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特表2022-533102低損失の複合層及びそれを形成するための組成物
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  • 特表-低損失の複合層及びそれを形成するための組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】低損失の複合層及びそれを形成するための組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/18 20060101AFI20220713BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20220713BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220713BHJP
   C08K 3/40 20060101ALI20220713BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20220713BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
C08L23/18
C08J5/24 CER
C08J5/18
C08K3/40
C08K5/3477
C08K5/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568069
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 US2020033759
(87)【国際公開番号】W WO2020236908
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/851,846
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521138305
【氏名又は名称】ロジャーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エー・クース
(72)【発明者】
【氏名】ナジーフ・アザム
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・トワージドロ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・レイモンド・ハイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ブラシウス
【テーマコード(参考)】
4F071
4F072
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA39
4F071AA39A
4F071AA81
4F071AB07B
4F071AB28
4F071AC08A
4F071AD02
4F071AD06
4F071AE03A
4F071AE22
4F071AF19Y
4F071AF40Y
4F071AF62Y
4F071AG05
4F071AG28
4F071AH13
4F071BA02
4F071BB02
4F071BB12
4F071BC02
4F071BC12
4F071CA01
4F071CD03
4F072AA07
4F072AB05
4F072AB06
4F072AB09
4F072AB28
4F072AB29
4F072AD03
4F072AE02
4F072AE23
4F072AF06
4F072AF23
4F072AF24
4F072AG03
4F072AG17
4F072AG19
4F072AH02
4F072AH21
4F072AK02
4F072AK14
4F072AL12
4F072AL13
4J002BB161
4J002DL006
4J002EK018
4J002EK038
4J002EK048
4J002EK058
4J002EK068
4J002EK088
4J002EQ018
4J002EQ038
4J002FB106
4J002FD016
4J002FD147
4J002FD158
4J002GQ00
(57)【要約】
一態様において、組成物は、アルファ-オレフィン及びC4~30シクロアルケンに由来する繰り返し単位を含むヒドロカルビル熱可塑性ポリマー;フリーラジカル架橋性であって架橋ネットワークを生成する反応性モノマー;フリーラジカル供給源;並びに架橋ネットワークに化学的にカップリングすることができる官能化石英ガラスを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファ-オレフィン及びC4~30シクロアルケンに由来する繰り返し単位を含むヒドロカルビル熱可塑性ポリマー;
フリーラジカル架橋性であって架橋ネットワークを生成する反応性モノマー;
フリーラジカル供給源;並びに
架橋ネットワークに化学的にカップリングすることができる官能化石英ガラス(fused silica)を含む組成物。
【請求項2】
ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーが、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、ノルボルネン、又はアルキル若しくはアリール置換ノルボルネン(5-メチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-フェニル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、4,5-ジメチル-2-ノルボルネン、エキソ-1,4,4a,9,9a,10-ヘキサヒドロ-9,10(1',2')-ベンゼノ-l,4-メタノアントラセン、エキソ-ジヒドロジシクロペンタジエン、又はエンド,エキソ-テトラシクロドデセン等)の少なくとも1つに由来する繰り返し単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーが、式(I)
【化1】
[式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、H、C1~30アルキル基、C6~30アリール基であってよく;nは10~3,500であってよく;mは1~5,300であってよい]
を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
C4~30シクロアルケン繰り返し単位のアルファ-オレフィン繰り返し単位に対するモル比が、6:1~0.5:1又は6:1~1.5:1.0である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーの重量平均分子量が、ポリスチレン標準に対して1モル当たり500~105,000グラムである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物の総体積に対して10~90体積パーセント、又は25~75体積パーセント、又は30~50体積パーセントのヒドロカルビル熱可塑性ポリマーを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
反応性モノマーが(イソ)シアヌル酸トリアリルを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の総体積に対して1~35体積パーセント、又は5~25体積パーセント、又は5~15体積パーセントの反応性モノマーを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
フリーラジカル供給源が、過酸化ジクミル、ジメチルジフェニルヘキサン、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン)、t-ブチルヒドロペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、過安息香酸t-ブチル、α,α'-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、若しくは2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、α,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン)、オクタノイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド)、ペルオキシジカルボネート、α,α'-アゾビス(イソブチロニトリル)、レドックス開始剤、アセチルアジド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン若しくは1,4-ジイソプロピルベンゼンの少なくとも1つを含み、及び/又は組成物が、組成物の総質量に対して0.1~2体積パーセント、若しくは0.5~1体積パーセントのフリーラジカル供給源を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
官能化石英ガラスが1~50マイクロメートル、又は1~10マイクロメートルの平均直径を有する球状形態を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の総体積に対して10~70体積パーセント、又は20~60体積パーセントの官能化石英ガラスを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ポリスチレン標準に対して1モル当たり200~2,000グラムの重量平均分子量を有する炭化水素樹脂希釈剤を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
炭化水素樹脂希釈剤を更に含み、炭化水素樹脂希釈剤がピペリレン及び任意選択で芳香族繰り返し単位に由来し、炭化水素樹脂希釈剤が任意選択で飽和されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物の総体積に対して0~50体積パーセント、又は10~40体積パーセント、又は5~30体積パーセントの炭化水素樹脂希釈剤を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
組成物の総体積に対して5~25体積パーセント、又は8~20体積パーセントの難燃剤を更に含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
官能化石英ガラスの官能基が、(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、又はスチリル基の少なくとも1つを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物に由来する複合層。
【請求項18】
組成物が、80キロパスカル秒以上、又は80~700キロパスカル秒の最小溶融粘度を有し;又は複合層が、1センチメートル当たり0.54キログラム以上の銅に対する剥離強度;摂氏150~250度で摂氏温度当たり95百万分率以下、又は摂氏温度当たり90百万分率以下のz-方向の平均熱膨張率;10ギガヘルツで2.5~3.5の誘電率;又は10ギガヘルツで0.0030以下、又は0.0021以下、又は0.001~0.0025の誘電損失の少なくとも1つを有する、請求項17に記載の複合層。
【請求項19】
請求項17及び18に記載の複合層を作製する方法であって、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物から層を形成する工程、及び組成物中の反応性モノマーを重合して架橋ネットワークを形成する工程を含む方法。
【請求項20】
重合する工程が、少なくとも1つの層の温度を上げる工程、又は電子ビーム照射に層を曝露する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
層を形成する工程が剥離ライナーに前記組成物をキャストする工程を含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
層を形成する工程が、銅又はアルミニウム等の金属箔に前記組成物をキャストする工程を含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項23】
層を形成する工程が補強層に前記組成物を含浸させる工程を含む、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項17から23のいずれか一項に記載の複合層を含む多層物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月23日に出願された米国特許仮出願第62/851,846号の利益を主張する。関連出願は、その全体が参考によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は低損失の複合層に関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話遠隔通信において用いられるラミネート及びプリプレグシステム、ラミネートをベースとするチップ担体、高速デジタルサーバー等は、例えば、低損失の、低い誘電率、良好な耐熱性、良好な寸法安定性等の幾つかの物理的及び電気的な性能判定基準を満たさなければならない。そのようなシステムは、絶えることなくますます小さなコンポーネントが好まれる傾向があり、より高度な性能が要求され、レベル毎に改善を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、回路材料に使用される材料の改善が依然として必要とされている。とりわけ、例えば非常に低プロフィル金属箔に対する剥離強度の向上を含む改善が必要とされている。所望の電気的、熱的及び物理的性質の中でも、とりわけ更に低減された誘電損失値を達成することはさらなる利点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において低損失誘電体層及びそれを形成するための組成物が開示される。
【0006】
一態様において、組成物はヒドロカルビル熱可塑性ポリマー;フリーラジカル架橋性であって架橋ネットワークを生成する反応性モノマー;フリーラジカル供給源;及び架橋ネットワークに化学的にカップリングすることができる官能化石英ガラスを含む。
【0007】
別の態様において、複合層は組成物に由来することができる。
【0008】
一態様において、複合層を作製する方法は組成物から層を形成する工程;及び組成物中の反応性モノマーを重合して架橋ネットワークを形成する工程を含む。
【0009】
別の態様において、多層物品は、複合層を含む。
【0010】
上に記載された特色、及びその他の特色は、以下の図、詳細な記載及び請求項によって例示される。
【0011】
以下の図は例示の態様であり、本開示を説明するために提供される。図は実施例による例証であり、本開示に従って製造される装置を、本明細書において述べる材料、条件又はプロセスパラメータに限定することは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】最小溶融粘度及び熱膨張率値の充填剤含有率を示すグラフ図である。
図2】石英ガラスを含む実施例の組成物の走査電子顕微鏡写真である。
図3】メタクリル化石英ガラスを含む実施例の組成物の走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
多層のプリント回路基板で使用される結合プライ層用の誘電体組成物は、めっきしたスルーホールの高信頼性を保証するためにZ軸の低い熱膨張率を維持しつつ、隣接した信号層及び/又は基底層と関連した表面微細構造にそれが十分に流れ込み満たすことができるように十分に低い最小溶融粘度を有する必要がある。これら2つの特性は通常、正反対であるので、最小溶融粘度と熱膨張率の間の最適な釣り合いを有する誘電体組成物の達成は困難であった。最小溶融粘度と熱膨張率の間の良好な釣り合いを達成することができるだけでなく、また低損失又は銅に対する高い剥離強度の少なくとも1つを示す、複合層を形成するための組成物が開発されてきた。組成物は、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマー;フリーラジカル架橋性であって架橋ネットワークを生成する反応性モノマー;フリーラジカル供給源;及び官能化石英ガラスを含む。
【0014】
複合層中の官能化石英ガラスの存在は、官能基を含まない石英ガラスを含む以外は同一の組成物から形成された複合層と比較して、銅に対してより大きな剥離強度を有することが見出された。例えば、複合層は、1センチメートル当たり0.54キログラム(kg/cm)以上の、銅に対する高い剥離強度を達成することができる。複合層中の官能化石英ガラスの存在はまた、前記官能基を含まない石英ガラスを含む以外は同一の組成物から形成された複合層と比較して、補強層の存在なしでさえz-方向の平均熱膨張率の低下をもたらすことが見出された。織布又は不織布の強化を実現可能とするのに必要とする結合プライ層と異なり、補強層に関して更に、本複合層にはまた、それは非強化であってよく、比較的薄くすることができるという利点がある。更に組成物から形成された複合層は、10ギガヘルツ(GHz)で0.0030以下の低誘電損失を示すことができる。
【0015】
組成物はヒドロカルビル熱可塑性ポリマーを含む。本明細書において使用される場合、用語「ヒドロカルビル熱可塑性ポリマー」は、少なくとも1種のヘテロ原子非含有不飽和炭化水素の付加重合から調製されるポリマーを指す。ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーは組成物の他の成分と非反応性であってよい。ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーは、アルファ-オレフィン又は環状オレフィンの少なくとも1つに由来することができる。アルファ-オレフィンは少なくとも1種のC2~20アルケン、例えば、エテン、プロペン、1-ブテン又は1-デセンを含むことができる。環状オレフィンは、少なくとも1種のC4~30シクロアルケン、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、ノルボルネン又は他のアルキル若しくはアリール置換ノルボルネン(5-メチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-フェニル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、4,5-ジメチル-2-ノルボルネン、又はエキソ-1,4,4a,9,9a,10-ヘキサヒドロ-9,10(1',2')-ベンゼノ-1,4-メタノアントラセン(HBMN)等)を含むことができる。他の環状オレフィンは、三環式モノマー(例えば、エキソ-ジヒドロジシクロペンタジエン)又は四環式モノマー(例えば、エンド,エキソ-テトラシクロドデセン)を含む。ヒドロカルビルポリマーのいずれの残留不飽和も、組成物への組み入れ前に水素化によって除去することができる。
【0016】
ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーは、式(I)
【0017】
【化1】
【0018】
[式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、H、C1~30アルキル基、又はC6~30アリール基であってよく;nは、0~3,500又は10~2,500又は100~1,000であってよく;mは、1~5,300又は100~3,000又は1,000~3,000であってもよい]
を有することができる。R1は、H、C1~30アルキル基又はC6~30アリール基であってよく、R2及びR3はそれぞれ独立して、H、C1~23アルキル基又はC6~23アリール基であってもよい。環状オレフィン(例えばC4~30シクロアルケンの)繰り返し単位の、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマー中のアルファ-オレフィン繰り返し単位に対するモル比は、6:1~0.5:1又は6:1~1.5:1であってもよい。
【0019】
環状オレフィンは官能基、例えばアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基)の少なくとも1つを含むことができる。環状オレフィンは、環状アルキル官能基(例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5,6-ジメチルビシクロ[2.2.1]-ヘプタ-2-エン、1-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン)を含むことができる。環状オレフィンは四環式アルキル官能基(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8,9-ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-9-エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、又は8-ステアリルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン)を含むことができる。環状オレフィンは、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基又はナフチル基)、又はヘテロ原子含有基(例えば、ニトリル基又はハロゲン)を含むことができる。官能化環状オレフィン繰り返し単位は、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマー中、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーの総質量に対して5~45wt%、又は35~75wt%、又は65~85wt%の量で存在することができる。
【0020】
アルファ-オレフィンは、アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基又はナフチル基)、又はヘテロ原子含有基(例えば、ニトリル基又はハロゲン)の少なくとも1つ等の官能基を含むことができる。官能化アルファ-オレフィン繰り返し単位は、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマー中、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーの総質量に対して55~95wt%、又は25~65wt%又は15~35wt%の量で存在することができる。
【0021】
高活性メタロセン等のシングルサイト触媒、幾何拘束触媒(CGC)、メチルアルミノキサン(MAO)又はホウ酸塩助触媒と組み合わせて使用されるニッケル又はパラジウムジイミン錯体は、エテン又はプロペン等のアルファ-オレフィンとの環状オレフィンの共重合を可能にすることができる。
【0022】
組成物は、組成物の総体積に対して10~90体積パーセント(vol%)、又は25~75vol%、又は30~50vol%のヒドロカルビル熱可塑性ポリマーを含むことができる。本明細書において使用される場合、組成物の総体積に対する質量パーセント又は体積パーセントの成分の量を指す場合、量は、固形分、すなわち、存在する任意の溶媒を引いた固形分の合計量に対し、また、存在する任意の補強織物(例えば、織布又は不織布)を引いた合計量に対する。ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン標準に対して1モル当たり500~105,000グラム(g/mol)、又は3,000~100,000g/mol、又は20,000~90,000g/mol、又は70,000~90,000g/molであってもよい。
【0023】
組成物は、架橋ネットワークを生成するために架橋することができる反応性モノマーを含む。反応性モノマーは、ジアリル化合物、トリアリル化合物、ジビニル化合物、トリビニル化合物、共役ジエン、非共役ジエン、ジ(メタ)アクリレート化合物、又はトリ(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1つを含むことができる。反応性モノマーは、(イソ)シアヌル酸トリアリル、1,9-デカジエン、1,7-オクタジエン、イソシアヌル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)トリアクリレート(THEIC TA)、又はトリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMP TMA)の少なくとも1つを含むことができる。反応性モノマーは(イソ)シアヌル酸トリアリルを含むことができる。本明細書において使用される場合、(イソ)シアヌル酸トリアリルは、式(2A)及び式(2B)において、それぞれ説明されるように、イソシアヌル酸トリアリル又はシアヌル酸トリアリルの少なくとも1つを含む。
【0024】
【化2】
【0025】
組成物は、組成物の総体積に対して1~35vol%、又は5~25vol%、又は5~15vol%の反応性モノマーを含むことができる。ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーと反応性モノマーの体積比は、1:1~50:1、又は1:1~10:1、又は2:1~5:1であってもよい。
【0026】
組成物は、例えば熱により活性化することができるフリーラジカル供給源(本明細書において開始剤とも称される)を含むことができる。熱により活性化することができるフリーラジカル供給源の例は、過酸化物、アゾ化合物(例えば、α,α'-アゾビス(イソブチロニトリル))、レドックス開始剤(例えば、H2O2等の過酸化物と第一鉄塩の組み合わせ)、又はアジド(例えば、アセチルアジド)を含む。フリーラジカル供給源は、過酸化物開始剤、アゾ開始剤、炭素-炭素開始剤、過硫酸塩開始剤、ヒドラジン開始剤、ヒドラジド開始剤、又はハロゲン開始剤の少なくとも1つを含むことができる。フリーラジカル供給源は、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、又は1,4-ジイソプロピルベンゼンの少なくとも1つを含むことができる。フリーラジカル供給源は、有機過酸化物、例えば過酸化ジクミル、過安息香酸t-ブチル、α,α'-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、又は2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンの少なくとも1つを含むことができる。
【0027】
フリーラジカル供給源は、少なくとも摂氏50度(℃)の分解温度を有する過酸化物を含むことができる。ペルオキシドの例は、ケトンペルオキシド(例えば、メチルエチルケトンペルオキシド又はシクロヘキサノンペルオキシド)、ペルオキシケタール(例えば、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン又は2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン)、ヒドロペルオキシド(例えば、t-ブチルヒドロペルオキシド又は2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロペルオキシド)、ジアルキルペルオキシド(例えば、過酸化ジクミル、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、又はα,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン)、ジアシルペルオキシド(例えば、オクタノイルペルオキシド又はイソブチリルペルオキシド)、又はペルオキシカルボネート(例えば、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボネート等のペルオキシジカルボネート)を含む。
【0028】
組成物は、組成物の総質量に対して0.01~10vol%、又は0.05~3vol%、又は0.1~2vol%、又は0.5~1vol%のフリーラジカル供給源を含むことができる。
【0029】
組成物は官能化石英ガラスを含む。組成物は、組成物の総体積に対して10~70vol%、又は20~60vol%、又は40~55vol%、又は10~40vol%の官能化石英ガラスを含むことができる。官能化石英ガラスは、1~50マイクロメートル又は1~10マイクロメートルの平均直径を有する球状形態を有することができる。
【0030】
組成物は、アルファ-オレフィン及びC4~30シクロアルケンに由来する繰り返し単位を含むヒドロカルビル熱可塑性ポリマー;フリーラジカル架橋性であって架橋ネットワークを生成する反応性モノマー;フリーラジカル供給源;並びに架橋ネットワークに化学的にカップリングすることができる官能化石英ガラスを含むことができる。ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーは、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、ノルボルネン、又はアルキル若しくはアリール置換ノルボルネン(5-メチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-フェニル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、4,5-ジメチル-2-ノルボルネン、エキソ-1,4,4a,9,9a,10-ヘキサヒドロ-9,10(1',2')-ベンゼノ-l,4-メタノアントラセン、エキソ-ジヒドロジシクロペンタジエン、又はエンド,エキソ-テトラシクロドデセン等)の少なくとも1つに由来する繰り返し単位を含むことができる。ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーは式(I)を有することができる。C4~30シクロアルケン繰り返し単位のアルファ-オレフィン繰り返し単位に対するモル比は、6:1~0.5:1又は6:1~1.5:1.0であってもよい。ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン標準に対して1モル当たり500~105,000グラムであってもよい。反応性モノマーは(イソ)シアヌル酸トリアリルを含むことができる。フリーラジカル供給源は、過酸化ジクミル、ジメチルジフェニルヘキサン、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン)、t-ブチルヒドロペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、過安息香酸t-ブチル、α,α'-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、又は2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、α,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン)、オクタノイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド)、ペルオキシジカルボネート、α,α'-アゾビス(イソブチロニトリル)、レドックス開始剤、アセチルアジド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン又は1,4-ジイソプロピルベンゼンの少なくとも1つを含むことができる。組成物は炭化水素樹脂希釈剤を含むことができる。炭化水素樹脂希釈剤は、ポリスチレン標準に対して1モル当たり200~2,000グラムの重量平均分子量を有することができる。炭化水素樹脂希釈剤は、ピペリレン及び任意選択で芳香族繰り返し単位に由来してもよい。炭化水素樹脂希釈剤は飽和していてもよい。組成物は難燃剤を含むことができる。官能化石英ガラスの官能基は、(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、又はスチリル基の少なくとも1つを含むことができる。
【0031】
組成物は、組成物の総体積に対して10~90体積パーセント、又は25~75体積パーセント、又は30~50体積パーセントのヒドロカルビル熱可塑性ポリマーを含むことができる。組成物は、組成物の総質量に対して0.1~2体積パーセント、又は0.5~1体積パーセントのフリーラジカル供給源を含むことができる。組成物は、組成物の総体積に対して1~35体積パーセント、又は5~25体積パーセント、又は5~15体積パーセントの反応性モノマーを含むことができる。組成物は、組成物の総体積に対して10~70体積パーセント、又は20~60体積パーセント、又は40~55体積パーセントの官能化石英ガラスを含むことができる。組成物は、組成物の総体積に対して0~50体積パーセント、又は10~40体積パーセント、又は5~30体積パーセントの炭化水素樹脂希釈剤を含むことができる。組成物は、組成物の総体積に対して5~25体積パーセント、又は8~20体積パーセントの難燃剤を含むことができる。
【0032】
官能化石英ガラスは、官能基を含むシランを反応させることにより調製することができる。官能基は、(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、又はスチリル基の少なくとも1つを含むことができる。(メタ)アクリレート官能性シランの例は、(3-アクリルオキシプロピル)トリメトキシ-シラン、n-(3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、(3-アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、o-(メタクリルオキシエチル)-n-(トリエトキシ-シリルプロピル)ウレタン、n-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジエトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、又はメタクリルオキシプロピルジメチルメトキシシランを含む。ビニル官能性シランの例は、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロペンオキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、(ジビニルメチルシリルエチル)トリエトキシシラン、ドコセニルトリエトキシシラン、ヘキサデカフルオロドデカ-11-エニル-1-トリメトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、7-オクテニルトリメトキシシラン、0-ウンデセニルトリメトキシシラン、o-(ビニルオキシブチル)-n-(トリエトキシシリル-プロピル)ウレタン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン、ビニルトリス(メトキシプロポキシ)シラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルエチル)ビニルメチル-シラン、トリエトキシシリル修飾ポリ-1,2-ブタジエン、又はジエトキシメチルシリル修
飾ポリ-1,2-ブタジエンを含む。アリル官能性シランの例は、3-(n-アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、n-アリル-アザ-2,2-ジメトキシシラシクロペンタン、アリルトリメトキシシラン、アリルオキシウンデシルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、又は2-(クロロメチル)アリルトリメトキシシランを含む。プロパルギル官能性シランの例は、o-(プロパルギルオキシ)-n-(トリエトキシ-シリルプロピル)ウレタンを含む。ブテニル官能性シランの例はブテニルトリエトキシシランを含む。スチリル官能性シランの例は、3-(n-スチリルメチル-2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン又はスチリルエチルトリメトキシシランを含む。シクロペンタジエニル官能性シランの例は、(3-シクロペンタジエニルプロピル)トリメトキシシランを含む。シクロヘキセニル官能性シランの例は、[2-(3-シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシラン又は[2-(3-シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシランを含む。官能性シランは、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、又はγ-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシランの少なくとも1つ等のメタクリルシランを含むことができる。
【0033】
組成物は炭化水素樹脂希釈剤を含むことができる。炭化水素樹脂希釈剤は、不飽和炭化水素の重合によって生成された非晶質の熱可塑性オリゴマー又はポリマーを含むことができる。本明細書において使用される場合、炭化水素樹脂希釈剤オリゴマーはポリスチレン標準に対して2,500g/mol以下の重量平均分子量を有することができる。炭化水素樹脂希釈剤は、低下した最小溶融粘度、高めた樹脂流動、又は改善されたレベリングの少なくとも1つをもたらすことができる。
【0034】
炭化水素樹脂希釈剤はC2~9炭化水素樹脂希釈剤を含むことができる。炭化水素樹脂希釈剤は、脂肪族C2~9炭化水素又は芳香族C6~9炭化水素の少なくとも1つに由来してもよい。炭化水素樹脂希釈剤は飽和していてもよい。炭化水素樹脂希釈剤は、C5~25シクロアルケンに由来する繰り返し単位を含まないでよい(又は0モルパーセントを含むことができる)。炭化水素樹脂希釈剤はシクロオクテンに由来する繰り返し単位を含むことができる。
【0035】
炭化水素樹脂希釈剤はポリブテン(例えば、オリゴマーポリブテン)を含むことができる。広範囲の重量平均分子量のC4オレフィン(主としてイソブテン)のオリゴマーが市販されている。短鎖長ポリブテンは自由流動性であり;中位鎖長ポリブテンはハチミツ状の稠度を有してねばねばしているが、最長鎖長を有するものは非常に粘着性の半固体である。ポリブテンの例は、INEOS Oligomers社、Londonから市販されているINDOPOL(商標)及びVantage Specialty Ingredients, Inc.社、Warren、NJから市販されているPANALANE(商標)を含む。
【0036】
炭化水素樹脂希釈剤は、ピペリレン又はその誘導体、例えばcis/trans 1,3-ペンタジエン、2-メチル-2-ブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン(CPD)、又はジシクロペンタジエン(DCPD)の少なくとも1つから調製することができるC5炭化水素樹脂希釈剤を含むことができる。ピペリレンモノマー及びその誘導体は、ルイス酸触媒を使用してカチオン重合して低~高軟化点を有するオリゴマー樹脂を生成することができる。C5炭化水素樹脂希釈剤は主として脂肪族であってよく、そのため、天然ゴム、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)コポリマー、非晶質ポリオレフィン(APO)(例えば、非晶質ポリアルファ-オレフィン(APAO))、ポリオレフィン(低密度ポリエチレン(LDPE)等)、多くの合成エラストマー又は低極性の環状オレフィンコポリマー(COC)の少なくとも1種と相溶性であることができる。C5炭化水素樹脂希釈剤は、ポリスチレン標準に対して1モル当たり200~2,500グラム(g/mol)の重量平均分子量を有することができる。C5炭化水素樹脂希釈剤は、85~115℃(固体グレード)又は5~10℃(液体グレード)の軟化点を有することができる。C5炭化水素樹脂希釈剤は、水素化して変色を減少させ、熱による酸化及びUV安定性を改善することができる。C5炭化水素樹脂希釈剤の例は、Cray Valley社、Exton、PAから市販されているWINGTACK(商標)10、WINGTACK(商標)95、及びWINGTACK(商標)98である。
【0037】
炭化水素樹脂希釈剤は、例えば芳香族繰り返し単位を含む、C8~9炭化水素樹脂希釈剤を含むことができる。C8~9炭化水素樹脂希釈剤は、コールタール又は原油蒸留液、例えば、インデン、メチルインデン、スチレン、メチルスチレン(例えば、アルファ-メチルスチレン)、又はビニルトルエンから調製することができる。芳香族C8~9炭化水素モノマーは、ルイス酸触媒を使用してカチオン重合して、オリゴマー樹脂を重量平均分子量の範囲で生成することができる。C5炭化水素樹脂希釈剤と比較して、芳香族C8~9炭化水素樹脂希釈剤は、より高い溶融粘度及び軟化点(100~150℃)を有することができる。また、芳香族C8~9炭化水素樹脂希釈剤は様々なポリマーと相溶性である。
【0038】
炭化水素樹脂希釈剤は、C5樹脂希釈剤とC8~9炭化水素樹脂希釈剤の両方を、例えばブレンド又はそのコオリゴマー若しくはコポリマーとして含むことができる。C5及びC8~9炭化水素樹脂希釈剤の組成物(例えばブレンド又はコポリマーとして)は、希釈剤の総質量に対して0~50質量パーセント(wt%)、又は1~50wt%、又は5~25wt%の芳香族繰り返し単位を含むことができる。芳香族C8~9修飾C5炭化水素樹脂希釈剤の例は、Cray Valley社、Exton、PAから市販されているWingtack(商標)STS、Wingtack(商標)Extra及びWingtack(商標)86である。
【0039】
炭化水素樹脂希釈剤は、開示される炭化水素樹脂希釈剤のいずれかのブレンド又はコオリゴマー又はコポリマーを含むことができる。例えば、炭化水素樹脂希釈剤は、脂肪族C5、芳香族C9、スチレン、エチレン、プロピレン又はブタジエンの少なくとも1つ等の、石油系供給原料に由来するコオリゴマー又はコポリマーを含むことができる。炭化水素樹脂希釈剤は、スチレン-エチレンブタジエン-スチレンコポリマー又はスチレン-プロピレンブタジエン-スチレンコポリマーの少なくとも1つを含むことができ;それは任意選択で水素化することができる。そのような炭化水素樹脂希釈剤の例は、Eastman社から市販されているREGALREZ(商標)樹脂である。
【0040】
炭化水素樹脂希釈剤は架橋性エラストマーを含むことができる。架橋性エラストマーは、骨格中の不飽和又は不飽和側鎖基の少なくとも1つを含むことを条件として、オレフィン(例えば、エテン、プロペン、ブテン、ブタジエン、ピペリレン、又はイソプレン等のC2~8アルケン)又は環状オレフィン(例えば、5-ビニル-2-ノルボルネン等の不飽和側鎖基を含むノルボルネン型モノマー)の少なくとも1つに由来してもよい。架橋性エラストマーの例は、エテン、プロペン及びジシクロペンタジエンに由来するものである。組成物が環状オレフィンに由来する繰り返し単位を含む架橋性エラストマーを含む場合、それは、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーが架橋性基を含まないことができる、又は架橋性エラストマーがより低い重量平均分子量を有することができる点でヒドロカルビル熱可塑性ポリマーと識別することができる。例えば、架橋性エラストマーは、ポリスチレン標準に対して500~50,000g/mol、又は500~10,000g/mol、又は200~2,500g/molの重量平均分子量を有することができ、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーは、70,000~105,000g/molの重量平均分子量を有することができる。架橋性エテン-プロペン-ジシクロペンタジエンエラストマーの例は、Lion Elastomers社、Geismar、LAから市販されているTRILENE(商標)65Dである。
【0041】
炭化水素樹脂希釈剤は、1)希釈剤がより低い重量平均分子量を有することができること、例えば、希釈剤の重量平均分子量が、ヒドロカルビル樹脂希釈剤の重量平均分子量の60%以下であることができること;2)希釈剤がより低い熱変形温度点を有することができること;3)希釈剤がより低いガラス転移温度を有することができること;又は4)希釈剤が反応性であってもよいことの少なくとも1つの点でヒドロカルビル熱可塑性ポリマーと識別することができる。これらの卓越した特色の1つ又は複数によって、炭化水素樹脂希釈剤は、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマー及びそのセラミック充填したバージョンへの可塑化効果を有し、それによって配合される系のために樹脂流動を高めて最小溶融粘度を減少させることができる。
【0042】
炭化水素樹脂希釈剤は、ポリスチレン標準に対して200~2,500g/mol、又は1,000~2,200g/mol、又は1,000~8,000g/molの重量平均分子量を有することができる。炭化水素樹脂希釈剤は、ポリスチレン標準に対して150~6,000g/mol、又は200~2,200g/molの数平均分子量を有することができる。組成物は、組成物の総体積に対して0~50vol%、又は10~40vol%、又は5~30vol%の炭化水素樹脂希釈剤を含むことができる。
【0043】
組成物は補強層を含まなくてもよい。例えば、組成物は、織布又は不織布を含まなくてもよい。本明細書において使用される場合、補強層のない組成物は、それが0wt%の補強層を含むことを意味することができる。
【0044】
組成物は補強層を含むことができる。補強層は、硬化の間に組成物の面内の収縮を制御するのを支援することができる複数の繊維を含むことができ、補強層を含まない同一の複合層に対して機械的強度を増加させることができる。補強層は織布層又は不織布層であってもよい。繊維は、ガラス繊維(Eガラス繊維、Sガラス繊維及びDガラス繊維等)、シリカ繊維、ポリマー繊維(ポリエーテルイミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリ(エーテルケトン)繊維、ポリエステル繊維、ポリエーテルスルホン繊維、ポリカルボネート繊維、芳香族ポリアミド繊維、又はKuraray社から市販されているVECTRAN等の液晶ポリマー繊維))の少なくとも1つを含むことができる。繊維は、10ナノメートル~10マイクロメートルの直径を有することができる。補強層は、200マイクロメートル以下、又は50~150マイクロメートルの厚さを有することができる。複合層は、5~15体積パーセント、又は6~10体積パーセント、又は7~11体積パーセント、又は7~9体積パーセントの複合層と補強層を含むことができる。
【0045】
組成物は、添加剤、例えば官能化石英ガラス以外のセラミック充填剤、難燃剤、色素(例えば、蛍光染料又は顔料)、可塑剤、硬化遅延剤、硬化促進剤、衝撃改質剤、抗酸化剤、又はUV保護剤の少なくとも1つを含むことができる。
【0046】
添加剤は、官能化石英ガラス以外の充填剤を含むことができる。充填剤は、ヒュームドシリカ(例えば、疎水性ヒュームドシリカ)、非官能化石英ガラス、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、コランダム、ウォラストナイト、Ba2Ti9O20、タングステン酸ジルコニウム、中空セラミック球体、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、マイカ、タルク、ナノクレイ、又は水酸化マグネシウムの少なくとも1つを含むことができる。充填剤は、固体ガラス球体、中空ガラス球体、又はコアシェルゴム球体の少なくとも1つを含むことができる。セラミック充填剤は、0.1~10マイクロメートル、又は0.5~5マイクロメートルのD90粒径を有することができる。充填剤は2マイクロメートル以下、又は0.1~2マイクロメートルのD90粒径を有することができる。充填剤は、組成物又は複合層の総質量に対して0.1~10wt%、又は0.1~5wt%の量で存在することができる。
【0047】
添加剤は熱伝導性充填剤を含むことができる。熱伝導性充填剤の例は、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、ダイヤモンド、ナノダイヤモンド、グラファイト、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、ケイ酸ジルコニウム、マグネシア、シリカ、又はアルミナを含む。
【0048】
添加剤は難燃剤を含むことができる。組成物は、組成物の総体積に対して5~25vol%、又は8~20vol%の難燃剤を含むことができる。難燃剤は、例えば、1~500ナノメートル(nm)、又は1~200nm、又は5~200nm、又は10~200nmの体積平均粒径を有する金属水和物を含むことができ;代替として、体積平均粒径は500nm~15マイクロメートル、例えば、1~5マイクロメートルであってもよい。金属水和物は、金属、例えば、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu又はNiの少なくとも1つの水和物を含むことができる。Mg、Al又はCaの水和物、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、ニッケル水酸化物又はアルミン酸カルシウムの水和物、二水石膏、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛又はメタホウ酸バリウムの少なくとも1つを使用することができる。これらの水和物、例えば、Mg及びCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu又はNiの少なくとも1つを含む水和物の複合材を使用することができる。複合金属水和物は、式MgMx(OH)y[式中、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu又はNiであり、xは0.1~10であり、yは2~32である]を有することができる。難燃剤粒子は、コーティングするかそうでなければ処理して分散体及び他の性質を改善することができる。難燃剤は反応性であってよい。難燃剤は、任意選択で、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(HET酸)、テトラブロモフタル酸、又はジブロモネオペンチルグリコール等の有機ハロゲン化難燃剤を含むことができる。難燃剤は任意選択で、ハロゲンを含まない難燃剤(メラミンシアヌレート等)、リン含有化合物(ホスフィネート、ジホスフィネート、ホスファゼン、ビニルホスファゼン、ホスホネート、ホスファフェナントレンオキシド、微粒径の大きさのメラミンポリホスフェート又はホスフェート等)、ポリシルセスキオキサン、又はシロキサンを含むことができる。難燃剤は臭素化難燃剤を含むことができる。臭素化難燃剤は、ビス-ペンタブロモフェニルエタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、又は臭素化ポリシルセスキオキサンの少なくとも1つを含むことができる。難燃剤は、相乗剤と組み合わせて使用することができ、例えば、ハロゲン化難燃剤は、三酸化アンチモン等の相乗剤と組み合わせて使用することができる。
【0049】
組成物は補強層、例えば繊維層を含むことができる。繊維層は、織布又はフェルト等の不織布であってもよい。繊維層は、ガラス繊維又はポリマー系繊維の少なくとも1つを含むことができる。そのような熱に安定な繊維強化材は、基板面内での硬化の際に組成物を含む層の収縮を減少させることができる。更に、補強層の使用によって、比較的高い機械的強度を有する基板を与えることを支援することができる。
【0050】
ガラス繊維は、Eガラス繊維、Sガラス繊維、又はDガラス繊維の少なくとも1つを含むことができる。ポリマー系繊維は高温ポリマー繊維を含むことができる。ポリマー系繊維は、Kuraray社から市販されているVECTRAN(商標)等の液晶ポリマーを含むことができる。ポリマー系繊維は、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカルボネート、又はポリエステルの少なくとも1つを含むことができる。
【0051】
組成物は、有機的に溶媒和(例えばトルエン又はキシレンの少なくとも1つを含む溶液中で)し、剥離ライナーに水平にキャストし、乾燥して複合層を形成することができる。組成物に関して記述される成分の量それぞれが、複合層に直接に関係づけることができることが注目される。例えば、組成物の総体積に対して10~50vol%のヒドロカルビル熱可塑性ポリマーを含む組成物は、複合層の総体積に対して10~50vol%のヒドロカルビル熱可塑性ポリマーを含む複合層に対応することができる。剥離ライナーは、1センチメートル当たり40~50ダインの比表面エネルギーを有することができる。剥離ライナーは、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)又はポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート))の少なくとも1つを含むことができる。剥離ライナーは、シリコーン処理ライナー(例えば、ポリエステル又はグラシンペーパー)の少なくとも1つを含むことができる。
【0052】
複合層は、補強層に組成物及び任意選択の溶媒を含浸させることにより調製することができる。含浸は、補強層へ組成物をコーティングする工程(例えば、キャスト、浸し塗り、吹付け塗り、ロール式ナイフコーティング、プレート式ナイフコーティング、計量棒によるコーティング、流し塗り、ロールコーティング、又はリバースロールコーティングの少なくとも1つによる);組成物を硬化して複合層を形成する工程;及び任意選択で、含浸後に乾燥する工程の少なくとも1つを含むことができる。
【0053】
複合層を形成する方法は、組成物から層を形成する工程及び組成物中の反応性モノマーを重合して架橋ネットワークを形成する工程を含むことができる。重合は、反応性モノマー及び官能化石英ガラスを重合して、架橋ネットワークを形成する工程を含むことができる。更に、重合して複合層中に架橋ネットワークを形成する工程は、存在する場合、反応性炭化水素樹脂希釈剤を重合する工程を更に含むことができる。
【0054】
重合は、複合層(例えば積層することによる)の温度を上げる工程、又は電子ビーム照射に複合層を曝露する工程の少なくとも1つを含むことができる。積層は、複合層を単独で含むか、又は2つの外側層の中間に配置された多層のスタックを含む階層状構造を積層する工程を伴うことができる。多層のスタックは、複合層及び基板層の多重で交互の層を含むことができる。次いで、多層のスタックは、架橋ネットワークを形成するのに適している圧力及び温度の下、継続期間に、基板層間に位置する複合層内でプレス、例えば真空プレス内に配置することができる。多層のスタックはロールトゥロール積層され、又はオートクレーブ処理されてもよい。
【0055】
積層及び硬化は、例えば、真空プレスを使用する1段階プロセスによることができ、又は多段階プロセスによることができる。1段階プロセスにおいて、積層されるスタックは、プレス内に配置し、積層圧力をかけ、積層温度に加熱することができる。積層温度は、100~390℃、又は100~250℃、又は100~200℃、又は100~175℃、又は150~170℃であってもよい。積層圧力は、1~3メガパスカル(MPa)、又は1~2MPa、又は1~1.5MPaであってもよい。積層温度及び圧力は、所望の保持時間(浸漬時間)、例えば、5~150分、又は5~100分、10~50分維持することができ、その後、任意選択で制御された冷却速度で(圧力を印加して又は印加しないで)、例えば150℃以下に冷却する。
【0056】
複合層を含む回路材料は、その上に配置された導電層を含む複合層を有する多層の材料を形成することにより調製することができる。有用な導電層は、例えば、ステンレス鋼、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛、又は遷移金属の少なくとも1つを含む。導電層の厚さに関して特別の限定はなく、また、導電層の表面の形状、大きさ又はテクスチャーに関していかなる限定もない。導電層は、3~200マイクロメートル又は9~180マイクロメートルの厚さを有することができる。2つ以上の導電層が存在する場合、2つの層の厚さは同一でも異なっていてもよい。導電層は銅層を含むことができる。適切な導電層は、回路、例えば、電着銅箔の形成に目下使用される銅箔等の導電性金属の薄層を含む。銅箔は、2マイクロメートル以下、又は0.7マイクロメートル以下の二乗平均平方根(RMS)粗さを有することができ、粗さは触針式表面形状測定装置を使用して測定される。
【0057】
導電層は、導電層及び複合層の積層によって、直接のレーザー組み立てによって、又は接着剤層を介して基板に導電層を接着することによって加えることができる。当業界で知られている他の方法は、例えば、電着、化学気相成長等の回路材料の特別の材料及び形態によって可能になった導電層を加えるために使用することができる。
【0058】
積層は、階層状構造を形成するために、複合層、導電層、及び複合層と導電層の間の任意選択の中間層を含む多層のスタックを積層することを伴うことができる。導電層は、中間層なしで複合層と直接接触することができる。次いで、階層状構造は、層を結合しラミネートを形成するのに適している圧力及び温度の下、継続期間に、プレス、例えば真空プレス内に配置することができる。積層及び任意選択の硬化は、例えば真空プレスを使用する1段階プロセス、又は多段階プロセスによることができる。1段階プロセスにおいて、階層状構造は、積層圧力(例えば、1.0~8.3メガパスカル)まで上げ、積層温度(例えば、260~390℃)に加熱されたプレス内に配置することができる。積層温度及び圧力は、所望の浸漬時間、例えば、20分維持することができ、その後、150℃以下に冷却される(なお圧力下のままで)。
【0059】
存在する場合、中間層は、導電層と複合層の中間に配置することができるポリフルオロカーボンフィルムを含むことができ、マイクロガラス強化フルオロカーボンポリマーの任意選択の層は、ポリフルオロカーボンフィルムと導電層の中間に位置することができる。マイクロガラス強化フルオロカーボンポリマーの層は、基板に対する導電層の接着を上げることができる。マイクロガラスは、層の総質量に対して4~30質量パーセント(wt%)の量で存在することができる。マイクロガラスは、900マイクロメートル以下、又は500マイクロメートル以下の最長の長さ規模を有することができる。マイクロガラスは、Denver、ColoradoのJohns-Manville Corporation社によって市販されている種類のマイクロガラスであってもよい。ポリフルオロカーボンフィルムは、フルオロポリマー(ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン-プロピレンコポリマー、及び完全フッ素化アルコキシ側鎖を有するテトラフルオロエチレン骨格を有するコポリマー等)を含む。
【0060】
導電層はレーザー直接組み立てによって加えることができる。ここで、複合層は、レーザー直接組み立て添加剤を含むことができ;レーザー直接組み立ては、レーザーを使用して基板の表面に照射する工程、レーザー直接組み立て添加剤の導電路を形成する工程、及び導電路に導電性金属を加える工程を含むことができる。レーザー直接組み立て添加剤は、金属酸化物粒子(酸化チタン及び銅クロム酸化物等)を含むことができる。レーザー直接組み立て添加剤は、スピネル銅等のスピネル系無機金属酸化物粒子を含むことができる。金属酸化物粒子は、例えばスズ及びアンチモン(例えば、コーティングの総質量に対して50~99wt%のスズ及び1~50wt%のアンチモン)を含む組成物でコーティングすることができる。レーザー直接組み立て添加剤は、100部の組成物それぞれに対して2~20部の添加剤を含むことができる。照射は、1,064ナノメートルの波長、10ワットの出力、80キロヘルツ(kHz)の周波数及び3メートル毎秒の速度を有するYAGレーザーを用いて遂行することができる。導電性金属は、例えば、銅を含む無電解めっき浴においてめっき法を使用して加えることができる。
【0061】
導電層は、接着で導電層を加えることにより加えることができる。導電層は、回路(別の回路の金属化層)、例えば、フレックス回路であってもよい。接着層は、1つ又は複数の導電層と複合層の間に配置することができる。
【0062】
複合層は、1つ又は複数の基板層、例えば、2つの基板層を接着するために使用することができる。それぞれの基板層は、それぞれ独立して、フルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA))、ポリイミド(Kapton(商標)等)、液晶ポリマー(VECTRAN(商標)等のLCP)、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンオキシド、又は導電性金属の少なくとも1つを含むことができる。導電性金属は、銀、ニッケル、金、コバルト、銅、又はアルミニウムの少なくとも1つを含むことができる。導電性金属は、10マイクロメートル未満、又は1~10マイクロメートルの表面粗さ(Rz)を有することができる。
【0063】
本明細書において開示される組成物から形成された複合層は、架橋ネットワークの形成により熱硬化性の特徴を示すことができる。架橋ネットワークの重合の間に、フィルムが軟化し始め、それにつれて最小溶融粘度になり、かつ架橋剤が分子量を上げ始める前の粘度及び温度を求め、対応する温度での組成物の最小溶融粘度とすることができる。組成物は、平行板の振動レオロジーを使用して毎分5℃の昇温で求めて80キロパスカル秒(k-Pa.s)以上、又は80~700k-Pa.sの最小溶融粘度を有することができる。
【0064】
複合層は、IPC試験方法650, 2.4.8に従って測定して、0.54kg/cm以上、又は0.65~1.1kg/cmの銅に対する剥離強度を有することができる。
【0065】
複合層は、摂氏温度(ppm/℃)当たり95百万分率以下、又は150~250℃で90ppm/℃以下のz-方向の平均熱膨張率を有することができ、ASTM D3386-00によって-125℃~20℃で1ミル(0.0254ミリメートル(mm))厚の試料を使用して求めることができる。
【0066】
複合層は、10GHzで2.5~3.5の誘電率を有することができる。複合層は、10GHzで0.0030以下、又は0.0021以下、又は0.001~0.0025の誘電損失を有することができる。誘電損失及び誘電率は、「Xバンドでの誘電率及び損失正接のためのストリップライン試験」試験方法(IPC-TM-650 2.5.5.5)に従って23~25℃の温度で測定することができる。
【0067】
複合層は、84~760マイクロメートルの厚さで「装置及び器具中の部品用のプラスチック材料の燃焼性についての試験」のためのUnderwriter's Laboratory UL 94安全性標準に従って求めて、UL94 V0等級を有することができる。
【0068】
物品は複合層を含むことができる。物品はプリント回路基板にすることができる。物品は、複合層組成物を用いてコーティングされた金属箔(銅等)を含むことができる。物品は携帯電話遠隔通信に用いることができる。物品はラミネートをベースとするチップ担体にすることができる。物品は高速デジタル用途において用いることができる。
【0069】
要約すると、一態様において、低損失組成物は、より好ましくは、ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーが本明細書において記載の式(I)を有する場合、またヒドロカルビル熱可塑性ポリマーの重量平均分子量が、ポリスチレン標準に対して1モル当たり500~105,000グラムである場合、アルファ-オレフィン及びC4~30シクロアルケンに由来する、好ましくはシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、ノルボルネン、又はアルキル若しくはアリール置換ノルボルネン(5-メチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-フェニル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、4,5-ジメチル-2-ノルボルネン、エキソ-1,4,4a,9,9a,10-ヘキサヒドロ-9,10(1',2')-ベンゼノ-l,4-メタノアントラセン、エキソ-ジヒドロジシクロペンタジエン、又はエンド,エキソ-テトラシクロドデセン等)の少なくとも1つに由来する繰り返し単位を含む、10~90体積パーセント、又は25~75体積パーセント、又は30~50体積パーセントのヒドロカルビル熱可塑性ポリマー;1~35体積パーセント、又は5~25体積パーセント、又は5~15体積パーセントの、フリーラジカル架橋性であって架橋ネットワークを生成する反応性モノマー、好ましくは(イソ)シアヌル酸トリアリル;ペルオキシド等の、有効量のフリーラジカル供給源;好ましくは、官能基が(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、又はスチリル基の少なくとも1つであり、官能化石英ガラスが1~50マイクロメートル又は1~10マイクロメートルの平均直径を有する球状形態を有する場合、10~70体積パーセント、又は20~60体積パーセントの、架橋ネットワークに化学的にカップリングすることができる官能化石英ガラスを含む。任意選択で、ポリスチレン標準に対して1モル当たり200~2,000グラムの重量平均分子量を有する、0~50体積パーセント、又は10~40体積パーセント、又は5~30体積パーセントの炭化水素樹脂希釈剤が存在でき、好ましくは、炭化水素樹脂希釈剤はピペリレン及び任意選択で芳香族繰り返し単位に由来し;炭化水素樹脂希釈剤が任意選択で飽和されている。任意選択で、組成物の総体積に対して5~25体積パーセント、又は8~20体積パーセントの難燃剤が存在することができる。
【0070】
前述の組成物に由来する複合層は、80キロパスカル秒以上、又は80~700キロパスカル秒の最小溶融粘度;1センチメートル当たり0.54キログラム以上の銅に対する剥離強度;摂氏150~250度で摂氏温度当たり95百万分率以下、又は摂氏温度当たり90百万分率以下のz-方向の平均熱膨張率;10ギガヘルツで2.5~3.5の誘電率;及び10ギガヘルツで0.0030以下、又は0.0021以下、又は0.001~0.0025の誘電損失を有することができる。低プロフィル銅層等の導電層の低プロフィル側に接着した複合層を含む多層物品が開示される。
【0071】
以下の実施例は本開示を説明するために提供される。実施例は単なる例証であり、本開示に従ってなされた装置を、本明細書において述べられる材料、条件又はプロセスパラメータに限定するようには意図されない。
【実施例
【0072】
実施例において、最小溶融粘度(MMV)は、毎分5℃の昇温で平行板の振動レオロジーを使用して求めた。フィルムが軟化し始め、それにつれて最小溶融粘度になり、かつ架橋剤が分子量を上げ始める前の粘度及び温度を最小溶融粘度及び対応する温度とすることができる。最小溶融粘度の単位はキロパスカル秒(k-Pa.s)で示す。
【0073】
誘電率(Dk)及び散逸損失(Df)(また損失正接とも称される)は、「Xバンドでの誘電率及び損失正接のためのストリップライン試験」試験方法(IPC-TM-650 2.5.5.5)に従って23~25℃の温度で測定した。
【0074】
ガラス転移温度(Tg)及びz-方向の熱膨張率(CTE)を「高密度相互接続(HDI)及びマイクロビアにおいて使用される材料のガラス転移温度及び熱膨張-TMA法」(IPC-TM-650 2.4.24.5)に従って求めた。
【0075】
接触式の原子間力顕微鏡を使用して、銅の粗さを求め、5つの最深谷の合計を引いた5つの最大山高さの合計を求め、次いで5で割ることによって、計算したRz(マイクロメートル)として報告し(JIS-B-0601)(日本工業規格);又は非接触式の白色光走査型干渉計法を使用して、銅の粗さを求め、処理側表面のトポグラフィー及びテクスチャー(ISO 25178)を特性評価するための縫製技法を使用してSa、Sq、Sz高さパラメーター(マイクロメートル)として報告する。
【0076】
銅剥離強度を「金属クラッドラミネートの剥離強度」試験方法(IPC-TM-650 2.4.8)に従って求めた。剥離強度を試験する場合、複合層のどちらかの側に配置した、Table 1(表1)に示す1/2オンス銅箔に加えた複合層それぞれのスタックを、1.7メガパスカル(MPa)の圧力で185℃で90分の典型的なエポキシ硬化サイクルを使用して積層した。実施例において、銅クラッドラミネートをはんだ後(AS)剥離強度に関して試験した。1/2オンス銅箔は、1/2オンス銅(18.8mm)を平らにプレスし且つ1平方フィート(929平方センチメートル)の面積に均一に広げたときに達成される銅層の厚さを表す。等価な厚さは0.01735mmである。
【0077】
実施例に使用する成分をTable 1(表1)に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
(実施例1~8)
メタクリル化石英ガラスの効果
Table 2(表2)に示す成分を最初に混合することにより、複合層を調製した。次いで、反応性組成物をシリコーン剥離ライナーに水平にキャストした。結果として得られた誘電体フィルム層の厚さは75マイクロメートル(3ミル)であった。最小溶融粘度を求め、Table 2(表2)及び図1に結果を示す。白抜きの記号は石英ガラスであり、塗りつぶした記号はm-石英ガラスである。次いで、1.7メガパスカル(MPa)の圧力で185℃で90分の典型的なエポキシ硬化サイクルを使用して、20の複合層を積層した。熱膨張率値を求め、Table 2(表2)及び図1に結果を示す。1,500マイクロメートル(60ミル)の厚さで誘電特性を求め、Table 2(表2)に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
Table 2(表2)及び図1は、石英ガラスをメタクリル化石英ガラスで置き換えることによって良好な銅剥離強度を維持しつつ、最小溶融粘度及びz-方向の熱膨張率の両方で驚くべき低下をもたらしたことを示す。
【0082】
理論に束縛されないが、官能性シランを用いて石英ガラスを処理すると、有機イソシアヌレート系熱硬化性樹脂に無機シリカをカップリングする役目をすると考えられる。図2及び図3にこのカップリングについての証拠を示す。図2は、未処理の石英ガラスを含む組成物の研磨後の走査電子顕微鏡写真である。図2は、研磨工程中に石英ガラス粒子が除去された(結合しなかった)表面の球状のボイドの存在を明白に示す。対照的に、図3は、メタクリル化石英ガラスを含む組成物の研磨後の走査電子顕微鏡写真である。図3は、研磨工程中にメタクリル化石英ガラス粒子が除去されず、なお組成物に結合する(中に存在する)ことを明白に示す。
【0083】
(実施例9~11)
メタクリル化石英ガラスの剥離強度への効果
33.0~37.5vol%のメタクリル化石英ガラスを含む実施例9~11の複合層を、実施例1~8に従って調製し、Table 3(表3)に示す。様々な性質を求めて、またTable 3(表3)及びTable 4(表4)に結果を示す。
【0084】
【表3】
【0085】
Table 3(表3)は、実施例9~11の層が有利なことに、メタクリル化石英ガラスの体積充填を増加させるとz軸のCTEが減少させると、試験した銅箔のすべてに対する3pli(0.54kg/cm)を超える高い銅剥離強度を示したことを示している。
【0086】
複合層のプライを含む、様々な厚さのラミネートについて実施例9~11の誘電特性を求めた。Table 4(表4)に結果を示す。
【0087】
【表4】
【0088】
Table 4(表4)は、実施例9~11の複合層を含むラミネートが10GHzで良好な誘電率値及び低い損失値を示したことを示す。
【0089】
(実施例12~16)
炭化水素樹脂希釈剤の複合層への効果
Table 5(表5)に示す実施例12~16を、異なる希釈剤を添加した以外は実施例1~8に従って調製した。それぞれの性質を求めて、またTable 5(表5)に示す。
【0090】
【表5】
【0091】
Table 5(表5)は、炭化水素樹脂希釈剤の添加が、良好なCTE値及び誘電特性を維持しつつ最小溶融粘度の著しい低下をもたらしたことを示す。これによって、炭化水素樹脂希釈剤の添加は、めっきしたスルーホールの熱による信頼性性能に悪影響を及ぼすことなく、樹脂の充填-流動を高める手段を提示する。
【0092】
Table 6(表6)に示す実施例17~20を、異なる希釈剤を添加したこと以外は、実施例1~8に従って調製した。それぞれの性質を求めて、またTable 6(表6)に示す。
【0093】
【表6】
【0094】
Table 6(表6)は、炭化水素樹脂希釈剤の添加が、良好なCTE値及び誘電特性を維持しつつ、最小溶融粘度の著しい低下と、樹脂の充填-流動の能力の指標として使用されるホール充填性能において改善をもたらしたことを示す。
【0095】
本開示の非限定的な態様を下に述べる。
【0096】
態様1:アルファ-オレフィン及びC4~30シクロアルケンに由来する繰り返し単位を含むヒドロカルビル熱可塑性ポリマー;フリーラジカル架橋性であって架橋ネットワークを生成する反応性モノマー;フリーラジカル供給源;並びに架橋ネットワークに化学的にカップリングすることができる官能化石英ガラスを含む組成物。
【0097】
態様2:ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーが、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、ノルボルネン、又はアルキル若しくはアリール置換ノルボルネン(5-メチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-フェニル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、4,5-ジメチル-2-ノルボルネン、エキソ-1,4,4a,9,9a,10-ヘキサヒドロ-9,10(1',2')-ベンゼノ-l,4-メタノアントラセン、エキソ-ジヒドロジシクロペンタジエン、又はエンド,エキソ-テトラシクロドデセン等)の少なくとも1つに由来する繰り返し単位を含む、態様1の組成物。
【0098】
態様3:ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーが、式(I)を有する、態様1又は2の組成物。
【0099】
態様4:C4~30シクロアルケン繰り返し単位のアルファ-オレフィン繰り返し単位に対するモル比が、6:1~0.5:1又は6:1~1.5:1.0である、態様1から3のいずれか1つの組成物。
【0100】
態様5:ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーの重量平均分子量が、ポリスチレン標準に対して1モル当たり500~105,000グラムである、態様1から4のいずれか1つの組成物。
【0101】
態様6:組成物の総体積に対して10~90体積パーセント、又は25~75体積パーセント、又は30~50体積パーセントのヒドロカルビル熱可塑性ポリマーを含む、態様1から5のいずれか1つの組成物。ヒドロカルビル熱可塑性ポリマーは組成物の他の成分と非反応性であってよい。
【0102】
態様7:反応性モノマーが(イソ)シアヌル酸トリアリルを含む、態様1から6のいずれか1つの組成物。
【0103】
態様8:組成物の総体積に対して1~35体積パーセント、又は5~25体積パーセント、又は5~15体積パーセントの反応性モノマーを含む、態様1から7のいずれか1つの組成物。
【0104】
態様9:フリーラジカル供給源が、ペルオキシド、ジメチルジフェニルヘキサン、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン)、t-ブチルヒドロペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、過安息香酸t-ブチル、α,α'-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、若しくは2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、α,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン)、オクタノイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド)、ペルオキシジカルボネート、α,α'-アゾビス(イソブチロニトリル)、レドックス開始剤、アセチルアジド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン若しくは1,4-ジイソプロピルベンゼンの少なくとも1つを含み、及び/又は組成物が、組成物の総質量に対して0.1~2体積パーセント、若しくは0.5~1体積パーセントのフリーラジカル供給源を含む、態様1から8のいずれか1つの組成物。
【0105】
態様10:官能化石英ガラスが1~50マイクロメートル、又は1~10マイクロメートルの平均直径を有する球状形態を有する、態様1から9のいずれか1つの組成物。
【0106】
態様11:組成物の総体積に対して10~70体積パーセント、又は20~60体積パーセント、又は40~55体積パーセントの官能化石英ガラスを含む、態様1から10のいずれか1つの組成物。
【0107】
態様12:ポリスチレン標準に対して1モル当たり200~2,000グラムの重量平均分子量を有する炭化水素樹脂希釈剤を更に含む、態様1から11のいずれか1つの組成物。
【0108】
態様13: 炭化水素樹脂希釈剤を更に含み、炭化水素樹脂希釈剤がピペリレン及び任意選択で芳香族繰り返し単位に由来し、炭化水素樹脂希釈剤が任意選択で飽和されている、態様1から12のいずれか1つの組成物。
【0109】
態様14:組成物の総体積に対して0~50体積パーセント、又は10~40体積パーセント、又は5~30体積パーセントの炭化水素樹脂希釈剤を含む、態様1から13のいずれか1つの組成物。
【0110】
態様15:組成物の総体積に対して5~25体積パーセント、又は8~20体積パーセントの難燃剤を更に含む、態様1から14のいずれか1つの組成物。
【0111】
態様16:態様1から15のいずれか一項に記載の組成物に由来する複合層。
【0112】
態様17:以下の性質の1つ又は複数を有する態様16に記載の複合層。組成物は、80k-Pa.s以上又は80~700k-Pa.sの最小溶融粘度を有することができる。複合層は、0.54kg/cm以上の銅に対する剥離強度を有することができる。複合層は、150~250℃において95ppm/℃以下、又は90ppm/℃以下のz-方向の平均熱膨張率を有することができる。複合層は、10GHzで2.5~3.5の誘電率を有することができる。複合層は、10GHzで0.0030以下、又は0.0021以下、又は0.001~0.0025の誘電損失を有することができる。
【0113】
態様18:例えば態様16及び17に記載の複合層を作製する方法であって、態様1から15のいずれか一項に記載の組成物から層を形成する工程;及び組成物中の反応性モノマーを重合して架橋ネットワークを形成する工程を含む方法。
【0114】
態様19:重合する工程が、少なくとも1つの、層の温度を上げる工程、紫外線照射に層を曝露する工程、又は電子ビーム照射に層を曝露する工程を含む、態様18に記載の方法。
【0115】
態様20:層を形成する工程が剥離ライナーに組成物をキャストする工程を含む、態様18又は19に記載の方法。
【0116】
態様21:層を形成する工程が、銅又はアルミニウム等の金属箔に組成物をキャストする工程を含む、態様18又は19に記載の方法。
【0117】
態様22:層を形成する工程が補強層に組成物を含浸させる工程を含む、態様18から21のいずれか1つの方法。含浸は、補強層への組成物のキャスト、組成物への補強層の浸し塗り、又は補強層への組成物のロールコーティングの少なくとも1つを含むことができる。
【0118】
態様23:態様16から22のいずれか1つの複合層を含む多層物品。
【0119】
態様24:官能化石英ガラスの官能基が、(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、又はスチリル基の少なくとも1つを含む、態様1から23のいずれか1つの組成物。
【0120】
態様25:官能化石英ガラスが、(3-アクリルオキシプロピル)トリメトキシ-シラン、n-(3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、(3-アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、o-(メタクリルオキシエチル)-n-(トリエトキシ-シリルプロピル)ウレタン、n-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン,メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジエトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロペンオキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、(ジビニルメチルシリルエチル)トリエトキシシラン、ドコセニルトリエトキシシラン、ヘキサデカフルオロドデカ-11-エニル-1-トリメトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、7-オクテニルトリメトキシシラン、0-ウンデセニルトリメトキシシラン、o-(ビニルオキシブチル)-n-(トリエトキシシリル-プロピル)ウレタン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン、ビニルトリス(メトキシプロポキシ)シラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルエチル)ビニルメチル-シラン、トリエトキシシリル修飾ポリ-1,2-ブタジエン、ジエトキシメチルシリル修飾ポリ-1,2-ブタジエン、3-(n-アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、n-アリル-アザ-2,2-ジメトキシシラシクロペンタン、アリルトリメトキシシラン、アリルオキシウンデシルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、2-(クロロメチル)アリルトリメト
キシシラン、o-(プロパルギルオキシ)-n-(トリエトキシ-シリルプロピル)ウレタン、ブテニルトリエトキシシラン、3-(n-スチリルメチル-2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、(3-シクロペンタジエニルプロピル)トリメトキシシラン、[2-(3-シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシラン、又は[2-(3-シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシランの少なくとも1つを含む官能性シランに由来する、態様1から24のいずれか1つの組成物。官能性シランは、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、又はγ-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシランの少なくとも1つ等のメタクリルシランの少なくとも1つを含むことができる。
【0121】
組成物、方法及び物品は、代替として、本明細書において開示される任意の好適な材料、工程又は成分を含み、それからなる又は本質的にそれからなることができる。組成物、方法及び物品は、組成物、方法及び物品の機能又は目的の達成に対してそうでなければ必要でない任意の材料(又は種)、工程又は成分を含まない、又は実質上含まないように、更に、又は代替として、配合することができる。
【0122】
用語「a」及び「an」は、量の限定を表わすのではなく、言及する項目の少なくとも1つの存在を表わす。用語「又は」は、文脈によって明白に他の方法で示されない場合、「及び/又は」を意味する。「一態様」、「一態様」、「別の態様」、「幾つかの態様」等への明細書を通じての言及は、態様に関して記載の特定の要素(例えば、特色、構造、工程又は特性)が、本明細書において記載の少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様において存在してもしなくてもよいことを意味する。更に、記載の要素が、様々な態様における任意の適切な方式で組み合わせられてもよいことは理解されるはずである。
【0123】
層、フィルム、領域又は基板等の要素が、別の要素「の上に」あると称される場合、それは他の要素上に直接にあってよく、又は介在する要素がまた存在してもよい。対照的に、要素が別の要素「の上に直接に」あると称される場合、介在する要素は存在しない。本複合層は、1つ又は複数の基板層の上に直接にあり得ることが理解される。
【0124】
本明細書においてそれと反対に明示されない限り、試験標準はすべて、本出願の出願日、又は優先権が主張される場合、試験標準が出現する最初の優先権出願の出願日の時点で有効な、最も新しい標準である。
【0125】
同一の成分又は性質を対象とする範囲すべての終点は、両終点を含み、独立して結合可能であり、中間の点及び範囲をすべて含む。例えば「25wt%以下、又は5~20wt%」の範囲は、10~23wt%等の「5~25wt%」の範囲の終点及びすべての中間値を含む。
【0126】
引用される特許、特許出願及び他の参考文献はすべて、参照によってその全体が本明細書において組み込まれる。しかしながら、本出願中の用語が組み込まれた参考文献中の用語と相容れないか又は矛盾する場合、本出願からの用語は、組み込まれた参考文献からの矛盾する用語に優先する。
【0127】
特定の態様が記載されたが、今あるか、又は現在は見ることができない代替法、修飾、変形、改善、及び実質的等価物は、出願人ら又は他の当業者に生じ得る。したがって、出願時の及び補正され得る場合の添付の特許請求の範囲は、そのような代替法、修飾、変形、改善及び実質的等価物をすべて包含するように意図される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】