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特表2022-532810選択的BACE1阻害活性を有する縮合複素環誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(54)【発明の名称】選択的BACE1阻害活性を有する縮合複素環誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/04 20060101AFI20220712BHJP
   A61K 31/5365 20060101ALI20220712BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220712BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
C07D498/04 111
C07D498/04 CSP
A61K31/5365
A61P25/28
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020572578
(86)(22)【出願日】2019-07-04
(85)【翻訳文提出日】2021-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2019026598
(87)【国際公開番号】W WO2020009179
(87)【国際公開日】2020-01-09
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113789
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100209598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
(72)【発明者】
【氏名】只野 元太
(72)【発明者】
【氏名】山田 徹
(72)【発明者】
【氏名】小熊 卓也
(72)【発明者】
【氏名】日下部 兼一
(72)【発明者】
【氏名】ロンボウツ フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ミーサル アントニオ
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC01
4C072CC12
4C072EE06
4C072FF15
4C072FF16
4C072GG08
4C072HH07
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA16
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、アミロイドβ産生抑制作用、特にBACE1阻害作用を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌および/または沈着により誘発される疾患の治療または予防剤として有用な化合物を提供する。
式(I)の化合物(式中、環Aは、Rなどで置換されていてもよいTHPであり;
は、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルであり;
は各々独立して、(ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキルオキシ、C1~C3ハロアルキルオキシ、ハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族炭素環式基およびハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族複素環式基)から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C8アルキルなどであり;
tは0~3の整数であり;
は、CRまたはNであり;
は、CR10またはNであり;
は水素原子またはハロゲンであり;
は水素原子などであり;
は水素などであり;
10は水素原子などであり;
環Bは、シアノで置換されたピラジンなどである)
、またはその製薬上許容される塩。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

(式中、
【化2】

であり、
式中、
は、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルであり;
は、各々独立して、(ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキルオキシ、C1~C3ハロアルキルオキシ、ハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族炭素環式基およびハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族複素環式基)から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C8アルキル;
(C1~C3アルキルおよびC1~C3ハロアルキル)から選択される1以上の基で置換されていてもよい芳香族複素環式基;またはハロゲンであり;

sは0~3の整数であり;
tは0~3の整数であり;
は水素原子またはハロゲンであり;
は、CRまたはNであり;
は、CR10またはNであり;
は、水素原子、ハロゲン、または、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルであり;
10は、水素原子、ハロゲン、または、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルであり;
【化3】

であり、
式中、R7aはハロゲン;シアノ;シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、非芳香族炭素環式基および芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキルオキシ;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキル;シアノおよびハロゲンから選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基;シアノおよび芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族複素環式基;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルケニルオキシ;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキニルオキシ;またはC1~C6アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい芳香族複素環式基であり;
7bは、水素原子、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキル、またはアミノであり、
は水素原子またはハロゲンであり;
はハロゲンであり;

ただし、Rが水素原子の場合、sは1~3の整数であり;
ただし、以下の化合物:
【化4】

を除く)またはその製薬上許容される塩。
【請求項2】
sが1~3の整数であり;および、Rが各々独立して、(ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキルオキシ、C1~C3ハロアルキルオキシ、ハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族炭素環式基およびハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族複素環式基)から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C8アルキルである、請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項3】
がCRまたはNであり;AがCR10またはNであり;
ただし、AがNの場合、AがCR10である、請求項1または2に記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項4】
がCRであり;AがCR10であり;Rがフルオロまたはクロロであり;および、R10が水素原子である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項5】
が水素原子またはフルオロである、請求項1~4のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項6】
が水素原子である、請求項1~4のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項7】
【化5】

であり、式中、各記号は請求項1と同義である、請求項1~6のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項8】
【化6】

であり、式中、各記号は請求項1と同義である、請求項7に記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項9】
【化7】

であり、式中、各記号は請求項1と同義である、請求項1~6のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項10】
がモノフルオロメチルまたはジフルオロメチルである、請求項1~9のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項11】
が各々独立してハロゲン、シアノおよびアルキルオキシからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC1~C6アルキルである、請求項1~10のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項12】
が各々独立してメチル、またはフルオロで置換されたC1~C6アルキルである、請求項11に記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項13】
【化8】

である、請求項1~12のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項14】
化合物I-001、I-002、I-003、I-004、I-005、I-006、I-013、I-014、I-015、I-030、I-082、I-112、I-116およびI-117からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含む、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1~14のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含む、BACE1阻害剤。
【請求項17】
BACE1活性を阻害する方法に使用するための、請求項1~14のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項18】
アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の治療もしくは予防、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の進行予防、または、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者における進行予防のための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の治療もしくは予防、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の進行予防、または、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者における進行予防に使用するための、請求項1~14のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項20】
請求項1~14のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を投与することを含む、BACE1活性を阻害する方法。
【請求項21】
請求項1~14のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を投与することを含む、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の治療もしくは予防、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の進行予防、または、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者における進行予防のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミロイドβ産生阻害活性を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌および/または沈着により誘発される疾患の治療または予防剤として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病患者の脳内には、アミロイドβタンパク質と呼ばれる約40個のアミノ酸残基から構成されるペプチドが蓄積して神経細胞外に形成した不溶性の斑点(老人斑)が広範囲に観察される。これらの老人斑が神経細胞を死滅させることによりアルツハイマー病を引き起こすことが懸念されており、そのため、アミロイドβタンパク質の分解剤およびアミロイドワクチンなどのアルツハイマー病治療剤が研究されている。
【0003】
セクレターゼは、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)と呼ばれるタンパク質を細胞内で切断し、アミロイドβタンパク質を生成させる酵素である。アミロイドβタンパク質のN末端の生成を制御する酵素はβセクレターゼ(beta-site APP-cleaving enzyme 1、BACE1)と呼ばれている。この酵素を阻害することによりアミロイドβタンパク質生成が抑制され、アルツハイマー病の治療剤または予防剤になり得ると考えられる。
【0004】
特許文献1~10には本発明化合物と構造が類似した化合物が開示されている。これらの文献には、各化合物がアルツハイマー病、アルツハイマー関連症状、または糖尿病等の治療剤として有用である旨が開示されているが、実質的に開示された化合物は、いずれも本発明化合物とは異なる構造を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本特許公開2017/071603号
【特許文献2】国際公開第2015/156421号
【特許文献3】日本特許公開2014/101354号
【特許文献4】国際公開第2014/065434号
【特許文献5】国際公開第2014/001228号
【特許文献6】国際公開第2013/041499号
【特許文献7】米国特許公開第2013/0072478号
【特許文献8】日本特許公開2012/250933号
【特許文献9】国際公開第2012/107371号
【特許文献10】国際公開第2011/071135号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アミロイドβタンパク質の産生低減効果、特に選択的BACE1阻害活性を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌および/または沈着により誘発される疾患の治療剤として有用な化合物を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明化合物は、選択的BACE1阻害活性を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌または沈着により誘発される、アルツハイマー型認知症等の疾患の治療剤および/または予防剤として有用である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、以下の項目に記載の発明を提供する。
【0009】
(1)式(I)の化合物:
【化1】

(式中、
【化2】

であり、
式中、
は、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルであり;
は、各々独立して、(ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキルオキシ、C1~C3ハロアルキルオキシ、ハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族炭素環式基およびハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族複素環式基)から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C8アルキル;
(C1~C3アルキルおよびC1~C3ハロアルキル)から選択される1以上の基で置換されていてもよい芳香族複素環式基;またはハロゲンであり;

sは0~3の整数であり;
tは0~3の整数であり;
は水素原子またはハロゲンであり;
は、CRまたはNであり;
は、CR10またはNであり;
は、水素原子、ハロゲン、または、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルであり;
10は、水素原子、ハロゲン、または、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルであり;
【化3】

であり、
式中、R7aはハロゲン;シアノ;シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、非芳香族炭素環式基および芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキルオキシ;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキル;シアノおよびハロゲンから選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基;シアノおよび芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族複素環式基;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルケニルオキシ;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキニルオキシ;またはC1~C6アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい芳香族複素環式基であり;
7bは、水素原子、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキル、またはアミノであり;
は水素原子またはハロゲンであり;
はハロゲンであり;
ただし、Rが水素原子の場合、sは1~3の整数であり;
ただし、以下の化合物:
【化4】

を除く)またはその製薬上許容される塩。
(1)’式(I’)の化合物:
【化5】

(式中、
【化6】

であり、
式中、
は、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルであり;
は各々独立して、(ハロゲン、シアノ、アルキルオキシおよびハロアルキルオキシ)からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC1~C6アルキル;または
C1~C3アルキルで置換されていてもよいヘテロアリールであり;
tは0~3の整数であり;
は水素原子またはハロゲンであり;
は、水素原子、ハロゲン、またはハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルであり;
【化7】

であり、
式中、R7aはシアノ;シアノまたはハロゲンで置換されていてもよいC1~C6アルキルオキシ;または芳香族複素環式基であり;
7bは、水素原子、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキル、またはアミノであり;
ただし、以下の化合物:
【化8】

を除く)またはその製薬上許容される塩。
(2)sが1~3の整数であり;および、Rが各々独立して、(ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキルオキシ、C1~C3ハロアルキルオキシ、ハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族炭素環式基およびハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族複素環式基)から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C8アルキルである、項目(1)または(1)’記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(3)AがCRまたはNであり;AがCR10またはNであり;
ただし、AがNの場合、AがCR10である、項目(1)、(2)および(1)’のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(4)AがCRであり;AがCR10であり;Rがフルオロまたはクロロであり;および、R10が水素原子である、項目(1)~(3)および(1)’のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(4)’Rがフルオロまたはクロロである、項目(1)記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(5)Rが水素原子またはフルオロである、項目(1)~(4)、(1)’および(4)’のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(6)Rが水素原子である、項目(1)~(5)、(1)’および(4)’のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(7)
【化9】

であり、
式中、各記号は項目(1)と同義である、項目(1)~(6)、(1)’および(4)’のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(7)’
【化10】

であり、
式中、各記号は項目(1)と同義である、項目(1)~(7)、(1)’および(4)’のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(7-2)
【化11】

であり、
式中、各記号は項目(1)と同義である、項目(1)~(7)、(1)’および(4)’のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(8)
【化12】

であり、
式中、各記号は項目(1)と同義である、項目(1)~(7)、(1)’および(4)’のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(9)
【化13】

であり、
式中、各記号は項目(1)と同義である、項目(1)~(7)および(4)’のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(10)Rがモノフルオロメチルまたはジフルオロメチルである、項目(1)~(9)、(1)’、(4)’、(7)’および(7-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(11)Rが各々独立して、(ハロゲン、シアノおよびアルキルオキシ)からなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキルである、項目(1)~(10)、(1)’、(4)’、(7)’および(7-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(12)Rが各々独立してメチル、またはフルオロで置換されたC1~C6アルキルである、項目(1)~(11)、(1)’、(4)’、(7)’および(7-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(13)
【化14】

である、項目(1)~(12)、(1)’、(4)’、(7)’および(7-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(13-2)
【化15】

であり、
がモノフルオロメチルであり、
が、メチル、またはフルオロで置換されたC1~C6アルキルであり、
が水素原子であり、
がフルオロである、項目(1)~(12)、(1)’、(4)’、(7)’および(7-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(14)化合物I-001、I-002、I-003、I-004、I-005、I-006、I-013、I-014、I-015、I-030、I-082、I-112、I-116およびI-117からなる群から選択される、項目(1)記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(14-2)化合物:
【化16】

からなる群から選択される、項目(1)記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(15)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)および(13-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含む医薬組成物。
(15-2)項目(15)に記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含む、BACE1阻害活性を有する医薬組成物。
(16)アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病(prodromal Alzheimer’s disease)の治療もしくは予防、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の進行予防、または、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者(a patient asymptomatic at risk for Alzheimer dementia)における進行予防のための、項目(15)または(15-2)記載の医薬組成物。
(17)BACE1活性を阻害するための方法において使用する、項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)、および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(18)アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の治療もしくは予防、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の進行予防、または、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者における進行予防のために使用する、項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(19)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を投与することを含む、BACE1活性を阻害するための方法。
(20)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を投与することを含む、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の治療もしくは予防、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の進行予防、または、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者における進行予防のための方法。
(18)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含有するBACE1阻害剤。
(21)BACE1活性を阻害するための医薬を製造するための、項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩の使用。
(22)アミロイドβタンパク質の産生、分泌または沈着により誘発される疾患の治療または予防のための項目(15)または(15-2)記載の医薬組成物。
(23)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を投与することを含む、アミロイドβタンパク質の産生、分泌または沈着により誘発される疾患の治療または予防のための方法。
(24)アミロイドβタンパク質の産生、分泌または沈着により誘発される疾患の治療または予防のために使用する、項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(25)アミロイドβタンパク質の産生、分泌または沈着により誘発される疾患の治療または予防のための医薬を製造するための、項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩の使用。
(26)アルツハイマー型認知症の治療または予防のための項目(15)または(15-2)記載の医薬組成物。
(27)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を投与することを含む、アルツハイマー型認知症の治療または予防のための方法。
(28)アルツハイマー型認知症の治療または予防のために使用する、項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(29)アルツハイマー型認知症の治療または予防のための医薬を製造するための、項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩の使用。
【0010】
(101)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含有する、経口投与のための医薬組成物。
(102)錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤またはチンキ剤である、(101)記載の医薬組成物。
(103)糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠、口腔内崩壊錠、ドライシロップ剤、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤である、(101)または(102)記載の医薬組成物。
(104)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含有する、非経口投与のための医薬組成物。
(105)経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、内耳または膣内投与のための、(104)記載の医薬組成物。
(106)注射剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、リニメント剤、洗口剤、浣腸剤、軟膏剤、プラスター剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤または坐剤である、(104)または(105)記載の医薬組成物。
(107)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含有する、小児用または高齢者用の医薬組成物。
(108)項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩と、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA拮抗剤、またはその他のアルツハイマー型認知症のための医薬との組み合わせからなる医薬組成物。
(109)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA拮抗剤、またはその他のアルツハイマー型認知症のための医薬との併用療法のための、項目(1)~(14)、(1)’、(4)’、(7)’、(7-2)、(13-2)および(14-2)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含有する医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施形態を参照して本発明を説明する。本明細書を通して、特に指定のない限り、単数形の表現はその複数形の概念を包含するものと理解すべきである。これに応じて、単数形の冠詞(例えば、英語における「a」、「an」、「the」等)は、特に指定のない限り、その複数形の概念を包含するものと理解すべきである。さらに、本明細書において用いられる用語は、特に指定のない限り、当該分野で普通に用いられている意味で用いられることを理解すべきである。したがって、特に断りのない限り、本明細書において用いられる全ての専門用語および科学用語は、本発明が関係する分野の当業者が一般的に理解するものと同一の意味を有する。矛盾がある場合、本明細書(定義を含む)が優先される。
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
本明細書中、「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
本明細書中、「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
本明細書中、「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を包含する。特にフッ素および塩素が好ましい。
本明細書中、「アルキル」とは、炭素数1~15、例えば炭素数1~10、例えば炭素数1~6、例えば炭素数1~4の直鎖または分枝状のアルキルを包含する。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n-へプチル、イソヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、n-ノニル、およびn-デシル等を包含する。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、およびn-ペンチル等が挙げられる。
一実施形態において、「アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、またはtert-ブチルである。
【0012】
「ハロアルキル」という用語は、上記「アルキル」の1以上の炭素原子に結合している1以上の水素原子が1以上の上記「ハロゲン」と置換している基を包含する。例えば、
モノフルオロメチル、モノフルオロエチル、モノフルオロプロピル、
ジフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、
トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、
モノクロロメチル、モノクロロエチル、モノクロロプロピル、
ジクロロメチル、ジクロロエチル、ジクロロプロピル、
トリクロロメチル、トリクロロエチル、トリクロロプロピル、ペンタクロロプロピル、
1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、
1-クロロエチル、2-クロロエチル、1,1-ジクロロエチル、2,2-ジクロロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、
1,2-ジブロモエチル、1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル、および2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル等が挙げられる。
例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-フルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、および2,2-ジフルオロエチル等が挙げられる。例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、1-フルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、および2,2-ジフルオロエチル等が挙げられる。
【0013】
「アルケニル」という用語は、可能な任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2~15、例えば炭素数2~10、例えば炭素数2~6、例えば炭素数2~4の直鎖または分枝状のアルケニルを包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、およびペンタデセニル等を包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、およびブテニルが挙げられる。
「アルキニル」という用語は、任意選択の位置に1以上の三重結合を有する、炭素数2~15、例えば炭素数2~10、例えば炭素数2~8、例えば炭素数2~6、例えば炭素数2~4の直鎖または分枝状のアルキニルを包含する。具体的には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、およびデシニルが挙げられる。これらはさらに、可能な任意の位置に二重結合を有していてもよい。例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、およびペンチニルが挙げられる。
【0014】
「アルキレン」という用語は、炭素数1~15、例えば炭素数1~10、例えば炭素数1~6、例えば炭素数1~3の直鎖または分枝状の2価の炭素鎖を包含する。例えば、メチレン、ジメチレン、およびトリメチレン等が挙げられる。
式(I)で示される化合物のアルキレンの1以上の水素は、水素の同位体H(重水素)と置換され得る。
【0015】
「アルキルオキシ」という用語は、酸素原子が上記「アルキル」で置換されている基を包含する。例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、およびへキシルオキシ等が挙げられる。
一実施形態において、「アルキルオキシ」は、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシまたはtert-ブチルオキシである。
【0016】
「アルケニルオキシ」という用語は、酸素原子が上記「アルケニル」で置換されている基を包含する。例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ、1-プロペニルオキシ、2-ブテニルオキシ、2-ペンテニルオキシ、2-ヘキセニルオキシ、2-ヘプテニルオキシ、および2-オクテニルオキシ等が挙げられる。
【0017】
「アルキニルオキシ」という用語は、酸素原子が上記「アルキニル」で置換されている基を包含する。例えば、エチニルオキシ、1-プロピニルオキシ、2-プロピニルオキシ、2-ブチニルオキシ、2-ペンチニルオキシ、2-ヘキシニルオキシ、2-ヘプチニルオキシ、および2-オクチニルオキシ等が挙げられる。
一実施形態において、「アルキニルオキシ」は、エチニルオキシ、1-プロピニルオキシおよび2-プロピニルオキシである。
【0018】
「炭素環」という用語は、非芳香族炭素環および芳香族炭素環を包含する。
「非芳香族炭素環式基」という用語は、単環のまたは2環以上からなる、飽和炭素環または非芳香族不飽和炭素環を包含する。2環以上の「非芳香族炭素環」は、単環非芳香族炭素環または2環以上の非芳香族炭素環が、上記「芳香族炭素環」における環に縮合した縮合環式基を包含する。
さらに、「非芳香族炭素環」は、以下のように架橋している環式基、またはスピロ環を形成する環式基も包含する。
【化17】

「単環非芳香族炭素環」という用語は、炭素数3~16、例えば炭素数3~12、例えば炭素数3~8、例えば炭素数3~5の基を包含する。例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロプロペナン、シクロブテナン、シクロペンテナン、シクロヘキセナン、シクロヘプテナン、およびシクロヘキサジエナン等が挙げられる。
2環以上からなる非芳香族炭素環は炭素数6~14の基を包含し、例えば、インダン、インデナン、アセナフタレン、テトラヒドロナフタレン、およびフルオレナン等が挙げられる。
「芳香族炭素環」という用語は、単環のまたは2環以上からなる、芳香族炭化水素環基を包含する。例えば、炭素数6~14の芳香族炭化水素基であり、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、およびフェナントレン等が挙げられる。
一実施形態において、「芳香族炭素環」はベンゼンである。
一実施形態において、「炭素環」は、シクロプロパン、シクロブタン、およびシクロペンタンである。
【0019】
「複素環」という用語は、非芳香族複素環および芳香族複素環を包含する。
「非芳香族複素環」という用語は、O、SおよびNの原子から独立して選択される1以上のヘテロ原子を有する、単環のまたは2環以上からなる、非芳香族の基を包含する。
2環以上の「非芳香族複素環」は、単環の非芳香族複素環または2環以上の非芳香族複素環が、上記「芳香族炭素環」、「非芳香族炭素環」および/または「芳香族複素環」の環に縮合した縮合環式基を包含する。
さらに、「非芳香族複素環」は、以下のように架橋している環式基、またはスピロ環を形成する環式基も包含する。
【化18】

「単環の非芳香族複素環」という用語は、3~8員環を包含し、例えば、4員、5員または6員環である。例えば、ジオキサン、チイラン、オキシラン、オキセタン、オキサチオラン、アゼチジン、チアン、チアゾリジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリニル、モルホリン、チオモルホリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロチアゾリン、テトラヒドロチアゾリン、テトラヒドロイソチアゾリン、ジヒドロオキサジン、ヘキサヒドロアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、テトラヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジオキソラン、ジオキサジン、アジリジン、ジオキソリン、オキセパン、チオラン、チイン、およびチアジン等が挙げられる。
2環以上の非芳香族複素環としては、9~14員環式基を包含し、例えば、インドリン、イソインドリン、クロマン、およびイソクロマン等が挙げられる。
【0020】
「芳香族複素環」という用語は、O、SおよびNの原子から独立して選択される1以上のヘテロ原子を有する、単環のまたは2環以上からなる、芳香環を包含する。
2環以上の「芳香族複素環」は、単環の芳香族複素環式基または2環以上からなる非芳香族複素環式基が、上記「芳香族炭素環」に縮合した縮合環式基を包含する。
「単環の芳香族複素環」としては、5~8員環式基を包含し、例えば5員または6員環である。例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール、トリアジン、テトラゾール、フラン、チオフェン、イソオキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イソチアゾール、チアゾール、およびチアジアゾール等が挙げられる。
2環の芳香族複素環としては、9~10員環を包含し、例えばインドリン、イソインドリン、インダゾリン、インドリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、ナフチリジン、キノキサリン、プリン、プテリジン、ベンズイミダゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンズオキサジアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、トリアゾロピリジン、イミダゾチアゾール、ピラジノピリダジン、オキサゾロピリジン、およびチアゾロピリジン等が挙げられる。
3環以上の芳香族複素環としては、13~14員環式基を包含し、例えばカルバゾール、アクリジン、キサンテン、フェノチアジン、フェノキサチイン、フェノキサジン、およびジベンゾフラン等が挙げられる。
一実施形態において、「複素環」は1,4-オキサチアンである。
【0021】
「非芳香族炭素環式基」および「非芳香族複素環式基」は「オキソ」で置換されていてもよい。以下のように同一の炭素原子に結合する2個の水素原子がオキソと置換されている基を包含する。
【化19】

【0022】
以下の式中、橋頭炭素に結合しているR、Rおよび「H」は、Rで置換されない。
【化20】
【0023】
式(I)および(I’)の各記号の具体的な実施形態を以下に例示する。
【化21】

(式中、各記号は前記と同義である。)
【0024】
式(I)、(I’)、(IA)、(IB)、(IC)、および(ID)の各記号の具体的な実施形態を以下に例示する。これらの実施形態の全ての可能な組み合わせが、式(I)、(I’)、(IA)、(IB)、(IC)および(ID)の化合物の例である。
【0025】
【化22】

である。
【化23】

である。
【化24】

である。
【化25】

である。
【化26】

である。
【0026】
がハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルである。
がハロゲンで置換されていてもよいメチルである。
がハロゲンで置換されたC1~C3アルキルである。
がモノフルオロメチルまたはジフルオロメチルである。
がモノフルオロメチルである。
がメチルである。
【0027】
が各々独立して、(ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキルオキシ、C1~C3ハロアルキルオキシ、ハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族炭素環式基およびハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族複素環式基)から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C8アルキル;
C1~C3アルキルおよびC1~C3ハロアルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい芳香族複素環式基;またはハロゲンである。
が各々独立して、(ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキルオキシ、C1~C3ハロアルキルオキシ、ハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族炭素環式基およびハロゲンで置換されていてもよい3~6員非芳香族複素環式基)から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキルである。
が各々独立して、(ハロゲン、シアノおよびアルキルオキシ)からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC1~C6アルキルである。
が各々独立して、C1~C3アルキルまたはC1~C3ハロアルキルである。
が各々独立して、C1~C3アルキルである。
が各々独立して、C1~C3ハロアルキルである。
が各々独立して、メチルまたはエチルである。
が各々独立して、メチルである。
【0028】
sが0~3の整数である。
sが1~3の整数である。
sが1または2である。
sが1である。
【0029】
tが0~3の整数である。
tが1~3の整数である。
tが1または2である。
tが1である。
tが0または1である。
【0030】
が水素原子またはハロゲンである。
が水素原子である。
がフルオロである。
【0031】
がCRまたはNであり;およびAはCR10またはNである。
がCRまたはNであり;およびAはCR10またはNであり、ただし、AがNである場合、AはCR10である。
がCRであり;およびAはCR10である。
はCHであり;およびAはCFである。
【0032】
が水素原子、ハロゲン、またはハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルである。
が水素原子またはハロゲンである。
がフルオロまたはクロロである。
がフルオロである。
【0033】
10が水素原子、ハロゲン、またはハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルである。
10が水素原子またはハロゲンである。
10が水素原子である。
【0034】
【化27】

である。
【化28】

である。
【化29】

である。
【化30】

である。
【0035】
7aがハロゲン;シアノ;シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、非芳香族炭素環式基および芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキルオキシ;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキル;シアノおよびハロゲンから選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基;シアノおよび芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族複素環式基;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルケニルオキシ;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいC1~C6アルキニルオキシ;またはC1~C6アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい芳香族複素環式基である。
7aがシアノ;シアノまたはハロゲンで置換されていてもよいC1~C6アルキルオキシ;または芳香族複素環式基である。
7aがシアノ;またはハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキルオキシである。
7aがC1~C3ハロアルキルオキシである。
7aがシアノである。
7a
【化31】

である。
【0036】
7bが水素原子、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1~C3アルキル、またはアミノである。
7bが水素原子またはハロゲンである。
7bが水素原子である。
【0037】
が水素原子またはハロゲンである。
が水素原子である。
がフルオロである。
【0038】
がハロゲンである。
がフルオロである。
【0039】
式(I)で示される化合物は、特定の異性体に限定するものではなく、全ての可能な異性体(例えば、ケト-エノール異性体、イミン-エナミン異性体、ジアステレオ異性体、光学異性体、回転異性体等)、ラセミ体またはそれらの混合物を含む。例えば式(I)で示される化合物は、以下のような互変異性体を包含する。
【化32】
【0040】
式(I)で示される化合物の1以上の水素、炭素および/または他の原子は、それぞれ水素、炭素および/または他の原子の同位体と置換し得る。同位体の例としては、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、123Iおよび36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体が包含される。式(I)で示される化合物は、そのような同位体で置換された化合物も包含する。そのような同位体で置換された化合物は、医薬品としても有用であり、式(I)で示される化合物の全ての放射性標識化合物を包含する。本発明は、「放射標識化合物」を製造する「放射標識方法」を含み、この方法は、結合アッセイおよび/または診断における研究である、代謝薬物動態研究用のツールとして有用である。
式(I)の化合物の放射標識化合物は、当該技術分野で既知の方法によって調製することができる。例えば、式(I)で示されるトリチウム標識化合物は、例えば、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、式(I)で示される特定の化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在下または非存在下で、式(I)で示される化合物の適切なハロゲン化前駆体をトリチウムガスと反応させることを包含してもよい。他のトリチウム標識化合物を調製するための適切な方法としては、Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds (Part A),Chapter 6 (1987年)を参照できる。14C-標識化合物は、14C炭素を有する出発物質を用いることによって調製できる。
【0041】
式(I)で示される化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、およびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムおよびバリウム)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛および鉄)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン)、およびアミノ酸との塩、ならびに無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸およびヨウ化水素酸)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸およびエタンスルホン酸)との塩が挙げられる。具体的な例としては、塩酸、硫酸、リン酸、酒石酸、またはメタンスルホン酸との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
本発明の式(I)で示される化合物またはそれらの製薬上許容される塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)および/または結晶多形を形成する場合がある。本発明は、これらの様々な溶媒和物および結晶多形を包含する。「溶媒和物」は、式(I)で示される化合物に任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)が配位したものでもよい。式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、大気中に静置することにより、化合物が水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、再結晶することでそれらの結晶多形を生成する場合がある。
【0042】
本発明の式(I)で示される化合物またはそれらの製薬上許容される塩は、プロドラッグを形成する場合がある。本発明はそのような様々なプロドラッグも包含する。プロドラッグとは、化学的または代謝的に分解できる基を有する本発明化合物の誘導体であり、加溶媒分解によりまたは生体内の生理条件下で薬学的に活性な本発明化合物に変換される化合物である。プロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素的に酸化、還元、加水分解などを受けて式(I)で示される化合物に変換される化合物、および胃酸などにより加水分解されて式(I)で示される化合物に変換される化合物等を包含する。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法および製造する方法は、例えばDesign of Prodrugs, Elsevier, Amsterdam 1985に記載されている。プロドラッグは、それ自身が活性化合物である場合がある。
式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩がヒドロキシ基を有する場合は、ヒドロキシ基を有する化合物と適当なアシルハライド、適当な酸無水物、適当なスルホニルクロライド、適当なスルホニルアンハイドライドおよびミックスドアンハイドライドとを反応させることにより、または縮合剤を用いて反応させることにより調製され得るアシルオキシ誘導体やスルホニルオキシ誘導体のようなプロドラッグが例示される。例えば、CHCOO-、CCOO-、t-BuCOO-、C1531COO-、PhCOO-、(m-NaOOCPh)COO-、NaOOCCHCHCOO-、CHCH(NH)COO-、CHN(CHCOO-、CHSO-、CHCHSO-、CFSO-、CHFSO-、CFCHSO-、p-CHO-PhSO-、PhSO-、およびp-CHPhSO-が挙げられる。
【0043】
式(I)で示される化合物は、当業者にとって既知の合成方法と共に、下記に示す方法を用いて調製すればよい。
出発物質は市販されているか、または既知の方法に従って調製することができる。
下記の合成のいずれの間でも、任意の分子の感受性または反応性の基を保護することが必要な、または好ましい場合がある。この場合、Greene’s Protective Group in Organic Synthesis, John Wily & Sons,2007に記載のもの等の従来の保護基を用いることにより、これらの保護を実施できる。
下記の化合物は、ジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの混合物として生成し、そうした混合物は、続く手順の適切な段階で、従来の技術、例えば結晶化、シリカゲルクロマトグラフィー、キラルまたはアキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびキラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を用いて分離して、本発明の単一エナンチオマーを与え得ることは、当業者であれば理解されよう。
下記全ての工程について、実施する工程の順序を適宜変更することができる。各工程において、各中間体を単離し、次いで、次工程に用いてもよい。反応時間、反応温度、溶媒、試薬、および保護基等は全て単なる例示であり、反応に支障がない限り、特に限定されない。
【0044】
一般合成法A
【化33】

(式中、Pはベンゾイル、またはベンジルなどの保護基であり、その他の記号は上記(1)と同義である。)
一般合成法Aは、化合物A-1から工程1~工程8の複数工程を経て化合物A-9で示される化合物を調製する方法である。後の工程で用いられる反応条件に応じて保護基Pを選択できることは、当業者であれば理解できる。
工程1
1,3-双極子付加環化(1,3-dipolar cycloaddition)により化合物A-2を調製することができる。この種類の反応は、J.Am.Chem.Soc.,1960,82,5339-5342またはJ.Org.Chem.1998,63,5272-5274に記載の条件と同様の条件を用いることで実施できる。この1,3-双極子付加環は、環状化合物A-1と、例えばフェニルイソシアネート、フェニルジイソシアネートまたは(Boc)Oなどの適切な脱水剤、および例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN-メチルモルホリンなどの適切な塩基を使用して、対応するニトロアルカンから反応系内で生成された対応するニトリルオキシドによって実施することができる。別法として、ニトリルオキシドは、対応する塩化ヒドロキシモイルから、例えば、トリエチルアミン、ジプロピルエチルアミン、またはN-メチルモルホリン等の適当な塩基を用いて反応系内で生成できる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは室温~120℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間、好ましくは30分~24時間である。
工程2
適当なアリールリチウム試薬またはGrignard試薬を化合物A-2に求核付加することにより、化合物A-3を調製することができる。この種類の反応は、J.Am.Chem.Soc.,2005,127,5376-5384に記載の条件と同様の条件を用いることで実施できる。好ましくは、アリールリチウム試薬またはGrignard試薬は、例えば、n-、sec-もしくはtert-ブチルリチウム、臭化イソプロピルマグネシウムまたは金属マグネシウム等の適当な塩基を用いて対応する芳香族ハライドから調製でき、次いでこれを例えばBF-OEtなどのルイス酸と共に化合物A-2と反応させて化合物A-3を得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-78℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
工程3
化合物A-3のN-O結合を還元開裂反応することにより、化合物A-4を調製することができる。この還元開裂は、酢酸、ギ酸、または塩酸等の適当な酸と共に亜鉛を用いて実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-20℃~溶媒還流温度である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
別法として、この反応は、水素下で酸化白金などの金属触媒を用いて実施することもできる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、メタノール、エタノール、水およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは室温~50℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間、好ましくは30分~24時間である。
さらに、この種類の反応は、水素化アルミニウムリチウムを使用して実施することもできる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテルおよびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-20℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
工程4
化合物A-4から反応系内で対応するチオ尿素を形成し、続く環化反応により、化合物A-5を調製することができる。この種類の反応は、当業者に既知であり、国際公開第2014/065434号に記載された条件下で実施することができる。チオ尿素は、例えばベンゾイルイソチオシアネート、またはベンジルイソチオシアネート等の適当なイソチオシアネートを用いて化合物A-4から反応系内で得ることができ、次いで、例えばm-CPBA、過酸化水素、またはカルボジイミド試薬(例えばDCC、DICまたはEDC)などの試薬を加えて環化させることができる。別法として、ヨウ化メチルなどのアルキル化剤、ならびに水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどの適当な塩基を用いてもこの環化を実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、通常0℃~60℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間、好ましくは30分~24時間である。
工程5
化合物A-5の脱保護により、化合物A-6を調製することができる。この脱保護反応は当業者に既知であり、Green’s Protective Groups in Organic Synthesis,4th edに記載の条件下で実施できる。保護基がベンゾイルの場合、硫酸もしくは塩酸などの酸性条件下で、またはヒドラジン、DBU、もしくは水酸化ナトリウムなどの塩基条件下で脱保護反応を実施できる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、メタノール、トルエン、ベンゼンおよびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは室温~100℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間、好ましくは30分~24時間である。
工程6
化合物A-6のニトロ化により、化合物A-7を調製することができる。典型的な手順は、硫酸およびトリフルオロ酢酸に溶解した化合物A6を、例えば硝酸カリウムまたは硝酸などのニトロニウムイオン源で処理することである。反応温度は、好ましくは-20℃~0℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~5時間であり、好ましくは30分~2時間である。
工程7
化合物A-7の還元により、化合物A-8を調製することができる。還元は、水素雰囲気下で、例えばパラジウム炭素などの適切な触媒によって、または、例えば鉄、亜鉛もしくは塩化スズ(II)などの還元剤を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、水、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、通常は室温~80℃であり、好ましくは室温~60℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間、好ましくは30分~24時間である。
工程8
化合物A-9は、化合物A-8と対応するカルボン酸とのアミドカップリング反応により調製することができる。この反応は、当業者に既知の方法で実施することができ、適切なカップリング条件は、Chem.Rev.2011,111,6557-6602に記載されており、a)縮合剤を用いる反応;b)酸クロリドまたは酸フルオリドを用いる反応、を包含する。
反応a)は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC塩酸塩)、O-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、および1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリ(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)などの縮合剤を用いて実施できる。HATUやPyBOPなどのウロニウム塩やホスホニウム塩を用いる場合、反応はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基存在下で行うことができる。1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)や1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)などの触媒の使用により、本反応を促進できる場合がある。反応に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、およびテトラヒドロフランを包含する。反応温度は通常0℃~50℃であり、好ましくは室温である。
反応b)は、市販の酸塩化物または当業者に既知の方法を用いて合成したものを用い、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、および酢酸エチルなどの溶媒中、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、およびN,N-ジメチル-4-アミノピリジンなどの塩基存在下で行うことができる。反応温度は通常0℃~60℃であり、好ましくは0℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは20分~6時間である。
【0045】
一般合成法B
【化34】

(式中、A’は、置換または非置換のC1~2アルキレンであり、R’およびR’’は各々独立して、(ハロゲン、シアノ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシまたは非芳香族炭素環式基)で置換されていてもよいアルキル、およびアルキルで置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択され、他の記号は上記と同義である)
一般合成法Bは、化合物B-1から複数工程を経て、化合物B-5を調製する方法である。化合物B-4を用い、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物B-5を調製することができる。
工程1
1,3-双極子付加環化により、化合物B-2を調製することができる。この種類の反応は、J.Am.Chem.Soc.,1960,82,5339~5342またはJ.Org.Chem.1998,63,5272~5274に記載の条件と同様の条件を用いることで実施できる。この1,3-双極子付加環化は、環状化合物B-1と、例えばフェニルイソシアネート、フェニルジイソシアネートまたは(Boc)Oなどの適切な脱水剤、および例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN-メチルモルホリンなどの適切な塩基を使用して対応するニトロアルカンから反応系内で生成された対応するニトリルオキシドによって実施することができる。また、別法として、ニトリルオキシドは、対応する塩化ヒドロキシモイルと、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、またはN-メチルモルホリン等の適当な塩基から反応系内で生成できる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは室温~120℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間、好ましくは30分~24時間である。
工程2
’が水素原子である場合、化合物B-2のカルボニル還元によって化合物B-3を調製することができる。この種類の反応は、例えば、DIBAL-H、水素化リチウムトリ-tert-ブトキシアルミニウム(lithium tri-tert-butoxyaluminum hydride)またはナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムなどの適切な金属水素化物を使用し、化合物B-2への求核付加によって実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-78℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
’が水素原子以外である場合、化合物B-2への求核付加反応によって化合物B-3を調製することができる。この種類の反応は、例えば、BF-OEt、AlClまたはTiClなどのルイス酸の存在下または非存在下で、例えば、有機リチウム、マグネシウム、亜鉛またはシリル試薬などの適切な求核試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-78℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
工程3
’’が水素原子である場合、化合物B-3の還元によって化合物B-4を調製することができる。この種類の反応は、トリエチルシラン、水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な還元剤を使用して、BF-OEtなどのルイス酸の存在下または非存在下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-20℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
’’が水素原子以外である場合、化合物B-2への求核付加反応によって化合物B-4を調製することができる。この種類の反応は、例えば、BF-OEt、AlClまたはTiClなどのルイス酸の存在下または非存在下で、例えば、有機リチウム、マグネシウム、亜鉛またはシリル試薬などの適切な求核試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-78℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
【0046】
一般合成法C
【化35】

(式中、Pはベンゾイル、またはベンジルなどの保護基であり、R’’’はエチルまたはシクロプロピルであり、その他の記号は上記(1)と同義である。)
一般合成法Cは、化合物B-1から複数工程を経て、化合物C-5を調製する方法である。化合物C-2およびC-5から、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物C-3および化合物C-5を調製することができる。
工程1
アリル部位を化合物B-2のカルボニル基に求核付加することにより、化合物C-1を調製することができる。この種類の反応は、例えばアリルシラン、リチウム、マグネシウム、亜鉛試薬などの適切な市販の、または反応系内で生成したアリル試薬を使用して、例えばBF-OEt、AlCl、またはTiClなどのルイス酸の存在下または非存在下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-78℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
工程2
化合物C-1の還元により、化合物C-2を調製することができる。この種類の反応は、トリエチルシランまたは水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な還元剤を使用して、BF-OEtなどのルイス酸の存在下または非存在下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-20℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
工程3
’’’がエチルである場合、化合物C-4の水素化によって化合物C-5を得ることができる。水素化は、例えばパラジウム炭素などの適切な触媒を水素雰囲気下で使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、水、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、通常は室温~80℃であり、好ましくは室温~60℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間、好ましくは30分~24時間である。
’’’がシクロプロピルである場合、化合物C-4のシクロプロパン化によって化合物C-5を得ることができる。この種類の反応は、ジアゾメタンなどの適切な試薬を使用して、適切な触媒の存在下もしくは非存在下で、または、例えばジヨードメタンとジエチル亜鉛などのシモンズ-スミス反応条件下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、またはそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は通常-30℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
【0047】
一般合成法D
【化36】

(式中、Pはベンゾイル、またはベンジルなどの保護基であり、R’’’’は、(フッ素またはアルキルオキシ)で置換されたアルキルであり、その他の記号は上記(1)と同義である。)
一般合成法Dは、化合物C-3から複数工程を経て、化合物D-3を調製する方法である。化合物D-2から、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物D-3を調製することができる。
工程1
化合物C-3をオゾン分解させ、得られたアルデヒドの還元を行うことにより、化合物D-1を調製することができる。この反応は、当業者に既知の方法によって実施することができる。オゾン分解は、オゾン雰囲気下、ジクロロメタン、メタノール、およびそれらの混合溶媒などの適切な溶媒中において実施でき、また、窒素雰囲気下トリフェニルホスフィン、ピリジン、ジメチルスルフィド、およびトリメチルアミンなどの適切な試薬を用いて還元的後処理を実施することができる。オゾニドを生成する温度は、好ましくは-78℃であり、次いで温度を還元的後処理のために室温に温めることができる。反応時間は特に限定されないが、通常30分~5時間であり、好ましくは30分~2時間である。得られたアルデヒドの還元反応は、水素化ホウ素ナトリウム、または水素化アルミニウムリチウムなどの適切な還元剤を使用してワンポットで実施することができる。反応温度は、好ましくは0℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常30分~5時間であり、好ましくは30分~2時間である。
工程2
’’’’がCF、CHFまたはCHFである場合、一連の2工程:化合物D-1を酸化してアルデヒドもしくはカルボン酸を生成し、後続してフッ素化を行うか、または化合物D-1を直接フッ素化することにより、化合物D-2を得ることができる。この反応は、当業者に既知の方法によって実施することができる。例えば、TEMPO、Dess-Martin、またはSwern酸化などの適切な酸化条件下で化合物D-1を酸化させて対応するアルデヒドを得ることができる。対応するカルボン酸は、得られたアルデヒドの酸化反応により、または例えばPinnick、TEMPO、またはJonse酸化などの適切な条件を用いて化合物D-1を直接酸化させることにより得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。反応温度は通常-78℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。フッ素化反応は、例えばDAST、Deoxofluor、または四フッ化硫黄などの適切な試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-78℃~50℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
’’’がアルキルオキシである場合、化合物D-1の末端アルコールのアルキル化によって化合物D-2を得ることができる。この反応は、水素化ナトリウムなどの適切な塩基と、アルキルハライド、メシレート、またはトリフレートなどの対応する求電子試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、DMF、DMA、DMSO、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃~100℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
【0048】
一般合成法E
【化37】

(式中、Pは、ベンゾイルまたはベンジルなどの保護基であり、R’’’’’は、エチルまたはシクロプロピルであり、Xは、ハロゲン、メシレート、またはトリフレートなどの脱離基であり、その他の記号は上記の(1)と同義である。)
一般合成法Eは、化合物D-1から複数工程を経て、化合物E-4を調製する方法である。化合物E-2から、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物E-4を調製することができる。
工程1
化合物E-1は、化合物D-3の末端アルコールを脱離基に変換することによって調製することができる。この反応は、当業者に既知の方法によって実施することができる。例えばSOX、POX(X=ClもしくはBr)を使用するような適切なハロゲン化条件、またはトリフェニルホスフィンとCX(X=ClもしくはBr)もしくはヨウ素などのAppel反応条件下で化合物E-1を得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃~100℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
工程2
化合物D-3の末端アルコールを脱離基に変換することにより、化合物E-2を調製することができる。この反応は、当業者に既知の方法によって実施することができる。例えばSOX、POX(X=ClもしくはBr)を使用するような適切なハロゲン化条件、またはトリフェニルホスフィンとCX(X=ClもしくはBr)もしくはヨウ素などのAppel反応条件下で化合物E-1を得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃~100℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
工程3
化合物E-1の脱離反応により、化合物E-2を調製することができる。この反応は、当業者に既知の方法によって実施することができる。例えばナトリウムもしくはカリウムtert-ブトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、またはピリジンなどの適切な塩基を使用して化合物E-2を得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃~60℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
工程4
’’’’’がエチルである場合、化合物E-2の水素化によって化合物E-3を得ることができる。水素化は、例えばパラジウム炭素などの適切な触媒を水素雰囲気下で使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、水、それらの混合溶媒を包含する。反応温度は、通常は室温~80℃であり、好ましくは室温~60℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間、好ましくは30分~24時間である。
’’’’’がシクロプロピルである場合、化合物C-4のシクロプロパン化によって化合物E-3を得ることができる。この種類の反応は、ジアゾメタンなどの適切な試薬を使用して、適切な触媒の存在下もしくは非存在下で、または、例えばジヨードメタンとジエチル亜鉛などのシモンズ-スミス反応条件下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、またはそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は通常-30℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
【0049】
一般合成法F
【化38】

(式中、Pはベンゾイル、またはベンジルなどの保護基であり、R’’’’’’はフッ素またはアルキルオキシで置換されたアルキルであり、その他の記号は前記と同義である)
一般合成法Fは、化合物E2から複数工程を経て、化合物F-3を調製する方法である。化合物F-2から、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物F-3を調製することができる。
工程1
化合物F-3をオゾン分解させ、得られたアルデヒドの還元を行うことにより、化合物F-1を調製することができる。この反応は、当業者に既知の方法によって実施することができる。オゾン分解は、オゾン雰囲気下、ジクロロメタン、メタノール、およびそれらの混合溶媒などの適切な溶媒中において実施でき、また、窒素雰囲気下トリフェニルホスフィン、ピリジン、ジメチルスルフィド、およびトリメチルアミンなどの適切な試薬を用いて還元的後処理を実施することができる。オゾニドを生成する温度は、好ましくは-78℃であり、次いで温度を還元的後処理のために室温に温めることができる。反応時間は特に限定されないが、通常30分~5時間であり、好ましくは30分~2時間である。得られたアルデヒドの還元は、水素化ホウ素ナトリウム、または水素化アルミニウムリチウムなどの適切な還元剤を使用してワンポットで実施することができる。反応温度は、好ましくは0℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常30分~5時間であり、好ましくは30分~2時間である。
工程2
’’’’’’がCF、CHFまたはCHFである場合、一連の2工程:化合物F-1を酸化してアルデヒドもしくはカルボン酸を生成し、フッ素化を行うか、または化合物F-1を直接フッ素化することにより、化合物F-2を得ることができる。この反応は、当業者に既知の方法によって実施することができる。例えば、TEMPO、Dess-Martin、またはSwern酸化などの適切な酸化条件下で化合物F-1を酸化させて対応するアルデヒドを得ることができる。対応するカルボン酸は、得られたアルデヒドの酸化反応により、または例えばPinnick、TEMPO、またはJonse酸化などの適切な条件を用いて化合物F-1を直接酸化させることにより得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。反応温度は通常-78℃~室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。フッ素化反応は、例えばDAST、Deoxofluor、または四フッ化硫黄などの適切な試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは-78℃~50℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
’’’’’’がアルキルオキシである場合、化合物F-1の末端アルコールのアルキル化によって化合物F-2を得ることができる。この反応は、水素化ナトリウムなどの適切な塩基と、アルキルハライド、メシレート、またはトリフレートなどの対応する求電子試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、DMF、DMA、DMSO、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃~100℃である。反応時間は、特に限定されないが、通常は5分~24時間であり、好ましくは30分~24時間である。
【0050】
本発明化合物は、BACE1阻害活性を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌または沈着により誘発される疾患の治療および/または予防、症状改善ならびに進行予防に有効である。このような疾患の例としては、アルツハイマー病、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー型老年認知症、軽度認知障害(MCI)、前駆期アルツハイマー病(例えばアルツハイマー症に起因するMCI等)、ダウン症候群、記憶障害、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病)、オランダ型遺伝性アミロイド性脳出血、脳アミロイド血管症、他の種類の変性認知症、混合型認知症(例えばアルツハイマー病と血管性認知症の併発など)、パーキンソン病を伴う認知症、進行性核上麻痺を伴う認知症、皮質基底核変性症を伴う認知症、びまん性レビー小体病を伴うアルツハイマー病、加齢黄斑変性症、パーキンソン病、アミロイドアンジオパシー等が挙げられる。
さらに、本発明化合物は、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の(前臨床期アルツハイマー病の)患者における進行予防にも有効である。
「アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者」は、認識的および機能的には正常であるが、アルツハイマー病の潜在的な超早期徴候もしくは典型的な加齢による変化(例えば、MRI上での軽度の白質病変)がみられる、ならびに/または、低い脳脊髄液Aβ1-42レベルによって示されるアミロイドの沈着のエビデンスを有する対象を包含する。例えば、「アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者」は、臨床認知症評価法(CDR)もしくは臨床認知症評価法-日本版(CDR-J)のスコアが0である、および/または機能評価ステージ(Functional Assessment Staging, FAST)がステージ1もしくは2である対象を包含する。
【0051】
本発明化合物は、BACE1阻害活性のみならず、医薬としての有用性を備えている。該化合物は、好ましくは下記のいずれか1以上の優れた特徴を有している。
a)CYP酵素(例えば、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4等)に対する阻害作用が弱い。
b)高いバイオアベイラビリティーまたは低いクリアランスなどの優れた薬物動態プロファイルを示す。
c)代謝安定性が高い。
d)CYP酵素(例えば、CYP3A4)に対し、本明細書に記載する測定条件の濃度範囲内で不可逆的阻害を示さない。
e)突然変異誘発性を示さない。
f)心血管系のリスクが低い。
g)高い溶解性を示す。
h)脳内分布率が高い。
i)経口吸収性が高い。
j)半減期が長い。
k)非タンパク結合率が高い。
l)Ames試験が陰性である。
m)BACE2に対するBACE1への選択性が高い。
n)CYP酵素に対するメカニズムベース阻害(mechanism based inhibition)が弱い。例えば、本化合物の反応性代謝物のCYP酵素に対する阻害が弱い。
o)反応性代謝物の生成量が少ない。
p)P-gp基質性が弱い。
本発明化合物は、BACE1に対する阻害活性が高い、および/または、他の酵素、例えばBACE2などに対する選択性が高いため、副作用が軽減された医薬品となりうる。さらに細胞系でのアミロイドβ産生抑制効果が高い、特に脳内でのアミロイドβ産生抑制効果が高いため、優れた医薬品となりうる。さらに、適切な立体化学を有する光学活性体とすることで、副作用に対するより安全マージンの広い医薬品となりうる。
【0052】
本発明の医薬組成物を投与する場合、経口的または非経口的に投与することができる。経口投与用組成物は、経口固形製剤(例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤等)、経口液体製剤(例えば懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤、チンキ剤等)などの通常用いられる剤形で投与することができ、また、通常用いられる方法に従って調製し、投与してもよい。錠剤は糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠、または口腔内崩壊錠でもよい。散剤および顆粒剤はドライシロップ剤でもよい。カプセル剤はソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤でもよい。
非経口投与用組成物は、経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、内耳または膣内投与等の通常用いられる非経口剤形で好適に投与することができる。非経口投与の場合、注射剤、点滴剤、外用剤(例えば点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、リニメント剤、洗口剤、浣腸剤、軟膏剤、プラスター剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤、坐剤等)など、通常用いられるいずれの形態でも好ましく投与することができる。注射剤は、O/W、W/O、O/W/O、W/O/W型等のエマルジョンでもよい。
本発明化合物は経口吸収性が高いため、経口剤形として好ましく投与できる。
医薬組成物は、必要に応じて、製剤に適した賦形剤、結合剤、崩壊剤、および滑沢剤などの様々な医薬用添加剤を、有効量の本発明化合物と混合して製剤化することができる。さらに、本発明化合物の有効量、製剤および/または各種医薬用添加剤を適宜変えることで、小児患者、高齢患者、重症患者または手術用の医薬組成物としてもよい。小児用の医薬組成物は、12または15歳以下の患者に好ましく投与できる。加えて、小児用の医薬組成物は、生後27日齢未満、生後28日~23か月齢、2~11歳、12~16歳、17歳または18歳の患者に投与することができる。高齢者用の医薬組成物は、65歳以上の患者に好ましく投与される。
【0053】
本発明の医薬組成物の投与量は、患者の年齢および体重、疾患の種類および程度、投与経路などを考慮して決定されるべきである。成人への経口投与量は、通常0.05~100mg/kg/日の範囲内であり、好ましくは0.1~10mg/kg/日の範囲内である。非経口投与では、投与量は、投与経路により大きく異なり、通常の投与量は、0.005~10mg/kg/日、好ましくは0.01~1mg/kg/日の範囲である。これを1日1回~数回に分けて投与してもよい。
本発明化合物は、該化合物の活性の増強または該化合物の投与量の低減等を目的として、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤等のアルツハイマー病、アルツハイマー型認知症などを治療する他の薬物(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。この場合、本発明化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを対象に同時に、または一定間隔で投与してもよい。さらに、本発明化合物および併用薬剤は、各活性成分を含有する2つの異なる組成物として、または両方の活性成分を含有する単一の組成物として投与してもよい。
併用薬剤の用量は、臨床上用いられている用量を基準として適切に選択することができる。さらに、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与の対象、投与経路、標的疾患、症状、組み合わせ等を考慮して適切に選択することができる。例えば、投与の対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部の範囲内で用いることができる。
併用薬剤としては、例えば、塩酸ドネペジル、タクリン、ガランタミン、リバスチグミン、ザナペジル、メマンチン、およびビンポセチン等が挙げられる。
(実施例)
【0054】
以下に実施例および試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例中で用いる略語は以下の意味を表す。
Ac:アセチル
Et:エチル
Bz:ベンゾイル
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIC:ジイソプロピルカルボジイミド
iPr:イソプロピル
Me:メチル
Ph:フェニル
t-Bu:tert-ブチル
TBS:tert-ブチルジメチルシリル
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
ADDP:1,1’-(アゾジカルボニル)ジピペリジン
AIBN:2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)
(Boc)O:ジ-tert-ブチルジカーボネート
BOMCI:塩化ベンジルクロロメチルエーテルオキシメチル
DAST:三フッ化N,N-ジエチルアミノ硫黄
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
DCM:ジクロロメタン
DEAD:アゾジカルボン酸ジエチル
DIAD:アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DIBAL:水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMA:N,N-ジメチルアセトアミド
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HATU:O-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOAt:1-ヒドロキシ-7-アザ-ベンゾトリアゾール
HOBt:1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール
LDA:リチウムジイソプロピルアミド
LHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
mCPBA:m-クロロ過安息香酸
NCS:N-クロロスクシンイミド
NMP:N-メチルピロリドン
PPTS:ピリジニウムp-トルエンスルホネート
PyBOP:1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリ(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
TEMPO:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
THP:2-テトラヒドロピラニル
【0055】
NMRスペクトルは、Bruker Advance 400MHz分光計により記録し、ケミカルシフトは、テトラメチルシランまたは残留溶媒ピーク(CDCl=7.26ppm、DMSO-d=2.50ppm)に対して示した。

分析LC/MS(ESI ポジティブまたはネガティブ、保持時間(RT))データは、Shimadzu UFLCまたはWaters UPLCシステムを用い、以下の条件で記録した。
メソッドA
カラム:XBridge(登録商標)C18(5μm、内径4.6×50mm)(Waters)
流速:3mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は0.1%ギ酸溶液であり、[B]はアセトニトリル溶媒中の0.1%ギ酸である。
グラジエント:溶媒[B]10%-100%のリニアグラジエントを3分間実施し、溶媒[B]100%を1分間維持した。
メソッドB
カラム:Shim-pack XR-ODS(2.2μm、内径50×3.0mm)(Shimadzu)
流速:1.6mL/分
カラムオーブン:50℃
UV検出波長:254nm
移動相:[A]0.1%ギ酸含有水溶液;[B]0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジエント:溶媒[B]10%-100%のリニアグラジエントを3分間実施し、溶媒[B]100%を1分間維持した。
メソッドC
カラム:BEH C18(1.7μm、2.1×50mm)(Waters)
流速:0.8mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は95%HO+5%CHCN中で10mMのCHCOONHであり、[B]はアセトニトリルである。
グラジエント:溶媒[B]5%-95%のリニアグラジエントを1.3分間実施し、溶媒[B]95%を0.7分間維持した。
メソッドD
カラム:HSS T3(1.8μm、2.1×100mm)(Waters)
流速:0.7mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は95%HO+5%CHCN中で10mMのCHCOONHであり、[B]はアセトニトリルである。
グラジエント:溶媒[B]0%-95%のリニアグラジエントを2.1分間実施し、溶媒[B]95%を0.5分間維持した。
【0056】
(実施例1)
【0057】
化合物I-001の合成
【化39】

工程1:化合物1-2の合成
ガンマ-クロトノラクトン1-1(4.80g、57.1mmol)およびフェニルイソシアネート(12.4ml、114mmol)のトルエン(72ml)溶液に、2-(2-ニトロエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(15.0g、86.0mmol)およびDIPEA(0.499ml、2.85mmol)のトルエン(24ml)混合液を110℃で加えた。還流温度で3時間撹拌した後、反応混合液にDIPEA(0.499ml、2.85mmol)を加えた。還流温度で1時間撹拌した後、反応混合液を室温に冷却した。混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを20%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-2(6.50g、26.9mmol、47%)を褐色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.57-1.90 (6H, m), 3.51-3.62 (1H, m), 3.90 (1H, dt, J = 38.1, 9.9 Hz), 4.33-4.48 (2H, m), 4.54-4.79 (4H, m), 5.56-5.49 (1H, m).
工程2:化合物1-3の合成
化合物1-2(6.50g、26.9mmol)のMeOH(65ml)溶液に、TsOH-HO(0.513g、2.69mmol)を室温で加えた。同じ温度で2時間撹拌した後、EtN(0.373ml、2.69mmol)を反応混合物に加え、次いで減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-3(2.78g、17.7mmol、66%)を褐色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 2.38 (1H, br s), 4.44 (1H, d, J = 9.7 Hz), 4.74-4.58 (4H, m), 5.57-5.52 (1H, m).
工程3:化合物1-4の合成
化合物1-3(2.78g、17.7mmol)のCHCl(28ml)溶液に、90%のDAST(3.12ml、21.2mmol)を-78℃で加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌し、炭酸カリウム水溶液で処理した。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を水で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-4(1.58g、9.93mmol、56%)を褐色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 4.41 (1H, d, J = 9.7 Hz), 4.62 (1H, d, J = 11.3 Hz), 4.69 (1H, dd, J = 11.3, 5.3 Hz), 5.20-5.41 (2H, m), 5.63-5.57 (1H, m).
工程4:化合物1-5の合成
化合物1-4(1.58g、9.93mmol)のCHCl(12ml)およびトルエン(24ml)溶液に、DIBAL(1.02Mヘキサン溶液、10.7ml、10.9mmol)を-78℃で加えた。同じ温度で30分間撹拌した後、反応混合物をMeOH(1.33ml、32.8mmol)、THF(24ml)およびHO(0.885ml、49.2mmol)に加えた。室温で30分間撹拌した後、混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-5(829mg、5.14mmol、52%)を黄色の固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 2.60 (1H, d, J = 2.3 Hz), 3.95 (1H, d, J = 8.9 Hz), 4.25-4.31 (2H, m), 5.15 (1H, dd, J = 18.4, 11.7 Hz), 5.26 (1H, dd, J = 18.4, 11.7 Hz), 5.40-5.36 (1H, m), 5.72 (1H, d, J = 2.1 Hz).
工程5:化合物1-6の合成
化合物1-5(770mg、4.78mmol)およびアリルトリメチルシラン(3.80ml、23.9mmol)のDCM(15ml)およびMeCN(15ml)溶液に、BF-OEt(3.03ml、23.9mmol)を0℃で加えた。室温で1時間撹拌した後、反応を炭酸ナトリウム水溶液でクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-6(711mg、3.84mmol、80%)を無色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 2.25-2.44 (2H, m), 3.74 (1H, d, J = 9.5 Hz), 4.03-4.14 (2H, m), 4.24-4.29 (1H, m), 5.08-5.26 (4H, m), 5.35-5.29 (1H, m), 5.86-5.75 (1H, m).
工程6:化合物1-7の合成
1-ブロモ-2-フルオロベンゼン(1.68g、9.60mmol)のトルエン(28mL)およびTHF(7mL)溶液に、n-BuLi(1.64M n-ヘキサン溶液、5.85mL、9.60mmol)を-78℃で加え、同じ温度で10分間撹拌した。反応混合物に、BF-OEt(0.487ml、3.84mmol)、および、化合物1-6のトルエン(7mL)溶液を、-78℃で加え、同じ温度で1時間撹拌した。反応混合物にNHCl水溶液を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-7(883mg、3.14mmol、82%)を無色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 2.34 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.23-3.29 (1H, m), 3.96 (2H, d, J = 3.3 Hz), 4.52-4.76 (3H, m), 4.95 (1H, dd, J = 10.4, 47.1 Hz), 5.14 (1H, s), 5.18 (1H, d, J = 5.1 Hz), 5.80-5.93 (1H, m), 6.18 (1H, brs), 7.03-7.12 (1H, m), 7.15-7.20 (1H, m), 7.28-7.34 (1H, m), 7.69 (1H, brs).
工程7:化合物1-8の合成
化合物1-7(883mg、3.14mmol)のAcOH(8.8ml)溶液に、Zn(2.05g、31.4mmol)を室温で加えた。60℃で1時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、炭酸カリウム水溶液をこの混合物に加えた。混合液をCelite(登録商標)パッドでろ過し、ろ液をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-8(783mg、2.76mmol、88%)を無色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 2.21-2.31 (1H, m), 2.50-2.58 (1H, m), 2.65 (1H, dd, J = 8.5, 4.6 Hz), 3.63-3.73 (2H, m), 3.96 (1H, t, J = 3.3 Hz), 4.34-4.40 (1H, m), 4.50 (1H, dd, J = 47.8, 9.3 Hz), 4.90 (1H, ddd, J = 47.8, 9.3, 2.8 Hz), 5.12 (1H, s), 5.15 (1H, s), 5.84-5.96 (1H, m), 7.09 (1H, dd, J = 12.7, 8.2 Hz), 7.15-7.20 (1H, m), 7.21-7.28 (1H, m), 7.32-7.38 (1H, m), 7.62-7.68 (1H, m).
工程8:化合物1-9の合成
化合物1-8(783mg、2.76mmol)のCHCl(7.8ml)溶液に、ベンゾイルイソチオシアネート(0.417ml、3.04mmol)を室温で加えた。同じ温度で1日撹拌した後、反応混合物をEDC-HCl(1.06g、5.53mmol)に加えた。同じ温度で1日撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-9(864mg、2.10mmol、76%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 2.31-2.40 (1H, m), 2.65-2.73 (1H, m), 3.15 (1H, dd, J = 8.8, 4.2 Hz), 3.86 (1H, dd, J = 10.7, 2.5 Hz), 4.19 (1H, d, J = 10.7 Hz), 4.41-4.47 (1H, m), 4.57-4.61 (1H, m), 4.85 (2H, dt, J = 9.5, 46.6 Hz), 5.22-5.29 (2H, m), 5.87-5.98 (1H, m), 7.14-7.25 (2H, m), 7.33-7.55 (5H, m), 8.27 (2H, d, J = 7.4 Hz), 12.16 (1H, brs).
工程9:化合物1-10の合成
化合物1-9(864mg、2.10mmol)のCHCl(17ml)溶液を、オゾン雰囲気下、-78℃で撹拌した。同じ温度で20分間撹拌した後、反応混合物にPPh(1.26g、4.82mmol)をN雰囲気下で加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応混合物にMeOH(8.6ml)およびNaBH(238mg、6.28mmol)を加えた。同じ温度で2時間撹拌した後、反応混合物にNHCl水溶液を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-10(872mg、2.10mmol、100%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.87-1.97 (1H, m), 1.99-2.08 (1H, m), 2.29-2.34 (1H, m), 3.11 (1H, dd, J = 9.1, 4.2 Hz), 3.83-3.97 (3H, m), 4.21 (1H, d, J = 10.5 Hz), 4.51 (1H, t, J = 8.8 Hz), 4.58-4.62 (1H, m), 4.86 (2H, ddd, J = 46.7, 20.7, 9.3 Hz), 7.14-7.25 (2H, m), 7.35-7.51 (5H, m), 8.27 (2H, d, J = 7.3 Hz), 12.18 (1H, brs).
工程10:化合物1-11の合成
化合物1-10(872mg、2.10mmol)、PPh(1.10g、4.19mmol)およびイミダゾール(285mg、4.19mmol)のTHF(17ml)溶液に、I(1.06g、4.19mmol)を0℃で加えた。同じ温度で1.5時間撹拌した後、反応混合物にNaHSO水溶液を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-11(911mg、1.73mmol、83%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 2.12-2.29 (2H, m), 3.04 (1H, dd, J = 8.7, 4.4 Hz), 3.29 (1H, q, J = 8.7 Hz), 3.38-3.44 (1H, m), 3.86 (1H, dd, J = 10.8, 2.2 Hz), 4.20 (1H, d, J = 10.8 Hz), 4.37 (1H, t, J = 8.7 Hz), 4.59-4.63 (1H, m), 4.85 (2H, ddd, J = 46.7, 22.6, 9.5 Hz), 7.13-7.26 (2H, m), 7.33-7.56 (5H, m), 8.28 (2H, d, J = 7.5 Hz), 12.18 (1H, brs).
工程11:化合物1-12の合成
KOBu(1.0M THF溶液、6.92ml、6.92mmol)のTHF(9ml)溶液に、化合物1-11(911mg、1.73mmol)のTHF(9ml)混合液を0℃で加えた。同じ温度で30分間撹拌した後、反応混合物をNHCl水溶液で処理し、水層をAcOEtで抽出した。合わせた有機層をHOおよび食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、化合物1-12(677mg、1.70mmol、98%)を白色固体として得、精製することなしに次工程に使用した。
1H NMR (CDCl3) δ: 3.07 (1H, dd, J = 9.6, 4.1 Hz), 4.02 (1H, dd, J = 10.7, 2.9 Hz), 4.24 (1H, d, J = 10.7 Hz), 4.61-5.00 (4H, m), 5.42 (1H, d, J = 10.2 Hz), 5.54 (1H, d, J = 16.9 Hz), 5.91-6.01 (1H, m), 7.13-7.25 (2H, m), 7.34-7.56 (5H, m), 8.29 (2H, d, J = 7.5 Hz), 12.23 (1H, brs).
工程12:化合物1-13の合成
化合物1-12(452mg、1.14mmol)のCHCl(23ml)溶液を、オゾン雰囲気下、-78℃で撹拌した。同じ温度で20分間撹拌した後、反応混合物にPPh(684mg、2.61mmol)をN雰囲気下で加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応混合物にMeOH(11ml)およびNaBH(129mg、3.40mmol)を加えた。同じ温度で1.5時間撹拌した後、反応混合物にNHCl水溶液を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-13(457mg、1.14mmol、100%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.98 (1H, dd, J = 5.4, 7.8 Hz), 3.50 (1H, dd, J = 8.9, 4.3 Hz), 3.70-3.78 (1H, m), 3.92 (1H, dd, J = 10.5, 2.4 Hz), 3.99-4.05 (1H, m), 4.24 (1H, d, J = 10.5 Hz), 4.46-4.40 (1H, m), 4.65 (1H, t, J = 3.2 Hz), 4.86 (2H, ddd, J = 10.2, 12.5, 47.2 Hz), 7.14-7.25 (2H, m), 7.34-7.52 (5H, m), 8.27 (2H, d, J = 7.4 Hz), 12.17 (1H, brs).
工程13:化合物1-14の合成
化合物1-13(457mg、1.14mmol)、PPh(596mg、2.27mmol)およびイミダゾール(155mg、2.27mmol)のTHF(9ml)溶液に、I(576mg、2.27mmol)を0℃で加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応混合物にNaHSO水溶液を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-14(418mg、0.816mmol、72%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 3.42 (1H, dd, J = 8.6, 4.2 Hz), 3.51 (1H, dd, J = 11.5, 2.8 Hz), 3.78 (1H, dd, J = 11.5, 2.8 Hz), 4.06-4.16 (2H, m), 4.21 (1H, d, J = 10.7 Hz), 4.62-5.01 (3H, m), 7.17-7.27 (2H, m), 7.35-7.57 (5H, m), 8.27 (2H, d, J = 6.8 Hz), 12.19 (1H, brs).
工程14:化合物1-15の合成
化合物1-14(418mg、0.816mmol)のトルエン(4ml)溶液に、BuSnH(0.263ml、0.979mmol)およびAIBN(6.70mg、0.0410mmol)を室温で加えた。80℃で1時間撹拌した後、反応混合物を濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-15(280mg、0.725mmol、89%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.48 (3H, d, J = 5.9 Hz), 2.89 (1H, dd, J = 9.2, 4.1 Hz), 3.98 (1H, dd, J = 10.8, 2.9 Hz), 4.17 (1H, d, J = 10.8 Hz), 4.35-4.44 (1H, m), 4.61 (1H, t, J = 3.5 Hz), 4.79 (1H, dd, J = 10.0, 46.5 Hz), 4.94 (1H, dd, J = 10.0, 46.5 Hz), 7.13-7.26 (2H, m), 7.34-7.55 (5H, m), 8.28 (2H, d, J = 7.4 Hz), 12.18 (1H, brs).
工程15:化合物1-16の合成
化合物1-15(280mg、0.725mmol)のEtOH(3ml)およびTHF(3ml)溶液に、ヒドラジン水和物(0.352ml、7.25mmol)を室温で加えた。同じ温度で14時間撹拌した後、反応混合物を濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを40%から60%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物1-16(205mg、0.725mmol、100%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.44 (3H, d, J = 5.9 Hz), 2.77 (1H, dd, J = 8.9, 4.4 Hz), 3.81-3.88 (2H, m), 4.24-4.37 (3H, m), 4.54-4.76 (2H, m), 7.06 (1H, dd, J = 12.5, 8.2 Hz), 7.20-7.15 (1H, m), 7.27-7.33 (1H, m), 7.42-7.47 (1H, m).
工程16:化合物1-18の合成
化合物1-16(205mg、0.725mmol)のTFA(3ml)溶液に、硫酸(0.774ml、14.5mmol)を-8℃で加えた。同じ温度で5分間撹拌した後、反応混合物にHNO(0.0490ml、1.09mmol)を加えた。同じ温度で10分間撹拌した後、反応混合物をKCO水溶液で処理した。水層をAcOEtで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、化合物1-17を白色アモルファスとして得、精製することなしに次工程に使用した。
化合物1-17および10%Pd-C(245mg、0.109mmol)のMeOH(2ml)溶液を、H雰囲気下、室温で撹拌した。同じ温度で2時間撹拌した後、混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(Chiralpak(登録商標)IC、40%のイソプロピルアルコール(0.1%のジエチルアミンを含む))により精製して、化合物1-18(78.0mg、0.262mmol、36%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.42 (3H, d, J = 6.0 Hz), 2.75 (1H, dd, J = 9.0, 4.2 Hz), 3.61 (1H, brs), 3.84 (2H, dd, J = 14.2, 10.4 Hz), 4.25-4.34 (1H, m), 4.34-4.37 (1H, m), 4.50-4.74 (2H, m), 6.59-6.53 (1H, m), 6.72 (1H, dd, J = 6.7, 2.9 Hz), 6.85 (1H, dd, J = 11.9, 8.6 Hz).
工程17:化合物I-001の合成
化合物1-18(10.0mg、0.0340mmol)のMeOH(0.66ml)溶液に、5-(フルオロメトキシ)ピラジン-2-カルボン酸(5.79mg、0.0340mmol)および2mol/LのHCl(0.0168ml、0.0340mmol)を室温で加えた。反応混合物に、EDC-HCl(9.86mg、0.0370mmol)を同じ温度で加えた。30分間撹拌した後、反応混合物をNaHCO水溶液で処理した。水層をAcOEtで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して化合物I-001(10.0mg、0.0220mmol、66%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.45 (3H, d, J = 6.0 Hz), 2.80 (1H, dd, J = 8.7, 4.1 Hz), 3.87 (2H, s), 4.29-4.42 (2H, m), 4.59 (1H, dd, J = 13.8, 8.7 Hz), 4.71 (1H, dd, J = 13.8, 8.7 Hz), 6.15 (2H, dd, J = 51.2, 5.0 Hz), 7.12 (1H, dd, J = 11.6, 9.0 Hz), 7.48-7.53 (1H, m), 8.03-7.98 (1H, m), 8.30 (1H, s), 9.08 (1H, s), 9.52 (1H, s).
【0058】
(実施例2)
【0059】
化合物I-002の合成
【化40】

工程1:化合物2-3の合成
化合物1-12(200mg、0.502mmol)および10%Pd-C(203mg、0.0900mmol)のTHF(4ml)溶液を、H雰囲気下、室温で撹拌した。同じ温度で3時間撹拌した後、反応混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、化合物2-2を白色アモルファスとして得、精製することなしに次工程に使用した。
化合物2-2のEtOH(4ml)溶液に、ヒドラジン水和物(0.244ml、5.02mmol)を室温で加えた。50℃で30分間撹拌した後、反応混合物を濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを50%から60%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物2-3(124mg、0.418mmol、83%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.07 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.52-1.63 (1H, m), 1.78-1.90 (1H, m), 2.89 (1H, dd, J = 8.7, 4.4 Hz), 3.73 (1H, dd, J = 10.3, 2.0 Hz), 3.87 (1H, d, J = 10.3 Hz), 4.14-4.20 (1H, m), 4.27-4.30 (1H, m), 4.33 (1H, brs), 4.57 (1H, dd, J = 16.3, 8.9 Hz), 4.69 (1H, dd, J = 16.3, 8.9 Hz), 7.06 (1H, dd, J = 12.5, 7.9 Hz), 7.17 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.27-7.33 (1H, m), 7.44 (1H, t, J = 7.9 Hz).
工程2:化合物2-5の合成
化合物2-3(124mg、0.418mmol)のTFA(1.8ml)溶液に、硫酸(0.446ml、8.37mmol)を-8℃で加えた。同じ温度で5分間撹拌した後、反応混合物にHNO(0.0280ml、0.628mmol)を加えた。同じ温度で10分間撹拌した後、反応混合物をKCO水溶液で処理した。水層をAcOEtで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、化合物2-4を白色アモルファスとして得、精製することなしに次工程に使用した。
化合物2-4および10%Pd-C(141mg、0.0630mmol)のMeOH(6ml)溶液を、H雰囲気下、室温で撹拌した。同じ温度で2時間撹拌した後、反応混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(Chiralpak(登録商標)IC、40%のイソプロピルアルコール(0.1%のジエチルアミンを含む))により精製して、化合物2-5(52.0mg、0.167mmol、40%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.06 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.51-1.63 (1H, m), 1.77-1.89 (1H, m), 2.87 (1H, dd, J = 8.7, 4.3 Hz), 3.62 (1H, brs), 3.74 (1H, dd, J = 10.2, 2.2 Hz), 3.87 (1H, d, J = 10.2 Hz), 4.11-4.18 (1H, m), 4.33-4.37 (1H, m), 4.54 (1H, dd, J = 25.9, 8.7 Hz), 4.66 (1H, dd, J = 25.9, 8.7 Hz), 6.59-6.54 (1H, m), 6.72 (1H, dd, J = 6.7, 2.9 Hz), 6.84 (1H, dd, J = 11.9, 8.5 Hz).
工程3:化合物I-002の合成
化合物2-5(17.0mg、0.0550mmol)のMeOH(1ml)溶液に、5-(フルオロメトキシ)ピラジン-2-カルボン酸(9.40mg、0.0550mmol)および2mol/LのHCl(0.0273mL、0.0550mmol)を室温で加えた。反応混合物に、EDC-HCl(16.0mg、0.0600mmol)を同じ温度で加えた。1時間撹拌した後、反応混合物をNaHCO水溶液で処理した。水層をAcOEtで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して化合物I-002(20.0mg、0.0430mmol、79%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.08 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.78-1.90 (1H, m), 2.90-2.96 (1H, m), 3.76 (1H, dd, J = 10.3, 2.1 Hz), 3.90 (1H, d, J = 10.3 Hz), 4.17 (1H, t, J = 8.5 Hz), 4.35-4.39 (1H, m), 4.63 (2H, d, J = 47.1 Hz), 6.15 (2H, dd, J = 51.2, 5.0 Hz), 7.11 (1H, dd, J = 11.6, 8.8 Hz), 7.47-7.51 (1H, m), 7.98-8.03 (1H, m), 8.29 (1H, s), 9.08 (1H, s), 9.51 (1H, s).
【0060】
(実施例3)
【0061】
化合物I-003の合成
【化41】

I-003の合成では、ラセミ体3-1を使用し、したがって化合物3-2は4つのジアステレオマーの混合物だった。2つのジアステレオマーを、工程3でシリカゲルクロメートによって分離することができ、そのため、化合物3-3はエナンチオマー混合物だった。
工程1:化合物3-2の合成
5-メチルフラン-2(5H)-オン3-1(ラセミ体)(10.0g、102mmol)およびフェニルイソシアネート(22.2ml、204mmol)のトルエン(150ml)溶液に、2-(2-ニトロエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(26.8g、153mmol)およびDIPEA(0.890ml、5.10mmol)のトルエン(50ml)混合液を110℃で加えた。還流温度で3時間撹拌した後、反応混合液を室温に冷却した。混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを20%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、不純物を含有する化合物3-2(4つのジアステレオマーの混合物)(14.4g、56.4mmol、55%)を褐色の油状物として得た。
工程2:化合物3-3の合成
化合物3-2(14.4g、56.4mmol)のEtOH(43ml)溶液に、PPTS(2.84g、11.3mmol)を室温で加えた。60℃で3.5時間撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを50%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物3-3(エナンチオマー混合物)(3.69g、21.6mmol、38%)を褐色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.51 (3H, d, J = 6.8 Hz), 2.52-2.58 (1H, m), 4.50 (1H, d, J = 9.5 Hz), 4.60-4.64 (2H, m), 4.82 (1H, dq, J = 2.0, 6.8 Hz), 5.09 (1H, dd, J = 9.5, 2.0 Hz).
工程3:化合物3-4の合成
化合物3-3(3.69g、21.6mmol)のCHCl(37ml)溶液に、90%のDAST(3.80ml、25.9mmol)を-78℃で加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、炭酸カリウム水溶液で処理した。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を水で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを20%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物3-4(3.31g、19.1mmol、89%)を黄色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.51 (3H, d, J = 6.8 Hz), 4.46 (1H, dd, J = 9.5, 1.6 Hz), 4.80-4.86 (1H, m), 5.16 (1H, d, J = 9.5 Hz), 5.24 (1H, dd, J = 19.3, 11.5 Hz), 5.36 (1H, dd, J = 19.3, 11.5 Hz).
工程4:化合物3-5の合成
化合物3-4(3.31g、19.1mmol)のCHCl(66ml)溶液に、DIBAL(1.02M ヘキサン溶液、22.5ml、22.9mmol)を-78℃で加えた。同じ温度で20分間撹拌した後、反応混合物にロッシェル塩水溶液を加えた。室温で3時間撹拌した後、混合物に2mol/LのHCl(pH=4)を加えた。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を水で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを20%から80%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、ジアステレオマーを含有する化合物3-5(2.19g、12.5mmol、65%)を黄色固体として得た。
工程5:化合物3-7の合成
化合物3-5(1.96g、11.2mmol)およびトリエチルシラン(8.94ml、55.9mmol)のDCM(14ml)およびMeCN(14ml)溶液に、BF-OEt(7.09ml、55.9mmol)を0℃で加えた。同じ温度で15分間撹拌した後、反応混合物を炭酸ナトリウム水溶液で処理した。水層をAcOEtで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、化合物3-6を黄色の油状物として得、精製することなしに次工程に使用した。
1-ブロモ-2-フルオロベンゼン(4.90g、28.0mmol)のトルエン(80mL)およびTHF(10mL)溶液に、n-BuLi(1.62M n-ヘキサン溶液、17.1mL、28.0mmol)を-78℃で加え、反応混合物を同じ温度で10分間撹拌した。反応混合物に、BF-OEt(1.42ml、11.2mmol)、ならびに化合物3-6のTHF(10mL)およびトルエン(18mL)溶液を-78℃で加え、反応混合物を同じ温度で30分間撹拌した。反応混合物にNHCl水溶液を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを0%から20%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物3-7(1.31g、5.13mmol、46%)を黄色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.18 (3H, d, J = 6.8 Hz), 3.52-3.59 (1H, m), 4.03 (1H, dd, J = 10.6, 7.3 Hz), 4.21-4.38 (3H, m), 4.68 (1H, dd, J = 47.4, 9.8 Hz), 4.85-5.03 (1H, m), 6.16 (1H, s), 7.07 (1H, dd, J = 11.9, 8.2 Hz), 7.18 (1H, t, J = 7.2 Hz), 7.28-7.35 (1H, m), 7.67 (1H, brs).
工程7:化合物3-8の合成
化合物3-7(1.31g、5.13mmol)のAcOH(13ml)溶液に、Zn(2.01g、30.8mmol)を室温で加えた。60℃で2時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、この混合物に炭酸カリウム水溶液を加えた。混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過し、ろ液をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物3-8(1.08g、4.20mmol、82%)を無色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.06 (3H, d, J = 6.8 Hz), 2.84-2.92 (1H, m), 3.55 (1H, d, J = 4.3 Hz), 3.95 (1H, q, J = 6.8 Hz), 4.00-4.06 (1H, m), 4.09-4.19 (1H, m), 4.34 (1H, dd, J = 48.2, 9.1 Hz), 4.90 (1H, ddd, J = 48.2, 9.1, 2.5 Hz), 7.08-7.15 (1H, m), 7.23-7.27 (1H, m), 7.33-7.40 (1H, m), 7.70-7.64 (1H, m).
工程8:化合物3-9の合成
化合物3-8(1.08mg、4.20mmol)のCHCl(11ml)溶液に、ベンゾイルイソチオシアネート(0.633ml、4.62mmol)を室温で加えた。同じ温度で3時間撹拌した後、反応混合物にEDC-HCl(1.61g、8.40mmol)を加えた。同じ温度で14時間撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物3-9(1.04g、2.69mmol、64%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.18 (3H, d, J = 6.8 Hz), 3.27-3.35 (1H, m), 3.98 (1H, t, J = 10.0 Hz), 4.24-4.31 (2H, m), 4.42 (1H, q, J = 6.8 Hz), 4.71 (1H, dd, J = 46.4, 9.4 Hz), 4.85 (1H, dd, J = 46.4, 9.4 Hz), 7.15-7.26 (2H, m), 7.56-7.35 (5H, m), 8.27 (2H, d, J = 7.4 Hz), 12.14 (1H, s).
工程8:化合物3-10の合成
化合物3-9(1.04g、2.69mmol)のMeOH(10ml)およびTHF(10ml)溶液に、ヒドラジン水和物(1.31ml、26.9mmol)を室温で加えた。50℃で1時間撹拌した後、反応混合物を濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを50%から80%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物3-10(734mg、2.60mmol、97%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.11 (3H, d, J = 6.8 Hz), 3.16-3.24 (1H, m), 3.89 (1H, t, J = 9.9 Hz), 3.95 (1H, d, J = 4.4 Hz), 4.17-4.30 (3H, m), 4.51 (1H, dd, J = 9.2, 47.1 Hz), 4.66 (1H, ddd, J = 47.1, 9.0, 1.5 Hz), 7.07 (1H, dd, J = 12.3, 7.7 Hz), 7.18 (1H, t, J = 7.2 Hz), 7.27-7.35 (1H, m), 7.51-7.44 (1H, m).
工程9:化合物3-11の合成
化合物3-10(734mg、2.60mmol)のTFA(5.6ml)溶液に、硫酸(1.39ml、26.0mmol)を-8℃で加えた。同じ温度で5分間撹拌した後、反応混合物にHNO(0.174ml、3.90mmol)を加えた。同じ温度で10分間撹拌した後、反応混合物をKCO水溶液で処理し、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をアミノシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを60%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物3-11(820mg、2.51mmol、96%)を白色のアモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.14 (3H, d, J = 6.7 Hz), 3.13-3.20 (1H, m), 3.88 (1H, t, J = 9.8 Hz), 3.97 (1H, d, J = 4.8 Hz), 4.09-4.23 (2H, m), 4.34 (2H, s), 4.48 (1H, dd, J = 20.6, 8.2 Hz), 4.60 (1H, dd, J = 20.6, 8.2 Hz), 7.23-7.28 (1H, m), 8.26-8.20 (1H, m), 8.45 (1H, dd, J = 6.8, 2.8 Hz).
工程10:化合物3-12の合成
化合物3-11(820mg、2.51mmol)および10%Pd-C(169mg、0.0750mmol)のMeOH(16ml)溶液を、H雰囲気下、室温で撹拌した。同じ温度で2時間撹拌した後、混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(Chiralpak(登録商標)ID、20%のイソプロピルアルコール(0.1%のジエチルアミンを含む))により精製して、化合物3-12(300mg、1.01mmol、40%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.11 (3H, d, J = 6.8 Hz), 3.14-3.21 (1H, m), 3.61 (2H, s), 3.86 (1H, t, J = 9.9 Hz), 4.01 (1H, d, J = 4.3 Hz), 4.08-4.20 (2H, m), 4.47 (1H, dd, J = 46.9, 8.8 Hz), 4.63 (1H, ddd, J = 46.9, 8.8, 1.6 Hz), 6.60-6.55 (1H, m), 6.75 (1H, dd, J = 6.7, 2.9 Hz), 6.86 (1H, dd, J = 11.9, 8.7 Hz).
工程11:化合物I-003の合成
化合物3-12(20.0mg、0.0670mmol)のMeOH(1ml)溶液に、5-(フルオロメトキシ)ピラジン-2-カルボン酸(11.6mg、0.0670mmol)および2mol/LのHCl(0.0336ml、0.0670mmol)を室温で加えた。反応混合物に、EDC-HCl(19.7mg、0.0740mmol)を同じ温度で加えた。1時間撹拌した後、反応混合物をNaHCO水溶液で処理した。水層をAcOEtで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して化合物I-003(22.0mg、0.0490mmol、72%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.13 (3H, d, J = 6.7 Hz), 3.18-3.25 (1H, m), 3.89 (1H, t, J = 9.9 Hz), 4.03 (1H, d, J = 4.5 Hz), 4.13 (1H, q, J = 6.7 Hz), 4.17-4.24 (1H, m), 4.33 (2H, br s), 4.46-4.71 (2H, m), 6.15 (2H, ddd, J = 51.1, 7.1, 2.0 Hz), 7.13 (1H, dd, J = 11.7, 8.9 Hz), 7.54 (1H, dd, J = 6.9, 2.8 Hz), 7.97-8.02 (1H, m), 8.29 (1H, d, J = 1.3 Hz), 9.08 (1H, d, J = 1.3 Hz), 9.51 (1H, s).
【0062】
(実施例4)
【0063】
化合物I-004の合成
【化42】

工程1:化合物4-1の合成
化合物4-1は、上記プロトコル(実施例1の工程1から工程12)と同様の方法で化合物3-1から合成した。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.18 (3H, d, J = 6.8 Hz), 3.49 (1H, dd, J = 9.9, 4.3 Hz), 3.68-3.74 (1H, m), 4.02 (1H, d, J = 10.4 Hz), 4.28 (1H, d, J = 4.3 Hz), 4.39 (1H, d, J = 9.9 Hz), 4.48 (1H, q, J = 6.8 Hz), 4.75-4.86 (1H, m), 4.87-4.96 (1H, m), 7.14-7.26 (2H, m), 7.34-7.58 (4H, m), 7.62-7.72 (1H, m), 8.27 (2H, d, J = 7.0 Hz).
工程2:化合物4-2の合成
化合物4-1(165mg、0.40mmol)のCHCl(10ml)溶液に、DAST(128mg、0.79mmol)を、窒素下、0℃で加えた。混合物を0℃で2時間撹拌した。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を飽和NaHSO水溶液によってクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物4-2を白色固体として得、精製することなしに次工程に使用した。
MS (メソッドB) : m/z = 417 [M+H]+
工程3:化合物4-3の合成
化合物4-3は、上記プロトコル(実施例1の工程15)と同様の方法で調製した。(収率:未精製)
MS (メソッドB) : m/z = 315 [M+H]+
工程4:化合物4-4の合成
化合物4-4は、上記プロトコル(実施例1の工程16)と同様の方法で調製した。(収率:未精製)
MS (メソッドB) : m/z = 360 [M+H]+
工程5:化合物4-5の合成
化合物4-5は、上記プロトコル(実施例1の工程17、SFC:Chiralpak(登録商標)ID、10%のメタノール(0.1%ジエチルアミンを含む))と同様の方法で調製した。(収率:20%、4工程)
MS (メソッドB) : m/z = 330 [M+H]+
工程5:化合物I-004の合成
化合物I-004は、上記プロトコル(実施例1の工程18)と同様の方法で調製した。(収率:70%)
MS (メソッドB) : m/z = 484 [M+H]+
1H NMR (CDCl3) δ: 1.13 (3H, d, J = 6.8 Hz), 3.39 (1H, dd, J = 9.7, 4.5 Hz), 4.10 (1H, d, J = 4.5 Hz), 4.38-4.49 (3H, m), 4.55 (1H, d, J = 9.3 Hz), 4.64-4.70 (1H, m), 4.72-4.89 (2H, m), 6.09 (1H, d, J = 3.9 Hz), 6.22 (1H, d, J = 3.9 Hz), 7.10-7.16 (1H, m), 7.56 (1H, dd, J = 6.8, 2.7 Hz), 7.94-7.98 (1H, m), 8.30 (1H, s), 9.08 (1H, s), 9.52 (1H, s).
【0064】
(実施例5)
【0065】
化合物I-005の合成
【化43】

工程1:化合物5-1の合成
化合物5-1は、上記プロトコル(実施例1の工程1から工程12)と同様の方法で化合物1-1から合成した。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.78 (3H, s), 2.01 (1H, t, J = 6.5 Hz), 3.39 (1H, dd, J = 8.8, 4.5 Hz), 3.74-3.81 (1H, m), 3.92 (1H, dd, J = 10.5, 2.5 Hz), 4.00-4.07 (1H, m), 4.24 (1H, d, J = 10.5 Hz), 4.28-4.34 (1H, m), 4.58 (1H, dd, J = 4.5, 2.5 Hz), 7.10-7.19 (2H, m), 7.25-7.30 (1H, m), 7.32-7.38 (1H, m), 7.44 (2H, t, J = 7.4 Hz), 7.52 (1H, t, J = 7.4 Hz), 8.23-8.29 (2H, m), 11.70 (1H, s).
工程2:化合物5-2の合成
化合物5-1(165mg、0.59mmol)のEtOAc(6ml)溶液に、(1r、3r、5r、7r)-2-(11-オキシダニル)-2-アザアダマンタン(AZADO、0.9mg、6μmol)、臭化カリウム(14.1mg、0.12mmol)およびNaHCO(74.8mg、0.89mmol)のHO(3ml)混合液を0℃で加えた。0℃で30分間撹拌した後、反応混合物を、Na5HO(294mg、1.19mmol、2.0当量)およびNaCl(295mg、5.04mmol、8.5当量)のHO(10ml)混合液によってクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、化合物5-2を白色固体として得、精製することなしに次工程に使用した。
MS (メソッドB) : m/z = 399 [M+H]+
工程3:化合物5-3の合成
化合物5-2のCHCl(8.6ml)溶液に、N,O-ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩(105mg、1.075mmol)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(188μl、1.075mmol)、および3-(((エチルイミノ)メチレン)アミノ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン塩酸塩(113mg、0.591mmol)を室温で加えた。室温で30分間撹拌した後、反応混合物をHOによってクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、化合物5-3を黄色の油状物として得、精製することなしに次工程に使用した。
MS (メソッドB) : m/z = 442 [M+H]+
工程4:化合物5-4の合成
化合物5-3のTHF(10.5ml)溶液に、臭化メチルマグネシウム(0.789mL、2.367mmol)を窒素下、0℃で加えた。0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を飽和NHCl水溶液によってクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、化合物5-4を黄色の油状物として得、精製することなしに次工程に使用した。
MS (メソッドB) : m/z = 397 [M+H]+
工程5:化合物5-5の合成
化合物5-34のMeOH(8ml)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(38.8mg、1.027mmol)を0℃で加えた。0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を飽和NHCl水溶液によってクエンチし、混合物をCHClで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、化合物5-5を黄色の油状物として得、精製することなしに次工程に使用した。
MS (メソッドB) : m/z = 399 [M+H]+
工程6:化合物5-6の合成
化合物6-6は、上記プロトコル(実施例3の工程2)と同様の方法で調製した。(収率:34%)
MS (メソッドB) : m/z = 401 [M+H]+
1H NMR (CDCl3) δ: 1.53 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.75 (3H, s), 3.46 (1H, t, J = 6.3 Hz), 3.83 (1H, d, J = 10.7 Hz), 4.22 (1H, d, J = 22.1 Hz), 4.55-4.82 (2H, m), 5.44 (1H, dd, J = 50.3, 13.7 Hz), 7.11-7.17 (2H, m), 7.23-7.28 (1H, m), 7.32-7.36 (1H, m), 7.42-7.45 (2H, m), 7.50-7.52 (1H, m), 8.26-8.27 (2H, m), 11.54 (1H, s).
工程7:化合物5-7の合成
化合物5-7は、上記プロトコル(実施例1の工程15)と同様の方法で調製した。(収率:未精製)
MS (メソッドB) : m/z = 297 [M+H]+
工程8:化合物5-8の合成
化合物5-8は、上記プロトコル(実施例1の工程16)と同様の方法で調製した。(収率:未精製)
MS (メソッドB) : m/z = 342 [M+H]+
工程9:化合物5-9の合成
化合物5-9は、上記プロトコル(実施例1の工程17)と同様の方法で調製した。(収率:80%、3工程)
MS (メソッドB) : m/z = 312 [M+H]+
工程9:化合物I-005の合成
化合物I-005は、上記プロトコル(実施例1の工程18、SFC:Chiralpak(登録商標)IE、35%MeOH(0.1%ジエチルアミンを含む))と同様の方法で調製した(収率:25%)。この化合物は、ジアステレオマー混合物(比:1:0.3)だった。
MS (メソッドB) : m/z = 466 [M+H]+
1H NMR (CDCl3) δ: 1.44 (0.9H, d, J = 6.4 Hz), 1.50 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.58 (3.9H, s), 1.59-1.96 (0.3H, br m), 2.88 (0.3H, dd, J = 8.6, 4.3 Hz), 3.14 (1H, dd, J = 8.6, 4.3 Hz), 3.76 (1.3H, d, J = 10.3 Hz), 3.90 (0.3H, d, J = 10.3 Hz), 3.97 (1H, d, J = 10.3 Hz), 4.05-4.07 (0.3H, m), 4.21-4.29 (1H, m), 4.29-4.32 (0.3H, br m), 4.37-4.39 (1H, br m), 4.74-4.86 (1H, m), 6.08 (1.3H, d, J = 2.7 Hz), 6.21 (1.3H, d, J = 2.7 Hz), 7.08-7.11 (1.3H, m), 7.37-7.40 (1.3H, m), 7.93-7.97 (1.3H, m), 8.29 (1.3H, d, J = 1.3 Hz), 9.08 (1.3H, s), 9.49 (1.3H, s).
【0066】
(実施例6)
【0067】
化合物I-006の合成
【化44】

工程1:化合物6-2の合成
化合物6-1(198mg、0.48mmol)のDMF(6ml)溶液に、NaH(48mg、1.19mmol)を室温で加えた。室温で30分間撹拌した後、MeI(68mg、0.48mmol)を混合物に加えた。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を水によってクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をNHシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを40%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物6-2を無色の油状物として得、精製することなしに次工程に使用した。
MS (メソッドB) : m/z = 431 [M+H]+
工程2:化合物6-3の合成
化合物6-3は、上記プロトコル(実施例1の工程15)と同様の方法で調製した(収率:未精製)。
MS (メソッドB) : m/z = 327 [M+H]+
工程3:化合物6-4の合成
化合物6-4は、上記プロトコル(実施例1の工程16)と同様の方法で調製した(収率:未精製)。
MS (メソッドB) : m/z = 372 [M+H]+
工程4:化合物6-5の合成
化合物6-5は、上記プロトコル(実施例1の工程17、SFC:Chiralpak(登録商標)IC、10%MeOH(0.1%ジエチルアミンを含む))と同様の方法で調製した(収率:36%、4工程)。
MS (メソッドB) : m/z = 330 [M+H]+
工程5:化合物I-006の合成
化合物6-6は、上記プロトコル(実施例1の工程18)と同様の方法で調製した(収率:80%)。
MS (メソッドB) : m/z = 496 [M+H]+
1H NMR (CDCl3) δ: 1.13 (3H, d, J = 6.8 Hz), 3.27 (1H, dd, J = 10.7, 4.3 Hz), 3.47 (3H, s), 3.55 (1H, dd, J = 10.7, 4.3 Hz), 3.73 (1H, d, J = 10.7 Hz), 4.07 (1H, d, J = 4.3 Hz), 4.44-4.64 (5H, m), 6.09 (1H, d, J = 4.9 Hz), 6.21 (1H, d, J = 4.9 Hz), 7.11-7.14 (1H, m), 7.51 (1H, dd, J = 6.7, 2.8 Hz), 7.96-8.00 (1H, m), 8.29 (1H, s), 9.08 (1H, s), 9.51 (1H, s).
【0068】
(実施例7)
【0069】
化合物I-013の合成
【0070】
【化45】

工程1:化合物13-2の合成
既知の合成法(国際公開第2014001228号)に従って調製した化合物13-1(42.3g、304mmol)のCHCl(423ml)溶液に、mCPBA(70wt%、74.9g、304.0mmol)を0℃で加えた。室温で一晩撹拌した後、Na水溶液を反応混合物に加えた。反応混合液を減圧下で濃縮した。残渣をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcで溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物13-2(42.0g、271mmol、89%)を無色の油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 2.08-2.17 (4H, m), 2.34 (1H, ddd, J = 14.7, 7.5, 3.8 Hz), 2.43-2.57 (2H, m), 4.80-4.76 (1H, m), 5.54 (1H, d, J = 9.0 Hz).
工程2:化合物13-3の合成
化合物13-2(13.4g、86mmol)のトルエン(134ml)溶液に、DIBAL(1.0M n-ヘキサン溶液、95.0mL、95.0mmol)を-78℃で加えた。混合物を同じ温度で1時間撹拌した。反応混合物をロッシェル塩水溶液で処理した。不溶性物質をCelite(登録商標)パッドで濾去した。ろ液に塩化ナトリウムを加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層をEtOAcで抽出し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮し、粗化合物13-3(4.05g、30%)をジアステレオマー混合物として得た。
工程3:化合物13-4の合成
化合物13-3(3.0g、19.1mmol)のCHCl/CHCN(4.5mL/4.5mL)溶液に、トリエチルシラン(6.66g、57.3mmol)およびBF-OEt(8.13g、57.3mmol)を0℃で加え、反応混合物を同じ温度で30分間撹拌した。反応混合物にNaHCO水溶液を加え、水層をCHClで抽出した。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcで溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物13-4(720mg、5.16mmol、27%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.54-1.62 (1H, m), 1.72-1.95 (2H, m), 2.09 (3H, s), 2.21-2.15 (1H, m), 3.46 (1H, ddd, J = 12.2, 8.1, 3.2 Hz), 3.68-3.73 (1H, m), 4.15-4.18 (1H, m), 4.54 (1H, d, J = 6.0 Hz).
工程4:化合物13-5の合成
1-ブロモ-2-フルオロベンゼン(2.23g、12.8mmol)のトルエン/THF(28.8mL/5.76mL)溶液に、n-BuLi(1.55M n-ヘキサン溶液、8.23mL、12.8mmol)を-78℃で加え、反応混合液を同じ温度で30分間撹拌した。反応混合物に、BF-OEt(724mg、5.10mmol)、ならびに化合物13-4のTHF/トルエン(0.72mL/3.60mL)溶液を-78℃で加え、反応混合物を同じ温度で1時間撹拌した。反応混合物にNHCl水溶液を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を飽和NaHCO水溶液および飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcで溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物13-5(720mg、5.16mmol、27%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.42-1.38 (1H, m), 1.58 (3H, s), 1.60-1.69 (1H, m), 1.75-1.87 (1H, m), 1.99-2.05 (1H, m), 3.41-3.48 (1H, m), 3.57-3.59 (1H, m), 3.99-4.03 (1H, m), 4.25-4.27 (1H, m), 6.20 (1H, br s), 6.99-7.04 (1H, m), 7.13-7.18 (1H, m), 7.23-7.28 (1H, m), 7.91 (1H, td, J = 7.9, 1.8 Hz).
工程5:化合物13-6の合成
化合物13-5(1.2g、5.10mmol)の酢酸(12.1mL)溶液に、亜鉛(3.33g、51.0mmol)を加え、反応混合物を60℃で2時間撹拌した。不溶性物質をCelite(登録商標)パッドで濾去した。ろ液を減圧下で濃縮した。残渣に、NaHCO水溶液を加え、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。CHCl(10mL)中の残渣の溶液に、ベンゾイルイソチオシアネート(641mg、3.93mmol)を室温で加え、反応混合物を1時間撹拌した。反応混合物に、EDC(753mg、3.93mmol)を室温で加え、反応混合物を1時間撹拌した。反応混合液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcで溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物13-6(1.1g、3.0mmol、59%)を得た。LC/MS: 方法A, M+1 = 369, tR = 1.80分.
工程6:化合物13-7の合成
化合物13-6(1.1g、3.0mmol)のTHF/MeOH(11mL/11mL)溶液に、ヒドラジン水和物(1.50g、30.0mol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcで溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮して、化合物13-7(1.3g)を得、さらに精製することなく次の反応に使用した。LC/MS: 方法A, M+1 = 265, tR = 0.88分.
工程7:化合物13-8の合成
粗化合物13-7(1.3g)のトリフルオロ酢酸(9.7mL)溶液に、硫酸(2.4mL、45mmol)および硝酸(0.40mL、900mmol)を0℃で加え、反応混合物を同じ温度で30分間撹拌した。反応混合物を、冷やしたKCO(1.6g、120mmol)水溶液に注入した。水層をEtOAcで抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcで溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物13-8(927mg、3.0mmol、定量)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.39-1.42 (1H, m), 1.53-1.62 (1H, m), 1.59 (3H, d, J = 1.9 Hz), 1.88-2.02 (2H, m), 3.53-3.60 (1H, m), 3.66-3.67 (1H, m), 3.86 (1H, s), 4.10-4.14 (2H, m), 4.23 (1H, br s), 7.17 (1H, dd, J = 10.7, 8.9 Hz), 8.16 (1H, ddd, J = 8.9, 4.0, 2.9 Hz), 8.41 (1H, dd, J = 6.8, 2.9 Hz).
工程8:化合物13-9の合成
粗化合物13-8(996mg、3.2mmol)のMeOH(15mL)溶液に、Pd-C(5wt%、343mg、0.16mmol)を加え、反応混合物を、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。不溶性物質をCelite(登録商標)パッドで濾去した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(Chiralpak(登録商標)IC;50%エタノール(0.1%のジエチルアミンを含む))により精製して、化合物13-9(235mg、26%)を単一のエナンチオマーとして得た。LC/MS: 方法A, M+1 = 280, tR = 0.77分.
工程9:化合物I-013の合成
化合物13-9(50.0mg、0.179mmol)のMeOH(1.0mL)溶液に、2Mの塩化水素水溶液(0.09mL、0.179mmol)を加えた。溶液に、5-(フルオロメトキシ)ピラジン-2-カルボン酸(30.8mg、0.179mmol)およびEDC(37.7mg、0.179mmol)を室温で加え、反応混合物を1時間撹拌した。反応混合物をNaHCO水溶液でクエンチした。水層をEtOAcで抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をMeOH/水で粉末化して、化合物I-013(58.0mg、75%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.25-1.42 (2H, m), 1.61 (3H, s), 1.87-2.01 (2H, m), 3.55-3.62 (1H, m), 3.81 (1H, s), 3.94 (1H, s), 4.09-4.13 (1H, m), 6.15 (3H, ddd, J = 51.1, 9.4, 2.0 Hz), 7.07 (1H, dd, J = 11.4, 8.8 Hz), 7.42 (1H, dd, J = 6.8, 2.7 Hz), 8.01-8.05 (1H, m), 8.29 (1H, s), 9.08 (1H, s), 9.52 (1H, br s).
【0071】
(実施例8)
【0072】
化合物I-014の合成
【0073】
【化46】

工程1
化合物14-1(10.9g、99mmol)のTHF(219mL)溶液に、1.45mol/Lの塩化ビニルマグネシウム THF(82mL、119mmol)溶液を-78℃で加えた。-78℃で3時間撹拌した後、反応混合物を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、炭酸カリウムで塩基性化し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水で洗浄した。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をアミノシリカゲルカラムに加え、ヘキサン/EtOAcの20%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物14-2(9.97g、72.2mmol、73%)を無色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.76 (1H, d, J = 6.4 Hz), 3.88 (3H, s), 5.18-5.23 (2H, m), 5.36 (1H, d, J = 17.3 Hz), 6.09 (1H, ddd, J = 17.1, 10.4, 6.0 Hz), 7.33 (1H, s), 7.45 (1H, s).
工程2
化合物14-2(9.97g、72.2mmol)のDMF(150mL)溶液に、60wt%の水素化ナトリウム(4.33g、108mmol)を加えた。室温で10分間撹拌した後、反応混合物に臭化アリル(12.5mL、144mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を冷水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から80%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物14-3(12.0g、67.3mmol、93%)を白色の泡状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.88 (3H, s), 3.94-4.05 (2H, m), 4.81 (1H, d, J = 7.0 Hz), 5.15-5.33 (4H, m), 5.87-6.02 (2H, m), 7.31 (1H, s), 7.42 (1H, s).
工程3
化合物14-3(12.0g、67.3mmol)のジクロロメタン(60mL)溶液に、[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリジン-2-イリデン](クロロ)(フェニルメチリデン)ルテニウム;トリシクロヘキシルホスファン(1.14g、1.35mmol)を加えた。40℃で3時間撹拌した後、溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを20%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物14-4(4.05g、27.0mmol、40%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.87 (3H, s), 4.64-4.70 (1H, m), 4.73-4.80 (1H, m), 5.78-5.82 (1H, m), 5.86-5.90 (1H, m), 6.02-6.05 (1H, m), 7.42 (1H, s), 7.45 (1H, s).
工程4
化合物14-4(4.05g、27.0mmol)のトルエン(81mL)溶液に、ニトロエタン(5.81mL、81mmol)、イソシアナトベンゼン(11.7mL、108mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.18mL、6.74mmol)を加えた。130℃で10時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムに加え、クロロホルム/メタノールの0%から20%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から70%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物14-5(2.75g、13.3mmol、異性体の混合物として49%)を橙色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.98-2.08 (2H, m), 3.77-4.12 (6H, m), 5.10-5.30 (2H, m), 7.29-7.48 (2H, m).
工程5
1-ブロモ-2-フルオロベンゼン(11.6g、66.5mmol)のトルエン(110mL)およびTHF(27.5mL)溶液に、1.6mol/L n-ブチルリチウム n-ヘキサン溶液(41.5mL、66.5mmol)を-78℃で、続いて三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート(5.05mL、39.9mmol)、および化合物14-5(2.75g、13.3mmol)のトルエン(110mL)溶液を加えた。-78℃で1時間撹拌した後、反応混合物を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを40%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物14-6(2.31g、7.62mmol、異性体の混合物として57%)を黄色のアモルファスとして得た。LC/MS: 方法A, M+1 = 304, tR = 1.37, 1.47分.
工程6
化合物14-6(2.31g、7.62mmol)の酢酸(23.1mL)溶液に、亜鉛(4.98g、76mmol)を加えた。90℃で1時間撹拌した後、反応混合物に追加の亜鉛(4.98g、76mmol)を加えた。90℃で1時間撹拌した後、反応を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(200mL)でクエンチし、混合物を酢酸エチルで希釈した。混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、化合物14-7(2.02g、6.61mmol、87%)を白色のアモルファスとして得た。生成物をさらに精製することなく次の反応に使用した。LC/MS: 方法A, M+1 = 306, tR = 0.36分.
工程7
化合物14-7(2.02g、6.61mmol)のジクロロメタン(10.1mL)溶液に、ベンゾイルイソチオシアネート(0.978mL、7.27mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、反応混合物にEDC塩酸塩(1.52g、7.93mmol)を加えた。40℃で1時間撹拌した後、反応混合物に追加のEDC塩酸塩(0.380g、1.98mmol)を加えた。40℃でさらに1時間撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムに加え、ヘキサン/EtOAcの10%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物14-8(1.08g、2.48mmol、38%)を黄色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.47-3.53 (1H, m), 3.94 (3H, s), 4.05-4.15 (1H, m), 4.22 (1H, d, J = 11.0 Hz), 4.64-4.68 (1H, m), 5.16 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.09-7.56 (10H, m), 7.64 (1H, s), 8.28 (2H, d, J = 7.3 Hz), 11.66-11.75 (1H, br).
工程8
化合物14-8(1.07g、2.46mmol)のTHF(10.7mL)溶液に、ジ-tert-ブチルジカーボネート(0.686mL、2.95mmol)およびDMAP(60.1mg、0.492mmol)を加えた。室温で3時間撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムに加え、ヘキサン/EtOAcの50%から100%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物14-9(839mg、1.57mmol、64%)を白色の泡状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.29 (3H, s), 1.46 (9H, s), 3.24 (1H, dd, J = 10.3, 3.8 Hz), 3.92 (3H, s), 4.00-4.05 (2H, m), 4.51-4.53 (1H, m), 4.95 (1H, d, J = 10.2 Hz), 7.05 (1H, ddd, J = 12.7, 7.9, 1.1 Hz), 7.16 (1H, td, J = 7.5, 1.2 Hz), 7.23-7.30 (1H, m), 7.43-7.52 (3H, m), 7.55-7.64 (3H, m), 7.81 (2H, d, J = 6.9 Hz).
(2.21m, 535)
工程9
化合物14-9(839mg、1.57mmol)のメタノール(8.30mL)懸濁液に、炭酸カリウム(325mg、2.35mmol)を加えた。室温で3時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。ジクロロメタン(4.2mL)中の残渣の溶液に、TFA(4.2mL、54.5mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を炭酸カリウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。残渣をアミノシリカゲルカラムに加え、クロロホルム/メタノールの0%から10%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物14-10(565mg、1.51mmol、96%)を白色の泡状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.39 (3H, s), 3.32 (1H, dd, J = 9.3, 4.3 Hz), 3.89-3.97 (5H, m), 4.32-4.35 (1H, m), 5.07 (1H, d, J = 9.4 Hz), 7.05 (1H, dd, J = 12.5, 8.0 Hz), 7.13 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.22-7.29 (1H, m), 7.38 (1H, td, J = 8.0, 1.3 Hz), 7.46 (1H, s), 7.62 (1H, s).
工程10
化合物14-10(565mg、1.51mmol)のTFA(2.44mL、31.7mmol)溶液に、濃硫酸、続いて70wt%の硝酸(0.116mL、1.81mmol)を加え、混合物を-10℃で1時間撹拌した。-10℃で1時間撹拌した後、反応混合物を炭酸カリウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。粗生成物をアミノシリカゲルカラムに加え、クロロホルム/メタノールの0%から10%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物14-11(566mg、1.51mmol、100%)を黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.39 (3H, s), 3.27 (1H, dd, J = 9.3, 4.4 Hz), 3.94 (3H, s), 3.94-4.01 (2H, m), 4.32-4.36 (1H, m), 5.09 (1H, d, J = 5.1 Hz), 7.21 (1H, dd, J = 11.0, 9.0 Hz), 7.45 (1H, s), 7.61 (1H, s), 8.18 (1H, ddd, J = 8.9, 4.0, 3.0 Hz), 8.35 (1H, dd, J = 7.0, 2.9 Hz).
工程11
化合物14-11(566mg、1.51mmol)のメタノール(11.3mL)懸濁液に、濃塩酸(1.51mL、18.1mmol)、続いて亜鉛(690mg、10.6mmol)を0℃で加えた。0℃で1.5時間撹拌した後、反応混合物を水および酢酸エチルで希釈し、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で塩基性化した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、化合物14-12(372mg、1.08mmol、71%)を白色のアモルファスとして得た。生成物をさらに精製することなく次の反応に使用した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.35 (3H, s), 3.30-3.35 (1H, m), 3.51-3.69 (2H, m), 3.89-3.98 (5H, m), 4.39-4.44 (1H, m), 5.03 (1H, d, J = 9.3 Hz), 6.49-6.54 (1H, m), 6.66-6.71 (1H, m), 6.84 (1H, J = 9.3 Hz), 7.45 (1H, s), 7.60 (1H, s).
(0.38min, 346)
工程12
化合物14-12(86mg、0.25mmol)および5-(フルオロメトキシ)ピラジン-2-カルボン酸(47.3mg、0.275mmol)のメタノール(1.73mL)懸濁液に、濃塩酸(0.125mL、0.25mmol)およびEDC塩酸塩(57.5mg、0.30mmol)を加えた。室温で3時間撹拌した後、反応混合物を炭酸カリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。粗生成物を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(Chiralpak(登録商標)IC;30%エタノール(0.1%のジエチルアミンを含む))により精製して、化合物I-014(45.3mg、0.091mmol、収率36%)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.62 (3H, s), 3.31-3.38 (1H, m), 3.91-3.97 (5H, m), 4.39-4.45 (1H, m), 5.07 (1H, d, J = 9.7 Hz), 6.15 (2H, d, J = 50.6 Hz), 7.09 (1H, t, J = 10.2 Hz), 7.42-7.47 (2H, m), 7.62 (1H, s), 7.92-7.97 (1H, m), 8.29 (1H, s), 9.08 (1H, s), 9.49 (1H, s).
【0074】
(実施例9)
【0075】
化合物I-015の合成
【化47】

工程1
亜鉛(40.6g、621mmol)のTHF(313mL)懸濁液に、二塩化ジ(シクロペンタジエニル)チタン(1.10g、4.43mmol)を加えた。室温で10分間撹拌した後、化合物15-1(12.5g、89mmol)および2-ブロモ-2,2-ジフルオロ酢酸エチル(22.6mL、177mmol)を反応混合物に加えた。室温で8時間撹拌した後、反応混合物をろ過した。ろ液を酢酸エチルおよび塩化アンモニウム水溶液で希釈した。懸濁液をCelite(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水-食塩水(1:1)および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から70%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物15-2(6.32g、23.8mmol、27%)を黄色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.40 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.08 (3H, s), 4.12 (1H, s), 4.18 (1H, d, J = 10.4 Hz), 4.26-4.36 (2H, m), 4.42 (2H, q, J = 7.2 Hz), 5.25-5.31 (1H, m).
工程2
化合物15-2(6.32g、23.8mmol)のジクロロメタン(63.2mL)溶液に、塩化チオニル(3.48mL、47.6mmol)、続いてピリジン(5.78mL、71.5mmol)を-10℃で加えた。-10℃で20分間撹拌した後、反応混合物を冷水でクエンチし、クロロホルムで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から15%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物15-3(6.23g、22.0mmol、92%)を黄色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.39 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.12 (3H, s), 4.37-4.46 (3H, m), 4.51 (1H, dd, J = 10.9, 4.3 Hz), 4.67 (1H, d, J = 10.9 Hz), 5.42 (1H, dd, J = 9.2, 4.3 Hz).
工程3
化合物15-3(1.14g、4mmol)およびトリブチルスタンナン(2.91g、10.0mmol)のメタノール(5.6mL)溶液に、AIBN(32.8mg、0.200mmol)を加えた。80℃で2時間撹拌した後、反応混合物をフッ化カリウム水溶液でクエンチした。懸濁液をCelite(登録商標)パッドでろ過した。メタノール(5.6mL)をろ液の有機層に加えた。混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(378mg、10.0mmol)を0℃で加えた。室温で3時間撹拌した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から70%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物15-4(500mg、2.41mmol、60%)を黄色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.01-2.09 (4H, m), 3.86-4.03 (3H, m), 4.09-4.23 (2H, m), 4.41 (1H, d, J = 26.1 Hz), 5.26-5.31 (1H, m).
工程4
化合物15-4(495mg、2.39mmol)のDMF(4.95mL)溶液に、塩化t-ブチルジフェニルシリル(0.737mL、2.87mmol)およびイミダゾール(244mg、3.59mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、追加の塩化t-ブチルジフェニルシリル(0.184mL、0.717mmol)およびイミダゾール(81mg、1.20mmol)を反応混合物に加えた。室温でさらに2時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを5%から15%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物15-5(889mg、2.00mmol、83%)を黄色の泡状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.06 (9H, s), 2.07 (3H, s), 3.80 (1H, ddd, J = 12.9, 11.4, 5.0 Hz), 3.93-4.20 (4H, m), 4.55 (1H, d, J = 26.2 Hz), 5.26 (1H, dd, J = 9.3, 3.9 Hz), 7.38-7.48 (6H, m), 7.67 (4H, d, J = 7.8 Hz).
工程5
化合物15-6は、上記プロトコル(実施例1の工程5)と同様の方法で調製した。(収率:100%)
LC/MS: メソッドA, M+1 = 542, tR = 3.16分.
工程6
化合物15-7は、上記プロトコル(実施例1の工程6)と同様の方法で調製した。(収率:34%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.01 (9H, s), 1.74 (3H, s), 3.36 (1H, dd, J = 6.8, 4.6 Hz), 3.68 (1H, ddd, J = 15.2, 11.3, 4.3 Hz), 3.79-3.86 (2H, m), 3.92-4.04 (2H, m), 4.36-4.50 (2H, m), 7.06-7.15 (2H, m), 7.23-7.33 (1H, m), 7.36-7.48 (7H, m), 7.61 (2H, d, J = 6.9 Hz), 7.65 (2H, d, J = 6.1 Hz).
工程7
化合物15-8は、上記プロトコル(実施例1の工程7)と同様の方法で調製した(収率:86%)
LC/MS: メソッドA, M+1 = 673, tR = 3.23分.
工程8
化合物15-8(396mg、0.589mmol)のTHF(3.96mL)溶液に、1mol/LのTBAF THF溶液(0.706mL、0.706mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から70%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物15-9(244mg、0.562mmol、96%)を黄色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.76 (3H, d, J = 3.3 Hz), 2.15-2.22 (1H, br), 3.86-4.10 (4H, m), 4.23 (1H, dd, J = 10.5, 2.1 Hz), 4.58 (1H, dd, J = 24.7, 6.8 Hz), 4.66 (1H, dd, J = 5.3, 1.9 Hz), 7.11-7.18 (2H, m), 7.23 (1H, td, J = 8.1 Hz, 1.6 Hz), 7.31-7.39 (1H, m), 7.44 (2H, t, J = 7.4 Hz), 7.50 (1H, t, J = 7.3 Hz), 8.26 (2H, d, J = 7.0 Hz), 11.44-11.57 (1H, br).
工程9
化合物15-9(244mg、0.562mmol)のジクロロメタン(2.44mL)溶液に、DAST(0.445mL、3.37mmol)を0℃で加えた。室温で2時間および40℃で1時間撹拌した後、反応混合物に水(0.020mL、1.12mmol)を加えた。40℃で3時間撹拌した後、混合物を重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、クロロホルムで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。残渣のジクロロメタン(2.44mL)溶液に、DAST(0.445mL、3.37mmol)を0℃で加えた。室温で15時間撹拌した後、混合物を重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、クロロホルムで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から50%で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物15-10(158mg、0.361mmol、64%)を黄色アモルファスとして得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.76 (3H, d, J = 3.4Hz), 3.86-3.93 (2H, m), 4.25 (1H, dd, J = 10.4, 2.0 Hz), 4.48-4.89 (4H, m), 7.12-7.19 (2H, m), 7.23 (1H, td, J = 8.2, 1.9 Hz), 7.33-7.39 (1H, m), 7.44 (2H, t, J = 7.5 Hz), 7.52 (1H, t, J = 7.4 Hz), 8.27 (2H, d, J = 7.2 Hz), 11.49-11.57 (1H, br).
工程10
化合物15-11は、上記プロトコル(実施例1の工程15)と同様の方法で調製した。(収率:93%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.59 (3H, s), 3.66-3.71 (1H, m), 3.79 (1H, d, J = 10.0 Hz), 3.92 (1H, d, J = 10.0 Hz), 4.35-4.85 (4H, m), 7.03-7.15 (2H, m), 7.22-7.36 (2H, m).
工程11
化合物15-12は、上記プロトコル(実施例1の工程16)と同様の方法で調製した。(収率:99%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.57 (3H, s), 3.62-3.67 (1H, m), 3.81 (1H, d, J = 10.5 Hz), 3.96 (1H, J = 10.5 Hz), 4.24-4.93 (4H, m), 7.19-7.30 (1H, m), 8.16-8.22 (1H, m), 8.27-8.31 (1H,m).
工程12
化合物15-13は、上記プロトコル(実施例1の工程17)と同様の方法で調製した。(収率:95%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.52 (3H, s), 3.52-3.60 (2H, br), 3.66 (1H, t, J = 5.6 Hz), 3.78 (1H, d, J = 10.0 Hz), 3.92 (1H, d, J = 10.0 Hz), 4.34-4.84 (4H, m), 6.50-6.55 (1H, m), 6.59-6.64 (1H, m), 6.85 (1H, dd, J = 11.3, 8.5 Hz).
工程13
化合物I-015は、上記プロトコル(実施例1の工程18、SFC:Chiralpak(登録商標)IC、50%MeOH(0.1%ジエチルアミンを含む))と同様の方法で調製した(収率:37%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.58 (3H, s), 3.70 (1H, t, J = 5.5 Hz), 3.81 (1H, d, J = 9.8 Hz), 3.94 (1H, d, J = 9.8 Hz), 4.39-4.86 (4H, m), 6.15 (2H, d, J = 51.7 Hz), 7.10 (1H, t, J = 9.9 Hz), 7.43-7.47 (1H, m), 7.85-7.91 (1H, m), 8.28 (1H, s), 9.07 (1H, s), 9.47 (1H, s).
【0076】
上記と同様にして以下の化合物を合成する。表中、tRはLC/MS保持時間(分)を表す。
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
【表8】
【0084】
【表9】
【0085】
【表10】
【0086】
【表11】
【0087】
【表12】
【0088】
【表13】
【0089】
【表14】
【0090】
【表15】
【0091】
【表16】
【0092】
【表17】
【0093】
【表18】
【0094】
【表19】
【0095】
【表20】
【0096】
【表21】
【0097】
【表22】
【0098】
【表23】
【0099】
【表24】
【0100】
【表25】
【0101】
【表26】
【0102】
【表27】
【0103】
以下に、さらなる実施例を記載する。
【0104】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定は、LCポンプ、ダイオードアレイ(DAD)またはUV検出器、およびそれぞれの方法に特化したカラムを使用して実施した。必要であれば、追加の検出器を含めた(下記の方法の表を参照)。
カラムからのフローを、大気圧イオン源と共に構成された質量分析計(MS)に供した。化合物の公称モノアイソトピック分子量(MW)および/または正確な質量のモノアイソトピック分子量の確認を可能にするイオンを得るために、調整パラメーター(例えば、走査範囲、滞留時間など)を設定することは、当業者の知識の範囲内である。データの取得は、適切なソフトウェアによって実施した。
化合物は、これらの実験保持時間(R)およびイオンによって記載される。データの表で特に異なって指定されない限り、報告された分子イオンは、[M+H](プロトン化分子)および/または[M-H](脱プロトン化分子)に対応する。化合物を直接イオン化できなかった場合は、付加物の種類が特定される(すなわち、[M+NH、[M+HCOO]など)。複数の同位体パターン(Br、Cl)を有する分子では、報告された値は、最低同位体質量で得たものである。全ての結果は、使用される方法に一般的に関連する実験の不確実性(experimental uncertainties)を伴って得た。
以下、「DAD」はダイオードアレイ検出器を、「SQD」はシングル四重極質量検出器を意味する。表:LCMSメソッドコード(流速(Flow)はmL/分で、カラム温度(column temperature)(T)は℃で、稼働時間は分で表す)。
【表28】

【0105】
GC測定は、質量分析計(MS)と接続された、それぞれの方法に特化したガスクロマトグラフィーシステムを使用して実施した。MS検出器は、電子的衝撃イオン化源/化学イオン化源(EI/CI)と共に構成されていた。
化合物の公称モノアイソトピック分子量(MW)の確認を可能にするイオンを得るために、調整パラメーター(例えば、走査範囲、MS温度など)を設定することは、当業者の知識の範囲内である。データの取得は、適切なソフトウェアによって実施した。
化合物は、これらの実験保持時間(R)およびイオンによって記載される。EIについては、データの表で特に異なって指定されない限り、報告された分子イオンは、[M](分子イオン)に対応する。CIについては、データの表で特に異なって指定されない限り、報告された分子イオンは、[M+H](プロトン化分子イオン)に対応し、化合物を直接イオン化できなかった場合は、付加物の種類が特定される(すなわち、[M+CH5]など)。複数の同位体パターン(Br、Cl)を有する分子では、報告された値は、最低同位体質量で得たものである。全ての結果は、使用される方法に一般的に関連する実験の不確実性を伴って得た。
以下の表は、GCMSメソッドを示す。表中、流速はmL/分で、稼働時間は分で表す。
【表29】

(実施例10)
【0106】
化合物II-016の合成
【化48】

工程1
16-1(3.00g、29.1mmol)、フェニルイソシアネート(9.47mL、87.2mmol)、ニトロエタン(3.15mL、43.6mmol)、およびDIPEA(0.501mL、2.91mmol)のトルエン(90mL)混合物をN下、70℃で5時間撹拌した。混合物を室温に冷却した後、得られたスラリーをろ過した。固体をトルエンで洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、n-ヘプタン/EtOAc100/0~70/30で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物16-2(4.36g、28.1mmol、97%)を黄色の油状物として得た。
GC/MS: メソッド6, M = 155, tR = 3.71分.
工程2
16-2(4.36g、28.1mmol)の混合物に、DIBAL(1mol/L、30.9mL、30.9mmol)のDCM(49mL)混合液をN下、-78℃で滴下した。混合物を-78℃で30分間撹拌した。反応をMeOH(5.2mL)で、続けて硫酸(3.6mol/L、35mL)を-30℃で用いてクエンチした。得られた溶液を室温で撹拌した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮し粗生成物(3.94g)を得、さらに精製することなしに次工程にそのまま使用した。
粗生成物(7.60g)のDCM(85mL)およびアセトニトリル(85mL)混合物に、トリエチルシラン(23.2mL、145mmol)、続けてBF-OEt(17.9mL、145mmol)をN下、-78℃で加えた。反応液を0℃で45分間撹拌した。反応をNaHCO3水溶液でクエンチした。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、n-ヘプタン/EtOAc60/40~0/100で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物16-3(4.91g、34.8mmol、72%)を黄色の油状物として得た。
GC/MS: メソッド6, M = 139, tR = 3.42分.
工程3
16-3(4.91g、34.8mmol)の混合物に、BuLi(2.5mol/L、34.8mL、87.0mmol)の2-MeTHF(81mL)混合液をN下、-78℃で滴下した。混合物を-78℃で10分間撹拌した。BF-OEt(17.9mL、145mmol)を滴下した。混合物を同じ温度で10分間撹拌した後、16-3(4.91g、34.8mmol)の2-MeTHF(30mL)混合液を-78℃で滴下した。混合物を-78℃で10分間撹拌し、次いで0℃に温めた。反応を水(5.2mL)でクエンチした。有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮し粗生成物(14.5g)を得、さらに精製することなしに次工程にそのまま使用した。
粗生成物(14.5g)、Pd/C(1.64g)のEtOH(102mL)混合液を、H下、室温で18時間撹拌した。反応液をEtOHで希釈した。混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過し、EtOHで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮し粗生成物(3.72g)を得、さらに精製することなしに次工程にそのまま使用した。
粗生成物(3.72g)、NaCO(3.30g、31.1mmol)のTHF(164mL)およびH2O(20mL)混合物に、クロロギ酸ベンゾイル(4.44mL、31.1mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をHOで希釈した。有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、DCM/EtOAc100/0~60/40で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物16-4(4.50g、12.1mmol、3工程で35%)を無色の油状物として得た。
LC/MS: メソッド2, M+1 = 374, tR = 1.35分.
工程4
化合物16-4(2.94g、7.88mmol)、PCC(10.2g、47.3mmol)のDCM(51mL)混合物を室温で6時間撹拌した。反応をNaHCO水溶液でクエンチし、有機層を分離した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、n-ヘプタン/EtOAc100/0~50/50で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物16-5(1.41g、3.80mmol、48%)を無色の油状物として得た。
LC/MS: メソッド2, M+1 = 372, tR = 1.37分.
工程5
化合物16-5(460mg、1.24mmol)、Selectfluor(2.19g、6.19mmol)のアセトニトリル(23mL)混合物を70℃で34時間撹拌した。反応をNaCO水溶液でクエンチし、有機層を分離した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、n-ヘプタン/EtOAc100/0~40/60で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物16-6(155mg、0.398mmol、32%、ジアステレオマー比=7:3)を無色の油状物として得た。
LC/MS: メソッド2, M+1 = 390, tR = 1.41, 1,43分.
工程6
化合物16-6(120mg、0.308mmol)のMeOH(2.4mL)混合物に、NaBH(23.3mg、0.616mmol)を室温で加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応をNaCO水溶液で希釈し、有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮し粗生成物(114mg)を得、さらに精製することなしに次工程にそのまま使用した。
粗生成物(95.0mg)、Pd/C(25.8mg)のMeOH(4.9mL)混合液を、H下、室温で5時間撹拌した。混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をイオン交換クロマトグラフィーによって精製し、MeOH/アンモニアで溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物16-7(45.0mg、0.175mmol、72%、4つのジアステレオマー混合物)を無色の油状物として得た。
LC/MS: 方法3, M+1 = 258, tR = 0.67, 0.70, 0.80, 0.87分.
工程7
化合物16-7(183mg、0.715mmol)およびベンゾイルイソチオシアネート(0.14mL、1.07mmol)のDCM(7.4mL)混合物を室温で18時間撹拌した。EDC-HCl(206mg、1.07mmol)を加え、混合物を45℃で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、n-ヘプタン/EtOAc100/0~60/40で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物16-8(202mg、0.523mmol、73%)を白色固体として得た。
LC/MS: メソッド1, M+1 = 387, tR = 2.27分.
工程8
化合物16-8(240mg、0.621mmol)およびヒドラジン水和物(0.30mL、6.21mmol)のMeOH(4.0mL)およびTHF(4.0mL)混合物を室温で4.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、DCM/MeOH100/0~85/15で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物16-9(175mg、0.620mmol、99%)を白色固体として得た。
LC/MS: メソッド2, M+1 = 283, tR = 0.80, 0.84分.
工程9
化合物16-9(175mg、0.620mmol)のトリフルオロ酢酸(0.95mL)溶液に、硫酸(0.18mL、3.41mmol)および硝酸(0.042mL、12.4mmol)を-15℃で加え、反応混合物を-10℃で30分間撹拌した。反応混合物を、0℃未満でKCO水溶液によってクエンチした。混合物をEtOAcおよびHOで希釈した。有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、DCM/MeOH95/5で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物16-10(145mg、0.443mmol、71%、4つのジアステレオマー混合物)を黄色の油状物として得た。
LC/MS: メソッド1, M+1 = 328, tR = 1.20, 1.26, 1.28, 1.34分.
工程10
化合物16-10(145mg、0.443mmol)、Pd/C(33.0mg)、HCl(6mol/L、0.177mL、0.886mmol)のEtOH(4mL)混合液を、H下、室温で18時間撹拌した。混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過し、EtOHで洗浄した。残渣をHOおよびMTBE中に取り込ませた。水層を分離した。水層をNaCO水溶液で塩基性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮し粗生成物(112mg)を得、さらに精製することなしに次工程にそのまま使用した。
粗生成物(112mg)およびHCl(6M、0.066mL、0.396mmol)のMeOH(4.7mL)混合物を室温で15分間撹拌した。5-(フルオロメトキシ)ピラジン-2-カルボン酸(71.3mg、0.414mmol)およびEDC-HCl(94.9mg、0.494mmol)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAcおよびNaCO水溶液中に取り込ませた。有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、DCM/MeOH(7%アンモニア溶液)100/0~95/5で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮した。粗生成物をキラルSFC(固定相:Chiralcel OD-H 5μm 250×21.1mm、移動相:80%CO、20%MeOH(0.3%iPrNH))によって精製して、異性体混合物を得た。混合物をキラルSFC(固定相:Chiralcel OJ-H 5μm 250×20mm、移動相:85%CO、15%EtOH(0.3%iPrNH))によって精製して、白色の固体を得た。固体をDCMで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、化合物II-016(8.0mg、0.0177mol)を得た。
LC/MS: メソッド1, M+1 = 452, tR = 1.48分.
1H NMR (CDCl3) δ: 1.64-1.71 (m, 4H), 2.11 (dddt, J = 15.0, 12.4, 5.4, 2.8, 2.8 Hz, 1H), 3.58-3.67 (m, 1H), 3.68-3.83 (m, 2H), 4.12 (brs, 1H), 4.22 (t, J = 12.6 Hz, 1H), 6.15 (dq, J = 51.2, 2.3 Hz, 2H), 7.08 (dd, J = 11.4, 8.8 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 6.7, 2.6 Hz, 1H), 7.68-7.74 (m, 1H), 8.29 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 9.08 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 9.48 (s, 1H).
【0107】
(実施例11)
【0108】
化合物II-017の合成
【化49】

工程1
化合物17-1(4.0g、15.5mmol)のアセトン(120mL)および水(40mL)混合物に、三酸化クロム(7.77g、77.7mmol)を0℃で加えた。次いで硫酸(11.0mL、206mmol)を0℃で滴下し、混合物を0℃で4時間撹拌した。反応をNaCO水溶液でクエンチし、有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、n-ヘプタン/EtOAc70/30~40/60で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物17-2(3.92g、15.4mmol、98%)を無色の油状物として得た。
LC/MS: メソッド1, M+1 = 256, tR = 1.08, 1.16分.
工程2
トリアセトキシ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム(8.25g、31.3mmol)のTHF(12mL)混合物に、酢酸(4.38mL、76.4mmol)を-25℃で加えた。混合物を室温で40分間撹拌し、0℃で一晩静置した。化合物17-2(1.0g、3.92mmol)のTHF(4mL)混合液を混合物に滴下した。得られた混合物を-20℃で24時間撹拌し、2時間静置して0℃に温めた。反応を酒石酸カリウムナトリウム水溶液でクエンチし、次いでNaHCO水溶液を0℃で加えた。有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をHPLC(固定相:Xbridge C18 50×100mm、5μm、移動相:85%の0.25% NHHCO水溶液、15%のCHCNから、65%の0.25% NHHCO水溶液、35%のCHCNまでのグラジエント)によって精製した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物17-3(520mg、2.02mmol、52%)を白色固体として得た。
LC/MS: メソッド5, M+1 = 258, tR = 0.90分.
工程3
化合物17-3(520mg、2.02mmol)およびベンゾイルイソチオシアネート(0.408mL、3.03mmol)のDCM(21mL)混合物を室温で一晩撹拌した。EDC-HCl(581mg、3.03mmol)を加え、混合物を45℃で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、n-ヘプタン/EtOAc100/0~60/40で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物17-4(630mg、1.63mmol、81%)を白色固体として得た。
LC/MS: メソッド1, M+1 = 387, tR = 2.13分.
工程4
化合物17-4(630mg、1.63mmol)およびヒドラジン水和物(0.792mL、16.3mmol)のMeOH(10mL)およびTHF(10mL)混合物を室温で4.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、DCM/MeOH100/0~85/15で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物17-5(680mg、1.20mmol、74%)を白色固体として得た。
LC/MS: メソッド1, M+1 = 283, tR = 0.76分.
工程5
化合物17-5(680mg、1.20mmol)のトリフルオロ酢酸(1.8mL)溶液に、硫酸(0.35mL、6.62mmol)および硝酸(0.082mL、1.81mmol)を-10℃未満で加え、反応混合物を-10℃で30分間撹拌した。反応混合物を、KCO水溶液を0℃未満で用いてクエンチした。混合物をEtOAcおよびHOで希釈した。有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、DCM/MeOH97/3で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮し、化合物17-6(335mg、1.02mmol、85%)を黄色の油状物として得た。
LC/MS: メソッド1, M+1 = 328, tR = 0.94分.
工程6
化合物17-6(324mg、0.990mmol)、Pd/C(73.7mg)、HCl(6mol/L、0.396mL、1.98mmol)のEtOH(3.2mL)混合液を、H下、室温で18時間撹拌した。混合物をCelite(登録商標)パッドでろ過し、EtOHで洗浄した。残渣をHOおよびMTBE中に取り込ませた。水層を分離した。水層をNaCO水溶液で塩基性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮し粗生成物(230mg)を得、さらに精製することなしに次工程にそのまま使用した。
粗生成物(230mg)およびHCl(6M、0.135mL、0.812mmol)のMeOH(9.7mL)混合物を室温で15分間撹拌した。5-(フルオロメトキシ)ピラジン-2-カルボン酸(146mg、0.851mmol)およびEDC-HCl(195mg、1.02mmol)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAcおよびNaCO水溶液中に取り込ませた。有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、DCM/MeOH(7%アンモニア溶液)100/0~95/5で溶出した。集めたフラクションを減圧下で濃縮した。生成物をiPrOH(3.5mL)に溶解し、50℃に温めた。HCl(6M、0.13mL、0.774mmol)およびイソプロピルエーテル(7mL)を滴下した。得られた混合物を室温で30分間撹拌した。スラリーをろ過し、固体を減圧下で乾燥し、化合物II-017(265mg、0.587mmol、70%)を白色固体として得た。
LC/MS: メソッド1, M+1 = 452, tR = 1.28分.
1H NMR (DMSO-d6) δ: 1.71-1.84 (m, 4H), 2.12 (dd, J = 12.1, 4.6 Hz, 1H), 2.41 (td, J = 10.8, 4.1 Hz, 1H), 2.55-2.62 (m, 1H), 3.20-3.28 (m, 1H), 3.87 (br dd, J = 11.7, 4.8 Hz, 1H), 4.24 (br d, J = 10.7 Hz, 1H), 4.44 (td, J = 10.8, 4.9 Hz, 1H), 4.94-5.25 (m, 2H), 6.10-6.36 (m, 2H), 7.33 (dd, J = 12.4, 9.0 Hz, 1H), 7.93 (dd, J = 7.2, 2.6 Hz, 1H), 8.10-8.21 (m, 1H), 8.43 (br s, 1H), 8.60 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 8.99 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 9.18 (br s, 1H), 10.44 (br s, 1H), 10.88 (s, 1H).
【0109】
以下に、本発明化合物の試験例を記載する。
薬理例
本発明で提供される化合物は、beta-site APP-cleaving enzyme 1(BACE1)の阻害剤である。アスパラギン酸プロテアーゼであるBACE1の阻害は、アルツハイマー病(AD)の治療に適切であると考えられている。βアミロイド前駆体タンパク質(APP)からのβアミロイドペプチド(Aβ)の産生および蓄積は、ADの発症および進行に重要な役割を果たすと考えられている。BACE1およびγセクレターゼそれぞれによるAβドメインのN-およびC-末端での一連の切断により、アミロイド前駆体タンパク質(APP)からAβが産生される。
式(I)の化合物は、BACE2に比較してBACE1に選択的に結合し、BACE2に比較してBACE1の酵素活性を阻害することが可能であり、BACE2に比較してBACE1に対して選択的に効果を有することが予想される。下記の生化学競合的放射性リガンド結合アッセイ、生化学蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づくアッセイ、および細胞αLisaアッセイは該化合物の同定に適切であり、これらを利用して該阻害剤の挙動を試験する。
(試験例1:BACE1およびBACE2生化学競合的放射性リガンド結合アッセイ)
BACE2に対するBACE1酵素選択性を探索するために、各精製酵素への結合親和性(Ki)を競合的放射性リガンド結合アッセイ、すなわちトリチウム標識非選択的BACE1/BACE2阻害剤を用いた競合において決定した。
簡潔には、試験管中で、対象の化合物を放射性リガンドおよびBACE1またはBACE2を含有するHEK293由来膜と合わせた。競合的結合反応をpH6.2で行い、平衡状態に達するまで室温でインキュベートした。その後、Brandell 96ハーベスターによるろ過で遊離放射性リガンドを結合放射性リガンドから分離した。フィルターを洗浄用緩衝液で4回洗浄し、フィルターシートをシンチレーションバイアル中に打ち抜いた。Ultima Goldシンチレーションカクテルを加え、サンプルを振盪させた。翌日に、Tricarbシンチレーションカウンターでバイアルを計数して、結合放射性リガンドの壊変毎分(dpm)を得た。
%CTL=(サンプル/HC)*100を算出し、式中、HCはHigh control、すなわち、放射性リガンドの総結合であり、試験化合物の種々の用量のデータ点を通る曲線に適合させた。pIC50またはIC50を算出し、式K=IC50/(1+([RL]/K))によってKに変換した。式中、[RL]は放射性リガンドの使用濃度であり、Kは放射性リガンド-膜複合体で決められた解離定数である。
(試験例2)
(1)BACE1 FRET生化学アッセイ
このアッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動アッセイ(FRET)に基づくアッセイである。このアッセイ用の基質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)βセクレターゼ切断部位の「スウェーデン」Lys-Met/Asn-Leu変異を含有するAPP由来の13個のアミノ酸ペプチドである。この基質は2つの蛍光団も含有する。(7-メトキシクマリン-4-イル)酢酸(Mca)は、励起波長320nmおよび発光405nmの蛍光性ドナーであり、2,4-ジニトロフェノール(Dnp)は独自の消光アクセプターである。この2つの団の間の距離は、光励起の際、共鳴エネルギー移動でアクセプターによりドナー蛍光エネルギーが有意に消光されるように選択される。BACE1によって切断されると、蛍光団Mcaが消光団Dnpから分離し、ドナーの全蛍光収率が回復する。蛍光収率の増加は、タンパク質分解率に線形に相関する。
簡潔にいえば、384-ウェル形式で最終濃度0.04μg/mLの組み換えBACE1タンパク質を、化合物の非存在下または存在下、インキュベーション緩衝液(最終濃度:33.3mMクエン酸緩衝液 pH5.0、0.033%PEG、3%DMSO)中で10μM基質とともに室温で450分間インキュベートした。次に、T=0’~120’およびT=450’(励起320nm、および発光405nm)で蛍光測定して、タンパク質分解量を直接測定した。結果を、T450およびTx間の差としてRFU(相対蛍光単位)で表した(Txは、0~120分の反応速度に応じて選択する)。
最適曲線を、二乗法の最小和によって、%Controlmin対化合物濃度のプロットに適合させた。これにより、IC50値(活性の50%阻害を生じさせる阻害濃度)を得ることができる。
LC=Low control中央値
=Low control:酵素が非存在下での反応
HC=High control中央値
=High control:酵素が存在下での反応
%Effect=100-[(サンプル-LC)/(HC-LC)*100]
%Control=(サンプル/HC)*100
%Controlmin=(サンプル-LC)/(HC-LC)*100
式(I)の化合物は、BACE1阻害活性を有し、化合物がBACE1受容体を阻害できるのに十分である。
具体的には、上記プロトコルにより、IC50は、好ましくは5000nM以下、より好ましくは1000nM以下、さらに好ましくは100nM以下である。
(2)BACE2 FRET生化学アッセイ
このアッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動アッセイ(FRET)に基づくアッセイである。このアッセイ用の基質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)βセクレターゼ切断部位の「スウェーデン」Lys-Met/Asn-Leu変異を含有する。この基質は2つの蛍光団も含有する。(7-メトキシクマリン-4-イル)酢酸(Mca)は、励起波長320nmおよび発光405nmの蛍光性ドナーであり、2,4-ジニトロフェノール(Dnp)は独自の消光アクセプターである。この2つの団の間の距離は、光励起の際、共鳴エネルギー移動でアクセプターによりドナー蛍光エネルギーが有意に消光されるように選択される。βセクレターゼによって切断されると、蛍光団Mcaが消光団Dnpから分離され、ドナーの全蛍光収率が回復する。蛍光収率の増加は、タンパク質分解率に線形に相関する。
簡潔にいえば、384-ウェル形式で最終濃度0.4μg/mLの組み換えBACE2タンパク質を、化合物の非存在下または存在下、インキュベーション緩衝液(最終濃度:33.3mMクエン酸緩衝液 pH5.0、0.033%PEG、2%DMSO)中で10μM基質とともに室温で450分間インキュベートした。次に、T=0およびT=450(励起320nm、および発光405nm)で蛍光測定して、タンパク質分解量を直接測定した。結果を、T450およびT0間の差としてRFU(相対蛍光単位)で表した。
最適曲線を、二乗法の最小和によって、%Controlmin対化合物濃度のプロットに適合させた。これにより、IC50値(活性の50%阻害を生じさせる阻害濃度)を得ることができる。
LC=Low control中央値
=Low control:酵素が非存在下での反応
HC=High control中央値
=High control:酵素が存在下での反応
%Effect=100-[(サンプル-LC)/(HC-LC)*100]
%Control=(サンプル/HC)*100
%Controlmin=(サンプル-LC)/(HC-LC)*100
以下の例示化合物を本質的に上記のとおりに試験し、以下の活性を示した:
【表30】
【0110】
(試験例3-1:ラット脳内βアミロイド減少作用)
本発明化合物を0.5%メチルセルロースに懸濁させ、最終濃度2mg/mLとなるように調整し、これを雄性Crl:SDラット(7~9週齢)に対し、10mg/kgとなるように経口投与する。媒体対照群は0.5%メチルセルロースのみを投与し、各群3~8匹で投与試験を実施する。投与3時間後に脳を摘出し、大脳半球を摘出し、その重量を測定した後、速やかに液体窒素中にて凍結させ、抽出日まで-80℃にて保存する。凍結した大脳半球を氷冷下でTeflon(登録商標)製ホモジナイザーに移し、重量の4倍容量の抽出緩衝液(1%のCHAPS({3-〔(3-クロロアミドプロピル)ジメチルアンモニオ〕-1-プロパンスルホネート})、20mmol/LのTris-HCl(pH8.0)、150mmol/LのNaCl、Complete(Roche)プロテアーゼ阻害剤を含有する)を加え、上下動を繰り返し、これを2分間ホモジナイズして可溶化する。懸濁液を遠心分離管に移し、氷上に3時間以上静置し、その後、100,000×gで4℃にて20分間遠心分離する。遠心後、上清をβアミロイド40測定用のELISAプレート(和光純薬工業製:製品番号294-62501)に移す。ELISA測定は添付の説明書に従い行う。減少作用は各試験のビヒクル対照群の脳内βアミロイド40レベルに対する比として算出する。
【0111】
(試験例3-2:マウス脳内βアミロイド減少作用)
本発明化合物を20%ヒドロキシルベータシクロデキストリンに溶解し、最終濃度2mg/mLとなるように調整し、これをCrl:CD1(ICR)雄マウス(6~8週齢)に対し、1~10mg/kgとなるように経口投与した。媒体対照群では、20%ヒドロキシル-ベータ-シクロデキストリンのみを投与し、投与試験を1群あたり3~6匹で実施した。投与の1~6時間後に脳を摘出し、大脳半球を摘出し、その重量を測定し、半球を速やかに液体窒素にて凍結させ、抽出日まで-80℃で保存した。
凍結した大脳半球を、重量の8倍容量の抽出緩衝液(0.4%のDEA(ジエチルアミン)、50mmol/LのNaCl、Completeプロテアーゼ阻害剤(Roche)を含有する)中にセラミックビーズを含有するホモジナイズチューブに移し、氷上で20分間インキュベートした。その後、MP BIO FastPrep(登録商標)-24を用い、Lysing matrix D(1.4mmセラミックビーズ)でホモジナイズした(6m/s、20秒間)。次いで、チューブを1分間遠心沈殿させ、上清を遠心分離管に移し、221,000×gで4℃で50分間遠心分離した。遠心後、総βアミロイド測定のため、上清を、βアミロイドのN末端に対する抗体でコーティングしたNunc Maxisorp(登録商標)プレート(Thermo Fisher Scientific社製)に移し、4℃で一晩インキュベートした。プレートをTBS-T(0.05% Triton X-100含有トリス緩衝生理食塩水)で洗浄し、0.1%カゼインを含むPBS(pH7.4)に溶解したHRP共役4G8をプレートに添加し、4℃で1時間インキュベートした。TBS-Tで洗浄後、SuperSignal ELISA Pico Chemiluminescent Substrate(Thermo Scientific社製)をプレートに添加した。次いで、化学発光をARVO(登録商標)MX1420マルチラベルカウンター(Perkin Elmer社製)で速やかに測定した。減少作用は各試験の媒体対照群の脳内総βアミロイドレベルに対する比として算出した。
【0112】
(試験例4-1:CYP3A4蛍光MBI試験)
CYP3A4蛍光MBI試験は、代謝反応による化合物のCYP3A4阻害の増強を調べる試験である。CYP3A4酵素(大腸菌発現酵素)により7-ベンジルオキシトリフルオロメチルクマリン(7-BFC)が脱ベンジル化され、蛍光を発する代謝物7-ハイドロキシトリフルオロメチルクマリン(7-HFC)が生じる。7-HFC生成反応を標識反応として用いて試験を実施する。
反応条件は以下のとおりである:基質、5.6μmol/L 7-BFC;プレ反応時間、0または30分;基質反応時間、15分;反応温度、25℃(室温);CYP3A4含量(大腸菌発現酵素)、プレ反応時62.5pmol/mL、反応時6.25pmol/mL(10倍希釈);本発明化合物濃度、0.625、1.25、2.5、5、10、20μmol/L(6点)。
96ウェルプレートにプレ反応液として、酵素を含むK-Pi緩衝液(pH7.4)および本発明化合物溶液をプレ反応の組成で加える。別の96ウェルプレートにプレ反応液の一部を移し、基質を含むK-Pi緩衝液で10倍希釈する。補酵素であるNADPHを添加して標識反応を開始する(プレインキュベーション無)。所定時間の標識反応後、アセトニトリル/0.5mol/L Tris(トリスヒドロキシアミノメタン)=4/1(v/v)溶液を加えることによって標識反応を停止する。また残りのプレ反応液にもNADPHを添加してプレ反応を開始する(プレインキュベーション有)。所定時間のプレ反応後、別の96ウェルプレートに一部を移し、K-Pi緩衝液中の基質により10倍希釈して標識反応を開始する。所定時間の標識反応後、アセトニトリル/0.5mol/L Tris(トリスヒドロキシアミノメタン)=4/1(v/v)溶液を加えることによって標識反応を停止した。それぞれの標識反応を行ったプレートにおいて、代謝物である7-HFCの蛍光値を蛍光プレートリーダーで測定する(Ex=420nm、Em=535nm)。
DMSOが本発明化合物を溶解する溶媒として用いられるため、本発明化合物溶液の代わりにDMSOを反応系に添加したサンプルをコントロール(100%)とした。溶液として加えられた本発明化合物のそれぞれの濃度における残存活性(%)を算出し、濃度と阻害率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC50値を算出する。プレインキュベーション無しのIC50値からプレインキュベーション有りのIC50値を引いて求めた差が5μM以上の場合を陽性(+)とする。差が3μM以下の場合を陰性(-)とする。
【0113】
(試験例4-2:CYP3A4(MDZ)MBI試験)
CYP3A4(MDZ)MBI試験は、化合物のCYP3A4阻害に関して機序に基づく阻害(MBI)能を評価する試験である。CYP3A4阻害は、プールされたヒト肝ミクロソームによるミダゾラム(MDZ)の1-水酸化反応を標識反応として用いて評価する。
反応条件は以下のとおりであった:基質、10μmol/L MDZ;プレ反応時間、0または30分;基質反応時間、2分;反応温度、37℃;プールされたヒト肝ミクロソームのタンパク質含量、プレ反応時0.5mg/mL、反応時0.05pmg/mL(10倍希釈時);本発明化合物濃度、1、5、10、20μmol/L(4点)。
96ウェルプレートにプレ反応液としてK-Pi緩衝液(pH7.4)中にプールヒト肝ミクロソーム、および本発明化合物溶液をプレ反応の組成で加えた。別の96ウェルプレートにプレ反応液の一部を移し、基質を含むK-Pi緩衝液で10倍希釈した。補酵素であるNADPHを添加して標識反応を開始した(プレインキュベーション無)。所定時間の標識反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液を加えることによって標識反応を停止した。また残りのプレ反応液にもNADPHを添加してプレ反応を開始させた(プレインキュベーション有)。所定時間のプレ反応後、別の96ウェルプレートに一部を移し、基質を含むK-Pi緩衝液で10倍希釈して標識反応を開始させた。所定時間の標識反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液を加えることによって標識反応を停止した。3000rpmで15分間遠心した後、上清中の1-ヒドロキシミダゾラムをLC/MS/MSにより定量する。
DMSOが本発明化合物を溶解した溶媒として用いられるため、本発明化合物溶液の代わりに、DMSOを反応系に添加したサンプルをコントロール(100%)とした。溶液として加えられた本発明化合物のそれぞれの濃度における残存活性(%)を算出し、濃度と阻害率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC50値を算出した。「プレインキュベーション無のIC値(0分)/プレインキュベーション有のIC値(30分)」を、シフトしたIC値として算出した。シフトしたIC値が1.5以上であった場合、これを陽性と定義した。シフトしたIC値が1.1未満であった場合、これを陰性と定義した。
【0114】
(試験例5:CYP阻害試験)
CYP阻害試験は、ヒト肝ミクロソームのCYP酵素の典型的基質代謝反応に対する本発明化合物の阻害効果を評価する試験である。ヒト主要CYP5酵素(CYP1A2、2C9、2C19、2D6、および3A4)の標識反応を以下のように使用した:7-エトキシレゾルフィンのO-脱エチル化(CYP1A2)、トルブタミドのメチル-ヒドロキシル化(CYP2C9)、メフェニトインの4’-ヒドロキシル化(CYP2C19)、デキストロメトルファンのO-脱メチル化(CYP2D6)、およびテルフェナジンのヒドロキシル化(CYP3A4)。市販のプールされたヒト肝ミクロソームを酵素源として使用した。
反応条件は以下のとおりであった:基質、0.5μmol/L エトキシレゾルフィン(CYP1A2)、100μmol/L トルブタミド(CYP2C9)、50μmol/L S-メフェニトイン(CYP2C19)、5μmol/L デキストロメトルファン(CYP2D6)、1μmol/L テルフェナジン(CYP3A4);反応時間、15分;反応温度、37℃;酵素、プールされたヒト肝ミクロソーム 0.2mg タンパク質/mL;本発明化合物濃度、1、5、10、20μmol/L(4点)。
96ウェルプレートに反応溶液として、50mmol/L Hepes緩衝液中に5種の基質、ヒト肝ミクロソーム、および本発明化合物溶液を上記組成で加えた。補助因子としてNADPHをこの96ウェルプレートに加えて、標識反応を開始させた。37℃で15分間インキュベートした後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液を加えて、標識反応を停止させた。3000rpm、15分間の遠心操作後、上清中のレゾルフィン(CYP1A2代謝物)を蛍光プレートリーダーまたはLC/MS/MSで定量し、上清中のヒドロキシトルブタミド(CYP2C9代謝物)、4’-ヒドロキシメフェニトイン(CYP2C19代謝物)、デキストロルファン(CYP2D6代謝物)、およびテルフェナジンアルコール代謝物(CYP3A4代謝物)をLC/MS/MSで定量した。
DMSOが本発明化合物を溶解した溶媒として用いられるため、本発明化合物溶液の代わりに、DMSOを反応系に添加したサンプルをコントロール(100%)とした。本発明化合物のそれぞれの濃度での残存活性(%)を算出し、濃度と阻害率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC50値を算出した。
【0115】
(試験例6:Fluctuation Ames test)
凍結保存しているネズミチフス菌(Salmonella typhimurium TA98株およびTA100株)それぞれ20μLを、10mLの液体栄養培地(2.5% Oxoid nutrient broth No.2)に接種し、培養液を37℃にて10時間、振盪培養する。7.70~8.00mLのTA98株培養液を遠心(2000×g、10分間)して培地を除去し、7.70mLのMicro F緩衝液(KHPO:3.5g/L、KHPO:1g/L、(NHSO:1g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物:0.25g/L、MgSO-7H0:0.1g/L)に菌を懸濁し、懸濁液を120mLのExposure培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mLを含むMicro F緩衝液)に添加する。3.10~3.42mLのTA100培養液をExposure培地130mLに添加して、試験菌液を調製する。本発明化合物DMSO溶液(最高用量50mg/mLから2~3倍比で数段階希釈)、陰性対照としてDMSO、TA98の非代謝活性化条件の陽性対照として50μg/mLの4-ニトロキノリン-1-オキシドDMSO溶液、TA100の非代謝活性化条件の陽性対照として0.25μg/mLの2-(2-フリル)-3-(5-ニトロ-2-フリル)アクリルアミドDMSO溶液、TA98の代謝活性化条件の陽性対照として40μg/mLの2-アミノアントラセンDMSO溶液、またはTA100の代謝活性化条件の陽性対照として20μg/mLの2-アミノアントラセンDMSO溶液それぞれ12μLと試験菌液588μL(代謝活性化条件では試験菌液498μLとS9mix 90μLの混合液)を混和する。混合液を37℃にて90分間、振盪培養する。本発明化合物に曝露した菌液460μLを、Indicator培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mL、ブロモクレゾールパープル:37.5μg/mLを含むMicro F緩衝液)2300μLに混和し、50μLずつマイクロウェルプレートに48ウェル/用量で分注し、37℃にて3日間、静置培養する。アミノ酸(ヒスチジン)合成酵素をコードする遺伝子の突然変異によって増殖能を獲得した菌を含むウェルは、pH変化により紫色から黄色に変色する。1用量あたり全48ウェル中の黄色に変色したウェルを計数し、陰性対照群と比較して変異原性を評価する。変異原性が陰性のものを(-)、陽性のものを(+)として示す。
【0116】
(試験例7:溶解度試験)
各本発明化合物の溶解度は、1%DMSO添加条件下で測定した。DMSOにて10mmol/L化合物溶液を調製し、本JP-第1液(塩化ナトリウム2.0g、および塩酸7.0mLに水を加えて1000mLとした)、およびJP-第2液(リン酸二水素カリウム3.40gおよび無水リン酸水素二ナトリウム3.55gを水に溶かし1000mLとしたもの1容量に水1容量を加えた)198μLに発明化合物溶液2μLをそれぞれ添加した。混合物を25℃で16時間静置した後、または室温で1時間振盪させた後、混合物を真空濾過した。ろ液をメタノール/水=1/1(v/v)またはMeCN/MeOH/HO(=1/1/2)により10または100倍希釈し、LC/MSまたは固相抽出(SPE)/MSを用いて絶対検量線法によりろ液中の化合物濃度を測定した。
【0117】
(試験例8:代謝安定性試験)
市販のプールヒト肝ミクロソームと本発明化合物を一定時間反応させ、反応サンプルと未反応サンプルの比較により残存率を算出し、それによって肝臓で代謝される程度を評価した。
ヒト肝ミクロソーム0.5mgタンパク質/mLを含む0.2mLの緩衝液(50mmol/L Tris-HCl pH7.4、150mmol/L 塩化カリウム、10mmol/L 塩化マグネシウム)中で、1mmol/L NADPH存在下で37℃、0分または30分間反応させた(酸化的反応)。反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液100μLに反応液50μLを添加し、混合し、3000rpmで15分間遠心した。上清中の本発明化合物をLC/MS/MSまたは固相抽出(SPE)/MSにて定量し、反応後の本発明化合物の残存量を、0分反応時の化合物量を100%として算出した。
【表31】
【0118】
(試験例9:hERG試験)
心電図QT間隔延長リスク評価を目的として、ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子(human ether-a-go-go related gene)(hERG)チャネルを発現させたCHO細胞を用いて、心室再分極過程に重要な役割を果たす遅延整流K+電流(IKr)に対する本発明化合物の効果を検討した。
全自動パッチクランプシステム(QPatch;Sophion Bioscience A/S)を用い、ホールセルパッチクランプ法により、細胞を-80mVの膜電位に保持した。-50mVのリーク電位を与えた後、+20mVの脱分極刺激を2秒間、さらに-50mVの再分極刺激を2秒間与えた際に誘発されるIKrを記録した。
発生する電流が安定した後、本発明化合物を目的の濃度で溶解させた細胞外液(NaCl:145mmol/L、KCl:4mmol/L、CaCl:2mmol/L、MgCl:1mmol/L、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸):10mmol/L、グルコース:10mmol/L,pH=7.4)を室温条件下で、10分間細胞に適用させた。記録されたIKrから、解析ソフト(QPatch assay software;Sophion Bioscience A/S)を使用して、保持膜電位における電流値を基準に最大テール電流の絶対値を測定した。さらに、本発明化合物適用前の最大テール電流に対する阻害率を算出し、媒体適用群(0.1%ジメチルスルホキシド溶液)と比較して、本発明化合物のIKrへの影響を評価した。
以下のデータは、本発明化合物の3μMにおける阻害を示す。
【表32】
【0119】
(試験例10:粉末溶解度試験)
適当な容器に本発明化合物を適量入れた。200μLのJP第1液(水を2.0gの塩化ナトリウムおよび7.0mLの塩酸に加えて1000mLにする)、200μLのJP第2液(1容量の水を、3.40gのリン酸二水素カリウムおよび3.55gの無水リン酸水素二ナトリウムを水に溶解した1容量の溶液に加えて1000mLにする)、200μLの空腹時人工腸液(fasted state simulated intestinal fluid:FaSSIF)および200μLの摂食時人工腸液(fed state simulated intestinal fluid:FeSSIF)をそれぞれの容器に加える。試験液添加後に本発明化合物の全量が溶解した場合には、適宜、本発明化合物を追加する。容器を密閉し、37℃で1時間および/または24時間振盪する。混合物をろ過し、100μLのメタノールをそれぞれのろ液(100μL)に加え、それによってろ液が2倍に希釈される。希釈倍率は、必要に応じて変更してもよい。希釈溶液中に気泡および沈殿物のないことを確認後、容器を密閉し、振盪する。定量化は、絶対検量線法を用いてHPLCにより実施する。
【0120】
(試験例11:薬物動態研究)
経口吸収性の検討実験材料と方法
(1)動物:マウスまたはラット
(2)飼育条件:マウスまたはラットは、水道水および固形飼料を自由摂取させた。
(3)用量および群分け:所定の用量での経口または静脈内投与。群分けは以下のとおりであった(用量は化合物によって決まる)。
経口投与:約1~30mg/kg(n=2~3)
静脈内投与:約0.5~10mg/kg(n=2~3)
(4)投与製剤:経口投与では溶液または懸濁液の状態、静脈内投与では可溶化された状態。
(5)投与方法:経口投与では、フレキシブル経口ゾンデを付けたシリンジにより強制的に投与した。静脈内投与では、注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与した。
(6)評価項目:予定時刻に採血し、本発明化合物の血漿中濃度をLC/MS/MSを用いて測定した。
(7)統計解析:本発明化合物の血漿濃度の推移について、台形法を用いて血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)を算出し、経口投与群と静脈内投与群のAUCから本発明化合物のバイオアベイラビリティ(BA)を算出した。
【0121】
(試験例12:脳内分布研究)
ラットに約0.5mg/mL/kgの投与量で本発明化合物を静脈内投与した。30分後に、イソフルラン麻酔下で腹大動脈より全血を抜いて放血死させた。
脳を摘出し、蒸留水で20~25%のそのホモジネートを調製した。
得られた血液は遠心処理後、血漿とした。コントロール血漿を脳サンプルに1:1で加えた。コントロール脳ホモジネートを血漿サンプルに1:1で加えた。それぞれのサンプルをLC/MS/MSを用いて測定した。得られた面積比(脳/血漿)を脳Kp値とした。
【0122】
(試験例13: Ames試験)
サルモネラ菌(Salmonella typhimurium)TA98、TA100、TA1535、TA1537および大腸菌(Escherichia coli)WP2uvrAを試験菌株として用い、プレインキュベーション法による代謝活性化を伴って、または伴うことなくAmes試験を実施し、本発明化合物の遺伝子突然変異誘発性の有無を調べる。
【0123】
(試験例14:P-gp基質試験)
1.細胞株:
a.MDR1/LLC-PK1(ベクトン・ディッキンソン)
b.LLC-PK1(ベクトン・ディッキンソン)
2.基準基質:
a.ジゴキシン(2μM)
方法および手順
1.MDR1発現LLC-PK1細胞およびその親細胞を、培地A(10%FBS(Invitrogen)、ゲンタマイシン(0.05mg/mL、Invitrogen)およびハイグロマイシンB(100μg/mL、Invitrogen)を補充したMedium 199(Invitrogen))中において5%CO2/95%O2ガス下、37℃で通常培養した。輸送実験のため、これらの細胞をTranswell(登録商標)インサート(96ウェル、孔径:0.4μm、Coaster)に1.4×10細胞/インサートの密度で播種し、培地B(10%FBSおよびゲンタマイシン0.05mg/mLを補充したMedium 199)をフィーダートレイに加えた。これらの細胞はCO2インキュベーター(5%CO2/95%O2ガス、37℃)でインキュベートし、播種後48~72時間ごとに培養培地の頂端側および側底側の培地を交換した。これらの細胞を播種後4~6日で使用した。
2.MDR1発現細胞または親細胞を播種した培養インサートの培地を吸引により除去し、HBSSでリンスした。頂端側(140μL)または側底側(175μL)を、基準基質および本発明化合物を含む輸送バッファーで置換し、その後、基準基質および本発明化合物の初期濃度を求めるために、ドナー側の一定分量(50μL)の輸送バッファーを採取した。37℃で一定時間インキュベートした後、ドナー側およびレシーバー側の一定分量(50μL)の輸送バッファーを収集した。アッセイは2回または3回繰り返し実施した。
3.一定分量中の基準基質および本発明化合物を、LC/MS/MSを用いて定量した。
計算
単層のMDR1発現と親細胞を通過した透過量を決定し、透過係数(Pe)をExcel 2003を使用し、以下の式によって算出した:
Pe(cm/秒)=膜透過量(pmol)/細胞膜面積(cm)/初期濃度(nM)/インキュベーション時間(秒)
ここで、膜透過量は所定時間(秒)のインキュベーション後の基質の透過濃度(nM、レシーバー側の濃度)に量(mL)を乗じて算出し、細胞膜面積は0.1433(cm2)とした。
外向きフラックス比(Efflux Ratio)は以下の式により算出した:
Efflux Ratio=側底側から頂端側方向のPe/頂端側から側底側方向のPe

正味フラックス(Net flux)は以下の式により算出した:
Net flux=MDR1発現細胞のEfflux Ratio/親細胞のEfflux Ratio
【表33】
【0124】
(試験例15:P-gp輸送の阻害効果)
材料
1.細胞株:
a.MDR1/LLC-PK1(ベクトン・ディッキンソン)
b.LLC-PK1(ベクトン・ディッキンソン)
2.基準基質:
a.[H]ジゴキシン(1μM)
b.[14C]マンニトール(1μM)
3.基準阻害物質:
ベラパミル(1μM)
方法および手順
1.MDR1発現LLC-PK1細胞およびその親細胞を、培地A(10%FBS(Invitrogen)、ゲンタマイシン(0.05mg/mL、Invitrogen)およびハイグロマイシンB(100μg/mL、Invitrogen)を補充したMedium 199(Invitrogen))中において5%CO/95%Oガス下、37℃で通常培養する。輸送実験のため、これらの細胞をTranswell(登録商標)インサート(96ウェル、孔径:0.4μm、Coaster)に1.4×10細胞/インサートの密度で播種し、培地B(10%FBSおよびゲンタマイシン0.05mg/mLを補充したMedium 199)をフィーダートレイに加える。これらの細胞はCOインキュベーター(5%CO/95%Oガス、37℃)でインキュベートし、播種後48~72時間ごとに頂端側および側底側の培地を交換する。これらの細胞を播種後6~9日で使用する。
2.MDR1発現細胞または親細胞を播種した培養インサート中の培地を吸引により除去し、HBSSでリンスする。頂端側(150μL)または側底側(200μL)を、基準基質を含み、本発明化合物の存在下または非存在下の輸送バッファーで置換し、その後、基準基質の初期濃度を求めるために、ドナー側の一定分量(50μL)の輸送バッファーを採取する。37℃で指定時間インキュベートした後、ドナー側およびレシーバー側の一定分量(50μL)の輸送バッファーを収集する。アッセイは3回繰り返し実施する。
3.一定分量(50μL)の輸送緩衝液を5mLのシンチレーションカクテルと混合し、液体シンチレーションカウンターを使用して放射能を測定する。
計算
単層のMDR1発現細胞と親細胞を通過した膜透過量を決定し、膜透過係数(Pe)をExcel 2003を用い、以下の式により算出する:
Pe(cm/秒)=膜透過量(pmol)/細胞膜面積(cm)/初期濃度(nM)/インキュベーション時間(秒)
ここで、膜透過量は所定時間(秒)のインキュベーション後の基質の透過濃度(nM、レシーバー側の濃度)に量(mL)を乗じて算出し、細胞膜面積は0.33(cm)とする。
外向きフラックス比(Efflux Ratio)は以下の式により求める:
Efflux Ratio=基底面から頂端方向のPe/頂端から基底面方向のPe
Net fluxは以下の式により求める:
Net flux=MDR1発現細胞のEfflux Ratio/親細胞のEfflux Ratio
コントロールに対する%は、本発明化合物存在下の基準化合物対非存在下の基準化合物の正味フラックス比として求める。
IC50値を、曲線適合プログラムXLfitを使用して計算する。
【0125】
(試験例16:mdr1a/1b(-/-)B6マウスを用いたP-gp基質試験)
材料
動物:mdr1a(-/-)B6マウス(ノックアウト(KO)マウス)またはC57BL/6Jマウス(野生型マウス)
方法および手順
1.動物は本発明化合物の投与前に食餌を摂取させてもよい。
2.本発明化合物は3匹の動物に各時点で投与し、血液および脳サンプルは投与後の選択された時点(例えば、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間または24時間)で採取する。血液(0.3~0.7mL)は血液凝固防止剤(EDTAおよびヘパリン)を含むシリンジを用い、体幹採血で採取する。血液および組織(脳など)サンプルは直ちに氷冷する。
3.血液サンプルは遠心(1780xg、10分間)し細胞を除去して、血漿を得る。その後、血漿サンプルを清潔なチューブに移し、分析するまで-70℃の冷凍庫で保存する。
4.組織(脳など)サンプルは組織重量:蒸留水(ml)比=1:3でホモジナイズし、清潔なチューブに移して分析するまで-70℃の冷凍庫で保存する。
5.血漿および組織(脳など)サンプルをタンパク質沈殿を用いて調製し、LC/MS/MSで分析する。解析方法は、ブランクの血漿または脳サンプルと既知量の分析物で構築した標準曲線を含めることにより較正する。測定法の真度および精度の確認を行うためにクオリティーコントロール用サンプルを用いる。
6.血漿および脳濃度値(ng/mLおよびng/g)を、薬物動態パラメーターを計算するために使用される適切な数学的ツールに導入する。一般的なプラットフォームは、WinNonlin(登録商標)薬物動態ソフトウェアモデリングプログラムである。
計算
Kp;組織/血中濃度比
Kp比=KOマウスのKp値/野生型マウスのKp値
組織AUC/血漿AUCのKO/野生型比
={組織AUC/血漿AUC(KOマウス)}/{組織AUC/血漿AUC(野生型マウス)}
【0126】
(試験例17 麻酔モルモット心血管系試験)
動物種:モルモット(Slc:Hartley、4~5週齢、雄性)、N=4
試験デザイン:
投与量:3、10、および30mg/kg(原則)
(本発明化合物は累積的に投与する)
製剤:
媒体組成;ジメチルアセトアミド(DMA):ポリエチレングリコール400(PEG400):蒸留水(D.W.)=1:7:2(原則)
本発明化合物をDMAに溶解し、次いで、PEG400および蒸留水(D.W.)を添加する。最終的に、1.5、5および15mg/mL溶液を調製する。
投与経路および投与スケジュール:
10分間の静脈内注射(2mL/kg)
0~10分:3mg/kg、30~40分:10mg/kg、60~70分:30mg/kg
媒体も上記と同じスケジュールで投与する。
群の組成:
媒体群および本発明化合物群(1群あたり4匹のモルモット)
評価方法:
評価項目:
平均血圧(mmHg)、心拍数(血圧波形より計測(拍/分))、QTc(ms)およびトキシコキネティクス
実験手順:
モルモットをウレタン(1.4g/kg、i.p.)による麻酔下におき、ポリエチレンチューブを頸動脈(血圧測定および血液サンプリングのため)および頸静脈(試験化合物の注入のため)に挿入する。電極を皮下に装着する(第II誘導)。血圧、心拍数および心電図(ECG)をPowerLab(登録商標)システム(ADInstruments)を用いて測定する。
トキシコキネティクス:
各評価時点で、約0.3mLの血液(血漿として約120μL)を頸動脈からヘパリンナトリウムを含むシリンジを用いて採取し、直ちに氷冷する。遠心分離(4℃、10000rpm、9300×g、2分)して血漿サンプルを得る。血漿の分離は氷冷下または4℃で行う。得られた血漿(TKサンプル)は超低温庫(設定温度:-80℃)で保管する。
分析方法:平均血圧および心拍数は各評価時点で30秒間の平均値をとる。ECGパラメーター(QT間隔[ms]およびQTc)は評価時点における10秒間の連続拍動の平均波形として導き出す。QTc(Fridericiaの補正式;QTc=QT/(RR)1/3)はPowerLab(登録商標)システムを用いて計算する。不整脈の発生率は4匹の全動物において、(投与0.5時間前から試験終了までの)全てのECG記録から目視で評価する。
評価時点:
最初の投与前(pre dosing)、ならびに最初の投与の10、25、40、55、70および85分後
QTcデータ解析:
投与前の値からのQTcの変化率(%)を算出する(投与前の値を100%とみなす)。同じ評価時点で、相対的QTcを媒体値と比較する。
【0127】
(試験例18:ビーグル犬における薬理試験)
単回投与後のイヌの脳脊髄液(CSF)のβアミロイドプロファイルに対する影響を評価するために、薬物動態(PK)フォローアップおよび一部の安全性の評価と併せて、試験化合物を試験した。
以下に示す化合物において、2匹または4匹のビーグル犬(雄性1もしくは2匹、雌性1もしくは2匹)に対し、媒体(20%シクロデキストリン水溶液1mL/kg)を投与し、用量群あたり4匹のビーグル犬(雄性2匹、雌性2匹)に対し、以下の表に示す投与量(mg/kgで表す用量と同一のmg/mLで表される20%シクロデキストリン水溶液媒体)の試験化合物を空腹状態で投与した。

投与前ならびに投与から4、8、25および49時間後、頭蓋骨に挿入され、皮下組織及び皮膚で覆われたカニューレを通じ、無麻酔の動物の側脳室からCSFを直接採取した。投与から8時間後、動物は30分間の通常食餌が与えられた。PKフォローアップ用に(0.5、1、2、4、8、25および49時間に)血液を採取し、生化学試験用に血清サンプルを投与前ならびに投与から8、および25時間後に採取した。CSFサンプルは、Aβ1-37、Aβ1-38、Aβ1-40およびAβ1-42の測定に使用した。結果を以下の表にまとめる。
【表34】

減少率は、8時間後および影響のある減少(20%超の減少率)が観察された最終時点を示す。
【0128】
(試験例19:ダンシルGSHトラッピング試験)
ダンシルグルタチオン(グルタチオン)トラッピング試験は、反応性代謝物を調べる試験である。
反応条件は以下のとおりであった:基質、50μmol/L 本発明化合物;トラッピング剤、0.1mmol/L ダンシルGSH;プールヒト肝ミクロソームのタンパク質含量、1mg/mL;プレ反応時間、5分;反応時間、60分;反応温度、37℃。
96ウェルプレートにプレ反応液としてK-Pi緩衝液(pH7.4)中にプールヒト肝ミクロソーム、および本発明化合物溶液を加えた。補酵素であるNADPHを添加して反応を開始した。所定時間の反応後、別の96ウェルプレートに一部を移行し、5mmol/Lジチオスレイトールを含むアセトニトリル溶液を加えることによって反応を停止した。3000rpmで15分間遠心した後、ダンシルGSHと結合した代謝物の蛍光ピーク面積を、HPLCを用いて蛍光検出により定量した。
【0129】
(試験例20:[14C]-KCNトラッピング試験)
14C]-シアン化カリウム(KCN)トラッピング試験は、反応性代謝物を調べる試験である。
反応条件は以下のとおりである:基質、10または50μmol/L 本発明化合物;トラッピング剤、1mmol/L [14C]-KCN(11.7μCi/チューブ);プールヒト肝ミクロソームのタンパク質含量、1mg/mL;プレ反応時間、5分;反応時間、60分;反応温度、37℃。
96ウェルプレートにプレ反応液としてK-Pi緩衝液(pH7.4)中にプールヒト肝ミクロソーム、および本発明化合物溶液を加える。補助因子としてNADPHを加えて、反応を開始させる。所定時間後、代謝反応を停止し、スピンカラムによって[14C]-KCNと結合した代謝物をメタノール溶液100μLに抽出する。[14C]-KCN捕捉代謝物の放射ピーク面積をRadio-HPLCシステムにより定量する。
【0130】
製剤例
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、本発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
製剤例1:錠剤
本発明化合物 15mg
乳糖 15mg
ステアリン酸カルシウム 3mg
ステアリン酸カルシウム以外の全ての上記成分を均一に混合する。次いで混合物を破砕、造粒および乾燥して、適切なサイズの顆粒を得る。次にステアリン酸カルシウムを顆粒に添加する。最後に錠剤化を圧縮力下で実施する。
【0131】
製剤例2:カプセル剤
本発明化合物 10mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
乳糖 80mg
上記成分を均一に混合して粉末または細粒状とし、次いで、得られた混合物をカプセルに充填する。
【0132】
製剤例3:顆粒剤
本発明化合物 30g
乳糖 265g
ステアリン酸マグネシウム 5g
上記成分を均一に混合した後、混合物を圧縮する。圧縮した物質を粉砕、造粒および篩別して、適切なサイズの顆粒剤を得る。
【0133】
製剤例4:口腔内崩壊錠
本発明化合物および結晶セルロースを混合し、造粒後打錠して口腔内崩壊錠とする。
【0134】
製剤例5:ドライシロップ剤
本発明化合物および乳糖を混合し、粉砕、整粒、篩別して適当な大きさのドライシロップ剤とする。
【0135】
製剤例6:注射剤
本発明化合物およびリン酸緩衝液を混合し、注射剤とする。
【0136】
製剤例7:点滴剤
本発明化合物およびリン酸緩衝液を混合し、注射剤とする。
【0137】
製剤例8:吸入剤
本発明化合物および乳糖を混合し細かく粉砕することにより、吸入剤とする。
【0138】
製剤例9:軟膏剤
本発明化合物およびワセリンを混合し、軟膏剤とする。
【0139】
製剤例10:貼付剤
本発明化合物および粘着プラスターなどの基剤を混合し、貼付剤とする。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明化合物は、アミロイドβタンパク質の産生、分泌および/または沈着により誘発される疾患の治療または予防剤として有用な医薬となり得る。
【国際調査報告】