(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】耐久性のある酸化グラフェン膜
(51)【国際特許分類】
B01D 71/02 20060101AFI20220713BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20220713BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20220713BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20220713BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20220713BHJP
B01D 71/26 20060101ALI20220713BHJP
B01D 71/36 20060101ALI20220713BHJP
B01D 71/42 20060101ALI20220713BHJP
B01D 71/56 20060101ALI20220713BHJP
B01D 71/68 20060101ALI20220713BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20220713BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20220713BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20220713BHJP
C01B 32/198 20170101ALI20220713BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B01D71/02
B01D69/00
B01D69/02
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/26
B01D71/36
B01D71/42
B01D71/56
B01D71/68
B01D61/08
B01D61/02 500
B01D63/00 510
C01B32/198
B32B9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568334
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2020033246
(87)【国際公開番号】W WO2020232398
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521497017
【氏名又は名称】ヴィア セパレイションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フレイン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マクラウド,ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,ブランドン イアン
(72)【発明者】
【氏名】オーティズ リベラ,ライマリ
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,ブレント
【テーマコード(参考)】
4D006
4F100
4G146
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA07
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4D006JA04C
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4G146CB11
4G146CB12
4G146CB13
4G146CB19
4G146CB21
4G146CB26
4G146CB35
(57)【要約】
【課題】流体濾過のための耐久性のある酸化グラフェン膜の提供。
【解決手段】例えば、酸化グラフェン膜は、高温で非中性のpH、および/または高圧下で耐久性があり得る。本開示の一態様は、支持基材と、支持基材上に配置された酸化グラフェン膜と、を含む、濾過装置に関する。酸化グラフェン膜は、室温で第1の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第1のラクトース阻止率を有する。酸化グラフェン膜は、酸化グラフェン膜を少なくとも80℃である溶液と一定時間接触させた後に、室温で第2の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第2のラクトース阻止率を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材と、
前記支持基材上に配置された酸化グラフェン膜であって、
前記酸化グラフェン膜が、複数の酸化グラフェンシートを含み、前記酸化グラフェンシートの各々が、化学スペーサーに共有結合されており、
前記酸化グラフェン膜が、室温で第1の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第1のラクトース阻止率を有し、
前記酸化グラフェン膜を少なくとも80℃である溶液と一定時間接触させた後に、前記酸化グラフェン膜が、室温で第2の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第2のラクトース阻止率を有する、酸化グラフェン膜と、
を含む濾過装置。
【請求項2】
前記第2のラクトース阻止率が、前記第1のラクトース阻止率と実質的に同じである、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
前記第2のラクトース阻止率が、前記第1のラクトース阻止率よりも大きい、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記第1のラクトース阻止率が、90%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項5】
前記第2のラクトース阻止率が、90%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項6】
前記酸化グラフェンシートの各々が、隣接する酸化グラフェンシートに共有結合で架橋されていない、請求項1~5のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項7】
前記化学スペーサーが、アミンまたはその誘導体を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項8】
前記化学スペーサーが、-NH-R
1を含み、式中、R
1が、任意選択的に置換可能なアリールである、請求項7に記載の濾過装置。
【請求項9】
前記化学スペーサーが、-NH-C(O)-R
2を含み、式中、R
2が、各々が任意選択的に置換可能なC
1~C
6アルキルまたはC
2~C
6アルケニルである、請求項7に記載の濾過装置。
【請求項10】
前記アミンが、4-アミノフェニル酢酸または2-(4-アミノフェニル)エタノールである、請求項7に記載の濾過装置。
【請求項11】
前記化学スペーサーが、アミドまたはその誘導体を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項12】
前記アミドが、アクリルアミド、プロピオンアミド、イソブチルアミド、またはピバルアミドである、請求項11に記載の濾過装置。
【請求項13】
前記溶液が、約7のpHを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項14】
前記溶液が、約11のpHを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項15】
前記溶液が、約14のpHを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項16】
前記溶液が、リン酸緩衝液である、請求項13~15のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項17】
前記リン酸緩衝液が、Na
2HPO
4を含む、請求項16に記載の濾過装置。
【請求項18】
前記酸化グラフェン膜を、100℃以下で前記溶液と接触させる、請求項1~17のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項19】
前記室温が、約20℃である、請求項1~18のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項20】
前記溶液が、前記酸化グラフェン膜を通過する、請求項1~19のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項21】
前記一定時間が、約2~6時間である、請求項1~20のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項22】
支持基材と、
前記支持基材上に配置された酸化グラフェン膜であって、
前記酸化グラフェン膜が、複数の酸化グラフェンシートを含み、前記酸化グラフェンシートの各々が、化学スペーサーに共有結合されており、
前記酸化グラフェン膜が、室温で第1の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第1のラクトース阻止率を有し、
前記酸化グラフェン膜を少なくとも11のpHを有する溶液と室温で一定時間接触させた後に、前記酸化グラフェン膜が、室温で第2の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第2のラクトース阻止率を有する、酸化グラフェン膜と、
を含む濾過装置。
【請求項23】
前記pHが、少なくとも約12である、請求項22に記載の濾過装置。
【請求項24】
前記pHが、少なくとも約14である、請求項22に記載の濾過装置。
【請求項25】
前記第2のラクトース阻止率が、前記第1のラクトース阻止率と実質的に同じである、請求項22~24のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項26】
前記第2のラクトース阻止率が、前記第1のラクトース阻止率よりも大きい、請求項22~24のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項27】
前記第1のラクトース阻止率が、90%以下である、請求項22~26のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項28】
前記第2のラクトース阻止率が、90%以下である、請求項22~27のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項29】
前記酸化グラフェンシートの各々が、隣接する酸化グラフェンシートに共有結合で架橋されていない、請求項22~28のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項30】
前記化学スペーサーが、アミンまたはその誘導体を含む、請求項22~29のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項31】
前記化学スペーサーが、-NH-R
1を含み、式中、R
1が、任意選択的に置換可能なアリールである、請求項30に記載の濾過装置。
【請求項32】
前記化学スペーサーが、-NH-C(O)-R
2を含み、式中、R
2が、各々が任意選択的に置換可能なC
1~C
6アルキルまたはC
2~C
6アルケニルである、請求項30に記載の濾過装置。
【請求項33】
前記アミンが、4-アミノフェニル酢酸または2-(4-アミノフェニル)エタノールである、請求項30に記載の濾過装置。
【請求項34】
前記化学スペーサーが、アミドまたはその誘導体を含む、請求項22~29のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項35】
前記アミドが、アクリルアミド、プロピオンアミド、イソブチルアミド、またはピバルアミドである、請求項34に記載の濾過装置。
【請求項36】
前記溶液が、Na
2HPO
4を含む、請求項22~35のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項37】
前記室温が、約20℃である、請求項22~36のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項38】
前記溶液が、前記酸化グラフェン膜を通過する、請求項22~37のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項39】
前記溶液が、緩衝溶液である、請求項22~38のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項40】
前記一定時間が、約2~6時間である、請求項22~39のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項41】
支持基材であって、前記支持基材が、少なくとも約150μmの厚さおよび少なくとも約0.9GPaのヤング率を有する、支持基材と、
前記支持基材上に配置された酸化グラフェン膜であって、
前記酸化グラフェン膜が、複数の酸化グラフェンシートを含み、前記酸化グラフェンシートの各々が、化学スペーサーに共有結合されており、
前記酸化グラフェン膜が、室温で第1の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第1のラクトース阻止率を有し、
前記酸化グラフェン膜を約1000psiの圧力に一定時間供した後に、前記酸化グラフェン膜が、室温で第2の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第2のラクトース阻止率を有する、酸化グラフェン膜と、
を含む濾過装置。
【請求項42】
前記支持基材が、約500μm以下の厚さを有する、請求項41に記載の濾過装置。
【請求項43】
前記支持基材が、約2.5GPa以下のヤング率を有する、請求項41または42に記載の濾過装置。
【請求項44】
前記支持基材が、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ナイロン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項41~43のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項45】
黒液を処理するための方法であって、前記方法が、請求項1~44のいずれか一項に記載の濾過装置に黒液を流すことを含み、前記黒液が、リグニン、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項46】
リグニン、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、または水酸化ナトリウムの少なくとも50%が、前記酸化グラフェン膜によって阻止される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
複数の酸化グラフェンシートを含む酸化グラフェン膜の流束を増加させる方法であって、前記酸化グラフェンシートの各々が、化学スペーサーに共有結合されており、前記方法が、前記酸化グラフェン膜を少なくとも約50℃である溶液と一定時間接触させることを含み、接触ステップの後に、前記流束が少なくとも50%増加する、方法。
【請求項48】
複数の酸化グラフェンシートを含む酸化グラフェン膜の流束を増加させる方法であって、前記酸化グラフェンシートの各々が、化学スペーサーに共有結合されており、前記方法が、前記酸化グラフェン膜を少なくとも約10のpHを有する溶液と一定時間接触させることを含み、接触ステップの後に、前記流束が少なくとも50%増加する、方法。
【請求項49】
前記流束が、前記接触ステップの後に少なくとも1倍増加する、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記酸化グラフェンシートの各々が、隣接する酸化グラフェンシートに共有結合で架橋されていない、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記化学スペーサーが、アミンまたはその誘導体を含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記化学スペーサーが、-NH-R
1を含み、式中、R
1が、任意選択的に置換可能なアリールである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記化学スペーサーが、-NH-C(O)-R
2を含み、式中、R
2が、各々が任意選択的に置換可能なC
1~C
6アルキルまたはC
2~C
6アルケニルである、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記アミンが、4-アミノフェニル酢酸または2-(4-アミノフェニル)エタノールである、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記化学スペーサーが、アミドまたはその誘導体を含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記アミドが、アクリルアミド、プロピオンアミド、イソブチルアミド、またはピバルアミドである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記溶液が、約7のpHを有する、請求項47に記載の方法。
【請求項58】
前記溶液が、少なくとも約10のpHを有する、請求項47に記載の方法。
【請求項59】
前記溶液が、リン酸緩衝液である、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記リン酸緩衝液が、Na
2HPO
4を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記酸化グラフェン膜を、100℃以下で前記溶液と接触させる、請求項47~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記溶液が、前記酸化グラフェン膜を通過する、請求項47~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記一定時間が、約2~6時間である、請求項47~62のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年5月15日に出願された米国仮特許出願第62/848,014号、および2019年10月4日に出願された米国仮特許出願第62/910,789号の優先権および利益を主張するものであり、これらの各々の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、酸化グラフェン膜および分離プロセスにおけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
膜は、膜の様々な特性および/または濾過される材料の成分の様々な特性のうちのいずれかに従って、いくつかの成分(濾液または透過液)を通過させ、かつ混合物の残り(阻止物(rejects))であるその他のものを優先的に保持することによって混合物を分離するために使用することができる。例えば、膜は、サイズ排除(すなわち、排除される粒子よりも小さい細孔などの物理的障壁)に基づいて、濾液から阻止物を分離するように構成することができる。他の例は、濾過される材料の1つ以上の成分との化学的、電気化学的、および/または物理的な結合に基づいて濾液から阻止物を分離するように構成された膜を含む。
【0004】
ポリマー膜は、一般的なタイプの膜である。これらは、水の軟化、脱塩、ならびに様々な塩、小分子および巨大分子の濃縮、除去および精製のために商業的に使用されてきた。しかしながら、特定の環境(例えば、酸化条件、高pH、高温、または一部の溶媒)では、ポリマーの膨潤、酸化反応、劣化、または軟化を原因として、ポリマー膜が損傷または破損する場合がある。したがって、当技術分野では、ポリマー膜の1つ以上の欠陥に対処する新しい膜が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載の実施形態は、概して、流体濾過のための耐久性のある酸化グラフェン膜に関する。例えば、酸化グラフェン膜は、様々な塩の濃縮、除去、および精製に使用され得る。
【0006】
本開示の一態様は、支持基材と、支持基材上に配置された酸化グラフェン膜と、を含む、濾過装置に関する。酸化グラフェン膜は、複数の酸化グラフェンシートを含み、酸化グラフェンシートの各々は、化学スペーサーに共有結合されており、酸化グラフェンシートの各々は、隣接する酸化グラフェンシートに共有結合で架橋されていない。酸化グラフェン膜は、室温で第1の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第1のラクトース阻止率を有する。酸化グラフェン膜は、酸化グラフェン膜を少なくとも80℃である溶液と一定時間接触させた後に、室温で第2の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第2のラクトース阻止率を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2のラクトース阻止率は、第1のラクトース阻止率と実質的に同じである。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2のラクトース阻止率は、第1のラクトース阻止率よりも大きい。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のラクトース阻止率は、90%以下である。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2のラクトース阻止率は、90%以下である。
【0011】
いくつかの実施形態では、化学スペーサーは、アミンまたはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、化学スペーサーは、-NH-R1を含み、式中、R1は、任意選択的に置換可能なアリールである。いくつかの実施形態では、アミンは、4-アミノフェニル酢酸または2-(4-アミノフェニル)エタノールである。
【0012】
いくつかの実施形態では、化学スペーサーは、アミドまたはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、化学スペーサーは、-NH-C(O)-R2を含み、式中、R2は、各々が任意選択的に置換可能なC1~C6アルキルまたはC2~C6アルケニルである。いくつかの実施形態では、アミドは、アクリルアミド、プロピオンアミド、イソブチルアミド、またはピバルアミドである。
【0013】
いくつかの実施形態では、溶液は、約7のpHを有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、溶液は、約11のpHを有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、溶液は、約14のpHを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、溶液は、リン酸緩衝液である。いくつかの実施形態では、リン酸緩衝液は、Na2HPO4を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、室温は、約20℃である。
【0018】
いくつかの実施形態では、溶液は、酸化グラフェン膜を通過する。
【0019】
いくつかの実施形態では、一定時間は、約2~6時間である。
【0020】
本開示の一態様は、支持基材と、支持基材上に配置された酸化グラフェン膜と、を含む、濾過装置に関する。酸化グラフェン膜は、複数の酸化グラフェンシートを含み、酸化グラフェンシートの各々は、化学スペーサーに共有結合されている。酸化グラフェン膜は、室温で第1の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第1のラクトース阻止率を有する。酸化グラフェン膜は、酸化グラフェン膜を少なくとも11のpHと一定時間接触させた後に、室温で第2の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第2のラクトース阻止率を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも約12のpHを有する。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも約14のpHを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、第2のラクトース阻止率は、第1のラクトース阻止率と実質的に同じである。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2のラクトース阻止率は、第1のラクトース阻止率よりも大きい。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のラクトース阻止率は、90%以下である。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2のラクトース阻止率は、90%以下である。
【0026】
いくつかの実施形態では、化学スペーサーは、アミンまたはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、化学スペーサーは、-NH-R1を含み、式中、R1は、任意選択的に置換可能なアリールである。いくつかの実施形態では、アミンは、4-アミノフェニル酢酸または2-(4-アミノフェニル)エタノールである。
【0027】
いくつかの実施形態では、化学スペーサーは、アミドまたはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、化学スペーサーは、-NH-C(O)-R2を含み、式中、R2は、各々が任意選択的に置換可能なC1~C6アルキルまたはC2~C6アルケニルである。いくつかの実施形態では、アミドは、アクリルアミド、プロピオンアミド、イソブチルアミド、またはピバルアミドである。
【0028】
いくつかの実施形態では、溶液は、Na2HPO4を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、室温は、約20℃である。
【0030】
いくつかの実施形態では、溶液は、酸化グラフェン膜を通過する。
【0031】
いくつかの実施形態では、溶液は、緩衝溶液である。
【0032】
いくつかの実施形態では、一定時間は、約2~6時間である。
【0033】
本開示の一態様は、支持基材であって、支持基材が、少なくとも約150μmの厚さおよび少なくとも約0.9GPaのヤング率を有する、支持基材と、支持基材上に配置された酸化グラフェン膜であって、酸化グラフェン膜が、複数の酸化グラフェンシートを含み、酸化グラフェンシートの各々が、化学スペーサーに共有結合されており、酸化グラフェン膜が、室温で第1の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第1のラクトース阻止率を有し、酸化グラフェン膜を約1000psiの圧力に一定時間供した後に、酸化グラフェン膜が、室温で第2の1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の第2のラクトース阻止率を有する、酸化グラフェン膜と、を含む、濾過装置に関する。
【0034】
いくつかの実施形態では、支持基材は、約500μm以下の厚さを有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、支持基材は、約2.5GPa以下のヤング率を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、支持基材は、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ナイロン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0037】
本開示の一態様は、黒液を処理する方法であって、黒液は、前述の濾過装置のうちのいずれか1つに流され、黒液は、リグニン、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、および/または水酸化ナトリウムを含む、方法に関する。
【0038】
いくつかの実施形態では、リグニンの少なくとも一部が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、リグニンの少なくとも50%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、リグニンの少なくとも90%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。
【0039】
いくつかの実施形態では、硫酸ナトリウムの少なくとも一部が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、硫酸ナトリウムの少なくとも50%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、硫酸ナトリウムの少なくとも90%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。
【0040】
いくつかの実施形態では、炭酸ナトリウムの少なくとも一部が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、炭酸ナトリウムの少なくとも50%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、炭酸ナトリウムの少なくとも90%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。
【0041】
いくつかの実施形態では、水硫化ナトリウムの少なくとも一部が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、水硫化ナトリウムの少なくとも50%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、水硫化ナトリウムの少なくとも90%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。
【0042】
いくつかの実施形態では、チオ硫酸ナトリウムの少なくとも一部が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、チオ硫酸ナトリウムの少なくとも50%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、チオ硫酸ナトリウムの少なくとも90%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。
【0043】
いくつかの実施形態では、水酸化ナトリウムの少なくとも一部が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、水酸化ナトリウムの少なくとも50%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。いくつかの実施形態では、水酸化ナトリウムの少なくとも90%が、酸化グラフェン膜によって阻止される。
【0044】
本開示の一態様は、本明細書に記載の酸化グラフェン膜の流束を増加させる方法であって、方法が、酸化グラフェン膜を少なくとも約50℃である溶液と一定時間接触させることを含み、接触ステップの後に、流束が少なくとも50%増加する、方法に関する。
【0045】
本開示の別の態様は、本明細書に記載の酸化グラフェン膜の流束を増加させる方法であって、方法が、酸化グラフェン膜を少なくとも約10のpHを有する溶液と一定時間接触させることを含み、接触ステップの後に、流束が少なくとも50%増加する、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による酸化グラフェン膜の概略図である。
【
図2A-2F】酸化グラフェンシートと化学スペーサーとの間の一段階反応の例を示す。
【
図3】デッドエンドまたはクロスフローからの透過性および阻止の簡単な図を使用して任意のサイズの膜システムをモデル化したモデリング図である。あらゆる構成種が追跡される。対イオン(例えば、ナトリウム)には、ペアのイオン(例えば、リグニンと対になったNa、Clと対になったNa、SO
4と対になったNaなど)と同じ阻止率が与えられる。(全体または種の流入量)
*a
*t=2
*(膜を通過する流束)
*dx
*t+(流出量)
*a
*t。
【
図4】1.0の二価塩の阻止係数、750のモジュールシステムサイズ、および1000psiの動作圧力についてのシミュレーション結果を示すグラフである。一連のドットの各々は、異なる供給物濃度を表す。いくつかの粉砕機は、より多いまたはより少ない濃縮された供給液を有するであろう。
【
図5A-9E】異なるシステムサイズについてシミュレーションした透過液総溶存固形分(perm TDS)の回収パーセンテージを示すグラフである(回収比率で表される)。一連のドットの各々は、異なる供給物濃度を表す。これらの図は、十分にきれいな温水流を酸化グラフェン膜によって生成することができることを示す。マルチパス方式とは、第1の膜システムからの透過液が第2の膜システムを通過することを意味する。この場合、回収率は、第2のシステムからの透過液になる、第1のシステムの供給物のパーセンテージによって定義される。
【
図5A-5D】シングルパス方式における1000psiでの二価物阻止の効果についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図6A-6D】シングルパス方式における高い阻止率での圧力の効果についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図7A-7D】シングルパス方式におけるシステムサイズについてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図8A-8D】2パス方式での阻止の効果についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図9A-9E】マルチパス方式サイジングについてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図10】酸化グラフェン分散液のUV/Vis比率対pHを示すグラフである。
【
図11】様々な濃度のプロピオンアミドおよび様々なpHで官能化された膜について、糖(ラクトース)および塩(MgSO
4)の阻止率を示すグラフである。pH11の酸化グラフェン分散液から流し込まれた酸化グラフェン膜は、プロピオンアミド濃度に関係なく、より低いpHで流し込まれたものよりも優れている。
【
図12】非常に多くの条件下で>4週間実行されたタンジェンシャルフロー試験を示すグラフである。まず、性能を1重量%のラクトースおよび0.1重量%のMgSO
4溶液に対してベンチマークする。左から最初の2つの影領域は、pH11.5、温度65~80℃、および圧力700~1000psiで部分的リン酸緩衝溶液に曝露したことを表す。y軸にプロットされた小分子の阻止率は、pHの上昇に曝露されても低下しない。左から3番目の影領域は、ラクトース供給物から合成弱黒液(SWBL)供給物への切り替えを表しており、これによって、高温、高圧、および高pH(pH=13)での連続的な実行が可能になる。条件が高圧(左から3番目の影領域)と高温(左から4番目の影領域)との間で変動するため、小分子の阻止(y軸)に関して一定の性能が観察される。SWBLは、1重量%のピロガロール、0.1重量%のNa
2SO
4、0.61重量%のNaOH、および0.4重量%のKClを含む。SWBLを生成するためには、KClおよび水酸化ナトリウムをmilli-Q水に添加し、次いで、ピロガロールおよびNa
2SO
4を混合物に順次添加する。
【
図13A-13D】酸化グラフェン膜の色に対するpHの影響を示すグラフであり、膜の安定性を示すことができる。色の変化は、画像処理ソフトウェアを使用して、赤/緑/青(RGB)画像をグレースケールに変換し、得られたシグナルのグレースケールモード値を比較することによって定量化することができる。pH7~13の4つの膜について、各々の画像の下のヒストグラムは、各々の画像のグレー値の分布を示しており、x軸は、可能なグレー値(0~255)を表し、y軸は、各々のグレー値で見られたピクセル数を表す。ゼロにより近いグレースケールモード値が、より暗い画像に対応する。逆に、255により近いグレースケールモード値が、より明るい画像に対応する。
図13A~13Dは、pH7のサンプルについての174のグレースケールモード値(最も明るい)から、pH13のサンプルについての127のグレースケールモード値(最も暗い)へのモードシフトを示し、これは、pHが色に対して定量化可能な影響を有することを示す。
【
図14A-14D】酸化グラフェン膜の色に対する温度の影響を示すグラフである。pH11.5および80℃の組み合わせに曝露された膜は、64(前)から29(後)にモードシフトする。およそpH7で50℃に曝露された膜は、57(前)から56(後)への無視できる程度のモード変化を示した。
【
図15A-15H】80℃およびpH11.5で部分的リン酸緩衝液に曝露された酸化グラフェン膜の安定性を示す一連の写真およびグラフであり、これらの膜は、化学スペーサーとしてピバルアミドを有する。グレースケールモード値は、4時間の時点から7日の時点まで類似している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
グラファイトとは、一連の平面で層状になった六角形の構造に原子が配置された結晶形態の炭素である。地球上に豊富に存在するため、グラファイトは、非常に安価であり、一般に、鉛筆および潤滑剤に使用されている。グラフェンは、いくつかの優れた電気的、機械的、光学的、および電気化学的な特性を有する炭素原子の単原子層(すなわち、グラファイトの層のうちの1つ)であり、「不思議な材料」というニックネームが付けられている。ほんの数例を挙げるなら、グラフェンは、非常に透明であり、極めて軽く、かつ柔軟性がありながら堅牢であり、優れた電気および熱伝導体である。そのような並外れた特性によって、グラフェンおよび関連する薄層グラファイト材料(例えば、数層グラフェン)は、様々な用途の有望な候補となる。例えば、グラフェンは、鋼およびアルミニウムの酸化を防ぐために、かつ水から塩、重金属、および油を濾過するために、コーティングに使用され得る。
【0048】
酸化グラフェンは、単一原子の厚さのシートの形態で存在する、酸素含有ペンダント官能基(例えば、エポキシド、カルボン酸、またはヒドロキシル)を有するグラフェンの酸化形態である。グラファイト中のグラフェンを酸化することによって、酸化グラフェンシートを製造することができる。例えば、酸化グラフェンシートは、修正されたHummers法を使用してグラファイトから調製することができる。フレークグラファイトを、KMnO4、H2SO4、および/またはNaNO3の混合物中で酸化させ、次いで、得られたペースト状の酸化グラフェンを希釈し、濾過、遠心分離、および再懸濁のサイクルで洗浄した。続いて、洗浄した酸化グラフェン懸濁液を超音波処理して、酸化グラフェン粒子を酸化グラフェンシートに剥離し、高速で遠心分離して、剥離していないグラファイト残留物を除去する。得られた黄色がかった/薄茶色の溶液は、最終的な酸化グラフェンシート懸濁液である。この色は、炭素格子構造が、追加された酸素化官能基によって歪んでいることを示す。製造された酸化グラフェンシートは、親水性であり、凝集または堆積の兆候なしに数ヶ月間水に懸濁したままであることが可能である。
【0049】
酸化グラフェンは、その低いコスト、高い化学的安定性、強力な親水性、および様々な環境との適合性に一部起因して、濾過用途の膜におけるその使用が検討されてきた。例えば、酸化しやすい高分子膜と比較して、酸化グラフェン膜は、酸化条件に曝露されても安定した状態を保つことができる。しかしながら、既存の酸化グラフェン膜では、高温または酸性/塩基性条件に曝露される場合、耐久性の問題に悩まされる。例えば、いくつかの既存の酸化グラフェン膜は、製造直後に室温で1重量%ラクトース溶液を用いて、高いラクトース阻止率(例えば、少なくとも50%)を達成することができる。しかしながら、高温(例えば、約50℃超)および/または非中性のpH環境(例えば、pH=11)に一定時間曝露された後に、これらの酸化グラフェン膜の性能は低下する。これらの酸化グラフェン膜による室温でのラクトース阻止率は、これらの条件に曝露された後に、30%、20%、またはそれ以下に低下する可能性があり、それによって、これらの酸化グラフェン膜が、特定の濾過用途にとって効果のないものになる。対照的に、本開示は、1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の阻止率を有する酸化グラフェン膜を提供し、高温および/または非中性のpH環境に曝露された後に、1重量%ラクトース溶液を用いて、少なくとも50%の阻止率を有し得る。
【0050】
したがって、本開示は、既存の酸化グラフェン膜よりも優れた特性を1つ以上有する酸化グラフェン膜を提供する。酸化グラフェンシートの各々に共有結合している化学物質を少なくとも調整することによって、本開示は、温度、pH、および/または圧力の耐久性を有する酸化グラフェン膜を提供する。驚くべきことに、本発明者は、温度、pH、および/または圧力の耐久性を有する酸化グラフェン膜が、酸化グラフェンシートを架橋することなく製造可能であることを発見した。
【0051】
図1に示されるように、本開示の一態様は、複数の酸化グラフェンシート110と、複数の化学スペーサー120と、を含む、酸化グラフェン膜100を提供し、酸化グラフェンシート110の各々は、隣接する酸化グラフェンシート110に共有結合で架橋されていない。
【0052】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェンシート110は、一般に、互いに平行に配置および配向され得る。
【0053】
酸化グラフェンシート110間の間隔は、層間間隔または層内間隔のいずれかであり得る。酸化グラフェンシート110間の間隔は、酸化グラフェン膜100の分子量カットオフを制御するように設計され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、酸化グラフェンシート110上の酸素含有官能基と共有結合を形成することができる。例えば、化学スペーサー120は、酸化グラフェン上のエポキシド基、カルボキシル基、またはヒドロキシル基と共有結合を形成することができる。いくつかの実施形態では、化学スペーサー120はまた、酸化グラフェンシート110上の非酸素含有基(例えば、アミン)と共有結合を形成することもできる。いくつかの実施形態では、化学スペーサー120はまた、酸化グラフェンシート110上の炭素原子と共有結合を形成することもできる。
【0055】
いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、様々なメカニズムを介して、隣接する酸化グラフェンシート110と非共有相互作用を形成することができる。いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、イオン相互作用を介して、隣接する酸化グラフェンシート110に結合することができる。いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、水素結合を介して、隣接する酸化グラフェンシート110に結合することができる。いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、1つ以上のファンデルワールス力を介して、隣接する酸化グラフェンシート110に結合することができる。いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、1つ以上のπ効果を介して、隣接する酸化グラフェンシート110に結合することができる。いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、疎水性効果を介して、隣接する酸化グラフェンシート110に結合することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、アミンまたはその誘導体を含み得る。いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、式Iによる構造を有し得る:
-NH-R
1(I)、
式中、R
1は、1つ以上の置換基で任意選択的に置換可能なアリールまたはヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、置換基は、C
1~C
6アルキルおよびC(=O)OR
1aから選択され得て、式中、アルキルは、ハロゲン、OH、NH
2、およびSHで任意選択的に置換可能であり、R
1aは、HまたはC
1~C
6アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、アリールはフェニルである。いくつかの実施形態では、R
1は、
【化1】
であり、式中、
【化2】
は、式Iの-NHとの結合点を示す。
【0057】
いくつかの実施形態では、化学スペーサー120としては、4-アミノフェニル酢酸、2-(4-アミノフェニル)エタノール、2-(4-アミノフェニル)プロパノール、2-(4-アミノフェニル)ブタノール、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、アミドまたはその誘導体を含み得る。いくつかの実施形態では、化学スペーサー120は、式IIによる構造を含み得る:
-NH-C(O)-R2(II)、
式中、R2は、1つ以上の置換基で各々が任意選択的に置換可能なC1~C6アルキルまたはC2~C6アルケニルである。いくつかの実施形態では、R2の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、エテニル、プロペニル、およびブテニルを挙げることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、化学スペーサー120としては、アクリルアミド、プロピオンアミド、イソブチルアミド、ピバルアミド、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100における化学スペーサー120に対する酸化グラフェンシート110の重量比率は、約1,000未満、約500未満、約400未満、約300未満、約200未満、約100未満、約50未満、約25未満、約15未満、約10未満、または約5未満であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100における化学スペーサー120に対する酸化グラフェンシート110の重量比率は、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、または少なくとも約50であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0061】
重量比率についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約5かつ約1000未満、または少なくとも約10かつ約200未満)。
【0062】
いくつかの実施形態では、X線光電子分光法によって測定された酸化グラフェン膜100の表面上に存在する窒素の原子パーセント(原子%)含有量は、約5.0原子%未満、約4.5原子%未満、約4.0原子%未満、約3.5原子%未満、約3.2原子%未満、約3.0原子%未満、約2.8原子%未満、約2.6原子%未満、約2.4原子%未満、または約2.0原子%未満であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、X線光電子分光法によって測定された酸化グラフェン膜100の表面上に存在する窒素の原子%含有量は、少なくとも約0.6原子%、少なくとも約1.1原子%、少なくとも約1.2原子%、少なくとも約1.3原子%、少なくとも約1.4原子%、少なくとも約1.5原子%、少なくとも約1.6原子%、少なくとも約1.8原子%、または少なくとも約2.0原子%であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0063】
窒素の原子%含有量についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約0.6原子%かつ約5.0原子%未満、または少なくとも約1.1原子%かつ約3.2原子%未満)。
【0064】
いくつかの実施形態では、X線光電子分光法によって測定された酸化グラフェン膜100の表面上に存在する炭素の原子%含有量は、約80%未満、約78%未満、または約75%未満であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、X線光電子分光法によって測定された酸化グラフェン膜100の表面上に存在する炭素の原子%含有量は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0065】
炭素の原子%含有量についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約50%かつ約80%未満、または少なくとも約60%かつ約75%未満)。対照的に、意図的または意図せずに還元された既存の酸化グラフェン膜は、多くの場合、80%超または95超%でさえある炭素の原子%含有量を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、約25nm以上、約50nm以上、約0.1ミクロン以上、約0.15ミクロン以上、約0.2ミクロン以上、約0.3ミクロン以上、約0.4ミクロン以上、約0.5ミクロン以上、約0.75ミクロン以上、約1ミクロン以上、または約2ミクロン以上の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100の厚さは、約5ミクロン以下、約1ミクロン以下、約0.75ミクロン以下、または約0.5ミクロン以下であり得る。
【0067】
酸化グラフェン膜100の厚さについての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、約25nm以上かつ約5ミクロン以下、約0.15ミクロン以上かつ約0.5ミクロン以下)。
【0068】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、約25nm、約50nm、約0.1ミクロン、約0.15ミクロン、約0.2ミクロン、約0.25ミクロン、約0.3ミクロン、約0.35ミクロン、約0.4ミクロン、約0.45ミクロン、約0.5ミクロン、約0.55ミクロン、約0.6ミクロン、約0.65ミクロン、約0.7ミクロン、約0.75ミクロン、約0.8ミクロン、約0.85ミクロン、約0.9ミクロン、約0.95ミクロン、約1.0ミクロン、約1.5ミクロン、または約2ミクロンの厚さを有し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェンシート110は、フレークを含み得る。フレークは、(酸化グラフェンシート110の平面上で)あるアスペクト比率を有し得る。いくつかの実施形態では、アスペクト比率は、約250,000未満:1、約100,000未満:1、約50,000未満:1、約25,000未満:1、約10,000未満:1、約5,000未満:1、約1,000未満:1、少なくとも約100:1、少なくとも約200:1、少なくとも約300:1、少なくとも約400:1、または少なくとも約500:1であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0070】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、少なくとも約100層、少なくとも約125層、少なくとも約150層、少なくとも約200層、少なくとも約225層、または少なくとも約250層の酸化グラフェンシートを含み得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、約600層以下、約550層以下、約500層以下、約450層以下、約400層以下、約350層以下、または約300層以下の酸化グラフェンシートを含み得る。
【0071】
酸化グラフェン膜100の層数についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約100かつ約600以下、または少なくとも約300かつ約600以下(それらの間のすべての値および範囲を含む))。
【0072】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、約100~約600層の酸化グラフェンシート110、例えば、200~500層、200~400層、200~300層、200~250層、300~600層、300~500層、または300~400層を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェンシート110間の空間サイズは、d間隔であり、これは、かすめ入射X線回折(GIXRD)などのX線回折によって測定することができる。いくつかの実施形態では、乾燥酸化グラフェンシート110のd間隔は、約20Å未満、約15Å未満、または約10Å未満であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、乾燥酸化グラフェンシート110のd間隔は、約5Å~約20Å、約5Å~約15Å、約8Å~約20Å、約8Å~約15Åの範囲であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、乾燥酸化グラフェンシート110のd間隔は、約17Å、約16Å、約15Å、約14Å、約13Å、約12Å、約11Å、約10Å、約9Å、約8Å、または約7Åであり得る。化学スペーサー120の長さは、d間隔を制御する上で重要な要素である。
【0074】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、約0.5nm以上、約1nm以上、約2nm以上、約3nm以上、約4nm以上、または約5nm以上の平均細孔径を有し得る。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、約6nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、または約2nm以下の平均細孔径を有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0075】
平均細孔径についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、約0.5nm以上かつ約6nm以下、約1nm以上かつ約6nm以下)。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、約0.5nm、約0.8nm、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、または約6nmの平均細孔径を有し得る。
【0076】
支持基材の粗さが酸化グラフェン膜の流束に影響を与え得ることが発見された。具体的には、滑らかな支持基材は、粗い支持基材と比較して、酸化グラフェン膜の流束および/または阻止率を改善することができる。したがって、いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100の支持基材は、約3μm未満、約2.5μm未満、約2μm未満、約1.5μm未満、または約1μm未満の二乗平均平方根表面粗さを有し得る。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100の支持基材は、少なくとも約1μm、少なくとも約1.2μm、少なくとも約1.4μm、少なくとも約1.5μmの二乗平均平方根表面粗さを有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、表面粗さは、Dektak 6M Contact Profilometerによって測定される。
【0077】
二乗平均平方根表面粗さについての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約1μmかつ2.5μm未満、または少なくとも1.4μmかつ約3μm未満)。いくつかの実施形態では、支持基材は、約3μm、約2.5μm、約2μm、約1.5μm、または約1μmの二乗平均平方根表面粗さを有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100の色を使用して、高温および/または塩基性pHレベル下での膜の安定性を評価することができる。酸化グラフェン膜100の色は、酸化グラフェン膜100の画像を記録し、画像処理ソフトウェアを使用してグレースケールモード値を計算することによって特性評価することができる。画像が想定できるグレースケールモード値の範囲は0~255であり、ゼロにより近い値はより暗い画像に対応し、255により近い値はより明るい画像に対応する。
【0079】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、約180未満、約160未満、約140未満、約120未満、約100未満、約80未満、約60未満、または約40未満のグレースケールモード値を示し得て(それらの間のすべての値および範囲を含む)、酸化グラフェン膜100の画像は、9.4×9.1×8.7インチの寸法を有し、かつライトボックスの上部前縁および後縁上に2列の20個の白色LEDを有するライトボックス内で収集される。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約45、少なくとも約60、少なくとも約75のグレースケールモード値を示し得て(それらの間のすべての値および範囲を含む)、酸化グラフェン膜100の画像は、9.4×9.1×8.7インチの寸法を有し、かつライトボックスの上部前縁および後縁上に2列の20個の白色LEDを有するライトボックス内で収集される。
【0080】
グレースケールモード値についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約20かつ約180未満、または少なくとも約90かつ約120未満)。
【0081】
酸化グラフェン膜100の色を定量化する他の方法も使用することができる。例えば、分布の形状、フィットの中心、および/または標準偏差を使用することができる。
【0082】
酸化グラフェン膜100の画像を得るための照明レベルは、グレースケールモード値に影響を与え得る。比較目的のために、同じまたは実質的に同じ照明レベルを使用して、異なる時点での同じ膜または異なる膜の2つ以上の画像を得る必要がある。
【0083】
流束は、ガロン毎平方フィート毎日毎psi(GFD/psi)の単位を有し得る。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、室温で1重量%ラクトース溶液を用いて測定して、少なくとも約2.5×10-4GFD/psi、少なくとも約5.0×10-4GFD/psi、少なくとも約7.5×10-4GFD/psi、少なくとも約1.0×10-3GFD/psi、少なくとも約1.25×10-3GFD/psi、少なくとも約1.5×10-3GFD/psi、少なくとも約1.75×10-3GFD/psi、少なくとも約2.0×10-3GFD/psi、少なくとも約2.25×10-3GFD/psi、少なくとも約2.5×10-3GFD/psi、少なくとも約5.0×10-3GFD/psi、少なくとも約10.0×10-3GFD/psi、少なくとも約15.0×10-3GFD/psi、または少なくとも約20.0×10-3GFD/psiの流束を有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0084】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、室温で1重量%ラクトース溶液を用いて測定して、約40.0×10-3GFD/psi以下、約35.0×10-3GFD/psi以下、約30.0×10-3GFD/psi以下、約20.0×10-3GFD/psi以下、約15.0×10-3GFD/psi以下、約10.0×10-3GFD/psi以下の流束を有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0085】
流束についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約2.5×10-4GFD/psiかつ約40.0×10-3GFD/psi以下、または少なくとも約5.0×10-3GFD/psiかつ約30.0×10-3GFD/psi以下)。
【0086】
いくつかの実施形態では、流束は、50psi~1000psi、例えば、約50psi、約75psi、約100psi、約125psi、約150psi、約175psi、約200psi、約225psi、約225psi、250psi、約275psi、約300psi、約325psi、約350psi、約375psi、約400psi、約425psi、約450psi、約475psi、約500psi、約525psi、約550psi、約575psi、約600psi、約625psi、約650psi、約675psi、約700psi、約725psi、約750psi、約775psi、約800psi、約825psi、約850psi、約875psi、約900psi、約925psi、約950psi、約975psi、または約1000psiで測定される。
【0087】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、室温で1重量%ラクトース溶液を用いて測定して、約2.5×10-4~約3.75×10-2GFD/psi、約2.5×10-4~約2.5×10-2GFD/psi、約2.5×10-3~約2.5×10-2GFD/psi、または約1.25×10-2~約2.5×10-2GFD/psiの流束を有し得る。
【0088】
酸化グラフェン膜100の温度および/またはpH耐久性は、酸化グラフェン膜100を高温および/または非中性pHを有する試験溶液と接触させ、接触の前後の溶質阻止率を比較することによって評価することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、高温および/または非中性pHを有する試験溶液に曝露される前に、室温で溶質を有する第1の溶液を用いて、第1の溶質阻止率を有し得る。いくつかの実施形態では、溶質は、ラクトース、リグニン、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、硝酸、リン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および/または硫酸マグネシウムを含み得る。溶質は、溶媒に溶存している。いくつかの実施形態では、溶媒としては、水、エタノール、メタノール、アセトン、または任意の他の適切な溶媒を挙げることができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、試験溶液に接触期間曝露された後に、室温で溶質を有する第2の溶液を用いて、第2の溶質阻止率を有し得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1の溶液および/または第2の溶液は、約0.1重量%の溶質、約0.2重量%の溶質、約0.3重量%の溶質、約0.4重量%の溶質、約0.5重量%の溶質、約0.6重量%の溶質、約0.7重量%の溶質、約0.8重量%の溶質、約0.9重量%の溶質、約1重量%の溶質、約1.5重量%の溶質、約2重量%の溶質、約2.5重量%の溶質、約3重量%の溶質、約3.5重量%の溶質、約4重量%の溶質、約4.5重量%の溶質、約5重量%の溶質、約5.5重量%の溶質、約6重量%の溶質、約6.5重量%の溶質、約7重量%の溶質、約7.5重量%の溶質、約8重量%の溶質、約8.5重量%の溶質、約9重量%の溶質、約9.5重量%の溶質、または約10重量%の溶質を含み得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0091】
いくつかの実施形態では、試験溶液は、高温、非中性pH、またはそれらの任意の組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態では、高温は、約50℃超、約55℃超、約60℃超、約65℃超、約70℃超、約75℃超、約80℃超、約85℃超、約90℃超、または約95℃超であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、高温は、約100℃以下、約95℃以下、約90℃以下、約85℃以下、または約80℃以下であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0092】
温度についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、約50℃超かつ約100℃以下、約60℃超かつ約100℃以下、または約80℃超かつ約120℃以下)。
【0093】
いくつかの実施形態では、非中性pHは、少なくとも約8、少なくとも約8.5、少なくとも約9、少なくとも約9.5、少なくとも約10、少なくとも約10.5、少なくとも約11、少なくとも約11.5、少なくとも約12、少なくとも約12.5、少なくとも約13、少なくとも約13.5、または少なくとも約14であり得る。いくつかの実施形態では、非中性pHは、約6未満、約5.5未満、約5未満、約4.5未満、約4未満、約3.5未満、約3未満、約2.5未満、約2未満、約1.5未満、約1未満、または約0.5未満であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、非中性pHは、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、約13、約13.5、または約14であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1の溶質阻止率は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0095】
いくつかの実施形態では、第2の溶質阻止率は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0096】
いくつかの実施形態では、1重量%ラクトース溶液を用いた第1のラクトース阻止率は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0097】
いくつかの実施形態では、1重量%ラクトース溶液を用いた第2のラクトース阻止率は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0098】
いくつかの実施形態では、膜が温度および/またはpH耐久性である場合、第2の溶質阻止率は、第1の溶質阻止率と実質的に同じであり得る。いくつかの実施形態では、膜が温度および/またはpH耐久性である場合、第2の溶質阻止率は、第1の溶質阻止率よりも大きくなり得る。例えば、第2の溶質阻止率は、第1の溶質阻止率よりも少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、または少なくとも約20%大きくなり得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、試験溶液は、緩衝液であり得る。いくつかの実施形態では、試験溶液は、リン酸緩衝液を含み得る。いくつかの実施形態では、試験溶液は、Na2HPO4を含み得る。いくつかの実施形態では、試験溶液は、約0.1M、約0.2M、約0.3M、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1M、約2M、約3M、約4M、約5M、または約6Mの濃度を有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0100】
いくつかの実施形態では、接触期間は、約10分超、約20分超、約30分超、約40分超、約50分超、約1時間超、約1.5時間超、約2時間超、約2.5時間超、約3時間超、約3.5時間超、約4時間超、約4.5時間超、約5時間超、約5.5時間超、約6時間超、約6.5時間超、約7時間超、約7.5時間超、約8時間超、約8.5時間超、約9時間超、約9.5時間超、または約10時間超であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0101】
いくつかの実施形態では、接触期間は、約10時間未満、約9.5時間未満、約9時間未満、約8.5時間未満、約8時間未満、約7.5時間未満、約7時間未満、約6.5時間未満、約6時間未満、約5.5時間未満、約5時間未満、約4.5時間未満、約4時間未満、約3.5時間未満、約3時間未満、約2.5時間未満、約2時間未満、約1.5時間未満、約1時間未満、約50分未満、約40分未満、約30分未満、または約20分未満であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0102】
いくつかの実施形態では、接触期間は、約1時間~約10時間、約1時間~約9時間、約1時間~約8時間、約1時間~約7時間、約1時間~約6時間、約1時間~約5時間、約1時間~約4時間、約1時間~約3時間、約1時間~約2時間、約2時間~約10時間、約2時間~約9時間、約2時間~約8時間、約2時間~約7時間、約2時間~約6時間、約2時間~約5時間、約2時間~約4時間、約2時間~約3時間、約3時間~約10時間、約3時間~約9時間、約3時間~約8時間、約3時間~約7時間、約3時間~約6時間、約3時間~約5時間、または約3時間~約4時間であり得る。
【0103】
酸化グラフェン膜100の温度および/またはpH耐久性はまた、酸化グラフェン膜100を高温および/または非中性pHを有する試験溶液と一定時間接触させ、接触の前後のグレースケールモード値を比較することによって評価することもできる。いくつかの実施形態では、膜が温度および/またはpH耐久性である場合、グレースケールモード値は、接触後に、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以上で変化する。いくつかの実施形態では、膜が温度および/またはpH耐久性である場合、グレースケールモード値は、接触後に、約50以下、約40以下、約30以下、または約20以下変化する。接触期間は、約数時間(例えば、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、または約22時間)、約1日、または約2日であり得る。
【0104】
酸化グラフェン膜の阻止および透過性を明らかにする手順は、以下の通りである:(1)かみそりの刃またはレーザーカッターを使用して、酸化グラフェン膜から47~50mmのディスクを切り取る、(2)酸化グラフェン側を上にしてディスクを多孔質ステンレス鋼フリット上に載せ、次いで、これをSterlitech HP4750濾過セルに取り付ける、(3)60~100mLの1重量%ラクトース溶液を添加する、(4)構成物を約750rpmの撹拌プレート上に置く、および(5)供給チャンバを閉じて、これを50~100psiに加圧する。この手順では、性能測定が安定していることを確認するために、3つのサンプルから少なくとも15mLの透過液が収集される。
【0105】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜についての分子量カットオフは、約100Daである。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜についての分子量カットオフは、約150Daである。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜についての分子量カットオフは、約200Daである。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜についての分子量カットオフは、約250Daである。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜についての分子量カットオフは、約300Daである。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜についての分子量カットオフは、約350Daである。
【0106】
一態様では、酸化グラフェン膜100の流束は、膜100を少なくとも約50℃である前処理溶液と一定時間接触させることによって増加させることができる。いくつかの実施形態では、前処理溶液は、接触ステップ中に膜100を流れる。
【0107】
いくつかの実施形態では、膜100は、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、または約60℃以下で前処理溶液と接触させられる(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、膜100は、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、または少なくとも約70℃である前処理溶液と接触させられる(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0108】
試験溶液の温度についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約50℃かつ約100℃以下、または少なくとも約60℃かつ約90℃以下の温度)。
【0109】
別の態様では、酸化グラフェン膜100の流束は、膜100を室温または室温より高い温度で塩基性前処理溶液と接触させることによって増加させることができる。いくつかの実施形態では、前処理溶液は、接触ステップ中に膜100を流れる。
【0110】
いくつかの実施形態では、塩基性前処理溶液は、約14、約13.5未満、約13未満、約12.5未満、約12未満、約11.5未満、約11未満、約10.5未満、約10未満、約9.5未満、約9未満のpHを有する(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、塩基性前処理溶液は、少なくとも約8.0、少なくとも約8.5、少なくとも約9.0、少なくとも約9.5、少なくとも約10、または少なくとも約10.5のpHを有する(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0111】
塩基性前処理溶液のpHについての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約8.0かつ約13未満、または少なくとも約9.0かつ約12未満)。
【0112】
いくつかの実施形態では、流束を増加させるために膜が前処理溶液と接触している一定時間は、約400時間未満、約300時間未満、約200時間未満、約100時間未満、約40時間未満、約20時間未満、約10時間未満、約8時間未満、約6時間未満、約4時間未満、または約2時間未満であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、流束を増加させるために膜が前処理溶液と接触している一定時間は、少なくとも約0.5時間、少なくとも約1時間、少なくとも約1.5時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、または少なくとも約8時間であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。一般に、高温を使用する場合、室温または低温を使用する場合よりも、流束を増加させるためにより短い時間が必要とされる。
【0113】
一定時間についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約0.5時間かつ約400時間未満、少なくとも約2時間かつ約100時間未満、または約2時間かつ約10時間未満)。
【0114】
いくつかの実施形態では、接触ステップ後の流束の増加は、約1,000%未満、約900%未満、約800%未満、約700%未満、約600%未満、約500%未満、約400%未満、約300%未満、約200%未満、または約100%未満であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、接触ステップ後の流束の増加は、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約90%、少なくとも約150%、または少なくとも約200%であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0115】
流束の増加についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約40%かつ約1,000%未満、または少なくとも約60%かつ約600%未満)。
【0116】
濾過装置
別の態様では、本開示は、支持基材と、本開示の酸化グラフェン膜100と、任意選択的にハウジングと、を含む、濾過装置を提供する。酸化グラフェン膜100は、支持基材上に配置され得る。ハウジングは、支持基材および酸化グラフェン膜100を封入することができる。
【0117】
支持基材としては、不織布繊維またはポリマーを挙げることができる。いくつかの実施形態では、支持基材としては、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ガラス繊維、石英、アルミナ、銀、ポリカーボネート、ナイロン、Kevlarもしくは他のアラミド、またはポリエーテルエーテルケトンから選択される材料を挙げることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、支持基材はマイクロポーラス基材である。支持基材は、0.1μm~10μm、例えば、0.1μm~8μm、0.1μm~5μm、0.2μm~5μm、0.2μm~2μm、または0.2μm~1μmの平均細孔径を有し得る。いくつかの実施形態では、支持基材は、1μm未満、例えば、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.45μm、約0.5μm、約0.55μm、約0.6μm、約0.65μm、約0.7μm、または約0.75μmの平均細孔径を有し得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100および支持基材は、約100ミクロン、約150ミクロン、約200ミクロン、約250ミクロン、約300ミクロン、約350ミクロン、約400ミクロン、約450ミクロン、約500ミクロンの合計厚さを有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0120】
いくつかの実施形態では、支持基材は、2つ以上の層を含み得る。例えば、支持基材は、第1の層および第2の層を含み得て、第1の層は、第2の層上に配置されており、第1の層および第2の層は、異なる平均細孔径を有する。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、第1の層上に配置されており、第1の層は、第2の層よりも小さい平均細孔径を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、支持基材は、中空ポリマーチューブを含み得る。中空ポリマーチューブは、約100cm2以上の表面積を有し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜100は、螺旋状の濾過モジュールを形成するように組み合わされた複数の平坦なポリマーシートを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、螺旋状の濾過モジュールは、互いに積み重ねられた複数の平坦なポリマーシートを含み得て、複数の積み重ねられた平坦なポリマーシートは、コアチューブを中心として巻くことが可能である。いくつかの実施形態では、コアチューブを中心として巻く前に、隣接する平坦なポリマーシートを、リーフを形成するように供給チャネルスペーサーのシートによって分離することができ、リーフの各々を透過液スペーサーのシートによって分離することができる。平坦なポリマーシート、1つ以上の供給チャネルスペーサー、および1つ以上の透過液スペーサーがコアチューブを中心として巻かれると、透過液スペーサーの各々が、透過液チャネルを形成することができる。
【0123】
理論に縛られることを望むものではないが、本明細書に記載の酸化グラフェン膜は、化学スペーサーが、強力な水素結合によって酸化グラフェンシートを一緒に保ち、高圧圧縮下でシートが互いにシフトして過ぎることを可能にすることから、高圧動作、例えば、約500psi~1600psi以上の動作に耐えることができる。いくつかの実施形態では、支持基材は、約3.0GPa以下、約2.5Gpa以下、約2.0GPa以下、約1.8GPa以下、約1.6GPa以下、約1.4GPa以下、または約1.2GPa以下のヤング率を有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、支持基材は、少なくとも約0.5GPa、少なくとも約0.6GPA、少なくとも約0.7GPa、少なくとも約0.8GPa、少なくとも約0.9GPa、少なくとも約1.0GPa、少なくとも約1.1GPa、少なくとも約1.3GPa、少なくとも約1.5GPa、または少なくとも約2.0GPaのヤング率を有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0124】
支持基材のヤング率についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約0.5GPaかつ約3.0GPa以下のヤング率、または少なくとも約1.5GPaかつ約3.0GPa以下のヤング率。)。
【0125】
いくつかの実施形態では、高圧動作は、約900psi、約1000psi、約1100psi、約1200psi、約1300psi、約1400psi、約1500psi、または約1600psiである。
【0126】
高圧耐久性のために、支持基材は、約750μm以下、約700μm以下、約650μm以下、約550μm以下、約500μm以下、約450μm以下、または約400μm以下の厚さを有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、支持基材は、少なくとも約200μm、少なくとも約220μm、または少なくとも約240μmの厚さを有し得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0127】
高圧耐久性に関する支持基材の厚さについての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約200μmかつ約750μm以下、少なくとも約240μmかつ約500以下の厚さ)。
【0128】
いくつかの実施形態では、高圧耐久性に適した支持基材は、PES、PTFE、PP、PAN、ポリオレフィン、ナイロン、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0129】
支持基材は、1層、2層、3層、またはそれ以上を有し得る。いくつかの実施形態では、支持基材は、膜100と接触している第1の層と、第1の層上に配置された第2の層と、を含み得て、第2の層は、さらなる機械的支持を提供するように構成されている。第1の層は、第2の層と同じ材料を含み得る。例えば、第1層はPESを含み得て、第2の層はPESを含み得る。第1の層は、第2の層とは異なる材料を含んでいてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、支持基材は、膜100と接触している第1の層と、第1の層上に配置された第2の層と、第2の層上に配置された第3の層と、を含み得る。例えば、第1の層はPTFEを含み得て、第2の層はPPを含み得て、第3の層はPESを含み得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、支持基材は、膜100と接触している第1の層と、第1の層上に配置された第2の層と、第2の層上に配置された第3の層と、第3の層上に配置された第4の層と、を含み得る。例えば、第1の層はPTFEを含み得て、第2の層はPPを含み得て、第3の層はPTFEを含み得て、第4層はPPを含み得る。
【0132】
支持基材上の酸化グラフェン膜が高圧動作に耐えることができるかどうかを試験するために、室温で第1の1重量%ラクトース溶液を用いて少なくとも50%の第1のラクトース阻止率を有する支持基材上の酸化グラフェン膜を約1000psiの圧力に一定時間供する。その後、酸化グラフェン膜が、室温で第2の1重量%ラクトース溶液を用いて少なくとも50%の第2のラクトース阻止率を有する場合、膜は、高圧動作に耐えることができると見なされる。いくつかの実施形態では、一定時間は、約1時間~24時間、例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、または約24時間である。いくつかの実施形態では、試験目的のために、支持基材は、標準的なトリコット透過液担体(例えば、厚さ0.012インチ、約5オンス/平方ヤード、ならびに50ウェールおよび48コース毎インチ)に取り付けられる。
【0133】
酸化グラフェン膜および濾過装置の製作
膜100の作製は、安定した分散液を生成するために酸化グラフェンシート110を溶媒中に分散させることを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は水であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒は有機物であり得る。分散液は、ピンホールなどの構造的欠陥が実質的にない連続的かつ均一なコーティングを製造するための特定の物理的および化学的な特性を呈し得る。例えば、分散液の親水性は、支持基材表面の濡れを確実にするために、支持基材に適切に一致している必要がある。これは、接触角の測定によって試験することができる。
【0134】
分散液の安定性は、分散液のpHから推測することができる。例えば、酸性のpH値(例えば、pH≦5)を呈する分散液は、目に見える凝集体を生じさせる場合がある。そのような分散液でコーティングを作製すると、被覆率の低下、コーティングの不均一性、および膜性能の低下がもたらされる。対照的に、塩基性pHを有する分散液は安定している。さらに、分散液に塩基性添加剤を添加すると、酸化グラフェンシート110上でのゼータ電位の程度を増加させることができ、それによって、より大きなクーロン安定化がもたらされる。
【0135】
分散液の安定性は、nからp*への遷移に起因する約300nmでの吸収帯から、UV-Vis分光測定によって間接的に観察することができる。より長い波長(>500nm)では、酸化グラフェンシート110は、吸収が非常に弱く、その結果、この領域のシグナルは、凝集体の形成を理由として、吸収ではなく散乱に起因し得る。300nmでのUV-Visシグナル(吸収による)および600nmで観察されたUV-Visシグナル(凝集体の散乱による)の比率を使用して、溶液における分散液を特性評価することができる。一般に、この比率が高いほど、酸化グラフェンシート110は、より良好に分散されている。
【0136】
いくつかの実施形態では、300nmでのUV-Visシグナルおよび600nmで観察されたUV-Visシグナルの比率は、約4.4未満、約4.2未満、約4.0未満、約3.8未満、約3.6未満、約3.4未満、約3.2未満、または約3.0未満であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、300nmでのUV-Visシグナルおよび600nmで観察されたUV-Visシグナルの比率は、少なくとも約3.0、少なくとも約3.1、少なくとも約3.2、少なくとも約3.3、または少なくとも約3.4であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。
【0137】
比率についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約3.0かつ約4.4未満、少なくとも約3.2かつ約4.0未満の比率)。
【0138】
いくつかの実施形態では、分散液は、粘度調整剤および/または界面活性剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、粘度調整剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。例えば、分散液は、約0.01重量%の粘度調整剤を含み得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。例えば、分散液は、約0.15重量%の界面活性剤を含み得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、分散液の粘度は、約50Hzの剪断速度で約100cP以下、約50Hzの剪断速度で約90cP以下、約50Hzの剪断速度で約80cP以下、または約50Hzの剪断速度で約70cP以下であり得る。いくつかの実施形態では、分散液の粘度は、約50Hzの剪断速度で少なくとも約10cP、約50Hzの剪断速度で少なくとも約20cP、または約50Hzの剪断速度で少なくとも約30cPであり得る。
【0140】
分散液の粘度についての先に言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、約50Hzの剪断速度で少なくとも約10cPかつ約100cP以下、約50Hzの剪断速度で少なくとも約20cPかつ約90cP以下の粘度)。
【0141】
支持基材上に良好にコーティングすることが可能な分散液を生成するためには、試薬の添加順序が重要になり得る。例えば、堆積前に、カルボジイミドカップリング条件を受ける分散液は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の添加前に、pHを8.0超に調整する必要がある。
【0142】
化学スペーサー前駆体との反応の前に、酸化グラフェンシートを1つ以上の望ましい化学基で官能化させることができる。例えば、酸化グラフェンシートをアミンで官能化させることができる。その内容が参照によって組み込まれるNavaee,A.&Salimi,A,“Efficient amine functionalization of graphene oxide through the Bucherer reaction:an extraordinary metal-free electrocatalyst for the oxygen reduction reaction,”RSC Adv.5,59874-59880(2015)を参照されたい。
【0143】
酸化グラフェンシートをカルボキシル基で官能化させることもできる。その各々の内容が参照によって組み込まれるSydlik,S.A.&Swager,T.M.,“Functional Graphenic Materials Via a Johnson-Claisen Rearrangement,”Adv.Funct.Mater.23,1873-1882(2012)、Collins,W.R.,et al.,“Rearrangement of Graphite Oxide:A Route to Covalently Functionalized Graphenes,”Angew.Chem.,Int.Ed.50,8848-8852(2011)を参照されたい。
【0144】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェンシートをヒドロキシル基で官能化させることができる。例えば、酸化グラフェンシートがヒドロキシル基で官能化されるように、酸化グラフェンシートをエポキシドと反応させることができる。エポキシドの例としては、1,2-エポキシプロパン、スチレンオキシド、エチレンオキシド、エピクロロヒドリン、1,2-エポキシブタン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,3-ブタジエンジエポキシド、および1,2,7,8-ジエポキシオクタンが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0145】
酸化グラフェンシートが望ましい化学基を有する場合、これらを化学スペーサー前駆体と接触させて配置して、酸化グラフェンシートと化学スペーサー前駆体との間の反応を開始することができる。反応条件は、使用される化学スペーサー前駆体に応じて異なり得る。既存のプロセスと比較して、本開示のプロセスのいくつかの実施形態は、周囲環境下で(すなわち、酸素および水分の存在下で)実施することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェンシート110と化学スペーサー前駆体との間の反応を溶液中で実施して、酸化グラフェン膜100を製造し、次いで、酸化グラフェン膜100を支持基材上に流し込む。
図2A~2Fは、酸化グラフェンシートおよび化学スペーサーを含む反応のいくつかの例を提示している。
図2Aおよび2Bでは、酸化グラフェンシートがプロピオンアミドと反応され、酸化グラフェンシート上のエポキシドおよびカルボン酸基の各々がプロピオンアミドによって官能化される。
図2Cおよび2Dでは、酸化グラフェンシートがイソブチルアミドと反応され、酸化グラフェンシート上のエポキシドおよびカルボン酸基の少なくとも一部がイソブチルアミドによって官能化される。
図2Eおよび2Fでは、酸化グラフェンシートがピバルアミドと反応され、酸化グラフェンシート上のエポキシドおよびカルボン酸基の少なくとも一部がピバルアミドによって官能化される。これらの反応の各々は、NHS、EDC、およびトリエチルアミン(TEA)の溶液において起こり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、多くの場合で、トリエチルアミン(TEA)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化セシウム(CsOH)、水酸化リチウム(LiOH)、または他の塩基を使用して、関連するアルコール基を脱プロトン化し、反応を促進することができる。いくつかの実施形態では、塩基はTEAである。いくつかの実施形態では、塩基はCsOHである。いくつかの実施形態では、反応のpHは、約9~13の範囲にあり、例えば、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、または約13である。
【0148】
いくつかの実施形態では、反応温度は、約50℃~70℃、例えば、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、または約70℃である。
【0149】
いくつかの実施形態では、濾過装置は、酸化グラフェン膜を適切な支持基材上に堆積させることによって製作することができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、濾過装置は、複数の酸化グラフェンシートを適切な支持基材上に堆積させ、次いで、インサイチュで酸化グラフェン膜を形成することによって製作することができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、濾過装置は、以下のステップに従って製作することができる:(a)複数の酸化グラフェンシートを適切な支持基材上に堆積させること、(b)酸化グラフェンシートおよび支持基材を化学スペーサー前駆体含有溶液に浸漬すること、(c)適切な条件下で酸化グラフェンを化学スペーサー前駆体と反応させること、および(d)酸化グラフェンシートおよび支持基材を洗浄すること。酸化グラフェンシートは、堆積前に1つ以上の化学基によって官能化させることができる。基材がPESを含む場合、DMFは基材の洗浄には使用されない。
【0152】
いくつかの実施形態では、濾過装置は、以下のステップに従って製作することができる:(a)複数の酸化グラフェンシートおよび化学スペーサー前駆体を溶媒中で混合すること、(b)酸化グラフェンシートおよび化学スペーサー前駆体を適切な支持基材上に堆積させること、(c)支持基材を活性化剤で浸漬またはコーティングすること、および(d)酸化グラフェンシートおよび支持基材を洗浄すること。酸化グラフェンシートは、堆積前に1つ以上の化学基によって官能化させることができる。
【0153】
用途
本明細書に開示されている酸化グラフェン膜または濾過装置は、分子の濃縮(例えば、ホエイ、ラクトース)、クラフトパルプ化(例えば、木材パルプ)、亜硫酸パルプ化、脱塩(例えば、ラクトース、染料、化学薬品、医薬品)、分画(例えば、糖)、抽出(例えば、栄養補助食品、植物油)、回収(例えば、触媒、溶媒)、および精製(例えば、医薬品、化学薬品、燃料)を含むがこれらに限定されることのない、広範囲のナノ濾過または精密濾過の用途に使用することができる。例えば、複数の種(例えば、複数の保持液種)を含む流体を酸化グラフェン膜の第1の側と接触させて配置することができる。酸化グラフェン膜は、種の少なくとも一部が、層間間隔および/または層内間隔を通って膜を横断すること、すなわち、酸化グラフェン膜の第1の側から酸化グラフェン膜の第2の反対側に流れることを防ぐようなサイズの層間間隔および/または層内間隔を有し得る。いくつかの実施形態では、流体は、1つ以上のタイプの種(例えば、保持液種または透過液種)を含み得る。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、保持液種の少なくとも一部が酸化グラフェン膜を横断することを防ぎながら、透過液種の少なくとも一部(例えば、実質的にすべて)が酸化グラフェン膜を横断することを可能にするようなサイズの層間間隔および/または層内間隔を有し得る。
【0154】
本明細書に開示されている酸化グラフェン膜または濾過装置は、イオン、分子、およびより大きな粒子を、流体、例えば飲料水から除去するために逆浸透において使用され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている酸化グラフェン膜または濾過装置は、生乳、チーズホエイ、ホエイタンパク質濃縮物、ラクトースを含む混合物、およびホエイタンパク質単離物を濾過するための方法において使用され得る。この方法は、生乳を酸化グラフェン膜に流すことを含み得る。
【0156】
本明細書に開示されている酸化グラフェン膜または濾過装置はまた、黒液からリグニンを除去するために使用することもできる。パルプ消化からの弱黒液は、一般に、80℃~90℃で生成される。濾過前に弱黒液を冷却することは、非常に費用がかかり、エネルギー消費が激しいであろう。冷却する必要なく、弱黒液は、高温、例えば、80℃~90℃または75℃~85℃で、本明細書に記載の酸化グラフェン膜を通過することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の濾過装置に黒液を流すことができ、黒液は、リグニン、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、および/または水酸化ナトリウムを含む。
【0157】
黒液濾過のための膜の性能は、総固形分に対する阻止率によって評価することができる。いくつかの実施形態では、阻止率は、総固形分に対して、約75%~約95%であり、例えば、総固形分に対して、約75%~約90%、約75%~約85%、または80%~約95%である。
【0158】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、リグニンの少なくとも一部を阻止することができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、リグニンの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%を阻止することができる。
【0159】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、硫酸ナトリウムの少なくとも一部を阻止することができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、硫酸ナトリウムの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%を阻止することができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、炭酸ナトリウムの少なくとも一部を阻止することができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、炭酸ナトリウムの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%を阻止することができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、水硫化ナトリウムの少なくとも一部を阻止することができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、水硫化ナトリウムの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%を阻止することができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、チオ硫酸ナトリウムの少なくとも一部を阻止することができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、チオ硫酸ナトリウムの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%を阻止することができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、水酸化ナトリウムの少なくとも一部を阻止することができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、水酸化ナトリウムの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%を阻止することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン膜は、シミュレーションを使用して設計することができる。
図3は、デッドエンドまたはクロスフローからの透過性および阻止の簡単な図を使用して任意のサイズの膜システムをモデル化したモデリング図である。これらのシミュレーションの結果に基づいて、高阻止率の酸化グラフェン膜は、高い動作圧力で稀黒液を処理することができる。いくつかの実施形態では、特定の塩の比較的低い(<80%)阻止率でも、透過液を第2の小さなシステムに通すことによって、所望の阻止パーセンテージを達成することができる。いくつかの実施形態では、設計された膜は、水酸化物、一価塩、二価塩、弱黒液(WBL)、および/またはWBLの異なる有機構成要素について、特定の阻止ターゲットを有する。いくつかの実施形態では、透過液の組成は、選択された膜システムに基づいて推定することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、任意のサイズの膜システムのモデルを、デッドエンドまたはクロスフローからの透過性データおよび阻止に基づいて開発することができる。いくつかの実施形態では、あらゆる構成種を追跡することができる。対イオン(例えば、ナトリウム)には、ペアのイオン(例えば、リグニンと対になったナトリウム、Clと対になったナトリウム、スルフェートと対になったナトリウム)と同じ阻止率が与えられ得る。いくつかの実施形態では、全体または種の流量は、
図3に提示された式に基づいて計算することができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、システムは、第1のパスのみで設計することができる(「シングルパス方式」)。いくつかの実施形態では、供給を、直列の5つの螺旋体のセットに分割することができる。いくつかの実施形態では、システムは、マルチパス方式(例えば、2パス方式)として設計することができる。いくつかの実施形態では、第1のシステムからの透過液を、供給物として第2のシミュレーションに渡すことができる。いくつかの実施形態では、両方のシステムからの濃縮液を収集して、組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、システム設計は、動作圧力を低下させること、および/またはよりきれいな透過液を提供することが意図されている。
【0167】
いくつかの実施形態では、濾過システムのモデルは、固定パラメータおよび/または可変パラメータを含み得る。いくつかの実施形態では、固定パラメータとしては、供給間隔、透過性、温度、粘度、モル体積、密度、大きな有機物の阻止、最小駆動圧力(供給圧力-供給浸透圧)、各々のWBL成分の相対量(非水酸化物溶質成分の各々についての総溶存固形分のパーセント)、分子量、および/またはメタノールレベルを挙げることができる。いくつかの実施形態では、温度は、約80℃であり得る。いくつかの実施形態では、最小駆動圧力は、約1MPaであり得る。いくつかの実施形態では、リグニンの分子量は、約5,000Daであり得る。いくつかの実施形態では、溶存した炭水化物およびヘミセルロースの分子量は、約500であり得る。いくつかの実施形態では、メタノールレベルは、約1重量%であり得る。
【0168】
いくつかの実施形態では、可変パラメータとしては、各々のパスのモジュールの数、総溶存固形分(TDS)、圧力、二価物阻止、二価物阻止と一価物阻止との差、および/または水酸化物阻止を挙げることができる。いくつかの実施形態では、TDSは、約9重量%~約18重量%であり得る。いくつかの実施形態では、TDSは、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%であり得る(それらの間のすべての値および範囲を含む)。いくつかの実施形態では、TDSは、約12.5重量%~約16.5重量%であり得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約4MPa~約10MPaであり得る。いくつかの実施形態では、有機物阻止率は、約1であり得る。いくつかの実施形態では、二価物阻止は、約0.4~約1であり得る。いくつかの実施形態では、一価物阻止は、二価物阻止よりも約0.05~約0.2少なくなり得る。いくつかの実施形態では、水酸化物阻止は、約0から一価物阻止とほぼ同等であり得る。
【0169】
これらの膜の高温能力によって、クラフトおよび亜硫酸パルプ産業において、WBLの濃縮などの逆浸透での使用が可能になる。これは、
図4~9Eに図示され得る。WBLの濃度、生成速度、および組成は、粉砕機ごとに大きく異なる。
【0170】
膜プロセスによる液の濃縮をモデル化した。高圧で2枚の平行な膜シートの間を流れる離散化された流体(
図3)を考慮する。膜の透過性および流体の圧力に応じて、ある量の流体が両側の膜シートを通過する。膜の阻止特性によって、透過液の組成が決定される。次いで、流体は、質量保存に従って、次の離散化された流体要素になる。流体が膜システムの端部に到達したら、溶液は濃縮液であると見なされる。離散化されたすべての透過液要素の合計が総透過液である。したがって、透過液になる供給物の回収比率またはパーセンテージは、濃縮液の強度およびシステムによる透過液の生成速度に関係する。様々な供給圧力、膜阻止、および液強度が例示されている。
【0171】
図4は、膜が溶存有機物および二価アニオンを100%阻止する場合に、この透過液の組成が、供給弱黒液の総強度(%固形分)に対してどのように依存するかを示す。膜は、一価アニオンの80~95%を阻止する。透過液TDSが低いほど、よりきれいかつ容易に透過液が再利用される。すべての膜システムが、広範囲の供給物溶存固形分に対してさえ、低い透過液固形分を示す。
【0172】
図5A~5Dは、透過液の品質に対する異なる膜阻止の影響を図示している。二価イオン阻止は、70%~100%で変化する。各々の図内で、一価アニオン阻止は、二価物より5~20パーセンテージのポイントで低くなっている。高い阻止率の膜設計は、きれいな(<1%、<0.5%、または<0.1%でさえあるTDS)透過液を生成するのに非常に効果的である。より低い阻止率のシステムでさえ、それらの浸透圧が低下しており、また後の図に示されるように、同じまたはより高い阻止率の膜を用いる第2のパスによってさらに精製されることから、さらにより高い回収パーセンテージをもたらす。
【0173】
図6A~6Dは、理想的な溶液(非希釈)の仮定を使用して、逆浸透タイプの弱黒液の濃縮に使用することが可能な動作圧力の範囲を図示している。低圧(例えば、800psi)は、液が比較的弱くない限り、高い回収比率を生み出すのに十分ではない。高圧(例えば、1400psi)は、これらの高い阻止膜およびきれいな透過液(<0.1%または0.05%でさえあるTDS)を使用しても、非常に高い回収比率を生み出すことができる。
【0174】
図7A~7Dは、固定システムの供給速度について、膜システムのサイズ(より多いまたはより少ないモジュール)によって回収比率が変化することを図示している。回収比率は、濃縮液の量および強度に関係する。
【0175】
さらに、溶液は、2つの膜を通過することができる。次いで、先の
図4~7Dからの透過液を追加の膜の間を通過させて、さらによりきれいな透過液を生成することができる。したがって、
図8A~8Dは、硫酸塩アニオンなどの二価アニオンの70%以上のみを阻止する膜によって、非常にきれいな透過液を達成することができることを示す。二価アニオン(90%~100%)および一価アニオン(80%~95%)の非常に高い阻止によって、この第2の膜システムから、ほぼ完全にきれいな透過液を生成することができる。
【0176】
図8A~8Dは、この第2のパスについて、膜システムの固定サイズのみを考慮しており、その一方で、
図9A~9Eは、第1のシステムのサイズ(したがって、第2のシステムに渡される透過液の量)が固定されている場合、第2のシステムのサイズを、高い回収比率およびきれいな透過液(<1%、<0.5%、または<0.1%のTDS)を生成するように変更することができることを示す。下側のパネルで観察される最大回収比率は、第1のシステムのサイズ(1000psiで750モジュール)によって設定される。これらの耐久性のある膜は、高い回収比率(約50%)およびきれいな透過液を生成することができる。
【0177】
本教示は、様々な実施形態および実施例と併せて説明されてきたが、本教示がそのような実施形態または実施例に限定されることを意図するものではない。それどころか、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替例、変更例、および等価物を包含する。
【0178】
様々な本発明の実施形態を本明細書において説明および図示してきたが、当業者であれば、機能を実行するため、ならびに/または本明細書に記載の結果および/もしくは1つ以上の利点を得るために、様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形例および/または修正例の各々は、本明細書に記載の本発明の実施形態の範囲内にあると見なされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が用いられる特定の用途(複数可)に依存することを容易に理解するであろう。当業者であれば、本明細書に記載の特定の本発明の実施形態に対する多くの等価物を認識するであろう。したがって、前述の実施形態は単なる例として提示されており、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、本発明の実施形態は、具体的に記載および特許請求される以外の方法で実施され得ると理解されたい。本開示の本発明の実施形態は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の各々を対象とする。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の本発明の範囲内に含まれる。
【0179】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味に優先すると理解されるべきである。
【0180】
ここで本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、反対に明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。ここで引用されている範囲はいずれも、包括的である。
【0181】
ここで本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「アスペクト比率」という用語は、最終製品の厚さに対する面内横方向寸法の比率として定義することができる。例えば、酸化グラフェンシートが、300μmの平均横方向寸法および200nmの厚さを有する場合、シートサイズと厚さとの比率、すなわち「アスペクト比率」は、300,000/200、すなわち1.500であると定義することができる。
【0182】
本明細書および特許請求の範囲全体で使用される「実質的に」、「ほぼ」、および「約」という用語は、一般に、記載されている値の±10%を意味し、例えば、約100は、90~110を含むことになる。
【0183】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という語句は、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、結合的に存在する場合もあれば、分離的に存在する場合もある要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」でリストされた複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」で解釈されるべきである。他の要素が、「および/または」節によって具体的に識別される要素以外に、具体的に識別されるこれらの要素に関連しようが関連しまいが、任意で存在し得る。したがって、非限定的な例として、「備える」などのオープンエンドな言葉と組み合わせて使用されるとき、「Aおよび/またはB」への参照は、一実施形態で(任意選択的にB以外の要素を含む)Aのみ、別の実施形態で(任意選択的にA以外の要素を含む)Bのみ、さらに別の実施形態で(任意選択的に他の要素を含む)AおよびBの両方などを指し得る。
【0184】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、先に定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的であり、すなわち、多くの要素または要素のリストおよび任意選択的にリストに載っていないさらなる項目のうちの少なくとも1つ(ただし、1つより多くを含む)を含むと解釈される。「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」などの反対のことを明確に示す用語だけが、または特許請求の範囲で使用される場合は「からなる」が、多くの要素または要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指すであろう。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「どちらか」、「のうちの一方」、「のうちの1つだけ」、または「のうちの正確に1つ」などの排他的用語が前に記載されている場合、排他的な代替を示すものとして解釈される(すなわち、「どちらか一方であり、両方ではない」)。「から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0185】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、1つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という語句は、要素のリストにおける要素の任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであって、要素のリスト内に具体的にリストされるどのすべての要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリストにおける要素の任意の組み合わせを除外しない。この定義により、「少なくとも1つ」という語句が参照する要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別されるこれらの要素に関連しようが関連しまいが、任意で存在し得ることも可能である。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(言い換えるなら、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、言い換えるなら、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない(任意選択的にB以外の要素を含む)任意選択的に1つより多くのAを含む少なくとも1つのA、別の実施形態では、Aが存在しない(任意選択的にA以外の要素を含む)任意選択的に1つより多くのBを含む少なくとも1つのB、さらに別の実施形態では、(任意選択的に他の要素を含む)任意選択的に1つより多くのAを含む少なくとも1つのAおよび任意選択的に1つより多くのBを含む少なくとも1つのBなどを指し得る。
【0186】
特許請求の範囲において、ならびに上記の明細書において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「携持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」などのような移行句はすべて、オープンエンドであること、すなわち、含むがそれに限定されないことを意味することを理解されたい。United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03に記載されているように、「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、それぞれ、クローズドまたはセミクローズドな移行句であるものとする。
【0187】
本明細書で使用される場合、「酸化グラフェンシート」という用語は、単一の酸化グラフェン原子層または複数の酸化グラフェン原子層を意味する。原子酸化グラフェン層の各々は、層上の1つ以上の炭素原子に結合した面外化学部分を含み得る。いくつかの実施形態では、「酸化グラフェンシート」という用語は、1~約20個の酸化グラフェン原子層、例えば、1~約18個、1~約16個、1~約14個、1~約12個、1~約10個、1~約8個、1~約6個、1~約4個、または1~約3個の酸化グラフェン原子層を意味する。いくつかの実施形態では、「酸化グラフェンシート」という用語は、1個、2個、または3個の酸化グラフェン原子層を意味する。
【0188】
本明細書で使用される場合、「塩基性」という用語は、7超のpHを意味する。
【0189】
本明細書で使用される場合、「重量%」とは、重量パーセントを指す。
【0190】
本明細書で使用される場合、「流束」という用語は、流量を意味する。これは、膜の透過性を表す。
【0191】
本明細書で使用される場合、「任意選択的に置換された」という用語は、所与の化学部分(例えば、アルキル基)が他の置換基(例えば、ヘテロ原子)に結合され得る(ただし、必須ではない)ことを意味すると理解される。例えば、任意選択的に置換されたアルキル基は、完全に飽和したアルキル鎖(すなわち、純粋な炭化水素)であり得る。あるいは、同じ任意選択的に置換されたアルキル基は、水素とは異なる置換基を有し得る。例えば、この基は、鎖に沿った任意の点で、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、または本明細書に記載の任意の他の置換基に結合され得る。したがって、「任意に置換された」という用語は、所与の化学部分が他の官能基を含む可能性があるが、必ずしもさらなる官能基を有するとは限らないことを意味する。記載されている基の任意選択的な置換に使用される適切な置換基としては、ハロゲン、オキソ、-OH、-CN、-COOH、-CH2CN、-O-(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルキル、C1~C6アルコキシ、(C1~C6)ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、-O-(C2~C6)アルケニル、-O-(C2~C6)アルキニル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、-OH、-OP(O)(OH)2、-OC(O)(C1~C6)アルキル、-C(O)(C1~C6)アルキル、-OC(O)O(C1~C6)アルキル、-NH2、-NH((C1~C6)アルキル)、-N((C1~C6)アルキル)2、-NHC(O)(C1~C6)アルキル、-C(O)NH(C1~C6)アルキル、-S(O)2(C1~C6)アルキル、-S(O)NH(C1~C6)アルキル、および-S(O)N((C1~C6)アルキル)2が挙げられるが、これらに限定されることはない。置換基自体は、任意選択的に置換することができる。
【0192】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語は、基-OHまたは-O-を指す。
【0193】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0194】
「カルボニル」という用語は、酸素原子に二重結合で結合した炭素を含む化合物および部分を含む。カルボニルを含む部分の例としては、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0195】
「カルボキシル」という用語は、-COOHまたはそのC1~C6アルキルエステルを指す。
【0196】
「アシル」は、アシルラジカル(R-C(O)-)またはカルボニル基を含む部分を含む。「置換アシル」としては、水素原子のうちの1つ以上が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換されているアシル基が挙げられる。
【0197】
「アルコキシ」または「アルコキシル」という用語は、酸素原子に共有結合している置換および非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む。アルコキシ基またはアルコキシルラジカルの例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基が挙げられるが、これらに限定されることはない。置換アルコキシ基の例としては、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分などの基で置換することができる。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0198】
「エステル」という用語は、カルボニル基の炭素に結合している酸素原子に結合された炭素またはヘテロ原子を含む化合物または部分を含む。「エステル」という用語は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどのようなアルコキシカルボキシ基を含む。
【0199】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「アミノ」または「アミン」は、一級(-NH2)、二級(-NHRx)、三級(-NRxRy)、または四級アミン(-N+RxRyRz)を指し、Rx、Ry、およびRzは、本明細書で定義されるように、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ環式、アリール、またはヘテロアリール部分である。アミン基の例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、イソプロピルアミン、ピペリジン、トリメチルアミン、およびプロピルアミンが挙げられるが、これらに限定されることはない。「アルキルアミノ」は、-NH2の窒素が少なくとも1つのアルキル基に結合している化合物の基を含む。アルキルアミノ基の例としては、ベンジルアミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、フェネチルアミノなどが挙げられる。「ジアルキルアミノ」は、-NH2の窒素が2つのアルキル基に結合している基を含む。ジアルキルアミノ基の例としては、ジメチルアミノおよびジエチルアミノが挙げられるが、これらに限定されることはない。「アリールアミノ」および「ジアリールアミノ」は、窒素がそれぞれ少なくとも1つまたは2つのアリール基に結合している基を含む。「アミノアリール」および「アミノアリールオキシ」とは、アミノで置換されたアリールおよびアリールオキシを指す。「アルキルアリールアミノ」、「アルキルアミノアリール」、または「アリールアミノアルキル」とは、少なくとも1つのアルキル基および少なくとも1つのアリール基に結合しているアミノ基を指す。「アルカミノアルキル」とは、アルキル基にも結合している窒素原子に結合されたアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を指す。「アシルアミノ」は、窒素がアシル基に結合している基を含む。アシルアミノの例としては、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド基が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0200】
「アミド」または「アミノカルボキシ」という用語は、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合している窒素原子を含む化合物または部分を含む。この用語は、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合しているアミノ基に結合されたアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む「アルカミノカルボキシ」基を含む。この用語はまた、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合しているアミノ基に結合されたアリールまたはヘテロアリール部分を含む「アリールアミノカルボキシ」基も含む。「アルキルアミノカルボキシ」、「アルケニルアミノカルボキシ」、「アルキニルアミノカルボキシ」、および「アリールアミノカルボキシ」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分がそれぞれ窒素原子に結合しており、この窒素原子がまたカルボニル基の炭素に結合している、部分を含む。アミドは、線状アルキル、分岐状アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロ環などの置換基で置換することができる。アミド基の置換基をさらに置換してもよい。
【0201】
特に定義しない限り、「アリール」という用語は、フェニル、ビフェニル、またはナフチルなどの単環式または二環式基を含む、1~3個の芳香環を有する環状芳香族炭化水素基を指す。2つの芳香環(二環式など)を含む場合、アリール基の芳香環は、一点で結合され得るか(例えば、ビフェニル)、または縮合され得る(例えば、ナフチル)。アリール基は、任意の結合点において、1つ以上の置換基、例えば、1~5個の置換基によって任意選択的に置換され得る。例示的な置換基としては、-H、-ハロゲン、-O-(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルキル、-O-(C2~C6)アルケニル、-O-(C2~C6)アルキニル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、-OH、-OP(O)(OH)2、-OC(O)(C1~C6)アルキル、-C(O)(C1~C6)アルキル、-OC(O)O(C1~C6)アルキル、NH2、NH((C1~C6)アルキル)、N((C1~C6)アルキル)2、-S(O)2-(C1~C6)アルキル、-S(O)NH(C1~C6)アルキル、および-S(O)N((C1~C6)アルキル)2が挙げられるが、これらに限定されることはない。置換基自体は、任意選択的に置換することができる。さらに、2つの縮合環を含む場合、本明細書で定義されるアリール基は、完全に飽和した環と縮合された不飽和または部分的に飽和した環を有し得る。これらのアリール基の例示的な環系としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナレニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフタレニル、テトラヒドロベンゾアヌレニルなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0202】
特に定義しない限り、「ヘテロアリール」とは、N、O、またはSから選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである、5~24個の環原子の単環式芳香族ラジカル、または多環式芳香族ラジカルを意味する。本明細書で定義されるヘテロアリールはまた、ヘテロ原子がN、O、またはSから選択される二環式ヘテロ芳香族基も意味する。芳香族ラジカルは、任意選択的に、独立して、本明細書に記載の1つ以上の置換基で置換される。例としては、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、インドリル、チオフェン-2-イル、キノリル、ベンゾピラニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾリル、チエノ[3,2-b]チオフェン、トリアゾリル、トリアジニル、イミダゾ[1,2-b]ピラゾリル、フロ[2,3-c]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、インダゾリル、ピロロ[2,3-c]ピリジニル、ピロロ[3,2-c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-c]ピリジニル、チエノ[3,2-c]ピリジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、チエノ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インドリニル、インドリノニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾフラン、クロマニル、チオクロマニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチアジン、ジヒドロベンゾオキサニル、キノリニル、イソキノリニル、1,6-ナフチリジニル、ベンゾ[de]イソキノリニル、ピリド[4,3-b][1,6]ナフチリジニル、チエノ[2,3-b]ピラジニル、キナゾリニル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、イソインドリル、ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピロロ[3,4-b]ピリジニル、ピロロ[3,2-b]ピリジニル、イミダゾ[5,4-b]ピリジニル、ピロロ[1,2-a]ピリミジニル、テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピリミジニル、3,4-ジヒドロ-2H-1λ2-ピロロ[2,1-b]ピリミジン、ジベンゾ[b,d]チオフェン、ピリジン-2-オン、フロ[3,2-c]ピリジニル、フロ[2,3-c]ピリジニル、1H-ピリド[3,4-b][1,4]チアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、フロ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチオフェニル、1,5-ナフチリジニル、フロ[3,2-b]ピリジン、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、ベンゾ[1,2,3]トリアゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジニル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[1,5-b][1,2]オキサジニル、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、チアゾロ[5,4-d]チアゾリル、イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾリル、チエノ[2,3-b]ピロリル、3H-インドリル、およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されることはない。さらに、2つの縮合環を含む場合、本明細書で定義されるアリール基は、完全に飽和した環と縮合された不飽和または部分的に飽和した環を有し得る。これらのヘテロアリール基の例示的な環系としては、インドリニル、インドリノニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾフラン、クロマニル、チオクロマニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチアジン、3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリニル、2,3-ジヒドロベンゾフラン、インドリニル、インドリル、およびジヒドロベンゾオキサニルが挙げられる。
【0203】
さらに、「アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、多環式アリールおよびヘテロアリール基、例えば、三環式、二環式、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、キノリン、イソキノリン、ナフトリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、インドリジンを含む。
【0204】
「アルキル」とは、線状または分岐状鎖の飽和炭化水素を指す。C1~C6のアルキル基は、1~6個の炭素原子を含む。C1~C6アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、イソペンチル、ならびにネオペンチルが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0205】
任意選択的に置換されたアルキルとは、非置換アルキル、または炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の1つ以上の水素原子を置き換える指定された置換基を有するアルキルを指す。そのような置換基としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。
【0206】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、上記のアルキルに対して長さおよび可能な置換が類似しているが、少なくとも1つの二重結合を含む不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルケニル」という用語は、線状アルケニル基(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル)、および分岐状アルケニル基を含む。
【0207】
任意選択的に置換されたアルケニルとは、非置換アルケニル、または1つ以上の炭化水素骨格炭素原子上の1つ以上の水素原子を置き換える指定された置換基を有するアルケニルを指す。そのような置換基としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。
【0208】
「アルキニル」は、上記のアルキルに対して長さおよび可能な置換が類似しているが、少なくとも1つの三重結合を含む不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルキニル」は、線状アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル)、および分岐状アルキニル基を含む。特定の実施形態では、線状または分岐状鎖のアルキニル基は、その骨格に6個以下の炭素原子を有する(例えば、線状鎖の場合C2~C6、分岐状鎖の場合C3~C6)。「C2~C6」という用語は、2~6個の炭素原子を含むアルキニル基を含む。「C3~C6」という用語は、3~6個の炭素原子を含むアルキニル基を含む。
【0209】
本明細書で使用される場合、「分子量カットオフ」という用語は、カットオフ値より大きい分子量を有する分子についての少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、または少なくとも98%)の阻止率を指す。
【0210】
本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、または約25℃の温度を指し得る。いくつかの実施形態では、室温は、約20℃である。
【0211】
本明細書で使用される場合、「実質的に同じ」という用語は、第2の値の10%以内にある第1の値を指す。例えば、AがBと実質的に同じであり、かつBが100である場合、Aは、90~110の範囲の値を有し得る。AがBと実質的に同じであり、Bが200である場合、Aは、180~220の範囲の値を有し得る。
【0212】
本明細書で使用される場合、「グレースケールモード値」という用語は、RGBカラーモデルを使用して記録された画像のモード値を指し、これは、画像処理ソフトウェア(例えば、ImageJ)を使用して、最初に画像をグレースケールに変換し、その際、以下の式:グレー=0.299*赤+0.587*緑+0.114*青を使用して各々のピクセルをグレースケールに変換し、次いで、ピクセルの強度の分布のモードを定量化することによって計算される。
【0213】
特許請求の範囲は、その旨が述べられていない限り、記載される順序または要素に限定されるものとして読み取られるべきではない。添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって、形態および詳細の様々な変更を行うことができると理解されたい。以下の特許請求の範囲および等価物の趣旨および範囲内にあるすべての実施形態が特許請求される。
【実施例】
【0214】
実施例1.アクリルアミドによる単官能化
酸化グラフェン膜を以下の手順で製造した:(1)4mg/mLの酸化グラフェンシート15mLを、0.1mLのTEA、22mgのNHS、および72mgのEDCで処理した。(2)混合物を室温で1時間インキュベートした。(3)混合物のアリコート5mLを10.6mgのアクリルアミドで処理した。(4)得られた混合物を65℃のオーブン内で4時間加熱した。(5)混合物を室温に冷却した。(6)次いで、混合物を40ゲージのロッドで基材上に流し込み、乾燥させ、DMF/水で洗浄した。
【0215】
耐久性試験の手順は以下の通りである:(1)かみそりの刃またはレーザーカッターを使用して、酸化グラフェン膜から47~50mmのディスクを切り取る、(2)酸化グラフェン側を上にしてディスクを多孔質ステンレス鋼フリット上に載せ、次いで、これをSterlitech HP4750濾過セルに取り付ける、(3)60~100mLの1重量%ラクトース溶液を添加する、(4)構成物を約750rpmの撹拌プレート上に置く、(4)供給チャンバを閉じて、これを50~100psiに加圧する、(5)75psiの駆動圧力および約500rpmの撹拌速度を使用して、室温で1重量%のラクトースおよび0.1重量%のMgSO4の溶液の透過液を約15~30mL収集する、(6)次いで、膜を部分的リン酸緩衝液に曝露温度で4時間曝露し、次いで、糖および塩の阻止について再度試験する。
【0216】
部分的リン酸緩衝液は、500mLの0.025MのNa2HPO4(500mL中で1.77g)を111mLの0.1MのNaOH(111mL中で0.444g)と混合することによって調製される。混合物を、超音波処理して溶解させるか、または一晩静置する。緩衝液は、4℃の冷蔵庫に保管される。
【0217】
膜は、80℃の曝露温度で耐久性を呈した。
【0218】
実施例2.アクリルアミドによる単官能化
酸化グラフェン膜を以下の手順で製造した:(1)4mg/mLの酸化グラフェンシート15mLを、0.8mLのTEA、22mgのNHS、および72mgのEDCで処理した。(2)混合物を室温で1時間インキュベートした。(3)混合物のアリコート5mLを10.6mgのアクリルアミドで処理した。(4)得られた混合物を80℃のオーブン内で4時間加熱した。(5)混合物を室温に冷却した。(6)次いで、混合物を40ゲージのロッドで基材上に流し込み、乾燥させ、DMF/エタノールで洗浄した。
【0219】
膜を、実施例1に概説した耐久性試験手順を使用して評価した。膜は、90%の初期ラクトース阻止率、および80℃の温度に曝露された後に88%のラクトース阻止率を呈した。
【0220】
実施例3.2-(4-アミノフェニル)エタノールによる単官能化
酸化グラフェン膜を以下の手順で製造した:(1)5mgのCsOHおよび10mgの2-(4-アミノフェニル)エタノールを0.2mLの水に溶解させた。(2)混合物を4mg/mLの酸化グラフェンシート3mLに添加した。(3)得られた混合物を60℃のオーブン内で2時間加熱し、続いて、80℃のオーブン内で19時間加熱した。(4)混合物を室温に冷却した。(5)次いで、混合物を40ゲージのロッドで基材上に流し込み、乾燥させた。
【0221】
膜を、実施例1に概説した耐久性試験手順を使用して評価した。膜は、84%の初期ラクトース阻止率、および50℃の温度に曝露された後に83%のラクトース阻止率を呈した。
【0222】
実施例4.4-アミノフェネチルアルコールによる単官能化
酸化グラフェン膜を以下の手順で製造した:(1)10mL(4mg/mL)の酸化グラフェンシートを5mLの1MのHClと混合する。(2)42mgの4-アミノフェネチルアルコールを混合物に添加する。(3)69mgのNaNO2を2mLの水に溶解させ、NaNO2溶液を酸化グラフェン混合物に滴加する。(4)一晩撹拌する。(5)5000rpmで5分間遠心分離し、上清をデカントし、きれいな水と取り換える。(6)ステップ(5)を合計3回繰り返した。(7)混合物をボルテックス処理し、40ゲージのロッドで基材上に流し込み、乾燥させた。
【0223】
膜を、実施例1に概説した耐久性試験手順を使用して評価した。膜は、80%の初期ラクトース阻止率、および50℃の温度に曝露された後に53%のラクトース阻止率を呈した。
【0224】
実施例5.4-アミノ安息香酸による単官能化
酸化グラフェン膜を以下の手順で製造した:(1)10mL(4mg/mL)の酸化グラフェンシートを5mLの1MのHClと混合する。(2)46mgの4-アミノ安息香酸を混合物に添加する。(3)69mgのNaNO2を2mLの水に溶解させ、NaNO2溶液を酸化グラフェン混合物に滴加する。(5)5000rpmで5分間遠心分離する。(6)水で3回、エタノールで1回濯ぐ。
【0225】
膜を、実施例1に概説した耐久性試験手順を使用して評価した。膜は、82%の初期ラクトース阻止率、および50℃の温度に曝露された後に75%のラクトース阻止率を呈した。
【0226】
実施例6.前処理流束の改善
流束は、高温およびpHに曝露される前後に、1重量%のラクトースおよび0.1重量%のMgSO4を用いて、濾過試験中に測定する。平均して、流束は、75ポンド毎平方インチ(psi)の供給圧力で、0.3~0.6ガロン毎平方フィート毎日(GFD)の範囲にある。部分的リン酸緩衝液(PPB)に、pH11.5、80℃で4時間曝露された後に、流束の大幅な増加が観察された(上昇されたpHおよび温度の条件)。
【0227】
表1は、様々な条件に曝露される前後の流束の結果をまとめたものである。温度を25℃から50℃に上昇させると、約1.8倍の流束の改善が観察される(表1、エントリー1)。温度を50℃から80℃に上昇させた後に、さらなる流束の改善は観察されない(表1、エントリー2)。エントリー1および2の両方で、1重量%のラクトースおよび0.1重量%のMgSO4の供給原料を用いて高温への曝露を行い、流束を表1に指定された温度で測定する。比較すると、高い温度およびpHの組み合わせによって、約6倍の流束の改善がもたらされ(表1、エントリー3)、これは、温度が25℃に低下して戻っても失われない。80℃でPPBに曝露されると、流束は36GFDに達し、25℃での初期流束から約72倍改善される。これらの結果は、高温に曝すことが有限の流束改善を可能にし、高いpHに曝すことが、高温のみの場合よりも流束を約3倍向上させることを提示している。この例で論じられ、かつ表1で言及されているすべての膜が、50%の最小ラクトース阻止を満たしている。
【0228】
【0229】
実施例7.圧力耐久性
高圧での酸化グラフェン膜の耐久性を評価した。酸化グラフェン膜を厚さ120μmのポリエーテルスルホン支持基材上に配置し、温度80℃および圧力1000psiで、1重量%のラクトースおよび0.1重量%のMgSO4の溶液を用いて、数週間試験した。試験目的のために、支持基材は、標準的なトリコット透過液担体(例えば、厚さ0.012インチ、約5オンス/平方ヤード、ならびに50ウェールおよび48コース毎インチ)に取り付けられる。
【0230】
表2は、高圧条件下での膜の耐久性に関する支持基材の結果をまとめたものである。
【0231】
【0232】
【0233】
実施例8.膜の色の定量化
酸化グラフェン膜の色は、酸化グラフェン膜の画像を記録し、そのグレースケールモード値を定量化することによって特性評価した。酸化グラフェン膜の画像は、9.4×9.1×8.7インチの寸法を有し、かつライトボックスの上部前縁および後縁上に2列の20個の白色LEDを有するライトボックス内で収集した。撮影される酸化グラフェン膜のサンプルをライトボックスの中央に配置し、カメラのレンズ、対象、およびLED光源の間で約90°の角度で画像を捕捉した。提示されたデータを複数のサンプルについて平均化した。色は、画像処理ソフトウェア(例えば、ImageJ)を使用して、画像内の各々のピクセルの相対強度を加法カラーモデルRGBからグレースケールに変換し、ピクセルヒストグラムとしてプロットされた得られたシグナルの強度を比較することによって定量化した。各々のグレースケールピクセルヒストグラムは、各々の画像のグレー値の分布を示しており、x軸は、可能なグレー値(0~255)を表し、y軸は、各々のグレー値で見られたピクセル数を表していた。グレースケールモード値はヒストグラムから計算され、ゼロにより近いグレー値はより暗い画像に対応し、255により近いグレー値はより明るい画像に対応していた。
【0234】
図13A~15Hは、上記の方法を使用した定量化の結果を示す。
【国際調査報告】