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特表2022-532970ポリ(エステル尿素)マイクロカプセル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ポリ(エステル尿素)マイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/16 20060101AFI20220713BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20220713BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20220713BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20220713BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20220713BHJP
   C08G 18/79 20060101ALI20220713BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20220713BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220713BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20220713BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B01J13/16
C11B9/00 Z
C11D3/50
C08G18/00 A
C08G18/32 025
C08G18/79
A61K8/87
A61Q19/10
A61Q15/00
A61Q13/00 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539386
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2020063890
(87)【国際公開番号】W WO2020234263
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/850,667
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19184796.1
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】リン マ
(72)【発明者】
【氏名】ジンユー フォン
(72)【発明者】
【氏名】ラウシーヌ ワリ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューダ ジェリ
【テーマコード(参考)】
4C083
4G005
4H003
4H059
4J034
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB051
4C083AB332
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC712
4C083AC782
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD132
4C083AD172
4C083BB01
4C083CC17
4C083CC23
4C083DD41
4C083KK03
4G005AA01
4G005AB14
4G005AB25
4G005BA02
4G005BB12
4G005BB13
4G005BB15
4G005DA04W
4G005DB01X
4G005DB05W
4G005DB06W
4G005DB07W
4G005DB12W
4G005DB14W
4G005DB16W
4G005DC42Y
4G005DC46Y
4G005DD12W
4G005DD39Z
4G005DD57W
4G005DD67W
4G005EA03
4G005EA05
4G005EA07
4H003AB31
4H003AD04
4H003BA12
4H003CA18
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
4H003DA17
4H003EA19
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB16
4H003EB28
4H003ED02
4H003FA26
4H059BA14
4H059BA20
4H059BA23
4H059BA30
4H059BA35
4H059BA45
4H059BC23
4H059CA54
4H059DA09
4H059EA31
4H059EA35
4J034BA02
4J034CA14
4J034CA15
4J034CA16
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB05
4J034CB07
4J034CC09
4J034CC12
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CC68
4J034CD06
4J034HA02
4J034HB07
4J034HC12
4J034HC35
4J034JA03
4J034JA13
4J034JA15
4J034JA28
4J034JA42
4J034MA11
4J034QC04
4J034RA02
4J034RA03
(57)【要約】
本発明は、ポリ(エステル尿素)マイクロカプセルの新規の製造方法に関する。ポリ(エステル尿素)マイクロカプセルも本発明の対象である。該マイクロカプセルを含む賦香組成物および消費者製品、特にホームケアまたはパーソナルケア製品の形態の賦香された消費者製品も本発明の一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(エステル尿素)ベースのコア-シェルマイクロカプセルスラリーの製造方法であって、以下のステップ:
a) 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートを、疎水性材料、好ましくは香料に溶解させて、油相を形成するステップと、
b) 安定剤を含む分散相を製造するステップであって、前記分散相が前記油相と混和性ではない、ステップと、
c) ステップa)で得られた前記油相を前記分散相に添加して、二相分散液を形成するステップと、
d) 硬化ステップを実施して、スラリーの形態のコア-シェルマイクロカプセルを形成するステップと
を含み、
ポリアミノエステルを、ステップa)で、および/またはステップc)の前記二相分散液に添加する、
方法。
【請求項2】
前記ポリアミノエステルを、ポリオールとアミノ酸との間の反応によって得る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリオールが、グリセロール、ペンタエリトリトール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群において選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記アミノ酸が、グリシン、フェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびそれらの混合物、ならびにそれらの混合物からなる群において選択される、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記ポリアミノエステルが、
【化1】
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアミノエステルを、0.1~15%、好ましくは4~12%の量で使用し、これらのパーセントが、前記スラリーの総重量に対する重量によって定義される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、およびキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記安定剤が、アラビアガム、加工デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アニオン性多糖類、アクリルアミドコポリマー、無機粒子、タンパク質、例えば、ダイズタンパク質、米タンパク質、ホエイタンパク質、卵白アルブミン、カゼイン酸ナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、疑似コラーゲン、シルクタンパク質、セリシン粉末およびそれらの混合物からなる群において選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ポリイソシアネートを、前記マイクロカプセルスラリーの1~15重量%、好ましくは2~8重量%、より好ましくは2~6重量%の量で使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
20~50%の量の疎水性材料を使用し、これらのパーセントが、前記マイクロカプセルスラリーの総重量に対する重量によって定義されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記疎水性材料が香料を含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ポリ(エステル尿素)ベースのコア-シェルマイクロカプセルであって、
- 疎水性材料を含む、好ましくは香油を含む、油ベースのコアと、
- 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとポリアミノエステルとの間の反応生成物を含むシェルと
を含む、ポリ(エステル尿素)ベースのコア-シェルマイクロカプセル。
【請求項13】
賦香組成物であって、
(i) 請求項12に定義された香料マイクロカプセルであって、疎水性材料が香料を含む、香料マイクロカプセルと、
(ii) 香料担体、香料補助成分およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、
(iii) 任意選択的に少なくとも1種の香料補助剤と
を含む、賦香組成物。
【請求項14】
賦香された液体消費者製品であって、
a) 前記消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤と、
b) 水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c) 請求項12に定義されたマイクロカプセルまたは請求項13に定義された賦香組成物と
を含む、賦香された液体消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(エステル尿素)ベースのマイクロカプセルの新規の製造方法に関する。ポリ(エステル尿素)ベースのマイクロカプセルも本発明の対象である。該マイクロカプセルを含む賦香組成物および消費者製品、特にホームケアまたはパーソナルケア製品の形態の賦香された消費者製品も本発明の一部である。
【背景技術】
【0002】
香料業界が直面している問題の1つは、それらの揮発性、特に「トップノート」の揮発性を理由に、発香性化合物によって提供される嗅覚的な利益が比較的急速に失われることにある。揮発性成分の放出速度を調節するために、香料を含有するマイクロカプセルのような送達系は、そのコア封入物を保護し、かつ後に誘発された際に放出することが必要とされる。これらの系に関する当産業の重要な要件は、物理的に解離または分解されることなく、困難を伴うベースにおける懸濁に耐えることである。これは、送達系に対する安定性と呼ばれる。例えば、高レベルの侵食性界面活性剤洗剤を含有するフレグランス付きのパーソナル用および家庭用洗浄剤は、マイクロカプセルの安定性にとって非常に興味深いものである。
【0003】
ポリ尿素およびポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーは、例えば、様々な基材に塗布した後に長続きする心地よい嗅覚的効果を提供することから、香料産業において広く使用されている。これらのマイクロカプセルは、従来技術において広く開示されている(例えば、本出願人の国際公開第2007/004166号または欧州特許出願公開第2300146号明細書を参照)。
【0004】
特に消費者製品ベースのような興味深い媒体中での安定性の観点から、また活性成分送達の点における良好な性能、例えば賦香成分の場合は嗅覚的性能をもたらすことにおいて、マイクロカプセルの性能を損なうことなく、新たなマイクロカプセルを提供する必要が依然としてある。
【0005】
本発明は、新たなポリ(エステル尿素)ベースのマイクロカプセルおよび該マイクロカプセルの製造方法を提供することによる上記の問題に対する解決策を提案している。
【0006】
ここで、驚くべきことに、疎水性材料、好ましくは活性成分をカプセル化するコア-シェルマイクロカプセルを実施することは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとポリアミノエステルとを反応させることによって得られ得ることが見出された。したがって、本発明の方法は、興味深いベース中での所望の安定性を有するマイクロカプセルを製造することを可能にするので、上記の問題に対する解決策を提供する。
【0007】
本発明の第1の対象は、ポリ(エステル尿素)ベースのコア-シェルマイクロカプセルスラリーの製造方法であって、以下のステップ:
a) 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートを、疎水性材料、好ましくは香料に溶解させて、油相を形成するステップと、
b) 安定剤を含む分散相を製造するステップであって、分散相が油相と混和性ではない、ステップと、
c) ステップa)で得られた油相を分散相に添加して、二相分散液を形成するステップと、
d) 硬化ステップを実施して、スラリーの形態のコア-シェルマイクロカプセルを形成するステップと
を含み、
ポリアミノエステルを、ステップa)で、および/またはステップc)の二相分散液に添加する、
方法に関する。
【0008】
本発明の第2の対象は、ポリ(エステル尿素)ベースのコア-シェルマイクロカプセルであって、
- 疎水性材料を含む、好ましくは香油を含む、油ベースのコアと、
- 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとポリアミノエステルとの間の反応生成物を含むシェルと
を含む、ポリ(エステル尿素)ベースのコア-シェルマイクロカプセルである。
【0009】
本発明の第3の対象は、ポリ(エステル尿素)ベースのコア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、
- 疎水性材料を含む、好ましくは香油を含む、油ベースのコアと、
- 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとポリアミノエステルとの間の反応生成物を含むシェルと
からなる少なくとも1つのマイクロカプセルを含む、ポリ(エステル尿素)ベースのコア-シェルマイクロカプセルスラリーである。
【0010】
本発明の第4の対象は、先に定義された方法によって得ることが可能な、ポリ(エステル尿素)ベースのコア-シェルマイクロカプセルスラリーである。
【0011】
本発明の第5の対象は、先に定義されたマイクロカプセルスラリーを含む賦香組成物であって、コアが香料を含む、賦香組成物である。
【0012】
本発明の別の対象は、先に定義されたマイクロカプセルスラリーまたは賦香組成物を含む、消費者製品である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】マイクロカプセルAのTGA測定を示す図。
図2】マイクロカプセルBのTGA測定を示す図。
図3】本発明によるマイクロカプセル(マイクロカプセルA)対非封入油の嗅覚的性能を示す図。
図4】本発明によるマイクロカプセル(マイクロカプセルA)対非封入油の嗅覚的性能を示す図。
図5】本発明によるマイクロカプセル(マイクロカプセルA)対非封入油の嗅覚的性能を示す図。
図6】本発明によるマイクロカプセル(マイクロカプセルCおよびD)の嗅覚的性能を示す図。
【0014】
発明の詳細な説明
特に明記しない限り、パーセント(%)は、組成物の重量パーセントを示すことを意味する。
【0015】
「疎水性材料」とは、水と混合されると二相分散液を形成する疎水性材料(単一の材料または材料の混合物)を意味する。
【0016】
「成分」とは、単一の化合物または成分の組み合わせを意味する。
【0017】
「香油またはフレーバーオイル」とは、単一の賦香化合物もしくはフレーバリング化合物、またはいくつかの賦香化合物もしくはフレーバリング化合物の混合物を意味する。
【0018】
「消費者製品」または「最終製品」とは、すぐに流通、販売および消費者が使用することができる製造物を意味する。
【0019】
明確にするために述べると、本発明における「分散」という表現は、粒子が異なる組成の連続相中に分散されている系を意味しており、この表現は、具体的には懸濁液またはエマルションを含む。
【0020】
本発明における「マイクロカプセル」または類似するものは、コア-シェルマイクロカプセルが、ミクロン範囲(例えば、約1~3000ミクロンの間に含まれる平均直径(D[4,3])の粒径分布を有し、外側の固体ポリマーベースのシェルと、外側のシェルによって囲まれた内側の連続油相とを含むことを意味する。
【0021】
「ポリ(エステル尿素)ベース」の壁またはシェルとは、ポリマーが尿素結合およびエステル結合の両方を含み、尿素結合が、界面重合中にイソシアネート基とさらに反応することができるポリアミノエステル架橋剤のアミノ基によって生成され、エステル結合が、ポリアミノエステルに由来し、かつポリマー骨格に保持されていることを意味する。
【0022】
区別せずに使用される「ポリアミノエステル」または「ポリアミノエステル架橋剤」とは、好ましくは以下の式:
【化1】
を有する化合物を意味し、
n≧2の場合、Rは、水素原子、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチルまたはsec-ブチル基を表し、
Xは、式(HO)-Xのポリオールから誘導される。
【0023】
好ましくは、Xは、1~10個のヒドロキシ基または-((CHO)-(CH基で任意選択的に置換されたC~C10炭化水素であり、式中、pは1~10の整数であり、mは1~100の整数である。好ましくは、Xは、C~C10アルカン-ジ/トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ-イル基または-((CH-O)-(CH基であり得て、式中、pは1~5の整数であり得て、mは1~50の整数であり得る。さらにより好ましくは、Xは、C~Cアルカン-ジ/トリ/テトラ-イル基または-((CH-O)-(CH基であり得て、式中、pは1~3の整数であり得て、mは1~10の整数であり得る。さらにより好ましくは、Xは、C~Cアルカン-ジ/トリ/テトラ-イル基または-((CH-O)-(CH基であり得て、式中、pは2であり得て、mは1~5の整数であり得る。
【0024】
任意の一実施形態によると、nは2~10の整数である。好ましくは、nは1~4の整数である。
【0025】
ポリオールは、好ましくは、以下の式を有する:HO-((CH-O)-(CH-OH、ただし、n=2であり、pおよびmは先に定義された通りである。
【0026】
ポリアミノエステルは、好ましくは、ポリオールとアミノ酸との間の反応によって得られる。非限定的な例として、ポリオールは、グリセロール、ペンタエリトリトール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群において選択され得る。
【0027】
非限定的な例として、アミノ酸は、グリシン、フェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびそれらの混合物からなる群において選択され得る。
【0028】
特定の実施形態によると、ポリアミノエステルは、以下の化合物からなる群において選択される:
【化2】
【0029】
したがって、この実施形態によると、ポリアミノエステルは、ブタン-1,4-ジイルビス(2-アミノ-3-フェニルプロパノエート(化合物1)、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(2-アミノ-3-フェニルプロパノエート)(化合物2)、オキシビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-アミノアセテート)(化合物3)、2,2ビス((グリシルオキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(2-アミノアセテート)(化合物4)、[3-(2-アミノ-3-フェニル-プロパノイル)オキシ-2-[(2-アミノ-3-フェニル-プロパノイル)オキシメチル]-2-メチル-プロピル]2-アミノ-3-フェニル-プロパノエート(化合物5)およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0030】
そのような化合物の製造方法は、文献において周知である。例えば、化合物1を製造するには、Phenylalanine-Based Poly(ester urea):Synthesis, Characterization, and in vitro Degradation, Jiayi Yu, Fei Lin, Panpan Lin, Yaohua Gao, and Matthew L. Becker, Macromolecules 2014, 47, 121-129が挙げられ得る。
【0031】
化合物1の合成は、以下の文献でも見ることができる:Versatile biodegradable poly(ester amide)s derived from alpha-amino acids for vascular tissue engineering, Karimi P, Rizkalla AS, Mequanint K., Materials 2010;3:2346-68。
【0032】
化合物3の合成は、Novel Poly(ester amide)s From Glycine and L-lactic acid by an Easy and Cost-effective synthesis, Ana C. Fonseca et al. Polym Int 2013;62:736-743 Page 23で見ることができる。
【0033】
ポリアミノエステルは、塩の形態で得ることができ、次いで、塩基(NaOHまたはNaCOなど)を加えて脱プロトン化し、その遊離塩基の形態の化合物を得ることができる。
【0034】
少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートがポリアミノエステルと反応するとき、興味深いベース中で全体的に良好な性能を有するコア-シェルポリ(エステル尿素)ベースのマイクロカプセルを得ることができると見出された。
【0035】
ポリ(エステル尿素)ベースのマイクロカプセルスラリーの製造方法
したがって、本発明の第1の対象は、ポリ(エステル尿素)ベースのマイクロカプセルスラリーの製造方法であって、以下のステップ:
a) 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートを、疎水性材料、好ましくは香料に溶解させて、油相を形成するステップと、
b) 安定剤を含む分散相を製造するステップであって、分散相が油相と混和性ではない、ステップと、
c) ステップa)で得られた油相を分散相に添加して、二相分散液を形成するステップと、
d) 硬化ステップを実施して、スラリーの形態のコア-シェルマイクロカプセルを形成するステップと
を含み、
ポリアミノエステルを、ステップa)で、および/またはステップc)の二相分散液に添加する、
方法である。
【0036】
一実施形態によると、この方法は、以下のステップ:
a) 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートおよび任意選択的にポリアミノエステルを、疎水性材料、好ましくは香料に溶解させて、油相を形成するステップと、
b) 安定剤を含む分散相を製造するステップであって、分散相が油相と混和性ではない、ステップと、
c) ステップa)で得られた油相を分散相に添加して、二相分散液を形成するステップと、
d) ステップa)で添加されていない場合、ステップc)で得られた分散液にポリアミノエステルを添加するステップと、
e) 硬化ステップを実施して、スラリーの形態のコア-シェルマイクロカプセルを形成するステップと
を含む。
【0037】
一実施形態によると、この方法の1つのステップにおいて、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートおよび任意選択的にポリアミノエステルを、疎水性材料、好ましくは香料に溶解させて、油相を形成する。
【0038】
疎水性材料
本発明による疎水性材料は、溶媒または活性成分のような「不活性」材料であり得る。
【0039】
疎水性材料が活性成分である場合、これは、好ましくは、フレーバー、フレーバー成分、香料、香料成分、ニュートラシューティカル、化粧品、害虫制御剤、殺生物剤活性物質およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0040】
特定の実施形態によると、疎水性材料は、香料と、ニュートラシューティカル、化粧品、害虫制御剤および殺生物剤活性物質からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0041】
特定の実施形態によると、疎水性材料は、殺生物剤活性物質と、香料、ニュートラシューティカル、化粧品、害虫制御剤からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0042】
特定の実施形態によると、疎水性材料は、害虫制御剤と、香料、ニュートラシューティカル、化粧品、殺生物剤活性物質からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0043】
特定の実施形態によると、疎水性材料は香料を含む。
【0044】
特定の実施形態によると、疎水性材料は香料からなる。
【0045】
特定の実施形態によると、疎水性材料は殺生物剤活性物質からなる。
【0046】
特定の実施形態によると、疎水性材料は害虫制御剤からなる。
【0047】
ここで意味する「香料」(または「香油」とも)とは、約20℃で液体である成分または組成物である。先の実施形態のうちのいずれか1つによると、該香油は、賦香成分単独または賦香組成物の形態の成分の混合物であり得る。ここで「賦香成分」とは、匂いを付与または変調することを主な目的として使用される化合物を意味する。言い換えるなら、賦香成分であると考えられるべきそのような成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、有利にまたは心地よいように組成物の匂いを少なくとも付与または変更することができるものとして、当業者によって認識されなくてはならない。本発明の目的のためには、香油は、賦香成分と、賦香成分の送達を一緒になって改善、向上または変更する物質、例えば、香料前駆体、エマルションまたは分散液との組み合わせ、ならびに匂いを変更または付与する以外のさらなる利益、例えば、長期持続性、ブルーミング、悪臭中和、抗微生物作用、微生物安定性、害虫制御性を付与する組み合わせも含む。
【0048】
油相中に存在する賦香成分の性質および種類は、ここではより詳細な説明を保証するものではなく、いずれの場合も網羅的なものではなく、当業者であれば、その一般的な知見に基づいて、かつ意図される使用または用途および望ましい官能効果に応じて、これらを選択することができるであろう。一般に、これらの賦香成分は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、ニトリル類、テルペノイド類、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物および精油のような多様な化学物質分類に属し、該賦香補助成分は、天然由来のものであっても、または合成由来のものであってもよい。これらの補助成分の多くは、いずれの場合も、参考文献、例えばS. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAの書籍もしくはそのより新しい版、または類似の種類の他の著作物、ならびに香料の分野における豊富な特許文献に列挙されている。
【0049】
特に、以下のような、香料配合物中で一般に使用される賦香成分が挙げられ得る:
- アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
- 芳香性ハーブ成分:ユーカリ油、カンファー、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.0~2,7~]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはα-ピネン;
- バルサム成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- シトラス成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
- フローラル成分:メチルジヒドロジャスモネート、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、β-イオノン、メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエート、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスメチルジヒドロジャスモネート、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、プロピオン酸ベルジル、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-p-メンタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、酢酸イソノニル、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、イソ酪酸ベルジルおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティー成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、エチル2-メチル-ペンタノエート、酢酸ヘキシル、エチル2-メチルブタノエート、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、2-フェノキシエチルイソブチレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、ジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/またはジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート;
- グリーン成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、酢酸スチラリル、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-g-2-ベンゾピラン、(1S、1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッディ成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチュリ油、パチュリ油のテルペン画分、clearwood(登録商標)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/または酢酸イソボルニル;
- 他の成分(例えば、アンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよび任意のその立体異性体、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、チョウジ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、1-フェニルビニルアセテート、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール。
【0050】
また、賦香成分は、プロ香料またはプロフレグランスとしても知られている様々な種類の賦香化合物を制御された形で放出すると知られている化合物であり得るとも理解される。適切なプロ香料の非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、トランス-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテートまたはそれらの混合物が挙げられ得る。
【0051】
特定の一実施形態によると、賦香成分は、高い立体障害性を有し、特に以下の群において選択される:
- 群1:少なくとも1つの線状または分岐状C~Cアルキルまたはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む賦香成分;
- 群2:少なくとも1つの線状または分岐状C~Cアルキルまたはアルケニル置換基で置換されたシクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノンまたはシクロペンテノン環を含む賦香成分;
- 群3:フェニル環を含む賦香成分、または少なくとも1つの線状もしくは分岐状C~Cアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたもしくは少なくとも1つのフェニル置換基および任意選択的に1つ以上の線状もしくは分岐状C~Cのアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンもしくはシクロヘキセノン環を含む賦香成分;
- 群4:少なくとも2つの縮合または連結されたCおよび/またはC環を含む賦香成分;
- 群5:カンファーのような環構造を含む賦香成分;
- 群6:少なくとも1つのC~C20環構造を含む賦香成分;
- 群7:3.5超のlogP値を有し、かつ少なくとも1つのtert-ブチルまたは少なくとも1つのトリクロロメチル置換基を含む賦香成分。
【0052】
これらの各群の成分の例は、以下の通りである:
- 群1:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド(供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、Romascone(登録商標)(メチル2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボキシレート、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、酢酸テルペニル、酢酸ジヒドロテルペニル、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキシド、Perycorolle(登録商標)((S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、1-p-メンテン-4-オール、(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、Doremox(登録商標)(テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、酢酸シクロヘキシル、酢酸シクラノール、Fructalate(登録商標)(1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Koumalactone(登録商標)((3ARS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Natactone(登録商標)((6R)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;
- 群2:(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(供給元:Givaudan SA、スイス、ヴェルニエ)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Polysantol(登録商標)((1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、フルラモン、Hedione(登録商標)HC(メチル-シス-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Veloutone(登録商標)(2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Nirvanol(登録商標)(3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(供給元:Givaudan SA、スイス、ヴェルニエ);
- 群3:ダマスコン、Neobutenone(登録商標)(1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、ネクタラクトン((1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン)、α-イオノン、β-イオノン、ダマセノン、Dynascone(登録商標)(1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンとの混合物、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Dorinone(登録商標) beta(1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Romandolide(登録商標)((1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(供給元:International Flavors and Fragrances、USA)、Limbanol(登録商標)(1-(2,2,3,6-テトラメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、トランス-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、テルペニルイソブチレート、Lorysia(登録商標)(4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、8-メトキシ-1-p-メンテン、Helvetolide(登録商標)((1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、パラtert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アリルシクロヘキシルプロピオネート、サリチル酸シクロヘキシル、2-メトキシ-4-メチルフェニルメチルカーボネート、エチル2-メトキシ-4-メチルフェニルカーボネート、4-エチル-2-メトキシフェニルメチルカーボネート;
- 群4:メチルセドリルケトン(供給元:International Flavors and Fragrances、USA)、ベルジレート、ベチベロール、ベチベロン、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(供給元:International Flavors and Fragrances、USA)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエンおよび(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデノン(供給元:International Flavors and Fragrances、USA)、Hivernal(登録商標)(3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールと3-(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールとの混合物、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Rhubofix(登録商標)(3’,4-ジメチル-トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、9/10-エチルジエン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、Polywood(登録商標)(ペルヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、オクタリノール、Cetalox(登録商標)(ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルアセテートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルアセテート、ならびにトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルプロパノエートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルプロパノエート、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン;
- 群5:カンファー、ボルネオール、酢酸イソボルニル、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、カンフォピネン、セドランバー(8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチル-トリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、セドレン、セドレノール、セドロール、Florex(登録商標)(9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンと10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンとの混合物、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレン-ビシクロ[4.3.1]デカン(供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)
- 群6:Cedroxyde(登録商標)(トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、アンブレットリドLG((E)-9-ヘキサデセン-16-オリド、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Habanolide(登録商標)(ペンタデセノリド、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、ムセノン(3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、ムスコン(供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Exaltolide(登録商標)(ペンタデカノリド、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、Exaltone(登録商標)(シクロペンタデカノン、供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(供給元:Firmenich SA、スイス、ジュネーブ)、アストロトン、4,8-シクロドデカジエン-1-オン;
- 群7:Lilial(登録商標)(供給元:Givaudan SA、スイス、ヴェルニエ)、ロシノール。
【0053】
一実施形態によると、香料は、先に定義されるように、群1~7から選択される成分を、少なくとも30%、特に少なくとも50%、より具体的には少なくとも60%含む。一実施形態によると、該香料は、先に定義されるように、群3~7の成分を、少なくとも30%、特に少なくとも50%含む。一実施形態によると、該香料は、先に定義されるように、群3、4、6または7の成分を、少なくとも30%、特に少なくとも50%含む。
【0054】
一実施形態によると、香料は、3超、特に3.5超、さらにより具体的には3.75超のlogPを有する成分を、少なくとも30%、特に少なくとも50%、より具体的には少なくとも60%含む。
【0055】
一実施形態によると、本発明で使用される香料は、それ自体の重量の10%未満の第1級アルコール、それ自体の重量の15%未満の第2級アルコール、およびそれ自体の重量の20%未満の第3級アルコールを含有する。一実施形態によると、本発明で使用される香料は、第1級アルコールを含有せず、15%未満の第2級および第3級アルコールを含有する。
【0056】
賦香成分を、香料産業で現在使用されている溶媒に溶解させてもよい。一実施形態によると、溶媒はアルコールではない。そのような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(Eastmanから入手可能なロジン樹脂)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネン類もしくは他のテルペン類、またはイソパラフィン類である。一実施形態によると、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)または安息香酸ベンジルのように、非常に疎水性があり、高立体障害性である。一実施形態によると、香料は30%未満の溶媒を含む。一実施形態によると、香料は、20%未満、さらにより具体的には10%未満の溶媒を含み、これらのパーセントはすべて、香料の総重量に対する重量によって定義される。一実施形態によると、香料は実質的に溶媒を含まない。
【0057】
一実施形態によると、油相(または油ベースのコア)は、
- LogT<-4を有する高インパクト香料原料を少なくとも15重量%含む香油25~100重量%、および
- 1.07g/cm超の密度を有する密度調整材料0~75重量%
を含む。
【0058】
LogT<-4を有する高インパクト香料原料および1.07g/cm超の密度を有する密度調整材料の性質は、その内容が参照によって含まれている国際公開第2018115250号に記載されている。
【0059】
特定の一実施形態によると、疎水性材料は、(香料のような)いずれの活性成分も含まない。この特定の実施形態によると、疎水性材料は、ミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えば、Neobee(登録商標)MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーン油、鉱油、ならびにそれらと、任意選択的に、1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、クエン酸三エチル、トリアセチン、酢酸ベンジル、酢酸エチル、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物からなる群において選択されることが好ましい親水性溶媒との混合物からなる群において選択されることが好ましい疎水性溶媒を含み、好ましくはこれからなる。
【0060】
本発明の実施形態のうちのいずれか1つによると、疎水性材料は、ステップc)の後に得られる分散液の総重量に対して、重量で約10%~60%w/wまたはさらに15%~45%w/wである。
【0061】
特定の一実施形態によると、油相は、ポリイソシアネート、任意選択的にポリアミノエステル、および香油またはフレーバーオイルから実質的になる。
【0062】
「殺生物剤」という用語は、生物(例えば、微生物)を殺すか、またはそれらの成長および/もしくは蓄積を低減もしくは防止することができる化学物質を指す。殺生物剤は、医学、農業、林業において、ならびに殺生物剤が、例えば、水、種子を含む農産物、および石油パイプラインの汚損を防止する産業において一般に使用されている。殺生物剤は、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、軟体動物駆除剤、殺ダニ剤および殺鼠剤を含む農薬、ならびに/または殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤および/または抗寄生虫剤のような抗微生物剤であり得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「害虫制御剤」とは、害虫を忌避または誘引し、それらの成長、発達またはそれらの活動を減少、阻害または促進する役割を果たす物質を示す。害虫とは、動物、植物または真菌を問わず、植物または動物に対して侵入性または問題のあるあらゆる生物を指し、害虫としては、昆虫、特に、節足動物、ダニ、クモ、真菌、雑草、細菌および他の微生物が挙げられる。
【0064】
ステップa)でポリアミノエステルも疎水性材料に溶解させる場合、好ましくは、ポリアミノエステルを遊離塩基として使用する。
【0065】
少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート
該ポリイソシアネートは、6つまでの、またはさらに、4つまでのみのイソシアネート官能基を含み得る。先の実施形態のうちのいずれかによると、該ポリイソシアネートは、少なくとも3つのイソシアネート官能基を含む。
【0066】
低揮発性のポリイソシアネートが、それらの低い毒性を理由に好ましい。
【0067】
少なくとも1種のポリイソシアネートは、脂肪族であっても、芳香族であっても、または芳香族および脂肪族の両方のポリイソシアネートの混合物であってもよい。ポリイソシアネートの混合物の場合、混合物の各員は、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する。
【0068】
一実施形態によると、少なくとも1種のポリイソシアネートは芳香族ポリイソシアネートである。
【0069】
ここで、「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、芳香族部分を含む任意のポリイソシアネートを包含することを意味する。好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、フェニル、トルイル、キシリル、ナフチルまたはジフェニル部分、より好ましくはトルイルまたはキシリル部分を含む。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、より好ましくは上記の特定の芳香族部分のうちの1つを含む、ビウレットおよびポリイソシアヌレートである。より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアヌレートのポリイソシアネート(Desmodur(登録商標)RCという商標でBayerから市販されている)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Desmodur(登録商標)L75という商標でBayerから市販されている)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Takenate(登録商標)D-110Nという商標でMitsui Chemicalsから市販されている)である。最も好ましい実施形態では、芳香族ポリイソシアネートは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0070】
別の実施形態によると、該ポリイソシアネートは脂肪族ポリイソシアネートである。
【0071】
「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、芳香族部分を含まないポリイソシアネートとして定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Mitsui Chemicalsから入手可能)またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(Desmodur(登録商標)N100という商標でBayerから市販されている)であり、なかでも、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットがさらにより好ましい。
【0072】
別の実施形態によると、該少なくとも1種のポリイソシアネートは、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとの混合物(どちらも少なくとも2つまたは3つのイソシアネート官能基を含む)の形態にあり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。最も好ましくは、これは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。
【0073】
好ましい実施形態では、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートおよび少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートは、80:20~10:90、好ましくは75:25~20:80、より好ましくは60:40~20:80、さらにより好ましくは60:40~30:70、最も好ましくは45:55~30:70の間に含まれる各モル比で使用される。
【0074】
本発明による方法において使用される少なくとも1種のポリイソシアネートは、マイクロカプセルスラリーの1~15重量%、好ましくは2~8重量%、より好ましくは2~6重量%に相当する量で存在する。
【0075】
一実施形態によると、ポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有するアミノ酸由来ポリイソシアネートではない。
【0076】
この方法の別のステップでは、安定剤を含む分散相が製造される。
【0077】
分散相
ステップb)で使用することができる溶媒の性質については、これが安定剤を溶解させることができる限り、制限はない。
【0078】
特定の実施形態によると、分散相は、水を含み、好ましくはこれからなる。
【0079】
別の特定の実施形態によると、水の含有量は、分散相の総重量を基準として、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
【0080】
特定の実施形態によると、分散相は水を含まない。
【0081】
一実施形態によると、分散相は、グリセロール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群において選択される溶媒を含む。
【0082】
安定剤
本発明によると、安定剤は、イオン性または非イオン性であり得る。
【0083】
本発明によると、イオン性安定剤は、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ダイズタンパク質、カゼイン酸ナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、テンサイペクチン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、疑似コラーゲン、バイオポリマーSA-N(INCI名:ヒアルロン酸(および)血清アルブミン(および)硫酸デキストラン)、ペンタケア-NA PF(加水分解コムギグルテン(および)セラトニアシリクア(イナゴマメ)ガム(および)水(および)デキストラン硫酸ナトリウム(および)ビス-ヒドロキシエチルトロメタミン(および)フェノキシエタノール(および)エチルヘキシルグリセリン)ならびにそれらの混合物からなる群において選択される。
【0084】
好ましい一実施形態によると、イオン性安定剤は、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、カゼイン酸ナトリウム、テンサイペクチンおよびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0085】
本発明によると、非イオン性乳化剤は、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、加工デンプン、加工セルロース、多糖類およびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0086】
特定の一実施形態によると、非イオン性乳化剤は、ポリビニルアルコール、加工デンプンおよびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0087】
特定の一実施形態によると、安定剤は、アラビアガム、加工デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アニオン性多糖類、アクリルアミドコポリマー、無機粒子、タンパク質、例えば、ダイズタンパク質、米タンパク質、ホエイタンパク質、卵白アルブミン、カゼイン酸ナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、疑似コラーゲン、シルクタンパク質、セリシン粉末およびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0088】
本発明の先の実施形態のうちのいずれか1つによると、エマルションは、約0.1%~5%w/wの少なくとも1種の安定剤を含み、パーセントは、ステップc)の後に得られる分散液の総重量に対するw/wベースで表される。本発明のさらなる別の態様では、エマルションは、約0.1%~2%w/wの少なくとも1種の安定剤を含む。本発明のさらなる別の態様では、エマルションは、約0.1%~1%w/wの少なくとも1種の安定剤を含む。
【0089】
一実施形態によると、この方法の別のステップでは、先に定義されたポリアミノエステルは、該ポリアミノエステルがステップa)で添加されない場合、ステップc)で得られた二相分散液に添加される。
【0090】
特定の実施形態によると、この方法は、以下のステップ:
a) 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートを、疎水性材料、好ましくは香料に溶解させて、油相を形成するステップと、
b) 安定剤を含む分散相を製造するステップであって、分散相が油相と混和性ではない、ステップと、
c) ステップa)で得られた油相を分散相に添加して、二相分散液を形成するステップと、
d) ステップc)で得られた分散液にポリアミノエステルを添加するステップと、
e) 硬化ステップを実施して、スラリーの形態のコア-シェルマイクロカプセルを形成するステップと
を含む。
【0091】
本発明のポリアミノエステルは、前述の通りである。ポリアミノエステルは、好ましくは0.1~15%、より好ましくは4~12%の量で使用され、これらのパーセントは、スラリーの総重量に対する重量によって定義される。
【0092】
特定の実施形態によると、ポリアミノエステルのアミノ基とイソシアネート基との間のモル比率は、0.1~3、好ましくは0.5~1の間に含まれる。
【0093】
これに硬化ステップd)またはe)が続き、これによって、最終的にスラリーの形態のマイクロカプセルが出来上がる。硬化ステップは、ポリアミノエステルとポリイソシアネートとを十分な時間で反応させて、スラリーの形態のマイクロカプセルを形成することからなる。
【0094】
好ましい実施形態によると、反応速度を増加させるために、該ステップは、60~80℃の間に含まれる温度にて、おそらく圧力下で、1~4時間にわたって実施される。より好ましくは、これは、50~90℃で30分~4時間にわたって実施される。しかしながら、硬化ステップは室温で行われてもよい。
【0095】
任意選択的な外側被覆
本発明の特定の実施形態によると、ステップd)もしくはe)の最後またはステップd)もしくはe)の間に、非イオン性多糖類、カチオン性ポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを本発明のスラリーに添加して、マイクロカプセルに外側被覆を形成してもよい。
【0096】
非イオン性多糖類ポリマーは、当業者に周知であり、例えば、国際公開第2012/007438号の29頁の1行目~25行目ならびに国際公開第2013/026657号の2頁の12行目~19行目および4頁の3行目~12行目に記載されている。好ましい非イオン性多糖類は、ローカストビーンガム、キシログルカン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される。
【0097】
カチオン性ポリマーは当業者に周知である。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/g、ただし、また好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、窒素測定のための化学試験で米国薬局方に記載されているケルダール法によって測定することができる。好ましいカチオン性ポリマーは、主ポリマー鎖の一部を形成し得る、またはそれに直接接続された側置換基によって保持され得る第1級、第2級、第3級および/または第4級アミン基を含む単位を含むものから選択される。カチオン性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000~3.5Mダルトン、より好ましくは50,000~1.5Mダルトンである。特定の実施形態によると、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、4級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、4級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)、ビニルピロリドン、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドをベースとするカチオン性ポリマーが使用されるであろう。好ましくは、コポリマーは、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群から選択されるべきである。市販製品の具体例としては、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性コポリマー、供給元:BASF)またはLuviquat(登録商標)、例えば、PQ 11N、FC 550またはStyle(ポリクオタニウム-11~68またはビニルピロリドンの4級化コポリマー、供給元:BASF)、またはJaguar(登録商標)(C13SまたはC17、供給元:Rhodia)が挙げられ得る。
【0098】
本発明の先の実施形態のうちのいずれか1つによると、上記のポリマーは、約0%~5%w/wまたはさらに約0.1%~2%w/wの間に含まれる量で添加され、パーセントは、ステップe)の後に得られるスラリーの総重量に対するw/wベースで表される。該添加されたポリマーの一部のみがマイクロカプセルのシェルに組み込まれる/マイクロカプセルのシェル上に堆積されると、当業者によって明確に理解されている。
【0099】
本発明の別の対象は、先に定義されたステップと、ステップe)で得られたスラリーを噴霧乾燥のような乾燥に供して、そのままの、すなわち粉末形態のマイクロカプセルを提供することからなるさらなるステップf)とを含む、マイクロカプセル粉末の製造方法である。そのような乾燥を実施するために当業者に知られている任意の標準的な方法も適用可能であると理解される。特に、スラリーを、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または加工デンプン、植物ガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラギーナンまたはセルロース誘導体のようなポリマー担体材料の存在下で噴霧乾燥して、粉末形態のマイクロカプセルを提供することができる。
【0100】
しかしながら、押出し、めっき、噴霧造粒、流動床またはさらに国際公開第2017/134179号に開示されている特定の基準を満たす材料(担体、乾燥剤)を使用した室温での乾燥のような他の乾燥方法も挙げられ得る。
【0101】
特定の実施形態によると、担体材料は、マイクロカプセルのコアからの香料と同じであっても異なっていてもよい非封入香油を含む。
【0102】
本発明の別の対象は、上記の方法によって得ることが可能なポリ(エステル尿素)マイクロカプセルスラリーである。
【0103】
ポリ(エステル尿素)マイクロカプセル
ポリ(エステル尿素)シェルの組成は、製品ベース中で所望の安定性を示すマイクロカプセルを提供することを可能にする(例えば、消費者製品の界面活性剤による香料の抽出を効率的に打ち消す)。
【0104】
したがって、本発明の別の対象は、ポリ(エステル尿素)コア-シェルマイクロカプセルであって、
- 疎水性材料を含む、好ましくは香油を含む、油ベースのコアと、
- 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとポリアミノエステルとの間の反応生成物を含むシェルと
を含む、ポリ(エステル尿素)コア-シェルマイクロカプセルである。
【0105】
本発明の別の対象は、ポリ(エステル尿素)コア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、
- 疎水性材料を含む、好ましくは香油を含む、油ベースのコアと、
- 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとポリアミノエステルとの間の反応生成物を含むシェルと
から作製された少なくとも1つのマイクロカプセルを含む、ポリ(エステル尿素)コア-シェルマイクロカプセルスラリーである。
【0106】
本発明の別の対象は、固体粒子であって、
- 好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または加工デンプン、植物ガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラギーナン、セルロース誘導体およびそれらの混合物からなる群において選択される、ポリマー担体材料と、
- 該担体材料に封入されている先に定義されたマイクロカプセルと、
- 任意選択的に、該担体材料に封入されている遊離香料と
を含む、固体粒子である。
【0107】
先に定義された固体粒子およびマイクロカプセル粉末は、本発明において区別せずに使用される。
【0108】
特に疎水性材料、コロイド安定剤、ポリイソシアネート、ポリアミノエステルの性質について前述した実施形態は、ポリ(エステル尿素)マイクロカプセルにも適用される。
【0109】
賦香組成物/消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、活性成分と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の対象は、
(i) 先に定義されたマイクロカプセルと、
(ii) 好ましくは、化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、悪臭抑制成分、医薬または農薬成分、消毒成分、昆虫忌避剤または誘引剤およびそれらの混合物からなる群において選択される活性成分と
を含む、組成物である。
【0110】
本発明のカプセルは、興味深い媒体中での安定性の観点で良好な性能を示す。
【0111】
本発明の別の対象は、賦香組成物であって、
(i) 先に定義されたマイクロカプセルであって、油が香料を含む、マイクロカプセルと、
(ii) 香料担体、香料補助成分およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、
(iii) 任意選択的に少なくとも1種の香料補助剤と
を含む、賦香組成物である。
【0112】
液体香料担体としては、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒および界面活性剤系または香料において一般的に使用される溶媒が挙げられ得る。香料に一般的に使用される溶媒の性質および種類の詳細な説明については、網羅できるものではない。しかしながら、非限定的な例として、最も一般的に使用される、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノールまたはクエン酸エチルのような溶媒が挙げられ得る。また、香料担体および香料補助成分の両方を含む組成物について、先に明記したもの以外の適切な香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン類もしくは他のテルペン類、イソパラフィン類、例えばIsopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)という商標で知られているもの、またはグリコールエーテル類およびグリコールエーテルエステル類、例えばDowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)という商標で知られているものであってもよい。ここで、「香料補助成分」とは、快楽効果を付与する賦香調製物または組成物において使用される化合物であって、先に定義されたマイクロカプセルではないものを意味する。言い換えるなら、賦香補助成分であると考えられるべきそのような補助成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、有利にまたは心地よいように組成物の匂いを少なくとも付与または変更することができるものとして、当業者によって認識されなくてはならない。
【0113】
賦香組成物中に存在する賦香補助成分の性質および種類は、ここではより詳細な説明を保証するものではなく、いずれの場合も網羅的なものではなく、当業者であれば、自身の一般的な知見に基づいて、かつ意図される使用または用途および望ましい官能効果に応じて、これらを選択することができるであろう。一般に、これらの賦香補助成分は、アルコール類、ラクトン類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、ニトリル類、テルペノイド類、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物および精油のような多様な化学物質分類に属し、該賦香補助成分は、天然由来のものであっても、または合成由来のものであってもよい。これらの補助成分の多くは、いずれの場合も、参考文献、例えばS. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAの書籍もしくはそのより新しい版、または類似の種類の他の著作物、ならびに香料の分野における豊富な特許文献に列挙されている。また、該補助成分は、様々な種類の賦香化合物を制御された形で放出すると知られている化合物であり得るとも理解される。
【0114】
ここで、「香料補助剤」とは、色、特定の耐光性、化学的安定性などのようなさらなる付加的な利益を付与することができる成分を意味する。賦香ベースにおいて一般的に使用される補助剤の性質および種類の詳細な記載は、網羅できるものではなく、該成分は、当業者に周知であることに言及する必要がある。
【0115】
好ましくは、本発明による賦香組成物は、先に定義されたマイクロカプセルを0.01~30重量%含む。
【0116】
本発明のマイクロカプセルは、多くの適用分野で有利に使用することができ、消費者製品において使用することができる。マイクロカプセルは、液体消費者製品に適用可能な液体形態で使用することも、粉末消費者製品に適用可能な粉末形態で使用することもできる。
【0117】
特定の実施形態によると、先に定義された消費者製品は、液体であり、
a) 消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤と、
b) 水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c) 先に定義されたマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルと、
d) 任意選択的に、カプセル化されていない香料と
を含む。
【0118】
特定の実施形態によると、先に定義された消費者製品は、粉末形態にあり、
a) 消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤と、
b) 先に定義されたマイクロカプセル粉末と、
c) 任意選択的に、先に定義されたマイクロカプセルとは異なる香料粉末と
を含む。
【0119】
香油ベースのコアを含むマイクロカプセルの場合、本発明の製品は、特に、ファインフレグランスまたは「機能性」香料に属する製品のような賦香された消費者製品に使用されるものであり得る。機能性香料としては、特に、ヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケアを含むパーソナルケア製品、ならびに洗濯物ケアおよび空気ケアを含むホームケア製品が挙げられる。結果的に、本発明の別の対象は、先に定義されたマイクロカプセルまたは先に定義された賦香組成物を賦香成分として含む、賦香された消費者製品からなる。該消費者製品の香料要素は、先に定義された香料マイクロカプセルと、遊離したまたはカプセル化されていない香料との組み合わせ、ならびにここに開示されているもの以外の種類の香料マイクロカプセルであり得る。
【0120】
特に、液体消費者製品であって、
a) 消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤と、
b) 水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c) 先に定義された賦香組成物と
を含む、液体消費者製品が、本発明の別の対象である。
【0121】
また、粉末消費者製品であって、
(a) 消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤と、
(b) 先に定義された賦香組成物と
を含む、粉末消費者製品が、本発明の一部である。
【0122】
したがって、本発明のマイクロカプセルは、そのまま添加することも、または賦香された消費者製品における本発明の賦香組成物の一部として添加することもできる。
【0123】
明確にするために述べると、「賦香された消費者製品」とは、様々な利益の中でも、賦香効果を、これが適用される表面(例えば、皮膚、毛髪、布地、紙または家庭における表面)または空気中に(エアフレッシュナー、消臭剤など)送達することが期待される消費者製品を意味することに言及する必要がある。言い換えるなら、本発明による賦香された消費者製品は、「ベース」とも呼ばれる機能性配合物を、有益な薬剤とともに、なかでも有効量の本発明によるマイクロカプセルとともに含む製造物である。
【0124】
賦香された消費者製品の他の構成要素の性質および種類は、ここではより詳細な記載を保証するものではなく、いずれの場合も網羅的なものではなく、当業者であれば、自身の一般的な知見に基づいて、かつ該製品の性質および望ましい効果に応じて、これらを選択することができるであろう。本発明のマイクロカプセルを組み込むことができる消費者製品のベース配合物は、そのような製品に関連する豊富な文献で見ることができる。これらの配合物は、ここでは詳細な説明を保証するものではなく、いずれの場合も網羅的なものではないであろう。そのような消費者製品を配合する当業者であれば、自身の一般的な知見および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を完全に選択することができる。
【0125】
適切な賦香された消費者製品の非限定的な例は、香料、例えば、ファイン香料、コロン、アフターシェーブローション、ボディスプラッシュ;布地ケア製品、例えば、液体もしくは固体洗剤、タブレットおよびポッド、布地柔軟剤、乾燥機用シート、布地リフレッシャー、アイロン水または漂白剤;パーソナルケア製品、例えば、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、カラーリング調製物またはヘアスプレー)、化粧調製物(バニシングクリーム、ボディローションまたは消臭剤もしくは制汗剤)またはスキンケア製品(例えば、賦香された石けん、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルトまたは衛生製品);空気ケア製品、例えば、エアフレッシュナーまたは「すぐに使用可能な」粉末状エアフレッシュナー;またはホームケア製品、例えば、多目的クリーナー、液体もしくは粉末もしくタブレットの食器洗い用製品、トイレクリーナーまたは様々な表面を清浄化するための製品、例えば、布地または硬質表面(床、タイル、石床など)の処理/リフレッシュを意図したスプレー&ワイプ;衛生製品、例えば、生理用ナプキン、おむつ、トイレットペーパーであり得る。
【0126】
本発明の別の対象は、消費者製品であって、
- パーソナルケア活性ベースと、
- 先に定義されたマイクロカプセルまたは先に定義された賦香組成物と
を含み、
パーソナルケア組成物の形態にある、消費者製品である。
【0127】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるパーソナルケア活性ベースは、そのような製品に関連する豊富な文献で見ることができる。これらの配合物は、ここでは詳細な説明を保証するものではなく、いずれの場合も網羅的なものではないであろう。そのような消費者製品を配合する当業者であれば、自身の一般的な知見および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を完全に選択することができる。
【0128】
パーソナルケア組成物は、好ましくは、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、カラーリング調製物またはヘアスプレー)、化粧調製物(例えば、バニシングクリーム、ボディローションまたは消臭剤もしくは制汗剤)またはスキンケア製品(例えば、賦香された石けん、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルトまたは衛生製品)からなる群において選択される。
【0129】
本発明の別の対象は、消費者製品であって、
- ホームケアまたは布地ケア活性ベースと、
- 先に定義されたマイクロカプセルまたは先に定義された賦香組成物と
を含み、
消費者製品がホームケアまたは布地ケア組成物の形態にある、消費者製品である。
【0130】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるホームケアまたは布地ケア活性ベースは、そのような製品に関連する豊富な文献で見ることができる。これらの配合物は、ここでは詳細な説明を保証するものではなく、いずれの場合も網羅的なものではないであろう。そのような消費者製品を配合する当業者であれば、自身の一般的な知見および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を完全に選択することができる。
【0131】
好ましくは、消費者製品は、本発明のマイクロカプセルを、0.1~15重量%、より好ましくは0.2~5重量%含み、これらのパーセントは、消費者製品の総重量に対する重量によって定義される。当然のことながら、先の濃度は、各製品において望まれる利益効果に応じて適合され得る。
【0132】
特定の実施形態によると、消費者製品は、布地柔軟剤組成物の形態にあり、
- 85~99.9%の布地柔軟剤活性ベースと、
- 0.1~15重量%、より好ましくは0.2~5重量%の本発明のマイクロカプセルと
を含む。
【0133】
布地柔軟剤活性ベースは、ジエチルエステルジメチルアンモニウムクロリド(DEEDMAC)、TEAQ(トリエタノールアミンクアット)、HEQ(ハンブルクエステルクアット)およびそれらの混合物のような第4級アンモニウムのカチオン性界面活性剤を含み得る。
【0134】
本発明の対象は、布地柔軟剤組成物の形態の消費者製品であって、
- 好ましくは、ジアルキル第4級アンモニウム塩、ジアルキルエステル第4級アンモニウム塩(エステルクアット)、ハンブルクエステルクアット(H当量)、TEAQ(トリエタノールアミンクアット)、シリコーン、カチオン性グアーおよびそれらの混合物からなる群において選択される、好ましくは、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量の、布地柔軟剤活性ベースと、
- 組成物の総重量を基準として、好ましくは0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の先に定義されたマイクロカプセルと
を含む、消費者製品である。
【0135】
本発明の対象は、液体洗剤組成物の形態の消費者製品であって、
- 好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第2級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第1級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)のようなアニオン性界面活性剤、ならびにアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドのような非イオン性界面活性剤からなる群において選択される、好ましくは、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量の、液体洗剤活性ベースと、
- 組成物の総重量を基準として、好ましくは0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の先に定義されたマイクロカプセルと
を含む、消費者製品である。
【0136】
本発明の対象は、固体洗剤組成物の形態の消費者製品であって、
- 好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第2級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第1級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)のようなアニオン性界面活性剤、ならびにアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドのような非イオン性界面活性剤からなる群において選択される、好ましくは、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量の、固体洗剤活性ベースと、
- 組成物の総重量を基準として、好ましくは0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の先に定義されたマイクロカプセルと
を含む、消費者製品である。
【0137】
本発明の対象は、固体セントブースターの形態の消費者製品であって、
- 好ましくは、尿素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ゼオライト、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、粘土、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、糖類、例えば、スクロース、単糖類、二糖類および多糖類、ならびに誘導体、例えば、デンプン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリオール/糖アルコール、例えば、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリトリトールおよびイソマルト、PEG、PVP、クエン酸または任意の水溶性固体酸、脂肪アルコールまたは脂肪酸、ならびにそれらの混合物からなる群において選択される、固体担体と、
- 組成物の総重量を基準として、好ましくは0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の粉末形態の先に定義されたマイクロカプセルと
を含む、消費者製品である。
【0138】
本発明の対象は、液体セントブースターの形態の消費者製品であって、
- 水相と、
- 1つ以上の非イオン性界面活性剤から実質的になる界面活性剤系であって、10~14の平均HLBを有し、好ましくは、エトキシル化脂肪族アルコール、POE/PPG(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン)エーテル、モノおよびポリグリセリルエステル、スクロースエステル化合物、ポリオキシエチレンヒドロキシルエステル、アルキルポリグルコシド、アミンオキシド、ならびにそれらの組み合わせからなる群において選択される、界面活性剤系と、
- アルコール、カルボン酸の塩およびエステル、ヒドロキシルカルボン酸の塩およびエステル、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセロール脂肪酸、10未満のHLBを有する界面活性剤、ならびにそれらの混合物からなる群において選択される、リンカーと、
- 組成物の総重量を基準として、好ましくは0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の先に定義されたマイクロカプセルと
を含む、消費者製品である。
【0139】
本発明の対象は、シャンプーまたはシャワージェル組成物の形態の消費者製品であって、
- 好ましくは、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアンホアセテート、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシドおよびアミノ酸ベースの界面活性剤、ならびにそれらの混合物からなる群において選択される、好ましくは、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量の、シャンプーまたはシャワージェル活性ベースと、
- 組成物の総重量を基準として、好ましくは0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の先に定義されたマイクロカプセルと
を含む、消費者製品である。
【0140】
本発明の対象は、リンスオフコンディショナー組成物の形態の消費者製品であって、
- 好ましくは、セチルトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリドおよびそれらの混合物からなる群において選択される、好ましくは、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量の、リンスオフコンディショナー活性ベースと、
- 組成物の総重量を基準として、好ましくは0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の先に定義されたマイクロカプセルと
を含む、消費者製品である。
【0141】
特定の実施形態によると、消費者製品は、
- 0.1~30%、好ましくは0.1~20%の先に定義されたマイクロカプセルと、
- 0~40%、好ましくは3~40%の香料と、
- 賦香組成物の総重量を基準として、20~90重量%、好ましくは40~90重量%のエタノールと
を含む、賦香組成物の形態にある。
【0142】
これより、本発明を実施例によってさらに説明する。特許請求の範囲に記載された本発明は、これらの実施例によって何ら限定されることを意図してはいないと理解されたい。
【0143】
実施例
実施例1
本発明によるポリ(エステル尿素)ベースのマイクロカプセルの製造
ポリアミノエステル架橋剤の製造:ブタン-1,4-ジイルビス(2-アミノ-3-フェニルプロパノエート)
L-フェニルアラニンと1,4-ブタンジオールジエステルp-トルエンスルホネートとのジアンモニウム塩を以下のように合成した。
【0144】
ディーンスターク装置とマグネチックスターラーとを備える1000mLの一つ口丸底フラスコに、トルエン(200mL)、続いて、アミノ酸、L-フェニルアラニン(20g、121mmol、2.2当量、165.19g/mol)、触媒としてのp-トルエンスルホン酸一水和物(25.11g、132mmol、2.4当量、190.22g/mol)および1,4ブタンジオール(5g、55mmol、1当量、90.12g/mol)を添加した。反応混合物を、それ以上水が生成されなくなるまで、約24時間にわたって(130℃)油浴中で還流した。これを室温まで冷却した後に、ロータリーエバポレーター内にて減圧下でトルエンを蒸発させた。得られたL-Pheベースのジエステルを200mLの熱水から再結晶させた。文献において報告されているように、純粋な化合物の融点は235℃である。
【0145】
化合物1の水溶液を製造するために、フェニルアラニン(Phe)ベースのジアミンのp-TSA塩を水に添加し、続いて、塩基(NaOHまたはNaCO)を添加し、脱プロトン化し、化合物1(ブタン-1,4-ジイルビス(2-アミノ-3-フェニルプロパノエート)を得る。
【0146】
【化3】
【0147】
ポリエステル(尿素-ウレタン)マイクロカプセルの製造
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
カプセル合成の一般的な手順:
少なくとも1種のポリイソシアネート(例えば、Takenate(登録商標)D-110N)を香油に溶解させた。次いで、安定剤を含む水溶液(例えば、2%のPVOH水溶液)に油相を添加し、Ultra-Turrax T25分散機を24000rpmで使用して4分間にわたって均質化させ、O/Wエマルションを形成した。NaOH溶液(水相とみなされる)を使用して、エマルションをpH10に調整した。次いで、機械式オーバーヘッドスターラーを使用して、500rpmでこのエマルションを撹拌し、ポリアミノエステル(すなわち、化合物1)の水溶液を1時間かけてゆっくりと添加した。添加が完了したら、反応温度を1時間かけて徐々に70℃に上げ、70℃で2時間にわたって維持してから、室温まで冷却した。
【0150】
マイクロカプセルAの平均サイズは約8.5μmである。30℃から50℃への(5℃/分)、かつ50℃で250分間にわたって保持されるTGA測定は、マイクロカプセルが250分後に香油を100%保持することを示す(図1を参照)。
【0151】
実施例2
本発明によるポリエステル(尿素-ウレタン)マイクロカプセルの製造
ポリアミノエステル架橋剤の製造オキシビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-アミノアセテート)
L-グリシンとジエチレングリコールジエステルp-トルエンスルホネートとのジアンモニウム塩を以下のように合成した。
【0152】
ディーンスターク装置とマグネチックスターラーとを備える500mLの一つ口丸底フラスコに、トルエン(120mL)、続いて、α-アミノ酸、グリシン(4.17g、55mmol、2.2当量)、触媒としてのp-トルエンスルホン酸一水和物(11.4g、60mmol、2.4当量)およびDEG(2.68g、25mmol、1.0当量)を添加した。反応混合物を、それ以上水が生成されなくなるまで、約10時間にわたって(一晩、130℃)還流した。反応混合物を室温まで冷却した後に、ロータリーエバポレーター内にて減圧下でトルエンを除去した。得られた粗化合物3を酢酸イソプロピル/エチル(80/20)から再結晶させた。再結晶された生成物の融点は、以下の通りであった:文献において報告されている範囲(116℃~120℃)内の118℃。
【0153】
化合物3の水溶液を製造するために、L-グリシンとジエチレングリコールジエステルp-トルエンスルホネートとのジアンモニウム塩を水に添加し、続いて、塩基(NaOHまたはNaCO)を添加し、脱プロトン化し、化合物3(オキシビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-アミノアセテート)を添加する。
【0154】
【化4】
【0155】
ポリ(エステル尿素)ベースのマイクロカプセルの製造
【表3】
【0156】
合成手順は実施例1と同じである。
【0157】
マイクロカプセルBの平均サイズは約10μmである。30℃から50℃への(5℃/分)、かつ50℃で250分間にわたって保持されるTGA測定は、マイクロカプセルが250分後に香油を100%保持することを示す(図2を参照)。
【0158】
実施例3
本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
スライドガラス上で「スワイプアンドスニフ(swipe and sniff)」法を使用して、PEU(ポリエステル尿素ベースのマイクロカプセル)対非封入香油Aの嗅覚的性能を測定した。
【0159】
手順:2枚のスライドガラスを、29人のパネリストにランダムな順序でパネリスト全員に提示した。パネリストに、3/4インチの丸いドットの上方のガラスの匂いを嗅ぎ、感覚ブース内でフレグランスの強度を評価するように指示した。次いで、パネリストは、自身の人差し指にニトリル指サックを着けて、ドットの上方のガラスを左から右に5回擦り、フレグランスの強度を評価した。30秒の休憩後に、パネリストは、新しい指サックに切り替え、同じ摩擦力を使用して別のサンプルに対してこの手順を繰り返した。フレグランスの強度を、「なし」から「非常に強い」までの0~10の連続線形スケールで評価した。
【0160】
サンプルの製造:3桁のブラインドされたコードの付いたラベルをスライドガラスの左側に貼り付けた(Fisherブランドのプレーン顕微鏡スライド(plain microscope slides)25×75×1.0mm)。サンプルの位置を示すために、スライドガラスの右底部側に3/4インチの円形ステッカーを付けた。実施例1によって製造されたPEUカプセル(0.3重量%の香油A)を含有する水スラリーまたは0.3重量%の非封入香油Aエマルション(水90%/エタノール10%)10μLを、丸いドットの上方のガラス上にピペットで移した。スライドガラスを、評価前に約20時間にわたって室温で乾燥させた。
【0161】
感覚面の結果は、スワイプの前後で非封入油のフレグランスの強度の間に有意差がないことを示した。本発明によるマイクロカプセルの場合、スワイプする前よりもスライドをスワイプした後の方がフレグランスの強度が有意に高かった(図3を参照)。
:異なる文字は、95%の信頼レベルでフレグランスの強度に有意差があることを意味する。
【0162】
さらに、本発明によるマイクロカプセルと非封入油との間での、スワイプの前後のフレグランスの強度の差を比較すると、カプセルは、有意により大きな差を示す。これは、本発明によるマイクロカプセルが有意なブースト効果を付与することを示す(図4を参照)。
【0163】
統計的な観点から、パネリスト29人のうちの27人が、全体的なフレグランスの強度がより強いとしてPEUカプセルを選択した。これは、95%の信頼レベルで有意である(図5を参照)。
:破線は、有意性に達するための選択の最小数を示す(α=0.05)。
【0164】
実施例4
本発明による噴霧乾燥されたポリ(エステル尿素)ベースのマイクロカプセルを含むシャワージェル
実施例1および2に従ってそれぞれ製造されたカプセルスラリーAおよびB(450mg)を、表4に記載されている組成を有するシャワージェルベース(10g)に導入した(サンプル中の香油1.4%)。
【0165】
【表4】
【0166】
サンプルを42℃で2週間にわたって貯蔵した。顕微鏡画像は、ベース中での本発明によるマイクロカプセルの安定性を示した。
【0167】
実施例5
本発明による噴霧乾燥されたマイクロカプセル
マイクロカプセルC、D、EおよびFを、以下の組成を有する香油Bを使用することによって、実施例1で定義された手順に従って製造した。
【0168】
【表5】
【0169】
【表6】
【0170】
次いで、得られた懸濁液を、担体材料であるマルトデキストリン10DEと水中で十分に混合し、噴霧乾燥した(噴霧乾燥配合物は表7に示す)。
【0171】
【表7】
【0172】
適切な粘度になるように水を添加することによって供給溶液を調整し、次いで、混合物全体をBuchi噴霧乾燥機B-290に供給した。入口温度を180℃で維持し、80℃の出口空気温度を維持するのに十分な速度で混合物を供給した。噴霧乾燥された白色粉末が約50%の収率で得られた。
【0173】
マイクロカプセル合成および噴霧乾燥プロセス中にフレグランスオイルの損失がないことを確認するために、これら4つのマイクロカプセルサンプルの油の総含有量を、それらの理論的な計算値と比較して2つの異なる技法(低磁場NMRおよびGC-MS)を使用して測定した(表8を参照)。
【0174】
【表8】
【0175】
実施例6
本発明による噴霧乾燥されたマイクロカプセルを含む制汗組成物
以下の表に記載されている組成を有する制汗組成物(スティック)を製造する。
【0176】
【表9】
【0177】
制汗組成物中のマイクロカプセルC、D、EおよびFの投与量は、最終的な香油の充填率が1%になるように決定される。
【0178】
感覚試験は、吸取紙上で「スワイプアンドスニフ」法を使用して実施した。香油をカプセル化したマイクロカプセルを含有する重量100mgのAPスティックを各吸取器に塗布した。吸取器を、擦る前後に、または(APが人体に塗布された後の発汗を模倣するため)水噴霧してから擦る前後に、フレグランスの強度に基づいてパネリストによって評価した。
【0179】
ブースに入ったら、パネリスト32人に一連の吸取器を評価するように指示した。それぞれにブラインドしてコードが付いており、評価の間に30秒の休憩を入れた。
【0180】
吸取器上の手付かずのマイクロカプセルを用いたAPの香料強度の評価(擦る前):この第1のセットでは、3つの吸取器(各製品に1つ)をランダムな順序で提示した。パネリストに、各吸取器の匂いを嗅ぎ、フレグランスの強度を評価するように指示した。
【0181】
吸取器上で擦ることによって破壊されたPEUマイクロカプセルを有するAPの香料強度の評価(擦った後):第2のセットでは、パネリストに、さらに3つの吸取紙(各製品に1つ)を評価するように指示した。それぞれについて、パネリストは、自身の人差し指にニトリル指サックを着けて、吸取器を3回擦り、フレグランスの強度を評価した。パネリストは、新しいサンプルごとに指サックを交換した。
【0182】
水を噴霧することによって濡らされて、吸取器上で擦ることによってマイクロカプセルが破壊されたAPの香料強度の評価(噴霧&擦った後):最後のセットでは、パネリストは、そこで、ランダムな順序で提示されたより多くの吸取紙を評価した。まず、パネリストは、吸取器に脱イオン水を2回噴霧し、次いで、擦り手順を繰り返した。フレグランスの強度を、「なし」から「非常に強い」までの0~10の連続線形スケールで評価した。
【0183】
図6に示される結果は、擦る前と比較して、擦った後の有意なブースト効果を強調している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】