(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(54)【発明の名称】発光の改変
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13357 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
G02F1/13357
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541465
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 US2020059308
(87)【国際公開番号】W WO2021108107
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516353560
【氏名又は名称】アイセーフ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッサー、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ガーバー、アーカディ
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ、ボニー ジー.
【テーマコード(参考)】
2H391
【Fターム(参考)】
2H391AA03
2H391AA15
2H391AB04
2H391AB06
2H391AB40
2H391AC10
2H391AC13
2H391AC26
2H391EA02
2H391EA13
(57)【要約】
発光ダイオードを備えるバックライトを含むディスプレイデバイスを開示する。開示するディスプレイデバイスは、バックライトから視聴者への光の透過を制御するように構成された液晶パネルを含む。ディスプレイデバイスはまた、1種以上の光変換材料を組み込んだ1つ以上の光学フィルムも含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイシステムであって、
発光ダイオードを備えるバックライトであって、白色光を放射する、バックライトと、
前記バックライトから視聴者への光の透過を制御するように構成された液晶パネルと、を備え、
前記ディスプレイシステムが、前記バックライトと前記液晶パネルとの間に1種以上の光変換材料を含む1つ以上の光管理フィルムをさらに備え、
前記1種以上の光変換材料の各々が、第1の波長範囲の光を吸収し、かつ第2の波長範囲の光を再放射し、
前記光変換材料が、約455nm以下の有害な青色発光を低減させるように、光吸収物質と組み合わせて使用される、ディスプレイシステム。
【請求項2】
前記バックライトが、前記液晶パネルを照明する光を生成する光源を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項3】
前記光源が、実質的に前記液晶パネルの領域全体にわたって前記液晶パネルの背面に位置付けられた光源のアレイを備える、請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項4】
前記バックライトが、光ガイドの1つ以上の側部に位置付けられた光源を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項5】
前記光変換材料が、有機材料、無機材料、ラマン散乱材料、反ストークス材料、蛍光顔料、および指紋ダスティングに使用される材料から選択される、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の光学フィルムが、前記バックライトと前記液晶パネルとの間に配置された光管理システムを備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項7】
前記光管理システムが、拡散器プレートまたは反射偏光子を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項8】
前記光管理システムが、拡散器プレートおよび反射偏光子を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項9】
前記拡散器プレートと前記反射偏光子との間に偏光子制御層をさらに備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項10】
前記液晶パネルが、パネルプレートの間に配置された液晶層を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
前記パネルプレートが、それらのそれぞれの内面に電極構造体および配向層を備える、請求項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
前記電極構造体および配向層が、前記液晶層内の液晶の配向を制御する、請求項11に記載のディスプレイシステム。
【請求項13】
前記パネルプレートが、カラーフィルタを備える、請求項11に記載のディスプレイシステム。
【請求項14】
前記液晶パネルが、上部吸収偏光層と下部吸収偏光層との間に配置されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
前記液晶層のピクセルを選択的に作動させて画像を形成するコントローラをさらに備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項16】
反射偏光子と前記液晶パネルとの間に配置された第1のプリズム状輝度強化層をさらに備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項17】
(原文)前記第1のプリズム状輝度強化層のプリズム状構造に対して直角に配向されたプリズム状構造を有する第2のプリズム状輝度強化層をさらに備える、請求項16に記載のディスプレイシステム。
【請求項18】
前記光管理フィルムが、前記ディスプレイシステムがD65白色点を維持することを可能にする、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項19】
前記光管理フィルムが、前記ディスプレイが、相関温度を前記光管理フィルムのない基準ディスプレイシステムと実質的に同じに保つことを可能にする、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項20】
光を変換する方法の方法であって、
ディスプレイシステムを提供することであって、前記ディスプレイシステムが、
発光ダイオードを備えるバックライトであって、白色光を放射する、バックライトと、
前記バックライトから視聴者への光の透過を制御するように構成された液晶パネルと、を備え、
前記ディスプレイシステムが、前記バックライトと前記液晶パネルとの間に1種以上の光変換材料を含む1つ以上の光管理フィルムをさらに備え、前記1種以上の光変換材料の各々が、第1の波長範囲の光を吸収し、かつ第2の波長範囲の光を再放射し、
前記光変換材料が、約455nm以下の有害な青色発光を低減させるように、光吸収物質と組み合わせて使用される、提供することと、
前記ディスプレイシステムを電子ディスプレイデバイスの前記ディスプレイに組み込むことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、現在係属中の2019年11月26日に出願された「LIGHT EMISSION MODIFICATION」と題する米国特許出願第16/695,983号に対する優先権を主張するものであり、また、現在失効している2018年11月28日に出願された「LIGHT EMISSION MODIFICATION」と題する米国暫定特許出願第62/772,513号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、光変換材料を含むディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ハンドヘルド、タブレット、コンピュータ、および他のデバイスディスプレイは、より高い解像度およびより忠実なカラーバランスに向かう傾向がある。様々な方法を使用して、解像度および色を達成することができるが、多くの高性能ディスプレイは、出力スペクトル内に高レベルの青色をもたらし得るLEDを含む。これらのデバイスの多くは電池式であり、ユーザは、典型的に、長い電池寿命を所望する。より長い電池寿命は、一般に、低い消費電力、ならびに光を節約するための様々な手段を必要とする。しばしば、これらのディスプレイは、一般に、設計の目標として眼の安全性を優先させていなかった。色スペクトルのうちの「有害な」青色部分が眼に悪影響を与える場合があり、よって、より長期的には視覚障害をもたらし得ることを示す、一連の医学研究が増えている。加えて、新しい一連の知識は、光スペクトルの特定の部分から個人の自然の概日リズムに悪影響を与え得ることを示している。本開示は、有害な青色およびUV光への露出を低減させる能力において高度に選択的である材料、およびそうした材料のモバイル、タブレット、またはPCディスプレイへの組み込みを説明する。これらの材料は、波長の関数として最適化して、白色点の色を維持することができる。これらの材料の多くは、全光透過を低減させる。しかしながら、これらの材料のうちのいくつかは、本開示で説明するように、スペクトルの有害な部分を有害でない光波長に変換または再利用することができる。この様式では、有害な色周波数の低減、光学的透明度の維持、および忠実な白色バランスの維持、のバランスは、ディスプレイ輝度の最小限の損失で達成されることができる。最近の医学的所見、ますます偏在化するディスプレイ、および高品質なディスプレイに対する消費者の需要を考慮して、本開示のシステムは、独特な方法で、複数のニーズを解決する。
【発明の概要】
【0004】
眼の安全性に対処するために、有害な青色および紫外線光への曝露を低減させることができる材料をモバイル、タブレット、パーソナルコンピュータのディスプレイに組み込んだディスプレイシステムを提供する。本開示は、可視電磁スペクトルの有害な部分をより害の少ない光波長に変換または再利用し、一方で、有害な色周波数の低減、光学的透明度の維持、およびディスプレイの輝度における損失が最小である忠実な白色バランスの維持、のバランスを維持する材料を含む、ディスプレイシステムを提供する。
【0005】
一態様では、上記の課題に対処するディスプレイシステムを開示する。開示するディスプレイシステムは、発光ダイオードを含むバックライトを含む。発光ダイオードは、白色光またはRGB(赤色/緑色/青色)光を放射することができる。開示するディスプレイシステムは、視聴者が視認可能であるバックライトからの光の透過を制御するように構成された液晶パネルをさらに含む。追加的に、開示するディスプレイシステムは、1つ以上の光学フィルムを含む。このフィルムは、1種以上の光変換材料を組み込むことができる。1つ以上の光学フィルムは、バックライトからの光が視聴者に到達する前に1つ以上の光学フィルムを通過するように配置される。1種以上の光変換材料の各々は、第1の波長範囲の光を吸収し、かつ第2の波長範囲の光をレミットすることができる。
【0006】
別の態様では、ディスプレイシステムを含む、第1の波長から第2の波長に光を変換する方法を開示する。開示する方法は、電子デバイス-典型的にはポータブル電子ディスプレイデバイス-の出力ディスプレイの中またはその上にディスプレイシステムを組み込むことを含む。ディスプレイシステムは、電子ディスプレイに一体的に組み込むことができ、または電子ディスプレイデバイスのディスプレイの表面に外部的に適用され得る。ディスプレイシステムは、発光ダイオードを含むバックライトを含む。発光ダイオードは、白色光またはRGB(赤色/緑色/青色)光を放射することができる。開示するディスプレイシステムは、視聴者が視認可能であるバックライトからの光の透過を制御するように構成された液晶パネルをさらに含む。追加的に、開示するディスプレイシステムは、1つ以上の光学フィルムを含む。このフィルムは、1種以上の光変換材料を組み込むことができる。1つ以上の光学フィルムは、バックライトからの光が視聴者に到達する前に1つ以上の光学フィルムを通過するように配置される。1種以上の光変換材料の各々は、第1の波長範囲の光を吸収し、かつ第2の波長範囲の光をレミットすることができる。
【0007】
本開示の特徴および利点は、添付図面と併せて読まれるべき以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は、概略図であり、いかなる形であれ本発明の範囲を限定することを意図しない。図面は、必ずしも縮尺通りではない。
【0009】
【
図1】本開示による例示的なディスプレイシステムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。々な実施形態に対する参照は、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載の範囲を限定しない。さらに、本明細書に記載されたあらゆる実施例は、限定することは意図されず、添付された特許請求の範囲の多くの可能な実施形態のうちのいくつかを単に記載するに過ぎない。状況が示唆し得るまたは好都合であり得る場合には、等価物の様々な省略および置換が想到されることが理解されるが、これらは、添付された特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、その応用例または実施形態を網羅することを意図する。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明を目的とし、限定的であるとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0011】
図1は、本開示のシステムが有益に用いられ得る例示的なディスプレイシステム100の概略断面図である。ディスプレイシステム100は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)モニタ、液晶TV、ハンドヘルド、タブレット、ラップトップ、または他のコンピューティングデバイスで使用され得る。しかしながら、
図1のディスプレイシステム100は、単なる例に過ぎず、本開示のシステムは、システム100と同様または類似のシステムとの使用に限定されない。本開示のシステムは、液晶ディスプレイ技術を必ずしも含まない他の種類のディスプレイシステムで有利に使用され得る。
【0012】
ディスプレイシステム100は、照明光を液晶(LC)パネル150に提供するように配置されたLCパネル150と、照明アセンブリ101と、を含むことができる。LCパネル150は、パネルプレート154の間に配置されたLC層152を含む。プレート154は、それらの内面に、LC層152の液晶の配向を制御するための電極構造体および配向層を含むことができる。これらの電極構造体は、LCパネルピクセルを定義するように配設され得る。1つ以上のプレート152にはまた、LCパネル150によって表示される画像に色を与えるためのカラーフィルタも含むことができる。
【0013】
LCパネル150は、上部吸収偏光子156と下部吸収偏光子158との間に配置することができる。吸収偏光子156、158およびLCパネル150の組み合わせは、照明アセンブリ101から視聴者への光の透過を制御することができ、視聴者は、ディスプレイシステム100において、一般に、
図1の頂部に向かって配置され、一般に(
図1に対して)下方を見ている。コントローラ104は、LC層152のピクセルを選択的に作動させて、視聴者が見る画像を形成することができる。
【0014】
1つ以上の随意の層157は、上部吸収偏光子156の上に提供して、例えば、光学機能ならびに/または機械的保護および/もしくは環境的保護をディスプレイに提供することができる。
【0015】
照明アセンブリ101は、バックライト108と、バックライト108とLCパネル150との間に配置された1つ以上の光管理フィルム140と、を含むことができる。ディスプレイシステム100のバックライト108は、LCパネル150を照明する光を生成する光源112を含む。光源112は、任意の好適な照明技術を含むことができる。いくつかの実施形態では、光源112は、発光ダイオード(LED)とすることができ、いくつかの場合では、白色LEDであり得る。バックライト108は、図に示すように、光源112のアレイがパネルの領域の大部分または全てを実質的に覆うLCパネル150の背面に位置付けられた、「直接照明」バックライトであり得る。しかしながら、バックライト108は、図に示すように、単に概略的なものであるが、数多くの他のバックライト構成が可能である。いくつかのディスプレイシステムは、例えば、LCパネル150の領域の大部分または全てを実質的に覆う光源からの光を分配することができる、光ガイドの1つ以上の側面に位置付けられた光源(LEDなど)を有する「側面照明」バックライトを含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、バックライト108は、一般に白色光を放射し、LCパネル150は、表示される画像が多色であるように、カラーフィルタマトリクスと組み合わせて、多色ピクセルの群を形成する。
【0017】
バックライト108はまた、LCパネル150から離れる方向に伝搬する光源112からの光を反射するための反射基板102も含む。反射基板102はまた、ディスプレイシステム100内で光を再利用するために有用であり得る。
【0018】
フィルムスタック、バックライトフィルムスタック、または光管理ユニットとも称され得る光管理フィルムの配設140は、バックライト108とLCパネル150との間に配置することができる。光管理フィルム140は、バックライト108から伝搬する照明光に影響を及ぼして、ディスプレイシステム100の動作を向上させることができる。光管理ユニット140は、必ずしも全ての本明細書に例示し、説明する構成要素を含まない。
【0019】
光管理フィルムの配設140は、拡散器120を含むことができる。拡散器120は、光源112から受信した光を拡散させることができ、これは、LCパネル150への照明光入射の均一性の向上をもたらすことができる。拡散器層120は、任意の好適な拡散器フィルムまたはプレートであり得る。
【0020】
光管理ユニット140は、反射偏光子142を含むことができる。光源112は、典型的に無偏光の光を生じるが、下部吸収偏光子158のみが、単一の偏光状態を透過し、したがって、光源112によって生成される光の約半分は、LC層152を通じて透過されない。しかしながら、反射偏光子142は、別様に下部吸収偏光子158に吸収される光を反射するために使用され得る。その結果、この光は、反射基板102を含む、反射偏光子142と下層のディスプレイ構成要素との間の反射によって再利用され得る。反射偏光子142によって反射された光の少なくとも一部は、無偏光化され、続いて、反射偏光子142および下部吸収偏光子158を通してLC層152に透過される偏光状態で、反射偏光子142に戻され得る。このように、反射偏光子142を使用して、LC層152に到達する、光源112によって放射される光の割合を増加させ、より明るいディスプレイ出力を提供することができる。任意の適切なタイプの反射偏光子が、反射偏光子142に使用され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、分極化コントロール層144は、拡散器プレート120と反射偏光子142との間に提供することができる。分極化コントロール層144を使用して、反射偏光子142から反射される光の偏光を変化させることができ、よって、増加した割合の再利用光が反射偏光子142を通じて透過される。
【0022】
光管理フィルムの配設140はまた、1つ以上の輝度強化層も含むことができる。輝度向上層は、軸外光をディスプレイの軸により近い方向に向け直す表面構造を含むことができる。これは、LC層152を通って軸上を伝搬する光の量を増加させ、したがって、視聴者が見る画像の輝度を増加させることができる。輝度向上層の一実施例は、プリズム状輝度向上層であり、これは、屈折および反射を通じて照明光を向け直す多数のプリズム状隆起を有する。プリズム輝度向上層の実施例には、3M Companyから入手可能なBEFプリズムフィルムが含まれる。他の種類の輝度向上層には、非プリズム構造体を組み込むことができる。
【0023】
図1に示す例示的な実施形態は、反射偏光子142とLCパネル150との間に配置された第1の輝度強化層146aを示す。プリズム状輝度強化層146aは、典型的に、一次元の光学利得を提供する。随意の第2の輝度強化層146bもまた、光管理層の配設140内に含まれ得、第1の輝度強化層146aのプリズム状構造に直角に配向されたそのプリズム状構造を有する。そのような構成は、ディスプレイシステム100の二次元の光学利得の増加を提供する。他の例示的な実施形態では、輝度強化層146a、146bは、バックライト108と反射偏光子142との間に配置され得る。
【0024】
光管理ユニット140の異なる層は、自立型であり得る。他の実施形態では、光管理ユニット140内の層の2つ以上は、共に積層され得る。他の例示的な実施形態では、光管理ユニット140は、2つ以上のサブアセンブリを含み得る。
【0025】
概略図として、ディスプレイシステム100の構成要素は、尺度通りに示されておらず、一般に、(左右方向に沿った)それらの横方向の大きさと比較して、大きく誇張された(
図1の上下方向に沿った)厚さを有して示されていることを理解されたい。102、120、142、144、146a、146b、152、154、156、および157(必ずしも限定されない)を含む、ディスプレイシステム100の多くの要素は、一般に、「表示領域」とも称され得るディスプレイの視認可能な領域にほぼ等しい領域の上のそれらの厚さに直角な(すなわち、
図1の平面に直角な)二次元に延在することができる。
【0026】
バックライト108に戻ると、いくつかの実施形態では、光源112は、(特に、約455nm以下の)UVおよび青色光範囲などの潜在的に有害な波長範囲の相当な量の光を放射し得る。本開示のシステムを含まないディスプレイシステム100では、相当な量のそのような潜在的に有害な光が、ディスプレイシステム100によってユーザに向かって(
図1に対して上向きに)放射され得る。この文脈では、「相当な」量の光とは、ディスプレイのユーザに対して有害な健康効果をもたらし得る量の光を意味し得る。この危険性を考慮して、本開示は、システム100などのディスプレイシステムから放射される有害な青色光の量を低減させるためのシステムを提供する。
【0027】
電磁スペクトルの可視領域における以降の光の放射を伴うことなく、光の吸収(または別様な光の除去)に基づく青色光の放射を軽減するための手法は、一般に、そのような吸収特性を有しない他の同じ対照ディスプレイと比較して、(測定および/または知覚される)ディスプレイの輝度の減少をもたらし得る。いくつかの場合では、そのような吸収関連の輝度の減少を補償するために、(対照ディスプレイへの電力入力と比較して)ディスプレイへの電力入力が増加する。一般に、ディスプレイ電力消費の増加は、特に電池寿命に悪影響を及ぼし得るポータブルデバイスにおいて望ましくない場合がある。
【0028】
本開示では、ディスプレイからの光の放射を修正するためのシステムを開示し、該システムでは、光変換材料を、(
図1の光源112などの)ディスプレイの光源から離れて用いることができる。光変換材料は、一般に、第1の波長範囲の光を吸収し、第2の波長範囲の光を放射することができる(したがって、波長範囲を一方から他方へ「変換」する)。本開示において、より短い波長からより長い波長への変換は、「上方変換」と称することができ、より長い波長からより短い波長への変換は、「下方変換」と称することができる。しかしながら、これらの定義は、普遍的なものではない場合があり、他の文書では、上方変換および下方変換を逆に定義している場合がある(例えば、いくつかの文書は、そのような用語を、波長と反比例する周波数に対して定義している場合がある)ことを認識されたい。
【0029】
ディスプレイの光源から離れた光変換材料を使用するシステムを使用して、UVおよび青色光範囲(特に約455nm以下)などのあまり有用でないまたは有害な波長範囲の光を吸収し、緑色および/または赤色波長範囲などのより有用であり得る(健康の観点から)より害の少ない波長範囲の光を再放射することができる。いくつかの場合では、光は、より短い青色波長(455nm以下)から、より害が少なくさらにはディスプレイ照明により有用であり得る、より長い青色波長に上方変換することができる。このような方法で、光源から離れた光変換材料を使用するシステムは、そのような光変換材料を使用していないディスプレイシステムと比較して、ディスプレイシステムからの光の放射を修正することができる。
【0030】
いくつかの実施例では、ディスプレイの光源から離れた光変換材料を使用するシステムは、電子デバイスディスプレイと共に用いて、青色光の放射を軽減することができ、よって、得られるディスプレイシステムは、光源から離れた光変換材料を有しない対照ディスプレイと同等の輝度を達成することができ、一方で、エネルギーの消費が対照ディスプレイよりも10%程度少ない。
【0031】
光源から離れた光変換材料を使用するシステムは、光源から離れた光変換材料を用いない、ディスプレイから青色光の放射を低減させるためのいくつかの既知の以前の方法と比較して、ディスプレイのカラーバランスを向上させることができる。いくつかのそのような既知の以前の方法は、スペクトルからの青色光の一部分を吸収または別様に除去することによって青色光の放射を低減させることができ、したがって、ディスプレイから放射される光のスペクトルバランスを変化させる。本開示のシステムでは、電子ディスプレイデバイスから放射される有害な青色光の量を低減させることに加えて、光源から離れた光変換材料は、そのような光変換材料を含まない、青色光の軽減を伴う他の類似のディスプレイと比較して、電子ディスプレイデバイスから放射される光のカラーバランスに寄与する、それを支援する、または向上させることができる光を再放射することができる。いくつかの実施形態では、光源から離れた光変換材料を組み込んだ本開示のシステムを含むディスプレイシステムは、D65白色点を維持することができる。いくつかの実施形態では、光源から離れた光変換材料を組み込んだ本開示のシステムを含むディスプレイシステムは、相関色温度(CCT)を、本開示の青色光軽減システムの有しない対照ディスプレイシステムと実質的に同じに維持することができる。
【0032】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、光変換材料は、光吸収材料と組み合わせて使用して、ディスプレイシステムからの有害な青色光の放射を低減させ、カラーバランスを向上させるかまたは維持することができる。
【0033】
本開示のシステムは、UVまたは青色波長範囲以外の波長範囲を含む複数の波長範囲からの光を吸収することができる複数の光変換材料を含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、健康リスクをもたらすとみなされる波長範囲からの光を吸収する光変換材料を用いることができる。そのような光変換材料の吸収および放射は、例えば、ディスプレイのカラーバランスを向上させるために、または別様にそれに寄与するために用いることができる。
【0035】
任意の好適な光変換材料を、本開示のシステムで使用することができる。限定されないが、用いられる光変換材料としては、
- 有機材料、
- 採掘材料であり得る無機材料、
- ラマン散乱材料、
- 反ストークス材料、
- 指紋ダスティングなどの他のディスプレイ以外の用途で知られている材料、
- DayGlo Color Corp(例えば、DAYGLO A-594-5)から入手可能な蛍光顔料などを挙げることができる。驚くべきことに、開花した挙動を必要とする用途において一般的に使用される材料は、大きいスペクトル効率を有する光フィルタリング用途で使用することができる。
- Sigma Aldrich Co.LLC.から入手可能なSUNSTONE Luminescent UCP Nanocrystalsなどの、発光性ナノクリスタル。
【0036】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、光変換材料は、ディスプレイの光源から離れた任意の好適な位置に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、光変換材料は、光管理フィルム140の1つ以上のフィルム、および/または
図1に示していない別の1つ以上のフィルム内に、その上に、またはそれと共に含むことができる。概して、光変換材料は、光変換材料によって吸収される光と比較して、異なる指向性および/または偏光を有する光を再放射することができる。したがって、いくつかの実施形態では、光変換材料は、(
図1の配向に対して)1つ以上の反射偏光子142および/または輝度強化層146a、146bの下側に含むことができ、よって、再放射された光は、ユーザに向かってディスプレイを出る前に、フィルム142、146a、および146bを通過する(そのようなフィルムがディスプレイシステムに存在する場合)。しかしながら、これは、限定するものではなく、また、光変換材料は、潜在的に、光管理フィルム140の任意の構成要素内に、または、またはそれと共に位置付けることができる。
【0037】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、光変換材料は、
図1の層157などの、LC層152とユーザとの間の表示層内に、その上に、またはそれと共に含むことができる。
【0038】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、光変換材料は、反射基板102内に、その上に、またはそれと共に含むことができる。
【0039】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、光変換材料は、光管理フィルム140、反射器102、または層157などの別の層のフィルム内に、その上に、またはそれと共に含まれるか、または提供されるときに、ディスプレイの表示領域に対応する実質的にほぼ全領域に分配することができる。いくつかのそのような実施形態では、光変換材料は、そのような領域の上に実質的に均一に分配することができる。
【0040】
光変換材料は、任意の好適な様態で、光管理フィルム140、反射器102、または層157などの別の層のフィルム内に、その上に、またはそれと共に含むこと、または提供することができる。いくつかの実施形態では、光変換材料は、フィルムと共に押し出し加工または鋳造することができる。いくつかの実施形態では、光変換材料は、フィルムの上へコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、光変換材料は、ディスプレイシステム100の任意の好適な層またはフィルムなどの、ディスプレイシステムの1つ以上の層を接合または積層するために使用される接着剤内に、またはそれと共に提供することができる。光変換材料を組み込んだそのような接着剤は、実質的に光学的に透明であり得、光変換材料による吸収および再放射と関連付けられた光の向け直し以外に、接着剤を通して透過される光の無視できる散乱を呈する。
【0041】
いくつかの実施形態では、光変換材料は、ポリマー樹脂または接着剤などの、ディスプレイシステム100の任意の好適なフィルムまたは層の構成要素または前駆体である材料の全体にわたって可溶的または不溶的に分配または分散させることができる。いくつかの実施形態では、光変換材料は、ナノ粒子を含むことができ、そのいくつかは、ポリマーおよび一般的に使用される溶媒に不溶性であり得る。均一な分布は、可溶性の光変換材料を有するいくつかのシステムにおいてより容易に達成することができるが、異質な均一分布は、製造中に適切な取り扱いを伴う不溶性の光変換材料によって達成することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、光変換材料は、それらが組み込まれる材料または媒体に屈折率整合させることができ、よって、該光変換材料は、それらが光を吸収および再放射する範囲以外の波長範囲において本質的に光学的に「見えなく」なり得、光変換材料を組み込んだフィルムまたは他の材料は、本質的に光学的に透明に見える。いくつかの他の実施形態では、光変換材料と、それらが組み込まれている材料または媒体との間の屈折率の差は、(必ずしも限定されないが)拡散および反射などの、他の光学機能に利用することができる。屈折率の整合または屈折率の調整は、無機ナノ粒子を好適に小さくし、それらを有機接着剤に化学的に結合することによって影響を及ぼされ得る。同様に、有機分子自体の設計は、屈折率を調整することができる。一例として、シリコーンは、相対的に低い光学屈折率の傾向があり、一方で、複雑な炭化水素は、相対的に高い光学屈折率の傾向がある。有機官能性リガンド末端は、接着剤の屈折率を修正することができる。
【0043】
光変換材料を組み込んだ本開示のシステムは、光変換材料さらには他の非変換遮断またはフィルタリング化合物の選択を含む選択可能な設計パラメータによって、既存のディスプレイシステムに後付けするように特別に設計することができる。他の実施例では、光変換材料を組み込んだ本開示のシステムを用いる新しいディスプレイシステムを設計することができる。LED(および/または他の光源)、光変換材料、他の非変換ブロッキングまたはフィルタリング化合物)、ならびに他の光学フィルムおよびデバイス、の賢明な選択を通じて、手法の多数の組み合わせを開発して、眼の健康上の懸念に対処し、一方で、高い表示品質を提供する、ディスプレイを提供することができる。
【0044】
本発明の実施形態を示し、説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることも明らかになるであろう。また、本発明の異なるモードを形成するために、開示する実施形態の特定の特徴および態様の様々な組み合わせまたは下位組み合わせを互いに組み合わせることまたは置き換えることができることも想到される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって限定される場合を除いて、限定することを意図しない。本明細書で引用される全ての参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイシステムであって、
発光ダイオードを備えるバックライトであって、白色光を放射する、バックライトと、
前記バックライトから視聴者への光の透過を制御するように構成された液晶パネルと、を備え、
前記ディスプレイシステムが、前記バックライトと前記液晶パネルとの間に1種以上の光変換材料を含む1つ以上の光管理フィルムをさらに備え、
前記1種以上の光変換材料の各々が、第1の波長範囲の光を吸収し、かつ第2の波長範囲の光を再放射し、
前記光変換材料が、約455nm以下の有害な青色発光を低減させるように、光吸収物質と組み合わせて使用される、ディスプレイシステム。
【請求項2】
前記バックライトが、前記液晶パネルを照明する光を生成する光源を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項3】
前記光源が、実質的に前記液晶パネルの領域全体にわたって前記液晶パネルの背面に位置付けられた光源のアレイを備える、請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項4】
前記バックライトが、光ガイドの1つ以上の側部に位置付けられた光源を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項5】
前記光変換材料が、有機材料、無機材料、ラマン散乱材料、反ストークス材料、蛍光顔料、および指紋ダスティングに使用される材料から選択される、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項6】
前記1つ以上
の光管理フィルムが、前記バックライトと前記液晶パネルとの間に配置された光管理システムを備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項7】
前記光管理システムが、拡散器プレートまたは反射偏光子を備える、請求
項6に記載のディスプレイシステム。
【請求項8】
前記光管理システムが、拡散器プレートおよび反射偏光子を備える、請求
項6に記載のディスプレイシステム。
【請求項9】
前記拡散器プレートと前記反射偏光子との間に偏光子制御層をさらに備える、請求
項8に記載のディスプレイシステム。
【請求項10】
前記液晶パネルが、パネルプレートの間に配置された液晶層を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
前記パネルプレートが、それらのそれぞれの内面に電極構造体および配向層を備える、請求項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
前記電極構造体および配向層が、前記液晶層内の液晶の配向を制御する、請求項11に記載のディスプレイシステム。
【請求項13】
前記パネルプレートが、カラーフィルタを備える、請求
項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項14】
前記液晶パネルが、上部吸収偏光層と下部吸収偏光層との間に配置されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
前記液
晶パネルのピクセルを選択的に作動させて画像を形成するコントローラをさらに備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項16】
反射偏光子と前記液晶パネルとの間に配置された第1のプリズム状輝度強化層をさらに備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項17】
前記第1のプリズム状輝度強化層のプリズム状構造に対して直角に配向されたプリズム状構造を有する第2のプリズム状輝度強化層をさらに備える、請求項16に記載のディスプレイシステム。
【請求項18】
前記光管理フィルムが、前記ディスプレイシステムがD65白色点を維持することを可能にする、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項19】
前記光管理フィルムが、前記ディスプレイシステムが、相関温度を前記光管理フィルムのない基準ディスプレイシステムと実質的に同じに保つことを可能にする、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項20】
光を変換する方
法であって、
ディスプレイシステムを提供することであって、前記ディスプレイシステムが、
発光ダイオードを備えるバックライトであって、白色光を放射する、バックライトと、
前記バックライトから視聴者への光の透過を制御するように構成された液晶パネルと、を備え、
前記ディスプレイシステムが、前記バックライトと前記液晶パネルとの間に1種以上の光変換材料を含む1つ以上の光管理フィルムをさらに備え、前記1種以上の光変換材料の各々が、第1の波長範囲の光を吸収し、かつ第2の波長範囲の光を再放射し、
前記光変換材料が、約455nm以下の有害な青色発光を低減させるように、光吸収物質と組み合わせて使用される、提供することと、
前記ディスプレイシステムを電子ディスプレイデバイス
のディスプレイに組み込むことと、を含む、方法。
【国際調査報告】