(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(54)【発明の名称】プログラム可能な生体構造及びフロー撮像を有する超音波撮像デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559111
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(85)【翻訳文提出日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 US2021014141
(87)【国際公開番号】W WO2021178057
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520505249
【氏名又は名称】エクソ イメージング,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハク,ユースフ
(72)【発明者】
【氏名】アカラジュ,サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】ブリゼク,ヤヌシ
(72)【発明者】
【氏名】バーカムショー,ブライアン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DE02
4C601DE03
4C601DE04
4C601EE14
4C601EE15
4C601GB06
4C601GB18
4C601GB19
4C601GB20
4C601GB24
4C601GB30
4C601GB41
4C601GD04
4C601LL26
(57)【要約】
撮像デバイスは、基板上に形成された圧電素子のアレイを含むトランスデューサを含む。各圧電素子は、基板から懸架された少なくとも1つの膜と、膜上に配置された少なくとも1つの下部電極と、下部電極上に配置された少なくとも1つの圧電層と、少なくとも1つの圧電層上に配置された少なくとも1つの上部電極とを含む。隣接する圧電素子は、互いに音響的に分離されるように構成される。デバイスは、フローを測定するか又は生体構造の撮像と共にフローを測定するために利用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された圧電素子のアレイを含むトランスデューサを含む撮像デバイスであって、各圧電素子は、
前記基板から懸架された少なくとも1つの膜と、
前記膜上に配置された少なくとも1つの下部電極と、
前記下部電極上に配置された少なくとも1つの圧電層と、
前記少なくとも1つの圧電層上に配置された少なくとも1つの上部電極と
を含み、隣接する圧電素子は、互いに音響的に分離される、撮像デバイス。
【請求項2】
圧電素子間の分離は、素子間又はサブ素子間の相互作用を分離するために圧電素子間に位置決めされたトレンチによって達成される、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項3】
圧電素子間の分離は、他のエリアと比べて異なる音響インピーダンスを有する膜エリアを有するインピーダンス整合材料の使用によって達成される、請求項2に記載の撮像デバイス。
【請求項4】
前記基板は、隣接する圧電素子間のクロストークを妨げるために薄層化される、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項5】
特定用途向け集積回路(ASIC)と、
前記ASICに面する前記トランスデューサの表面上に配置されたバッキング層と
をさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項6】
各圧電素子は、複数の振動モードを呈する、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項7】
各圧電素子は、最初に送信モードにされ、及びその後、前記送信モードから、エコーを受信するための受信モードにされる、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項8】
連続波(CW)ドップラー撮像を可能にするために、前記アレイの第1の圧電素子は、連続的に送信モードである一方、前記アレイの第2の圧電素子は、連続的に受信モードである、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項9】
Bモード、ドップラーモード及びカラードップラー撮像の少なくとも1つを実行するための回路をさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項10】
前記ドップラーモード及びBモードについて、前記圧電素子のアレイの少なくとも一部から送信される音響電力を電子的に調整することにより、同じ数の電源が使用される、請求項9に記載の撮像デバイス。
【請求項11】
各圧電素子からの電力は、マルチレベル送信パルサー出力の適切なレベルを使用することによって調整される、請求項10に記載の撮像デバイス。
【請求項12】
音響出力電力は、前記送信に参加している素子の数を電子的に調整することによって調整される、請求項11に記載の撮像デバイス。
【請求項13】
前記Bモード及びドップラーモードは、撮像モードについて同じ電源を使用しながら、特定の音響電力レベル及び特定のメカニカルインデックスを維持する、請求項9に記載の撮像デバイス。
【請求項14】
3D空間におけるビーム操作能力のための操作構造をさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項15】
より良好な信号視覚化のためにドップラー角度を最適化するための、3D空間におけるビーム操作のための操作構造をさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項16】
少なくとも1つの圧電素子は、少なくとも2つのサブ素子を含み、前記少なくとも2つのサブ素子は、第1のサブ素子が送信することができる一方、第2のサブ素子が受信することができるように有効にされる、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項17】
前記撮像デバイスの方位角方向焦点、仰角方向焦点又は開口サイズの1つ又は複数を変更するための回路をさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項18】
トランスデューサと、
前記トランスデューサ上において行及び列に配列された圧電素子の二次元(2D)アレイであって、各圧電素子は、少なくとも2つの端子を有し、各圧電素子は、クロストークを低減するために、それぞれの隣接する圧電素子から物理的に分離される、二次元(2D)アレイと、
前記アレイの圧電素子の第1の列であって、各圧電素子は、それぞれの受信増幅器に接続された第1の上部電極を有し、前記圧電素子の各々は、あたかも一緒に接続されて第1の列を形成するかのように電子的にプログラムされる、第1の列と、
前記アレイの圧電素子の第2の列であって、各圧電素子は、それぞれの送信ドライバに接続された第2の上部電極を有し、前記圧電素子の各々は、あたかも一緒に接続されて第2の列を形成するかのように電子的にプログラムされる、第2の列と
を含む撮像デバイス。
【請求項19】
トランスデューサと
前記トランスデューサ上において行及び列に配列された圧電素子の2Dアレイであって、各圧電素子は、少なくとも2つの端子を有する、2Dアレイと、
前記圧電素子の少なくとも第1の列であって、各圧電素子は、プログラムされた制御下でそれぞれの受信増幅器又は送信ドライバに接続された第1の上部電極を有する、少なくとも第1の列と、
前記圧電素子の少なくとも第2の列であって、各圧電素子は、プログラムされた制御下でそれぞれの受信増幅器又は送信ドライバに接続された第1の上部電極を有し、前記圧電素子は、送信し、及び次いで、その後、受信するようにプログラムされるか、又は同時に送信及び受信するようにプログラムされるかのいずれかである、少なくとも第2の列と
を含む撮像デバイス。
【請求項20】
クロストーク分離を提供するように構成される、前記基板の一方の側における少なくとも1つのトレンチ又は少なくとも2つのトレンチであって、各トレンチは、前記基板の両側に位置する、少なくとも2つのトレンチをさらに含む、請求項2に記載の撮像デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
[0001] 超音波イメージャのトランスデューサは、撮像されるターゲットに向かって超音波ビームを送信し、反射した波形からの信号は、画像を作成するために使用される。組織から反射した波形は、観察されている生体構造の画像を形成するために使用される一方、血流、フロー速度及び方向は、電子的制御下でドップラーシフト原理を使用して測定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
図面の簡単な説明
[0002] 添付の図面は、本明細書で説明される原理の様々な例を示すものであり、本明細書の一部である。示される例は、単なる例示のために提供され、特許請求の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】[0003]本明細書で説明される原理の例による、生体構造及びフロー撮像のための撮像デバイスのブロック図を示す。
【
図2】[0004]本明細書で説明される原理の例による、生体構造及びフロー撮像のためのポータブル撮像システムの図を示す。
【
図3】[0005]本明細書で説明される原理の例による、撮像能力を備える撮像デバイスの概略図を示す。
【
図4】[0006]本明細書で説明される原理の例による曲面トランスデューサアレイの側面図を示す。
【
図5】[0007]本明細書で説明される原理の例によるトランスデューサの上面図を示す。
【
図6A】[0008]本明細書で説明される原理の例による撮像デバイス及びフレームの走査線の等角図を示す。
【
図6B】[0009]方位角(xa)、仰角(ya)及び軸/深度(za)方向を示す。
【
図6C】[0010]列上の素子に対する遅延の変化によるビーム集束及び操作を示す。
【
図6D】[0011]列上の相対遅延を変化させた素子の二次元行列を示す。
【
図7】[0012]本明細書で説明される原理の例による走査線の形成を示す。
【
図8】[0013]本明細書で説明される原理の例による、撮像デバイスのチャネルの数を選択的に変更するための方法のフローチャートを示す。
【
図9】[0014]本明細書で説明される原理の例による受信チャネルを示す。
【
図10】[0015]本明細書で説明される原理の例による受信チャネルの低雑音増幅器(LNA)の簡略図を示す。
【
図11】[0016]本明細書で説明される原理の例による高速パワーアップバイアス回路の回路図を示す。
【
図12】[0017]本明細書で説明される原理の例による圧電素子の製作を示す。
【
図13】[0018]本明細書で説明される原理の例による圧電素子の製作を示す。
【
図14】[0019]本明細書で説明される原理の例による圧電素子の製作を示す。
【
図15】[0020]本明細書で説明される原理の例による圧電素子の製作を示す。
【
図16】[0021]本明細書で説明される原理の例による圧電素子の製作を示す。
【
図17A】[0022]近隣の素子間のクロストークを低減するための分離のための素子構築を示す。
【
図17B】[0023]近隣の素子間のクロストークを低減するための分離のための素子構築を示す。
【
図17C】[0024]対応する特定用途向け集積回路(ASIC)に接続されたトランスデューサ素子の断面図を示し、ASIC内に少なくとも送信ドライバ及び受信増幅器電子機器がある。
【
図18】[0025]本明細書で説明される原理の例による、基板層上に配置され、且つ膜を覆うように配列された下部電極の上面図を示す。
【
図19A】[0026]本明細書で説明される原理の別の例による圧電素子の概略図を示す。
【
図19B】[0027]本明細書で説明される原理の例による
図19Aの圧電素子の象徴的表示を示す。
【
図19C】[0028]本明細書で説明される原理の例による圧電素子の断面図を示す。
【
図19D】[0029]本明細書で説明される原理の例による、基板上に配置された2つのサブ素子の断面図を示す。
【
図19E】[0030]本明細書で説明される原理の例による圧電層、導体及び分離手段の詳細を示す、2つの隣接素子の断面図を示す。
【
図19F】[0031]本明細書で説明される原理の例による、クロストークを最小化するための分離の詳細を示す、2つの隣接素子の断面図を示す。
【
図19G】[0032]本明細書で説明される原理の例による、クロストークを最小化するための分離の詳細と共に、2つの隣接素子の断面図を示す。
【
図19H】[0033]本明細書で説明される原理の例による、クロストークを最小化するための分離の詳細と共に、2つの隣接素子の断面図を示す。
【
図19I】[0034]本明細書で説明される原理の例による、動作のたわみモードを使用した圧電素子を示す。
【
図20A】[0035]本明細書で説明される原理の例によるパルスのアンサンブルを示す走査線を示す。
【
図20B】[0036]本明細書で説明される原理の例による、複数の走査線を有する撮像フレームを示し、各線は、複数のサンプルを示す。
【
図21】[0037]本明細書で説明される原理の例による、画像を得るためのサブ素子及びサブセットを使用した送信及び受信動作を示す。
【
図22】[0038]本明細書で説明される原理の例による、傾けて集束させた仰角平面を示す。
【
図23】[0039]本明細書で説明される原理の例による、電子的に変更されている方位角方向焦点を示す。
【
図24】[0040]ドップラーサンプルボリュームにおけるフロー感度の高い領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
[0041] 図面全体を通して、同一の参照番号は、同様の要素を指定するが、必ずしも同一の要素とは限らない。図は、必ずしも原寸に比例するとは限らず、いくつかの部分のサイズは、示される例をより明確に示すために拡大されている場合がある。さらに、図面は、説明と一致する例及び/又は実装形態を提供するが、説明は、図面において提供される例及び/又は実装形態に限定されない。
【0005】
詳細な説明
[0042] 本発明は、撮像デバイスに関し、より具体的には、フロー及び生体構造撮像を実行する能力を有するポータブルハンドヘルド超音波撮像デバイスに関する。
【0006】
[0043] 超音波撮像(ソノグラフィ)は、高周波音波を使用して、身体の内部を観察する。超音波画像は、リアルタイムで捕捉されるため、それらの画像は、体内の内臓の動き及び血管を通して流れる血液も示し得る。音波は、腱、筋肉、関節、血管及び内臓などの体内の内部構造の画像を作成及び表示するために使用される。
【0007】
[0044] 撮像を実行するために、撮像デバイスは、身体に信号を送信し、撮像されている身体の一部から反射信号を受信する。撮像デバイスのタイプは、トランスデューサを含み、トランスデューサは、トランシーバ又はイメージャと呼ぶことができ、光音響又は超音波効果に基づき得る。そのようなトランスデューサは、撮像のみならず、他の応用でも使用することができる。例えば、トランスデューサは、体内の組織又は他の臓器の生体構造を観察するために医用画像処理において使用することができる。トランスデューサは、材料試験などの産業への応用又はHIFUベースの手術の局所組織加熱などの治療への応用でも使用することができる。ターゲットを撮像してターゲットの移動(血流速度及び方向など)を測定する際、ドップラー測定技法が使用される。ドップラー技法は、パイプ内の流体又は気体フローなどの流量を測定するための産業への応用にも適用可能である。
【0008】
[0045] 発生源と対象物との間の相対的な運動に起因する送信波周波数と反射波周波数との差は、ドップラー効果として知られている。周波数シフトは、トランスデューサと対象物との間の移動速度に比例する。この効果は、血流速度及び方向を決定するために超音波撮像において利用される。
【0009】
[0046] ドップラーイメージャは、連続波(CW)又はパルス波(PW)超音波ビームを生成することができる。CWドップラーでは、信号は、連続的に送信及び受信され、一方が送信用であり、及び他方が受信用である2つの素子トランスデューサが必要とされる。PW動作では、単一素子トランスデューサを使用して超音波信号を送信及び受信する。
【0010】
[0047] 超音波撮像の場合、トランスデューサを使用して、撮像されるターゲットに向かって超音波ビームが送信される。反射波形は、トランスデューサによって受信され、電気信号に変換され、さらなる信号処理が行われ、画像が作成される。フロー速度及び方向は、微細加工超音波トランスデューサ(MUT)のアレイを使用して測定することができる。
【0011】
[0048] 生体構造のBモード撮像は、超音波エコーを表すドットで構成される二次元超音波画像表示である。各ドットの輝度は、返されたエコー信号の振幅によって決定される。これにより、生体構造の視覚化及び定量化のみならず、診断及び治療手順の視覚化も可能になる。通常、Bモード画像は、同じ平面における切欠図の実際の生体構造に密接に類似する。Bモード撮像では、トランスデューサは、最初に送信モードにされ、及び次いで、ターゲットからエコーを受信するための受信モードにされる。エコーは、生体構造画像に処理される信号である。トランスデューサ素子は、送信モード又は受信モードである(ただし、同時ではない)ようにプログラム可能である。
【0012】
[0049] カラーフロードップラー、カラードップラー撮像又は単なるカラードップラーの使用により、ユーザが定義したエリア内の動脈又は静脈中の血流の方向及び速度の視覚化が可能になる。対象の領域が定義され、平均速度及び方向に基づいて反射超音波のドップラーシフトが色分けされる。これらの画像は、観察されている生体構造に対するフローのより直観的な感覚を提示するために、Bモード走査の生体構造画像と重複される(同時画像処理される)場合がある。ドップラー撮像は、PWドップラーでもあり得、それにより、フローの距離及び速度が決定されるが、最大流量は、使用されるパルス繰り返し周波数に依存する。そうでなければ、画像にエイリアシングが発生し、それにより、より高い速度がより低い速度のように見えるようになる。ドップラーシフトは、ドップラー撮像のPWモードを使用してフロー速度を測定するために受信された波のアンサンブルから測定することができる。CWドップラーは、連続撮像技法であり、一方のトランスデューサ素子から連続送信を行いながら、他方のランスデューサ素子からエコーを受信することを通してエイリアシングが回避される。この技法を用いると、距離は、曖昧になる。プログラム可能な機器では、後に論じられるように、パルス技法と連続技法との両方を実装することができる。PW及びカラードップラーは、アレイの選択された数の素子を使用することができる。最初に、素子は、送信モードにされ、エコーが返された後、素子は、受信モードにされ、受信信号は、ドップラー信号撮像のために処理される。CWドップラーの場合、少なくとも2つの異なる素子が利用され、各素子は、連続送信モードであり、他方の素子は、連続受信モードである。
【0013】
[0050] 移動している物体からのドップラー信号は、フローについての情報のみならず、周辺組織又は動きの遅い血管から生じるクラッタを含む後方散乱信号も含む。このクラッタ信号は、典型的には、血液から生じるドップラーシフト信号より40~80dB強力であり得る。従って、フローを正確に推定するためにクラッタ除去が必要とされる。クラッタ抑圧は、ドップラー信号の処理におけるステップである。ドップラーシフト信号からクラッタ信号を除去するためにハイパスフィルタ(HPF)を使用することができる。ハイパスフィルタは、静止した若しくは動きの遅い組織又は他の任意の臓器からの信号を抑圧するために使用される。動きの遅い物体からの信号は、低周波数であるが、より速い血流から生成される高周波数信号よりはるかに強力な振幅を有し得る。従って、血液からの信号と、組織からの信号とを切り離すために、急激な遷移帯域を有するハイパスフィルタが使用される。これらのフィルタは、受信機においてデジタル式で展開させることができる。ときにウォールフィルタとして知られているこれらのフィルタは、信号を位相整合させた状態での異なる送信体からの信号の差に注目する。ドップラーシフトによって生じるいかなる偏差も所望の出力である。しかし、低周波数クラッタがこの偏差の一部を引き起こした場合、フロー検出アルゴリズムの感度が低下する。DC/DC変換器ベースの電源の切り替えモードからの影響は、電源におけるクロック周波数及び高調波の出現を招き得る。さらに、これらの周波数は、例えば、ドップラーシーケンスのパルス繰り返し率など、他の切り替え現象の相互作用のために他の周波数をもたらし得る。
【0014】
[0051] これらの種類の挙動又は相互変調挙動が非線形性によって生じる限り、フロー撮像の対象の周波数においてスプリアス信号が出現し、フロー撮像の感度が低減する。クラッタの別の例は、送信パルサーにおいて使用されるパルスの振幅ジッタである。クラッタ源の1つは、パルスごとに異なる電源振幅であり得、これは、パルス中に電流を伝達するための電源コンデンサの充電がなくなり、次のパルスに対して同じレベルまで再充電されないことに起因する。
【0015】
[0052] デジタルウォールフィルタの使用に加えて、クラッタを発生させる低周波数成分は、デジタルフィルタの前にハイパスフィルタを使用することによって最小限に抑えることができる。フィルタは、アナログ領域のものであり得、デジタル領域のものでもあり得る。これらのフィルタの一部は、まさにトランスデューサインタフェースのところで実行することもでき、ハイパス周波数のリアルタイム制御は、無線周波数(Rf)及びキャリア周波数(CHF)ネットワークを制御することによって達成される。無線周波数(Rf)は、3kHz~300GHzの範囲の電磁波及び無線信号を搬送する交流電流の振動率を指す。キャリア周波数(CHF)は、データを搬送するために変更又は変調された固定周波数の送信として定義される。このキャリア周波数(CHF)は、20dB/Decのハイパススロープを達成する。
【0016】
[0053] 加えて、低雑音増幅器(LNA)の使用を越えて、受信機の動作を簡素化して電力及び処理時間を節約するために、他のデジタル制御されたハイパスフィルタ(HPF)を活用することができる。時間利得補償(TGC)前に不要なクラッタを除去することにより、LNAは、アナログ/デジタル変換器(ADC)に提示される信号のダイナミックレンジを増大させる。ここで、デジタル処理されたビットは、さらなるドップラーオペレーションのために処理することができる。
【0017】
[0054] ドップラーの取得は、対象の特定の領域からデータを取得するためのパルスの繰り返し送信に依拠する。そのような取得は、さらなるスペクトル処理のためにドップラー信号が均等にサンプリングされることを保証するために、その周期性において正確である。これは、Bモード又はカラーフロー信号が同時に取得される二重又は三重撮像のようなモードでこのドップラー信号取得が行われる際、超音波撮像システムに対する主要な制約であり得る。この制約により、他のモードに対するフレームレートが低減し、従ってリアルタイムでイベントを追跡する超音波検査士の能力が制限される。さらに、同じ場所への超音波パルスの高速の周期的送信により、単位面積あたりの平均電力が一定の安全基準を超えて増加し得、従って生成される音響電力に対する制限により、この安全ゾーンへの維持への細心の注意が払われる。
【0018】
[0055] ドップラーシフト原理は、血流速度を計算するために使用される。体液、産業用流体、気体など、他のタイプの速度を計算することもできる。観測者が発生源に近づく際、1秒間により多くの波サイクルを経ることによる増加周波数f
rは、
【数1】
によって得られる。
【0019】
[0056] 上記では、ftは、送信周波数であり、cは、組織中の音速度であり、vは、観測者(例えば、血液)の速度である。
【0020】
[0057] 観測者の速度が波の伝播方向に対して角度φをなす場合、速度は、波の進行方向の速度成分vcosφに置き換えられる。
【数2】
【0021】
[0058] 観測者が静止しており、発生源が波の移動方向にある速度で移動している場合、波長は、圧縮される。結果として得られる観測周波数は、以下の通りである。
【数3】
【0022】
[0059] 角度を考慮に入れると、以下の通りである。
【数4】
【0023】
[0060] 超音波の応用では、超音波ビームは、移動している血液細胞及び組織から後方散乱する。上記の両方の効果を組み合わせると、送信ドップラーシフトの周波数が得られる。次いで、観測された周波数は、
【数5】
によって得られる。
【0024】
[0061] 言及したように、ドップラーシフト周波数は、入射周波数f
tと反射周波数f
rとの差であり、従って、
【数6】
によって得られる。
【0025】
[0062] c>>vであるため、
【数7】
となる。
【0026】
[0063] 最後の関係から、ドップラーシフトは、伝播方向に対する角度φ及び送信周波数に依存する。
【0027】
[0064] 最良の反射は、最適なドップラー信号検出を達成するために、方位角及び仰角平面を90度に電子的に操作して測定する際に起こる。この仰角操作は、仰角遅延制御を任意の所望の方位角と共に組み合わせることによって制御される。
【0028】
[0065] 連続波ドップラーシステムは、同じプローブ内に収納された2つの別個のトランスデューサ素子を使用することによって連続超音波を送信及び受信するシステムである。送信及び受信は、連続的なものであるため、システムは、トランスデューサの近辺から生じる信号が、遠くのターゲットからの信号より少ない減衰を経験することを除いて深度分解能を有さない。
図24には、ドップラーサンプルボリュームにおける送信ビーム2112及び受信ビーム2114が示されている。ドップラー情報を取得することができるフロー感度の高いゾーン2116(サンプルボリューム)は、斜交平行線によって示されるように、トランスデューサ面からある距離で起こる、送信ビームと受信ビームとが重複する領域である。
【0029】
[0066] 例えば、2つのサブ素子を含む素子を構築することが可能であり、一方は、送信モードであり、他方は、受信モードであり得る。トランスデューサにおいて、単一の素子の代わりに、埋め込まれた二重のサブ素子を使用することにより、トランスデューサエリア全体又は選択されたその一部を送信及び受信のために使用することができる。交差エリアはまた、二重のサブ素子を使用することによって増大される。
【0030】
[0067] 医用画像処理において使用される超音波イメージャなどの撮像デバイスは、圧電(PZT)材料又は他の圧電セラミック及び高分子複合材料を使用する。トランスデューサのためのバルクPZT素子を製作するために、厚い圧電材料スラブを大きい長方形の形状のPZT素子に切断することができる。長方形の形状のPZT素子は、構築費用が高く、なぜなら、その製造プロセスは、長方形の形状の厚いPZT又はセラミック材料を正確に切断すること及び基板上に精密な間隔でその材料を設置することを伴うためである。さらに、トランスデューサのインピーダンスは、組織の音響インピーダンスよりはるかに高く、信号の実用的な送信及び受信を可能にするためにインピーダンス整合層を使用する必要がある。
【0031】
[0068] さらに、そのような厚いバルクPZT素子は、比較的高い電圧パルスを必要とし得る。例えば、送信信号を生成するために100ボルト(V)以上を必要とし得る。トランスデューサの電力散逸は、駆動電圧の二乗に比例するため、この高い駆動電圧は、高い電力散逸をもたらす。高い電力散逸は、撮像デバイス内で熱を生成し、それにより冷却配置が必要になる。冷却システムの使用により、撮像デバイスの製造コスト及び重量が増加し、それにより撮像デバイスの動作がさらに厄介になる。高い電圧により、電子機器のコストも増加する。
【0032】
[0069] さらにまた、トランスデューサのための送信/受信電子機器は、トランスデューサ自体から離れて位置し得るため、トランスデューサと送信/受信電子機器との間のマイクロ同軸ケーブルが必要とされる。一般に、ケーブルは、遅延及びインピーダンス整合のために正確な長さを有し、非常に多くの場合、ケーブルを通してトランスデューサを電子機器に効率的に接続するために追加のインピーダンス整合回路網が使用される。
【0033】
[0070] 従って、本明細書は、圧電微細加工超音波トランスデューサ(pMUT)の使用について説明し、圧電微細加工超音波トランスデューサは、様々な半導体ウェーハ製造作業を活用して基板上に効率的に形成され得る。半導体ウェーハは、6インチ、8インチ及び12インチサイズで提供され、数百のトランスデューサアレイの収納が可能である。これらの半導体ウェーハは、シリコン基板として出発し、シリコン基板上で様々な処理ステップが実行される。そのような作業の例は、絶縁酸化物としても知られているSiO2層の形成である。他の電子機器へのpMUTの接続を可能にするために、相互接続部及び接合パッド又は銅柱としての役割を果たすための金属層の追加など、様々な他のステップを使用することができる。シリコン構造における空洞を作成するためのエッチング技法の使用により、電気制御下において又は外部圧力入力によって移動することができる膜の形成も可能になる。バルク状の圧電材料を有する従来のトランスデューサと比べて、半導体基板上に構築されたpMUTは、それほど分厚くなく、製造費用が安く、電子機器とトランスデューサとの間において、より簡単でより高い性能を有する相互接続部を有する。従って、pMUTは、動作周波数における柔軟性を提供し、相互接続部におけるより低い寄生に起因して、より高い画質の画像を生成する可能性を提供する。
【0034】
[0071] 一例では、撮像デバイスは、特定用途向け集積回路(ASIC)に結合され、ASICは、送信ドライバ、受信エコー信号のための検知回路及び様々な動作を制御するための制御回路を含む。ASICは、別個の半導体ウェーハ上及び別のウェーハ上のpMUT上に形成することができる。ASICは、寄生損失を低減するために、pMUT素子に極めて接近して配置することもできる。一例では、ASICは、トランスデューサアレイから50マイクロメートル(μm)以下ほど離れて位置し得る。2つのウェーハ間又は2つのダイ間の間隔は、100μm未満であり得、各ウェーハは、多くのダイを含み、ダイは、トランスデューサウェーハのトランスデューサ及びASICウェーハのASICを含む。ASICは、pMUTと整合する寸法を有し、それによりウェーハ間相互接続、ASICウェーハ上へのトランスデューサダイの相互接続又はトランスデューサダイからASICダイへの相互接続のためのデバイスの積層が可能である。代わりに、トランスデューサは、低温圧電材料スパッタリング及びASIC処理に対応する他の低温処理を使用して、ASICウェーハの上部に作ることもできる。
【0035】
[0072] pMUTは、高度な超音波撮像の可能性を有する一方、いくつかの制限により、高性能撮像の実装形態におけるそれらの利用が妨げられる。例として、窒化アルミニウムを利用するpMUTは、送信及び受信動作に関する低感度を呈し、需要の少ない用途の対象になっている。PZTを利用する他のpMUTは、比較的高い電圧を必要とし、比較的狭い帯域幅及び比較的低い効率を呈する。
【0036】
[0073] 従って、本明細書は、1)感度が増強され、2)低電圧で動作することができ、3)広帯域幅動作を呈し、4)優れた線形性を呈するpMUTについて説明する。具体的には、本明細書は、関連する制御回路に極めて接近するpMUTについて説明する。これにより、小型ポータブルデバイスの制御回路の制御下での2D及び3D撮像が可能になる。
【0037】
[0074] 別のタイプのトランスデューサは、容量性微細加工超音波トランスデューサ(cMUT)である。しかし、cMUTセンサは、PZTベースのデバイスと比べて、低周波数(大量の医用深部撮像が行われる)での十分な音響圧力の生成が困難であり、本来、非線形である。さらに、cMUTは、高電圧動作を必要とする。
【0038】
[0075] 一般に、本明細書の撮像デバイスは、複数の送信チャネル及び複数の受信チャネルを含む。送信チャネルは、素子が応答する周波数の電圧パルスで圧電素子を駆動する。これにより、圧電素子から超音波波形が放出され、波形は、撮像される対象物に向かって誘導される。いくつかの例では、圧電素子のトランスデューサアレイを有する撮像デバイスは、撮像デバイスと身体との間にゲルを使用して身体と機械的に接触する。超音波波形は、対象物(すなわち臓器)に向かって移動し、波形の一部は、反射して圧電素子に戻り、受信された超音波エネルギーは、電気エネルギーに変換され、次いで、電気エネルギーは、対象物の画像を生成するために複数の受信チャネル及び他の回路によってさらに処理される。
【0039】
[0076] これらの送信及び受信チャネルは、電力を消費し、多くのチャネル(高画質画像を生成するための)がある機器では、電力は、撮像デバイスにおける過度の熱蓄積を引き起こし得る。温度が一定の値を超えて上昇した場合、撮像デバイスの動作に影響が及ぶ可能性があり、オペレータに危険をもたらす恐れがあり、患者に危険をもたらす恐れがあり、温度の上限を制限する規制仕様の範囲外であり得る。超音波撮像デバイスは、トランスデューサアレイ、ASIC、送信及び受信ビーム形成回路並びに制御電子機器を含む。仕様は、最大許容温度を制限し、それを受けて、撮像デバイスに収納できる電子回路が厳しく制限され、撮像デバイスの動作方法も制限される。そのような制限は、達成される画質及び画像のフレームレートに悪影響を及ぼし得る。さらに、撮像デバイスは、電池式であり得、多くのチャネルを有する機器において、電池は、各チャネルがエネルギーを引き出すにつれて急速に消耗し得る。
【0040】
[0077] 本開示の撮像デバイスは、これらの及び他の問題を解決する。具体的には、撮像デバイスは、必要な画質を維持しながら、撮像デバイスの温度限度を超えることなく電力散逸を制御する。具体的には、画像を形成するために使用される受信チャネル及び/又は送信チャネルの数は、例えば、より少数のチャネルが容認可能な事例において電力を節約するために電子的に適応される。具体的な例として、複数のチャネルの各々は、電力を低減するか又は完全にパワーダウンするように動的に制御することができる。加えて、電力を低減するために、各チャネルの他の特性も構成可能である。そのような高度な制御により、安全な温度閾値内で撮像デバイスを動作させることができ、必要な画質を実質的に犠牲にすることなく撮像デバイスをそのように動作させることもできる。電力消費が低いほど、電池寿命も延びる。
【0041】
[0078] 撮像デバイスは、トランスデューサ及び関連する電子機器が収納されるハンドヘルドケーシングも含む。撮像デバイスは、電子機器に給電するための電池も含み得る。上記で説明されるように、撮像デバイスによる電力消費量は、撮像デバイスの温度を上昇させる。撮像デバイスの満足のいく使用及び撮像デバイス性能を保証するために、撮像デバイスの本体の温度は、閾値温度未満に保つべきである。本明細書の撮像デバイスは、高画質画像の取得(かなりの量の電力を消費し、電池寿命を縮め、プローブ内の温度を上昇させるものである)にかかわらず、電力及び温度を低減するように電子的に構成される。
【0042】
[0079] 一例では、本開示は、シリコンウェーハ上に構築された2DアレイのpMUTを使用して2D及び3D撮像が可能である、高性能、低電力且つ低コストのポータブル撮像デバイスについて説明する。一定のパラメータの電子構成でASICに結合されたそのようなアレイは、以前に可能であったものよりも低コストでの高画質画像処理を可能にする。一定のパラメータ(例えば、使用チャネル数又は1つのチャネルあたりの使用電力量)を制御することにより、電力消費を変更することができ、温度を変化させることができる。
【0043】
[0080] 本開示は、画素別に制御電子機器に接続され、ポータブルハウジングに収納されたpMUTベースのトランスデューサに依拠する撮像デバイスについて説明する。撮像デバイスは、撮像デバイスにおける電力消費及び温度を能動的に制御するために、リアルタイムでのシステムコンフィギュアビリティ及び適応性を可能にする。フロー撮像は、特に生体構造撮像モードより多くの電力を消費し得る。電力は、1)開口サイズを変更することにより、及び/又は2)撮像デバイス内の温度が仕様限度を超えないようにそれらのチャネルにおける電力散逸を能動的に制御することにより、撮像デバイス内の電力散逸を最小限に抑えることによって低減される。このすべては、他の場合に可能であるものより優れた性能を達成しながら行われる。さらに、ドップラーモードでは、他の生体構造モードと比べて音響電力出力が増加し得る。そのような電力出力レベルを制御するための電子的手段が提供される。
【0044】
[0081] 本明細書で説明されるpMUTの製造コストは、現代の半導体及びウェーハ処理技法を適用することによって低減することができる。例えば、薄膜圧電層を半導体ウェーハ上にスピニング又はスパッタリングし、その後、各々が2つ以上の電極を有する圧電センサを作成するためにパターン形成することができる。一例では、各圧電素子は、中心周波数として知られている一定の周波数並びに第2の及び/又は追加の周波数で信号を放出又は受信する能力を有するように設計することができる。圧電素子、pMUT、トランシーバ及び画素という用語は、本明細書では、互いに交換可能に使用されることに留意されたい。
【0045】
[0082] 一例では、撮像デバイスは、基板上に形成された圧電素子のアレイを有するトランスデューサを含む。圧電素子の各々は、基板から懸架された少なくとも1つの膜と、膜上に配置された少なくとも1つの下部電極と、下部電極上に配置された少なくとも1つの圧電層と、少なくとも1つの圧電層上に配置された少なくとも1つの上部電極とを含む。隣接する圧電素子は、互いに音響的に分離されるように構成される。
【0046】
[0083] 別の例では、撮像デバイスは、トランスデューサ上において行及び列に配列された圧電素子の二次元(2D)アレイを備えるトランスデューサを含む。各圧電素子は、少なくとも2つの端子を有し、及びクロストークを最小化するために、それぞれの隣接する圧電素子から物理的に分離される。アレイの圧電素子の第1のセットは、各圧電素子が、それぞれの受信増幅器に接続された第1の上部電極を有し、及びあたかも一緒に接続されて第1の列を形成するかのように電子的にプログラムされることを含む。アレイの圧電素子の第2のセットは、各圧電素子が、それぞれの送信ドライバに接続された第2の上部電極を有し、及びあたかも一緒に接続されて第2の列を形成するかのように電子的にプログラムされることを含む。
【0047】
[0084] 別の例では、撮像デバイスは、トランスデューサと、トランスデューサ上において行及び列に配列された圧電素子の2Dアレイとを含む。各圧電素子は、少なくとも2つの端子を有する。圧電素子の少なくとも第1の列は、各圧電素子が、プログラムされた制御下でそれぞれの受信増幅器又は送信ドライバに接続された第1の上部電極を有することを含む。圧電素子の少なくとも第2の列は、各圧電素子が、プログラムされた制御下でそれぞれの受信増幅器又は送信ドライバに接続された第1の上部電極を有することを含む。圧電素子は、送信し、及び次いで、その後、受信するか、又は同時に送信及び受信するようにプログラムされる。
【0048】
[0085] ここで、図を参照すると、
図1は、本明細書で説明される原理による、制御回路(109)によって制御され、コンピューティングデバイス(110)において撮像演算が実行される、送信チャネル(106)及び受信チャネル(108)を備える撮像デバイス(100)のブロック図を示す。
図1は、撮像デバイス(100)の様々なコンポーネントに電圧を印加するための電源(111)をさらに含む。
【0049】
[0086] 上記で説明されるように、撮像デバイス(100)は、人間又は動物の身体の内部組織、骨、血流又は臓器の画像を生成するために使用することができる。従って、撮像デバイス(100)は、身体に信号を送信し、撮像されている身体の一部から反射信号を受信する。そのような撮像デバイス(100)は、圧電トランスデューサ(102)を含み、圧電トランスデューサ(102)は、トランシーバ又はイメージャと呼ぶことができ、光音響又は超音波効果に基づき得る。撮像デバイス(100)は、他の物体を撮像するために使用することもできる。例えば、撮像デバイス(100)は、医用画像処理、パイプ内の流体又は気体のフロー測定、砕石術、治療のための局所組織加熱及び高密度焦点式超音波(HIFU)手術において使用することができる。
【0050】
[0087] 人間の患者での使用に加えて、撮像デバイス(100)は、動物の内臓の画像を得るために使用することもできる。さらに、内臓の撮像に加えて、撮像デバイス(100)は、ドップラーモード撮像で動脈及び静脈における血流の方向及び速度並びに組織剛性を決定するために使用することもできる。
【0051】
[0088] 撮像デバイス(100)は、異なるタイプの撮像を実行するために使用することができる。例えば、撮像デバイス(100)は、Aスキャンとしても知られている一次元撮像、Bスキャン(Bモード)としても知られている2D撮像、Cスキャンとしても知られている三次元(3D)撮像及びドップラー撮像を実行するために使用することができる。撮像デバイス(100)は、異なる撮像モードに切り替えることができ、プログラム制御下で電子的に構成することができる。
【0052】
[0089] そのような撮像を容易にするため、撮像デバイス(100)は、圧電トランスデューサ(102)のアレイを含み、各圧電トランスデューサ(102)は、圧電素子(104)のアレイを含む。圧電素子(104)は、より多くのサブ素子のうちの2つも含み、その各々は、送信又は受信動作において構成可能であり得る。圧電素子(104)は、1)身体又は他の集合体を通過する圧力波を生成し、2)撮像される身体又は他の集合体内の対象物からの反射波を受信するように動作する。
【0053】
[0090] いくつかの例では、撮像デバイス(100)は、超音波波形を同時に送信及び受信するように構成することができる。例えば、ある圧電素子(104)は、撮像されているターゲットの対象物に向かって圧力波を送信することができる一方、他の圧電素子(104)は、ターゲットの対象物から反射された圧力波を受信し、受信波に応答して電荷を発生させることができる。
【0054】
[0091] いくつかの例では、各圧電素子(104)は、中心周波数として知られている一定の周波数並びに第2の及び/又は追加の周波数で信号を放出又は受信することができる。そのような多周波数圧電素子(104)は、マルチモーダル圧電素子(104)と呼ぶことができ、撮像デバイス(100)の帯域幅を拡大することができる。
【0055】
[0092] 圧電素子(104)を形成する圧電材料は、一定の周波数で異なる電圧値が印加されると、膨張及び収縮する。従って、印加される異なる値間で電圧が交互に入れ替わると、圧電素子(104)は、電気エネルギー(すなわち電圧)を機械運動に変換し、それにより音響エネルギーがもたらされ、音響エネルギーは、所望の周波数の波として放出される。これらの波は、撮像されているターゲットから反射され、同じ圧電素子(104)で受信され、電気信号に変換され、次いでターゲットの画像を形成するために使用される。
【0056】
[0093] 圧力波を生成するため、撮像デバイス(100)は、複数の送信チャネル(106)及び複数の受信チャネル(108)を含む。送信チャネル(106)は、複数のコンポーネントを含み、素子が応答する周波数の電圧パルスでトランスデューサ(102)(すなわち圧電素子(104)のアレイ)を駆動する。これにより、圧電素子(104)から、撮像される対象物に向かって超音波波形が放出される。超音波波形は、撮像される対象物に向かって移動し、波形の一部は、反射してトランスデューサ(102)に戻り、受信チャネル(108)は、反射波形を収集し、その反射波形を電気エネルギーに変換し、例えばコンピューティングデバイス(110)においてその電気エネルギーを処理して、表示することができる画像を生成する。
【0057】
[0094] いくつかの例では、撮像デバイス(100)の送信チャネル(106)及び受信チャネル(108)の数は、一定に保たれる一方、それらのチャネルが結合される圧電素子(104)の数は、変化され得る。この結合は、制御回路(109)によって制御される。いくつかの例では、制御回路(109)の一部は、送信チャネル(106)及び受信チャネル(108)において分散することができる。例えば、トランスデューサ(102)の圧電素子(104)は、N列及びM行を有する2Dアレイに形成することができる。
【0058】
[0095] 一例では、圧電素子(104)の2Dアレイは、128列及び32行など、複数の列及び行を有する。撮像デバイス(100)は、最大で128個の送信チャネル(106)及び最大で128個の受信チャネル(108)を有し得る。各送信チャネル(106)及び受信チャネル(108)は、複数の又は単一の圧電素子又はサブ素子(104)に結合される。撮像モードに応じて、圧電素子(104)の各列は、単一の送信チャネル(106)及び単一の受信チャネル(108)に結合することができる。送信チャネル(106)及び受信チャネル(108)は、複合信号を受信することができ、複合信号は、それぞれの列内の各圧電素子(104)で受信された信号を組み合わせたものである。
【0059】
[0096] 別の例では(すなわち異なる撮像モード中)、個々の圧電素子(104)は、それら自体の送信チャネル(106)及びそれら自体の受信チャネル(108)に結合される。
【0060】
[0097] 他の例では、コンピューティングデバイス110又は電源及び電池111は、外部のものである。
【0061】
[0098]
図2は、本明細書で説明される原理の例による、生体構造撮像能力と共にフロー撮像能力を備える撮像システムの図である。描写されるように、撮像システムは、撮像デバイス(100)を含み、撮像デバイス(100)は、送信モード/プロセスにおいて圧力波(210)を生成し、送信チャネル(
図1、106)を介して心臓(214)などの内臓に向かって送信する。撮像される内臓又は他の対象物は、撮像デバイス(100)に向かって圧力波(210)の一部を反射することができ、撮像デバイス(100)は、受信モード/プロセスにおいてトランスデューサ(
図1、102)、受信チャネル(
図1、108)、制御回路(
図1、109)及びコンピューティングデバイス(
図1、110)を介して反射圧力波を捕捉し、電気信号を生成する。システムは、通信チャネル(218)を通して撮像デバイス(100)と通信する別のコンピューティングデバイス(216)も含む。撮像デバイス(100)は、コンピューティングデバイス(216)に電気信号を伝達することができ、コンピューティングデバイス(216)は、対象物の画像の形成を完了するために受信信号を処理する。次いで、システムの表示デバイス(220)は、ターゲットエリアの血流関連画像を示す画像を含む、臓器又はターゲットの画像を表示することができる。
【0062】
[0099]
図2に描写されるように、撮像デバイス(100)は、通信チャネル(218)を通して、無線で(802.11プロトコルなどのプロトコルを使用して)又はケーブル(ユニバーサルシリアルバス2(USB2)、USB3、USB3.1、USB-Cなど)を介してコンピューティングデバイス(216)と信号を通信するポータブルハンドヘルドデバイスであり得る。テザー接続の事例では、撮像デバイス(100)は、コンピューティングデバイス(216)と通信するためのケーブルを受け取るための、
図3に描写されるようなポートを含み得る。無線接続の事例では、撮像デバイス(100)は、コンピューティングデバイス(216)と通信するための無線送信機を含む。
【0063】
[00100] 表示デバイス(220)及びコンピューティングデバイス(216)は、示されるように、撮像デバイス(100)から切り離すことができる。例えば、コンピューティングデバイス(216)及び表示デバイス(220)は、ユーザに画像を表示することができる別個のデバイス(すなわち携帯電話若しくはiPadなどのモバイルデバイス又は定置コンピューティングデバイス)内に配置することができる。別の例では、表示デバイス(220)及びコンピューティングデバイス(220)は、撮像デバイス(100)内に含まれる。すなわち、撮像デバイス(100)、コンピューティングデバイス(216)及び表示デバイス(220)は、単一のハウジング内に配置される。
【0064】
[00101]
図3は、本明細書で説明される原理の例による、フロー及び生体構造測定能力を備える撮像デバイス(100)の概略図である。上記で説明されるように、撮像デバイス(100)は、超音波医療プローブであり得る。
図3は、撮像デバイス(100)のトランスデューサ(102)を描写する。上記で説明されるように、トランスデューサ(102)は、圧力波(
図2、210)を送信及び受信する圧電素子(
図1、104)のアレイを含む。いくつかの例では、撮像デバイス(100)は、トランスデューサ(102)と、人間の身体又は他の集合体との間のインピーダンス整合界面としての役割を果たすコーティング層(322)を含み、それを通して圧力波(
図2、210)が送信される。いくつかの事例では、コーティング層(322)は、所望の焦点距離と一致する湾曲を有するように設計される場合、インピーダンス整合層及びまたレンズとしての役割を果たし得る。コーティング層(322)は、いくつかの材料層からなり得、それらの一部は、トランスデューサのインピーダンスと組織音響インピーダンスとの整合のために使用され、それらの一部は、仰角方向において音響信号を集束させるために機械レンズに成形される。
【0065】
[00102] 実施形態では、ユーザは、コーティング層(322)と直接接触する前に、人間の身体の皮膚にゲルを塗布することができ、それにより、コーティング層(322)と人間の身体との間の界面におけるインピーダンス整合を改善することができる。インピーダンス整合は、界面における圧力波(
図2、210)の損失及び撮像デバイス(100)に向かって移動する反射波の界面における損失を低減する。
【0066】
[00103] いくつかの例では、コーティング層(322)は、トランスデューサ(102)から身体への(その逆も同様)音響信号の送信を最大化するために平坦層であり得る。コーティング層(322)のある部分の厚さは、トランスデューサ(102)によって生成又は受信された圧力波(
図2、210)のある周波数の4分の1波長であり得る。
【0067】
[00104] 撮像デバイスは、トランスデューサ(102)を制御するための制御回路(109)(ASICなど)も含む。制御回路(109)は、他の回路と共にASICに収納することができ、トランスデューサ(102)をASICに接続する凸凹によってトランスデューサ(102)に結合される。上記で説明されるように、送信チャネル(106)及び受信チャネル(108)は、選択的に変更可能であり得、それは、送信チャネル(106)及び受信チャネル(108)の電力消費特性及び機能性を変更できるように、所定の時間にアクティブな送信チャネル(106)及び受信チャネル(108)の数量を変更できることを意味する。例えば、フロー撮像モード中に音響電力の変更が望ましい場合、その変更は、ライン上で使用される素子の数及び使用される開口に関して送信チャネルを電子的に制御することによって達成される。
【0068】
[00105] 送信駆動信号は、例えば、5V、0V、-5Vなど、マルチレベル信号であり得る。他の例は、15V、0V、-15Vを含む。他の値も可能である。信号は、多くのパルスを含むか又は所望の周波数で連続的なものであり得る。送信機側のドライバは、これらのマルチレベル信号(最初にデジタルバイナリビットに符号化される)を最終的な出力レベル(例えば、15Vなど)に変換する。そのような多くのチャネルを使用することにより、超音波送信ビームが作成される。チャネルにおける遅延を制御することにより、二次元又は三次元領域においてビームを操作することができる。本明細書で説明される様々なビーム形成動作を用いることで3Dビーム形成が可能である。これは、X及びY軸にアドレス可能な2Dアレイを使用することで可能になる。バイプレーン撮像も可能である。
【0069】
[00106] 撮像デバイス(100)は、撮像デバイス(100)のコンポーネントを制御するためのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はグラフィックス処理ユニット(GPU)(326)、信号を処理/調節するための回路(328)(アナログフロントエンド(AFE)など)及びトランスデューサ(102)によって生成され、回路(328)に向かって伝播される波を吸収するための音響吸収層(330)をさらに含み得る。音響吸収層(330)との使用の場合、トランスデューサ(102)は、基板上に設置し、音響吸収層(330)に取り付けることができる。この層は、逆方向に放出されたいかなる超音波信号も吸収し、そうでなければ、逆方向に放出された超音波信号は、反射して、画像の画質を妨げる恐れがある。
図3は、音響吸収層(330)を描写しているが、他のコンポーネントが後方向(すなわちトランスデューサ(102)から離れる方向)への超音波の物質送信を防ぐ事例では、このコンポーネントは、省略することができる。音響吸収材は、102と109との間に埋め込むこともできる。
【0070】
[00107] 撮像デバイス(100)は、スマートフォン又はタブレット(
図2、216)などのコンピューティング及び表示デバイスなど、外部のデバイスとデータを通信するための通信ユニット(332)を含み得る。通信は、例えば、ポート(334)又は無線送信機を通したものであり得る。撮像デバイス(100)は、データを格納するためのメモリ(336)を含み得る。いくつかの例では、撮像デバイス(100)は、撮像デバイス(100)のコンポーネントに電力を提供するための電池(338)を含む。撮像デバイス(100)が電池(338)を含む場合、チャネル及び関連する回路の電子的制御は、特に重要な影響を有し得る。例えば、受信チャネル(
図1、108)及び送信チャネル(
図1、106)は、電力を引き出すコンポーネントを含むため、時間と共に電池枯渇が起こる。いくつかの例では、これらのコンポーネントによる電力の消費は、電池(338)が短時間で消耗するようなかなり大きいものであり得る。これは、かなりの量の電力を消費する高画質画像を得る際に特に重要である。電池(338)は、無線又は有線充電回路であり得る電池充電回路も含み得る。撮像デバイス(100)は、ゲージを含み得、ゲージは、消費した電池充電を示し、電池寿命を延ばすために電力管理を最適化するように撮像デバイス(100)を構成するために使用される。
【0071】
[00108] 電力消費を低減することにより、又はいくつかの事例では異なるチャネル(
図1、106、108)を完全にパワーダウンすることにより、電池(338)寿命が延び、それにより撮像デバイス(100)の使い易さが向上する。これは、特に、電力消費がさらに増大するフロー撮像をサポートするイメージャに対して適用可能である。
【0072】
[00109]
図4は、本明細書で説明される原理の例によるトランスデューサ(102)アレイの側面図である。上記で説明されるように、撮像デバイス(
図1、100)は、トランスデューサのアレイ(102-1、102-2、102-3)を含み得、各々は、それら自体の圧電素子(
図1、104)のアレイを有する。いくつかの例では、トランスデューサ(102)は、より広い角度の対象物(
図2、214)の撮像を提供できるように湾曲させることができる。他の例では、トランスデューサ(102)及びアレイは、平坦面に配置される。
図5は、トランスデューサ(102)アレイの上面図を描写する。
図5に描写されるように、トランスデューサ(102)は、トランシーバ基板(540)及びその上に配列された1つ又は複数の圧電素子(104)を含み得る。バルク圧電素子を使用する従来のシステムと異なり、圧電素子(104)は、ウェーハ上に形成することができる。ウェーハは、撮像デバイスの構築に使用される複数のトランスデューサ(102)アレイを形成するためにさいの目に切ることができる。このプロセスは、低コストで大量にさいの目形状の複数のトランスデューサ(102)アレイを製作できるため、製造コストを低減することができる。
【0073】
[00110] いくつかの例では、ウェーハの直径は、6~12インチの範囲であり得、その上に多くのトランスデューサ(102)アレイを大量に製造することができる。さらに、いくつかの例では、圧電素子(104)を制御するための制御回路(
図1、109)は、各圧電素子(104)が整合集積回路(すなわち受信チャネル(
図1、108)及び送信チャネル(
図1、106))に極めて接近して(好ましくは25μm~100μm内に)接続されるように形成することができる。例えば、トランスデューサ(102)は、1,024個の圧電素子(104)を有し、1,024個の圧電素子(104)に対して適切な数の送信及び受信回路を有する整合制御回路(
図1、109)に接続することができる。
【0074】
[00111] 各圧電素子(104)は、正方形、長方形及び円形など、適切ないかなる形状も有し得る。
図5に描写されるように、いくつかの例では、圧電素子(104)は、直交方向に配列される二次元アレイに配列することができる。すなわち、圧電素子(104)アレイは、N列(542)及びM行(544)を有するM×Nアレイであり得る。
【0075】
[00112] ライン素子を作成するために、N個の圧電素子(104)の列(542)を電子的に効果的に接続することができる。次いで、このライン素子は、単一のバルク圧電素子によって達成されるものと同様の超音波信号の送信及び受信を提供することができ、各圧電素子(104)の両方の電極の各々は、各圧電素子(104)よりN倍長い列を実現するように電子的に接続される。このライン素子は、互いに交換可能に、列若しくはライン又はライン素子と呼ぶことができる。圧電素子(104)の列の例は、
図5において参照番号(542)によって示される。圧電素子(104)は、この例では、列(542)に配列され、関連する送信駆動回路(送信チャネルの一部)及び低雑音増幅器(LNA)(受信チャネル回路の一部である)を有する。明示的に示されていないが、送信及び受信回路は、特定の要素及び要素セットを使用できるようにするための多重化及びアドレス制御回路を含む。円形などの他の形状又はそれ以外の形状などでトランスデューサ(102)を配列できることが理解される。いくつかの例では、圧電素子(104)は、互いの中心間を250μm離間させることができる。圧電素子(104)は、プログラムされた制御下で接続されるため、例えば列状に接続される圧電素子(104)の数は、プログラム可能であることに留意されたい。
【0076】
[00113] トランスデューサ(102)について、複数の同一の圧電素子(104)を使用してライン素子を設計することができ、各圧電素子(104)は、その特徴的な中心周波数を有し得る。複数の圧電素子(104)が共に接続されると、複合構造(すなわちライン素子)は、すべての素子画素の中心周波数からなる中心周波数を有する1つのライン素子として動作し得る。トランジスタを整合させるために使用される現代の半導体プロセスを使用することにより、これらの中心周波数は、互いによく整合し、ライン素子の中心周波数からの偏差が非常に小さい。1つの中心周波数のみを使用するラインと比べて広い帯域幅ラインを作成するため、ある程度異なる中心周波数のいくつかの画素を混合することも可能である。
【0077】
[00114] いくつかの例では、トランスデューサ(102)に接続されるASICは、ASIC及びトランスデューサ(102)のその領域の温度を測定するための1つ又は複数の温度センサ(546-1、546-2、546-3、546-4)を含み得る。
図5は、特定の場所に配置される温度センサ(546)を描写しているが、温度センサ(546)は、他の場所に配置することができ、撮像デバイス(
図1、100)上の他の場所に追加のセンサを配置することができる。
【0078】
[00115] 温度センサ(546)は、チャネル(
図1、106、108)の選択的な調整のためのトリガであり得る。すなわち、上記で説明されるように、ハンドヘルドポータブル撮像デバイス(
図1、100)内の温度は、既定の温度を超えて上昇し得る。トランスデューサ(102)は、トランスデューサと患者接触面との間の界面として動作させるための材料でコーティングすることができる。例では、材料は、ASICに面するトランスデューサの表面に配置されたバッキング層としての役割を果たす。材料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又は他の同様の材料(対象の周波数について、トランスデューサの音響インピーダンスレベルと、組織の音響インピーダンスレベルとの間の音響インピーダンスを有するもの)であり得る。温度センサ(546)は、そのエリアとの近接性のため、患者と接触するイメージャの表面でデバイスの温度を検出する。温度センサ(546)が閾値量(例えば、ユーザが指定した温度又は規制機構が設定した温度)より大きい温度を検出した場合、コントローラ(
図3、324)により、送信チャネル(
図1、106)及び/又は受信チャネル(
図1、108)のすべて又はいくつかをパワーダウンするか、或いは送信チャネル(
図1、106)及び/又は受信チャネル(
図1、108)のすべて又はいくつかを低電力状態に設定するために信号を渡すことができる。
【0079】
[00116]
図5は、圧電素子(104)の端子も描写する。特に、各圧電素子(104)は、2つの端子を有する。第1の端子は、アレイのすべての圧電素子(104)によって共有される共通の端子である。第2の端子は、圧電素子(104)を送信チャネル(
図1、106)及び受信チャネル(
図1、108)に接続し、送信チャネルと受信チャネルとは、異なる基板上に位置し得る。第2の端子は、第1の列のそれらの圧電素子(104)について象徴的に示されるように、あらゆる圧電素子(104)のために駆動及び検知される端子である。簡略化のため、送信チャネル(106)と受信チャネル(
図1、108)とは、一緒に接続されているように見える。しかし、いくつかの例では、それらのチャネルは、簡略化のためにここで示されているよりも複雑な配線において、送信モード、受信モード又は両方の動作でアクティブであるように別々に制御することができる。また、簡略化のため、第2の端子は、第1の列のそれらの圧電素子(104)に対してのみ示されている。しかし、関連する送信チャネル(106)及び受信チャネル(108)に対する同様の端子がアレイの他の圧電素子(104)に存在する。制御信号を使用する制御回路(
図1、109)は、それぞれの送信チャネル(
図1、106)及び受信チャネル(
図1、108)をオンに切り替え、他の列(542)のチャネル(
図1、106、108)をオフに切り替えることにより、圧電素子(104)の列(542)を選択することができる。同様の方法で、特定の行(54)をオフに切り替えること又はさらに個々の圧電素子(104)をオフに切り替えることが可能である。
【0080】
[00117]
図6Aは、本明細書で説明される原理の例による撮像デバイス(100)及びフレーム(648)の走査線(650)の等角図である。フレーム(648)は、撮像される臓器又は他の対象物の単一の静止画像を指す。フレーム(648)は、対象物を通過する断面線であり得る。フレーム(648)は、個々の走査線(650)で構成されている。すなわち、フレーム(648)は、画像として見ることができ、走査線は、その画像を表すフレーム(648)の一部を表す。分解能に応じて、特定のフレーム(648)は、百未満~何百の範囲の異なる数の走査線(650)を含み得る。
【0081】
[00118] フレーム(648)を形成するため、トランスデューサ(102)は、ビーム形成回路を使用して、異なる圧電素子(
図1、104)(例えば、特定の1つ又は複数の列(
図5、542)のもの)から圧力波を送信して特定の焦点に集束させる。これらの圧電素子(
図1、104)によって収集された反射信号は、走査線(650)を形成するために受信され、遅延され、重み付けされ、総和される。次いで、対象の焦点がフレームの異なる部分に変更され、例えば100~200の走査線(650)からなる全フレーム(648)が生成されるまでプロセスが繰り返される。
【0082】
[00119] 特定の送信技法に対して特定の参照が行われているが、複数のチャネルからの単一の送信によって多焦点を達成することを含めて、多くの異なる送信技法を採用することができる。さらに、本明細書で説明される動作は、これらの多焦点送信信号伝達技法にも適用可能である。マルチゾーン同時集束は、例えば、チャープ信号伝達を使用して達成することができ、より優れた分解能(深度の関数として)の達成に役立てることができる。具体的な例として、チャープ信号伝達は、送信中に符号化信号を送信し、多くのサイクルの周波数又は位相変調符号化信号が送信される。次いで、受信信号を圧縮するため、受信エコーが整合フィルタで処理される。この方法は、単に1つ又は2つのパルスが送信される状況と比べてより大きいエネルギーをターゲット内に結合させるという利点を有する。複数の信号を送信する際、軸方向分解能が悪化するが、チャープ信号伝達により、受信機における整合フィルタのために軸方向分解能が大幅に回復される。
【0083】
[00120] チャープ信号伝達における問題は、多くのサイクルの送信パルスを使用し、それにより、すべての信号伝達事例において同様の振幅の送信パルスに対する電力出力が増大し得ることである。しかし、仰角方向において開口を電子的に調整することにより、さらに多くのパルスが使用されるBモード及びドップラー撮像において使用される様々なタイプの信号伝達を可能にするように電力出力を調整することができる。
【0084】
[00121]
図6Bは、方向xaとして記述される方位角軸を示す。これは、
図6Aの方向A-Aと同じであり、
図6Aのライン(650)は、
図6Bに示されるように、
図6Bのzaとして記述される軸方向又は深度のものである。
図6Bは、仰角方向yaも記述している。仰角方向は、特に2D撮像と関係し得る。示されるように、超音波ビームは、仰角平面(1201)において集束され、それによりビームが狭方向に集中し、その平面における軸方向の特定のポイントにおける圧力が増大する。ビームは、方位角方向における方位角平面(1202)でも集束される。
【0085】
[00122]
図6Bに示されるように、方位角方向焦点及び仰角方向焦点が相対的に同じ場所にある場合、ターゲット焦点の圧力は、増大する。仰角方向焦点と方位角方向焦点との両方を電子的に制御する能力により、オペレータは、そのポイントで圧力が増大する3D集束をもたらすために、仰角及び軸次元のいかなるポイントもターゲットとすることができる。圧力の増大により、トランスデューサに対する信号利用可能性が増大し、感度も向上する。さらに、仰角方向において集束されない場合、送信波形は、仰角平面(1201)から離れた他の物体に当たり、これらの望まないターゲットからの反射信号は、受信画像におけるクラッタを生じさせることになる。
図6Bは、軸方向における深度を移動する音響ビームを示すことに留意されたい。
【0086】
[00123]
図6Cは、列上に配列された様々なタイプのビーム反射素子を示し、列上の各素子に異なる遅延が適用されている。例えば、第1のビーム(4101)は、すべての素子に対して等しい遅延を有し、それにより波形が等しく遅延し、同期ビームと呼ばれる平面波が生じる。他の例は、ビームを一点に集束するために、列上の素子に適用された異なる遅延を含む。仰角平面において一点に集束させたビームの場合、これは、ビーム操作又はビーム集束及び操作と呼ばれる。第2のビーム(4102)は、集束ビームを示す。第3のビーム(4103)は、ビーム操作が行われたビームを示し、第4のビーム(4104)は、操作及び集束ビームを示す。
【0087】
[00124]
図6Dは、24行及び128列を有するトランスデューサの例を示し、各列は、24個の素子を含む。列において円によって示される素子は、同じ遅延を共有し、影付きであるのに対して、他の素子は、異なる遅延を有し、影付きではない。各列が他の列の素子と同じ相対遅延を有するか、又は各列が異なる相対遅延を有することが可能である。任意の素子における実際の遅延は、方位角軸及び仰角軸における遅延の総和である。ASICにコントロールが実装され、ASICは、送信モード及び受信モードにおける適切な遅延を有して素子に送られるパルスを生成する。
【0088】
[00125] 一例では、撮像デバイスは、電子的に達成される送信仰角方向集束機能を含む。例えば、電子的集束は、ASICにより、列上の素子によって送信されたビームの相対遅延を変化させることによって達成される。ASICのデジタルレジスタは、外部のコントローラによって制御され、所望の送信仰角方向焦点深度は、ASICに送信される。所望の方位角方向焦点深度は、外部のコントローラによってASICに送信され、ASICは、素子の相対遅延を設定する。所望の方位角方向焦点深度は、トランスデューサ、ASIC又はボードの湾曲に合わせて調整される。仰角方向焦点は、トランスデューサの湾曲を補償するために遅延調整を含むように電子的に調整される。別の例では、仰角方向焦点は、送信仰角方向焦点である。仰角方向焦点は、受信仰角方向焦点を調整することも含む。固定送信及び仰角方向焦点を提供する機械レンズを含めることができ、電子的仰角方向集束は、仰角方向集束におけるさらなる電子的変化を可能にする。トランスデューサの焦点距離のユニット特有の電子的調整は、ドップラー撮像感度を増強するために使用することができる。電子的調整は、トランスデューサの湾曲のユニットごとのばらつきの調整を含み得る。
【0089】
[00126]
図7は、本明細書で説明される原理の例による走査線(650)の形成を示す。1つのトランスデューサ(102)の断面図は、
図6Aからの線A-Aに沿って取られており、トランスデューサ(102)を構成する圧電素子(104)を含む。
図7では、簡略化のため、トランスデューサ(102)の1つの圧電素子(104)のみが参照番号で示されている。さらに、
図7に描写される圧電素子(104)は、列(
図5、542)の最上部の圧電素子(104)を表し得、他の圧電素子(104)は、ページ内に向かって延伸していることに留意されたい。
図7は、走査線(650)を形成するためにコントローラ(324)において見られる回路も描写している。
【0090】
[00127] 簡略化のため、
図7は、7つの圧電素子(104)及び7つのそれぞれの列(
図5、542)のみを描写していることに留意されたい。しかし、上記で説明されるように、トランスデューサ(102)は、例えば、128列(
図5、542)など、いかなる数の圧電素子(104)も含み得、各列(
図5、542)に32個の圧電素子(104)が配置される。
【0091】
[00128] 走査線(650)を形成するために、信号(752)は、複数の圧電素子(104)から(例えば、列(
図5、542)の各圧電素子(104)からなど)受信される。いくつかの例では、列(
図5、542)の圧電素子(104)の信号は、組み合わせて複合信号(754)にすることができ、複合信号(754)は、コントローラ(324)に渡される。各複合信号(754)は、異なる送信長さのために異なる時点で受信されるため、コントローラ(324)は、各複合信号(754)が同相であるように各複合信号(754)を遅延させる。次いで、コントローラ(324)は、調整信号を組み合わせて走査線(650)を形成する。コントローラ(324)による受信信号(754)の処理に関する追加の詳細は、後の図に提示する。
【0092】
[00129] 上記で説明されるように、画像のフレーム(
図6A、648)は、多くの走査線(多くの場合に128個以上)(650)で形成される。これらの走査線(650)は、撮像されるエリアをカバーする。走査線(650)を収集して組み合わせてフレーム(
図6A、648)にするまでの時間は、フレームレートの観点から、撮像される対象物の映像の画質を定義する。例えば、心臓の走査の例を想定し、心臓がトランスデューサ(102)表面から20cm下方にあると想定すると、超音波波形は、音が組織内を1540m/sで移動すると想定すると、心臓まで移動するのに約130マイクロ秒(us)を要する。次いで、信号は、心臓から反射され、さらに130マイクロ秒を要してトランスデューサ(102)に達し、総送信時間は、260マイクロ秒となる。N個の受信チャネル(
図1、108)を使用すると、1つの走査線(650)の形成は、N列(
図5、544)の圧電素子(
図1、104)を駆動するN個の送信チャネル(
図1、108)から送信し、
図7に示されるように、すべてのN列(
図5、544)から信号を受信して処理することによって行われる。例では、128個のチャネルを使用して、1つの走査線の形成は、128個のチャネルから送信し、128列の圧電素子を駆動し、すべての128列から信号を受信して処理することによって行われる。1つのフレーム(
図6A、648)あたり128個の走査線(650)があると想定すると、最大フレームレートは、毎秒約30フレーム(fps)である。
【0093】
[00130] いくつかの例では、例えば肝臓及び腎臓では、30fpsで十分であり得る。しかし、心臓などの動く臓器を撮像するには、より高いフレームレートが望ましい。従って、撮像デバイス(
図1、100)は、複数の走査線(650)を同時に形成することができる並列ビーム形成を実施することができる。複数の走査線(650)を一度に形成することができるため、有効フレームレートを増加させることができる。例えば、4つの走査線(650)を同時に形成することができる場合、有効フレームレートは、最大で120fpsになり得る。並列ビーム形成は、撮像デバイス(
図1、100)のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はグラフィックス処理ユニット(GPU)(
図3、326)で実施することができる。
【0094】
[00131] いくつかの例では、並列ビーム形成は、レートが必要以上に高い場合でも、最初にフレームレートを増加させるために使用される。例えば、並列ビーム形成を用いることで120fpsのフレームレートが達成可能であり得る。しかし、30fpsで十分である場合、送信及び受信チャネルなどのハードウェアは、その時間の1/4など、時間の一部を使用可能にし、電力消費を4分の1以下に削減することができる。時間節約は、完全なシャットダウンが受け入れられないが、実質的により低い電力状態に置くことができるといういくつかの要件を考慮する。例えば、4つの走査線のセットが同時に収集された後、送信チャネル(
図1、106)、受信チャネル(
図1、108)及び制御回路(
図1、109)の一部は、一定の時間にわたってのみオフに切り替え、次いで別の4つの走査線を同時に収集するために再びオンに切り替えることができる。
【0095】
[00132] そのような技法は、記述される例では、開始電力消費値のおよそ3.3分の1程度など、電力消費を大幅に低減することができる。換言すれば、並列ビーム形成は、フレームレートを増加させるために採用される。これに続いて、電力を低減するために、走査線の作成に関与する回路の選択的なシャットダウンが行われ、シャットダウン時間は、ターゲットのフレームレートが依然として達成されるような時間である。この技法により、並列ビーム形成が採用されない回路と比べて電力消費の低減が可能になる。撮像アーチファクトは、電力をあまり消費せず、且つプローブ内に位置しないディスプレイプロセッサにおいて実行することができる動作によってデジタル処理で補正できるため、そのような動作は、画質に影響を及ぼさない。特に、走査線(650)の形態の撮像デバイス(
図1、100)からのデータは、USBインタフェースを使用してコンピューティングデバイス(
図2、216)ユニットにトランスポートすることができ、この画像処理は、温度上昇に対する制限が少ない撮像デバイス(
図1、100)の外部で行うことができる。スケーリングの量は、送信及び受信される並列ビームの数に依存する。例えば、スケーリングは、2つの並列ビームを使用する際に小さいか、又は8つの並列ビームを使用する際に大きいものであり得る。
【0096】
[00133]
図8は、本明細書で説明される原理の例による、撮像デバイス(
図1、100)のチャネルの数又は1つのチャネル(
図1、106、108)あたりの素子の数を選択的に変更するための方法(800)のフローチャートである。方法(800)によれば、撮像デバイス(
図1、100)内の電力消費又は音響電力出力を調整すべきであるという指示が受信される(ブロック801)。指示は、様々な形態で提供することができる。例えば、温度が高過ぎることを温度センサが示したことを理由に電力消費を低減すべきである場合、電力を低減するための指示を制御回路に送信することができる。別の例では、音響電力出力を変更すべきである場合、制御回路により、送信側の素子の数又は1つの素子あたりの電力を変更するための指示を受信することができる。
【0097】
[00134] 例では、撮像デバイス(
図1、100)は、最初に、撮像デバイス(
図1、100)を正しく方向付けられるように支援することによって医学的に重要な画像を得るようにオペレータを導くために使用される。これは、例えば、撮像されている臓器(
図2、214)の所望の観察のために正しい向きに画像を方向付けるようにユーザを導くためのアルゴリズムを用いて、機械学習を活用する人工知能技法を使用することによって遂行することができる。正しい向きが得られた後、実際の撮像セッションを関連する分解能で開始することができる。しかし、方向付け及び誘導セッション中、高分解能は、不要であり、従って、撮像デバイス(
図1、100)は、全撮像セッション中、より低い電力及びより低い分解能モードに設定し、電力を節約することができる。
【0098】
[00135]
図9は、本明細書で説明される原理の例による受信チャネル(108)を描写する。受信チャネル(108)は、反射圧力波(
図2、210)を受信するために圧電素子(
図1、104)に結合される。
図9は、圧電素子(
図1、104)と送信チャネル(
図1、106)との間の接続も描写する。送信動作中、送信/受信スイッチは、オフであり、LNA(1056)は、ノードAの駆動信号から分離される。一例では、送信が完了した後、送信チャネル(
図1、106)パルスドライバは、高インピーダンス状態に設定され、受信動作中、トランスデューサによるノード(
図9のA)における圧力信号の受信が可能になり、受信された圧力信号は、ここで、オンに切り替えられた送信/受信スイッチによってLNAに接続される。送信動作中、送信パルスドライバは、この場合にもノードAにおいて送信信号を伝達し、トランスデューサは、送信信号を超音波圧力波に変換し、撮像されているターゲットに送信する。
【0099】
[00136] 換言すれば、受信チャネル(108)は、撮像されるターゲットから反射圧力波形を受信し、受信チャネル(108)は、圧力を電圧に変換する。具体的には、反射圧力波は、トランスデューサにおいて電荷に変換され、この電荷は、LNAによって電圧に変換される。LNAは、電荷増幅器であり、電荷は、出力電圧に変換される。いくつかの例では、LNAは、プログラマブル利得を有し、利得は、リアルタイムで変化し、C
f及びR
fによって制御することができ、C
f及びR
fは、
図11に示されるようなプログラマブルコンポーネントのバンクである。プログラマブル利得を有するLNA(1056)の例を
図10に描写する。
【0100】
[00137] LNA(1056)は、トランスデューサの電荷を電圧出力に変換し、受信エコー信号の増幅も行う。送信/受信スイッチは、受信動作モードにおいてLNA(1056)をトランスデューサに接続する。
【0101】
[00138] 次いで、LNA(1056)の出力は、信号を調節するために他のコンポーネントに接続される。例えば、プログラマブル利得増幅器(PGA)(1058)は、電圧の大きさをさらに調整し、時間の関数として利得を変化させるための方法を提供し、時間利得増幅器として知られている場合がある。信号は、組織内深くに移動するにつれて減衰する。従って、より大きい利得が補償のために使用され、より大きい利得は、TGC(時間利得補償)によって実施される。バンドパスフィルタ(1060)は、帯域信号から雑音をフィルタ除去するように動作する。アナログ/デジタル変換器(ADC)(1062)は、さらなる処理をデジタル処理で行うことができるように信号をデジタル領域に変換するために、アナログ信号をデジタル化する。次いで、ADC(1062)からのデータは、復調ユニット(1064)においてデジタル処理され、
図7に描写されるように、走査線(
図6A、650)を生成するためにFPGA(326)に渡される。いくつかの実装形態では、復調ユニット(1064)は、例えば、FPGA(326)などの他の場所で実装することができる。復調ユニット(1064)は、さらなるデジタル処理のために、直交位相(IとQ)の2つの成分を有するベースバンドに搬送波信号を周波数シフトする。いくつかの例では、ADC(1062)は、ADC(1062)のレイテンシを低減するために、逐次近似レジスタ(SAR)アーキテクチャを実装することができる。すなわち、ADC(1062)のオフ及びオンの切り替えは、繰り返し行われるため、オンへの切り替えに続いて信号処理に遅延が発生しないように、レイテンシがほとんど又はまったくない必要がある。
【0102】
[00139]
図10は、本明細書で説明される原理の例による受信チャネル(
図1、108)の低雑音増幅器(LNA)(1056)を描写する。コンデンサのバンクC
f1~C
fnは、スイッチM
1~M
nをオンに切り替えることによって電子的に選択され、演算増幅器(1166)の両端間で接続される。R
f1~R
fNは、抵抗器のバンクであり、これも同様にスイッチS
1~S
Nをオンに切り替えることによって電子的に選択される。信号利得は、トランスデューサ静電容量C
pを帰還容量C
fで割った比であり、必要に応じてバンクからC
f及びR
f値を接続するために適切なスイッチがオンに切り替えられる。バイアス電圧(VBIAS)は、トランスデューサの反対側の電極において信号が正又は負に振れるにつれて、トランスデューサの両端間のフィールドの極性が変化しないようにバイアス電圧を提供するために使用される。
【0103】
[00140]
図10は、バイアス電流入力(IBIAS)も描写する。IBIASは、
図11に描写される回路によって生成することができる。IBIASは、LNA(1056)の相互コンダクタンスを変更するために使用され、より高い電流レベルは、雑音レベルを低減する。加えて、LNA(1056)をシャットダウンするために、パワーダウンを示すデジタル入力も使用される。高速パワーアップを達成するために、IBIASは、
図11に示される実装形態例を用いて迅速に確立する必要がある。
【0104】
[00141]
図11は、本明細書で説明される原理の例による高速パワーアップバイアス回路(1268)の回路図を示す。上記で説明されるように、動作中に受信チャネル(
図1、108)の電源の入/切が複数回行われる際、撮像デバイス(
図1、100)の適切な熱消散及び正しい動作を保証するために、コンポーネントのオン及びオフの切り替えを迅速に行うことができる。この例では、LNA(
図10、1056)が迅速にパワーアップされることを保証するために、IOUT端子は、LNA(
図10、1056)のIBIASに結合される。撮像デバイス(
図1、100)を効果的に実装するために、各受信チャネル(
図1、108)のLNA(
図10、1056)及びADC(
図10、1064)などの信号経路上のコンポーネントは、約数百ナノ秒以内にシャットダウンすることができ、約1us以内にパワーアップすることもできる。
図11に描写される高速パワーアップバイアス回路(1268)は、そのような迅速パワーアップ及びシャットダウンの提供の一例である。
図11に描写されるバイアス回路(1268)は、高速のオン及びオフの切り替え時間を呈する。パワーダウン信号が高い場合、パワーアップブートストラップは、低く、スイッチS1~S3がオフに切り替わり、それにより電流が伝導しなくなり、従ってIOUTの値が低減し、効果的にオフに切り替わる。パワーダウンが低くなる(すなわちLNA(1056)のパワーアップが望まれる)と、NORゲートの入力は、両方とも低くなり、これによりパワーアップブートストラップにおける高い論理信号が生じる。これにより、スイッチS1~S3がオンに切り替わり、IOUTへの電流が急速に回復される。IOUTは、電流出力を提供し、その値は、これらの回路に給電するためにLNA(
図10、1056)などの他の回路においてコピーされる。IOUTの値は、パワーダウン中にゼロに近く、パワーアップ中により高い値(典型的には数十又は数百μA)を有する。
【0105】
[00142]
図12~16は、本明細書で説明される原理の例による圧電素子(
図1、104)の製作を示す。
図12は、基板層(1370)及び(1372)上に配置された膜(1374)の上面図を示す。
図13は、
図12の線B-Bに沿って取られた膜(1374)及び基板(1372)の断面図を示す。
【0106】
[00143]
図14は、本明細書で説明される原理の例による、基板層(1370)上に配置され、且つ膜(1374)を覆うように配列された下部電極(1578)の上面図を示す。
図15は、本明細書で説明される原理の例による、下部電極(
図14、1578)上に配置された圧電層(1680)の上面図を示す。いくつかの例では、圧電層(1680)は、圧電層(1680)が下部電極(1578)の全部をカバーするように下部電極(1578)と同様の投影エリアを有し得る。
【0107】
[00144]
図16は、本明細書で説明される原理の例による圧電素子の上面図を示す。描写されるように、上部電極(1782)は、圧電層(1680)上に配置され、膜(
図13、1374)を覆うように配列される。いくつかの例では、上部電極導体(1783)は、上部電極(1782)上に配置し、上部電極(1782)に電気的に結合することができ、下部電極導体(1784-1)及び(1784-2)は、1つ又は複数のビア(1790-1、1790-2)を通して下部電極(1578)に達し得る。この例では、上部電極(1782)、圧電層(1680)及び下部電極(1578)は、2端子圧電素子を形成し、膜(1374)は、上部及び下部電極(1782、1578)の両端間で電圧が印加されると振動する。電荷は、受信モード/プロセス中に圧力波(
図2、210)によって膜(1374)が変形すると、上部及び下部電極(1782、1578)の両端間で発生し得る。
【0108】
[00145] 基板(1372)は、隣接する圧電素子間のクロストークを妨げるために薄層化することができ、薄層材料は、起動された素子間又はサブ素子間の基板(1372)における超音波の移動をサポートしない。
図17A~17Bは、分離を達成するため及び近隣の素子間のクロストークを低減するための素子構築を示す。基板(1372)は、
図5のトランシーバ基板(540)に対応し得る。描写されるように、膜(1374)は、空洞(1376)(
図13を参照されたい)を有する基板(1372)上に形成することができ、空洞(1376)は、基板(1372)の一部を取り除くことによって形成され、それにより基板(1372)に対して垂直方向に振動することができる膜(1374)が形成される。空洞(1376)は、エッチング(例えば、深掘反応性イオンエッチング(DRIE))など、ウェーハ処理技法によって形成することができる。基板(1372)は、膜(1374)と同じ材料で形成することができる。別の例では、基板(1372)は、膜(1374)と異なる材料で形成することができる。空洞(1376)(
図13を参照されたい)は、圧電素子(
図1、104)の他のコンポーネントが形成された後に形成することができる。
図13及び本明細書の他の箇所では、円形投影エリアを有するものとして膜(1374)を描写しているが、膜(1374)は、他の適切な幾何学的形状を有し得る。
【0109】
[00146] 特に、
図17Aは、基板上(1372)に形成された膜(1374)を示し、空洞(1376)は、膜(1374)の下方に存在する。膜(1374)は、そのすべての側で基板(1372)材料によって取り囲まれている。
図17Bは、4つの膜(1374)を示し、基板(1372)がそれらを切り離している。クロストークを最小化するため、圧電素子(
図1、104)を互いに分離することが望ましい。クロストークは、音響、機械又は電気結合を通して、ある圧電素子(
図1、104)が別の圧電素子(
図1、104)に与え得る影響である。そのような結合は、一般に、各膜(1374)の独立性を薄めるために望ましくない。いくつかの例では、圧電素子(
図1、104)は、
図17Bに示されるように、基板(1372)を切断して組み入れた溝又はトレンチ(1373)によって切り離され、溝又はトレンチ(1373)は、その近隣に向かって移動する信号を減衰する。トレンチ(1373)は、空気を充填するか又は真空にすることができる。これにより、隣接するエリア間のインピーダンスの不連続性が提示され、圧電素子(
図1、104)からその近隣の圧電素子(
図1、104)に向かって流れるエネルギーが減衰する。いくつかの図は、このトレンチを示していないが、この説明を通して参照により組み込まれることが理解される。
【0110】
[00147]
図17Cは、X及びOとラベル付けされた2つの接続ポイントを使用して電子機器に接続されたトランスデューサ素子を描写する。トランスデューサ(1420)は、基板(1411)と、膜(1406)と、圧電材料(1409)と、トランスデューサ表面(1403)に取り付けられた別の材料又はコーティングと、電極(1407)及び(1410)とを含む。第1の電極(1407)は、ワイヤ(1408)で柱(1402)に接続される。圧電材料(1409)は、電極(1407)上に配置される。第2の電極(1410)は、圧電材料(1409)の上面に配置され、ワイヤ(1405)で柱(1414)に接続される。ASIC(1417)は、トランスデューサ(1420)の下方に示され、トランスデューサ(1420)のあらゆる素子について、2つの柱(1401)及び(1415)によってトランスデューサ(1420)に接続される。柱(1401)及び(1402)は、Xノードとして知られている素子の共通の端子に接続され、Xノードは、DCバイアス電圧に接続される。素子の送信又は受信端子は、Oノードとして知られている。柱(1414)及び(1415)は、トランスデューサ(1420)をASIC Oノードに接続するために取り付けられる。柱(1401)及び(1402)は、トランスデューサ(1420)の素子をASIC(1417)の関連電子機器に組み込むために互いに接続される。
【0111】
[00148] 同様に、柱(1414)及び(1415)は、トランスデューサ(1420)の素子をASIC(1417)の関連する電子機器に組み込むために互いに接続される。トランスデューサ(1420)とASIC(1417)との間の空間は、空気を充填するか又は真空にすることができる。ASIC(1417)に面するトランスデューサ(1420)の表面は、トランスデューサ(1420)からASIC(1417)の方向に移動する音響エネルギーを吸収するか又は減衰させるためのコーティング(1403)層を有し得る。加えて、示されるように、トランスデューサ(1420)からASIC(1417)を通して移動する音響エネルギーを吸収するため、ASIC(1417)の下方に音響吸収層(1404)を取り付けることができる。基板(1411)及び膜(1406)をカバーする領域(すなわち空洞エリア及び基板1411の表面全体)には、トランスデューサ(1420)と、撮像されるターゲットとの間の界面を構成するインピーダンス整合材料が充填される。いくつかの事例では、膜(1406)の下側の材料は、基板(1411)の残りの部分の材料と比べて異なる音響インピーダンスで作られる。音響エネルギーは、インピーダンス整合層を通しても移動するため、インピーダンスのこの不整合は、近隣の素子間又はサブ素子間の考えられる音響結合を妨害することができる。
【0112】
[00149] いくつかの例では、圧電素子(
図1、104)は、圧電素子(
図1、104)と関連付けられた懸架膜を有し、懸架膜は、中心周波数及び他のいくつかの周波数で刺激にさらされると、その周波数で振動し、従って共振器のように挙動する。これらの共振器と関連付けられた選択性があり、Q値として知られている。超音波撮像デバイス(
図1、102)の場合、Qは、通常、低くなる(1に近い)ように設計することができ、画素の設計及び実際の使用における画素への装荷の組合せによって達成することができる。装荷は、圧電素子(
図1、104)の表面にRTV又は他の材料の層を付着することによって提供することができ、装荷は、圧力波を放出及び受信するトランスデューサ表面と、撮像されている人間の身体の一部との間のより厳密なインピーダンス整合を容易にすることもできる。低いQ及びよく整合した中心周波数により、ライン素子は、実質的に1つの中心周波数を有するライン撮像素子のように本質的に動作することができる。装荷は、トランスデューサの下方の整合層も含み得、放出された波形は、音響吸収体によって吸収される。
【0113】
[00150]
図18は、本明細書で説明される原理の例による圧電素子(1800)の概略図を示す。圧電層(1880)は、第1の電極(1882)と第2の電極(1878)との間に配置される。第1の電極(1882)は、第1の導体(1886)を介して接地するか又はDCバイアスに接続することができ、第2の電極(1878)は、第2の導体(1890)を通して電気回路(
図18に図示せず)に接続することができる。
【0114】
[00151] 従来の圧電素子では、圧電層は、厚く(約100μm近く)、典型的には、医用画像処理を可能にするために十分な強度の超音波圧力波を生成するために、圧電層の両端間で+100V~-100VのAC電圧が必要とされる。このAC駆動信号の周波数は、典型的には、圧電構造の共振周波数付近であり、典型的には医用画像処理応用について1MHzを上回る。従来のシステムでは、圧電素子の駆動における電力散逸は、f*C*V2に比例し、ここで、Cは、圧電素子の静電容量であり、Vは、圧電層の両端間の最大電圧であり、fは、駆動されている周波数である。典型的には、圧力波を送信する際、圧力波を集束するため又は圧力波の伝播方向を操作するために、ある程度異なる位相遅延で複数の圧電ラインが共に駆動される。
【0115】
[00152] 本明細書の圧電素子(1800)では、圧電層(1880)は、例えば、1~5μmの厚さなど、はるかに薄いものであり得る。この厚さの大幅な低減により、圧電素子(1800)に対する低電圧駆動信号の使用が可能になり、電圧は、およそ、同様の電界強度を維持するために圧電層(1880)の厚さが低下された量だけ低下される。例えば、2つの電極(1882)及び(1878)間の電位差は、ピーク間で約1.8V~40Vの範囲であり得る。圧電素子(1800)の静電容量は、同様の圧電材料に対する圧電層(1880)の厚さの低減が原因で増加し得る。例えば、駆動電圧を10分の1に減少させる一方、圧電層(1880)の厚さも10分の1に減少させると、静電容量は、10倍に増加し、電力散逸は、10分の1に減少する。この電力散逸の低減により、圧電素子(1800)における熱発生及び温度上昇も低減する。従って、従来の圧電素子と比べてより低い駆動電圧及びより薄い圧電層を使用することにより、電力消費が低下し、これにより動作中の圧電素子(1800)の温度も低下する。
【0116】
[00153]
図19Aは、本明細書で説明される原理の別の例による圧電素子(1900)の概略図である。
図19Bは、
図19Aの圧電素子(1900)の象徴的表示を示す。描写されるように、圧電素子(1900)は、圧電素子(1800)と同様であり、その違いは、圧電素子(1900)が3つ以上の電極を有することである。より具体的には、圧電素子(1900)は、上部電極(1982)と、第1の下部電極(1978-1)と、第2の下部電極(1978-2)と、上部電極と下部電極との間に配置された圧電層(1980)と、上部及び下部電極(1982)、(1978-1)、(1978-2)にそれぞれ電気的に結合された3つの導体(1984-1)、(1984-2)、(1984-3)とを含み得る。以下では、上部及び下部という用語は、単に圧電層の両側部を指す(すなわち、上部電極は、必ずしも下部電極の上方に配置されるとは限らない)。
【0117】
[00154]
図19Aに描写される圧電素子(1900)は、送信及び受信動作の感度を増加させるうえで特に役立つ。例えば、圧電材料が製造される際、圧電材料の双極子は、位置合わせされず、圧電性能の最適化のためにポーリングプロセスが実施され、高温(175℃など)で強い電界が圧電フィルムに印加される。これにより、後の作業のための電界の方向が確立される。しかし、基本的な送信及び受信動作のために使用されるサブ圧電素子に対して直交方向にポーリングが行われた場合、その感度は、増強され得る。受信圧力波の場合、サブ圧電素子は、受信動作においてより多くの電荷信号を形成し、所定の送信電圧駆動の場合にさらなる圧力が発生する。
【0118】
[00155]
図19Aの圧電素子(1900)は、3つのリード線を有し、ポーリング動作中、第1のリード線(1984-1)は、接地することができ、第2のリード線(1984-2)は、高電圧(例えば、+15V)であり得、第3のリード線(1984-3)は、-15Vであり得る。従って、このポーリング動作中、圧電素子(1900)のサブ素子において直交電界が確立される。実際の使用中、第2のリード線(1984-2)及び第3のリード線(1984-3)は、DCバイアス電圧につなげて仮想接地として動作することができる一方、第1のリード線(1984-1)は、送信及び受信動作のために使用される。
【0119】
[00156]
図19Aには、純粋に例示のためにユニモルフ圧電素子が示されているが、実施形態では、複数のサブ圧電層及び電極で構成されている多層圧電素子を利用することができる。実施形態では、圧電層(1980)は、PZT、PZT-N、PMN-Pt、AlN、Sc-AlN、ZnO、PVDF及びLiNiO3の少なくとも1つを含み得る。
【0120】
[00157]
図19Bは、本明細書で説明される原理の例による、
図19Aの圧電素子の象徴的表示を示す。
【0121】
[00158]
図19Cは、本明細書で説明される原理の例による圧電素子(1900)の概略断面図を示す。圧電素子(1900)は、基板層(1970)上に配置することができる。基板層(1972)は、基板層(1970)と共に基板を構成する。膜(1374)を定義するため、空洞(1976)を基板層(1972)に形成することができる。膜(1374)は、基板層(1970)の一部であり、基板層(1970)は、空洞(1976)と同様の形状で空洞(1976)と重複する。基板層(1972)及び(1970)は、同じ材料から作ることができ、さらに単一の連続材料から形成することができる。
【0122】
[00159] 圧電素子(1900)は、圧電層(1980)と、上部電極導体(1984-1)に電気的に接続される第1の電極(1982)とを含み得る。上部電極導体(1984-1)は、膜(1374)上にTiO2及び金属層を堆積させることによって形成することができる。
【0123】
[00160] 第1の下部電極(1978-1)は、圧電層(1980)の上方に成長させることができ、第1の下部導体(1984-2)に電気的に接続される。第2の下部電極(1978-2)も圧電層(1980)の上方に成長させることができ、第2の下部導体(1984-3)に隣接して配置されるが、第1の下部導体(1984-2)から電気的に分離される。第2の下部電極(1978-2)及び第2の下部導体(1984-3)は、圧電層(1980)上に1つの金属層を堆積させ、金属層をパターニングすることによって形成することができる。いくつかの例では、電極(1984)の投影エリアは、正方形、長方形、円形及び楕円形など、適切ないかなる形状も有し得る。
【0124】
[00161] 第1の電極(1982)は、金属、ビア及び層間誘電体を使用して導体(1984-1)に電気的に接続することができる。いくつかの例では、第1の電極(1982)は、圧電層(1980)と直接接触することができる。第2の下部導体(1978-2)は、圧電層(1980)を挟んで第1の電極(1982)とは反対側に堆積又は成長させることができる。
【0125】
[00162]
図19Dは、本明細書で説明される原理の別の例による圧電素子(1992)の概略図を示す。描写されるように、圧電素子(1992)は、2つのサブ圧電素子(サブ素子とも呼ばれる)(1996-1)及び(1996-2)を含む。サブ素子(1996-1)及び(1996-2)は、隣り合っており、その間の空間を有効なものにする。
【0126】
[00163] 各サブ素子(1996-1)及び(1996-2)は、2端子素子を含み得る。例えば、示されるように、サブ素子(1996-1)は、1つの下部電極(1982-1)、1つの上部電極(1978-1)、1つの膜(1374-1)及び1つの圧電層(1980-1)を含む。上部又は下部という指定は、一方が他方の上方に位置することを物理的に指定するものではなく、電極が異なる垂直位置にあること及び上部と下部とが互いに交換可能に使用されることを示すために使用される。他方のサブ素子(1996-2)は、1つの下部電極(1982-2)、1つの上部電極(1978-2)及び1つの圧電層(1980-2)を有する(同上を参照されたい)。各サブ素子(1996-1)及び(1996-2)は、それぞれの別個の膜(1374-1)及び(1374-2)上に配置することができる。膜(1374-1)及び(1374-2)は、二酸化ケイ素などの固体物質で作られた固体エリア(1399)によって切り離される。サブ素子(1996-1)及び(1996-2)がアクティブ状態である場合、サブ素子(1996-1)及び(1996-2)は、互いの又は近隣のサブ素子の挙動に影響を及ぼし得る。これは、あるサブ素子から別のサブ素子への又はある素子から別の素子へのエネルギーの転送によって起こり得る。そのような転送は、例えば、超音波がサブ素子(1996-1)から固体エリア(1399)を通してサブ素子(1996-2)に移動すること(その逆も同様)によって行われ得る。クロストークを最小化するため、そのような相互作用を最小化することが有益である。
【0127】
[00164] クロストークを低減する例の1つは、
図19Eに示されるトレンチ(1997)などのトレンチを介するものである。トレンチ(1997)は、空気を充填するか又は真空にすることができる(例えば、トレンチを覆うようにカバーを組み込むことにより)。トレンチは、クロストークを反射して波面を返すために、
図19Dのサブ素子(1996-1)及び(1996-2)に対して使用することができる。クロストークを最小化するさらなる技法を実施することもできる。例えば、膜エリア1374を覆う材料と比べて異なる音響インピーダンスを有するように、トランスデューサ表面及び固体エリア(1399)を覆うようにインピーダンス整合層(図示せず)を付着させることができる。これにより、インピーダンス整合層の音響媒体を通したあるサブ素子から別のサブ素子への音響波の移動が妨害される。
【0128】
[00165] 固体中を移動する超音波の波形は、トレンチエリアで反射して戻ることができ、トレンチエリアにおける波形の順方向伝播を防ぐか又は低減することができる。導体(1984-1、1984-2、1984-3のような)は、
図12~16に示される圧電素子と同様の方法で、金属、ビア及び層間誘電体(ILD)などを使用してそれぞれの電極(1978-1)及び(1978-2)に接続できることが当業者に明らかなはずである。簡略化のため、すべての導体接続を示しているわけでない。
【0129】
[00166] さらに、サブ素子(1996-1)及び(1996-2)は、CWドップラーに対して採用することができ、CWドップラーでは、送信素子は、連続的に送信し、他方の素子は、連続的に受信する。連続送信及び受信動作は、撮像技法において、PW又はカラードップラーなどのサンプリングされたドップラー法に伴って発生するエイリアシング問題に直面しないようにするうえで役立つ。エイリアシングは、確実に測定できるフローの最大速度をパルス繰り返し周波数の半分に制限する。トランスデューサの異なる領域は、典型的には、素子が大きく切り離され、それによりクロストークが最小化するような連続送信及び連続受信のために使用される。
【0130】
[00167] いくつかの例では、
図19Dに示されるようなサブ素子(1996-1)及び(1996-2)は、異なる中心周波数を有し得、単一の複合素子として共に動作する際、より広い帯域幅を呈することができる。サブ素子(1996-1)及び(1996-2)は、サブ素子(1996-1)及び(1996-2)の上部端子と下部端子とが共に接続される際にも依然として2端子素子として動作する。この広帯域幅性能は、
図19Cに示される構造を使用して達成することもできる。この構造の感度は、二重偏波技法を使用してさらに増加させることができる。
【0131】
[00168]
図19Eは、一方のサブ素子(2997-1)が連続的に送信モードであるように構成され、他方のサブ素子(2997-2)が連続的に受信モードであるように構成される撮像デバイスの代表的な例を示す。撮像デバイスは、第1の上部電極(1982-1)及び第2の上部電極(1982-2)と、第1の下部電極(1978-1)及び第2の下部電極(1978-2)と、上部電極(1982-1)と下部電極(1978-1)との間に配置された圧電層(1980-1)と、上部電極(1982-2)と下部電極(1978-2)との間に配置された圧電層(1980-2)と、それぞれの上部及び下部電極(1982-1)、(1978-1)及び(1982-2)、(1978-2)に電気的に結合された2つの導体(1984-1)及び(1984-2)とを含む。以下では、上部及び下部という用語は、単に圧電層の両側部を指す。
【0132】
[00169] トレンチ(1998)は、サブ素子(2997-1)とサブ素子(2997-2)との間のクロストークを最小化するために、サブ素子(2997-1)の膜(1374-1)とサブ素子(2997-2)の膜(1374-2)との間に提供される。一例では、CWドップラー撮像は、一方のサブ素子(2997-1)を送信のために使用し、他方のサブ素子(2997-2)を受信のために使用して実行することができる。これにより、送信素子と受信素子とが隣接し得る開口サイズの効率的な利用が可能になる(
図21、3412)。ある素子を連続的に送信動作モードであるようにプログラムし、イメージャの異なる部分の別の素子を連続的に受信動作モードであるようにプログラムすることによってCWドップラー撮像が実行される際、2つの素子からのクロストークは、2つの素子がトランスデューサの寸法との関連で比較的大きい距離で空間的に切り離されているため、他のタイプの雑音と比べて比較的小さい。PW動作の場合、同じサブ素子を送信のために使用し、次いで受信モードに切り替えることができる。
【0133】
[00170]
図19Fは、近隣の素子間のクロストークを低減する例を示す。この例では、膜2905-1及び2905-2は、電極(
図19E、1982-1、1982-2及び1978-1、1978-2)によって電気的にシミュレーションされ、それによりエリア2902-1及び2902-2の方向に超音波の波形の送信が起こる。横向きに移動する波面2901-1及び2901-2は、トレンチ2998-1、2998-2、2998-3によって反射して減衰する。エリア2903-1、2903-2、2903-3は、トランスデューサのインピーダンスと組織のインピーダンスとの整合が意図される材料を表す。エリア2903-1、2903-2、2903-3は、エリア2902-1、2902-2と異なるインピーダンスを有する。従って、横向きに移動する波面2901-1及び2901-2は、不整合によって反射して減衰し、それにより、クロストークが低減する。材料は、例えば、1つ又は複数のエリア2903-1、2903-2、2903-3及び2902-1、2902-2の下面に音響レンズ層を付着することにより、不整合性を有するようにすることができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のエリア2903-1、2903-2、2903-3及びエリア2902-1、2902-2の材料は、同じにされる。
【0134】
[00171]
図19Gは、近隣の素子間のクロストークを低減する例を示す。この例では、隣接素子間又はサブ素子間の結合を分離し、それによりクロストーク分離を提供するために複数のトレンチ3998-1、3998-2、3998-3及び3999-1、3999-2、3999-3が利用される。トレンチ3998-1、3998-2、3998-3は、基板3002を挟んでトレンチ3999-1、3999-2、3999-3とは反対側から開始する。第1のトレンチ(3998-1)は、上面から開始し、第2のトレンチ(3999-1)は、下面から開始する。同様に、他のトレンチ(3998-2、3999-3)は、上面から開始し、さらなるトレンチ(3999-2、3993-3)は、下面から開始する。接続部(3000-1、3000-2、3000-3)は、ASICなどのコントローラ(3200)と、微小電気機械システム(MEMS)構造であり得る振動膜を含む構造(3300)との間の電気接続を確立する。ダブルトレンチ配列は、空洞(3901-1、3901-3)を有する素子の振動低減結合を示す(3001)によって示されるように、コントローラ(3200)から接続部(3000-1、3000-2、3000-3)を介して送信され、次いで隣接素子に転送される振動エネルギーを分離する。一般に、2つのトレンチは、1つのトレンチと比べて分離の改善を提供する。そのようなトポロジは、前面発射と呼ぶことができ、前面発射では、空洞(3901-1、3901-3)は、ASICコントローラ(3200)に面する。いくつかの例では、接続部(3000-2)は、膜(3905-2)を支持する。図は、原寸に比例しておらず、動作の原理を示すことを意図することに留意されたい。
【0135】
[00172] 一例では、ASICは、生体構造及びドップラーフロー撮像を可能にするために、基板に取り付けられて電気的に接続され、各圧電素子は、複数の振動モードを呈する。撮像は、トランスデューサにより、腹部若しくは心臓撮像の場合などでは低周波数において、又は筋骨格(MSK)若しくは血管撮像の場合には高周波数において実行することができる。
【0136】
[00173] 一例では、膜は、背面発射の向きでASICに接続され、背面発射の向きでは、空洞は、撮像ターゲットに面する。別の例では、膜は、前面発射の向きでASICに接続され、前面発射の向きでは、空洞は、ASICに面し、膜は、前面から放出及び受信を行う。
【0137】
[00174] 別の例では、撮像デバイスは、広帯域幅を有するMEMSベースの素子を含む。トランスデューサによって実行される撮像は、腹部若しくは心臓撮像などの低周波数撮像又は筋骨格(MSK)若しくは血管撮像などの高周波数撮像であり得る。
【0138】
[00175] 別の例では、撮像デバイスは、広帯域幅を有するMEMSベースの素子をさらに含む。撮像は、トランスデューサにより、腹部若しくは心臓撮像の場合の低周波数撮像又は高周波数撮像(MSK)若しくは血管撮像で実行することができる。
【0139】
[00176]
図19Hは、近隣の素子間のクロストークを低減する例を示す。
図19Gと比べて、振動膜の向きが反転している。
図19Gの向きは、前面発射と呼ばれるのに対して、
図19Hの向きは、背面発射と呼ばれる。この例では、空洞(3901-1、3901-2)は、ASICコントローラ(3200)に背を向け、代わりに、撮像されるターゲットに面している。この例では、ASICコントローラ(3200)に接続される接続部(3000-1、3000-2、3000-3)は、メタライゼーション及びMEMS構造(3300)上の接続部が互いに並びにTSVを必要としない金属ビア及び他の接続部から数マイクロメートル以内に位置するため、TSV(シリコン貫通ビア)を使用することなく作ることができる。TSVは、製造が難しく、製造プロセスにおけるコスト及び複雑性の増加を招く。
図19Hに描写される背面発射トポロジでは、トレンチ(3999-1、3999-2、3999-3)は、MEMS構造93300)の下面から開始し、他のトレンチ(3998-1、3998-2、3998-3)は、接続部(3000-1、3000-2、3000-3)の上面から開始する。上記で説明されるように、2つのトレンチ(3998-2と3999-2)の使用及び接続部(3000-2)を挟んで反対側の同様の構造の使用は、結合(3001)によって示されるような膜(3905-1及び3905-2)間の追加の分離を提供するうえで役立つ。結合(3001)は、撮像されるターゲットに面する側から示されている。しかし、ダブルトレンチは、MEMS構造(3300)の前面又は背面からの隣接膜間の結合の分離に役立つため、
図19Gに示されるようなASICコントローラ(3200)側からの結合も
図19Hに当てはまる。
【0140】
[00177] 2つのトレンチ(3998-2及び3999-2)が示されているが、単一のトレンチを使用することもできる。例えば、トレンチ(3998-2)などの上面と関連付けられたトレンチを単独で使用することも、トレンチ(3999-2)のような下面と関連付けられたトレンチを単独で使用することもできる。本明細書で説明される他の応用では、分離を提供するために、上面又は下面からの単一のトレンチで十分でもあり得る。
【0141】
[00178]
図19Iは、本明細書で説明される原理の例による圧電素子(1923)の断面図を示す。描写されるように、圧電素子(1923)は、横動作モードを利用することができ、基板(1925-1、1925-2)と、一方の端部が基板に固定された膜(1927)と、導体(1931)に電気的に結合された下部電極(1929)と、圧電層(1933)と、導体(1937)に電気的に結合された上部電極(1935)とを含む。膜(1927)は、一方の端部を基板(1925-1、1925-2)に固定し、横モードで振動することができる。膜(1927)は、その両側を基板(1925-1、1925-2)で支持することができる。圧電素子の以前の例は、すべて横動作モードで動作することができ、膜(1927)のすべての側を基板で支持できることに留意されたい。横動作モード及びその原理は、本明細書で論じられるすべての例に当てはまる。
【0142】
[00179] 圧電素子(1923)は、適切ないかなる数の上部電極も有し得ることに留意されたい。膜(1927)上に複数の圧電素子を設置できることにも留意されたい。さらに、基板(1925-1、1925-2)及び膜(1927)は、1つのモノリシックボディで形成することができ、膜(1927)は、基板(1925-1、1925-2)をエッチングすることによって形成できることに留意されたい。
【0143】
[00180] カラードップラーフローマッピングは、トランスデューサが応答するキャリア周波数でのいくつかのサイクルの波形のバーストを使用した多くの走査線のマルチゲートサンプリングを使用する。
図20Aは、アンサンブルを構成するいくつかのパルス2102-1、2102-2、2102-3、2102-4を示す。各パルスは、キャリア周波数(典型的には2~10MHz)の少なくとも1つ又は複数のサイクルからなる。
【0144】
[00181]
図20Bは、トランスデューサ2100のフレーム(2108)内のカラーウィンドウ(2110)を示す。いくつかの走査線(2104)が示されており、その各々は、マルチゲートパルスを有する。走査線(2104)に沿った信号の連続サンプリングは、サンプリング場所の深度に従って時間調節される。各反射エコーは、その起点の空間的場所によってエコーを識別するその距離ゲートを基準とし、適切な遅延で電子的に処理される。第1のパルスからのすべてのエコーが受信された後、第2のパルスは、同じ走査線(2104)上の1番目のパルスと同相で発射される。パルス繰り返し周波数の適切なタイミングは、別のパルスが出る前にパルスを返さなければならない点で重要であり、そうでなければ距離の曖昧性が生じる。走査線のサンプリングが完了した時点において、次の走査線が同じ方法で行われ、使用されるカラーウィンドウにわたって複数の走査線を掃引することによってカラーフローマップが完成する。
【0145】
[00182] 平均ドップラーシフトを決定するため、特定の距離ゲートからの各パルスからの各エコーは、同じ距離からのその以前にサンプリングされたパルスと比較される。平均ドップラー位相シフトを得るため、自動相関技法が使用される。自動相関は、同じ走査線からの以前の同様のエコーに対してエコーサンプルを適切に遅延させ、それによりの乗算及び積分を行うことによって達成される。自動相関器は、2つの連続エコーからの位相差を測定する。ターゲットの静的な(すなわちフロー関連ではない)部分は、位相差を示さないが、血液のような移動しているアイテムからの位相は、差を示す。
【0146】
[00183] ドップラー撮像は、雑音に対する感度が高い。利得制御は、信号増幅のために使用することができる。パルスエコー撮像及びカラードップラー機能に対して、別個の制御を設計することができる。カラードップラーにおける利得が大きいほど、撮像の感度が高くなる。しかし、利得の増加は、イメージャの物理的なコンポーネントからの雑音も増大する。この雑音の主成分は、受信機のLNAに由来するものであり、従ってこれらのLNAに対して非常に低いノイズフロアを達成することが望ましい場合がある。低ノイズフロアは、トランスデューサにおける高い電力消費及び熱的加熱を引き起こすため、イメージャのLNAは、起動されたカラーフローウィンドウでのみアクティブ状態であり、イメージャの他のLNAは、低電力状態にされるように設計することができる。さらに、アクティブLNAは、必要な電力対雑音レベル性能に従って最適化するように電子的に調整可能であり得る。
【0147】
[00184] ハイパスフィルタは、血管壁の動き、組織の動き及び心臓の動きによって発生した高振幅低周波数ドップラーシフト信号を排除するために使用することができる。これらの信号は、低レベル信号(例えば、血流からのもの)を破壊し得る高い電力成分を有する。ハイパスフィルタは、これらのスプリアスな動く構造からの低周波数情報を阻止する。しかし、ハイパスフィルタは、あるターゲットタイプに存在する(他のターゲットタイプに存在しない)低速度の血流信号も阻止し得る。従って、いかなるハードウェアベースのフィルタも、カットオフ周波数に関してプログラム可能である必要がある。次いで、この最小レベルのフィルタリングは、ソフトウェアにおいて実装されるウォールフィルタで拡張される。ウォールフィルタは、ハイパス機能において調整可能なレベルの閾値を有し、低速度血流と壁運動を区別する高度な能力を有する。ウォールフィルタは、異なる応用、使用周波数及びパルス繰り返し率にも対応することができる。例示的な実施形態では、プログラム可能なハイパス機能は、LNAの周りの撮像ヘッドに内蔵される。これにより、ハイパスフィルタ機能性が可能になると共に、信号チェーンの後半にウォールフィルタにおいて残りのハイパスフィルタ機能を実施することが可能になる。
【0148】
[00185] ドップラーシフトは、フロー軸及び超音波ビームのインソネーション角度に対する感度が高い(上記の式を参照されたい)。角度がゼロである場合、信号が完全に消滅することもあり得る(上記の式を参照されたい)。角度は、可能な場合にプローブを物理的に移動させることによって改善することができる。しかし、例示的な実施形態では、素子の2D行列が使用される際、2D又は3Dにおいて走査線を電子的に操作することもでき、各素子は、Tx及びRx機能において別々の制御を有する(時間遅延を含む)。従って、所望の角度は、ビームを所望の場所に操作することによって電子的に達成することができる。そのような配置では、各素子は、近隣の若しくは隣接する素子とは別々に電子的に選択するか、又はTx若しくはRxモードに別々に置くことができ、Tx又はRxモードにかかわらず、適切なタイミング遅延を素子に適用することができる。
【0149】
[00186] 記述されるように、ドップラー撮像は、雑音及び信号対雑音比に対する感度が高い。従って、本明細書で説明される例において信号を増加させることが望ましい。従来、2Dイメージャは、仰角平面においてエネルギーを集束するために、仰角方向において湾曲を有する機械レンズを使用していた。これにより、仰角方向焦点の圧力及び感度の増強が生じた。しかし、そのような構成は、調整できない固定焦点距離をもたらす。本開示の例では、電子的集束は、2Dアレイの素子を使用した2D撮像に対して実施される。加えて、機械レンズが確保される。2Dアレイを使用した電子的能力により、焦点の電子的変化が可能になり、三次元空間における集束も可能になる。上記の
図6Cに描写される操作能力により、先に述べたように、ドップラー感度をさらに向上させるためのビームの操作が可能になる。仰角平面における電子的集束は、列上の素子に対して異なる相対遅延を適用することによって実施することもできる。例えば、
図5では、素子104は、行及び列に配列され、参照番号542は、列を示す。互いに対するこれらの素子の各々への送信駆動信号における遅延は、
図6Cに示されるような集束パターン又はビーム操作をもたらす。
【0150】
[00187] さらに、トランスデューサ素子は、
図4に示されるように、曲面に位置することができる。この湾曲は、意図的に作成されるか、又はトランスデューサ及びASICが設置されたボードの応力若しくはASICとのトランスデューサの統合における応力に起因して意図せずに作成され得る。これは、ユニットごとに異なり得る。すべての素子に対して同じである既定の焦点は、湾曲を原因として、達成される実際の焦点における誤差をもたらすことになる。しかし、生産ラインにおいて各ユニットの湾曲を測定することが可能である。次いで、この情報を使用して、これらの遅延を補償する相対遅延が素子に適用される。外部のコントローラは、所望の遅延情報をASICに送信する。ASICは、各素子に補償遅延を適用し、トランスデューサ素子の非補償湾曲によって低下した高信号圧力出力を復元する。
【0151】
[00188] 一例では、トランスデューサは、広帯域幅マルチモーダルデバイスであり得、膜は、広帯域に広がる多くの異なる周波数で同時に振動することができ、従って広帯域幅トランスデューサがもたらされる。この動作は、送信モードと受信モードとの両方で有効である。これにより、広帯域幅にわたるBモード生体構造及びフローベースのドップラー撮像を可能にすることができ、同じイメージャを使用した多くの応用(典型的には、制限された帯域幅範囲をカバーする別個のイメージャを必要とする)が可能になる。
【0152】
[00189] 圧電素子は、複数の振動モードを呈することができるが、いくつかの例では、入力刺激が隣接モードの周波数未満に帯域制限される場合、1つのみの振動モードのみがトリガされる。さらに、第1の振動モードから生成される周波数は、第2の振動モードからの周波数と重複するように設計することができる。さらに、いくつかの例では、複数の振動モードは、中心周波数を含む広帯域周波数入力によって駆動される場合に同時に起こる。
【0153】
[00190] 要約すると、素子別に制御電子機器に接続され、ポータブルハウジングに収納されたPMUTベースのトランスデューサのアレイを利用する撮像デバイスについて説明する。撮像デバイスは、撮像デバイスにおける電力消費、温度及び音響電力を能動的に制御するために、リアルタイムでのシステムコンフィギュアビリティ及び適応性を可能にする。3D空間におけるビーム操作も達成される。素子は、受信又は送信モードになるようにプログラムすることができる。Bモード生体構造撮像及びドップラーモードフロー撮像を可能にするための電子機器は、典型的には、従来のバルク圧電撮像を使用する複数のトランスデューサに依拠して広帯域幅にわたって使用可能である。
【0154】
[00191] 別の例示的な撮像デバイスは、少なくとも1つの圧電トランスデューサを含む。トランスデューサ撮像デバイスは、少なくとも1つの圧電素子を含む。圧電素子の二次元(2D)アレイは、圧電トランスデューサ上において行及び列に配列される。各圧電素子は、少なくとも2つの端子を有する。各圧電素子は、クロストークを低減するために、隣接する圧電素子の各々から物理的に分離される。圧電素子の第1の列は、それぞれの受信増幅器に接続されるようにプログラムされた第1の上部電極を有するそれぞれの圧電素子の各々を含む。圧電素子の第2の列は、それぞれの送信ドライバに接続されるようにプログラムされたそれぞれの圧電素子の各々を含む。第1の列のそれぞれの圧電素子の各々は、あたかも一緒に接続されて1つの列を形成するかのように電子的にプログラムすることができる。第2のセットのそれぞれの圧電素子の各々は、あたかも一緒に接続されて1つの列を形成するかのように電子的にプログラムすることができる。さらに、いかなる数の隣接列も、受信モードで動作するようにプログラムすることができる一方、他の場所に位置する異なる数の列を送信モードであるようにプログラムすることができる。いくつかの例では、各圧電素子において複数の振動モードを呈することができる。単一の受信増幅器を使用することができ、第1の列の少なくとも1つの圧電素子が受信増幅器に接続される。単一の送信ドライバも存在し得、第2の列の圧電素子の少なくとも1つが送信ドライバに接続される。圧電素子の電子的にプログラムされた接続部は、列の任意の数の圧電素子の接続を可能にすることができる。
【0155】
[00192] いくつかの例では、少なくとも1つのサブ開口は、圧電素子の少なくとも1つの列を含み得、各圧電素子は、2つのサブ素子を含み得る。各サブ素子は、プログラム可能な送信及び受信機能で動作するように選択することができ、それにより、第1のサブ素子が送信を行うと同時に、第2のサブ素子が受信を行うことができ、各サブ素子は、送信モードと受信モードとを切り替えることができる。少なくとも1つの圧電素子は、2つのサブ素子及び2つの端子を含み得、各サブ素子は、異なる中心周波数及び帯域幅を有し、それにより、それらのサブ素子が並行して使用されると、圧電素子は、サブ素子単独よりも広い帯域幅を呈する。一例では、少なくとも1つの圧電素子は、Bモード及びドップラーフロー測定に対して使用される。例では、各圧電素子は、CWドップラー撮像のために使用される2つのサブ素子を含み、少なくとも第1の圧電素子が送信モードにされると同時に、第2の圧電素子が受信モードにされる。
【0156】
[00193] 少なくとも1つの列及び行の圧電素子の接続部は、列及び行の任意の数の圧電素子の接続を可能にするように電子的にプログラム可能である。
【0157】
[00194] 連続波(CW)ドップラー撮像を可能にするため、アレイの第1の圧電素子は、連続的に送信モードであり得、アレイの第2の圧電素子は、連続的に受信モードであり得る。ある列のセットは、連続送信を行うことができ、ある列のセットは、受信モードになるようにプログラムすることができ、これもCWドップラー撮像を可能にする。領域は、トランスデューサアレイの送信部分と受信部分との間のクロストークを最小化するために切り離すことができる。列の高さ、具体的には列を構成する圧電素子の数は、とりわけ、音響電力出力を調整するために電子的に調整される。従って、音響出力電力は、送信に参加している素子の数を電子的に調整することによって調整される。電源は、ドップラーベースのフロー撮像の場合と生体構造撮像の場合とで同一であり得る。しかし、ドップラー撮像は、例えば、Bモード撮像よりさらに多くのパルスを伴う。従って、同様の条件下において、フロー撮像中、Bモードと比べて規制限度を超えるさらなる音響電力出力が生じる。音響電力に寄与する素子の数を電子的に調整することにより、フロー撮像に対する音響電力出力を最適化することができる。加えて、すべての撮像モードについて同じ電源を使用しながら、各素子で生じるパルス振幅を電子的に選択することができる。これにより、必要に応じた音響電力調整並びにフロー及び生体構造撮像に対して回路に給電するための低コスト且つ小型の電力管理回路が可能になる。これは、低コストのポータブルイメージャに役立つ。例では、ドップラーモード及びBモードについて、圧電素子のアレイの少なくとも一部から送信される音響電力を電子的に調整することにより、同じ数の電源が使用される。例では、各圧電素子からの電力は、マルチレベル送信パルサー出力の適切なレベルを使用することによって調整される。例では、Bモード及びドップラーモードは、撮像モードについて同じ電源を使用しながら、特定の電力レベル(音響電力レベルなど)及び特定のメカニカルインデックスを維持する。
【0158】
[00195] 各例では、各圧電素子は、あたかも本明細書で説明されるアクションを実行するために送信及び受信チャネルに接続されているかのように使用される。チャネルは、送信チャネル、受信チャネル又は送信チャネルと受信チャネルとの両方のままである一定の状態であり得る。代わりに、チャネルが送信、受信及び送信と受信との両方の状態タイプ間で変化する変化状態が存在し得る。
【0159】
[00196] 加えて、別個の独立したアレイ内の各圧電素子は、1つ又は複数の振動モードを呈し得る。例では、膜は、複数の振動モードをサポートし、それにより撮像デバイスに対するより広い帯域幅が可能になる。例は、少なくとも1つの圧電素子が2つのサブ素子及び2つの端子を含むことを含む。各サブ素子は、異なる中心周波数及び帯域幅を有し、それにより、それらのサブ素子が並行して使用されると、任意の1つのサブ素子単独よりも広い帯域幅を呈する。生体構造及びドップラー撮像は、感度を向上するために、仰角平面の電子的操作及び集束制御を用いて広帯域幅にわたって実行される。
【0160】
[00197] 例は、各圧電素子が複数の振動モードを呈し、従って仰角平面の電子的操作及び集束制御を用いて広帯域幅にわたる生体構造及びドップラー撮像が可能になることをさらに含む。撮像は、トランスデューサにより、腹部又は心臓撮像の場合の低周波数撮像のために実行することができる。撮像は、トランスデューサにより、筋骨格(MSK)又は血管撮像の場合の高周波数撮像のために実行することもできる。
【0161】
[00198] 先に説明したように、トランスデューサは、大きい撮像面又は開口を有し得、開口全体で動作することが望ましい。開口全体は、素子又はサブ素子のアレイ全体に依拠する。電子的制御下において、開口サイズは、より少数の素子又はサブ素子(場合により単一のサブ素子まで数を下げる)を含むように変化させることができる。より小さい開口は、より小さい撮像面又はサブ開口であり、圧電層の圧電素子のサブセットを含む。
【0162】
[00199]
図21を参照すると、撮像デバイス(3408)は、矢印によって示されるような送信動作(3409)及び受信動作(3410)と共に示されている。送信動作(3409)及び受信動作(3410)における実線の矢印は、矢印のエリアの動作で使用されている圧電素子(
図1、104)のサブ素子及びサブセットを示す。点線の矢印は、使用されていない圧電素子(
図1、104)のサブ素子及びサブセットを示す。開口サイズ(3412)は、サブ素子及びサブセットの使用の結果として撮像されることになる撮像対象物(3415)の部分を示す。サブ素子及びサブセットの選択及び構成は、開口サイズ(3412)を定義するために電子的に変更することができる。
【0163】
[00200] あるサブ素子を一方の動作(例えば、送信、受信)に使用し、他のサブ素子を別の動作(例えば、送信、受信)に使用できることに留意されたい。各動作のために使用されるサブ素子にある程度の重複があり得る。サブ素子は、各動作に対して同じものであり得る。サブ素子は、同時送信及び受信能力をさらに有し得る。
【0164】
[00201] 帯域幅をさらに広げるために2つのサブ素子を使用することもでき、サブ素子の中心周波数は、異なり、送信又は受信動作において使用される際に同時に一緒に使用されると、帯域幅が広がる。撮像デバイスは、複数のサブ素子で実装することができ、それにより、組み合わせた複数のサブ素子の帯域幅は、各サブ素子より広くなる。
【0165】
[00202] 圧電素子(
図1、104)のアレイを使用して、様々なタイプの撮像を実行することができる。例えば、Aスキャン、Bスキャン、Cスキャン及びドップラーモードを実行することができる。実行することができるさらなるタイプの撮像は、パルスドップラー及びカラードップラーを含む。加えて、ドップラー処理を実行することができ、ドップラー処理では、デジタル処理前に何らかのクラッタ除去フィルタリング(プログラム可能なハイパスフィルタリングなど)が起こり、従って高レベルのクラッタでドップラー信号のダイナミックレンジが増大する。例では、ドップラー処理は、少なくとも1つの圧電素子から受信されたドップラー信号において実行され、低雑音増幅器は、デジタル処理前に受信されたドップラー信号においてプログラム可能なハイパスフィルタリングを実行し、さらなるデジタル信号処理及びビーム形成を実行し得る。
【0166】
[00203] いくつかの例では、仰角平面を電子的に傾けて集束させ、より良好な信号視覚化のために最適なドップラー角度に近づけることができる。
図22は、水平面(3608)及び垂直面において測定される視線方向との間の仰角平面(3602)によって定義される仰角(3604)を描写する。撮像対象物(3606)は、所望の視覚化を得るために修正することができる仰角(3604)に応じて、より良好な視覚化を得ることができる。
【0167】
[00204] 高質のドップラー撮像は、高い信号対雑音比(SNR)を有し得る。SNRは、
図22に示される仰角(3604)の関数である。例では、仰角(3604)は、フロー撮像のために電子的に調整することができる。仰角方向焦点は、列上の素子の遅延を調整することにより、仰角平面(3602)において操作することができる。軸方向のビームの集束は、方位角方向における素子の遅延を調整することによって制御されることに留意されたい。ドップラー信号振幅を改善するため、仰角及び方位角における独立した遅延制御を用いることで3Dビーム操作が可能になる。例では、操作構造は、3D空間におけるビーム操作能力のために使用される。別の例では、操作構造は、より良好な信号視覚化のために最適なドップラー角度に近づけるための、3D空間における電子的なビーム操作のために使用される。別の例では、方位角方向焦点、仰角方向焦点及び撮像デバイスの開口サイズは、電子的に変更される。
【0168】
[00205]
図23に示されるように、撮像デバイス(3610)の方位角(3605)は、方位角において90度にも及ぶ円形セクタ視野を生成するために変化させることができる。これは、開口サイズ(
図21、3412)の変更と同時に又は無関係に遂行することができる。従って、3D空間における送信ビームの操作が可能であり、生体構造及びフロー撮像を3D空間で実行することができる。
【0169】
[00206] 列の素子及びサブ素子は、別個の独立した列として扱うことができる。行の素子及びサブ素子は、別個の独立した行として扱うことができる。いくつかの変形形態では、列及び行又はそれらの一部は、それぞれ役割を交換して行及び列として扱われるようにする。
【0170】
[00207] さらなる構成は、それぞれの受信増幅器又は単一の受信増幅器が例えばBモード生体構造撮像、カラードップラー又はPWフロー撮像において使用されると、受信モードで有効にされ、送信モードで使用不能になることを含み得る。同様に、構成は、それぞれの送信ドライバ又は単一の送信ドライバが、受信増幅器に対して言及した撮像モードにおいて、送信モードで有効にされ、受信モードで使用不能になることを含む。例は、各圧電素子が最初に送信モードにされ、及びその後、送信モードから、エコーを受信するための受信モードにされることを含む。送信電力レベル、方位角方向焦点、仰角方向焦点、2D又は3D空間におけるビーム操作及び撮像デバイスの開口サイズは、電子的に変更される。
【0171】
[00208] 本発明の様々な実施形態の説明は、例示を目的として提示されてきたが、包括的であること又は開示される実施形態に限定されることも意図しない。説明される実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの変更形態及び変形形態が当業者に明らかであろう。本明細書で使用される専門用語は、実施形態の原理、実際の応用若しくは市場において見られる技術を上回る技術的改善を最もよく説明するか、又は本明細書で開示される実施形態を当業者が理解できるようにするために選択されている。
【0172】
[00209] 説明の目的で、本明細書に記載される具体的な詳細は、本開示の理解を提供するためのものである。しかし、これらの詳細なしに本開示を実践できることが当業者に明らかであろう。さらに、当業者は、プロセス、装置、システム、デバイス又は有形のコンピュータ可読媒体上の方法などの様々な方法で本開示の例を実装できることを認識するであろう。
【0173】
[00210] 当業者は、(1)任意選択により、ある製作ステップを実行できること、(2)ステップが本明細書に記載される特定の順番に限定され得ないこと、及び(3)同時に行うことを含めて異なる順番であるステップを実行できることを認識するものとする。
【0174】
[00211] 図に示される要素/コンポーネントは、本開示の例示的な実施形態を示し、本開示を曖昧にすることを避けることが意図される。本明細書における「一例」、「好ましい例」、「例」又は「複数の例」への言及は、例と関係して説明される特定の特徴、構造、特性又は機能が本開示の少なくとも1つの例に含まれること及び複数の例に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一例では」、「例では」又は「複数の例では」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ1つ又は複数の例を指すとは限らない。「包含する」、「包含している」、「含む」及び「含んでいる」という用語は、制約のない用語であることが理解され、いかなるリストも例であり、列挙されるアイテムに限定されることを意図しない。本明細書で使用されるいかなる見出しも、単に組織化を目的とするものであり、説明の範囲又は特許請求の範囲を限定するために使用するものではない。さらに、本明細書の様々な箇所における特定の用語の使用は、例示のためであり、限定するものと解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された圧電素子のアレイを含むトランスデューサを含む撮像デバイスであって、各圧電素子は、
前記基板から懸架された少なくとも1つの膜と、
前記膜上に配置された少なくとも1つの下部電極と、
前記下部電極上に配置された少なくとも1つの圧電層と、
前記少なくとも1つの圧電層上に配置された少なくとも1つの上部電極と
を含み、隣接する圧電素子は、互いに音響的に分離され、
圧電素子間の分離は、圧電素子間の相互作用を分離するために圧電素子間に位置決めされた少なくとも1つのトレンチによって達成され、
圧電素子間の分離は、前記基板及び膜を覆うインピーダンス整合材料の使用によって達成され、前記膜の下の材料は、前記基板の残りの部分における材料と比べて異なる音響インピーダンスを有する、撮像デバイス。
【請求項2】
前記基板は、隣接する圧電素子間のクロストークを妨げるために薄層化される、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項3】
特定用途向け集積回路(ASIC)と、
前記ASICに面する前記トランスデューサの表面上に配置されたバッキング層と
をさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項4】
各圧電素子は、複数の振動モードを呈するように構成される、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項5】
各圧電素子は、最初に送信モードにされ、及びその後、前記送信モードから、エコーを受信するための受信モードにされるように構成される、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項6】
連続波(CW)ドップラー撮像を可能にするために、前記アレイの第1の圧電素子は、連続的に送信モードであるように構成される一方、前記アレイの第2の圧電素子は、連続的に受信モードであるように構成される、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項7】
Aスキャン、Bスキャン、Cスキャン、又はドップラー撮像の少なくとも1つである撮像モードを実行するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項8】
前記ドップラーモード及びBモードについて、前記圧電素子のアレイの少なくとも一部から送信される音響電力を前記コントローラにより電子的に調整することにより、同じ数の電源が使用される、請求項7に記載の撮像デバイス。
【請求項9】
各圧電素子からの電力は、マルチレベル送信パルサー出力の適切なレベルを使用することによって調整可能に構成される、請求項8に記載の撮像デバイス。
【請求項10】
音響出力電力は、前記送信に参加している素子の数を電子的に調整することによって調整可能に構成される、請求項9に記載の撮像デバイス。
【請求項11】
前記Bモード及びドップラーモードは、撮像モードについて同じ電源を使用しながら、特定の音響電力レベル及び特定のメカニカルインデックスを維持する、請求項7に記載の撮像デバイス。
【請求項12】
3D空間におけるビーム操作能力のための操作構造をさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項13】
より良好な信号視覚化のためにドップラー角度を最適化するための、3D空間におけるビーム操作のための操作構造をさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項14】
少なくとも1つの圧電素子は、少なくとも2つのサブ素子を含み、前記少なくとも2つのサブ素子は、第1のサブ素子が送信することができる一方、第2のサブ素子が受信することができるように有効にされる、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項15】
前記撮像デバイスの方位角方向焦点、仰角方向焦点又は開口サイズの1つ又は複数を変更するための回路をさらに含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項16】
基板上に形成されたトランスデューサ素子のアレイを含む音響トランスデューサを含む撮像デバイスであって、
各トランスデューサ素子は、
前記基板から懸架された少なくとも1つの膜と、
少なくとも1つの下部電極と、
前記膜上及び前記下部電極上に配置された少なくとも1つの上部電極と、を含み、
隣接するトランスデューサ素子は、互いに音響的に分離され、
前記トランスデューサ素子は、
送信した後に受信するようにプログラム可能であり又は送信と受信とを同時にするようにプログラム可能であるサブ素子と、
少なくとも2つのトレンチであって、各トレンチは前記基板の両側に位置し且つ前記サブ素子の間のクロストーク分離を提供するように構成される、少なくとも2つのトレンチと、を有する、
撮像デバイス。
【請求項17】
撮像方法であって、
圧電素子のアレイから第1の複数の圧電素子及び第2の複数の圧電素子を選択するステップであって、各圧電素子が、撮像デバイスにおける様々な撮像モードを制御する制御回路に相互に接続される、選択するステップであって、
前記第1及び第2の複数の圧電素子は、基板上に形成され、
前記第1及び第2の複数の圧電素子は
前記基板から懸架された少なくとも1つの膜と、
前記膜上に配置された少なくとも1つの下部電極と、
前記下部電極上に配置された少なくとも1つの圧電層と、を含み、
隣接する圧電素子が互いに音響的に分離され、
少なくとも2つのトレンチであって、各トレンチは前記基板の両側に位置する、少なくとも2つのトレンチが、前記第1の複数の圧電素子の少なくとも1つ及び前記第2の複数の圧電素子の少なくとも1つの間のクロストーク分離を提供するように構成され、
前記アレイの第1の列の圧電素子は、受信回路に接続された前記少なくとも1つの圧電層上に配置された第1の上部電極を有し、前記圧電素子の各々は、あたかも一緒に接続されて前記第1の列を形成するかのように電子的にプログラムされ、
前記アレイの第2の列の圧電素子は、それぞれの送信ドライバ又は単一の送信ドライバに接続された前記少なくとも1つの圧電層上に配置された第2の上部電極を有し、前記圧電素子の各々は、あたかも一緒に接続されて前記第2の列を形成するかのように電子的にプログラムされる、選択するステップと、
超音波撮像を実行するステップであって、
前記第1の複数の圧電素子で信号を送信するステップと、
前記第2の複数の圧電素子で信号を受信するステップと、
前記受信した信号が同位相になるように前記受信した信号を調整するステップと、
前記受信した信号から走査線を形成するステップと、
超音波撮像で得られた複数の走査線から、Aスキャン、Bスキャン、Cスキャン、ドップラー撮像のうちの1つの撮像モードのフレームを形成するステップであって、前記フレームが完成した後に撮像モードは同一であり又は異なる撮像モードに切り替えられる、形成するステップと、
によって超音波撮像を実行するステップと、
を含む、撮像方法。
【請求項18】
前記第1の複数の圧電素子及び前記第2の複数の圧電素子を選択するステップは、ハウジング内の前記圧電素子の二次元(2D)アレイを形成し、前記圧電素子は行及び列に配列され、
前記制御回路は、前記様々な撮像モードの制御のための前記圧電素子に隣接して収納される特定用途向け集積回路(ASIC)を含み、
前記アレイの前記第1の列内の前記圧電素子は、それぞれの受信増幅器に接続され、
前記アレイの前記第2の列内の前記圧電素子は、それぞれの送信ドライバに接続される、請求項17に記載の撮像方法。
【請求項19】
前記トランスデューサを収納するポータブルハウジングと、
前記ポータブルハウジング内の特定用途向け集積回路(ASIC)と、
前記ASICに結合的に接続されるコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
圧電素子の前記アレイから、前記撮像モードに関連する送信チャネルを形成するための信号を送信するための規定の第1の複数の圧電素子を選択するステップと、
圧電素子の前記アレイから、前記撮像モードに関連する受信チャネルを形成するための信号を受信するための規定の第2の複数の圧電素子を選択するステップと、
前記撮像モードで得られた複数の数の走査線からフレームを形成するステップであって、前記フレームが完成した後に前記撮像モードは同一であり又は異なるモードに切り替えられる、形成するステップと、
により撮像モードを実行する、
請求項1に記載の撮像デバイス。
【国際調査報告】