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特表2022-532977セグメント式γ走査測定システムに対する透過源属性特性の表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】セグメント式γ走査測定システムに対する透過源属性特性の表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/02 20060101AFI20220713BHJP
   G01N 23/06 20180101ALI20220713BHJP
【FI】
G01N23/02
G01N23/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557726
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 CN2020085864
(87)【国際公開番号】W WO2021212309
(87)【国際公開日】2021-10-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517344295
【氏名又は名称】中国原子能科学研究院
【氏名又は名称原語表記】CHINA INSTITUTE OF ATOMIC ENERGY
【住所又は居所原語表記】No.1 Sanqiang road, new town, fangshan district, Beijing 102413, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジャオチー
(72)【発明者】
【氏名】パイ レェイ
(72)【発明者】
【氏名】シァオ ジィウェン
(72)【発明者】
【氏名】ミィアオ チィアン
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA02
2G001BA11
2G001CA02
2G001FA02
2G001FA08
2G001KA01
2G001NA01
(57)【要約】
本発明は、セグメント式γ走査測定システムに対する透過源属性特性の表示方法に関し、γ線等価水密度が既知である標準透過対象を作成するステップと、シミュレーション計算方法を用いて透過測定過程をシミュレーションし、標準透過対象の透過厚さ、等価水密度、元再構成密度、透過源空間夾角余弦、及びγ線エネルギーに関するデータベースを設立し、データベースに基づいて、標準透過対象のパラメータとγ線エネルギーに関する透過源空間夾角余弦の対応関係をフィッティングするステップと、表示する透過源について、対応的な標準透過対象を選択して透過測定し、標準透過対象の元再構成密度を取得するステップと、標準透過対象の既知のパラメータとγ線エネルギーのフィッティングによる対応関係によって、データベースから表示する透過源の透過源空間夾角余弦を読み取るステップと、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標のセグメント式γ走査測定システムについて、複数の標準透過対象を作成するステップA02と、
前記複数の標準透過対象に基づいて、透過測定過程をシミュレーション計算し、前記標準透過対象の透過厚さ、前記標準透過対象の等価水密度、前記標準透過対象の元再構成密度、前記標準透過対象の源距離、前記γ線エネルギー、および透過源空間夾角余弦に関するデータベースを設立するステップA04と、
前記データベースに基づいて、前記標準透過対象の透過厚さ、前記標準透過対象の等価水密度、前記標準透過対象の源距離、前記標準透過対象の元再構成密度、および前記γ線エネルギーに対する前記透過源空間夾角余弦の対応関係をフィッティングするステップA06と、
表示する透過源に応じて、対応する前記標準透過対象を選択して透過測定し、前記標準透過対象の元再構成密度を決定するステップA08と、
前記標準透過対象の透過厚さ、前記標準透過対象の等価水密度、前記標準透過対象の源距離、ステップA08で決定された前記標準透過対象の元再構成密度、および前記表示する透過源から放出される前記γ線エネルギーを使用して、ステップA06でフィッティングされた前記対応関係に従って、前記表示する透過源に対する前記透過源空間夾角余弦の表示を完了するステップA10と、を含む
ことを特徴とするセグメント式γ走査測定システムに対する透過源属性特性の表示方法。
【請求項2】
前記セグメント式γ走査測定システムは、
前記γ線を放出するための透過源とコリメータとを有する透過源部品と、
被検試料を置くための走査測定プラットフォームと、
前記被検試料を通過した前記γ線を測定するためのプローブと、
前記プローブの測定結果を分析するための制御分析システムと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップA02において、前記標準透過対象は、若干の平板型透過対象である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップA08での前記透過測定過程において、前記標準透過対象を予め設定位置に置き、複数の前記標準透過対象の源距離を同じようにする
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記標準透過対象の透過厚さは、前記γ線が前記標準透過対象を通過する時の最短経路である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標準透過対象の等価水密度は、同じ幾何学的形状を有する水均一媒体透過対象の密度値であり、前記γ線エネルギーに対する前記水均一媒体透過対象の線減衰係数は、前記γ線エネルギーに対する前記標準透過対象の線減衰係数と同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記γ線をビーム近似する条件で、前記標準透過対象の等価水密度の透過再構成値は、前記標準透過対象の元再構成密度である
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップA08での前記標準透過対象の元再構成密度の決定は、
前記標準透過対象を置かなく、前記γ線の計数率I(E)を取得するステップと、
前記標準透過対象を予め設定位置に置き、前記γ線の計数率I(E)を取得するステップと、
Beerの法則に従って、前記γ線を平行近似し、前記標準透過対象の元再構成密度ρ(E)は、
であるステップと、を含み、
ここで、μ(E)はエネルギーがEである前記γ線が前記標準透過対象を通過する線減衰係数であり、μは水の質量減衰係数である
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
目標セグメント式γ走査測定システムに基づいて、透過測定過程をシミュレーション計算し、透過対象の透過厚さ、透過対象の等価水密度、透過対象の元再構成密度、測定源距離、γ線エネルギー、および透過源空間夾角余弦に関する透過再構成歪み補正データベースを設立するステップS002と、
前記透過再構成歪み補正データベースに基づいて、前記透過源空間夾角余弦、前記γ線エネルギー、前記透過対象の元再構成密度、前記透過対象の透過厚さ、及び前記測定源距離に関する前記透過対象の等価水密度の、対応関係をフィッティングするステップS004と、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法を用いて、前記被検試料に対応する測定システムの透過源空間夾角余弦を表示するステップと、
測定により、前記被検試料の透過厚さ及び前記測定源距離を取得するステップと、
前記被検試料に対する透過測定によって、前記被検試料の元再構成密度を決定するステップと、
表示された前記透過源空間夾角余弦、前記γ線エネルギー、前記被検試料の元再構成密度、前記被検試料の透過厚さ、及び前記測定源距離を用いて、ステップS004でフィッティングした対応関係によって、前記透過再構成歪み補正データベースから前記被検試料の等価水密度を読み取るステップと、を含む被検試料についての透過再構成歪みを補正するステップS006と、を含む
ことを特徴とするセグメント式γ走査透過再構成歪み補正方法。
【請求項10】
前記測定源距離が、前記被検試料から前記透過源までの距離である
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、非破壊定量検出の技術分野に関し、具体的には、セグメント式γ走査測定システムの透過源属性特性の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性核廃物を非破壊定量検出する技術分野では、エネルギーの異なるγ線が被検試料を通過してプローブに到達する前に異なる程度の減衰を受け、被検試料中の放射性核種を正確に測定するために、透過源を別途に設けることにより、被検試料の自己吸収補正を行うことができ、すなわち、透過源を別途に設けることにより、被検試料を透過して測定し、透過再構成過程により被検試料の透過率を求め、さらに自己吸収補正を行うことができる。従来技術では、反復アルゴリズムによって透過再構成歪みを補正することができるが、計算コストが高すぎるため、実際の適用場面での使用効率が低下する。
【0003】
また、定量測定分析装置では、実際の測定過程において、放射線源の活性度や減衰媒質の分布の不均一性、計数統計性、目盛り方法、再構成アルゴリズム等の要因により、測定結果に一定の系統的なばらつきが生じる。一方、系統的なばらつきの大きさは、測定分析装置の適用範囲を決定する。従来技術では、セグメント式γ走査測定の系統的なばらつきの幅が、測定対象の厚さや密度の増加と伴って大きくなるため、測定精度を確保するために、セグメント式γ走査測定システムは、中低密度の測定対象にしか適用できなかった。
【発明の概要】
【0004】
上記の問題に関し、透過再構成歪み補正の精度を高め、測定システムの効率を高めるために、本発明は、セグメント式γ走査測定システムに対する透過源属性特性の表示方法を提供し、この方法は
目標のセグメント式γ走査測定システムについて、複数の標準透過対象を作成するステップA02と、
複数の標準透過対象に基づいて、透過測定過程をシミュレーション計算し、標準透過対象の透過厚さ、標準透過対象の等価水密度、標準透過対象の元再構成密度、標準透過対象の源距離、γ線エネルギー、および透過源空間夾角余弦に関するデータベースを設立するステップA04と、
データベースに基づいて、標準透過対象の透過厚さ、標準透過対象の等価水密度、標準透過対象の源距離、標準透過対象の元再構成密度、およびγ線エネルギーに関する透過源空間夾角余弦の対応関係をフィッティングするステップA06と、
表示する透過源に応じて、対応する標準透過対象を選択して透過測定し、標準透過対象の元再構成密度を決定するステップA08と、
標準透過対象の透過厚さ、標準透過対象の等価水密度、標準透過対象の源距離、ステップA08で決定された標準透過対象の元再構成密度、および表示する透過源からのγ線エネルギーを使用して、ステップA06でフィッティングされた対応関係に従って、表示する透過源の透過源空間夾角余弦の表示を完了するステップA10と、を含む。
【0005】
本発明のいくつかの実施例では、セグメント式γ走査測定システムは、γ線を放出するための透過源とコリメータとを有する透過源部品と、被検試料を置くための走査測定プラットフォームと、被検試料を通過したγ線を測定するためのプローブと、プローブの測定結果を分析するための制御分析システムとを含む。
【0006】
本発明のいくつかの実施例では、ステップA02において、標準透過対象は、若干の平板型透過対象である。
【0007】
本発明のいくつかの実施例では、ステップA08での透過測定過程において、標準透過対象を予め設定位置に置く。
【0008】
本発明のいくつかの実施例では、標準透過対象の透過厚さは、γ線が標準透過対象を通過する時の最短経路である。
【0009】
本発明のいくつかの実施例では、標準透過対象の等価水密度は、同じ幾何学的形状を有する水均一媒体透過対象の密度値であり、γ線エネルギーに対する水均一媒体透過対象の線減衰係数は、γ線エネルギーに対する標準透過対象の線減衰係数と同じである。
【0010】
本発明のいくつかの実施例では、γ線を平行近似する条件で、標準透過対象の等価水密度の透過再構成値は、標準透過対象の元再構成密度である。
【0011】
本発明のいくつかの実施例では、ステップA08での標準透過対象の元再構成密度の決定は、
標準透過対象を置かなく、前記γ線の計数率I(E)を取得するステップと、
標準透過対象を予め設定位置に置き、γ線の計数率I(E)を取得するステップと、
Beerの法則に従って、γ線を平行近似し、標準透過対象の元再構成密度ρ(E)は、
であるステップと、を含み、
ここで、μ(E)はエネルギーがEであるγ線が標準透過対象を通過する線減衰係数であり、μは水の質量減衰係数である。
【0012】
別の態様では、本発明は、セグメント式γ走査透過再構成歪み補正方法を提供し、この方法は、目標セグメント式γ走査測定システムに基づいて、透過測定過程をシミュレーション計算し、透過対象の透過厚さ、透過対象の等価水密度、透過対象の元再構成密度、測定源距離、γ線エネルギー、および透過源空間夾角余弦に関する透過再構成歪み補正データベースを設立するステップS002と、
透過再構成歪み補正データベースに基づいて、透過源空間夾角余弦、γ線エネルギー、透過対象の元再構成密度、透過対象の透過厚さ、及び測定源距離に関する透過対象の等価水密度の対応関係をフィッティングするステップS004と、
セグメント式γ走査測定システムに対する透過源属性特性の表示方法を用いて、被検試料に対応する測定システムの透過源空間夾角余弦を表示するステップと、
測定により、被検試料の透過厚さ及び測定源距離を取得するステップと、
被検試料に対する透過測定によって、被検試料の元再構成密度を決定するステップと、
表示された透過源空間夾角余弦、γ線エネルギー、被検試料の元再構成密度、被検試料の透過厚さ、及び測定源距離を用いて、ステップS004でフィッティングした対応関係によって、透過再構成歪み補正データベースから被検試料の等価水密度を読み取るステップと、を含む被検試料に対する透過再構成歪みをするステップS006を含む。
【0013】
本発明のいくつかの実施例では、測定源距離が、被検試料から透過源までの距離である。
【0014】
上記の技術案に基づいて、本発明は、透過源属性特性の表示によって、透過再構成歪み補正精度を向上させ、透過再構成歪み補正データベースの設立により測定効率を向上させ、透過再構成過程に対して導入された系統的なばらつきを補正することによって、セグメント式γ走査測定システムの適用範囲の拡張を実現する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、さらに詳細に説明する。
【0016】
本発明は、セグメント式γ走査測定システムの透過源属性特性の表示方法を提供し、この方法は、
目標のセグメント式γ走査測定システムについて、γ線に対する等価水密度が既知である標準透過対象を作成するステップA02と、
標準透過対象に基づいて、透過測定過程をシミュレーション計算し、標準透過対象の透過厚さ、標準透過対象の等価水密度、標準透過対象の元再構成密度、標準透過対象の源距離、γ線エネルギー、および透過源空間夾角余弦に関するデータベースを設立するステップA04と、
データベースに基づいて、標準透過対象の透過厚さ、標準透過対象の等価水密度、標準透過対象の源距離、標準透過対象の元再構成密度、およびγ線エネルギーに対する透過源空間夾角余弦の対応関係をフィッティングするステップA06と、
表示する透過源に応じて、対応する標準透過対象を選択して透過測定し、標準透過対象の元再構成密度を決定するステップA08と、
標準透過対象の透過厚さ、標準透過対象の等価水密度、前記標準透過対象の源距離、ステップA08で決定された標準透過対象の元再構成密度、および表示する透過源からのγ線エネルギーを使用して、ステップA06でフィッティングされた対応関係に従って、前記表示する透過源の前記透過源空間夾角余弦の表示を完了するステップA10と、を含む。
【0017】
本発明の実施形態によれば、セグメント式γ走査技術測定システムは、透過源部品、走査測定プラットフォーム、プローブ、および制御分析システムを含み、透過源部品は、コリメータおよび透過源を含む。透過源が放出するγ線は、通常、一定の空間夾角を有するコーンビームであり、実際の応用場面において、透過源の空間夾角を求めることは現実的ではないため、透過源の空間夾角を表示して透過再構成歪みの補正精度を向上させる必要がある。
【0018】
本発明の一実施例において、ステップA02は、セグメント式γ走査測定システムの透過源部品の属性、ならびに適用範囲および精度の需要に基づいて、1組の標準透過対象を作成し、中間データおよび最終結果の検証に利用し、当該標準透過対象の異なるエネルギーのγ線に対する線減衰係数は既知である。
【0019】
なお、実測過程において、被測定試料は、混合材質からなる密度が不均一な透過対象であることが多いため、特定の透過γ線エネルギーに対して透過対象が確定の密度値があり、透過γ線の透過対象に対する透過率は、同密度値の水からなる同じ幾何形状の透過対象に対するこの透過γ線の透過率と等価であり、上記密度値を等価水密度と呼ぶ。透過測定により得られた特定エネルギーγ線の透過対象に対する透過率に基づいて、Beer法則を用いて、γ線の平行ビーム近似設定を行い、このγ線エネルギーに対する確定の透過対象の等価水密度を元再構成密度と呼ぶ。
【0020】
本発明のいくつかの実施例において、標準透過対象の材質は、高密度ポリエチレン(密度が0.94g/cm以上)、グラファイトまたはアルミニウムなどである。標準透過対象の材質と透過厚さから、特定エネルギーを有するγ線に対する等価水密度をテーブルルックアップと組み合わせることにより算出することができる。
【0021】
線減衰係数μと、物質の密度ρと質量減衰係数μmとの関係式μ=μm・ρが成り立つことが知られている。
【0022】
ここで、線減衰係数μは、放射線が物質中を単位距離を通過する際に、吸収される確率を示し、質量減衰係数μは、物質の単位質量当たりの放射線の減衰の程度を示す。
【0023】
密度が均一なA材質に対して質量減衰係数μmA、密度ρAがあれば、A材質の等価水密度ρA水は、ρA水=μ/μm水=μmA・ρA/μm水の式で計算される。
【0024】
ステップA04は、標準透過対象について透過測定シミュレーション計算を行い、モンテカルロシミュレーション計算方法を用いて、透過源から空間夾角δで放射されるエネルギーがEであるγ線ビームが、厚さdの標準透過対象を通過する透過過程をシミュレーション計算し、標準透過対象を透過源の予め設定位置に設置し、異なる透過厚さの標準透過対象について透過源のγ線のエネルギー区間に対して繰り返してシミュレーション計算プログラムを行い、独立変数である透過源空間夾角余弦、標準透過対象の透過厚さd、等価水密度ρ、従属変数である元再構成密度ρ’と対応するγ線のエネルギーEに関する決定を完了し、標準透過対象についての透過再構成歪補正データベースを設立する。
【0025】
標準透過対象の透過再構成歪み補正データベースの設立は、パラメータの容易な表示のために使用され、実際な適用過程に、上記の関連パラメータの測定によって、取得された変数に対する目標変数の表示を迅速に実現することができる。
【0026】
ステップA06は、標準透過対象の透過再構成歪みに基づいてデータベースを補正し、標準透過対象の元再構成密度ρ’、標準透過対象の透過厚さd、および等価水密度ρ、標準透過対象の源距離x、γ線のエネルギーEに関する透過源空間夾角余弦の対応関係をフィッティングし、対応関係によって既知のパラメータに基づいてデータベースから対応的な目標パラメータを迅速に抽出することができ、計算コストを節約する。
【0027】
ステップA08は、実測過程において、表示の必要がある透過源について、対応的な複数の標準透過対象を選択し、プローブから標準透過対象を設置しない場合のγ線計数率を読み取り、標準透過対象と透過源との距離である測定光源距離が予め設定の位置にある場合のγ線の計数率を設定し、透過源からのγ線ビームを近似計算することにより、標準透過対象の元再構成密度を求める。
【0028】
Beerの法則により、エネルギーEの入射平行γ線ビームは、透過対象を通過する際、その前後強度I(E),I(E)が指数減衰則:I(E)=I(E)・exp[-μ(E)・d]を満たす。
【0029】
ここで、μ(E)は、エネルギーEのγ線が透過対象材料を通過する線減衰係数を表す。dは透過対象の透過厚さである。
【0030】
透過対象の元再構成密度は:
である。
【0031】
前述のように、対応的な標準透過対象の透過厚さは既知のパラメータであり、その対応特徴γ線の等価水密度は既知のパラメータである。特性γ線のエネルギーパラメータ、計算で得られた標準透過対象の元再構成密度、予め設定位置に基づいて取得された標準透過対象の源距離、および標準透過対象の等価水密度と標準透過対象の透過厚さを、透過源空間夾角余弦に関する対応関係に持ち込まれ、対応関係に基づいて、標準透過対象の透過再構成歪み補正データベースから直接、透過源空間夾角余弦の前記既知のパラメータに関する表示を取得することができ、複数の標準透過対象の表示結果を平均すること、すなわち、表示する透過源の空間夾角余弦である。
【0032】
本発明は、モンテカルロ法により、標準透過対象に対して透過再構成歪み補正データベースを設立し、実際の応用場面における効率と、透過源から放出されるγ線ビームの空間夾角の表示精度を向上させる。
【0033】
別の態様では、本発明は、セグメント式γ走査透過率再構成歪み補償方法を提供し、この方法は、
目標セグメント式γ走査測定システムに基づいて、透過測定過程をシミュレーション計算し、透過対象の透過厚さ、透過対象の等価水密度、透過対象の元再構成密度、測定源距離、γ線エネルギー、および透過源空間夾角余弦に関する透過再構成歪み補正データベースを設立するステップS002と、
透過再構成歪み補正データベースに基づいて、透過源空間夾角余弦、γ線エネルギー、透過対象の元再構成密度、透過対象の透過厚さ、及び測定源距離に関する透過対象の等価水密度、の対応関係をフィッティングするステップS004と、
セグメント式γ走査測定システムの透過源属性特性の表示方法を用いて、被検試料に対応する測定システムの透過源空間夾角余弦を表示するステップと、
測定により、被検試料の透過厚さ及び前記測定源距離を取得するステップと、
被検試料に対する透過測定によって、被検試料の元再構成密度を決定するステップと、
表示された透過源空間夾角余弦、γ線エネルギー、被検試料の元再構成密度、被検試料の透過厚さ、及び測定源距離によって、ステップS004でフィッティングした対応関係を用いて、前記透過再構成歪み補正データベースから被検試料の等価水密度を読み取るステップと、を含む被検試料の透過再構成歪みを補正するステップS006とを含む。
【0034】
本発明の一実施例において、ステップS002は、モンテカルロ法を用いて、セグメント式γ走査測定システムについて透過測定過程をシミュレートし、セグメント式γ走査測定システムの適用範囲に従って、パラメータの変動区間及び範囲を決定する。例えば、透過源部品からγ線のエネルギー区間を決定し、透過源部品の既知のパラメータに基づいて、透過源から放出されるγ線ビームの空間夾角、すなわち透過源空間夾角余弦の範囲を確定し、経験測定データに基づいて、測定源距離、すなわち透過対象と透過源との距離の変化区間と、透過対象が異なるγ線エネルギーに対応する等価水密度の変化区間を設定する。前記独立変数の設定に従い、モンテカルロ法により対応的な透過対象の元再構成密度を決定し、透過再構成歪み補正データベースを作成する。
【0035】
透過率式に基づいて、透過源から放出された一定の空間夾角を有するγ線ビームの透過率Tは、以下の通りである。
【0036】
ここで、D(ω)は、夾角余弦ωの方向に沿って透過放射線が透過対象を通過する経路の長さであり、f(ω)は、エネルギーEの入射方向夾角余弦がωである放射線に対するプローブの検出効率であり、積分範囲は、透過源空間夾角余弦δに対して有意な夾角余弦の範囲である。
【0037】
前述のように、透過再構成過程において、γ線ビームに対し、透過対象を通過するγ線の経路長を定数dに近似する近似処理を行い、平行ビームγ線を仮定した場合の元再構成密度ρ’を計算し得ており、元再構成密度ρ’に対し増分Δを調整して反復処理を行うことにより、調整後の透過率T’を取得し、透過率T’が測定数値Tに近い場合、反復処理を停止し、そのときの対応的な等価水密度ρから計算されるμが最終的な透過再構成結果となる。
【0038】
以上のことから、透過測定条件を決定すると、確定された透過厚さを有する透過対象は、確定の測定源距離(すなわち、透過対象と透過線源の距離が一定である)において、エネルギーEのγ線の透過再構成過程について、その元再構成密度と等価水密度は、透過線源空間角余弦に対して一意に決まる。
【0039】
モンテカルロ法により、上記設定した変数範囲または区間に基づいて、透過測定過程をシミュレーションし、各変数の関係対応を完了し、セグメント式γ走査測定システムに対する透過再構成歪み補正データベースを設立する。
【0040】
ステップS004では、透過再構成歪み補正データベースの各変数からなる点集合に基づいて、空間夾角δ、γ線エネルギーE、測定源距離x、透過対象の透過厚さd、透過対象の元再構成密度ρ’に関する透過対象の等価水密度ρの対応関係をフィッティングする。
【0041】
ステップS006では、実際の測定過程において、セグメント式γ走査測定システムに対する透過源属性特性の表示方法を用いて、透過源空間夾角余弦を表示する。プローブによって、被検試料の配置前後のγ線の計数率を検出し、Beerの法則に基づいて被検試料の元再構成密度を計算する。直接測定により、被検試料と透過源との距離、すなわち測定源距離x、被検試料の透過厚さdを取得する。γ線エネルギーEは、測定試料に基づく特性γ線に対応する。
【0042】
本発明のいくつかの実施例では、スケールまたはレーザ位置決め測距ツールなどによって、被検試料の透過厚さdおよび測定源距離xを測定することができる。
【0043】
上記の測定と計算により得られたパラメータを、透過対象の元再構成密度に対するフィッティング対応関係に持ち込み、この対応関係により、透過再構成歪み補正データベースから、被検試料に対応する等価水密度を迅速に読み出すことができ、さらに、特徴的なγ線に対する被検試料の線減衰係数を計算して、被検試料の透過再構成歪み補正を完了する。
【0044】
本発明が提供するセグメント式γ走査透過再構成歪み補正方法は、透過再構成過程において透過源から放出されるビームの平行近似による誤差に対して、セグメント式γ走査測定システムに基づく透過再構成歪み補正データベースを設立することにより、セグメント式γ走査測定システムの実際の応用場面での使用効率を向上させ、計算コストを低減する。標準透過対象の透過再構成歪み補正データベースを設立して透過源属性を表示することにより、透過再構成歪み補正精度を向上させ、セグメント式γ走査測定システムの系統的なばらつきを低減させ、被検試料の媒体密度に対するシステムの適用範囲を増加させる。
【0045】
以上の実施形態は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、様々な変更や変形を加えることができ、したがって、全ての均等な技術案は本発明の範囲に属し、本発明の特許保護範囲は、特許請求の範囲によって限定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明の実施形態によれば、セグメント式γ走査技術測定システムは、透過源部品、走査測定プラットフォーム、プローブ、および制御分析システムを含み、透過源部品は、コリメータおよび透過源を含む。透過源が放出するγ線は、通常、一定の空間夾角を有するコーンビームであり、実際の応用場面において、透過源の空間夾角を直接的に測定して取得することは現実的ではないため、透過源の空間夾角を表示して透過再構成歪みの補正精度を向上させる必要がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明のいくつかの実施例において、標準透過対象の材質は、ポリエチレン、グラファイトまたはアルミニウムなどである。標準透過対象の材質と透過厚さから、特定エネルギーを有するγ線に対する等価水密度をテーブルルックアップと組み合わせることにより算出することができる。
【国際調査報告】