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特表2022-533196マルチリンクシステム用MPDU送信方法及び受信方法並びに装置、記憶媒体、送信機並びに受信機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】マルチリンクシステム用MPDU送信方法及び受信方法並びに装置、記憶媒体、送信機並びに受信機
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20220713BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220713BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20220713BHJP
【FI】
H04W28/06 110
H04W72/04 111
H04W84/12
H04W72/04 131
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568777
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 CN2020077690
(87)【国際公開番号】W WO2020233190
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】201910419428.2
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519364624
【氏名又は名称】展訊通信(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Spreadtrum Communications (Shanghai) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Spreadtrum Center, Building No. 1, Lane 2288 Zuchongzhi Road, China (Shanghai) Pilot Free Trade Zone, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】徐 彦超
(72)【発明者】
【氏名】趙 育仁
(72)【発明者】
【氏名】余 慶華
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067DD11
5K067DD17
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG01
5K067GG11
(57)【要約】
【要約】
マルチリンクシステム用MPDU送信および受信方法、装置、記憶媒体、送信機並びに受信機である。送信方法は、シーケンス番号空間を決定することであって、シーケンス番号空間が複数のシーケンス番号を含み、シーケンス番号空間がトリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められ、U-ID_tが送信機の一意の識別子を表すために使用され、U-ID_rが受信機の一意の識別子を表すために使用される、決定することと、送信される複数のMPDUの送信順序を決定することであって、各MPDUがMSDUを運ぶ、決定することと、送信順序にしたがって、シーケンス番号空間からシーケンス番号を順次取得することと、送信順序にしたがって複数のMPDUをそうしんすることと、と含む。本発明の解決策は、マルチリンク送信中に受信機での順番が乱れた受信の問題を解決するのに役立つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチリンクシステム用MACプロトコルデータユニット(MPDU)送信方法であって、
複数のフレームシーケンス番号を含み、トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>によって定められるフレームシーケンス番号空間を決定することであって、U-ID_tは、送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは、受信機の一意の識別子を表す、フレームシーケンス番号空間を決定することと、
送信される複数のMPDUの送信順序を決定することと、
前記送信順序に基づいて前記フレームシーケンス番号空間からフレームシーケンス番号を順次取得することと、
前記送信順序に基づいて前記複数のMPDUを送信することと、を含み、前記複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MACサービスデータユニット(MSDU)、対応するフレームシーケンス番号及びトラフィック識別子(TID)を含み、前記受信機は、前記送信機アドレスに基づいて前記送信機を決定し、前記フレームシーケンス番号に基づいて、同じ送信機から来た、同じTIDを有する1つ以上のMPDUをソートする、
マルチリンクシステム用MPDU送信方法。
【請求項2】
前記送信順序に基づいて前記複数のMPDUを送信することは、
前記送信順序に配置された第1の所定数のMPDUを含む初期送信窓を決定することであって、前記初期送信窓での第1のMPDUは、初期送信MPDUである、初期送信窓を決定することと、
前記初期送信窓での全てのMPDUの送信が完了したと判定されるまで前記初期送信窓でのMPDUを順次送信することであって、前記初期送信MPDUは、送信される最初のMPDUである、前記初期送信窓でのMPDUを順次送信することと、
前記初期送信窓での全てのMPDUの送信が完了すると、前記初期送信窓の更新を生じさせることであって、更新された送信窓での第1のMPDUのシーケンス番号と前記初期送信MPDUのシーケンス番号との差は前記第1の所定数である、前記初期送信窓の更新を生じさせることと、
前記更新された送信窓での全てのMPDUの送信が完了したと判定されるまで前記更新された送信窓でのMPDUを順次送信することであって、前記更新された送信窓での前記第1のMPDUは、送信される最初のMPDUである、前記更新された送信窓でのMPDUを順次送信することと、
前記複数のMPDUの送信が完了したと判定されるまで、前記更新された送信窓の再度の更新を続けることと、最新の更新された送信窓でのMPDUを順次送信することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期送信窓でのMPDUの送信が完了したと判定されるまで前記初期送信窓でのMPDUを順次送信することは、
各リンクにて、MPDUが送信されると、前記MPDUの確認応答情報が第1の所定時間期間内に前記受信機から受信された場合、前記初期送信窓での次のMPDUを送信することと、
MPDUが送信されると、前記MPDUの確認応答情報が前記第1の所定時間期間内に前記受信機から受信されなかった場合、前記MPDUを再送信することと、
再送信されたMPDUの確認応答情報が前記第1の所定時間期間内に前記受信機から受信された場合、前記初期送信窓での前記次のMPDUを送信することと、
前記再送信されたMPDUの確認応答情報が前記第1の所定時間期間内に前記受信機から受信されなかった場合、所定数の再送信がなされるまで前記MPDUを再送信することと、
前記初期送信窓での全てのMPDUについて、確認応答情報が前記受信機から受信された、又は前記所定数の再送信がなされた場合、前記初期送信窓での全てのMPDUの送信が完了したと判定することと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記初期送信窓でのMPDUの送信が完了したと判定されるまで前記初期送信窓でのMPDUを順次送信することは、
各MPDUを送信する前に、前記MPDUの有効期間を検出することと、
前記MPDUの前記有効期間が終了すると、前記MPDUの送信を中止することと、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の所定数は、あらかじめ定められる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記MPDUは、非集約MPDUである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フレームシーケンス番号空間が決定される前に、前記方法は、
接続がいずれかのリンクで設定されると、U-ID_tを前記受信機に送信することと、U-ID_rを前記受信機から受信することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
マルチリンクシステム用のMACプロトコルデータユニット(MPDU)受信方法であって、
複数のMPDUを受信することであって、前記複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MACサービスデータユニット(MSDU)、フレームシーケンス番号及びトラフィック識別子(TID)を含む、複数のMPDUを受信することと、
前記送信機アドレスに基づいて各MPDUの送信機を決定することと、
同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUを、前記1つ以上のMPDUの前記フレームシーケンス番号に基づいてソートすることと、
を含み、
前記フレームシーケンス番号は、前記複数のMPDUの送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間から前記送信機によって順次割り当てられ、前記フレームシーケンス番号空間は、複数のフレームシーケンス番号を含み、トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められ、U-ID_tは、送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは、受信機の一意の識別子を表す、
マルチリンクシステム用MPDU受信方法。
【請求項9】
同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUを、前記1つ以上のMPDUの前記フレームシーケンス番号に基づいてソートすることは、
初期受信窓を決定することであって、前記初期受信窓は、前記送信順序に配置された第2の所定数のMPDUを含み、前記初期受信窓での第1のMPDUは、初期受信MPDUである、初期受信窓を決定することと、
前記受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに前記初期受信窓にある前記MPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて前記受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに前記初期受信窓にある前記MPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて前記受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、
前記受信されたMPDUの前記フレームシーケンス番号が前記初期受信MPDUの前記フレームシーケンス番号である場合、前記MPDUを報告することと、第1の更新された受信窓を取得するために前記初期受信窓の更新を生じさせることであって、前記第1の更新された受信窓での第1のMPDUは、前記初期受信MPDUの次のMPDUである、前記初期受信窓の更新を生じさせることと、
最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、
前記最新の報告されたMPDUの次の前記MPDUが受信された場合、前記最新の報告されたMPDUの次の前記MPDUを報告することと、
前記第1の更新された受信窓の更新を生じさせることと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上の受信されたMPDUの前記フレームシーケンス番号が前記初期受信窓での前記初期受信MPDUの前記フレームシーケンス番号以外のフレームシーケンス番号である場合、前記1つ以上の受信されたMPDUをバッファに格納することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに前記初期受信窓にある前記MPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて前記受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、
1つ以上の受信されたMPDUの前記フレームシーケンス番号が前記初期受信窓での前記MPDUの最小のフレームシーケンス番号より小さい場合、前記1つ以上の受信されたMPDUを破棄すること、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに前記初期受信窓にある前記MPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて前記受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、
前記受信されたMPDUの前記フレームシーケンス番号が前記初期受信窓での前記MPDUの最大のフレームシーケンス番号より大きい場合、前記受信されたMPDUをバッファに格納することと、
第2の更新された受信窓を取得するために前記初期受信窓を更新することであって、前記受信されたMPDUのフレームシーケンス番号は、前記第2の更新された受信窓での前記MPDUの最大のフレームシーケンス番号である、前記初期受信窓を更新することと、
受信されて、報告されていないMPDUのうち、前記第2の更新された受信窓での前記MPDUの最小のフレームシーケンス番号より小さいフレームシーケンス番号を有するMPDUを報告することと、
前記第2の更新された受信窓での第1のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、
前記第2の更新された受信窓での前記第1のMPDUが受信された場合、前記第1のMPDUを報告することと、そうでない場合、報告を中断することと、
最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、
前記最新の報告されたMPDUの次の前記MPDUが受信された場合、前記最新の報告されたMPDUの次の前記MPDUを報告することと、そうでない場合、報告を中断することと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記報告が中断されると、前記第2の更新された受信窓の更新を生じさせることをさらに含み、更新された第2の更新された受信窓での第1のMPDUは、前記最新の報告されたMPDUの次のMPDUである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに前記初期受信窓にある前記MPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて前記受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、
前のMPDUを報告した時間から開始するようにタイマーを設定することであって、前記タイマーの持続時間は、第2の所定時間期間である、タイマーを設定することと、
前記タイマーの期限が切れたとき、1つ以上の受信されたMPDUの前記フレームシーケンス番号が前記初期受信窓での前記初期受信MPDUの前記フレームシーケンス番号以外のフレームシーケンス番号である場合、前記1つ以上の受信されたMPDU内の最小のフレームシーケンス番号を有するMPDUを報告することと、
最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、
前記最新の報告されたMPDUの次の前記MPDUが受信された場合、前記最新の報告されたMPDUの次の前記MPDUを報告することと、そうでない場合、報告を中断することと、
前記報告が中断されると、第3の更新された受信窓を取得するために前記初期受信窓の更新を生じさせることであって、前記第3の更新された受信窓での第1のMPDUは、前記最新の報告されたMPDUの次のMPDUである、前記初期受信窓の更新を生じさせることと、
前記報告が中断されると、前記タイマーの再スタートを生じさせることと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに前記初期受信窓にある前記MPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて前記受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、
前記タイマーの期限が切れたとき、MPDUが受信されなかった場合、前記タイマーの再スタートを生じさせることをさらに含み、前記タイマーの持続時間は、前記第2の所定時間期間である、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
マルチリンクシステム用MACプロトコルデータユニット(MPDU)送信装置であって、
フレームシーケンス番号を含み且つトリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められるフレームシーケンス番号空間を決定するように構成された空間決定回路であって、U-ID_tは、送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは、受信機の一意の識別子を表す、空間決定回路と、
送信される複数のMPDUの送信順序を決定するように構成された順序決定回路と、
前記送信順序に基づいて前記フレームシーケンス番号空間からフレームシーケンス番号を順次取得するように構成されたシーケンス番号取得回路と、
前記送信順序に基づいて前記複数のMPDUを送信するように構成された送信回路と、を備え、前記複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MACサービスデータユニット(MSDU)、対応するフレームシーケンス番号及びトラフィック識別子(TID)を含み、前記受信機は、前記送信機アドレスに基づいて前記送信機を決定し、同じ送信機から来た、同じTIDを有する1つ以上のMPDUを前記フレームシーケンス番号に基づいてソートする、
マルチリンクシステム用MPDU送信装置。
【請求項18】
マルチリンクシステム用MACプロトコルデータユニット(MPDU)受信装置であって、
複数のMPDUを受信するように構成された受信回路であって、前記複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MACサービスデータユニット(MSDU)、フレームシーケンス番号及びトラフィック識別子(TID)を含む、受信回路と、
前記送信機アドレスに基づいて各MPDUの送信機を決定するように構成された決定回路と、
同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUを、前記1つ以上のMPDUの前記フレームシーケンス番号に基づいてソートするように構成されたソート回路と、
を備え、
前記フレームシーケンス番号は、前記複数のMPDUの送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間から前記送信機によって順次割り当てられ、前記フレームシーケンス番号空間は、複数のフレームシーケンス番号を含み、トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められ、U-ID_tは、前記送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは、受信機の一意の識別子を表す、
マルチリンクシステム用MPDU受信装置。
【請求項19】
記憶媒体であって、前記記憶媒体に格納されたコンピュータ命令を有し、前記コンピュータ命令が実行されると、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法または請求項8から請求項16のいずれか一項に記載の方法が実行される、記憶媒体。
【請求項20】
メモリ及びプロセッサを備え、前記メモリは、前記メモリに格納されたコンピュータ命令を有し、前記プロセッサが前記コンピュータ命令を実行すると、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法が実行される、送信機。
【請求項21】
メモリ及びプロセッサを備え、前記メモリは、前記メモリに格納されたコンピュータ命令を有し、前記プロセッサが前記コンピュータ命令を実行すると、請求項8から請求項16のいずれか一項に記載の方法が実行される、受信機。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年5月20日に出願された、発明の名称が「マルチリンクシステム用MPDU送信方法及び装置、マルチリンクシステム用MPDU受信方法及び装置、記憶媒体、送信機並びに受信機」である中国特許出願第201910419428.2号の優先権の利益を主張し、本件明細書の一部を構成するものとしてその開示全体を本件明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して通信技術分野に関し、より具体的には、マルチリンクシステム用のMPDU送信方法及び装置、マルチリンクシステム用のMPDU受信方法及び装置、記憶媒体、送信機並びに受信機に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi(登録商標))システムでは、単一のメディアアクセス制御(MAC)層と(無線周波数(RF)を含む)単一のポート物理層(PHY)のみがある。デュアルバンド(2.4GHz及び5GHz)をサポートする一般的なWiFiシステムの場合、通常、データの受信に使用できるRFは1つだけである。これは、シングルリンク無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)システムの典型的な事例である。WLAN規格の進歩に伴い、マルチバンド(2.4GHz、5GHz及び60GHz)又はマルチリンクの機能がIEEE802.11be(EHT)及びRTA TIGで議論されている。したがって、実際には、ますます多くのWLAN製品(例えば、マルチバンド同時接続機能をサポートする製品)がマルチリンクをサポートするようになる。
【0004】
既存の手法では、各リンクが自身のフレームシーケンス番号を有する。送信機が複数のリンクで送信する場合、フレームシーケンス番号が重複する可能性があり、受信機は受信したMACプロトコルデータユニット(MPDU)の実際の順序を区別できず、MACサービスデータユニット(MSDU)の受信手順が不正確となる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、マルチリンクシステム用MPDU送信方法及び装置、マルチリンクシステム用MPDU受信方法及び装置、記憶媒体、送信機並びに受信機を提供し、これらは、マルチリンク送信での受信機における順序が乱れた受信の問題を回避し得る。
【0006】
本開示の一実施形態では、マルチリンクシステム用MPDU送信方法が提供され、方法は、複数のフレームシーケンス番号を含み、3つのデータの組み(トリプレット:triplet)<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められるフレームシーケンス番号空間を決定することを含む。U-ID_tは送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは受信機の一意の識別子を表す。当該方法は、送信される複数のMPDUの送信順序を決定することと、送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間からフレームシーケンス番号を順次取得することと、送信順序に基づいて複数のMPDUを送信することと、を含む。複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、対応するフレームシーケンス番号及びトラフィック識別子(TID)を含み、その結果、受信機は、送信機アドレスに基づいて送信機を決定し、フレームシーケンス番号に基づいて同じ送信機から来て同じTIDを有する1つ以上のMPDUをソートすることができる。
【0007】
選択的に、送信順序に基づいて複数のMPDUを送信することは、送信順序に配置された第1の所定数のMPDUを含む初期送信窓を決定することを含む。初期送信窓での第1のMPDUは、初期送信MPDUである。当該方法は、初期送信窓での全てのMPDUの送信が完了したと判定されるまで、初期送信窓でのMPDUを順次送信することを含む。初期送信MPDUは、送信される最初のMPDUである。当該方法は、初期送信窓での全てのMPDUの送信が完了すると、初期送信窓の更新を生じさせることを含む。更新された送信窓での第1のMPDUのシーケンス番号と初期送信MPDUのシーケンス番号との差は、第1の所定数である。当該方法は、更新された送信窓での全てのMPDUの送信が完了したと判定されるまで、更新された送信窓でのMPDUを順次送信することを含む。更新された送信窓での第1のMPDUは、送信される最初のMPDUである。当該方法は、複数のMPDUの送信が完了したと判定されるまで、更新された送信窓を再度の更新を続けることと、最新の更新された送信窓でのMPDUを順次送信することと、を含む。
【0008】
選択的に、初期送信窓でのMPDUの送信が完了したと判定されるまで初期送信窓でのMPDUを順次送信することは、各リンクにて、MPDUが送信されると、MPDUの確認応答情報が第1の所定時間期間内に受信機から受信された場合、初期受信窓での次のMPDUを送信することと、MPDUが送信されると、MPDUの確認応答情報が第1の所定時間期間内に受信機から受信されなかった場合、MPDUを再送信することと、再送信されたMPDUの確認応答情報が第1の所定時間期間内に受信機から受信された場合、初期送信窓での次のMPDUを送信することと、再送信されたMPDUの確認応答情報が第1の所定時間期間内に受信機から受信されなかった場合、所定数の再送信がなされるまでMPDUを再送信することと、初期送信窓での全てのMPDUについて、確認応答情報が受信機から受信された、又は所定数の再送信がなされた場合、初期送信窓での全てのMPDUの送信が完了したと判定することと、を含む。
【0009】
選択的に、初期送信窓でのMPDUの送信が完了したと判定されるまで初期送信窓でのMPDUを順次送信することは、各MPDUを送信する前に、MPDUの有効期間を検出することと、MPDUの有効期間が終了すると、MPDUの送信を中止することと、をさらに含む。
【0010】
選択的に、第1の所定数はあらかじめ定められている。
【0011】
選択的に、MPDUは非集約MPDUである。
【0012】
選択的に、フレームシーケンス番号空間が決定される前に、方法は、接続がいずれかのリンクで設定されると、U-ID_tを受信機に送信することと、U-ID_rを受信機から受信することと、をさらに含む。
【0013】
本開示の一実施形態では、マルチリンクシステム用MPDU受信方法が提供され、方法は、複数のMPDUを受信することを含む。複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、フレームシーケンス番号及びTIDを含む。当該方法は、送信機アドレスに基づいて各MPDUの送信機を決定することと、同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUを、1つ以上のMPDUのフレームシーケンス番号に基づいてソートすることと、を含む。フレームシーケンス番号は、複数のMPDUの送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間から送信機によって順次割り当てられ、フレームシーケンス番号空間は、複数のフレームシーケンス番号を含み、トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められ、U-ID_tは、送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは、受信機の一意の識別子を表す。
【0014】
選択的に、同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUを、1つ以上のMPDUのフレームシーケンス番号に基づいてソートすることは、初期受信窓を決定することを含む。初期受信窓は、送信順序に配置された第2の所定数のMPDUを含み、初期受信窓での第1のMPDUは、初期受信MPDUである。当該ソートすることは、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することと、を含む。
【0015】
選択的に、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が初期受信MPDUのフレームシーケンス番号である場合、MPDUを報告することと、第1の更新された受信窓を取得するために初期受信窓の更新を生じさせることと、を含む。第1の更新された受信窓での第1のMPDUは、初期受信MPDUの次のMPDUである。当該比較することと、決定することは、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信された場合、最新の報告されたMPDUの次のMPDUを報告することと、第1の更新された受信窓の更新を生じさせることと、を含む。
【0016】
選択的に、方法は、1つ以上の受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が、初期受信窓での初期受信MPDUのフレームシーケンス番号以外のフレームシーケンス番号である場合、1つ以上の受信されたMPDUをバッファに格納することをさらに含む。
【0017】
選択的に、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、1つ以上の受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が初期受信窓でのMPDUの最小のフレームシーケンス番号より小さい場合、1つ以上の受信されたMPDUを破棄することを含む。
【0018】
選択的に、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が初期受信窓でのMPDUの最大のフレームシーケンス番号より大きい場合、受信されたMPDUをバッファに格納することと、第2の更新された受信窓を取得するために初期受信窓を更新することと、を含む。受信されたMPDUのフレームシーケンス番号は、第2の更新された受信窓でのMPDUの最大のフレームシーケンス番号である。当該比較することと、決定することは、受信されて、報告されていないMPDUのうち、第2の更新された受信窓でのMPDU最小のフレームシーケンス番号より小さいフレームシーケンス番号を有するMPDUを報告することと、第2の更新された受信窓での第1のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、第2の更新された受信窓での第1のMPDUが受信された場合、第1のMPDUを報告することと、そうでない場合、報告を中断することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信された場合、最新の報告されたMPDUの次のMPDUを報告することと、そうでない場合、報告を中断することと、を含む。
【0019】
選択的に、方法は、報告が中断されると、第2の更新された受信窓の更新を生じさせることをさらに含む。更新された第2の更新された受信窓での第1のMPDUは、最新の報告されたMPDUの次のMPDUである。
【0020】
選択的に、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、前のMPDUを報告した時間から開始するようにタイマーを設定することを含む。タイマーの持続時間は、第2の所定時間期間である。当該比較することと、決定することは、タイマーの期限が切れたとき、1つ以上の受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が初期受信窓での初期受信MPDUのフレームシーケンス番号以外のフレームシーケンス番号である場合、1つ以上の受信されたMPDU内の最小のフレームシーケンス番号を有するMPDUを報告することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信された場合、最新の報告されたMPDUの次のMPDUを報告することと、そうでない場合、報告を中断することと、報告が中断されると、第3の更新された受信窓を取得するために初期受信窓の更新を生じさせることと、を含む。第3の更新された受信窓での第1のMPDUは、最新の報告されたMPDUの次のMPDUである。当該比較することと、決定することは、報告が中断されると、タイマーの再スタートを生じさせることを含む。
【0021】
選択的に、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、タイマーの期限が切れたとき、MPDUが受信されなかった場合、タイマーの再スタートを生じさせることをさらに含む。タイマーの持続時間は、第2の所定時間期間である。
【0022】
本開示の一実施形態では、マルチリンクシステム用MPDU送信装置が提供され、装置は、複数のフレームシーケンス番号を含み且つトリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められるフレームシーケンス番号空間を決定するように構成された空間決定回路であって、U-ID_tは送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは受信機の一意の識別子を表す、空間決定回路と、送信される複数のMPDUの送信順序を決定するように構成された順序決定回路と、送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間からフレームシーケンス番号を順次取得するように構成されたシーケンス番号取得回路と、送信順序に基づいて複数のMPDUを送信するように構成された送信回路と、を含む。複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、対応するフレームシーケンス番号及びTIDを含み、受信機は、送信機アドレスに基づいて送信機を決定し、フレームシーケンス番号に基づいて、同じ送信機から来た、同じTIDを有する1つ以上のMPDUをソートする。
【0023】
本開示の一実施形態では、マルチリンクシステム用MPDU受信装置が提供され、装置は、複数のMPDUを受信するように構成された受信回路であって、複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、フレームシーケンス番号及びTIDを含む、受信回路と、送信機アドレスに基づいて各MPDUの送信機を決定するように構成された決定回路と、同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUを、1つ以上のMPDUのフレームシーケンス番号に基づいてソートするように構成されたソート回路と、を含む。フレームシーケンス番号は、複数のMPDUの送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間から送信機によって順次割り当てられ、フレームシーケンス番号空間は、複数のフレームシーケンス番号を含み、トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められ、U-ID_tは、送信機の一意の識別子表し、U-ID_rは、受信機の一意の識別子を表す。
【0024】
本開示の一実施形態では、記憶媒体に格納されたコンピュータ命令を有する記憶媒体が提供され、コンピュータ命令が実行されると、上記MPDU送信方法または上記MPDU受信方法が実行される。
【0025】
本開示の一実施形態では、メモリとプロセッサを含む送信機が提供され、メモリはメモリに格納されたコンピュータ命令を有し、プロセッサがコンピュータ命令を実行すると、上記のMPDU送信方法が実行される。
【0026】
本開示の一実施形態では、メモリとプロセッサを含む受信機が提供され、メモリはメモリに格納されたコンピュータ命令を有し、プロセッサがコンピュータ命令を実行すると、上記のMPDU受信方法が実行される。
【0027】
本開示の実施形態は、以下の利点を提供し得る。本開示の実施形態では、複数のフレームシーケンス番号を含み且つトリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められるフレームシーケンス番号空間が決定される。U-ID_tは、送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは、受信機の一意の識別子を表す。送信される複数のMPDUの送信順序が決定され、フレームシーケンス番号は、送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間から順次取得され、複数のMPDUは、送信順序に基づいて送信される。複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、対応するフレームシーケンス番号及びTIDを含み、その結果、受信機は、送信機アドレスに基づいて送信機を決定し、同じ送信機から来た、同じTIDを有する1つ以上のMPDUをフレームシーケンス番号に基づいてソートすることができる。本開示の実施形態では、フレームシーケンス番号空間は、送信機および受信機の一意の識別子に基づいて生成され、フレームシーケンス番号は、送信中にフレームシーケンス番号空間から順次取得され、これは、重複の可能性を低減し得る。さらに、送信されたMPDUはフレームシーケンス番号を含むため、これは、マルチリンク送信での受信機における順序が乱れた受信の問題を回避するのに役立つ。
【0028】
さらに、本開示の実施形態では、初期送信窓を設定し、初期送信窓でのMPDUがすべて送信されたときに初期送信窓の更新を生じさせることにより、MPDUのグループが順次送信され得、その結果、MPDUの送信順序及び受信順序は、MPDUの実際の順序とより一致し、これは、マルチリンク送信での受信機における順序が乱れた受信の問題を回避するのにさらに役立つ。
【0029】
さらに、本開示の実施形態では、初期受信窓を設定し、MPDUを報告した後に初期受信窓の更新を生じさせることにより、受信されたMPDUの順番がばらばらなときにいくつかのMPDUを長時間待機させる場合が避けられ得、これは、これらのMPDUの実際の順序を維持しながら、受信機が受信されたMPDUをできるだけ早く報告するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、既存の技術におけるマルチリンクシステムのアーキテクチャの図である。
図2図2は、既存の技術におけるマルチリンクシステム用MPDU送信及び受信方法の動作シナリオ図である。
図3図3は、一実施形態に係るマルチリンクシステム用MPDU送信方法のフローチャートである。
図4図4は、一実施形態に係るマルチリンクシステム用MPDU送受信方法の動作シナリオ図である。
図5図5は、一実施形態に係るマルチリンクシステム用MPDU送受信方法の動作シナリオ図である。
図6図6は、一実施形態に係るマルチリンクシステム用MPDU受信方法のフローチャートである。
図7図7は、一実施形態に係るマルチリンクシステム用MPDU送信装置の構造図である。
図8図8は、一実施形態に係るマルチリンクシステム用MPDU受信装置の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
既存の技術にて、マルチリンクシステムアーキテクチャが提案されている。MPDUは、許可されている全てのリンクを使用して送受信され得る。これは、遅延を減らして各リンクを動的に使用するために有益であり、それによってMPDU交換効率が向上する。
【0032】
図1を参照すると、図1は、既存の技術におけるマルチリンクシステムのアーキテクチャの図である。
【0033】
図1に示されているように、全てのリンクでMPDUの送信が許可されるため、同じ受信機アドレス(RA)、同じ送信機アドレス(TA)、又は同じトラフィック識別子(TID)など、同じタイプに属するMPDUは複数のリンクで送信され得る。従来のIEEE802.11では、MSDUの順序を表すために使用され得るフレームシーケンス番号(SN)などのいくつかのデータ関連属性は、<RA,TA,TID>の3つのデータの組み(トリプレット:triplet)に基づいて定義される。これらは、MPDUの送受信手順に直接影響する。
【0034】
具体的には、非集約MPDUの既存の送受信メカニズムは、IEEE802.11規格に基づいている。
【0035】
従来のIEEE802.11では、送信機の送信シーケンス番号空間は、<RA,TA,TID>のトリプレットに基づいて定義されていた。
【0036】
従来のIEEE802.11には、非集約MPDUの送受信に関する特別な規則はない。
【0037】
従来のIEEE802.11によると、送信機が任意のリンクで非集約MPDUを送信する場合、そのSNは、<RA,TA,TID>によって決定されたフレームシーケンス番号空間から取得される。
【0038】
従来のIEEE802.11によると、任意のリンクで非集約MPDUを受信すると、受信機はすぐにそれを上位層に渡して処理する。
【0039】
発明者は、マルチリンクシステムでは、既存の解決策には次のような欠点を有し得ることを研究を通じて見出した。送信機および/または受信機が同じTIDと同じ受信機を有する複数のMPDUで異なるリンクで異なるMACアドレスを使用するとき、これらのMPDUが異なるリンクで送信される場合、これらのMPDUのフレームシーケンス番号は、既存の解決策における送信シーケンス番号空間が<RA,TA,TID>に基づいているため、異なる送信シーケンス番号空間から割り当てられるだろう。これらのMPDUのSNは、相互に独立した送信シーケンス番号空間から来ているため、これらのMPDUのSNは、これらのMPDUの正しい順序を反映できない。
【0040】
既存の解決策では、非集約MPDUを受信した後、受信機はすぐにそれを上位層に渡して処理する。上記の操作では、受信機は非集約MPDUを処理するために上位層に順番に配信できず、非集約MPDUの順序が乱れる。
【0041】
図2を参照すると、図2は、既存の技術におけるマルチリンクシステムのMPDU送受信方法の動作シナリオ図である。
【0042】
図2に示すように、送信機と受信機の間には、リンク1とリンク2の2つのリンクがある。リンク1では、送信機はMACアドレスTA-1を使用し、受信機はMACアドレスRA-1を使用する。リンク2では、送信機はMACアドレスTA-2を使用し、受信機はMACアドレスRA-2を使用する。
【0043】
送信機の上位層は、送信される4つのMSDU(0~3)を有する。4つのMSDUを順番に取得した後、送信機はそれらをフレームペイロードとしてそれぞれ4つのMPDUに含める。いずれか1つのリンクが利用可能である限り、4つのMPDUのいずれか1つは、そのリンクで送信され得る。
【0044】
わかりやすくするために、図2では、リンク1で送信され、0のSNを有し、MSDU0を含むMPDUを示す、MPDU<RA-1,TA-1,SN-0,MSDU0>が使用されている。
【0045】
具体的には、受信機では、まずMPDU<RA-1,TA-1,SN-0,MSDU0>が受信され、そしてMPDU<RA-2,TA-2,SN-0,MSDU1>、MPDU<RA-2,TA-2,SN-1,MSDU3>、MPDU<RA-1,TA-1,SN-1,MSDU2>が順番に受信される。
【0046】
本発明者らはさらに、既存の技術において、MPDU<RA-2,TA-2,SN-1,MSDU3>及びMPDU<RA-1,TA-1,SN-1,MSDU2>におけるSNが送信機でのMPDUの正しい順序を反映できないため、受信機は受信した各MPDUを上位層に渡す、ということを研究を通じて発見した。したがって、受信機による上位層へのMPDUの送信順序は、MSDU0、MSDU1、MSDU3、そしてMSDU2であり、順番の乱れが発生する。
【0047】
本開示の実施形態では、複数のフレームシーケンス番号を含み、トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められるフレームシーケンス番号空間が決定される。U-ID_tは送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは受信機の一意の識別子を表す。送信される複数のMPDUの送信順序が決定され、送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間からフレームシーケンス番号が順次取得され、送信順序に基づいて複数のMPDUが送信される。複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、対応するフレームシーケンス番号、及びTIDを含み、その結果、受信機は、送信機アドレスに基づいて送信機を特定し、フレームシーケンス番号に基づいて、同じ送信機から来た、同じTIDを有する1つ以上のMPDUをソートする。本開示の実施形態では、フレームシーケンス番号空間は、送信機及び受信機の一意の識別子に基づいて生成され、フレームシーケンス番号は、送信中にフレームシーケンス番号空間から順次取得され、これは、重複の可能性を低減し得る。さらに、送信されたMPDUはフレームシーケンス番号を含むため、マルチリンク送信の受信機での順番が乱れた受信の問題を避けるのに役立つ。
【0048】
本開示の実施形態の目的、特徴および利点を明確にするために、本開示の実施形態は、添付の図面と併せて明確に詳細に説明される。
【0049】
図3を参照すると、図3は、一実施形態によるマルチリンクシステム用のMPDU送信方法のフローチャートである。MPDU送信方法は、送信機に適用され得、S31、S32、S33及びS34を含み得る。
【0050】
S31において、フレームシーケンス番号空間が決定される。フレームシーケンス番号空間は、複数のフレームシーケンス番号を含み、トリプレット<U-ID_t、U-ID_r、TID>に基づいて定められる。U-ID_tは、送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは、受信機の一意の識別子を表す。
【0051】
S32において、送信される複数のMPDUの送信順序が決定される。
【0052】
S33において、フレームシーケンス番号が、送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間から順次取得される。
【0053】
S34において、複数のMPDUが送信順序に基づいて送信される。複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、対応するフレームシーケンス番号、及びTIDを含み、その結果、受信機は、送信機アドレスに基づいて送信機を特定し、フレームシーケンス番号に基づいて、同じ送信機から来て、同じTIDを持つ1つ以上のMPDUをソートする。
【0054】
いくつかの実施形態では、S31において、一意の識別(U-ID)が、マルチリンクシステムを支援する送信機および受信機に対して定められる。送信機は、そのU-ID_tで一意に表され得、受信機は、そのU-ID_rで一意に表され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、フレームシーケンス番号空間が決定される前に、方法は、接続が任意のリンク上で設定されると、U-ID_tを受信機に送信することと、受信機からU-ID_rを受信することと、をさらに含む。送信機では、同じTIDで同じ受信機に送信されるMPDUは、同じフレームシーケンス番号空間からのフレームシーケンス番号SNを割り当てられ、各トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>は、1つのフレームシーケンス番号空間に対応する。
【0056】
いくつかの実施形態では、送信機と受信機が任意のリンク上に接続を設定するとき、それらは互いにU-IDを通信し、それにより、その後の情報交換における互いの誤識別を効果的に回避する。
【0057】
さらに、いくつかの実施形態では、送信機からMPDUを受信するとき、受信機は、MPDUのTAを通じて送信機の対応するU-ID_tを取得する。
【0058】
いくつかの実施形態では、S32では、各MPDUはMSDUを運ぶ。
【0059】
具体的には、MSDUは、MAC層の上位層プロトコル、すなわち、MACサービスデータユニットに属し得、MPDUは、MAC層の下位層プロトコル、すなわち、MACプロトコルデータユニットに属し得る。MSDUは、最初に送信機の下位層に上位層から受信され、受信機の下位層に送信されるMPDUとしてカプセル化され、受信機によってMSDUにカプセル化解除され、受信機の上位層に報告される。
【0060】
いくつかの実施形態では、送信される複数のMPDUの送信順序は、MPDUに含まれるフレームシーケンス番号に基づいて決定され得る。フレームシーケンス番号は、n(nは正の整数)だけ、または事前設定された規則に基づいて徐々に増加する。
【0061】
さらに、MPDUは非集約MPDUであってもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、非集約MPDUシナリオで送信窓及び受信窓を設定することは、マルチリンクシナリオの下での解決策の改善を提供する。
【0063】
いくつかの実施形態では、S33において、フレームシーケンス番号は、送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間から順次取得される。
【0064】
フレームシーケンス番号空間は、トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められるため、フレームシーケンス番号はマルチリンク内の他のパラメータの影響を受けないことができることに留意すべきであり、これは重複の可能性を低減する。
【0065】
いくつかの実施形態では、S34において、複数のMPDUは、送信順序に基づいて送信される。
【0066】
各MPDUは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、対応するフレームシーケンス番号、およびTIDを含み、そのため、受信機は送信機アドレスによって送信機を決定し、フレームシーケンス番号に基づいて、同じ送信機から来た、同じTIDを有する1つ以上のMPDUをソートする。
【0067】
受信機は、ソートされたMPDUのカプセル化を解除して、MSDUを取得し、MSDUを受信機の上位層に報告し得ることに留意すべきである。ソートされたMPDUは正しい順序を有するため、MSDUはしたがって正しい順序を有する。いくつかの実施形態では、カプセル化解除及び報告の特定の実施方法に制限はない。
【0068】
図4を参照すると、図4は、一実施形態によるマルチリンクシステムのMPDU送受信方法の動作シナリオ図である。
【0069】
図4に示すように、送信機と受信機の間には、リンク1とリンク2の2つのリンクがある。リンク1では、送信機はMACアドレスTA-1を使用し、受信機はMACアドレスRA-1を使用する。リンク2では、送信機はMACアドレスTA-2を使用し、受信機はMACアドレスRA-2を使用する。
【0070】
具体的には、送信機の上位層は、送信される2つのMSDU(0-1)を有する。2つのMSDUを順番に取得した後、送信機はそれらをフレームペイロードとして2つのMPDUに含める。2つのMPDUのRA/TAは、同じU-ID_r、同じU-ID_t、及び同じTIDに対応するため、SN割り当て中に同じフレームシーケンス番号空間から2つのMPDUにSNが割り当てられる。
【0071】
したがって、2つのMPDUは異なるリンクで送信されるが、それらのSNはMPDUの正しい順序を反映できる。つまり、SN=0のMPDUに含まれるMSDU0は、SN=1のMPDUに含まれるMSDU1よりも前にある必要がある。
【0072】
本開示の実施形態では、フレームシーケンス番号空間は、送信機および受信機の一意の識別子に基づいて生成され、フレームシーケンス番号は、送信中にフレームシーケンス番号空間から順次取得され、これは、重複の可能性を低減し得る。さらに、送信されたMPDUはフレームシーケンス番号を含むため、マルチリンク送信の受信機での受信の順序の乱れの問題を回避するのに役立つ。
【0073】
引き続き図3を参照すると、送信順序に基づいて複数のMPDUを送信することは、送信順序に配置された第1の所定数のMPDUを含む初期送信窓を決定することを含む。ここで、初期送信窓での第1のMPDUは、初期送信MPDUである。
【0074】
いくつかの実施形態では、2つのパラメータ[WinStart_t,WinSize]を使用して、初期送信窓、及びその後の更新された送信窓を示すことができる。各トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>は1つの送信窓に対応していることが理解され得る。
【0075】
WinStart_tは、送信窓(初期送信窓及び更新された送信窓を含む)での第1のMPDUを示す。これは、フレームシーケンス番号空間のフレームシーケンス番号によって表され得る。WinSizeは、第1の所定数、つまり送信窓に含まれるMPDUの数を示す。
【0076】
第1の所定数は、あらかじめ定められ得、例えば、通信プロトコルに基づいて決定され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、フレームシーケンス番号空間内のフレームシーケンス番号は、1ずつ徐々に増加してもよく、したがって、送信窓の大きさの範囲は、[WinStart_t,WinStart_t+WinSize-1]であり得る。例えば、初期フレームシーケンス番号が0であり、第1の所定数が2である場合、初期送信窓は[0,2]であってもよい。このようにして、送信窓を示す複雑さが軽減される。
【0078】
いくつかの実施形態では、送信窓の他の規則が定められ得る。ある<U-ID_t,U-ID_r,TID>に対応する送信窓については、規則は、以下のことを含み得る。MPDUのSNが、対応する送信窓の範囲内である場合、送信機は任意のリンクでMPDUを送信でき、送信機は、現在の送信窓内のMPDUの最大SNよりも大きいSNを有するMPDUを送信できない。さらに、送信機が現在の送信窓内でのSNを有するMPDUを全て送信し、いずれかのMPDUが正常に送信されたか、有効期限が切れた場合にのみ、送信機は送信窓を更新できる。この条件下で、送信機は、WinStart_tをWinStart_t+WinSizeに更新する。さらに、送信機は、現在の送信窓内のMPDUの最小SNよりも小さいSNを有するMPDUを送信できない。
【0079】
いくつかの実施形態では、S34において、送信順序に基づいて複数のMPDUを送信することは、初期送信窓内の全てのMPDUの送信が完了したと判定されるまで、初期送信窓内でのMPDUを順次送信することをさらに含み、ここで、初期送信MPDUは送信される最初のものである。送信順序に基づいて複数のMPDUを送信することは、初期送信窓内の全てのMPDUの送信が完了すると、初期送信窓の更新を生じさせることをさらに含み、ここで、更新された送信窓内の第1のMPDUのシーケンス番号と初期送信MPDUのシーケンス番号との差は、第1の所定数である。送信順序に基づいて複数のMPDUを送信することは、更新された送信窓内の全てのMPDUの送信が完了したと判定されるまで、更新された送信窓内のMPDUを順次送信することをさらに含み、ここで、更新された送信窓内の第1のMPDUは送信される最初のものである。送信順序に基づいて複数のMPDUを送信することは、更新された送信窓を再度更新し続けることと、複数のMPDUの送信が完了したと判定されるまで、最新の更新された送信窓でMPDUを順次送信することと、をさらに含む。
【0080】
本開示の実施形態では、初期送信窓を設定し、初期送信窓内のMPDUが全て送信されたときに初期送信窓の更新を生じさせることにより、MPDUのグループが順次送信され得、その結果、MPDUの送信順序および受信順序は、MPDUの実際の順序とより一致しており、マルチリンク送信の受信機での順番が乱れた受信の問題を回避するのにさらに役立つ。
【0081】
さらに、いくつかの実施形態では、初期送信窓でのMPDUの送信が完了したと判定されるまで、初期送信窓でのMPDUを順次送信することは、各リンクにて、MPDUが送信されると、当該MPDUの確認応答情報が第1の所定時間期間内に受信機から受信された場合、初期送信窓での次のMPDUを送信することと、MPDUが送信されると、当該MPDUの確認応答情報が第1の所定時間期間内に受信機から受信されなかった場合、当該MPDUを再送信することと、当該再送信されたMPDUの確認応答情報が第1の所定時間期間内に受信機から受信されなかった場合、所定数の再送信がなされるまで当該MPDUを再送信することと、初期送信窓での全てのMPDUについて、確認応答情報が受信機から受信された又は所定数の再送信がなされた場合、初期送信窓での全てのMPDUの送信が完了したと判定することと、を含む。
【0082】
さらに、いくつかの実施形態では、初期送信窓でのMPDUの送信が完了したと判定されるまで初期送信窓でのMPDUを順次送信することは、各MPDUを送信する前に、MPDUの有効期間を検出することと、MPDUの有効期間が終了すると、当該MPDUの送信を中止することと、をさらに含む。
【0083】
送信されるMPDUの有効期間を送信前に検出するステップは、本開示の実施形態での各送信に適用され得ることに留意すべきである。
【0084】
いくつかの実施形態では、MPDUが送信されず、MPDUの有効期間が終了したとしても、MPDUはまた、送信を完了したと見なされる。
【0085】
図5を参照すると、図5は、一実施形態によるマルチリンクシステムのMPDU送受信方法の動作シナリオ図である。
【0086】
図5に示すように、送信機と受信機の間には、リンク1とリンク2の2つのリンクがある。リンク1では、送信機はMACアドレスTA-1を使用し、受信機はMACアドレスRA-1を使用する。リンク2では、送信機はMACアドレスTA-2を使用し、受信機はMACアドレスRA-2を使用する。送信機と受信機によって認められているWinSizeは2である。
【0087】
送信機の上位層は、送信される4つのMSDU(0~3)を有する。4つのMSDUを順番に取得した後、送信機はそれらをフレームペイロードとしてそれぞれ4つのMPDUに含める。いずれか1つのリンクが使用可能である限り、4つのMPDUのいずれか1つをそのリンクで送信できる。
【0088】
わかりやすくするために、MPDU<RA-1,TA-1,SN-0,MSDU0>は、リンク1で送信され、0のSNを有し、MSDU0を含むMPDUを示すために使用される。これらの4つのMSDUに対応するMPDUのU-ID_t、U-ID_r、およびTIDは同じであるため、4つのMPDUのSNは、同じフレームシーケンス番号空間から取得され、MPDU/MSDUの正しい順序を反映する。
【0089】
図5に示すように、点Aと点Cとの間に初期送信窓が提供される。
【0090】
具体的には、初期送信窓は(WinStart_r=0,WinSize=2)として初期化され得る。送信窓の規則に従って、この時点では、SN=0又は1のMPDUのみが使用可能なリンクで送信できる。
【0091】
1.送信機はまずリンク1でMPDU<RA-1,TA-1,SN-0,MSDU0>を送信し、このMPDUを送信しながら、リンク2でMPDU<RA-2,TA-2,SN-1,MSDU1>をさらに送信する。
【0092】
2.リンク1での送信は完了しているが、リンク2でのSN=1を有するMPDUの送信が完了していないため、リンク1での次のMPDUの送信は、SN=0でのMPDUの送信が完了した直後には開始されない。
【0093】
さらに、リンク2でのSN=1でMPDUを正常に送信した後、送信機は、送信窓の更新規則に基づいて、初期送信窓を更新する。
【0094】
図5に示すように、更新された送信窓は点Cと点Eとの間に提供される。
【0095】
点Eの後、新たに更新された送信窓がさらに提供され得ることに留意すべきである。
【0096】
送信窓の更新規則はさらに、更新された送信窓内の第1のMPDUのシーケンス番号と、初期送信MPDUのシーケンス番号との間の差が第1の所定数であることを含み得る。
【0097】
具体的には、送信窓が(WinStart_t=2,WinSize=2)に更新され、この時点で、SN=2または3のMPDUの送信が許可される。
【0098】
1.送信機は、まずリンク1でMPDU<RA-1,TA-1,SN-2,MSDU2>を送信し、このMPDUを送信しながら、さらにリンク2でMPDU<RA-2,TA-2,SN-3,MSDU3>を送信する。
【0099】
2.リンク2での送信は完了されているが、リンク1でのSN=2を有するMPDUの送信が完了していないため、リンク2での次のMPDUの送信は、SN=3を有するMPDUの送信の完了された直後には開始されない。
【0100】
本開示の実施形態では、フレームシーケンス番号空間は、送信機および受信機の一意の識別子に基づいて生成され、フレームシーケンス番号は、送信中にフレームシーケンス番号空間から順次取得され、これは、重複の可能性を低減し得る。さらに、送信されたMPDUにはフレームシーケンス番号を含み、これはマルチリンク送信において受信機での順番が乱れた受信の問題を回避できる。
【0101】
図6を参照すると、図6は、一実施形態によるマルチリンクシステムのMPDU受信方法のフローチャートである。MPDU受信方法は、受信機に適用され得、S61、S62及びS63を含むことができる。
【0102】
S61では、複数のMPDUが受信され、当該複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、フレームシーケンス番号及びTIDを含む。
【0103】
S62では、各MPDUの送信機が送信機アドレスに基づいて決定される。
【0104】
S63では、同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUは、1つ以上のMPDUのフレームシーケンス番号に基づいてソートされる。フレームシーケンス番号は、複数のMPDUの送信順序に基づいて、フレームシーケンス番号空間から送信機によって順次割り当てられる。フレームシーケンス番号空間は、複数のフレームシーケンス番号を含み、トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められる。U-ID_tは、送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは、受信機の一意の識別子を表す。
【0105】
いくつかの実施形態では、S61において、受信機は、複数のMPDUを受信する。MPDU内のフレームシーケンス番号は、送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間から送信機によって順次割り当てられ、複数のMPDUは、送信順序に基づいて送信機から受信機に送信される。
【0106】
フレームシーケンス番号空間、並びにMPDUに含まれる送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、フレームシーケンス番号及びTIDの詳細については、図3に示されているように、マルチリンクシステムのMPDU送信方法に関する上記の説明から分かり得る。
【0107】
S62では、受信機は、送信機アドレスに基づいて各MPDUの送信機を決定できる。
【0108】
いくつかの実施形態では、送信機からMPDUを受信するとき、受信機は、MPDUの送信機アドレスを介して送信機のU-ID_tを取得し、したがって、送信機は一意に決定される。
【0109】
S63では、受信機は、1つ以上のMPDUのフレームシーケンス番号に基づいて、同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUをソートできる。
【0110】
本開示の実施形態では、フレームシーケンス番号空間は、送信機および受信機の一意の識別子に基づいて生成され、フレームシーケンス番号は、送信中にフレームシーケンス番号空間から順次取得され、これは、重複の可能性を低減し得る。さらに、送信されたMPDUはフレームシーケンス番号を含むため、受信機はフレームシーケンス番号に基づいて受信されたMPDUをソートでき、これはマルチリンク送信において受信機での順番が乱れた受信の問題を回避するのに役立つ。
【0111】
さらに、いくつかの実施形態では、1つ以上のMPDUのフレームシーケンス番号に基づいて同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUをソートすることは、初期受信窓を決定することを含む。初期受信窓は、送信順序に配置された第2の所定数のMPDUを含み、初期受信窓での第1のMPDUは、初期受信MPDUである。当該ソートすることは、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓内にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することと、を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、2つのパラメータ[WinStart_r、WinSize]が、初期受信窓及びその後の更新された受信窓を示すために使用され得る。各トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>は1つの受信窓に対応することが理解され得る。
【0113】
WinStart_rは、受信窓(初期受信窓及び更新された受信窓を含む)の第1のMPDUを示し、これは、フレームシーケンス番号空間のフレームシーケンス番号によって表され得、WinSizeは、第2の所定数、すなわち受信窓に含まれるMPDUの数を示す。
【0114】
第2の所定数は、事前に定められ得、例えば、通信プロトコルに基づいて決定され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、送信規則と受信規則との間の一貫性を改善するために、第2の所定数は、送信窓での第1の所定数と等しくてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、フレームシーケンス番号空間内のフレームシーケンス番号は、1ずつ徐々に増加してもよく、したがって、受信窓の大きさの範囲は、[WinStart_t,WinStart_t+WinSize-1]であり得る。例えば、初期フレームシーケンス番号が0であり、第2の所定数が2である場合、初期受信窓は[0,2]であってもよい。このようにして、受信窓を示す複雑さが軽減される。
【0117】
いくつかの実施形態では、受信窓の他の規則が定められ得る。
【0118】
ある<U-ID_t,U-ID_r,TID>に対応する受信窓については、規則は、WinStart_rが0に初期化され、受信窓の大きさの範囲が[WinStart_r,WinStart_r+WinSize-1]となることを含み得る。
【0119】
規則は、さらに以下を含んでもよい。受信機がいずれかのリンクで、対応する受信窓でのMPDUの最小SNよりも小さいSNを有するMPDUを受信した場合、MPDUは破棄される。受信機がいずれかのリンクで、対応する受信窓の範囲内のSNを有するMPDUを受信した場合、受信機は以下の手順を順番に実行する必要がある。第1に、同じSNを有するMPDUが受信機でのバッファで受信されていない場合、受信機は受信されたMPDUをバッファ内に配置し、そうでない場合、受信機はMPDUを破棄する。第2に、受信機は、以下の規則に従って処理するためのバッファ内のMPDUを上位層に渡す。SN=WinStart_rを有するMPDUがバッファで受信され、受信機が当該MPDUを上位層に渡し、順次増加したSNを有する次のMPDUが受信されたかどうかを確認し、次のMPDUが受信された場合、受信機は次のMPDUを上位層に渡し、別の次のMPDUを順番にさらに確認する。それ以外の場合、受信機は対応するMPDUを上位層に渡さない。第3に、WinStart_rは、上記の第2のステップで上位層に渡された最新のMPDUのSNを加えた値に更新される。
【0120】
いくつかの実施形態では、S63において、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が初期受信MPDUのフレームシーケンス番号である場合、MPDUを報告することと、第1の更新された受信窓を得るために初期受信窓の更新を生じさせることと、を含む。第1の更新された受信窓での第1のMPDUは、初期受信MPDUの次のMPDUである。当該比較することと、決定することは、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信された場合、最新の報告されたMPDUの次のMPDUを報告することと、第1の更新された受信窓の更新を生じさせることと、を含む。
【0121】
本開示の実施形態では、初期受信窓を設定し、初期受信MPDUと同じSNを有するMPDUを報告し、受信窓の更新を生じさせることにより、MPDUが順序がばらばらに受信された場合であっても、MPDUを正しい順序で報告することが可能である。
【0122】
いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が、初期受信窓での初期受信MPDUのフレームシーケンス番号以外のフレームシーケンス番号である場合、当該1つ以上の受信されたMPDUをバッファに格納することをさらに含む。
【0123】
本開示の実施形態では、1つ以上の受信されたMPDUをバッファに格納することにより、受信されたMPDUが要件を満たさない場合に送信および受信の繰り返しが回避され得、これは通信リソースの節約に役立つ。
【0124】
さらに、いくつかの実施形態では、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、1つ以上の受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が初期受信窓でのMPDUの最小のフレームシーケンス番号より小さい場合、当該1つ以上の受信されたMPDUを破棄することをさらに含む。
【0125】
本開示の実施形態では、初期受信窓を設定し、初期受信窓でのMPDUの最小のフレームシーケンス番号より1つ以上の受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が小さい場合に当該1つ以上のMPDUを破棄することによって、順序がばらばらである問題は、受信されたMPDUがMPDUの順次の報告に影響を与える場合は回避され得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、受信窓の規則は、受信されたMPDUのSNが、対応する受信窓の範囲を超える場合をさらに含み得る。この場合、受信機は以下のステップを順番に実行できる。第1に、同じSNを有するMPDUが受信機でのバッファによって受信されていない場合、受信機は受信されたMPDUをバッファに配置する。第2に、同じSNを有するMPDUが受信機でのバッファによって受信された場合、受信機はMPDUを破棄し、WinStart_rは、受信されたMPDUのSNからWinSizeを引いて1を加えた値に更新される。第3に、更新されたWinStart_rよりも小さいSNを有するバッファ内の全てのMPDUが上位層に渡される。第4に、SN=WinStart_rを有するMPDUがバッファで受信された場合、受信機はこのMPDUを上位層に渡し、順次増加したSNを有する次のMPDUが受信されたかどうかを確認し、受信された場合、当該次のMPDUを上位に渡し、別の次のMPDUを順番にさらに確認する。第5に、順次増加したSNを有する次のMPDUが受信されていない場合、受信機は報告を実行せず、WinStart_rを上記の第4のステップで上位層に渡された最新のMPDUのSNを加えた値に更新する。
【0127】
いくつかの実施形態では、S63において、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、受信されたMPDUのフレームシーケンス番号が初期受信窓でのMPDUの最大のフレームシーケンス番号より大きい場合、受信されたMPDUをバッファ内に格納することと、第2の更新された受信窓を取得するために初期受信窓を更新することと、を含む。受信されたMPDUのフレームシーケンス番号は、第2の更新された受信窓でのMPDUの最大のフレームシーケンス番号である。当該比較することと、決定することは、受信された報告されていないMPDUのうち、第2の更新された受信窓でのMPDU最小のフレームシーケンス番号より小さなフレームシーケンス番号のMPDUを報告することと、第2の更新された受信窓での第1のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、第2の更新された受信窓での第1のMPDUが受信された場合、第1のMPDUを報告することと、そうでない場合、報告を中断することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信された場合、最新の報告されたMPDUの次のMPDUを報告することと、そうでない場合、報告を中断することと、を含む。
【0128】
本開示の実施形態では、受信窓は、MPDUの各送信の直後に更新され、報告は、受信窓での第1のMPDUが受信されたときにのみ実行され、これは、順番に報告する実現性を効果的に高めることができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、方法は、報告が中断されたときに、第2の更新された受信窓の更新を生じさせることをさらに含み、更新された第2の更新された受信窓での第1のMPDUは、最新の報告されたMPDUの次のMPDUである。
【0130】
本開示の実施形態では、報告が中断されたときに受信窓の更新を生じさせるステップを設定することにより、利用可能なMPDUが報告され得ないときに更新が実行され得、長時間の待機を回避でき、受信機がこれらのMPDUの実際の順序を維持しながら、受信されたMPDUをできるだけ早く報告するのに役立つ。
【0131】
いくつかの実施形態では、受信窓の規則は、タイマーを定めることをさらに含み得る。タイマーの規則は、以下の態様を含み得る。WinStart_rが更新されるたびに、タイマーが再起動する。タイマーの期限が切れると(タイムアウト)、受信機は以下のステップを順番に実行できる。第1に、SN=WinStart_rを有するMPDUがバッファで受信された場合、受信機はこのMPDUを処理のために上位層に渡す。第2に、受信機は、順次増加したSNを有する次のMPDUが受信されたかどうかを確認し、受信された場合は、次のMPDUを上位層に渡し、別の次のMPDUを順番にさらに確認する。順次増加したSNを有する次のMPDUが受信されていない場合、受信機は次のMPDUを上位層に渡さず、WinStart_rを上記の第2のステップにおいて上位層に渡された最新のMPDUのSNを加えた値に更新する。
【0132】
いくつかの実施形態では、S63において、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、前のMPDUを報告した時間から開始するようにタイマーを設定することを含む。ここで、タイマーの持続時間は、第2の所定時間期間である。当該比較することと、決定することは、タイマーの期限が切れたときに、受信された1つ以上のMPDUのフレームシーケンス番号が、初期受信窓での初期受信MPDUのフレームシーケンス番号以外のフレームシーケンス番号である場合、1つ以上の受信されたMPDUでの最小のフレームシーケンス番号を有するMPDUを報告することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信されたかどうかを検出することと、最新の報告されたMPDUの次のMPDUが受信された場合、最新の報告されたMPDUの次のMPDUを報告することと、そうでない場合、報告を中断することと、報告が中断されると、第3の更新された受信窓を取得するために初期受信窓の更新を生じさせることと、報告が中断されると、タイマーの再スタートを生じさせることと、を含む。第3の更新された受信窓の第1のMPDUは、最新の報告されたMPDUの次のMPDUである。
【0133】
本開示の実施形態では、タイマーを設定することにより、いくつかのMPDUを長時間待機する場合が回避され得、これは、受信機が、これらのMPDUの実際の順序を維持しながら、受信されたMPDUをできるだけ早く報告するのに役立つ。
【0134】
いくつかの実施形態では、受信されたMPDUのシーケンス番号を、すでに初期受信窓にあるMPDUのシーケンス番号と比較することと、比較結果に基づいて受信されたMPDUを報告するかどうかを決定することは、タイマーの期限が切れたとき、MPDUが受信されなかった場合、タイマーが再スタートするように生じさせることをさらに含む。タイマーの持続時間は、第2の所定時間期間である。
【0135】
本開示の実施形態では、タイマーの再スタート機能を有効にすることにより、タイマーは繰り返し動作でき、その結果、MPDUが長期間受信されないときのタイマーの期限切れによるタイマーの有効性の欠如を回避することができる。
【0136】
本開示の実施形態では、初期受信窓を設定し、MPDUを報告した後に初期受信窓の更新を生じさせることにより、受信されたMPDUの順番がばらばらであるときにいくつかのMPDUを長時間待機する場合が回避され得、これは、受信機が、これらのMPDUの実際の順序を維持しながら、受信されたMPDUをできるだけ早く報告するのに役立つ。
【0137】
引き続き図5を参照すると、初期送信窓は点Aと点Cとの間に提供される。
【0138】
図5に示すように、送信機と受信機の間には、リンク1とリンク2の2つのリンクがある。リンク1では、送信機はMACアドレスTA-1を使用し、受信機はMACアドレスRA-1を使用する。リンク2では、送信機はMACアドレスTA-2を使用し、受信機はMACアドレスRA-2を使用する。送信機と受信機によって認められているWinSizeは2である。
【0139】
送信機の上位層は、送信される4つのMSDU(0~3)を有する。4つのMSDUを順番に取得した後、送信機はそれらをフレームペイロードとしてそれぞれ4つのMPDUに含める。いずれか1つのリンクが使用可能である限り、4つのMPDUのいずれか1つをそのリンクで送信できる。
【0140】
わかりやすくするために、MPDU<RA-1,TA-1,SN-0,MSDU0>は、リンク1で送信され、0のSNを有し、MSDU0を含むMPDUを示すために使用される。これらの4つのMSDUに対応するMPDUのU-ID_t、U-ID_r、およびTIDは同じであるため、4つのMPDUのSNは同じフレームシーケンス番号空間から取得され、MPDU/MSDUの正しい順序を反映する。
【0141】
図5に示すように、点Aと点Cとの間に初期受信窓が提供される。
【0142】
具体的には、初期受信窓は(WinStart_r=0,WinSize=2)として初期化され得る。送信窓規則に従って、受信機は以下のステップを実行する。
【0143】
1.受信機は、まずリンク1でSN=0を有するMPDUを受信し、受信窓規則に従って、処理のためにSN=0を有するMPDUを上位層に報告し、WinStart_r=1に更新する。
【0144】
2.受信機はさらに、リンク2でSN=1を有するMPDUを受信し、受信窓規則に従って、処理のためにSN=1を有するMPDUを上位層に送信し、WinStart_r=2に更新する。
【0145】
3.このようにして、受信機の上位層は、MSDU0とMSDU1を正しい順序で受信し、このときの受信窓は(WinStart_r=2,WinSize=2)である。
【0146】
さらに、リンク2上でSN=1を有するMPDUが正常に送信された後、受信窓の更新規則に従って、初期受信窓が更新される。
【0147】
更新された受信窓は、図5に示すように、点Cと点Eとの間に提供される。
【0148】
点Eの後、新たな更新された受信窓がさらに提供され得ることに留意すべきである。
【0149】
受信窓の更新規則は、さらに以下の態様を含んでもよい。
【0150】
1.受信機は、まずリンク2でSN=3を有するMPDUを受信し、受信窓規則に従って、SN=3を有するMPDUを処理のために上位層に報告しない。
【0151】
2.受信機はさらに、リンク1でSN=2を有するMPDUを受信し、受信窓規則に従って、SN=2を有するMPDUとSN=3を有するMPDUを処理のために上位層に送信し、WinStart_r=4に更新する。
【0152】
3.このようにして、受信機の上位層はMSDU2とMSDU3を正しい順序で受信し、このとき受信窓は(WinStart_r=4,WinSize=2)である。
【0153】
上記の処理に基づいて、図5に示すように点Bと点Fとの間で、受信機の上位層はMSDU0、MSDU1、MSDU2、およびMSDU3を正しい順序で受信できる。
【0154】
本開示の実施形態では、フレームシーケンス番号空間は、送信機および受信機の一意の識別子に基づいて生成され、フレームシーケンス番号は、送信中にフレームシーケンス番号空間から順次取得され、これは、重複の可能性を低減し得る。さらに、送信されたMPDUはフレームシーケンス番号を含むため、受信機は受信されたMPDUをそれらのフレームシーケンス番号に基づいて並べ替えることができ、これはマルチリンク送信での受信機での順番が乱れた受信の問題を回避するのに役立つ。
【0155】
図7を参照すると、図7は、一実施形態によるマルチリンクシステム用のMPDU送信装置の構造図である。MPDU送信装置は送信機に適用され得る。
【0156】
MPDU送信装置は、複数のフレームシーケンス番号を含み且つトリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められるフレームシーケンス番号空間を決定するように構成された空間決定回路71であって、ID_tは送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは受信機の一意の識別子を表す、空間決定回路71と、送信される複数のMPDUの送信順序を決定するように構成された順序決定回路72と、送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間からフレームシーケンス番号を順次取得するように構成されたシーケンス番号取得回路73と、送信順序に基づいて複数のMPDUを送信するように構成された送信回路74と、を含むことができる。複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、対応するフレームシーケンス番号、およびTIDを含み、その結果、受信機は、送信機アドレスに基づいて送信機を決定し、フレームシーケンス番号に基づいて同じ送信機から来て且つ同じTIDを有する1つ以上のMPDUをソートできる。
【0157】
本開示の実施形態では、フレームシーケンス番号空間は、送信機および受信機の一意の識別子に基づいて生成され、フレームシーケンス番号は、送信中にフレームシーケンス番号空間から順次取得され、これは、重複の可能性を低減し得る。さらに、送信されたMPDUはフレームシーケンス番号を含むため、受信機はフレームシーケンス番号に基づいて受信されたMPDUをソートでき、これはマルチリンク送信での受信機での順番が乱れた受信の問題を回避するのに役立つ。
【0158】
マルチリンクシステム用のMPDU送信装置の原理、実装、および利点の詳細は、図3に示すマルチリンクシステム用のMPDU送信方法の上記の説明に記載されており、ここでは説明しない。
【0159】
図8を参照すると、図8は、一実施形態によるマルチリンクシステム用のMPDU受信装置の構造図である。MPDU受信装置は受信機に適用され得る。
【0160】
MPDU受信装置は、複数のMPDUを受信するように構成された受信回路81であって、複数のMPDUのそれぞれは、送信機アドレス、受信機アドレス、MSDU、フレームシーケンス番号、およびTIDを含む、受信回路81と、送信機アドレスに基づいて各MPDUの送信機を決定するように構成された決定回路82と、1つ以上のMPDUのフレームシーケンス番号に基づいて同じTIDを有する同じ送信機からの1つ以上のMPDUをソートするように構成されたソート回路83と、を含む。フレームシーケンス番号は、複数のMPDUの送信順序に基づいてフレームシーケンス番号空間から送信機によって順次割り当てられ、フレームシーケンス番号空間は、複数のフレームシーケンス番号を含み、トリプレット<U-ID_t,U-ID_r,TID>に基づいて定められる。U-ID_tは、送信機の一意の識別子を表し、U-ID_rは受信機の一意の識別子を表す。
【0161】
本開示の実施形態では、フレームシーケンス番号空間は、送信機および受信機の一意の識別子に基づいて生成され、フレームシーケンス番号は、送信中にフレームシーケンス番号空間から順次取得され、これは、重複の可能性を低減し得る。さらに、送信されたMPDUはフレームシーケンス番号を含むため、これはマルチリンク送信での受信機での順番が乱れた受信の問題を回避するのに役立つ。
【0162】
マルチリンクシステム用のMPDU受信装置の原理、実装、および利点の詳細は、図6に示すマルチリンクシステム用のMPDU受信方法の上記の説明に記載されており、ここでは説明しない。
【0163】
本開示の一実施形態では、コンピュータ命令が格納された記憶媒体が提供され、コンピュータ命令が実行されると、図3または図6に示される上記の方法が実行される。記憶媒体は、不揮発性若しくは非一時的メモリなどのコンピュータ可読記憶媒体、光ディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)又はハードディスクドライブ(HDD)であってもよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、中央処理ユニット(CPU)、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリートゲート若しくはトランジスタ論理デバイス、若しくはディスクリートハードウェア部品であってもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサまたは任意の従来のプロセッサであってもよい。
【0165】
本開示の実施形態におけるメモリは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであってもよく、揮発性及び不揮発性メモリの両方を含んでもよいことも理解されるべきである。不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、又はフラッシュメモリであってもよい。揮発性メモリは、外部キャッシュとして使用されるランダムアクセスメモリ(RAM)であってもよい。例えば、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)またはダイレクトラムバスRAM(DR RAM)など、多くの種類のRAMが使用可能である。
【0166】
本開示の一実施形態では、メモリ及びプロセッサを含む送信機が提供され、メモリにはコンピュータ命令が格納され、プロセッサがコンピュータ命令を実行すると、図3に示す上記の方法が実行される。
【0167】
本開示の一実施形態では、メモリ及びプロセッサを含む受信機が提供され、メモリにはコンピュータ命令が格納され、プロセッサがコンピュータ命令を実行すると、図6に示す上記の方法が実行される。
【0168】
いくつかの実施形態では、送信機および受信機は、基地局または端末であり得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、基地局(BS)はまた、無線通信機能を提供するために無線アクセスネットワーク(RAN)に配備された基地局機器と呼ばれ得る。例えば、2Gネットワークで基地局として機能する機器は、基地局(Base Transceiver Station:BTS)を含み、3Gネットワークで基地局として機能する機器は、基地局として機能する機器であるNodeBを含み、4Gネットワークで基地局として機能する機器は、進化型(evolved)NodeB(eNB)を含み、WLANで基地局として機能する機器はアクセスポイント(AP)であり、5G新無線(New Radio:NR)で基地局として機能する機器にはgNBと次世代進化型NodeB(ng-eNB)を含む。NR技術は、gNBと端末との間の通信に使用され、進化型ユニバーサル地上無線アクセス(Evolved Universal Terrestrial Radio Access:E-UTRA)技術は、ng-eNBと端末との間の通信に使用される。gNBとng-eNBの両方が5Gコアネットワークに接続され得る。本開示の実施形態における基地局は、将来における新しい通信システムにおいて基地局として機能する機器をさらに含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、本出願の実施形態における端末は、ユーザ機器(User Equipment:UE)、アクセス端末、ユーザユニット、ユーザ局、移動局(Mobile Station:MS)、リモートステーション、リモート端末、モバイル機器、ユーザ端末、端末機器、無線通信機器、ユーザエージェント又はユーザデバイスを言及し得る。端末機器は、携帯電話、コードレス電話、セッション確立プロトコル(Session Initiation Protocol:SIP)電話、ワイヤレスローカルループ(Wireless Local Loop:WLL)ステーション、個人用携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、またはハンドヘルド端末、コンピューティングデバイス、無線モデムに接続された処理デバイス、車載デバイス、または無線通信機能を備えたウェアラブルデバイス、将来の5Gネットワークの端末デバイス、または将来の進化型公衆陸上移動体通信網(Public Land Mobile Network:PLMN)であってもよい。本開示の実施形態はそれらに限定されない。
【0171】
本開示は、その好ましい実施形態を参照して上記のように開示されてきたが、本開示は、限定ではなく、単なる例として提示されていることが理解されるべきである。当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、実施形態を修正および変更できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】