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特表2022-533014ジュース又は植物性ミルクを作るための遠心飲料メーカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ジュース又は植物性ミルクを作るための遠心飲料メーカー
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/044 20060101AFI20220713BHJP
   A47J 43/07 20060101ALI20220713BHJP
   A23L 11/00 20210101ALI20220713BHJP
【FI】
A47J43/044
A47J43/07
A23L11/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564339
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2020061747
(87)【国際公開番号】W WO2020221736
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】102019206094.3
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517368671
【氏名又は名称】デロンギ・ブラウン・ハウスホールド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ハイリヒ
【テーマコード(参考)】
4B020
4B053
【Fターム(参考)】
4B020LB18
4B020LC10
4B020LQ03
4B020LQ05
4B053AA01
4B053BA02
4B053BA14
4B053BB01
4B053BC13
4B053BD20
4B053BE20
(57)【要約】
豆乳メーカーは、大豆を受容するためのフィルタ、駆動部、粉砕工具及びジャグを有している。フィルタはジャグ内に配置されており、粉砕工具のフィルタ内への挿入を可能にする。駆動部は、第1のステップにおいて粉砕工具を駆動し、大豆は、粉砕工具を用いてフィルタ内で粉砕され、大豆から、豆乳と残留材料とが生成される。第2のステップにおいて、駆動部はフィルタを回転させる。フィルタは、大豆の粉砕の後に回転し、液体の豆乳を遠心力によって、残存する残留材料から分離する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆ペーストを受容するためのフィルタ(10)、駆動部(50)、粉砕工具(60)及びジャグ(20)を有する豆乳メーカーであって、
前記フィルタ(10)は前記ジャグ(20)内に配置されており、前記粉砕工具(60)は前記フィルタ(10)内に挿入可能であり、
前記駆動部(50)は、前記フィルタ(10)内で大豆ペーストを粉砕するために前記粉砕工具(60)を駆動するように構成されており、
前記フィルタ(10)は、残存する残留材料から豆乳を分離するために、前記ジャグ(20)内で回転可能であるように配置されている豆乳メーカー。
【請求項2】
前記フィルタ(10)が円筒形である、請求項1に記載の豆乳メーカー。
【請求項3】
前記フィルタ(10)が、フィルタ面(18)が配置されているハウジング(16)を有しており、前記フィルタ面は、好ましくは金属濾し器又はプラスチック濾し器であり、前記金属濾し器又はプラスチック濾し器は、より好ましくはフィルタハウジングに対して交換可能である、請求項1又は2に記載の豆乳メーカー。
【請求項4】
前記フィルタ(10)が、前記フィルタ(10)を閉鎖するためのフィルタカバー(11)を有している、請求項1から3のいずれか一項に記載の豆乳メーカー。
【請求項5】
前記フィルタ(10)が軸受(14)を有しており、前記フィルタ(10)は、前記軸受(14)で、前記ジャグ(20)内で支持部(22)に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の豆乳メーカー。
【請求項6】
前記ジャグ(20)が、前記ジャグ(20)を閉鎖するためのジャグカバー(40)を有しており、前記ジャグカバー内(40)には、ギア(26)が配置されており、前記ギアを通じて、前記駆動部(50)は前記フィルタ(10)に接続可能であり、これによって、前記フィルタ(10)は、前記粉砕工具(60)に対して変更された回転数で回転可能である、請求項4又は5に記載の豆乳メーカー。
【請求項7】
前記フィルタカバー(11)が、前記ジャグカバー(40)に固く接続されている、請求項6に記載の豆乳メーカー。
【請求項8】
前記粉砕工具(60)が、自由輪(70)を介して前記フィルタ(10)内に配置されており、第1の回転方向において、前記粉砕工具(60)は、前記フィルタ(10)に対して回転可能であり、前記大豆ペーストを粉砕し、前記第1の回転方向と相反する第2の回転方向において、前記粉砕工具(60)は、前記フィルタ(10)と共に回転し、これによって、液体の豆乳は、遠心力によって、残存する前記残留材料から分離する、請求項1から7のいずれか一項に記載の豆乳メーカー。
【請求項9】
前記フィルタ(10)が、前記第1の自由輪(70)の反対に作用する第2の自由輪(71)を通じて、前記ジャグ(20)内に配置されており、前記粉砕工具(60)の第1の回転方向において、前記第2の自由輪(71)は、前記フィルタ(10)と前記ジャグ(20)との間での回転を防止しており、前記粉砕工具(60)の前記第1の回転方向に相反する第2の回転方向において、前記フィルタ(10)と前記ジャグ(20)との間での回転が可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載の豆乳メーカー。
【請求項10】
粉砕工具(60’)が、軸方向において惰力で動くことが可能であり、前記粉砕工具(60’)が選択的に、回転しないようにフィルタ(10’)と接続され得るか、又は、前記フィルタ(10’)に対して自由に回転可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載の豆乳メーカー。
【請求項11】
前記ジャグ(20)が、基本形状において、球体又は楕円体である、請求項1から10のいずれか一項に記載の豆乳メーカー。
【請求項12】
前記粉砕工具(60)が、カッターヘッドであり、前記駆動部(50)は、前記カッターヘッドが設けられたハンドブレンダーのハンドルである、請求項1から11のいずれか一項に記載の豆乳メーカー。
【請求項13】
豆乳を作るための方法であって、
大豆ペーストがフィルタ(10)に加えられ、
次に、前記大豆ペーストが、駆動された粉砕工具(60)で粉砕され、豆乳と残留材料とから成るペーストが生成され、
次に、前記フィルタ(10)が回転し、これによって、前記豆乳が前記残留材料から分離される方法。
【請求項14】
前記フィルタ(10)が、豆乳を受容するためのジャグ(20)内に配置されており、
好ましくは、前記粉砕工具(60)はカッターヘッドであり、
好ましくは、前記粉砕工具(60)と前記フィルタの回転とは、ハンドブレンダーのハンドルによって駆動される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば果物ジュース若しくは野菜ジュース又は豆乳等のジュース又は植物性ミルクを作るための器具に関するものであり、当該器具は、固体の植物残滓の液体からの分離を容易にし、後続の濾過を必要としない。
【背景技術】
【0002】
豆乳は、大豆から作られる植物性飲料である。豆乳の構造及び利用可能性は、牛乳の構造及び利用可能性に類似している。油脂、水及びタンパク質から成る安定したエマルションである伝統的な豆乳は、大豆全体からの液状抽出物である。当該液体は、乾燥した大豆を水に浸漬して柔らかくすることによって作られ、当該大豆は、続いて、水気が絞られる。本出願において、柔らかくされた大豆は、大豆ペーストと呼ばれる。
【0003】
近年、最終製品の購入に対して、食料品を基本材料から自分で作る傾向が強まっている。この目的で、例えば果物ジュース又は植物性ミルクを作るために、様々な型の調理器具が用いられる。ヴィーガン食品の分野において、又は、乳糖不耐症の人々の間では、植物性ミルク、特に豆乳は、牛乳に対する代替物として好まれている。
【0004】
一般的に、豆乳又はアーモンドミルク等の植物性ミルクは、スープメーカー又はミキサーで、材料を水と共に粉砕して作られる。いずれの場合においても、材料及び水から成る懸濁液は、粉砕の後で濾過されねばならない。一般的に、植物性ミルクは、濾し器又は濾し布を通じて濾過される。当該手順の大きな欠点は、一方では、残留ペーストに残存する植物性ミルクの割合が大きいこと、又は、濾し布で残留ペーストを手で絞ることによって、手が濡れることにある。
【0005】
別の作り方としては、円筒形のフィルタを用いる方法があり、当該フィルタは、スタンドミキサーのジャグ内で用いられる。豆乳の場合、大豆ペースト(水で柔らかくされた大豆)は、当該フィルタ内で粉砕され、豆乳は、フィルタから流出し、ミキサーのジャグ内で収集され得る。しかしながら、この手法でも、大量の豆乳が残留ペーストに残存するので、上述したように、手で豆乳を残留ペーストから分離しなければならないか、又は、さもなければ、当該豆乳は残留ペーストと共に廃棄される。
【0006】
このような解決法は、例えば特許文献1に記されている。特許文献1では、大豆ペーストは、フィルタ内で粉砕され、豆乳がフィルタから出るように誘導される。次に、ペースト全体が豆乳及び残留材料と共にジャグ内で休まされ、これによって、残留材料がジャグ内で沈殿し、分離した豆乳のみが、ジャグの排出口を通じて注ぎ出される。残留ペーストに残存する豆乳の残留ペーストからの分離は行われない。
【0007】
果物ジュース及び野菜ジュースは、一般的に、ジューサーで得られる。ジューサーは、2つの基本的な型において提供される。遠心ジューサーの場合、材料が、粉砕工具が組み込まれた、高速で回転する濾し器に満たされる。濾し器の内で、材料は粉砕工具によって粉砕され、ジュースが、遠心力によって濾し器から押し出される。このような濾し器は、例えば特許文献2に示されている。
【0008】
いわゆる「スロージューサー」は、食料品を、先細のスクリューコンベヤを用いて、濾し器を通すように圧縮し、これによって、ジュースが抽出される。このような器具は、例えば特許文献3に示されている。
【0009】
両方のシステムは、ジュースを作るためにのみ使用可能な専用の器具であるという欠点を有している。加えて、当該器具は非常に大きく、掃除も手間がかかる。これによって、当該器具は、特に少量のジュースを作るために適しているか、又は、当該器具は、使用者が利用できる保管場所が限られている場合には、魅力が損なわれる。
【0010】
両方の器具は、豆乳を作るためには適していない。なぜなら、材料を水と共に粉砕することができないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1836905号明細書
【特許文献2】西独国実用新案公開第1747531号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0231414号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、手で保持する調理器具を用いて、果物ジュース若しくは野菜ジュース又は植物性ミルクを作るための飲料メーカーを提供するものであり、当該飲料メーカーは、固体の植物残滓の液体からの分離を容易にし、後続の濾過を必要としない。植物残滓の液体からの分離が容易になることによって、特に豆乳を作る際、大豆残滓を布を通して手で絞り出すというような、手による後処理が不要になり、大豆残滓に残存する豆乳の量が、著しく削減される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、本課題は、請求項1の特徴を備えた飲料メーカーによって解決される。実施形態の好ましい特徴は、従属請求項に記載されている。
【0014】
本発明は、飲料メーカーを提供する。当該飲料メーカーは、材料(例えば大豆ペースト又は果物)を受容するためのフィルタ、駆動部、粉砕工具及びジャグを有している。フィルタはジャグ内に配置されており、粉砕工具のフィルタ内への挿入を可能にする。駆動部は、飲料を作る際に、第1のステップにおいて、粉砕工具を駆動し、材料は、粉砕工具によって、フィルタ内で粉砕され、所望の液体(植物性ミルク又はジュース)と固体の残留材料とから成る分散が生成される。第2のステップにおいて、駆動部はフィルタを回転させる。このために、粉砕工具がフィルタから取り出され、駆動部は粉砕工具から分離する。駆動部は、カバー又はアダプタを用いて、ジャグに載置され、回転可能なフィルタと作用接続される。フィルタは、材料の粉砕後、液状の植物性ミルク又はジュースを、遠心力によって、残存する残留材料から分離するために回転する。
【0015】
フィルタが容器に直接囲まれていることによって、豆乳を作る際、大豆と付加的に必要である水とは共に、水が流出できず、従って、豆の粉砕の際に依然として大豆と結びついているように、飲料メーカーに投入可能である。
【0016】
材料の粉砕によって、フィルタ内には、植物性ミルク又はジュースと残留材料とから成るペーストが存在する。液体の一部は、フィルタを通って、飲料メーカーのジャグに流入するが、一部は、残留材料に結びついたままである。フィルタの回転によって、ペーストに遠心力が作用し、液体が残留材料から流出する。フィルタが十分な長さにわたって回転した後で、液体は、残留材料から少なくとも概ね分離し、ジャグ内で収集される。ペーストを絞るために、例えばすりこぎで押しつぶす、又は、布を通じて圧搾する、と言うようなさらなるステップは不要である。残留材料は、別個に廃棄する、又は、他の方法でさらに加工するために、フィルタと共に取り出され得る。
【0017】
液体がフィルタ内に逆流することを防止するために、液体を、回転の前及び回転の間に、必要に応じて注ぎ出さなければならない。代替的に、フィルタの下面とジャグの底面との間隔を、処理されるべき液体の全量が当該領域に収集され得るように選択することが可能である。この場合、フィルタへの逆流は、途中で注ぎ出さなくても、排除されている。
【0018】
好ましい実施形態において、フィルタは円筒形である。
【0019】
フィルタの円筒形状によって、回転の間のフィルタへの負荷が均等になる。フィルタの構造が角を有する場合、回転の開始時点において、フィルタの角に、より大きい質量が存在している可能性があり、これによって、フィルタ内で不均衡が生じ得る。このような不均衡によって、支持部及び材料には過度の負荷が加えられ、望ましくない振動が生じる。円筒形のフィルタを用いる場合、回転の間のより有利な質量分布が促進される。さらに、円筒形のフィルタによって、ジャグ内の場所がより良好に利用される。なぜなら、非円筒形のフィルタの場合、回転の際に、フィルタの周囲により多くの場所を残さなければならないからである。
【0020】
さらに好ましくは、フィルタは、フィルタ面が配置されたハウジングを有しており、当該フィルタ面は、好ましくは金属濾し器又はプラスチック濾し器である。
【0021】
フィルタ面を通って、液体がフィルタの回転の間に漏出する一方で、残留材料はフィルタ内に残存する。金属又はプラスチックから成るフィルタ面は、再利用可能であり、一般的な家庭用品で洗浄され得る。例えば、有孔金属薄板の形状、又は、家庭用濾し器に類似した網目の形状のフィルタ面が考えられるであろう。濾し器が交換可能であることが特に好ましい。これによって、濾し器はより容易に交換可能になり、必要に応じて異なる用途に異なる濾し器を用いることも可能になる。
【0022】
さらなる好ましい実施形態において、フィルタは、フィルタを閉鎖するためのフィルタカバーを有している。
【0023】
フィルタをフィルタカバーで閉鎖することによって、残留材料が回転の間にフィルタから漏出し得ることが防止される。さらに、フィルタカバーには、わずかな負担で、駆動部をフィルタに接続するための連結部が、好ましくはフィルタの回転軸に沿って作成され得る。
【0024】
好ましいさらなる発展形態において、フィルタは軸受を有しており、フィルタは、軸受で、ジャグ内の支持部に配置されている。
【0025】
軸受によって、好ましくはフィルタ下面上の軸受によって、フィルタは、ジャグ内の支持部に配置され得る。軸受によって、フィルタ及びジャグの摩擦及び摩耗が削減される。そうでない場合には、フィルタの回転によって、材料破壊が生じ得る。このような支持部は、例えばカッター又はドーフックを受容するための、既に存在する支持部であってよい。従って、ジャグは、フィルタの回転にも、他の食料品の粉砕又は混練にも用いられ得る。さらに、異なる目的に関して支持部が同じ形を有していることによって、異なる目的のための利用可能性が得られ、支持部の形に応じて、製造を容易にすることができる。
【0026】
好ましいさらなる発展形態では、ジャグは、ジャグを閉鎖するためのジャグカバーを有しており、ジャグカバー内には、ギアが配置されていてよく、ギアを介して、駆動部はフィルタと接続され得る。当該ギアを通じて、フィルタは、粉砕工具に対して変更された回転数で回転可能である。
【0027】
このようなさらなる発展形態は、回転数が制御不能である駆動部を用いる際に、粉砕工具及びフィルタの異なる回転速度を得られるという利点を有している。同様に、このようなギアによって、伝達可能な力が増大し得る。例えば、駆動部は、ペーストを粉砕するために、粉砕工具を大きな回転数で駆動することができる。このプロセスが駆動のために必要とする力又はトルクは比較的小さいが、必要とする回転数は大きい。ギアによって、フィルタの回転数が減速されるので、フィルタは、粉砕工具よりも低い回転速度で回転するが、より大きいトルクが利用可能であり、これは、充填されたフィルタの大きな質量の加速に必要である。
【0028】
家電で一般的であるように、ジャグは、円筒形又は円錐形の基本形状を有し得る。代替的に、ジャグは、球形又は楕円形の基本形状を有し得る。これによって、同じ設置高さの場合に、より大きな容積が実現し得るので、ジャグとフィルタとの間の空間は、より多くの液体を受容することができる。
【0029】
代替的に、ジャグカバー及びフィルタカバーを、一体的な部材として構成するか、又は、両方のカバーを別個の部材として構成してよい。両方のカバーが一体的な部材として構成されている場合、すなわち使用者にとって(工具無しには)分離できない場合、ジャグを閉じることによって自動的に、フィルタも閉じられる。これによって、豆乳メーカーの操作が容易になる。
【0030】
さらなる好ましい実施形態では、粉砕工具は、自由輪を介してフィルタ内に配置されている。この際、粉砕工具は、フィルタに対して第1の回転方向に回転し、材料を粉砕する。フィルタはこの際、フィルタとジャグとの間で支持部に配置された自由輪によって、粉砕工具と共に回転することを阻止されている。第1の回転方向と相反する第2の回転方向において、第2の自由輪は、粉砕工具とフィルタとの間の支持部で、フィルタが粉砕工具に伴われ、フィルタ及び粉砕工具の両方が同じ方向及び同じ速度で回転することをもたらす。この際、液体は、遠心力によって、残存する残留材料から分離する。
【0031】
このような実施形態によって、差し替え又は駆動部とフィルタ又は粉砕工具との接続のその他の変型例が無くても、飲料メーカーの機能を果たすことが可能になる。それぞれ所望される機能は、単に回転方向の選択によって得られる。第1の回転方向では、粉砕工具のみが駆動され、従って、材料はフィルタ内で粉砕され、液体と残留材料とが生成される。次に、駆動部の回転方向を反転させることが可能であり、従って、遠心力によって、残留材料に含まれる液体が、残留材料から分離される。
【0032】
さらなる変型例は、高さでロック可能であるカッターであり、当該カッターは直接、フィルタ内に存在している。このために、少なくとも2つのロック位置を有する軸が用いられる。この際、カッターは、第1のステップにおいて、上側の位置でロック可能であり、当該位置では、カッターは自由に回転し、フィルタは不動であるか、又は、同じ方向においてゆっくりと共に回転する。第1のロック位置において、フィルタ内に存在する、植物性ミルク又は果物ジュース若しくは野菜ジュースのための材料の粉砕が可能である。続いて、カッターは、下側のロック位置に変位可能である。当該位置では、カッターはフィルタと形状接続的に接続され、これによって、カッターとフィルタとは、モータの始動の際に、同じ方向及び速度で回転する。これによって、植物残滓の遠心分離が行われる。これによって、上述の変型例とは異なり、一方向にのみ回転可能なモータが使用され得る。
【0033】
好ましくは、粉砕工具はカッターヘッドであり、駆動部はハンドブレンダーのハンドルである。
【0034】
カッターヘッドは、食料品のための一般的な粉砕工具であり、スタンドミキサーにおいても、ハンドブレンダーにおいても使用される。この関連において、カッターヘッドは、側面に1つ又は複数の刃が配置されたハブである。ハブの軸の周りを回転することによって、刃が回転し、投入された切断対象物を細かく切断する。この際、刃が、プロペラのように切断対象物に吸引作用を及ぼすように、ハブに配置されている場合もある。従って、切断対象物のカッターヘッドに対する循環及び供給が保証される。
【0035】
ハンドブレンダーは、家庭で使用するための器具であり、一般的に、ハンドルと、工具を備えたアタッチメントと、を有している。この際、ハンドルは、従動軸を備えたモータを含んでおり、当該従動軸は、アタッチメント内で、シャフトを駆動するために、シャフトと連結され得る。この際、多くのハンドブレンダーは、連結部を有しており、当該連結部を通じて、ハンドブレンダーは、異なる機能を備えた様々なアタッチメントに連結され得る。例えば、ハンドブレンダーは、アタッチメントで粉砕し、第2のアタッチメントで攪拌することが可能である。本発明に関しては、カッターヘッドを備えたアタッチメントを有するハンドブレンダーが、材料(例えば大豆ペースト又は果物)を粉砕し、材料に含まれる液体を取り出すために用いられ得る。次のステップでは、カッターヘッドを備えたアタッチメントを取り外し、その代わりにフィルタ自体をハンドルに連結させることが可能である。この目的のために、フィルタは、ハンドルのための適切な連結部のみを備えればよい。このような方法で、フィルタは、モータの従動軸に連結され、液体を遠心力によって、残存する残留材料から分離するために、モータによって回転させられる。
【0036】
本発明はさらに、植物性ミルク又は果物ジュース及び野菜ジュースを作るための方法を提供している。当該方法においては、出発材料がフィルタ内に加えられる。次に、出発材料は、駆動された粉砕工具で粉砕され、液体と固体の残留材料とから成るペーストが生成される。フィルタ内で液体及び残留材料が生成された後、フィルタが回転し、液体が遠心力によって、残存する残留材料から分離する。
【0037】
当該方法を、特に上述した飲料メーカーで用いることによって、本発明の有利な効果が得られる。
【0038】
この際、好ましくは、フィルタは、生成された液体を受容するためのジャグ内に配置される。好ましくは、粉砕工具はカッターヘッドであり、さらに好ましくは、粉砕工具とフィルタの回転とは、ハンドブレンダーのハンドルによって駆動される。
【0039】
記載された飲料メーカーの実施形態は、冒頭で言及した既知の器具に対して、複数の利点を有している。
【0040】
植物性ミルクを作る際、液体を抽出するために、粉砕された植物性ミルクペーストを手で濾過する、又は、圧搾するという手順は省略される。さらに、記載された飲料メーカーは、より多くの目的に用いることができる。なぜなら、植物性ミルクを作るためにも、ジュースを作るためにも用いることができるからである。さらに、当該飲料メーカーは、大きく、専用の個別の器具ではなく、ハンドブレンダーのための小型のアタッチメントである。これによって、当該飲料メーカーは、特に少量を作るために適しており、食器洗い機で良好に洗浄され得る。飲料メーカーの部材(例えばジャグ、容器カバー、モータ、粉砕工具)が、他の用途にも使用可能であることによって、専用のジューサーよりも、必要とする場所は明らかに小さい。
【0041】
さらなる好ましい特徴及び利点が、以下の図に関する説明と請求項全体とから明らかになる。
【0042】
以下の部分において、本発明を、実施例に基づき、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施例に係るフィルタアセンブリを示す図である。
図2】本発明の実施例に係る第1の構成における飲料メーカーを示す図である。
図3】本発明の実施例に係るさらなる飲料メーカーを示す図である。
図4】本発明の実施例に係るさらなる飲料メーカーを示す図である。
図5】本発明のさらなる実施例に係る飲料メーカーを示す図である。
図6】本発明のさらなる実施例に係る飲料メーカーを示す図である。
図7】本発明の実施例に係る方法の2つの段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、豆乳メーカーのためのフィルタ10を示している。フィルタ10は、円筒形であり、カバー11、上面12、ハウジング16、フィルタ面18及びフィルタ10の下面に軸受14を有している。カバー11は、差し込み接続又はネジ接続によって、フィルタ10と接続可能であり、大豆ペーストがフィルタ10から流出することを防止するために用いられる。さらに、カバー11は、フィルタ10の中心軸A上に連結部を提供しており、当該連結部を通じて、モータ50がフィルタ10に連結され得る。
【0045】
図2は、図1に係るフィルタ10を取り付けた状態を示している。フィルタ10は、軸受14で、ジャグ20内の支持部22に配置されている。この状況において、フィルタ10は、材料(例えば大豆及び水又は果物)で満たされ得る。次に、ハンドブレンダーがフィルタ内に挿入される。ハンドブレンダーのモータ50は、ハンドブレンダーのシャフト30を通じて、トルクをカッターヘッド60に伝達し、カッターヘッド60を用いて、材料が粉砕される。当該プロセスによって、液体の一部が材料から分離し、フィルタ10を通ってジャグ20に流れることが可能である。当該プロセスの間にフィルタ10が回転することを防止するために、フィルタ10は、ジャグ20内で固定され得る。
【0046】
次のステップでは、ハンドブレンダーのモータ50が、シャフト30から分離され、フィルタカバー11及びジャグカバー40を通じて、フィルタ10に接続され得る。この状況は、図5の右側に示されている。モータ50のトルクによって、フィルタは、フィルタに含まれる粉砕されたペーストと共に回転する。生じる遠心力によって、ペーストは、フィルタ10の壁に押し付けられ、ペーストに依然として結びついた液体は、フィルタ面18を通って、ジャグ20に押し出される。フィルタ10が十分に回転した後、液体は全体として見たところ、残留材料から分離し、残留材料のみがフィルタ10内に残される。残留材料は、フィルタ10と共に取り出され、別個に廃棄されるか、他の方法で利用され得る。
【0047】
図3は、図1に係る飲料メーカーのフィルタの使用に関する代替的な形態を示している。当該変型例では、別個のジャグカバー40が、ジャグ20を閉鎖している。当該ジャグカバー40内には、増速歯車装置が配置されており、当該増速歯車装置は、フィルタカバー11の連結部又はフィルタ10に直接連結される。材料の粉砕に続いて、ハンドブレンダーのモータ50は、ジャグカバー40のギアに、ハンドブレンダーの回転数を変えるように連結される。例えば、フィルタ10の回転に関する回転速度は、回転数が制御可能であるモータを用いずとも、カッターヘッド60の回転速度よりも小さいか、又は、大きくてよい。回転数が大きく、トルクが小さいカッターヘッドが動作可能である。なぜなら、材料を粉砕するための切断力は比較的小さいが、フィルタの回転は、動かされる質量がより大きいので、より大きいトルクを必要とするからである。ジャグカバー40内のギアによって、回転数が一定のモータ50を用いた両方の機能が保証され得る。
【0048】
図4には、さらなる実施形態が示されている。図4では、フィルタ10とカッターヘッド60との間の支持部に、自由輪70が存在している。ジャグカバー40によって、カッターヘッド60が駆動される。この際、フィルタ10は、第1の回転方向において、自由輪70によっては共に回転しないか、又は、わずかな程度回転するのみであり、従って、当該回転方向において、フィルタ10内で、カッターヘッド60の刃62と材料との間に相対運動が生じ、大豆が粉砕される。フィルタ10が望ましくないことに共に回転することを回避するために、フィルタは、当該回転方向において、反対に作用する第2の自由輪71によって付加的に、ジャグ20とフィルタ10との間の支持部に固定され得る。
【0049】
第2の回転方向において、自由輪70は、フィルタ10とカッターヘッド60との間を遮断する。この遮断によって、フィルタ10は、カッターヘッド60と共に回転し、上述した遠心力が生じ、材料ペーストに残存する液体は、フィルタ面18を通ってジャグ20に押し出される。この第2の回転方向において、第2の自由輪71は、フィルタ10とジャグ20との間で、ジャグ及びフィルタの相対運動を許容する。
【0050】
当該変型例は、同様に、ジャグカバー40内のギアで動作し得るが、この場合、ギアは、各機能に関して異なる所望の回転数を保証するためには、同様に回転方向に依存しなければならない。代替的に、速度が可変なモータを用いることが可能であり、当該モータは、両方の回転方向において、異なる回転数を利用可能にする。
【0051】
図5及び図6では、図1図4と概ね同じ参照符号が用いられており、それぞれ対応する部材の番号にアポストロフィが付されている。図5及び図6において、フィルタ10’は第1の支持部22’に回転可能に取り付けられている。フィルタ10’内には、やはり第2の支持部23’が設けられており、第2の支持部23’には、刃62’を備えたカッターヘッド60’が回転可能に取り付けられている。当該カッターヘッド60’は、モータ50’と係合している。
【0052】
カッターヘッド60’の下端とフィルタ10’との間には、カップリング24’が存在している。カップリング24’は、カッターヘッド60’の下端がフィルタ10’から離間している図5に示された状態において、カッターヘッド60’がフィルタ10’に対して自由に動くことが可能であり、従って惰力で動くように構成されている。この状態において、モータ50’の回転によって、カッターヘッド60’がフィルタ10’内で動く一方で、フィルタ10’は駆動されず、従って、フィルタ10’は、ジャグ20’に対して動かないか、又は、わずかに動くのみである。この構成において、フィルタ10’に満たされた食料品が粉砕され得る。
【0053】
カッターヘッド60’がフィルタ10’内で下方に押されると、カップリング24’が係合する(図6を参照)。この状態において、カッターヘッド60’は、回転しないようにフィルタ10’に接続されている。モータ50’が作動すると、モータは、カッターヘッド60’をフィルタ10’と共に回転させるので、これら両方は、互いに対しては回転しない(か、又は、わずかにのみ回転する)。しかしながら、フィルタ10’は、ジャグ20’に対して回転するので、作られた飲料は、遠心力に基づいて、外側に向かって分離される。
【0054】
図7は、飲料メーカーで飲料を作るための、ハンドブレンダーの使用を示している。左側では、ハンドブレンダーがフィルタ10内に配置されている。フィルタ10内には、材料ペーストが存在しており、材料ペーストはハンドブレンダーによって粉砕され、その後で液体がフィルタ10からジャグ20に流出し得る。フィルタ内には、粉砕された材料の残留ペーストが残存しており、残留ペーストには、さらに液体が結びついている。図の右半分には、飲料を作るための第2のステップが示されている。当該ステップにおいて、ハンドブレンダーのモータ50は、ジャグカバー40を通じて、フィルタ10に連結されており、フィルタ10を回転させることが可能であり、これによって、液体は、遠心力によって残存する残留材料から分離する。ジャグ20はさらに、ジャグ20を後で容易に操作するためにグリップ25を有している。
【0055】
本出願では、主に豆乳を作る場合について言及してきたが、本出願で開示された装置又は方法が、粉砕された木の実、穀物、豆、野菜又は果物からジュース又はミルクを作るために適していることは、当業者にとって明らかである。アーモンドミルク又はオレンジジュースを作ることが、限定的ではない例として挙げられる。適切に整理するために、「豆乳」又は「アーモンドミルク」という概念は、動物性又は人間の産物としての本来の意味におけるミルクを含むものであると理解されるべきではなく、日常語で「ミルク」と表現される植物性飲料であるということに注意すべきである。
【符号の説明】
【0056】
10、10’ フィルタ
11 フィルタカバー
12 上面
14 軸受
16 ハウジング
18 フィルタ面
20、20’ ジャグ
22 支持部
22’ 第1の支持部
23’ 第2の支持部
24’ カップリング
25 グリップ
26 ギア
30 シャフト
40 ジャグカバー
50、50’ 駆動部、モータ
60、60’ カッターヘッド、粉砕工具
62、62’ 刃
70 第1の自由輪
71 第2の自由輪
A 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】