IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンメッド コーポレーションの特許一覧

特表2022-533002異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー
<>
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図1
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図2
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図3
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図4
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図5
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図6
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図7
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図8
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図9
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図10
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図11
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図12
  • 特表-異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】異なるギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有する電気外科手術用血管シーラー
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564139
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(85)【翻訳文提出日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020030551
(87)【国際公開番号】W WO2020223405
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/840,437
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイラース デレク
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ メイソン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK19
4C160KK39
(57)【要約】
近位ハンドル部分、近位ハンドル部分から遠位に延在する細長い管状体部分、および本体部分の遠位端と動作可能に関連付けられ、開位置と閉位置との間の移動のために取り付けられた一対の協働ジョー部材を含み、各ジョー部材がシーリング表面を有するジョーアセンブリを含む電気外科手術器具が開示され、ジョー部材のシーリング表面が、ジョー部材が閉位置にある時、その間に血管シーリングギャップを画定し、血管シーリングギャップが、ジョーアセンブリの近位端部分とジョーアセンブリの遠位端部分との間で、ジョーアセンブリの軸方向の範囲に沿って変化する高さを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科手術器具であって、
a)近位ハンドル部分、
b)前記近位ハンドル部分から遠位に延在する細長い管状体部分、および、
c)前記本体部分の遠位端と動作可能に関連付けられ、開位置と閉位置との間の移動のために適合され構成される一対の協働ジョー部材を含み、各ジョー部材がシーリング表面を有するジョーアセンブリであって、前記ジョー部材の前記シーリング表面が、前記ジョー部材が前記閉位置にある時、その間に血管シーリングギャップを画定し、前記血管シーリングギャップが、前記ジョーアセンブリの近位端部分と前記ジョーアセンブリの遠位端部分との間で、前記ジョーアセンブリの軸方向の範囲に沿って変化する高さを有する、ジョーアセンブリ、
を含む、電気外科手術器具。
【請求項2】
前記血管シーリングギャップが、近位ギャップ領域、中間ギャップ領域、および遠位ギャップ領域を含み、前記中間ギャップ領域の高さが前記近位ギャップ領域の高さおよび前記遠位ギャップ領域の高さよりも大きい、請求項1に記載の電気外科手術器具。
【請求項3】
前記ジョー部材の少なくとも一つが、近位シーリング表面、中間シーリング表面および遠位シーリング表面を含み、前記中間シーリング表面の高さが、前記近位シーリング表面の高さおよび前記遠位シーリング表面の高さよりも小さい、請求項2に記載の電気外科手術器具。
【請求項4】
各ジョー部材の前記シーリング表面の少なくとも一部分が、組織を掴むためにその中に形成された複数の離間した圧印機構を有する、請求項3に記載の電気外科手術器具。
【請求項5】
各ジョー部材の前記シーリング表面の少なくとも一部分が、組織を掴むためにその上に形成された複数の離間した非導電性突起部を有する、請求項3に記載の電気外科手術器具。
【請求項6】
前記非導電性突起部が、付加製造プロセスにおいて、セラミック材料から各ジョー部材の前記シーリング表面上に形成される、請求項5に記載の電気外科手術器具。
【請求項7】
前記非導電性突起部が、前記近位ギャップ領域、前記中間ギャップ領域、および前記遠位ギャップ領域に形成される、請求項5に記載の電気外科手術器具。
【請求項8】
各ジョー部材上の前記シーリング表面が、シールされた血管を分割するためのブレードを収容するための陥凹軌道を含む、請求項1に記載の電気外科手術器具。
【請求項9】
各ジョー部材が、前記ジョー部材の前記シーリング表面がその上に画定される導電性シーリングプレートを含む、請求項1に記載の電気外科手術器具。
【請求項10】
導電性ワイヤが、前記導電性シーリングプレートのそれぞれと接続するために、前記近位ハンドルアセンブリから前記細長い本体を通って前記ジョーアセンブリに延在する、請求項1に記載の電気外科手術器具。
【請求項11】
近位ハンドル部分が、各シーリング表面内に形成された前記陥凹軌道内で、前記切断ブレードを前記ジョーアセンブリを通して動かすために、前記細長い本体部分を通して前記ジョーアセンブリに動作可能に接続された作動トリガを含む、請求項8に記載の電気外科手術器具。
【請求項12】
近位ハンドル部分が、開位置と閉位置との間で前記ジョー部材を動かすための前記細長い本体部分を通して前記ジョーアセンブリに動作可能に接続された作動ハンドルを含む、請求項1に記載の電気外科手術器具。
【請求項13】
各ジョー部材が、前記細長い本体部分を通して前記作動ハンドルに動作可能に接続された横方向カムピンを収容するためそこに形成された角度付きカムスロットを有する近位ヨーク部分を含む、請求項12に記載の電気外科手術器具。
【請求項14】
各ジョー部材が、横方向ピボットピンを収容するためにその中に形成されたアパーチャを有する近位ヨーク部分を含む、請求項12に記載の電気外科手術器具。
【請求項15】
前記近位ハンドル部分が、前記近位ハンドル部分に対してその長手方向軸の周りで前記細長い本体部分を回転させるための前記細長い本体部分と動作可能に関連付けられた回転ノブを含む、請求項1に記載の電気外科手術器具。
【請求項16】
血管をシーリングおよび分割するための電気外科手術器具であって、
a)近位ハンドル部分、
b)前記近位ハンドル部分から遠位に延在する細長い管状体部分、
c)前記本体部分の遠位端と動作可能に関連付けられ、開位置と閉位置との間の移動のために取り付けられた一対の協働ジョー部材を含み、各ジョー部材がその上に前記ジョー部材のシーリング表面が画定される導電性シーリングプレートを有する、バイポーラジョーアセンブリであって、前記ジョー部材の前記シーリング表面が、前記ジョー部材が前記閉位置にある時、その間に血管シーリングギャップを画定し、前記血管シーリングギャップが近位ギャップ領域、中間ギャップ領域および遠位ギャップ領域を含み、前記中間ギャップ領域の高さが、前記近位ギャップ領域の高さおよび前記遠位ギャップ領域の高さよりも大きい、バイポーラジョーアセンブリ、および、
d)前記シーリングギャップを通って移動し、前記シーリングギャップ内に保持されたシールされた血管を分割するために、前記ジョーアセンブリと動作可能に関連付けられた切断ブレード、
を備える、電気外科手術器具。
【請求項17】
前記ジョー部材の少なくとも一つが、近位シーリング表面、中間シーリング表面および遠位シーリング表面を含み、前記中間シーリング表面の高さが、前記近位シーリング表面の高さおよび前記遠位シーリング表面の高さよりも小さい、請求項16に記載の電気外科手術器具。
【請求項18】
各ジョー部材の前記シーリング表面の少なくとも一部分が、組織を掴むためにその中に形成された複数の離間した圧印機構を有する、請求項16に記載の電気外科手術器具。
【請求項19】
各ジョー部材の前記シーリング表面の少なくとも一部分が、組織を掴むためにその上に形成された複数の離間した非導電性突起部を有する、請求項16に記載の電気外科手術器具。
【請求項20】
前記非導電性突起部が、付加製造プロセスにおいて、セラミック材料から各ジョー部材の前記シーリング表面上に形成される、請求項19に記載の電気外科手術器具。
【請求項21】
前記非導電性突起部が、前記近位ギャップ領域、前記中間ギャップ領域、および前記遠位ギャップ領域に形成される、請求項19に記載の電気外科手術器具。
【請求項22】
各ジョー部材上の前記シーリング表面が、前記切断ブレードの動きに対応するための陥凹軌道を含む、請求項16に記載の電気外科手術器具。
【請求項23】
導電性ワイヤが、前記導電性シーリングプレートのそれぞれと接続するために、前記近位ハンドルアセンブリから前記細長い本体を通って前記ジョーアセンブリに延在する、請求項16に記載の電気外科手術器具。
【請求項24】
近位ハンドル部分が、各シーリング表面内に形成された前記陥凹軌道内で、前記切断ブレードを前記ジョーアセンブリを通して動かすために、前記細長い本体部分を通して前記ジョーアセンブリに動作可能に接続された作動トリガを含む、請求項16に記載の電気外科手術器具。
【請求項25】
近位ハンドル部分が、開位置と閉位置との間で前記ジョー部材を動かすための前記細長い本体部分を通して前記ジョーアセンブリに動作可能に接続された作動ハンドルを含む、請求項16に記載の電気外科手術器具。
【請求項26】
各ジョー部材が、前記細長い本体部分を通して前記作動ハンドルに動作可能に接続された横方向カムピンを収容するためそこに形成された角度付きカムスロットを有する近位ヨーク部分を含む、請求項16に記載の電気外科手術器具。
【請求項27】
各ジョー部材が、横方向ピボットピンを収容するためにその中に形成されたアパーチャを有する近位ヨーク部分を含む、請求項26に記載の電気外科手術器具。
【請求項28】
前記近位ハンドル部分が、前記近位ハンドル部分に対してその長手方向軸の周りで前記細長い本体部分を回転させるための前記細長い本体部分と動作可能に関連付けられた回転ノブを含む、請求項16に記載の電気外科手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月30日に出願された米国仮特許出願第62/840,437号の優先権の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、電気外科手術器具、より具体的には、異なる組織ギャップ高さを有する対向するシーリング表面を有するジョーアセンブリを有するバイポーラ血管シーラーを対象とする。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
腹腔鏡下または「最小侵襲性」外科的手術技術は、胆嚢摘出、虫垂切除術、ヘルニア修復および腎摘出などの手術の実施において普及している。そのような処置の利点には、患者への外傷の減少、感染の機会の低減、および回復時間の短縮が含まれる。腹部(腹膜)空洞内のこのような手術は、典型的には、トロカールまたはカニューレとして知られる装置を通して実施され、これは腹腔鏡器具の患者の腹腔内への導入を促進する。
【0004】
血管をシーリングするための電気外科手術器具は、腹腔鏡および他の内視鏡外科処置でしばしば使用される。これらの器具は、一対のジョーの機械的締付作用および電気エネルギーの両方を利用して、外科処置中に血管を焼灼およびシールする。既存の血管シーリング装置は、非導電性停止部材を使用して、停止部材を通して電流が流れることなく、ジョーのシーリング表面(電極)間にギャップを作り出す。このギャップは、シーリング表面(一方の面がアノードとして作用し、他方がカソードとして作用する)の間で、組織を通してエネルギーが移動することを可能にし、効果的なシーリングを提供する上で重要な特徴である。先行技術では、対向シーリング表面に追加された停止部材を、表面間の均一なギャップで設計されているとして説明する。こうした先行技術の装置の例は、米国特許第10,568,682号に開示されている。
【0005】
電極間のギャップを制御することに加えて、組織把持は、特に組織を分割する場合、ジョーの設計の重要な側面でもある。バイポーラシーラーでは、組織は通常、展開時に組織に軸力を生じさせるジョーの中心を通る切断ブレードで分割される。組織の充分な把持がない場合、組織は使用中、ジョーから押し出される。したがって、ギャップ制御を提供するための対向するシーリング表面上に非導電性停止部材を使用するが、組織把持を助けるためにシーリング表面間に不均一な分離をまた含む、電気外科手術血管シーリング器具を提供することが有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、組織把持特性を強化した電気エネルギーを使用して血管を焼灼およびシールするための、内視鏡および腹腔鏡外科処置で使用するための新しい有用な電気外科手術器具を対象とする。電気外科手術器具は、近位ハンドル部分、近位ハンドル部分から遠位に延在する細長い管状体部分、および管状体部分の遠位端と動作可能に関連付けられたジョーアセンブリを含む。
【0007】
ジョーアセンブリは、開位置と閉位置との間の移動のために適合され構成される一対の協働ジョー部材を含む。各ジョー部材は、その上にジョー部材のシーリング表面が画定される導電性シーリングプレートを含む。ジョー部材の二つのシーリング表面は、ジョー部材が閉位置にある時、その間に血管シーリングギャップを画定する。血管シーリングギャップは、ジョーアセンブリの近位端部分とジョーアセンブリの遠位端部分との間でジョーアセンブリの軸方向の範囲に沿って変化する高さを有することが好ましい。この高さの異なる血管シーリングギャップは、ジョーアセンブリの組織把持特性を強化する。
【0008】
より具体的には、ジョーアセンブリの血管シーリングギャッププは、近位ギャップ領域、中間ギャップ領域、および遠位ギャップ領域を含む。中間ギャップ領域の高さは、近位ギャップ領域の高さおよび遠位ギャップ領域の高さよりも大きい。ジョー部材の少なくとも一つは、近位シーリング表面、中間シーリング表面および遠位シーリング表面を含み、中間シーリング表面の高さは、近位シーリング表面の高さおよび遠位シーリング表面の高さよりも小さいことが想定される。
【0009】
各ジョー部材のシーリング表面の少なくとも一部分は、ジョーアセンブリの組織把持特性を強化するために、その中に形成された複数の離間した圧印機構を有する。加えて、各ジョー部材のシーリング表面の少なくとも一部分は、組織を掴むためにその上に形成された複数の離間した非導電性突起部を有する。突起部は、血管シーリングギャップを画定し、ジョーアセンブリの組織把持特性をさらに強化するのに役立つ停止部材として機能する。
【0010】
好ましくは、非導電性突起部は、付加製造プロセスにおいてセラミック材料から各ジョー部材のシーリング表面上に形成され、それらは近位ギャップ領域、中間ギャップ領域、および遠位ギャップ領域に位置することが好ましい。非導電性突起部または停止部材の位置、間隔、サイズおよび形状は、ジョーアセンブリの組織把持特性を強化またはさもなければ変更するために、設計によって変化し得ることが想定される。
【0011】
導電性ワイヤは、導電性シーリングプレートのそれぞれと接続して、血管をシーリングするためのエネルギーをそこに供給するために、近位ハンドルアセンブリから、細長い本体を通ってジョーアセンブリに延在する。各ジョー部材上のシーリング表面は、シールされた血管を分割するために使用される並進切断ブレードを収容するための陥凹軌道を含む。近位ハンドル部分は、各シーリング表面内に形成された陥凹軌道内で、切断ブレードをジョーアセンブリを通して動かすために、細長い本体部分を通してジョーアセンブリに動作可能に接続された展開トリガを含む。
【0012】
近位ハンドル部分はさらに、開位置と閉位置との間でジョー部材を動かすための細長い本体部分を通してジョーアセンブリに動作可能に接続された作動ハンドルを含む。近位ハンドル部分はまた、その長手方向軸の周りで近位ハンドル部分に対して細長い本体部分を回転させるための細長い本体部分と動作可能に関連付けられた回転ノブを含む。
【0013】
各ジョー部材は、細長い本体部分を通して作動ハンドルに動作可能に接続された横方向カムピンを収容するためそこに形成された角度付きカムスロット、および横方向ピボットピンを収容するためのアパーチャを有する近位ヨーク部分を含む。
【0014】
本発明はまた、近位ハンドル部分、近位ハンドル部分から遠位に延在する細長い管状体部分、本体部分の遠位端と動作可能に関連付けられ、血管を把持およびシーリングするための開位置と閉位置との間の移動のために取り付けられた一対の協働ジョー部材を含むジョーアセンブリ、およびシールされた血管を分割するためのジョーアセンブリと動作可能に関連付けられた切断ブレードを備える、血管をシールし分割する内視鏡および腹腔鏡外科処置での使用のための電気外科手術器具を対象とする。
【0015】
ジョーアセンブリの各ジョー部材は、その上にジョー部材のシーリング表面が画定される導電性シーリングプレートを含み、ジョー部材の対向するシーリング表面は、ジョー部材が閉位置にある時、その間に血管シーリングギャップを画定することが好ましい。血管シーリングギャップは、近位ギャップ領域、中間ギャップ領域、および遠位ギャップ領域を含み、中間ギャップ領域の高さは、近位ギャップ領域の高さおよび遠位ギャップ領域の高さよりも大きく、特にシールされた血管が切断ブレードによって分割されるときに、ジョーアセンブリに強化された組織把持特性を提供する。
【0016】
本発明の電気外科手術器具のこれらおよびその他の特徴は、以下の図面の簡単な説明と併せてなされた好ましい実施形態の詳細な説明から、本発明に関連する当業者にはより容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
当業者は、必要以上の実験無しに、本発明の電気外科手術器具ゆえに、その好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0018】
図1図1は、血管を把持する閉位置にあるジョーアセンブリを有する本発明の電気外科手術器具の斜視図である。
図2図2は、図1に示すジョーアセンブリの拡大局部図である。
図3図3は、血管シーリングギャップを示す閉位置にあるジョーアセンブリの側面図である。
図4図4は、図3に示すジョーアセンブリの遠位部分の拡大局部図である。
図5図5は、図3に示す対向するシーリング表面上の非導電性停止部材を示す、ジョーアセンブリの中間部分の拡大局部図である。
図6図6は、図3に示すジョーアセンブリの近位部分の拡大局部図である。
図7図7は、開位置にあるジョーアセンブリの斜視図である。
図8図8は、器具から分離されたジョーアセンブリの上部ジョーの斜視図である。
図9図9は、説明しやすいように部品が分離されている、図8に示す上部ジョー部材の分解斜視図である。
図10図10は、図1の線10-10に沿って切り取られた断面における、本発明の電気外科手術器具のハンドルアセンブリの側面図であり、これは、ジョーアセンブリをその開位置と閉位置との間で動かすために使用される作動ハンドルのストロークを示している。
図11図11は、その開位置と閉位置との間のジョーの動きを示す、ジョーアセンブリの側面図である。
図12図12は、図1の線10-10に沿って切り取られた断面における、本発明の電気外科手術器具のハンドルアセンブリの側面図であり、これは、切断ナイフを作動するために使用される展開トリガのストロークを示している。
図13図13は、切断ナイフの移動を明らかにするために、上部ジョー部材が下部ジョー部材から分離された、閉じたジョーアセンブリの局部的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、同様の参照番号が、本発明の同様のまたは類似の構造要素または特徴を識別する図面を参照すると、本発明の好ましい実施形態に従って構成され、概して参照番号10で示される電気外科手術器具が図1に図示されている。電気外科手術器具10は、電気エネルギーを使用して血管を焼灼およびシールし、その後、シールされたおよび焼灼された血管を分割するために、内視鏡および腹腔鏡外科処置で使用するために適合され構成される。器具10は、5mmのアクセスポートまたはトロカールと共に使用するためにサイズ設定されるのが好ましい。しかしながら、より大きなアクセスポートで使用するためにスケールアップできる。
【0020】
本発明の電気外科手術器具10は、近位ハンドルアセンブリ12、近位ハンドルアセンブリ12から遠位に延在する細長い管状体部分14、および管状体部分14の遠位端と動作可能に関連付けられたバイポーラジョーアセンブリ16を含む。より具体的には、管状体部分14は、バイポーラジョーアセンブリ16を収容する二分岐遠位端セクション15を含む。
【0021】
近位ハンドルアセンブリ12は、好ましくは、レキサンなどの高強度の軽量医療グレードプラスチック材料から二つの部分で形成され、上部本体部分18および下部固定把持部分20を含む。U字型旋回作動ハンドル22は、ジョーアセンブリ16を作動させるためにハンドルアセンブリ12の上部本体部分18と動作可能に関連付けられ、図10および11をさらに参照しながら以下でより詳細に論じる。
【0022】
展開トリガ24はまた、ジョーアセンブリ16を通って並進移動してシールされた血管を分割する切断ナイフを作動させるために、ハンドルアセンブリ12の本体部分18と動作可能に関連付けられ、これもまた、図12および13をさらに参照して以下でより詳細に論じられる。トリガロック26は、使用中に意図されないナイフの作動を防止するために、トリガ24と動作可能に関連付けられる。
【0023】
図1を引き続き参照すると、回転ノブ28は、ハンドルアセンブリ12に対して管状体部分14の長手方向軸Xの周りで管状体部分14およびジョーアセンブリ16を回転させるために、ハンドルアセンブリ12の本体部分18と動作可能に関連付けられる。電源ケーブル30は、ハンドルアセンブリ12の固定把持部分20から延在して、器具10をエネルギー源に接続する。
【0024】
次に図2図9を参照すると、電気外科手術器具10のバイポーラジョーアセンブリ16は、一対の協働ジョー部材32および34を含み、ジョー部材32はアセンブリ16の上部ジョーであり、ジョー部材34はアセンブリ16の下部ジョーである。ジョーアセンブリ16は、以下でより詳細に論じるように、例えば図2に示す閉位置と、例えば図7に示す開位置との間の制御された移動のために適合かつ構成され、これは、ハンドルアセンブリ12の固定把持部分20に対する作動ハンドル22の手動移動を通して達成される。
【0025】
図7で最もよく分かるように、ジョーアセンブリ16の各ジョー部材32、34は、その上にジョー部材のシーリング表面40、42が画定される導電性シーリングプレート36、38を含む。図3で最もよく説明されているように、ジョー部材32、34の二つのシーリング表面40、42は、ジョー部材32、34が閉位置にある時、その間に血管シーリングギャップGを画定する。血管シーリングギャップGは、0.001インチ~0.006インチの範囲内で、ジョーアセンブリ16の近位端部分とジョーアセンブリ16の遠位端部分との間でジョーアセンブリ16の軸方向の範囲に沿って変化する高さを有することが好ましい。これは、有利なことに、シールされた血管が分割された時に組織がジョーアセンブリから押し出されないように、ジョーアセンブリ16の組織把持特性を強化するのに役立つ。
【0026】
ジョーアセンブリ16の血管シーリングギャップGは、図4で最もよく分かる遠位ギャップ領域、図5で最もよく分かる中間ギャップ領域、および図6で最もよく分かる近位ギャップ領域を含む。本発明の好ましい実施形態によれば、図5に示す中間ギャップ領域の高さHは、図4に示す遠位ギャップ領域の高さH、および図6に示す近位ギャップ領域の高さHよりも大きい。この変化するギャップ高さを達成するため、ジョー部材32、34の少なくとも一つは、近位シーリング表面、中間シーリング表面および遠位シーリング表面を含み、中間シーリング表面の高さは、近位シーリング表面の高さおよび遠位シーリング表面の高さよりも小さいことが想定される。
【0027】
例示的な例として、図7および8で最もよく分かるように、上部ジョー部材32のシーリングプレート36のシーリング表面40は、近位シーリング表面52、中間シーリング表面54および遠位シーリング表面56を含み、中間シーリング表面54の高さは、近位シーリング表面52の高さおよび遠位シーリング表面56の高さよりも小さい。
【0028】
次に図8および図9を参照すると、導電性シーリングプレート36に加えて、ジョーアセンブリ16の上部ジョー部材32は、遠位ビーム部分62および近位ヨーク部分64を含む主ジョー本体60を含む。遠位ビーム部分62は、射出成形プラスチック材料から作製された上部および下部カバー部材66、68の間に挟まれる。上部シーリングプレート36は、導電性シーリングプレート36が主ジョー本体60から絶縁されるように、上部カバー部材68に固定される。さらに、上部シーリングプレート36は、ハンドルアセンブリ12から細長い本体部分14を通って血管をシーリングするためにジョーアセンブリ16の上部ジョー32に電気エネルギーを運ぶ電気伝導体58に溶接することによって取り付けられる。
【0029】
ジョー部材32の近位ヨーク部分64は、電気伝導体58の通路を収容するための長手方向穴孔70、細長い本体部分14を通して作動ハンドル22に動作可能に接続された横方向カムピン75(図13を参照)を収容するための角度付きカムスロット72、および本体部分14の分岐遠位セクション15のポート77内に支持される横方向ピボットピン76を収容するためのアパーチャ74を有する。(図13を参照)。カムピン75は、細長い本体部分14を通って近位ハンドルアセンブリ12まで延在する作動シャフト78の遠位端のアパーチャ79内に固定され、以下でより詳細に論じるように作動ハンドル22と動作可能に関連付けられる。
【0030】
当業者であれば、ジョーアセンブリ16の下部ジョー部材34の構造は、上述のジョーアセンブリ16の上部ジョー部材32の構造と実質的に類似していることを容易に理解するであろうが、ただ、下部ジョー部材34の近位ヨークの角度付きカムスロットが、二つの逆方向の角度付きカムスロットに対するカムピン75の長手方向移動が二つのジョー部材32、34の開放および閉鎖を可能にさせるように、反対方向に配向されることを除く。また、図2に示す一対のコンダクタ58a、58b、および図11に示す一対のヨーク部分64a、64bにも注目する。
【0031】
より具体的には、図10および図11を参照すると、作動ハンドル22をハンドルアセンブリ12の固定ハンドル部分20に向かって手動で近づけると、作動ハンドル22の一体型ロッカーアーム102が本体部分18のピン104の周りを旋回する。この動きにより、継手106が遠位方向に移動し、それによって作動シャフト78を管状体部分14内の遠位方向に駆動する。このカムピン75が前進は、各ジョー部材32、34の近位ヨーク部分における角度付きカムスロット(例えば、カムスロット72)に対する遠位方向である。結果として、二つのジョー部材32、34は、互いに向かって、閉位置に近づく。
【0032】
一旦閉じると、バイポーラジョーアセンブリ16は、導電性シーリング表面40、42の間に掴まれた血管をシールかつ焼灼するように通電される。当業者であれば、電源ケーブル30による器具10への電力の制御は、フットペダルまたは電源ケーブル30に接続された他の機構の作動によって達成できることを容易に理解するであろう。その後、作動ハンドル22の解除時に、作動シャフト78は、ロッカーアーム102の継手106に関連付けられたコイル状ばね108の影響下で近位方向に引き出される。
【0033】
図7と共に、再び図8および図9を参照すると、各ジョー部材32、34のシーリング表面40、42の少なくとも一部分は、その中に形成された複数の離間した圧印機構を有し、ジョーアセンブリ16の組織把持特性を増強する。より具体的には、上部ジョー部材32のシーリング表面40のセクションは、一組の離間した長方形の圧印機構80を含み、下部ジョー部材34のシーリング表面42の鏡像セクションは、離間した長方形の圧印機構82の対応する組を含む。
【0034】
加えて、各ジョー部材32、34のシーリング表面40、42の少なくとも一部分は、ジョーアセンブリ16の組織把持特性をさらに強化するために、その上に形成された複数の離間した非導電性突起部を有する。より具体的には、上部ジョー部材32のシーリング表面40のセクションは、一組の離間した円形の突起部84を含み、下部ジョー部材34のシーリング表面42の鏡像セクションは、離間した円形の突起部86の対応する組を含む。突起部はまた、ジョー部材32、34の導電性シーリング表面40、42の間のギャップ間隔を維持するために停止部材として作用する。
【0035】
非導電性突起部84、86の幾何学的形状は、図5に最もよく示されている。好ましくは、非導電性突起部84、86は、付加製造プロセスにおいてセラミック材料から各ジョー部材32、34のシーリング表面40、42上に形成される。本発明の好ましい実施形態では、製造工程は、高速フレーム溶射(HVOF)堆積を伴う。本プロセスでは、導電性シーリングプレート36、38のシーリング表面40、42をクリーニングし、グリットブラストして、表面粗さを加え、接着性を改善する。次いで、シーリングプレート36、38が固定具に装填され、開口部を有し各突起部84、86の位置を画定するマスクが追加される。次いで、セラミック材料は、適切な高さが達成されるまで、高速および高温で層状にマスクされた表面に噴霧される。
【0036】
突起部84、86は、好ましくは、近位ギャップ領域、中間ギャップ領域、および二つのジョー部材32、34の間に画定される遠位ギャップ領域に位置するが、必ずしも位置するわけではない。非導電性突起部84、86の位置、間隔、サイズおよび形状は、ジョーアセンブリの組織把持特性を強化またはそうでなければ変更するために、設計によって変化し得ることが想定される。
【0037】
図6と併せて、次に図12および図13を参照すると、ジョーアセンブリ16の二つのジョー部材32、34上の対向するシーリング表面40、42は、シールされた血管を分割するために使用される並進切断ブレード90を収容するための陥凹軌道92、94を含む。これに関して、展開トリガ24は、トリガ継手98から、管状体部分14を通って、ジョーアセンブリ16内の切断ブレード90のシャンク95まで延在するドライブシャフト96によって、切断ブレード90に動作可能に接続される。
【0038】
使用中、トリガロック26を押して旋回ロックリンク23を変位させると、ドライブシャフト96を囲むコイル状ばね100の付勢に対してトリガ24を手動で作動させることにより、ドライブシャフト96を遠位方向に前進させる。これは、図13で最もよく分かるように、ジョー部材32、34内の陥凹軌道92、94内のジョーアセンブリ16を通して切断ブレード90を駆動して、シールされた血管を分割する。このようなとき、ジョーアセンブリ16のジョー部材32、34の間にしっかりと掴まれたシールされた血管は、離間した長方形の圧印機構80、82の対向する組、および離間した丸い突起部84、86の対向する組、ならびに対向するシーリング表面40、42の間に画定される血管シーリングギャップGの異なる高さによってしっかりと保持される。
【0039】
対象開示の電気外科手術器具が好ましい実施形態を参照して示され、記述されてきたが、当業者であれば、変更および/または修正が、対象開示の範囲から逸脱することなく作成され得ることを容易に理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】