(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】2(1H)-ピリジノン及びピロクトンオラミンを含むヘアケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20220713BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567846
(86)(22)【出願日】2020-05-04
(85)【翻訳文提出日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2020062230
(87)【国際公開番号】W WO2020229203
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/086898
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グオチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユードン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB082
4C083AC071
4C083AC102
4C083AC272
4C083AC641
4C083AC691
4C083AC711
4C083AC781
4C083AC851
4C083AC852
4C083BB01
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB07
4C083BB53
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083DD44
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE23
(57)【要約】
式(1)の化合物及び前記光不安定性フケ防止剤を含むヘアケア組成物であって、前記光不安定性フケ防止剤がピロクトンオラミンであるヘアケア組成物が開示される。2(1H)-ピリジノンである式(1)の化合物は、UV照射に曝露されるとピロクトンオラミンの分解生成物となる可能性があり、ピロクトンオラミンの安定性を改善することが明らかになっている。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アミド型A又はエノール型Bで存在し得る下記式1の化合物;
【化1】
(ii)光不安定性フケ防止剤;及び
(iii)美容上許容される担体
を含み、
前記光不安定性フケ防止剤がピロクトンオラミンである、ヘアケア組成物。
【請求項2】
前記光不安定性フケ防止剤対前記化合物の重量比が、1:0.1~1:10である、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項3】
前記光不安定性フケ防止剤の量が0.1~10重量%である、請求項1又は2に記載のヘアケア組成物。
【請求項4】
前記式1の化合物の量が0.01~10重量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項5】
界面活性剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤である、請求項5に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルサルフェート及び/又はアルコキシル化アルキルサルフェート界面活性剤である、請求項6に記載のヘアケア組成物。
【請求項8】
ベタイン界面活性剤を含む、請求項7に記載のヘアケア組成物。
【請求項9】
シャンプーである、請求項5~8のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
前記カチオン性界面活性剤が、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムクロリド又はステアリルトリメチルアンモニウムクロリドである、請求項9に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
0.5~10重量%の脂肪アルコールを含む、請求項10に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
ヘアコンディショナーである、請求項10又は11に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物をフケ上に適用する段階を含む、フケの非治療的処置方法。
【請求項14】
フケの処置又は低減で使用される、請求項1~12のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケア組成物に関する。詳細には、本発明は、ピロクトンオラミンを含むヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フケは、世界中の多くの人々が経験している状態である。フケの状態は、皮膚の剥離などの軽度の症状から、頭皮の重度の炎症及びかゆみまで多様である。癜風菌(Malassezia furfur)などのマラセチア酵母が、フケの主な原因であると一部の人は考えており、これはその状況の完全な科学像を表していない可能性があるが、マラセチア酵母はフケと密接に関連しているように思われる。したがって、フケの治療に従来使用されている戦略は、通常シャンプーを介して送達されるジンクピリチオン(ZnPTO)、ピロクトンオラミン、クリンバゾール及びケトコナゾールなどの抗真菌剤の局所適用である。
【0003】
ピロクトンオラミン(オクトピロックス(登録商標)としても知られている)は、真菌感染症の治療に多用される化合物である。ピロクトンオラミンは、ヒドロキサム酸誘導体であるピロクトンのエタノールアミン塩である。ピロクトンオラミンには抗真菌性があり、それによってピロクトンオラミンはフケの根本原因であるマラセチア・グロボサ(Malassezia globosa)と呼ばれる一般的に発生する真菌を制御するのに理想的となる。それは、一般的に使用される化合物ジンクピリチオンの代わりとして、フケ防止シャンプーで多用される。一般に、ピロクトンオラミンは、界面活性剤、水、シリコーン、ポリマー、及び着色成分及び香料成分を含むシャンプーの基本組成物に溶解される。使用者が組成物を髪と頭皮に適用すると、ピロクトンオラミンの一部の化合物がそれに沈着する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
沈着が多いほど生物学的利用能が高くなることから、一般に、フケ防止シャンプー又はコンディショナーの有効性は、頭皮及び髪に沈着した抗フケ活性物質の量によって決まる。しかしながら、ピロクトンオラミンは光不安定性であり、ピロクトンオラミンは紫外線と反応して不安定化する傾向があるため、沈着したピロクトンオラミンは生物学的に利用できないことがよく知られている。この不安定化は、UV光安定剤又は日焼け止めを使用することである程度回避できる。ピロクトンオラミンを「ブースター」技術と組み合わせることにより、ピロクトンオラミンの抗菌効果を高める努力もなされてきた。
【0005】
Spec-Chem Ind.からのピロクトンオラミンの紹介記述により、ピロクトンオラミンを含むヘアケア組成物、及びピロクトンオラミンのフケ防止及び抗菌効力が開示されている。
【0006】
Clariantからのフケ防止有効成分オクトピロックス(登録商標)の導入により、オクトピロックスが光の下で不安定であることが明らかになった。それによって、オクトピロックスを含む組成物及びオクトピロックスの製造についても明らかになっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ピロクトンオラミンなどの光不安定なフケ防止剤の光安定性の問題を改善する新しい方法を確認した。本発明者らは、ピロクトンオラミンとピロクトンオラミンの分解生成物の一つである新しい化合物を共製剤することで組成物とする場合、ピロクトンオラミンの光安定性を向上させることができることを確認した。ピロクトンオラミンは、紫外線に長時間曝されると分解する傾向がある。ピロクトンオラミンが分解すると、それはもはや効果を持たない。
【0008】
第1の態様によれば、
(i)アミド型A又はエノール型Bで存在し得る下記式1の化合物;
【化1】
(ii)光不安定性フケ防止剤;及び
(iii)美容上許容される担体
を含み、前記光不安定性フケ防止剤がピロクトンオラミンであるヘアケア組成物が開示される。
【0009】
第2の態様によれば、第1の態様の組成物をフケに適用する段階を含む、フケの非治療的処置方法が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
誤解を避けるために、本発明の1態様の任意の特徴を、本発明の他の任意の態様で利用することができる。「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「構成されている(composed of)」とは限らない。言い換えれば、列記された段階又は選択肢は網羅的である必要はない。留意すべき点として、下記の説明に記載されている例は、本発明を明確にすることを意図するものであり、本発明をそれらの例自体に限定することを意図していない。同様に、別断の断りがない限り、全てのパーセントは重量/重量パーセントである。動作例及び比較例を除いて、又は別断で明瞭に示されている場合を除き、材料の量又は反応条件、材料の物性、及び/又は使用を示す本説明及び特許請求の範囲における全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものと理解されるべきである。「xからyまで」の形式で表される数値範囲は、x及びyを含むものと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記述される場合、異なるエンドポイントを組み合わせた全ての範囲も想到されることは明らかである。本明細書に記載のように、不定冠詞「一つの(a)」又は「一つの(an)」及びそれに対応する定冠詞「その(the)」は、別段の指定がない限り、少なくとも一つ、又は1以上を意味する。上記の個々のセクションで言及されている本発明の各種特徴は、適宜に、必要な変更を加えて他のセクションに適用される。結果的に、あるセクションで指定された特徴は、適宜に他のセクションで指定された特徴と組み合わせることができる。セクションの見出しは便宜上加えられたものであり、いかなる形でも開示内容を限定する意図はない。
【0011】
本明細書で使用される「ヘアケア組成物」とは、哺乳動物、特にヒトの毛髪又は頭皮への局所適用のための組成物を含むことを意味する。局所とは、組成物が体の外面に適用されることを意味する。本発明において、これは、組成物を毛髪又は頭皮に適用することによって達成される。そのような組成物は、一般に、リーブオン又はリンスオフとして分類することができるものであり、頭皮及び毛髪の外観、クレンジング、臭気抑制又は全般的美容を改善するために適用される製品を含む。本発明のヘアケア組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ジェル、シャンプー、コンディショナー、シャワージェル又はバーの形態であることができると考えられる。本発明のヘアケア組成物は、好ましくは、リーブオン組成物である。あるいは、本発明のヘアケア組成物は、ウォッシュオフ組成物である。人体への取り込みによって所望の利益を達成するための組成物は、本発明の範囲から除外される。
【0012】
式1の化合物
本発明による組成物は、アミド形態A又はエノール形態Bで存在し得る式1の化合物を含む。
【化2】
【0013】
組成物のpHは、式1の化合物の構造に影響を与え得るものである。pHが7未満の場合、アミド形態が支配的であり、pHが7より大きい場合、エノール形態が支配的である。
【0014】
式1の化合物は、
i)ピロクトンオラミンを有機溶媒又は少なくとも一つの界面活性剤を含む水に溶解することにより、ピロクトンオラミンの溶液を調製する段階;
ii)前記溶液をUVチャンバー内で100mW~2000mWのUV光に0.5時間~8時間曝露して、ピロクトンオラミンの分解を引き起こして、前記ピロクトンオラミンの分解生成物を形成する段階;
iii)ピロクトンオラミンの前記分解生成物をクロマトグラフィー技術で分離して、前記式1の化合物を得る段階
を含む方法によって製造することができる。
【0015】
段階ii)において、前記溶液をUV放射下に曝露する時間は、UV照射の強度によって決まる。UV照射の強度は少なくとも100mWでなければならない。100mWの紫外線に曝露される場合、約8時間を要する。
【0016】
段階i)の有機溶媒はアルコールであることが好ましい。段階i)の有機溶媒は、メタノール又はエタノールであることがより好ましい。
【0017】
段階i)の界面活性剤水溶液は、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
【0018】
段階iii)で使用されるクロマトグラフィー技術は、分取LCカラムを用いる分取液体クロマトグラフィー(pre-LC)、又はカラムクロマトグラフィー、又は薄層クロマトグラフィー(TLC)から選択されることが好ましい。
【0019】
分解生成物を分離するのに使用される方法は、分取LCカラム(Shieido、20×250mm、5μm)を用いる分取液体クロマトグラフィー(pre-LC)であることが特に好ましい。好ましい方法を以下に説明する。
【0020】
カラムは、15mL/分(2回目の精製では5mL/分)の流量でメタノールと水で溶離する。溶離液は一連のサンプル管(15mL/管)に連続的に回収する。分取クロマトグラフィーで分離した後、各サンプル管の溶出液をHPLC-UVを用いて分析する。式1の化合物を含むことが確認された溶出液管を回収し、乾燥させて、式1の化合物を粉末形態で得る。
【0021】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、組成物の重量基準で0.01~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%、さらに好ましくは0.5~2.5重量%の量で式1の化合物を含む。
【0022】
光不安定性フケ防止剤
光不安定性とは、光分解、変色などの放射エネルギー及び特に紫外線の影響下で、薬剤が光化学反応を受けやすいことを意味する。それは、光安定性とは対照的に、光の存在下では不安定である。
【0023】
本発明による光不安定性フケ防止剤は、ピロクトンオラミンである。
【0024】
いくつかのフケ防止ヘアケア製品が、ピロクトンオラミンを含む。溶解した未修飾のピロクトンオラミン分子が、ピロクトンオラミンの唯一の生理活性型であることが認められている。ピロクトンオラミンを配合したヘアケア製品を使用すると、ピロクトンオラミンが解離し、光酸化を受け、それにより、生理活性物質の安定性が影響を受け、それによってそれのフケ防止効力が低下する。
【0025】
本発明の組成物中のピロクトンオラミンの量は、ヘアケア組成物の種類及び使用される他のフケ防止剤の正確な性質によって決まると考えられる。当該組成物が、その組成物の重量基準で0.1~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%、さらに好ましくは0.5~2重量%の前記光不安定性フケ防止剤を含むことが好ましい。
【0026】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、式1の化合物が、それの化学構造のためにUV照射光と反応して、ピロクトンオラミンなどの光不安定性フケ防止剤の不安定化を防止又は低減できると考えている。したがって、式1の化合物が組成物に多く含まれるほど、光不安定性フケ防止剤がより安定になると考えられている。光不安定性フケ防止剤対式1の化合物の重量比は、好ましくは1:0.1~1:10、より好ましくは1:0.5~1:5、さらに好ましくは1:1~1:3である。
【0027】
ヘアケア組成物
本発明のさらなる態様によれば、第1の態様のヘアケア組成物が開示される。好ましくは、当該組成物は、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアジェル、ヘアセラム、ムース又はヘアオイルである。より好ましくは、当該組成物はシャンプー組成物である。
【0028】
フケ防止剤は、フケに対して活性であり、代表的には抗菌剤、好ましくは抗真菌剤である化合物である。フケ防止剤は、代表的には、マラセチアに対して約50mg/mL以下の最小阻害濃度を示す。
【0029】
光不安定性であるフケ防止剤に加えて、本発明によるヘアケア組成物はまた、含まれるものとは異なる遊離の追加のフケ防止剤を含み得る。存在するときはいつでも、本発明のヘアケア組成物は、好ましくは、0.5~5重量%の追加のフケ防止剤を含む。
【0030】
前記追加のフケ防止剤は、好ましくは、アゾール類、硫化セレン、サリチル酸、及びそれらの組み合わせから選択される。アゾール類には、ケトコナゾール及びクリンバゾール、好ましくはクリンバゾールなどがある。
【0031】
本発明の組成物、特にシャンプーは、好ましくはアニオン性界面活性剤、例えば硫酸アルキル及び/又はアルコキシル化硫酸アルキル界面活性剤とともに製剤する。これらのアニオン性界面活性剤は、好ましくは、組成物の2~16重量%、より好ましくは3~16重量%のレベルで存在する。好ましい硫酸アルキルは、C8-18硫酸アルキル、より好ましくはC12-18硫酸アルキルであり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶化カチオンとの塩の形態である。例としては、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)がある。
【0032】
好ましいアルキルエーテルサルフェートは、式:RO(CH2CH2O)nSO3Mを有するものである。
【0033】
式中、Rは、8~18(好ましくは12~18)の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルであり;nは、少なくとも0.5より大きく、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均値を有する数であり;Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである。例として、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)がある。
【0034】
好ましいアルコキシル化硫酸アルキルアニオン性界面活性剤は、0.5~3、好ましくは1~3の平均エトキシル化度を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0035】
本発明による組成物は、任意に及び好ましくは、ベタイン界面活性剤をさらに含む。好ましい実施形態では、当該組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~5重量%のベタイン界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン、例えばコカミドプロピルベタインを含む。
【0036】
好ましくは、シャンプーの形態の本発明のヘアケア組成物は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム及びラウリルエーテルカルボン酸、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム又はそれらの混合物である界面活性剤を含む。
【0037】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、1~50%、好ましくは2~40%、より好ましくは4~25%の総界面活性剤を含む。
【0038】
ヘアコンディショニング組成物は、単独で又は混合して使用されるカチオン性界面活性剤から選択されるコンディショニング界面活性剤を含む。好ましくは、当該カチオン性界面活性剤は、式N+R1R2R3R4を有し、R1、R2、R3及びR4は独立に(C1~C30)アルキル又はベンジルである。好ましくは、R1、R2、R3及びR4のうちの一つ、二つ又は三つが独立に(C4~C30)アルキルであり、他のR1、R2、R3及びR4基又は複数の基は(C1~C6)アルキル又はベンジルである。より好ましくは、R1、R2、R3及びR4のうちの一つ又は二つが独立して(C6~C30)アルキルであり、他のR1、R2、R3及びR4基は(C1~C6)アルキル又はベンジル基である。任意に、アルキル基は、アルキル鎖内に1以上のエステル(-OCO-又は-COO-)及び/又はエーテル(-O-)連結を含むことができる。アルキル基は、任意に、1以上のヒドロキシル基で置換されていても良い。アルキル基は、直鎖又は分枝状、そして3以上の炭素原子を有するアルキル基については、環状であり得る。アルキル基は飽和していても良く、又は1以上の炭素-炭素二重結合(例えば、オレイル)を含んでいても良い。アルキル基は、1以上のエチレンオキシ基を有するアルキル鎖上でエトキシル化されていても良い。
【0039】
本発明によるコンディショナー組成物での使用に好適なカチオン性界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド、二水素化タロウジメチルアンモニウムクロリド(例えば、Akzo NobelのArquad2HT/75)、ココトリメチルアンモニウムクロリド、PEG-2-オレアンモニウムクロリド及びそれらの相当する水酸化物などがある。さらなる好適なカチオン性界面活性剤には、CTFA呼称がQuaternium-5、Quaternium-31、及びQuaternium-18を有する材料などがある。前述の材料のいずれかの混合物も好適であり得る。本発明によるコンディショナーでの使用のための特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、Hoechst CelaneseからGENAMIN CTACとして市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明によるコンディショナーでの使用するための別の特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えばクラリアントからGENAMIN KDMPとして市販されているベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。さらに別の好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0040】
組成物で使用するのに最も好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムクロリド、又はステアリルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明のコンディショナーにおいて、カチオン性界面活性剤のレベルは、一般に、組成物の0.1~5重量%、好ましくは0.5~2.5重量%の範囲である。
【0041】
本発明のヘアコンディショニング組成物はまた、好ましくは、脂肪アルコールをさらに含み得る。コンディショニング組成物における脂肪アルコール及びカチオン性界面活性剤の併用が、カチオン性界面活性剤が分散されるラメラ相の形成をもたらすので、特に有利であると考えられている。
【0042】
代表的な脂肪アルコールは、8~22個の炭素原子、より好ましくは16~22個の炭素原子を含む。脂肪アルコールは、代表的には、直鎖アルキル基を含む化合物である。好適な脂肪アルコールの例には、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物などがある。これらの材料の使用はまた、それらが本発明の組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点で有利である。
【0043】
本発明のコンディショナー中の脂肪アルコールのレベルは、一般に、組成物の0.5~10重量%、好ましくは0.1~8%、より好ましくは0.2~7重量%、最も好ましくは0.3~6重量%の範囲である。カチオン性界面活性剤対脂肪アルコールの重量比は、好適には1:1~1:10、より好ましくは1:1.5~1:8、最適には1:2~1:5である。
【0044】
本発明のヘアケア組成物が化粧品成分を含むことがさらに好ましい。好ましくは、化粧品成分は、シリコーン、フケ防止剤以外の抗菌剤、起泡力増進剤、香料、カプセル化物(例えば、カプセル化芳香剤)、色素、着色剤、顔料、防腐剤、増粘剤、タンパク質、リン酸エステル、緩衝剤、pH調節剤、真珠光沢剤(例えば、マイカ、二酸化チタン、二酸化チタンでコーティングされたマイカ、エチレングリコールジステアレート(INCIグリコールジステアレート)及び/又は乳白剤、粘度調整剤、皮膚軟化剤、日焼け止め、乳化剤、感覚惹起活性物質(例えば、メントール及びメントール誘導体)、ビタミン類、鉱油、エッセンシャルオイル、脂質、天然活性物質、グリセリン、天然毛髪栄養素、例えば植物抽出物、果実抽出物、砂糖誘導体及びアミノ酸、微結晶性セルロース及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、全組成物の重量基準で0.01~20重量%の少なくとも一つの化粧品成分、より好ましくは0.05~10重量%、さらにより好ましくは0.075~7.5重量%、最も好ましくは0.1~5重量%の少なくとも一つの化粧品成分を含む。
【0046】
本発明のヘアケア組成物はまた、それの特性を強化し、癜風菌(Malassezia furfur)の増殖をさらに阻害するために、フケ防止活性物質(例えば、ピロクトンオラミン)と組み合わせて使用される場合に相乗的抗菌効果を与える相乗的抗菌化合物を含むことができる。これらの化合物の非限定的な例には、アルコール基を有する化合物(例えば、ホノキオール、マグノロール又はペオノール)、ピペラジン類、及び天然植物抽出物に見られるフェノール系化合物、例えばチモールとテルペニオールなどがある。
【0047】
当該組成物は、ビタミンB3化合物をさらに含み得る。好ましいビタミンB3化合物はナイアシンアミドである。
【0048】
ナイアシンアミドは、ケラチノサイトからのAMP(抗菌タンパク質)の分泌で知られている。そうして分泌されたAMPは、例えば、頭皮の免疫力を高める。したがって、ナイアシンアミドを使用すると、抗真菌活性によるだけでなく、ナイアシンアミドの使用による頭皮自体の細菌に対する保護遮蔽を強化することにより、フケ防止効果を高めることができる。この組み合わせは、さらに長期保護、例えば細菌に対する最長24時間の保護を提供することができると考えられる。
【0049】
存在する場合、本発明のヘアケア組成物は、組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.5~5重量%、さらに好ましくは0.5~3重量%、最適には1.0~3.0重量%のナイアシンアミドを含むことが好ましい。
【0050】
シリコーン
本発明のヘアケア組成物はシリコーンを含むことが好ましい。
【0051】
例えば、本発明の組成物は、コンディショニング性能を高めるためにシリコーンコンディショニング剤の乳化液滴を含み得る。
【0052】
好適なシリコーンには、ポリジオルガノシロキサン類、CTFA名称がジメチコンであるポリジメチルシロキサンなどがある。さらに、本発明の組成物(特にシャンプー及びコンディショナー)での使用に適しているのは、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンであり、これは、CTFA名称ジメチコノールを有する。
【0053】
好ましくは、乳化シリコーンの粘度は、25℃で少なくとも10,000cstであり、そのシリコーンの粘度は、好ましくは少なくとも60,000cst、最も好ましくは少なくとも500,000cst、理想的には少なくとも10,000,000cstである。好ましくは、製剤を容易にするために、粘度は109cstを超えない。
【0054】
適切なプレフォーム乳濁液の例には、Xiameter MEM1785及びDow Corningから入手可能なマイクロ乳濁液DC2-1865などがある。これらは、ジメチコノールの乳濁液/マイクロ乳濁液である。架橋シリコーンガムは、プレ乳化形態でも入手可能であり、それは、製剤を容易にする上で有利である。シャンプー及びコンディショナーに含めるのにさらに好ましい種類のシリコーンは、アミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」とは、少なくとも一つの一級、二級又は三級アミン基、又は四級アンモニウム基を含むシリコーンを意味する。好適なアミノ官能性シリコーンの例には、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンなどがある。
【0055】
本発明での使用に適したアミノ官能性シリコーンの具体例は、アミノシリコーンオイルDC2-8220、DC2-8166及びDC2-8566(すべてDow Corningから)である。
【0056】
シリコーンの総量は、0.01~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%、最も好ましくは0.5~3重量%であることが好ましい。
【0057】
シャンプー
本発明のヘアケア組成物がシャンプーである場合、それは一般に水性である、すなわちそれらはそれらの主成分として水又は水溶液又はリオトロピック液晶相を有する。
【0058】
好適には、そのシャンプー組成物は、50~98%、好ましくは60~92%の水を含む。
【0059】
好ましくは、当該シャンプー組成物は、毛髪をコンディショニングするための1以上のカチオン性ポリマーを含む。
【0060】
好適なカチオン性ポリマーには、カチオン的に置換されているか、2以上の種類のモノマーから形成され得るホモポリマーなどがある。ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、一般に100000~300万ダルトンである。そのポリマーは、四級アンモニウム又はプロトン化アミノ基などのカチオン性窒素含有基、又はそれらの混合物を有するであろう。ポリマーの分子量が低すぎると、コンディショニング効果が低下する。高すぎると、伸長粘度が高くなり、注がれたときに組成物が糸状になるという問題が生じる可能性がある。
【0061】
カチオン性窒素含有基は、一般に、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部の置換基として存在するであろう。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、それはスペーサーの非カチオン性モノマー単位を含むことができる。そのようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory, 3rd editionに記載されている。カチオン性モノマー単位の非カチオン性モノマー単位に対する比率は、一般に0.2~3.0meq/gmである必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーを与えるように選択される。ポリマーのカチオン電荷密度は、窒素測定のための化学試験下で米国薬局方に記載されているケルダール法を介して好適に測定される。
【0062】
適切なカチオン性ポリマーには、カチオン性アミン又は四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、(メタ)アクリルアミド、アルキル及びジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトン及びビニルピロリジンなどの水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーなどがある。アルキル及びジアルキル置換されたモノマーは、好ましくはC1~C7アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基を有する。他の適切なスペーサーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールなどがある。
カチオン性アミンは、特定の化学種及び組成物のpHに応じて、一級、二級又は三級アミンであり得る。一般に、二級及び三級アミン、特に三級アミンが好ましい。
【0063】
アミン置換ビニルモノマー及びアミンを、アミンの形で重合し、次に四級化によってアンモニウムに変換することができる。
【0064】
カチオン性ポリマーは、アミン及び/又は第四級アンモニウム置換モノマー及び/又は適合性スペーサーモノマーに由来するモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0065】
好適な(非限定的な例)カチオン性ポリマーには、
-カチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー、及びアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(業界(CTFA)ではそれぞれポリクオタニウム6及びポリクオタニウム7と呼ばれる);
-3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモ及びコポリマーのアミノ-アルキルエステルの鉱酸塩(米国特許第4,009,256号に記載);
-カチオン性ポリアクリルアミド(WO95/2231に記載)
などがある。
【0066】
使用できる他のカチオン性ポリマーには、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、及びカチオン性グアーガム誘導体などのカチオン性多糖ポリマーなどがある。
【0067】
使用できる特に好適な種類のカチオン性多糖ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(RhodiaからそれのJAGUAR商標シリーズで市販)などのカチオン性グアーガム誘導体である。このような材料の例は、JAGUAR C13S、JAGUAR C14、及びJAGUAR C17である。
【0068】
上記のカチオン性ポリマーのいずれかの混合物を使用することができる。
【0069】
本発明のヘアケア組成物は、0.01~5%、好ましくは0.02~1%、より好ましくは0.05~0.8%のカチオン性ポリマーを含むことが好ましい。
【0070】
本発明のヘアケア組成物は、平均分子量(Mw)が100万~220万g/molであり、カチオン置換度が0.13~0.3であるカチオン性ポリガラクトマンナンであるカチオン性沈着ポリマーをさらに含むことができる。
【0071】
ポリガラクトマンナンは、主にガラクトース単位及びマンノース単位で構成される多糖類であり、通常、グアー、イナゴマメ、アメリカサイカチ、ゴウシュウアオギリ、及びマメ科の他のメンバーなどのマメ科植物からの種子の胚乳材料に含まれている。ポリガラクトマンナンは、ポリマー骨格におけるマンノピラノース残基の6番目の炭素原子からの反復1→6連結α-D-ガラクトシル側基(ガラクトシド単位又は残基とも称される)分岐を有する1→4連結β-D-マンノピラノシル主鎖単位(マンノシド単位又は残基とも称される)の骨格で構成されている。異なるマメ科種のポリガラクトマンナンは、ポリマンノシド骨格から分岐するガラクトシド側鎖単位の発生頻度が互いに異なる。マンノシド単位及びガラクトシド単位は、本明細書では一般にグリコシド単位又は残基と称される。グアーガム(以下「グアー」と称される)に含まれるポリガラクトマンナンにおけるマンノシド単位対ガラクトシド単位の平均比は約2:1である。
【0072】
好適なカチオン性ポリガラクトマンナンには、1以上の誘導体化剤との化学反応によってカチオン的に修飾されたグアー及びヒドロキシアルキルグアー(例えば、ヒドロキシエチルグアー又はヒドロキシプロピルグアー)などがある。
【0073】
代表的な組成物において、カチオン性ポリガラクトマンナンの量は、一般に、組成物の約0.05~1重量%、好ましくは0.1~0.8重量%、より好ましくは0.2~0.6重量%の範囲である。
【0074】
本発明のヘアケア組成物は、カルボン酸ポリマーなどのアニオン性ポリマーレオロジー調整剤をさらに含み得る。
【0075】
本発明の文脈における「カルボン酸ポリマー」という用語は、一般に、ペンダントカルボン酸基を含むエチレン性不飽和モノマー(以下、「カルボン酸モノマー」と称する)の重合から得られるホモポリマー又はコポリマーを示す。
【0076】
好適なカルボン酸モノマーは、一般に、一つ又は二つのカルボン酸基、一つの炭素-炭素二重結合を有し、合計で3~約10個の炭素原子、より好ましくは3~約5個の炭素原子を含む。
【0077】
適切なカルボン酸モノマーの具体例には、アクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸などのα,β-不飽和モノカルボン酸;及びイタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸などのα,β-不飽和ジカルボン酸などがある。上記のα,β-不飽和モノ-又はジカルボン酸の塩、エステル又は無水物も使用することができる。例としては、α,β-不飽和ジカルボン酸のフマル酸モノメチルなどのC1-4アルカノールとのハーフエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸などのα,β-不飽和ジカルボン酸の環状無水物;及びアクリル酸若しくはメタクリル酸のアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヘキサデシル及びアクリル酸オクタデシルなどのC1-30アルカノールとのエステルなどがある。
【0078】
必要に応じて、他のエチレン性不飽和モノマーをカルボン酸ポリマー骨格に共重合させることができる。そのような他のエチレン性不飽和モノマーの例には、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル及びそれらの混合物などがある。カルボン酸ポリマーは、好ましくは、少なくとも100万ダルトンの分子量を有し得る。
【0079】
好適な例には、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物から選択される1以上のコモノマーとC1-4アルキルアクリレート又はメタクリレート(例えば、アクリル酸エチル)から重合された架橋コポリマーなどがある。そのような材料は、一般に、アクリル酸コポリマーのINCI名で呼ばれることがある。市販品の例には、Rohm and HaasからのAculyn(登録商標)33などがある。
【0080】
アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのそれぞれのC1-4アルキルエステルから選択される1以上のコモノマーとアクリル酸又はメタクリル酸のC10-30アルキルエステルから重合された架橋コポリマーも適切である。このような材料は、一般に、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーのINCI名で呼ぶことができる。市販品の例には、Lubrizol Advanced MaterialsからのCarbopol(登録商標)ポリマー1342及び1382などがある。
【0081】
アクリル酸若しくはメタクリル酸とアルキルアクリレート及びエトキシル化疎水性修飾アルキルアクリレートとの架橋されていても良いコポリマーも好適である。そのような材料は、一般に、アクリレート/Steareth-20メタクリレートコポリマー、アクリレート/Beheneth-25メタクリレートコポリマー、アクリレート/Steareth-20メタクリレートクロスポリマー及びアクリレート/Palmeth-25メタクリレートコポリマーのINCI名で呼ばれ得る。市販品の例としては、Rohm & HaasからのAculyn(登録商標)22、28若しくは88、及び3V SigmaからのSynthalen(登録商標)などがある。
【0082】
カルボン酸が、ペンタエリスリトールのアリルエーテル又はスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーなどのカルボマーであることが好ましい。
【0083】
前述の材料のいずれかの混合物を使用することもできる。
【0084】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、組成物の0.1~3.0重量%、より好ましくは0.4~1.5重量%のカルボン酸ポリマーを含む。
【0085】
上記のカルボン酸ポリマーなどのアニオン性ポリマーレオロジー調整剤を含む製剤では、無機又は有機塩基を加えることで遊離カルボキシル基の少なくとも一部を中和することが必要な場合が多い。適切な無機又は有機塩基の例には、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム又はカリウム)、炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン及びそれらの混合物などがある。
【0086】
本発明のヘアケア組成物はまた、1以上のノニオン性セルロースエーテルから選択されるノニオン性ポリマーレオロジー調整剤を含むことができる。
好適なノニオン性セルロースエーテル、又は本発明におけるノニオン性ポリマーレオロジー調整剤としての使用には、(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えばメチルセルロース及びエチルセルロース;ヒドロキシ(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えばヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース;混合ヒドロキシ(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えばヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース;及び(C1-3アルキル)ヒドロキシ(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えばヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどがある。
【0087】
本発明におけるノニオン性ポリマーレオロジー調整剤として使用するための好ましいノニオン性セルロースエーテルは、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ノニオン性セルロースエーテルである。この文脈における「水溶性」という用語は、25℃及び1気圧の蒸留水100グラム中少なくとも1グラム、より好ましくは少なくとも3グラム、最も好ましくは少なくとも5グラムの水への溶解度を示す。このレベルは、巨視的に等方性又は透明、着色若しくは無色の溶液の生成を示している。
【0088】
メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースは、METHOCEL(登録商標)商標シリーズとしてDow Chemicalから多くの粘度グレードで市販されている。
【0089】
ノニオン性セルロースエーテルの混合物も好適であり得る。本発明による代表的な組成物において、ノニオン性セルロースエーテルのレベルは、一般に、組成物の総重量基準で、約0.01~約2.0重量%の範囲、好ましくは0.1~0.5重量%、より好ましくは0.1~0.3重量%の範囲である。
【0090】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、0.1~0.3重量%のノニオン性セルロースエーテルを含む。
【0091】
本発明のヘアケア組成物は、性能及び/又は消費者許容性を高めるために、さらなる任意成分を含み得る。このような成分の例には、香料、色素及び顔料、並びに防腐剤などがある。これらの成分のそれぞれは、その目的を達成するのに効果的な量で存在する。概して、これらの任意成分は、組成物の総重量基準で最大5重量%のレベルで個別に含まれる。
【0092】
方法及び使用
本発明はまた、フケを治療する非治療的方法であって、第1の態様の組成物をその上に適用する段階を含む方法を提供する。好ましくは、それは美容目的のためである。
【0093】
本発明はまた、フケを治療するための第1の態様の組成物の使用を提供する。1態様では、使用は性質上非治療的であり、好ましくは性質上美容的である。
【0094】
使用のモード
本発明のヘアケア組成物は、主に、毛髪及び頭皮への局所適用を意図するものである。
【0095】
組成物がシャンプーである場合、それは髪に局所的に適用され、次に髪及び頭皮にマッサージされる。次に、髪を水ですすいでから、乾燥させる。適用後1~10時間にわたりリーブオンヘアケア組成物であるヘアオイル又はヘアセラムを放置してから、洗い流す。
【0096】
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明するが、引用されるすべてのパーセンテージは、別断の断りがない限り、総重量に基づく重量基準である。
【0097】
これらの実施例は本発明を説明することを意図したものであり、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0098】
実施例1
式1の化合物の製造
実験で使用した式1の化合物は、下記の材料、方法及び手順を使用して製造した。
【0099】
UV処理:
オクトピロックス(登録商標)0.05gを透明なガラスバイアル中でメタノール10mLに溶かした。UV照射を、X-Rite(登録商標)(Macbeth) Spectra Light IIIチャンバで実施した。UVA光及びUVB光の両方を提供するUV照射のため、UVモードを選択した。UV光はUVX放射計(UVX-36、E24195、UVP)によってテストし、強度はUVAでは250μw/cm2、UVBでは110μw/cm2と推算された。チャンバ温度は室温(20±2℃)と同じであった。サンプルは、チャンバの中心に近い一列に配置した。6時間後、サンプルをロータリーエバポレータで濃縮した。
【0100】
分離:
式1の化合物のUV光への曝露時にそうして形成されたUV分解生成物の混合物を、最初に、ロータリーエバポレータによって濃縮した。分離は、シリカゲル(200~300メッシュサイズ)60gを充填したシリカゲルカラム(2×48cm、V=150mL)を使用して行った。シリカゲルカラムを活性化し、石油エーテル/酢酸エチル(2/1、体積基準)でバランスを取った。シリカゲルカラムに加えた後、UV分解生成物の濃縮混合物を、6mL/分の速度での勾配溶離によって分離した。次に、ロータリーエバポレータで溶媒を留去することにより、本発明の化合物を回収した。
【0101】
元素分析、IR、MS、及びNMR分析を用いて、化合物の化学構造を確認した。それは下記の通りであった。
【化3】
【0102】
pHが7未満の場合はアミド型が優勢であり、pHが7を超える場合はエノール型が優勢である。
【0103】
ヘアケア組成物の調製
表1に示されるオクトピロックス(登録商標)及び本発明内の化合物の具体的な組み合わせを有する以下の組成物を調製した。組成物のpHは、それぞれ、ギ酸又はアンモニアのいずれかを加えることによって調節した。
【0104】
【0105】
上記の表1に示される組成物/成分について、長時間にわたるUV光曝露後のヘアケア組成物中のオクトピロックス(登録商標)の残留量の推算値を与える実験を行った。オクトピロックス(登録商標)の%平均残留量は、以下に説明するイン・ビトロモデルを用いて測定した。
【0106】
組成物のUV安定性を求めるための試験
試験条件を以下で説明する。
【0107】
UV照射は、X-Rite(Macbeth Spectra Light III)チャンバ内で行った。UVA光及びUVB光の両方を提供するUV照射のため、UVモードを選択した。UV光はUVX放射計(UVX-36、E24195、UVP)によって調べ、強度はUVAでは250μw/cm2、UVBでは110μw/cm2と推算した。チャンバ温度は室温(20±2℃)と同じであった。サンプルは、チャンバの中心に近い一列に配置した。
【0108】
手順
各サンプルを37℃で120分間のUVキャビネット(Macbeth SpectraLight III)曝露下に置き、UPLC-UV分析によるオクトピロックス(登録商標)の分析のために液体クロマトグラフィーサンプルバイアルに移し入れた。
【0109】
サンプル分析にはWaters(登録商標)ACQUITY超高速液体クロマトグラフィー(Waters, Manchester, UK)を使用した。機器制御とデータ取得には、MassLynxソフトウェア(バージョン4.1)を用いた。分離は、Waters Acquity UPLC BEHC18カラム(2.1×50mm、粒径1.7μm)で行った。移動相AはDI水中の0.1%ギ酸からなり、移動相Bはアセトニトリル中の0.1%ギ酸からなり、勾配モードでプログラムした。サンプルは、吸収波長302nmでPDA検出器によって測定した。
【0110】
【0111】
(1)二つの読取り値の平均を示す。
(2)SDは、平均残留%の標準偏差である。
(3)化合物は、式1の化合物を意味する。
【0112】
表2に含まれるデータは、本発明に含まれない相当する例(式1の化合物を含まない組成物A及びB)と比較して、実験時に本発明による組成物を用いる(組成物1~6)場合に、ピロクトンオラミンの安定性が顕著に改善されることを明瞭に示している。データはさらに、ピロクトンオラミンなどの光不安定なフケ防止剤のUV安定性改善における式1の化合物の役割がこのたび実証されたことを示している。データはまた、式1の化合物のアミド形態又はエノール形態のいずれかが、光不安定性フケ防止剤のUV安定性を改善するのに有効であることを示している。
【0113】
クールホワイト光の下でのオクトピロックス(登録商標)の分解
クールホワイト光処理:
クールホワイト光(CWL)照射は、X-Rite(Macbeth) Spectra Light IIIチャンバ内で行った。室内光を模倣した安定照射を提供するCWLモードを選択した。光の強度は固定されており、UVAでは6μw/cm2、UVBでは1.5μw/cm2と推算された。チャンバー温度は室温(20±2℃)と同じであった。サンプルはチャンバーの中心近くに一列に並べた。24時間後、サンプルをDPS誘導体化後のUPLC-UV分析を使用して定量的に測定される、LCMS(Quatro Micro MSと組み合わせたWater UPLC)によって分析した。
【0114】
分離はUPLC BEH C18カラムで行い、移動相は定組成溶離液中のアセトニトリル/水(60/40、0.1%ギ酸)であった。MS走査には、ポジティブモードでのエレクトロスプレーイオン化を用いた。
【0115】
オクトピロックス(登録商標)の量が減少することが認められることから、それはオクトピロックス(登録商標)の分解がクールホワイト光下で起こっていることを示している。しかしながら、分解生成物中で検出できる式1の化合物はない。オクトピロックス(登録商標)をクールホワイト光(屋内光)に長時間さらした後は、式1の化合物は全くないと結論付けることができる。式1の化合物の製造は、十分な時間にわたる強いUV放射下でのオクトピロックス(登録商標)の曝露を必要とし、それはオクトピロックス(登録商標)の保存条件とは異なるものである。
【国際調査報告】