IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ペンタベース エーピーエスの特許一覧

特表2022-533088変異体核酸を検出するための融解温度法、キットおよびレポータオリゴ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】変異体核酸を検出するための融解温度法、キットおよびレポータオリゴ
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20220713BHJP
   C12Q 1/6816 20180101ALI20220713BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20220713BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20220713BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALI20220713BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220713BHJP
   C12N 15/01 20060101ALI20220713BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12Q1/6816 ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6827 Z
C12Q1/6883 Z
C12N15/12
C12N15/01 Z
C12Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567881
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2020063269
(87)【国際公開番号】W WO2020229510
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】19174084.4
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521493329
【氏名又は名称】ペンタベース エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ベンディクセン,カミラ コールディング
(72)【発明者】
【氏名】エリクセン,サラ クロンボーグ
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,エメリ エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,ウルフ ベック
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン,ラスムス コーフォード
(72)【発明者】
【氏名】マドセン,セシリエ リンド
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ28
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS32
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、目的のヌクレオチドを含む標的核酸配列中の変異体配列の存在を検出するための、特にマイクロサテライト不安定性を検出するための、融解分析に基づく方法に関する。方法は、フルオロフォアおよびクエンチャーを有するレポータオリゴヌクレオチドとしてプローブを使用し、ヌクレオチド配列は、疎水性インカレーティング残基を有するヌクレオチドを含む。また、薬剤の有効性を決定するための、および個体における臨床的障害の存在を予測するための方法、ならびにその方法を実行するためのレポータオリゴヌクレオチドおよびキットも開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの鎖からなり好ましくはリピートを含む目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列中の変異体配列の存在を検出するための方法であって、前記標的核酸配列が、変異体配列または参照配列からなり、以下の工程:
a)前記変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1試料を準備する工程;
b)前記参照配列を含む核酸を含む第2試料を準備する工程であって、第2試料が、参照試料である、工程;
c)レポータオリゴヌクレオチドを準備する工程;
d)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットを準備する工程であって、プライマのセットが一緒に、NOIを含む標的核酸配列を増幅できる、工程;
e)前記第1試料、前記第1プライマおよび前記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅する、それにより変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1アンプリコンを得る工程;ならびに前記第2試料、前記第1プライマおよび前記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅する、それにより参照配列を含む第2アンプリコンを得る工程であって、第2アンプリコンが、参照アンプリコンである、工程;
f)第1アンプリコンの高分解能融解(HRM)分析などの、融解分析を実行する、それにより第1融解曲線により特徴づけられる第1プロファイルを得る工程、ならびに第2アンプリコンのHRM分析などの、融解分析を実行する、それにより第2融解曲線により特徴づけられる、第2プロファイルを得る工程であって、第2プロファイルが、参照融解曲線により特徴づけられる参照プロファイルである、工程(各アンプリコンは、第1鎖および第2鎖を含み、融解分析は、各アンプリコンの1つの鎖へのレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、フルオロフォアにより放出される信号の検出、ならびに第1および第2融解曲線を得ることを含む);
(レポータオリゴヌクレオチドは、その中に2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入されている、10~50個の範囲、好ましくは15~50個の範囲のヌクレオチドの配列である、
レポータオリゴヌクレオチドは、好ましくはその5’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含む、ならびに
レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む、
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、かつハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第2鎖の配列の連続ストレッチと相補的である、
ならびにレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は、反復配列およびその5’末端でのおよび/またはその3’末端での少なくとも1つのヘルパー配列を含むかそれらからなり、前記ヘルパー配列は、リピートを含まず、かつハイブリダイゼーション配列がそれにハイブリダイズされる場合第1および第2アンプリコンにハイブリダイズできる);ならびに
g)第1プロファイルを参照プロファイルと比較する工程であって、第1プロファイルおよび参照プロファイルの間の差異が、第1試料が変異体配列を含むことを示唆する、工程
を含む、方法。
【請求項2】
工程g)が、以下の工程:
i)温度軸に沿って所与の蛍光強度で第1および第2の融解曲線を整列させる、それにより第1融解曲線および第2融解曲線の間の融解温度における差異を無効にする工程;
ii)第1および第2融解曲線の間のフルオロフォアにより放出された信号における差異を決定する工程であって、好ましくは差異が、数値差である、工程;ならびに、
iii)閾値に対しii)で決定された差異を比較する工程であって、閾値よりも大きい差異が、第1試料が変異体配列を含むことを示唆しかつ閾値よりも小さい差異は、第1試料が参照配列を含むことを示唆する、工程
を含むかそれらからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
参照配列が、15ヌクレオチドまたはそれより多い、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30ヌクレオチドまたはそれより多いなどの長さを有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
レポータオリゴヌクレオチドが、反復配列およびその5’末端またはその3’末端での1つのみのヘルパー配列からなるかレポータオリゴヌクレオチドが、反復配列およびレポータオリゴヌクレオチドの5’末端および3’末端の両方での1つのヘルパー配列などの、2つのヘルパー配列からなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドが、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドが、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドが、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格中に組み込まれ得るヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、前記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位と前記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ヘルパー配列が、1~20ヌクレオチド、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20ヌクレオチドなどを含むかそれらからなる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ヘルパー配列が、請求項3で定義されるような少なくとも1つの疎水性オリゴヌクレオチドを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
1、2、または3個の疎水性ヌクレオチドなどの、請求項3で定義されるような少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドが、3’末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド内などの、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端から1~10ヌクレオチド内に挿入される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1、2、または3個の疎水性ヌクレオチドなどの、請求項3で定義されるような少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドが、5’末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド内などの、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端から1~10ヌクレオチド内に挿入される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程e)での増幅が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、好ましくは第1および第2プライマが異なる量で与えられる非対称PCRにより実行され、それにより各アンプリコンの他の鎖よりも各アンプリコンの1つの鎖をより多く増幅するようにPCRを指示する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第1試料が、癌などの、疾患、または障害、好ましくはマイクロサテライト不安定性に関連する障害を患っているか患っている疑いがある個体から単離されており、好ましくは癌が、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
NOIが、n個のヌクレオチドの全長を有するM個のタンデムリピートのマイクロサテライト配列などの、マイクロサテライトであり、かつ変異体配列が、n’個のヌクレオチドの全長を有するM’個のタンデムリピートを有し、MおよびM’が、異なる整数である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
nが、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50またはそれより大きいなどの、15以上である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列Hの長さが、n”であり、n”≧n+1であり、好ましくはn”≧n+1またはn”≧n+2である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
n”が、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれより大きいなどの、25、30、35、40、45、50またはそれより大きいなどの、16以上である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1試料が、前記疾患または障害の変異特徴を有する細胞を含むか含む疑いがある組織の試料である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
2つの鎖からなりかつ好ましくはリピートを含む目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列中の変異体配列の存在を検出するためのキットオブパーツであって、前記標的核酸配列が、変異体配列または参照配列からなり、前記キットオブパーツが:
a)好ましくはその5’末端にまたは5’末端から4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含むレポータオリゴヌクレオチド、
(レポータヌクレオチドは、その中に2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入されている、好ましくは15~50ヌクレオチドの範囲の、10~50ヌクレオチドの範囲の配列である、ならびに
レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む、ならびに、
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、かつハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチと相補的である;
ならびにレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は、反復配列およびその5’末端でのおよび/またはその3’末端でに少なくとも1つのヘルパー配列を含むかそれらからなり、前記ヘルパー配列は、リピートを含まず、かつハイブリダイゼーション配列がそれにハイブリダイズされる場合第1および第2アンプリコンにハイブリダイズできる);ならびに
b)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットであって、一緒に標的核酸配列を増幅できる、プライマのセット
を含む、キットオブパーツ。
【請求項18】
好ましくはレポータオリゴヌクレオチド、第1プライマおよび第2プライマが、請求項1から16のいずれか一項に定義されるようである、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
レポータオリゴヌクレオチドが、反復配列およびその5’末端またはその3’末端での1つのみのヘルパー配列からなるか、またはレポータオリゴヌクレオチドが、反復配列およびレポータオリゴヌクレオチドの5’末端および3’末端の両方での1つのヘルパー配列などの、2つのヘルパー配列からなる、請求項17から18のいずれか一項に記載のキット。
【請求項20】
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドが、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドが、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドが、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格中に組み込まれ得るヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、前記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位と前記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する、
請求項17から19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項21】
2つの鎖からなりかつ好ましくはリピートを含む目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸の1つの鎖にハイブリダイズできるレポータオリゴヌクレオチドであって、好ましくはその5’末端にまたは5’末端から4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含み、その中に2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入されている、10~50個の範囲の、好ましくは15~50ヌクレオチドの範囲の配列であり、かつハイブリダイゼーション配列Hを含むレポータオリゴヌクレオチドであって、
ハイブリダイゼーション配列が、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、かつハイブリダイゼーション配列が、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチと相補的であり、
かつレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列が、反復配列およびその5’末端でのおよび/またはその3’末端での少なくとも1つのヘルパー配列を含むかそれらからなり、前記ヘルパー配列が、リピートを含まず、かつハイブリダイゼーション配列がそれにハイブリダイズされる場合第1および第2アンプリコンの第2鎖にハイブリダイズできる、
レポータオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
反復配列およびその5’末端またはその3’末端での1つのみのヘルパー配列からなるか反復配列およびレポータオリゴヌクレオチドの5’末端および3’末端の両方での1つのヘルパー配列などの、2つのヘルパー配列からなる、請求項21に記載のレポータオリゴヌクレオチド。
【請求項23】
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドが、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドが、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドが、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格中に組み込まれ得るヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、前記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位と前記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する、
請求項21から22のいずれか一項に記載のレポータオリゴヌクレオチド。
【請求項24】
ヘルパー配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20ヌクレオチドなどの、1~20ヌクレオチドを含むかそれらからなり、好ましくはヘルパー配列が、請求項3で定義されるような少なくとも1つの疎水性オリゴヌクレオチドを含む、請求項21から14のいずれか一項に記載のレポータオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
所定の薬剤を用いてそれを必要とする個体における臨床状態の治療の有効性を予測する方法であって、前記薬剤を用いる前記臨床状態の治療の有効性が、変異体配列の存在に関連し、以下の工程
a.前記個体からの試料を準備する工程
b.前記変異体配列の存在を決定するために請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実行する工程
を含み;
前記変異体配列の存在が、前記薬剤が前記個体における前記臨床状態を治療することにおいて有効であるかどうかを示唆する、方法。
【請求項26】
それを必要とする個体における臨床状態の存在を予測する方法であって、前記臨床状態が、変異体配列を含む標的核酸配列の存在に関連し、以下の工程
a.前記個体からの試料を準備する工程
b.変異体配列の存在を決定するために請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実行する工程
を含み;
変異体配列の存在が、前記臨床状態を患う前記個体を示唆する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的のヌクレオチドを含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するための、特に、生殖細胞変異および体細胞変異、ならびにマイクロサテライト不安定性を検出するための方法に関する。薬剤の有効性を予測するための、および個体における臨床的障害の存在を検出するための方法、ならびにその方法を実行するためのレポータオリゴヌクレオチドおよびキットも開示される。
【背景技術】
【0002】
一塩基置換、欠失、挿入、転座および重複としての遺伝性(生殖細胞系)または非遺伝性(体細胞系)の変異イベントは、ヒト生物学に対して手段的影響を及ぼす。遺伝的プロファイルの決定は、運動および食事のような環境因子に対する応答および疾患の診断、予後、および適用可能な治療レジメンに関する情報を明らかにする。遺伝的評価は典型的には、DNA配列決定または対立遺伝子-特異的PCRのようなツールを用いて実行される。分子プローブの可変結合を含む方法は、生殖細胞系の変異だけでなく、HRMのような技術と組み合わせると、低対立遺伝子頻度の体細胞系の変異にも適用可能である。
【0003】
直接または逆方向リピートなどの反復ヌクレオチド配列は、多くの生物において観察される。一例として、数十万のマイクロサテライト遺伝子座が、ヒトゲノム全体に分布しており、したがって、統計的には100,000塩基対ごとに約1回発生する。マイクロサテライト遺伝子座は、短いタンデムリピートを含むゲノムDNAの領域であり、最短の反復単位は典型的には、1~5のヌクレオチド長である。したがって、特定のマイクロサテライト遺伝子座の反復単位は、該当する場合、一般に、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-またはペンタヌクレオチドリピート遺伝子座と呼ばれる。与えられたマイクロサテライト遺伝子座は典型的には、タンデム配置において、約10~40のこれらの反復単位を含む。さらに、哺乳動物種からのゲノムDNAなどの、ほとんどの二倍体種の正常なゲノムDNAの各マイクロサテライト遺伝子座は、各遺伝子座で2つの対立遺伝子を含む。2つの対立遺伝子は、長さが互いに同一であるまたは異なる可能性があり、個体ごとに変わる可能性がある。
【0004】
マイクロサテライト不安定性(MSI)、または複製エラー(RER)は、特定のヒト新生物において発生するゲノム不安定性の一例であり、そこで腫瘍細胞はそれらのDNAを正確に複製する能力が低下している。MSIは、ヒトDNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子の根底にある機能的不活性化の一般的なマーカーである。MMR遺伝子の機能喪失は、コーディング領域変異、ヘテロ接合性消失(LOH)、および/またはプロモータのメチル化を介した二対立遺伝子の不活性化が原因で発生すると考えられている。さらに、MMR遺伝子の生殖細胞変異は、ほとんどの遺伝性非ポリポーシス結腸癌(HNPCC)家系における常染色体優性遺伝的欠陥であることが知られている。HNPCC個体における腫瘍細胞により引き起こされる他の変異は、特定のMMR遺伝子の二対立遺伝子の不活性化をもたらし、腫瘍におけるマイクロサテライトDNAの正確な複製の喪失を引き起こす。MSIはしたがって、根底にあるDNAミスマッチ修復欠陥のマーカーであり、コーディングDNAの変異率の向上にも関連する。MMR欠損から生じるこの変異誘発因子表現型は、MSIをもたらすことに加えて、コーディング領域の塩基置換および等頻度で直接リピートでのフレームシフト変異の両方を引き起こす。MMR欠損の発生およびその結果生じる変異誘発因子表現型は、腫瘍形成の初期イベントであると考えられている。
【0005】
MSIは、HNPCC家族における生殖細胞系の欠陥に関連しているだけでなく、散発性結腸直腸癌の約15~20%にも見られ、この知見は、ゲノム不安定性の全体的な増加も反映する(また、腫瘍変異の負荷としても測定される)。腫瘍におけるMSI欠損の知見は、病期ごとに一致した腫瘍におけるより良好な予後とも関連している。したがって、MSIを有する腫瘍を同定することは、生殖細胞系MMR欠損(HNPCCファミリー)を暗示するだけでなく、予後の階層化のためにも、臨床的に重要である。臨床的(ベセスダガイドライン(Rodriguez-Bigas et al.,1997)および組織病理学的特徴は、結腸直腸腫瘍がマイクロサテライト不安定でありおそらくHNPCCファミリーにおいて生じる疑いを提起する可能性があるが、臨床病理学的特徴は、MSIの存在を診断するためには不充分であることが多い。したがって、分子検査が、臨床的に疑いのある腫瘍のMSI状態を解明するために利用され得る(Boland et al.,1998)。
【0006】
結腸直腸腫瘍に加えて、MSIはまた、他の種類の癌および他の遺伝子疾患にも関連している。説明するため、これらは、とりわけ、膵癌、胃癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、子宮癌および乳癌を含む。マイクロサテライト不安定性に関連すると考えられる他の代表的な遺伝子順序は、例えば、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、筋緊張性ジストロフィー(DM)、脆弱X症候群、FRAXE精神遅滞および脊髄小脳失調症(SCA)ブルトンX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、ブルーム症候群(BS)、頭蓋前頭鼻骨症候群(CFNS)および特発性肺線維症(IPF)を含む。
【0007】
上記に鑑み、変異体ヌクレオチド配列、例えばマイクロサテライトなどの反復ヌクレオチド配列の分析は、他の用途の中でも、多くの診断および予後の用途を有することは明らかである。したがって、感度が高く、客観的で信頼性があるアッセイが必要である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、特許請求の範囲において定義されるようなものである。本明細書に記載の方法は、生殖細胞変異および体細胞変異ならびにマイクロサテライト不安定性を調査するための、迅速で、容易で、偏りがなく、感度が高い方法を表す。
【0009】
本明細書において、2つの鎖からなり、好ましくはリピートを含む目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するための方法が提供され、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記方法は、以下の工程:
a)上記変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1試料を準備する工程;
b)上記参照配列を含む核酸を含む第2試料を準備する工程であって、第2試料が、参照試料である、工程;
c)レポータオリゴヌクレオチドを準備する工程;
d)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットを準備する工程であって、プライマのセットが一緒に、NOIを含む標的核酸配列を増幅できる、工程;
e)上記第1試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1アンプリコンを得る工程;ならびに上記第2試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって参照配列を含む第2アンプリコン得る工程であって、第2アンプリコンが、参照アンプリコンである、工程;
f)第1アンプリコンの高分解能融解(HRM)分析などの融解分析を実行し、それによって第1融解曲線により特徴づけられる第1プロファイルを得る工程、ならびに第2アンプリコンのHRM分析などの融解分析を実行し、第2融解曲線により特徴づけられる第2プロファイルを得る工程であって、第2プロファイルが、参照融解曲線により特徴づけられる参照プロファイルである、工程(各アンプリコンは、第1鎖および第2鎖を含み、融解分析は、各アンプリコンの1つの鎖へのレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、フルオロフォアにより放出される信号の検出、ならびに第1および第2融解曲線を得ることを含む);
(レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲、好ましくは、15~50個の範囲のヌクレオチドの配列である、
レポータオリゴヌクレオチドは、好ましくはその5’末端でまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端でまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含む、ならびに
レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む、
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第2鎖の配列の連続ストレッチと相補的である、
ならびにレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は、反復配列およびその5’末端および/またはその3’末端に少なくとも1つのヘルパー配列を含むかそれらからなり、上記ヘルパー配列は、リピートを含まず、ハイブリダイゼーション配列がそれにハイブリダイズする場合、第1および第2アンプリコンにハイブリダイズできる);ならびに
g)第1プロファイルを参照プロファイルと比較する工程であって、第1プロファイルおよび参照プロファイルの間の差異は、第1試料が変異体配列を含むことを示唆する、工程
を含む。
【0010】
本明細書において、2つの鎖からなり、目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するための方法が提供され、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記方法は、以下の工程:
a)上記変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1試料を準備する工程;
b)上記参照配列を含む核酸を含む第2試料を準備する工程であって、第2試料が、参照試料である、工程;
c)レポータオリゴヌクレオチドを準備する工程;
d)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットを準備する工程であって、プライマのセットが一緒に、標的核酸配列を増幅できる、工程;
e)上記第1試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1アンプリコンを得る工程;ならびに上記第2試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって参照配列を含む第2アンプリコンを得る工程であって、第2アンプリコンが、参照アンプリコンである、工程;
f)第1アンプリコンの高分解能融解(HRM)分析を実行し、それによって第1融解曲線により特徴づけられる第1HRMプロファイルを得る工程、ならびに第2アンプリコンのHRM分析を実行し、それによって第2融解曲線により特徴づけられる第2HRMプロファイルを得る工程であって、第2HRMプロファイルが、参照融解曲線により特徴づけられる参照プロファイルである、工程(各アンプリコンは、第1鎖および第2鎖を含み、HRM分析は、各アンプリコンの1つの鎖へのレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、フルオロフォアにより放出される信号の検出、ならびに第1および第2融解曲線を得ることを含む);
(レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチドの配列である、
レポータオリゴヌクレオチドは、好ましくはその5’末端でまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端でまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含む、ならびに
レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む、
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する;ならびに
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第2鎖の配列の連続ストレッチに相補的である);ならびに
g)第1HRMプロファイルを参照HRMプロファイルと比較する工程であって、第1HRMプロファイルおよび参照HRMプロファイルの間の差異は、第1試料が変異体配列を含むことを示唆する、工程
を含む。
【0011】
本明細書において、2つの鎖からなり、好ましくはリピートを含む目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するためのキットオブパーツも提供され、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記キットオブパーツは:
a)好ましくはその5’末端でまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端でまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含むレポータオリゴヌクレオチド
(レポータヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチド、好ましくは15~50個の範囲のヌクレオチドの配列である、ならびに
レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む、ならびに、
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチと相補的である;
ならびにレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は、反復配列およびその5’末端および/またはその3’末端に少なくとも1つのヘルパー配列を含むかそれらからなり、上記ヘルパー配列は、リピートを含まず、ハイブリダイゼーション配列がそれにハイブリダイズする場合、第1および第2アンプリコンにハイブリダイズできる);ならびに
b)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットであって、一緒に標的核酸配列を増幅できる、プライマのセット
を含む。
【0012】
本明細書において、2つの鎖からなり、目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するためのキットオブパーツも提供され、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記キットオブパーツは:
a)好ましくはその5’末端でまたは5’末端から4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端でまたは3’末端から4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含むレポータオリゴヌクレオチド
(レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチドの配列であり、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む)、
(少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する;ならびに
ハイブリダイゼーション配列は、参照配列を含む標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチに相補的である);ならびに
b)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットであって、一緒に標的核酸配列を増幅できる、プライマのセット
を含む。
【0013】
本明細書において、2つの鎖からなり、好ましくはリピートを含む目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列の1つの鎖にハイブリダイズできるレポータオリゴヌクレオチドも提供され、上記レポータオリゴヌクレオチドは、好ましくはその5’末端でまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端でまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含み、レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲、好ましくは15~50個の範囲のヌクレオチドの配列であり、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含み、
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチと相補的であり、
レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は、反復配列およびその5’末端および/またはその3’末端に少なくとも1つのヘルパー配列を含むか、それらからなり、上記ヘルパー配列は、リピートを含まず、ハイブリダイゼーション配列がそれにハイブリダイズする場合、第1および第2アンプリコンの第2鎖にハイブリダイズできる。
【0014】
本明細書において、好ましくはその5’末端でまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端でまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含むレポータオリゴヌクレオチドも提供され、レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチドの配列であり、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含み、
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する;ならびに
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチに相補的である。
【0015】
本明細書において、個体における臨床状態の治療の有効性を予測するための方法も提供され、以下の工程:
a.上記個体からの試料を準備する工程
b.試料が変異体配列を含むかどうかを決定するために本明細書において説明されたような変異体配列の存在を検出するための方法を実行する工程
を含んでよく、上記変異体配列の存在は、上記薬剤が上記個体における上記臨床状態を治療する場合に有効であるかどうかを示唆する。
【0016】
本明細書において、個体における特定の変異に関連する任意の臨床状態の存在を予測する、またはさらには診断するために有用である方法も提供され、以下の工程:
a)上記個体からの試料を準備する工程
b)本明細書において説明されたような変異体配列を検出するための方法を実行することにより試料中の臨床状態に関連する変異の存在を検出する工程
を含み、上記変異体配列の存在は、上記臨床状態を患う上記個体を示唆する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】NOIを含む変異体核酸配列を検出するための方法の原理。(A)標的核酸(黒色撚線)が提供される。第2鎖は、NOIを含む(淡灰色)。第1鎖は、相補的である(黒色線)。矢印は、プライマを示す。第1プライマは、第2鎖にハイブリダイズし、プライマの増幅が生じる(破線)。第2プライマは、第1鎖にハイブリダイズし、プライマの増幅が生じる(破線)。概要を簡単にするために、標的核酸の増幅された部分のみが示される。ここでは、第2プライマは、第1プライマと比較して過剰に提供される(非対称PCR)。したがって、NOI配列を含むより多くのDNAが生成される(黒色破線および淡灰色破線)。(B)増幅されたDNAは、二本鎖標的核酸およびNOIを含む一本鎖標的核酸の混合物からなる。ここでは、NOIを含む一本鎖配列が示される(淡灰色)。レポータオリゴヌクレオチド(RO)は、その鎖にハイブリダイズする。それは、ここでは、フルオロフォアF’(円)およびクエンチャーQ(四角)を含む。融解曲線が得られる(X-軸:Tは温度である;y-軸:Fは蛍光である)。
図2】マイクロサテライト不安定性は、必ずしも融解温度における有意な変化をもたらすわけではない。非対称PCRを使用するBAT25アッセイ。X軸は、温度を示す。(A)0.1RFUの強度閾値を用いるバイリニア型正規化および温度シフトが適用された、融解曲線。曲線間の振幅の最大差異として測定された曲線間の差異は、約0.07RFUであった。(B)温度シフトの適用がない第1の負の導関数曲線では、清浄な組織は、57.31℃のTを有し、腫瘍組織では、Tは、57.41℃である。
図3】バイリニア型正規化は、実際の融解相の前後で、融解曲線の勾配をより0に近くする。マイクロサテライトNR22は、非対称PCRおよびレポータオリゴヌクレオチドを使用して分析される。X軸は、温度を示す。HRM曲線は:(A)標準正規化、温度シフトなし;(B)バイリニア型正規化、温度シフトなし、を用いて得られた。
図4】バイリニア正規化は、実際の融解相の前後で、融解曲線の勾配をより0に近くする。参照HRM曲線がベースラインとして設定され、それが他の(ここでは第1の)融解曲線から差し引かれる、図3の融解曲線からの差分HRM曲線。X軸は、温度を表す。(A)バイリニア型正規化、温度シフトなし;(B)バイリニア型正規化、温度シフトなし。
図5】理論上、マイクロサテライトの安定な人からの正常および腫瘍組織試料の間には融解温度における差異はないはずである。しかし、試料間の量、塩濃度、不純物および他の変数における差異は、融解温度においてわずかな差異をもたらす可能性がある。しかし、バイリニア型正規化および温度シフトは、マイクロサテライトの安定な患者の正常組織および腫瘍組織の間の差異を低減できる。非対称PCRおよびレポータオリゴヌクレオチドを使用するNR24アッセイ。X軸は、温度を示す。(A)標準正規化が適用された、HRMプロファイル。差分グラフに対する正規化領域間の所与の温度での蛍光における最大差異として測定された曲線間の差異は、約0.04RFUであった。X軸は、温度を示す。(B)バイリニア型正規化が適用されたが温度シフト閾値は適用されなかったHRMプロファイル。曲線間の差異は、約0.02RFUであった。(C)バイリニア型正規化および0.1RFUの強度閾値を有する温度シフトが適用されたHRM曲線。曲線間の差異は、約0.01RFUであった。
図6】温度シフトは、DNA緩衝液中の異なる塩濃度により引き起こされる融解温度における変化を中和できる。非対称PCRおよびレポータオリゴヌクレオチドを使用するNR24アッセイ。X軸は、温度を示す。(A)バイリニア型正規化が適用されたが温度シフトは適用されなかったHRM曲線。差分グラフに対する正規化領域間の所与の温度での蛍光における最大差異として測定された曲線間の差異は、約0.07RFUであった。(B)バイリニア型正規化および0.1RFUの温度シフト強度閾値が適用されたHRM曲線。曲線間の差異は、約0.01RFUであった。
図7】16の正常組織DNA試料について非対称PCRを使用するマイクロサテライトMONO27の調査のためのアッセイ。HRM曲線は:(A)バイリニア型正規化、温度シフトなし;(B)バイリニア型正規化、および0.1RFUの強度閾値で温度シフトありを用いて得られた。X軸は、温度を示す。温度シフトの適用は、普遍的参照としての1つの試料の使用を可能にする。
図8図7のHRM曲線の差分プロット。(A)バイリニア型正規化、温度シフトなし;(B)バイリニア型正規化、および0.1RFUの強度閾値で温度シフトあり。X軸は、温度を示す。
図9】非対称PCRは、より多くの一本鎖標的アンプリコンを作成する。対称および非対称PCRを使用するNR22アッセイ。X軸は、PCRサイクル数を示し、Y軸は、蛍光を示す。
図10】非対称PCRは、より高い信号対ノイズ比およびより鋭い融解(すなわち、より狭い融解ピーク)を作成する。対称および非対称PCRを使用するNR22アッセイ。(A)融解曲線;(B)標準正規化を使用して正規化された融解曲線。X軸は、温度を示す。
図11】非対称PCRは、MSSおよびMSI患者の区別を容易にする。NR22アッセイを使用するデータが示される。HRM曲線を、非対称PCR(A)を用いるか対称PCR(B)を用いて標準正規化を適用した後に得た。X軸は、温度を示す。
図12】非対称PCRは、MSSおよびMSI患者の区別を容易にする。NR22アッセイを使用するデータが示される。図11のHRM曲線からの差分プロット。(A)非対称PCR;(B)対称PCR。X軸は、温度を示す。
図13】レポータヌクレオチドにおける単一末端オーバーハングは、融解温度を上げることができる。2つの異なるレポータオリゴヌクレオチドを有するレポータオリゴヌクレオチドを使用する非対称PCRを使用するNR22に基づくデータが示される。(A)HRM曲線。(B)HRM曲線の負の第1導関数。X軸は、温度を示す。
図14】レポータオリゴヌクレオチドを二重クエンチすることは、信号対ノイズ比を増加させる。非対称PCRを使用するBAT26アッセイを使用するデータが示される。単回クエンチされた(「DQプローブではない」)および二重クエンチされた(「DQプローブ」)レポータオリゴヌクレオチドを使用するHRM曲線(A)および負の第1導関数曲線(B)。X軸は、温度を示す。
図15】レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列における追加のヌクレオチドリピートは、より長いマイクロサテライトを検出することを可能にする。非対称PCRを使用するNR21アッセイを使用するデータが示される。X軸は、温度を示す。
図16】一点変異は、融解温度を数度変化させる。KITエクソン13アッセイを実験のために使用した。PCRを非対称PCRとして実行した。X軸は、温度を示す。破線は、野生型標的核酸に対する結果を示し、実線は、変異を含む標的核酸に対する結果を示す。(A)正規化されたHRM曲線;Y軸は、蛍光を示す。(B)融解ピーク(融解曲線の負の第1導関数)。Y軸は、-dF/dTである。
図17】強力なヘルパー配列は、野生型および変異体を区別するのに役立つ。NR24アッセイを実験のために使用した。PCRを非対称PCRとして実行した。X軸は、温度を示し、y軸は、蛍光を示す。破線は、野生型標的核酸に対する結果を示し、実線は、変異を含む標的核酸に対する結果を示す。(A)第1ヘルパー配列を含む第1レポータオリゴヌクレオチドを用いる正規化されたHRM曲線。(B)第1ヘルパー配列よりも強力な第2ヘルパー配列を含む第2レポータオリゴヌクレオチドを用いる正規化されたHRM曲線。
図18】強力なヘルパー配列は、野生型および変異体の区別を支援する。NR24アッセイを、実験のために使用した。PCRを、非対称PCRとして実行した。X軸は、温度を示し、y軸は、蛍光を示す。破線は、野生型標的核酸に対する結果を示し、実線は、変異を含む標的核酸に対する結果を示す。(A)第1ヘルパー配列を含む第1レポータオリゴを用いる差分プロット。(B)第1ヘルパー配列よりも強力な第2ヘルパー配列を含む第2レポータオリゴを用いる差分プロット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
アンプリコン
「アンプリコン」は、別の分子をコピーまたは転写することにより作成された分子を指す。アンプリコンを生産できる代表的なプロセスは、転写、クローニング、および/もしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または別の核酸増幅技術(例えば、鎖置換PCR増幅(SDA)、デュープレックスPCR増幅など)を含む。典型的には、アンプリコンは、選択された核酸(例えば、テンプレートまたは標的核酸)のコピーであるか、それと相補的である。
【0019】
バイリニア型正規化。用語「バイリニア型正規化」は本明細書において、差分曲線の蛍光データを正規化された曲線にスケーリングすることにより曲線(複数可)に適用される数学的変換を指すために使用される。これは、蛍光信号に影響を与える可能性のある他の因子(機器内の異なる位置の中での異なる信号強度、プラスチックの異なる透明度および蛍光測定の変数を導入する他の因子など)を取り除く差分曲線の比較を可能にする。バイリニア型正規化は、選択された正規化領域において、曲線(複数可)が(正規化領域の平均値で)同じ値を有し曲線のコースが可能な限り水平(フラット)になるように強制する。曲線に適用でき、曲線(複数可)を異なる融解曲線の比較を可能にする曲線(複数可)に変換できる、いくらかのアルゴリズムが当技術分野において既知である。正規化はまた、ウェル間の異なる光学的および機械的差異の影響も低減する。
【0020】
疎水性ヌクレオチド
本明細書において使用されるような用語「疎水性ヌクレオチド」は、以下の「疎水性ヌクレオチド」のセクションで、本明細書において詳細に説明される疎水性ヌクレオチドを指す。特に、本発明による疎水性ヌクレオチドは、リンカーを介してヌクレオチド/ヌクレオチド類縁体/骨格モノマー単位に接続されるインターカレーターを含む。
【0021】
融解温度
本明細書において使用されるような用語「融解温度」は、そこで50%螺旋(ハイブリダイズされた)形状対コイル(ハイブリダイズされていない)形状が存在する、摂氏温度を示す。融解温度はまた、(T)とも呼ばれてよい。核酸および核酸類縁体の融解は、二本鎖核酸分子の2つの鎖の熱分離を指す。
【0022】
マイクロサテライト
用語「マイクロサテライト」、「マイクロサテライトマーカー」または「マイクロサテライト遺伝子座」は、タンデムヌクレオチドリピートを含むゲノムDNAの領域を指す。これらのリピートまたは「反復単位」は典型的に、長さが約1~約7の塩基対である。マイクロサテライト遺伝子座は典型的に、タンデム配列中に約10~40個のこれらの反復単位を含む。1つのヌクレオチドのリピートであるモノヌクレオチドリピートに加えて、他の代表的な反復ヌクレオチド配列は、ジヌクレオチドリピート、例えば、ATリピートおよびGCリピート、トリヌクレオチドリピート、例えば、CGGリピート、CGCリピート、TATリピート、ATTリピート、テトラヌクレオチドリピート、ペンタヌクレオチドリピートおよび/またはそれらの相補的リピートを含む。
【0023】
ヌクレオチド類縁体
用語「ヌクレオチド類縁体」は、核酸骨格に組み込むことができ、本質的に天然に存在するヌクレオチドのように、特定の塩基対形成が可能であるすべてのヌクレオチド類縁体を含む。本発明によるヌクレオチド類縁体は、PNA、HNA、MNA、ANA、LNA、XNA、INA、CNA、CeNA、TNA、(2’-NH)-TNA、(3’-NH)-TNA、α-L-リボ-LNA、α-L-キシロ-LNA、β-D-キシロ-LNA、α-D-リボ-LNA、[3.2.1]-LNA、ビシクロ-DNA、6-アミノ-ビシクロ-DNA、5-エピ-ビシクロ-DNA、α-ビシクロ-DNA、トリシクロ-DNA、ビシクロ[4.3.0]-DNA、ビシクロ[3.2.1]-DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド-DNA、β-D-リボピラノシル-NA、α-L-リキソピラノシル-NA、2’-R-RNA、2’-OR-RNA(Rは、置換基である)、α-L-RNA、α-D-RNA、およびβ-D-RNAからなる群より選択されるヌクレオチド類縁体を含むが、これらに限定されない。
【0024】
目的のヌクレオチド
本明細書において使用されるような用語「目的のヌクレオチド(複数可)」は、2つの異なる変異体で存在してよい、標的核酸配列内のヌクレオチド(複数可)を指す。「目的のヌクレオチド(複数可)」はまた、本明細書において「NOI」と呼ばれることもある。したがって、NOIは、変異体配列からなってよい、または本明細書において「参照配列」とも呼ばれる参照配列からなってよい。いくらかの実施形態において、参照配列は、野生型配列であり得る。
【0025】
ヌクレオチド
本明細書において使用されるような用語「ヌクレオチド」は、天然に存在するヌクレオチド、例えば、天然に存在するリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、あるいはリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドの天然に存在する誘導体を指す。天然に存在するヌクレオチドは、4つのヌクレオ塩基アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)またはシトシン(C)の1つを含むデオキシリボヌクレオチド、および4つのヌクレオ塩基アデニン(A)、ウラシル(U)、グアニン(G)またはシトシン(C)の1つを含むリボヌクレオチドを含む。
【0026】
オリゴヌクレオチド
本明細書において使用されるような用語「オリゴヌクレオチド」は、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類縁体および/または疎水性ヌクレオチドのオリゴマーを指す。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、任意で1つまたは複数の疎水性ヌクレオチドを含むヌクレオチドのオリゴマーである。
【0027】
参照標的配列
用語「参照標的配列」は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチを指す。
【0028】
標準正規化
用語「標準正規化」は、差分曲線の蛍光データの正規化された曲線へのスケーリングを指し、蛍光信号に影響する可能性のある他の因子(機器内の異なる位置の中での異なる信号強度、プラスチックの異なる透明性および蛍光測定の変数を導入する他の因子など)を除去する差分曲線の比較を可能にする。
【0029】
標的核酸配列
本明細書において使用されるような用語「標的核酸配列」は、目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む核酸配列を指す。標的核酸配列は、プライマのセットを使用して増幅できる。
【0030】
温度シフト
本明細書において使用されるような用語「温度シフト」は、2つのまたはそれより多い正規化された曲線に適用され、所与の蛍光限界(強度閾値)でまったく同じTを有するように、これらを温度方向にシフトさせる、数学的ツールを指す。そのような変換アルゴリズムをデータセットに適用することは、例えば、異なる試料中の異なる塩濃度からの影響を低減する。
【0031】
変異体配列
本明細書において使用されるような用語「変異体配列」は、参照配列とは異なる、標的核酸配列内のヌクレオチド(複数可)を指す。したがって、標的核酸配列は、変異体配列であるNOIを含んでよい、または標的核酸配列は、参照配列であるNOIを含んでよい、またはNOIは、さらに別の変異体配列であってよい。変異体配列は、例えば、一塩基変異などの変異であり得る、またはそれは、挿入もしくは欠失であり得る。変異体配列および参照配列は、一方の配列が他方の全配列を含むように重複してよい。そのような場合、変異体配列および参照配列は、配列を構成するヌクレオチドの数が異なってよい。
【0032】
標的核酸配列中の変異体配列の存在を検出する方法
本発明は、標的核酸配列中の変異体配列の検出のための方法に関する。したがって、方法は特に、2つのまたはそれより多い異なる配列で生じる可能性がある、標的核酸配列中の特定の配列の存在を検出するために有用である。方法は、例えば、野生型配列および変異体配列を区別するために有用であり得、異なる多形配列を区別するために有用であり得る。方法は特に、野生型配列または参照配列とは異なる長さを有する変異体配列の存在を検出することによりマイクロサテライト不安定性から生じる変異体配列を検出するために有用である。したがって、方法は、リピート、特にマイクロサテライトを含む標的核酸配列を検出するために好都合に使用できる。
【0033】
本明細書において、2つの鎖からなり、好ましくはリピートを含む目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するための方法が提供され、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記方法は、以下の工程:
a)上記変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1試料を準備する工程;
b)上記参照配列を含む核酸を含む第2試料を準備する工程あって、第2試料が、参照試料である、工程;
c)レポータオリゴヌクレオチドを準備する工程;
d)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットを準備する工程であって、プライマのセットが一緒に、NOIを含む標的核酸配列を増幅できる、工程;
e)上記第1試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1アンプリコンを得る工程;ならびに上記第2試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって参照配列を含む第2アンプリコンを得る工程であって、第2アンプリコンが、参照アンプリコンである、工程;
f)第1アンプリコンの高分解能融解(HRM)分析などの融解分析を実行し、それによって第1融解曲線により特徴づけられる第1プロファイルを得る工程、ならびに第2アンプリコンのHRM分析などの融解分析を実行し、それによって第2融解曲線により特徴づけられる第2プロファイルを得る工程であって、第2プロファイルが、参照融解曲線により特徴づけられる参照プロファイルである、工程(各アンプリコンは、第1鎖および第2鎖を含み、融解分析は、各アンプリコンの1つの鎖へのレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、フルオロフォアにより放出される信号の検出、ならびに第1および第2融解曲線を得ることを含む);
(レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲、好ましくは15~50個の範囲のヌクレオチドの配列である、
レポータオリゴヌクレオチドは、好ましくはその5’末端でまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端でまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含む、ならびに
レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む、
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第2鎖の配列の連続ストレッチと相補的である、
ならびにレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は、反復配列およびその5’末端および/またはその3’末端での少なくとも1つのヘルパー配列を含むかそれらからなり、上記ヘルパー配列は、リピートを含まず、ハイブリダイゼーション配列がそれにハイブリダイズする場合、第1および第2アンプリコンにハイブリダイズできる);ならびに
g)第1プロファイルを参照プロファイルと比較する工程であって、第1プロファイルおよび参照プロファイルの間の差異は、第1試料が変異体配列を含むことを示唆する、工程
を含む。
【0034】
本明細書において、2つの鎖からなり、目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するための方法が提供され、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記方法は、以下の工程:
a)上記変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1試料を準備する工程;
b)上記参照配列を含む核酸を含む第2試料を準備する工程であって、第2試料が、参照試料である、工程;
c)レポータオリゴヌクレオチドを準備する工程;
d)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットを準備する工程であって、プライマのセットが一緒に、標的核酸配列を増幅できる、工程;
e)上記第1試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1アンプリコンを得る工程;ならびに上記第2試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって参照配列を含む第2アンプリコンを得る工程であって、第2アンプリコンが、参照アンプリコンである、工程;
f)第1アンプリコンの高分解能融解(HRM)分析を実行し、それによって第1融解曲線により特徴づけられる第1HRMプロファイルを得る工程、ならびに第2アンプリコンのHRM分析を実行し、それによって第2融解曲線により特徴づけられる第2HRMプロファイルを得る工程であって、第2HRMプロファイルが、参照融解曲線により特徴づけられる参照プロファイルである、工程(各アンプリコンは、第1鎖および第2鎖を含み、HRM分析は、各アンプリコンの1つの鎖へのレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、フルオロフォアにより放出される信号の検出、ならびに第1および第2融解曲線を得ることを含む);
(レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチドの配列である、
レポータオリゴヌクレオチドは、好ましくはその5’末端でまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端でまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含む、ならびに
レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む、
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する;ならびに
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第2鎖の配列の連続ストレッチに相補的である);ならびに
g)第1HRMプロファイルを参照HRMプロファイルと比較する工程であって、第1HRMプロファイルおよび参照HRMプロファイルの間の差異は、第1試料が変異体配列を含むことを示唆する、工程
を含む。
【0035】
したがって、2つのまたはそれより多い異なる標的核酸配列が存在する場合、方法は、少なくとも2つの異なる標的核酸配列、すなわち、変異体配列を含む標的核酸配列および変異体配列を含まない標的核酸配列を区別するために有用である。後者はまた、「参照配列」と呼ばれることもある。任意で、方法は、他の変異体配列を含む標的核酸配列間を区別するために有用であり得る。方法の一般原理を、図1に例示する。要するに、第1および第2プロファイル間の差異、特に、分析された融解プロファイルおよび参照融解プロファイルの間の差異は、試験された試料(第1試料)が変異体配列を含むことを示唆する;本開示を通じて、差異が好ましくは、有意差を指すことが理解されるであろう。
【0036】
野生型および変異体の配列を区別するために方法が使用される本発明の実施形態において、変異体配列は、参照配列であり得る。しかし、多くの場合、野生型配列が参照配列である。本発明の方法はまた、野生型およびいくらかの異なる変異体配列を区別するために使用されてもよく、その場合、野生型配列は典型的に、参照配列であり、いくらかの異なる変異体配列は、変異体配列である。方法のいくらかの実施形態において、参照配列は、マイクロサテライト配列である。その場合、変異体配列は、参照配列のタンデムリピートの数とは異なる数のタンデムリピートを有する、いくつかのタンデムリピートからなるマイクロサテライト配列であり得る。例えば、変異体配列は、マイクロサテライト不安定性の結果であり得る-これらの場合、変異体配列は、異なる数のタンデムリピートを有する複数の変異体配列であり得る。比較により、参照配列はその場合、一定数のタンデムリピートを有する。
【0037】
変異体配列は、いくらかの実施形態において、病状を示唆する変異であり得る、またはそれは、所与の処置の有効性の予測であり得る。
【0038】
目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)、変異体配列および参照配列
変異体配列は、別の配列、特に参照配列とは異なる任意の配列であり得る。多くの場合、変異体配列は、変異体配列であり、例えば、ヌクレオチドを別のものに置き換える変異の存在のため、および/または参照配列と比較したヌクレオチドの挿入および/または欠失のため、野生型配列とは異なる配列である。しかし、変異体配列はまた、多形配列または参照配列とは異なる任意の他の配列であってよい。好ましくは、変異体配列は、、マイクロサテライトの正常な長さとは異なる長さを有する、マイクロサテライトの変異体である。本方法は実際に、マイクロサテライト不安定性を検出するために特に有用である。それらは、短い(15未満のヌクレオチド)マイクロサテライトおよびより長いマイクロサテライト(15を超えるヌクレオチド)の不安定性を検出するために使用できる。マイクロサテライト不安定性を有する対象において、より長いマイクロサテライトは典型的に、より短いマイクロサテライトの前に変異する-したがって、15ヌクレオチドまたはそれより大きい長さを有する、より長いマイクロサテライトである標的核酸を使用することが好都合であり得る。
【0039】
変異体配列は、1など、例えば2、3など、例えば4、5など、例えば6、7など、例えば8、9など、例えば10、10~20など、例えば20~50、50を超えるヌクレオチドなどの少なくとも1つからなってよい。好ましくは、変異体配列は、10のまたはそれより多い、例えば15のまたはそれより多いヌクレオチドからなる。したがって、いくらかの実施形態において、変異体配列は、11、12、13、14、15、16、17、19、20のまたはそれより多いヌクレオチド、25、30、35、40、45または50のまたはそれより多いヌクレオチドなどからなる。例えば、変異体配列は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のまたはそれより多いヌクレオチドからなる。
【0040】
本発明のいくらかの実施形態において、変異体配列は、一塩基変異または一塩基多型(SNP)である。
【0041】
変異体配列は、参照標的配列と比較した、1つまたは複数の他のヌクレオチドに対する1つまたは複数のヌクレオチドの変化であり得る。さらに、用語、変異体配列は、核酸内のヌクレオチドの欠失または挿入、例えば、参照標的配列と比較したヌクレオチドの欠失または挿入であり得る。
【0042】
標的核酸配列は、多形部位を含んでよく(本明細書の以下の詳細を参照する)、したがって、参照標的配列は、1つの多形体を含んでよく、一方で「変異体配列」は、別の多形体を構成してよい。
【0043】
一実施形態において、参照標的配列は、野生型配列である、すなわち、最も頻繁に天然に存在する配列であり、一方で変異体配列は、上記野生型配列と比較して、1つまたは複数の変異、挿入または欠失を含む。したがって、本発明による変異体配列は、一実施形態において、一塩基多型(SNP)などの、多形体であり得る。例えば、多形体は、特定のDNAプロファイルを示してよい。特定のDNAプロファイルの知識は、例えば、個体を同定するために使用できる。例えば、特定のDNAプロファイルは、犯罪または潜在的な犯罪を同定するか、死体または死体の一部を同定するために使用できる。さらに、特定のDNAプロファイルは、個体間の関係、例えば、親子間の関係またはより遠い関係を決定するために使用できる。関係はまた、異なる種および所与の種の異なる個体群の間の関係であり得る。
【0044】
いくらかの実施形態において、参照配列は、所与の数のリピートを有するマイクロサテライトであるか、それを含む。変異体配列はその場合、参照または野生型配列において観察された数とは異なる数のリピートを有する、1つまたはいくらかの変異体配列であり得る。
【0045】
一実施形態において、変異体配列は、臨床状態を示唆してよい、または変異は、臨床状態の増加した危険性を示唆してよい。特に、変異体配列は、マイクロサテライトであってよく、臨床状態は、マイクロサテライト不安定性に関連してよい。
【0046】
上記臨床状態は、例えば、腫瘍性疾患、神経変性疾患、心血管疾患および糖尿病を含む代謝疾患からなる群より選択できる。
【0047】
さらに、変異体配列は、所定の薬剤治療に対する特定の応答を示唆してよい。例えば、変異体配列の存在は、個体が上記薬剤治療に対して正に応答するかどうか、または個体が特定の薬剤治療に耐えることができるか、できないかを示唆してよい。例えば、MSIの検出は、例えば、キイトルーダ(登録商標)(ペムブロリズマブ、メルクアンドカンパニー)またはオプジーボ(ニボルマブ、ブリストル-マイヤーズスクイブ)などのようなチェックポイント阻害剤の使用を定める決定プロセスにおいて使用できるであろう。
【0048】
変異体配列は、特定の遺伝子、遺伝子セグメント、マイクロサテライトまたは任意の他のDNA配列中に位置してよい。さらに、変異体配列は、mRNA、miRNAまたは任意の他のRNA配列中に位置してよい。本明細書に記載の方法は、真核生物、原核生物、古細菌またはウイルス起源のものであってよい、特定のDNAの検出を可能にする。例えば、本発明は、特定の微生物に関連することが既知である特定の配列についてアッセイすることにより、種々の感染症の診断および/または遺伝子型決定を支援できる。
【0049】
標的核酸配列
本方法は、2つの鎖からなり、目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列中の変異体配列の存在を検出するためのものである。標的核酸配列が2つの鎖からなり、典型的にDNAである一方で、-例えば、増幅が、RNAの増幅である場合、本発明の方法が、標的核酸配列の一本鎖を増幅させることにより標的核酸中の変異体配列の存在を検出するように容易に適合させることができることが理解されるであろう。したがって、本方法はまた、例えば、2つの鎖からなる標的核酸配列の転写から生じる、標的RNA中の変異体配列を検出するために使用することもできる。
【0050】
標的核酸はしたがって、変異体配列を含む疑いがある、目的の配列である。換言すると、それは多くの場合、特定の遺伝子座に対応する。
【0051】
標的核酸配列は、1など、例えば2、3など、例えば4、5など、例えば6、7など、例えば8、9など、例えば10、10~20など、例えば20~50、50を超えるヌクレオチドなどの少なくとも1つからなってよい。好ましくは、標的核酸配列は、15のまたはそれより多いヌクレオチドからなる。したがって、いくらかの実施形態において、標的核酸配列は、11、12、13、14、15、16、17、19、20のまたはそれより多いヌクレオチド、例えば25、30、35、40、45または50のまたはそれより多いヌクレオチドからなる。例えば、標的核酸配列は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のまたはそれより多いヌクレオチドからなる。本方法はマイクロサテライト、特に、標的核酸配列が参照配列である15のまたはそれより多いヌクレオチドの長さを有するマイクロサテライトの変異体配列を検出するために特に有用であるので、その長さは、好ましくは15のまたはそれより多いヌクレオチドである。
【0052】
いくらかの実施形態において、標的核酸は、多くのタンデムリピートを含む、マイクロサテライトである。参照配列について、タンデムリピートの数は、Mであり、Mは、整数である。参照配列について、全長は、n個のヌクレオチドである。変異体配列は、M’個のタンデムリピートおよびn’個のヌクレオチドの全長を有する。MおよびM’は、異なる整数であり、nおよびn’は、異なる整数である。しかし、いくらかの変異体配列がM個のタンデムリピートおよびn個のヌクレオチドの全長を有する可能性がある-しかし、この場合、いくらかまたはほとんどの変異体配列は依然として、参照配列と比較して異なる数のリピートおよび異なる全長を有しており、このことは、本方法が、参照配列とは異なる変異体配列の存在を検出することを可能にする。
【0053】
いくらかの実施形態において、nおよび/またはn’は、1、1など、例えば2、3など、例えば4、5など、例えば6、7など、例えば8、9など、例えば10、10~20など、例えば20~50の、50を超えるなどのヌクレオチドである。好ましくは、nおよび/またはn’は、15のまたはそれより多いヌクレオチドである;いくらかの実施形態において、少なくともnは、15のまたはそれより多いヌクレオチドである。したがって、いくらかの実施形態において、nおよび/またはn’は、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20のまたはそれより多いヌクレオチド、25、30、35、40、45または50などのまたはそれより多いヌクレオチドからなる。例えば、nおよび/またはn’は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のまたはそれより多いヌクレオチドからなる。好ましくは、少なくともnは、15、16、17、18、19、20のまたはそれより多いヌクレオチド、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のまたはそれより多いヌクレオチドなど、25、30、35、40、45または50などのまたはそれより多いヌクレオチドからなる。いくらかの実施形態において、n’は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のまたはそれより多いヌクレオチド、25、30、35、40、45または50などのまたはそれより多いヌクレオチドである。
【0054】
本方法は、特定の障害を示唆してよい変異体配列を検出するために使用できる。例えば、障害は、マイクロサテライト不安定性に関連する。
【0055】
いくらかの異なる変異体配列の存在について試料を調査することは、多くの場合有利である。したがって、本方法は、いくらかの変異体配列が同時に検出されるように適合されてよい。時として、多くの変異体配列の少なくとも1つが存在するかを決定するだけで充分である。
【0056】
いくらかの実施形態において、標的核酸配列は、モノヌクレオチドリピートを含むマイクロサテライトマーカーである、1つまたは複数のBAT25、BAT26、NR21、NR22、NR24およびMONO27を含む複数の標的核酸配列である。方法は、これらの標的核酸配列についての参照配列とは異なるリピートの数、したがって異なる全長を有する変異体配列の検出を可能にする。
【0057】
ヒトBAT25の参照または野生型配列は、配列番号1に示す通りである。BAT25のモノヌクレオチドリピートは、配列番号1の147位~171位と一致する。参照配列はしたがって、M個のモノヌクレオチドリピートを有し、M=25である。
【0058】
ヒトBAT26の参照または野生型配列は、配列番号2に示す通りである。BAT26のモノヌクレオチドリピートは、配列番号2の222位~248位と一致する。参照配列はしたがって、M個のモノヌクレオチドリピートを有し、M=27である。
【0059】
ヒトNR21の参照または野生型配列は、配列番号3に示す通りである。NR21のモノヌクレオチドリピートは、配列番号3の189位~209位と一致する。参照配列はしたがって、M個のモノヌクレオチドリピートを有し、M=21である。
【0060】
ヒトNR22の参照または野生型配列は、配列番号4に示す通りである。NR22のモノヌクレオチドリピートは、配列番号4の152位~172位と一致する。参照配列はしたがって、M個のモノヌクレオチドリピートを有し、M=21である。
【0061】
ヒトNR24の参照または野生型配列は、配列番号5に示す通りである。NR24のモノヌクレオチドリピートは、配列番号5の165位~187位と一致する。参照配列はしたがって、M個のモノヌクレオチドリピートを有し、M=23である。
【0062】
ヒトMONO27の参照または野生型配列は、配列番号6に示す通りである。MONO27のモノヌクレオチドリピートは、配列番号6の300位~327位と一致する。参照配列はしたがって、M個のモノヌクレオチドリピートを有し、M=28である。
【0063】
いくらかの実施形態において、標的核酸配列は、配列番号1に示すようなBAT25であり、NOIは、配列番号1の147位~171位により定義される配列と一致する。他の実施形態において、標的核酸配列は、配列番号2に示すようなBAT26であり、NOIは、配列番号2の222位~248位により定義される配列と一致する。他の実施形態において、標的核酸配列は、配列番号3に示すようなNR21であり、NOIは、配列番号3の189位~209位により定義される配列と一致する。他の実施形態において、標的核酸配列は、配列番号4に示すようなNR22であり、NOIは、配列番号4の152位~172位により定義される配列と一致する。他の実施形態において、標的核酸配列は、配列5に示すようなNR24であり、NOIは、配列番号5の165位~187位により定義される配列と一致する。他の実施形態において、標的核酸配列は、配列番号6に示すようなMONO27であり、NOIは、配列番号6の300位~327位により定義される配列と一致する。
【0064】
他の実施形態において、標的核酸配列は、2つの標的核酸配列である。例えば、2つの標的核酸配列は、BAT25とBAT26;BAT25とNR21;BAT25とNR22;BAT25とNR24;BAT25とMONO27;BAT26とNR21;BAT26とNR22;BAT26とNR24;BAT26とMONO27;NR21とNR22;NR21とNR24;NR21とMONO27;NR22とNR24;NR22とMONO27;NR24とMONO27であり、NOIは、上で定義された通りである。
【0065】
他の実施形態において、標的核酸配列は、3つの標的核酸配列である。例えば、3つの標的核酸配列は、BAT25、BAT26とNR21;BAT25、BAT26とNR22;BAT25、BAT26とNR24;BAT25、BAT26とMONO27;BAT25、NR21とNR22;BAT25、NR21とNR24;BAT25、NR21とMONO27;BAT25、NR22とNR24;BAT25、NR22とMONO27;BAT25、NR24とMONO27;BAT26、NR21とNR22;BAT26、NR21とNR24;BAT26、NR21とMONO27;BAT26、NR22とNR24;BAT26、NR22とMONO27;BAT26、NR24とMONO27;NR21、NR22とNR24;NR21、NR22とMONO27;NR21、NR24とMONO27;NR22、NR24とMONO27であり、NOIは、上で定義された通りである。
【0066】
他の実施形態において、標的核酸配列は、4つの標的核酸配列である。例えば、4つの標的核酸配列は、BAT25、BAT26、NR21とNR22;BAT25、BAT26、NR21とNR24;BAT25、BAT26、NR21とMONO27;BAT25、BAT26、NR22とNR24;BAT25、BAT26、NR22とMONO27;BAT26、NR21、NR22とNR24;BAT26、NR21、NR22とMONO27;BAT26、NR21、NR24とMONO27;NR21、NR22、NR24とMONO27であり、NOIは、上で定義された通りである。
【0067】
他の実施形態において、標的核酸配列は、5つの標的核酸配列である。例えば、5つの標的核酸配列は、BAT25、BAT26、NR21、NR22とNR24;BAT25、BAT26、NR21、NR22とMONO27;BAT25、BAT26、NR22、NR24とMONO27;BAT26、NR21、NR22、NR24とMONO27であり、NOIは、上で定義された通りである。
【0068】
他の実施形態において、標的核酸配列は、6つの標的核酸配列である。例えば、6つの標的核酸配列は、BAT25、BAT26、NR21、NR22、NR24とMONO27であり、NOIは、上で定義された通りである。
【0069】
好ましい実施形態において、標的核酸は、5つの標的核酸であり、好ましくはBAT25、BAT26、NR21、NR22とNR24;またはBAT25、BAT26、NR22、NR24とMONO27であり、NOIは、上で定義された通りである。他の好ましい実施形態において、標的核酸配列は、6つの標的核酸配列であり、好ましくはBAT25、BAT26、NR21、NR22、NR24とMONO27であり、NOIは、上で定義された通りである。
【0070】
試料
方法の第1工程において、検出される変異体配列を含む疑いがある核酸を含む、第1試料が提供される。方法の第2工程において、参照配列を含む、第2試料が提供される。第2試料はしたがって、参照試料であり、これらの用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0071】
試料は、上記核酸を含む細胞を含んでよい。細胞は例えば、植物細胞または哺乳動物細胞などの、原核細胞または真核細胞であり得る。
【0072】
試料は例えば、合成的に調製された試料であり得、それはインビトロでさらに処理されても処理されなくてもよいが、最も頻繁には、試料は、個体から得られた試料である。
【0073】
いくらかの実施形態において、第1試料は、変異体配列の存在により特徴づけられる疾患または障害を患っているか、患っている疑いがある個体から得られた試料であり、第2試料は、健康な個体から得られた試料である。例えば罹患組織からの細胞、すなわち疾患を患っている疑いがある1つの個体からの、疾患の特徴的な変異体配列を含む疑いがある細胞を含む第1試料、ならびに、健康な組織からの細胞、すなわち同じ個体からの、変異体配列を含まない細胞を含む第2試料を使用することも可能である。本方法は、いくらかの実施形態において、普遍的な参照試料を使用することを可能にする。
【0074】
したがって、多くの場合、哺乳動物などの、例えばヒトの、個体のDNAまたはRNAを試験することが望ましい。そのような場合、試料は、上記個体に由来する試料である。したがって、試料は例えば、DNA、mRNA、miRNAまたは任意の他のRNA配列からなる群より選択される核酸を含んでよい。試料は、体液試料、例えば血液試料、生検、毛髪、爪などの試料または任意の他の適切な試料に由来してよい。個体が癌を患っている本発明の実施形態において、試料は、外科手術により個体から取り出された癌腫瘍の試料、または上記腫瘍の生検であり得る。しかし、個体が癌を患っている本発明の実施形態において、試料はまた、典型的にCTCおよびcfDNAを含んでよい、血液試料であり得る。
【0075】
試料は、変異体配列の存在の検出の前にインビトロで処理されてよい。例えば、試料は、完全にまたは部分的に試料から核酸を精製できる1つまたは複数の精製工程に供されてよい。さらに、試料は、逆転写に供されていてよい。
【0076】
試料は、核酸(RNAおよびDNA)および非核酸、例えば無傷の細胞または粗細胞抽出物の複合生物学的混合物を含んでよい。
【0077】
標的DNAが二本鎖であるか、そうでなければ、その検出を妨げる可能性のある二次および/または三次構造を有している場合、本発明の方法を実行する前に、それを加熱する必要がある可能性がある。いくらかの場合においてまた、当技術分野において既知である任意の方法による増幅を実行する前に、複合生物学的試料から核酸を抽出することが望ましい可能性がある。
【0078】
試料は、プロトプラストを含む広範囲の真核細胞および原核細胞;または標的デオキシリボ核酸を保持する可能性がある他の生物学的材料を含んでよい。方法はしたがって、組織培養動物細胞、動物細胞(例えば、血液、血清、血漿、網状赤血球、リンパ球、尿、骨髄組織、脳脊髄液または血液もしくはリンパから調製された任意の製品)または任意の種類の組織生検(例えば、溶解緩衝液で均質化された筋肉生検、肝臓生検、腎臓生検、膀胱生検、骨生検、軟骨生検、皮膚生検、膵臓生検、腸管の生検、胸腺生検、哺乳動物生検、子宮生検、精巣生検、眼生検または脳生検)、植物細胞または浸透圧ショックに感受性がある他の細胞ならびに細菌、酵母、ウイルス、マイコプラズマ、原生動物、リケッチア、真菌の細胞ならびに他の小さい微生物細胞などに適用可能である。本発明のアッセイおよび単離手順は、例えば、目的の非病原性または病原性微生物を検出するために有用である。生物学的試料中の変異体配列の存在を検出することにより、微生物の存在を確立できる。
【0079】
いくらかの実施形態において、少なくとも第1試料は、上で詳述したような変異体配列の存在、特に変異体マイクロサテライト配列の存在または変異体配列の存在により特徴づけられる疾患または障害を患うか、その疑いがある個体から得られる。いくらかの実施形態において、疾患は、癌または遺伝性障害、例えば、膵癌、胃癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、子宮癌、乳癌、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌である。いくらかの実施形態において、疾患は、リンチ症候群、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体菱縮症(DRPLA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、筋緊張性ジストロフィー(DM)、脆弱X症候群、FRAXE精神遅滞および脊髄小脳失調症(SCA)ブルトンX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、ブルーム症候群(BS)、頭蓋前頭鼻骨症候群(CFNS)および特発性肺線維症(IPF)などの遺伝性障害である。
【0080】
増幅
本方法は、第1試料および第2試料からのNOIを含む標的核酸配列の増幅を必要とする。これは、プライマのセットが提供されることを必要とする。プライマのセットは、第1プライマおよび第2プライマからなり、それらは一緒に、当技術分野において既知であるようなNOIを含む標的核酸配列を増幅できる。
【0081】
プライマのセットは、例えば、リアルタイムPCRなどのPCRにおいて使用される場合、標的核酸配列の存在下で、当技術分野において他の方法で既知である試薬を用いて、標的核酸の増幅をプライミングできる。そのような試薬は、当業者に周知であり、例えば、Sambrook J et al.2000.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Third Edition),Cold Spring Habor Laboratory Pressで説明されている。反応はその後、アンプリコンを生成する。増幅が第1試料の存在下で実行される場合、生成されたアンプリコンは、第1アンプリコンと名付けられる。増幅が第2(または参照)試料の存在下で実行される場合、生成されたアンプリコンは、第2アンプリコンまたは参照アンプリコンと名付けられる。
【0082】
標的核酸配列に特異的なプライマのセットを与えるために、プライマは、標的核酸配列のストレッチと同一である配列を含む。特に、第1および第2プライマの3’末端は、少なくとも15ヌクレオチドの配列を含んでよく、それは、最大1つのミスマッチを除き参照または変異体配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である。
【0083】
標的核酸配列のストレッチと同一のプライマの配列の正確な長さは、PCR増幅に有用な融解温度を有するプライマに到達するために調節できる。プライマの融解温度は、いくらかの因子に依存するが、特に、GC含量および長さに依存する。プライマは好ましくは、変異体配列(または変異体配列に相補的な配列)を含む標的核酸配列のストレッチと同一である必要があるため、プライマの特定の配列に対する制限がある。したがって、融解温度は、特にプライマの長さを調節することにより調節できる。当業者は、適切な融解温度でプライマを充分に設計でき、この目的のための有用なソフトウェアが、公に利用可能である。
【0084】
したがって、プライマの3’末端は、最大1つのミスマッチを除き変異体配列を含む標的核酸配列と同一である、少なくとも15のヌクレオチド、例えば少なくとも20のヌクレオチド、少なくとも25のヌクレオチドなど、例えば15~50の範囲のヌクレオチド、20~40の範囲のヌクレオチドなどの配列を含んでよい。
【0085】
本発明の一実施形態において、第1および/または第2プライマは、最大1つのミスマッチを除き変異体配列を含む標的核酸配列と同一である、少なくとも15のヌクレオチド、例えば少なくとも20のヌクレオチド、少なくとも25のヌクレオチドなど、例えば15~50の範囲のヌクレオチド、20~40の範囲のヌクレオチドなどの配列からなる。
【0086】
上述したように、プライマの配列は、最大1つのミスマッチを除き変異体配列を含む標的核酸配列と同一の(または相補的な)配列を含むかまたはそれからなる。いくらかの実施形態において、第1および第2プライマの一方または両方に1つのミスマッチがあり、これはアッセイの特異性をさらに改善し得るためである。特に、上記ミスマッチは、プライマの3’末端から2位、3位または4位に位置する可能性がある。
【0087】
いくらかの実施形態において、変異体配列に対応する領域の外側の標的核酸配列にハイブリダイズするプライマを設計することは、有用であり得る。例えば、標的核酸配列がマイクロサテライトであり、かつ変異体配列がヌクレオチドリピートの数により参照配列と異なる場合、プライマは好ましくは、タンデムリピートからなる領域の上流および下流でハイブリダイズし、なぜなら増幅は、そうでなければ非特異的であり異なる長さの種々のアンプリコンをもたらし得るからである。
【0088】
プライマは、本明細書に記載されるような少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドを含んでよい。
【0089】
増幅の工程は、リアルタイムPCRなどの、PCRであり得る。いくらかの実施形態において、増幅(例えば、PCRまたはリアルタイムPCR)反応は、非対称反応である。非対称は、反応がテンプレートの一方の鎖を他方よりも多く増幅することに向けられることを意味する。それは、プライマ対のプライマの異なる量を提供することにより実行される。
【0090】
第1プライマは、NOI配列を含む、標的核酸配列の第1鎖にハイブリダイズする。第2プライマは、NOI配列と相補的である、標的核酸配列の第2鎖にハイブリダイズする。後者の工程において、変異体配列の存在は、以下で説明されるように、レポータプローブの存在下で、NOI配列と同一の配列を含むアンプリコンの融解プロファイルを分析することにより検出される。例において示すように、融解プロファイルの分析は、それにレポータオリゴヌクレオチドがハイブリダイズできるアンプリコンの鎖が、レポータオリゴヌクレオチドと相補的であるアンプリコンの鎖よりも多い量で存在する場合、容易になる。したがって、好ましい実施形態において、増幅工程は、非対称である、すなわち、それは、第1プライマよりも多くの量の第2プライマを用いて実行される。これは、レポータオリゴヌクレオチドがハイブリダイズするアンプリコンの鎖をより多く生成するように増幅を指示する。
【0091】
融解分析(HRM分析を含む)
融解分析、特にHRM(高解像度融解)分析は、形成されたヘテロ二本鎖アンプリコンの融解特性(特に二本鎖相から一本鎖相への遷移プロファイル)の分析に基づく。アンプリコンの融解プロファイルは、それらのグアニン-シトシン含量、長さ、配列、およびヘテロ接合性に依存する。ヌクレオチド配列における変化は、野生型の融解プロファイルと比較して融解曲線の形状を変化させるヘテロ二本鎖の形成を生じる。
【0092】
第1アンプリコンおよび第2アンプリコンが、例えば、非対称増幅反応の使用を通じて得られる場合、方法は、融解分析、特にHRM分析を実行して、各アンプリコンについての融解プロファイル(例えば、HRMプロファイル)を得る工程を含む。第1融解プロファイル(または第1HRMプロファイル)は、第1アンプリコンについて得られ、参照プロファイル(または参照HRMプロファイル)とも呼ばれる第2融解プロファイル(または第2HRMプロファイル)は、第2アンプリコンについて得られる。融解プロファイル(またはHRMプロファイル)はその後、以下に詳細に説明されるように比較される。
【0093】
各融解(例えば、HRM)プロファイルは、融解曲線により特徴づけられる。第1アンプリコンの第1融解(例えば、HRM)プロファイルは、第1融解曲線により特徴づけられ、第2アンプリコンの第2(または参照)融解(例えば、HRM)プロファイルは、第2(または参照)融解曲線により特徴づけられる。
【0094】
各アンプリコンの融解(例えば、HRM)分析は、少なくとも1つのフルオロフォアおよび1つのクエンチャーを含むレポータオリゴヌクレオチドの、各アンプリコン(NOI配列と同一の配列を有する)の1つの鎖、例えば第2鎖へのハイブリダイゼーションを含む。レポータオリゴヌクレオチドは、以下でさらに詳細に説明される。ハイブリダイゼーション後、フルオロフォアにより放出された信号は、当技術分野において他の方法で既知であるように、検出されて第1および第2融解曲線を得る。方法はさらに、さらなる分析の前に融解曲線を変換する工程を含んでよい。例えば、融解曲線は、負の一次導関数曲線に変換でき、それはその後、比較される。
【0095】
第1融解(例えば、HRM)プロファイルおよび第2融解(例えば、HRM)プロファイルはその後、比較される。第1試料が変異体配列を含む場合、その結果、第1融解曲線(および任意で差分曲線、および融解曲線からの導関数)は、参照試料に対応する第2融解曲線(および任意でそれからの導関数)とは異なる。第1および第2融解(例えば、HRM)プロファイルの間の差異の検出はしたがって、第1試料が変異体配列を含むことを示唆する。
【0096】
融解(例えば、HRM)プロファイル間の差異は、融解曲線または差分曲線の形状、または融解曲線の導関数の形状における差異であり得る。例えば、いくらかの実施形態において、第1融解曲線は、参照融解曲線とは異なる形状を有する。典型的には、融解曲線の導関数は、最大値を有する正規曲線(またはベル型曲線)である。第1融解曲線の勾配は、第2曲線の勾配よりも「鋭さ」が小さい可能性があり、これは、第2融解曲線と比較して第1融解曲線の形状における変化を生じる。第1融解曲線の導関数の勾配は、第2曲線の導関数の勾配よりも「より鋭い」場合があり、例えば、勾配の絶対値は、少なくともその変曲点(複数可)において、第2融解曲線についての導関数の勾配の絶対値より、第1融解曲線の導関数についてより大きい。融解(例えば、HRM)プロファイル間の差異を決定するため、分析は、差分曲線を得る工程を含んでよく、そこで、融解曲線の1つが、参照として設定され、他の融解曲線から差し引かれ、好ましくは参照試料の融解曲線が、参照として設定され、変異体試料の融解曲線から差し引かれる。
【0097】
2つの曲線(または差分曲線または導関数)は、各温度Tで、距離Dにより互いに離れていてよい。距離Dは、温度ごとに決定され、最大距離maxDの絶対値は、それが所定の閾値よりも大きい場合2つの曲線間の差異を示唆する。
【0098】
当業者は、閾値の適切な値を決定する方法を知っている。閾値は、マイクロサテライト不安定性を示す対象および正常な対象を区別することを可能にする、D値である。D値は、参照(または野生型)について得られた融解プロファイルおよび変異体配列(複数可)について得られた融解プロファイルの間の差異、例えば、負の差異または正の差異である。適切な閾値を決定するために、マイクロサテライト不安定性を有しているかいないかが既知である、多くの対象(典型的には100~500人の患者)の融解プロファイルが確立される。これらの融解プロファイルを使用して、閾値は、野生型および変異体配列の間の所望の、または適切な区別を可能にする値として確立される。
【0099】
したがって、分析された融解プロファイル間の差異が算出され、閾値と比較される;この差異はしたがって、数値的差異であり得、それは数値的閾値と比較できる。分析された融解プロファイル、例えばHRMプロファイルの間のこの差異が、閾値よりも大きい場合、そこから第1融解プロファイルが決定される試料は、変異体配列を含むものとして分類される。標的核酸配列がマイクロサテライトである場合、そこから試料が得られた対象はしたがって、マイクロサテライト不安定性を有するものとみなされる。分析された融解プロファイル、例えばHRMプロファイルの間の差異が、閾値よりも低い場合、試料は、野生型配列を含むものとして分類される。標的核酸配列がマイクロサテライトである場合、そこから試料が得られた対象はしたがって、マイクロサテライト不安定性を有しないものとみなされる。
【0100】
1つの選択肢は、曲線間の面積を決定することである。面積が、所定の閾値よりも大きい場合、第1および第2融解曲線は、異なっているとみなされる。ここでも、当業者は、閾値のための値を設定する方法を知っている。
【0101】
2つの融解曲線またはそれらの差分曲線またはそれらの導関数の間の差異を特徴づける別の方法は、当業者には明らかである。
【0102】
第1および第2融解曲線間またはそれらの差分曲線もしくは第1および第2融解曲線の導関数間の上記の差異のいずれかは、第1および第2HRMプロファイル間の差異を示唆し、したがって、第1試料中の変異体配列の存在を示唆する。
【0103】
いくらかの実施形態において、第1および第2融解曲線および/またはそれらの導関数および/または差分曲線は、正規化される。例えば、最低温度から0.5~20℃内などの、融解が測定される最低温度に近いかその温度で、曲線は、第1値に正規化され、最高温度から0.5~20℃内などの、融解が測定される最高温度に近いかその温度で、曲線は、第2値に正規化される。例えば、第1値は、1であり、第2値は、0である。
【0104】
曲線間の差異をより視覚化するために、融解分析、例えばHRM分析は、標準正規化の工程を含んでよく、それは、初期および最終正規化領域における平均色素強度に基づきy軸における曲線を整列させることに対応する。
【0105】
バイリニア型正規化を各曲線(融解曲線、差分グラフまたは導関数)に適用することもできる。第1線形関数を、初期色素強度にフィットさせ、最終の補正スケールの上端として使用する。第2線形関数を、最終色素強度にフィットさせ、補正スケールの下端として使用する。
【0106】
融解分析、例えば、HRM分析はまた、もしくは代わりに、相対蛍光単位(RFU)での温度調節(温度シフト)を曲線(融解曲線または差分曲線)に適用する工程も含んでよい。そのような工程はまた、偽陽性の危険性を低減できる。好ましい実施形態において、融解分析は、融解曲線に対する相対蛍光単位で少なくとも温度調節を適用する工程を含む。
【0107】
したがって、いくらかの実施形態において、第1プロファイルを参照プロファイルと比較する工程は、以下の工程:
i)温度軸に沿って所与の蛍光強度で第1および第2融解曲線を整列させ、それにより上記蛍光強度での第1および第2融解曲線の間の融解温度の差異を無効にする工程;
ii)第1および第2融解曲線の間のフルオロフォアにより放出された信号における差異を決定する工程;ならびに、
iii)ii)において決定された差異を閾値と比較する工程であって、閾値よりも大きい差異は、第1試料が変異体配列を含むことを示唆し、閾値よりも小さい差異は、第1試料が参照配列を含むことを示唆する、工程
を含むかそれらからなる。
【0108】
閾値は、本明細書において上で説明したように決定される。差異は、上で説明されたような数値的閾値と比較される、数値的差異である。したがって工程iii)において、閾値が正の閾値である場合、上記閾値よりも大きい差異は、第1試料が変異体配列を含むことを示唆する。閾値が負の閾値である場合、上記閾値よりも小さい差異は、第1試料が変異体配列を含むことを示唆する。
【0109】
いくらかの実施形態において、本明細書において開示された方法は、変異体配列の正確な長さおよび/または配列を決定する工程を含まない。これは、変異体配列が発見された個体が本明細書に記載されるような疾患または障害を患っていることを決定するために、変異体配列の正確な長さおよび/または配列を決定する必要がないことが多いためである。むしろ、多くの場合、差異があることを立証すれば充分である-差異の正確な性質は、常に重要であるとは限らない。好ましい実施形態において、本明細書に開示される方法は、変異体配列の正確な長さおよび/または配列を決定する工程を含まない。これは、変異体配列の検出が、さらなる分析のための試料を選択するのに充分であり得るためである;典型的には、変異体配列の正確な長さおよび/または配列を決定する必要がない。
【0110】
レポータオリゴヌクレオチド
本方法は、HRM分析を実行するためにレポータオリゴヌクレオチドを必要とする。レポータオリゴヌクレオチドは、少なくとも第1フルオロフォアおよび少なくとも第1クエンチャーを含む。これらは、HRM分析などの融解分析に有益である。好ましくは、レポータオリゴヌクレオチドは、少なくともその5’末端でまたは少なくともその3’末端で、または5’末端もしくは3’末端から4ヌクレオチド内に第1フルオロフォアを含む。レポータオリゴヌクレオチドは好ましくは、少なくともその5’末端でまたは少なくともその3’末端で、または5’末端もしくは3’末端から4ヌクレオチド内に第1クエンチャーを含む。したがって、フルオロフォアおよびクエンチャーは、5’末端にまたは3’末端に、または5’末端もしくは3’末端から4ヌクレオチド内に位置してよいが、必ずしもレポータオリゴヌクレオチドの最後のヌクレオチドに位置するわけではない。好ましくは、第1フルオロフォアが、5’末端でまたは5’末端から4ヌクレオチド内に位置するならば、第1クエンチャーは、5’末端にまたは5’末端から4ヌクレオチド内に位置しない。代わりに、それは、3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内、またはレポータの内部領域内に位置する。逆に、第1フルオロフォアが3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に位置する場合、第1クエンチャーは、3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に位置しない。代わりに、それは、5’末端にまたは5’末端から4ヌクレオチド内に、またはレポータの内部領域内に位置する。ここで用語、内部領域は、各端において5末端ヌクレオチドを含まないレポータオリゴヌクレオチドの領域である。好ましくは、第1フルオロフォアおよび第1クエンチャーは、互いに近接していない。
【0111】
有用なフルオロフォアおよびクエンチャーは、当業者が容易に利用でき、当業者は本方法を実行するためにそれらを選択する困難はないであろう。
【0112】
レポータオリゴヌクレオチドは、融解分析(またはHRM分析)に使用される。そのため、レポータオリゴヌクレオチドの配列は、それがハイブリダイズし検出する配列に依存する、いくらかの制約を受ける。レポータオリゴヌクレオチドは、例えばNOIと同一であり、かつNOIと相補的な鎖にハイブリダイズする、ハイブリダイゼーション配列Hを含む。換言すると、レポータオリゴヌクレオチドは、NOIを含む、第1および第2アンプリコンの鎖にハイブリダイズする。NOIがリピートを含む実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドはしたがって、リピートも含む、すなわち、ハイブリダイゼーション配列Hは、以下でさらに詳述するように、リピートも含む。
【0113】
レポータオリゴヌクレオチドは、NOIと同一である配列に加えて、ハイブリダイゼーション配列中に追加のヌクレオチドをさらに含んでよい。例えば、以下の例において示されるように、これは、標的核酸がマイクロサテライトである場合、または変異体配列が挿入を含むと予想される場合、特に重要であり得る。マイクロサテライトが参照配列中にn個のヌクレオチドの全長を有するM個のタンデムリピートを有する場合、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は好ましくは、M”個のタンデムリピートを有し、M”≧M+1であり、好ましくはM”≧M+1またはM”≧M+2である。タンデムリピートがモノヌクレオチドリピートである場合、ハイブリダイゼーション配列は、n”個のヌクレオチドの長さを有し、n”≧n+1であり、好ましくはn”≧n+1またはn”≧n+2である。換言すると、ハイブリダイゼーション配列は、少なくとも1つまたは2つの追加のヌクレオチドを含んでよい。これは、より長い変異体配列および参照配列のより感度の高い区別を可能にする。
【0114】
特にNOIがマイクロサテライトであるいくらかの実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は好ましくは、NOIのリピートと同一であるか相補的であるリピートからなる配列を含み、ハイブリダイゼーション配列がリピートにハイブリダイズされる場合にリピートのすぐ上流またはすぐ下流で第1および第2アンプリコンにハイブリダイズする、本明細書においてはヘルパー配列と呼ばれる、末端配列も有利に含んでよい。換言すると、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は好ましくは、リピートを含み、反復配列のすぐ上流または下流でNOIまたはその相補鎖にハイブリダイズする1~10のヌクレオチド、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のヌクレオチドをさらに含む。ヘルパー配列はしたがって、第1および第2アンプリコンにハイブリダイズする場合、ハイブリダイゼーション配列が上記反復配列にハイブリダイズすることを可能にする。ヘルパー配列は多くの場合、その相補配列についてのハイブリダイゼーション配列よりも、その相補配列についてより高い親和性を有する。換言すると、ヘルパー配列は多くの場合、ハイブリダイゼーション配列がその相補配列にハイブリダイズするよりも速くその相補配列にハイブリダイズする。
【0115】
ヘルパー配列は、3’末端または5’末端であり得る。好ましくは、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列がリピートにハイブリダイズする場合、リピートのすぐ上流またはすぐ下流で第1および第2アンプリコンにハイブリダイズする5’末端ヘルパー配列を含む。ヘルパー配列は、実施例13に示すように、融解プロファイル間の区別を容易にする。ヘルパー配列は、ヘルパー配列が高い第1または第2アンプリコンにハイブリダイズするときに、ハイブリダイゼーション配列のTmにおける増加をもたらす場合、強力であると呼ばれる。当業者は、配列がより高い割合のA/Tを含む2つのハイブリダイズされた配列と比較してより高い割合のG/Cを含む場合、2つの配列間のハイブリダイゼーションが強力であることをよく知っている;したがって、A/Tよりもより高い割合のG/Cを含むヘルパー配列は、A/Tよりもより低い割合のG/Cを含むヘルパー配列より強力である。より長い配列はより短い配列より強力なハイブリダイゼーションを与えることも既知であり、したがって、ヘルパー配列の強度は、第1および/または第2アンプリコンにハイブリダイズする長さを増加させることにより調節できる。ヘルパー配列の強度を高めることは、変異体配列および参照配列の区別を容易にする良好な方法であり得る。好ましくは、ヘルパー配列は、NOIがリピートを含む実施形態においても、リピートを含まない。
【0116】
特に、標的核酸配列がマイクロサテライトであるいくらかの実施形態において、ヘルパー配列は、ヘルパー配列がない同じハイブリダイゼーション配列のTmと比較して、ハイブリダイゼーション配列のTmを、少なくとも5℃、例えば少なくとも6℃、例えば少なくとも7℃、例えば少なくとも8℃、例えば少なくとも9℃、例えば少なくとも10℃、例えば少なくとも11℃、例えば少なくとも12℃、例えば少なくとも13℃、例えば少なくとも14℃、例えば少なくとも15℃、またはそれを超えて上昇させる。ヘルパー配列を含むハイブリダイゼーション配列のTmはしたがって、ヘルパー配列がないハイブリダイゼーション配列のTmよりも5~25℃高く、例えば10~20℃高く、例えば12.5~17.5℃高い可能性がある。
【0117】
レポータオリゴヌクレオチドは、第2クエンチャーを含んでよい。好ましくは、第2クエンチャーは、非末端領域にある、すなわち、レポータオリゴヌクレオチドの内部領域に位置する。換言すると、第2クエンチャーは、5’末端にまたは3’末端に、または5’末端もしくは3’末端から4ヌクレオチド内に位置しない。いくらかの実施形態において、第2クエンチャーの含有は、変異体配列および参照配列の区別を容易にする。
【0118】
融解分析、特にHRM分析を可能にできる任意のレポータオリゴヌクレオチド、すなわち、上述した特徴を有する任意のレポータオリゴヌクレオチドを使用できるが、いくらかのレポータオリゴヌクレオチドは、特に好都合である。レポータオリゴヌクレオチドの特定の位置での疎水性ヌクレオチドの含有は、特に興味深い。実施例からわかるように、そのような疎水性ヌクレオチドを含むレポータオリゴヌクレオチドは、方法の感度を高める。
【0119】
したがって、いくらかの実施形態において、上述した特徴に加えて、レポータオリゴヌクレオチドは、その5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドを含む、および/または、レポータオリゴヌクレオチドは、3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドを含む。
【0120】
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターと連結するリンカー部分である)
を有する。
【0121】
骨格モノマー単位Xは、以下のセクション「骨格モノマー単位」における本明細書に記載の任意の骨格モノマー単位であり得る。
【0122】
インターカレーターQは、以下のセクション「インターカレーター」における本明細書に記載の任意のインターカレーターであり得る。
【0123】
本開示の状況において有用である疎水性ヌクレオチドは、国際特許出願WO2017/045689号、特に、30ページ2行~25行のタイトル「疎水性ヌクレオチド」のセクションにおいて詳細に説明される。
【0124】
いくらかの実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドは、以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)d-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、条項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体の総数は、少なくとも10である;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
dおよびeは、個々に1~19の範囲の整数である;ならびに
a+b+d+eは、少なくとも10である)
を有する;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)は、参照配列と同一である。
【0125】
他の実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドは、以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)f-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、請求項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
f、gおよびhは、個々に1~18の範囲の整数である;ならびに
a+b+f+g+hは、少なくとも10であり、最大50である;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)-(N)は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である)
を有する;または
以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、請求項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
i、j、kおよびlは、1~17の範囲の整数である;ならびに
a+b+i+j+k+lは、個々に少なくとも10であり、最大50である;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)-(N)-(N)は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である)
を有する;または
以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、請求項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
m、n、o、pおよびqは、個々に1~16の範囲の整数である;ならびに
a+b+m+n+o+p+qは、少なくとも10であり、最大50である;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)-(N)-Z-(N)-(N)は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である)
を有する。
【0126】
いくらかの実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドは、マイクロサテライトの検出用である。そのような実施形態において、ハイブリダイゼーション配列は、少なくともタンデムリピートを含む。好ましくは、ハイブリダイゼーション配列はまた、タンデムリピートのすぐ上流または下流に1~20のヌクレオチド、例えば、タンデムリピートのすぐ上流または下流に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のヌクレオチドからなるヘルパー配列も含み、好ましくは本明細書に記載されるような少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドが、挿入されている。ヘルパー配列は、1など、例えば2、3など、例えば4、5など、例えば6、7など、例えば8、9など、例えば10、10~20など、例えば20~50の、50を超えるなどのヌクレオチドの少なくとも1つからなってよい。例えば、ヘルパー配列は、15のまたはそれを超えるヌクレオチドからなる。したがって、いくらかの実施形態において、ヘルパー配列は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、19、20のまたはそれを超えるヌクレオチド、例えば25、30、35、40、45または50のまたはそれを超えるヌクレオチドからなる。例えば、ヘルパー配列は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のまたはそれを超えるヌクレオチドからなる。例えば、ヘルパー配列は、7、8、9、10、11、12、13、14または15のまたはそれを超えるヌクレオチド、例えば9ヌクレオチドからなる。
【0127】
いくらかの実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドは、上述したようにBAT25、BAT26、NR21、NR22、NR24またはMONO27などの、マイクロサテライトの検出のために使用される。
【0128】
インターカレーター
本方法の状況における用語、インターカレーターは、核酸のヌクレオ塩基と同時に積み重ねることができる、少なくとも1つの本質的に平坦な共役系を含む任意の分子部分を指す。好ましくは、インターカレーターは本質的に、核酸のヌクレオ塩基と同時に積み重ねることができる、少なくとも1つの本質的に平坦な共役系からなる。
【0129】
インターカレーターは、少なくとも1つのπ(ファイ)電子系を含み、それは本発明によれば、π電子系を含む他の分子と相互作用できる。これらの相互作用は、上記インターカレーターの疎水性相互作用に、正または負の方法で寄与できる。HunterおよびSanders(1990)J.Am Chem.Soc.112:5525-5534は、2つのπ電子系が互いに正に相互作用できる異なる方向および条件の範囲を提案している。
【0130】
好ましくは、インターカレーターは、ポリアロメートおよびヘテロポリアロメートからなる群より選択される化学基を含み、さらにより好ましくは、インターカレーターは、本質的にポリアロメートまたはヘテロポリアロメートからなる。最も好ましくは、インターカレーターは、ポリアロメートおよびヘテロポリアロメートからなる群より選択される。
【0131】
本発明によるポリアロメートまたはヘテロポリアロメートは、1など、例えば2、3など、例えば4、5など、例えば6、7など、例えば8、8を超えるなどの任意の適切な数の環からなってよい。さらに、ポリアロメートまたはヘテロポリアロメートは、ヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード、メルカプト、チオ、シアノ、アルキルチオ、複素環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルボアルコキシル(carboalkoyl)、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、アミノ、アルコキシル、カルボニルおよびアミドからなる群より選択される1つまたは複数で置換されてよい。
【0132】
したがって、インターカレーターQは、例えば、フェナントロリン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、ピレン、アントラセン、ナフテン、フェナントレン、ピセン、クリセン、ナフタセン、アクリドン、ベンズアントラセン、スチルベン、オキサロ-ピリドカルバゾール、アジドベンゼン、ポルフィリン、ソラレンからなる群より選択されるインターカレーター、ならびにヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード、メルカプト、チオ、シアノ、アルキルチオ、複素環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルボアルコキシル(carboalkoyl)、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、アミノ、アルコキシルおよび/またはアミドからなる群より選択される1つまたは複数で置換された前述したインターカレーターのいずれかであり得る。
【0133】
好ましくは、インターカレーターは、フェナントロリン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、ピレン、アントラセン、ナフテン、フェナントレン、ピセン、クリセン、ナフタセン、アクリドン、ベンズアントラセン、スチルベン、オキサロ-ピリドカルバゾール、アジドベンゼン、ポルフィリンおよびソラレンからなる群より選択される。
【0134】
好ましい実施形態において、インターカレーターは、フェナントロリン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、ピレン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ナフタセン、ベンズアントラセン、スチルベンおよびポルフィリンからなる群より選択される。
【0135】
別の好ましい実施形態において、インターカレーターは、ピレンまたはピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(1H)-オンまたは7,9-ジメチル-ピリド[3’,2’,4,5]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オンを含む。インターカレーターは、また、ピレンまたはピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(1H)オン、または7,9-ジメチル-ピリド[3’,2’,4,5]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オンを含む。
【0136】
疎水性ヌクレオチドは、他のインターカレーター、特に、WO2017/045689号、30ページ26行~40ページ4行のタイトル「インターカレーター」のセクション、または国際特許出願WO03/052132号、46ページ10行~54ページ13行のセクション「インターカレーター」に記載のインターカレーターを含んでよい。
【0137】
骨格モノマー単位
Xはまた、核酸または核酸類縁体の骨格に組み込むことができる骨格モノマー単位であり得る。本明細書におけるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体の骨格モノマー単位は、核酸または核酸類縁体の骨格への組み込みに関与する、ヌクレオチドの部分を指す。骨格モノマー単位(X)は好ましくは、インターカレーターと共有結合されるリンカー(Y)に共有結合する。任意の適切な骨格モノマー単位を、インターカレーターをオリゴヌクレオチド類縁体に組み込むために使用できる。上記骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結する任意の種類のリンカーも、使用できる。加えて、骨格モノマー単位は、1つまたは複数の脱離基、保護基および/または反応性基を含んでよく、それらは、上記骨格モノマー単位を含むオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類縁体の合成中または合成に続いて、任意の方法で除去または変更できる。
【0138】
骨格モノマー単位は、任意の適切な骨格モノマー単位であり得る。一実施形態において、骨格モノマー単位は、例えば、DNA、RNA、PNA、HNA、XNA、MNA、ANA、LNA、CNA、CeNA、TNA、(2’-NH)-TNA、(3’-NH)-TNA、a-L-リボ-LNA、a-L-キシロ-LNA、b-D-キシロ-LNA、a-D-リボ-LNA、[3.2.1]-LNA、ビシクロ-DNA、6-アミノ-ビシクロ-DNA、5-エピ-ビシクロ-DNA、α-ビシクロ-DNA、トリシクロ-DNA、ビシクロ[4.3.0]-DNA,ビシクロ[3.2.1]-DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド-DNA、b-D-リボピラノシル-NA、a-L-リキソピラノシル-NA、2’-R-RNA、α-L-RNAまたはα-D-RNA、β-D-RNAおよびそれらの混合物およびそれらのハイブリッドの骨格モノマー単位、ならびに限定されないがホスホロチオエート、ホスホン酸メチル、ホスホロアミダイト、ホスホロジチエート、ホスホロセレノエート、ホスホトリエステルおよびホスホボラノエートなどのそれらのリン原子修飾からなる群より選択できる。加えて非リン含有化合物は、限定されないが、メチルイミノメチル、ホルムアセテート、チオホルムアセテートなどのヌクレオチドおよびアミドを含む連結基への連結のために使用できる。
【0139】
一連の骨格モノマー単位は、国際特許出願WO2017/045689号、40ページ5行~56ページ3行のタイトル「骨格モノマー単位」のセクション、および国際特許出願WO03/052132号、24ページ27行~43ページ14行のセクション「骨格モノマー単位」において説明される。これらはまた、本発明で有用なヌクレオチドおよびヌクレオチド類縁体の様々な異なる骨格モノマー単位、およびそれらが骨格モノマー単位の1つまたは2つの位置で付着されるリンカーを介してヌクレオ塩基に接続される方法を説明する。
【0140】
リンカー
インターカレーターヌクレオチドのリンカーは、インターカレーターおよび上記疎水性ヌクレオチドの骨格モノマーを接続する、好ましくは、上記インターカレーターおよび骨格モノマー単位を共有結合する部分である。リンカーは、原子間に1つまたは複数の原子(複数可)または結合(複数可)を含んでよい。
【0141】
本明細書の上で与えられた骨格およびインターカレーターの定義により、リンカーは、骨格およびインターカレーターを連結する最短経路である。インターカレーターが直接骨格に連結される場合、リンカーは、結合である。
【0142】
リンカー、通常、原子の鎖または原子の分岐鎖からなる。鎖は、飽和であっても不飽和であってもよい。リンカーはまた、共役結合があるか、またはない環構造であり得る。
【0143】
有用なリンカーは、国際特許出願WO2017/045689号、特に、56ページ5行~59ページ10行のタイトル「リンカー」のセクションおよびWO03/052132号、54ページ15行~58ページ7行のセクション「リンカー」において詳細に説明される。
【0144】
キットオブパーツ
本明細書において、2つの鎖からなり、好ましくはリピートを含む目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するためのキットオブパーツも提供され、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記キットオブパーツは:
a)好ましくは、その5’末端にまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端にまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含むレポータオリゴヌクレオチド
(レポータヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチド、好ましくは15~50個の範囲のヌクレオチドの配列である、ならびに
レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む、ならびに、
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチと相補的である;
ならびにレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は、反復配列およびその5’末端および/またはその3’末端での少なくとも1つのヘルパー配列を含むかそれらからなり、上記ヘルパー配列は、リピートを含まず、ハイブリダイゼーション配列がそれにハイブリダイズする場合、第1および第2アンプリコンにハイブリダイズできる);ならびに
b)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットであって、一緒に標的核酸配列を増幅できる、プライマのセット
を含む。
【0145】
本明細書において:
a)以下のセクション「レポータオリゴヌクレオチド」において、本明細書に記載の任意のレポータオリゴヌクレオチドであり得る、レポータオリゴヌクレオチド
b)上記セクション「増幅」における本明細書に記載の任意のプライマのセットであり得る、第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセット
を含むキットオブパーツも提供される。
【0146】
キットオブパーツは、特に、本方法を実行するために有用である。
【0147】
したがって、2つの鎖からなり、目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するためのキットオブパーツも本明細書において提供され、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記キットオブパーツは:
a)好ましくは、その5’末端にまたは5’末端から4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含むレポータオリゴヌクレオチド
(レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチドの配列であり、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む)、
(少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する;ならびに
ハイブリダイゼーション配列は、参照配列を含む標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチに相補的である);ならびに
b)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットであって、一緒に標的核酸を増幅できる、プライマのセット
を含む。
【0148】
上記レポータオリゴヌクレオチドおよび上記プライマのセットに加えて、キットオブパーツはまた、追加の成分も含んでよい。例えば、キットオブパーツは、PCR試薬をさらに含んでよい。キットオブパーツはまた、PCR産物の生成のリアルタイム検出を可能にするプローブなどの、検出プローブを含んでよい。
【0149】
上記キットは、特に本明細書に記載の方法を実行するために、特に、好ましくはリピート、例えばマイクロサテライトを含む標的核酸配列の変異体配列を検出するために有用である。特にマイクロサテライトにおいて、本明細書において上記で詳述したように、野生型または参照配列は、15ヌクレオチド以上である。
【0150】
レポータオリゴヌクレオチド
本明細書において上記で詳述するように、本方法は、融解分析を実行するため、例えばHRM分析を実行するためにレポータオリゴヌクレオチドを必要とする。理論に縛られることなく、発明者らは、それらがアッセイの感度を高める可能性があるので、疎水性ヌクレオチドを含むレポータオリゴヌクレオチドが、本方法を実行するために特に有用であることを見出した。そのようなレポータオリゴヌクレオチドもしたがって、本明細書において開示される。
【0151】
本明細書において、2つの鎖からなり、好ましくはリピートを含む目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸の1つの鎖にハイブリダイズできるレポータオリゴヌクレオチドも提供され、上記レポータオリゴヌクレオチドは、好ましくはその5’末端にまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端にまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含み、レポータオリゴヌクレオチドは、2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲、好ましくは15~50個の範囲のヌクレオチドの配列であり、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含み、
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチと相補的であり、
レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は、反復配列およびその5’末端および/またはその3’末端での少なくとも1つのヘルパー配列を含むかそれらからなり、上記ヘルパー配列は、リピートを含まず、ハイブリダイゼーション配列がアンプリコンにハイブリダイズする場合、第1および第2アンプリコンの第2鎖にハイブリダイズできる。
【0152】
本明細書において、好ましくはその5’末端にまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端にまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含むレポータオリゴヌクレオチドも提供され、レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチドの配列であり、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含み、
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する;ならびに
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチに相補的である。
【0153】
レポータオリゴヌクレオチドは、第2クエンチャーを含んでよい。好ましくは、第2クエンチャーは、非末端領域にある、すなわち、レポータオリゴヌクレオチドの内部領域に位置する。換言すると、第2クエンチャーは、5’末端にまたは3’末端に、または5’末端もしくは3’末端から4ヌクレオチド内に位置しない。
【0154】
骨格モノマー単位Xは、上記セクション「骨格モノマー単位」において本明細書に記載の任意の骨格モノマー単位であり得る。
【0155】
インターカレーターQは、上記セクション「インターカレーター」において本明細書に記載の任意のインターカレーターであり得る。
【0156】
本開示の状況において有用である疎水性ヌクレオチドは、国際特許出願WO2017/045689号、特に、30ページ2行~25行のタイトル「疎水性ヌクレオチド」のセクションにおいて詳細に説明される。
【0157】
いくらかの実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドは、以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)d-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、条項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体の総数は、少なくとも10である;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
dおよびeは、個々に1~19の範囲の整数である;ならびに
a+b+d+eは、少なくとも10である)
を有する;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)は、参照配列と同一である。
【0158】
別の実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドは、以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)f-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、請求項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
f、gおよびhは、個々に1~18の範囲の整数である;ならびに
a+b+f+g+hは、少なくとも10であり、最大50である;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)-(N)は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である)
を有する;または
以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、請求項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
i、j、kおよびlは、1~17の範囲の整数である;ならびに
a+b+i+j+k+lは、個々に少なくとも10であり、最大50である;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)-(N)-(N)は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である)
を有する;または
以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、請求項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
m、n、o、pおよびqは、個々に1~16の範囲の整数である;ならびに
a+b+m+n+o+p+qは、少なくとも10であり、最大50である;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)-(N)-Z-(N)-(N)は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である)
を有する。
【0159】
レポータオリゴヌクレオチドは、オーバーハングを含んでよい、すなわち、それは、標的核酸配列にハイブリダイズしないその末端の1つにヌクレオチドを含んでよい。オーバーハングは、3’末端または5’末端であり得る。好ましくは、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列がハイブリダイズできる第1および第2アンプリコンの鎖に対し5’オーバーハングを形成する5’末端配列を含む。
【0160】
レポータオリゴヌクレオチドは、少なくとも第1フルオロフォアおよび少なくとも第1クエンチャーを含む。これらは、融解分析および/またはHRM分析に有益である。好ましくは、レポータオリゴヌクレオチドは、少なくともその5’末端にまたは少なくともその3’末端に、または5’末端もしくは3’末端から4ヌクレオチド内に第1フルオロフォアを含む。レポータオリゴヌクレオチドは好ましくは、少なくともその5’末端にまたは少なくともその3’末端に、または5’末端もしくは3’末端から4ヌクレオチド内に第1クエンチャーを含む。したがって、フルオロフォアおよびクエンチャーは、5’末端または3’末端または5’末端に、もしくは3’末端から4ヌクレオチド内に位置してよいが、必ずしもレポータオリゴヌクレオチドの最後のヌクレオチドに位置するわけではない。好ましくは、第1フルオロフォアが5’末端にまたは5’末端から4ヌクレオチド内に位置するならば、第1クエンチャーは、5’末端にまたは5’末端から4ヌクレオチド内に位置しない。代わりに、それは、3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に、またはレポータの内部領域内に位置する。逆に、第1フルオロフォアが3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に位置する場合、第1クエンチャーは、3’末端にまたは3’末端から4ヌクレオチド内に位置しない。代わりに、それは、5’末端にまたは5’末端から4ヌクレオチド内に、またはレポータの内部領域内に位置する。用語、内部領域は本明細書において、各端において5末端ヌクレオチドを含まないレポータオリゴヌクレオチドの領域である。好ましくは、第1フルオロフォアおよび第1クエンチャーは、互いに近接していない。
【0161】
有用なフルオロフォアおよびクエンチャーは、当業者が容易に利用でき、当業者は本方法を実行するためにそれらを選択する困難はないであろう。
【0162】
レポータオリゴヌクレオチドは、融解分析、例えばHRM分析を実行するために使用される。そのため、レポータオリゴヌクレオチドの配列は、それがハイブリダイズし検出される配列に依存する、いくらかの制約を受ける。レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含み、それは例えばNOIと同一であり、かつNOIと相補的な鎖にハイブリダイズする。NOIがリピートを含む実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドはしたがって、リピートも含む、すなわちハイブリダイゼーション配列Hはまた、以下でさらに詳述するように、リピートを含む。
【0163】
レポータオリゴヌクレオチドは、NOIと同一である配列に加えて、ハイブリダイゼーション配列中に追加のヌクレオチドをさらに含む。例えば、以下の実施例において示されるように、これは、標的核酸がマイクロサテライトである場合、特に重要である可能性がある。マイクロサテライトが参照配列中にn個のヌクレオチドの全長を有するM個のタンデムリピートを有する場合、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は好ましくは、M”個のタンデムリピートを有し、M”≧M+1であり、好ましくはM”≧M+1またはM”≧M+2である。したがって、タンデムリピートがモノヌクレオチドリピートである場合、ハイブリダイゼーション配列は、n”個のヌクレオチドの長さを有し、n”≧n+1であり、好ましくはn”≧n+1またはn”≧n+2である。換言すると、ハイブリダイゼーション配列は、少なくとも1つまたは2つの追加のヌクレオチドを含んでよい。これは、特に変異体配列が挿入を含む場合、変異体配列および参照配列のより感度の高い区別を可能にする。
【0164】
NOIがマイクロサテライトであるいくらかの実施形態において特に、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は好ましくは、NOIのリピートと同一であるか、相補的であるリピートからなる配列を含み、ハイブリダイゼーション配列がリピートにハイブリダイズされる場合にリピートのすぐ上流またはすぐ下流で第1および第2アンプリコンの鎖にハイブリダイズする、本明細書においてはヘルパー配列(複数可)と呼ばれる、1つまたは2つの末端配列などの末端配列も有利に含んでよい。換言すると、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は好ましくは、リピートを含み、反復配列のすぐ上流または下流でNOIまたはその相補鎖にハイブリダイズする、1~20ヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20ヌクレオチドをさらに含む。
【0165】
ヘルパー配列は、3’末端または5’末端であり得る。好ましくは、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列がリピートにハイブリダイズされる場合にリピートのすぐ上流またはすぐ下流で第1および第2アンプリコンの鎖にハイブリダイズする、5’末端ヘルパー配列を含む。ヘルパー配列は、実施例13に示すように、融解プロファイル間の区別を容易にする。ヘルパー配列は、それが第1または第2アンプリコンにハイブリダイズするときに高いTmを有する場合、強力であると呼ばれる。当業者は、配列がより高い割合のA/Tを含む2つのハイブリダイズされた配列と比較して、より高い割合のG/Cを含む場合、2つの配列間のハイブリダイゼーションが強力であることをよく知っている;したがって、A/Tよりもより高い割合のG/Cを含むヘルパー配列は、A/Tよりもより低い割合のG/Cを含むヘルパー配列よりも強力である。より長い配列は、より短い配列よりも強力なハイブリダイゼーションを与えることも既知であり、したがって、ヘルパー配列の強度は、第1および/または第2アンプリコンにハイブリダイズする長さを増加させることにより調節できる。
【0166】
いくらかの実施形態において、レポータオリゴヌクレオチドは、マイクロサテライト不安定性を示唆する変異体配列を検出するために有用であり、すなわち参照配列は、マイクロサテライト配列を含む。参照配列がn個のヌクレオチドの全長を有するM個のタンデムリピートのマイクロサテライト配列を含む場合、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列Hの長さは、n”であり、n”≧n+1であり、好ましくはn”≧n+1またはn”≧n+2である。
【0167】
上記レポータオリゴヌクレオチドは、第2クエンチャーを含んでよい。好ましくは、第2クエンチャーは、非末端領域にある、すなわち、レポータオリゴヌクレオチドの内部領域に位置する。換言すると、第2クエンチャーは、5’末端にまたは3’末端に、または5’末端もしくは3’末端から4ヌクレオチド内に位置しない。
【0168】
有用なフルオロフォアおよびクエンチャーは、当技術分野において既知であり、当業者が容易に利用でき、当業者は適切なフルオロフォアおよびクエンチャーを選択する困難はないであろう。
【0169】
本明細書において、変異体核酸を検出するための方法における疎水性ヌクレオチドを含むそのようなレポータオリゴヌクレオチドの使用、特に本明細書に記載の方法におけるそれらの使用も提供される。レポータオリゴヌクレオチドはまた、特に以下で本明細書において説明されるように、臨床状態の治療の有効性を予測するための方法において、および臨床状態の存在を予測するための方法において使用できる。
【0170】
臨床状態の治療の有効性の予測
本開示はまた、所定の薬剤を用いる、それを必要とする個体における臨床状態の治療の有効性を予測するための方法にも関し、上記薬剤を用いる上記臨床状態の治療の有効性は、変異体配列の存在に関連する。
【0171】
したがって、いくらかの変異は、特定の薬剤が個体の治療に有効であるか、そうでないかを示唆してよい。特に、特定の変異は、所定の薬剤治療に対する特定の応答を示唆してよい。例えば、変異は、個体が上記薬剤治療に正に応答するかどうか、個体の疾患が所与の薬剤に耐性があるかどうか、または個体が特定の薬剤治療に耐えることができないかどうかを示唆してよい。
【0172】
個体における臨床状態の治療の有効性を予測するための方法は、以下の工程
a.上記個体からの試料を準備する工程
b.試料が変異体配列を含むかどうかを決定するために、本明細書に記載されるような変異体配列の存在を検出するための方法を実行する工程
を含んでよく、
上記変異体配列の存在は、上記薬剤が、上記個体における上記臨床状態の治療において有効であるかどうかを示唆する。
【0173】
臨床状態は、例えば癌、または本明細書に記載の任意の臨床状態、疾患または障害であり得る。多くの変異が同定されており、それらは、所与の制癌剤または薬剤の組み合わせが、特定の癌の治療において有効であるかどうかを示唆する。
【0174】
いくらかの実施形態において、変異体配列は、上で本明細書において詳述したように、マイクロサテライトの変異体である。
【0175】
臨床状態の存在の予測
本方法はまた、個体における特定の変異に関連する任意の臨床状態の存在を予測する、またはさらには診断するためにも有用である。
【0176】
そのような方法は、以下の工程
a)上記個体からの試料を準備する工程
b)本明細書に記載されるように変異体配列を検出するための方法を実行することにより、試料中の臨床状態に関連する変異の存在を検出する工程
を含んでよく;
上記変異体配列の存在は、上記臨床状態を患う上記個体を示唆する。
【0177】
多数の臨床状態は、特定の変異に関連していることが既知であり、そのような変異を検出するためのレポータオリゴヌクレオチドおよびプライマのセットを設計できる。本方法は、マイクロサテライトの変異体配列を検出するために使用される場合、マイクロサテライト不安定性に関連する状態を検出するために特に有用であり、好ましくは対応する野生型または参照配列は、上で詳述したように、少なくとも15ヌクレオチド長である。
【0178】
一実施形態において、臨床状態は、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌などの、癌である。別の実施形態において、臨床状態は、リンチ症候群である。
【0179】
方法は、上記臨床状態を治療する工程をさらに含んでよい。臨床状態の存在を示唆する変異体配列が見出される場合、個体は、上記臨床状態を患うものとして分類され、方法は、治療剤を有効量で上記個体に投与する工程をさらに含んでよい。
【0180】
実施例
実施例1:マイクロサテライト不安定性は必ずしも、融解温度における変化をもたらすわけではない。
モノヌクレオチドリピートを含む領域の上流および下流でハイブリダイズするプライマを用いる非対称PCRを使用するBAT25アッセイ。アッセイは、BAT25マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。この実施例において使用されるレポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャー、ならびに内部クエンチャーを保持した。レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号1の142位~171位にハイブリダイズし、その3’末端でオーバーハング、およびその5’末端でヘルパー配列を有し、それはモノヌクレオチドリピートの上流でハイブリダイズする。加えて、それは、5’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチド、および3’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチドを含む。CRCからの正常組織DNAおよび腫瘍組織DNAまたはマイクロサテライト不安定性患者からの子宮内膜試料1~2ng/μLを、試験した。初期正規化間隔は、39~40℃であり、最終の正規化間隔は、63~64℃であった。2つの融解曲線を得(図2A)、それらを、負の一次導関数曲線に変換した(図2B)。2つの曲線は、バイリニア型正規化を適用し、0.05RFU閾値を超える0.1RFUの温度シフト強度閾値を適用することにより温度を調節した場合、同一ではなかった(2つの曲線の振幅間の最大差異は、約0.07RFU(絶対値)であり、図示していない)。0.07の差異は、この特定のアッセイについて設定された0.05RFU閾値よりも高く、したがって試料は、BAT25について不安定であると分類される。負の一次導関数曲線を、図2Bに示す。確認できるように、正常組織は、57.31℃のTを有し、腫瘍組織は、57.41℃のTを有した。そのような小さい差異は通常、重要ではなく、試料中の異なる塩濃度、または機器のばらつきが原因である可能性があった。
【0181】
この実施例から、融解温度は必ずしも、正常試料から変異した腫瘍試料で大幅に変化するわけではないが、融解曲線の形状は変化し、それはバイリニア型正規化および温度シフトを適用する場合にさらに容易に視覚化されると結論づけることができる。正常試料および腫瘍試料はしたがって、Tにおける非常に小さい差異であっても、HRM曲線間の形状の差異を使用して、区別できる。
【0182】
例2:バイリニア型正規化
モノヌクレオチドリピートを含む領域の上流および下流でハイブリダイズするプライマを用いる非対称PCRを使用するNR22アッセイ。アッセイは、NR22マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。この実施例において使用されるレポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャー、ならびに内部BHQ-1クエンチャーを保持した。レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号4の143位~172位にハイブリダイズし、その3’末端でオーバーハング(2ヌクレオチド)、およびその5’末端でヘルパー配列(9ヌクレオチド;14.2℃のTmにおける上昇をもたらす)を有し、それはモノヌクレオチドリピートの上流でハイブリダイズする。加えて、それは、5’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチド、および3’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチドを含む。マイクロサテライト不安定性患者からのFFPE精製正常および腫瘍組織DNA1~2ng/μLを、試験した。2つの融解曲線を得た(図3)。図3Aは、バイリニア型正規化または温度シフトを適用しない融解曲線を示す。図3Bは、バイリニア型正規化を適用した後(温度シフトはなし)の融解曲線を示す。
【0183】
図4は、温度の関数として、参照(任意の所与の温度で0に設定された蛍光;試料は、患者の健康な細胞からのものである)および腫瘍試料の間の蛍光における差異Dを示す。これはまた、差分プロット、差分曲線または差分グラフとも呼ばれる。最大差異maxDは、差分曲線の最大振幅の絶対値として測定される。標準正規化を適用した後(図4A)またはバイリニア型正規化を適用した後(温度シフトなし)(図4B)のデータを示す。
【0184】
この実施例は、バイリニア型正規化が、異なる試料の融解の前後に確認される蛍光における異なる減少を補償でき、正常(健康な)試料および腫瘍試料についてのHRMプロファイルを区別するのに役立つことを示す。
【0185】
例3:バイリニア型正規化および温度シフトは、融解曲線間の差異を低減できる。
非対称PCRを使用するNR24アッセイ。アッセイは、NR24マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。この実施例において使用されるレポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャー、ならびに内部クエンチャーを保持した。レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号5の158位~187位にハイブリダイズし、その3’末端でオーバーハング、およびその5’末端でヘルパー配列(14.8℃のTmにおける上昇をもたらす)を有し、それはモノヌクレオチドリピートの上流でハイブリダイズする。加えて、それは、5’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチド、および3’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチドを含む。同じマイクロサテライト安定性患者からの正常組織DNAおよび腫瘍組織DNA1~2ng/μLを、試験した。初期間隔44~45℃(値1と設定される)および最終間隔66~67℃(値0と設定される)で標準正規化を適用した。結果を図5に示す。
【0186】
バイリニア型正規化および温度シフト強度閾値が適用されなかった場合、曲線間の差異は、約0.04RFUであった(図5A)。バイリニア型正規化が適用されるが温度シフト強度閾値が適用されなかった場合、曲線間の差異は、約0.02RFUであった(図5B)。バイリニア型正規化および0.1RFUの温度シフト強度閾値が適用された場合、曲線間の差異は、約0.01RFUであった(図5C)。
【0187】
この実施例から、バイリニア型正規化および温度シフトは、マイクロサテライト安定性患者からの健康および正常試料の融解曲線間の差異を低減できると結論づけることができる。これは、偽陽性の危険性を低減する。
【0188】
例4:温度シフト強度閾値は、DNA緩衝液中の異なる塩濃度により引き起こされる融解温度における変化を中和できる。
非対称PCRを使用するNR24アッセイ。アッセイは、NR24マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。この実施例において使用されるレポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャー、ならびに内部BHQ-1クエンチャーを保持していた。レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号5の158位~187位にハイブリダイズし、その3’末端でオーバーハング(2ヌクレオチド)、およびその5’末端でヘルパー配列(14.8℃のTmにおける上昇をもたらす)を有し、それはモノヌクレオチドリピートの上流でハイブリダイズする。加えて、それは、5’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチド、および3’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチドを含む。正常組織DNAを水およびTE緩衝液でそれぞれ40ng/μL~2ng/μLに希釈した。初期正規化を、領域44~45℃で行い、最終正規化を、領域66~67℃で行った。結果を図6に示す。
【0189】
バイリニア型正規化が適用されるが温度シフトが適用されなかった場合、曲線間の最大差異maxDは、約0.07RFUであった(図6A)。バイリニア型正規化および0.1RFUの強度閾値を用いる温度シフトが適用された場合、maxDは、約0.01RFUであった(図6B)。
【0190】
この実施例から、温度シフトの適用は、差異がDNA緩衝液中の異なる塩濃度により引き起こされる場合、2つの試料間の差異を低減できると結論づけることができる。したがって、バイリニア型正規化および温度シフトの適用後に、1つの試料のアリコートは、アリコートが異なる緩衝液で得られた場合であっても、同一のHRMプロファイルを生じることができる。これは、アッセイが、比較される試料間の塩および緩衝液濃度の変動に対しそれほど脆弱性でないので、偽陽性の呼び出しの危険性を大幅に低減する。
【0191】
例5:温度シフトは、1つの普遍的な参照試料を使用する可能性を生む。
モノヌクレオチドリピートを含む領域の上流および下流でハイブリダイズするプライマを用いる非対称PCRを使用するMONO27アッセイ。アッセイは、MON27マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。この実施例において使用されるレポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャー、ならびに内部BHQ-1クエンチャーを保持していた。レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号6の300位~333位にハイブリダイズし、その3’末端でオーバーハング、およびその5’末端でヘルパー配列(10.8℃のTmにおける上昇をもたらす)を有し、それはモノヌクレオチドリピートの上流でハイブリダイズする。加えて、それは、5’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチド、および3’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチドを含む。16人の異なる患者からのFFPE精製正常組織DNA1~2ng/μLを、試験した。初期正規化間隔は、44~45℃であり、最終正規化間隔は、66~67℃であった。
【0192】
図7Aは、バイリニア型正規化が適用されたが温度シフトが適用されなかった、HRM曲線を示す。曲線間の最大差異maxDは、約0.25RFUであった。図7Bは、バイリニア型正規化および0.1RFUの強度閾値を用いる温度シフトが適用された、HRM曲線を示し、maxDは、約0.06RFUに低下した。
【0193】
図8Aおよび図8Bは、それぞれ図7Aおよび図7BのHRM曲線の差分プロットを示す。
【0194】
この実験から、温度シフトの適用は、異なる患者からの健康な試料間の差異を低減すると結論づけることができる。これは、各患者の対になった正常試料および腫瘍試料の代わりに、1つの普遍的な参照試料を使用する可能性を生む。
【0195】
例6:非対称PCRは、より多くの一本鎖アンプリコンを作成する。
モノヌクレオチドリピートを含む領域の上流および下流でハイブリダイズするプライマを用いる非対称PCRを使用するNR22アッセイ。アッセイは、NR22マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。この実施例において使用されるレポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャー、ならびに内部BHQ-1クエンチャーを保持していた。レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号4の142位~172位にハイブリダイズし、その3’末端でオーバーハング、およびその5’末端でヘルパー配列(14.2℃のTmにおける上昇をもたらす)を有し、それはモノヌクレオチドリピートの上流でハイブリダイズする。加えて、それは、5’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチド、および3’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチドを含む。
【0196】
血液精製正常組織DNA1~2ng/μLを、試験した。図では、リアルタイムPCR曲線が確認される。対称PCR曲線は、45サイクル後にRFUにおける増加が止まり、非対称PCRについては、増幅は、線形増幅を有する指数増殖期後に継続する。
【0197】
この実験から、非対称PCRは、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列が結合できる配列を含むより多くの単一DNA鎖を作成することを確認できる。
【0198】
実施例7:非対称PCRは、より高い信号対ノイズ比およびより鋭い融解曲線を作成する。
アッセイを、例6において説明したように行った。正規化されたHRM曲線を得、図10に示す。
【0199】
この実験から、非対称PCRは、より高い信号対ノイズ比を作成し、「より鋭い」融解プロファイル作成すると結論づけることができる。
【0200】
例8:非対称PCRは、MSSおよびMSI患者を区別することをより容易にする。
NR22アッセイを、例6において説明したように実行した。マイクロサテライト不安定性患者からのFFPE精製正常および腫瘍組織DNA1~2ng/μLを、試験した。
【0201】
図11は、非対称PCRを用いる(図11A)または対称PCRを用いる(図11B)標準正規化を適用した後に得られたHRM曲線を示す。対応する差分曲線を、それぞれ図12Aおよび図12Bに示す。
【0202】
この実験から、非対称PCRを用いる増幅は、対称PCRと比較して、マイクロサテライト不安定性患者について、正常および腫瘍組織曲線の間のより大きな差異を作成すると結論づけることができる。したがって、非対称PCRは、MSSおよびMSI患者を区別することをより容易にする。
【0203】
実施例9:レポータオリゴヌクレオチド中のシングルエンドオーバーハングは、融解温度を上げることができる。
モノヌクレオチドリピートを含む領域の上流および下流でハイブリダイズするプライマを用いる非対称PCRを使用するNR22アッセイ。アッセイは、NR22マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。
【0204】
2つの異なるレポータオリゴヌクレオチドを、この実験に使用した。この実施例において使用される第1レポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャーを保持した。第1レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号4の148位~177位にハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション配列は、また、5’末端で4ヌクレオチド長のヘルパー配列(7.5℃のTmにおける上昇をもたらす)および3’末端で5ヌクレオチド長のヘルパー配列(3.6℃のTmにおける上昇をもたらす)を含み、それらは、リピートのすぐ上流および下流でNR22の領域に相補的である。第2レポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャーならびに内部クエンチャーを保持した。第2レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号4の143位~172位にハイブリダイズし、その3’末端にオーバーハングおよびその5’末端に9ヌクレオチド長のヘルパー配列のみ(14.2℃のTmにおける上昇をもたらす)を有し、それはモノヌクレオチドリピートの上流でハイブリダイズする。加えて、両方のレポータオリゴヌクレオチドは、5’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチド、および3’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチドを含む。血液精製正常組織DNA1~2ng/μLを、試験した。
【0205】
第1レポータオリゴヌクレオチドを使用するアッセイについての結果を、図13において破線として示す;第2レポータオリゴヌクレオチドを使用する結果を、実線として示す。融解曲線を図13Aに示し、導関数曲線を図13Bに示す。バイリニア型正規化および温度シフトは、適用しなかった。
【0206】
第2レポータオリゴヌクレオチドについての融解温度が、第1レポータオリゴヌクレオチドについてのものよりも高いことが確認される。第2レポータオリゴヌクレオチドについてのより低いバックグラウンド蛍光は、追加の内部クエンチャーの存在が原因である可能性がある。
【0207】
この実験から、両端での2つのより小さいヘルパー配列の代わりに一方の端で1つのより長いヘルパー配列を有することは、プローブの融解温度を上昇させることができ、モノヌクレオチド反復マイクロサテライトを調査する場合に有利であり得ることがわかる。
【0208】
実施例10:レポータオリゴヌクレオチドを二重クエンチすることは、信号対ノイズ比を増加させる。
モノヌクレオチドリピートを含む領域の上流および下流でハイブリダイズするプライマを用いる非対称PCRを使用するBAT26アッセイ。アッセイは、BAT26マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。血液精製正常組織DNA1~2ng/μLを、試験した。A:標準正規化が適用されたHRM曲線。この実験において、いずれも5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャーを保持する、2つのレポータオリゴヌクレオチドを使用した。一重クエンチされただけのレポータオリゴヌクレオチドの例として、DQプローブではなく、BAT26レポータオリゴヌクレオチドFAM5’-CZCCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTAZC-3’BHQ-1(配列番号7)を使用した。BAT26レポータオリゴヌクレオチドFAM5’-CZCCTTTTTTTTTTXTTTTTTTTTTTTTTTTTTAZC-3’BHQ-1(配列番号8)を、二重クエンチされたDQ、レポータオリゴヌクレオチドを説明するために使用した;Xは、内部クエンチャーを示唆する。
【0209】
レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号2の220位~251位にハイブリダイズし、その3’末端でオーバーハングならびにその5’末端(5.2℃のTmにおける上昇をもたらす)およびその3’末端(1.9℃のTmにおける上昇をもたらす)の両方でヘルパー配列を有し、それはモノヌクレオチドリピートの上流および下流でハイブリダイズする。加えて、それは、5’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチドおよび3’末端から10ヌクレオチド内に疎水性ヌクレオチドを含む。
【0210】
HRM曲線および負の一次導関数曲線を、それぞれ図14AおよびBに示す。一重クエンチされたレポータオリゴヌクレオチド(DQプローブではない)のバックグラウンド蛍光が、二重クエンチされたレポータオリゴヌクレオチド(DQプローブ)と比較して高いことが確認される。この実験から、DQレポータオリゴヌクレオチドが、蛍光ノイズを低減し、一重クエンチされたレポータオリゴヌクレオチドと比較して融解をより鋭くすると結論づけられる。二重クエンチされたレポータオリゴヌクレオチドの使用はしたがって、正常な試料および腫瘍試料の区別を容易にできる。
【0211】
例11:レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列中の追加のヌクレオチドリピートは、より長いマイクロサテライトを検出することを可能にする。
NR21アッセイを、非対称PCRを使用して実行した。アッセイは、NR21マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。この実施例において使用されるレポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャー、ならびに内部クエンチャーを保持していた。レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号2の189位~214位にハイブリダイズし、その3’末端でオーバーハング、およびその5’末端でヘルパー配列(15.2℃のTmにおける上昇をもたらす)を有し、それはモノヌクレオチドリピートの下流でハイブリダイズする。加えて、レポータオリゴヌクレオチドは、5’末端から5ヌクレオチド内に2つの疎水性ヌクレオチド、および3’末端から5ヌクレオチド内に1つの疎水性ヌクレオチドを含む。レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列は、22Tのヌクレオチドリピートを含む;NR21マイクロサテライトは、ほとんどの正常細胞において21のリピートからなる。レポータオリゴヌクレオチドはしたがって、参照配列と比較して1つの追加のTを有する。
【0212】
レポータオリゴヌクレオチドを、21、22または23のアデニンリピートの人工標的に対して試験した。
【0213】
バイリニア型正規化を適用した後であるが温度シフトを適用していないHRM曲線を図15に示す。この実験から、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列における1つの余分なリピートを追加することは、参照の21のリピートよりも長い、マイクロサテライトの検出を可能にすると結論づけることができる。
【0214】
実施例12:一点変異は、融解温度を数度変更する。
KITエクソン13における変異体配列を検出するためのKITエクソン13アッセイ。PCRを、非対称PCRとして実行した。レポータオリゴヌクレオチドは、その5’末端でFAMフルオロフォアおよびその3’末端でBHQ1クエンチャーを保持した。野生型試料からのFFPE精製組織DNAおよび患者の試料からのFFPE精製腫瘍組織1ng/ulを、調べた。初期正規化間隔は、70~71℃であり、最終正規化間隔は、80~81℃であった。結果を図16に示す。野生型組織は、79.1℃のTを与え、腫瘍組織は、2つのT;75.7℃および79.1℃を与える。
【0215】
この実験から、プローブの融解温度が最大3.4℃で変更され、融解曲線の形状が、一点変異の場合に大幅に変化すると結論づけることができる。したがって、健康な試料および腫瘍試料を区別できる。
【0216】
実施例13:より強力なシングルエンドヘルパー配列は、差異を増加させ、変異体および野生型の区別を容易にする。
モノヌクレオチドリピートを含む領域の上流および下流でハイブリダイズするプライマを用いる非対称PCRを使用するNR24アッセイ。アッセイは、NR24マイクロサテライト中の変異体配列を検出するためである。
【0217】
2つの異なるレポータオリゴヌクレオチドを、この実験で使用した。第1レポータオリゴヌクレオチドは、5’末端でFAMフルオロフォアおよび3’末端でBHQ-1クエンチャーならびに内部クエンチャーを保持した。第1レポータオリゴヌクレオチドは、配列番号5の159位~187位にハイブリダイズし、その3’末端でオーバーハング(2ヌクレオチド)、およびその5’末端で5ヌクレオチド長のヘルパー配列(10.5℃のTmにおける上昇をもたらす)を有し、それはモノヌクレオチドリピートの上流でハイブリダイズする。加えて、それは、5’末端から10ヌクレオチド内に2つの疎水性ヌクレオチド、および3’末端から10レオチド内に疎水性ヌクレオチドを含む。第2レポータは、実施例4において説明される。マイクロサテライト不安定性患者からのFFPE精製正常および腫瘍組織DNA1~2ng/μLを、試験した。
【0218】
初期正規化を、領域40.5~41.5℃で行い、最終正規化を、領域66~67℃で行った。バイリニア型正規化および0.05RFUでの温度シフトを適用した。結果を図17および18に示す;図17Aおよび18A(第1レポータオリゴヌクレオチドを用いる結果)ならびに図17Bおよび18B(第2レポータオリゴヌクレオチドを用いる結果)を比較する。
【0219】
ハイブリダイズした場合、第2ヘルパー配列は、第1ヘルパー配列よりも高いTmにおける上昇(14.8℃、すなわち、4.3℃高い)をもたらし、これは2つの融解プロファイルを区別するのに役立つ。
【0220】
より強力なヘルパー配列が、変異体のmaxDを上昇させることが確認される。弱いヘルパー配列を有する第1レポータオリゴヌクレオチドは、正常および腫瘍組織の間で約0.03RFUのmaxDを生じた。これは、NR24マーカーについて設定された閾値を下回り、そのため変異体は、野生型として誤って分類される(図18A)。より強力なヘルパー配列を有する第2レポータオリゴヌクレオチドは、約0.17のmaxDを生じ、したがって試料は、変異体として正確に分類される(図18B)。
【0221】
この実験から、より強力なヘルパー配列は、野生型および変異体の間の差異を増加さ得ると結論づけることができ、これは、モノヌクレオチド反復マイクロサテライトを調査する場合、有利である可能性がある。
【0222】
配列
【表1】
【0223】
参考文献
Boland et al. (1998) "A National Cancer Institute workshop on microsatellite instability for cancer detection and familial predisposition: development of international criteria for the determination of microsatellite instability in colorectal cancer," Cancer Res 58:5248-5257
Rodriguez-Bigas et al. (1997) "A National Cancer Institute workshop on hereditary nonpolyposis colorectal cancer syndrome: meeting highlights and Bethesda guidelines," J Natl Cancer Inst 89:1758-1762
Hunter and Sanders (1990) J. Am Chem. Soc. 112: 5525-5534
WO 2017/045689
WO 03/052132
【0224】
条項
1.2つの鎖からなり、目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するための方法であって、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記方法は、以下の工程:
a)上記変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1試料を準備する工程;
b)上記参照配列を含む核酸を含む第2試料を準備する工程であって、第2試料が、参照試料である、工程;
c)レポータオリゴヌクレオチドを準備する工程;
d)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットを準備する工程であって、プライマのセットが一緒に、標的核酸配列を増幅できる、工程;
e)上記第1試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって変異体配列を含む疑いがある核酸を含む第1アンプリコンを得る工程;ならびに上記第2試料、上記第1プライマおよび上記第2プライマの存在下で標的核酸配列を増幅させ、それによって参照配列を含む第2アンプリコンを得る工程であって、第2アンプリコンが、参照アンプリコンである、工程;
f)第1アンプリコンの高分解能融解(HRM)分析を実行し、それによって第1融解曲線により特徴づけられる第1HRMプロファイルを得る工程、ならびに第2アンプリコンのHRM分析を実行し、それによって第2融解曲線により特徴づけられる第2HRMプロファイルを得る工程であって、第2HRMプロファイルが、参照融解曲線により特徴づけられる参照プロファイルである、工程(各アンプリコンは、第1鎖および第2鎖を含み、HRM分析は、各アンプリコンの1つの鎖へのレポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション、フルオロフォアにより放出される信号の検出、ならびに第1および第2融解曲線を得ることを含む);
(レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチドの配列である、
レポータオリゴヌクレオチドは、好ましくはその5’末端にまたは5’末端からの4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端にまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含む、ならびに
レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む、
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する;ならびに
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸配列の第2鎖の配列の連続ストレッチに相補的である);ならびに
g)第1HRMプロファイルを参照HRMプロファイルと比較する工程であって、第1HRMプロファイルおよび参照HRMプロファイルの間の差異は、第1試料が変異体配列を含むことを示唆する、工程
を含む、方法。
【0225】
2.NOIが、リピートを含み、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列が、反復配列およびその5’末端および/またはその3’末端でのヘルパー配列からなり、上記ヘルパー配列が、リピートを含まず、ハイブリダイゼーション配列がそれにハイブリダイズする場合、第1および第2アンプリコンの第1または第2鎖にハイブリダイズでき、好ましくはレポータオリゴヌクレオチドが、反復配列およびその5’末端またはその3’末端での1つのみのヘルパー配列からなる、条項1に記載の方法。
【0226】
3.ヘルパー配列が、1~20のヌクレオチド、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20ヌクレオチドなどを含むかそれらからなり、好ましくはヘルパー配列が、条項1において定義されたような少なくとも1つの疎水性オリゴヌクレオチドを含む、条項2に記載の方法。
【0227】
4.条項1において定義されたような少なくとも1つの疎水性ヌクレオチド、1、2または3個の疎水性ヌクレオチドなどが、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端から1~10ヌクレオチド内、3’末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド内などに挿入される、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0228】
5.条項1において定義されたような少なくとも1つの疎水性ヌクレオチド、1、2または3個の疎水性ヌクレオチドなどが、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端から1~10ヌクレオチド内、5’末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド内などに挿入される、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0229】
6.複数の標的核酸配列が、BAT25およびBAT26からなり、好ましくは複数が、配列番号1に示すようなBAT25および配列番号2に示すようなBAT26からなる、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0230】
7.標的核酸配列が、BAT25、BAT26、NR21、NR22、NR24およびMONO27、好ましくは配列番号1に示すようなBAT25、配列番号2に示すようなBAT26、配列番号3に示すようなNR21、配列番号4に示すようなNR22、配列番号5に示すようなNR24および配列番号6に示すようなMONO27の1つまたは複数を含む1つまたは複数の核酸配列である、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0231】
8.標的核酸が、BAT25、BAT26、NR21、NR22およびNR24からなる複数の標的核酸配列であり、好ましくは複数が、配列番号1に示すようなBAT25、配列番号2に示すようなBAT26、配列番号3に示すようなNR21、配列番号4に示すようなNR22、および配列番号5に示すようなNR24からなる、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0232】
9.標的核酸が、BAT25、BAT26、NR22、NR24およびMONO27からなる複数の標的核酸配列であり、好ましくは複数が、配列番号1に示すようなBAT25、配列番号2に示すようなBAT26、配列番号4に示すようなNR22、配列番号5に示すようなNR24および配列番号6に示すようなMONO27からなる、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0233】
10.標的核酸が、BAT25、BAT26、NR21、NR22、NR24およびMONO27からなる複数の標的核酸配列であり、好ましくは複数の標的核酸配列が、配列番号1に示すようなBAT25、配列番号2に示すようなBAT26、配列番号3に示すようなNR21、配列番号4に示すようなNR22、配列番号5に示すようなNR24および配列番号6に示すようなMONO27からなる、条項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0234】
11.工程e)における増幅が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、好ましくは第1および第2プライマが異なる量で与えられる非対称PCRにより実行され、それによって各アンプリコンの第1鎖よりも各アンプリコンの第2鎖をより多く増幅するようにPCRを指示する、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0235】
12.第1試料が、癌などの疾患を患うか、患う疑いがある個体から単離されており、好ましくは癌が、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌である、条項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【0236】
13.NOIが、マイクロサテライトである、条項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0237】
14.参照配列が、n個のヌクレオチドの全長を有するM個のタンデムリピートのマイクロサテライト配列を含み、変異体配列が、n’個のヌクレオチドの全長を有するM’個のタンデムリピートを有し、MおよびM’が、異なる整数である、条項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【0238】
15.レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列Hの長さが、n”であり、n”≧n+1であり、好ましくはn”≧n+1またはn”≧n+2である、条項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
16.レポータオリゴヌクレオチドが、レポータオリゴヌクレオチドの非末端位置に位置する第2クエンチャーを含む、条項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【0240】
17.第1試料が、上記疾患の変異特徴を有する細胞を含むか含む疑いがある組織の試料である、条項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【0241】
18.参照試料が、第1試料として同じ個体から、任意で非疾患組織から単離されるか、参照試料が、健康な個体から単離される、条項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【0242】
19.工程f)が、第1および第2融解曲線の負の一次導関数を得るために第1および第2HRM融解曲線を変換する工程を含み、第1HRMプロファイルおよび参照HRMプロファイルの間の差異が、第1および第2融解曲線の負の一次導関数の間の差異である、条項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【0243】
20.第1融解曲線の蛍光および第2融解曲線の蛍光が、正規化され、HRMプロファイル間の差異が、温度の関数としての上記第1および第2融解曲線の蛍光間の差異である、条件1から19のいずれか一項に記載の方法。
【0244】
21.第1HRMプロファイルおよび参照HRMプロファイルの間の差異が、第1および第2HRM曲線の間の上下の正規化領域の境界内の相対蛍光単位の絶対最大差異として測定される、条項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【0245】
22.HRM分析が、第1および第2融解曲線のバイリニア型正規化の工程を含む、条項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【0246】
23.HRM分析が、相対蛍光単位(RFU)での温度調節を、第1および第2融解曲線にならびに/または第1および第2融解曲線の負の一次導関数に適用する工程を含む、条項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【0247】
24.第2プライマが、標的核酸配列の連続配列と相補的である、少なくとも15ヌクレオチドの配列を含む、条項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【0248】
25.変異体配列が、参照配列と比較して1つまたは複数のヌクレオチドの挿入を含むかそれからなる、条項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【0249】
26.変異体配列が、参照配列と比較して1つまたは複数のヌクレオチドの欠失を含むかそれからなる、条項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【0250】
27.レポータオリゴヌクレオチドが、以下の一般式
5’-(N)-Z-(N)d-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、条項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体の総数は、少なくとも10である;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
dおよびeは、個々に1~19の範囲の整数である;ならびに
a+b+d+eは、少なくとも10である)
を有する;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)は、参照配列と同一である、
条項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【0251】
28.レポータオリゴヌクレオチドが、以下の一般構造:
5’-(N)-Z-(N)f-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、条項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
f、gおよびhは、個々に1~18の範囲の整数である;ならびに
a+b+f+g+hは、少なくとも10であり、最大50である;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)-(N)は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である)
を有する;または
以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、条項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
i、j、kおよびlは、1~17の範囲の整数である;ならびに
a+b+i+j+k+lは、個々に少なくとも10であり、最大50である;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)-(N)-(N)は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である)
を有する;または
以下の一般構造
5’-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-Z-(N)-3’
(式中、
Nは、任意のヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体である;ならびに
Zは、条項1において定義されるような疎水性ヌクレオチドである;ならびに
aおよびbは、個々に0~4の範囲の整数である;ならびに
m、n、o、pおよびqは、個々に1~16の範囲の整数である;ならびに
a+b+m+n+o+p+qは、少なくとも10であり、最大50である;ならびに
(N)-(N)-(N)-(N)-(N)-Z-(N)-(N)は、参照配列を含む標的核酸配列のストレッチと同一である)
を有する、
条項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【0252】
29.少なくとも1つのインターカレーター、Qが、ヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード、メルカプト、チオ、シアノ、アルキルチオ、複素環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルボアルコキシル(carboalkoyl)、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、アミノ、アルコキシルおよびアミドからなる群より選択される1つまたは複数で任意に置換されたポリアロメートおよびヘテロポリアロメートからなる群より選択される、条項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【0253】
30.インターカレーターが、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、as-インダセン、s-インダセン、ビフェニレン、アセナフチレン、フェナレン、ヘプタレン、フェナントラン、フルオランテン、フェナントロリン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、ピレン、アントラセン、ナフテン、フェナントレン、フルレン、ピセン、クリセン、ナフタセン、アクリドン、ベンズアントラセン、スチルベン、オキサロ-ピリドカルバゾール、アジドベンゼン、ポルフィリンおよびソラレンならびにそれらの誘導体からなる群より選択される、条項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【0254】
31.少なくとも1つ、例えばすべての骨格モノマー単位(複数可)Xが、ホスホロアミダイトである、条項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
32.少なくとも1つのリンカー、Yが、C、O、S、NおよびPからなる群より選択されるx個の原子の鎖を含み、任意で上記鎖が、C、H、O、S、NおよびPからなる群より選択される1つまたは複数で置換される、条項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【0256】
33.標的核酸配列が、複数の標的核酸配列である、条項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【0257】
34.2つの鎖からなり、目的のヌクレオチド(複数可)(NOI)を含む標的核酸配列における変異体配列の存在を検出するためのキットオブパーツであって、上記標的核酸配列は、変異体配列または参照配列からなり、上記キットオブパーツは:
a)好ましくはその5’末端でまたは5’末端から4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端でまたは3’末端から4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含むレポータオリゴヌクレオチド、
(レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~50個の範囲のヌクレオチドの配列であり、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含む)、
(少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する;ならびに
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチに相補的である);ならびに
b)第1プライマおよび第2プライマからなるプライマのセットであって、一緒に、標的核酸を増幅さできる、プライマのセット
を含む、
上記キットオブパーツ。
【0258】
35.レポータオリゴヌクレオチドならびに第1プライマおよび第2プライマが、条項1から34のいずれか一項に定義されるものである、条項34に記載のキット。
【0259】
36.標的核酸の1つの鎖にハイブリダイズできるレポータオリゴヌクレオチドであって、好ましくはその5’末端にまたは5’末端から4ヌクレオチド内に、第1フルオロフォア、および好ましくはその3’末端にまたは3’末端からの4ヌクレオチド内に、第1クエンチャーを含み、レポータオリゴヌクレオチドは、そこに2~10個の範囲の疎水性ヌクレオチドが挿入された10~5個0の範囲のヌクレオチドの配列であり、レポータオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション配列Hを含み、
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの5’末端にまたは5’末端から10ヌクレオチド内に位置する;および/または
少なくとも1つの疎水性ヌクレオチドは、レポータオリゴヌクレオチドの3’末端にまたは3’末端から10ヌクレオチド内に位置する;ならびに
疎水性ヌクレオチドは、構造
X-Y-Q
(式中、
Xは、核酸もしくは核酸類縁体の骨格に組み込むことができるヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位である、
Qは、ワトソン-クリック水素結合に関与していないインターカレーターである;ならびに
Yは、上記ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体または骨格モノマー単位および上記インターカレーターを連結するリンカー部分である)を有する;ならびに
ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第1鎖の配列の連続ストレッチと同一であり、ハイブリダイゼーション配列は、標的核酸の第2鎖の配列の連続ストレッチに相補的である、
レポータオリゴヌクレオチド。
【0260】
37.上記NOIが、リピートを含み、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列が、反復配列およびその5’末端および/またはその3’末端でのヘルパー配列からなり、上記ヘルパー配列が、リピートを含まず、ハイブリダイゼーション配列が標的核酸にハイブリダイズする場合に標的核酸の第2鎖にハイブリダイズでき、好ましくはレポータオリゴヌクレオチドが、反復配列およびその5’末端またはその3’末端での1つのみのヘルパー配列からなる、条項36に記載のレポータオリゴヌクレオチド。
【0261】
38.ヘルパー配列が、1~20のヌクレオチド、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20ヌクレオチドなどを含むかそれらからなり、好ましくはヘルパー配列が、条項1において定義されたような少なくとも1つの疎水性オリゴヌクレオチドを含む、条項36から37のいずれか一項に記載のレポータオリゴヌクレオチド。
【0262】
39.参照配列が、n個のヌクレオチドの全長を有するM個のタンデムリピートのマイクロサテライト配列を含み、レポータオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション配列Hの長さが、n”であり、n”≧n+1であり、好ましくはn”≧n+1またはn”≧n+2である、条項36から38のいずれか一項に記載のレポータオリゴヌクレオチド。
【0263】
40.レポータオリゴヌクレオチドが、レポータオリゴヌクレオチドの非末端位置に位置する第2クエンチャーを含む、条項36から39のいずれか一項に記載のレポータオリゴヌクレオチド。
【0264】
41.所定の薬剤を用いてそれを必要とする個体における臨床状態の治療の有効性を予測するための方法であって、上記薬剤を用いる上記臨床状態の治療の有効性は、変異体配列の存在に関連しており、上記方法は、以下の工程
a.上記個体からの試料を準備する工程
b.上記変異体配列の存在を決定するために、条項1から33のいずれか一項に記載の方法を実行する工程
を含み;
上記変異体配列の存在は、上記薬剤が、上記個体における上記臨床状態の治療において有効であるかどうかを示唆する、方法。
【0265】
42.それを必要とする個体における臨床状態の存在を予測する方法であって、上記臨床状態は、変異体配列を含む標的核酸配列の存在に関連しており、上記方法は、以下の工程
a.上記個体からの試料を準備する工程
b.変異体配列の存在を決定するために、条項1から33のいずれか一項に記載の方法を実行する工程
を含み;
上記変異体配列の存在は、上記臨床状態を患う上記個体を示唆する、方法。
【0266】
43.臨床状態が癌、好ましくは遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌である、条項41から42のいずれか一項に記載の方法。
【0267】
44.上記個体に治療剤を有効量で投与する工程をさらに含む、条項41から43のいずれか一項に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
【手続補正書】
【提出日】2022-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2022533088000001.app
【国際調査報告】