(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】シート、フィルム、繊維、及び成形部品の組成物並びに製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20220713BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
C08L67/00
C08L101/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568517
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2020063451
(87)【国際公開番号】W WO2020229594
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/000363
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520222911
【氏名又は名称】エコール ポリテクニーク フェデラル ドゥ ローザンヌ (イーピーエフエル)
【氏名又は名称原語表記】ECOLE POLYTECHNIQUE FEDERALE DE LAUSANNE (EPFL)
【住所又は居所原語表記】EPFL-TTO, EPFL Innovation Park J, 1015 Lausanne, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】原口 修一
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー フラウエンラース
(72)【発明者】
【氏名】オーウザン オズク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ゴール
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CC02X
4J002CF03Y
4J002CF05Y
4J002CF06W
4J002CF06Y
4J002CF07W
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4J002CF19W
4J002CF19Y
4J002CK01X
4J002CK02X
4J002CL00X
4J002GA01
4J002GG02
4J002GK00
(57)【要約】
本発明は、a)少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、及びb)ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、を含む組成物を記載する、ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はダイトピックである、ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成できるように設計される、及び、ここで、ポリエステルセグメント(13)の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである。本発明はまた、少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10を記載する、ここで、ポリマー凝集セグメント11、12はダイトピックであり、それらが凝集体を形成することができるように設計される、及び、ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである。本発明はまた、本発明による組成物又は官能化ポリマー10からシート、フィルム、繊維、又は成形部品を調製するための方法、組成物又は官能化ポリマー10を含むシート、フィルム、繊維、又は成形部品、及びシート、フィルム、繊維、又は成形部品を製造するための本発明による組成物の使用を記載する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物は、以下を含む:
a)少なくとも1つのポリエステルセグメント(13)及び、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる、少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b)ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成することができるように設計される、及び
ここで、前記ポリエステルセグメント(13)の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物、ここで、前記官能化ポリマー(10)は、特に末端基として、2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組成物、ここで、ポリエステルセグメント(13)の分子量は、20,000~500,000g/mol、特に30,000~300,000g/mol、40,000~200,000g/mol、50,000~100,000g/mol又は55,000~95,000g/molである。
【請求項4】
上記請求項にいずれか1つに記載の組成物、ここで、前記官能化ポリマー(10)は、5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下、又は正確に1つのポリエステルセグメント(13)を含む。
【請求項5】
上記のいずれかに記載の組成物、ここで、前記ポリエステルセグメント(13)は、芳香族脂肪族コポリエステル、脂肪族コポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリラクトン、又はポリヒドロキシアルカノエートであり、特に、ここで、前記ポリエステルセグメントは、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレン-セバケート-co-ブチレンテレフタレート)(PBSeT)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート-co-ブチレンテレフタレート)(PBST)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、ポリ(DL-乳酸)(PDLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3 -ヒドロキシバレレート)(PHBV)、及びそれらの共重合体からなる群より選択される。
【請求項6】
上記請求項にいずれか1つに記載の組成物、ここで、前記ポリエステルセグメント(13)は、芳香族脂肪族コポリエステル又は脂肪族ポリエステルであり、特に、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、及びそれらの共重合体からなる群より選択される;
又は、ここで、前記ポリエステルセグメント(13)は、ポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)又はポリ(ブチレン-セバケート-co-ブチレンテレフタレート)(PBSeT)又はそれらの共重合体などの、DIN EN 13432、具体的にはDIN EN 13432:2000によると生分解性である芳香族脂肪族コポリエステル又は脂肪族ポリエステルである;
又は、ここで、前記ポリエステルセグメント(13)は脂肪族ポリエステルであり、特にポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、ポリ(DL-乳酸)(PDLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、及びそれらの共重合体からなる群より選択される。
【請求項7】
上記請求項にいずれか1つに記載の組成物、ここで、前記ポリエステルセグメント(13)は、ポリ(カプロラクトン)、特にポリ(イプシロン-カプロラクトン)である。
【請求項8】
上記請求項にいずれか1つに記載の組成物、ここで、前記凝集添加剤(20)は、正確に1つの添加剤凝集セグメント(21)を含む。
【請求項9】
上記請求項にいずれか1つに記載の組成物、ここで、前記凝集添加剤(20)の分子量は、50g/molから2,000g/mol、特に50g/molから1,900g/mol、50g/molから1,800g/mol、50g/molから1,700g/mol、50g/molから1,600g/mol、50g/molから1,500g/mol、50g/molから1,400g/mol、50g/molから1,300g/mol、50g/molから1,200g/mol、50g/molから1,100g/mol、50g/molから1,000g/mol、100g/molから800g/mol、150g/molから700g/mol又は150g/molから600g/molである、及び/又は、ここで、前記凝集添加剤(20)は単分散である。
【請求項10】
上記請求項にいずれか1つに記載の組成物、ここで、前記凝集添加剤(20)の融点は、ポリエステルセグメント(13)が半結晶性である及び/又は融点を有する場合、前記ポリエステルセグメント(13)の融点よりも少なくとも10°C、特に少なくとも20°C、又は少なくとも30°C高い、又は前記ポリエステルセグメント(13)がアモルファスである及び/又ガラス転移温度があり融点がない場合、前記ポリエステルセグメント(13)の融点よりも少なくとも10°C、特に少なくとも20°C、又は少なくとも30°C高い。
【請求項11】
上記請求項にいずれか1つに記載の組成物、ここで、前記超分子相互作用は水素結合相互作用である、及び/又は、ここで、前記添加剤凝集セグメント(21)及び前記ポリマー凝集セグメント(11、12)は、それぞれ少なくとも1つの水素結合ドナー部位及び少なくとも1つの水素結合アクセプターを含む。
【請求項12】
上記のいずれかに記載の組成物、ここで、前記添加剤凝集セグメント(21)及び/又は前記ポリマー凝集セグメント(11、12)は、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、ウレア(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S) -NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)、チオウレア(-NH-C(=S)-NH-)、-C (=NH)-NH-、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、及び-NH-C(=NH)-NH-からなる群、特にペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O) -NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、及びウレア(-NH-C(=O)-NH-)からなる群より選択される少なくとも1つの化学官能基を独立して含む、及び/又は、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH) -、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S) -O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C( =NH) -NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH) -NH-、-S-C(=O) -NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群、とりわけ-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群より独立して選択される少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基を含む、オリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴウレア及び/又は多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分からなる群より選択される。
【請求項13】
上記請求項にいずれか1つに記載の組成物、ここで、前記組成物は、前組成物の総重量に基づいて、20重量%以下、特に15重量%以下、10重量%以下、8重量%以下又は5重量%以下の添加剤(20)を含む。
【請求項14】
上記請求項にいずれか1つに記載の組成物、ここで、前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて、特に10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上又は50重量%以上の量の非官能化ポリエステルを含む。
【請求項15】
請求項14に記載の組成物、ここで、前記非官能化ポリエステルは、ポリエステルセグメント(13)と混和性であるか同一である、又は、ここで、前記非官能化ポリエステルは、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレン-セバケート- co -ブチレンテレフタレート)(PBSeT)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート-co-ブチレンテレフタレート)(PBST)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、ポリ(DL-乳酸)(PDLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、その混合物及びその共重合体からなる群より選択される。
【請求項16】
官能化ポリマー(10)は、少なくとも1つのポリエステルセグメント(13)、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む、ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)はダイトピックであり、凝集体を形成することができるように設計される、及び、ここで、前記ポリエステルセグメント(13)の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである。
【請求項17】
請求項16に記載の官能化ポリマー(10)、ここで、前記官能化ポリマー(10)は、請求項2、4から8、14、又は15のうちの少なくとも1つに従ってさらに定義される。
【請求項18】
シート、フィルム、繊維、又は成形部品の製造方法は、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物又は請求項16又は17に記載の官能化ポリマー(10)を提供すること、並びに熱的エネルギー及び/又は機械的エネルギーを加えてシート、フィルム、繊維、又は成形部品を形成することを含む。
【請求項19】
前記シート、フィルム、繊維、又は成形部品は、剪断力及び/又は延伸力を加えるによって製造される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の方法、ここで、前記ポリエステルセグメント(13)は、前記シート、フィルム、繊維、又は成形部品の製造中に異方的に配向される、及び/又は、ここで、前記シート、フィルム、繊維、又は成形部品はポリエステルセグメント(13)を含むポリエステル相を有する、ここで、前記ポリエステル相は、配向係数<P
2>が0.1以上である。
【請求項21】
請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16又は17に記載の官能化ポリマー(10)を含むシート、フィルム、繊維、又は成形部品。
【請求項22】
請求項21に記載のシート、フィルム、繊維、又は成形部品、ここで、前記ポリエステルセグメント(13)は異方的に配向される、及び/又は、ここで、前記シート、フィルム、繊維、又は成形部品は前記ポリエステルセグメント(13)を含むポリエステル相を有する、ここで、前記ポリエステル相は、配向係数<P
2>が0.1以上である。
【請求項23】
請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16又は17に記載の官能化ポリマー(10)を含むシート、ここで、前記シートは、例えば、tダイシート成形及び/又はその後の連続二軸延伸ステップ又はその後の熱成形ステップによって製造される。
【請求項24】
請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16又は17に記載の官能化ポリマー(10)を含むフィルム、ここで、前記フィルムはフィルムブローによって製造される。
【請求項25】
請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16又は17に記載の官能化ポリマー(10)を含む繊維、ここで、前記繊維は溶融紡糸によって製造される。
【請求項26】
請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16又は17に記載の官能化ポリマー(10)を含む成形部品、ここで、前記成形部品は射出成形によって製造される。
【請求項27】
シート、フィルム、繊維、又は成形部品を製造するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物又は請求項16又は17に記載の官能化ポリマー(10)の使用。
【請求項28】
組成物は、以下を含む:
a)少なくとも1つのポリエステルセグメント(13)及び、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる、少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b)前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計される、
ここで、ポリエステルセグメント(13)の数平均分子量は10,000g/molから500,000g/molである、及び
ここで、前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて、10重量%から99.9重量%の量の前記官能化ポリマー(10)を含む。
【請求項29】
組成物は、以下を含む:
a)少なくとも1つのポリエステルセグメント(13)及び、水素結合を形成することを形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b)水素結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、好ましくはダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計される、
ここで、前記ポリエステルセグメント(13)の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである。
【請求項30】
組成物は、以下を含む:
a)少なくとも1つのポリエステルセグメント(13)及び、水素結合を形成することを形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b)前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計される、
ここで、前記ポリエステルセグメント(13)の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである、及び
ここで、前記ポリエステルセグメント(13)はポリ(イプシロン-カプロラクトン)である。
【請求項31】
組成物は、以下を含む:
a)少なくとも1つのポリエステルセグメント(13)、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる、少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b)前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計される、
ここで、前記ポリエステルセグメント(13)の数平均分子量は、55,000g/molから95,000g/molである。
【請求項32】
組成物は、以下を含む:
a)少なくとも1つのポリエステルセグメント(13)及び、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b)前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計される、
ここで、前記ポリエステルセグメント(13)の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである、及び
ここで、前記組成物は、非官能化ポリエステルを含む。
【請求項33】
組成物は、以下を含む:
a)少なくとも1つのポリエステルセグメント(13)及び、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b)前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、ポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加剤凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計される、
ここで、前記ポリエステルセグメント(13)の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである、及び
ここで、前記組成物は、無機充填剤、有機充填剤、顔料、染料、難燃剤、耐候剤、酸化防止剤及びそれらの混合物からなる群より選択されるさらなる添加剤を含む。
【請求項34】
請求項28から33のいずれか一項に記載の組成物、ここで、前記ポリマー官能化ポリマー(10)、前記凝集添加剤(20)、前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加剤凝集セグメント(21)は、請求項2から15の少なくとも1つによってさらに定義される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー、及び改善された加工性、成形性、及び/又は機械的特性を有するポリマー組成物、ならびにそれらの加工部品に関する。具体的には、本発明は、少なくとも1つのポリエステルセグメント、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメントを含む官能化ポリマーに関し、組成物は、少なくとも1つのポリエステルセグメント及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメントを含む官能化ポリマー、並びにポリマー凝集セグメントと同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメントを含む凝集添加剤、並びに任意の成分として非修飾ポリエステルを含む。官能化ポリマーの凝集セグメント及び凝集添加剤の結果として、溶融加工、成形性、及び/又は機械的特性が改善される。
【背景技術】
【0002】
天然資源の枯渇と環境汚染は、人類が今日直面している最大の問題の1つである。生分解性でもリサイクル性でもないプラスチックは、しばしば環境を汚染する永続的な廃棄物につながるため、特に深刻な問題である。そのため、地球環境への影響を考慮し、材料や商品の再利用、リサイクル、再処理に基づく社会経済システムの構築が求められている。プラスチック、特に包装材料については、より多くの材料価値と資源生産性の向上を獲得するための効果的な使用後プラスチック経済の創出に向けた方向性を設定するために、業界及び事業部門全体で協調した世界的取組みでグローバルプロトコルが設定されており、これはプラスチックの自然系への漏出を大幅に削減することを目的としている(非特許文書1)。
【0003】
プラスチックリサイクルストリームの実装が成功した一例は、他の廃棄物ストリームとは別に収集され、粉砕され、洗浄されたペットボトルの単純で費用効果の高いリサイクルである。得られたフレークは、次に溶融及び成形されて、リサイクル製品が製造される。しかし、PET樹脂の分子量は溶融中の熱分解によって低下することが知られており、結果として得られるPET材料の強度と成形性は製品サイクルごとに低下し、リサイクル製品は価値のより低い用途のみに使用される。リサイクルされたPETの約80%は、カーペット、衣類、その他の非包装用途のポリエステル繊維に使用される(非特許文書1)。したがって、現在のプラスチックは、リサイクル中に溶融すると機械的特性が低下し、現在のプラスチック材料をリサイクルする可能性が制限される。
【0004】
PETなどの感熱性材料のリサイクル性を改善するための1つの可能なアプローチは、分子量を増やして、PETをより頻繁にリサイクルできるようにすることであり、これは、最初の熱分解後も、分子量が、リサイクルされたPETをより価値の高い用途に使用するのに十分な大きさを有するからである。ただし、分子量を大きくすると、PETの加工性も大幅に低下する。
【0005】
このため、強度及び成形性の低下を回避するために、異なる方法が開発されている。
【0006】
例えば、非特許文書2は、リサイクルされたPET樹脂に未使用のPET樹脂を追加するための調査を示している。しかしながら、ブレンド物の機械的性能は、バージン樹脂が組成物の50%以上を構成しない限り、バージン樹脂のレベルに到達しないという問題が残っている。
【0007】
特許文献3は、鎖延長剤を使用する方法を報告しているが、使用条件によっては、局所的に緻密な架橋体が形成され、その結果、再溶解不可能なゲルが生じる。
【0008】
一方、ポリエステル樹脂はまた、PLA、PBS及びPBATなどの生分解性ポリエステルに基づくことができる。これらの生分解性材料は、微生物による嫌気性発酵による堆肥化やメタンガスの生成などの代替リサイクルシステムを可能にするため、プラスチックの大規模リサイクルにとって重要な要素である。しかし、生分解性ポリエステルは一般に成形性や機械的性質がPETに劣るため、近年では商業化がそれほど進んでいない。
【0009】
例えば、生分解性ポリエステルは一般に溶融張力が低いため、延伸、発泡、繊維延伸を行うことが困難である。さらに、例えばポリ(乳酸)又はポリ(ブチレンサクシネート)などのいくつかのポリエステルは、それらの標的用途に対する成形品の衝撃強度及び引裂強度などの不十分な機械的特性を有し、ポリ(乳酸)などの一部のポリエステルは、耐熱性が不十分である。
【0010】
このため、生分解性ポリエステル樹脂では、強度と成形性を改善するための異なるアプローチが追求されてきた。例えば、特許文献4は、溶融粘度及び溶融張力を改善する手段として、脂肪族ポリエステルにアクリル樹脂改質剤を添加する方法を記載している。しかしながら、添加されたアクリル樹脂は通常生分解性ではないので、組成物も生分解性の利点を失う。
【0011】
特許文献5及び6は、生分解性樹脂とポリイソシアネートを溶融混練して架橋構造を導入する方法及び放射線により架橋構造を導入する方法を提案している。しかし、使用条件によっては、局所的に緻密な架橋体が形成され、その結果再溶解できないゲルが生じ、リサイクルを妨げることになる。
【0012】
さらに、非共有結合を受けることができる官能基を有するポリエステルの修飾は、熱機械的特性に重大な影響を与えることが知られている。例えば、非特許文書3は、その非共有結合能力を介して二量体化することができ、仮想分子量の増加をもたらすことができる機能性ポリマー末端基を有するPCLセグメントを記載している。しかし、このレポートで使用されたポリエステルセグメントは分子量が低く(Mn = 2,000g/mol)、得られたポリエステルは実際の使用に十分な機械的特性を示さなかった。さらに、非共有結合によってリボン状構造を形成できる2つのウレア機能に基づくブロックを含むPCLベースの交互ブロック共重合体が非特許文書4に報告されている。溶融PCL状態では、同じ官能基に基づく添加剤の添加は、超分子リボンの形成を促進することが見出され、その結果、フィラーの含有量が7重量%でヤング率が2倍になったより硬い材料が得られた。ただし、このレポートで使用されているポリエステルセグメントは、分子量が低かった(Mn = 1,250g/mol)。
【0013】
尚、ほぼすべてのエンジニアリング構造材料にとって、同時に、剛性(形状の持続性のため)、強度、及び強靭(損傷許容性のため)であることが要件である。ポリマーは一般に延性のある材料であると認識されているが、局所的な応力集中を緩和するメカニズムがない場合、降伏応力未満の応力で巨視的に脆い挙動を示すことがしばしばある。そのため、降伏応力が高い場合、又は材料が非常に硬い場合、延性、したがって靭性が失われる可能性があり、その結果、亀裂伝播を起こすために利用可能な弾性エネルギーは、低ひずみでも高くなる。したがって、高度な延性と靭性を維持しながら、高い強度と剛性を提供する熱可塑性材料を開発するという課題が残っており、これらは一見すると相互に排他的であるように見える特性である(非特許文書5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特表2017-532427号公報
【特許文献2】国際公開第2006101076号
【特許文献3】特開2000-17037号公報
【特許文献4】特開平10-287733号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】World Economic Forum, Ellen MacArthur Foundation & McKinsey Company, The New Plastics Economy -Rethinking the Future of Plastics (2016)
【非特許文献2】Journal of the Japan Society of Material Cycles and Waste Management, 2010, 21, 165
【非特許文献3】Macromolecules 2007, 40, 8464
【非特許文献4】Macromolecules 2006, 39, 7425
【非特許文献5】Nat. Mater. 2011, 10, 817
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、ポリマー材料、特に良好な機械的特性及び良好な加工性を有するポリエステル材料を提供することである。好ましくは、材料は少なくとも50重量%まで生分解性である。好ましくは、材料は良好な成形性を有する。本発明の特定の目的は、改善された成形性、加工性、及び/又は改善された室温での機械的特性、特に剛性、強度及び靭性を示すポリマー材料、特にポリエステル材料を提供することである。
【発明の効果】
【0017】
本発明を使用することにより、従来技術の欠点のいくつか又はすべてを克服することができる。 具体的には、先行技術の難点及び欠点のいくつか又はすべては、請求項1又は請求項28から34に記載の組成物、請求項16に記載の官能化ポリマー、請求項18に記載の方法、請求項21、23、24、25及び26に記載のシート、フィルム、繊維、又は成形部品、並びに請求項27に記載の使用により、克服することができる。特に、本発明を使用することにより、特に室温で、改善された加工性、改善された成形性及び/又は改善された機械的特性を有するプラスチックを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による組成物をどのように得ることができるかについての概略的かつ例示的な概要を示す図である。
【
図2】本発明による組成物の振動剪断レオロジー温度スイープを示す図である。
【
図3】本発明による組成物の振動剪断レオロジー温度スイープを示す図である。
【
図4】本発明による組成物、本発明による官能化ポリマー、及びPCL(20k)の振動剪断レオロジー温度スイープを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、以下を含む組成物を提供する、
a.少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる、少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、及び
b.前記ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント11、12及び前記添加剤凝集セグメント21はダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント11、12及び前記添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、及び、ここで、前記ポリエステルセグメント13の数平均分子量は10,000g/molから500,000g/molである。
【0020】
ダイトピックセグメントは、非共有結合を形成できる少なくとも2つの相互作用部位を含む、こここで、前記セグメントがすでに別のセグメントと凝集体を形成している場合、前記セグメントは少なくとも1つの不飽和相互作用部位を含む。好ましくは、ダイトピックセグメントは、非共有結合を形成することができる少なくとも1つの相互作用部位をそれぞれ含む2つの結合領域を含むセグメントである、ここで、前記結合領域は、セグメントが他の結合領域を介して別のセグメントとすでに凝集体を形成している場合、前記結合領域のうちの1つの少なくとも1つの相互作用部位が不飽和のままであるように配置される。好ましくは、ダイトピックセグメントの前記少なくとも2つの相互作用部位は、前記2つの結合領域に分布している。ダイトピックセグメントは、特に他の2つのセグメントと凝集できる。前記セグメントの結合領域の1つで形成される前記非共有結合は、他の結合領域で形成される非共有結合と同じ又は異なる超分子相互作用に基いてよい。好ましくは、前記ダイトピックセグメントの結合領域の1つに形成される非共有結合は、前記他の結合領域に形成される前記非共有結合と同じ超分子相互作用に基づく。したがって、本発明の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はダイトピックである、ここで、前記ダイトピックセグメントの結合領域の1つで形成される前記非共有結合は、前記他の結合領域に形成される非共有結合と同じ超分子相互作用に基づく。より好ましくは、ダイトピックセグメントの2つの相互作用部位から形成される非共有結合間の角度は、90°から180°、より好ましくは170°から180°である。これは、少なくとも一方向に延びる凝集体31の形成に役立つ。前記相互作用部位から形成される前記非共有結合は、好ましくは同じ又は異なる超分子相互作用に基づくことができ、好ましくは、それらは同じ超分子相互作用に基づく。ダイトピックセグメントは、例えば、ジアラニンなどのオリゴペプチド、又はベンゼントリカルボキサミドなどの1つ以上の-C(=O)-NH-基を含む多機能環状部分である。オリゴペプチド及び1つ以上の-C(=O)-NH-基を含む多機能環状部分では、-C(=O)-及び-NH-基がオリゴペプチド又は多機能環状部分の2つの結合領域にわたって分布しており、これによって前記2つの結合領域を介して互いに独立して凝集することができる。
【0021】
科学理論に拘束されることは望まないが、官能化ポリマー10のポリマー凝集セグメント11、12及び凝集添加剤20の添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21によって共有される同じ超分子相互作用に基づく非共有結合を介して凝集体を形成する。前記凝集体は、少なくとも1つ及び多くても2つの方向に伸長し、最大で2つ及び少なくとも1つの方向にナノスコピックサイズであり、組成物中によく分散すると考えられている。これにより、これらの凝集体は、組成物における物理的架橋として機能すると考えられている。科学理論に拘束されることは望まないが、少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10の場合、これらの物理的架橋はネットワークを形成し、これが機械的特性を改善し、これらの組成物の軟化温度を上げるのに役立つと考えられている。
【0022】
凝集添加剤20は、特により高分子量のポリマーの場合に、凝集セグメントの特定の最小濃度を確立する主な目的を果たし、その結果、それらの自己相補的相互作用に基づくナノ構造形成が強化されると考えられている。さらに、ポリエステルセグメント13の分子量は10,000から500000g/molであるため、ポリマー鎖が絡み合っていると考えられている。これにより、機械的特性が大幅に向上すると考えられている。
【0023】
本発明の結果として、組成物及び官能化ポリマーの加工性を改善することができる。同時に、成形性が向上し、これによって幅広い加工方法、特に熱可塑性樹脂の加工方法で加工が可能となり、ブロー成形、発泡、熱成形、射出成形、繊維紡糸、シートプレス又はフィルムキャストなどのさまざまな成形方法で成形できる材料が得られる。さらに、フィルム、シート、繊維、又は成形部品などの結果として生じる形成された物体は、特に室温で改善された機械的特性を有し得る。この点で、降伏強度及び靭性が同時に改善された材料及び/又は成形物体を達成することが可能である。
【0024】
本発明では、官能化ポリマー10の分子量とは無関係に、組成物中の官能化ポリマー10及び凝集添加剤20の非共有結合が可能な結合セグメントの総濃度を調整することが可能である。その結果、得られる材料の軟化温度は、官能化ポリマー10の性質及び分子量に関係なく、またその機械的特性とは独立して選択することができる。さらに、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の共集合によって形成された凝集体のナノスコピックサイズ、及び組成物中のそれらの良好な分散は、凝集体の機械的及び熱的安定性が従来の熱可塑性樹脂の物理的架橋の安定性よりも大幅に高く、重量分率が同等又はそれよりも大幅に低いことを保証すると考えられている。
【0025】
本発明は、以下を含む組成物を提供する、
a.少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、及び
b.前記ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント11、12及び前記添加剤凝集セグメント21はダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント11、12及び前記添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、及び
ここで、前記ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである。
【0026】
本発明の別の実施形態において、凝集添加剤20は単分散である。
【0027】
好ましくは、単分散化合物の場合、化合物のサンプル中のすべての分子は均一である。例えば、異なる同位体の取り込みによって引き起こされる分子量の違いを除いて、すべての分子は同じ分子量を有する。例えば、エタンは単分散化合物であるが、ポリスチレンは単分散化合物ではない。好ましくは、化合物中の単分散残基の場合、この残基は、化合物のサンプルのすべての分子において均一である。例えば、アミン(C2H5)-NH-ポリスチレンでは、エチル残基は単分散であるが、ポリスチレン残基は単分散ではない。
【0028】
別の好ましい実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を提供する、
a.少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる、少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、及び
b.前記ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント11、12及び前記添加剤凝集セグメント21はダイトピックである、
ここで、前記ポリマー凝集セグメント11、12及び前記添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、及び
ここで、前記ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molであり、前記凝集添加剤20は単分散である。
【0029】
本発明の一実施形態において、組成物はさらなるポリエステルを含む。前記さらなるポリエステルは、好ましくは非官能化である。前記組成物がさらなるポリエステルを含む場合、このポリエステルは、好ましくは、官能化ポリマー10のポリエステルセグメント13と同じタイプである。任意のさらなるポリエステルについても、以下でより詳細に説明する。例えば、官能化ポリマー10のポリエステルセグメント13がポリ(イプシロン-カプロラクトン)である場合、さらなるポリマーは好ましくはポリ(イプシロン-カプロラクトン)である。
【0030】
<官能化ポリマー10の構造>
【0031】
官能化ポリマー10は、異なる構造を有することができる。例えば、それは、線状ポリマー、分岐ポリマー又はマルチアームスターポリマーであってよい。好ましくは、官能化ポリマー10は官能化ポリエステルである。好ましくは、前記官能化ポリマーは、線状又は分枝状ポリマー、特に線状又は分枝状ポリエステルである。好ましくは、官能化ポリマー10は、特に末端基として、2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む。官能化ポリマー10は、末端基として、又は側基として、官能化ポリマー10の骨格に沿って少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含み得る。好ましくは、官能化ポリマー10は、少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を末端基として含む。本発明の一実施形態において、官能化ポリマー10は、線状又は分岐ポリマーであり、及び/又は特に末端基として2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む。分岐ポリマーの場合、末端基は、好ましくは、ポリマーの主鎖の末端に位置する。ポリマーの前記主鎖は、特にポリマーの最も長い鎖である。本発明の別の実施形態において、官能化ポリマー10は、2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む線状又は分岐二官能性ポリエステルである、ここで、2つのポリマー凝集セグメント11、12は、官能化ポリマー10の末端基である。例えば、官能化ポリマー10は、構造X-Q-Xを有してよい、ここで、Xは、ポリマー凝集セグメント11、12を表し、Qは、ポリエステルセグメント13を表す。Qは、線状又は分岐ポリエステルセグメント13であってもよい。線状又は分岐二官能性ポリエステルは特に構造X-Q-Xを有する末端基として2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む、ここで、Xはポリマー凝集セグメント11、12を表し、Qは合成的に最もアクセスしやすいポリエステルセグメントを表す。
【0032】
本発明の一実施形態において、官能化ポリマー10は、側基として、特に官能化ポリマー10のポリエステルセグメント13に沿った側基として、少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む。この場合、官能化ポリマー10は、2つを超えるポリマー凝集セグメント11、12、特に非共有結合を形成することができる3から100のセグメントを含んでよい。この構造のポリマーは、副官能性ポリマーと呼ばれることがある。例えば、官能化ポリマー10は、構造U'x-ran-(U''(-X))y、すなわち、共有結合を形成することができるセグメントXを運ぶ繰り返し単位U'及び繰り返し単位U''のランダム共重合体を有する副官能性ポリマーであってよい。
【0033】
本発明の一実施形態において、官能化ポリマー10は、上で定義された線状又は分枝状又はマルチアームスター共重合体であり、前記組成物は、上で定義された副官能性ポリマーをさらに含む。 これにより、ポリマー凝集セグメント11、12の濃度は、簡単な方法で局所的に増加させることができる。
【0034】
本発明の一実施形態において、官能化ポリマー10は、5以下、4以下、3以下、2以下、又は正確に1つのポリエステルセグメント13を含む。
【0035】
本発明による組成物又は官能化ポリマーから得られる材料の機械的特性は、官能化ポリマー10の分子量に強く依存する。選択されたアプローチの結果として、材料の軟化温度はもはやポリエステルマトリックスの分子量に依存しないため、官能化ポリマー10の分子量は、広範囲の分子量、例えば、数平均分子量Mn = 10,000g/molから1,000,000g/molの間から選択することができる。したがって、本発明の実施形態において、官能化ポリマー10の数平均分子量は、10,000g/molから1,000,000g/mol、特に20,000g/molから500,000g/mol又は55,000g/molから99,000g/molである。
【0036】
官能化ポリマー10において、分子量の主要部分は、好ましくは、ポリエステルセグメント13によって寄与される。前記少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12は、好ましくは、それらが官能化ポリマー10の分子量にわずかに寄与するように設計される。したがって、本発明の一実施形態において、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、20,000から500,000g/mol、特に30,000から300,000g/mol、40,000から200,000g/mol、50,000から100,000g/mol又は55,000から95,000g/molである。前記数平均分子量は、Mnで表すことができる。前述の分子量により、良好な加工性及び/又は良好な機械的特性を、特に室温で達成することができる。特に分子量が55,000から95,000g/molの場合、材料及び組成物又は官能化ポリマーから形成された物体は、特に室温で良好な機械的特性を有することが見出された。他方、官能化ポリマーの組成物はうまく処理することができた。しかしながら、好ましくは、ポリエステルセグメント13の分子量の下限は、材料の良好な弾性挙動を説明するために、それぞれのポリマーのエンタングルメント分子量よりも高い。より好ましくは、ポリエステルセグメント13の分子量の下限は、それぞれのポリエステルのエンタングルメント分子量の少なくとも5倍であり、これにより絡み合いネットワークを形成することができる。
【0037】
エンタングルメント分子量はポリマーの種類によって異なるが、通常はおよそMe=2000g/molから19000g/molである(いずれの場合も平均分子量)。エンタングルメント分子量の例は、L. J. Fetters D. J. Lohse, R. H. Colby, Chain Dimensions and Entanglement Spacings, in Physical Properties of Polymers Handbook, 2ndedition, J. E. Mark, ed., Ch. 25, 2007; Polymer Handbook, 4th edition, J. Brandrup, E. H. Immergut, E. A. Grulke, eds, Wiley, 2003内に見出すことができる。
【0038】
さらにより好ましくは、ポリエステルセグメント13の分子量の下限は、分子量の増加に伴う機械的特性の変化が横ばいになり始める分子量閾値を超え、したがって、Mn=20000g/molから30000g/molを超える数平均分子量である。同時に、ポリマー凝集セグメント11、12の濃度を必要以上に低下させないために(これにはより多くの凝集添加剤20の添加を必要とする)、ポリエステルセグメント13の好ましい分子量は、分子量の増加に伴う機械的特性の変化が横ばいになり始める分子量閾値をはるかに超えて選択されるべきではない、なぜなら、それ以上の分子量の増加は、通常、変化した特性をもたらさないからである。ポリエステルセグメント13の分子量が高すぎる場合、得られる組成物又は官能化ポリマー10の処理が困難になる可能性がある。したがって、ポリエステルセグメント13の特に好ましい数平均分子量は55,000から95,000g/molであり、さらにより好ましくは60,000g/molから95,000g/molであり、特に好ましくは70,000から90,000g/molである。
【0039】
様々な種類のポリエステルが、ポリエステルセグメント13に適している。
【0040】
本発明の一実施形態において、ポリエステルセグメント13は、芳香族脂肪族コポリエステル、脂肪族コポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリラクトン、又はポリヒドロキシアルカノエートである。好ましくは、ポリエステルセグメント13は、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレン-セバケート-co-ブチレンテレフタレート)(PBSeT)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS) 、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート-co-ブチレンテレフタレート)(PBST)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、ポリ(DL/-乳酸)(PDLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、及びそれらの共重合体からなる群より選択される。
【0041】
さらに、ポリエステルセグメント13に使用されるポリマーの種類は、得られる材料が務める目的にも依存する。したがって、本発明の一実施形態において、ポリエステルセグメント13は、芳香族脂肪族コポリエステル又は脂肪族ポリエステルである。この実施形態において、ポリエステルセグメント13は、好ましくは、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、及びそれらの共重合体からなる群より選択される。
【0042】
本発明の別の実施形態において、ポリエステルセグメント13は、DIN EN 13432、特にDIN EN 1432:2000によると生分解性である芳香族脂肪族コポリエステル又は脂肪族ポリエステルであり、例えばポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレン-セバケート-co-ブチレンテレフタレート)(PBSeT)又はそれらの共重合体などである。
【0043】
本発明の別の実施形態において、ポリエステルセグメント13は脂肪族ポリエステルである。この実施形態において、ポリエステルセグメント13は、好ましくは、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、ポリ(DL-乳酸)(PDLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、及びそれらの共重合体からなる群より選択される。
【0044】
好ましい実施形態において、ポリエステルセグメント13は、ポリ(カプロラクトン)、より好ましくはポリ(イプシロン-カプロラクトン)である。
【0045】
好ましい実施形態において、ポリエステルセグメント13は、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)である。
【0046】
好ましい実施形態において、ポリエステルセグメント13は、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)である。
【0047】
好ましい実施形態において、ポリエステルセグメント13は、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)である。
【0048】
好ましい実施形態において、ポリエステルセグメント13は、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)である。
【0049】
好ましい実施形態において、ポリエステルセグメント13は、ポリ(乳酸)(PLA)である。
【0050】
好ましい実施形態において、ポリエステルセグメント13は、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)である。
【0051】
好ましい実施形態において、ポリエステルセグメント13は、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)である。
【0052】
好ましい実施形態において、ポリエステルセグメント13は、ポリ(イプシロン-カプロラクトン)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、及びポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)からなる群より選択される。
【0053】
ポリエステルセグメント13を選択することにより、組成物及び/又は官能化ポリマー10は、特定の用途の要件に合わせて調整することができる。
【0054】
<添加剤の構造>
【0055】
凝集添加剤20は、ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む。凝集添加剤20は、非共有結合、例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つの添加剤凝集セグメント21を形成することができる2つ以上の添加剤凝集セグメント21を含んでよい。凝集添加剤20が2つ以上の添加剤凝集セグメント21を含む場合、これらの添加剤凝集セグメント21は、互いに異なるか又は同一であってよく、好ましくは同一である。本発明の一実施形態において、凝集添加剤20は、ポリエステルセグメントに側基として取り付けられた複数の添加剤凝集セグメント21を含む。本発明の別の実施形態において、凝集添加剤20は、2つから5つ、特に2つから4つの添加剤凝集セグメント21を含む。本発明の好ましい実施形態において、凝集添加剤20は、正確に1つの添加剤凝集セグメント21を含む。正確に1つの添加剤凝集セグメント21を含む添加剤20は、容易にアクセス可能である。さらに、それらは、本発明による組成物により容易に分散させることができる。
【0056】
少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21に加えて、凝集添加剤20は、1つ以上の追加の基22を含んでよい。これらの追加の基22は、例えば、組成物中の凝集添加剤20の溶解度を高めるために、様々な目的を果たし得るが、それらは例えば、難燃性などの別の機能を付与するなど他の目的にも役立つ可能性がある。好ましくは、追加の基22は、凝集添加剤20の添加剤凝集セグメント21が、ポリマー凝集セグメント11、12及び/又は他の凝集添加剤20の他の添加剤凝集セグメント21と凝集体を形成する能力を妨害しない。より好ましくは、追加の基22は、組成物中の凝集添加剤20の溶解度を増加させるのに役立つ。本発明の一実施形態において、凝集添加剤20は、特に末端基として、少なくとも1つ、特に1つから3つの追加の基22を含む。本発明の別の実施形態において、凝集添加剤20は、2つの追加の基22を含む。凝集添加剤20が2つ以上の追加の基を含む場合、これらの基は、互いに異なるか同一であってよく、好ましくは、それらは互いに異なる。
【0057】
凝集添加剤20中の追加の基22は、異なる方法で凝集添加剤20に組み込むことができる。例えば、それらは、末端基として、側基として、又は凝集添加剤20の骨格内の基として組み込まれ得る。凝集添加剤20はまた、線形構造を有し得るか、又は多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分に基づく構造を有し得る。本発明の一実施形態において、凝集添加剤20は、特に末端基として、少なくとも1つ、特に2つから6つの追加の基22を含む。凝集添加剤20の追加の基22、特に末端基22は、有利には、互いに異なるか、又は同一であってよい。線形構造を有する凝集添加剤20は、2つの追加の基22、特に2つの末端基22を含む、ここで、前記追加の基22、特に前記末端基22は、好ましくは互いに異なる。多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分に基づく構造を有する凝集添加剤は、有利には、3~6つの追加の基22、特に3~6つの末端基22を含む、ここで、前記追加の基22、特に前記末端基22は、好ましくは同一である。
【0058】
原則として、様々な化学基を凝集添加剤20の追加の基22として使用することができる。有利には、凝集添加剤20の追加の基22は、添加剤凝集セグメント21の他の凝集添加剤20の他の添加剤凝集セグメント21又はポリマー凝集セグメント11、12との凝集に干渉又は妨害しない。追加の基22は、単分散又は多分散であってよい。好ましくは、少なくとも1つの追加の基22は、単分散であり、及び/又は500g/mol未満、特に400g/mol未満、300g/mol未満、200g/mol未満、又は100g/mol未満の分子量を有する。単分散の追加の基22は、特に、組成物のより高い軟化温度を達成することを可能にする。
【0059】
凝集添加剤20の付加基22、特に末端基22が1から30個の炭素原子を有する分岐炭化水素基である場合、良好な結果が得られた。本発明の一実施形態において、追加の基22、特に末端基22は、1から30個の炭素原子を有する炭化水素基、C1からC30のアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C4からC20の芳香族部分、特にフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert-ブチルベンジル基、1から26個の炭素原子を有する分岐炭化水素基、特に2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群より選択される。
【0060】
好ましくは、追加の基22、特に末端基22は、2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基 、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群より選択される。
【0061】
本発明の一実施形態において、凝集添加剤20は、線形構造を有し、組成物、特にポリエステルセグメント13と混和性の任意の基であってよい2つの末端基22を含む。2つの末端基22は、同一であってもなくてもよい。特に、2つの末端基22は、それらの両方又は一方が、組成物、とりわけポリエステルセグメント13によって提供されるポリエステルマトリックス、及び任意選択でさらに非官能化ポリエステルに溶解性を提供する、任意の化学的性質のものであってよい。好ましくは、2つの末端基22は、C1からC30の炭化水素基、より好ましくは分岐したC1からC30アルキル基などの非極性部分であり、さらにより好ましくは、上記にリストされた追加の基22から選択される。好ましくは、末端基22は同一ではなく、末端基の1つは可能な限り立体的要求が低い。これにより、この末端基が、凝集添加剤20の添加剤凝集セグメント21とポリマー凝集セグメント11、12との共凝集に対抗することを回避することができる。有利には、第2の末端は、ポリエステルへの十分な溶解性を提供するよう、及び処理目的のために設計されているが、好ましくは、特定の分子間相互作用を受けない。好ましくは、第1の末端基はC1からC12のアルキル基、より好ましくはメチル基であり、第2の末端基はC1からC30の炭化水素フラグメント、特に1から30つの炭化水素基からなる基からなる炭素原子基、C1からC30のアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C4からC20の芳香族部分、特にフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert-ブチルベンジル基、1から26個の炭素原子を有する分岐炭化水素基、特に2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群より選択される。好ましくは、ポリエステルマトリックスとの混和性を改善するために水素結合ユニットの結晶化傾向を低減するために、C1からC30の炭化水素フラグメントは分岐される。好ましい実施形態において、凝集添加剤20の末端基22のうちの1つは、2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1 -ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群より選択される、好ましくは2-エチルヘキシル又は2-オクチルドデシルであり、より好ましくは2-オクチルドデシルである、特に、少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21にジグリシン又はジアラニンを含む凝集添加剤20の場合にあてはまる。この好ましい実施形態では、凝集添加剤20は、第2の末端基22としてメチル基を含み、付加的凝集セグメント21はさらに、2-エチルヘキシル又は2-オクチルドデシル基及びメチル基をそれぞれジアラニンと接続する-NH-基及び-C(=O)-基を含む。しかしながら、凝集添加剤20の添加剤凝集セグメント21がアセチル化トリグリシン又はアセチル化トリアラニンなどのより大きなオリゴペプチドである場合、アセチル化トリアラニンの溶解度がより低いため、末端基22としてより大きな残基が必要となる場合がある。
【0062】
本発明の別の実施形態において、凝集添加剤20は、多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分に基づいており、組成物、特にポリエステルセグメント13と混和性の任意の基であってよい3から6つの末端基22を含む。前記3から6つの末端基22は、好ましくは同一である。特に、前記3から6つの末端基22は、それらが組成物、とりわけポリエステルセグメント13によって提供されるポリエステルマトリックス、及び任意選択でさらに非官能化ポリエステルに溶解性を提供する、任意の化学的性質のものであってよい。好ましくは、前記3から6つの末端基22は、C1からC30の炭化水素基などの無極性部分であり、より好ましくは、1から30個の炭素原子を有する炭化水素基、C1からC30のアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C4からC20の芳香族部分、特にフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert-ブチルベンジル基、1から26個の炭素原子を有する分岐炭化水素基、特に2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群より選択される。好ましくは、前記3から6つの末端基22は、2-オクチルドデシル基である。
【0063】
凝集添加剤20の分子量は、50g/molから2000g/molであってよい。好ましくは、凝集添加剤20の分子量は、50g/molから1900g/mol、特に50g/molから1800g/mol、50g/molから1700g/mol、50g/molから1600g/mol、50g/molから1500g/mol、50g/molから1400g/mol、50g/molから1300g/mol、50g/molから1200g/mol、50g/molから1100g/mol、50g/molから1000g/mol、100g/molから800g/mol、150g/molから700g/mol又は150g/molから600g/molである。凝集添加剤20の分子量が前述の範囲内である場合、低含有量の凝集添加剤20で高濃度の凝集セグメント11、12、21を達成することができるので、高く鋭い軟化点を有する組成物を達成することができる。
【0064】
凝集添加剤20は、単分散又は多分散であってよい。 好ましくは、凝集添加剤20は単分散である。単分散凝集添加剤20を使用すると、組成物中の添加剤の等しい又はより低い重量分率で、組成物のより高い軟化温度及びより鋭い軟化転移を達成することができる。
【0065】
本発明による組成物又は官能化ポリマーは、材料の調製に、又は様々な用途の材料として特に適している。例えば、本発明による組成物又は官能化ポリマーからの材料は、包装材料として使用することができる。組成物からの材料は、異なる温度で使用される。それらが最も一般的に使用される温度は、動作温度とも呼ばれる。例えば、80°Cの温度で最も一般的に使用される材料は、80°Cの動作温度で使用される。本発明の一実施形態において、凝集添加剤20の溶融温度は、少なくとも30°C、とりわけ少なくとも40°C又は少なくとも50°Cであり、本発明による組成物からの材料が使用される動作温度よりも高い。融解温度は、融点とも呼ばれる。融点は、10K/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)加熱スキャンによって決定することができる。融解温度は、解離温度Tdとも呼ばれる。組成物中の融解又は解離温度Tdは、特に示差走査熱量測定によって、特に10K/分の加熱速度で判定され得る。添加剤の溶融温度が動作温度よりも高いほど、高い軟化温度Tsの材料を実現するために必要な添加剤の量は少なくなる。軟化温度Tsは、特に振動せん断レオロジーの損失係数がtanδ≧1になる温度であってもよい。軟化温度Tsは、特に振動せん断レオロジー温度スイープを使用して判定してもよく、特に、120°Cから200°Cで20分間アニーリングした後の測定中に3°C/分の冷却速度、1rad/秒の固定半径周波数、及び0.1%のひずみ振幅で0.4から0.6mmのギャップを有するパラレルプレートレオメーターを使用して決定してもよい。好ましくは、組成物からの熱可塑性樹脂用の材料の軟化温度Tsは、それが使用される動作温度よりも高い。
【0066】
本発明の好ましい実施形態において、凝集添加剤20の融点は、ポリエステルセグメント13が半結晶性である及び/又は融点を有する場合、ポリエステルセグメント13の融点よりも少なくとも10°C、特に少なくとも20°C、又は少なくとも30°C高い;又は、ポリエステルセグメント13がアモルファスである、及び/又はガラス転移温度を有し、融点を有しない場合、ポリエステルセグメント13のガラス転移温度よりも少なくとも10°C、特に少なくとも20°C、又は少なくとも30°C高い融点を有する。ガラス転移温度は、上述のように、DSCによって判定することができる。通常、ガラス転移温度はステップとしてDSCグラフに表示される。
【0067】
<ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の構造>
【0068】
特に、ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21は、同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは、それらはいずれも、同じ超分子相互作用による協調的自己組織化が可能である。これにより、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、共集合によって、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の両方を組み込んだ凝集体を形成することができる。超分子相互作用の例には、水素結合相互作用、イオン-双極子相互作用、双極子-双極子相互作用、パイシステム間の相互作用、及びカチオンとパイシステム間の相互作用が含まれる。超分子相互作用に基づく非共有結合は、化学官能基間で形成されることが好ましい。このような化学官能基の例には、カルボン酸基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、芳香族基、パーフルオロ芳香族基、水酸基、アミン基、及びトリアルキルアンモニウム残基が含まれる。同じ超分子相互作用に基づく非共有結合は、異なる又は同一の化学官能基間で形成する場合がある。例えば、水素結合の場合、同じ超分子相互作用に基づく非共有結合の例として、アミド基とウレタン基との間に水素結合を形成することができる、ここで、前記非共有結合は、異なる化学官能基の間に形成される。同じ超分子相互作用に基づく非共有結合の例として、水素結合を2つのアミド基の間に形成することもできる、ここで、前記非共有結合は同一の化学官能基の間に形成される。
【0069】
本発明の一実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、非共有結合が形成される少なくとも2つの相互作用部位を含む。
【0070】
本発明の別の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21によって形成され得る前記非共有結合は、水素結合、イオンと双極子との間の結合、双極子間の結合、カチオンとパイシステムとの間の結合、及びパイシステム間の結合、からなる群より選択される、特に水素結合及び双極子間の結合からなる群より選択される、とりわけ水素結合である。本発明の別の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21によって形成され得る非共有結合が基づく超分子相互作用は、水素結合相互作用、イオン-双極子相互作用、双極子-双極子相互作用、カチオンとパイシステム間の相互作用、及びパイシステム間の相互作用からなる群より選択される、特に水素結合相互作用及び双極子-双極子相互作用からなる群より選択される、とりわけ水素結合相互作用である。前述の超分子相互作用、特に水素結合は、組成物のより高い軟化温度を達成することを可能にする。
【0071】
組成物中の凝集体31の良好な形成のために、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の共集合に影響を与えるように選択される超分子相互作用は、意味のある凝集を可能にできないほど弱すぎず、又は可逆的で動的解離と再関連付けによるエラー訂正を禁止できないほど強すぎることがないことが好ましい;この目的に適した結合エネルギーの範囲は、相互作用部位あたり20~100kJ/molである。したがって、本発明の一実施形態において、各非共有結合は、20kJ/molから100kJ/molの結合エネルギーを有する。
【0072】
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はダイトピックである。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、好ましくは、ダイトピックで自己相補的である。好ましくは、ダイトピック及び自己相補的セグメントにおいて、セグメント内の相互作用部位のタイプ及び配置は、2つのセグメントが各セグメントの結合領域の1つを介して凝集する場合、凝集した結合領域のすべての相互作用部位が飽和し、特にそれらはすべて非共有結合を形成するように設計される。より好ましくは、ダイトピック及び自己相補的セグメントにおいて、セグメント内の相互作用部位のタイプ及び配置は、2つのセグメントが凝集するとき、これらの共有結合間で0°から45°の角度の非共有結合が形成される、1つのセグメントのすべての相互作用部位が飽和するように設計される。ダイトピック及び自己相補的セグメントの例は、ジアラニンユニット又はベンゼントリカルボキサミドユニットである。2つのジアラニンユニットから形成された凝集体において、各ジアラニンユニットの結合領域のうちの1つのすべての相互作用部位は、非共有結合を形成しており、したがって、飽和している。同じことが、2つのベンゼントリカルボキサミドユニットから形成された凝集体にも当てはまる。ダイトピック分子は、P. Cordier et al., in Nature 2008, 451, 977でも定義されている。
【0073】
ダイトピック及び自己相補的ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の助けを借りて、ポリマー凝集セグメント11、12及び/又は添加剤凝集セグメント21を少なくとも1つの拡張寸法に沿って周期的に配置した凝集体31は、多数のポリマー凝集セグメント11、12及び/又は添加剤凝集セグメント21から繰り返し単位として形成することができる。これにより、共集合凝集体においてポリマー凝集セグメント11、12を付加的な凝集セグメント21で連続的に置き換えることは、ゴム状ネットワークを構成する物理的ネットワーク点の破壊をもたらさず、したがって材料の弱体化をもたらさない。そのようなゴム状ネットワークは、特にポリマーの溶融又はガラス転移を超える高温で、温度依存性の剪断レオロジーにおいてゴム状プラトーを生じさせる可能性さえある。このようなゴム状プラトーは、特に溶融弾性の増加により、材料の処理を改善する場合がある。
【0074】
したがって、本発明の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる同一の化学官能基、特に超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる同じ数の化学官能基を含む。特に、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、水素結合を形成することができる同一の化学官能基、特に水素結合を形成することができる同じ数の化学官能基、とりわけ同じ数の水素結合ドナー及び水素結合アクセプターを含む。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、同数のアミド(-NH-C(=O)-)基を含む。
【0075】
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、相補的及び/又は同一であってよい、特に相補的かつ同一であってよい、とりわけ、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、自己相補的及び/又は同一であってよい、とりわけ自己補完的かつ同一である。
【0076】
好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12と添加剤凝集セグメント21の共集合の起源であるダイトピックセグメント11、12、21、特にダイトピック及び自己補完セグメント11、12、21は、ポリエステルマトリックス中に十分に分散された明確な形状の凝集体が形成されるように、特異的で、範囲限定され、空間に配向されている必要がある。
【0077】
本発明の一実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、非共有結合が形成される相互作用部位としてドナー部位及び/又はアクセプター部位を含む。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の自己相補的なダイトピック超分子相互作用は、それぞれ、双極子などの電子的に共役したドナー部位及びアクセプター機能を含むべきである。有利には、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、非共有結合が形成される相互作用部位として、少なくとも1つのドナー部位及び少なくとも1つのアクセプター部位を含む、特に、ここで、少なくとも1つのドナー部位及び少なくとも1つのアクセプター部位は電子的に結合している。電子的に結合しているドナー部位とアクセプター部位の例は、アミド(-NH-C(=O)-)基である。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21がそれぞれ2つ以上のドナー部位及び1つのアクセプター部位を含む場合、すべてのドナー部位及びアクセプター部位がドナー部位-アクセプター部位のペアで電子的に結合されることが好ましい。好ましくは、ドナー部位及びアクセプター部位は、化学官能基、例えば、水素結合ドナー部位及び水素結合アクセプター部位を同時に提供する化学官能基において組み合わせることができる。好ましくは、ダイトピックポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21のそれぞれにおいて、セグメントの同じ結合領域にない2つの相互作用部位は、電子的に結合されている。したがって、ダイトピックポリマー凝集セグメント11、12及び付加的凝集セグメント21がそれぞれ1つ以上のペアの電子的に結合したドナー部位及びアクセプター部位を含む場合、好ましくは、各電子的に結合したドナー部位-アクセプター部位のペア内のドナー部位及び悪セクター部位は、各ダイトピックセグメントの2つの結合領域に分布する。これにより、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の凝集体への共集合が協調的になり、それらの解離温度を上昇させ、解離温度範囲を低下させるのに役立つ。各ドナー部位-アクセプター部位のペア内のドナー部位及びアクセプター部位がダイトピックセグメントの2つの結合領域に分布している、ペアの電子的に結合したドナー部位及びアクセプター部位を含むダイトピックセグメントの例、ここで、ペアワイズ電子結合ドナー部位及びアクセプター部位を含むダイトピックセグメントの例は、アミド基、ウレタン基又はウレア基を含むセグメントである、特に、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、オリゴウレア、及び多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分である、ここで、前記多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分は、少なくとも3つのアミド、ウレタン又はウレア基を含む。
【0078】
したがって、ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21が、1つ又は複数のそのような化学官能基を提供することが好ましい。本発明の一実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ少なくとも1つ、特に2から10つ又は2から5つの化学官能基を含み、これらは、特に非共有結合が形成される相互作用部位としてのドナー部位とアクセプター部位を提供し、特に、ここで、前記ドナー部位と前記アクセプター部位が電子的に結合している。これにより、それらの共同アセンブリをより簡単に調整して集合を得ることができるが、動的解離と再関連付けによるエラー訂正も可能にする。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、自己相補的、ダイトピック、電子的に共役したドナー部位及びアクセプター部位を提供する2から10つ又は2から5つの化学官能基を含む。
【0079】
本発明の一実施形態において、超分子相互作用は水素結合相互作用である。好ましくは、添加剤凝集セグメント21及びポリマー凝集セグメント11、12はそれぞれ、少なくとも1つの水素結合ドナー及び少なくとも1つの水素結合アクセプターを含む。
【0080】
電子的に結合したドナー部位及びアクセプター部位を提供する様々な化学官能基を使用することができる。有利なのは、特に-C(=Y)-NHの一部となり得る-C(=Y)-NH関数の形で、電子的に結合した水素結合ドナー部位及び水素結合アクセプター部位をそれぞれ同時に提供する化学官能基であり、特にC(=Y)-NH-関数、-O-C(=Y)-NH-関数又は-NH-C(=Y)-NH-関数の一部であってよい-C(=Y) -NH関数の形式であり、ここで、いずれの場合も、YはNH、S、及びOからなる群より選択される、好ましくはOである。したがって、本発明の実施形態において、添加剤凝集セグメント(21)及び/又はポリマー凝集セグメント(11、12)は、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、ウレア(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S) -NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)、チオウレア(-NH-C(=S)-NH-)、-C (=NH)-NH-、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、及び-NH-C(=NH)-NH-からなる群、特にペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O) -NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、及びウレア(-NH-C(=O)-NH-)からなる群より選択される少なくとも1つの化学官能基を独立して含む、及び/又は、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH) -、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S) -O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C( =NH) -NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH) -NH-、-S-C(=O) -NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群、とりわけ-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群より独立して選択される少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基を含む、オリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴウレア及び/又は多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分からなる群より選択される。
【0081】
本出願では、ペプチド(-C(=O)-NH-)結合又は基とアミド(-C(=O)-NH-)結合又は基は同一であると見なされる。
【0082】
本発明の別の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の化学官能基のドナー部位及びアクセプター部位は、水素結合を形成することができる、特に、ここで、前記化学官能基は、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、ウレア(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S)-NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)、チオウレア(-NH-C(=S)-NH-)、-C(= NH)-NH-、-O-C(= NH)-NH-、及び-NH-C(=NH)-NH-からなる群より選択される、より好ましくは、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O) -NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、及びウレア(-NH-C(=O)-NH-) からなる群より選択される、最も好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)及びアミド(-C(=O)-NH-)からなる群より選択される。前述の化学官能基の少なくとも1つを含むセグメントは、非共有結合、特に水素結合を形成することができる少なくとも2つの相互作用部位を含むダイトピックセグメントである。
したがって、一実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.官能化ポリマー10であり、少なくとも1つのポリエステルセグメント13及び少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む、両者は(それぞれ)、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、ウレア(-NH-C(=O)-NH-) 、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S)-NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)、チオウレア(-NH-C(=S)-NH-)、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、及び-NH-C(=NH)-NH-からなる群より選択される、より好ましくは、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、及びウレア(-NH-C(=O)-NH-)からなる群より選択される、最も好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)及びアミド(-C(=O)-NH-)からなる群より選択される、少なくとも1つの化学官能基を含む;
b.凝集添加剤20であり、少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む、添加剤凝集セグメント21はペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、ウレア(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S)-NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)、チオウレア(-NH-C(=S)-NH-)、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、及び-NH-C(=NH)-NH-からなる群より選択される、より好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O) -NH-)、及びウレア(-NH-C(=O)-NH-) からなる群より選択される、最も好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)及びアミド(-C(=O)-NH-)からなる群より選択される、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである。この実施形態において、凝集添加剤20は、好ましくは単分散である。
【0083】
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21がそれぞれ複数の化学官能基を含む場合、これらの化学官能基は、互いに異なるか、又は同一であってよい。これらの化学官能基は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21に沿って定義された距離に配置されることで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21が超分子相互作用の特定の、短距離、および幾何学的に定義された性質にもかかわらず、レジスタ内で共集合できるようにすることが特に好ましい。
【0084】
本発明の別の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH) -、-NH-C(=O)-O-、-NH-C (=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH) -S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH) -NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(= NH)-NH-からなる群、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群、とりわけ-C(=O) -NH-及び-NH-C(=O)からなる群より独立して選択される少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基を含むオリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴウレア及び/又は多官能性環状又は多環式及び/又は分岐部分を含む。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、オリゴペプチド及び/又はオリゴアミドを含む。
【0085】
上記のように、少なくともオリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴウレア及び/又は多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分を含むセグメントは、非共有結合、特に水素結合を形成することができる少なくとも2つの相互作用部位を含むダイトピックセグメントである。
【0086】
したがって、一実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.官能化ポリマー10であり、少なくとも1つのポリエステルセグメント13及び少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む、両者は(それぞれ)、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S) -NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群より独立して選択される少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基を含む、オリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴウレア及び/又は多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分含む、
b.凝集添加剤20であり、少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む、添加剤凝集セグメント21は-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH) -、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH) -S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群より独立して選択される少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基を含むオリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴウレア及び/又は多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分含む、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、及び、ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は10,000g/molから500,000g/molである。本実施形態において、凝集添加剤20は、好ましくは単分散である。
【0087】
好ましくは、前記オリゴペプチドは1から10個、特に2から5個のペプチド単位を含む、前記オリゴアミドは1から10個、特に2から5個のアミド単位を含む、前記オリゴウレタンは1から10個、特に2から5個のウレタン単位を含む、前記オリゴウレアは1から10個、特に2から5個のウレア単位を含む、及び/又は前記多機能環状又は多環及び/又は分岐部分は、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S) -O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群、とりわけ-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)からなる群より独立して選択される2から6つ、特に3つの化学官能基を含む。
【0088】
上記の実施形態において、多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分の少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基は、好ましくは同一であり、-C(=O)-NH、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S) -、-NH-C(=NH) -、 -NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群、特に-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群より選択される。
【0089】
前記オリゴペプチド、前記オリゴアミド、前記オリゴウレタン及び前記オリゴウレアの単位は、天然アミノ酸、合成アミノ酸、二酸、ジアミン、イソシアネート、アルコール、アミン、及びそれらの混合物からなる群より選択される構成要素から構成されてもよい。前記天然アミノ酸は、当業者に知られている。天然アミノ酸には、特にアラニンとグリシンが含まれる。合成アミノ酸は好ましくは構造HOOC-R1-NH2を有する、ここでR1は2から15個の炭素原子を有する炭化水素基である、特にそれらはベータアラニン、3-アミノプロパン酸、4-アミノブタン酸、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、p-アミノ安息香酸、又はm-アミノ安息香酸からなる群より選択される。二酸は好ましくは構造HOOC-R2-COOHを有する、ここで、R2は1から15個の炭素原子を有する炭化水素基である、特にそれらはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバコイン酸、ウンデカンデ二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、p-テレフタル酸、m-テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、及び1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボン酸からなる群より選択される。ジアミンは好ましくは構造H2N-R3-NH2を有する、ここで、R3は1から15個の炭素原子を有する炭化水素基である、特にそれらはテトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4- ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニルからなる群より選択される。ジイソシアネートは、好ましくは、構造OCN-R4-NCOを有する、ここで、R4は1から15個の炭素原子を有する炭化水素基である、特に、それらは、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、及びジフェニルメチレンジイソシアネートからなる群より選択される。ジオールは、好ましくは構造HO-R5-OHを有する、ここで、R5は2から15個の炭素原子を有する炭化水素基である、特にそれらは、エタンジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジヒドロキシベンゼン、4,4'-ジヒドロキシ-1,1'-ビフェニル、及びビスフェノールAからなる群より選択される。
【0090】
前述の繰り返し単位のいずれが前記オリゴペプチド、前記オリゴアミド、前記オリゴウレタン、及び前記オリゴウレアに適用可能であるかは当業者には明白である。特に、オリゴペプチドはアミノ酸を組み合わせることによって得ることができ、オリゴアミドはアミノ酸及び/又は二酸及び/又はジアミンを組み合わせることによって得ることができ、オリゴウレタンは、ジイソシアネートとジオールを組み合わせることで得ることができ、オリゴウレアはジイソシアネートとジアミンを組み合わせることで得られることは、当業者にとって明白である。当然、混合オリゴアミド-オリゴウレアを提供するために、ジアミンと二酸及びジイソシアネートなどの他の組み合わせも考えられる。
【0091】
-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(= NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O) -O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O) -NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群より独立して選択される少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基を含む多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分は、それぞれのポリカルボン酸ポリアミン誘導体、ポリオール、ポリチオール誘導体、又は構成要素として異なる官能基を持つ誘導体から構成することができる。特に、多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分は、ポリカルボン酸に由来するアミド、ポリアミンに由来するアミド及びウレア、又はポリオールに由来するウレタンに基づいてよい。
【0092】
ポリカルボン酸は、好ましくは構造R6-(COOH)aを有する、ここで、R6は2から20の炭素原子を有する炭化水素基であり、aは3から6の整数である、特にそれらはベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ベンゼン-1,2,3,4,5-ペンタカルボン酸、ベンゼン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボン酸、1,1'-ビフェニル-3,4',5-トリカルボン酸、1,1'-ビフェニル-3,3',5,5'-テトラカルボン酸、[1,1':4',1"]テルフェニル-3,3",5,5 "-テトラカルボン酸、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン、3,3',5,5'-テトラカルボキシジフェニルメタン、1,3,5-s-トリアジン-2,4,6-トリカルボン酸、2,4,6-トリス(4-カルボキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,1,2-エタントリカルボン酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸(クエン酸)、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、及び1,3,5-ペンタントリカルボン酸からなる群より選択される。
【0093】
ポリアミンは、好ましくは構造R7-(NH2)bを有する、ここで、R7は2から20の炭素原子を有する炭化水素基であり、bは3から6の整数である、特にそれらは1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベンゼン、2,4,6-トリアミノトルエン、1,2,4,5-テトラアミノベンゼン、1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5-トリアミノシクロヘキサン、3,3',4,4'-テトラアミノ-1,1'-ビフェニル、N,N,N-トリス(2-アミノエチル)アミン、N,N,N -トリス(3-アミノプロピル)アミン、及びN,N,N',N'-テトラキス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミンからなる群より選択される。
【0094】
ポリオールは好ましくは構造R8-(OH)cを有する、ここでR8は2から20の炭素原子を有する炭化水素基であり、cは3から6の整数である、特にそれらは1,3,5-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、特に2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、特に2,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、特に3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸及び2,3,4-トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6-トリヒドロキシトルエン、3,4,5-トリヒドロキシトルエン、2,3,5,6-テトラヒドロキシ-1,4-キノン、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロキシシクロヘキサン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)メタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、及びペンタエリスリトールからなる群より選択される。
【0095】
前述の構成要素からアミド、ウレタン、又はウレアをどのように調製するかは当業者には明白である。特に、アミドは、上記のポリカルボン酸をアミンと組み合わせることによって、又は上記のポリアミンをカルボン酸誘導体と組み合わせることによって調製することができ、ウレタンは、上記のポリオールをイソシアネートと組み合わせることによって調製できることができ、ウレアは上記のポリアミンをイソシアネートと組み合わせることによって調整できることは、当業者にとって明白である。混合官能基を有する部分は当然、異なる官能基を有する分子をそれぞれのアミン、カルボン酸誘導体又はイソシアネートと組み合わせることによって、例えばクエン酸をアミン及びイソシアネートと組み合わせることによって調製することができる。
【0096】
本発明の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH) -、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からからなる群、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からからなる群、とりわけ-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群より選択される少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基を含むオリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴウレア及び/又は多官能性環状又は多環式及び/又は分岐部分を含む、ここで、前記オリゴペプチド、前記オリゴアミド、前記オリゴウレタン、前記オリゴウレア、又は前記多機能官能的環状又は多環式及び/又は分岐部分は、上記のようにそれぞれの構成要素から構成される。
【0097】
本発明の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH) -、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH) -S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からからなる群、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O) -NH-からからなる群、とりわけ-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群より選択される少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基を含むオリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレア及び/又は多官能性環状又は多環式及び/又は分岐部分を含む、ここで、前記オリゴペプチド、前記オリゴアミド、前記オリゴウレア、又は前記多機能官能的環状又は多環式及び/又は分岐部分は、上記のようにそれぞれの構成要素から構成される。
【0098】
本発明の別の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、構造(-C(=O)-R9-NH-)d、構造(-C(=O)-R10-C(=O)NH-R11-NH-)e、構造(-C(=O)-NH-R12-NH-C(=O)-O-R13-O-)f、構造(-C(=O)-NH-R14-NH-C(=O)-NH-R15-NH-)g又は構造D(-Z-)oを有する部分を含む、ここで、
dは1から10、特に2から5の整数である、R9は-C6H4-又は(-CR16H-)hである、ここで、hは1から6、特に1又は2の整数である、各R16は独立してH又はMeである、
eは1から10、特に2から5の整数である、R10は-C6H4-又は(-CH2-)iである、ここで、iは1から6の整数である、R11は-C6H4-又は-CH2C6H4CH2-又は(-CH2-)jである、ここでjは1から6の整数である、
fは1から10、特に2から5の整数である、R12は-C6(Me)H3-又は(-CH2-)kである、ここで、kは1から6の整数である、R13は-C6H4-又は(-CH2-)lである、ここで、lは1から6までの整数である、
gは1から10、特に2から5の整数である、R14は-C6(Me)H3-又は(-CH2-)zである、ここで、zは1から6の整数である、R15は-C6H4-又は-CH2C6H4CH2-又は(-CH2-)yである、ここで、yは1から6までの整数である、
oは3から6までの整数、特に3である、Dはベンゼン又はシクロヘキサン又は1,3,5-トリアジン部分である、各Zは-C(=O)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)- 、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、及び-O-C(=O)-NH-からなる群より、より好ましくはC(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群より、さらにより好ましくは-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群より独立して選択される。本実施形態において、すべての-Z-は好ましくは同一である。
【0099】
一価、二価、又は多価オリゴマーの構成要素又は多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分に由来する相互作用部位に加えて、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21もまた、それぞれ、追加の相互作用部位を提供する可能性のある化学官能基を含んでもよい。好ましくは、前記追加の化学官能基は、-O-、-NH-、-S-、-C(=O)-、-C(=S)-、及びC(=NH)-からなる群より、より好ましくは-NH-及び-C(=O)-からなるより独立して選択される。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、1つ又は2つの追加の化学官能基を含む。
【0100】
本発明の一実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21は線形である。本実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12は、多分散又は単分散、特に単分散である、及び/又は少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21は、多分散又は単分散、特に単分散である。例えば、ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21は、正確な数nの繰り返し単位及び定義されたモル質量を有する単分散オリゴマーに基づくことができる、又はそれらは短い多分散セグメント、すなわち、繰り返し単位の数nが異なり、数平均重合度n(エニュ)=1~10のモル質量分布を持つオリゴマーの混合物であってよい。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、単分散オリゴマーに基づくが、これは、それらの凝集、特にそれらの協調的なレジスタ内の共同アセンブリは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の同一又はさらに短い長さ、及び/又は材料中におけるポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の同一又はさらに低い総濃度で、より高い解離温度とより鋭い解離遷移を持ち、ヒステリシスが減少した、幾何学的に定義された凝集体をもたらすからであり、なぜなら、多分散混合物は、主に凝集体と凝集に不利なポリエステルマトリックスとの間の界面エネルギーの寄与の増加に起因する融点低下及び不均一性の影響を受けるからである。例えば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、一価、二価、又は多価のオリゴマー、特に単分散オリゴマーを含むか、又はそれらから構成されてよい。二価オリゴマーは、特に、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリオグルエタン、又はオリゴウレアであることができる構造-Un-を有することができる、ここで、n個の繰り返し単位Uの構成要素は、任意の天然又は合成アミノ酸、二酸、ジアミン、ジオール、及び/又はジイソシアネートから選択することができる。異なる種類の繰り返し単位Uを組み合わせることも可能である。繰り返し単位Uの好ましい数はn = 1~10である。セグメントは10ユニットを超えて含むべきではなく、これは高温では分解が発生し、凝集は遅すぎる時間スケールで発生し、可逆的で動的解離と再結合によるエラー訂正は、速度論的に妨げられるからである。
【0101】
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、異なる又は同一であるように選択することができる。ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの付加的凝集セグメント21が線形で異なる場合、それらは、好ましくは、同じ数n又は数平均数n(エニュ)の繰り返し単位を持つことが好ましい。これにより、より良好な協調性、レジスタ内の共同アセンブリ、したがって比較的高い解離温度と、ヒステリシスが低減されたより鋭い解離遷移が保証される。さらにより好ましくは、共集合に関与する化学官能基を同じ距離に配置する繰り返し単位の同じ数n又は数平均数n(エニュ)を有するポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の組み合わせであり、これもまた、より優れた協調的なレジスタ内の共同アセンブリが保証し、したがって、比較的高い解離温度と、ヒステリシスが低減されたより鋭い解離遷移が保証される。さらにより好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、同一であるように選択されることであり、これにより、より優れた協調的なレジスタ内の共同アセンブリがさらに確実になり、したがって、比較的高い解離温度と、ヒステリシスが低減されたより鋭い解離遷移が保証される、なぜならポリマー凝集セグメント11、12が添加剤凝集セグメント21とは異なる混合物は、得られる凝集体の融点低下の影響を受けるからである。
【0102】
したがって、好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、上記で定義されたオリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、及び/又はオリゴウレアを含む。より好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、上記で定義されたオリゴペプチド、オリゴアミド、及び/又はオリゴウレアを含む。
【0103】
本発明の別の実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、構造D(-Z-)xを有する基を含む、ここで、Dは、多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分である、Zは、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、- C(=NH)-NH-、- NH-C(=O)- 、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)- 、- NH-C(=O)-O-、- NH-C(=S)-O-、- NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、-S-C(=NH)-NH-からなる群より、好ましくは-C(=O) -NH-、-NH-C(=O)- 、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群より、とりわけ-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群より選択される、xは2から6までの整数である。好ましくは、多機能環状又は多環式及び/又は分岐部分は、上記で定義された通りである。好ましい実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21はそれぞれ、構造D(-C(=O)-NH-)3又はD(-NH-C(=O)-)3を有する基を含む、ここで、Dはベンゼン、シクロヘキサン又は1,3,5-トリアジンコアである。
【0104】
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、キラル又はアキラルになるように選択することができる。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21が線形である場合、それらは好ましくはキラルである。線形キラルセグメントの拡張ナノ構造への共集合は、超分子ヘリシティの出現に関連していると考えられており、これは横方向の相互作用を抑制し、したがって、1つの拡張次元のみを有するナノ構造の形成をサポートする。キラル又はアキラルポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21が環状又は多環及び/又は分岐コアに基づく場合、このコアは、1つの拡張次元のみを有するナノ構造の形成に有利になるように選択する必要がある。いずれの場合も、この1つの拡張次元のみを有するナノ構造の形成は好ましいと見なされる、なぜなら、これはポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21から形成された凝集体31のポリエステルマトリックス中の分散に有利であり、ポリマー凝集セグメント11、12との相互作用なしに、その少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21の自己組織化に基づいて、凝集添加剤20がマトリックス中で結晶化する可能性を不利にするからであり、これは、相分離及び劣った巨視的特性をもたらす。
【0105】
本発明による官能化ポリマー10については、ポリマー凝集セグメント11、12の前述の特徴が同様に適用される。
【0106】
<組成物>
【0107】
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成できるように設計される。好ましくは、凝集体31は水素結合によって形成される。本発明の一実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31は、組成物中に形成される。凝集体31は、特に、組成物の調製中に組成物中に形成されてよい。より具体的には、凝集体31は、官能化ポリマー10、凝集添加剤20及び任意のさらなる成分との混合中に形成されてよい。好ましくは、前記混合は、溶液中又は溶融物中で行われる。したがって、本発明の一実施形態において、組成物は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を含む。
【0108】
好ましくは、凝集体31は、1次元又は2次元、特に1次元に延びる。一次元又は二次元に延びる凝集体31は、特に、この次元又はこれらの次元において多数、より具体的には少なくとも30又は少なくとも50の繰り返し単位を有してもよい。他方、一次元又は二次元に延びる凝集体31は、特に、その次元又はそれが伸びない次元において、少数、より具体的には5未満の繰り返し単位、特に2つ又は1つの繰り返し単位を有してよい。
【0109】
この場合の繰り返し単位は、特に、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21であってよい。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21が線形である場合、構造は、いずれもねじることができるテープ又ははしごであってよく、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、はしごの横木を形成する。2つ以上のそのようなテープ又ははしごは、それらの面とさらに凝集して、繊維状の凝集体を形成してよい。一実施形態において、凝集体31はテープ状の構造である。別の実施形態において、凝集体31は繊維状凝集体である。
【0110】
テープ状又は繊維状の凝集体31は、一次元に伸ばすことができ、特に、50nmを超える、とりわけ100nmを超える長さスケールで1つの特徴的な長さを有してよい。他の2つの次元では、テープ状又は繊維状の凝集体31のサイズは、少数の繰り返し単位、特に5つ未満の繰り返し単位、より具体的には2つ又は1つの繰り返し単位によって制限されることがある。したがって、テープ状又は繊維状の凝集体31は、他の2つの次元では、20nm未満、特に10nm未満の直径を有してよい。
【0111】
別の実施形態では、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、2次元に延びるラメラ構造を生じさせる。この実施形態において、凝集体31はラメラ構造である。前記ラメラ構造は、特に、50nmを超える、特に100nmを超える長さスケールで2つの特徴的な長さを有してよい。他の次元では、層状凝集体31のサイズは、少数の繰り返し単位、特に5つ未満の繰り返し単位、より具体的には2つ又は1つの繰り返し単位によって制限されてよい。したがって、層状凝集体31は、20nm未満、特に10nm未満の厚さを有してよい。テープ状又は繊維状凝集体31及び層状凝集体31の両方について、繰り返し単位は、特に、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21であってよい。
【0112】
好ましくは、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%又は少なくとも90重量%の凝集添加剤20が、いずれの場合も、組成物中の凝集添加剤20の総重量に基づいて、ポリマー凝集セグメント11、12も含む凝集体31の一部として組成物中に存在する。
【0113】
本発明による組成物は、官能化ポリマー10及び凝集添加剤20を含む。前記組成物は、官能化ポリマー10及び凝集添加剤20から構成されてよい。前記組成物は、本明細書に記載されているようなただ1つのタイプの凝集添加剤20又はいくつかの異なるタイプの凝集添加剤20から構成されてよい。さらに、前記組成物は、さらなるポリマー及び/又は他の添加剤を含んでよい。前記組成物は、特に、官能化されていないポリエステルを含んでよい。前記組成物が非官能化ポリエステルを含む場合、それは好ましくはポリエステルセグメント13と混和性であるか、又は同一である。本発明の実施形態において、前記組成物は、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレン-セバケート-co-ブチレンテレフタレート)(PBSeT)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート-co-ブチレンテレフタレート)(PBST)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、ポリ(DL-乳酸)(PDLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、及びそれらの混合物及び共重合体からなる群より選択される非官能化ポリエステルを含む。前記組成物はまた、無機充填剤、有機充填剤、顔料、染料、難燃剤、耐候剤、酸化防止剤及びそれらの混合物からなる群より選択されるさらなる添加剤を含んでよい。前記組成物がさらなるポリマーを含む場合、このポリマーは、好ましくは、官能化ポリマー10のポリエステルセグメント13と同じタイプである。例えば、官能化ポリマー10のポリエステルセグメント13がポリ(カプロラクトン)である場合、前記さらなるポリマーは、好ましくはポリ(カプロラクトン)である。前記さらなるポリマーの分子量については、ポリエステルセグメント13に関する規定が適用されるものとする。
【0114】
本発明による組成物は、官能化ポリマー10を異なる量で含んでよい。したがって、組成物は、10から99.9重量%、特に20から99.9重量%、又は特に30から99.9重量%、40から99.9重量%、50から99.9重量%、60から99.9重量%、60から99重量%、60から98重量%、60から97重量%、60から96重量%又60から95重量%、70から95重量%又は80から95重量%の官能基ポリマー10を含んでよい。前記組成物は、特に、前記組成物が官能化ポリマー10及び凝集添加剤20のみを含む場合に、前述の量の官能化ポリマーを含んでよい。
【0115】
前記組成物はまた、その総重量に基づいて、10から99.9重量%、特に10から99重量%、10から95重量%、10から90重量%、10から85重量%、10から80重量%、10から75重量%、15から75重量%、15から70重量%、15から65重量%、15から60重量%、15から55重量%又は15から50重量%の官能基ポリマー10を含んでよい。前記組成物は、特に、前記組成物が官能化ポリマー10及び凝集添加剤20に加えてさらなる成分を含む場合に、前述の量の官能化ポリマーを含んでよい。
【0116】
前記組成物は、異なる量の凝集添加剤20を含んでよい。好ましくは、前記組成物は、その総重量に基づいて、20重量%以下、特に15重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下又は2重量%以下を構成する。本発明の別の実施形態において、前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて、0.1から20重量%、より好ましくは0.1から10重量%、さらにより好ましくは0.1から5重量%の量の凝集添加剤を含む。
【0117】
前記組成物は、異なる量の非官能化ポリエステルを含んでよい。本発明の一実施形態において、前記組成物は、その総重量に基づいて、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、又は50重量%以上の量の非官能化ポリエステルを含む。
【0118】
本発明による組成物の重要なパラメータは、前記組成物中のポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の総濃度である。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の前記総濃度は、以下のように計算される:
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の総濃度=(組成物中のポリマー凝集セグメント11、12の重量+組成物中の添加剤凝集セグメント21の重量)/(組成物の総重量)。
【0119】
好ましくは、前記組成物中のポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21の前記総濃度は、0.1重量%から20重量%、好ましくは1重量%から20重量%又は、1重量%から15重量%、1重量%から10重量%又は1重量%から5重量%の範囲である。
【0120】
<好ましい実施形態>
【0121】
好ましい実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、
b.ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ダイトピックである、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、
ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/である、及び
ここで、前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて10重量%から99.9重量%の量の官能化ポリマー10を含む。
【0122】
別の好ましい実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び水素結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、
b.水素結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、好ましくはダイトピックである、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、及び
ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/である。
【0123】
別の好ましい実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、
b.ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ダイトピックである、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、
ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである、及び
ここで、ポリエステルセグメント13は、ポリ(イプシロン-カプロラクトン)である。
【0124】
別の好ましい実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、
b.ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ダイトピックである、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、及び
ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、55,000g/molから95,000g/molである。
【0125】
別の好ましい実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、
b.ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ダイトピックである、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、
ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである、及び
ここで、前記組成物は、非官能化ポリエステルを含む。
【0126】
別の好ましい実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つ、特に少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、
b.ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ダイトピックである、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計される、
ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである、及び
ここで、前記組成物は、無機充填剤、有機充填剤、顔料、染料、難燃剤、耐候剤、酸化防止剤及びそれらの混合物からなる群より選択されるさらなる添加剤を含む。
【0127】
好ましくは、上記の好ましい実施形態において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、水素結合が可能であり、特に、それらは、独立して2から4つのペプチド(-C(=O)-NH-)又はアミド(-C(=O)-NH-)基を含む。このような凝集セグメントは、柔軟な方法で処理できる組成物を生成し、特に室温で機械的特性が改善された材料を生成することが証明されている。
【0128】
さらに、官能化ポリマー10、凝集添加剤20、ポリマー凝集セグメント11、12、添加剤凝集セグメント21、及び前記組成物についての上記の詳細は、上記の好ましい実施形態にも適用される。さらに、凝集添加剤20、官能化ポリマー10、及びそれらの組成物のより具体的な例を以下に記載する。
【0129】
本発明の好ましい実施形態において、凝集添加剤20は、構造R'-X'-R''を有する、ここで、X'は、非共有結合を形成することができる添加剤凝集セグメント21である、R'及びR''は、 好ましくは前記組成物中の凝集添加剤20の溶解性を提供するのに役立つ末端基22である、より好ましくは、R'及びR''は、上記にリストされた追加の基22から選択される。
【0130】
本発明の別の好ましい実施形態において、凝集添加剤20は、構造R20-A1-U1-C(=O)-R21を有する、ここで、
R20は、2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル、2-ヘキシルオクタニル、2-オクチルデシル、1-メチルエチル、1-エチルプロピル、1-プロピルブチル、1-ブチルペンチル、1-ペンチルヘキシル、1-ヘキシルヘプチル、1-ヘプチルオクチル、1-オクチルノニル、1-ノニルドシル、1-ドシルウンデシル、1-ウンデシルドデシル、及び1-ドデシルトリデシル、好ましくは2-エチルヘキシル基又は2-オクチルドデシル基、からなる群より選択される分岐アルキル基である、
A1は共有結合、-C(=O)-、-O-又は-NH-、好ましくは-NH-である、
U1は、1から5つの天然及び/又は合成アミノ酸、特にアラニン、グリシン、ベータアラニン、3-アミノプロパン酸、4-アミノブタン酸、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、p-アミノ安息香酸、又はm-アミノ安息香酸を含むオリゴペプチドである、好ましくは2から5つのアラニンを含む、及び
R21は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基からなる群より選択される、好ましくはメチル基である。
【0131】
本発明の別の好ましい実施形態において、凝集添加剤20は、構造R20-A1-U2-B1-R21を有する、ここで、
R20、A1及びR21は、上記で定義されたとおりである、
B1は、共有結合、-C(=O)-、-NH-及び-O-からなる群より選択される、及び
U2は、二酸及びジアミンを含む1から5つの繰り返し単位を含むオリゴアミドである、好ましくはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼラン酸、セバコ酸、ウンデカンデ二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、p-テレフタル酸、m-テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボン酸、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニルから構成される。
【0132】
本発明の別の好ましい実施形態において、凝集添加剤20は、構造R20-A2-U3-B2-R21を有する、ここで、
R20、R21は上記で定義されたとおりである、
A2は、共有結合、-C(=O)-、-NH-及び-O-からなる群より選択される、好ましくは-NH-又は-O-である、
B2は、共有結合、-C(=O)-、-NH-及び-O-からなる群より選択される、好ましくは-NH-又は-O-である、及び
U3は、ジイソシアネートとジオールを含む1から5つの繰り返し単位を含むオリゴウレタンである、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、エタンジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ベンゼン-1,4-ジオール、及びビスフェノールAから構成される。
【0133】
本発明の別の好ましい実施形態において、凝集添加剤20は、構造R20-A2-U4-B2-R21を有する、ここで、
R20、A2、B2、及びR21は上記で定義されたとおりである、及び
U4は、ジイソシアネートとジアミンからなる2から5つの繰り返し単位を含むオリゴウレアである、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、ジフェニルメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、 1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニルから構成される。
【0134】
本発明の別の好ましい実施形態において、凝集添加剤20は構造D1(-Z1-R22)3を有する、ここで、
各R22は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、フェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert-ブチルベンジル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群より選択される、好ましくは2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、及び1-ヘプチルオクチル基からなる群より選択される、より好ましくは2-オクチルドデシル基である、
D1はベンゼン、シクロヘキサン又は1,3,5-トリアジン部分である、好ましくはベンゼンコアである、及び
Z1は、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NH、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群より選択される、好ましくは-C(=O)-NH-又は-NH-C(=O)-である。
【0135】
本発明の別の好ましい実施形態において、官能化ポリマー10は、構造R21-B1-U1-A1-Q1-A1-U1-B1-R21を有する、ここで、
R21、U1、A1、及びB1は上記で定義されたとおりである、及び
Q1は、数平均分子量が20,000g/molから500,000g/mol、特に55,000g/molから95,000g/molであるポリエステルセグメントである、好ましくはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレン-セバケート-co-ブチレンテレフタレート)(PBSeT)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネートco-ブチレンテレフタレート)(PBST)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、ポリ(DL-乳酸)(PDLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、及びそれらの共重合体からなる群より選択される。より好ましくは、Q1は、数平均分子量が20,000g/molから500,000g/mol、特に55,000g/molから95,000g/molであるポリ(イプシロン-カプロラクトン)セグメントである。
【0136】
本発明の別の好ましい実施形態において、官能化ポリマー10は、構造R21-B1-U2-A1-Q1-A1-U2-B1-R21を有する、ここで、
R21、U2、A1、B1、及びQ1は上記で定義されたとおりである。
【0137】
本発明の別の好ましい実施形態において、官能化ポリマー10は、構造R21-B2-U3-A2-Q1-A2-U3-B2-R21を有する、ここで、
R21、U3、A2、B2、及びQ1は上記で定義されたとおりである。
【0138】
本発明の別の好ましい実施形態において、官能化ポリマー10は、構造R21-B2-U4-A2-Q1-A2-U4-B2-R21を有する、ここで、
R21、U4、A2、B2、及びQ1は上記で定義されたとおりである。
【0139】
本発明の別の好ましい実施形態において、官能化ポリマー10は、構造(R22-Z1-)2D1-Z2-Q1-Z1-D1(-Z2-R22)2を有する、ここで、
R22、Z1、D1、及びQ1は、上記で定義されたとおりである、
Z2は、-NH-C(=O)- 、-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O及び-NH-C(=O)-NH-からなる群より選択される、好ましくは-NH-C(=O)-又はC(=O)-NH-である。
【0140】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明は、構造R20-A1-U1-C(=O)-R21を有する凝集添加剤20を含む組成物を提供する、ここで、
R20、A1、U1、及びR21は上記で定義されたとおりである、
構造R21-B1-U1-A1-Q1-A1-U1-B1-R21を有する官能化ポリマー10、ここで、
R21、U1、A1、B1、及びQ1は上記で定義されたとおりである。
【0141】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明は、構造R20-A1-U2-B1-R21を有する凝集添加剤20を含む組成物を提供する、ここで、
R10、A1、B1、U2、及びR11は上記で定義されたとおりである、
構造R21-B1-U2-A1-Q1-A1-U2-B1-R21を有する官能化ポリマー10、ここで、
R21、U2、A1、B1、及びQ1は上記で定義されたとおりである。
【0142】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明は、構造R20-A2-U3-B2-R21を有する凝集添加剤20を含む組成物を提供する、ここで、
R20、A2、B2、U3、及びR21は上記で定義されたとおりである、
構造R21-B2-U3-A2-Q1-A2-U3-B2-R21を有する官能化ポリマー10、ここで、
R21、U3、A2、B2、及びQ1は上記で定義されたとおりである。
【0143】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明は、構造R20-A2-U4-B2-R21を有する凝集添加剤20を含む組成物を提供する、ここで、
R20、A2、B2、U4、及びR21は上記で定義されたとおりである、
構造R21-B2-U4-A2-Q1-A2-U4-B2-R21を有する官能化ポリマー10、ここで、
R21、U4、A2、B2、及びQ1は上記で定義されたとおりである。
【0144】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明は、構造D1(-Z1-R22)3、を有する凝集添加剤20を含む組成物を提供する、ここで、
R22、Z1、及びD1は上記で定義されたとおりである、
構造(R22-Z1-)2D1-Z2-Q1-Z1-D1(-Z2-R22)2を有する官能化ポリマー10、ここで
R22、Z1、Z2、D1、及びQ1は上記で定義されたとおりである。
【0145】
上記にリストされた本発明による組成物の好ましい実施形態において、前記組成物は特に、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレン)フラノエート)(PEF)、ポリ(ブチレンフラノエート)(PBF)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(ブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレン-セバケート-co -ブチレンテレフタレート)(PBSeT)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート-co-ブチレンテレフタレート)(PBST)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、ポリ(DL-乳酸)(PDLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、及びそれらの混合物及び共重合体からなる群より選択される追加のポリマーも含んでよい。好ましくは、前記追加のポリマーは、ポリエステルセグメントQ1又は同じポリマーと混和性である。したがって、例えば、Q1がポリ(イプシロン-カプロラクトン)である場合、好ましくは前記追加のポリマーもポリ(イプシロン-カプロラクトン)である。
【0146】
<本発明の他の特徴>
【0147】
本発明はまた、少なくとも1つのポリエステルセグメント13、及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10を提供する、ここで、ポリマー凝集セグメント11、12はダイトピックであり、凝集体を形成することができるように設計される、ここで、ポリエステルセグメント13の数平均分子量は、10,000g/molから500,000g/molである。この官能化ポリマー10については、本発明による組成物の官能化ポリマー10についての上記の規定が対応して適用される。
【0148】
本発明はまた、本発明による組成物又は本発明による官能化ポリマー10を提供すること、及び熱エネルギー及び/又は機械的エネルギーを加えることによってシート、フィルム、繊維、又は成形部品を形成することを含む、シート、フィルム、繊維、又は成形部品の製造方法を提供する。
【0149】
上記の方法ステップは、任意の順序で実施することができるが、好ましくは、上記の順序で実施する。
【0150】
本発明の方法の一実施形態において、シート、フィルム、繊維、又は成形部品は、剪断力及び/又は延伸力を加えることによって製造する。
【0151】
剪断力及び/又は延伸力は、本発明による方法において、tダイシート形成及び/又はその後の連続的二軸延伸によって、又は特にシートの製造のためのその後の熱成形ステップによって、加えることができる。
【0152】
剪断力及び/又は延伸力はまた、本発明による方法において、特にフィルムの製造のためのフィルムブロー法によって加えることができる。
【0153】
剪断力及び/又は延伸力はまた、本発明による方法において、特に繊維の製造のための溶融紡糸によって加えることができる。
【0154】
剪断力及び/又は延伸力はまた、本発明による方法において、特に成形部品の製造のための射出成形によって加えることができる。
【0155】
本発明による方法におけるシート、フィルム、繊維、又は成形部品の製造中、ポリエステルセグメント13は、好ましくは、異方性に配向される。したがって、本発明の方法の一実施形態において、シート、フィルム、繊維、又は成形部品は、ポリエステルセグメント(13)を含むポリエステル相を有する、ここで、前記ポリエステル相は、配向係数<P2>又は0.1以上を有する。
【0156】
配向係数<P2>は、結晶学的反射又はアモルファスハローからの広角X線散乱(WAXS)によって決定することができる。例えば、PCLの場合、(110)面での反射を使用する。そして、反射の配向係数は次の式で計算される。
【数1】
である。
【0157】
上記の計算は、次のポランニー方程式を使用してフラット検出器の方位角反射角を補正した後に実行される:
【数2】
ここで、θ
110、θ、及びαは、それぞれ110平面のブラッグ散乱角及び補正前後の方位角を示す。式1を解くことにより、f
110の値は-0.5と0の二つの極値の間になる。描画方向に垂直な法線を有する110平面の完全配向の場合、f
110は0.5になるが、等方性サンプルの場合はランダムに配向された状態では、f
110は0になる。
【0158】
好ましくは、本発明の方法の別の実施形態において、官能化ポリマー10、凝集添加剤20、及び任意選択で、非官能化ポリエステル及び/又は充填剤などのさらなる添加剤が、シート、フィルム、ファイバー、又は成形部品を形成する前に、特に熱的エネルギー及び/又は機械的エネルギーを加えることによって、溶液中又は溶融物中で混合される。好ましくは、前記混合は、特に溶融物中で混合する場合、押出しによって行われる。
【0159】
本発明の方法の別の実施形態において、前記組成物は、シート、フィルム、繊維、又は成形部品の形成中に、高温で一方向又は二軸に引き伸ばされる。
【0160】
したがって、本発明はまた、本発明による組成物又は本発明による官能化ポリマー10を含むシート、フィルム、繊維又は成形部品を提供する。
【0161】
好ましくは、成形部品のシート、フィルム、繊維は発泡されたものである。
【0162】
好ましくは、シート、フィルム、繊維、又は成形部品において、ポリエステルセグメント13は異方性配向される。したがって、シート、フィルム、繊維、又は成形品は、ポリエステルセグメント13を含むポリエステル相を有する、ここで、前記ポリエステル相は、配向係数<P2>又は0.1以上を有する。
【0163】
ポリエステルセグメント13が異方的に配向されているシート、フィルム、繊維、又は成形部品の特定の例を以下に見出すことができる。
【0164】
本発明はさらに、本発明による組成物又は本発明による官能化ポリマー10を含むシートを提供する、ここで、前記シートは、例えば、tダイシート成形及び/又はその後の連続二軸延伸ステップ又はその後の熱成形ステップによって製造される。
【0165】
本発明はさらに、本発明による組成物又は本発明による官能化ポリマー10を含むフィルムを提供する、ここで、前記フィルムは、フィルムブローによって製造される。この場合、ポリエステルセグメント13の異方性は、ブロー比を変えることによって制御することができる。
【0166】
本発明はさらに、本発明による組成物又は本発明による官能化ポリマー10を含む繊維を提供する、ここで、前記繊維は溶融紡糸によって製造される。ポリエステルセグメント13の異方性は、回転速度及びその後の延伸条件を変更することによって制御することができる。
【0167】
本発明はさらに、本発明による組成物又は本発明による官能化ポリマー10を含む成形部品を提供する、ここで、前記成形部品は射出成形によって製造される。ポリエステルセグメント13の異方性は、型内の樹脂の速度勾配による剪断流整列によって制御することができる。
【0168】
本発明はまた、シート、フィルム、繊維、又は成形部品の製造のために、本発明による組成物又は本発明による官能化ポリマー10の使用を提供する。
【0169】
本発明の方法は、ベースポリエステルの上部固ゴム又は固液転移温度よりも大幅に高くなるように選択できる凝集セグメント11、12、21、Tdの凝集体の明確に定義された、融点又はガラス転移温度であってよい解離温度を超えた流動特性に悪影響を与えることなく、可逆的な物理的分岐、物理的架橋又は物理的鎖延長をポリエステルベースの材料に導入する一般的な手段を提供する。この解離温度Tdは、上記にリストされたポリエステルの熱機械的特性及び加工特性を改善するために、優先的には100℃から250℃の範囲にあり、より優先的には150℃から250℃の範囲にある。
【0170】
本発明による組成物は、対応する未修飾のベースポリエステルよりも改善された溶融強度及び/又は溶融弾性を有し得、(i)例えば、Gottfert “Rheotens“溶融強度テスターを使用してベースポリエステルの融点又はガラス転移温度を超える固定温度での溶融破壊強度の増加;(ii)ベースポリエステルの融点又はガラス転移温度を超える温度での振動せん断レオロジーにおけるゴム状プラトーの出現;(iii)固定周波数での動的温度スキャンにおけるゴム状プラトーの高温限界又は溶融転移に特徴的な貯蔵弾性率と損失弾性率の間のクロスオーバーの温度の上昇;(iv)キャピラリーレオメトリーによって決定された、ベースポリエステルの融点又はガラス転移温度を超える固定温度での見かけの伸長粘度の増加;(v)ベースポリエステルの融点又はガラス転移温度から物理的架橋又は分岐点の解離温度までの温度範囲におけるポリエステルの弾性特性の増加を反映する任意の他の技術、として定量化が可能である。
【0171】
組成物の溶融強度及び/又は溶融弾性の増加によって、特に線状形態では溶融強度が低く、したがって例えば熱成形、フィルムブローイング、又は物理的及び化学的発泡による処理が困難であることが最先端でよく知られている未変性のベースポリエステルよりも、前記組成物を熱成形用途での使用に適したものにする。利点には、ベースポリエステルよりも本発明による組成物のより広い温度処理ウィンドウが含まれる。本発明による組成物は、マーガリン容器、使い捨て飲料容器、又は冷蔵庫ライナー、浴室付属品及びレーダーハウジングなどの食品包装の品目の製造など、小部分及び大部分の熱成形に使用することができる。それらは改善されたブロー成形特性を示し、設備コストの削減につながり、例えば回転成形の代替として、リザーバーや燃料タンクなどの大型ブロー成形部品の製造を容易にする可能性がある。それらは、物理的又は化学的発泡剤のいずれかを使用して、未修飾のベースポリエステルよりも広い処理ウィンドウで発泡させることができ、連続気泡含有量の減少及びセル合体の減少など、絶熱及び包装の形態学的及び物理的特性が改善された発泡体を提供する。多くの線状熱可塑性ポリエステルの廃棄物ストリームは、使用中の分子量の減少のために現在ではリサイクルが困難である。ポリエステルを含む廃棄物ストリームをそれらの溶融強度及び/又は溶融弾性を改善することによって改変するための本発明の使用は、例えば、熱成形、フィルムブローイング又は物理的及び化学的発泡によるリサイクル物体の製造を容易にすることができる。
【0172】
本発明による組成物は、特に食品包装などの包装に使用することができる。本発明による組成物はまた、玩具の製造に使用することができる。
【0173】
本発明によって提供される剛性又は半剛性の線状熱可塑性ポリマーへの可逆的物理的分岐又は物理的架橋又は物理的鎖延長の導入は、及び長期間の使用に対応する使用温度の範囲を超える温度への一時的な暴露中に、任意の温度での低負荷速度又は使用温度の上限範囲内及び長期間の使用に対応する使用温度の範囲を超える温度への一時的な暴露中での低負荷速度から高負荷速度での負荷下での鎖の解きほぐしを妨害又は防止する。さらに、本発明は、アモルファス熱可塑性プラスチック及び半結晶性ポリマーにおいて、連続使用温度の範囲及び一時的な温度上昇に対する耐性を拡張することができる。ベースポリエステルよりもかなり高い温度まで熱的に安定している可逆的な物理的分岐又は物理的架橋又は物理的鎖延長の導入は、熱可塑性ポリマーに対して、加工特性を損なうことなく、場合によっては加工特性を改善しつつ、100°Cから250°C、好ましくは150°Cから250°Cの温度範囲まで高温強化を提供する可能性がある。これにより、ボンネット下の自動車部品(セミリジッドホース及びダクト、マニホールド、ケーシング、歯車)、滅菌可能なパッケージ、医療機器及び電子機器のパッケージなど、高温にさらされる必要のある用途でのそれらの使用範囲が広がり、それらにおける熱可塑性プラスチックの使用は通常、半芳香族ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエステル、又はポリエーテルなどのより高額な及び/又は処理がより高額となる高温耐性ポリマーに限定される。
【0174】
耐熱性の向上は、特に自動車産業では燃料、潤滑油、油圧システムのOリングシールやチューブ、ラジエーターシール、バルブステムシール、電気コネクタ、ホース、ダイヤフラム、ガスケット及びダクトなどのエラストマー用途にとって重要であり、より小さく、より高温のエンジンコンパートメントは、連続使用温度と過渡温度への暴露の両方に関してエラストマー特性にますます厳しい要件を課すが、電気及び電子産業、生物医学、航空及び他の産業でも同様である。本発明の方法は、化学的に安定な低ガラス転移ポリエステルに可逆的物理的架橋を導入する一般的な手段を提供することができ、その結果、得られた熱可塑性エラストマーは、下限がベースポイレスター特性によって決定される一方で上限が物理的架橋を生じさせる凝集体の低重量画分の解離温度によって決定される温度範囲でエラストマー挙動を示し、好ましくは、100°Cから250°C、特に150°Cから250°Cの範囲にあり、これは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM、最大連続使用温度150°C)に代表される市販の耐熱性加硫物の連続使用温度を超えており、ポリ(ジメチルシロキサン)などのより高価な高温加硫物と競合する。凝集体の明確に定義された解離温度のおかげで、改良された熱可塑性エラストマーは、射出成形、押出成形、熱成形、又は短いサイクルタイムでのフィルムブローイングなどの標準的な熱可塑性加工技術を使用して加工することができ、恒久的に架橋された加硫物とは対照的に、凝集体の解離温度を超える温度でリサイクルすることができ、熱可塑性を犠牲にしてのみ高温安定性を得ることができるように通常は遷移温度がドメインの体積に依存する幅広い解離遷移を伴う、明確に定義されていない剛体ドメインが含まれるポリウレタンやポリアミドエラストマーなどの既存の耐熱性熱可塑性ゴムと比較して、改善された高温圧縮永久歪み、強度及び破断点伸びを示す。
【0175】
図1は、ポリエステルセグメント13及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる末端基としての2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、並びに官能化ポリマー10のポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる1つの添加剤凝集セグメント21を含む、一致する凝集添加剤20との例示的な組み合わせから本発明による組成物がどのように得られるかについての概略概要を示す。この場合、11、12及び添加剤凝集セグメント21は自己相補的である。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21は、官能化ポリマー10のポリマー凝集セグメント11、12及び凝集添加剤20の添加剤凝集セグメント21の両方を含む組成物中の凝集体31に凝集する。この場合、凝集は協調的である。
【実施例】
【0176】
以下、本発明を実施例の形態で説明する。本発明は、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例に又はそれらによって限定されないことに留意されたい。以下の例における特性値は、以下の方法によって測定したものである。
【0177】
<材料>
【0178】
ヒドロキシ官能性ポリ(イプシロン-カプロラクトン)(HO-PCL-OH)(Mn=14,000、80,000、Sigma-Aldrich);ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、TCI);ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウム-ヘキサフルオロホスファト(PyBOP、GL Biochem(Shanghai)Ltd.); N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-グリシン(GL Biochem(Shanghai)Ltd.);N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-L-アラニン(GL Biochem(Shanghai)Ltd.); LiOH(Merck);1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl、Fluorochem);N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC, AlfaAesar);ピペリジン(AcrosOrganics)。溶媒はテクニカルグレードで、使用前に蒸留した。テトラヒドロフラン(THF)を、溶媒精製システム(PureSolv MD-5, Innovative Technology Inc.)で使用する前に乾燥させた;ジクロロメタン(DCM);ジメチルスルホキシド(DMSO);1,1,2,2-テトラクロロエタン(TCE);メタノール(MeOH)。
【0179】
2-ヘキシルデシルアミンを、文献で知られている手順(X. Guo, R. Ponce Ortiz, Y. Zheng, M.-G. Kim, S. Zhang, Y. Hu, G. Lu, A. Facchetti, T. J. Marks, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 13685-13697)に従って合成した。2-オクチルドデシルアミンを、文献で知られている手順(S. Liu, Z. Kan, S. Thomas, F. Cruciani, J-L. Bredas, P. M. Beaujuge, Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 12996-13000)に従って合成した;N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン及びN-アセチル-グリシル-グリシンを、文献で知られている手順(R. J. Cox, H. Jenkins, J. A. Schouten, R. A. Stentiford, K. J. Wareing, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 2000, 2023-2036)に従って合成した;5-(メトキシカルボニル)イソフタル酸を、文献で知られている手順(M. A. J. Veld, D. Haveman, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, Soft Matter 2011, 7, 524-531)に従って合成した;4-(ジメチルアミノ)ピリジニウム4-トルエンスルホネート(DPTS)を、文献で知られている手順(J. S. Moore, S. I. Stupp, Macromolecules 1990, 23, 65-70)に従って合成した。
【0180】
<方法>
【0181】
示差走査熱量測定(DSC)。 DSC測定を、TA Instruments Q100熱量計で、窒素流(50mL/分)下で10°C/分の走査速度で実施した。ポリマーの融解温度Tm及び凝集セグメントの解離温度Tdについて与えられたデータは、2回目の加熱スキャンから得た。対応するポリマー結晶化温度Tc及び凝集セグメントの会合温度Taは、最初の冷却スキャンから得た。
【0182】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)。GPC測定を、屈折率検出器を備えたAgilent 1260 Infinity GPC/SECシステムで実行した。溶離液としてTHFを使用した。
【0183】
熱重量分析(TGA)。熱重量分析をPerkinElmerTGA 4000で実施した。サンプル(3~11 mg)を高真空下で数日間乾燥させ、TGAチャンバー内で10°C/分のスキャン速度で30~900°Cに加熱した。分解の開始は、質量損失が10%になった温度で示される。
【0184】
プロトン核磁気共鳴(1H NMR)分光法。 NMR分光法を、Bruker Avance III400分光計で298K、周波数400MHzで実施した。スペクトルは、DMSO-d6(2.50ppm)、CDCl3(7.26ppm)、又はTCE-d2(6.00ppm)の残留溶媒ピークに合わせてキャリブレーションした。
【0185】
高分解能質量分析(HRMS)。HRMSを、ESI-TOF測定のためにQ-TOF Ultima(Waters)で実行した。
【0186】
動的せん断レオロジー。 レオロジー測定は、平行平板レオメーターAR 2000(TA Instruments)で実施した。15mmのアルミ板を使用し、板間の隙間は0.4~0.6mmの範囲であった。すべてのサンプルを、測定前にレオメーターに120~200°Cの範囲の温度で20分間ロードした。測定は、200°Cから-60°Cまで、3°C/分の冷却速度、1 rad/秒、10 rad/秒、又は100rad/秒の固定半径周波数、及び完全な測定中のひずみ振幅0.1%で実行した。
【0187】
極限引張試験。すべてのサンプルを、最初に5mLマイクロコンパウンダー(MC5、Xplore製)を使用して溶融押出プロセスにかけ、次に5.5mL射出成形機5.5ml(IM 5.5、Xplore製)を使用してドッグボーン型引張試験棒に射出成型した。
引張試験は、ASTM D1708規格に従って、クロスヘッド速度25mm/分でZwickZ10ユニバーサル試験機(UTM)にて実施した。与えられた組成の少なくとも3つの試験片をテストした。すべてのテストを周囲条件下で実行した。以下の機械的パラメータは、得られたままの応力-ひずみ曲線から決定した。弾性率(E)は、応力-ひずみ曲線の線形領域の勾配として計算した。降伏強度(σy)は、試験片が塑性変形し始める応力として定義される。極限引張強さ(σm)は、試験片が破損する前に耐えることができる最大応力として決定した。破断時のひずみ(ε)は、初期の長さに対する伸びの比率として決定した。引張靭性(W)は、破壊までの応力-ひずみ曲線の積分によって決定した。
【0188】
配向係数。各試験片の配向係数<P2>は、T. Kamal et al., Macromolecules 2012, 45, 8752に従って、PCL結晶の(110)面での反射からの広角X線散乱(WAXS)によって決定した。
【0189】
<官能化ポリマーの合成>
【0190】
ポリマー1:Ac-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 80,000)
【0191】
合成:構造NH-Ala-Ala-Acを有する2つのポリマー凝集セグメントで構成された機能性ポリマーAc-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn= 80000)を、アミン官能化ポリ(ε-カプロラクトン)(Mn = 80000)を溶媒としてのTHF中においてPyBOP促進ペプチドカップリング反応でN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンにカップリングすることによって合成した。
【0192】
アミン官能化ポリ(ε-カプロラクトン)(Mn = 80000)を、ヒドロキシ官能性ポリ(ε-カプロラクトン)(Mn = 80000)(30g)をDCM(200 mL)に溶解して合成した。N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-L-アラニン(0.43g、1.41mmol)、DPTS(0.27g、0.94mmol)、及びDCC(0.58g、2.82mmol)を加え、その反応混合物を室温で6日間撹拌した。その混合物をMeOHに沈殿させた。その沈殿物を高真空下で乾燥させて、Fmoc-Ala-O-PCL-O-Ala-Fmoc(Mn = 80000)を無色の固体(29g、97%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 7.77(d、4H)、7.61(m、4H)、7.41(m、4H)、7.34(m、4H)、5.40(d、2H)、4.40(m、2H)、4.08(t、568H)、2.32(t、568H)、1.68(m、1148H)、1.41(m、568H)ppm。
【0193】
Fmoc-Ala-O-PCL-O-Ala-Fmoc(Mn= 80000)(28g)をDCM(200 mL)に溶解し、ピペリジン(2.0g)を添加した。その反応混合物を室温で1日間撹拌し、次にMeOH(1.5L)中に2回沈殿させた。その沈殿物をMeOH及びヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、H2N-Ala-O-PCL-O-Ala-NH2(Mn = 8000)を無色の固体(26g、93%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 8.70(bs、4H)、4.00(t、3725H)、2.23(t、3697H)、1.58(m、7572H)、1.35(m、3687H)ppm。
【0194】
N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(0.13g、0.66mmol)、DIEA(0.11g、0.83mmol)、及びPyBOP(0.37g、0.72mmol)を、THF(380mL)中のH2N-Ala-O-PCL - O-Ala-NH2(Mn = 80000)(22g)の溶液に添加した。その反応混合物を室温で5日間撹拌し、次にMeOH(1.5L)中に2回沈殿させた。その沈殿物を収集し、ヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、Ac-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 80000)を無色の固体(21g、95%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 6.52(m、4H)、6.05(m、2H)、4.46(m、2H)、4.36(m、4H)、3.39(t、2273H)、2.24(t、2275H)、1.95(s、6H)、1.57(m、4667H)、1.34(m、2319H)ppm。
GPC:Mn = 89500g/mol;Mw = 135600g/mol;DM = 1.52。DSC:Tm = 56.3°C、Tc = 27.3°C。
【0195】
ポリマー2:Ac-Gly3-O-PCL-O-Gly3-Ac(Mn = 80000)
【0196】
合成:構造NH-Gly-Gly-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントで構成された機能性ポリマーAc-Gly3-O-PCL-O-Gly3-Ac(Mn = 80000)を、アミン官能化ポリ(ε-カプロラクトン)(Mn = 80000)を溶媒としてのTHF中においてPyBOP促進ペプチドカップリング反応でN-アセチル-グリシル-グリシンにカップリングすることによって合成した。
【0197】
アミン官能化ポリ(ε-カプロラクトン)(Mn = 80000)を、ヒドロキシ官能性ポリ(ε-カプロラクトン)(Mn = 80000)(50g)をDCM(300mL)に溶解して合成した。N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-グリシン(0.61 g、2.05mmol)、DPTS(0.29g、0.99mmol)、及びDCM(50mL)中のEDCI・HCLの溶液(3.67g、19.1mmol)を加え、その反応混合物を室温で2日間撹拌した。その溶液を真空で濃縮し、MeOH中に3回沈殿させた。その沈殿物を高真空下で乾燥させて、Fmoc-Gly-O-PCL-O-Gly-Fmoc(Mn = 80000)を無色の固体(46.6g、93%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 7.76(d、4H)、7.59(d、4H)、7.39(m、4H)、7.30(m、4H)、5.35(bs、4H)、4.39(d、4H)、4.14(m、6H)、4.05(t、792H)、2.30(t、792H)、1.63(m、1612H)、1.36(m、792H)ppm。
【0198】
Fmoc-Gly-O-PCL-O-Gly-Fmoc(Mn= 80000)(45g)をDCM(800 mL)に溶解し、ピペリジン(50 mL)を添加した。その反応混合物を室温で1日間撹拌し、次に真空下で濃縮し、MeOH(1.5L)中に2回沈殿させた。その沈殿物をMeOH及びEt2Oで洗浄し、高真空下で乾燥させて、H2N-Gly-O-PCL-O-Gly-NH2(Mn= 8000)を無色の固体(43.4g、96%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 9.39(bs、4H)、4.05(t、680H)、3.63(m、6H)、2.29(t、680H)、1.63(m、1356H)、1.36(m、680H)ppm。
【0199】
N-アセチル-グリシル-グリシン(0.22g、1.26mmol)、DIEA(0.4mL)、及びPyBOP(0.69g、1.33mmol)をTHF(200 mL)中のH2N-Gly-O-PCL-O-Gly-NH2(Mn = 80000)(10.0g)の溶液に添加した。その反応混合物を室温で15時間撹拌し、次に真空下で濃縮し、そしてMeOH(1.5L)中に2回沈殿させた。その沈殿物を収集し、MeOHで洗浄し、高真空下で乾燥させて、Ac-Gly3-O-PCL-O-Gly3-Ac(Mn = 8000)を無色の固体(7.92g、77%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 6.98(bs、2H)、6.88(bs、2H)、6.56(bs、2H)、4.01(t、2292H)、3.62(s、4H)、2.26(t、22840H)、2.00(s、6H)、1.60(m、4618H)、1.34(m、2284H)ppm。
【0200】
ポリマー3:BTA-O-PCL-O-BTA(Mn = 80000)
【0201】
合成:ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドの群からの2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む機能性ポリマーBTA-O-PCL-O-BTA(Mn = 80000)を、溶媒としてのTHF中においてPyBOP促進ペプチドカップリング反応でアミン官能化ポリ(ε-カプロラクトン)(Mn = 80000)を3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸にカップリングすることによって合成した。
【0202】
3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸を、5-(メトキシカルボニル)イソフタル酸(10.0g、44.0mmol)、2-エチルヘキサン-1-アミン(12.5g、96.3mmol)、及びPyBOP(50.6g、97.2mmol)をTHF(250mL)中で懸濁することによって合成した。DIEA(40mL)を加え、その反応混合物を室温で一晩撹拌し、その揮発性物質を真空下で除去した。その残留物を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル及びDCM/MeOH(100:1)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製した。中間体のメチル3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)ベンゾエートを無色の固体として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 8.48(d、2H)、8.38(t、1H)、6.44(t、2H)、3.94(s、3H)、3.39(m、4H)、1.56(m、2H)、1.37(m、4H)、1.41-1.27(m、12H)、0.90(m、12H)ppm。
【0203】
3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)ベンゾエート(5.58g、12.5mmol)をMeOH(60mL)に溶解した。LiOH(6.84g、28.6mmol)及び水(10mL)を加え、その反応混合物を室温で11時間撹拌し、次に1M HCl(0.4L)に沈殿させた。その沈殿物を収集し、水で洗浄し、溶離液として酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製した。3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸を無色の固体(5.22g、12.1mmol、97%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ= 8.70(t、2H)、8.51(s、2H)、8.46(s、2H)、3.20(t、4H)、1.57(m、2H)、1.38-1.22(m、16H)、0.87(m、12H)ppm。
【0204】
3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸(0.27g、0.62mmol)、DIEA(0.4mL)、及びPyBOP(0.71g、1.37mmol)をTHF(250mL)中のH2N-Gly-O-PCL- O-Gly-NH2(Mn = 80000)(8.38g)の溶液に添加した。その反応混合物を室温で4日間撹拌し、次に真空下で濃縮し、そしてMeOH(1.25L)中に2回沈殿させた。その沈殿物を収集し、MeOHで洗浄し、高真空下で乾燥させて、BTA-O-PCL-O-BTA(Mn = 8000)を無色の固体(8.4g、> 99%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 8.33(s、4H)、8.32(s、2H)、7.13(bs、2H)、6.55(bs、4H)、4.02(t、1636H)、3.62(s、4H)、2.27(t、1640H)、1.61(m、3270H)、1.34(m、1652H)、0.87(m、24H)ppm。
【0205】
ポリマー4:Ac-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 20000)
【0206】
合成:構造NH-Ala-Ala-Acを持つ2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む機能性ポリマーAc-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 20000)を、アミン官能化ポリ(δ-カプロラクトン)(Mn = 20000)を溶媒としてのTHF中においてPyBOP促進ペプチドカップリング反応でN-アセチル-L-アラニルにカップリングすることによって合成した。
【0207】
この目的のために、アミン官能化ポリ(δ-カプロラクトン)(Mn= 20000)を、ヒドロキシ官能化ポリ(δ-カプロラクトン)(Mn = 20000)(100g)をTHF(700 mL)に溶解することによって合成した。N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-L-アラニン(17.70g、113.6mmol)、DMAP(3.45g、28.2mmol)、及びDCC(35.3g、170.9mmol)を加え、その反応混合物を室温で3日間撹拌した。その混合物をMeOHに沈殿させた。その沈殿物を高真空下で乾燥させて、Fmoc-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Fmoc(Mn = 20000)を無色の固体(97g、97%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 7.80(d、0.02H)、7.61(m、0.03H)、7.41(m、0.03H)、7.34(m、0.04H)、5.42(bs、0.01 H)、4.40(brs、0.07H)、4.26(brs、0.10H)、4.08(t、1.98H)、2.32(t、2.00H)、1.68(m、4.26H)、1.41(m、2.13H)ppm。
【0208】
Fmoc-Ala-O-PCL-O-Ala-Fmoc(Mn = 20000)(95g)をDCM(400mL)に溶解し、ピペリジン(5.0 g)を添加した。その反応混合物を室温で1日間撹拌し、次にMeOH(1.5L)中に2回沈殿させた。その沈殿物をMeOH及びヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、H2N-Ala-O-PCL-O-Ala-NH2(Mn = 20000)を無色の固体(79g、83%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 4.09(t、1.94H)、3.92(t、0.03H)、3.57(m、0.02H)、2.33(t、2.00H)、1.67(m、4.26 H)、1.41(m、2.16H)ppm。
【0209】
N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-L-アラニン(7.35g、47.2mmol)、DIEA(3.78g、28.5mmol)、及びPyBOP(13.2g、25.7mmol)を、THF(700mL)中でH2N-Ala-O-PCL-O-Ala-NH2(Mn = 20000)(70g)の溶液に添加した。その反応混合物を室温で3日間撹拌し、次にMeOH(1.2L)中に2回沈殿させた。その沈殿物を収集し、ヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、Fmoc-Ala2-O-PCL-O-Ala2-Fmoc(Mn= 20000)を白色固体(70g、99%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 7.79(d、0.03H)、7.61(d、0.03H)、7.42(m、0.03H)、7.34(m、0.04H)、6.46(brs、0.01 H)、5.45(brs、0.01H)、4.58(t、0.02H)、4.07(t、1.89H)、2.33(t、2.00H)、1.67(m、4.26H)、1.41(m、2.21H)ppm。
【0210】
Fmoc-Ala2-O-PCL-O-Ala2-Fmoc(Mn= 20000)(69g)をDCM(400mL)に溶解し、ピペリジン(5.0 g)を添加した。その反応混合物を室温で1日間撹拌し、次にMeOH(1.5L)中に2回沈殿させた。その沈殿物をMeOH及びヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、H2N-Ala2-O-PCL-O-Ala2-NH2(Mn = 20000)を無色の固体(62g、90%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 7.73(brs、0.01H)、4.59(t、0.01H)、4.09(t、2.06H)、2.34(t、2.00H)、1.67(m、3.98H)、1.41(m、2.34H)ppm。
【0211】
N-アセチル-L-アラニン(1.76g、13.4mmol)、DIEA(2.16g、16.7mmol)、及びPyBOP(7.56g、14.5mmol)を、THF(500mL)中のH2N-Ala2-O-PCL-O-Ala2-NH2の溶液(Mn = 20000)(40g)に添加した。その反応混合物を室温で5日間撹拌し、次にMeOH(1.5L)中に2回沈殿させた。その沈殿物を収集し、ヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、Ac-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 20000)を白色固体(39g、98%)として得た。特性評価:1H-NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 6.60(m、0.02H)、6.13(m、0.01H)、4.47(m、0.04H)、4.09(t、1.90H)、2.33(t、2.00H)、2.04(s、0.07H)、1.67(m、3.94H)、1.41(m、2.14H)ppm;GPC:Mn= 22200g/mol;Mw = 29300g/mol;DM = 1.32。TGA:分解開始:387°C。DSC:Tm = 54.3°C、Tc = 24.4°C、Td = 82°C(最初の加熱曲線から決定)、Ta= 75°C。
【0212】
ポリマー5:Ac-Ala2-O-PCL-O-Ala2-Ac(Mn = 20000)
【0213】
<合成>
【0214】
塩化アセチル(0.88g、11.2mmol)、ピリジン(1.10g、13.9mmol)をTHF(300mL)中のH2N-Ala2-O-PCL-O-Ala2-NH2(Mn = 20000)(20g)の溶液に添加した。その反応混合物を室温で1日間撹拌し、次にMeOH(0.8L)に沈殿させた。その沈殿物を収集し、MEOHで洗浄し、高真空下で乾燥させて、Ac-Ala2-O-PCL-O-Ala2-Ac(Mn = 20000)を無色の固体(17g、85%)として得た。特性評価:1H-NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 6.53(m、0.01H)、6.16(m、0.01H)、4.47(m、0.04H)、4.09(t、1.99H)、2.33(t、2.00H)、2.04(s、0.11H)、1.67(m、4.00H)、1.41(m、2.13H)ppm;GPC:Mn = 22700g/mol;Mw = 29700g/mol;DM = 1.31。TGA:分解開始:384°C。DSC:Tm = 54.5°C、Tc = 30.3°C。
【0215】
ポリマー6:Ac-Ala-O-PCL-O-Ala-Ac(Mn = 20000)
【0216】
合成:ヒドロキシ官能化ポリ(ε-カプロラクトン)(Mn = 20000)(15g)をTHF(150 mL)に溶解することによって、Ac-Ala-O-PCL-O-Ala-Ac(Mn = 20000)を合成した。N-アセチル-L-アラニン(1.12g、8.5mmol)、DMAP(0.52g、4.3mmol)、及びDCC(5.3g、25.7mmol)を加え、その反応混合物を室温で5日間撹拌した。その混合物をMeOHに沈殿させた。その沈殿物を高真空下で乾燥させて、Fmoc-Ala-O-PCL-O-Ala-Fmoc(Mn = 20000)を無色の固体(11g、73%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 6.11(bs、0.004H)、4.60(m、0.02H)、4.09(t、1.93H)、2.33(t、2.00H)、2.04(s、0.07 H)、1.68(m、4.16H)、1.41(m、2.27H)ppm;GPC:Mn = 21100g/mol;Mw = 29000g/mol;DM = 1.35。TGA:分解開始:388°C。 DSC:Tm = 54.4°C、Tc = 31.7°C。
【0217】
<凝集性添加剤の合成>
【0218】
添加剤1:N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミド
【0219】
合成。構造NH-Ala-Ala-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを、溶媒としてのTHF中においてPyBOP促進ペプチドカップリング反応により合成した。この目的のために、2-オクチルドデカン-1-アミン(2.01g、6.72mmol)をTHF(50mL)に溶解した。N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(1.64g、8.11mmol)、PyBOP(4.87g、9.36mmol)、及びDIEA(3.5mL)を加え、その反応混合物を室温で一晩撹拌した。次に、その混合物を1M HCl(1L)に沈殿させた。その沈殿物をTHFに再溶解し、その溶液を再び1M HClに沈殿させた。最後に、その沈殿物を水(50mL)及びアセトン(50mL)で洗浄して、凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを無色の固体として得た(2.97g、6.16mmol、 92%)。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 7.51(d、1H)、7.09(d、1H)、6.77(t、1H)、4.71(m、1H)、4.60(m、1H)、 3.23(m、1H)、3.15(m、1H)、2.08(s、3H)、1.51(m、1H)、1.38(m、6H)、1.25(bs、32H)、0.87(m、6H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 504.4145 [M+Na]+、C28H55N3O3Naについて計算:504.4141。DSC:Tm = 186°C。
【0220】
添加剤2:N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミド
【0221】
合成。構造NH-Ala-Ala-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを、溶媒としてのTHF中においてPyBOP促進ペプチドカップリング反応により合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(6.00g、29.6mmol)、2-エチルヘキサン-1-アミン(4.23g、32.6mmol)、及びPyBOP(18.4g、35.6mmol)をTHF(75mL)中に懸濁した。DIEA(15mL)を加え、均質な溶液を得た。その反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に1M HCl(1L)に沈殿させた。その沈殿物を回収し、H2O(3×50 mL)で洗浄し、高真空下で完全に乾燥させて、凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを無色の固体(5.91g、18.9mmol、64%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ= 8.06(d、1H)、7.91(t、1H)、7.65(t、1H)、4.23(m、2H)、3.05(m、1H)、 2.94(m、1H)、1.84(s、3H)、1.37(m、1H)、1.25-1.17(bs、14H)、0.87(t、3H)、0.83(t、3H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 336.2268 [M+Na]+、C16H31N3O3Naについて計算:336.2263。DSC:Tm = 223°C。
【0222】
添加剤3:N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミド
【0223】
合成。構造NH-Ala-Ala-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドを、溶媒としてのTHF中においてPyBOP促進ペプチドカップリング反応により合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(0.40g、1.98mmol)をアルゴン雰囲気中で乾燥THF(200mL)に溶解した。2-ヘキシルデカン-1-アミン(0.45g、1.88mmol)、DIEA(0.97mL)、及びPyBOP(1.18g、2.26 mmol)を添加した。その反応混合物をアルゴン雰囲気中、室温で3時間撹拌した。その混合物を真空で濃縮した後、1M HClに沈殿させた。その沈殿物を集め、1M HClへの沈殿を2回繰り返した。その沈殿物をDCMに溶解し、MgSO4で乾燥させた。濾過及び溶媒蒸発後、凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドを無色の固体として得た(0.71g、1.67mmol、89%)。特性評価:1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ= 6.86(d、1H)、6.30(d、1H)、6.17(bs、1H)、4.55(m、1H)、4.47(m、1H)、 3.22(m、2H)、2.05(s、3H)、1.50(bs、1H)、1.40(m、6H)、1.28(bs、24H)、0.91(m、6H)ppm。DSC:Tm = 184°C。
【0224】
添加剤4:N-アセチル-グリシル-グリシン(2-オクチルドデシル)アミド
【0225】
合成。構造NH-Gly-Gly-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-グリシル-グリシン(2-オクチルドデシル)アミドを、溶媒としてのTHF中においてPyBOP促進ペプチドカップリング反応により合成した。この目的のために、N-アセチル-グリシル-グリシン(0.25g、1.24mmol)をDMF(25mL)に溶解した。2-オクチルドデカノール-1-アミン(0.37g、1.24mmol)、DIEA(0.65 mL)、及びPyBOP(0.77g、1.48mmol)を添加した。その混合物を室温で1日間撹拌し、次に1M HCl(400mL)中に沈殿させて、凝集添加剤N-アセチル-グリシル-グリシン(2-オクチルドデシル)アミドを無色の固体(0.31g、0.68mmol、55%)として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 7.14(t、1H)、6.61(t、1H)、6.29(t、1H)、3.99(d、2H)、3.96(d、2H)、3.19(m、2H)、2.05(s、3H)、1.49(m、1H)、1.25(bs、32H)、0.88(m、6H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 476.3835 [M+Na]+、C26H51N3O3Naについて計算:476.3828。DSC:Tm = 137°C。
【0226】
添加剤5:N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド
【0227】
合成。ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体の群からの凝集セグメントを含む凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを合成した。この目的のために、トリエチルアミン(2.11g)及び2-エチルヘキサン-1-アミン(2.20g、17.0mmol)をアルゴン雰囲気中で乾燥DCM(10mL)に溶解した。乾燥DCM(2mL)中の1,3,5-ベンゼントリメシン酸クロリド(1.01g、3.80mmol)の溶液を、0°Cで反応混合物に滴下して加えた。その反応混合物をアルゴン雰囲気中、室温で一晩撹拌した。その溶媒を除去し、得られた固体を1M HCl(3×50mL)及びH2O(3×50mL)で洗浄した。凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを無色の固体として得た(2.01g、3.70mmol、97%)。特性評価:1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ= 8.61(t、3H)、8.37(s、3H)、3.22(m、6H)、1.58(m、3H)、1.29(bs、24H)、 0.88(m、18H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 544.4485 [M+H]+、C33H58N3O3について計算:544.4478。DSC:Tm = 289°C。
【0228】
添加剤6:N-アセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミド
【0229】
合成。構造NH-Gly-Gly-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドを、溶媒としてのTHF中においてPyBOP促進ペプチドカップリング反応により合成した。この目的のために、N-アセチル-グリシル-グリシン(4.30g、21.3mmol)をTHF(250 mL)に分散させた。透明な溶液が得られるまで、水を徐々に加えた。2-エチルヘキシルアミン(5.50g、42.5mmol)、DIEA(11mL)、及びPyBOP(13.3g、25.5mmol)を加えた。その反応混合物を室温で15時間撹拌した。その混合物を真空で濃縮した後、1M HCl(400mL)に沈殿させて、凝集添加剤N-アセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドを無色の固体として得た(3.70g、13.0mmol、61%)。特性評価:1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ= 8.21(t、1H)、8.10(t、1H)、7.62(t、1H)、3.67(m、4H)、3.00(m、2H)、1.87(s、3H)、1.39(m、1H)、1.23(m、8H)、0.88(t、3H)、0.83(t、3H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 308.1953 [M+Na]+、C14H27N3O3Naについて計算:308.1950。DSC:Tm = 187°C。
【0230】
添加剤7:N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド
【0231】
合成:ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体の群からの凝集セグメントを含む凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを合成した。この目的のために、トリエチルアミン(3.40g)及び2-オクチルドデカン-1-アミンをアルゴン雰囲気中で乾燥DCM(20mL)に溶解した。乾燥DCM(10mL)中の1,3,5-ベンゼントリメシン酸クロリド(2.55g、9.60mmol)の溶液を、0°Cで反応混合物に滴下して加えた。その反応混合物をアルゴン雰囲気中、室温で2日間撹拌した。その溶媒を除去し、得られた固体を1M HCl(2×50mL)、H2O(2×50mL)、及びエーテル(25mL)で洗浄し、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を溶離液として使用するカラムクロマトグラフィーによって精製した。凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを、無色の固体として得た。特性評価:1H NMR(400 MHz、CDCl3):δ= 8.34(s、3H)、6.37(t、3H)、3.41(m、6H)、1.63(m、3H)、1.32-1.25(m、96H)、 0.87(m、18H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 1070.9932 [M+Na]+、C69H129N3O3Naについて計算:1070.9932 DSC:Tm = 200°C。
【0232】
<組成物の調製>
【0233】
ポリマー1及び添加剤1
【0234】
組成物の調製。官能基化ポリマー1Ac-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 80000)とさまざまな量の凝集添加剤1(N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミド)に基づいて一連の組成物を調製した。この目的のために、Ac-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 80000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの両方をTCEに溶解した。それぞれの溶液を100°Cで1時間撹拌した。次に、その溶媒を真空で除去した。
熱機械的挙動。1°C/分の冷却速度で200°Cから25°Cで実行した振動せん断レオロジー温度スイープによって、準備されたままの組成物の熱機械的挙動を特徴づけた。測定前に、材料中の凝集セグメントAc-Ala2-NHの解離温度Td及び会合温度TaをDSCで測定し(表1)、その試験片を、Taを超えるように選択した温度でレオメーターにロードした。
【0235】
【0236】
例えば、純粋な官能化ポリマー1(Ac-Ala
3-O-PCL-O-Ala
3-Ac(Mn = 80,000g/mol))は、ポリエステルセグメントの結晶化温度T
cを超える任意の温度でポリマー溶融物(G''>G')として動作し、凝集セグメントAc-Ala
2-NHを構成するその末端基が、選択したMn = 80000g/molの分子量の結果として凝集体の形成を示さなかったことを示している。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを添加すると、凝集セグメントAc-Ala
2-NHの自己組織化が誘導され、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として会合解離温度がより高温度へと単調に上昇し、凝集添加剤の融解温度に近づいた(T
d = 186°C)。その結果、これらの組成物は、T
cを超えると熱可塑性エラストマーとして振る舞い、損失係数が最終的にtanδ≧1になる温度として定義された軟化遷移T
sまでゴム相が伸びた。例えば、2.6wt%の凝集セグメントの全体的な濃度で軟化温度はT
s = 115°Cであったが、プラトー係数は徐々にG'≒0.1MPa(100°C)まで増加した。これを、組成物2(0°Cから約150°Cの温度範囲に及ぶ)及び組成物1(0°Cから約100°Cまでの温度範囲に及ぶ)の振動せん断レオロジー温度スイープのG'(二乗)及びG''(円)を示す
図2に示す。測定は、1°C/分の冷却速度で200°Cから0°Cまで実行した。
【0237】
ポリマー1及び添加剤2
【0238】
組成物の調製。官能基化ポリマー1(Ac-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 80000))及びさまざまな量の凝集添加剤2(N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン2-エチルヘキシル)アミド)に基づいて、一連の組成物を調製した。この目的のために、Ac-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 80000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの両方をTCEに溶解した。各溶液を100°Cで1時間撹拌した。次に、その溶媒を真空で除去した。
熱機械的挙動。1°C/分の冷却速度で200°Cから25°Cまで実行した振動せん断レオロジー温度スイープによって、準備されたままの組成物の熱機械的挙動を特徴づけた。測定前に、材料中の凝集セグメントAc-Ala2-NHの解離温度Td及び会合温度TaをDSCで測定し(表2)、その試験片を、Taを超えるように選択した温度でレオメーターにロードした。
【0239】
【0240】
例えば、純粋な官能化ポリマー1(Ac-Ala
3-O-PCL-O-Ala
3-Ac(Mn = 80000))は、ポリエステルセグメントT
cの結晶化温度を超える任意の温度でポリマー溶融物(G''> G')として動作し、凝集セグメントAc-Ala
2-NHを構成するその末端基が、選択したMn = 80,000g/molの分子量の結果として凝集体形成を示さなかったことを示している。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを添加すると、凝集セグメントAc-Ala
2-NHの自己組織化が誘導され、会合解離温度は、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって単調に上昇し、凝集添加剤の融解温度に近づいた(T
d = 223°C)。その結果、これらの組成物は、T
cを超えると熱可塑性エラストマーとして振る舞い、損失係数が最終的にtanδ≧1になる温度として定義された軟化遷移T
sまでゴム相が伸びた。例えば、凝集セグメントの全体的な濃度3.7wt%における解離温度はT
s = 154°Cであったが、プラトー係数はG'≒1.0MPa(100°C)まで徐々に増加した。これを、組成物5(0°Cから約175°Cの温度範囲で拡張)及び組成物6(0°Cから約175°Cの温度範囲で拡張)の振動せん断レオロジー温度スイープのG'(四角)とG''(円)を示す
図3に示す。測定は、1°C/分の冷却速度で200°Cから0°Cまで実行した。
【0241】
ポリマー4及び添加剤2
【0242】
組成物の調製。官能化ポリマー4であるAc-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 20000)とさまざまな量の凝集添加剤2(N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミド)に基づいて一連の組成物を調製した。この目的のために、Ac-Ala3-O-PCL-O-Ala3-Ac(Mn = 20000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの両方をTCEに溶解した。それぞれの溶液を100°Cで1時間撹拌した。次に、溶媒を真空で除去した。
熱機械的挙動。 1°C/分の冷却速度で200°Cから0°Cまで実行した振動せん断レオロジー温度スイープによって、準備されたままの組成物の熱機械的挙動を特徴づけた。測定前に、材料中の凝集セグメントAc-Ala2-NHの解離温度Td及び会合温度TaをDSCで測定し(表3)、Taを超えるように選択された温度で試験片をレオメーターにロードした。
【0243】
【0244】
例えば、純粋な官能化ポリマー4(Ac-Ala
3-O-PCL-O-Ala
3-Ac(Mn = 20000))は、結晶化温度を超える温度で熱可塑性エラストマーとして動作し、これは、プラトー係数G'≒0.8 MPaと、DSC(最初の加熱曲線)で決定された約82°Cを中心とする結合温度T
aに関連するかなり広い解離遷移を示した。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを添加すると、関連温度は、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって単調に上昇し、凝集添加剤の融解温度(T
d = 223°C)に近づいた。例えば、5.2wt%の凝集セグメントの全体的な濃度では、結合温度はT
a = 162°Cであったが、プラトー係数は大幅に増加した(G'≒2.4MPa)。これは、純粋な官能化ポリマーAc-Ala
3-O-PCL-O-Ala
3-Ac(Mn = 20000)に対する100°Cからこの組成物に対する159°Cで、損失係数が最終的にtanδ≧1になる温度として定義された軟化遷移のシフトT
sによって反映された。これを、組成物15(0°Cから約175°Cの温度範囲で拡張)、組成16(0°Cから約120°Cの温度範囲で拡張)、及び組成物17(0°Cから約50°Cの温度範囲で拡張)の振動せん断レオロジー温度スイープのG'(四角)及びG''(円)を示した
図4に示す。測定は、1°C/分の冷却速度で200°Cから0°Cまで実行した。
【0245】
<組成物の調製及びそれらの機械的特性の調査>
【0246】
実施例1~17:射出成形によって製造した試験片の引張試験
【0247】
ポリマーと添加剤の組成物を、表4に示すそれぞれの混合比(wt.%)に従って調製した。これらの組成物は、5mLマイクロコンパウンダー(MC 5、Xplore製)を使用して200°Cの混練温度で調製した。各組成物を、200°Cのシリンダー温度で、Xplore製の5.5mL射出成形機(IM 5.5)を使用して、30°Cの金型温度でドッグボーン形引張試験棒(試験領域の厚さ1mm、幅5mm)として射出成形した(シリンダー温度250°Cを使用した実施例9及び10を除く)。引張試験の結果を表4に示す。
【0248】
熱機械的特性評価:ポリマーと添加剤をTCEに溶解し、100°Cで1時間攪拌してから溶媒を真空で除去することにより、一連の組成物を調製した。 1°C/分の冷却速度と1rad/秒の一定周波数で、200°Cから25°Cまで実行した振動せん断レオロジー温度スイープによって、準備されたままの組成物の熱機械的挙動を特徴づけた。測定の前に、材料中の凝集セグメントAc-Ala2-NHの解離温度Td及び会合温度TaをDSCで測定し、その試験片を、Taを超えるように選択された温度でレオメーターにロードした。表4は、代表値として70°Cでの組成物のtanδ値を示す。
【0249】
引張試験:室温での引張特性を応力-ひずみ解析によって決定し、ヤング率E、降伏強度σy、極限強度σm、破断ひずみε、及び破断エネルギーWを表5にリストする。実施例14~17の場合、引張試験実験用の試験片は、ポリエステルセグメントの選択された分子量がわずかMn = 20,000g/molであることにより得られた材料は脆すぎたため、射出成形、熱間プレス、フィルムの溶媒鋳造などの従来の処理方法では作成できなかったことに注意されたい。
【0250】
組成物11、12、13及び17に関連するすべての実施例は比較例である。
【0251】
【0252】
【0253】
考察:表4にリストされている70°Cで取得されたtanδ値からわかるように、変更されたPCL及び対応する添加剤の組成物は新しいゴム状のプラトーを示し(実施例2~5)、損失係数の値tanδ> 1は、ゴム状の相の存在を示す一方で、tanδ<1は、ゴム状の相が存在しないことを示す。組成11の場合、tanδ<1の値にもかかわらず、ゴム状のプラトーは検出されなかった。組成11の場合、添加剤1は一時的なネットワークを形成し、これが高粘度の溶融物を生成したことにより、tanδ<1の値を示した。この動作は、他の合成から知られている。しかしながら、組成物11におけるこの一時的なネットワークは非常に弱く、容易に破壊される可能性があるため、組成物11の加工性は改善されない。これは、末端基が添加剤と共集合して、PCLマトリックスの溶融温度を超えて持続する材料のネットワークを生じさせることを意味する。この新しいゴム状プラトーは、PCL用に確立された成形方法を使用して組成物の成形性を改善すると考えられるが、例えば繊維の紡糸と延伸、フィルムブローイング、又は発泡など、PCLの溶融温度を超える変形を伴うプロセス処理など、従来はPCLには適用できなかった方法での処理を可能にする。同時に、降伏強度と破断点エネルギー(靭性)は、機能化されていないPCL及びその添加剤との混合物と比較して大幅に改善された(表5)。
【0254】
対照的に、PCL 20Kから得られた材料は、せん断レオロジーで新しいゴム状のプラトーを示したが、選択したわずかMn= 20,000g/molのPCL分子量の結果として、室温では脆すぎて引張試験用の試験サンプルを準備することさえできなかった(表5、実施例14~16)。したがって、それを超えると組成物が室温で機械的特性の改善を示すポリエステルセグメントの最小分子量があるように思われる。
【0255】
例18-2 繊維延伸によって製造した繊維の引張試験
【0256】
実施例18~20では、200°Cの成形温度及び溶融ストランドの手動引抜で、5mLマイクロコンパウンダー(MC 5、Xplore製)を使用して、組成物2、6、及び13(表6)から繊維を形成し、それらの機械的特性を調査した。前記繊維の太さは10~100μmであった。前記機械的特性は、単繊維を使用した引張試験実験によって評価され、その結果を表7にまとめる。
【0257】
【0258】
【0259】
考察:いかなる添加剤も含まない組成物6(実施例19)の繊維は、分子量Mn= 80,000g/mol(実施例20)の未修飾PCLの繊維よりも大幅な改善を示した。添加剤1を含む組成物2(実施例18)からの繊維は、室温での機械的特性、特に破壊時のエネルギー(靭性)において、未修飾PCL及び組成物6の両方に対してさらに劇的な改善を示した。組成物13と比較した組成物2及び6の機械的特性の改善は、組成物6、特に添加剤を含む組成物2における物理的架橋としての凝集体を有するゴム状ネットワークが繊維紡糸中のせん断配向を可能にし、繊維内に高度に配向した構造をもたらすという事実に起因すると考えられ得る。
【0260】
実施例21-26 熱間プレスで製造したシートの引張試験
【0261】
実施例21~26では、200°Cの成形温度で熱間プレスを使用することによって、組成物2、6、及び13~16から厚さ400μmのシートを成形し(表8)、それらの機械的特性をシートから打ち抜かれたドッグボーン型試験片で評価した。結果を表9にまとめる。
【0262】
【0263】
【0264】
考察:組成物2及び6のシート(実施例21及び22)は、分子量Mn = 80,000g/molの純粋なPCLのシート(組成物13、実施例23)と比較して、有意に高いヤング率Eを示した。実施例24、25及び26では、PCLポリエステルセグメントのわずかMn = 20,000g/molの選択した分子量の結果として、引張試験に供することができる安定したシートを得ることができなかった。
【0265】
実施例27~33:溶媒キャスティングによって製造したフィルムの引張試験
【0266】
実施例27~33では、ポリマー溶液又はポリマー及び添加剤をジクロロメタンに溶解した溶液をガラスペトリ皿にキャストすることにより、組成物2、6、及び11~16(表10)から厚さ150μmのフィルムを形成した。前記ペトリ皿をガラス蓋で覆い、ジクロロメタンが蒸発するまで室温で一晩保持した。次に、そのフィルムを真空中で一晩乾燥させた。そのフィルムから打ち抜かれたドッグボーン型試験片で機械的特性を評価した。結果を表11にまとめる。
【0267】
【0268】
【0269】
考察:組成物2及び6(実施例27及び28)の溶媒キャストフィルムは、分子量Mn = 80,000g/molの純粋なPCLの溶媒キャストフィルム(実施例29)と比較して、有意に高いヤング率Eを示した。溶媒キャスティングによって処理された組成物14及び16は、分子量がわずかMn = 20,000g/molの選択されたPCLの結果、それらを引張試験にかけることさえできないほど脆いフィルムを生成した(実施例30及び31)。組成物2は均質なフィルムを生成したが、組成物11(実施例32)は、大きな光学的に見える添加剤の粒子を有する不均質なフィルムのみを提供し、その機械的特性について評価することはできなかった。この結果は、組成物2において、ポリマー凝集セグメントと添加剤凝集セグメントが相互作用し、その結果ポリマーマトリックス中の添加剤の分散が改善され、均一なフィルムが得られるという事実に起因すると考えられる。
【0270】
例34~39:溶媒キャスティングによって製造したフィルムの引張試験
【0271】
実施例34~39において、50μmの厚さのフィルムを、実施例27~33について記載されたものと同じプロトコルに従って、組成物2、6、11、13、14及び16(表12)から製造した。そのフィルムから打ち抜かれたドッグボーン形試験片で機械的特性を評価した。結果を表13にまとめる。
【0272】
【0273】
【0274】
考察:組成物2及び6(実施例34及び35)は、分子量Mn = 80,000g/molの純粋なPCL(例36)と比較して、室温ですべての機械的特性の大幅な改善を示した。これは、処理された組成物の微細構造の違いの結果であると考えられる。分子量Mn = 80,000g/molの純粋なPCLの溶媒キャストフィルム(実施例36)は、大きな球状結晶を示し、これらが引張試験で欠陥を誘発して巨視的な破損を引き起こすことが観察された。一方、組成物2及び6(実施例34及び35)からの溶媒キャストフィルムは均質であった。これは、ポリマー凝集セグメントと添加剤凝集セグメントの共集合凝集体がPCLの結晶化を核形成した結果、PCL結晶子が小さくなり、フィルムがより均質になったためと考えられる。実施例39は、添加剤の大きな粒子及び純粋なPCLよりも劣る機械的特性を含む不均一なフィルムを製造した。これは、PCLマトリックスと添加剤の間の相互作用の欠如に起因すると考えられ、引張試験中に破損メカニズムを開始させるフィルムの欠陥として機能する添加剤結晶の巨視的な相分離をもたらす。
【0275】
<成形工程の効果の比較>
【0276】
異なるプロセスによって製造した組成物2及び13の引張試験結果を表14に要約する。
【0277】
【0278】
考察:組成物2の繊維(実施例18)及び注入成形サンプル(実施例2)は、未修飾PCLを使用した参照例(実施例20、13、23及び29)の分子量80,000g/molの対応する純粋なPCLに対して機械的特性の改善を示し、これは、末端修飾PCL及び添加剤の組成のプレスシート(実施例21)並びにキャストフィルム(実施例27)が示した、分子量80000g/molの純粋な未修飾PCLを使用した対応する参照例23及び29に対するものよりも、より劇的なものであった。これは、熱間プレス中よりも繊維延伸中又は射出成形中に顕著になる分子及び凝集体の配向に対するせん断配向の影響によるものと考えられる。
【国際調査報告】