(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】テクスチャリングされたソーラーウェハの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0236 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
H01L31/04 280
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566980
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 DE2020100397
(87)【国際公開番号】W WO2020228904
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521491303
【氏名又は名称】マイヤー バーガー (ジャーマニー) ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】MEYER BURGER (GERMANY) GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】ウラディミール ブレウス
(72)【発明者】
【氏名】アルネ ウィッセン
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151CB21
5F151CB29
5F151GA15
(57)【要約】
本発明は、少なくとも片面がテクスチャリングされたソーラーウェハを製造するための方法に関する。最初の方法ステップでは、ソーイングダメージを有するソーイングされたソーラーウェハが提供され、最後の方法ステップの終了時に、大ピラミッド状部分及び小ピラミッド状部分という異なるサイズタイプを備えるテクスチャリングされたソーラーウェハが提供される。テクスチャリングされたソーラーウェハは、その後にソーラーセルを製造するために更に加工することができる。本発明の課題は、ソーラーセルの製造技術の範囲内で、改良されたテクスチャリング方法を提供することである。この課題は、テクスチャリングされたソーラーウェハを製造するための方法によって解決される。第1テクスチャエッチングステップでは、大ピラミッド状部分が小さな表面密度で形成されるため、本発明に係る方法の終了時に、ソーラーウェハのテクチャリングされた表面に占める大ピラミッド状部分は30%未満であり、第2テクスチャエッチングステップでは、小ピラミッド状部分が大きな表面密度で形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面がテクスチャリングされたソーラーウェハ(10)を製造するための方法(1)であって、最初の方法ステップ(2)では、ソーイングダメージを有するソーイングされたソーラーウェハが提供され、最後の方法ステップ(8)の終了時に、大ピラミッド状部分(11)及び小ピラミッド状部分(12)という異なるサイズタイプを備えるテクスチャリングされたソーラーウェハが提供され、前記大ピラミッド状部分(11)が、4μmを超える高さを有し、前記小ピラミッド状部分が、4μm未満の高さを有し、前記テクスチャリングされたソーラーウェハ(10)が、その後にソーラーセルに更に加工可能な方法において、
前記方法(1)が、第1テクスチャエッチングステップ(3)と、第2テクスチャエッチングステップ(7)とを含み、前記第1テクスチャエッチングステップ(3)では、前記大ピラミッド状部分(11)が小さな表面密度で形成されるため、前記方法の終了時に、前記ソーラーウェハ(10)の前記テクチャリングされた表面に占める前記大ピラミッド状部分は30%未満であり、前記第2テクスチャエッチングステップ(7)では、前記小ピラミッド状部分(12)が大きな表面密度で形成され、前記大ピラミッド状部分(11)及び前記小ピラミッド状部分(12)が、統計的に2倍又は複数倍の分布で生じることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法(1)であって、前記第1テクスチャエッチングステップ(3)が、第2方法ステップで、前記第1方法ステップ(2)に直接的に後続することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法(1)であって、前記第1テクスチャエッチングステップ(3)が、1~15%のKOH又はNaOH又はNH
4OH又はTMAHを含む第1テクスチャエッチング溶液を使用して行われることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法(1)であって、前記第1テクスチャエッチング溶液が、テクスチャ添加剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4の少なくとも一項に記載の方法(1)であって、前記第2テクスチャエッチングステップ(7)が、1~5%のKOH又はNaOH又はNH
4OH又はTMAH及びテクスチャ添加剤を含む第2テクスチャエッチング溶液を使用して行われることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法(1)であって、少なくとも1つのすすぎステップ(4,6)が、前記第1テクスチャエッチングステップ(3)と前記第2テクスチャエッチングステップ(7)との間で行われることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1又は6に記載の方法(1)であって、少なくとも1つの洗浄ステップ(5)が、前記第1テクスチャエッチングステップ(3)と前記第2テクスチャエッチングステップ(7)との間、及び/又は、少なくとも1つのすすぎステップ(4,6)との間で行われることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~7の少なくとも何れか一項に記載の方法(1)であって、前記大ピラミッド状部分(11)が、前記テクスチャリングされた表面(13)の10%未満、好適には、5%未満に形成され、前記小ピラミッド状部分(12)が、前記ソーラーウェハ(10)の前記テクスチャリングされた表面(13)の90%、好適には、95%を超えて形成されることを特徴とする方法。
【請求項9】
製造ラインであって、請求項1~8の少なくとも何れか一項に記載の方法(1)を実施するための前記製造ラインが、対応する槽を備え、前記製造ラインでは、第1テクスチャエッチングステーションが第1湿式化学処理ステーションとして配置され、第2の第1テクスチャエッチングステーションが更に後方の製造ライン位置に配置されていることを特徴とする製造ライン。
【請求項10】
ソーラーセルであって、該ソーラーセルが、請求項1~8の少なくとも何れか一項に記載の方法を使用して製造されたソーラーウェハ(10)で製造され、該ソーラーウェハ(10)のテクスチャリング部内に、大ピラミッド状部分(11)及び小ピラミッド状部分(12)が統計的に2倍又は複数倍の分布で存在していることを特徴とするソーラーセル。
【請求項11】
請求項10に記載のソーラーセルであって、該ソーラーセルが、150μm未満の厚さを有することを特徴とするソーラーセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも片面がテクスチャリングされたソーラーウェハを製造するための方法に関する。最初の方法ステップでは、ソーイングダメージを有するソーイングされたソーラーウェハが提供され、最後の方法ステップの終了時に、大ピラミッド状部分及び小ピラミッド状部分という異なるサイズタイプを備えるテクスチャリングされたソーラーウェハが提供される。テクスチャリングされたソーラーウェハは、その後にソーラーセルを製造するために更に加工することができる。更に、本発明は、本発明に係る方法を使用して製造されたソーラーセル、並びに本発明に係る方法を実施するために使用される製造ラインにも関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーセルの製造では、主に光の入射のために設けられるソーラーセルの少なくとも前面は通常、粗面化されるか又はテクスチャリング(テクスチャ加工)される。このテクスチャリングにより、入射光の反射が抑えられ、吸収率が高まる。即ち、テクスチャリングは、ソーラーセルの効率を向上させる。更に、テクスチャリングされたソーラーセルの表面は、美的に望ましいとされることが多い。単面型のソーラーセルに加えて、前面のみならず後面にも光を取り入れることのできる両面型のソーラーセルも存在する。テクスチャリングは、利点を得るために、ソーラーセルの前面及び後面の両方に施すことが可能である。世界のソーラーセル産業では現在、主に単結晶Siウェハからソーラーセルが製造され、その傾向は今後数年間続くとされている。これら単結晶ソーラーウェハは通常、異方性エッチング剤、例えば、KOHを含むエッチング溶液を使用してテクスチャリングされる。この場合、エッチングされた表面においては、シリコン単結晶の111結晶面にて、側面を有するピラミッド状部分が残留し、そのピラミッド状部分がソーラーウェハ上におけるテクスチャリングされた部分に該当する。特許文献1(独国特許第102008014166号明細書)には、ソーラーウェハをテクスチャリングするために工業的に使用可能な従来のテクスチャリング方法が記載されている。
【0003】
近年、ソーラーセル及びその製造方法は大幅に向上され、ソーラーセルの効率は向上され、製造コストが低減されてきた。ソーラー発電は現在、最も費用対効果が高く、環境に優しい発電方式になっている。今後は、ソーラーセルの性能を更に高めると共に、日射から得られる電気エネルギーのコストをより低減するためにソーラーセルの製造方法を更に開発する必要がある。高性能のソーラーセル、例えばHJTソーラーセルは、製造中の汚染に極めて敏感であり、汚染のメカニズムを適切に認識してその影響を最小限に抑える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第102008014166号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、ソーラーセルの製造技術の範囲内で、改良されたテクスチャリング方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、テクスチャリングされたソーラーウェハを製造するための方法によって解決される。第1エクスチャエッチングステップでは、大ピラミッド状部分が小さな表面密度で形成されるため、本発明に係る方法の終了時に、ソーラーウェハのテクチャリングされた表面に占める大ピラミッド状部分は30%未満であり、第2テクスチャエッチングステップでは、小ピラミッド状部分が大きな表面密度で形成される。本発明に係る方法は、特に簡単で費用対効果高く実施することができる。大ピラミッド状部分が形成されるのは、平滑なソーラーセル表面に比べて、より多くの光をソーラーセル内に導くためだけではない。大ピラミッド状部分は更に、ソーラーウェハとソーラーセルの製造方法で使用される搬送装置との間で小規模な接触領域を提供する目的も果たしている。搬送装置としては、例えば、コンベヤベルトを挙げることができる。これにより、ソーラーウェハにおける他の領域、即ち小ピラミッド状部分を有する表面領域では、ソーラーウェハが載置されたコンベヤベルト又は他の装置部分との接触が大幅に回避される。大及び小ピラミッド状部分の境界は、使用される搬送装置に応じて異ならせることができ、約4μmである。これにより、テクスチャリング部又は小ピラミッド状部分の摩耗が最小限に抑えられ、製造されるソーラーセルの品質及び平均効率が向上する。ソーラーウェハの表面領域における大ピラミッド状部分の間は、基本的に小ピラミッド状部分で完全に満たされている。異なるサイズのピラミッド状部分は、その機械的又は光学的な機能により、搬送用ピラミッド状部分及びより小さな集光用ピラミッド状部分として区別される。大ピラミッド状部分だけが搬送装置と接触するため、小ピラミッド状部分又は集光ピラミッド状部分が搬送装置と接触することなくソーラーセルを搬送することができる。この文脈において、小ピラミッド状部分は、大ピラミッド状部分よりも小さい全てのピラミッド状部分を指すと理解される。製造方法中に、大ピラミッド状部分は、搬送装置と接触する役割を有し、従ってソーラーウェハは、大ピラミッド状部分の先端だけが搬送装置上に配置されている。統計的には、ピラミッド状部分のサイズ分布は、2倍の分布であることが可能であり、これは、バイモーダル分布、2チップ分布、又は2ピーク分布とも称され得る。ただし、サイズ分布は、複数倍の分布であってもよい。この場合、異なるサイズのピラミッド状部分は、その機能に基づいて、大ピラミッド状部分及び小ピラミッド状部分の2つのカテゴリに割り当てられる。本発明の範囲内では、製造されたピラミッド状部分に関して、少なくとも2つの異なるサイズクラスを有する2倍又は複数倍の分布が目標とされる。
【0007】
本発明に係る方法の第1テクスチャエッチングステップは、ソーイングダメージを有するソーラーウェハが提供される第1方法ステップの直後における第2方法ステップで行うことができる。従って、ブロックのソーイングに際して生じるソーラーウェハの表面における表面的な結晶ダメージを除去するのに行われる従来の方法ステップは省略される。第1テクスチャエッチングステップは、少数の大ピラミッド状部分を製造するタスクに加えて、ソーイングダメージを除去するという付加的タスクも担う。従来の方法と比べて、本発明に係る方法では、消費される化学物質が大幅に減少する。
【0008】
第1テクスチャエッチングステップは、1~15%のKOH又はNaOH又はNH4OH又はTMAHを含む第1テクスチャエッチング溶液を使用して行うことができる。これら基本的な化学物質は、ピラミッド状部分を形成するために必要な所望の異方性エッチング効果を有する。特定のエッチングパラメータ、特に使用される濃度及び温度は、局所的な目標パラメータに基づいて当業者によって決定され、特に、テクスチャトポロジー、スループット時間、並びに化学物質消費量に関して最適化される。第1テクスチャエッチング溶液は、テクスチャ添加剤を含むことができる。テクスチャ添加剤及びその効果は、従来技術に知られており、従って当業者にとってその説明は不要である。テクスチャ添加剤は、シリコン表面に一時的かつ局所的に堆積されるため、表面を局所的にマスクし、ピラミッド状部分先端の形成をもたらすことができる。使用可能な添加剤の例としては、市販のテクスチャ添加剤、界面活性剤、単純アルコール又は複数アルコール、有機酸、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、糖類(単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖、又は多糖類)を挙げることができる。第1テクスチャエッチング溶液は、通常は20%のKOHを含む従来のソーイングダメージを除去するためのエッチング浴に比べて、少ないエッチング剤を含む。本発明に係る方法では、テクスチャエッチング溶液の調製及び再投与の両方は、従来の方法で使用されるよりも少ないエッチング剤を使用して行われる。本発明に係る方法を使用した場合、化学物質及び対応するコストに関して最大45%の節約が実現された。
【0009】
第2テクスチャエッチングステップは、1~5%のKOH又はNaOH又はNH4OH又はTMAH及びテクスチャ添加剤を含む第2テクスチャエッチング溶液を使用して行うことができる。使用可能な添加剤の例としては、市販のテクスチャ添加剤、界面活性剤、アルコール(単純及び複数)、有機酸、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、糖類(単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖、又は多糖類)を挙げることができる。
【0010】
少なくとも1つのすすぎステップを、第1テクスチャエッチングステップと第2テクスチャエッチングステップとの間で行うことができる。すすぎステップにより、様々な化学処理を互いに良好に分離可能であり、個々のプロセスステップを良好に制御することができる。特に、ソーラーセルのマスビジネスでは、製造コストの最小化は極めて重要である。従って、他の欠点を受け入れる必要があったとしても、すすぎ工程を省略する場合がある。原則的には、ソーラーセルのテクスチャリングは、2つのテクスチャエッチングステップのみで行うことができる。少なくとも1つの洗浄ステップを、第1テクスチャエッチングステップと第2テクスチャエッチングステップとの間、及び/又は、少なくとも1つのすすぎステップとの間で行うことができる。洗浄ステップにより、偶然の不純物による影響を低減し、均一で高品質なテクスチャリングされたソーラーウェハの歩留まりを上げることができる。洗浄ステップは、例えば、SC1浴又はpSC1浴(修正標準浴/疑似標準浴)、又は水、オゾン及びHClを含む溶液、又は水、オゾン、HF、並びにHClを含む溶液、又はHF及びHClを含む溶液、又は10℃~80℃のHCl溶液、又は50~80℃のHNO3溶液、又は10~80℃のDl水、又は50~90℃で濃度1%の希釈されたKOH溶液で行うことができる。洗浄は、超音波によって補助することができる。洗浄浴の代わりに、オゾンを含むガス雰囲気中での酸化を行うこともできる。ただし、原則的には、テクスチャリングステップは、中間の洗浄ステップなしでも機能する。
【0011】
本発明に係る方法において、大ピラミッド状部分は、テクスチャリングされた表面の10%未満、好適には、5%未満に形成することができ、小ピラミッド状部分は、ソーラーウェハのテクスチャリングされた表面の90%、好適には、95%を超えて形成することができる。大ピラミッド状部分の個数が少ないほど、ソーラーウェハからソーラーセルを製造する際に使用される、ソーラーウェハと搬送装置との間の接触面の総和が小さくなる。接触面が小さければ、摩耗又は搬送ダメージが低減され得る。これにより、不純物を減らすことができ、製造されるソーラーセルにおける効率を高めることができる。
【0012】
テクスチャリングされたソーラーウェハを製造するための方法は、その方法を実施するために使用される製造ラインに直接的に反映させることができる。この点において、本発明は、本発明に係る方法を実施するために対応する槽を備える製造ラインにも関する。製造ラインは、所望の結果に応じて装備されている。例えば、ソーラーウェハの片面が保護層によってマスクされることなく、片面にのみテクスチャリングされる場合、製造ラインは、ウェハを片面処理するよう装備されている。両面テクスチャリングが必要な場合、ウェハは完全に槽に浸され、対応する製造ラインが使用される。本発明に係る製造ラインでは、第1テクスチャエッチングステーションが第1湿式化学処理ステーションとして配置され、第2の第1テクスチャエッチングステーションが更に後方の製造ライン位置に配置されている。これにより、テクスチャリングのための製造ラインセクションの簡略化が達成される。
【0013】
更なる態様において、本発明は、本発明に係る方法を使用して製造されたソーラーウェハで製造されたソーラーセルに関する。完成したソーラーセルにおいて、異なるサイズを有するピラミッド状部分は、ソーラーセルの製造時に、本発明に係る方法を使用することによって生じる。大ピラミッド状部分の先端でのみ搬送装置と接触する小さな表面は、従来のテクスチャリング方法を使用する場合と比べて、より高い歩留まり、より高い効率、並びにより小さな製造コストをもたらす。これは、特にヘテロ接合ソーラーセル、即ち他のタイプのソーラーセルよりも製造時の不純物、搬送ダメージ、並びに摩耗の影響を受けやすいソーラーセルに当てはまる。
【0014】
ソーラーセルは、150μm未満の厚さを有することができる。本発明に係る方法は、例えば、120μm又は100μmの厚さを有する極めて薄いソーラーウェハに対応している。極めて薄いソーラーウェハの場合、本発明に係る方法の有利な効果は、より厚いウェハの場合よりも顕著である。なぜなら、より薄いウェハの場合、体積に対する表面の比率がより大きく、従ってより薄いウェハ上におけるよりクリーンでより規定された表面は、より厚いウェハ上におけるよりも大きな効果を発揮するからである。
【0015】
本発明の様々な選択肢は、当業者の判断で互いに組み合わせることができる。多くの組み合わせ及び構成を提示することは、当業者にとって有利であるというよりも逆に混乱させるであろう。順次に提示される偶然の選択肢は、本発明における必須の特徴であると誤解されるべきでないことに留意されたい。
【0016】
以下、本発明を、図面を参照しつつ更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】テクスチャリングされたソーラーウェハを製造するための従来の方法を示す説明図である。
【
図2】テクスチャリングされたソーラーウェハを製造するための本発明に係る方法を示す説明図である。
【
図3】ソーラーウェハのテクスチャリングされた表面部分を示す概略断面図である。
【
図4】テクスチャピラミッド状部分の例示的なサイズ分布を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、以下に説明する
図2における本発明に係る方法のための比較基準を提供するために、従来技術によるテクスチャリング方法100を示す。従来技術による方法100において、最初の方法ステップ101では、ソーイングダメージを有するソーラーウェハが提供される。次いで、方法ステップ102では、ウェハは、液体浴中で化学的に酸化され、その酸化は、後続のエッチングステップと相互作用する。すすぎ103に続いて、方法ステップ104では、20%のKOHを含む市販のソーイングダメージ用のエッチング浴で、ソーイングダメージの除去及び化学研磨が行われる。後続するステップ105では、すすぎが行われ、ステップ106では、テクスチャリングを準備するために酸化が行われる。更なるすすぎステップ107の後、テクスチャリング108が行われる。最後の方法ステップ109では、ウェハが最終的に処理され、特に、洗浄、すすぎ、乾燥が行われる。その結果、テクスチャリングされたソーラーウェハが完成し、その後のソーラーセルを製造するための中間製品として使用される。
【0019】
図2は、本発明に係る方法の例示的な実施形態を示す。最初の方法ステップ2ではソーイングダメージを有するソーイングされたウェハが提供される。方法ステップ2の直後に、大ピラミッド状部分が製造される第1テクスチャエッチングステップ3が行われる。図示の例示的な実施形態において、KOH濃度は3%である。KOH濃度が20%のエッチングダメージ除去浴が利用される標準的な方法と比べると、消費されるKOHの合計及びそれに対応するコストの45%が節約される。その後、すすぎステップ4、洗浄ステップ5、並びに更なるすすぎステップ6が行われる。図示の洗浄ステップ5では、オゾン及びHClを含む溶液が使用される。オゾンは酸素から低コストで製造可能であるため、この洗浄コストは極めて小さい。次いで、第2テクスチャエッチングステップ7では、大ピラミッド状部分11の仕上げ及び小ピラミッド状部分12の製造が行われる。方法ステップ8は、テクスチャリングされたソーラーウェハを製造するための本発明に係る方法の終了を表している。図示の例示的な実施形態では、最後の方法ステップ8は、すすぎサブステップ、洗浄サブステップ、更なるすすぎサブステップ、並びに乾燥サブステップを含む。他の例示的な実施形態では、最後の方法ステップ8は、修正されて行われる。最後の方法ステップ8の後、テクスチャリングされたソーラーウェハ10を製造するための本発明に係る方法1は終了する。
【0020】
図3は、本発明に従ってテクスチャリングされたソーラーウェハ10の2つの表面13のうちの一方における表面部分の断面を概略的に示す。この断面図では、大ピラミッド状部分11と小ピラミッド状部分12との間の異なるサイズに基づいて区別をすることができる。例えば、大ピラミッド状部分11は、6μmの高さを有し、殆どの小ピラミッド状部分12は2μmの高さを有する。
【0021】
図4は、異なるサイズのベース領域Aを有するピラミッド状部分を備えるソーラーウェハにおける表面占有の想定可能な確率Wの概要を示す。バーの大きさから、大きなベース領域Aを有する大ピラミッド状部分11は、小ピラミッド状部分12に比べて、ソーラーウェハの表面上における確率が低いことが分かる。図示の例示的な実施形態において、小ピラミッド状部分12は、ほぼ同じ大きさの小ピラミッド状部分のみならず、中ピラミッド状部分も含む。中ピラミッド状部分は十分に小さいため、大ピラミッド状部分11と共に搬送装置上に配置されたソーラーウェハの中ピラミッド状部分が搬送装置と接触することはない。従って、中ピラミッド状部分に摩耗が生じることはなく、これら中ピラミッド状部分は「小ピラミッド状部分12」のカテゴリに割り当てられている。
【符号の説明】
【0022】
1 少なくとも片面がテクスチャリングされたソーラーウェハの製造方法
2 最初の方法ステップ(ソーイングダメージを有するソーイング済みソーラーウェハの提供)
3 第1テクスチャエッチングステップ
4 すすぎステップ
5 洗浄ステップ
6 すすぎステップ
7 第2テクスチャエッチングステップ
8 最後の方法ステップ(その中間製品はテクスチャリングされたソーラーウェハ)
10 ソーラーウェハ
11 大ピラミッド状部分
12 小ピラミッド状部分
13 ソーラーウェハにおけるテクスチャリングされた表面
A テクスチャピラミッド状部分のソーラーウェハにおけるベース領域
W ピラミッド状部分のサイズが形成される確率
100 従来技術に係る方法
101 最初の方法ステップ(ソーイングダメージを有するソーイング済みソーラーウェハの提供)
102 酸化
103 すすぎ
104 ソーイングダメージの除去及び研磨
105 すすぎ
106 酸化
107 すすぎ
108 テクスチャリング
109 最後の方法ステップ
【国際調査報告】