(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】耐火性の高い建設用パネルと耐火性の高い建設用パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 28/18 20060101AFI20220713BHJP
C04B 14/18 20060101ALI20220713BHJP
C04B 14/38 20060101ALI20220713BHJP
C04B 14/28 20060101ALI20220713BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
C04B28/18
C04B14/18
C04B14/38
C04B14/28
C04B22/14 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563337
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2020063989
(87)【国際公開番号】W WO2020234308
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508241901
【氏名又は名称】クナーフ・パフォーマンス・マテリアルズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・コスロフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・シュヴィーバッハー
(72)【発明者】
【氏名】カイ・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ベルト・ナウラート
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・クレッケナー
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MB06
4G112MB23
4G112PA03
4G112PA10
4G112PA17
4G112PA24
(57)【要約】
本発明は、耐火性の高い建設用パネル、および耐火性の高い建設用パネルの製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性の高い建設用パネルであって、
1.1 ゾノトライトと、
1.2 発泡パーライトと、
1.3 繊維と、を備える、建設用パネル。
【請求項2】
少なくとも33質量%の割合で前記ゾノトライト、前記発泡パーライト、および前記繊維を含む、請求項1に記載の建設用パネル。
【請求項3】
以下の繊維:ガラス繊維またはセルロース繊維のうちの少なくとも1つの形態で前記繊維を含む、請求項1又は2に記載の建設用パネル。
【請求項4】
AES繊維の形態で前記ガラス繊維を含む、請求項3に記載の建設用パネル。
【請求項5】
20~50質量%の範囲の割合で前記ゾノトライトを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の建設用パネル。
【請求項6】
8~20質量%の範囲の割合で前記発泡パーライトを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の建設用パネル。
【請求項7】
最大1.5mmの粒径で、前記発泡パーライトの総質量に基づいて、少なくとも50質量%に達する量で前記発泡パーライトを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の建設用パネル。
【請求項8】
1.5~10質量%の範囲の割合で前記繊維を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の建設用パネル。
【請求項9】
1~6質量%の範囲の割合で前記セルロース繊維を含む、請求項3に記載の建設用パネル。
【請求項10】
0.5~5質量%の範囲の割合で前記ガラス繊維を含む、請求項3に記載の建設用パネル。
【請求項11】
無水石膏を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の建設用パネル。
【請求項12】
炭酸カルシウムを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の建設用パネル。
【請求項13】
耐火性の高い建設用パネルを製造する方法であって、以下のステップ:
13.1 以下を含むバッチを提供するステップ:
13.1.1 酸化カルシウムを含む成分、
13.1.2 二酸化ケイ素を含む成分、
13.1.3 発泡パーライト、
13.1.4 繊維、および
13.1.5 水、
13.2 前記バッチを形成するステップ、
13.3 前記形成されたバッチに圧力および温度を加え、それによって、前記酸化カルシウムを含む成分、前記二酸化ケイ素を含む成分、および前記水が、ゾノトライトを形成するステップ、を含む、方法。
【請求項14】
前記バッチが、最大1.5mmの粒径で、前記発泡パーライトの総質量に基づいて、少なくとも50質量%の前記発泡パーライトを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バッチが、5~20質量%の範囲の割合で前記発泡パーライトを含む、請求項13または14の少なくとも1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、耐火性の高い建設用パネル、および耐火性の高い建設用パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設用パネルは、乾式壁の建設に使用される。例えば、建設用パネルは、乾式壁建設のクラッディング要素として、例えば壁またはパイプを覆うために使用される。建設用パネルは、例えば、仕切り壁を作成するためにも使用される。特に、建設用パネルは換気ダクトの製造にも使用される。
【0003】
防火上の理由から、防火パネルとも呼ばれる耐火性の高い建設用パネルも定期的に必要とされている。
【0004】
耐火性の高い建設用パネルは、例えば、水硬性硬化セメント、特に水硬性ポルトランドセメント、ならびにアルミナセメントまたは高アルミナセメントから作製された建設用パネルの形態で知られている。
【0005】
また、火災に対する高い耐性を有する防火パネルはまた、ケイ酸カルシウムパネルの形態、すなわち、三成分のCaO-SiO2-H2O系における少なくとも1つの鉱物相に基づく建設用パネルの形態で知られている。この三成分系からなる鉱物相は、通常、CSH相とも呼ばれ、この相に基づいて製造された建設用パネルは、CSH建設用パネルと呼ばれる。
【0006】
三成分のCaO-SiO2-H2O系において、相CaO、SiO2、およびH2Oのそれぞれの割合に関して互いに異なる多数の鉱物相が存在する。建設用パネルがそれに基づいて製造される、三成分CaO-SiO2-H2O系における共通の鉱物相は、例えば、化学式Ca5Si6O175H2Oを有する鉱物相トバモライトである。
【0007】
しかし、建設用パネルが定期的に作られている多くの物質は、建設用パネルに高レベルの耐火性を与えない。なぜならば、例えば、これらの物質は、中断されない高温負荷において破壊または燃焼されるからである。
【0008】
ただし、高レベルの耐火性を提供するために、建設用パネルは、長期間中断されない高温負荷に耐えることができなければならない。
【0009】
さらに、通常、建設用パネルは可能な限り低い密度を有することが望まれる。低密度に関係なく、同時に、パネルは、特に機械的応力下でさえ、高い機械的安定性を有することが通常望まれる。同時に、建設用パネルは、例えば、穴あけ、ステープル留め、または鋸引きを使用して、機械的に容易に処理できることも望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の根底にある目的は、耐火性の高い建設用パネルを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、低密度でも利用可能にすることができる、耐火性の高いそのような建設用パネルを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、低密度で利用可能にすることができる高い耐火性と、さらに同時に、長期間中断されない高温負荷が与えられた場合でも高い機械的安定性とを備えた、耐火性の高いそのような建設用パネルを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、低密度で利用可能にすることができる高い耐火性と、さらに同時に、長期間中断されない高温負荷が与えられた場合でも高い機械的安定性とを備えた、そのような建設用パネルを利用可能にすることであり、建設用パネルは、機械的に処理することも容易である。
【0014】
本発明のさらなる目的は、そのような建設用パネルを利用可能にするための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのような建設用パネルを利用可能にすることができるようにするために、本発明によれば、耐火性が高く、以下:
ゾノトライト、
膨張パーライト、および
繊維、を含む、建設用パネルが利用可能にされる。
【0016】
本発明は、上記の目的が、ゾノトライト、膨張パーライト、および繊維を含む耐火性の高い建設用パネルを提供することによって達成できるという驚くべき発見に基づいている。
【0017】
ゾノトライトは、水酸化物イオンを備えるケイ酸カルシウムであるか、または三成分のCaO-SiO2-H2O系からのケイ酸カルシウム水和物である。ゾノトライトのための化学式は、Ca6[Si6O17](OH)2である。
【0018】
本発明の建設用パネルにおける構成要素であるゾノトライトの利点は、ゾノトライトが可燃性ではなく、約900℃まで分解し始めないことである。結果として、ゾノトライトは、本発明の建設用パネルに高レベルの耐火性を付与する。同時に、その高い強度により、ゾノトライトは建設用パネルに高い機械的安定性を与える。ゾノトライトのもう1つの利点は、この相が健康に害を及ぼさないことである。そのため、本発明の建設用パネルを屋内で使用することも可能である。
【0019】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、少なくとも20質量%の割合で、より好ましくは20~50質量%の範囲の割合で、さらにより好ましくは20~40質量%の範囲の割合でゾノトライトを含む。
【0020】
本発明の建設用パネルの構成要素の質量の割合に関して本明細書に質量%で提供される情報は、個々の場合に別段の記載がない限り、常に本発明の建設用パネルの総質量に基づく。
【0021】
膨張パーライト構成要素は、本発明の建設用パネルにおいてかなりの利点を有する。例えば、膨張パーライトは、低密度または低かさ密度しかないので、そのような建設用パネルにおける膨張パーライトの割合により、低密度の建設用パネルを利用可能にすることができる。同時に、膨張パーライトは機械的に安定しており、耐火性が高いため、建設用パネルで膨張パーライトを使用すると、特に長期間中断されない高温負荷が与えられた場合でも、同時に高い機械的安定性を備えた建設用パネルを提供することができる。さらに、膨張パーライトは健康に害がないため、屋内でパネルを使用することができる。さらに、膨張パーライトの割合により、建設用パネルは機械的にも簡単に処理できる。
【0022】
特に、しかしながら、本発明によれば、驚くべきことに、膨張パーライトは、本発明の建設用パネルの製造から生じる理由のために、建設用パネルにとって特に有利であることが見出された。例えば、膨張パーライトの開放気孔容積を、部分的にゾノトライトで満たすことができる。これは、ゾノトライトを形成する成分(すなわち、酸化カルシウムを含む成分、二酸化ケイ素を含む成分、および水)が、建設用パネルの製造中に、膨張パーライトの開気孔容積に浸透し、そこにゾノトライトを形成し、それに応じて、膨張パーライトの開放気孔が、少なくとも部分的にキソノトライトで満たされることによる。しかしながら、膨張パーライトの開放気孔をゾノトライトで少なくとも部分的に充填することは、いくつかの理由で有利であることが証明されている。例えば、膨張パーライトの吸収性は、開放機構がゾノトライトで満たされることによってかなり低下するので、例えば塗料または疎水化剤のコーティングによる建設用パネルの任意の含浸には、少量のコーティングまたは疎水化剤のみが必要である。なぜならば、膨張パーライトは、大部分は、この物質を表面的にしか吸収しないからである。しかしながら、これは、そのような含浸が、建設用パネルの耐火性を損なう可能性のある有機成分を含む場合に特に有利である可能性がある。さらに、驚くべきことに、膨張パーライトの機械的安定性は、膨張パーライトの開放気孔に部分的に埋め込まれたキソノトライトによって向上することが分かった。これにより、建設用パネルの全体的な機械的安定性も向上する。
【0023】
この点に関して、1つの特に好ましい実施形態は、膨張パーライトの開放気孔が部分的にゾノトライトで満たされていることを提供する。
【0024】
驚くべきことに、本発明によれば、建設用パネル内の膨張パーライトの粒径は、特に、特に火にさらされたときでさえ、建設用パネルの機械的安定性にとって特に重要でありうることが見出された。したがって、膨張パーライトが最大1.5mmの粒径を有する建設用パネルにますます存在する場合、本発明の建設用パネルの機械的安定性をますます高めることができる。この点に関して、1つの特に好ましい実施形態によれば、膨張パーライトは、最大で1.5mmの粒径で大部分または完全に存在することが提供される。
【0025】
1つの好ましい実施形態によれば、膨張パーライトは、1.5mm未満の粒径で、少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、さらにより好ましくは100質量%であることが提供される。さらに、膨張パーライトは、0.01~1.5mmの範囲の粒径で、少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、さらにより好ましくは100質量%であることが好ましくは提供され得る。特定の粒径における膨張パーライトの質量による割合に関して本明細書に提供される情報は、それぞれの場合において、本発明の建設用パネルにおける膨張パーライトの総質量に基づく。
【0026】
建設用パネル内の膨張パーライトの粒径は、好ましくは、建設用パネルの研磨セクションに基づいて、特に研磨セクションの顕微鏡分析を使用して、特に好ましくは、画像化コンピュータ支援分析プログラムを使用して顕微鏡的に決定することができる。
【0027】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、8~20質量%の範囲の割合で、より好ましくは10~15質量%の範囲の割合で、発泡パーライトを含む。
【0028】
本発明の建設用パネルの機械的強度は、繊維を使用してさらに増大させることができる。この点で、建設用パネルは、繊維強化複合材料を形成し、繊維は、ゾノトライトから形成される建設用パネルのマトリックスに埋め込まれている。
【0029】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、1.5~10質量%の範囲の割合で、より好ましくは2~8質量%の範囲の割合で繊維を含む。
【0030】
1つの特に好ましい実施形態によれば、繊維は、以下のタイプの繊維:有機繊維または無機繊維のうちの少なくとも1つの形態である。
【0031】
有機繊維は、好ましくは、以下のタイプの繊維:セルロース繊維または炭素繊維のうちの少なくとも1つの形態であることができる。有機繊維がセルロース繊維の形態である場合、それらは特に好ましくはクラフトセルロース繊維の形態であることができる。
【0032】
建設用パネルは、好ましくは、セルロース繊維を、特にクラフトセルロース繊維の形態で、1~6質量%の範囲の割合で、より好ましくは1~4質量%の範囲の割合で含む。
【0033】
特にクラフトセルロース繊維の形態のセルロース繊維は、好ましくは、以下:10~30μmの範囲の平均繊維直径または0.5~3mmの範囲の平均繊維長の形状のうちの少なくとも1つを有する。
【0034】
無機繊維は、好ましくはガラス繊維の形態であることができ、特に好ましくは、以下:AES繊維、鉱物繊維、玄武岩繊維、アルミナ繊維(Al2O3繊維)、またはケイ酸塩繊維(SiO2繊維)のタイプのガラス繊維のうちの少なくとも1つの形態であることができる。
【0035】
1つの特に好ましい実施形態によれば、ガラス繊維がAES繊維の形態であることが提供される。よく知られているように、「AES繊維」(=アルカリ土類ケイ酸塩繊維)は、材料系MgO-CaO-SiO2に基づくガラス繊維、すなわちアルカリ土類ケイ酸塩繊維である。AES繊維は、特に好ましくは高純度である、すなわち、繊維がそれによって高い耐火性を生じ、高い適用温度に耐えるため、酸化物MgO、CaO、およびSiO2に加えて、他の酸化物の割合が非常に少ない。特にAES繊維の1つの利点は、それらが有害物質として分類されないこと、特にそれらが発癌性ではないことであり、その結果、本発明の建設用パネルは、それがAES繊維を含む限り、屋内で容易に使用できる。ガラス繊維がAES繊維の形態である場合、それらは、好ましくは、少なくとも60質量%、より好ましくは60~90質量%の範囲の割合、さらに好ましくは、60~85質量%の範囲の割合、さらにより好ましくは、70~85質量%の範囲の割合のSiO2の割合を備える化学組成を有する。さらに、AES繊維は、上記のSiO2の化学割合を有する限り、好ましくは、10~40質量%の範囲、より好ましくは15~40質量%の範囲の割合、さらにより好ましくは15~30質量%の範囲の割合における、総質量におけるMgOおよびCaOの割合を備える化学組成を有する。1つの好ましい実施形態によれば、AES繊維は、それらがSiO2、MgO、およびCaOの上記の化学割合を有する限り、3質量%未満の割合でさらなる化学物質の割合を有することが提供される。AES繊維の化学組成に関する上記の情報は、本発明の建設用パネルにおけるガラス繊維の総質量に基づいている。
【0036】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、特にAES繊維の形態で、0.5~5質量%の範囲の割合で、より好ましくは0.5~4質量%の範囲の割合でガラス繊維を含む。
【0037】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、特に上記の化学組成を有する、少なくとも1200℃のDIN EN 1094-1:2008-09による分類温度を有するガラス繊維を含む。
【0038】
ガラス繊維は、好ましくは5~10μmの範囲、より好ましくは7~9μmの範囲の平均繊維直径を有する。
【0039】
AES繊維は、好ましくは、以下:5~15μm(より好ましくは7~9μmの範囲)の範囲の平均繊維直径または1~10mmの範囲の平均繊維長の形状のうちの少なくとも1つを有する。
【0040】
1つの特に好ましい実施形態によれば、繊維は、AES繊維およびクラフトセルロース繊維の形態である。
【0041】
本発明の建設用パネルにおいて、ゾノトライトトは、膨張パーライトおよび繊維が埋め込まれているマトリックスを形成する。
【0042】
膨張パーライトおよび繊維は、好ましくは、本発明の建設用パネルの体積全体に均一に分布している。
【0043】
上記のように、耐火性の高い建設用パネル、特にいわゆる防火パネル、特にポルトランドセメントおよびアルミナセメントなどの水硬性セメントに基づくセメント硬化パネルの形態、特に高アルミナセメントが、知られている。しかしながら、本発明によれば、耐火性、特に本発明の建設用パネルの機械的強度もまた、そのようなセメントによって悪化する可能性があることが見出された。特に、これらのセメントは、建設用パネルが温度負荷にさらされると、ゾノトライトの機械的安定性にも悪影響を与える可能性がある。したがって、1つの好ましい実施形態によれば、本発明の建設用パネルは、セメント、特にポルトランドセメント、アルミナセメント、および高アルミナセメントを含まないか、またはごくわずかな割合しか含まないことが提供される。
【0044】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、セメント、特に水硬性セメント、特にポルトランドセメント、アルミナセメント、および高アルミナセメントを、10質量%未満の割合でのみ、より好ましくは5質量%未満の割合で、さらにより好ましくは1質量%未満の割合で含む。
【0045】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明の建設用パネルは、ゾノトライト、発泡パーライト、および繊維を少なくとも33質量%の割合で含む。さらに、本発明の建設用パネルは、ゾノトライト、膨張パーライト、および繊維を最大で63質量%の割合で含むことを好ましくは提供することができる。1つの好ましい実施形態によれば、本発明の建設用パネルは、ゾノトライト、膨張パーライト、および繊維を33~63質量%の範囲の割合で、より好ましくは35~55質量%の範囲の割合で含む。
【0046】
本発明の建設用パネルは、さらなる成分として無水物を含むことができる。
【0047】
無水物の形態のそのような成分、すなわち、CaSO4は、特に構造パネルが温度負荷にさらされる場合に、ゾノトライトが無水物によって安定化されるという特別な利点を有する。この点で、無水物は、約1180℃の温度で開始して吸熱的に分解するので、本発明の建設用パネルを冷却することができ、ゾノトライトの分解を遅らせることができる。
【0048】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、0.5~5質量%の範囲の割合で、より好ましくは0.8~2質量%の範囲の割合で無水物を含む。
【0049】
本発明の建設用パネルは、さらなる成分として炭酸カルシウムを含むことができる。
【0050】
炭酸カルシウム、すなわち、CaCO3は、本発明の建設用パネルにおいて、方解石、アラゴナイト、またはバテライトの鉱物学的相のうちの少なくとも1つで存在することができる。
【0051】
無水物と同様に、炭酸カルシウムも、特に温度負荷が与えられた場合に、建設用パネル内のゾノトライトを安定化するという利点を有する。したがって、炭酸カルシウムは、約825℃の温度から吸熱的に分解し始めるので、建設用パネルも冷却することができ、ゾノトライトの分解を抑制することができる。
【0052】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、1~10質量%の範囲の割合で、さらにより好ましくは1~5質量%の範囲の割合で炭酸カルシウムを含む。
【0053】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明の建設用パネルは、ゾノトライト、発泡パーライト、繊維、無水物、および炭酸カルシウムを少なくとも35質量%の割合で含むことが提供される。さらに、本発明の建設用パネルは、ゾノトライト、発泡パーライト、繊維、無水物、および炭酸カルシウムを最大で70質量%の割合で含むことを好ましくは提供することができる。1つの好ましい実施形態によれば、本発明の建設用パネルは、ゾノトライト、発泡パーライト、繊維、無水物、および炭酸カルシウムを35~70質量%の範囲の割合で、より好ましくは、37~57質量%の範囲の割合で含むことが提供される。
【0054】
本発明の建設用パネルの製造中に、特に以下により詳細に記載される本発明の方法を使用して、さらなる相が形成され得る。これらのさらなる相は、特に、ゾノトライトの形態ではない三成分CaO-SiO2-H2O系の相(以下、「さらなるCSH相」と呼ぶ)であり得る。特に、これらのさらなるCSH相は、以下の相:スコータイト(Ca7Si6O18CO3(H2O)2)、トバモライト、またはX線アモルファスケイ酸カルシウム相(いわゆる「ケイ酸カルシウムゲル相」または「CSゲル相」)のうちの少なくとも1つの形態であり得る。
【0055】
この点に関して、本発明の建設用パネルは、65質量%未満の割合で、特に30~65質量%の範囲の割合で、より好ましくは43~63質量%の範囲の割合で、そのようなさらなるCSH相を有することを好ましくは提供することができる。
【0056】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、最大25質量%の割合で、より好ましくは10~25質量%の範囲の割合で、さらにより好ましくは10~20重量%の範囲の割合でトバモライトを含む。
【0057】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、最大で10質量%の割合で、より好ましくは1~10質量%の範囲の割合で、さらにより好ましくは1~8質量%の範囲の割合でスカウタイトを含む。
【0058】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、20~30質量%の範囲の割合でX線アモルファスケイ酸カルシウム相を含む。
【0059】
一実施形態によれば、本発明の建設用パネルは、少なくとも92質量%の総質量で、ゾノトライト、発泡パーライト、繊維、無水物、炭酸カルシウム、および他のCSH相を含むことを提供することができる。一実施形態によれば、本発明の建設用パネルは、ゾノトライト、発泡パーライト、繊維、無水物、炭酸カルシウム、および他のCSH相を、92~100質量%の範囲の割合で、より好ましくは、96~100質量%の範囲の割合で含むことを提供することができる。
【0060】
本発明の建設用パネルは、特に以下でより詳細に説明される本発明の方法を使用して、特に本発明の建設用パネルの製造から生じることができる一定の割合の石英を含むことができる。本発明の建設用パネルは、好ましくは、最大で10質量%の割合で、より好ましくは1~10質量%の範囲の割合で、さらにより好ましくは1~5質量%の範囲の割合で石英を有する。
【0061】
パネルの鉱物学的組成は、好ましくはX線回折分析によって、特に好ましくはリートベルト法によって決定される。
【0062】
パネルの化学組成に関して、後者は、好ましくは、40~50質量%、より好ましくは42~48質量%のSiO2の割合、および35~45質量%、より好ましくは36~43質量%、さらにより好ましくは38~43質量%のCaOの割合を有する。
【0063】
パネルの化学組成は、DIN EN ISO 12677に準拠した蛍光X線分析によって決定される。2013-02。
【0064】
さらに、パネルの化学組成は、5~15質量%の範囲の割合で強熱減量を有することができる。強熱減量は、特に結晶水と建設用パネル内のセルロース繊維によって引き起こされる可能性がある。
【0065】
パネルは、好ましくは、3質量%未満、特に1~<3質量%の範囲のAl2O3の割合を有する化学組成を有する。
【0066】
さらに、パネルは、好ましくは、Fe2O3、SO3、MgO、K2O、およびNa2Oがそれぞれ1質量%未満の割合で存在する化学組成を有し、ここで、1つ、複数、またはこれらの物質のすべてが、1質量%未満のそのような割合で建設用パネルに存在することができる。
【0067】
パネルは、好ましくは、SiO2およびCaOの割合が少なくとも80質量%であり、好ましくは、80~90質量%の範囲のSiO2およびCaOの割合であり、さらにより好ましくは、82~88質量%の範囲の割合である、化学組成を有する。
【0068】
さらに、建設用パネルの化学組成に関して、CaOとSiO2の質量比は、好ましくは1.0未満であり、特に0.85~<1.0の範囲にある。
【0069】
本発明の建設用パネルにおける発泡パーライトのために、後者に低密度を提供することが可能である。本発明の建設用パネルは、好ましくは、最大で900kg/m3の密度を有する。建設用パネルの密度は、特に好ましくは、400~900kg/m3の範囲である。密度は、105℃で一定重量になるまで乾燥した後に決定される。
【0070】
本発明の建設用パネルは、好ましくは、10~60mmの範囲の厚さを有する。
【0071】
高い機械的安定性のために、特に火災荷重が与えられた場合、本発明の建設用パネルは、長い長さで利用可能にすることができる。この点で、本発明の建設用パネルは、最大2.5mの長さを有することができる。
【0072】
本発明の構造パネルは、特に、DIN EN 13501-1に従って「不燃性A1」として分類することができる。2010-01。
【0073】
しかしながら、特に、本発明の建設用パネルは、高い耐火性で利用可能にすることができ、パネルは、特に中断されない火災負荷が与えられた場合でさえ、機械的に安定したままである。特に、本発明の建設用パネルは、DIN EN 1363-1:2012-10による標準温度曲線に従って、火にさらされた場合に少なくとも90分間機械的安定性を有する。
【0074】
以下に説明するように、本発明の建設用パネルは、好ましくはオートクレーブに設置する。オートクレーブにセットした後、建設用パネルには、他の構成要素、例えば、含浸(例えば、疎水化剤または他のコーティングなど)、ラミネーション(例えば、金属ラミネーション)、またはファスナー(例えば、クリップ、ねじ込み式プロファイルなど)を提供することができる。これらの追加の構成要素は、建設用パネルの総質量における建設用パネルの構成要素の質量による割合に関する前述の情報では考慮されていない。
【0075】
耐火性の高い建設用パネルを製造するために、本発明によれば、以下のステップ:
以下を含むバッチを提供するステップ:
酸化カルシウムを含む成分、
二酸化ケイ素を含む成分、
発泡パーライト、
繊維、および
水、
バッチを形成するステップ、
形成されたバッチに圧力と温度を加え、
それによって、酸化カルシウムを含む成分、二酸化ケイ素を含む成分、および水が、ゾノトライトを形成するステップ、を含む、方法が提供される。
【0076】
本発明の方法は、本明細書に記載の本発明の建設用パネルを製造するために特に好ましく使用され、その結果、本発明の方法を使用して製造された建設用パネルは、特に好ましくは、本明細書に記載の本発明の建設用パネルの特徴を有することができる。
【0077】
本発明の方法は、特に、酸化カルシウムを含む成分、二酸化ケイ素を含む成分、発泡パーライト、繊維、および水を含む1つのバッチからこれらの建設用パネルが形成されるという条件で、本間英最初により詳細に説明された本発明の建設用パネルの高い耐火性および特性を備える建設用パネルを生じることができ、バッチは形成され、形成されたバッチは、次いで圧力および温度にさらされ、これにより、酸化カルシウムを含む成分および二酸化ケイ素を含む成分が水とゾノトライトを形成するという驚くべき発見に基づく。
【0078】
特に驚くべきことは、バッチが発泡パーライトを含む限り、本明細書に記載の有利な特性を有するそのような建設用パネルを製造することができるという本発明による発見である。
【0079】
発泡パーライトの使用は、一方で、この方法を使用して製造された建設用パネルについて上記のかなりの利点、具体的には、特に、建設用パネルの密度の減少と同時に、高強度、良好な耐火性、および建設用パネルの優れた機械的加工性を有する。
【0080】
加えて、しかしながら、発泡パーライトの使用はまた、建設用パネルの製造においてかなりの利点を有する。例えば、驚くべきことに、特に、発泡パーライトの高い吸収能力は、後者がその高い開放多孔性により有するが、建設用パネルの製造において非常に有利であることが見出された。これは、発泡パーライトの高い吸収能力により、ゾノトライトの形成に必要なバッチの水は、発泡パーライトによって大部分が吸収され、後で、特に形成されたバッチが圧力および温度によって負荷され、このためにゾノトライトが形成されている間、バッチに再び放出される可能性があるからである。しかし、バッチの水分は発泡パーライトに吸収されるため、含水率の高いバッチは、処理が容易であり、特にスラリーのような粘稠度を有することはできず、むしろ土の湿った粘稠度を有する。しかしながら、バッチのこの土の湿った粘稠度のために、後者を処理することは特に容易であり、特に後者を形成することもまた特に容易である。特に、バッチを形成する前に乾燥させる必要もない。
【0081】
この点で、本発明の方法は、特に、半乾式法として実施することができる。
【0082】
本発明の方法を使用して建設用パネルの製造中にこれらの有利な特性を満たすことができるようにするために、高い開放気孔率を有する発泡パーライトが好ましくは提供され、発泡パーライトは、発泡パーライトの総体積に基づき、好ましくは、90質量%を超える割合の開放気孔率を有する。
【0083】
さらに、本発明によれば、発泡パーライトは、特に、前記発泡パーライトが特定の粒径を有する場合、本発明の方法を使用する建設用パネルの製造中に上記の有利な機能を満たすことが見出された。
【0084】
この点に関して、1つの特に好ましい実施形態によれば、発泡パーライトは、大部分または単独で、最大1.5mmの粒径を有することが提供される。
【0085】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明の方法のバッチにおける発泡パーライトは、1.5mm未満の粒径で、少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、さらにより好ましくは100質量%であることが提供される。さらに、膨張パーライトは、0.01~1.5mmの範囲の粒径で、少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、さらにより好ましくは100質量%であることが好ましくは提供され得る。特定の粒径での発泡パーライトの質量の割合に関する情報は、バッチ内の発泡パーライトの総質量に基づいている。発泡パーライトの粒径は、DIN EN 13055:2016-11に従ってふるいにかけることによって決定することができる。
【0086】
本発明の方法のバッチは、好ましくは、5~20質量%の範囲の割合で、より好ましくは5~15質量%の範囲の割合で発泡パーライトを含む。
【0087】
バッチのコンポーネントの質量の割合に関してここに示されている情報は、特定の場合に特に指定されていない限り、常にバッチの総質量に基づいている。
【0088】
本発明によれば、本発明の方法が実施される場合、酸化カルシウムを含む成分および二酸化ケイ素を含む成分の総質量におけるSiO2の化学割合に対するCaOの化学割合の質量比(すなわち、いわゆるC/S比)が1.00より大きく、特に1.00より大きく、特に最大で1.20であるならば、酸化カルシウムを含む成分および二酸化ケイ素を含む成分から水とともにゾノトライトを形成することができる。この点で、本発明によれば、好ましくは、本発明のバッチにおける酸化カルシウムを含む成分および二酸化ケイ素を含む成分の総質量におけるSiO2の化学割合に対するCaOの化学割合の質量比は、1.00より大きく、さらに好ましくは最大で1.20であり、特に好ましくは1.05~1.15の範囲である。
【0089】
酸化カルシウム(CaO)を含むバッチの成分は、酸化カルシウムを含む1つまたは複数の物質を含むことができる。酸化カルシウムを含む成分が酸化カルシウムを含む場合、後者は酸化カルシウムの形態である必要はない。反対に、酸化カルシウムのみが酸化カルシウムを含む成分の化学成分であるため、カルシウムはまた、例えば、酸化物の形態以外の形態で、例えば、水酸化物として存在することができる。
【0090】
1つの好ましい実施形態によれば、酸化カルシウムを含むバッチの成分は、水酸化カルシウム、すなわち、Ca(OH)2を含む。1つの特に好ましい実施形態によれば、酸化カルシウムを含む成分は、水酸化カルシウムの形態である。
【0091】
バッチは、好ましくは、30~40質量%の範囲の割合で、より好ましくは32~38質量%の範囲の割合で酸化カルシウムを含む成分を含む。
【0092】
二酸化ケイ素(SiO2)を含むバッチの成分は、二酸化ケイ素を含む1つまたは複数の物質を含むことができる。二酸化ケイ素を含む成分が二酸化ケイ素を含む場合、これは二酸化ケイ素の形態である必要はない。反対に、二酸化ケイ素のみが二酸化ケイ素を含む成分の化学成分であるため、ケイ素は、例えば、酸化物の形態以外の形態、例えば、ケイ酸としても存在することができる。
【0093】
1つの好ましい実施形態によれば、二酸化ケイ素を含むバッチの成分は、石英を含む。1つの好ましい実施形態によれば、二酸化ケイ素を含む成分は、石英の形態である。この石英は、特に好ましくは、特に石英粉末の形態の細粒である。1つの好ましい実施形態によれば、石英または石英粉末は、石英の総質量に基づいて少なくとも95質量%であり、粒径は200μm未満、より好ましくは160μm未満である。
【0094】
バッチは、好ましくは、17~27質量%の範囲の割合で、より好ましくは20~25質量%の範囲の割合で二酸化ケイ素を含む成分を含む。
【0095】
バッチは、好ましくは、1~10質量%の範囲の割合で、より好ましくは1.5~8質量%の範囲の割合で繊維を含む。
【0096】
1つの特に好ましい実施形態によれば、繊維は、以下:有機繊維または無機繊維のタイプの繊維のうちの少なくとも1つの形態である。
【0097】
有機繊維は、好ましくは、以下:セルロース繊維または炭素繊維のタイプの繊維のうちの少なくとも1つの形態であることができる。有機繊維がセルロース繊維の形態である場合、それらは特に好ましくはクラフトセルロース繊維の形態であることができる。
【0098】
バッチは、特にクラフトセルロース繊維の形態のセルロース繊維を、好ましくは0.5~6質量%の範囲の割合で、より好ましくは1~4質量%の範囲の割合で含む。
【0099】
特にクラフトセルロース繊維の形態のセルロース繊維は、好ましくは、以下:10~30μmの範囲の平均繊維直径または0.5~3mmの範囲の平均繊維長の形状のうちの少なくとも1つを有する。
【0100】
無機繊維は、好ましくはガラス繊維の形態であることができ、特に好ましくは、以下:AES繊維、鉱物繊維、玄武岩繊維、アルミナ繊維(Al2O3繊維)、またはケイ酸塩繊維(SiO2繊維)のタイプのガラス繊維のうちの少なくとも1つの形態であることができる。
【0101】
1つの特に好ましい実施形態によれば、ガラス繊維がAES繊維の形態であることが提供される。AES繊維は、好ましくは、本発明の建設用パネルのAES繊維の特性を有することができる。
【0102】
バッチは、好ましくは、特にAES繊維の形態で、0.5~5質量%の範囲の割合で、より好ましくは0.5~4質量%の範囲の割合でガラス繊維を含む。
【0103】
バッチは、好ましくは、特に上記の化学組成を有する、少なくとも1200℃のDIN EN 1094-1:2008-09による分類温度を有するガラス繊維を含む。
【0104】
ガラス繊維は、好ましくは5~10μmの範囲、より好ましくは7~9μmの範囲の平均繊維直径を有する。
【0105】
AES繊維は、好ましくは、以下:5~15μm(より好ましくは7~9μmの範囲)の範囲の平均繊維直径または1~10mmの範囲の平均繊維長の形状のうちの少なくとも1つを有する。
【0106】
1つの特に好ましい実施形態によれば、バッチの繊維は、AES繊維およびクラフトセルロース繊維の形態である。
【0107】
バッチは、好ましくは、15~35質量%の範囲の割合で、より好ましくは、20~30質量%の範囲の割合で水を含む。
【0108】
バッチは、バッチの乾燥質量、すなわち、水を含まないバッチの総質量に関して、好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも97質量%の割合で、酸化カルシウムを含む成分、二酸化ケイ素を含む成分、発泡パーライト、および繊維を含む。
【0109】
1つの好ましい実施形態によれば、バッチは、少なくとも96質量%の割合で、より好ましくは少なくとも97質量%の割合で、酸化カルシウムを含む成分、二酸化ケイ素を含む成分、発泡パーライト、繊維、および水を含む。
【0110】
1つの好ましい実施形態によれば、バッチは、0.5~3質量%の範囲の割合で、より好ましくは1~2質量%の範囲の割合で無水石膏を含む。
【0111】
1つの好ましい実施形態によれば、バッチが増粘剤を含むことが提供される。このような増粘剤は、バッチを増粘して取り扱いを容易にする成分である。1つの好ましい実施形態によれば、増粘剤は、メチルセルロース、キサンタンガム、グアー、またはデンプンのうちの少なくとも1つの物質の形態で存在する。増粘剤は、特に好ましくはメチルセルロースの形態であり、特に好ましくは修飾メチルヒドロキシエチルセルロースの形態であり、特に水溶性で非イオン性の高度にエーテル化されたメチルヒドロキシエチルセルロースの形態である。バッチは、好ましくは、0.2~0.6質量%の範囲の割合で増粘剤を含む。
【0112】
1つの好ましい実施形態によれば、バッチが発泡剤を含むことが提供される。そのような発泡剤を使用して、泡または気泡をバッチに形成することができる。結果として、バッチの密度、したがって、それから製造される建設用パネルの密度を低減することができる。同時に、そのような発泡剤を使用してバッチを安定化することができる。1つの好ましい実施形態によれば、発泡剤は、界面活性剤の形態である。例えば、発泡剤は、Sika(登録商標)発泡剤SB 2(Sika Deutschland GmbHの商標)の形態で存在することができる。バッチは、好ましくは、0.05~0.25質量%の範囲の割合で、より好ましくは0.05~0.1質量%の範囲の割合で発泡剤を含む。
【0113】
本発明の方法のバッチは、酸化カルシウムを含む成分、二酸化ケイ素を含む成分、発泡パーライト、繊維、無水石膏、増粘剤および発泡剤、ならびに水を、好ましくは少なくとも97質量%の割合で、より好ましくは少なくとも99%の割合で、場合により最大100%で含み、その結果、バッチは、好ましくは、97~100質量%以上の範囲で、好ましくは、 99~100質量%の範囲の割合を含む。
【0114】
バッチを形成すると、バッチはパネルのような形状になる。バッチは、好ましくはプレスによって形成される。特に、本発明の方法のバッチの別の利点は、建設用パネルを形成するための従来技術によるプレス、例えば、セメント建設用パネルまたは乾式壁用の他の建設用パネルを形成するためのプレスを使用してバッチを成形できることである。上記のように、バッチの水は発泡パーライトによって大部分が吸収されるため、プレスされたパネルは機械的に非常に寸法的に安定していることが証明されている。バッチは、好ましくは、0.2MPa~0.32MPAの範囲の圧力を使用してプレスされる。
【0115】
上記のように、バッチの水が発泡パーライトによって大部分吸収され得るという事実の別の利点は、後者がプレスされたときにバッチから水が押し出されないことである。
【0116】
プレス中の圧縮係数(すなわち、プレス中のバッチの体積の減少)は、好ましくは2~3の範囲である。
【0117】
バッチが形成される前に、バッチの構成要素をバッチの体積全体に均等に分配するために混合することができる。
【0118】
形成されたバッチは、酸化カルシウムを含む成分、二酸化ケイ素を含む成分、およびバッチの水がゾノトライトを形成するように、圧力および温度にさらされる。当業者は、圧力および温度を使用してバッチのこれらの成分からゾノトライトを形成するために必要な周囲条件、すなわち、特に必要な圧力および必要な温度も知っている。
【0119】
オートクレーブ内のバッチは、好ましくは圧力および温度にさらされる。従来技術によるオートクレーブ、特に工業用オートクレーブを好ましくは使用することができる。例えば、例えば砂石灰れんがの製造のために知られているように、工業用オートクレーブを使用することができる。
【0120】
本発明の方法を実施する場合、バッチは、好ましくは15~20バールの範囲の圧力で、より好ましくは16~18バールの範囲の圧力で作用される。この意味での圧力は過圧である。つまり、測定された過圧の場所で大気の空気圧を超える限りの圧力である。
【0121】
さらに、バッチは、好ましくは、飽和蒸気圧力が確立されるような温度に、特に上記の圧力においてさらされる。これに必要な温度は当業者に知られており、例えば、水の蒸気圧曲線を使用して決定することができる。この点で、200~220℃の範囲の温度をバッチに適用することができる。
【0122】
バッチは、バッチの成分からゾノトライトが形成されるような期間、圧力および温度にさらされる。本発明によれば、圧力および温度が、8~20時間の範囲の期間、特に12~16時間の範囲の期間、バッチに加えられることを提供することができる。
【0123】
圧力と温度を加える間、バッチの成分からゾノトライトが形成される。さらに、バッチへの圧力および温度の適用中に、バッチの組成およびそのような適用の圧力、温度および時間の長さに応じて、さらなる物質、特にさらなる物質である炭酸カルシウムまたはさらなるCSH相がバッチから形成することができる。
【0124】
さらに、バッチ内の水の割合は、圧力と温度がバッチに適用されている間に変化することができる。これはまた、いくつかの成分、例えば、発泡パーライト、繊維、または無水石膏のそれぞれの質量の割合に関して、バッチおよび建設用パネルの組成に違いをもたらす。
【0125】
建設用パネルは、バッチが圧力と温度にさらされた後、またはオートクレーブ処理された後に得られる。次いで、この建設用パネルは、例えば、好ましくは、建設用パネルの総質量に基づいて、8~12質量%の範囲の残留水分含有量まで乾燥させることができる。
【0126】
さらに、本発明の方法を使用して得られた建設用パネルは、本明細書に開示された本発明の建設用パネルの特徴を有することができる。
【0127】
本発明の対象はまた、乾式壁における本発明の建設用パネルの使用に関する。例えば、この使用は、建設用パネルを使用して仕切り壁を作成したり、電線用のダクトを作成したり、換気ダクトを作成したり、煙抜きダクトを作成したり、梁を覆ったりすることを条件に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0128】
本発明の建設用パネルおよび本発明の方法のさらなる特徴は、以下に記載される特許請求の範囲および実施形態から生じる。
【0129】
本発明のすべての特徴は、必要に応じて、個別に、または組み合わせて、互いに組み合わせることができる。
【0130】
本発明の一実施形態は、以下により詳細に説明される。
【0131】
実施形態
本発明の方法の一実施形態によれば、それぞれがバッチの総質量に基づく、以下の表1による質量の割合の成分を含むバッチが最初に利用可能にされた。
【0132】
【0133】
酸化カルシウムを含む成分は、水酸化カルシウムの形態であった。
【0134】
二酸化ケイ素を含む成分は、石英粉末の形態であった。石英粉末は、石英粉末の総質量に基づいて95質量%であり、粒径は50μm未満であった。石英粉は、石英粉の総質量に基づいて、SiO2を99質量%の化学組成を有していた。
【0135】
発泡パーライトは、発泡パーライトの総質量に基づいて、粒径が1.5mm未満で100質量%であり、粒径が1.0mm未満で98質量%であった。さらに、発泡パーライトは、やはり発泡パーライトの総質量に基づいて95質量%であり、0.03~1.0mmの粒径を有していた。
【0136】
セルロース繊維は、平均繊維直径が約20μmであり、平均繊維長が約1.9mmであるクラフトセルロース繊維の形態であった。
【0137】
AESガラス繊維は、AESガラス繊維の総質量に基づいて、75質量%のSiO2および22質量%のCaO+MgOの化学組成を有していた。平均繊維径は約8μmであった。
【0138】
発泡剤は界面活性剤(Sika(登録商標)発泡剤SB 2)の形態であり、増粘剤は変性メチルヒドロキシエチルセルロースの形態であった。
【0139】
水酸化カルシウムおよび石英粉の総割合は、水酸化カルシウムおよび石英粉末の総質量に基づいて、SiO2に対するCaOとの質量比が1.103であった化学組成を有していた。
【0140】
バッチをミキサーで混合し、次いで、パンチを備えた市販の油圧プレスで0.25MPaの圧力で防火パネルを製造するためにプレスして、一辺の長さが1,250mm、厚さが30mmの正方形のパネルを形成した。
【0141】
次いで、プレスされたパネルを、飽和蒸気圧およびそれから生じる温度(約207℃)で18バールの圧力で12時間工業用オートクレーブに入れた。
【0142】
最後に、対応するオートクレーブ処理されたパネルをオートクレーブから取り外し、乾燥キャビネット内で約10質量%の残留水分含有量まで乾燥させた。
【0143】
その後に得られた建設用パネルは、耐火性の高い本発明の建設用パネルの形態であった。
【0144】
この建設用パネルは、以下の表2に従って、それぞれが建設用パネルの総質量に基づいた質量割合で次のコンポーネントで構成されていた。
【0145】
【0146】
建設用パネルの鉱物学的組成は、リートベルト法を使用したX線回折分析によって決定された。
【0147】
建設用パネルの顕微鏡検査中に、発泡パーライトの開放気孔容積にゾノトライトが形成され、それによって発泡パーライトの開放気孔が大幅に閉鎖されたことが見出された。
【0148】
建設用パネルの化学組成は、DIN EN ISO 12676:2013-02に準拠した蛍光X線分析によって決定された。次いで、建設用パネルは、それぞれの場合に建設用パネルの総質量に基づいて、以下の表3に従って質量の割合で物質を有していた。
【0149】
【0150】
耐火性を決定するために、建設用パネルの耐火挙動は、DIN EN 1363-1:2012-10に従って、下部構造のないビームクラッディングテスト(ボックステスト)の形式で実行され、パネル部品がクランプされた。次いで、DIN EN 1363-1:2012-10に準拠した標準温度曲線に従って建設用パネルに温度荷重をかけた場合、パネルのたるみの開始は、138分後、表面温度1011Kでのみ決定された。したがって、パネルは優れた耐火性を示した。
【国際調査報告】