(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ワイパーモータの回転部品の回転角度位置を検出するための方法、およびワイパーモータ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20220713BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20220713BHJP
B60S 1/08 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
G01D5/245 B
G01D5/245 110L
G01B7/30 H
B60S1/08 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569132
(86)(22)【出願日】2020-05-04
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2020062350
(87)【国際公開番号】W WO2020233974
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】102019113549.4
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】マティアス、ショエンデリング
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ショイブレ
(72)【発明者】
【氏名】イェルク、ビュルクル
(72)【発明者】
【氏名】トビアス、グレーニヒ
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
3D225
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063BA30
2F063DA01
2F063DA05
2F063GA52
2F077AA27
2F077CC08
2F077DD05
2F077NN02
2F077NN03
2F077NN04
2F077PP12
2F077QQ15
3D225AA01
3D225AC01
3D225AE02
3D225AG02
(57)【要約】
本発明は、ワイパーモータ(10)の回転部品の回転角度位置(α,β)を検出するための方法であって、前記ワイパーモータ(10)は、第1部品としてのブラシレス電気モータ(12)を有し、第1部品としての前記ブラシレス電気モータ(12)は、第1回転軸線(14)を中心として回転するロータ(15)を備えるとともに、第2部品としてのギアホイール(24)を駆動し、第2部品としての前記ギアホイール(24)は、第2回転軸線(28)を中心として回転するとともに、従動シャフト(26)を備え、2つの前記回転部品の前記回転角度位置(α,β)は、2つのセンサ装置(31,38)により検出され、2つの前記センサ装置(31,38)の各々は、信号生成素子(30;30a;30b,36)と、前記信号生成素子(30;30a;30b,36)の変化する物理的パラメータを検出するためのセンサ素子(32;32a~32d;40;40a~40d)と、を有する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーモータ(10)の回転部品の回転角度位置(α,β)を検出するための方法であって、
前記ワイパーモータ(10)は、第1部品としてのブラシレス電気モータ(12)を有し、
第1部品としての前記ブラシレス電気モータ(12)は、第1回転軸線(14)を中心として回転するロータ(15)を備えるとともに、第2部品としてのギアホイール(24)を駆動し、
第2部品としての前記ギアホイール(24)は、第2回転軸線(28)を中心として回転するとともに、従動シャフト(26)を備え、
2つの前記回転部品の前記回転角度位置(α,β)は、2つのセンサ装置(31,38)により検出され、
2つの前記センサ装置(31,38)の各々は、信号生成素子(30;30a;30b,36)と、前記信号生成素子(30;30a;30b,36)の変化する物理的パラメータを検出するためのセンサ素子(32;32a~32d;40;40a~40d)と、を有し、
前記回転部品の絶対角度位置(α,β)が、前記センサ装置(31,38)のうちの少なくとも1つにより検出されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記信号生成素子(30;30a;30b,36)の磁界の変化が、前記絶対角度位置(α,β)を検出する前記センサ装置(31,38)により検出される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記従動シャフト(26)の特定の回転角度位置(β)が前記ロータ(15)の少なくとも1つの特定の回転角度位置(α)に一致するように、2つの前記回転部品の前記回転角度位置(α,β)を互いに一致させ、
2つの前記回転部品の現在一致している前記回転角度位置(α,β)が、記憶・評価ユニット(48)に記憶されている値と比較され、
現在の値と記憶された値との間の記憶された限界値(σ)を超えた場合、信号やエラーメッセージ等が生成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ワイパーモータ(10)の動作中に、2つの前記回転部品のうちの少なくとも1つの回転角速度(ω)が検出され、
前記回転角速度(ω)が限界値(GW)を下回る場合、前記ワイパーモータ(10)の動作が停止される、並びに/または、信号および/若しくはエラーメッセージ等が生成される、
ことを特徴とする請求項1~3の一項に記載の方法。
【請求項5】
ワイパーモータ(10)であって、前記ワイパーモータ(10)は、ロータ(15)を有するとともに、ギアホイール(24)により従動シャフト(26)を駆動するブラシレス電気モータ(12)を備え、かつ、2つのセンサ装置(31,38)を備え、
2つの前記センサ装置(31,38)の各々は、信号生成素子(30;30a;30b,36)と、前記信号生成素子(30;30a;30b,36)の変化する物理的パラメータを検出するためのセンサ素子(32;32a~32d;40;40a~40d)と、を有し、
前記センサ装置(31,38)は、前記ロータ(15)および前記従動シャフト(26)の回転角度位置(α,β)を検出するように構成され、
好適には請求項1~4のいずれか一項に記載の方法に従って動作するワイパーモータ(10)において、
前記センサ装置(31,38)のうちの少なくとも1つは、絶対角度位置(α,β)を測定するように構成されていることを特徴とするワイパーモータ(10)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記センサ装置(31)は、前記ロータ(15)の前記回転角度位置(α)を測定するように構成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のワイパーモータ。
【請求項7】
2つの前記センサ装置(31,38)の前記信号生成素子(30;30a;30b,36)のうちの少なくとも1つは、前記回転角度位置(α,β)の関数として変化する磁界を生成するように構成されている、
ことを特徴とする請求項5または6に記載のワイパーモータ。
【請求項8】
2つの前記センサ素子(32;32a~32d;40;40a~40d)は、共通の回路基板(42;42a)の領域に配置されているとともに、前記回路基板(42;42a)に電気的に伝導する態様で接続されている、
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載のワイパーモータ。
【請求項9】
少なくとも1つのセンサ素子(32;32a~32d;40;40b;40d)が、前記ロータ(15)または前記従動シャフト(26)の前記回転軸線(14;28)を覆わないように配置されている、
ことを特徴とする請求項8に記載のワイパーモータ。
【請求項10】
前記従動シャフト(26)または前記ロータ(15)の前記回転角度位置(α,β)を検出する前記センサ素子(40;40a;40c)は、前記従動シャフトの前記回転軸線を覆うように配置されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のワイパーモータ。
【請求項11】
前記回路基板(42a)は、切欠(46)を有し、
前記ロータ(15)に割り当てられた前記信号生成素子(30a;30b)は、前記切欠(46)の領域に配置されている、
ことを特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載のワイパーモータ。
【請求項12】
前記回路基板(42;42a)の面が、前記ロータ(15)の前記回転軸線(14)に対して平行に、かつ前記従動シャフト(26)の前記回転軸線(28)に対して垂直に延びている、
ことを特徴とする請求項8~11のいずれか一項に記載のワイパーモータ。
【請求項13】
記憶・評価ユニット(48)が設けられ、
前記記憶・評価ユニット(48)は、前記従動シャフト(26)の回転角度位置(β)を、前記ロータ(15)の少なくとも1つの回転角度位置(α)に一致させ、前記ワイパーモータ(10)の動作中に、それを前記従動シャフト(26)および前記ロータ(15)の記憶された一致値と比較するように少なくとも構成され、
現在の一致値と記憶された一致値との間の記憶された限界値(σ)を超えた場合、信号やエラーメッセージ等が生成され得る、
ことを特徴とする請求項5~12のいずれか一項に記載のワイパーモータ。
【請求項14】
前記記憶・評価ユニット(48)は、前記ワイパーモータ(10)の動作中に、前記回転部品のうちの少なくとも1つの回転角速度(ω)を検出し、前記回転角速度(ω)が所定の限界値(GW)を下回る場合、信号やエラーメッセージ等を生成する、前記ワイパーモータ(10)の出力を低下させる、および/またはその動作を停止させるようにさらに構成されている、
ことを特徴とする請求13に記載のワイパーモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有するワイパーモータの回転部品の回転角度位置を検出するための方法に関する。さらに、本発明は、本発明による方法を実施するように構成されたワイパーモータに関する。
【背景技術】
【0002】
請求項1のプリアンブルによる方法を実施するように構成されたワイパーモータが、本件出願人によるDE 10 2017 121 222 A1から知られている。既知のワイパーモータまたは既知の方法は、ブラシレス電気モータのロータの回転角度位置、および電気モータにより駆動されるとともにワイパーを駆動するように少なくとも間接的に機能するギアホイールの回転角度位置を検出するために2つのセンサ装置が設けられている点で優れている。2つのセンサ装置の各々は、信号生成素子と、信号生成素子の変化する物理的パラメータを検出するためのセンサ素子と、を備えている。一般に、センサ装置は、ホールセンサの形態で構成されている。ホールセンサは、ホールセンサを通過して磁界を生成する素子の変化を検出する。既知のセンサ装置のさらなる重要な特徴は、磁界が最初に検出されたとき、または電気モータを始動させたとき、前記センサ装置が、回転部品(ロータまたはギアホイール)の絶対角度位置を検出することができないことである。それどころか、センサ装置の評価ユニットが回転部品の絶対角度に関する結論を導き得る前に、さらなる情報または回転部品の一定の回転角度が必要である。
【0003】
特にブラシレス電気モータに関して、ステータの個々のワイヤ巻線を通電または作動させるために、回転角度位置を可能な限り迅速かつ正確に把握することが望まれているか、または必要である。このことは、ワイパーモータの従動シャフトであって、ワイパーモータに接続された従動シャフトの回転角度位置を検出するためにも同様に望まれている。
【発明の概要】
【0004】
請求項1の特徴を有するワイパーモータの回転部品の回転角度位置を検出するための本発明による方法は、特にワイパーモータの始動時に、回転部品の絶対回転角度を非常に迅速かつ正確に検出できるという利点を有する。これは、回転部品の絶対回転角度位置がセンサ装置の少なくとも1つにより検出されるという請求項1の教示による本発明により、可能となる。この意味は、物理的パラメータの最初の情報または最初の検出のみから、角度基準(0度)に対する回転部品の絶対回転角度に関する結論が導かれ得るということである。これは、特に、電気モータがまだ回転していない状態をも含む。すなわち、別の回転部品の静止状態においても、角度位置が検出可能である。
【0005】
ワイパーモータの回転部品の回転角度位置を検出するための本発明による方法の有利な展開例は、従属請求項に示されている。
【0006】
本発明による方法の好適な改良点において、信号生成素子の磁界の変化が、絶対角度位置を検出するセンサ装置によって検出されることが提供される。したがって、特に、例えば、磁界の磁束密度の大きさとその向きとの組み合わせから、回転部品の絶対角度位置に関する結論を導くことができる。
【0007】
しかしながら、例えば、光学的に動作する測定装置や、インダクタンス等の他の物理的パラメータを検出するセンサ装置等の、他の物理的な動作原理も想定され得る。
【0008】
さらに好適な方法は、一方の部品(例えばギアホイールまたは従動シャフト)の特定の回転角度位置が、他方の部品(例えばロータ)の少なくとも1つの特定の回転角度位置に一致するように、2つの回転部品(具体的にはロータおよびギアホイール)の回転角度位置を互いに一致させ、2つの回転部品の現在一致している回転角度位置が、記憶ユニットに記憶されている値と比較され、現在の値と記憶された値との間の記憶された限界値を超えた場合、信号やエラーメッセージ等が生成されることを提供する。
【0009】
この好適な方法の背景は、一般に、新品の状態、または回転部品が互いに対してほとんど遊びがないか、若しくは全くないように配置されたワイパーモータの状態において、部品の一致した回転角度位置は、互いに対してほんのわずかな公差しか有していないということである。しかしながら、回転部品同士の摩耗が進んだり遊びが大きくなると、回転部品の検出された回転角度位置は、例えば、新品状態や遊びがない場合と比較して、回転角度位置間に大きな角度オフセットまたは大きな角度差が存在するように変化する。したがって、提供された好適な方法により、ワイパーモータの回転部品の摩耗に関する結論を導くことができる。そして、例えば検査や同様の測定の範囲において読み取られる対応エラーメッセージによって、ワイパーモータの修理や対応する交換を行うことができる。さらに、このような方法により、例えば、ワイパーモータ、および結果としてワイパーにおける同一の動作シーケンスを常に得ることができるように、ステータのワイヤ巻線の時間的または角度的に一致した作動を適応させたり修正したりすることも基本的に可能になる。
【0010】
例えば、ワイパーモータの回転部品間の増大した摩擦や閉塞に関する結論が導かれ得る本発明による方法のさらに好適な改良点は、前記ワイパーモータの動作中に、2つの前記回転部品のうちの少なくとも1つの回転角速度が検出され、前記回転角速度が限界値を下回る場合、前記ワイパーモータの動作が停止される、並びに/または、信号および/若しくはエラーメッセージ等が生成されることを提供する。これにより、ワイパーモータの破損や過負荷を防止することができる。
【0011】
本発明は、好適にはここで記載された本発明による方法に従って動作するワイパーモータを備えている。ワイパーモータは、既知のように、ロータを有するとともに、ギアホイールにより従動シャフトを駆動するブラシレス電気モータを備え、かつ、2つのセンサ装置を備え、2つの前記センサ装置の各々は、信号生成素子と、前記信号生成素子の変化する物理的パラメータを検出するためのセンサ素子と、を有し、前記センサ装置は、前記ロータおよび前記従動シャフトの回転角度位置を検出するように構成されている点において優れている。本発明によるワイパーモータは、2つの前記センサ装置のうちの少なくとも1つは、絶対角度を測定するように構成されている点において優れている。
【0012】
少なくとも1つのセンサ装置が、絶対角度を測定するために電気モータのロータに適合していることが特に好適である。したがって、このことは、ステータのワイヤ巻線を時間的に正しく作動させるために、ロータの(絶対)回転角度位置を可能な限り迅速に把握することが必須であるという事実に関する。さらに、電気モータの回転速度の低下により、ギアホイールまたは従動シャフトの同一の絶対回転角度位置を、選択的に、ロータの複数の異なる回転角度位置に一致させ得るということを、ここで考慮する必要がある。したがって、ギアホイールまたは従動シャフトの絶対回転角度を把握しても、必然的にロータの絶対回転角度位置に関する結論を導くことはできない。
【0013】
ワイパーモータの構造的に好適な改良点において、2つの前記センサ装置の前記信号生成素子のうちの少なくとも1つは、前記センサ素子により検出可能である磁界であって、前記回転角度位置の関数として変化する磁界を生成するように構成されている。
【0014】
ワイパーモータの構造的に好適な配置および構成において、2つの前記センサ素子は、共通の回路基板の領域に配置されているとともに、前記回路基板に電気的に伝導する態様で接続されていることが提供される。
【0015】
センサ素子の具体的な配置について様々な可能性がある。共通の回路基板の使用という上述の提案の展開例において、少なくとも1つのセンサ素子が、前記ロータまたは前記従動シャフトの前記回転軸線を覆わないように配置されていることが提供され得る。
【0016】
本例において、前記従動シャフトまたは前記ロータの前記回転角度位置を検出する前記センサ素子は、前記従動シャフトの前記回転軸線を覆うように配置されていることがさらに提供される。
【0017】
さらに、回路基板の有利な構造的改良点において、前記回路基板は、切欠を有し、前記ロータに割り当てられた前記信号生成素子は、前記切欠の領域に配置されていることが提供され得る。これにより、ワイパーモータの特にコンパクトな構成が実現され得る。
【0018】
ワイパーモータの可能な限りコンパクトな配置や構成に関して、前記回路基板の面が、前記ロータの前記回転軸線に対して平行に、かつ前記従動シャフトの前記回転軸線に対して垂直に延びていれば、さらに有利である。
【0019】
ワイパーモータの付加的な機能を得るように、記憶・評価ユニットが設けられることがさらに提供され得る。前記記憶・評価ユニットは、前記従動シャフトの回転角度位置を、前記ロータの少なくとも1つの回転角度位置に一致させ、前記ワイパーモータの動作中に、それを前記従動シャフトおよび前記ロータの記憶された一致値と比較するように少なくとも構成され、現在の一致値と記憶された一致値との間の記憶された限界値を超えた場合、信号やエラーメッセージ等が生成され得る。
【0020】
最後の提案の展開例は、前記記憶・評価ユニットは、前記ワイパーモータの動作中に、前記回転部品のうちの少なくとも1つの回転角速度を検出し、前記回転角速度が所定の限界値を下回る場合、信号やエラーメッセージ等を生成する、前記ワイパーモータの出力を低下させる、および/またはその動作を停止させるようにさらに構成されていることを提供する。
【0021】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、好適な例示的実施形態についての以下の説明と、図面を参照することにより、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、ワイパーモータの部分断面斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のワイパーモータの簡略化された長手方向断面図である。
【
図3】
図3は、ロータおよびギアホイールの回転角度位置を検出するためのセンサ装置の配置を簡略化して示す図である。
【
図4】
図4は、ロータおよびギアホイールの回転角度位置を検出するためのセンサ装置の別の配置を簡略化して示す図である。
【
図5】
図5は、ロータおよびギアホイールの回転角度位置を検出するためのセンサ装置の別の配置を簡略化して示す図である。
【
図6】
図6は、ロータおよびギアホイールの回転角度位置を検出するためのセンサ装置の別の配置を簡略化して示す図である。
【
図7】
図7は、潜在的な摩耗を検出するために、ロータおよびギアホイールの異なる回転角度位置を一致させることを説明するための図である。
【
図8】
図8は、ワイパーモータの回転部品の潜在的な閉塞を検出するために、回転部品の回転速度を検出することを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
同一の要素または同一の機能を有する要素には、図中において同じ参照符号を付す。
【0024】
図1および
図2は、ワイパー(図示せず)を駆動するためのワイパーモータ10の主要な構成要素を示す。ワイパーモータ10は、ロータ15を有するブラシレス電気モータ12を有している。ロータ15は、回転軸線14を中心として回転するとともに、磁気素子16を有している。ロータ15は、
図1にのみ示すステータ18により径方向に囲まれている。ステータ18は、既知の態様で複数のワイヤ巻線19を有している。これにより、ロータ15は、個々のワイヤ巻線19を位相がずれた態様、または時間的に連続した態様で通電することにより、回転運動するように設定されている。
【0025】
ロータ15は、ロータシャフト20に、これとともに回転するように接続されている。ロータシャフトは、例えば、ロータ15の反対側にある軸受装置21に回転可能に装着されている。ロータシャフト20の中央部において、ロータシャフト20は、ギアホイール24の対応する歯部と噛み合うウォーム歯部22を有している。ギアホイール24は、従動シャフト26に、これとともに回転するように接続されているとともに、回転軸線28を中心として回転可能に装着されている。従動シャフト26は、例えばワイパーリンク機構に、または動かすべきワイパーに直接的に、既知の態様で連結されている。
【0026】
ロータ15またはロータシャフト20は、第1磁気素子構成体30と作動可能に接続した状態で、ロータ15の付近に配置されている。具体的には、第1磁気素子構成体30は、ロータシャフト20に、これとともに回転するように接続されている。第1磁気素子構成体30は、ロータシャフト20の回転角度位置、したがってロータ15の回転角度位置を検出するための第1センサ装置31の一部である。この目的のために、第1磁気素子構成体30は、例えばセンサ素子32と相互作用する。センサ素子32は、例えば、ホールセンサ構成体を備えている。ホールセンサ構成体は、第1磁気素子構成体30の回転角度位置から、ロータ15またはロータシャフト20の絶対回転角度位置に関する結論を直接的に導くように構成されている。絶対回転角度位置は、ステータ18のワイヤ巻線19の位相が一致した通電、または角度が一致した通電を可能とするために必要である。絶対回転角度位置とは、固定した基準位置(0度の角度位置)に対する回転部品の回転角度を意味するものとして理解される。
【0027】
さらに、第2磁気素子構成体36が、従動シャフト26の端面34に設けられている。第2磁気素子構成体36は、従動シャフト26の絶対角度位置、したがってギアホイール24の絶対角度位置を検出するように構成された第2センサ装置38の一部である。この目的のために、第2磁気素子構成体36は、同様に、例えば、センサ素子40と相互作用する。センサ素子40は、例えば、第2磁気素子構成体36の変化する磁界に基づいて、従動シャフト26またはギアホイール24の絶対角度位置に関する結論を導くように構成されたホールセンサ構成体を、同様に有している。
【0028】
2つのセンサ素子32、40は、共通の回路基板42に、電気的に伝導する態様で配置されている。回路基板42の面は、ロータ15の回転軸線14に対して平行に、かつ従動シャフト26の回転軸線28に対して垂直に延びている。
図2に示す例示的な実施形態において、2つのセンサ素子32、40は、それぞれ、回路基板42の下側面43に配置されている。前記下側面は、ロータシャフト20に面している。さらに、ワイパーモータ10を作動させるか、または駆動するための構成要素が、既知のように回路基板42に配置されている。前記構成要素は、例示として、特にステータ18のワイヤ巻線19を作動または通電させるように構成されたIC44、または類似の論理回路を含む。この目的のために、2つのセンサ装置31、38からの情報は、IC44に入力変数として供給される。
【0029】
図3~
図6は、2つのセンサ装置31、38の種々の配置を示している。
図3では、回路基板42aが、矩形の切欠46を有し、その縁部にセンサ素子32aが配置されていることが示されている。第1磁気素子構成体30aは、少なくとも複数の領域において切欠46内に進入している。さらに、センサ素子40aは、回転軸線28と整列するように、すなわち、第2磁気素子構成体36を覆うように配置されていることがわかる。
【0030】
図4は、センサ素子40bが従動シャフト26の回転軸線28に対して横方向にオフセットして配置されているが、第1磁気素子構成体30bおよびセンサ素子32bの配置は、
図3の第1磁気素子構成体30aの配置に一致している例を示している。
【0031】
図5は、
図2に近似した配置を示しており、矩形の回路基板42が、センサ素子32cとともに、第1磁気素子構成体30に面する側に設けられている。センサ素子32cは、ロータシャフト20の回転軸線14から距離を置いて配置されている。第1磁気素子構成体30は、回路基板42の外側において、ロータ15の反対側である回路基板42の側に配置されている。センサ素子40cの配置は、
図3のセンサ素子40aの配置に一致している。
【0032】
最後に、
図5の配置の変形例としての
図6は、2つのセンサ装置32d、40dが、ロータシャフト20および従動シャフト26の回転軸線14、28を、それぞれ覆わないように配置されている例を示している。
【0033】
IC44は、ワイパーモータ10の付加的な機能を可能とする記憶・評価ユニット48を選択的に有している。
図7は、ロータ15の絶対回転角度αおよびギアホイール24の絶対回転角度βに対して、センサ装置31、38によりそれぞれ検出された信号S
R、S
Gを上下にして示す。ここで、ギアホイール24の約360°の回転(信号S
Gの最大値)において、構成要素が新品状態、または構成要素間に遊びのないロータ15は、例えば12回、回転したことがわかる。さらに、
図7の下部において、破線で示された信号S
Gの信号プロファイルは、一定の動作継続時間後に生じる状況、または互いに作動可能に接続されたロータシャフト20若しくはロータ15の部品と、従動シャフト26若しくはギアホイール24の部品との間で摩耗が生じた状況を示している。具体的には、ロータ12の12回の回転後、ギアホイール24の信号S
Gがその最大値に達しなかったこと、すなわち、ギアホイール24が、約360°回転していないことがわかる。これは、追加角度オフセットδが生じる事例である。
【0034】
角度オフセットδが、記憶・評価ユニット48に記憶された限界値を超えると直ちに、ワイパーモータ10の構成部品における摩耗に関する結論が導かれる。そして、このことは、エラーメッセージとして例えばエラーメモリに記憶され、対応する信号が生成されるなどする。
【0035】
最後に、
図8について説明する。記憶・評価ユニット48は、ワイパーモータ10の時間tに対して、ロータシャフト20および/または従動シャフト26の回転角速度ωを検出するようにさらに構成され得る。ワイパーモータ10の動作中に、回転角速度ω1が、例えば下限値GWを下回る場合、ワイパーモータ10が内部エラーにより増大した摩擦値を有しているか閉塞傾向にあるという結論、または、ワイパーモータ10が、例えば、雪の荷重等の外力の影響により正常な動作が妨げられているという結論が、導き出される。この場合も、記憶・評価ユニット48は、例えば、対応するエラーをエラーメモリに入れることができるか、信号を生成することができるか、またはワイパーモータ10の動作を停止させることができる。
【0036】
上述のワイパーモータ10は、本発明の概念から逸脱することなく、多種多用に変更したり修正したりすることができる。これは、回転シャフト20またはロータ15の回転角度位置、および従動シャフト26またはギアホイール24の回転角度位置を検出する機能を果たす少なくとも1つのセンサ装置が、絶対角度センサを使用することからなる。これにより、例えば、2つのセンサ装置31、38の回転角度情報、並びにステータ18のワイヤ巻線の作動が、ワイパーモータ10により(内部的に)行われるのではなく、外部の制御装置等により行われるということが提供され得る。さらに、センサ装置31、38は、異なる物理的動作原理に基づき得る、および/または異なる仕様を有し得る。
【0037】
10 ワイパーモータ
12 電気モータ
14 回転軸線
15 ロータ
16 磁気素子
18 ステータ
19 ワイヤ巻線
20 ロータシャフト
21 軸受装置
22 ウォームギヤ
24 ギアホイール
26 従動シャフト
28 回転軸線
30/a/b 磁気素子構成体
31 第1センサ装置
32/a/b/c/d センサ素子
34 従動シャフトの端面
36 磁気素子構成体
38 第2センサ装置
40/a/b/c/d センサ素子
42/a 回路基板
43 回路基板の下側面
44 IC
46 切欠
48 評価ユニット
α 角度
β 角度
δ 角度オフセット
ω 回転角速度
DW 回転角度
GW 限界値
S 信号
t 時間
【国際調査報告】