(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(54)【発明の名称】点眼薬からの防腐剤の除去
(51)【国際特許分類】
A61K 47/32 20060101AFI20220712BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/5383 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/382 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/498 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/335 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A61K47/32
A61P27/02
A61K31/05
A61K31/5383
A61K31/382
A61K31/498
A61K31/4164
A61K31/335
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564194
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-12-25
(86)【国際出願番号】 US2020030801
(87)【国際公開番号】W WO2020223527
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520358759
【氏名又は名称】ティアークリアー コープ.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】マランガ,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076BB24
4C076CC10
4C076EE02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA10
4C086BC38
4C086BC52
4C086CA04
4C086CB22
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA05
4C086MA58
4C086ZA33
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA17
4C206MA01
4C206MA05
4C206MA78
4C206ZA33
(57)【要約】
【解決手段】薬剤を含む溶液、懸濁液または乳濁液から防腐剤を除去するための粒子のプラグが提示される。プラグは、酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含む。微粒子は、異形の剛性を有する凝集体であり、透水性が0.01Da超になるように、サイズが定められ、充填される。OxPOは、コポリマーと同様に、溶液中に、除去される防腐剤の吸着される部分、および/または、送達される薬剤を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を含む溶液、懸濁液または乳濁液から防腐剤を除去するための粒子のプラグであって、当該粒子のプラグは、酸化ポリオレフィン(OxPO)を含むポリマー微粒子を含み、
ここで、前記微粒子は、異形の剛性を有する凝集体であり、透水性が0.01Da超の粒子のプラグを形成し、前記溶液、乳濁液または懸濁液用容器の吐出口に適合し、OxPOの前記微粒子は、溶液中に、除去される防腐剤の吸着される部分、および/または、送達される薬剤をさらに含み、粒子のプラグは、前記溶液、乳濁液または懸濁液から前記防腐剤を迅速かつ選択的に除去する、粒子のプラグ。
【請求項2】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-エチル-1-ヘキセン、6-メチル-1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、または1-デセンのホモポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項1に記載の粒子のプラグ。
【請求項3】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、エチレンのホモポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項1に記載の粒子のプラグ。
【請求項4】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)である、請求項3に記載の粒子のプラグ。
【請求項5】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、フィッシャー・トロプシュ法によって形成されるポリマーから選択される、請求項1に記載の粒子のプラグ。
【請求項6】
前記薬剤は、チモロールマレイン酸塩、レボフロキサシン、ドルゾラミド、ブリモニジン酒石酸塩、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の粒子のプラグ。
【請求項7】
前記防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む、請求項1に記載の粒子のプラグ。
【請求項8】
薬剤溶液、懸濁液または乳濁液から防腐剤を除去する方法であって、該方法は、
容器を提供する工程であって、前記容器は、延在する吐出口と、少なくとも1つの薬剤および防腐剤を含む前記薬剤溶液、懸濁液または乳濁液を保持するためのチャンバとを有し、前記延在する吐出口内に請求項1に記載の粒子のプラグを含む、工程と、
前記粒子のプラグを通して前記薬剤溶液、懸濁液または乳濁液を押し出す工程と、を含む、方法。
【請求項9】
前記粒子のプラグに前記薬剤および/または前記防腐剤を予め添加する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記薬剤は、チモロールマレイン酸塩、レボフロキサシン、ドルゾラミド、ブリモニジン酒石酸塩、またはそれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
医薬製剤を送達するための器具であって、該器具は、
請求項1の粒子のプラグと、
1つ以上の有効治療成分および防腐剤を含む医薬製剤と、を含み、
ここで、前記医薬製剤が前記粒子のプラグを通して押し出されると、前記防腐剤の少なくとも90%が選択的に除去され、一方で送達される前記医薬製剤中に前記1つ以上の有効治療成分の少なくとも90%が保持される、器具。
【請求項13】
前記器具は、前記医薬製剤の液滴を吐出するための点眼ボトルであり、ここで、前記粒子のプラグを通して押し出される前記医薬製剤の液滴毎に、吐出される液滴中の前記1つ以上の有効治療成分の濃度は、前記点眼ボトルの中の前記医薬製剤の濃度の少なくとも90%である、請求項12に記載の器具。
【請求項14】
前記粒子のプラグは、粒子の充填層を含む、請求項12に記載の器具。
【請求項15】
前記器具は、前記粒子のプラグを通じて前記医薬製剤を押し出しながら、前記粒子のプラグを保持するためのホルダアセンブリを有する、請求項12に記載の器具。
【請求項16】
前記粒子のプラグは、製剤入口面および製剤出口面を含み、前記ホルダアセンブリは、前記粒子のプラグの溶液の入口面および溶液の出口面にフィルタを含む、請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記ホルダアセンブリは、前記粒子のプラグの周りに溶液透過性の袋を含む、請求項15に記載の器具。
【請求項18】
前記粒子のプラグは焼結されて、多孔質モノリスとして前記粒子のプラグは融着される、請求項12に記載の器具。
【請求項19】
前記粒子のプラグは、少なくとも100である前記防腐剤の分布係数と、1未満である各有効成分の分布係数とを有する、請求項12に記載の器具。
【請求項20】
前記粒子のプラグは、前記薬剤で予め平衡化される、請求項12に記載の器具。
【請求項21】
前記器具は、製造から、使用されるために患者によって受け取られるまで、前記粒子のプラグを通して前記医薬製剤を押し出す位置に前記器具を保持する包装をさらに含む、請求項12に記載の器具。
【請求項22】
防腐剤除去具であって、該防腐剤除去具は、
酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)微粒子を含み、
ここで、前記微粒子は、異形の剛性を有する凝集体であり、
前記微粒子は、透水性が0.01Da超の粒子のプラグを形成し、
前記粒子のプラグは、溶液、乳濁液または懸濁液用容器の吐出口に適合し、
前記OxHDPE微粒子は、除去される防腐剤の吸着される部分、および、送達される治療剤をさらに含み、前記粒子のプラグは、前記溶液、乳濁液または懸濁液から前記防腐剤を迅速かつ選択的に除去する、防腐剤除去具。
【請求項23】
防腐剤除去具であって、該防腐剤除去具は、
酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含み、
ここで、前記微粒子は、異形の剛性を有する凝集体であり、
前記微粒子は、透水性が0.01Da超の粒子のプラグを形成し、
前記粒子のプラグは、溶液、乳濁液または懸濁液用容器の吐出口に適合し、
前記OxPO微粒子は随意に、除去される防腐剤の吸着される部分、および、送達される治療剤を含み、前記粒子のプラグは、前記溶液、乳濁液または懸濁液から前記防腐剤を迅速かつ選択的に除去する、防腐剤除去具。
【請求項24】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-エチル-1-ヘキセン、6-メチル-1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、または1-デセンのホモポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項23に記載の粒子のプラグ。
【請求項25】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、エチレンのホモポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項23に記載の粒子のプラグ。
【請求項26】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)である、請求項25に記載の粒子のプラグ。
【請求項27】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、フィッシャー・トロプシュ法によって形成されるポリマーから選択される、請求項23に記載の粒子のプラグ。
【請求項28】
前記異形の剛性を有する凝集体は、角が粗い粒子であり、前記角が粗い粒子は、250ミクロン未満の径を含む、請求項22に記載の防腐剤除去具。
【請求項29】
前記角が粗い粒子は、150ミクロン未満の径を含む、請求項28に記載の防腐剤除去具。
【請求項30】
前記防腐剤は、塩化ベンザルコニウムを含む、請求項22~29のいずれか1項に記載の防腐剤除去具。
【請求項31】
前記防腐剤は、SofZiaまたはPuriteである、請求項22~30のいずれか1項に記載の防腐剤除去具。
【請求項32】
前記治療剤は、チモロールマレイン酸塩、レボフロキサシン、ドルゾラミド、ブリモニジン酒石酸塩、ビマトプロスト、テトラヒドロゾリン、またはオロパタジンの少なくとも1つを含む、請求項22~31のいずれか1項に記載の防腐剤除去具。
【請求項33】
前記治療剤は、チモロールマレイン酸塩およびブリモニジン酒石酸塩を含む、請求項31に記載の防腐剤除去具。
【請求項34】
前記治療剤は、チモロールマレイン酸塩を含む、請求項31に記載の防腐剤除去具。
【請求項35】
請求項22~34のいずれか1項に記載の防腐剤除去具を使用して、薬剤溶液、懸濁液または乳濁液から防腐剤を除去する方法であって、該方法は、
容器を提供する工程であって、前記容器は、延在する吐出口と、少なくとも1つの薬剤および防腐剤を含む前記薬剤溶液、懸濁液または乳濁液を保持するためのチャンバとを有し、前記薬剤溶液、懸濁液または乳濁液から防腐剤を除去するための粒子のプラグを含み、前記粒子のプラグは、前記延在する吐出口内にある、工程と、
前記粒子のプラグを通して前記薬剤溶液、懸濁液または乳濁液を押し出す工程と、を含む、方法。
【請求項36】
前記粒子のプラグに前記薬剤または前記防腐剤を予め添加する工程をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
医薬製剤を送達するための器具であって、該器具は、請求項22~36のいずれか1項の粒子のプラグと、1つ以上の有効成分および防腐剤を含む医薬製剤と、を含み、ここで、前記医薬製剤が前記粒子のプラグを通して押し出されると、前記防腐剤の少なくとも90%が選択的に除去され、一方で送達される前記医薬製剤中にすべての有効成分の少なくとも90%が保持される、器具。
【請求項38】
前記器具は、前記医薬製剤の液滴を吐出するための点眼ボトルであり、ここで、前記粒子のプラグを通して押し出される前記薬剤溶液の液滴毎に、吐出される液滴中の前記有効成分の濃度は、前記点眼ボトルの中の前記医薬製剤の濃度の少なくとも90%である、請求項37に記載の器具。
【請求項39】
前記器具は、前記粒子のプラグを通して前記薬剤溶液を押し出しながら、前記粒子のプラグを保持するためのホルダアセンブリを有する、請求項37または38に記載の器具。
【請求項40】
前記粒子のプラグは、製剤入口面および製剤出口面を含み、前記ホルダアセンブリは、前記粒子のプラグの前記製剤入口面および製剤出口面にフィルタを含む、請求項37~39のいずれか1項に記載の器具。
【請求項41】
前記器具は、製造から、使用されるために患者によって受け取られるまで、前記粒子のプラグを通して前記薬剤溶液、懸濁液または乳濁液を押し出す位置に前記器具を保持する包装をさらに含む、請求項37~40のいずれか1項に記載の器具。
【請求項42】
眼科用製剤から防腐剤を除去するための器具であって、該器具は、
中に配置される溶液、乳濁液または懸濁液を含むリザーバの吐出口内に配置されるポリマーマトリクスを含み、
ここで、前記溶液、乳濁液または懸濁液は、除去される防腐剤、および、眼科用剤を含み、
前記ポリマーマトリクスは、前記溶液、乳濁液または懸濁液に対して透過性であるワックスを含み、前記ポリマーマトリクスは、酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)微粒子を含み、前記ポリマーマトリクスは、前記眼科用剤の分布係数よりも大きい前記防腐剤の分布係数を有し、前記防腐剤の除去のための時間尺度は、前記溶液、乳濁液または懸濁液が前記ポリマーマトリクスを通じて前記リザーバの外部に流れる時間尺度より短い、器具。
【請求項43】
前記OxHDPEは、DIN EN ISO2114によって測定された場合に約30mgKOH/gの酸価を含む、請求項42に記載の器具。
【請求項44】
前記OxHDPEは、DGF M-III 3によって測定された場合に125℃と135℃の間の滴点を含む、請求項42に記載の器具。
【請求項45】
前記OxHDPEは、DIN 51579によって測定された場合に約0.98グラム/立方センチメートルの密度を含む、請求項42に記載の器具。
【請求項46】
前記OxHDPEは、DIN EN ISO3104によって測定された場合に190℃で4.00mPasの粘度を含む、請求項42に記載の器具。
【請求項47】
前記OxHDPEは、125ミクロンサイズと250ミクロンサイズの間の粒子を含む、請求項42に記載の器具。
【請求項48】
前記ポリマーマトリクスは、OxHDPEのホモポリマーである、請求項42に記載の器具。
【請求項49】
前記防腐剤は、塩化ベンザルコニウムを含む、請求項42に記載の器具。
【請求項50】
前記防腐剤は、SofZiaまたはPuriteである、請求項42に記載の器具。
【請求項51】
前記治療剤は、チモロールマレイン酸塩、レボフロキサシン、ドルゾラミド、ブリモニジン酒石酸塩、ビマトプロスト、テトラヒドロゾリン、またはオロパタジンの少なくとも1つを含む、請求項42に記載の器具。
【請求項52】
前記治療剤は、チモロールマレイン酸塩およびブリモニジン酒石酸塩を含む、請求項42に記載の器具。
【請求項53】
前記治療剤は、チモロールマレイン酸塩を含む、請求項42に記載の器具。
【請求項54】
眼科用製剤から防腐剤を除去するための器具であって、該器具は、
中に配置される溶液、乳濁液または懸濁液を含むリザーバであって、前記溶液、乳濁液または懸濁液は、除去される防腐剤、および、眼科用剤を含む、リザーバと、
リザーバの吐出口内に配置されるポリマーマトリクスと、を含み、
前記ポリマーマトリクスは、前記溶液、乳濁液または懸濁液に対して透過性であるワックスを含み、前記ポリマーマトリクスは、酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含み、前記ポリマーマトリクスは、前記ポリマーマトリクスを通過する200マイクロリットル体積の前記溶液、乳濁液または懸濁液に対して50%超の前記防腐剤を吸着する、器具。
【請求項55】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-エチル-1-ヘキセン、6-メチル-1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、または1-デセンのホモポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項54に記載の粒子のプラグ。
【請求項56】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、エチレンのホモポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項54に記載の粒子のプラグ。
【請求項57】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)である、請求項56に記載の粒子のプラグ。
【請求項58】
前記酸化ポリオレフィン(OxPO)は、フィッシャー・トロプシュ法によって形成されるポリマーから選択される、請求項23に記載の粒子のプラグ。
【請求項59】
前記リザーバは、前記眼科用製剤を送達するためのノズルに連結される、請求項54に記載の器具。
【請求項60】
前記リザーバは圧縮性があり、前記リザーバの圧縮により、前記ノズルの吐出口に液滴を形成する、請求項59に記載の器具。
【請求項61】
前記液滴は、約200マイクロリットル体積を含み、前記液滴は、約2秒以内に形成される、請求項60に記載の器具。
【請求項62】
前記OxPOは、DIN EN ISO2114によって測定された場合に約30mgKOH/gの酸価を含む、請求項54に記載の器具。
【請求項63】
前記OxPOは、DGF M-III 3によって測定された場合に125℃と135℃の間の滴点を含む、請求項54に記載の器具。
【請求項64】
前記OxPOは、DIN 51579によって測定された場合に約0.98グラム/立方センチメートルの密度を含む、請求項54に記載の器具。
【請求項65】
前記OxPOは、DIN EN ISO3104によって測定された場合に190℃で4.00mPasの粘度を含む、請求項54に記載の器具。
【請求項66】
前記OxPOは、125ミクロンサイズと250ミクロンサイズの間の粒子を含む、請求項54に記載の器具。
【請求項67】
前記ポリマーマトリクスは、OxHDPEのホモポリマーである、請求項54に記載の器具。
【請求項68】
前記防腐剤は、塩化ベンザルコニウムを含む、請求項54に記載の器具。
【請求項69】
前記防腐剤は、SofZiaまたはPuriteである、請求項54に記載の器具。
【請求項70】
前記治療剤は、チモロールマレイン酸塩、レボフロキサシン、ドルゾラミド、ブリモニジン酒石酸塩、ビマトプロスト、テトラヒドロゾリン、またはオロパタジンの少なくとも1つを含む、請求項54に記載の器具。
【請求項71】
前記治療剤は、チモロールマレイン酸塩およびブリモニジン酒石酸塩を含む、請求項54に記載の器具。
【請求項72】
前記治療剤は、チモロールマレイン酸塩を含む、請求項54に記載の器具。
【請求項73】
前記OxHDPEは、DIN EN ISO2114によって測定された場合に約30mgKOH/gの酸価を含む、請求項57に記載の器具。
【請求項74】
前記OxHDPEは、DGF M-III 3によって測定された場合に125℃と135℃の間の滴点を含む、請求項57に記載の器具。
【請求項75】
前記OxHDPEは、DIN51579によって測定された場合に約0.98グラム/立方センチメートルの密度を含む、請求項57に記載の器具。
【請求項76】
前記OxHDPEは、DIN EN ISO3104によって測定された場合に190℃で4.00mPasの粘度を含む、請求項57に記載の器具。
【請求項77】
前記OxHDPEは、125ミクロンサイズと250ミクロンサイズの間の粒子を含む、請求項57に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月2日に出願された米国仮特許出願第62/842,071号の利益を主張するものであり、この出願は、参照により本出願の開示に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
眼科疾患は一般には、使いやすさ、入手しやすさ、手頃さ、および患者の服薬コンプライアンスに起因して、点眼ボトルに包装されて処方される多回投与用の医薬品を用いて処置される。局所点眼薬の適用頻度は、緑内障などの疾患の場合は1日1~2回から、重度の感染症の場合は1日10回まで変動する。点眼製剤は、無菌状態で充填されるが、長期の使用または不適切な取り扱いの後に汚染する潜在的危険性が、眼感染症の一因となる重要な要因になる可能性がある。場合によっては、特にノズルを消毒するプロトコルに従わない場合に、交差汚染に起因した眼感染症の可能性があることを見落として、節約上の措置として、複数の患者が、同じ多回投与用の容器を使用して医薬品を投与する傾向がある。ほとんどの眼科用製剤は現在、無菌医薬品の保存期間を維持し、かつ、微生物の増殖を排除するために、防腐剤を含有している。米国食品医薬品局(The US Food and Drug Administration)は、多回投与用の眼科用製剤に対して規制を課しており、微生物を含まない医薬品を提供するために防腐剤の添加を義務付けている。この目的のために、様々な防腐剤が使用されている。無菌性を維持するために添加された防腐剤が必要とされるが、健康な対象の間でさえ、防腐剤の有害な副作用によって利益が相殺されることがよくある。
【0003】
塩化ベンザルコニウム(BAK)は、効能が高い第4級アンモニウム化合物であり、一段と使用されている。BAKは、有効な洗浄消毒剤であり、細胞の脂質膜を遮断し、それによって微生物の成長を阻害する。BAKの許容範囲および安全性プロファイルにもかかわらず、多くの研究では、BAK含有量が添加された市販の局所医薬品が重度の毒性副作用を誘発することが示されている。十分に立証されたBAKの副作用には、涙液膜の不安定性、線維柱帯細胞および角膜細胞の成長遅延、ならびに角膜および結膜の炎症が含まれる。細胞毒性研究では、BAKは眼表面の細胞および組織を破壊することが示されており、長期かつ頻繁な投与を必要とする、緑内障およびドライアイの患者において、影響は有害なものである。角質内皮の損傷は、塩化ベンザルコニウムが添加された局所医薬品を長期使用した際に生じる。健康な対象に防腐剤を含む緑内障薬チモロールを使用すると、防腐剤を含まないチモロールを使用したときよりも、涙液膜の不安定性が高く、角膜バリアの破壊がより広範囲に観察される。BAK溶液の洗浄作用により、涙液膜の表面の脂質層が破壊され、0.01%BAK溶液の1滴によって可溶化された油滴になる。
【0004】
2009年に、欧州医薬品庁のヒト用医薬製品委員会(the European Medicines Agency’s Committee for Medicinal Products for Human Use)は、防腐剤を含まない製剤が「防腐剤に対する耐性が低い患者に必要」であり、「長期の処置の場合に、防腐剤を含まない製剤は貴重な代替品となる」と結論付けた。防腐剤の悪影響を考慮して、防腐剤を含まない製剤を送達する安全な点眼薬吐出具の開発が10年以上にわたって追求されてきた。防腐剤の必要性を排除した単回投与用の容器においては、防腐剤を含まない製剤は、入手可能であるが、しかし、これらは便利でなく、広く一般に使用するには高価すぎる。
【0005】
特許文献1は、溶液から成分を除去するためのプロセスを教示しており、これには、点眼薬から防腐剤を除去することが含まれる。このプロセスは、眼用の防腐剤を選択的に除去するためにイオン交換樹脂を使用することを伴う。イオン交換樹脂は、生体適合性および細胞毒性について広範には試験されておらず、本質的には、同じ電荷の分子に対して非選択的であり、BAKなどのいかなるイオン性防腐剤とも同じくらい容易にイオン性薬剤を吸着する。これらの樹脂の透水性については取り上げられていないが、この特性は、過度の圧力なしで液滴を形成することができる器具にとって重要である。特許文献1は、微生物が閉じ込められたままになる可能性があり、その微生物の増殖に確実に抵抗することができるようにフィルタが設計されることの重要性について教示していない。特許文献1は、器具から出てくる液滴中の有効な薬剤の濃度が、ベースとなる最低要件を確実に下回らないようにするために必要な要件について教示していない。そのため、防腐剤の有益な作用を保持しながら、一方で眼における毒性作用を回避する実用的な方法が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,080,800号明細書
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施形態は、薬剤を大幅に除去することなく防腐剤の大部分を選択的に除去するための粒子のプラグを対象とし、具体的には、各溶出液滴においてこれを達成することを対象とする。プラグの材料は、薬剤結合を最小限に抑えるように設計されてもよい。プラグの材料は、結合が最小限に抑えられる薬剤の特性によって決められてもよい。結合は、薬剤の構造、および/または、先端部の粒子のマトリクス材料の詳細な構造によって決められてもよい。概して、眼科用薬剤は、水に対する薬剤の親和性に応じて、疎水性区分および親水性区分に分類されてもよい。親水性薬剤は水に溶けやすく、疎水性薬剤は溶けにくい。粒子を作製するために1つ以上の異なるモノマーを組み合わせて製剤にすることによって、材料は、薬剤の結合を最小限に抑えながら、一方で防腐剤を選択的に除去することができる。
【0008】
本開示の実施形態は、薬剤溶液から防腐剤を除去するための粒子のプラグを対象とし、プラグを構成する微粒子は、酸化ポリオレフィン(OxPO)である。いくつかの実施形態では、OxPOは、酸化ポリエチレンである。いくつかの実施形態では、OxPOは、酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)である。微粒子は、円形、卵形、表面が滑らか、または異形の剛性を有する凝集体であってもよく、微粒子は、透水性が0.01Da超の粒子のプラグを形成し、プラグは、溶液、乳濁液または懸濁液用容器の吐出口に適合する。いくつかの実施形態では、OxPOを含むプラグは、溶液中に、除去される防腐剤の吸着される部分、および/または、送達される薬剤をさらに含み、粒子のプラグは、溶液、乳濁液または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去する。
【0009】
薬剤は、親水性薬剤、例えばチモロールマレイン酸塩、レボフロキサシン、ドルゾラミド、ブリモニジン酒石酸塩であってもよく、および/または、疎水性薬剤、例えばラタノプロストまたはビマトプロストであってもよく、および/または、親水性薬剤の組み合わせ、例えば、ブリモニジンおよびチモロール(別名Combigan)であってもよい。防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)であってもよい。
【0010】
本開示の別の実施形態は、薬剤溶液から防腐剤を除去する方法を対象とし、容器は、延在する吐出口と、少なくとも1つの薬剤および防腐剤を含む薬剤溶液を保持するためのチャンバとを有し、延在する吐出口は、粒子のプラグで充填され、薬剤溶液は、粒子のプラグを通して押し出される。粒子のプラグには、薬剤または防腐剤が予め添加されてもよい。
【0011】
一態様では、本開示は、薬剤を含む溶液から防腐剤を除去するための粒子のプラグを提供する。プラグは、OxPO微粒子を含んでもよく、微粒子は、任意の形状であり、透水性が0.01Da超の粒子のプラグを形成し、溶液、乳濁液または懸濁液用容器の吐出口に適合し、OxPOは随意に、溶液中に、除去される防腐剤の吸着される部分、および/または、送達される薬剤をさらに含み、粒子のプラグは、溶液、乳濁液または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去する。
【0012】
別の態様では、本開示は、薬剤溶液、懸濁液または乳濁液から防腐剤を除去する方法を提供する。方法は、容器を提供する工程であって、容器は、延在する吐出口と、少なくとも1つの薬剤および防腐剤を含む薬剤溶液、懸濁液または乳濁液を保持するためのチャンバとを有し、延在する吐出口内にOxPOを含む粒子のプラグを含む、工程と、粒子のプラグを通して薬剤溶液、懸濁液または乳濁液を押し出す工程と、を含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、この方法は、粒子のプラグに薬剤および/または防腐剤を予め添加する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、チモロールマレイン酸塩、レボフロキサシン、ドルゾラミド、ブリモニジン酒石酸塩、またはそれらの組み合わせ、例えば、ブリモニジンおよびチモロール(別名Combigan)を含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)である。いくつかの実施形態では、プラグは、OxPOを含む。いくつかの実施形態では、プラグは、OxHDPEから選択されるOxPOを含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、医薬製剤を送達するための器具を提供し、器具は、任意の実施形態の粒子のプラグと、1つ以上の有効成分および防腐剤を含む医薬製剤とを含み、医薬製剤が粒子のプラグを通して押し出されると、防腐剤の少なくとも90%が選択的に除去され、一方で送達される医薬製剤中に1つ以上の有効成分の少なくとも90%が保持される。
【0015】
いくつかの実施形態では、器具は、医薬製剤の液滴を吐出するための点眼ボトルであり、プラグを通して押し出される製剤の液滴毎に、吐出される液滴中の1つ以上の有効成分の濃度は、点眼ボトルの中の製剤の濃度の少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、粒子のプラグは、粒子の充填層を含む。いくつかの実施形態では、器具は、プラグを通じて製剤を押し出しながら、粒子のプラグを保持するためのホルダアセンブリを有する。いくつかの実施形態では、粒子のプラグは、製剤入口面および製剤出口面を含み、ホルダアセンブリは、粒子のプラグの溶液の入口面および溶液の出口面上にフィルタを含む。いくつかの実施形態では、ホルダアセンブリは、粒子のプラグの周りに溶液透過性の袋を含む。いくつかの実施形態では、粒子のプラグは焼結されて、多孔質モノリスとして粒子のプラグは融着される。いくつかの実施形態では、粒子のプラグは、少なくとも100である防腐剤の分布係数と、1未満である各有効成分の分布係数とを有する。いくつかの実施形態では、粒子のプラグは、薬剤で予め平衡化される。いくつかの実施形態では、器具は、製造から、使用されるために患者によって受け取られるまで、粒子のプラグを通して製剤を押し出す位置に器具を保持する包装をさらに含む。
【0016】
別の態様では、本開示は、防腐剤除去具を提供する。防腐剤除去具は、OxPO微粒子を含んでもよく、微粒子は、任意の形状であり、微粒子は、透水性が0.01Da超の粒子のプラグを形成し、プラグは、溶液、乳濁液または懸濁液用容器の吐出口に適合し、OxPOは、除去される防腐剤の吸着される部分、および、送達される治療剤をさらに含み、粒子のプラグは、溶液、乳濁液または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去する。
【0017】
別の態様では、本開示は、任意の実施形態に記載の、薬剤溶液、懸濁液または乳濁液から防腐剤を除去する方法を提供する。本発明の方法は、容器を提供する工程であって、容器は、延在する吐出口と、少なくとも1つの薬剤および防腐剤を含む薬剤溶液、懸濁液または乳濁液を保持するためのチャンバとを有し、容器は、溶液、懸濁液または乳濁液から防腐剤を除去するための粒子のプラグを含み、粒子のプラグは、延在する吐出口内にある、工程と、粒子のプラグを通して薬剤溶液、懸濁液または乳濁液を押し出す工程と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この方法は、粒子のプラグに薬剤または防腐剤を予め添加する工程をさらに含む。
【0018】
別の態様では、本開示は、医薬製剤を送達するための器具を提供し、器具は、任意の実施形態の粒子のプラグと、1つ以上の有効成分および防腐剤を含む医薬製剤と、を含み、医薬製剤が粒子のプラグを通して押し出されると、防腐剤の少なくとも90%が選択的に除去され、一方で送達される医薬製剤中にすべての有効成分の少なくとも90%が保持される。
【0019】
いくつかの実施形態では、器具は、医薬製剤の液滴を吐出するための点眼ボトルであり、プラグを通して押し出される溶液の液滴毎に、吐出される液滴中の有効成分の濃度は、点眼ボトルの中の製剤の濃度の少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、器具は、粒子のプラグを通じて溶液を押し出しながら、粒子のプラグを保持するためのホルダアセンブリを有する。いくつかの実施形態では、粒子のプラグは、製剤入口面および製剤出口面を含み、ホルダアセンブリは、粒子のプラグの入口面および出口面上にフィルタを含む。いくつかの実施形態では、器具は、製造から、使用されるために患者によって受け取られるまで、粒子のプラグを通して溶液、懸濁液または乳濁液を押し出す位置に器具を保持する包装をさらに含む。
【0020】
本開示のさらなる態様および利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示されて説明される以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の実施形態および異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべてが開示から逸脱することなく、様々な明らかな点において修正することが可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものとみなされ、制限的なものとみなされない。
【0021】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲に限り、本明細書は、そのような矛盾するいかなる資料に取って代わり、および/またはそれに優先されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に示される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって得られる。
【
図1】いくつかの実施形態に係る例示的な酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)の構造を示す。
【
図2】いくつかの実施形態に係る、125ミクロンサイズ~250ミクロンサイズの例示的な酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)微粒子の光学画像を、100ミクロンの背景格子上で示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、防腐剤除去剤を提供する。防腐剤除去剤は、治療剤を含む溶液、乳濁液または懸濁液から本開示の防腐剤を迅速かつ選択的に除去することができる。防腐剤除去剤は、防腐剤を迅速かつ選択的に抽出することができ、それにより、点眼製剤は、最小限の圧力損失であるものの、防腐剤を除去するのに十分な時間と、防腐剤を吸着するのに十分な表面積とを備えたプラグを通って流れることができる。マトリクスは、例えば塩化ベンザルコニウム(BAK)などの防腐剤に対して親和性が高く、かつ、薬剤または他の眼科用剤などの治療剤に対して親和性が低い材料を含んでもよい。
【0024】
本開示の態様は、多孔質ポリマーマトリクスを含んでもよい防腐剤除去剤を提供する。場合によっては、防腐剤除去剤は、OxPOを含む。いくつかの実施形態では、OxPOは、酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)である。
【0025】
本開示は、薬剤を含む溶液から防腐剤を除去するための粒子のプラグを提供する。粒子のプラグは、OxPO微粒子を含んでもよい。微粒子は、異形の剛性を有する凝集体であってもよく、透水性が0.01ダルシー(Da)超の粒子のプラグを形成してもよい。プラグは、溶液、乳濁液または懸濁液用容器の吐出口に適合してもよい。場合によっては、OxPO微粒子は、溶液中に、除去される防腐剤の吸着される部分、および/または、送達される薬剤をさらに含む。粒子のプラグは、溶液、乳濁液または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去することができる。
【0026】
図1は、いくつかの実施形態に係る例示的なOxHDPEの構造を示す。
【0027】
図2は、いくつかの実施形態に係る、125ミクロンサイズ~250ミクロンサイズの例示的なOxHDPE微粒子の光学画像を、100ミクロンの背景格子上で示す。
【0028】
防腐剤除去剤
いくつかの実施形態では、本開示は、防腐剤および治療剤を含む医薬製剤を提供する。製剤は、治療剤および防腐剤の溶液、乳濁液または懸濁液を含んでもよい。いくつかの実施形態では(例えば、防腐剤除去剤が、治療剤および防腐剤を含む溶液、乳濁液または懸濁液の一部を含んでもよい実施形態では)、製剤は、防腐剤除去剤を含んでもよい。他の実施形態では(例えば、防腐剤除去剤が、ボトルの首部内に位置してもよい実施形態では)、防腐剤除去剤は、治療剤および防腐剤を含む溶液、乳濁液または懸濁液とは別であってもよい。随意に、任意の実施形態では、溶液、乳濁液または懸濁液は加えて、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含んでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、ノズル内に配置されるマトリクスは、多孔質ポリマーマトリクスであってもよい。ノズルの後ろに圧力を加えることで、流体がノズルを通って流路を介して流れ、その流路に沿って、防腐剤がマトリクスに吸着されることによって除去されてもよい。ポリマー材料、透水性、分布係数、吸着速度および孔径の組み合わせによって、溶液から、したがって患者の眼に投与される液滴から、すべてまたは大部分の防腐剤を吸着することを可能にする。防腐剤を低減した溶液は、その後、眼に直接送達されることができる。多孔質ポリマーマトリクスは、防腐剤を迅速かつ選択的に抽出することができ、それにより、点眼製剤は、最小限の圧力損失であるものの、防腐剤を除去するのに十分な時間と、防腐剤を吸着するのに十分な表面積とを備えたプラグを通って流れることができる。
【0030】
多孔質ポリマーマトリクスは、酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含む。酸化ポリオレフィンは、高分子量ポリオレフィン樹脂の熱分解および/または化学分解によって調製される。酸化ワックスを形成するためにポリオレフィンを酸化することは、当該技術分野において既知である。例えば、ポリエチレンは、高温で酸素作用によって酸化させて、連鎖分解を通して酸化生成物を得ることができる。(例えば、米国特許第3,293,112号明細書、米国特許第3,322,711号明細書、米国特許第4,459,388号明細書、および英国特許第1,087,915号明細書を参照。)一方法では、酸化は、ポリエチレンが溶融相である間に生じる。固相酸化は、連鎖分解を通して高分子量ポリオレフィン樹脂から酸化ワックスを得るための別の方法である。(例えば、米国特許第5,401,811号明細書、米国特許第5,064,908号明細書、米国特許第3,322,711号明細書、および米国特許第7,622,031号明細書を参照。)本明細書に開示される発明は、エチレンのホモポリマーおよびコポリマーに限定されないことが理解されよう。また、本明細書に開示される発明では、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-エチル-1-ヘキセン、6-メチル-1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどのホモポリマーおよびコポリマーなどの、他の種類のホモポリマーまたはコポリマーの結晶性ポリアルファオレフィンであることが理解されよう。また、フィッシャー・トロプシュ法によって形成される酸化ワックスも含まれる。これらの直鎖ポリエチレンは、技術的にはポリオレフィンではないが、それらの構造は、ポリエチレンと実質的に同一である。このような材料は、安全で生体適合性のあるものであってもよい。マトリクスは、例えば塩化ベンザルコニウム(BAK)などの防腐剤に対して親和性が高く、かつ、薬剤または他の眼科用剤に対して親和性が低い材料を含む。いくつかの実施形態では、多孔質OxPOポリマーマトリクスは、防腐剤に対して高い親和性を示し、それにより、防腐剤の少なくとも50パーセントが除去され、薬剤の少なくとも50パーセントが溶液によって保持されることができる。いくつかの実施形態では、ノズル内に配置されるマトリクスは、多孔質ポリマーマトリクスであってもよい。
【0031】
酸化ポリオレフィンの酸化工程は、酸価によって特徴付けられてもよい。酸化の進行は、滴定法、またはフーリエ変換赤外(FTIR)分光法もしくは近赤外(NIR)分光法などの機器による方法による酸価など、いくつかの方法で判断されてもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、酸価が約30である酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含んでもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、少なくとも4、約10~約50、約20~約40などの酸価を含んでもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、DIN EN ISO2114によって測定された場合に酸価が約30mgKOH/gである酸化高密度ポリエチレンを含んでもよい。
【0032】
酸化ポリオレフィンは、滴点、例えば融点によって特徴付けられてもよい。酸化ポリオレフィンの融点は、鎖長、酸化度などに関連してもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、滴点が125℃と135℃の間である酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含んでもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、滴点が約50℃~約200℃、約100℃~約150℃、約125℃~約135℃などである酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含んでもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、DGF M-III 3によって測定された場合に滴点が125℃~135℃の間である酸化高密度ポリエチレンを含んでもよい。
【0033】
酸化ポリオレフィンは、密度によって特徴付けられてもよい。ポリマーの密度は、酸化程度が増加するに伴って増加してもよい。理論によって束縛されることを意図しないが、これは、ポリマー中のより軽い水素原子がより重い酸素原子に置換された結果であってもよい。いずれの場合でも、厳密な値は、出発ポリマーの初期密度および酸化程度によって決められてもよい。密度は、例えばASTM D1505-68または-85、DIN 51579などに従って、勾配カラムによって測定されてもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、密度が約0.910g/cm3超、約0.930g/cm3~約1.210g/cm3以上、約0.940g/cm3~約1.000g/cm3、約0.98g/cm3などである酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含んでもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、DIN 51579によって測定された場合に密度が約0.98グラム/立方センチメートルである酸化高密度ポリエチレンを含んでもよい。
【0034】
酸化ポリオレフィンは、粘度によって特徴付けられてもよい。ポリマーの粘度は、酸化度と共に変動してもよい。例えば、供給材料の高分子量ポリエチレンは、比較的低分子量のポリエチレンワックスを形成するために酸化してもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、粘度が約100マイクロパスカル秒超、約1ミリパスカル秒(mPas)と約10mPasの間、約2mPasと約6mPasの間、約4mPasである酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含んでもよい。多孔質ポリマーマトリクスは、DIN EN ISO3104によって測定された場合に粘度が190℃で約4.00mPasである酸化高密度ポリエチレンを含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、マトリクスは、流体を吐出するのに比較的わずかな圧力しか必要としないような高い透水性を示す。透水性は、フィルタの設計によって決められてもよい。細孔がより大きければ、ある圧力損失に対してより高い流量を得ることができる。いくつかの実施形態では、透水性は、約0.01ダルシー超である。ノズルは、約0.1ダルシーの透水性を含んでもよい。透水性が1ダルシー~10ダルシーであれば、液滴の形成後に圧力が低下する可能性がある場合に、フィルタに流体を保持することができる。透水性がより大きければ、同プラグは、例えば再湿潤用の点眼薬などの高粘度製剤を含む幅広い範囲の製剤に対応することができる。いくつかの実施形態では、多孔質ポリマーマトリクスは、例えば、0.01Da、0.1Da、1Da、10Da、100Da、1000Daの透水性、または前述の値のいずれか2つによって定められる範囲内の透水性を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、マトリクスは、液体が流れることができる大きなチャネルを含有する、非常に多孔質のものであってもよい。マトリクス中の細孔またはチャネルのサイズは、分子が、最初はマトリクス中のポリマーの表面から遠くにあってもよいが、ポリマーに向かって拡散して吸着することができるように十分に小さくてもよい。マトリクスは、連通した大きな細孔またはチャネルを含んでもよく、これにより、溶液が流れ、そして防腐剤が細孔またはチャネルに吸着されることができる。マトリクスは、多孔質ゲルとして、充填層として、および/または、3D印刷ソフトリソグラフィ、エレクトロスピニングもしくは任意の他の適切な方法によって形成される構造として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、マトリクスは、微多孔質ゲルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マトリクスは、OxPOポリマー粒子の充填層を含む。粒子は、微多孔質であってもよい。粒子は、球状または非球状であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、ナノサイズまたはミクロンサイズのポリマー粒子(例えば、ナノゲルまたはミクロゲル)を含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、粒子は、製剤が容器から溶出するノズル中に安定して保持される必要があってもよく、それにより、ノズルから溶出するのを防止する。場合によっては、マトリクスは焼結されて、粒子のプラグは融着されて多孔質モノリスにされてもよい。場合によっては、器具は、ノズル中にマトリクスを保持するためにカートリッジまたは他のアセンブリを有してもよい。器具は、マトリクスを保持するために溶液透過性の袋を有してもよい。器具は、溶液透過性の底部を備えた固体壁を含んでもよい。器具は、マトリクス材料を間に挟む入口面および出口面を含んでもよい。入口面および出口面は、溶液透過性の膜を含んでもよい。入口面および出口面は、フィルタを含んでもよい。入口面および出口面は、スクリーンを含んでもよい。粒子は、長いポリマー鎖を通して、および/または、器具の出口にフィルタを設置することによって、容器の壁に付着してもよい。器具は、患者に送達するために包装を含んでもよい。包装は、器具が患者に送達されるまで器具が圧縮されないように、器具を固定してもよい。包装は、製剤がボトルから出ないように出口面を固定してもよい。包装は、取り外し可能なキャップ、折り取り式のキャップ(break-off cap)、リシール可能なキャップなどを含んでもよい。
【0038】
特定の実施形態では、本明細書に記載の粒子は、平均最大寸法が約1nm~約10μm、約1nm~約5μm、約1nm~約2μm、約1nm~約1μm、約1nm~約900nm、約1nm~約800nm、約1nm~約700nm、約1nm~約600nm、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、またはさらには約1nm~約100nmである。特定の実施形態では、平均最大寸法は、平均最大径または平均相当径である。
【0039】
特定の実施形態では、製剤中の粒子の80%超、90%超、または95%超は、平均最大粒子径が約1nm~約10μm、約1nm~約5μm、約1nm~約2μm、約1nm~約1μm、約1nm~約900nm、約1nm~約800nm、約1nm~約700nm、約1nm~約600nm、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、またはさらには約1nm~約100nmである。特定の実施形態では、平均径は、平均最大径または平均相当径である。
【0040】
特定の実施形態では、本明細書に記載の粒子は、平均径が約100nm~約10μm、約100nm~約5μm、約100nm~約2μm、約100nm~約1μm、約100nm~約900nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700nm、約100nm~約600nm、約200nm~約500nm、約250nm~約600nm、約300nm~約600nm、約350nm~約700nm、約450nm~約550nm、約475nm~約525nm、または約400nm~約700nmである。特定の実施形態では、平均径は、平均最大径または平均相当径である。
【0041】
特定の実施形態では、製剤中の粒子の80%超、90%超、または95%超は、平均径が約100nm~約10μm、約100nm~約5μm、約100nm~約2μm、約100nm~約1μm、約100nm~約900nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700nm、約100nm~約600nm、約200nm~約500nm、約250nm~約600nm、約300nm~約600nm、約350nm~約700nm、約450nm~約550nm、約475nm~約525nm、または約400nm~約700nmである。特定の実施形態では、平均径は、平均最大径または平均相当径である。
【0042】
マトリクスは、ノズルを通る溶液、乳濁液または懸濁液の流路を大幅に増加することができるように屈曲を含んでもよい。マトリクスがマクロ多孔質粒子の充填層である一実施形態では、マクロ多孔質粒子の充填層は、粒子間の空間と、粒子中のマクロ細孔と、ポリマーが本来有する多孔質との2つまたは3つのレベルの多孔質を有してもよい。いくつかの実施形態では、多孔質のレベルはすべて、マトリクスの屈曲の一因となってもよい。
【0043】
治療剤
本開示の実施形態は、眼に送達するための少なくとも1つの治療剤を提供する。治療剤は、流体に一体化され、流体は、容器から、酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含む多孔質ポリマーマトリクスを含むノズルを通って眼に流れる。いくつかの実施形態では、流体は、少なくとも1つの治療剤を含む溶液、乳濁液または懸濁液を含んでもよい。溶液、乳濁液または懸濁液は、2つ以上の治療剤を含んでもよい。
【0044】
酸化ポリオレフィン(OxPO)微粒子を含む多孔質ポリマーマトリクスを含むノズルと共に使用できる例示的な治療剤には、チモロール、ドルゾラミド、リン酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、Betimol(登録商標)、オロパタジン、ブリモニジン、テトラヒドロゾリン、ラタノプロステンブノド、ラタノプロスト、およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これに限定されない。治療剤には、Timoptic、Xalatan、Combigan、Lumigan、Pataday、Pazeo、Trusopt、Cosopt、Alphagan、Visine、Vyzulta、Veseneo、および本明細書の以下の表などに記載の他の薬剤が含まれるが、これに限定されない商標名の薬剤および製剤を含んでもよい。治療剤は、水溶液に溶解されてもよい。溶液は、無菌処理され、適切なpHに緩衝されてもよい。いくつかの実施形態では、溶液は、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、リン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、トロメタミン、ホウ酸、マンニトール、エデト酸二ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび/または塩酸などの非有効成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、流体は、治療剤に加えて防腐剤を含む。例示的な防腐剤には、塩化ベンザルコニウム(BAK)、アルコール、パラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、EDTA、クロルヘキシジン、第四級アンモニウム化合物、Purite(登録商標)、安定化オキシクロロ錯体、Sofzia(登録商標)、ソルビン酸、過ホウ酸ナトリウム、ポリクオタニウム-1、クロロブタノール、塩化セトリモニウム、エデト酸ナトリウムなどが含まれるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)である。いくつかの実施形態では、防腐剤は、第四級アンモニウム化合物である。いくつかの実施形態では、防腐剤は、ポリクオタニウム-1である。いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化セトリモニウムである。
【0045】
例えば、ドライアイ、細菌感染症、緑内障、高血圧症、炎症、アレルギー性結膜炎、睫毛貧毛症、真菌感染症などを処置するための治療剤と、局所麻酔、瞳孔拡張などに使用される治療剤とは、点眼ボトルまたは同様の送達機構を介して局所的に眼に送達される溶液、乳濁液または懸濁液として患者に投与されてもよい。溶液、乳濁液または懸濁液は、患者の健康に有害となる場合がある微生物、真菌または粒子汚染などの汚染を受ける場合がある。このような汚染を防止するために、溶液、乳濁液または懸濁液に、防腐剤が添加されてもよいが、防腐剤にさらされた患者に対して、眼の健康に悪影響が及ぶ可能性がある。
【0046】
本開示は、本開示の防腐剤除去具によって除去可能な防腐剤と共に製剤化される1つ以上の治療剤を提供する。治療剤は、眼科疾患の治療に使用するための化合物および塩を含んでもよい。開示の化合物および塩は、例えば、視覚障害の処置および/または予防のために、および/または、眼科疾患の予防および/または処置のための眼科処置中の使用のために使用されてもよい。以下の例一覧は、限定することを意図していない。
【0047】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、シクロスポリンおよびリフィテグラストから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、ドライアイの処置における有効成分であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、スルファセタミドナトリウム、オフロキサシン、ガチフロキサシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、レボフロキサシン、プレドニゾロン酢酸エステル、ポリミキシンB硫酸塩およびトリメトプリムから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるスルファセタミドナトリウムおよびプレドニゾロン酢酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるポリミキシンB硫酸塩およびトリメトプリムを含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、細菌感染症の処置における有効成分であってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、ブリモニジン酒石酸塩、ビマトロプロスト、レボブノロール塩酸塩、ブリンゾラミド、ベタキソロール塩酸塩、ピロカルピン塩酸塩、アプラクロニジン、トラボプロスト、チモロールマレイン酸塩、ラタノプロスト、ドルゾラミド塩酸塩およびタフルプロストから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるブリモニジン酒石酸塩およびチモロールマレイン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるブリンゾラミドおよびブリモニジン酒石酸塩を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、緑内障または高血圧症の処置における有効成分であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、ケトロラクトロメタミン、フルオロメトロン、プレドニゾロン酢酸エステル、ジフルプレドナート、フルオロメトロン酢酸塩、ネパフェナク、デキサメタゾン、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナク、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネオマイシンおよびポリミキシンB硫酸塩から選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるゲンタマイシンおよびプレドニゾロン酢酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるトブラマイシンおよびデキサメタゾンを含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるネオマイシン、ポリミキシンB硫酸塩およびデキサメタゾンを含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、炎症の処置における有効成分であってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、ネドクロミルナトリウム、エピナスチン塩酸塩、アルカフタジン、ロドキサミドトロメタミン、エメダスチンフマル酸塩およびオロパタジン塩酸塩から選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、アレルギー性結膜炎の処置における有効成分であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、プロパラカイン塩酸塩およびテトラカイン塩酸塩から選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は局所麻酔薬であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、シクロペントラート塩酸塩、アトロピン硫酸塩およびトロピカミドから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるシクロペントラート塩酸塩およびフェニレフリン塩酸塩を含む。このような実施形態では、治療剤は、瞳孔を拡張させることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、有効成分であるナタマイシンを含む。このような実施形態では、治療剤は、真菌感染症の処置における有効成分であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、リポ酸コリンエステル塩化物、レバミピド、ピロカルピン、アセクリジン、トロピカミド、ヒアルロン酸ナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ピロカルピン塩酸塩およびケトロラクから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるアセクリジンおよびトロピカミドを含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるヒアルロン酸ナトリウムおよびジクロフェナクナトリウムおよびピロカルピン塩酸塩を含む。いくつかの実施形態では、吐出される治療製剤は、有効成分であるピロカルピンおよびケトロラクを含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、老視の処置における有効成分であってもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、吐出される少なくとも1つの治療剤は、表1~4から選択される治療剤である。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
防腐剤
本開示は、本開示の治療剤の溶液、乳濁液または懸濁液用の1つ以上の防腐剤を提供する。防腐剤は、治療剤の溶液、乳濁液または懸濁液用の防腐剤として使用するための化合物および塩を含んでもよい。1つ以上の防腐剤は、例えば、微生物および/または真菌の増殖を防止することができる。1つ以上の防腐剤は、例えば、治療剤の物理的または化学的な劣化を防止することができる。
【0079】
防腐剤の非限定的な例には、塩化ベンザルコニウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)あるいはEDTAのナトリウム塩、クロルブタノール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、酢酸クロルヘキシジン、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、アルコール、パラベン(例えば、メチルパラベン、ポリパラベン)、クロルヘキシジン、第四級アンモニウム化合物、ポリクオタニウム-1(Polyquad(登録商標))、Purite(登録商標)、安定化オキシクロロ錯体、Sofzia(登録商標)、過ホウ酸ナトリウム(GenAqua(登録商標))、塩化セトリモニウム、エデト酸ナトリウムなどが含まれる。いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化ベンザルコニウムである。いくつかの実施形態では、防腐剤は、第四級アンモニウム化合物である。いくつかの実施形態では、防腐剤は、ポリクオタニウム-1である。いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化セトリモニウムである。
【0080】
いくつかの実施形態では、粒子のプラグは、防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物をさらに含んでもよい。防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物は、吸着法、イオン交換法、化学沈殿法、または溶媒抽出法を含むがこれらに限定されない典型的な分離方法を通じて送達される製剤の毒性を減少させることができる。防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物には、活性炭、抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アニオン性ヒドロゲル、カチオン性化合物、中和剤、またはそれらの組み合わせが含まれてもよいが、これに限定されない。
【0081】
Purite(登録商標)防腐剤系には、二酸化塩素、亜塩素酸塩および塩素酸塩の組み合わせである安定化オキシクロロ錯体(SOC)が含まれる。光にさらされると、SOCは、水、酸素、ナトリウムおよび塩素遊離基に解離し、細胞内脂質およびグルタチオンの酸化を引き起こし、細胞を機能させて維持するために不可欠な酵素を阻害する。塩素遊離基を生成するPurite(登録商標)などの防腐剤の場合は、本開示の粒子のプラグは、活性炭などの遊離基、またはビタミンEなどの抗酸化剤に対して高い親和性を有する材料を含んでもよい。
【0082】
Travatan Z(Alcon Laboratories、テキサス州フォートワース)中のSofZia(登録商標)防腐系は、ホウ酸塩、ソルビトール、プロピレングリコールおよび亜鉛を含有する。理論によって束縛されることを意図しないが、防腐効果がホウ酸塩および亜鉛の組み合わせによると考えられる。ホウ酸塩および亜鉛を含む、SofZia(登録商標)などの防腐剤の場合は、本開示の粒子のプラグは、EDTAなどの金属キレート剤、静電相互作用を通じてカチオン性亜鉛を抽出することができるアニオン性ヒドロゲル、静電相互作用を通じてアニオン性ホウ酸イオンを抽出することができるカチオン性ヒドロゲルまたは樹脂、あるいはホウ酸を中和することができる中和剤を含んでもよい。
【0083】
防腐剤を吸収することができる材料は、活性炭粒子などの微粒子として粒子のプラグに組み込まれてもよい。微粒子は、粒子のプラグに充填されてもよく、それにより、液体は、粒子間を流れるのに十分な空間を有し、一方で結合するのに十分な接触面積を備える。代わりに、溶出製剤と吸収材料の間の接触を容易にするために、吸収材料は、本開示のポリマー粒子などの他の好適な材料の粒子に組み込まれてもよい。場合によっては、吸収材料は、共有結合でポリマーに一体化されてもよい。吸収材料は、ナノ粒子であってもよく、またはナノ粒子に組み込まれてもよく、次いで、ナノ粒子は、ポリマー粒子に分散されて、先端部の充填層を形成してもよい。ナノ粒子はまた、より大きな粒子の表面のみに堆積してもよい。吸収材料はまた、管を形成してもよく、この管は、平行に配置されて、液体が流れる流路を設け、そして、その表面上で吸収が生じる。
【0084】
製剤中の遊離基を中和するために粒子のプラグ中に存在する材料、例えば、ビタミンが、ポリマー粒子に組み込まれて、粒子のプラグを形成してもよい。眼に快適な水準のpHにするために、塩基が組み込まれてもよい。例えば、粒子を、有機液体中に溶解されたビタミンEの溶液に浸漬することによって、ポリマー粒子にビタミンEが添加されてもよく、それにより、ビタミンEが粒子に取り込まれることにつながる。その後、エタノールなどの有機液体が、蒸発されるか、または水中に抽出されるかして、ビタミンEが添加された粒子を形成してもよい。防腐剤の他のいくつかの成分を抽出するなどの他の有利な目的を達成するために、ビタミンEが添加された粒子の材料が選択されてもよい。
【0085】
製剤の防腐効果は、塩化ベンザルコニウムなどの別の防腐剤が組み込まれることによっても改善でき、それにより、製剤は、EPA基準にも合格することができる。添加されたBAKまたは他の防腐剤は、粒子のプラグによって除去されることができ、それにより、毒性を増加させることなく防腐剤の性能の改善を達成することができる。
【0086】
防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物を含む粒子のプラグは、球状、円柱状、管状、高異型の扁平状などの様々な形状で形成されてもよく、表面は、粗くても、または滑らかでもよい。先端部に一体化された粒子または他の形状は、確実に先端部自体を無菌のままにできる何らかの防腐剤を含有してもよい。先端部に予め添加される防腐剤は、吸着を介して添加されてもよく、または結合を通じて材料に化学的に付着されてもよい。例えば、粒子を形成するポリマーにポリクオタニウムが一体化されてもよい。共有結合により、予め添加される防腐剤が涙液膜に拡散するのを防止する。代わりに、予め添加される防腐剤は、分子量が十分に大きいか、または溶出製剤への分布が非常に低くてもよい。
【0087】
防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物を含む粒子のプラグが、溶出製剤に成分を添加することが意図されている場合は、粒子のプラグ中のその材料の量は、十分に大きいものとし、それにより、ボトル全体、またはボトルの少なくとも90%に、確実に十分な量が維持される。防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物を含む粒子のプラグが、溶出製剤から成分を吸収することが意図されている場合は、粒子のプラグの体積および面積は、十分に大きいものとし、それにより、ボトル中の製剤の少なくとも90%から所望の成分を吸収する。
【0088】
本開示は、治療剤および防腐剤のいずれか一方または両方の塩を提供する。薬学的に許容可能な塩としては、例えば、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩を形成するために化合物に添加される酸は、有機酸または無機酸であってもよい。塩基付加塩を形成するために化合物に添加される塩基は、有機塩基または無機塩基であってもよい。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、金属塩である。
【0089】
金属塩は、本開示の化合物に無機塩基を添加することで生じてもよい。無機塩基は、例えば、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩またはリン酸塩などの、塩基対イオンと対になった金属カチオンからなる。金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属または典型金属であってもよい。いくつかの実施形態では、金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、カルシウム、ストロンチウム、コバルト、チタン、アルミニウム、銅、カドミウムまたは亜鉛である。
【0090】
いくつかの実施形態では、金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、チタン塩、アルミニウム塩、銅塩、カドミウム塩または亜鉛塩である。
【0091】
酸付加塩は、本開示の化合物に酸を添加することで生じてもよい。いくつかの実施形態では、酸は、有機酸である。いくつかの実施形態では、酸は、無機酸である。いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルカロン酸、サッカリン酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、パントテン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、フマル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸またはマレイン酸である。
【0092】
いくつかの実施形態では、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、パントテン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸(メシレート)塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩またはマレイン酸塩である。
【0093】
溶液、乳濁液または懸濁液
治療剤および防腐剤の溶液、乳濁液または懸濁液が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の、本開示の防腐剤および/または治療剤のいずれか1つの任意の化合物または塩を含む組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、治療溶液、乳濁液または懸濁液は、本明細書に記載の方法のいずれかで使用されてもよい。溶液、乳濁液または懸濁液は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含んでもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、防腐剤および/または治療剤の化合物は、ドライアイ、細菌感染症、緑内障、高血圧症、炎症、アレルギー性結膜炎、睫毛貧毛症、真菌感染症などの治療可能な障害の処置のために使用されてもよい。加えてまたは代わりに、防腐剤および/または治療剤の化合物は、予防、診断または治療上の眼科処置中に、例えば、局所麻酔、瞳孔拡張などに使用されてもよい。眼に投与される製剤は、例えば、点眼薬を用いて局所的に投与されてもよい。
【0095】
本明細書に記載の治療剤の化合物は、例えば、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約150μM、約200μM、約250μM、約300μM、約350μM、約400μM、約450μM、約500μM、約550μM、約600μM、約650μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100mMの濃度で、本開示の溶液、乳濁液または懸濁液中に存在してもよい。本明細書に記載の治療剤の化合物は、前述の濃度のいずれかから選択される上限値および下限値によって定められる濃度範囲内で、溶液、乳濁液または懸濁液中に存在してもよい。例えば、本開示の治療剤の化合物または塩は、約1nM~約100mM、約10nM~約10mM、約100nM~約1mM、約500nM~約1mM、約1mM~約50mM、約10mM~約40mM、約20mM~約35mM、または約20mM~約30mMの濃度で、溶液、乳濁液または懸濁液中に存在してもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示の水溶液などの溶液、乳濁液または懸濁液は、約0.001重量%~約0.3重量%の、本明細書に開示の防腐剤のいずれか1つの化合物を含む。いくつかの実施形態では、本開示の水溶液などの溶液、乳濁液または懸濁液は、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%の、本明細書に開示の防腐剤の化合物を含む。
【0097】
本明細書に記載の防腐剤は、例えば、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約150μM、約200μM、約250μM、約300μM、約350μM、約400μM、約450μM、約500μM、約550μM、約600μM、約650μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100mMの濃度で、本開示の溶液、乳濁液または懸濁液中に存在してもよい。本明細書に記載の防腐剤の化合物は、前述の濃度のいずれかから選択される上限値および下限値によって定められる濃度範囲内で、組成物中に存在してもよい。例えば、本開示の防腐剤の化合物は、約1nM~約100mM、約10nM~約10mM、約100nM~約1mM、約500nM~約1mM、約1mM~約50mM、約10mM~約40mM、約20mM~約35mM、または約20mM~約30mMの濃度で、溶液、乳濁液または懸濁液中に存在してもよい。
【0098】
本開示の溶液、乳濁液または懸濁液は、任意の好適なpHで製剤化されてもよい。いくつかの実施形態では、溶液、乳濁液または懸濁液のpHは、約4、約4.05、約4.1、約4.15、約4.2、約4.25、約4.3、約4.35、約4.4、約4.45、約4.5、約4.55、約4.6、約4.65、約4.7、約4.75、約4.8、約4.85、約4.9、約4.95、約5、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、または約9pH単位である。いくつかの実施形態では、溶液、乳濁液または懸濁液のpHは、約4~約10、約5~約9、約6~約8、約6.5~約8、約7~約8、約7.2~約8、約7.2~約7.8、約7.3~約7.5、または約7.35~約7.45である。いくつかの実施形態では、溶液、乳濁液または懸濁液のpHは、約7.4である。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示の溶液、乳濁液または懸濁液は、医薬剤の処理を促進して、薬学的に使用される製剤にする、賦形剤および助剤を含む1つ以上の生理学的に許容可能な担体をさらに含む。適切な製剤は、選択される投与経路によって決められる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬製剤に賦形剤を添加することで、組成物の粘度は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%増加または減少してもよい。いくつかの実施形態では、本開示の医薬製剤に賦形剤を添加することで、組成物の粘度は、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、80%以下、85%以下、90%以下、95%以下、または99%以下増加または減少してもよい。粘度変化が収まる範囲の例は、前述のパーセンテージのいずれか2つを組み合わせて作成されてもよい。例えば、賦形剤を添加することで、組成物の粘度は5%~99%、10%~95%、20%~70%または35%~55%増加または減少してもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示の溶液、乳濁液または懸濁液は、例えば、マンニトール、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、デキストロース、塩化カリウム、グリセリン、プロピレングリコール、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの、溶液、乳濁液または懸濁液の浸透圧を調節するための薬剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、溶液、乳濁液、または懸濁液は、溶液、乳濁液、または懸濁液の浸透圧を調整するための薬剤約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約8重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、または約1重量%~約3重量%を含む。いくつかの実施形態では、本開示の溶液、乳濁液または懸濁液は、浸透圧が約10mOsm~約1000mOsm、約100mOsm~約700mOsm、約200mOsm~約400mOsm、約250mOsm~約350mOsm、またはさらには約290mOsm~約310mOsmである。
【0102】
本開示の溶液、乳濁液または懸濁液中の賦形剤の量は、単位剤形の質量%または体積%で、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または約100%であってもよい。溶液、乳濁液または懸濁液中の賦形剤の量は、単位剤形の質量%または体積%で、0.01%~1000%、0.02%~500%、0.1%~100%、1%~50%、0.01%~1%、1%~10%、10%~100%、50%~150%、100%~500%、または500%~1000%であってもよい。
【0103】
本開示の治療剤の化合物と、本開示の医薬製剤中の賦形剤の比率は、約100:約1、約95:約1、約90:約1、約85:約1、約80:約1、約75:約1、約70:約1、約65:約1、約60:約1、約55:約1、約50:約1、約45:約1、約40:約1、約35:約1約30:約1、約25:約1、約20:約1、約15:約1、約10:約1、約9:約1、約8:約1、約7:約1、約6:約1、約5:約1、約4:約1、約3:約1、約2:約1、約1:約1、約1:約2、約1:約3、約1:約4、約1:約5、約1:約6、約1:約7、約1:約8、約1:約9、または約1:約10であってもよい。治療剤の化合物と、本開示の溶液、乳濁液または懸濁液中の賦形剤の比率は、約100:約1~約1:約10、約10:約1~約1:約1、約5:約1~約2:約1の範囲内であってもよい。
【0104】
薬学的に許容可能な担体は、当該技術分野において公知であり、これには、例えば、水または生理的緩衝生理食塩水などの水溶液、または、グリコール、グリセリン、オリーブ油などの油類、有機エステルなどの他の溶媒もしくはビヒクルが含まれる。賦形剤は、例えば、薬剤の遅延放出をもたらすように、または1つ以上の細胞、組織または器官を選択的に標的とするように選択されてもよい。組成物はまた、点眼剤などの局所投与に適した溶液中に存在してもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される溶液乳濁液または懸濁液は、賦形剤としてアルコールを含む。アルコールの非限定的な例には、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、クロロブタノール、イソプロパノール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、ガラクチロール、フシトール、ラクチトール、および、それらの組み合わせが含まれる。
【0106】
本明細書に記載の化合物を含む組成物を調製するための方法には、1つ以上の不活性な薬学的に許容可能な賦形剤で化合物を製剤化する工程が含まれてもよい。液体組成物には、例えば、化合物が溶解される溶液、化合物を含む乳濁液、または本明細書に開示される化合物を含むリポソーム、ミセルもしくはナノ粒子を含有する溶液が含まれる。これらの組成物はまた、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤および他の薬学的に許容可能な添加剤などの少量の非毒性な補助物質を含有してもよい。
【0107】
実施例
親水性薬剤
粒子マトリクス中のAPIおよびBAKの分布係数の計算
OxPO粒子中の親水性薬剤およびBAKの分布係数は、薬物取り込み研究によって得る。OxPOマトリクスに分布した薬剤またはBAKの質量は、濃縮水性薬剤/PBSまたはBAK/PBS添加溶液中に失われる薬剤またはBAKの量を観測することによって求める。逆相UPLC分析を使用して経時変化測定によって、水相濃縮物から薬剤の損失量を定量化した。
【0108】
粒子マトリクス中の薬剤またはBAK溶液の分布係数は、以下の式によって出す。
【0109】
【数1】
式中、V
wおよびV
pは、それぞれ薬剤-PBS/BAK-PBS水溶液の体積および粒子マトリクスの体積であり、C
p,fおよびC
w,fは、平衡時の粒子マトリクスおよび水相中の薬剤濃度およびBAKの濃度を示し、C
w,iiは、薬剤またはBAK添加溶液の初期濃度を表す。
【0110】
BAK拡散率のより正確な推定値は、実験的に得られたBAK取り込みデータを不完全なシンク条件下で過渡拡散モデルに適合させることによって得る。これらのOxPO材料を通した溶質の輸送は、ポリマーの膨潤、バルクおよび表面拡散によって生じた。モデルの単純さを維持するために、フィルタ材料を通した防腐剤の拡散は、純粋にフィック型であると仮定した。BAKの拡散率、Dgおよび分布係数KがBAKの濃度に依存しないと仮定すると、径方向における輸送は、以下のように記載することができる。
【0111】
【数2】
式中、C
gは、OxPO粒子マトリクス中の濃度である。粒子マトリクス中の拡散についての境界条件および初期条件は、以下である。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
境界条件(式3)については、粒子マトリクスの対称性から生じ、(式4)における境界条件については、ポリマーマトリクス中の防腐剤の濃度と、バイアル中のBAK水溶液に存在する周囲の製剤との間で平衡を仮定する。シンチレーションバイアル中のBAK水溶液のリザーバの物質収支は、以下の式になる。
【0116】
【0117】
【数7】
式中、V
wは、水溶液のリザーバ中のBAK/PBS溶液の体積であり、濃度は、1mg/mLである。モデル化された拡散方程式は、MATLABで有限差分スキームを使用して解き、BAK拡散率および分布係数は、異なるOxPO組成物に関して実験的に得られたBAK取り込みデータとモデルのカーブフィッティングを行い、そして、fminsearchモジュールで最適化を行うことによって決定する。
【0118】
OxPO粒子中の親水性薬剤およびBAKの分布係数は、逆相UPLC分析によって決定する。
【0119】
酸化低密度ポリエチレン(OxLDPE)および酸化高密度ポリエチレン(OxHDPE)は、Honeywell(例えばA-C 395)およびDEUREX(例えばDEUREX EO 45)から市販されている。酸化フィッシャー・トロプシュワックス(OxFTW)は、DEUREX(例えば、DEUREX TO-84)から市販されている。これらの複数の異なるグレードのOxPOが市販されており、典型的には、分子量、滴点(融点)、密度、硬度、粒子径および酸価(mgKOH/g)によって特徴付けられる。
【0120】
BAK(医薬品グレード)は、Sigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から入手し、C12 約70%、C14 30%であるベンジルアルキルジメチルアンモニウムクロリドの混合物であった。リサーチグレードのチモロールマレイン酸塩およびブリモニジン酒石酸塩は、BOC Sciences(ニューヨーク州シャーリー)から入手した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)は、Fisher Scientificから入手した。ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250H)は、Ashland Chemicalから入手した。マンニトールは、JT Baker Co.から入手した。
【0121】
OxPOの洗浄手順
ホットプレート付きスターラー上で、0.1N酢酸水溶液1Lを含有した2Lビーカーに、OxHDPE(Honeywell、A-C 395A、篩下画分63~125um)約70gを添加した。この混合物を、65℃~70℃で1時間撹拌しながら加熱した。生成物は、63μmの篩上で濾取し、DI水約3Lで十分に洗浄した。洗浄したOxHDPEを真空オーブン内で周囲温度で乾燥させ、白色の粉末約65gを得た。この粉末のBAKの分布係数を求めたところ、360であった。同様に、他のOxPOを洗浄した。洗浄溶液は、0.1N酢酸水溶液か、0.1N水酸化アンモニウム水溶液のいずれかの中性水とした。
【0122】
超高速液体クロマトグラフィー(UPLC):
UPLCシステムは、バイナリポンプ、オンラインデガッサ、カラムヒータ、オートサンプラー、およびUV/Vis検出器を備えたWaters Aquity UPLC(Waters、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ミルフォード)から構成される。データ収集およびデータ分析は、Empower 3 FR 4(Waters)を使用して行った。分離は、Waters HSS(C18 1.8um、VanGuardプレカラム)で保護したWaters ULC(HSSC18、1.8μm、3.0mm×100mmカラム)を使用して達成した。
【0123】
APIのチモロールおよびブリモニジンの場合は、流量は1.0ml/分、溶液Aはアセトニトリル、溶液Bは0.1%トリフルオロ酢酸とした。溶媒は、最初の0.40分間10%A/90%Bであり、次いで1.4分間勾配が100%Aに上昇し、2.2分間A100%を維持して、10%A/90%Bに戻った。合計実施時間は、3.5分間であった。UPLCにおける結果は、UV-Vis(λ=256nmおよび297nm)検出器で記録した。
【0124】
BAKの場合は、流量は0.75ml/分、溶媒Aはアセトニトリル、溶媒Bは0.03N HClとした。溶媒は、最初の1.0分間60%A/40%Bであり、次いで3.5分間勾配が90%A/10%Bに上昇し、0.5分間90%A/10%Bを維持し、次いで0.2分間勾配が20%A/80%Bに上昇し、その後60%A/40%Bに戻った。合計実施時間は、7.0分間であった。UPLCにおける結果は、UV-Vis(λ=210nm)検出器で記録した。
【0125】
目的薬剤およびBAKの分析の前に、UV吸光度を求めるための基準を定めた。3Dスペクトルを収集し、最適な紫外線の波長を選択した。その後、面積カウントに基づいて、目的試料を線形範囲内で希釈した。線形範囲を決定するために、一連の基準を作成し、グラフ上にプロットし、グラフを線形近似曲線にフィットさせた。近似曲線は0切片を通過するように設定し、線形が0.9900超なら、希釈が十分であると判断した。
【0126】
BAKの分布係数を求めるための手順
20mlシンチレーションバイアルに、試験するOxPO0.2gおよび通常のPBS中の1000ppmのBAK溶液5.0mlを加えた。バイアルに蓋をし、ロータリーシェーカー上で2日間旋回させた。上澄み溶液を、0.45ミクロンフィルタを通して濾過し、あらゆる固体を除去した。濾過された液体の一部をアセトニトリルで1:1に希釈し、上記のようにUPLC分析を行った。
【0127】
APIの分布係数を求めるための手順
20mlシンチレーションバイアルに、試験するOxPO0.1gおよびAPI製剤5.0mlを加えた。バイアルに蓋をし、ロータリーシェーカー上で2日間旋回させた。上澄み溶液を、0.45ミクロンフィルタを通して濾過し、あらゆる固体を除去した。濾過された液体の一部を50%アセトニトリル水溶液で100:1に希釈し、上記のようにUPLC分析を行った。元のAPI溶液の一部を濾過し、希釈し、そして、比較基準としてUPLC分析を行った。
【0128】
BAKの分布係数を求めるための手順
20mlシンチレーションバイアルに、試験するOxPO0.2gおよび通常のPBS中の1000ppmのBAK溶液5.0mlを加えた。バイアルに蓋をし、ロータリーシェーカー上で48時間旋回させた。上澄み溶液を、0.45μmフィルタを通して濾過し、あらゆる固体を除去した。濾過された液体の一部をアセトニトリルで1:1に希釈し、上記のようにUPLC分析を行った。OxPOに吸着したBAKと、溶液中に残存したBAKの比を計算するために、以下の式を用いた(PC=分布係数):
PC=[(BAK初期濃度-BAK最終濃度)×溶液重量]/OxPO重量×BAK最終濃度
例えば、BAK初期濃度が1000ppmであった場合は、溶液5.0gおよびOxPO粉末0.20gを使用すると、BAK最終濃度は14ppmであり、PC=1761であった。この試験では、望ましくはPC値>50であり、好ましくはPC値>100であり、PC値>1000では、BAKがほぼ完全に吸着されることを示した。
【0129】
OxPOにおけるBAKの分布係数の概要
様々な粒子径に分類し、中性溶液、酸性溶液または塩基性溶液で洗浄し、乾燥させたOxPOの値を求めるために、上記の分布係数試験を使用した。
【0130】
【0131】
チモロールマレイン酸塩とドルゾラミド塩酸塩の眼科用併用溶液の調製
超純水60.0gに、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250H)0.090gを添加し、溶液を一晩攪拌して溶解した。その後、クエン酸ナトリウム二水和物0.176gおよびマンニトール0.960gを加え、混合物を完全に溶解するまで撹拌した。ドルゾラミド塩酸塩1.37g、チモロールマレイン酸塩0.420g、および10%BAK水溶液0.045gを添加して組み込んだ。0.01N NaOH溶液でpHを調整して、5.65にした。以下に、最終設定濃度を報告する。
【0132】
【0133】
先端部にOxPOを備えた点眼用容器を充填する手順
先端部の出口に、25μmフィルタが設けられた空の点眼容器の先端に、OxPO約0.40~0.45mgを充填し、OxPOの充填物を定位置に保持するために、裏打ち材のフィルタを貼り付けた。OxPOの充填物の重量を記録した。次いで、API/BAK検液5mlを含有した8ml容量の点眼容器ボトルの首部に、充填した先端部を挿入した。
【0134】
30日間にわたる、チモロール/ブリモニジン/BAKの併用製剤の点眼試験
上記のように、OxHDPE(A-C 395、125~250μm、酸洗浄)を充填した6つの点眼容器ボトルに、チモロール5.0mg/ml、ドルゾラミド20.0mg/mlおよびBAK75μg/mlを名目上含有した上記の製剤5mlを加えた。1日2回(8時間間隔をあけて、午前・午後に)各ボトルから滴液を得て、APIおよびBAKに対して、HPLC分析を行った。その結果を以下の表にまとめる。この実験では、OxPOが、30日間の試験期間にわたって、>95%のBAKを除去し、かつ、>95%のAPIを保持する能力を有することが示された。
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
本明細書に開示の医薬製剤の態様で使用することができる例示的な溶液、乳濁液または懸濁液は、表1~4に示される。以上の表における例示的な溶液、乳濁液または懸濁液は、本開示の防腐剤除去具および防腐剤除去方法に組み込まれる。本明細書に記載の防腐剤除去具、マトリクスおよび方法の1つ以上の実施形態、変形形態および実施例は、点眼薬吐出システムに組み込まれてもよく、当該システムは、スクイズ性を有するボトルを含んでもよい。スクイズ性を有するボトルは、リザーバを含んでもよく、その中で、流体が貯留されてもよい。リザーバ中に貯留される流体は、本明細書に記載の溶液、乳濁液または懸濁液の実施形態、変形形態または実施例を含んでもよく、これには、表1~4で定められる例が含まれる。
【0139】
本明細書で参照または引用されるすべての特許、特許出願、仮出願および刊行物は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない範囲で、すべての図および表を含むそれらの全体が参照により組み込まれる。
【0140】
本明細書に記載の実施例および実施形態は例示のみを目的とするものであり、それを踏まえて様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲内に含まれることが理解されよう。
【0141】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態が示され、記載されるが、そのような実施形態は一例として提供されるものであることが、当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図していない。本発明は、前述の明細書を参照して説明されてきたが、本明細書における実施形態の説明および例示は、限定的な意味で解釈されるべきではない。ここで、数多くの変形、変更および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者に思い浮かぶであろう。さらに、本発明のすべての態様は、本明細書に示す特定の描写、構成または相対的比率に限定されず、様々な条件および変数によって決められることが理解されよう。本明細書に記載の本開示の実施形態の種々の代替物が、本発明を実施する際に利用できることが理解されよう。したがって、本発明は、任意のそのような代替物、修正、変形例または均等物も網羅するものとすることを企図する。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびに、それらの均等物がそれによって網羅されることを意図している。
【国際調査報告】