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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(54)【発明の名称】CRACチャネル阻害剤の合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 407/04 20060101AFI20220712BHJP
   A61K 31/497 20060101ALN20220712BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20220712BHJP
【FI】
C07D407/04
A61K31/497
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566157
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(85)【翻訳文提出日】2021-12-25
(86)【国際出願番号】 US2020031506
(87)【国際公開番号】W WO2020227312
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/843,822
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510064462
【氏名又は名称】カルシメディカ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】スタウダーマン,ケネス,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ダン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテン,ジェフリー,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,エヴァン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC81
4C063DD34
4C063EE01
4C086AA04
4C086BC48
4C086GA02
4C086GA07
4C086NA20
4C086ZB21
(57)【要約】
【解決手段】CRACチャネル阻害剤の製造のための収束的な合成方法が本明細書に記載されている。合成方法は、臨床実験のための非常に純粋なCRACチャネル阻害剤を製造するための方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に可能な塩の合成のためのプロセスであって、
式中、
は、出現するたびに、水素と、ハロゲンと、ハロゲン、-OR’、-CN、-N(R’)、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、
とRは、出現するたびに、ハロゲンと、ハロゲン、-OR’、-CN、-N(R’)、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、
あるいは、Rが両方とも独立してC-Cアルキルである場合、2つのR基は、それらが結合している原子と一体となって、炭素環を形成し、
nは0、1、2、または3であり、
mは0、1、2、3、4、または5であり、ならびに、
R’は、出現するたびに、水素と、各々がハロゲン、-CN、-NO、-OH、-NH、およびOCHから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換される、C1-6アルキルと、C2-6アルケニルと、C2-6アルキニルとから独立して選択され、
ここで、前記プロセスは、3級アミン塩基と非プロトン性極性溶媒の存在下において、式(I-A)の化合物
【化2】
を、式(I-B)の化合物
【化3】
に接触させる工程を含み、
ここで、Xは、-Cl、-Br、-I、-CN、-N、-OCH、-OCHCH、-OC、-OC-4-NO、-OC(O)CH、-OC(O)C、-O(SO)CH、または-O(SO)C-4-CHである、プロセス。
【請求項2】
3級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
式(I-A)の化合物
【化4】
は、式(I-C)の化合物
【化5】
を酸で処理することにより合成され、
ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、t-ブトキシカルボニル、p-トリル、ベンゾイル、アセチル、およびベンジルからなる群から選択される、
請求項1-3のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項5】
酸は、トリフルオロ酢酸、硫酸、および塩酸からなる群から選択される、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
式(I-A)の化合物
【化6】
は、式(I-C)の化合物
【化7】
を水素化に供することにより合成され、
ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、p-トリル、およびベンジルからなる群から選択される、請求項1-5のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項7】
式(I-C)の化合物
【化8】
は、カップリング触媒の存在下において、式(I-D)の化合物
【化9】
および式(I-E)の化合物
【化10】
をカップリングすることにより、合成される、請求項4-6のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項8】
カップリング触媒はパラジウム系触媒である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
カップリングは約80℃~約90℃の温度で実施される、請求項7-9のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項11】
式(I-D)の化合物
【化11】
は、第2のパラジウム系触媒、塩基、および極性溶媒の存在下において、式(I-F)の化合物
【化12】
を、ビス(ピナコラート)ジボロンで処理することにより、合成され、
ここで、Rは、ハロゲン、-O(SO)C-4-CH、および-O(SO)CHから独立して選択される、請求項7-10のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項12】
第2のパラジウム系触媒はPd(dppf)Clである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
塩基は酢酸カリウムである、請求項11または12に記載のプロセス。
【請求項14】
式(I-F)の化合物は
【化13】
であり、および、2-アミノ-5-ブロモピラジンから合成される、請求項11-13のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項15】
式(I-F)の化合物は結晶性固体である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
式(I-B)の化合物
【化14】
は、式(I-G)の化合物
【化15】
をハロゲン化アシル調製剤で処理することにより合成される、請求項1-15のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項17】
ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、および三塩化リンからなる群から選択される、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
は、出現するたびに、水素と、ハロゲンと、ハロゲン、-OH、-OCH、-CN、-NH、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、ならびに、
とRは、出現するたびに、ハロゲンと、ハロゲン、-OH、-OCH、-CN、-NH、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択される、請求項1-17のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項19】
式(II)の化合物
【化16】
またはその薬学的に許容可能な塩の合成のためのプロセスであって、ここで、前記プロセスは、3級アミン塩基と非プロトン性極性溶媒の存在下において、式(II-A)の化合物
【化17】
を、式(II-B)の化合物
【化18】
に接触させる工程を含む、プロセス。
【請求項20】
3級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項19または20に記載のプロセス。
【請求項22】
式(II-A)の化合物
【化19】
は、式(II-C)の化合物
【化20】
を酸で処理することにより合成される、請求項19-21のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項23】
酸は、トリフルオロ酢酸、硫酸、および塩酸からなる群から選択される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
式(II-A)の化合物
【化21】
は、式(II-C)の化合物
【化22】
を水素化に供することにより合成される、請求項19-23のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項25】
式(II-C)の化合物
【化23】
は、カップリング触媒の存在下において、式(II-D)の化合物
【化24】
および式(II-E)の化合物
【化25】
をカップリングすることにより、合成される、請求項22-24のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項26】
カップリング触媒はパラジウム系触媒である、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
カップリングは約80℃~約90℃の温度で実施される、請求項25-27のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項29】
式(II-D)の化合物
【化26】
は、第2のパラジウム系触媒、塩基、および極性溶媒の存在下において、式(II-F)の化合物
【化27】
を、ビス(ピナコラート)ジボロンで処理することにより、合成される、請求項25-28のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項30】
第2のパラジウム系触媒はPd(dppf)Clである、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
塩基は酢酸カリウムである、請求項29または30に記載のプロセス。
【請求項32】
極性溶媒は、1,4-ジオキサンである、請求項29-31のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項33】
式(II-F)の化合物
【化28】
は、2-アミノ-5-ブロモピラジンから合成される、請求項29-32のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項34】
式(II-F)の化合物は結晶性固体である、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
式(II-B)の化合物
【化29】
は、式(II-G)の化合物
【化30】
をハロゲン化アシル調製剤で処理することにより形成される、請求項19-34のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項36】
ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、および三塩化リンからなる群から選択される、請求項35に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年5月6日に出願された米国仮出願第62/843,822号の利益を主張するものであり、この文献は参照によって全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
カルシウムは、細胞の機能および生存に重大な役割を果たす。例えば、カルシウムは、細胞へのおよび細胞内のシグナルの伝達における重要な要素である。増殖因子、神経伝達物質、ホルモンおよび様々な他のシグナル分子に対する細胞の反応は、カルシウム依存性のプロセスを介して始められる。
【0003】
事実上、すべての細胞タイプは、細胞機能を調節するために、または特異反応を引き起こすために、いくつかの方法で細胞質Ca2+シグナルの生成に左右される。サイトゾルCa2+シグナルは、収縮および分泌などの短期的な反応から細胞の成長および増殖のより長期的な調節まで及ぶ幅広い細胞機能を制御する。通常、これらのシグナルは、小胞体(ER)などの、細胞内貯蔵からのCa2+の放出、および原形質膜にわたるCa2+の流入のいくつかの組み合わせに関係している。一例では、細胞活性化は、Gタンパク質機構を介してホスホリパーゼC(PLC)に結合される、表面膜受容体に結合するアゴニストから始まる。PLC活性化は、イノシトール1,4,5-三リン酸塩(IP3)の生成につながり、これは順にIP3受容体を活性化して、ERからのCa2+の放出を引き起こす。ER Ca2+の低下は、その後、原形質膜のストア感受性カルシウム(SOC)チャネルを活性化するようにシグナルを伝達する。
【0004】
ストア感受性カルシウム(SOC)流入は、限定されないが、細胞内Ca2+貯蔵(Putney et al. Cell, 75, 199-201, 1993)、酵素活性の活性化(Fagan et al.,J. Biol. Chem. 275:26530-26537, 2000)、遺伝子転写(Lewis, Annu. Rev. Immunol. 19:497-521, 2001)、細胞増殖(Nunez et al., J. Physiol. 571.1, 57-73, 2006)、およびサイトカインの放出(Winslow et al., Curr. Opin. Immunol. 15:299-307, 2003)などの、そのような多様な機能を制御する、細胞生理におけるプロセスである。いくつかの非興奮性細胞、例えば、血液細胞、免疫細胞、造血細胞、Tリンパ球、およびマスト細胞では、SOC流入が、SOCチャネルの一種である、カルシウム放出依存性カルシウム(CRAC)チャネルを介して生じる。
【0005】
カルシウム流入機構は、ストア感受性カルシウム侵入(SOCE)と呼ばれてきた。間質相互作用分子(STIM)タンパク質は、細胞内貯蔵からのカルシウムの枯渇を検出するための及びSOCチャネルを活性化するためのセンサーとして機能する、SOCチャネル機能の必須成分である。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載された1つの態様は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の合成のプロセスであり、
【0007】
【化1】
は、出現するたびに、水素と、ハロゲンと、ハロゲン、-OR’、-CN、-N(R’)、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、
とRは、出現するたびに、ハロゲンと、ハロゲン、-OR’、-CN、-N(R’)、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、
あるいは、Rが両方とも独立してC-Cアルキルである場合、2つのR基は、それらが結合している原子と一体となって、炭素環を形成し、
nは0、1、2、または3であり、
mは0、1、2、3、4、または5であり、ならびに、
R’は、出現するたびに、水素と、各々がハロゲン、-CN、-NO、-OH、-NH、およびOCHから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換される、C1-6アルキルと、C2-6アルケニルと、C2-6アルキニルとから独立して選択され、
ここで、上記プロセスは、3級アミン塩基と非プロトン性極性溶媒の存在下において、式(I-A)の化合物
【0008】
【化2】
を、式(I-B)の化合物
【0009】
【化3】
に接触させる工程を含み、ここで、Xは、-Cl、-Br、-I、-CN、-N、-OCH、-OCHCH、-OC、-OC-4-NO、-OC(O)CH、-OC(O)C、-O(SO)CH、または-O(SO)C-4-CHである。
【0010】
いくつかの実施形態では、3級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、式(I-A)の化合物
【0013】
【化4】
は、式(I-C)の化合物
【0014】
【化5】
を酸で処理することにより合成され、ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、t-ブトキシカルボニル、p-トリル、ベンゾイル、アセチル、およびベンジルからなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、硫酸、および塩酸からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、式(I-A)の化合物
【0017】
【化6】
は、式(I-C)の化合物
【0018】
【化7】
を水素化に供することにより合成され、ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、p-トリル、およびベンジルからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、式(I-C)の化合物
【0020】
【化8】
は、カップリング触媒の存在下において、式(I-D)の化合物
【0021】
【化9】
および式(I-E)の化合物
【0022】
【化10】
をカップリングすることにより、合成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、カップリング触媒はパラジウム系触媒である。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、カップリングは約80℃~約90℃までの温度で行われる。
【0025】
いくつかの実施形態では、式(I-D)の化合物
【0026】
【化11】
は、第2のパラジウム系触媒、塩基、および極性溶媒の存在下において、式(I-F)の化合物
【0027】
【化12】
を、ビス(ピナコラート)ジボロンで処理することにより、合成され、ここで、Rは、ハロゲン、-O(SO)C-4-CH、および-O(SO)CHから独立して選択される。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2のパラジウム系触媒はPd(dppf)Clである。
【0029】
いくつかの実施形態では、塩基は酢酸カリウムである。
【0030】
いくつかの実施形態では、式(I-F)の化合物は、
【0031】
【化13】
であり、および、2-アミノ-5-ブロモピラジンから合成される。
【0032】
いくつかの実施形態では、式(I-F)の化合物は結晶性固体である。
【0033】
いくつかの実施形態では、式(I-B)の化合物
【0034】
【化14】
は、式(I-G)の化合物
【0035】
【化15】
をハロゲン化アシル調製剤で処理することにより合成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、および三塩化リンからなる群から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、Rは、出現するたびに、水素と、ハロゲンと、ハロゲン、-OH、-OCH、-CN、-NH、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、ならびに、RとRは、出現するたびに、ハロゲンと、ハロゲン、-OH、-OCH、-CN、-NH、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択される。
【0038】
本明細書に記載された1つの態様は、式(II)の化合物
【0039】
【化16】
またはその薬学的に許容可能な塩の合成のプロセスであり、ここで、上記プロセスは、3級アミン塩基と非プロトン性極性溶媒の存在下において、式(II-A)の化合物
【0040】
【化17】
を、式(II-B)の化合物
【0041】
【化18】
に接触させる工程を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、3級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
いくつかの実施形態では、式(II-A)の化合物
【0045】
【化19】
は、式(II-C)の化合物
【0046】
【化20】
を酸で処理することにより合成される。
【0047】
いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、硫酸、および塩酸からなる群から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、式(II-A)の化合物
【0049】
【化21】
は、式(II-C)の化合物
【0050】
【化22】
を水素化に供することにより合成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、式(II-C)の化合物
【0052】
【化23】
は、カップリング触媒の存在下において、式(II-D)の化合物
【0053】
【化24】
および式(II-E)の化合物
【0054】
【化25】
をカップリングすることにより、合成される。
【0055】
いくつかの実施形態では、カップリング触媒はパラジウム系触媒である。
【0056】
いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。
【0057】
いくつかの実施形態では、カップリングは約80℃~約90℃までの温度で行われる。
【0058】
いくつかの実施形態では、式(II-D)の化合物
【0059】
【化26】
は、第2のパラジウム系触媒、塩基、および極性溶媒の存在下において、式(II-F)の化合物
【0060】
【化27】
を、ビス(ピナコラート)ジボロンで処理することにより、合成される。
【0061】
いくつかの実施形態では、第2のパラジウム系触媒はPd(dppf)Clである。
【0062】
いくつかの実施形態では、塩基は酢酸カリウムである。
【0063】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、1,4-ジオキサンである。
【0064】
いくつかの実施形態では、式(II-F)の化合物
【0065】
【化28】
は、2-アミノ-5-ブロモピラジンから合成される。
【0066】
いくつかの実施形態では、式(II-F)の化合物は結晶性固体である。
【0067】
いくつかの実施形態では、式(II-B)の化合物
【0068】
【化29】
は、式(II-G)の化合物
【0069】
【化30】
をハロゲン化アシル調製剤で処理することにより形成される。
【0070】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、および三塩化リンからなる群から選択される。
【0071】
引用による組み込み
本明細書に記載されるすべての公開物、特許、および特許出願は、それぞれの個々の公開物、特許、および、特許出願が参照によって組み込まれるように具体的かつ個別にあたかも指定されているような程度で、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0072】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、請求される主題が属する技術分野において一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の用語に複数の定義がある場合、この表題の定義が優先される。本明細書で引用される特許、特許出願、公報、および公開されたヌクレオチド配列とアミノ酸配列(例えば、GenBankなどのデータベースで入手可能な配列)はすべて、参照により引用される。URLまたは他のそのような識別子またはアドレスについて言及される場合、こうした識別子を変更することができ、インターネット上の特定の情報は現れたり消えたりする場合があるが、同等な情報はインターネット検索により見つけられることを理解されたい。これらに対する言及は、そのような情報の利用可能性と公共上の広まりを裏付けるものである。
【0073】
前述の一般的な記載と以下の詳細な説明は、単に典型的かつ例示的なものであり、請求される主題を限定するものではないことが理解される。本出願では、単数形の使用は、特に明記されない限り、複数形を含む。本明細書と添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は、他にその内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むということに留意されたい。本出願では、「または」の使用は、特に明記されない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含むこと(including)」との用語の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含まれる(included)」などの他の形態と同様、限定的なものではない。
【0074】
本明細書で使用される章の見出しは、構成上の目的のためにすぎず、記載される主題を限定するものと解釈されるものではない。
【0075】
標準的な化学用語の定義は、限定されないが、Carey and Sundberg “ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED.” Vols.A(2000)and B(2001),Plenum Press,New York.を含む参考資料で見られる。特に指示がない限り、当業者の考え得る範囲内で、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、および薬理学の従来の方法が使用される。
【0076】
「CRACチャネル阻害剤」という用語は、小胞体内で枯渇したカルシウムレベルをゆっくりと補充する特殊な細胞膜Ca2+イオンチャネルであるカルシウム放出依存性カルシウムチャネル(CRAC)を抑制する阻害剤を指す。
【0077】
CRACチャネル活性の用語「阻害する(inhibits)」、「阻害する(inhibiting)」、または「阻害剤(inhibitor)」は、本明細書で使用されるように、ストア作動性カルシウムチャネル活性またはカルシウム放出依存性カルシウムチャネル活性の阻害を指す。
【0078】
本明細書で使用されるように、C-Cは、C-C、C-C...C-Cを含む。C-Cは、それが指定する(任意の置換基以外)部分を構成する炭素原子数を指す。
【0079】
「アルキル」基とは脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は、不飽和の単位を含むこともあれば含まないこともある。アルキル部分は「飽和アルキル」基であってもよく、このことはそれが不飽和(つまり炭素炭素二重結合または炭素炭素三重結合)の単位を含まないことを意味する。アルキル基はさらに「不飽和アルキル」部分であってもよく、このことはそれが少なくとも1単位の不飽和を含むことを意味する。アルキル部分は、飽和であれ不飽和であれ、分枝鎖、直鎖、または環状であってもよい。
【0080】
「アルキル」基は1~6の炭素原子を有し得る(本明細書でアルキルが現われる場合は常に、「1~6」などの数の範囲は所定の範囲中の各整数を指す。例えば、「1~6の炭素原子」とは、アルキル基が1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子など、最大で6つの炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、いかなる数の範囲も指定されていない「アルキル」との用語の発生も包含する)。本明細書に記載される化合物のアルキル基は「C-Cアルキル」または同様の命名として指定されてもよい。ほんの一例として、「C-Cアルキル」は、アルキル鎖中に1~6つの炭素原子があること、すなわち、アルキル鎖が、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、ヘキシル、プロペン-3-イル(アリル)、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルからなる群から選択される。アルキル基は置換型または非置換型であり得る。アルキル基は、構造によって、モノラジカルまたはジラジカル(つまり、アルキレン基)であり得る。
【0081】
「アルケニル」との用語は、アルキル基の最初の2つの原子が、芳香族基の一部ではない二重結合を形成する、アルキル基の一種を指す。つまり、アルケニル基は、原子-C(R)=CRで始まり、ここで、Rは、同じまたは異なり得る、アルケニル基の残りの部分を指す。アルケニル基の非限定的な例としては、-CH-CH、-C(CH)-CH、-CH-CHCH、-CH-C(CH、および、-C(CH)-CHCHが挙げられる。アルケニル部分は分枝鎖、直鎖、または環状であってもよい(いずれの場合でも、それは「シクロアルケニル」基として知られる)。アルケニル基は2~6の炭素を有し得る。アルケニル基は置換型または非置換型であり得る。アルケニル基は、構造によっては、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アルケニレン基)であり得る。
【0082】
「アルキニル」という用語は、アルキル基の最初の2つの原子が三重結合を形成する、アルキル基の一種を指す。つまり、アルキニル基は、原子-C≡C-Rで始まり、ここで、Rは、アルキニル基の残りの部分を指す。アルキニル基の非限定的な例としては、-C≡CH、-C≡CCH、-C≡CCHCH、および-C≡CCHCHCHが挙げられる。アルキニル部分の「R」部分は分枝鎖、直鎖、または環状であり得る。アルキニル基は2~6の炭素を有し得る。アルキニル基は置換型または非置換型であり得る。アルキニル基は、構造によっては、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アルキニレン基)であり得る。
【0083】
「炭素環」とは、環のそれぞれの原子が炭素である、飽和、不飽和、または芳香族の環を指す。炭素環は単環式または多環式であってもよく、3-10員の単環式の環、6-12員の二環式の環、および6-12員の架橋環を含み得る。二環式炭素環の環は各々、飽和環、不飽和環、および芳香環から選択され得る。いくつかの実施形態では、炭素環はアリールである。いくつかの実施形態では、炭素環はシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、炭素環はシクロアルケニルである。典型的な実施形態において、芳香環(例えばフェニル)は、飽和環または不飽和環、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、またはシクロヘキセンに融合される場合もある。飽和二環式環、不飽和二環式環、および芳香族二環式環の任意の組み合わせは、原子価が許容するように、炭素環式の定義に含まれる。典型的な炭素環は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、アダマンチル、フェニル、インダニル、およびナフチルを含む。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、炭素環は、本明細書に記載される置換基など、1以上の置換基によって随意に置換される。
【0084】
「トリチル」という用語はトリフェニルメチル基を指す。当該技術分野において、「トリチル」保護基は、ヘテロ原子に共有結合されており、望ましくない化学反応からヘテロ原子を保護するために使用される。
【0085】
「ハロ」または代替的に「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物は、様々な濃縮された同位体形態で、例えば、H、H、11C、13C、および/または14Cの内容物に濃縮されて、使用される。1つの特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、少なくとも1つの位置で重水素化される。こうした重水素化形態は、米国特許第5,846,514号と第6,334,997号に記載される手順によって作ることが可能である。米国特許第5,846,514号と第6,334,997号に記載されるように、重水素化は代謝性安定性または有効性を改善することができ、ゆえに医薬品の作用持続期間を増加させる。
【0087】
別段の定めのない限り、本明細書で描かれる構造は、1つ以上の同位体濃縮された原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことを意図している。例えば、重水素またはトリチウムによる水素の交換、または13Cまたは14C濃縮された炭素による炭素の交換を除いて、本構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
【0088】
本開示の化合物は、こうした化合物を構成する1つ以上の原子において不自然な割合の原子同位体を随意に含む。例えば、化合物は、重水素(H)、トリチウム(H)、ヨウ素125(125I)、または炭素14(14C)などの同位体で標識されてもよい。H、11C、13C、14C、15C、12N、13N、15N、16N、16O、17O、14F、15F、16F、17F、18F、33S、34S、35S、36S、35Cl、37Cl、79Br、81Br、125Iによる同位体置換がすべて企図されている。本明細書に記載される化合物の同位体の変形はすべて、放射性であるか否かにかかわらず、本開示の範囲内に包含される。
【0089】
ある実施形態では、本明細書に開示された化合物は、H原子の一部またはすべてがHの原子と取り替えられている。重水素を含有する化合物の合成の方法は、当該技術分野で知られており、非限定的なほんの一例として、以下の合成方法を含む。
【0090】
重水素置換化合物は、Dean,Dennis C.;Editor.Recent Advances in the Synthesis and Applications of Radiolabeled Compounds for Drug Discovery and Development.[In:Curr.,Pharm.Des.,2000;6(10)]2000,110pp;George W.;Varma,Rajender S. The Synthesis of Radiolabeled Compounds via Organometallic Intermediates,Tetrahedron,1989,45(21),6601-21; and Evans,E.Anthony.Synthesis of radiolabeled compounds,J.Radioanal.Chem.,1981,64(1-2),9-32に記載されるような様々な方法を使用して合成される。
【0091】
重水素化出発物質は容易に入手可能であり、重水素を含む化合物の合成を行うための本明細書に記載された合成方法に従う。多くの重水素を含有する試薬と構成要素は、Aldrich Chemical Co.などの化学商品会社から市販されている。
【0092】
ヨードメタン-d(CDI)のような求核置換反応で使用するに適した重水素転移試薬は容易に入手可能であり、求核置換反応条件下の重水素置換された炭素原子を反応基質に移すために使用されることがある。CDIの使用は、ほんの一例として、以下の反応スキームで例証されている。
【0093】
【化31】
【0094】
重水素化リチウムアルミニウム(L1AID)などの重水素転移試薬は、還元条件下の重水素を反応基質に移すために使用される。L1AIDの使用は、ほんの一例として、以下の反応スキームで例証される。
【0095】
【化32】
【0096】
重水素ガスとパラジウム触媒を用いて、不飽和の炭素-炭素結合を還元し、および、ほんの一例として以下の反応スキームで例証されるようなアリール炭素-ハロゲン結合の還元置換を行う。
【0097】
【化33】
【0098】
「3級アミン塩基」という用語は、結合価を超えた窒素塩基を指す。当該技術分野では、「3級アミン塩基」は、求核攻撃に対する感受性が低いため、「嵩高い(bulky)」または「非求核」塩基とも呼ばれる。本明細書で使用されるような「3級アミン塩基」の例としては、限定されないが、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノン-5-エン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、2,6-ルチジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、キヌクリジン、ペンピジン、1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、3,3,6,9,9-ペンタメチル-2,10-ジアザビシクロ-(4.4.0)デカ-1-エン、およびN-メチルモルホリンが挙げられる。
【0099】
「非プロトン性極性溶媒」という用語は、酸性または交換可能な水素原子を欠く溶媒を指す。本質的に、「非プロトン性極性溶媒」は、水素結合相互作用を促進せず、SN2型反応を促進する。本明細書で使用されるような「非プロトン性極性溶媒」の例としては、限定されないが、クロロホルム、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(dimethylformamideまたはDMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(dimethylacetamideまたはDMA)、アセトニトリル(またはMeCN)、ジメチルスルホキシド(またはDMSO)、炭酸プロピレン、1,4-ジオキサン(またはジオキサン)、およびジクロロメタン(またはDCM)が挙げられる。「非プロトン性極性溶媒」という用語は、2つ以上の非プロトン性極性溶媒の混合物または組み合わせも包含する。
【0100】
「プロトン性極性溶媒」という用語は、不安定な、または酸性の、または交換可能な水素原子を有する溶媒を指す。「プロトン性極性溶媒」は、水素結合相互作用を促進する。本明細書で使用されるような「プロトン性極性溶媒」の例としては、限定されないが、水、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、およびt-ブタノールが挙げられる。「プロトン性極性溶媒」という用語は、2つ以上のプロトン性極性溶媒の混合物または組み合わせも包含する。
【0101】
「極性溶媒」という用語は、非プロトン性極性溶媒、またはプロトン性極性溶媒、またはそれらの組み合わせを指す。
【0102】
「酸」という用語は、不安定な、または酸性の水素原子を有する分子を指す。本明細書で使用される「酸」の例としては、限定されないが、トリフルオロ酢酸(またはTFA)、2,2,2-トリフルオロエタノール、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフリン酸(またはトリフルオロメタンスルホン酸)、過塩素酸、リン酸、塩素酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、ギ酸、および塩酸が挙げられる。本明細書で使用される「酸」の他の例としては、限定されないが、水中で測定されるpKaが約5.5未満の分子が挙げられる。「酸」という用語は、2つ以上の酸の混合物または組み合わせも包含する。
【0103】
「塩基」という用語は、別の分子から水素原子を抽出することができる分子を指す。本明細書で使用されるような「塩基」の例としては、限定されないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属アルコキシド、アルカリ土類金属カルボン酸塩、アルカリ土類金属酸化物、1級アミン、2級アミン、3級アミン、水酸化ランタニド、炭酸ランタニド、重炭酸ランタニド(a lanthanide bicarbonate)、ランタニドアルコキシド、ランタニドカルボン酸塩、酸化ランタニド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用されるような「塩基」の代表的な例としては、限定されないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸カリウム(KOAc)、酢酸ナトリウム(NaOAc)、リン酸三カリウム、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、カリウムt-ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、およびトリエチルアミンが挙げられる。
【0104】
「水素化」という用語は、限定されないが、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、またはそれらの組み合わせを含む組成物などの触媒の存在下での水素分子と反応物との間の化学反応を指す。「水素化」反応は、一般に、水素原子対の付加を介して有機化合物を還元または飽和させるために利用される。
【0105】
「金属還元」という用語は、適切な溶媒または溶媒混合物中のアルカリ金属または低原子価遷移金属が、水素、2つのプロトン、および2つの電子の等価物を基質分子に加え、単結合の還元切断または多重結合の還元のいずれかをもたらす還元を指す。すべてではないがある場合に、本明細書で使用されるような「金属還元」は、当該技術分野において「溶解金属還元」と呼ばれる。
【0106】
「カップリング反応」という用語は、2つのフラグメントが金属触媒、すなわち「カップリング触媒」の助けを借りて結合する化学反応を指す。本明細書で使用されるような「カップリング反応」の例としては、限定されないが、「鈴木(Suzuki)」、「根岸(Negishi)」、「スティル(Stille)」、または「リーベスカインド・スローグル(Liebeskind-Srogl)」カップリング反応のような当該技術分野で知られている反応が挙げられる。本明細書で使用されるような「カップリング触媒」の例としては、限定されないが、銅、パラジウム、ニッケル、鉄、またはそれらの組み合わせを含む組成物が挙げられる。「パラジウム系触媒」という用語は、パラジウムを含むカップリング触媒を指す。本明細書で使用されるような「パラジウム系触媒」の例としては、限定されないが、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl(ここで、「dppf」は1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンである)、Pd(dtbpf)Cl(ここで、「dtbpf」は1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンである)、Pd(dba)(ビス-(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0))、Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0))、Pd(PCy(ここで、「Cy」はシクロヘキシル)である)、Pd(dppe)Cl(ここで、「dppe」は1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンである)、Pd(t-BuP)、PdCl[P(o-Tol)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、(A-Phos)ClPd、NaPdCl、NaPdCl/DTBPPS(ここで、「DTBPPS」は3-(ジ-tert-ブチルホスホニウム)プロパンスルホネートである)、およびPdCl(PPhが挙げられる。(A-Phos)ClPdパラジウム系触媒の代表的な例としては、限定されないが、GuramらによるJournal of Organic Chemistry 2007,72,pages 5104-5112に開示されている。
【0107】
「ハロゲン化アシル調製剤」は、限定されないが、カルボン酸塩を含むカルボン酸またはカルボン酸誘導体を、カルボン酸ハロゲン化物またはハロゲン化アシルに変換するために使用される化学試薬を指す。ハロゲン化物が塩化物の場合、「ハロゲン化アシル調製剤」は、「塩化アシル調製剤」である。本明細書で使用されるような「塩化アシル調製剤」の例としては、限定されないが、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、三塩化リン、塩化メタンスルホニル、塩化トリクロロメタンスルホニル、次亜塩素酸塩tert-ブチル、ジクロルメチルエーテル、塩化メトキシアセチル、塩化シアヌル、N-クロロスクシンアミド、N-クロロフタルイミド、および塩化トリメチルシリルが挙げられる。ハロゲン化物が臭化物の場合、「ハロゲン化アシル調製剤」は、「臭化アシル調製剤」である。本明細書で使用されるような「臭化アシル調製剤」の例としては、限定されないが、三臭化リン、臭化メタンスルホニル、臭化シアヌル、トリフェニルホスフィン/N-ブロモスクシンアミド、およびトリフェニルホスフィン/ブロミンが挙げられる。
【0108】
本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩として形成されることもあれば、および/または、薬学的に許容可能な塩として使用されることもある。薬学的に許容可能な塩のタイプとしては、限定されないが、(1)化合物の遊離塩基を、薬学的に許容可能な無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタリン酸などと;または、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコペプトン酸、4,4’-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸などと反応させることによって形成される酸付加塩;(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えば、マグネシウムまたはカルシウム)、またはアルミニウムイオンと取り替えられるときに形成される塩を含む。場合によっては、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と配位することもある。他の例では、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、アルギニン、リジンなどのアミノ酸とともに塩を形成することがある。酸性プロトンを含む化合物とともに塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基としては、限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
【0109】
薬学的に許容可能な塩に対する言及が溶媒付加形態またはその結晶形、とりわけ、溶媒和物または多形体を含むことを理解されたい。溶媒和物は化学量論または非化学量論量のいずれかの溶媒を含み、水、エタノールなどのような薬学的に許容可能な溶媒を用いる結晶化のプロセスの間に形成されることがある。水和物は、溶媒が水である場合に形成され、アルコラートは、溶媒がアルコールの際に形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に都合よく調製または形成可能である。加えて、本明細書で提供される化合物は、溶媒和形態と同様に、非溶媒和形態でも存在し得る。一般的に、溶媒和形態は、本明細書で提供される化合物および方法の目的のため、非溶媒和形態と同等であるとみなされる。
【0110】
加えて、本明細書に記載される化合物は、多形体としても知られている結晶形態を含んでいる。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、様々なX線回折パターン、融点、密度、硬度、水晶形状、光学的性質、安定性、および溶解性を有している。再結晶化溶媒、結晶速度、および保存温度などの様々な要因により、単結晶形態が支配的になることがある。
【0111】
本明細書で開示される合成方法は、CRACチャネル阻害剤を製造するための方法である。いくつかの実施形態では、この方法は、キログラム量を製造する。この方法は、複数の望ましくない不純物の存在を排除することによって、以前の合成経路を改善し得る。
【0112】
CRACチャネル阻害剤を合成するプロセス
本明細書に記載される1つの態様は、CRACチャネル阻害剤を合成するプロセスである。いくつかの実施形態では、CRACチャネル阻害剤は、式(I)の化合物
【0113】
【化34】
またはその薬学的に可能な塩であり、
は、出現するたびに、水素と、ハロゲンと、ハロゲン、-OR’、-CN、-N(R’)、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、
とRは、出現するたびに、ハロゲンと、ハロゲン、-OR’、-CN、-N(R’)、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、
あるいは、Rが両方とも独立してC-Cアルキルである場合、2つのR基は、それらが結合している原子と一体となって、炭素環を形成し、
nは0、1、2、または3であり、
mは0、1、2、3、4、または5であり、ならびに、
R’は、出現するたびに、水素と、各々がハロゲン、-CN、-NO、-OH、-NH、およびOCHから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換される、C1-6アルキルと、C2-6アルケニルと、C2-6アルキニルとから独立して選択される。
【0114】
いくつかの実施形態では、Rは、出現するたびに、水素と、ハロゲンと、ハロゲン、-OH、-OCH、-CN、-NH、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、ならびに、RとRは、出現するたびに、ハロゲンと、ハロゲン、-OH、-OCH、-CN、-NH、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択される。
【0115】
本明細書に記載される1つの態様は、CRACチャネル阻害剤を合成するプロセスであり、ここで、CRACチャネル阻害剤は、式(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)、(IF)、または(IG)の化合物:
【0116】
【化35】
あるいはそれらの任意の1つの塩である。ある実施形態では、式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)、(IF)、および(IG)のいずれか1つの化合物または塩について、Rは、出現するたびに、水素と、ハロゲンと、ハロゲン、-OR’、-CN、-N(R’)、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、RとRは、出現するたびに、ハロゲンと、ハロゲン、-OR’、-CN、-N(R’)、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、R’は、出現するたびに、水素と、各々がハロゲン、-CN、-NO、-OH、-NH、およびOCHから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換される、C1-6アルキルと、C2-6アルケニルと、C2-6アルキニルとから独立して選択される。
【0117】
いくつかの実施形態では、Rは、出現するたびに、水素と、ハロゲンと、ハロゲン、-OH、-OCH、-CN、-NH、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択され、ならびに、RとRは、出現するたびに、ハロゲンと、ハロゲン、-OH、-OCH、-CN、-NH、および-NOから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換されたC-Cアルキルとから独立して選択される。
【0118】
ある実施形態では、式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、および(ID)のうちのいずれか1つの化合物または塩について、nは0、1、2、または3である。ある実施形態では、式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、および(ID)のうちのいずれか1つの化合物または塩について、nは0、1、または2である。ある実施形態では、式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、および(ID)のうちのいずれか1つの化合物または塩について、nは0または1である。ある実施形態では、式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、および(ID)のうちのいずれか1つの化合物または塩について、nは1である。実施形態では、式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)、(IF)、および(IG)のいずれか1つの化合物または塩について、nは0、1、または2であり、開位置、芳香族環上にRを伴わない位置は、水素によって占められている。
【0119】
ある実施形態では、式(I)、(IA)、および(IB)のうちのいずれか1つの化合物または塩について、mは0、1、2、3、または4である。ある実施形態では、式(I)、(IA)、および(IB)のうちのいずれか1つの化合物または塩について、mは0、1、2、または3である。ある実施形態では、式(I)、(IA)、および(IB)のうちのいずれか1つの化合物または塩について、mは0、1、または2である。ある実施形態では、式(I)、(IA)、および(IB)のうちのいずれか1つの化合物または塩について、mは2である。実施形態では、式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)、(IF)、および(IG)のいずれか1つの化合物または塩について、mは0、1、2、3、または4であり、開位置、芳香族環上にRを伴わない位置は、水素によって占められる。
【0120】
ある実施形態では、式(I)、(IE)、(IF)、および(IG)のいずれか1つの化合物または塩について、nは1または2であり、mは2または3であり、および、開位置、RまたはRで置換されない位置は、構造図に適用可能な標準協定に従って、水素によって占められる。ある実施形態では、式(I)および(IG)のうちのいずれか1つの化合物または塩について、nは1であり、mは2であり、および、開位置、RまたはRで置換されない位置は、構造図に適用可能な標準協定に従って、水素によって占められる。
【0121】
ある実施形態では、式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)、(IF)、および(IG)のいずれか1つの化合物または塩について、R’は、出現するたびに、水素と、各々がハロゲン、-CN、-NO、-OH、-NH、およびOCHから出現するたびに独立して選択される1つ以上の置換基で随意に置換される、C1-6アルキルと、C2-6アルケニルと、C2-6アルキニルとから独立して選択される。
【0122】
いくつかの実施形態では、式(IG)の化合物または塩について、RおよびRは、出現するたびに独立してハロゲンであり、ならびに、Rは、出現するたびに独立してハロゲンまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(IG)の化合物または塩について、Rは両方ともフルオロであり、Rはハロゲンであり、およびRは出現するたびに独立してハロゲンまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(IG)の化合物または塩について、Rは両方ともフルオロであり、Rはクロロまたはフルオロであり、および、Rは出現するたびに独立してハロゲンまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(IG)の化合物または塩について、Rは両方ともフルオロであり、Rはクロロまたはフルオロであり、および、Rは出現するたびに独立してハロゲン、メチル、またはエチルである。 いくつかの実施形態では、式(IG)の化合物または塩について、Rは両方ともフルオロであり、Rはクロロまたはフルオロであり、および、Rは出現するたびに独立してハロゲンまたはメチルである。いくつかの実施形態では、式(IG)の化合物または塩について、Rは両方ともフルオロであり、Rはクロロまたはフルオロであり、および、Rは出現するたびに独立してクロロ、フルオロ、またはメチルである。いくつかの実施形態では、式(IG)の化合物または塩について、Rは両方ともフルオロであり、Rはクロロであり、および、Rは出現するたびに独立してクロロ、フルオロ、またはメチルである。いくつかの実施形態では、式(IG)の化合物または塩について、Rは両方ともフルオロであり、Rはクロロであり、および、Rは出現するたびに独立してフルオロまたはメチルである。いくつかの実施形態では、式(IG)の化合物または塩について、Rは両方ともフルオロであり、Rはクロロであり、Rの1つはフルオロであり、および、Rの1つはメチルである。
【0123】
本明細書に記載される1つの態様は、CRACチャネル阻害剤を合成するプロセスである。いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)、(IF)、または(IG)の化合物であり、ここで、上記プロセスは、3級アミン塩基と非プロトン性極性溶媒の存在下において、式(I-A)の化合物
【0124】
【化36】
を、式(I-B)の化合物
【0125】
【化37】
に接触させる工程を含み、ここで、Xは、-Cl、-Br、-I、-CN、-N、-OCH、-OCHCH、-OC、-OC-4-NO、-OC(O)CH、-OC(O)C、-O(SO)CH、または-O(SO)C-4-CHである。
【0126】
いくつかの実施形態では、3級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノン-5-エン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、2,6-ルチジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、キヌクリジン、ペンピジン、1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、3,3,6,9,9-ペンタメチル-2,10-ジアザビシクロ-(4.4.0)デカ-1-エン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、3級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、3級アミン塩基はピリジンである。
【0127】
いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒はジクロロメタンである。
【0128】
いくつかの実施形態では、式(I-A)の化合物
【0129】
【化38】
は、式(I-C)の化合物
【0130】
【化39】
を酸で処理することにより合成され、ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、t-ブトキシカルボニル、p-トリル、ベンゾイル、アセチル、およびベンジルからなる群から選択される。
【0131】
いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフリン酸、過塩素酸、リン酸、塩素酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、ギ酸、および塩酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、硫酸、および塩酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、酸は塩酸である。
【0132】
いくつかの実施形態では、式(I-A)の化合物:
【0133】
【化40】
は、式(I-C)の化合物:
【0134】
【化41】
を、水素化または金属還元に供することによって合成され、ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、p-トリル、ベンゾイル、アセチル、およびベンジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、トリチル、t-ブチル、p-トリル、およびベンジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、トリチルおよびベンジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rはベンジルである。いくつかの実施形態では、Rはトリチルである。
【0135】
いくつかの実施形態では、水素化は、Ni、Raney Ni、Pd/C、Degussa型触媒、Pt/C、およびPd(OAc)からなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化は、Ni、Raney Ni、およびPd/Cからなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化は、NiまたはRaney Niからなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化触媒はNiである。いくつかの実施形態では、水素化触媒はRaney Niである。
【0136】
いくつかの実施形態では、金属還元は、リチウム、ナトリウム、およびカリウムからなる群から選択された金属を使用し、金属還元は触媒を随意に使用する。いくつかの実施形態では、触媒はナフタレンである。いくつかの実施形態では、金属還元は、リチウムである金属と、ナフタレンである触媒とを使用する。
【0137】
いくつかの実施形態では、式(I-C)の化合物:
【0138】
【化42】
は、式(I-D)の化合物:
【0139】
【化43】
および式(I-E)の化合物:
【0140】
【化44】
を、カップリング触媒の存在下でカップリングすることによって合成される。
【0141】
いくつかの実施形態では、式(I-C)の化合物は、カップリング触媒、塩基、および極性溶媒の存在下において、式(I-D)の化合物および式(I-E)の化合物をカップリングすることによって合成される。
【0142】
いくつかの実施形態では、式(I-C)の化合物:
【0143】
【化45】
は、式(I-D)の化合物:
【0144】
【化46】
および式(I-E)の化合物:
【0145】
【化47】
を、カップリング触媒の存在下でカップリングすることによって合成される。
【0146】
いくつかの実施形態では、式(I-C)の化合物は、カップリング触媒、塩基、極性溶媒の存在下で、式(I-D-a)の化合物および式(I-E)の化合物をカップリングすることによって合成される。
【0147】
いくつかの実施形態では、カップリング触媒は、パラジウム系触媒である。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(dtbpf)Cl、Pd(dba)、Pd(PCy、Pd(dppe)Cl、Pd(t-BuP)、PdCl[P(o-Tol)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、(A-Phos)ClPd、NaPdCl、SPhos(2-(2’,6’’-ジメトキシビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン)、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPhである。
【0148】
いくつかの実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、およびトリエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびリン酸三カリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸カリウムである。
【0149】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、t-ブタノール、DMF、1,4-ジオキサン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、DMF、および1,4-ジオキサンの少なくとも2つの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水とDMFの組み合わせである。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、DMFと1,4-ジオキサンの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水と1,4-ジオキサンの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、1,4-ジオキサンである。いくつかの実施形態では、極性溶媒はDMFである。
【0150】
いくつかの実施形態では、カップリング反応は、約10℃を超える、約20℃を超える、約30℃を超える、約40℃を超える、約50℃を超える、約60℃を超える、約70℃を超える、約80℃を超える、約90℃を超える、約100℃を超える、約110℃を超える、約120℃を超える、約130℃を超える、約140℃を超える、約150℃未満、約140℃未満、約130℃未満、約120℃未満、約110℃未満、約100℃未満、約90℃未満、約80℃未満、約70℃未満、約60℃未満、約50℃未満、約40℃未満、約30℃未満、約20℃未満、約10℃~約150℃、約20℃~約140℃、約30℃~約130℃、約40℃~約120℃、約50℃~約110℃、約60℃~約110℃、約70℃~約100℃、約70℃~約90℃、約80℃~約90℃、約70℃~約80℃、約75℃~約85℃、または約85℃~約95℃の温度で行われる。
【0151】
いくつかの実施形態では、式(I-D)の化合物:
【0152】
【化48】
は、式(I-F)の化合物:
【0153】
【化49】
を、パラジウム系触媒、塩基、および極性溶媒の存在下で、適切なホウ素含有試薬で処理することによって合成され、ここで、Rは、ハロゲン、OT(ここで、「OT」はO(SO)C-4-CHである)およびOM(ここで、「OM」はO(SO)CHである)から独立して選択される。
【0154】
いくつかの実施形態では、ホウ素含有試薬はジボロン剤である。いくつかの実施形態では、ホウ素含有試薬は、ビス(ピナコラート)ジボロンである。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(dtbpf)Cl、Pd(dba)、Pd(PCy、Pd(dppe)Cl、Pd(t-BuP)、PdCl[P(o-Tol)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、(A-Phos)ClPd、NaPdCl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(dppf)Clである。
【0155】
いくつかの実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、およびトリエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびリン酸三カリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸カリウムである。
【0156】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、t-ブタノール、および1,4-ジオキサンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、1,4-ジオキサンである。
【0157】
いくつかの実施形態では、式(I-F)の化合物は:
【0158】
【化50】
であり、5-ブロモピラジン-2-アミン(または、2-アミノ-5-ブロモピラジン)から合成される。
【0159】
いくつかの実施形態では、式(I-F)の化合物は、固体、液体、および溶液からなる群から選択される形態である。いくつかの実施形態では、上記固体は、結晶性固体または非晶質固体である。いくつかの実施形態では、上記固体は結晶性固体である。
【0160】
いくつかの実施形態では、式(I-B)の化合物:
【0161】
【化51】
は、式(I-G)の化合物:
【0162】
【化52】
を、ハロゲン化アシル調製剤で処理することによって合成される。
【0163】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、三塩化リン、メタンスルホニルクロリド、トリクロロメタンスルホニルクロリド、次亜塩素酸tert-ブチル、ジクロロメチルメチルエーテル、メトキシアセチルクロリド、塩化シアヌル、N-クロロスクシンアミド、N-クロロフタルイミド、およびクロロトリメチルシランからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、および三塩化リンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリルである。
【0164】
本明細書に記載される1つの態様は、CRACチャネル阻害剤を合成するプロセスである。いくつかの実施形態では、CRACチャネル阻害剤は、式(IE)の化合物:
【0165】
【化53】
であり、ここで、上記プロセスは式(IE-A)の化合物:
【0166】
【化54】
を、式(IE-B)の化合物:
【0167】
【化55】
と、第三級アミン塩基および非プロトン性極性溶媒の存在下で接触させる工程を含み、ここで、Xは、-Cl、-Br、-I、-CN、-N、-OCH、-OCHCH、-OC、-OC-4-NO、-OC(O)CH、-OC(O)C、-O(SO)CH、または-O(SO)C-4-CHである。
【0168】
いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノン-5-エン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、2,6-ルチジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、キヌクリジン、ペンピジン、1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、3,3,6,9,9-ペンタメチル-2,10-ジアザビシクロ-(4.4.0)デカ-1-エン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基はピリジンである。
【0169】
いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒はジクロロメタンである。
【0170】
いくつかの実施形態では、式(IE-A)の化合物:
【0171】
【化56】
は、式(IE-C)の化合物:
【0172】
【化57】
を、酸で処理することによって合成され、ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、t-ブトキシカルボニル、p-トリル、ベンゾイル、アセチル、およびベンジルからなる群から選択される。
【0173】
いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフリン酸、過塩素酸、リン酸、塩素酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、ギ酸、および塩酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、硫酸、および塩酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、酸は塩酸である。
【0174】
いくつかの実施形態では、式(IE-A)の化合物:
【0175】
【化58】
は、式(IE-C)の化合物:
【0176】
【化59】
を、水素化または金属還元に供することによって合成され、ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、p-トリル、ベンゾイル、アセチル、およびベンジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、トリチル、t-ブチル、p-トリル、およびベンジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、トリチルおよびベンジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rはベンジルである。いくつかの実施形態では、Rはトリチルである。
【0177】
いくつかの実施形態では、水素化は、Ni、Raney Ni、Pd/C、Degussa型触媒、Pt/C、およびPd(OAc)からなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化は、Ni、Raney Ni、およびPd/Cからなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化は、NiまたはRaney Niからなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化触媒はNiである。いくつかの実施形態では、水素化触媒はRaney Niである。
【0178】
いくつかの実施形態では、金属還元は、リチウム、ナトリウム、およびカリウムからなる群から選択された金属を使用し、金属還元は触媒を随意に使用する。いくつかの実施形態では、触媒はナフタレンである。いくつかの実施形態では、金属還元は、リチウムである金属と、ナフタレンである触媒とを使用する。
【0179】
いくつかの実施形態では、式(IE-C)の化合物:
【0180】
【化60】
は、式(IE-D)の化合物:
【0181】
【化61】
および式(IE-E)の化合物:
【0182】
【化62】
を、カップリング触媒の存在下でカップリングすることによって合成される。
【0183】
いくつかの実施形態では、式(IE-C)の化合物は、カップリング触媒、塩基、および極性溶媒の存在下において、式(IE-D)の化合物および式(IE-E)の化合物をカップリングすることによって合成される。
【0184】
いくつかの実施形態では、カップリング触媒は、パラジウム系触媒である。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(dtbpf)Cl、Pd(dba)、Pd(PCy、Pd(dppe)Cl、Pd(t-BuP)、PdCl[P(o-Tol)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、(A-Phos)ClPd、NaPdCl、SPhos(2-(2’,6’’-ジメトキシビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン(dicyclohexylphospine))、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPhである。
【0185】
いくつかの実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、およびトリエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびリン酸三カリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸カリウムである。
【0186】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、t-ブタノール、DMF、1,4-ジオキサン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、DMF、および1,4-ジオキサンの少なくとも2つの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水とDMFの組み合わせである。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、DMFと1,4-ジオキサンの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水と1,4-ジオキサンの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、1,4-ジオキサンである。いくつかの実施形態では、極性溶媒はDMFである。
【0187】
いくつかの実施形態では、カップリング反応は、約10℃を超える、約20℃を超える、約30℃を超える、約40℃を超える、約50℃を超える、約60℃を超える、約70℃を超える、約80℃を超える、約90℃を超える、約100℃を超える、約110℃を超える、約120℃を超える、約130℃を超える、約140℃を超える、約150℃未満、約140℃未満、約130℃未満、約120℃未満、約110℃未満、約100℃未満、約90℃未満、約80℃未満、約70℃未満、約60℃未満、約50℃未満、約40℃未満、約30℃未満、約20℃未満、約10℃~約150℃、約20℃~約140℃、約30℃~約130℃、約40℃~約120℃、約50℃~約110℃、約60℃~約110℃、約70℃~約100℃、約70℃~約90℃、約80℃~約90℃、約70℃~約80℃、約75℃~約85℃、または約85℃~約95℃の温度で行われる。
【0188】
いくつかの実施形態では、式(IE-D)の化合物:
【0189】
【化63】
は、式(IE-F)の化合物:
【0190】
【化64】
を、パラジウム系触媒、塩基、および極性溶媒の存在下で、適切なホウ素含有試薬で処理することによって合成され、ここで、Rは、ハロゲン、OT、およびOMから独立して選択される。
【0191】
いくつかの実施形態では、ホウ素含有試薬はジボロン剤である。いくつかの実施形態では、ホウ素含有試薬は、ビス(ピナコラート)ジボロンである。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(dtbpf)Cl、Pd(dba)、Pd(PCy、Pd(dppe)Cl、Pd(t-BuP)、PdCl[P(o-Tol)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、(A-Phos)ClPd、NaPdCl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(dppf)Clである。
【0192】
いくつかの実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、およびトリエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびリン酸三カリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸カリウムである。
【0193】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、t-ブタノール、および1,4-ジオキサンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、1,4-ジオキサンである。
【0194】
いくつかの実施形態では、式(IE-F)の化合物:
【0195】
【化65】
は、5-ブロモピラジン-2-アミンを保護することによって形成される。
【0196】
いくつかの実施形態では、式(IE-F)の化合物は、固体、液体、および溶液からなる群から選択される形態である。いくつかの実施形態では、上記固体は、結晶性固体または非晶質固体である。いくつかの実施形態では、上記固体は結晶性固体である。
【0197】
いくつかの実施形態では、式(IE-B)の化合物:
【0198】
【化66】
は、式(IE-G)の化合物:
【0199】
【化67】
を、ハロゲン化アシル調製剤で処理することによって合成される。
【0200】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、三塩化リン、メタンスルホニルクロリド、トリクロロメタンスルホニルクロリド、次亜塩素酸tert-ブチル、ジクロロメチルメチルエーテル、メトキシアセチルクロリド、塩化シアヌル、N-クロロスクシンアミド、N-クロロフタルイミド、およびクロロトリメチルシランからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、および三塩化リンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリルである。
【0201】
本明細書に記載される1つの態様は、CRACチャネル阻害剤を合成するプロセスである。いくつかの実施形態では、CRACチャネル阻害剤は、式(IG)の化合物:
【0202】
【化68】
であり、ここで、上記プロセスは式(IG-A)の化合物:
【0203】
【化69】
を、式(IG-B)の化合物:
【0204】
【化70】
と、第三級アミン塩基および非プロトン性極性溶媒の存在下で接触させることを含み、ここで、Xは、-Cl、-Br、-I、-CN、-N、-OCH、-OCHCH、-OC、-OC-4-NO、-OC(O)CH、-OC(O)C、-O(SO)CH、または-O(SO)C-4-CHである。
【0205】
いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノン-5-エン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、2,6-ルチジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、キヌクリジン、ペンピジン、1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、3,3,6,9,9-ペンタメチル-2,10-ジアザビシクロ-(4.4.0)デカ-1-エン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基はピリジンである。
【0206】
いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒はジクロロメタンである。
【0207】
いくつかの実施形態では、式(IG-A)の化合物:
【0208】
【化71】
は、式(IG-C)の化合物:
【0209】
【化72】
を、酸で処理することによって合成され、ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、t-ブトキシカルボニル、p-トリル、ベンゾイル、アセチル、およびベンジルからなる群から選択される。
【0210】
いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフリン酸、過塩素酸、リン酸、塩素酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、ギ酸、および塩酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、硫酸、および塩酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、酸は塩酸である。
【0211】
いくつかの実施形態では、式(IG-A)の化合物:
【0212】
【化73】
は、式(IG-C)の化合物:
【0213】
【化74】
を、水素化または金属還元に供することによって合成され、ここで、Rは、トリチル、t-ブチル、p-トリル、ベンゾイル、アセチル、およびベンジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、トリチル、t-ブチル、p-トリル、およびベンジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、トリチルおよびベンジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rはベンジルである。いくつかの実施形態では、Rはトリチルである。
【0214】
いくつかの実施形態では、水素化は、Ni、Raney Ni、Pd/C、Degussa型触媒、Pt/C、およびPd(OAc)からなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化は、Ni、Raney Ni、およびPd/Cからなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化は、NiまたはRaney Niからなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化触媒はNiである。いくつかの実施形態では、水素化触媒はRaney Niである。
【0215】
いくつかの実施形態では、金属還元は、リチウム、ナトリウム、およびカリウムからなる群から選択される金属を使用し、金属還元は触媒を随意に使用する。いくつかの実施形態では、触媒はナフタレンである。いくつかの実施形態では、金属還元は、リチウムである金属と、ナフタレンである触媒とを使用する。
【0216】
いくつかの実施形態では、式(IG-C)の化合物:
【0217】
【化75】
は、式(IG-D)の化合物:
【0218】
【化76】
および式(IG-E)の化合物:
【0219】
【化77】
を、カップリング触媒の存在下でカップリングすることによって合成される。
【0220】
いくつかの実施形態では、式(IG-C)の化合物は、カップリング触媒、塩基、および極性溶媒の存在下で、式(IG-D)の化合物および式(IG-E)の化合物をカップリングすることによって合成される。
【0221】
いくつかの実施形態では、カップリング触媒は、パラジウム系触媒である。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(dtbpf)Cl、Pd(dba)、Pd(PCy、Pd(dppe)Cl、Pd(t-BuP)、PdCl[P(o-Tol)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、(A-Phos)ClPd、NaPdCl、SPhos(2-(2’,6’’-ジメトキシビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン)、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPhである。
【0222】
いくつかの実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、およびトリエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびリン酸三カリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸カリウムである。
【0223】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、t-ブタノール、DMF、1,4-ジオキサン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、DMF、および1,4-ジオキサンの少なくとも2つの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水とDMFの組み合わせである。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、DMFと1,4-ジオキサンの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水と1,4-ジオキサンの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、1,4-ジオキサンである。いくつかの実施形態では、極性溶媒はDMFである。
【0224】
いくつかの実施形態では、カップリング反応は、約10℃を超える、約20℃を超える、約30℃を超える、約40℃を超える、約50℃を超える、約60℃を超える、約70℃を超える、約80℃を超える、約90℃を超える、約100℃を超える、約110℃を超える、約120℃を超える、約130℃を超える、約140℃を超える、約150℃未満、約140℃未満、約130℃未満、約120℃未満、約110℃未満、約100℃未満、約90℃未満、約80℃未満、約70℃未満、約60℃未満、約50℃未満、約40℃未満、約30℃未満、約20℃未満、約10℃~約150℃、約20℃~約140℃、約30℃~約130℃、約40℃~約120℃、約50℃~約110℃、約60℃~約110℃、約70℃~約100℃、約70℃~約90℃、約80℃~約90℃、約70℃~約80℃、約75℃~約85℃、または約85℃~約95℃の温度で行われる。
【0225】
いくつかの実施形態では、式(IG-D)の化合物:
【0226】
【化78】
は、式(IG-F)の化合物:
【0227】
【化79】
を、パラジウム系触媒、塩基、および極性溶媒の存在下で、適切なホウ素含有試薬で処理することによって合成され、ここで、Rは、ハロゲン、OT、およびOMから独立して選択される。
【0228】
いくつかの実施形態では、ホウ素含有試薬はジボロン剤である。いくつかの実施形態では、ホウ素含有試薬は、ビス(ピナコラート)ジボロンである。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(dtbpf)Cl、Pd(dba)、Pd(PCy、Pd(dppe)Cl、Pd(t-BuP)、PdCl[P(o-Tol)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、(A-Phos)ClPd、NaPdCl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(dppf)Clである。
【0229】
いくつかの実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、およびトリエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびリン酸三カリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸カリウムである。
【0230】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、t-ブタノール、および1,4-ジオキサンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、1,4-ジオキサンである。
【0231】
いくつかの実施形態では、式(IG-F)の化合物:
【0232】
【化80】
は、5-ブロモピラジン-2-アミンを保護することによって形成される。
【0233】
いくつかの実施形態では、式(IG-F)の化合物は、固体、液体、および溶液からなる群から選択される形態である。いくつかの実施形態では、上記固体は、結晶性固体または非晶質固体である。いくつかの実施形態では、上記固体は結晶性固体である。
【0234】
いくつかの実施形態では、式(IG-B)の化合物:
【0235】
【化81】
は、式(IG-G)の化合物:
【0236】
【化82】
を、ハロゲン化アシル調製剤で処理することによって合成される。
【0237】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、三塩化リン、メタンスルホニルクロリド、トリクロロメタンスルホニルクロリド、次亜塩素酸tert-ブチル、ジクロロメチルメチルエーテル、メトキシアセチルクロリド、塩化シアヌル、N-クロロスクシンアミド、N-クロロフタルイミド、およびクロロトリメチルシランからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、および三塩化リンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリルである。
【0238】
本明細書に記載される1つの態様は、CRACチャネル阻害剤を合成するプロセスであり、ここで、上記CRACチャネル阻害剤は式(II)の化合物:
【0239】
【化83】
であり、ここで、上記プロセスは、式(II-A)の化合物:
【0240】
【化84】
を、式(II-B)の化合物:
【0241】
【化85】
と、第三級アミン塩基および非プロトン性極性溶媒の存在下で接触させる工程を含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノン-5-エン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、2,6-ルチジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、キヌクリジン、ペンピジン、1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、3,3,6,9,9-ペンタメチル-2,10-ジアザビシクロ-(4.4.0)デカ-1-エン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、およびN-メチルモルホリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基はピリジンである。
【0243】
いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒はジクロロメタンである。
【0244】
いくつかの実施形態では、式(II-A)の化合物:
【0245】
【化86】
は、式(II-C)の化合物:
【0246】
【化87】
を、酸で処理することによって合成される。
【0247】
いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフリン酸、過塩素酸、リン酸、塩素酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、ギ酸、および塩酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、酸は、トリフルオロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、硫酸、および塩酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、酸は塩酸である。
【0248】
いくつかの実施形態では、式(II-A)の化合物:
【0249】
【化88】
は、式(II-C)の化合物:
【0250】
【化89】
を、水素化または金属還元に供することによって合成される。
【0251】
いくつかの実施形態では、水素化は、Ni、Raney Ni、Pd/C、Degussa型触媒、Pt/C、およびPd(OAc)からなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化は、Ni、Raney Ni、およびPd/Cからなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化は、NiまたはRaney Niからなる群から選択される金属触媒を使用する。いくつかの実施形態では、水素化触媒はNiである。いくつかの実施形態では、水素化触媒はRaney Niである。
【0252】
いくつかの実施形態では、金属還元は、リチウム、ナトリウム、およびカリウムからなる群から選択された金属を使用し、金属還元は触媒を随意に使用する。いくつかの実施形態では、触媒はナフタレンである。いくつかの実施形態では、金属還元は、リチウムである金属と、ナフタレンである触媒とを使用する。
【0253】
いくつかの実施形態では、式(II-C)の化合物:
【0254】
【化90】
は、式(II-D)の化合物:
【0255】
【化91】
および式(II-E)の化合物:
【0256】
【化92】
を、カップリング触媒の存在下でカップリングすることによって合成される。
【0257】
いくつかの実施形態では、式(II-C)の化合物は、カップリング触媒、塩基、および極性溶媒の存在下で、式(II-D)の化合物および式(II-E)の化合物をカップリングすることによって合成される。
【0258】
いくつかの実施形態では、カップリング触媒は、パラジウム系触媒である。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(dtbpf)Cl、Pd(dba)、Pd(PCy、Pd(dppe)Cl、Pd(t-BuP)、PdCl[P(o-Tol)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、(A-Phos)ClPd、NaPdCl、SPhos(2-(2’,6’’-ジメトキシビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン)、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPhである。
【0259】
いくつかの実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、およびトリエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびリン酸三カリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸カリウムである。いくつかの実施形態では、塩基はリン酸三カリウムである。いくつかの実施形態では、塩基はフッ化セシウムである。
【0260】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、t-ブタノール、DMF、1,4-ジオキサン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、DMF、および1,4-ジオキサンの少なくとも2つの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水とDMFの組み合わせである。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、DMFと1,4-ジオキサンの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水と1,4-ジオキサンの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、1,4-ジオキサンである。いくつかの実施形態では、極性溶媒はDMFである。
【0261】
いくつかの実施形態では、カップリング反応は、約10℃を超える、約20℃を超える、約30℃を超える、約40℃を超える、約50℃を超える、約60℃を超える、約70℃を超える、約80℃を超える、約90℃を超える、約100℃を超える、約110℃を超える、約120℃を超える、約130℃を超える、約140℃を超える、約150℃未満、約140℃未満、約130℃未満、約120℃未満、約110℃未満、約100℃未満、約90℃未満、約80℃未満、約70℃未満、約60℃未満、約50℃未満、約40℃未満、約30℃未満、約20℃未満、約10℃~約150℃、約20℃~約140℃、約30℃~約130℃、約40℃~約120℃、約50℃~約110℃、約60℃~約110℃、約70℃~約100℃、約70℃~約90℃、約80℃~約90℃、約70℃~約80℃、約75℃~約85℃、または約85℃~約95℃の温度で行われる。
【0262】
いくつかの実施形態では、式(II-D)の化合物:
【0263】
【化93】
は、式(II-F)の化合物
【0264】
【化94】
を、パラジウム系触媒、塩基、および極性溶媒の存在下で、ビス(ピナコラート)ジボロンで処理することによって合成される。
【0265】
いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(dtbpf)Cl、Pd(dba)、Pd(PCy、Pd(dppe)Cl、Pd(t-BuP)、PdCl[P(o-Tol)、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、(A-Phos)ClPd、NaPdCl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(PPh、Pd(dppf)Cl、およびPdCl(PPhからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、パラジウム系触媒は、Pd(dppf)Clである。
【0266】
いくつかの実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、およびトリエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、およびリン酸三カリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、酢酸カリウムである。
【0267】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、t-ブタノール、および1,4-ジオキサンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、極性溶媒は、1,4-ジオキサンである。
【0268】
いくつかの実施形態では、式(II-F)の化合物:
【0269】
【化95】
は、2-アミノ-5-ブロモピラジンから合成される。
【0270】
いくつかの実施形態では、式(II-F)の化合物は、第三級アミン塩基の存在下で、2-アミノ-5-ブロモピラジンをトリフェニルメチルクロリドで処理することによって、2-アミノ-5-ブロモピラジンから合成される。いくつかの実施形態では、式(II-F)の化合物は、非プロトン性極性溶媒中の第三級アミン塩基の存在下で、2-アミノ-5-ブロモピラジンをトリフェニルメチルクロリドで処理することによって、2-アミノ-5-ブロモピラジンから合成される。いくつかの実施形態では、非プロトン性極性溶媒はジクロロメタンである。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基は、トリエチルアミンまたはピリジンである。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基はトリエチルアミンである。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基はピリジンである。いくつかの実施形態では、第三級アミン塩基はトリエチルアミンであり、非プロトン性極性溶媒はジクロロメタンである。
【0271】
いくつかの実施形態では、式(II-F)の化合物は、固体、液体、および溶液からなる群から選択される形態である。いくつかの実施形態では、上記固体は、結晶性固体または非晶質固体である。いくつかの実施形態では、上記固体は結晶性固体である。
【0272】
いくつかの実施形態では、式(II-B)の化合物:
【0273】
【化96】
は、式(II-G)の化合物:
【0274】
【化97】
を、ハロゲン化アシル調製剤で処理することによって合成される。
【0275】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、三塩化リン、メタンスルホニルクロリド、トリクロロメタンスルホニルクロリド、次亜塩素酸tert-ブチル、ジクロロメチルメチルエーテル、メトキシアセチルクロリド、塩化シアヌル、N-クロロスクシンアミド、N-クロロフタルイミド、およびクロロトリメチルシランからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリル、塩化チオニル、塩化ホスホリル、および三塩化リンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アシル調製剤は、塩化オキサリルである。
【実施例
【0276】
本明細書で提供される例は、説明のみを目的としており、添付された請求項の範囲を限定しないものとする。本明細書に記載される化合物の合成に使用される出発物質および試薬は、合成されるか、または、限定されないが、Sigma-Aldrich,Acros Organics、Fluka、およびFischer Scientificなどの商用源から得られた。本明細書に記載されるより大規模な調製物の生成物の同一性、収率、および純度は、独立した合成によって調製された標準品に基づいて開発された、標準化された分析法を使用して検証および決定された。以下の実施例では、命名法「n-mX」(ここで、「n-m」は整数の範囲を表す)は、選択的溶媒ストリッピング(solvent stripping)(溶媒蒸発)により過剰な溶媒を除去することによって所与の溶質が濃縮された、近似係数(approximate factor)を表す。例えば、「溶液を4~5Xに濃縮した」とは、十分な溶媒が取り除かれて、不揮発性溶質の濃度がもとの濃度の4~5倍に増加したことを意味し、もとの濃度が0.2Mであった場合、「4~5Xに濃縮」すると、溶質濃度が約0.8Mから約1.0Mに増加した溶液が結果としてもたらされる。
【0277】
実施例1-化合物1.3の調製
【0278】
【化98】
【0279】
5-ブロモ-N-トリチルピラジン-2-アミン(1.2)の調製:
5-ブロモピラジン-2-アミン(1.1)(3.9kg、22.41モル)を、DCM(23~24L)に添加した。室温で溶液を撹拌し、3.6kgのトリエチルアミン(EtN)(35.57mol)を、ヘッドタンクを介して添加した。反応混合物を0~10℃に冷却し、HDPEドラム中のDCM(11~13L)中のトリフェニルメチルクロリド(7.0g、25.11mol)の溶液を、0~20℃を超えずに、ヘッドタンクを介してゆっくりと添加した。反応は15~20℃で5~9時間進行した。完了すると、反応物を水(~4L)でクエンチし、10~25℃で40~60分間撹拌した。層を分離し、5%のNaCl(aq)(~4L)を有機層に添加した。混合物を40~60間撹拌し、層を分離した。溶液を4~5Xに濃縮し、メチルターシャリ-ブチルエーテル(MTBE)(15~20kg)を添加し、溶液を4~5Xに再濃縮した。このプロセスを3回繰り返した。このプロセスの3回目の反復後、その後の混合物を10~20℃で10~20分間撹拌した。結果として生じる固形物を濾過して、ウェットケーキを生成した。上記ケーキを40~50℃で16~20時間乾燥させた。収率=8.33kg。純度=96.8%。
【0280】
5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-N-トリチルピラジン-2-アミン(1.3)の調製:
1,4-ジオキサン(28~30L)を、5-ブロモ-N-トリチルピラジン-2-アミン(1.2)(6.8kg、16.33モル)、ビス(ピナコラート)ジボロン(4.95kg、19.5モル)、および酢酸カリウム(KOAc)(2.4kg)に添加した。室温で、溶液を窒素で3回パージした。Pd(dppf)Cl(1.17kg、1.66モル)を添加し、溶液を窒素で3回パージした。反応は80~90℃で16~20時間進行した。完了後、反応物を20~30℃に冷まし、溶液を濾過し、2X~4Xに濃縮した。その溶液を、さらに精製することなく、直ちに次の工程に移した。
【0281】
実施例2-化合物2.3の調製
【0282】
【化99】
【0283】
5-ブロモ-6-クロロ-2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール(2.2)の調製:
5-クロロ-2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール(2.1)(3.0kg、15.58モル)をMeCN(~2.6L)に添加した。その溶液に、10~20℃で、N-ブロモスクシンアミド(NBS)(2.8~3.2kg、17~19モル)を添加した。~6.5kgのトリフルオロ酢酸(TFA)を10~20℃でゆっくり添加し、その後、10~20℃で~6.7kgの硫酸(HSO)をゆっくりと添加した。反応は15~20℃で24~36時間進行した。第2のバッチのNBS(~0.35kg)を添加し、反応は15~20℃で24~36時間進行した。第3のバッチのNBS(~0.35kg)を添加し、反応は15~20℃で24~36時間進行した。第4のバッチのNBS(~0.35kg)を添加し、反応は15~20℃で24~36時間進行した。完了間近に、水(~5.8L)を添加し、溶液を0~5℃に冷却した。メチルターシャリ-ブチルエーテル(MTBE)(~5kg)を添加し、生成物をMTBEで3回抽出した。0~15℃で内部温度を維持しながら、有機層を10%のNaOH(aq)(~5kg)で塩基性化して、pH~10-12にした。その後の混合物を0~15℃で40~60分間撹拌した。それらの層を分離し、その後の有機層を水(~4L)で洗浄した。30℃未満の温度を維持しながら、有機層を減圧下で2X~6Xに濃縮した。収率=3.54Kg。純度=87.8%。
【0284】
5-(6-クロロ-2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-トリチルピラジン-2-アミン(2.3)の調製:
DMF(~20L)を、新たに調製した5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-N-トリチルピラジン-2-アミン(1.3)に添加し、溶液を15~30分間撹拌した。この溶液を、5-ブロモ-6-クロロ-2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール(2.2)MTBE溶液(2.28kg、12.44モル、1.0Xとしての正味量に添加した。CsF(~4kg)および水(~0.017kg)を添加し、溶液を窒素で3回脱気した。Pd(PPh(0.94kg、0.81モル)を窒素下で添加し、窒素で3回脱気し、反応は80~90℃で1~2時間進行した。完了後、反応物を15~25℃に冷まし、水(~4L)を添加した。DCM()を添加し、混合物を15~25℃で30~60分間撹拌し、その後、層を分離した。有機層を集め、反応容器を水できれいにし、DCMで3回逆洗浄した。有機層を組み合わせて、13X~14Xに濃縮した。MeOHを添加して蒸発させることを3回繰り返して、固形物を得て、これを遠心分離した。母液を除去し、結果として生じる固形物をDCM(13X~14X)に溶解した。MeOHを添加して蒸発させるプロセスをさらに3回繰り返し、混合物を遠心分離した。母液を分離し、結果として生じる固形物を、40~50℃で5~10時間乾燥させた。固形物をDCMに溶解し、透明になるまで15~25℃で30~60分間撹拌し、溶液をシリカゲル(5X~8X)に通して2回濾過した。結果として生じる母液を13X~14Xに濃縮し、MeIH(10X~11X)で溶解し、10~20℃で30~60分間撹拌した。混合物を遠心分離し、母液を分離した。この遠心分離プロセスを繰り返し、結果として生じる固形物を、40~50℃で16~20時間乾燥させた。収率=3.64kg。純度=99%。
【0285】
実施例3-化合物3.2の調製
【0286】
【化100】
【0287】
2-フルオロ-6-メチルベンゾイルクロリド(3.2)の調製:
DCM(2.5X~3.0X)およびDMF(0.00019X~0.00020X)を、2-フルオロ-6-メチル安息香酸(3.1)(0.88kg、5.71モル)に添加した。20~25℃で、塩化オキサリル((COCl))(0.98kg、7.72モル)を溶液に添加した。反応は20~30℃で16~20時間進行した。第2のバッチのDMF(0.00019X~0.00020)を添加し、反応は20~30℃で10~12時間進行した。トルエン(5X~6Xkg)を添加し、40℃未満の内部温度を維持しながら、反応物を2~3Xに濃縮した。この工程を繰り返し、すぐに使えるよう維持した。
【0288】
実施例4-化合物4.2の調製
【0289】
【化101】
【0290】
5-(6-クロロ-2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)ピラジン-2-アミン(4.1)の調製:
【0291】
エチルアルコール(8.5X~9.5X)を、5-(6-クロロ-2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-トリチルピラジン-2-アミン(2.3)(3.5kg、6.56モル)に添加した。10~20℃で、エチルアルコール(3.0X~3.3X)中の4N HClの溶液を、10~20℃でヘッドタンクを介して滴下した。反応は10~20℃で2~4時間進行した。反応物をブフナー漏斗によって濾過し、母液を集めて、遠心分離した。母液を除去し、その後の粗製固形物を、2-MeTHF(5.0X~5.5X)に溶解し、10~20℃で15~30分間撹拌した。溶液がpH8~9に達するまで、4%のNaHCO3(aq)(5.0X~5.5X)を、ヘッドタンクを介して10~20℃で滴下した。混合物を10~20℃で20~40分間撹拌し、その後、15~30分間静置した。有機層を集めて、2-MeTHFでの水溶液の逆洗浄を2回行った。有機層を組み合わせ、2-メルカプト安息香酸(0.09X~1.2X)を添加した。混合物を10~20℃で1~2時間撹拌した。10~20℃で、5%のNaCO3(aq)(3.9X~4.1X)を添加し、15~30分間撹拌し、15~30分間静置した。有機層を集め、NaCOでの洗浄をさらに3回繰り返した。その後、ブライン(4.9X~5.1X)でさらに3回洗浄した。有機層を集め、n-ヘプタン(5.0X~6.5X)を10~20℃でヘッドタンクを介して滴下した。溶液を0~5℃に冷却し、2~3時間撹拌した。結果として生じる固形物を濾過し、生成物を40~50℃で16~20時間乾燥させた。収率=1.68Kg。純度=99.2%。
【0292】
N-(5-(6-クロロ-2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-6-メチルベンズアミド(4.2)の調製:
【0293】
5-(6-クロロ-2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)ピラジン-2-アミン(4.1)(1.09kg、3.82モル)およびDCM(13.5X~14.5X)を、新たに調製した2-フルオロ-6-メチルベンゾイルクロリド(3.2)に添加した。窒素雰囲気下で、反応物を0~5℃に冷却し、ピリジン(0.98kg、12.4モル)を、5℃未満で、ヘッドタンクを介してゆっくり添加した。反応は0~5℃で16~20時間進行した。反応が完了するまで、ピリジン(0.98kg、12.4モル)を添加した。完了後、20℃より下の温度を維持しながら、5%のNaHCO3(aq)(10X~10.5X)を、ヘッドタンクを介して滴下した。混合物を10~20℃で1~2時間撹拌し、その後、15~30分間静置した。下部の層を集め、DCM(6.5X~7.0X)を添加した。溶液を10~20℃で15~30分間撹拌し、その後、15~30分間静置した。有機層を集め、40℃より下の内部温度を維持しながら、5~6Xに濃縮した。THF(10X~11X)を添加して、40℃未満の内部温度を維持しながら5~6Xに濃縮することを、3回繰り返した。MeOH(4X~5X)を10~20℃で添加し、2M NaOH(aq)(6X~7X)を20~30℃で添加した。反応物を30~40℃で3~6時間、または完了するまで撹拌した。反応物を5~10℃に冷却し、6M HCl(2~5X)を20℃でヘッドタンクを介して滴下し、pH=9~10に調節した。40℃より下の内部温度を維持しながら、溶液を15X~16Xに濃縮した。水(5X~6X)および酢酸エチル(10X~10.5X)を添加し;混合物を30~40℃で15~30分間撹拌し、その後、30~40℃で15~30分間で静置した。有機層を集め、このプロセスを繰り返した。有機層を組み合わせて、水(10X~10.5X)で3回洗浄した。40℃より下の内部温度を維持しながら、有機層を5X~6Xに濃縮した。n-ヘプタン(10X~10.5X)を添加し、溶液を10~15℃に冷却し、物質を濾過し、n-helptane(1X~2X)で洗浄した。その後の固形物をMeOH(19X~21X)に溶解し、40~50℃で1~2時間撹拌した。溶液を20~25℃に冷却し、結果として生じる固形物を濾過し、MeOH(1~2X)ですすいだ。結果として生じる固形物を0.1Xのシリカチオール(silicathiol)と混合し、20~30℃で1~2時間撹拌し、濾過し、MeOH(1X~2X)ですすいだ。50℃より下の内部温度を維持しながら、5~6Xに濃縮し、その後、イソプロピルアルコール(10X~10.5X)を添加した。50℃より下の内部温度を維持しながら、5~6Xに濃縮し、その後80~90℃に加熱した。溶液を80~90℃で1~2時間撹拌し、その後、-10~0℃に冷却した。混合物を-10~0℃で1~2時間撹拌し、結果として生じる固形物を濾過し、冷イソプロパノール(1X~2X)ですすいだ。ウェットケーキ(1.24kg)を、酢酸エチル(6X~7X)に溶解し、20~30℃で1~2時間撹拌した。40℃より下の内部温度を維持しながら、溶液を3X~4Xに濃縮した。イソプロピルアルコール(9.5X~10.5X)を添加し、40℃より下の内部温度を維持しながら、溶液を4~5Xに濃縮した。溶液を-10~0℃に冷却し、結果として生じる固形物を濾過し、冷イソプロピルアルコールですすいだ。生成物を40~50℃で16~20時間乾燥させた。収率=1.09Kg。純度=100%。
【0294】
本発明の特定の実施形態が本明細書で示され、記載されてきたが、こうした実施形態がほんの一例として提供されているに過ぎないということは当業者にとって明白である。多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者には思い浮かぶであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明の実施に際して利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法ならびに構造は、それにより包含されることが意図されている。
【国際調査報告】