(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】c-kit及びCD47に対する免疫療法剤の同時投与レジメン
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20220713BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220713BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220713BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220713BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20220713BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220713BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220713BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20220713BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/02
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K35/17 A
A61K39/395 N
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569404
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 US2020034049
(87)【国際公開番号】W WO2020242895
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517054604
【氏名又は名称】フォーティ セブン, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Forty Seven, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ギブズ, グレイグ
(72)【発明者】
【氏名】フォルクマール, イェンス-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ワイスマン, アーヴィング エル.
(72)【発明者】
【氏名】マージョン, クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084AA24
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA14
4C085EE03
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087MA02
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、内在性HSPCの除去のためにc-kitに特異的に結合するか又はCD47-SIRPaを阻害する免疫療法剤の共投与レジメンを提供する。比較的低いレベルの抗c-kitは、HSPCのレベルを有意に低下させることなく、HSPC上のc-kitへの結合を飽和させる。抗c-kitの作用がCD47-SIRPa.を阻害する免疫療法剤によって促進される場合、HSPCのレベルが有意に低下する。したがって、c-kitを発現するHSPCを許容可能なレベルまで低下させることができ、対象が不十分なHSPCを有する間に有害な遅延なしに補充HSPCの導入を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)の除去を必要とする患者の造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去する方法であって、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤0.15~2mg/kgと、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンとを前記患者に投与することを含み、ここで、HSPCは前記患者において除去される、方法。
【請求項2】
前記患者が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の0.15~1mg/kgの単回用量を投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤を最大7日間にわたって複数回用量で投与されて、0.15~1mg/kgの単回用量と実質的に同じ曲線下面積を送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の0.15~1mg/kgの2回用量を3~7日間隔で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤が投与され、CD47に特異的に結合する免疫療法剤の前記有効なレジメンは、第1用量及び前記第1用量より高い第2用量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1用量が1mg/kgであり、前記第2用量が10~30mg/kg、好ましくは15~20mg/kgである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤が、CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第2用量と同時に、単回用量として投与される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記単回用量及びCD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第2用量が同時注入によって投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
CD47に特異的に結合する免疫療法剤の前記第2用量及びc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の単回用量が、CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第1用量から3~15日後、任意選択で7日後に投与される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤が、10~30日の期間にわたって少なくとも3回用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
CD47又はSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の各用量が投与されるのと同じ日に、任意選択で他の用量よりも低くかつ先行する他の用量の追加の用量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
HSPCを前記患者に導入することを更に含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
HSPCが、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記単回用量及びCD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第2用量が投与されてから5~15日後に前記患者に導入される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項14】
CD47に特異的に結合する免疫療法剤の前記第1及び第2用量、並びにc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の前記単回用量のみが、前記HSPCを導入する前に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2用量の後にCD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の第3用量を投与することを更に含み、任意選択で前記第2及び第3用量が、同量の前記免疫療法剤である、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の複数回用量が投与され、CD47又はSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤の複数回用量が投与され、前記HSPCが、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤、又は、CD47若しくはSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤のいずれか遅い方の最後の用量から5~15日後に前記患者に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記最後の用量及びSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記最後の用量が、同じ日に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤が、CD47に特異的に結合する抗体である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤がヒト化5F9である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体がマグロリマブである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
SIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンが投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
SIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤が抗体である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体が、配列番号29を含む配列を有する重鎖可変領域と、配列番号30を含む配列を有する軽鎖可変領域とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
SIRPαに特異的に結合する前記抗体が、FSI-189、ES-004、BI765063、ADU1805、及びCC-95251のいずれかである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
SIRPαに特異的に結合する前記抗体が、10~30mg/kgの用量で投与される、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
SIRPαに特異的に結合する前記抗体の単回用量が投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
SIRPαに特異的に結合する前記抗体の複数回用量が投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤が抗体である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記抗体が、ヒトIgG1アイソタイプのSR1のヒト化形態である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記抗体が、配列番号7~9のいずれかを含む配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10を含む配列を有する軽鎖可変領域とを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記重鎖可変領域が配列番号7を含む配列を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記免疫療法剤の投与が、投与前のレベルの25~95%だけc-kit陽性HSPCを除去する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記免疫療法剤の投与が、投与前のレベルの25~75%だけc-kit陽性HSPCを除去する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者が、前記HSPCの除去によって治療される血液がんを有する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記患者がまた、前記血液がんを治療するのに有効な薬剤を投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記患者が、前記HSPCの除去前又は除去中に前記薬剤を投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記薬剤が、化学療法剤、抗血管新生剤、抗線維化剤、又はがん抗原に対するモノクローナル抗体である、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記血液がんが、リンパ腫、白血病又は骨髄腫である、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記患者が、固形腫瘍を有し、かつ前記患者の前記HSPCを除去する前に、前記患者は、前記固形腫瘍を治療するのに有効でありかつ前記患者のHSPCを損傷する薬剤を投与される、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記薬剤が化学療法剤である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
CAR-T細胞が、前記HSPCを除去した後に前記患者に投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
HSPCの増殖又は細胞療法を促進するために前記HSPCの除去後にflt3アゴニスト又はCISH阻害剤を投与することを更に含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
MCL1阻害剤を、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤及びCD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤と更に共に投与してNK細胞を除去する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記患者がヒトである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための薬剤の製造におけるc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の使用であって、前記免疫療法剤が、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンと組み合わせて、0.15~2mg/kgの用量で投与するためのものである、使用。
【請求項46】
0.15~2mg/kgの用量のc-kitに特異的に結合する免疫療法剤と組み合わせた、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための薬剤の製造における、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の使用。
【請求項47】
請求項2~44のいずれか一項に記載の方法による請求項45又は46の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月24日に出願された米国特許第62/852901号の利益を主張するものであり、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、2020年5月18日に命名及び作成された37バイトのtxtファイル2020-05-28 547773 WO SLに開示されている配列を含み、これは、参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
幹細胞は、増殖することにより分化細胞を生成して、生物が特定の組織を維持及び修復するための手段を提供する。造血幹細胞移植は、通常、患者が、化学療法又は他の前処置レジメンによって内在性造血幹細胞を除去された場合に、血液細胞を生成する能力を患者に提供するために使用されてきた。
造血細胞移植は、一般に、造血幹細胞を含む自家造血細胞又は同種造血細胞の静脈内注入を含む。これらは、骨髄、末梢血、又は臍帯血から採取され、骨髄又は免疫系に損傷又は欠陥のある患者の造血機能を回復するために移植される。この処置は、多くの場合に、白血病などの骨髄浸潤過程を排除するため、又は先天性免疫不全症を是正するための治療の一環として実施される。造血細胞移植はまた、がん患者が骨髄が通常耐えられるよりも高用量の化学療法を受けることを可能にするために使用され、次に、骨髄を以前に採取した幹細胞で置き換えることにより、骨髄機能が回復する(一般的に国際公開第2004/002425号及び国際公開第2018/140940号を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/002425号
【特許文献2】国際公開第2018/140940号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、治療を必要とする患者の造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去する方法を提供し、この方法は、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤0.15~2mg/kgと、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンとを患者に投与することを含み、ここで、HSPCは患者において除去される。
【0006】
任意選択で、患者は、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤の0.15~1mg/kgの単回用量を投与される。任意選択で、患者は、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤を最大7日間にわたって複数回用量で投与されて、0.15~1mg/kgの単回用量と実質的に同じ曲線下面積を送達される。任意選択で、患者は、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤の0.15~1mg/kgの2回用量を3~7日間隔で投与される。任意選択で、CD47に特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンは、第1用量及び第1用量より高い第2用量を含む。任意選択で、第1用量は1mg/kgであり、第2用量は10~30mg/kg、好ましくは15~20mg/kgである。任意選択で、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤は、CD47に特異的に結合する免疫療法剤の第2用量と同時に、単回用量として投与される。任意選択で、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤の単回用量及びCD47に特異的に結合する免疫療法剤の第2用量は同時注入によって投与される。任意選択で、CD47に特異的に結合する免疫療法剤の第2用量及びc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の単回用量は、CD47に特異的に結合する免疫療法剤の第1用量から3~15日後、任意選択で7日後に投与される。任意選択で、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤は、10~30日の期間にわたって少なくとも3回用量で投与される。任意選択で、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤は、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤の各用量が投与されるのと同じ日に、任意選択で他の用量よりも低くかつ先行する他の用量の追加の用量で投与される。
【0007】
任意選択で、この方法は、HSPCを患者に導入することを更に含む。任意選択で、HSPCは、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤の単回用量及びCD47に特異的に結合する免疫療法剤の第2用量が投与されてから5~15日後に患者に導入される。
【0008】
任意選択で、CD47に特異的に結合する免疫療法剤の第1及び第2用量、並びにc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の単回用量のみが、HSPCを導入する前に投与される。任意選択で、この方法は、第2用量の後にCD47に特異的に結合する免疫療法剤の第3用量を投与することを更に含み、任意選択で第2及び第3用量は、同量の免疫療法剤である。任意選択で、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤の複数回用量が投与され、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の複数回用量が投与され、HSPCは、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤、又は、CD47若しくはSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤のいずれか遅い方の最後の用量から5~15日後に患者に導入される。任意選択で、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤の最後の用量及びSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の最後の用量は、同じ日に投与される。
【0009】
任意選択で、CD47に特異的に結合する免疫療法剤は、CD47に特異的に結合する抗体である。任意選択で、CD47に特異的に結合する免疫療法剤は、ヒト化5F9、任意選択でマグロリマブである。
【0010】
任意選択で、SIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンが投与される。任意選択で、SIRPαに特異的に結合する免疫療法剤は抗体である。任意選択で、抗体は、配列番号29を含む配列を有する重鎖可変領域と、配列番号30を含む配列を有する軽鎖可変領域とを含む。任意選択で、SIRPαに特異的に結合する抗体は、FSI-189、ES-004、BI765063、ADU1805、及びCC-95251のいずれかである。任意選択で、SIRPαに特異的に結合する抗体は、10~30mg/kgの用量で投与される。任意選択で、SIRPαに特異的に結合する抗体の単回用量が投与される。任意選択で、SIRPαに特異的に結合する抗体の複数回用量が投与される。
【0011】
任意選択で、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤は抗体である。任意選択で、抗体は、ヒトIgG1アイソタイプのSR1のヒト化形態である。任意選択で、抗体は、配列番号7~9のいずれかを含む配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10を含む配列を有する軽鎖可変領域とを含む。任意選択で、重鎖可変領域は配列番号7を含む配列を有する。
【0012】
任意選択で、免疫療法剤の投与は、投与前のレベルの25~95%だけc-kit陽性HSPCを除去する。任意選択で、免疫療法剤の投与は、投与前のレベルの25~75%だけc-kit陽性HSPCを除去する。
【0013】
任意選択で、患者は、HSPCの除去によって治療される血液がんを有する。任意選択で、患者はまた、血液がんを治療するのに有効な薬剤を投与される。任意選択で、患者は、HSPCの除去前又は除去中に薬剤を投与される。任意選択で、薬剤は、化学療法剤、抗血管新生剤、抗線維化剤、又はがん抗原に対するモノクローナル抗体である。任意選択で、血液がんは、リンパ腫、白血病又は骨髄腫である。任意選択で、患者は、固形腫瘍を有し、また、患者のHSPCを除去する前に、患者は、固形腫瘍を治療するのに有効でありかつ患者のHSPCを損傷する薬剤を投与される。任意選択で、薬剤は化学療法剤である。任意選択で、CAR-T細胞が、HSPCを除去した後に患者に投与される。任意選択で、HSPCの増殖又は細胞療法を促進するために、HSPCの除去後にflt3アゴニスト又はCISH阻害剤が投与される。任意選択で、MCL1阻害剤を、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤及びCD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤と共に投与してNK細胞を除去する。
【0014】
上記の方法のいずれにおいても、患者はヒトであり得る。
【0015】
本発明は、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための薬剤の製造におけるc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の使用を更に提供しており、ここで、免疫療法剤は、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンと組み合わせて、0.15~2mg/kgの用量で投与するためのものである。本発明は、0.15~2mg/kgの用量でc-kitに特異的に結合する免疫療法剤と組み合わせた、血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための薬剤の製造におけるCD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の使用を更に提供する。これらの使用のいずれも、上記又は本明細書に記載の任意の方法に従うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】霊長類において(A)抗c-kit並びに(B)抗c-kit及び抗CD47を投与するための治療タイムラインを示す図である。
【
図1B】霊長類において(A)抗c-kit並びに(B)抗c-kit及び抗CD47を投与するための治療タイムラインを示す図である。
【0017】
【
図2】抗c-kitの血清中濃度を経時的に示す図である。
【0018】
【
図3】異なる用量の抗c-kitについてc-kit受容体占有率を示す図である。
【0019】
【
図4】抗c-kit及び抗CD47受容体占有率を経時的に示す図である。
【0020】
【
図5A】(A)抗c-kit並びに(B)抗c-kit及び抗CD47で治療したベースラインと比較したc-kit陽性HSCにおける変化率(%)を示す図である。
【
図5B】(A)抗c-kit並びに(B)抗c-kit及び抗CD47で治療したベースラインと比較したc-kit陽性HSCにおける変化率(%)を示す図である。
【0021】
【
図6A】抗c-kit及び抗CD47の併用療法による、(A)末梢白血球又は(B)好中球の変化を経時的に示す図である。
【
図6B】抗c-kit及び抗CD47の併用療法による、(A)末梢白血球又は(B)好中球の変化を経時的に示す図である。
【0022】
【
図7A】陰性対照と比較した、抗c-kit及び抗CD47併用療法の(A)ヘモグロビン及び(B)赤血球レベルを経時的に示す図である。
【
図7B】陰性対照と比較した、抗c-kit及び抗CD47併用療法の(A)ヘモグロビン及び(B)赤血球レベルを経時的に示す図である。
【0023】
【
図8】抗c-kit及び抗CD47の両方の複数回投与レジメンによるHSCの除去を示す図である。
【0024】
【
図9】抗c-kit及び抗SIRPαによるHSPCの除去を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
対象又は患者は、開示された方法によって治療されるヒト、及び他の動物、特にペット及び実験動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、及び非ヒト霊長類を含む哺乳動物の両方を含む。したがって、これらの方法はヒト治療と獣医学的適用の両方に適用可能である。
【0026】
免疫療法剤とは、指定された標的に対する抗体又はFc融合タンパク質を指す。例えば、CD47に対する抗体及びSIRPα-Fc融合はCD47に対する免疫療法剤である。
【0027】
免疫療法剤は、通常、単離された形態で提供される。これは、そのような薬剤が、通常、その製造又は精製から持ち込まれる干渉タンパク質及び他の汚染物質について少なくとも50%w/wは純粋であるものの、その薬剤が、その使用を容易にすることを目的とした薬学的に許容される過剰の担体又は他のビヒクルと組み合わされる可能性を排除しないことを意味する。場合によっては、薬剤は、製造又は精製に由来する干渉タンパク質及び汚染物質が少なくとも60、70、80、90、95又は99%w/w純粋である。多くの場合、薬剤は、その精製後に残る主要な高分子種である。
【0028】
免疫療法剤のその標的抗原への特異的結合は、親和性が少なくとも106、107、108、109又は1010M-1であることを意味する。特異的結合は、検出可能な程度に高く、少なくとも1つの無関係な標的に対して生じる非特異的結合と区別可能である。特異的結合は、特定の官能基間の結合又は特定の空間的適合(例えば、ロック及びキータイプ)の形成の結果であり得るが、非特異的結合は、通常、ファンデルワールス力の結果である。
【0029】
基本的な抗体の構造単位は、サブユニットの四量体である。各四量体は2つの同一のポリペプチド鎖対を含み、各対は、1つの「軽」(約25kDa)鎖及び1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する約100~110個又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。この可変領域は、まずは、切断可能なシグナルペプチドと連結されている状態で発現される。シグナルペプチドのない可変領域は、成熟可変領域と呼ばれることもある。したがって、例えば、軽鎖成熟可変領域は、軽鎖シグナルペプチドのない軽鎖可変領域を意味する。しかしながら、可変領域への言及は、シグナル配列が必ずしも存在することを意味するものではなく、実際、本発明の抗体又は他の免疫療法剤が発現及び分泌されると、シグナル配列が切断される。一対の重鎖及び軽鎖可変領域は、抗体の結合領域を画定する。軽鎖及び重鎖のカルボキシ末端部分は、それぞれ、軽鎖及び重鎖定常領域を画定する。重鎖定常領域は、主に、エフェクタ機能に関与する。IgG抗体において、重鎖定常領域は、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3領域に分けられる。IgAにおいて、重鎖定常領域は、CH1、CH2、及びCH3に分けられる。CH1領域は、ジスルフィド結合及び非共有結合によって軽鎖定常領域に結合する。ヒンジ領域は、抗体の結合領域とエフェクタ領域との間に柔軟性を提供し、また、四量体サブユニット内の2つの重鎖定常領域間の分子間ジスルフィド結合のための部位を提供する。CH2及びCH3領域はエフェクタ機能及びFcRn結合の主要部位である。
【0030】
軽鎖はカッパ又はラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEとして定義する。軽鎖及び重鎖内で、可変領域及び定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」セグメントによって結合され、重鎖はまた、約10個以上のアミノ酸の「D」セグメントを含む。(一般的に、Fundamental Immunology(Paul,W.編、第2版、Raven Press、N.Y.、1989)、第7章を参照)(すべての目的のために参照によりその全体が組み込まれる)。
【0031】
各軽鎖/重鎖対の成熟可変領域は抗体結合部位を形成する。したがって、インタクト抗体は、2つの結合部位を有し、即ち、二価である。天然抗体では、結合部位は同じである。しかしながら、二重特異性では、結合部位は異なる(例えば、Songsivilai及びLachmann、Clin.Exp.Immunol.、79:315-321(1990)、Kostelnyら、J.Immunol.、148:1547-53(1992)を参照)。可変領域はすべて、相補性決定領域又はCDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって結合された、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。各対の2本の鎖からのCDRは、フレームワーク領域によって整列され、特定のエピトープへの結合を可能にする。N末端からC末端まで、軽鎖及び重鎖の両方が、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1987及び1991)、又はChothia&Lesk、J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、Chothiaら、Nature342:878-883(1989)の定義に従う。Kabatはまた、広く使用されている番号付け規則(Kabat番号付け)を提供し、この規則では、異なる重鎖可変領域間又は異なる軽鎖可変領域間の対応する残基に同じ番号が割り当てられる。Kabat番号付けは抗体定常領域に使用することができるが、本出願の場合のように、EUインデックスが、より一般的に使用される。
【0032】
「エピトープ」という用語は、二重特異性抗体のアームが結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、1つ以上のタンパク質の三次元フォールディングによって並置された連続アミノ酸又は非連続アミノ酸から形成され得る。連続アミノ酸から形成されるエピトープ(線状エピトープとしても知られる)は、通常、変性溶媒への曝露時に保持されるのに対し、三次元フォールディングによって形成されるエピトープ(立体配座エピトープとしても知られる)は、通常、変性溶媒による処理で失われる。一部の抗体は末端特異的エピトープに結合し、これは、抗体が、別のポリペプチドと融合した同じポリペプチドと比較して、遊離末端を有するポリペプチドに優先的に結合し、その結果、遊離末端が失われることを意味する。エピトープは、通常、固有の空間的立体配座において、少なくとも3個、より通常は少なくとも5個、又は8~10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的立体配座を決定する方法は、例えば、X線結晶解析及び2次元核磁気共鳴を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols、Methods in Molecular Biology、第66巻、Glenn E.Morris編、(1996)を参照されたい。
【0033】
同じ又は重複するエピトープを認識する抗体は、1つの抗体が別の抗体の標的抗原への結合と競合する能力を示す単純な免疫測定法において同定することができる。抗体のエピトープはまた、接触残基を同定するために、その抗原に結合した抗体のX線結晶解析で定義することができる。あるいは、一方の抗体の結合を減少又は排除する抗原におけるすべてのアミノ酸変異が、他方の結合を減少又は排除する場合、2つの抗体は同じエピトープを有する。一方の抗体の結合を減少又は排除する一部のアミノ酸変異が、他方の結合を減少又は排除する場合、2つの抗体は重複するエピトープを有する。
【0034】
抗体間の競合は、試験中の抗体が共通抗原への参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイによって決定される(例えば、Junghansら、Cancer Res、50:1495,1990を参照)。競合的結合アッセイで測定した場合、過剰の試験抗体(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍又は100倍)が、参照抗体の結合を少なくとも50%、好ましくは75%、90%又は99%阻害する場合、試験抗体は参照抗体と競合する。競合アッセイによって同定される抗体(競合抗体)は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体と、立体障害が生じるために参照抗体によって結合されたエピトープに十分に近くにある隣接エピトープに結合する抗体とを含む。
【0035】
アミノ酸置換を保存的又は非保存的に分類する目的で、アミノ酸は次のようにグループ分けされる:グループI(疎水性側鎖):met、ala、val、leu、ile、グループII(中性親水性側鎖):cys、ser、thr、グループIII(酸性側鎖):asp、glu、グループIV(塩基性側鎖):asn、gln、his、lys、arg、グループV(鎖配向に影響する残基):gly、pro、及び、グループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換には、同じクラスのアミノ酸間の置換が含まれる。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換する性質のものである。
【0036】
配列同一性のパーセンテージは、可変領域の場合はKabat番号付け規則、又は定常領域の場合はEU番号付けによって最大限に整列された抗体配列を用いて決定される。整列後、対象抗体領域(例えば、重鎖又は軽鎖の成熟可変領域全体)を参照抗体の同じ領域と比較する場合、対象と参照抗体領域との間の配列同一性のパーセンテージは、対象抗体領域及び参照抗体領域の両方で同じアミノ酸によって占有される位置の数を、ギャップがカウントされていない2つの領域の整列された位置の総数で割り、100を乗算してパーセンテージに変換したものである。
【0037】
対象に投与される抗c-kitの用量を増加しても、c-kitに結合する抗c-kitの量が10%を超えて増加しない場合、C-kitは、抗c-kitで実質的に飽和している。
【0038】
1つ以上の列挙された要素を「含む(comprising)」組成物又は方法は、具体的に列挙されていない他の要素を含んでもよい。例えば、抗体を含む組成物は、抗体を単独で、又は他の成分と組み合わせて含んでもよい。
【0039】
「抗体依存性細胞傷害」、又はADCCという用語は、抗体被覆標的細胞(即ち、結合した抗体を有する細胞)と、溶解活性を有する免疫細胞(エフェクタ細胞とも呼ばれる)との相互作用に依存する細胞死を誘導するメカニズムである。そのようなエフェクタ細胞としては、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージ、及び好中球が挙げられる。ADCCは、細胞に結合した抗体のFc領域と、好中球、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞などの免疫エフェクタ細胞上のFcγ受容体、特にFcγRI及びFcγRIIIとの間の相互作用によって誘発される。標的細胞は、介在するエフェクタ細胞の種類に応じて、食作用又は溶解によって排除される。抗体被覆標的細胞の死はエフェクタ細胞活性の結果として生じる。
【0040】
「抗体依存性細胞食作用」又はADCPという用語は、抗体被覆細胞が免疫グロブリンFc領域に結合する食作用免疫細胞(例えば、マクロファージ、好中球及び樹状細胞)によって、全体的又は部分的に内在化されるプロセスを指す。
【0041】
「補体依存性細胞傷害」又はCDCという用語は、細胞死を誘導するためのメカニズムを指し、ここで、標的に結合した抗体のFcエフェクタドメインが一連の酵素反応を活性化して標的細胞膜に穴を形成する。通常、抗体被覆標的細胞上のものなどの抗原-抗体複合体は、補体成分C1qに結合してそれを活性化し、次にこれが補体カスケードを活性化して標的細胞死を引き起こす。補体の活性化はまた、標的細胞表面上への補体成分の堆積をもたらす可能性があり、この堆積が、白血球上の補体受容体(例えば、CR3)に結合することによってADCCを促進する。
【0042】
文脈から特に明らかでない限り、範囲への言及は、その範囲内の整数によって定義されるすべてのサブ範囲も開示するものとして理解されるべきである。
【0043】
本明細書でmg/kgで示される任意の用量又は用量範囲は、70kgの例示的なヒト体重を使用してmgでの絶対用量に変換することができ、任意選択で、用量、又は用量の上限及び下限を、計算された絶対用量を包含する最も近い整数、又は最も近い10、50、100、500又は1000の整数に丸めることができる。したがって、例えば、0.15~2mg/kgの用量範囲は、10.5~140mgに変換することができ、又は例示的な丸めにより10~150mgに変換することができる。同様に、10~30mg/kgの用量範囲を、700~2100mgに変換し、又は例示的な丸めにより500~2500mgに変換することができる。
(発明を実施するための形態)
【0044】
I.概論
本発明は、内在性HSPCの除去のために、c-kitに特異的に結合するか又はCD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤の共投与レジメンを提供する。これらのレジメンは、比較的低いレベルの抗c-kitの送達が、HSPCのレベルを有意に低下させることなく、HSPC上のc-kitへの結合を飽和させるという洞察に部分的に基づいている。しかしながら、抗c-kitの作用が、CD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤によって促進される場合、HSPCのレベルが有意に低下する。受容体の実質的な飽和を達成するが、大幅に過剰ではない十分な抗c-kitの投与は、c-kitを発現するHSPCのレベルを許容可能なレベルまで低下させ、対象が不十分なHSPCを有する間に有害な遅延なしに補充HSPCの導入を可能にするのに有利である。
【0045】
II.HSPC
用途に応じて、対象に導入されるHSPCは、自家(即ち、その対象由来)、同種(同じ種の別の個体由来)、又は異種(異なる種由来)であり得る。同種の場合、HSPCはMHC対立遺伝子に対して完全に又は部分的に適合するか、あるいは適合しない可能性がある。適合するHSPCは、親戚又は見知らぬ人から得ることができる。
【0046】
すべてのHSPCは、骨髄系若しくはリンパ系又はその両方の細胞に増殖及び分化することができるが、HSPCには、様々な分化段階の細胞が含まれる。原始幹細胞は無限に増殖し、骨髄系及びリンパ系のすべての細胞型を形成することができる。原始幹細胞は多能性前駆細胞に分化し、多能性前駆細胞は、骨髄系とリンパ系の両方のすべての細胞を生じさせることができるが、無限に増殖することはできない。多能性前駆細胞は、リンパ球共通前駆細胞CLPを含む少能性前駆細胞を生じさせ、この前駆細胞は、成熟Bリンパ球、Tリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞を生じさせる。多能性前駆細胞はまた、骨髄系共通前駆細胞(CMP)を生じさせ、この前駆細胞は、単球/マクロファージ及び顆粒球に分化する顆粒球-マクロファージ前駆細胞、並びに巨核球/血小板及び赤血球に分化する巨核球/赤血球前駆細胞に更に分化する(Bryderら、Am.J.Pathol.169、338-346(2006)の
図1を参照)。
【0047】
原始造血幹細胞(HC)及び多能性前駆細胞(HPC)は、例えば、コブルストーン領域形成細胞アッセイを実施することによって、実験的にそれぞれを区別することができる(Ploemacherら、Blood.78:2527-33(1991))。前駆細胞は培養において1~3週間にかけての早期に現れるのに対して、原始造血幹細胞は培養において4~5週間で現れる。原始幹細胞及び多能性前駆細胞の両方は補充療法に有用である。CMP又はCLPのような更に分化した細胞も使用することができるが、それらの増殖能力が制限され、それらが形成できる細胞の系統が限られているため、汎用性が低い可能性がある。
【0048】
HSPCは、骨髄、末梢血又は臍帯血からの採取によって得ることができる。ドナーが局所麻酔又は全身麻酔を受けている間に、骨髄は一般に後腸骨稜から吸引される。更なる骨髄は、前腸骨稜から得ることができる。骨髄を顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF、フィルグラスチム[Neupogen])で予備刺激して、幹細胞数を増加させることができる。「全骨髄」への言及は、一般に、特定の免疫細胞サブセットに対して選択されていない骨髄由来の単核細胞の組成物を指す。「分画骨髄」は、例えば、T細胞、例えば、CD8+細胞、CD52+細胞、CD3+細胞などが枯渇しており、CD34+細胞などに富んでいる可能性がある。
【0049】
HSPCはまた、G-CSF、GM-CSF又はプレリキサホル(AMD3100又はモゾビルとしても知られる)などのサイトカインによって骨髄から末梢血中に幹細胞を動員することによって得ることができる。動員に使用されるG-CSFの例示的な用量は10μg/kg/日であるが、より高い用量を与えることができ、例えば、最大40μg/kg/日を与えることができる。モゾビルはG-CSFと併用して、採取のためにHSPCを末梢血に動員することができる。HSPCは、アフェレーシス装置を用いて末梢血から採取することができる。
【0050】
HSPCはまた、通常、同種移植のために臍帯血(UBC)から得ることができる。UCBは、インビボで長期再増殖幹細胞を産生できる原始幹/前駆細胞に富んでいる。
【0051】
これらの処置から単離された血液細胞は、特徴的な細胞表面マーカーの親和性濃縮によって、HSPC又はそのサブセット、例えば、原始幹細胞及び/又は共通前駆細胞に対する濃縮を受けることができる。そのようなマーカーとしては、CD34、CD90(thy-1)、CD59、CD1 10(c-mpl)、c-kit(CD-117)が挙げられる。細胞は、ドナー造血細胞サンプルから、磁気ビーズ選択、フローサイトメトリーなどを含む親和性法によって選択することができる。Ceparte、Isolex 300i、及びCliniMACSを含めて、いくつかの免疫選択装置が、CD34+細胞選択のために市販されている。
【0052】
HSPC組成物は、集団中のCD34+である細胞のパーセンテージによって定義されるように、少なくとも約50%純粋であってもよく、少なくとも約75%純粋、少なくとも約85%純粋、少なくとも約95%純粋、又はそれ以上であってもよい。
【0053】
HSPCを特徴付ける例示的なマーケットセットは、CD34陽性であり、かつCD11b、CD2、CD14、CD4、CD56、CD7、CD3、CD8a、CD16、CD19、CD20のそれぞれにおいて系統陰性である。
【0054】
III.除去レジメン
除去レジメンは、内在性HSPCを減少又は排除するのに役立つ。内在性HSPCは、補充HSPCを導入する前に、例えば、少なくとも10%、25%、50%、75%又は90%だけ減少することができる。一部のレジメンは、補充HSPCを導入する前に、内在性HSPCを、例えば90%、75%、50%、25%又は10%を超えて減少させない。一部のレジメンは、内在性HSPCを25~75%又は25~95%減少させる。除去レジメンはまた、HSPCの構成細胞であるHSC又はHPCの対応する減少率によって定義することができる。両方とも抗c-kitを発現するため、両方とも同じ程度に除去を受けることができる。
【0055】
このような除去レジメンは、以下に更に例示されるように、c-kit(CD117)に特異的に結合する抗体(一般に国際公開第2008067115号を参照)又は阻害剤c-kitに結合する他の薬剤の投与を含む。C-kitは、PBT、SCFR、MASTCのいずれかとしても知られている。ヒトの治療において免疫療法の標的となるヒトc-kitには、例示的な受託番号NCBI遺伝子ID:3815及びUniprot-P10721が割り当てられている。C-kitは、骨髄中の特定の種類のHSPCを同定するために使用される細胞表面マーカーである。造血幹細胞(HSC)、多能性前駆細胞(MPP)、及び骨髄系共通前駆細胞(CMP)は、高レベルのc-kitを発現する。このような抗体は、c-kitとそのリガンドとの間の相互作用を阻害することによって、またADCC、ADCP及びCDCなどのエフェクタ介在メカニズムによって、内在性HSPCを減少させることができる。c-kitは受容体型チロシンキナーゼIII型であり、「スチール因子」又は「c-kitリガンド」としても知られる幹細胞因子(特定の種類の細胞を成長させる物質)に結合する。この受容体が幹細胞因子に結合すると、それは、その固有のチロシンキナーゼ活性を活性化する二量体を形成し、二量体は次に細胞内でシグナルを伝達するシグナル伝達分子をリン酸化して活性化する。SR1、2B8、ACK2、YB5-B8、57A5、104D2(米国特許第20180214525号)を含めて、ヒトc-kitに特異的に結合する多くの抗体が市販されている。AMG 191はSR1のヒト化形態である(米国特許第8436150号及び同第7915391号)。キメラ、ベニア化又はヒト化形態を含むこれらの抗体のいずれか、又は同じエピトープに結合するか又はc-kitへの結合について競合する抗体は、開示される方法において使用することができる。c-kitに対する他の抗体は、以下に更に記載されるように、標準的な免疫学的技術によって新たに生成することができる。
【0056】
SR1の他の一部のヒト化形態は、例えば、2018年11月26日に出願された米国特許第62/771526号及び2019年11月25日に出願された国際出願PCT/US2019/063091によって記載されている。一部の抗体は、それぞれ配列番号2~4の重鎖CDR H1、H2及びH3を含み、軽鎖CDR L1、L2及びL3は、米国特許第62/771526号及び国際出願PCT/US2019/063091の配列番号6~8(即ち、Kabatによって定義される)を含み、任意選択で、以下のCDR置換のうちの1つ、2つ又は3つを含む。これらのCDRは本明細書の配列番号1~6である。CDR置換は、好ましくは、重鎖位置60でのNからA、重鎖位置64でのKからQ、及び軽鎖位置30でのNからQから選択され、位置は、Kabatに従って番号付けされる。本発明の一部の好ましい抗体は、AH2、AH3及びAH4に対応する、米国特許第62/771526号及び国際出願PCT/US2019/063091の配列番号13、17又は21並びに本明細書の配列番号7~9と指定された鎖のいずれかの配列を有する成熟重鎖可変領域と、NL2に対応する、米国特許第62/771526号及び国際出願PCT/US2019/063091号の配列番号53(本明細書の配列番号10)の配列を有する成熟軽鎖可変領域とを有する。一般に、ADCPなどのエフェクタ機能は有用であるが、抗c-kit抗体には必須ではない。したがって、一部のそのような抗体はヒトIgG1アイソタイプを有する。一部の抗体は、1つ以上のエフェクタ機能を増強する変異を備えたヒトIgG1イソタイプを有する(以下を参照)。以下の実施例で使用される例示的な抗体は、本明細書の配列番号7の重鎖可変領域、並びに本明細書の配列番号10の軽鎖可変領域及びヒトIgG1アイソタイプを含むSR1のヒト化形態である。
【0057】
抗c-kit免疫療法剤の更なる例としては、FSI-174(Forty Seven,Inc.)、及びCDX-0158又はCDX-0159(Celldex Therapeutics,Inc.)が挙げられる。c-kitの他の阻害剤は、国際公開第199203459、国際公開第199221766号、国際公開第2007127317号、国際公開第2008115300号、国際公開第2012154480号、国際公開第2019155067号、及び国際公開第2020076105号の刊行物に記載されている。
【0058】
除去レジメンはまた、c-kitに対する抗体と組み合わせて使用するための、CD47-SIRPα相互作用を阻害する免疫療法剤を含むことができる(一般的に国際公開第2016033201号を参照)。そのような薬剤は、抗c-kitによって介在される内在性HSPCのエフェクタ介在性排除を促進する。そのような薬剤は、CD47又はSIRPαに特異的に結合する抗体を含む。そのような薬剤はまた、SIRPαに対する抗体と同様に機能するFcに融合したCD47 ECD、又はCD47に対する抗体と同様に機能するFcに融合したSIRPαを含む。(Zhangら、Antibody Therapeutics、1:27-32(2018)を参照)。好ましい抗体は、いずれかの受容体を介して活性化シグナルを与えることなく、CD47-SIRPα相互作用に拮抗する。
【0059】
CD47はまた、IAP、MER6、及びOA3のいずれかとしても知られている。ヒトの治療において免疫療法剤の標的となるヒトCD47には、例示的な受託番号NCBI遺伝子ID:961及びUniprotQ08722が割り当てられている。
【0060】
好適な抗CD47抗体の例としては、クローンB6H12、5F9、8B6、C3(例えば、国際公開第2011/143624号に記載のものなど)、CC9002(Vonderheide、Nat Med 2015、21:1122-3,2015)、及びSRF231(Surface Oncology)が挙げられる。好適な抗CD47抗体は、そのような抗体のヒト型抗体、ヒト化型抗体又はキメラ型抗体、同じエピトープに結合する抗体又はCD47への結合について競合する抗体を含む。ヒト化抗体(例えば、国際公開第2011/143624号のhu5F9-IgG4)は、それらの低い抗原性のため、ヒトにおけるインビボ適用で特に有用である。ヒトCD47におけるhu5F9-IgG4の直接接触残基は、K39、K41、E97、T99及びE104(LC)並びにE29、R103及びE104(HC)であることが報告されている(Weiskopfら、J.Clin.Invest 126、2610-262-(2016))。同様に、イヌ化抗体及びネコ化抗体などは、それぞれ、イヌ、ネコ、及び他の種における適用で特に有用である。
【0061】
一部のヒト化抗体は、配列番号20、21、及び22にそれぞれ記載されるVH相補性領域CDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、国際公開第2011/143624号の配列番号23、24、及び25(本明細書の配列番号11~16)にそれぞれ記載されるVL相補性領域CDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含むヒトCD47に特異的に結合する。一部のヒト化抗体は、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38から選択される重鎖可変領域と、国際公開第2011/143624号の配列番号41、配列番号42、及び配列番号43から選択される軽鎖可変領域とを含む(本明細書の配列番号17~22)。5F9のヒト化形態であるマグロリマブは好ましい抗体である。
【0062】
SIRPαとの相互作用を阻害するCD47に対する免疫療法剤の他の例としては、抗CD47 mAbs(Vx-1004)、抗ヒトCD47 mAbs(CNTO-7108)、CC-90002、CC-90002-ST-001、NI-1701、NI-1801、RCT-1938、ALX-148、RRx-001、DSP-107、VT-1021、TTI-621、TTI-622、IMM-02 SGN-CD47Mが挙げられる。
【0063】
好適な抗SIRPα抗体は、SIRPαに特異的に結合し(食作用を阻害するのに十分なシグナル伝達応答を活性化/刺激せずに)、SIRPαとCD47との間の相互作用を阻害する。ヒトの治療において免疫療法剤の標的となるヒトSIRPαには、例示的な受託番号NCBI遺伝子ID:140885及びUniprotP78324が割り当てられている。好適な抗SIRPα抗体は、そのような抗体の完全ヒト型、ヒト化型、又はキメラ型を含む。Kabat CDR及び可変領域によって定義される一部の例示的な抗SIRPα抗体を以下の表1に提供する。
【0064】
【0065】
以下の実施例において使用される上記の表からの例示的な抗体は、配列番号29の重鎖可変領域及び配列番号30の軽鎖可変領域、並びにエフェクタ機能の低下のために変異導入したヒトIgG1定常領域を含むヒト化1H9である(N297A、EU番号付け)。更なる例示的な抗体は、KWAR23(Ringら、Proc Natl Acad Sci USA、2017年12月5日、114(49):E10578-E10585、国際公開第2015/138600号)、BI765063としても知られているMy-1及びEffi-DEM(Boehringer Ingelheim)(Zhangら、Antibody Therapeutics、第1巻、第2号、2018年9月21日、27~32ページ)である。ヒト化抗体は、それらの低い抗原性のため、ヒトにおけるインビボ適用で特に有用である。同様に、イヌ化抗体及びネコ化抗体などは、それぞれ、イヌ、ネコ、及び他の種における適用で特に有用である。抗SIRPα抗体の他の例としては、FSI-189(Forty Seven,Inc.)、ES-004、ADU1805(Aduro Biotech及びVoetsら、J Immunother.Cancer.2019、7:340)、及びCC-95251(Celgene、Uger & Johnson、Expert Opinion on Biological Therapy、20:1、5-8、DOI:10.1080/14712598.2020.1685976)が挙げられる。
【0066】
免疫療法剤としてはまた、SIRPαに特異的に結合し、HSPC上のCD47と食細胞上のSIRPαとの間の相互作用を低減する可溶性CD47ポリペプチドも挙げられる(例えば、国際公開第2016179399号を参照)。このようなポリペプチドは、ECD全体又は上記の機能性を有するその一部を含むことができる。好適な可溶性CD47ポリペプチドは、SIRPαの活性化が食作用を阻害するため、SIRPαを介したシグナル伝達を活性化又は刺激することなく、SIRPαに特異的に結合する。代わりに、好適な可溶性CD47ポリペプチドは、内因性HCSPsの食作用を促進する。可溶性CD47ポリペプチドはFcに融合することができる(例えば、米国特許第20100239579号に記載されているように)。
【0067】
SIRPαに結合し、CD47との相互作用を阻害する薬剤の他の例は、国際公開第200140307号、国際公開第2002092784号、国際公開第2007133811号、国際公開第2009046541号、国際公開第2010083253号、国際公開第2011076781号、国際公開第2013056352号、国際公開第2015138600号、国際公開第2016179399号、国際公開第2016205042号、国際公開第2017178653号、国際公開第2018026600号、国際公開第2018057669号、国際公開第2018107058号、国際公開第2018190719号、国際公開第2018210793号、国際公開第2019023347号、国際公開第2019042470号、国際公開第2019175218号、国際公開第2019183266号、国際公開第2020013170号及び国際公開第2020068752号に記載されている。
【0068】
免疫療法試薬はまた、CD47に特異的に結合し、SIRPαとの相互作用を阻害する可溶性SIRPαポリペプチドを含む。例示的な薬剤としては、ALX148(Kauderら、Blood 2017 130:112)、並びにTTI-622及びTTI-661 Trillium)が挙げられる。このような薬剤は、SIRPα ECD全体又は上記の機能性を有するその任意の一部を含むことができる。SIRPα試薬は、通常、少なくともSIRPαのd1ドメインを含む。可溶性SIRPαポリペプチドは、Fc領域に融合することができる。SIRPα由来ポリペプチド及びその類似体(例えば、CV1-hlgG4及びCV1モノマー)を含む「高親和性SIRPα試薬」と呼ばれる例示的なSIRPαポリペプチドは、国際公開第2013/109752号に記載されている。高親和性SIRPα試薬は、天然SIRPαタンパク質の多様体である。親和性の増加をもたらすアミノ酸変化はd1ドメインに局在しており、したがって、高親和性SIRPα試薬は、d1ドメイン内の野生型配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変化を備えたヒトSIRPαのd1ドメインを含む。このような高親和性SIRPα試薬は、任意選択で、追加のアミノ酸配列、例えば抗体Fc配列、天然タンパク質又はその断片、通常はd1ドメインに隣接する断片の残基150~374を含むがこれらに限定されない、d1ドメイン以外の野生型ヒトSIRPαタンパク質の部分などを含む。高親和性SIRPα試薬は、単量体又は多量体、即ち、二量体、三量体、及び四量体などであってもよい。一部の実施形態では、高親和性SIRPα試薬は可溶性であり、ポリペプチドはSIRPα膜貫通ドメインを欠き、野生型SIRPα配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変化を含み、ここで、アミノ酸変化は、例えば、オフレートを少なくとも10分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1、少なくとも100分の1、少なくとも500分の1、又はそれ以上減少することによって、CD47に結合するSIRPαポリペプチドの親和性を増加させる。
【0069】
Fc領域を有するCD47又はSIRPαに向けられる免疫療法剤は、任意のヒトアイソタイプ、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4を有することができる。エフェクタ機能はCD47-SIRPα相互作用を阻害するのに必要ではないため、エフェクタ機能を低下させるために変異導入したヒトIgG4又はIgG2アイソタイプ又はIgG1を用いることができる。
【0070】
抗体及びFc融合タンパク質を含む免疫療法剤は、内在性HSPCを減少又は排除するという所望の目的を達成するのに有効なレジメンで投与される。有効なレジメンとは、用量、投与頻度及び投与経路の組み合わせを指す。c-kitに特異的に結合する抗体のレジメンは、好ましくは、c-kitを発現するHSPCの標的集団上のc-kit受容体を実質的に飽和させるのに十分な抗体を送達するが、補充HSPCの投与における遅延又はHSPCの補充の意図しない殺傷をもたらし得る、投与後の抗c-kitの不必要な長期持続を生じさせるような量を超える大幅に過剰ではない。約0.15~2mg/kgの抗c-kitの総量がそのような目的に適していることが見出されている。この量は、単回用量、2回用量、又は3回以上の用量として投与することができる。1つのレジメンは、例えば、0.15~1mg/kg、0.25~1mg/kg、0.25~0.5mg/kg、又は0.3mg/kgの抗c-kitの単回用量を投与することを含む。別のレジメンは、例えば、0.15~1mg/kg、0.25~1mg/kg、0.25~0.5mg/kg、又は0.3mg/kgの抗c-kitの2回用量を3~7日間隔で投与することを含む。別のレジメンは、例えば、0.15~1mg/kg、0.25~1mg/kg、0.25~0.5mg/kg、又は0.3mg/kgの抗c-kitの3回以上の用量を任意選択で10~30日間隔で投与することを含む。同じ日(即ち、最初から最後まで24時間以内)に複数回投与することは、同じ用量の一部と見なされる。他のレジメンは、単回、2回又は3回投与レジメンの曲線の実質的に同じ面積(例えば、90%以内)を送達することができるが、各投与がより少ない量のより多くの投与を伴う。他のレジメンは、記載された単回及び2回投与レジメンと実質的に同じレベルの、c-kitを発現するHSPCの減少(例えば、90%以内)をもたらすことができる。提供される用量は、c-kitに対する抗体、特に上記のようなヒト化SR1抗体のいずれかに対するものである。これらの用量はまた、他の免疫療法剤についてガイダンスを提供し、しかしながら、そのような薬剤の用量を、分子量及び/又は結合親和性の違いについて調整して、c-kitを発現するHSPCの、ヒト化SR1について得られるのと実質的に同じレベルの減少を達成することができる。
【0071】
CD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤は、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤(抗c-kit)によってc-kitを発現するHSPCの減少を促進するのに有効なレジメンで投与される。抗c-kitは、CD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤による促進がない場合、c-kitを発現するHSPCの減少に影響する場合もあれば、影響しない場合もある。CD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤の例示的な用量は、少なくとも0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kgのいずれかから5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg又は50mg/kgのいずれかまでである。一部の例示的な範囲は、0.05mg/kg~50mg/kg、0.1mg/kg~20mg/kg、1mg/kg~10mg/kg、又は10mg/kg~30mg/kgである。任意選択で、そのような免疫療法剤、特にCD47に特異的に結合するものは、例えば国際公開第2017181033号に記載されているように、最初に1つ以上の初回刺激用量で投与し、続いて1つ以上の治療用量で投与して、赤血球の望ましくない架橋を減少させることができる。好ましいレジメンは、0.5~5mg/kg、例えば1mg/kgでの初回刺激用量と、それに続く10~30又は15~20mg/kgの治療用量である。治療用量は、例えば、初回刺激用量の3~15日後又は5~10日後又は7日後に投与される。
【0072】
抗c-kitと、CD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤との併用又は共投与治療は、前者によるc-kitを発現するHSPCの減少を促進するために、後者に時間的に十分に近くそれぞれの薬剤を投与することを含む。通常、併用レジメンにおいて、両方の薬剤は対象の血清中に同時に検出可能なレベルで存在する。一部の併用レジメンでは、CD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤の初回刺激用量を投与し、続いて、抗C-kitの用量及びCD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤の治療用量を同時に投与する。一部のそのようなレジメンでは、2つの薬剤は同時注入によって同時に投与される。一部のレジメンでは、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤の複数回用量及びCD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤の複数回用量が、任意選択でペアワイズ方式で投与され、それぞれの1回用量が同じ日に投与される。そのようなレジメンに先立って、CD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤の初回刺激用量を投与することができる。
【0073】
c-kitに特異的に結合する免疫療法剤とCD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤との併用療法は、免疫系の他の細胞を枯渇させるのに有効な1つ以上の薬剤と更に組み合わせて行うことができる。例えば、MCL1アポトーシス調節因子、BCL2ファミリーメンバー(MCL1)阻害剤は、NK細胞を除去するために使用することができる。様々な実施形態において、本明細書に記載されるような除去レジメンは、MCL1アポトーシス調節因子の阻害剤、BCL2ファミリーメンバー(MCL1,TM、EAT、MCL1L、MCL1S、Mcl-1、BCL2L3、MCL1-ES、bcl2-L-3、mcl1/EAT、NCBI遺伝子ID:4170)と組み合わされる。MCL1阻害剤の例としては、AMG-176、AMG-397、S-64315、AZD-5991、483-LM、A-1210477、UMI-77、JKY-5-037、APG-3526及び国際公開第2018183418号、国際公開第2016033486号、国際公開第2017147410号に記載されたものが挙げられる。
【0074】
補充HSPCは、c-kitに特異的に結合し、CD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤の併用レジメンの投与後に投与することができる。任意選択で、補充HSPCは、抗c-kitの投与後、又は複数回投与された場合は抗c-kitの最後の用量後5~15日投与される。抗c-kitの最後の用量よりも遅く投与された場合、CD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤の最後の用量の5~15日間に投与することもできる。任意選択で、HSPC又はc-kitを発現するHSPCのレベル及び/又は抗c-kitのレベル及び/又はCD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤のレベルを測定し、HSPC又はc-kitを発現するHSPCのレベルが前治療レベルの閾値%(例えば、90%、75%、50.25%若しくは5%未満又は25~75%若しくは25~95%)を下回り、かつ抗c-kit及び/又はCD47-SIRPαを阻害する免疫療法剤のレベルが最大レベルの25%、10%、5%、1%を下回るか、又は検出不能なレベルに達する場合に、補充HSPCを投与する。
【0075】
再導入のためのHSPCの例示的な用量は、少なくとも1×105、1×106、2、×106、5×106、107、2×107個のCD34+細胞/kg体重である。例示的な範囲は、1×105~5×107、1×106~2×107、又は5×105~6×106個のCD34+細胞/kg体重である。用量は、利用可能な細胞の数によって制限される場合がある。通常、供給源にかかわらず、用量は、存在するCD34+細胞の数によって計算される。CD34+細胞のパーセント数は、未分画の骨髄又は動員された末梢血では低くなる可能性があり、その場合、投与される細胞の総数ははるかに多くなる。HSC又はHPCのようなHSPCの構成細胞は、投与されるHSPCの代替として投与することができる。
【0076】
補充HSPC又は他の細胞療法は、HSPCの増殖を促進するために1つ以上の薬剤と共に投与することができる。例えば、補充HSPC又は他の細胞療法は、fms関連受容体チロシンキナーゼ3(FLT3)、FLK2、STK1、CD135、FLK-2、NCBI遺伝子ID:2322)のアゴニストの投与と組み合わせることができる。FLT3アゴニストの例としては、CDX-301及びGS-3583が挙げられる。例えば、補充HSPC又は他の細胞療法はまた、サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH、CIS、G18、SOCS、CIS-1、BACTS2、NCBI遺伝子ID:1154)の阻害剤と組み合わせることができる。CISH阻害剤の例としては、国際公開第2017100861号、国際公開第2018075664号及び国際公開第2019213610号に記載されているものが挙げられる。
【0077】
免疫療法剤は、通常、薬剤が1種以上の薬学的に許容される担体と組み合わされた医薬組成物として投与される。様々な水性担体、例えば、緩衝生理食塩水などを使用することができる。これらの溶液は無菌であり、一般に望ましくない物質を含まない。これらの組成物は、従来の技術によって滅菌することができる。組成物は、pH調節剤及び緩衝剤、毒性調節剤などのような生理学的条件に近づけるのに必要な薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含み得る。これらの製剤中の活性剤の濃度は様々に変更することができ、選択された具体的な投与方法及び患者のニーズに従って、主に流体体積、粘度、体重などに基づいて選択される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science(第15版、1980)及びGoodman & Gillman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(Hardmanら編、1996))。
【0078】
IV.細胞療法
一部の実施形態では、細胞療法は、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)TCRを発現するように操作された免疫細胞の共投与を伴う。特定の実施形態では、免疫細胞の集団は、CARを発現するように操作され、ここで、CARは、がん抗原結合ドメインを含む。他の実施形態では、免疫細胞の集団は、腫瘍細胞の表面に提示された腫瘍由来ペプチドを標的とするように操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように操作される。一実施形態では、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)TCRを発現するように操作された免疫細胞は、T細胞である。別の実施形態では、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)TCRを発現するように操作された免疫細胞は、NK細胞である。
【0079】
CARの構造に関して、一部の実施形態において、CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、共刺激ドメイン、又は一次シグナル伝達ドメイン及び共刺激ドメインの両方を含む。一部の実施形態では、一次シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、共通FcRガンマ(FCERIG)、FcRベータ(FcイプシロンRlb)、CD79a、CD79b、FcガンマRIIa、DAP10、DAP12 4-1BB/CD137、活性化NK細胞受容体、免疫グロブリンタンパク質、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD100(SEMA4D)、CD103、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD30、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD69、CD7、CD84、CD8アルファ、CD8ベータ、CD96(Tactile)、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CDS、CEACAM1、CRT AM、サイトカイン受容体、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcガンマ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、ICAM-1、Igアルファ(CD79a)、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、インテグリン、ITGA4、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGB1、KIRDS2、LAT、LFA-1、LFA-1、CD83と結合するリガンド、LIGHT、LIGHT、LTBR、Ly9(CD229)、Ly108)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CD1-1a/CD18)、MHCクラス1分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX-40、PAG/Cbp、プログラム死-1(PD-1)、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、SLAMF4(CD244、2B4)、SLAMF6(NTB-A、SLAMF7、SLP-76、TNF受容体タンパク質、TNFR2、TNFSF14、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、又はVLA-6、又はそれらの断片、切断若しくは組み合わせからなる群から選択される1つ以上のタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインを含む。
【0080】
一部の実施形態では、共刺激ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、MYD88、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRFI)、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、ITGAE、CD103、ITGAL、CD1A(NCBI遺伝子ID:909)、CD1B(NCBI遺伝子ID:910)、CD1C(NCBI遺伝子ID:911)、CD1D(NCBI遺伝子ID:912)、CD1E(NCBI遺伝子ID:913)、ITGAM、ITGAX、ITGB1、CD29、ITGB2(CD18、LFA-1)、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46及びNKG2Dからなる群から選択される1つ以上のタンパク質の機能ドメインを含む。
【0081】
一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータ、又はゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD3デルタ、CD3ガンマ、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8アルファ、CD8ベータ、CD9、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CD16、CD18、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD19、CD19a、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD1A、CD1B、CD1C、CD1D、CD1E、ITGAE、CD103、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB1、ITGB2、ITGB7、CD29、ITGB2(LFA-1、CD18)、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(TACTILE)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、NKG2C活性化NK細胞受容体、免疫グロブリンタンパク質、BTLA、CD247、CD276(B7-H3)、CD30、CD84、CDS、サイトカイン受容体、Fcガンマ受容体、GADS、ICAM-1、Igアルファ(CD79a)、インテグリン、LAT、CD83と結合するリガンド、LIGHT、MHCクラス1分子、PAG/Cbp、TNFSF14、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、又はそれらの断片、切断若しくは組み合わせからなる群から選択されるタンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。
【0082】
一部の実施形態では、CARはヒンジドメインを含む。ヒンジドメインは、CD2、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD4、CD7、CD8アルファ、CD8ベータ、CD11a(ITGAL)、CD11b(ITGAM)、CD11c(ITGAX)、CD11d(ITGAD)、CD18(ITGB2)、CD19(B4)、CD27(TNFRSF7)、CD28、CD28T、CD29(ITGB1)、CD30(TNFRSF8)、CD40(TNFRSF5)、CD48(SLAMF2)、CD49a(ITGA1)、CD49d(ITGA4)、CD49f(ITGA6)、CD66a(CEACAM1)、CD66b(CEACAM8)、CD66c(CEACAM6)、CD66d(CEACAM3)、CD66e(CEACAM5)、CD69(CLEC2)、CD79A(B細胞抗原受容体複合体関連アルファ鎖)、CD79B(B細胞抗原受容体複合体関連ベータ鎖)、CD84(SLAMF5)、CD96(Tactile)、CD100(SEMA4D)、CD103(ITGAE)、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD158A(KIR2DL1)、CD158B1(KIR2DL2)、CD158B2(KIR2DL3)、CD158C(KIR3DP1)、CD158D(KIRDL4)、CD158F1(KIR2DL5A)、CD158F2(KIR2DL5B)、CD158K(KIR3DL2)、CD160(BY55)、CD162(SELPLG)、CD226(DNAM1)、CD229(SLAMF3)、CD244(SLAMF4)、CD247(CD3-ゼータ)、CD258(LIGHT)、CD268(BAFFR)、CD270(TNFSF14)、CD272(BTLA)、CD276(B7-H3)、CD279(PD-1)、CD314(NKG2D)、CD319(SLAMF7)、CD335(NK-p46)、CD336(NK-p44)、CD337(NK-p30)、CD352(SLAMF6)、CD353(SLAMF8)、CD355(CRTAM)、CD357(TNFRSF18)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、LFA-1(CD11a/CD18)、NKG2C,DAP-10、ICAM-1、NKp80(KLRF1)、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、LFA-1、SLAMF9、LAT、GADS(GrpL)、SLP-76(LCP2)、PAG1/CBP、CD83リガンド、Fcガンマ受容体、MHCクラス1分子、MHCクラス2分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリンタンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、活性化NK細胞受容体、又はTollリガンド受容体、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、IgM、又はそれらの断片若しくは組み合わせからなる群から選択されるるタンパク質に由来し得る。
【0083】
一部の実施形態では、本明細書に記載のTCR若しくはCAR抗原結合ドメイン又は免疫療法剤(例えば、単一特異性若しくは多重特異性抗体又はその抗原結合断片、又は代替抗体(antibody mimetic))は、腫瘍関連抗原(TAA)に結合する。一部の実施形態では、腫瘍関連抗原は、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1(CD2サブセット1、CRACC、SLAMF7、CD319及び19A24とも呼ばれる)、C型レクチン様分子-1(CLL-1又はCLECLI)、CD33、上皮成長因子受容体多様体III(EGFRvlll)、ガングリオシドG2(GD2)、ガングリオシドGD3(αNeuSAc(2-8)αNeuSAc(2-3)βDGaip(1-4)bDGIcp(1-1)Cer)、ガングリオシドGM3(αNeuSAc(αNeuSAc(2-3)βDGaip(1-4)bDGIcp(1-1)Cer)、GM-CSF受容体TNF受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17、BCMA)、Bリンパ球細胞接着分子、Tn抗原((Tn Ag)又は(GaINAcu-Ser/Thr))、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(RORI)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、CD38、CD44v6、がん胎児性抗原(CEA)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、B7H3(CD276)、KIT(CD117)、インターロイキン-13受容体サブユニットアルファ-2(IL-13Ra2又はCD213A2)、メソテリン、インターロイキン11受容体アルファ(IL-11Ra)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、プロテアーゼセリン21(テスチシン又はPRSS21)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、HLAクラスI抗原A-2アルファ、HLA抗原、ルイス(Y)抗原、CD24、血小板由来増殖因子受容体ベータ(PDGFR-ベータ)、ステージ特異的胎児性抗原-4(SSEA-4)、CD20、デルタ様3(DLL3)、葉酸受容体アルファ、葉酸受容体ベータ、GDNFアルファ4受容体、受容体チロシンキナーゼ、ERBB2(Her2/neu)、ムチン1、細胞表面結合(MUC1)、APRIL受容体、ADPリボシルシクラーゼ-1、Ephb4チロシンキナーゼ受容体、DCAMKL1セリンスレオニンキナーゼ、アスパラギン酸ベータ-ヒドロキシラーゼ、上皮成長因子受容体(EGFR)、神経細胞接着分子(NCAM)、プロスターゼ、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、伸長因子2変異(ELF2M)、エフリンB2、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、カルボニックアンヒドラーゼIX(CAIX)、プロテアソーム(プロソーム、マクロペイン)サブユニット、ベータ型、9(LMP2)、糖タンパク質100(gp100)、切断点クラスター領域(BCR)及びアベルソンマウス白血病ウイルスがん遺伝子ホモログ1(Abl)(bcr-abl)からなるがん遺伝子融合タンパク質、チロシナーゼ、エフリンA型受容体2(EphA2)、エフリンA型受容体3(EphA3)、フコシルGM1、シアリルルイス接着分子(sLe)、トランスグルタミナーゼ5(TGS5)、高分子量-黒色腫関連抗原(HMWMAA)、o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2)、葉酸受容体ベータ、腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248)、腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R)、前立腺Iの6つの膜貫通上皮抗原(STEAP1)、クローディン6(CLDN6)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、Gタンパク質共役型受容体クラスCグループ5、メンバーD(GPRCSD)、IL-15受容体(IL-15)、X染色体オープンリーディングフレーム61(CXORF61)、CD97、CD179a、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、ポリシアル酸、胎盤特異的1型(PLAC1)、globoHグリコセラミド(GloboH)の六糖部分、乳腺分化抗原(NY-BR-1)、ウロプラキン2(UPK2)、A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1)、アドレナリン受容体ベータ3(ADRB3)、パネキシン3(PANX3)、Gタンパク質共役型受容体20(GPR20)、リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K 9(LY6K)、嗅覚受容体51E2(ORS IE2)、TCRガンマ代替リーディングフレームタンパク質(TARP)、ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1)、がん/精巣抗原1(NY-ESO-1)、がん/精巣抗原2(LAGE-la)、黒色腫関連抗原1(MAGE-A1)、黒色腫関連抗原3(MAGE-A3)、黒色腫関連抗原4(MAGE-A4)、T細胞受容体ベータ2鎖C、染色体12pに位置するETS転座多様体遺伝子6(ETV6-AML)、精子タンパク質17(SPA17)、X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1)、アンジオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie 2)、黒色腫がん精巣抗原-1(MADCT-1)、黒色腫がん精巣抗原-2(MAD-CT-2)、Fos関連抗原1、腫瘍タンパク質p53(p53)、p53突然変異体、プロスタイン、スルビビン、テロメラーゼ、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1又はガレクチン8)、T細胞1によって認識される黒色腫抗原(MelanA又はMARTI)、ラット肉腫(Ras)突然変異体、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、肉腫転座切断点、黒色腫アポトーシス阻害剤(ML-IAP)、ERG(膜貫通型プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子)、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(NA17)、ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3)、アンドロゲン受容体、サイクリン-A1、サイクリンB1、v-mycトリ骨髄腫ウイルスがん遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN)、RasホモログファミリーメンバーC(RhoC)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2)、シトクロムP450 1B1(CYP IBI)、CCCTC結合因子(亜鉛フィンガータンパク質)様(BORIS又は刷り込み部位の調節因子の兄弟)、T細胞によって認識される扁平上皮がん抗原3(SART3)、ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5)、プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES I)、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK)、キナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4)、ペプチドグリカン認識タンパク質、滑膜肉腫、X切断点2(SSX2)、終末糖化産物の受容体(RAGE-I)、腎ユビキタス1(RUI)、腎ユビキタス2(RU2)、レグマイン、ヒト乳頭腫ウイルスE6(HPV E6)、ヒト乳頭腫ウイルスE7(HPV E7)、腸内カルボキシルエステラーゼ、熱ショックタンパク質70-2変異(mut hsp70-2)、CD79a、CD79b、CD72、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIRI)、IgA受容体のFc断片(FCAR又はCD89)、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2)、CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF)、C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A)、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2)を含むEGF様モジュールリンパ球抗原75(LY75)、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、Fc受容体様5(FCRL5)、及び免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド1(IGLL1)からなる群から選択される。一部の実施形態では、標的は、MHCに提示される腫瘍関連抗原のエピトープである。
【0084】
一部の実施形態では、がん抗原は、CD150、5T4、ActRIIA、B7、TNF受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17、BCMA)、CA-125、CCNA1、CD123、CD126、CD138、CD14、CD148、CD15、CD19、CD20、CD200、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD261、CD262、CD30、CD33、CD362、CD37、CD38、CD4、CD40、CD40L、CD44、CD46、CD5、CD52、CD53、CD54、CD56、CD66a-d、CD74、CD8、CD80、CD92、CE7、CS-1、CSPG4、ED-Bフィブロネクチン、EGFR、EGFRvIII、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、ErbB3、ErbB4、FBP、HER1-HER2の組み合わせ、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HLA-DR、HLAクラスI抗原アルファG、HM1.24、K-Ras GTPase、HMW-MAA、Her2、Her2/neu、IGF-1R、IL-11Rアルファ、IL-13R-アルファ2、IL-2、IL-22R-アルファ、IL-6、IL-6R、Ia、Ii、L1-CAM、L1-細胞接着分子、ルイスY、Ll-CAM、MAGE A3、MAGE-A1、MART-1、MUC1、NKG2Cリガンド、NKG2Dリガンド、NYESO-1、OEPHa2、PIGF、PSCA、PSMA、ROR1、T101、TAC、TAG72、TIM-3、TRAIL-R1、TRAIL-R1(DR4)、TRAIL-R2(DR5)、VEGF、VEGFR2、WT-I、Gタンパク質共役受容体、アルファフェトプロテイン(AFP)、血管新生因子、外因性同族結合分子(ExoCBM)、がん遺伝子産物、抗葉酸受容体、c-Met、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン(D 1)、エフリンB2、上皮性腫瘍抗原、エストロゲン受容体、胎児アセチルコリンe受容体、葉酸結合タンパク質、gp100、B型肝炎表面抗原、エプスタインバー核抗原1、潜在膜タンパク質1、分泌タンパク質BARF1、P2X7プリン受容体、シンデカン-1、カッパ鎖、カッパ軽鎖、kdr、ラムダ鎖、リビン、黒色腫関連抗原、メソテリン、マウス二重微小染色体2ホモログ(MDM2)、ムチン16(MUC16)、変異p53、変異ras、壊死抗原、がん胎児性抗原、ROR2、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、tEGFR、テネイシン、P2-ミクロギオブイイン、Fc受容体様5(FcRL5)から選択される。
【0085】
細胞療法の例には、限定されないが、AMG-119、Algenpantucel-L、ALOFISEL(登録商標)、Sipuleucel-T、(BPX-501)rivogenlecleucel米国特許第9089520号、国際公開第2016100236号、AU-105、ACTR-087、活性化同種ナチュラルキラー細胞CNDO-109-AANK、MG-4101、AU-101、BPX-601、FATE-NK100、LFU-835造血幹細胞、Imilecleucel-T、baltaleucel-T、PNK-007、UCARTCS1、ET-1504、ET-1501、ET-1502、ET-190、CD19-ARTEMIS、ProHema、FT-1050治療による骨髄幹細胞療法、CD4CARNK-92細胞、SNK-01、NEXI-001、CryoStim、AlloStim、レンチウイルス形質導入huCART-meso細胞、CART-22細胞、EGFRt/19-28z/4-1BBL CAR T細胞、自家4H11-28z/fIL-12/EFGRt T細胞、CCR5-SBC-728-HSPC、CAR4-1BBZ、CH-296、dnTGFbRII-NY-ESOc259T、Ad-RTS-IL-12、IMA-101、IMA-201、CARMA-0508、TT-18、CMD-501、CMD-503、CMD-504、CMD-502、CMD-601、CMD-602、CSG-005、LAAP T細胞療法、PD-1ノックアウトT細胞療法(食道がん/NSCLC)、抗MUC1 CAR T細胞療法(食道がん/NSCLC)、抗MUC1 CAR T細胞療法+PD-1ノックアウトT細胞療法(食道がん/NSCLC)、抗KRAS G12D mTCR PBL、抗CD123 CAR T細胞療法、抗変異新抗原TCR T細胞療法、腫瘍ライセート/MUC1/スルビビンPepTivator負荷樹状細胞ワクチン、自家樹状細胞ワクチン(転移性悪性黒色腫、皮内/静脈内)、抗LeY-scFv-CD28-ゼータ CAR T細胞、PRGN-3005、iC9-GD2-CAR-IL-15 T-細胞、HSC-100、ATL-DC-101、MIDRIX4-LUNG、MIDRIXNEO、FCR-001、PLX幹細胞療法、MDR-101、GeniusVac-Mel4、ilixadencel、同種間葉系幹細胞療法、romyelocel L、CYNK-001、ProTrans、ECT-100、MSCTRAIL、dilanubicel、FT-516、ASTVAC-2、E-CEL UVEC、CK-0801、同種アルファ/ベータCD3+ T細胞及びCD19+ B細胞枯渇幹細胞(血液疾患、TBX-1400、HLCN-061、臍帯由来Hu-PHEC細胞(血液悪性腫瘍/再生不良性貧血)、AP-011、apceth-201、apceth-301、SENTI-101、幹細胞療法(膵臓がん)、ICOVIR15-cBiTE、CD33HSC/CD33 CAR-T、PLX-Immune、SUBCUVAX、CRISPR同種ガンマデルタT細胞ベースの遺伝子療法(がん)、エクスビボCRISPR同種健康ドナーNK細胞ベースの遺伝子療法(がん)、エクスビボ同種人工多能性幹細胞由来NK細胞ベースの遺伝子療法(固形腫瘍)、及び抗CD20 CAR T細胞療法(非ホジキンリンパ腫)が含まれる。
【0086】
V.がんを治療するための共同療法
前述のように、HSPCの除去は、造血がんを治療するために、又は非造血細胞のがん、例えば固形腫瘍の治療の副作用として損傷したHSPCを置き換えるために使用することができる。HSPC除去と組み合わせて使用できるがんの治療に有効な薬剤の様々な例を以下に説明する。
【0087】
本明細書で使用される場合、「化学療法剤」又は「化学療法薬」(又は化学療法剤で治療する場合の「化学療法」)という用語は、がんの治療において有用な任意の非タンパク性(例えば、非ペプチド性)化学化合物を包含することを意味する。化学療法剤の例には、限定されないが、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))などのアルキル化剤、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル、ベンゾデパ、カルボクオン、メチュレデパ、及びウレデパなどのアジリジン、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメミロロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン、アセトゲニン、例えばブラタシン及びブラタシノン、合成類似体トポテカンを含むカンプトテシン、ブリオスタチン、カリスタチン、アドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類似体を含むCC-1065、クリプトフィシン、特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8、ドラスタチン、合成類似体KW-2189及びCBI-TMIを含むデュオカルマイシン、エリュテロビン、5-アザシチジン、パンクラチスタチン、サルコジクチイン、スポンジスタチン、クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、グルホスファミド、エボホスファミド、ベンダムスチン、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロルエタミンオキサイド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、及びウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、フォレムスチン、ロムスチン、ニムスチン及びラニムスチンなどのニトロソウレア、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマII及びカリケアマイシンphiI1)、ジネマイシンAを含むジネマイシン、クロドロネートなどのビスホスホネート、エスペラミシン、ネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デテルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ポリフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシンなどの抗生物質、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤、デモプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体、クラドリビン、ペントスタチン、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、及びチオグアニンなどのプリン類似体、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクスウリジンなどのピリミジン類似体、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストトラクトンなどのアンドロゲン、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎薬、フロリン酸などの葉酸補充剤、ラジウム-223、177-Lu-PSMA-617などの放射線治療薬、トリコテセン類、特にT-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアングイジン、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、アブラキサン、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))、カバジタキセル、BIND-014、テセタキセルなどのタキソイド、シスプラチン及びカルボプラチン、NC-6004ナノプラチンなどのプラチナ類似体、アセグラトン、アルドホスファミド配糖体、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン、ヘストラブシル、ビサントレン、エダトレキサート、デフォファミン、デメコルシン、ジアジクオン、エルホルムチン、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシ尿素、レンチナン、ロイコボリン、ロニダミン、メイタンシン及びアンサミトシンなどのメイタンシノイド、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラクリン、フェナメット、ピラルビシン、ロソキサントロン、フルオロピリミジン、フォリン酸、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、多糖-K(PSK)、ラゾキサン、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トラベクテジン、トリアジクオン、2,2’,2’’-トリクロロトリエミルアミン、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、チオペタ、クロラムブシル、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、6-チオグアニン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ビンブラスチン、プラチナ、エトポシド(VP-16)、イホスファミド、ミトキサントロン、バンクリスチン、ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))、ノバントロン、テニポシド、エダトレキサート、ダウノマイシン、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロネート、CPT-11、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000、ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)、レチノイン酸などのレチノイド、カペシタビン、NUC-1031、FOLFOX(フォリン酸、5-フルオロウラシル、オキサリプラチン)、FOLFIRI(フォリン酸、5-フルオロウラシル、イリノテカン)、FOLFIRI(フォリン酸、5-フルオロウラシル、オキサリプラチン、イリノテカン)、FOLFIRINOX(フォリン酸、5-フルオロウラシル、イリノテカン、オキサリプラチン)、及び上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が含まれる。そのような薬剤を抗体又は本明細書に記載の任意の標的薬剤に結合して、抗体-薬物複合体(ADC)又は標的薬物複合体を作製することができる。
【0088】
また、「化学療法剤」の定義には、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)などの抗ホルモン剤、酵素アロマターゼの阻害剤、抗アンドロゲン、並びに腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体も含まれる。
【0089】
抗エストロゲン及びSERMの例としては、例えば、タモキシフェン(NOLVADEXTMを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン((FARESTON(登録商標))が挙げられる。
【0090】
酵素アロマターゼの阻害剤は、副腎でのエストロゲン産生を調節する。例としては、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(MEGACE(登録商標))、エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(RIVISOR(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、アナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))が挙げられる。
【0091】
抗アンドロゲンの例としては、アパルタミド、アビラテロン、エンザルタミド、フルタミド、ガレテロン、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、ゴセレリン、ODM-201、APC-100、ODM-204が挙げられる。
【0092】
がんを標的とする薬剤の追加の例には、ET-1402及びAFP-TCRなどのアルファ-フェトプロテイン調節剤、抗TEM8 CAR T細胞療法などの炭疽菌毒素受容体1調節剤、bb-2121(ide-cel)、bb-21217、JCARH125、UCART-BCMA、ET-140、MCM-998、LCAR-B38M、CART-BCMA、SEA-BCMA、BB212、ET-140、P-BCMA-101、AUTO-2(APRIL-CAR)、JNJ-68284528などのTNF受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17、BCMA)、nti-CLL-1抗体(例えば、国際公開第2017/173384号を参照)KD-045などの抗PD-L1-CARタンク細胞療法、PD-L1 t-hANKなどの抗PD-L1 t-haNK、131I-BC8(lomab-B)などの抗CD45抗体、LJM716、GSK2849330などの抗HER3抗体、アレムツズマブなどの抗CD52抗体、抗BCMA CAR T細胞療法、Descartes-011などのAPRIL受容体調節剤、二重抗BCMA/抗CD38 CAR T細胞療法などのADPリボシルシクラーゼ-1/APRIL受容体調節剤、CART-ddBCMA、CAR-NKp30及びCAR-B7H6などのB7ホモログ6、TBI-1501、CTL-119 huCART-19 T細胞、liso-cel、JCAR-015米国特許第7446190号、JCAR-014、JCAR-017(国際公開第2016196388号、国際公開第2016033570号、国際公開第WO2015157386号)、アキシカブタゲンシロルユーセル(KTE-C19、Yescarta(登録商標))、KTE-X19、米国特許第7741465号、米国特許第US6319494号、UCART-19、EBV-CTL、Tチサゲンレクルユーセル-T(CTL019)、国際公開第2012079000号、国際公開第O2017049166号、CD19CAR-CD28-CD3zeta-EGFRt発現T細胞、CD19/4-1BBL武装化CAR T細胞療法、C-CAR-011、CIK-CAR.CD19、CD19CAR-28-ゼータ T細胞、PCAR-019、MatchCART、DSCAR-01、IM19 CAR-T、TC-110などのBリンパ球抗原CD19、抗CD19 CAR T細胞療法(B細胞急性リンパ芽球性白血病、マレーシア国民大学)、抗CD19 CAR T細胞療法(急性リンパ芽球性白血病/非ホジキンリンパ腫、ハイデルベルク大学病院)、抗CD19 CAR T細胞療法(IL-6発現抑制、がん、Shanghai Unicar-Therapy Bio-medicine Technology)、MB-CART2019.1(CD19/CD20)、GC-197(CD19/CD7)、CLIC-1901、ET-019003、抗CD19-STAR-T細胞、AVA-001、BCMA-CD19 cCAR(CD19/APRIL)、ICG-134、ICG-132(CD19/CD20)、CTA-101、WZTL-002、二重抗CD19/抗CD20 CAR T細胞(慢性リンパ性白血病/B細胞リンパ腫)、HY-001、ET-019002、YTB-323、GC-012(CD19/APRIL)、GC-022(CD19/CD22)、CD19CAR-CD28-CD3zeta-EGFRt発現Tn/mem、UCAR-011、ICTCAR-014、GC-007F、PTG-01、CC-97540、GC-007Gなどの同種抗CD19 CART細胞、APRIL受容体調節剤、SLAMファミリーメンバー7調節剤、BCMA-CS1 cCAR、ADCTA-SSI-Gなどの自家樹状細胞腫瘍抗原(ADCTA)、ACTR707 ATTCK-20、PBCAR-20AなどのBリンパ球抗原CD20、LB-1905などのCD20 CARを発現する同種T細胞、TC-310などのBリンパ球抗原CD19/Bリンパ球抗原22、UCART-22、JCAR-018国際公開第2016090190号などのBリンパ球抗原22細胞接着、GSK-3377794、TBI-1301、GSK3537142などのNY-ESO-1調節剤、DC-Ad-GMCAIXなどのカルボニックアンヒドラーゼ、CaspaCIDe DLI、BPX-501などのカスパーゼ9自殺遺伝子、SB-728などのCCR5、レンチウイルスベクターCCR5 shRNA/TRIM5alpha/TARデコイ形質導入自家CD34陽性造血前駆細胞などのCCR5遺伝子阻害剤/TAT遺伝子/TRIM 5遺伝子刺激因子、MB-102、IM-23、JEZ-567、UCART-123などのCDw123、ICG-122などのCD4、CD5.28z CART細胞などのCD5調節剤、抗CD22 CARTなどの抗CD22、TT-11などの抗CD30、CIK-CAR.CD33、CD33CARTなどのCD33、LB-1910などの二重抗CD33/抗CLL 1、T-007、UCART-38などのCD38、BPX-201、MEDI5083などのCD40リガンド、同種CD56陽性CD3陰性ナチュラルキラー細胞(骨髄性悪性腫瘍)などのCD56、GC-197などのCD19/CD7調節剤、抗CD7 CAR T細胞療法(CD7陽性血液悪性腫瘍)などのT細胞抗原CD7調節剤、UniCAR02-T-CD123などのCD123調節剤、抗CD276 CARTなどの抗CD276、MG7-CARTなどのCEACAMタンパク質5調節剤、CSG-002などのクローディン6、LB-1904などのクローディン18.2、CLTX-CARTなどのクロロトキシン、CMD-003などのEBV標的、自家4H11-28z/fIL-12/EFGRt T細胞などのMUC16EGFR、PGN-514,PGN-201などのエンドヌクレアーゼ、TT-10などのエプスタインバーウイルス特異的Tリンパ球、TT-10Xなどのエプスタインバー核抗原1/潜在膜タンパク質1/分泌タンパク質BARF1調節剤、CST-102、CIDeCARなどのErbb2、4SCAR-GD2などのガングリオシド(GD2)、ICS-200などのガンマデルタT細胞、CIK-CAR.PSMA、CART-PSMA-TGFβRDN、P-PSMA-101などの葉酸ヒドロラーゼ1(FOLH1、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、PSMA、NCBI遺伝子ID:2346)、TT-16、GLYCARなどのグリピカン-3(GPC3)、PGN-236などのヘモグロビン、抗cMet RNA CAR Tなどの肝細胞増殖因子受容体、FH-MCVA2TCRなどのHLAクラスI抗原A-2アルファ調節剤、ADP-A2M4CD8などのHLAクラスI抗原A-2アルファ/黒色腫関連抗原4調節剤、FIT-001、NeoTCR-P1などのHLA抗原調節剤、KITE-439などのヒトパピローマウイルスE7タンパク質(例えば、国際公開第2015/184228号を参照)、AIC-100などのICAM-1調節剤、ACTR087などの免疫グロブリンガンマFc受容体III、DC-RTS-IL-12などのIL-12、JCAR-020などのIL-12アゴニスト/ムチン16、MB-101などのIL-13アルファ2、 PRGN-3006、ALT-803などのIL-15受容体アゴニスト、インターロイキン-15/Fc融合タンパク質(例えば、XmAb24306)、組換えインターロイキン-15(例えば、AM0015、NIZ-985)、ペグ化IL-15(例えば、NKTR-255)、CST-101などのIL-2、自家腫瘍細胞ワクチン+全身CpG-B+IFN-アルファ(がん)などのインターフェロンアルファリガンド、抗KRAS G12V mTCR細胞療法などのK-Ras GTPase、JCAR-023などの神経細胞接着分子L1 L1CAM(CD171)、Ad5f35-LMPd1-2-形質導入自家樹状細胞などの潜在膜タンパク質1/潜在膜タンパク質2、MART-1 F5 TCR操作PBMCなどのMART-1黒色腫抗原調節剤、MAGE-A10C796T MAGE-A10 TCRなどの黒色腫関連抗原10、KITE-718などの黒色腫関連抗原3/黒色腫関連抗原6(MAGE A3/A6)(例えば、国際公開第2014/043441号を参照)、CSG-MESO、TC-210などのメソテリン、ICTCAR-052、Tn MUC-1 CAR-T、ICTCAR-053などのムチン1調節剤、CYAD-02などの抗MICA/MICB、NKR-2などのNKG2D、JCAR-024などのNtrkr1チロシンキナーゼ受容体、BPX-701などのPRAMET細胞受容体、MB-105などの前立腺幹細胞抗原調節剤、ATCG-427などのラウンドアバウトホモログ11調節剤、Tag-7遺伝子改変自家腫瘍細胞ワクチンなどのペプチドグリカン認識タンパク質調節剤、PSMA-CAR T細胞療法((レンチウイルスベクター、去勢抵抗性前立腺がん)などのPSMA、IC9-Luc90-CD828ZなどのSLAMファミリーメンバー7調節剤、DNR.NPC T細胞などのTGFベータ受容体調節剤、TT-12などのTリンパ球、ATL-001などのTリンパ球刺激因子、ICTCAR-051などのTSH受容体調節剤、LN-144、LN-145などの腫瘍浸潤リンパ球、及びJTCR-016、WT1-CTL又はASP-7517などのウィルムス腫瘍タンパク質が含まれる。プロゲステロン受容体拮抗剤の例には、オナプリストンが含まれる。
【0093】
様々な実施形態において、上記のようながんを治療するための薬剤は、抗血管新生剤と組み合わせることができる。共に投与できる抗血管新生剤としては、限定されないが、レチノイド酸及びその誘導体、2-メトキシエストラジオール、ANGIOSTATIN(登録商標)、ENDOSTATIN(登録商標)、レゴラフェニブ、ネクパラニブ、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ-1の組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ-2の組織阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-2、軟骨由来阻害剤、パクリタキセル(nab-パクリタキセル)、血小板第4因子、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(ズワイ蟹の殻から調製)、硫酸化多糖ペプチドグリカン複合体(sp-pg)、スタウロスポリン、l-アゼチジン-2-カルボン酸(LACA)などのプロリン類似体を含むマトリックス代謝の調節剤、シスヒドロキシプロリン、d,I-3,4-デヒドロプロリン、チアプロリン、α,α’-ジピリジル、ベータ-アミノプロピオニトリルフマル酸塩、4-プロピル-5-(4-ピリジニル)-2(3h)-オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン-血清、メタロプロテイナーゼ-3のニワトリ阻害剤(ChIMP-3)、キモスタチン、ベータ-シクロデキストリンテトラデカ硫酸、エポネマイシン、フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d-ペニシラミン、ベータ-1-抗コラゲナーゼ血清、アルファ-2-抗プラスミン、ビサントレン、ロベンザリットジナトリウム、n-2-カルボキシフェニル-4-クロロアントニル酸二ナトリウム又は「CCA」、サリドマイド、血管新生抑制ステロイド、カルボキシアミノイミダゾール、BB-94などのメタロプロテイナーゼ阻害剤、タスキニモドなどのS100A9阻害剤が挙げられる。他の抗血管新生剤には、抗体、好ましくは、ベータ-FGF、アルファ-FGF、FGF-5、VEGFアイソフォーム、VEGF-C、HGF/SF及びAng-1/Ang-2というこれらの血管新生増殖因子に対するモノクローナル抗体が含まれる。
【0094】
様々な実施形態において、上記のようながんを治療するための薬剤は、抗線維化剤と組み合わされる。共に投与できる抗線維症剤には、限定されないが、ベータ-アミノプロピオニトリル(BAPN)などの化合物だけでなく、リシルオキシダーゼの阻害剤及びコラーゲンの異常な沈着に関連する疾患及び状態の治療におけるそれらの使用に関する米国特許第4965288号、様々な病理学的線維性状態の治療のためにLOXを阻害する化合物に関する米国特許第4997854号に開示された化合物が含まれ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。更なる例示的な阻害剤は、2-イソブチル-3-フルオロ-、クロロ-、又はブロモ-アリルアミンなどの化合物に関する米国特許第4943593号、米国特許第5021456号、米国特許第5059714号、米国特許第5120764号、米国特許第5182297号、2-(1-ナフチルオキシメミル)-3-フルオロアリルアミンに関する米国特許第5252608号、及び米国特許第2004-0248871号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
例示的な抗線維化剤はまた、リジルオキシダーゼの活性部位のカルボニル基と反応する第一級アミン、より具体的には、カルボニルと結合した後、共鳴によって安定化された生成物を生成するもの、例えば、エミレンマミン、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、及びそれらの誘導体、セミカルバジド及び尿素誘導体、BAPN又は2-ニトロエチルアミンなどのアミノニトリル、2-ブロモ-エチルアミン、2-クロロエチルアミン、2-トリフルオロエチルアミン、3-ブロモプロピルアミン及びp-ハロベンジルアミンなどの不飽和又は飽和ハロアミン、並びにセレノホモシステインラクトンという第一級アミンを含む。
【0096】
他の抗線維化剤は、細胞に浸透する又は浸透しない銅キレート剤である。例示的な化合物には、リシルオキシダーゼによるリシル及びヒドロキシリシル残基の酸化的脱アミノ化に由来するアルデヒド誘導体をブロックする間接的阻害剤が含まれる。例としては、チオラミン、特にD-ペニシラミン、及びその類似体、例えば、2-アミノ-5-メルカプト-5-メチルヘキサン酸、D-2-アミノ-3-メチル-3-((2-アセトアミドエチル)ジチオ)ブタン酸、p-2-アミノ-3-メチル-3-((2-アミノエチル)ジチオ)ブタン酸、ナトリウム-4-(((p-1-ジメチル-2-アミノ-2-カルボキシエチル)ジチオ)ブタン硫酸塩、2-アセトアミドエチル-2-アセトアミドエタンチオールスルファネート、及びナトリウム-4-メルカプトブタンスルフィネート三水和物が挙げられる。
【0097】
一部の化学療法剤は、リンパ腫又は白血病の治療に適する。これらの薬剤には、アルデスロイキン、アルボシジブ、アミフォスチン三水和物、アミノカンプトテシン、アンチネオプラストンA10、アンチネオプラストンAS2-1、抗胸腺細胞グロブリン、三酸化ヒ素、Bcl-2ファミリータンパク質阻害剤ABT-263、ベータアレチン、BMS-345541ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、PS-341)、ブリオスタチン1、ブルスルファン、カンパス-1H、カルボプラチン、カルフィルゾミブ(Kyprolis(登録商標))、カルムスチン、カスポファンギン酢酸塩、CC-5103、クロラムブシル、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クルクミン、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、デニロイキンジフチトクス、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドラスタチン10、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、DT-PACE(デキサメタゾン、サリドマイド、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、及びエトポシド)、エンザスタウリン、エポエチンアルファ、エトポシド、エベロリムス(RAD001)、FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、及びミトキサントロン)、FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブ)、フェンレチニド、フィルグラスチム、フラボピリドール、フルダラビン、FR(フルダラビン及びリツキシマブ)、ゲルダナマイシン(17 AAG)、hyperCVAD(超分画シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メトトレキサート及びシタラビン)、ICE(イフォスファミド、カルボプラチン、及びエトポシド)、イホスファミド、イリノテカン塩酸塩、インターフェロンアルファ-2b、イキサベピロン、レナリドマイド(REVLIMID(登録商標)、CC-5013)、ポマリドマイド(POMALYST(登録商標)/IMNOVID(登録商標))リンホカイン活性化キラー細胞、MCP(ミトキサントロン、クロラムブシル、及びプレドニゾロン)、メルファラン、メスナ、メトトレキサート、ミトキサントロン塩酸塩、モテキサフィンガドリニウム、ミコフェノール酸モフェチル、ネララビン、オバトクラックス(GX15-070)、オブリメルセン、酢酸オクトレオチド、オメガ3脂肪酸、Omr-IgG-am(WNIG、Omrix)、オキサリプラチン、パクリタキセル、パルボシクリブ(PD0332991)、ペグフィルグラスチム、ペグ化リポソームドキソルビシン塩酸塩、ペリホシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、組換えflt3リガンド、組換えヒトトロンボポエチン、組換えインターフェロンアルファ、組換えインターロイキン-11、組換えインターロイキン-12、リツキシマブ、R-CHOP(リツキシマブ及びCHOP)、R-CVP(リツキシマブ及びCVP)、R-FCM(リツキシマブ及びFCM)、R-ICE(リツキシマブ及びICE)、R MCP(リツキシマブ及びMCP)、R-ロスコビチン(セリシクリブ、CYC202)、サルグラモスチム、クエン酸シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、スチリルスルホン、タクロリムス、タネスピマイシン、テムシロリムス(CCl-779)、サリドマイド、治療用同種リンパ球、チオテパ、ティピファルニブ、ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチン、酒石酸ビノレルビン、SAHA(スベラニロヒドロキサム酸、又はスベロイル、アニリド、及びヒドロキサム酸)、ベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標))、ベネトクラクス(ABT-199)が含まれる。
【0098】
1つの修正アプローチは、モノクローナル抗体が、インジウム-111、イットリウム-90、及びヨウ素-131などの放射性同位体粒子と組み合わされる放射線免疫療法である。併用療法の例には、ヨウ素-131トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))、イットリウム-90イブリツモマブチウキセタン(ZEVALIN(登録商標))、及びCHOPを伴うBEXXAR(登録商標)が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
非ホジキンリンパ腫(NHL)、特にB細胞起源のリンパ腫の治療には、モノクローナル抗体の使用、標準的な化学療法アプローチ(例えば、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、及びミトキサントロン)、MCP(ミトキサントロン、クロランブシル、プレドニゾン)、いずれも任意選択でリツキシマブ(R)などを含む)、免疫療法、及びそれらの組み合わせ、特に抗体療法と化学療法との統合が含まれる。
【0100】
NHL/B細胞がんの治療用の非結合型モノクローナル抗体の例には、リツキシマブ、アレムツズマブ、ヒト又はヒト化抗CD20抗体、ルミリキシマブ、抗TNF関連アポトーシス誘導リガンド(抗TRAIL)、ベバシズマブ、ガリキシマブ、エプラツズマブ、SGN-40、及び抗CD74が含まれる。
【0101】
NHL/B細胞がんの治療に使用される実験的な抗体薬剤の例には、オファツムマブ、ha20、PRO131921、アレムツズマブ、ガリキシマブ、SGN-40、CHIR-12.12、エプラツズマブ、ルミリキシマブ、アポリズマブ、ミラツズマブ、及びベバシズマブが含まれる。
【0102】
NHL/B細胞がんに対する化学療法の標準レジメンの例には、CHOP、FCM、CVP、MCP、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、R-FCM、R-CVP、及びR-MCPが含まれる。
【0103】
NHL/B細胞がんに対する放射線免疫療法の例には、イットリウム90イブリツモマブチウキセタン(ZEVALIN(登録商標))及びヨウ素131トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))が含まれる。
【0104】
マントル細胞リンパ腫(MCL)の治療には、CHOP、hyperCVAD、FCMなどの併用化学療法が含まれる。これらのレジメンにモノクローナル抗体リツキシマブを追加して、R-CHOP、hyperCVAD-R及びR-FCMの併用療法を形成することもできる。MCLを治療するために、上記の治療法のいずれかを幹細胞移植又はICEと組み合わせることができる。
【0105】
MCLを治療する代替アプローチは免疫療法である。1つの免疫療法は、リツキシマブなどのモノクローナル抗体を使用する。もう1つは、個々の患者の腫瘍の遺伝的構造に基づくGTOP-99などのがんワクチンを使用する。
【0106】
MCLを治療するための修正アプローチは、モノクローナル抗体がヨウ素-131トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))及びイットリウム-90イブリツモマブチウキセタン(ZEVALIN(登録商標))などの放射性同位体粒子と組み合わされる放射線免疫療法である。別の例では、BEXXAR(登録商標)はCHOPによる連続治療で使用される。
【0107】
MCLを治療する他のアプローチには、自家幹細胞移植と高用量化学療法の併用、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)又はPS-341)などのプロテアソーム阻害剤の投与、又は特にリツキシマブと組み合わせたサリドマイドなどの抗血管新生剤の投与が含まれる。
【0108】
別の治療アプローチは、他の化学療法剤と組み合わせて、Bcl-2タンパク質の分解を引き起こし、オブリメルセンなどの化学療法に対するがん細胞の感受性を高める薬物を投与することである。
【0109】
更なる治療アプローチは、mTOR阻害剤の投与を含み、これは、細胞増殖の阻害、更に細胞死につながる可能性がある。非限定的な例は、シロリムス、テムシロリムス(TORISEL(登録商標)、CCI-779)、CC-115、CC-223、SF-1126、PQR-309(ビミラリシブ)、ボクスタリシブ、GSK-2126458、及びテムシロリムスとRITUXAN(登録商標)、VELCADE(登録商標)、又は他の化学療法剤との併用である。
【0110】
MCLに対する他の最近の療法が開示されている。そのような例には、フラボピリドール、パルボシクリブ(PD0332991)、R-ロスコビチン(セリシクリブ、CYC202)、スチリルスルホン、オバトクラックス(GX15-070)、TRAIL、抗TRAILデスレセプターDR4及びDR5抗体、テムシロリムス(TORISEL(登録商標)、CCl-779)、エベロリムス(RAD001)、BMS-345541、クルクミン、SAHA、サリドマイド、レナリドマイド(REVLIMID(登録商標)、CC-5013)、及びゲルダナマイシン(17 AAG)が含まれる。
【0111】
ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症の治療に使用される治療薬には、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アルボシジブ、アミフォスチン三水和物、アミノカンプトテシン、アンチネオプラストンA10、アンチネオプラストンAS2-1、抗胸腺細胞グロブリン、三酸化ヒ素、自家ヒト腫瘍由来HSPPC-96、Bcl-2ファミリータンパク質阻害剤ABT-263、ベータアレチン、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))、ブリオスタチン1、ブスルファン、カムパス-1H、カルボプラチン、カルムスチン、カスポファンギン酢酸塩、CC-5103、シスプラチン、クロファラビン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、デニロイキンジフチトクス、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドラスタチン10、ドキソルビシン塩酸塩、DT-PACE、エンザスタウリン、エポエチンアルファ、エプラツズマブ(hLL2-抗CD22ヒト化抗体)、エトポシド、エベロリムス、フェンレチニド、フィルグラスチム、フルダラビン、イブルチニブ、イホスファミド、インジウム-111モノクローナル抗体MN-14、ヨウ素-131トシツモマブ、イリノテカン塩酸塩、イキサベピロン、リンホカイン活性化キラー細胞、メルファラン、メスナ、メトトレキサート、ミトキサントロン塩酸塩、モノクローナル抗体CD19(チサゲンレクロイセル-T、CART-19、CTL-019など)、モノクローナル抗体CD20、モテキサフィンガドリニウム、ミコフェノール酸モフェチル、ネララビン、オブリメルセン、オクトレオチド酢酸塩、オメガ3脂肪酸、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペグフィルグラスチム、ペグ化リポソームドキソルビシン塩酸塩、ペントスタチン、ペリホシン、プレドニゾン、組換えflt3リガンド、組換えヒトトロンボポエチン、組換えインターフェロンアルファ、組換えインターロイキン-11、組換えインターロイキン-12、リツキシマブ、サルグラモスチム、クエン酸シルデナフィル(VIAGRA(登録商標))、シンバスタチン、シロリムス、タクロリムス、タネスピマイシン、サリドマイド、治療用同種リンパ球、チオテパ、ティピファルニブ、トシツモマブ、ウロクプルマブ、ベルツズマブ、硫酸ビンクリスチン、酒石酸ビノレルビン、ボリノスタット、WT1 126-134ペプチドワクチン、WT-1アナログペプチドワクチン、イットリウム-90イブリツモマブチウキセタン、イットリウム-90ヒト化エプラツズマブ、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0112】
WMの治療に使用される治療手技の例には、末梢血幹細胞移植、自家造血幹細胞移植、自家骨髄移植、抗体療法、生物学的療法、酵素阻害療法、全身照射、幹細胞注入、幹細胞サポートによる骨髄切除、インビトロ治療による末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、免疫酵素法、低LETコバルト60ガンマ線療法、ブレオマイシン、従来の手術、放射線療法及び骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植が含まれる。
【0113】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療に使用される治療薬には、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、抗CD20モノクローナル抗体、エトポシド、ブレオマイシン、WMのために列挙された多くの薬剤、並びにICE及びR ICEなどのそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0114】
慢性リンパ性白血病(CLL)の治療に使用される治療薬の例には、クロラムブシル、シクロホスファミド、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、プレドニゾロン、アレムツズマブ、WMのために列挙された多くの薬剤、CVP、R-CVP、ICE、R-ICE、FCR、FRという一般的な併用レジメンを含む併用化学療法及び化学免疫療法が含まれる。
【0115】
骨髄線維症阻害剤には、ヘッジホッグ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、及びチロシンキナーゼ阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。ヘッジホッグ阻害剤の非限定的な例は、サリデギブ及びビスモデギブである。HDAC阻害剤の例には、プラシノスタット及びパノビノスタットが含まれるが、これらに限定されない。チロシンキナーゼ阻害剤の非限定的な例は、レスタウルチニブ、ボスチニブ、イマチニブ、ラドチニブ、及びカボザンチニブである。
【0116】
過剰増殖性疾患を治療するために、ゲムシタビン、nab-パクリタキセル、及びゲムシタビン/nab-パクリタキセルをJAK阻害薬及び/又はPI3Kδ阻害薬と併用することができる。
【0117】
膀胱がんの治療に使用される治療薬には、アテゾリズマブ、カルボプラチン、シスプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン、フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン、イドスファミド、インターフェロンアルファ-2b、メトトレキサート、マイトマイシン、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ペメトレクスド、チオテパ、ビンブラスチン、及びそれらの任意の組合せが含まれる。
【0118】
乳がんの治療に使用される治療薬には、アルブミン結合パクリタキセル、アナストロゾール、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エベロリムス、エキセメスタン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲムシタビン、イキサベピロン、ラパチニブ、レトロゾール、メトトレキサート、ミトキサントロン、パクリタキセル、ペグ化リポソームドキソルビシン、ペルツズマブ、タモキシフェン、トレミフェン、トラスツズマブ、ビノレルビン、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0119】
トリプルネガティブ乳がんの治療に使用される治療薬には、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、パクリタキセル、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0120】
結腸直腸がんの治療に使用される治療薬には、ベバシズマブ、カペシタビン、セツキシマブ、フルオロウラシル、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、パニツムマブ、ziv-アフリベルセプト、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0121】
去勢抵抗性前立腺がんの治療に使用される治療薬には、アビラテロン、カバジタキセル、ドセタキセル、エンザルタミド、プレドニゾン、シプリューセル-T、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0122】
食道及び食道胃接合部がんの治療に使用される治療薬には、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ドセタキセル、エピルビシン、フルオロピリミジン、フルオロウラシル、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ラムシルマブ、トラスツズマブ、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0123】
胃がんの治療に使用される治療薬には、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ドセタキセル、エピルビシン、フルオロピリミジン、フルオロウラシル、イリノテカン、ロイコボリン、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ラムシルマブ、トラスツズマブ、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0124】
頭頸部がんの治療に使用される治療薬には、アファチニブ、ブレオマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、セテュキマブ、シスプラチン、ドセタキセル、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、ニボルマブ、パクリタキセル、ペムブロリズマブ、ビノレルビン、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0125】
肝胆道がんの治療に使用される治療薬には、カペシタビン、シスプラチン、フルオロピリミジン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、オキサリプラチン、ソラフェニブ、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0126】
肝細胞がんの治療に使用される治療薬には、カペシタビン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ソラフェニブ、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0127】
非小細胞肺がん(NSCLC)の治療に使用される治療薬には、アファチニブ、アルブミン結合パクリタキセル、アレクチニブ、ベバシズマブ、ベバシズマブバイオシミラー、カボザンチニブ、カルボプラチン、シスプラチン、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ドセタキセル、エルロチニブ、エトポシド、ゲムシタビン、ニボルマブ、パクリタキセル、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド、ラムシルマブ、トラメチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビノレルビン、及びこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0128】
小細胞肺がん(SCLC)の治療に使用される治療薬には、ベンダムスタイム、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、ゲムシタビン、イピリムマブ、イリノテカン、ニボルマブ、パクリタキセル、テモゾロミド、トポテカン、ビンクリスチン、ビノレルビン、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0129】
黒色腫がんの治療に使用される治療薬には、アルブミン結合パクリタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、コビエムチニブ、ダブラフェニブ、ダクラバジン、IL-2、イマチニブ、インターフェロンアルファ-2b、イピリムマブ、ニトロソウレア、ニボルマブ、パクリタキセル、ペムブロリズマブ、ピリムマブ、テモゾロミド、トラメチニブ、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0130】
卵巣がんの治療に使用される治療薬には、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、アルトレタミン、アナストロゾール、ベバシズマブ、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、エキセメスタン、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、リポソームドキソルビシン、酢酸メゲストロール、メルファラン、オラパリブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パゾパニブ、ペメトレキセド、タモキシフェン、トポテカン、ビノレルビン、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0131】
膵臓がんの治療に使用される治療薬には、5-フルオロウラシル、アルブミン結合パクリタキセル、カペシタビン、シスプラチン、ドセタキセル、エルロチニブ、フルオロピリミジン、ゲムシタビン、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、パクリタキセル、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0132】
腎細胞がんの治療に使用される治療薬には、アキシチニブ、ベバシズマブ、カボザンチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、レバンチニブ、ニボルマブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0133】
VI.抗体の一般的な特徴
抗原に対する他の非ヒトモノクローナル抗体、例えば、マウス、モルモット、霊長類、ウサギ又はラットの産生は、例えば、動物を抗原若しくはその断片、又は抗原を有する細胞で免疫化することによって達成することができる。Harlow&Lane、Antibodies、A Laboratory Manual(CSHP NY、1988)(参照によりすべての目的のために組み込まれる)を参照されたい。このような抗原は、天然源から、ペプチド合成によって、又は組換え発現によって得ることができる。任意選択で、抗原は、担体タンパク質と融合されるか又は他の方法で複合体化されて投与され得る。任意選択で、抗原は、アジュバントと共に投与することができる。以下に記載されるように、いくつかの種類のアジュバントを使用することができる。実験動物の免疫化には、完全フロイントアジュバントとそれに続く不完全アジュバントが望ましい。
【0134】
ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体からのCDRがヒト「アクセプタ」抗体配列に移植される、遺伝子操作された抗体である(例えば、Queen、米国特許第5530101号及び同第5585089号、Winter、米国特許第5225539号、Carter、米国特許第6407213号、Adair、米国特許第5859205、第6881557号、Foote、米国特許第6881557号を参照)。アクセプタ抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、そのような配列の複合体、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、又は生殖細胞系列領域配列であり得る。したがって、ヒト化抗体は、完全に又は実質的にドナー抗体由来の一部又はすべてのCDRと、存在する場合に完全に又は実質的にヒト抗体配列由来の可変領域フレームワーク配列及び定常領域とを有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、完全に又は実質的にドナー抗体重鎖由来の少なくとも1つ、2つ、通常は3つすべてのCDRと、存在する場合に実質的にヒト重鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列由来の重鎖可変領域フレームワーク配列及び重鎖定常領域とを有する。同様に、ヒト化軽鎖は、完全に又は実質的にドナー抗体軽鎖由来の少なくとも1つ、2つ、通常は3つすべてのCDRと、存在する場合に実質的にヒト軽鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列由来の軽鎖可変領域フレームワーク配列及び軽鎖定常領域とを有する。ナノボディ及びdAb以外に、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖及びヒト化軽鎖を含む。対応する残基(Kabatによって定義される)の少なくとも85%、90%、95%、又は100%がそれぞれのCDR間で同一である場合、ヒト化抗体におけるCDRは、実質的に非ヒト抗体中の対応するCDRに由来する。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列又は抗体鎖の定常領域は、Kabatによって定義された対応する残基の少なくとも85、90、95、又は100%が同一である場合、それぞれ、実質的にヒト可変領域フレームワーク配列又はヒト定常領域に由来する。
【0135】
ヒト化抗体は、多くの場合、マウス抗体由来の6つすべてのCDR(好ましくは、Kabatによって定義される)を組み込むが、それらは、すべてのCDR(例えば、マウス抗体由来の少なくとも3、4、又は5つのCDR)より少ない数で作製することもできる(例えば、Pascalisら、J.Immunol.169:3076、2002、Vajdosら、Journal of Molecular Biology、320:415-428、2002、Iwahashiら、Mol.Immunol、36:1079-1091、1999、Tamuraら、Journal of Immunology、164:1432-1441、2000)。
【0136】
キメラ抗体は、非ヒト抗体(例えば、マウス)の軽鎖及び重鎖の成熟可変領域が、ヒト軽鎖及び重鎖定常領域と組み合わされている抗体である。このような抗体は、マウス抗体の結合特異性を実質的に又は完全に保持し、約3分の2のヒト配列である。
【0137】
ベニア化抗体は、CDRの一部、通常はすべて、及び非ヒト抗体の非ヒト可変領域フレームワーク残基の一部を保持するが、B細胞エピトープ又はT細胞エピトープに寄与し得る他の可変領域フレームワーク残基、例えば、曝露された残基(Padlan、Mol.Immunol.28:489、1991)をヒト抗体配列の対応する位置からの残基で置き換えるヒト化抗体の一種である。その結果、CDRが完全に又は実質的に非ヒト抗体に由来し、非ヒト抗体の可変領域フレームワークが、置換によってよりヒト様になる抗体が得られる。
【0138】
ヒト抗体は、ヒトから単離されてもよく、又は別の方法で、ヒト免疫グロブリン遺伝子の発現から生じ得る(例えば、トランスジェニックマウスにおいて、インビトロで、又はファージディスプレイによって)。ヒト抗体を産生するための方法としては、Oestbergら、Hybridoma 2:361-367(1983)、Oestberg、米国特許第4634664号、Englemanら、米国特許第4634666号、use of transgenic mice including human immunoglobulin genes(例えば、Lonbergら、国際公開第93/12227号(1993)を参照)、米国特許第5877397号、同第5874299号、同第5814318号、同第5789650号、同第5770429号、同第5661016号、同第5633425号、同第5625126号、同第5569825号、同第5545806号、Nature 148、1547-1553(1994)、Nature Biotechnology14、826(1996)、Kucherlapati、国際公開第91/10741号(1991)のトリオーマ法、並びにファージディスプレイ法(例えば、Dowerら、国際公開第91/17271号、McCaffertyら、国際公開第92/01047号、米国特許第5877218号、同第5871907号、同第5858657号、同第5837242号、同第5733743号、及び同第5565332号を参照)が挙げられる。
【0139】
抗体は、それらの意図された標的への特異的結合についてスクリーニングされる。抗体は、標的の特定の領域(例えば、所望のエピトープを含む)への結合、参照抗体との競合、抗原を有する細胞のアゴニズム又はアンタゴニズムについて更にスクリーニングされてもよい。非ヒト抗体は、上述のように、キメラ、ベニア化、又はヒト化形態に変換することができる。
【0140】
定常領域の選択は、部分的には、抗体依存性細胞介在性細胞傷害、抗体依存性細胞食作用、及び/又は補体依存性細胞傷害が望まれるか否かに依存する。例えば、ヒトアイソタイプIgG1及びIgG3は補体依存性細胞傷害を有し、ヒトアイソタイプIgG2及びIgG4は有しない。軽鎖定常領域は、ラムダ又はカッパであり得る。ヒトIgG1及びIgG3はまた、ヒトIgG2及びIgG4よりも強い細胞介在エフェクタ機能を誘導する。
【0141】
ヒト定常領域は、異なる個体間でアロタイプ変異及びアイソアロタイプ変異を示し、即ち、定常領域は、1つ以上の多型位置で異なる個体において異なる可能性がある。アイソアロタイプは、アイソアロタイプを認識する血清が1つ以上の他のアイソタイプの非多型領域に結合するという点でアロタイプとは異なる。ヒト定常領域への言及は、任意の天然アロタイプ、又は天然アロタイプの多型位置を占める残基の任意の順列を有する定常領域を含む。
【0142】
重鎖のC末端リジンなどの軽鎖及び/又は重鎖のアミノ末端又はカルボキシ末端における1つ又はいくつかのアミノ酸は、分子の一部又はすべてにおいて欠落しているか、又は誘導体化されている可能性がある。補体介在細胞傷害又はADCCなどのエフェクタ機能を低下又は増加させるために(例えば、Winterら、米国特許第5624821号、Tsoら、米国特許第5834597号、及びLazarら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103:4005、2006を参照)、又はヒトにおける半減期を延長するために(例えば、Hintら、J.Biol.Chem、279:6213、2004を参照)、定常領域で置換を行うことができる。例示的な置換には、250位でのGln及び/又は428位でのLeu、434位でのS又はN、252位でのY、254位でのT、及び256位でのEが含まれる。N434A(EU番号付け)。FcRn結合の増加は、本発明のハイブリッドタンパク質を、FcRnへの結合について内因性IgGとより強く競合させるのに有利である。また、ADCC、ADP、又はCMCのいずれかを減少させるための多数の変異が知られている。(例えば、Winterら、米国特許第5624821号、Tsoら、米国特許第5834597号、及びLazarら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103:4005、2006)を参照)。例えば、234位、235位、236位、及び/又は237位のいずれかの置換は、Fcγ受容体、特にFcγRI受容体に対する親和性を低下させる(例えば、米国特許第6624821号を参照)。任意選択で、ヒトIgG2における234位、236位、及び/又は237位はアラニンで置換され、235位はグルタミン又はグルタミン酸で置換される。(例えば、米国特許第5624821号を参照)。エフェクタ機能を低下させる他の置換には、268位でのA、297位でのG又はA、309位でのL、322位でのA、327位でのG、330位でのS、331位でのS、238位でのS、268位でのA、309位でのLが含まれる。エフェクタ機能を増強する変異の一部の例には、S239D、I332E、A330L及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0143】
上述のように、一部の実施形態において、抗体のFc領域は、抗結合分子の血清半減期の増加を促進する1つ以上のアミノ酸修飾を含む。抗体の半減期を増加させる変異が記載されている。一実施形態では、CD3標的化重鎖及びHIV抗原標的化重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、252位でのメチオニンからチロシンへの置換(EU番号付け)、254位でのセリンからトレオニンへの置換(EU番号付け)、及び256位でのトレオニンからグルタミン酸への置換(EU番号付け)を含む。例えば、米国特許第7658921号を参照されたい。「YTE突然変異体」と呼ばれるこのタイプの突然変異体は、同じ抗体の野生型バージョンと比較して4倍増加した半減期を示す(Dall’Acquaら、J Biol Chem、281:23514-24(2006)、Robbieら、Antimicrob.Agents Chemotherap.、57(12):6147-6153(2013))。特定の実施形態では、CD3標的化重鎖及びHIV抗原標的化重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、251~257位、285~290位、308~314位、385~389位、及び428~436位でのアミノ酸残基の1つ、2つ、3つ又はそれ以上のアミノ酸置換を含むIgG定常ドメインを含む(EU番号付け)。あるいは、M428L及びN434S(「LS」)置換は、多重特異性抗原結合分子の薬物動態学的半減期を増加させることができる。他の実施形態では、Fc領域は、M428L及びN434S置換(EU番号付け)を含む。他の実施形態では、CD3標的化重鎖及びHIV抗原標的化重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、T250Q及びM428L(EU番号付け)変異を含む。他の実施形態では、Fc領域は、H433K及びN434F(EU番号付け)変異を含む。
【0144】
上述のように、抗体のFc領域は、エフェクタ活性を増加させる、例えば、改善されたFcγIIIa結合及び増加された抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有する翻訳後修飾及び/又はアミノ酸修飾を含むことができる。一部の実施形態では、抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域におけるDE修飾(即ち、EU番号付けによるS239D及びI332E)を含む。一部の実施形態では、抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域におけるDEL修飾(即ち、EU番号付けによるS239D、I332E及びA330L)を含む。一部の実施形態では、抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域におけるDEA修飾(即ち、EU番号付けによるS239D、I332E及びG236A)を含む。一部の実施形態では、抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域におけるDEAL修飾(即ち、EU番号付けによるS239D、I332E、G236A及びA330L)を含む。例えば、米国特許第7317091号、同第7662925号、同第8039592号、同第8093357号、同第8093359号、同第8383109号、同第8388955号、同第8735545号、同第8858937号、同第8937158号、同第9040041号、同第9353187号、同第10184000号、及び同第10584176を参照されたい。エフェクタ活性を増加させる、例えば、改善されたFcγIIIa結合及び増加された抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有する追加のアミノ酸修飾には、第1のFcドメイン上のF243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、S298A/E333A/K334A又はL234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298A、及び第2のFcドメイン上のD270E/K326D/A330M/K334Eが含まれるが、これらに限定されない(EU番号付け)。C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)を増加させるアミノ酸変異には、S267E/H268F/S324T又はK326W/E333Sが含まれるが、これらに限定されない(EU番号付け)。エフェクタ活性を増強するFc領域変異は、例えば、Wangら、Protein Cell(2018)9(1):63-73、及びSaunders、Front Immunol.(2019)10:1296に概説されている。
【0145】
他の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、修飾されたグリコシル化を有し、これは、例えば、翻訳後に、又は遺伝子操作によって導入することができる。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、例えば、抗体又はその抗原結合断片に存在するグリコシル化部位において脱フコシル化される。ほとんどの承認されたモノクローナル抗体はIgG1イソタイプであり、ここで2つのN結合型二分岐複合型オリゴ糖がFc領域に結合している。Fc領域は、FcγRファミリーの白血球受容体との相互作用を通じてADCCのエフェクタ機能を発揮する。脱フコシル化モノクローナル抗体は、抗体のFc領域中のオリゴ糖がいずれのフコース糖単位も有さないように操作されたモノクローナル抗体である。
【0146】
除去用の対象となる抗体は、ADCCを誘導する能力について試験することができる。抗体関連ADCC活性は、溶解細胞からの標識又は乳酸デヒドロゲナーゼの放出の検出、又は低下した標的細胞生存率の検出(例えば、アネキシンアッセイ)のいずれかを通じて監視及び定量化することができる。アポトーシスのアッセイは、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ介在ジゴキシゲニン-1 1-dUTPニック末端標識(TUNEL)アッセイによって行うことができる(Lazebnikら、Nature:371、346(1994))。細胞毒性は、Roche Applied Science(Indianapolis,Ind.)の細胞毒性検出キットなどの検出キットによって直接検出することもできる。同様に、抗体は、国際公開第2009/091601号に記載されているように、例えばAML LSC上で抗体依存性食作用(ADP)を誘導する能力について試験することができる。
【0147】
一部の実施形態では、免疫療法剤は、エフェクタ部分に結合される。エフェクタ部分は、放射性標識又は蛍光標識などの標識部分を含む任意の数の分子であり得るか、又は細胞傷害性部分であり得る。細胞傷害性薬剤には、細胞傷害性薬若しくは毒素、又はそのような毒素の活性断片が含まれる。好適な毒素及びそれらの対応する断片には、ジフテリアA鎖、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、クルシン、クロチン、フェノマイシン、エノマイシン、サポリン、オーリスタチン-Eなどが含まれる。細胞傷害性薬剤には、放射性同位体を抗体に結合させることによって作られた放射性化学物質も含まれる。細胞傷害性部分を膜貫通タンパク質に標的化することは、標的領域における細胞傷害性部分の局所濃度を増加させるのに役立つ。
【0148】
VII.血液細胞の遺伝性疾患
本発明の方法は、血液細胞の遺伝的疾患、特に単一タンパク質の変異から生じる単一遺伝子疾患を是正するために使用することができる。そのような疾患は優性又は非優性である可能性があり、部分的又は完全な浸透をもたらす可能性がある。一般に、そのような疾患は、内因性HPLCを除去し、疾患の根底にあるタンパク質の機能(例えば、野生型)形態を含む補充HPLCを投与することによって治療することができる。そのような細胞は、遺伝子改変がどのように行われるかによって、タンパク質の突然変異型と同様に、又はその代わりに野生型タンパク質を発現することができる。
【0149】
血液細胞の遺伝子疾患には、サラセミアや鎌状赤血球症などの異常ヘモグロビン症、X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)アデノシンデアミナーゼ欠損症(ADA-SCID)、SCIDの他の遺伝的形態(artemis、Rag1/2)、ウィスコットアルドリッチ(WAS)、慢性肉芽腫症、血球貪食性リンパ組織球症、X連鎖高IgM症候群、X連鎖リンパ増殖性疾患、X連鎖無ガンマグロブリン血症、X連鎖副腎白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、血友病、フォンヴィレブランド病、鎌状赤血球性貧血、遺伝性再生不良性貧血、赤芽球癆、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ファンコニ貧血、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、ムコ多糖症などの先天性代謝異常、ゴーシェ病及び他のリピドーシス、表皮水疱症、重症先天性好中球減少症、シュワッハマンダイアモンド症候群、ダイヤモンド-ブラックファン貧血、コストマン症候群及び白血球接着不全症が含まれる。
【0150】
鎌状赤血球貧血では、ヘモグロビンベータ鎖の6番目のアミノ酸のグルタミン酸がバリンに置換されている。バリン変異型ヘモグロビンは、グルタミン酸型よりもはるかに溶けにくく、それは、棒状のファクトイドの半固体ゲルを形成し、低P02の部位でRBCを鎌状にする。歪んだ柔軟性のない赤血球は血管内皮に付着し、小さな細動脈及びび毛細血管を詰まらせ、閉塞及び梗塞を引き起こす。鎌状RBCは血液循環の機械的外傷に耐えられないほど脆弱であるため、血液循環に入った後に溶血が起こる。ホモ接合体では、貧血及び血管閉塞事情によって臨床症状が引き起こされ、結果として組織の虚血及び梗塞が生じる。成長と発達が障害され、感染症への感受性が高まる。貧血は通常重度であるが、患者によって大きく異なる。鎌状赤血球貧血は、遺伝的欠陥を修正すること、追加の機能的ヘモグロビン転写単位を発現すること、又はBCL11A赤血球増強の破壊によって改善することができ、これは、鎌状赤血球貧血(又はベータサラセミア)の治療のために、胎児グロビン発現を抑制し、胎児ヘモグロビンのレベルを増加させる。
【0151】
サラセミアは、ヘモグロビン合成欠陥及び無効造血を特徴とする慢性の遺伝性小球性貧血の群であり、特に地中海、アフリカ、及び東南アジアの祖先の人々によく見られる。サラセミアは最も一般的な遺伝性溶血性疾患の1つである。これは、少なくとも1つのグロビンポリペプチド鎖(β、α、γ、δ)の産生低下によって引き起こされるHb合成の不均衡に起因する。これは遺伝子の調節領域の変異を通じて、又は発現の低下をもたらすグロビンコード配列の変異から発生する可能性がある。
【0152】
複合免疫不全症は、B細胞系とT細胞系の両方の先天性、通常は遺伝的欠損、リンパ性形成不全、及び胸腺異形成を特徴とする疾患群である。複合免疫不全症には、重症複合免疫不全症、スイス型無ガンマグロブリン血症、アデノシンデアミナーゼ又はヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症を伴う複合免疫不全症、免疫グロブリンを伴う複合免疫不全症(ネゼロフ症候群)が含まれる。ほとんどの患者は、鵝口瘡、肺炎、及び下痢による感染症を早期に発症する。治療せずに放置すると、ほとんどが2歳未満で死亡する。ほとんどの患者では、B細胞及び免疫グロブリンの深刻な欠乏が見られる。リンパ球減少症、T細胞レベルの低下又は欠如、マイトジェンに対する増殖反応の低下、皮膚アネルギー、胸腺陰影の欠如、及びリンパ組織の減少が特徴である。ニューモシスチス肺炎及び他の日和見感染症が一般的である。
【0153】
本発明の方法はまた、HIVの場合にCCR5のような感染ウイルスによって使用される免疫細胞受容体を修飾することによって、感染症の治療に使用することができる。
【0154】
これらの本発明の方法はまた、病理が少なくとも部分的に血液細胞に存在する血液悪性腫瘍及び自己免疫疾患を治療するために使用することができる。血液悪性腫瘍には、白血病、リンパ腫及び骨髄腫が含まれる。そのような悪性腫瘍のより具体的な例としては、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、及び多発性骨髄腫が挙げられる。自己免疫疾患には、B細胞及びT細胞介在性疾患が含まれる。一般的な例は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、多発性硬化症、1型糖尿病、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、乾癬、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、血管炎及び全身性硬化症である。
【0155】
本発明の方法はまた、内在性HSPCに損傷を与える化学療法を受けた、固形腫瘍などの他の種類のがんを有する患者の内在性HSPCを置換するために使用することができる。固形腫瘍には、とりわけ、乳房、前立腺、脳、肺、腎臓、肝臓、胃、腸、結腸、甲状腺、胸腺、卵巣、黒色腫及び膵臓の腫瘍が含まれる。補充幹細胞は、内在性HSPCの機能を(例えば、感染との戦いにおいて)提供し、また、同種であれば、残存がん細胞に対して更なる活性を有する可能性がある。
【0156】
本発明の方法はまた、臓器移植、特に同種移植片におけるHSPCを置換するために使用することができる。内在性HSPCは、非MHC適合同種移植片に対して宿主対移植片反応を発症する可能性が高い。宿主対移植片反応は、臓器移植の前に内在性HSPCを除去し、移植された臓器と同時に、好ましくは同じ供給源(即ち、対象)から増殖の利点を与えるように遺伝子改変された補充HSPCを導入することによって低減することができる。
【0157】
補充HSPCのための自家源と同種源との間の選択はいくつかの要因に依存する。自家移植は容易に利用可能であり、HLA適合ドナーを特定する必要はない。自家移植は、生命を脅かす合併症のリスクが低く、GVHDのリスクはなく、GVHDと移植片拒絶を防ぐための免疫抑制療法も必要ない。免疫再構築は同種移植後よりも迅速であり、日和見感染症のリスクがより低い。移植片不全がめったに発生しない。しかしながら、がん患者からの自家移植は、がん細胞に汚染されるリスクがある。
【0158】
同種移植には、移植片に腫瘍細胞が混入しないという利点がある。移植片はまた、免疫移植片対腫瘍効果を生じ得るドナー由来の免疫担当細胞を含む。自家移植と比較して、同種移植後の疾患再発リスクは、一般的に低い。しかしながら、同種移植は、レジメン関連臓器毒性、移植片不全、及び移植片対宿主病など、多くの潜在的に致死的な合併症と関連している可能性がある。
【0159】
一般に、同種移植は、主に白血病及び骨髄異形成症候群の治療に使用されている。自家移植は、固形腫瘍、リンパ腫、及び骨髄腫でより頻繁に使用されている。遺伝性疾患の是正のために、自家移植は、遺伝子改変と共に使用して、疾患の遺伝的基盤を是正するか、又は是正を必要とせずに同種移植を行うことができる。
【0160】
VIII.補充幹細胞を投与するためのレジメン
補充幹細胞は、通常、静脈内注入によって非経口的に投与される。投与される幹細胞の用量は、注入される細胞組成物の所望の純度、及び細胞の供給源に依存し得る。用量はまた、HSPCの遺伝子改変の種類に依存する可能性がある。HSPCの保護のため、また補充HSPCの導入前に内在性HSPCを実質的に完全に排除する必要がないため、用量は、1~2×106個のCD34+細胞/kg体重が最小であると見なされた従来の方法よりも少ない場合がある。再導入のための細胞の例示的な用量は、少なくとも1×105、1×106、2、×106、5×106、107、2×107個のCD34+細胞/kg体重である。例示的な範囲は、1×105~5×107、1×106~2×107、又は5×105~6×106個のCD34+細胞/kg体重である。用量は、利用可能な細胞の数によって制限される場合がある。通常、供給源にかかわらず、用量は、存在するCD34+細胞の数によって計算される。Cd34+細胞のパーセント数は、未分画の骨髄又は動員された末梢血では低くなる可能性があり、その場合、投与される細胞の総数ははるかに多くなる。
【0161】
IX.監視
遺伝子改変された補充HSPCを対象に導入した後、総HSPCに対する補充HSPCの比率を監視することができる。HSPCのサンプルは、前述のように、骨髄又は末梢血から採取することができる。補充HSPCは、例えば、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ又は免疫測定法によって内因性のものと区別することができる。補充HSPCが同種又は異種である場合、補充細胞と内因性細胞との間には、差動プローブ結合アッセイの基礎を形成することができる多くの遺伝的差異があり、場合によっては免疫測定法を可能にする受容体の差異がある。補充HSPCが自家である場合、補充HSPCの遺伝子改変は、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ又は免疫測定法のいずれかによって、それらを内在性HSPCと区別することができる。導入後、総HSPCに対する補充の割合は時間と共に増加する可能性がある。好ましくは、この割合は6ヶ月後に30、50、75、90又は95%を超える。
【0162】
上記又は下記に引用されるすべての特許出願、ウェブサイト、他の刊行物、受託番号などは、個々の項目が参照によりそのように組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同程度に、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。配列の異なるバージョンが異なる時点で受託番号と関連付けられる場合、本出願の有効出願日での受託番号と関連付けられているバージョンを意味する。有効出願日とは、実際の出願日、又は該当する場合、受託番号を言及する優先権出願の出願日のいずれか早い方を意味する。同様に、刊行物、ウェブサイトなどの異なるバージョンが異なる時点で公開されている場合、特に明記しない限り、本出願の有効出願日において最も最近に公開されたバージョンを意味する。本発明の任意の特徴、工程、要素、実施形態、又は態様は、特に明記しない限り、他の任意のものと組み合わせて使用することができる。本発明は、明確さ及び理解の目的のために説明及び例示としてある程度詳細に説明されているが、特定の変更及び修正が添付の特許請求の範囲内で実施され得ることは明らかであろう。
【実施例】
【0163】
実施例1
材料及び方法
動物
これらの研究ではアカゲザル(macaca mulatta)(2~4歳の雌、2~4kg)を使用し、飼育及び処理し、動物実験委員会によって承認されたプロトコルに概説されているガイドラインに従って処置を実施した。-7、2、9、16、29日目及び57日目に大転子又は上腕骨から交互に骨髄穿刺液を採取した。
【0164】
試薬
FACS緩衝液(PBS、2%FBS(Life Technologies)、2mM EDTA(Life Technologies)。ウルトラレインボービーズ(Spherotech)。使用した抗体:CD34 PE(クローン563)、CD45RA APCH7(クローン5H9)、CD45 FITC(クローンD058-1283)、CD90 V605(クローン5E10)、CD3 PerCPCy5.5(クローンSP34)、CD20 PerCPCy5.5(クローン2H7)、CD16 PerCPCy5.5(クローン3G8)、CD11b PerCPCy5.5(クローンICRF44)、CD4 PerCPCy5.5(クローンL200)、CD8a(PerCPCy5.5クローンRPA-T8)、精製抗CD32(クローンFLI8.26)。精製水を用いて1Xで調製したPharm Lyse 10X。シトックスブルー及び精製水(Life Technologies)。非結合型ヒト化SR1(Forty Seven,Inc.)、非結合型マグロリマブ(Forty Seven Inc.)、抗IgG-AF647(クローン4E3、Southern Biotech)、抗IgG4-AF647(クローンG17-4、Forty Seven Inc.)
【0165】
骨髄穿刺液の免疫表現型検査
骨髄をFACS緩衝液で洗浄し、ペレット化した。赤血球を1x Pharm lyseで10~15分間室温で溶解し、FACS緩衝液中に洗い流した。次に、細胞を抗CD32で氷上で10~15分間ブロックし、次いでFACS緩衝液中に洗い流す。細胞をCD34、CD45、CD45RA、CD90、及びCD3、CD4、CD8a、CD11b、CD20、CD16の系統(lin)マーカーで氷上で30分間染色することにより、細胞の免疫表現型を決定した。次に、細胞を再びFACs緩衝液で洗浄し、生存率染色液(Sytox Blue)を添加してから、フローサイトメーターで採取した。対象となる標的細胞集団をsytox(-)Lin(-)CD34(+)CD45(mid)CD90(+)CD45RA(-)cKIT(+)、sytox(-)Lin(-)CD34(+)CD45(mid)CD90(+)CD45RA(-)CD47(+)、sytox(-)Lin(-)CD34(+)CD45(mid)CD90(+)CD45RA(-)、sytox(-)Lin(-)CD34(+)CD90(+),sytox(-)Lin(-)CD34(+)cKIT(+)として定義する。
【0166】
標的細胞集団変化の計算
各動物について-7日目に標的参照細胞集団を評価し、これを標的細胞参照値(Targetreference)とする。標的集団細胞数をsytox(-)、sytox(-)Lin(-)CD34(+)、sytox(-)Lin(-)、sytox(-)Lin(-)CD34(+)、sytox(-)Lin(-)CD34(+)CD90(+)又はsytox(-)Lin(-)CD34(+)cKIT(+)の細胞数で割ってTargetreferenceを計算する。各時点(t=2、9、16、29、及び57)について、Target referenceと同様にTargettime pointを計算する。開始からの標的細胞集団の%変化=(Targettime point/Targetreference)*100を計算することによって各動物を正規化する。
【0167】
cKITの受容体占有率
骨髄穿刺液赤血球を1x Pharm lyseで室温で10~15分間溶解し、FACs緩衝液で洗浄した。次に、細胞を抗CD32で氷上で10~15分間ブロックし、次いでFACs緩衝液中に洗い流す。総cKIT受容体を測定するために、細胞を非結合型抗c-kit(ヒト化SR1)(5ug/ml)と共に氷上で35分間インキュベートし、FACs緩衝液で2回洗浄し、氷上で20分間抗IgG1-AF647(50ug/ml)で染色し、2回洗浄し、次いで細胞を免疫表現型カクテルプロトコルで染色してからフローサイトメーターで採取する。占有された受容体を測定するために、調製した細胞(溶解及びブロックされた)を、追加のヒト化SR1飽和なしでインキュベートし、抗IgG1-AF647(50ug/ml)で染色し、氷上で20分間インキュベートし、2回洗浄し、次いで免疫表現型カクテルプロトコルで染色する。
【0168】
受容体占有率の計算
受容体占有率を以下のように計算する。
【0169】
RO計算:MFItest/MFItotalに100%を掛けたもの。MFItotalは、MFItestと同じ評価日の5ug/mlのFSI-174染色チューブからのものである。
【0170】
結果
図1A及び
図1Bは、基本的な治療プロトコルを示す。
図1Aは、PBS対照及び抗c-kit(ヒト化SR1)又は抗CD47(マグロリマブ)のいずれかによる個々の治療を示す。
図1Bは、PBS対照及び抗c-kitと抗CD47の併用療法を示す。示されているように、0.3mg/kgから3mg/kgの範囲の抗C-kitの異なる用量を試験した。抗CD47の初回刺激用量は5mg/kgであり、その後の用量は20mg/kgであった。
【0171】
図2は、抗c-kitの血清中濃度を経時的に示す。すべての用量で、望ましい閾値である0.1μg/mlを超える測定可能な血清レベルが達成される。用量0.3mg/kgは6日後に最小測定可能血清レベルを下回り、用量1mg/kgは13日後、用量3mg/kgは19日後である。
【0172】
図3は、異なる用量の抗c-kitに対するc-kit受容体占有率を示す。すべての用量はHSCの100%c-kit受容体占有率を達成した。
【0173】
図4は、抗c-kit及び抗CD47受容体占有率を経時的に示す。抗c-kitのすべての用量は、抗CD47の5mg/kg~20mg/kg用量と同様に、HSC上で100%の受容体占有率を達成した。
【0174】
図5A及び
図5Bは、ベースラインと比較したc-kit陽性HSCにおける%変化を示す。抗c-kit単独による治療は、陰性対照と比較して有意な減少をもたらさなかったが、抗c-kit及び抗CD47の併用による治療は有意な減少をもたらした。その減少は0.3及び3mg/kgの抗c-kitで有意差はなかった。
【0175】
図6A及び
図6Bは、抗c-kit及び抗CD47の併用療法による末梢白血球又は好中球の変化を経時的に示す。治療は、陰性対照と比較して、白血球又は好中球の有意な減少をもたらさなかった。好中球減少症又は汎血球減少症は観察されなかった。
【0176】
図7A及び
図7Bは、陰性対照と比較した、抗c-kit及び抗CD47併用療法のヘモグロビン及び赤血球レベルを経時的に示す。治療は、老化した赤血球の抗CD47除去により、軽度で一過性の貧血を引き起こす。
【0177】
更なる実験では、アカゲザルに1日目、8日目及び15日目に抗c-kit及び抗CD47抗体を投与した。骨髄穿刺液を-6、2、9、23、37日目に採取し、造血幹細胞及び前駆細胞の頻度についてフローサイトメトリーにより分析した。すべてのサルは、治療用投与の1週間前にCD47 ab初回刺激用量を受けた。
図8は、2~25日目からHSCが約85~90%減少し、その後回復することを示す。
【0178】
実施例2
この例は、c-kit及びSIRPαに対する抗体の組み合わせによるHSPC細胞の枯渇を示す。
【0179】
方法:
ヒトSIRPαを発現するトランスジェニックマウスに、-6、-4日目及び-2日目に400ugの抗SIRPα(1H9)を腹腔内注射するか、又はマウスに-6日目に500ugの抗c-kit(ACK2)を静脈内注射した。0日目に骨髄を採取し、造血幹細胞及び前駆細胞を染色し、フローサイトメトリーによって評価した。
【0180】
以下のように、染色パネルを用いて骨髄のHSC枯渇を評価した。
【表2】
【表3】
【0181】
平板培養及び染色
マルチチャンネルピペットを用いて、100uLの最終体積中にウェル当たり少なくとも200万個の細胞を分配した。細胞の量が不十分なサンプルについては、すべての細胞を平板培養した。FCを4uL/ウェルで4℃で5~10分間ブロックした。精製ラット抗マウスCD16/CD32(Mouse BD Fc Block(商標))(BD Biosciencesカタログ番号:553141)。完全マウスHSC染色パネル及びマウスBM免疫染色パネルのマスターミックスを調製した。混合物を4℃、1600RPM、5分でスピンダウンしてペレット化した。追加の洗浄なしでFcを除去し、100uLの染色溶液マスターミックスをそのそれぞれのサンプルに添加し、暗所で4℃で90分間インキュベートした。100uLのFACS緩衝液を添加し、次いで、フロアトップ遠心分離機上で、4C、1600RPM、5分でスピンダウンした。200uLのFACS緩衝液で更に2回洗浄した。ウェル当たり250uLのFACS緩衝液+5uLの7AAD中で再懸濁を行った。
【0182】
結果
ヒトSIRPαを発現するマウスに、-6、-4日目及び-2日目に400ugの抗SIRPα抗体(ヒト化1H9)を注射するか、又はマウスに-6日目に500ugの抗c-kit(ヒト化SR1)を注射した。この概念実証実験は、抗SIRPαを抗c-kitと組み合わせて、受容体の飽和を可能にする用量でHSPCを枯渇させることを試験するために設計された。0日目に骨髄を採取し、フローサイトメトリーによって、Lineage陰性、Sca-1陽性、c-kit陽性細胞であるHSPC細胞(またLKS細胞とも呼ばれてもよい)について分析した。
図9は、抗c-kit及び抗SIRPαの組み合わせが、骨髄からのHSPCの枯渇において非常に効果的であることを示す。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2021-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)の除去を必要とする患者の造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去する
ための、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤およびCD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤を含む組み合わせ物であって、c-kitに特異的に結合する
前記免疫療法剤0.15~2mg/kgと、CD47又はSIRPαに特異的に結合する
前記免疫療法剤の有効なレジメンと
が前記患者に投与
されることを特徴とし、ここで、HSPCは前記患者において除去される、
組み合わせ物。
【請求項2】
前記患者が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の0.15~1mg/kgの単回用量を投与される、請求項1に記載の
組み合わせ物。
【請求項3】
前記患者が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤を最大7日間にわたって複数回用量で投与されて、0.15~1mg/kgの単回用量と実質的に同じ曲線下面積を送達される、請求項1に記載の
組み合わせ物。
【請求項4】
前記患者が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の0.15~1mg/kgの2回用量を3~7日間隔で投与される、請求項1に記載の
組み合わせ物。
【請求項5】
CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤が投与され、CD47に特異的に結合する免疫療法剤の前記有効なレジメンは、第1用量及び前記第1用量より高い第2用量を含む、請求項1に記載の
組み合わせ物。
【請求項6】
前記第1用量が1mg/kgであり、前記第2用量が10~30mg/kg、好ましくは15~20mg/kgである、請求項5に記載の
組み合わせ物。
【請求項7】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤が、CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第2用量と同時に、単回用量として投与される、請求項5又は6に記載の
組み合わせ物。
【請求項8】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記単回用量及びCD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第2用量が同時注入によって投与される、請求項7に記載の
組み合わせ物。
【請求項9】
CD47に特異的に結合する免疫療法剤の前記第2用量及びc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の単回用量が、CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第1用量から3~15日後、任意選択で7日後に投与される、請求項7又は8に記載の
組み合わせ物。
【請求項10】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤が、10~30日の期間にわたって少なくとも3回用量で投与される、請求項1に記載の
組み合わせ物。
【請求項11】
CD47又はSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の各用量が投与されるのと同じ日に、任意選択で他の用量よりも低くかつ先行する他の用量の追加の用量で投与される、請求項10に記載の
組み合わせ物。
【請求項12】
前記組み合わせ物が、HSPC
と組み合わせて前記患者に導入
されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項13】
HSPCが、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記単回用量及びCD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第2用量が投与されてから5~15日後に前記患者に導入される、請求項7又は8に記載の
組み合わせ物。
【請求項14】
CD47に特異的に結合する免疫療法剤の前記第1及び第2用量、並びにc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の前記単回用量のみが、前記HSPCを導入する前に投与される、請求項13に記載の
組み合わせ物。
【請求項15】
前記組み合わせ物が、前記第2用量の後にCD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の第3用量
と組み合わせて投与
されることを特徴とし、任意選択で前記第2及び第3用量が、同量の前記免疫療法剤である、請求項5~9のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項16】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の複数回用量が投与され、CD47又はSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤の複数回用量が投与され、前記HSPCが、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤、又は、CD47若しくはSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤のいずれか遅い方の最後の用量から5~15日後に前記患者に導入される、請求項1に記載の
組み合わせ物。
【請求項17】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記最後の用量及びSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記最後の用量が、同じ日に投与される、請求項16に記載の
組み合わせ物。
【請求項18】
CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤が、CD47に特異的に結合する抗体である
、請求項
1~17のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項19】
CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤がヒト化5F9である、請求項18に記載の
組み合わせ物。
【請求項20】
前記抗体がマグロリマブである、請求項19に記載の
組み合わせ物。
【請求項21】
SIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンが投与される、請求項1に記載の
組み合わせ物。
【請求項22】
SIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤が抗体である、請求項21に記載の
組み合わせ物。
【請求項23】
前記抗体が、配列番号29を含む配列を有する重鎖可変領域と、配列番号30を含む配列を有する軽鎖可変領域とを含む、請求項22に記載の
組み合わせ物。
【請求項24】
SIRPαに特異的に結合する前記抗体が、FSI-189、ES-004、BI765063、ADU1805、及びCC-95251のいずれかである、請求項22に記載の
組み合わせ物。
【請求項25】
SIRPαに特異的に結合する前記抗体が、10~30mg/kgの用量で投与される、請求項21~24のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項26】
SIRPαに特異的に結合する前記抗体の単回用量が投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項27】
SIRPαに特異的に結合する前記抗体の複数回用量が投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項28】
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤が抗体である
、請求項
1~27のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項29】
前記抗体が、ヒトIgG1アイソタイプのSR1のヒト化形態である、請求項28に記載の
組み合わせ物。
【請求項30】
前記抗体が、配列番号7~9のいずれかを含む配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10を含む配列を有する軽鎖可変領域とを含む、請求項29に記載の
組み合わせ物。
【請求項31】
前記重鎖可変領域が配列番号7を含む配列を有する、請求項30に記載の
組み合わせ物。
【請求項32】
前記免疫療法剤の投与が、投与前のレベルの25~95%だけc-kit陽性HSPCを除去する、
請求項
1~31のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項33】
前記免疫療法剤の投与が、投与前のレベルの25~75%だけc-kit陽性HSPCを除去する、
請求項
1~32のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項34】
前記患者が、前記HSPCの除去によって治療される血液がんを有する、
請求項
1~33のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項35】
前記患者がまた、前記血液がんを治療するのに有効な薬剤を投与される、請求項34に記載の
組み合わせ物。
【請求項36】
前記患者が、前記HSPCの除去前又は除去中に前記薬剤を投与される、請求項34に記載の
組み合わせ物。
【請求項37】
前記薬剤が、化学療法剤、抗血管新生剤、抗線維化剤、又はがん抗原に対するモノクローナル抗体である、請求項34~36のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項38】
前記血液がんが、リンパ腫、白血病又は骨髄腫である、請求項34~37のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項39】
前記患者が、固形腫瘍を有し、かつ前記患者の前記HSPCを除去する前に、前記患者は、前記固形腫瘍を治療するのに有効でありかつ前記患者のHSPCを損傷する薬剤を投与される、請求項1~33のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項40】
前記薬剤が化学療法剤である、請求項39に記載の
組み合わせ物。
【請求項41】
CAR-T細胞が、前記HSPCを除去した後に前記患者に投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項42】
前記組み合わせ物が、HSPCの増殖又は細胞療法を促進するために前記HSPCの除去後にflt3アゴニスト又はCISH阻害剤
と組み合わせて投与
されることを特徴とする、
請求項
1~41のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項43】
前記組み合わせ物が、MCL1阻害剤
と組み合わせて投与され、NK細胞を除去する
ことを特徴とする、
請求項
1~42のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項44】
前記患者がヒトである、
請求項
1~43のいずれか一項に記載の
組み合わせ物。
【請求項45】
造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための薬剤の製造におけるc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の使用であって、前記免疫療法剤が、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンと組み合わせて、0.15~2mg/kgの用量で投与するためのものである、使用。
【請求項46】
0.15~2mg/kgの用量のc-kitに特異的に結合する免疫療法剤と組み合わせた、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための薬剤の製造における、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の使用。
【請求項47】
請求項2~44のいずれか一項に記載の方法による請求項45又は46の使用。
【請求項48】
造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)の除去を必要とする患者の造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤を含む組成物であって、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤0.15~2mg/kgが、CD47又はSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤の有効なレジメンと組み合わせて前記患者に投与されることを特徴とし、ここで、HSPCは前記患者において除去される、組成物。
【請求項49】
造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)の除去を必要とする患者の造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤を含む組成物であって、CD47又はSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤の有効なレジメンが、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤0.15~2mg/kgと組み合わせて前記患者に投与されることを特徴とし、ここで、HSPCは前記患者において除去される、組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0182
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0182】
結果
ヒトSIRPαを発現するマウスに、-6、-4日目及び-2日目に400ugの抗SIRPα抗体(ヒト化1H9)を注射するか、又はマウスに-6日目に500ugの抗c-kit(ヒト化SR1)を注射した。この概念実証実験は、抗SIRPαを抗c-kitと組み合わせて、受容体の飽和を可能にする用量でHSPCを枯渇させることを試験するために設計された。0日目に骨髄を採取し、フローサイトメトリーによって、Lineage陰性、Sca-1陽性、c-kit陽性細胞であるHSPC細胞(またLKS細胞とも呼ばれてもよい)について分析した。
図9は、抗c-kit及び抗SIRPαの組み合わせが、骨髄からのHSPCの枯渇において非常に効果的であることを示す。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)の除去を必要とする患者の造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去する方法であって、c-kitに特異的に結合する免疫療法剤0.15~2mg/kgと、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンとを前記患者に投与することを含み、ここで、HSPCは前記患者において除去される、方法。
(項目2)
前記患者が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の0.15~1mg/kgの単回用量を投与される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記患者が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤を最大7日間にわたって複数回用量で投与されて、0.15~1mg/kgの単回用量と実質的に同じ曲線下面積を送達される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記患者が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の0.15~1mg/kgの2回用量を3~7日間隔で投与される、項目1に記載の方法。
(項目5)
CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤が投与され、CD47に特異的に結合する免疫療法剤の前記有効なレジメンは、第1用量及び前記第1用量より高い第2用量を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記第1用量が1mg/kgであり、前記第2用量が10~30mg/kg、好ましくは15~20mg/kgである、項目5に記載の方法。
(項目7)
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤が、CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第2用量と同時に、単回用量として投与される、項目5又は6に記載の方法。
(項目8)
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記単回用量及びCD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第2用量が同時注入によって投与される、項目7に記載の方法。
(項目9)
CD47に特異的に結合する免疫療法剤の前記第2用量及びc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の単回用量が、CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第1用量から3~15日後、任意選択で7日後に投与される、項目7又は8に記載の方法。
(項目10)
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤が、10~30日の期間にわたって少なくとも3回用量で投与される、項目1に記載の方法。
(項目11)
CD47又はSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤が、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の各用量が投与されるのと同じ日に、任意選択で他の用量よりも低くかつ先行する他の用量の追加の用量で投与される、項目10に記載の方法。
(項目12)
HSPCを前記患者に導入することを更に含む、前述の項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
HSPCが、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記単回用量及びCD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の前記第2用量が投与されてから5~15日後に前記患者に導入される、項目7又は8に記載の方法。
(項目14)
CD47に特異的に結合する免疫療法剤の前記第1及び第2用量、並びにc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の前記単回用量のみが、前記HSPCを導入する前に投与される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記第2用量の後にCD47に特異的に結合する前記免疫療法剤の第3用量を投与することを更に含み、任意選択で前記第2及び第3用量が、同量の前記免疫療法剤である、項目5~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の複数回用量が投与され、CD47又はSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤の複数回用量が投与され、前記HSPCが、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤、又は、CD47若しくはSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤のいずれか遅い方の最後の用量から5~15日後に前記患者に導入される、項目1に記載の方法。
(項目17)
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記最後の用量及びSIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤の前記最後の用量が、同じ日に投与される、項目16に記載の方法。
(項目18)
CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤が、CD47に特異的に結合する抗体である、前述の項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
CD47に特異的に結合する前記免疫療法剤がヒト化5F9である、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記抗体がマグロリマブである、項目19に記載の方法。
(項目21)
SIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンが投与される、項目1に記載の方法。
(項目22)
SIRPαに特異的に結合する前記免疫療法剤が抗体である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記抗体が、配列番号29を含む配列を有する重鎖可変領域と、配列番号30を含む配列を有する軽鎖可変領域とを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
SIRPαに特異的に結合する前記抗体が、FSI-189、ES-004、BI765063、ADU1805、及びCC-95251のいずれかである、項目22に記載の方法。
(項目25)
SIRPαに特異的に結合する前記抗体が、10~30mg/kgの用量で投与される、項目21~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
SIRPαに特異的に結合する前記抗体の単回用量が投与される、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
SIRPαに特異的に結合する前記抗体の複数回用量が投与される、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤が抗体である、前述の項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記抗体が、ヒトIgG1アイソタイプのSR1のヒト化形態である、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記抗体が、配列番号7~9のいずれかを含む配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10を含む配列を有する軽鎖可変領域とを含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記重鎖可変領域が配列番号7を含む配列を有する、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記免疫療法剤の投与が、投与前のレベルの25~95%だけc-kit陽性HSPCを除去する、前述の項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記免疫療法剤の投与が、投与前のレベルの25~75%だけc-kit陽性HSPCを除去する、前述の項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記患者が、前記HSPCの除去によって治療される血液がんを有する、前述の項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記患者がまた、前記血液がんを治療するのに有効な薬剤を投与される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記患者が、前記HSPCの除去前又は除去中に前記薬剤を投与される、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記薬剤が、化学療法剤、抗血管新生剤、抗線維化剤、又はがん抗原に対するモノクローナル抗体である、項目34~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記血液がんが、リンパ腫、白血病又は骨髄腫である、項目34~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記患者が、固形腫瘍を有し、かつ前記患者の前記HSPCを除去する前に、前記患者は、前記固形腫瘍を治療するのに有効でありかつ前記患者のHSPCを損傷する薬剤を投与される、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記薬剤が化学療法剤である、項目39に記載の方法。
(項目41)
CAR-T細胞が、前記HSPCを除去した後に前記患者に投与される、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
HSPCの増殖又は細胞療法を促進するために前記HSPCの除去後にflt3アゴニスト又はCISH阻害剤を投与することを更に含む、前述の項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
MCL1阻害剤を、c-kitに特異的に結合する前記免疫療法剤及びCD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤と更に共に投与してNK細胞を除去する、前述の項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記患者がヒトである、前述の項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための薬剤の製造におけるc-kitに特異的に結合する免疫療法剤の使用であって、前記免疫療法剤が、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の有効なレジメンと組み合わせて、0.15~2mg/kgの用量で投与するためのものである、使用。
(項目46)
0.15~2mg/kgの用量のc-kitに特異的に結合する免疫療法剤と組み合わせた、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)を除去するための薬剤の製造における、CD47又はSIRPαに特異的に結合する免疫療法剤の使用。
(項目47)
項目2~44のいずれか一項に記載の方法による項目45又は46の使用。
【国際調査報告】