(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】患者のOCTガイド処置システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220713BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20220713BHJP
A61B 6/00 20060101ALN20220713BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B1/045 618
A61B6/00 331E
A61B6/00 370
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568915
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2020033953
(87)【国際公開番号】W WO2020237024
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517359244
【氏名又は名称】ジェンテュイティ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Gentuity, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ペトロフ,クリストファー シー
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン,クリストファー エル
(72)【発明者】
【氏名】コルスタッド,デイビッド ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウーギ,ジョヴァンニ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,リンジー エム
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】フラハーティ,アール マクスウェル
(72)【発明者】
【氏名】フラハーティ,ジェイ クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C093
4C161
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA24
4C093DA02
4C093EC16
4C093FF22
4C093FF24
4C093FF28
4C093FF36
4C161AA22
4C161BB08
4C161MM10
4C161WW02
(57)【要約】
本明細書において、撮像プローブ及び撮像アセンブリを備える患者用の撮像システムを提供する。撮像プローブは、近位端部、遠位部、及び、近位端部と遠位部との間に延在する内腔を有する細長いシャフトと、近位端部及び遠位端部を有する回転可能な光学コアであって、少なくとも一部が細長いシャフトの内腔内に配置されている回転可能な光学コアと、回転可能な光学コアの遠位端部に近接して配置された光学アセンブリであって、光を組織に向け、組織からの反射光を収集するように構成された光学アセンブリと、を備える。撮像アセンブリは、撮像プローブと光学的に結合するように構成及び配置される。撮像アセンブリは、撮像プローブ内に光を照射し、光学アセンブリによって収集された反射光を受け取るように構成される。システムは、オペレータが治療の計画する及び/又は治療結果を予測するために使用される治療情報を提供するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像プローブ及び撮像アセンブリを備える患者用の撮像システムであって、
前記撮像プローブは、
近位端部、遠位部、及び、近位端部と遠位部との間に延在する内腔を有する細長いシャフトと、
近位端部及び遠位端部を有する回転可能な光学コアであって、少なくとも一部が前記細長いシャフトの内腔内に配置されている回転可能な光学コアと、
前記回転可能な光学コアの遠位端部に近接して配置された光学アセンブリであって、光を組織に向け、当該組織からの反射光を収集するように構成された光学アセンブリと、
を備え、
前記撮像アセンブリは、前記撮像プローブと光学的に結合するように構成及び配置されるとともに、前記撮像プローブ内に光を照射し、前記光学アセンブリによって収集された反射光を受け取るように構成され、
前記システムは、オペレータが治療を計画する及び/又は治療結果を予測するために使用される治療情報を提供するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記撮像プローブは、前記細長いシャフトと前記回転可能な光学コアとの間に配置され、前記光学アセンブリの不均一な回転を低減するように構成されたダンピング流体を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記撮像プローブは、前記光学アセンブリに近接する気泡の存在を低減するために、前記ダンピング流体の圧力を増加させるように構成された流体加圧要素を更に有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記治療情報は、前記撮像プローブによって収集されたOCTデータに基づいている、請求項1~3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
非OCTデータを収集するように構成された第2撮像デバイスを更に備え、前記治療情報は、更に非OCTデータに基づいている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2撮像デバイスは、血管造影データを含む非OCTデータを収集するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
疾患の重症度の評価を行うように構成されている、請求項1~6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項8】
前記評価が、定量的評価及び/又は定性的評価を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
5μm以上、10μm以上、又は30μm以上の血栓を正確に捕捉するように構成されている、請求項1~8のいずれか1つに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年5月21日に出願された「患者のOCTガイド処置(OCT-Guided Treatment of a Patient)」というタイトルの米国仮出願第62/850,945号の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年9月26日に出願された「OCTガイド処置(OCT-Guided Treatment of a Patient)」というタイトルの米国仮出願第62/906,353号の利益を主張するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0003】
本出願は、2020年4月29日に出願された「撮像システム(Imaging System)」というタイトルの米国仮出願第63/017,258号の利益を主張するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0004】
本出願は、2015年4月16日に出願された「神経学用のマイクロ光学プローブ(Micro-Optic Probes for Neurology)」というタイトルの米国仮出願第62/148,355号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0005】
本出願は、2016年4月13日に出願された「神経学用のマイクロ光学プローブ(Micro-Optic Probes for Neurology)」というタイトルの米国仮出願第62/322,182号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0006】
本出願は、2016年4月15日に出願された「神経学用のマイクロ光学プローブ(Micro-Optic Probes for Neurology)」というタイトルの国際PCT特許出願番号PCT/US2016/027764号、2016年10月20日に公開された公開番号WO2016/168605号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0007】
本出願は、2017年10月12日に出願された「神経学用のマイクロ光学プローブ(Micro-Optic Probes for Neurology)」というタイトルの米国特許出願第15/566,041号、2018年5月10日に公開された米国公開番号2018-0125372号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0008】
本出願は、2015年8月31日に出願された「撮像プローブ及びデリバリデバイスを備える撮像システム(Imaging System Includes Imaging Probe and Delivery Devices)」というタイトルの米国仮出願第62/212,173号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0009】
本出願は、2016年7月29日に出願された「撮像プローブ及びデリバリデバイスを備える撮像システム(Imaging System Includes Imaging Probe and Delivery Devices)」というタイトルの米国仮出願第62/368,387号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0010】
本出願は、2016年8月30日に出願された「撮像プローブ及びデリバリデバイスを備える撮像システム(Imaging System Includes Imaging Probe and Delivery Devices)」というタイトルの国際PCT特許出願番号PCT/US/2016/049415号、2017年3月9日に公開された公開番号WO2017/040484号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0011】
本出願は、2018年2月9日に出願された「撮像プローブ及びデリバリデバイスを備える撮像システム(Imaging System Includes Imaging Probe and Delivery Devices)」というタイトルの米国特許出願第15/751,570号、2020年4月28日に公開された米国特許第10,631,718号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0012】
本出願は、2020年3月17日に出願された「撮像プローブ及びデリバリデバイスを備える撮像システム(Imaging System Includes Imaging Probe and Delivery Devices)」というタイトルの米国特許出願第16/820,991号、____________に公開された公開番号______________に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0013】
本出願は、2017年11月28日に出願された「撮像システム(Imaging System)」というタイトルの米国仮出願第62/591,403号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0014】
本出願は、2018年5月14日に出願された「撮像システム(Imaging System)」というタイトルの米国仮出願第62/671,142に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0015】
本出願は、2018年11月28日に出願された「撮像システム(Imaging System)」というタイトルの国際PCT特許出願番号PCT/US2018/062766号、2019年6月6日に公開された公開番号WO2019/108598号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0016】
本出願は、2018年9月17日に出願された「光学経路を備える撮像システム(Imaging System with Optical Pathway)」というタイトルの米国仮出願第62/732,114に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0017】
本出願は、2019年9月17日に出願された「光学経路を備える撮像システム(Imaging System with Optical Pathway)」というタイトルの国際PCT特許出願番号PCT/US2019/051447号、2020年3月26日に公開された公開番号WO2020/061001に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0018】
本出願は、2019年4月30日に出願された「流体加圧素子を備える撮像プローブ(Imaging Probe with Fluid Pressurization Element)」というタイトルの米国仮出願第62/840,450号に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0019】
本出願は、2020年4月30日に出願された「流体加圧素子を備える撮像プローブ(Imaging Probe with Fluid Pressurization Element)」というタイトルの国際PCT特許出願番号PCT/US2020/030616、________________に公開された公開番号_____________に関連するものであり、その内容は参照により全体に組み込まれる。
【0020】
(発明の分野)
本発明は、一般に、光干渉断層法(OCT)を用いる撮像システムに関し、特に、患者の治療的処置のためのガイダンスを提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0021】
患者の心臓を撮影するための血管内プローブのように、患者の体内の様々な場所を撮影するための撮像プローブが商品化されている。現在の撮像プローブは、その大きさと硬さのために、特定の解剖学的位置に到達する能力に制限がある。また、現在の撮像プローブは、ガイドワイヤの上から挿入されるため、プローブの配置が不安定になったり、撮像プローブが挿入される1以上のデリバリカテーテルの使用が制限されたりする。そこで、直径が小さく、柔軟性の高い撮像プローブを備える撮像システム、及びこれらの改良された撮像プローブと互換性のある1以上のデリバリデバイスを備えるシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0022】
本発明の概念の一態様によれば、患者のための撮像システムは、撮像プローブと、光学アセンブリと、撮像アセンブリと、を備える。撮像プローブは、近位端部、遠位部、及び近位端部と遠位部との間に延在する内腔を有する細長いシャフトと、近位端部及び遠位端部を有する回転可能な光学コアと、を備え、回転可能な光学コアの少なくとも一部は、細長いシャフトの内腔内に配置される。光学アセンブリは、回転可能な光学コアの遠位端部に近接して配置され、光を組織に向け、組織からの反射光を収集するように構成される。撮像アセンブリは、撮像プローブと光学的に結合するように構成及び配置され、撮像プローブに光を照射し、光学アセンブリによって収集された反射光を受け取るように構成される。システムは、オペレータが治療を計画する及び/又は治療結果を予測するために使用される治療情報を提供するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態において、撮像プローブは、細長いシャフトと回転可能な光学コアとの間に配置され、光学アセンブリの不均一な回転を低減するように構成されたダンピング流体を更に有する。撮像プローブは、光学アセンブリに近接する気泡の存在を低減するために、ダンピング流体の圧力を増加させるように構成された流体加圧要素を更に有してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、治療情報は、撮像プローブによって収集されたOCTデータに基づいている。本システムは、非OCTデータを収集するように構成された第2撮像デバイスを更に備えてもよい。治療情報は、非OCTデータに更に基づいてもよい。第2撮像デバイスは、血管造影データを含む非OCTデータを収集するように構成されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、本システムは、疾患の重症度の評価を行うように構成されている。当該評価には、定量的な評価及び/又は定性的な評価が含まれてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、本システムは、5μm以上、10μm以上、又は30μm以上の血栓を正確に捕捉するように構成される。
【0027】
本明細書に記載されている技術は、その属性及び付随する利点とともに、代表的な実施形態が例として記載されている添付の図面と併せてなされる以下の詳細な説明を考慮して、最もよく理解されるであろう。
【0028】
(参照による取り込み)
本明細書中で言及されている全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが明確且つ個別に示されている場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の概念に一致する、撮像プローブと、独立した引込アセンブリと、回転アセンブリとを備える撮像システムの概略図である。
【
図1A】本発明の概念に一致する、患者インタフェースモジュールに動作可能に取り付けられる撮像プローブと、患者インタフェースモジュール及び撮像プローブに動作可能に取り付けられる独立した引込モジュールとを備える撮像システムの概略図である。
【
図1B】本発明の概念に一致する、回転動力要素に取り付けるための第1コネクタと、引込動力要素に取り付けるための第2コネクタとを有するモジュールに動作可能に取り付けられる撮像プローブを備える撮像システムの概略図である。
【
図2A】本発明の概念に一致する、患者インタフェースモジュールに取り付けられるコネクタの斜視図である。
【
図2B】本発明の概念に一致する、引き戻し収容部の透視図である。
【
図3】本発明の概念に一致する、患者インタフェースモジュールに取り付けられるコネクタの斜視図である。
【
図4】本発明の概念に一致する、患者の治療処置を計画する方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の概念に一致する、治療処置を計画する方法、治療を実行する方法、及び治療を評価する方法のフローチャートである。
【
図6】本発明の概念に一致する、患者の治療処置を計画する方法のフローチャートである。
【
図7】本発明の概念に一致する、動脈を通る流れの完全なナビエ・ストークスのシミュレーション、及び動脈の長さを通じて計算されたFFRを示す図である。
【
図8】配管を通る速度プロファイルを示すグラフである。
【
図9】血管壁付近の血液の速度及び剪断応力を示す図である。
【
図10】本発明の概念に一致する、血管の流れの概略図である。
【
図11】本発明の概念に一致する、引き戻し処置を実行するための一連のステップを示す図である。
【
図12】本発明の概念に一致する、撮像プローブ及びデリバリカテーテルの遠位部の概略図を示す図である。
【
図12A】本発明の概念に一致する、撮像プローブ及びデリバリカテーテルの遠位部の円M2内の構成部品の拡大図である。
【
図12B】本発明の概念に一致する、流体の流れのパターンを示す撮像プローブの遠位部の概略図である。
【
図12C】本発明の概念に一致する、流体の流れのシミュレーションを示す撮像プローブの遠位部の概略図である。
【
図13】頭蓋内の血管におけるシステムの撮像の原理を示す図である。
【
図14A】豚の上腕動脈の屈曲した前肢モデルを通る蛇行経路の透視画像を示す図である。
【
図14B】豚の上腕動脈の屈曲した前肢モデルにおけるシステム画像を示す図である。
【
図14C】豚の上腕動脈の屈曲した前肢モデルにおける撮像プローブの偏心位置を示す図である。
【
図15A】ステントを留置した豚の内上顎動脈の血管透視図である。
【
図15B】ステントを留置した豚の内上顎動脈のシステム3次元切断レンダリングを示す図である。
【
図15C】ステントを留置した豚の内上顎動脈の断面システム画像を示す図である。
【
図15D】ステントを留置した豚の内上顎動脈のフローダイバータ近位端部の断面システム画像を示す図である。
【
図16A】システム画像上で視認可能な側枝の血栓を示す図である。
【
図16B】システム画像上で視認可能な最大で約400μmの重症度を持つフローダイバータの位置異常を示す図である。
【
図16C】大きな側枝の入口の血栓を示す図である。
【
図17A】システムの容積測定顕微鏡検査データを内視鏡で見た図である。
【
図17B】血栓のない第1側枝と、親動脈に密着したFDS源を示す図である。
【
図17C】血栓に埋もれたFDSの支柱がある第2側枝を示す図である。
【
図18A】FDSの遠位端部にICSが部分的に重なっていることを示すシステムの容積測定顕微鏡検査データを示す図である。
【
図18B】明るい内膜、低散乱の中膜、及び外膜を有する個々の血管層を示すシステムの顕微鏡検査を示す図である。
【
図18C】大きい枝の内側に浮遊する撮像プローブの表面から外れた血栓を示す図である。
【
図18D】FDSの表面に分布する厚さ100μmから200μmの血栓を示す図である。
【
図18E】FDSの近位端部において視認可能な著しい位置異常(例えば、少なくとも500μm)に対応して半閉塞性の血栓が形成されていることを示す図である。
【
図19A】線維性プラークのシステムによる画像と、それに対応するトリクロームとを示す図である。
【
図19B】線維性プラークと、それに対応するトリクロームのモヤット染色とを示す図である。
【
図19C】撮像システムによって、後方散乱の上昇と光減衰係数の低下とに起因する均一な信号の領域として特徴付けられる線維化組織を示す図である。
【
図19D】システムによる壊死性コアプラークの画像と、それに対応するH&Eを示す図である。
【
図19E】壊死性コアプラークと、それに対応するH&Eのモヤット染色とを示す図である。
【
図19F】システムの画像において、動脈硬化プラーク内で、光減衰係数が上昇し、境界が不明瞭な領域として特徴付けられる壊死性コアプラークを示す図である。
【
図20A】硬膜内椎骨動脈のセグメントにおける頭蓋内の線維石灰化プラークを示す図である。
【
図20B】硬膜内椎骨動脈のセグメントにおける頭蓋内の線維石灰化プラークを示す図である。
【
図21】患者固有の完全なウィリス動脈輪のベンチモデルを示す図である。
【
図22A】血液で視野が遮られている状態を示す図である。
【
図22B】視野から血液が部分的に除去をされた状態を示す図である。
【
図22C】視野から血液が完全に除去された状態を示す図である。
【
図23A】プリサイスPro Rx 頸動脈用ステントシステム(コーディス社)を展開した後の、豚の総頸動脈における最大直径5.9mmのステントセグメントのシステム画像を示す図である。
【
図23B】豚の総頸動脈の3次元システムレンダリングを示す図である。
【
図23C】豚の総頸動脈のシステム断面画像を示す図である。
【
図23D】プリサイスPro Rx 頸動脈用ステントシステムの外部弾性膜(EEL)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、添付の図面に例示されている本技術の本実施形態について詳細に参照する。同様の構成要素を参照するために、同様の参照番号が使用される。しかしながら、当該記述は、本開示を特定の実施形態に限定することを意図したものではなく、本明細書に記載された実施形態の様々な変更、等価物、及び/又は代替物を含むものと解釈されるべきである。
【0031】
用語「備えている(comprising)」(及び「備える(comprise)」及び「備える(comprises)」などの備えている(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」などの持っている(having)の任意の形態)、「含んでいる(including)」(及び「含む(includes)」及び「含む(include)」などの含んでいる(including)の任意の形態)、又は「含有している(containing)」(及び「含有する(containing)」の任意の形態)は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、数、ステップ、操作、構成要素、及び/又は構成部品の存在を意味するが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、構成部品、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【0032】
更に、本明細書において、第1、第2、第3などの用語が様々な制限、構成要素、構成部品、領域、層、及び/又はセクションを説明するために使用されることがあるが、これらの制限、構成要素、構成部品、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある限定、構成要素(element)、構成部品(component)、領域、層、又はセクションを、別の限定、構成要素、構成部品、領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用される。従って、以下で説明する第1制限、構成要素、構成部品、領域、層、又はセクションは、本願の教示から逸脱することなく、第2制限、構成要素、構成部品、領域、層、又はセクションと称してもよい。
【0033】
更に、ある構成要素が他の構成要素に対して「上にある」、「取り付けられている」、「接続されている」、又は「結合されている」という場合、ある構成要素が他の構成要素の直接上又はその上方にあるか、又は他の構成要素に接続又は結合されているか、又は1以上の構成要素が介在してもよいことが更に理解されるであろう。一方、ある構成要素が他の構成要素に対して「直接上にある」、「直接取り付けられている」、「直接接続されている」、「直接結合されている」という場合、介在する構成要素は存在しない。構成要素間の関係を表すために使用される他の言葉も同様に解釈されるべきである(例えば、「間に」対「直接間に」、「隣接して」対「直接隣接して」など)。
【0034】
更に、第1構成要素が第2構成要素の「中にある」、「上にある」、及び/又は「内にある」という場合、第1構成要素は、第2構成要素の内部空間内、第2構成要素の一部内(例えば、第2構成要素の壁内)に配置されてもよく、第2構成要素の外面及び/又は内面上に配置されてもよく、これらの1以上の組み合わせで配置されてもよいことが理解されるであろう。
【0035】
本明細書において、第1構成部品又は位置が第2構成部品又は位置に近接していることを説明するために「近接」という用語を使用する場合、第2構成部品又は位置の近くにある1以上の位置、並びに第2構成部品又は位置の中、上、及び/又は内側にある位置を含むものと見なされる。例えば、解剖学的部位(例えば、標的組織の位置)に近接して配置された構成部品は、解剖学的部位に近接して配置された構成部品だけでなく、解剖学的部位の中、上、及び/又は内側に配置された構成部品も含むものとする。
【0036】
「下(beneath)」、「下方(below)」、「低く(lower)」、「上(above)」、「上方(upper)」などの空間的に相対的な用語は、構成要素及び/又は別の構成要素に対する特徴の関係、及び/又は、例えば、図に示されているような特徴を説明するために使用される。更に、空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用時及び操作時におけるデバイスの異なる向きを包含することを意図していることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスを反転する場合、他の構成要素や特徴の「下方」及び/又は「下」に記載されている構成要素は、他の構成要素や特徴の「上」に向けられることになる。デバイスは、他の向きに(例えば、90度回転させたり、他の向きにしたり)することができ、ここで使用されている空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0037】
本明細書で使用される「減らす(reduce)」、「低減する(reducing)」、「削減(reduction)」などの用語は、ゼロへの削減を含む量の削減を含むものとする。発生の可能性を低減することは、発生の防止を含むものとする。これに対応して、「防ぐ(prevent)」、「防止する(preventing)」、及び「防止(prevention)」という用語は、それぞれ「減らす(reduce)」、「低減する(reducing)」、及び「削減(reduction)」という行為を含むものとする。
【0038】
本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、2つの特定の特徴又は構成部品のそれぞれについて、他方を伴って又は他方を伴わずに、具体的に開示されていると解釈されるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、(i)A、(ii)B、及び(iii)A及びBのそれぞれについて、あたかもそれぞれが本明細書に個別に記載されているかのように、具体的に開示されているものと解釈されるべきである。
【0039】
本明細書で使用される「1以上」という用語は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10つ、又はそれ以上の、任意の数までを意味してもよい。
【0040】
「及びその組み合わせ」及び「及びこれらの組み合わせ」という用語はそれぞれ、本明細書において、単独で又はまとめて含まれることになるアイテムのリストの後に使用され得る。例えば、A、B、C、及びそれらの組み合わせで構成されるグループから選択された構成部品、プロセス、及び/又は他のアイテムは、アイテムAの1、2、3以上、アイテムBの1、2、3以上、及び/又はアイテムCの1、2、3以上で構成される1以上の構成部品のセットを含むものとする。
【0041】
本明細書において、特に明示しない限り、「及び」は「又は」を意味し、「又は」は「及び」を意味してもよい。例えば、ある特徴がA、B、又はCを有すると記載されている場合、その特徴はA、B、及びC、又は、A、B、及びCの任意の組み合わせを有してもよい。同様に、ある特徴がA、B、及びCを有すると記載されている場合、その特徴はA、B、又はCのうち1つ又は2つのみを有してもよい。
【0042】
本明細書において、定量化可能なパラメータが第1値Xと第2値Yの「間」にあると記載されている場合、当該パラメータは、X以上、Y以下、及び/又は、X以上Y以下を含むものとする。例えば、1と10との間の長さとは、1以上の長さ(10以上の値を含む)、10以下の長さ(1以下の値を含む)、及び/又は、1以上10以下の値を含むものとする。
【0043】
本開示で使用される「~に構成された(又は設定された)」という表現は、例えば、状況に応じて「~に適した」、「~の能力を有する」、「~に設計された」、「~に適応された」、「~に作成された」、「~が可能である」という表現と交換して使用されてもよい。また、「~するように構成された(設定された)」という表現は、ハードウェア的に「~するように特別に設計された」という意味だけではない。状況によっては、「~するように構成されたデバイス」という表現は、そのデバイスが他のデバイスや構成部品と共に動作することが「できる」ことを意味する場合もある。
【0044】
本明細書において、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、±30%を指すものとする。
【0045】
本明細書において、「閾値」という用語は、最大レベル、最小レベル、及び/又は、所望の状態又は望ましくない状態に相関する値の範囲をいう。いくつかの実施形態において、システムパラメータは、所望の効果(例えば、有効な治療)を引き起こすように、及び/又は望ましくない事象(例えば、デバイス及び/又は臨床上の有害事象)を防止又はその他の方法で低減(以下、「防止」)するように、最小閾値以上、最大閾値以下、閾値の範囲内、及び/又は閾値の範囲外に維持される。いくつかの実施形態において、システムパラメータは、第1閾値以上(例えば、組織に所望の治療効果をもたらすための第1温度閾値以上)且つ第2閾値以下(例えば、望ましくない組織損傷を防ぐための第2温度閾値以下)に維持される。いくつかの実施形態において、閾値は、患者の変動性、システムの変動性、許容範囲などを考慮して、安全マージンを有するように決定される。本明細書において、「閾値を超える」とは、パラメータが最大閾値を超えること、最小閾値を下回ること、閾値の範囲内にあること、及び/又は閾値の範囲外にあることに関連する。
【0046】
本明細書において、「室圧」とは、本発明の概念のシステム及びデバイスを取り巻く環境の圧力を意味するものとする。正圧には、室温よりも高い圧力、或いは、バルブなどの流体経路の構成部品を横切る正の差圧などの単に他の圧力よりも高い圧力が含まれる。負圧には、室圧以下の圧力、或いは、バルブなどの流体経路の構成部品を横切る負の差圧などの他の圧力よりも小さい圧力が含まれる。負圧には、真空が含まれてもよいが、室圧以下の圧力を意味するものではない。本明細書で使用される「真空」という用語は、完全又は部分的な真空、又は本明細書に記載される任意の負圧をいうために使用される。
【0047】
本明細書で非円形の幾何学的形状を説明するために使用される「直径」という用語は、説明される幾何学的形状に近似した仮想の円の直径と解釈されるべきである。例えば、構成部品の断面などの断面を記述する場合、「直径」という用語は、記述される構成部品の断面と同じ断面積を有する仮想の円の直径を表すものとする。
【0048】
本明細書において、構成部品の「長軸」及び「短軸」という用語は、構成部品を完全に取り囲むことができる最小体積の仮想円筒の長さ及び直径をそれぞれ表している。
【0049】
本明細書において、「機能的構成要素」という用語は、機能を実行するように構成及び配置された1以上の構成要素を含むと解釈されるべきである。機能的構成要素は、センサ及び/又は変換器を含んでもよい。いくつかの実施形態において、機能的構成要素は、エネルギを供給し、及び/又は組織を治療するように構成される(例えば、治療要素として構成された機能的構成要素)。代替的又は付加的に、機能的構成要素(例えば、センサで構成される機能的構成要素)は、患者の生理学的パラメータ、患者の解剖学的パラメータ(例えば、組織形状パラメータ)、患者の環境パラメータ、及び/又はシステムパラメータなどの1以上のパラメータを記録するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、センサ又は他の機能的構成要素は、診断機能を実行する(例えば、診断を実行するために使用されるデータを収集する)ように構成されている。いくつかの実施形態において、機能的構成要素は、治療機能を実行する(例えば、治療エネルギ及び/又は治療剤を提供する)ように構成されている。いくつかの実施形態において、機能的構成要素は、エネルギの供給、エネルギの抽出(例えば、構成部品の冷却)、薬剤などの供給、システム構成部品又は患者の組織の操作、患者の生理学的パラメータ又はシステムパラメータなどのパラメータの記録又はその他の方法での感知、及びこれらの1以上の組み合わせで構成されるグループから選択される機能を実行するように構成及び配置された1以上の構成要素を含む。機能的構成要素は、流体及び/又は流体供給システムで構成される。機能的構成要素は、拡張可能なバルーン又は他の流体保持貯蔵器などの貯蔵器を含んでもよい。機能的アセンブリは、診断及び/又は治療機能などの機能を実行するように構成及び配置されたアセンブリを含んでもよい。機能的アセンブリは、拡張可能なアセンブリを含んでもよい。機能的アセンブリは、1以上の機能的構成要素を含んでもよい。
【0050】
本明細書で使用される「変換器」という用語は、エネルギ又は何らかの入力を受けて出力を生成する任意の構成部品又は構成部品の組み合わせを含むと解釈されるべきである。例えば、変換器は、電気エネルギを受け取り、当該電気エネルギを(例えば、電極の大きさに基づいて)組織に分配する電極を含んでもよい。一部の構成において、変換器は、電気信号を、光(例えば、発光ダイオード又は電球で構成された変換器)、音(例えば、超音波エネルギを供給するように構成されたピエゾクリスタルを備える変換器)、圧力(例えば、印加された圧力又は力)、熱エネルギ、低温エネルギ、化学エネルギ、機械的エネルギ(例えば、モータやソレノイドを備える変換器)、磁気エネルギ、及び/又は異なる電気信号(例えば、変換器への入力信号とは異なる信号)などの任意の出力に変換する。代替的又は付加的に、変換器は、物理量(例えば、物理量の変化)を電気信号に変換してもよい。変換器は、例えば、電気エネルギ(例えば、1以上の電極を備える変換器)、光エネルギ(例えば、レーザ、発光ダイオード、及び/又は、レンズ又はプリズムなどの光学部品を備える変換器)、機械的エネルギ(例えば、組織を操作する構成要素を備える変換器)、音エネルギ(例えば、ピエゾクリスタルを備える変換器)、化学エネルギ、電磁エネルギ、磁気エネルギ、及びこれらの1以上の組み合わせ、を組織に供給するように構成された変換器など、組織にエネルギ及び/又は薬剤を供給する任意の構成部品を含んでもよい。
【0051】
本明細書において、「流体」という用語は、液体、気体、ゲル、又は、内腔及び/又は開口部を通じて推進することができる材料などの任意の流動可能な材料をいう。
【0052】
本明細書において、「材料」という用語は、単一の材料、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれ以上の材料の組み合わせをいう。
【0053】
本明細書で使用において、「病変部」という用語は、望ましくない状態にある血管(例えば、動脈)のセグメントを構成する。本明細書で使用される病変部は、血管の狭小部(例えば、狭窄部)、及び/又は、狭小部の有無に関わらず、カルシウム、脂質、コレステロール、及び/又は他のプラークの蓄積を含む血管のセグメントを含むものとする。
【0054】
明確にするために別々の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴も、別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。例えば、特許請求の範囲のいずれかに記載された全ての特徴(独立したものであれ、従属したものであれ)は、任意の方法で組み合わせることができることが理解されるであろう。
【0055】
本発明の図面及び説明の少なくとも一部は、本発明の明確な理解に関連する構成要素に焦点を当てるために簡略化されているが、当業者であれば本発明の一部を構成してもよいと理解されるであろう他の構成要素を、明確化のために排除していることを理解されたい。しかしながら、そのような構成要素は当技術分野でよく知られており、必ずしも本発明のより良い理解を促進するものではないため、本明細書においてそのような構成要素の説明は行わない。
【0056】
本開示で定義された用語は、本開示の特定の実施形態を説明するためにのみ使用され、本開示の範囲を限定することを意図していない。単数形で提供されている用語は、文脈上明らかにそうでないことが示されていない限り、複数形も含むことが意図されている。技術的又は科学的な用語を含め、本明細書で使用されている全ての用語は、本明細書で特に定義されていない限り、関連する技術分野の当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を有する。一般的に使用されている辞書で定義されている用語は、本明細書で明示的に定義されていない限り、関連技術の文脈上の意味と同じ又は類似した意味を有すると解釈されるべきであり、観念的な又は誇張された意味を有すると解釈されるべきではない。場合によっては、本開示で定義された用語は、本開示の実施形態を除外するように解釈されるべきではない。
【0057】
本明細書において、撮像プローブと撮像アセンブリとを備える患者用の撮像システムが提供される。撮像プローブは、近位端部、遠位部、及び近位端部と遠位部との間に延在する内腔を有する細長いシャフトと、近位端部と遠位端部とを有する回転可能な光学コアであって、少なくとも一部が細長いシャフトの内腔内に配置されている回転可能な光学コアと、回転可能な光学コアの遠位端部に近接して配置された光学アセンブリであって、光を組織に向け、組織からの反射光を収集するように構成された光学アセンブリと、を備えている。
【0058】
本発明の概念の撮像システムは、動脈、静脈、及び/又は他の身体の導管を表す画像データを提供するため、及びそれらの導管に挿入された1以上のデバイスを撮像するために使用され得る。撮像システムは、健康な組織だけでなく、狭窄部、病変部、心筋架橋部、及び/又は他の血管狭小部(本明細書において「狭窄部」)を含む血管、及び/又は、動脈瘤を含む血管などの病気の組織に関連する画像データを提供してもよい。本システムは、治療情報を提供するように構成されてもよい。治療情報は、オペレータが治療を計画するため、及び/又は、治療結果を予測するために使用される。
【0059】
ここで
図1を参照すると、本発明の概念に一致する、撮像プローブと、独立した引込アセンブリと、回転アセンブリとを備える撮像システムの概略図が示されている。撮像システム10は、画像データを収集し、記録されたデータに基づいて1以上の画像を生成するように構成及び配置されている。例えば、撮像システム10が、撮像位置(例えば、引き戻し処置中の血管のセグメント)の画像データを収集するように構成及び配置された光干渉断層撮影(OCT)撮像システムを備えている。撮像システム10は、カテーテルベースのプローブである撮像プローブ100と、撮像プローブ100に動作可能に取り付け可能な回転アセンブリ500及び引込アセンブリ800とを備えている。更に、撮像システム10は、回転アセンブリ500及び/又は引込アセンブリ800を介して撮像プローブ100に動作可能に接続するように構成されたコンソール50を備えてもよい。撮像プローブ100は、1以上のデリバリカテーテル、例えば図示のデリバリカテーテル80を用いて、患者の血管などの導管に導入されてもよい。付加的に又は代替的に、撮像プローブ100は、内視鏡、関節鏡、バルーン拡張器などの導入デバイスを介して導入してもよい。いくつかの実施形態において、撮像プローブ100は、食道などの導管への自然な身体の開口部、腹部などの体腔への外科的に作成された開口部、及びこれらの1以上の組み合わせを介して、動脈、静脈、心臓内又は心臓に近接した動脈、心臓内又は心臓に近接した静脈、脳内又は脳に近接した動脈、脳内又は脳に近接した静脈、末梢動脈、末梢静脈、で構成されるグループから選択される導管に導入されるように構成されている。撮像システム10は、複数の撮像デバイス(第2撮像デバイス15)を更に備えてもよい。撮像システム10は、患者を治療するように構成されたデバイス(治療デバイス16)を更に備えてもよい。撮像システム10は、流体注入器、例えば注入器20を更に備えてもよい。当該流体注入器は、1以上の流体、例えば噴射流体、画像造影剤(例えば、放射線不透過性造影剤、以下「造影剤」)、及び/又は他の流体(例えば、注入物21)を注入するように構成されてもよい。撮像システム10は、インプラント(例えば、インプラント31)を更に備えてもよい。当該インプラントは、インプラントデリバリデバイス30及び/又はデリバリカテーテル80などのデリバリデバイスを介して患者に移植されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、撮像プローブ100及び/又は撮像システム10の他の構成部品は、2017年10月12日に出願された「神経学用のマイクロ光学プローブ」というタイトルの出願人の同時係属中の米国特許出願第15/566,041号に記載されているような構成部品と同様の構成及び配置であってもよく、その内容は全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。撮像プローブ100は、血管内心臓部位、頭蓋内部位、又は患者の血管系を介してアクセス可能な他の部位などの患者の部位から画像データを収集するように構成及び配置されてもよい。いくつかの実施形態において、撮像システム10は、2018年2月9日に出願された「撮像プローブ及びデリバリデバイスを備える撮像システム」というタイトルの出願人の同時係属中の米国特許出願第15/751,570号に記載されているようなシステム及びその使用方法と同様の構成及び配置であってもよく、その内容は全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
デリバリカテーテル80は、その中に内腔84を有する細長いシャフトであるシャフト81と、その近位端部に配置されたコネクタ82とを備えている。コネクタ82は、関連するデリバリカテーテル80(コネクタ82内に配置された別個のシャフトを伴う及び/又は伴わない)からの流体の流出を防止するように構成された弁付きコネクタなどの、ツーイ(Touhy)又は弁付きコネクタであってもよい。コネクタ82は、デリバリカテーテル80への流体の導入及び/又はデリバリカテーテル80からの流体の除去を可能にするように構成及び配置されたポートなどの、ポート83を備えてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているような噴射流体が、例えば、光学アセンブリ115に近接する位置から血液又は他の望ましくない物質を除去(例えば、光学アセンブリ115に近接する位置から光学アセンブリ115に対して遠位にある位置まで)するために、1以上のポート83を介して導入される。ポート83は、コネクタ82の側部に配置されてもよく、ルアー継手と、キャップ及び/又はバルブとを含んでもよい。シャフト81、コネクタ82、及びポート83はそれぞれ、標準的な材料で構成され、介入処置で使用される市販の導入具、ガイドカテーテル、診断用カテーテル、中間カテーテル、及びマイクロカテーテルと同様の構成であってもよい。デリバリカテーテル80は、撮像プローブ100を脳内の位置、心臓内の位置、及び/又は患者内の他の位置に供給するように構成されたカテーテルであってもよい。
【0062】
撮像システム10は、2以上のデリバリカテーテル80、例えば、3以上のデリバリカテーテル80を備えてもよい。複数のデリバリカテーテル80は、少なくとも血管導入具と、血管導入具が患者の皮膚を通じて配置された後に、そこから患者内に挿入され得る他のデリバリカテーテル80とを備えてもよい。2以上のデリバリカテーテル80は、内径(ID)及び外径(OD)のセットが、第1デリバリカテーテル80が第2デリバリカテーテル80を摺動可能に受け入れ(例えば、第2デリバリカテーテルODは第1デリバリカテーテルID以下である)、第2デリバリカテーテル80が第3デリバリカテーテル80を摺動可能に受け入れ(例えば、第3デリバリカテーテルODは第2デリバリカテーテルID以下である)、というように集合的に構成されてもよい。これらの構成においては、第1デリバリカテーテル80を第1解剖学的位置に進め、第2デリバリカテーテル80を第1デリバリカテーテルを介して第1解剖学的位置から遠位の又は遠く離れた(以下、「遠位」)第2解剖学的位置に進めることなどを、順次小さい直径のデリバリカテーテル80を使用して適宜行うことができる。いくつかの実施形態において、デリバリカテーテル80は、2018年2月9日に出願された「撮像プローブ及びデリバリデバイスを備える撮像システム」というタイトルの出願人の同時係属中の米国特許出願第15/751,570号に記載された同様の構成部品と同様の構成及び配置であってもよく、その内容は全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
撮像プローブ100は、1以上の細長いシャフト及び/又はチューブで構成される細長い本体(本明細書においては細長いシャフト120)を備えている。シャフト120は、近位端部1201、遠位端部1209、及びその間に延在する内腔1205を備えている。いくつかの実施形態において、内腔1205は、1以上の細長いシャフト120内に複数の同軸の内腔、例えば、1以上の内腔が互いに隣接して単一の内腔1205を形成するような内腔であってもよい。いくつかの実施形態において、シャフト120の少なくとも一部は、トルクシャフトを構成する。いくつかの実施形態において、シャフト120の一部は、編組構造を有する。いくつかの実施形態において、シャフト120の一部は、螺旋状に切断されたチューブ(例えば、螺旋状に切断された金属管)を備える。いくつかの実施形態において、螺旋状の切断のピッチは、当該切断に沿ってシャフト120の剛性を変化させるように、切断の長さに沿って変化させてもよい。シャフト120の一部は、ニッケル-チタン合金で構成されたチューブを備えてもよい。シャフト120は、近位端部1101及び遠位端部1109を備える回転可能な光ファイバである光学コア110(例えば、光学コア110は内腔1205内に配置される)を動作可能に取り囲む。光学コア110は、ディプレストクラッド(depressed cladding)分散シフト光ファイバ(例えば、ノンゼロ分散シフト(NZDS)ファイバ)などの分散シフト光ファイバを備えてもよい。更に、シャフト120は、透明な窓である窓部130(例えば、光学コア110を透過する1以上の周波数の光に対して相対的に透明な窓部)を有する遠位部1208を備えている。光学アセンブリである光学アセンブリ115は、光学コア110の遠位端部1109に動作可能に取り付けられている。光学アセンブリ115は、シャフト120の窓部130内に配置される。光学アセンブリ115は、光学コア110の遠位端部1109に光学的に結合されたGRINレンズを備えてもよい。光学アセンブリ115は、2018年11月28日に出願された「撮像システム」というタイトルの出願人の同時係属中の国際PCT特許出願番号PCT/US2018/062766号、及び2019年9月17日に出願された「光学経路を備える撮像システム」というタイトルの出願人の同時係属中の国際PCT特許出願番号PCT/US2019/051447号に記載されているような光学アセンブリ115と同様の構成及び配置であってもよく、これらの各々の内容は全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。コネクタアセンブリであるコネクタアセンブリ150は、シャフト120の近位端部に配置されている。コネクタアセンブリ150は、本明細書に記載されるように、撮像プローブ100を回転アセンブリ500に動作可能に取り付ける。コネクタアセンブリ150は、光学コア110の近位端部に固定的に取り付けられた光学コネクタ161を取り囲み、光学コネクタ161に動作可能に取り付けられる。第2コネクタである引き戻しコネクタ180は、シャフト120上に配置されている。コネクタ180は、シャフト120の長さに沿って、取り外し可能に取り付けられ、及び/又は調整可能に配置されてもよい。コネクタ180は、撮像プローブ100がデリバリカテーテル80を介して患者に挿入された後に、臨床医又はシステム10の他のユーザなどによって、デリバリカテーテル80の近位端部に近接して、シャフト120に沿って配置されてもよい。シャフト120は、コネクタアセンブリ150とコネクタ180の配置位置との間の、シャフト120の弛みを収容する部分と、シャフト120の近位部分(例えば、撮像プローブ100の近位部分)と、サービスループ185とを備えてもよい。
【0064】
撮像プローブ100は、その長さに沿って(例えば、シャフト120に沿って)1以上の可視化可能なマーカーであるマーカー131a-b(本明細書においてはマーカー131)を備えてもよい。マーカー131は、放射線不透過性マーカー、超音波反射マーカー、磁気マーカー、鉄材、及びこれらの1以上の組み合わせで構成されるグループから選択されるマーカーであってもよい。いくつかの実施形態において、マーカー131は、撮像システム10のユーザが引き戻し処置(本明細書においては「引き戻し処置」又は「引き戻し」)を実行することをアシストするために、例えば、引き戻しが完了した後に先端部119をインプラントの近位端部から遠位の位置に位置させるように(例えば、引き戻し後に撮像プローブ100をインプラントを介して安全に進めることができるように)、ある位置(例えば、遠位部1208内及び/又は少なくとも近位の位置)に配置されたマーカーを含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、撮像プローブ100は、シャフト120内に配置され、光学アセンブリ115及び光学コア110の遠位部を取り囲む粘性減衰材料であるゲル118(例えば、製造プロセスにおいて注入された又は他の方法で設置されたゲル)を備える。ゲル118は、非ニュートン流体、例えば剪断減粘性流体であってもよい。いくつかの実施形態において、ゲル118は、500センチポイズよりも大きい静的粘度と、静的粘度よりも小さい剪断粘度とを有する。これらの実施形態では、ゲル118の静的粘度と剪断粘度の比は、1.2:1から100:1の間であってもよい。ゲル118は、2017年10月12日に出願された「神経学用のマイクロ光学プローブ」というタイトルの出願人の同時係属中の米国特許出願第15/566,041号、及び2018年11月28日に出願された「撮像システム」というタイトルの出願人の同時係属中の国際PCT特許出願番号PCT/US2018/062766号を参照して記載されたようなゲルと同様の構成及び配置であってもよく、これらの各々の内容は全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0066】
撮像プローブ100は、遠位先端部である遠位先端部119を備えてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端部119は、例えば、蛇行経路内(例えば、蛇行経路を有する脳又は心臓の血管内)で、撮像プローブ100の「操作可能性」を改善する(例えば、撮像プローブ100の「追跡性」及び/又は「操縦性」を改善する)ように構成されたバネ先端部などのバネ先端部を備えてもよい。いくつかの実施形態において、バネ先端部119は、5mmから100mmの間の長さ(例えば、5mmから100mmの間の長さを有するバネ)を有する。いくつかの実施形態において、バネ先端部119は、ユーザが成形可能なバネ先端部であってもよい(例えば、バネ先端部119の少なくとも一部が可鍛性であってもよい)。撮像プローブ100は、バネ先端部119の非線形形状部分の方向を調整(例えば、患者の血管系におけるバネ先端部119の軌道を調整)するように、(例えば、コネクタ180を介して)回転されてもよい。代替的又は付加的に、バネ先端部119は、窓部130の遠位開口部を封止するように構成されたキャップ、プラグ、又は他の構成要素を備えてもよい。いくつかの実施形態において、バネ先端部119は、X線又はフルオロスコープの下で撮像プローブ100の可視性を高めるように構成された放射線不透過性マーカーを備えてもよい。いくつかの実施形態において、バネ先端部119は、システム10のガイドワイヤ(ガイドワイヤ31など)上での撮像プローブ100の「迅速な交換」並進を可能にするための比較的短い管腔ガイドワイヤ経路を備えてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、撮像プローブ100の少なくとも遠位部(例えば、光学アセンブリ115を取り囲むシャフト120の遠位部)は、0.030インチ以下、例えば0.025インチ以下、0.020インチ以下、及び/又は0.016インチ以下の外径を有する。
【0068】
いくつかの実施形態において、撮像プローブ100は、血管内神経処置(例えば、脳に近接する血液、血管系、及び他の組織が視覚化される処置、及び/又は、脳に一時的又は恒久的に近接して配置されたデバイスが視覚化される処置)で使用するために構成及び配置されてもよい。神経処置で使用するように構成された撮像プローブ100は、少なくとも150cmの全長、例えば約300cmの長さを有してもよい。
【0069】
代替的又は付加的に、撮像プローブ100は、血管内心臓処置(例えば、心臓に近接する血液、血管系、及び他の組織が視覚化される処置、及び/又は、心臓に一時的又は恒久的に近接して配置されたデバイスが視覚化される処置)に使用するために構成及び配置されてもよい。心臓血管処置で使用するように構成された撮像プローブ100は、少なくとも120cmの全長、例えば約280cmの全長(例えば、無菌領域の外側にプローブ100の近位端部を配置できるように)を有してもよい。いくつかの実施形態において、例えば、無菌領域の外側に配置するために、撮像プローブ100は、220cmを超える長さ及び/又は320cm未満の長さを有してもよい。
【0070】
回転アセンブリ500は、回転ジョイント550に動作可能に取り付けられたコネクタアセンブリ510を備える。回転アセンブリ500は、モータ又は他の回転エネルギ源である動力要素530を更に備える。動力要素530は、リンケージアセンブリ540を介して、回転ジョイント550に動作可能に取り付けられている。いくつかの実施形態において、リンケージアセンブリ540は、1以上の歯車、ベルト、プーリ、又は他の力伝達機構を備える。動力要素530は、少なくとも100回転/秒、例えば、少なくとも200回転/秒、250回転/秒、400回転/秒、500回転/秒、又は20回転/秒から1000回転/秒の間の速度で、回転ジョイント550(及びコア110)を駆動(例えば、リンケージアセンブリ540を介して回転)させてもよい。動力要素530は、モータ、サーボ、ステッピングモータ(例えば、ギアボックスを備えるステッピングモータ)、リニアアクチュエータ、中空コアモータ、及びこれらの組み合わせで構成されるグループら選択される機構を備えてもよい。いくつかの実施形態において、回転アセンブリ500は、光学アセンブリ115と回転可能な光学コア110とを一体的に回転させるように構成されている。
【0071】
コネクタアセンブリ510は、撮像プローブ100のコネクタアセンブリ150に動作可能に取り付けられ、光学コネクタ161が回転ジョイント550に動作可能に係合することを可能にする。いくつかの実施形態において、コネクタアセンブリ510は、コネクタアセンブリ150に動作可能に係合する。いくつかの実施形態において、コネクタアセンブリ510は、ロータリジョイント550及び光学コネクタ161が係合したアセンブリ内で自由に回転できるように、コネクタアセンブリ150と動作可能に係合する。
【0072】
引込アセンブリ800は、患者に対する引込アセンブリ800の基準を確立するように、基準点、例えばデリバリカテーテル80のコネクタ82に動作可能に取り付けるコネクタアセンブリ820を備える。コネクタアセンブリ820は、患者導入デバイス、手術台、及び/又は、他の固定又は半固定の基準点などの基準点に取り付けられてもよい。撮像プローブ100のコネクタ180には、例えばキャリア855を介して、引込要素であるプラー850が解放可能に取り付けられる。引込アセンブリ800は、確立された基準に対して、撮像プローブ100の少なくとも一部(例えば、取り付けられたコネクタ180から遠位の撮像プローブ100の部分)を引き込む。いくつかの実施形態において、引込アセンブリ800は、撮像プローブ100の少なくとも一部(例えば、少なくとも光学アセンブリ115及びシャフト120の一部)を、5mm/秒から100mm/秒の間、例えば60mm/秒の速度で後退させるように構成されている。いくつかの実施形態において、引込アセンブリ800は、撮像プローブ100の少なくとも一部を、少なくとも60mm/秒、少なくとも80mm/秒、少なくとも100mm/秒、及び/又は、少なくとも150mm/秒の速度で引き込むように構成されている。付加的又は代替的に、引き戻し処置は、0.5秒から25秒の間、例えば約20秒(例えば、5mm/秒で100mmの距離にわたって)の時間の間に実行されてもよい。撮像プローブ100のサービスループ185は、引込アセンブリ800及び/又は少なくともコネクタアセンブリ820と、回転アセンブリ500との間に配置されてもよく、回転アセンブリ500が静止したまま(例えば、手術台及び/又はコンソール50の一部に取り付けられたまま)撮像プローブ100を患者に対して引き込むことができるようになっている。
【0073】
引込アセンブリ800は、線形駆動デバイスである動力要素830を更に備える。いくつかの実施形態において、動力要素830は、リニアアクチュエータ、モータに動作可能に取り付けられたウォームドライブ、プーリシステム、及び/又は、他の線形力伝達機構を備えてもよい。プラー850は、リンケージアセンブリ890を介して動力要素830に動作可能に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、リンケージアセンブリ890は、
図1A及び
図2Aを参照して説明するように、「引き戻しアセンブリ」の1以上の構成部品を備えてもよい。代替的又は付加的に、リンケージアセンブリ890は、
図1Bを参照して説明したように、取り囲まれた引き戻しコネクタの1以上の構成部品を備えてもよい。リンケージアセンブリ890の1以上の構成部品は、動力要素830がリンケージアセンブリ890を介してプラー850に引き戻し力を加え、プラー850がリンケージアセンブリ890の遠位部に対して(例えば、
図1Aを参照して説明したように鞘部895の遠位端部に対して)相対的に後退するように、プラー850と動力要素830との間に基準フレーム(例えば、内部引き戻し基準)を確立してもよい。いくつかの実施形態において、リンケージアセンブリ890及びコネクタアセンブリ820の遠位端部は、互いに相対的に固定されており、プラー850は、動力要素830から印加される力に反応して、両者の間で直線的に並進する。
【0074】
コンソール50は、撮像アセンブリ300、ユーザインタフェース55、プロセッサ52、及び1以上のアルゴリズム51を備えている。プロセッサ52は、ソフトウェアルーチン、アルゴリズム(例えば、アルゴリズム51)、及びシステム10の他の動作命令、並びに、撮像プローブ100、第2撮像デバイス15、及び/又はシステム10の別の構成部品によって取得されたデータを記憶する1以上のメモリ回路などの、1以上のメモリ記憶部品を備えてもよい。撮像アセンブリ300は、光学アセンブリ115に(例えば、光学コア110を介して)光を提供し、光学アセンブリ115から(例えば、光学コア110を介して)光を収集するように構成されてもよい。撮像アセンブリ300は、光源310を備えてもよい。光源310は、光学コア110を介して光学アセンブリ115に1以上の波長の光を提供するように構成された1以上の光源などの、1以上の光源を備えてもよい。光源310は、画像化される患者部位又は移植されたデバイスに関連する断面、長手方向、及び/又は体積の情報を含む画像データを収集できるように、光を光学アセンブリ115に(光学コア110を介して)提供するように構成されている。光源310は、収集された画像データが、撮像されている患者部位内の組織の特徴を含むように光を提供するように構成されてもよく、例えば、撮像されている患者部位内に存在する患者の疾患又は障害に関連する情報を定量化、定性化、又はその他の方法で提供してもよい。光源310は、350nmから2500nmの範囲、800nmから1700nmの範囲、1280nmから1310nmの範囲、又は約1300nmの範囲の中心波長を有する広帯域の光(例えば、1250nmから1350nmの掃引範囲で供給される光)を供給するように構成されてもよい。光源310は、少なくとも50kHzの掃引レートを有してもよい。いくつかの実施形態において、光源310は、少なくとも100kHz、例えば、少なくとも200kHz、300kHz、400kHz、及び/又は500kHzの掃引レートを有してもよい。これらのより速い掃引レートは、例えば、より高いフレームレートを提供するため、また、急速な引き戻し及び回転速度に対応するために、多数の利点を提供する。例えば、より高い掃引レートは、必要なサンプリング密度(例えば、回転ビームによって掃引される管腔表面積の量)をより短い時間で達成することを可能にし、ほとんどの状況で有利であり、鼓動する心臓の動脈のようにプローブと撮像される表面/組織との間に相対的な動きがある場合には特に有利である。光源310の帯域幅は、所望の解像度を達成するために選択されてもよい。所望の解像度は、撮像システム10の使用目的のニーズに応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、帯域幅は、中心波長の約5%~15%である。これにより、20μm~5μmの解像度が可能となる。光源310は、ANSIクラス1(「アイセーフ」)の制限を満たす電力レベルで光を供給するように構成されてもよいが、より高い電力レベルが採用されてもよい。いくつかの実施形態において、光源310は、1.3μm帯の光を約20mWの電力レベルで照射する。供給される光の中心波長が増加すると、組織の光散乱が減少するが、水の吸収が増加する。光源310は、これらの2つの効果のバランスをとるために、1300nmに近い波長の光を供給してもよい。光源310は、多量の流体を含む画像化される患者部位を横断するために、より短い波長の光(例えば、約800nmの光)を供給するように構成されてもよい。代替的又は付加的に、光源310は、画像化される患者部位内の高レベルの散乱を低減するような、より長い波長の光(例えば、約1700nmの光)を供給するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、光源310は、可変同調型光源(例えば、光源310は、時間とともに反復的に変化する単一の波長を放出する)、及び/又は、広帯域の光源である。光源310は、単一の空間モード光源又はマルチモード光源(例えば、空間フィルタリングを有するマルチモード光源)であってもよい。
【0075】
光源310は、光源の帯域幅内の全ての周波数において、10mm以上のコヒーレンス長さ、例えば、少なくとも50mmの長さなど、比較的長い有効コヒーレンス長さを有してもよい。検出可能な干渉縞を生成するためには、遠くの撮像対象物(例えば、組織)から戻ってくる光が、戻ってくる参照光との位相コヒーレンスを維持しなければならない。このため、このコヒーレンス長さの能力により、システム10によってより長い有効スキャン範囲を達成してもよい。掃引光源レーザの場合、瞬間的な線幅は非常に狭くなる(すなわち、レーザが掃引する際には、掃引レートで変化する非常に狭い周波数帯域を出力する)。同様に、広帯域の光源の場合、検出器の配置は、光源のスペクトルから非常に狭い線幅を選択できる必要がある。コヒーレンス長さは、線幅に反比例する。スキャン範囲が長ければ、より大きな対象物やより遠くの対象物を撮影することができる(例えば、より遠くの組織を撮影することができる)。現在のシステムでは、コヒーレンス長さが短い。コヒーレンス長さは、画像取り込み範囲の減少や、有効スキャン範囲外の物体から生じるアーチファクト(ゴースト)と相関している。
【0076】
コンソール50は、コンソール50、撮像プローブ100、及び/又はデリバリカテーテル80の動作パラメータなどの、撮像システム10の1以上の動作パラメータを調整する(例えば、自動及び/又は半自動で調整する)ように構成されたアルゴリズム51などの、1以上のアルゴリズムを備えてもよい。コンソール50は、アルゴリズム51を実行する、及び/又は、
図4を参照して説明したデジタル信号処理などの任意のタイプのデータ処理を実行するように構成された処理アセンブリであるプロセッサ52を更に備えてもよい。付加的又は代替的に、アルゴリズム51は、本明細書に記載された注入器20又はインプラントデリバリデバイス30などの別のデバイスの動作パラメータを調整するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、アルゴリズム51は、本明細書で説明した本発明の概念のセンサベースの機能的構成要素によって提供されるセンサ信号などの、1以上のセンサ信号に基づいて動作パラメータを調整するように構成されている。アルゴリズム51は、光学コア110及び/又は光学アセンブリ115の回転速度などの回転パラメータ、シャフト120及び/又は光学アセンブリ115の引込速度、距離、開始位置、終了位置、及び/又は引込開始タイミング(例えば、引込が開始されたとき)などの引込パラメータ、光学アセンブリ115の位置などの位置パラメータ、フレームあたりのライン数などのライン間隔パラメータ、血管径に対する表示サイズのスケーリングなどの画像表示パラメータ、撮像プローブ100の構成パラメータ、適切な屈折率を決定するように構成されたコントラスト比に対する生理食塩水などの注入物21のパラメータ、照射される光の電力及び/又は周波数などの光源310パラメータ、及びこれらの1以上の組み合わせで構成されるグループから選択される動作パラメータを調整するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、アルゴリズム51は、内腔の洗浄(光学アセンブリ115に近接する内腔が、画像作成を妨げる血液又は他の物質を十分に除去される)、注入器20からインジケータ信号(例えば、十分な洗浄流体が供給されたことを示す信号)を受信すること、収集された画像データの変化(例えば、収集された画像データに基づいて、光学アセンブリ115の周囲から血液が適切に排出されたことに相関する画像の変化が検出される)、及びこれらの1以上の組み合わせで構成されるグループから選択されるパラメータに基づいて開始される引き戻しなどの、引き戻しの開始をトリガするパラメータなどの、引き込みパラメータを調整するように構成されている。いくつかの実施形態において、アルゴリズム51は、取り付けられた撮像プローブ100を識別し(例えば、RF又は他の埋め込みIDを介して自動的に識別し)、撮像システム10のパラメータ、例えば、アーム経路長パラメータ、分散パラメータ、及び/又は上記のような他のパラメータを調整するときなど、撮像プローブ100に関連する撮像システム10の構成パラメータを調整するように構成されている。
【0077】
撮像システム10は、1以上の相互接続ケーブルであるバス58を備えてもよい。バス58は、回転アセンブリ500をコンソール50に、引込アセンブリ800をコンソール50に、及び/又は回転アセンブリ500を引込アセンブリ800に、動作可能に接続してもよい。バス58は、1以上の光伝送ファイバ、電気伝送ケーブル、流体導管、及びこれらの1以上の組み合わせを備えてもよい。いくつかの実施形態において、バス58は、回転ジョイント550をコンソール50の撮像アセンブリ300に光学的に結合する少なくとも1つの光伝送ファイバを備えてもよい。付加的又は代替的に、バス58は、電力及び/又は動力情報を動力要素530及び830のうちの1以上に伝達する少なくとも電力及び/又はデータ伝送ケーブルを備える。
【0078】
第2撮像デバイス15は、X線、シングルプレーン又はバイプレーン型フルオロスコープなどのフルオロスコープ、CTスキャナ、MRI、PETスキャナ、超音波撮像デバイス、及びこれらの1以上の組み合わせで構成されるグループから選択される1以上の撮像デバイスなどの、撮像デバイスであってもよい。いくつかの実施形態において、第2撮像デバイス15は、回転式血管造影を行うように構成されたデバイスである。
【0079】
治療デバイス16は、血管の狭窄部又は他の狭小部を拡張するように構成及び配置されたバルーンカテーテル、薬剤溶出性バルーン、吸引カテーテル、ソノリシスデバイス、アテレクトミーデバイス、ステント引き戻しデバイスなどの血栓除去デバイス、Trevo(登録商標)ステント引き戻しデバイス、Solitaire(登録商標)ステント引き戻しデバイス、Revive(登録商標)ステント引き戻しデバイス、Eric(登録商標)ステント引き戻しデバイス、Lazarus(登録商標)ステント引き戻しデバイス、ステントデリバリカテーテル、マイクロブレードインプラント、塞栓システム、WEB(登録商標)塞栓システム、Luna(登録商標)塞栓システム、Medina(登録商標)塞栓システム、及びこれらの1以上の組み合わせで構成されるグループから選択される閉塞治療又は他の治療デバイスであってもよい。いくつかの実施形態において、撮像プローブ100は、治療デバイス16が患者に挿入された後に、治療デバイス16に関連するデータ(例えば、治療デバイス16の位置、向き、及び/又は他の構成データ)を収集するように構成される。
【0080】
注入器20は、放射線不透過性造影剤などの造影剤、及び/又は他の流体を注入するように構成されたパワーインジェクタ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、又は他の流体デリバリデバイスであってもよい。いくつかの実施形態において、注入器20は、造影剤及び/又は他の流体(例えば、造影剤、生理食塩水、及び/又はデキストラン)を供給するように構成される。いくつかの実施形態において、注入器20は、本明細書に記載されるようなフラッシング処置で流体を送出する。いくつかの実施形態において、注入器20は、5Frから9Frの間のIDを有するデリバリカテーテル80、0.53インチから0.70インチの間のIDを有するデリバリカテーテル80、又は0.0165インチから0.027インチの間のIDを有するデリバリカテーテル80を介して造影剤又は他の流体を供給する。いくつかの実施形態において、造影剤又は他の流体は、4Fr程度の小さなデリバリカテーテル(例えば、遠位注入用)を介して供給される。いくつかの実施形態において、注入器20は、1以上のデリバリカテーテル80の内腔を介して造影剤及び/又は他の流体を供給する一方で、1以上のより小さいデリバリカテーテル80も内腔内に存在している。いくつかの実施形態において、注入器20は、第1貯蔵器から供給され、第1濃度の造影剤を含む第1流体、及び、第2貯蔵器から供給され、造影剤が少ない又は含まれない第2流体などの、2つの異種の流体を同時及び/又は順次供給するように構成される。
【0081】
注入物21は、光学的に透明な材料、生理食塩水、可視化可能な材料、造影剤、デキストラン、超音波反射性材料、磁性材料、及びこれらの組み合わせで構成されるグループから選択される流体であってもよい。注入物21は、造影剤及び生理食塩水であってもよい。注入物21は、少なくとも20%のコントラストを含んでもよい。画像データの収集中に、例えば、1以上の流体である注入物21を(例えば、注入器20又は他の流体デリバリデバイスによって推進されるように)供給して、血液又は他の多少不透明な材料(以下、非透過性材料)を光学アセンブリ115の近傍に除去するために(例えば、光学アセンブリ115とデリバリカテーテルとの間の非透過性材料、及び/又は、光学アセンブリ115と血管壁との間の非透過性材料を除去するために)、光学アセンブリ115から分配された光が、画像化されるべき全ての組織及び他の物体に到達して反射的に戻るようにするなどの、噴射処置が実行されてもよい。これらの噴射処置の実施形態において、注入物21は、生理食塩水などの光学的に透明な材料であってもよい。注入物21は、本明細書に記載されているように、1以上の視覚化可能な材料であってもよい。
【0082】
噴射処置での使用の代替として又はそれに加えて、注入物21は、例えば、注入物21が、フルオロスコープ又は他のX線デバイスを構成する第2撮像デバイス15によって見られるように構成された造影剤、超音波撮像デバイスを構成する第2撮像デバイス15によって見られるように構成された超音波反射性材料、及び/又はMRIを構成する第2撮像デバイス15によって見られるように構成された磁性材料のように、第2撮像デバイス15によって見られるように構成された材料であってもよい。
【0083】
インプラント31は、血管閉塞又は動脈瘤の1以上を治療するためのインプラント(例えば、一時的又は慢性的なインプラント)であってもよい。いくつかの実施形態において、インプラント31は、フローダイバータ、Pipeline(登録商標)フローダイバータ、Surpass(登録商標)フローダイバータ、塞栓コイル、ステント、Wingspan(登録商標)ステント、カバードステント、動脈瘤治療インプラント、及びこれらの1以上の組み合わせで構成されるグループから選択される1以上のインプラントである。
【0084】
インプラントデリバリデバイス30は、例えば、インプラント31が自己拡張型又はバルーン拡張型部分を有する場合、インプラント31を供給するために使用されるカテーテル又は他のツールを備えてもよい。いくつかの実施形態において、撮像システム10は、撮像プローブ100、1以上のインプラント31及び/又は1以上のインプラントデリバリデバイス30を備える。いくつかの実施形態において、撮像プローブ100は、インプラント31及び/又はインプラントデリバリデバイス30が患者に挿入された後、インプラント31及び/又はインプラントデリバリデバイス30に関連するデータ(例えば、インプラント31及び/又はインプラントデリバリデバイス30の解剖学的位置、向き、及び/又は他の構成データ)を収集するように構成される。
【0085】
いくつかの実施形態において、コンソール50、デリバリカテーテル80、撮像プローブ100、回転アセンブリ500、引込アセンブリ800、治療デバイス16、注入器20、及び/又はインプラントデリバリデバイス30などの1以上のシステム構成部品は、それぞれ示されている機能的構成要素59、89、199、599、899、99a、99b、及び/又は99cなどの1以上の機能的構成要素(本明細書において「機能的構成要素」)を更に備える。各機能的構成要素は、少なくとも2つの機能的構成要素で構成されてもよい。各機能的構成要素は、センサ、変換器、及びこれらの組み合わせで構成されるグループから選択される1以上の構成要素であってもよい。機能的構成要素は、信号を生成するように構成されたセンサであってもよい。機能的構成要素は、生理学的センサ、圧力センサ、歪みゲージ、位置センサ、GPSセンサ、加速度センサ、温度センサ、磁気センサ、化学センサ、生化学センサ、タンパク質センサ、超音波流量センサなどの流量センサ、超音波気泡検出器などのガス検出センサ、超音波センサなどの音センサ、及びこれらの組み合わせで構成されるグループから選択されるセンサであってもよい。センサは、血圧センサなどの圧力センサ、血液ガスセンサ、血流センサなどの流量センサ、血液又は他の組織の温度センサなどの温度センサ、及びこれらの組み合わせで構成されるグループから選択される生理学的センサであってもよい。センサは、血管経路の形状(例えば、2D又は3Dの血管経路の形状)に関連する信号を生成するように構成された位置センサであってもよい。センサは、磁気センサであってもよい。センサは、流量センサであってもよい。本システムは、センサベースの機能的構成要素によって生成された信号を処理するように構成されたアルゴリズムを更に備えてもよい。各機能的構成要素は、1以上の変換器を備えてもよい。各機能的構成要素は、組織を切除するために十分な熱を提供するように構成された加熱要素などの加熱器、組織を切除するために極低温エネルギを提供するように構成された冷却要素などの冷却器、超音波変換器などの音変換器、振動変換器、及びこれらの組み合わせで構成されるグループから選択される1以上の変換器を備えてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、撮像プローブ100は、図示していないが、
図12及び12A-Cを参照して説明するFPE1500
Sなどの、流体推進要素及び/又は流体加圧要素(本明細書において「流体加圧要素」)を備える。流体推進要素は、光学アセンブリ115に近接するゲル118内の気泡の存在を防止及び/又は低減するように構成されてもよい。流体推進要素は、光学コア110に固定的に取り付けることができる。光学コア110の回転により、光学アセンブリ115に近接した位置から気泡の存在を低減するように構成されたゲル118内の圧力上昇を発生させるように、流体推進要素が回転する。そのような1以上の流体加圧要素は、ゲル118内での気泡形成の可能性を低減し、ゲル118内の気泡のサイズを低減し、及び/又は、ゲル118内で形成されたあらゆる気泡を、光学アセンブリ115による画像データの収集に悪影響を与える場所から遠ざける(例えば、気泡を光学アセンブリ115から遠ざける)ことができる。いくつかの実施形態において、撮像プローブ100の流体推進要素は、2019年4月30日に出願された「流体圧力素子を備える撮像プローブ」というタイトルの出願人の同時係属中の米国仮特許出願第62/840,450号に記載されている流体推進要素と同様の構成及び配置で構成されており、その内容は全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0087】
ここで
図1Aを参照すると、撮像システムの概略図が図示されている。このシステムは、本発明の概念と一致して、患者インタフェースモジュールに動作可能に取り付けられる撮像プローブと、患者インタフェースモジュール及び撮像プローブに動作可能に取り付けられる独立した引き戻しモジュールとを備える。撮像システム10は、患者インタフェースモジュール200を備えてもよい。患者インタフェースモジュール200は、回転アセンブリ500の少なくとも一部と、引込アセンブリ800の少なくとも一部とを取り囲む収容部である収容部201を備えている。撮像システム10は、第2分離構成部品である引き戻しモジュール880を更に備えてもよい。引き戻しモジュール880は、引込アセンブリ800の少なくとも一部を取り囲む収容部である収容部881を備えてもよい。引き戻しモジュール880及び患者インタフェースモジュール200は、本明細書に記載のコネクタアセンブリであるリンケージアセンブリ890を介して、互いに動作可能に取り付けられてもよい。引き戻しモジュール880及び患者インタフェースモジュール200は、異なる位置での位置決めを可能にするように(それぞれが別個の収容部を有することを介して)構成及び配置されてもよく(例えば、モジュール880及び200を接続するリンケージアセンブリ890は、2つの遠隔位置を少なくとも15cm離すことができるように、少なくとも15cmの長さを有してもよい)。例えば、患者インタフェースモジュール200は、外科用ベッドレール上又はその近くに配置されてもよい。また、引き戻しモジュール880は、患者の血管アクセス部位の近く(例えば、撮像プローブ100が患者に入る血管アクセス部位から30cm以内)に配置されてもよい。リンケージアセンブリ890は、鞘部895内に摺動可能に受け入れられたリンケージ891を備えてもよい。リンケージ891は、プラー850に動作可能に取り付けられ、リンケージ891の近位端部893は、接続点842を有してもよい。動力要素830は、接続点842に解放可能に取り付けるように構成されたコネクタ835を備えてもよい。
図1Aに示す構成部品は、
図1を参照して説明した同様の構成部品、及び本明細書の他の箇所で説明した同様の構成及び配置としてもよい。
【0088】
引き戻しモジュール880は、
図2Bを参照して説明するように、デリバリカテーテル80のコネクタ82に動作可能に取り付けるコネクタアセンブリ820bを備えてもよい。コネクタアセンブリ845は、
図2Aを参照して説明するように、患者インタフェースモジュール200のコネクタアセンブリ820aに動作可能に取り付けるコネクタ840を備えてもよい。
【0089】
ここで
図1Bを参照すると、撮像システムの概略図が図示されている。本システムは、本発明の概念に一致するように、回転動力要素に取り付けるための第1コネクタと、引込動力要素に取り付けるための第2コネクタとを備えるモジュールに動作可能に取り付けられる撮像プローブを備える。撮像システム10は、本明細書に記載されているように、患者インタフェースモジュール200を備えてもよい。撮像システム10は、コネクタモジュールであるモジュール410を更に備えてもよい。モジュール410は、引込アセンブリ800、撮像プローブ100のサービスループ185、コネクタアセンブリ150'、及びコネクタ840'の少なくとも一部を取り囲む収容部である収容部411を備える。モジュール410は、撮像プローブ100とリンケージであるプラー850'の両方を患者インタフェースモジュール200に動作可能に取り付けるように構成されてもよい。
図1Bに示す構成部品は、
図1を参照して説明した同様の構成部品、及び本明細書の他の箇所で説明した同様の構成及び配置としてもよい。モジュール410は、デリバリカテーテル480に動作可能に取り付けられてもよい。デリバリカテーテル480は、
図1を参照して説明したデリバリカテーテル80と同様の構成及び配置としてもよい。デリバリカテーテル480は、少なくとも光学的に透明な部分である窓部485を備えてもよい。窓部485は、デリバリカテーテル480の遠位部又はその近傍に配置されてもよい。窓部485は、例えば、光学アセンブリ115が窓部485内に引き込まれているときに、撮像プローブ100が窓部485を通じて撮像できるように、撮像プローブ100を撮像することによって利用される撮像モダリティに対して透明な材料を備えてもよい。いくつかの実施形態において、モジュール410、デリバリカテーテル480、及び撮像プローブ100は、集合的にカテーテルアセンブリ4100を形成する。
【0090】
ここで
図2Aを参照すると、本発明の概念に一致する、患者インタフェースに取り付けられているコネクタの斜視図が示されている。患者インタフェースモジュール200は、撮像プローブの回転可能な光学コアに回転を提供し、本明細書に記載されているような撮像プローブの少なくとも一部を並進させるための動力を提供するように構成されている。患者インタフェースモジュール200は、回転アセンブリ500と、引込アセンブリ800の少なくとも一部とを備える。収容部201は、患者インタフェースモジュール200を取り囲む。患者インタフェースモジュール200は、1以上の入力部であるボタン205a,205b、及び1以上の出力部である図示のインジケータ206などの1以上のユーザインタフェース要素を備えてもよい。患者インタフェースモジュール200は、本明細書に記載されているように、コネクタアセンブリ150に動作可能に接続するための第1物理的コネクタアセンブリであるコネクタアセンブリ510を備える。また、患者インタフェースモジュール200は、本明細書に記載されているように、コネクタ840に動作可能に接続するための第2物理的コネクタアセンブリであるコネクタアセンブリ820aを更に備えてもよい。コネクタアセンブリ150及びコネクタ840は、それぞれ、コネクタアセンブリ510及び820aに少なくとも部分的に挿入されるように構成及び配置されたバヨネット型コネクタであってもよい。コネクタアセンブリ150及びコネクタ840は、その後、本明細書に記載されているように、それぞれコネクタアセンブリ510及び820aとの接続をロックするために回転(例えば、約45°の回転)されてもよい。コネクタアセンブリ150及び/又は840は、バヨネット又は他のロック式コネクタなど、多数の形態のコネクタであってもよい。
【0091】
ここで
図2Bを参照すると、本発明の概念に一致する、引き戻しアセンブリの透視図が図示されている。引き戻しモジュール880は、本発明の概念の撮像プローブ100の一部に動作可能に取り付けられて、プローブに引き込み力を提供し、本明細書に記載されているように、プローブの少なくとも一部を患者に対して(例えば、患者導入デバイスに対して)近位に引っ張ることができる。引き戻しモジュール880は、2018年11月28日に出願された「撮像システム」というタイトルの出願人の同時係属中の国際PCT特許出願番号PCT/US2018/062766号に記載されているような引き戻しモジュール880と同様の構成及び配置であってもよく、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。引き戻しモジュール880は、リンケージ891(図示せず)の遠位端部に動作可能に取り付けられてもよい。リンケージアセンブリ890は、引き戻しモジュール880を通じてスライド可能に受け入れられてもよい。鞘部895は、モジュール880の近位端部に固定的に取り付けられてもよい。リンケージ891は、モジュール880の長さに沿ってスライド可能に受け入れられ、その遠位端部でプラー850に動作可能に取り付けられる。
【0092】
引き戻しモジュール880は、上部収容部881a及び下部収容部881bを有する、2つの部分で構成される収容部881を備えてもよい。モジュール880は、並進カートであるプラー850(図示されていないが、キャリア855の下方に配置されており、本明細書に記載されている)を備えてもよい。プラー850は、モジュール880内で並進するように設計されてもよい。モジュール880は、付勢要素であるバネ852(図示せず)を備えてもよい。バネ852は、プラー850を遠位に偏らせるなど、プラー850に付勢力を提供してもよい。
【0093】
上部収容部881aは、第1空洞である保持ポート884と、第2空洞であるトレンチ889とを有してもよい。保持ポート884とトレンチ889とは、突起部である保持壁888によって分離されてもよい。物理的コネクタアセンブリ820bは、壁888を有する収容部881aの保持ポート884と、保持機構であるクリップ885とを備えてもよい。クリップ885は、例えば、コネクタ82がTuohy Borstコネクタである場合、デリバリカテーテル80の鞘部コネクタ82などのデリバリカテーテルの近位端部を解放可能に係合するように構成されてもよい。物理的コネクタアセンブリ820bは、付勢要素であるバネ886(図示せず)を更に備えてもよい。バネ886は、クリップ885をコネクタ82に対して係合位置に維持するための付勢力を提供してもよい。
【0094】
引き戻しモジュール880は、キャリア855を更に備えてもよい。キャリア855は、例えば、収容部881aの溝889aを介して、プラー850に動作可能に取り付けられてもよい。キャリア855は、(リンケージ891に応じて並進する)プラー850に応じてトレンチ889内で並進してもよい。キャリア855は、撮像プローブ100の一部、例えば、引き戻しコネクタ180に動作可能に取り付けられてもよい。引き戻しコネクタ180は、撮像プローブ100のシャフト120に貼り付けられた「トルカ(torquer)」又は他のデバイスを備えてもよい。リンケージアセンブリ890の鞘部895は、リンケージ891の近位端部がコネクタ840に対して引き込まれたときに、リンケージ891の遠位端部が鞘部895に向かって(すなわち、引き戻しモジュール880の近位端部に向かって)引き込まれるように、コネクタ840と引き戻しモジュール880との間に基準のフレームを提供してもよい。この相対的な動作は、コネクタ840で印加された動力を(例えば、本明細書に記載されているように、動力要素830を介して)、プラー850に伝達する。続いて、プラー850は、動力を撮像プローブ100に伝達し、撮像プローブ100は、患者に対して相対的に引き込まれる。
【0095】
動作時において、撮像プローブ100は、患者の血管系を通じて手動で(例えば、ユーザによって)進められてもよい。引き戻しモジュール880は、患者に取り付けられてもよい(例えば、デリバリカテーテル80が患者に挿入されて患者に対して相対的に固定された位置にあるときに、コネクタ82を介してデリバリカテーテル80に取り付けられてもよい)。コネクタ180は、撮像プローブ100に動作可能に接続され、デリバリカテーテル80に近接して配置されてもよい(例えば、トルカコネクタ180が、デリバリカテーテル80に近接した撮像プローブ100に締め付けられてもよい)。コネクタ180(図示せず)は、キャリア855内に動作可能に配置されてもよい。リンケージ891の遠位端部には、動力が印加されてもよい。キャリア855は、トレンチ889内に引き込まれ、撮像プローブ100を患者に対して相対的に引き込む。引き込まれた後、コネクタ180は、キャリア855から取り外されてもよい(例えば、持ち上げられてもよい)。キャリア855及び撮像プローブ100は、独立して再前進されてもよい。例えば、キャリア855は、リンケージ891の近位端部の前進が許容されるので、バネ852の付勢力を通じて再前進することができる。撮像プローブ100は、ユーザによって手動で再前進されてもよい。その後の引き込みは、両方が再前進した後、キャリア855内にコネクタ180を再配置することによって行うことができる。キャリア855は、キャリア855がコネクタ180に引込力のみを与えることができるように、「カップのような」形状、フック、又は他の捕捉可能な部分などの捕捉部を備えてもよい。この構成では、キャリア855が遠位方向に並進したときに、コネクタ180が、キャリア855から自動的に外れる(例えば、コネクタ180は、キャリア855のカップ部分から脱落する)。
【0096】
ここで
図3を参照すると、本発明の概念に一致する、患者インタフェースモジュールに取り付けられるコネクタの斜視図が示されている。患者インタフェースモジュール200は、
図2Aを参照して説明した患者インタフェースモジュール200と同様の構成及び配置としてもよい。患者インタフェースモジュール200は、コネクタアセンブリ150'に動作可能に接続するための、第1物理的コネクタアセンブリであるコネクタアセンブリ510を備える。また、患者インタフェースモジュール200は、コネクタ840'に動作可能に接続するための、第2物理的コネクタアセンブリであるコネクタアセンブリ820aを備えてもよい。コネクタアセンブリ150'及びコネクタ840'はそれぞれ、コネクタアセンブリ510及び820aに少なくとも部分的に挿入されるように構成及び配置されたバヨネット型コネクタを備えてもよい。
【0097】
本明細書で記載されているように、システム10は、患者の解剖学的構造(例えば、患者の1以上の血管)の改善された撮像を提供するとともに、患者内に配置された(例えば、患者の血管内に配置された)インプラント、カテーテル、及び/又は他のデバイスの改善された撮像を提供するように構成及び配置されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、治療(例えば、介入)を行うために(例えば、臨床医によって)使用される情報を提供するように構成される。当該情報は、少なくとも、光干渉断層撮影データに基づいている。例えば、システム10によって収集されたOCT及び他のデータは、患者に提供されるべき治療(本明細書において、「OCTガイド治療」及び/又は「OCTガイド療法」)に影響を与えるような、治療の計画及び/又は治療結果の予測(例えば、システム10、システム10のユーザ、又はその2つの組み合わせによって実行される計画及び/又は予測)に使用されてもよい。
【0098】
本明細書で記載されているように、撮像プローブ100は、改善された撮像を提供するように構成されたサイズ(例えば、直径及び/又は長さ)、スキャン範囲、柔軟性、及び/又は撮像能力のうちの少なくとも1つを有してもよい。撮像プローブ100は、血管内の狭い病変部の撮像を可能にするように構成されたサイズ及び/又は柔軟性を有してもよい。本明細書において、狭い病変部とは、結果として生じる内腔(すなわち、病変部内の内腔)の直径(例えば、病変部の長さに沿った最小の直径)が2mm(0.080インチ)未満である病変部であり得る。市販のOCTカテーテルは、このような小径の内腔を有する病変部を撮像するように配置されているため、近位側に印加された噴射媒体が病変部の遠位側に伝搬するのを効果的にブロックしてしまう。このため、この市販のデバイスの使用が妨げられる。しかしながら、撮像プローブ100は、これらの狭い病変部を撮像するように、例えば、結果として生じる内腔が1.5mm(0.060インチ)、1.3mm(0.053インチ)、1.1mm(0.043インチ)、及び/又は0.9mm(0.036インチ)と小さい病変部を撮像するように構成及び配置されることができる。例えば、撮像プローブ100の遠位部は、「治療前」の撮像処置(例えば、狭窄部への介入又は他の治療の前に実行される処置)において、システム10を使用して狭い病変部を有する治療すべき潜在的な血管(例えば、動脈)を撮像することができるように、2.6F(0.034インチ)以下の外径、例えば1.7F(0.022インチ)以下の外径を有してもよい。本明細書で記載されているように、現在利用可能なOCT撮像システムは、有用なデータを提供するには大き過ぎる場合がある(例えば、狭い病変部を通過することができず、十分な血液クリアランスが得られない)。また、血管造影などの他のタイプの撮像システムでは、狭い病変部を撮像する際に十分に正確な結果が得られない場合がある(例えば、FFR情報を提供する際などに、治療の必要がないことを誤って示す)。いくつかの実施形態において、システム10は、(例えば、少なくともプローブ100からの画像を使用して)システム10によって提供されたデータがオペレータ(例えば、臨床医)によって使用されて、実行されるべき将来の治療に関する決定を行うOCTガイド治療を可能にするためのデータを収集するために、(例えば、狭い病変部の)治療前の撮像処置を実行するために使用される。これらの実施形態において、システム10は、治療が実行された後に(「治療後」の撮像処置で)、同様の解剖学的位置を撮像するために使用されてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態において、システム10は、システム10の以下の特性により、(例えば、狭い病変部などの)治療前の撮像処置を実行し、OCTガイド治療を提供するように構成される:プローブ100の遠位部(例えば、光学アセンブリ115を含む)は、2.6Fr(0.034インチ)以下の直径、例えば、2.0Fr(0.026インチ)以下の直径、例えば、1.7Fr(0.022インチ)以下の直径を有する。
【0100】
いくつかの実施形態において、システム10は、システム10の以下の特性により、(例えば、狭い病変部などの)治療前の撮像処置を実行し、OCTガイド治療を提供するように構成される:光学アセンブリ115は、毎秒180回転以上の速度、例えば、毎秒少なくとも200、250、400、及び/又は500回転の速度で(例えば、回転アセンブリ500を介して)回転される。
【0101】
いくつかの実施形態において、システム10は、システム10の以下の特性により、(例えば、狭い病変部などの)治療前の撮像処置を実行し、OCTガイド治療を提供するように構成される:システム10のスキャン範囲は、少なくとも半径7mm、例えば、少なくとも半径11mmである。システム10の長いスキャン範囲は、撮像された血管からその血管の任意の側枝内へ撮像する能力、光学アセンブリ115が血管内腔内に偏心して(例えば、血管壁の一部に近接して)配置されている場合に大きな血管を撮像する能力、及び/又は、左主動脈、頸動脈、及び大きな末梢動脈などの一般的に大きな血管を撮像する能力など、多数の利点を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態において、システム10は、システム10の以下の特性により、(例えば、狭い病変部などの)治療前の撮像処置を提供し、OCTガイド治療を提供するように構成される:7.5cm以上の引き戻し距離、例えば、少なくとも10cm、又は少なくとも15cmの引き戻し。当該引き戻しは、少なくとも25mm/秒の速度で、及び/又は4秒以下の時間内に行われてもよい(例えば、少なくとも7.5cm、10cm、及び/又は15cmの完全な引き戻しを4秒以下で行う)。撮像プローブ100の動作可能な引き戻し速度は、当該引き戻し速度が回転速度をフレーム密度で割ったものであるように、光学アセンブリ115の回転速度とOCT画像データの所望のフレーム密度(例えば、フレーム/mm)との関係を介して決定されてもよい。撮像プローブ100は、少なくとも200Hz又は少なくとも250Hzなどの、180Hzを超える回転速度を有してもよい。撮像プローブ100は、0.2mm以下のフレーム間隔(すなわち、少なくとも5フレーム/mmのフレーム密度)を有してもよい。撮像プローブ100は、少なくとも200kHzのレーザスキャン周波数を有してもよい。
【0103】
いくつかの実施形態において、システム10は、システム10の以下の特性により、(例えば、狭い病変部などの)治療前の撮像処置を実行し、OCTガイド治療を提供するように構成される:引き戻し速度(引き戻し中の光学アセンブリ115の並進速度)は、少なくとも50mm/sである。これらの実施形態において、光学アセンブリ115の回転速度は、少なくとも180Hz、200Hz、及び/又は250Hzであってもよい。これらの実施形態において、フレーム間隔は、最小0.2mmであってもよい。
【0104】
いくつかの実施形態において、システム10は、システム10の以下の特性により、(例えば、狭い病変部などの)治療前の撮像処置を実行し、OCTガイド治療を提供するように構成される:フレームあたりのライン数が少なくとも400、例えば少なくとも800ライン/フレームであり、フレームが約360°の連続画像データを有する(すなわち、光学アセンブリ115の1フル回転が1フレームの画像データを提供する)。いくつかの実施形態において、システム10は、フレームのダウンサンプリング(例えば、データのアナログ-デジタル変換の前に実行されるダウンサンプリング、及び/又は他の帯域幅制限のあるデータ処理)を可能にするのに十分な速度でフレームを捕捉するように構成される。
【0105】
いくつかの実施形態において、システム10は、システム10の以下の特性により、(例えば、狭い病変部などの)治療前の撮像処置を実行し、OCTガイド下の治療を提供するように構成される:少なくとも50kHz、例えば、少なくとも200kHz、350kHx、及び/又は500kHzのスキャン周波数。これらの実施形態において、フレーム当たりのラインは、少なくとも400ライン/フレーム、又は少なくとも800ライン/フレームとすることができる(例えば、フレーム当たりのラインは、スキャン周波数を光学アセンブリ115の回転速度で割ったものに等しい)。
【0106】
いくつかの実施形態において、システム10は、200kHz以上のレーザスキャン周波数、60mm/秒又は100mm/秒以上の引き戻し速度、及び/又は250Hz以上の回転速度を有する。システム10は、血管の少なくとも50mmを、例えば0.5秒以下で撮像できるように、1回転当たり800本以上のスキャンライン、約400μmピッチ、及び/又は少なくとも2.5フレーム/mm、及び/又は少なくとも5.0フレーム/mmのフレーム密度で撮像できるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、モーションアーチファクトを最小化するために、心周期の安静部分の間に引き戻しを実行するように構成される。いくつかの実施形態において、システム10は、250kHz、300kHz、又は350kHzを下回らないなど、最大400kHzの回転速度を有する。
【0107】
いくつかの実施形態において、システム10は、システム10の以下の特性により、(例えば、狭い病変部などの)治療前の撮像処置を実行し、OCTガイド治療を提供するように構成される:プロセッサ52は、光学アセンブリ115と光学コア110との間のスプライスインタフェースで生成された反射を(例えば、アルゴリズム51を介して)識別するように構成される。光学アセンブリ115(例えば、GRINレンズを備える光学アセンブリ115)と光学コア110(例えば、NZDSファイバを備える光学コア110)との間の光学的インタフェースは、比較的大きなインデックスミスマッチを有し、明確に区別可能な反射を提供してもよい。この反射は、システム10によって収集されたOCT画像データの基準点を提供してもよい。いくつかの実施形態において、光学コア110を回転させてもさせなくても、アルゴリズム51によって界面を識別してもよい。
【0108】
ここで
図4を参照すると、本発明の概念に一致する、患者の治療処置を計画する方法のフローチャートが示されている。
図4の方法1000は、
図1~3を参照して説明したシステム10を用いて説明される。
【0109】
ステップ1100では、潜在的な治療のために患者が選択される。
【0110】
ステップ1200では、撮像プローブ100などのOCTプローブが患者に挿入される。
【0111】
ステップ1300では、本明細書に記載されているようなOCTデータが収集される。いくつかの実施形態においては、システム10の1以上の生理学的センサによって記録された患者の生理学的データ、及び/又はシステム10によって収集された血管造影データなどの、非OCTデータも収集される。
【0112】
ステップ1400では、システム10及び/又はシステム10のユーザ(例えば、方法1000のデータ収集処置を実行する患者の臨床医、又は方法1000を介して生成された治療情報に基づいて患者に後続の治療を実行する患者の臨床医)などによって、治療情報が生成される。いくつかの実施形態において、システム10によって提供される治療情報は、OCTデータと非OCTデータとの組み合わせに基づいている。
【0113】
ここで
図5を参照すると、本発明の概念に一致する、治療処置を計画する方法、治療を実行する方法、及び治療を評価する方法のフローチャートが示されている。
図5の方法1000は、
図1~3を参照して説明したシステム10を用いて説明される。
【0114】
ステップ1100では、潜在的な治療のために患者が選択される。
【0115】
ステップ1200では、撮像プローブ100などのOCTプローブが患者に挿入される。
【0116】
ステップ1300では、本明細書に記載されているようなOCTデータが収集される。いくつかの実施形態においては、非OCTデータ(例えば、少なくとも血管造影データ)も、本明細書で説明するように、ステップ1300で収集される。
【0117】
ステップ1400では、システム10及び/又はシステム10のユーザ(例えば、方法1000のデータ収集処置を実行する患者の臨床医、又は方法1000を介して生成された治療情報に基づいて患者に後続の治療を実行する患者の臨床医)などによって、治療情報が生成される。
【0118】
ステップ1500では、本明細書に記載されているような治療処置が、患者に対して実行される。
【0119】
ステップ1600では、本明細書に記載されているようなOCTデータが収集される。いくつかの実施形態においては、非OCTデータ(例えば、少なくとも血管造影データ)も、本明細書に記載されているように、ステップ1600で収集される。
【0120】
ステップ1700では、ステップ1600で収集されたOCTデータに基づいて実行される治療などの、付加的な治療が実行される。
【0121】
ここで
図6を参照すると、本発明の概念に一致する、患者の治療処置を計画する別の方法のフローチャートが示されている。
図6の方法1000は、
図1~3を参照して説明したシステム10を用いて説明される。
図6の方法は、システム10が患者の心臓の1以上の動脈からの画像データを作成するために使用されることを説明する。同様の方法を、患者の解剖学的構造の他の血管及び/又は他の位置(例えば、患者の脳又は末梢血管系の動脈及び/又は静脈)に適用できることは、本願の精神及び範囲内で考慮されるべきである。
【0122】
ステップ1100では、患者が選択される。いくつかの実施形態において、ユーザは、例えば、コンソール50のユーザインタフェース55を介して、1以上の患者パラメータをシステム10に入力してもよい。1以上の患者パラメータは、患者の体重、1以上の患者の疾患の存在(例えば、該当する場合には糖尿病などの心血管疾患に加えて)、性別、年齢、身長、TIMIスコア、ステントインプラント、バイパスグラフトなどの過去の冠状動脈インターベンション、及びこれらの1以上の組み合わせで構成されるグループから選択されてもよい。
【0123】
ステップ1101では、システム10が、例えば、本明細書に記載された第2撮像デバイス15を介して、選択された患者の非OCT撮像データを捕捉するために使用される。本明細書において、「非OCTデータ」は、血管造影画像データ、超音波画像データ、MRI画像データ、PETスキャン画像データ、及び/又は他の非OCT撮像データを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、非OCTデータは、血管造影画像データ、超音波画像データ、MRI画像データ、PETスキャン画像データ、及び/又は他の非OCT撮像データのうちの2以上を含む。いくつかの実施形態において、非OCTデータは、血管造影画像データと、超音波画像データ、MRI画像データ、PETスキャン画像データ、及び/又は他の非OCT撮像データのうちの1以上とを含む。
【0124】
この非OCTデータは、コンソール50のプロセッサ52のメモリなどの、システム10のメモリに記憶されてもよい。例えば、1以上の血管の血管造影画像は、造影剤の注入を用いて得ることができる。血管造影データは、システム10のメモリに保存される。代替的又は付加的に、ユーザは、関連する患者データ(例えば、血管造影データ又は他の非OCTデータに類似した及び/又はそこから抽出されたデータ)をコンソール50に(例えば、ユーザインタフェース55のキーボード又は他のユーザ入力部品57を介して)手動で入力してもよい。ステップ1101は、本明細書に記載された
図6の方法のステップのいずれかで実行(例えば、全体又は部分的に繰り返す)されてもよい。
【0125】
ステップ1102では、ユーザ(例えば、患者の臨床医)による診断のために、介入治療を必要とする可能性のある動脈など、1以上の動脈、静脈、及び/又は他の導管(本明細書において「動脈」又は「動脈」)が選択される。いくつかの実施形態において、選択された血管(例えば、選択された動脈又は選択された静脈)は、例えば、システム10のユーザなどによって、システム10に手動で入力される。いくつかの実施形態において、選択された血管は、左回旋枝(LCx)、右冠状動脈(RCA)、左前下行枝(LAD)、及びこれらの1以上の組み合わせで構成されるグループから選択された動脈を含む。いくつかの実施形態において、データは、本明細書に記載されたステップ1310などの処理ステップの間に、ユーザによってシステム10に入力される。例えば、システム10(例えば、アルゴリズム51)が1以上のバックグラウンド計算を行う間、システム10は、全体的な処置時間が短縮されるようなユーザ入力を受け入れるように構成されてもよい(例えば、システム10がデータを処理している間に、ユーザは必要な及び/又は他のデータ入力を行う)。
【0126】
ステップ1200では、撮像プローブ100が、選択された血管(本明細書において、適宜、「選択された血管」、「撮像された血管」、「選択された動脈」、「撮像された動脈」、「選択された静脈」、又は「撮像された静脈」という)に挿入される。診断のために2以上の動脈が選択された場合、選択された各動脈について以下のステップを繰り返してもよい。プローブ100の配置(例えば、光学アセンブリ115の位置決め)は、システム10によって実行される1以上の様々な計算(例えば、流量計算)に必要な画像を効果的に得るために実行される。引き戻しが開始される解剖学的位置(例えば、引き戻し開始時の光学アセンブリ115の位置)は、動脈の病変部の再遠の遠位端(例えば、病変部の最遠部)を超える(すなわち、遠位にある)位置になるように選択される。引き戻しが終了する位置(例えば、引き戻し終了時の光学アセンブリ115の位置)は、撮像プローブ100が挿入される最も遠位に配置されたデリバリカテーテル80内の位置(例えば、デリバリカテーテル80の遠位部)になるように選択される。
【0127】
ステップ1300では、選択された動脈の内腔を通じてプローブ100を引き込みながら、OCTデータを含む撮像データを記録する引き戻しが行われる。
【0128】
ステップ1310では、OCT記録データが分析される。いくつかの実施形態において、OCTデータ及び非OCTデータ(例えば、血管造影データ)の両方が分析される(例えば、OCTデータが非OCTデータと組み合わせて分析される)。ステップ1311、1312、及び/又は1313(又はこれらの一部)は、記録されたデータがシステム10によって分析される際に、順次、同時に、及び/又はそれらをインターリーブして実行されてもよい。
【0129】
ステップ1311では、記録されたOCTデータがシステム10によって分析される。いくつかの実施形態において、OCTデータは、以下の1以上を識別するために分析されてもよい:内腔の境界、側枝、内腔の健全な(例えば、非疾患の)部分、内腔の疾患部分、撮像された疾患の種類、画像内のガイドワイヤの位置、及びこれらの1以上の組み合わせ。いくつかの実施形態においては、OCTデータからガイドワイヤが除去される。いくつかの実施形態において、システム10は、OCTデータに基づいて、撮像された動脈の健全なセクションを識別する。健全なセクションは、OCTデータ内において、視認可能な内膜、中膜、及び/又は副膜層を識別することによって決定されてもよい。いくつかの実施形態において、心筋量は、撮像された動脈の1以上の識別された健全なセクションの直径に基づいて推定されてもよい。いくつかの実施形態において、心筋量の推定は、OCTデータ及び非OCTデータ(例えば、血管造影データ)の両方に基づいて行われてもよい。
【0130】
システム10は、重み付け関数を有してもよい(例えば、アルゴリズム51が重み付け関数を有する)。重み付け関数は、例えば、OCTデータ対非OCTデータ、又はその逆に基づく計算を優先的に偏らせるように、1以上の計算においてデータに優先順位をつける(例えば、データタイプに優先順位をつける)よう構成される。いくつかの実施形態において、システム10は、撮像された動脈の1以上の側枝に近接する疾患の存在を(例えば、アルゴリズム51を介して)識別する。例えば、疾患が側枝に近接して検出された場合(例えば、疾患が側枝の内部で検出された場合)、重み付け機能は、疾患のある側枝に関連する血管造影データを優先するように(例えば、OCTデータよりも血管造影を優先的に重み付けする方向に計算を偏らせるように)構成されてもよい。
【0131】
システム10は、撮像された動脈からの側枝の枝角を(例えばアルゴリズム51を介して)計算するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、枝角は、アルゴリズム51によって、側枝血管直径を計算するために使用される。システム10は、OCTデータから(例えば、OCTデータの画像スライスから)、及び/又は非OCTデータから(例えば、血管造影データから)、側枝の少なくとも一部を再構成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、側枝角と側枝の大きさの直径(例えば、撮像された動脈の大きさに対する側枝の大きさ)との関係を計算するように構成される。これらの実施形態では、枝角と枝の直径との関係が予想される範囲外である場合、システム10は、本明細書に記載されているステップ1330のように、この異常に「フラグを立てる」(例えば、異常を識別して、関連する情報を記憶する)、及び/又は、ユーザにこの異常を警告するように構成されてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態において、システム10は、最小内腔直径を表すOCTデータの一部(例えば、最小内腔直径を有する健全な組織の一部)を識別するように構成される。更に、システム10は、引き戻し中に撮像された内腔の長さに沿ってOCTデータの2つから5つのセクション(例えば、撮像された内腔の長さに沿って等間隔に配置されたセクション)を識別するように構成されてもよい。識別されたセクションは、選択された動脈の非疾患的な血管サイズ(例えば、内腔径)を推定するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、識別されたセクションの少なくとも1つは、近位セクションを含み、セクションの少なくとも1つは、遠位セクションを含む(例えば、撮像された内腔の近位端部及び遠位端部にそれぞれ近接する近位セクション及び遠位セクション)。いくつかの実施形態において、近位セクション及び/又は遠位セクションは、撮像された内腔の長さのそれぞれ近位及び遠位10%以内である。いくつかの実施形態において、重み付け関数は、そのセクションのOCTデータの信頼度に基づいて、各セクションに重み(すなわち、重み付け係数)を適用するように構成される。信頼度は、いくつかの方法で決定されてもよく、例えば、1つのフレーム内で検出された明確な内腔の割合(例えば、高い信頼度のためには、円周の少なくとも75%が明確であるべきである)、及び/又は、フレームからフレームへの内腔領域の変化量(例えば、不連続なフレームは、より低い重みを付与すべきである)などで決定されてもよい。信頼度は、撮像された血管の断面の円形度の偏差からも得られる。
【0133】
いくつかの実施形態において、システム10は、OCTデータ及び/又は非OCTデータに基づいて疾患の領域を(例えばアルゴリズム51を介して)特定する。いくつかの実施形態において、例えば、システム10が動脈の疾患セグメントのプラーク組成を識別する場合、疾患のタイプがシステム10によって識別されてもよい。
【0134】
ステップ1312では、非OCTデータ(例えば、血管造影データ)が分析される。いくつかの実施形態において、非OCTデータが分析されて、以下のうちの1以上を特定する:血管の幾何学的形状(例えば、曲線、テーパ、及び/又は軌跡)、側枝の位置(例えば、診断される1以上の主動脈の側枝のサイズ及び位置)、血管の長さ、血管の直径;及びこれらのうちの1以上の組み合わせ。いくつかの実施形態において、非OCTデータは、心筋量、側副血行路、動脈(例えば、選択された動脈)によって供給される心臓領域(心筋)の大きさ、及びこれらの1以上の組み合わせを推定するように分析されてもよい。いくつかの実施形態において、ステップ1312で分析された非OCTデータは、血管造影画像データと、超音波画像データ、MRI画像データ、PETスキャン画像データ、及び/又は他の非OCT画像データのうちの1以上とを含む。いくつかの実施形態において、非OCTデータは、システム10によってQCAデータに変換される血管造影データを含む。いくつかの実施形態において、非OCTデータは、システム10が心筋損傷データに変換するPETスキャンデータを含む(例えば、システム10が損傷領域の血管サイズを調整する場合)。
【0135】
ステップ1313では、OCTデータ及び非OCTデータ(例えば、血管造影データ)が登録される(例えば、互いに関連付けられる)。いくつかの実施形態において、データは、選択された動脈の1以上の側枝の位置、大きさ、及び形状を用いて登録されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、心臓の主要な血管、例えばLCx、RCA、及び/又はLAD動脈の1以上の予想される分岐のデジタルモデルを有してもよい。いくつかの実施形態において、デジタルモデルは、データを登録するためにシステム10によって使用される。
【0136】
ステップ1320では、分析されたデータ(例えば、収集及び/又は分析されたOCTデータ及び/又は非OCTデータ)に基づいて、心血管の血流動態が計算される。いくつかの実施形態において、システム10は、選択された動脈の遠位にある微小血管抵抗を推定するように構成される。
【0137】
いくつかの実施形態において、撮像された動脈の測定されたサイズは、システム10によって調整される(例えば、ステップ1310で決定された撮像された動脈のサイズは、アルゴリズム51によって調整される)。システム10は、マレーの法則に基づいて、撮像された動脈の測定サイズを調整してもよい。例えば、システム10は、撮像された動脈の全ての非疾患領域において一定の剪断応力を推定してもよい。この調整により、マレーの法則を用いてシステム10が計算した流量の誤差関数を最小化してもよい。いくつかの実施形態において、流量計算は、分析されたデータの信頼度に基づく重み付け関数を用いて調整される。例えば、マレーの法則が測定されたサイズに対する調整を提案し、撮像された断面の信頼度が比較的低い場合、システム10は、マレーの法則が提案した調整に基づいて流量計算を調整するように構成されてもよい。また、信頼度が高い場合、マレーの法則に基づく1以上の調整がシステム10によって無視されてもよい。
【0138】
供給される心筋のサイズは、選択された動脈血管タイプ及び/又は計算されたサイズに基づいて、システム10によって(例えば、アルゴリズム51を使用して)推定されてもよい。いくつかの実施形態において、推定された心筋のサイズは、ステップ1312で説明したような、非OCTデータ(例えば、血管造影データ)に基づいて計算された推定サイズと比較されてもよい。いくつかの実施形態において、非OCTに基づく推定値とOCTに基づく推定値とが異なる場合、ユーザは、システム10によって(例えば、インタフェース55のユーザディスプレイ56又は他のユーザ出力部品を介して)警告される。いくつかの実施形態において、システム10は、推定値を調整するためのユーザ入力を(例えば、ユーザインタフェース55のユーザ入力57を介して)受け入れる。いくつかの実施形態において、OCTベースの推定値は、血管造影ベースの推定値よりも高い重みを(例えば、システム10の重み付け関数によって)付与される(例えば、OCTベースの推定値はシステム10によって好まれる)。いくつかの実施形態において、ステップ1330で表示されるデータは、カラーマップ(例えば、ディスプレイ56に表示されるカラーマップ)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、カラーマップは、選択された動脈によって供給される推定心筋サイズ(例えば、選択された動脈によって供給される心筋組織の量)を示してもよい。いくつかの実施形態において、撮像領域の外側にある心臓の全て又は少なくとも一部について、システム10によって(例えば、アルゴリズム51を介して)冠微小血管抵抗が推定される。
【0139】
いくつかの実施形態においては、心臓の血管系(「冠状動脈ツリー」)全体の圧力が計算される。いくつかの実施形態においては、血流予備比(FFR)が計算される(例えば、最低圧力から計算される)。FFRは、選択された動脈に対して、例えば選択された各動脈(例えば、OCTを用いて選択され、撮像された各動脈)に対して、計算されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、以下のうちの1以上が検出された場合に、ユーザに(ユーザインタフェース55を介して)警告するように構成されてもよい:有意な側副血流(例えば、システム10の閾値を超える血流)が検出された場合;心筋推定値がOCTベースの推定値と非OCTベースの推定値(例えば、血管造影ベースの推定値)との間で有意に変動する(例えば、変動がシステム10の閾値を超える)場合;TIMIスコアが心筋組織の損傷を示す場合;無流量の領域が血管造影で検出される(例えば、閉塞を示す)場合;及びこれらの1以上の組み合わせの場合。
【0140】
ステップ1330では、OCTデータ及び/又は非OCTデータ(例えば、血管造影データ)が表示される(例えば、ディスプレイ56上)。いくつかの実施形態において、データは、ステップ1320で複数のデータセットが登録された後のように、オーバーレイ配置で表示される(例えば、OCTデータは、血管造影データ及び/又は他の非OCTデータにオーバーレイされる)。いくつかの実施形態においては、内腔径のグラフが表示される。内腔径は、水圧径(例えば、内腔の面積を周囲の面積で割った値の4倍)であってもよい。いくつかの実施形態においては、選択された動脈の1以上の側枝(又はその一部)が表示される。いくつかの実施形態において、ユーザは、表示されたOCTデータに近接して、例えば、内腔の近位端部、内腔の遠位端部、又は側枝内に、疾患が存在することを示すデータをシステム10に追加してもよい(例えば、ユーザは、第2撮像デバイス15によって提供される情報を介して疾患が存在することを視覚的に判断し、関連する疾患タイプ及び/又は疾患位置データをシステム10に手動で入力してもよい)。いくつかの実施形態においては、計算された血管サイズが、OCT画像及び/又は非OCT画像(例えば、血管造影画像)とともに表示される。いくつかの実施形態において、システム10は、(例えば、システム10の計算値のユーザ主導の手動調整を可能にするために)ユーザが表示された計算値を編集することを可能にする。
【0141】
ステップ1400では、システム10のユーザが、表示されたデータに基づいて、治療処置を計画してもよい。いくつかの実施形態において、ユーザは、システム10によって評価される「治療領域」の長さ及び位置を示す(例えば、ユーザは、表示された画像をクリックして治療領域を示す)。いくつかの実施形態において、システム10は、選択された治療領域の近位端部及び遠位端部における推定血管径を表示する。いくつかの実施形態において、血管径は、グリーンの定理を用いてシステム10によって(例えば、アルゴリズム51を介して)推定される。いくつかの実施形態において、システム10は、選択された治療領域に関連する1以上の情報、例えば、治療領域及び/又は治療領域内のプラーク組成に関連するあらゆる警告を表示する。いくつかの実施形態において、治療後の血流動態(例えば、FFR)は、計画された治療(例えば、ステント留置)が、選択された治療領域の近位端部及び遠位端部における推定直径に治療された血管を開くことを仮定して推定してもよい(例えば、2つの直径が血管の先細りを示すために使用されてもよい)。いくつかの実施形態において、治療後の血流動態は、計算された治療前の血流動態及び提案された治療に基づいて推定されてもよい。いくつかの実施形態において、ユーザは提案された治療領域を変化させてもよく、システム10は、新しい治療領域に基づいて血流動態を更新してもよい。いくつかの実施形態において、ユーザは、2以上の治療領域(例えば、2以上の非連続的な治療領域)を示してもよく、治療後の血流動態は、各治療領域に対して推定されてもよい。
【0142】
本明細書に記載されるように、システム10は、プローブ100を用いて(例えば、1以上の引き戻しを介して)撮像された1以上の血管を通る流量特性を計算するように構成されてもよい。システム10は、撮像された血管(例えば、治療が行われた、又は行われる予定の動脈)を通る血流動態(例えば、流動場及び/又は圧力降下)を計算するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、プローブ100を用いて撮像された血管のフル3Dナビエ・ストークス・シミュレーションを用いて、冠血管の流量及び圧力損失を計算する。
図7に示され、本明細書に記載されているように、システム10は、全ての有意な形態的特徴が表される場合などにおいて、撮像された領域の多数の幾何学的特徴及び他の特徴をその分析に含めるように構成されてもよい。システム10は、血管内の圧力を直接測定してもよく、本明細書に記載されているように、血管の長さに沿った位置でのFFRを計算してもよい。FFRの急激な変化が発生する領域(例えば、システム10によって特定される領域)は、介入(例えば、ステント留置)を正当化するために使用されてもよい。
【0143】
図7は、動脈を通る流れのフルナビエ・ストークス・シミュレーションと、動脈の長さを通して計算されたFFRとを示している。
【0144】
フル3Dナビエ・ストークス方程式の使用は、計算量が多く、望ましくないほど長い時間を必要とすることがある。いくつかの実施形態において、システム10は、FFRの計算のために十分に正確な結果を与える2次元(2D)スキームを利用し、フル3次元(3D)ナビエ・ストークスに基づくアプローチよりも短い時間を必要とする。
【0145】
いくつかの実施形態において、システム10は、小さな形態的特徴が流量に影響を与える場合などにおいて、流動場の部分集合で3Dナビエ・ストークス方程式を使用するように構成されてもよい。それらの例としては、著しい狭窄がある分岐部や、狭窄部の下流の位置、例えば、乱流への移行を予測するような位置が挙げられる。これらの短い血管の長さは、比較的早く計算することができ、計算された流量の抵抗は、2Dスキームの抵抗要素としてモデル化されることができる。
【0146】
システム10は、OCTデータから計算された内腔面積に対する距離、並びに、圧力損失、流量の分離、及び粘性壁力を予測するための流れ形状パラメータを使用する2Dスキームを利用するように構成されてもよい。
【0147】
配管内の流れが完全に発達している場合、流量と圧力損失との関係は次のようになる。
【数1】
【0148】
Q=体積流量
R=パイプの半径(パイプの直径の1/2)
μ=血液の粘度
dP/dx=配管方向に沿った配管内の圧力損失
【0149】
いくつかの実施形態においては、システム10によって実行される計算の速度を向上させるために、μが一定(例えば、3センチポイズ)に設定される。言い換えれば、血液の剪断減粘効果が無視される。測定されたFFRとの相関のために、システム10は、μを赤血球容積率(hematocrit)に合わせて調整するように構成されてもよいが、一般的な使用では、μは一定とされる。
【0150】
図8には、パイプ内の速度分布が示されている。このプロファイルは、放物線を描いており、中心部で最も速度が高くなっている。
【0151】
血管の直径が変わると、速度プロファイルは、放物線から他の形状に変わる。いくつかの実施形態において、システム10は、一次元(1D)法を利用し、血管の長さに沿ってこれらの2つの連続的なパラメータだけを使用して、圧力降下、血管の直径、及び放物線形状からの偏差を計算する。システム10は、これらの2つのパラメータに基づいて、長さに沿って他の連続的な値を計算する。これらの値には、レイノルズ数、乱流の度合い、圧力勾配の変化率、壁の剪断応力などが含まれる。
【0152】
図9に示すように、血管径が急激に大きくなる領域では、壁近傍の速度が低下する。(壁で評価される)剪断応力μdU/dyが減少し、これにより、粘性による圧力損失成分が減少する。
【0153】
いくつかの実施形態において、システム10は、速度を表す4次の軸対称の方程式を含む1D解を実行する。
U(y)=a+by+cy2+dy3+ey4
【0154】
係数a,b,c,d,eは、上流の速度プロファイルと圧力変化率から長さ方向に沿って計算される。高次の項(第3項、第4項)の係数は、解を安定させるために境界線を設けておいてもよい。この制限は、精度の低下を最小限に抑えて計算を大幅に高速化する。
【0155】
いくつかの実施形態において、システム10は、1D法を使用して、形状関数から壁剪断を計算する。
【0156】
いくつかの実施形態において、システム10は、2D法を使用して、壁における速度勾配から直接剪断応力を計算する。例えば、2D法では、計算を単純化するために、ナビエ・ストークス方程式の極座標形式が使用されてもよい。低レイノルズ数の項は、全て使用されてもよい。粘性消散項は、回避されてもよい(例えば、使用しなくてもよい)。前記方程式は、定常状態で捉えられるため、時間に依存する項は使用されない。また、この単相流では、重力は、重要ではないため、無視されてもよい。
【0157】
【0158】
圧力勾配は、速度方程式と同様に半径方向及び軸方向に解かれる。また、連続式は、半径方向の流量を考慮して解かれる。半径方向の流速は、重要ではなく、壁の剪断に対して無視されてもよい。
【0159】
【0160】
システム10は、任意の数の効率的な「流れソルバー」を含んでもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、有限体積ソルバーを含む。2Dの離散化が行われてもよい。急速に変化する幾何学の領域では、より小さなセルが使用されてもよい。入口での放物線状の流れから下流に向かって、流量を段階的に変化させてもよい。想定される圧力勾配で方程式が解かれ、その圧力で流動場全体が計算された後、システム10は、更新された流動場で圧力を再計算してもよい。システム10は、各有限体積における力のバランスが予め決められた許容範囲に収束するまで、解を反復するように構成されてもよい。
【0161】
いくつかの実施形態においては、計算を高速化するために1以上のステップが実行される。例えば、血管の形状が変わらない領域では、セルの長さと幅が大きくされてもよい。代替的又は付加的に、圧力降下が粘性及び運動量による損失の両方を含む場合などにおいて、計算された圧力場から圧力降下が自動的に求められてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、計算時間を短縮するために、長さに沿った面積の変化に基づいて、1D方程式から初期圧力場を計算してもよい。カーキードの方程式(Kirkeeide, R. L. (1991). Coronary obstructions, morphology and physiological significance. In Quantitative Coronary Arteriography (pp. 229-244). Kluwer Academic1参照)は、この用途に特に適している。断面積が減少した領域は、彼のモデルでは「制限」として扱われる。個々の「制限」は、次の制限から直径数だけ離れた縮小断面とみなされ、通常は5~10直径である。制約がこれよりも近ければ、その相互作用を推定してもよい。バナジーの方程式(Banerjee, M. K., Nag, D., Ganguly, R., & Datta, A. (2008)。Stenotic interaction on hemodynamic parameters in double stenoses. International Journal of Computational Fluid Dynamics, 22(9), 609-622. doi:10.1080/10618560802372033参照)を使用して、相互作用を推定してもよい。
【0162】
システム10は、血管壁の発散角、不利な圧力勾配、レイノルズ数、及び放物線形状からの流量プロファイルの偏差に関連する相関関係に基づいてシステム10から乱流への移行を計算するように構成されてもよい。全ての計算において、心拍による変動は、無視されてもよい(例えば、冠状動脈の血管分析の場合)。本実施形態において、主な懸念事項は、乱流の可能性が最も高い拡張期の波の自由時間である。
【0163】
システム10によって乱流への移行が決定されると、別の乱流モデルが使用されてもよい。2Dナビエ・ストークス方程式が解かれてもよいが、人為的に高い粘度が使用されてもよい。K-イプシロンモデルを使用して、乱流セクションの長さが計算されてもよい。消散項がシステム10の予め決められた閾値を下回ると、断面全体が層流に戻る。1Dモデルでは、圧力損失の増加に伴う乱流への移行のテストも行うことができる。
【0164】
2Dモデルでは、壁での分離によって非定常解が生じる場合、逆流は計算されず、ナビエ・ストークス方程式は使用されない。代わりに、十分に発達した乱流の圧力損失が使用される。このセクションのデフォルトの長さは5直径とし、形状が収束しているか発散しているか、及び流量のレイノルズ数に応じて短くしたり長くしたりする。この領域の後、システム10は、層流の放物線速度を仮定して次のセクションに入る。
【0165】
乱流への移行又は壁に沿った流れの分離は、一般に、介入(例えば、ステント留置)を実行する必要があることを意味する。従って、ステントを留置するかどうかの判断を計算するためには、乱流への移行を正しく計算することが、乱流セクションにおける圧力損失を正確に計算することよりも重要である。
【0166】
システム10は、これらの計算の目的のために、非円形断面を円形断面に変換するように構成されてもよい。円形断面の直径には、断面の外周を面積で割った値の4倍である水力直径が用いられる。
【0167】
FFRを計算するために、システム10は、動脈圧を90mmHgに設定するとともに、静脈圧を30mmHgに設定してもよい。この圧力差が流れの駆動力となる。任意の位置でのFFRは、局所的な静圧を動脈圧で割ったものとして計算される。
【0168】
ここで、
図10を参照すると、血管の流れの概略が示されている。側枝に疾患がある場合、システム10によって、疾患による非画像化枝抵抗R
dが算出される。この抵抗値は、算出された疾患の形状に基づいて算出されてもよい。また、この抵抗値は、カーキードの代数方程式から推定されてもよい。OCT画像内の各側枝の微小血管床抵抗R
vは、疾患のある枝のR
dに対して直列に置かれる。直径1mm以下の側枝は、流れに有意に寄与しないので無視されてよい。血管吻合部(例えば、撮像された血管の吻合部、又は撮像された血管の近位の吻合部、本明細書において血管吻合部)が画像化されていない場合には、血管吻合部の他の画像(例えば、血管造影)が有る場合にはそれに基づいて、無い場合には標準的な吻合部の形状に基づいて、抵抗がR
d1に割り当てられる。画像の遠位端部には、微小血管抵抗R
v2と、それに割り当てられた疾患抵抗R
d2(撮像された領域の遠位に疾患がある場合)とが割り当てられる。R
d2は、血管造影から、又は、より遠位のOCT引き戻しから推定されてもよい。
【0169】
システム10は、(例えば、計算上)心臓の右側の動脈の場合、血管入口(Vessel ostium)の初期流量が3ml/sであり、心臓の左側の血管の場合、血管入口での初期流量が4ml/sであると仮定してもよい。システム10は、血管入口から出発して、撮像された領域に抵抗が適用されていない状態で、枝の抵抗に基づいて血管入口の流量を分割することによって、初期流量推定値を決定してもよい。撮像された領域は、遠位端部及び近位端部だけでなく、各側枝において分割されたセクションに分解されてもよい。次に、カーキード及びバナジーの方程式が各セクションに適用され、その流れにおける抵抗が計算されてもよい。その後、各セクションの流量が陽解法の方程式から計算される。その後、その流量に合わせて抵抗を調整し、収束した解が得られるまで、カーキードの方程式から流量を再計算してもよい。計算された流量が6ml/sを超えた場合、これらの高い流量は生理的ではない(すなわち、予想されない)ため、流量を最大6ml/sに制限してもよい。高い流量の推定値は、微小血管抵抗の僅かな誤算が原因である可能性がある。この僅かな誤差は、治療(ステント留置など)を決定する際のFFR値に関連しているので、FFRの結果に大きな影響を与えない。
【0170】
各側枝における流量及び圧力は、システム10によって実行されるこの計算の出力である。計算された圧力は、各側枝間の圧力の線形補間を伴うナビエ・ストークス2Dソルバーによって使用される。非画像部では、カーキード及びバナジーのRdに関する方程式を使用してもよい。システム10では、オプションで1Dソルバーを使用してもよい。
【0171】
プローブ100を用いて画像を作成するためには、画像化される血管から血液を洗い流す必要がある。現在利用可能なOCTカテーテルは、血管の大部分を塞ぐ直径を有しており、介入するかどうか(例えば、ステントを留置するかどうか)の判断が難しい。本発明の概念のプローブ100は、大幅に減少した直径(例えば、0.030インチ以下、0.023インチ以下、0.020インチ以下、及び/又は0.016インチ以下の遠位部)を備えてもよい。0.014インチのガイドワイヤと組み合わせることで、プローブ100とガイドワイヤとは、血管の0.044インチ以下の部分を占める。
【0172】
FFRが0.8という値は、一般的に血管を治療(例えば、ステント留置)してはいけない値として受け入れられている。動脈にステントを留置するかどうかを判断するためには、OCTがこのカットオフFFRの上下の血管を安全且つ効果的に撮像する必要がある。カットオフFFRが0.8の場合、MLAは3.07mm2となる(Waksman, R., Legutko, J., Singh, J., Orlando, Q., Marso, S., Schloss, T., ... Torguson, R. (2013). FIRST: Fractional Flow Reserve and Intravascular Ultrasound Relationship Study. Journal of the American College of Cardiology, 61(9), 917-923. doi:10.1016/j.jacc.2012.12.012参照)。丸い血管の場合、これは直径1.98mmの血管と相関する。現在、市販されているOCTカテーテルの最小サイズは、2.6Fである。このデバイスと0.014のガイドワイヤとを使用すると、血管の大部分(1.23mm)が組み合わせデバイスで占められることになる。このように大きなカテーテルとガイドワイヤとで血管を閉塞すると、鮮明な画像を得るために血管から血液を流すことが困難になり、画像処理の処置が複雑になる。
【0173】
システム10は、調査される(例えば、少なくとも画像化される)動脈の疾患を組み込んでもよい(例えば、考慮してもよい)。撮像された領域の遠位又は近位に疾患がある場合、流れに対するその抵抗は、例えば、システム10によって提供されるOCTデータほど正確ではない血管造影データから推定される必要がある。プローブ100及び引込アセンブリ800は、最大10cmの引き戻しを提供するように構成されてもよく、これにより、ほとんどの冠状動脈病変部(例えば、左側の全ての病変部及び右側のほとんどの病変部)に対して、血管入口から病変領域を超えた位置まで撮像することができる。システム10は、例えば、市販のシステムよりも速い速度で、引き戻しを行うように構成されてもよい。システム10(例えば、引込アセンブリ800)は、例えば、0.2mmのフレーム間隔で、50mm/秒(すなわち、2秒で10cm)の速度で引き戻しを行うように構成されてもよい。2秒は、安全な量の造影剤(例えば、約14mlに相関する)で血管をクリアできるほぼ最大時間である。従って、プローブ100は、ほぼ全ての冠状動脈病変部に対して、病変部の遠位の位置と血管入口との間の連続画像を撮影することができる。0.2mmのフレーム間隔は、FFRを正確に計算するための狭窄部の撮像において十分な解像度を提供する。
【0174】
システム10は、側枝の識別をより容易にするために、最大8.7mmのスキャン範囲などの、長いスキャン範囲を提供するように構成されてもよい。典型的な冠状動脈は、直径が5mmを超えない(例えば、左主部は典型的に5mmの直径である)。システム10は、例えば、検出された壁が周囲の壁よりも有意に離れていることによって、側枝を(例えば、アルゴリズム51を介して)識別してもよい。長いスキャン範囲(例えば、壁までしか届かないスキャン範囲)がなければ、側枝の検出はより困難である。
【0175】
また、システム10によって提供される長いスキャン範囲は、側枝の直径を推定することを向上させる。有意に長い側枝(少なくとも2mm)を撮影することで、側枝の方向を見出すことができ、その結果、側枝の直径をより正確に推定することができる。側枝の大きさは、枝の角度と相関関係がある。側枝が大きければ大きいほど、主血管に対する角度は小さくなる。疾患は分岐部で発生する傾向があるため、システム10が、分岐部を超えて画像を撮影して側枝の疾患のない直径を決定することで、側枝から供給される血管床のサイズを推定し、その側枝に割り当てられた微小血管抵抗を改善することができる。
【0176】
撮像プローブ100の直径は、治療前の処置において、狭窄血管又は直径の減少した血管の撮像を可能にするために十分に小さい。プローブ100は、1.7F(0.022インチ)以下の直径を有してもよい。2.2Fr(0.029インチ)以下の直径を有する撮像プローブは、治療前のOCT撮像を可能にする(例えば、血管の直径が小さくなった部分を撮像するために使用することができる)。いくつかの実施形態において、システム10は、250Hzのフレームレートを有し、1回の引き戻しで、病変部の情報や血管入口に関する情報を取得するために使用可能な拡張された長さの迅速な引き戻しが可能になる。また、いくつかの実施形態において、システム10は、6mm以上のスキャン範囲を提供し、側枝の検出及びサイズの推定が可能である。
【0177】
線維化組織、カルシウム、及び脂質はそれぞれ、(例えば、システム10の撮像プローブ100によって撮像された場合)明確な減衰及び輝度の値を有する。カルシウムは、OCTを介して、低後方散乱係数及び低減衰の領域として撮像される。脂質は、高減衰及び高後方散乱を示す。線維化組織は、低減衰及び高後方散乱を示す(Xu, C., Schmitt, J. M., Carlier, S. G., & Virmani, R. (2008). Characterization of atherosclerosis plaques by measuring both backscattering and attenuation coefficients in optical coherence tomography. Journal of Biomedical Optics, 13(3), 034003. doi:10.1117/1.2927464参照; Yabushita, H., Bouma, B. E., Houser, S. L., Aretz, H. T., Jang, I., Schlendorf, K. H., ... Tearney, G. J. (2002)も参照。Characterization of Human Atherosclerosis by Optical Coherence Tomography. Circulation, 106(13), 1640-1645. doi:10.1161/01.cir.0000029927.92825.f6)。疾患のない正常な組織は、中膜、副膜、内膜の3つの特徴的な層で識別することができる(Tearney, G. J., Regar, E., Akasaka, T., Adriaenssens, T., Barlis, P., Bezerra, H. G., . . . Weisz, G. (2012)参照。Consensus Standards for Acquisition, Measurement, and Reporting of Intravascular Optical Coherence Tomography Studies. Journal of the American College of Cardiology, 59(12), 1058-1072. doi:10.1016/j.jacc.2011.09.079)。
【0178】
いくつかの実施形態において、カルシウム及び/又は脂質の堆積物は、OCTデータを分析するために1D(例えば、A線分類)、2D、及び/又は3Dの方法を使用するなどして、システム10によって自動的に識別される。深層学習(例えば、畳み込みネットワーク)及び/又は教師付き分類(例えば、サポートベクターマシン又はランダムフォレスト)などの機械学習アプローチを(例えば、システム10のアルゴリズム51によって)使用して、OCT画像内の組織タイプが自動的に分類されてもよい。光学的後方散乱、光学的減衰、層分析、及びテクスチャ分析などの画像特徴が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、カルシウム層、脂質層、及び正常組織層の自動及び/又は手動での検出により、流量の計算(例えば、FFR)及び/又は処置計画(例えば、移植されるステントの適切な位置の決定)を改善してもよい。
【0179】
微小血管抵抗の推定、例えば、非病変部の血管のサイズに基づく推定は、システム10によって行うことができる。非病変部の識別は、微小血管抵抗の計算に役立つであろう。いくつかの実施形態において、ユーザは、例えば、ユーザインタフェース55を介して、識別された非病変部を手動で識別及び/又は修正してもよい。いくつかの実施形態において、OCT画像において非常に少ない非病変部が識別された場合(例えば、正常なセクションが1つもないか、限られた数しか見つからない場合)、システム10のアルゴリズム51は、微小血管抵抗を推定するために1以上の病変部からの情報を使用してもよい。
【0180】
心血管疾患を治療する際、ステントが全ての疾患領域に渡って配置されることがある。理想的には、ステントは正常な組織で始まり、正常な組織で終わる。ステント配置アルゴリズム(例えば、システム10のアルゴリズム51)は、FFRだけでなく、血管壁の1以上の特性も考慮してもよい。いくつかの実施形態において、ステント配置アルゴリズム51は、疾患組織で開始又は終了する場所に提案されたステントを配置することをユーザに許可せず(例えば、計画プロセスの間に、ステントが健康な組織から健康な組織にまたがって配置することのみが許可される)、及び/又は、アルゴリズム51は、選択されたステントの端部が血管の疾患部分にあることをユーザに警告する。研究によると、脂質にステントを留置すると、塞栓現象が発生する可能性があり、危険である。いくつかの実施形態において、ステントで覆われるべき1以上の場所で脂質が検出された場合、ステント留置に基づくアルゴリズム51は、ステントのいずれかの端部を脂質中に配置することについて、ユーザを妨げる又はユーザに警告する。
【0181】
カルシウムが壁の円周の大部分を占めている場合、ステントで血管を十分に拡張することは難しい可能性がある。いくつかの実施形態において、アルゴリズム51によって有意に石灰化したセクションが識別された場合、ユーザは、狭窄部を開くためにステントを留置することが十分でない可能性があることを警告される。いくつかの実施形態において、有意な石灰化が識別された後、システム10は、粥腫切除処置(例えば、回転粥腫切除処置)などの代替治療法を提供する(例えば、提案する)。いくつかの実施形態において、円周方向の石灰化が識別された場合、ステント植え込み後の結果をシミュレートする際に、治療後のFFR値を計算するときにこの情報が使用される。円周方向の石灰化は、ステントが十分に拡張するのを妨げる可能性がある。カルシウム分布情報は、ステント留置によって達成されるべきより詳細な推定内腔面積を提供し、ユーザに改善されたガイダンスを提供することができる。
【0182】
いくつかの実施形態においては、例えば、アルゴリズム51が撮像された血管の側枝のサイズを推定するように構成される場合、撮像された血管の非病変血管サイズが計算される。この直径を大幅に下回る撮像された領域のセクションが、疾患についてチェックされてもよい。これらの領域に疾患が見られない場合、血管は、痙攣している可能性があり、ステントが留置されるべきではない。このような場合、システム10は、痙攣の可能性があることをユーザに警告してもよい。いくつかの実施形態においては、システム10によって痙攣が識別されると、痙攣がある場合と痙攣が無い場合とにおけるFFRが計算され、両方の値がシステム10によってユーザに表示されてもよい(例えば、ユーザが表示された情報に基づいてステントを留置するかどうかを決定するように)。
【0183】
本発明の概念の改良された引き戻し(例えば、より長い長さ及び/又は速度の増加)は、撮像された血管の長さを増加させる(例えば、選択された血管のより大きな長さが、他の撮像デバイスよりも撮像され得る)。いくつかの例では、血液をクリアにすることが困難なため、引き戻しの全長にわたって血管壁を検出することができない。システム10は、クリアである引き戻しの部分を画定するように構成されてもよく、画定された長さの端部は、正常な組織の存在をチェックされてもよい。端部の組織が病的である場合、血管造影データを分析して、引き戻しのクリアな部分の近位及び遠位の狭窄部の程度を決定してもよい。その後、Rdが、画定された引き戻しの外側のこれらの領域について計算される。また、撮像された領域の外側に疾患が存在する可能性があることをユーザに通知し、最小直径を入力するように促してもよい。ユーザが入力した最小直径の使用は、(OCTデータから計算された)より詳細な内腔ほど正確ではないが、限られた情報である程度の入力を可能にする。(例えば、血液のクリアランスが悪いために)引き戻しの一部が不明瞭な場合、ユーザは、血管を再撮像してもよい。いくつかの実施形態においては、2つの画像がシステム10によって結合され、ハイブリッド画像が作成される。
【0184】
いくつかの実施形態において、デリバリカテーテル80の遠位端部は、OCTデータにおいて容易に識別される(例えば、撮像アセンブリ115が引き戻し処置の間にデリバリカテーテル80内に引き込まれたとき)。システム10は、例えば、システム10がデリバリカテーテル80を血管入口から標準的な距離(例えば、約5mmの距離)に配置されている場合、血管入口がデリバリカテーテル80の遠位端部の近位にあると仮定してもよい。撮像された血管の入口に疾患がある場合、ユーザは、入口の最小直径を入力してもよい。血管の表示は、入口の予想されるサイズ及び位置を示してもよい。システム10は、ユーザが狭窄した入口のサイズを入力可能であってもよい。
【0185】
いくつかの実施形態において、システム10は、
図6の方法1000のステップ1313を参照して説明したような、心臓の主要な血管の1以上の予想される分岐のデジタルモデルを含んでもよい。撮像された血管の主要な枝の識別は、血管入口から行われる。例えば、LCxが撮像された場合、LADは、血管入口から5~15mm以内に予想される(Abedin, Z., & Goldberg, J. (1978). Origin and length of left main coronary artery: Its relation to height, weight, sex, age, pattern of coronary distribution, and presence or absence of coronary artery disease. Catheterization and Cardiovascular Diagnosis, 4(3), 335-340. doi:10.1002/ccd.1810040318参照)。また、LADが撮像された場合には、同じ領域にLCxが予想される。分岐検出ベースのアルゴリズム51がこの領域で枝を検出できない場合(実際に枝が見逃された場合)、ユーザに警告したり、分岐のサイズ及び位置をユーザが入力可能であってもよい。
【0186】
いくつかの実施形態においては、非OCTデータ(例えば、血管造影データ)がシステム10によって(例えば、システム10のアルゴリズム51によって)分析されて、微小血管抵抗が決定されてもよい。微小血管抵抗の推定は、選択された血管に対してシステム10によって調整されてもよい。同じサイズの血管であれば、右側の心臓の微小血管抵抗は低くなる。枝の直径に基づいて微小血管抵抗を決定する代わりに又はそれに加えて、システム10のアルゴリズム51によって非OCTデータが分析され、各枝に血管領域が割り当てられてもよい。心臓の右側は、(例えば、患者が右側優位又は左側優位の場合)心臓の左側に供給しても供給しなくてもよいので、より複雑になり得る。自動及び/又は手動のアルゴリズム(例えば、アルゴリズム51)は、心臓全体を特定の血管に割り当てることを可能にする。この方法は、左側と右側との両方が撮像された場合に最も正確であるが、常に行われるわけではない。
【0187】
いくつかの実施形態において、システム10は、プローブ100の光学アセンブリ115を、選択された血管内に配置することによってOCT画像データを取得する。このデータは、血管形状情報、血管位置情報(例えば、解剖学的ランドマークに関する)などの血管情報を含んでもよい。第2撮像デバイス15は、選択された血管の外側に配置されたフルオロスコープを備えてもよい。このフルオロスコープは、プローブ100によって収集されたOCTデータと類似又は非類似の非OCTデータとを収集してもよい。血管造影データは、例えば、OCTデータと同時に捕捉された比較的低解像度(例えば、150μm~250μmの解像度)の冠状動脈ツリー全体を表すデータを含んでもよい。OCTデータは、250フレーム/秒の速度で撮影されたより高い解像度(例えば、約10μmの解像度)のデータを含んでもよい。OCTデータは、比較的長い時間(例えば、0.5秒から4.0秒)をかけて、選択された血管の3Dモデルを作成するために使用されてもよい。OCTデータ又は非OCTデータのいずれかを流量の計算に使用されてもよい。アルゴリズム51は、本来の3D(例えば、OCTデータを使用)又は構成された3D(例えば、catスキャン及び/又はバイプレーン血管造影データ)など、本明細書に記載されているような3Dモデルを組み込んだ技術を使用してもよい。
【0188】
いくつかの実施形態において、アルゴリズム51は、データ(例えば、経時的に捕捉されたOCTデータ)を分析し、2D画像セット(例えば、明確に定義されたポイントでの一連の2Dスナップショット、又は画像フレーム)を作成する。アルゴリズム51は、2D情報を、水力直径又は同様の変数などの記述的な単一の数値に低減することができる。この記述的な単一の数値は、流量損失及び/又は圧力損失を計算するのに非常に有効である。この計算は、明確に定義された内腔の輪郭の検出に依存し、アルゴリズム51は、画像分析技術、機械学習技術、又はこれらの組み合わせを組み込んでもよい。アルゴリズム51は、誤差を低減するために様々な技術を用いて時間情報を距離に変換してもよい。例えば、高速引き戻し(例えば、少なくとも50cm/秒)、ゲートテッド引き戻し、血管造影コレジストレーション、ランドマークコレジストレーション(例えば、側枝コレジストレーション)などが挙げられる。アルゴリズム51は、例えば、付加的な抵抗要素、及び/又は流量変更因子の形式で、モデルに側枝情報を含んでもよい。付加的な情報は、例えば、血管造影画像からの曲率が含まれる場合、1D又は2D直線モデルに含まれてもよい(例えば、OCTデータ及び/又は非OCTデータ)。いくつかの実施形態において、システム10は、例えば、計算時間を短縮するために、(例えば、OCTデータのみに基づいて)流量及び/又は圧力を計算する際に、外部から導出された血管形状(例えば、血管造影データからの曲率又は他の形状情報)を使用することを回避する。
【0189】
いくつかの実施形態において、システム10は、r、シータ、及び、tの形式でデータを捕捉する。ここで、rは、ゼロ点からの半径方向の距離であり、シータは、定義されたゼロ角に対する角度である。rとシータとは、矩形の座標xとyとに変換すると有用である。tは、特定のスナップショット(画像フレームなど)の時点である。システム10は、x及びyの局所的な導関数(スロープ)を計算してもよい。
【0190】
【0191】
(又は他の同様の方法)
システム10は、x、y、x’、及びy’を用いて、血管断面の面積(Area)及び周囲(Perimeter)を計算してもよい。
【0192】
【0193】
ここで、Nは、円周上の点の数である。
【0194】
【0195】
これは、単純に形状の周りの「小さな斜辺」の合計である。
【0196】
システム10は、OCTデータが収集されると、これらの結果を計算し、そこからシステム10は、水力直径DHを計算してもよい。
【0197】
【0198】
これは、円形断面の単純な直径に換算する。これは、1Dの数値だけで正確な流量計算を得るために使用され得る。
【0199】
システム10は、各スナップショットの時点を距離に変換することで、長さを追加してもよい。例えば、ゼロオーダーの場合:引き戻し速度が距離に変換するために使用される。一次オーダーの場合:引き戻しの開始は、心周期の動きの少ない部分で(例えば、心電図のT波で)ゲートされ、引き戻し速度は、心周期の約50%以下で血管長の関連セクションを捕捉するために使用される(例えば、100mm/秒の引き戻し速度で30mm~60mm)。2次オーダーの場合は、半自動又は全自動の簡略化されたコレジストレーション(単一平面の血管造影画像)を用いて、ゲート付きの引き戻しが使用されてもよい(
図11参照)。3つのシーケンス(
図11に示すように、シーケンスii~iv)を捕捉すると、プローブ100の放射線不透過性マーカーが、引き戻しの開始時及び引き戻しの終了時に識別され、それぞれのトリガ(例えば、組織が比較的動かない心周期のポイントに相関するT波トリガ)に最も近い時間の血管造影画像(フレーム)が識別される。シーケンス(ii)及び(iv)では、造影剤が流れていないことに留意すべきである(例えば、血管壁は見えないが、放射線不透過性マーカーは見える)。引き戻し中に捕捉されたシーケンス(iii)では、血管壁は見えるが、X線不透過マーカーは不明瞭である可能性がある。このシーケンスでは、面外の問題を最小限に抑えるために、例えば、最適な投影面を標準的に使用して、形状湾曲情報を得ることができる。シーケンス(ii)と(iv)とにおいて放射線不透過性マーカーの間を横断した距離は、引き戻し距離(例えば、50mmの距離)である。システム10は、この既知の引き戻し距離を、動脈形状に沿って、例えば直線的にマッピングしてもよい。時刻t
1mでOCT画像内にランドマークが検出された場合、システム10は、移動した距離が引き戻し速度のt
1m倍であるような更なる補正を加えてもよい。
【0200】
いくつかの実施形態において、システム10は、第2撮像デバイス15(例えば、フルオロスコープを備えるデバイス15)から血管撮影データを含む非OCTデータを取得する。非OCTデータは、血管を通る(例えば、冠状動脈を通る)造影剤の前進を示す連続した画像フレームを含んでもよい。システム10は、アルゴリズム51を介して、TIMIフレームカウント、又はTIMIスコアとも呼ばれる、血管を通る血液の速度を推定するような、フレームからフレームへの造影剤の位置の変化を決定することができる。ここでTIMIは、心筋梗塞の血栓溶解(thrombolysis in myocardial infarction)の略である。このフレームカウント速度は、血管入口での流れなど、冠状動脈ツリー内の位置に対するものであってもよい。システム10は、冠状動脈の抵抗器モデルを用いた解析に用いられてもよい。例えば、圧力推定(例えば、90mmHgの入力圧力)の代わりに、TIMIに基づく速度が抵抗器モデルに入力される。入力された流量は、TIMI速度に血管入口付近の血管断面積を乗じたものである。流速がTIMI速度に一致するように入口圧力が上昇又は下降される。この方法では、微小血管の抵抗は変化しない。システム10は、局所圧力を入口圧力で割ったFFRを計算してもよい。
【0201】
いくつかの実施形態において、システム10は、(例えば、アルゴリズム51を介して)、どの特定の血管が画像化されている血管であるかを(例えば、検出された1以上の側枝及び/又は血管の幾何学的情報(例えば、形状、軌跡、及び/又はサイズの情報)に基づいて)識別するように構成されている。この血管の識別は、システム10によって自律的に行われてもよく、及び/又は、システム10のユーザによって確認されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、非OCTデータを用いて(例えば、フルオロスコープを備える第2撮像デバイス15から取得した血管造影データを用いて)、血管を識別及び/又は確認する。
【0202】
本発明の概念のシステムは、主に、動脈、特に冠状動脈に対する治療情報の撮像及び作成について説明してきたが、全ての血管、及び他の身体の導管は、本願及びその特許請求の範囲の精神及び範囲内で考慮されるべきである。
【0203】
いくつかの実施形態において、システム10は、心臓の動きを補償するように構成される。例えば、心臓組織の動きが最小限である心周期の一部の間に(例えば、心電図に基づくトリガを介して)開始されるように同期された引き戻しを(例えば、0.3秒以下、又は0.2秒以下の時間帯に)実行してもよい。
【0204】
いくつかの実施形態において、撮像プローブ100は、(例えば、撮像プローブ100が患者インタフェースモジュール200(PIM200)に取り付けられているときに)コンソール50によって読み取ることができるRFIDなどの一意の識別子を有している。いくつかの実施形態において、システム10は、それぞれが2つのプローブを区別するために使用される一意の識別子で識別される第1撮像プローブ100a及び第2撮像プローブ100bを備える。これらの実施形態において、プローブ100a及びプローブ100bは、類似又は非類似の構造であってもよい。例えば、プローブ100a及びプローブ100bは、類似の構造(例えば、同じ構造)であってもよいが、各プローブモデルは、システムパラメータの異なる構成(例えば、プローブ100がPIM200に取り付けられたときに確立される自動的な構成)をもたらしてもよい。いくつかの実施形態において、プローブ100aがPIM200に取り付けられると、システム10は、(例えば、ユーザによる要求に応じて)FFR値を計算することが可能になるが、プローブ100bがPIM200に取り付けられると、システム10のFFR機能は無効になる。言い換えれば、FFR対応プローブ100aと非FFR対応プローブ100bとの間の唯一の相違点が、プローブ100のRFID又は他のモデル識別部品に含まれる情報である場合であっても、システム10のFFR機能を有効にするためには、FFR対応プローブ100が必要である。
【0205】
いくつかの実施形態において、システム10及び/又はプローブ100がFFR計算に対して有効である場合、1以上のシステム10のパラメータは、非FFR対応システム及び/又はプローブとは異なってもよい(例えば、変更されてもよい)。例えば、FFR対応システムは、光学コア110を非FFRシステムよりも速い速度、例えば、少なくとも1.5倍の速度、又は少なくとも2倍の速度で回転させるように構成されてもよい。コア110のより速い回転は、収集された画像データの解像度を低下させることなく、より速い引き戻し速度、より長い引き戻し距離、及び/又はこれらの組み合わせを可能にする。付加的に又は代替的に、コア110のより速い回転は、組織の露出を増加させることなく、光源310がより高い出力パワーを提供することを可能にする。いくつかの実施形態において、FFR対応プローブ100は、画像に基づく追跡を強化するため、及び/又はレジストレーション精度(例えば、蛍光透視画像及び/又は他の画像診断法からの画像とのレジストレーション)を向上させるためなどに、非FFRプローブ100が含むよりも多くのマーカー131を有してもよい。
【0206】
いくつかの実施形態において、FFR対応プローブ100は、プローブ100がデリバリカテーテル、例えば、本明細書の
図1Bを参照して説明したデリバリカテーテル480の先端部を超えて延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、プローブ100は、デリバリカテーテルの急速交換ガイドワイヤ先端部などのガイドワイヤ内腔を超えて延在するように構成される。これらの実施形態において、プローブ100は、デリバリカテーテルが進められたガイドワイヤの遠位端部から遠位の画像データを、画像データがいかなるガイドワイヤデータ(ガイドワイヤの影として知られる)も含まないように捕捉するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、プローブ100をデリバリカテーテルの遠位端部を超えて延長することにより、より小さなデバイス(例えば、プローブ100がデリバリカテーテルよりも小さな直径を有する)で血管を撮像することができ、撮像された血管内の流れの中断を最小限に抑えることができる。付加的又は代替的に、画像データにガイドワイヤの影がないことで、撮像の改善、内腔の再構成の改善、及び/又は、血管の血流動態の計算の改善が可能になる。
【0207】
いくつかの実施形態において、撮像される1以上の血管に関する血管識別情報が、例えば、血管画像、流量、及び/又は他のデータをその識別情報と関連付けるために、システム10によって捕捉される。いくつかの実施形態において、ユーザが血管識別情報を入力し、システム10は、このユーザが提供した識別情報の精度の評価を実行するように構成される。例えば、システム10が、ユーザによって入力された血管情報が不正確であるか、少なくとも不正確である可能性があると判断した場合、警告をユーザに提供してもよい。代替的又は付加的に、システム10は、(例えば、時間を節約するために)例えば、ユーザの入力なしにシステム10が血管名を自動的に入力するときに、血管を識別するように構成されてもよい。この自動識別は、ユーザによって確認及び/又は調整されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10によって実行される血管識別は、OCTデータ、非OCTデータ(例えば、血管造影情報)、又はその両方に基づいている。
【0208】
いくつかの実施形態において、システム10は、治療処置が行われる前と後(例えば、病変部にステントが留置された)の両方で、血管を画像化する(例えば、OCTデータを作成する)ために使用される。例えば、システム10は、治療前及び治療後のFFRデータを作成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、治療前に収集された画像データ(例えば、OCTデータ及び/又は非OCTデータ)に基づいて生成された情報と、治療が実行された後に収集された画像データ(例えば、OCTデータ及び/又は非OCTデータ)に基づいて生成された情報とを比較する。この比較により、システム10は、システム10によって提供される情報の潜在的な不正確さ又は他の問題をユーザに警告してもよい。いくつかの実施形態において、プローブ100及びシステム10の他の構成要素は、少なくともOCTデータを収集し、治療の決定(例えば、ステントを留置するか否か、又は他の方法で治療するか否か)を行うために使用される治療前のFFR値を生成するように構成される。
【0209】
いくつかの実施形態において、システム10は、病変部のプラーク含有量に関連する情報を提供するように構成される。
【0210】
いくつかの実施形態において、OCTデータ及び/又は非OCTデータ(例えば、少なくとも血管造影データ)に基づいてシステム10によって生成された情報は、CTアプローチのための「トレーニングセット」として使用される。
【0211】
いくつかの実施形態において、システム10によって生成された情報は、機械学習又は他の人工知能を用いて処理されたOCTデータ及び/又は非OCTデータを用いて決定される。いくつかの実施形態において、システム10によって生成される情報は、クラウドベースのアプローチを用いて決定される。
【0212】
本明細書に記載されているように、システム10は、治療の前に、治療するか否か及び/又はどのように治療するかを決定するために使用される情報(例えば、少なくともFFR値)を生成するように構成されてもよい。撮像プローブ100は、本明細書に記載されているように、狭い病変部にアクセスするための小さな外形(例えば、0.034インチ未満の直径を有する遠位部)を構成してもよい。システム10は、プローブ100によって収集された少なくともOCTデータを使用して生成されるような、高解像度の形態学的画像及び他の高解像度の形態学的情報を提供してもよい。いくつかの実施形態において、システム10によって生成される高解像度情報は、OCTデータ及び非OCTデータ(例えば、少なくとも血管造影データ)に基づいている。
【0213】
いくつかの実施形態において、システム10は、OCT由来の内腔外形に基づいてFFR情報を生成するように構成される。FFR情報は、側枝情報に基づいてもよい。FFR情報は、OCT及び非OCT(例えば、血管造影)の複合情報に基づいてもよい。生成されたFFR情報は、(例えば、患者の臨床医が)治療するか否か(例えば、ステントを留置するか、又はその他の方法で病変部を治療するか否か)を決定するために使用されてもよい。
【0214】
いくつかの実施形態において、システム10は、OCT画像データ(例えば、形態的及び/又は内腔)及びFFRデータを生成する。この情報の組み合わせは、治療処置の計画(治療するかどうかの決定を含む)において(例えば、臨床医によって)使用される。提供される情報は、本明細書に記載された非OCT画像データ(例えば、血管造影データ)に基づいてもよい。提供される情報は、カルシウム及び/又は脂質の存在を含む、関心領域(例えば、病変部)の形態学的特性を含んでもよい。提供された情報は、どのタイプの治療を行うべきか(例えば、アテローム切除術を行うかどうか)、及び/又はどのサイズ(例えば、直径及び/又は長さ)のステントを移植するかを決定するために使用されてもよい。提供される情報は、治療後の結果の予測(例えば、治療後のFFRの予測)を含んでもよい。例えば、システム10は、病変部全体のデルタFFRを減少させるため、及び/又は、所望のFFR値(例えば、0.90以上の値)を達成するために使用されてもよい。
【0215】
いくつかの実施形態において、システム10は、複数の病変部(例えば、1以上の連続した病変部)を治療するために使用される。
【0216】
システム10は、計算上の血流動態を利用して、どの病変部を最初に治療するかを決定するなど、1以上の病変部(例えば、システム10の撮像プローブ100及び/又は第2撮像デバイス15を用いた各画像)をモデル化してもよい。システム10は、どの病変部を治療するか、及び/又はどの順序で治療するかを決定するための情報を臨床医に提供するために、システム10が各病変部の流量に対する寄与をモデル化するときなど、1以上の病変部のうちどの病変部を治療するかに関連する情報を提供するように構成してもよい。
【0217】
いくつかの実施形態において、システム10は、例えば、システム10が、治療の成功(例えば、ステント留置及び/又は他の治療処置によって達成された有効性及び/又は安全性)の定量的又は定性的な「スコア」を提供する場合、1以上の病変部の治療の結果を評価するように構成される。本明細書に記載されているように、そのような評価は、治療後のFFR計算(例えば、FFR値及び/又はデルタFFR値を含む)だけでなく、治療後のデバイスの評価(例えば、拡張、配置、及び/又は位置の評価)及び/又は形態的パラメータ評価を含んでもよい。
【0218】
本明細書に記載されているように、システム10は、例えば、システム10が、予測される治療の成功(例えば、ステント留置及び/又は他の提案された治療処置によって達成されると予測される有効性及び/又は安全性)の定量的又は定性的な「スコア」を提供する場合、1以上の病変部の治療の結果を予測するように構成される。本明細書に記載されているように、そのような情報は、予測された治療後のFFR計算(例えば、FFR値及び/又はデルタFFR値を含む)だけでなく、予測された治療後のデバイスの評価(例えば、拡張、配置、及び/又は位置の予測)及び/又は形態的パラメータの予測を含んでもよい。いくつかの実施形態において、予測が閾値(例えば、ユーザ又はシステム10が決定した安全レベル)を下回る場合、システム10は、潜在的な問題を臨床医に警告する。例えば、システム10は、急性事象(例えば、望ましくない急性事象)の可能性を予測するように構成されてもよい。
【0219】
いくつかの実施形態において、システム10は、例えば、システム10がOCTデータ及び非OCTデータを収集して情報を生成する場合、本明細書に記載されているように、血管内腔の輪郭画像及び/又は他の情報を提供するように構成される。いくつかの実施形態において、システム10は、人工知能を利用したアルゴリズムなどの1以上のアルゴリズム(例えば、アルゴリズム51)を利用して、システム10によって決定された血管の輪郭情報及び/又は他の情報を改善する。いくつかの実施形態において、アルゴリズム51は、血管情報を修正する(例えば、ユーザが修正及び/又は自動的に修正することを可能にする)ように構成される。いくつかの実施形態において、システム10は、例えば、計算された血管情報の一部が十分に正確でない可能性があるとシステム10によって識別された場合(例えば、信頼度が閾値を下回っている場合)、アルゴリズム51によって「信頼度」が低いと判断された血管情報をユーザに警告するように構成される。このように潜在的な問題を特定することで、ユーザによる迅速な修正及び/又は精度の確認が可能となる。修正及び/又は確認(本明細書における「修正」)は、フレームごと、Lモード(例えば、縦方向の表示)及び/又は他の2Dビュー;及び/又は3Dビューなど、様々な方法で達成されてもよい。
【0220】
いくつかの実施形態において、システム10は、例えば、アルゴリズム51が側枝を識別するように構成されている場合、撮像された血管の1以上の側枝を識別するように構成されている。アルゴリズム51は、人工知能及び/又はユーザ入力を利用して側枝を識別してもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、OCTデータ及び非OCTデータ(例えば、血管造影データ)の両方に基づいて側枝を識別するように構成される。いくつかの実施形態において、システム10は、本明細書に記載されているように、アルゴリズム51によって信頼度が低いと判断された計算上の側枝情報をユーザに警告するように構成される。いくつかの実施形態においては、側枝の入口直径がシステム10によって計算される。代替的又は付加的に、側枝の入口直径は、ユーザによって入力及び/又は修正され得る。
【0221】
いくつかの実施形態において、システム10は、本明細書に記載されるように、3D内腔情報を提供するように構成される。これらの実施形態において、システム10は、例えば、心周期及び/又は呼吸などの患者の生理学的パラメータに基づいてトリガされる引き戻しを有してもよい。例えば、心周期の低運動フェーズの間に引き戻しをトリガすることは、モーションアーチファクトを制限し、インプラント及び/又は血管情報の精度を向上させるために使用されてもよい。
【0222】
いくつかの実施形態において、システム10は、流速及び/又は他の生理学的条件が、健康な血管において一定であると仮定する。
【0223】
いくつかの実施形態において、システム10は、例えば、病変部の全長が捕捉されていないことをシステム10が識別した場合など、引き戻しが不十分な場合(例えば、引き戻し中に収集されたOCTデータが不十分な場合)、ユーザに警告するように構成される。
【0224】
いくつかの実施形態において、システム10は、タンデム病変部及び/又は分岐病変部を画像化するように構成される。
【0225】
引き戻しの最終的な位置(例えば、最も近位の位置)は、例えば、撮像された血管の入口情報を収集するために、プローブ100が挿入されたデリバリカテーテル80内にあってもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、OCTデータを解析して、デリバリカテーテル80内の位置で引き戻しが終了した(例えば、デリバリカテーテル80の遠位部が撮像された)ことを判断するように構成される。いくつかの実施形態において、システム10は、最終的な引き戻しの位置(引き戻し前又は引き戻し後)がデリバリカテーテル80内(例えば、デリバリカテーテル80の遠位端部まで遠位)にない場合、ユーザに警告するように構成される。例えば、そのような警告は、(引き戻し前の場合)防止するため、又は(引き戻し後の場合)不十分な量の入口情報がOCTデータに含まれる又は含まれていることを示すために実行されてもよい。いくつかの実施形態において、システム10は、撮像されたデリバリカテーテル80(例えば、デリバリカテーテル80に関するモデル情報及び/又は構造情報)を自動的に識別するように構成される。いくつかの実施形態において、システム10は、提供された血管画像からデリバリカテーテル80の画像を「クロップ」するように構成される(例えば、ファイルサイズを縮小する、簡略化された内腔図を提供するなど)。いくつかの実施形態において、システム10は、ガイドの「不適切な着座」が疑われるときにユーザに警告するようにシステム10が構成されている場合、撮像された血管内のガイドの位置決めを評価するように構成されている。
【0226】
いくつかの実施形態において、システム10は、特定の動脈又は他の血管の撮像などの特定の状況に相関する1以上の撮像パラメータ値(例えば、引き戻し距離及び/又は速度、フラッシュ(flush)パラメータ、回転速度、フレーム密度、及び/又は他のプローブ100の使用パラメータ)を含む「画像取得レシピ」などの、予め設定された設定情報を備える。
【0227】
いくつかの実施形態において、システム10は、OCTデータを収集している間(例えば、引き戻し中)に実行されるフラッシュ処置を評価するように構成される。例えば、システム10は、評価が許容範囲の閾値を下回る場合(例えば、不適切なフラッシュ処置に起因して、システム10が収集された画像データに低い信頼性を適用する場合)に臨床医に警告するように、フラッシュ処置に関する定量的及び/又は定性的な情報を提供してもよい。いくつかの実施形態において、FFR及び/又は他の計算された情報は、システム10によって適切なフラッシュが決定されない限り、提供されない。
【0228】
いくつかの実施形態において、システム10は、(例えば、引き戻し又は他の画像データ収集期間中に)血管痙攣の存在を評価するように構成される。例えば、システム10は、アルゴリズム51を介して、痙攣の存在を検出し、ユーザに警告してもよい。代替的又は付加的に、システム10は、検出された痙攣の存在のために、収集された画像データに低い信頼性を適用してもよい。いくつかの実施形態において、システム10によって血管痙攣が存在すると判断された場合、FFR及び/又は他の計算された情報は提供されない。
【0229】
いくつかの実施形態において、システム10は、(例えば、引き戻し又は他の画像データ収集期間中に)血栓の存在を評価するように構成される。例えば、システム10は、アルゴリズム51を介して、血栓の存在を検出し、ユーザに警告してもよい。代替的又は付加的に、システム10は、検出された血栓の存在に起因して、収集された画像データに低い信頼性を適用してもよい。いくつかの実施形態において、システム10によって血栓が存在すると判断された場合、FFR及び/又は他の計算された情報は提供されない。
【0230】
いくつかの実施形態において、システム10は、(例えば、引き戻し又は他の画像データ収集期間中に)血管解離及び/又は他の血管損傷の存在を評価するように構成される。例えば、システム10は、アルゴリズム51を介して、血管損傷の存在を検出し、ユーザに警告してもよい。代替的又は付加的に、システム10は、検出された血管損傷の存在に起因して、収集された画像データに低い信頼性を適用してもよい。いくつかの実施形態において、システム10によって血管の損傷が存在すると判断された場合、FFR及び/又は他の計算された情報は提供されない。
【0231】
いくつかの実施形態において、システム10は、(例えば、引き戻し又は他の画像データ収集期間中に)心筋架橋の存在を評価するように構成される。例えば、システム10は、アルゴリズム51を介して、心筋架橋の存在を検出し、ユーザに警告してもよい。代替的又は付加的に、システム10は、検出された心筋架橋の存在に起因して、収集された画像データに低い信頼性を適用してもよい。いくつかの実施形態において、システム10によって心筋架橋が存在すると判定された場合、FFR及び/又は他の計算された情報は提供されない。
【0232】
いくつかの実施形態において、システム10は、例えば、OCTデータ及び非OCTデータ(例えば、血管造影データ)の両方が記録されている場合、少なくともOCTデータを収集するように構成される。続いて、(例えば、計算時間を短縮するために)低解像度で実行される流量計算などの、動的流量計算が実行されてもよい。同時に又は後に、(例えば、システム10による自動及び/又はユーザによる手動で)、例えば、内腔及び/又は側枝の補正などの、画像補正を行ってもよい。補正を行った後、高解像度での流量計算など、付加的な動的流量計算を行ってもよい。
【0233】
図12及び
図12Aを参照すると、本発明の概念に一致する、撮像プローブ及びデリバリカテーテルの遠位部の概略図、及び円M2内の構成部品の拡大図がそれぞれ示されている。撮像プローブ100及びデリバリカテーテル80は、
図1を参照して説明した撮像プローブ100及びデリバリカテーテル80と同様の構造及び配置としてもよい。デリバリカテーテル80は、撮像プローブ100が摺動可能に挿入されている内腔84を有する。
図12~
図12Aに示す実施形態において、流体加圧機構であるFPE1500
Sは、光学コア110から半径方向に延在する螺旋状の突起部を有する。動作中、光学コア110が回転すると、FPE1500
Sが一体となって回転し、FPE1500
Sの近傍に流体の流れが発生し、ゲル118内に(例えば、FPE1500
Sを横切って)圧力勾配が発生する。流体血液動態の例のモデリングは、
図12B-
図12Cを参照して本明細書に記載されている。
【0234】
いくつかの実施形態において、FPE1500Sは、光学コア110の長さの一部に沿って(例えば、コア110を取り囲むように)貼り付けたバネなどの巻線のような螺旋状のコイルで構成される。FPE1500Sは、接着剤又は他の粘着剤を介して、光学コア110に付着されてもよい。いくつかの実施形態において、FPE1500Sは、コア110上及び/又はコア110と共に成形され、(例えば、材料除去プロセスを介してなど)コア110に形成され、コア110上に融合され、及び/又はその他の方法で、コア110と共に又はコア110に付着して製造される。いくつかの実施形態において、FPE1500Sは、金属;プラスチック;ステンレス鋼;ニッケル-チタン合金;ナイロン;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリイミド;及びこれらの組み合わせで構成されるグループから選択される材料で構成される。いくつかの実施形態において、FPE1500Sは、蒸着技術及び/又は3D印刷技術を用いるなどして、光学コア110上に直接形成されてもよい。いくつかの実施形態において、選択的に硬化可能な材料を光学コア110に塗布し、螺旋状のパターンで硬化させてFPE1500Sが形成される。例えば、高強度のUV硬化型接着剤が、光学コア110の表面に塗布され、回転する集束UVビームを用いて選択的に硬化されてもよい。いくつかの実施形態において、FPE1500Sは、圧力勾配が適用されている間のFPE1500Sの変形を最小化するように選択された材料で構成されてもよい。例えば、回転中、変形を防ぐために、圧力勾配がFPE1500Sの長さにわたって発生する。より短いFPE1500Sは、同じ圧力勾配を生成するように構成されたより長いFPE1500Sよりも硬い材料を必要とする。
【0235】
FPE1500
Sは、光学コア110の表面からFPE1500
Sの外縁部までの距離である半径方向の高さH
1を有する。光学コア110は、直径D
1を有する。シャフト120の内腔1205は、内径D
2を有する。いくつかの実施形態において、直径D
1及びD
2は、プローブ100の長さに沿って変化し、以下の寸法は、
図12Aに示される遠位セグメント(例えば、光学アセンブリ115の近位及び近接のセグメント)など、プローブ100のセグメントに関するものである。プローブ100は、FPE1500
S(例えば、FPE1500
Sの外径)とシャフト120の内壁との間の隙間C
1を有する。隙間C
1は、直径D
1とD
2との間の差と、FPE1500
Sの高さH
1との両方に関連する。C
1は、D
1とD
2との間の差の半分からH
1を引いたものに等しい。いくつかの実施形態において、隙間C
1は、100μm以下、75μm以下、例えば、10μmから75μmの間の隙間である。いくつかの実施形態において、高さH
1は、D
1とD
2との差の半分の5%以上95%以下の高さ(例えば、コア110の外面とシャフト120の内壁との間の空間の少なくとも5%及び/又は95%以下を占める高さH
1)である。いくつかの実施形態において、最適な高さH
1は、例えば、減衰流体粘度(例えば、ゲル118の粘度)、光学コア110の所望の回転速度、所望の圧力勾配、及び/又はFPE1500
Sとシャフト120の内壁との間の隙間(例えば、狭小な隙間はより高い圧力を生成する)の要因に依存する。いくつかの実施形態において、FPE1500
Sのコイル外形は、図示されているように、幅W
1を有する。幅W
1は、直径D
1の1%~95%の幅であってもよい。また、FPE1500
Sは、図示のようなピッチP
1を有してもよい。ピッチP
1は、隣接するコイル間のギャップが直径D
1の0.5~20倍となるようなピッチであってもよい。いくつかの実施形態において、隣接するコイルは、互いに接触しない。いくつかの実施形態において、ピッチP
1は、FPE1500
Sの長さに沿って均一である。
【0236】
いくつかの実施形態において、ゲル118は、
図1を参照して説明したような、高粘度の剪断減粘性流体である。いくつかの実施形態において、最大機能的隙間C
1(例えば、FPE1500
Sの回転が内腔1205内に十分な流体加圧力を発生させるような許容可能な最大隙間C
1)は、ゲル118の粘度に比例する。例えば、ゲル118の粘度が高いほど、最大隙間C
1は大きくなる。いくつかの実施形態において、隙間C
1は、本明細書に記載されているように、FPE1500
Sを回転させることによってゲル118内に発生し得る圧力差に比例する。例えば、隙間C
1が小さいほど、発生させることができる圧力差が大きくなる。いくつかの実施形態において、隙間C
1及び高さH
1は、乱流、再循環、及び/又は光学コア110に近接した他の不要な流体の流れを制限するために最小化される。いくつかの実施形態において、ゲル118は、ニュートン(非剪断減粘性)流体である。寸法C
1、H
1、D
1、及びD
2は、ゲル118の異なる特性に対して最適化されてもよい。
【0237】
いくつかの実施形態において、FPE1500Sは、被覆部(図示せず)を備える。被覆部は、熱収縮チューブなどの鞘部、及び/又は、塗装された又は吹き付けられたコーティングであってもよい。被覆部は、FPE1500Sの光学コア110への結合を改善するように、及び/又はFPE1500Sの寸法を制御するように(例えば、高さH1の望ましくない変動を制限するように、FPE1500Sを光学コア110にしっかりと保持するように)構成されてもよい。付加的又は代替的に、被覆部は、光学コア110及びFPE1500Sのいずれか又は両方の表面特性を変更するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、被覆部は、FPE1500Sの流体推力及び/又は他の流体加圧力(本明細書において「流体加圧力」)の性能に著しく影響しない厚さを有する。代替的又は付加的に、FPE1500Sは、被覆部の適用後に寸法C1、H1、及びD1が最適になるように構成及び配置されてもよい。
【0238】
いくつかの実施形態において、FPE1500Sの回転によって引き起こされる内腔1205内のゲル118の加圧力は、内腔1205の内壁に機能的なねじり剪断力を与える。シャフト120は、ゲル118によって発揮される機能的なねじり剪断力よりも大きいねじり抵抗を有してもよい。いくつかの実施形態において、ゲル118は、約0.004N-cmのトルクを及ぼし、シャフト120は、少なくとも0.01N-cm、例えば0.03N-cmのねじり抵抗を有する。付加的に又は代替的に、FPE1500Sは、光学コア110が回転されると、光学コア110に「巻き上げ」応力を及ぼし、FPE1500Sをゲル118内で駆動してもよい。光学コア110は、ゲル118内でのコア110及びFPE1500Sの回転によって誘発される剪断応力、並びにゲル118内での引き戻し動作によって誘発される剪断応力によって悪影響を受けない(例えば、破損しない又はその他の方法で故障しない)ように構成及び配置されてもよい。いくつかの実施形態において、FPE1500Sによって引き起こされる光学コア110上の付加的な巻上げ応力は、2018年11月28日に出願された「撮像システム」というタイトルの出願人の共同係属中の国際PCT特許出願番号PCT/US2018/062766号に記載されているように、ゲル118によって引き起こされるNURD低減と同様に、NURD低減機構として機能し、その内容は全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0239】
図12B及び
図12Cを付加的に参照すると、本発明の概念に一致する、流体の流れパターンを示す撮像プローブの遠位部の概略図、及び流体の流れシミュレーションがそれぞれ示されている。ゲル118の動きは、
図12Bの流体の流れ矢印FF、及び
図12Cの経路FP
P及びFP
Dによって描かれている。剪断110及びFPE1500
Sは、ページ内に回転するFPE1500
Sの上端部と共に回転するように描かれている。図示されている軸方向の動作とともに、流体の流れは、
図12Cに示されているように、回転成分も含んでいる。遠位端部1209及び/又はシャフト120の少なくとも遠位部は、遠位端部119がシール部材として構成されたキャップ又はプラグ(
図12Bに示すプラグ1209a)を備える場合、シールされてもよい。図示されているようにFPE1500
Sを回転させると、光学コア110に近接した流体が遠位方向に高圧領域HPに向かって流れる。高圧領域HP内の圧力が遠位への流体の流れの圧力に一致するように増加すると、図示のように閉ループの再循環パターンが出現する。FPE1500
Sによって遠位方向に推進された流体は、高圧エリアHP内の圧力に遭遇し、内腔1205の表面に沿って(例えば、最小抵抗の経路に沿って)近位方向に方向転換する。この流体の流れパターンは、「デッドヘッド」圧力プロファイルを作成し(例えば、正味の流体の流れがない)、FPE1500
Sに沿って、低圧エリアLPから高圧エリアHPまでの圧力勾配を維持する。
図12Cに示すように、流体経路FP
Dは、光学コア110に近接し、遠位側の高圧領域HPに向かう流体の流れを描いている。流体経路FP
Pは、内腔1205の表面に近接して、近位で低圧エリアLPに向かう流体の流れを描いている。
【0240】
出願人は、本発明の概念のシステム、デバイス、及び方法を用いて様々な研究を行った。これらの研究のいくつかの結果は、本明細書に記載されている。これらの研究に関連する画像及び他のグラフィックは、
図13~
図23に示されている。
【0241】
図13では、頭蓋内の血管におけるシステム10の撮像の原理が示されている。5F中間カテーテルを使用して造影剤を短時間注入する間に、プローブ100は、その内部光学系を迅速に回転させながら後退し、その結果、螺旋状の走査パターンが得られる。狭い間隔のパターン(例えば、60μm)及び10μmに近い軸方向の解像度により、動脈壁、神経血管デバイス、及び管腔内物体の容積測定顕微鏡検査が得られる。
【0242】
図14は、豚の上腕動脈の前肢屈曲モデルにおけるインビボ撮像を示している。(A)において、点線は、プローブ100が血管内を通る蛇行経路を示している。(B)において、システム10の顕微鏡は、外弾性板(矢頭)と血管壁の各層(矢印)とを示している。明るい内膜に続いて、暗い中膜と明るい外膜とがある(挿入図)。アスタリスクは、直径0.2mmと0.7mmの2つの側枝の入口を示している。(C)において、矢印は、動脈内腔におけるプローブ100の偏心位置を示している。画像には、均一な照度が示されるとともに、NURDアーチファクトがないことが示されている。スケールバーは、1mm(B-C)であり、挿入図では0.5mmである。
【0243】
図15は、豚の内上顎動脈にステントを留置したシステム10の3次元インビボ画像を示している。(A)は、血管の透視図である。(B)は、システム10の三次元切断図(上が遠位、下が近位)である。フローダイバータの誤装着(矢印)及び異なるサイズの血栓(紫色)がフローダイバータの表面に見られる。(C)において、システム10の断面画像には、留置された枝(アスタリスクで示される)及びフローダイバータの表面上のいくつかの血栓形成(矢頭)が示されている。(D)は、フローダイバータの近位端部に、不完全な接合(3時の方向)とデバイス表面上の複数の血栓(矢頭)を示している。スケールバーは1mmである。三次元レンダリングのカラースキーム:赤は動脈壁、紫は血栓、銀は金属製の支柱である。
【0244】
図16において、システム10の断面画像と対応するCBCTスライスとの比較が示されている。(A)は、システム10の画像上で側枝の血栓(矢印)が視認可能であることを示している。(B)は、1時から8時の間のシステム10の画像上で、最大で約400μmの重症度を持つフローダイバータの位置異常が視認可能であることを示している。フローダイバータの支柱の上に形成され、厚さが30~220μmである小さな血栓が、矢印で示されている。(C)は、大きな側枝の入口の血栓を示している。血栓の存在及びデバイスの位置異常は、対応するコーンビームCT画像では検出されないことがある。スケールバーは、1mmである。CT画像のアスタリスク(*)は、側枝の位置を示す。
【0245】
図17には、(A)~(C)が示されている。(A)は、システム10の容積測定顕微鏡検査データを内視鏡で見たものであり、FDSによって留置された小さな穿孔のような側枝が視認可能であることを示している。(B)は、画像の左側に位置する側枝(矢印)には血栓がなく、FDSが親動脈にしっかりと密着していることを示している。(C)は、右側に位置する第2枝(アスタリスクで示す)に、血栓によって埋め込まれたFDSの支柱が見えることを示している。スケールバーは、1.0mmである。三次元内視鏡レンダリングのカラースキーム:赤は動脈壁、紫は血栓、銀は金属製の支柱である。
【0246】
図18には、(A)~(E)が示されている。(A)は、FDSの遠位端部で部分的に重なっているICSを示すシステム10の容積測定顕微鏡検査データである。(B)は、明るい内膜、低散乱の中膜、及び外膜を有する個々の血管層(矢印)を示すシステム10の顕微鏡検査である。内部弾性層(IEL)と外部弾性層(EFL)とは、緑色の矢印で示されている。(C)では、デバイスの表面から外れた血栓が大きな枝の中に浮かんでいることが、視認可能であり、アスタリスクで示されている。(D)では、厚さ100μmから200μmの血栓が、アスタリスクで示され、FDSの表面に分布している。(E)では、FDSの近位端部において、著しい位置異常(少なくとも500μm)に対応して半閉塞性の血栓が形成されているのが視認可能である。スケールバーは、1.0mmである。三次元内視鏡レンダリングのカラースキーム:赤は動脈壁、紫は血栓、銀はフローダイバータのステントの支柱、灰色は神経血管のステントの支柱である。
【0247】
図19は、MCA動脈のエキソビボセグメントからの頭蓋内プラークを示している。(A)は、線維性プラークのシステム10による画像と、それに対応するトリクローム染色(B)及びモヤット染色(C)とを示している。線維性組織は、システム10によって、後方散乱の上昇と光減衰係数の低下とに起因する均一な信号の領域として特徴付けられる。(D)では、システム10による壊死性コアプラークの画像と、それに対応するH&E(E)及びモヤット染色(F)とを示している。壊死性コアプラークとは、システム10の画像において、動脈硬化プラーク内で、境界が不明瞭で、光減衰係数が高い領域であることが特徴である。アスタリスクは、血管壁の解離を示している。スケールバーは、1.0mmである。
【0248】
図20には、硬膜内椎骨動脈のセグメントにおける頭蓋内線維石灰化プラークが示されている。(A)では、2つの線維石灰化プラーク(それぞれCで示される)が画像内で視認可能である。(B)は、(A)の血管の左下部分の拡大図である。11時の方向に厚さ100μmから300μmの石灰化プラークが存在する。左下には、最大厚さ900μmの2つ目のプラークが存在する。石灰化組織は、光の後方散乱係数と吸収係数とが低いため、信号が低く不均一で、境界が明瞭な領域であることが特徴である。スケールバーは、1mmである。
【0249】
図21には、患者に合わせて作成されたウィリス動脈輪のベンチモデルが示されている。流路の入出力の複雑さを軽減するために、中大脳動脈及び前大脳動脈の分枝を両側で合流させた。同様の目的で、眼窩動脈や上大脳動脈などの個々の枝動脈を除去した。
【0250】
図22は、血液クリアランス検査の画像を、(A)血液が視界を遮っている状態、(B)部分的にクリアランスがある状態、(C)完全にクリアランスがある状態の、3つの異なるカテゴリに分類して示している。いずれの場合も、完全なクリアランス状態が検出されるまで、造影剤注入速度を1ml/秒の値から、0.5ml/秒の増分で増加させた。スケールバーは、1mmである。
【0251】
図23には、プリサイスPro Rx 頸動脈用ステントシステム(Cordis)の展開後の最大直径が5.9mmである豚の総頸動脈のシステム10の画像が示されている。(A)では、ステントが留置された部分が矢印で示されている。(B)は、システム10の画像を3次元的にレンダリングしたものを示している。(C)は、システム10の断面画像であって、システム10の撮像技術の視野の広さを示している。プローブ100が動脈内の偏心した位置にある場合でも、システム10は、(D)に示すように、十分な明るさ及び照度でステント全体と動脈壁とを視覚化することができる。矢頭は、外部弾性膜(EEL)を示す。スケールバーは、1.0mmである。
【0252】
現在の臨床現場において、脳卒中やその他の脳血管障害の血管内治療は、非侵襲的な撮像技術を用いて行われているが、この技術では、基礎となる血管の病理、デバイスと血管との関係、小さな穿通動脈、デバイスに関連する血小板凝集などを適切に評価するのに十分な解像度を得ることができない。本発明の概念の光学プローブ及び他のシステム構成部品を用いて実行される血管内の容積顕微鏡の撮像は、患者の臨床医が血管壁の微細構造と神経血管デバイスとの相互作用を視覚化することを可能にし、その使用は、脳血管疾患の治療に多大な影響を与えるであろう。システム10は、非常に蛇行した血管構造において、10ミクロンに近い解像度で容積測定顕微鏡検査データを迅速に取得するように構成されている。システム10は、インビトロ(in vitro)、エクスビボ(ex vivo)、インビボ(in vivo)のモデルを組み合わせて使用し、脳血管顕微鏡検査の実現性及び有効性を実証した。これらの研究結果は、システム10が頭蓋内動脈の撮像及び神経血管内治療のガイダンスに使用できる可能性を示している。
【0253】
破裂した脳動脈瘤の血管内治療は、手術と比較して死亡率や依存度が低く、未破裂動脈瘤の治療でも同様の傾向が報告されている。脳血管用に設計された自己拡張型マイクロステントとフローダイバータとは、支柱が25μmと小さく、ワイドネックで複雑な動脈瘤の治療を可能にする。X線に基づく撮像システムでは、これらのデバイスのX線減衰が限られているため、X線不透過マーカーがこれらの治療デバイスに沿って配置されているが、現在のところ、デバイス全体を適切に画像化することはできない。効果的な治療及び障害を伴う合併症の予防には、病理学的に正確なデバイスの配置と位置合わせとが必要であるため、この制限は非常に重要である。低侵襲治療が飛躍的に進歩しているにもかかわらず、血管内治療には、主にデバイスと血管との境界面の視覚化が不十分であることに関連する限界が残っている。神経血管治療デバイスは、最終目標(例えば、動脈瘤を循環系から完全に排除する)を達成するために、デバイスを特に正確に配置する必要がある。更に、血管内血栓除去術(EVT)は、大血管閉塞による虚血性脳卒中の患者に対する標準的な治療法となっている。EVT後の血管損傷を評価するために、磁気共鳴(MR)血管壁画像などの非侵襲的な画像技術が提案されているが、基礎となる病理(例えば、頭蓋内の動脈硬化性疾患又は解離)、内皮損傷、及び/又は穿通動脈血栓症を直接視覚化するには解像度が不十分である。
【0254】
神経血管デバイスの全体及び血管壁の微細構造をインビボで視覚化する能力を有する、容積測定顕微鏡検査を行うためのシステム10の使用は、血管内神経治療に大きな影響を与える。システム10が提供する光学撮像技術は、ミクロンスケールに近い解像度を有し、小型の光ファイバプローブへの組み込みが可能であるため、患者が治療を受ける臨床現場への導入を成功させる有望な候補となる。過去10年間で、冠状動脈内光干渉断層撮影(OCT)は、冠状動脈内腔の形態、疾患の重症度、及び冠状動脈内ステントの正確な測定を可能にするため、ますます一般的な治療法になっている。システム10は、疾患の重症度の評価、例えば、疾患の重症度の定量的及び/又は定性的な評価を提供するように構成されてもよい。冠状動脈への応用以外にも、システム10は、例えば、撮像プローブ100が蛇行する脳血管の解剖学的構造内で前進するのに必要な柔軟性を提供することによって、撮像プローブ100が高い屈曲度で撮像を実行する能力によって、及び/又は、システム10の構成部品が標準的な神経血管臨床ワークフローと互換性があることによって、脳血管の病理の診断及び管理に革命を起こす可能性がある。加えて、システム10の増大された視野(すなわち、取得された画像の直径)は、大きく複雑な頸動脈及び頭蓋内動脈瘤を特徴付けるのに十分である。出願人の研究では、システム10を用いることで、これらの脳血管の要件が達成された。
【0255】
結果
様々な研究において、システム10は、インビトロ、インビボ、エクスビボの脳血管モデルを組み合わせて容積測定顕微鏡検査を行うために使用された。使用された撮像プローブ100は、標準的な神経血管用マイクロカテーテルから送出可能な0.016インチのワイヤ状のカテーテルを備える。プローブ100は、最新のガイドワイヤと同等の外形を有するように設計されており、非外傷性で且つX線不透過性の先端部を備えている。プローブ100の光学系は、血管壁や管内の物体によって後方散乱される近赤外光を集光する機能を有する。システム10は、光学アセンブリ115の高速回転と、血管内でのプローブ100の後退により、
図13を参照して、10μmに近い解像度で、周囲の動脈及び移植されたデバイスの体積撮像を行う。システム10は、毎秒250画像のフレームレートで、50mm以上の蛇行する動脈セグメントから少なくとも14mmの視野(すなわち、画像直径)で、2~3秒でデータを取得してもよい。
【0256】
ウィリス動脈輪のインビトロ循環モデルにおける血管のクリアランス
赤血球は光を散乱させ、そのコヒーレンス特性を低下させるため、システム10によるデータの取得には、血管内腔から動脈血を移動させることが必要となる。適切な光学窓を形成するのに十分な造影剤を注入する能力をテストするために、
図21を参照して、ウィリスの完全な動脈輪の患者固有のベンチモデルにおいて、シミュレートされた使用実験を行った。重要なのは、このモデルには、注入された造影剤と混ざってシステム10による画像の取得を妨げてしまう可能性のある連通動脈が含まれていることである。拍動性ポンプを用いて豚の血液を循環させ、内頸動脈(ICA)、中大脳動脈(MCA)、脳底動脈(BA)、椎骨動脈(VA)の位置に最適な造影剤注入プロトコルを特定した。これらの場所では、撮像プローブ100をターゲットとなる解剖学的構造に送出し、5F頭蓋内サポートカテーテル(5F Navien, Medtronic Neurovascular, Irvine CA)を介して自動注入器で造影剤を注入した。濃度の異なるオムニパーク(Omnipaque:GEヘルスケア)放射線不透過性造影剤をテストし、37℃での粘度をそれぞれ3.4、6.3、10.4cpとして、240、300、350mgl/mLを使用した。注入は、自動ポンプ(Medrad Mark 7 Arterion Injection System,バイエルヘルスケア)を用いて、頭蓋内サポートカテーテルの0.058インチの内腔から300psiの圧力制限で行った。
【0257】
造影剤投与速度の関数としてのクリアランスは、システム10の撮像メトリックを用いて、結果を「視野を遮る血液」、「部分的なクリアランス」、「完全なクリアランス」の3つのカテゴリに分類して分析した(
図22参照)。1ml/秒から0.5ml/秒の増分で造影剤の流速を完全なクリアランスが得られるまで上昇させ、解剖学的部位ごとに最適な噴出プロトコルを決定した。血液を視野から効率的に追い出すのに最適な粘度を有するオムニパーク350が、好ましい造影剤であることが確認された。ICAの完全なクリアランスは、5ml/秒で噴出することで得られ、注入後約2~3秒で観察された。同様に、MCA及びVAのクリアランスは、3ml/秒の速度で得られた。BAは、5FカテーテルをBA入口の高さに配置し、両VAからの流入を克服するために、5ml/秒の注入が必要であった。BAのより遠位の位置で造影剤を注入する場合には、4ml/秒の速度で十分なクリアランスが得られる可能性がある。システム10のデータ取得時間が2秒の場合、動脈をクリアランスするためには最低4秒間の注入が必要であることが示され、その結果、ICAには5ml/秒で20ml、MCAには3ml/秒で12mlの造影剤を注入することになった。
【0258】
インビボの血管屈曲度の上昇の撮像
前肢を屈曲させた豚のモデル(n=8)では、上腕動脈にヒトのICAサイフォンに類似した曲率を有する重度の屈曲状態が見られた。撮像プローブ100は、上腕動脈の両側(n=16)でテストされ、有効撮像長65mm±13mmのシステム10の画像データセットを取得した。プローブ100の性能は、蛇行する解剖学的構造において最新の血管内手術に一般的に影響を与える、不均一な回転歪み(NURD)などの画像アーチファクトを評価することによって評価された。NURDは、回転するカテーテル部品の摩擦が大きくなることで生じるアーチファクトと定義され、円周方向(回転方向)のスミアとして現れ、画像の解釈及び測定を誤らせる歪みの原因となる。上腕動脈の屈曲度(n=16)では、システム10のデータセットには、NURDアーチファクトが観察されなかった。
図14は、システム10の画像処理の例を示している。血管造影により、血管の屈曲度が上昇していることがわかる。血管壁を均一な照度で示したシステム10による歪みのない撮像により、個々の組織層、外部弾性層(EEL)、詳細な内腔形態、2つの側枝の入口を正確に視覚化することが可能になった(
図14B-C参照)。
【0259】
神経血管ステント及びフローダイバータのインビボ撮像
フローダイバータステント(FDS)及び自己拡張型頭蓋内ステント(ICS、n=15)を移植した豚の内上顎動脈(IMAX、n=16)のデータセットを取得することによって、デジタルサブトラクション血管造影(DSA)と、造影コーンビームCT(CBCT)と、システム10の撮像との比較を行った。専門の画像読影医(n=3)が、異なる画像診断法で、血栓形成の有無と位置異常とを2つの結果指標を用いて分析した。各評価者は、血管造影、システム10、CBCTの断面画像を含む合計480枚の画像を解析した。フライスのカッパ統計を用いて、異なる評価者間の一致度を評価した。FDSの表面に沿った急性血栓形成の評価では、0.90(システム10)、0.67(CBCT)、0.49(血管造影)の一致度が得られた。デバイスの位置異常の診断では、0.87(システム10)、0.67(CBCT)、0.18(血管造影)の値が得られた。ICSデバイスの繰り返し解析では、血栓形成を視覚化するための一致度は、0.81(システム10)、0.39(CBCT)、0.71(血管造影)であった。また、ICSの位置異常については、0.78(システム10)、0.45(CBCT)、0.41(血管造影)という値が得られた。
【0260】
FDSの埋め込み後の画像データの例を
図15に示す。システム10の容積測定顕微鏡検査では、血栓の蓄積及びデバイスの不完全な配置の存在が図示されている(
図15B参照)。側枝の閉塞と、複数の血栓に覆われたFDSの端部の位置異常が検出された(
図15C-D参照)。システム10の画像と対応するCBCTデータとが、
図16に示される(左がシステム10の画像、右がCBCTデータ)。側枝血栓症(
図16A参照)、デバイスの位置異常、及び、5μm、10μm、又は30μm程度の小さな血栓(
図16B参照)は、システム10が提供する(例えば、システム10によって又はシステム10によって生成された画像を見る臨床医によって識別される)OCT画像によって十分に捕捉され、(例えば、
図16A-Cに示すような)対応するCBCT断面では、見られないことが多い(例えば、識別できない)。
図17及び
図18には、システム10の画像がインビボ内の神経血管デバイスを描写する能力の更なる例が示されている。内視鏡データレンダリングは、FDSによって留置されている2つの穿孔器のような枝を示している(
図17参照)。
図17B-Cは、システム10の画像を用いて、血管の入口に血栓があるかないかを示している。血管壁の個々の層の正確な可視化、ICSで繋がれた側枝のレベルでの血栓の蓄積、厚さ100μmの小さな血栓は、システム10の画像で正確に捕捉される(
図18B-D参照)。
図18Eには、位置異常のFDSの近位端部に有意な血栓が生じた結果、血管の一部が閉塞した状態が示されている。
【0261】
大動脈の画像化
大きな頸動脈を撮像するシステム10の能力を調べるために、非ヒト動物のサブグループ(n=5)に総頸動脈のステント留置を行った。ステントを留置したセグメントの直径は、平均5.5mm±0.3mm、最大直径は5.9mmであった。全てのケースにおいて、システム10の拡張された視野は、支柱レベルでのステントと血管との相互作用を正確に評価するのに十分な照度を提供した(
図23参照)。
【0262】
頭蓋内アテローム性動脈硬化症の撮像
血管疾患の既往がある70歳以上の患者の解剖時に、疾患のある頭蓋内動脈の断片(n=10)を入手した。検体を生理食塩水に浸し、各動脈(n=15)の全長を採取するために、複数のシステム10の画像を取得した。システム10による撮影後、専門の画像読影医が、3つの主要なプラークタイプの代表例を含む血管セグメントのサブセットを、以前に確立した基準を用いて特定した。線維化したプラーク、繊維状組織の石灰化から起きるプラーク、及び壊死したコアのアテローム性動脈硬化症の代表的な例が見られた(n=3)。組織は、組織病理学的手法により処理され、スーダンブラック、ヘマトキシリン-エオジン(H&E)、ワンギーソン、モヤットペンタクローム、トリクロームの各試薬を用いて染色された。染色されたスライスを、システム10の画像結果を知らない血管病理医が解析し、プラークと組織タイプとを特徴付けた。全ての症例(n=3)で一致が見られた。
図19及び
図20には、頭蓋内プラークの例が示されている。
図19Aには、97歳の死体のMCAのM1セグメントにある線維性プラークが示されている。以前に確立された基準により、線維性プラークは、システム10の画像上で、光の後方散乱の増加と均一な強度を示す動脈壁の厚い領域として識別された。病理組織学的評価では、このプラークは、ほとんどが線維性組織で構成されていると分類された(
図19B-C参照)。
図19Dには、壊死性コア(NC)を含む2つ目のプラークが示されている。システム10の画像において、NCは、線維性キャップで覆われた動脈硬化プラーク内の境界がはっきりしない信号の乏しい領域として識別される。壊死組織は、強い光学的減衰を示し、その結果、画像強度信号が急速に低下し、後ろに位置する血管壁の領域を影で覆う。病理組織学的には、このプラークは、NCとその下の中膜変性を伴う線維性プラークと分類された(
図19E-F参照)。最後に、86歳の死体から採取した硬膜内椎骨動脈の遠位のセグメントに、線維化したプラークが確認された。システム10の画像では、線維硬化性プラークは、線維性組織及び石灰化組織の証拠を含み、境界がはっきりしている信号の少ない不均質な領域によって特徴付けられる。
図20Bには、円周方向の分布が87度、最大厚さが約900μmの線維石灰化プラークが示されている。石灰化組織は、近赤外領域での後方散乱及び減衰係数が低い。その結果、システム10は、その厚さ及び円周方向の分布の両方を正確に可視化することができる。病理組織学的評価では、このプラークは、ほとんどが石灰化し、その下に中膜変性及びポジティブリモデリングを示すと分類された。
【0263】
考察
システム10を用いて行われる撮像は、最新の臨床画像診断では見えない神経血管デバイスの詳細を支柱レベルで可視化するのに十分な空間分解能を提供する可能性がある。これまでの研究で、血管内撮像技術の神経血管への応用の可能性が示されてきたが、既存の冠状動脈用撮像カテーテルの機械的特性のために、蛇行する脳血管系への適用は不可能であった。出願人の研究で発表されたデータは、システム10が頭蓋内動脈の容積測定顕微鏡検査を可能にすることを示している。ウィリス動脈輪の患者固有のインビトロモデルを用いた研究では、異なる神経血管の解剖学的位置でシステム10の撮像を可能にする造影剤注入プロトコルが提示された。システム10の撮像のために確立された最適化された注入プロトコルは、神経インターベンション手術で回転血管造影を取得するために日常的に行われていることと異なるものではなく、実際にはこれら2つの異なる画像診断の取得が同時に行われ得る。インビボの非ヒト動物モデルにおいて、撮像プローブ100が、ヒトのICAで遭遇する屈曲度の高い状態に匹敵する、屈曲度の高い血管の撮像に適しているという証拠が集められた。システム10を用いた容積測定顕微鏡検査では、DSAやCBCTなどの最新の画像診断と比較して、腔内血栓の定量化や神経血管デバイスと動脈壁との相互作用の評価において、オペレータ間の一致率が非常に高かった。更に、既存の血管内撮像の基準をシステム10の撮像に置き換えたところ、血管壁の微細構造を視覚化して、頭蓋内の動脈硬化を特徴付ける能力があることがわかった。このように、出願人の研究結果は、ヒトの臨床環境における頭蓋内撮像のためのシステム10の臨床応用への道を開くものである。
【0264】
血管壁疾患や神経血管デバイスを評価する能力を有する脳血管顕微鏡検査が脳血管疾患の血管内治療に大きな影響を与えるだろうという推測を裏付ける前臨床の証拠が増えている。近年、ウサギの動脈瘤モデルでは、動脈瘤の早期且つ完全な動脈瘤閉塞を達成するためには、分流式ステントを完全に並置することが決定的に重要であることが示されたが、並置不良の組織学的証拠は、至適基準のDSAでは正確に捕捉されなかった。動脈瘤頸部と分流式デバイスとの間の連通異常は、非侵襲的な方法では見られないが、血管内OCTでは捕捉され、その後の早期の動脈瘤閉塞の予測因子となることが示された。同様に、システム10の画像で観察され且つCBCTでは検出されなかった動脈瘤頸部の血管内デバイスの再構成のギャップが、その後の閉塞の欠如と相関することが示された。MRVMは、虚血性脳卒中や頭蓋内出血における頭蓋内血管壁の撮像に適した方法であるが、その精度は、制限された空間分解能及びボクセルサイズに大きく影響される。近年の研究では、血管造影法では完全な再開通を示し且つCT血管造影法やMRVWでは血栓が視認できなかった症例でも、EVT後の病変部に脳底動脈穿通部の内皮傷害、残存血栓、進行中の血栓を高解像度血管内画像で確認することができた。
【0265】
システム10は、10μmに近い解像度での動脈壁の容積測定顕微鏡検査を可能にする。出願人の研究では、システム10が支柱レベルで腔内血栓や神経血管デバイスを正確に識別できることが動物モデルで示されている。これらの結果は、蛇行する解剖学的構造の撮像に関する証拠と合わせて、システム10が神経血管デバイスの手術前後の評価に臨床的に使用できることを示唆しており、それにより、GP IIb/IIIa阻害剤の局所投与、血管形成術又は付加的なステント留置などの修正措置が展開されてもよい。また、血管造影の所見が曖昧な場合には、システム10の優れた解像度により、非侵襲的な撮像技術では捕捉することができない血管の解剖やステントと血管の相互作用を可視化することができる。頭蓋内のアテローム性動脈硬化プラークの種類を正確に把握することで、治療方針を決定することができるだけでなく、頭蓋内動脈の治療を改善するために、ステントのサイズ、配置、穿孔動脈と残存狭窄部との相互作用を改善することができる。システム10は、EVT後に、より多くの情報を提供し、画像を誘導し、個別化された抗血栓性の管理を可能にする。システム10の画像の優れた解像度は、移植されたデバイスに対する血管及び動脈瘤の治癒反応を前例のないレベルで研究する能力を提供し、デバイスの表面上の組織の厚さ及び血管のリモデリングを、インビボ内の顕微鏡検査技術の精度及び正確さで評価することができる。このように、システム10が提供する脳血管顕微鏡検査を使用することで、臨床現場でデバイスの治癒をモニタリングし、内皮の過成長や内膜過形成を評価し、血管内治療後の最適な抗血小板療法のための見識を提供することができるという大きな可能性がある。前臨床において、システム10は、新世代の神経血管デバイスの開発に役立つ知見を提供する。
【0266】
研究の限界
造影剤を注入して神経血管の撮像のためのクリアな光学窓を得る能力を、ウィリス動脈輪のベンチモデルで調査した。拍動性のある血流、生理的な流量、血管の内径、毛細血管の抵抗など、患者の循環を再現するために多大な努力を行った。しかしながら、インビトロモデルの使用は、患者の脳血管系で遭遇する広範囲の解剖学的変化や疾患状態を捕捉することができない可能性がある。出願人の研究では、高粘度の薬剤が、血液をうまく移動させてクリアな視野を得るのに効果的であった。ヒトの臨床現場では、頭蓋内動脈疾患、加齢、及びその結果としての血流の減少などの他の要因により、生理食塩水や低粘度の造影剤などの低粘度の薬剤を使用することが可能である。このような状況では、より低い速度での注入も可能であり、システム10の画像取得のための十分な隙間を提供してもよい。更に、低分子量のデキストランの使用は、冠状動脈の撮像を成功させ、頭蓋内に使用した場合の安全性も研究されており、将来的には、システム10の撮像に使用することも探究されている。
【0267】
ウィリス動脈輪の患者固有の血管モデル
ウィリス動脈輪の全体を含む患者固有の血管モデルを用いて、ICA、MCA、硬膜内VA、脳底動脈など、解剖学的に異なる位置での最適な血液クリアランスプロトコルを検討した(
図21参照)。このモデルは、以前にも同様の研究で使用されている。出願人の研究では、複数のセンサを使用してICA、MCA、及びBAの流量及び圧力を常時測定し、臨床的に適切な値を再現できるようにした。豚の血液は、37℃に維持し、拍動性ポンプを用いて循環させた。モデルの各枝を流れる生理的に代表的な流量を得るために、出口の抵抗を調整した。血圧及び流量を常時モニタし、ICAでは約250ml/分、MCAでは約140ml/分、BAでは約160ml/分の生理的な値を維持するように調整した。
【0268】
動物モデル及び準備
出願人の研究では、40~70kgのヨークシャー豚モデル(n=8)を使用した。全ての処置は、全身麻酔下で行った。動物は、グリコピロレート(0.01mg/kg)の皮下注射によって予備麻酔された。麻酔は、タイラタミン(テラゾール,4.4mg/kg)、ケタミン(2.2mg/kg)、キシラジン(2.2mg/kg)を筋肉内に注射することによって誘発され、1-3%イソフルランの人工呼吸で維持された。処置中は、心拍数、呼吸数、侵襲的血圧、酸素飽和度、呼気終末CO2、体温などのバイタルパラメータを連続的にモニタして記録した。
【0269】
屈曲した前肢モデルを用いて、血管の屈曲度を高めたモデルを作成した。この技術は、上腕動脈に重度の屈曲を与えることができ、その結果、ヒトのICAで遭遇するものと同様の曲率半径が得られる。右大腿動脈を外科的に露出させた後、血管内アクセスのために10Fイントロデューサー鞘部を挿入し、0.058インチのNavien(登録商標:メドトロニック社)を上腕動脈の近位のセグメントにナビゲートして、撮像プローブ100をターゲットの解剖学的構造に展開させた。
【0270】
その後、0.058インチの頭蓋内サポートカテーテルを内上顎動脈(IMAX)にナビゲートした。IMAXには、16本(n=16)のFDSが両側から配置された。半分の動脈(n=8)にはPipeline FDS(メドトロニック社製)を使用し、残りの半分(n=8)にはSirpass FDS(ストライカーニューロバスキュラー社製)を従来の血管内手術の技術で留置した。FDSを留置した後、各IMAXにICSを配置した結果、部分的に重なっているセグメントができた。Wingspanステント(ストライカーニューロバスキュラー社製)が5本、Neuroformステント(ストライカーニューロバスキュラー社製)が6本、Solitaire ABステント(メドトロニック社製)が4本、合計15本のステントが留置された。なお、FDSの遠位端部の動脈が血栓により閉塞したため、ICSが配置されなかったケースが1つあった。更に、プリサイスPro Rx頸動脈用ステントシステム(コーディス社)が総頸動脈のサブセットに留置された(n=5)。
【0271】
撮像データの取得
ヒト以外の全ての動物(n=16)の豚上腕動脈において、システム10による撮像を両側から行った。造影剤(オムニパーク)は、5Fの中間カテーテルを用いて注入し、動脈内腔から血液を置換した。血管内システム10の画像は、FDS及びICSデバイスを配置した後、全てのIMAX動脈で取得され、合計31回の撮像が行われた。これらの画像データセットのうち16個(n=16)は、FDSの留置後に取得されたものである。その他のデータセット(n=15)は、FDSと部分的に重なっているICSの留置後に得られたものである。同様に、デジタルサブトラクション血管造影(DSA)、非サブトラクションシネ血管造影、フルスケール小FOVコーンビームCT画像(フィリップスヘルスケア)を、標準的な撮像技術を用いて各血管に対して取得し、各治療法について31回の撮像を行った。
【0272】
神経血管デバイスの解析
FDSとICSの遠位端部及び近位端部を基準マーカーとして、異なる治療法の画像データのコレジストレーションを行った。全てのデバイスの近位端部及び遠位端部に長さ5mmの関心領域(ROI)を設定した。各ROIにおいて、最大の血栓を含む位置と、最も深刻な位置異常を含む位置を、DSAとシステム10と再構成されたCBCTの断面画像との間で照合した。全ての画像を二値化して、血栓及びデバイスの位置異常の有無を分類した。160枚の血管造影画像、160枚のシステム10の画像、160枚のCBCT断面画像を、経験豊富な3人の神経インターベンション医師が盲検下で解析した結果である。
【0273】
頭蓋内動脈のエクスビボのセグメント
頭蓋内動脈硬化プラークのシステム10による画像を病理組織学的に比較するために、喫煙歴があり、冠状動脈及び/又は末梢動脈疾患のある70歳以上の死体から動脈セグメントを採取した。3人の死体の頭蓋内血管系を調査し、動脈硬化性疾患を含んでいると思われる動脈を採取した(n=10)。その中には、ICAの遠位のセグメント(n=2)、MCAの近位及び遠位のセグメント(n=4)、BA(n=2)、VAの硬膜内セグメント(n=2)が含まれていた。標本は、採取前に10%ホルマリン溶液で固定され、その後、生理食塩水に浸されて10回の画像撮影が行われた。各動脈の全長をサンプリングした複数のデータセットを取得した。熟練したシステム10の画像読取者が、以前に確立された線維性プラーク、線維石灰化プラーク、壊死性コアプラークの基準を用いて、アテローム性動脈硬化疾患を含む関心領域(ROI)を特定した(n=3)。イメージプローブ100が発する可視光インジケータを用いて、異なる標本の各ROIをマークした。その後、対応する組織サンプルをパラフィンに包埋し、5μmのスライスで切片にし、スーダンブラック、ヘマトキシリン・エオジン、ヴァンギーソン、モヤットペンタクローム、及びトリクロームの染色処理を行った。
【0274】
統計解析
特に明記しない限り、データは、平均値±標準偏差で示した。DSA、CBCT、システム10の画像を分類する3人の異なる画像評価者の間の一致度(操作者間変動)を評価し、定量化するためにフライスのカッパ統計が用いられた。
【0275】
システム10による三次元レンダリング
ImageJ(36)というソフトウェアを用いて、以前に確立された基準(13)に従って断面画像をセグメント化した。腔内の血栓、神経血管デバイスの支柱、血管壁の輪郭を手動でトレースし、ラベルを付けた。システム10のデータは、赤が血管壁、紫が管内血栓、銀が金属製支柱を表すように、カラーで表示された。セグメント化されたデータセットは、カテーテルの機械的走査によって生じたモーションアーチファクトを補正するためにフレーム間の自動登録を行った後、ボリュームレンダリング用のDICOM可視化ソフトウェア(OsiriX MD v10.0.2, Pixmeo SARL, Bernex, Switzerland)にインポートした。視覚化には、これまでの研究(14,37)と同様に、切断面を用いたパースペクティブ・ボリューム・レンダリング法と、異なる不透明度テーブルを用いたフライスルー法を用いた。
【0276】
上述した実施形態は、例示としてのみ機能すると理解すべきであり、更なる実施形態が想定される。任意の1つの実施形態に関連して本明細書に記載された任意の特徴は、単独で、又は記載された他の特徴と組み合わせて使用することができ、また、任意の他の実施形態の1以上の特徴、又は任意の他の実施形態の組み合わせと組み合わせて使用してもよい。更に、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、上述していない同等物や変更を採用してもよい。
【国際調査報告】