IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニルバナ サイエンシーズ インク.の特許一覧

特表2022-532924発光波長の範囲が狭い発光染料、それを含む組成物及びそれを製造及び使用する方法
<>
  • 特表-発光波長の範囲が狭い発光染料、それを含む組成物及びそれを製造及び使用する方法 図1
  • 特表-発光波長の範囲が狭い発光染料、それを含む組成物及びそれを製造及び使用する方法 図2
  • 特表-発光波長の範囲が狭い発光染料、それを含む組成物及びそれを製造及び使用する方法 図3
  • 特表-発光波長の範囲が狭い発光染料、それを含む組成物及びそれを製造及び使用する方法 図4
  • 特表-発光波長の範囲が狭い発光染料、それを含む組成物及びそれを製造及び使用する方法 図5
  • 特表-発光波長の範囲が狭い発光染料、それを含む組成物及びそれを製造及び使用する方法 図6
  • 特表-発光波長の範囲が狭い発光染料、それを含む組成物及びそれを製造及び使用する方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(54)【発明の名称】発光波長の範囲が狭い発光染料、それを含む組成物及びそれを製造及び使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/22 20060101AFI20220712BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20220712BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220712BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220712BHJP
   A61K 47/56 20170101ALI20220712BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20220712BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220712BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20220712BHJP
   A61K 31/555 20060101ALI20220712BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
C07D487/22
A61K47/68
A61K47/64
A61K47/54
A61K47/56
A61K9/51
A61K9/16
A61K49/00
A61K31/555
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569278
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2020033606
(87)【国際公開番号】W WO2020236818
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/850,442
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521507604
【氏名又は名称】ニルバナ サイエンシーズ インク.
【氏名又は名称原語表記】NIRVANA SCIENCES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジェー マクネビン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス ブルース ピットナー
(72)【発明者】
【氏名】チー-ユアン チェン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C050PA02
4C050PA03
4C076AA31
4C076AA65
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD33
4C076EE01
4C076EE41
4C076EE59
4C085HH13
4C085KA03
4C085KA27
4C085KB37
4C085KB56
4C085KB67
4C085LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB04
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA38
4C086MA41
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB21
4C086ZB26
(57)【要約】
狭い発光バンドを有するクロリン誘導体が提供される。いくつかの実施態様において、クロリン誘導体はPEG化されている。いくつかの実施態様において、このクロリン誘導体は、高い水溶性(例えば、10mg/mL以上)を有する。いくつかの実施態様において、このクロリン誘導体は、PEG化されて高い水溶性を有する。このクロリン誘導体は、例えば、抗体及びナノ粒子と抱合体を形成するためのバイオ抱合可能基を含むことができる。このクロリン誘導体とその抱合体は、イメ-ジングや治療用途に使用できる。このクロリン誘導体を合成する方法も提供される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)で表される化合物。
【化1】
(式中、Mは、金属又は2つの水素原子であり;
、R10及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ及び下式で表されるリンカー基から選択され;
-L-(X-L-G
ここで、pは0又は1であり、Lはアルキリデンであり、Xは-C(=O)NH-又は-NHC(=O)-であり、Lは-(CHCHO)-アルキレン-(式中、qは1~24の整数を表す。)、アルキレン、又は置換アルキレンであり(任意に、この置換アルキレンは、ポリオキシエチレン鎖及び/又はアミド基を含む1又はそれ以上の基によって置換されたアルキレンである。);Gはバイオ抱合可能基であり;かつ
、R、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ、ハロ、ペルハロアルキル、スルホネート、スルホンアミド、エステル、カルボン酸、ホルミル、アセチル、式-L-(X-LGで表されるリンカー基及び可溶化基から選択され;
(ここで、この可溶化基は、-アリール-(R及び-アルキニル-アリール-(Rから選択される(式中、wは、0~5の整数であり、Rは、下式で表される基である。
-X-(L-R17
ここで、zは0又は1であり、Xは-CHNHC(=O)-、-C(=O)NH-アルキレン-NH-、又はトリアゾリルであり、Lは-C(=O)-アルキレン-C(=O)-NH-であり、R17は-(CO)-R18、-C(=O)C-(OCOR18及び-(CO)-C-C(=O)NH-C(R19から選択され、ここで、mは4以上の整数であり(任意に、mは8以上の整数であり)、nは1~5の整数であり、R18は低級アルキル(任意に、メチル)であり、R19は-CHO-C-C(=O)NH-(CO)18である。)。);
ただし、R、R、R12及びR13のうちの少なくとも1つが-アリール-(R又は-アルキニル-アリール-(Rである。)
【請求項2】
、R10及びR15が、水素原子、メトキシ及び式-L-(X-L-Gで表されるリンカー基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
10が、式-L-(X-L-Gで表されるリンカー基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
10が、式-L-(X-L-G(式中、Lがフェニレンであり、pが1であり、Xが-C(=O)NH-であり、Lがアルキレンであり、Gがカルボン酸又は活性エステルから選択される。)で表されるリンカー基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
10が、下式で表される、請求項4に記載の化合物。
【化15】
【請求項6】
及びR13がそれぞれ-アリール-(Rである(任意に、R及びR13がそれぞれ-フェニル-(Rである)、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
各Rが下式で表される基である、請求項6に記載の化合物。
-X-(L-R17
(式中、zは0であり、Xは-CHNHC(=O)-であり、R17は-(CO)-R18(式中、mは12~24の整数である。)である。)
【請求項8】
及びR13がそれぞれ下式で表される、請求項7に記載の化合物。
【化16】
【請求項9】
前記化合物が下式で表される、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【化17】
又は
【化18】
【請求項10】
以下の間で形成される共有結合した抱合体を含む組成物。
(a)R、R、R、R10、R12、R13及びR15の少なくとも1つがリンカー基である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、及び
(b)小分子、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体フラグメント、核酸、ホルモン及び成長因子から成る群のうちの1又はそれ以上。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物又は請求項10に記載の抱合体、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
標的を検出する方法であって、該標的が化合物、細胞又は粒子であり、該方法が、請求項10に記載の抱合体で標的を標識することを含む、方法。
【請求項13】
前記方法がフローサイトメトリーの使用を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
細胞、組織又は生物を画像化する方法であって、請求項1に記載の化合物又は請求項10に記載の抱合体の使用を含む、方法。
【請求項15】
治療を必要とする患者の疾患を治療する方法であって、以下を含む方法。
-請求項1の化合物、請求項10の抱合体、又は請求項11の医薬組成物を患者に投与する段階;及び
-患者の少なくとも一部に光を照射する段階
(任意に、該疾患が過剰増殖性疾患であり、さらに任意に、該疾患が癌である。)
【請求項16】
水溶液中で約1mg/mlより大きい溶解度を有する(任意に、水溶液中で約2.5mg/ml又はそれ以上の溶解度を有する、さらに任意に、水溶液中で約10mg/ml又はそれ以上の溶解度を有する)、水溶性クロリン染料。
【請求項17】
下式(I)で表される化合物の合成中間体を製造する方法であって、
【化1】
(式中、Mは、金属又は2つの水素原子であり;
、R10及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ及び下式で表されるリンカー基から選択され;
-L-(X-L-G
ここで、pは0又は1であり、Lはアルキリデンであり、Xは-C(=O)NH-又は-NHC(=O)-であり、Lは-(CHCHO)-アルキレン-(式中、qは1~24の整数を表す。)、アルキレン、又は置換アルキレンであり(任意に、この置換アルキレンは、ポリオキシエチレン鎖及び/又はアミド基を含む1又はそれ以上の基によって置換されたアルキレンである。);Gはバイオ抱合可能基であり;かつ
、R、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロ、シアノ、ペルハロアルキル、スルホネート、スルホンアミド、エステル、カルボン酸、ホルミル、アセチル、式-L-(X-LGで表されるリンカー基及び可溶化基から選択され;
(ここで、この可溶化基は、-アリール-(R及び-アルキニル-アリール-(Rから選択される(式中、wは、0~5の整数であり、Rは、下式で表される基である。
-X-(L)z-R17
ここで、zは0又は1であり、Xは-CHNHC(=O)-、-C(=O)NH-アルキレン-NH-、又はトリアゾリルであり、Lは-C(=O)-アルキレン-C(=O)-NH-であり、R17は-(CO)-R18、-C(=O)C-(OCOR18及び-(CO)-C-C(=O)NH-C(R19から選択され、ここで、mは4以上の整数であり(任意に、mは8以上の整数であり)、nは1~5の整数であり、R18は低級アルキル(任意に、メチル)であり、R19は-CHO-C-C(=O)NH-(CO)18である。)。);
ただし、R、R、R12及びR13のうちの少なくとも1つが-アリール-(R又は-アルキニル-アリール-(Rである。)
以下の段階から成る方法。
(a)下式(I')で表される化合物を提供する段階;及び
【化5】
(式中、Mは、金属又は2つの水素原子であり;
',R10'及びR15'は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ、
【化6】
から選択され;
',R',R12'及びR13'は、それぞれ独立して、水素原子、エステル、カルボン酸、ホルミル、アセチル、
【化7】
から選択され、
但し、R',R',R12'及びR13'のうちの少なくとも1つが
【化8】
である。)
(b)段階(a)で提供された化合物を、ジオキサン中に4モル(M)のHClを含む溶液と接触させて、下式(I")の化合物を提供する段階:
【化9】
(式中、Mは、金属又は2つの水素原子であり;
'',R10''及びR15''は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ、
【化10】
から選択され;
'',R'',R12''及びR13''は、それぞれ独立して、水素原子、エステル、カルボン酸、ホルミル、アセチル、
【化11】
から選択され、
但し、R'',R'',R12''及びR13''のうちの少なくとも1つが
【化12】
である。)
【請求項18】
下式のうちの一つで表される化合物であって、
【化17】
及び
【化18】
又は、その抱合体、但し、該化合物は、小分子、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体フラグメント、核酸、ホルモン及び成長因子からなる群のうちの1又はそれ以上に抱合している、化合物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本発明は、2019年5月20日に出願された米国仮特許出願第62/850,442号の優先権を主張し、本明細書にはその全体が参照により組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
この発明は、一般に、クロリン誘導体に関し、いくつかの実施態様において、範囲が狭い発光波長を有する水溶性クロリン誘導体に関し、更に、それらの抱合体、及びそのクロリン誘導体とその抱合体を作製及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水溶性で、かつナノ粒子から生物学的標的剤に至る他の物質との抱合に適した蛍光色素を必要とする用途が大いに拡大している。このような用途には、例えば、フローサイトメトリー、細胞及び全生物のイメージング、センシング、光線力学療法が含まれる。クロリンは、典型的には、赤(600~700nm)スペクトル領域に吸収を持ち、赤スペクトル領域で光化学研究に利用できる数少ない発色団の1つであるため、クロリン分子はこれらの用途において特に興味を持たれている。
上記の用途の成功は、(1)生理食塩水水溶液への有意な溶解性、それにより分子間凝集(及び励起状態の消光)を回避できる。(2)細胞成分への非特異的結合が最小限であること、(3)抱合するために単一の反応性基を組み込んでいること、それにより生成物間の架橋や混合を回避することができる。及び(4)実験のために十分な量を提供するロバストな合成ができること、などの重要な因子に依存する。しかし、クロリンの大きな疎水性面は、水溶性への挑戦を提供している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、新しいクロリン誘導体を提供する継続的な必要性が存在している。それには、水溶解度が改善されたもの(例えば、1mg/mLより大きい水溶解度)、特に多種多様な物質と容易に抱合することができるもの、及び/又は発光波長の範囲が狭い吸収及び発光バンドで特徴付けられるものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0005】
なお、この概要は、本発明のいくつかの実施態様を列挙し、多くの場合に、これらの実施態様の変形や置き換えを列挙している。この概要は、単に、多数のさまざまな実施態様の例示である。挙げられた実施態様において1又はそれ以上の代表的な特徴に言及しても、それは同様に例示的なものである。このような実施態様は、通常、言及された特徴の有無にかかわらず存在することができる。同様に、これらの特徴は、この概要に挙げられているかどうかにかかわらず、本発明の他の実施態様に適用可能である。過度の繰り返しを避けるために、この概要では、そのような特徴のすべての可能な組み合わせをリスト又は提案しているわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、いくつかの実施態様において、下式(I)で表される化合物を提供する。
【化1】
(式中、Mは、金属又は2つの水素原子であり;
、R10及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ及び下式で表されるリンカー基から選択され;
-L-(X-L-G
ここで、pは0又は1であり、Lはアルキリデンであり、Xは-C(=O)NH-又は-NHC(=O)-であり、Lは-(CHCHO)-アルキレン-(式中、qは1~24の整数を表す。)、アルキレン、又は置換アルキレンであり(任意に、この置換アルキレンは、ポリオキシエチレン鎖及び/又はアミド基を含む1又はそれ以上の基によって置換されたアルキレンである。);Gはバイオ抱合可能基であり;かつ
、R、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ、ハロ、ペルハロアルキル、スルホネート、スルホンアミド、エステル、カルボン酸、ホルミル、アセチル、式-L-(X-LGで表されるリンカー基及び可溶化基から選択され;
(ここで、この可溶化基は、-アリール-(R及び-アルキニル-アリール-(Rから選択される(式中、wは、0~5の整数であり、Rは、下式で表される基である。
-X-(L-R17
ここで、zは0又は1であり、Xは-CHNHC(=O)-、-C(=O)NH-アルキレン-NH-、又はトリアゾリルであり、Lは-C(=O)-アルキレン-C(=O)-NH-であり、R17は-(CO)-R18、-C(=O)C-(OCOR18及び-(CO)-C-C(=O)NH-C(R19から選択され、ここで、mは4以上の整数であり(任意に、mは8以上の整数であり)、nは1~5の整数であり、R18は低級アルキル(任意に、メチル)であり、R19は-CHO-C-C(=O)NH-(CO)18である。)。);
ただし、R、R、R12及びR13のうちの少なくとも1つが-アリール-(R又は-アルキニル-アリール-(Rである。)
【0007】
いくつかの実施態様において、R、R10及びR15は、水素原子、メトキシ及び式-L-(X-L-Gで表されるリンカー基から選択される。いくつかの実施態様において、R10は、式-L-(X-L-Gで表されるリンカー基である。いくつかの実施態様において、R10は、式-L-(X-L-Gで表されるリンカー基であり、Lがフェニレンであり、pが1であり、Xが-C(=O)NH-であり、Lがアルキレンであり、Gがカルボン酸又は活性エステルから選択される。
いくつかの実施態様において、R10は、下式で表される。
【化2】
いくつかの実施態様において、R及びR13はそれぞれ-アリール-(Rである(任意に、R及びR13がそれぞれ-フェニル-(Rである)。いくつかの実施態様において、各Rは、下式で表される基である。
-X-(L)z-R17
(式中、zが0であり、Xは-CHNHC(=O)-であり、
17は-(CO)-R18(式中、mは12~24の整数である。)である。)
いくつかの実施態様において、R及びR13はそれぞれ下式で表される。
【化3】
【0008】
いくつかの実施態様において、前記化合物は下式で表される。
【化4】
本発明は、いくつかの実施態様において、以下の間で形成される共有結合した抱合体を含む組成物を提供する。
(a)R、R、R、R10、R12、R13及びR15の少なくとも1つがリンカー基である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、及び
(b)小分子、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体フラグメント、核酸、ホルモン及び成長因子から成る群のうちの1又はそれ以上。
【0009】
本発明は、いくつかの実施態様において、式(I)で表される化合物、又は以下の間で形成される共有結合した抱合体、
(a)R、R、R、R10、R12、R13及びR15の少なくとも1つがリンカー基である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、及び
(b)小分子、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体フラグメント、核酸、ホルモン及び成長因子から成る群のうちの1又はそれ以上
及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明は、いくつかの実施態様において、標的を検出する方法を提供する。いくつかの実施態様において、この標的は化合物、細胞又は粒子であり、この方法は、以下の間で形成される共有結合した抱合体で標的を標識することを含む。
(a)R、R、R、R10、R12、R13及びR15の少なくとも1つがリンカー基である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、及び
(b)小分子、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体フラグメント、核酸、ホルモン及び成長因子から成る群のうちの1又はそれ以上
いくつかの実施態様において、この方法はフローサイトメトリーの使用を含む。
【0010】
本発明は、いくつかの実施態様において、細胞、組織又は生物を画像化する方法を提供する。いくつかの実施態様において、この方法は、式(I)で表される化合物、又は以下の間で形成される共有結合した抱合体の使用を含む。
(a)R、R、R、R10、R12、R13及びR15の少なくとも1つがリンカー基である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、及び
(b)小分子、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体フラグメント、核酸、ホルモン及び成長因子から成る群のうちの1又はそれ以上
本発明は、いくつかの実施態様において、治療を必要とする患者の疾患を治療する方法を提供する。いくつかの実施態様において、この方法は、以下の段階を含む。
-式(I)で表される化合物、又は以下の間で形成される共有結合した抱合体、
(a)R、R、R、R10、R12、R13及びR15の少なくとも1つがリンカー基である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、及び
(b)小分子、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体フラグメント、核酸、ホルモン及び成長因子から成る群のうちの1又はそれ以上
又はこの化合物若しくはこの抱合体を含む医薬組成物を患者に投与する段階;及び
-患者の少なくとも一部に光を照射する段階(任意に、この疾患は過剰増殖性疾患であり、さらに任意に、この疾患は癌である。)
本発明は、いくつかの実施態様において、水溶液中で約1mg/mlより大きい溶解度を有する(任意に、水溶液中で約2.5mg/ml又はそれ以上の溶解度を有する、さらに任意に、水溶液中で約10mg/ml又はそれ以上の溶解度を有する)、水溶性クロリン染料を提供する。
【0011】
本発明は、いくつかの実施態様において、下式(I)で表される化合物の合成中間体を製造する方法であって、
【化1】
(式中、Mは、金属又は2つの水素原子であり;
、R10及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ及び下式で表されるリンカー基から選択され;
-L-(X-L-G
ここで、pは0又は1であり、Lはアルキリデンであり、Xは-C(=O)NH-又は-NHC(=O)-であり、Lは-(CHCHO)-アルキレン-(式中、qは1~24の整数を表す。)、アルキレン、又は置換アルキレンであり(任意に、この置換アルキレンは、ポリオキシエチレン鎖及び/又はアミド基を含む1又はそれ以上の基によって置換されたアルキレンである。);Gはバイオ抱合可能基であり;かつ
、R、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ、ハロ、ペルハロアルキル、スルホネート、スルホンアミド、エステル、カルボン酸、ホルミル、アセチル、式-L-(X-LGで表されるリンカー基及び可溶化基から選択され;
(ここで、この可溶化基は、-アリール-(R及び-アルキニル-アリール-(Rから選択される(式中、wは、0~5の整数であり、Rは、下式で表される基である。
-X-(L)z-R17
ここで、zは0又は1であり、Xは-CHNHC(=O)-、-C(=O)NH-アルキレン-NH-、又はトリアゾリルであり、Lは-C(=O)-アルキレン-C(=O)-NH-であり、R17は-(CO)-R18、-C(=O)C-(OCOR18及び-(CO)-C-C(=O)NH-C(R19から選択され、ここで、mは4以上の整数であり(任意に、mは8以上の整数であり)、nは1~5の整数であり、R18は低級アルキル(任意に、メチル)であり、R19は-CHO-C-C(=O)NH-(CO)18である。)。);
ただし、R、R、R12及びR13のうちの少なくとも1つが-アリール-(R又は-アルキニル-アリール-(Rである。)
以下の段階から成る方法を提供する。
(a)下式(I')で表される化合物を提供する段階;及び
【化5】
(式中、Mは、金属又は2つの水素原子であり;
',R10'及びR15'は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ、
【化6】
から選択され;
',R',R12'及びR13'は、それぞれ独立して、水素原子、エステル、カルボン酸、ホルミル、アセチル、
【化7】
から選択され、
但し、R',R',R12'及びR13'のうちの少なくとも1つが
【化8】
である。)
(b)段階(a)で提供された化合物を、ジオキサン中に4モル(M)のHClを含む溶液と接触させて、下式(I")の化合物を提供する段階:
【化9】
(式中、Mは、金属又は2つの水素原子であり;
'',R10''及びR15''は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ、
【化10】
から選択され;
'',R'',R12''及びR13''は、それぞれ独立して、水素原子、エステル、カルボン酸、ホルミル、アセチル、
【化11】
から選択され、
但し、R'',R'',R12''及びR13''のうちの少なくとも1つが
【化12】
である。)
【0012】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、下式で表される化合物若しくはこれを含む医薬組成物、又はその抱合体である。
【化13】
いくつかの実施態様において、この化合物は、小分子、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体フラグメント、核酸、ホルモン及び成長因子からなる群のうちの1又はそれ以上に抱合している。
【0013】
したがって、本発明の目的は、クロリン誘導体、いくつかの実施態様において、水溶性クロリン誘導体、その抱合体、この誘導体及び/又はこの抱合体を含む医薬組成物、ならびにこれらを使用及び製造する方法を提供することである。
これら及び他の目的は、本発明によって全体的に又は部分的に達成される。さらに、上記の本発明の目的、本発明の他の目的、及び本発明の利点は、以下の説明、図及び実施例を検討すれば、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】スキーム1、即ち、本発明のジブロモクロリン誘導体の代表的なWHビルディングブロックを合成するための例示的なスキームである。
図2】スキーム2、即ち、本発明のジブロモクロリン誘導体の代表的なEHビルディングブロックを合成するための例示的なスキームである。
図3】化合物CP-1を合成するための例示的なスキームである、スキーム3である。
図4】化合物CP-1のウエスタンハーフを合成するための例示的なスキームである、スキーム4である。
図5】化合物CP-1のイースタンハーフ及び環化中間体化合物C-11を合成するための例示的なスキームである、スキーム5である。
図6】化合物CP-1合成の最終段階の例示的なスキームである、スキーム6である。
図7】化合物4合成の最終段階の例示的なスキームである、スキーム7である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、以下でより完全に記載される。しかし、そこには本発明のいくつかの実施態様が示されるが、全てではない。実際、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施態様に限定されるものと解釈すべきではない。これらの実施態様は、その開示が適用される法的要件を満たすように提供されたものである。
【0016】
I.定義
本明細書で使用する用語は、特定の実施態様のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。
本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、以下に別途定義されない限り、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有することを意図したものである。本明細書で採用される技術への言及は、当業者にとって明らかなこれらの技術の変形又は同等の技術の置換を含む、当技術分野で一般に理解されている技術へ言及したものである。
以下の用語は、当業者によってよく理解されると考えられるが、以下の定義は、本発明の説明を促進するために説明される。
本発明を説明するにあたり、多くの技術及び段階が開示されることが理解されるであろう。これらの各々は個々の利益を有し、それぞれは、他に開示された技術の1又はそれ以上又は任意に全てと共に使用することもできる。
従って、明瞭化のために、この説明では、不必要に個々の段階の可能な組み合わせのすべて繰り返すことを控える。にもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが完全に本発明の範囲及び特許請求の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【0017】
長年の特許法慣習に従って、特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その」は、使用される場合、「1つ以上」を指す。例えば、「蛍光性マイクロ粒子及び/又はナノ粒子」というフレ-ズは、複数の同じ蛍光性マイクロ粒子及び/又はナノ粒子を含む、1又はそれ以上の蛍光性マイクロ粒子及び/又はナノ粒子を指す。同様に、「少なくとも1つの」というフレ-ズは、実体を指すために本明細書で使用される場合、例えば、その実体の1, 2 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 75, 100又はそれ以上を含み、1~100及び100より大きいの整数値を含むが、これに限定されない。
【0018】
別段示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される、成分、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されるものとして理解されたい。質量、重量、時間、容量、濃度又は割合(%)のような測定可能な値を指すとき、本明細書で使用される「約」という用語は、明記される値から、いくつかの実施態様において±20%、いくつかの実施態様において±10%、いくつかの実施態様において±5%、いくつかの実施態様において±1%、いくつかの実施態様において±0.5%、ある実施態様では±0.1%の変動を含み、これらの変動は開示された方法を実施するために適当なものである。従って、反対であることを示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメ-タは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
本明細書で使用される場合、実体を列挙する文脈で使用される時、「及び/又は」という用語は、単独又は組み合わせで存在する実体を指す。従って、例えば、「A、B、C、及び/又はD」という語句は、A、B、C、及びDを個々に含むが、また、A、B、C、及びDの任意ならびに全ての組み合わせ及び部分組み合わせも含む。
【0019】
「を含む(including)」、「を含有する」、又は「によって特徴付けられる」と同義である「を含む(comprising)」という用語は、包括的又は無制限であり、引用されない追加の要素及び/又は方法ステップを除外しない。「を含む」は、特許請求の言語で使用される専門用語であり、名前を挙げた要素及び/又はステップが存在するが、他の要素及び/又はステップが追加されても依然として特許請求の範囲内である。
本明細書で使用される場合、「のみからなる」という語句は、特許請求の範囲内に明記されないいかなる要素、ステップ、又は成分も除外する。「のみからなる」という語句が、前文の直後ではなく、特許請求の範囲の本文の条項に出現する場合、それは、その条項内に説明される要素のみを限定し、他の要素は特許請求の範囲全体からは除外されない。
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という語句は、特許請求の範囲を、明記される材料及び/又はステップ、ならびに開示内容やクレ-ムの基本的及び新規の特徴(複数可)に実質的に影響を与えないものの範囲に限定する。例えば、蛍光性マイクロ粒子及び/又はナノ粒子が、ポリマーマトリックス及びそれと結合する少なくとも1つのクロリンから「本質的になる」という場合、言及されたポリマーマトリックスは、蛍光性マイクロ粒子及び/又はナノ粒子中に存在する唯一のポリマーマトリックスであるということを意味する。
【0020】
「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」という用語に関して、これら3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、本開示の主張される主題は、その他の2つの用語のいずれかの使用を含むことができる。例えば、いくつかの実施態様において、本発明は蛍光性マイクロ粒子及び/又はナノ粒子に関する。当業者は、本開示を概観した後で、本発明は、本発明のポリマーマトリックス及びそれに結合した少なくとも1つのクロリンから本質的になる蛍光性マイクロ粒子及び/又はナノ粒子、並びに、本発明のポリマーマトリックス及びそれに結合した少なくとも1つのクロリンのみからなる蛍光性マイクロ粒子及び/又はナノ粒子を含むことを理解するであろう。
【0021】
本明細書で使用される「ハロ」は、-F、-Cl、-Br及び-Iを含む任意の適切なハロゲンを指す。
本明細書で使用される「メルカプト」は、-SH基を指す。
本明細書で使用する「アジド」は、-N基を指す。
本明細書で使用される「シアノ」は、-CN基を指す。
本明細書で使用される「ヒドロキシル/水酸基」は、-OH基を指す。
本明細書で使用される「ニトロ」は、-NO基を指す。
【0022】
本明細書で単独又は別の基の一部として使用される「アルキル」は、1又は2~10,20又は50個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素である(例えば、C~Cアルキル、C~C10アルキル、C11~C50アルキル)。アルキルの代表例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「低級アルキル」は、アルキルのサブセットであり、いくつかの実施態様においては好ましいものであり、1~4個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指す。低級アルキルの代表例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどが含まれるが、これらに限定されない。用語「アルキル」又は「低級アルキル」は、他に指示がない限り、置換及び非置換アルキル並びに置換及び非置換低級アルキルの両方を含むことが意図され、これらの基は、以下から選択される基で置換されてもよい:ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル-S(O)m、アルケニル-S(O)m、アルキニル-S(O)m、シクロアルキル-S(O)m、ハロアルキル-S(O)m、シクロアルキルアルキル-S(O)m、アリール-S(O)m、アリールアルキル-S(O)m、ヘテロシクロ-S(O)m、ヘテロシクロアルキル-S(O)m、アミノ、カルボキシ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、尿素、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ又はシアノ(式中、mは0,1,2又は3である。)。
【0023】
本明細書で使用される「アルキレン」は、置換又は非置換であってもよい二官能性の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を指し、「アルキル」は上記で定義したとおりである。
本明細書中で単独又は別の基の一部として使用される「アルケニル」は、1又は2~10,20又は50個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖炭化水素であり(例えば、C~Cアルケニル、C~C10アルケニル、C50アルケニル、又は炭素数1~4の低級アルケニル)、通常鎖中に1~4個の二重結合を含む。アルケニルの代表例には、ビニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、4-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、2,4-ヘプタジエニル、などが含まれるが、これらに限定されない。
用語「アルケニル」又は「低級アルケニル」は、他に示されない限り、置換及び非置換のアルケニル又は低級アルケニルの両方を含み、これらの基は、上記のアルキル及び低級アルキルに関連して記載された基で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルケニレン」は、置換又は非置換であり得る二官能性の直鎖、分岐又は環状アルケニル基を指し、「アルケニル」は上記で定義したとおりである。
【0024】
本明細書中で単独又は別の基の一部として使用される「アルキニル」は、1又は20~10,20又は50個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖炭化水素であり(例えば、C~Cアルキニル;C~C10アルキニル;C11~C50アルキニル、又は炭素原子1~4個の低級アルキニル)、これは通常の鎖に1つの三重結合を含む。アルキニルの代表例には、2-プロピニル、3-ブチニル、2-ブチニル、4-ペンチニル、3-ペンチニルなどが含まれるが、これらに限定されない。「アルキニル」又は「低級アルキニル」という用語は、他に示されない限り、置換及び非置換のアルキニル又は置換及び非置換の低級アルキニルの両方を含むことが意図され、これらの基は、上記のアルキル及び低級アルキルに関連して説明したのと同じ基で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルキニレン」は、置換又は非置換であってもよい二官能性の直鎖、分岐又は環状アルキニル基を指し、「アルキニル」は上記で定義したとおりである。
本明細書で使用される「アルキリデン鎖」は、置換又は非置換であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい、二官能性直鎖状、分枝状及び/又は環状有機基を指し、任意にN、O及びSからなる群から選択される1,2又は3個のヘテロ原子を含有してもよい。その例には、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アルカリーレン及びアラルキレンが含まれるが、これらに限定されない。例えば、米国特許第6,946,533号を参照されたい。このアルキリデン鎖は、任意の適切な数の炭素原子を含んでもよい(例えば、C~C4;~C10;C10~C20;C20~C50)。
【0025】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「アルコキシ」は、オキシ基(-O-)を介して親分子部分に結合した本明細書で定義したアルキル基又は低級アルキル基をいう。アルコキシの代表例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「アシル」は、-C(O)R基(式中、Rはアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又は他の適切な置換基などの本明細書に記載された任意の適切な置換基である。)を指す。
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される「ハロアルキル」は、本明細書で定義されたアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義された少なくとも1つのハロゲンを指す。ハロアルキルの代表例としては、クロロメチル、2-フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-クロロ-3-フルオロペンチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「ペルハロアルキル」は、アルキル基の各水素原子がハロで置き換えられたアルキル基を指す。いくつかの実施態様において、このペルハロアルキルは、ペルフルオロアルキル基であり、アルキル基の各水素原子は、フルオロによって置き換えられている。代表的なペルハロアルキル基はトリフルオロメチル(即ち、-CF)である。
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される「アルキルチオ」は、本明細書で定義されたチオ部分を介して親分子部分に結合した本明細書で定義されたアルキル基を指す。アルキルチオの代表例には、メチルチオ、エチルチオ、t-ブチルチオ、ヘキシルチオなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される「アリール」は、単環式炭素環式環系又は1若しくはそれ以上の芳香族環を有する二環式炭素環式縮合環系をいう。アリールの代表例には、アズレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチルなどが含まれる。用語「アリール」は、他に示されない限り、置換及び非置換アリールの両方を含むことが意図され、これらの基は、上記のアルキル及び低級アルキルに関連して説明したのと同じ基で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アリーレン」は、置換又は非置換であってもよい二官能性アリール基を指し、「アリール」は上記で定義された通りである。
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「アリールアルキル」は、本明細書で定義されたアルキル基を介して親分子部分に結合した、本明細書で定義されたアリール基を指す。アリールアルキルの代表例には、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、2-ナフト-2-イルエチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「アルカリレン」及び「アラルキレン」は、本明細書で定義される、少なくとも1つのアリーレン基及び少なくとも1つのアルキル、アルケニル又はアルキニル基を含む二官能基を指す。
本明細書で使用される「アミノ」は、-NH基を意味する。
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される「アルキルアミノ」は、-NHR基(式中、Rはアルキル基である。)を意味する。
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される「アリールアルキルアミノ」は、-NHR基(式中、Rはアリールアルキル基である。)を意味する。
【0027】
本明細書中で単独で又は別の基の一部として使用される「二置換アミノ」は、-NR基(式中、R及びRは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキルから成る群から選択される。)を意味する。
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「アシルアミノ」は、-NR基(式中、Rは本明細書で定義されたアシル基であり、Rは水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキルから成る群から選択される。)を意味する。
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「アシルオキシ」は、-OR基(式中、Rは本明細書で定義されたアシル基である。)を意味する。
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「エステル」は、-C(O)OR基(式中、Rはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールなどの任意の適切な置換基である。)を指す。
本明細書で使用される「ホルミル」は、-C(O)H基を指す。
本明細書で使用される「カルボン酸」は、-C(O)OH基を指す。
【0028】
本明細書で使用される「スルホキシル」は、式-S(O)R(式中、Rはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールなどの任意の適切な置換基である。)で表される化合物を指す。
本明細書で使用される「スルホニル」は、式-S(O)(O)R(式中、Rはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールなどの任意の適切な置換基である。)で表される化合物を指す。
本明細書で使用される「スルホネート」は、式-S(O)(O)OR(式中、Rはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールなどの任意の適切な置換基である。)で表される化合物を指す。
本明細書で使用される「スルホン酸」は、式-S(O)(O)OHで表される化合物を指す。
本明細書中で単独又は別の基の一部として使用される「アミド」は、-C(O)NR基(式中、R及びRは水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールなどの任意の適切な置換基である。)を指す。
本明細書中で単独又は別の基の一部として使用される「スルホンアミド」は、-S(O)NR基(式中、R及びRは水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールなどの任意の適切な置換基である。)を指す。
【0029】
本明細書中で単独で又は別の基の一部として使用される「尿素」は、-N(R)C(O)NR基(式中、R、R及びRは水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールなどの任意の適切な置換基である。)を指す。
本明細書中で単独又は別の基の一部として使用される「アルコキシアシルアミノ」は、-N(R)C(O)OR基(式中、R、Rは水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールなどの任意の適切な置換基である。)を指す。
本明細書中で単独で又は別の基の一部として使用される「アミノアシルオキシ」は、-OC(O)NR基(式中、R及びRは水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールなどの任意の適切な置換基である。)を指す。
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「シクロアルキル」は、3,4又は5~6、7又は8個の炭素原子(この炭素原子は以下で議論されるような複素環基で置換されていてもよい。)を含む飽和又は部分不飽和の環式炭化水素基を指す。シクロアルキルの代表例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれる。これらの環は、任意に、ハロ又は低級アルキルなどの本明細書に記載された追加の置換基で置換されていてもよい。用語「シクロアルキル」は、一般的なものであり、特に明記しない限り、以下に述べる複素環式基を含むことが意図される。
【0030】
本明細書で使用される用語「ポリオキシエチレン鎖」は、ポリ(エチレングルコール)(PEG)基、例えば、式-(CO)-(式中、nは2以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、又は10以上)の整数である。)で表される基(但しこれに限定されない)、を含む又はそれのみからなる部分を指す。いくつかの実施態様において、nは、4~5000、4~1000、4~100、4~50、4~28、又は4~25の整数である。本明細書で使用される用語「ポリオキシエチレン鎖」は、単分散又は多分散のPEG鎖、及び直鎖又は分岐のPEG鎖を指してもよい。この「単分散」は、多分散度指数(PDI)が1のPEGを指し、この「多分散」はPDIが1より大きいPEGを指し、ここで、このPEGは、鎖長及び分子量がガウス分布のものを含む。
【0031】
本明細書で使用される用語「バイオ抱合可能基」は、別の実体(例えば、タンパク質;ペプチド;抗体又は抗体フラグメントなどの標的化剤;ポリマー;ナノ粒子、有機、ポリマー、又は無機ビ-ズなどの粒子;別の固体支持面など)上の基と結合(例えば、共有結合)を形成して、本発明のクロリン又はバクテリオクロリン化合物の1つと他の実体との抱合体を形成することができる反応性化学官能基を指す。このバイオ抱合可能基は、例えば、アルデヒド(還元的アミノ化を介して、アミノ置換生体分子上のアミノ基と共有結合を形成することができる。)又はカルボン酸(カルボジイミド活性化を介して、アミノ置換生体分子に結合することができる。)であってもよい。このバイオ抱合可能基には、イソシアネート、イソチオシアネート、ヨ-ドアセトアミド、アジド、ジアゾニウム塩などのアミン(アミン誘導体を含む);N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル(より一般的には、カルボン酸から誘導される活性エステル;例えば、p-ニトロフェニルエステル)、酸ヒドラジドなどのカルボン酸又は酸誘導体;アルデヒド、塩化スルホニル、スルホニルヒドラジド、エポキシド、ヒドロキシル基、チオ-ル基、マレイミド、アジリジン、アクリロイル、ハロ基、ビオチン、2-イミノビオチンなどの他の基が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
用語「マイクロ粒子」は、寸法(例えば、長さ、幅、直径など)が、約1,000μm未満であるが約1000nmより大きい少なくとも1つの領域を有する構造体を指す。この寸法は、いくつかの実施態様において約500μm未満、いくつかの実施態様において約250μm未満、いくつかの実施態様において約200μm未満、いくつかの実施態様において約150μm未満、いくつかの実施態様において約125μm未満、いくつかの実施態様において約100μm未満、いくつかの実施態様において約80μm未満、いくつかの実施態様において約70μm未満、いくつかの実施態様において約60μm未満、いくつかの実施態様において約50μm未満、いくつかの実施態様において約40μm、いくつかの実施態様において約30μm未満、いくつかの実施態様において約20μm未満、いくつかの実施態様において約10μm未満、及びいくつかの実施態様において約5μm未満であってもよい。いくつかの実施態様において、この寸法は、約1μmから約250μmの間(例えば、約5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、又は250μm)である。
同様に、用語「ナノ粒子」は、寸法(例えば、長さ、幅、直径など)が、約1,000nm未満である少なくとも1つの領域を有する構造体を指す。いくつかの実施態様において、この寸法は、より小さい(例えば、約500nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約125nm未満、約100nm未満、約100nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、又は約20nm未満)。いくつかの実施態様において、この寸法は、約5nmから約250nmの間(例えば、約1、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、又は250nm)である。
【0033】
いくつかの実施態様において、このマイクロ粒子又はナノ粒子はほぼ球形である。このマイクロ粒子又はナノ粒子がほぼ球形である場合、特徴的な寸法は球の直径に対応することができる。このマイクロ粒子又はナノ粒子は、球形に加えて、円盤形、板形(例えば、六角形の板状)、長方形、多面体、棒形、立方体、又は不規則な形であってもよい。
このマイクロ粒子又はナノ粒子は、コア領域(すなわち、この粒子の外寸の間の空間)及び外表面(すなわち、粒子の外寸を画定する表面)を含むことができる。いくつかの実施態様において、このマイクロ粒子又はナノ粒子は、マイクロ粒子又はナノ粒子のコアを取り囲むか又は部分的に取り囲む1又はそれ以上のコーティング層を有することができる。従って、例えば、球状のマイクロ粒子又はナノ粒子は、1又はそれ以上の同心コーティング層を有することができ、各連続層は、その粒子の中心により近いほどより小さな層が外表面上に広がる。
【0034】
用語「ポリマー」及び「ポリマー性」は、反復単位(すなわち、所与の化学的基礎構造の複数のコピ-)を有する化学構造を指す。ポリマーは、重合性モノマーから形成することができる。重合性モノマーは、反応して重合性モノマーの他の分子上の部分と結合(例えば、共有結合又は配位結合)を形成することができる1又はそれ以上の部分を含む分子である。いくつかの実施態様において、各重合性モノマー分子は、2又はそれ以上の他の分子/部分に結合することができる。いくつかの場合では、重合性モノマーは他の1つの分子にのみ結合し、ポリマー材料の末端を形成する。
ポリマーは、有機、無機、又はそれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する「無機」という用語は、炭素、水素、窒素、酸素、硫黄、リン、又はハロゲンの1つ以外の少なくともいくつかの原子を含む一つの化合物又は組成物を指す。従って、例えば、無機化合物又は無機組成物は、1若しくはそれ以上のケイ素原子及び/又は1若しくはそれ以上の金属原子を含有することができる。いくつかの実施態様において、このポリマーはポリスチレンであり、このマイクロ粒子及び/又はナノ粒子はポリスチレンでできている。いくつかの実施態様において、このマイクロ粒子及び/又はナノ粒子はポリスチレンビ-ズである。
【0035】
本明細書で使用される用語「ポルフィリン」は、典型的には、4つの窒素原子及び様々な金属原子を容易に置換できる2つの置換可能な水素を有する4つのピロール環から構成される環状構造体を指す。典型的なポルフィリンはヘミンである。
本明細書で使用される「クロリン」は、1つの部分的に飽和したピロール環を有する点で、ポルフィリンとは異なる。植物の光合成の緑色色素であるクロロフィルの基本的な発色団はクロリンである。「クロリン」及び「クロリン誘導体」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0036】
「結合する」というフレ-ズは、2つの実体の間の任意の相互作用を意味し、例えば、ポリマーマトリックスとクロリンとの間の任意の相互作用を意味する。いくつかの実施態様において、ポリマーマトリックスとクロリンは非共有結合(疎水的、静電的及びファンデアワァ-ルス相互作用のうちの1つ以上などであるがこれらに限定されない)によって互いに結合する。いくつかの実施態様において、ポリマーマトリックス(例えば、ナノ粒子、マイクロ粒子、ビ-ズなど)とクロリンは、クロリンがポリマーマトリックス内に存在するように、ポリマーマトリックスがクロリンを包含する結果として、互いに結合する。そのような実施態様において、このポリマーマトリックスは、クロリンによって「ド-プされた」又はクロリンで「ド-プされた」とも呼ばれ、そのクロリンは、ポリマーマトリックス内に「埋め込まれた」と見なすことができる。いくつかの実施態様において、ポリマーマトリックスとクロリンは、クロリンをポリマーマトリックスの表面に付着させる共有結合によって互いに結合する。
【0037】
本明細書で使用される「治療」は、疾患又は障害の1又はそれ以上の症状が改善されるか、又は有益に変更される如何なる方法をも意味する。この「治療」は、また、疾患若しくは障害を媒介する過剰増殖組織若しくは

血管新生、又は過剰増殖組織若しくは血管新生が関与する疾患若しくは障害を治療するための使用方法のような、本発明の組成物の任意の薬学的使用方法をも包含する。本明細書においては、特定の化合物又は医薬組成物の投与による特定の障害の症状の改善は、その組成物の投与に起因するか又は関連することのできる、永続的又は一時的、持続的又は一時的であるかどうかにかかわらず、如何なる軽減をも指す。
本明細書で使用される「プロドラッグ」は、インビボ投与された場合に、1又はそれ以上のステップ又はプロセスによって代謝されるか、又は生物学的、薬学的又は治療的に、活性な形態の化合物に変換される化合物である。
【0038】
本明細書で使用される「抗体」は、一般に、抗原に特異的に結合して免疫複合体を形成する免疫グロブリン又はそのフラグメントを指す。この抗体は、任意のクラスの全免疫グロブリン(例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE)、二重又は複数の抗原又はエピト-プ特異性を有するキメラ又はハイブリッド抗体であってもよい。それは、ポリクローナル抗体、好ましくはヒト又は適切な動物(例えば、霊長類、ヤギ、ウサギ、マウスなど)から得たアフィニティ-精製された抗体であってもよい。モノクローナル抗体もまた、本発明での使用に適しており、それらの高い特異性のために好ましい場合がある。これらは、免疫原性抗原調製物による哺乳動物の免疫化、免疫リンパ又は脾臓細胞と不死の骨髄腫細胞株との融合、及び特定のハーブリドーマクローンの単離、という現在は従来の手順と考えられているものによって容易に調製される。モノクローナル抗体を調製するより新しい方法(例えば、種間融合や超可変領域の遺伝子工学的操作など)も、それらの有用性に影響を与えるのは主に抗体の抗原特異性であるため、除外されない。また、モノクローナルを産生するためのより新しい技術(例えば、ヒトモノクローナル抗体、種間モノクローナル抗体、キメラ(例えば、ヒト/マウス)モノクローナル抗体、遺伝子操作された抗体など)を使用してもよい。
【0039】
従って、用語「抗体」及び「複数の抗体」は、免疫グロブリン遺伝子又はその断片によって実質的にコードされる1又はそれ以上のポリペプチドを含むタンパク質を指す。免疫グロブリン遺伝子には通常、カッパ(κ)、ラムダ(λ)、アルファ(α)、ガンマ(γ)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)及びミュ-(μ)不変領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖は、κ又はλに分類される。哺乳動物において、重鎖はγ、μ、α、δ、又はεに分類され、それぞれ免疫グロブリンのクラス、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを定義する。他の種は、他の軽鎖及び重鎖遺伝子を有し(例えば、特定の鳥類は、鶏が卵の卵黄に沈着する免疫グロブリン型であるIgYと称されるものを産生する。)、これらも同様に本発明に含まれる。
【0040】
典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体はポリペプチド鎖の2つの同一のペアで構成され、各ペアは1つの「軽」鎖(平均分子量約25 kDa)と1つの「重」鎖(平均分子量約50~70 kDa)を持つ。ポリペプチド鎖の2つの同一ペアは、重鎖領域内に存在するジスルフィド結合によって二量体の形で共に保持される。各鎖のN末端は、抗原認識に主として関与する約100~110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を画定する。可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)という用語は、それぞれこれらの軽鎖及び重鎖を指す。
抗体は、典型的には、無傷の免疫グロブリンとして、又はさまざまなペプチダ-ゼによる消化によって生成されうる十分に特徴付けられた多くの断片として、存在する。例えば、ある抗体分子をパパインで消化すると、ジスルフィド結合のN末端の位置で抗体が切断される。これにより、3つの断片が生成される。即ち、軽鎖と重鎖のN末端を持つ2つの同一の「Fab」断片と、ジスルフィド結合で結合した重鎖のC末端を含む一つの「Fc」断片である。一方、ペプシンは、抗体をヒンジ領域のジスルフィド結合のC末端で消化して、「F(ab)'2」断片として知られる一つの断片を生成する。これは、ジスルフィド結合で結合された2つのFab断片の二量体である。このF(ab)'2断片は穏やかな条件下で還元され、ヒンジ領域のジスルフィド結合を破壊し、F(ab')2二量体を2つのFab'単量体に変換する。このFab'単量体は、本質的に、このヒンジ領域の一部を有するFab断片である。これらの様々な断片に関して、Fab、F(ab)'2及びFab断片は、少なくとも1つの無傷の抗原結合ドメイン(「パラト-プ」という。)を含み、従って抗原に結合することができる。
【0041】
無傷の抗体の消化に関してさまざまな抗体断片が定義されているが、当業者は、これらのさまざまな断片(Fab'断片を含むがこれらに限定されない)が化学的に、又は組換えDNA法を利用して新規に合成できることを理解するであろう。従って、本明細書で使用される用語「抗体」は、抗体全体の修飾によって産生された抗体断片と、組換えDNA法を使用して新たに合成された抗体断片の両方を含む。いくつかの実施態様において、この用語「抗体」は、少なくとも1つの抗原結合ドメインを有する断片を含む。
【0042】
また、本発明の抗体、断片及び誘導体は、キメラ抗体を含むことができる。本明細書において抗体の文脈で使用される用語「キメラ」とその文法的変形は、ある種の抗体不変領域に実質的に又は排他的に由来する不変領域と、これとは他の種の可変領域に実質的に又は排他的に由来する可変領域とを有する抗体誘導体を指す。特定の種類のキメラ抗体は「ヒト化」抗体であり、この抗体は、そのヒト抗体の決定部位(CDR)を、例えば、マウス抗体の相補性決定部位(CDR)に置き換えることにより抗体が産生される(例えば、国際公開WO 1992/22653を参照されたい。)。従って、いくつかの実施態様において、ヒト化抗体は、対応するヒト抗体領域に実質的又は排他的に由来する決定部位(CDR)ではない不変領域と可変領域を持ち、ヒト以外の哺乳動物に実質的又は排他的に由来する決定部位(CDR)を持つ。
本発明の抗体、断片及び誘導体は、単鎖抗体及び単鎖抗体断片であってもよい。単鎖抗体断片は、本明細書に記載の抗体全体の可変領域及び/又は決定部位(CDR)の少なくとも1つを有するアミノ酸配列を含むが、それらの抗体の不変ドメインの一部又は全てを欠く。これらの不変ドメインは、抗原結合に必要ではないが、抗体全体の構造の大部分を構成している。
【0043】
単鎖抗体断片は、不変ドメインの一部又は全部を含む抗体の使用に関連する問題のいくつかを克服することができる。例えば、単鎖抗体断片には、生体分子と重鎖不変領域との間の望ましくない相互作用や、この他の望ましくない生物活性がない、という傾向がある。さらに、一本鎖抗体断片は、抗体全体よりもかなり小さく、抗体全体よりも毛細血管透過性が高いため、より効率的に局在化して、標的抗原結合部位に結合することができる。また、抗体断片は、原核細胞で比較的大規模に産生されるため、その製造が促進される。さらに、単鎖抗体断片のサイズは比較的小さいため、抗体全体よりもレシピエントで免疫応答を引き起こす可能性が低い。本発明の単鎖抗体断片には、本発明の単鎖抗体断片には、単鎖断片可変(scFv)抗体及びその誘導体、例えば、タンデムジ-scFv、タンデムトリーscFv、ダイアボディが含まれ、更に、二重特異性ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニ抗体、ミニボディ、4価の二重特異性分子、二重特異性F(ab')2断片などが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用される「感染剤」は、侵入する微生物又は寄生生物を意味する。本明細書で使用される「微生物」は、ウイルス、細菌、リケッチア、マイコプラズマ、原生動物、真菌及び同様の微生物を示し、「寄生生物」は、感染性で、一般に微視的又は非常に小さな多細胞無脊椎動物若しくはその卵子又は幼体であって、抗体誘発性のクリアランス又は溶菌性又は食細胞性破壊の影響を受けやすいもの(例えば、マラリア寄生生物、スピロシェットなど)をいう。
本明細書で使用される「腫瘍」は新生物を意味し、良性及び悪性腫瘍の両方を含む。この用語は、特に、固形(乳癌、肝臓癌、又は前立腺癌など)又は非固形(白血病など)のいずれであってもよい悪性腫瘍を含む。また、この腫瘍は、更に、腺癌(乳房、前立腺、肺など)などの、サブタイプに分類することもできる。
【0045】
本明細書で使用される「標的」は、本発明の方法によって検出、診断、傷付け又は破壊されることを意図する対象を意味し、標的細胞、標的組織及び標的組成物を含む。
本明細書で使用される「標的組織」及び「標的細胞」は、この治療方法によって傷付けるか又は破壊されることを意図されている組織である。光増感化合物は、これらの標的組織又は標的細胞に結合し又は集まり、その後、十分な放射線が照射されると、これらの組織又は細胞が傷付けられるか又は破壊される。標的細胞は、標的組織内の細胞であり、この標的組織には、血管内皮組織、腫瘍の異常な血管壁、頭頸部の腫瘍などの固形腫瘍(ただしこれらに限定されない)、目の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、乳房の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、造血及びリンパ組織の非固形腫瘍及び悪性細胞、血管新生組織、自己免疫疾患に関連する血管系、骨髄、組織又は細胞の他の病変が含まれるが、これらに限定されない。この標的細胞には、非標的細胞と比較して実質的により迅速な分裂を受けている細胞もまた含まれる。
【0046】
本明細書で使用される「非標的組織」は、この治療方法によって傷付いたり破壊されたりすることを意図されていない対象中の全ての組織である。これらの非標的組織には、健康な血球及びその他の正常組織、他の方法で標的として特定されていないものが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「標的組成物」は、この治療方法によって傷付いたり破壊されることが意図される組成物であり、病原体(バクテリア、ウイルス、真菌、原生動物、毒素、それらに感染又は浸潤した細胞及び組織)を含むがこれらに限定されない。また、この「標的組成物」は、プリオン、毒素、ペプチド、ポリマー、及び、この治療方法によって傷付けるか破壊されることを意図した有機標的として選択的かつ特異的に同定することができる他の化合物などの感染性有機粒子を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「過剰増殖性組織」は、制御不能に成長する組織を意味し、腫瘍性組織、腫瘍及び抑制されていない血管の成長(加齢に伴う黄斑変性症に見られ、緑内障手術後にしばしば発生する血管の成長など)が含まれる。
本明細書で使用される「過剰増殖性障害」は、無秩序又は異常な細胞増殖によって引き起こされる過剰な細胞増殖を根本的な病理として共有する状態の障害であって、制御されていない血管新生が含まれる。この過剰増殖性障害の例には、癌又は癌腫、急性及び膜性増殖性糸球体腎炎、骨髄腫、乾癬、アテローム性動脈硬化症、乾癬性関節炎、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、角膜血管新生、脈絡膜血管腫、翼状片(pterygii)の再発、エキシマレーザー手術と緑内障濾過手術による瘢痕が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用される「治療有効用量」は、進行の防止又は疾患の退行を引き起こすのに十分な用量、又は疾患によって引き起こされる症状を軽減することができる用量である。
本明細書で使用される「生物学的材料」は、組織(生検組織など)及び細胞の両方、ならびに血液、尿、血漿、脳脊髄液、粘液、痰などの体液を指す。
【0048】
本明細書で使用される「照射」及び「照射」は、対象をすべての波長の光に曝すことを含む。その照射波長は、好ましくは、その感光性化合物を励起する波長に適合するように選択される。その放射波長は、好ましくは、その感光性化合物の励起波長に適合し、血液タンパク質を含む対象の非標的組織による吸収が低い。
照射は、そのコヒ-レンス(レーザー)又は非コヒ-レンス(非レーザー)、ならびに光増感化合物を用いた投薬に関する強度、持続時間及びタイミングによってさらに定義される。その強度又はフルエンス率は、光が標的組織に到達するのに十分でなければならない。その持続時間又は総フルエンス線量は、光増感化合物が標的組織に十分に作用するように光活性化が十分でなければならない。また、光増感化合物の投与に関するタイミングは重要である。なぜなら1)投与された光増感化合物は、標的組織に戻るのにしばらく時間がかかる、及び2)多くの光増感化合物の血中濃度は時間とともに減少するからである。照射ネルギ-は、エネルギ-源によって提供される。このエネルギ-源は、例えば、被験者の外部にある、又は被験者に埋め込まれている、又は被験者に導入された(例えば、カテーテルや光ファイバーによって、又は、カプセル又はピルの形態(例えば、米国特許第6,273,904号)で光源を摂取することによって)、レーザーや冷陰極光源などである。
【0049】
本発明のいくつかのいくつかの実施態様は、腫瘍を破壊するために光線力学療法(PDT)を投与するための光エネルギ-の使用に向けられているが、他の形態のエネルギ-も、本発明の範囲内であり、それは当業者に理解されるであろう。このような形態のエネルギ-には、熱、音波、超音波、化学、光、マイクロ波、イオン化(X線やガンマ線など)、機械的及び電気が含まれるが、これらに限定されない。例えば、音響力学的に誘導又は活性化される薬剤には、ガリウム-ポルフィリン複合体 (Yumita et al. (1997) Cancer Letters 112:79-86)、プロトポルフィリン及びヘマトポルフィリンなどの他のポルフィリン複合体 (Umemura et al. (1996) Ultrasonics Sonochemistry 3:S187-S191)、超音波療法の存在下で使用されるダウノルビシンやアドリアマイシンなどの他の抗がん剤 (Yumita et al. (1987) Japanese Journal of Hyperthermic Oncology 3(2):175-182) が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「カップリング剤」は、光増感剤を標的剤にカップリングすることができる試薬を指す。
「標的化剤」は、特定の組織、受容体、感染剤、又は治療される対象の身体の他の領域(標的組織又は標的組成物など)に、帰着する又はそれらに優先的に結合若しくは関係する化合物を指す。標的化剤の例には、抗体、リガンド、リガンド-受容体結合対の1メンバ-、核酸、ペプチド-核酸(PNA)、アプタマー、タンパク質及びペプチド、ならびにリポソ-ム懸濁液(組織-標的化されたリポソ-ムを含む)が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用される「特異的結合対」及び「リガンド-受容体結合対」は、2つの異なる分子を指し、その分子の一方は、他方の分子の特定の空間的又は極性組織を特異的に引き付けるか又は結合する表面上又は空洞内の領域を有し、これが両方の分子が互いに親和性を持つことを引き起こす。この特異的結合対の2つのメンバ-は、リガンド及び受容体(抗リガンド)と呼ばれる。リガンド及び受容体という用語は、リガンドと受容体との間で結合が起こるのに十分な、リガンド又は受容体全体、又はそれらの一部を含む。リガンド-受容体結合対の例には、ホルモンとホルモン受容体(例えば、上皮成長因子と上皮成長因子受容体、腫瘍壊死因子-αと腫瘍壊死因子-受容体、及びインターフェロンとインターフェロン受容体、アビジンとビオチン又はアンチビオチン);抗体と抗原のペア;酵素と基質、薬物と薬物受容体;細胞表面抗原とレクチン;2つの相補的な核酸鎖;核酸鎖と相補的オリゴヌクレオチド;インターロイキンとインターロイキン受容体;並びに刺激因子とその受容体(顆粒球マイクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)とGMCSF受容体、及びマイクロファージコロニー刺激因子(MCSF)とMCSF受容体など)が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
「リンカー」は、バイオ抱合可能基、クロスカップリング基、表面付着基、親水性基等を、親分子に結合させるのに用いられる、芳香族又は脂肪族基(置換又は非置換で、任意に、N、O又はSなどのヘテロ原子を含むことができる)である。このリンカーの例には、アリール、アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル(例えば、オリゴエチレングルコール)、ペプチド及び多糖などのリンカーが含まれるが、これらに限定されない。
診断又は治療ために本発明の方法によって治療される患者(対象)には、ヒト患者及び獣医目的の他の動物の患者(特に、イヌ、ネコ、ウマ、サル、チンパンジ-などの哺乳動物患者)の両方が含まれる。
より具体的には、本明細書で使用される「患者」、「対象」及び「レシピエント」という用語は、交換可能に使用することができ、任意の無脊椎動物又は脊椎動物種のメンバ-を指してもよい。従って、用語「患者」は、動物界の任意のメンバ-を包含することを意図しており、それは、脊索動物門(例えば。骨魚類(硬骨魚)、両生類(両生類)、爬虫類(爬虫類)、鳥類(鳥)及び哺乳類(哺乳動物))を含むがこれらに限定されない。
【0052】
本発明の組成物及び方法は、特に、温血脊椎動物にとって有用である。したがって、本発明は、哺乳類及び鳥類に関する。より具体的には、哺乳動物に由来する及び/又は哺乳動物で使用するための組成物及び方法が提供される。この哺乳動物には、例えば、ヒトや他の霊長類が含まれ、更に絶滅の危機に瀕しているために重要な哺乳類(シベリアトラなど)、ヒトにとって経済的に重要な哺乳類(人間が消費するために農場で飼育された動物)及び/又は社会的に重要な哺乳類(ペット又は動物園で飼育されている動物)が含まれる。また、本発明の組成物及び方法を鳥類に使用する方法も提供される。この鳥類には、絶滅の危機に瀕している鳥、動物園で飼育されている鳥、ペットとして飼われている鳥(オウム、オカメインコなど)、具体的には、例えば、七面鳥、鶏、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウなどの家禽も、それらもヒトにとって経済的に重要であるため、含まれる。従って、本発明の組成物及び方法を家畜に使用する方法も提供される。この家畜には、飼いならされた豚(子豚及び食用豚)、反芻動物、馬、家禽などが含まれるがこれらに限定されない。
【0053】
II.クロリン化合物
本発明は、いくつかの実施態様において、クロリン誘導体を提供する。いくつかの実施態様において、本発明のクロリン誘導体は、水溶性クロリン誘導体であり、ここで、このクロリン誘導体は、水溶液(例えば、水、生理食塩水、PBSなど)に約1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)又はそれ以上の溶解度を有する。水溶性は、例えば、β-ピロールの位置にPEG鎖を含む可溶化基を加えることによって提供される。いくつかの実施態様において、このPEG鎖は、異なる基を介してクロリンに結合され、及び/又は上記のPEG化クロリン化合物に結合したPEG鎖よりも長い。いくつかの実施態様において、本発明のクロリンの水溶液への溶解度は約2.5mg/mL又はそれ以上である。いくつかの実施態様において、このクロリンは、約5.0mg/mL以上の水溶液への溶解度を有する。いくつかの実施態様において、このクロリンは、約10mg/mL以上の水溶液への溶解度を有する。いくつかの実施態様において、このクロリンは、水溶液中で約700、約800、約900μM又はそれ以上の溶解度を有する。いくつかの実施態様において、このクロリンは、水溶液中で約1、1.5、2、2.5又は3mM以上の溶解度を有する。
いくつかの実施態様において、このクロリン誘導体(水溶性クロリン誘導体を含むがこれに限定されない)は、バイオ抱合可能基を含むリンカー部分を含み、このバイオ抱合可能基は、このクロリン誘導体を、例えば、標的化剤や検出される物質として作用することができる別の物質に抱合するために使用することができる。いくつかの実施態様において、このクロリン誘導体を抱合体することができる物質は、小分子(例えば、約900ダルトン(Da)又はそれ以下の分子量を有する非ポリマー合成分子)、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体断片、核酸、ホルモン、又は成長因子である。このバイオ抱合可能基は、例えば、カルボン酸又は活性エステル、ヒドロキシル、アミン、チオ-ル、又はアルデヒドを含んでもよい。いくつかの実施態様において、このリンカー部分は、更に、アリーレン基及びアルキレン基の両方を含む。いくつかの実施態様において、このリンカー部分は、主クロリン構造の近位にあるアリーレン基及び/又はアルキニレン基を含み、但し、アルキレン基は、バイオ抱合可能基の近位にある。
【0054】
本発明のクロリン誘導体は、少なくとも1つの可溶化基を含んでもよい。いくつかの実施態様において、この可溶化基は、1又はそれ以上のポリオキシエチレン鎖(PEG鎖)を含む。いくつかの実施態様において、この可溶化基は、少なくとも2つのPEG鎖を含む。いくつかの実施態様において、このPEG鎖は単分散であり、少なくとも4つの-CHCHO-繰り返し単位を含む。いくつかの実施態様において、このPEG鎖は、少なくとも6、8、10又は12の-CHCHO-繰り返し単位を含む。したがって、この可溶化基は、2つのPEG6、PEG8、PEG10又はPEG12基を含んでもよい。いくつかの実施態様において、このPEG鎖は、12又はそれ以上の-CHCHO-繰り返し単位(例えば、約12~約24又は約28の-CHCHO-繰り返し単位)を含む。いくつかの実施態様において、この化合物は、2つの異なるピロリック炭素原子に結合した2つの可溶化基を含む。いくつかの実施態様において、この2つの可溶化基は、それぞれ、2つのPEG鎖を含む。
いくつかの実施態様において、この可溶化基は、β-ピロール置換基であり、この置換基はβ-ピロール炭素原子に直接結合したアリーレン又はアルキニル-アリーレン基を含むが、この基は、PEG鎖とアリールとの間に直接オキソリンカーを含まない。いくつかの実施態様において、この可溶化基は、このアリール基とPEG鎖との間に1又はそれ以上のアミド結合を含む。いくつかの実施態様において、このアミド結合は、更に1又はそれ以上のアルキレンスペーサー(例えば、エチレン、プロピレンなど)を含む。
【0055】
いくつかの実施態様において、このクロリン誘導体は、式(I)の化合物である:
【化1】
(式中、Mは、金属又は2つの水素原子であり;
、R10及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ及び下式で表されるリンカー基から選択され;
-L-(X-L-G
ここで、pは0又は1であり、Lはアルキリデンであり、Xは-C(=O)NH-又は-NHC(=O)-であり、Lは-(CHCHO)-アルキレン-(式中、qは1~24の整数を表す。)、アルキレン、又は置換アルキレンであり(例えば、この置換アルキレンは、ポリオキシエチレン鎖及び/又はアミド基を含む1又はそれ以上の基によって置換されたアルキレンである。);Gはバイオ抱合可能基であり;かつ
、R、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ、ハロ、ペルハロアルキル(例えば、トリフロロメチルを含む、但しこれに限定されない、ペルハロアルキル)、スルホネート、スルホンアミド、エステル、カルボン酸、ホルミル、アセチル、式-L-(X-LGで表されるリンカー基及び可溶化基から選択され;
(ここで、この可溶化基は、-アリール-(R及び-アルキニル-アリール-(Rから選択される(式中、wは、0~5の整数であり、Rは、下式で表される基である。
-X-(L-R17
ここで、zは0又は1であり、Xは-CHNHC(=O)-、-C(=O)NH-アルキレン-NH-、又はトリアゾリルであり、Lは-C(=O)-アルキレン-C(=O)-NH-であり、R17は-(CO)-R18、-C(=O)C-(OCOR18及び-(CO)-C-C(=O)NH-C(R19から選択され、ここで、mは4以上(例えば、少なくとも8、少なくとも10又はそれ以上、又は少なくとも12又はそれ以上)の整数であり、nは1~5の整数であり、R18は低級アルキル(例えば、メチル)であり、R19は-CHO-C-C(=O)NH-(CO)18である。)。);
ただし、R、R、R12及びR13のうちの少なくとも1つが-アリール-(R又は-アルキニル-アリール-(Rである。)
【0056】
Mは、任意の適切な金属イオン(例えば、Pd、Pt、Mg、Al、Ga、In、Sn、Au、Ni、Cu、Co、Fe又はZn)であるか、又は何も存在しない(例えば、この場合、それは2つの水素(-H、-H)で置き換えることができる。すなわち、このクロリン環の2つの窒素原子がプロトン化される。)いくつかの実施態様において、MはZnであるか、又は2つの水素原子(-H、H)で置換される。したがって、式(I)で表される化合物は、メタロクロリン誘導体及び遊離塩基クロリン誘導体を含む。
いくつかの実施態様において、R、R10及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ及び式-L-(X-L-Gで表されるリンカー基から選択される。いくつかの実施態様において、R、R10及びR15のうちの少なくとも1つは、式-L-(X-L-Gで表されるリンカー基である。いくつかの実施態様において、R10は、式:-L-(X-L-Gで表されるリンカー基である。
いくつかの実施態様において、L1は、アリーレン又はアルカリレン(例えば、アリール基に結合したアルケニル又はアルキニル基を含む)である。いくつかの実施態様において、Lはフェニレン又はC≡C-フェニル-である。いくつかの実施態様において、pは1であり、このリンカー基は、溶解性を改善するためのポリオキシエチレン鎖及び/又はGが直接L1に結合している同等のクロリンにおけるGの反応性と比較して、Gの反応性を改善するためのスペーサー(例えば、アルキレンスペーサー)を含む。
いくつかの実施態様において、このリンカー基(R、R10及びR15における)は、式:-L-(X-L-G(式中、Lはフェニレンであり、pは1であり、Xは-C(=O)NH-であり、Lはアルキレンであり、Gはカルボン酸又は活性エステル(例えば、NHS-エステル)から選択される。)で表される。いくつかの実施態様において、Lはエチレンである。したがって、いくつかの実施態様において、このリンカー基は、Gの反応性を改善するために、β-アラニンスペーサーを含む。
【0057】
いくつかの実施態様において、このリンカー基(例えば、R、R10及びR15における)は、下式で表される。
【化15】
いくつかの実施態様において、R及びRのうちの少なくとも1つ、かつR12及びR13のうちの1つは、-アリール-(R又は-アルキニル-アリール-(Rである。したがって、いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は、少なくとも2つの可溶化基を含む。例えば、いくつかの実施態様において、R及びR12は両方とも、それぞれ-アリール-(R又は-アルキニル-アリール-(Rである。いくつかの実施態様において、R及びR13は、それぞれ、-アリール-(Rs)w又は-アルキニル-アリール-(Rs)wである。
いくつかの実施態様において、R及びR13は、それぞれ、-アリール-(Rである。いくつかの実施態様において、R及びR13は、それぞれ、-フェニル-(Rである。
いくつかの実施態様において、各Rは、-X-(L-R17で表され、ここで、zは0であり、Xは-CHNHC(=O)-であり、R17は-(CO)-R18であり、ここで、mは12~24の整数(即ち、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24)である。
いくつかの実施態様において、mは12であり、R18はメチルである。いくつかの実施態様において、R及びR13はそれぞれ下式で表される。
【化16】
【0058】
いくつかの実施態様において、この化合物は下式の構造を有するC-1である。
【化17】
いくつかの実施態様において、この化合物は下式の構造を有する化合物4である。
【化18】
【0059】
いくつかの実施態様において、本発明は、以下の間で形成される共有結合した抱合体を提供する。(a)R、R、R、R10、R12、R13及びR15の少なくとも1つがリンカー基である、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、及び(b)小分子、抗原、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗体フラグメント、核酸、ホルモン及び成長因子から成る群のうちの1又はそれ以上。いくつかの実施態様において、例えば、この抱合体は、(すなわち、バイオ抱合可能基Gとして)カルボン酸又は活性エステルを含む連結基を含む式(I)の化合物を、小分子、ペプチド、タンパク質、抗体又はポリマーのアミノ基と反応させることによって形成することができる。
【0060】
III.合成方法
本発明の使用に適することのできるクロリンを合成する方法は、例えば、米国特許第8,212,055号及び第8,980,565号に記載されており、これらは、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施態様において、式(I)で表される本発明の化合物は、適切なトランスベータ置換クロリン(2つのベータークロリン置換基がハロ(例えば、Br)置換基であるクロリンなど)を用意する段階、及び、次いでベータ置換基を適切な水溶性基で置き換えるように、それを反応させる段階、によって製造することができる。トランスベータ置換クロリンを合成する方法は既に知られており、例えば、米国特許第6,559,372号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
例えば、いくつかの実施態様において、式(I)のクロリンは、このクロリンの「ウエスタンハーフ」(WH)を表すジヒドロジピリンビルディングブロックを、このクロリンの「イースタンハーフ」(EH)を表すビルディングブロックと縮合させることによって調製することができる。いくつかの実施態様において、このWHビルディングブロックは、以下のような構造を有していてもよい。
【化19】
式中、S1、S2、S7、S9、S12及びS13は、それぞれ独立して、水素原子、アリール、置換アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、アルコキシ、アルキルチオ、パ-フルオロアルキル、パ-フルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、イミド、アミド及びカルバモイルから選択される、又は、SとS13が共に=Oを形成する、又は、SとSが共に置換又は非置換のアルキレン若しくはアリーレン基を形成する。いくつかの実施態様において、S12は水素原子である。
【0061】
EHビルディングブロック化合物は、次式の構造を有してもよい。
【化20】
式中、S、S、S、S及びS11は、それぞれ独立して、水素原子、アリール、置換アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、アルコキシ、アルキルチオ、パ-フルオロアルキル、パ-フルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、イミド、アミド及びカルバモイルから選択される、又は、SとSが共に置換又は非置換のアルキレン若しくはアリーレン基を形成する。いくつかの実施態様において、Zはハロ(例えば、Br,Cl又はI)である。
【0062】
より具体的には、ジブロモ置換クロリン及びそれに対応するブロモ置換ジヒドロピリンWH及びEHビルディングブロックを調製する方法は既に知られている。例えば、Krayer et al. (2009) Journal of Porphyrins and Phthalocyanines 13(10):1098-1110; Jiang et al. (2014) Organic & Biomolecular Chemistry 12:86-103.を参照されたい。例えば、クロリンの3位及び13位に2つのブロモ置換基を含むクロリン誘導体は、例えば、図1に示されるスキーム1に示されるように、2-ホルミルピロールから調製されたWHビルディングブロックから調製することができる。
図1のスキーム1に示されているように、2-ホルミルピロール(ピロール-2-カルボキサルデヒド)を、まずN-ブロモスクシンイミド(NBS)を使用して臭素化し、ブロモ置換ピロールaを得る。次に、その窒素原子を適切な保護基Pgによって保護して、保護されたブロモ置換ピロールbを得る。いくつかの実施態様において、この保護基は、ブロモピロールaの窒素原子を脱プロトン化し、次いでこの脱プロトン化された化合物をp-トルエンスルホニルクロリドと接触させてN-トシルピロールを提供することによって設置されるトシル基であってもよい。次に、この保護されたピロールbをニトロメタンで処理して(例えば、酢酸カリウム及びわずかに過剰のメチルアミン塩酸塩の存在下で)、アルド-ル縮合生成物cを得る。この生成物c中の炭素-炭素二重結合を適切な還元剤(例えば、LiBH4)で還元すると、化合物dが得られる。これを、非求核塩基(例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU))の存在下、メシチルオキシドで処理して、マイケル付加反応を行う。次に、マイケル付加生成物eをホルムアミド及び亜鉛粉末で処理して還元的環化を行い、保護されたジヒドロピリンfを得る。これを脱保護してクロリンWHを得る。
【0063】
適切なEHクロリンビルディングブロックは、図2のスキーム2に示すように調製できる。Laha et al. (2003) Organic Process Research & Development 7(6):799-812; Yu et al.(2013) Journal of Organic Chemistry 78(21):10678-10691; 及び Liu et al.(2016) New Journal of Chemistry 40(9):7721-7740.も参照されたい。スキーム2のEHクロリンビルディングブロックは、リンカー基として使用できる(例えば、メチルエステルの加水分解後)、又はさらに(例えば、更に、バイオ抱合可能基として機能するか、又は反応してバイオ抱合可能基を形成することができる、第2の官能基を含むアミノ含有アルキル化合物との反応を介して)対応するクロリン中に長いリンカー基を提供することのできる、アリール置換基を含んでもよい。
図2のスキーム2に示すように、ピロールをメチル-4-ホルミルベンゾエートと反応させて、ジピロメタンgを生成することができる。必要に応じて、メチル-4-ホルミルベンゾエート以外のアルデヒドを使用すると、安息香酸メチル以外の基で置換されたジピロメタンを得ることができる。ジピロメタンgをビルスマイヤ-ホルミル化すると、アルデヒドhが得られる。アルデヒドhを、N-ブロモスクシンイミド(NBS)を使用して二臭素化して、ジブロモジピロメタンEHを得ることができる。
このWH及びEHビルディングブロックは、酸(例えば、トリフルオロ酢酸又はトシル酸(TsOH)などのブレンステッド酸又はルイス酸)の存在下で縮合して縮合生成物を形成し、次に有機溶媒中、塩基(例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)、酸化剤(トリフルオロメタンスルホン酸銀)及び金属塩(酢酸亜鉛)の存在下で、酸化的に環化してメタロクロリンを得ることができる。任意に、この金属(例えば、Zn)を酸(例えば、トリフルオロ酢酸)で置換して、クロリン遊離塩基を提供することができる。いくつかの実施態様において、このクロリン遊離塩基は、下式の構造を有することができる:
【化21】
【0064】
上記のジブロモクロリン遊離塩基などのジハロクロリンのハロ置換基は、更に、当技術分野で知られているカップリング反応(スティルカップリング、檜山カップリング、鈴木カップリング、根岸カップリング、薗頭カップリング、熊田カップリングなどの反応を含むがこれらに限定されない)を使用して可溶化基を提供することができる。例えば、このジハロクロリンは、Pd(0)触媒の存在下でボロン酸と;Pd触媒の存在下での有機スズ化合物と;Pd触媒の存在下での疑似ハロゲン化物又はオルガノシランと;Ni又はPd触媒の存在下での有機亜鉛化合物と、又はNi若しくはPd触媒の存在下でのグリニャ-ル試薬と、反応させることができる。いくつかの実施態様において、このジハロクロリン(例えば、上記のジブロモクロリン遊離塩基)は、アリールボロン酸鈴木カップリング反応パートナーと反応させることができる。Jiang et al.(2015) New Journal of Chemistry 39(7):5694-5714; and Zhang et al.(2016) New Journal of Chemistry 40(9):7750-7767.を参照されたい。いくつかの実施態様において、このアリールボロン酸は、鈴木カップリング反応後にさらに精緻化することができる追加の化学官能基又は保護された化学官能基を含むことができる。例えば、いくつかの実施態様において、鈴木カップリング反応では、1又はそれ以上の保護されたアミノ基を含むことができ、これは、脱保護後、適切なPEG試薬(例えば、活性化されたPEGエステル)と反応することができる。鈴木カップリング反応に適した触媒には、Pd(PPh3)4やPdCl2(PPh3)4があるが、これらに限定されない。適切な溶媒は、水、トルエン、THF、ジオキサン、DMF及びそれらの組み合わせなどである。鈴木カップリング反応で使用するのに適した塩基には、Cs2CO3、K3PO4、NaOH、NaOEt、NaOtBu、Na2CO3、K2CO3、アルキルリチウム化合物、及びトリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン)などがあるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、鈴木又は他のタイプのカップリング剤上に存在するアミノ基に対して、t-ブチルオキシカルボニル(BOC)保護基(任意に、例えば、リンカー基内に、カルボン酸のt-ブチルエステル保護の使用と組み合わせて)を使用することができる。驚くべきことに、トリフルオロ酢酸(TFA)を使用することはBOC脱保護の一般的な方法であるが、本発明の化合物の調製中のTFAを使用するBOC基の脱保護は、特に、例えば、アルキン結合を含む化合物において、顕著な分解をもたらすことが見出された。したがって、いくつかの実施態様において、BOC脱保護は、他の条件、例えば、ジオキサン中の4M HClを使用して実行され、これは、TFAを使用するときに見られる分解を回避する。
【0065】
IV.医薬組成物
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩として提供することができる。このような塩には、N、N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミン及びその他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、1-パラ-クロロベンジル-2-ピロリジン-1'-イルメチル-ベンズイミダゾール、ジエチルアミン及びその他のアルキルアミン、ピペラジン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;リチウム、カリウム及びナトリウムなどであるがこれらに限定されないアルカリ金属塩;バリウム、カルシウム及びマグネシウムなどであるがこれらに限定されないアルカリ土類金属塩;亜鉛などの遷移金属塩;及びリン酸水素ナトリウム及びリン酸二ナトリウムなどであるがこれらに限定されない他の金属塩;等が含まれ、並びに、塩酸塩及び硫酸塩などであるがこれらに限定されない鉱酸の塩;酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、及びフマル酸塩などであるがこれらに限定されない有機酸の塩などが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容されるエステルには、酸性基(カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及びボロン酸を含むが、これらに限定されない。)のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルのエステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の化合物はまた、本明細書に開示の化合物のプロドラッグを含むことができる。上記のように、「プロドラッグ」は、インビボ投与時に、1又はそれ以上のステップ又はプロセスによって代謝されるか、さもなければ生物学的、薬学的又は治療的に活性な形態の化合物に変換される化合物である。プロドラッグを生成するためには、薬学的に活性な化合物を、活性化合物が代謝プロセスによって再生されるように改変する。このプロドラッグは、薬物の代謝安定性又は輸送特性を変更するように、副作用又は毒性を遮るように、薬物の風味を改善するように、又は薬物の他の特性又は特性を変更するように設計することができる。インビボでの薬物力学的プロセス及び薬物代謝の知識のおかげで、この分野の当業者は、薬学的に活性な化合物が知られると、その化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady(1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, New York, USA, pages 388-392を参照されたい。)
【0067】
効用
本発明の方法及び中間体は、記載された式(I)で表される化合物の合成に有用である。このような化合物は、それ自体又はさらに改変された形態(例えば、塩、メタル化化合物、抱合体又はプロドラッグ)で、米国特許出願公開第2004/0044197号(Pandey et al.)に記載されているような光線力学療法について記載されている他の化合物と同様の方法で、診断及び治療目的に有用であり、以下でさらに詳しく説明する。
【0068】
安定性
本発明のクロリン化合物のいくつかの実施態様の利点は、その安定性と吸収特性である。したがって、本発明は、本発明の活性化合物(例えば、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ又は抱合体(例えば、タンパク質、ペプチド又は抗体などの標的化剤との抱合体))であって、約600~約800nmの波長において、約10,000~300,000M-1cm-1以上の溶液中のピ-クモル吸収係数を有する、又はそれによって特徴付けられる組成物を提供する(それは、(a)指定された波長においてピ-クモル吸収係数を決定するには、活性化合物を溶液に入れる必要があること、及び(b)この化合物は、この範囲外に追加のピ-クを示す、又はこの範囲内に複数のピ-クを示すことができること、を理解されたい。)。
さらに、本発明は、溶媒中で、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ又は抱合体(例えば、タンパク質、ペプチド又は抗体などの標的化剤との抱合体)を含む、又は本質的それのみから成る組成物を提供する。溶媒の量は重要ではなく、組成物の0.01(又は1)~99(又は99.99)重量%を構成してもよい。この組成物は、約600~約800nmの波長において、約10,000~300,000M-1cm-1以上の溶液中のピ-クモル吸収係数を有する、又はそれによって特徴付けられる。モル吸収を測定する前に、凝集した粒子を溶液に戻すために、必要に応じて攪拌を行うことが好ましいが、組成物を実際に使用する際には、ある程度の凝集が望ましいことがあることは解されたい。適切な溶媒は、化合物及びその化合物の使用目的に依存するが、有機溶媒と水性溶媒のいずれか、又はそれらの組み合わせであってもよい。
この組成物は、「ニート」形態のクロリン化合物若しくは複数の化合物又は溶媒と混合されたクロリン化合物若しくは複数の化合物であろうと、密閉容器(例えば、フラスコアンプル又はバイアル)に、室温で、周囲光のない状態で、少なくとも3又は4ヶ月間保存した場合に、その本発明のクロリン化合物の約10、15又は20重量パ-セントを超えない(その分解による)損失を有する又は示す。この分解は、分光法、薄層クロマトグラフィー、NMR分光法及び/又は質量分析法により、従来技術に従って、決定することができる。
【0069】
溶解性
本発明の化合物のいくつかの実施態様における利点は、その水溶性である。したがって、本発明は、(a)水性溶媒(例えば、蒸留水、食塩水、緩衝液)、及び(b)約1、2、5又は10μMから200、300又は500mMまでの、水性溶媒に可溶化された本発明の活性化合物を含む、それから成る、又は本質的にそれのみから成る医薬処方物を含むがこれらに限定されない組成物を提供する。
【0070】
医薬組成物の処方
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体中に、本発明の化合物の1又はそれ以上を、治療有効量で含み、この組成物は、過剰増殖組織又は血管新生に関連する、又は、過剰増殖組織又は血管新生が関係している、疾患又は障害の1又はそれ以上の症状の予防、治療又は改善に有用である。この過剰増殖組織又は血管新生に関連する疾患又は障害には、癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、心臓病及び加齢性黄斑変性症が含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物の投与に適した医薬担体には、特定の投与モ-ドに適していることが当業者に知られている任意の担体が含まれる。
医薬組成物は、好ましくは、上記の吸収特性及び貯蔵性又は安定性を示す。
さらに、この化合物は、この組成物中に単一の薬学的活性成分として処方することができ、又は他の活性成分と組み合わせることができる。
この組成物は、本発明の1又はそれ以上の化合物(例えば、式(I)で表される化合物)を含む。この化合物は、いくつかの実施態様において、経口投与用の溶液、懸濁液、錠剤、分散性錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放性製剤若しくはエリキシルなどの適切な製剤、又は非経口投与用の滅菌溶液若しくは懸濁液、更に、経皮パッチ製剤やドライパウダ-吸入器などに処方される。いくつかの実施態様において、上記の化合物は、当技術分野で良く知られた技術や手順を使用して医薬組成物に処方される(例えば、Ansel(1985) Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, Fourth Edition, Lea & Febiger, Philadelphia, Pennsylvania, USA, page 126を参照されたい。)
【0071】
この組成物において、有効濃度の1又はそれ以上の化合物又はその薬学的に許容される誘導体は、適切な医薬担体と混合される。この化合物は、上記のように、処方する前に、対応する塩、エステル、エノールエーテル若しくはエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物又はプロドラッグとして誘導体化することができる。この組成物中のこの化合物の濃度は、投与された時に、過剰増殖組織又は血管新生に関連する、又は、過剰増殖組織又は血管新生が関係している、疾患又は障害の1又はそれ以上の症状の治療、予防又は改善する量を送達するに有効な濃度である。
いくつかの実施態様において、この組成物は、単回投与用に処方される。この組成物を処方するために、治療状態を緩和、予防、又は1又はそれ以上の症状を改善するような有効濃度で、重量分率の化合物を選択された担体に溶解、懸濁、分散又はその他の方法で混合する。
この活性化合物(すなわち、式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ又は抱合体)は、治療を受ける患者に望ましくない副作用なしに、治療上有用な効果を発揮するのに十分な量で薬学的に許容される担体に含まれる。この治療上有効な濃度は、本明細書及び米国特許第5,952,366号(Pandeyら)に記載されているインビトロ及びインビボシステムで化合物を試験することにより、経験的に決定することができ、またそこからヒト用の投与量を推定することができる。
【0072】
医薬組成物中の活性化合物の濃度は、この活性化合物の吸収速度、不活性化速度及び排泄速度、並びにこの化合物の物理化学的特性、投与スケジュ-ル及び投与量、更に当業者に知られている他の要因に依存する。例えば、送達量は、本明細書に記載されたように、過剰増殖組織又は血管新生に関連する、又は、過剰増殖組織又は血管新生が関係している、疾患又は障害の1又はそれ以上の症状を改善するに十分なものである。
いくつかの実施態様において、治療上有効な投薬量は、有効成分の約0.1ng/mlから約50~100μg/mlの血清濃度を生成するべきである。ある実施態様においては、この治療上有効な投与量は、1日あたり体重1キログラムあたり、活性化合物が0.001(又は0.01、0.1)mg~10(又は100、1000)mgである。医薬投薬単位形態は、投薬単位形態あたりの活性成分又は必須成分の組み合わせが、約0.01mg(又は0.1mg、1mg)~約500mg(又は、1000mg、2000mg)、及びいくつかの実施態様においては、約10mg~約500mgを提供するように調製される。
この有効成分は、一度に投与してもよいし、時間間隔をあけていくつかのより少ない用量に分割して投与してもよい。正確な投与量及び治療期間は、治療される疾患の関数であり、既知の試験プロトコルを使用して、又はインビボ又はインビトロ試験データからの外挿によって経験的に決定することができることを理解されたい。濃度及び投与量の値もまた、緩和されるべき症状の重症度によって変化し得ることに留意されたい。さらに、特定の患者にとっての特定の投与計画は、個々の必要性及びこの組成物を投与する又は投与を監督する人の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであり、ここに示した濃度範囲は、例示に過ぎず、本発明の組成物の範囲又は実施を制限することを意図するものではない。
【0073】
この化合物が不十分な溶解度を示す場合、化合物を可溶化するための方法を使用することができる。このような方法は、当技術分野の当業者に知られており、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒を使用すること、ポリオキシエチレンソルビト-ルエステル(例えば、商品名TWEEN(R)で販売されている)などの界面活性剤を使用すること、又は水性重炭酸ナトリウムへ溶解すること、を含むが、これらに限定されない。この化合物のプロドラッグなどのこの化合物の誘導体もまた、効果的な医薬組成物を処方する際に使用することができる。
この化合物(単数又は複数)を混合又は添加すると、得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどでありうる。得られる混合物の形態は、意図される投与様式及びこの化合物の選択された担体又はビヒクル中の溶解度などの、多くの要因に依存する。有効濃度は、治療される疾患、障害又は状態などの症状を改善するのに十分な量であり、経験的に決定することができる。
【0074】
この医薬組成物は、適切な量の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を含む、錠剤、カプセル、ピル、粉末、顆粒、無菌の非経口の溶液又は懸濁液及び経口の溶液又は懸濁液、並びに油水エマルジョンのような単位剤形で、ヒト及び動物への投与のために提供される。
この薬学的に治療的に活性な化合物及びその誘導体は、いくつかの実施態様において、単位剤形又は複数剤形で処方及び投与される。ここで使用される単位用量形態は、当技術分野で知られているように、ヒト及び動物の対象に適した、個別に包装された、物理的に別個の単位を指す。各単位用量は、必要な医薬担体、ビヒクル又は希釈剤と組み合わせた、所望の治療効果を生み出すのに十分な所定量の治療活性化合物を含む。単位剤形の例には、アンプルと注射器及び個別に包装された錠剤又はカプセルが含まれる。単位用量形態は、その分数又は倍数で投与することができる。複数剤形は、分離された単位剤形で投与されるように、単一の容器にパッケージされた同一の複数の単位剤形である。複数の剤形の例には、バイアル、錠剤又はカプセルのボトル、又はパイント又はガロンのボトルが含まれる。したがって、複数の剤形は、パッケ-ジの際に分離されない複数の単位用量である。
【0075】
液体の薬学的に投与可能な組成物は、例えば、上記で定義された活性化合物(例えば、式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ又は抱合体)及び任意の医薬アジュバントを、担体(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グルコール、エタノールなど)に溶解、分散、又は他の方法で混合して、溶液又は懸濁液を形成することにより、調整することができる。必要に応じて、投与されるこの医薬組成物は、また、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、及び他のそのような薬剤)の少量の非毒性補助物質を含むことができる。
このような剤形を調製する実際の方法は、この分野の当業者に知られているか、又は今後明らかになるであろう。たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Edition, 1975, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, USA.を参照されたい。
有効成分を0.005%から100%の範囲で含み、残りが無毒の担体からなる剤形又は組成物を調製することができる。これらの組成物を調製するための方法は、当業者に良く知られている。企図される組成物は、活性成分を0.001%~100%、ある実施態様では0.1~95%、別の実施態様では75~85%含むことができる。
【0076】
経口投与用の組成物
経口医薬品剤形は、固体、ゲル又は液体のいずれでもよい。固形剤形は、錠剤、カプセル、顆粒及びバルク粉末である。経口錠剤の種類には、圧縮されて噛むことができるトローチ及びタブレットが含まれ、これらは、腸溶コーティング、砂糖コーティング、又はフィルムコーティングされてもよい。カプセルは、硬質又は軟質ゼラチンカプセルであってもよいが、顆粒及び粉末は、当業者に知られている他の成分と組み合わせて、非発泡性又は発泡性の形態で提供されてもよい。
【0077】
経口投与用の固形組成物
いくつかの実施態様において、この医薬処方物は、固体剤形であり、いくつかの実施態様において、カプセル又は錠剤である。この錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、以下の成分(例えば、バインダ-;潤滑剤;希釈剤;流動促進剤;崩壊剤;着色剤;甘味料;香料;湿潤剤;催吐性コーティング;フィルムコーティング)またそれと同様の性質の化合物を1又はそれ以上を含むことができる。バインダ-の例には、微結晶性セルロース、トラガカントガム、グルコ-ス溶液、アカシア粘液、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリイニルピロリジン、ポビドン、クロスポビドン、スクロース及びデンプンペーストが含まれる。潤滑剤には、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、リコポジウム及びステアリン酸が含まれる。希釈剤には、例えば、ラクト-ス、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニト-ル及びリン酸二カルシウムが含まれる。流動促進剤には、コロイド状二酸化ケイ素が含まれるが、これに限定されない。崩壊剤には、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコレ-トナトリウム、アルギン酸、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースが含まれる。着色剤には、例えば、承認された認定された水溶性FD及びC染料のいずれか、又はこれらの混合物、並びにアルミナ水和物に懸濁した水不溶性のFD及びC染料が含まれる。甘味料には、ショ糖、乳糖、マンニト-ル及びサッカリンなどの人工甘味料、ならびに任意の数の噴霧乾燥フレ-バ-が含まれる。香料には、果物などの植物から抽出された天然フレーバー及びペパーミントやサリチル酸メチルなど(ただしこれらに限定されない)の心地よい感覚を生み出す化合物の合成ブレンドが含まれる。湿潤剤には、モノステアリン酸プロピレングルコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングルコール及びポリオキシエチレンラウラルエーテルが含まれる。催吐性コーティングには、脂肪酸、脂肪、ワックス、シェラック、アンモニア化シェラック及び酢酸フタル酸セルロースが含まれる。フィルムコーティングには、ヒドロキシエチルセルロース、ジェランガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングルコール4000(PEG4000)及び酢酸フタル酸セルロースが含まれる。
【0078】
この化合物、又はその薬学的に許容される誘導体は、胃の酸性環境からそれを保護する組成物で提供することができる。例えば、この組成物は、胃でその完全性を維持し、腸で活性化合物を放出する腸溶コーティングで処方することができる。この組成物はまた、制酸剤又は他のそのような成分と組み合わせて処方することができる。投薬単位形態がカプセルである場合、それは、上記のタイプの材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含むことができる。さらに、投薬単位形態は、投薬単位の物理的形態を改変する様々な他の材料、例えば、砂糖及び他の腸内薬剤のコーティングを含むことができる。この化合物はまた、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、スプリンクル、チューインガムなどの一成分として投与することができる。シロップは、活性化合物に加えて、甘味料としてのスクロース、並びに特定の防腐剤、染料、着色料及び/又はフレ-バ-を含むことができる。
また、この活性物質は、所望の作用を損なわない他の活性物質、又は制酸剤、H遮断薬及び利尿剤などの所望の作用を補足する材料と混合することができる。この有効成分は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体である。この有効成分は、約98重量%までの高濃度で含めることができる。
いくつかの実施態様において、錠剤及びカプセル処方物は、この有効成分の溶解を改変又は維持するために、当業者によって知られているように、コーティングすることができる。したがって、例えば、これらは、フェニルサリチル酸塩、ワックス及び酢酸フタル酸セルロースなどの従来の腸溶性コーティングでコーティングすることができる。
【0079】
経口投与用の液体組成物
液体経口剤形には、非発泡性顆粒から再構成された、水溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡性顆粒から再構成された発泡性調製物が含まれる。水溶液には、例えば、エリキシル及びシロップが含まれる。エマルジョンは、水中油型又は油中水型のいずれかである。
エリキシルは、透明で、甘くされた、水性アルコール医薬処方物である。エリキシルに使用される薬学的に許容される担体には、溶媒が含まれる。シロップは、ショ糖などの糖類の濃縮水溶液であり、防腐剤を含んでもよい。エマルジョンは、1つの液体が他の液体全体に小さな小球の形で分散している2相システムである。エマルジョンに使用される薬学的に許容される担体は、非水性液体、乳化剤及び防腐剤である。懸濁液は、薬学的に許容される懸濁剤及び防腐剤を使用する。非発泡性顆粒で使用され、液体経口剤形に再構成される、薬学的に許容される物質には、希釈剤、甘味料及び湿潤剤が含まれる。液体経口剤形に再構成される発泡性顆粒に使用される薬学的に許容される物質には、有機酸及び二酸化炭素源が含まれる。着色剤及び香料は、上記のすべての剤形で使用される。溶媒には、グリセリン、ソルビト-ル、エチルアルコール、シロップが含まれる。防腐剤の例には、グリセリン、メチル及びプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム及びアルコールが含まれる。エマルジョンに利用される非水性液体の例には、鉱油及び綿実油が含まれる。乳化剤の例には、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの界面活性剤が含まれる。懸濁剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、キサンタンガム、ビ-ガム及びアカシアが含まれる。甘味料には、ショ糖、シロップ、グリセリン及びサッカリンなどの人工甘味料が含まれる。湿潤剤には、モノステアリン酸プロピレングルコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングルコール及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが含まれる。有機酸には、クエン酸と酒石酸が含まれる。二酸化炭素源には、重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムが含まれる。着色剤には、承認された認定水溶性FD及びC染料のいずれか及びそれらの混合物が含まれる。香料には、果物などの植物から抽出された天然香料及び心地よい味覚を生み出す化合物の合成ブレンドが含まれる。固体剤形の場合、(例えば、炭酸プロピレン、植物油及び/又はトリグリセリド中の)溶液又は懸濁液は、ある実施態様において、ゼラチンカプセルにカプセル化される。このような溶液、ならびにその調製及びカプセル化は、米国特許第4,328,245号、米国特許第4,409,239号及び米国特許第4,410,545号に開示されており、これらはその全体が本明細書に組み込まれる。液体剤形の場合、例えば、ポリエチレングルコール中の溶液は、投与にかなうのに十分な量の薬学的に許容される液体担体(例えば、水)で希釈することができる。
【0080】
代替として、液体又は半固体の経口処方物は、活性化合物又は塩を、植物油、グルコール、トリグリセリド、プロピレングルコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)及び他のそのような担体に溶解又は分散させ、これらの溶液又は懸濁液を、ハ-ド又はソフトゼラチンカプセルシェル中にカプセル化することによって調製することができる。この他の有用な処方物には、米国特許第RE28,819号及び米国特許第4,358,603号に記載されているものが含まれ、これらはその全体が本明細書に組み込まれる。簡単に言えば、このような処方物には、本発明の化合物、ジアルキル化モノ又はポリアルキレングルコール(1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグライム、テトラグライム、ポリエチレングルコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングルコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングルコール-750-ジメチルエーテル(ここで、350、550及び750は、ポリエチレングルコールのおおよその平均分子量を指す。)を含むがこれらに限定されない。)、及び1又はそれ以上の抗酸化剤(ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソ-ル(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビト-ル、リン酸、チオジプロピオン酸とそのエステル、及びジチオカルバメートなど)を含むものが含まれるが、これらに限定されない。
その他の処方物には、薬学的に許容されるアセタールを含むアルコール水溶液が含まれるが、これらに限定されない。これらの処方物で使用されるアルコールは、1又はそれ以上のヒドロキシル基を有する任意の薬学的に許容される水混和性溶媒であって、プロピレングルコールやエタノールが含まれるがこれらに限定されない、アセタールには、限定されないが、アセトアルデヒドジエチルアセタールなどの低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタールが含まれる。
【0081】
注射剤、溶液及びエマルジョン
皮下、筋肉内又は静脈内のいずれかの注射を特徴とするいくつかの実施態様において、非経口投与もまた、ここで期待されている。注射剤は、液体溶液又は懸濁液、注射前の液体中の溶液又は懸濁液に適した固体形態、又はエマルジョンのいずれかとして、従来の形態で調製することができる。この注射剤、溶液及びエマルジョンには、1又はそれ以上の賦形剤も含まれる。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールである。さらに、必要に応じて、投与されるこの医薬組成物はまた、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解促進剤、及び他のそのような薬剤(例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、及びシクロデキストリンなど)などの少量の非毒性補助物質を含んでもよい。
【0082】
一定レベルの投薬量が維持されるような徐放性又は徐放性システムの移植(例えば、米国特許第3,710,795号を参照されたい。その全体が本明細書に組み込まれる。)もまた、ここで期待されている。簡単に言えば、本発明の化合物が、固体内部マトリックス中に分散されている。この固体内部マトリックスは、例えば、ポリメチルメタクリレ-ト、ポリブチルメタクリレ-ト、可塑化又は非可塑化ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレ-ト、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカ-ボネートコポリマー、親水性ポリマーであり、例えば、アクリル酸とメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、及び架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニルなどであり、それは外側の高分子膜(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、塩化ポリビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレ-ト、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、及びエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体であって、これらは体液に溶けない。)に囲まれている。
この化合物は、放出速度制御段階において、外側の高分子膜を通って拡散する。このような非経口組成物に含まれる活性化合物の割合(%)は、その特定の性質、ならびに化合物の活性及び患者の必要性に大きく依存する。
【0083】
この組成物の非経口投与には、静脈内、皮下及び筋肉内投与が含まれる。非経口投与の準備には、注射の準備ができている滅菌溶液;使用直前に溶媒と組み合わせる準備ができている、凍結乾燥粉末などの(皮下注射用錠剤を含む)滅菌乾燥可溶性製品;注射の準備ができている無菌懸濁液;使用直前にビヒクル及び滅菌エマルジョンと組み合わせる準備ができている無菌の乾燥不溶性製品が含まれる。これらの溶液は、水性又は非水性のいずれであってもよい。
静脈内投与される場合、適切な担体には、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、並びに増粘剤及び可溶化剤(グルコ-ス、ポリエチレングルコール及びポリプロピレングルコールなどの)及びそれらの混合物を含む溶液が含まれる。
非経口処方物で使用される薬学的に許容される担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、隔離剤又はキレ-ト剤、及びその他の薬学的に許容される物質が含まれる。
【0084】
水性ビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射、リンガ-注射、等張デキストロース注射、滅菌水注射、デキストロース及び乳酸リンガ-注射が含まれる。非水性非経口ビヒクルには、植物由来の固定油、綿実油、コ-ン油、ゴマ油、ピ-ナッツ油が含まれる。静菌濃度又は静真菌濃度の抗菌剤を、複数回投与容器にパッケ-ジされた非経口製剤に追加してもよい。これには、フェノール又はクレゾール、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが含まれる。等張剤には、塩化ナトリウムとデキストロースが含まれる。緩衝液には、リン酸塩とクエン酸塩が含まれる。酸化防止剤には硫酸水素ナトリウムが含まれる。局所麻酔薬には塩酸プロカインが含まれる。懸濁剤及び分散剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが含まれる。乳化剤には、ポリソルベ-ト80(商品名TWEEN(R)80で販売されている)が含まれる。金属イオンの隔離剤又はキレ-ト剤には、EDTAが含まれる。薬学的担体には、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングルコール及びプロピレングルコール;及びpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸が含まれる。
薬学的に活性な化合物の濃度は、注射により所望の薬理学的効果が生み出されるのに有効な量を提供するように調整することができる。正確な用量は、当技術分野で知られているように、患者又は動物の年齢、体重及び症状に依存する。
【0085】
単位用量の非経口処方物は、アンプル、バイアル、又は針付き注射器にパッケ-ジされる。非経口投与のためのすべての調製物は、当技術分野で知られかつ実施されているように、無菌でなければならない。
例証として、活性化合物を含む滅菌水溶液の静脈内又は動脈内注入は、効果的な投与様式である。別の実施態様は、所望の薬学的効果を生じるために必要に応じて注射される活物質を含む滅菌水性又は油性の溶液又は懸濁液である。
注射剤は、局所及び全身投与用に設計される。ある実施態様において、治療上有効な投与量は、治療された組織への活性化合物の濃度が約0.1%w/wから約90%w/w以上まで、特定のいくつかの実施態様においては、1%w/wより大きくなるように処方される。
この化合物は、より溶解性の高い活性生成物を生成するか、又はプロドラッグを生成するために、微粉化若しくは他の適切な形態で懸濁され、又は誘導体化されてもよい。得られる混合物の形態は、意図される投与様式や選択された担体又はビヒクルにおける化合物の溶解度などの、多くの要因に依存する。有効濃度は、症状を改善するのに十分な濃度であって、経験的に決定することができる。
【0086】
凍結乾燥粉末
溶液、エマルジョン及び他の混合物として投与するために再構成することができる、凍結乾燥粉末もまた、本発明を実施するために使用することができる。これはまた、固体又はゲルとして再構成され又は処方されることができる。
無菌の凍結乾燥粉末は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を適切な溶媒に溶解することによって調製される。この溶媒は、安定性を向上させる賦形剤、又は粉末又は粉末から調製された再構成溶液の他の薬理学的成分を含んでもよい。使用できる賦形剤には、デキストロース、ソルビタル、フルクト-ス、コ-ンシロップ、キシリト-ル、グリセリン、グルコ-ス、スクロース、又は他の適切な薬剤が含まれるが、これらに限定されない。この溶媒はまた、クエン酸塩、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウムなどの緩衝液、又は当業者に知られているその他のこのような緩衝液、またある実施態様においては、中性pHを含んでもよい。
続いてこの溶液を滅菌濾過し、続いて当業者に知られている標準的な条件下で凍結乾燥することにより、所望の医薬処方物が得られる。ある実施態様において、得られた溶液は、凍結乾燥のために複数のバイアルに配分される。各バイアルには、この化合物の単一投与量又は複数投与量を含めることができる。この凍結乾燥粉末は、約4℃~室温のような適切な条件下で保存することができる。
この凍結乾燥粉末を注射用水を用いて再構成すると、非経口投与で使用するための処方物が得られる。再構成するために、この凍結乾燥粉末を滅菌水又は別の適切な担体に添加する。正確な量は、選択した化合物によって異なる。この量は経験的に決定することができる。
【0087】
局所投与
局所混合物は、局所及び全身投与について記載されているように調製される。得られた混合物は、溶液、懸濁液又はエマルジョンなどであってもよく、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、着色剤、ペースト、発泡体、エアロゾル、灌注、スプレ-、坐剤、包帯、皮膚パッチ、又は局所投与に適した他の処方物として処方される。
この化合物又はその薬学的に許容される誘導体は、吸入などによる局所適用のためのエアロゾルとして処方することができる(例えば、米国特許第4,044,126号;第4,414,209号;及び第4,364,923号を参照されたい。これらは、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドを送達するためのエアロゾルについて記載しており、それぞれその全体が本明細書に組み込まれる。)。気道に投与するためのこれらの処方物は、エアロゾル又は噴霧器用の溶液の形態であってもよいし、又は吹送用の微微粉末としてであってもよく、また単独でもラクト-スなどの不活性担体と組み合わせでもよい。このような場合、この処方物の粒子の直径は、いくつかの実施態様において、50μm未満、またいくつかの実施態様において、10μm未満である。
この化合物を、ゲル、クリーム、ローションの形で、皮膚や粘膜(眼など)への局所適用、目への適用、又は槽内若しくは脊髄内の適用のような、局所適用のために処方してもよい。局所投与は、経皮送達のために、また、目や粘膜への投与のために、又は吸入療法のために期待されている。この活性化合物を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた鼻腔用溶液を投与することもできる。これらの溶液、特に眼科用の溶液は、適切な塩を含むpH約5~7の0.01%~10%の等張液として処方することができる。
【0088】
他の投与経路用の組成物
イオン泳動及び電気泳動デバイスを含む経皮パッチや直腸投与などの他の投与経路もまた、ここで期待されている。
イオン泳動及び電気泳動デバイスを含む経皮パッチは、当業者によく知られている。例えば、このようなパッチは、米国特許第6,267,983号、米国特許第6,261,595号、米国特許第6,256,533号、米国特許第6,167,301号、米国特許第6,024,975号、米国特許第6,010715号、米国特許第5,985,317号、米国特許第5,983,134号、米国特許第5,948,433号、及び米国特許第5,860,957号に開示されており、これらは、その全体が本明細書に組み込まれる。
例えば、直腸投与用の薬学的剤形は、全身効果を生じるために直腸坐剤、カプセル及び錠剤である。ここで使用される直腸坐剤は、直腸に挿入するための固体を意味し、それは体温で溶融又は軟化して、1又はそれ以上の薬理学的又は治療的に活性な成分を放出する、直腸坐剤に使用される薬学的に許容される物質は、融点を上げるための、塩基又はビヒクル及び薬剤である。この塩基の例には、カカオバター(テオブロマオイル)、グリセリンゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチレングルコール)及び脂肪酸のモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドの適切な混合物が含まれる。さまざまな塩基の組み合わせを使用してもよい。
坐剤の融点を上げる薬剤には、鯨蝋やワックスが含まれる。直腸坐剤は、圧縮法又は成形法のいずれによっても調製することができる。ある実施態様において、直腸坐剤の重量は、約2から3グラムである。
直腸投与用の錠剤及びカプセルは、経口投与用の処方物と同じ薬学的に許容される物質を使用し、同じ方法で製造される。
【0089】
標的化した処方物
本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体はまた、特定の組織、受容体、感染剤、又は治療される患者の身体の他の領域を標的とするように処方することができる。
このような標的化方法の多くは、当業者によく知られている。このようなすべての標的化方法は、本組成物における使用が期待されている。標的方法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、米国特許第6,274,552号、米国特許第6,271,359号、米国特許第6,253,872号、米国特許第6,139,865号、米国特許第6,131,570号、米国特許第6,120,751号、米国特許第6,071,495号、米国特許第6,060,082号、米国特許第6,048,736号、米国特許第6,039,975号、米国特許第6,004,534号、米国特許第5,985,307号、米国特許第5,972,366号、米国特許第5,900,252号、米国特許第5,840,674号、米国特許第5,759,542号、及び米国特許第5,709,874号を参照されたい。これらは、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0090】
リポソ-ム
いくつかの実施態様において、腫瘍標的化リポソ-ムなどの組織標的化リポソ-ムを含むリポソ-ム懸濁液もまた、薬学的に許容される担体として適切でありうる。これらは、当業者に知られている方法に従って調製することができる。例えば、リポソ-ム医薬処方物は、米国特許第4,522,811号に記載のように調製することができ、その全体が本明細書に組み込まれる。簡単に説明すると、フラスコの内側で卵ホスファチジルコリンと脳ホスファチジルセリン(モル比7:3)を乾燥させることにより、多層ベシクル(MLV)などのリポソ-ムを形成することができる。フラスコに、二価カチオン(PBS)を欠くリン酸緩衝生理食塩水中の本発明の化合物の溶液を添加して、この脂質膜が分散するまでフラスコを振とうする。得られた小胞を洗浄してカプセル化されていない化合物を除去し、遠心分離によってペレット化し、次にリン酸緩衝食塩水(PBS)に再懸濁する。
【0091】
リガンド
いくつかの実施態様において、ここで開示された化合物を、標的組織又は標的組成物に特異的なリガンドを使用して(例えば、リガンド又はリガンド-受容体対(抗体及び抗原など)を使用して)、特定の標的組織又は標的組成物を標的とすることができる。腫瘍抗原や病原体に対する抗体が知られている。腫瘍又は感染性病変(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫感染症、及びそのような微生物に結合する抗原と生成物を含む)によって生成された又はこれに結合するマーカーに特異的に結合する抗体及び抗体フラグメントは、とりわけ、米国特許第3,927,193号、米国特許第4,331,647号、米国特許第4,348,376号、米国特許第4,348,376号、米国特許第4,361,544号、米国特許第4,468,457号、米国特許第4,444,744号、米国特許第4,818,709号、及び米国特許第4,624,846号に開示されており、これらは、その全体が本明細書に組み込まれる。胃腸、肺、乳房、前立腺、卵巣、精巣、脳又はリンパの腫瘍、肉腫又は黒色腫などの抗原に対する抗体を使用することができる。
【0092】
様々な感染症病原体に対する広範なモノクローナル抗体が開発されており、Polin (1984) European Journal of Clinical Microbiology 3(5):387-398 による概説に要約されており、すぐに利用可能であることが示されている。これらには、以下のような病原体及びそれらの抗原に対するモノクローナル抗体(MAb)が含まれる:ストレプトコッカス・アガラクチア、レジオネラニュ-モフィリア、化膿レンサ球菌、大腸菌、淋菌、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌B、梅毒トレポネ-マ、ライム病、スピロヘ-タ、緑膿菌、らい菌、ブルセラ菌、結核菌、破傷風毒素などに対する抗菌性モノクローナル抗体(MAb);熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、トキソプラズマ原虫、ランゲルトリパノソ-マ、
クルーズトリパノソーマ、トリパノソ-マロデシエンセイ、トリパノソ-マブルセイ、マンソン住血吸虫、日本住血吸虫、メソセストイドコルティ、エメリアテネラ、回旋糸状虫、リーシュマニアトロピカ、旋毛虫、タイレリアパルバ、胞状条虫、無鉤条虫、無鉤条虫などに対する抗原虫モノクローナル抗体(MAb);HIV-1、-2、及び3、A型、B型、C型、D型、ラビウイルス、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、シンプレックスヘルペスI及びII、ヒト血清パルボ様ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、バリセラゾスターウイルス、B型肝炎ウイルス、はしかウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタインバ-ウイルス、ムンプスウイルス、シンドビスウイルス、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ネコ白血病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ワートウイルス、ブルータンウイルス、仙台ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、デングウイルス、ルベラウイルス、ネズミ白血病ウイルスなどに対する抗ウイルスモノクローナル抗体(MAb);アコレプラズマ・レイドロウイ、マイコプラズマ関節炎、マイコプラズマ・ハイオリニス、マイコプラズマオレーレ、M.アルギニン、M.肺炎などに対する抗マイコプラズマモノクローナル抗体(MAb)
【0093】
適切なモノクローナル抗体(MAb)は、ヒトにおける染の大部分の原因となるほとんどの微生物(細菌、ウイルス、原生動物、その他の寄生生物)に対して開発されており、その多くは従来インビトロ診断目的で使用されてきた。これらの抗体及び従来の方法によって生成することができるより新しいモノクローナル抗体(MAb)は、本発明の化合物と共に標的薬剤として使用するのに好適である。
マラリア原虫に対するモノクローナル抗体(MAb)は、スポロゾイト、メロゾイト、シゾント及び配偶子母細胞の段階に向けることができる。モノクローナル抗体はスポロゾイト(スポロゾイト周囲抗原)に対して生成されており、インビトロ及び 齧歯類モデルでスポロゾイトを中和することが示されている。Yoshida et al.(1980) Science 207:71-73.を参照されたい。トキソプラズマ症に関与する原生動物の寄生生物であるT.gondiiに対するモノクローナル抗体が開発された。Kasper et al.(1982) Journal of Immunology 129:1694-1699.を参照されたい。モノクローナル抗体(MAb)は、シストソムラ表面抗原に対して開発されており、インビトロ又はインビボでシストソムラに対して作用することが判明している。Simpson et al.(1981) Parasitology 83:163-177; Smith et al.(1982) Parasitology 84:83-91; Gryzch et al.(1982) Journal of Immunology 129:2739-2743; Zodda et al.(1982) Journal of Immunology 129:2326-2328;及びDissous et al.(1982) Journal of Immunology 129:2232-2234.を参照されたい。
【0094】
ハイブリッド抗体と同様に、抗体と免疫グロブリンクラスの混合物を使用できる。二重特異性及びハイブリッドを含む多重特異性の抗体及び抗体断片は、本発明の方法において、標的組織を検出及び治療するために特に好ましく、少なくとも2つの異なる実質的に単一特異性の抗体又は抗体断片から成り、この抗体又は抗体断片のうちの少なくとも2つは、標的病変に産生又は関連する少なくとも2つの異なる抗原、又は、標的組織によって産生又は関連するマーカー物質の少なくとも2つの異なるエピト-プ又は分子に、特異的に結合する。多重特異性抗体及び二重特異性を有する抗体断片は、米国特許第4,361,544号に開示されている抗腫瘍マーカーハイブリッドと同様に調製することができる。ハイブリッド抗体を調製するためのこの他の技術は、例えば、米国特許第4,474,893号や米国特許第4,479,895号に開示されており、これらは、その全体が本明細書に組み込まれる。また、同技術は、Milstein et al.(1984) Immunology Today 5:299.に開示されている。
【0095】
本発明において有用な抗体断片には、ハイブリッド断片を含むF(ab')2、F(ab)2、Fab'、Fab、Fvなどが含まれる。好ましい断片は、Fab'、F(ab')2、Fab及びF(ab)2である。免疫グロブリンの超可変の抗原結合領域を保持し、Fab'断片と同様又はそれよりも小さいサイズを有する如何なるサブ断片もまた有用である。これには、抗原結合部位を組み込み、インビボで天然の免疫グロブリン断片と実質的に同じ方法で標的ビヒクルとして機能する、遺伝子操作された及び/又は組換えられたタンパク質(一本鎖又は多鎖を問わない)が含まれてもよい。このような一本鎖結合分子は、米国特許第4,946,778号に開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。Fab'抗体断片は、F(ab')2断片の還元的切断によって容易に作成でき、F(ab')2断片自体は、無傷の免疫グロブリンのペプシン消化によって作成できる。Fab抗体断片は、還元条件下での無傷の免疫グロブリンのパパイン消化によって、又は免疫グロブリン全体の注意深いパパイン消化から生じるF(ab)2断片の切断によって作成できる。
リガンド又はリガンド-受容体結合対の1つのメンバ-を、本発明の化合物を特定の標的組織又は標的組成物に標的化するために、本発明の化合物に抱合することができる。リガンド-受容体結合対の例は、米国特許第4,374,925号及び第3,817,837号に記載されており、これらは、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0096】
リガンドへの抱合
リガンド-受容体結合対、より具体的には抗体の標的として役立つことができる多くの化合物は、同定されており、このようなリガンドと式(I)の化合物との抱合体を構築する技術は、この分野の通常の技術者によく知られている。たとえば、Rakestraw et al.は、改変デキストラン担体を使用したモノクローナル抗体への共有結合を介したSn(IV)クロリンの抱合を開示している。Rakestraw et al. (1990) Proceedings of the National Academy of Science of the USA 87:4217-4221.を参照されたい。本発明の化合物はまた、カップリング剤を使用することにより、抗体などのリガンドに抱合することができる。投与及び治療に必要な時間の間、生理学的条件下で安定するように成分を結合することができる如何なる結合も適しているが、共有結合が好ましい。2つの成分間の連結は、例えば、式(I)の化合物が標的薬剤に直接連結されているように、直接的であるか、又は、例えば、式(I)の化合物が中間体に連結され、その中間体が標的剤に連結されているように、間接的であってもよい。
カップリング剤は、温度、pH、塩、溶媒系、並びに光増感剤、バックボーン(存在する場合)及び標的剤の化学的安定性を実質的に保持するその他の反応物などの条件下で機能する必要がある。カップリング剤は、成分部分を安定して連結する必要があるが、式(I)の化合物又は標的剤の変性又は不活性化を、最小限に又は全く無いようにする必要がある。多くのカップリング剤は、アミンやカルボン酸塩と反応してアミドを形成するか、アルコールとカルボン酸塩と反応してエステルを形成する。カップリング剤は当技術分野で知られている。例えば、Bodansky(1993) Principles of Peptide Synthesis, 2nd ed., Springer & Hermanson(1996) Bioconjugate Techniques, 1st Ed., Academic Press, New York, New York, USA.を参照されたい。
【0097】
本発明の化合物と抗体などのリガンドとの抱合体は、N末端を介した抗体へのペプチド結合により化合物上のカルボン酸又はエステル部分をカップリングすることによって、化合物を標的部分にカップリングして、又は当該技術分野で公知の他の方法によって、調製することができる。共有結合には、架橋剤を含むさまざまなカップリング剤を使用できる。この架橋剤の例には、N、N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-スクシンイミジル-5-アセチル-チオアセテート(SATA)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジ-チオ)プロピオネート(SPDP)、オルト-フェニレン-ジマレイミド(o-PDM)及びスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミド-メチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレ-ト(スルホ-SMCC)が挙げられる。たとえば、Karpovsky et al. (1984) Journal of Experimental Medicine 160(6):1686-1701; and Liu et al. (1985) Proceedings of the National Academy of Science of the USA 82(24):8648-8652を参照されたい。その他の方法は、Brennan et al. (1985) Science 229:81-83 and Glennie et al. (1987) Journal of Immunology 139:2367-2375.に開示されている。
たとえば、N、N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)は、DMSO中でアルコールNHSとクロリンカルボン酸基とのカップリングを促進して、ポリリジンに架橋できる活性エステルを形成するために使用できる有用なカップリング剤である。N、N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)は、ペプチド合成におけるカップリング剤として一般的に使用されるカルボキシ反応性架橋剤であり、分子量は206.32である。別の有用な架橋剤は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジ-チオ)プロピオネート(SPDP)であり、第一級アミンとスルフヒドリル基と共に使用するためのヘテロ二官能性架橋剤である。N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジ-チオ)プロピオネート(SPDP)の分子量は312.4であり、スペーサーア-ムの長さは6.8オングストロームで、NHSエステルとピリジルジチオ基に反応し、切断可能な架橋を生成し、これにより、さらに反応すると、薬剤が除去され、光増感剤がバックボ-ン又は標的剤に直接連結できる。他の有用な抱合剤は、2段階架橋用のブロックされたSH基(これはヒドロキシルアミン-HClで脱ブロックされる)を導入するためのN-スクシンイミジル-5-アセチル-チオアセテート(SATA)、及びアミンとスルフヒドリルに対して反応性であるスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミド-メチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレ-ト(スルホ-SMCC)である。他の架橋剤及びカップリング剤もPierce Chemical Co.から入手可能である。タンパク質を他のタンパク質又は他の組成物に(例えば、レポーター基に、又はタンパク質の金属イオン標識のためのキレ-ト剤に)抱合させるための追加の化合物及びプロセス(特に、中間体としてシッフ塩基を含むもの)は、欧州特許EP 0 243 929B1に開示されている。
【0098】
カルボキシル基を含む光増感剤は、あらかじめ形成された反応性エステル(N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルなど)又はカルボジイミドを介した反応によってインサイチュで抱合したエステルのいずれかによって、標的ポリペプチドのリジンε-アミノ基に結合できる。同じことが、アミノ基と反応する塩化スルホニルに変換できるスルホン酸基を含む光増感剤にも当てはまる。カルボキシル基を有するクロリンは、インサイチュのカルボジイミド法によってポリペプチド上のアミノ基に結合することができる。クロリンは、セリン又はスレオニン残基のヒドロキシル基、又はシステイン残基のスルフヒドリル基に結合することもできる。
抱合体の成分を結合する方法(例えば、光増感剤を生じるポリアミノ酸鎖を抗菌性ポリペプチドにカップリングする方法)においては、ヘテロ二官能性架橋試薬を使用することができる。これらの薬剤は、1つの鎖の官能基と、2番目の鎖の別の官能基とに結合する。これらの官能基は、通常、アミノ、カルボキシル、スルフヒドリル及びアルデヒドである。適切な部分には多くの並べ替え(順列)があり、これらは、これらの基と反応して、また異なって処方された構造と反応してそれらを一緒に抱合させる。Hermanson (1996) Bioconjugate Techniques, 1st Ed., Academic Press, New York, New York, USA; and Merrifield et al. (1994) Ciba Foundation Symposium 186:5-20.を参照されたい。
【0099】
この化合物又はその薬学的に許容される誘導体は、(i)包装材料、(ii)この包装材料内の本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体(これは、過剰増殖組織又は血管新生の活性を調節するため、又は過剰増殖組織又は血管新生媒介性の疾患又は障害、又は過剰増殖組織又は血管新生活性が関与する疾患又は障害の1又はそれ以上の症状の治療、予防又は改善に有効である。)、並びに(iii)この化合物又は組成物、あるいはその薬学的に許容される誘導体が、過剰増殖組織又は血管新生の活性を調節するため、又は過剰増殖組織又は血管新生媒介性の疾患又は障害、又は過剰増殖組織又は血管新生が関与する疾患又は障害の1又はそれ以上症状の治療、予防又は改善のために使用されることを示すラベル、含む製品として包装することができる。
本発明の製品は、包装材料を含む。医薬品の包装に使用するための包装材料は、当業者によく知られている。例えば、米国特許第5,323,907号、米国特許第5,052,558号及び米国特許第5,033,252号を参照されたい。これらは、その全体が本明細書に組み込まれる。医薬品包装材料の例には、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、ボトル、及び選択された処方物に適しかつ意図された投与と治療のモ-ドに適した任意の包装材料も含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物及び組成物の多種多様な処方物は、過剰増殖組織又は血管新生が、その症状や原因の仲介因子や寄与因子として関係している任意の疾患又は障害に対する広範囲の治療法として期待されている。
【0100】
V.光線力学療法、診断及び治療への応用
いくつかの実施態様において、本発明の式(II)で表される化合物(又はそれらの薬学的に許容される塩又は抱合体)は、光線力学療法(PDT)を含む、疾患(例えば、癌などの過剰増殖性疾患)を治療する方法において光増感剤として作用することができる。簡単に言えば、この光増感化合物、抱合体又は医薬組成物は、一般に、標的組織、標的組成物又は患者が光で照射される前に患者に投与される。この光増感化合物は、本明細書の他の場所に記載されているように投与される。
光増感化合物の用量は、臨床的に決定することができる。使用する光増感化合物に応じて、同等の最適な治療レベルを確立する必要がある。循環する又は局所的に送達された光増感剤が標的組織に取り込まれるまで、一定の時間が経過することが許される。結合していない光増感剤は、この待機期間中に循環から除去されるか、又はオプションで、非標的組織からこの結合していない化合物を除去するための追加の時間を提供することができる。この待機期間は臨床的に決定することができ、化合物ごとに異なる。
この待機期間が終わったら、レーザー光源又は非レーザー光源(蛍光又は白熱光などの人工光源、又は周囲の太陽光などの自然光源を含むがこれらに限定されない)を使用して、結合した薬物を活性化させる。照明の範囲は、検出、診断又は治療されるべき病的領域の位置と大きさによって決まる。照明時間の長さは、検出又は治療が行われているかどうかに依存してもよく、また経験的に決定してもよい。合計時間又は累積時間として、約4分~約72時間の間の任意の時間を用いることができる。いくつかの実施態様において、この照明時間は、約60分~148時間の間である。いくつかの実施態様において、この照明期間は、約2時間~24時間の間である。
【0101】
照射に使用される光の総フルエンス又はエネルギ-は、ジュ-ルで測定すると、いくつかの実施態様において、約10ジュ-ル~約25,000ジュ-ルの間であり、いくつかの実施態様において、約100ジュ-ル~約20,000ジュ-ルの間、いくつかの実施態様において、約500ジュ-ル~約10,000ジュ-ルの間である。蛍光による検出のためであろうと、標的組織又は標的組成物を破壊又は傷付けるための治療的治療のためであろうと、所望の効果を生み出すのに十分な波長及びフルエンスの光が選択される。標的組織を照射するために、この光増感剤の特徴的な光吸収波長に少なくとも部分的に対応する波長を有する光が使用されるのが好ましい。
使用される光の強度又は電力はワットで測定され、1ジュ-ルは1ワット秒に等しい。したがって、本発明の方法で照射するために使用される光の強度は、実質的に500mW/cm未満であってもよい。この光の総フルエンス又はエネルギ-の量(ジュ-ル単位)を、総露光時間の長さ(秒単位)で除算するので、標的が照射に曝される時間が長くすると、使用する光の強度を増やさずに、総エネルギ-又はフルエンスの量を増やすことができる。本発明においては、光増感剤を活性化するのに十分に高い照射の全フルエンスの量を使用する。
【0102】
光線力学療法のために本発明の化合物を使用するいくつかの実施態様において、この化合物は、診断又は治療するために、哺乳動物(例えば、ヒト)に注射される。注射のレベルは、通常、約0.1~約0.5 umol/kg体重の間である。治療の場合は、治療される領域が、所望の波長及びエネルギ-(例えば、約10~200 J/cm2)の光に曝される。検出の場合は、この化合物の照射に使用される波長とは異なる波長で化合物が蛍光するのに十分な波長の光に曝されたときに、蛍光が測定される。検出に使用されるエネルギ-は、蛍光を発するのに十分なエネルギ-であって、通常は、治療に必要なエネルギ-よりも大幅に低い。
本発明の光増感化合物又はその薬学的に許容される誘導体のいずれか1つは、本発明の方法のいずれかを実施するための説明書とともにキットで供給されることができる。この説明書は、例えば、印刷された紙、この方法を実行する方法を人に指示するコンピュ-タディスク、この方法を実行する方法の説明を含むビデオカセット、又は離れた場所からデータを受信して説明するコンピュータメモリ、又は(例えば、インターネットなどを介して)人に指示を提供する他の方法など、任意の具体的な形式でよい。この説明書のいずれかを使用して、教室で説明を受けて又は本発明の方法のいずれかを使用して患者を治療する過程で、人にキットの使用方法を指示することができる。
【0103】
本発明の化合物及び組成物を使用する方法の追加の例及び特定の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
(i)日和見感染症の治療:本発明の化合物、組成物及び方法は、日和見感染症、特に軟組織の光線力学療法(PDT)に有用である。感染症(特に創傷感染症)の(光線力学療法(PDT)を介した)抗菌治療の場合、感染生物には、(非限定的な例として)黄色ブドウ球菌、緑膿菌、大腸菌が含まれる。院内感染では、緑膿菌が外科的創傷感染の8%及び血流感染の10%に関与している。いくつかの実施態様において、この患者は、エイズに罹患している患者又は免疫抑制剤による治療を受けている患者のような、免疫無防備状態の患者である。
(ii)火傷の治療:黄色ブドウ球菌及びグラム陽性菌による感染症は、一般的に火傷で特に顕著である。この黄色ブドウ球菌の多剤耐性は、重大な医学的課題を提示する。この点に関して、本発明の化合物、組成物及び方法は、火傷の日和見感染症の治療に有用である。
(iii)敗血症:本発明の化合物、組成物及び方法は、ビブリオ・バルニフィカスの日和見感染症に苦しむ患者の光線力学療法(PDT)治療に有用である。ビブリオ・バルニフィカスは、グラム陰性菌であり、ヒトに原発性敗血症、創傷感染及び胃腸疾患を引き起こす。
(iv)潰瘍:本発明の化合物、組成物及び方法は、潰瘍を引き起こす細菌(ヘリコバクターピロリ)の光線力学療法(PDT)治療に有用である。病院では、光ファイバーケーブル(内視鏡に似ているが、赤色又は近赤外光を照射するための設備を備える)を胃又は患部に挿入するなど、適切な方法で治療を効果的に行うことができる。
【0104】
(v)歯周病:本発明の化合物、組成物及び方法は、歯肉炎を含む歯周病の治療のための光線力学療法(PDT)において有用である。歯周病は、グラム陰性嫌気性菌ポルフィロモナスジンジバリスなどの細菌の異常増殖によって引き起こされる。多くの光線力学療法(PDT)治療のように、光活性種と組み合わせた標的化又は可溶化エンティティは、光活性種を目的の細胞に適切に送達するために不可欠である。標的となる経口病原体には、ポルフィロモナスジンジバリス、アクチノバチルスアクチノンザイセテムコミタンス、バクテリオイドフォーサイサス、カンピロバクターレクタス、エイケネラコローデンス、フソバクテリウムヌクレアタム亜種多型、アクチノミセス・ビスコ-サス及び連鎖球菌が含まれる。このような用途のために、本発明の化合物又は組成物を局所的に適用し(例えば、うがい薬又はすすぎ剤として)、次いで、外部デバイス、口内器具、又はそれらを組み合わせで光を照射することができる。
(vi)アテローム性動脈硬化症:本発明の化合物、組成物及び方法は、脆弱なアテローム性動脈硬化症のプラークを治療するための光線力学療法(PDT)において有用である。特定の理論に拘束されることを望まないが、侵入する炎症性マクロファージは、冠状動脈のコラーゲンの薄層を分解するメタロプロテイナーゼを分泌し、血栓症をもたらすと考えられており、これはしばしば致命的である。このような炎症性マクロファージを標的とする活性化合物は、不安定プラークの光線力学療法(PDT)に有用である。
【0105】
(vii)化粧品及び皮膚への応用:本発明の化合物、組成物及び方法は、脱毛、乾癬の治療、又は皮膚の変色の除去など、広範囲の美容皮膚科学的問題を処理するための光線力学療法(PDT)において有用である。ルビ-レーザーは現在、脱毛に使用されており、多くのレーザー治療において、メラニンが光増感発色団である。このような治療法は、黒髪の色白の人に適している。本発明の化合物、組成物及び方法は、脱毛のための近赤外増感剤として使用することができ、これにより、より特異的で鋭い吸収帯を有する発色団を標的化することが可能になる。
(viii)にきび:本発明の化合物、組成物及び方法は、にきびを治療するための光線力学療法(PDT)において有用である。尋常性痒疹は、皮脂腺に感染するアクネ菌によって引き起こされ、若者の約80%が影響を受けている。ここでも、抗生物質治療に対して細菌の耐性が高くなっていることが、治療が困難なにきびの急増につながっている。現在のにきびの光線力学療法(PDT)治療は、通常、アミノレブリン酸の添加に依存しており、アミノレブリン酸は、毛包又は皮脂腺で遊離塩基ポルフィリンに変わる。本発明の化合物及び組成物は、特定の状態に応じて、局所的又は非経口的に(例えば、皮下注射によって)患者に投与することができる。
【0106】
(ix)感染症:本発明の化合物、組成物及び方法は、感染症を治療するための光線力学療法(PDT)において有用である。たとえば、地中海及び中東地域で広く発生している皮膚リーシュマニア症及び皮下リーシュマニア症は、現在、ヒ素含有化合物で治療されている。最近、光線力学療法(PDT)が、少なくとも1つのケ-スで、人間の患者に合理的な効果をもたらすために使用された。本発明の化合物及び組成物の使用もこれと同様に有用であり、合成の容易さ及びより良いスペクトル吸収特性などの利点を潜在的に提供する。
(x)組織シーラント:本発明の化合物、組成物及び方法は、それを必要とする患者の組織シーラントとして、光線力学療法(PDT)において有用である。光活性化組織シーラントは、創傷の密封、組織の結合及び組織の欠陥の閉鎖にとって魅力的である。縫合やステープルが望ましくなく、このような機械的密封方法の使用がしばしば感染及び瘢痕化をもたらしている、多くの用途がある。
(xi)腫瘍性疾患:本発明の化合物、組成物及び方法は、皮膚がん、肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、子宮頸がん、卵巣がん、基底細胞がん、白血病、リンパ腫、扁平上皮がん、黒色腫、プラーク期皮膚T細胞リンパ腫、及びカポジ肉腫を含む、腫瘍性疾患又は癌を治療するための光線力学療法(PDT)において有用である。
【0107】
光線力学療法(PDT)に加えて、本発明の組成物は、画像診断技術における画像増強剤として、又は放射線診断のために標的組織又は標的組成物をラベルするために使用することができる。現代の医療分野では、病気の診断のために、磁気共鳴画像法(MRI)を含むさまざまな治療法がある。初期段階の癌の検出は、癌性組織を治癒する可能性を改善するはずである。前癌領域と微小癌の早期診断は、現代の癌治療における重要な主題である。MRIは、非侵襲的で、対象の正確な立体表現を提供するため、臨床現場で強力なツ-ルとして登場した。典型的な核磁気共鳴(NMR)実験のように、無線周波数パルスで核スピンを励起して、対象又は標本に1又はそれ以上の直交磁場勾配を課すことによって、画像が作成さる。さまざまな勾配フィールドでデータを収集した後、デコンボリュ-ションにより、標本/対象の1次元、2次元、又は3次元の画像が生成される。通常、この画像は水のプロトンからのNMR信号に基づいており、体積要素の信号強度は水の濃度と緩和時間の関数である。これらのパラメ-タの局所的な変動は、MR画像で観察される鮮やかなコントラストを提供する。
【0108】
MRI造影剤は、緩和速度を上げることによって作用し、それによって、造影剤が付着する領域の水分子と体の他の場所の水分子との間のコントラストを高める。ただし、造影剤の効果はTとTの両方を減少させ、前者はコントラストが高くなり、後者はコントラストが低くなる。したがって、この現象は濃度に依存し、通常、最大の効果を得るために常磁性種の最適濃度がある。この最適な濃度は、使用する造影剤、イメ-ジングの場所、イメ-ジングのモ-ド(すなわち、スピンエコ-、飽和回復、反転回復及び/又は他のさまざまな強くT依存又はT依存のイメ-ジング技術)、及び造影剤が溶解又は懸濁されている媒体の組成によって異なる。これらの要因及びその相対的な重要性は当技術分野で知られている。たとえば、Pyket t(1982) Scientific American 246:78; and Runge et al.(1983) American Journal of Radiology 141:1209.を参照されたい。MRI造影剤を診断に使用すると、その造影剤は血管灌流され、血管のコントラストを高め、臓器病変と浸潤について報告することになる。しかし、診断放射線学のために特定の組織のラベリングすることは、磁気共鳴画像法(MRI)にとって依然として困難な課題である。既存の免疫学的手法を変更することにより、細胞及び組織に特異的なMRI画像増強剤を開発する取り組みは、放射線診断における多くの研究の焦点となっている。たとえば、常磁性イオンでラベルされた抗体(一般的には、ガドリニウムキレ-トGd-DTPA)が生成され、腫瘍や他の組織のMRI造影剤への影響が試験されている。米国特許第5,059,415号を参照されたい。これは、その全体が本明細書に組み込まれる。残念ながら、抗体に結合したGdの緩和能は、結合していないGd-DTPAの緩和能よりも、ほんのわずかしかよくないことがわかっている。Paajanen et al.(1990) Magnetic Resononance in Medicine 13:38-43.を参照されたい。
【0109】
磁気共鳴画像法(MRI)は一般的に生体内の1H核を検出するために使用される。しかし、MRIは、13C、15N、31P、19Fなどの他の核種のNMRスペクトルも検出できる。19Fは生体に豊富ではない。13C、15N、31P、又は19Fなど(特に19F)のMRIで有用な同位体を本発明の組成物に組み込み、患者に投与することにより、本発明の化合物は標的組織に蓄積し、その後NMRイメ-ジングすることにより、19FなどのMRIで認識可能な同位体を含む蓄積された化合物が存在するため、ターゲット組織又はターゲット組成からの信号が強化されたNMRデータが生成される。したがって、本発明の化合物は、画像増強剤として使用することができ、磁気共鳴画像法(MRI)を含む診断放射線学のための特定の標的組織又は標的組成物の標識を提供することができる。
光線力学療法(PDT)に加えて、本発明の組成物は、患者における標的細胞、標的組織、又は標的組成物を検出するために使用することができる。本発明の化合物が標的組織又は標的組成物の検出に使用される場合、この化合物は患者に導入され、この化合物が標的組織に蓄積するか、又はこの化合物が標的組成物と結合するのに十分な時間が与えられる。次に、治療領域は、一般に、この化合物の蛍光を引き起こすのに十分なエネルギ-の光を使用して照射される。ここで使用されるエネルギ-は、通常、光線力学療法治療に必要とされるよりも著しく低い。所望の波長の光に曝露することにより、蛍光が観察され、この蛍光の量は、当技術分野で知られている方法によって、定性的又は定量的に、この化合物の存在量と相関される。
【0110】
本発明の組成物はまた、感染剤の存在を診断するため、又は患者における感染剤の同一性を診断するために使用することができる。本発明の化合物は、感染剤(抗体又は抗体断片など)と選択的に会合する感染剤に特異的な1つ又は複数のリガンドに抱合することができ、標的化された化合物が、感染剤と結合し、非標的組織から除去されるのに十分な時間を与えた後、この化合物を視覚化することができる(例えば、この化合物の蛍光を発生させるのに十分なエネルギ-の光にさらすことによって、又はMRIを含む診断放射線学を使用した画像化によって)。例えば、本発明の化合物のいずれか1つを、適当なヘリコバクターピロリ抗原に対して標的化された抗体に抱合することができ、これを医薬調製物に処方して、患者に導入すると、抱合された化合物は、細菌が見つかった胃粘液/皮層に放出される。この化合物が標的感染剤と選択的に結合し、結合していない化合物が標的でない組織から除去されるのに十分な時間の後、患者を調べて、ヘリコバクターピロリが存在するかどうかを決定することができる。これは、たとえば、19F置換基が存在するためMRIによって蓄積された化合物を検出したり、又は、この化合物の蛍光を発生させるのに十分なエネルギ-の光を、光ファイバーを使用するなどして標的領域に照射して、標的化合物からの蛍光を検出することによって、行うことができる。
【0111】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物又はその抱合体は、フローサイトメトリーに有用でありうる。フローサイトメトリーはよく知られており、例えば、米国特許第5,167,926号、米国特許第5,915,925号、米国特許第6,248,590号、米国特許第6,589,792号、及び米国特許第6,890,487号に記載されている。これらは、その全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施態様において、細胞などの検出される粒子は、検出のために、リン光物質又はフルオロフォアなどの発光化合物でラベルされる。このラベリングは、発光化合物を抗体などの別の化合物にカップリングすること、(これは粒子や細胞に特異的に結合する)、発光化合物を細胞や粒子へ取り込み又は内在化すること、発光性化合物を細胞や粒子へ非特異的に吸着させることなど、任意の適切な技術によって実行することができる。本発明の活性化合物は、発光化合物としてフローサイトメトリーにおいて有用であり、フローサイトメトリー技術(蛍光活性化セルソ-ティング又はFACSを含む)は、本発明の開示に基づいて当技術分野の当業者に明らかな技術又はその変形例に従って実施できる。
【実施例
【0112】
以下の実施例は、例示的な実施態様を提供する。本発明及び当業者の一般的なレベルに照らして、当業者は、以下の実施例は単なる例示であり、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更、改変、及び変更を行うことができることを理解するであろう。
【0113】
実施例1
化合物CP-1の合成
スキーム3(図3)に示すように、Di-BOCで保護された鈴木カップリングパートナー1(CP-1)を調製した。
1-ブロモ-3,5-ビス(ブロモメチル)ベンゼン(CP-1a)
N-ブロモスクシンイミド(NBS、35.60 g、200.0 mmol)を、攪拌棒付きの火炎乾燥した3つ口1 L丸底フラスコ(RBF)に添加し、このフラスコにガラス栓、隔膜トップコンデンサー及びゴム隔膜を取り付けた。このN-ブロモスクシンイミド(NBS)を高真空下で30分間乾燥させた後、このフラスコをアルゴンで洗浄し、アセトニトリル(ACN、400 mL)をカニュ-レを介して約半分の容量(~450mL)まで添加した。これに、1-ブロモ-3,5-ジメチルベンゼン(15.26g、80.0 mmol)を注射器で加え、続いてアルゴン流下でシステムを短時間開き、固体アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、0.670g、4.00 mmol)を加えた。このフラスコをアルゴン下で加熱し(油浴を90℃に設定)、穏やかに還流した。
16時間後、反応混合物をシングルネック1 L 丸底フラスコ(RBF)に移し、濃縮してACNを除去した。この固体残留物を高真空下でさらに乾燥させ、ジクロロメタン(DCM、75mL)中で懸濁し、加熱して穏やかに沸騰させた。この混合物を室温で平衡化させ、DCM洗浄で濾過した。得られた濾液を濃縮し、高真空下で乾燥させ、65℃に設定した水浴中で加熱しながらエタノール(EtOH、合計55mL)中で再結晶させた。得られた固体を濾過し、氷冷したEtOHで洗浄し、次に高真空下で乾燥させた。白色の結晶性固体として単離された化合物CP-1a(17.40 g、51%)を得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 4.41(s, 4H), 7.34(s, 1H), 7.47(d, J = 2.0 Hz, 2H).
【0114】
2,2'-((5-ブロモ-1,3-フェニレン)ビス(メチレン))ビス(イソインドリン-1,3-ジオン)(CP-1b)
化合物CP-1a(18.43g、53.75mmol)を、攪拌棒を備えた500mLの丸底フラスコ(RBF)中で乾燥させた。このフラスコをアルゴンで洗浄し、ジメチルホルムアミド(DMF、215 mL、0.25 M)を加えた。この無色透明の溶液を撹拌し、フタルイミドカリウム(23.37g、123.63mmol)を少しずつ加えた。このフラスコに乾燥管を載せたコンデンサーを取り付け、90℃に設定した油浴で加熱した。
16時間後、この混合物を室温に冷却し、水(合計1 L)で希釈し、クロロホルム(400、300及び200 mL、それぞれ1×)で抽出した。その有機層を合わせ、0.2N NaOH(500 mL)及び水(500 mL)で洗浄した。その有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。得られた固体を高真空下でさらに乾燥させ、次にフィルターに移し、室温のジエチルエーテル(Et2O)(3x)で洗浄した。化合物CP-1bを白色の粉末状固体として単離した(17.98g、70%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 4.78(s, 4H), 7.42 - 7.47(m, 3H), 7.78 - 7.70(m, 4H), 7.87 - 7.82(m, 4H).
【0115】
(5-ブロモ-1,3-フェニレン)ジメタンアミン(CP-1c)
化合物CP-1b(7.63g、16.06mmol)をEtOH(70.0mL)に懸濁し、85℃の油浴で加熱した。ヒドラジン水和物(4.88 mL、80.29 mmol)を加え、フラスコにコンデンサーを載せた。この混合物をさらに還流温度で15分間加熱し、次に反応混合物を徐々に室温まで冷却した。
これにリトマス試験により溶液が酸性になるまで6 NaqHClを加えた(合計20mL)。
得られた混合物を再び還流温度に加熱した。このフラスコをアルゴンで洗浄し、1時間撹拌し、次に氷浴で冷却及び冷却した。この混合物を濾過して、透明で淡い琥珀色の溶液を得た。その濾液を氷浴で冷却し、2N NaOHで塩基性化した(合計30mL)。その水層をクロロホルム(3×75mL)で抽出した。これらの有機層を合わせ、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして約10mLの容量に濃縮した。このフラスコの壁に白い残留物が認められた。残りの溶液を濾過し、濾液を濃縮して、2.3gの黄色がかった油分を得た。これを冷蔵庫に保管した。このサンプルを4℃で一晩保存して固化した後、さらに高真空下で乾燥させて、2.047g(59%)の化合物CP-1cを琥珀色の半固体として得た。
【0116】
ジ-t-ブチル((5-ブロモ-1,3-フェニレン)ビス(メチレン))ジカルバメート(CP-1d)
化合物CP-1c(2.00g、9.11mmol)を、攪拌棒を備えた火炎乾燥した250mL 丸底フラスコ(RBF)に加えた。このフラスコを排気し、アルゴン洗浄した。テトラヒドロフラン(THF、45 mL)を加え、フラスコを水浴に降ろした。これにジイソプロピルエチルアミン(3.83mL、21.86 mmol)を加え、この不均一な混合物を氷浴で冷却した。無水Boc(4.86g、21.86mmol)をTHF(10mL)中の溶液として調製し、1mLずつ滴下して加えた。溶液を0℃で1時間撹拌し、次に室温に平衡化させた。
反応物を室温で一晩撹拌した。この混合物を濃縮して白色の固体を得た。これを酢酸エチル(EtOAc、70mL)に再溶解した。この有機層を飽和NH4Cl水溶液、水、飽和NaHCO3水溶液及び塩水(各1×50 mL)で洗浄した。次に、この有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して淡琥珀色の油にした。これを静置すると結晶化した。この固体を、冷却Et2O/ヘキサン(1:1)を用いてフリットフィルターで洗浄した。この固体を高真空下で乾燥して、3.50g(93%)の化合物CP-1d(白色の粉末状固体)を得た。
【0117】
カップリングパートナー1(CP-1)
ジメチルスルホキシド(DMSO、試薬グレ-ド、20.0 mL)を100 mL 丸底フラスコ(RBF)に添加し、アルゴンを攪拌しながら計45分間バブリングした。乾燥した250mL 丸底フラスコ(RBF)に、化合物CP-1d(1.25g、3.01 mmol)、ビス(ビナコラート)ジボロン(0.917g、3.61 mmol)、酢酸カリウム(0.886g、9.03 mmol)及びPd(dppf)Cl2(0.066g、0.090 mmol)を一緒に加え、このフラスコを30分間排気した。このフラスコをアルゴンで洗浄し、脱気したDMSOを加えた。この溶液をドライアイス/アセトン浴で凍結し、真空下に置き、次にアルゴン下で解凍させた。この反応混合物を85℃の油浴中で加熱した。
16時間後、反応混合物を室温に冷却し、EtOAc(100mL)で希釈し、塩水(3×100mL)で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。
この濃縮物を最小限のDCMリンスしてニートで40gシリカカラムに添加し、DCM中の0~2%MeOHで溶出した。その主生成物画分を合計して濃縮し、透明な油分を得た。攪拌状態で高真空下でさらに乾燥すると、生成物が固化した。化合物CP-1を白色のワックス状固体として単離した(1.224g、88%)。
【0118】
実施例2
化合物C-1の合成
4-ブロモピロール-2-カルボキサルデヒド(C-1a)
スキーム4(図4)に示すように、2L丸底フラスコ内でTHF(737 mL)中の撹拌された溶液ピロール-2-カルボキサルデヒド(70.0 g、737 mmol)を、アルゴン雰囲気下で0℃に冷却した。これに、N-ブロモスクシンイミド(NBS, 133g、737mmol、試薬グレ-ド、再結晶化されていない)を一度に加えた。この反応混合物をアルゴン下、0℃で15分間撹拌した後、その溶媒を回転式エバポレ-ターで除去した。得られた固体を高真空下で2時間乾燥させた。このフラスコに水(370mL)を加え、その懸濁液をブフナー漏斗で濾過した。このフィルターケーキをさらに水370mLで洗浄した。ろ過した固体物質を2L三角フラスコに移し、湯浴で還流しながら180 mLの熱エタノール(78℃)に溶解した。これに熱湯(1400mL、100℃)を一気に加えた。室温まで冷却すると、その溶液から生成物が結晶化した。この混合物をさらに-10.0℃に2~4時間冷却して、結晶化を促進した。この混合物を真空濾過により濾過し、高真空下で24~48時間乾燥させて、4-ブロモピロール-2-カルボキサルデヒド(C-1a、104g、81%)の薄茶色の結晶を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.91-7.03(m, 1H), 7.05-7.17(m, 1H), 9.48 (s, 1H), 9.68 (br s, 1H).
4-ブロモ-2-ホルミル-N-トシルピロール(C-1b)
オ-ブン乾燥した1L丸底フラスコ中で無水THF(352mL)中の90%NaH(10.3g、429mmol)の懸濁液を撹拌し、真空排気し、アルゴン下で0℃に冷却した。この混合物を化合物C-1a(62.0g、356mmol)で約15分間部分的に処理した。この混合物を0℃で30分間撹拌した後、p-トルエンスルホニルクロリド(67.9g、356mmol)で処理した。この反応物を室温で3時間撹拌し、次これに水(200mL)をゆっくりと加えて反応を抑制した。
これに酢酸エチル(200mL)を加え、その有機層を分離し、塩水(100mL)で洗浄し、乾燥し(~50g Na2SO4)、濾過し、回転式エバポレ-ターで油性液体に濃縮した。この油性液体を1L丸底フラスコ内で高真空下で一晩乾燥させた。得られた粗固体を、湯浴中で還流しながらヘキサン/酢酸エチル(600mL、5:1)に溶解した。これを室温まで冷却すると、この溶液から生成物が結晶化した。この混合物をさらに3時間-10℃に冷却して、さらなる結晶化を促進した。この混合物を真空濾過により濾過し、この濾過された褐色の結晶を、高真空下で乾燥させて、化合物4-ブロモ-2-ホルミル-N-トシルピロール(C-1b)(94g、81%)を得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 2.44(s, 3H), 6.77(s, 1H), 7.31(d, J = 13.40 Hz, 1H), 7.36(d, J = 8.25 Hz, 2H), 7.60(s, 1H), 7.76(d, J = 8.25 Hz, 2H), 8.44(d, J = 13.40 Hz, 1H).
【0119】
4-ブロモ-2-(2-ニトロビニル)-N-トシルピロール(C-1c)
500 mL丸底フラスコ内で、4-ブロモ-2-ホルミル-N-トシルピロール(C-1b, 84.2 g, 257mmol)、酢酸カリウム(20.1 g, 205mmol)、塩酸メチルアミン(13.8 g, 205mmol)及び約99.5%純粋エタノール(90.0 mL)中の酢酸(1.00 mL)の攪拌混合物を、ニトロメタン(34.6 mL, 641 mmol)で処理した。この混合物を2時間撹拌し、次に水(200mL)を加え、得られた黄色の沈殿物を真空濾過により濾過した。濾過した固体物質を水(500mL)、続いて冷エタノール(1.2L、0℃)で溶離液が透明になるまで洗浄した。この黄色の濾過した固体を高真空下で一晩乾燥させて、4-ブロモ-2-(2-ニトロビニル)-N-トシルピロール(C-1c, 79g, 83%)を得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ2.44(s、3H)、6.77(s、1H)、7.31(d、J = 13.40 Hz、1H)、7.36(d、J = 8.25 Hz、2H)、7.60(s 、1H)、7.76(d、J = 8.25 Hz、2H)、8.44(d、J = 13.40 Hz、1H)
4-ブロモ-2-(2-ニトロエチル)-N-トシルピロール(C-1d)
2L丸底フラスコ内で無水THF(1L)中の化合物C-1c(74.0g、199mmol)の溶液を、アルゴン下で-10℃(氷-アセトン(1:1))に冷却した。この溶液を、激しく攪拌しながら、95%LiBH4 (4.34g, 199mmol)を一度に加えて処理した。この反応混合物を、すべての出発物質がなくなるまで、-10℃で30分間撹拌した。これが完了したら、冷飽和NH4Cl水溶液(340 mL、0℃)をゆっくりと加えて、反応混合物の反応を抑制した。この混合物を5分間撹拌し、酢酸エチル(340mL)で抽出し、乾燥し(無水Na2SO4 43g)、回転式エバポレ-ターで暗褐色の固体に濃縮し、2L丸底フラスコ中で高真空下で2時間乾燥させた。この粗固形物を湯浴中で還流しながらイソプロピルアルコール(IPA、1.2L)に溶解した。室温まで冷却すると、この溶液から生成物が結晶化した。この混合物をさらに-10℃で4時間冷却して、より多くの結晶化を促進した。この混合物を真空濾過により濾過し、濾過した薄茶色の結晶を高真空下で一晩乾燥させて、4-ブロモ-2-(2-ニトロエチル)-N-トシルピロール(C-1d, 47g, 62%)を得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ2.44(s、3H)、3.39(t、J = 7.01 Hz、2H)、4.60(t、J = 7.01 Hz、2H)、6.10(d、J = 1.93 Hz、1H )、7.32(d、J = 1.93 Hz、1H)、7.35(d、J = 7.98 Hz、2H)、7.69(d、J = 7.98 Hz、2H)
【0120】
6-(4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-イル)-4,4-ジメチル-5-ニトロヘキサン-2-オン(C-1e)
丸底フラスコ(RBF)中の化合物C-1d(13.3g、35.7mmol)及び1,1-ジメトキシ-4-メチル-3-ペンテン-2-オン(10.5g、107.0mmol、3.0当量)の混合物を1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU、16 mL、107.0 mmol、3.0当量)で処理した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、EtOAcで希釈した。この有機層を(3×水、塩水)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。過剰の1,1-ジメトキシ-4-メチル-3-ペンテン-2-オンを高真空下で16時間除去した。得られた粗生成物を最小量のCH2Cl2(8mL)に溶解し、シリカケーキとして調製した。このケーキを、ヘキサン中の25~40%のEtOAcを含む120gのSiO2カラムで58分間溶出した。その主要な画分を合計し、濃縮し、高真空ロータペーパー下で乾燥させて、11.4 g(68%)の6-(4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-イル)-4,4-ジメチル-5-ニトロヘキサン-2-オン(C-1e)を褐色の固体として得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ1.11(s、3H)、1.24(s、3H)、2.13(s、3H)、2.40(AB、J = 17.8 Hz、1H)、2.43(s、3H)、2.55(AB、J = 17.8 Hz、1H)、3.18(AB、J = 16.2 Hz、1H)、3.36(ABX、3J = 16.2 Hz、2J = 11.8 Hz、1H)、5.14(AB、J = 11.8 Hz、1H )、6.00-6.02(m、1H)、7.22-7.24(m、1H)、7.34(AB、J = 8.2 Hz、2H)、7.64(AB、J = 8.2 Hz、2H)
4-ブロモ-1-トシル-2-((3,3,5-トリメチル-3,4-ジヒドロー2H-ピロール-2-イル)メチル)-1H-ピロール(C-1f)
丸底フラスコ(RBF)内でTHF(105mL)中の化合物C-1e(10.5g, 22.3mmol)の溶液を、HCO2NH4 (28.1g、446mmol)及び亜鉛粉末(28.3g、446mmol)で処理した。得られた懸濁液を室温で2時間激しく撹拌した。この反応混合物をシリカ(50g)ガラスフリットのパッドを通して濾過した。このフィルターケーキをEtOAc(500mL)で溶出した。この濾液を濃縮して、ふわふわした薄茶色の固体を得た。その残留物をCH2Cl2に溶解し、シリカケーキとして調製した。このケーキをEtOAc中の75~80%ヘキサンを含む120gのSiO2カラムで60分間溶出した。単一の主要生成物を合わせ、濃縮し、高真空下で乾燥させて、6.29g(67%)の4-ブロモ-1-トシル-2-((3,3,5-トリメチル-3,4-ジヒドロー2H-ピロール-2-イル)メチル)-1H-ピロール(C-1f)を薄茶色の固体として得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ0.88(s、3H)、1.07(s、3H)、1.97(s、3H)、2.28(AB、J = 16.8 Hz、1H)、2.36(AB、J = 16.8 Hz 、1H)、2.41(s、3H)、2.63(ABX、2J = 16.1 Hz、3J = 10.2 Hz、1H)、2.92(ABX、2J = 16.1 Hz、3J = 3.8 Hz、1H)、3.67~3.70(m 、1H)、6.25~6.28(m、1H)、7.28~7.30(m、3H)、7.68(AB、J = 8.2 Hz、2H)
【0121】
4-ブロモ-2-((3,3,5-トリメチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピロール-2-イル)メチル)-1H-ピロール(C-1g)
丸底フラスコ(RBF)内で化合物C-1f(2.79 g、6.59 mmol)をフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF、19.8 mL、THF中1.0 M、19.8 mmol、3当量)で処理し、反応物を還流下(64-67℃)で1時間撹拌した。これにNaHCO3水溶液(68mL)の飽和溶液を加え、続いて酢酸エチル(68mL)を加えた。この混合物を酢酸エチル(134mL)で抽出した。その有機層を乾燥させ(無水Na2SO4)、回転式エバポレ-ターで暗褐色の油に濃縮し、高真空下で2時間乾燥させた。この残留物をジクロロメタン(DCM)に溶解し、シリカケーキとして調製した。このケーキを、ヘキサン中の25~33%のEtOAcを用いて40gのSIO2カラムで55分間溶出した。主生成物画分を合わせ、濃縮し、高真空下で乾燥させて、1.56g(88%)の化合物4-ブロモ-2-((3,3,5-トリメチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピロール-2-イル)メチル)-1H-ピロール(C-1g)を薄茶色の固体として得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ0.92(s、3H)、1.11(s、3H)、2.03(s、3H)、2.28(AB、J = 16.8 Hz、1H)、2.38(AB、J = 16.8 Hz 、1H)、2.54(ABX、2J = 14.9 Hz、3J = 11.8 Hz、1H)、2.69(ABX、2J = 11.8 Hz、3J = 2.5 Hz、1H)、3.56-3.62(m、1H)、5.85-5.94(m、1H)、6.63-6.69(m、1H)、9.72-10.01(br s、1H)
【0122】
スキーム5(図5)に、クロリンのイースタンハーフの合成と、ウエスタンハーフとの環化反応を示す。
5-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)ジピロメタン(C-1h)
500mL丸底フラスコ(RBF)内でピロール(183.9g、2741mmol、190mL、45当量)とメチル-4-ホルミルベンゾエート(10.0g、60.9mmol)の混合物をアルゴン下で30分間脱気した。これにトリフルオロ酢酸(TFA、1.18 mL、0.25当量)を加え、アルゴン雰囲気下でさらに30分間撹拌した。この反応混合物のアリコートの、CH2Cl2/ヘキサン(2:1)を用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)は、安息香酸メチル-4-ホルミルからC-1hへの完全な変換を示した。この反応混合物をCH2Cl2 400mLで希釈し、0.1NNaOH200mLで洗浄した。次に、この有機層を塩水(200mL)で洗浄し、乾燥させ(無水Na2SO4 20g)、濾過し、回転式エバポレーターで濃縮乾固させた。この粗固体を200mLのメタノール/水(10:1)を用いて再結晶化し、真空濾過により濾過して、薄茶色の固体を得た。メタノール/水(10:1)を用いて複数回の再結晶した後、150 mLのガラスフリットで濾過して、13.5 g(79%)の5-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)ジピロメタン(C-1h)を得た。代替として、この残留物をCH2Cl2に溶解し、シリカケーキとして調製した。このケーキを、ヘキサン勾配中の75~100%CH2Cl2を含む120gのSiO2カラムで70分かけて溶出した。主生成物画分を合わせ、濃縮し、高真空下で乾燥させて、薄茶色の固体を得た。
1-ホルミル-5-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)ジピロメタン(C-1i)
ヴィルスマイヤー試薬を下記の報告の手順に従って調製した。Laha et al., J. Org. Chem. 2006, 71, 4092-4102.を参照されたい。無水DMF(8.0 mL)のサンプルをアルゴン下でPOCl3(1.90 mL、1.2当量、20.3 mmol)で処理し、オーブン乾燥した50mL丸底フラスコ内で0℃で20分間撹拌した。得られた混合物を(カニュ-レを介して)、0℃でのDMF(35mL)中の5-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)ジピロメタン(C-1h, 5.43、19.4mmol)の溶液を含むオーブンで乾燥させた真空真空にしアルゴンで洗浄した第2の丸底フラスコ(250 mL)に加えた。1.5時間後、これに飽和NaHCO3溶液(87mL)を穏やかに加えた。得られた混合物を一晩撹拌し、酢酸エチルで抽出した。この有機層を合わせ、洗浄し(塩水)、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。この残留物をCH2Cl2に溶解し、シリカケーキ(10g)として調製した。このケーキを、ヘキサン中の0~40%のEtOAcを含む80gのSiO2カラムで51分かけて溶出した。主生成物画分を合わせ、濃縮し、高真空下で乾燥させて、3.37g(56%)の1-ホルミル-5-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)ジピロメタン(C-1i)を薄茶色の固体として得た。
【0123】
8,9-ジブロモ-1-ホルミル-5-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)ジピロメタン(C-1j)
オーブンで乾燥させた丸底フラスコ(250mL)内で、THF(45mL)中のC-1i(1.40g、4.54mmol)を-78℃で再結晶したN-ブロモスクシンイミド(NBS)(1.62g、9.08mmol)で処理した。1時間後、冷却浴を取り外し、この反応混合物を-20℃に温め、ヘキサンと水の混合物(1:1、13mL)を加えた。得られた混合物を酢酸エチルで希釈し、塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。この残留物をCH2Cl2に溶解し、シリカケーキ又はスラリー(約6.0g)として調製した。このケーキを、ヘキサン勾配中の0~20%のEtOAcを用いて80gのSiO2カラムで86分間溶出した。主生成物画分を合わせ、濃縮し、高真空下で乾燥させて、黄色の固体として2.00g(94%)の8,9-ジブロモ-1-ホルミル-5-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)ジピロメタン(C-1j)を得た。
3,13-ジブロモ-10-(4-(メトキシカルボニル)-18,18-ジメチルクロリンZn(II)(C-1k)
CH2Cl2(35 mL)中の3,4,5,6-テトラヒドロ-1,3,3-トリメチルジピリン (C-1g、0.63 g、2.35mmol)と8,9-ジブロモ-1-ホルミル-5-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)ジピロメタン(C-1j, 1.09g, 2.35mmol)の懸濁液を、メタノール(12 mL)中のp-トルエンスルホン酸一水和物(2.23g、11.7 mmol)で処理し、室温で40分間撹拌した。このサンプルをUv-visで測定し、約480nmに強い広帯域を確認した。得られた混合物を2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(7.92mL、46.9mmol)で5-10分間処理した。この反応混合物を回転式エバポレーターで濃縮し、得られた褐色の固体がアセトニトリル(235mL)中に懸濁したので、これを、酢酸亜鉛(6.47g、35.2mmol)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(15.9mL、93.9mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(1.82g、7.04mmol)で処理した。得られた懸濁液を18~24時間還流した。この反応混合物を冷却及び濃縮し、その残留物を溶解させた。これをCH2Cl2に溶解し、溶離液が透明になるまでガラスフリット上のシリカベッドでろ過した。この残留物をシリカケーキとして調製し、ヘキサン中の50%CH2Cl2を含む120gのSiO2カラムで3分間溶出し、その勾配でさらに15分間保持した。この勾配をヘキサン中の70%CH2Cl2に3分間変更し、その勾配でさらに5分間保持した。続いて、この勾配をヘキサン中の80%CH2Cl2に5分間変更し、その勾配で20分間保持した。薄層クロマトグラフィー(TLC)後にすべての緑色画分を合わせて、3,13-ジブロモ-10-(4-(メトキシカルボニル)-18,18-ジメチルクロリンZn(II)(C-1k)を緑色の固体として得た(318 mg; 20%収率)。
3,13-ジブロモ-10-(4-(メトキシカルボニル)-18,18-ジメチルクロリン(C-1l)
丸底フラスコにC-1k(49 mg、0.070 mmol)を入れた。CH2Cl2/TFAの混合物5.0mL(4.90/0.10 ml)をこのフラスコに添加し、得られた混合物を2時間撹拌した。この混合物を飽和NaHCO3水溶液(20 mL)で反応抑制し、塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。この濃縮物をヘキサン/CH2Cl2(20 mL)で再結晶して、化合物3,13-ジブロモ-10-(4-(メトキシカルボニル)-18,18-ジメチルクロリン(C-1l)を暗色の粉末として得た(34 mg, 75%)。
【0124】
次に、スキ-ム6(図6)に示すように、化合物C-11を使用して、中間体化合物C-1m及びC-1nを経由して化合物C1を調製した。
鈴木カップリング前駆体(C-1m)
化合物C-11(63.2 mg, 100μmol)、カップリングパートナーCP-1(102 mg, 220μmol)、Pd(PPh3)4 (69.4 mg, 60.0μmol)及びCs2CO3(196 mg, 60.0μmol)の混合物を25mL丸底フラスコ(RBF)に入れた。このフラスコを高真空下に1時間置き、その後3回の排気-補充サイクルでさらに脱気した。これにシリンジでトルエン/DMF(2:1, 合計10 mL)を加え、この溶液を90℃で18時間加熱した。
これを室温まで冷却した後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、NaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。得られた混合物を濃縮し、クロマトグラフィー[シリカ40g, ヘキサン/酢酸エチル(0-75%)]にかけて、化合物C-1m(94.9mg, 83%)を緑色の固体として得た。
t-ブチルで保護されたβ-アラニンリンカーを有する鈴木カップリング前駆体(C-1n)
THF(13.3 mL)及びMeOH(6.7 mL)中の化合物C-1m(38.1 mg, 33.3μmol)を1.0 M NaOH水溶液(6.7 mL)で処理した。アルゴン下室温の暗所で、この反応混合物を撹拌した。3.5時間後、この反応混合物をEtOAcで希釈し、1.0%HCl水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。
この粗生成物の残留物に、O-(N-スクシンイミジル)-N、N、N '、N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレ-ト(TSTU, 40.1 mg, 133μmol)、CH2Cl2(8.3 mL)及びTEA(18.5μL, 133μmol)を加えた。この反応混合物を、アルゴン下室温の暗所で撹拌した。1時間後、この反応混合物をEtOAcで希釈し、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。
得られた残留物に、β-アラニンt-ブチルエステル塩酸塩(45.3 mg, 333μmol)及びCs2CO3(109 mg, 333μmol)を加えた。このシステムを排気し、アルゴンを流して洗浄し、CH2Cl2(8.3 mL)を添加した。この反応混合物を、アルゴン下室温の暗所で撹拌した。3時間後、この反応混合物をEtOAcで希釈し、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。これをクロマトグラフィー[シリカ12g, ヘキサン/酢酸エチル(0-100%)]にかけて、化合物C-1n(40.2 mg, 97%)を緑色の固体として得た。
MS: obsd 1257.04, calcd 1256.68 [(M + H)+, M = C72H89N9O11].
【0125】
化合物C-1
10 mL丸底フラスコ(RBF)中の化合物C-1n(12.6 mg, 10.0μmol)を、ジオキサン(2.5 mL)中の4.0 MHClで処理した。この反応混合物を、アルゴン下室温の暗所で撹拌した。1.5時間後、この反応混合物を高真空下に16時間置いた。
得られた残留物に、CH3(OC2H4)12CONHS (mPEG12-NHS,54.9 mg, 80.0μmol)及びCs2CO3(52.2 mg, 160μmol)を加え、このフラスコを排気し、不活性ガスを流した。これにDMF(2.5mL)を加え、反応混合物を室温で撹拌した。1時間後、この反応混合物をクロマトグラフィーにかけ[C18金, 15.5g, H2O/CH3CN(0~40%)]、化合物C-1を緑色の固体として得た(4.0mg, 13%)。
その後、この化合物C-1の合成を、化合物C-1n(155.3 mg, 124μmol)から開始して、化合物C-1が252 mg得られるようにスケ-ルアップした(収率66%)。
MS: 観測値 1541.94, 計算値1541.86 [M + 2H]2+; 観測値 1553.24, 計算値 1552.85 [(M + H + Na]2+; 観測値 1563.89, 計算値 1563.84 [(M + 2Na]2+; λabs 417, 651 nm(PBS); λem 656 nm(PBS). 量子収率: 26%(PBS); FWHM: 20 nm(PBS).
クロリンの溶解度は、クロリン原液の一連の希釈液の吸収値を測定することで評価することができる。Jiang et al. (2014) Organic & Biomolecular Chemistry 12:86-103.を参照されたい。化合物C-1の溶解度は、>10 mg/mL(PBS)であった。
【0126】
実施例3
化合物4の合成
薗頭カップリングNIRvana680前駆体(2)
化合物4は、本明細書ではNIRvana 680とも呼ばれ、これをスキーム7(図7)に示すように合成した。5-エチニル-1,3-ベンゼンジカルボン酸(500mg, 2.63mmol)、t-ブチルN-(2-アミノエチル)カルバメ-ト(2.08 mL, 13.2mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI, 2.00 g, 10.4mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP, 1.48 g, 13.2mmol) の混合物から化合物C237を調製し、これをDMF(3.3mL)に溶解した。フラスコを室温で16時間撹拌した。この反応混合物をシリカゲルに直接ロードし、クロマトグラフィー[シリカ, CH2Cl2/MeOH(0-10%)]にかけて、白色の固体を得た。得られた固体は、1H NMRによりDMAPを含むことが分かったため、これを酢酸エチルに再溶解し、1.0%HCl水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して、化合物C237を白色固体(938 mg, 75%)として得た。
化合物1(60.0mg, 0.095mmol)、カップリングパートナーC237(225mg, 0.474mmol, 5.0当量)及びPdCl2(PPh3)2(17mg, 0.024mmol, 0.25当量)の混合物を、オーブン乾燥した100mLシュレンクフラスコに入れた。このフラスコを高真空下に0.5時間置いた後、3回の排気-補充サイクルでさらに脱気した。これにシリンジでトルエン/Et3N(2:1, 合計9 mL)を添加し、この溶液を85~90℃で24時間加熱した。これを室温まで冷却した後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、NaHCO3水溶液、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。その残留物を最小量のCH2Cl2に溶解し、シリカケーキとして調製した。このケーキを、CH2Cl2/MeOH(0-1%)を含む40gのシリカカラムで溶出して、化合物2(132mg, 98%)を暗色の固体として得た。
MS: [M + H]+ calc. 1419.68; obs. 1419.86.
【0127】
薗頭カップリングNIRvana680前駆体、t-ブチル保護β-アラニンリンカー(3)
THF(6.0 mL)及びMeOH(3.0 mL)中の化合物2(45.8 mg、32.3μmol)を、1.0 M NaOH水溶液(3.0 mL)で処理した。この反応混合物を室温の暗所で撹拌した。4.5時間後、この反応混合物を1.0M HCl水溶液(4.5mL)で反応抑制し、EtOAc(25mL)で希釈し、塩水(25mL)で洗浄し、Na2SO4(4.0g)で乾燥し、濾過し、濃縮し、高真空下で乾燥した。この粗生成物残渣に、TSTU(19.4 mg、64.4μmol、2.0当量)、CH2Cl2(10.0 mL、3.2 mM)及びトリエチルアミン(9.0μL、194μmol、6.0当量)を加えた。この反応混合物を、アルゴン下室温の暗所で約1時間撹拌した。得られた残留物に、β-アラニンt-ブチルエステル塩酸塩(17.6 mg, 96.8μmol, 3.0当量)、トリエチルアミン(27.0μL, 64.4μmol, 2.0当量)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。これに、更に、TEA(54μL, 12当量)及びβ-アラニンt-ブチルエステル塩酸塩(52.8 mg, 9.0当量)を加え、反応物を一晩撹拌した。次に、この反応物を10分間加熱還流した。この反応混合物をCH2Cl2(15mL)で希釈し、塩水で洗浄し、その有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥し。ろ過、濃縮した。これをクロマトグラフィー[シリカ12g, ウェットロ-ド及びCH2Cl2/MeOH(0-1%)で溶出]にかけて、化合物3(38.2 mg, 77%)を暗色の固体として得た。
MS: [M + H]+ calc. 1532.76; obs. 1533.11.
NIRvana 680(化合物4)
密閉されたスクリュ-キャップを備えたシンチレ-ションバイアル中の化合物3(38.2 mg, 24.9μmol)を真空排気し、アルゴンを流した。これに、アルゴン下でHCl溶液(ジオキサン中4.0 M, 2.5 mL)を加えた。この反応混合物を、アルゴン下室温の暗所で撹拌した。1.5時間後、この反応混合物を、出口針で高流量のアルゴン流下に置き、溶媒を除去した。これの完了後、このバイアルを真空下で一晩乾燥させた。得られた残留物に、CH3O(OC2H4)12CH2CH2COONHSエステル(109.1 mg, 149.5μmol, 6.0当量)及びCs2CO3(81.2 mg, 249.2μmol, 10当量)を加え、フラスコを排気し、不活性ガスを流した。これにDMF(3.0mL)を加え、反応混合物を遮光し、アルゴン下、室温で撹拌した。1.5時間後、CH3O(OC2H4)12CH2CH2COONHSエステル(109.1 mg, 149.5μmol, 6.0当量)及びCs2CO3(81.2 mg, 249.2μmol, 10当量)を加え、バイアルを真空排気し、アルゴンを10分間フラッシュし、アルゴン雰囲気下で攪拌を継続した。3.5時間後、この反応物を濃縮した。このサンプルを水(2.0 mL)中の30%ACNに溶解し、水中グラジエント中の30~80%ACNを用いた逆相分取LCに45分間かけた。主生成物のピ-クを合わせ、濃縮し、ACNの貯蔵バイアルに移し、濃縮し、高真空下で乾燥させて、17.5 mg(20%)の化合物4を緑色の残留物として得た。
MS: [M + 2H]2+ calc. 1767.45; obs. 1767.54.
【0128】
実施例4
フローサイトメトリー
機器:サンプルは、7つのレーザー(355、405、488、532、561、594、及び633 nm)を備えた19パラメーターLSR-II SORPフローサイトメーター(BD Biosciences, San Jose, California, USA)又は5つのレーザー(355、405、488、561、及び640 nm)を備えたLSRFortessa(BD Biosciences, San Jose, California, USA)を用い、更にFACSDiva 8.0 acquisition softwareを用いて、分析した。化合物C-1のデータは、630 nmロングパス(LP)フィルターと660/20 nmバンドパス(BP)フィルターを備えた100 mW 405nmレ-ザ-のチャネルAで収集した。クロリンH2C12-PEG6-NHSのデータは、635 nmLP及び655/40nmBPフィルターを使用して収集した。
抗体バイオ抱合体
化合物C-1nの合成における中間体NHSエステルの調製について上記で記載したように、化合物C-1のNHSエステルは、CH2Cl2中のTSTU(即ち、O-(N-スクシンイミジル)-N、N、N '、N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレ-ト)及びTEAを使用して調製され、HP液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)で単一のピ-クを示した(MS: obsd. 1591 [M+2H]2+, 1602 [M+H+Na]2+.)。9.4 mg/mL(1.0 mg)の抗ヒトCD8マウスモノクロ-ナル抗体(clone UCHT-4, Leinco Technologies, Inc., St. Louis, Missouri, USA)106μL、1M重炭酸塩(pH 8.4)15μL及びPBS中のPEG化色素NHSエステル(5~20モル当量)44μLから、複数のマイクロ遠心チュ-ブ内に溶液を用意した。このチューブを遮光し、室温で1~2時間穏やかに回転させた。室温でさらに1時間かけて15μLの200μMTrisを添加することにより、この反応を停止させた。このバイオ抱合体を、PBSで溶出するSephadex G50M、G75M又はG100Mのいずれかのサイズの排除クロマトグラフィーカラムを用いて精製した。長いPEG鎖(12ユニット以上)を持つ色素から調製された抗体バイオ抱合体を、G75M又はG100M媒体で精製した。カラム画分を、280 nm(タンパク質)での吸収と、赤色又はNIR色素の最大吸収によって特徴づけを行った。プールされた画分のフルオロフォア対タンパク質(F/P)ラベル比は、これら2つの最大値から280nmにおける色素の吸収を補正して決定した。
【0129】
細胞染色:凍結保存されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、ZenBio, Inc.(Research Triangle Park, North Carolina, USA; Product SER-PBMC-F)から入手し、解凍して、このベンダーのガイドラインに従って染色の準備をした。細胞を6つの1.5mLマイクロ遠心チューブに分け、400xg(2000 rpm)で5分間遠心分離した。細胞を洗浄バッファー(0.5%BSAを含むPBS)で3回洗浄し、0.5mLの洗浄バッファーに再懸濁した。アリコートをトリパンブルーで1:2に希釈し、血球計算盤で4nLの正方形を数えることで細胞数と生存率を測定した。生存率は通常>96%であった。この細胞を洗浄バッファーで1x106/mLに希釈し、50μL(500,000細胞)をマイクロ遠心チューブに分注した。最大標識抗体濃度は4.74μg/5x105細胞(3.16Xと指定)であり、半対数希釈液を調製した。この希釈は、対照抗体を除くすべてについて、15μLが細胞アリコートに添加されるように行った。細胞と抗体とを混合しながら室温で30分間インキュベートした。各チューブを1mLの洗浄バッファーで2回洗浄した後、1%ホルムアルデヒドを含む0.5mLの洗浄バッファーに細胞を再懸濁した。フローサイトメトリーによる特性評価の前に、サンプルをナイロンろ過布を通してろ過して、フローサイトメトリーチューブに入れた。
【0130】
必要に応じて、陽性対照バイオ抱合体を、CD8(UCHT-4)-フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Leinco Technologies, Inc., St. Louis, Missouri, USA; カタログ番号 C119)、CD4(RPA-T4)-BUV737抗体(BD Biosciences, San Jose, California, USA; カタログ番号 564306)及び/又はCD8(UCHT-4)-DY650抗体(Leinco Technologies, Inc., St. Louis, Missouri, USA; カタログ番号 C2064)から選択し、同じ一般的な手順で末梢血単核細胞(PBMC)を用いて滴定した。染色指数(SI)は、Maecker et al. (2004) Cytometry A 62:169-173に従って平均蛍光強度(MFI)値から下記のように計算した。
SI=(平均:陽性 - 平均:バックグラウンド)/(2×S.D.バックグラウンド)
下記の表1に、化合物C-1の抗CD8バイオ抱合体の滴定の染色指数データ、及び10-フェニル基を介して付加された3つのPEG6を有する既公開のクロリンであるH2C12-PEG6-NHSの抗CD8バイオ抱合体の滴定の染色指数データを示す。Liu et al., Molecules, 2018, 23, 130.を参照されたい。比較のため、FITC(Leinco Technologies, Inc., St. Louis, Missouri, USA; カタログ番号 C119)から調製した抗CD8バイオ抱合体のデータも提供する。
【表1】
これらの結果は、化合物C-1のPEG化設計物の性能が顕著に向上していることを示している。
【0131】
参考文献
本明細書にリストされたすべての参考文献は、すべての特許それらの特許出願及び公開物、ならびに科学雑誌記事を含むがこれらに限定されず、それらがここで採用された方法論、技術及び/又は組成物を、補足し、説明し、その背景を提供し、又は教える範囲でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で開示された本発明の様々な詳細は、本発明の範囲から逸脱することなく変更可能であることは理解されたい。さらに、前述の説明は、例示することのみを目的としており、本発明を限定することを目的とするものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】