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特表2022-533232電気的に接続された電極、ならびに関連する物品および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】電気的に接続された電極、ならびに関連する物品および方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20220713BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20220713BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20220713BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20220713BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220713BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220713BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M10/0566
H01M10/052
H01M10/058
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569150
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2020033938
(87)【国際公開番号】W WO2020237015
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/851,162
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500287732
【氏名又は名称】シオン・パワー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(72)【発明者】
【氏名】ミロバー,ダニエル ジー
(72)【発明者】
【氏名】ハーレル,シェーン
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ04
5H029HJ07
5H029HJ12
5H050AA12
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050GA04
5H050GA12
5H050HA04
5H050HA07
5H050HA12
(57)【要約】
電気化学デバイス内の電極部電気的に接続するための方法、ならびに関連する物品およびシステムが広く記載されている。いくつかの場合では、非導電性層が、接続される複数の電極部の間にある。いくつかの場合では、前記方法は、非導電性層によって以前に分離された前記電極部間の電気的接続を確立するために物品を貫通することを含んで成る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と第2面とを含む非導電性層と、
前記非導電性層の前記第1面に隣接する第1電極部と、
前記非導電性層の前記第2面に隣接する第2電極部と
を備える物品の一部を、前記第1電極部と前記第2電極部との間の電気的接続が確立されるように貫通することを含んで成る、方法。
【請求項2】
前記貫通することは、固体物体で前記物品を突き刺すことを含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固体物体は、ピンであるかまたはピンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記固体物体を除去することをさらに含んで成る、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1電極部が、極性を有し、
前記第2電極部が、前記第1電極部の前記極性と同じ極性を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記貫通することは、前記第1電極部から前記非導電性層を通って前記第2電極部に延在する導電固体材料領域を形成し、該導電固体材料領域は前記第1電極部および前記第2電極部を電気的に接続する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1電極部は電極活物質を含んで成り、前記第2電極部はその同一の電極活物質を含んで成る、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記導電固体材料領域はまた、前記第1電極部および前記第2電極部に存在する電極活物質を含んで成る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記貫通することは、前記第1電極部から前記非導電性層を通って前記第2電極部に延在するキャビティを形成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記導電固体材料の少なくとも一部が、前記キャビティの壁に沿って配置されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
導電性材料で前記キャビティの少なくとも一部を充填することをさらに含んで成る、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
第1面と第2面とを含んで成る非導電性層と、
前記非導電性層の前記第1面に隣接し、極性を有する第1電極部と、
前記非導電性層の前記第2面に隣接し、前記第1電極部の前記極性と同じ極性を有する第2電極部と
を含んで成り、
前記第1電極部は、前記第1電極部から前記非導電性層を通って前記第2電極部に延在する導電固体材料領域により前記第2電極部に電気的に接続している、物品。
【請求項13】
前記第1電極部から前記非導電性層を通って前記第2電極部に延在するキャビティをさらに含んで成り、前記導電固体材料の少なくとも一部が前記キャビティの壁に沿って配置されている、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記第1電極部は電極活物質を含んで成り、前記第2電極部はその同一の電極活物質を含んで成る、請求項12または13に記載の物品。
【請求項15】
前記導電固体材料領域はまた、前記第1電極部および前記第2電極部に存在する前記電極活物質を含んで成る、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記キャビティがその長軸に対して垂直な断面を有し、前記断面の面積に対する前記断面の周囲長の前記比は1mm-1以上30mm-1以下である、請求項13~15のいずれか1項に記載の物品。
【請求項17】
前記導電固体材料領域は、その長さに垂直な断面を有し、前記断面の面積に対する前記断面の周囲長の前記比は、1mm-1以上30mm-1以下である、請求項13~16のいずれか1項に記載の物品。
【請求項18】
前記非導電性層、前記第1電極部および前記第2電極部が第1両面電極部を形成し、前記物品は、前記第1両面電極部に隣接する第2両面電極部をさらに含んで成る、請求項12~17のいずれか1項に記載の物品。
【請求項19】
前記第1両面電極部は、前記導電固体材料領域により前記第2両面電極部に電気的に接続する、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記キャビティは、前記第1両面電極部および前記第2両面電極部を通って、各前記非導電性層の前記第1面および前記第2面に直交する方向に延在する、請求項18または19に記載の物品。
【請求項21】
前記導通固体材料領域は、前記第1両面電極部および前記第2両面電極部を通って、各非導電性層の前記第1面および前記第2面に直交する方向に延在する、請求項18~20のいずれか1項に記載の物品。
【請求項22】
前記キャビティが第1キャビティであり、前記物品がさらに第2キャビティを含んで成る、請求項13~21のいずれか1項に記載の物品。
【請求項23】
前記導電固体材料領域は第1導電固体材料領域であり、前記物品が第2導電固体材料領域をさらに含んで成る、請求項12~22のいずれか1項に記載の物品。
【請求項24】
前記物品は、第1面と、該第1面の反対側の第2面とを備え、前記キャビティは前記第1面から前記第2面へ延在する、請求項13~23のいずれか1項に記載の物品。
【請求項25】
前記物品は、第1面と該第1面の反対側の第2面とを含んでなり、前記導電固体材料領域が前記第1面から前記第2面へ延在する、請求項13~24のいずれか1項に記載の物品。
【請求項26】
前記物品は、電気化学デバイスの一部である、請求項12~25のいずれか1項に記載の物品。
【請求項27】
前記物品は、前記電気化学デバイスの導電端子に電気的に接続している、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
前記第1電極部および前記第2電極部は、電極活物質としてリチウムおよび/またはリチウム金属合金を含んで成る、請求項12~27のいずれか1項に記載の物品。
【請求項29】
前記非導電性層は離型層を含んで成る、請求項12~28のいずれか1項に記載の物品。
【請求項30】
前記第1電極部または前記第2電極部の一部が第3電極部により被覆されており、該第3電極部が前記第1電極部および前記第2電極部の前記極性と反対の極性を有する、請求項12~29のいずれか1項に記載の物品。
【請求項31】
前記第1両面電極部の一部と前記第2両面電極部の一部との間に配置された第3電極部をさらに含んで成り、該第3電極部は前記第1両面電極部の電極部および前記第2電極部の電極部の前記極性と異なる極性を有する、請求項18~30のいずれか1項に記載の物品。
【請求項32】
前記第1電極部および/または前記第2電極部を有する電気化学的通信における液体電解質をさらに含んで成る、請求項12~31のいずれか1項に記載の物品。
【請求項33】
前記物品は請求項12~32のいずれか1項に記載の物品である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
請求項12~32のいずれか1項に記載の物品を含んで成る電気化学デバイスを充電することおよび/または放電することを含んで成る、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年5月22日に出願された「電気的に接続された電極、ならびに関連する物品および方法」と題する米国仮出願第62/851,162号に基づく優先権を米国特許法第119条(e)の下で主張する。上記仮出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
電気化学デバイス内の電極部電気的に接続するための方法、ならびに関連する物品およびシステムが広く記載されている。
【背景技術】
【0003】
電気化学セルは、通常、電気化学反応に関与して電流を生じる電極活物質を含んで成る電極を含む。電池などの典型的な電気化学デバイスは、電気化学デバイスの電極を外部回路に電気的に接続するために使用できる端子を含む。本開示の特定の実施形態は、電気化学セルの電極を接続するための本発明の方法、システム、および物品を対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サマリー
電気化学デバイス内の電極部を電気的に接続するための方法、ならびに関連する物品およびシステムが広く説明されている。いくつかの場合では、非導電性層(電気的に非伝導層または電気的に非導通層または非導電性層または電気絶縁性層;electrically non-conductive layer)が、接続される複数の電極部の間にある。いくつかの場合では、この方法は、非導電性層によって以前に分離された電極部間の電気的接続を確立するために物品を貫通することを含む。本発明の主題は、いくつかの場合では、相互に関連する製品、特定の問題に対する代替の解決策、および/または1もしくは複数のシステムおよび/または物品の複数の異なる使用を含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、方法が記載されている。いくつかの実施形態では、この方法は、第1面および第2面を含む非導電性層、非導電性層の第1面に隣接する第1電極部、および非導電性層の第2面に隣接する第2電極を含む物品の一部を貫通すること、を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、第1電極部と第2電極部との間の電気的接続が確立されるように実行される。
【0006】
別の態様では、物品が記載されている。いくつかの実施形態では、物品は、第1面および第2面を含む非導電性層を含む。いくつかの実施形態では、物品は、非導電性層の第1面に隣接する第1電極部を含み、第1電極部は極性を有する。いくつかの実施形態では、物品は、非導電性層の第2面に隣接する第2電極部を含み、第2電極部は、第1電極部の極性と同じ極性を有する。いくつかの実施形態では、第1電極部は、第1電極部から非導電性層を通って第2電極部まで延在する導電固体材料領域によって第2電極部に電気的に接続される。
【0007】
本発明の他の利点および新規の特徴は、添付の図と併せて検討した場合、本発明の様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本明細書および参照により組み込まれる文書に矛盾するおよび/または一貫性のない開示が含まれる場合、本明細書が優先するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
本発明の非限定的な実施形態は、例示として、概略的であり、縮尺通りに描かれることを意図されていない添付の図を参照して説明される。図では、図示されている各同一またはほぼ同一の構成要素は、通常、単一の数字で表されている。明確にするために、すべての構成要素がすべての図でラベル付けされているわけではなく、また、当業者が本発明を理解できるようにするために図解が必要でない場合、本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されているわけではない。
図1A図1Aは、特定の実施形態に係る、複数の電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図1B図1Bは、特定の実施形態に係る、貫通されている図1Aの物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図2図2は、特定の実施形態に係る、複数の電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図3図3は、特定の実施形態に係る、キャビティを含む複数の電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図4A図4Aは、特定の実施形態に係る、複数の電極部および導電性端子を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図4B図4Bは、特定の実施形態に係る、複数の電極部と貫通されている導電性端子とを含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図4C図4Cは、特定の実施形態に係る、複数の電極部および導電性端子を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図4D図4Dは、特定の実施形態に係る、複数の電極部および導電性端子を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図5A図5Aは、特定の実施形態に係る、複数の両面電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図5B図5Bは、特定の実施形態に係る、複数の両面電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図5C図5Cは、特定の実施形態に係る、複数の両面電極部および導電性端子を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図6A図6Aは、特定の実施形態に係る、複数の両面電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図6B図6Bは、特定の実施形態に係る、複数の両面電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図7A図7Aは、特定の実施形態に係る、複数の両面電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図7B図7Bは、特定の実施形態に係る、複数の両面電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図8図8は、特定の実施形態に係る、複数の電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図9A図9Aは、特定の実施形態に係る、複数の電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図9B図9Bは、特定の実施形態に係る、複数の両面電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図10A図10Aは、特定の実施形態に係る、電極部および非導電性層の断面図を示す例示的な概略図である。
図10B図10Bは、特定の実施形態に係る、複数の電極部を含んで成る物品の断面図を示す例示的な概略図である。
図11A図11Aは、特定の実施形態に係る、電極および電気化学デバイスのセパレータの上面図を示す例示的な概略図である。
図11B図11Bは、特定の実施形態による、アノードおよびアノード拡張部、ならびにカソードおよびカソード集電体拡張部を含んで成る電気化学デバイスを示す例示的な概略図である。
図11C図11Cは、特定の実施形態に係る、図11Bの電気化学デバイスの断面図の例示的な概略図である。
図11D図11Dは、特定の実施形態に係る、図11Bの電気化学デバイスの断面図の例示的な概略図である。
図11E図11Eは、特定の実施形態に係る、図11Bの電気化学デバイスの断面図の例示的な概略図である。
図11F図11Fは、特定の実施形態に係る、図11Bの電気化学デバイスの断面図の例示的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
電気化学デバイス内の電極部を電気的に接続するための方法、ならびに関連する物品およびシステムが広く記載されている。いくつかの方法は、1または複数の非導電性層によって分離された物品内の複数の電極部を電気的に接続するために、電気化学デバイス(例えば、電池)の一部である物品を貫通することを含んで成り、その結果、複数の電極部と導電性端子との間の電気接続を達成することができる。非限定的な例として、いくつかの場合では、電池スタックのアノード端子は、その電池スタックからのアノード部(例えば、蒸着されたリチウム層部)を含んで成る拡張部(または延在部または延長部;extension)に接続され、非導電性層(例えば、離型層(または剥離層;release layer))がこれらのアノード部の間に挿入され、アノード拡張部内のアノード部は、少なくとも部分的にスタックの少なくとも一部を貫通するために、アノード端子と良好な電気的接触を有する。いくつかの場合では、方法は、物品内の電極部間の電気的接触が確立されるように、物品をピンで突き刺すこと(例えば、物品を圧着すること)によって物品を貫通することを含んで成る。いくつかの場合では、導電材料領域(例えば、リチウムまたはリチウム合金などの電極活物質を含んで成る)および/またはキャビティが、電気的接続を確立するために特定の電極部から非導電性層(例えば、離型層)を通って他の電極部に延在する。
【0010】
電気化学デバイスの電極と端子との間の効率的な電荷輸送を確立することは、サイクリング中のその電気化学デバイスの性能にとって重要であり得る。ただし、いくつかの電極構成では、電極の一部から端子に電荷を輸送するのが困難になる場合がある。例えば、いくつかの場合では、非導電性層が電極部を分離するとき、ある電極部から別の電極部への電荷の輸送は、容易な導電経路の欠如のために困難であり、それによって電気化学のデバイスと電極(例:アノード)の端子との間に高い抵抗を生じさせる。1つの非限定的な例として、いくつかの電気化学デバイスは、離型層によって分離された2つの蒸着リチウム層を含むアノードなどの「サンドイッチ」タイプの両面電極のスタックを使用し得る。離型層の存在は、サンドイッチ電極内のあるアノードから別のアノードに電流が流れる能力を制限し、端子と直接接触していないアノードから電流を収集することを困難にする可能性がある。電極の非導電性層を除去することを試みることはできるが、そのようなプロセスは困難で費用がかかる可能性がある。非導電性層によって分離された電極間の電気通信(electrical communication)を確立するための単純で安価なプロセスが望ましいであろう。本明細書に記載の方法は、いくつかの場合では、そのようなプロセスを提供する。予期せぬことに、電極部および非導電性層を含んで成る物品を貫通すること(例えば、ピンで物品を貫通することによって)は、非導電性層によって分離された場合でさえ、電極部間の電気的接続を確立できることが見出された。いくつかの場合では、物品を貫通するステップは、第1電極部から非導電性層を通って別の電極部(例えば、第1電極部と同じ極性を有する)に延在する導電固体材料領域を形成し、それによって電気的接続を確立する。いくつかの場合では、物品を貫通するために使用される物体は、(例えば、高い周囲長対断面積比を有するピン形状/形状(geometries/shapes)の使用を介して)層間の効率的な電気的接続を提供するように構成することができる。本明細書に記載の方法および物品は、必ずしもすべてではないが、いくつかの場合において、非導電性層を除去する必要性を回避し、それにより、電気化学デバイスの適切な性能を維持しながら、製造効率を高め、コストを下げることができる。
【0011】
一態様では、特定の物品内の2つ以上の電極部間の電気的接続を確立することに関連する方法が広く記載されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、この方法は、物品の一部を貫通することを含んで成る。図1Aは、例示的な物品100の断面概略図である。いくつかの実施形態では、貫通時に、物品の2つ以上の部品間の電気的接続を確立することができる。上記のように、特定の実施形態では、貫通される物品は、電気化学デバイス(例えば、電池)の一部である。例えば、特定の実施形態では、物品100は、電気化学デバイスの一部である(例えば、電気化学デバイスを通過する電流が外部電気部品に向けられる電気化学デバイスの端子(例えば、電池のサイクリング中))。
【0013】
いくつかの実施形態では、貫通される物品は、非導電性層によって分離された第1電極部および第2電極部を含んで成る。例えば、図1Aは、第1電極部110と第2電極部120との間に非導電性層130を含んで成る物品100を示している。非導電性層130は、第1面131および第2面132を含んで成る。特定の実施形態によれば、第1電極部110は第1面131に隣接し、第2電極部120は第2面132に隣接する。いくつかの場合では、物品の2つ以上の電極部(例えば、第1電極部110および第2電極部120)のそれぞれは同じ極性を有する(例えば、第1および第2電極部の両方がアノード部であるか、または第1および第2電極部の両方がカソード部である)。物品が電気化学デバイスの一部である場合には、共通の電気部品(例えば、電池の端子)から2以上の電極部(例えば、第1電極部110および第2電極部120)から電流を収集することが望ましい場合がある。特定のそのような場合において、2以上の電極部が接続されていない場合と比較してより低い抵抗で、電流が共通の電気部品と2以上の電極部との間を流れることができるように、2以上の電極部は電気的に接続される。
【0014】
特定の実施形態では、物品の一部を貫通することは、第1電極部と第2電極部との間の電気的接続が確立されるように実行される。物品を貫通することによって第1電極部と第2電極部との間に電気的接続を確立することは、特定の場合では、複雑で高価な製造プロセスを使用しないで非導電性層により電気的に分離されている電極部(例えば、電池端子内の)を電気的に接続するための単純で安価なプロセスを提供し得る。物品を貫通することにより、第1電極部と第2電極部との間に電気的接続を確立することができる方法の非限定的な例を、以下でより詳細に説明する。
【0015】
いくつかの実施形態では、物品を貫通するステップは、固体物体で物品を突き刺すことを含んで成る。固体物体は、物品を貫通することができる様々な適切な物体のいずれかから選択し得る。物品を貫通するために使用することができる例示的な固体物体としては、これらに限定されないが、ピン、パンチ、リベット、ファスナー(例えば、ねじ付きファスナー)、ブレード、ティース(teeth)、針、およびそれらの組み合わせが挙げられる。非限定的な例として、図1Bは、特定の実施形態に係る、ピン160によって貫通された物品100の断面概略図を示す。図1Bでは、特定の実施形態によれば、物品100の第1面101を突き刺し、第1電極部110、非導電性層130の第1面131、非導電性層130の第2面132、第2電極部120の少なくとも一部を進行することによってピン160は物品100を貫通する。
【0016】
いくつかの実施形態では、(例えば、ピンなどの固体物体を用いて)物品を貫通することは、物品を通して部分的に固体物体を駆動することを含んで成る。図1Bは、ピン160が物品100の第1面101を貫通し、第2側面102まで完全に到達したことを示すことを説明しているので、いくつかの場合では、ピン160は、第1面101、第1電極部110、非導電性層130、および第2電極部120を突き刺すことによって物品100を貫通し得るが、第2面102まで完全には到達しないことを理解されたい。固体物体が物品を完全に通過しないように物品を貫通することは、物品の第2面での特定の望ましくない特徴の形成を回避し得るので、必ずしもすべての場合ではないが特定の場合に有益であり得る。例えば、いくつかの場合では、物品全体を貫通すると、バリが形成される可能性があり、これは、特定のタイプの電池などの特定の用途では望ましくない場合がある。
【0017】
(例えば、貫通することによって)物品を貫通するために使用される固体物体は、本明細書に記載の貫通ステップを実行するための様々な適切な構成のいずれかを有し得る。例えば、固体物体(例えば、ピン160)は、固体材料を含み、物品を損傷することなく(例えば、電気化学デバイスの一部であるなど物品をその意図するものにもはや適さないようにすることなく)物品を突き刺するのに適した寸法(例えば、アスペクト比)を有し得る。特定の実施形態では、物品を貫通することは、物品に対して固体物体(例えば、ピン)を配向すること、固体物体に方向性力(directional force)を印加することによって固体物体を物品に駆動させることを含む。再び図1Bを参照すると、物品100を貫通することは、ピン160が物品100を突き刺すように、矢印161によって示される方向にピン160に力を印加することを含んで成ってもよい。いくつかの場合では、物品を貫通することは、固体物体に物品を貫通させるための方向性力に加え、他の力を使用することも含んで成る。例えば、いくつかの場合では、回転力が方向性力を伴って生じる。別の例として、いくつかの場合では、固体物品が物品を貫通するときに、振動が方向性力を伴って生じる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、固体物体を除去することを含んで成る。例えば、(例えば、第1電極部110と第2電極部120との間の電気的接続を確立するために)ピン160が例示的な物品100を貫通した場合、特定の実施形態によれば、ピン160はその後、物品100から除去され得る。いくつかの実施形態では、固体物体(例えば、ピン)を使用して、ばね荷重機構を使用して物品を貫通し、次に、ばね荷重機構を使用して、貫通ステップに続いて物品から固体物体を引っ込める。いくつかの場合では、固体物体の除去中にスクレーパーが使用される。そのようなスクレーパーの使用は、特に固体物体が物品および/または導電性端子の部品に付着するようになる特定の場合に、物品から(任意で、物品に結合された導電性端子から)固体物体を除去するのを助け得る。物品を貫通するために使用される固体物体(例えば、ピン)が物品から除去された後でさえ、貫通ステップ中に確立された第1電極部と第2電極部との間の電気的接続は残り得る。このような方法で、電気化学デバイスは、特定の実施形態に従って、固体物体の除去に続いてサイクル(cycled)させることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、物品を貫通することにより、物品内に導電固体材料領域が形成される。例えば、図2を参照すると、物品100を貫通するステップは、物品100内に導電固体材料領域140を形成し得る。特定の場合では、導電固体材料領域は、第1電極部から非導電性層を通って第2電極部まで延在する。
【0020】
領域(例えば、導電固体材料領域)が物品の部品(例えば、第2電極部)まで延在する場合、その領域はその部品を越えて延在し得る(例えば、部品を通過して延在すること、部品の遠位にある物品のさらに別の領域に延在すること)、またはその領域はそれが延在する部品で終端し得ることを理解されたい。例えば、再び図2を参照すると、導電固体材料領域140は、第1電極部110から非導電性層130を通って第2電極部120まで延在する。特定の実施形態では、導電固体材料領域140は、図2に示されるところで停止し、一方、特定の他の実施形態では、導電固体材料領域140は、第2電極部120を越えて、図示されていない物品100のさらに別の領域まで延在する。
【0021】
いくつかの実施形態では、導電固体材料領域は、第1電極部と第2電極部とを電気的に接続する。例えば、再び図2を参照すると、導電固体材料領域140は、第1電極部110と第2電極部120とを電気的に接続する。換言すれば、電流は、第1電極部から導電固体材料領域を通って第2電極部に流れ得る。特定の場合において、導電固体材料領域の存在は、ある電極部(例えば、第1電極部)から別の電極部(例えば、第2電極部)への電流の流れを可能にし、そうでなければ、例えば、2つの電極部の間に非導電性層を配置するために不可能となる。特定の場合において、導電固体材料領域の存在は、導電固体材料領域がない場合に存在する場合よりも低い抵抗で、ある電極部から別の電極部への電流の流れを可能にする。そのような方法で、第1電極部と第2電極部との間に(例えば、固体導電性材料領域を介して)電気的接続を確立することは、物品を含んで成る電気化学デバイスの性能を改善し得る。例えば、物品が電池端子の一部である場合、第1電極部と第2電極部との間の抵抗を低減することにより、電流をより効率的に電池から収集または電池に注入することができる(例えば、電池のサイクル中)。
【0022】
導電固体材料は、任意の適切な導電性材料を含み得る。いくつかの場合では、導電性固体材料は、金属、金属合金、および/または導電性複合材料であるか、またはそれらを含んで成る。以下でより詳細に説明するように、いくつかの場合では、導電固体材料領域の導電性固体材料は、電極活物質のような第1電極部および第2電極部も含んで成る材料を含んで成る。
【0023】
いくつかの実施形態では、物品を貫通すると、物品にキャビティが形成される。例えば、固体物体が物品を貫通するように固体物体(例えば、ピン)で物品を突き刺し、次に固体物体を除去すると、固体物品が進行した空間において物品におけるキャビティが存在し得る。いくつかの実施形態では、キャビティは、第1電極部から非導電性層を通って第2電極部まで延在する。図3を参照すると、物品100は、第1電極部110から非導電性層130を通って第2電極部120まで延在するキャビティ150を含んで成る。本明細書に記載の特定の方法は、物品100をピン160で突き刺して第1電極部110と第2電極部120との間の電気的接続を確立することによって物品100を貫通すること、ならびにピン160を除去することを含んで成り、それによってキャビティ150を含んで成る物品100をもたらす。1つの非限定的な実施形態は、物品を圧着することを含んで成り、圧着は、物品の第1電極部と第2電極部との間の電気的接続をもたらす(例えば、改善された性能を有する電気化学デバイスの端子への接続に物品を使用することができるように)。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1電極部は電極活物質を含んで成り、第2電極部は同じ電極活物質を含んで成る。例えば、いくつかの実施形態では、第1電極部110および第2電極部120はそれぞれ、同じ電極活物質を含んで成る。本明細書で使用される場合、「電極活物質」という用語は、電極に関連する任意の電気化学的に活性な種を指す。例えば、「カソード活物質」は、カソードに関連する任意の電気化学的に活性な種を指し、「アノード活物質」は、アノードに関連する任意の電気化学的に活性な種を指す。いくつかの実施形態では、第1電極部および第2電極部は、電極活物質としてリチウムおよび/またはリチウム金属合金を含んで成る。第1電極部および第2電極部は、特定の実施形態によれば、リチウム金属および/またはリチウム金属合金を、電気化学セルの充電および/または放電プロセスの少なくとも一部またはすべての間の電極活物質として含んで成ることができる。リチウムおよび/またはリチウム金属合金は、例えば、アノード活物質であり得る。適切なカソード活物質およびアノード活物質は、以下でより完全に説明される。
【0025】
いくつかの実施形態では、導電固体材料領域はまた、第1電極部および第2電極部に存在する電極活物質を含んで成る。例えば、再び図2を参照すると、いくつかの場合では、第1電極部110は、アノード活物質(例えば、リチウムまたはリチウム合金)を含んで成り、第2電極部120は、同じアノード活物質を含んで成り、第1電極部110から非導電性層130を通り第2電極部120に延在する導電固体材料領域140は、第1電極部110および第2電極部120と同じアノード活物質を含んで成る。物品を貫通するステップは、電極活物質の一部が第1電極部から非導電性層を通って第2電極部まで延在する導電固体材料領域の少なくとも一部を形成するように第1電極部および/または第2電極部の電極活物質の一部を移動させて、それによって第1電極部と第2電極部とを電気的に接続できることが観察されている。1つの非限定的な例として、第1電極部110および第2電極部120はそれぞれ、電極活物質としてリチウムおよび/またはリチウム合金を含んで成ることができ、(例えば、ピン160で)物品100を貫通することは、第1電極部110および/または第2電極部120のリチウムおよび/またはリチウム合金の一部は、リチウムおよび/またはリチウム合金を含んで成る導電固体材料領域が第1電極部110および第2電極部120を電気的に接続するように、非導電性層130の突き刺した部分を横切って移動する。
【0026】
いくつかの実施形態では、導電性固体材料の少なくとも一部は、キャビティの壁に沿って配置される。キャビティの壁は、キャビティとキャビティを取り囲む物品の固体部分との間の界面を占める。再び図3を参照すると、特定の実施形態によれば、(例えば、物品100を貫通することによって形成される)物品100のキャビティ150は、壁151を備える。特定の実施形態によれば、壁151は、キャビティ150と第1電極部110との界面、キャビティ150と非導電性層130との界面、およびキャビティ150と第2電極部120との界面に沿って形成される。図3に示されるように、任意の導電固体材料領域140は、特定の実施形態によれば、壁151に沿って配置される。いくつかの場合では、キャビティの壁に沿って配置された導電固体材料領域の部分は、物品が貫通されるときに(例えば、ピンのような固体物体で貫通されることによって)作製され、第1電極部および/または第2電極部からの電極活物質の一部(例えば、リチウムまたはリチウム合金)は、貫通する固体物体(例えば、ピン)の進行方向に沿って移動し、貫通する物体がその後物品から除去されると、電極活物質の一部は、結果として生じるキャビティの壁に沿って配置されたままとなる。いくつかの場合では、キャビティの壁に沿った導電性固体材料の一部は、第1電極部から非導電性層を通って第2電極部に延在し、それによって第1電極部と第2電極とを電気的に接続する。いくつかの場合では、物品を貫通してキャビティの壁に沿って配置された導電性固体材料を形成することにより、電極部を電気的に接続するための容易で比較的安価な技術が提供される(これは、電気化学デバイスの端子に接続することができる)。
【0027】
本明細書に記載の特定の方法は、キャビティの少なくとも一部を導電性材料で充填することをさらに含んで成る。(例えば、物品を貫通することによるキャビティの形成に続いて)キャビティの少なくとも一部を導電性材料で充填すると、第1電極部から非導電性層を通って第2電極部に延在する比較的大きな導電固体材料領域を形成することができる。キャビティの少なくとも一部を導電性材料で満たすことはまた、第1電極部、第2電極部、および導電固体材料領域の間の接触面積を改善(例えば、増加)させ、それにより、第1電極部と第2電極部との間の電気接続を改善し得る。そのような比較的大きな導電性固体材料の存在は、電流が第1電極部から第2電極部に、およびその逆に流れることができる比較的低抵抗の媒体を提供し得る。例えば、貫通物品100は、図3に示されるように、最初にキャビティ150を形成し得、そしてキャビティ150の少なくとも一部は、その後、(例えば、コーティング、堆積などを介して)導電性固体材料で充填され得る。いくつかの実施形態では、キャビティの少なくとも一部を充填することは、図2に示されるように、キャビティのすべてまたは実質的にすべてを充填することを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、キャビティの体積の比較的大きなパーセンテージが導電性材料で充填されている。いくつかの実施形態では、少なくとも10体積パーセント(10vol%)、少なくとも25vol%、少なくとも50vol%、少なくとも75vol%、少なくとも90vol%、少なくとも95vol%、少なくとも99vol%、またはキャビティの最大100vol%が導電性材料で充填されている。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、キャビティの少なくとも10vol%および最大100vol%が導電性材料で充填されるようにキャビティを充填することを含んで成る。
【0029】
いくつかの場合には、キャビティは導電性固体材料で満たされている。必ずしもすべてではないが、いくつかの場合において、導電性固体材料は、第1電極部および/または第2電極部の電極活物質とは異なる材料である。キャビティを充填するために使用される材料は、特定の実施形態によれば、金属、金属合金、導電性複合材料、導電性ポリマー、および/またはそれらの組み合わせを含み得る。キャビティを充填するために使用することができる例示的な材料には、これらに限定されないが、銅、アルミニウム、およびリチウムが含まれ得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、物品を貫通することは、物品が他の方法で製造され、電気化学セルに組み込まれた後に実行される。例えば、いくつかの場合には、物品は、電気化学デバイスの導電性端子に電気的に接続され、物品を貫通するステップは、物品が導電性端子に接続された後に実行される。図4Aを参照すると、特定の実施形態によれば、物品100は、導電性端子170に電気的に接続されている。いくつかの場合には、物品100が導電性端子170に接続された後、特定の実施形態によれば、物品100と導電性端子170の両方を含む組み合わされた物品は、本明細書に記載の方法(例えば、ピン160)に従って貫通される。いくつかのそのような場合、図4Bに示されるように、物品100を貫通することはまた、導電性端子170を突き刺すこと含み得る。いくつかの実施形態は、物品および導電性端子を含む組み合わされた物品を貫通するために使用される物体を除去し、それにより、導電性端子の一部から第1電極部を通って非導電性層を通って第2電極部に延在するキャビティを残すことを含み得る。例えば、図4Cは、特定の実施形態によれば、導電性端子170から第1電極部110を通って非導電性層130を通って第2電極部120に延在するキャビティ150を示す。いくつかの場合には、導電性端子から第1電極部を通って非導電性層を通って第2電極部に及ぶキャビティは、導電性材料で満たされる(例えば、第1電極部、第2電極部、および導電性端子の電気的接続が向上する)。例えば、図4Dを参照すると、導電固体材料領域140は、導電性端子170から第1電極部110を通って非導電性層130を通って第2電極部120に延在する。
【0031】
別の態様では、物品は広く説明されている。いくつかの場合では、上記のように、物品は電気化学セルの一部である。特定の場合では、物品は、電気化学セルの導電性端子(例えば、電池端子)とその中の電極部との間に電気的接続を形成するのに有用であり得る。上記のように、図1Aは、例示的な物品100の断面概略図を示している。
【0032】
本明細書に記載の物品は、複数の電極部を含み得る。上記のように、物品は、第1電極部および第2電極部を含み得る。いくつかの場合では、非導電性層は第1電極部と第2電極部との間に配置され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、非導電性層は、第1面(または第1側または第1側面または第1側部;first side)および第2面(または第2側または第2側面または第2側部;second side)を有する。いくつかの実施形態では、物品は、非導電性層の第1面に隣接する第1電極部を含んで成る。特定の場合では、物品は、非導電性層の第2面に隣接する第2電極部を含んで成る。例えば、再び図1Aを参照すると、特定の実施形態によれば、非導電性層130は第1面131を含んで成り、物品100は第1面131に隣接する第1電極部110を含んで成る。同様に、いくつかの場合には、物品100は、非導電性層130の第2面132に隣接する第2電極部120を含んで成る。
【0034】
第1電極部および第2電極部は、非導電性層上に直接配置され得る(例えば、一方または両方は、堆積またはコーティングプロセスを介して形成され得る)。例えば、図1Aでは、第1電極部110は、非導電性層130上に直接あり、第2電極部120は、非導電性層130上に直接ある。電極部と非導電性層との間の直接接触は必要とされないが、いくつかの実施形態では、非導電性層と隣接する電極部との間に1または複数の介在層(例えば、固体層)が存在する。例えば、図1Aでは、介在層は、第1電極部110と非導電性層130との間、および/または第2電極部120と非導電性層130との間にあり得る。非導電性層の第1面に隣接する第1電極部は、非導電性層の第1面から比較的短い距離内にあってもよい。例えば、第1電極部は、非導電性層(例えば、非導電性層の第1面)の5.0mm以内、1.0mm以内、500マイクロメートル以内、100マイクロメートル以内、50マイクロメートル以内、10マイクロメートル以内、またはそれ未満であり得る。いくつかの実施形態では、第1電極部は、非導電性層の第1面に直接隣接している。同様に、非導電性層の第2面に隣接する第2電極部は、非導電性層の第2面から比較的短い距離内にあってもよい。例えば、第2電極部は、非導電性層の第2面の5.0mm以内、1.0mm以内、500マイクロメートル以内、100マイクロメートル以内、50マイクロメートル以内、10マイクロメートル以内、またはそれ未満であり得る。いくつかの実施形態では、第2電極部は、非導電性層の第2面に直接隣接している。
【0035】
上記のように、いくつかの場合には、非導電性層は、離型層であるか、または離型層を含んで成る。離型層の例示的な材料および特性の詳細は、以下により詳細に記載されている。離型層は、ポリマー材料を含んで成り得、離型層は、本明細書に記載の物品および/または電気化学デバイスの1または複数の部品の製造ステップの一部として使用することができる。例えば、いくつかの場合では、電極材料を基板(例えば、特定の物品および/または電気化学デバイスの特定の部品が製造中に形成される固体表面として使用されるが、必ずしも完成した物品または電気化学デバイスに含まれるとは限らない基板)上の離型層上に堆積またはコーティングすることによって、電気化学デバイスで使用される電極部を形成し、その後、離型層を使用して、堆積またはコーティングされた電極部を基板(例えば、バッテリーなどの電気化学デバイスに組み込むことができる)から分離することが便利である。1つの非限定的な例として、アノード活物質としてリチウムおよび/またはリチウム合金を含んで成るアノードは、基板上にある離型層上にリチウムを蒸着し、続いて離型層(結果として生じる、蒸着したリチウムまたはリチウム合金の層)を分離することによって形成され得る。基板からの蒸着リチウムまたはリチウム合金)。そのようなアノードの一例は、2008年1月17日に公開され、2007年7月23日に出願番号11/781,915として出願され、2014年6月17日に米国特許第8,753,771号として特許を取得し、および「電気化学セル用のリチウムアノード」と題された米国特許公開第2008/0014501号に記載されており、これは、参照によりその全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0036】
図10Aは、隣接する電極部110(例えば、リチウムおよび/またはリチウム合金を含んで成る)を有する非導電性層130(例えば、離型層を含んで成る)を含んで成る多層構造の例示的な図である。いくつかの場合では、電気化学デバイスで使用するための電極は、図10Bに示されるように組み合わされた2つの多層構造を含み得る。そのような両面電極部-第1面および第2面、第1面に隣接する第1電極部、および第2面に隣接する第2電極部を有する非導電性層(それ自体は2つの離型層を含み得る)を含んで成る-は、電池のような電気化学デバイスに高エネルギー密度の電極を提供し得る。第1電極部と第2電極部との間に非導電性層(例えば、離型層)が存在するため、本明細書に記載の方法は、第1電極部と第2電極部との間の電気的接続を確立するために有用であり得、これは、そのような物品を含んで成る電気化学デバイスから電流を収集するとき、または電流を注入するとき(例えば、電気化学デバイスの放電の間および/または充電の間)の抵抗を低減することができる。上記のように、本明細書に記載の方法(例えば、物品を貫通することを含む)は、第1電極部から非導電性層を通って第2電極部に延在する導電固体材料領域によって第1電極部が第2電極部に電気的に接続される物品をもたらし得る。
【0037】
本明細書に記載の電極部間の電気的接続を確立する方法は、電極部が電気化学セルに組み込まれるときに、離型層のような非導電性層が電極部に付着したままでありながら、電気化学セルの電極に出入りする比較的効率的な電荷輸送(例えば、電流)を可能にし得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、非導電性層は、比較的低い導電率を有する。例えば、いくつかの実施形態では、非導電性層は、10-2S/cm以下、10-3S/cm以下、10-4S/cm以下の導電率を有する。例えば、いくつかの場合では、離型層は、2.5×10-3S/cm以上および3×10-3S/cm以下の導電率を有する。
【0039】
上記のように、いくつかの実施形態では、第1電極部は極性を有する。例えば、いくつかの場合では、第1電極部はアノードの一部である。いくつかの実施形態では、第2電極部は、第1電極部の極性と同じ極性を有する。例えば、いくつかのいくつかの場合では、第2電極部もアノード部である。特定の実施形態によれば、図1Aを参照すると、第1電極部110は極性を有し、第2電極部120は、第1電極部110の極性と同じ極性を有する。いくつかの場合では、第1電極部と第2電極部は同じ極性を有し、第1電極部と第2電極部は同じ電極活物質を含んで成る(例えば、第1電極部110は、アノード活物質としてのリチウムおよび/またはリチウム合金を含んで成るアノード部であり、第2電極部120はまた、アノード活物質としてのリチウムおよび/またはリチウム合金を含んで成るアノード部である)。いくつかの実施形態では、第1電極部および第2電極部は、それぞれカソード部である。
【0040】
本明細書で使用する場合、「カソード」は、電極活物質が充電中に酸化され、放電中に還元される電極を指し、「アノード」は、電極活物質が充電中に還元され、放電中に酸化される電極を指す。
【0041】
上記のように、いくつかの実施形態では、非導電性層、第1電極部、および第2電極部は、両面電極部を形成する。例えば、特定の実施形態によれば、図1Aに示される物品100は、両面電極部であり得る。両面電極部、または「サンドイッチ電極」部は、これらに限定されないが、積み重ね構成、折り畳み構成、または傷の構成を含む様々な適切な構成のいずれかを有する電気化学デバイス(例えば、電池)の一部であり得る。いくつかの実施形態では、両面電極部は、両面電極部の少なくとも一部を通って延在する導電固体材料領域を含んで成る。特定の実施形態によれば、例えば、図2を参照すると、上記のように、物品100は両面電極部を含んで成り、導電固体材料領域140は、第1電極部110から非導電性層130を通って第1電極部110から第2電極部120へ第2電極部120まで延在し、それによって第1電極部110を第2電極部120に電気的に接続する。特定の実施形態によれば、両面電極部の電極部を電気的に接続することにより、両面電極部の両面間の電気抵抗を低減することができ、それにより、電気化学デバイスのサイクリング中の両面電極部を含んで成る電気化学デバイスの性能を改善する。導電固体材料領域が延在する両面電極部の一部は、特定の実施形態では、電気化学デバイスの導電性端子との電気接続を形成するために使用される両面電極の一部であり得、一方、両面電極部の他の部分は、電気化学反応に参加するために使用され得る(例えば、電気化学デバイスのサイクル中)。
【0042】
いくつかの実施形態では、非導電性層、第1電極部、および第2電極部は、第1両面電極部を形成し、物品は、第1両面電極に隣接する第2両面電極部をさらに含んで成る。例えば、図5Aを参照すると、特定の実施形態によれば、物品100は、第1電極部110、非導電性層130、および第2電極部120を含んで成る第1両面電極部105、ならびに第1電極部210、非導電性層230、および第2電極部220を含んで成る第2両面電極部205を含んで成る。いくつかの実施形態では、第1両面電極部および第2両面電極部は、実質的に平行である。しかしながら、いくつかの場合では、第1両面電極部および第1両面電極部に隣接する第2両面電極部は同心である(例えば、物品が傷の構成を有する電気化学セルの一部である場合である)。物品は、例えば、複数の両面電極部(例えば、積み重ね構成における)を含んで成る電気化学セルの一部である場合に、第1両面電極部と第2両面電極部とのそのような組み合わせを含み得る。
【0043】
いくつかの場合では、第1両面電極部と第2両面電極部の電極部は、それぞれ同じ極性を有する。例えば、特定の場合には、第1両面電極部は、第1アノード部および第2アノード部(例えば、非導電性層のいずれかの面に配置される)を含んで成り、第2両面電極部もまた、第1アノード部および第2アノード部(例えば、異なる非導電性層のいずれかの面に配置される)を含んで成る。いくつかの実施形態では、第1両面電極部の電極部は、第2両面電極部の電極部に直接隣接していてもよい。換言すれば、いくつかの場合では、第1両面電極部の電極部の少なくとも一部と第2両面電極部の電極部の少なくとも一部との間に介在層がない。再び図5Aを参照すると、いくつかの実施形態では、第1両面電極部105の第2電極部120は、第2両面電極部205の第1電極部210に直接隣接している。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1両面電極部は、導電固体材料領域によって第2両面電極部に電気的に接続されている。例えば、図5Aを参照すると、特定の実施形態によれば、第1両面電極部105は、導電固体材料領域140によって第2両面電極部205に電気的に接続されている。換言すれば、いくつかの場合では、電流は、第1両面電極部の部品から、導電固体材料領域の少なくとも一部を通って、第2両面電極部に流れることができる。特定の実施形態によれば、一例として、第1両面電極部105の第1電極部110で生じた電流(例えば、物品100を含んで成る電気化学デバイスの放電中)は、第1電極部110から導電固体材料領域140に流れ、次いで、導電固体材料領域140から第2両面電極部205の第2電極部220へ流れる。このようにして、電流は、物品内の異なる両面電極部(例えば、両面アノード部分)から輸送することができ得、これは、電気化学デバイスの電極を導電性端子に接続するために、物品が少なくとも部分的に使用される場合に有用であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、導電固体材料領域は、各非導電性層の第1面および第2面に垂直な方向に、第1両面電極部および第2両面電極部を通って延在する。物体が別の物体(例えば、側面または表面)に垂直な方向に延在するのに完全な垂直性は必要ではなく、いくつかの場合では、別の物品(例えば、側面または表面)に垂直な方向に延在する物品と、その他の物品(例えば、側面または表面)との間の角度は、90度から最大1度、最大2度、最大5度、または最大10度ずれ得る。再び図5Aを参照すると、導電固体材料領域140は、第1両面電極部105および第2両面電極部205を通って、非導電性層130の第1面131および第2面132、ならびに非導電性層230の第1面231および第2側232に垂直な方向に延在する。いくつかの場合では、本明細書に記載の方法で第1両面電極部および第2両面電極部を通って延在する導電固体材料領域は、本明細書に記載の方法に係る第1両面電極部および第2両面電極部を含んで成る物品を貫通することによって(例えば、ピンのような固体物体で第1両面電極部および第2両面電極部にと突き刺すことによって)形成され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、キャビティは、各非導電性層の第1面および第2面に垂直な方向に、第1両面電極部および第2両面電極部を通って延在する。いくつかの場合では、上記の方法で第1両面電極部および第2両面電極部を通って延在するキャビティは、本明細書に記載の方法に従って形成される。例えば、いくつかの場合では、第1両面電極部および第2両面電極部を含む物品が(例えば、ピンのような固体物体で)貫通され、物品が貫通された後、(例えば、固体物品を除去するステップの後)キャビティが形成される。図5Bは、第1両面電極部105および第2両面電極部205を通って、非導電性層130の第1面131および第2面132、ならびに非導電性層230の第1面231および第2面232に垂直な方向に延在する例示的なキャビティを示す。上記のように、いくつかの場合では、導電性固体材料の少なくとも一部がキャビティの壁に沿って配置される。例えば、再び図5Bを参照すると、特定の実施形態によれば、キャビティ150の壁151の少なくとも一部は、導電固体材料領域140を含んで成る。いくつかのそのような場合において、キャビティの壁に沿って配置された導電固体材料領域の部分は、第1両面電極部から第2両面電極部に延在する。いくつかのそのような場合、キャビティの壁に沿ったその導電固体材料領域は、第1両面電極部(例えば、電極部)の部品を第2両面電極部(例えば、別の電極部)の部品と電気的に接続する。図5Bの導電固体材料領域140は第1電極部110から第2電極部220に及ぶ連続領域として示されるように理解されるべきであり、いくつかの場合では、複数の別個の導電固体材料領域が、キャビティ150の壁151に沿って配置され得る。特定の実施形態によれば、例えば、キャビティ150の壁151に沿って配置された第1導電固体材料領域は、第1両面電極部105の第1電極部110から第2電極部120まで延在し得る一方で、キャビティ150の壁151に沿って配置された第2導電固体材料領域が、第1導電固体材料領域および第2導電固体材料領域が別個である、第2両面電極部205の第1電極部210から第2電極部220まで延在し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法および物品は、本明細書に記載の物品の特定の電極部へのおよびからの電荷の輸送(例えば、電流が流れること)が有用であり得、そうでなければ、電荷の効率的な輸送は困難であろう。いくつかのそのような場合には、物品が導電性端子に電気的に接続されている場合が含まれる。例えば、図5Cを参照すると、特定の実施形態によれば、物品100は、導電性端子170に電気的に接続されている。いくつかの場合では、導電性端子を使用して、電気化学デバイス(例えば、電池)の電極(例えば、リチウムまたはリチウム合金を含んで成るアノード)と、電気化学デバイスの外部回路との間で電荷を輸送するのに有用である。電気化学デバイスで両面電極が使用される特定の場合のようないくつかの場合では、両面電極の特定の電極部(例えば、内部電極部)は、導電性端子および/または両面電極の非導電性層(例えば、離型層)によって導電性端子と接触する導電性固体から分離され得、それにより、それらの特定の電極部から導電性端子への電荷の効率的な輸送を困難にする。再び図5Cを参照すると、特定の実施形態によれば、例えば、第1電極部110および第2電極部220は導電性端子170と直接接触している一方で、よって、導電性端子170へおよびからの電荷を効率的に輸送することができ(例えば、物品を含んで成る電気化学デバイス100のサイクリング中)、第2電極部120および第1電極部210は、導電性端子170と直接接触しておらず、それぞれ、非導電性層130および非導電性層230によって、導電性端子170から分離されている。本明細書に記載の特定の特徴(例えば、例えば、貫通ステップ中に形成される導電固体材料領域)がない場合、導電性端子(例えば、導電性端子170)と、第2電極部120および第1電極部210のような内部電極部との間の効率的な電荷輸送が、物品を含んで成る電気化学デバイス(例えば、電池)の性能に有害な影響を与え得る(例えば、高い電気抵抗のために)。
【0048】
しかしながら、本明細書に記載の物品および方法の特徴が使用される場合には、内部電極部と導電性端子との間の非効率的な電荷輸送が回避される。例えば、上記の方法で第1両面電極部および第2両面電極部を通って延在する導電固体材料領域の存在は、内部電極部と導電性端子との間の効率的な電気的接続を確立し得る。再び図5Cを参照すると、特定の実施形態によれば、導電固体材料領域140は、導電性端子170から、第1電極部110を通って、非導電性層130を通って、第2電極部120を通って、第1電極部210を通って、非導電性層230を通って、第2電極部220に延在する。いくつかのそのような実施形態では、電流は第2電極部120から導電固体材料領域140に流れ得、その電流は導電固体材料領域140から導電性端子170まで導電固体材料領域140に流れ得るため、第2電極部120は、非導電性層130が存在する場合でも導電性端子170に電気的に接続される。必ずしもすべてではないが、いくつかの場合では、導電固体材料領域を含んで成る本明細書に記載の物品は、電気化学デバイスが非導電性層(例えば、離型層)埋め込まれた両面電極のスタックを含む構成を有する場合でさえ、端子から電気化学デバイスへの効率的な電気接続を可能にし得る。
【0049】
上記の実施形態は、第1両面電極部および第2両面電極部を含んで成る物品を指すが、いくつかの場合では、物品が2つを超える両面電極(例えば、実質的に平行で隣接している、または同心で互いに隣接している)を含むことができる。図6A~6Bは、特定の実施形態に係る、第1両面電極部105、第2両面電極部205、および第3両面電極部305を含んで成る例示的な物品100を示す。いくつかの実施形態では、物品は、少なくとも1つの両面電極部、少なくとも2つの両面電極部、少なくとも3つの両面電極部、少なくとも4つの両面電極部、少なくとも5つの両面電極部、少なくとも6つの両面電極部、少なくとも10の両面電極部、および/または最大15の両面電極部、最大20の両面電極部、最大50の両面電極部、最大100の両面電極部、またはそれ以上の両面電極部を含んで成る。これらの範囲の他の組み合わせも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、物品は、1以上100以下の両面電極部を含んで成る。
【0050】
本明細書に記載の導電固体材料領域および/またはキャビティが、本明細書に記載の物品の両面電極部のいくつかを通って延在する程度は、製造プロセスの所望の複雑さを含む多くの要因に依存し得る。いくつかの実施形態では、導電固体材料領域は、物品の各両面電極部を通って延在する。特定の実施形態によれば、例えば、図6Aを参照すると、例示的な物品100は、3つの両面電極部(第1両面電極部105、第2両面電極部205、および第3両面電極部305)を含んで成り、導電固体材料領域140は、3つの両面電極部を含んで成る。導電固体材料領域を物品の各両面電極部を通って延在することが、単一の導電固体材料領域が物品の両面電極部の各電極部を電気的に接続することが望ましい特定の場合に有用であり得る。同様に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のキャビティは、物品の各両面電極部を通って延在する(例えば、物品を貫通する物体が物品全体を通過するように貫通された物品において)。
【0051】
しかしながら、いくつかの実施形態では、導電固体材料領域は、物品の両面電極部のすべてではないが、いくつかを通って延在する。例えば、いくつかの場合では、物品は3つの両面電極部を含み得、導電固体材料領域は、第1両面電極部から第2両面電極部に延在するが、第3両面電極部までは延在しない。特定の実施形態によれば、図6Bは、導電固体材料領域140が第1両面電極部105から第2両面電極部205に延在するが、第3両面電極部305には到達しない、そのような一実施形態を示す。同様に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のキャビティは、物品の両面電極部のすべてではないがいくつかを通って延在する。そのようなキャビティは、例えば、物品のすべてではないが一部を貫通することによって(例えば、ピンなどの固体物体を用いて)形成され得る。導電性の固体材料領域を、物品の両面電極部のすべてではないが一部に延在することが、様々な状況で有用であり得る。例えば、いくつかの場合では、物品全体を貫通すると、電気化学デバイスの端子の一部としての物品の性能に有害である可能性がある物品の表面上に機能が形成される可能性がある。例えば、いくつかの場合では、(例えば、両面電極部のそれぞれを通って延在するキャビティおよび/または導電固体材料領域を形成するために)物品全体を貫通することが、バリを形成することがある。このようなバリを取り除くと、特定の場合では、物品や電気化学デバイスの製造が複雑になり、コストがかかる可能性がある。いくつかの場合では、そのような複雑さとコストが望ましくないかもしれない。しかしながら、他の特定の場合において、物品の性能に有害であるそのようなバリまたは他の機能の除去が実行され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、物品は、複数の導電固体材料領域および/またはキャビティを含んで成る。例えば、いくつかの実施形態では、導電固体材料領域は、第1導電固体材料領域であり、物品は、第2導電固体材料領域を含んで成る。同様に、いくつかの場合では、本明細書に記載のキャビティは第1キャビティであり、物品は第2キャビティを含んで成る。そのような複数の導電固体材料領域および/またはキャビティは、複数の貫通ステップ(例えば、1または複数の固体物体(例えば、連続的または同時にいずれかでのピン)で物品を複数回貫通すること)の結果として形成され得る。上記のように物品の一部を通って延在する複数の導電固体材料領域および/またはキャビティを有することにより、いくつかの場合では、物品内の部品間の電気的接続を改善する(例えば、物品を含んで成る電気化学セル)。図7Aは、特定の実施形態に係る、第1導電固体材料領域140および第2導電固体材料領域141を含んで成る例示的な物品100を示す。同様に、図7Bは、第1キャビティ150および第2キャビティ152を含んで成る例示的な物品100を示す。
【0053】
いくつかの実施形態では、物品は、第1面と、第1面の反対側の第2面とを含んで成る。例えば、図1Bを参照すると、例示的な物品100は、第1面101と、第1面101の反対側の第2面102とを含んで成る。いくつかの場合では、物品の第1面は、物品の第2面と実質的に平行である。いくつかの場合では、第1面および第2面は、非導電性層に実質的に平行である。例えば、再び図1Bを参照すると、物品100の第1面101および第2面102は、非導電性層130の第1面131および第2面132に実質的に平行である。いくつかの実施形態では、実質的に平行である2つの物体(例えば、表面、層、側面など)は、平行から最大1度、最大2度、最大5度、または最大10度の領域を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、物品は、第1面と第1面の反対側の第2面とを含んで成り、導電固体材料領域は、第1面から第2面に延在する。図2を参照すると、例えば、物品100は、物品100の第1面101から物品100の第2面102に延在する導電固体材料領域140を含んで成り、第1面101は第2面102の反対側にある。別の例として、図6Aを参照すると、導電固体材料領域140は、例示的な物品100の第1面101から物品100の第2面102に延在する。同様に、いくつかの場合では、本明細書に記載のキャビティ(例えば、キャビティ150)は、第1面から第2面に延在する。キャビティおよび/または導電固体材料領域は、物品全体が貫通されている場合、物品の第1面から物品の第2面まで延在し得る。例えば、いくつかの場合では、固形物が物品の第1面を突き刺り、物品の内部全体を移動し、物品の第2面から出るように、物品が固形物体(例えば、ピン)で貫通される。上記のように、そのような方法で物品を貫通して、物品の第1面から物品の第2面に延在する導電性の固体材料領域および/またはキャビティの形成をもたらすことは、物品の電極部および/または両面電極部のすべてが、単一の貫通ステップで電気的に接続されることが望ましい。
【0055】
しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の導電固体材料領域および/またはキャビティは、第1面から物品の内部内のある点まで延在するが、物品の第2面まで完全には延在するわけではない。
【0056】
物品が複数の導電固体材料領域および/またはキャビティを含んで成るいくつかの実施形態では、導電固体材料領域および/またはキャビティは、物品の異なる領域を通って延在し得る。いくつかのそのような場合では、導電固体材料領域および/またはキャビティは、物品内の電極部(例えば、両面電極部の内部電極部)からの効率的な電荷輸送を提供するように配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの導電固体材料領域は、物品の第1面から延在するが、第2面には到達せず、少なくとも1つの導電固体材料領域は、物品の第2面から延在するが、第1面には到達するわけではない。同様に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキャビティが物品の第1面から延在するが第2面には到達せず、少なくとも1つのキャビティが物品の第2面から延在するが、第1面には到達しない。例えば、再び図7Aを参照すると、物品100は、特定の実施形態によれば、第1導電固体材料領域140および第2導電固体材料領域141を含んで成る。いくつかの場合では、特定の実施形態によれば、導電固体材料領域140は、物品100の第1面101から延在するが、物品100の第2面102には到達せず、一方で第2導電固体材料領域141は、第2面102から延在するが、第1側面101には到達しない。同様に、例えば、再び図7Bを参照すると、物品100は、特定の実施形態によれば、第1キャビティ150および第2キャビティ152を含んで成る。いくつかの場合では、特定の実施形態によれば、第1キャビティ150は、物品100の第1面101から延在するが、物品100の第2面102には到達せず、一方で第2キャビティ152は、第2面102から延在するが、第1面101には到達しない。少なくとも1つのキャビティおよび/または導電固体材料領域が第1面から延在するが、第2面には延在せず、少なくとも1つのキャビティおよび/または導電固体材料領域が第2面から延在するが第1面には延在しない、そのような構成は、キャビティおよび/または導電性固体材料が物品を完全に延在するときに生じる可能性のある不利な点(例えば、上記のようなバーリングなど)を回避しながら、物品のすべての電極部を電気的に接続することを可能にすることができる。いくつかのそのような構成は、例えば、物品の複数の異なる面から物品を貫通すること(例えば、第1面および第2面から物品を貫通すること)によって達成することができる。
【0057】
いくつかの場合では、物品は、物品を通る拡張部(例えば、第1面から第2面へ、または第2面から第1面へ)が交互になるキャビティおよび/または導電固体材料領域を含んで成る。特定の実施形態によれば、例えば、図8は、例示的な物品100の上面図を示している。図8において、図示された8つの円のそれぞれは、図8の平面に垂直な方向に物品100を通って延在するキャビティおよび/または導電固体材料領域を表す。図8における実線の円は、物品の上部から物品の底部(図示せず)に向かって図8(ただし、物品の底部には達していない)のページに入る方向に延在するキャビティおよび/または導電性の固体材料領域を表し、一方、破線の円は、物品の底部(図示せず)から物品の上部(示されている)に向かって図8(ただし、物品の上部には達していない)の外に出る方向に延在するキャビティおよび/または導電固体材料領域を表す。いくつかの場合では、物品を通って延在するキャビティおよび/または導電固体材料領域のそのような交互パターンは、物品内の電極部におよびからの電流の効率的な輸送を提供し得る(例えば、物品が電気化学セルの端子の一部である場合)。そのような構成は、特定の場合において、図8に示されるように交互に物品を貫通すること(例えば、ピンなどの固体物体を突き刺すこと)によって達成され得る。
【0058】
上記のように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の物品は、電気化学デバイスの一部である。電気化学デバイスは、いくつかの場合では、電気化学セルであるか、またはそれを含み得る。特定の場合において、電気化学デバイスは、複数の電気化学セルを含んで成る。例えば、特定の場合において、電気化学デバイスは、マルチセルリチウムまたはリチウムイオン電池のようなマルチセル電池である。いくつかの場合では、上記の電極部および/または両面電極部は、電気化学デバイスの電極の部分である。特定の場合において、本明細書に記載の物品中の電極の部分および/または両面電極部は、電気化学デバイスの端子(例えば、電池端子)に接続するために使用される電気化学デバイスの電極の拡張部の一部であり得る。以下でより詳細に説明するように、電気化学デバイスは、上記の物品の部品以外の特定の他の部品を含み得る。例えば、電気化学デバイスは、上記の物品に含まれる電極部の極性に対して反対の極性を有する電極、ならびにセパレータ、電解質、および/または集電体を含み得る。いくつかの実施形態では、物品は、電気化学デバイスの導電性端子に電気的に接続されている。例えば、図4Aに戻って参照すると、導電性端子170は、物品100を含んで成る電気化学デバイスの導電性端子であり得る。いくつかの場合では、導電性端子が電池端子である。いくつかの実施形態では、物品に電気的に接続された導電性端子は、アノード端子である。例えば、いくつかの場合では、物品の電極部(例えば、第1電極部、第2電極部)はアノード部であり、物品はアノード端子に電気的に接続されている。本明細書に記載の方法および本明細書に記載の物品の特徴は、必ずしもすべてではないが、いくつかの場合において、電気化学セルの電極から導電性端子への電荷(例えば、電流)の比較的効率的な輸送を可能にし得え、例えば、電気化学デバイスの電極が非導電性層を含んで成る場合でさえ、電極部(例えば、内部電極部)から導電性端子への導電性経路を提供することによる。本開示によって導かれる当業者は、本明細書に記載の物品を電気化学デバイスの導電性端子に電気的に接続するための適切な材料および方法を理解するであろう。例えば、いくつかの場合では、導電性端子は、導電性固体(例えば、金属、金属合金、複合材料、導電性ポリマー、および/またはそれらの組み合わせ)で作られたタブである。適切な導電性固体には、例えば、金属箔(例えば、アルミニウムフォイル)、ポリマーフィルム、金属化ポリマーフィルム(例えば、アルミニウム化ポリエステルフィルムのようなアルミニウム化プラスチックフィルム)、導電性ポリマーフィルム、導電性コーティングを有するポリマーフィルム、導電性金属コーティングを有する導電性ポリマーフィルム、およびその中に分散された導電性粒子を有するポリマーフィルムが含まれ得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、導電性端子は、アルミニウム、銅、クロム、ステンレス鋼、およびニッケルのような1または複数の導電性金属を含む。例えば、導電性端子は、銅金属層を含み得る。任意で、チタンのような別の導電性金属層を銅層上に配置し得る。チタンは、電気活性材料層(例えば、第1電極部)のような別の材料への銅層の接着を促進し得る。他の導電性端子には、例えば、エキスパンド金属、金属メッシュ、金属グリッド、エキスパンド金属グリッド、金属ウール、炭素繊維織物、炭素メッシュ織物、不織布炭素メッシュ、および炭素フェルトが含まれ得る。さらに、導電性端子は電気化学的に不活性であり得る。しかしながら、他の実施形態では、導電性端子は、電気活性材料を含み得る。例えば、導電性端子は、電気活性材料層として(例えば、本明細書に記載されるようなアノードまたはカソードとして)使用される材料を含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、物品は、第1電極部および/または第2電極部と電気化学的に連絡している液体電解質をさらに含んで成る。例えば、物品が電気化学デバイス(例えば、電池スタック)の一部である場合、第1電極部(例えば、第1電極部110)および/または第2電極部(例えば、第2電極部120)と電気化学的に連絡している液体電解質は、電気化学デバイスの充電および/または放電プロセス中の電気化学セルにおける電気化学反応を促進するために存在し得る。液体電解質を含んで成る適切な電解質については、以下でより詳細に説明する。
【0061】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、本明細書に記載の物品を含む電気化学デバイスをサイクルさせることを含む。例えば、いくつかの場合では、本明細書に記載の物品を含んで成る電気化学デバイスは、(例えば、電気化学デバイス内の電気化学セルに電圧を印加する電源または充電器によって)充電され、充電プロセス中に、電流が電源から本明細書に記載の物品の導電性端子および電極部(例えば、両面電極部の一部)を介した電気化学デバイスの特定の電極に流れる。いくつかのそのような場合、電流は、少なくとも部分的に物品の電極部の電気的接続の存在に起因して、(例えば、電気的に非導電性層を通って延在する導電固体材料領域を介して)電極から(例えば、比較的低い抵抗で)電源/充電器に比較的効率的に流れる。同様に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の物品を含む電気化学デバイスは放電され(例えば、電気化学デバイスの電極間の電気化学反応を介して電気を生じさせて)、電流は、少なくとも部分的に上記の導電固体材料領域および/またはキャビティ(例えば、物品を貫通することによって形成される)の存在に起因して電気化学デバイスの電極から導電性端子(例えば、アノード端子)に移送される。
【0062】
いくつかの実施形態は、第1電極部と第2電極部との間の電気的接続が確立されるように物品を貫通すること、次いでその物品を含んで成る電気化学デバイスをサイクルさせることを含み得る。
【0063】
電気化学セルは、様々な適切な構成のいずれかを有し得る。例えば、いくつかの場合では、電気化学デバイスは積み重ね構成を有する。いくつかのそのような積み重ね構成では、電気化学デバイスの部品(例えば、電極、集電体、分離器など)は、層として互いにコーティングまたは堆積され得るか、あるいは、部品は別々に形成され、次いで(例えば、ラミネーションを介して)互いに取り付けられ得る。いくつかの場合では、電気化学デバイスは、電気化学デバイスの部品が中心軸の周りに巻かれ、円筒形の電気化学デバイスを形成するように巻かれる巻き構成を有する。いくつかの実施形態では、電気化学デバイスは、「Z折り」構成または「W折り」構成のような折り畳み構成を有する。いくつかの場合では、電気化学デバイスは「ゼリーロール」プリズム構成を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1電極部または第2電極部の一部は、第3電極部によって被覆されている。例えば、いくつかの場合では、物品は(例えば、電気化学セルを含んで成る)電気化学デバイスの一部であり、電気化学反応は、第1電極部(例えば、アノード部)または第2電極部(例えば、アノード部)の電極活物質と、第3電極部(例えば、カソード部)の電気活性材料とを含んで成るように、電気化学デバイスは、第1電極部または第2電極部のいずれかの一部をカバーする第3電極部を含んで成る。図9Aを参照すると、特定の実施形態によれば、第3電極部190は、第1電極部110の一部を被覆する。いくつかの実施形態では、第3電極部は、第1電極部および第2電極部の極性と反対の極性を有する。例えば、いくつかの場合では、第1電極部および第2電極部はアノード部(例えば、リチウムおよび/またはリチウム合金を含んで成る)であり、第1電極部および/または第2電極部の一部を被覆する第3電極部は、カソード部である。いくつかの場合では、セパレータ部は、第3電極部と第1電極部または第2電極部との間にある。図9Aは、特定の実施形態に係る、任意のセパレータ部195を示す。いくつかの実施形態では、第3電極部は、第1電極部または第2電極部のすべてではないが一部をカバーする。いくつかの場合では、第3電極部と第1電極部または第2電極部との間に電気的接続を確立すると、物品を含んで成る電気化学デバイスの短絡を引き起こす可能性があるため、物品の一部を通って延在する導電固体材料領域および/またはキャビティが、第3電極部のいずれかを通って延在することは望ましくない。したがって、いくつかの実施形態では、第1電極部、非導電性層、および第2電極部を通って延在する導電固体材料領域またはキャビティは、第3電極部のいずれも延在しない。例えば、再び図9Aを参照すると、導電固体材料領域140は、第1電極部110、非導電性層130、および第2電極部120を通って延在するが、導電固体材料領域140は、第3電極部190に延在せず、または交差さえしない。
【0065】
いくつかの実施形態では、物品は、第1両面電極部の一部と第2両面電極部の一部との間に配置された第3電極部を含んで成る。例えば、いくつかの場合では、物品は(例えば、電気化学セルを含んで成る)電気化学デバイスの一部であり、第3電極部の電極活物質と、第1両面電極部および/または第2両面電極部の電極活物質とを含む電気化学反応が(例えば、電気化学デバイスの充電または放電中に)起こり得るように電気化学デバイスは、第1両面電極部と第2両面電極部との間に配置された第3電極部を含んで成る。図9Bを参照すると、例示的な物品100は、第1両面電極部105および第2両面電極部205を含んで成り、その物品は、第1両面電極部105と第2両面電極部205との間に配置された第3電極部190をさらに含んで成る。
【0066】
いくつかの実施形態では、第3電極部は、第1両面電極部の電極部および第2両面電極部の電極部の極性とは異なる極性を有する。例えば、いくつかの場合では、第1両面電極部はアノード部を含んで成り、第2両面電極部は(例えば、リチウムおよび/またはリチウム合金を含んで成る)アノード部を含んで成り、第1両面電極部と第2両面電極部の間に配置された第3電極部はカソード部である。いくつかの場合では、第3電極部は、第1両面電極部と第2両面電極部との間のすべてではないが、一部に配置される。上記のように、短絡を回避するために、物品の一部を通って延在する導電固体材料領域および/またはキャビティが、第3電極部のいずれかを通って延在することは望ましくない場合がある。したがって、いくつかの場合では、第1両面電極部および第2両面電極部を通って延在する導電固体材料領域は、第1両面電極部と第2両面電極部との間に配置された第3両面電極部を通って延在しない。例えば、再び図9Bを参照すると、特定の実施形態によれば、導電固体材料領域140は、第1両面電極部105および第2両面電極部205を通って延在するが、導電固体材料領域140は、第3電極部190を通って延在せず、交差しない。いくつかの場合では、物品は、第3電極部と第1両面電極部との間にセパレータ部分をさらに含んで成り、物品は、第3電極部と第2両面電極部との間にセパレータ部をさらに含んで成る。図9Bは、特定の実施形態に係る、例示的な任意のセパレータ部195および196を示す。
【0067】
図11A図11Fは、特定の実施形態に係る、例示的な電気化学デバイスおよび部品の概略図を示す。図11Aは、特定の実施形態に係る、アノード430、セパレータ450、およびカソード440を含む、例示的な電気化学デバイス部品の上面図(上)および断面図(下)を示す。以下の説明は、アノード430(例えば、両面蒸着リチウム金属アノード)およびカソード440(例えば、集電体193(例えば、金属層)上に堆積されたカソード活物質を含んで成る両面カソード)に言及しているが、カソード430およびアノード440を含む実施形態のような他の構成が可能であることを理解されたい。特定の実施形態によれば、アノード430は両面アノード部105を含んで成り、両面アノード部105は、アノード430の拡張部である(例えば、本明細書に記載の物品のように)。さらに、いくつかの実施形態では、カソード440は、集電体拡張部275を含んで成る。
【0068】
図11Bは、(両面アノード部分105を含む)アノード430、(カソード430の後ろに隠されている)セパレータ450、および(アノード430およびセパレータ450の後ろに隠されているが、カソード集電拡張部275(これは隠れていない)を含む)カソード440を含んで成る、特定の実施形態に係る例示的な電気化学デバイス400の上面図を示す。上記のように、特定の実施形態では、電気化学デバイス400の両面アノード部105の電極部間の電気的接続は、(例えば、ピンのような固体物体で)両面アノード部105を貫通することによって確立され得、それにより導電固体材料領域が形成される。いくつかの実施形態では、図11Bの導電性端子170は、導電性端子170を両面アノード部105と接触させること、ならびに両面アノード部分105および導電性端子170の両方を貫通することによって、両面電極部105を含んで成るアノード430の拡張部に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、導電性端子270は、電気化学デバイス400を含む完全な電気回路が確立されるように、集電体193の集電体拡張部275に電気的に接続されている。
【0069】
図11Cは、特定の実施形態による図11Bに示されるビュー(view)Aから見た電気化学デバイス400の概略断面図を示す。図11Cに示されるように、特定の実施形態によれば、電気化学デバイス400は、積み重ね構成を有し、以下の構成要素を順番に配置して含む:アノード430、セパレータ450、および集電体193を含んで成るカソード440。いくつかの場合では、図11Cに示すように、この部品の配置は、電気化学デバイス400において繰り返されている。図11Cにおいて、集電体拡張部275aは、電気化学デバイス400の他の部品を越えて延在し、いくつかの場合では、端子(例えば、図11Bに示されるカソード端子270)との電気接続を形成するために使用され得る。同様に、特定の実施形態によれば、集電体拡張部275bおよび集電体拡張部275cのような他の集電体拡張部もまた、電気化学デバイス400の他の部品を越えて延在し、端子との電気接続を形成するために使用され得る。
【0070】
図11Dは、特定の実施形態に係る、図11Bに示されるビューBから見た電気化学デバイス400の概略断面図を示す。図11Dに示されるように、両面アノード部分105aは、特定の実施形態に係る、電気化学デバイス400の他の部品を越えて延在する。両面アノード部105(例えば、図11Dの両面アノード部105a、105b、105c、および105d)のそれぞれは、図5A~7Bに示された両面電極部105のように見え、図の明確化のために図11A図11Eにおいて単層として示されることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、図11Dにおける両面アノード105aは、第1電極部と、第2電極部と、第1電極部と第2電極部との間の非導電性層とを含んで成る。いくつかの実施形態では、両面アノード部105a、105b、105c、および105d間の電気的接続は、両面アノード部105a、105b、105c、および105dならびにいくつかの場合では導電性端子170(存在する場合)を貫通することによって確立され得る。例えば、図11Eに示されるように、いくつかの場合では、両面アノード部105a、105b、105c、および105dは、本明細書に記載される物品の一部を形成し、導電固体材料領域140が両面アノード部105aから両面アノード部105dに延在する貫通される。電気化学デバイス400の(アノード430を含む)アノードへの良好な電気的接続を確立するのに有用であり得る。いくつかの場合では、図11Fに示されるように、両面アノード部105a、105b、105c、および105dを貫通すると、両面アノード部105aから両面アノード部105dまで延在するキャビティ150が形成される。特定の場合では、キャビティ150の壁の少なくとも一部は、導電固体材料領域140を含んで成る。
【0071】
上記のように、本明細書に記載のいくつかの方法は、第1電極部と第2電極部との間に比較的効率的な電気的接続を確立するように構成された、固体物体(例えば、ピン)で本明細書に記載の物品に貫通させることを含み得る。いくつかの場合では、本明細書に記載の方法中に形成されたキャビティおよび/または導電固体材料領域が特定の形状または形状(shapes or geometries)を有するように、物体が構成される。例えば、いくつかの場合では、本明細書に記載の方法は、特定の断面形状で物品を貫通することを含んで成る。いくつかの実施形態では、物品は、その長さに垂直な断面を有するキャビティまたは導電固体材料領域を含んで成る。キャビティまたは導電固体材料領域の長さは、電極部にまたがるキャビティまたは導電性領域の寸法を指す。例えば、図2には、導電固体材料領域140の長さは、第1電極部110および第2電極部120にまたがる。いくつかの実施形態では、キャビティおよび/または導電固体材料領域の断面は、非導電性層の第1面および第2面に実質的に平行である。予期せぬことに、すべてではないがいくつかの場合において、特定の形状を有する固体物体(例えば、ピン)で物品を貫通すると、結果として生じるキャビティおよび/または導電固体材料領域の断面積または最大断面寸法を考慮に入れる場合、他の形状よりも物品内でより効果的な電気的接続が確立されることが見出された。上記のように、物品は、第1電極部から非導電性層を通って第2電極部に延在するキャビティを含み得、導電性固体材料の少なくとも一部は、キャビティの壁に沿って配置される。予期せぬことに、断面周囲長対断面積(周囲長対面積)の比が比較的高い固体物体(例えば、ピン)で物品を貫通すると、比較的大量の導電性材料がキャビティの壁への配置がもたらされ、これにより、電極部間の電気接続の効果が高まることが観察された。
【0072】
したがって、必ずしもすべてではないが、いくつかの場合において、断面積に対する断面周囲長の比が比較的高い断面を有する物品にキャビティおよび/または導電固体材料領域を形成することが有益であり得る。そのような周囲長対面積比は、物品を貫通するために使用される物体の特定の断面形状を選択することによって調整し得る。例えば、面積が0.95mmの円の周囲長は3.45mmで、周囲長対面積の比は3.63mm-1であるが、6面の星(例えば、TORX(登録商標)の形状に対応)の面積は0.62mmの場合、周囲長は3.61になり、周囲長と面積の比は5.8mm-1になる。断面積に対する断面周囲長の比較的高い比を有することは、キャビティおよび/または導電固体材料領域によって接続された部分の間の比較的効率的な電気的接続(例えば、低い電気抵抗)を提供し得、同時に、比較的小さな全体的な貫通領域を維持し、これは、貫通ステップ中の物品への構造的摂動を低減し、および/または物品を貫通するのに必要な力を低減し得る。いくつかの実施形態では、断面積に対する断面周囲長の比(例えば、キャビティ、導電固体材料領域、および/または物品を貫通するために使用される物体)は、1mm-1以上、2mm-1以上、3mm-1以上、5mm-1以上、10mm-1以上である。いくつかの実施形態では、断面積に対する断面周囲長の比は、30mm-1以下、25mm-1以下、20mm-1以下、15mm-1以下である。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、断面積に対する断面周囲長の比は、1mm-1以上30mm-1以下である。
【0073】
いくつかの実施形態では、物品を貫通するために使用される固体物体(例えば、ピン)は、正方形、長方形、円形、楕円体、三角形、四面星、五面星、および六面星から選択される断面形状を有する。いくつかの実施形態では、物品は、正方形、長方形、円形、楕円体、三角形、四面星、五面星、および六面星から選択される断面形状を有するキャビティおよび/または導電固体材料領域を含んで成る。上記の形状に対応する断面形状を有する固体物体(例えば、ピン)を物品に貫通させると、いくつかの場合では、上記のリストから選択される断面形状を有するキャビティおよび/または導電固体材料領域が形成され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、物品を貫通するために使用される固体物体(例えば、ピン)は、比較的小さな断面積を有する。いくつかの実施形態では、キャビティおよび/または導電固体材料領域は、比較的小さな断面積を有する。上記のように、比較的小さな断面積を有することは、必ずしもすべてではないが、いくつかの場合に、物品の構造的摂動を低減すること、および/または物品を貫通するのに必要な力を低減することによって有益であり得る。いくつかの実施形態では、物品を貫通するために使用される固体物体(例えば、ピン)は、25mm以下、5mm以下、1.0mm以下、または0.5mm以下の断面積を有する。いくつかの実施形態では、物品を貫通するために使用される固体物体(例えば、ピン)は、0.005mm以上、0.01mm以上、0.1mm以上、0.5mm以上の断面積を有する。いくつかの実施形態では、キャビティおよび/または導電固体材料領域は、25mm以下、5mm以下、1.0mm以下、0.5mm以下の断面積を有する。いくつかの実施形態では、キャビティおよび/または導電固体材料領域は、0.005mm以上、0.01mm以上、0.1mm以上、0.5mm以上より大きい断面積を有する。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、物品を貫通するために使用される固体物体(例えば、ピン)は、0.005mm以上25mm以下の断面積を有する。いくつかの実施形態では、キャビティおよび/または導電固体材料領域は、0.005mm以上25mm以下の断面積を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、物品を貫通するために使用される固体物体(例えば、ピン)は、比較的小さい最大断面寸法を有する。いくつかの実施形態では、キャビティおよび/または導電固体材料領域は、比較的小さい最大断面寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、物品を貫通するために使用される固体物体(例えば、ピン)は、5mm以下、2mm以下、1mm以下の最大断面寸法を有する。いくつかの実施形態では、物品を貫通するために使用される固体物体は、0.1mm以上、0.5mm以上、0.8mm以上、またはそれを超える最大断面寸法を有する。いくつかの実施形態では、キャビティおよび/または導電固体材料領域は、5mm以下、2mm以下、1mm以下、またはそれ未満の最大断面寸法を有する。いくつかの実施形態では、キャビティおよび/または導電固体材料領域は、0.1mm以上、0.5mm以上、0.8mm以上、またはそれを超える最大断面寸法を有する。これらの範囲の組み合わせが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、物品を貫通するために使用される固体物体(例えば、ピン)は、0.1mm以上5mm以下の最大断面寸法を有する。いくつかの実施形態では、キャビティおよび/または導電固体材料領域は、0.1mm以上5mm以下の最大断面寸法を有する。
【0076】
特定の実施形態によれば、様々なアノード活物質が、本明細書に記載の物品および電気化学セルの電極部と共に使用するのに適している。いくつかの実施形態では、アノード活物質は、リチウムフォイルのようなリチウム(例えば、リチウム金属)、導電性基板または非導電性基板(例えば、離型層)上に堆積されたリチウム、およびリチウム合金(例えば、リチウム-アルミニウム合金およびリチウム-スズ合金)を含んで成る。リチウムは、1つのフィルムとして、または複数のフィルムとして含まれ、任意で分離され得る。本明細書に記載の態様で使用するのに適したリチウム合金には、リチウムと、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素(シリコン)、インジウム、および/またはスズとの合金が含まれ得る。いくつかの実施形態では、アノード活物質は、電気化学セルの充電および/または放電プロセスの少なくとも一部の間、またはそのすべての間、リチウム金属(例えば、リチウム金属および/またはリチウム金属合金)を含んで成る。
【0077】
いくつかの実施形態では、アノード活物質は、少なくとも50wt%のリチウムを含む。いくつかの場合では、アノード活物質は、少なくとも75wt%、少なくとも90wt%、少なくとも95wt%、または少なくとも99wt%のリチウムを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、アノードは、放電中にリチウムイオンが放出され、充電中にリチウムイオンがその中に組み込まれる(例えば、挿入される)電極である。いくつかの実施形態では、アノード活物質は、リチウムインターカレーション化合物(例えば、格子部位および/または格子間部位にリチウムイオンを可逆的に挿入することができる化合物)である。いくつかの実施形態では、アノード活物質は炭素を含む。特定の場合において、アノード活物質は、グラファイト材料(例えば、グラファイト)であるか、またはそれを含んで成る。グラファイト材料は、一般に、グラフェンの複数の層(すなわち、六角形の格子に共有結合した炭素原子を含んで成る層)を含んで成る材料を指す。いくつかの場合では、1または複数のシート間に共有結合が存在することもあるが、隣接するグラフェン層は通常、ファンデルワールス力を介して互いに引き付けられる。いくつかの場合では、炭素含有アノード活物質は、コークス(例えば、石油コークス)であるか、またはそれを含んで成る。特定の実施形態では、アノード活物質は、シリコン、リチウム、および/または任意の合金またはそれらの組み合わせを含んで成る。特定の実施形態では、アノード活物質は、チタン酸リチウム(LiTi12、「LTO」とも称する)、スズ-コバルト酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含んで成る。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、物品および/または電気化学セルの電極(例えば、リチウムアノード)は、ポリマー、セラミック、および/またはガラスから形成された1または複数のコーティングまたは層を含み得る。コーティングは保護層として機能し、さまざまな機能を果たす。それらの機能には、短絡を引き起こす可能性のある再充電中のデンドライトの形成の防止、電極活物質と電解質との反応の防止、およびサイクル寿命の改善が含まれ得る。そのような保護層の例には、以下に記載されているものが含まれる:Affinitoらの米国特許第8,338,034号。およびLaramieらの米国特許公開第2015/0236322号。これらのそれぞれは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。使用できる特定の保護層に関する追加の詳細については、以下で詳しく説明する。
【0080】
特定の実施形態によれば、様々なカソード活物質が、本明細書に記載の電気化学セルのカソードと共に使用するのに適している。いくつかの実施形態では、カソード活物質は、リチウムインターカレーション化合物(例えば、格子部位および/または格子間部位にリチウムイオンを可逆的に挿入することができる化合物)を含んで成る。いくつかの場合では、カソード活物質は層状酸化物を含んで成る。層状酸化物とは、一般に、ラメラ構造(例えば、互いに積み重ねられた複数のシートまたは層)を有する酸化物を指す。適切な層状酸化物の非限定的な例には、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、およびリチウムマンガン酸化物(LiMnO)が含まれる。いくつかの実施形態では、層状酸化物は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNiMnCo、「NMC」または「NCM」とも呼ばれる)である。いくつかのそのような実施形態では、x、y、およびzの合計は1である。例えば、適切なNMC化合物の非限定的な例は、LiNi1/3Mn1/3Co1/3である。いくつかの実施形態では、層状酸化物は、式(LiMnO(LiMO(1-x)を有し得、ここで、Mは、1または複数の、Ni、Mn、およびCoである。例えば、層状酸化物は、(LiMnO0.25(LiNi0.3Co0.15Mn0.550.75であり得る。いくつかの実施形態では、層状酸化物は、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(LiNiCoAl、「NCA」とも称する)である。いくつかのそのような実施形態では、x、y、およびzの合計は1である。例えば、適切なNCA化合物の非限定的な例は、LiNi0.8Co0.15Al0.05である。特定の実施形態では、カソード活物質は、遷移金属ポリアニオンオキシド(例えば、遷移金属、酸素、および/または絶対値が1より大きい電荷を有するアニオンを含む化合物)である。適切な遷移金属ポリアニオン酸化物の非限定的な例は、リチウム鉄ホスフェート(LiFePO、「LFP」とも称する)である。適切な遷移金属ポリアニオンオキシドの別の非限定的な例は、リチウムマンガン鉄ホスフェート(LiMnFe1-xPO、「LMFP」とも称する)である。適切なLMFP化合物の非限定的な例は、LiMn0.8Fe0.2POである。いくつかの実施形態では、カソード活物質はスピネル(例えば、AはLi、Mg、Fe、Mn、Zn、Cu、Ni、Ti、またはSiであり得、BはAl、Fe、Cr、Mn、またはVであり得る、構造ABを有する化合物)である。適切なスピネルの非限定的な例は、化学式LiMMn2-xを有するリチウムマンガン酸化物であり、ここで、Mは、の1または複数のCo、Mg、Cr、Ni、Fe、Ti、およびZnである。いくつかの実施形態では、xは0に等しく、スピネルはリチウムマンガン酸化物(LiMn、「LMO」とも称する)であり得る。別の非限定的な例は、リチウムマンガンニッケル酸化物(LiNiMn2-x、「LMNO」とも称する)である。適切なLMNO化合物の非限定的な例は、LiNi0.5Mn1.5である。いくつかの場合では、第2電極の電気活性材料は、Li1.14Mn0.42Ni0.25Co0.29(「HC-MNC」)、炭酸リチウム(LiCO)、炭化リチウム(例えば、Li、LiC、Li、Li、Li、Li、Li)、酸化バナジウム(例えば、V、V、V13)、および/またはバナジウムホスフェート(例えば、Li(POのようなリチウムバナジウムホスフェート)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0081】
いくつかの実施形態において、カソード活物質は、変換化合物を含んで成る。例えば、カソードは、リチウム変換カソードであり得る。変換化合物を含んで成るカソードは、比較的大きな比容量を有し得ることが認識されている。特定の理論に拘束されることを望まないが、遷移金属ごとに複数の電子移動が起こる変換反応を通じて化合物のすべての可能な酸化状態を利用することによって、比較的大きな比容量を達成することができる(例えば、インターカレーション化合物における0.1~1の電子移動)。適切な変換化合物としては、これらに限定されないが、遷移金属酸化物(例えば、Co)、遷移金属水素化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、および遷移金属フッ化物(例えば、CuF、FeF、FeF)が挙げられる。遷移金属とは、一般に、原子が部分的に満たされたd副殻を有する元素(例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Rf、Db、Sg、Bh、Hs)を指す。
【0082】
いくつかの場合では、カソード活物質に1または複数のドーパントをドープして、カソード活物質の電気的特性(例えば、導電率)を変えることができる。適切なドーパントの非限定的な例としては、アルミニウム、ニオブ、銀、およびジルコニウムが挙げられる。
【0083】
いくつかの実施形態において、カソード活物質は、酸化物を含む表面コーティングによって修飾(または変性;modified)され得る。表面酸化物コーティング材料の非限定的な例としては、MgO、Al、SiO、TiO、ZnO、SnO、およびZrOが挙げられる。いくつかの実施形態では、そのようなコーティングは、カソード活物質と電解質との間の直接接触を防ぎ、それによって副反応を抑制し得る。
【0084】
特定の実施形態では、カソード活物質は硫黄を含んで成る。いくつかの実施形態では、カソード活物質は、電気活性硫黄含有材料を含んで成る。本明細書で使用される「電気活性硫黄含有材料」は、任意の形態の元素硫黄を含んで成る電極活性材料を指し、電気化学的活性は、硫黄原子または部分の酸化または還元を含む。一例として、電気活性硫黄含有材料は、元素硫黄(例えば、S)を含み得る。いくつかの実施形態では、電気活性硫黄含有材料は、元素硫黄と硫黄含有ポリマーとの混合物を含んで成る。よって、適切な電気活性硫黄含有材料としては、これらに限定されないが、有機または無機であり得る元素硫黄、(例えば、アルカリ金属の)硫化物または多硫化物、ならびに硫黄原子および炭素原子を含んで成る有機材料が挙げられ得、これらはポリマーであっても、ポリマーでなくてもよい。適切な有機材料としては、ヘテロ原子、導電性ポリマーセグメント、複合材料、および導電性ポリマーをさらに含んで成る有機材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、電極(例えば、カソード)内の電気活性硫黄含有材料は、少なくとも40wt%の硫黄を含んで成る。いくつかの場合では、電気活性硫黄含有材料は、少なくとも50wt%、少なくとも75wt%、または少なくとも90wt%の硫黄を含んで成る。
【0085】
硫黄含有ポリマーの例には、以下に記載されているものが挙げられる:Skotheimらの米国特許第5,601,947号および第5,690,702号、Skotheimらの米国特許第5,529,860号および第6,117,590号、2001年3月13日に発行されたGorkovenkoらの米国特許第6,201,100号、ならびにPCT公開第WO99/33130号であり、これらのそれぞれは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。多硫化物結合を含む他の適切な電気活性硫黄含有材料は、Skotheimらの米国特許第5,441,831号Perichaudらの米国特許第4,664,991号、およびNaoiらの米国特許第5,723,230号、5,783,330号、5,792,575号および5,882,819号に記載されており、これらのそれぞれは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。電気活性硫黄含有材料のさらに別の例としては、例えば、Armandらの米国特許第4,739,018号De Jongheらの米国特許第4,833,048号および第4,917,974号、Viscoらの米国特許第5,162,175号および第5,516,598号ならびにOyamaらの米国特許第5,324,599号に記載されているようなジスルフィド基を含んで成るものが挙げられ、これらのそれぞれは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
1または複数の電極は、Mikhaylikらの米国特許第9,034,421号および米国特許出願公開第2013/0316072号に記載されているように、導電性添加剤、バインダーのような追加の添加剤をさらに含み得、これらのそれぞれは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、電極または電気化学セルは、1または複数の離型層を含む。例えば、いくつかの場合では、上記の(例えば、第1電極部と第2電極部との間の)非導電性層は、離型層であり得るか、またはそれを含み得る。本明細書に記載の離型層は、以下の特徴のうちの1または複数を有するように構成することができる:第1層(例えば、電極活物質、集電体、または基板または他の層)への比較的良好な接着、しかし、第2層(例えば、基板、または他の実施形態では、集電体または他の層)への比較的中程度または不十分な接着、機械的崩壊なしに層間剥離を促進する高い機械的安定性、高い熱安定性、ならびに処理条件との適合性(例えば、離型層の上への層の堆積、ならびに離型層を形成するために使用される技術との適合性)。離型層が(例えば、電気化学セルを含んで成る)電気化学デバイスに組み込まれると、離型層は、全体の重量(例えば、電池の重量)を減らすために薄く(例えば、10ミクロン未満)あり得る。離型層はまた、一般に、離型層の上に均一な層の形成を容易にするために、滑らかで厚さが均一でなければならない。さらに、離型層は、一般に電解質中で安定でなければならず、電気化学デバイスが高い電気化学的「容量」またはエネルギー貯蔵能力(すなわち、低減された容量低下)を有するために、一般に電極の構造的完全性を妨げてはならない。電気化学セルの1または複数の部品から基板を除去するための離型層の使用は、2010年8月24日に出願された「電気化学セルの離型システム」と題する米国特許出願第12/862,513号に詳細に記載されている。
【0088】
離型層は、例えば、セラミック、ポリマー、またはそれらの組み合わせで形成され得る。いくつかの実施形態では、基板および/または離型層は、ポリマー材料を含んで成る。いくつかの場合では、離型層のポリマー材料の少なくとも一部が架橋されており、他の場合には、ポリマー材料は実質的に架橋されていない。ポリマー材料の例としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、酢酸ビニル-ビニルアルコールコポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、およびビニルアルコール-メチルメタクリレートコポリマーのようなヒドロキシル含有ポリマーが挙げられる。
【0089】
離型層の厚さは、0.1ミクロンから50ミクロンの範囲にわたって変化し得る。例えば、離型層の厚さは、厚さ(thick)0.1~1ミクロン、厚さ0.1~2ミクロン、厚さ0.1~3ミクロン、厚さ1~5ミクロン、厚さ5~10ミクロン、厚さ5~20または厚さ10~50ミクロンであり得る。特定の実施形態では、離型層の厚さは、例えば、10ミクロン以下、7ミクロン以下、5ミクロン以下、3ミクロン以下、2.5ミクロン以下、2ミクロン以下、1.5ミクロン以下、1ミクロン以下、または0.5ミクロン以下である。比較的厚い離型層は、離型層が電気化学セルに組み込まれない(例えば、担体基板と共に離型される)用途に適しており得、離型層が電気化学セルに組み込まれる場合、比較的薄い離型層が望ましい場合がある。
【0090】
電気化学デバイス(例えば、電気化学セルまたは電池セル)で使用される電解質は、イオンの貯蔵および輸送のための媒体として機能し得、固体電解質およびゲル電解質の特別な場合、これらの材料はさらに、アノードとカソードとの間のセパレータとして機能し得る。イオンを貯蔵および輸送することができる任意の液体、固体、またはゲルの材料を、その材料がアノードとカソードとの間のイオン(例えば、リチウムイオン)の輸送を容易にする限り、使用し得る。電解質は、アノードとカソードの間の短絡を防ぐために非導電性である。いくつかの実施形態において、電解質は、非固体電解質を含み得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、電解質は、製造プロセスの任意の時点で加えることができる流体を含んで成る。いくつかの場合では、電気化学セルは、カソードおよびアノードを提供し、アノードの活性表面に垂直な異方性力成分を適用し、続いて電解質がカソードと電気化学的に連絡するように流体電解質を添加することによって製造され得る。他の場合には、流体電解質は、異方性力成分の適用の前にまたは同時に電気化学セルに加えられ得、その後、電解質は、カソードおよびアノードと電気化学的に連絡する。
【0092】
電解質は、イオン伝導性を提供するための1または複数のイオン性電解質塩と、1または複数の液体電解質溶媒、ゲルポリマー材料、またはポリマー材料を含み得る。適切な非水性電解質は、液体電解質、ゲルポリマー電解質、および固体ポリマー電解質からなる群から選択される1または複数の材料を含んで成る有機電解質を含み得る。リチウム電池用の非水電解質の例は、Dorniney著 リチウム電池の新素材、開発と展望、4章、p137~165、Elsevier、Amsterdam(1994年)に記載されている。本明細書に記載の電池に使用できる不均一電解質組成物は、2009年5月26日に出願され、Mikhaylikらによる「電解質の分離」と題された米国特許出願第12/312,764号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0093】
有用な非水性液体電解質溶媒の例としては、これらに限定されないが、例えば、N-メチルアセトアミド、アセトニトリル、アセタール、ケタール、エステル、カーボネート、スルホン、サルファイト、スルホラン脂肪族エーテル、環状エーテル、グライム、ポリエーテル、リン酸エステル、シロキサン、ジオキソラン、N-アルキルピロリドン、前述の置換形態、およびそれらのブレンドのような非水性有機溶媒が挙げられる。前述のフッ素化誘導体は、液体電解質溶媒としても有用である。
【0094】
いくつかの場合では、例えばリチウム電池の電解質として水性溶媒を使用することができる。水性溶媒には、イオン性塩のような他の成分を含むことができる水が含むことができる。上記のように、いくつかの実施形態では、電解質は、電解質中の水素イオンの濃度を低減するために、水酸化リチウムなどの種、または電解質を塩基性にする他の種を含むことができる。
【0095】
液体電解質溶媒はまた、ゲルポリマー電解質、すなわち、半固体ネットワークを形成する1または複数のポリマーを含んで成る電解質のための可塑剤として有用であり得る。有用なゲルポリマー電解質の例としては、これらに限定されないが、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリホスファゼン、ポリエーテル、スルホン化ポリイミド、過フッ素化膜(NAFION樹脂)、ポリジビニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、前述の誘導体、前述のコポリマー、前述の架橋およびネットワーク構造、ならびに前述のブレンド、および任意で、1または複数の可塑剤からなる群から選択される1または複数のポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、ゲルポリマー電解質は、体積で10~20%、20~40%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~95%の不均一電解質を含んで成る。
【0096】
いくつかの実施形態では、1または複数の固体ポリマーを使用して電解質を形成することができる。有用な固体ポリマー電解質の例としては、ポリエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリシロキサン、前述の誘導体、前述のコポリマー、前述の架橋およびネットワーク構造、ならびに前述のブレンドが挙げられる。
【0097】
電解質を形成するための当技術分野で知られている電解質溶媒、ゲル化剤、およびポリマーに加えて、電解質は、イオン伝導性を高めるために、当技術分野でも知られている1または複数のイオン性電解質塩をさらに含み得る。
【0098】
本発明の電解質で使用するためのイオン性電解質塩の例としては、これらに限定されないが、LiSCN、LiBr、LiI、LiClO、LiAsF、LiSOCF、LiSOCH、LiBF、LiB(Ph)、LiPF、LiC(SOCF、LiN(SOCF、およびリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)が挙げられる。有用な他の電解質塩としては、多硫化リチウム(Li)、および有機多硫化物のリチウム塩(LiSR)(ここで、xは1~20の整数、nは1~3の整数、Rは有機基である)ならびにLeeらの米国特許第5,538,812号に開示されているものが挙げられ、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
いくつかの実施形態では、電解質は、1または複数の室温イオン液体を含んで成る。室温のイオン液体は、存在する場合、通常、1または複数のカチオンおよび1または複数のアニオンを含んで成る。適切なカチオンの非限定的な例としては、リチウムカチオンならびに/またはイミダゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、テトラアルキルアンモニウム、ピラゾリウム、ピペリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、オキサゾリウム、およびトリゾリウムカチオンのような1または複数の第四級アンモニウムカチオンが挙げられる。適切なアニオンの非限定的な例としては、トリフルオロメチルスルホネート(CFSO )、ビス(フルオロスルホニル)イミド(N(FSO-、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CFSO、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド((CFCFSON)およびトリス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CFSOが挙げられる。適切なイオン性液体の非限定的な例としては、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム/ビス(フルオロスルホニル)イミドおよび1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム/ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが挙げられる。いくつかの実施形態では、電解質は、室温のイオン液体とリチウム塩の両方を含んで成る。いくつかの他の実施形態では、電解質は、室温のイオン液体を含んで成り、リチウム塩を含まない。
【0100】
いくつかの実施形態では、物品および/または電気化学デバイスは、2つの電極部(例えば、アノード部およびカソード部)の間にセパレータをさらに含み得る。セパレータは、アノードとカソードを互いに分離または絶縁し、短絡を防止し、アノードとカソードとの間のイオンの輸送を可能にする、固体の非導電性または絶縁性の材料であり得る。いくつかの実施形態において、多孔質セパレータは、電解質に対して透過性であり得る。
【0101】
セパレータの細孔は、部分的または実質的に電解質で満たされ得る。セパレータは、セルの製造中にアノードおよびカソードで交互配置される多孔性の自立フィルムとして供給され得る。あるいは、多孔質セパレータ層は、例えば、CarlsonらのPCT公開WO99/33125号およびBagleyらの米国特許第5,194,341号に記載されているように、電極の1つの表面に直接適用され得る。
【0102】
様々なセパレータ材料が当技術分野で知られている。適切な固体多孔質セパレータ材料の例としては、これらに限定されないが、例えば、ポリエチレン(例えば、Tonen Chemical Corp製のSETELA(商標))およびポリプロピレン、ガラス繊維ろ紙、およびセラミック材料のようなポリオレフィンが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、セパレータはミクロポーラスポリエチレンフィルムを含んで成る。本発明での使用に適したセパレータおよびセパレータ材料のさらなる例は、ミクロポーラスキセロゲル層、例えば、ミクロポーラス疑似ベーマイト層が挙げられ、これは、共通の譲受人のカールソンらによる米国特許第6,153,337号および第6,306,545号に記載されているように、自立フィルムとして、または電極の1つに直接コーティングを施すことによって提供することができる。固体電解質およびゲル電解質は、それらの電解質機能に加えて、セパレーターとしても機能する可能性がある。
【0103】
特定の実施形態によれば、本明細書に記載の電極部は、細孔を含み得る。本明細書で使用される場合、「細孔」は、ASTM標準試験D4284-07を使用して測定される細孔を指し、一般に、導管、空隙、または通路を指し、その少なくとも一部は、媒体内に留まりながら連続ループが細孔の周りに引かれ得るように、細孔が形成される媒体によって囲まれている。。一般に、材料によって完全に囲まれている(したがって、材料の外側からアクセスできない、例えば、独立気泡)材料内の空隙は、本発明の文脈内の細孔とは見なされない。物品が粒子の凝集を含んで成る場合、細孔は、粒子間細孔(すなわち、粒子が一緒に詰められたときに粒子間に定義される細孔、例えば、隙間)および粒子内細孔(すなわち、個々の粒子のエンベロープ内にあるそれらの細孔)の両方を含むことを理解されたい。)。細孔は、例えば、円形、楕円形、多角形(例えば、長方形、三角形など)、および不規則形(irregular)などの任意の適切な断面形状を含み得る。
【0104】
電極部の異なる部分の多孔度は、異なる領域を物理的に分離することによって測定され得、例えば、電極の特定の領域を切り取り、次に、上記のASTM標準試験D4284-07を使用して分離した部分を測定する。
【0105】
電気化学セルの動作中に電解質材料との有害な相互作用から電極(例えば、リチウムアノード)を保護するために、セラミックまたは他の無機保護材料(例えば、ガラス、ガラス状セラミック)の層を使用することができる。例えば、保護されたリチウムアノード(PLA)構造を使用することができる。
【0106】
本明細書に記載の保護層は、様々なタイプの材料で形成することができる。特定の実施形態では、保護層が形成される材料は、イオン(例えば、リチウムイオンのような電気化学的に活性なイオン)を通過させるが、電子の通過を実質的に妨げるように選択することができる。この文脈において、「実質的に妨害する」とは、この実施形態では、材料が、電子通過よりも少なくとも10倍大きいリチウムイオン流束を可能にすることを意味する。
【0107】
いくつかの実施形態では、保護層に使用される材料は、その第1アモルファス状態において十分に高い導電率(例えば、少なくとも10-6S/cm、または本明細書に記載の別の導電率値)を有する。材料はまた、特にセパレータのようなポリマー層上に、滑らかで、緻密で、均質な薄膜を形成するその能力のために選択され得る。リチウムオキシスルフィドには、特にこれらの特性が含まれる場合がある。
【0108】
特定の実施形態では、保護層は、実質的に電子的に非導電性であるように構成することができ、これは、イオン導体が電気化学セルの短絡を引き起こす程度を抑制することができる。特定の実施形態では、保護層の全部または一部は、少なくとも10オームメートル、少なくとも10オームメートル、少なくとも1010オームメートル、少なくとも1015オームメートル、または少なくとも1020オームメートルのバルク電子抵抗率を有する材料で形成することができる。バルク電子抵抗率は、いくつかの実施形態では、1020オームメートル以下、または1015オームメートル以下であり得る。上記の範囲の組み合わせも可能である。バルク電子抵抗率の他の値も可能である。
【0109】
いくつかの実施形態では、保護層材料の平均イオン伝導率(例えば、リチウムイオン伝導率)は、少なくとも10-7S/cm、少なくとも10-6S/cm、少なくとも10-5S/cm、少なくとも10-4S/cm、少なくとも10-3S/cm、少なくとも10-2S/cm、少なくとも10-1S/cm、少なくとも1S/cm、または少なくとも10S/cmである。平均イオン伝導率は、20S/cm以下、10S/cm以下、または1S/cm以下であってもよい。導電率は、室温(例えば、摂氏25度)で測定してもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、保護層は固体であり得る。いくつかの実施形態では、保護層は、非ポリマー材料を含んで成るか、または実質的に形成され得る。例えば、保護層は、無機材料を含んで成るか、または実質的に形成され得る。
【0111】
イオン伝導層として様々な材料を使用することができるが、一組の実施形態では、保護層は無機イオン伝導層である。例えば、無機イオン伝導体層は、セラミック、ガラス、またはガラス状セラミックであり得る。適切なガラスとしては、これらに限定されないが、当技術分野で知られているように、「改質剤(または修飾剤;modifier)」部および「ネットワーク」部を含むものとして特徴付けられ得るものが挙げられる。改質剤は、ガラス中の導電性金属イオンの金属酸化物を含み得る。ネットワーク部は、例えば、金属酸化物または硫化物のような金属カルコゲニドを含み得る。保護層としては、リチウムナイトライド、リチウムシリケート、リチウムボレート、リチウムアルミネート、リチウムホスフェート、リチウムリンオキシナイトライド、リチウムシリコスルフィド、リチウムゲルマノスルフィド、リチウムオキシド(例えば、LiO、LiO、LiO、LiRO、ここで、Rは希土類金属である)、リチウムランタンオキシド、リチウムチタンオキシド、リチウムボロスルフィド、リチウムアルミノスルフィド、およびリチウムホスホスルフィド、ならびにそれらの組み合わせの1または複数から選択されるガラス状材料が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、保護層は、リチウムオキシスルフィドのようなオキシスルフィドを含んで成る。一実施形態では、保護層は、電解質の形態のリチウムリンオキシナイトライドを含んで成る。
【0112】
本明細書に記載の無機イオン伝導体材料がリチウムオキシスルフィドを含んで成る特定の実施形態では、リチウムオキシスルフィド(またはリチウムオキシスルフィドを含んで成るイオン伝導体層)は、0.1~20wt%の酸化物含有量を有し得る。酸化物含有量は、リチウムオキシスルフィド材料の総重量またはリチウムオキシスルフィド材料を含んで成るイオン伝導体層の総重量に関して測定され得る。例えば、酸化物含有量は、少なくとも0.1wt%、少なくとも1wt%、少なくとも2wt%、少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、または少なくとも20wt%であり得る。いくつかの実施形態では、酸化物含有量は、リチウムオキシスルフィドの20wt%以下、15wt%以下、10wt%以下、5wt%以下、2wt%以下、または1wt%以下であり得る。上記の範囲の組み合わせも可能である。層の酸化物含有量を含む元素組成は、エネルギー分散型X線分光法のような方法によって決定され得る。
【0113】
本明細書に記載の無機イオン伝導体材料がリチウムオキシスルフィドを含んで成るいくつかの実施形態において、リチウムオキシスルフィド材料(またはリチウムオキシスルフィドを含んで成るイオン伝導体層)は、硫黄原子と酸素原子との間の原子比(S:O)を有し、例えば、0.5:1~1000:1である。例えば、リチウムオキシスルフィド材料(またはリチウムオキシスルフィドを含んで成るイオン伝導体層)中の硫黄原子と酸素原子との間の原子比(S:O)は、少なくとも0.5:1、少なくとも0.667:1、少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも50:1、少なくとも70:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なくとも200:1、少なくとも500:1、または少なくとも1000:1であり得る。リチウムオキシスルフィド材料(またはリチウムオキシスルフィドを含んで成るイオン伝導体層)中の硫黄原子と酸素原子との間の原子比(S:O)は、1000:1以下、500:1以下、200:1以下、100:1以下、90:1以下、70:1以下、50:1以下、以下20:1、10:1以下、5:1以下、3:1以下、または2:1以下であり得る。上記の範囲の組み合わせ(例えば、S:Oの原子比が0.67:1~1000:1、または4:1~100:1)も可能である。他の範囲も可能である。層の元素組成は、エネルギー分散型X線分光法のような方法によって決定され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のリチウムオキシスルフィド材料は、x(yLiS+zLiO)+MS(ここで、Mは、Si、Ge、またはSnであり、y+z=1であり、xは、0.5~3.3である)の式を有し得る。特定の実施形態では、xは、少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも1.5、少なくとも2.0、または少なくとも2.5である。他の実施形態では、xは、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、または0.5以下である。上記の範囲の組み合わせも可能である。xの他の値も可能である。
【0115】
保護層は、いくつかの実施形態において、アモルファスリチウムイオン伝導性オキシスルフィド、結晶性リチウムイオン伝導性オキシスルフィド、またはアモルファスリチウムイオン伝導性オキシスルフィドと結晶性リチウムイオン伝導性オキシスルフィドとの混合物、例えば、アモルファスリチウムオキシスルフィド、結晶性リチウムオキシスルフィド、またはアモルファスリチウムオキシスルフィドと結晶性リチウムオキシスルフィドの混合物を含み得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、上記のリチウムオキシスルフィドのような保護層材料は、無機イオン伝導体材料の0wt%~30wt%の範囲のガラス形成添加剤を含んで成る。ガラス形成添加剤の例としては、例えば、SiO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiPO、LiPS、LiPS、B、Bが挙げられる。他のガラス形成添加剤も可能である。特定の実施形態において、ガラス形成添加剤は、無機イオン伝導体の少なくとも5wt%、少なくとも10wt%、少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、または少なくとも30wt%であり得る。特定の実施形態では、ガラス形成添加剤は、無機イオン伝導体材料の30wt%以下、25wt%以下、20wt%以下、15wt%以下、または、10wt%以下であり得る。上記の範囲の組み合わせも可能である。ガラス形成添加剤の他の値も可能である。
【0117】
いくつかの実施形態において、1または複数の追加の塩(例えば、LiI、LiBr、LiCl、LiCO、またはLiSOのようなリチウム塩)は、例えば、0~50モル%の範囲で無機イオン伝導体材料に添加され得る。他の塩も可能である。特定の実施形態では、追加の塩は、少なくとも0モル%、少なくとも10モル%、少なくとも20モル%、少なくとも30モル%、少なくとも40モル%、または少なくとも50モル%である。特定の実施形態において、追加の塩は、50モル%以下、40モル%以下、30モル%以下、20モル%以下、または10モル%以下である。上記の範囲の組み合わせも可能である。他の値も可能である。
【0118】
保護層材料の追加の例としては、リチウムナイトライド、リチウムシリケート、リチウムボレート、リチウムアルミネート、リチウムホスフェート、リチウムリンオキシナイトライド、リチウムシリコスルフィド、リチウムゲルマノスルフィド、リチウムオキシド(例えば、LiO、LiO、LiO、LiRO、ここでRは希土金属である)、リチウムランタンオキシド、リチウムチタンオキシド、リチウムボロスルフィド、リチウムアルミノスルフィド、およびリチウムホスホスルフィド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0119】
特定の実施形態では、保護層は、単一イオン導電性材料(例えば、単一イオン導電性セラミック材料)で形成される。
【0120】
保護層の全部または一部を形成するために使用できる他の適切な材料としては、2010年7月1日に出願され2010年12月30日に公開され、「充電式リチウム電池を含む水性および非水性電気機械セル」と題された米国特許公開第2010/0327811号に記載されているイオン伝導性材料が挙げられ、これは、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
本開示を考えると、当業者は、保護層として使用するための適切な材料を選択することができるであろう。このような選択を行う際に考慮される可能性のある関連要因としては、材料のイオン伝導度;電気化学セル内の他の材料上に、または他の材料と一緒に前記材料を堆積、エッチング、またはその他の方法で形成する能力;材料の脆性;材料とポリマーまたはセパレータ材料との適合性;電気化学セルの電解質との材料の適合性;材料のイオン伝導率(例えば、リチウムイオン伝導率);および/または材料をセパレータ材料に接着する能力が挙げられる。
【0122】
保護層材料は、スパッタリング、電子ビーム蒸発、真空熱蒸着、レーザーアブレーション、化学蒸着(CVD)、熱蒸着、プラズマ支援化学真空堆積(PECVD)、レーザー支援化学蒸着およびジェット蒸着のような任意の適切な方法によって堆積され得る。使用される技術は、堆積される材料のタイプ、層の厚さなどに依存し得る。特定の実施形態において、保護層材料の少なくとも一部は、エッチングまたは他の方法で除去され得、その後、セパレータ材料(例えば、ポリマーセパレータ材料)は、保護層材料の上に形成され得る。
【0123】
本明細書に記載されるように、特定の実施形態では、保護層材料は、真空堆積プロセス(例えば、スパッタリング、CVD、熱またはEビーム蒸着)を使用してセパレータ上に堆積することができる。真空堆積により、滑らかで緻密で均質な薄層の堆積が可能になる。他の実施形態では、イオン伝導体(例えば、セラミック)は、スラリーまたはゲルからイオン伝導体を引き抜いてキャストすることによってコーティングすることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では(例えば、保護層がポリマー層(例えば、セパレーター)に隣接および/または取り付けられた層である場合)、保護層の厚さは変化し得る。保護層の厚さは、例えば、1nm~7ミクロンの範囲にわたって変化し得る。例えば、イオン伝導体層の厚さは、1~10nmの間、10~100nmの間、10~50nmの間、30~70nmの間、100~1000nmの間、または1~7ミクロンの間であり得る。イオン伝導体層の厚さは、例えば、7ミクロン以下、5ミクロン以下、2ミクロン以下、1000nm以下、600nm以下、500nm以下、250nm以下、100nm以下、70nm以下、50nm以下、25nm以下、または10nm以下であり得る。いくつかの実施形態では、イオン伝導体層は、少なくとも10nmの厚さ、少なくとも20nmの厚さ、少なくとも30nmの厚さ、少なくとも100nmの厚さ、少なくとも400nmの厚さ、少なくとも1ミクロンの厚さ、少なくとも2.5ミクロンの厚さ、または少なくとも5ミクロンの厚さである。他の厚さも可能である。上記の範囲の組み合わせも可能である。
【0125】
以下の出願は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:2006年4月6日に出願番号11/400,781として出願され、「充電式リチウム/水、リチウム/空気電池」と題され、2007年9月27日に公開された米国特許公開第US2007/0221265号;2007年7月31日に出願番号11/888,339として出願され、「電池の膨潤抑制」と題され、2009年2月5日に公開された米国特許公開第US2009/0035646号;2010年2月2日に出願番号12/312,674として出願され、2013年12月31日に米国特許番号8,617,748として特許を取得し、「電解質の分離」と題され、2010年5月17日に公開された米国特許公開番号US2010/0129699;2010年7月30日に出願番号12/682,011として出願され、2014年10月28日に米国特許番号8,871,387として特許を取得し、「電池電極用プライマー」と題された2010年11月18日に公開された米国特許公開番号US2010/0291442;2008年2月8日に出願番号12/069,335として出願され、2012年9月11日に米国特許第8,264,205号として特許を取得し、「エネルギー貯蔵装置における充電および/または放電保護のための回路」と題され、2009年8月31日に公開され、米国特許公開第2009/0200986号;2006年4月6日に出願番号11/400,025として出願され、2010年8月10日に米国特許番号7,771,870として特許を取得し、「充電式リチウム電池を含む、水性および非水性の両方の電気化学セルにおける電極保護」と題され、2007年9月27日に公開された米国特許公開番号US2007/0224502号;2007年6月22日に出願番号11/821,576として出願され、「リチウム合金/硫黄電池」と題され、2008年12月25日に公開された米国特許公開第US2008/0318128号;2001年2月27日に出願番号09/795,915として出願され、2011年5月10日に米国特許第7,939,198号として特許を取得し、「新規複合カソード、新規複合カソードを含む電気化学セル、およびその製造プロセス」と題され、2002年5月9日に公開された米国特許公開第US2002/0055040号;2005年4月20日に出願番号11/111,262として出願され、2010年3月30日に米国特許番号7,688,075として特許を取得し、「リチウム硫黄充電式電池残量ゲージのシステムと方法」と題され、2006年10月26日に公開された米国特許公開番号US2006/0238203号;2007年3月23日に出願番号11/728,197として出願され、2011年12月27日に米国特許第8,084,102号として特許を取得し、「重合性モノマーおよび非重合性キャリア溶媒/塩混合物/溶液の共フラッシュ蒸発の方法」と題され、2008年8月7日に公開され、米国特許公開第US2008/0187663号;2010年9月23日に出願番号12/679,371として出願され、「リチウム電池および関連する方法のための電解質添加剤」と題され、2011年1月13日に公開された米国特許公開第US2011/0006738号;2011年1月13日に公開された米国特許公開番号US2011/0008531号は、2010年9月23日に出願番号12/811,576号として出願され、2015年5月19日に米国特許番号9,034,421として特許を取得し、「成形方法硫黄を含む電極と炭素を含む多孔質材料」;2009年8月4日に出願番号12/535,328として出願され、2015年8月11日に米国特許第9,105,938号として特許を取得し、「電気化学セルにおける応力印加」と題され、2010年2月11日に公開された米国特許公開第US2010/0035128号;2008年7月25日に出願番号12/180,379として出願され、「電気化学セルのアノードの保護」と題され、2011年7月15日に公開された米国特許公開第US2011/0165471号;2006年6月13日に出願番号11/452,445として出願され、2013年4月9日に米国特許番号8,415,054として特許を取得し、「電気化学セル用リチウムアノード」と題され、2006年10月5日に公開された米国特許公開番号US2006/0222954号;2010年3月19日に出願番号12/727,862として出願され、「リチウム電池用カソード」と題され、2010年9月23日に公開された米国特許公開第US2010/0239914号;2009年5月22日に出願番号12/471,095として出願され、2012年1月3日に米国特許番号8,087,309として特許を取得し、「ハーメチックサンプルホルダー、および制御された雰囲気環境下で微量分析を実行するための方法」と題され、2010年11月25日に公開された米国特許公開番号US2010/0294049号;2010年8月24日に出願番号12/862,581として出願され、「硫黄を含む多孔質構造を含む電気化学セル」と題され、2011年3月31日に公開された米国特許公開第US2011/00765560号;2010年8月24日に出願番号12/862,513として出願され、「電気化学セルの放出システム」と題され、2011年3月24日に公開された米国特許公開第US2011/0068001号;2011年8月24日に出願番号13/216,559として出願され、「電気化学セル用非導電性材料」と題され、2012年3月1日に公開された米国特許公開第US2012/0048729号;2010年8月24日に出願番号12/862,528として出願され、「電気化学セル」と題され、2011年7月21日に公開された米国特許公開第US2011/0177398号;2010年8月24日に出願番号12/862,563として出願され、「硫黄を含む多孔質構造を含む電気化学セル」と題され、2011年3月24日に公開された米国特許公開第US2011/0070494号;2010年8月24日に出願番号12/862,551として出願され、「硫黄を含む多孔質構造を含む電気化学セル」と題され、2011年3月24日に公開された米国特許公開第US2011/0070491号;2010年8月24日に出願番号12/862,576として出願され、2015年4月14日に米国特許第9,005,009号として特許を取得し、「硫黄を含む多孔質構造を含む電気化学セル」と題され、2011年3月10日に公開された米国特許公開第US2011/0059361号;2011年9月22日に出願番号13/240,113として出願され、「低電解質電気化学セル」と題され、2012年3月22日に公開された米国特許公開第US2012/0070746号;2011年2月23日に出願番号13/033,419として出願され、「エネルギー貯蔵装置用の多孔質構造」と題され、2011年8月25日に公開された米国特許公開第US2011/0206992号;2012年6月15日に出願番号13/524,662として出願され、2017年1月17日に米国特許第9,548,492号として特許を取得し、「電極のめっき技術」と題され、2013年1月17日に公開された米国特許公開第2013/0017441号;2013年2月14日に出願番号13/766,862として出願され、2015年7月7日に米国特許番号9,077,041として特許を取得し、「電気化学セル用電極構造」と題され、2013年8月29日に公開された米国特許公開番号US2013/0224601号;2013年3月8日に出願番号13/789,783として出願され、2015年12月15日に米国特許番号9,214,678として特許を取得し、「多孔質支持構造、同じ方法を含む電極、および関連する方法」と題され、2013年9月26日に公開された米国特許公開番号US2013/0252103号;2012年10月4日に出願番号13/644,933として出願され、2015年1月20日に米国特許番号8.936,870として特許を取得し、「電極構造とその製造方法」と題され、2013年4月18日に公開された米国特許公開番号US2013/0095380号;2013年11月1日に出願番号14/069,698として出願され、2015年4月14日に米国特許番号9,005,311として特許を取得し、「電極活性処理前処理」と題され、2014年5月8日に公開された米国特許公開番号US2014/0123477号;2014年1月8日に出願番号14/150,156として出願され、2017年1月31日に米国特許番号9,559,348として特許を取得し、「電気化学セルにおける導電率制御」と題され、2014年7月10日に公開された米国特許公開番号US2014/0193723号;2014年3月5日に出願番号14/197,782として出願され、2016年11月6日に米国特許番号9,490,478として特許を取得し、「繊維材料を含む電気化学セル」と題され、2014年9月11日に公開された米国特許公開番号US2014/0255780号;2013年3月15日に出願番号13/833,377として出願され、「電極用保護構造」と題され、2014年9月18日に公開された米国特許公開第US2014/0272594号;2014年3月13日に出願番号14/209,274として出願され、「保護された電極の構造と方法」と題され、2014年9月18日に公開された米国特許公開番号US2014/0272597号;2014年1月8日に出願番号14/150,196として出願され、2016年12月27日に米国特許番号9,531,009として特許を取得し、「電気化学セルにおける電極の不動態化」と題され、2014年7月10日に公開された米国特許公開番号US2014/0193713号;2014年3月13日に出願番号14/209,396として出願され、「保護された電極構造」と題され、2014年9月18日に公開された米国特許公開第US2014/0272565号;2014年7月3日に出願番号14/323,269として出願され、「充電式リチウム電池を含む電気化学セルの電極保護用のセラミック/ポリマーマトリックス」と題され、2015年1月8日に公開された米国特許公開番号US2015/0010804号;2014年8月8日に出願番号14/455,230として出願され、「電気化学セルにおける自己修復電極保護」と題され、2015年2月12日に公開された米国特許公開第US2015/044517号;2014年2月19日に出願番号14/184,037として出願され、「電解質阻害イオン伝導体を使用した電極保護」と題され、2015年8月20日に公開された米国特許公開第US2015/0236322号;ならびに2015年9月9日に出願番号14/848,659として出願され、「リチウムイオン電気化学セルにおける保護層ならびに関連する電極および方法」と題され、2016年3月10日に公開された米国特許公開第US2016/0072132号。
【0126】
ある部分(例えば、層、構造、領域)が別の部分「にある(on)」、「に隣接する(adjacent)」、「上にある(above)」、「上にある(over)」、「上にある(overlying)」、または「により支持されている(supported by)」場合、それは当該部分に直接的である可能性があるか、または介在部分(例えば、層、構造、領域)も存在し得ることを理解されたい。同様に、ある部分が別の部分「の下にある(below)」または「の下(underneath)にある」場合、その部分の真下にあるか、または介在部分(例えば、層、構造、領域)も存在し得る。別の部分「に直接的にある(directly on)」、「に直接隣接する(directly adjacent)」、「にただちに隣接する(immediately adjacent)」、「に直接接触する(in direct contact with)」、または「に直接支持されている(directly supported by)」部分は、介在部分が存在しないことを意味する。また、ある部分が別の部分「にある(on)」、「の上にある(above)」、「に隣接する(adjacent)」、「の上にある(over)」、「の上にある(overlying)」、「に接触する(in contact with)」、「の下にある(below)」、または「によって支持されている(supported by)」場合、当該部分全体または当該部分の一部がカバーされていることを理解されたい。
【0127】
2019年5月22日に出願され、「電気的に接続された電極、ならびに関連する物品および方法」と題された米国仮出願第62/851,162号は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を説明することを意図しているが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【実施例
【0129】
実施例
以下の例では、両面アノードを含んで成る物品を以下の方法で調製した。アノードは、(厚さ25μmを有する)ポリエチレンテレフタレート(PET)基板にある(厚さ6μmを有する)PVOH離型層上にリチウム層を真空堆積することによって形成された。リチウムと離型層は、組み立て中にPET基板から離型された。両面アノード層は、各アノードの付随する離型層が互いに反対側を向いて接触するように2つのアノードを積み重ねることによって組み立てられた。両面アノードの積み重ねを組み立てて銅タブに接続し、ピンが複数の両面アノードを通過するように、両面アノードおよび銅タブの組み立てにピンを突き刺した。
【0130】
次の例では、これらの積み重ねられた両面アノードおよび銅タブのアセンブリ、およびフォイル制御アセンブリについて評価された電気抵抗について説明する。フォイル制御アセンブリは、積み重ねられた両面アノードの代わりにリチウム金属フォイルの層のスタックが使用されたことを除いて、積み重ねられた両面アノードおよび銅タブのアセンブリと同じ方法で構築された。
【0131】
実施例1
この例では、積み重ねられた両面アノードおよび銅タブのアセンブリを貫通するために使用されるピンの数の影響を評価した。サンプル1には、41個の両面アノードのスタックと、スタックの外部に接続された銅タブとが含まれ、サンプル1は6本のピンにより貫通されている。サンプル2には、41個の両面アノードのスタックと、スタックの外部に接続された銅タブとが含まれ、サンプル2は12本のピンにより貫通されている。比較サンプル1は、ピンにより突き刺されていないフォイル制御アセンブリであった。サンプル1、サンプル2、および比較サンプル3のそれぞれの電気抵抗を測定し、その結果を表1に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
表1に示した結果は、サンプルを貫通するために使用するピンの数が増加すると、サンプルの抵抗が減少することを示す。サンプル2の抵抗は、比較サンプル1の抵抗に近づいている。これらの結果は、それぞれの両面アノードが非導電性離型層を含んで成る場合でさえ、両面リチウムのスタックに対して比較的低い抵抗を達成できることを示している。
【0134】
実施例2
この例では、積み重ねられた両面アノードおよび銅タブのアセンブリを貫通するために使用されるピンの断面形状の影響を評価した。サンプル3には、21個の両面アノードのスタックと、スタックの外部に接続された銅タブとが含まれ、サンプル3は、円形の断面形状を持つ6本のピンにより貫通されていた。サンプル4には、21個の両面アノードのスタックと、スタックの外部に接続された銅タブとが含まれ、サンプル4は、TORX(登録商標)断面形状を有する6本のピンにより貫通されていた。比較サンプル2は、ピンにより突き刺されていないフォイル制御アセンブリであった。サンプル3、サンプル4、および比較サンプル2のそれぞれの電気抵抗を測定し、その結果を表2に示す。
【0135】
【表2】
【0136】
表2に示した結果は、TORX(登録商標)断面形状を有するピンを使用してサンプルを貫通した場合、円形断面形状を有するピンを使用してサンプルを貫通した場合と比較して、サンプルの抵抗が減少することを示している。サンプル4の抵抗は、比較サンプル2の抵抗に近づいている。これらの結果は、周囲長対面積の比が比較的高いピン(円と比較したTORX(登録商標)など)を使用すると、物品の電気抵抗が低下する可能性があることを示している。
【0137】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記載および図示されているが、当業者は、機能を実行し、および/または結果および/または本明細書に記載の1または複数の利点を取得するための様々な他の手段および/または構造を容易に想定するであろうし、そのような変形および/または修正のそれぞれは、本発明の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に相当する多くの同等物を認識し、または通常の実験のみを使用して確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は単なる例として提示されており、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載および特許請求される以外の方法で実施できることを理解されたい。本発明は、本明細書に記載される個々の特徴(または機能)、システム、物品、材料、および/または方法のそれぞれを対象とする。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法が相互に矛盾しない場合、そのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法の2つ以上の任意の組み合わせが、本発明の範囲内に含まれる。
【0138】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、明確に反対に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0139】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」というフレーズは、そのように結合された要素、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」節によって具体的に識別される要素以外の他の要素が、明確に反対に示されない限り、具体的に識別される要素に関連するかどうかにかかわらず、任意で存在し得る。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含んで成る(comprising)」などの制限のない言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態ではBなしのA(任意で他の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態ではAなしのB(任意でA以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の実施形態ではAおよびBの両方に対して(任意で他の要素を含む)を指すことができる。
【0140】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は包括的であると解釈されるものとし、つまり、要素の数またはリストの少なくとも1つを含むが、複数を含む、および任意で追加のリストされていないアイテムを含むと解釈されるべきである。「の1つのみ」または「正確に1つ」のように、反対に明確に示される用語のみ、または特許請求の範囲で使用される場合は「からなる」のように、数またはリストの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「どちらか」、「一方」、「の一方のみ」、または「正確に1つ」のような排他的な用語が前に付されている場合、排他的な代替案(すなわち、「一方または他方、しかし両方ではない」)を示すものとして解釈されるものとする。「本質的にからなる」は、クレームで使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0141】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1または複数の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」というフレーズは、要素のリスト内の1または複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト内に具体的にリストされているすべての要素の少なくとも1つを含み、要素のリスト内の要素の組み合わせを除外する必要はない。この定義はまた、「少なくとも1つ」というフレーズが参照する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関連するかどうかにかかわらず、任意に存在し得ることを可能にする。よって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つの、任意で2つ以上のAを含み、Bが存在せず(および任意でB以外の要素を含む)、別の実施形態では、少なくとも1つの、任意で2つ以上のBを含み、Aが存在せず(および任意でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、少なくとも1つの、任意で2つ以上のAを含み、少なくとも1つの、任意で2つ以上のBを含む(および任意で他の要素を含む)等を指す。
【0142】
特許請求の範囲および上記の明細書において、「含んで成る(または含む)(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」などのすべての移行句は、オープンエンドであると理解され、つまり、これに限定されないが、含まれることを意味します。米国特許庁特許審査手続マニュアルのセクション2111.03に記載されているように、「からなる」および「本質的にからなる」移行フレーズのみが、それぞれクローズドまたはセミクローズドの移行フレーズであるものとする。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
【国際調査報告】