成要素の一実施形態を示す4分の3斜視図である。
図17Bは、調整可能な顎部ロック機構の一実施形態を示す拡大側面図である。
【0046】
【
図18A-B】
図18Aは、顎当ての回動を例示する一実施形態を示す側面図である。
図18Bは、顎当ての回動を例示する一実施形態を示す側面図である。
【0047】
【
図19】顎部調整機構の一実施形態を示す分解図である。
【0048】
【
図20】顎部調整機構の顎部雄リベットの一実施形態の内側を示す図である。
【0049】
【
図21】カム表面組立体が前側構成要素に取り付けられ、自身の後側構成要素のストラップと嵌合している状態の、頸椎カラーの一実施形態を示す斜視図である。
【0050】
【
図22】頸椎カラーの前側構成要素及び後側構成要素から取り外された、カム表面組立体の一実施形態を示す分解図である。
【0051】
【
図23A-B】
図23Aは、前側構成要素に取り付けられた、頸椎カラーの調整可能な後側構成要素の一実施形態を示す斜視図である。
図23Bは、調整可能なストラップを示す線図である。
【0052】
【
図24A-B】
図24Aは、頸椎カラーの調整可能な後側構成要素の装着機構の一実施形態を示す図である。
図24Bは、頸椎カラーの調整可能な後側構成要素の装着機構の一実施形態を示す図である。
【0053】
【
図25】前景における頸椎カラーと、背景における前側構成要素の一部との、ストラップ位置合わせ機構の一実施形態を示す斜視図である。
【0054】
【
図26】ストラップ上に数字を含む、サイズ調整目印の一実施形態を示す図である。
【0055】
【
図27】ストラップ上にドットを含む、サイズ調整目印の一実施形態を示す図である。
【0056】
【
図28A-B】
図28Aは、ストラップを有する、後側構成要素の一実施形態を示す斜視図である。
図28Bは、ストラップが組み立てられ、発泡体パディングが取り付けられた状態の、後側構成要素の一実施形態を示す斜視図である。
【0057】
【
図29】周方向に開いたストラップに発泡体パディングが連結され、前側構成要素及び後側構成要素の両方を備えた状態の、頸椎カラーの一実施形態を示す斜視図である。
【0058】
【
図30A-B】
図30Aは、例えば、使用時に顎部を身体の前額面内に後退させることができる典型的なカム回転を含む、高さ調整機構を使用して、相互間にピボット点を有する従来型の顎部と本体部との間の角度を示す図である。
図30Bは、実質的に垂直方向の高さ調整を例示する本明細書に記載の高さ調整機構の態様を示し、ここで顎部は使用時に、身体の前額面に実質的に平行方向かつ身体の横断面に垂直方向に持ち上げられる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
「前側(anterior)」という用語は、その通常の意味を有し、前方の位置又は別の位置の前側を指す。「後側(posterior)」という用語もまた、その通常の意味を有し、後方の位置又は別の位置の後側を指す。
【0060】
図1~
図5、
図9~
図10、及び
図13~
図14を参照すると、本明細書に記載の実施形態は、スライドアクチュエータ210を調整すること、ばね及びラッチ機構を調整すること、又はノブを回転させることなどによって、どの部分が固定位置に保持されるかに応じて、前側構成要素100の側顎部135、145又は横方向本体部184、194を、一度の動作で同時に上下させることができる高さ調整機構200を備える、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素100を提供する。一度の動作とは、頸椎カラーの各横方向部分の高さを別々に調整することなく、前側構成要素100の側顎部135、145及び/又は横方向本体部184、194を同時に上下できることを指す。本明細書では、この一度の動作が、顎部が上下することを意味してもよく、ここでは装着中に本体部が、使用者の身体に近接して保持される場合のように、固定位置に保持されると仮定している。
【0061】
スライドアクチュエータ、ばね及びラッチ機構、又はノブに加えて、高さ調整機構200は、例えば、送りねじ、4本のバー付き高さ調整機構、追加のバー、又はピボット機構、ケーブル機構、若しくはラック・アンド・ピニオン機構を有する従来型の頸椎カラーの欠点を克服する構成要素など、米国特許第7674234号明細書、米国特許第8864693号明細書、米国特許第8740830号明細書、米国特許第9421119号明細書、米国特許第8449485号明細書、米国特許第8721576号明細書、米国特許第9943433号明細書、米国特許第9011357号明細書、米国特許第9132027号明細書、米国特許第9713546号明細書、米国特許第9913746号明細書、米国特許第9717621号明細書、並びに米国特許出願公開第20160287424(A1)号明細書、米国特許出願公開第20180140455(A1)号明細書、及び米国特許出願公開第20180078400(A1)号明細書に開示されているような構成要素をさらに含んでいてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の横方向本体部184及び/又は第2の横方向本体部194は、第1の高さ調整目印186及び/又は第2の高さ調整目印196(図示せず)をそれぞれ有していてもよい。(
図18、25)一方又は両方の高さ調整目印186、196は、第1の側顎部135及び/又は第2の側顎部145の対応する目印(図示せず)と位置合わせされてもよい。対応する目印(図示せず)は、高さ調整目印186、196に対応する第1の側顎部135及び/又は第2の側顎部145上の、研磨された下縁などのマーキングであってもよい。したがって、本体部170に対する顎部130の高さが個々の患者の解剖学的構造に基づいて医療従事者によってひとたび規定されると、患者に本カラーを装着する医療従事者、又はその患者は、その高さを規定された高さに調整することができる。本カラーを装着かつ再装着するときに患者が不正確な調整を行ってしまう可能性を防止するために、以下により詳述しているように、規定された高さが定位置にロックされてもよい。
【0063】
顎部130及び本体部170を別々に設ける代わりに、顎部130と、本体部170と、変形部160、161とを備え得る、
図1~
図5に示すような一体型シェル110もさらに想定され、変形部160、161はこの一体型シェル110と一体であり、一体型シェル110において顎部130が本体部170と交わる部分に近接している。いくつかの態様では、顎部130は、使用者の顎部を載せるための顎当て150を相互間に有する、一対の側顎部135、145を含んでいてもよい。本体部170は、中央部175で交わる横方向本体部184、194を有していてもよい。いくつかの態様では、この一体型シェルは高さ調整機構を含まない。
【0064】
一体型シェル110と、機構エンクロージャ111(例えば、
図29)と、高さ調整機構200とを備える頸椎カラーの前側構成要素100の実施形態を、例えば、
図1~
図2の送りねじ組立体又は
図3~
図8のラッチ機構に例示している。
【0065】
いくつかの態様では、前側構成要素の一部として変形するとき、第1の側顎部135は第1の横方向本体部184に重なってもよい。同時に、第2の側顎部145は第2の横方向本体部194に重なってもよい。本体部170に対して全体的に顎部130を移動させる調整機構の部分は、この重なり領域、即ち、第1の上側重なり部180(破線で不明瞭境界を示している)、第2の上側重なり部190、第1の下側重なり部185及び第2の下側重なり部195(図示せず)に近接して位置決めされてもよい。この重なり領域のサイズは様々であり、調整機構が調整される設定に依存している。重なり部は、例えば、
図1~
図5に示すように、下部の第1の側顎部135からの点線と第1の横方向本体部184の上縁との間の境界によって部分的に示されてもよい。
【0066】
変形部160、161は、高さ調整機構200に連結されたときに、頸椎カラーを装着する医療従事者が本体部170から顎部130をより容易に離隔移動させることができるように、ばね作用をもたらす。ねじりばね、板ばね、圧縮ばね、空気ばね、拡張ばね、磁気ばね、又は放射線透過性材料から作製されたものを例とするばねなど、独立した、又は別々のばねも想定されるが、変形部160、161は一体型シェル110と一体であってもよい。金属ばねなどの放射線不透過性材料も想定されるが、脊椎損傷の場合、頸椎カラーを取り外してスキャンを実行することができない可能性があるため、X線、CATスキャン又はPETスキャンが必要となる場合には、これらの材料は理想的ではない。
【0067】
さらに、減速要素を組み込んで、ノブが開放されたときに変形体のばね速度を減速させて、より制御された上昇をもたらすようにすることができる。
【0068】
いくつかの態様では、本明細書に記載される変形部160、161(例えば、
図1~
図5)を有する一体型シェル110は、頸椎カラーを背景として使用される場合は、ピボット軸よりも機械的利点を有する。例えば、2つの横方向アームを連結しているピボット軸は回転可能であるため、2つの部分間の角度を保持するための張力を欠いている可能性がある。頸椎カラーは、張力の欠如を補償するために、追加のリフト機構を設ける必要があり得るが、これは本実施形態では省略されてもよい。角度を保持するためにより大きな張力をもたらすようにピボット点が締め付けられると、回動時に生じる横方向アーム間の望ましくない摩擦が、頸椎カラーの平滑な動作を妨げる可能性がある。本明細書に記載の変形部160、161を有する前側構成要素は、これらの欠点を克服している。さらに、変形機構が含む個々の部品数はより少なく、これにより、有する障害点も少なくなるため、より堅牢な機構がもたらされる。
【0069】
本明細書に記載される高さ調整機構に加えて、一体型シェル110は、ラック・アンド・ピニオン調整機構及び/又はケーブル調整機構などの他の調整機構でも使用され得る。
【0070】
一実施形態では、高さ調整機構は、送りねじナットと連動して動作させることができる、送りねじを含んでいてもよい。他の同様の機構も想定される。例えば、ねじ山なし機構は、送りねじ及びナットのように動作し得るが、その動作は、傾斜ロッド及び軸受に基づいている可能性があり、その場合、ロッドは同様に回転し得、摩擦を用いて軸受と連動して動作するときに、直線的に移動する。
【0071】
いくつかの態様では、送りねじナットが送りねじ上にもたらす接触面積は、従来型のラック・アンド・ピニオン・システムのものと比較してより大きくなり得、またその部品数も少なくなっている。この送りねじと送りねじナットとの間の接触面積がより大きくなることにより、ラック・アンド・ピニオン機構又はケーブルシステムなどの従来型の機構と比較して、より大きな機械的利点がもたらされる。この送りねじ機構は、頸椎カラー本体に連結されると、顎部を上下させるためにより正確な微調整を施す小出力を生成する調整入力を、大きくすることができる。さらに、この送りねじ機構により、ラック・アンド・ピニオン・システムと比較して負荷をより大きくすることができるので、顎部により多くの重量をかけることができ、さらなる機械的利点がもたらされることになる。したがって、他の頸椎カラーを上回るこれらの機械的利点により、複数の患者への頸椎カラーの装着に関連した医療従事者の課題を回避することができる。この送りねじ機構は、あらゆる従来型のカラー本体に使用されてもよい。本明細書で提供している一体型シェルで使用すると、さらなる利点が明らかとなる。
【0072】
図1~
図2を参照すると、頸椎カラーの前側構成要素100の一実施形態は、一体型シェル110と、機構エンクロージャ(図示せず)111と、送りねじ組立体(高さ調整機構200)と、を備えていてもよい。
【0073】
いくつかの態様では、重なり領域(
図1~
図2の点線内で重なり合う部分の近似境界)に近接して、第1の側顎部135は、第1の送りねじナット280を受け入れるための、第1の顎部細長スロット136を有する。同様に、第2の側顎部145は、第2の送りねじナット290を受け入れるための、第2の顎部細長スロット146を有する。
【0074】
第1の送りねじナット280は、第1の下側重なり部185の外面に近接して配置され、第1の送りねじ260の第1の雄ねじ261と協働する第1の雌端部281を有する。この第1の雌端部281から離隔しているのは、第1の上側重なり部180の外面に近接して配置され得る、第1の終端部282であってもよい。
【0075】
同様に、第2の送りねじナット290は、第2の下側重なり部195(図示せず)の外面に近接して配置され、第2の送りねじ270の第2の雄ねじ271と協働する第2の雌端部291(図示せず)、及びこの第2の雌端部291から離隔しており、第2の上側重なり部190の外面に近接して配置され得る第2の終端部292を有する。本明細書に記載される第2の側にある構成要素は、図では不明瞭であり得るが、概ね第1の側の構成要素に対応している。
【0076】
第1の横方向本体部184は、第1の送りねじナット280と協働するために、第1の下側重なり部185上で第1の送りねじ260に連結されてもよく、また、第2の横方向本体部194は、第2の送りねじナット290と協働するために、第2の下側重なり部195上で第2の送りねじ270に連結されてもよい。
【0077】
第1の横方向本体部184は、第1の送りねじナット280を受け入れるための第1の本体細長スロット187を、第1の下側重なり部185上に有し、また、第2の横方向本体部194は、第2の送りねじナット290を受け入れるための第2の本体細長スロット197を、第2の下側重なり部195上に有する。
【0078】
いくつかの態様では、送りねじ260、270は、両端部でブッシング263a、263b、273a、273b(図示せず)を使用して、本体部170に取り付けられてもよく、これらのブッシングは、送りねじの機能を保持しながら、送りねじ260、270を本体部170に取り付けることができる接合具を含む。これらのブッシングは別個の構成要素であってもよく、又は横方向本体部184、194と一体であってもよい。
【0079】
いくつかの態様では、例えば頸椎カラーの一部として使用される場合、顎部細長スロット136、146は、本体細長スロット187、197に部分的にそれぞれ重なり、その結果、送りねじ260、270とそれぞれ協働するときに送りねじナット280、290が移動する経路が画定されてもよく、これにより、高さ調整機構200を使用して調整されるときに、個々の患者の頸部の長さ及び解剖学的構造に適合するように、顎部130を本体部170に対して上下させることができるようになる。
【0080】
いくつかの態様では、本体部170は、第1の側顎部135及び第2の側顎部145を同時に上下させるための高さ調整機構200に連結されてもよい。
【0081】
いくつかの態様では、この高さ調整機構200は、駆動軸220と嵌合し得る本体部170の中央部175に、調整ノブ210を含んでいてもよい。この駆動軸220は、U字ジョイントなどの第1の可撓性ジョイント221a及び第2の可撓性ジョイント222aで終端してもよい。第1の可撓性ジョイント221aは、第1の横方向駆動軸230の第1の基端部231に移動可能に連結されてもよく、また、第2の可撓性ジョイント222bは、第2の横方向駆動軸240の第2の基端部241に移動可能に連結されてもよい。
【0082】
第1の横方向駆動軸230の第1の先端部232は、第1の送りねじ260の第1の連結端部262に移動可能に連結されてもよい。
【0083】
第2の横方向駆動軸240の第2の先端部242は、第2の送りねじ270の第2の連結端部272に移動可能に連結されてもよい。
【0084】
いくつかの態様では、駆動軸部220は、調整ノブ210の片側又は両側に、第1の駆動軸支持体223及び第2の駆動軸支持体224(図示せず)を含んでいてもよい。
【0085】
送りねじナット280、290は、ナット(雌端部281、291)における同じ表面領域が回転する送りねじ260、270の異なる部分と嵌合する、非線形(湾曲又は直線)部分であってもよい。いくつかの態様では、使用時に、調整ノブ210を回転させると、両方の横方向駆動軸230、240が同時に駆動され、これにより、それぞれの送りねじ260、270が駆動される。送りねじ260、270は、細長スロット136、146にそれぞれ嵌合する送りねじナット280、290と協働して、上側重なり部180、190を細長スロット136、146の経路に沿って移動させ、これにより、顎部130が本体部170から離隔するように移動して、相互間の空間を拡大させ、その結果として、頸椎カラーの高さを調整できるようになる。
【0086】
いくつかの態様では、変形部160、161は、顎部130を本体部170に連結している領域を含む。この領域は、通常では剛性材料の湾曲を可能にし、それによって顎部130と本体部170とが互いに対して移動可能となるように、十分に長く、かつ薄くてもよい。いくつかの態様では、調整機構を設けていない場合、又は特に互いに連結されていない場合、静止位置にある一体型シェルが有する顎部130と本体部170とは、ほぼ鋭角を成す。この「ほぼ鋭角」は、顎部とカラー本体とが、ピボット点を除いて特に互いに連結されていない場合に、同様の構成下で鋭角を超え得る、従来型のピボットシステムとの比較として機能する。いくつかの態様では、顎部130と本体部170とが最長の高さ設定まで互いから離隔するように、ばねがこれらを付勢する。
【0087】
いくつかの態様では、変形部160、161などによるばね作用によって、顎部130が本体部170に対して空間内を前後に移動できるようにしている。高さ調整機構200は、顎部130を本体部170から離隔させる付勢力を制御している。例えば、高さ調整機構200は、一例として送りねじ260、270を含み、患者の顎と僧帽筋との間に適切な距離を設けるために、跳ね上げの範囲をガイドして、顎部130及び本体部170を必要以上に遠くまで跳ね上げないように保持している。送りねじ260、270を使用して、例えば、一方で患者の顎部及び僧帽筋に適合させながら、顎部130と本体部170との間の距離を短縮することができるが、通常、微調整を施すのでなければ、距離を短縮するために送りねじが使用されることはない。例えば送りねじ260、270を補助するために、顎部130及び本体部170を、相互間の間隙を無くすように、手動で共に押圧することもできる。
【0088】
一実施形態では、頸椎カラーの調整可能な前側構成要素は、本明細書に記載の従来型の頸椎カラーの欠点を克服するラッチ機構を備えていてもよい。例えば、このラッチ機構は、ラック・アンド・ピニオン・システム又はケーブルシステムなどの従来型の機構が有する接触面積と比較して、部品数が少ない。このラッチ機構は、頸椎カラー本体に連結されると、顎部と本体部とを互いから離隔させるように付勢する、ばね機構を利用している。したがって、他の頸椎カラーを上回るこれらの機械的利点により、複数の患者への頸椎カラーの装着に関連した医療従事者の課題を回避することができる。本明細書に記載の一体型シェルで使用すると、さらなる利点が明らかとなる。
【0089】
ラッチ機構を対象とした
図3~
図8に関して、一体型シェル110の多くの態様は、上述した送りねじ組立体と同様であり、それらの部品には同様の番号が付されており、これらについては、以下でより詳述している。
【0090】
いくつかの態様では、本体部170は、第1の側顎部135と第2の側顎部145とを同時に持ち上げるためのラッチ機構(高さ調整機構200)に連結されてもよい。第1の側顎部135と第2の側顎部145とを同時に引き下げる動作は、手動で行われてもよいし、又は引下げ機構を使用して行われてもよい。
【0091】
いくつかの態様における
図3~
図8に関して、変形部160、161などによるばね作用によって、顎部130が本体部170に対して空間内を移動できるようにしている。高さ調整機構200は、顎部130を本体部170から離隔させ続ける付勢力を制御している。例えば、ラッチ機構を含む高さ調整機構200は、患者の顎部と僧帽筋との間に適切な距離を設けるために、跳ね上げの範囲をガイドして、顎部130及び本体部170を必要以上に遠くまで跳ね上げないように保持している。このラッチ機構を使用して、一方で患者の顎部及び僧帽筋に適合させながら、顎部130と本体部170との間の距離を短縮することができるが、通常、頸椎カラーに微調整を施すのでなければ、距離を短縮するためにラッチ機構が使用されることはない。高さを引き下げるのを補助するために、顎部130及び本体部170を、相互間の間隙を無くすように、手動で共に押圧することもできる。
【0092】
いくつかの態様では、自動サイズ調整式のラッチ機構は、例えば、本明細書に記載の一体型シェル110の変形部160、161のばね作用を利用しており、また、高さ調整機構200は、顎部の高さを調整するためのロック機構として機能する、調整ノブ210を含んでいてもよい。いくつかの態様では、この調整ノブ210は、本体部170の中央部175に配置されてもよい。調整ノブ210のロックが解除された後に、変形部160、161のばね力を解放することにより、顎部130が本体部170から離隔して開放され、頸椎カラーが使用者にとって適切なサイズに適合されてもよい。高さ位置は、調整ノブ210を元の位置に戻すことによって、定位置に設定かつロックされてもよい。ひとたび調整が行われると、頸椎カラーを取り外してから再装着した後に、患者がそのサイズを設定し直す必要がなく、これは、取り外して再装着した後に、患者が適切にサイズ調整できない可能性がある従来型のカラーと比較して、有利な再現性を有する。さらに、自動サイズ調整式の高さ調整機構200は、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構又はケーブル機構よりも含んでいる個々の部品数が少なく、これにより、有する障害点も少なくなるため、より堅牢な機構がもたらされる。
【0093】
図6~
図8のロック機構を参照すると、第1の横方向アーム310は、その第1の基端部311に、調整ノブ210と嵌合する第1のポスト312を有し、この調整ノブ210は、第1のポスト312と嵌合するノブ開口部301、及び第2の横方向アーム320の第2のポスト322と嵌合する第2のノブ開口部302を有する。これら第1及び第2の開口部301、302は対向する端部にあってもよく、これにより、ノブを一方向に回転させると、横方向アーム310、320が同時に互いに向かって、又は同時に互いから離隔するように、同じ方向に押圧されるか、又は牽引され、その結果、高さ調整機構200がロックされるか、又は解放されることになる。
【0094】
第1の横方向アーム310の第1の先端部313は、第1のロックパネル330の第1のパネル傾斜スロット331、及び横方向本体部184の第1の本体傾斜スロット337(図示せず)と嵌合し得る、第1の傾斜突起部314を含んでいてもよい。第2の横方向アーム320(
図3~
図5には図示せず)の第2の先端部323(
図3~
図5には図示せず)は、第2のロックパネル340(図示せず)の第2のパネル傾斜スロット341(図示せず)、及び横方向本体部194の第2の本体傾斜スロット347(図示せず)と嵌合する、第2の傾斜突起部324を含んでいてもよい。
【0095】
いくつかの態様では、第1及び第2ノブ開口部301、302(図示せず)は、ポスト321、322と協働し、調整ノブ210を回転させると、パネル傾斜スロット331、341(341は図示せず)から横方向アーム310、320の傾斜突起部314、324のラッチが同時に解除されるように配置されている。
【0096】
点線(
図6)は、調整ノブ210が、例えば45°~90°回転させることによって開放された場合に、傾斜突起部314、324の位置が移動する場所を示す。
図7は、開位置にある調整ノブ210の一実施形態を示す。
図8は、閉位置にある調整ノブ210の一実施形態を示す。
【0097】
いくつかの態様では、第1のロックパネル330は、第1のロックパネル330をロック位置まで付勢し、それによって第1のロックパネル330の第1の歯列332が、第1のラッチ334の第1の対向歯335と嵌合する形態の第1のパネルばね機構333、例えば圧縮ばね、板ばね又は変形体などを含んでいてもよい。傾斜突起部314のラッチが解除されると、第1の歯列332は、第1のラッチ334の第1の対向歯335から嵌合解除される。
【0098】
第1のラッチ334は、ラッチ解除時には第1の変形体160などによるばね力によって移動し、ラッチ時には第1のロックパネル330と嵌合する。第1のラッチ334は、第1のラッチ連結具336、例えば第1の顎部細長スロット136及び第1の本体細長スロット187の両方によって画定される経路を通って配置され得、かつこの経路に沿って摺動し得るリベット又はフランジ/ねじなどに連結されてもよい。
【0099】
いくつかの態様では、第1のロックパネル330は、第1のロックパネル330をロック位置まで付勢し、それによって第1のロックパネル330の第1の歯列332が、第1のラッチ334の第1の対向歯335と嵌合する形態の第1のパネルばね機構333、例えば少なくとも1つの圧縮ばね、板ばね又は変形体などを含んでいてもよい。第1の傾斜突起部314のラッチが解除され得る場合、第1の歯列332は、第1のラッチ334の第1の対向歯335から嵌合解除される。
【0100】
同様に、第2の側で、第2のラッチ344は、ラッチ解除時に第2の変形体161のばね力によって移動し、ロック位置にあるときに第2のロックパネル340と嵌合する。第2のラッチ344は、第2のラッチ連結具346、例えば第2の顎部細長スロット146及び第2の本体細長スロット197の両方によって画定される経路を通って配置され得、かつこの経路に沿って摺動し得るリベット又はフランジ及びねじなどに連結されてもよい。
【0101】
その結果、ラッチ334、344が移動する経路が画定されてもよく、これにより、顎部130を本体部170に対して上下させることができるようになる。
【0102】
さらに、いくつかの態様では、第2のロックパネル340(図示せず)は、第2のロックパネル340(図示せず)をロック位置まで付勢し、それによって第2のロックパネル340(図示せず)の第2の歯列342(図示せず)が、第2のラッチ344(図示せず)の第2の対向歯345(図示せず)と嵌合する形態の第2のパネルばね機構343(図示せず)、例えば少なくとも1つの圧縮ばね、板ばね又は変形体などを含んでいてもよい。第2の傾斜突起部324のラッチが解除され得る場合、第2の歯列342は、第2のラッチ344の第2の対向歯345から嵌合解除される。
【0103】
いくつかの態様では、パネルばね機構333、343は、ロックパネル330、340の両端に配置される一対の圧縮ばね333a、333b、343a、343bを含んでいてもよい。パネルばね機構333、343は、歯列332、342と対向歯335、345とが嵌合するときに、静止状態にあってもよい。傾斜突起部314、324のラッチが解除されると、これらのばねが圧縮される。
【0104】
いくつかの態様では、ロックパネル330、340は、横方向本体部184、194に固定される一対の第1及び第2のリベット338a、338b、348a、348b(図示せず)などを介して、横方向本体部184、194にそれぞれ連結されてもよい。ロックパネル330、340は、リベット338a、338b、348a、348bを受け入れるための第1及び第2のパネル用リベットスロット339a、339b、349a、349bの対応対を有していてもよく、その結果、これらは摺動可能に嵌合し、かつパネル用リベットスロット339a、339b、349a、349bに沿って移動することができる。さらに、一対の圧縮ばね333a、333b、343a、343bはまた、パネル用リベットスロット339a、339b、349a、349b内に、又はこれらに近接して配置されてもよい。
【0105】
いくつかの態様では、ロックパネル330、340は、それらの長さに沿って延在し、パネル傾斜スロット331、341の下の横方向本体部184、194にある本体傾斜スロット337、347(図示せず)とそれぞれほぼ位置合わせされる、パネル傾斜スロット331、341(341は図示せず)を有する。パネル傾斜スロット331、341及び本体傾斜スロット337、347は、傾斜突起部314、324を受け入れるために同様の長さを有し、また傾斜突起部314、324よりも長くてもよい。ただし、パネル傾斜スロット331、341は、本体傾斜スロット337、347よりも幅広であってもよい。
【0106】
いくつかの態様では、本体細長スロット187、197、パネル傾斜スロット331、341、及び本体傾斜スロット337、347は、顎部130と本体部170との間の開口部の中心から変形部160、161の中心に向かって概ね延在している水平中央平面に対して、前側構成要素が適切に機能できるようにする、任意の適切な角度(約45°の角度など)で配置されてもよい。この中央平面の正確な位置及び当該角度の大きさは重要な要素として定義されておらず、むしろ可動部品間の関係性について述べる上で有用であり得る。本体細長スロット187、197におけるラッチ334、344の移動と、パネル傾斜スロット331、341及び本体傾斜スロット337、347における傾斜突起部314、324の移動とは、平行方向の移動と見なされてもよい。しかしながら、いくつかの態様では、ラッチ解除されると、ロックパネル330、340の歯列332、242は、対向歯335、345から離隔移動し、その結果として、この平行方向に対して垂直に移動してもよい。
【0107】
とりわけ、パネル傾斜スロット331、341は傾斜突起部314、324よりも長く、かつ幅広であってもよく、ロックパネル330、340が平行方向に対して垂直に(パネル傾斜スロット331、341の幅方向に左右に)移動できるようにしている。傾斜突起部314、324がパネル傾斜スロット331、341から嵌合解除されると、ロックパネル330、340が平行方向に垂直な方向に押し出され、これにより、歯列332、342がラッチ334、344の対向歯335、345から嵌合解除されてもよい。
【0108】
横方向アーム310、320は1つ又はそれ以上のガイド350、351(351は図示せず)と協働することにより、横方向アーム310、320(320は図示せず)を定位置に保持するのを補助してもよい。さらに、横方向アーム310、320用のハウジング(図示せず)がガイドとして機能し、これにより、傾斜突起部314、324がパネル傾斜スロット331、341(341は図示せず)に沿って摺動できるようにしてもよい。ハウジング(
図6~
図8には図示せず)は、調整ノブ210を定位置に保持するための開口部(図示せず)、及びこのハウジングの外側から調整ノブ210を操作するための追加の連結金具又はノブ(図示せず)をさらに含んでいてもよい。
【0109】
高さ調整機構の別実施形態は、4本のバー付き調整機構を提供している。いくつかの態様では、この4本のバー付き調整機構による調整は、実質的に平行な運動及び実質的に垂直な上昇をもたらし、これらは、顎部を持ち上げるためのピボット機構を組み込んだ従来型の頸椎カラーと比較して、頸部の解剖学的構造により良好に適合する。(
図30を参照のこと。)例えば僧帽筋が大きく、肩部から耳部までの距離が短く、かつ/又は頸部が太い患者など、一例として肥満患者の場合は、少なくとも実質的に垂直に調整することから恩恵を受け、これにより、頸部が後屈する間に顎部が斜めに上昇するのを防止しながら、より頑丈な下顎骨支持をもたらしている。
【0110】
図9~
図16を参照すると、頸椎カラーの前側構成要素100の実施形態は、顎部130と、本体部170と、4本のバー付き調整機構200と、を備えていてもよい。顎部130は、第1の顎部スライドリベット418を受け入れるための第1の顎部細長スロット136を有する第1の側顎部135、第2の顎部スライドリベット428を受け入れるための第2の顎部細長スロット146を有する第2の側顎部145、及び使用者の顎部を載せるための顎当て150をさらに含んでいてもよい。
【0111】
顎部130と本体部170とは、一対のクロスバー410a、410b、420a、及び420bに連結されてもよい。第1のクロスバー410a、410bは、その中央部で第1の中央連結具417に移動可能に連結され、また、第2のクロスバー420a、420bは、その中央部で第2の中央連結具427に移動可能に連結されている。
【0112】
図11~
図15を参照すると、いくつかの態様では、4本のバー付き調整機構200は、アクチュエータバー430、440をさらに含んでいてもよく、これらのアクチュエータバー430、440はそれぞれ、クロスバー410a、420aのうちの一方に連結されており、それぞれのうちの一方端で、かつ他方端で、第1の送りねじ454及び第2の送りねじ464と協働する第1の往復運動体455並びに第2の往復運動体465に連結されている。往復運動体455、465は雄ねじ458、468の少なくとも一部と嵌合していてもよく、また送りねじ454、464を部分的に(
図11)、又は完全に(
図13~
図14)それぞれ包囲していてもよい。この往復運動体の長さは、図示している長さよりも短くても長くてもよく、かつ/又はより多くの、又はより少ないねじ山と嵌合するか、若しくはこれらを包囲していてもよい。送りねじナット及び送りねじ往復運動体という用語は、互換的に使用されている。
【0113】
いくつかの態様では、第1の送りねじ454は、第1の送りねじ454が定位置で回転できるようにしている、第1のキャリア456内に載置されている。同様に、第2の送りねじ464は、第2の送りねじ464が定位置で回転できるようにしている、第2のキャリア466内に載置されている。これらのキャリア456、466はそれぞれ、送りねじ454、464のそれぞれの端部を受け入れるための、1つ又はそれ以上の湾曲部分を含んでいてもよい。これらのキャリア456、466は、別個の部品であってもよいし、又は本体部170と一体であってもよい。
【0114】
いくつかの態様では、第1の送りねじ454の一方端は、第1の傘歯車459で終端してもよく、また、第2の送りねじ464の一方端は、駆動歯車470と嵌合する第2の傘歯車469で終端してもよい。送りねじ454、464のそれぞれの端部は、駆動歯車470とそれぞれ嵌合する第1の傘歯車459及び第2の傘歯車469を含んでいてもよい。本明細書で述べている送りねじ組立体の関連態様は、例えば、送りねじを使用する利点に関しても同様に適用される。例えば、駆動ノブ476を使用して駆動歯車470を回転させると、送りねじ454、464のそれぞれに取り付けられた第1の傘歯車459及び第2の傘歯車469のそれぞれが回転する。送りねじ454、464はそれぞれ、往復運動スロット457、467(例えば
図12で、送りねじの後ろに隠れている)に沿って移動する往復運動体455、465と嵌合して、アクチュエータバー430、440を移動させる。(
図9~
図10を参照すると、いくつかの態様では、前側構成要素は、スライドアクチュエータ210と、アクチュエータバー430、440と、を含んでいてもよい。前側構成要素100のこれらの部分の態様を、以下により詳述している。)
【0115】
第1のアクチュエータバー430は、第1の本体細長スロット187に沿って摺動する第1の本体スライドリベット416によって、その第1の本体スライド端部414でクロスバー410aに移動可能に連結されてもよい。第2のアクチュエータバー440は、第2の本体細長スロット197に沿って摺動する第2の本体スライドリベット426によって、その第2の本体スライド端部424でクロスバー420aに移動可能に連結されてもよい。
【0116】
図9~
図16を参照すると、第1の側において、クロスバー410aは、第1の顎部ピボットリベット413によって、その第1の顎部ピボット端部412で取り付けられてもよい。いくつかの態様では、この第1の顎部ピボットリベット413は回転可能に移動してもよいが、その他の場合は、第1の側顎部135の第1の先端部近傍の静止位置にあってもよい。クロスバー410bは、第1の顎部細長スロット136に沿って摺動する第1の顎部スライドリベット418によって、その第1の顎部スライド端部411で移動可能に連結されてもよい。クロスバー410bは、第1の本体ピボットリベット419によって、その第1の本体ピボット端部415で移動可能に連結されてもよい。いくつかの態様では、この第1の本体ピボットリベット419は回転可能に移動してもよいが、その他の場合は静止位置にあってもよく、また、第1の横方向本体部184の第1の先端部近傍の開口部と対になってもよい。
【0117】
同様に、他方の第2の側において、クロスバー420aは、第2の顎部ピボットリベット423によって、その第2の顎部ピボット端部422で取り付けられてもよい。いくつかの態様では、この第2の顎部ピボットリベット423は回転可能に移動してもよいが、その他の場合は、第2の側顎部145の第2の先端部近傍の静止位置にあってもよい。クロスバー420bは、第2の顎部細長スロット146に沿って摺動する第2の顎部スライドリベット428によって、その第2の顎部スライド端部421で移動可能に連結されてもよい。クロスバー420bは、第2の本体ピボットリベット429によって、その第2の本体ピボット端部425で移動可能に連結されてもよい。いくつかの態様では、第2の本体ピボットリベット429は回転可能に移動してもよいが、その他の場合は静止位置にあってもよく、また、第2の横方向本体部194の第1の先端部近傍の開口部と対になってもよい。
【0118】
いくつかの態様では、本カラーを操作するために、駆動ノブ476が回転し、これによって駆動歯車470が回転し、これによって今度は往復運動体455、465及びアクチュエータバー410、440に取り付けられた送りねじ454、464のそれぞれが回転し、これによって今度はクロスバー410a、410b、420a、及び420bと嵌合して、顎部を上下させる。
【0119】
図9~
図10を参照すると、いくつかの態様では、スライドアクチュエータ210は、スライドプレート450及び内部ノブ470を含んでいてもよい。このスライドプレート450は、第1及び第2のアクチュエータバー430、440の基端部に取り付けられ、本体部170の第1のアクチュエータ細長スロット453及び第2のアクチュエータ細長スロット463に沿ってそれぞれ摺動する、第1のプレートスライドリベット452及び第2のプレートスライドリベット462を受け入れるための横方向スロット、即ち第1のプレートスロット451、第2のプレートスロット461を両側面に含んでいてもよい。このスライドプレート450は、本体部170の中央部175の垂直スロット474に沿って摺動する中央バー473(図示せず)をさらに含んでいてもよい。スライドプレート450にある中央バー473の反対側には、顎部130の高さを調整するカムフォロア472を受け入れるためのカム溝471があってもよい。
【0120】
カムフォロア472はスライドプレート450と嵌合し、かつ垂直方向に移動することができ、この動作は、外部連結金具又はノブ476によって操作され得る。
【0121】
いくつかの態様では、使用時に、本カラーは医療従事者によって位置決めされてもよく、この医療従事者はスライドアクチュエータ210(又は駆動ノブ476)を操作して、第1及び第2のアクチュエータバー430、440がクロスバー410a及び420aを同時に移動させるようにし、これらのクロスバー410a及び420aは、本体部の第1及び第2の本体細長スロット187、197に沿って摺動する本体スライドリベット416、426によって連結されており、また、クロスバー410b及び420bに、それぞれ中央で連結されているため、これらクロスバー410b及び420bと協働する。さらに、クロスバー410b及び420bは、顎部130のそれぞれの第1及び第2の顎部細長スロット136、137に沿って摺動する、それらの端部のうちの一方に取り付けられた顎部スライドリベット418及び428を有する。これらのスロットは、スライドアクチュエータ210(又は駆動ノブ476)が操作され得るとき、顎部130と本体部170との間で同時垂直移動が行われるようにし、即ち、高さ調整機構200を使用して調整されるとき、個々の患者の頸部の長さ及び解剖学的構造に適合するように、顎部130を本体部170に対して上下させるために、一方向に摺動(若しくは回転)又は反対方向に摺動(若しくは回転)する。
【0122】
本明細書に記載の顎部130と本体部170とは、顎部130及び本体部170の支持フレームワークをもたらすことができる、実質的に剛性の材料を含んでいてもよい。クロスバーとアクチュエータバーとは、スライドアクチュエータの押圧牽引に耐え得るように十分な剛性及び強度を有する材料から作製されてもよい。
【0123】
図13~
図16を参照すると、いくつかの態様では、本カラーはロック機構を備えていてもよい。このロック機構は、歯車駆動部を解放してカラー高さを設定するときに有用であり得る、ロックボタン480を含んでいてもよい。いくつかの態様では、このロックボタン480は、板ばね481a及び481b、並びにロックボタン歯482を含んでいてもよい。ロックボタン480のロックボタン歯482は、駆動歯車470の内径に位置決めされる内部歯車歯475と嵌合する。いくつかの態様では、ロックボタン480の板ばね481a及び481bは、
図16の断面に示すように、ロックボタン歯482を駆動歯車の内径歯車歯475と嵌合する位置に維持している。ロックボタン480を下方に押圧すと、ロックボタン歯482が嵌合解除され、駆動歯車470を回転させることができ、これにより、顎部130と本体部170との間の空間高さが上下する。
【0124】
さらに、いくつかの態様では、ロック機構は、施術者が好ましい位置で高さをロックして、施術者による装着後に使用者がその高さを容易に調整できないようにするのに有用であり得る、ロックスイッチ484をさらに含んでいてもよい。ロックスイッチ484は、ハウジング111のスイッチ開口部478を介してロックボタンフランジ483に摺動可能に連結された、スイッチフランジ485を含んでいてもよい。装着後、施術者は、スイッチフランジ485がロックボタン480のロックボタンフランジ483と嵌合するように、ロックスイッチ484を中心などに向かって移動させてもよい。ロックボタンフランジ483が嵌合することで、ロックボタン480の移動が阻止され、これによって顎部130と本体部170との間の空間高さがロックされる。いくつかの実施形態では、ロックスイッチ484のスイッチフランジ485は、施術者又は使用者が顎部130と本体部170との間の空間高さを調整できるようにするために、ロックボタンフランジ483から嵌合解除される。
【0125】
いくつかの態様では、前側構成要素は、第1の側顎部135、第2の側顎部145、及びそれらの間に使用者の顎部を載せるための顎当て150を含み得る、顎部130を備えていてもよい。この顎当て150は、顎部130の残りの部分と一体であってもよいし、又は1つ又はそれ以上の別個の構成要素を含んでいてもよい。
【0126】
例えば、4本のバー付き調整機構を備える前側構成要素に関して、顎部130は、第1の顎部スライドリベット418を受け入れるための第1の顎部細長スロット136を有する第1の側顎部135、第2の顎部スライドリベット428を受け入れるための第2の顎部細長スロット146を有する第2の側顎部145、及び使用者の顎部を載せるための顎当て150を含んでいてもよい。いくつかの態様では、顎部130は、顎部奥行き調整機構を含んでいてもよい。
【0127】
図17~
図19を参照すると、いくつかの態様では、顎部130は、様々な使用者の解剖学的構造に対応するために(
図17aに略水平な破線で示す)顎当ての奥行きを変更するように調整され得る、独立型顎当て150を含んでいてもよい。いくつかの態様では、この独立型顎当て150は、第1の顎部雌リベット438と嵌合する第1の顎部雄リベット433を受け入れるために、第1の側顎部135の第1の奥行き調整スロット431と位置合わせされ得る、第1の顎当て開口部437を有していてもよい。顎当て150とは別個であっても一体であってもよい第1の回転止め439が、第1の顎当て開口部437に近接して配置されてもよい。第1の顎部雌リベット438と第1の回転止め439とは、第1の顎部雄リベット433が嵌合位置にある間、第1の奥行き調整スロット431に沿って摺動する。第1の回転止め439は、顎部雌リベット438が完全に回転するのを阻止することができ、
図18a及び
図18bに例示しているように、様々な使用者の顎部の解剖学的構造に対応するために、顎当て150が完全に回転することなく、約10度~20度だけわずかに回動できるようにする、第1の奥行き調整スロット431の深さよりも小さくなり得る外径を有していてもよい。第1の顎部雌リベット438は、使用時に重量の大部分が第1の顎部雌リベット438bの円筒部分に支持されるように、第1の奥行き調整スロット431に幾分ぴったりと嵌合するサイズに調整されてもよい。
【0128】
いくつかの態様では、独立型顎当て150が使用者に適合するように調整された後、定位置にロックされてもよい。例えば、第1の顎部雌リベット438と嵌合し得る第1の顎部雄リベット433は、第1の顎当て開口部437内に配置され、かつ調整済み設定位置を定位置にロックするように回転してもよい。第1の顎部雄リベット433は、例えば、使用者が第1の顎部雄リベット433をロック位置(上下を指す矢印など)又はロック解除位置(左右を指す矢印など)若しくはその逆の場合も同様に方向付けられるようにする矢印などの、第1の顎部雄リベットインジケータ487を含んでいてもよい。いくつかの態様では、第1の奥行き調整スロット431は、第1の顎部雄リベット433にある第1の一組の係止面434a、434bと嵌合する、第1の嵌合面432に近接する薄肉領域486を有する。第1の顎部雄リベット433は、ロック解除時に、必要に応じて、第1の顎部奥行きサイズ調整目印436の一方と位置合わせされ得る、第1の顎部雄リベット切欠き488a、488bをさらに含んでいてもよい。所望の奥行き調整が行われた後に、第1の顎部雄リベットインジケータ487をロック位置(上下を指す矢印など)に移動させてもよい。これらの構成要素が集合的に、第1の顎当てロック機構と呼ばれてもよい。
【0129】
同様に、独立型顎当て150は、第2の顎部雌リベット448と嵌合する第2の顎部雄リベット443を受け入れるために、第2の側顎部145の第2の奥行き調整スロット441と位置合わせされ得る、第2の顎当て開口部447を有していてもよい。顎当て150とは別個であっても一体であってもよい第2の回転止め449が、第2の顎当て開口部447に近接して配置されてもよい。第2の顎部雌リベット448と第2の回転止め449とは、第2の顎部雄リベット443が嵌合位置にある間、第2の奥行き調整スロット441に沿って摺動する。第2の回転止め449は、顎部雌リベット448が完全に回転するのを阻止することができ、
図18a及び
図18bに例示しているように、様々な使用者の顎部の解剖学的構造に対応するために、顎当て150が完全に回転することなく、約10度~20度だけわずかに回動できるようにする、第2の奥行き調整スロット441の深さよりも小さくなり得る外径を有していてもよい。第2の顎部雌リベット448は、使用時に重量の大部分が第2の顎部雌リベット448bの円筒部分に支持されるように、第2の奥行き調整スロット441に幾分ぴったりと嵌合するサイズに調整されてもよい。
【0130】
第1の側に関して上述したのと同様に、いくつかの態様では、独立型顎当て150が使用者に適合するように調整された後、定位置にロックされてもよい。例えば、第2の顎部雌リベット448と嵌合し得る第2の顎部雄リベット443は、第2の顎当て開口部447内に配置され、かつ調整済み設定位置を定位置にロックするように回転してもよい。第2の顎部雄リベット443は、例えば、使用者が第2の顎部雄リベット443をロック位置(上下を指す矢印など)又はロック解除位置(左右を指す矢印など)若しくはその逆の場合も同様に方向付けられるようにする矢印などの、第2の顎部雄リベットインジケータ497を含んでいてもよい。いくつかの態様では、第2の奥行き調整スロット441は、第2の顎部雄リベット443にある第2の一組の係止面444a、444bと嵌合する、第2の嵌合面442に近接する薄肉領域496を有する。第2の顎部雄リベット443は、ロック解除時に、必要に応じて、第2の顎部奥行きサイズ調整目印446の一方と位置合わせされ得る、第2の顎部雄リベット切欠き498a、498bをさらに含んでいてもよい。所望の奥行き調整が行われた後に、第2の顎部雄リベットインジケータ497をロック位置(上下を指す矢印など)に移動させてもよい。これらの構成要素が集合的に、第2の顎当てロック機構と呼ばれてもよい。
【0131】
本明細書で言及しているリベットは、概して雄型部分及び雌型部分を含んでいてもよいし、又は一体型連結機構を含んでいてもよい。例えば、ねじ、ナット、ボルト、ピン、フランジ、ボタン、又はバックルを含むなど、リベットと置き換えるのに適した他の連結具と、顎当てを定位置に固定することができる従来型のロック機構とが想定される。
【0132】
本体部170は、第1の本体スライドリベット416を受け入れるための第1の本体細長スロット187を有する第1の横方向本体部184、及び第2の本体スライドリベット426を受け入れるための第2の本体細長スロット197を有する第2の横方向本体部194を含んでいてもよい。
【0133】
後側構成要素については、当分野において、例えば、米国特許第9414956号明細書、米国特許第8932243号明細書、米国特許第6494854号明細書、米国特許第6872188号明細書、米国特許第9713546号明細書、米国特許第8858481号明細書、米国特許第9668906号明細書、米国特許第7981068号明細書、及び米国特許第8679044号明細書に記載されている。通常、前側構成要素と後側構成要素とは、フック・ループ・ストラップを取り付けることができる前側構成要素の後部のスロットなどを介して、頸椎カラーを形成するように互いに連結されてもよい。後側構成要素と前側構成要素とは、実質的に剛性の材料を含んでいてもよい。
【0134】
図21~
図27を参照すると、頸椎カラーの実施形態は、様々なストラップ機構及び装着機構を使用して後側構成要素500に連結された、前側構成要素100を含む。いくつかの態様では、この装着機構により、使用者固有の頸部外周を有する使用者に適合させるように、医療従事者が頸椎カラーの外周を調整することができる一方、例えば家庭で患者が頸椎カラーを取り外すことができ、その後、この外周を再調整することなく、再装着した後に同じ外周構成が維持される形態で再装着できるようになる。
【0135】
一実施形態では、第1の装着機構501の一部(例えば、
図24)は前側構成要素100上に位置決めされてもよく、また一部は、後側構成要素500上に位置決めされてもよい。
【0136】
図23~
図34のいくつかの態様に関して、第1の装着機構501の一部は、前側構成要素100上に位置決めされてもよい。前側構成要素100は、後側構成要素500の第1の後側嵌合部分520に嵌合させるための、第1の前側嵌合部分510を備えていてもよい。この第1の前側嵌合部分510は、任意選択の第1の前側ハウジング511、及びこの前側ハウジング511内に配置された第1の前側連結具512、例えばフック・ループ連結具、感圧接着剤(pressure sensitive adhesive:PSA)、バックル又は嵌合形状部などの噛合部品、ポストに縛り付けられているか、又は掛けられているひも/ケーブル、あるいは当該材料が放射線透過性である必要がない場合は、磁石などを含んでいてもよい。
【0137】
同様に、いくつかの態様では、前側構成要素100は、後側構成要素500の第2の後側嵌合部分530(図示せず)に嵌合させるための、第2の前側嵌合部分515(図示せず)をさらに備えていてもよい。この第2の前側嵌合部分515(図示せず)は、任意選択の第2の前側ハウジング516(図示せず)、及びこの第2の前側ハウジング516内に配置された第2の前側連結具517(図示せず)、例えばフック・ループ連結具、感圧接着剤(PSA)、バックル又は嵌合形状部などの噛合部品、ポストに縛り付けられているか、又は掛けられているひも/ケーブル、あるいは当該材料が放射線透過性である必要がない場合は、磁石などを含んでいてもよい。
【0138】
これらの連結具は、本明細書に記載の他のストラップ機構又は装着機構で使用されてもよい。
【0139】
いくつかの態様では、第1の前側嵌合部分510は、後側構成要素500の第1の後側嵌合部分520に自身が容易に位置合わせされ、かつ連結されるように構成されている。同様に、第2の前側嵌合部分515(図示せず)は、後側構成要素500の第2の後側嵌合部分530(図示せず)に自身が容易に位置合わせされ、かつ連結されるように構成されている。
【0140】
したがって、例えば、後側嵌合部分はフック材料を含んでいてもよい一方で、前側嵌合部分はループ材料を含んでいてもよく、又はその逆も可能である。スナップ、バックル及び他の相補的な連結具などの他の連結具が想定され、これらは本明細書に記載の他の実施形態にも有用であり得る。
【0141】
任意選択の前側ハウジング511、516を設けている場合、これらは前側構成要素100に合わせて成形されてもよく、又は前側構成要素100と一体であってもよく、あるいはリベット若しくは接着剤などの従来の取付け手段を使用して取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、第1の前側嵌合部分510と第2の前側嵌合部分520とは、使用時に、後側構成要素の両側面に近接する前側構成要素の各側面に取り付けられる。
【0142】
いくつかの態様では、後側構成要素500の第1の後側嵌合部分520は、第1の前側嵌合部分510によって受け入れられるように構成された、フック・ループ連結具などの第1の後側連結具522を含んでいてもよく、また、任意選択の第1の後側ハウジング521(図示せず)を含んでいてもよい。第1の後側嵌合部分520は、固定された第1のフック・ループ・ストラップ524を受け入れるための第1のスロット523をさらに含んでいてもよい。
【0143】
同様に、いくつかの態様では、後側構成要素500の第2の後側嵌合部分530(図示せず)は、第2の前側嵌合部分515(図示せず)によって受け入れられるように構成された、フック・ループ連結具などの第2の後側連結具532(図示せず)を含んでいてもよく、また、任意選択の第2の後側ハウジング531(図示せず)を含んでいてもよい。第2の後側嵌合部分530(図示せず)は、固定された第2のフック・ループ・ストラップ534を受け入れるための第2のスロット533をさらに含んでいてもよい。
【0144】
スロット523、533は、フック・ループ・ストラップを受け入れる寸法を有していてもよい。固定されたフック・ループ・ストラップ524、534は、成形などを行うことによって後側嵌合部分520、530と一体であってもよく、あるいは超音波溶接、縫製、締付け又は接着などを行うことによって後側嵌合部分520、530に恒久的に取り付けられてもよい。「恒久的に取り付けられる」とは、絶対的な耐久性を指すのではなく、むしろ、取付け及び再取付けが比較的困難な取付けを区別することが意図されている。
【0145】
いくつかの態様では、固定されたフック・ループ・ストラップ524、534は、スロット504a、504bなどを介してバックパネル503の一部をそれぞれ通過することができ、またフック・ループ・ストラップ524、534自体に留め付けることができるように構成されている。いくつかの態様では、使用時に医療従事者は、後側嵌合部分520、530をそれぞれの前側嵌合部分510、515に取り付け、固定されたフック・ループ・ストラップ524、534を調整して、使用者の頸部の外周に適合させることができる。外周がひとたび規定されると、固定されたフック・ループ・ストラップ524、534(及び設けている場合は他のストラップ)は調整されない。このため、本カラーを外すために、患者は後側嵌合部分520、530を前側構成要素から取り外す。本カラーを装着するために、患者はストラップの長さを調整することなく、後側嵌合部分520、530を再度取り付ける。
【0146】
いくつかの態様では、第1の後側嵌合部分520は、固定された第1のフック・ループ・ストラップ524の先端部に取り付けられて、より太い頸部に適合するようにストラップの長さを延長することができる、第1の取外し可能なフック・ループ・ストラップ525をさらに含んでいてもよい。同様に、第2の後側嵌合部分530(図示せず)は、固定された第2のフック・ループ・ストラップ534(図示せず)の先端部に取り付けられて、より太い頸部に適合するようにストラップの長さを延長することができる、第2の取外し可能なフック・ループ・ストラップ535(図示せず)をさらに含んでいてもよい。設けている場合、取外し可能なフック・ループ・ストラップ525、535は、より細い頸部に適合するように取り外され得る。
【0147】
いくつかの態様では、第1の後側嵌合部分520は、第1の取外し可能なフック・ループ・ストラップ525及び/又は固定された第1のフック・ループ・ストラップ524の先端部に取り付けられて、より太い頸部に適合するようにストラップの長さを延長するか、又は長さに対する汎用性を付与するために、取外し可能な第1の中間フック・ループ・ストラップ526(図示せず)をさらに含んでいてもよい。同様に、第2の後側嵌合部分530(図示せず)は、第2の取外し可能なフック・ループ・ストラップ535及び/又は固定された第2のフック・ループ・ストラップ534の先端部に取り付けられて、より太い頸部に適合するようにストラップの長さを延長するか、又は長さに対する汎用性を付与するために、取外し可能な第2の中間フック・ループ・ストラップ536(図示せず)をさらに含んでいてもよい。
【0148】
バックパネルのない放射線透過性のモジュール式ストラップシステムも想定される。いくつかの態様では、このモジュール式ストラップシステムは、前側嵌合部分510及び後側嵌合部分520、固定されたフック・ループ・ストラップ524、取外し可能なフック・ループ・ストラップ525、並びに/又は取外し可能な中間フック・ループ・ストラップ526を含んでいてもよい。このストラップシステムは、従来型の頸椎カラー構成要素で扱う場合に有用であり得、前側嵌合部分510は、いくつかの態様では、前側構成要素に連結させるための後付け連結具(接着材料又は接合材料など)を含んでいてもよい。このモジュール式ストラップシステムは、前側構成要素の各側面に取り付けるための、同一の2つの前側及び後側嵌合部分を含んでいてもよい。
【0149】
固定されたフック・ループ・ストラップ524、534、取外し可能なフック・ループ・ストラップ525、535、及び取外し可能な中間フック・ループ・ストラップ526、536、並びに本明細書における他のストラップは、それぞれの長さが約4~9インチであってもよく、単独で、又は様々に組み合わせて使用される場合は、約4~9インチの全長に対応できてもよい。固定されたフック・ループ・ストラップ524、534、取外し可能なフック・ループ・ストラップ525、535、取外し可能な中間フック・ループ・ストラップ526、536、及び本明細書における他のストラップは、それぞれの幅が約1~2インチであってもよい。
【0150】
ストラップ掛け及び装着機構の別実施形態では、カム表面組立体が一方向に回転されてもよく、このカムは、カム溝に沿ってストラップを牽引する。他の方向に回転すると、ストラップが弛緩して、カム組立体を取り外すことができる。このため、後側構成要素は、本明細書に記載しているように、医療従事者によって装着されるときに、その外周寸法を崩すことなく取り外され得、かつ再装着され得る。
【0151】
図21~
図22を参照すると、頸椎カラーの一実施形態は、内部のスロット504a、504bなどを介してバックパネル503に取外し可能に取り付けられた従来型のフック・ループ・ストラップ525を使用して、後側構成要素500に連結された前側構成要素100を備えていてもよい。取外し可能なストラップ部分525を有する、本明細書でさらに詳述しているモジュール式ストラップ(例えば、
図23)も同様に、本実施形態及び他の実施形態で使用されてもよい。
【0152】
第1のカム表面組立体600は、第1のカムアクチュエータ601、及び第1のカム表面キャリア604の第1のカム溝605と嵌合する、第1のフォロア611を含んでいてもよい。第1のカム表面キャリア604は、第1のカム表面組立体600を形成するために、第1のカムアクチュエータ601の開口部(図示せず)によって受け入れられる、第1のポスト602を有する。第1のカム表面キャリア604は、第1のポスト602を有する側とは反対側に、第1のキーホールポスト609(図示せず)を有していてもよい。いくつかの態様では、この第1のキーホールポスト609(図示せず)は、前側構成要素100の第1のキーホール610と嵌合してもよい。
【0153】
同様に、両手での使用を促進するために、頸椎カラーの両側面などに2つのカム表面組立体600を設けている場合、第2のカム表面組立体620(図示せず)は、第2のカムアクチュエータ621(図示せず)、及び第2のカム表面キャリア624(図示せず)の第2のカム溝625(図示せず)と嵌合する、第2のカムフォロア631(図示せず)を含んでいてもよい。第2のカム表面キャリア624(図示せず)は、第2のカム表面組立体620(図示せず)を形成するために、第2のカムアクチュエータ621の開口部(図示せず)によって受け入れられる、第2のポスト622(図示せず)を有する。第2のカム表面キャリア624(図示せず)は、第2のポスト622(図示せず)を有する側とは反対側に、第2のキーホールポスト629(図示せず)を有していてもよい。いくつかの態様では、この第2のキーホールポスト629(図示せず)は、前側構成要素100の第2のキーホール630(図示せず)と嵌合してもよい。
【0154】
いくつかの態様では、ポスト及びキーホール以外の連結具も想定される。例えば、カム表面キャリア604、624はそれぞれ、接着材料又はフック・ループ材料などで前側構成要素に接着され得る、カムフォロア611、631を含む基部を有していてもよい。また、このカム表面キャリア604、624の基部は、前側構成要素に溶接されるか、又はこれに合わせて成形されてもよい。
【0155】
いくつかの態様では、第1のカムアクチュエータ601と第1のカム表面キャリア604との間には、第1の自由回転ストラップホルダ606が配置されていてもよく、この第1の自由回転ストラップホルダ606は、カム表面キャリア604の第1のポスト602とカムアクチュエータ601とが嵌合できるようにし、かつ第1のカムアクチュエータ601が使用者によって回転されると、ストラップホルダ606が直線的に横断できるようにする、第1の開口部607を有する。いくつかの態様では、この第1の回転ストラップホルダ606は、フック・ループ・ストラップ525を受け入れるための第1のスロット608を含んでいてもよい。
【0156】
同様に、2つのカム表面組立体600、620を設けている場合、第2のカムアクチュエータ621と第2のカム表面キャリア624との間には、第2の自由回転ストラップホルダ626が配置されていてもよく、この第2の自由回転ストラップホルダ626は、第2のカム表面キャリア624の第2のポスト622と第2のカムアクチュエータ621とが嵌合できるようにし、かつ第2のカムアクチュエータ621が使用者によって回転されると、ストラップホルダ626が直線的に横断できるようにする、第2の開口部627を有する。(第2のカム組立体は図示せず。)
【0157】
いくつかの態様では、第2の回転ストラップホルダ626は、本明細書に記載のモジュール式ストラップ(
図21~
図22には図示せず)などのフック・ループ・ストラップ525又は異なるフック・ループ・ストラップの他端を受け入れるための、第2のスロット608を含んでいてもよい。
【0158】
いくつかの態様では、このフック・ループ・ストラップ525は、スロット504a、504bなどを介してバックパネル503の一部をそれぞれ通過することができ、またフック・ループ・ストラップ525自体に留め付けることができるように構成されている。外周がひとたび規定されると、固定されたフック・ループ・ストラップ525(及び設けている場合は、モジュール式ストラップシステムなどで使用される他のストラップ)は調整されない。いくつかの態様では、使用時に、医療従事者は、スロット608及び前側構成要素のスロットを介して牽引されたフック・ループ・ストラップ525の両端を、それ自体に向かうように調整することにより、患者の頸部の外周に、締結位置にあるカム表面組立体600(又は、2つを設けている場合は、両方を締結する)を装着することができる。患者が頸椎カラーを外す準備ができると、カムアクチュエータ601は弛緩し、キーホールポスト609はキーホール610から取り外され、後側構成要素500は、医療従事者によって設定された固有の頸部外周に対応するように作製されたストラップの配置を乱すことなく、前側構成要素100から取り外されてもよい。再装着すると、患者はキーホールポスト609を前側構成要素100のキーホール610と嵌合させて、医療従事者によって当初もたらされた適合を実現するように締結することができる。
【0159】
カムアクチュエータ601の回転運動により、ストラップがわずかに強く(例えば、約4分の1~1インチ、又は約2分の1インチ)、直線的に牽引される。いくつかの態様では、約2分の1インチを牽引するカム回転角度は約270°であってもよく、またカムアクチュエータ601は、異なる締付長さ及び締付回転に対応するように製造され得る。いくつかの態様では、カムアクチュエータ601は、自身を前方に回転させることで締結される(かつ、後方に回転させて弛緩する)が、反対方向に締結されたり、弛緩したりすることができるように配置されてもよい。
【0160】
図25~
図28を参照すると、頸椎カラーの実施形態は、後側構成要素500の前側構成要素100への取付けを容易にする、ストラップ位置合わせ機構を備えていてもよい。例えば、いくつかの態様では、頸椎カラーは、後側構成要素500のバックパネル503の複数のスロット504を通してループ状にされるストラップ701、711を含む、2つの横方向ストラップ位置合わせ機構を含んでいてもよい。いくつかの態様では、このストラップ位置合わせ機構により、使用者固有の頸部外周を有する使用者に適合させるように、医療従事者が頸椎カラーの外周を調整することができる一方、例えば家庭で患者が頸椎カラーを取り外すことができ、また、位置合わせ目印を付与して、その結果、再装着時に同じ外周構成が再現可能に位置合わせされ得るようにしている。
【0161】
いくつかの態様では、第1のストラップ位置合わせ機構を位置合わせするための第1のカラー目印702が、前側構成要素100の第1の横方向本体部184上に位置決めされてもよく、この第1のカラー目印702は、第1のストラップ701上のストラップ目印703に対応している。いくつかの態様では、例えば、第1のストラップ701のループ部分は、前側構成要素100の第1の横方向本体部184の第1のフック部分708に締結され、又はその逆も同様となる。前側構成要素100の第1の横方向本体部184の第1のカラー目印702が、頸部の外周が再現可能に位置合わせされ得るように、第1のストラップ701上の第1のストラップ目印703と位置合わせされてもよい。同様に、本カラーの他方の側では、ストラップ位置合わせ機構を位置合わせするための第2のカラー目印712が、前側構成要素100の第2の横方向本体部194上に位置決めされてもよく、この第2のカラー目印712は、第2のストラップ711上の第2のストラップ目印713(図示せず)と対を成している。いくつかの態様では、例えば、第2のストラップ711のループ部分は、前側構成要素100の第2の横方向本体部194の第2のフック部分718(図示せず)に締結され、又はその逆も同様となる。前側構成要素100の第2の横方向本体部194上の第2のカラー目印712(図示せず)が、頸部の外周が再現可能に位置合わせされ得るように、第2のストラップ711上の第2のストラップ目印713(図示せず)と位置合わせされてもよい。
【0162】
前側端部705、715に近接するループ端部の縁部は硬化領域を含んでいてもよく、この硬化領域は、これらの端部がカラーを取り外すために使用者によって容易に把持され得るように、ループ材料を溶融してつまみ704、714(図示せず)を形成することによって作製されてもよい。
【0163】
ストラップ701の第1の後側端部706では、一方端のフック材料が第1のストラップ701のループ材料に連結されて、これに連結されたときに、後側構成要素500のバックパネル503に近接する締結領域を形成してもよい。このため、フック材料が頸椎カラーの後側構成要素500のスロット504を通してループ状にされるとき、第1のストラップ701のフック材料は、同じ第1のストラップ701のループ材料を接合するために、それ自体の上で折り畳まれ得る。
【0164】
同様に、他方の側の、第2のストラップ711の第2の後側端部716では、一方端のフック材料が第2のストラップ711のループ材料に連結されて、これに連結されたときに、後側構成要素500のバックパネル503に近接する締結領域を形成してもよい。このため、フック材料が頸椎カラーの後側構成要素500のスロット504を通してループ状にされるとき、第2のストラップ711のフック材料は、同じ第2のストラップ711のループ材料を接合するために、それ自体の上で折り畳まれ得る。
【0165】
医療従事者は、ストラップ701、711のそれぞれのフック部分を、それぞれのループ部分上で調整することにより、後側構成要素500のバックパネル503に近接する外周の全体的な調整を行うことができる。ストラップは、医療従事者又は使用者が頸椎カラーの外周を規定位置に対して全体的に調整するのが容易になる指示(
図25~
図26に示すようなサイズ「3」などの)を書き込めるようにする、数字(
図25~
図26)又はドット(
図27)などのサイズ調整目印707、717(図示せず)を含んでいてもよい。
【0166】
701、711などの本明細書に記載のストラップは、ループ材料を含んでいてもよい一方、前側構成要素100の横方向本体部184、194の嵌合部分は、両側面が嵌合する限り、フック材料を含んでいてもよく、又はその逆も可能である。スナップ、バックル及び他の相補的な連結具などの他の連結具が想定される。701、711などの本明細書に記載のストラップは、本明細書に記載している取外し可能なストラップ部分525などのモジュール式ストラップと共に使用されてもよい。701、711などの本明細書に記載のストラップは、本明細書に記載の取外し可能なストラップ部分525(
図23)などのモジュール式ストラップと共に使用されてもよい。
【0167】
後側構成要素のスロット504は、フック・ループ・ストラップ701、711などの接合具を受け入れる寸法を有していてもよい。
【0168】
前側構成要素100は、外部連結金具又はノブ476を含み得る、ハウジング又は機構エンクロージャ111(
図29)を備えていてもよい。いくつかの態様では、ハウジング111は、内部ノブ又は駆動歯車470を受け入れるための開口部477を含んでいてもよい。
【0169】
前側構成要素100、後側構成要素500、ハウジング又は機構エンクロージャ111、一体型シェル110、送りねじ機構、ラッチ機構、4本のバー付き調整機構、後側嵌合部分520、530、カム表面組立体600、620及び/又はそれらの一部などの本明細書に記載の構成要素は、頸椎カラーの用途に適した疲労特性及び/又は塑性変形点などの適切な特性を有する。いくつかの態様では、これらの構成要素又は一部は、実質的に剛性の材料又は半剛性の材料を含む材料から作製されてもよく、また、放射線透過性材料から作製されてもよい。そのような材料としては、例えば、射出成形されたものが挙げられ、また、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリエステル、コポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、スチレン・アクリロニトリル・コポリマー(SAN)、ポリカーボネート(PC)、コポリカーボネート、ポリカーボネートブレンド体、即ち、PC及び(ABS、ポリエステル、コポリエステル、SAN、PET、PBT、POM、及び/又はSAN)、又はそれらの他のブレンド体が挙げられ得る。
【0170】
いくつかの態様では、前側構成要素100、後側構成要素500、一体型シェル110、後側嵌合部分520、530、カム表面組立体600、620又はそれらの一部などの本明細書に記載の構成要素は、ソフトな感触又は圧力を付与するために、以下の材料を用いてオーバーモールドされてもよく、それらの材料は即ち、天然ポリイソプレン又は合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、クロロプレンゴム(CR)、ポリクロロプレン、ブチルゴム(イソブチレンとイソプレンの共重合体、即ちIIR)、ハロゲン化ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム(スチレンとブタジエンの共重合体、即ちSBR)、ニトリルゴム(ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体、即ちNBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、EPM(エチレンプロピレンゴム、エチレンとプロピレンの共重合体)、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンゴム、エチレン、プロピレン、及びジエン成分の三元共重合体)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリアクリルゴム(ACM、ABR)、シリコーンゴム(SI、Q、VMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、フルオロエラストマー(FKM、及びFEPM)、パーフルオロエラストマー(FFKM)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、及び/又は熱可塑性エラストマー(TPE)である。いくつかの態様では、前側構成要素100、後側構成要素500及び/又は4本のバー付き調整機構、又はそれらの一部は、上に列挙したオーバーモールド材料のより剛性の高いバージョンで作製されてもよい。
【0171】
いくつかの態様では、高さ調整機構200は歯車機構を含まない。いくつかの態様では、単一の調整機構200は、ラックがピニオンと協働するラック・アンド・ピニオンを含まない。いくつかの態様では、単一の調整機構200は、ケーブル又はプーリを含まない。いくつかの態様では、顎部と本体部とは、回動可能に連結されていない。一部の態様では、顎部と本体部とは、これら顎部及び本体部の端部のみに支持されているのではない。いくつかの態様では、顎部は、使用時に使用者の顎部の輪郭に適合するように湾曲することができないため、使用時に顎部の形状を調整するにあたり、異なる使用者の顎部輪郭となるのを防止するように十分に硬く、剛性を有し、又は半剛性を有する。いくつかの態様では、顎部は十分な半剛性を有していてもよく、かつある程度の可撓性を有していてもよく、その結果、本カラーを装着する前と装着した後、様々な使用者の顎部の輪郭に関係なく、そのおおよその初期形状を保持することができる。
【0172】
調整可能な前側構成要素100は後側構成要素に連結されて、フック・ループ・ストラップを固定することができる、側顎部135、145及び/又は横方向本体部184、194の先端部に近接する貫通スロット504(
図28~
図29を参照のこと)などの連結具を備える頸椎カラーを形成することができる。
【0173】
本明細書に記載の前側構成要素100のいずれかは、後側構成要素500などの任意の適切な後側構成要素に連結されて、横方向本体部184に取り付けられたフック・ループ材料、及び/又は後側構成要素500の貫通スロット504、並びに/又は前側構成要素100の端部に近接する貫通スロット、例えばフック・ループ・ストラップを固定することができる変形部160、161(
図1~
図5のスロットには図示せず)に近接する貫通スロットなどの連結具を備える頸椎カラーを形成することができる。
【0174】
本明細書に記載の構成要素に加えて、発泡体112(
図28b及び
図29)、及び/又は頸椎カラーを形成するために構成要素を取り付けるストラップを受け入れるためのスロット504などの追加の部分も想定される。
【0175】
本明細書で使用している部分は、それを設けている場合、一体型シェルの一部、頸椎カラーの一部、又は構成要素の一部を指していてもよい。
【0176】
本明細書で使用している「およそ(approximately)」、「約(about)」及び「実質的に(substantially)」という用語は、依然として所望の機能を実行するか、又は所望の結果を実現している、記載の量又は構成に近似した量又は構成を表す。例えば、「およそ(approximately)」、「約(about)」及び「実質的に(substantially)」という用語は、記載している量の10%未満、記載している量の5%未満、記載している量の1%未満、記載している量の0.1%未満、及び記載している量の0.01%未満の量を指していてもよい。
【0177】
本明細書で参照しているすべての文献は、参照により本出願に組み込まれる。
【国際調査報告】