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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】家具駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/12 20060101AFI20220713BHJP
   E05F 1/14 20060101ALI20220713BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
E05F1/12
E05F1/14
E05F5/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568615
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 AT2020060153
(87)【国際公開番号】W WO2020232485
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】A50452/2019
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ホルツアプフェル
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050AA03
2E050BA03
2E050CA04
2E050EA02
2E050EB02
(57)【要約】
家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)を動かすための家具駆動装置(4)であって:家具キャビネット(2)の家具板(6)表面にまたは家具板(6)内に取り付けるための支持体(9)、支持体(9)に配置された作動アーム装置(5)であって、可動の家具部分(3)を動かすための、可動に支持された少なくとも1つの作動アーム(5a,5b,5c,5d,5e)を備えた作動アーム装置(5)、作動アーム装置(5)に力を付加するためのばね装置(10)、作動アーム装置(5)に対するばね装置(10)の力を調節するための調節装置(19)であって、調節装置(19)は、回転軸線(R)を中心として回転可能な調節エレメント(19a)と、長手方向(L)を有したねじ山区分(17)とを有しており、ばね装置(10)の作用個所(18)は、回転軸線(R)を中心とした調節エレメント(19a)の回転によりねじ山区分(17)に沿って調節可能であり、調節エレメント(19a)の回転軸線(R)とねじ山区分(17)の長手方向(L)とは互いに1つの角度をなしている、調節装置(19)を含んでおり、調節エレメント(19a)の回転軸線(R)とねじ山区分(17)の長手方向(L)とが互いになす角度は、少なくとも1つの作動アーム(5a,5b,5c,5d,5e)の運動の際に変更可能である、家具駆動装置(4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)を動かすための家具駆動装置(4)であって、
-前記家具キャビネット(2)の家具板(6)表面にまたは家具板(6)内に取り付けるための支持体(9)、
-前記支持体(9)に配置された作動アーム装置(5)であって、前記可動の家具部分(3)を動かすための、可動に支持された少なくとも1つの作動アーム(5a,5b,5c,5d,5e)を備えた作動アーム装置(5)、
-前記作動アーム装置(5)に力を付加するためのばね装置(10)、
-前記作動アーム装置(5)に対する前記ばね装置(10)の力を調節するための調節装置(19)であって、前記調節装置(19)は、回転軸線(R)を中心として回転可能な調節エレメント(19a)と、長手方向(L)を有したねじ山区分(17)とを有しており、前記ばね装置(10)の作用個所(18)は、前記回転軸線(R)を中心とした前記調節エレメント(19a)の回転により前記ねじ山区分(17)に沿って調節可能であり、前記調節エレメント(19a)の前記回転軸線(R)と前記ねじ山区分(17)の前記長手方向(L)とは互いに1つの角度をなしている、調節装置(19)
を含む家具駆動装置(4)において、
前記調節エレメント(19a)の前記回転軸線(R)と前記ねじ山区分(17)の長手方向(L)とが互いになす角度は、前記少なくとも1つの作動アーム(5a,5b,5c,5d,5e)の運動の際に変更可能であることを特徴とする、家具駆動装置(4)。
【請求項2】
前記家具駆動装置(4)は、前記調節エレメント(19a)の回転運動を、前記ねじ山区分(17)の回転運動へと伝達する少なくとも1つの角度可変な連結装置(25)を有している、請求項1記載の家具駆動装置。
【請求項3】
前記角度可変な連結装置(25)は、少なくとも1つの弾性的な部材、好適には、ベローズ、ゴム成形エレメント、コイルばねカップリング、および/または少なくとも1つの伝動装置、好適には傘歯車伝動装置、および/またはジョイント、好適にはユニバーサルジョイントまたはカルダンジョイントを有している、請求項2記載の家具駆動装置。
【請求項4】
前記調節エレメント(19a)によって駆動可能な、前記ねじ山区分(17)を駆動するための少なくとも1つの軸(28)が設けられており、好適には、前記少なくとも1つの軸(28)は、ガイド(30)、好適には長孔内に、またはガイド(30)、好適には長孔に沿って、前記支持体(9)に対して相対的に摺動可能に支持されていることが想定されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項5】
前記調節装置(19)の前記調節エレメント(19a)は、前記家具駆動装置(4)が組み付けられた状態で、前記可動の家具部分(3)に面していて、前記支持体(9)の前方領域に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項6】
前記ばね装置(10)は一方の端部領域で、前記支持体(9)に定置に支持されたジョイント軸(13)に支持されていて、第2の端部領域で、前記作用個所(18)に支持されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項7】
前記ばね装置(10)は少なくとも1つのコイルばね、好適には少なくとも1つの圧縮ばねを有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項8】
前記家具駆動装置(4)の前記支持体(9)は、前記家具板(6)に組み付けられた状態で、少なくとも所定の領域で、好適には実質的に完全に、前記家具板(6)の内側に収容されるように形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項9】
前記支持体(9)は実質的に長方形状に形成されており、好適には、前記支持体(9)の長さ(L1)の、前記支持体(9)の高さ(H1)に対する比は、1:0.7よりも大きく、好適には1:0.5よりも大きい、請求項1から8までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項10】
前記ねじ山区分(17)は、前記支持体(9)に旋回可能に支持された、前記家具駆動装置(4)の中間レバー(16)に配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項11】
前記作動アーム装置(5)は、第1のジョイント軸(26)を中心として旋回可能な第1の作動アーム(5a)と、第2のジョイント軸(27)を中心として旋回可能に支持された少なくとも1つの第2の作動アーム(5b)とを有しており、前記第1のジョイント軸(26)と前記第2のジョイント軸(27)とは、前記支持体(9)の長手方向(L2)で互いに離間されて位置していて、前記第2のジョイント軸(27)は、前記第1のジョイント軸(26)よりも、前記支持体(9)の前側の領域に配置されており、前記中間レバー(16)は、スラストレバー(24)を介して、前記第2の作動アーム(5b)に直接、接続されている、請求項10記載の家具駆動装置。
【請求項12】
前記調節装置(19)の前記調節エレメント(19a)は、工具、好適には、ねじドライバのための受容装置を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項13】
前記家具駆動装置(4)は、前記作動アーム装置(5)の運動を減衰するために、少なくとも1つの減衰装置(33)を、好適には、ピストンシリンダユニットを有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の家具駆動装置。
【請求項14】
家具キャビネット(2)と、前記家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)と、前記可動の家具部分(3)を動かすための、請求項1から13までのいずれか1項記載の少なくとも1つの家具駆動装置(4)と、を備えた家具(1)。
【請求項15】
前記家具キャビネット(2)は、支持体(9)を取り付けるための家具板(6)を有しており、前記家具駆動装置(4)の前記支持体(9)は少なくとも所定の領域で、好適には実質的に完全に、前記家具板(6)の凹部(11)の内側に収容されている、請求項14記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分を動かすための家具駆動装置であって、
-家具キャビネットの家具板表面にまたは家具板内に取り付けるための支持体、
-支持体に配置された、可動の家具部分を動かすための、可動に支持された少なくとも1つの作動アームを備えた作動アーム装置、
-作動アーム装置に力を付加するためのばね装置、
-作動アーム装置に対するばね装置の力を調節するための調節装置であって、この調節装置は、回転軸線を中心として回転可能な調節エレメントと、長手方向を有したねじ山区分とを有しており、ばね装置の作用個所は、回転軸線を中心とした調節エレメントの回転によりねじ山区分に沿って調節可能であり、調節エレメントの回転軸線とねじ山区分の長手方向とは互いに1つの角度をなしている、調節装置、を含む家具駆動装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、家具キャビネットと、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分と、可動の家具部分を動かすための上述した形式の家具駆動装置とを備えた家具に関する。
【0003】
このような家具駆動装置の支持体は、通常、家具キャビネットの側壁内にまたは側壁表面に取り付けられており、家具駆動装置の作動アーム装置は、少なくとも1つのばね装置によって予荷重をかけられていて、組み付けられた状態で可動の家具部分と接続されている。
【0004】
国際公開第2018/192819号には、上位概念の特徴を備えた家具駆動装置が開示されている。家具駆動装置のケーシングの前方の端部領域には、回転可能な工具受容部が設けられており、スピンドルに支持されたスピンドルナットを、工具によって工具受容部を回転させることにより、スピンドルに沿って動かすことができる。スピンドルナットには、ばねパッケージが支持されていて、作動アーム装置に作用する、ばねパッケージの力は、スピンドルに沿ってスピンドルナットを調節可能に支持することにより、調節することができる。スピンドルは、家具駆動装置のケーシングに対して定置に配置されている。
【0005】
可動に支持された作動アームへのトルクを調節するための調節装置を備えた別の家具駆動装置は、例えば、国際公開第2014/134642号により、中国特許出願公開第107461100号明細書により、および中国特許第106175199号明細書により公知である。
【0006】
公知の家具駆動装置の欠点は、家具駆動装置の構成形式が、ばねパッケージの調節すべき位置により比較的大きく寸法設定されなければならず、ねじ山付きスピンドルに沿ったばね装置の調節経路も制限されていることにある。
【0007】
本発明の課題は、上述した欠点のうちの少なくとも1つを回避する冒頭で述べた形式の家具駆動装置を提供することである。
【0008】
この課題は、本発明によれば、特許請求項1の特徴により解決される。本発明のさらなる実施例は、従属特許請求項に記載されている。
【0009】
本発明によれば、調節エレメントの回転軸線とねじ山区分の長手方向とが互いになす角度が、少なくとも1つの作動アームの運動の際に変更可能であることが想定されている。
【0010】
換言すると、調節エレメントと、回転可能なねじ山区分とは、作動アームの運動の際に、互いに相対的に角度可変であるように支持されており、これにより、ばね装置の力を調節するための調節装置と、作動アーム装置とは、互いに異なる位置を占めることができる。家具駆動装置の構成部分は、これにより互いに内外に重なるように配置することができ、したがって互いに密に配置することができる。このようにして、家具駆動装置をよりコンパクトに構成することができ、ねじ山区分におけるばね装置の調節距離を拡大することができ、家具駆動装置のより高い出力範囲をカバーすることができる。
【0011】
本発明のさらなる利点は、家具駆動装置における調節エレメントの配置を固定的に設けるのではなく、家具駆動装置の製造の際に、形式および使用分野に応じて、様々な所望の位置に設けることができることにある。
【0012】
例えば、調節装置の調節エレメントは、家具駆動装置が組み付けられた状態で、可動の家具部分に面していて、支持体の前方領域に配置されていることが想定されてよい。これにより、調節エレメントへのアクセス性を著しく改善することができる。このような構成は、家具駆動装置の支持体が、家具板に組み付けられた状態で、少なくとも所定の領域で、好適には実質的に完全に、家具板の内側に収容されるように形成されている場合にも特に好適である。家具駆動装置が家具板に組み込まれている場合は、家具板の孔を通る側からしか調節エレメントにアクセスすることはできず、これにより家具板は脆弱になり、しばしば見栄えの悪い印象を与え、付加的な組付けの手間を意味する。このような理由から、支持体の前方の端面からの調節エレメントへのアクセス可能性は極めて好適である。
【0013】
家具駆動装置は、調節エレメントの回転運動を、ねじ山区分の回転運動へと伝達する少なくとも1つの角度可変な連結装置を有していてよい。屈曲されて接合された軸のつながりにおいてトルク伝達を可能とする角度可変な連結装置を実現するために、当業者は様々な手段を利用することができる。角度可変な連結装置は、少なくとも1つの弾性的な部材、好適には、ベローズ、ゴム成形エレメント、またはコイルばねカップリング、および/または少なくとも1つの伝動装置、好適には傘歯車伝動装置、および/またはジョイント、好適にはユニバーサルジョイントまたはカルダンジョイントを有していてよい。
【0014】
家具駆動装置は、調節エレメントによって駆動可能な、ねじ山区分を駆動するための少なくとも1つの軸を有していてよく、少なくとも1つの軸は、ガイド、好適には長孔内に、またはガイド、好適には長孔に沿って、支持体に対して相対的に摺動可能に支持されている。このようにして、角度可変な連結装置によって生じる、家具駆動装置の構成部分の補償運動を、家具駆動装置の構成部分の傾斜および引っかかりを阻止するために、少なくとも部分的に相殺することができる。
【0015】
調節装置の調節エレメントは、工具、好適にはねじドライバのための受容装置を有していてよく、調節エレメントは、工具によって受容装置にトルクを加えることにより駆動可能である。受容装置は、例えば、十字スリット形状(例えば、ポジドライヴプロフィール)、四角形プロフィール、六角形プロフィール、または六角星形(例えば、トルクスプロフィール)を有していてよい。
【0016】
家具駆動装置の支持体は、組付け板として、または特に直方体のケーシングとして形成されていてよい。支持体は、実質的に長方形状に形成されていてよく、好適には、支持体の長さの、支持体の高さに対する比は、1:0.7よりも大きく、好適には1:0.5よりも大きい。支持体のこのような寸法設定により、家具駆動装置の構造高さを減じることができる。
【0017】
本発明による家具は、家具キャビネットと、この家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分と、上述した形式の少なくとも1つの家具駆動装置とを有している。この場合、家具キャビネットは、好適には水平にまたは垂直に延在する、支持体を取り付けるための家具板を有しており、家具駆動装置の支持体は、少なくとも所定の領域で、好適には実質的に完全に、家具キャビネットの家具板の内側に収容されている。
【0018】
本発明のその他の詳細および利点は、以下の図面の説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】可動の家具部分を有した家具を示す斜視図である。
図1b】可動の家具部分を有した家具を示す分解図である。
図2a】家具駆動装置を示す斜視図である。
図2b】家具駆動装置を示す異なる斜視図である。
図3a】ばね装置の力が最小に調節されている場合に、閉鎖位置にある家具駆動装置を示す図である。
図3b】ばね装置の力が最小に調節されている場合に、開放位置にある家具駆動装置を示す図である。
図4a】ばね装置の力が最大に調節されている場合に、閉鎖位置にある家具駆動装置を示す図である。
図4b】ばね装置の力が最大に調節されている場合に、開放位置にある家具駆動装置を示す図である。
図5】家具駆動装置の分解図である。
図6a】角度可変な連結装置を示す詳細図である。
図6b】家具部分内に挿入された家具駆動装置を示す横断面図である。
【0020】
図1aは、家具1の斜視図を示し、この家具は、家具キャビネット2と、家具キャビネット2に対して相対的に可動に支持された家具部分3と、この可動の家具部分3を動かすための少なくとも1つの家具駆動装置4とを有している。家具1は、側壁の形態の家具板6と、上面7と、下面8とを有している。図示した実施例では、家具駆動装置4は、少なくとも部分的に、好適には実質的に完全に、家具板6として形成された側壁内に組み込まれており、可動の家具部分3は、家具キャビネット2を隠す閉鎖位置と、家具キャビネット2に対して相対的に持ち上げられた開放位置との間で可動に支持されている。勿論、家具駆動装置4を、水平に延在する家具板、すなわち、例えば上面7内に、下面8内に、かつ/または上面7と下面8との間に配置された棚板内に、組み込むこともできる。このような場合、可動の家具部分3は、組付け状態で垂直に延在する軸を中心として、家具キャビネット2に対して相対的に旋回可能に支持されている。家具駆動装置4は、可動の家具部分3を動かすための作動アーム装置5と、作動アーム装置5に力を付加するための少なくとも1つのばね装置10(図1b)とを有している。
【0021】
図1bは、家具1を分解状態で示しており、可動の家具部分3を動かすための、好適には同一に形成された2つの家具駆動装置4が設けられている。家具駆動装置4は、家具キャビネット2に取り付けるべきそれぞれ1つの支持体9を有している。1つの実施例によれば、支持体9は、組付け状態で、少なくとも所定の領域で、好適には実質的に完全に、家具板6として形成された側壁の凹部11の内側に収容されている。支持体9は、組み付けられた状態で、家具板6の端面6aと実質的に同一平面をなしていてよい。
【0022】
凹部11は、例えば、袋孔として形成されており、組付けの際に、支持体9を前方から(すなわち、家具板6の細い端面6aを起点として)、家具板6のポケット状の凹部11内へと挿入することができる。支持体9内にはまたは支持体9上には、作動アーム装置5に力を付加するための少なくとも1つのばね装置10が配置されている。支持体9の前方の端部領域にはカバー12が設けられており、作動アーム装置5の、可動に支持された少なくとも1つの作動アーム5a,5b,5c,5d,5e(図2a)は、相対位置で、カバー12を通してガイド可能である。
【0023】
図2aは、家具駆動装置4を斜視図で示しており、支持体9は面状に形成された少なくとも1つのケーシング壁9aを有している。ケーシング壁9aには、旋回可能な支持部分14が設けられていて、この支持部分は、支持体9に定置のジョイント軸13を中心として旋回可能に支持されている。すなわち、ばね装置10は、第1の端部領域で、定置のジョイント軸13に支持可能である。ばね装置10は、少なくとも1つのコイルばねを、好適には少なくとも1つの圧縮ばね、または代替的にガス圧縮ばねを含んでいてよい。ばね装置10の第2の端部領域は押圧部材20に作用していて、この押圧部材は、調節可能な作用個所18を介して、好適には定置のジョイント軸15を中心として旋回可能な中間レバー16に枢着結合されている。調節装置19によって、作動アーム装置5に対するばね装置10の力を調節することができる。調節装置19は、回転軸線(R)を中心として回転可能な調節エレメント19aを有しており、調節エレメント19aの回転軸線(R)を中心とした回転により、作用個所18の位置を、ねじ山区分17に沿って調節可能である。ねじ山区分17は、長手方向(L)を有している。ねじ山区分17の長手方向(L)と調節エレメント19aの回転軸線(R)とは、作動アーム装置5の運動の際に変更可能である角度を互いになしている。角度可変な連結装置25によって、調節エレメント19aの回転運動をねじ山区分17に伝達することができ、これにより、ねじ山区分17は回転運動させられ、これにより作用個所18は、ねじ山区分17に沿って移動させられる。好適には、調節装置19の調節エレメント19aは、家具駆動装置4が組み付けられた状態で、可動の家具部分3に面していて、支持体9の前方領域に配置されている。このようにして、調節エレメント19aを、工具によって、前方から容易に操作することができる。
【0024】
図示した実施例では、調節エレメント19aによって駆動可能な、ねじ山区分17を駆動するための少なくとも1つの軸28が設けられており、この少なくとも1つの軸28は、ガイド30、好適には長孔内に、またはガイド30、好適には長孔に沿って、支持体9に対して相対的に摺動可能に支持されている。このようにして、角度可変な連結装置25によって生じる、家具駆動装置4の構成部分の補償運動を、少なくとも部分的に相殺することができる。軸28は、軸受29内にまたは軸受29上に配置されており、ガイド30は、軸受29表面に配置されていて、支持体9に定置に支持されたピン32は、好適には直線状に形成されたガイド30内に係合している。補償運動の際に、軸受29は、定置のピン32に対して相対的に摺動可能である。
【0025】
作動アーム装置5は、可動の家具部分3を動かすための、少なくとも1つの、好適には複数の作動アーム5a,5b,5c,5d,5eを含む。可動の家具部分3には、金具部材21が取り付けられていて、この場合、金具部材21は少なくとも1つのまたは複数の取付個所22を有していて、作動アーム装置5の作動アーム5eに取外し可能にロック可能である。図2aでは、作動アーム5eと金具部材21との間のロック状態が示されている。
【0026】
ケーシング壁9aの前方の端部にはカバー12が設けられていて、このカバーは側方で突出する少なくとも1つのフランジ12aを有している。図示した実施例では、フランジ12aは実質的にリング状に形成されていて、家具板6の端面6aに当接可能な、支持体9のための奥行き方向ストッパを形成している。
【0027】
図2bは、図2aの家具駆動装置4を示しており、この場合、支持体9は第2のケーシング壁9bによって閉鎖されている。第1のケーシング壁9aと第2のケーシング壁9bとはそれぞれ面状に形成されていて、実質的に直方体状の支持体9を一緒に形成している。ケーシング壁9a,9bは、間隔を置いて互いに平行に位置していて、この場合、ケーシング壁9a,9bの間には前側の開口23が形成されていて、この開口23の領域にカバー12が配置されていて、調節装置19を操作するための工具の通過を可能にしている。
【0028】
図3aは、支持体9を備えた家具駆動装置4を側面図で示している。ねじ山区分17は、中間レバー16に配置されていて、この中間レバーは、支持体9に定置に配置されたジョイント軸15を中心として旋回可能に支持されている。示された図面では、ばね装置10の作用個所18が、中間レバー16のジョイント軸15に隣接する領域に位置しているので、ばね装置10は、作動アーム装置5に最小のトルクを加える。中間レバー16のジョイント軸15とばね装置10の作用個所18との間の仮想の接続線は、比較的短いレバーアームを形成しており、これにより最小のトルクが作動アーム装置5に作用する。調節装置19の調節エレメント19aの回転軸線(R)と、ねじ山区分17の長手方向(L)とは、作動アーム装置5の運動の際に変更可能である角度を互いになしている。図3aによれば、家具駆動装置4の図示した閉鎖位置では、回転軸線(R)と長手方向(L)との角度可変な支持に基づき、作動アーム装置5の作動アーム5a~5eが、ばね装置10および調節装置19と共に、極めてコンパクトな位置を互いに占めているので、本発明の利点がよくわかる。
【0029】
支持体9は、実質的に長方形状に形成されていてよく、好適には、支持体9の長さ(L1)の、支持体9の高さ(H1)に対する比は、1:0.7よりも大きく、好適には1:0.5よりも大きい。このような寸法設定により、支持体9の高さ(H1)を減じることができる。これにより、家具板6の凹部11(図1b)の高さも小さく寸法設定することができ、凹部11の製作の手間および家具板6の脆弱化は減じられる。
【0030】
図3bは、ばね装置10の力調節が最小である、図3aの家具駆動装置4を示しており、作動アーム5a~5eを備えた作動アーム装置5は開放位置に位置している。調節エレメント19aの回転軸線(R)とねじ山区分17の長手方向(L)とが互いになしている角度は、図3aに示された閉鎖位置に対して小さくなっていることがわかる。
【0031】
作動アーム装置5は、第1のジョイント軸26を中心として旋回可能な第1の作動アーム5aと、第2のジョイント軸27を中心として旋回可能に支持された少なくとも1つの第2の作動アーム5bとを有している。第1のジョイント軸26と第2のジョイント軸27とは、支持体9の長手方向(L2)で互いに離間されて位置しており、第2のジョイント軸27は、第1のジョイント軸26よりも、支持体9の前側の領域に配置されている。中間レバー16は、好適には円弧状に形成されたスラストレバー24を介して第2の(前側の)作動アーム5bに直接、接続されている。すなわち、第1の作動アーム5aは、ジョイント軸を介さずにスラストレバー24に直接、接続されていて、スラストレバー24の内側で摺動可能にガイドされる。このことは、図2aに良好に示されている。このようにして、ばね装置10から作動アーム装置5への改善された直接的な力の導入が可能である。
【0032】
図4aは、図3aおよび図3bの実施例による家具駆動装置4を示す。ばね装置10の作用個所18は、回転軸線(R)を中心とした調節エレメント19aの回転により、中間レバー16のジョイント軸15に対して離間された位置に動かされたので、ばね装置10は今や、作動アーム装置5に最大のトルクを加える。中間レバー16のジョイント軸15とばね装置10の作用個所18との間の仮想の接続線は今や、図3a、図3bよりも長いレバーアームを形成しており、これによりばね装置10から、最大のトルクが作動アーム装置5に加えられる。
【0033】
図4bは、図4aの家具駆動装置4を、作動アーム装置5の開放位置で示しており、この場合、ばね装置10から作動アーム装置5へと最大のトルクが加えられる。調節エレメント19aの回転軸線(R)とねじ山区分17の長手方向(L)とは互いに角度をなしていて、この角度は、角度可変な連結装置25の存在により、かつ作動アーム装置5の運動により、変更可能である。
【0034】
図5は、家具駆動装置4を分解図で示す。支持体9は、図示した実施例では、間隔を置いて互いに平行に位置する2つのケーシング壁9a,9bを有していて、これらのケーシング壁の間に、ばね装置10と、作動アーム5a~5eを備えた作動アーム装置5とが収容されている。作動アーム装置5に作用するトルクを調節するための調節装置19は、調節エレメント19aを有しており、この調節エレメントは、回転軸線(R)を中心として回転可能であって、作用個所18の調節可能な支持のために、軸28を介してねじ山区分17を駆動する。
【0035】
角度可変な連結装置25は、例えば、軸28に配置された第1の歯列31aを有していてよく、この歯列は、ねじ山区分17に配置された第2の歯列31bに作用係合している。歯列31a,31bは共に1つの傘歯車伝動装置を形成していてよく、調節エレメント19aの回転軸線(R)と、ねじ山区分17の長手方向(L)との間に形成される角度は、作動アーム装置5の運動の際に変更可能である。軸28は、軸受29内にまたは軸受29の表面に回転可能に支持されており、軸受29はガイド30によって、補償運動を相殺するために、支持体9に対して相対的に摺動可能である。
【0036】
図6aは、角度可変な連結装置25を詳細図で示している。回転軸線(R)を中心とした調節エレメント19aの回転により、軸28を駆動可能であり、この場合、軸28は、歯列31bを介してねじ山区分17を、長手方向(L)を中心として駆動し、ばね装置10の作用個所18は、ねじ山区分17に沿って動かされる。ねじ山区分17は、中間レバー16に配置されていて、この中間レバーは、ジョイント軸15を中心として旋回可能に支持体9に支持されている。軸受29のガイド30により、角度に依存した連結装置25により行われる補償運動を相殺することができる。
【0037】
図6bは、家具駆動装置4を横断面図で示しており、この家具駆動装置は、組み付けられた状態で、家具板6の凹部11の内側に実質的に完全に収容されている。家具駆動装置4は、作動アーム装置5の運動を減衰するために、少なくとも1つの減衰装置33を、例えばピストンシリンダユニットを有していてよい。ジョイント軸35を中心として旋回可能な傾動レバー34を介して、閉鎖運動の際の作動アーム装置5の運動を減衰装置33内に導入することができる。図示した実施例では、スラストレバー24は、作動アーム装置5の閉鎖運動の際に、傾動レバー34に衝突し、この場合、作動アーム装置5の閉鎖運動(ひいては、可動の家具部分3の閉鎖運動)は、ピストンシリンダユニットの相対運動により制動可能である。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
【国際調査報告】